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新規リゾリン脂質が制御する神経回路形成及び神経回路再生の分子機構の解析
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(1)Lyso-PtdGlc応答性の異なる神経細胞間のGPCRの発現量を比較し、Lyso-PtdGlc応答性神経細胞に有意に多く発現するLyso-PG受容体の候補遺伝子を複数同定した。(2)Lyso-PtdGlcによる軸索ガイダンスの分子メカニズムとして、Lyso-PtdGlcの軸索反発活性はカルシウムイオンに依存しており、カルシウムイオンをブロックすることで反発から誘引へと変換されることを明らかにした。(1)Lyso-PtdGlc応答性の異なる神経細胞間のGPCRの発現量を比較し、Lyso-PtdGlc応答性神経細胞に有意に多く発現するLyso-PG受容体の候補遺伝子を複数同定した。(2)Lyso-PtdGlcによる軸索ガイダンスの分子メカニズムとして、Lyso-PtdGlcの軸索反発活性はカルシウムイオンに依存しており、カルシウムイオンをブロックすることで反発から誘引へと変換されることを明らかにした。本年度は、軸索の伸長方向を制御する新規リゾリン脂質LysophosphatidylGlucoside(Lyso-PG)の受容体の探索を目的として研究を行った。本研究ではリゾリン脂質が媒介する軸索ガイダンスの生理的意義を示すことを目的としている。その中で、Lyso-PG受容体の同定は、遺伝学的アプローチが困難な脂質分子の解析において、受容体ノックアウトマウスを作製しLyso-PG-受容体シグナルの個体レベルの機能解析を行い神経回路形成におけるそれらの生理機能を明らかにしようとする上で極めて重要である。Lyso-PGによる軸索反発活性が百日咳毒素により消失することからLyso-PGがGαiと共役するGタンパク質共役型受容体(GPCR)であると予想されること、さらにLyso-PGによる軸索反発活性に対しTrkA陽性DRG神経細胞は感受性を示すが、TrkC陽性DRG神経細胞は感受性を示さないことから、Lyso-PGに対する受容体はTrkA陽性神経細胞に発現しTrkC陽性神経細胞に発現していないことが予想された。そこでTrkA、TrkC陽性の両神経細胞からmRNAを回収し、約300種類のGPCRプライマーカセットを用いて、定量的RT-PCRを行った。その結果、TrkC陽性DRG神経細胞に比べ、TrkA陽性DRG神経細胞に優位に発現し、さらにアミノ酸配列の相同性から脂質分子をリガンドとするファミリーに含まれるGPCRを2種類同定した。これらの受容体のうち、1つはリガンドが同定されていないOrphan-GPCRであった。同定したGPCRについて、TrkC陽性DRG神経細胞に当該遺伝子を導入しLyso-PG感受性を示すかを確認するため、レンチウィルスを作製した。現在DRG神経細胞へウィルス導入法の検討を行っており感染効率の改善を図っている。平成21年度の研究実績TrkA陽性DRG神経細胞とTrkC陽性DRG神経細胞において、スクリーニングで得られたTrkA陽性DRG神経細胞に多く発現するGPCR(平成21年度の研究成果として報告済み)の内、Lyso-PtdGlc受容体の候補遺伝子2種類について、HEK293安定発現細胞株の樹立を試みた。その結果、1つの候補遺伝子を発現する安定発現株を複数クローン得られた。得られた細胞株を用いてLyso-PtdGlc存在下における細胞内カルシウム及びMAPキナーゼの活性を測定したが、Lyso-PtdGlcに対する応答は認められなかった。TrkA陽性DRG神経細胞の軸索に対するLyso-PtdGlcの反発活性の分子作用機構を明らかにするため、細胞内シグナル伝達因子に対する薬理阻害剤存在下における軸索ガイダンスアッセイを行った。その結果、細胞内のカルシウムイオンをキレートすると軸索反発活性が消失し、逆に軸索成長円錐がLyso-PtdGlcの濃度勾配が高い方へと誘引された。また細胞膜上に存在するカルシウムチャネルを阻害するカドミウムイオン存在下でLyso-PtdGlcによる軸索反発活性が誘引へと変換されたのに対し、細胞内カルシウムストアからのカルシウムイオンの放出を阻害してもLyso-PtdGlcの軸索反発活性は維持された。さらに、Lyso-PtdGlcを神経細胞の培養液中に添加すると軸索成長円錐内のカルシウムイオン濃度が上昇した。以上のことから、Lyso-PtdGlcは細胞外から細胞膜上のカルシウムイオンチャネルを介してカルシウムの流入を引き起こし、カルシウムイオン依存性のシグナル伝達経路を介して軸索の伸長方向を制御することが示唆された。
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KAKENHI-PROJECT-20890286
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https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-20890286
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新型行列模型による物質・重力の統一的記述
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本研究の目的は、時空・重力の量子論を物質の量子論と統合するために行列模型を解析することである。そして可能であれば、それが実現できるような新型行列模型を構成することを目指す。当該年度は様々な行列模型を俯瞰的に観察し、目的達成に向けた知見を得た。特に具体的に研究したのは、IIB行列模型と呼ばれる模型である。これが時空・重力と物質を統合する理論の最有力候補であることを再度認識したため、現行の物質理論体系である場の理論とIIB行列模型を接続することを試みた。IIB行列模型に関する諸研究では最近、カイラルゲージ理論が自然に出現するという報告がなされた。これは、カイラルフェルミオンと呼ばれる種の物質が行列模型を通じてゲージ不変に正則化されることを示唆する。紫外発散の問題を除けば同じ物理を場の理論の枠内で記述することは可能であるはずである。したがって法外年度の研究として、カイラルゲージ理論のゲージ不変な正則化を模索した。素朴に従来の場の理論としてカイラルゲージ理論を正則化することはできないと知られる。そこで本研究では、格子場の理論で知られるドメインウォールフェルミオンと呼ばれる構成を連続理論に適用することで正則化を試みた。これは時空に余剰次元を追加し、その方向に質量項が位相欠陥を持つようなフェルミオンを考えるという手法である。紫外発散のうち、フェルミオンループからくるものはパウリ・フィラーズ正則化で正則化した。一方でゲージ場が関与する紫外発散は、ゲージ場のみに次元正則化を適用することで正則化した。その結果1ループでゲージ不変性を保つ正則化を構成できたが、得られた理論は大変に複雑なものになった。このことから、IIB行列模型と場の理論との接続を定式化するにあたっては非自明な構造を導入せねばならないと判明した。研究開始時点においては、行列模型からどのように時空が創発するのか、またどのような行列模型を考えればよいのかが不明であった。当初の計画では、二年目には様々な行列模型を解析し、行列模型から時空が創発するという描像がどの程度一般的に機能するのか調べることになっていた。しかし実際の当該年度においては、そのような描像がうまくいき得る模型がIIB行列模型とその僅かな変形に限られるという知見を得ることができた。非常に規模の大きな観察であるため論文執筆は現在も検討段階に留まっているものの、このことは研究方針に大きな、そして適切な方向性の影響を与えた。さらに、現在進行中の取組によって、従来考えられていなかった宇宙の新しい描像が、IIB行列模型から得られることが判明しつつある。これらを総合すると、本研究は時空・重力の量子論と物質の量子論を行列模型の枠内で統一するという、その目的に確実に近づいていると判断される。IIB行列模型の解析に重点を置く。ここまでの研究において、IIB行列模型から超弦理論の高エネルギー極限の物理が取り出せる可能性、そして同模型には重力を一般化した高スピン場が自由度として含まれている可能性が示唆されている。そこで今後はもともとの計画を修正する。行列模型が表す時空の描像とその上の物質の振舞をさらに正確に知るべく、その数理構造に焦点を当てて研究を進める。最終的に、拡張された時空の概念の下で現実的な場の理論と一般相対性理論を導くような行列模型を構成あるいは定式化する。可能であればさらに踏み込んで、宇宙項などの諸観測量を説明することを目指す。本研究においては、物質と重力を統一的に記述できる可能性を持った行列模型の研究と、新たな模型を開発する手がかりとしての、場の理論の諸問題の研究を並行して行うことが有効である。それを踏まえ本年度は、行列模型による時空と物質の創発に関する解析と、ヒッグス粒子及びインフレーションを扱う新奇な模型の一般化を行った。行列模型については、行列模型と等価な非可換幾何に内包される重力理論の研究が、年度初めの時点で一定の進展を見せていた。本年度ではこの内容を整備した結果、行列模型を扱う主流のアプローチではダイナミカルな重力が出現しないことが強く示唆された。これは行列模型によって時空や重力を記述しようとする同様の他研究に先んじた結果であるといえる。そこで続いて、行列模型で曲がった時空を記述できる興味深いアプローチに基づいた解析を行った。具体的には、古典解として創発した時空の上に生じる、行列の揺らぎとしての物質場の安定性に焦点を当てて議論を展開した。その結果、行列模型は輻射補正に対して安定であること、さらに超対称性が破れた状況下では全物質場が輻射補正を通じて質量を獲得することが示された[Nucl.Phys.B 925(2017)195]。これは行列模型により時空と安定な物質を同時に記述できる可能性を補強した。一方で場の理論における未解決問題であるfine-tuning問題と、ヒッグス粒子を用いたインフレーションを関係付ける新奇な模型について、その実現可能性を具体的に示し、さらに一般化を行った[Phys.Lett.B 778(2018)60]。これを通じて場の理論を超えた模型が満たすべき条件を議論することができると期待される。場の理論の未解決問題に取り組み模型構築の手がかりを得るという点に関しては予定通り一定の進展を見た。特に本研究で扱ったものは、場の理論の未解決問題と、物質・重力間の結合を関連づけて探るものであり、意義は大きかったと考えられる。
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KAKENHI-PROJECT-17J02185
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https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-17J02185
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新型行列模型による物質・重力の統一的記述
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一方で行列模型に関しても、時空や重力を記述するという観点から見た主流のアプローチの問題を浮き彫りにした点と、別のアプローチで安定性を解析したことは、模型の性質の理解を深めることにつながった。これは本研究の主題である、行列模型でどのように物質と重力を記述することができるか、どの程度までそれが可能かといった問の答えにつながる、価値ある前進であったといえる。本研究の目的は、時空・重力の量子論を物質の量子論と統合するために行列模型を解析することである。そして可能であれば、それが実現できるような新型行列模型を構成することを目指す。当該年度は様々な行列模型を俯瞰的に観察し、目的達成に向けた知見を得た。特に具体的に研究したのは、IIB行列模型と呼ばれる模型である。これが時空・重力と物質を統合する理論の最有力候補であることを再度認識したため、現行の物質理論体系である場の理論とIIB行列模型を接続することを試みた。IIB行列模型に関する諸研究では最近、カイラルゲージ理論が自然に出現するという報告がなされた。これは、カイラルフェルミオンと呼ばれる種の物質が行列模型を通じてゲージ不変に正則化されることを示唆する。紫外発散の問題を除けば同じ物理を場の理論の枠内で記述することは可能であるはずである。したがって法外年度の研究として、カイラルゲージ理論のゲージ不変な正則化を模索した。素朴に従来の場の理論としてカイラルゲージ理論を正則化することはできないと知られる。そこで本研究では、格子場の理論で知られるドメインウォールフェルミオンと呼ばれる構成を連続理論に適用することで正則化を試みた。これは時空に余剰次元を追加し、その方向に質量項が位相欠陥を持つようなフェルミオンを考えるという手法である。紫外発散のうち、フェルミオンループからくるものはパウリ・フィラーズ正則化で正則化した。一方でゲージ場が関与する紫外発散は、ゲージ場のみに次元正則化を適用することで正則化した。その結果1ループでゲージ不変性を保つ正則化を構成できたが、得られた理論は大変に複雑なものになった。このことから、IIB行列模型と場の理論との接続を定式化するにあたっては非自明な構造を導入せねばならないと判明した。研究開始時点においては、行列模型からどのように時空が創発するのか、またどのような行列模型を考えればよいのかが不明であった。当初の計画では、二年目には様々な行列模型を解析し、行列模型から時空が創発するという描像がどの程度一般的に機能するのか調べることになっていた。しかし実際の当該年度においては、そのような描像がうまくいき得る模型がIIB行列模型とその僅かな変形に限られるという知見を得ることができた。非常に規模の大きな観察であるため論文執筆は現在も検討段階に留まっているものの、このことは研究方針に大きな、そして適切な方向性の影響を与えた。さらに、現在進行中の取組によって、従来考えられていなかった宇宙の新しい描像が、IIB行列模型から得られることが判明しつつある。これらを総合すると、本研究は時空・重力の量子論と物質の量子論を行列模型の枠内で統一するという、その目的に確実に近づいていると判断される。基本的にはこれまでと同じ方針で進めて問題ない。研究主題の性質上、個々の詳細な分野に研究を集中することは必ずしも望ましくない。
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KAKENHI-PROJECT-17J02185
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https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-17J02185
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重力波天文学にむけた強重力系、高速天体、初期宇宙からの重力波の理論的研究
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重力波は宇宙を観測する最終手段でありブラックホール現状や宇宙の始まりの情報を直接引き出す唯一の方法であるが、重力波は非常に微弱で、雑音に埋もれてしまう。その検出には雑音の除去が不可欠である。雑音のうちで重要なものは重力波の伝播における宇宙の大規模構造の影響である。本研究で非線形領域にも適用できる大規模構造の記述を開発し、電磁波や重力波の伝播における大規模構造の影響を調べた。その影響によって距離と赤方偏移関係が方向によって変化を受け、本研究によってその分散を求めた。この分散を考慮しなければ、観測結果の正しい解釈は得られないことも示された。近い将来の重力波観測による重力波天文学にとって、さまざまな天体現象からの重力波の理論的な波形予想が非常に重要である。さまざまな天体の中で特に興味深いのがブラックホールであり、銀河中心の超大質量ブラックホールから素粒子レベルのミニブラックホールまでさまざまな種類のブラックホールの存在が予想される。これらのブラックホールの内部構造として近年関が高まっている暗黒エネルギーの寄与を考えたとき、どのような内部構造が実現されるか、そしてその構造が安定が内部であるのかについて。加速器実験で生成が可能と考えられている身にブラックホールを念頭に研究した。この場合、質量、角運動量のみならず電荷をもったブラックホールも生成が可能と思われる。そこで質量、電荷をもったブラックホール内部に暗黒エネルギーとして宇宙定数を考えて、アインシュタイン方程式を解き、これえまで知られていなかった一連の解を発見した、。またこれらの解のうちあるパラメータ範囲で安定なブラックホールが存在することを示した。また宇宙初期のインフレーション時に生成される密度揺らぎや重力波の計算に用いられるデルタN定式化と呼ばれる方法について、その前提条件を詳しく検討し、計算結果のその妥当性を示した。これを用いて生成される揺らぎの非ガウス性を表すパラメータの間にある不等式が成り立つことを示した。また銀河中心の超巨大質量ブックホール近傍を恒星質量程度の小天体が光速度程度の超高速で運動する際に放射される重力波を理論的に求める方法についての研究が進行中である。重力波天文学における重要な問題は、重力波の信号がきわめて微弱であるため源の天体から我々に届くまでに宇宙の大規模構造による重力レンズ効果を受けて、本来重力波が運ぶ源の情報が変形されてしまうことにある。そのため重力波の伝播に対する宇宙の大規模構造の影響を正確に評価することが不可欠となる。本研究ではその影響を調べるために宇宙の大規模構造の進化について従来と全く異なる視点から理論的な定式化を行った。この定式化は密度揺らぎのような確率場をガウス的な揺らぎとそれからのずれとして展開する、その結果、銀河団スケール程度まで、N体数値計算と同精度で適用可能な物質の質量分布に対する理論的計算ができるようになった。N体計算では一つの宇宙モデルに対して密度揺らぎの進化を計算するには2,3日を要するが、この方法では10秒程度で計算でき数多くの宇宙モデルに短時間で適用できるというこれまでにない利点がある。この結果を用いて重力波や電磁波のような光速で伝播する波に対して、物質分布の非一様性の影響を調べ、距離と赤方偏移の関係における分散、すなわち平均値からのずれをを評価した。それによって平均値からのずれが宇宙モデル決定の誤差をもたらす可能性を指摘した。また任意の背景時空上で光速度に近い速度で運動をする粒子に対する運動方程式の新たな定式化を試み、現在研究中である。また国際学会で運動方程式に関する招待講演を行った。さらに観測的宇宙論の教科書を執筆し、現在、一般相対性理論とその重力波天文学への応用の教科書を執筆中である。重力波は宇宙を観測する最終手段でありブラックホール現状や宇宙の始まりの情報を直接引き出す唯一の方法であるが、重力波は非常に微弱で、雑音に埋もれてしまう。その検出には雑音の除去が不可欠である。雑音のうちで重要なものは重力波の伝播における宇宙の大規模構造の影響である。本研究で非線形領域にも適用できる大規模構造の記述を開発し、電磁波や重力波の伝播における大規模構造の影響を調べた。その影響によって距離と赤方偏移関係が方向によって変化を受け、本研究によってその分散を求めた。この分散を考慮しなければ、観測結果の正しい解釈は得られないことも示された。光速度に近い高速運動をする点状粒子に対する運動方程式の光的座標系にもとずく新たな定式化を行った。この方法に基づいて任意の重力場中のスピンをもった粒子に対する運動方程式を求める計算を行った。この問題はすでに多くの研究者によって行われているが、新しい方法によっても同様の結果が得られるかどうかは明らかではない。その結果、スピンと曲率の相互作用の係数に2分の1の違いが現れることが判明した。従来の方法による結果は、中性子星2つがパルサーとなって連星系をつくっている天体の運動から、その正しさが検証されているので、新しい方法には何らかの問題点があることが明らかになった。また初期宇宙におこったインフレーション膨張からの密度揺らぎや重力波の計算法であるデルタN定式化と呼ばれる方法を詳細に検討し、この方法がタフだしいい結果を与える条件を示すことができた。すでに今年度までにインフレーション起源の重力波放射を計算する方法の論文とアインシュタイン方程式の内部特異点をもたないブラックホール解の発見とその安定性を論じた論文が掲載されている。また高速天体から放射される重力波の計算に必要な点粒子極限についてはすでに定式化を終えているので、順調に進展している。
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KAKENHI-PROJECT-23540282
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https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-23540282
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重力波天文学にむけた強重力系、高速天体、初期宇宙からの重力波の理論的研究
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高速天体に対する運動方程式の新しい導出方法の問題点を明らかにすることができた。また初期宇宙起源の重力波については計算方法を確立することができた。今後、特に銀河中心の超大質量ブラックホールのまわりの恒星質量クラスのブラックホール、中性子星の高速運動によって生成される重力波の正確な波形を計算するには、重力波放射による運動の反作用を具体的に考慮する必要があり、この問題について、私がこれまで発展させてきた点粒子極限に基づいて考察を進める。高速天体の運動方程式について新たな方法の問題点が明らかになったことで、現在進めているスピンをもった場合をより詳細に検討する。本年度は上記、高速天体の重力波放射の反作用の問題をドイツ、ポツダム近郊のマックス・プランク重力物理学研究所に滞在し、同じ問題に取り組んでいる共同研究者との議論を通じて研究を進めていく。次年度使用額は、今年度の研究を効率的に推進したことに伴い発生した未使用額であり、平成25年度請求額とあわせ、平成25年度の国際共同研究など研究遂行に使用する予定である高速運動をする天体からの重力波放射は一般相対論の多くの研究者が興味を持っていることであり、また重力波天文学にとってきわめて重要な問題であるので諸外国の研究者と議論をおこないうことが重要である。したがって主に専門家のいる研究所を訪問したり重力の国際会議に出席するための旅費として使用する。
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KAKENHI-PROJECT-23540282
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https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-23540282
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人間の色覚のメカニズムにおける中心視と周辺視の相違について
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今年度も、引き続いて人間の色覚のメカニズムにおける中心視と周辺視の相違について研究を進めた。この研究成果の一つとして昨年度(1992年)発表した論文"Counter-balancing mechanism of yellow-blue opponent-color system against macular pigment"は、平成5年度日本心理学会研究奨励賞を受授賞した。これは、周辺視におけるY-B(黄-青)システムには黄斑色素の影響に対する自動的な補正機構が存在する可能性があるという非常に興味深い現象を発見した点が評価されたものであり、本研究が順調に成果を蓄積しつつあることを示している[鳥居修晃・立花政夫共編『知覚の機序』(知覚と認知の心理学4)4章:周辺視における反対色過程の特性(1993年)を参照]。現在も、この補正機構のさらなる解明に向けて、本年度の科学研究費補助金によって購入した高解像度radiusカラー・ディスプレーを用いた色覚実験装置によって実験を進めているところである(刺激の測定には平成3年度の科学研究費補助金によって購入したミノルタの色彩色差計CL-100システムを用いている)。また、同時にこれまでのデータを基に周辺視色覚のモデルも構築しており、これに関しても順調によい結果が得られつつある。この周辺視のモデルが完成すると、2°視野の混色関数と10°視野の混色関数との関係が非常にうまく説明できるようになるものと予想される。したがって、この点からも、本研究には人間の色覚のメカニズムにおける中心視と周辺視の相違についての非常に大きな貢献が期待できる。今年度も、引き続いて人間の色覚のメカニズムにおける中心視と周辺視の相違について研究を進めた。この研究成果の一つとして昨年度(1992年)発表した論文"Counter-balancing mechanism of yellow-blue opponent-color system against macular pigment"は、平成5年度日本心理学会研究奨励賞を受授賞した。これは、周辺視におけるY-B(黄-青)システムには黄斑色素の影響に対する自動的な補正機構が存在する可能性があるという非常に興味深い現象を発見した点が評価されたものであり、本研究が順調に成果を蓄積しつつあることを示している[鳥居修晃・立花政夫共編『知覚の機序』(知覚と認知の心理学4)4章:周辺視における反対色過程の特性(1993年)を参照]。現在も、この補正機構のさらなる解明に向けて、本年度の科学研究費補助金によって購入した高解像度radiusカラー・ディスプレーを用いた色覚実験装置によって実験を進めているところである(刺激の測定には平成3年度の科学研究費補助金によって購入したミノルタの色彩色差計CL-100システムを用いている)。また、同時にこれまでのデータを基に周辺視色覚のモデルも構築しており、これに関しても順調によい結果が得られつつある。この周辺視のモデルが完成すると、2°視野の混色関数と10°視野の混色関数との関係が非常にうまく説明できるようになるものと予想される。したがって、この点からも、本研究には人間の色覚のメカニズムにおける中心視と周辺視の相違についての非常に大きな貢献が期待できる。
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KAKENHI-PROJECT-05710042
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https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-05710042
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生体の運動計画における最適化基準の研究
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生体の運動計画における最適化基準と運動の学習制御アルゴリズムに関して、今年度は主に以下3点の成果を得た。1.歩行時の遊脚運動の軌道計画がどのように行われているかを検討するため、消費エネルギーを最小にする遊脚軌道を計算した。最適軌道の計算において、前年度は脚の力学モデルとして2リンク剛体モデルを用いたが,今年度は3リンク剛体モデルを用いた。その結果得られた最適軌道の特徴は実際の遊脚運動の特徴の多くと一致し,各関節の最適トルクの時間変化も,ヒトの歩行運動の計測実験から見積もられている値と近いものとなった。このことから,消費エネルギー最小化は遊脚運動の軌道計画における重要な拘束条件であると考えられる。2.腕の二点間のリーチング運動軌道計画に関しては,高次中枢は生体ノイズの影響を受けにくい運動軌道を選択することによって精度の高い運動を実現しているという「終点分散最小モデル」が提案されている。一方で,「消費エネルギー最小モデル」による軌道は腕のリーチング軌道とは異なることが報告されている。本研究では,これまで検討されていた「消費エネルギー最小モデル」で得られる軌道は生体ノイズの影響を受けやすいことに注目し,生体ノイズ下で目標位置に到達するまで補間運動を繰り返した場合には,「終点分散最小モデル」による運動軌道のほうが「消費エネルギー最小モデル」による軌道よりも少ない総消費エネルギーで到達タスクを実現できることを示した。すなわち,消費エネルギー最小化は腕の到達運動の軌道計画においても重要な拘束条件と考えられる。3.生体が歩行等の基本的な運動の学習制御には,小脳などの高次中枢と脊髄内に存在するパターン発生器(CPG)が協調的に働いていると考えられる。この階層的な学習制御システムを数理モデルとして提案し,その機能的妥当性をシミュレーション実験によって示した。1)多足歩行動物の歩行パターンの最適性を検討するため、歩幅やデューティ比等の歩行パラメータと消費エネルギーの関係を解析的に定式化し、各移動速度における最適歩行パラメータを数値計算により求めた。その結果は実際の歩行動物において観察される特徴とよく一致した。2)歩行時の遊脚運動の軌道計画がどのように行われているかを検討するため、消費エネルギーを最小にする遊脚軌道を計算した。その結果は、速度とともに足をあげる高さが高くなるといった特徴を示し、実際の遊脚運動の特徴と一致するが、今後さらに歩行運動の計測実験を行い、その詳細を比較検討する予定である。3)腕の二点間のリーチング運動に関して、消費エネルギーを最小にする軌道を求めるため、並列計算システムを構築し、遺伝的アルゴリズムによる最適化計算を行えるようにした。これにより求めた最適軌道はヒトの示す特徴と異なっていることがわかった。以上のように、歩行時の運動計画は主にエネルギー消費に基づいて行われていると考えられるが、腕の運動軌道は他の拘束条件が強く働いていると考えられる。今後は歩行運動のより詳細な最適性の検討とともに、腕の運動計画がどのように行われているかを検討していく予定である。今年度は、生体の運動計画における最適性とその神経アルゴリズムに関して、主に以下の2点について考察を行った。1.歩行時の遊脚運動の軌道計画がどのように行われているかを検討するため、消費エネルギーを最小にする遊脚軌道を計算した。最適軌道の計算においては、脚を2リンクの剛体でモデル化した。その結果は、速度とともに足をあげる最適な高さは高くなるといった特徴を示し、実際の遊脚運動の特徴と多くの点で一致した。このことから、遊脚運動の軌道計画は消費エネルギー最小化基準に基づいて行われていると考えられる。ただし定量的値において最適軌道と実際の軌道には違いがあり、今後はより現実的な脚の力学モデルや消費エネルギーの見積もり方法を検討することにより、この点を考察していく予定である。2.歩行等の基本的な運動の制御には、脊髄等に存在する中枢パターン発生器とよばれる神経中枢が関与していることが知られている。このような下位中枢が、消費エネルギー等の評価値をもとに最適な歩行パターンを学習するメカニズムとして、小脳などの高次中枢と中枢パターン発生器よる階層的な運動学習制御モデルを提案し、一次元ホッピングロボットの制御シミュレーションでその有効性を確認した。今後は多自由度をもつシステムの学習制御の可能性を検証すると同時に、運動学習モデルとしての妥当性を神経生理学的知見から検証していくことが今後の課題である。生体の運動計画における最適化基準と運動の学習制御アルゴリズムに関して、今年度は主に以下3点の成果を得た。1.歩行時の遊脚運動の軌道計画がどのように行われているかを検討するため、消費エネルギーを最小にする遊脚軌道を計算した。最適軌道の計算において、前年度は脚の力学モデルとして2リンク剛体モデルを用いたが,今年度は3リンク剛体モデルを用いた。その結果得られた最適軌道の特徴は実際の遊脚運動の特徴の多くと一致し,各関節の最適トルクの時間変化も,ヒトの歩行運動の計測実験から見積もられている値と近いものとなった。このことから,消費エネルギー最小化は遊脚運動の軌道計画における重要な拘束条件であると考えられる。2.腕の二点間のリーチング運動軌道計画に関しては,高次中枢は生体ノイズの影響を受けにくい運動軌道を選択することによって精度の高い運動を実現しているという「終点分散最小モデル」が提案されている。一方で,「消費エネルギー最小モデル」による軌道は腕のリーチング軌道とは異なることが報告されている。
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KAKENHI-PROJECT-15700246
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https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-15700246
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生体の運動計画における最適化基準の研究
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本研究では,これまで検討されていた「消費エネルギー最小モデル」で得られる軌道は生体ノイズの影響を受けやすいことに注目し,生体ノイズ下で目標位置に到達するまで補間運動を繰り返した場合には,「終点分散最小モデル」による運動軌道のほうが「消費エネルギー最小モデル」による軌道よりも少ない総消費エネルギーで到達タスクを実現できることを示した。すなわち,消費エネルギー最小化は腕の到達運動の軌道計画においても重要な拘束条件と考えられる。3.生体が歩行等の基本的な運動の学習制御には,小脳などの高次中枢と脊髄内に存在するパターン発生器(CPG)が協調的に働いていると考えられる。この階層的な学習制御システムを数理モデルとして提案し,その機能的妥当性をシミュレーション実験によって示した。
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KAKENHI-PROJECT-15700246
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https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-15700246
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ハイデガーにおける思考論の再検討-手作業の意義に着目して-
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平成28年度の研究実績として、ロンドン大学での資料収集が挙げられる。教育学研究科付属の図書館において、手仕事と教育に関する資料をアーカイブにまで範囲を広げながら渉猟した。発見した資料は主に1910年代から1930年代に書かれたものであり、それらの資料から、産業化によって生じた疎外の克服が、手仕事に期待されていることが見いだされた。手仕事は単に身体の職業的訓練だけでなく、「人間性の回復」という、精神的な役割を期待されていたのである。以上の資料収集の成果を、学会発表あるいは論文投稿という形でまとめていきたい。次に、「注意力」に関する研究が挙げられる。人間と手の関係についての研究は、人間存在が根本的に技術によって代補されていることを明らかにした。もちろん教育のみならず、今日あらゆる分野で注目を集めている「注意」の能力もまた、技術によって代補されている。この点に関して、フッサール現象学を批判的に考察したベルナール・スティグレールの議論を参照しつつ、論文を執筆し、投稿した。現在査読中である。また、教育思想史学会にて、「社会的なもの」について共同発表を行った。「社会的なもの」は、手仕事と思考の関係を主題とする本研究課題と直接関係するものではないが、教育を研究するうえで多角的な視点が必要だと考えたため、教育史研究者や実践家たちと共同研究を行い、学会発表を行った次第である。教育と福祉、公共性の複雑な関係について様々な領域の知見を参照しつつ検討したこの研究の成果は、次号の『近代教育フォーラム』に掲載される。28年度が最終年度であるため、記入しない。28年度が最終年度であるため、記入しない。今年度の研究の成果として、マリア・モンテッソーリの手に関する論述の検討、ハンナ・アレントとハイデガーにおける思考概念の比較検討、そしてドイツにおいて2012年に出版された『手仕事としての教育』第一章を翻訳し、研究室の紀要に投稿したことが挙げられる。モンテッソーリの手に関する論述は、先行研究において感覚器官の訓練を論じているものとして整理されていた。しかしモンテッソーリ自身は教育における手とは「感覚器官の問題ではない」と述べている。モンテッソーリにおいて手とは、作品の制作と、それが世代を超えて継承されることを可能とするものなのであった。ここから、モンテッソーリの手を筋肉や感覚器官の訓練からではなく、遺産相続の問いとして展開することを試みた。その際、モンテッソーリが重視し、また幼児教育の実践場面においてもその重要性が認められている「環境」が、手仕事によって制作されたものとして論じられていることを明らかにした。アレントとハイデガーにおける思考概念の比較検討は、アレント研究者と共に研究会を開き、共著論文を執筆する形でなされた。これによって、アレントがハイデガーの思考概念のどこに意義を見出し、かつ批判すべき点を見出したのかを明らかにした。最後に『手仕事としての教育』の翻訳であるが、この著書はしばしば日本国内の学術論文において引用されるものでありながら、未訳であったために、その意義はあまり周知されていなかった。そこで今回、出版社から許可を得たうえで、研究室紀要にその翻訳を投稿したのであった。研究室紀要の原稿はウェブ上で閲覧することができるため、今回の翻訳によって、『手仕事としての教育』の持つ(一部ではあるが)教育学における重要性が、広く知れ渡る機会をつくることができたと言えるあろう。今年度の研究実績としてまず挙げられるのが、ハイデガーにおける手についての論述の検討である。本年度は行為と言葉との関係からハイデガーの手について検討し、その成果を日本現象学会第37回大会で発表した。ハイデガーにおける手が行為と言葉との密接なかかわりを検討し、手がはじめて行為者とその対象を分節化すること、そこにおいて言語という起源とその痕跡をはじめて成立することを示した。ただし、手と行為の関係という観点から『存在と時間』における手許存在と手前存在という両概念に言及するべきであったが、この作業は課題として残った。次に、ハイデガー以外の論者による手についての議論の検討である。たとえば先史人類学者のルロワ=グーランは直立歩行し手が解放された人間という種の誕生と道具の発明を同じ契機として捉えることによって、本来的に技術的な存在としての人間を提示した。そしてフランスの哲学者であるベルナール・スティグレールはこのルロワ=グーランの着想をデリダのグラマトロジーを参照することによって批判的に引き継ぎつつ、ハイデガーの存在論と重ね合わせることによって、独自の技術哲学を構想した。この手の解放と技術の獲得が教育にどのように関わっているのか、上記の思想家たちの議論を参照することによって明らかにする論文を執筆し、『教育哲学研究』第114号に投稿した。そしてこの手の解放という人類学的発見とハイデガーの存在論を引き継ぎつつ、スティグレールは現代の管理社会についての考察を展開する。ここで管理社会とは、もはや規律訓練が社会を組織する際の原理的位置を占めていない新しい事態を表すためにドゥルーズが提出した概念である。このような事態に教育思想はどのように応答できるのか検討し、その成果を第58回教育哲学会で発表した。現在までの進捗状況は、おおむね順調だと言える。理由として、定期的に学会で研究成果を発表できていること、学会誌に査読付き論文を投稿したこと、そして前年度の今後の研究の推進方策で目標とした、国際学会での発表を果たしたことなどが挙げられる。平成28年度の研究実績として、ロンドン大学での資料収集が挙げられる。
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KAKENHI-PROJECT-14J09208
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https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-14J09208
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ハイデガーにおける思考論の再検討-手作業の意義に着目して-
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教育学研究科付属の図書館において、手仕事と教育に関する資料をアーカイブにまで範囲を広げながら渉猟した。発見した資料は主に1910年代から1930年代に書かれたものであり、それらの資料から、産業化によって生じた疎外の克服が、手仕事に期待されていることが見いだされた。手仕事は単に身体の職業的訓練だけでなく、「人間性の回復」という、精神的な役割を期待されていたのである。以上の資料収集の成果を、学会発表あるいは論文投稿という形でまとめていきたい。次に、「注意力」に関する研究が挙げられる。人間と手の関係についての研究は、人間存在が根本的に技術によって代補されていることを明らかにした。もちろん教育のみならず、今日あらゆる分野で注目を集めている「注意」の能力もまた、技術によって代補されている。この点に関して、フッサール現象学を批判的に考察したベルナール・スティグレールの議論を参照しつつ、論文を執筆し、投稿した。現在査読中である。また、教育思想史学会にて、「社会的なもの」について共同発表を行った。「社会的なもの」は、手仕事と思考の関係を主題とする本研究課題と直接関係するものではないが、教育を研究するうえで多角的な視点が必要だと考えたため、教育史研究者や実践家たちと共同研究を行い、学会発表を行った次第である。教育と福祉、公共性の複雑な関係について様々な領域の知見を参照しつつ検討したこの研究の成果は、次号の『近代教育フォーラム』に掲載される。本研究における今年度の達成度は、「おおむね順調に進展している」と評価できる。学会発表を二回、学術論文を二本執筆し、また翻訳も手がけた。そして当初の計画通り、今年度中に資料調査を済ませることもできたため、今年度に設定した目的は、すべて達成したと言える。ただ、学会での発表の成果を、論文にまとめる作業が完璧になされたとは言い難いので、今後の課題としたい。今後の研究の推進方策として、大きく三つを挙げることができる。ひとつは、学会でも指摘があったのだが、ハイデガーの手許存在と手前存在についての検討である。『存在と時間』で提出されたこの両概念についての検討は本研究にとって中心的な課題であるのだが、いまだ取り組めていない。したがって、本年度は文献読解と資料調査の成果などを綜合して、この課題に取り組まなければならない。もうひとつは、学会誌の査読に耐えうる論文を執筆することである。現在投稿中の論文を除くと、学会誌に掲載された論文は一本のみである。博士論文を執筆するためには最低でも査読付き論文が二本必要であるため、今年度中に最低でももう一本、査読に耐えうる論文を執筆するよう励まなければならない。そして最後は、以上の成果を綜合したうえで、博士論文を執筆することである。28年度が最終年度であるため、記入しない。本研究課題の今後の推進方策について、ここでは簡潔に三つ挙げることにしたい。ひとつは、論文執筆のペースを上げることである。今年度は、二本査読誌に投稿したが(現在査読中)、来年度は一年に三、四本執筆し、投稿することにしたい。
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KAKENHI-PROJECT-14J09208
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https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-14J09208
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抗原タンパク質をペプチド化して行う等電点免疫測定法の開発
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等電点免疫測定法は抗原タンパク質と蛍光標識抗体断片の複合体をマイクロ等電点電気泳動によって分離定量する方法である。本法は抗原を複合体の等電点の値によって同定して定量するため、標識抗体の非特異的結合や公差反応性による影響を受けることなく正確に定量できるという特長をもつ。また、マイクロ等電点電気泳動を用いるため、微量の試料について短時間に測定を完了できる。本法では、抗原試料は分子として可溶性である必要があるが、タンパク質の中には溶解性が悪く、凝集体を生成したり、不溶化するものも少なくない。このようなタンパク質もペプチドに断片化することによって溶解性が改善し、等電点免疫測定法を適用するのに適した分子に変換できる可能性が高いと考えられる。また、ペプチド化によって抗原試料の安定性が高まり、定量分析における再現性の向上が期待できる。プリオンタンパク質は膜タンパク質で、その立体構造の異常がウシ海綿状脳症候群などのいわゆるプリオン病を引き起こすと考えられている。プリオンタンパク質の定量を目指して、組換えマウスプリオンタンパク質(rMoPrP)について、等電点免疫測定法を適用したところ、複合体の検出が困難であることを判明した。これは、rMoPrPの溶解性が悪いことが原因している。そこで、rMoPrPをペプチドに分解して等電点免疫測定法を適用した。トリプシン、キモトリプシン、ペプシン、リシルエンドペプチダーゼなどによる酵素分解では測定に用いた抗体に対するエピトープを破壊してしまうことが明らかになったが、CNBr分解ではエピトープを破壊せずに溶解性を大幅に向上し、等電点電気泳動による複合体の検出定量が可能になった。CNBr分解の条件を検討したところ、1%CNBr,50°C,1hで分解はほぼ完了することが判明した。また、10,000倍以上のウシ血清アルブミン存在下においても、CNBr分解はほぼ変わりなく進行し、分解したペプチドを等電点免疫測定法によって定量できることが明らかになった。また、60ngのrMoPrPにヒト血清20μLを添加した試料においても、CNBr分解は問題なく進行することが示された。これらの結果により、本法が不溶性タンパク質の免疫測定法としてたいへん有望であることを示すことができた。等電点免疫測定法は抗原タンパク質と蛍光標識抗体断片の複合体をマイクロ等電点電気泳動によって分離定量する方法である。本法は抗原を複合体の等電点の値によって同定して定量するため、標識抗体の非特異的結合や公差反応性による影響を受けることなく正確に定量できるという特長をもつ。また、マイクロ等電点電気泳動を用いるため、微量の試料について短時間に測定を完了できる。本法では、抗原試料は分子として可溶性である必要があるが、タンパク質の中には溶解性が悪く、凝集体を生成したり、不溶化するものも少なくない。このようなタンパク質もペプチドに断片化することによって溶解性が改善し、等電点免疫測定法を適用するのに適した分子に変換できる可能性が高いと考えられる。また、ペプチド化によって抗原試料の安定性が高まり、定量分析における再現性の向上が期待できる。プリオンタンパク質は膜タンパク質で、その立体構造の異常がウシ海綿状脳症候群などのいわゆるプリオン病を引き起こすと考えられている。プリオンタンパク質の定量を目指して、組換えマウスプリオンタンパク質(rMoPrP)について、等電点免疫測定法を適用したところ、複合体の検出が困難であることを判明した。これは、rMoPrPの溶解性が悪いことが原因している。そこで、rMoPrPをペプチドに分解して等電点免疫測定法を適用した。トリプシン、キモトリプシン、ペプシン、リシルエンドペプチダーゼなどによる酵素分解では測定に用いた抗体に対するエピトープを破壊してしまうことが明らかになったが、CNBr分解ではエピトープを破壊せずに溶解性を大幅に向上し、等電点電気泳動による複合体の検出定量が可能になった。CNBr分解の条件を検討したところ、1%CNBr,50°C,1hで分解はほぼ完了することが判明した。また、10,000倍以上のウシ血清アルブミン存在下においても、CNBr分解はほぼ変わりなく進行し、分解したペプチドを等電点免疫測定法によって定量できることが明らかになった。また、60ngのrMoPrPにヒト血清20μLを添加した試料においても、CNBr分解は問題なく進行することが示された。これらの結果により、本法が不溶性タンパク質の免疫測定法としてたいへん有望であることを示すことができた。1)蛍光標識抗体断片の調製抗体を断片化し蛍光標識した。マウスIgG1抗体について、本申請者が確立した方法で、200μgの抗体について、再現性よく、標識抗体断片を調製することができた。マウスIgG1は、ペプシンによってきれいにF(ab)_2断片に変換される。このF(ab)_2をpH7において10mMのメルカプトエチルアミンで処理すると、ヒンジ部位のジスルフィド結合のみを選択的に切断してFab'とすることができた。マウスIgG1はヒンジ部位に3残基のシステイン残基をもつため、このままの状態でSH基を蛍光標識すると、複数の蛍光色素がヒンジ部位に取り込まれ、蛍光消光を起こしてしまう。微量のCu^<2+>イオン存在下に1時間空気酸化を行うと、3つシステイン残基のうち2つにジスルフィド結合が形成され、単一のチオール基をもつ状態にすることができる。
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KAKENHI-PROJECT-17510183
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https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-17510183
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抗原タンパク質をペプチド化して行う等電点免疫測定法の開発
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こうして残った1つのシステイン残基をヨードアセチル化テトラメチルローダミンで標識し蛍光標識Fab'を得た。抗体から出発する一連の操作は、反応後の抗体断片の回収に、硫安沈殿法を用いることにより、1日以内に完了することができた。2)蛍光標識抗体断片の調製こうして得た蛍光標識Fab'は、主に抗体のAsnあるいはGln残基の脱アミド反応によって、通常等電点的に不均一である。標識抗体断片をアガロースゲル等電点電気泳動によって精製した。標識Fab'を平板型アガロースゲル等電点電気泳動で分離し、蛍光性の主バンドをゲルから切り出した。ゲル内の標識Fab'を拡散によって溶液中に回収した。3)抗原分解物の調製抗原タンパク質を、トリプシン、リシルエンドペプチダーゼ、キモトリプシン、ペプシン、パパイン、V8プロテアーゼ、CNBrなどで徹底的に分解した。数μgの抗原タンパク質について、完全分解に利用される条件を用いて、分解物を調製した。また、還元アルキル化して得たポリペプチドについても同様に、分解を行った。4)複合体形成断片の検出分解物に標識抗体断片と両性担体を添加し、蛍光検出キャピラリー電気泳動装置で複合体形成の有無を観察した。等電点免疫測定法は抗原タンパク質と蛍光標識抗体断片の複合体をマイクロ等電点電気泳動によって分離定量する方法である。本法は抗原を複合体の等電点の値によって同定して定量するため、標識抗体の非特異的結合や公差反応性による影響を受けることなく正確に定量できるという特長をもつ。また、マイクロ等電点電気泳動を用いるため、微量の試料について短時間に測定を完了できる。本法では、抗原試料は分子として可溶性である必要があるが、タンパク質の中には溶解性が悪く、凝集体を生成したり、不溶化するものも少なくない。このようなタンパク質もペプチドに断片化することによって溶解性が改善し、等電点免疫測定法を適用するのに適した分子に変換できる可能性が高いと考えられる。また、ペプチド化によって抗原試料の安定性が高まり、定量分析における再現性の向上が期待できる。プリオンタンパク質は膜タンパク質で、その立体構造の以上がウシ海綿状脳症候群などのいわゆるプリオン病を引き起こすと考えられている。プリオンタンパク質の定量を目指して、組換えマウスプリオンタンパク質(rMoPrP)について、等電点免疫測定法を適用したところ、複合体の検出が困難であることを判明した。これは、rMoPrPの溶解性が悪いことが原因している。そこで、rMoPrPをペプチドに分解して等電点免疫測定法を適用した。トリプシン、キモトリプシン、ペプシン、リシルエンドペプチダーゼなどによる酵素分解では測定に用いた抗体に対するエピトープを破壊してしまうことが明らかになったが、CNBr分解ではエピトープを破壊せずに溶解性を大幅に向上し、等電点電気泳動による複合体の検出定量が可能になった。CMBr分解の条件を検討したところ、1% CNBr,50°C,1 hで分解はほぼ完了することが判明した。また、10,000倍以上のウシ血清アルブミン存在下においても、CNBr分解はほぼ変わりなく進行し、分解したペプチドを等電点免疫測定法によって定量できることが明らかになった。
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KAKENHI-PROJECT-17510183
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https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-17510183
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アレルギー性気道反応における経口免疫寛容の効果
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アレルギーなどの免疫反応を引き起こす物質(抗原)を経口摂取することにより、免疫反応が抑制されることを経口免疫寛容と呼ぶ。経口免疫寛容の導入によりアレルギー性気道反応の抑制が得らるかどうかをマウス喘息モデルを用いて検証した。経口免疫寛容導入により、アレルギー性気道反応の著明な抑制効果が得られ、導入が早期であるほど効果が強く、高用量ほど著明な抑制効果がえられることが明らかとなった。高用量の抗原経口投与により、感作後や発症後においてもアレルギー性気道反応の抑制効果が得られ、気管支喘息の新たな治療となる可能性が示された。アレルギーなどの免疫反応を引き起こす物質(抗原)を経口摂取することにより、免疫反応が抑制されることを経口免疫寛容と呼ぶ。経口免疫寛容の導入によりアレルギー性気道反応の抑制が得らるかどうかをマウス喘息モデルを用いて検証した。経口免疫寛容導入により、アレルギー性気道反応の著明な抑制効果が得られ、導入が早期であるほど効果が強く、高用量ほど著明な抑制効果がえられることが明らかとなった。高用量の抗原経口投与により、感作後や発症後においてもアレルギー性気道反応の抑制効果が得られ、気管支喘息の新たな治療となる可能性が示された。経口免疫寛容は、抗原の経口摂取により抗原特異的免疫応答が低下することであるが気管支喘息への効果は明らかでない。本研究においては、マウス喘息モデルを用いて、経口免疫寛容のアレルギー性気道反応への抑制効果を明らかにする。まず、抗原による感作の成立前、感作成立後、さらには発症後とタイミングを変えて経口免疫寛容の導入を行い、タイミングの違いによる免疫寛容の効果の違い、気道過敏性やアレルギー性気道炎症への効果の違いを検討した。既に申請者らのグループにより確立された喘息モデルを用い、卵白アルブミン(OVA)の腹腔内感作の後、OVAを吸入暴露し、気道反応を評価した。経口免疫寛容の導入<1>lowdose :OVAlmgを隔日で5回、経口投与する。<2>high dose : OVA100mgを隔日で5回、経口投与する。結果:感作前の経口免疫寛容の導入:上記のlow doseあるいはhigh doseの抗原投与をOVAの腹腔内感作の前に行い、免疫寛容導入後にOVAの感作、吸入暴露をおこなったところ、気道炎症、気道過敏性ともに著明に抑制が得られた。感作後の経口免疫寛容の導入:上記抗原投与をOVA感作終了後に行い、OVA吸入暴露の後48時間で気道反応の評価を行ったところ、low doseあるいはhigh doseの抗原投与ともに著明にアレルギー性気道炎症および気道過敏性の抑制が認められた。感作、暴露後の経口免疫寛容の導入:抗原感作、吸入暴露の後に上記抗原投与を開始し、経口免疫寛容導入後にOVAの吸入、その後に気道反応の評価を行なった。low doseの抗原投与ではアレルギー性気道反応の抑制効果は得られなかった。high doseの抗原投与では好酸球性気道炎症への抑制効果は得られなかったが、杯細胞の過形成は抑制され、さらに気道過敏性の抑制が認められた。以上より、経口免疫寛容導入により、アレルギー性気道反応の著明な抑制効果が得られ、感作後や発症後においても気管支喘息の新たな治療となる可能性が示唆された。本研究において、マウス喘息モデルを用いて経口免疫寛容のアレルギー性気道反応への抑制効果を明らかにする。まず、抗原による感作の成立前、感作成立後、さらには発症後とタイミングを変えて経口免疫寛容の導入を行い、タイミングの違いによる免疫寛容の効果の違い、気道過敏性やアレルギー性気道炎症への効果の違いを検討した。既に申請者らのグループにより確立された喘息モデルを用い、卵白アルブミン(OVA)の腹腔内感作の後、OVAを吸入暴露し、気道反応を評価した。経口免疫寛容の導入〈1〉low dose:OVA1mgを隔日で5回、経口投与する。〈2〉high dose:OVA100mgを隔日で5回、経口投与する。結果:感作前の経口免疫寛容の導入:上記のlow doseあるいはhigh doseの抗原投与をOVAの腹腔内感作の前に行い、免疫寛容導入後にOVAの感作、吸入暴露をおこなったところ、気道炎症、気道過敏性ともに著明に抑制が得られた。感作後の経口免疫寛容の導入:上記抗原投与をOVA感作終了後に行い、OVA吸入暴露の後48時間で気道反応の評価を行ったところ、low doseあるいはhigh doseの抗原投与ともに著明にアレルギー性気道炎症および気道過敏性の抑制が認められた。感作、暴露後の経口免疫寛容の導入:抗原感作、吸入暴露の後に上記抗原投与を開始し、経口免疫寛容導入後にOVAの吸入、その後に気道反応の評価を行なった。low doseの抗原投与ではアレルギー性気道反応の抑制効果は得られなかった。high doseの抗原投与では好酸球性気道炎症への抑制効果は得られなかったが、杯細胞の過形成は抑制され、さらに気道過敏性の抑制が認められた。high doseの抗原投与のほうが、アレルギー性気道反応の抑制効果がより強力であった。気管支肺胞洗浄液中のIL-4,IL-5,IL-13といったTh2タイプサイトカインの抑制効果もhigh doseの抗原投与により強くみられた。一方、制御性T細胞数はlow doseの抗原投与により増加を認めた。以上より、経口免疫寛容導入により、アレルギー性気道反応の著明な抑制効果が得られ、導入が早期であるほど効果が強く、高用量ほど著明な抑制効果がえられることが明らかとなった。
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KAKENHI-PROJECT-21591281
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https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-21591281
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アレルギー性気道反応における経口免疫寛容の効果
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高用量の抗原経口投与により、感作後や発症後においてもアレルギー性気道反応の抑制効果が得られ、気管支喘息の新たな治療となる可能性が示唆された。経口免疫寛容導入における抗原投与のdose (high doseおよびlow dose)、タイミングの違いによる気道過敏性および気道炎症への効果の解析をおこない、経口免疫寛容の導入におけるTh17および制御性T細胞(Treg)の働きの解析をおこなった。既に申請者らのグループにより確立された喘息モデル(J Exp Med 1997:186:449-454)を用いた。OVAの感作後、OVAを吸入し、気道反応を評価した。経口免疫寛容の導入<1>lowdose:OVA 1mgを隔日で5回、ゾンデを用いて胃内に投与。<2>high dose:OVA100mgを隔日で5回経口投与し、コントロール群には同量のBSAの投与。感作前の経口免疫寛容の導入:上記の抗原投与をOVAの腹腔内感作の前に行った。経口免疫寛容導入後にOVAの感作、吸入暴露を行い気道反応の評価を行った。感作中の経口免疫寛容の導入:第1回目のOVAの腹腔内感作の後に上記抗原投与を行い、その後、第2回目の感作を行い、OVA吸入暴露の後、気道反応の評価を行った。感作後の経口免疫寛容の導入:上記抗原投与を感作終了後に行い、OVA吸入暴露後に気道反応の評価を行った。感作、暴露後の経口免疫寛容の導入:抗原感作、吸入暴露の後に上記抗原投与を開始し、経口免疫寛容導入後にOVAの吸入、その後に気道反応の評価を行った。結果:感作前、感作中の経口免疫寛容の導入ではlow doseあるいはhigh doseの抗原投与ともに著明にアレルギー性気道炎症および気道過敏性の抑制が認められた。感作、暴露後の経口免疫寛容の導入ではlow doseの抗原投与ではアレルギー性気道反応の抑制効果は得られず、high doseでは抑制が認められた。気管支肺胞洗浄液中のTh2サイトカインの抑制効果もhigh doseの抗原投与により強くみられた。一方、制御性T細胞数はlow doseの抗原投与により増加を認めた。またIL・17産生CD4T細胞(Th17)数もlow doseの抗原投与により増加した。低用量の経口免疫寛容導入へのTregおよびTh17の関与が示唆された。以上より、経口免疫寛容導入により、アレルギー性気道反応の著明な抑制効果が得られ、導入が早期であるほど効果が強く、高用量ほど著明な抑制効果がえられることが明らかとなった。高用量の抗原経口投与により、感作後や発症後においてもアレルギー性気道反応の抑制効果が得られ、気管支喘息の新たな治療となる可能性が示唆された。
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KAKENHI-PROJECT-21591281
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https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-21591281
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細胞骨格系に作用する機能性天然分子の開発と創薬への利用
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本研究では、広範な天然資源を素材として、アクチンおよびチューブリンを分子標的にしたスクリーニングを行うことにより、これらの蛋白質の重合・脱重合を阻害する新しい天然分子を見出すとともに、構造活性相関を検討することにより、特異な重合阻害剤や脱重合阻害剤(重合促進剤)を開発し、新しい癌治療薬等のリード化合物としての可能性を検討することを目的として以下の研究を行った。海洋生物、植物、微生物等の天然物資源を素材として、チューブリンとアクチンに特異的に作用する機能性天然分子を探索した結果、ラン科シランBletilla striataの根茎から単離した数種のスチルベン関連化合物が、IC_<50> 10μMでチューブリン重合阻害活性を示すことを見い出した。これらスチルベン関連化合物のチューブリンに対する活性は、bisbenzylの存在が重要であると推定される。これらのうち一つはSN-38のK562/BCRPcellに対する殺細胞活性を増強させる作用を示した。また、キョウチクトウ科コプシアKopsia singapurensisから単離されている、微小管脱重合阻害活性を持つアルカロイドrhazinilamの溶液中のコンホメーションと活性について計算化学により考察した。さらに、アクチンファイバーの安定化を促進させる作用を有する海洋共生渦鞭毛藻由来マクロリド化合物・アンフィジノリドHの溶液中のコンホメーション解析を行うとともに、関連抗腫瘍性マクロリドとしてアンフィジノリドB4およびB5を単離構造決定した。今後、天然物由来のバイオプローブの開発、さらにアクチンやチューブリン蛋白との結合部位の特定や、これらの蛋白質のダイナミックな制御機構について検討する予定である。本研究では、広範な天然資源を素材として、アクチンおよびチューブリンを分子標的にしたスクリーニングを行うことにより、これらの蛋白質の重合・脱重合を阻害する新しい天然分子を見出すとともに、構造活性相関を検討することにより、特異な重合阻害剤や脱重合阻害剤(重合促進剤)を開発し、新しい癌治療薬等のリード化合物としての可能性を検討することを目的として以下の研究を行った。海洋生物、植物、微生物等の天然物資源を素材として、チューブリンとアクチンに特異的に作用する機能性天然分子を探索した結果、ラン科シランBletilla striataの根茎から単離した数種のスチルベン関連化合物が、IC_<50> 10μMでチューブリン重合阻害活性を示すことを見い出した。これらスチルベン関連化合物のチューブリンに対する活性は、bisbenzylの存在が重要であると推定される。これらのうち一つはSN-38のK562/BCRPcellに対する殺細胞活性を増強させる作用を示した。また、キョウチクトウ科コプシアKopsia singapurensisから単離されている、微小管脱重合阻害活性を持つアルカロイドrhazinilamの溶液中のコンホメーションと活性について計算化学により考察した。さらに、アクチンファイバーの安定化を促進させる作用を有する海洋共生渦鞭毛藻由来マクロリド化合物・アンフィジノリドHの溶液中のコンホメーション解析を行うとともに、関連抗腫瘍性マクロリドとしてアンフィジノリドB4およびB5を単離構造決定した。今後、天然物由来のバイオプローブの開発、さらにアクチンやチューブリン蛋白との結合部位の特定や、これらの蛋白質のダイナミックな制御機構について検討する予定である。本研究では、広範な天然資源を素材として、アクチンおよびチューブリンを分子標的にしたスクリーニングを行うことにより、これらの蛋白質のの重合・脱重合を阻害する新しい天然分子を見出すとともに、構造活性相関を検討することにより、特異な重合阻害剤や脱重合阻害剤(重合促進剤)を開発し、新しい癌治療薬等のリード化合物としての可能性を検討することを目的として以下の研究を行った。海洋生物、植物、微生物等の天然物資源を素材として、チューブリンとアクチンに特異的に作用する機能性天然分子を探索した結果、日本産イチイより分離したタキサン系化合物・タキサスピンDに、抗癌剤タキソールと同様の微小管脱重合阻害活性を、ヒユ科ノゲイトウから得られた2環性環状ペプチド・モロイジンならびにセロゲンチン類に、抗癌剤ビンクリスチンに匹敵するチューブリン重合阻害活性を見い出した。また、沖縄産海綿より分離した37員環マクロリド化合物・セオネゾリドAは、ウサギの血小板に対して顕著な形態変化を誘起し、この血小板の形態変化は、微小管の再構成に基づくことが示された。一方、海綿より得られたマクロリド化合物・ハリシガミドに、アクチン脱重合作用を見い出した。さらに、沖縄産の扁形動物ヒラムシから分離した共生渦鞭毛藻より単離したマクロリド化合物・アンフィジノリドHは、哺乳動物細胞内でアクチンのsubdomein4のチロシン残基と共有結合し、アクチンファイバーの安定化を促進することが示された。今後、天然物由来のバイオプローブの開発、さらにアクチンやチューブリン蛋白との結合部位の特定や、これらの蛋白質のダイナミックな制御機構について検討する予定である。本研究では、広範な天然資源を素材として、アクチンおよびチューブリンを分子標的にしたスクリーニングを行うことにより、これらの蛋白質の重合、脱重合を阻害する新しい天然分子を見出すとともに、構造活性相関を検討することにより、特異な重合阻害剤や脱重合阻害剤(重合促進剤)を開発し、新しい癌治療薬等のリード化合物としての可能性を検討することを目的として以下の研究を行った。
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KAKENHI-PROJECT-16310143
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https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-16310143
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細胞骨格系に作用する機能性天然分子の開発と創薬への利用
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海洋生物、植物、微生物等の天然物資源を素材として、チューブリンとアクチンに特異的に作用する機能性天然分子を探索した結果、ラン科シランBletilla striataの根茎から単離した数種のスチルベン関連化合物が、IC_50 10μMでチューブリン重合阻害活性を示すことを見い出した。これらスチルベン関連化合物のチューブリンに対する活性は、bisbenzylの存在が重要であると推定される。これらのうち一つはSN-38のK562/BCRPcellに対する殺細胞活性を増強させる作用を示した。また、キョウチクトウ科コプシアKopsia singapurensisから単離されている、微小管脱重合阻害活性を持つアルカロイドrhazinilamの溶液中のコンホメーシヨンと活性について計算化学により考察した。さらに、アクチンファイバーの安定化を促進させる作用を有する海洋共生渦鞭毛藻由来マクロリド化合物・アンフィジノリドHの溶液中のコンホメーション解析を行うとともに、関連抗腫瘍性マクロリドとしてアンフィジノリドB4およびB5を単離構造決定した。今後、天然物由来のバイオプローブの開発、さらにアクチンやチューブリン蛋白との結合部位の特定や、これらの蛋白質のダイナミックな制御機構について検討する予定である。
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KAKENHI-PROJECT-16310143
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https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-16310143
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東南アジアの熱帯林生態系におけるトップダウン効果の検証
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1)タイ国・カオヤイ国立公園の熱帯季節林において、果実生産と種子散布者である4種のサイチョウやシロテテナガザル、ブタオザルなどの樹状での果実消費を調査して、果実や種子の特性との関連を明らかにした。259種の植物のうち、大型で脂肪質に富んだ果実、1個あるいは少数の大型の種子をもつ種には、サイチョウのみによって種子散布されている「サイチョウ散布物語」と考えられるものがあった。シロテテナガザルは糖質主体の果実を好み、サイチョウとは明らかな嗜好性の違いが示唆された。2)サイチョウについては営巣木のまわりに散布された種子由来の実生の追跡を3年間行った。サイチョウの営巣木の下に散布された種子由来の実生は3年間のうちにほとんどすべてが消失したが、「サイチョウ散布物語」の実生は、少数であるが生存するものもみられた。主に種子や実生の集中による種子捕食が死亡の原因であると考えられた。3)カメラトラップを用いて地上に落下した果実を食べる動物相の調査をおこない、種子捕食者であるアカスンダトゲネズミ、マライシロハラネズミなどの小哺乳類の個体群動態をトラップを用いた標識再捕獲法によって3年間にわたって行った。主たる種子捕食者であるアカスンダトゲネズミ、マライシロハラネズミの個体数密度はこれまで調査が行われてきた東南アジア熱帯林にくらべて23倍高いこと、また年1山型の個体数変動を示し、乾季の中頃に個体数のピークがみられることがわかった。その2種の繁殖期は同調せず、3年間、一貫してアカスンダネズミは雨季の初め、マライシロハラネズミは乾季の初めに繁殖を行うことが判明し、それぞれの依存する果実生産の季節性との関連が示唆された。4)これらのことから、サイチョウがいなくなってしまった森では、種子の集中分布にともなう種子捕食率が高くなり、いくつかの樹種では更新不能になると考えられ、森林の空洞化に伴うトップダウン効果があると結論された。1)タイ国・カオヤイ国立公園の熱帯季節林において、果実生産と種子散布者である4種のサイチョウやシロテテナガザル、ブタオザルなどの樹状での果実消費を調査して、果実や種子の特性との関連を明らかにした。259種の植物のうち、大型で脂肪質に富んだ果実、1個あるいは少数の大型の種子をもつ種には、サイチョウのみによって種子散布されている「サイチョウ散布物語」と考えられるものがあった。シロテテナガザルは糖質主体の果実を好み、サイチョウとは明らかな嗜好性の違いが示唆された。2)サイチョウについては営巣木のまわりに散布された種子由来の実生の追跡を3年間行った。サイチョウの営巣木の下に散布された種子由来の実生は3年間のうちにほとんどすべてが消失したが、「サイチョウ散布物語」の実生は、少数であるが生存するものもみられた。主に種子や実生の集中による種子捕食が死亡の原因であると考えられた。3)カメラトラップを用いて地上に落下した果実を食べる動物相の調査をおこない、種子捕食者であるアカスンダトゲネズミ、マライシロハラネズミなどの小哺乳類の個体群動態をトラップを用いた標識再捕獲法によって3年間にわたって行った。主たる種子捕食者であるアカスンダトゲネズミ、マライシロハラネズミの個体数密度はこれまで調査が行われてきた東南アジア熱帯林にくらべて23倍高いこと、また年1山型の個体数変動を示し、乾季の中頃に個体数のピークがみられることがわかった。その2種の繁殖期は同調せず、3年間、一貫してアカスンダネズミは雨季の初め、マライシロハラネズミは乾季の初めに繁殖を行うことが判明し、それぞれの依存する果実生産の季節性との関連が示唆された。4)これらのことから、サイチョウがいなくなってしまった森では、種子の集中分布にともなう種子捕食率が高くなり、いくつかの樹種では更新不能になると考えられ、森林の空洞化に伴うトップダウン効果があると結論された。東南アジア熱帯林で、種子散布と種子捕食についての以下の研究を行なった。1.タイ・カオヤイ国立公園で自動撮影装置を使って、254種の果実種について地上での果実消費者を調べた。その結果、ネズミ科のMaxomyssuriferは調査した植物種の90%以上の果実で観察され、例えばMastixia pentandra(ミズキ科)、Aglaia spectabilis(センダン科)、Canarium euphyllum(カンラン科)、Platea latifolia(クロタキカズラ科)のようないくつかの植物種の果実を、その場から咥えて運び去ることが判明した。2.同じ調査地で捕獲調査によって小哺乳類の個体群動態を調べた。その結果、Maxomys suriferの繁殖期とNiviventer bukitの繁殖期が異なり、特にNiviventer bukitは果実資源の少ない乾季に繁殖を行う可能性が示唆された。そしてNiviventer bukitの個体数はイチジクの果実量の季節変動と有意な相関があった。3.同じ調査地で樹上における果実消費を直接観察とサイチョウの巣への持ち帰り種子によって調査した。その結果、果実のサイズによって消費する動物種が判別されることがわかった。4.同じ調査地でブタオザルの遊動と食物変化の調査を行なった。ブタオザルは果実の多い時期には成熟果実を食べるが、不足すると未熟果実を食べ若い種子を捕食することがわかった。5.マレーシア・パソ森林保護区で、一斉開化で結実したShorea属7種について飼育実験によって、種子捕食昆虫相を調べた。
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KAKENHI-PROJECT-13575006
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https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-13575006
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東南アジアの熱帯林生態系におけるトップダウン効果の検証
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節の共通な6種では同種のゾウムシとキクイムシを種間で共有したが、節の異なる1種では異種のゾウムシが採集された。東南アジア熱帯林で、種子散布と種子捕食について以下の研究を行なった。1.タイ・カオヤイ国立公園で自動撮影装置と糸つけ実験による地上での果実消費者と、目視による樹冠での果実消費者の比較を行なった。同じ果実種に関して、地上ではネズミ、リス、ヤマアラシ、シカ、ブタの仲間が主たる種子捕食者で、ほとんど二次散布を行なわないのに対して、樹上ではサイチョウ、テナガザルが果実を消費して種子もほぼ無傷で運んでいることがわかった。2.森林残存面積が異なる3地点にて果実消費者の調査を行なった。大型種子をつけるFicusaltissimaの果実消費者を、大型動物が残っているカオヤイ国立公園と、大型動物がすでに消失した都市近郊で比較したところ、前者では非常に多くの動物が果実を消費するのに対して、後者ではほとんどの果実が消費されず、地上で腐っていく様子が観察された。3.サイチョウの営巣場所での実生の継続調査では、あきらかに種子の搬入は巣穴前面で認められたが、当年性実生、それ以降の実生、稚樹では前面に多いという傾向が失われた。このことはサイチョウの巣穴には大量の種子が運び込まれるにもかかわらず、その多くが死滅することを意味する結果と考えられる。4.マレーシア・パソ森林保護区で、2年連続で一斉開花したShorea属7種から飼育実験で種子捕食者相を調べることに成功した。その結果、ゾウムシ・キクイムシなど種子捕食昆虫相には変化がなく、種子捕食率も1回目と2回目で有意な違いはなかった。タイ国・カオヤイ国立公園の熱帯季節林において、果実生産と種子散布者である4種のサイチョウやシロテテナガザル、ブタオザルの果実消費と営巣木のまわりに散布された種子由来の実生の追跡を3年間、また、カメラトラップを用いて地上に落下した果実を食べる動物相の調査をおこない、さらに種子捕食者であるアカスンダトゲネズミ、マライシロハラネズミなどの小哺乳類の個体群動態をトラップを用いた標識再捕獲法によって3年間にわたって行った。259種の植物のうち、大型で脂肪質に富んだ果実、1個あるいは少数の大型の種子をもつ種には、サイチョウのみによって種子散布されている「サイチョウ散布植物」と考えられるものがあった。シロテテナガザルは糖質主体の果実を好み、サイチョウとは明らかな嗜好性の違いが認められた。ブタオザルは未熟果実を多く食べ、むしろ種子捕食者として働いていることが示唆された。サイチョウの営巣木の下に散布された種子由来の実生は3年間のうちにほとんどすべてが消失したが、「サイチョウ散布植物」の実生は、少数であるが生存するものもみられた。主に種子や実生の集中による種子捕食が死亡の原因であると考えられた。主たる種子捕食者であるアカスンダトゲネズミ、マライシロハラネズミの個体数密度はこれまで調査が行われてきた東南アジア熱帯林にくらべて2Λ3倍高いこと、また年1山型の個体数変動を示し、乾季の中頃に個体数のピークがみられることがわかった。その2種の繁殖期は同調せず、3年間、一貫してアカズンダネズミは雨季の初め、マライシロハラネズミは乾季の初めに繁殖を行うことが判明し、それぞれの依存する果実生産の季節性との関連が示唆された。
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KAKENHI-PROJECT-13575006
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A/dh2欠損マウスを用いたアルコールによる扁平上皮癌発生メカニズムの解明
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A7dh2欠損マウスにアセトアルデヒドを皮下投与することで、肉眼的観察可能な表皮に扁平上皮癌を発生させる。この表皮に発生した扁平上皮癌を分子生物学的・病理学的に検討することでALDH2不活性型の人に高頻度に発症する口腔・咽頭癌や食道癌などの発癌メカニズムを考察し、この癌の治療や予防に応用する。慢性飲酒による障害は、厚生労働省から通知された「21世紀における国民健康づくり運動(健康日本21)」においても「アルコール(飲酒)」はひとつの分野として挙げられており、アルコール性臓器障害を予防することは社会的・医学的に重要な課題となっている。本研究では、Aldh2欠損マウスにアセトアルデヒドを皮下投与することで、肉眼的観察可能な表皮に扁平上皮癌を発生させる研究を行った。この表皮に発生した扁平上皮癌を分子生物学的・病理学的に検討することでALDH2不活性型の人に高頻度に発症する口腔・咽頭癌や食道癌などの発癌メカニズムを考察し、この癌の治療や予防に応用することを考える。A7dh2欠損マウスにアセトアルデヒドを皮下投与することで、肉眼的観察可能な表皮に扁平上皮癌を発生させる。この表皮に発生した扁平上皮癌を分子生物学的・病理学的に検討することでALDH2不活性型の人に高頻度に発症する口腔・咽頭癌や食道癌などの発癌メカニズムを考察し、この癌の治療や予防に応用する。慢性飲酒による障害は、アルコール依存症などの精神的疾患から就業不能状態や家庭崩壊などの社会的問題を含んでいるだけでなく、身体的問題も含んでいる(Oyama et al.,2005)。厚生労働省から通知された「21世紀における国民健康づくり運動(健康日本21)」においても「アルコール(飲酒)」はひとつの分野として挙げられており、アルコール性臓器障害を予防することは社会的・医学的に重要な課題となっている。今回、Aldh2欠損マウスにアセトアルデヒドを皮下投与することで、肉眼的観察可能な表皮に扁平上皮癌を発生させる研究を行った。この表皮に発生した扁平上皮癌を分子生物学的・病理学的に検討することでALDH2不活性型の人に高頻度に発症する口腔・咽頭癌や食道癌などの発癌メカニズムを考察し、この癌の治療や予防に応用することを考える。このため、次の群のマウスを作製した。(1)約1年間(5日間連続投与後2日間の投与休止を繰り返す投与方法)の期間、それぞれ約10匹ずつの野生型・Aldh2欠損マウスに100mg/kg体重(LD50の1/5量に相当)のアセトアルデヒドを皮下投与。(2)アセトアルデヒド・エタノール皮下投与による野生型マウスとAldh2欠損マウスの発癌に関する比較・検討、また、数ヶ月の期間、それぞれ約10匹ずつの野生型・Aldh2欠損マウスに1g/kg体重(アセトアルデヒド投与量の10倍で、ヒトでは日本酒600mL程度に相当)のエタノールを皮下投与。(1)(2)のマウスの体重の変動を検討して、マクロ写真像と投与部位における皮膚病変(潰瘍,びらんや発疹など)の範囲を長軸×短軸で記録した。さらに、病変部を複数回生検して、その生検材料を用いてHematoxylin-Eosin(HE)染色による病理標本を作製して、腫瘍組織の病理学的変化を検討した。国民一人当たりのアルコール消費量は30年前の1.5倍に漸増して、現在では約240万人以上の人が純アルコールに換算して150mL以上(日本酒6合程度)を毎日摂取する時代となった。この慢性飲酒による障害は、アルコール依存症などの社会的問題だけでなく、身体的問題も含んでいる。厚生労働省から通知された「21世紀における国民健康づくり運動(健康日本21)」においても「アルコール(飲酒)」はひとつの分野として挙げられており、アルコール性臓器障害を予防することは社会的・医学的に重要な課題となっている。今回、Aldh2欠損マウスにアセトアルデヒドを皮下投与することで、肉眼的観察可能な表皮に扁平上皮癌を発生させる研究を行った。この表皮に発生した扁平上皮癌を分子生物学的・病理学的に検討することでALDH2不活性型の人に高頻度に発症する口腔・咽頭癌や食道癌などの発癌メカニズムを考察し、この癌の治療や予防に応用することを考える。このため、次の群のマウスを作製した。(1)約1年間(5日間連続投与後2日間の投与休止を繰り返す投与方法)の期間、それぞれ約10匹ずつの野生型・Aldh2欠損マウスに100mg/kg体重(LD50の1/5量に相当)のアセトアルデヒドを皮下投与。(2)アセトアルデヒド・エタノール皮下投与による野生型マウスとAldh2欠損マウスの発癌に関する比較・検討、また、数ヶ月の期間、それぞれ約10匹ずつの野生型・Aldh2欠損マウスに1g/kg体重(アセトアルデヒド投与量の10倍で、ヒトでは日本酒600mL程度に相当)のエタノールを皮下投与。(1)(2)のマウスの体重の変動を検討して、マクロ写真像と投与部位における皮膚病変(潰瘍,びらんや発疹など)の範囲を長軸×短軸で記録する。また、可能であれば病変部を複数回生検して、腫瘍組織における病理学的変化を検討し、遺伝子変異の検出を試みた。慢性飲酒による障害は、厚生労働省から通知された「21世紀における国民健康づくり運動(健康日本21)」においても「アルコール(飲酒)」はひとつの分野として挙げられており、アルコール性臓器障害を予防することは社会的・医学的に重要な課題となっている。
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KAKENHI-PROJECT-20590620
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https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-20590620
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A/dh2欠損マウスを用いたアルコールによる扁平上皮癌発生メカニズムの解明
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今回、Aldh2欠損マウスにアセトアルデヒドを皮下投与することで、肉眼的観察可能な表皮に扁平上皮癌を発生させる研究を行った。この表皮に発生した扁平上皮癌を分子生物学的・病理学的に検討することでALDH2不活性型の人に高頻度に発症する口腔・咽頭癌や食道癌などの発癌メカニズムを考察し、この癌の治療や予防に応用することを考える。このため、次の群のマウスを作製した。約1年間(5日間連続投与後2日間の投与休止を繰り返す投与方法)の期間、(1)6匹の野生型マウスと5匹のAldh2欠損マウスに100mg/kg体重(LD50の1/5量に相当)のアセトアルデヒドを皮下投与(アセトアルデヒド投与群)。(2)6匹の野生型マウスと5匹のAldh2欠損マウスに1g/kg体重(アセトアルデヒド投与量の10倍で、ヒトでは日本酒600mL程度に相当)のエタノールを皮下投与(エタノール投与群)。(1)(2)のマウスの体重の変動を検討した結果、(1)(2)ともに野生型マウスに比べAldh2欠損マウスで平均体重の減少傾向を認めた。マクロ写真像と投与部位における皮膚病変(潰瘍,びらんや発疹など)の範囲を長軸×短軸で記録した結果、(1)のAldh2欠損マウス1例(1/5)に投与3ヶ月後より表皮を進展する潰瘍を伴った腫瘍発症を認めた。今後、この病変部を生検し、腫瘍組織における病理学的変化を検討し、遺伝子変異の検出を試みる予定である。慢性飲酒による障害は、厚生労働省から通知された「21世紀における国民健康づくり運動(健康日本21)」においても「アルコール(飲酒)」はひとつの分野として挙げられており、アルコール性臓器障害を予防することは社会的・医学的に重要な課題となっている。今回、Aldh2欠損マウスにアセトアルデヒドを皮下投与することで、肉眼的観察可能な表皮に扁平上皮癌を発生させる研究を行った。この表皮に発生した扁平上皮癌を分子生物学的・病理学的に検討することでALDH2不活性型の人に高頻度に発症する口腔・咽頭癌や食道癌などの発癌メカニズムを考察し、この癌の治療や予防に応用することを考える。このため、次の群のマウスを作製した。約1年間(5日間連続投与後2日間の投与休止を繰り返す投与方法)の期間、(1)6匹の野生型マウスと5匹のAldh2欠損マウスに100mg/kg体重(LD50の1/5量に相当)のアセトアルデヒドを皮下投与(アセトアルデヒド投与群)。(2)6匹の野生型マウスと5匹のAldh2欠損マウスに1g/kg体重(アセトアルデヒド投与量の10倍で、ヒトでは日本酒600mL程度に相当)のエタノールを皮下投与(エタノール投与群)。(1)(2)のマウスの体重の変動を検討した結果、(1)(2)ともに野生型マウスに比べAN励2欠損マウスで平均体重の減少傾向を認めた。マクロ写真像と投与部位における皮膚病変(潰瘍,びらんや発疹など)の範囲を長軸×短軸で記録した結果、(1)のAldh2欠損マウス1例(1/5)に投与3ヶ月後より表皮を進展する潰瘍を伴った腫瘍発症を認めた。この腫瘍は病理学的に細胞異型と構造異型を認め、扁平上皮癌である可能性が示された。今後、この腫瘍組織における、遺伝子変異の検出を試みる予定である。アルコール性臓器障害を予防することは社会的・医学的に重要な課題となっている。今回、Aldh2欠損マウスにアセトアルデヒドを皮下投与することで、肉眼的観察可能な表皮に扁平上皮癌を発生させる研究を行った。
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KAKENHI-PROJECT-20590620
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https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-20590620
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毛髪及び血中重金属、微量金属と神経発達症との関連に関わる研究
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本研究は、生体内微量金属と神経発達症の関連を明らかにすることを目的とする。そのために神経発達症患者を対象、非神経発達症患者を対照とした症例対照研究により、両者の毛髪中微量元素濃度の比較を行う。同時に、研究代表者が所属する組織で参加しているエコチル調査(子どもの健康と環境に関する全国調査)甲信サブユニットセンターで当該調査に参加する学童調査(平成31年度より始まる8歳児調査)において実施するコンピュータを使った神経発達検査と血中微量元素との関連を明らかにする。本研究は、生体内微量金属と神経発達症の関連を明らかにすることを目的とする。そのために神経発達症患者を対象、非神経発達症患者を対照とした症例対照研究により、両者の毛髪中微量元素濃度の比較を行う。同時に、研究代表者が所属する組織で参加しているエコチル調査(子どもの健康と環境に関する全国調査)甲信サブユニットセンターで当該調査に参加する学童調査(平成31年度より始まる8歳児調査)において実施するコンピュータを使った神経発達検査と血中微量元素との関連を明らかにする。
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KAKENHI-PROJECT-19H03883
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https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-19H03883
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バイリンガル話者の英語音声生成における交差言語的影響とタスクの種類
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本研究は、話者が持つ第一言語や第二言語が、新しい言語を習得する際にどのような影響を与えるか、発音に注目して検証する。特に、日本語と中国語のバイリンガル、日本語と韓国語のバイリンガルによる英語の発音を日本語のモノリンガルの英語の発音と比較し、両者の発音習得プロセスの違いを解明する。さらに、発音練習のためのタスクの種類による影響の観察を通して、日本における英語学習者にとって最も効果的な発音指導方法を明らかにする。本研究は、話者が持つ第一言語や第二言語が、新しい言語を習得する際にどのような影響を与えるか、発音に注目して検証する。特に、日本語と中国語のバイリンガル、日本語と韓国語のバイリンガルによる英語の発音を日本語のモノリンガルの英語の発音と比較し、両者の発音習得プロセスの違いを解明する。さらに、発音練習のためのタスクの種類による影響の観察を通して、日本における英語学習者にとって最も効果的な発音指導方法を明らかにする。
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KAKENHI-PROJECT-19K13272
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https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-19K13272
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天然変性タンパク質の相互作用解析による新規分子認識モデルの創成
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本研究では、IDPと核酸間の相互作用のメカニズムの解明を目指し、ヒト由来のY-box binding protein 1 (YB-1)をモデル蛋白質として取り上げた。本研究における熱量解析の結果より、YB-1はC-term1をDNA結合部位として機能させていることが示された。一方、YB-1のCSD領域はRNAと特異的な相互作用をする部位であることが分った。これらの結論は、YB-1を欠損体から評価できたこと、さらに分子環境変化に基づく物理化学的解析によって明らかになったことがポイントとして挙げられる。このように、本研究課題に掲げた分子環境と分子認識との深い関連性を示唆する研究成果が得られた。当該年度では、熱力学的、及び分光学的手法を用いて、YB-1の核酸結合メカニズムを物理化学的に解析した。さらにYB-1の核酸結合部位を同定するために、YB-1の欠損体を作製し核酸との結合を調べた。既に結合することが分かっているY-box配列DNAの一本鎖(cY-box DNA)とYB-1の非翻訳領域RNA (YmRNA)を用いて等温滴定型熱量計ITCによる結合解析を行った。DNAとの結合実験より、DNAの主な結合部位はC末端領域(C-term1)であることが示された。一方RNAとの結合実験では、N末端領域(CSD)に対して強い発熱反応を示した。これはCSDがRNAとの結合に重要であることを示唆した。さらに塩濃度変化と比熱容量解析の結果より、C-term1とDNAは非静電的な結合で、疎水面からの脱水和が起きていることが示唆された。一方、CSDとRNA間の結合は静電的な特徴を有した特異的な結合である可能性が示された。本研究より、YB-1はDNAとRNAの結合に対して、それぞれC-term1とCSDが重要な結合ドメインであり、核酸間で異なる結合メカニズムを有していることが明らかとなった。DNAに対する非静電的な結合は、YB-1が二重鎖DNAをほどいて転写を抑制する機能と関与する可能性が考えられる。一方でCSDはRNAに対して特異的な結合を示し、mRNAに対する翻訳制御に関与しているかもしれない。このように、YB-1と核酸間の物理化学的な定量解析により、YB-1の分子レベルでの機能を明らかにすることに成功した。本研究では、IDPと核酸間の相互作用のメカニズムの解明を目指し、ヒト由来のY-box binding protein 1 (YB-1)をモデル蛋白質として取り上げた。本研究における熱量解析の結果より、YB-1はC-term1をDNA結合部位として機能させていることが示された。一方、YB-1のCSD領域はRNAと特異的な相互作用をする部位であることが分った。これらの結論は、YB-1を欠損体から評価できたこと、さらに分子環境変化に基づく物理化学的解析によって明らかになったことがポイントとして挙げられる。このように、本研究課題に掲げた分子環境と分子認識との深い関連性を示唆する研究成果が得られた。YB-1は核酸結合蛋白質であるため、精製する過程において核酸除去の工程が必須となる。可溶性画分にて発現したYB-1をヌクレアーゼ処理することにより、大腸菌由来の核酸(ゲノムDNAやmRNAなど)を断片化し、YB-1からの解離をしやすくした。ヒスチジンタグを付加しているため、Niアフィニティークロマトグラフィーによるタグ精製を行い、核酸を洗い流し、高効率の除核酸(A260/280 = 0.7程度)を行うことに成功した。続いてイオン交換カラムクロマトグラフィーにて再度精製を行い、夾雑蛋白質の分離を行った。精製後、SDS-PAGEにて目的蛋白質の純度をチェックし、90%以上の高純度で精製できていることを確認した。以上の工程を踏むことにより、YB-1を効率よく大量精製することに成功した。核酸結合蛋白質の精製において、核酸除去と効率的な精製プロセスの重要性が明らかとなり、今後の核酸結合型天然変性蛋白質に対する精製戦略の基盤が構築できた。調製したYB-1を用いて、既知のターゲット一本鎖DNAに対する結合解析を実施した。等温滴定型熱量測定を用いて、YB-1とDNA間の結合における熱力学的相互作用を評価したところ、YB-1はエンタルピー駆動型の相互作用であることが明らかとなった。一方、相補的な配列であるDNAに対する結合解析を行ったところ、両者では結合親和性の相違が観察された。したがってYB-1には塩基配列選択性が存在することが示され、その定量的解析に初めて成功した。YB-1の大量発現、そして精製方法を確立できた。さらに核酸との物理化学的な相互作用解析を行うために、等温滴定型熱量計による解析を実施し、そのパラメータ化にも成功した。以上の成果は、YB-1の分子環境変化における多角的な相互作用解析を遂行する上で重要な基盤となる。次年度では、以下のポイントに注視して、YB-1の相互作用メカニズムの解明に挑む。・DNAとRNAに対する相互作用解析を実施し、その結合メカニズムの相違点を議論する。・YB-1の機能ドメイン分割した変異体を数種作製し、核酸に対する結合領域の同定とその分子メカニズムを評価する。・分子環境変化(塩濃度、カチオン種、浸透圧)における相互作用特性を評価し、YB-1の分子認識における溶媒和変化の重要性とその拡張性を精査する。
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KAKENHI-PROJECT-24750166
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https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-24750166
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天然変性タンパク質の相互作用解析による新規分子認識モデルの創成
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次年度の研究費使用は以下のような計画を予定している。消耗品費:オリゴDNAやRNAの多角的な熱力学的解析を行うため、そのサンプル調製のための大量のオリゴ核酸の合成を必要とする(40万円)。また蛋白質の発現調製やその他関連試薬(15万円)、詳細な相互作用解析を主に行っていくためにITCやDSC関連試薬(20万円)、その他バッファー類、分光測定に必要な分光セルなどの消耗品を購入する。旅費等,その他:研究成果を積極的に発表するために、国内学会への参加する(20万円)。また学術論文への投稿費・英文校閲費(15万円)、文献収集・報告書作成等での印刷費を必要とする。
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KAKENHI-PROJECT-24750166
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https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-24750166
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地方政府の行政広域化と財政ルールの実証研究
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財政コモン・プール問題によって拡大する財政赤字に対処するための方策として、新たなる財政ルールを課すことが考えられる。そこで、本研究では、2007年度に施行された地方財政健全化法に焦点を当て、同法が施行以降に、都道府県がどのような財政行動をとったのかをFixed Effect SUR modelを用いて検証した。健全化法以降、地方団体のフローの財政指標である実質赤字比率や連結実質赤字比率は改善傾向にある一方で、ストックの財政指標である将来負担比率は悪化傾向にあることが明らかになった。これは、単年度主義が原則である地方団体の予算制度のもとで、健全化法によって新たに導入された財政指標の財政健全化基準及び財政再生基準を超えて中央政府の監視下に置かれることを避けたいという地方団体の財政調整行動を示すものである。研究結果は、2018年12月に「地方財政健全化指標における相互依存関係」という論文を査読付き学術雑誌である内閣府経済社会総合研究所『経済分析』に公表している。また、上記の論文を拡張したものとして、"The effects of the new fiscal rule and creative accounting"という論文を執筆した。これは、市町村が新しい財政ルールの施行後に、どのような財政行動をとったのかをSUR with DIDを使って検証したものである。分析結果より、平均的に、市町村は財政ルールの施行後に監視対象となる財政4指標は改善しているものの、監視対象となっていない公営企業への繰出金等の指標は増加していることが明らかになった。すなわち、監視対象となる指標を改善させるために、監視対象とならない指標の悪化を許容する状態にあったと考えられる。本論文は、ワーキングペーパーとして公表しており、適宜修正を重ねながら海外査読付き学術誌に投稿中である。当初の計画通り、おおむね順調に進展している。平成30年度はおもに調査と研究発表を多く実施した。今後は、平成30年度に実施した分析をもとに論文を執筆し、国際・国内学会で研究発表を複数回実施することを予定している。また、市町村合併時における共有財源問題の研究では、市町村が合併前に地方債の発行を増額したことは明らかになっているが、どのような公共サービスを増加したのかは明らかになっていない。従って、各公共サービスの費用項目に着目した追加的な分析を継続している。また、海外の研究者と意見交換をするため、オーストラリアにて開催予定のワークショップに参加することを予定している。財政コモン・プール問題によって拡大する財政赤字に対処するための方策として、新たなる財政ルールを課すことが考えられる。そこで、本研究では、2007年度に施行された地方財政健全化法に焦点を当て、同法が施行以降に、都道府県がどのような財政行動をとったのかをFixed Effect SUR modelを用いて検証した。健全化法以降、地方団体のフローの財政指標である実質赤字比率や連結実質赤字比率は改善傾向にある一方で、ストックの財政指標である将来負担比率は悪化傾向にあることが明らかになった。これは、単年度主義が原則である地方団体の予算制度のもとで、健全化法によって新たに導入された財政指標の財政健全化基準及び財政再生基準を超えて中央政府の監視下に置かれることを避けたいという地方団体の財政調整行動を示すものである。研究結果は、2018年12月に「地方財政健全化指標における相互依存関係」という論文を査読付き学術雑誌である内閣府経済社会総合研究所『経済分析』に公表している。また、上記の論文を拡張したものとして、"The effects of the new fiscal rule and creative accounting"という論文を執筆した。これは、市町村が新しい財政ルールの施行後に、どのような財政行動をとったのかをSUR with DIDを使って検証したものである。分析結果より、平均的に、市町村は財政ルールの施行後に監視対象となる財政4指標は改善しているものの、監視対象となっていない公営企業への繰出金等の指標は増加していることが明らかになった。すなわち、監視対象となる指標を改善させるために、監視対象とならない指標の悪化を許容する状態にあったと考えられる。本論文は、ワーキングペーパーとして公表しており、適宜修正を重ねながら海外査読付き学術誌に投稿中である。当初の計画通り、おおむね順調に進展している。平成30年度はおもに調査と研究発表を多く実施した。今後は、平成30年度に実施した分析をもとに論文を執筆し、国際・国内学会で研究発表を複数回実施することを予定している。また、市町村合併時における共有財源問題の研究では、市町村が合併前に地方債の発行を増額したことは明らかになっているが、どのような公共サービスを増加したのかは明らかになっていない。従って、各公共サービスの費用項目に着目した追加的な分析を継続している。また、海外の研究者と意見交換をするため、オーストラリアにて開催予定のワークショップに参加することを予定している。国際学会等への海外出張の際、近年日本と諸外国との物価差が大きくなる傾向にあり、航空費や宿泊費が想定以上に必要となるケースが存在する。そのため、当初予定していた備品購入を次年度以降に遅らせることにより使用計画を変更することにした。
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KAKENHI-PROJECT-18K01662
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https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-18K01662
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拡散的思考の支援を基盤としたアーギュメント生成を促進する学習環境の開発
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本研究課題の学術的な「問い」は,学習者の拡散的思考を促進する学習環境とは何か,PCを中心とする学習環境によって学習者間の思考の共有は可能か,である。申請者は,ワークブック教材2種を開発し,中学生・高校生・大学生を対象に実験し,教材の構成原理と教育的効果との関連性を検討してきた。これまでに,それぞれの教材の利用により学習者の拡散的思考が促進されること,アーギュメント(意見文)生成時の学習者の思考に変化がもたらされることが示されている。その一方で,学習環境の適切性,個々の思考内容の共有化(協同学習)の可能性については未検討であった。そこで,これら2点を課題として本研究は進められる。本研究課題の学術的な「問い」は,学習者の拡散的思考を促進する学習環境とは何か,PCを中心とする学習環境によって学習者間の思考の共有は可能か,である。申請者は,ワークブック教材2種を開発し,中学生・高校生・大学生を対象に実験し,教材の構成原理と教育的効果との関連性を検討してきた。これまでに,それぞれの教材の利用により学習者の拡散的思考が促進されること,アーギュメント(意見文)生成時の学習者の思考に変化がもたらされることが示されている。その一方で,学習環境の適切性,個々の思考内容の共有化(協同学習)の可能性については未検討であった。そこで,これら2点を課題として本研究は進められる。
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KAKENHI-PROJECT-19K03097
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https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-19K03097
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亜急性硬化性全脳炎の遺伝子治療法確立のための基礎的研究
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亜急性硬化性全脳炎(SSPE)は麻疹ウイルスの遅発性感染によって起こる小児の進行性かつ致死性の疾患であり,効果的な新しい治療法の確立が切望されている。そこで,prodrug活性化遺伝子として大腸菌由来のcytosine deaminase (CD)をSSPEウイルス感染脳細胞に選択的に導入し,5-fluorocytosine (5-FC)をprodrugとして投与し,感染細胞を殺すという自殺遺伝子治療法の開発をめざした。まず,ウイルス感染細胞に選択的に自殺遺伝子を導入する方法を検討するため,green fluorescent protein(GFP)の発現を指標にその導入の選択性を評価した。GFP遺伝子発現ベクターを構築し,この発現プラスミドDNAをカチオン性脂質,さらにはリン酸カルシウム法を用いてトランスフェクションし,ウイルス感染細胞(syncytium focus)に選択的に蛍光発現がみられるかどうかで判定した。しかしながら,各種条件の検討に関わらず,カチオン性脂質による選択的導入には限界があることが判明した。今後は,プラスミドDNAに麻疹ウイルス抗体を結合させ,投与するか,あるいは,麻疹ウイルスミニゲノム中に自殺遺伝子を組み込みSSPEウイルス感染細胞でしか発現できないウイルスベクターを作製し,投与する方法が考えられる。現在,後者の方法を採用することで準備が進められている。一方,治療効果を評価するため,サイトカラシンD処理による擬似ウイルス粒子を作製してSSPEウイルス脳内接種を行い,我々が分離した大阪1,2,および3株について脳炎発症条件を検討した。数十から数百ウイルス粒子の接種でほぼすべてのハムスターが接種後4-16日で発症し,神経症状を呈して多くは1-2週間で死亡した。これにより遺伝子治療効果を見るためのSSPEモデル動物の作製が可能であることが判明した。亜急性硬化性全脳炎(SSPE)は麻疹ウイルスの遅発性感染によって起こる小児の進行性かつ致死性の疾患であり,効果的な新しい治療法の確立が切望されている。そこで,prodrug活性化遺伝子として大腸菌由来のcytosine deaminase (CD)をSSPEウイルス感染脳細胞に選択的に導入し,5-fluorocytosine (5-FC)をprodrugとして投与し,感染細胞を殺すという自殺遺伝子治療法の開発をめざした。まず,ウイルス感染細胞に選択的に自殺遺伝子を導入する方法を検討するため,green fluorescent protein(GFP)の発現を指標にその導入の選択性を評価した。GFP遺伝子発現ベクターを構築し,この発現プラスミドDNAをカチオン性脂質,さらにはリン酸カルシウム法を用いてトランスフェクションし,ウイルス感染細胞(syncytium focus)に選択的に蛍光発現がみられるかどうかで判定した。しかしながら,各種条件の検討に関わらず,カチオン性脂質による選択的導入には限界があることが判明した。今後は,プラスミドDNAに麻疹ウイルス抗体を結合させ,投与するか,あるいは,麻疹ウイルスミニゲノム中に自殺遺伝子を組み込みSSPEウイルス感染細胞でしか発現できないウイルスベクターを作製し,投与する方法が考えられる。現在,後者の方法を採用することで準備が進められている。一方,治療効果を評価するため,サイトカラシンD処理による擬似ウイルス粒子を作製してSSPEウイルス脳内接種を行い,我々が分離した大阪1,2,および3株について脳炎発症条件を検討した。数十から数百ウイルス粒子の接種でほぼすべてのハムスターが接種後4-16日で発症し,神経症状を呈して多くは1-2週間で死亡した。これにより遺伝子治療効果を見るためのSSPEモデル動物の作製が可能であることが判明した。亜急性硬化性全脳炎(SSPE)は麻疹ウイルスの遅発性感染によって起こる小児の進行性かつ致死性の疾患であり,効果的な新しい治療法の確立が切望されている。この疾患への遺伝子治療の応用を考えた場合,ウイルス感染細胞に選択的に治療遺伝子を運搬するターゲティングの手段が不可欠であり,その遺伝子発現に伴う抗ウイルス効果や殺細胞効果によって感染の拡大を防ぐことが基本戦略となる。SSPEにおいては細胞融合能を持つSSPEウイルス感染脳細胞がターゲットとなる特徴を持つ。それゆえ,直接の殺細胞効果を期待するかわりにprodrug活性化(自殺)遺伝子発現べクターDNAを選択的に感染細胞に導入し,発現させ,その後,Prodrug投与で感染細胞を殺すという自殺遺伝子治療法がより安全と考えられる。そこでprodrugとして5-fluorocytosine(5-FC)を,prodrug活性化遺伝子として大腸菌由来のcytosine deaminase(CD)を用いたSSPEの新たな特異的治療法の開発をめざすこととした。今年度はウイルス感染細胞に選択的に自殺遺伝子を導入する方法を検討するため,green fluorescent protein(GFP)の発現を指標にその導入の選択性を検討することとした。まず,GFP遺伝子発現ベクターを構築した。この発現プラスミドDNAをリン酸カルシウム法や各種の力チオン性脂質(リポフェクトアミンプラス,リポフェクトアミン,リボフェクトエース,リポフェクチン,セルフェクチン)を用いてトランスフェクションし,ウイルス感染細胞(syncytium focus)に選択的に蛍光発現がみられるかどうかで判定した。しかしながら,今のところ,リボフェクトアミンプラス,リポフェクトアミン2000を試みたが,選択性は認められていない。今後,さらにリン酸カルシウム法や他のカチオン性脂質についても検討を加える予定である。亜急性硬化性全脳炎(SSPE)は麻疹ウイルスの遅発性感染によって起こる小児の進行性かつ致死性の疾患であり,効果的な新しい治療法の確立が切望されている。この疾患への遺伝子治療の応用を考えた場合,ウイルス感染細胞に選択的に治療遺伝子を運搬するターゲティングの手段が不可欠であり,その遺伝子発現に伴う抗ウイルス効果や殺細胞効果によって感染の拡大を防ぐことが基本戦略となる。
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KAKENHI-PROJECT-11670779
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https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-11670779
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亜急性硬化性全脳炎の遺伝子治療法確立のための基礎的研究
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SSPEにおいては細胞融合能を持つSSPEウイルス感染脳細胞がターゲットとなる特徴を持つ。それゆえ,直接の殺細胞効果を期待するかわりにprodrug活性化(自殺)遺伝子発現ベクターDNAを選択的に感染細胞に導入し,発現させ,その後,prodrug投与で感染細胞を殺すという自殺遺伝子治療法がより安全と考えられる。そこでprodrugとして5-fluorocytosine(5-FC)を,prodrug活性化遺伝子として大腸菌由来のcytosine deaminase(CD)を用いたSSPEの新たな特異的治療法の開発をめざすこととした。まず,ウイルス感染細胞に選択的に自殺遺伝子を導入する方法を検討するため,green flhuorescent protein(GFP)の発現を指標にその導入の選択性を評価した。昨年度はGFP遺伝子発現ベクターを構築し,この発現プラスミドDNAをカチオン性脂質であるリポフェクトアミンプラス,リポフェクトアミン2000を用いてトランスフェクションし,ウイルス感染細胞(syncytium focus)に選択的に蛍光発現がみられるかどうかで判定した。今年度はさらにリン酸カルシウム法や他のカチオン性脂質(リポフェクトアミン,リポフェクトエース,リポフェクチン,セルフェクチン)についても検討を加えた。結果は実験によりばらつきがあり,遺伝子導入方法についてはさらに実験条件を検討する必要があると思われた。一方,SSPEモデル動物系樹立のため,サイトカラシンD処理による擬似ウイルス粒子を作製してSSPEウイルス脳内接種を行い,その発症条件を検討した。数十から数百ウイルス粒子の接種でほぼすべてのハムスターが接種後4-16日で発症し,神経症状を呈して多くは1-2週間で死亡した。これにより遺伝子治療効果を見るためのSSPEモデル動物の作製が可能であることが判明した。亜急性硬化性全脳炎(SSPE)は麻疹ウイルスの遅発性感染によって起こる小児の進行性かつ致死性の疾患であり,効果的な新しい治療法の確立が切望されている。そこで,prodrug活性化遺伝子として大腸菌由来のcytosine deaminase(CD)をSSPEウイルス感染脳細胞に選択的に導入し、5-fluorocytosine(5-FC)をprodrugとして投与し,感染細胞を殺すという自殺遺伝子治療法の開発をめざした。まず,ウイルス感染細胞に選択的に自殺遺伝子を導入する方法を検討するため,green fluorescent protein(GFP)の発現を指標にその導入の選択性を評価した。昨年度は結果に実験によりばらつきがみられたため,今年度はプラスミドDNAと各カチオン性脂質の量比を検討した。
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KAKENHI-PROJECT-11670779
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https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-11670779
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テニス・サーブレシーブ時における不得手側ステップワーク改善を目指す装置開発
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テニスにおけるサーブ・レシーブをする際、相手の打つサーブのコースに応じて瞬時に判断し、最初の一歩を適切に踏み出すためのトレーニング装置を開発することを目的とする研究を推進した。確実な成果として、本研究の基盤となる高度なLabViewプログラミング技術をマスターするとともに、さまざまなコースに打ち分けられたテニス上級者のサーブ場面を録画し、その映像をランダムに呈示するシステムを作成することができた。テニスにおけるサーブ・レシーブをする際、相手の打つサーブのコースに応じて瞬時に判断し、最初の一歩を適切に踏み出すためのトレーニング装置を開発することを目的とする研究を推進した。確実な成果として、本研究の基盤となる高度なLabViewプログラミング技術をマスターするとともに、さまざまなコースに打ち分けられたテニス上級者のサーブ場面を録画し、その映像をランダムに呈示するシステムを作成することができた。平成21年度は研究計画の初年度であり、その成果はおもに以下の三点に集約される。つまり、(1)テニスサーブ動作の撮影、(2)実験室・装置の構築、(3)LabVIEWプログラム開発能力向上のための研修参加、である。テニスサーブ動作の撮影では、テニスサーブ技術レベルの高いプレーヤーをモデルとして彼らにテニスサーブをさまざまなコースに打たせたときの動作およびボールの動きをレシーバー目線で撮影した。得られた映像は後に被験者にサーブのコースや速さを任意に設定し提供できるよう取捨選択され、本研究に必要なものだけがデータベース化された。実験室・装置の構築では、撮影したサーブ時のビデオ映像を被験者の後方から投射するため、天井付近にアングルで固定枠が作成されるとともにその場所に市販の液晶プロジェクターが設置された。またスクリーンの代わりに白いパネルボード(100インチ画面相当)が前方の壁に貼付された。投影試験の結果、計画どおり被験者の頭上から前方のパネルボードに投影可能であることが確認された。LabVIEWプログラム開発能力向上のための研修参加では、LabVIEWソフトの販売元である日本ナショナルインスツルメントが定期的に開催する有料研修会に参加し、LabVIEWによる基本的な操作方法およびデータ収集方法(プログラムの概要、付属デバイスのコントロール、AD変換の基礎知識など)について研修し、簡単なLabVIEWプログラムを作成できるまでに至った。平成22年度の本研究の主な実績として、大きく以下の二つがあげられる。ひとつは、さまざまな解析に必要となる情報処理能力の向上を目指したプログミング研修による成果である。もうひとつは、テニスプレーヤーが実際にサーブをした際の映像を記録し、本研究に必要な場面を切り出し編集したことである。それらの実績を以下に具体的に表す。1.LavViewbプログラミング技術の向上本研究において様々な場面において必要になるデータ取得・解析プログラムを作成するため、平成22年8月に開催されたLavViewbプログラミング技術講習会を受講した。その結果、データの連続的な収録とそれらを必要な形式で表示されるなど、無理なく扱えるようになり、LavViewbプログラミング技術向上は予定どおり進んでいる。ただし、現在のプログラミング技術では映像を同時記録するとともに瞬時に必要な映像を切り出し、その映像の情報にもとづいて次の指示を出すまでには達せず今後の課題である。2.テニスプレーヤーサーブ時の映像記録本研究で必要となるテニスプレーヤーがいろいろなコースに打ち分けたサーブ場面を録画し、データライブラリーに蓄積した。モデルは上級者および初心者に依頼し、それぞれのモデルにつき両サイドからのサーブをするよう指示するとともにサーブ時に狙うコースを指定し、1コースあたり30回のサーブを実施させた。その時の映像はレシーブする者が一般的に構える位置に設置されたビデオカメラにより録画された。撮りためたビデオ画像の中から本研究で使用する映像を選択し、計画書に記載した基準に従い、上級者のスピート豊かなサーブおよび初級者の緩いサーブをそれぞれのコース別に区分けをした。テニスにおけるサーブ・レシーブをする際、相手の打つサーブのコースに応じて瞬時に判断し、最初の一歩を適切に踏み出すためのトレーニング装置を開発するとともに、その効果について一般人の被験者を用いて検証すること目的とし、23年度の研究計画を4段階に分けて推進した。その結果は以下のとおりである。1.LabViewプログラミング技術の向上年に数回開催される無料の記述講習会参加を始め、日ごろから他の実験で使用する測定機器のシステムを自作するなどして、プログラミング技術向上に努めた。その結果、当該研究で必要となるレベルのプログラムを作成することができた。2.テニスサーブ時のビデオ画像の編集22年度に実施したテニス上級者のサーブシーンを特別なビデオ編集装置を用いることなく通常のパソコンを用いて編集し、各コースに打ち分けられたサーブシーン別に抽出した。3.ステップのオン・オフを検知する実験用特別シューズの作成ステップ状態を検知するためのセンサーとして、通常使用されているオン・オフスイッチを実験用特別シューズに埋め込んだ。ここで用いたシューズは市販のテニスシューズであり、サイズも各種そろえた。4.いろいろなテニスサーブ時のビデオ画像のランダム呈示システムの開発LabViewプログラミング技術を駆使し、抽出されたコース別サービスシーンをパソコン画面にランダムに呈示することができ、液晶プロジェクターを用いてスクリーンに投影することができた。
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KAKENHI-PROJECT-21650160
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https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-21650160
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1分子制御化学を実現する1分子液滴反応場の創成
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本研究では、研究代表者が提案した1分子制御化学の実現に向けて、超微量液体(流体)操作に適したナノ流体デバイスを用いて、1分子液滴反応場となるアトリットル(aL)液滴を形成する方法を創成した。具体的には、研究代表者が開発したNano-in-Nano集積化技術を用いて、ナノ流路内に超高精度の局所親水-疎水ナノパターン表面を構築することに成功した。この超高精度の局所親水-疎水ナノパターン表面を有するナノ流体チップを利用することで、気-液界面に発生するラプラス圧力差の原理に基づくアトリットル液滴の生成が可能であることを実験で明らかにした。本研究の目的は「1分子制御化学」の実現に向けて、超微量液体操作に適したナノ流体デバイスを用いて、1分子の輸送・混合・反応ができるようにするための1分子液滴反応場の創成である。ここで申請者が提案する「1分子制御化学」は、分子をビルディングブロックとして直接取り扱い、1分子単位で自由自在に輸送・混合・反応・分離する技術に基づく新たな化学である。この技術が実現すれば、多分子系を取り扱う従来の化学(または化学工学)の常識を覆す可能性もあり、本研究がこの究極のボトムアップ方法論に基づく新たな化学または分子科学の道を開く契機になることが期待される。平成26年度は、1分子液滴反応場を実現するためのナノ流体チップを設計し、その作製に必要である電子ビームリソグラフィや、フォトリソグラフィなどのプロセスと条件を検討し、アトリットル(aL)液滴を形成可能なナノ流体チップの作製に成功した。また、チップ内にある金ナノ表面に疎水性自己組織化単分子膜(Self-Assembled Monolayer;SAM)を配列し、局所的疎水性表面を構築した。チップ内直接に評価することが困難であるため、その疎水性表面の評価は同じ条件で基板上に形成した疎水表面を利用して接触角や、AFM、XPSの測定によって行い、接触角110°程度、なめらかな疎水性表面が作成できたことを明らかにした。また、チップ内でナノ流路の液相-気相界面に働くラプラス圧の理論値を試算し、アトリットル液滴作製実験時の目安とした。さらに、十字ナノ流路の横流路からは超純水を導入、縦流路からは上下から空気を導入し、それぞれの圧力を制御しながらアトリットル液滴の作製条件を検討した。本研究の目的は「1分子制御化学」の実現に向けて、超微量液体操作に適したナノ流体デバイスを用いて、1分子の輸送・混合・反応ができるようにするための1分子液滴反応場の創成である。ここで申請者が提案する「1分子制御化学」は、分子をビルディングブロックとして直接取り扱い、1分子単位で自由自在に輸送・混合・反応・分離する技術に基づく新たな化学である。この技術が実現すれば、多分子系を取り扱う従来の化学(または化学工学)の常識を覆す可能性もあり、本研究がこの究極のボトムアップ方法論に基づく新たな化学または分子科学の道を開く契機になることが期待される。本年度は、1分子液滴反応場の実現に取り組んだ。具体的には、十字ナノ流路を有するナノ流体チップを用いて、横方向のナノ流路につながる液体導入用マイクロ流路に超純水を毛細管力で導入し疎水性SAM界面(バルブ)で止める条件を検討した。さらに圧力コントローラーを用いて縦方向の空気導入用マイクロ流路から空気を導入し、流路内の液体を切り取り、アトリットル液滴(=1分子液滴反応場)の生成に挑戦した。結果について、最適化した実験条件を用いた場合、ナノ流路の付近にある疎水性SAM界面でナノ流体を止めることに成功した。同様の実験を数回行ったが、毎回同じ場所の疎水性SAM界面でナノ流体止まるという結果が得られた。これらの結果よりバルブとしての再現性が高いことが確認できた。また、流路内の液体切り取り実験を行ったが、縦方向のナノ流路にうまく空気が導入できなかった。流路内に何らかのつまりが生じていると考えられる。今後はその問題を解決し、切れ取り圧力の検討、液滴の作製、操作に取り組むことが必要である。本研究では、研究代表者が提案した1分子制御化学の実現に向けて、超微量液体(流体)操作に適したナノ流体デバイスを用いて、1分子液滴反応場となるアトリットル(aL)液滴を形成する方法を創成した。具体的には、研究代表者が開発したNano-in-Nano集積化技術を用いて、ナノ流路内に超高精度の局所親水-疎水ナノパターン表面を構築することに成功した。この超高精度の局所親水-疎水ナノパターン表面を有するナノ流体チップを利用することで、気-液界面に発生するラプラス圧力差の原理に基づくアトリットル液滴の生成が可能であることを実験で明らかにした。平成26年度は、研究実績の概要で述べたように、1分子液滴反応場を実現するためのチップ作製に成功するとともに、ナノ流路内液相-気相界面の構築するための条件及びアトリットル液滴の作製条件を実験と理論計算の両方から明らかにすることができた。若干の方針の変更はあったものの、当初の目的はほぼ達成した。また、プロジェクトの目標をより早く実現するために、上述の当初の計画(static法)を推進しながら、新たなアトリットル液滴形成の方法(dynamic法)も提案して試した。Dynamic法では温度応答性の界面をナノ流路に構築し、温度変化でアトリットル液滴をスマート生成する。
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KAKENHI-PROJECT-26630403
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https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-26630403
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1分子制御化学を実現する1分子液滴反応場の創成
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ナノ流路内にある金表面に固定できるチオール基を持つ温度応答性ポリマーの合成は、可逆的付加開裂連鎖移動(RAFT)重合により既に成功している。現在、このポリマーを利用して温度によりナノ流体制御と液滴の作製に取り込んでいるところである。以上に基づいて、平成26年度は、当初計画以上に進展していると言える。許研究室HPには本研究の最新の研究結果に関して随時を発信しています。ナノ化学システム、1分子科学平成27年度は、アトリットル液滴生成ための液体切取り空気圧力と液滴制御ための作動圧力をさらに検討し、アトリットル液滴生成・制御の手法を確立する。次に、アトリットル液滴を用いた1分子液滴反応場の創成を目指す。1分子を含むアトリットル液滴生成を計算と実験の両面で検証することにより、1分子液滴反応場を作製する。順調に実現できれば、さらに、2つの1分子液滴の融合による1分子同士間の化学反応の実現と反応のキネティクスの解明に挑戦する予定である。
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KAKENHI-PROJECT-26630403
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https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-26630403
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知の神話-ポール・ヴァレリーにおける科学的思考の誕生と進化(1880-1920)
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科学が思想家に及ぼす影響とはどういうものなのか、また科学者の思考と思想家の思考の境界線はどこにあるのかといった問題を考えるという目的で、フランスの作家ポール・ヴァレリーの19世紀末から20世紀初頭にかけての科学的思考の進歩と変化を研究してまいりましたが、本年度はまず、フランスの国立図書館に保存されているヴァレリーの1895年発表の作品「レオナルド・ダ・ヴィンチの方法の序論」の草稿のコピーを入手して研究いたしました。この作品の中でヴァレリーは芸術家の精神活動と科学者の精神活動の類似性などについて論じていますが、このたび草稿のコピーを分析した結果、ヴァレリーがきわめて綿密な計画を練ってから執筆に着手したこと、とりわけ導入部の1、2ページは何回も書き直したことなどの創作過程が明らかになりました。他方で、昨年度はヴァレリーの1880年代から1900年代にかけての科学思想の受容を研究したことから、今年度は彼の1910年代の思想の受容を調べました。この時期、科学者の間で相対性理論や量子理論が熱心に議論されましたが、ヴァレリーが新しい理論にいちはやく興味を持ち、それに関連して時間や空間や原子について多数の考察をしていたことがわかりました。またそういった物理の知識から精神の領域を解明しようとしていたことも見受けられました。しかし、20世紀の物理は想像困難で予測不可能な世界観を提示し、時間や空間の観念を一変させてしまったことから、ヴァレリーが知の将来についてだんだんと懐疑的になっていったこともわかりました。この時期に発表された作品は数多くはありませんが、ヴァレリーはみずからの思索を一貫して「カイエ」-ノートブック-に記していたのでこれを研究いたしました。この時期の「カイエ」はまだ活字で出版されていないので、フランス国立科学研究所出版の複写版を読解いたしました。(784字)科学は近現代思想にどのような影響を及ぼしてきたのでしょうか。また、科学者と思想家の相違点はどこにあるのでしょうか。これらの問題を考えるうえで興味深いのは、フランスの思想家ヴァレリーの科学についての考察、とりわけ彼の科学批判です。そこで「カイエ」とよばれる彼の手記のなかにみられる多数の科学批判を分析したところ、彼が精神との関係で科学に関心を寄せ、かつ批判をしていることがわかりました。思想家にとって科学とは、認識のメカニズムの問題として考慮されていることが明確になりました。このヴァレリーの科学への関心はいつから始まったかという点については、今回ジュール・ヴェルヌの空想科学小説とヴァレリーの思想との比較によって、ヴァレリーが少年時代に読んだヴェルヌの小説の中ですでに科学的知識と科学的知性のイメージに親しんでいた可能性があることがわかりました。空想科学小説が思考の発展に果たしうる役割をあらためて確認できました。さらに、アインシュタインが相対性理論で時間と空間を融合したことは知られていますが、この相対性理論がフランスに紹介される以前にヴァレリーも独自の方法で時間と空間の融合をめざしていた点に興味を持ちました。いったいどのような経緯でヴァレリーがそれを試みるようになったのでしょうか。彼の省察の詳細な分析の結果、とりわけカントの「純粋理性批判」、ウェルズの『タイム・マシン』、ポワンカレの「科学の価値」などとの関係が浮き彫りになり、ヴァレリーがこれらの本の読書経験をもとに、時間と空間についての独自の思想をしだいに発展させていったことがわかりました。研究にあたっては、おもに上述の「カイエ」の活字版を使って、彼の1894年から1909年ごろまでの思想の変化を研究の対象といたしました。また、上に述べた作家の作品のほかに、アインシュタインの著作も研究し、当時の科学について知識を深めました。(796字)科学が思想家に及ぼす影響とはどういうものなのか、また科学者の思考と思想家の思考の境界線はどこにあるのかといった問題を考えるという目的で、フランスの作家ポール・ヴァレリーの19世紀末から20世紀初頭にかけての科学的思考の進歩と変化を研究してまいりましたが、本年度はまず、フランスの国立図書館に保存されているヴァレリーの1895年発表の作品「レオナルド・ダ・ヴィンチの方法の序論」の草稿のコピーを入手して研究いたしました。この作品の中でヴァレリーは芸術家の精神活動と科学者の精神活動の類似性などについて論じていますが、このたび草稿のコピーを分析した結果、ヴァレリーがきわめて綿密な計画を練ってから執筆に着手したこと、とりわけ導入部の1、2ページは何回も書き直したことなどの創作過程が明らかになりました。他方で、昨年度はヴァレリーの1880年代から1900年代にかけての科学思想の受容を研究したことから、今年度は彼の1910年代の思想の受容を調べました。この時期、科学者の間で相対性理論や量子理論が熱心に議論されましたが、ヴァレリーが新しい理論にいちはやく興味を持ち、それに関連して時間や空間や原子について多数の考察をしていたことがわかりました。またそういった物理の知識から精神の領域を解明しようとしていたことも見受けられました。しかし、20世紀の物理は想像困難で予測不可能な世界観を提示し、時間や空間の観念を一変させてしまったことから、ヴァレリーが知の将来についてだんだんと懐疑的になっていったこともわかりました。この時期に発表された作品は数多くはありませんが、ヴァレリーはみずからの思索を一貫して「カイエ」-ノートブック-に記していたのでこれを研究いたしました。
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KAKENHI-PROJECT-03J08868
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https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-03J08868
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知の神話-ポール・ヴァレリーにおける科学的思考の誕生と進化(1880-1920)
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この時期の「カイエ」はまだ活字で出版されていないので、フランス国立科学研究所出版の複写版を読解いたしました。(784字)
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KAKENHI-PROJECT-03J08868
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https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-03J08868
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自発的に「泳ぐ」液滴:パターン形成による運動機能獲得
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多くの生物は体の形状を変形させることで自発的な運動をすることが出来る。しかし、生物・無生物に関わらず、変形に誘起された自発運動が持つ普遍的な性質は明らかになっていない。系統的に変形と運動の関係を調べるため、本研究では表面波に駆動されて高粘性流体中を泳ぐ液滴に対し、形状と運動の関係を網羅的に調べた。その結果、併進運動や自転運動などの運動は液滴上の定在波の形状の対称性の破れにより起こることが分かった。また、自己駆動粒子のモデル方程式を使うことで、泳ぐ液滴のダイナミクスだけでなく細胞運動を定量的に再現することが出来ることを示し、変形駆動の自発運動を統一的に記述できる可能性があることを示した。細胞運動に代表されるように、多くの生物は変形をしながら自発的に動き回ることが出来る。生物・無生物に関わらず外からの刺激を必要としない自発的運動をするためには、非対称な形状など、空間的な対称性の破れが不可欠である。私は粒子の形状の自発的対称性の破れと自発運動の間にある関係を実験的に明らかにすることを研究の目的としている。水よりも重く粘性の高いシリコンオイル上に水滴を乗せ垂直加振すると、水滴と空気の気液界面のみ共振を起こし、水滴上に局在した共振波(ファラデー波)を作ることができる。すると、ファラデー波が液液界面に作る表面波により、液滴は変形をしながら自発的に運動する。これまでの実験により液滴上のファラデー波の対称性が自発的に破れることで液滴の併進運動が起こることが示唆されていた。私はファラデー波の自発的対称性について調べるため、直方体容器中でのファラデー波について調べた。液滴と同程度の大きさの直方体容器に絵の具で白濁させた水を満たしたものを垂直加振し、固定境界条件でのファラデー波を起こした。このときのファラデー波の形状をレーザー変位計でスキャンすることで調べた。その結果、周波数を徐々に下げていくと、液滴上のファラデー波と同様にある臨界周波数以下でファラデー波の前後対称性が自発的に破れることがわかった。このことからファラデー波の自発的対称性の破れは、ファラデー波が狭い空間に閉じ込められていることにより起こっていることが分かった。私はさらにシリコンオイルの粘性が低い場合に見られる複雑な液滴運動について調べた。その結果、静止状態から往復運動、振動的直線運動への運動モード分岐が起こることを発見した。これらの複雑な運動はファラデー波の腹の数と対称性の破れが時間的に変化することで起こることが分かってきている。液面をレーザー変位計でスキャンすることで、液面の形状を測定する装置を作成し、臨界周波数以下でファラデー波の対称性が自発的に破れることを定量的に測定することができた。また、ファラデー波の振幅の空間分布を波数空間で表示すると、前後対称性の破れにかかわる成分が臨界周波数以下でスーパークリティカル分岐を起こすことを発見した。液滴の併進運動への分岐もスーパークリティカル分岐になっていることが分かっているため、この結果からも運動の分岐とファラデー波の対称性の破れが関連していることが示唆されている。シリコンオイルの粘性が低い場合に見られる複雑な液滴運動について測定し、相図を作成した。その結果、静止状態から往復運動、振動的直線運動への運動モード分岐を発見した。さらに、低粘度での液滴運動は温度に大きく依存することが分かってきており、温度が低くなると多角形運動が支配的になることも分かった。細胞運動に代表されるように、多くの生物は変形をしながら自発的に動き回ることが出来る。生物・無生物に関わらず外からの刺激を必要としない自発的運動をするためには、非対称な形状など、空間的な対称性の破れが不可欠である。私は自発運動する粒子の形状と運動の間にある普遍的な関係を実験的に明らかにすることを研究の目的としている。私はこれまでシリコンオイル上の水滴を垂直加振することで水滴上に局在した共振波(ファラデー波)を作り、波の力により泳ぐ液滴を作成している。また、ファラデー波の空間対称性は直方体容器中など固定境界において周波数を下げることで自発的に破れることがわかっている。今年度は液滴上のファラデー波において、ファラデー波の腹の位置をつなぐ曲線の曲率の変化を調べた。その結果、液滴の併進運動の分岐点において曲率が0から有限の値を持つようになることを示した。これは、液滴においても固定境界の場合と同様にファラデー波の自発的対称性の破れが起こり、その結果として併進運動が現れることを示している。私はさらに変形する自己駆動粒子の持つ普遍性について調べるために、泳ぐ液滴に対して行っていた解析手法を用いて細胞運動の解析を行った。私はゲル上を運動する繊維芽細胞の形状をフーリエ展開し、形状の各モードと重心の速度の間の関係について調べた。その結果、繊維芽細胞の重心の速度は形状のモード2とモード3の時間微分の関数として表せることを見出した。また、得られた速度に関する関係式はアメーバ運動によって液体中を泳ぐ粒子の一般的な方程式と同様なものになっていることが分かった。私はこれまでに泳ぐ液滴のダイナミクスが、形状のフーリエモードの時間発展に基づくモデルを用いて説明できることを示しいる。
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KAKENHI-PROJECT-15K17717
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https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-15K17717
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自発的に「泳ぐ」液滴:パターン形成による運動機能獲得
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そのため、形状のフーリエモード解析が生物・無生物に関わらず運動と変形の関係を調べる上で有効であることが分かってきた。これまで固定容器中のファラデー波は波長が長くなることで自発的に形状の前後対称性を破ることを見出したが、実際に泳ぐ液滴に対しても同様の形状の前後対称性の破れがドリフト分岐点上で起こることを定量的に示すことができた。本研究の最終的な目標は無生物系の実験を通して細胞運動などの生物の自発運動に対する物理的な知見を深めることにある。今年度は実際に液滴の実験において行っていた形状のフーリエモード解析を繊維芽細胞の細胞運動に適用し、細胞の種類や置かれている環境によらず形状と運動の間に普遍的な関係がある可能性を示すことができた。さらに現在、泳ぐ液滴の現象論的なモデルである形状のフーリエモードの時間発展に基づくモデルを拡張すると細胞運動の統計的な性質が良く説明できることが分かってきている。これは形状のフーリエモードの時間発展に基づくモデルが無生物・生物を問わず一般的に適用できることを示唆している。多くの生物は体の形状を変形させることで、這う・泳ぐなど自発的な運動をすることが出来る。しかし、粒子形状の変形に誘起された自発運動において、変形と運動の間に普遍的な関係性があるかは分かっていない。本研究の目的は無生物系の実験を通して変形に誘起された自発運動に対する物理的な知見を深めることにある。今年度は泳ぐ液滴の集団運動について数値的に検証するため、変形する自己駆動粒子のモデル方程式に変形を考慮した排除体積効果を導入した数理モデルを使い集団運動の数値計算を行った。その結果、周期的境界条件では泳ぐ液滴のように短軸に向かって運動する粒子集団より線維芽細胞のように長軸に向かって運動する粒子集団のほうが高い配向秩序を示すことが分かった。一方、細長い流路においては短軸に向かって運動する粒子集団は高い配向性を持った集団運動をする一方、長軸に向かって運動する粒子集団は対流状の周期的な渦形成をすることが分かった。このように、形状と運動の関係、そして境界条件によって集団運動が大きく異なることが分かった。私はさらに生物・無生物系に関わらず変形に誘起された自発運動の持つ普遍的な性質を調べるために、ゲル上の線維芽細胞の形状と運動について詳細な解析を行った。その結果、線維芽細胞の形状と運動の間にある関係式が、流体中を伸び縮みによってアメーバ遊泳する粒子の運動の方程式と等価になることが分かった。これは伸び縮みによる自発運動が系の詳細によらない普遍性を持つことを示唆している。また、私はアメーバ遊泳による運動の方程式と変形する自己駆動粒子のモデル方程式を組み合わせることで、線維芽細胞の形状と運動の統計的な性質をほぼ全て定量的に説明することが出来ることを示した。このように、変形する自己駆動粒子のモデル方程式を使うことで、泳ぐ液滴のダイナミクスだけでなく細胞運動を定量的に再現することが出来ることを示した。多くの生物は体の形状を変形させることで自発的な運動をすることが出来る。しかし、生物・無生物に関わらず、変形に誘起された自発運動が持つ普遍的な性質は明らかになっていない。系統的に変形と運動の関係を調べるため、本研究では表面波に駆動されて高粘性流体中を泳ぐ液滴に対し、形状と運動の関係を網羅的に調べた。その結果、併進運動や自転運動などの運動は液滴上の定在波の形状の対称性の破れにより起こることが分かった。
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KAKENHI-PROJECT-15K17717
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https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-15K17717
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飛沫蒸発フラックス計測システムの開発と都市における水収支の解明
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本年度は主に,(1)スケールモデルサイトにおける遮断蒸発量の検討、(2)都市・森林キャノピーにおける遮断蒸発特性の差異の検討、(3)研究成果のとりまとめ、を行った。(1)スケールモデルサイトにおける遮断蒸発量の検討屋外スケールモデル実験場(日本工業大学敷地内:COSMO)における水収支の残差(流出-降雨)から求めた降雨中遮断蒸発の特性を詳細に検討した。COSMOにおけるRIは平均して降雨量の約6%であった。(2)都市・森林キャノピーにおける遮断蒸発特性の差異の検討COSMOにおける遮断蒸発量は森林域に比べて小さく,またRIと降雨継続時間や総降雨量との関係は見られなかった.一方,COSMOのRIは降雨初期に大きくなり,初期飽差,及びキャノピー貯熱量と強い相関があることが確認された.森林とCOSMOのキャノピー構造の違いがRI特性に違いを与えたと考え、i.表面積率(SAI)の違い、ii.スカラー粗度の違い、iii.キャノピー下の飛沫が蒸発し得る空間の有無、iv.キャノピー熱容量の差異について、それぞれ検討したところ、これらの要素が都市と森林での遮断蒸発特性の差異を説明する有力な候補であることがわかった。(3)研究成果のまとめ以上の研究で得られた成果は、土木学会、水文水資源学会、気象学会などで発表するとともに、国際ジャーナルWater Resources Researchに投稿を行った。本年度は主に,(1)降雨-流出過程を完全に閉じることが可能な屋外スケールモデル実験サイトで降雨中の遮断蒸発量の降雨強度依存性、気温依存性などを明らかにすること,(2)飛沫蒸発フラックスを直接的に計測する手法を確立すること,を目的として研究を行った.(1)水収支残差から求めた遮断蒸発量の基礎的検討既存の屋外スケールモデル実験場(日本工業大学敷地内)において遮断蒸発特性の基礎的検討を行った.50m×100mの敷地の一角(6m×6m)に集水域を設置し,流出量や降雨量を0.1mm精度でモニタリングした.そして水収支の残差(流出-降雨)から降雨中の遮断蒸発を定量的に求めた.2006年9月から翌年1月21日までに本サイトで得られた降雨数は32で,最大降雨強度にして0.1-13.1mmhour-1,総降雨量にして0.2-134.5mmまでと有意な幅を持った降雨イベントが得られた.一降雨中の遮断蒸発量は0-4.9mmであり,これらは飽差に大きく依存することがわかった.降雨開始時の飽差が大きくなるほど遮断蒸発量は増加する.(2)飛沫フラックス計測システムの構築粒径別測定が可能な雨滴粒子測定用パーティクルカウンターを購入し,超音波風速計と同期計測させることで渦相関システムを構築した.またこの飛沫フラックス計測システムを実際の都市キャノピーに適用し,都市域における粒子フラックスをモニタリングした.降雨時に飛沫量の増加傾向がみられることが明らかになったが、フラックスの定量評価に関しては来年度の課題である.本年度は主に,(1)スケールモデルサイトにおける遮断蒸発量の検討、(2)都市・森林キャノピーにおける遮断蒸発特性の差異の検討、(3)研究成果のとりまとめ、を行った。(1)スケールモデルサイトにおける遮断蒸発量の検討屋外スケールモデル実験場(日本工業大学敷地内:COSMO)における水収支の残差(流出-降雨)から求めた降雨中遮断蒸発の特性を詳細に検討した。COSMOにおけるRIは平均して降雨量の約6%であった。(2)都市・森林キャノピーにおける遮断蒸発特性の差異の検討COSMOにおける遮断蒸発量は森林域に比べて小さく,またRIと降雨継続時間や総降雨量との関係は見られなかった.一方,COSMOのRIは降雨初期に大きくなり,初期飽差,及びキャノピー貯熱量と強い相関があることが確認された.森林とCOSMOのキャノピー構造の違いがRI特性に違いを与えたと考え、i.表面積率(SAI)の違い、ii.スカラー粗度の違い、iii.キャノピー下の飛沫が蒸発し得る空間の有無、iv.キャノピー熱容量の差異について、それぞれ検討したところ、これらの要素が都市と森林での遮断蒸発特性の差異を説明する有力な候補であることがわかった。(3)研究成果のまとめ以上の研究で得られた成果は、土木学会、水文水資源学会、気象学会などで発表するとともに、国際ジャーナルWater Resources Researchに投稿を行った。
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KAKENHI-PROJECT-18760371
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https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-18760371
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事実認定の手続構造論と証拠構造論
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再審における証拠構造論は弾劾対象の確認機能とともに明白性判断の過程を可視化・客観化する機能を担うものとして発展したが、明白性判断は実質的には有罪・無罪の実体判断と異ならないのだから、この証拠構造論は通常手続でも基本的に妥当するものと考えることができる。再審と通常手続との違いは、弾劾対象が前者においては確定判決の事実認定、後者においては検察官の有罪主張としての訴因事実という点だけである。しかし、この違いは、再審の場合は弾劾対象が確定的であるのに対して、通常手続の場合は弾劾対象が浮動性をもたざるをえないことを意味する。問題は、この相違の下で、通常手続において、いかなる根拠、いかなる形態において、証拠構造論を展開することができるかという点にある。経験深い弁護士の刑事弁護の実践を通して、こうした志向が正当性をもつことが本研究で確認されており、問題は理論的根拠とその具体的な論理にある。通常手続における証拠構造論の妥当根拠は、「疑わしきは被告人の利益に」の原則と証拠裁判主義に求めることができる。けだし、検察官が「合理的疑い」を超えて訴因事実の立証に成功したといえるためには、訴因事実を支える証拠上の構成(証拠構造)が被告人の弾劾に耐えて維持されたということを意味するほかないからである。むろん、この証拠構造には浮動性を認めざるをえないが、しかし、その最終的確定を論告の段階に求めれば、理論上も実際上も問題はない。そして、こうした証拠構造論が機能するためには、立証趣旨の拘束力の肯定と事前全面証拠開示が不可欠の前提となるが、これらの前提を満たすことは当事者主義そのものが要請するところである。そして、英米法でも、無罪評決指示制度に見られるように、証拠開示を前提として検察官の有罪主張の証拠構造の崩壊をもって「無罪」判決を行う制度が容認されているのである。再審における証拠構造論は弾劾対象の確認機能とともに明白性判断の過程を可視化・客観化する機能を担うものとして発展したが、明白性判断は実質的には有罪・無罪の実体判断と異ならないのだから、この証拠構造論は通常手続でも基本的に妥当するものと考えることができる。再審と通常手続との違いは、弾劾対象が前者においては確定判決の事実認定、後者においては検察官の有罪主張としての訴因事実という点だけである。しかし、この違いは、再審の場合は弾劾対象が確定的であるのに対して、通常手続の場合は弾劾対象が浮動性をもたざるをえないことを意味する。問題は、この相違の下で、通常手続において、いかなる根拠、いかなる形態において、証拠構造論を展開することができるかという点にある。経験深い弁護士の刑事弁護の実践を通して、こうした志向が正当性をもつことが本研究で確認されており、問題は理論的根拠とその具体的な論理にある。通常手続における証拠構造論の妥当根拠は、「疑わしきは被告人の利益に」の原則と証拠裁判主義に求めることができる。けだし、検察官が「合理的疑い」を超えて訴因事実の立証に成功したといえるためには、訴因事実を支える証拠上の構成(証拠構造)が被告人の弾劾に耐えて維持されたということを意味するほかないからである。むろん、この証拠構造には浮動性を認めざるをえないが、しかし、その最終的確定を論告の段階に求めれば、理論上も実際上も問題はない。そして、こうした証拠構造論が機能するためには、立証趣旨の拘束力の肯定と事前全面証拠開示が不可欠の前提となるが、これらの前提を満たすことは当事者主義そのものが要請するところである。そして、英米法でも、無罪評決指示制度に見られるように、証拠開示を前提として検察官の有罪主張の証拠構造の崩壊をもって「無罪」判決を行う制度が容認されているのである。本年度は、第一に、刑事再審における証拠構造論の機能を具体的再審事例に即して検証すること、第二に、この証拠構造論の通常手続での活用可能性を刑事弁護の活動実体を踏まえて検証することを研究計画の主眼とした。第一の課題については、最高裁名張決定を素材として検討した。その結果、明白性判断において証拠構造論がもつ総合評価の統制機能が再審実務では貫徹されていない状況があり、その原因が形式的平面的な証拠構造分析に終始していることにあること、そのことが明白性判断において旧証拠の不利益再評価をもたらし、確定判決の証拠構造と離れた裸の実体判断を追求する再審実務をもたらしていることが明らかとなった。名張決定をめぐる学説の状況をみた場合、この問題点を克服する証拠構造論は構築されてはおらず、確定判決の事実認定を支えた旧証拠群の有機的連関を解明する方向で証拠構造論を構築し、そのための具体的な証拠構造分析の手法を確立することが重要な課題であることが明らかとなった。第二の課題については、再審における証拠構造論を通常手続に活用することは、裁判官の自由心証を可視化・客観化する上で有効な手法であり、それが刑事弁護の実践の場面でも有効性をもつことが明らかとなった。その具体的活用形態は検察官の有罪主張の証拠構造を明らかにし、これを刑事弁護が弾劾する手続のあり方を構築するということになる。しかし、問題は検察官の有罪主張の証拠構造をいかなる手続で確認するのか(冒頭陳述か論告か、訴因変更との関係をどう考えるのか等)、検察官の有罪主張の証拠構造に拘束力をもたせることが理論的に可能なのかという点にある。これは証拠裁判主義をどう理解するか、あるいは挙証責任論との関係をどうみるか、さらには実体的真実主義をどう克服するのか等の刑事訴訟法の根本問題に関わる。
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KAKENHI-PROJECT-10620054
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https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-10620054
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事実認定の手続構造論と証拠構造論
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これらの点の検討が次年度の研究の重要な課題となる。本年度は、第一に、昨年度からの継続課題として、再審における訓拠構造論の通常手続への適川可能性を刑事弁護の実践を踏まえて検証すること、第二に、そうした適川可能性が当事者主義の訴訟構造の下に理輪的正当性をもちうることを比較法的視点から検証することを、研究計画の主眼とした。第一の点については、昨年度に引き続き刑事弁護に精通した弁護士へのインタヴュー調査を通して、証拠構造論の活用によって裁判官の自由心証の過程が可視化・客観化され、事実認定の適正化につながることが基本的に確認された。もっとも、証拠構造論が、事実認定の適正化につながるためには、立証趣旨の拘束力の承認が不可欠であるとともに、証拠開示が欠けている現在の刑事手続においては、起訴事実の背後にある「事件の構造」を見据えた証拠構造分析が不可欠であることが確認された。第二の点については、とりわけ陪審制度をとる英米法の当事者主義の訴訟構造の下では、当事者双方の冒頭陳述と弁論が陪審員に対する説得活動の中心を占めること、その前提には証拠開示が存在すること、証拠構造論の活用という志向は見られないことが明らかとなった。このことと比較すると、証拠構造論を活用した事実認定の適性化という志向は、判決理由制度を前提とした特殊日本的論理のようにみえる。しかし、英米法は、検察官立証終了段階での無罪評決指示制度が示唆するように、有罪主義の証拠構造を手続的に確認する制度をも採用しており、こうした制度の在在を直視するならば、証拠構造論を活用した事実認定の適正化への志向は、当時者主義刑事訴訟とは非整合的なものとして排斥される
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KAKENHI-PROJECT-10620054
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https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-10620054
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常習者に対するポリグラフ検査-記憶想起の必要性-
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研究目的本研究の目的は、複数の模擬犯罪を行わせた実験参加者に対して、模擬犯罪現場を提示した後にポリグラフ検査を行うことで、常習者に対する適切なポリグラフ検査の実施方法を検討することをであった。これまでのポリグラフ検査の実験室研究では、模擬窃盗課題によって盗んだ品物について質問するものが大半を占めていた。しかし、実務場面では、盗んだ品物は既に被検査者が認識してしまっている可能性が高く、そのような情報を質問項目として組み込むことは非常に困難である。研究方法すべての実験参加者は、2回の模擬犯罪課題を行った後にポリグラフ検査を受けた。1度目の模擬犯罪課題は、指定された場所から無施錠の自転車を盗んで買い物をしてくるという内容であった。2度目の模擬犯罪課題はワイヤーを壊して自転車を盗み、駅に遺棄するという内容であった。ポリグラフ検査直前に、どちらかの一方の犯罪現場の状況(自転車を盗んだ場所)を提示し、事件特定を行った。その後、ポリグラフ検査では、盗んだ自転車の種類だけでなく、実務におけるポリグラフ検査においてよく用いられる盗み方などの「行動」に関する内容について尋ねた。研究成果本研究の結果、記憶想起の必要なく、常習者を対象としてもポリグラフ検査において検出可能であることが明らかになった。これにより,常習者であっても,ポリグラフ検査は有効であることが示された。また,盗んだ品物の“種類"に関する質問では、実際に盗まれた品物の“種類"を正確に把握できていない実験参加者が複数いたことにより、検出精度が低下した。それに対して、模擬窃盗の際にとった一連の“行動"に関する質問では、すべての実験参加者が共通した認識を持っていた。現在実務におけるポリグラフ検査では,盗んだ品物に関する情報が一般に公開されている可能性が高いという理由から,物品に関する質問は避けるのが通例である。その代わりに,犯行時の“行動"についての質問が消去法的に採用されている。しかしながら,本研究によって, “行動"に関する質問こそが,常習者の検出に有効であることが明らかになった。本研究結果は,実務場面で消極的に採用されていた手法を再評価する必要性があることを示唆している。研究目的本研究の目的は、複数の模擬犯罪を行わせた実験参加者に対して、模擬犯罪現場を提示した後にポリグラフ検査を行うことで、常習者に対する適切なポリグラフ検査の実施方法を検討することをであった。これまでのポリグラフ検査の実験室研究では、模擬窃盗課題によって盗んだ品物について質問するものが大半を占めていた。しかし、実務場面では、盗んだ品物は既に被検査者が認識してしまっている可能性が高く、そのような情報を質問項目として組み込むことは非常に困難である。研究方法すべての実験参加者は、2回の模擬犯罪課題を行った後にポリグラフ検査を受けた。1度目の模擬犯罪課題は、指定された場所から無施錠の自転車を盗んで買い物をしてくるという内容であった。2度目の模擬犯罪課題はワイヤーを壊して自転車を盗み、駅に遺棄するという内容であった。ポリグラフ検査直前に、どちらかの一方の犯罪現場の状況(自転車を盗んだ場所)を提示し、事件特定を行った。その後、ポリグラフ検査では、盗んだ自転車の種類だけでなく、実務におけるポリグラフ検査においてよく用いられる盗み方などの「行動」に関する内容について尋ねた。研究成果本研究の結果、記憶想起の必要なく、常習者を対象としてもポリグラフ検査において検出可能であることが明らかになった。これにより,常習者であっても,ポリグラフ検査は有効であることが示された。また,盗んだ品物の“種類"に関する質問では、実際に盗まれた品物の“種類"を正確に把握できていない実験参加者が複数いたことにより、検出精度が低下した。それに対して、模擬窃盗の際にとった一連の“行動"に関する質問では、すべての実験参加者が共通した認識を持っていた。現在実務におけるポリグラフ検査では,盗んだ品物に関する情報が一般に公開されている可能性が高いという理由から,物品に関する質問は避けるのが通例である。その代わりに,犯行時の“行動"についての質問が消去法的に採用されている。しかしながら,本研究によって, “行動"に関する質問こそが,常習者の検出に有効であることが明らかになった。本研究結果は,実務場面で消極的に採用されていた手法を再評価する必要性があることを示唆している。
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KAKENHI-PROJECT-26906007
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https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-26906007
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先進的ゲノム編集技術を用いた難治性神経筋疾患に対する治療戦略
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中枢神経系の変性疾患や筋ジストロフィーをはじめとする筋疾患はその原因が徐々に解明されつつあるが、多くの疾患において未だ治療法は確立されていない。一方2012年にCRISPR/Cas9が登場して以降ゲノム編集技術は急速なスピードで進歩を遂げ、疾患治療への応用にも大きな期待が持たれている。本研究の目的はCRISPR/Cas9とそれに関連した先進的ゲノム編集技術を用いて、これら難治性神経筋疾患に対する新規治療法開発のための基礎的研究を行う事である。これらのデータを蓄積することにより、将来的にヒトの同疾患に対する治療法開発に向けた新たな一歩を踏み出すことができるものと考えられる。中枢神経系の変性疾患や筋ジストロフィーをはじめとする筋疾患はその原因が徐々に解明されつつあるが、多くの疾患において未だ治療法は確立されていない。一方2012年にCRISPR/Cas9が登場して以降ゲノム編集技術は急速なスピードで進歩を遂げ、疾患治療への応用にも大きな期待が持たれている。本研究の目的はCRISPR/Cas9とそれに関連した先進的ゲノム編集技術を用いて、これら難治性神経筋疾患に対する新規治療法開発のための基礎的研究を行う事である。これらのデータを蓄積することにより、将来的にヒトの同疾患に対する治療法開発に向けた新たな一歩を踏み出すことができるものと考えられる。
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KAKENHI-PROJECT-19K07981
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https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-19K07981
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免疫担当器官の自律神経性調節機構の解明
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1.免疫担当器官として脾臓に焦点をあて、体性感覚刺激が脾臓の免疫機能および血流に及ぼす影響とその自律神経性機序を、麻酔ラットを用いて解析した。胸部から後肢にかけての30分間のブラシ刺激(非侵害性刺激)は、脾臓NK活性および脾臓血流に有意な影響を与えなかった。後肢の30分間のピンチ刺激(侵害性刺激)は、脾臓NK活性を約70%に、脾臓血流を約80%に低下させ、脾臓交感神経活動を約140%に増加させた。後肢のピンチ刺激による脾臓NK活性低下反応は、脾臓交感神経の切断により消失した。また、脾臓交感神経の電気刺激は、脾臓NK活性と脾臓血流を低下させた。以上の結果より、後肢のピンチ刺激により脾臓交感神経を介して反射性に、脾臓のNK活性と血流が低下することがわかった。脊髄ラットでは、後肢のピンチ刺激により脾臓のNK活性の低下はみられないので、後肢刺激による体性一免疫反射は脳を介する反射であることがわかった。一方、腹部のピンチ刺激では、脊髄無傷ラットでも脊髄切断セットでも脾臓NK活性の低下が観察された。したがって、腹部刺激では、脊髄を中枢とする体性一免疫反射が作動することが明らかになった。2.さらに体性感覚刺激で種々の自律神経に誘発される反射性反応を解析した。体性感覚神経の電気刺激により、心臓交感神経や膀胱支配骨盤神経に誘発される反射電位の中枢内経路に一酸化窒素(NO)が関与すること、腎交感神経に誘発される反射の中枢内経路に一酸化窒素(NO)が関与すること、腎交感神経に誘発される反射の中枢内経路にNMDA受容体が関与することを明らかにした。1.免疫担当器官として脾臓に焦点をあて、体性感覚刺激が脾臓の免疫機能および血流に及ぼす影響とその自律神経性機序を、麻酔ラットを用いて解析した。胸部から後肢にかけての30分間のブラシ刺激(非侵害性刺激)は、脾臓NK活性および脾臓血流に有意な影響を与えなかった。後肢の30分間のピンチ刺激(侵害性刺激)は、脾臓NK活性を約70%に、脾臓血流を約80%に低下させ、脾臓交感神経活動を約140%に増加させた。後肢のピンチ刺激による脾臓NK活性低下反応は、脾臓交感神経の切断により消失した。また、脾臓交感神経の電気刺激は、脾臓NK活性と脾臓血流を低下させた。以上の結果より、後肢のピンチ刺激により脾臓交感神経を介して反射性に、脾臓のNK活性と血流が低下することがわかった。脊髄ラットでは、後肢のピンチ刺激により脾臓のNK活性の低下はみられないので、後肢刺激による体性一免疫反射は脳を介する反射であることがわかった。一方、腹部のピンチ刺激では、脊髄無傷ラットでも脊髄切断セットでも脾臓NK活性の低下が観察された。したがって、腹部刺激では、脊髄を中枢とする体性一免疫反射が作動することが明らかになった。2.さらに体性感覚刺激で種々の自律神経に誘発される反射性反応を解析した。体性感覚神経の電気刺激により、心臓交感神経や膀胱支配骨盤神経に誘発される反射電位の中枢内経路に一酸化窒素(NO)が関与すること、腎交感神経に誘発される反射の中枢内経路に一酸化窒素(NO)が関与すること、腎交感神経に誘発される反射の中枢内経路にNMDA受容体が関与することを明らかにした。本年度は免疫担当器官として脾臓に焦点をあて、1)体制感覚刺激による脾臓の血流調節機構、2)体性感覚刺激が脾臓を支配する交換神経活動に及ぼす影響、3)体性感覚刺激が脾臓リンパ球のナチュラルキラー(NK)活性に及ぼす影響を明らかにすることを目的とした。1)体性感覚刺激による脾臓の血流調節麻酔下の動物を用いて、身体の種々の部位への体性感覚刺激が脾臓血流に及ぼす影響を調べた。脾臓の局所血流量測定は経時的変化を測定できるレーザードップラー血流法を用いて記録した。非侵害性のブラシ刺激はどの部位でも脾臓の血流に影響を与えず、鍼刺激および侵害性のピンチ刺激では、腹部、顔、四肢への刺激で脾臓の血流は減少した。脾臓を支配する交換神経の電気刺激により脾臓の血流は減少した。したがって、体性感覚刺激により交感神経を介して脾臓血流が減少することが明らかになった。2)体性感覚刺激が脾臓の交感神経活動に及ぼす影響脾臓の遠心性交感神経活動は白金イリジウム電極を用いて導出した。麻酔下の動物において、脾臓支配の交感神経活動は、腹部、顔、四肢への鍼刺激および侵害性ピンチ刺激により亢進した。さらに意識下のラットを安定な状態に保持して脾臓支配の交感神経活動を連続的に記録する方法を開発し、意識下のラットにおいても、鍼刺激で脾臓支配の交感神経活動は亢進することがわかった。3)体性感覚刺激による脾臓の免疫機能の調節脾臓リンパ球のNK活性はYAC-1細胞を標的としたstandard chromium assayで測定した。
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KAKENHI-PROJECT-05454685
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https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-05454685
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免疫担当器官の自律神経性調節機構の解明
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脾臓リンパ球のNK活性は後肢への侵害性のピンチ刺激によって低下した。この反応は脾臓支配の交感神経を切断することにより消失した。一方脾臓交感神経の電気刺激によりNK活性は低下した。したがって、侵害性体性感覚刺激により脾臓の交感神経活動の亢進を介してNK活性が低下することが明らかになった。本年度の研究に体性感覚刺激により脾臓の交感神経を介してNK活性が調節される事実が明かとなった。今後これまでの脾臓に関する研究に加えて、胸腺についても研究を進める予定である。免疫担当器官として脾臓に焦点をあて、体性感覚刺激が脾臓の免疫機能および血流に及ぼす影響とその自律神経性機序を解析した。麻酔ラットを用いて、体性感覚刺激が脾臓NK活性および脾臓血流に及ぼす効果を調べた。胸部から後肢にかけての30分間のブラシ刺激(非侵害性刺激)は、脾臓NK活性および血流に有意な影響を与えなかった。後肢の30分間のピンチ刺激(侵害性刺激)は、脾臓NK活性を67±8%に、脾臓血流を82±3%に低下させた。後肢のピンチ刺激は脾臓交感神経活動を143±15%に増加させた。また、脾臓の交感神経の電気刺激は、脾臓NK活性と脾臓血流を低下させた。脾臓の交感神経を切断すると、後肢のピンチ刺激による脾臓NK活性低下反応は消失した。以上の結果より、後肢のピンチ刺激により脾臓交感神経を介して反射性に、脾臓のNK活性と脾臓の血流が低下することがわかった。この体性-免疫反射の脊髄内経路を明らかにする目的で、脊髄切断ラットを用いて、体性感覚刺激の効果を調べた。後肢のピンチ刺激により、脊髄切断ラットでは脾臓のNK活性の低下はみられなかった。したがって、後肢刺激による体制-免疫反射は脳を介する反射であることがわかった。一方、腹部のピンチ刺激では、脊髄無傷ラットでも脊髄切断ラットでも脾臓NK活性の低下が観察された。したがって、腹部刺激では、脊髄を中枢とする体性-免疫反射が作動することが明らかになった。1.免疫担当器官として脾臓に焦点をあて、体性感覚刺激が脾臓の免疫機能および血流に及ぼす影響とその自律神経性機序を、麻酔ラットを用いて解析した。胸部から後肢にかけての30分間のブラシ刺激(非侵害性刺激)は、脾臓NK活性および脾臓血流に有意な影響を与えなかった。後肢の30分間のピンチ刺激(侵害性刺激)は、脾臓NK活性を約70%に、脾臓血流を約80%に低下させ、脾臓交感神経活動を約140%に増加させた。後肢のピンチ刺激による脾臓NK活性低下反応は、脾臓交感神経の切断により消失した。また、脾臓交感神経の電気刺激は、脾臓NK活性と脾臓血流を低下させた。以上の結果より、後肢のピンチ刺激により脾臓交感神経を介して反射性に、脾臓のNK活性と血流が低下することがわかった。脊髄ラットでは、後肢のピンチ刺激により脾臓のNK活性の低下はみられないので、後肢刺激による体性-免疫反射は脳を介する反射であることがわかった。一方、腹部のピンチ刺激では、脊髄無傷ラットでも脊髄切断ラットでも脾臓NK活性の低下が観察された。したがって、腹部刺激では、脊髄を中枢とする体性-免疫反射が作動することが明らかになった。2.さらに体性感覚刺激での種々の自律神経に誘発される反射性反応を解析した。体性感覚神経の電気刺激により、心臓交感神経や膀胱支配骨盤神経に誘発される反射電位の中枢内経路に一酸化窒素(NO)が関与すること、腎交感神経に誘発される反射の中枢内経路にNMDA受容体が関与することを明らかにした。
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KAKENHI-PROJECT-05454685
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https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-05454685
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英日語の談話標識の歴史的発達:意味・機能の語用論化・主観化
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1.11の項に挙げたOnodera(2004)をまとめ、オランダJohn Benjamins社から出版した。2.「英日語の談話標識の歴史的発達における(間)主観化(語用論化)」を報告している関連先行研究を明らかにした。5.「歴史語用論(Historical Pragmatics)という言語学の新分野の成立・守備範囲・特徴」2005年12月の日本語用論学会大会では、日本で初めて歴史語用論についてのシンポジウムが行われたが、招聘講師の一人として「歴史語用論の成立と射程」を発表し、小野寺(2007)論文(11の項)にまとめた。7.「日本語における「歴史的意味(機能)変遷研究」の概観を行い、特に文法化・主観化・間主観化に関連する先行研究にどのようなものがあるかを明らかにした。」Onodera and Suzuki(2007)論文(11の項)。1.11の項に挙げたOnodera(2004)をまとめ、オランダJohn Benjamins社から出版した。2.「英日語の談話標識の歴史的発達における(間)主観化(語用論化)」を報告している関連先行研究を明らかにした。5.「歴史語用論(Historical Pragmatics)という言語学の新分野の成立・守備範囲・特徴」2005年12月の日本語用論学会大会では、日本で初めて歴史語用論についてのシンポジウムが行われたが、招聘講師の一人として「歴史語用論の成立と射程」を発表し、小野寺(2007)論文(11の項)にまとめた。7.「日本語における「歴史的意味(機能)変遷研究」の概観を行い、特に文法化・主観化・間主観化に関連する先行研究にどのようなものがあるかを明らかにした。」Onodera and Suzuki(2007)論文(11の項)。(1)研究課題の「談話標識の歴史的発達(語用論化・主観化・文法化)」に関する論文として,「コミュニケーション-ことばの意味の源:文法化・語用論化研究をとおして」を執筆した。「人のコミュニケーション」と歴史的意味変遷のプロセスがどう関わっているかという観点から述べた。(2)(1)の論文にやや関連した研究発表論文"Pragmaticalization and grammaticalization : Processes that culture, language, and interaction"が,03年7月,カナダで行われる国際語用論会議のシンポジウムに参加することが決まった。この論文は,「人のコミュニケーション」だけでなく「文化」と歴史的意味変遷の関わりを論じるものである。(3)研究課題に関する英文の論文を執筆中である。(4)談話研究の立場から,次項の『新版日本語教育事典』の執筆に加わった。今年度交付申請書の「本年度の研究実施計画」(1)(2)(3)に対応して述べる。(1)本研究について特に歴史言語学の分野から指摘を受けていたが、今年度、国内外の歴史言語学研究者からご意見を頂戴し、通時的分析全般のデータの見直し、再考をして、論文の改訂版の執筆を3月に終えた。歴史言語学から頂いたポイント2点は、日本語の過去のデータの取り扱いについてである:(1)上方語(後の関西語)と江戸語(後の東京語、標準語)は全く別の発達の経路をたどったものなので、データは区別して使うのが望ましい。(2)日本語は大きく古代日本語(室町時代より前)と近代日本語(室町以降)に二分される。現代日本語で用いられている言語形式の発達を観察するには、近代日本語のみに絞った方が良いのではないか。改訂版では、東京語の流れを見ることを基本的立場とし、室町時代より前の日本語と上方語については「二次的情報」として扱うことを明記した。(2)2003年7月、カナダ・トロント市で国際語用論会議が開かれたが、5月頃から世界規模でSARSが流行し、トロント市も感染地域となった。このため、学会への参加者は半減、参加予定だったシンポジウム"Exploring the relationship among culture, interaction and language : Contributions from Japanese"自体がキャンセルされた。このため、予定していた論文"Pragmaticalization and grammaticalization : Processes that relate culture, interaction and language"は発表できなかった。(3)申請書に、関連図書の大部分を占める洋書が高価であることを記したが、科学研究費により備えることが可能となり、常に発表が続く論文を読み、自らの論文に参照した。(1)本研究(基盤研究C 14510630)の計画のうち、大きな目標の一つは、これまで行ってきた「談話標識の歴史的発達」についての研究成果をまとめ、海外の出版社から本として出版することだった。平成15年度にデータの大幅な見直しを行い、つづく本年度は新しい分析結果を踏まえ、改訂版の執筆を夏に終了、2004年12月23日にアムステルダムJohn Benjamins社からJapanese Discourse Markers (Pragmatics and beyond new series 132)を刊行した。(3)2005年3月20日、第15回社会言語科学会研究大会(於:早稲田大学)に於いて「歴史語用論(Historical Pragmatics)という視点:日本語の研究例」の口頭発表を慶応大学鈴木亮子氏とともに行った。言語学の新領域を紹介すると共に、自分達の研究成果の発表となった。(4)2005年7月開催のIPrA(於:イタリア)大会に申請していたシンポジウム"Historical changesin Japanese"が採択された。
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KAKENHI-PROJECT-14510630
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https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-14510630
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英日語の談話標識の歴史的発達:意味・機能の語用論化・主観化
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パネル参加者・ディスカッサントと連絡を取りつつ、準備を進めている。2.1のシンポジウムの成果を、単行本または専門誌の特集号として発表することを企画し、Journal of Historical Pragmatics(2007年8.2号予定)の特集号となることが決まった。4名の発表者とディスカッサント2名全員が、現在論文を執筆中で、準備を進めている。(小野寺・鈴木氏でguest editorsを務める。)3.平成17年3月20日に社会言語科学会大会で「歴史語用論(Historical Pragmatics)という視点:日本語の研究例」の口頭発表(慶應大学・鈴木氏と共同)を行った後、学習院大・高田博行氏(ドイツ語史)より「英独日語の談話標識の歴史的発達」共同研究のご相談があり、これを承諾、3名で平成18年4月共同プロジェクトに着手する予定となった。海外研究協力者として、歴史語用論の創設者でもあるチューリッヒ大・A.Jucker氏に打診し、快諾を得た。4.平成17年12月、日本語用論学会大会(於:京都大学)のシンポジウム『歴史語用論:その可能性と課題』(大阪大・金水敏氏による)に招聘され、「歴史語用論の成立と射程」を発表、関連分野の研究者と有意義な意見交換を行った。学会機関誌にも執筆予定である。5.平成14年から17年の科研による研究のまとめの年にふさわしく、以上1から4まで、国内外の学会発表を通じ、他研究者と活発に意見交換、分野の周知にも努め、次第に幅広い範囲で活動できるようになってきた。
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KAKENHI-PROJECT-14510630
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肥満関連遺伝子および糖尿病関連遺伝子と大腸腺腫との関連を検討する分子疫学研究
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本研究の枠内で、ゲノムワイド関連解析(GWAS)で同定された肥満関連遺伝子FTOと糖尿病関連遺伝子TCF7L2およびKCNQ1の3遺伝子と大腸腺腫との関連を検討する分子疫学的研究を行った。3遺伝子から選択された9つのTag SNPと大腸腺腫との間に、統計学的有意な関連は見られなかった。本研究の結果は慎重に解釈する必要があり、他の集団において追試を行うなど更なる研究が必要であると考えられる。平成25年度は、申請した研究計画に則り、糖尿病関連遺伝子TCF7L2およびKCNQ1の詳細な検討を行った。糖尿病関連遺伝子TCF7L2は、10番染色体のq25.2-q25.3上に存在する大きさ約220 kbpの遺伝子である。GWASカタログによれば、2013年末時点で糖尿病に関連する表現型との相関が報告されているTag SNPはTCF7L2遺伝子上に4つ(rs12243326, rs4506565, rs7901695, rs7903146)あり、このうち複数の研究で確認されているのは2つのTag SNP(rs4506565, rs7903146)であった。また、GWASカタログに掲載されている4つのTag SNPは、TCF7L2遺伝子の概ね114,740 kbpから114,780 kbpの範囲にまとまって存在していた。ハプロタイプ解析を行ったところ、4つのTag SNPがブロック1(rs4506565, rs7901695, rs7903146)、ブロック2(rs12243326)に分類されることが分かった。糖尿病関連遺伝子KCNQ1は、11番染色体のp15.5上に存在する大きさ約400 kbpの遺伝子である。GWASカタログによれば、2013年末時点で糖尿病に関連する表現型との相関が報告されているTag SNPはKCNQ1遺伝子上に4(rs163182, rs2237892, rs2237895, rs2237897)あり、このうち複数の研究で確認されているのは1つのTag SNP(rs2237892)であった。また、GWASカタログに掲載されている4つのTag SNPは、KCNQ1遺伝子の概ね2,796 kbpから2,816 kbpの範囲にまとまって存在していた。ハプロタイプ解析を行ったところ、4つのTag SNPが同じブロックに存在することが分かった。同じブロックに存在するTag SNPから得られる遺伝的情報はほぼ同一であるので、大腸腺腫との関連解析を行うにあたり、TCF7L2遺伝子から2つのTag SNP(rs7903146, rs12243326)、KCNQ1遺伝子から1つのTag SNP(rs2237892)を選択することとした。本研究の枠内で、ゲノムワイド関連解析(GWAS)で同定された肥満関連遺伝子FTOと糖尿病関連遺伝子TCF7L2およびKCNQ1の3遺伝子と大腸腺腫との関連を検討する分子疫学的研究を行った。3遺伝子から選択された9つのTag SNPと大腸腺腫との間に、統計学的有意な関連は見られなかった。本研究の結果は慎重に解釈する必要があり、他の集団において追試を行うなど更なる研究が必要であると考えられる。平成24年度は、申請した研究計画に則り、肥満関連遺伝子FTOの詳細な検討を行った。肥満関連遺伝子FTOは、16番染色体のq12.2上に存在する大きさ約418 kbpの遺伝子である。公的データベースであるGWASカタログによれば、2013年4月末現在で肥満に関連する表現型との相関が報告されているTag SNPはFTO遺伝子上に15あり、このうち複数の研究で確認されているのは6つのTag SNP(rs8050136, rs1558902, rs9939609, rs9930506, rs1121980, rs6499640)であった。また、GWASカタログに掲載されている15のTag SNPは、FTO遺伝子の比較的上流部分である概ね52,300 kbpから52,400 kbpの範囲にまとまって存在していた。そこで、ハプロタイプ解析を行ったところ、15のTag SNPがグループ1(rs1421084)、グループ2(rs6499640)、グループ3(rs9940128, rs1421085, rs1558902)、グループ4(rs1121980)、グループ5(rs17817449, rs8050136)、グループ6(rs9939609, rs7202116, rs9941349, rs9930506, rs9922619, rs12149832, rs11642841)に分類されることが分かった。同じグループに存在するTag SNPから得られる遺伝的情報はほぼ同一であるので、大腸腺腫との関連解析は各グループを代表する6つのTag SNP(rs1421084, rs6499640,
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KAKENHI-PROJECT-24590830
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https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-24590830
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肥満関連遺伝子および糖尿病関連遺伝子と大腸腺腫との関連を検討する分子疫学研究
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rs1558902, rs1121980, rs8050136, rs9939609)で行うのが妥当であると考えられた。平成26年度は、これまでの研究期間に肥満関連遺伝子FTOと糖尿病関連遺伝子TCF7L2およびKCNQ1から選択した9つのTag SNPと大腸腺腫との関連を検討するため、遺伝子多型解析を行った。具体的には、肥満関連遺伝子FTOから6つのTag SNP(rs1421084, rs6499640, rs1558902, rs1121980, rs8050136, rs9939609)を、TCF7L2遺伝子から2つのTag SNP(rs7903146, rs12243326)を、KCNQ1遺伝子から1つのTag SNP(rs2237892)を選択し、遺伝子多型解析を行った。遺伝子多型解析はおおむね順調に実施することができ、いずれのTag SNPでもHardy-Weinberg平衡を満たしていた(P for HWE> 0.05)。統計解析では、9つのTag SNPと大腸腺腫との関連を検討するため、ロジスティク回帰モデルを用いて性・年齢・喫煙・飲酒などの潜在的交絡要因の影響を調整した大腸腺腫のオッズ比を求めた。これまでの研究期間に肥満関連遺伝子および糖尿病関連遺伝子から選択した9つのTag SNPと大腸腺腫との間に、統計学的有意な関連は見られなかった。統計学的に有意ではなかったものの、糖尿病関連遺伝子TCF7L2のrs12243326において、糖尿病のリスクアレルCと大腸腺腫との間に正の関連が示唆された(オッズ比:1.83、95%信頼区間:0.96-3.50、P値:0.07)。更に、糖尿病関連遺伝子TCF7L2のrs12243326と糖尿病との関連を検討したところ、既知のリスクアレルCと糖尿病との間に統計学的有意な関連は見られなかった(オッズ比:0.96、95%信頼区間:0.52-1.78、P値:0.89)。従って、本研究の結果は慎重に解釈する必要があり、他の集団において追試を行うなど更なる研究が必要であると考えられる。がん疫学肥満関連遺伝子FTOと糖尿病関連遺伝子TCF7L2およびKCNQ1のTagSNP選択が終了し、遺伝子多型解析を開始するまでに至っている。本研究の申請を行った2011年当時と比べ、ゲノムワイド関連解析で同定された肥満関連の表現型と相関するFTO遺伝子のTag SNP数が飛躍的に増えていた。その中から科学的に意義のあるTag SNPを選別するのに時間を要してしまい、平成24年度後半から開始する予定だった肥満関連遺伝子FTOの多型解析が平成25年度にずれ込んでしまった。肥満関連遺伝子FTOと糖尿病関連遺伝子TCF7L2およびKCNQ1の遺伝子多型解析が終了後、大腸腺腫との関連解析を行う計画である。平成25年度は、前年度後半から開始する予定だった肥満関連遺伝子FTOの多型解析にとりかかる計画である。本研究の申請を行った2011年当時と比べ、より安価でよりHigh throughputの多型解析プラットホームが開発されているので、糖尿病関連遺伝子TCF7L2およびKCNQ1の多型解析も同時に行うことで、研究の遅れを取り戻したいと考えている。遺伝子多型解析を行う器材・試薬等の使用期限を考慮し、一部の購入を平成26年度に分けて行った方が望ましいと判断したため。平成26年度に購入するのが望ましいと判断した器材・試薬等を調達し、計画通り遺伝子多型解析を行う。平成24年度は、肥満関連遺伝子FTOから科学的に意義のあるTag SNPを選別するのに時間を要してしまい、多型解析を開始するに至らなかった。しかし、肥満関連遺伝子FTOでの経験を活かせば、糖尿病関連遺伝子TCF7L2およびKCNQ1から科学的に妥当なTag SNPを速やかに選別することができると期待している。平成25年度は、前年度の研究費も合わせて、肥満関連遺伝子FTOだけでなく糖尿病関連遺伝子TCF7L2およびKCNQ1の多型解析を実施する計画である。
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KAKENHI-PROJECT-24590830
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https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-24590830
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実行手続からみた担保制度の理論的考察:多様化する資金調達手法の体系的把握のために
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(1)担保権実行に関する実態の調査・分析担保法は、実務が先導する形で発展してきた法領域でもあり、体系的、理論的な分析を加えるうえでも、その前提として、現実の取引社会における担保権の運用を把握し、問題点を抽出していくことが不可欠となる。そこで、実務家から意見を聴取し、あるいは、アンケート集計結果等を利用しながら、その利用実態の把握に努めた。不動産市況の好転により、大都市圏では、不動産競売の実績は順調に推移している維果、収益執行は思ったほどには利用されていない。他方、地方では、なお不動産競売には厳しい環境が続いているが、収益執行が多用されているとは言い難い。担保・執行法改正の成果については、その評価に難しいものがある。また、新たな資金調達手段も次々と生み出されているが、債権流動化による資金調達は、必ずしも中小企業にとって利用しやすいものとはなっていない。経済社会を支える大規模な企業や事業では、担保における種々の展開がみられる反面、なお有用な担保手段が見いだされない闇の側面もある,ことが浮き彫りとなった。中小企業の資金調達に有用となる制度の創設が一層望まれるところといえる。(2)比較法的考察-アメリカ法の視点から比較法の対象として、主としてアメリカをとりあげ、研究をすすめた。アメリカでは、動産担保については統一商法典(UCC)に、私的担保権実行を原則とする諸規定がおかれている。このうち、UCCに規定された動産担保制度については、わが国でもこれまでに紹介がなされているが、州法への採用や実際の運用状況については、必ずしも明らかとはなっていない。本年度は、前年度に引き続き、関係諸文献を手がかりとして研究をすすめてきたが、アメリカでは、UCCの動産担保制度は、包括担保(企業担保・財団抵当)としてむしろ利用されていることが明らかとなった。わが国では、包括担保法制が十分に機能しているとはいえず、とくに担保権の実行方法に関しては、アメリカ法に学ぶところが大といえる。本研究は、資金調達方法の多様化が求められるなかで新たに生み出される種々の担保手段、そして、再構築がすすめられている抵当権等の既存の担保諸制度について、それら諸制度・手段の意義や位置づけ、相互の連関等を明らかにしつつ、実行手続という視点から考察を加えて、その全体的把握、担保体系の構築を企図するものである。本年度は、主として次の2つの点について検討を行った。第1は、抵当権の実行手続に関し、平成15年の担保・執行法改正の後もなお残る執行妨害の問題について検討を行った。賃借人に対する明渡請求が問題となった最高裁判例の分析においては、収益執行との対比から損害賠償請求の途も積極的に模索すべきこと、また、多様な担保権実行の可能性を追求する見地から、抵当権の私的実行(任意処分)においても、保全処分の申立てが認められるべきことを明らかにした。また、とくに近時は、留置権や先取特権を用いた抵当権実行の妨害の事例も目立っているところ、留置権と抵当権の関係について検討を行い、留置権については、抵当権に優位する地位を与えるべき場合と、対抗の問題として把握すべき場合とに類型化する視点が有用であることを提示した。第2は、アメリカ法についての検討である。アメリカでは、不動産担保以外にも、UCCに規定された様々な担保制度が積極的に活用されている。わが国では、動産担保としての動産登記制度は緒についたばかりであり、また企業担保、財団抵当は、ほとんど活用されていない。その相違は、これらの担保を利用できる範囲、あるいは手続の簡便さ等に起因するものといえる。やが国の新たな担保制度の創出にも有用な視座を与えるものといえるが、次年度において、さらに研究をすすめていく予定である。(1)担保権実行に関する実態の調査・分析担保法は、実務が先導する形で発展してきた法領域でもあり、体系的、理論的な分析を加えるうえでも、その前提として、現実の取引社会における担保権の運用を把握し、問題点を抽出していくことが不可欠となる。そこで、実務家から意見を聴取し、あるいは、アンケート集計結果等を利用しながら、その利用実態の把握に努めた。不動産市況の好転により、大都市圏では、不動産競売の実績は順調に推移している維果、収益執行は思ったほどには利用されていない。他方、地方では、なお不動産競売には厳しい環境が続いているが、収益執行が多用されているとは言い難い。担保・執行法改正の成果については、その評価に難しいものがある。また、新たな資金調達手段も次々と生み出されているが、債権流動化による資金調達は、必ずしも中小企業にとって利用しやすいものとはなっていない。経済社会を支える大規模な企業や事業では、担保における種々の展開がみられる反面、なお有用な担保手段が見いだされない闇の側面もある,ことが浮き彫りとなった。中小企業の資金調達に有用となる制度の創設が一層望まれるところといえる。(2)比較法的考察-アメリカ法の視点から比較法の対象として、主としてアメリカをとりあげ、研究をすすめた。アメリカでは、動産担保については統一商法典(UCC)に、私的担保権実行を原則とする諸規定がおかれている。このうち、UCCに規定された動産担保制度については、わが国でもこれまでに紹介がなされているが、州法への採用や実際の運用状況については、必ずしも明らかとはなっていない。
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KAKENHI-PROJECT-17730063
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https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-17730063
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実行手続からみた担保制度の理論的考察:多様化する資金調達手法の体系的把握のために
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本年度は、前年度に引き続き、関係諸文献を手がかりとして研究をすすめてきたが、アメリカでは、UCCの動産担保制度は、包括担保(企業担保・財団抵当)としてむしろ利用されていることが明らかとなった。わが国では、包括担保法制が十分に機能しているとはいえず、とくに担保権の実行方法に関しては、アメリカ法に学ぶところが大といえる。
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KAKENHI-PROJECT-17730063
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グローバリゼーションにおけるArt Worldsーー日中米の比較からーー
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アートを作家と作品ベースではなく,流通ネットワークや組織制度の観点から分析する芸術社会学の系譜において,これまで中国の現代アート市場は主流の議論対象とされてこなかった.本研究は,アメリカの芸術社会学者Howard. S. Beckerが提唱した「アート・ワールド」の理論を出発点に置きながら,2000年から急成長している中国の現代アートシーンを実証的に観察することで,欧米を中心としてきた芸術社会学の議論を相対化することを目的としている.中国現代アートを社会的文脈から特徴付けると,まずは1970年代末の毛沢東時代の終焉と市場開放政策の導入という社会転換期に,知識階層の反省運動として生まれたものである.そして「経済成長戦略」という国策の下で急速な商業化と脱政治化の「圧力」にさらされていることである.本年は,美術の潮流を決定する重要な役割を担うキュレーターが芸術の自律性の実現と政府の芸術方針の間で折り合いを付けていく方法を分析して査読付き論文雑誌に発表した.アメリカの文化社会学者Michelle Lamont(2012)らが行った文化生産をめぐる人々の評価と価値付けの実践を分析したSociology of Valuation and Evaluation研究やP. DiMaggio(1991)の「組織フィールド」の方法論を足がかりに,中国でキュレーションという行為が職業として萌芽した1989年の「中国現代芸術大展」におけるキュレーターのインタビューや回顧資料から展覧会作りの制約と工夫を考察した.また,これまで北京や上海といった一線都市を中心に調査してきたが,成都,山東の二線都市などへの調査も追加したことで,中国内部におけるアート活動と流通フローの多様性のダイナミクスを捉えることができ,今後さらに発展的成果が期待できると判断した.平成30年度が最終年度であるため、記入しない。平成30年度が最終年度であるため、記入しない。近年、世界中でトリエンナーレやビエンナーレと称したアートプロジェクトが開催され、そこでは、コミュニティーの活性化や社会的な課題の可視化といった目的で、「リレーショナル」や「参加型」といった現代アートの技法が使われている。社会とアートの相互作用に関する議論は、世界中の美術批評家や研究者を巻き込んで一大ブームにまで発展し、国家の文化事業をも方向付ける影響を持つようになっている。目下の研究では、芸術社会学の領域で使われる「アート・ワールド」概念(DiMaggio 1987,Becker 1982,Ferguson 1991など)から出発し、美術館や博物館以外のところでアートを可能にし、芸術文化を発展させ、さらに観光地化にも繋がる「芸術の空間/場所」のあり方について分析している。本年度は修士論文に引き続いて中国現代アートを事例として研究を進め、中国現代アートが検閲や市場化など社会の様々なルールに応じて発展のフェーズごとに異なる「空間」を獲得してきたことに着目した。例えば、現代アート黎明期である1970年代中盤までは基本的に個人の自宅が創作と展示のスペースとして機能していたが、1978年の「星星美展」は公共空間をアートの展示スペースとして採用した。この事例を、申請者は中国における公共空間でのアート実践の歴史的起点として、西欧で盛んで議論されてきたアヴァンギャルド運動の理論と突き合わせ、空間の獲得における中国現代アート運動の独自性とグローバルな共振性を考察し、論文にまとめた。今後は、90年代に芸術家が自発的に集まってできた芸術家村が中国現代アートのメッカとして発展したことや、2000年以降では観光地化による芸術家の転出など様々な問題が浮上したことに着目して分析を進めることにする。本年度は主に、修士論文で分析した内容を投稿論文としてまとめると同時に、博士論文の分析枠組みを構築するために、主に中国現代アートの歴史的起点や芸術区の現状や特徴についてのフィールド調査を行った。具体的には以下のような研究活動を行った。1.70年代「星星美展」がいかにして公共空間においてアートを可能にさせたのか。社会主義国中国におけるアート・アクティビズムと芸術空間の相互作用を当時の言説等から分析し、査読論文としてまとめた(掲載決定)。2.中国現代アートを取り巻く諸制度と人々の実践の往還関係についてまとめ、論点ごとに日本社会学会、社会文化学会で発表した(学会報告済み)。3.北京の芸術家村「宋庄」で芸術家への聞き取り調査を行い、彼らの日々の生活状況や関心、およびギャラリーや商業施設で作品を展示することの芸術家にとってのメリットとデメリットについて伺った。「宋庄」という中国で今最も多くの芸術家が住む村の形成過程と実態についてまとめた(発表予定)。今回のフィールド調査によって構築した人脈は、次年度以降の継続調査にとっても貴重な資源となる。4.非欧米圏におけるアートスペースの同時多発的発展を踏まえ、中国や日本のみならず、台湾、シンガポール、ドバイといった新興国の状況について中国との比較においてそれぞれの特色を調査した(発表予定)。こうした予備調査により、これまで主に欧米を中心に発展してきたアート集積地区の文脈がどのように非欧米圏において定着し発展してきたのか。また、非欧米圏を検討することがこれまでの先行研究にどのように視するのかについてより説得的な論証パートを構成することができた。本研究は,アメリカの芸術社会学者Howard. S. Beckerが提唱した「アート・ワールド」の理論を出発点に置きながら,近年急成長している中国の現代アートシーンを実証的に観察することで,欧米中心的な芸術社会学の議論を相対化することを目的としている.
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KAKENHI-PROJECT-16J09573
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https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-16J09573
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グローバリゼーションにおけるArt Worldsーー日中米の比較からーー
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中国現代アートを社会的文脈から特徴付けると,まずは1970年代末の毛沢東時代の終焉と市場開放政策の導入という社会転換期に,知識階層の反省運動として生まれたものである,そして「経済成長戦略」という国策の下で急速な商業化と脱政治化の「圧力」にさらされていることである.本年は,美術の潮流を決定する重要な役割を担うキュレーターが芸術の自律性の実現と政府の芸術方針の間で折り合いを付けていく方法を分析して論文化した.アメリカの文化社会学者Michelle Lamont(2012)らが行った文化生産をめぐる人々の評価と価値付けの実践を分析したSociology of Valuation and Evaluation研究やP. DiMaggio(1991)の「組織フィールド」の方法論を足がかりに,中国でキュレーションという行為が職業として萌芽した1989年の「中国現代芸術大展」におけるキュレーターのインタビューや回顧資料から展覧会作りの制約と工夫を考察した.本年の国際学会プロジェクトとして,「都市発展戦略」の下で2000年以降から一貫して深刻化してきた「芸術区」のジェントリフィケーションに対して,いかなるオルタナティブが試みられているのかについて調査した.例えば,銀川ビエンナーレではシルクロード文化とイスラム教を反映させた芸術地区として独自の国際的地位を確立させようとしている.同時に,習近平政権による「一帯一路」戦略と芸術の地方移転の間で新たに生まれる緊張関係については,今後の重要な論点となるだろう.本年度は昨年に引き続いて,中国現代アートを「改革開放」以後の組織の変化や人々の職業行為の変化に着目した。主に1989年の全国美術展の開催を事例に分析し,日本社会学会で口頭発表したのち,投稿論文「中国美術業界の構造変化とキュレーターの価値判断:1989年『中国現代芸術大展』における前衛性の実現を事例に」を完成させた。外部査読において改稿の余地があると評価されたため翌年度5月の再投稿を予定である。上記のプロジェクトとは別に,本年度は中国における「芸術区」の商業化問題(芸術家の流出,画廊の乱立,専門性の軽視など)を対象とした基礎的なフィールドワークに取り組んだ。9月には「都市の再生と文化の役割」をテーマにした国際会議"Cultural Typhoon in Europe: Be aware Utopia!"に発表者として参加し,北京郊外における開発が農民と芸術家の関係性をどう変容させたのかという問題について,中国特有の戸籍制度と土地所有制度と芸術家の生活面でのプレッシャーに言及しながら発表を行った。会議開催地であるニュルンベルクや,香港,サンパウロなど世界の多様な都市から集まった研究者による意見交換を通じて,今後自身の研究プロジェクトを有益なものにするための方向性とヒントを得ることができた。アートを作家と作品ベースではなく,流通ネットワークや組織制度の観点から分析する芸術社会学の系譜において,これまで中国の現代アート市場は主流の議論対象とされてこなかった.
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KAKENHI-PROJECT-16J09573
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https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-16J09573
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クラスターイオンからナノ粒子への成長過程の観測:ドリフトチューブ法の応用
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クラスターイオンとナノサイズ粒子を同時に観測可能なクラスター微分型移動度分析装置(C-DMA)に、大気圧中でのイオン-分子反応を解析するために開発したドリフトチューブ型イオン移動度/質量分析装置(DT-IMS/MS)を新たに組み合わせ、大気中におけるイオン核生成過程の全体を観測可能な新たな測定システムを構築した。イオン核生成における分子イオン、クラスターイオンをDT-IMS/MSで観測し、クラスターイオンからナノサイズ微粒子をC-DMAで観測することにより、イオン核生成の全体を観測しようとする実験システムである。これまでに基本的な実験システムを完成させたので、SO_2/H_2O/Air混合ガスを用いてシステムの基本性能の確認を行った。イオン核生成の初期過程を観測するために、ドリフトチューブの電圧を変化させてイオンの反応時間を15-50msの間で変化させたところ、反応時間の増加とともにメインのイオンピークの移動度が小さくなると同時に、低移動度のイオンが増加する傾向が現れた。イオンの質量スペクトルの測定を行った結果、反応時間の増加に伴い水分子のクラスター化が進み、SO_4^-(H_2O)_nのnの分布がやや大きくなっていくことが確認できた。また主要なイオン種であるSO_4^-(H_2O)_nに対してHSO_4^-(H_2O)_nの割合が増加し、さらにHSO_4-H_2SO_4も大きく増加していくことから、反応時間とともにH_2SO_4の生成が進み、SO_4^-(H_2O)_nからHSO_4^-(H_2O)_nへのイオン種の変換が進んでいることがわかった。以上のように、反応時間とともにイオンクラスターのサイズが増加し、同時にSO_4^-(H_2O)_nからHSO_4^-(H_2O)_nへのイオン種の変換が進んで、その結果イオンの移動度が減少していくというイオン核生成の初期過程の解析に成功した。クラスターイオンからナノサイズ粒子を同時に観測可能なクラスター微分型移動度分析装置(C-DMA)に、大気圧中でのイオン-分子反応を解析するために開発したドリフトチューブ型イオン移動度/質量分析装置(DT-IMS/MS)を新たに組み合わせ、大気中におけるイオン核生成過程の全体を観測可能な新たな測定システムの構築を進めた。イオン核生成における分子イオン、クラスターイオンをDT-IMS/MSで観測し、クラスターイオンからナノサイズ微粒子をC-DMAで観測することにより、イオン核生成の全体を観測しようとする実験システムである。今年度は本実験システムのうちDT-IMS/MSを用いてSO_2/H_2O/Air混合ガスを放射線で電離させて発生したクラスターイオンの移動度スペクトルおよび質量スペクトルの測定を行い、イオン核生成の初期段階の観測を行った。SO_2およびH_2O濃度が低い場合、移動度スペクトルのメインピークは1.89cm^2V^<1>S^<-1>に現れ、質量スペクトルでは質量スペクトルにはSO_2からのイオン-分子反応によって生成したSO_2^-、SO_3^-、SO_4^-、およびSO_2^-が検出された。また同時にHSO_4^-も検出され、SO_2を含んだ空気の電離によって硫酸が生成していることが確認できた。SO_2およびH_2O濃度を増やすと移動度スペクトルのイオンピークが全体的に移動度の小さい方にシフトし、生成したイオンのサイズが大きくなることがわかった。質量スペクトルをみると、SO_4^-(H_2O)NおよびHSO_4^-(H_2O)Nが主要なイオンとして現れた。HSO_4^-核イオンの増加は、水蒸気量の増加によりOHの生成量が増えてSO_2から硫酸への変換が促進されたためであると考えられる。クラスターイオンとナノサイズ粒子を同時に観測可能なクラスター微分型移動度分析装置(C-DMA)に、大気圧中でのイオン-分子反応を解析するために開発したドリフトチューブ型イオン移動度/質量分析装置(DT-IMS/MS)を新たに組み合わせ、大気中におけるイオン核生成過程の全体を観測可能な新たな測定システムを構築した。イオン核生成における分子イオン、クラスターイオンをDT-IMS/MSで観測し、クラスターイオンからナノサイズ微粒子をC-DMAで観測することにより、イオン核生成の全体を観測しようとする実験システムである。これまでに基本的な実験システムを完成させたので、SO_2/H_2O/Air混合ガスを用いてシステムの基本性能の確認を行った。イオン核生成の初期過程を観測するために、ドリフトチューブの電圧を変化させてイオンの反応時間を15-50msの間で変化させたところ、反応時間の増加とともにメインのイオンピークの移動度が小さくなると同時に、低移動度のイオンが増加する傾向が現れた。イオンの質量スペクトルの測定を行った結果、反応時間の増加に伴い水分子のクラスター化が進み、SO_4^-(H_2O)_nのnの分布がやや大きくなっていくことが確認できた。また主要なイオン種であるSO_4^-(H_2O)_nに対してHSO_4^-(H_2O)_nの割合が増加し、さらにHSO_4-H_2SO_4も大きく増加していくことから、反応時間とともにH_2SO_4の生成が進み、SO_4^-(H_2O)_nからHSO_4^-(H_2O)_nへのイオン種の変換が進んでいることがわかった。
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KAKENHI-PROJECT-14048227
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https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-14048227
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クラスターイオンからナノ粒子への成長過程の観測:ドリフトチューブ法の応用
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以上のように、反応時間とともにイオンクラスターのサイズが増加し、同時にSO_4^-(H_2O)_nからHSO_4^-(H_2O)_nへのイオン種の変換が進んで、その結果イオンの移動度が減少していくというイオン核生成の初期過程の解析に成功した。
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KAKENHI-PROJECT-14048227
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雲の微物理過程を考慮した系外惑星の大気モデルとその観測的兆候
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系外惑星の分光観測(トランジット観測や直接撮像観測)は、惑星の表層環境についての貴重な手がかりを与えるが、その鍵となる大気分子の吸収線や表面の分光特性の検出可能性は、雲の存在に大きく影響される。本研究では、将来の系外生命探査において重要なターゲットとなるハビタブルゾーン内の地球型惑星を対象に、ほぼ必然的に生じるH2O雲の全球的な雲量・分布を調べ、観測されるスペクトルへの影響を検討することを目標としている。本年度は主に、自転周期や軌道が地球と異なる地球型惑星の全球的な水循環と雲の被覆パターンを、大気大循環モデル(GISS GCM modelE)で計算した。また、この大気大循環モデルで得られる大気のプロファイル(雲、水蒸気、温度の分布)に基づいて、HITRANを用いてline-by-lineで放射伝達を計算するコードを作成し、系外惑星としての模擬観測ができるようにした。将来のトランジット観測の良い対象となる低質量星周りの同期回転ハビタブル惑星については、トランジットスペクトルに影響を与える昼夜境界における雲の形成を、将来の直接撮像観測の対象となるであろう公転に比べて自転が早い水惑星については、低緯度・高緯度それぞれでのH2Oの輸送と雲量の惑星パラメータへの依存性を調べている。今後、大気大循環モデルの不定性を十分考慮した計算結果の吟味とともに、傾向の理解を助ける概念的なモデルの整備が求められる。系外惑星の分光観測(トランジット観測や直接撮像観測)は、惑星の表層環境についての貴重な手がかりを与えるが、その鍵となる大気分子の吸収線や表面の分光特性の検出可能性は、雲の存在に大きく影響される。本研究では、将来の系外生命探査において重要なターゲットとなるハビタブルゾーン内の地球型惑星を対象に、ほぼ必然的に生じるH2O雲の全球的な雲量・分布を調べ、観測されるスペクトルへの影響を検討することを目標としている。本年度は主に、自転周期や軌道が地球と異なる地球型惑星の全球的な水循環と雲の被覆パターンを、大気大循環モデル(GISS GCM modelE)で計算した。また、この大気大循環モデルで得られる大気のプロファイル(雲、水蒸気、温度の分布)に基づいて、HITRANを用いてline-by-lineで放射伝達を計算するコードを作成し、系外惑星としての模擬観測ができるようにした。将来のトランジット観測の良い対象となる低質量星周りの同期回転ハビタブル惑星については、トランジットスペクトルに影響を与える昼夜境界における雲の形成を、将来の直接撮像観測の対象となるであろう公転に比べて自転が早い水惑星については、低緯度・高緯度それぞれでのH2Oの輸送と雲量の惑星パラメータへの依存性を調べている。今後、大気大循環モデルの不定性を十分考慮した計算結果の吟味とともに、傾向の理解を助ける概念的なモデルの整備が求められる。
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KAKENHI-PROJECT-15K17605
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https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-15K17605
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一過性脳虚血に対する舌下神経前位核ニューロンの脆弱性
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内側前庭神経核や舌下神経前位核ニューロンは一過性虚血(5分間OGD負荷)に対して、その膜電位を過分極させて自発発火を停止し、生理的条件下に戻すことで脱分極して自発発火を回復した。このことは、ニューロン自身の内因性膜特性の変化によって生じる。さらにその責任となるイオンコンダクタンスはATP感受性カリウムチャネルを介した外向きカリウム電流であることが薬理学的実験から明らかとなった。虚血に対して一過性過分極から自発発火の停止を導く内因性膜特性変化は、虚血に対する過剰な自発発火による細胞死から自身を守るためのニューロンの自己防衛機序ととらえることができる。内側前庭神経核や舌下神経前位核ニューロンは一過性虚血(5分間OGD負荷)に対して、その膜電位を過分極させて自発発火を停止し、生理的条件下に戻すことで脱分極して自発発火を回復した。このことは、ニューロン自身の内因性膜特性の変化によって生じる。さらにその責任となるイオンコンダクタンスはATP感受性カリウムチャネルを介した外向きカリウム電流であることが薬理学的実験から明らかとなった。虚血に対して一過性過分極から自発発火の停止を導く内因性膜特性変化は、虚血に対する過剰な自発発火による細胞死から自身を守るためのニューロンの自己防衛機序ととらえることができる。脳幹に存在する舌下神経前位核と内側前庭神経核は、水平眼球速度情報を位置情報に変換する神経積分器としての機能がある。本研究の目的は、これらの神経核ニューロンに虚血(無酸素無グルコース刺激;Oxygen-Glucose Deprivation)負荷した時の電気生理学的活動変化を調べることである。まず生後3週齢のラットから脳幹スライス標本を作製しスライスパッチクランプ法にて、膜電位固定下に自発発火を調べると、多くのニューロンで自発発火がみられた。虚血負荷を与えると、膜電位が過分極にシフトし、これにともなって自発発火が消失した。5分間の虚血負荷後、生理的条件に戻すと、ニューロンは速やかに脱分極し、自発発火も回復した。この現象が抑制性入力の増加によるものか、ニューロン自身の内因性膜特性変化によるものかを調べるため、電流固定法にて自発性シナプス後電流(sIPSC)を記録したところ、sIPSCは5分間の虚血負荷に対し、有意な変化を示さなかった。そこで、潅流細胞外液に興奮性・抑制性入力を遮断する阻害剤を投与し、記録しているニューロンを孤立させ、同様の虚血負荷を行った。その結果、膜電位の過分極による自発発火の休止と、生理的条件へ戻すことによる回復が記録できた。このことから、虚血に対してニューロン自身の膜特性が内因性に変化することが示唆された。さらに虚血前後での活動電位の特性について、よく用いられる3つのパラメータについて検討したが、1)後過分極までの時間、2)後過分極の振幅、3)スパイク幅いずれも有意な変化は認めなかった。以上より、上記神経核のニューロンは、虚血に対して自身の特性を変化させ、膜電位を過分極させることが解明された。また、その変化は生理的条件に戻すと速やかに虚血前のレベルに回復したことから、虚血に対してある程度の耐性があることが想定された。椎骨脳底動脈循環不全症における眼振は神経積分器である舌下神経前位核と内族前庭神経核の虚血による一過性の機能不全と考えられる。本研究ではこれら神経核ニューロンの虚血に対する反応を調べた。昨年度の研究から、これら神経核ニューロンは定常状態では自発発火するが、虚血負荷により、過分極して自発発火を停止することがわかった。さらに、この変化はニューロンへの入力をすべて遮断した状態でも生じうることから、ニューロン自身の内因性変化に起因すると考えた。そこで、本年度はこの内因性変化の原因となるイオンコンダクタンスの解明を行った。虚血によりニューロンに生じる現象はATPの枯渇であり、膜電位を過分極させるイオン電流の候補として外向きカリウム電流を考えた。中脳黒質線状体のドーパミン産生ニューロンでは虚血に反応してATP感受性カリウムイオンチャネルを介した外向きカリウム電流により膜電位が過分極することで、異常発火を防ぐ自己防衛機構が報告されている。これと同様のメカニズムを想定し、ATP感受性カリウムイオンチャネルの阻害剤(glibenclamide,tolbutamide)存在下で、膜電位変化をパッチクランプ・電流固定法で観察した。その結果、虚血負荷を与えても、ニューロンは過分極することなく自発発火を継続した。さらに、ATP感受性カリウムイオンチャネル由来の外向きカリウム電流を直接証明するために、電圧固定法にて実験を行った。その結果、ニューロンを過分極させる約100pAの一過性外向きカリウム電流が観察され、この電流は阻害剤存在下では見られなかった。以上より、舌下神経前位核と内族前庭神経核ニューロンは虚血負荷によりATPが欠乏すると、ATP感受性カリウムイオンチャネルを介して、細胞外へカリウムイオンを流出させて膜電位を過分極にすることで、自発発火を停止する機構をもつことが解明された。
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KAKENHI-PROJECT-22791568
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https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-22791568
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ゼブラフィッシュ側線形成の研究から明らかになったJaggedの新たな機能の解析
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ゼブラフィッシュ側線形成をモデル系として、Notch非依存的なJagged1bによる抗アポトーシス制御機構の解析をおこなった。がん抑制因子p53の機能阻害によって、Jagged1b機能阻害胚の表現型が抑圧されたこと、転写因子Six1の発現がJagged1b機能阻害によって低下したこと、Six1機能阻害胚ではJagged1b機能阻害胚と同様の表現型がみられたことから、Jagged1bによる抗アポトーシス制御にp53とSix1が関与していると予想された。ゼブラフィッシュ側線形成をモデル系として、Notch非依存的なJagged1bによる抗アポトーシス制御機構の解析をおこなった。がん抑制因子p53の機能阻害によって、Jagged1b機能阻害胚の表現型が抑圧されたこと、転写因子Six1の発現がJagged1b機能阻害によって低下したこと、Six1機能阻害胚ではJagged1b機能阻害胚と同様の表現型がみられたことから、Jagged1bによる抗アポトーシス制御にp53とSix1が関与していると予想された。Notchシグナル伝達経路は、多細胞真核生物において保存されたシグナル伝達経路のひとつであり、個体発生において重要な役割を果たしている。申請者らは、NotchリガンドのひとつであるJaggedlbの個体レベルでの機能を明らかにすることを目的とし、ゼブラフィッシュ胚においてJaggedlbの機能阻害をおこなった。その結果、Jaggedlb機能阻害胚では、側線原基内の細胞数が減少すること、および、細胞のアポトーシスが増加することを見出した。これに対して、Notchの機能阻害では側線原基内における細胞数の減少とアポトーシスの増加はみられなかったことから、Jaggedlbの抗アポトーシスにおける機能はNotch非依存的であると考えられた。しかしながら、実際にJaggedlbがどのようにしてアポトーシスを抑制しているのかは不明であった。そこで、抗アポトーシスにおけるJaggedlbの機能を個体レベル、分子レベルの両面で明らかにすることを本研究の目的として解析をおこなった。まず、jaggedlb機能阻害胚の側線原基において異常が生じる過程を経時的撮影によって詳細に観察した。その結果、正常胚では側線原基はまとまった細胞集団として移動するのに対して、jaggedlb機能阻害胚では移動中の側線原基から徐々に脱落する細胞がみられた。この細胞の脱落は、側線原基内でアポトーシスした細胞が最終的に脱落したために生じていると予想している。また、Jaggedlbがアポトーシスを抑制する分子機構を明らかにするため、種々のアポトーシス経路を制御することで知られるがん抑制因子p53との関連性を調べた。その結果、p53を機能阻害することによって、jaggedlb機能阻害胚の表現型が抑圧されることを見出した。このことから、jaggedlbはp53を介したアポトーシス経路を負に制御していると予想された。Notchシグナル伝達経路は、多細胞真核生物において保存されたシグナル伝達経路のひとつであり、個体発生において重要な役割を果たしている。申請者らは、NotchリガンドのひとつであるJagged1bの個体レベルでの機能を明らかにするため、ゼブラフィッシュをモデル系とした解析をおこなってきた。その結果、前年度までに、Jagged1bが抗アポトーシスにおいてNotch非依存的に機能することを示唆する以下の結果を得てきた。1)Jagged1b機能阻害胚では、側線原基内の細胞数が減少し、細胞のアポトーシスが増加する。2)Notchの機能阻害では側線原基内における細胞数の減少とアポトーシスの増加はみられない。3)種々のアポトーシス経路を制御するがん抑制因子p53を機能阻害することによって、jagged1b機能阻害胚の表現型が抑圧される。これらの結果から、jagged1bはp53を介したアポトーシス経路を負に制御していると予想された。本年度は、Jagged1bを介したアポトーシス制御機構をさらに理解するため、jagged1b機能阻害によって側線原基内での発現に変化が生じる遺伝子や機能阻害すると側線発生においてjagged1b機能阻害胚と同様の表現型を示す遺伝子を探索した。その結果、転写因子をコードするsix1の側線原基における発現がjagged1b機能阻害によって低下すること、および、six1機能阻害胚ではjagged1b機能阻害胚と同様に感丘数の減少と側線原基におけるアポトーシスの亢進が起こることを見出した。これらの結果から、Six1がJagged1bの下流で機能すると考えられる。今後は、Jagged1bによるsix1発現制御機構やSix1によるアポトーシス制御機構、特にp53との関係について解析をおこない、Jagged1bを介したアポトーシス制御機構の実体を明らかにしていきたい。
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KAKENHI-PROJECT-21770201
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https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-21770201
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多空隙河岸・河床における土砂の吸い出し防止に関する研究
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河岸侵食や河床洗掘を防止するために、従来、種々の工法が用いられているが、生態系に対する配慮から、最近、石礫護岸・護床工の利用が見直されている。動植物の棲息空間を確保する意味からは、護岸・護床工に比較的大きな間隙を持たせることが望まれるが、そうすると、間隙からの土砂の抜け出しが生じやすくなる。そこで、本研究では、石礫護床工を上層から順次粒径の減少する階層構造にすることにより、大きな空隙の確保と河床砂の抜け出し防止を両立させつつ、できるだけ単純かつ経済的な設計条件を見いだすことを試みた。その結果、中間粒径層を適切に選ぶと、単一粒径の場合よりも小さな合計礫層厚で河床砂の抜け出しを防止できることがわかった。一方、湾曲水路における河床の洗掘力を軽減するために用いられるベーン工を緩傾斜河岸の侵食防止に適用することを試み、ベーン高さ、ベーン長さと間隔、迎え角を変化させて、河岸侵食および河床洗掘状況の比較を行った。その結果、ベーン工がない場合には河床の洗掘はさほど進行しない反面河岸が激しく侵食された。そこで、従来、側岸の固定された長方形断面水路において推奨されている設計条件に準じて、高さを水深の1/2、長さを水深の約2倍、間隔を長さの約4倍、迎え角を-15°とするベーン群を法尻に設置したが、河岸の侵食は防止できなかった。次に、ベーンの長さと間隔はそのままで、高さを水面よりも上にし、迎え角を+18°にしところ、河岸の侵食はかなり軽減できたが、ベーンの近傍で激しい洗掘が生じ、それが広範囲に及んだ。さらに、ベーンの長さを水深の約8倍に増やして間隔をその5倍に拡げたところ、ベーン高さが水深の1/2の場合には河床の洗掘は軽減されるが河岸の侵食が激しく、ベーン高さを水面よりも高くすることによって河岸の侵食と河床の洗掘をいずれもかなり軽減できることがわかった。河岸侵食や河床洗掘を防止するために、従来、種々の工法が用いられているが、生態系に対する配慮から、最近、石礫護岸・護床工の利用が見直されている。動植物の棲息空間を確保する意味からは、護岸・護床工に比較的大きな間隙を持たせることが望まれるが、そうすると、間隙からの土砂の抜け出しが生じやすくなる。そこで、本研究では、石礫護床工を上層から順次粒径の減少する階層構造にすることにより、大きな空隙の確保と河床砂の抜け出し防止を両立させつつ、できるだけ単純かつ経済的な設計条件を見いだすことを試みた。その結果、中間粒径層を適切に選ぶと、単一粒径の場合よりも小さな合計礫層厚で河床砂の抜け出しを防止できることがわかった。一方、湾曲水路における河床の洗掘力を軽減するために用いられるベーン工を緩傾斜河岸の侵食防止に適用することを試み、ベーン高さ、ベーン長さと間隔、迎え角を変化させて、河岸侵食および河床洗掘状況の比較を行った。その結果、ベーン工がない場合には河床の洗掘はさほど進行しない反面河岸が激しく侵食された。そこで、従来、側岸の固定された長方形断面水路において推奨されている設計条件に準じて、高さを水深の1/2、長さを水深の約2倍、間隔を長さの約4倍、迎え角を-15°とするベーン群を法尻に設置したが、河岸の侵食は防止できなかった。次に、ベーンの長さと間隔はそのままで、高さを水面よりも上にし、迎え角を+18°にしところ、河岸の侵食はかなり軽減できたが、ベーンの近傍で激しい洗掘が生じ、それが広範囲に及んだ。さらに、ベーンの長さを水深の約8倍に増やして間隔をその5倍に拡げたところ、ベーン高さが水深の1/2の場合には河床の洗掘は軽減されるが河岸の侵食が激しく、ベーン高さを水面よりも高くすることによって河岸の侵食と河床の洗掘をいずれもかなり軽減できることがわかった。河床洗掘を防止するために、従来、種々の工法が用いられているが、生態系に対する配慮から、最近、石礫護床工の利用が見直されている。動植物の棲息空間を確保する意味からは、護床工に比較的大きな間隙をもたせることが望まれるが、そうすると、間隙からの河床砂の抜け出しが生じやすくなる。本研究は、石礫護床工を上層から順次粒径の減少する階層構造にすることにより、大きな空隙の確保と河床砂の抜け出し防止を両立させつつ、できるだけ単純かつ経済的な設計条件を見い出そうとするものである。そこで、どのような礫径と層厚を組み合わせればどの程度の洗掘が生じるかを調べるために実験を行ったところ、次のことがらが明かとになった。1)表層礫が小さい場合、それ自体が輸送されて河床が変動する。2)表層礫を大きくすると、それ自体の輸送は生じないが、層厚L_uが薄いと間隙から下層の砂礫が抜け出し、河床が低下する。3)L_uが大きくなると、その粒径層だけで河床砂の抜け出しを防止できるが、それに必要な限界層厚L_<uc>はD_uが大きいほど大きくなる。4)中間粒径層を入れた場合には、その組合せを適切に選ぶと、合計の礫層厚ΣL_iがL_<uc>より
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KAKENHI-PROJECT-08680488
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https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-08680488
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多空隙河岸・河床における土砂の吸い出し防止に関する研究
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も小さくても河床砂の抜け出しを防止できる。5)中間層をさらに区分して粒径階を増やすと、同じ合計層厚でより大きな掃流力に対して抵抗できる。6)鈴木らによる単一粒径の礫層による掃流力減衰率の推定式β=exp(-0.7L/D)を拡張して、掃流力減衰率βとΣ(L/D)との関係をプロットすると、ほぼ同じ関係が得られた。河岸・河床の土砂吸い出しを防止するには、護岸・護床工等で河岸・河床の抵抗力を増加させることと、流れを制御して吸い出し力そのものを弱めることの2通りが考えられる。初年度の研究においては、主として前者に着目し、石礫護床工の礫径と層厚の組み合わせについて検討したが、今年度は主として後者に着目し、ベーン工を用いた湾曲水路における緩傾斜河岸と河床の洗掘力抑制法について実験的に検討を行った。実験では幅40cmの180°湾曲水路に法勾配1/3の台形断面流路を設けて通水し、ベーン高さ、べ一ン長さと間隔、迎え角を変化させ、河岸侵食および河床洗掘状況の比較を行った。その結果、べ一ン工がない場合には河床の洗掘はさほど進行しない反面、河岸が激しく侵食された。そこで、従来、側岸の固定された長方形断面水路において推奨されている設計条件に準じて、高さを水深の1/2、長さを水深の約2倍、間隔を長さの約4倍、迎え角を-15°Cとするベーン群を法尻に設置したが、河岸の侵食は防止できなかった。次に、ベーンの長さと間隔はそのままで、高さを水面よりも上にし、迎え角を+18°にしたところ、河岸の侵食はかなり軽減できたが、ベーンの近傍で激しい洗掘が生じ、それが広範囲に及んだ。さらに、ベ一ンの長さを水深の約8倍に増やして間隔をその5倍に広げたところ、ベーン高さが水深の1/2の場合には河床の洗掘は軽減されるが河岸の侵食が激し<、ベーン高さを水面よりも高<することによって河岸の侵食と河床の洗掘をいずれもかなり軽減できることがわかった。
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KAKENHI-PROJECT-08680488
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https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-08680488
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睡眠・運動・代謝における相互的中枢-末梢連関
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本研究は、中枢と肝臓におけるケトン体代謝が各々どのように睡眠調節に関わっているかについて探求した。siRNAオリゴを用いた中枢や肝臓のHMGCS2 (ケトン体合成酵素)発現抑制実験やtetシステムを利用した神経細胞のHMGCS2やSCOT(ケトン体分解酵素)の発現調節マウスの確立などを実施した。その結果、中枢のHMGCS2がハンドリングによる断眠後の睡眠深度増大に、また、肝臓のHMGCS2がトレッドミル運動後の睡眠深度増大に関与している可能性が見えてきた。ケトン体代謝に焦点をあて、短時間の運動が末梢ケトン体濃度にどのような影響を及ぼし、かつ、睡眠の持続時間おおよび深度(脳波デルタパワー)をどように変化させるかを、マウスを用いて観察した。その結果、560分のトレッドミルを用いた強制運動は、時間依存的に血中ケトン体濃度を上昇させるとともに、運動に引き続く睡眠の深度を増大させた。血中グルコース濃度は減少せず、逆に3060分の運動によって増大した。血中トリグリセリドは3060分の運動によって減少した。脳内では、カテコールアミンやセロトニンなど、古典的伝達物質の各部位におけるコンテンツをHPLCを用いて定量した。カテコールアミンやセロトニンの代謝産物が、運動時間に依存して増加していた。一方、肝臓や脳におけるmRNA発現をRT-PCR法を用いて定量したが、運動終了時点からサンプリングまでの時間が短く、有意な差を見出すまでには至らなかった。しかし、肝臓において、脂質代謝やケトン産生に関わる核内受容体および酵素などのmRNAが上昇する傾向になった。さらに、ケトン体を腹腔内に投与し、睡眠への影響も観察した。現在脳波の解析中であるが、行動観察からケトン体の腹腔内投与によって睡眠が誘発されていると思われる。今年度に得られた結果から、運動と睡眠、そして脂質代謝の間に密接な関連性があることが具体的な形で明らかとなった。しかし、ケトン体を産生している臓器の同定、運動からケトン体産生に至るシグナルの経路、さらに、睡眠の深度増大の原因がケトン体なのかいなか、ケトン体であった場合のメカニズムなど、明らかにする必要がある。27年度において、1.腹腔内(末梢)ケトン体投与によって睡眠が深くなる(脳波デルタ波が増強する)こと、2.運動(トレッドミル)時間に比例して肝臓および大脳皮質のケトン体産生律速酵素、HMGCS2のmRNA発現が有意に増加すること、3.アンチセンスオリゴを用いた脳内HMGCS2活性の抑制は睡眠に影響を与えなかった、ことを明らかにし、運動による睡眠の影響は肝臓由来のケトン体が関与している可能性が強くなった。しかし、1.運動時間の比較的短い(15分)場合、HMGCS2 mRNA発現増加は大脳皮質のみに見られること、2.アンチセンスオリゴの投与では運動負荷を行っていないこと、などから、まだ結論的なことは言えない。現在、ケトン体の輸送体であるMCT1の阻害薬を投与しながら、運動に伴う睡眠の変化を観察中である。また、脳および肝臓における運動に伴うHMGCS2蛋白発現の変化についてもウエスタンブロット法および免疫組織によって観察中である。ケトン体の末梢投与実験、運動負荷によるmRNA発現、蛋白発現の解析、アンチセンスオリゴによる抑制実験などに着手でき、結果が出ている。しかし、脳内のケトン体産生抑制について、遺伝子操作マウスを用いるなど、より効果が明瞭な方法を選択する必要があると考えている。ケトン体の睡眠調節の役割について、末梢・中枢、両方向から探索を勧めている。まず、末梢でのケトン産生と睡眠深度(脳波デルタ波成分)との関わりについて、断眠方法の違いによるケトン産生と睡眠ホメオスタシスの応答性について検討を行った。27年度までに行った断眠実験は、ハンドリングなどによる物理刺激を伴ったもので受動的な覚醒が引き起こされる。一方、ケージ交換や新規物質など、探索行動を引き起こすような環境刺激は、自発的(能動的)な覚醒が引き起こされる。これまで、ケージ交換による断眠は、ハンドリングよる断眠と比較し、睡眠深度のリバウンドが小さいことが報告されている。実際、我々の結果においても、ケージ交換による断眠の方が、MSLTによって計測した眠気の強さが小さく、上記報告と一致する。このケージ交換による断眠では、肝臓によるケトン体合成酵素(HMGCS2)mRNA発現や血中ケトン体の上昇が見られなかった。これは、睡眠ホメオスタシスが末梢(肝臓由来)ケトン体に強く影響を受けていることを示唆するデータである。さらに、中枢から肝臓へのシグナルルートである、自律神経肝臓枝を切除したマウスにおける睡眠・覚醒を記録し、現在解析中である。中枢でのケトン体に関して、当研究室おいて作製中であった、神経細胞のHMGCS2(ケトン体合成酵素)やSCOT(ケトン体分解酵素)のtetシステムによる発現調節マウス系が確立した。29年度は、このマウスを本研究へ応用し、中枢由来のケトン体と睡眠ホメオスタシスとの関連性について結論的な結果を出す。27年度より継続的に、運動刺激の与え方や断眠方法の工夫を重ね、脳と肝臓におけるケトン体産生、血中ケトン体濃度の動態などのデータが集積してきている。
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KAKENHI-PROJECT-26282193
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https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-26282193
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睡眠・運動・代謝における相互的中枢-末梢連関
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また、28年度は、アンチオリゴヌクレオチドを用いた肝臓ケトン体合成酵素HMGCS2の機能抑制実験や、tetシステムを用いた脳ケトン体合成・分解酵素発現調節マウスの準備を行っており、29年度、本研究課題の最終年度に向けて、結論的な実験へ導ける準備ができていると考えられる。ケトン体の睡眠調節の役割について、末梢・中枢、両方向から探索を勧めている。当研究室において作製中であった、神経細胞のHMGCS2 (ケトン体合成酵素)やSCOT(ケトン体分解酵素)のtetシステムによる発現調節マウスがいくつかの系で確立し、そのうち、脳神経に特異的にSCOT2が過剰発現しているマウス系において、睡眠記録および行動解析を実施した。現在、解析中である。一方、あらたにsiRNAオリゴを用いたHMGCS2発現抑制実験を行った。この場合、脳室内投与による中枢発現抑制と、門脈投与による肝臓内発現抑制とを行った。その結果、中枢でのHMGCS2発現抑制は、ベースラインの睡眠に影響を与えなかったが、ハンドリングによる断眠に対して、回復期の最初3時間におけるデルタ波のリバウンドを抑制した。しかし、30分のトレッドミル運動負荷では、逆に、回復期の4時間目以降にデルタ波のリバウンド反応が増強された。一方、門脈内siRNAオリゴ投与による影響については、現在解析中である。siRNAオリゴ投与の実験から、中枢のHMGCS2は、ハンドリングによる断眠後のデルタ波リバウンド、特にその急性期(3時間以内)に関与している可能性が示唆される。また、トレッドミルの運動が睡眠を深くすることは、これまで本研究によって明らかになっているが、その現象には、中枢HMGCS2は関与しないことも示唆される。運動による血中ケトン体増加および睡眠深度の増大は、肝臓のHMGCS2によるものかもしれない。本研究は、中枢と肝臓におけるケトン体代謝が各々どのように睡眠調節に関わっているかについて探求した。siRNAオリゴを用いた中枢や肝臓のHMGCS2 (ケトン体合成酵素)発現抑制実験やtetシステムを利用した神経細胞のHMGCS2やSCOT(ケトン体分解酵素)の発現調節マウスの確立などを実施した。その結果、中枢のHMGCS2がハンドリングによる断眠後の睡眠深度増大に、また、肝臓のHMGCS2がトレッドミル運動後の睡眠深度増大に関与している可能性が見えてきた。末梢のケトン体増加による睡眠への影響について、運動による効果と腹腔内投与による効果のエビデンスを出す予定であったが、後者について、解析が間に合わなかった。また、運動による血中ケトン体増加についても、その産生臓器の特定に至っていない。この点については当初より難しいことが予想されていた。肝臓のケトン体産生に関わるmRNAあるいは蛋白発現が増加していたとしても、肝臓以外の関与を否定するものではない。肝臓でのケトン体産生を抑制する操作、あるいは、血中ケトンの脳への移動を阻害する操作を施した上での運動・睡眠実験が必要となる。まずは、アンチセンスオリゴを用いて脳内のケトン体産生を抑制しながら、運動負荷・睡眠記録実験を行い、睡眠を深くするケトン体の主体は肝臓(末梢)由来であるエビデンスを得る。昨年度より予定していた、肝臓の除神経を施し、神経的に肝臓を孤立させた上で運動負荷実験を行う。運動と睡眠の関係性における、肝臓と脳の連携について、神経および液性ネットワークを解明する。
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KAKENHI-PROJECT-26282193
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https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-26282193
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重症合併症を持つ在宅糖尿病患者の実態調査と支援システムにおける看護の役割
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重症糖尿病患者の在宅における支援システムと看護援助のあり方を検討してきた。初年度は、46名の重症糖尿病患者を対象に面接調査法を用いて、患者の日常生活、自己管理の状況および自己管理に対する信念、ソ-シャルサポ-トの状況などについての実態調査を行った。その結果次のことが明らかになった。1.自己管理、通院、食事療法、インスリン治療においても、家族の援助が最も必要である。2.糖尿病の初回教育の場所は、入院中が最も多かった。3.初回教育の指導者は、医師が最も多く、全体の80%であった。4.教育内容は疾病についてが主で、生活指導は少い。5.継続教育として初回教育から1年以内に再度指導を受けたと答えた人は少数であった。2年度は、この結果に基づいて糖尿病患者の教育プログラムを検討するために、実際に糖尿病患者に対して教育を行っているオ-ストラリアのLions International Diabetes Institute、朝日生命成人病研究所、東京済生会病院などの4施設の実態を調査した。また最終年度は、患者が糖尿病教育を受けたという認識が低がったことをふまえ、本院のある栃木県内の糖尿病患者教育についての実態調査を行った。その結果、次のようなことが考えられた。1.学習システムがプログラムにおけるナ-スの役割の明確化および活動領域の拡大、さらにナ-ス各自の指導技術力向上の必要性。2.現在行なわれている糖尿病患者に対する学習システムやプログラムの改善と確立の必要性。今後は、以上の結果に基づき、学習システムやプログラムの作成について検討し、実施していく予定である。重症糖尿病患者の在宅における支援システムと看護援助のあり方を検討してきた。初年度は、46名の重症糖尿病患者を対象に面接調査法を用いて、患者の日常生活、自己管理の状況および自己管理に対する信念、ソ-シャルサポ-トの状況などについての実態調査を行った。その結果次のことが明らかになった。1.自己管理、通院、食事療法、インスリン治療においても、家族の援助が最も必要である。2.糖尿病の初回教育の場所は、入院中が最も多かった。3.初回教育の指導者は、医師が最も多く、全体の80%であった。4.教育内容は疾病についてが主で、生活指導は少い。5.継続教育として初回教育から1年以内に再度指導を受けたと答えた人は少数であった。2年度は、この結果に基づいて糖尿病患者の教育プログラムを検討するために、実際に糖尿病患者に対して教育を行っているオ-ストラリアのLions International Diabetes Institute、朝日生命成人病研究所、東京済生会病院などの4施設の実態を調査した。また最終年度は、患者が糖尿病教育を受けたという認識が低がったことをふまえ、本院のある栃木県内の糖尿病患者教育についての実態調査を行った。その結果、次のようなことが考えられた。1.学習システムがプログラムにおけるナ-スの役割の明確化および活動領域の拡大、さらにナ-ス各自の指導技術力向上の必要性。2.現在行なわれている糖尿病患者に対する学習システムやプログラムの改善と確立の必要性。今後は、以上の結果に基づき、学習システムやプログラムの作成について検討し、実施していく予定である。重症糖尿病患者の在宅における支援システムと看護援助のあり方を検討するために、47名の重症糖尿病患者(視力障害、腎透析)を対象に面接調査法を用いて実態調査を行った。その結果次のことが明らかになった。1.自己管理、通院、食事療法、インスリン治療においても、家族の援助が最も必要である。2.発病後、職業を変更した人は対象者の63%であった。3.糖尿病の初回教育の場所は、入院中が最も多かった。4.初回の指導者は、医師が最も多く、全体の80%であった。5.教育内容は疾病についてが主で、二活指導は少い。6.継続教育として、初回教育から1年以内に再度指導を受けたと答えた人は少数であった。以上の結果から、現在看護婦が行っている患者教育のあり方や教育内容、継続教育についても研究していく必要性が明らかになった。そこで、さらに実態調査の結果を、1)教育の回数と実行性との関連、2)教育の内容と現在の患者の自己管理の状況および信念との関連、3)家族の支援状況と患者の状態や信念との関連、また4)患者の自己管理の状況と患者の病気や治療に対する信念との関連などについて分析を行っているところである。平成元年度は、これらの分析に基づいて、重症糖尿病患者のソーシャルサポートシステムのあり方を検討していく。さらに、患者の自己管理に効果的なプログラムの作成をしていく予定である。そのために、実際に地域において、糖尿病患者教育を行っているプログラムを見学し、情報収集するために、オーストラリアのジメント博士を訪ねる計画をしている。初年度に行った重症糖尿病患者の実態調査を分析、検討した。その結果、次のような結論を得た。1.現在行われている糖尿病患者に対する学習システムやプログラムの改善と確立の必要性。2.地域に根ざした、重症糖尿病患者のソ-シャルサポ-トシステムの確立の必要性。3.学習システムやプログラムにおけるナ-スの役割の明確化および活動領域の拡大。さらにナ-ス各自の指導技術力向上の必要性。4.地域における患者、家族の負担を軽減するための看護援助のあり方の検討の必要性。上記の結論を基に、ソ-シャルサポ-トシステム、学習システムやプログラムについて検討してきた。
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KAKENHI-PROJECT-63571120
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https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-63571120
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重症合併症を持つ在宅糖尿病患者の実態調査と支援システムにおける看護の役割
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また学習システムやプログラムの作成にあたり、その検討資料とするため、実際に糖尿病患者に対して教育を実施しているオ-ストラリアのLions Internationl Diabetes Institute,東京女子医科大学糖尿病センタ-、東京済生会病院の3施設の実態を調査した。平成2年度は、さらにソ-シャルサポ-トシステム及び学習システムについて検討を重ねるとともに、患者の自己管理に効果的なプログラムを作成し、試行する予定である。現在は初年度に行った実態調査をまとめ、第一報として自治医科大学看護短期大学の第一回紀要に投稿中である。また施設調査と本調査の結果にもとづき、学習プログラムの試行実現のために学習マニュアルを作成している。さらに学習プログラムの試行のための場所や協力者についても検討、交渉中である。重症糖尿病患者の在宅における支援システムと看護援助のあり方を検討してきた。初年度は、46名の重症糖尿病患者を対象に面接調査法を用いて、患者の日常生活、自己管理の状況および自己管理に対する信念、ソ-シャルサポ-トの状況などについての実態調査を行った。その結果次の結果が明らかになった。1、自己管理、通院、食事療法、インスリン治療においても、家族の援助が最も必要である。2、糖尿病の初回教育の場所は、入院中が最も多かった。3、初回教育の指導者は、医師が最も多く、全体の80%であった。4、教育内容は疾病についてが主で、生活指導は少い。5、継続教育として初回教育から1年以内に再度教育を受けたと答えた人は少数であった。2年度は、この結果に基づいて糖尿病患者の教育プログラムを検討するために、実際に糖尿病患者に対して教育を行っているオ-ストラリアのLions International Diabetes Institute、朝日生命成人病研究所、東京済生会病院などの4施設の実態を調査した。また最終年度は、患者が糖尿病教育を受けたという認識が低かったことをふまえ、本院のある栃木県内の糖尿病患者教育についての実態調査を行った。その結果、次のようなことが考えられた。1、学習システムやプログラムにおけるナ-スの役割の明確化および活動領域の拡大、さらにナ-ス各自の指導技術力向上の必要性。2、現在行なわれている糖尿病患者に対する学習システムやプログラムの改善と確立の必要性。今後は、以上の結果に基づき、学習システムやプログラムの作成について検討し、実施していく予定である。
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KAKENHI-PROJECT-63571120
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https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-63571120
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情報障害者の経路探索に配慮した歩行環境整備とマルチメディア技術の応用に関する研究
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本研究の目的は、情報障害者(特に視覚障害者)を対象とした経路案内システムを実現するための基礎的考察を行うことにある。本年度、以下の調査・考察を行った。1.既存の整備手法・システムの分析と評価1-1米国における視覚障害者対策ライトハウス・インターナショナルの施設における案内サインシステムなどの調査、駅構内において乗換え情報を音声で案内するトーキングキオスクの実地調査を行った。また、視覚障害者研究の国際学会であるVision'99(ニューヨーク)において本研究成果を発表し意見交換を行った。1-2リーゾナブルアコモデーションの考察1977年設立の「高等教育と障害協会」の年次大会AHED'99(アトランタ)に参加し、法的義務下、リーゾナブルアコモデーションとして、情報障害者のためのマルチメディア技術が実践的効果的に使用されている実態などを多角的に把握し考察した。また、ノースカロライナ州立大学における情報障害者対策についてもヒアリング調査を行った。2.駅の情報障害者対策に関するアンケート全国JRグループの各乗り換え駅の駅長に対して情報障害者対策や、バリアフリー対策に関するアンケート調査を実施し、基礎的データの分析を行った。3.マルチメディア技術を応用した音声案内システムの提案昨年度試作したシステム(オーディトリーマップメーカーとオーディトリーナビゲーションシステム)の評価実験を行った。3-1案内文入力の分析歩行訓練士による駅の乗換案内文を地点情報、経路情報、連結情報に分けて分析し、オーディトリーマップメーカーにおける使用語の種類と入力上の留意点について考察を行った。3-2視覚障害者による評価実験試作機を用いて、視覚障害者によるオーディトリーナビゲーションシステムの使用評価実験を行い、使用した視覚障害者と同行した歩行訓練士からシステムの有効性と機能と操作性についての今後の課題を聴取した。本研究の目的は、情報障害者(特に視覚障害者)を対象とした経路案内システムを実現するための基礎的考察を行うことにある。本年度、以下の調査・考察を行った。1.既存の整備手法・システムの分析と評価1-1米国における視覚障害者対策ライトハウス・インターナショナルの施設における案内サインシステムなどの調査、駅構内において乗換え情報を音声で案内するトーキングキオスクの実地調査を行った。また、視覚障害者研究の国際学会であるVision'99(ニューヨーク)において本研究成果を発表し意見交換を行った。1-2リーゾナブルアコモデーションの考察1977年設立の「高等教育と障害協会」の年次大会AHED'99(アトランタ)に参加し、法的義務下、リーゾナブルアコモデーションとして、情報障害者のためのマルチメディア技術が実践的効果的に使用されている実態などを多角的に把握し考察した。また、ノースカロライナ州立大学における情報障害者対策についてもヒアリング調査を行った。2.駅の情報障害者対策に関するアンケート全国JRグループの各乗り換え駅の駅長に対して情報障害者対策や、バリアフリー対策に関するアンケート調査を実施し、基礎的データの分析を行った。3.マルチメディア技術を応用した音声案内システムの提案昨年度試作したシステム(オーディトリーマップメーカーとオーディトリーナビゲーションシステム)の評価実験を行った。3-1案内文入力の分析歩行訓練士による駅の乗換案内文を地点情報、経路情報、連結情報に分けて分析し、オーディトリーマップメーカーにおける使用語の種類と入力上の留意点について考察を行った。3-2視覚障害者による評価実験試作機を用いて、視覚障害者によるオーディトリーナビゲーションシステムの使用評価実験を行い、使用した視覚障害者と同行した歩行訓練士からシステムの有効性と機能と操作性についての今後の課題を聴取した。本研究の目的は、情報障害者(特に視覚障害者)を対象とした経路案内システムを実現するための基礎的考察を行うことにある。本年度、以下の調査・考察を行った。1.既存の整備手法・システムの分析と評価1-1 JR宮原駅前の案内システムシステムからの案内音と環境騒音の関係について、ピークレベル、Leq、暗騒音、周波特性を解析し、また視覚障害者による使用実験を行って、現状の問題点と改善方法を提案した。1-2鉄道総研の案内システム鉄道構内における案内システムのありかたと弱電波を用いた試作器についてヒアリング調査を行った。1-3横浜ラポールの案内システムについて赤外線を用いた案内システム(トーキングサイン)について、視覚障害者による使用実験を行って、現状の問題点と改善方法を提案した。2.視覚障害者の歩行実態調査2-1単独歩行時における内観報告(先天全盲S氏の事例)駅乗り換えルート、自宅最寄り駅ルートにつて、内観報告と歩行状況を録音・録画して定位と移動の実態を分析した。2-2歩行訓練時における教示と内観報告自宅避難所(河川敷)ルート(先天全盲W氏の事例)と自宅最寄り駅ルート(先天全盲S氏の転居準備事例)について、歩行訓練士の教示内容、内観報告、歩行訓練状況を録音・録画して定位と移動の実態を分析した。3.案内システムの試案町屋駅周辺の乗り換えルートについて、歩行訓練士の教示内容を再現するシステム(オーディトリーマップメーカーとオーディトリーナビゲーションシステム)を試作した。本研究の目的は、情報障害者(特に視覚障害者)を対象とした経路案内システムを実現するための基礎的考察を行うことにある。本年度、以下の調査・考察を行った。1.既存の整備手法・システムの分析と評価1-1米国における視覚障害者対策ライトハウス・インターナショナルの施設における案内サインシステムなどの調査、駅構内において乗換え情報を音声で案内するトーキングキオスクの実地調査を行った。
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KAKENHI-PROJECT-10555209
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https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-10555209
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情報障害者の経路探索に配慮した歩行環境整備とマルチメディア技術の応用に関する研究
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また、視覚障害者研究の国際学会であるVision'99(ニューヨーク)において本研究成果を発表し意見交換を行った。1-2リーゾナブルアコモデーションの考察1977年設立の「高等教育と障害協会」の年次大会AHEAD'99(アトランタ)に参加し、法的義務下、リーゾナブルアコモデーションとして、情報障害者のためのマルチメディア技術が実践的効果的に使用されている実態などを多角的に把握し考察した。また、ノースカロライナ州立大学における情報障害者対策についてもヒアリング調査を行った。2.駅の情報障害者対策に関するアンケート全国JRグループの各乗り換え駅の駅長に対して情報障害者対策や、バリアフリー対策に関するアンケート調査を実施し、基礎的データの分析を行った。3.マルチメディア技術を応用した音声案内システムの提案昨年度試作したシステム(オーディトリーマップメーカーとオーディトリーナビゲーションシステム)の評価実験を行った。3-1案内文入力の分析歩行訓練士による駅の乗換案内文を地点情報、経路情報、連結情報に分けて分析し、オーディトリーマップメーカーにおける使用語の種類と入力上の留意点について考察を行った。3-2視覚障害者による評価実験試作機を用いて、視覚障害者によるオーディトリーナビゲーションシステムの使用評価実験を行い、使用した視覚障害者と同行した歩行訓練士からシステムの有効性と機能と操作性についての今後の課題を聴取した。
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KAKENHI-PROJECT-10555209
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https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-10555209
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副鼻腔の乃内視鏡下マイクロサージェリーの開発と体系化
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近年重要性が高まっている副鼻腔鼻内手術を安全かつ確実に行うための方法について検討を行った.本手術は熟練が必要な難度の高い手術であり,確実な手術操作の方法,内視鏡などによる術野の監視方向,効果的な術後療法,手術技術の習得方法などに関する問題点を系統的に検討され,改善される必要がある.本研究はそれらの問題点の改善を目的として行ったもので,とくに下記の項目について検討し,それぞれの結果を得た.(1)慢性副鼻腔炎に対する鼻内手術後の治癒過程:術前後の経過を克明に追跡できた40症例65側について観察した結果, 43%に治癒が認められ含気状態の副鼻腔が保存し得た.不変であったものは35%で,それらは必要に応じてCaldwell-Luc手術が適応されるべきものとした.(2)鼻内手術への内視鏡の導入:外径4mm,視野角80°,観察方向0°, 30°の硬性内視鏡が最もよい結果を得た.使用には熟練が必要である.(3)TV記録装置:手術手技の検討,教育に有用であるが使用に耐えるものは一機種のみであった.(4)手術器械:骨面を被う粘膜を保存するため鋭利な截除鉗子,深い部分の操作を行うために強弯型の鉗子を開発した.(5)副鼻腔の形態学的情報の把握方法の検討:術前に副鼻腔形態を検討するために多面断層撮影を行い,コンピュータによる三次元再構築を試み,有用な結果を得た.(6)術後経過を考慮した手術法の検討:治癒遷延を阻止し,洞交通路の再閉塞を防止する手術法を検討した.以上を副鼻腔鼻内手術の基本として体系化を試みた.近年重要性が高まっている副鼻腔鼻内手術を安全かつ確実に行うための方法について検討を行った.本手術は熟練が必要な難度の高い手術であり,確実な手術操作の方法,内視鏡などによる術野の監視方向,効果的な術後療法,手術技術の習得方法などに関する問題点を系統的に検討され,改善される必要がある.本研究はそれらの問題点の改善を目的として行ったもので,とくに下記の項目について検討し,それぞれの結果を得た.(1)慢性副鼻腔炎に対する鼻内手術後の治癒過程:術前後の経過を克明に追跡できた40症例65側について観察した結果, 43%に治癒が認められ含気状態の副鼻腔が保存し得た.不変であったものは35%で,それらは必要に応じてCaldwell-Luc手術が適応されるべきものとした.(2)鼻内手術への内視鏡の導入:外径4mm,視野角80°,観察方向0°, 30°の硬性内視鏡が最もよい結果を得た.使用には熟練が必要である.(3)TV記録装置:手術手技の検討,教育に有用であるが使用に耐えるものは一機種のみであった.(4)手術器械:骨面を被う粘膜を保存するため鋭利な截除鉗子,深い部分の操作を行うために強弯型の鉗子を開発した.(5)副鼻腔の形態学的情報の把握方法の検討:術前に副鼻腔形態を検討するために多面断層撮影を行い,コンピュータによる三次元再構築を試み,有用な結果を得た.(6)術後経過を考慮した手術法の検討:治癒遷延を阻止し,洞交通路の再閉塞を防止する手術法を検討した.以上を副鼻腔鼻内手術の基本として体系化を試みた.(1)副鼻腔鼻内手術に用いられる内視鏡について検討した。本研究の最大の目的の一つである副鼻腔内でマイクロサージカルな手術が行えるようにする方法として既存の各種の硬性鏡、撓性鏡を検討し、さらに硬性・撓性鏡を試作して検討した。結果は外径の限界が最大4mm、視野角は80°前後が適当、有効長は15cm程度のものが適している。硬性鏡は保持、オリエンテーションに優れるが、深部への到達に問題があり、撓性鏡は保持と画像の明瞭さに問題があった。硬性・撓性鏡の試作を行っているが、なお保持に問題があり改良を重ねる予定である。最終目標は一般化できる器材と方法を提示することである。(2)内視鏡ビデオによる手術の記録と供覧法について検討している:手術に関する討議、教育に有用であるが、国産,外国産の各種TVカメラを検討対象としたが、本手術システムに問題なく使用できるものは現状では皆無であった。重要な問題でありなお検討を続けている。(3)副鼻腔炎の鼻内手術による治療の臨床的研究を行った:慢性副鼻腔炎40症例65側について内視鏡下鼻内手術を行い、その術後経過を観察検討した。43%は両鼻腔の構造を保存して完治し、残りの53%は少数例を除いて軽快を示したがなお炎症が持続していた。治癒を阻む因子は多く今後の研究の対象となるが、上記の結果から、慢性副鼻腔炎の手術的治療法は、Caldwell-Luc手術は第二選択とて、鼻内手術を第一選択とするべきであり、結果を向上するためにも内視鏡手術の導入が重要であると結論された。(4)各個の症例の副鼻腔
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KAKENHI-PROJECT-61480362
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https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-61480362
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副鼻腔の乃内視鏡下マイクロサージェリーの開発と体系化
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とくに篩骨蜂巣の立体構築の検討を開始した:各個の症例の副鼻腔の立体構築と罹患状態を術前に把握するため、CTのスライス像からコンピュータを用いて三次元画像解析を行う方法を検討し、その実用化の可能性を研究している。
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KAKENHI-PROJECT-61480362
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https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-61480362
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干渉 RNA の脈絡膜血管新生抑制の分子機構の解明と新規治療手段の開発
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RNA干渉は、新しい治療方法として注目を集めているが、一方で非特異的な作用や免疫応答の問題も報告されている。バイオマテリアルであるアテロコラーゲンは、siRNAと複合体化させて血中に投与しても、ほとんど免疫応答が観察されず、siRNA導入の担体としての有効性が期待されている。今回我々は、マウス実験的レーザー脈絡膜新生血管(CNV)モデルを用いて、siRNA導入へのアテロコラーゲンの有用性を確認し、アテロコラーゲンにより、Toll-like receptor (TLR3)の非特異的反応に関与せずに、有効にsiRNAが細胞内に導入され、CNV抑制されることを明らかにした。RNA干渉は、新しい治療方法として注目を集めているが、一方で非特異的な作用や免疫応答の問題も報告されている。バイオマテリアルであるアテロコラーゲンは、siRNAと複合体化させて血中に投与しても、ほとんど免疫応答が観察されず、siRNA導入の担体としての有効性が期待されている。今回我々は、マウス実験的レーザー脈絡膜新生血管(CNV)モデルを用いて、siRNA導入へのアテロコラーゲンの有用性を確認し、アテロコラーゲンにより、Toll-like receptor (TLR3)の非特異的反応に関与せずに、有効にsiRNAが細胞内に導入され、CNV抑制されることを明らかにした。脈絡膜新生血管(CNV)ボある加齢黄斑変性症例に対して、VEGF-Aに対するsiRNAあるいはVEGF-receptor 1に対するsiRNAを用いた臨床治験が行われている。しかしながら、in vivoにおける特異的なsiRNAの効果はまだはっきりと同定されていない。我々は実験的レーザーCNVモデルを用い、siRNAによる配列・標的非特異的な効果について検討した。動物は、C57B1/6マウスを用いた。標的のないsiRNAとして、21ヌクレオチド(nt)ルシフェラーゼ(siLuc)あるいはヒトVEGF遺伝子に対するsiRNA(Cand5)、対照として、16ntのルシフェラーゼ遺伝子に対するsiRNAあるいはPBSを用いた。21ntのsiLucもCand5もコントロールと比較し、有意に蛍光眼底造影においてCNVからのleakを抑制し、CNV容積を縮小させた(P<0.01)。16ntのsiLucではleakもCNV容積もコントロールと有意差はなく、抑制効果はみられなかった。標的のないsiRNAすべてが実験的レーザーCNVを抑制した。さらに網膜・脈絡膜におけるVEGFの発現を検討したところ、21ntのsiRNAを投与した群では、コントロールと比べ、有意にその上昇が抑制されていた(p<0.01)。16ntのsiLucでは、VEGF発現はコントロールと同等で、有意差はみられなかった。今回の結果から、化学修飾されていない21nt siRNAは、VEGF発現抑制を介して、非特異的に血管新生を抑制することが明らかになった。【目的】RNA干渉は、新しい治療方法として注目を集めているが、一方で非特異的な作用や免疫応答の問題も報告されている。バイオマテリアルであるアテロコラーゲンは、siRNAと複合体化させて血中に投与しても、ほとんど免疫応答が観察されず、siRNA導入の担体としての有効性が期待されている。そこで、今回、我々は、マウスレーザーCNVモデルを用いて、siRNA導入へのアテロコラーゲンの有用性について検討した。【方法】雄の生後約8週のC57BL/6Jマウスに対してレーザー網膜光凝固を行い、CNVを作成した。レーザー網膜光凝固直後に、標的のないsiRNA(Luciferaseに対するsiRNA ; siLuc)あるいはアテロコラーゲンとsiLucを硝子体内に投与し、7日後に蛍光眼底造影(FA)、CNV容積を測定した。【結果】蛍光眼底造影では、対照と比較し、siLuc単独投与群で漏出が有意に抑制されていた(p<0.001)が、アテロコラーゲンとの同時投与では漏出の抑制はみられなかった。CNV容積は、対照群で429132.2±28433.3μm^3、21nt-siLuc単独投与群で260672.3±17874.9μm^3、21nt-siLucとアテロコラーゲンの同時投与群で425723.5±45885.7μm^3とsiLuc単独投与群で最もCNV容積が抑制されていた(p<0.001)【結論】今回の結果から、アテロコラーゲンは、レーザーCNVモデルにおいてsiRNAによる非特異的な血管新生抑制効果を抑えることが明らかとなった。今後、アテロコラーゲンは、眼科領域におけるsiRNA導入の担体として有用であり、臨床応用の可能性が考えられた。【目的】RNA干渉は、新しい治療方法として注目を集めているが、一方で非特異的な作用や免疫応答の問題も報告されている。バイオマテリアルであるアテロコラーゲンは、siRNAと複合体化させて血中に投与しても、ほとんど免疫応答が観察されず、siRNA導入の担体としての有効性が期待されている。昨年度までに我々は、マウスレーザーCNVモデルを用いて、siRNA導入へのアテロコラーゲンの有用性を確認し、標的のないsiLucは単体で導入すると非特異的な血管新生抑制がみられるが、アテロコラーゲンと導入すると血管新生抑制作用がみられないことを明らかにした。【結果】
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KAKENHI-PROJECT-21390469
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https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-21390469
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干渉 RNA の脈絡膜血管新生抑制の分子機構の解明と新規治療手段の開発
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蛍光眼底造影では、コントロールと比較し、siVEGF単体、siVEGFとアテロコラーゲンとの複合体投与群両群とも漏出が有意に抑制されていた(p<0.01)。CNV容積は、対照群で559112.4±63765.6μm^3、siVEGF単独投与群で290663.8±35643.9μm^3、siVEGFとアテロコラーゲン複合体同時投与群で288017.4±31012.6μm^3とsiVEGF単独投与群、siVEGFとアテロコラーゲン複合体同時投与ともCNV容積が有意に抑制されていた(p<0.01)。【結論】今回の結果から、レーザーCNVモデルにおいてアテロコラーゲンと複合体を作成すると標的のあるsiRNAによる血管新生抑制効果がみられ、今後、アテロコラーゲンの、眼科領域におけるsiRNA導入の担体としての臨床応用の可能性が考えられた。【目的】RNA干渉は、新しい治療方法として注目を集めているが、非特異的な作用や免疫応答の問題も報告されている。バイオマテリアルであるアテロコラーゲンは、siRNA導入の担体としての有効性が期待されている。昨年度までに我々は、マウスレーザーCNVモデルを用いて、siRNA導入へのアテロコラーゲンの有用性を確認した。今年度はアテロコラーゲンを用いたsiRNA導入に、TLR3を介した非特異的な反応や免疫シグナルの変化が起きているかについて検討した。【方法】雄の生後約8週のC57BL/6Jマウスに対してレーザー網膜光凝固を行い、CNVを作成した。レーザー網膜光凝固直後に、アテロコラーゲンとsiVEGF複合体あるいはアテロコラーゲンとsiVEGF複合体とクロロキンを硝子体内に投与し、7日後にCNV容積を測定した。またレーザー網膜光凝固後にsiVEGFあるいはsiVEGFとアテロコラーゲン複合体を硝子体内に投与し3日後に眼球を摘出し、網膜色素上皮/脈絡膜におけるIFN-γの発現についてELISAで定量した。【結果】細胞内TLR3を阻害するクロロキンの同時投与でも、siVEGFとアテロコラーゲン複合体により対照群と比較してCNV容積は有意に抑制されていた(p<0.001)。IFN-γはsiVEGF単体投与眼では、対照のPBS投与眼と比べ有意に多く発現していたが(p<0.001)、siVEGFとアテロコラーゲン複合体投与群では対照眼と比べ有意な差は認められなかった。【結論】今回の結果から、レーザーCNVモデルにおける、アテロコラーゲンによるsiRNA導入では、非特異的なTLR3の反応や、免疫シグナル変化(IFN-γ)を介さずにCNVが抑制されていることが明らかとなった。今後、アテロコラーゲンの、眼科領域におけるsiRNA導入の担体としての臨床応用の可能性が考えられた。マウスを用いたアテロコラーゲンの有用性の実験は予定どおり進んでいるが、家兎、サルを用いた実験はまだ始められていないため。24年度が最終年度であるため、記入しない。マウスを用いて生体適合性の検討を行い、安全性についての確認を行う。またToll-Like receptor 3(TLR3)が、siRNAによる非特異的な血管新生抑制作用に関与していることが報告されており、TLR3を抑制するクロロキンを用いてsiRNAの非特異的な血管新生抑制作用がアテロコラーゲンによってブロックされているかを明らかにする。またIL-12といった免疫シグナルの変化についても研究する。
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KAKENHI-PROJECT-21390469
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https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-21390469
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インフルエンザパンデミックを阻止する社会的協調行動の創発機構のモデル化と解明
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疫学,ネットワーク科学,進化ゲーム理論を応用した学際アプローチにより人工社会上に相互浸透的マルチエージェントシミュレーションモデルを構築した.これらにより,ワクチン接種の意思決定に拘わるリスク評価法の違いが最終感染者サイズに有意に影響することを明らかにした.また,感染ネットワークと意思決定のための情報が伝搬するネットワークが一致している場合と一致していない場合とでは感染ダイナミクス大きな差違が顕れることを明らかにした.疫学,ネットワーク科学,進化ゲーム理論を応用した学際アプローチにより人工社会上に相互浸透的マルチエージェントシミュレーションモデルを構築した.これらにより,ワクチン接種の意思決定に拘わるリスク評価法の違いが最終感染者サイズに有意に影響することを明らかにした.また,感染ネットワークと意思決定のための情報が伝搬するネットワークが一致している場合と一致していない場合とでは感染ダイナミクス大きな差違が顕れることを明らかにした.先制的ワクチン接種の社会的受容性進化ゲームの枠組みの基礎としてのネットワーク互恵複雑社会ネットワーク上を伝搬するepidemiologyと自らコストを払って予防接種する/しないの意思決定を周囲もしくは社会をリファレンスしながら適応的に進化させるダイナミクスを併存させるモデルを構築するには,協調の創発機構としてのネットワーク互恵に関する基礎検討が必須である.ここでは,進化ゲームのテンプレートして頻用される2×2ゲームを適用,ネットワーク互恵の基礎メカニズムを力学的に解明し,その素過程の解明の見込みを得た.インフルエンザ流行と予防接種ダイナミクスの統合進化ゲームモデルの理論構成流行シーズンの推移とともにウィルスの突然変異によって一部のエージェントに対してワクチンが機能しなくなるダイナミクスを考慮した修正SIR(SIR')モデルを複雑ネットワーク上に構成[感染ダイナミクスモデル].感染ダイナミクスの結果,1流行期終了後に接種する/しないの戦略見直しを行う[戦略ダイナミクスモデル].両サブモデルを相互浸透に接続することで,社会関係により得る便益とインフルエンザ罹患及び予防接種による負便益とを組み込み,予防接種する/しないを戦略とするとする進化ゲームを理論構成し,系統的の数値実験を行った.その結果,基板ネットワークのtopologyによって,予防接種率(通常の2×2ゲームであれば協調率に相当する)と最終感染者サイズに大きな影響を及ぼすことがわかった.また,エージェントが予防接種に関する社会的協調行動を模倣を通じて適応させていくプロセスでは,topology上の隣人の影響を受け易いか,社会全体の動向に影響され易いかで特性が大きく異なることがわかった.後者は公衆衛生ー社会物理学観点に立つとメディアの積極的利用による先制的ワクチン接種による集団免疫構築の可能性を示唆するものである.研究期間最終年度として,これまでに構築したインフルエンザ流行と予防接種ダイナミクスの統合進化ゲームモデルを適用して,パンデミック防止の社会的方策のシナリオ提示のための様々な数値実験を行った.構築したモデルは,社会的ジレンマのある状況下で複雑な社会ネットワーク上で協調行動がどのように生き残り,定着・拡散していくのかのダイナミクス」を記述するモデルを基盤に,これとは時間スケールが異なるイベントであるインフルエンザの社会ネットワーク上の伝搬プロセスを階層状に組み込んだ枠組みであり,疫学モデルと複雑ネットワーク上をパーコレーションにより伝搬するダイナミクスをマルチエージェントシミュレーションで実装し,この上でエージェントは先制的ワクチン接種を行う/行わないの社会的協調行動の意志決定を行う.数値実験では,感染症が伝搬する物理ネットワークと意志決定に影響する情報が拡散するヴァーチャルネットワークのトポロジーが異なること影響を明らかにし,特に,両構造が一致せずに感染経路上に離散的にワクチン接種者が存在すること,すなわちワクチン接種者のクラスターが形成されない方が寧ろパンデミック組織は効果的であることを見いだした.また,感染率(リンクを介して物理感染するリスクβ)と罹患コストに対するワクチン接種コストの2要因をパラメータにとった相図を示すことで,この問題にはチキン型の社会ジレンマとPD型の社会ジレンマが潜在することが明らかになった.複雑系物理学初年度に予定していたサブテーマのミッションは全て取りかかり,一部その結に至っていない部分もあるが,応用研究に関しては年度を先行して進捗している部分もあるので,上記の自己評価が妥当であると考えられる.年度計画に従い,モデルの理論構成と数値実験とを併走して推進し,当初の全体計画を達成できるように進める予定.大型計算機での大規模数値実験に代わってクラスター化WSの導入する,研究発表の為の旅費,論文校正やPLoS One掲載料が次年度に発生することが想定されるために計画的に拘置した.研究最終年度では,研究発表の為の旅費,論文校正やPLoS One掲載料の発生が予想されること,また,わってクラスター化WSの導入を計画している.
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KAKENHI-PROJECT-25560165
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https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-25560165
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骨細胞の細胞性ネットワーク形成機序の解明と機械的刺激応答性
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細胞外pH(pHo)および細胞外カルシウム([Ca^<2+>]e)が骨細胞の細胞間コミュニケーションになんらかの影響を与えると仮定し、ニワトリ胚より取り出した生骨組織中の骨細胞に対してFluorescence Replacement After Photobleaching解析(FRAP)を行った。結果、1.FRAPを行う領域の骨細胞はどの突起にもGJが観察され、分布に偏りは見られなかった。2.生骨組織内で骨細胞のFRAPが可能であった。消光5分後の蛍光輝度の回復は43.7±2.2%であった対照群に対して、GJ阻害剤18a-GA前処置群では、10.7±2.2%と有為に減少した。生骨組織中での骨細胞の細胞間コミュニケーションは、細胞外pHおよび細胞外カルシウムなどの骨リモデリング時の変動因子、およびPTHなどのホルモンに影響を受けることが示唆された。また、骨芽細胞から骨細胞へ分化する際の機械的特性のうち弾性の変化を捉え、さらに細胞接着と弾性との関連についても調べた。ニワトリ胚頭蓋骨を染色し、3次元形態観察法を行うことで骨芽細胞(OB)、類骨骨細胞(POC)、骨細胞(OC)を識別する方法を確立した。この識別方法を単離培養系に適用し、頭蓋骨から単離した骨系細胞の弾性を、原子間力顕微鏡により解析した。その結果、骨系細胞において、弾性率は細胞中心部が辺縁部より低かった。細胞の辺縁部の弾性率はOB、POC、OCの順で分化にしたがって低下した。また、細胞接着の弾性に対する関係を調べるために細胞接着阻害ペプチドを投与した所、OB、POCは弾性率を低下させたが、OCは変化を認めなかった。ニワトリ胚頭蓋冠由来単離骨細胞を用い、骨細胞特異的抗体OB7.3を併用することにより、従来では難しかった骨細胞と骨芽細胞との識別を行った上で骨細胞の3次元培養系を確立した。この培養系を用いて骨細胞の形態的特徴細胞骨格分子であるactinや細胞接着関連分子であるvinculinに対する免疫染色によって検討した。これらの検討により、骨細胞の細胞突起が、通常2次元で行われる細胞培養系において形成される場合と、3次元培養で行われる場合とを比較した時に、よりin vivoにおける骨細胞の細胞突起に近い形状を示すことを明らかにした。細胞外pH(pHo)および細胞外カルシウム([Ca^<2+>]e)が骨細胞の細胞間コミュニケーションになんらかの影響を与えると仮定し、ニワトリ胚より取り出した生骨組織中の骨細胞に対してFluorescence Replacement After Photobleaching解析(FRAP)を行った。結果、1.FRAPを行う領域の骨細胞はどの突起にもGJが観察され、分布に偏りは見られなかった。2.生骨組織内で骨細胞のFRAPが可能であった。消光5分後の蛍光輝度の回復は43.7±2.2%であった対照群に対して、GJ阻害剤18a-GA前処置群では、10.7±2.2%と有為に減少した。生骨組織中での骨細胞の細胞間コミュニケーションは、細胞外pHおよび細胞外カルシウムなどの骨リモデリング時の変動因子、およびPTHなどのホルモンに影響を受けることが示唆された。また、骨芽細胞から骨細胞へ分化する際の機械的特性のうち弾性の変化を捉え、さらに細胞接着と弾性との関連についても調べた。ニワトリ胚頭蓋骨を染色し、3次元形態観察法を行うことで骨芽細胞(OB)、類骨骨細胞(POC)、骨細胞(OC)を識別する方法を確立した。この識別方法を単離培養系に適用し、頭蓋骨から単離した骨系細胞の弾性を、原子間力顕微鏡により解析した。その結果、骨系細胞において、弾性率は細胞中心部が辺縁部より低かった。細胞の辺縁部の弾性率はOB、POC、OCの順で分化にしたがって低下した。また、細胞接着の弾性に対する関係を調べるために細胞接着阻害ペプチドを投与した所、OB、POCは弾性率を低下させたが、OCは変化を認めなかった。ニワトリ胚頭蓋冠由来単離骨細胞を用い、骨細胞特異的抗体OB7.3を併用することにより、従来では難しかった骨細胞と骨芽細胞との識別を行った上で骨細胞の3次元培養系を確立した。この培養系を用いて骨細胞の形態的特徴細胞骨格分子であるactinや細胞接着関連分子であるvinculinに対する免疫染色によって検討した。これらの検討により、骨細胞の細胞突起が、通常2次元で行われる細胞培養系において形成される場合と、3次元培養で行われる場合とを比較した時に、よりin vivoにおける骨細胞の細胞突起に近い形状を示すことを明らかにした。本年度の課題として挙げていた3次元ゲル培養法の確立が行われた。骨芽細胞、骨細胞は、従来我々の教室で行われていたニワトリ胚頭蓋骨からの骨細胞の単離方法をラットに応用した。ニワトリ胚からの単離に比べ、骨膜の剥離が困難なため、骨細胞の高い純度は得られなかったが、今回の目的である骨細胞ネットワークの形成を観察するには十分な数は準備できた。3次元培養に用いたられたコラーゲンゲルの調整には、ネットワークを形成するために必要な、厚さの検討がなされた。準備的な実験結果では、従来の厚い(2-3ミリ)のゲルに細胞を混在してゲルを観察すると、深部まで培養液の浸透が難しいためか、細胞の生存率も深部になるにつれて低かった。
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KAKENHI-PROJECT-17209064
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https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-17209064
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骨細胞の細胞性ネットワーク形成機序の解明と機械的刺激応答性
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さらに、ネットワークを形成するに足りる細胞数を準備するとなると、1ディッシュあたり、100万個の細胞を必要として、初代培養の実験とサンプルを増やすことは、非常に難しいことがわかった。そして、ゲルを可及的に薄く広げる方法を確立し、その中でも細胞のネットワークを観察することができる条件を検討した。結果、50-100マイクロ厚のゲルが細胞の生存率、およびネットワーク形成に必要十分な条件であることが明らかになった。次に、得られた条件で、蛍光観察が行えるかどうかを検討するために、まず、コラーゲンゲル中で、細胞を固定し、細胞骨格の一つであり、骨細胞に主として存在するアクチンを蛍光化学的に染色した。観察には、既存の共焦点レーザー顕微鏡FV500(オリンパス社)を用いて、0.5マイクロ厚の共焦点画像を連続して20マイクロ厚になるように撮り、次に3次元構築ソフトIMARISを用いて立体構築した。結果、ゲル中骨細胞のアクチン染色により、骨細胞の細胞体、細胞突起、およびその側枝に亘り、高精細な立体構築像を得ることができ、GFP遺伝子導入後の生細胞を用いた細胞観察の準備としては、十分な結果が得られた。(781字)本年度、我々は3次元培養した骨芽細胞株MC3T3-E1(以下骨芽細胞)と単離した初代培養骨細胞のアクチン細胞骨格および微小管細胞骨格の分布の違いを3次元再構築高精細ソフトIMARISを用いて解析し、さらに、それらの蛋白が骨細胞ネットワークの維持あるいは形成のどちらかに関与しているのかを細胞骨格脱重合剤を用いて検討した。その結果、アクチンおよびアクチン結合蛋白である、fimbrin、α-actinin、myosin、tropomyosinは、骨芽細胞および骨細胞の両者において、すべての突起に観察された。しかし、fimbrinの発現は、骨細胞に強く表れる一方、myosinは、骨芽細胞の突起に強く表れた。一般に、fimbrinは形態の安定に関与していることから骨細胞の突起は、3次元培養中でも安定した構造であることが考えられ、myosinはアクチン線維の活発な動きに関与していることから、骨芽細胞の突起は伸展・収縮していることが考えられた。よって、骨芽細胞および骨細胞両者の突起の裏打ち構造が異なることが示唆された。さらに、微小管蛋白の分布をみたところ、骨芽細胞の突起には全長に亘り、微小管が走行しているのに対して、骨細胞では、細胞体側のわずかな領域のみに存在しているだけであった。次に、突起形態の維持にアクチンあるいは微小管のどちらが関与しているのかを検討するために、3次元培養を開始し、突起が十分に形成されたのちに、アクチン脱重合剤を用いてその影響をみた。結果、骨芽細胞の突起は、なんら変化をみせなかったのに対して、骨細胞の突起は、著しい収縮を生じた。一方、微小管脱重合剤により、骨芽細胞の突起は、収縮を生じ、骨細胞の突起はなんら影響がなかった。これらの結果、突起の形態を維持するためには、骨芽細胞では、微小管が、そして骨細胞ではアクチンが重要であることが示唆された。さらに、突起形態の形成時に関与する蛋白を検討するために、3次元培養を開始すると同時にアクチン脱重合剤を用いてその影響をみた。結果、骨芽細胞の突起は、突起の数が減少したものの、長く伸びるようになった。しかし、骨細胞は、突起を全く形成しなかった。一方、微小管脱重合剤により、骨芽細胞の突起は、全く形成しなかったが、骨細胞は突起を形成し、その形態は未処置群と比べて変化をみせなかった。
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KAKENHI-PROJECT-17209064
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https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-17209064
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非可換幾何学的アプローチによる超弦理論の非摂動的定式化
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格子上の超対称ゲージ理論(分担:加藤):超対称性を持つゲージ理論の非摂動的ダイナミックスは、場の理論としての興味のみならず、超弦理論におけるブレインの力学の解明にとっても重要である。これまで、双対性などによって、幾つかの場合に真空の構造などが明らかにされてきたが、振幅などを含む具体的な物理量の計算や超対称性自体の破れなどを議論するには、より実際的な計算法の確立が望まれ、格子上での定式化が昔から試みられてきたが、幾つかの困難があり成功していなかった。この問題に対し、全く新しい見方でアプローチし、定式化の可能性を探った。その結果、超対称性の元になるフェルミ的対称性を見いだすことに成功した。また、ゲージ場のみの場合の相構造やフェルミオンに対するマヨラナ条件と格子構造の関係等を明らかにした。超膜理論と行列弦理論(分担:米谷):米谷は、前年度に得た超膜理論と行列弦理論の関係に関する結果にもとづき、M理論のコンパクト化された方向へのinfinite momentum frame(IMF)で定義される0次元行列理論と、超膜自体を11次元方向に巻きつけて、それに直交する方向に関するIMFでの記述と考えられる行列弦理論が、半径∞の極限で同等な理論を与えることを具体的に示した。これは、11次元ローレンツ対称性の強い証拠とみなせる。PP-wave極限におけるholographic principle(分担:米谷):AdS/CFT対応の特別な極限(PP wave limit)で閉じた弦とゲージ理論のあいだの詳細な対応の可能性が明らかになってきた。米谷は、対応が実は半古典的な描像ではトンネリング現象であるという観点を指摘し、PP-wave limitでのholographic principleに対して明確な定式化を与えこの原理を満足する弦の場理論の構造について具体的な予言を与えた。格子上の超対称ゲージ理論(分担:加藤):超対称性を持つゲージ理論の非摂動的ダイナミックスは、場の理論としての興味のみならず、超弦理論におけるブレインの力学の解明にとっても重要である。これまで、双対性などによって、幾つかの場合に真空の構造などが明らかにされてきたが、振幅などを含む具体的な物理量の計算や超対称性自体の破れなどを議論するには、より実際的な計算法の確立が望まれ、格子上での定式化が昔から試みられてきたが、幾つかの困難があり成功していなかった。この問題に対し、全く新しい見方でアプローチし、定式化の可能性を探った。その結果、超対称性の元になるフェルミ的対称性を見いだすことに成功した。また、ゲージ場のみの場合の相構造やフェルミオンに対するマヨラナ条件と格子構造の関係等を明らかにした。超膜理論と行列弦理論(分担:米谷):米谷は、前年度に得た超膜理論と行列弦理論の関係に関する結果にもとづき、M理論のコンパクト化された方向へのinfinite momentum frame(IMF)で定義される0次元行列理論と、超膜自体を11次元方向に巻きつけて、それに直交する方向に関するIMFでの記述と考えられる行列弦理論が、半径∞の極限で同等な理論を与えることを具体的に示した。これは、11次元ローレンツ対称性の強い証拠とみなせる。PP-wave極限におけるholographic principle(分担:米谷):AdS/CFT対応の特別な極限(PP wave limit)で閉じた弦とゲージ理論のあいだの詳細な対応の可能性が明らかになってきた。米谷は、対応が実は半古典的な描像ではトンネリング現象であるという観点を指摘し、PP-wave limitでのholographic principleに対して明確な定式化を与えこの原理を満足する弦の場理論の構造について具体的な予言を与えた。加藤は,以下の3点について研究を進めた:(1)格子ゲージ理論の非可換幾何学的定式化にもとづく,格子上の超対称性の実現についての研究を,新潟大学の宗博人氏と共同で進めた。現在,超対称性の無い場合の構成についての枠組みはほぼ出来ており,核心である超対称性の実現についての研究が進行中である。(2)加藤が以前に解析した弦理論と等価な非局所粒子の理論において,弦理論とのより一般的な対応関係を,指導する院生とともに見出した。これについては,現在投稿準備中である。(3)より長期的な課題として,弦理論自体の非可換幾何学的定式化についても取り組んでいる。これは,単に外場の効果を非可換場の理論を用いて実現するものとは違い,量子的時空構造自体の本質的な定式化を目指すものであり,弦理論の非摂動的かつ原理的定式化に迫ることを動機としている。米谷は主に以下の3点について研究を進めた。(4)弦理論における短距離の時空構造の特徴づけとして以前から提案している時空不確定性原理に関してさらに分析を進め、弦の高エネルギー散乱との整合性、M理論スケールとの関係、時間と空間の非可換性が明白であるような弦の力学の定式化など、について考察を深めこれまでより精密な結果を導いた。(5)弦理論の不安定真空状態における時空超対称性について検討し、タキオンが存在する場合にも超対称性が非線形な表現によって実現されていることを低エネルギーにおける有効理論との整合性により示した。(6)M理論の構成に対する手掛かりと考えられるメンブレーン力学に関して、いわゆるdouble compactificationの量子論的基礎付けに関する考察を深めた。これらの研究は弦理論の非摂動的定式化へ向けた重要なヒントになると期待できる。格子上の超対称ゲージ理論(分担:加藤)
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KAKENHI-PROJECT-12640256
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https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-12640256
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非可換幾何学的アプローチによる超弦理論の非摂動的定式化
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:超対称性を持つゲージ理論の非摂動的ダイナミックスは、場の理論のしての興味のみならず、超弦理論におけるブレインの力学の解明にとっても重要である。これまで、双対性などによって、幾つかの場合に真空の構造などが明らかにされてきたが、振幅などを含む具体的な物理量の計算や超対称性自体の破れなどを議論するには、より実際的な計算法の確立が望まれ、格子上での定式化が昔から試みられてきたが、幾つかの困難があり成功していなかった。この問題に対し、全く新しい見方でアプローチし、定式化の可能性を探った。その結果、超対称性の元になるフェルミ的対称性を見いだすことに成功し、現在連続理論の超対称性との関係を考察中である。超膜理論と行列弦理論(分担:米谷):超膜理論は、M理論への最重要な手掛かりとみなされているが、その力学の解明に関しては、10年位大きな発展がなされていない。しかし、超膜理論の正規化としての行列模型が、M理論の非摂動的定義に対する有力候補として再解釈がなされている。この行列模型の双対変換として、行列弦模型が提案されているが、それと超膜理論との関係はこれまであいまいであった。米谷は、行列弦理論が11次元方向に巻きついた超膜理論から正規化に双対関係の仮定によらずに直接得られることを初めて示した。この結果は、曲がった時空における行列弦理論の定式化や、M理論にとって重要な11次元超重力の導出にとって重要な意味を持っていると予想され、その方向に向けた研究を現在進めている。格子上の超対称ゲージ理論(分担:加藤):超対称性を持つゲージ理論の非摂動的ダイナミックスは、場の理論としての興味のみならず、超弦理論におけるブレインの力学の解明にとっても重要である。これまで、双対性などによって、幾つかの場合に真空の構造などが明らかにされてきたが、振幅などを含む具体的な物理量の計算や超対称性自体の破れなどを議論するには、より実際的な計算法の確立が望まれ、格子上での定式化が昔から試みられてきたが、幾つかの困難があり成功していなかった。この問題に対し、全く新しい見方でアプローチし、定式化の可能性を探った。その結果、超対称性の元になるフェルミ的対称性を見いだすことに成功した。今年度は特に、ゲージ場のみの場合の相構造やフェルミオンに対するマヨラナ条件と格子構造の関係等を明らかにした。超膜理論と行列弦理論(分担:米谷):米谷は、前年度に得た超膜理論と行列弦理論の関係に関する結果にもとづき、M理論のコンパクト化された方向へのinfinite momentum frame(IMF)で定義される0次元行列理論と、超膜自体を11次元方向に巻きつけて、それに直交する方向に関するIMFでの記述と考えられる行列弦理論が、半径∞の極限で同等な理論を与えることを具体的に示した。これは、11次元ローレンツ対称性の強い証拠とみなせる。ここ1年くらいの発展として、AdS/CFT対応の特別な極限(PP wave limit)で閉じた弦とゲージ理論のあいだの詳細な対応の可能性が明らかになってきた。米谷は、対応が実は半古典的な描像ではトンネリング現象であるという観点を指摘し、PP-
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KAKENHI-PROJECT-12640256
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https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-12640256
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Runx1を分子標的とする新規造血制御方法の開発
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本研究では白血病関連転写因子RUNX1について、翻訳後修飾・会合分子探索・そして新規標的遺伝子の探索を行なった。その結果、RUNX1の新規標的遺伝子として免疫制御物質であるTRAILを特定した。TRAIL遺伝子座にはRUNX1結合配列が複数存在し、レポーター実験によってRUNX1の新規の転写標的であるものと特定した。意外なことに、RUNX1結合配列を変異や欠損させても転写調節は残存し、それは、RUNX1が他の既知転写因子と機能協調して間接的にTRAILを制御しているためであった。研究代表者らはこの転写因子をも特定し、このかたちの転写制御におけるRUNX1機能ドメインも解明した。造血系転写因子であり、ヒト白血病において高頻度に遺伝子変異の標的となるRUNX1は、じっさいには多くの転写コファクター分子群と協調のうえで機能している。また、この遺伝子の片アレル欠失によって機能低下している家系では血小板の異常や白血病発症リスクが増大することが知られる。当該研究ではRUNX1の翻訳後修飾の影響や、その機能調節に関わる新たな会合分子の探索を行なっている。今年度は、酵母ツーハイブリッド法による探索によって見出された複数の候補会合分子について検討を進め、そのうちのひとつ(暫定的にここでは"CRP1"と呼ぶ)をプラスミドベクターによって強制発現させると、RUNX1と共沈降が観察されることを見出した。すなわち、酵母細胞内だけではなく、この分子は哺乳動物細胞内でも確かにRUNX1と会合していることが確認できた。レポーターアッセイによって検討を進めたところ、CRP1は、RUNX1による既知標的遺伝子群の転写を阻害する働きを有していた。CRP1は細胞質内と核内のいずれにも局在し、その発現によってRUNX1の局在を変化させるものではなかった。しかしながら、CRP1はRUNX1のDNA結合を阻害することを見出し、いまのところ、このメカニズムによってRUNX1機能を負へ調節しているものと考察している。現在、in vivoでの作用や、CRP1とRUNX1との会合に影響を与える薬剤の探索などの準備を進めている。当初計画の通りRUNX1の新たな会合分子を複数見出すことができ、また、酵母細胞内のみならず、哺乳細胞内でも会合していることを確認できたことから、ここまでのところ順調に計画が進行しているものと考えている。また、RUNX1の作用を負の方向へ制御しているものを見出せたことは、今後、この会合を調節する分子標的薬の開発へと研究を進めることができるものと期待している。本申請では、ヒトにおける白血病関連転写因子であり造血初期発生制御において重要な働きを担うRUNX1転写因子の活性制御機構を明らかにし、白血病治療や造血制御に有効となる新規標的分子として利用する上で有用となる知見を集積することをその目的としている。当該研究では、まず、遺伝子改変マウス作製によってPRMT1メチル化酵素によるRUNX1のR206とR210のメチル化のもつ生物的意義を明らかにした。また、昨年度は酵母におけるスクリーニングから得られた新たな転写コファクターとしてCRP-1を特定した。このCRP-1についてはそのRUNX1への機能干渉のメカニズムをin vitroでの解析によってほぼ完了し、これがRUNX1のブレーキ役を果たしている可能性を見出している。ひきつづきCRP-1のin vivoでの作用を明らかにすべく、RUNX1作用がCRP-1欠損によって改善が認められるかどうか、変異マウスを用いた実験の準備を進めている。現在、CRP-1欠損マウスの作製と、引き続いてのRUNX1変異との掛け合わせが完了しつつあり、その表現型の解析に取り掛かったところである。他方、当該研究の補完的アプローチとしてRUNX1の新規標的遺伝子の探索を進めている。そのうちの重要な候補としてTRAILを特定した。一連の解析によって、TRAILプロモータが確かにRUNX1によって活性化されることを確認した。興味深いことに、このRUNX1の作用は別個の転写因子を介する間接作用であり、ここではRUNX1がコアクチベータとして働いている可能性がはじめて示されたものと考えている。CRP-1によるRUNX1制御メカニズムの解明については、これまでのin vitroでの検討から一歩進めて、in vivoでの作用の解析を試みている。遺伝子改変マウスの作製とその交配実験に少々手間取っていたが、昨年度中にほぼ実験準備を整えることができたため、当初の研究予定から大きな遅滞なく結果が得られるものと期待している。くわえて、新たな転写標的として見出されたTRAILについてはその確認事件を行なっているところである。以上から、おおむね順調に進展しているものと判断している。本研究では、白血病関連転写因子でありかつ造血制御において重要なはたらき役割を担うRUNX1の機能解析を行ない、白血病や類縁造血器疾患治療における分子標的として活用するための知見を集めることを目的としている。これまでRUNX1のメチル化修飾のもつ生物学的意義、RUNX1の転写活性化作用を負に制御するコファクター群の探索、そして、RUNX1の新規標的遺伝子群の特定などを推進してきた。特に本年度はRUNX1の新規標的遺伝子としてTRAILを特定し、その機能解析を進めた。TRAILは分泌型の免疫制御活性物質であり、特異的受容体結合を介して腫瘍免疫や免疫監視機構の増強に係る生理活性物質として知られる。TRAIL遺伝子座にRUNX1結合配列が複数存在しており、実際、レポーター実験によってRUNX1によるTRAILプロモータの活性化が認められたため、新規の転写標的であるものと特定した。
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KAKENHI-PROJECT-15K09487
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https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-15K09487
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Runx1を分子標的とする新規造血制御方法の開発
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しかし意外なことに、RUNX1結合配列を変異や欠損させても転写調節は残存した。この理由を検討したところ、RUNX1は他の既知転写因子と機能協調しているかたちで間接的にTRAILを制御することが判明した。研究代表者らはこの転写因子をも特定し、これがRUNX1と細胞内結合することを明らかにした。また、RUNX1の変異体を用いて、このかたちの転写制御におけるRUNX1機能ドメインも明らかにした。以上のように、当該研究成果によってRUNX1の新たな標的遺伝子が特定されただけではなく、その作用の新たな分子メカニズムが指し示されたものと考えている。本研究では白血病関連転写因子RUNX1について、翻訳後修飾・会合分子探索・そして新規標的遺伝子の探索を行なった。その結果、RUNX1の新規標的遺伝子として免疫制御物質であるTRAILを特定した。TRAIL遺伝子座にはRUNX1結合配列が複数存在し、レポーター実験によってRUNX1の新規の転写標的であるものと特定した。意外なことに、RUNX1結合配列を変異や欠損させても転写調節は残存し、それは、RUNX1が他の既知転写因子と機能協調して間接的にTRAILを制御しているためであった。研究代表者らはこの転写因子をも特定し、このかたちの転写制御におけるRUNX1機能ドメインも解明した。今後は、まず、CRP1とRUNX1との会合がどのような生化学的特性を持つのか検討を進める。ここでは互いの分子のどのサブドメインを通じて結合しているのか、また、この会合に影響を与える化学的条件はどのようなものかなどについて検討したい。同時にこの会合がどのような生理的意義を持つのかについての解明も試みたい。ここでは動物個体レベルでの検討を、遺伝子改変やノックダウンの系をもちいてアプローチを試みたい。くわえて、RUNX1とCRP1との会合を制御する薬剤の探索をどのようにして行なうか、その準備を進めたいと考えている。今後はまず、CRP-1の生物作用解明にむけて、遺伝子改変マウスによる検討を進めてゆきたい。ここでは各種変異マウスのかけあわせによってCRP-1とRUNX1との機能協調が個体レベルで明らかにできるものと期待したい。くわえて、その機能協調に干渉する薬剤のスクリーニングを試みたい。また、RUNX1によるTRAIL発現制御については、追加実験を行ってその再現性を確認したい。さらに、RUNX1メチル化修飾についても研究を進展させたい。生化学分子生物学腫瘍学
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KAKENHI-PROJECT-15K09487
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https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-15K09487
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社会参加のための障害者・児の「生のリテラシー」を実証する研究
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これまで、「社会的マイノリティ」の社会参加は、常に日本社会における中心課題であった。社会福祉・障害者福祉の領域においても、テクノロジー面を担当する情報学等の領域においても、社会参加の実現には、多くの労力をかけられてきた。本研究の目的は、障害者福祉の領域において、「必要な知識」が「必要な人」に共有され継承される方法の探索にある。今年度は本研究の最終的なまとめとして、これまでの実績を整理するとともに、いくつものチャレンジをおこなった。まず、「生のリテラシー」の理論的な整理である。障害者・児が生きるためにそれぞれ編み出している技法を、「自立とケイパビリティ」という横軸と、「参加とアクセシビリティ」という縦軸に配置し、その交点から「生のリテラシー」を考察するという理論枠組によって整理することができた。生きる体験をリテラシーとして抽象化して記述し、その結果、参照・共有をめざすようにするという研究はほとんどなく、本研究が今後学術的にも評価され、また社会的要請に応えるための、重要な手がかりになっていると言えよう。この理論枠組は、実際にアプリおよびデータベースの開発をする際の、A)自立生活、B)学習、C)社会参加の3要素の抽出概念としても機能している。それらの一部は柴田ら(2018)などで報告されるとともに、社会背景分析をあわせ柴田(2019)に収録される予定である。もうひとつのまとめとしての実績は、「生のリテラシー」を具体的に記録・抽出し、それを自分が参照したり他者と共有・コミュニケーションしたりできるようにするアプリケーションの開発である。研究協力者や関連研究者とのコラボレーションを経て、具体的なアプリケーションを製作し、試用・検証をすることができ、特に障害者・児の状況理解に大きく寄与することがわかった。Shibata et al.(2019)として査読誌にアクセプトされ掲載される。本年は当研究の初年度にあたるため、現実的な「生のリテラシー」を蓄積し活用するための、(1)社会的背景の整理、(2)生活場面での情報技術の具体的活用の2点に取り組み、それぞれ成果を得た。(1)社会的背景の整理として、まず2016年施行の「障害者差別解消法」の整理と社会的価値を整理し、その中で生き学ぶことの背景を概観し、柴田(2015a)として執筆した。さらにそれらが設計側のアーキテクチャではなく、当事者のリテラシーに着目する必要があることを、柴田(2015b)(西垣ほか,2015内)で言及した。それらを活かして(2)情報技術の具体的活用として、福祉領域におけるメディアと生きるリテラシーの関係を、具体的に調査票調査、およびインタビュー調査にもとづいてまとめたものを2つ上梓することができた。特に専門領域である難聴者の生活場面におけるメディアとしてClosed-Caption(メディア上の文字表現としての字幕)に注目し、キーワードとして「社会的包摂(インクルージョン)」と「共生(コンヴィヴィアリティ)」を2つの尺度として考えるという枠組みを作り上げた。その成果が柴田ほか(2016b)である。この成果は本邦初だけでなく、国際的にも類例が、Zdenek(2015)しかなく、顕著な成果だと評価できる。さらに具体例としてのデータベース・アーカイブを試作し、タブレットでの出力をおこなう術を検討した。そのプロトタイプはShibata(2015)において発表されたが、さらなる発展的枠組みとして柴田(2016a)で公刊されている。掲載された雑誌『現代思想』は、著者の研究領域を代表する雑誌であり、それに掲載され評価をいただいたことは、本科研の当面における、最大の実績といえ、本研究が今後学術的にも評価され、また社会的要請に応えるための、重要な手がかりを得たということができよう。本研究は、そもそも、障害者のメディア利用における社会科学的研究がほとんどなされていないなかで、その基本的な分析枠組みから、具体的なメディア利用までを射程に入れたものである。その意味では、先行研究の不足にたいして、道を切り開く作業をしながらでもあり、自己評価としても十分、進展をみせ、成果を上げていると考えることができる。本研究の基本的枠組みは、障害者の生きる場における「生きる知恵」をリテラシーとして把握し、メディアをとおして互いに活かす術を探るところにある。特に初年度としての背景整理と理論枠組みの確立を計り(柴田2015a,b)、「生きるリテラシー」の量的調査、質的調査に繋げた点は、計画どおりの進展だといえる。その成果を体系的に整理し上梓できた(柴田ほか2016b)ことも、順調さをしめしているといえよう。フィールドワークについても、宮城県を中心に予備調査に入ることができており、現在執筆中の成果として公表できる予定である。また、その情報技術による活用も順調に進んでいる。その基本的フレームワークは、Shibata(2015)として国際学会においても報告されたし、柴田(2016a)として、学術領域に置いても著名な雑誌に掲載された。このことは望外の成果だと自己評価できよう。現在、プロトタイプの開発にも取りかかっており、相当の進展が見込める。ただし、その進展が顕著に計画以上だと断言できない理由は、「生のリテラシー」を測定するための尺度の把握に手間取っている点が残っているからである。「生のリテラシー」の測定方法を、完全に確立できていない理由は、第一に日本国内の先行例では限界があるからと判断している。次年度には、本科研の国際化をすすめ、海外の例をより習得して、次年度の最優先課題としたい。本年は当研究の2年目にあたる。
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KAKENHI-PROJECT-15K03959
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https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-15K03959
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社会参加のための障害者・児の「生のリテラシー」を実証する研究
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初年度は現実的な「生のリテラシー」を蓄積し活用する基礎研究を展開してきたが、今年度はそれをより(1)現実的な支援策として具体化する方策を立てるとともに、(2)より国際研究としての発展を「共に生きるためリテラシー」として探るかたちで実施された。まず、現実的な支援策としての検討は、(1-1)「タブレットなどのテクノロジーの開発」と(1-2)「そのようなAssistive Technologyを具体化するような支援」の2面から検討された。(1-1)については昨年度からの「リテラシー」を目指したプロトタイプ制作を継続しつつ、Shibata (2016a)などで報告してきたが、特に前年度後半にアメリカ・ハワイにて半年間の在外研究を実施することができたため、より「表層的なテクニックではなく本質的な、社会参加のためのリテラシー」という観点から、再び洗練化を志している。また「支援技術の実践」という観点から執筆した、柴田ほか(2016)は、社会参加のためのテクノロジーとしての必要性と可能性を、明示的に示すことができた。本研究の成果のひとつとしてその基本軸を押さえつつ、具体的な提案に結びつけていくべきだと考えている。(2)という点では、今年度、本研究の発展形として科研費・国際共同研究加速の採択を受けたことで、より国際的でより「共生」的な観点からの研究が可能になった。特に当初予定していた「生のリテラシー実態調査」は、国内にとどまらずアメリカ・ハワイにおけるフィールドワークとして、より社会参加的な視点を加え「共に生きる」という観点から実施することができ研究の方向性をさらに洗練させることができた。それらの成果の一部はすでにShibata(2016b)やShibata etc.(2017)としても発表されているが、さらに具体的なアプリ開発に生かしていく。本研究は2年目として、十分な進捗を果たすことができたと考えている。まず特筆すべき点としては、本研究の国際化として、科研費・国際共同研究加速の採択を受けたことで、単なる「生きる力」のみならず、より国際的でより「共生」的な観点での研究として、相乗効果を出す糸口が得られたことがあげられよう。障害者むけのタブレット・アプリを開発した例は多くても、本研究のように社会科学・福祉学を含めた観点から構想し実践している例は多いとはいえない。そのような中で、日本国内のみならず国際的な観点で研究をすすめる土台を得たことは、本研究にとって極めて重要な進捗であるといえる。もちろん国際共同研究加速の科研費とは妥当な役割分担をすることを意識しており、特に本基盤研究においては、国際共同研究加速で形成されたホノルルでのネットワークをもとに、別の地域や、アメリカ本土における調査研究を重視した。そのなかでも、Washington D.C., Atlanta, Sacramentでの先進例の調査や、Association of Higher Education and Disabilitiesへの参加は、本研究の方向性をさらに洗練させることに大きく寄与したと自覚している。それらの成果の一部はすでにShibata(2016b)やShibata etc.(2017)としても活かされており、本研究の意義を深めるものだったと自己評価している。
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KAKENHI-PROJECT-15K03959
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https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-15K03959
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縦渦列の発生機構と制御に関する研究
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矩形断面を有する直線開水路流れにおいては、一般に水深スケ-ルの縦渦が存在し、流れは三次元的様相を呈する。縦渦は、渦の強さが微弱であっても流れを完全に三次元化し、減衰が僅かで主流方向に長い距離にわたって持続すること、さらに乱流低抗則、物質の移流・拡散、土砂輸送および水理構造物周辺の局所洗掘・局所流などに重要な影響を及ぼすことがことが指摘されているが、十分な検討は成されていない。本研究の最終目標は、開水路流れに潜在する縦渦列を積極的に引き出すための方策を見いだし、洪水流において普遍的に現れる縦渦列を制御し、堤防護岸に対して安全側に働く水理構造物の試作とその機能評価を行うことであり、本年度は縦渦列および河床形状に対して側壁粗度が如何なる影響を及ぼすかを明かにするため、固定床実験および移動床実験を実施した。固定床実験では、模擬縦筋河床上において側壁近傍での三成分の流速変動が計測された。移動床実験では、側壁が滑面の場合において縦筋河床が形成された水理条件で、側壁が粗面の場合での河床高を計測し、側壁粗度が与える河床形状への影響が調べられた。得られた主な結果は以下の通りである。(1)側壁近傍における二次流の横断方向成分および鉛直方向成分の横断面内の空間分布ら、コ-ナ・バイセクタに対して上方の水面側縦渦と下方の底面側縦渦が側壁方向に強い二次流を誘起し、主流速の極大流速点は半水深近くまで水面下に降下すること、また、これらの縦渦によって横断方向の運動量輸送が促進されることが明かにされた。(2)移動床実験では、中央粒径が0.94mm以上の河床材料では側壁粗度の影響により水路中央部付近での掃流力が増大し、河床形状や掃流砂量の横断分布形状が一様化されることが認めら、中央粒径が0.57mm以上の河床材料では、側壁粗度の影響で発生する剥離渦によって河床近傍で局所的に深掘れ部が発生し、側壁が滑面の場合に発生した縦筋河床とは異なった河床波の生じることが明かにされ、側壁粗度が縦渦の形成および河床形状に大きな影響を及ぼすことが実証された。矩形断面を有する直線開水路流れにおいては、一般に水深スケ-ルの縦渦が存在し、流れは三次元的様相を呈する。縦渦は、渦の強さが微弱であっても流れを完全に三次元化し、減衰が僅かで主流方向に長い距離にわたって持続すること、さらに乱流低抗則、物質の移流・拡散、土砂輸送および水理構造物周辺の局所洗掘・局所流などに重要な影響を及ぼすことがことが指摘されているが、十分な検討は成されていない。本研究の最終目標は、開水路流れに潜在する縦渦列を積極的に引き出すための方策を見いだし、洪水流において普遍的に現れる縦渦列を制御し、堤防護岸に対して安全側に働く水理構造物の試作とその機能評価を行うことであり、本年度は縦渦列および河床形状に対して側壁粗度が如何なる影響を及ぼすかを明かにするため、固定床実験および移動床実験を実施した。固定床実験では、模擬縦筋河床上において側壁近傍での三成分の流速変動が計測された。移動床実験では、側壁が滑面の場合において縦筋河床が形成された水理条件で、側壁が粗面の場合での河床高を計測し、側壁粗度が与える河床形状への影響が調べられた。得られた主な結果は以下の通りである。(1)側壁近傍における二次流の横断方向成分および鉛直方向成分の横断面内の空間分布ら、コ-ナ・バイセクタに対して上方の水面側縦渦と下方の底面側縦渦が側壁方向に強い二次流を誘起し、主流速の極大流速点は半水深近くまで水面下に降下すること、また、これらの縦渦によって横断方向の運動量輸送が促進されることが明かにされた。(2)移動床実験では、中央粒径が0.94mm以上の河床材料では側壁粗度の影響により水路中央部付近での掃流力が増大し、河床形状や掃流砂量の横断分布形状が一様化されることが認めら、中央粒径が0.57mm以上の河床材料では、側壁粗度の影響で発生する剥離渦によって河床近傍で局所的に深掘れ部が発生し、側壁が滑面の場合に発生した縦筋河床とは異なった河床波の生じることが明かにされ、側壁粗度が縦渦の形成および河床形状に大きな影響を及ぼすことが実証された。
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KAKENHI-PROJECT-02650363
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https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-02650363
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血中KPACAP特異的結合因子の生化学的研究
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Pituitary Adenylate Cyclase Activating Polypeptide(PACAP)は、申請者らにより、ヒツジ視床下部より単離、構造決定した神経ペプチドで、その循環調節系における役割を解明する目的で、PACAPの血中動態を検討する過程において血漿中にPACAP特異的結合因子が存在することを見いだした。平成10年度においてはPACAP特異的結合因子の性状解析をさらに進めるとともに、PACAPの詳細な分泌動態解明において、その生合成調節機序解明が必須となることから、PACAP遺伝子の転写調節機序を明らかにすべく、マウスPACAP遺伝子を単離し構造解析を行った。1) PACAP特異的結合因子の性状解析において、ゲル濾過により、ラット以外、ウサギ及びヒト血漿中のPACAP特異的結合活性を比較検討したところウサギではラットとほぼ同じ程度であったのに比べ、人では、ラット血漿に比べ約1/2程度と少なく、しかも女性の血漿中には存在するものの男性の血漿中にはほとんど存在しないという性差が見られた。これらのことから、PACAP特異的結合因子の生理的役割の種差が示唆されるとともに、また性差については、脳以外の末梢組織では精巣に最も高濃度に存在することや、CRF結合タンパクがやはり女性で妊娠とともに高値を示すこととの関連性が示唆された。今後血中のPACAP分泌動態における結合蛋白の生理的役割を解明していく上で性差及び性周期を考慮する必要があると思われ、構造を明らかにすべく今後さらに単離精製を進める予定である。2)マウスPACAP遺伝子構造解析においては、本遺伝子が6.6kbにわたり5つのエクソンからなることを明らかにした。またその5'上流の解析において本遺伝子の転写開始点は3ヵ所ありalternative splicingにより少なくとも4種の異なった5'非翻訳領域を持つmRNAが脳に存在することを明らかにした。今後、循環器系における血管内皮細胞とともに、神経系細胞としてPC12細胞、アストログリア細胞、などの培養細胞系を用い本遺伝子の発現調節に関わる転写因子を明らかにしていく予定である。(1)PACAP特異的結合因子の性状解析において、ヒト血漿では、ラット血漿に比べPACAP特異的結合因子の含量が少ないことが明らかとなった。このことは、正常ヒト血漿中のPACAPレベルがラットに比べ非常に低いことと相関し、PACAP特異的結合因子がPACAPの分泌動態に深く関与することが示唆された。(2)血中PACAPの測定系の確立においては、まず血漿抽出法の検討の結果、4%酢酸・ODSカラムによる抽出法によって最も効率よく抽出され、約70%の回収率であった。また以前確立していたRIA法では微量な血中PACAPを測定するには感度が不十分であったため、武田薬品の開拓第一研究所の音田博士よりPACAP特異的モノクローナル抗体を供与していただき、ELISAによる測定系の検討を行った。その結果、RIA系では4pgが検出限界であったが、ELISAでは1pgまで測定可能であった。(3)血管平滑筋細胞(VSMC)の細胞増殖に及ぼす効果においては、PACAPが血清刺激によるVSMCの細胞周期のG0期からG1期への移行を促進し、G1期からS期への移行を抑制した。従ってPACAPはVSMCの細胞増殖に対して直接的には細胞周期依存的に正と負のbidirectionalな情報伝達により、また間接的にはオートクリンとして産生されるなんらかの成長因子の合成分泌を刺激することにより、VSMCの細胞増殖を巧妙に制御することが示唆された。Pituitary Adenylate Cyclase Activating Polypeptide(PACAP)は、申請者らにより、ヒツジ視床下部より単離、構造決定した神経ペプチドで、その循環調節系における役割を解明する目的で、PACAPの血中動態を検討する過程において血漿中にPACAP特異的結合因子が存在することを見いだした。平成10年度においてはPACAP特異的結合因子の性状解析をさらに進めるとともに、PACAPの詳細な分泌動態解明において、その生合成調節機序解明が必須となることから、PACAP遺伝子の転写調節機序を明らかにすべく、マウスPACAP遺伝子を単離し構造解析を行った。1) PACAP特異的結合因子の性状解析において、ゲル濾過により、ラット以外、ウサギ及びヒト血漿中のPACAP特異的結合活性を比較検討したところウサギではラットとほぼ同じ程度であったのに比べ、人では、ラット血漿に比べ約1/2程度と少なく、しかも女性の血漿中には存在するものの男性の血漿中にはほとんど存在しないという性差が見られた。これらのことから、PACAP特異的結合因子の生理的役割の種差が示唆されるとともに、また性差については、脳以外の末梢組織では精巣に最も高濃度に存在することや、CRF結合タンパクがやはり女性で妊娠とともに高値を示すこととの関連性が示唆された。今後血中のPACAP分泌動態における結合蛋白の生理的役割を解明していく上で性差及び性周期を考慮する必要があると思われ、構造を明らかにすべく今後さらに単離精製を進める予定である。2)マウスPACAP遺伝子構造解析においては、本遺伝子が6.6kbにわたり5つのエクソンからなることを明らかにした。またその5'上流の解析において本遺伝子の転写開始点は3ヵ所ありalternative splicingにより少なくとも4種の異なった5'非翻訳領域を持つmRNAが脳に存在することを明らかにした。今後、循環器系における血管内皮細胞とともに、神経系細胞としてPC12細胞、アストログリア細胞、などの培養細胞系を用い本遺伝子の発現調節に関わる転写因子を明らかにしていく予定である。
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KAKENHI-PROJECT-09877035
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https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-09877035
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構造規制された分子組織配向場でのフラーレンの新電子機能
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フラーレンの電気化学的挙動は、基礎のみならず様々な応用の観点からも興味深い。従来、フィルム系では極めて複雑かつ不安定とされてきたフラーレンの電子移動反応が、2電子もしくは3電子還元まで可逆あるいは準可逆反応として観測できるという極めて興味深いデータを得た。この成果を基に、本研究ではフラーレン・カチオン性脂質二分子膜コンポジットフィルム修飾電極系での電子機能を精査すること、並びにフラーレン脂質を素材する修飾電極の電子機能を解明することを目的として研究を行い、以下の成果を得た。まず、フラーレンC60/人工脂質修飾電極系の電気化学および分光電気化学を行った。その場電気化学近赤外吸収スペクトル測定を行ったところ、-400mV電位固定において、1076nmに吸収極大を示すフラーレンモノアニオンラジカルのスペクトルが得られた。また、フラーレン脂質を素材とする修飾電極を作成し、電解質として鎖長の異なるテトラアルキルアンモニウム塩、テトラアルキルフォスフォニウム塩の存在下に電子移動反応を水中にて行なった。微分パルスボルタモグラムの熱力学解析により、フラーレン脂質のラジカルアニオンおよびジアニオンに結合する電解質カチオンの数(それぞれp並びにq)とのラジカルアニオンおよびジアニオンと電解質カチオンとの結合定数(K)を求めた。電解質の鎖長がわずかに長くなると、結合定数が飛躍的に大きくなり、二分子膜を形成するフラーレン脂質アニオンが電解質アニオンと強いクーロン相互作用が存在することが示された。フラーレンの電気化学的挙動は、基礎のみならず様々な応用の観点からも興味深い。従来、フィルム系では極めて複雑かつ不安定とされてきたフラーレンの電子移動反応が、2電子もしくは3電子還元まで可逆あるいは準可逆反応として観測できるという極めて興味深いデータを得た。この成果を基に、本研究ではフラーレン・カチオン性脂質二分子膜コンポジットフィルム修飾電極系での電子機能を精査すること、並びにフラーレン脂質を素材する修飾電極の電子機能を解明することを目的として研究を行い、以下の成果を得た。まず、フラーレンC60/人工脂質修飾電極系の電気化学および分光電気化学を行った。その場電気化学近赤外吸収スペクトル測定を行ったところ、-400mV電位固定において、1076nmに吸収極大を示すフラーレンモノアニオンラジカルのスペクトルが得られた。また、フラーレン脂質を素材とする修飾電極を作成し、電解質として鎖長の異なるテトラアルキルアンモニウム塩、テトラアルキルフォスフォニウム塩の存在下に電子移動反応を水中にて行なった。微分パルスボルタモグラムの熱力学解析により、フラーレン脂質のラジカルアニオンおよびジアニオンに結合する電解質カチオンの数(それぞれp並びにq)とのラジカルアニオンおよびジアニオンと電解質カチオンとの結合定数(K)を求めた。電解質の鎖長がわずかに長くなると、結合定数が飛躍的に大きくなり、二分子膜を形成するフラーレン脂質アニオンが電解質アニオンと強いクーロン相互作用が存在することが示された。
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KAKENHI-PROJECT-11118260
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https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-11118260
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PP,^7Be太陽ニュートリノの実時間測定
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低エネルギー太陽ニュートリノを荷電カレント反応のみで実時間測定するための研究開発を行った。^<160>Gdは、PPニュートリノをも観測できる低い閾値で、さらにバックグラウンドに強い三重同時計測が可能なため、この目的に最適である。本研究では、三重同時計測に不可欠な高速性を持つ液体シンチレータにガドリニウムを溶かし込むことに開発を絞り、ガドリニウム含有液体シンチレータの開発とその性能測定、そして低エネルギーニュートリノ検出器としての性能評価を行った。広範な溶媒やガドリニウム化合物の探索により、PseudoCumene60%と界面活性剤(NS210)40%を混合した溶媒と硝酸ガドリニウムGd(NO_3)_36H_2Oの組み合わせで、ガドリニウム重量比8%が可能なことを発見した。5wt%でのシンチレータとしての性能は、発光時定数2nsec、発光量3500photon/MeV、有効減衰長39cm、α線クェンチ[email protected]、α線弁別95%以上であり、低エネルギー太陽ニュートリノ観測に十分な性能を有することがわかった。1m^3サイズの検出器をシミュレーションした結果、^7Beニュートリノに対する三重同時計測の効率は65%、PPニュートリノでは問題となる^<152>Gdの崩壊を2シグナルとして見間違う確率0.05%以下とする条件でも63%の効率が得られることが分かった。この液体シンチレータは競合する開発と比べても10分の1程度のコストなため、非常に競争力のあるガドリニウム含有液体シンチレータの開発に成功したといえる。低エネルギー太陽ニュートリノを荷電カレント反応のみで実時間測定するための研究開発を行った。^<160>Gdは、PPニュートリノをも観測できる低い閾値で、さらにバックグラウンドに強い三重同時計測が可能なため、この目的に最適である。本研究では、三重同時計測に不可欠な高速性を持つ液体シンチレータにガドリニウムを溶かし込むことに開発を絞り、ガドリニウム含有液体シンチレータの開発とその性能測定、そして低エネルギーニュートリノ検出器としての性能評価を行った。広範な溶媒やガドリニウム化合物の探索により、PseudoCumene60%と界面活性剤(NS210)40%を混合した溶媒と硝酸ガドリニウムGd(NO_3)_36H_2Oの組み合わせで、ガドリニウム重量比8%が可能なことを発見した。5wt%でのシンチレータとしての性能は、発光時定数2nsec、発光量3500photon/MeV、有効減衰長39cm、α線クェンチ[email protected]、α線弁別95%以上であり、低エネルギー太陽ニュートリノ観測に十分な性能を有することがわかった。1m^3サイズの検出器をシミュレーションした結果、^7Beニュートリノに対する三重同時計測の効率は65%、PPニュートリノでは問題となる^<152>Gdの崩壊を2シグナルとして見間違う確率0.05%以下とする条件でも63%の効率が得られることが分かった。この液体シンチレータは競合する開発と比べても10分の1程度のコストなため、非常に競争力のあるガドリニウム含有液体シンチレータの開発に成功したといえる。Gd原子核の低エネルギー太陽ニュートリノ観測に対する有効性が指摘されて以来、Gdを含有するシンチレータの開発が行われてきたが、GSO等の結晶シンチレータの開発は発光時間が遅いため、Gdのニュートリノ捕獲反応の特徴である遅延3重信号を分離して測定することができなかった。そこで、高速な液体シンチレータにGdを溶かし込むことを行った。これまでの探索では、イオン製の化合物を溶かし込むために30%界面活性剤を使った液体シンチレータを利用し、硝酸ガドリニウムにおいて、ガドリニウムの重量比にして5%、過塩素酸ガドリニウムにおいて3%のガドリニウム含有液体シンチレータを製作することができた。界面活性剤の含有比を50%まで高めることによって、硝酸ガドリニウムを使って6%、過塩素酸ガドリニウムを使って5%のガドリニウム含有液体シンチレータも得ることができた。これらのガドリニウム含有液体シンチレータは非常に安定しており、得に硝酸ガドリニウムおよび30%の界面活性剤を使ったものは、空気中での安定性や発光量において優れた性能を示した。現在発光量および発光の時間特性を調べているところである。また、同時にガドリニウムの有機化合物に対しても探索を行い、ガドリニウムエチレンヘキサノエート化合物のトルエン溶液において7%のガドリニウム重量比が得られた。さらに引火点の高い溶媒を使い濃度をあげるべく溶液溶質の探索を行っている。また、データ取得のためのソフトウェア開発も行い、簡単なスクリプトの編集のみでヒストグラムのリアルタイム表示や、信号取込みチャンネルの設定などができるようになり、グラフィカルな操作によって、液体シンチレータの性能測定が非常に簡便にできるようになった。スーパーカミオンカンデやSNOといった最新の観測は、ニュートリノ振動の大混合角解を支持しており、カムランド実験での原子炉ニュートリノ観測が、それを精度よく検証すると期待されている。その結果をさらに確実にするには、低エネルギー大陽ニュートリノスペクトルを実時間で観測し、なおかつニュートリノフレーバーを特定する必要がある。観測が始まるカムランドやBOREXINOが中性カレントも含めた測定となるため、低エネルギー大陽ニュートリノを荷電カレント反応のみで実時間測定する実験が必要となる。^<160>
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KAKENHI-PROJECT-12640247
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https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-12640247
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PP,^7Be太陽ニュートリノの実時間測定
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Gdは、ppニュートリノをも観測できる低い閾値で、さらにバックグラウンドに強い三重同時計測が可能なため、この目的に最適である。本研究では、三重同時計測に不可欠な高速性を持つ液体シンチレータにガドリニウムを溶かし込むことに開発を絞り、低エネルギーニュートリノ検出器の開発を行った。広範な溶媒やガドリニウム化合物の探索により、PseudoCumene60%と界面活性剤(NS210)40%を混合した溶媒と硝酸ガドリニウムGd(NO_3)_36H_2Oの組み合わせで、ガドリニウム重量比8%が可能なことを発見した。5wt%でのシンチレータとしての性能は、時定数2nsec以下、発光量3500photon/MeV、透過率90cm@430nm以上、α線クエンチ[email protected]、α線弁別95%以上と十分な性能を有することがわかった。1m^3サイズ゙の検出器をシミュレーションした場合、^7Beニュートリノに対する三重同時計測の効率65%、ppニュートリノでは問題となる^<152>Gdの崩壊を2シグナルとして見聞違う確率0.05%以下とする条件でも63%の効率が得られることが分かった。この液体シンチレータは競合する他国の開発と比べても10分の1程度のコストなため、非常に競争力のあるガドリニウム含有液体シンチレータの開発に成功したといえる。
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KAKENHI-PROJECT-12640247
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https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-12640247
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「集会所なるもの」の構造と論理についての経験的研究
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2010年度(平成22年度)においては、越境移住者が集住する公営団地・集会所でのフィールド作業によって得られた「集会所なるもの」の構造と論理について、米国カリフォルニア州サンディエゴの移住者・難民集住地域調査および東京圏の市民活動団体に関する事例調査と空間分析を行い、グローバル化と新自由主義という文脈のもとで事例研究を積み重ねながら考察することによって、その分析視角と知見とを発展・深化させる作業に従事した。具体的には、米国当該地域で活動するNPOやNGOへの参与観察や聞き取りにもとづき、調査者自身の調査過程を対象化しつつ、団体・組織が活動を行う過程で構築される空間を記述・分析した。また、労働・生活基盤の不安定性にともなう「生きがたさ」の低減に取り組む首都圏の労働/生存組合について、複数の組合が拠点をかまえる空間の形成過程を団体のキーパーソンへの聞き取りをもとに明らかにした。そして、この拠点空間の形成過程で生じた担い手の経験と労働組合の「再発見」というダイナミズムの存在を指摘した。上記の作業は、現代社会における「かけこみ寺」や「居場所」といった空間・場所がもつ、多層的な構造や錯綜する複数の論理をとらえるとともに、現代都市社会における「生存」の問題群に対して、「社会運動と空間」という視角から照射した知見を提供するという意義をもっている。来たるべき「社会」生成の一端を担うアクティヴィズムの動態と集合性をとらえるにあたって、空間・場所という視角がもつ射程を明らかにした点に、本研究の重要性があったと考えている。2009年度においては、外国籍住民が集住する首都圏郊外・公営団地の事例研究によって得られた「集会所なるもの」の構造と論理に関する知見をより深化・発展させるべく、以下の研究・調査課題に取り組んだ。1.米国カリフォルニア州サンディエゴにおける移住者・難民集住地域を対象として、本格的な現地調査計画策定のためのプレ・サーベイを実施した。その成果としては(1)上記地域の歴史・地理・社会状況に関する基礎的な資料の収集、(2)移住者・難民支援を行う諸組織・団体に関する情報・資料の収集とリスト作成、(3)活動の参与観察および担い手へのインタビューによる一次データの収集、(4)カリフォルニア大学など現地研究機関へのコンタクトおよび研究動向の把握、である。これにより、上記地域における支援組織を軸としたアクティヴィズムの布置連関の見取り図作成が可能になるとともに、移住者やその子どもたちといった不安定な生活を強いられた人びとによる日常的実践や、多様な行為者のコミットメントによって生起する重層的な場所性をとらえるための、長期的な調査研究を行う基盤を固めることができた。2.2006年に実施された市民活動団体調査の継続研究として、「社会運動と空間」という視角にもとづく、調査票データの再分析、理論動向の把握、社会運動/市民活動の拠点空間に関する事例研究を行った。また、東京都内の個人加盟労働組合を事例として映像機器を用いたアクション・リサーチを行い、その過程で映像作品を共同制作した。こうした作業を通じて、「社会運動と空間」をめぐる争点を整理し、空間的な視角から首都圏におけるアクティヴィズムの諸位相を経験的に明らかにするための論点と素材を提供することが可能となった。2010年度(平成22年度)においては、越境移住者が集住する公営団地・集会所でのフィールド作業によって得られた「集会所なるもの」の構造と論理について、米国カリフォルニア州サンディエゴの移住者・難民集住地域調査および東京圏の市民活動団体に関する事例調査と空間分析を行い、グローバル化と新自由主義という文脈のもとで事例研究を積み重ねながら考察することによって、その分析視角と知見とを発展・深化させる作業に従事した。具体的には、米国当該地域で活動するNPOやNGOへの参与観察や聞き取りにもとづき、調査者自身の調査過程を対象化しつつ、団体・組織が活動を行う過程で構築される空間を記述・分析した。また、労働・生活基盤の不安定性にともなう「生きがたさ」の低減に取り組む首都圏の労働/生存組合について、複数の組合が拠点をかまえる空間の形成過程を団体のキーパーソンへの聞き取りをもとに明らかにした。そして、この拠点空間の形成過程で生じた担い手の経験と労働組合の「再発見」というダイナミズムの存在を指摘した。上記の作業は、現代社会における「かけこみ寺」や「居場所」といった空間・場所がもつ、多層的な構造や錯綜する複数の論理をとらえるとともに、現代都市社会における「生存」の問題群に対して、「社会運動と空間」という視角から照射した知見を提供するという意義をもっている。来たるべき「社会」生成の一端を担うアクティヴィズムの動態と集合性をとらえるにあたって、空間・場所という視角がもつ射程を明らかにした点に、本研究の重要性があったと考えている。
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KAKENHI-PROJECT-09J05181
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https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-09J05181
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近縁種間における生殖隔離の成立と維持機構の研究
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2013年度の最も大きな成果は、研究対象としている陸産貝類2種(ヒメマイマイとエゾマイマイ)の強力な捕食者であるオサムシ類(エゾマイマイカブリ,オオルリオサムシ)を用いて摂餌実験を遂行し、有益な結果を得ることができたことである。作年度までの研究から、2種の陸産貝類は北海道内において同所的に生息するだけでなく、マイクロハビタット利用すら重複しているということが示されており、それ故、2種の陸産貝類がどのようにして別属の種として記載されるほどに大きな殻形態の種間差を保持しているのかを生息環境の違いから説明できないでいた。その代替仮説として提案したのが、捕食者ー被食者間相互作用による、陸産貝類の種分化および表現型の多様化、という仮説であった。それを示すためには、どうしても捕食者であるオサムシ類を2種の陸産貝類に対峙させる必要があったが、これまでその実験は、十分な数のオサムシ類を採集できなかったために見送られてきた。それを実行できたというだけで、大きな成果があったとして良いだろう。さらに、サハリン島とロシア極東部のサンプルをも使って、統計的手法を用いた殻形態の解析を行ったことによって、島嶼(北海道・サハリン島)で見られるオナジマイマイ科陸産貝類種群の殻形態の多様化が、大陸(ロシア極東域)でも同様に見られるということを明らかにした。さらに、それらの個体を用いて詳細な分子系統学解析を行った結果、東北アジア地域のオナジマイマイ科陸産貝類の北方種群は島嶼(北海道・サハリン島)種群と大陸(ロシア極東部)種群に系統的に大きく分けられるということが強く示唆された。これはつまり、同様の殻形態の多様化のパターンが、島嶼と大陸において独立に2回生じたということを示している。北半球に広く分布するトゲウオや東アフリカの古代湖に生息するシクリッドに代表される反復適応放散の新たな例である可能性が高い。(抄録なし)今年度は、研究対象としている陸産貝類の近縁種2種を実験室下で交配させるための人工授精の実験を主に行った。そのためのサンプルを野外で大量に採集するために、フィールドワークに重きを置いた。それらの飼育をしながら実験系の確立を目指した。未だ交雑個体を観察するには至っていないが、取り出した精子を人工的に陸産貝類の体内に注入した際の挙動を観察し、陸産貝類の生殖器官にある粘液腺と呼ばれる器官から抽出した液体を体内に入れることで、生殖器官が注入した精子を受け入れるように反応を変えるとこことを、対象2種の陸産貝類で発見した。さらに上記2種に近縁なグループに属する別種を野外で採集し、より網羅的で詳細な研究対象種の種間・個体群間の系統関係を推定することに成功した。その結果、特に殻の形態的特徴の大きく異なる2種が互いに最も近縁な関係にあり、現在は種間の遺伝的な交流は見受けられないものの、近年まで交雑していた可能性を示唆した。また、当初の予想通り、対象2種が急激に形態を変化させ、種分化した可能性が示唆された。その成果を、2011年7月に国際学会SMAE(Annual Conference of Society fro Molecular Biology and Evolution)で「Extreme morphological change: an example of two land snails in Hokkaido, Japan」というタイトルでポスター発表をした。さらに、この成果に基づいた論文を現在執筆中である。これまでの研究で扱った、主に北海道内の研究対象2種の陸産貝類、ヒメマイマイとエゾマイマイについて、網羅的かつ詳細な種間・個体群間の系統関係を推定した論文を執筆した。現在、投稿中である。その成果を国内の二つの学会で発表した(日本貝類学会平成24年度大会・東京・2012年4月,日本生態学会第60回大会・静岡・2013年3月)。さらに、北海道内に留まらず、北海道で対象としている種類の近縁種が分布するサハリンや極東ロシアでサンプリングを行うことができ、多くの有用なサンプルを採集することができた。特に極東ロシアで得られた陸貝は、北海道内と同様の3パターンの殻形態を示し、しかも、核とミトコンドリアDNAを解析した結果、それぞれが近縁であることが示唆された。これは、北海道内で見られる殻形態の多様化と同等のメカニズムによって極東ロシアの陸貝の殻形態が多様化した可能性を示唆するものである。独立に複数回起こるイベントは、科学的に重要な意味を持つ可能性がある。特にそのイベントが偶然では説明できないほど珍しいものであればなおさらである。北海道と極東ロシアで同様の進化のイベントが独立に起こったという可能性は、何らかの選択圧によって急激な形態の変化が生じたという仮説を強く指示する。今後より具体的な実験を行い、選択圧の特定を目指す予定である。このように本年度は、研究対象種の生物地理学的な背景や、進化について、多くの知見を得ることができた。これらのサンプルについては、これからさらに詳しく遺伝的・形態的な特徴を調べる予定であり、今後のさらなる成果が期待できる。これらの知見は、東アジア地域の生物相の起源を解明する上で非常に大きな貢献をなすと考えられる。2013年度の最も大きな成果は、研究対象としている陸産貝類2種(ヒメマイマイとエゾマイマイ)の強力な捕食者であるオサムシ類(エゾマイマイカブリ,オオルリオサムシ)を用いて摂餌実験を遂行し、有益な結果を得ることができたことである。
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KAKENHI-PROJECT-11J06453
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https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-11J06453
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近縁種間における生殖隔離の成立と維持機構の研究
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作年度までの研究から、2種の陸産貝類は北海道内において同所的に生息するだけでなく、マイクロハビタット利用すら重複しているということが示されており、それ故、2種の陸産貝類がどのようにして別属の種として記載されるほどに大きな殻形態の種間差を保持しているのかを生息環境の違いから説明できないでいた。その代替仮説として提案したのが、捕食者ー被食者間相互作用による、陸産貝類の種分化および表現型の多様化、という仮説であった。それを示すためには、どうしても捕食者であるオサムシ類を2種の陸産貝類に対峙させる必要があったが、これまでその実験は、十分な数のオサムシ類を採集できなかったために見送られてきた。それを実行できたというだけで、大きな成果があったとして良いだろう。さらに、サハリン島とロシア極東部のサンプルをも使って、統計的手法を用いた殻形態の解析を行ったことによって、島嶼(北海道・サハリン島)で見られるオナジマイマイ科陸産貝類種群の殻形態の多様化が、大陸(ロシア極東域)でも同様に見られるということを明らかにした。さらに、それらの個体を用いて詳細な分子系統学解析を行った結果、東北アジア地域のオナジマイマイ科陸産貝類の北方種群は島嶼(北海道・サハリン島)種群と大陸(ロシア極東部)種群に系統的に大きく分けられるということが強く示唆された。これはつまり、同様の殻形態の多様化のパターンが、島嶼と大陸において独立に2回生じたということを示している。北半球に広く分布するトゲウオや東アフリカの古代湖に生息するシクリッドに代表される反復適応放散の新たな例である可能性が高い。研究の遂行にあたり、まずは研究対象としている北海道に生息する北方系のオナジマイマイ科種群の詳細な種間・個体群間の系統関係を推定する必要があった。しかし、そのためには、非常に採集の難しい種を入手する必要があり、そのことに成功したことが最も大きな進展であった。現在、それらのサンプルを使用した実験を終了し、結果を様々な統計的手法を用いて解析している段階である。系統推定の結果を基に、論文の執筆も開始している。採集が困難なサハリンと極東ロシアのサンプルをこの一年で入手することに成功した。ウラジオストクを拠点に活動するロシア人の研究者との協力体制が整ったことは、今後の研究の進展に大きく貢献するだろう。また、極東ロシアの陸貝においても、これまで行ってきた北海道の陸貝と同様の殻形態の分化が見られ、研究の重要な仮説として挙げている仮説を強く指示する結果が得られてきている。今後は、特に看目している2種、エゾマイマイとヒメマイマイの人為交配による中間の形態的特徴をもつ雑種の作成と、それを用いた実験を予定している。しかし、これまでもその実験を試みては見たものの成功させられていないため、人工的に精子を体内に送り込むことにより受精を成立させる人工授精を試みる予定である。また、雑種を作成する目的の一つに、形態的特徴を規定する遺伝子の特定が挙げられるため、そもそも雑種を作るという方法ではなく、次世代シーケンサーを用いた解析をも考慮にいれ、より現実的な方法を模索したい。2013年度は、博士課程最後の年として、これまであまり良い結果が得られていない、オサムシ類を用いた仮説検証の実験に重点を置く予定である。それによって陸産貝類の形態の多様化をもたらした究極要因を解明できると考えられる。
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KAKENHI-PROJECT-11J06453
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https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-11J06453
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血栓症における過凝固症の早期診断ならびに発症機構の解明
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血栓症発症時には止血系分子マーカーの著しい変動とともに凝固阻害因子の低下が認められ、これらのマーカーは血栓症診断以外にも予後や治療効果の予測にも有用と考えられた。Protein S徳島などの遺伝性血栓性素因ならびに遺伝子異常のない二次性凝固阻害因子低下が、血栓症患者で高頻度に認められた。術後の抗凝固療法時の止血系マーカーのモニターから、抗Xa活性というよりは線溶能の亢進が大量出血の原因として重要と考えられた。血栓症発症時には止血系分子マーカーの著しい変動とともに凝固阻害因子の低下が認められ、これらのマーカーは血栓症診断以外にも予後や治療効果の予測にも有用と考えられた。Protein S徳島などの遺伝性血栓性素因ならびに遺伝子異常のない二次性凝固阻害因子低下が、血栓症患者で高頻度に認められた。術後の抗凝固療法時の止血系マーカーのモニターから、抗Xa活性というよりは線溶能の亢進が大量出血の原因として重要と考えられた。・また、血栓症予防に低分子ヘパリンやフォンダパリヌクスなどが投与されている症例を集め、経日的にTAT、D-dimer、SF、PIC、F1+2などを測定したところ、抗凝固療法のモニターとしてSFやD-dimerなどが有用である可能性が示唆された。・DVT、PE発症時に生理的プロテアーゼ阻害因子であるAT、protein C(PC)、protein S(PS)を測定し、多数のAT、PC、PS低下例が認められた。これらのAT、PC、PS低下症のうち、遺伝子解析により二次性の低下が考えられる症例が、AT 20%、PC 5%、PS 50%に認められた。今後症例数を増やして、生理的プロテアーゼ阻害因子の二次的低下の意義、ならびにその機序について検討する予定である。血漿中のTF抗原量は、DICならびにDVT/PE例で著しく高値であった。・血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)の診断にはADAMTS13が有用である成績が得られた。・播種性血管内凝固(DIC)、深部静脈血栓症(DVT)/肺塞栓症(PE)、脳静脈洞血栓症(CST)などの血栓症で、止血系分子マーカーが著しい高値であるが、血栓症の病態や基礎疾患によりこれらのマーカーの変動は異なり、基礎疾患ならびに病態別のカットオフ値の設定が必要と考えられた。・低分子ヘパリンやフォンダパリヌクスなどの投与症例に対して、経日的に止血系マーカーや抗Xa活性をモニターして、血栓や出血などの予防にこれらの薬剤が有用であることを確認するとともに、これらの止血系モニターが患者のフォローに有用であることが示唆された。・血漿中の組織因子(TF)抗原量ならびに白血球中のmessenger RNA量は、DICならびにDVT/PE例で著しく高値であり、TFのモニターが血栓症の診断ならびにモニターに有用と考えられた。・感染症によるDIC患者の検討では、死亡群で可溶性フィブリン(SF)が有意に高値であり、SFがトロンボモジュリン(TM)製剤やAT製剤の治療効果の判定に有用である可能性が示唆された。・血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)の診断にはADAMTS13やVWFppが有用である成績が得られた。播種性血管内凝固(DIC)、深部静脈血栓症(DVT)/肺塞栓症(PE)、脳静脈洞血栓症(CST)などの血栓症で、止血系分子マーカーが著しい高値であるが、血栓症の病態や基礎疾患によりこれらのマーカーの変動は異なり、基礎疾患ならびに病態別のカットオフ値の設定が必要と考えられた。最も鋭敏なマーカーは可溶性フィブリン(SF)であり、最も安定なマーカーはD-dimerであった。・低分子ヘパリンやフォンダパリヌクスなどの投与症例に対して、経日的に止血系マーカーや抗Xa活性をモニターして、血栓や出血などの予防に止血系モニターが有用であることが示唆された。術後の出血には抗Xa活性のみでなく、線溶能の亢進が重要であった。・DVT、PE、CST発症時には、antithrombin(AT)、protein C(PC)、protein S(PS)などの低下例が認められた。これらのAT、PC、PS低下症のうち、遺伝子解析により二次性の低下が考えられる症例が高頻度に認められた。また、特にCSTでは遺伝性の血栓性素因の頻度が高かった。さらに、PS徳島は日本人に特有な血栓性素因と考えられた。・血漿中の組織因子(TF)抗原量ならびに白血球中のmessenger RNA量は、DICならびにDVT/PE例で著しく高値であり、TFのモニターが血栓症の診断ならびにモニターに有用と考えられた。TFの増加は炎症反応など白血球の活性化に関連していた。・血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)の診断には、ADAMTS13の著しい低下やVWFppの著しい増加が有用である成績が得られた。また、活性化血小板のマーカーとして、血小板膜糖蛋白GPVIの測定も有用と考えられる。
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KAKENHI-PROJECT-21590623
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https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-21590623
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畿内近国小藩領における大庄屋機能の研究-播州福本藩領鵜野金兵衛家の活動を中心にー
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近世播磨国の外様小大名、福本藩池田家領の大庄屋鵜野金兵衛家文書の目録作成と翻刻を行い、あわせて藩主池田家関係史料を収集・分析して、小規模な封建領主支配を支えた大庄屋の役割と機能を公と私の両面から解明した。すなわち福本池田家の家臣団編成や年貢収取に見られる小藩領としての特性と、それに対応した大庄屋の在り方や領域を超えた経済活動、さらには幕府の広域行政との関わり、さらには畿内近国の地域的特性の一端が明らかになった。近世播磨国の外様小大名、福本藩池田家領の大庄屋鵜野金兵衛家文書の目録作成と翻刻を行い、あわせて藩主池田家関係史料を収集・分析して、小規模な封建領主支配を支えた大庄屋の役割と機能を公と私の両面から解明した。すなわち福本池田家の家臣団編成や年貢収取に見られる小藩領としての特性と、それに対応した大庄屋の在り方や領域を超えた経済活動、さらには幕府の広域行政との関わり、さらには畿内近国の地域的特性の一端が明らかになった。本研究は、畿内近国の外様小藩領を素材に、領主支配・地域経済・広域支配を支える存在であった大庄屋の役割について、公と私、行政的役割と経済活動の両面から分析をおこなうものである。近年、地域社会論の中で議論されることの多い大庄屋の役割について、福本藩大庄屋鵜野金兵衛家の分析を通じて、いま一度、支配との関係を確認しようとする試みでもある。それは同時に、これまで本格的に解明されて来なかった播磨国の地域的特性を解明することにつながるものである。本年度は、以下の4点を中心に作業をおこなった。(1)鵜野金兵衛家文書の整理・調査鵜野金兵衛家文書のうち、近世史料の目録作成および大庄屋日記の翻刻作業をおこなった。作業はおもに大学院生等のアルバイトに委託をした。点数が多いため、来年度も継続して目録作成作業をおこなう。(2)福本藩関連古文書の調査鵜野金兵衛家文書以外の福本藩領域の古文書について調査および目録作成をおこなった。これは、福本藩領の主な領地があった兵庫県神崎郡の神河町教育員会と共同作業によるものであり、(1)と同じく点数が多いため、来年度も継続して調査を実施する予定である。(3)福本藩関係文書と鳥取藩(池田家)の文書等の調査福本藩関係文書の調査(国立公文書館・鳥取市歴史博物館)および福本藩の本家鳥取藩の文書調査(鳥取県立博物館・国立国文学研究資料館)をおこなった。(4)研究成果の発表研究代表者と研究分担者が参加し、12ヶ月に1回のペースで研究報告会を開催した。その成果をもとに、2011年3月5日に神河町教育委員会と共催で歴史シンポジウムを開催した。(1)(3)の作業によって、福本藩の藩政や鵜野金兵衛家の大庄屋機能の実態が少しずつ明らかになってきた。引き続き作業をおこない、その成果やシンポジウムの報告内容を踏まえて、論文や研究ノートの執筆を予定している。本研究は、畿内近国の外様小藩領を素材に、領主支配・領域経済・広域支配を支える存在であった大庄屋の役割について、公と私、すなわち行政的役割と経済活動の両面から分析をおこなうとともに、これまで本格的には検討されて来なかった播磨国の地域的特性を解明することを目的にしている。具体的には、1、緻密な古文書調査を通じておこなう大庄屋機能の再検討2、近隣諸藩を視野にいれた播磨国の「総合的な地域像」の構築をめざす。以上の、研究計画にしたがい、平成23年度は、以下の作業を実施した。(1)神河町教育委員会所蔵の福本藩大庄屋鵜野金兵衛家文書のうち、主として近世文書約3000点についての目録作成を終え、「鵜野金兵衛家文書目録(近世編)」を刊行した。また、同家の「大庄屋日記」のうち2冊分の翻刻作業を終えて、3冊目に着手している。(2)福本藩関連古文書の調査研究福本藩池田家の宗家にあたる鳥取藩および岡山藩の池田家の文書調査を鳥取県立博物館(昨年に引き続き2度目)、姫路市城郭研究センターにおいて、また福本藩池田家の飛び地領支配関係資料調査を高砂市の市史編さん課においておこない、そこで収集した史料の分析をもとに播磨地域における外様小藩(交代寄合旗本)福本藩池田家の領主としての特性はある程度、解明できた。(3)研究成果の発表前年度より継続している研究会とシンポジウムの成果をもとに研究代表者、研究分担者、研究協力者のうち3名がそれぞれ論文を作成し、発表した。本研究は、畿内近国の外様小藩領を対象に、領主支配・領域経済・広域支配を支える大庄屋の役割と、播磨国の地域的特性を解明することを目的として、おもに播磨国福本藩(池田家)の大庄屋、鵜野金兵衛家文書の調査・分析を中心に福本藩領域村々の古文書調査と、藩主池田家関係史料の調査を行ってきた。平成24年度の研究実績は以下の通りである。(1)鵜野金兵衛文書のうち「天保十五年御領分御用向諸日記」を翻刻するとともに数次の校訂を加えて印刷・製本し、近畿圏を中心とする日本史研究室のある大学、研究機関、公共図書館と、大庄屋制・地域史・領主制など関連する研究課題をもつ日本史研究者に配布した。
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KAKENHI-PROJECT-22520697
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https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-22520697
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畿内近国小藩領における大庄屋機能の研究-播州福本藩領鵜野金兵衛家の活動を中心にー
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(2)福本池田家の分家、屋形池田家の支配領域で福本領に隣接する兵庫県神崎郡市川町屋形地区の区有文書調査と写真撮影をおこなった。もともと福本藩領として一体であった屋形領が分家の旗本池田家領となった後の領域支配や大庄屋相互の関係、経済領域の一体性などを解明する端緒となる史料を収集することができた。また、岡山大学付属図書館に出張し、鳥取藩と並ぶ、福本池田家のもうひとつ本家に当たる岡山藩池田家の藩政史料の調査を行った。その結果として年貢徴収システムなど藩の領域支配のあり方に、播磨国の他藩領とは異なる池田家としての共通性を見出すことができた。さらに神奈川県逗子市立図書館に出張し、幕末維新期の福本藩主関係文書の調査を行った。(3)年に三回の研究会を実施した。報告や討議をふまえて、研究代表者、研究分担者、研究協力者がそれぞれ論文執筆の予定である。本研究の中心となる、鵜野金兵衛家文書の整理・調査・目録刊行については、順調に進行している。また、福本藩関連古文書の調査についても、ほぼ完了した。すべての古文書の目録の作成や翻刻作業の完成は期間内には困難であるが、当面研究に必要となるものについての調査は完了する見込みである。今後は、研究成果を発表し、さらなる論文作成と史料集の刊行にこぎつける。24年度が最終年度であるため、記入しない。目録化と翻刻をすすめている鵜野金兵衛家文書をもとに、大庄屋としての特質解明の共同研究を進める。さらに本研究をすすめていく過程で、近世小藩領の地域社会において領主支配・領域経済・広域支配を支える存在であった大庄屋機能を解明し歴史的に位置付けるためには、幕末・維新期を経て近代社会にどのような変化を遂げたのかということを含めて研究を進める必要があると感じたため、今後は鵜野金兵衛家文書に多く含まれる明治期以降の近代文書の目録作成をもすすめるとともに、近代史を専門とする研究者を加えて研究を進めたい。24年度が最終年度であるため、記入しない。
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KAKENHI-PROJECT-22520697
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https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-22520697
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パーフルオロ化合物を対象とした超特異的フルオラスLC計測法の開発と応用研究
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パーフルオロオクタン酸(PFOA)などのパーフルオロアルキル化合物(PFC)を対象としたプレカラム蛍光・MS誘導体化LC分析法を開発した。この方法は,ピレン試薬やDMEQ試薬でPFCを誘導体化後,別のPFCが坦持されたLCカラムで分離し,高感度な蛍光法や高選択的なMSで検出するというものである。用いたLCカラムは,「フルオラス」と呼ばれる親フルオロアルキル性の親和性を有するので,PFC構造を持つ化合物のみを特異的に保持することができ,過剰な試薬やマトリクス成分との良好な分離を達成した。フルオラス分離に基づくこの方法は,様々な実試料中PFCの高感度・高選択的分析に有用であると思われる。本研究は,パーフルオロ化合物の分析にフルオラス分離技術を導入し,超高感度・高選択的なLC計測法の確立を目指すものである。パーフルオロ化合物のモデルとして用いたパーフルオロオクタン酸(PFOA)及びフルオロテロマーアルコール(FTOH)に対する,蛍光並びにMS/MS検出を指向した誘導体化分析を企図している。標準品を用いて十分な分析法バリデーションデータを取得した後,可能な限り簡便な前処理法との組合せで,生体,環境や食品などを対象としたパーフルオロ化合物のモニタリングを行う。研究初年度の平成26年度は,フルオラスLC分析に関する原理確認を含め,以下の項目について研究を計画・実施した。(1)PFOA及びFTOHsの誘導体化LC-蛍光分析法の開発:PFOAに対してカルボキシ基選択的な,FTOHsに対してアルコール性水酸基選択的な,各蛍光誘導体化試薬を標識し,それぞれに対してのフルオラスLC分析を行った。フルオラス分離技術の導入により,従来の蛍光誘導体化LC分析法では困難な,過剰試薬と誘導体化物との間でベースライン分離を達成することができ,両化合物の高感度分析が可能となった。(2)PFOA及びFTOHsの誘導体化LC-MS/MS分析法の開発:装置トラブルのために,十分な検討を行うことができず,満足な成果を上げられなかった。(3)フルオラス誘導体化分析法の適用範囲拡充:上記(2)の項目を実施できなかったため,パーフルオロ化合物を分析対象としてではなく,誘導体化試薬として用いるLC分析法の検討を行った。これまでに開発していたフルオラス誘導体化分析法の適用範囲をペプチドや他の生理活性化合物にまで拡充することができ,今後の新たな展開の筋道を切り開くことに繋がった。本研究は,パーフルオロ化合物の分析にフルオラス分離技術を導入し,超高感度・高選択的なLC計測法の確立を目指すものである。パーフルオロ化合物のモデルとして用いたパーフルオロオクタン酸(PFOA)及びフルオロテロマーアルコール(FTOHs)に対する,蛍光検出並びにMS/MS検出を指向した誘導体化分析を企図している。研究2年度目となる平成27年度は,蛍光分析法についてのバリデーションデータの取得と実試料分析への適用実験を含め,以下の項目について研究を計画・実施した。(1)ヒト由来試料中PFOA及びFTOHsの蛍光誘導体化分析:研究初年度に開発した蛍光誘導体化LC法を用いて,標準品に対するバリデーションデータを取得すると共にヒト由来試料中PFOA及びFTOHsの分析法構築を試みた。各種前処理法の導入について検討したところ,逆相系の固相抽出法を用いたとき,最も操作性,再現性や回収率が良かった。さらに健常人血清試料の分析を行ったところ,複数人から極微量のPFOAが検出された。(2)PFOA及びFTOHsの誘導体化LC-MS/MS分析法の開発:いくつかの市販の誘導体化試薬を用いて,PFOA及びFTOHsへの誘導体化反応や得られた誘導体のMSでのイオン化効率を調べた。今年度の検討では,いまだ蛍光法を上回る有効な試薬は見いだせていない。(3)フルオラス分析技術の適用範囲拡充:上記(2)で十分な成果を上げられなかったため,フルオラス化合物を分析対象としてではなく,分析を補助する試薬として用いる分析技術の検討を行った。誘導体化を必要としない,フルオラスイオンペア抽出法やフルオラス金属キレート抽出法を開発することができ,今後の研究における新たな展開のための橋頭堡を築くことに成功した。本年度の研究項目として,パーフルオロ化合物に対する誘導体化LC分析法について,当初,(1)ヒト由来試料中PFOA及びFTOHsの蛍光誘導体化分析,(2)PFOA及びFTOHsの誘導体化LC-MS/MS分析法の開発,を企図していた。連携研究者からの多大なる協力を得たことで,(1)の内容について極めて良好なペースで進めることができ,計画以上の成果を上げることができた。しかしながら,(2)の内容について満足のいく成果を上げることができず,こちらはやや遅れていると判断せざるを得ない。一方,当初計画していなかった(3)フルオラス分析技術の適用範囲拡充,に関するいくつかの基礎検討を追加で行うことができた。計画以上の成果と不十分な面が混在しているが,新たな研究の筋道も見出すことができたことより,現在までの進捗状況としては「おおむね順調に進行している」と判断する。本研究は,パーフルオロアルキル化合物の分析にフルオラス分離技術を導入し,超高感度・高選択的なLC計測法の確立を目指すものである。
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KAKENHI-PROJECT-26460182
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https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-26460182
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パーフルオロ化合物を対象とした超特異的フルオラスLC計測法の開発と応用研究
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パーフルオロアルキル化合物のモデル化合物として用いたパーフルオロオクタン酸(PFOA)及びパーフルオロテロマーアルコール(FTOHs)に対する,蛍光検出並びにMS/MS検出を指向した誘導体化分析を企図している。研究3年度目となる平成28年度は,以下の項目について研究を計画・実施した。(1)PFOA及びFTOHsの誘導体化LC-MS/MS分析法の開発:いくつかの市販の誘導体化試薬を用いて,PFOA及びFTOHsへの誘導体化反応や得られた誘導体のMSでのイオン化効率及びLC分離条件を詳細に検討した。今年度の検討でも,前年度同様,蛍光分析法を上回る有効な試薬を見出すことができなかった。(2)各種実試料中PFOA及びFTOHsの高選択的計測:平成27年度までに開発したプレカラム蛍光誘導体化LC法を用いて,ヒト血清試料及び水道水試料の分析を行った。多くのヒト血清から極微量のPFOAが検出されたのに対し,水道水中のPFOA及びFTOHsは定量下限値以下だった。(3)フルオラス分離技術の新規分析科学的研究:上記(1)で十分な成果を上げられなかったため,フルオラス化合物を分析対象としてではなく,分析を補助する試薬として用いる分析技術の検討を行った。フルオラス誘導体化法やフルオラス金属キレート抽出法の適用範囲を更に拡充することができ,今後の新たな研究の足がかりを構築することに成功した。本年度の研究項目として,パーフルオロアルキル化合物に対する誘導体化LC分析法について,当初,(1)PFOA及びFTOHsの誘導体化LC-MS/MS分析法の開発,(2)各種実試料中PFOA及びFTOHsの高選択的計測,を企図していた。連携研究者からの多大なる協力を得たことで,(2)の内容について十分な成果を上げることができた。しかしながら,(1)の内容について満足な成果が得られておらず,研究が遅れていると判断せざるを得ない。一方,当初計画していなかった(3)フルオラス分離技術の新規分析科学的研究,に関するいくつかの知見を得ることに成功した。研究計画に対して不十分な面(1)と十分な面(2)が共存しているが,研究経費を全額執行できなかったことからも,現在までの進捗状況としては「やや遅れている」と受け止めるべきであろう。本研究は,パーフルオロアルキル化合物の分析にフルオラス分離技術を導入し,超高感度・高選択的なLC計測法の確立を目指すものである。代表的なパーフルオロアルキル化合物であるパーフルオロオクタンスルホン酸が利用できないため,今回のモデル化合物として用いたパーフルオロオクタン酸及びパーフルオロテロマーアルコールに対する,蛍光検出並びにMS/MS検出を指向した誘導体化分析を企図している。研究期間の延長が認められた平成29年度は,LC-MS/MSを用いて以下の項目について研究を実施した。(1)パーフルオロオクタン酸及びパーフルオロテロマーアルコールの誘導体化-LC-MS/MS分析法の開発:市販の各種誘導体化試薬(カルボン酸標識用並びにアルコール性水酸基標識用)を用いて,パーフルオロオクタン酸及びパーフルオロテロマーアルコールへの誘導体化反応や,得られた誘導体のMSやMS/MSでのイオン化効率及びLC分離条件を詳細に検討した。今年度の検討でも,前年度までと同様,蛍光誘導体化分析法で得られた結果を凌駕する試薬・方法を見出すことができなかった。(2)フルオラス分離技術の新規分析
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KAKENHI-PROJECT-26460182
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https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-26460182
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ヒト21番染色体DNAの制限酵素地図の作成
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家族性アルツハイマ-病の一要因として、染色体21番q21バンド上の遺伝子が関与することが示されている。この知見を分子レベルまでもっていくことを目標とする。本課題では特にNotIーリンキングクロ-ンを用いてのq21バンド領域の物理地図の作製と、これをベ-スとした近接広領域DNAのクロ-ン化と物理地図(制限酵素地図)の作製に力点を置く。ヒト由来の染色体として21番染色体のみを有するヒトーマウス雑種細胞を材料として、ヒトAlu配列断片をプロ-ブとしハイブリダイゼ-ションを行ったところ約40本のバンドが検出された。40本のNotI断片の全長は35メガ塩基対であり、これは21番染色体の全長のほぼ70%に相当する。以上の知見をもとに、地図づくりは、NotI消化ゲノムDNAをパルスフィ-ルドゲル電気泳動で分画し、個々のリンキングクロ-ンをプロ-ブとしてサザンハイブリダイゼイションを行い、それぞれのリンキングクロ-ンが、どのAluバンドとどのAluバンドを連関させれいるかというようにAluバンドを索引として行った。NotIリンキングライブラリ-は、ソ-ティングした21番染色体から調製したDNAを挿入断片として含むランダムファ-ジライブラリ-から選び出したものである。また地図づくりを容易にするため、個々のNotIリンキングクロ-ンにつきin situハイブリダイゼイション法等により、染色体上のどの領域に由来するかを決めた。23個のNotIリンキングクロ-ンを用いて行った解析結果をもとに地図作製を行い、21番染色体長腕の約1/2に相当するセントロメアからバンドq21の領域のNotI制限酵素地図を作製した。またこの地図上に汎用されているDNAマ-カ-、D21S16、D21S13、D21S26、D21S46、D21S4、D21S52、D21S1、D21S11、D21S8、APP及びD21S82の11個を正確にマップした。家族性アルツハイマ-病の一要因として、染色体21番q21バンド上の遺伝子が関与することが示されている。この知見を分子レベルまでもっていくことを目標とする。本課題では特にNotIーリンキングクロ-ンを用いてのq21バンド領域の物理地図の作製と、これをベ-スとした近接広領域DNAのクロ-ン化と物理地図(制限酵素地図)の作製に力点を置く。ヒト由来の染色体として21番染色体のみを有するヒトーマウス雑種細胞を材料として、ヒトAlu配列断片をプロ-ブとしハイブリダイゼ-ションを行ったところ約40本のバンドが検出された。40本のNotI断片の全長は35メガ塩基対であり、これは21番染色体の全長のほぼ70%に相当する。以上の知見をもとに、地図づくりは、NotI消化ゲノムDNAをパルスフィ-ルドゲル電気泳動で分画し、個々のリンキングクロ-ンをプロ-ブとしてサザンハイブリダイゼイションを行い、それぞれのリンキングクロ-ンが、どのAluバンドとどのAluバンドを連関させれいるかというようにAluバンドを索引として行った。NotIリンキングライブラリ-は、ソ-ティングした21番染色体から調製したDNAを挿入断片として含むランダムファ-ジライブラリ-から選び出したものである。また地図づくりを容易にするため、個々のNotIリンキングクロ-ンにつきin situハイブリダイゼイション法等により、染色体上のどの領域に由来するかを決めた。23個のNotIリンキングクロ-ンを用いて行った解析結果をもとに地図作製を行い、21番染色体長腕の約1/2に相当するセントロメアからバンドq21の領域のNotI制限酵素地図を作製した。またこの地図上に汎用されているDNAマ-カ-、D21S16、D21S13、D21S26、D21S46、D21S4、D21S52、D21S1、D21S11、D21S8、APP及びD21S82の11個を正確にマップした。
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KAKENHI-PROJECT-02240216
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https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-02240216
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在宅神経難病者における呼吸障害看護評価に関する研究
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本研究は、訪問看護師が、在宅神経難病療養者の呼吸障害の程度を正確に把握するための観察項目や非侵襲的呼吸モニター機器である経皮的二酸化炭素分圧測定(以下tcPCO_2)、経皮的動脈血酸素飽和度測定(以下SpO_2)等の使用法の注意点やその測定値と対応すべき治療を知り、的確に医師と連携する方法及び看護の方策について検討することを目的に行った。研究倫理委員会の承認を得て、多系統萎縮症療養者3人、Becker型筋ジストロフィー療養者1人を対象に、tcPCO_2やSpO_2等の定期的な測定を行い、測定結果の利用の仕方について医師や訪問看護師、療養者・家族と検討した。その結果、以下のように夜間睡眠時等の定期的な非侵襲的呼吸モニター機器での測定は、呼吸障害の進行程度の予測や、医療処置選択の時期、医療処置の終了に関わる可能性がわかった。1.多系統萎縮症の呼吸障害進行期の場合、日中覚醒時のSpO_2及びtcPCO_2が正常範囲であっても、夜間睡眠時は逸脱した値を示すことがあった。その時期には訪問看護師や理学療法士が四肢の運動機能の低下や嚥下障害、構音障害が顕著に進行しているとアセスメントしている時期と重なることが多かった。夜間睡眠中のSpO_290%以下が全睡眠時間に占める割合が上昇し、tcPCO_2が上昇している時は、医師や訪問看護師は気管切開や人工呼吸療法・非侵襲的換気療法の選択の説明や、今後の療養生活の具体的な説明や提案を行い、療養者・家族は医療処置の選択や、最期の心づもりをしていた。また医師や訪問看護師は、夜間睡眠中のSpO_290%以下の割合がほとんどなくても95%未満の割合があるときは、今後の呼吸障害進行を予測する目安として、呼吸障害の観察を強化していた。2.呼吸障害に循環器障害を合併したBecker型筋ジストロフィー療養者(気管切開、人工呼吸療法)は、循環器障害の軽快により酸素療法の終了時期を、日中及び夜間睡眠中のtcPCO_2、SpO_2、脈拍測定を行い医師が決定した。酸素療法終了により外出しやすくなりQOLが向上した。本研究は、訪問看護師が神経難病患者の呼吸障害の程度を性格に把握するための観察項目や非侵襲的呼吸モニター機器使用法の注意点を明らかにし、その経皮的酸素分圧測定値、経皮的二酸化炭素分圧測定値、経皮的動脈血酸素飽和度測定値と対応すべき治療を知り、的確に医師と連携する方法および看護の方策について検討することを目的としている。平成17年度は以下の項目について研究を進めた。1)本研究における研究倫理を検討し、研究者の所属する組織の研究倫理委員会の承認を得た。2)経皮的二酸化炭素分圧測定による呼吸障害を把握が有効と考えられる疾患の検討を行った。3)文献検討に基づきデータ収集項目の細目の検討を行った。4)現在、医療機関内での測定用に製造されている経皮的二酸化炭素分圧測定器を、訪問看護で使用できるよう整備すべき点の検討を行った。5)在宅神経難病者の経皮的二酸化炭素分圧測定を含む測定、調査を行った。特に、4)については、(1)測定・解析に必要な環境整備、(2)訪問先への搬送方法、(3)測定時間、(4)測定センサーの工夫(生体との接触点やセンサーコードの自由度の工夫、等)、(5)測定場所の整備、(6)生活行動に合わせた測定方法、(7)データの転送方法、(8)データの保存・蓄積方法、(9)データ解析方法の課題が明らかになり、検討、整備を行った。平成18年度は、引き続き測定、調査を継続し、経皮的二酸化炭素分圧測定器を使用した呼吸障害の把握、これを元に的確に医師と連携する方法を検討する。本研究は、訪問看護師が、在宅神経難病療養者の呼吸障害の程度を正確に把握するための観察項目や非侵襲的呼吸モニター機器である経皮的二酸化炭素分圧測定(以下tcPCO_2)、経皮的動脈血酸素飽和度測定(以下SpO_2)等の使用法の注意点やその測定値と対応すべき治療を知り、的確に医師と連携する方法及び看護の方策について検討することを目的に行った。研究倫理委員会の承認を得て、多系統萎縮症療養者3人、Becker型筋ジストロフィー療養者1人を対象に、tcPCO_2やSpO_2等の定期的な測定を行い、測定結果の利用の仕方について医師や訪問看護師、療養者・家族と検討した。その結果、以下のように夜間睡眠時等の定期的な非侵襲的呼吸モニター機器での測定は、呼吸障害の進行程度の予測や、医療処置選択の時期、医療処置の終了に関わる可能性がわかった。1.多系統萎縮症の呼吸障害進行期の場合、日中覚醒時のSpO_2及びtcPCO_2が正常範囲であっても、夜間睡眠時は逸脱した値を示すことがあった。その時期には訪問看護師や理学療法士が四肢の運動機能の低下や嚥下障害、構音障害が顕著に進行しているとアセスメントしている時期と重なることが多かった。夜間睡眠中のSpO_290%以下が全睡眠時間に占める割合が上昇し、tcPCO_2が上昇している時は、医師や訪問看護師は気管切開や人工呼吸療法・非侵襲的換気療法の選択の説明や、今後の療養生活の具体的な説明や提案を行い、療養者・家族は医療処置の選択や、最期の心づもりをしていた。
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KAKENHI-PROJECT-17791687
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https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-17791687
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在宅神経難病者における呼吸障害看護評価に関する研究
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また医師や訪問看護師は、夜間睡眠中のSpO_290%以下の割合がほとんどなくても95%未満の割合があるときは、今後の呼吸障害進行を予測する目安として、呼吸障害の観察を強化していた。2.呼吸障害に循環器障害を合併したBecker型筋ジストロフィー療養者(気管切開、人工呼吸療法)は、循環器障害の軽快により酸素療法の終了時期を、日中及び夜間睡眠中のtcPCO_2、SpO_2、脈拍測定を行い医師が決定した。酸素療法終了により外出しやすくなりQOLが向上した。
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KAKENHI-PROJECT-17791687
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https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-17791687
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アンギオゲニンの発現は消化器癌の悪性度を反映し、その発現抑制が癌治療へ応用できる
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胃癌,大腸癌におけるアンギオゲニンの発現動態とその臨床的意義について,平成12年度平成14年度科学研究費補助金により検討した.血清中のアンギオゲニンの濃度はELISA法,組織中のアンギオゲニン蛋白やそのmRNAの発現については,免疫染色法、In situ hybridization法にて検討した.なおIn situ hybridization法はこれまで報告されておらず,われわれが独自に開発した.胃癌については123例の胃癌患者血清と対照として健常人65例の血清を,大腸癌については94例の大腸癌患者血清と対照として健常人52例の血清を用いた.また組織として,52例の胃癌組織,58例の大腸癌組織および非癌部正常組織を用いた.得られた結果として,癌の進行度に比例して血清中のアンギオゲニンが有意に高値を示すこと,癌組織中のアンギオゲニン蛋白やそのmRNAの発現は非癌部正常組織のそれと比較して増加し,さらにそれが血清中のアンギオゲニンの濃度と比例すること,癌の浸潤先端部でのアンギオゲニンの発現が増強していること,血清中のアンギオゲニンの濃度が術後の無再発期間,術後生存率と有意に逆相関すること,を確認した.これまでアンギオゲニンは蛋白分解酵素としての活性を持つことが報告されており,浸潤先端部でのアンギオゲニンの高発現は癌の浸潤に有利に働き,それが癌の悪性度に反映していることが考えられる.さらに実際の患者の生存率解析から,アンギオゲニンの発現が癌の進行度を反映し,術前の悪性度予測,再発におけるマーカーとして利用できることが示唆された.これらのアンギオゲニンの消化器癌における臨床的意義はこれまで国際的にもまったく報告されておらず,われわれの知見が初めてである.胃癌,大腸癌におけるアンギオゲニンの発現動態とその臨床的意義について,平成12年度平成14年度科学研究費補助金により検討した.血清中のアンギオゲニンの濃度はELISA法,組織中のアンギオゲニン蛋白やそのmRNAの発現については,免疫染色法、In situ hybridization法にて検討した.なおIn situ hybridization法はこれまで報告されておらず,われわれが独自に開発した.胃癌については123例の胃癌患者血清と対照として健常人65例の血清を,大腸癌については94例の大腸癌患者血清と対照として健常人52例の血清を用いた.また組織として,52例の胃癌組織,58例の大腸癌組織および非癌部正常組織を用いた.得られた結果として,癌の進行度に比例して血清中のアンギオゲニンが有意に高値を示すこと,癌組織中のアンギオゲニン蛋白やそのmRNAの発現は非癌部正常組織のそれと比較して増加し,さらにそれが血清中のアンギオゲニンの濃度と比例すること,癌の浸潤先端部でのアンギオゲニンの発現が増強していること,血清中のアンギオゲニンの濃度が術後の無再発期間,術後生存率と有意に逆相関すること,を確認した.これまでアンギオゲニンは蛋白分解酵素としての活性を持つことが報告されており,浸潤先端部でのアンギオゲニンの高発現は癌の浸潤に有利に働き,それが癌の悪性度に反映していることが考えられる.さらに実際の患者の生存率解析から,アンギオゲニンの発現が癌の進行度を反映し,術前の悪性度予測,再発におけるマーカーとして利用できることが示唆された.これらのアンギオゲニンの消化器癌における臨床的意義はこれまで国際的にもまったく報告されておらず,われわれの知見が初めてである.1.大腸癌患者におけるアンギオゲニン発現について.これまで,大腸癌において癌の進行度に比例して血清中のアンギオゲニンが有意に高値を示すことを報告してきたが,その後症例数を増加させ大腸癌患者94例について,術前血清中のアンギオゲニンの濃度をELISA法にて測定するとともに,検討をさらにすすめ癌組織中のアンギオゲニン蛋白やそのmRNAの発現について,免疫染色法,In situ hybridization法にて検討した.対照として52例の健常人血清および大腸癌患者59例の非癌部正常組織を使用した.大腸癌において,癌の進行度に比例して血清中のアンギオゲニンが有意に高値を示し,また,癌組織中のアンギオゲニン蛋白やそのmRNAの発現は非癌部正常組織のそれと比較して増加し,さらにそれが血清中のアンギオゲニンの濃度と比例した.いっぽう,血清中のアンギオゲニンの濃度が術後の無再発期間と有意に逆相関した.これらの結果は,アンギオゲニンの発現が癌の進行度に寄与するという仮説を支持するものであり,現在,患者の生存率のデータを集積中でその解析をすすめているところである.2.胃癌癌患におけるアンギオゲニン発現について.48例の胃癌患者血清,22例の胃癌組織中のアンギオゲニンの発現について,ELISA法,免疫染色法,ウエスタンブロット法により検討した.胃癌においても大腸癌と同様に,血清中および絹織中のアンギオゲニンの発現が健常人血清および非癌部正常組織と比較して有意に増加していることを確認し報告した.胃癌組織中のアンギオゲニンmRNAの発現動態および患者生存率との関係は現在検討中である.1.大腸癌におけるアンギオゲニン発現は癌の悪性度を反映する.
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KAKENHI-PROJECT-12671206
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https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-12671206
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アンギオゲニンの発現は消化器癌の悪性度を反映し、その発現抑制が癌治療へ応用できる
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大腸癌患者94例,対照として52例の健常人血清について,術前血清中のアンギオゲニンの濃度をELISA法にて測定し,さらに58例の大腸癌組織および非癌部正常組織中のアンギオゲニン蛋白やそのmRNAの発現を免疫染色法およびIn situ hybridization法にて検討した.われわれは,血清中および組織中アンギオゲニン蛋白やそのmRNAの発現と癌の悪性度とが相関することをこれまで確認しているが,さらに癌の浸潤先端部でのアンギオゲニンの発現が増強していることをあらたに観察した.アンギオゲニンは蛋白分解酵素としての活性を持つことが報告されており,浸潤先端部でのアンギオゲニンの高発現は癌の浸潤に有利に働き,それが癌の悪性度に反映していることが考えられる.さらにわれわれは血清中のアンギオゲニンの濃度が術後の無再発期間,術後生存率と有意に逆相関したことを確認し,アンギオゲニンの発現が癌の進行度を反映し術前の悪性度予測に貢献できることが示唆された.2.胃癌癌患におけるアンギオゲニン発現について.大腸癌同様胃癌においても癌の進行度とアンギオゲニン発現とが相関することを報告してきたが,さらに症例数を増加させて,123例の胃癌患者および健常人65例の血清中のアンギオゲニン濃度,52例の胃癌組織中のアンギオゲニン蛋白およびmRNAの発現について検討した.胃癌においても,血清中のアンギオゲニンの濃度が術後の無再発期間と有意に逆相関し,さらに術後生存率とも逆相関する傾向があり,この傾向はより進行した症例で顕著であった.したがって胃癌においてもアンギオゲニンの発現が癌の進行度に寄与するという仮説が支持され,現在,患者の術後観察期間のデータを集積中である.1.胃癌におけるアンギオゲニン発現は癌の悪性度を反映する.123例の胃癌患者および健常人65例の血清中のアンギオゲニン濃度,52例の胃癌組織中のアンギオゲニン蛋白およびmRNAの発現について,免疫染色法およびIn situ hybridization法にて検討した.胃癌においても,癌の浸潤先端部でのアンギオゲニンの発現が増強していることをあらたに観察し,さらにアンギオゲニン蛋白とmRNAとの発現の程度も相関していることを確認した.このことは,アンギオゲニンのもつ蛋白分解酵素としての活性が癌の浸潤に有利に働き,それが癌の悪性度に反映していることを示唆していると考えられる.さらに血清中のアンギオゲニンの濃度が術後の無再発期間,術後生存率とも逆相関したことを確認し,アンギオゲニンの発現が癌の進行度を反映し術前の悪性度予測に貢献できることが示唆された.2.マウス発癌モデルにおけるアンギオゲニンの発現.NMU投与マウスにおけるマウス胃発癌実験を遂行し,経時的なマウス胃癌を作成した.マウスのアンギオゲニンに特異的なcDNAプローブを探索し,特異的塩基配列をほぼ決定した.マウス特異的cDNAプローブを作成し,マウス経時的胃発癌と癌組織中のアンギオゲニンの発現動態の相関をmRNAレベルで現在検討中である.
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KAKENHI-PROJECT-12671206
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https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-12671206
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慢性C型肝炎における細胞障害性T細胞誘導不全機序の解析
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§CHC症例のCD8細胞におけるHCV感染動態と細胞周期制御分子の発現1、CD8細胞におけるHCV感染動態CHCの末梢血CD8細胞よりRNAを抽出、HCVプラス鎖、マイナス鎖特異的プライマーを用いたPCRによりHCV感染動態を解析したところ、80%の症例でHCVの存在を認めた。2、HCV陽性CD8細胞の細胞周期動態HCV陽性CD8細胞をHCVペプチドパルスDCで刺激し細胞周期動態をDNA結合蛍光色素を用いFACSによるプロイデイパターン解析により評価したところ多くがS期にあった。3、HCV陽性CD8陽性T細胞における細胞周期制御分子の発現HCV陽性CD8細胞かちRNAを抽出、サイクリンD1-3、CDK4/6、サイクリンE、CDK2、サイクリンAの正の制御因子、CDK4インヒビターのP15、16、18、19、Cip/Kipインヒビターファミリーのp21、p27、p57の遺伝子発現動態を検討したところ、CDK2、サイクリンAの発現が見られたが、HCV陰性CD8細胞でも同様の発現がみられた。4、HCV遺伝子導入T細胞における細胞周期制御分子の発現樹立化ヒトCD8細胞株にHCVコア、NS5AタンパクcDNAを組込んだpcEF39neoプラスミドを用いHCVコア、NS5Aタンパク遺伝子を導入、HCVペプチドパルスDCで刺激した際の細胞周期制御分子の遺伝子発現量を測定したが、細胞周期制御分子の遺伝子発現量はコントロールプラスミドを導入したクローンと比較して変化が見られなかった。以上より、CHCのCD8陽性細胞にはHCV感染が認められるものの、その細胞周期制御分子の発現は非感染細胞と差異がなく、CTL誘導不全の原因とは考えにくいと思われた。なお本研究に用いた検体採取に際しては、患者に説明し本人の承諾を得て実施した。§DCのHLA classI分子によるHCV関連抗原のクロスプレゼンテーションの解析CHC症例のDCをMACS分離システムにより分離し、健常人DCを対照に、DCのアポトーシス細胞貪食細胞としての性状、機能を検討した。DCのclassI分子を介した内在性抗原クロスプレゼンテーションには、未熟DCがCD14、レクチン、インテグリンαVβ5レセプター、SR-A、CD36、C1qR等のスカベンジャーレセプターを介しアポトーシス細胞を貪食する必要がある。そこでCHCのDCの成熟度を反映する分子、貪食機能に関与する分子発現をモノクローナル抗体を用いたFACS解析により検討したところ、CHC症例のDCでは健常人に比し成熟度と関連する分子の発現が軽度増強しているが、貪食機能は有意な差がないことが明らかとなった。また同一症例の生検肝組織より分離した肝細胞を放射線処理しアポトーシスを惹起後にアイソトープラベルしDCと混合培養し貪食能を評価したところ、DCはアポトーシス肝細胞を取り込むことが示された。現在、Inabaらが作製した抗原ペプチドと結合したMHC分子との複合体を認識する特異抗体を用い、貪食によりDCが新たな抗原をMHCにのせ提示するか解析中である。§CHC症例のCD8細胞におけるHCV感染動態と細胞周期制御分子の発現1、CD8細胞におけるHCV感染動態CHCの末梢血CD8細胞よりRNAを抽出、HCVプラス鎖、マイナス鎖特異的プライマーを用いたPCRによりHCV感染動態を解析したところ、80%の症例でHCVの存在を認めた。2、HCV陽性CD8細胞の細胞周期動態HCV陽性CD8細胞をHCVペプチドパルスDCで刺激し細胞周期動態をDNA結合蛍光色素を用いFACSによるプロイデイパターン解析により評価したところ多くがS期にあった。3、HCV陽性CD8陽性T細胞における細胞周期制御分子の発現HCV陽性CD8細胞かちRNAを抽出、サイクリンD1-3、CDK4/6、サイクリンE、CDK2、サイクリンAの正の制御因子、CDK4インヒビターのP15、16、18、19、Cip/Kipインヒビターファミリーのp21、p27、p57の遺伝子発現動態を検討したところ、CDK2、サイクリンAの発現が見られたが、HCV陰性CD8細胞でも同様の発現がみられた。4、HCV遺伝子導入T細胞における細胞周期制御分子の発現樹立化ヒトCD8細胞株にHCVコア、NS5AタンパクcDNAを組込んだpcEF39neoプラスミドを用いHCVコア、NS5Aタンパク遺伝子を導入、HCVペプチドパルスDCで刺激した際の細胞周期制御分子の遺伝子発現量を測定したが、細胞周期制御分子の遺伝子発現量はコントロールプラスミドを導入したクローンと比較して変化が見られなかった。以上より、CHCのCD8陽性細胞にはHCV感染が認められるものの、その細胞周期制御分子の発現は非感染細胞と差異がなく、CTL誘導不全の原因とは考えにくいと思われた。なお本研究に用いた検体採取に際しては、患者に説明し本人の承諾を得て実施した。
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KAKENHI-PROJECT-14770244
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https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-14770244
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統計的推測とその応用
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連続変量を分担する班は定期的に会合をもち討議し研究を行ってきた。神田は多変量解析の一分野である多変量成長曲線(GMANOVA)モデルにおける分散共分散構造が存在する時の考察を行った。完全デ-タに対して分散共分散構造を正定値行列の時、多くの研究者が尤度比検定、同時信頼区間を求めている。一方、観測時点が割と少ない繰り返し測定などに重要と考えられる、その分散共分散構造を自己回帰共分散構造や一様共分散構造を持つ時について、それらの構造を持つ多変量成長曲線モデルの性質を前年度に引き続き調べた。また、予測問題については正定値と自己回帰共分散構造、正定値と一様共分散構造をもつ時の比較をした。この結果は1991年11月の審査で受諾され専門誌に掲載される予定である。さらに応用上、重要かつ取扱いが困難である欠測値を持つ時の自己回帰共分散構造または一様共分散構造のある場合の最尤推定量を求めた。これらの結果については日本数学会秋期総合分科会、および科学研究費によるシンポジウムで口頭発表を行っている。また、研究の途中で新たに発生した問題については次年度以降さらに調べていく予定である。離散型変量を扱う班も定期的に会合をもち討議し共同研究を行ってきた。その成果として横田は約数の分布についての研究を行い、エルデスとグラハムの問題を解決し、さらに現段階では最良な上からの評価を与えることができた。また、短い区間における約数の分布が約数の和の行動について重要な役割を果たしていることも解った。清水池はpytagotean fieldsの概念を一般化したKoziolのnーpytagorean fieldsを研究した。Abstract Witt環の研究とKulaの理論を使うと多くのnーpytagorean fieldsの構造が可能となり、また、nーpytagorean fieldsの群による時徴付け、およびround formとの関連を明らかにした。最後に、補助金による助成に感謝いたします。連続変量を分担する班は定期的に会合をもち討議し研究を行ってきた。神田は多変量解析の一分野である多変量成長曲線(GMANOVA)モデルにおける分散共分散構造が存在する時の考察を行った。完全デ-タに対して分散共分散構造を正定値行列の時、多くの研究者が尤度比検定、同時信頼区間を求めている。一方、観測時点が割と少ない繰り返し測定などに重要と考えられる、その分散共分散構造を自己回帰共分散構造や一様共分散構造を持つ時について、それらの構造を持つ多変量成長曲線モデルの性質を前年度に引き続き調べた。また、予測問題については正定値と自己回帰共分散構造、正定値と一様共分散構造をもつ時の比較をした。この結果は1991年11月の審査で受諾され専門誌に掲載される予定である。さらに応用上、重要かつ取扱いが困難である欠測値を持つ時の自己回帰共分散構造または一様共分散構造のある場合の最尤推定量を求めた。これらの結果については日本数学会秋期総合分科会、および科学研究費によるシンポジウムで口頭発表を行っている。また、研究の途中で新たに発生した問題については次年度以降さらに調べていく予定である。離散型変量を扱う班も定期的に会合をもち討議し共同研究を行ってきた。その成果として横田は約数の分布についての研究を行い、エルデスとグラハムの問題を解決し、さらに現段階では最良な上からの評価を与えることができた。また、短い区間における約数の分布が約数の和の行動について重要な役割を果たしていることも解った。清水池はpytagotean fieldsの概念を一般化したKoziolのnーpytagorean fieldsを研究した。Abstract Witt環の研究とKulaの理論を使うと多くのnーpytagorean fieldsの構造が可能となり、また、nーpytagorean fieldsの群による時徴付け、およびround formとの関連を明らかにした。最後に、補助金による助成に感謝いたします。
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KAKENHI-PROJECT-03640239
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https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-03640239
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小都市・農村生活圏における地域福祉力の活性化システムに関する研究
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現代における満足度の高い福祉の実現は、国の政策を基調とする法定の福祉サービスの提供システムと、これを地域杜会・自治体の特質ある経営で包容し、いかに有効化するかという地域の取り組みに懸かっている。近代主義は、伝統的なコミュニティの働きを否定してきたが、地域が擁しているパワーを再評価して現代的な地域福祉力としていかにエンパワーメントできるか、これが本研究の課題である。四つの課題の中、(1)第一グループでは、地域福祉力水準を評価する指標分析では、既往研究の点検と地域型シュミレーションから、在来の福祉統計指標では満足できない就業、杜会参加などの諸側面を含めた地域福祉力評価の展望を得ることができた。(2)第二グループでは、地域杜会の人的パワーを支援するソーシャルワーカーの育成と言う見地から、この職能の発祥地である米国との研究交流を通じて、現代日本の地域杜会における実在力・潜在力の評価と育成システム構築への基本指針を概念構築した。(3)第三グループでは、住居・地域住環境の福祉的整備が、いかに在宅自立を可能にるか事例研究から実証するとともに、介護予防や入所型施設負担軽減などの杜会的費用効果分析からの有用性を導いた。(4)第四グループでは、国の介護保険制度等を地域独自の福祉政策として包容することのあり方によって地域福祉力水準に大きな差異が生じることを、複数の小都市・農村生活圏自治体行政の比較分析から明らかにしている。いずれの研究も、地域実践・調査に基づき実証的に進めており、さらに持続する必要があるが、地域福祉力をダイナミックに評価できる基本的項目・指標を構造的に明確化することができたのは次段階への重要な成果である。(教育研究グループ)地域福祉リーダー・専門家教育システム研究班では、赤穂・周辺地域における地域福祉力構築の為のリーダー養成の実践を開始した。また、米国出張により、コミュニティ実践及び専門家教育プログラムの情報・資料収集と聞き取り調査を行った。さらに、海外研究協力者の米国West Virginia University Dr.Locke,Dr.Rohmann両教授との研究協議で、州内の小都市・農村地域における地域福祉力構築の為の実践とNPO活動について研究・調査を開始し、来年度のシンポジウム開催と論文化に向け準備を進めている。(住宅環境資源活用グループ)(1)赤穂/西藩地域における家族構成・住宅種別、居住事情の経年的推移を理解できる様に、地域居住のデータベースを作成した。(2)居住福祉の状況を把握する為に、高齢者・障害者の住宅改善ニーズについて、専心地域の調査を行った。(3)地域社会と各種福祉施設及び福祉系大学や事業所が共同する福祉まちづくりの可能性について、情報を収集し現地見学を行った。(資源解析評価システムグループ)地方の小都市・農村圏における地域福祉力を解析評価するシステムの構築を目指し、先ず、地域福祉力を表す指標の検討を行った。すなわち、既存の福祉力関連指標の調査を行い、地域福祉力の指標となるパラメーターを収集・整理し、評価システムに用いる指標の検討と絞込みを実施した。次いで、各指標に関するデータを集め、指標間の関連性を調べ、地域福祉力の総合指標を作成し、さらに、各地の地域福祉力を比較する予定である。(行財政グループ)自治体の基本構想・市制要覧・予算書等をもとにヒアリングを行い、自治体の福祉行政を調査し、高齢者問題・少子化対策の実態を把握した。その際、財政指数、産業構造、高齢化率、住民意識、社会福祉協議会の活動、町内会、婦人会、青年団等のボランティア活動を考察し、自治体独自のユニークな福祉活動を探ってみた。高齢者・女性等の活動と地域の活性化戦略との関連も留意した。現代における満足度の高い福祉の実現は、国の政策を基調とする法定の福祉サービスの提供システムと、これを地域杜会・自治体の特質ある経営で包容し、いかに有効化するかという地域の取り組みに懸かっている。近代主義は、伝統的なコミュニティの働きを否定してきたが、地域が擁しているパワーを再評価して現代的な地域福祉力としていかにエンパワーメントできるか、これが本研究の課題である。四つの課題の中、(1)第一グループでは、地域福祉力水準を評価する指標分析では、既往研究の点検と地域型シュミレーションから、在来の福祉統計指標では満足できない就業、杜会参加などの諸側面を含めた地域福祉力評価の展望を得ることができた。(2)第二グループでは、地域杜会の人的パワーを支援するソーシャルワーカーの育成と言う見地から、この職能の発祥地である米国との研究交流を通じて、現代日本の地域杜会における実在力・潜在力の評価と育成システム構築への基本指針を概念構築した。(3)第三グループでは、住居・地域住環境の福祉的整備が、いかに在宅自立を可能にるか事例研究から実証するとともに、介護予防や入所型施設負担軽減などの杜会的費用効果分析からの有用性を導いた。(4)第四グループでは、国の介護保険制度等を地域独自の福祉政策として包容することのあり方によって地域福祉力水準に大きな差異が生じることを、複数の小都市・農村生活圏自治体行政の比較分析から明らかにしている。いずれの研究も、地域実践・調査に基づき実証的に進めており、さらに持続する必要があるが、地域福祉力をダイナミックに評価できる基本的項目・指標を構造的に明確化することができたのは次段階への重要な成果である。『教育研究グループ』一定の地域実践活動と文献調査に基づき、成人教育を通じた地域組織化の可能性と地域福祉力形成との関連を検討した。
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KAKENHI-PROJECT-11490033
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https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-11490033
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小都市・農村生活圏における地域福祉力の活性化システムに関する研究
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また、地域リーダー・教育プログラムをめぐり、西播磨地域を中心に教育と福祉に関する行政機関、プログラム立案者、学校、社会福祉協議会、福祉関係・市民グループ代表などへのヒアリングを実施し、地域の実態を把握した。アメリカ研究として、地域福祉力形成を支える制度・政策及びソーシャルワーク専門職教育プログラムを検討した。『住居環境資源活用グループ』在宅福祉と訪問介護サービスの基盤となる住環境を改善する支援プログラムの開発をおこなった。すなわち第一に、施設より自宅への移行期における、建築家、理学療法士、工務店、福祉コーディネーターにより編成するチームが、本人・家族との協働で改善を効果的に実現するモデルを開発した。第二に、住環境改善コストの社会経済的効果について予測シュミレーションを行い、リハビリ医療と介護保険制度へ反映させる提案を作成した。『生活圏に置ける地域福祉力資源解析評価システム』高齢者に焦点をあて、官公庁による"生活統計指標"を用いて地域福祉力を測定するモデルを検討し、各地の福祉力を試算し、地域福祉力の比較検討を行っている。(1)先ず、体系的なデータが利用できる都道府県について、「新国民生活選好度調査」を用いて"高齢者にとって豊かな福祉力"を評価するモデルを作成し、都道府県の比較を行なった。(2)次いで、兵庫県下の町村について、データの収集と評価モデルの検討を行なっている。『行財政グループ』当グループは、各地方小都市の地域福祉力の実態調査を行なった。各自治体の当局と民間を代表する社会福祉協議会等を中心に自治体の行財政調査、社協の活動特徴を資料調査とヒアリングで行なった。調査対象としては、本年度は、四国地方としては宿毛市、善通寺市、中国地方としては因島市、御調町、沖縄地方としては名護市、糸満市であり、その実態を行なった。いずれの地域も行財政難であり、民間も資金不足であり福祉活動の苦心がうかがえた。現代における満足度の高い福祉の実現は、国の政策を基調とする法定の福祉サービスの提供システムと、これを地域社会・自治体の特質ある経営で包容し、いかに有効化するかという地域の取り組みに懸かっている。近代主義は、伝統的なコミュニティの働きを否定してきたが、地域が擁しているパワーを再評価して現代的な地域福祉力としていかにエンパワーメントできるか、これが本研究の課題である。四つの課題の中、(1)第一グループでは、地域福祉力水準を評価する指標分析では、既往研究の点検と地域型シュミレーションから、在来の福祉統計指標では満足できない就業、社会参加などの諸側面を含めた地域福祉力評価の展望を得ることができた。(2)第二グループでは、地域社会の人的パワーを支援するソーシャルワーカーの育成と言う見地から、この職能の発祥地である米国との研究交流を通じて、現代日本の地域社会における実在力・潜在力の評価と育成システム構築への基本指針を概念構築した。(3)第三グループでは、住居・地域住環境の福祉的整備が、いかに在宅自立を可能にるか事例研究から実証するとともに、介護予防や入所型施設負担軽減などの社会的費用効果分析からの有用性を導いた。
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KAKENHI-PROJECT-11490033
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https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-11490033
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敗血症性免疫不全対策としての血液浄化療法の意義に関する研究
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敗血症では、CD4+T細胞におけるTregの割合の増加や、末梢血単核球でのIFN-γ産生能の低下を認め免疫不全状態にある。敗血症性ショックに対する治療法としてのポリミキシンB(PLB)固定化カラムによる血液浄化療法は、循環動態の改善のみならず、末梢血Treg細胞、血中IL-10濃度を減少させ、末梢血単核球でのIFN-γ産生能を改善した。その機序としてPLBがNK細胞と直接接することにより、IFN-γ産生能の改善していることが分かった。以上から、PLB固定化カラムによる血液浄化療法は、敗血症性免疫不全からの回復に大きく寄与していることが明らかになった。重症敗血症患者の予後を改善させるうえで免疫不全対策は極めて重要である。そこで本研究では、重症敗血症性免疫不全対策としてポリミキシンB(PLB)固定化カラムによる血液浄化療法(PMX)が有効か否かを免疫担当細胞への直的作用に着目し検討した。検討1:敗血症性ショックにてPMXを行った8例を対象に、施行前、直後に末梢血単核球を採取し、IL-2+IL-12あるいは抗CD3抗体で24時間刺激しIFN-γ、TNF-α産生能を測定した。その結果、IL-2+IL-12刺激によるIFN-γ産生能は有意に改善した。尚、抗CD3抗体刺激では改善しなかった。したがって、PMX治療によりT細胞ではなくNK細胞でのIFN-γ産生能の改善にPMX治療が関与していることが示唆された。検討2:敗血症患者20例の全血を用いてPMXカラムに固定化されているPLBの役割に注目し以下のin vitroの検討を行った。PLBが固定化されている膜と敗血症患者の全血を2時間容器内にて振盪し、検討1と同様の方法にてIFN-γ産生能を測定した(PLB膜群)。比較群としてPLB 50μgを全血に添加し2時間振盪した(PLB添加群)。対照群は無投与群とした(非添加群)。その結果、敗血症患者で低下しているIL-2+IL-12刺激によるIFN-γ産生能は、PLB膜群、PLB添加群で非添加群に比べ有意に改善した。尚、抗CD3抗体刺激でのIFN-γ産生能はPLB膜群、PLB添加群とも改善しなかった。以上の結果から、PMX治療により敗血症患者で低下した末梢血NK細胞でのIFN-γ産生能を改善させうること、またその機序としてPLBが直接作用として働いていることが明らかになった。したがって、敗血症性免疫不全対策としてPMX治療は有効であることが示された。敗血症患者の免疫不全の病態を解析するため、平成27年度までは敗血症患者の末梢血単核球におけるサイトカイン産生能について解析し、単核球のなかでも特にNK細胞のIFN-γ産生能低下が重要であること、さらにポリミキシンB固定化ファイバーによる(PMX)治療にてIFN-γ産生能が回復すること、その機序としてポリミキシンBが重要な役割を果たしている可能性が示唆された。そこで平成28年度からはラットでの敗血症モデル(E. coli投与による)を作成し、小動物用ポリミキシンB固定化カラムによる血液浄化療法の有効性について検討する。新規に作成した敗血症動物モデルにおいて末梢血単核球でのIFN-γ産生能の低下を敗血症患者と同様に再現することとが可能であった。またラットに総頚静脈と大腿静脈にカニュレーションを行い、小動物用カラムを用いて1時間以上体外循環することが可能であった。現在、確立されたラット敗血症モデルでの免疫機能について体外循環前後での変化を解析中である。動物モデルが無事に完成できたため。ラットでの敗血症モデル(E. coli投与による)を用いて、小動物用ポリミキシンB固定化カラムによる血液浄化療法の有用性について、免疫学的視点から検討した。本モデルではヒトでの敗血症性免疫不全においてみられる末梢血単核球でのIFN-γ産生能の低下を再現することが可能であった。また総頚静脈と大腿静脈にカテーテルを挿入し、体外循環を1時間以上継続可能であった。その結果、ラット敗血症モデルにポリミキシンB固定化カラムで1時間対外循環することにより末梢血単核球のIFN-γ産生能を有意に改善することが可能であった。またカラム内の膜を解析したところ、白血球が吸着していることが確認された。次に単核球でのIFN-γ産生能改善効果のメカニズムを明らかにするために、ポリミキシンBの役割について現在検討中である。方法は、敗血症患者の末梢血にポリミキシンBを添加、あるいは小動物カラム内の膜を用いて血液と攪拌させる実験系を確立中である。敗血症では、CD4+T細胞におけるTregの割合の増加や、末梢血単核球でのIFN-γ産生能の低下を認め免疫不全状態にある。敗血症性ショックに対する治療法としてのポリミキシンB(PLB)固定化カラムによる血液浄化療法は、循環動態の改善のみならず、末梢血Treg細胞、血中IL-10濃度を減少させ、末梢血単核球でのIFN-γ産生能を改善した。その機序としてPLBがNK細胞と直接接することにより、IFN-γ産生能の改善していることが分かった。
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KAKENHI-PROJECT-26670795
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https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-26670795
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敗血症性免疫不全対策としての血液浄化療法の意義に関する研究
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以上から、PLB固定化カラムによる血液浄化療法は、敗血症性免疫不全からの回復に大きく寄与していることが明らかになった。臨床検体を用いた検討は順調に進んでいる。しかし、動物を用いた実験的検討はまだ進んでいないため。確立されたラット敗血症モデルでの免疫機能について解析ができれば、実際に小動物用カラムでの循環動態や免疫能の変化について明らかにする。集中治療医学ラットを用いた敗血症モデルでの免疫機能不全の評価とポリミシンB固定化カラムによる血液浄化療法の免疫学的効果についてさらに検討を進める予定である。研究計画の実施が遅れたため。実験計画にある動物実験がまだ進んでいないため。敗血症性免疫不全対策としての血液浄化療法の有用性について動物モデルを用いて継続的に検討する。今年度生じた残金は次年度へ繰り越し、今後行う動物実験等に使用する予定である。
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KAKENHI-PROJECT-26670795
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Subsets and Splits
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