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生体情報に基づいた効率的な床上移動援助動作教育プログラムの開発
本研究の目的は、学生が効率的な床上移動援助動作を理解するための教育プログラムを開発することである。ここでは、床上移動援助動作時にボディメカニクスおよび補助用具を活用する有効性を表面筋電図のような生体情報で示すことを試みた。ボディメカニクス教育および補助用具の使用により、上腕二頭筋と僧帽筋の筋電図積分値が減少することを実験により検出した。これらの実験データに基づき、EMG測定およびWebカメラによる動作分析の体験を通した効率的な床上移動援助動作技術を学ぶ新しい教育プログラムを作成した。アンケートの結果,プログラム内容はボディメカニクスの習得に有効であることが示唆された。本研究の目的は、生体情報に基づく効率的な床上移動援助動作教育プログラムを開発することである。第一段階は、効率的な動作の根拠となる生体データを明らかにし、そのデータを活用した視聴覚教材を作成することである.平成24年度は、根拠となる生体データを得るために実施した実験結果を第11回日本看護技術学会学術集会で発表を行なった。テーマは、「ボディメカニクスと補助用具の活用による床上移動援助動作時の筋電図の変化」、「ボディメカニクスと補助用具の活用による床上移動援助動作時の動作軌跡の変化」で、ボディメカニクス活用後は、上腕二頭筋の値が有意に減少していることや膝関節角度が有意に小さくなっていること、補助用具活用時には、上腕二頭筋・僧帽筋・脊柱起立筋で筋活動の値が小さいことなどを発表した。発表後、日本看護技術研究活動推進委員会より、座長推薦演題に選出され発表内容を論文にまとめ学会誌に報告するよう推奨通知があり、現在、論文にまとめている段階である。しかし、効率的な移動援助動作の根拠となるデータを一般化するには限界があった。信頼性の確保のため対象者を増やす必要があることや動作解析においてマーカーの追跡が不十分であること、福祉用具としてのスライディングシートの選択・使用方法の検討が必要であることなどの研究の課題が浮き彫りとなった。そこで、平成24年度は、実験方法を見直し、筋電図送信機やカメラの個数を増やして実験環境を向上させ、対象者を15名程度とし本実験を開始した。現在、実験を継続中である。本研究の目的は,生体情報に基づく効率的な床上移動援助動作教育プログラムを開発することである。第一段階は,効率的な動作の根拠となる生体データを明らかにし,そのデータを活用した視聴覚教材を作成することである。昨年度に,根拠となる生体データを得るために対象者4名の床上移動援助動作時の筋電図測定と3次元動作解析を行った。しかし,一般化できる信頼性のある生体データを得るには,対象者が少ないことや確実なデータを得るための測定機器が不足していることなどが課題となった。そのため,平成25年度は対象者を13名に増やし,筋電図送信機を4個増やして被験筋の上腕二頭筋・僧帽筋・脊柱起立筋・大腿四頭筋の筋電図測定を片側から両側とした。さらに,Gigカメラを2台から3台に増やして被験者の頭頂部・肩峰部・大転子部・膝部・足首の5か所のマーカー撮影を行い,動作軌跡・関節角度の欠損値がでないようにした。実験の結果,ボディメカニクス活用後は,上腕二頭筋の筋活動の値が有意に減少していること,上腕二頭筋および僧帽筋の左右の値の差がないこと,膝関節角度が有意に小さくなっていること,補助用具活用時には,上腕二頭筋・僧帽筋で筋活動の値が小さいことなどが明らかとなった。この結果をふまえ,ボディメカニクス活用の必要性・補助用具活用による効率性を示す生体データを動作時に同時に映像で示す視聴覚教材を作成し,講義を行った。そして,Webカメラを用いた演習を行った。本研究の目的は、学生が効率的な床上移動援助動作を理解するための教育プログラムを開発することである。ここでは、床上移動援助動作時にボディメカニクスおよび補助用具を活用する有効性を表面筋電図のような生体情報で示すことを試みた。ボディメカニクス教育および補助用具の使用により、上腕二頭筋と僧帽筋の筋電図積分値が減少することを実験により検出した。これらの実験データに基づき、EMG測定およびWebカメラによる動作分析の体験を通した効率的な床上移動援助動作技術を学ぶ新しい教育プログラムを作成した。アンケートの結果,プログラム内容はボディメカニクスの習得に有効であることが示唆された。平成23年度は、ボディメカニクス活用・補助用具活用による効果を筋電図・関節角度の変化などの生体データを動作と共に示し、その動作による効果を視覚情報として示す教材を作成するため、ボディメカニクス・補助用具活用の根拠となる生体データを得ることを目的に以下の実験を行った。臥床患者の水平移動援助動作に焦点をあて,学生4名を被験者として,表面筋電図測定及び画像撮影を行なった。筋電図は多チャンネルテレメータシステム(WEB-1000,日本光電)を用いて記録した。画像撮影は、3次元動作解析システム(library社、Carrot)のGig-カメラ2台で撮影した。その結果、BM指導前後で、上腕二頭筋の値が指導後に有意に減少していたことから、BMの指導前は腕力を使って手前に引いていたが、指導後は重心移動により自分の体重の重みを利用して水平移動していることが裏付けられた。
KAKENHI-PROJECT-23593175
https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-23593175
生体情報に基づいた効率的な床上移動援助動作教育プログラムの開発
また、BMの活用と補助用具の併用で積分値の値がすべての筋で低い値であったことから、BMを活用すること、さらに補助用具の活用が可能な場合にはできるだけ使用することが効率的で負担のかるい動作となることが示唆された。膝関節については、指導後の膝関節の角度が有意に増加していることから、被験者は水平移動を行うために模擬患者に重心を近づけるために、膝を曲げて重心を下げたことが裏付けられた。また、水平移動を終えるまでの膝関節角度の差が有意に大きいことから、膝を曲げて重心を下げて、水平移動を行ったことが裏付けられた。大転子部の移動距離と膝関節の移動距離が有意に短くなっていたことから、効率の良い動きになったことで、移動距離が短縮することが推測できた。研究成果については、平成24年度日本看護技術学会で採択されれば発表する予定である(投稿中)。平成24年度の目標は、生体情報に基づく効率的な床上移動援助動作教育プログラムを開発するための根拠となる生体データを明らかにし、そのデータを活用した視聴覚教材を作成し、教育プログラムを構築することであった。しかし、一般化できる信頼性のある生体データを得るにはまだ不十分であり、さらに実験方法を修正した後、再度実験をすることとなったため、生体データを得る段階にとどまっている。本研究の目的は、生体情報に基づく効率的な床上移動援助動作教育プログラムを開発することである。その第一段階として、平成23年度の計画した目標は以下の3点であった。<目標1>水平移動援助動作におけるボディメカニクス・補助用具の活用時と非活用時の生体データの相違を検討し、ボディメカニクス活用の根拠となる生体データを明らかにする。<目標2>補助用具の使用の有無による生体データの相違を検討し、補助用具活用の根拠となる生体データを明らかにする。<目標3>目標1と目標2の結果を踏まえて、ボディメカニクス活用の必要性・補助用具活用による効率性を示す生体データを動作時に同時に示す視聴覚教材を作成する。本年度の達成は,目標1・2の段階までとなり,目標3については平成23年度に達成すべき目標となった。目標達成が遅れた理由としては,実験の使用機器の変更に伴い実験システムの構築や研究者の使用機器の確実な操作獲得に時間を要したためである。本研究では、生体情報に基づく効率的な床上移動援助動作教育プログラムを開発することが目的である。効率的な床上移動援助動作の根拠となる生体データが一般化されるものでなければならない。そのため、以下の実験方法の見直しを行った。見直したことは、対象者を増やすこと、筋電図送信機を購入し水平移動援助動作時の被験筋測定を上腕二頭筋、僧帽筋、脊柱起立筋、大腿四頭筋の片側(利き手側)から両側(左右)としたこと、被験者の頭頂部、肩峯部、大転子部、膝部、足首の5箇所のマーカーの撮影を、2台から3台にGigカメラを増やし動作軌跡・関節角度の3次元解析が欠損値なく得られること、である。平成25年度は、実験方法の修正を行った後のデータを得て、そのデータを踏まえた教材が作成できることを目指している。本研究の目的を達成するために,平成24年度の目標設定は,<目標3>平成23年度の目標1・2の結果を踏まえて、ボディメカニクス活用の必要性・補助用具活用による効率性を示す生体データを動作時に同時に示す視聴覚教材を作成すること,<目標4>作成した視聴覚教材での講義およびWebカメラを用いた演習・自己練習を組み入れた教育プログラムを構築すること,である。
KAKENHI-PROJECT-23593175
https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-23593175
会計的裁量行動と実体的裁量行動に対する株式市場の反応に関する実証分析
本研究は利益マネジメント(一般に公正妥当と認められた会計原則の枠内で実施される,経営者による意図的な利益の調整)に関するものであり,その手法として会計方法の変更による「会計的裁量行動」と事業活動の変更による「実体的裁量行動」に着目して分析している。研究成果は以下の2点である。第1に,経営者予想利益達成に対する株式市場からのプレミアムは,会計的裁量行動を実施した場合には割り引かれないが,実体的裁量行動を実施した場合にはその一部が割り引かれることを示した。第2に,経営者が業界の平均利益率を達成するために会計的裁量行動と実体的裁量行動を実施したこと,競争が激しいほどこの傾向が強いことを示した。本研究の目的は、利益マネジメントを実施した企業に対して株式市場がどのように反応するかを実証的に解明することである。具体的には、経営者の利益マネジメントに対して、(1)投資家は誤導されているか、(2)認知している投資家は存在するか、(3)情報の非対称性はあるか、を明らかにする。研究実施計画において、本年度は利益マネジメントの水準と株式リターンの関係を調査することで、投資家が誤導されているか否かを調査する計画を立てていた。本年度の研究実績としては、上記の調査を実施するために、最新の関連研究であるAthanasakou et al. (2011)をレビューするとともに、企業の会計データと株式リターン・データの整理を行った。会計データを整理して,企業経営者による会計方法の変更を通じた利益マネジメント(会計的裁量行動)と事業活動の変更を通じた利益マネジメント(実体的裁量行動)の水準を推計した。株式リターン・データについては,分析に必要な異常株式リターンを算定するためのプログラムを作成中である。参考文献本研究の目的は,利益マネジメントを実施した企業に対して株式市場がどのように反応するかを実証的に解明することである。具体的には,経営者の利益マネジメントに対して,(1)投資家は誤導されているか,(2)認知している投資家は存在するか,(3)情報の非対称性があるか,を明らかにすることである。研究実施計画において,本年度は利益マネジメントと決算発表日前後の株式取引高の関係を調査することで,認知している投資家が存在するか否かを検証する計画を立てていた。一方で,近年,米国や英国においては,株式市場が前期利益やアナリスト予想利益といった利益ベンチマークを達成した企業の株式にプレミアムを付していること,利益マネジメントを実施して利益ベンチマークを達成した企業に対しては当該プレミアムを割り引くことが明らかされており,わが国においてもこの観点からの検証が必要であると考えた。そこで,本年度は,日本の上場企業を対象として,利益ベンチマークを達成した企業が,利益ベンチマーク未達成企業よりも株式市場から高い評価を受けるか否か,利益マネジメントを実施して利益ベンチマークを達成した場合に,利益ベンチマーク達成に対する株式市場からの高評価が割り引かれるか否か,を検証した。利益ベンチマークとして利益額ゼロ,前期利益,経営者予想利益に焦点を当て,利益マネジメントの手段として会計発生高の調整と実体的裁量行動(売上高操作,裁量的費用の削減,過剰生産)に着目した。分析の結果,利益ベンチマークをわずかでも達成した企業が,利益ベンチマーク未達成の企業よりも市場から高い評価を受けることが示唆された。また,経営者予想利益達成に対する株式市場からの高評価は,実体的裁量行動を実施した場合に割り引かれることも示唆された。本研究の目的は,利益マネジメントを実施した企業に対して株式市場がどのように反応するかを実証的に解明することである。研究実施計画において,本年度は利益マネジメントに情報の非対称性があるか否かを検証する計画を立てていた。一方で,近年,米国や英国の先行研究では,株式市場がアナリスト予想利益の達成に対してリウォードを付与するが,利益マネジメントを通じたアナリスト予想利益の達成に対しては当該リウォードを割り引くことが示唆されている。そこで,日本の上場企業を対象に,利益マネジメントを通じた経営者予想利益の達成に対する株式市場の反応を昨年度から調査していた。利益マネジメントの手法としては,会計方法の変更による会計的裁量行動と事業活動の変更による実体的裁量行動に着目した。実体的裁量行動に対する株式市場の反応については未解明の部分が多く,研究の必要性が高い。分析の結果,会計的裁量行動を通じた経営者予想利益の達成に対して,当該リウォードは割り引かれないことが示唆された。一方で,実体的裁量行動を通じた経営者予想利益の達成に対して,当該リウォードは割り引かれるが依然として残ることも示唆された。このことは,株式市場が利益マネジメント,特に会計的裁量行動に誤導された可能性を暗示する。本分析の証拠は,投資家に有益な情報を提供できる点で重要である。また,株式市場がどのような利益ベンチマークに着目するかを先行研究で検討していくうちに,産業平均利益率との比較を通じて企業を評価しているのではないかと考えた。そうした状況において,経営者には産業平均利益率を達成するインセンティブがある。そこで,経営者が産業平均利益率を達成するために利益マネジメントを実施しているとの仮説を設定し,当該仮説を支持する結果を得た。競争が激しい産業に属する企業ほど産業平均利益率達成のための利益マネジメントを実施することも示唆した。本研究は利益マネジメント(一般に公正妥当と認められた会計原則の枠内で実施される,経営者による意図的な利益の調整)に関するものであり,その手法として会計方法の変更による「会計的裁量行動」と事業活動の変更による「実体的裁量行動」に着目して分析している。研究成果は以下の2点である。
KAKENHI-PROJECT-25780288
https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-25780288
会計的裁量行動と実体的裁量行動に対する株式市場の反応に関する実証分析
第1に,経営者予想利益達成に対する株式市場からのプレミアムは,会計的裁量行動を実施した場合には割り引かれないが,実体的裁量行動を実施した場合にはその一部が割り引かれることを示した。第2に,経営者が業界の平均利益率を達成するために会計的裁量行動と実体的裁量行動を実施したこと,競争が激しいほどこの傾向が強いことを示した。当初の研究の目的とは,観点がやや異なるが,利益ベンチマークを達成した企業に対する株式市場の反応は重要な検証課題である。本年度は利益ベンチマーク達成の観点から,会計的裁量行動と実体的裁量行動に対して株式市場の反応を明らかにすることができた。このことから,「おおむね順調に進展している」ということができる。財務会計来年度は,本年度の研究結果を洗練させるために,学会等で積極的に報告を行う。そのうえで,より多くの研究者に研究成果を発信するために,論文を執筆し,学術雑誌に投稿する。研究実施計画において、本年度は利益マネジメントの水準と株式リターンの関係を調査することで、投資家が誤導されているか否かを調査する計画を立てていた。実際には、先行研究のレビューとデータ整理を行ったが、最終的な調査結果を示すことができていない。そのため、現在の達成度としては「やや遅れいている。」と言わざるを得ない。当初予定よりも学会に出席する回数が少なく,旅費の支出が少ないためである。現段階では、最終的な調査結果を示すことができていない。今後の研究を推進するためには、株式リターン・データを早急に整理し、異常株式リターンを算定しなければならない。データの整理にはプログラミングが必要である。今後の研究の推進方策として、周囲の研究者から積極的に意見を求め、プログラムを効率的に作成する予定である。次年度においては,本年度以上に積極的に学会に参加する予定であり,そのための旅費として使用する。当初、金融データソリューション社の『上場株式日次リターンデータ』を予定していたが、予算の関係でより安価な同社の『上場株式月次リターンデータ』を購入したことが大きな理由である。次年度使用額と来年度予算を合わせて金融データソリューション社の『上場株式日次リターンデータ』を購入する予定である。それによって、『上場株式月次リターンデータ』だけでは実施できないより詳細な研究を実施する。
KAKENHI-PROJECT-25780288
https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-25780288
アデノウイルス受容体CARと相同性を有する可溶性新規タンパク質sCARの機能解析
高効率な遺伝子治療用ベクターとして繁用されているアデノウイルス(Ad)ベクターは、細胞表面受容体であるCAR(coxsackievirus and adenovirus receptor)を介して感染することが知られている。CARは免疫グロブリンスーパーファミリーに属する細胞接着分子であり、このファミリーに属する分子は互いに相同性を有することが知られている。そこで、CARと相同性を有する新規タンパク質を探索するため、ESTデータベースを検索したところ、CARと非常に相同性の高い新規タンパク質sCAR(similar to CAR)を同定することができた。sCARは3つの免疫グロブリン様領域を有した390アミノ酸から成る可溶性タンパク質であった。マウスにおけるsCARの発現をRT-PCRにより検討したところ、肺や心臓、腎臓など多くの組織で発現が見られ、特に脳および卵巣で高い発現が見られた。sCARはCARのAdベクター結合部位とほぼ同様の一次構造を有していたため、次に、Adベクター感染におよぼすsCARの影響を調べた。SK HEP-1細胞にsCAR遺伝子を導入しAdベクターを感染させたところ、親株に比較し有意に感染が阻害された。また、sCAR導入SK HEP-1細胞の培養上清にもAdベクター感染阻害活性が見られた。したがって、sCARはAdベクターおよび野生型Adの生理的感染阻害タンパク質である可能性が示唆された。この可能性をさらに確認するため、現在、sCARのリコンビナントタンパク質を大腸菌あるいはバキュロウイルス等で作成し、このタンパク質によるAdベクターの感染におよぼす影響を検討しているところである。高効率な遺伝子治療用ベクターとして繁用されているアデノウイルス(Ad)ベクターは、細胞表面受容体であるCAR(coxsackievirus and adenovirus receptor)を介して感染することが知られている。CARは免疫グロブリンスーパーファミリーに属する細胞接着分子であり、このファミリーに属する分子は互いに相同性を有することが知られている。そこで、CARと相同性を有する新規タンパク質を探索するため、ESTデータベースを検索したところ、CARと非常に相同性の高い新規タンパク質sCAR(similar to CAR)を同定することができた。sCARは3つの免疫グロブリン様領域を有した390アミノ酸から成る可溶性タンパク質であった。マウスにおけるsCARの発現をRT-PCRにより検討したところ、肺や心臓、腎臓など多くの組織で発現が見られ、特に脳および卵巣で高い発現が見られた。sCARはCARのAdベクター結合部位とほぼ同様の一次構造を有していたため、次に、Adベクター感染におよぼすsCARの影響を調べた。SK HEP-1細胞にsCAR遺伝子を導入しAdベクターを感染させたところ、親株に比較し有意に感染が阻害された。また、sCAR導入SK HEP-1細胞の培養上清にもAdベクター感染阻害活性が見られた。したがって、sCARはAdベクターおよび野生型Adの生理的感染阻害タンパク質である可能性が示唆された。この可能性をさらに確認するため、現在、sCARのリコンビナントタンパク質を大腸菌あるいはバキュロウイルス等で作成し、このタンパク質によるAdベクターの感染におよぼす影響を検討しているところである。
KAKENHI-PROJECT-17659023
https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-17659023
蛋白質の局所構造比較を起点とした立体構造予測の高度化
本年は,二つの方面で研究の進展が見られた.2.蛋白質基質結合ポケットの大規模データを解析するために開発した手法を用いて,これまでに報告されている異なる蛋白質における同一基質結合ポケットの構造多様性と,開発手法での類似性の定義との間の関係について,前年度に引き続き,解析した.また,従来手法では発見困難であった,一部の同一基質結合ポケット間の類似性も同定可能である例について拡充した.加えて,過去の研究で報告されている基質のconformational diversityと,ポケット構造の関係性についても解析を行った.さらに,2018年に発表された新たなデータセットを用いて,既存の他手法との性能比較を行った.これは,全体構造が一定以上類似する蛋白質に由来する推定ポケット形状ペアが混ざらないように,よくキュレーションされたデータセットである.この性能評価を通して,新規手法の有用性を一層明らかにした.こうした成果を二つの国内学会と二つの国際学会で発表した.平成30年度が最終年度であるため、記入しない。平成30年度が最終年度であるため、記入しない。本年度は,三つの方面で研究が進展した.1.蛋白質基質結合ポケットの大規模データを解析するために開発した手法を用いて,これまでに報告されている,異なる蛋白質における同一基質結合ポケットの構造多様性と,開発手法での類似性の定義との間の関係について解析した.また,従来手法では発見困難だった,一部の同一基質結合ポケット間の類似性も同定可能であることを明らかにした.こうした成果を三つの国内学会と一つの国際学会で発表した.さらに,以前定義した三角形パターン間の類似度を見直し,基質結合ポケット間の類似度の定義に改良を加えた.これにより,false positive rateが低い時であっても,より高感度なポケット間の類似度を計算できることが確認された.加えてこの改良により,三角形パターン間の類似度の行列がスパースな形で定義されることとなり,全体的な計算方法の枠組みも改良が可能となった.2. 2016年に開催された蛋白質立体/複合体構造予測実験(CASP/CAPRI)の複合体構造予測実験での我々の結果(全参加チーム中1位)及び,用いた手法の有効性について遡及的な解析を行い,Proteins誌に論文を発表した.3.蛋白質立体構造予測の高度化に関連して,多重配列アラインメントの精度向上は非常に重要な課題である.多重配列アラインメント法であるMAFFTのクラスタ並列化を実現するとともに,二次構造予測を通じた多重配列アラインメントの精度評価及び,計算時間のベンチマークを行い,その結果をBioinformatics誌に発表した.1.蛋白質基質結合ポケットを比較するための開発手法に関する解析を進めることができた.また,手法の改善点を確認し,改良まで行うことができた.2.複合体構造予測実験の結果,手法の有効性についてProteins誌に論文を発表した.3. MAFFTのクラスタ並列化を実現し,その解析結果をまとめ,Bioinformatics誌に論文を発表した.本年は,二つの方面で研究の進展が見られた.2.蛋白質基質結合ポケットの大規模データを解析するために開発した手法を用いて,これまでに報告されている異なる蛋白質における同一基質結合ポケットの構造多様性と,開発手法での類似性の定義との間の関係について,前年度に引き続き,解析した.また,従来手法では発見困難であった,一部の同一基質結合ポケット間の類似性も同定可能である例について拡充した.加えて,過去の研究で報告されている基質のconformational diversityと,ポケット構造の関係性についても解析を行った.さらに,2018年に発表された新たなデータセットを用いて,既存の他手法との性能比較を行った.これは,全体構造が一定以上類似する蛋白質に由来する推定ポケット形状ペアが混ざらないように,よくキュレーションされたデータセットである.この性能評価を通して,新規手法の有用性を一層明らかにした.こうした成果を二つの国内学会と二つの国際学会で発表した.東京大学情報基盤センターのスーパーコンピュータシステムを利用し,大規模データである蛋白質基質結合ポケットデータの網羅的解析を,改良した手法を用いて行う.また,解析により得られた知見を立体構造予測の高度化へと繋げる手法の開発を行う.前年度の解析成果と合わせて研究成果をデータベース化し公開する予定である.平成30年度が最終年度であるため、記入しない。平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
KAKENHI-PROJECT-17J06457
https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-17J06457
代数曲線と有限幾何による符号理論
qを素数の冪として,q^2元体Fを考える.F上の射影平面内で非斉次方程式y^q+y=x^<q+1>で定義された曲線をHermitian曲線とよぶ.この曲線はq^3+1個の有理点を持ち,その値はWeilの評価式の丁度上限である.言い換えれば,望みうる最大個数の有理点を持つ.加えて,この曲線は強い対称性を持つことより,良い代数曲線符号を構成するために最も有望視されているもののひとつである.この曲線上の1点符号については,Stichtenothにより次元が,Yang-Kumarにより最小距離が,決定されていたが,そのような問題意識で2点符号について考えることが本研究のひとつの目標であった.第1年度においては,問題のreductionと,次元の計算および簡単な場合の最小距離の考察を行った.第2年度は,2点符号の最小距離の完全決定を追求し,幸運にも,全ての2点符号についてそれらの最小距離を決定することができた.最小距離が設計距離に一致するような2点符号を調べるに際しては,それら固定した2点各々でHermitian曲線と2重接触するような2次曲線の族を詳細に研究することが必要であった.この部分にもHermitian曲線の自己同型と2次曲線族との関連などの新しい知見を含んでいる.(この2次曲線の幾何の部分は基礎体の標数が2の場合とそれ以外の場合では様相を異にする.)1点符号を真に凌駕する2点符号の最小距離の決定には,Yang-Kumarが1点符号の最小距離決定の際用いた手法を,より精密化した形で用いた.また,かつてWeierstrass Pairを用いた2点符号の理論を展開した際にHermitian曲線上でΩ構成法により構成した例について,その時点では最小距離が(期待通り大きくなる事は分かっていたものの)下からの評価を与えただけであったが,今回の結果の応用としてその評価式の等号が成立することが判明した.qを素数の冪として,q^2元体Fを考える.F上の射影平面内で非斉次方程式y^q+y=x^<q+1>で定義された曲線をHermitian曲線とよぶ.この曲線はq^3+1個の有理点を持ち,その値はWeilの評価式の丁度上限である.言い換えれば,望みうる最大個数の有理点を持つ.加えて,この曲線は強い対称性を持つことより,良い代数曲線符号を構成するために最も有望視されているもののひとつである.この曲線上の1点符号については,Stichtenothにより次元が,Yang-Kumarにより最小距離が,決定されていたが,そのような問題意識で2点符号について考えることが本研究のひとつの目標であった.第1年度においては,問題のreductionと,次元の計算および簡単な場合の最小距離の考察を行った.第2年度は,2点符号の最小距離の完全決定を追求し,幸運にも,全ての2点符号についてそれらの最小距離を決定することができた.最小距離が設計距離に一致するような2点符号を調べるに際しては,それら固定した2点各々でHermitian曲線と2重接触するような2次曲線の族を詳細に研究することが必要であった.この部分にもHermitian曲線の自己同型と2次曲線族との関連などの新しい知見を含んでいる.(この2次曲線の幾何の部分は基礎体の標数が2の場合とそれ以外の場合では様相を異にする.)1点符号を真に凌駕する2点符号の最小距離の決定には,Yang-Kumarが1点符号の最小距離決定の際用いた手法を,より精密化した形で用いた.また,かつてWeierstrass Pairを用いた2点符号の理論を展開した際にHermitian曲線上でΩ構成法により構成した例について,その時点では最小距離が(期待通り大きくなる事は分かっていたものの)下からの評価を与えただけであったが,今回の結果の応用としてその評価式の等号が成立することが判明した.素数pの冪qを固定して,q元体Fを考える。F上の射影平面の非斉次方程式y^q+y=x^<q+1>で定義された曲線をHermitian曲線といいXであらわす.X上の1点符号については,Stichtenoth, YangとKumarの仕事により1990年代の早い時期にそれらの次元,最小距離が決定されているが,2点符号についてはMatthews(2001),Kimと著者(2001)によるΩ構成法による2点符号についての散発的結果しか知られていなかった.今回の研究ではL構成法による2点符号の次元および最小距離を組織的に調べることに主眼をおいた.以下得られた結果を列挙する.Xの自己同型はすべてF上定義され自己同型群はXのF有理点全体X(F)に2重推移的に働くので,(1)それら2点はP=(001)とQ=(010)として良い.関数加群L(mP+nQ)とX(F)-{P,Q}から得られる符号をC(m,n)と書くとき,次元および最小距離はHamming距離を保存する同型では不変なので(2)0【less thanor equal】n【less than or equal】qとして良い.この区間にあるnを固定して(0)⊆...
KAKENHI-PROJECT-15500017
https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-15500017
代数曲線と有限幾何による符号理論
C(m-1,n)⊆C(m, n)⊆...⊆F^N(N=q^3-1)というF部分空間の列を考えると各ステップで等号が成立するかあるいは次元が1上がるかのどちらかであるので,C(m-1,n)≠C(m, n)となるmを全て表示すれば次元がわかったことになるが,(3)その表が各nについて記述できる.(このスペースにその表を示すことは困難であるので省略する.)(4)n=0の場合には1点符号の結果を用いることにより,全てのmについて最小距離が決定できた.さらにある特別な関数を用いることにより,n=0で設計距離を到達する場合の情報がn=qについての結果に翻訳され,1点符号の場合に類似な議論によって,(5)n=qの場合にも全てのmについて最小距離が決定できた.最小距離がn=0,qの場合に決定できたことにより,簡単な議論で(6)0<n<qの場合にも,mが比較的大きいところと比較的小さなところで最小距離を知ることができた.qを素数冪として,q^2元体Fを考え,F上の射影平面内で非斉次方程式y^q+y=x^<q+1>で定義された曲線をHermitian曲線とよぶ.この曲線は有理点を十分多く持ち,また強い対称性を持つことより,良い代数曲線符号を構成するために最も有望視されているもののひとつである.この曲線上の1点符号については,Yang-Kumarにより,そのパラメータが決定されていたが,2点符号についての最小距離はわれわれが前年度に行った研究が最新の成果であった.本年度も引き続き2点符号の最小距離を求めることを追求し,幸運にも,全ての2点符号についてそれらの最小距離を決定することができた.最小距離が設計距離に一致するような2点符号を調べるに際しては,それら固定した2点各々でHermitian曲線と2重接触するような2次曲線の族を詳細に研究することが必要であった.この部分にもHermitian曲線の自己同型と2次曲線族との関連などの新しい知見を含んでいる.(この2次曲線の幾何の部分は基礎体の標数が2の場合とそれ以外の場合では様相を異にする.)1点符号を真に凌駕する2点符号の最小距離の決定には,Yang-Kumarが1点符号の最小距離決定の際用いた手法を,より精密化した形で用いた.また,かつてWeierstrass Pairを用いた2点符号の理論を展開した際にHermitian曲線上でΩ構成法により構成した例について,その時点では最小距離が(期待通り大きくなる事は分かっていたものの)下からの評価を与えただけであったが,今回の結果の応用としてその評価式の等号が成立することが判明した.
KAKENHI-PROJECT-15500017
https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-15500017
冬期の寒冷気候と利用した土壌凍結層の長期保存とその熱的解折
冬期の寒冷気候を利用し、除雪を行うと約80cmの凍結土層が得られた。これを保存するため、表面に200mmの厚さの断熱材を敷設すると、6月下旬まで凍結が保存されるこさが判明した。この凍結土層内に秋から貯蔵されていた馬鈴署は良好に保蔵され、デンプンが糖に変化し甘みを増し、付加価値も増すことが分った。こうした貯蔵方法はその年次の凍結パターンに依存するため、過去7年間の自然積雪下の土壌凍結推移を測定したデータをもとに分析した。積雪の問題が大きく、従来の熱解折では推定できず、積雪20cmまでの積算寒度の平方根に比例することが分った。凍土層の保存の熱解折を行うため、熱伝導式を差分比し、クランク・ニユルソン法を使用して計算を行った。この時、凍結線部の潜熱発生項を加えることが重要であり、しかもこの温度範囲を凍結過程では、00.2°Cと仮定し、融解過程では、00.2°Cと仮定した。計算結果は凍結過程では実測と高精度で一致を示した。しかし、融解過程の凍結消失に対しては一致はみられなかった。この原因は凍結保存区内で横方向からの熱を伝達を遮断できなかったためである。断熱材を充分に使用し、凍土を囲むなら、凍結土層は7月中旬までの期間保存できることが結論として得られた。しかし、多量の農産物貯蔵には凍結土層は浅過ぎるため、ヒートパイプを土中に埋設し、冬期寒冷気候を利用した方が効率的に凍土層を作れることが分った。熱伝素子ヒートパイプは温度差のみで作動し、音速並みで熱を伝導する事から、実験により非常に効果的に土壌を凍結させることが判明した。ヒートパイプによって作られた多量の凍土層は断熱材によって人工の永久凍土化し、この空間に多量の農産物を貯蔵することができ、市場への安定供給、生産拡大、加工計画の安定化などの多くの利点が生じた。このように電気を使用しないで自然の寒冷エネルギー利用の低温貯蔵庫の開発は広範囲に利用できると思われる。冬期の寒冷気候を利用し、除雪を行うと約80cmの凍結土層が得られた。これを保存するため、表面に200mmの厚さの断熱材を敷設すると、6月下旬まで凍結が保存されるこさが判明した。この凍結土層内に秋から貯蔵されていた馬鈴署は良好に保蔵され、デンプンが糖に変化し甘みを増し、付加価値も増すことが分った。こうした貯蔵方法はその年次の凍結パターンに依存するため、過去7年間の自然積雪下の土壌凍結推移を測定したデータをもとに分析した。積雪の問題が大きく、従来の熱解折では推定できず、積雪20cmまでの積算寒度の平方根に比例することが分った。凍土層の保存の熱解折を行うため、熱伝導式を差分比し、クランク・ニユルソン法を使用して計算を行った。この時、凍結線部の潜熱発生項を加えることが重要であり、しかもこの温度範囲を凍結過程では、00.2°Cと仮定し、融解過程では、00.2°Cと仮定した。計算結果は凍結過程では実測と高精度で一致を示した。しかし、融解過程の凍結消失に対しては一致はみられなかった。この原因は凍結保存区内で横方向からの熱を伝達を遮断できなかったためである。断熱材を充分に使用し、凍土を囲むなら、凍結土層は7月中旬までの期間保存できることが結論として得られた。しかし、多量の農産物貯蔵には凍結土層は浅過ぎるため、ヒートパイプを土中に埋設し、冬期寒冷気候を利用した方が効率的に凍土層を作れることが分った。熱伝素子ヒートパイプは温度差のみで作動し、音速並みで熱を伝導する事から、実験により非常に効果的に土壌を凍結させることが判明した。ヒートパイプによって作られた多量の凍土層は断熱材によって人工の永久凍土化し、この空間に多量の農産物を貯蔵することができ、市場への安定供給、生産拡大、加工計画の安定化などの多くの利点が生じた。このように電気を使用しないで自然の寒冷エネルギー利用の低温貯蔵庫の開発は広範囲に利用できると思われる。畜産大学実験圃場内に設置された試験区で、積雪を排除し、冬期の寒冷気候を充分に利用し、土壌凍結深さを増大させる試験を行った。その結果、凍結深さは、2月25日に最大78.0cmに達した。1985年は最大値80.2cmが2月14日に、そして1986年は最大値83.5cmは3月1日に発生した。これより、今年度は多少最大値が小さな傾向があったのは、多少暖かな冬であった事から、積算寒度が小さかったためである。融解を防止するため、例年より若干早く3月7日に、土壌表面に厚さ20cmの断熱材を敷設したので、凍結層の保存が開始され、現在実験は進行中である。85年は6月24日に、86年は6月20日にそれぞれ凍結層が消失していることから、今年度も同様に6月中下旬に消失が起るとも考えられる。他方、ヒートパイプを利用した凍結土層の造成試験によると、2月に地下4mに凍結層が形成されたが、3月になり下方からの地熱の増加と気温の上昇によって消失し始めた。
KAKENHI-PROJECT-61560254
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冬期の寒冷気候と利用した土壌凍結層の長期保存とその熱的解折
この事から、ヒートパイプ周辺の1mの厚さの凍結層が形成された事実は地温データからも明らかであり、寒冷気候の利用により地下に凍結層の形成が成功し、その実用化が可能となった。次に、土壌凍結の熱的解析の手法として、熱伝導式の差分法による数値解析を試みた。差分法はクランク・ニコルソンの陰解法を用い、境界条件に、上部は実測地表面温度を、下部は地中5mの不変温度を仮定した。そして、土壌の熱的性質として、各深さごとにサーマルプローブ法で熱伝導率を測定し、実測値を使用した。この解析方法では、凍結土壌,未凍結土壌および凍結による潜熱発生土壌の3種に分け、その温度範囲を分けることにより、実測値に近い温度変化と分布を得ることができた。潜熱発生の温度範囲が最も影響力の大きい要因である事が分った。この結果より、凍結土層の保存には横方向の熱流により、長期保存の期間が影響受けるため、その対策が必要なことが分った。冬期間の寒冷気候の下で土壌を凍結させ,その凍結層内に貯蔵空間を設定し,土壌温度,凍結深さ,貯蔵空間の温度及び湿度(測定機構入)の連続測定を行った.凍結は86年11月20日から始まり, 12月末には凍結深さ44.2cm, 1月末には72.9cmに達した.最大凍結深さは2月25日に79.0cmを得た. 3月に入り,下方融解が始まり, 3月末には72.5cmと6.5cm減少した.上方融解を防止するため3月10日に厚さ200mmの断熱材で被覆をしたため,融解は3月に発生しなかった.本格的な上方融解は4月26日から始まり,凍結層の消失は6月3日に深さ2840cmで発生した.貯蔵庫内は,冬期の凍結防止のため, 20Wの電球発熱を利用し,サーモスタットで約2°Cに保温された.そして貯蔵庫内の馬鈴薯の減耗率を測定すると56%程度であった事から,低温貯蔵に充分適する環境が得られることが判明した.しかし,融解時に上部から水の浸入が発生したため,貯蔵庫底部の馬鈴薯に腐敗が発生したため,今後は防水対策を検討する必要がある.凍結層の温度分布および凍結深さの推移をシミュレートするため,熱流一般式の一次元偏微分方程式を使用した.これを,クランクニコルソン法による差分形とし,本解析では時間きざみを1日に,空間きざみを1cmとし,境界条件として上限を0cmの実測地温,下限を深さ5m,年平均地温の9.2°Cを与えた.この解法の特色は,便宜上,凍結完了部,凍結進行部,未凍結部の3つに分け,温度伝導率を3種とした事である.特に,凍結時には0-0.2°Cの範囲で潜熱を発生し,融解時には0-0.5°Cの範囲で起ると仮定した.そして,融解時は上部から来る融解水の影響を考慮し,温度伝導率は凍結時の半分と仮定した.その結果,凍結時は1112月で,融解時は, 45月で実測値と推定値が良い一致を示した.凍結消失は実測値より25日遅い結果を得たが,推定式に横方向の熱流の影響を算入していないためと考えられる.冬期の寒冷気候を利用し、除雪を行うと約80cmの凍結土層が得られた。これを保存するため、表面に200mmの厚さの断熱材を敷設すると、6月下旬まで凍結が保存されることが判明した。この凍結土層内に秋から貯蔵されていた馬鈴薯は良好に保蔵され、デンプンが糖に変化し甘みを増し、付加価値も増すことが分かった。こうした貯蔵方法はその年次の凍結パターンに依存するため、過去7年間の自然積雪下の土壌凍結推移を測定したデータをもとに分析した。積雪の問題が大きく、従来の熱解析では推定できず、積雪20cmまでの積算寒度の平方根に比例することが分かった。凍土層の保存の熱解析を行うため、熱伝導式を差分化し、クランク・ニユルソン法を使用して計算を行った。この時、凍結線部の潜熱発生項を加えることが重要であり、しかもこの温度範囲を凍結過程では、0-0.2°Cと仮定した。計算結果は凍結過程では実測と高精度で一致を示した。
KAKENHI-PROJECT-61560254
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シンナー濫用者における精神・神経行動障害の発生メカニズムに関する実験的研究
シンナー濫用者は、うつ状態様を呈する一方で、抑制を欠如し興奮状態になるといわれている。近年、ストレスからうつ状態を引き起こし、脳由来神経栄養因子(BDNF)が減少するというが報告があり、また、ストレスによるコルチコステロンの増加が、神経栄養因子BDNFの減少を引き起こし、神経細胞障害を来たすとの報告もある。今回の研究では、うつ状態様の症状の発生機序を明らかにする目的で、トルエン(1,500ppm)を1日4時間、7日間吸入させたウイスター系雄ラットの脳を試料として、BDNF、グルココルチコイドレセプター(GR)の局在およびBDNFタンパク濃度の変化を検討した。免疫組織化学的に、大脳皮質・海馬・小脳・視床・視床下部をBDNFとGRで染色したところ、BDNFは、海馬・小脳・視床では、処置群は対照群より染色性が減弱しており、視床下部の室傍核(PVN)で処置群の染色性の亢進が認められた。一方、GRは大脳皮質・海馬・小脳・視床では,処置群の染色性の亢進が認められた。また、ELISA法を用いて大脳皮質・海馬・小脳・間脳(視床、視床下部)についてBDNFのタンパク量の定量を行ったところ、間脳では、有意に減少していた。小脳・海馬では,有意差は認められなかったものの減少していた。ストレスにより視床下部のBDNF量は増加するとの報告があり、免疫染色でPVNのBDNFの染色性が亢進したことは、トルエン吸入のストレスによる影響が考えられる。これまで、トルエン吸入によりラットの血中コルチコステロン・ACTHが増加し、HPAaxisが活性化されることを明らかにしてきた。以上の結果より、トルエン吸入がストレスとなりHPAaxisを活性化し、海馬・小脳・視床におけるGRを増加し、BDNFを減少させているものと考えられた。その結果、神経細胞に何らかの障害を生じ、この変化がうつ状態に関連する可能性が推定された。シンナー濫用者は、うつ状態様を呈する一方で、抑制を欠如し興奮状態になるといわれている。近年、ストレスからうつ状態を引き起こし、それに伴い神経栄養因子、特に脳由来神経栄養因子BDNFが減少するということが報告されている。本研究では、「うつ状態」様の発生機序を明らかにする目的で、トルエンを吸入させたラットの脳を試料として、BDNFの局在およびタンパク濃度の変化を検討した。ウイスター系雄ラットを用い、トルエン(1,500ppm)を1日4時間,7日間吸入させた。免疫組織化学的に、人脳皮質、海馬、小脳をBDNFで染色したところ、顆粒細胞、錐体細胞に局在は認められたが、染色性に顕著な差は認められなかった。また、ELISA法を用いて大脳皮質、海馬、小脳、脳幹部、間脳、脊髄および血液についてBDNFのタンパク量の定量を行ったところ、間脳では、p<0.01で、小脳、脊髄では,p<0.10で有意に減少していた。海馬では、低下していたが有意差は認められなかった(p=0.1325)。しかし、大脳皮質、血液では有意に増加していた(p<0.10)。脳幹部では、増加していたが有意差は認められなかった(p=0.2583)。これまで、トルエン吸入によりラットの血中のコルチコステロン・ACTHが増加することを明らかにしてきた。ストレスによるコルチコステロンの増加が、神経栄養因子BDNFの減少を引き起こし、神経細胞障害を来たすとの報告がある。今回の結果から、間脳・海馬・小脳・脊髄に認められたBDNFの減少は、コルチコステロンの増加と関係していると考えられた。BDNFの減少による神経細胞障害が、トルエン吸入による「うつ状態」の誘因となる可能性が示唆された。シンナー濫用者は、うつ状態様を呈する一方で、抑制を欠如し興奮状態になるといわれている。近年、ストレスからうつ状態を引き起こし、脳由来神経栄養因子(BDNF)が減少するというが報告があり、また、ストレスによるコルチコステロンの増加が、神経栄養因子BDNFの減少を引き起こし、神経細胞障害を来たすとの報告もある。今回の研究では、うつ状態様の症状の発生機序を明らかにする目的で、トルエン(1,500ppm)を1日4時間、7日間吸入させたウイスター系雄ラットの脳を試料として、BDNF、グルココルチコイドレセプター(GR)の局在およびBDNFタンパク濃度の変化を検討した。免疫組織化学的に、大脳皮質・海馬・小脳・視床・視床下部をBDNFとGRで染色したところ、BDNFは、海馬・小脳・視床では、処置群は対照群より染色性が減弱しており、視床下部の室傍核(PVN)で処置群の染色性の亢進が認められた。一方、GRは大脳皮質・海馬・小脳・視床では,処置群の染色性の亢進が認められた。また、ELISA法を用いて大脳皮質・海馬・小脳・間脳(視床、視床下部)についてBDNFのタンパク量の定量を行ったところ、間脳では、有意に減少していた。小脳・海馬では,有意差は認められなかったものの減少していた。ストレスにより視床下部のBDNF量は増加するとの報告があり、免疫染色でPVNのBDNFの染色性が亢進したことは、トルエン吸入のストレスによる影響が考えられる。
KAKENHI-PROJECT-15790318
https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-15790318
シンナー濫用者における精神・神経行動障害の発生メカニズムに関する実験的研究
これまで、トルエン吸入によりラットの血中コルチコステロン・ACTHが増加し、HPAaxisが活性化されることを明らかにしてきた。以上の結果より、トルエン吸入がストレスとなりHPAaxisを活性化し、海馬・小脳・視床におけるGRを増加し、BDNFを減少させているものと考えられた。その結果、神経細胞に何らかの障害を生じ、この変化がうつ状態に関連する可能性が推定された。
KAKENHI-PROJECT-15790318
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ホルムアルデヒド脱水素酵素の構造と反応機構の解明
P.putida FDH(PFDH)に存在すると考えた活性に重要なシステイン残基を同定することはできなかったが、ブチルアルデヒドを基質としたときのPFDHの反応生成物を詳しく定量的に調べた結果、dismutation反応を触媒していることが判明した。この反応において、補酵素であるNAD^+の量の変化は見かけ上観察されず、2分子のアルデヒドからアルコールとカルボン酸が生成する。PFDHはアミノ酸配列においてグルタチオン依存型FDHであるクラスIIIADHよりもクラスI型の特徴を多くもつことから、PFDHはdismutation反応を触媒するクラスI型ADHの特殊な例で、PFDHの反応は単なるホルムアルデヒドの酸化ではなくもっと複雑な反応で、アルデヒドの酸化反応に直接システイン残基が関与していないかも知れない。今後、ホルムアルデヒドを基質として反応生成物を詳しく定量的に調べて行くことが必要であると考えている。一方、大腸菌のFDH(EFDH)遺伝子(falA)をクローニングし、その塩基配列を決定したところ、falAの上流に273bpからなるORF1と非常によく保存されたプロモーターモチーフ、さらに、そのプロモーターと重なってパリンドローム構造があること、また、下流には831bpのORF2が存在することを見い出した。ORF2はヒトのホルミルグルタチオンヒドロラーゼ(SFGH)と40%のホモロジーを示し、実際ORF2を大腸菌中で過剰発現させ、SFGHの活性を測定したところ、ORF2が大腸菌のSFGHをコードしていることがわかった(falBと命名)。過剰発現させた酵素を単一に精製することにも成功した。これらの遺伝子はオペロンを形成しており、培地中にホルムアルデヒドを加えると速やかに活性が誘導されてくることも見い出した。さらに、この誘導調節にはORF1の発現と保存されたプロモーターモチーフおよびパリンドローム構造が重要であることを明らかにしつつある。P.putida FDH(PFDH)に存在すると考えた活性に重要なシステイン残基を同定することはできなかったが、ブチルアルデヒドを基質としたときのPFDHの反応生成物を詳しく定量的に調べた結果、dismutation反応を触媒していることが判明した。この反応において、補酵素であるNAD^+の量の変化は見かけ上観察されず、2分子のアルデヒドからアルコールとカルボン酸が生成する。PFDHはアミノ酸配列においてグルタチオン依存型FDHであるクラスIIIADHよりもクラスI型の特徴を多くもつことから、PFDHはdismutation反応を触媒するクラスI型ADHの特殊な例で、PFDHの反応は単なるホルムアルデヒドの酸化ではなくもっと複雑な反応で、アルデヒドの酸化反応に直接システイン残基が関与していないかも知れない。今後、ホルムアルデヒドを基質として反応生成物を詳しく定量的に調べて行くことが必要であると考えている。一方、大腸菌のFDH(EFDH)遺伝子(falA)をクローニングし、その塩基配列を決定したところ、falAの上流に273bpからなるORF1と非常によく保存されたプロモーターモチーフ、さらに、そのプロモーターと重なってパリンドローム構造があること、また、下流には831bpのORF2が存在することを見い出した。ORF2はヒトのホルミルグルタチオンヒドロラーゼ(SFGH)と40%のホモロジーを示し、実際ORF2を大腸菌中で過剰発現させ、SFGHの活性を測定したところ、ORF2が大腸菌のSFGHをコードしていることがわかった(falBと命名)。過剰発現させた酵素を単一に精製することにも成功した。これらの遺伝子はオペロンを形成しており、培地中にホルムアルデヒドを加えると速やかに活性が誘導されてくることも見い出した。さらに、この誘導調節にはORF1の発現と保存されたプロモーターモチーフおよびパリンドローム構造が重要であることを明らかにしつつある。
KAKENHI-PROJECT-07772174
https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-07772174
家族性パーキンソン病PARK7原因遺伝子DJ-1の機能解析と創薬
1)DJ-1の機能解析-ドパミン生合成におけるDJ-1の機能DJ-1はTH, DDCに直接結合し、活性を正に制御することを明らかにした。パーキンソン病患者で見られるDJ-1変異体にはその活性がない。また、ヘテロ変異体は野生型DJ-1に対し、dominant negative効果を示し、ヘテロ変異も発症の一因となることが示唆された。H_2O_2,6-OHDAなどで細胞に酸化ストレスを与えると、DJ-1の106番目のシステイン(C106)が、-SOH, SO_2H, SO_3Hと酸化される。軽度のC106酸化はTH, DDC活性を上昇させ、過度の酸化は逆に活性抑制を示したことにより、弧発性パーキンソン病発症におけるDJ-1機能が類推された。2)DJ-1とDJ-1結合化合物による神経変性疾患治療薬への応用虚血性脳梗塞モデルラット脳へのDJ-1注入により顕著に症状が抑制された。DJ-1結合化合物は、DJ-1のC106への過度の酸化を抑制することで、DJ-1活性を維持することを明らかとした。更に、DJ-1結合化合物の更なる活性上昇を狙って、in silicoで構造改変した。また、250万化合物ライブラリーを使ったin silico大規模スクリーニングで、DJ-1結合化合物を複数単離した。1)DJ-1の機能解析-ドパミン生合成におけるDJ-1の機能DJ-1はTH, DDCに直接結合し、活性を正に制御することを明らかにした。パーキンソン病患者で見られるDJ-1変異体にはその活性がない。また、ヘテロ変異体は野生型DJ-1に対し、dominant negative効果を示し、ヘテロ変異も発症の一因となることが示唆された。H_2O_2,6-OHDAなどで細胞に酸化ストレスを与えると、DJ-1の106番目のシステイン(C106)が、-SOH, SO_2H, SO_3Hと酸化される。軽度のC106酸化はTH, DDC活性を上昇させ、過度の酸化は逆に活性抑制を示したことにより、弧発性パーキンソン病発症におけるDJ-1機能が類推された。2)DJ-1とDJ-1結合化合物による神経変性疾患治療薬への応用虚血性脳梗塞モデルラット脳へのDJ-1注入により顕著に症状が抑制された。DJ-1結合化合物は、DJ-1のC106への過度の酸化を抑制することで、DJ-1活性を維持することを明らかとした。更に、DJ-1結合化合物の更なる活性上昇を狙って、in silicoで構造改変した。また、250万化合物ライブラリーを使ったin silico大規模スクリーニングで、DJ-1結合化合物を複数単離した。我々が癌遺伝子として単離したDJ-1は家族性パーキンソン病(PARK7)の原因遺伝子でもある。パーキンソン病は酸化ストレス、ミトコンドリアのcomplex 1の機能阻害、異常タンパク質の凝集が原因と考えられているが詳細な分子機構は明らかでなかった。我々は、DJ-1は転写調節、抗酸化ストレスプロテアーゼ、ミトコンドリアcomplex 1の正の調節機能を有し、機能破綻はパーキンソン病などの脳神経変性疾患の原因となることを明らかとした。DJ-1は106番目のシステイン(C106)の酸化状態で活性が制御される。還元型は弱い活性で、C106がSO_2Hと酸化されることが活性に必須であるが、SO_3H酸化されると不活性となる。孤発性パーキンソン病患者脳においては、還元型DJ-1の欠如と異常な酸型DJ-1(不活性型)の存在を見出した。また、DJ-1は酸化ストレスより自己酸化され活性酸素の消去及び転写因子として抗酸化ストレス関連遺伝子発現を行い、細胞死を防御する。更にドパミン生合成のキー酵素であるチロシンヒドロキシラーゼ(TH)を転写レベル、及びDJ-1-TH相互作用を通じて活性上昇させた。一方、パーキンソン病モデルラットにDJ-1タンパク質を直接注入すると、ドパミン神経細胞死と行動異常が劇的に阻止されることを明らかとした。更に、DJ-1の活性部位であるC106に結合し、酸化ストレス誘導神経細胞死を抑制する複数の低分子化合物を同定し、これらがDJ-1タンパク質同様に神経細胞死と行動異常の解除を行うことをin vitro及びパーキンソン病モデルラットで明らかにした。これらの化合物は、血液脳関門を通過する。更に、我々は弧発性パーキンソン病患者の症状に応じて、患者血清にDJ-1が分泌され、DJ-1がパーキンソン病の診断バイオマーカーになる可能性を示した。以上より、DJ-1とその結合化合物は、神経細胞死を抑制することにより、パーキンソン病を始めとする神経変性疾患治療薬の可能性を示した。1)DJ-1の機能解析-ドパミン生合成におけるDJ-1の機能DJ-1はTH, DDCに直接結合し、活性を正に制御することを明らかにした。パーキンソン病患者で見られるDJ-1変異体にはその活性がない。また、ヘテロ変異体は野生型DJ-1に対し、dominant negative効果を示し、ヘテロ変異も発症の一因となることが示唆された。H_2O_2, 6-OHDAなどで細胞に酸化ストレスを与えると、DJ-1の106番目のシステイン(C106)が、-SOH, SO_2H, SO_3Hと酸化される。
KAKENHI-PROJECT-18390253
https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-18390253
家族性パーキンソン病PARK7原因遺伝子DJ-1の機能解析と創薬
軽度のC106酸化はTH, DDC活性を上昇させ、過度の酸化は逆に活性抑制を示したことにより、弧発性パーキンソン病発症におけるDJ-1機能が類推された。2)DJ-1とDJ-1結合化合物による神経変性疾患治療薬への応用虚血性脳梗塞モデルラット脳へのDJ-1注入により顕著に症状が抑制された。DJ-1結合化合物は、DJ-1のC106への過度の酸化を抑制することで、DJ-1活性を維持することを明らかとした。更に、DJ-1結合化合物の更なる活性上昇を狙って、in silicoで構造改変した。また、250万化合物ライブラリーを使ったin silico大規模スクリーニングで、DJ-1結合化合物を複数単離した。
KAKENHI-PROJECT-18390253
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高速遠心成形法によるバインダーレスWC製メカニカルシールの創製
1)分散媒をヘプタンとし,ソルビタンモノステアレートを粉末に対して0.7mass%加えると,最も良い懸濁状態が得られ,着肉体(成形体)の充填率も最も高くなる.公称粒径1ミクロンのWC粉末を上記の条件で泥漿とし,長時間ボールミル分散すると平均粒径0.35ミクロンで粒径の揃った微細WC泥漿が得られる.3)上記の泥漿をHCPにて5,000rpmで1h成形すると,粒子充填率56%で均質な充填組織を持った成形体が得られる.この成形体は,バインダーレスでほぼ完全に緻密化し,超硬の一般的腐食液(村上試薬)においても粒界が全く観察されないほどの優れた耐食性を示す.4)このHCPバインダーレスWCはHv2270の硬さを持ち,破壊靭性値も4.25Mpam^<1/2>あるので,メカニカルシールとして十分な機械的特性を持っている.5)上記の条件の泥漿を使用して,円筒形成形体の作製を行ったが,ロータの強度特性等が不十分であったため,十分な成形加速度を得ることが出来なかった.このため,円筒形成形体は強度が不十分で,適切な焼結を行うことが出来なかった.今回作製したWCをHCPにより円筒形形状に成形するためには,現有のものより一段大型の遠心機が必要なことが明らかとなった.本年度の研究では,ボールミルによるWC粉末の微細化を試みると共に,この粉末の泥漿調製条件を確立した.また,小型の金型を使用して高速遠心成形を行い,成形条件が成形体の特性におよぼす影響を明らかにすると共に標準成形条件を定め,さらにその成形体の焼結性を評価した.以下に結果を示す.1)公称粒径が約1μmのWC粉末をポールミル粉砕すると,初期には主に二次粒子(aggregate)が粉砕されるために,粒径分布の広がりがないままに平均粒径は小さくなる.一方,粉砕時間を長くしすぎると,一次粒子(単粒子)自体が粉砕され始め粒径分布が大きくなっていく.4daysの粉砕時間で,平均粒径約0.35μmで比較的粒径分布の小さいWC粉末が得られる.2)上記WC粉末は,分散媒として33mass%のヘプタンを使用し,分散剤としてソルビタンモノステアレートを0.7mass%加えた泥漿で最良の泥漿状態となる.粉末と媒の比重差より完全懸濁状態とはならないが,粒子沈降速度が十分に遅いために,高速遠心成形法用の泥漿として使用することが出来る.3)上記泥漿を,φ8×90mmのチョーク型キャビティを持つ金型に注入し,ロータ半径120mmの遠心機で回転数5,000rpm,保持時間30minの条件で成形すると,高さ約15mmの成形体が得られる.成形体の粒子充填率は約55%であり,成形体の大部分で均質な粒子充填状況が得られている.4)高速遠心成形法によるWC成形体は,焼結助剤を含んでいないために通常のWC材より高い焼結温度が必要だが,1873K×3hoursの真空焼結で相対密度ほぼ100%まで緻密化する.以上より,本年度の研究で高速遠心成形法をWCメカニカルシールに適用するための基本的データが得られた.1)分散媒をヘプタンとし,ソルビタンモノステアレートを粉末に対して0.7mass%加えると,最も良い懸濁状態が得られ,着肉体(成形体)の充填率も最も高くなる.公称粒径1ミクロンのWC粉末を上記の条件で泥漿とし,長時間ボールミル分散すると平均粒径0.35ミクロンで粒径の揃った微細WC泥漿が得られる.3)上記の泥漿をHCPにて5,000rpmで1h成形すると,粒子充填率56%で均質な充填組織を持った成形体が得られる.この成形体は,バインダーレスでほぼ完全に緻密化し,超硬の一般的腐食液(村上試薬)においても粒界が全く観察されないほどの優れた耐食性を示す.4)このHCPバインダーレスWCはHv2270の硬さを持ち,破壊靭性値も4.25Mpam^<1/2>あるので,メカニカルシールとして十分な機械的特性を持っている.5)上記の条件の泥漿を使用して,円筒形成形体の作製を行ったが,ロータの強度特性等が不十分であったため,十分な成形加速度を得ることが出来なかった.このため,円筒形成形体は強度が不十分で,適切な焼結を行うことが出来なかった.今回作製したWCをHCPにより円筒形形状に成形するためには,現有のものより一段大型の遠心機が必要なことが明らかとなった.
KAKENHI-PROJECT-13750674
https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-13750674
2000年時点における情報技術者の需給予測モデルの構築等に関する基礎的研究
本研究では、情報技術者の需給予測の研究と大学等における情報技術教育内容の研究の2つが主要項目である。2000年時点での需給予測では、予測モデル作成の基礎的検討として情報技術者の定義を教育的側面から行い、大学・高専卒業者を研究・開発的技術者(CS,CE,IS)とし、短大・専修学校・高校等の卒業者を一般的技術者と定義した。先ず、2000年時点での情報技術者の需要を予測するためのモデルとして、今後の経済の平均成長率を4%とし労働時間の短縮率や関連業務の生産性の向上等を見込んだ総需要を予測し、その結果、180万人210万人の情報技術者ストックを必要とすることが明らかとなった。また、研究・開発的技術者を予測するために、科学計測制御用ミニコンの製造出荷数や有効使用年数等を基準にモデルを作成し予測を行った。その結果、研究・開発的技術者のストックは59万人66万人の間であると推定出来た。これに対応する供給モデルのあり方を理論的に検討し、適応できる基本モデルとして規範的モデルを提案した。そして、需要予測に基づく各々の供給量を、シナリオA・B・Cとして設定し、作成された供給モデルでシミュレ-ションすることによって、供給に係わる問題点等を分析し、具体的な問題解決のための政策提言を提案した。教育内容分科会においては、コンピュ-タサイエンスカリキュラムの調査研究の標準として、米国計算機学会の提案しているモデルカリキュラムを検討した。また、我国で優れた教育を行っている大学との比較研究も行った。そして、我国の情報技術教育の問題点としてカリキュラムと教育内容を中心に研究した。とりわけ、情報教育を行う側の教官の質的量的な不足状況を解決しない限り、教育の質的改善は難しく、これを解決するためには、大学院レベルの質量的充実を緊急に図らなければならないとの結論に達した。本研究では、情報技術者の需給予測の研究と大学等における情報技術教育内容の研究の2つが主要項目である。2000年時点での需給予測では、予測モデル作成の基礎的検討として情報技術者の定義を教育的側面から行い、大学・高専卒業者を研究・開発的技術者(CS,CE,IS)とし、短大・専修学校・高校等の卒業者を一般的技術者と定義した。先ず、2000年時点での情報技術者の需要を予測するためのモデルとして、今後の経済の平均成長率を4%とし労働時間の短縮率や関連業務の生産性の向上等を見込んだ総需要を予測し、その結果、180万人210万人の情報技術者ストックを必要とすることが明らかとなった。また、研究・開発的技術者を予測するために、科学計測制御用ミニコンの製造出荷数や有効使用年数等を基準にモデルを作成し予測を行った。その結果、研究・開発的技術者のストックは59万人66万人の間であると推定出来た。これに対応する供給モデルのあり方を理論的に検討し、適応できる基本モデルとして規範的モデルを提案した。そして、需要予測に基づく各々の供給量を、シナリオA・B・Cとして設定し、作成された供給モデルでシミュレ-ションすることによって、供給に係わる問題点等を分析し、具体的な問題解決のための政策提言を提案した。教育内容分科会においては、コンピュ-タサイエンスカリキュラムの調査研究の標準として、米国計算機学会の提案しているモデルカリキュラムを検討した。また、我国で優れた教育を行っている大学との比較研究も行った。そして、我国の情報技術教育の問題点としてカリキュラムと教育内容を中心に研究した。とりわけ、情報教育を行う側の教官の質的量的な不足状況を解決しない限り、教育の質的改善は難しく、これを解決するためには、大学院レベルの質量的充実を緊急に図らなければならないとの結論に達した。
KAKENHI-PROJECT-01300008
https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-01300008
Crohn病における疾患特異的腸管蛋白とMycobacteriaに関する研究-特に遺伝子工学的手法を用いて-
1.Crohn病(CD)腸管特異蛋白cDNA、ゲノムDNAのクローニング:CD腸管から抽出したRNAよりmRNAを溶出し、逆転写酵素にてcDNAを合成した。Dasらの方法に準じ粗蛋白を精製したが、ウエスタンブロットによる検索では粗蛋白がCD腸管に特異的ではないと判明し、スクリーニングに用いることは不可能であった。そのため健常腸管から抽出したmRNAに前述のcDNAをアニールさせ、ハイブリダイズしなかったcDNAを抽出(サブトラクション)した。このプローブを用いてライブラリーをスクリーニングし、塩基配列の決定を行っているが、特異的なクローンは得られていない。そのためarbitrarily primed PCR法を用いたクローニングを開始したが、現在まで特異的cDNAのクローンは得られていない。2.CD腸管におけるmycobacteria、真菌及びウイルスの検出とその特異性の検討:CD、潰瘍性大腸炎(UC)、対照の手術腸管組織からDNA及びRNAを抽出した。M.paratuberculosis(M.PTB)に特異的なプライマーを作成しnested PCRを行ったがアガロース電気泳動では特異的な産物は得られず、さらにドット及びサザンブロッティングを追加して感度、特異度を高めたが特異的産物は得られず、M.PTBのCDへの関与は否定的と思われた。またCDにおける食餌抗原としての真菌類の関与を検討するため、Mucor racemosus,Saccharomyces cerevisiae,Candida albicansなどの真菌を認識するプライマーを作成しnested PCRを行ったが、いずれも検出率は対照と差がなく、当施設で以前報告した血清抗体価の成績と合わせ二次的な関与が示唆された。また麻疹、ムンプス、風疹ウイルスを認識するプライマーを作成しnested RT-PCR及びサザンブロッティングで検討したが、いずれのウイルスにも特異的な産物は得られず、病因としての関与は否定的と考えられた。1.Crohn病(CD)腸管特異蛋白cDNA、ゲノムDNAのクローニング:CD腸管から抽出したRNAよりmRNAを溶出し、逆転写酵素にてcDNAを合成した。Dasらの方法に準じ粗蛋白を精製したが、ウエスタンブロットによる検索では粗蛋白がCD腸管に特異的ではないと判明し、スクリーニングに用いることは不可能であった。そのため健常腸管から抽出したmRNAに前述のcDNAをアニールさせ、ハイブリダイズしなかったcDNAを抽出(サブトラクション)した。このプローブを用いてライブラリーをスクリーニングし、塩基配列の決定を行っているが、特異的なクローンは得られていない。そのためarbitrarily primed PCR法を用いたクローニングを開始したが、現在まで特異的cDNAのクローンは得られていない。2.CD腸管におけるmycobacteria、真菌及びウイルスの検出とその特異性の検討:CD、潰瘍性大腸炎(UC)、対照の手術腸管組織からDNA及びRNAを抽出した。M.paratuberculosis(M.PTB)に特異的なプライマーを作成しnested PCRを行ったがアガロース電気泳動では特異的な産物は得られず、さらにドット及びサザンブロッティングを追加して感度、特異度を高めたが特異的産物は得られず、M.PTBのCDへの関与は否定的と思われた。またCDにおける食餌抗原としての真菌類の関与を検討するため、Mucor racemosus,Saccharomyces cerevisiae,Candida albicansなどの真菌を認識するプライマーを作成しnested PCRを行ったが、いずれも検出率は対照と差がなく、当施設で以前報告した血清抗体価の成績と合わせ二次的な関与が示唆された。また麻疹、ムンプス、風疹ウイルスを認識するプライマーを作成しnested RT-PCR及びサザンブロッティングで検討したが、いずれのウイルスにも特異的な産物は得られず、病因としての関与は否定的と考えられた。1.CD腸管特異蛋白cDNA、ゲノムDNAのクローニングCD腸管から抽出したRNAよりmRNAを溶出し、逆転写酵素を用いてcDNAを合成した。Dasらの方法に準じ粗蛋白を精製しシークエンサーにかけ、N末端からの一部のアミノ酸配列の決定を試みたが、粗蛋白の精製が不十分なため満足し得る情報が得られず、さらに精製過程を追加するも回収率が減少し十分でないことが判明した。そのためライブラリーの特異性を高めるために、健常腸管から抽出したmRNAに前述のcDNAをアニールさせ、ハイドロキシアパタイトカラムを用いてハイブリダイズしなかったcDNAを抽出(サブトラクション)した。また粗蛋白をさらに精製するためと、スクリーニングの効率を高める目的で、疾患特異的なモノクローナル抗体を作製中である。2.CD腸管におけるMycobacteria、真菌などの検出とその特異性の検討CD,UC,IBD以外の腸炎および対照の腸管組織の生検、手術標本からDNAおよびRNAを抽出した。Mycobacteria全体を認識するM.tuberculosisのDnaJ遺伝子の塩基配列よりプライマーを作成し、サーマル・サイクラーによりPCRやRT-PCRでDNAの合成を繰り返した。その産物をアガロース電気泳動で検定した。Mycobacteriaについては検体数がまだ不十分であり、現時点では有意な成績は得られておらず、さらに検体数を増やしている状況である。また分離される微生物が二次的なものか否かを検討するため、Mucor racemosis,Sacchromyces cerevisiae,Candida albicansなどの真菌や麻疹ウィルスを認識するプライマーを作成し、サーマル・サイクラーによりNested PCRやNested RT-PCRでDNAの合成を繰り返し同様に検定した。
KAKENHI-PROJECT-05404029
https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-05404029
Crohn病における疾患特異的腸管蛋白とMycobacteriaに関する研究-特に遺伝子工学的手法を用いて-
麻疹については特異的な産物は得られず病因としての関与は否定的と考えられた。真菌類についてはコントロールとの有意差がなく2次的な関与が推定される。1.CD腸管特異蛋白cDNA、ゲノムDNAのクローニングCD腸管から抽出したRNAよりmRNAを溶出し、逆転写酵素を用いてcDNAを合成した。Dasらの方法に準じ粗蛋白を精製したが、ウェスタンブロットによる検索では粗蛋白がCD腸管に特異的ではないと判明し、スクリーニングに用いることは不可能であった。そのため健常腸管から抽出したmRNAに前述のcDNAをアニールさせ、ハイブリダイズしなかったcDNAを抽出(サブトラクション)した。このプローブを用いてライブラリーをスクリーニングし、塩基配列の決定を行っているが、今のところ特異的なクローンは得られていない。またスクリーニングの効率を高める目的で、疾患特異的なモノクローナル抗体を作製中であるが、未だに特異的なものは得られていない。2.CD腸管におけるMycobacteria、真菌およびウィルスの検出とその特異性の検討CD,UC,対照の腸管組織の生検、手術標本からDNAおよびRNAを抽出した。DnaJ遺伝子由来のプライマーはMycobacteriaに特異的ではない可能性が示唆されたため、M.paratuberculosis(M.PTB)に特異的なプライマーを作成し、Nested PCRを行った。アガロース電気泳動では特異的な産物は得られず、M.PTBのCDへの関与は否定的と考えられたが、さらにサザンブロッティングも併用して感度、特異性を高め確認中である。また分離される微生物が二次的なものか否かを検討するため、Mucor racemosis,Sacchromyces cerevisiae,Candida albicansなどの真菌や麻疹、ムンプス、風疹ウィルスを認識するプライマーを作成し、Nested PCRやNested RT-PCRで検討した。真菌類についてはコントロールとの有意差がなく2次的な関与が示唆された。麻疹、ムンプス、風疹ウィルスについては特異的な産物は得られず、病因としての関与は否定的と考えられた。1.CD腸管特異蛋白cDNA、ゲノムDNAのクローニングCD腸管から抽出したRNAよりmRNAを溶出し、逆転写酵素を用いてcDNAを合成した。Dasらの方法に準じ粗蛋白を精製したが、ウェスタンブロットによる検索では粗蛋白がCD腸管に特異的ではないと判明し、スクリーニングに用いることは不可能であった。そのため健常腸管から抽出したmRNAに前述のcDNAをアニールさせ、ハイブリダイズしなかったcDNAを抽出(サブトラクション)した。このプローブを用いてライブラリーをスクリーニングし、塩基配列の決定を行っているが、今のところ特異的なクローンは得られていない。
KAKENHI-PROJECT-05404029
https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-05404029
低侵襲医療デバイスの生体内における制御・誘導技術に関する研究
近年、内視鏡やカテーテル等の長い管状の医療機器を用いる低侵襲治療法が広く用いられている。その手術は、患者の経済的・肉体的損傷を最小限にとどめるので、さまざまな利点を有する反面、外科医の目と手に頼るものであるため、術者に高度な技術と熟練が要求ざれる。そのため、本研究では、以下のような触覚センサおよび手術シミュレーションシステムを開発した。まず、赤外線をカットするパターンの画像処理を用いることにより、さまざまな内視鏡の先端に容易に取付けられて、軸方向の力だけでなく横方向の力も検出できる触覚センサを開発した。内視鏡に取付け、血管モデルに挿入すると、センサの横の部分が接触したときは横方向の力が、軸方向に接触したときは軸方向の力が検出できた。さらに、本センサはアタッチメントを追加することにより、生体組織の剛性を測定することもできた。また、それに並行して、脳血管内でカテーテルを安全に操作誘導するための術前、術中におけるカテーテル経路予測用シミュレータを開発した。そこで、血管壁、血管走行、カテーテル等の力学特性および挿入手技によるパラメータを持つ運動方程式を計算し、結果を数値データおよび動画で表示した。これまでも同様のシミュレータは開発されてきたが、本研究は、(1)生体内に近い運動条件で実験しパラメータを取得した点、(2)従来のものが触覚フィードバック・インターフェースをもつ外科医の教育・訓練用であるのに対し、ターゲットである血管内の患部にアプローチするための経路を予測する点で従来のものと異なる。まず、血管切片を用いて実験を行ない、カテーテルと血管の接触・摩擦状態について検討し、シミュレーションに用いるパラメータを取得した。さらに市販のガイドワイヤを実測してモデル化したものを簡単な血管モデルに挿入し、血管およびガイドワイヤの基本的な特性のガイドワイヤ先端の挿入軌道・接触力に及ぼす影響を調べた。近年、内視鏡やカテーテル等の長い管状の医療機器を用いる低侵襲治療法が広く用いられている。その手術は、患者の経済的・肉体的損傷を最小限にとどめるので、さまざまな利点を有する反面、外科医の目と手に頼るものであるため、術者に高度な技術と熟練が要求ざれる。そのため、本研究では、以下のような触覚センサおよび手術シミュレーションシステムを開発した。まず、赤外線をカットするパターンの画像処理を用いることにより、さまざまな内視鏡の先端に容易に取付けられて、軸方向の力だけでなく横方向の力も検出できる触覚センサを開発した。内視鏡に取付け、血管モデルに挿入すると、センサの横の部分が接触したときは横方向の力が、軸方向に接触したときは軸方向の力が検出できた。さらに、本センサはアタッチメントを追加することにより、生体組織の剛性を測定することもできた。また、それに並行して、脳血管内でカテーテルを安全に操作誘導するための術前、術中におけるカテーテル経路予測用シミュレータを開発した。そこで、血管壁、血管走行、カテーテル等の力学特性および挿入手技によるパラメータを持つ運動方程式を計算し、結果を数値データおよび動画で表示した。これまでも同様のシミュレータは開発されてきたが、本研究は、(1)生体内に近い運動条件で実験しパラメータを取得した点、(2)従来のものが触覚フィードバック・インターフェースをもつ外科医の教育・訓練用であるのに対し、ターゲットである血管内の患部にアプローチするための経路を予測する点で従来のものと異なる。まず、血管切片を用いて実験を行ない、カテーテルと血管の接触・摩擦状態について検討し、シミュレーションに用いるパラメータを取得した。さらに市販のガイドワイヤを実測してモデル化したものを簡単な血管モデルに挿入し、血管およびガイドワイヤの基本的な特性のガイドワイヤ先端の挿入軌道・接触力に及ぼす影響を調べた。
KAKENHI-PROJECT-05J01745
https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-05J01745
新規オーファンGPCRリガンドの探索と機能解析による新たな内分泌調節機構の解明
多くの生理活性ペプチドは細胞表面に存在するGタンパク質共役型受容体(GPCR)を介して情報を伝達する。現在では内因性リガンドが不明なオーファンGPCRが多数報告されており,本研究ではこれらのペプチド性リガンドを同定し,機能解析することにより新たな内分泌調節機構を解明することを目的とした。下垂体で顕著に発現しているオーファンGPCRをHEK293細胞にて恒常的に発現させ,GPCRのセカンドメッセンジャーである細胞内カルシウムイオン濃度の変化を指標として,内因性リガンドの探索を試みた。この結果,ラット脳から抽出したペプチド画分に特異的な活性を見出し,このリガンド候補を単離・構造解析したところ,Vasoactive intestinal polypeptide(VIP)であった。化学合成したVIPは,コントロールのHEK293細胞には無反応であったが,オーファンGPCRを発現させたHEK293細胞では細胞内カルシウムイ.オン濃度を上昇させた。しかしながら,これらの特異的な反応はCHO細胞を用いた実験系では再現できず,さらには,VIPの受容体は既に同定されていることから,VIPは本研究で用いたオーファンGPCRの内因性リガンドではないという結論に至った。オーファンGPCRをHEK293細胞で発現させることにより,内在するVIP受容体に何らかの影響が生じ,このような反応が認められたと推測された。また,オーファンGPCRであったFM-4の内因性リガンドとして,我々が2005年に発見したニューロメジンS(NMS)の新たな生理機能解析を試みた。NMSをラット脳室内に投与すると,血漿バソプレシン濃度が上昇し,それに伴い尿量の減少が認められた。NMSは強力な抗利尿作用を有することが示され,体液量調節の新しいメカニズムが示唆された。多くの生理活性ペプチドは細胞表面に存在するGタンパク質共役型受容体(GPCR)を介して情報を伝達する。現在では内因性リガンドが不明なオーファンGPCRが多数報告されており、本研究ではこれらのペプチド性リガンドを同定し、機能解析することにより新たな内分泌調節機構を解明することを目的とする。本年度は下記の研究を遂行した。1.新規生理活性ペプチドの活性検出法の構築下垂体で顕著に発現しているオーファンGPCRのcDNAをクローニングした後、CHO及びHEK293細胞にて恒常的に発現させた。オーファンGPCRへリガンドが結合することにより変動する細胞内カルシウムイオン濃度及びcAMP濃度を、それぞれFLIPR及びFusionαシステムにて測定する実験系を構築した。また、2次メッセンジャーの種類に関わらず活性を検出するため、オーファンGPCRをFLAG標識して細胞内動態(インターナリゼーション)を観察できる系を構築した。2.新規生理活性ペプチドの探索本研究で対象としたオーファンGPCRは下垂体で顕著に発現しているため、視床下部を用いて内因性リガンドとなる新規生理活性ペプチドの探索を試みた。50頭分のブタ視床下部からペプチド画分を抽出した。このペプチドを強塩基性、弱塩基性画分に分離した後、ゲルろ過クロマトグラフィーに供した。このサンプルを用いてオーファンGPCRを活性化させるペプチドを探索したが、特異的な活性は検出できなかった。成長ホルモンの分泌を制御するグレリンは胃で産生されている例もあるため、ラット胃、小腸などからペプチド抽出を試みている。3.両生類のニューロメジンS(NMS)の同定これまでに哺乳類でNMSという新規ペプチドを発見しているが、両生類にも存在することを明らかにした。また、哺乳類のNMSは強力なプロラクチン分泌抑制活性を有することを明らかにした。多くの生理活性ペプチドは細胞表面に存在するGタンパク質共役型受容体(GPCR)を介して情報を伝達する。現在では内因性リガンドが不明なオーファンGPCRが多数報告されており,本研究ではこれらのペプチド性リガンドを同定し,機能解析することにより新たな内分泌調節機構を解明することを目的とした。下垂体で顕著に発現しているオーファンGPCRをHEK293細胞にて恒常的に発現させ,GPCRのセカンドメッセンジャーである細胞内カルシウムイオン濃度の変化を指標として,内因性リガンドの探索を試みた。この結果,ラット脳から抽出したペプチド画分に特異的な活性を見出し,このリガンド候補を単離・構造解析したところ,Vasoactive intestinal polypeptide(VIP)であった。化学合成したVIPは,コントロールのHEK293細胞には無反応であったが,オーファンGPCRを発現させたHEK293細胞では細胞内カルシウムイ.オン濃度を上昇させた。しかしながら,これらの特異的な反応はCHO細胞を用いた実験系では再現できず,さらには,VIPの受容体は既に同定されていることから,VIPは本研究で用いたオーファンGPCRの内因性リガンドではないという結論に至った。オーファンGPCRをHEK293細胞で発現させることにより,内在するVIP受容体に何らかの影響が生じ,このような反応が認められたと推測された。また,オーファンGPCRであったFM-4の内因性リガンドとして,我々が2005年に発見したニューロメジンS(NMS)の新たな生理機能解析を試みた。NMSをラット脳室内に投与すると,血漿バソプレシン濃度が上昇し,それに伴い尿量の減少が認められた。NMSは強力な抗利尿作用を有することが示され,体液量調節の新しいメカニズムが示唆された。
KAKENHI-PROJECT-18790645
https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-18790645
高層湿原への人為的影響の評価と保全対策
本研究は、湿原の乾燥化、あるいは湿原涵養水や土壌の組成の変化等の人為活動の地下水質さらに湿原植生への影響を評価し、保全対策を提案することである。調査対象湿原を、北海道の代表的な湿原であるサロベツ湿原と霧多布湿原とし、1997年1998年に前者で7回、後者で6回の調査を実施した。サロベツ湿原は、戦後の農地開発に伴う灌漑排水と農地造成事業によって激減し、残された地域もささの侵入によって存亡の危機にある。霧多布湿原においても土地開発や道路建設の影響が自然の植生の変貌として徐々にその影響が認められるようになった。研究代表者らは、湿原地下水や周辺水域の河川や湖沼の水質、湿原の土壌質、そしてミズゴケやササの繁茂状況を調査した。その結果、従来の地下水位を中心とした水文学的知見に加え、化学的にも人為活動の影響が湿原生態系に及んでいることが明らかになった。すなわち排水が地下水位の低下と泥炭の乾燥化を招き、さらに泥炭の分解による栄養塩濃度の上昇を引き起こしたこと、土地造成による土壌の湿原への混入が土壌中のリンや珪酸含量が著しく高くなることがわかった。これらの化学組成の変化が、植生に影響を与えていることも推測された。サロベツ湿原においては、まさしく農地排水が泥炭の分解による無機態栄養塩濃度の増加させてササの侵入を促進し、土壌の混入がササの生育の発達を促進していることがわかった。ササに代表される湿原への異質な植物の侵入を抑制するためには水位の低下はもちろん、湿原外からの物質の混入を阻止しなければならない。本研究は、湿原の乾燥化、あるいは湿原涵養水や土壌の組成の変化等の人為活動の地下水質さらに湿原植生への影響を評価し、保全対策を提案することである。調査対象湿原を、北海道の代表的な湿原であるサロベツ湿原と霧多布湿原とし、1997年1998年に前者で7回、後者で6回の調査を実施した。サロベツ湿原は、戦後の農地開発に伴う灌漑排水と農地造成事業によって激減し、残された地域もささの侵入によって存亡の危機にある。霧多布湿原においても土地開発や道路建設の影響が自然の植生の変貌として徐々にその影響が認められるようになった。研究代表者らは、湿原地下水や周辺水域の河川や湖沼の水質、湿原の土壌質、そしてミズゴケやササの繁茂状況を調査した。その結果、従来の地下水位を中心とした水文学的知見に加え、化学的にも人為活動の影響が湿原生態系に及んでいることが明らかになった。すなわち排水が地下水位の低下と泥炭の乾燥化を招き、さらに泥炭の分解による栄養塩濃度の上昇を引き起こしたこと、土地造成による土壌の湿原への混入が土壌中のリンや珪酸含量が著しく高くなることがわかった。これらの化学組成の変化が、植生に影響を与えていることも推測された。サロベツ湿原においては、まさしく農地排水が泥炭の分解による無機態栄養塩濃度の増加させてササの侵入を促進し、土壌の混入がササの生育の発達を促進していることがわかった。ササに代表される湿原への異質な植物の侵入を抑制するためには水位の低下はもちろん、湿原外からの物質の混入を阻止しなければならない。本研究は、サロベツ湿原と霧多布湿原を対象に、その保全のための基礎調査(地下水質、土壌、植生)を行った。調査はもつ一年継続されるが、本年度の成果を以下に示す。【調査期間】サロベツ湿原1997年5月1929日、7月34日、7月2324日、9月1517日、10月17日、霧多布湿原8月1315日、11月1719日【主たる成果】○地下水水質についてミズゴケ区(ミズゴケ優占区)は、雨水涵養型で、pHが低くまた栄養塩濃度が低いが、ササ区(ササ優占区)は乾燥化と土壌の混入によってpHが高く、栄養塩他一般成分濃度が極めて高い。湿原保全のためには、乾燥化の防止、他水系からの水の流入、土砂の混入を避けなければならない。○土壌質について泥炭土壌の底部まで約7mを10cm間隔でICP-massとCN計によって分析した。各層で地質形成と関連した特異的な組成分布がみられたが、特にササ区での表層20-30cmでの重金属元素の増加と有機成分(C,N)の減少がみられ、これらは最近の人為的作用によるものと推測された。○ササの生長についてササ区でもササ侵入部とササ繁茂区では、茎の径や葉の大きさに差異が認められた。しかし葉面積指数に大きな差がなかった。土壌の侵入は、ササを大型化するが、葉面積は物理的状況に左右されることがわかった。本研究は、湿原の乾燥化、あるいは湿原涵養水や土壌の組成の変化等の人為活動の地下水質さらに湿原植生への影響を評価し、保全対策を提案することである。調査対象湿原を、北海道の代表的な湿原であるサロベツ湿原と霧多布湿原とし、1997年1998年に前者で7回、後者で6回の調査を実施した。サロベツ湿原は、戦後の農地開発に伴う灌漑排水と農地造成事業によって激減し、残された地域もささの侵入によって存亡の危機にある。霧多布湿原においても土地開発や道路建設の影響が自然の植生の変貌として徐々にその影響が認められるようになった。
KAKENHI-PROJECT-09680542
https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-09680542
高層湿原への人為的影響の評価と保全対策
研究代表者らは、湿原地下水や周辺水域の河川や湖沼の水質、湿原の土壌質、そしてミズゴケやササの繁茂状況を調査した。その結果、従来の地下水位を中心とした水文学的知見に加え、化学的にも人為活動の影響が湿原生態系に及んでいることが明らかになった。すなわち排水が地下水位の低下と泥炭の乾燥化を招き、さらに泥炭の分解による栄養塩濃度の上昇を引き起こしたこと、土地造成による土壌の湿原への混入が土壌中のリンや珪酸含量が著しく高くなることがわかった。これらの化学組成の変化が、植生に影響を与えていることも推測された。サロベツ湿原においては、まさしく農地排水が泥炭の分解による無機態栄養塩濃度の増加させてササの侵入を促進し、土壌の混入がササの生育の発達を促進していることがわかった。ササに代表される湿原への異質な植物の侵入を抑制するためには水位の低下はもちろん、湿原外からの物質の混入を阻止しなければならない。
KAKENHI-PROJECT-09680542
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抗炎症物質Gnetinによる糖尿病網膜症への新規治療介入の解析
糖尿病網膜症は、日本における第3位の失明原因である。現在多用されている薬剤が高額なため、負担の少ない新たな治療法が求められている。申請者は、糖尿病モデルマウスに対しresveratrolが抗炎症作用を介して症状を改善することを報告した。一方、resveratrolの二量体であるGnetinにはresveratrolより強い生理活性効果が多数報告されるようになった。本研究では、糖尿病モデルマウスにGnetinを投与して、Gnetinの糖尿病網膜に与える効果をresveratrolと比較し解析する。さらに、Gnetinの生理活性効果を利用する糖尿病網膜症に対する新たな治療法の開発を目指す。糖尿病網膜症は、日本における第3位の失明原因である。現在多用されている薬剤が高額なため、負担の少ない新たな治療法が求められている。申請者は、糖尿病モデルマウスに対しresveratrolが抗炎症作用を介して症状を改善することを報告した。一方、resveratrolの二量体であるGnetinにはresveratrolより強い生理活性効果が多数報告されるようになった。本研究では、糖尿病モデルマウスにGnetinを投与して、Gnetinの糖尿病網膜に与える効果をresveratrolと比較し解析する。さらに、Gnetinの生理活性効果を利用する糖尿病網膜症に対する新たな治療法の開発を目指す。
KAKENHI-PROJECT-19K09958
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社会連帯の形成・維持機構の解明
1個人レベル、地域レベルの社会関係指標のいずれも個人の健康や保健行動に有意な効果をもたらすことが分かった。2個人レベルや地域レベルの社会関係指標と個人の健康や保健行動との間を媒介する要因についても一定の知見を得ることができた。3個人レベルと地域レベルの社会関係が健康の階層間格差を軽減する可能性が示された。4地域組織を活用して地域住民の関係性を強化することができることが示されたが、それは一部の階層に限定される可能性があった。1個人レベル、地域レベルの社会関係指標のいずれも個人の健康や保健行動に有意な効果をもたらすことが分かった。2個人レベルや地域レベルの社会関係指標と個人の健康や保健行動との間を媒介する要因についても一定の知見を得ることができた。3個人レベルと地域レベルの社会関係が健康の階層間格差を軽減する可能性が示された。4地域組織を活用して地域住民の関係性を強化することができることが示されたが、それは一部の階層に限定される可能性があった。1.個人レベルと集団レベルの社会関係資本を評価する調査の準備(1)多目的パネル班との共同調査の準備:本調査は、自治体内の町目レベルで社会関係資本を評価し、その形成・維持要因および健康への効果を測定するデータベースの作成を目的としている。今年度は、社会関係資本について、既存の文献レビューとともにフォーカスグループインタビューを実施し、測定項目群を作成した。(2)市区町村レベルの調査の準備:本調査では市区町村のレベルで社会関係資本を評価し、その形成・維持の要因および健康への効果を測定するデータベースを作成することを目的としている。社会関係資本の評価項目については、(1)の調査との比較可能性を考慮し、共同調査の項目の検討と同時並行に行った。対象自治体は関東地域(千葉、神奈川、埼玉、東京)の自治体から無作為に30自治体を選定すること、対象者は25歳以上とすることに決定した。2.地域社会環境の評価指標の検討既存文献のレビューに基づき、社会関係資本に影響する地域社会環境の検討を行った。3.行政のコミュニティ施策の評価指標の検討既存文献のレビューに基づき、社会関係資本に影響する行政施策の検討を行った。4.非営利組織を対象とした調査非営利組織における高齢者の参加プロセスおよび参加に伴う高齢者の意識・態度の変容に関する既存の文献のレビューを行った。さらに高齢者協同組合や非営利組織に対して活動に関するヒアリングを行い、質問紙調査の対象者の選定、調査項目について検討した。5.既存のデータの解析個人レベルの社会関係資本の効果を明らかにするため、健診受診に与える効果について既存のデータベースを用いて解析し、社会関係資本の種類によって健診受診に与える効果が異なることを明らかにした。その結果については学術誌に投稿中である.1.個人レベルと集団(自治体・町丁目)レベルの社会関係資本の形成と影響評価(1)自治体レベルの社会関係資本の影響評価1)データベースの作成:(1)1都3県の自治体から30自治体を無作為に抽出した後、当該自治体に在住の25歳以上の住民各400人(計12,000人)を無作為に抽出し、郵送調査を実施。回収率は自治体ごとに異なり、23%から47%まで分布。(2)自治体の特性に関するデータベースの作成:国勢調査(05年)などを利用し、自治体の社会・経済・健康の特性に関するデータベースを作成した。(2)分析結果:個人レベルの集団参加数とともに、地域レベルの平均集団参加数がうつ症状の低下に有意な効果があった。(2)町丁目レベルの社会関係資本の形成と影響評価:1)データベースの作成:足立区において50歳以上の住民2,500人を無作為に抽出し、郵送調査を実施。回収率は35%。2.非営利組織の形成とその活動評価-社会関係資本との関連から(1)非営利組織の形成・維持と他の社会関係資本との関連:足立区全域のNPO組織の活動状況(設立年、活動年数、活動内容、活動地域)に関する情報収集、質的調査の対象選定を行った。(2)非営利組織の効果評価:NPO組織(コミュニティカフェ、男の台所)に関する資料収集と関係者に対する聞き取り調査を行った。3.既存のデータの解析(1)個人レベルの社会関係資本が健診受診に与える直接および間接効果、(2)地域の社会関係資本の拡充にとって大きな役割を担う民生委員が閉じこもり高齢者の把握にどの程度貢献するか、(3)高齢者の健康に対して個人と地域(町丁)の社会関係資本がマイナスの効果をもっている可能性、(4)介護保険の保険者である地方自治体が介護保険制度の執行において果たす役割、について既存のデータを活用し、明らかにした。1)結合型(同じ属性をもった人との関係)、橋渡し型(異なる属性をもった人との関係)、連結型(権力や社会的地位が異なる階層の人との関係)の3次元から個人レベルの社会関係資本(以下、SC)を評価し、それぞれの健康度自己評価に与える効果が高齢者と青壮年者で異なるか否かを分析した。青壮年者ではインフォーマル、フォーマルのいずれも結合型のSCが橋渡し型と比較して健康度自己評価の向上に、高齢者では橋渡し型の方が健康度自己評価の向上に貢献することが示された。2)集団参加の面から自治体レベルのSCを評価し、それが個人の精神的健康に与える効果を高齢者と青壮年者を比較しながら分析した。高齢者ではボランティアへの参加率が高い地域に在住の者ほど精神的健康が良いこと、その効果は男女によって異なることが示された。
KAKENHI-PLANNED-21119005
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社会連帯の形成・維持機構の解明
3)地域レベルのSCを認知的側面(社会的凝集性)から評価し、その孤独感との関連性、およびその関連性が高齢者と青壮年者とで異なるか否かを分析した。地域レベルの社会的凝集性は高齢者でのみ孤独感と関連が強いことが示された。4)帰属組織の面から個人のSCを評価し、どのような種類の組織への帰属が政治的効力感(PE)の促進に効果を高齢者と他の年齢層(壮年者、青年者)との比較において分析した。青年や壮年層では、生協、市民・消費者運動、ボランティアなど自発的/公共的な性格をもつ組織への帰属がPEの促進に効果がみられたものの、高齢者では、政治との関係が希薄と思われるスポーツ関連・趣味・学習活動の会など自発的/自己的な性格の組織への帰属がPEの促進に効果があることが示された。5)地域レベルのSCの多寡が、個人レベルのSCや階層、健康など個人の特性の分布の差によって説明可能か否かを検討した。地域レベルのSCは、そこに住む個人の特性の違いによって説明できず、地域特性としての可能性が高いことが示された。1)社会関係に影響する要因:1都市度とパーソナルネットワークとの関係について分析した結果、大都市の親族関係は規範的ではなく選択的であり、空間的に分散したネットワークであったこと、都市度が高いほど隣人数は減少していたが、都市度が高いと都市圏全体に広がる友人資源へのアクセス可能性を高めていたことが明らかとなった。2地域の愛着意識に影響する要因を分析した結果、青壮年者では、個人レベルの「社会的凝集性」とともに「物的環境」の良否が地域への愛着に影響を及ぼしていたこと、高齢者では、個人レベルだけでなく地域レベルの「社会的凝集性」が地域への愛着意識と関連していたことが明らかとなった。2)社会的弱者の支援策:1東京都区市部の民生委員を対象とした調査データの分析では、セルフ・ネグレクト(衣食住や医療・福祉サービスなど自らの健康や安全の維持に必要な物や支援を得ることができずに放任されている状態)の支援に関わった機関は「地域包括支援センター」が最多で、改善に役立った支援やサービスは「民生委員の見守り」「ホームヘルパー」「入院」が多かったこと、希望する支援策として、本人が正常な判断ができない場合は行政による立ち入り調査や訪問指導等の強制力を行使、地域包括支援センターや保健センター等の相談・連絡体制、個人情報規制の緩和に関する意見が多かったことが明らかとなった。2透析患者を対象とした全国調査データの分析では、透析導入年齢による高齢期の身体的・社会的・経済的不利に差異があり、50歳以降に透析導入した人と比較した場合、30歳未満で透析を導入した人では多様な不利が集積していたこと、その理由には、透析導入年齢が30歳未満の場合、透析が長期にわたるため合併症の発症に伴って身体的な不利が早期に生じ、その結果として社会的不利、経済的不利が深刻になっていることが示唆された。(1)地域の社会関係資本の健康への効果とその媒介要因:社会貢献活動が活発な地域では個人が社会活動を行っているか否かに関係なく健康度自己評価が高かった。この効果は保健行動や健康情報を媒介とするという仮説は支持されなかった。(2)社会階層とパーソナル・ネットワーク:学歴・職業・所得による格差と性差:
KAKENHI-PLANNED-21119005
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閉ループ電気生理による神経活動ダイナミクスのフィードバック制御
本研究では,閉ループ電気生理を用いて特定の脳領域における神経応答特性を制御する新規手法を提案した.まず,フラビンタンパク質蛍光イメージングと局所電場電位計測を用いて齧歯類聴覚皮質における各サブ領域および層における時間周波数受容野(STRF)を体系的に調べた.特に,覚醒自由行動下のマウス聴覚皮質では,異なる2つの行動文脈においてSTRFの特性が動的に遷移することを明らかにした.得られた知見をもとに,各サブ領域および層にまたがる多点シリコン電極を刺入し,聴覚応答を計測しながらSTRFを実時間で推定し,その結果に応じて特定のチャンネルを多点電流刺激できるシステムを構築することに成功した.本研究の目的は,実時間で多点計測と多点刺激を行う閉ループ電気生理を用いて,特定の脳領域における神経活動ダイナミクスを安定的かつ精緻に制御することのできる新しい方法論を確立することである.1年目は,そのためのベースとなる,哺乳類聴覚皮質神経回路における音誘発応答特性の体系的な解析を行った.まず,麻酔下のラットにおいて聴覚皮質の脳表を露出させる手術を行い,フラビンタンパク質蛍光イメージング法により聴覚領域の同定を行った.これにより同定されたA1およびAAFに1シャンクの16-chシリコンプローブを刺入し,様々な音刺激に対する聴覚応答を各層で計測した.層の同定は,LFPのピーク逆転現象および電流源密度解析等を併用した.時間周波数受容野(STRF)および周波数音圧応答領域(FRA)を用いて解析したところ,層方向には4層→2/3層→5/6層の順に活動が伝搬し,周波数および時間情報の処理が行われていることが分かった.領域方向には,A1→AAFの順に活動が伝搬し,特に周波数情報の処理が行われていることが分かった.さらに,A1の4層とAAFの2/3層および4層においてのみ,第1ピーク以外に潜時のさらに長い第2ピークをを持つSTRFがみられ,これらの部位では複数の情報の統合に関わっていることが考えられる.上記の1年目の研究により,ラット聴覚皮質における音誘発神経応答特性の脳領域および層依存性について明らかにすることができた.2年目は,これらの知見をもとにして電気刺激系を構築し,閉ループ電気生理による神経活動制御法の確立を行う予定である.個体差の大きな各聴覚領域の正確な位置を同定するためにフラビンタンパク質蛍光イメージング法を新たに導入し,既に確立していた多点電極による神経活動計測法と組み合わせることにより,ラット聴覚皮質の脳領域および層依存性を体系的に明らかにすることができた.これは,当初の予定以上に進展した項目である.一方,閉ループ電気生理に最適な新たな多点電極の作成については,大阪府立産業技術総合研究所との共同研究体制を構築することはできたが,多点電極の作成自体は現時点では完了していない.これは,当初の予定からやや遅れている.したがって,全体としては「おおむね順調に進展している」と自己評価した.本研究の目的は,実時間で多点計測と多点刺激を行う閉ループ電気生理を用いて,特定の脳領域における神経活動ダイナミクスを安定的かつ精緻に制御することのできる新しい方法論を確立することである.そのための準備として,1年目には麻酔下の哺乳類聴覚皮質神経回路における音誘発応答特性を様々な層及びサブ領域において体系的に調べたが,2年目は覚醒自由行動下において聴覚皮質から神経活動を計測し,その文脈依存的な応答特性を解析した.まず,覚醒自由行動下のマウス聴覚野に慢性電極を埋め込み,神経活動を計測した.しかしながら,聴覚応答を計測できる確率が20%程度と低かったため,フラビン蛋白質蛍光イメージング法を利用することで,個体ごとに位置が異なる聴覚皮質の位置を個体ごとに同定した上で慢性電極を埋め込む新しい方法を提案した.本手法を用いると,ほぼ100%で聴覚応答を計測できることを確認した.次に,慢性電極を埋め込んだマウスを,異なる2つの行動文脈(孤立したalone条件と他個体が存在するsocial条件)において,計測している神経細胞の聴覚応答特性(時間周波数受容野: STRF)を解析した.その結果,alone条件と比べてsocial条件では,特に時間方向により正確に応答する選択性を示すことが明らかとなった.2年目の研究により,覚醒自由行動下のマウス聴覚皮質から高確率で聴覚応答を計測する方法を新規に確立するとともに,聴覚皮質神経細胞が社会的な行動文脈依存的に聴覚応答特性を変化させることを明らかにした.最終年度となる3年目では,これらの知見を踏まえて,多点刺激により聴覚皮質神経活動をどのように制御・変容させることができるか試行していく予定である.慢性電極をマウスへ埋め込む前にフラビン蛋白質蛍光イメージングを利用することにより,個体差の大きい聴覚皮質の位置を同定する新手法を確立し,大幅に聴覚応答計測成功率を上昇させることができた.これは,当初の予定以上に進展した項目である.一方,閉ループ電気生理に最適な多点電極の作成については,予定からやや遅れているため,全体として「おおむね順調に進展している」と自己評価した.本研究の目的は,実時間で多点計測と多点刺激を行う閉ループ電気生理を用いて,特定の脳領域における神経活動ダイナミクスを安定的かつ精緻に制御することのできる新しい方法論を確立することである.
KAKENHI-PROJECT-15K01847
https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-15K01847
閉ループ電気生理による神経活動ダイナミクスのフィードバック制御
そのために,以下の一連の研究を実施した.1年目は,麻酔下のラット聴覚皮質においてフラビンタンパク質蛍光イメージングを用いてサブ領域を同定した上で,A1およびAAFに1シャンク16チャンネルの多点シリコン電極を刺入して聴覚応答を計測し,時間周波数受容野(STRF)および周波数音圧応答領域(FRA)を用いて応答特性を体系的に評価した.2年目は,覚醒自由行動下のマウスにおいて,頭蓋骨越しにフラビンタンパク質蛍光イメージングを行うことにより,特定のサブ領域を狙って電極を埋め込むことのできる新規手法を提案した.また,それを用いて,異なる2つの行動文脈(孤立したalone条件と他個体が存在するsocial条件)において,STRFの特性が動的に遷移することを見出した.3年目は,A1およびAAFにまたがるように4シャンク32チャンネルの多点シリコン電極を刺入して聴覚応答を計測しながらSTRFを実時間で推定し,その結果に応じて特定の16チャンネルを多点電流刺激できるシステムを構築することに成功した.これら一連の研究成果により,齧歯類聴覚皮質の層およびサブ領域において特定の神経活動を強制的に引き起こしたり,特定の聴覚応答特性へ可塑的に制御するための技術的基盤が整備された.本研究では,閉ループ電気生理を用いて特定の脳領域における神経応答特性を制御する新規手法を提案した.まず,フラビンタンパク質蛍光イメージングと局所電場電位計測を用いて齧歯類聴覚皮質における各サブ領域および層における時間周波数受容野(STRF)を体系的に調べた.特に,覚醒自由行動下のマウス聴覚皮質では,異なる2つの行動文脈においてSTRFの特性が動的に遷移することを明らかにした.得られた知見をもとに,各サブ領域および層にまたがる多点シリコン電極を刺入し,聴覚応答を計測しながらSTRFを実時間で推定し,その結果に応じて特定のチャンネルを多点電流刺激できるシステムを構築することに成功した.2年目以降は,1年目で明らかにした齧歯類聴覚皮質における音誘発応答特性が,覚醒自由行動下において行動文脈に依存してどのように調整されているかについて検討するとともに,多点電極の作成および多点刺激系を新たに立ち上げ,閉ループ電気生理による神経活動制御を実現するための実験を推進する予定である.2年目までの研究により,麻酔下および覚醒自由行動下の齧歯類聴覚皮質から聴覚応答を計測する方法を確立するとともに,聴覚皮質におけるサブ領域および層依存的な聴覚応答特性の違いや社会的行動文脈に対する依存性を明らかにしてきた.最終年度となる3年目では,これらの知見を踏まえて,多点刺激により聴覚皮質神経活動をどのように制御・変容させることができるか試行していく予定である.神経工学3月末に成果発表のために旅費が生じたが,支払いが4月にかかってしまったため,その分の金額が次年度使用額となった.次年度の4月に執行する案件があるため,次年度使用額が生じている.4月に支払いが完了すれば,予定通りの支出となる.次年度の4月に執行する案件にて,当初の予定通りの執行額となる.北海道大学大学院情報科学研究科生命人間情報科学専攻神経制御工学研究室ホームページ
KAKENHI-PROJECT-15K01847
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分子生物学的手法を用いた口腔癌転移関連遺伝子の検索
東京医科歯科大学歯学部第二口腔外科を平成9年から11年に口腔癌及び口腔前癌病変を有して受診した患者のうち、生検時腫瘍材料を凍結保存可能であった約100例について、腫瘍材料の採取を行った。それぞれの材料を可及的に3分割し、RNA、DNAおよび総タンパク質の抽出に用いた。生検材料が微少であることから、核酸については、10^<-5>のオーダーでしか採取できず、検索の範囲が限られた。総タンパク質については、やはり量的な問題から、定量的問題検索は困難で、テロメラーゼ活性などの一部の定性的な実験に用いた。今回の課題は、口腔癌症例のうち、頚部リンパ節あるいは遠隔転移を示した病例について、原発巣、転移巣各々の腫瘍の発現するmRNAの違いを検索し、その違いこそが、転移に関与する遺伝子の発現の相違、さらにはその遺伝子こそが口腔癌転移に関与するものと考え、その同定を目的とした。cDNAの作成には最低1μgのmRNAを必要とすることから、限られた2症例について、ヂフェレンシャルヂスプレイ法を用いて解析した。シークエンスゲル上で違いを示したバンドを切り出し、そのDNA断片を用いて、当科で樹立した口腔癌細胞及び初代培養口腔粘膜由来角化細胞について、発現の状態を検索したが明らかな相違は認められなかった。今回の検索で転移遺伝子同定が困難であった原因として、1.核酸の量的な問題から、核酸、cDNAの純度が落ちたこと、2.腫瘍材料に、原発巣では周囲の正常細胞及び浸潤リンパ球、転移巣では正常リンパ節組織の混入が防げなかったこと、3.核酸の量的な問題から違いを示したDNA断片の発現をもともとの組織で検索できなかったこと等が考えられる。現在、問題を解決するために、同一患者の原発、転移各々の組織から樹立した細胞株の使用を検討している。尚、原発、転移巣の違いを検索する目的で、両者のテロメラーゼ活性についても、今回収集した検体を用いて解析し報告している(酒井英紀他テロメラーゼ活性を用いた口腔前癌病変悪性転化の予測ワークショップII口腔癌の遺伝子診断・治療第44回(社)日本口腔外科学会総会(東京)1999、Eiki Sakai,Nobuo Tsuchida,Govindaswamy Shanmugan and Shoji Enomoto Diagnostic Techniques-Tumor Genetics,Vital Analysis Symposium on Advances in Head and Neck Oncology 14th International Conference on Oral and Maxillofacial Surgery(Washington,DC)1999)。口腔扁平上皮癌(SCC)の頸部リンパ節転移、または腺様嚢胞癌(ACC)の肺転移機構に関与する遺伝子のクローニングする目的で、それぞれの原発巣、転移巣より抽出したmRNAを用いて、cDNA-mRNAサブトラクション法、ディファレンシャルディスプレイ法を用いて解析することとした。今年度は手術材料の採取と保存を行った。1998年当科を受診した放射線、科学療法等の治療を受けていない扁平上皮癌、及び腺様嚢胞癌症例で、臨床所見が典型的でなものを選択し、患者の承諾を得たのち、手術材料を採取し、液体窒素を用いて速やかに凍結し、-80゚Cで保存した。引き続いて、細胞mRNA及びDNAの抽出を、RNAZol(GTC,フェノールを主体とした混合液)を用いて行った。抽出後、RNA、DNAブロットハイブリダイゼーション法を用いて核酸の純度を確認した。これらの材料を用いて、1999年度には、cDNAの合成、ディフェレンシャルディスプレイ法による解析、原発巣、転移巣で発現されるmRNA集団の差として得られるcDNA断片のファージへの組み込み、クローニングを予定している。その後インサートDNA断片をプローブにしてRNAブロットハイブリダイゼイション解析を行い発現の差を検索し、発現の差が認められた断片についてはさらに多くの手術材料を検索し、その現象が一般的であるか否かを検索する一方で、発現が確認された組織由来のcDNAライブラリーをスクリーニングし全長cDNAをクローニングする。東京医科歯科大学歯学部第二口腔外科を平成9年から11年に口腔癌及び口腔前癌病変を有して受診した患者のうち、生検時腫瘍材料を凍結保存可能であった約100例について、腫瘍材料の採取を行った。それぞれの材料を可及的に3分割し、RNA、DNAおよび総タンパク質の抽出に用いた。生検材料が微少であることから、核酸については、10^<-5>のオーダーでしか採取できず、検索の範囲が限られた。総タンパク質については、やはり量的な問題から、定量的問題検索は困難で、テロメラーゼ活性などの一部の定性的な実験に用いた。今回の課題は、口腔癌症例のうち、頚部リンパ節あるいは遠隔転移を示した病例について、原発巣、転移巣各々の腫瘍の発現するmRNAの違いを検索し、その違いこそが、転移に関与する遺伝子の発現の相違、さらにはその遺伝子こそが口腔癌転移に関与するものと考え、その同定を目的とした。cDNAの作成には最低1μgのmRNAを必要とすることから、限られた2症例について、ヂフェレンシャルヂスプレイ法を用いて解析した。シークエンスゲル上で違いを示したバンドを切り出し、そのDNA断片を用いて、当科で樹立した口腔癌細胞及び初代培養口腔粘膜由来角化細胞について、発現の状態を検索したが明らかな相違は認められなかった。
KAKENHI-PROJECT-10877320
https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-10877320
分子生物学的手法を用いた口腔癌転移関連遺伝子の検索
今回の検索で転移遺伝子同定が困難であった原因として、1.核酸の量的な問題から、核酸、cDNAの純度が落ちたこと、2.腫瘍材料に、原発巣では周囲の正常細胞及び浸潤リンパ球、転移巣では正常リンパ節組織の混入が防げなかったこと、3.核酸の量的な問題から違いを示したDNA断片の発現をもともとの組織で検索できなかったこと等が考えられる。現在、問題を解決するために、同一患者の原発、転移各々の組織から樹立した細胞株の使用を検討している。尚、原発、転移巣の違いを検索する目的で、両者のテロメラーゼ活性についても、今回収集した検体を用いて解析し報告している(酒井英紀他テロメラーゼ活性を用いた口腔前癌病変悪性転化の予測ワークショップII口腔癌の遺伝子診断・治療第44回(社)日本口腔外科学会総会(東京)1999、Eiki Sakai,Nobuo Tsuchida,Govindaswamy Shanmugan and Shoji Enomoto Diagnostic Techniques-Tumor Genetics,Vital Analysis Symposium on Advances in Head and Neck Oncology 14th International Conference on Oral and Maxillofacial Surgery(Washington,DC)1999)。
KAKENHI-PROJECT-10877320
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意志力の基盤となるドパミン神経回路活動の環境依存的変化
本研究では、中脳ドパミン細胞の環境依存的な信号モードの変化が、環境要因の一つである環境報酬率と、目標に向かって努力してあきらめない「意志力」をつなぐ仲介役として多様な機能を発揮している可能性を検証する。動物の行動や行動課題のパラメータを利用して意志力をいくつかの構成要素に分類する。電気生理学と光遺伝学を組み合わせ、各脳領域に投射するドパミン細胞の活動を同定し、それぞれの活動が意志力のどの構成要素を制御するのか検証する。本研究では、中脳ドパミン細胞の環境依存的な信号モードの変化が、環境要因の一つである環境報酬率と、目標に向かって努力してあきらめない「意志力」をつなぐ仲介役として多様な機能を発揮している可能性を検証する。動物の行動や行動課題のパラメータを利用して意志力をいくつかの構成要素に分類する。電気生理学と光遺伝学を組み合わせ、各脳領域に投射するドパミン細胞の活動を同定し、それぞれの活動が意志力のどの構成要素を制御するのか検証する。
KAKENHI-PUBLICLY-19H05024
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食道癌における臓器特異性転移機序の解明と新しい癌転移抑制剤の開発
癌転移の詳細な機構は未だ解明途上であるが、本研究において我々はケモカイン・ケモカインレセプターネットワークに着目し、特に食道扁平上皮癌における転移との関連を検討した。結果、胸部食道扁平上皮癌におけるケモカインレセプターCCR7の発現とリンパ節転移及び予後は極めて強い相関を示し、これらの分子が癌転移の成立に深く関わっている可能性が示唆された。現在、基礎研究及び癌転移モデルマウスを用いて詳細な転移機構を研究中である。癌転移の詳細な機構は未だ解明途上であるが、本研究において我々はケモカイン・ケモカインレセプターネットワークに着目し、特に食道扁平上皮癌における転移との関連を検討した。結果、胸部食道扁平上皮癌におけるケモカインレセプターCCR7の発現とリンパ節転移及び予後は極めて強い相関を示し、これらの分子が癌転移の成立に深く関わっている可能性が示唆された。現在、基礎研究及び癌転移モデルマウスを用いて詳細な転移機構を研究中である。食道扁平上皮癌の細胞株(TE110)を用いて,real-time RT-PCRによりchemokine receptor CXCR4の発現解析を行った.また,発現が認められた細胞株を用いたLigand/Receptor相互作用を検討するため,Transwellを用いた遊走実験を行い,Ligandを加えた場合の遊走能の変化及び抗CXCR4抗体を用いたReceptor blockingによる効果を検討した.続いて1999年1月から2000年12月に当院で行われた根治術施行例のうち術前未治療食道扁平上皮癌患者45症例を選択し,そのparaffin検体を用いて抗CXCR4抗体を用いた免疫組織化学を行い,その臨床病理学的な関係について検討した.Real-time RT-PCRにおいて,10種中5種(50.0%)の細胞株においてCXCR4の発現が認められた.さらに,発現の多い細胞株(TE9)及び発現の認められない細胞株(TE1)を用いて遊走実験を行ったところ,Ligand(SDF-1α)を加えた場合,TE9の遊走能は最大29.7%の亢進が認められた.また,CXCR4の抗体を同時に添加した場合,40μg/ml以上の濃度において有意な遊走阻害効果が認められた.ただし,抗体濃度を濃くすると遊走能が元に戻るだけでなく細胞全体に遊走能が低下し,何らかの機序で有害な作用を及ぼしている可能性も示唆された.免疫組織化学においては,45例中18例(40.0%)においてその発現が認められた.さらに,CXCR4発現の有無に関して,T因子・N因子・M因子(肝肺骨転移)・組織型・リンパ管侵襲(ly)・静脈侵襲(v)に関して単変量解析を行ったところ,M因子のみ有意差が認められた.今回の検討で,食道扁平上皮癌においてもchemokine receptorが発現しており,食道癌の臓器特異性転移に何らかの影響を及ぼしている可能性が示唆された.機能解析では,抗CXCR4抗体にてその遊走能が有意に抑制されており,癌転移を抑制できる可能性があると考えられた.胸部食道扁平上皮癌におけるケモカインレセプターCCR7の発現とリンパ節転移及び予後との関連を検討した。対象は当院で根治術を施行した胸部食道扁平上皮癌患者105例.これらに対し,抗CCR7抗体を用いた免疫組織化学的手法を用いて、その発現を検討した。評価は対象症例の臨床的背景を知らない医師2名により行い、そのintensity(スコア02)及びproportion(スコア03)を評価し、(intensity)×(proportion)≠0でCCR7陽性と判定し、分類した。結果、CCR7陽性例は105例中28例(26.7%)に認めた。CCR7陽性例は、リンパ節転移の頻度が有意に高く28例中23例(82.1%)に転移を認めた(p=0.04)。また、予後に関しても5年全生存率(OS)び無再発生存率(DFS)に関しても有意な差を認めた(OS/DFS:p=0.02/p<0.01)。T1症例における検討ではCCR7陽性例は61例中17例(27.9%)、リンパ節転移率は17例中10例(58.9%)で(p<0.01)、OS、DFSにおいても同様に有意な差を認めた(OS/DFS:p=0.04/p<0.01)。食道扁平上皮癌におけるCCR7発現は、リンパ節転移頻度及び再発生存期間に関して有意な相関を認めた。特に、T1症例における検討では、EMR後のリンパ節転移予測因子としても有用である可能性が示唆され、現在当院で試験的に行っている早期食道癌EMR症例におけるセンチネルリンパ節理論を用いた低侵襲治療と組み合わせたテーラーメード治療へ応用できる可能性が示唆された。現在、リンパ節における局所免疫機構など詳細な機能解析などを通じてその役割の解明途上であり、同時に食道癌細胞株を用いたマウスリンパ節転移モデルを作製し、in vivoにおける転移機序の解明も同時に進めている。CXCR4に関しては、同様に105例の検討でリンパ節転移との有意な相関は認められたものの、遠隔転移形式及び予後との相関は認めなかったが、何らかの悪性度に関わる因子として今後も研究を進めていく。
KAKENHI-PROJECT-19591561
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成人T細胞白血病におけるNF-kB活性化遺伝子の同定
成人T細胞白血病(ATL)は極めて悪性の白血病であるが、その発症はヒトT細胞白血病ウイルス1型(HTLV-1)の感染によって引き起こされる。また、その発症にはHTLV-1感染細胞中に生じる複数の宿主遺伝子変異が関与している。我々は、転写因子NF-kBの活性化がATL発症に関与することを報告してきた。NF-kB活性化能を指標とした発現クローニング法により、ATL細胞からNF-kBを活性化する遺伝子の分離を試みた。分離された遺伝子の1つはCD30であった。実際にCD30を過剰発現することによって、NF-kBの活性化が観察された。調べた限りすべてのATLに由来する細胞株においてCD30の高発現が検出された。また、その発現量はHTLV-1が感染していない細胞株よりも極めて高かった。CD30の発現は一部の(12.1%)ATL患者の白血病細胞においても観察された。従って、CD30の過剰発現が一部のATL発症に関与することが示唆された。この発現クローニング法により最も高率に分離されたのは、N端を欠失したNIK(NF-kB inducing kinase)遺伝子であった。すなわち、N端を欠失することにより、NF-kBに対する恒常的な活性化能を獲得したことが推定された。あいにく、この欠失はライブラリー作製時のアーチファクトであり、ATL発症に直接関与する可能性は低いと考えられた。しかしながら、これらの結果はNIKおよびNIKを介したNF-kB活性化経路が発がんに関与する可能性を示した。成人T細胞白血病(ATL)は極めて悪性の白血病であるが、その発症はヒトT細胞白血病ウイルス1型(HTLV-1)の感染によって引き起こされる。また、その発症にはHTLV-1感染細胞中に生じる複数の宿主遺伝子変異が関与している。我々は、転写因子NF-kBの活性化がATL発症に関与することを報告してきた。NF-kB活性化能を指標とした発現クローニング法により、ATL細胞からNF-kBを活性化する遺伝子の分離を試みた。分離された遺伝子の1つはCD30であった。実際にCD30を過剰発現することによって、NF-kBの活性化が観察された。調べた限りすべてのATLに由来する細胞株においてCD30の高発現が検出された。また、その発現量はHTLV-1が感染していない細胞株よりも極めて高かった。CD30の発現は一部の(12.1%)ATL患者の白血病細胞においても観察された。従って、CD30の過剰発現が一部のATL発症に関与することが示唆された。この発現クローニング法により最も高率に分離されたのは、N端を欠失したNIK(NF-kB inducing kinase)遺伝子であった。すなわち、N端を欠失することにより、NF-kBに対する恒常的な活性化能を獲得したことが推定された。あいにく、この欠失はライブラリー作製時のアーチファクトであり、ATL発症に直接関与する可能性は低いと考えられた。しかしながら、これらの結果はNIKおよびNIKを介したNF-kB活性化経路が発がんに関与する可能性を示した。1,成人T細胞白血病(ATL)は極めて悪性の白血病であり、一旦発症すると大部分の患者が1年以内に死亡する。ATLはT細胞の悪性増殖を特徴とする疾患で、ヒトT細胞白血病ウイルス1型(HTLV-1)の感染によって引き起こされる。約5%のHTLV-1感染者が平均60年の潜伏期間を経てATLを発症することから、感染細胞中に生じる複数の宿主遺伝子変異がATL発症に関与していると考えられている。しかし、ATL発症に関わる宿主遺伝子異常の実体は、ほとんど不明である。我々は、調べた限り全てのATL患者の末梢血白血病細胞において、転写因子NF-kBが活性化していること、NF-kBの阻害剤がこのATL細胞にアポトーシスを誘導し、ATL細胞を死滅させることを報告してきた。ATL細胞から樹立した細胞株を免疫不全マウスに移植すると腫瘍を形成するが、このマウスをNF-kB阻害剤で処理すると、腫瘍の増殖が抑制されることを見いだした。また、このマウスにおいては、末梢血中で腫瘍細胞が検出され、白血病の所見を呈するが、NF-kB阻害剤はこの末梢血中へのATL細胞の浸潤も強く抑制した。以上の結果は、NF-kBの阻害剤がATLの治療に有効であることを示唆している。2,ATL細胞においてNF-kB活性化に関与している遺伝子を同定するために、ATL細胞株からmRNAを抽出し、これをもとにレトロウイルスベクターに組み込んだcDNAライブラリーを作製した。また、NF-kBの活性化でGFPの発現と薬剤耐性が共に誘導されるレポーター細胞株を樹立した。この細胞株にライブラリーウイルスを感染させ、薬剤耐性とGFPの発現を指標に、NF-kB活性化遺伝子を複数分離同定した。現在分離された遺伝子のNF-kB活性化能さらにATL発症への関与について検討中である。成人T細胞白血病(ATL)は極めて悪性の白血病であるが、その発症はヒトT細胞白血病ウイルス1型(HTLV-1)の感染によって引き起こされる。また、その発症にはHTLV-1感染細胞中に生じる複数の宿主遺伝子変異が関与している。我々は、転写因子NF-kBの活性化がATL発症に関与することを報告してきた。
KAKENHI-PROJECT-15590998
https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-15590998
成人T細胞白血病におけるNF-kB活性化遺伝子の同定
NF-kB活性化能を指標とした発現クローニング法により、ATL細胞からNF-kBを活性化する遺伝子の分離を試みた。分離された遺伝子の1つはCD30であった。また、このCD30に変異は認められなかった。実際にCD30を過剰発現することによって、NF-kBの活性化が観察された。調べた限りすべてのATLに由来する細胞株においてCD30の高発現が検出された。また、その発現量はHTLV-1が感染していない細胞株よりも極めて高かった。CD30の発現は一部の(12.1%)ATL患者の白血病細胞においても観察された。従って、CD30の過剰発現が一部のATL発症に関与することが示唆された。この発現クローニング法により最も高率に分離されたのは、N端を欠失したNIK(NF-kB inducing kinase)遺伝子であった。すなわち、N端を欠失することにより、NF-kBに対する恒常的な活性化能を獲得したことが推定された。あいにく、この欠失はライブラリー作製時のアーチファクトであり、ATL発症に直接関与する可能性は低いと考えられた。しかしながら、これらの結果はNIKおよびNIKを介したNF-kB活性化経路が恒常的にNF-kBを活性化することを示し、ATL以外の癌に関与する可能性を示した。
KAKENHI-PROJECT-15590998
https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-15590998
膨張係数の温度依存性を利用した新しいレーザ精密微細加工法に関する研究
現在,ガラスは光学部品に欠かすことのできない重要な材料である.とくにマイクロデバイスや光通信の分野では,ガラス部品の局部に精密微細加工を施す要求が出され,その要求も年々厳しいものになってきている.今後,この要求に答えるには成形後のガラスに対して,自由度の高い精密微細加工を実現することが不可欠である.本研究ではガラス表面局部に超精密微細加工を施すため,膨張係数の温度依存性を利用した新しいレーザ精密微細加工法を提案した.本研究の主目的は,この新レーザ精密微細加工法の実現である.具体的には本膨張現象の基礎特性を理論的および実験的に十分把握した後,以下の4項目について実現を目指した.(1)μmサイズの球面形状凸部を高精度に形成し,ガラス基板上に多数のマイクロレンズを製造すること.(2)凸部を2次元に展開し線状の凸部マーキング,さらに凸部を多段に形成し3次元の構造物を構築する.(3)凸部はレーザ照射時に軟化しているため,刻印技術を複合して様々な形状の微細凸部形状を創成する.(4)非球面レンズやフレネルレンズなどをガラス基板上に高精度に創成する本研究では、レーザ照射によって照射部の温度が急上昇し、転移点に達すると線膨張係数が急激に増大することを見出した。温度コントロールは比較的容易であり、(1)のマイクロレンズ製造が高精度に実現できた。熱拡散状態を考慮すれば曲率を変化させることも可能であることが明確になった。(2)を達成するために、レーザ加工装置にガルバノミラーを付加し、ビーム走査を可能とした。その結果、蒲鉾状の凸部形成が可能となり、マイクロ化学パーツなどへの応用が可能であることを確認した。さらに凸部上にさらに凸部を形成する多段形状を創成することも可能となった。(3)レーザを照射している間はガラスの軟化が確認できたため、刻印装置を開発し、凸部への刻印を試みた。その結果、平凸形状や刻印パターンを転写して様々な形状を創成することに成功した。(4)非球面レンズやフレネルレンズに関しては、型の製作が間に合わず、達成できなかった。しかし、ビーム走査装置を利用すれば、本加工法は新たな可能性を有していることがわかった。すなわち、ビーム走査パターンを様々に変化させて走査すれば、様々な形状を有する"面の隆起"が生じることを実証した。これにより、レンズばかりではなく、反射鏡や導波路など様々なマイクロ光学パーツが製造できることが分かった。以上より、本研究も目的は十分達成できたものと言える。今後、レーザ照射によるガラスの本膨張現象を利用すれば,ガラス局部に微小光学部品やマイクロデバイスなどの3次元微小構造物,微細マーキングや機能を有する微細表面模様などが容易に創成できることが期待される.しかも,従来の成形加工のようにガラス全体を加熱する必要がなく,ガラス全体に歪みを残さず安定した自由度の高い超精密微細加工が実現できるものと期待される.現在,ガラスは光学部品に欠かすことのできない重要な材料である.とくにマイクロデバイスや光通信の分野では,ガラス部品の局部に精密微細加工を施す要求が出され,その要求も年々厳しいものになってきている.今後,この要求に答えるには成形後のガラスに対して,自由度の高い精密微細加工を実現することが不可欠である.本研究ではガラス表面局部に超精密微細加工を施すため,膨張係数の温度依存性を利用した新しいレーザ精密微細加工法を提案している.本研究の主目的は,この新レーザ精密微細加工法の実現である.具体的には本膨張現象の基礎特性を理論的および実験的に十分把握した後,以下の4項目について実現を目指す.(1)μmサイズの球面形状凸部を高精度に形成し,ガラス基板上に多数のマイクロレンズを製造すること.(2)凸部を2次元に展開し線状の凸部マーキング,さらに凸部を多段に形成し3次元の構造物を構築する.(3)凸部はレーザ照射時に軟化しているため,刻印技術を複合して様々な形状の微細凸部形状を創成する.(4)非球面レンズやフレネルレンズなどをガラス基板上に高精度に創成する今までにある条件でガラス基板上にYAGレーザを集光させると,基板がμmサイズから数mmサイズの範囲で凸に膨らむ現象を発見した.現象解明のための基礎実験を行った結果,局部表面温度がガラスの転移点に達したことで急激な膨張を引き起こし,凸部を形成したことが分かった.さらに,一端形成された球面状の凸部は,数ヶ月放置した後も大きさや形状が変化せず,クラックの発生も全く認められなかった.以上より,レーザ照射によるガラスの本膨張現象を利用すれば,上述したようにガラス局部にマイクロレンズなどの微小光学部品やマイクロデバイスなどの3次元微小構造物,微細マーキングや機能を有する微細表面模様などが容易に創成できることが期待される.しかも,従来の成形加工のようにガラス全体を加熱する必要がなく,ガラス全体に歪みを残さず安定した自由度の高い超精密微細加工が実現できるものと期待される.次年度は初年度の成果を受けて、(1)(4)の実現に向けて研究を遂行する予定である。現在,ガラスは光学部品に欠かすことのできない重要な材料である.
KAKENHI-PROJECT-12875028
https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-12875028
膨張係数の温度依存性を利用した新しいレーザ精密微細加工法に関する研究
とくにマイクロデバイスや光通信の分野では,ガラス部品の局部に精密微細加工を施す要求が出され,その要求も年々厳しいものになってきている.今後,この要求に答えるには成形後のガラスに対して,自由度の高い精密微細加工を実現することが不可欠である.本研究ではガラス表面局部に超精密微細加工を施すため,膨張係数の温度依存性を利用した新しいレーザ精密微細加工法を提案した.本研究の主目的は,この新レーザ精密微細加工法の実現である.具体的には本膨張現象の基礎特性を理論的および実験的に十分把握した後,以下の4項目について実現を目指した.(1)μmサイズの球面形状凸部を高精度に形成し,ガラス基板上に多数のマイクロレンズを製造すること.(2)凸部を2次元に展開し線状の凸部マーキング,さらに凸部を多段に形成し3次元の構造物を構築する.(3)凸部はレーザ照射時に軟化しているため,刻印技術を複合して様々な形状の微細凸部形状を創成する.(4)非球面レンズやフレネルレンズなどをガラス基板上に高精度に創成する本研究では、レーザ照射によって照射部の温度が急上昇し、転移点に達すると線膨張係数が急激に増大することを見出した。温度コントロールは比較的容易であり、(1)のマイクロレンズ製造が高精度に実現できた。熱拡散状態を考慮すれば曲率を変化させることも可能であることが明確になった。(2)を達成するために、レーザ加工装置にガルバノミラーを付加し、ビーム走査を可能とした。その結果、蒲鉾状の凸部形成が可能となり、マイクロ化学パーツなどへの応用が可能であることを確認した。さらに凸部上にさらに凸部を形成する多段形状を創成することも可能となった。(3)レーザを照射している間はガラスの軟化が確認できたため、刻印装置を開発し、凸部への刻印を試みた。その結果、平凸形状や刻印パターンを転写して様々な形状を創成することに成功した。(4)非球面レンズやフレネルレンズに関しては、型の製作が間に合わず、達成できなかった。しかし、ビーム走査装置を利用すれば、本加工法は新たな可能性を有していることがわかった。すなわち、ビーム走査パターンを様々に変化させて走査すれば、様々な形状を有する"面の隆起"が生じることを実証した。これにより、レンズばかりではなく、反射鏡や導波路など様々なマイクロ光学パーツが製造できることが分かった。以上より、本研究も目的は十分達成できたものと言える。今後、レーザ照射によるガラスの本膨張現象を利用すれば,ガラス局部に微小光学部品やマイクロデバイスなどの3次元微小構造物,微細マーキングや機能を有する微細表面模様などが容易に創成できることが期待される.しかも,従来の成形加工のようにガラス全体を加熱する必要がなく,ガラス全体に歪みを残さず安定した自由度の高い超精密微細加工が実現できるものと期待される.
KAKENHI-PROJECT-12875028
https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-12875028
線条体ニューロン-グリアネットワークにおける自発活動の計測・解析とそのモデル化
大脳基底核線条体における自発Ca^<2+>振動の、特徴、神経回路における情報処理への関与、を解明することを目指し、以下の点を明らかにした。(1)ニューロン、グリアの双方で、活動電位依存のCa^<2+>変化と比べるとはるかに持続時間の長い、自発Ca^<2+>振動が観測された。(2)ニューロンにおける自発Ca^<2+>振動は、グリアと比較して、振幅、持続時間、立ち上がり・減衰の傾き、それぞれ大きい値を持つものが多いことが判明した。(3)活動電位を人為的に阻害した結果、ニューロンにおける自発Ca^<2+>振動の特徴は変化したが、グリアでは変化が見られなかった。これらの結果は、持続時間の長いCa^<2+>変動が、神経回路における情報処理に関与していることを示唆している。大脳基底核線条体における自発Ca^<2+>振動の、特徴、神経回路における情報処理への関与、を解明することを目指し、以下の点を明らかにした。(1)ニューロン、グリアの双方で、活動電位依存のCa^<2+>変化と比べるとはるかに持続時間の長い、自発Ca^<2+>振動が観測された。(2)ニューロンにおける自発Ca^<2+>振動は、グリアと比較して、振幅、持続時間、立ち上がり・減衰の傾き、それぞれ大きい値を持つものが多いことが判明した。(3)活動電位を人為的に阻害した結果、ニューロンにおける自発Ca^<2+>振動の特徴は変化したが、グリアでは変化が見られなかった。これらの結果は、持続時間の長いCa^<2+>変動が、神経回路における情報処理に関与していることを示唆している。本研究では、大脳基底核線条体における情報処理機構の解明を目指して、自発Ca^<2+>振動の発生機序及び済報処理への関与を明らかにすることを目的としている。今年度は、従来から行ってきたラット線条体細胞での自発Ca^<2+>振動を解析すると共に、グリア細胞にのみGreen Fluorescent Protein(GFP)を発現している遺伝子組換えマウス(GFAP/GFPマウス)を用いた研究を行った。加えて、Ca^<2+>自発振動のシミュレーション解析の前段階として、モデル細胞を構築し、シミュレーション解析を行った。また、Ca^<2+>イメージング法の更なる改良及び他の部位でのCa^<2+>変動との比較のため、Ca^<2+>イメージング法を用いて、視覚野スライスにおける信号伝播に関する研究を行った。1)ラット線条体細胞における自発Ca^<2+>振動の時系列解析活動電位の阻害により、自発Ca^<2+>振動の周期性が増すことが明らかとなった。また、本研究で対象としている時間スケールの長い自発Ca^<2+>変動に対して、細胞間相互作用の検討を行ったところ、多数の細胞間で相互作用が確認され、これらは活動電位の阻害により減少する傾向にあった。GFAP/GFPマウスの系統を維持管理し、このマウスを用いて自発Ca^<2+>振動の計測を行った。その結果、ニューロン、グリア双方で自発Ca^<2+>振動が観測された。現在その特徴について解析を進めている。3)Ca^<2+>変動のシミュレーション解析線条体自発Ca^<2+>振動のシミュレーション解析の前段階として、イオンチャネル及びCa^<2+>排出機構などの生物物理学的モデルを組み込んだモデル細胞を構築し、その妥当性を検証した。このモデル細胞の検証のため、視覚野神経回路モデルに構築したモデル細胞を適用し、解析を行ったところ、実験結果をよく再現することができた。本研究は、線条体における情報処理機構の解明を目的とする。神経ネットワークにはニューロン、グリア細胞が混在しているため、グリア細胞とニューロンを明確に区別するために、グリア細胞に蛍光タンパク質であるGFPが導入された遺伝子組換えマウス(FVB/N-Tg(GFAPGFP)14Mes)を用いて研究を進めた。(i)ニューロン、グリアにおける自発Ca^<2+>振動の特徴の差異自発Ca^<2+>振動のシングルイベントを抽出し、抽出されたイベントごとのデータより、自発Ca^<2+>濃度変化の特徴量(振幅、持続時間、立ち上がりの傾きなど)を取り出して、解析を行った。その結果、ニューロンとグリア細胞とで、振幅、持続時間、立ち上がりの傾きの分布が異なることが明らかとなった。(ii)人為的に作成した異常な神経ネットワークにおける自発Ca^<2+>振動の解析様々な神経伝達阻害剤を用いて、異常な神経ネットワークを人為的に作成し、正常な状態で得られた結果との比較を行った。自発Ca^<2+>振動は活動電位の阻害により無くならないが、ニューロンでは自発Ca^<2+>振動の振幅、持続時間、立ち上がりの傾きの分布が変化し、グリア細胞では変化しなかった。また、近年パーキンソン病の病態を改善することが報告されている、代謝型グルタミン酸受容体5型の阻害剤MPEPを投与することにより、ニューロン、グリアのどちらも、自発Ca^<2+>振動が有意に減少した。以上の結果より、本研究で対象とした線条体における自発Ca^<2+>
KAKENHI-PROJECT-19300105
https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-19300105
線条体ニューロン-グリアネットワークにおける自発活動の計測・解析とそのモデル化
振動は、活動電位で惹起されているものではないが、神経活動の有無により影響を受けることが分かった。また、代謝型グルタミン酸受容体を介したIP3産生が自発Ca^<2+>振動の原因の一つであることが示唆された。
KAKENHI-PROJECT-19300105
https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-19300105
関東大震災後の帝都復興事業における江東内部河川に関する研究
本研究は、東京都墨田区・江東区に流れる江東内部河川とその周辺が関東大震災後の帝都復興事業の中でどのように変化したのかを明らかにすることを目的としている。関東大震災後の帝都復興事業により、東京のまちはその様相を大きく変化させた。これまでの帝都復興事業に関する研究の多くは、道路や公園、小学校といった陸の復興事業に関するものが多く、隅田川にかかる橋を代表とする橋梁に関するものはあるが、河川や水路の改修、廃止等や水辺沿いの空間の変化といった水の復興事業に関する研究はほとんどない。そこで、特に変化が激しく、近代産業を支えた数多くの工場や倉庫といった水運と直結した施設を多く持つ江東内部河川を対象として、復興事業における河川および周辺の水辺空間の変遷について研究を行う。研究方法としては、「関東大震災以前」と「帝都復興事業以後」の2つの時期の江東内部河川の水辺環境を、地図(地形図や地籍図など)と文献(区史、『帝都復興事業誌』などの帝都復興事業関連図書など)を用いて、文字情報も出来る限り地図の上、空間的な観点で捉え、整理する方法を用いている。研究によって、舟運の観点から重要や河川については、大型の船舶や一度に大量の船が往来できるよう河川改修を行い、それに伴い河川沿いの空間に関しては、水辺と直接接する敷地を区画整理によって大きく確保し、大型の工場や倉庫が立地できるような敷地割が変更されていることが分かった。一方川幅の狭い河川については、道路の新設、橋の架橋など、河川空間の利用よりも陸上交通機能に重点を置かれるかたちで区画整理が行われているものもあった。帝都復興事業においては、陸上に視点を置いた計画がなされている地域もあるが、河川の改修とともに水辺空間を意識した区画整理が計画され、水と陸の双方の側からの都市改造が行われた地域も存在している。本研究は、東京都墨田区・江東区に流れる江東内部河川とその周辺が関東大震災後の帝都復興事業の中でどのように変化したのかを明らかにすることを目的としている。関東大震災後の帝都復興事業により、東京のまちはその様相を大きく変化させた。これまでの帝都復興事業に関する研究の多くは、道路や公園、小学校といった陸の復興事業に関するものが多く、隅田川にかかる橋を代表とする橋梁に関するものはあるが、河川や水路の改修、廃止等や水辺沿いの空間の変化といった水の復興事業に関する研究はほとんどない。そこで、特に変化が激しく、近代産業を支えた数多くの工場や倉庫といった水運と直結した施設を多く持つ江東内部河川を対象として、復興事業における河川および周辺の水辺空間の変遷について研究を行う。研究方法としては、「関東大震災以前」と「帝都復興事業以後」の2つの時期の江東内部河川の水辺環境を、地図(地形図や地籍図など)と文献(区史、『帝都復興事業誌』などの帝都復興事業関連図書など)を用いて、文字情報も出来る限り地図の上、空間的な観点で捉え、整理する方法を用いている。研究によって、舟運の観点から重要や河川については、大型の船舶や一度に大量の船が往来できるよう河川改修を行い、それに伴い河川沿いの空間に関しては、水辺と直接接する敷地を区画整理によって大きく確保し、大型の工場や倉庫が立地できるような敷地割が変更されていることが分かった。一方川幅の狭い河川については、道路の新設、橋の架橋など、河川空間の利用よりも陸上交通機能に重点を置かれるかたちで区画整理が行われているものもあった。帝都復興事業においては、陸上に視点を置いた計画がなされている地域もあるが、河川の改修とともに水辺空間を意識した区画整理が計画され、水と陸の双方の側からの都市改造が行われた地域も存在している。
KAKENHI-PROJECT-25905009
https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-25905009
マルチメディアを活用した大学教育の内容・方法に関する研究
マルチメディア時代に向けて、情報インフラの整備が急速に進められている。高等教育の分野においてもメディア情報技術を活用した教育が新たな展開を見せ始めている。しかし、高等教育におけるマルチメディア活用を前提とした教授法の確立や情報資源(コンテンツ)の質的・量的充実も不十分であり、教材も乏しい。そこで、本研究では、「メディア活用における大学教育の内容・方法等に関する研究」において、メディアリテラシー・プログラム、情報活用能力育成プログラムの開発および情報資源の質的充実と活用、マルチメディア教材の開発等に関する具体的な取り組みを行った。(1)授業「視聴覚教育」におけるシラバスを検討し、新しい情報表現の手段に関する実習を行い、ビジュアル・コミュニケーション能力育成のためのプログラムを開発、実施した。(2)「情報活用基礎演習」「情報活用応用演習」等の授業では、文科系(文学部広報学科情報社会)学生に対する情報発信能力の育成、コミュニケーション能力の育成、ネットワーク上におけるグループワークを目指した授業法を実施し、教育効果についての評価を行った。授業評価の結果より、さらに分析を進めて、より充実した教授法を検討している。(3)学術・教育資料の電子メディア化として、「ロマネスク壁画」の大判写真資料の電子メディア化、画像分析・補正、CD-ROMの作成を行った。また、これらの素材は2次情報と共にインターネット上で公開している。試作したCD-ROMを、「造形芸術論」「美術史」「視聴覚教育」等の授業で活用し、今後の教材化のあり方を検討中である。マルチメディア時代に向けて、情報インフラの整備が急速に進められている。高等教育の分野においてもメディア情報技術を活用した教育が新たな展開を見せ始めている。しかし、高等教育におけるマルチメディア活用を前提とした教授法の確立や情報資源(コンテンツ)の質的・量的充実も不十分であり、教材も乏しい。そこで、本研究では、「メディア活用における大学教育の内容・方法等に関する研究」において、メディアリテラシー・プログラム、情報活用能力育成プログラムの開発および情報資源の質的充実と活用、マルチメディア教材の開発等に関する具体的な取り組みを行った。(1)授業「視聴覚教育」におけるシラバスを検討し、新しい情報表現の手段に関する実習を行い、ビジュアル・コミュニケーション能力育成のためのプログラムを開発、実施した。(2)「情報活用基礎演習」「情報活用応用演習」等の授業では、文科系(文学部広報学科情報社会)学生に対する情報発信能力の育成、コミュニケーション能力の育成、ネットワーク上におけるグループワークを目指した授業法を実施し、教育効果についての評価を行った。授業評価の結果より、さらに分析を進めて、より充実した教授法を検討している。(3)学術・教育資料の電子メディア化として、「ロマネスク壁画」の大判写真資料の電子メディア化、画像分析・補正、CD-ROMの作成を行った。また、これらの素材は2次情報と共にインターネット上で公開している。試作したCD-ROMを、「造形芸術論」「美術史」「視聴覚教育」等の授業で活用し、今後の教材化のあり方を検討中である。マルチメディアを活用した教育内容・方法についての研究の一端として、学内にある学術・教育映像資料の電子メディア化を推進している。電子メディア化の目的は、貴重な映像資料の保存と、教育・研究に活用することである。本研究では、具体的な取り組みとして、(1)視聴覚教育実習教材の開発と活用、(2)壁画画像の電子メディア化とマルチメディア教材の開発研究を進めている。本年度は、(1)については、メディアレテラシーの実習としてスライド作成のためのプレゼンテーションを試作し、それを授業で活用して実習を行い、学生による作品の発表会及びその効果実験を行った。また、自作したスライドを素材としたマルチメディア化手法についても実習した。(2)については、東海大学が約20年前にポジフィルムに撮影し保管しているフランスの「サン・サヴァン教会堂の壁画」写真を電子メディア化し、マルチメディア教材作成のための準備を進めている。まず、電子メディア化については放送教育開発センターが行っている公募に応募して、高精細度画像としてJPEGでコンピュータに取り込みCD-ROMで提供された。さらに、撮影された写真資料が経年変化でかなり劣化しているため、これらの画像について色補正や画像分析を行っている。補正された画像について、音声やイラストなどの素材を付加してマルチメディア化されたプレゼンテーションを作成している。また、インターネットで情報発信するための準備も進行中である。マルチメディア時代に向けて、情報インフラの整備が急速に進められている。高等教育の分野においてもメディア情報技術を活用した教育が新たな展開を見せ始めている。しかし、高等教育におけるマルチメディア活用を前提とした教授法の確立や情報資源(コンテンツ)の質的・量的充実も不十分であり、教材も乏しい。そこで、本研究では、「メディア活用における大学教育の内容・方法等に関する研究」において、メディアリテラシー・プログラム、情報活用能力育成プログラムの開発および情報資源の質的充実と活用、マルチメディア教材の開発等に関する具体的な取り組みを行った。(1)授業「視聴覚教育」におけるシラバスを検討し、新しい情報表現の手段に関する実習を行い、ビジュアル・コミュニケーション能力育成のためのプログラムを開発、実施した。(2)「情報活用基礎演習」「情報活用応用演習」等の授業では、文科系(文学部広報学科情報社会)学生に対する情報発信能力の育成、コミュニケーション能力の育成、ネットワーク上におけるグループワークを目指した教授法を実施し、教育効果についての評価を行った。授業評価の結果より、さらに分析を進めて、より充実した教授法を検討している。(3)学術・教育資料の電子メディア化として、「ロマネスク壁画」の大判写真資料の電子メディア化、画像分析・補正、CD-ROMの作成を行った。また、これらの素材は2次情報と共にインターネット上で公開している。
KAKENHI-PROJECT-08680237
https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-08680237
マルチメディアを活用した大学教育の内容・方法に関する研究
試作したCD-ROMを、「造形芸術論」「美術史」「視聴覚教育」等の授業で活用し、今後の教材化のあり方を検討中である。
KAKENHI-PROJECT-08680237
https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-08680237
単球、マクロファージの機能制御によるクローン病治療法の開発
われわれはクローン病のモデル動物としてIL-10ノックアウトマウスを用いてそのマクロファージの機能異常と腸炎発症の関わりについて解析し、さらにエンドトキシン拮抗剤やCD40リガンドの中和抗体がマクロファージの活性化を抑制して腸炎を治癒させるかについて検討を行い以下の点を明らかにした。1.IL-10ノックアウトマウスのマクロファージは、大腸菌由来のエンドトキシンに強く反応して炎症性サイトカインであるTNFαやIL-12を過剰に産生する。2.IL-10ノックアウトマウスのマクロファージは、ヘルパーT細胞によるマクロファージの活性化に関与する受容体分子であるCD40分子の活性化刺激に強く反応して、炎症性サイトカインであるTNF αやIL-12を過剰に産生する。3.IL-10ノックアウトマウスのマクロファージの異常な活性化は、内因性のIL-10の産生によるフィードバック機構の欠如による。4.マクロファージの活性化に際して、そのサイトカイン産生を抑制するような負のフィードバックをかけるシグナル伝達物質であるSuppressor of Cytokine Signalling 3 (SOCS3)については、IL-10ノックアウトマウスのマクロファージは正常マウスのマクロファージと同等以上の産生能を示した。以上の結果から、IL-10ノックアウトマウスではマクロファージが腸内細菌やヘルパーT細胞からの活性化刺激に過剰に反応することが腸炎発症に関わっていると考えられた。本結果を基にして、CD40リガンドの中和抗体およびエンドトキシン拮抗剤の腸炎治療効果に関する検討を行った。5.腸炎を発症したIL-10ノックアウトマウスにCD40リガンドの中和抗体を投与したが、腸炎の程度に変化はなく腸炎発症後の経過にCD40分子の関与は少ないと考えられた。腸炎発症前のCD40リガンド中和抗体の投与による発病予防効果が今後の検討課題と考えられた。6.腸炎を発症したIL-10ノックアウトマウスにエンドトキシン拮抗剤(E5564)を経口投与したところ、腸炎の改善効果が認められた。しかしエンドトキシン拮抗剤に対する反応性に個体差が認められ、ドラッグデリバリーシステムに関するさらなる検討が必要と考えられた。われわれはクローン病のモデル動物としてIL-10ノックアウトマウスを用いてそのマクロファージの機能異常と腸炎発症の関わりについて解析し、さらにエンドトキシン拮抗剤やCD40リガンドの中和抗体がマクロファージの活性化を抑制して腸炎を治癒させるかについて検討を行い以下の点を明らかにした。1.IL-10ノックアウトマウスのマクロファージは、大腸菌由来のエンドトキシンに強く反応して炎症性サイトカインであるTNFαやIL-12を過剰に産生する。2.IL-10ノックアウトマウスのマクロファージは、ヘルパーT細胞によるマクロファージの活性化に関与する受容体分子であるCD40分子の活性化刺激に強く反応して、炎症性サイトカインであるTNF αやIL-12を過剰に産生する。3.IL-10ノックアウトマウスのマクロファージの異常な活性化は、内因性のIL-10の産生によるフィードバック機構の欠如による。4.マクロファージの活性化に際して、そのサイトカイン産生を抑制するような負のフィードバックをかけるシグナル伝達物質であるSuppressor of Cytokine Signalling 3 (SOCS3)については、IL-10ノックアウトマウスのマクロファージは正常マウスのマクロファージと同等以上の産生能を示した。以上の結果から、IL-10ノックアウトマウスではマクロファージが腸内細菌やヘルパーT細胞からの活性化刺激に過剰に反応することが腸炎発症に関わっていると考えられた。本結果を基にして、CD40リガンドの中和抗体およびエンドトキシン拮抗剤の腸炎治療効果に関する検討を行った。5.腸炎を発症したIL-10ノックアウトマウスにCD40リガンドの中和抗体を投与したが、腸炎の程度に変化はなく腸炎発症後の経過にCD40分子の関与は少ないと考えられた。腸炎発症前のCD40リガンド中和抗体の投与による発病予防効果が今後の検討課題と考えられた。6.腸炎を発症したIL-10ノックアウトマウスにエンドトキシン拮抗剤(E5564)を経口投与したところ、腸炎の改善効果が認められた。しかしエンドトキシン拮抗剤に対する反応性に個体差が認められ、ドラッグデリバリーシステムに関するさらなる検討が必要と考えられた。今回われわれはクローン病のモデル動物としてIL-10ノックアウトマウスを用いてそのマクロファージの機能異常と腸炎発症の関わりについて検討を行い、以下の点を明らかとした。1.IL-10ノックアウトマウスのマクロファージは、大腸菌由来のエンドトキシンに強く反応して炎症性サイトカインであるTNFαやIL-12を過剰に産生する。2.IL-10ノックアウトマウスのマクロファージは、ヘルパーT細胞によるマクロファージの活性化に関与する受容体分子であるCD40分子の活性化刺激に強く反応して、炎症性サイトカインであるTNFαやIL-12を過剰に産生する。3.IL-10ノックアウトマウスのマクロファージの異常な活性化は、内因性のIL-10の産生によるフィードバック機構の欠如による。4.マクロファージの活性化に際してそのサイトカイン産生を抑制するような負のフィードバックをかけるシグナル伝達物質であるSuppressor of Cytokine Signalling 3(SOCS3)については、IL-10ノックアウトマウスのマクロファージは正常マウスのマクロファージと同等以上の産生能を示した。
KAKENHI-PROJECT-13670513
https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-13670513
単球、マクロファージの機能制御によるクローン病治療法の開発
以上の結果から、IL-10ノックアウトマウスでは、マクロファージが腸内細菌やヘルパーT細胞からの活性化刺激に過剰に反応することが腸炎発症に関わっていると考えられた。今後はこのマウスを用いて、エンドトキン拮抗剤やCD40リガンドの中和抗体がマクロファージの活性化を抑制して腸炎を治癒させるかについて明らかにしていく予定である。われわれはクローン病のモデル動物としてIL-10ノックアウトマウスを用いてそのマクロファージの機能異常と腸炎発症の関わりについて解析し、さらにエンドトキシニン拮抗剤やCD40リガンドの中和抗体がマクロファージの活性化を抑制して腸炎を治癒させるかについて検討を行い以下の点を明らかにした。1.IL-10ノックアウトマウスのマクロファージは、大腸菌由来のエンドトキシンに強く反応して炎症性サイトカインであるTNFαやIL-12を過剰に産生する。2.IL-10ノックアウトマウスのマクロファージは、ヘルパーT細胞によるマクロファージの活性化に関与する受容体分子であるCD40分子の活性化刺激に強く反応して、炎症性サイトカインであるTNFαやIL-12を過剰に産生する。3.IL-10ノックアウトマウスのマクロファージの異常な活性化は、内因性のIL-10の産生によるフィードバック機構の欠如による。4.マクロファージの活性化に際して、そのサイトカイン産生を抑制するような負のフィードバックをかけるシグナル伝達物質であるSuppressor of Cytokine Signalling3(SOCS3)については、IL-10ノックアウトマウスのマクロファージは正常マウスのマクロファージと同等以上の産生能を示した。以上の結果から、IL-10ノックアウトマウスではマクロファージが腸内細菌やヘルパーT細胞からの活性化刺激に過剰に反応することが腸炎発症に関わっていると考えられた。本結果を基にして、CD40リガンドの中和抗体およびエンドトキシン拮抗剤の腸炎治療効果に関する検討を行った。5.腸炎を発症したIL-10ノックアウトマウスにCD40リガンドの中和抗体を投与したが、腸炎の程度に変化はなく腸炎発症後の経過にCD40分子の関与は少ないと考えられた。腸炎発症前のCD40リガンド中和抗体の投与による発病予防効果が今後の検討課題と考えられた6.腸炎を発症したIL-10ノックアウトマウスにエンドトキシン拮抗剤(E5564)を経口投与したところ、腸炎の改善効果が認められた。しかしエンドトキシン拮抗剤に対する反応性に個体差が認められ、ドラッグデリバリーシステムに関するさらなる検討が必要と考えられた。
KAKENHI-PROJECT-13670513
https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-13670513
血清中エクソソームに着目した神経障害性疼痛の増悪機構解明と治療法への応用
エクソソームは体液に含まれる直径約40-150nmの脂質二重膜の小胞である。近年、疼痛時の血清から単離したエクソソーム中に存在する物質が、疼痛強度の指標となることが示唆されている。しかし、エクソソームと疼痛発症および疼痛強度の増強との関連性は解明されていなかった。そこで本研究では、神経障害性疼痛モデルとして坐骨神経部分結紮(PSL)マウスを用い、PSLマウス血清中エクソソームの侵害刺激行動に対する影響を検討した。その結果、現在までに我々はPSLマウス血清中エクソソーム二重膜上に存在する因子が脊髄侵害刺激シグナルを亢進させ、低濃度ホルマリン誘発性侵害刺激行動を増強させることを明らかとした。エクソソームは血液などの体液に含まれる直径約40-150nmの脂質二重膜の小胞である。近年、疼痛時の血清から単離したエクソソーム中に存在する物質が、疼痛強度の指標となることが示唆されている。しかし、エクソソームに関する研究はバイオマーカーの探索が主であるため、エクソソームと疼痛発症および疼痛強度の増強との関連性は解明されていない。そこで本研究では、神経障害性疼痛モデルとして坐骨神経部分結紮(PSL)マウスを用い、PSLマウス血清中エクソソームの侵害刺激行動に対する影響を偽手術(Sham)群と比較検討した。疼痛発症に関する検討として、PSLマウス血清中エクソソームの脊髄クモ膜下腔内単独投与を行ったが、下腿部位へのLicking/Bitingなどの自発的疼痛関連行動は認められなかった。一方で疼痛強度に関する検討では、PSLマウス血清中エクソソームは、Sham群と比較し低濃度ホルマリン誘発性侵害刺激行動に対して有意な時間延長を認めた。以上の結果により、エクソソームは疼痛発症には関与しないことが示唆された。また、PSLマウス血清中エクソソームに存在する因子が脊髄侵害刺激シグナルを亢進させ、低濃度ホルマリン誘発性侵害刺激行動を増強しているものと推察された。今後は、疼痛強度を増悪させる因子を明らかとすること、およびエクソソーム中の疼痛強度増悪に関与する因子を排除することで痛みを抑制できるという新規治療標的の確立を目標とする。現在までに、坐骨神経結紮マウスの血清から単離したエクソソーム中に、疼痛悪化を助長する因子が含まれている仮説を行動薬理学的側面を主とした方法で証明することができた。しかし、血清エクソソーム中に含まれている疼痛悪化因子がサイトカインであると仮設を立て同定を試みたが、関与しないことが示唆された。そのため、おおむね順調に進展しているとした。エクソソームは血液などの体液に含まれる直径約40-150nmの脂質二重膜の小胞である。近年、疼痛時の血清から単離したエクソソーム中に存在する物質が、疼痛強度の指標となることが示唆されている。しかし、エクソソームに関する研究はバイオマーカーの探索が主であるため、エクソソームと疼痛発症および疼痛強度の増強との関連性は解明されていない。そこで本研究では、神経障害性疼痛モデルとして坐骨神経部分結紮(PSL)マウスを用い、PSLマウス血清中エクソソームの侵害刺激行動に対する影響を偽手術(Sham)群と比較検討した。疼痛発症に関する検討として、PSLマウス血清中エクソソームの脊髄クモ膜下腔内単独投与を行ったが、下腿部位へのLicking/Bitingなどの自発的疼痛関連行動は認められなかった。つまり、エクソソームは疼痛の発症過程には関与しないことが示唆された。また、PSLマウスの血清から抽出したエクソソームを、別個体のPSLマウスの脊髄クモ膜下腔内に単回投与しても、疼痛強度は変化しなかった。そこで、急性疼痛モデルとして確立されている低濃度ホルマリンを投与する実験系を設定した。その結果疼痛強度に関する検討では、PSLマウス血清中エクソソームはSham群と比較し低濃度ホルマリン誘発性侵害刺激行動に対して有意な時間延長を認めた。さらに、血清中エクソソームの二重膜上に発現する膜タンパク質を削いだ“Shaved Exosome"においては、疼痛強度の悪化が引き起こされないことを明らかとした。以上の結果により、神経障害性疼痛モデルマウスの血清エクソソーム二重膜上に痛みを増強させる物質が存在していることを示唆する結果をこれまでに得た。今後は、疼痛強度を増悪させる血清エクソソーム二重膜上の因子を明らかとすること、およびエクソソーム中の疼痛強度増悪に関与する因子を排除することで痛みを抑制できるという新規治療標的の確立を目標とする。エクソソームは体液に含まれる直径約40-150nmの脂質二重膜の小胞である。近年、疼痛時の血清から単離したエクソソーム中に存在する物質が、疼痛強度の指標となることが示唆されている。しかし、エクソソームと疼痛発症および疼痛強度の増強との関連性は解明されていなかった。そこで本研究では、神経障害性疼痛モデルとして坐骨神経部分結紮(PSL)マウスを用い、PSLマウス血清中エクソソームの侵害刺激行動に対する影響を検討した。
KAKENHI-PROJECT-15H06795
https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-15H06795
血清中エクソソームに着目した神経障害性疼痛の増悪機構解明と治療法への応用
その結果、現在までに我々はPSLマウス血清中エクソソーム二重膜上に存在する因子が脊髄侵害刺激シグナルを亢進させ、低濃度ホルマリン誘発性侵害刺激行動を増強させることを明らかとした。血清エクソソーム中に含まれている疼痛悪化因子がサイトカインであると仮設を立て同定を試みたが、関与しないことが示唆された。そのため、今後は血清エクソソーム中の疼痛悪化因子として、エクソソーム二重膜上のタンパク質に着目し検討を行う。具体的には、坐骨神経結紮マウスの血清から単離したエクソソームの膜タンパク質を削いだ群を設定することで、二重膜上のタンパク質の重要性を検討する。また、行動薬理学的所見のみならず、脊髄後角の組織切片におけるミクログリアの活性化比較を行うことで免疫組織学的検討をも行う。28年度が最終年度であるため、記入しない。薬理学28年度が最終年度であるため、記入しない。
KAKENHI-PROJECT-15H06795
https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-15H06795
実用化に向けた高性能擬固体型色素増感太陽電池の開発
本研究では我々が近年に報告している3次元イオンパスを有したイオン液体分子結合ナノ粒子混合型擬固体電解質を応用し、直線状1次元イオンパスを有する擬固体電解質の開発を行い、その機能を擬固体色素増感太陽電池において実証した。直線状イオンパスの構築には無数の直線貫通孔を有したアルミナ薄膜を用い、直線貫通孔内部をイオン液体分子で修飾することにより前駆体を作製し、内部をイオン液体型電解液で満たすことにより作製した。直線状イオンパスを形成させた擬固体電解質がもたらす太陽電池中でのヨウ素濃度のハイブリッド効果においても検討を行い、イオン液体型電解液を用いた場合に起こる色素増感太陽電池内での問題点についても検証した。直線貫通孔の内壁の修飾に用いたイオン液体分子近傍に電解質として添加しているヨウ素が濃縮状態を形成し、グロッタスメカニズムに類似したイオン移動機構が構築されることを示した。擬固体電解質中では通常の濃度拡散によるイオン移動とグロッタスメカニズムに類似したイオン移動機構により、液体電解液中のイオン移動と同等以上の移動状態が形成されていることを明らかにした。一方、擬固体電解質中でのヨウ素濃縮により酸化チタン層におけるナノポア内でのヨウ素濃度は低下することを立証した。これにより増感色素への太陽光浸透率が増加し、光電変換効率が向上することを明らかにした。本研究では我々が近年に報告している3次元イオンパスを有したイオン液体分子結合ナノ粒子混合型擬固体電解質を応用し、直線状1次元イオンパスを有する擬固体電解質の開発を行い、その機能を擬固体色素増感太陽電池において実証した。直線状イオンパスの構築には無数の直線貫通孔を有したアルミナ薄膜を用い、直線貫通孔内部をイオン液体分子で修飾することにより前駆体を作製し、内部をイオン液体型電解液で満たすことにより作製した。直線状イオンパスを形成させた擬固体電解質がもたらす太陽電池中でのヨウ素濃度のハイブリッド効果においても検討を行い、イオン液体型電解液を用いた場合に起こる色素増感太陽電池内での問題点についても検証した。直線貫通孔の内壁の修飾に用いたイオン液体分子近傍に電解質として添加しているヨウ素が濃縮状態を形成し、グロッタスメカニズムに類似したイオン移動機構が構築されることを示した。擬固体電解質中では通常の濃度拡散によるイオン移動とグロッタスメカニズムに類似したイオン移動機構により、液体電解液中のイオン移動と同等以上の移動状態が形成されていることを明らかにした。一方、擬固体電解質中でのヨウ素濃縮により酸化チタン層におけるナノポア内でのヨウ素濃度は低下することを立証した。これにより増感色素への太陽光浸透率が増加し、光電変換効率が向上することを明らかにした。
KAKENHI-PROJECT-06J07789
https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-06J07789
アンチザイム標的分子の探索
ユビキチン非依存性プロテオリシスを誘導することで知られるアンチザイムは、歴史的にその標的としてオルニシンカルボキシラーゼ(以下ODCと略す)のみが知られ、分解誘導メカニズムが研究されてきた。しかしながらごく近年我々の研究も含め、アンチザイムをメディエーターとしたユビキチン非依存性プロテオリシスがODC分解以外にも広範な細胞機能制御に関わる可能性を示唆するデータが報告されている。そこで私はアンチザイムの新しいターゲットを探索することを目的とし、アンチザイムをベイトとしてYeast two-hybrid screenを行った。報告者は23kDを産生する2番目のATGからのアンチザイム全長および、C末110アミノ酸をコードする配列をbaitとしてpLexAベクターおよびp8op-lacZベクターに組み込み、EGY48酵母株に形質転換し、組み込んだベイトタンパクが酵母において発現していることをLexAモノクローナル抗体を用いてウエスタンブロッティングにより確認した。その後種々の濃度の3ATを含有したSDプレートにベイトを形質転換した酵母を蒔き、酵母の生育しない至適3AT濃度を同定した。実際のスクリーニングにはpB42ADベクターに組み込んだP0からP4ステージのマウスcDNAライブラリーを使用した。出現したコロニーの多くはβガラクトシダーゼ活性を示したが、再度トランスフォーメーションしたとき消失したクローンも多く、また再現性のあったクローンの重なりは少なく、シークエンスの結果、特異的な相互作用であると考えられるものも少なかった。現在、C末をさらにいくつかに分けてbaitとしスクリーニングを行うとともに、可能性のあるクローンについて培養細胞にてアンチザイムとの相互作用を確認している。ユビキチン非依存性プロテオリシスを誘導することで知られるアンチザイムは、歴史的にその標的としてオルニシンカルボキシラーゼ(以下ODCと略す)のみが知られ、分解誘導メカニズムが研究されてきた。しかしながらごく近年我々の研究も含め、アンチザイムをメディエーターとしたユビキチン非依存性プロテオリシスがODC分解以外にも広範な細胞機能制御に関わる可能性を示唆するデータが報告されている。そこで私はアンチザイムの新しいターゲットを探索することを目的とし、アンチザイムをベイトとしてYeast two-hybrid screenを行っている。報告者はまず、マウスアンチザイム(Oaz1)のコーディング領域全長685bpをPCRクローニングにより単離することに成功した。そして23kDを産生する2番目のATGからのアンチザイム全長および、C末110アミノ酸をコードする配列をbaitとしてpLexAベクターおよびp8op-lacZベクターに組み込み、EGY48酵母株に形質転換した。まず、組み込んだベイトタンパクが酵母において発現していることをLexAモノクローナル抗体を用いてウエスタンブロッティングにより確認した。その後種々の濃度の3ATを含有したSDプレートにベイトを形質転換した酵母を蒔き、酵母の生育しない至適3AT濃度を同定した。実際のスクリーニングには、pB42ADベクターに組み込んだP0からP4ステージのマウスcDNAライブラリーを使用した。現在出現したポジティブクローンについて、2次スクリーニングおよびβ-ガラクトシダーゼアッセイにより確認している。ユビキチン非依存性プロテオリシスを誘導することで知られるアンチザイムは、歴史的にその標的としてオルニシンカルボキシラーゼ(以下ODCと略す)のみが知られ、分解誘導メカニズムが研究されてきた。しかしながらごく近年我々の研究も含め、アンチザイムをメディエーターとしたユビキチン非依存性プロテオリシスがODC分解以外にも広範な細胞機能制御に関わる可能性を示唆するデータが報告されている。そこで私はアンチザイムの新しいターゲットを探索することを目的とし、アンチザイムをベイトとしてYeast two-hybrid screenを行った。報告者は23kDを産生する2番目のATGからのアンチザイム全長および、C末110アミノ酸をコードする配列をbaitとしてpLexAベクターおよびp8op-lacZベクターに組み込み、EGY48酵母株に形質転換し、組み込んだベイトタンパクが酵母において発現していることをLexAモノクローナル抗体を用いてウエスタンブロッティングにより確認した。その後種々の濃度の3ATを含有したSDプレートにベイトを形質転換した酵母を蒔き、酵母の生育しない至適3AT濃度を同定した。実際のスクリーニングにはpB42ADベクターに組み込んだP0からP4ステージのマウスcDNAライブラリーを使用した。出現したコロニーの多くはβガラクトシダーゼ活性を示したが、再度トランスフォーメーションしたとき消失したクローンも多く、また再現性のあったクローンの重なりは少なく、シークエンスの結果、特異的な相互作用であると考えられるものも少なかった。現在、C末をさらにいくつかに分けてbaitとしスクリーニングを行うとともに、可能性のあるクローンについて培養細胞にてアンチザイムとの相互作用を確認している。
KAKENHI-PROJECT-14771301
https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-14771301
生体機能分子の設計・合成
生物の持つ機能、例えば脳における情報処理や神経伝達機構などは、工学分野からみると魅力的である。そこで本研究では、この優れた生物の機能を持ち、且つ工学的に応用可能な全く新しい「生体機能分子」の「設計・合成」を行うことを目的とする。工学的応用を前提とした生体機能分子を設計・合成する場合に重要な点として1.分子の安定生、2.優れた電子・電気特性などの工業特性、3.分子とデバイスとのインターフェースの保持などがある。これらの機能を持つ生体機能分子を、有機合成的アプローチおよび蛋白質化学的アプローチにより設計・合成する。平成5年度は具体的には次の3点について研究を行った。(1)モレキュラーインプリント法により人工高分子に分子認識部位を導入することを試みる。(2)酵素の糖鎖に着目し、これを修飾することにより酵素反応効率の向上を試みる。(3)天然の電子移動のメディエーターである遷移金属を含む蛋白質を修飾・改変し、その電子伝達特性の変化を調べる。(1)の有機合成的アプローチであるモレキュラーインプリント法では、いくつかの高分子を合成し、これらが分子認識能を持つことを液体クロマトグラフィーによって評価、認識した。(2)の蛋白質工学的アプローチである酵素の修飾についても、電子メディエーターのフェロセンと酵素のグルコースオキシダーゼを結合することによって、その修飾酵素と電極の反応効率を上げることに成功している。(3)については、天然の電子メディエーターであるブルー銅蛋白質にルテニウム錯体を結合させることによって光による蛋白質の還元に成功した。平成6年度以降はこれらの生体機能分子の機能解析とその評価を行い、その結果を踏まえて、複数の生体機能分子を組み合わせたハイブリッド分子を調製し、申請者らが目的とする上記1、2、3、の機能を持つ生体機能分子の創製を行う。生物の持つ機能、例えば脳における情報処理や神経伝達機構などは、工学分野からみると魅力的である。そこで本研究では、この優れた生物の機能を持ち、且つ工学的に応用可能な全く新しい「生体機能分子」の「設計・合成」を行うことを目的とする。工学的応用を前提とした生体機能分子を設計・合成する場合に重要な点として1.分子の安定生、2.優れた電子・電気特性などの工業特性、3.分子とデバイスとのインターフェースの保持などがある。これらの機能を持つ生体機能分子を、有機合成的アプローチおよび蛋白質化学的アプローチにより設計・合成する。平成5年度は具体的には次の3点について研究を行った。(1)モレキュラーインプリント法により人工高分子に分子認識部位を導入することを試みる。(2)酵素の糖鎖に着目し、これを修飾することにより酵素反応効率の向上を試みる。(3)天然の電子移動のメディエーターである遷移金属を含む蛋白質を修飾・改変し、その電子伝達特性の変化を調べる。(1)の有機合成的アプローチであるモレキュラーインプリント法では、いくつかの高分子を合成し、これらが分子認識能を持つことを液体クロマトグラフィーによって評価、認識した。(2)の蛋白質工学的アプローチである酵素の修飾についても、電子メディエーターのフェロセンと酵素のグルコースオキシダーゼを結合することによって、その修飾酵素と電極の反応効率を上げることに成功している。(3)については、天然の電子メディエーターであるブルー銅蛋白質にルテニウム錯体を結合させることによって光による蛋白質の還元に成功した。平成6年度以降はこれらの生体機能分子の機能解析とその評価を行い、その結果を踏まえて、複数の生体機能分子を組み合わせたハイブリッド分子を調製し、申請者らが目的とする上記1、2、3、の機能を持つ生体機能分子の創製を行う。
KAKENHI-PROJECT-05NP1001
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国際移動過程における在日中国人の「滞在者」アイデンティティに関する研究
1.就職者・研究者を対象にしたアンケート調査の分析2.在日中国人の「滞在者」アイデンティティ・準拠集団・階層意識に関する聞き取り調査(地方都市および首都圏在住の就職者・研究者15人)1.調査結果によると、かれらの滞日期間は10年以上と長く、すでに高い割合で日本永住資格や国籍を保有していた。同時に将来中国に帰ると答えた者も多いのだが、あと何年くらいで帰るかという具体的なめどについては明らかにされていない。帰国する場合の中国とのつながりには、仕事上や個人的な「コネ」が挙げられていた。一見具体的なめどが立っていないように見えるが、個人的なネットワークによるつながりを維持する様子は、きわめて「中国人らしい」傾向といえるだろう。このような滞在への態度からは、N.ウリエリの「永続的ソジョナー」(permanent sojourner)のような、「滞在者」と「定住者」の中間的な概念が必要であることが示された。2.「永続的ソジョナー」としてかれらが有する準拠集団は、中国に住む中国人の友人、日本留学する中国人、日本人(同級生・会社の同僚)と多元的で、かつ「状況」や「場」に応じてそれぞれ異なる集団が想定されていることがわかった。ただしここで注意すべきは、それぞれの準拠集団が必ずしも実在するものであるとは限らない点である。かれらの語りの「中国(の大学・会社など)」「日本(の大学・会社など)」(時には)「欧米」は、現実集団ではなく個人が体験したものから作り上げられた、いわば「バーチャル(virtual)な」集団も含まれている点に注目すべきである。かれらの日本でホワイトカラーの「サラリーマン」や「(有名)大学の教員」としての生活、そして女性に見受けられる「主婦化」傾向などからは、「保守化」していく可能性も考えられる。一部には、日本にいる他の中国人集団(エスニック・カテゴリー)と比較して差別化やエリート意識を思わせる発言もみられる。だが、それが単なる日本社会へ同化を促すと結論づけることはできない。今後は階層の視点も取り入れ、トランスナショナルな「新中間層」としての中国人の分析を予定している。1.就職者・研究者を対象にしたアンケート調査の分析2.在日中国人の「滞在者」アイデンティティ・準拠集団・階層意識に関する聞き取り調査(地方都市および首都圏在住の就職者・研究者15人)1.調査結果によると、かれらの滞日期間は10年以上と長く、すでに高い割合で日本永住資格や国籍を保有していた。同時に将来中国に帰ると答えた者も多いのだが、あと何年くらいで帰るかという具体的なめどについては明らかにされていない。帰国する場合の中国とのつながりには、仕事上や個人的な「コネ」が挙げられていた。一見具体的なめどが立っていないように見えるが、個人的なネットワークによるつながりを維持する様子は、きわめて「中国人らしい」傾向といえるだろう。このような滞在への態度からは、N.ウリエリの「永続的ソジョナー」(permanent sojourner)のような、「滞在者」と「定住者」の中間的な概念が必要であることが示された。2.「永続的ソジョナー」としてかれらが有する準拠集団は、中国に住む中国人の友人、日本留学する中国人、日本人(同級生・会社の同僚)と多元的で、かつ「状況」や「場」に応じてそれぞれ異なる集団が想定されていることがわかった。ただしここで注意すべきは、それぞれの準拠集団が必ずしも実在するものであるとは限らない点である。かれらの語りの「中国(の大学・会社など)」「日本(の大学・会社など)」(時には)「欧米」は、現実集団ではなく個人が体験したものから作り上げられた、いわば「バーチャル(virtual)な」集団も含まれている点に注目すべきである。かれらの日本でホワイトカラーの「サラリーマン」や「(有名)大学の教員」としての生活、そして女性に見受けられる「主婦化」傾向などからは、「保守化」していく可能性も考えられる。一部には、日本にいる他の中国人集団(エスニック・カテゴリー)と比較して差別化やエリート意識を思わせる発言もみられる。だが、それが単なる日本社会へ同化を促すと結論づけることはできない。今後は階層の視点も取り入れ、トランスナショナルな「新中間層」としての中国人の分析を予定している。
KAKENHI-PROJECT-01J02459
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「思想」としての正書法問題-ドイツ語史における規範議論:1700〜1850年-
18世紀から19世紀後半に至るまでのドイツ語正書法の歴史を概観するなかで18世紀の二人の文法家、すなわちJ.Ch.ゴットシェート(1700-1766年)とJ.Ch.アーデルング(1732-1806年)の正書法原理を明らかにすることが本研究課題にとって最重要であることが判明した。ゴットシェートに関してはその著"Kern der deutschen Sprachkunst"(1773年)における正書法規則を調査した。ここで基準とされる「発音」とはあくまでも「宮廷人」が話す発音であり、また同じく基準とされる「慣習」は「最良の文筆家」の書法であった。唯一言語学的な基準は「語幹」主義、すなわち語幹を一定の書法で統一的に綴ることであった。この3つの原理が同時に働くケースにおいてどの原理を優先させるかについては、事例ごとのアドホクな決定に委ねるほかなかった。アーデルングの主要な文典からは、彼が上部ザクセンの上流階級の用いるドイツ語を模範とし、正書法の原理としてはこの模範における「発音」、「形態」(Abstammung)、そして「慣習」を、この順で重視していることが明らかとなった。コーパスに基づく調査の結果、いわゆる分離動詞の綴り方に関する彼の規範が、しばしば同時代の文筆家の実際の綴り方と一致しないことを確認したが、これは分離動詞の正書法に関しては、「発音」および「形態」がその他の場合ほど有効ではなく、「慣習」の影響を大きく被ることによると思われる。また、分離動詞の分かち書き・続け書きには分離動詞を構成する要素の元来の品詞が関与している可能性も指摘できる。18世紀から19世紀後半に至るまでのドイツ語正書法の歴史を概観するなかで18世紀の二人の文法家、すなわちJ.Ch.ゴットシェート(1700-1766年)とJ.Ch.アーデルング(1732-1806年)の正書法原理を明らかにすることが本研究課題にとって最重要であることが判明した。ゴットシェートに関してはその著"Kern der deutschen Sprachkunst"(1773年)における正書法規則を調査した。ここで基準とされる「発音」とはあくまでも「宮廷人」が話す発音であり、また同じく基準とされる「慣習」は「最良の文筆家」の書法であった。唯一言語学的な基準は「語幹」主義、すなわち語幹を一定の書法で統一的に綴ることであった。この3つの原理が同時に働くケースにおいてどの原理を優先させるかについては、事例ごとのアドホクな決定に委ねるほかなかった。アーデルングの主要な文典からは、彼が上部ザクセンの上流階級の用いるドイツ語を模範とし、正書法の原理としてはこの模範における「発音」、「形態」(Abstammung)、そして「慣習」を、この順で重視していることが明らかとなった。コーパスに基づく調査の結果、いわゆる分離動詞の綴り方に関する彼の規範が、しばしば同時代の文筆家の実際の綴り方と一致しないことを確認したが、これは分離動詞の正書法に関しては、「発音」および「形態」がその他の場合ほど有効ではなく、「慣習」の影響を大きく被ることによると思われる。また、分離動詞の分かち書き・続け書きには分離動詞を構成する要素の元来の品詞が関与している可能性も指摘できる。18世紀から19世紀後半に至るまでのドイツ語正書法の歴史を大きく概観することによって、正書法議論においては次のような「思想」的問題が複合的に関係していることが明らかとなった:1)「上意下達の思想」、2)「言語文化の思想」、3)「経済の思想」、4)「宗教(的敬虔)の思想」、5)「愛国主義の思想」、6)「言語的整合性の思想」、7)「慣用性の思想」。目下のところは、これらの7項目に関して1700年から1775年までの時期について、とりわけHieronymus Freyer(1728)およびJohannes Christoph Gottsched(1749)の正書法に関する原理的発言を吟味することにより、詳細な分析を試みているところである。1775年から1850年の期間については、この時期を代表する文法家アーデルングの主要な原著文典3点にあたり、特にいわゆる分離動詞の綴り方に関する規則をまとめ、あわせてこの文法家の規則と同時代の文筆家の綴り方の実態とが一致するか否かを調査した。すでに機械可読のコーパスが存在する文筆家の一名について仮調査したところ、1)両者は必ずしも一致するわけではないこと、2)しかし規則と実際の綴られ方の一致・不一致は、まったく任意に起こっているのではなく、特定の要因に基づいて書き分けが行われている可能性があること、の二つの成果を得た。次年度は、他の正書法規則、他の文筆家に関しても、既存のコーパスのみならず、阿部の作成したコーパス(現在作成中)をも用いた調査によらて、より広範な土台を得た上で今年度の仮調査結果を吟味・補完することを目標とする。18世紀から19世紀後半に至るまでのドイツ語正書法の歴史を概観するなかで18世紀の二人の文法家、すなわちJ.Ch..ゴットシェート(1700-1766年)とJ.Ch.アーデルング(1732-1806年)の正書法原理を明らかにすることが本研究課題にとって最重要であることが判明した。
KAKENHI-PROJECT-15520275
https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-15520275
「思想」としての正書法問題-ドイツ語史における規範議論:1700〜1850年-
ゴットシェートに関してはその著"Kern der deutschen Sprachkunst"(1773年)における正書法規則を調査した。ここで基準とされる「発音」とはあくまでも「宮廷人」が話す発音であり、また同じく基準とされる「慣習」は「最良の文筆家」の書法であった。唯一言語学的な基準は「語幹」主義、すなわち語幹を一定の書法で統一的に綴ることであった。この3つの原理が同時に働くケースにおいてどの原理を優先させるかについては、事例ごとのアドホクな決定に委ねるほかなかった。アーデルングの主要な文典からは、彼が上部ザクセンの上流階級の用いるドイツ語を模範とし、正書法の原理としてはこの模範における「発音」、「形態」(Abstammung)、そして「慣習」を、この順で重視していることが明らかとなった。コーパスに基づく調査の結果、いわゆる分離動詞の綴り方に関する彼の規範が、しばしば同時代の文筆家の実際の綴り方と一致しないことを確認したが、これは分離動詞の正書法に関しては、「発音」および「形態」がその他の場合ほど有効ではなく、「慣習」の影響を大きく被ることによると思われる。また、分離動詞の分かち書き・続け書きには分離動詞を構成する要素の元来の品詞が関与している可能性も指摘できる。
KAKENHI-PROJECT-15520275
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カンボジアの区画漁業権停止が資源管理と小規模漁業に与える影響調査
カンボジア王国トンレサップ湖における区画漁業権(ロット)の停止に伴い、湖面区画をコミュニティー漁場と保護区に再構築する事業が行われた。この新規区画は、半農半漁の住民からはおおむね好意的に受け入れられている一方で、専業的漁民からは漁場が狭くなったとの不満が聞かれた。また、トンレサップ湖の水質については、富栄養化が湖全体で進行しており、アオコの発生が顕著であった。この漁業制度の改革で、資源管理や資源の監視の主体が、政府から漁業者コミュニティーとなったが、監視コストが漁業者の負担となっており、コミュニティー漁具の設置やエコツーリズムの振興が重要であることが示された。カンボジアの区画漁業権(ロット)の停止に伴う地域への影響を調べるため、昨年度に引き続き11月と3月に現地調査を行った。今年度は、昨年実施された漁業法の改革について、特に漁具の規制と保護区の設置状況について情報収集を行った。また、大規模漁具の使用禁止に関連して、水質の変化についても現地調査と標本収集および化学分析を実施した。今年度の調査で、漁場および保護区の設定はすでに終了しており、トンレサップ湖の新たな海面区別に関する地図情報を入手した。漁具については、昨年度からの大きな変更はないものの、昨年度は禁止されていた設置型漁具が、いくつかの漁業者コミュニティーからの要請を受けて、政府水産局が使用を一時的に許可する措置をとったことが分かった。また、湖北部の区画漁業権エリアは、当初の情報とは異なり、すべてが保護区として設定され、地元漁業者コミュニティーに新たな漁場が付与されることはなかったことが分かった。また、湖南部のKampong Chhnang州の漁業者コミュニティーには、新たな漁場が付与されたものの、実際には、居住地から遠く、漁場としての利用価値がないなど、漁場区分の見直しに関しては、苦情が多く聞かれた。同時に、漁業者コミュニティーによる大規模漁具の利用に対する要請が各地で起きていることが分かった。小規模漁業の漁獲量ならびに漁獲物の種組成については、大きな変化は認められなかった。また、昨年度に収集したトンレサップ湖流入河川水について、52元素の化学分析を行った結果、雨季と乾季で濃度の変化はあるものの、一部の地域でアルミニウムおよび鉄の濃度が日本の安全基準よりも高く、局所的な化学汚染が生じていることが分かった。また、アオコなどの富栄養化も北部の一部で認められた。今後、ロット停止と水質悪化の関係性を調査する予定である。カンボジア王国トンレサップ湖における区画漁業権(ロット)の停止に伴い、湖面区画をコミュニティー漁場と保護区に再構築する事業が行われた。この新規区画は、半農半漁の住民からはおおむね好意的に受け入れられている一方で、専業的漁民からは漁場が狭くなったとの不満が聞かれた。また、トンレサップ湖の水質については、富栄養化が湖全体で進行しており、アオコの発生が顕著であった。この漁業制度の改革で、資源管理や資源の監視の主体が、政府から漁業者コミュニティーとなったが、監視コストが漁業者の負担となっており、コミュニティー漁具の設置やエコツーリズムの振興が重要であることが示された。漁民への影響を調べるために、コンポンチュナン州のChhnok Tru村とPhat Sandai村を訪問し、Community Fisheries Groupを対象に、漁業の現状や漁獲量、魚種と魚価の変化についてインタビューをおこない、この結果としてLot停止に伴う影響は、漁業への依存度によって大きく異なることが判明した。資源への影響としては大型魚種が漁獲されるようになったが、これがLot停止に伴う影響か降水量の変化によるものかは判断できないとの認識は共通していた。このため、湖ないの資源分布や漁業の回遊範囲と基礎生産の関係性を解明するため、FiAと協同で水および魚サンプルを合計52サンプル収集し、安定同位体分析を行うこととした。また、Lot停止以上に、漁具規制の見直しが漁民生活に大きな影響を与えていることが判明した。特に、これまで中規模漁業として使用できた漁具の使用が禁止されたことの影響が大きく、Communityから政府へ規制の見直しを依頼している。湖につながる河川でのLotは一部継続されており、Lotオーナーから最近の変化についても情報を聞くことができた。河川のLotについては大きな影響はないようである。カンボジア王国トンレサップ湖における区画漁業権(ロット)の停止に伴い、カンボジア国内では、漁業省が中心となって、海面区画の再整理事業が進められてきた。この新たな区画整理事業では、トンレサップ湖面は、コミュニティー漁業区画と保護区とに分けられることとなった。このコミュニティー漁業の設定については、半農半漁の住民からはおおむね好意的な反応が得られていることが分かった。一方で、漁業を主な生業としている住民の一部では、以前より漁業可能なエリアが減少する、もしくは、漁場が漁村から離れたところに設定されるなどの不満が聞こえてきた。一方で、コミュニティー漁業を行う漁業者コミュニティーは、近隣の保護区の監視が義務づけられており、これらについては、コミュニティーメンバー全員が担当するわけではなく、コミュニティーのリーダーや中心メンバーが、個人的負担にて実施している現状が分かってきた。保護政策自体に反対している人は少ないことから、監視のコスト配分をどのようにしてゆくのかが、今後の課題と思われる。
KAKENHI-PROJECT-24510357
https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-24510357
カンボジアの区画漁業権停止が資源管理と小規模漁業に与える影響調査
トンレサップ湖内並びに流入河川に設定した25の調査地点から水と生物を採集し、元素分析と安定同位体分析を実施することで、地点間ならびに雨季・乾季間での水質の変化を検証したところ、水質変化とロット制度停止の関係性については、具体的な関係性は認められなかった。しかし、かつて局所的にしか報告されていなかった富栄養化やアオコの発生は、湖全体へとリスクが拡大していることが示された。今後、漁業資源に加え、水質や治水に関してもコミュニティーの参加が重要となることが示された。その解決策としては、コミュニティー活動をさせる収入源を、義務と共にコミュニティーへ供与することが望ましく、定置漁具やエコツーリズムにその可能性があることが分かった。地域研究カンボジア政府による漁業制度の改革に関しては、漁場および保護区の設置状況、漁具区分について、情報を収集できた。住民の対応として、湖北部のSiem Reap州、Battambang州、南部のKampong Thom州、Kampong Chhnang州の漁業者コミュニティーからの2年にわたるインタビュー調査が実施できた。トンレサップ湖流入河川の雨季乾季における水質サンプルを入手し、分析できた。アオコなど富栄養化に関する情報を収集できた。カンボジア北部と南部から、主要漁獲物の標本収集ができた。これらの成果は、平成26年3月に開催された日本水産学会春季大会において、「カンボジア王国トンレサップ湖流入河川水の栄養塩および微量元素」ならびに「カンボジア王国トンレサープ湖における第二次漁業改革と中規模漁業への影響」と題して、口頭発表を行った。Lot停止に関する政府の動向や制度の見直しについては、十分に情報を得ることができた。また、漁民生活への影響についても、2村の住民から継続的に情報を得ることができた。残念ながら湖内のLotオーナーに関しては、既に漁業をやめていることから、コンタクトが取れなかった。これらはカンボジア政府機関であるFisheries AdministrationやTonle Sap Authorityとの協力で実施できた。今後漁具区分の見直しや運用の見直しなどが生じる可能性についてもカンボジア水産局ならびに漁業者コミュニティーから入手しており、その動向について、政府および住民組織の両面へ調査を継続する。特に、漁具の規制について、漁業者組織がどのような行動を起こすのか、それに対し、政府は、どのように対応するのか、それによって新たな漁業法や制度が変化するかを詳細に調べる。また、これまでに入手した漁獲物サンプルについて生物学的・遺伝学的分析を進め、漁業資源構造の変化や回遊現象への影響などを調べる予定である。今までのところ、大きな問題点はない。しかし、漁業資源への影響に関しては、Lot停止に伴う影響であるか降水量や気象の変化によるものであるかは判断ができず、資源構造分析を急ぐ必要がある。加えて、漁民生活に大きな影響をあたえる大型魚類の資源変動は2年から3年の経過観察が必要なことから、今後も継続的な漁労・漁獲物調査を実施する必要がある。降水量と水産資源量の関係性は、水と魚の安定同位体分析を実施することで、資源構造や魚の回遊範囲を明確化し、また、基礎生産量との関係性を食物網分析を行うことで側面的に理解をすすめる。
KAKENHI-PROJECT-24510357
https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-24510357
現代国家における危険防御の法システムの研究
本研究は、「危険防御から危険配慮へ」という危険防御の法システムの転換が指摘されている現状に鑑み、危険の評価をめぐって生じる自由と安全の緊張関係を、危険概念の徹底した法実証化を試みることによって解消し、もって行政機関の適切かつ統制のとれた危険防御権限の行使を探るものである。この研究によって、危険の存否を、行政機関の主観的な判断に基づいてではなく、事実の選択方法、選択時点、また結論の導き方(推論の仕方)に関す客観的な準則に基づいて認定する「危険判断の論証モデル」を提示することに成功した。本研究は、「危険防御から危険配慮へ」という危険防御の法システムの転換が指摘されている現状に鑑み、危険の評価をめぐって生じる自由と安全の緊張関係を、危険概念の徹底した法実証化を試みることによって解消し、もって行政機関の適切かつ統制のとれた危険防御権限の行使を探るものである。この研究によって、危険の存否を、行政機関の主観的な判断に基づいてではなく、事実の選択方法、選択時点、また結論の導き方(推論の仕方)に関す客観的な準則に基づいて認定する「危険判断の論証モデル」を提示することに成功した。本年度は、次の二つの研究を行った。第一に、昨年度から研究を続けていた警察権の発動根拠に関する成果をまとめるため「民事不介入の原則に関する一考察-『警察公共の原則』の規範的意味について」と題する論稿を執筆した。本稿は、いわゆる「警察権の限界論」の一つとされている警察公共の原則の規範的意味を、美濃部・佐々木両博士の学説やドイツ警察法を分析することを通じて明らかにしたものである。古典的な警察法理論では警察公共の原則は仮象問題として位置付けられること、またこれを現代において再定位するためには、私的自治の原則に裏付けられた私権の性格を理解することが不可欠であることを明らかにし、私権保護の警察介入には原則上私人の同意が求められる旨、論証した。第二に、警察権の発動根拠の鍵概念である「危険」概念の法実証化に取り組んだ。これは、警察官職務執行法第四条等に規定されている危険概念の解釈方法を、科学哲学の知見を参照して明らかにする試みである。ドイツの通説・判例では、危険の有無は、被侵害利益が重大であればあるほど損害発生の蓋然性は僅かでもよいとする反比例方式によって判断されているが、本研究では、損害発生の「蓋然性」概念を、科学哲学者カルナップのいう「帰納的確率」と理解することによって危険判断の論証手続を可視化することを試みた。事実(条件)から損害(結論)を導く帰納的推論と事実選択のための準則を明らかにすることによって、不透明な価値判断に頼らない危険判断の方法を構築することが、その狙いである。上記検討を踏まえ、年度末に行われた関西行政法研究会では「危険概念の解釈方法-損害発生の蓋然性と帰納的確率」と題する報告発表を行った。その成果は、今年「自治研究」誌に連載される予定である。本年度の研究内容は次の通りである。(1)業績公表昨年度から取り組んでいた「危険」概念の法実証化に関する成果をまとめるため、「危険概念の解釈方法-損害発生の蓋然性と帰納的推論(一)(四・完)」と題する論稿を執筆し、『自治研究』(83巻8号10号11号84巻1号)に掲載した。本稿は、損害発生の「蓋然性」概念を、科学哲学者カルナップのいう「帰納的確率」と理解することによって、事実(条件)から損害(結論)を導く帰納的推論の仕組みを明らかにし、もって危険判断の論証手続を可視化しようとするものである。(2)「危険配慮概念」の法実証化危険概念の法実証化の成果を踏まえ、現代的な危険防御法の性格を特徴的に示すとされている「危険配慮概念」の法実証化を試みた。具体的には、連邦イミシオン防止法に規定されている「配慮」概念の法的意味を、「有害な環境影響」概念との体系的位置づけに注意しながら明らかにすることによって、この概念が危険防御法体系の中で果たしている役割について検討した。その成果は、近く、公表予定である。また、本研究で明らかになった新たな課題(環境法における要件事実論)は、次年度の研究対象となっている。(3)私人による警察活動の法的可能性の検討警察法分野における公私協働の一例として注目されている「警察と民間の安全パートナシップ」の意義・背景・法制度について、ドイツ法を中心に調査・検討した。次年度連載が予定されている「世界の公私協働論(仮)」(法律時報)に寄稿するための準備として位置づけられるものである。研究課題の最終年度となる本年度は、昨年度に残された課題を処理し本研究の一応のまとめを行うとともに、次年度以降の研究課題を明らかにする作業を行った。具体的には、次の三つの作業にまとめられる。まず危険調査権限の法的性格に関する研究である。実効的な危険防御に損害予測の基礎事実の収集が特に重要であることに鑑み、ドイツ警察法を素材に、危険調査権限の意義・内容・法的効果についての検討・分析を行った。我が国の現行法では危険調査権限が必ずしも明確に規定されていないケースも多く、危険防御措置と危険調査権限とを組み合わせた法的仕組みを整備する必要性について明らかにした。次に行政訴訟における要件事実論に関する研究である。
KAKENHI-PROJECT-18730017
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現代国家における危険防御の法システムの研究
本研究課題の主たる成果である「危険判断の論証モデル」が、裁判実務上においても有効であることを検証する作業である。創価大学法科大学院要件事実教育研究所主催「環境法要件事実研究会」に参加することを通じ、「危険判断の論証モデル」が、攻撃防御体系を示す要件事実論の観点からも有効であることを確認した(その成果は拙稿「行政訴訟における要件事実・覚書」伊藤滋夫編『環境法の要件事実』(日本評論社・2009)として公表された。)最後に具体的危険概念・危険配慮概念と抽象的危険概念の異同を解明する必要性について検討を行った。危険配慮は、具体的危険に至らない場合でも一定の警察措置を講ずるものとされてはいるものの、抽象的危険との違いについては必ずしも明らかにされてはいない。伝統的な危険防御の法システムと現代的な危険配慮の法システムとの連続性あるいは緊張関係をより鮮明に明らかにするためには、当概念の解明を含めたさらなる検討が必要であることを確認した(次年度以降の研究課題である)。
KAKENHI-PROJECT-18730017
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通信網の知的制御
通信網制御において,ある制御が適切であるかどうかは,制御した後にならないと分からないが,そのときの局間交流呼量や空き回線数,前週同曜日同時刻のトラヒック状況などから予想をたてることはできる.従って,そのような予想を用いて制御を行えば,かなり良い制御を行うことができる.このような制御は,要するに,知識処理である.知識表現及び推論の方法はいろいろあるが,通信網制御にはファジ-推論が向いている.すなわち,通信網制御では数値を扱うが,通信網は巨大システムであるため,判断の基準となる数値が状況によりいろいろと変化する.ファジ-推論では,瞹眛さを含んだ形の数値で知識を表現し推論を行うので,このような条件にかなっている.本研究では,以上のような観点から,ファジ-推論による通信網の知的制御のシステム構成,制御法,制御規則,制御規則の学習法などについて検討した.網全体にわたる制御では,多数の変数を扱うことになる.従って,単純なファジ-システムでは,ファジ-規則が非常に多くなり,複雑であるばかりか,保守上の問題も生じる.そのような問題には,ファジ-システムの階層化が有効である.そこで,そのシステム構成,各階層の役割分担などについて検討し,比較的簡単なシステムで良好な特性が得られることを示した.ファジ-システムを実装する上での一つ問題点は,適切な制御規則を見つけるために,最初にシミュレ-ションなどで試行錯誤を行わねばならないということである.そこで,制御規則の中のメンバシップ関数のパラメ-タを運用中に学習により調整する方法の検討を行った.制御の失敗を調べ,それを抑制する方向に調整する方法,および,もともとの制御目的である利益最大化に向かうよう調整する方法の二つを提案し,トラヒック変動があるような場合は,後者が有利であるという結果を得た.通信網制御において,ある制御が適切であるかどうかは,制御した後にならないと分からないが,そのときの局間交流呼量や空き回線数,前週同曜日同時刻のトラヒック状況などから予想をたてることはできる.従って,そのような予想を用いて制御を行えば,かなり良い制御を行うことができる.このような制御は,要するに,知識処理である.知識表現及び推論の方法はいろいろあるが,通信網制御にはファジ-推論が向いている.すなわち,通信網制御では数値を扱うが,通信網は巨大システムであるため,判断の基準となる数値が状況によりいろいろと変化する.ファジ-推論では,瞹眛さを含んだ形の数値で知識を表現し推論を行うので,このような条件にかなっている.本研究では,以上のような観点から,ファジ-推論による通信網の知的制御のシステム構成,制御法,制御規則,制御規則の学習法などについて検討した.網全体にわたる制御では,多数の変数を扱うことになる.従って,単純なファジ-システムでは,ファジ-規則が非常に多くなり,複雑であるばかりか,保守上の問題も生じる.そのような問題には,ファジ-システムの階層化が有効である.そこで,そのシステム構成,各階層の役割分担などについて検討し,比較的簡単なシステムで良好な特性が得られることを示した.ファジ-システムを実装する上での一つ問題点は,適切な制御規則を見つけるために,最初にシミュレ-ションなどで試行錯誤を行わねばならないということである.そこで,制御規則の中のメンバシップ関数のパラメ-タを運用中に学習により調整する方法の検討を行った.制御の失敗を調べ,それを抑制する方向に調整する方法,および,もともとの制御目的である利益最大化に向かうよう調整する方法の二つを提案し,トラヒック変動があるような場合は,後者が有利であるという結果を得た.
KAKENHI-PROJECT-03650268
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高空間分解能光振動センサによる振動分布計測可視化システムの開発
本研究では小さな振動体の振動分布を多点同時測定して可視化する目的で、光学式振動分布測定システムを開発した。同システムは、人工弁の振動分布計測用に特化して平成15年度までに開発したシステムをベースとし、諸特性を改良・拡張して汎用の振動分布計測システム実現を目指すものである。センサユニットとして光ファイババンドルとレンズを使用した非接触型の小型変位センサを開発し、また小型の光電変換ユニットを新たに設計して各種ノイズ対策を行った結果、センサ単体の特性で変位分解能10[nm],ダイナミックレンジ90[dB]以上,80[kHz]の周波数帯域を実現した。同変位センサのヘッド部分は最大外径2.5mmであり、専用に製作した小型ナットと治具を使用して最小4[mm]間隔での設置が可能となっている。同センサユニットを64チャンネル分製作してアレイ化することで、空間分解能4[mm],最大64カ所での同時計測を可能とする振動分布計測用ハードウェアを実現した。本システムの特徴は被計測面を使用した校正機能にある。アレイ化したセンサブロックをリニアアクチュエータで駆動し、振動面静止時の変位出力特性を記録して校正データとすることで振動面の性状に依存しない高精度計測を実現した。また、多点同時計測時に重要となる個別のセンサヘッド位置微調整のため、データ校正時に微調整用データを算出して提示する機能も開発した。さらに、振動分布の直感的な把握のため、振動面の変化を3次元のアニメーションとして表示するソフトウェアを開発し、振動分布の可視化を実現した。開発した振動分布計測システムを評価するため、マイクロインジェクション用小型アクチュエータの振動面測定に応用した結果、振動状態の詳細を可視化して即座に正常・異常を判断することが可能であることが示され、本システムの有効性が実証された。本研究では小さな振動体の振動分布を多点同時測定して可視化する目的で、光学式振動分布測定システムを開発した。同システムは、人工弁の振動分布計測用に特化して平成15年度までに開発したシステムをベースとし、諸特性を改良・拡張して汎用の振動分布計測システム実現を目指すものである。センサユニットとして光ファイババンドルとレンズを使用した非接触型の小型変位センサを開発し、また小型の光電変換ユニットを新たに設計して各種ノイズ対策を行った結果、センサ単体の特性で変位分解能10[nm],ダイナミックレンジ90[dB]以上,80[kHz]の周波数帯域を実現した。同変位センサのヘッド部分は最大外径2.5mmであり、専用に製作した小型ナットと治具を使用して最小4[mm]間隔での設置が可能となっている。同センサユニットを64チャンネル分製作してアレイ化することで、空間分解能4[mm],最大64カ所での同時計測を可能とする振動分布計測用ハードウェアを実現した。本システムの特徴は被計測面を使用した校正機能にある。アレイ化したセンサブロックをリニアアクチュエータで駆動し、振動面静止時の変位出力特性を記録して校正データとすることで振動面の性状に依存しない高精度計測を実現した。また、多点同時計測時に重要となる個別のセンサヘッド位置微調整のため、データ校正時に微調整用データを算出して提示する機能も開発した。さらに、振動分布の直感的な把握のため、振動面の変化を3次元のアニメーションとして表示するソフトウェアを開発し、振動分布の可視化を実現した。開発した振動分布計測システムを評価するため、マイクロインジェクション用小型アクチュエータの振動面測定に応用した結果、振動状態の詳細を可視化して即座に正常・異常を判断することが可能であることが示され、本システムの有効性が実証された。本研究は各種物体表面の振動分布を5mm程度の高空間分解能で同時計測し可視化することを目的としている。人工弁の振動分布計測用に特化して平成15年度までに開発したシステムを改良・拡張し、最大64カ所の同時計測を目指すものである。同システムの特徴は被計測面を使用した校正機能にあり、振動面の性状に依存しない高精度計測を実現する。平成16年度は主に下記2項目について研究を推進した。・センサユニットの改良各センサユニットは光ファイババンドルとレンズを使用した非接触型変位センサの構成となっている。その機構部品および光電変換回路系の見直しにより、実効空間分解能5mm,変位分解能10nmを実現した。また、受光回路系の見直しによる超音波領域の振動計測対応も試作を完了した。・センサユニット駆動機構の研究開発上記センサユニットはワーキングディスタンスが狭いため、多チャンネル化に伴い設置位置の微調整機構が重要となってくる。基本的にはセンサユニットそのものを回転しながら調節するねじ送り機構で対応する予定であるが、調整後に確実にロックする機構が必須である。本年度は2,3の機構を試作して評価を行った。最終的な構造は確定していないが十分実現可能との感触は得ている。平成17年度も引き続き評価を進め、早めに決定する予定である。また、センサユニットを回転させるのにともない、電子回路も一部回転可能な構造とする必要がある。このため表面実装部品を使用した小型基板を試作した。平成17年度には、上述の駆動機構の他、64チャンネル同時計測対応のコントローラ用ソフトウェアを開発するとともに、計測データの3次元表示用ソフトウェアを開発して、システムとして完成させる計画である。本研究では小さな振動体の振動分布を多点同時測定して可視化する目的で、光学式振動分布測定システムを開発した。
KAKENHI-PROJECT-16560369
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高空間分解能光振動センサによる振動分布計測可視化システムの開発
昨年度試作した光ファイバ使用の小型変位センサをもとに、小型の光電変換ユニットを新たに開発して各種ノイズ対策を行った結果、センサ単体の特性で変位分解能10[nm],ダイナミックレンジ90[dB]以上,80[kHz]の周波数帯域を実現した。同変位センサのヘッド部分は最大外径2.5mmであり、専用に製作した小型ナットと治具を使用して最小4[mm]間隔での設置が可能となっている。同センサユニットを64チャンネル分製作してアレイ化することで、空間分解能4[mm],最大64カ所での同時計測を可能とする振動分布計測用ハードウェアを実現した。本システムの特徴は被計測面を使用した校正機能にある。アレイ化したセンサブロックをリニアアクチュエータで駆動し、振動面静止時の変位出力特性を記録して校正データとすることで振動面の性状に依存しない高精度計測を実現した。また、多点同時計測時に重要となる個別のセンサヘッド位置微調整のため、データ校正時に微調整用データを算出して提示する機能も開発した。さらに、振動分布の直感的な把握のため、振動面の変化を3次元のアニメーションとして表示するソフトウェアを開発し、振動分布の可視化を実現した。開発した振動分布計測システムを評価するため、マイクロインジェクション用小型アクチュエータの振動面測定に応用した結果、振動状態の詳細を可視化して即座に正常・異常を判断することが可能であることが示され、本システムの有効性が実証された。
KAKENHI-PROJECT-16560369
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前近代ロシアにおける都市と地方の社会的結合の諸形態に関する研究
過去3ヵ年の研究成果は、研究分担者が各自の担当した主題に関する研究について総括を行い、論文をまとめ一冊に編集し研究成果報告書にして著した。栗生沢はキプチャク・カン国のルーシ支配の組織的構造をめぐる幾つかの問題を考察した。特に、13世紀中葉から史料に現れるバスカクが14世紀20年代から少なくなる点に注目する。その背景として、バスカクの地位に就く者がしばしば摩擦を引き起こしたこと以外に、カンの力が失われつつあった証しともとらえられる。田辺は16世紀中葉に書かれた作者不明の『ヨーシフ伝』の試訳を主な目的としている。この有名な修道士の半生が、その生い立ちからヴォロコラムスクに修道院を開基するまでが述べられている。訳出されている部分からだけでも、彼をめぐる当時の人々の視点が生き生きと浮き彫りにされる。松木は16世紀プスコフ市台帳の紹介を主な目的にしつつも、都市ポサード民の共同体に関する情報について詳しく検討している。その台帳は、市民の生活を具体的にわれわれに示すだけでなく、ロシアの古い社団的集団のあり方を示唆する貴重な史料である。浅野は逃亡農民を捜索し連れ戻す際のいわゆる「法定年限」に注目し、それが17世紀前半の逃亡農民の捜索と裁判の実務において果たした役割を検討すると共に、この問題を士族層の社会運動と関連させて論じている。ピョートル大帝期へと向かう時代の国家と教会の関係を扱う吉田は、17世紀半ばまで保たれていた両者の「共生関係」もピョートル出現前夜にはほころびが生じ始めていたが、他方ではそのことにより西ヨーロッパとの「対等」的な外交関係を樹立しようとしたのだという。豊川はロシア国家の民族政策の基本的性格をバシキール人社会の併合から「同化」へと至る過程を通して探っている。細川はヨシフ=ヴォロコラムスク修道院の文書を詳細に検討した。以上を通して、元々の研究計画てある前近代ロシアの都市と地方における社会的結合についての一端を明らかにし得たと考えている。過去3ヵ年の研究成果は、研究分担者が各自の担当した主題に関する研究について総括を行い、論文をまとめ一冊に編集し研究成果報告書にして著した。栗生沢はキプチャク・カン国のルーシ支配の組織的構造をめぐる幾つかの問題を考察した。特に、13世紀中葉から史料に現れるバスカクが14世紀20年代から少なくなる点に注目する。その背景として、バスカクの地位に就く者がしばしば摩擦を引き起こしたこと以外に、カンの力が失われつつあった証しともとらえられる。田辺は16世紀中葉に書かれた作者不明の『ヨーシフ伝』の試訳を主な目的としている。この有名な修道士の半生が、その生い立ちからヴォロコラムスクに修道院を開基するまでが述べられている。訳出されている部分からだけでも、彼をめぐる当時の人々の視点が生き生きと浮き彫りにされる。松木は16世紀プスコフ市台帳の紹介を主な目的にしつつも、都市ポサード民の共同体に関する情報について詳しく検討している。その台帳は、市民の生活を具体的にわれわれに示すだけでなく、ロシアの古い社団的集団のあり方を示唆する貴重な史料である。浅野は逃亡農民を捜索し連れ戻す際のいわゆる「法定年限」に注目し、それが17世紀前半の逃亡農民の捜索と裁判の実務において果たした役割を検討すると共に、この問題を士族層の社会運動と関連させて論じている。ピョートル大帝期へと向かう時代の国家と教会の関係を扱う吉田は、17世紀半ばまで保たれていた両者の「共生関係」もピョートル出現前夜にはほころびが生じ始めていたが、他方ではそのことにより西ヨーロッパとの「対等」的な外交関係を樹立しようとしたのだという。豊川はロシア国家の民族政策の基本的性格をバシキール人社会の併合から「同化」へと至る過程を通して探っている。細川はヨシフ=ヴォロコラムスク修道院の文書を詳細に検討した。以上を通して、元々の研究計画てある前近代ロシアの都市と地方における社会的結合についての一端を明らかにし得たと考えている。1、中世ロシアの中核的な諸都市における社会的結合状況については、中世ノヴゴロドに関して重要で貴重な成果があった。それはもっぱら松木の担当であるが、発掘された白樺文書の解釈と翻訳から、ノヴゴロドの社会生活が明らかになった。それらの文書は13-15世紀のものと推定されるが、家屋の作りから、近郊に居住する農民と領主の緊張した関係まで、実にはっきりと分かるのである。また、プスコフについても松木がプスコフ裁判法の研究により、この都市の性格を明確に位置づけている。2、モスクワ国家における貴族や士族身分の「社団」的性格いかんについては以下の通り。まず、栗生沢がイヴァン三世が最初の「全ルーシのゴスダーリ(君主)」と呼ばれるようになった事情に注目して君主と家臣団との関係に光をあて、松木・田辺・豊川らは17世紀ロシアの外交官が残した叙述の分析から(なお、これには他の分野の研究者も参加している)、貴族や士族身分について研究をすすめている。それにより、モスクワ国家の外交、国制、社会、文化など様々な側面を理解することができる。そして、何よりも、貴族や士族がツァーリの私的な家臣という側面と国家の公的な官僚という、二つの側面をもっていたことか分かる。また、浅野は軍隊編成に関する基礎史料である「補任帳」の分析により、モスクワ国家の軍隊の特殊性について検討を加えている。
KAKENHI-PROJECT-10301018
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前近代ロシアにおける都市と地方の社会的結合の諸形態に関する研究
同じく、豊川はオレンブルク・コサックとバシキール人の軍事的活動を考察している。合わせて、従来あまり検討されてこなかった彼らの平時における生活情況をも考察している。3、修道院や聖職者集団については、細川、田辺および吉田が経済文書・法令集・伝記の研究を通して、その堅固なまとまりの情況と「外部社会」(特に君主に代表される当時の国家)に対する強い影響力が明確にされた。1、中世ロシアの中核的な諸都市における社会的な結び付きについては、昨年に引き続き松木がノヴゴロドについて重要な成果を発表した。そこでは、ノヴゴロドだけでなくハンザ商館側の史料を使いながら、ハンザ商館と街区共同体との軋轢の例などが検討されている。ノヴゴロド白樺文書に関してもネレフスキー出土の主たる文書に個別の注釈を加えて解釈する作業は一応完了した。近世都市については、第2点目とも関連するが、豊川が南ウラルのオレンブルクを例に、コサック集団や非ロシア人諸民族(バシキール人など)との対応を考えながら、どのように都市が形成されていったのかを具体的に検証した。2、モスクワ国家における諸身分の「社団」的性格、その社会的結合形態、軍隊編成を通したロシア社会の性格付けについては、次のような成果があがった。栗生沢はモスクワ大公国の政治構造の問題に着目し、モンゴルのロシアに対する影響が16世紀に現れたとする従来の見解を批判し、それを13-14世紀とみるなど重要な問題提起をした。社会経済の面では、細川が従来見過ごされてきた中世ロシアの商工業者について研究を行った。軍隊を通してロシア社会をみるという重要な視点を提供するものとして浅野の研究があげられる。浅野は17世紀前半のスモレンスク戦争を素材としながら、各々の身分や階級による戦争への影響に注目した。さらに、英国商人のモスクワ滞在記録に関する田辺の研究は、17世紀ロシアの外交官が書き残した史料に対する松木・田辺・豊川らの分析とともに、貴族や士族身分の内政や外交での役割に関する研究にとって不可欠なものである。3、モスクワ時代の修道院や聖職者団の結合形態については、吉田が精力的に研究を行った。吉田は、ロシアの教会と聖職者たちによる西ヨーロッパとの国際交流が、ロシアの社会と文化にどのような刷新を及ぼしたかという側面を検討した。こうして得られた研究の成果は、全国学会(ロシア史研究会全国大会)で報告された。1、中世ノヴゴロドの中核的な諸都市における社会的な結合については、昨年に引き続き松木が碩学ヤニンの翻訳を進めながらより深く研究を行った。栗生沢は、ほぼ同時期のモンゴルによるルーシ支配の開始期について諸年代記の記事を比較検討しその実態の解明に努め、その関連で旧ソ連を代表する歴史家A.A.ジミーンの業績および旧ソ連史学における位置とその問題点についても検討した。2、モスクワ国家における諸身分の「社団」的性格、その社会的結合形態、軍隊編成を通したロシア社会の性格付けについては次のような成果があった。まず、細川は16世紀を中心にしながらも、農村に居住する様々な人々にとって、村に存在する諸施設がどのような意味を持ち、どのような機能を果たしていたのかを中心に分析・検討した。18世紀を中心にしながらも、豊川はロシアに特徴的な社会集団であるコサックの起源ならびにその歴史的特質を明らかにし、その集団のモスクワ政府との係わり合いを考察した。
KAKENHI-PROJECT-10301018
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等式の枠組による零形式の時空大域的研究
また、フーリエ制限定理において重要な役割を果たす球面上への跡(トレース)定理を研究し、その安定性を評価の形で定式化し、証明を与えた。特に、安定性を記述するための「最適化函数の集合からの距離」の評価を双対性を用いた枠組に抽象化して定式化し、元々の問題とその双対問題における「最適化函数の集合からの距離」の双対性を見出し、理論化した。また、非線型シュレディンガー方程式をトーラス上で考え、単調性または正値性をもつ特殊な相互作用に対して、有限時刻で爆発する積分量の統一的な処方箋を与え、爆発機構が常微分方程式的構造に基づくことを明らかにした。研究計画は予定通り順調に進んでいる。現在までの研究で思いがけない着想が幾つか得られており、今後の進展に繋がる事が期待される。本年度までの研究であったが、期間延長を申請しており、延長した期間内にとりまとめを行う。波動方程式に関する双線型作用素や運動論的輸送方程式に関する線型作用素の有界性について、新しい評価を証明することができ深い理解が得られた。また、加藤・ポンセ型の交換作用素や分数冪ライプニッツ則の双線型評価について、高階の積分表示を新たに見出すことにより、完全な展開式と最良の剰余評価を得た。研究計画は予定通り順調に進んでいる。現在までの研究で思いがけない着想が幾つか得られており、今後の進展に繋がる事が期待される。当該年度は、理論的にも応用上でも重要ないくつかの函数不等式を等式の枠組で研究し、期待どおりの成果を得る事ができた。特に、ハーディーの不等式とレリッヒの不等式について、等式の枠組みによる定式化を見出し、最良定数を与える非自明な函数の非存在を剰余項消滅条件として特徴づけた。これにより、点列コンパクト性に依存していた従来の議論を、より明確で具体的な議論に書き換えることができた。これらの成果は研究計画は予定通り順調に進んでいる。現在までの研究で思いがけない着想が幾つか得られており、今後の進展に繋がる事が期待される。また、フーリエ制限定理において重要な役割を果たす球面上への跡(トレース)定理を研究し、その安定性を評価の形で定式化し、証明を与えた。特に、安定性を記述するための「最適化函数の集合からの距離」の評価を双対性を用いた枠組に抽象化して定式化し、元々の問題とその双対問題における「最適化函数の集合からの距離」の双対性を見出し、理論化した。また、非線型シュレディンガー方程式をトーラス上で考え、単調性または正値性をもつ特殊な相互作用に対して、有限時刻で爆発する積分量の統一的な処方箋を与え、爆発機構が常微分方程式的構造に基づくことを明らかにした。研究計画は予定通り順調に進んでいる。現在までの研究で思いがけない着想が幾つか得られており、今後の進展に繋がる事が期待される。現在までの研究が順調に進展しているので、今後の推進方策に大きな変更は無い。現在までの研究が順調に進展しているので、今後の推進方策に大きな変更は無い。本年度までの研究であったが、期間延長を申請しており、延長した期間内にとりまとめを行う。図書などの洋書や物品費、旅費が当初の予定よりも安価で済み、次年度使用額が生じた。(理由)図書などの洋書や物品費、旅費が当初の予定よりも安価で済み、次年度使用額が生じた。(使用計画)研究発表及び分担者との研究グループ強化のための旅費に加える計画である。当初研究計画に加え研究の目的をより精緻に達成するために、国内での研究討論・研究成果発表を行う。研究発表及び分担者との研究グループ強化のための旅費に加える計画である。
KAKENHI-PROJECT-16K13771
https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-16K13771
高温超伝導体のフェルミ準位付近の電子構造
本総合研究の第一の目的は、これまで築き上げてきた超伝導発現機構研究グル-プの情報交換の場を維持することである。このため、次の3つの研究討論会を開催し、本研究班のメンバ-以外の専門家にも参加してもらい、情報集収、現状把握、問題点の徹底討論を行った。1.若手実験家研究交流会ー平成3年11月1719日、箱根・静雲荘。責任者:北岡。参加者:56名。9つのテ-マを選び討論と情報交換を行う。2.「高温超伝導体のフェルミ準位付近の電子構造」理論研究会ー平成3年11月2628日、神奈川県足柄上郡・ハイツ&ヴィラなかがわ。責任者:福山。参加者:55名。電子状態(Inーgap構造,スピン励起など)、構造転移・局所歪・フォノン、電子状態・渦糸状態の理論モデル、計算機の有効性、模型の相互比較等を議論する。3.公開研究会「高温超伝導の物理」ー平成4年1月8・9日、東大・山上会館。責任者:藤田。参加者:86名。高温超伝導の物理を研究する各グル-プの最近の成果を報告し、問題点の洗い出しと現状把握のため討論を行う。本総合研究の第二の目的は、高温超伝導体の電子状態の研究推進で、主なテ-マとして、良質の試料作成、構造相転移と電子状態、超音波・NMR・角度分解型光電子分光・ラマン分光・中性子によるフェルミ面付近の電子状態とフォノンの研究、電子状態の低次元性、電子構造および混合状態に関する理論を各メンバ-のグル-プで分担して、実験と理論の両面から追求した。その成果は、164編の論文として発表した。次ペ-ジ以降には、その中から代表的な論文を20編だけリストアップした。本総合研究の第一の目的は、これまで築き上げてきた超伝導発現機構研究グル-プの情報交換の場を維持することである。このため、次の3つの研究討論会を開催し、本研究班のメンバ-以外の専門家にも参加してもらい、情報集収、現状把握、問題点の徹底討論を行った。1.若手実験家研究交流会ー平成3年11月1719日、箱根・静雲荘。責任者:北岡。参加者:56名。9つのテ-マを選び討論と情報交換を行う。2.「高温超伝導体のフェルミ準位付近の電子構造」理論研究会ー平成3年11月2628日、神奈川県足柄上郡・ハイツ&ヴィラなかがわ。責任者:福山。参加者:55名。電子状態(Inーgap構造,スピン励起など)、構造転移・局所歪・フォノン、電子状態・渦糸状態の理論モデル、計算機の有効性、模型の相互比較等を議論する。3.公開研究会「高温超伝導の物理」ー平成4年1月8・9日、東大・山上会館。責任者:藤田。参加者:86名。高温超伝導の物理を研究する各グル-プの最近の成果を報告し、問題点の洗い出しと現状把握のため討論を行う。本総合研究の第二の目的は、高温超伝導体の電子状態の研究推進で、主なテ-マとして、良質の試料作成、構造相転移と電子状態、超音波・NMR・角度分解型光電子分光・ラマン分光・中性子によるフェルミ面付近の電子状態とフォノンの研究、電子状態の低次元性、電子構造および混合状態に関する理論を各メンバ-のグル-プで分担して、実験と理論の両面から追求した。その成果は、164編の論文として発表した。次ペ-ジ以降には、その中から代表的な論文を20編だけリストアップした。
KAKENHI-PROJECT-03306005
https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-03306005
集約した会計情報のコスト・ベネフィットに関する理論的・実証的研究
本研究の目的は,集約という会計プロセスに着目し,そのコスト・ベネフィットを考察することにある。本研究の主たる成果は,第一にセグメント情報開示の分析を行ない,セグメント情報という非集約的な情報を開示すると,経営者の近視眼的行動を誘発し,結果として企業価値が減少する可能性があることを明らかにした。つまり,集約した会計情報の開示が望ましい状況を特定した。第二に株式リターンではなく企業レベルのリターンを利益ニュースと割引率ニュースに分解し,それらの情報内容を検証した。特に事業活動と金融活動の利益に区別した上で情報内容を分析する手法を提示するとともに,実証分析を行なった点は新規性が高いと言える。本研究の目的は、会計プロセスのなかで集約(aggregation)に着目し、そのコスト・ベネフィットを理論的・実証的に考察することである。これまでの研究成果は以下の通りである。第一に、集約のコスト・ベネフィットに関する含意を実証的に検証することを念頭に、セグメント情報の開示の文脈に焦点を当て、全社利益の開示とセグメント別利益の開示のケースを比較した論文を完成させ、会計ジャーナルに投稿中である。この論文は、資本市場における株価形成と経営者の努力選択の関係をモデル化し、(1)セグメント別の業績を開示するケースと、(2)各セグメントの業績を集計した全社的な業績のみを開示するケースとを比較し、特に、経営者が資本市場を意識して効用が最大になるような開示意思決定をしたとき、セグメント別開示はしないけれども、そのときに企業価値最大化の観点から株主にとっても望ましい状況があることを特定している点で、実証研究におけるエージェンシー・コスト仮説を精緻化した内容となっている。第二に、現在価値関係に関する研究ノートを完成させるとともに、"What Moves Firm Values"と題する共著論文も完成させ、研究会・学会において報告を行なった。この論文では、分散分解の手法を適用して,企業レベルのリターン及び株式リターンの変動を引き起こす要因として,事業利益ニュースと割引率ニュースのいずれのニュースがより重要であるかを実証的に考察している。特に、利益の構成要素の情報内容を検証する新たな方法を提案している点で、利益情報の集約・非集約を実証的に検証する新しい方法を提示している。第三に、変動費と固定費の比率というコスト構造の特徴と、企業リスクとの関係に関するサーベイ論文を執筆した。総費用か変動費と固定費の分解かという点で、売上原価に関する集約と非集約の比較に関する研究となっている。今年度の研究実施計画では、(1)これまでの会計情報の集約・非集約に関する分析的研究をサーベイし基本モデルを提示すること、(2)セグメント情報の開示について、資本市場の設定におけるモデル分析を展開し、実証研究における従来のエージェンシー仮説を精緻化すること、(3)実証研究については、セグメント財務データおよび企業の主要取引相手に関するデータの収集・整理、(4)セグメント情報の実証研究に関するサーベイ、の4つを挙げていた。それぞれの進捗状況について、まず(2)については、論文を完成させジャーナルに投稿中である。(3)については、セグメントの財務データの収集・整理は終えており、主要取引相手に関する情報の収集は2012-2013年について行っている途中である(2000年から2011年までは収集済み)。(4)については(2)の論文の執筆の際に一通りの実証研究の論文をサーベイした。以上に加えて、研究実績の概要に記したように、現在価値関係に関する研究とコスト構造に関する研究にも取り組み、学会報告などを行なっている。これらは、集約・非集約に関する主要な研究テーマといえるし、またそれぞれ財務会計と管理会計の重要なトピックでもある。一方で、研究実施計画において最初に挙げていた(1)については、上記の個別テーマを先に進めた結果、全体のサーベイをまとめる作業は進めることができなかった。この点では、予定とは異なり遅れているが、上述のような現在価値関係およびコスト構造に関する研究を予定外に進めることができたので、全体としては「おおむね順調に進展している」と評価している。本研究の目的は、会計プロセスのなかで集約(aggregation)という特徴に着目し、そのコスト・ベネフィットを理論的・実証的に考察することである。平成28年度の実績は次の通りである。第一に、セグメント情報の開示の文脈に焦点を当てた論文2本に取り組んだ。1つは前年度から継続している"Voluntary Disclosure and Value Relevance of Segment Information"と題する論文であり、2016年8月にアメリカ会計学会で報告し、現在は海外ジャーナルに投稿中である。もう1つは"ATheory of Tax Avoidance and Geographic SegmentDisclosure"と題する論文であり、2017年3月の日本ディスクロージャー研究学会・第2回JARDISワークショップで報告した。両研究ともに、(1)セグメント別の業績を開示するケースと、(2)セグメントの業績の合計である全社の業績のみを開示するケースとを比較している。前者の論文では、経営者が資本市場を意識して行動したとき、セグメント別利益を開示しない方が経営者にとっても株主にとっても望ましい状況を特定した。後者は、多国籍企業を念頭に、税率の異なる国際間の利益の移転に焦点をあて、どのような状況でセグメント間の利益移転が行われるかを考察している。第二に、環境の不確実性が、変動費と固定費の比率というコスト構造にどのような影響を与えるかについての実証論文を執筆し公表した。先行研究と同様の分析方法を日本企業のデータに適用し、需要の不確実性が高くなるとより硬直的な(固定費割合が大きい)コスト構造を企業は選択するということなどの証拠を提示している。
KAKENHI-PROJECT-15K03769
https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-15K03769
集約した会計情報のコスト・ベネフィットに関する理論的・実証的研究
これは総費用か変動費と固定費の分解かという点で、売上原価に関する集約と非集約の比較に関する研究となっている。本研究は取り組む課題として以下を設定していた。まず【課題A】は、会計情報の集約・非集約に関する分析的研究をサーベイした上で、コスト・ベネフィットを考察する基本モデルを提示することである。また具体的なトピックを想定した理論分析として、【課題B-1】は資本市場の設定におけるセグメント情報の開示モデルを展開し、エージェンシー・コスト仮説を精緻化する。また【課題B-2】は、製品市場の設定におけるセグメント情報の開示モデルを展開し、機密コスト仮説を精緻化する。一方、実証分析として【課題C】は、理論分析の進捗に合わせて、セグメント情報開示という具体的な文脈での実証研究を進めることである。2年目にあたる2016年度の研究実施計画では、【課題B-2】と【課題C】を中心に進める予定であった。しかし、【課題B-1】を進めるに際して、利益移転に関する重要な研究を行うことが可能であることに気づき、研究実績の概要に示した論文を執筆することに時間を使った。このため、製品市場の設定における理論分析が予定よりも進まなかった。実証パートでは、前年度から継続している、コスト構造に関する集約・非集約に関する研究に取り組み、実証分析をおこなった論文を公表した。この論文は実証分析であり【課題C】に関連するものではあるが、既存の理論枠組みを前提にしている点では当初の計画からみると満足できるものではない。しかし、セグメント情報開示の理論モデルの論文2本をジャーナルと学会報告に投稿している段階であり、理論モデルの修正をしていることから、直ちにここでの仮説を実証することを始めることは控えた方がよいと判断している。研究計画の課題に沿った研究成果は挙げることができていると自己評価しているが、以上の理由から、当初の研究計画からみると「(3)やや遅れている」と判断した。本研究の目的は、会計プロセスのなかで集約(aggregation)に着目し、そのコスト・ベネフィットを理論的・実証的に考察することである。研究期間の全体を通じて実施した研究成果としては、(1)セグメント情報開示のモデル分析を行い、セグメント情報という非集約的な情報を開示することで、経営者の近視眼的行動を誘発し、結果として企業価値が低下する可能性について議論した。(2)(1)を拡張して、租税回避のためにセグメント間の利益移転が可能なケースを分析し、セグメント情報を開示することでそのような行動に導くことを示した。(1)(2)は経営者の近視眼的行動につながる状況について理論的にそのロジックを明らかにした。また、(3)現在価値関係に関する理論的な整理を行うとともに、利益をキャッシュフローとアクルーアルズに分解し、それらの情報内容を検証した。
KAKENHI-PROJECT-15K03769
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食後高血糖を抑制する独自の糖尿病食事療法の動脈硬化抑制に関する研究
本研究では「食べる順番療法」の長期間の影響を調べるため、栄養指導を実施した介入群と対照後の血糖値、HbA1cおよび動脈硬化の進展をあらわす頚動脈内膜中膜複合体肥厚度(IMT)を比較検討した。平均4.4年後のHbA1cは介入群においてベースラインより有意に低下したが、対照群では変化がみられなかった。Max IMTおよびmean IMTは両群とも介入前後で統計的有意差はなく、群間の差もみられなかった。両群とも長期間のIMTに変化がみられなかったのは、食事療法だけでなく薬物による血圧、血清脂質管理によってIMTの経年変化が抑制されたと考えられる。本研究は、激増する糖尿病の重症化予防、特に動脈硬化進展予防を目的とし、外来2型糖尿病患者を対象に、食品の摂取順序によって食後血糖値の上昇を抑える「食べる順番療法」の食事療法の5年間の無作為化比較研究(RCT)を、糖尿病専門医の責任のもとに治療の一環として行なった。2型糖尿病患者を対象とし、持続血糖モニターを使い、食品の摂取順序を変えて24時間の血糖値日内変動をクロスオーバーで調べた。外来2型糖尿病患者に持続血糖モニタリング(CGMS)を装着させ、食品の摂取順序を変えた時の、血糖値の日内変動をクロスオーバー試験により調べた。主食を先に食べた日と野菜を先に食べた日の血糖の日内変動を測定したところ、野菜を先に食べた日の食後血糖値および血糖の日内変動は、主食(炭水化物)から摂取した日と比べて有意に減少した。本研究は、激増する糖尿病の重症化予防、特に動脈硬化進展予防を目的とし、2型糖尿病患者を対象に、食品の摂取順序によって食後血糖値の上昇を抑える「食べる順番療法」の効果を5年間の無作為化比較研究として糖尿病専門医の責任の下に行うものである。すでに糖尿病患者および耐糖能正常者を対象に、持続血糖測定器を用いて、食品の摂取順序を変えてクロスオーバー研究によりさまざまな血糖指標を測定した。野菜から食べ最後に炭水化物を食べた場合は、炭水化物を最初に最後に野菜を食べた場合と比較して、2型糖尿病患者および耐糖能正常者の両方において、食後血糖値の上昇、1日の血糖変動、標準偏差、血糖上昇曲線下面積がすべて有意に低下したことを確認し、国内外の学会および論文を発表した。さらに、2型糖尿病患者を対象に、試験食に間食を付加した場合、あるいは付加する時間の違いにおいてどのように血糖値の指標が変化するかについても調べている。本研究は、激増する糖尿病の重症化予防、特に動脈硬化進展予防を目的とし、外来2型糖尿病患者を対象に、食品の摂取順序によって食後血糖値の上昇を抑える「食べる順番療法」の食事療法の5年間の無作為化比較研究(RCT)を、糖尿病専門医の責任のもとに治療の一環として行う。対象者に対して持続血糖モニターを使い、食品の摂取順序を変えて24時間の血糖値日内変動をクロスオーバーで調べる。超高齢社会において、独自の糖尿病食事療法により、動脈硬化進展を抑制し、脳卒中および心筋梗塞を予防することは、患者のQOLの維持および我が国の医療政策の点からも重要であると考える。本研究は、世界で初めて、2型糖尿病患者を対象に食品の摂取順序の違いによる血糖値の日内変動を明らかにし、長期の動脈硬化進展抑制効果を調べる研究である。食後の一過性の高血糖「グルコーススパイク」が、動脈硬化進展の危険因子である点については多くのエビデンスがあり、自己血糖測定(SMBG)だけでは1日の測定回数が限られるため、測定値からグルコースレベルの総合的な変動傾向を示すのは難しい。持続血糖モニターリングシステム(CGMS)を用いることで、SMBGやHbA1cだけでは測定できないグルコース変動をより正確に評価することが可能となり、食後の血糖値の上昇をリアルタイムで24時間測定することができる。そこで、摂取順序群の薬物非投与患者には、持続血糖モニタリング(CGMS)を装着させ、食品の摂取順序を変えた時の、血糖値の日内変動をクロスオーバー試験により調べる。すなわち、主食を先に食べた日と野菜を先に食べた日の血糖の日内変動を測定する。これは、2型糖尿病患者における食品の摂取順序の違いによる血糖値の24時間の日内変動を、世界で初めて明らかにする研究である。糖尿病患者とその予備軍は、健常者と比べ、動脈硬化が進みやすく虚血性心疾患や脳血管障害のリスクが3倍高まると報告されている。脳卒中、心筋梗塞を発症すると、その後遺症のため、患者のQOLは著しく低下し、医療費、介護費を増大させる要因となる。食後高血糖を抑制する経口血糖降下薬など薬物療法の効果は明白であるが、生活習慣の基本となる食事療法が遵守できていないと、血糖降下作用は次第に減弱する。私達は、患者が実践しやすい食事療法として、野菜を毎食最初に、炭水化物を最後に摂取する独自の食事療法と血糖コントロール、ホルモンの動態について調べている。本研究は激増する糖尿病の重症化予防、特に動脈硬化進展予防を目的とし、外来2型糖尿病患者を対象に、食品の摂取順序によって食後血糖値の上昇を抑え、1日の血糖変動を抑制する「食べる順番療法」を実施し、5年間の動脈硬化進展に及ぼす影響を調べている。2型糖尿病患者を対象に、持続血糖測定器(CGM)を装着させ、食品の摂取順序を変えて血糖の変動をクロスオーバーにより測定した。炭水化物を先に摂取した日と野菜を先に摂取した日の食後血糖値および血糖変動を比較すると、野菜を先に摂取した日の食後血糖値および血糖変動は有意に抑制された。
KAKENHI-PROJECT-23500809
https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-23500809
食後高血糖を抑制する独自の糖尿病食事療法の動脈硬化抑制に関する研究
すなわち、同じエネルギー量、同じ糖質量を摂取しても、野菜など食物繊維を多く含む食品を最初に摂取し、炭水化物を最後に摂取することで血糖上昇を抑制でき、血糖の日内変動を抑えることができた。この効果は健常者においても確認されたことから、糖尿病発症予防に対する効果も期待できる。糖尿病患者は健常者と比べ動脈硬化が進行しやすく、脳卒中、心筋梗塞を発症すると患者のQOLは著しく低下し、医療費、介護費用を増大させる要因になる。食後高血糖および大きな血糖変動は血管内皮機能を障害し、動脈硬化を進展させることが明らかである。本研究では、食品の摂取順序、すなわち野菜を最初に次にタンパク質、最後に炭水化物を摂取する食事療法「食べる順番療法」について臨床介入研究を実施したところ、短期間の血糖変動、食後高血糖およびインスリンの抑制効果をみとめられた。さらに長期間の食事療法の影響を調べるため、血糖値、HbA1c、血清脂質、血圧、体重に加え、動脈硬化の進展をあらわす頚動脈内膜中膜複合体肥厚度(IMT)に及ぼす影響ついて指導群と、非介入群の2群の5年後の血糖コントロール、血清脂質、IMTを比較検討した。5年後のHbA1cは介入群においてベースラインより有意に低下したが、対照群では変化が見られなかった。介入5年後のHbA1cは介入群において有意に低かった。食べる順番療法が介入後のIMTにおよぼす影響については現在解析中である。本研究では「食べる順番療法」の長期間の影響を調べるため、栄養指導を実施した介入群と対照後の血糖値、HbA1cおよび動脈硬化の進展をあらわす頚動脈内膜中膜複合体肥厚度(IMT)を比較検討した。平均4.4年後のHbA1cは介入群においてベースラインより有意に低下したが、対照群では変化がみられなかった。Max IMTおよびmean IMTは両群とも介入前後で統計的有意差はなく、群間の差もみられなかった。両群とも長期間のIMTに変化がみられなかったのは、食事療法だけでなく薬物による血圧、血清脂質管理によってIMTの経年変化が抑制されたと考えられる。短期の研究として、2型糖尿病患者を対象に持続血糖測定器(CGM)を装着させ、食品の摂取順序を変えて血糖の変動をクロスオーバーにより測定した。炭水化物を先に摂取した日と野菜を先に摂取した日の食後血糖値および血糖変動を比較すると、野菜を先に摂取した日の食後血糖値および血糖変動は有意に抑制された。また、間食の摂取時間の違いと血糖の日内変動に与える影響についても、2型糖尿病患者を対象にクロスオーバー法により実施した。結果は間食をとる場合、昼食後に摂取するよりも昼食と夕食の間に分割して摂取するほうが血糖変動が抑えられることを確認した。これらの成果は国際学会3回、国内学会1回において発表し、総説論文を2報発表した。また医療関係者対象の招待講演を多数実施した。長期の研究として、野菜を最初に摂取する食事療法を4から5年間継続した場合の、合併症、特に動脈硬化進展に及ぼす影響を調査するため、頚動脈エコー検査のデータを収集している。糖尿病の食事療法食品の摂取順序による長期間(4から5年間)の動脈硬化に及ぼす影響を調べるため、頚動脈内膜中膜複合体肥厚(IMT)を検査中である。食事介入前後および対照群と比較検討し、食事療法による動脈硬化進展の長期的影響について検証する。
KAKENHI-PROJECT-23500809
https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-23500809
表流水と周辺地盤との間の水分と物質移動に関する研究
冬季の気温低下に伴う路面の凍結は,自動車事故等を引き起こす最も危険な要因の一つである.路面の凍結を防止する為,水より低い凝固点が得られる塩化ナトリウム(NaCl)や塩化カルシウム(CaCl2)等の凍結防止剤が散布される.我が国においては北日本や東日本の寒冷地のみならず,九州地方においても凍結防止剤は使用されている.この,凍結防止剤の大部分は環境中に残存し,道路周辺の地盤,水田,畑地等を経て最終的には河川へと流出し,橋脚などの構造物を腐食・劣化させるとともに,植生や河川生態系に重大な影響を及ぼす.また,地盤内に残存した凍結防止剤は降水とともに周囲の水田,表流水中へと流出し,夏季においても高濃度の塩分が検出されるなど,年間を通じて環境への被害を引き起こすことが報告されている.本研究では,このような地盤内の塩分の挙動について,特に真砂土で構成された地盤に着目した.真砂土は,全国的に,とりわけ関西以西で広く分布している.先ず,地盤内の水分移動を再現するために不可欠な水分保持曲線について検討した.次に,このような地盤から降水の浸透によって塩分が除去される過程について,シミュレーションによる再現を試みた.地盤厚さを1mとして,地盤から塩分を十分に除去するのに必要な降雨継続時間(hours)について検討した.ここで,飽和透水係数はSand (USDA)ではKs=8.25×0.001(cm/s),熊本産,および日吉産真砂土ではKs=3.93×0.001(cm/s)とした.検討の結果,Sand(USDA)の場合,約2時間の降雨で地盤から塩分を除去し得る.一方,日吉産真砂土では約8時間,熊本産真砂土では60時間以上要しており,砂地盤であっても水分保持曲線によって,地盤から塩分を除去するのに要する時間が大きく異なることを明らかにした.本研究での解析対象地盤は,均質な真砂土からなる1次元不飽和地盤とする.飽和・不飽和地盤の浸透流解析にはRichards式が用いられる.本研究では,水分特性曲線と不飽和透水係数Keの推定にあたって,異なる土の水分保持曲線に適合するための自由度が高く,かつ最も広く用いられているvan-Genuchtenモデルを用いる.モデル中の形状パラメータα,n,mは土質条件(砂質土,シルト,粘土等)によって異なる値をとる.まず,熊本産真砂土,および日吉産真砂土についてサクションψ(cm)と有効飽和度Seとの関係を実験的に調べた.United States Department of Agriculture(USDA)は,砂で構成された地盤には,前述のvan-Genuchtenモデル定数としてθr=0.045,θs=0.43,α=0.145,n=2.68を推奨している.検討の結果,これらのモデルパラメータが実験値を再現し難いことを明らかにした.また,熊本産真砂土と日吉産真砂土では,異なる位置にプロットが並ぶ.そこで,これらの真砂土のSeψ関係にvan-Genuchtenモデルをあてはめ,実験値との誤差が最小となるように形状パラメータα,nを決定した.以上のようにして得られたαとnをvan-Genuchtenモデルに代入し,Seψ関係をシミュレートした.これより,αとnを適切に与えれば,同モデルは真砂土におけるSeψ関係(実験結果)を良好に再現し得ることを見出した.これまでの検討で同定したモデル定数を用いて,真砂土で構成された不飽和地盤からの塩分の除去について検討する.それに際して,間隙率と飽和透水係数は実測値,すなわちφ=0.4,Ks=3.93×0.001(cm/s)を用いる.初期状態としてField capacityを仮定し,連続的に表面流出が生じるに十分な雨量強度で降雨が継続する場合を想定する.地盤が飽和状態となるまで,物質移動は生起せず,塩分は地盤内に保持されるが,一旦飽和状態に達すると,浸透流による物質移動に起因して塩分が地盤から除去される.これらを再現するためのシミュレーションモデルを構築する.上述のようにして得られたモデルの妥当性を検証するためにカラム実験を行う.まず,PVCカラムを作成し,カラム内を真砂土,および豊浦砂を充填する.なお,これらの砂は実験前に土粒子の比重,間隙率,および透水係数等の基本的な性質を測定しておく.実験では,一定の濃度に調整したNaCl水溶液をカラム内に浸透させる.次に,カラム下端から排水してField capacityの状態とする.そして,カラム上端から純水を浸透させ,カラム下端からの流出水を採水し,流出量と電気伝導度を測定する.得られた電気伝導度から流出水中の塩分濃度を推定する.上述の実験と同様の条件(真砂土,および豊浦砂の性質とカラム長)でシミュレーションを行い,その結果を実験値と比較する.冬季の気温低下に伴う路面の凍結は,自動車事故等を引き起こす最も危険な要因の一つである.路面の凍結を防止する為,水より低い凝固点が得られる塩化ナトリウム(NaCl)や塩化カルシウム(CaCl2)等の凍結防止剤が散布される.我が国においては北日本や東日本の寒冷地のみならず,九州地方においても凍結防止剤は使用されている.この,凍結防止剤の大部分は環境中に残存し,道路周辺の地盤,水田,畑地等を経て最終的には河川へと流出し,橋脚などの構造物を腐食・劣化させるとともに,植生や河川生態系に重大な影響を及ぼす.
KAKENHI-PROJECT-18K04376
https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-18K04376
表流水と周辺地盤との間の水分と物質移動に関する研究
また,地盤内に残存した凍結防止剤は降水とともに周囲の水田,表流水中へと流出し,夏季においても高濃度の塩分が検出されるなど,年間を通じて環境への被害を引き起こすことが報告されている.本研究では,このような地盤内の塩分の挙動について,特に真砂土で構成された地盤に着目した.真砂土は,全国的に,とりわけ関西以西で広く分布している.先ず,地盤内の水分移動を再現するために不可欠な水分保持曲線について検討した.次に,このような地盤から降水の浸透によって塩分が除去される過程について,シミュレーションによる再現を試みた.地盤厚さを1mとして,地盤から塩分を十分に除去するのに必要な降雨継続時間(hours)について検討した.ここで,飽和透水係数はSand (USDA)ではKs=8.25×0.001(cm/s),熊本産,および日吉産真砂土ではKs=3.93×0.001(cm/s)とした.検討の結果,Sand(USDA)の場合,約2時間の降雨で地盤から塩分を除去し得る.一方,日吉産真砂土では約8時間,熊本産真砂土では60時間以上要しており,砂地盤であっても水分保持曲線によって,地盤から塩分を除去するのに要する時間が大きく異なることを明らかにした.本研究での解析対象地盤は,均質な真砂土からなる1次元不飽和地盤とする.飽和・不飽和地盤の浸透流解析にはRichards式が用いられる.本研究では,水分特性曲線と不飽和透水係数Keの推定にあたって,異なる土の水分保持曲線に適合するための自由度が高く,かつ最も広く用いられているvan-Genuchtenモデルを用いる.モデル中の形状パラメータα,n,mは土質条件(砂質土,シルト,粘土等)によって異なる値をとる.まず,熊本産真砂土,および日吉産真砂土についてサクションψ(cm)と有効飽和度Seとの関係を実験的に調べた.United States Department of Agriculture(USDA)は,砂で構成された地盤には,前述のvan-Genuchtenモデル定数としてθr=0.045,θs=0.43,α=0.145,n=2.68を推奨している.検討の結果,これらのモデルパラメータが実験値を再現し難いことを明らかにした.また,熊本産真砂土と日吉産真砂土では,異なる位置にプロットが並ぶ.そこで,これらの真砂土のSeψ関係にvan-Genuchtenモデルをあてはめ,実験値との誤差が最小となるように形状パラメータα,nを決定した.以上のようにして得られたαとnをvan-Genuchtenモデルに代入し,Seψ関係をシミュレートした.これより,αとnを適切に与えれば,同モデルは真砂土におけるSeψ関係(実験結果)を良好に再現し得ることを見出した.これまでの検討で同定したモデル定数を用いて,真砂土で構成された不飽和地盤からの塩分の除去について検討する.それに際して,間隙率と飽和透水係数は実測値,すなわちφ=0.4,Ks=3.93×0.001(cm/s)を用いる.初期状態としてField capacityを仮定し,連続的に表面流出が生じるに十分な雨量強度で降雨が継続する場合を想定する.地盤が飽和状態となるまで,物質移動は生起せず,塩分は地盤内に保持されるが,一旦飽和状態に達すると,浸透流による物質移動に起因して塩分が地盤から除去される.これらを再現するためのシミュレーションモデルを構築する.上述のようにして得られたモデルの妥当性を検証するためにカラム実験を行う.
KAKENHI-PROJECT-18K04376
https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-18K04376
電気二重層トランジスタを用いた強電界による熱電特性の制御
本課題では、電気二重層トランジスタにより作り出される強電界を利用し、様々な物質の熱電特性の研究を行った。電界効果を用いて半導体材料の熱電応答を制御し、また優れた熱電特性を有する電子状態を実現することを目標とした。平成26年度は「ゼーベック係数を電気二重層の作る強電界により制御する手法」を確立した。平成2728年度には、その手法を用いて様々な熱電材料の研究を行った。具体的には、酸化物半導体であるSrTiO3とZnO、遷移金属カルコゲナイド、そして単層カーボンナノチューブの測定を行った。本研究から得られた成果は、電界を用いた新規熱電物質探索や次世代デバイスへの応用等、多方面への展開が期待される。近年、さまざまな物質の熱電特性が基礎物性および工学応用の両面から精力的に研究されている。これは、ゼーベック効果を応用することで廃熱から直接電気エネルギーを取り出すことができ、エネルギー問題の解決に重要な役割を果たすことが期待されるためである。本研究は、電気二重層トランジスタにより作り出される強電界を用いて、様々な物質の熱電特性の電気的な制御を行う。電界効果を用いることで、熱電特性の制御だけではなく、優れた熱電特性を有する電子状態を実現することを目標とする。平成26年度は、ゼーベック係数を電気二重層の作る強電界により制御する手法を確立した。これは、本研究を進めて行く上での基礎技術であり、平成27、28年度研究計画を遂行するための土台となる。具体的には、以下の研究を行った。1電気二重層トランジスタ構造を有する、熱起電力測定システムの構築。ゲート電圧下での電気抵抗・熱起電力・ホール係数を同時測定できるデバイスおよび測定系の設計を行った。いくつかの半導体を用いて実際に測定を行ったところ、キャリア密度を連続的に変化させながら、熱・電子輸送特性を電界で制御できることがわかった。2酸化物半導体を用いて、1で設計した熱電測定用電気二重層トランジスタを作製し、ゲート電圧印加下でのゼーベック係数、電気抵抗を測定した。絶縁体領域から金属まで、キャリア濃度にして10の17乗から10の20乗立方cmという非常に広範なキャリア濃度域で、熱・電子輸送特性を電界で制御することに成功した。今年度におこなった研究成果は、国内学会・国際学会等様々な場所で発表した。また、本年度の研究結果は論文雑誌に投稿中である。本研究は、電気二重層トランジスタにより作り出される強電界を用いて、様々な物質の熱電特性の電気的な制御を行う。電界効果を用いることで、熱電特性の制御だけではなく、優れた熱電特性を有する電子状態を実現することを目標とする。平成27年度は、平成26年度に確立した「ゼーベック係数を電気二重層の作る強電界により制御する手法」を用いた研究を推進した。具体的には、以下の研究を行った。1酸化物半導体SrTiO3におけるゼーベック効果の電界制御。絶縁体状態から10^20 cm^-3までのキャリア濃度域において、ゼーベック効果のキャリア濃度・温度依存性の測定を行った。高密度金属状態において、1mV/Kに達する非常に大きなゼーベック効果を観測することに成功した。2遷移金属カルコゲナイドWSe2における熱電特性の最適化。厚さ2nmの超薄膜を作製し、ゼーベック効果のキャリア濃度依存性を詳細に測定した。この物質において、これまで困難であった電子ドープ状態のゼーベック効果の観測に成功した。3単層カーボンナノチューブにおけるサブバンド構造の熱電効果による観測。熱電材料として有望視されているカーボンナノチューブであるが、ゼーベック効果のフェルミレベル依存性を調べることが困難であった。電界効果を用い、一次元状態密度に由来するゼーベック効果の観測、および熱電性能の最適化に成功した。4酸化物半導体ZnOにおける二次元電子状態のゼーベック効果の探索。電界効果で二次元電子系をZnO表面に作り出し、その熱電特性を調べた。二次元電子の形成に伴うゼーベック効果の増大を観測することに成功した。今年度に行った研究成果は、国内学会・国際学会等様々な場所で発表した。また、上記1、2は論文として出版することができ、3、4については、論文雑誌に投稿中である。平成27年度の研究計画は、電界効果により形成される二次元電子系の熱電特性を調べること、及び二次元電子の形成に伴うゼーベック効果の増大を実現することであった。申請者は平成26年度に開発した測定システムを用い、上記「研究実績の概要」に報告したように、SrTiO3、WSe2、単層カーボンナノチューブ、ZnOと様々な物質における実験に成功した。平成27年度の研究計画に従った研究を無事に完成させ、さらに計画から発展した(計画には含まれていない)いくつかの実験を行うことが出来たことから、「当初の計画以上に進展している。」と考える。平成27年度の実験結果のいくつかはすでに論文として発表することが出来ており、また国内外の学会・研究会・ワークショップにて報告してきた。さらに、本研究成果を利用した共同研究が申請者と他の研究グループとの間で開始され、当初の予定を超えた結果が得られつつある。平成28年度への研究進捗状況・準備状況は計画通りとなっている。最終年度であるので、この研究課題で得られた結果を、出来る限り論文および学会で報告する予定である。
KAKENHI-PROJECT-26820298
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電気二重層トランジスタを用いた強電界による熱電特性の制御
また、本研究課題の計画を十分に達成させたうえで、研究開始時には予定していなかった実験にも広げて行きたいと考えている。本研究は、電気二重層トランジスタにより作り出される強電界を用いて、様々な物質の熱電特性の電気的な制御を行うものである。電界効果を用いることで、熱電特性の制御だけではなく、優れた熱電特性を有する電子状態を実現することを目標とする。平成26年度は「ゼーベック係数を電気二重層の作る強電界により制御する手法」を確立した。平成27年度には、その手法を用いて、様々な半導体材料の研究を行った。最終年度である平成28年度は、これまでの流れを推し進め、近年非常に注目を集めている新規二次元材料の測定へ展開した。具体的には以下の研究を行った。1黒リン単結晶の熱電効果。劈開法を用いてバルクの黒リン単結晶から剥片を作り、電子線描画を用いて電界効果トランジスタデバイスを作製した。電界効果により、電子ドープ、ホールドープが可能となり、電圧印加により非常に幅広いキャリア濃度域において、系統的な熱電効果測定が可能となった。特に、電子状態計算を行い、実験と理論の比較を行うことにより、電界化での黒リンの優れた熱電特性が低次元性に由来することを示唆することが分かった。2鉄カルコゲナイドFeSeの熱電効果。近年、FeSeの電子物性が非常に注目を集めている。特に、FeSe極薄膜は超伝導転移温度が4060K程度になることが知られるが、これはバルクFeSeの8Kよりも非常に高い。このFeSe極薄膜は、大気中での試料の安定性のために物性測定が困難であったが、電気化学プロセスを利用したその場測定を行い、熱電効果の測定に成功した。このFeSe極薄膜における温度、キャリア濃度、膜厚依存性の系統的な研究は、今後の課題である。今年度に行った研究成果は、国内学会・国際学会等様々な場所で発表した。また、上記1は論文として出版することができ、2については、論文雑誌に投稿中である。本課題では、電気二重層トランジスタにより作り出される強電界を利用し、様々な物質の熱電特性の研究を行った。電界効果を用いて半導体材料の熱電応答を制御し、また優れた熱電特性を有する電子状態を実現することを目標とした。平成26年度は「ゼーベック係数を電気二重層の作る強電界により制御する手法」を確立した。平成2728年度には、その手法を用いて様々な熱電材料の研究を行った。具体的には、酸化物半導体であるSrTiO3とZnO、遷移金属カルコゲナイド、そして単層カーボンナノチューブの測定を行った。本研究から得られた成果は、電界を用いた新規熱電物質探索や次世代デバイスへの応用等、多方面への展開が期待される。平成26年度の研究計画は、熱電特性と電気伝導特性の電界制御技術の構築であった。申請者はデバイスおよび測定系の設計・開発を行った結果、上記「研究実績の概要」に報告したように、本年度の研究は順調に進めることが出来た。そのため、平成27年度への研究進捗状況・準備状況は十分であり、27年度も当初の計画通りに研究を推進する。実際にいくつかの半導体に本技術を適用し、熱・電気特性の電界制御を行った。その研究結果は国内外の学会・ワークショップにて報告し、今後の研究の発展につながるディスカッションやコメントを得ることができた。
KAKENHI-PROJECT-26820298
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固有値分布の数値計算の数理と応用
本研究は,固有値分布に関して正確な数値計算に関する数理,近似分布の導出に関する数理,現実問題への適用を考慮した応用を扱った.正確計算,近似計算ともに新しい方法を提案する事ができ,シミュレーションを通して有効性の確認を行った.これらの正確分布や近似分布の方法論は,当初想定していなかった問題へも有効であることも分かりより発展できた.また,現実問題への適用のテーマでは,無線通信での通信路容量の導出や方向統計学での一様性の検定問題,2標本問題における等分散性の検定を扱った.本研究は,固有値分布に関して3つのテーマからなる.テーマ1は,正確な数値計算に関する数理,テーマ2は,近似分布の導出に関する数理,テーマ3は,現実問題への適用を考慮した応用である.H25年度では,3件の論文が採択され,7件の学会発表を行った.テーマ1に関する成果としては,ホロノミックグラディエント法を固有値分布の数理計算に適用し,その有用性を示した.具体的には主成分分析で重要となる第一固有値の分布計算である.この分布は行列変数の超幾何関数で表現でき,ゾーナル多項式の無限級数となることが知られている.この無限級数は指数的に計算量が増えるため数値計算は非常に難しい問題であった.本方法では原点の近傍の級数を初期値として,微分方程式系でつなぐことで問題を解決した.次に,テーマ2に関する成果としても論文を公表し採択された.この論文では,固有値分布のカイ2乗近似に着目し,自由度の異なるカイ2乗分布の積による新たな固有値分布の近似式を提案した.このカイ2乗の積による近似は,これまで知られている単体でのカイ2乗よりも数値精度の高いことをシミュレーションによる数値実験により示した.さらに,両者による母集団固有値の信頼区間の構成も議論した.いくつかの母集団固有値の設定においては,第1種の過誤が5%に制御できおり,精度が良いという結果であった.さらにテーマ2での成果として,第2固有値の分布についての近似式を得て,シミュレーションによって近似制度を評価した.この成果も論文として採択さいれた.また,テーマ3に関しては,応用研究に向けた文献調査と,いくつかに関して既存の論文の追試を終え来年度に備えている.本研究は,固有値分布に関して3つのテーマからなる.テーマ1は,正確な数値計算に関する数理,テーマ2は,近似分布の導出に関する数理,テーマ3は,現実問題への適用を考慮した応用である.H26年度では,前年度採択された論文の2本が刊行され,6件の学会発表,1件の国際会議,1件の国際シンポジウムでの発表を行った.テーマ1に関する成果としては,ホロノミックグラディエント法を相関係数の分布計算に適用し,その成果を国際シンポジウムで発表した.テーマ2では前年度に採択された論文が公表され,その発展問題を研究協力者と議論し,成果を小規模な研究会でも発表した.また,テーマ1から派生した問題についても3件の学会発表を行った,テーマ3に向けては,これまでの研究の成果を精査して1件の発表を行なった.本件の発表での成果は徐々に論文としてまとめるようにしている.当初の研究計画通り,平成25年度の実施計画を受けて26年度では,テーマ1,2に関して計算機シミュレーション実験を行った.そのためのプログラム作成を研究分担者,研究協力者とともに行った.標本相関係数の正確な数値計算では,過去に知られていた2つの密度関数は,ホロノミック性の観点からは同値であることが証明できた.また,ホロノミック勾配法を実行するにあたり,初期値問題が発生するが,この密度関数の場合には,正確な初期値が求められることも分かった.テーマ2では,固有値の分布の極限分布の導出に成功し,母固有値の信頼区間の構成を行った.また,その発展形である二標本問題でも同様の結果を示すことができ,H27で学会発表,論文投稿を行う予定である.テーマ3では,点過程でのデータ時系列からネットワークを推定する問題を,多次元尺度法を利用して解いた.その他にも,乱数生成への応用や無線通信システムでの数値シミュレーションも順調に進み,最終年度に成果報告等を行う予定である.本研究は固有値分布に関して3つのテーマからなる.テーマ1は正確な数値計算に関する数理,テーマ2は近似分布の導出に関する数理,テーマ3は現実問題への適用を考慮した応用である.H27年度では学術論文の1本が刊行され,7件の学会発表,1件の国際会議での口頭発表,2件の国際会議でのポスター発表を行った.テーマ1,2に関する成果を含めた総合報告を論文としてまとめた.昨年からホロノミックグラディエント法を標本相関係数の分布計算に適用した研究を進めてきたが,課題として残っていた初期値問題について,正確に計算できるための漸化式を求めることができた.さらに,発展的な問題についても分担者と協力して行い,数式処理の学会で発表を行った.テーマ2では国内の学会を中心として成果を報告し,1件の論文投稿(現在査読中)と,もう1件の投稿を準備している.具体的には共分散行列の固有値の近似分布を1標本問題と2標本問題で議論し,導出した近似分布は,既存のものよりも高精度であることを示した.
KAKENHI-PROJECT-25330033
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固有値分布の数値計算の数理と応用
これは,分布計算の際に現れる直交群上の積分をラプラス近似し,さらに補正を行ったものである.テーマ3では,無線通信理論への応用としてMIMOの通信路容量の導出を固有値分布の近似を基に行った.本件の成果は,国際会議での発表とポスター発表で報告した.本テーマは複素数の統計解析の理論であり,これまでの実数の理論を応用したものである.また,乱数生成への応用では方向統計学で必要とされる分布について,テーマ1の方法論を適宜修正して適用可能なものととした.MIMOの通信路容量の導出の成果や1標本問題での固有値分布の近似,それをリサンプリング法の精度評価に用いる方法を,来年度に行われる国際会議で発表するよう既にエントリーを行った.本研究は,固有値分布に関して正確な数値計算に関する数理,近似分布の導出に関する数理,現実問題への適用を考慮した応用を扱った.正確計算,近似計算ともに新しい方法を提案する事ができ,シミュレーションを通して有効性の確認を行った.これらの正確分布や近似分布の方法論は,当初想定していなかった問題へも有効であることも分かりより発展できた.また,現実問題への適用のテーマでは,無線通信での通信路容量の導出や方向統計学での一様性の検定問題,2標本問題における等分散性の検定を扱った.26年度は,25年度同様に成果がまとまり,成果発表も行っていることから順調に進んでいる.当初の予定で掲げたホロノミックグラディエント法や,主成分分析,無線通信システムへの応用についても,26年度に理論的な成果と計算機実験が順調に進んでいる.これらは,論文としてまとめている途中であるが,成果発表は随時行っている.昨年度同様に研究分担者,連携研究者,研究協力者の連携も良く,定期的に打ち合わせが行われて,分担して効率的にテーマの遂行が行われている.これらの協力者のもと,学会等発表も7件あり着実に成果を挙げている.テーマ1に関する成果としては,ホロノミックグラディエント法を標本相関係数の分布に適用しその有用性を示した.このテーマでは論文の投稿を予定していたが,これは来年度に持ち越しとなった.テーマ2でも新たな近似分布を導出し,昨年度採択された論文が刊行に至っている.さらに,2標本問題の拡張も成果として挙がり,27年度早々に学会発表,論文投稿を予定している.テーマ3に関連して,外部の研究者との共同研究によって成果が生まれたが,これは当初の予定にはなかったものである.さらに,テーマ3については,関連する論文の追試を行ない,これも研究協力者による発表が行われた.一部,遅れがあったものもあるが,逆に想定外の成果が生まれたことや,順調に数値実験も進んでいることなどから,総合的にはおおむね順調と考えられる.統計科学27年度は,第一に,26年度に学会,研究会で発表した成果をまとめ,論文として投稿する予定である.26年度に学会発表したものについては,研究分担者,連携研究者,研究協力者と打ち合わせの上,分担して論文執筆にあたる予定である.次年度も定期的に研究打ち合わせをセミナー形式で開き,進捗を確認しながら研究を遂行する予定である.本研究は,固有値分布に関して3つのテーマからなるが,2つのテーマでは既に3本の論文が採択された.テーマ3に関しても文献調査と文献に基づく追試実験が順調に進んでいる.研究分担者,連携研究者,研究協力者の連携も良く,分担して効率的にテーマの遂行が行われている.これらの協力者のもと,学会発表も7件あり着実に成果を挙げている.
KAKENHI-PROJECT-25330033
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レーザーアブレーションによる半導体薄膜作製と時間分解構造測定
二年間にわたり,上記研究課題について国際共同研究を進めた結果,以下のような具体的な研究成果を得,数msの時間領域でナノ微粒子の表面修飾を行えば,さらなる機能化が可能なこと,さらに,レーザーアブレーションによって不純物の混入していない,高効率な可視発光を呈するナノ構造が作製可能なことを明らかにした.[I]時間分解構造測定:1)レーザープラズマ軟X線吸収分光法を用いたレーザーアブレーション後15μsまでの時間領域の測定ではSiナノ微粒子は検出されない.2)一方,時間分解光ルミネッセンス測定と時間分解レーリー散乱測定では約1ms前後でSiナノ微粒子からの発光,散乱が増加しており,この時間領域においてSiナノクラスターが生成していること,特にHeとArガスではナノ微粒子が形成される空間が異なる.3)新しく開発した時間分解第二レーザー分解発光分析測定によって,数100μsから約1msの間にナノ微粒子が生成されている,ことを明らかにした.[II]シリコン系ナノ微粒子薄膜の作製:1)堆積膜の光ルミネッセンス測定では3つの可視発光バンドが得られ,特にSiナノ微粒子表面の酸化層によって保護すると可視発光強度が増す.2)気相中で生成されるシリコンナノ微粒子なサイズ23nmのものが主である.3)レーザーアブレーションで堆積したSiOx膜からSiO2膜中に埋め込まれたSiナノ結晶構造をアニールで作製し,それが高輝度で発光するにはx=1.31.4の組成が最適の条件である.(これは赤外吸収測定とイオン後方散乱測定による.)4)SiGeナノ微粒子からなるEL素子構造を試作し,EL可視発光が可能である,ことを示した.二年間にわたり,上記研究課題について国際共同研究を進めた結果,以下のような具体的な研究成果を得,数msの時間領域でナノ微粒子の表面修飾を行えば,さらなる機能化が可能なこと,さらに,レーザーアブレーションによって不純物の混入していない,高効率な可視発光を呈するナノ構造が作製可能なことを明らかにした.[I]時間分解構造測定:1)レーザープラズマ軟X線吸収分光法を用いたレーザーアブレーション後15μsまでの時間領域の測定ではSiナノ微粒子は検出されない.2)一方,時間分解光ルミネッセンス測定と時間分解レーリー散乱測定では約1ms前後でSiナノ微粒子からの発光,散乱が増加しており,この時間領域においてSiナノクラスターが生成していること,特にHeとArガスではナノ微粒子が形成される空間が異なる.3)新しく開発した時間分解第二レーザー分解発光分析測定によって,数100μsから約1msの間にナノ微粒子が生成されている,ことを明らかにした.[II]シリコン系ナノ微粒子薄膜の作製:1)堆積膜の光ルミネッセンス測定では3つの可視発光バンドが得られ,特にSiナノ微粒子表面の酸化層によって保護すると可視発光強度が増す.2)気相中で生成されるシリコンナノ微粒子なサイズ23nmのものが主である.3)レーザーアブレーションで堆積したSiOx膜からSiO2膜中に埋め込まれたSiナノ結晶構造をアニールで作製し,それが高輝度で発光するにはx=1.31.4の組成が最適の条件である.(これは赤外吸収測定とイオン後方散乱測定による.)4)SiGeナノ微粒子からなるEL素子構造を試作し,EL可視発光が可能である,ことを示した.本年度は,国際共同研究の第1年目として,先ず第一にHeやArガス中でのシリコン(Si)とSiGeのレーザーアブレーションを筑波大学及びオ-クリッジ国立研究所で行い,この手法でSiナノ微粒子とSiGeナノ微粒子を作成した.第二にその形成動的過程を筑波大学で時間分解レーザープラズマ軟X線吸収分光法により,またオ-クリッジ国立研究所で時間分解光ルミネッセンスによって調べた.第三に堆積させたそれたナノ微粒子のサイズをハーバード大学,オ-クリッジ国立研究所,筑波大学でそれぞれAFM, STMを用いて測定し,またオ-クリッジ国立研究所と筑波大学において,室温でのホトルミネッセンスについて調べ,さらに,その構造をオ-クリッジ国立研究所のZ-contrast EELS/電子顕微鏡という特色ある手法によって調べた.このために,アメリカで合同会議を2回開催し,研究者を延べ21人お互いに派遣して,共同実験をおこなった.その結果,以下のような具体的な研究実績を得た.レーザープラズマ軟X線吸収分光法を用いたレーザーアブレーション後15μsまでの時間領域の測定ではSiナノ微粒子は検出されず,一方,時間分解光ルミネッセンス測定では約1msでブロードな吸収バンドを持つSiナノ微粒子からの発光が増加しており,この時間領域においてSiナノクラスターが生成していることを見い出した.また堆積膜の光ルミネッセンス測定では3つの可視発光バンドが得られ,特にSiナノ微粒子表面の酸化層によって保護すると可視発光強度が増すことが示された.本年度は,国際共同研究の最終年度として,次の3点に重点を置いて研究を進めた.
KAKENHI-PROJECT-09044131
https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-09044131
レーザーアブレーションによる半導体薄膜作製と時間分解構造測定
第一はHeやArガス中でのシリコン(Si)のレーザーアブレーションで生成されるナノ微粒子のサイズ分布を詳細に調べること,第二はその形成動的過程を新手法も開発して,時間分解構造測定で調べること,第三に堆積させたナノ微粒子薄膜からの光ルミネッセンスとエレクトロ・ルミネセンス(EL)を測定して,高効率の可視発光を得るための条件,構造などを得るための実験を行うことである.今年度は,オークリッジ国立研究所とハーバード大学に日本とアメリカから研究者を派遣し,共同実験を行い,さらに各グループで進めている研究と結果の十分な議論を行うために,アメリカで合同会議を3回(アノーバー,ハーバード大学,ハワイ)開催し,研究者を延べ23人派遣して,共同研究を進めた.その結果,以下のような具体的な研究成果を得た.(1)気相中で生成されるシリコンナノ微粒子なサイズ23nmのものが主であることがわかった.(2)時間分解光ルミネッセンス測定,時間分解レーリー散乱測定,それに新しく開発した時間分解レーザー分解発光分析測定によって,数100μsから約1msの間にナノ微粒子が生成されていること,それらの時間はガスの種類と圧力で変化すること,特にHeとArでは微粒子が形成される空間が異なることが明らかになった.(3)堆積膜の光ルミネッセンス測定ではSiナノ微粒子表面が酸化膜によって保護されると,熱アニール後に可視発光強度が増すことが示され,さらにレーザーアブレーションで堆積したSiOx膜からSiO2膜中に埋め込まれたSiナノ結晶構造を作製し,それが高輝度で発光するにはx=1.3l,4が最適の条件であることを赤外吸収測定とイオン後方散乱測定で明らかにした.SiGeナノ微粒子からなEL素子を試作し,可視発光が可能なことを示した.
KAKENHI-PROJECT-09044131
https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-09044131
知の国際交流を支援するネットワーク学習コミュニティーの形成に関する研究
ネットワーク上に発信され、提供されている巨大な量の情報には、学習の資源が、膨大に含まれている。学習者の主体的な選択活用によって、あらゆる情報が、人類の形成してきた知の集積として、教育や学習に貢献する。国内の遠隔地に限らず、国外のネットワーク上にある、webサイトの知の国際交流を無視してはこれからの教育を進めることはできない。しかし、現実問題としては、これらの多くの学習資源の中から、自分の学習に適した必要量の情報を簡単な操作で取り出すことができなければ、ネットワーク上にいくら有益な知が山積みされていても、使われず、無駄になってしまう。そのために、誰でもが、いつでも、どこからでも、自由に参画できる「知の国際交流を支援するネットワーク学習コミュニティー」を形成することが必要である。本研究集団は、この実現を目指して、現状調査研究、開発評価研究、実践調査研究、実験研究などを通して、ネットワーク学習コミュニティーの組織運営、学習資源の標準化と品質保証、学習資源の共有、再利用、市場、支援環境などの現状とあり方について総合的、多角的に検討し、ネットワーク学習社会における知の国際交流を実現する統合モデルを構築すべく各自の専門を生かしつつ共同研究を行った。研究打ち合わせ、公開全体報告会、学会発表、専門論文などによって、研究の深化を深めてきた。その結果、世界の学習資源のレポジトリー、LOM,著作権管理、FOSSなどの現状分析、IT指導案システム、日常的にwebによる評価・調査研究を行うREASや、ストリーミング,携帯にも適用できるシステム、シラバス自動抽出などの開発評価、アジアを中心とする国際的な遠隔教育の実践の評価分析、使いやすいインターフェースの開発と効果評価実験など、多くの成果が得られた。ネットワーク上に発信され、提供されている巨大な量の情報には、学習の資源が、膨大に含まれている。学習者の主体的な選択活用によって、あらゆる情報が、人類の形成してきた知の集積として、教育や学習に貢献する。国内の遠隔地に限らず、国外のネットワーク上にある、webサイトの知の国際交流を無視してはこれからの教育を進めることはできない。しかし、現実問題としては、これらの多くの学習資源の中から、自分の学習に適した必要量の情報を簡単な操作で取り出すことができなければ、ネットワーク上にいくら有益な知が山積みされていても、使われず、無駄になってしまう。そのために、誰でもが、いつでも、どこからでも、自由に参画できる「知の国際交流を支援するネットワーク学習コミュニティー」を形成することが必要である。本研究集団は、この実現を目指して、現状調査研究、開発評価研究、実践調査研究、実験研究などを通して、ネットワーク学習コミュニティーの組織運営、学習資源の標準化と品質保証、学習資源の共有、再利用、市場、支援環境などの現状とあり方について総合的、多角的に検討し、ネットワーク学習社会における知の国際交流を実現する統合モデルを構築すべく各自の専門を生かしつつ共同研究を行った。研究打ち合わせ、公開全体報告会、学会発表、専門論文などによって、研究の深化を深めてきた。その結果、世界の学習資源のレポジトリー、LOM,著作権管理、FOSSなどの現状分析、IT指導案システム、日常的にwebによる評価・調査研究を行うREASや、ストリーミング,携帯にも適用できるシステム、シラバス自動抽出などの開発評価、アジアを中心とする国際的な遠隔教育の実践の評価分析、使いやすいインターフェースの開発と効果評価実験など、多くの成果が得られた。本研究は、わが国の高等教育機関における高品質なネットワーク学習コミュニティに求められる要件とその形成過程を明らかにするとともに、ネットワーク学習コミュニティの包括的なモデルを構築することを目標としている。平成15年度は、以下の5分野でそれぞれ調査チームを構成し、インタビュー、アンケート、ウェブ上の関連ホームページからの情報収集などにより、調査を行った。・運営支援チーム:タイ国のアジア工科大学とキングモンクット工科大学への東京工業大学国際大学院コースの衛星による講義と、現地調査に関して衛星講義配信、モニタリングの手法、同期型・非同期型の比較、現地調査のそれぞれについて調査を行った。・標準化・認証チーム:学習コンテンツの共有・再利用に向けて、情報ポータルとレポジトリに関する調査を実施した。遠隔教育スペシャリスト要請のための標準的カリキュラムの開発に関して、Instructional Designer, Professional Technologist, Chief Learning Officerの三職種を想定した。・教材共有チーム:GEM(Gateway to Educational Materials)のメタデータ作成ツール日本語化および海外主要学習オブジェクト共有レポジトリのLOM調査を実施した。また、ウェブ上にある日本の高等教育機関のデータベースやシラバス等からメタデータ自動抽出する方法を開発した。・市場調査チーム:Zemsky教授(ペン大)による「e-Learningの市場はどこにあるのか」の研究手法を踏襲し、既存のサーチエンジンを用いてe-Learningの市場調査のための定点観測を行うメタサーチエンジンの仕様を設計し、開発に着手した。・インフラストラクチャーチーム:ソフトウエア基盤研究、衛星通信基盤の研究、通信基盤の教育利用法の調査研究の3つの観点から研究を進めている。ソフトウエア基盤としては、IPマルチキャストを利用した多地点マルチメディア会議システムの基盤を開発し、学習コミュニティ形成を支援するために必要な機能を評価・検討している。通信基盤の教育利用法の調査研究に関しては、オーストラリア、アイルランド、英国などでのネットワーク利用の調査をおこなった。本研究は、わが国の高等教育機関における高品質なネットワーク学習コミュニティに求められる要件とその形成過程を明らかにするとともに、ネットワーク学習コミュニティの包括的なモデルを構築することを目標としている。平成16年度は、以下の5分野を担当するチームに分かれて研究・開発を行った。・運営支援
KAKENHI-PROJECT-15200057
https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-15200057
知の国際交流を支援するネットワーク学習コミュニティーの形成に関する研究
チーム:タイで実施した東工大間国際遠隔講義配信に関する実践研究では、前年度と異なる実施形態を試行した結果、現地メンターの重要性などの知見が得られた。e-Learningの実態に関する調査研究では、国内では岐阜大を、海外では清華大学,インドネシア・スラバヤ電気系ポリテクニック,Innsbruck大等を調査した。Open Course Ware関連の調査を行い、MITから関係者を招いて講演会を開催した。・標準化・認証チーム:コンテンツ評価支援システムの運用評価に基づき、システムの機能拡張を行い実装させた。コンテンツ評価映像対応サブシステムを開発し、実験サイトで試行し、実装可能な状態にした。デジタルコンテンツの評価基準や手順の策定についての文献研究を行うとともに、デジタルコンテンツの形成的評価、および総括的評価実験を行った。また、機関・組織対象の大規模調査が可能なシステム(WISE)を開発した。・教材共有チーム:多言語メタデータ入力機能と著作権情報を記述するメタデータ登録システムを開発した。また、Webロボットによるシラバス収集を行ない、収集したページについて日本10進分類による分類を行なった.・場調査チーム:(1)eラーニング市場形成の成功要因としてのその学歴資格の社会的通用性に着目した研究であった。(2)アジア市場におけるeラーニングの最新動向であった。そこで明らかにしたのはe-ラーニングの展開の特質は,制度を媒介せずに市場メカニズムによって,流通する可能性をもっていることである.それは一方でe-ラーニングに大きな発展可能性をもたらすものだが,他方でその学歴資格の社会的な通用性に問題が生じる可能性も生じさせる.それはひいては市場の拡大に重要な制約となることが考えられる.・インフラストラクチャチーム:まず、既存のオープンソースソフトウェアを活用した学習共同体形成支援という観点から,KNOPPIXを利用したソフトウェアのパッケージング手法およびコンピューティング環境の構築手法について研究を進め、IPマルチキャストを利用した多地点立体映像伝送システムに関しても研究を進めた。また、QoSの改善効果の解析等の通信基盤の研究を行った。さらに、通信基盤の教育利用法の調査をタイ、チェコ、ハンガリーで行った。平成16年12月22日に公開シンポジウムを開催し、各チームの研究の中間報告を実施した。日本の大学における国際的e-ラーニングの実践事例として、東京工業大学-アジア工科大学の講義配信、青山学院大学をハブとする国際e-ラーニングコース開発の事例研究を行った。
KAKENHI-PROJECT-15200057
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白人ワーキングプアの系譜:現代アメリカのホワイトネスと階級意識を読み解く
平成23年度から継続して続けてきた、労働者階級に属するアメリカ白人男性表象に関する研究は、報告者が従来行ってきたレイモンド・カーヴァーを中心とする短編小説批評に加え、その他の同世代のアメリカ作家、特にラッセル・バンクスの作品が提示するグローバリズムと大企業型資本主義への批判的な視点への考察を深める良い機会になった。これらは日本の社会でも問題視されているトピックでもあり、今後も継続して研究を進めたいと考えている。平成24年度では、前年度に引き続き、1960年代以降の白人労働者階級に属するアメリカ男性を中心的に取り扱う文学作品や映像作品の分析を行った。これらの考察は平成24年5月にサンフランシスコで行われたアメリカ文学会(American Literature Association)の年次大会における、国際レイモンド・カーヴァー学会(International Raymond Carver Society)のパネルで、現代アメリカ白人男性像を映す鏡としての女性像に着目した「誰がために男たちは釣る:レイモンド・カーヴァーの釣魚短編・詩における女性」("For Whom the Men Fish: The Women in Raymond Carver's Fishing Stories and Poems")というタイトルでの学会発表に結び付いた。また、前年度からのラッセル・バンクスの白人表象に関する研究成果は、中・四国アメリカ学会の機関紙『中四国アメリカ研究第6号』に掲載された「白人性とアメリカの夢を超えてーRussell BanksのContinental Driftにみる社会規範からの肯定的逸脱」という論文に結実した。平成23年度から継続して続けてきた、労働者階級に属するアメリカ白人男性表象に関する研究は、報告者が従来行ってきたレイモンド・カーヴァーを中心とする短編小説批評に加え、その他の同世代のアメリカ作家、特にラッセル・バンクスが提示するグローバリズムと大企業型資本主義への批判的な視点への考察を深める良い機会になった。大企業型資本主義とリベラル・ヒューマニズムの相克は、おりしも東日本大震災とそれに伴う原発事故への東電の対応など、日本でも問題視されているトピックでもあり、今後も継続して研究を進めたいと考えている。平成23年度から継続して続けてきた、労働者階級に属するアメリカ白人男性表象に関する研究は、報告者が従来行ってきたレイモンド・カーヴァーを中心とする短編小説批評に加え、その他の同世代のアメリカ作家、特にラッセル・バンクスの作品が提示するグローバリズムと大企業型資本主義への批判的な視点への考察を深める良い機会になった。これらは日本の社会でも問題視されているトピックでもあり、今後も継続して研究を進めたいと考えている。本研究はワーキングプアを含め、その前駆ともいえる1970年代以降のアメリカにおける労働者階級の白人意識を、文学作品や映像作品がいかに描きだしてきたかを包括的に考察することを最終的な目標とする。そのために、(1)アメリカにおける白人意識の分析とホワイトネス・スタディーズの分野における研究資源を活用した文化研究と、(2)1970年代以降の現代アメリカ文学及び映像作品における、労働者階級に属する白人表象と白人性の精査という二項目を研究の主な焦点とし、平成23年度は、主に本研究課題と合致する作品分析を行う予定であった。「研究実績の概要」の欄に示したように、Raymond CarverとRussell Banksの著作に共通する社会批判精神を分析することに関しては、おおむね進捗状況は計画通りと言える。しかし、本研究課題の計画策定の段階でリストアップしていたその他の作家の著作や、映像作品の分析にまで手が回っておらず、それらの作業は平成24年度に持ち越している状態である。また、それに伴って、当初平成23年度内に2回行うことを計画していた海外学会での発表と質疑応答に関しても、1回しか行うことができておらず、これも平成24年度に持ち越すことになっている。当初の計画より進捗が遅れた原因は、Banksの著作数が非常に多く、かつ著作の性質が多岐にわたっており、本研究課題のテーマであるホワイトネスと労働者階級意識に関連した作品を選定・分析するのに非常に多くの時間を割いてしまったことにある。ただ、上述したようにBanks研究がもたらした成果は本研究課題の根幹にかかわるもので、それだけの価値はあったと考えている。今後はこの成果をさらに発展させ、その他の作家の著作および映像作品の分析・考察に役立てる予定である。平成24年4月以降も、引き続き本研究課題に即したテーマを持つ文学作品および映像作品の分析を継続する。分析する文学作品の選定に当たっては、前年度から継続して、白人が主要な登場人物として設定され、かつ階級やジェンダーをめぐる分析が容易な家庭内の描写が多い作品を優先的に収集、分析することとする。それと並行して、前年度に収集した資料の分析結果をもとに、研究成果発表のための準備を行う予定である。5月には、American Literature Association Annual Conference 2012 (平成24年5月24-27日:サンフランシスコ)において、Carverの伝統的ジェンダー観を、彼の男性登場人物の持つ階級意識に関連付ける研究発表を発題する。この研究発表内容は、学会で得られた助言、指摘を踏まえ、推敲を重ねて平成25年1月締切の『中・四国アメリカ文学研究』に本研究の第1論文として投稿する予定である。7月以降は第1論文の研究内容を補完するために、追加の資料と文学作品、映像作品を発注し、順次精読・分析の作業を行う。また、夏季休業期間を利用し、第1論文の執筆と並行し、映像作品分析に比重を移した第2論文の骨子を作成する。この論文は研究発表の体裁をととのえ、12月に行われる中・四国アメリカ文学会冬季研究会において発題したい。
KAKENHI-PROJECT-23720159
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白人ワーキングプアの系譜:現代アメリカのホワイトネスと階級意識を読み解く
この第2論文の内容は、学会での意見交換の成果と課題を持ち帰った上で、平成25年2月以降推敲を重ね、平成25年度のThe Journal of the American Literature Society of Japanに研究論文(第2論文)として投稿する予定である。平成23年度に実施した資料の選定で、本来予定していたよりも多くの資料が必要となることが判明したため、当初の計画を変更し、主に資料を購入するための消耗品費を14万円に増額している。また、「現在までの達成度」の項にも記したように、研究課題のボリュームが当初の想定を上回っており、課題の進捗状況に遅れが生じている。そのため、平成23年度に予定していながら実施できなかった海外研究出張を、平成24年度に持ち越すものとし、従来想定していた海外研究発表(American Literature Association Annual Conference:平成24年5月24-27日:サンフランシスコ)のための渡航費と合わせ、外国旅費を50万円計上している。平成24年度の2度目の海外研究に関しては、本研究課題に関連する作家にインタビューを行うことを考えており、目下調整中ではあるが、もし何かの都合で実行できない場合は、インディアナ大学リリー図書館に保存されているCarverの作品草稿と、2012年に入って蔵書に加えられた、Carverと、最初の妻であるMaryann Carverとの私信およびその他の資料を閲覧し、本研究課題の遂行に資することを考えている。とくにCarverの私信その他については、彼の作品に描かれる白人労働者階級に属する男性登場人物の精神的苦境を分析する上で、作品と彼の実人生との接点を見出すために必要な伝記的資料として有益であり、本研究課題を遂行する上で非常に重要な資料となる可能性があるのではないかと期待している。また謝金等の予算区分には、英語による発表および、英語で投稿論文を作成する際の英文校閲料を2万円程度計上し、その他の予算区分には印刷通信費および国際学会の発表申請料として、5万円程度を予定している。
KAKENHI-PROJECT-23720159
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超精密ダイヤモンド工具切れ刃の非接触先端形状計測に関する研究
超精密ダイヤモンド切削加工は工具輪郭の仕上げ面への転写性が完全であれば,切れ刃稜の粗さが仕上げ面粗さの到達限界を決定し,切れ刃稜が鋭利で一様性が高いほど加工精度は向上する.従って,さらに一桁上の加工表面精度を実現し脆性材料の加工における切削能率を向上するためにはダイヤモンド工具の切れ刃先端の形状精度の向上が不可欠であり,ダイヤモンド工具の高精度な刃先研磨法と切れ刃先端形状の測定評価技術の開発が急がれている.そこで本研究は短波長レーザ光の微細形状による回折現象を利用した超精密ダイヤモンド工具切れ刃の非接触先端形状計測法を開発することを目的としている.本年度は,ダイヤモンド工具切れ刃稜形状による回折光強度分布測定実験によって,高次の微小回折光強度とダイヤモンド工具切れ刃の先端形状との関係について調べた.当該年度の研究成果をまとめると以下のとおりである.(1)光学系の構築と基礎実験微弱な高次の回折光強度分布までを高い空間分解能で計測できる実験装置をクリーンルーム(クラス10)内に構築した.実験装置の構成は次にようなものである.まず,波長488nmのArレーザ(出力160mW)を光源に用い,レーザ光を高倍率対物レンズ(×40)によって回折限界まで集光しφ0.5μm程度のスポット光として工具切れ刃稜先端に照射するための光学系を構成した.次に,微弱な高次回折光強度を測定するために高感度なCCDエリアセンサを用い,さらにこれを回転ステージに装着し,広い回折角をスキャンさせながら回折光強度を測定することにより高次光の測定に対応できる検出光学系を構成した.以上の実験装置を用いて,レーザ光を超精密ダイヤモンド工具の切れ刃先端に照射し,レーザスポット径,入射角,偏光状態などの入射条件と高次回折光の回折角および回折光強度との関係を調べた.(2)超精密ダイヤモンド工具の切れ刃先端による回折光の特性を調べる実験基礎実験に基づいて決定した光学系の分解能に従い,高次回折光強度分布をさらに高感度,高空間分解能で測定するため,プリズムの臨界角を利用する方法で高次回折光を分離し,高感度化と高い空間分解能で測定できる新たな検出光学系を組み込んだ.まず,切れ刃稜先端丸み曲率半径の異なる超精密ダイヤモンド工具を用いて,丸み曲率半径と高次回折光特性の関係を調べた.さらに,ピエゾドライブの試料ステージを用いて,超精密ダイヤモンド工具を5nm15nmの精度で移動しながら高次回折光の変化を測定する実験を行い,切れ刃稜先端丸み曲率半径と高次回折光強度分布の定性的な関係を明らかにした.超精密ダイヤモンド切削加工は工具輪郭の仕上げ面への転写性が完全であれば,切れ刃稜の粗さが仕上げ面粗さの到達限界を決定し,切れ刃稜が鋭利で一様性が高いほど加工精度は向上する.従って,さらに一桁上の加工表面精度を実現し脆性材料の加工における切削能率を向上するためにはダイヤモンド工具の切れ刃先端の形状精度の向上が不可欠であり,ダイヤモンド工具の高精度な刃先研磨法と切れ刃先端形状の測定評価技術の開発が急がれている.そこで本研究は短波長レーザ光の微細形状による回折現象を利用した超精密ダイヤモンド工具切れ刃の非接触先端形状計測法を開発することを目的としている.本年度は,ダイヤモンド工具切れ刃稜形状による回折光強度分布測定実験によって,高次の微小回折光強度とダイヤモンド工具切れ刃の先端形状との関係について調べた.当該年度の研究成果をまとめると以下のとおりである.(1)光学系の構築と基礎実験微弱な高次の回折光強度分布までを高い空間分解能で計測できる実験装置をクリーンルーム(クラス10)内に構築した.実験装置の構成は次にようなものである.まず,波長488nmのArレーザ(出力160mW)を光源に用い,レーザ光を高倍率対物レンズ(×40)によって回折限界まで集光しφ0.5μm程度のスポット光として工具切れ刃稜先端に照射するための光学系を構成した.次に,微弱な高次回折光強度を測定するために高感度なCCDエリアセンサを用い,さらにこれを回転ステージに装着し,広い回折角をスキャンさせながら回折光強度を測定することにより高次光の測定に対応できる検出光学系を構成した.以上の実験装置を用いて,レーザ光を超精密ダイヤモンド工具の切れ刃先端に照射し,レーザスポット径,入射角,偏光状態などの入射条件と高次回折光の回折角および回折光強度との関係を調べた.(2)超精密ダイヤモンド工具の切れ刃先端による回折光の特性を調べる実験基礎実験に基づいて決定した光学系の分解能に従い,高次回折光強度分布をさらに高感度,高空間分解能で測定するため,プリズムの臨界角を利用する方法で高次回折光を分離し,高感度化と高い空間分解能で測定できる新たな検出光学系を組み込んだ.まず,切れ刃稜先端丸み曲率半径の異なる超精密ダイヤモンド工具を用いて,丸み曲率半径と高次回折光特性の関係を調べた.さらに,ピエゾドライブの試料ステージを用いて,超精密ダイヤモンド工具を5nm15nmの精度で移動しながら高次回折光の変化を測定する実験を行い,切れ刃稜先端丸み曲率半径と高次回折光強度分布の定性的な関係を明らかにした.
KAKENHI-PROJECT-06750123
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空間メタファーのモデル化とコミュニケーション環境への応用
本研究の目的は,ユーザがリソースの質を理解することを可能とする,空間に基づくメタファーを提供するユーザインタフェースを構築することである.そのために本年度は以下の研究を実施した.1.モデルに基づく空間メタファーUIの実装前年度の研究成果である空間メタファーのモデルを,システムとして容易に設計,実装するための空間メタファーUI記述言語を開発した.前年度実装したプロトタイプシステムはVRMLをベースとした物であり,空間比喩写像の記述能力が低い物であったため,Javaを基本にした記述言語として設計した.この空間メタファー記述言語により,前年度のプロトタイプと同性能のシステムを容易に実装できたことにより,記述言語の実用性が確認された.2.空間メタファーUIの認知科学的評価1で実装したシステムを用いてユーザによる利用実験をおこなった.実験結果として,距離比喩写像,空間比喩写像空間メタファーがサービスのリソースの質の理解に有効であることを確認した.具体的には比喩写像に写像される目標領域と規定領域の組合せとして,1:サービスに関する距離比喩写像,2:ユーザに関する距離比喩写像,3:サービスに関する空間比喩写像の3つの比喩写像において,分散環境独特の情報の理解のに及ぼす効果があることが確認された.また,コミュニケーションを行う相手のユーザとサービス間に関する距離比喩写像を提供することにより,ユーザ間の総合的な距離がわかるが,実験システムではこの距離をユーザに提示できないという問題点があることが解った.3.サービス選択支援エージェントのモデルの設計2で得られた結果に基づいて,サービス空間に存在するユーザを各々のサービスのアドレス情報,TPOの情報の2つの情報を管理するエージェントとして実現し,サービス選択時に,エージェントの持つ情報と,両者のユーザの距離比喩写像で表現される距離に基づいて最適な選択を支援するエージェントモデルを設計した.本研究の目的は,ユーザがリソースの質を理解することを可能とする空間に基づくメタファーを提供するユーザインタフェースを構築することである.そのために本年度は以下の研究を実施した.1.分散環境上の社会空間の分析分散環境を誰もが実社会空間と同様に利用し,活動を出来る事が可能になるためには,分散環境がどう有るべきか,また何が問題点なのかについて,ユーザ間のコミュニケーションという観点から分析を行った.結果,現在の分散環境ではネットワーク,サービスの利用概念と,利用可能なリソースの質に対する理解が難しいという問題点が有ることが明らかになった.2.空間メタファーのモデル化1での問題のうち,利用可能なリソースの質を理解しやすいものとするために,目標領域と性質が酷似している「空間」を基底領域として利用する,分散環境のユーザインタフェースのためのメタファーであると,サービスの範囲を空間的広さに写像する空間比喩写像の定義をした.3.空間メタファーUIプロトタイプの実装と評価2で定義した空間メタファーの2つの比喩写像に基づくユーザインタフェースシステム3D-DoReMiのシステムを実装した.このシステムは,電子メール,WWW,チャットの現在分散環境上で利用されているコミュニケーションサービスのリソースの質を空間的表現でわかりやすくユーザに表示するシステムであり,VRMLとJavaの言語により実装されている.このプロトタイプシステムを利用してユーザによる利用実験をおこない,空間メタファーがサービスのリソースの質の理解に有効であることを確認した.本研究の目的は,ユーザがリソースの質を理解することを可能とする,空間に基づくメタファーを提供するユーザインタフェースを構築することである.そのために本年度は以下の研究を実施した.1.モデルに基づく空間メタファーUIの実装前年度の研究成果である空間メタファーのモデルを,システムとして容易に設計,実装するための空間メタファーUI記述言語を開発した.前年度実装したプロトタイプシステムはVRMLをベースとした物であり,空間比喩写像の記述能力が低い物であったため,Javaを基本にした記述言語として設計した.この空間メタファー記述言語により,前年度のプロトタイプと同性能のシステムを容易に実装できたことにより,記述言語の実用性が確認された.2.空間メタファーUIの認知科学的評価1で実装したシステムを用いてユーザによる利用実験をおこなった.実験結果として,距離比喩写像,空間比喩写像空間メタファーがサービスのリソースの質の理解に有効であることを確認した.具体的には比喩写像に写像される目標領域と規定領域の組合せとして,1:サービスに関する距離比喩写像,2:ユーザに関する距離比喩写像,3:サービスに関する空間比喩写像の3つの比喩写像において,分散環境独特の情報の理解のに及ぼす効果があることが確認された.また,コミュニケーションを行う相手のユーザとサービス間に関する距離比喩写像を提供することにより,ユーザ間の総合的な距離がわかるが,実験システムではこの距離をユーザに提示できないという問題点があることが解った.3.サービス選択支援エージェントのモデルの設計2で得られた結果に基づいて,サービス空間に存在するユーザを各々のサービスのアドレス情報,TPOの情報の2つの情報を管理するエージェントとして実現し,サービス選択時に,エージェントの持つ情報と,両者のユーザの距離比喩写像で表現される距離に基づいて最適な選択を支援するエージェントモデルを設計した.
KAKENHI-PROJECT-11780311
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ヒトの陸上移動運動に関する生理人類学的研究:筋由来の弾性エネルギーに着目して
現存する生物のうち、直立二足運動が可能な生物はヒトだけである。しかしながら、ヒトの二足運動には、いくつかの決定的な問題点がある。たとえば重い頭部が高い位置にあるためにバランスが悪いことや、内臓諸器官など急所が多い胴体前面を常に晒してしまうこと、さらに重力の関係上、腰痛を起こし易いことなどが挙げられる。このような問題点があるにも関わらず、ヒトが直立二足運動を獲得したのは、これまで指摘されてきた欠点を凌駕するような利点があることが条件である。最も代表的な直立二足運動である歩行動作では、身体重心を基点とした運動エネルギーと位置エネルギーの変換効率がエネルギー節約機構として機能しており、もう一つの代表的な直立二足運動である走動作では、下肢の筋腱複合体が伸張された時に蓄えられる"弾性エネルギー"が、エネルギー節約機構として機能していると説明されてきた(Cavagna et al.1963, 1964)。しかしながら、これらの説には近年いくつかの反証が投げかけられている。たとえば、Fukunaga et al.(2001)は、歩行中にもアキレス腱の伸張・短縮が発生していることを報告している。言い換えると、アキレス腱由来の弾性エネルギーは歩行中にも発生し、エネルギー消費の低減に一役買っている可能性を示唆している。本研究では、歩行および走動作における下肢筋で発揮される筋弾性の生理人類学的な意義について検討した。現存する生物のうち、直立二足運動が可能な生物はヒトだけである。しかしながら、ヒトの二足運動には、いくつかの決定的な問題点がある。たとえば重い頭部が高い位置にあるためにバランスが悪いことや、内臓諸器官など急所が多い胴体前面を常に晒してしまうこと、さらに重力の関係上、腰痛を起こし易いことなどが挙げられる。このような問題点があるにも関わらず、ヒトが直立二足運動を獲得したのは、これまで指摘されてきた欠点を凌駕するような利点があることが条件である。最も代表的な直立二足運動である歩行動作では、身体重心を基点とした運動エネルギーと位置エネルギーの変換効率がエネルギー節約機構として機能しており、もう一つの代表的な直立二足運動である走動作では、下肢の筋腱複合体が伸張された時に蓄えられる"弾性エネルギー"が、エネルギー節約機構として機能していると説明されてきた(Cavagna et al.1963, 1964)。しかしながら、これらの説には近年いくつかの反証が投げかけられている。たとえば、Fukunaga et al.(2001)は、歩行中にもアキレス腱の伸張・短縮が発生していることを報告している。言い換えると、アキレス腱由来の弾性エネルギーは歩行中にも発生し、エネルギー消費の低減に一役買っている可能性を示唆している。本研究では、歩行および走動作における下肢筋で発揮される筋弾性の生理人類学的な意義について検討した。本年度は、歩行動作における下腿筋群の弾性エネルギー産出の協働筋間比較、部位間比較を行った。被験者は各種既往症歴を持たない男子大学生9名を対象とした。実験条件は50m/min(ゆっくり歩き)、75m/min(普通歩き)、100m/min(早歩き)とし、平地(L)条件、下り(D)条件、登り(U)条件を設定した。被験筋は腓腹筋内側頭、腓腹筋外側頭、ヒラメ筋(以上下腿部)、内側広筋、大腿直筋(以上大腿部)とした。それぞれの条件において、歩行動作を行うときの下腿筋の筋電図を約30歩記録した。筋電図と同期して得られた足関節角度、膝関節角度、および床反力情報を用いて、得られた筋電図を伸張性収縮期(Ecc)と短縮性収縮期(Con)に分類した。各期の積分筋放電量の比(Ecc/Con比)をAbe et.al.(2007)に従って筋弾性の指標とした。その結果、歩行速度が増加するにつれて下腿部3筋(腓腹筋内側頭、腓腹筋外側頭、ヒラメ筋)の筋弾性は有意に「低下」し、反対に大腿部2筋(内側広筋、大腿直筋)の筋弾性が増加した。また、大腿部の協働筋間に大きな弾性の差異は見られなかったが、下腿部の協働筋間において、単関節筋であるヒラメ筋の弾性発揮が大きい傾向が見られた。近年、歩行中にもアキレス腱の伸張・短縮が発生していることが指摘されているが、アキレス腱由来の弾性エネルギーは歩行中にも発生し、歩行のエネルギー消費の低減に一役買っていることを意味している。関連した先行研究の全てが、アキレス腱の伸張・短縮のみに着目しているが、歩行速度の大小、傾斜角度の有無に関わらず、アキレス腱の伸張・短縮度合いは変化しなかったことが判明している。これらの先行研究と本年度の研究結果は、歩行中に得られるアキレス腱由来の弾性エネルギーの再利用には、ある一定の限界があり、それを補完するように筋が弾性を発揮していることを示唆している。本研究で観察された、歩行速度変化、傾斜変化に伴う脚部位間および協働筋間における筋弾性のコーディネートは、ヒトのロコモーション(移動運動)における筋機能の機能的潜在性の存在を意味している。今年度は筋弾性がランニング中のエネルギー消費節約機構に及ぼす影響について検討を行った。被験者は陸上競技歴のある男性8名であった。身体後背部に重量物を付加すると、脚筋では筋弾性が高まる(Bourdin et al.1995)。
KAKENHI-PROJECT-20770201
https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-20770201
ヒトの陸上移動運動に関する生理人類学的研究:筋由来の弾性エネルギーに着目して
しかしながら、Abe et al.(2004,2008a,2008b)が指摘するように、後背部への重量物の付加は「身体重心回りの回転トルク」を生み出すため、本研究では傾斜角度条件を併用することによって、ランニングエコノミーに及ぼす重量負荷と傾斜角度の影響を個別に検討するモデルを考えた。その結果、下り(-5%条件)と平地条件(±0%条件)において、ランニングエコノミーと筋弾性は一義的に対応した変化を示した。さらに詳しく観察すると、ランニングエコノミーと身体重心回りの回転トルクは、統計的に有意な相関関係ではなかったが、筋弾性はランニングエコノミーと統計的に有意な相関関係を有することが明らかとなった。これまで、ランニングエコノミーの決定因子について、スポーツ界では諸説叫ばれてきたが、未だに統一した見解は得られていない。本研究では、ヒトの陸上移動運動(ロコモーション)におけるエネルギー節約機構の一つとして、下肢協働筋群の弾性作用に注目したが、本研究の成果は、筋弾性を人工的に且つ簡便に増加させる手法として、重量負荷の後背部への配置が有効であることを示唆している。
KAKENHI-PROJECT-20770201
https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-20770201
多様化する財産承継方法と相続法理論との融合
今年度は、7月に民法(相続法)改正が成立し、2019年1月から順を追って施行されることとなったため、(1)新しい相続法の分析を優先的に行った。(2)フランス法については、多様な財産承継を認めている制度自体の内容を明らかにする検討を始めている。(1)に関しては、新法下での相続法の理論を検討した。配偶者居住権、遺産分割前における預貯金債権の行使、遺留分の金銭債権化等、新設された制度を中心に検討し、立法により解決された問題点と立法により新たに生じ得る問題点を明らかにした(口頭報告:「権利の承継・義務の承継,仮払い・一部分割・分割前処分」(会議名:有斐閣法律講演会2019「新しい「民法(相続法)」を学ぶ」)2019年2月23日開催、「相続分の指定(新902条・新902条の2)」本山敦編『平成30年相続法改正の分析と展望』金融商事判例増刊1561号(2019年3月)2733頁)。(2)のフランス法に関しては、生存配偶者への財産承継方法(居住の保護の方法を含む)として、夫婦財産制の利用、夫婦間での贈与、夫婦間での対応がなされなかった場合の手段等、多様な対応が用意されており、当事者がその時の状況に応じて選択できるようになっていること、遺言の作成や贈与の利用によって公証人の関与が実質的に相続財産の清算を可能としていること等を明らかにした(「『高齢社会』・『家族の多様化』と『相続』ー比較法的考察フランスー」家族〈社会と法〉34号(2018年7月)2939頁、口頭報告:「フランスの相続法制についてー所有者不明土地問題検討の材料としてー」(会議名:司法書士総合研究所第10回業務開発研究部会)2018年11月23日開催、「フランス法における公正証書遺言の方式」金沢法学61巻2号(2019年3月)145161頁)。今年度は、わが国における新しい相続法の分析を優先的に行ったため、フランス法の研究については、多様な財産承継を認めている制度自体の内容をみるにとどめたが、日本法の分析が予定よりも進展した。フランスにおける多様な財産承継方法が、相続法体系の中でどのように位置づけられているのかを明らかにするため、わが国にはない制度(恵与分割、優先的割当等)が用いられた場合に、遺産分割がいかになされるのか、公証実務での計算方法はどのようなものか、被相続人が遺言等により実現しようとした内容と、相続人の需要とが矛盾又は対立する場合の処理などを分析・検討していく。今年度は、7月に民法(相続法)改正が成立し、2019年1月から順を追って施行されることとなったため、(1)新しい相続法の分析を優先的に行った。(2)フランス法については、多様な財産承継を認めている制度自体の内容を明らかにする検討を始めている。(1)に関しては、新法下での相続法の理論を検討した。配偶者居住権、遺産分割前における預貯金債権の行使、遺留分の金銭債権化等、新設された制度を中心に検討し、立法により解決された問題点と立法により新たに生じ得る問題点を明らかにした(口頭報告:「権利の承継・義務の承継,仮払い・一部分割・分割前処分」(会議名:有斐閣法律講演会2019「新しい「民法(相続法)」を学ぶ」)2019年2月23日開催、「相続分の指定(新902条・新902条の2)」本山敦編『平成30年相続法改正の分析と展望』金融商事判例増刊1561号(2019年3月)2733頁)。(2)のフランス法に関しては、生存配偶者への財産承継方法(居住の保護の方法を含む)として、夫婦財産制の利用、夫婦間での贈与、夫婦間での対応がなされなかった場合の手段等、多様な対応が用意されており、当事者がその時の状況に応じて選択できるようになっていること、遺言の作成や贈与の利用によって公証人の関与が実質的に相続財産の清算を可能としていること等を明らかにした(「『高齢社会』・『家族の多様化』と『相続』ー比較法的考察フランスー」家族〈社会と法〉34号(2018年7月)2939頁、口頭報告:「フランスの相続法制についてー所有者不明土地問題検討の材料としてー」(会議名:司法書士総合研究所第10回業務開発研究部会)2018年11月23日開催、「フランス法における公正証書遺言の方式」金沢法学61巻2号(2019年3月)145161頁)。今年度は、わが国における新しい相続法の分析を優先的に行ったため、フランス法の研究については、多様な財産承継を認めている制度自体の内容をみるにとどめたが、日本法の分析が予定よりも進展した。フランスにおける多様な財産承継方法が、相続法体系の中でどのように位置づけられているのかを明らかにするため、わが国にはない制度(恵与分割、優先的割当等)が用いられた場合に、遺産分割がいかになされるのか、公証実務での計算方法はどのようなものか、被相続人が遺言等により実現しようとした内容と、相続人の需要とが矛盾又は対立する場合の処理などを分析・検討していく。
KAKENHI-PROJECT-18K01334
https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-18K01334
多様化する財産承継方法と相続法理論との融合
当初、今年度の研究は、フランス法の検討を中心に進め、年度の途中で渡仏し、現地調査をする予定であったが、わが国における民法(相続法)改正の成立を受けて、予定を変更し、今年度は新しい相続法の分析を優先的に行い、フランス法の研究については、多様な財産承継を認めている制度自体の内容をみるにとどめた。次年度以降に、渡仏して、財産承継方法としてどのような方法が利用されているのか、利用されていない制度があればそれはなぜか、各制度を利用した場合の遺産分割の方法、生じ得る問題等を調査する計画である。
KAKENHI-PROJECT-18K01334
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ロシア連邦のSNA形式産業連関表に関する総合的研究
(1)中間段階1995年産業連関表(100部門)における不均衡・インバランスを解消するための様々の手法を開発し、そのうちの3つを適用して整合的なロシアSNA1995年産業連関表を作成することを試みた。ロシア当局はそれらを参考にし独自にバランス化を行った。(2)不整合表(元表)と整合化された表とについて厳密な分析を試み、後者については22部門レベルで、生産者価格表示表を作成すること、さらにそれを用いて産業連関表分析を詳しく行い、それらの結果を邦文・英文で逐次論文として公表した。(3)当局が最終結果(100部門レベル)を秘匿してしまったので独自に推計することを試みた(10部門のみ公表)。非公表ではあるが、22部門表は報告者には利用可能であったので、商業マージン表、輸入マトリックス、純生産物税マトリックスを含め、データベースとして公表する予定である。また、報告者推計の120部門表も公表する予定である。(4)1995年表と各年次部門別産出額、鉱工業部門統計とを用い、さらにRAS等を利用することにより、1995、1996、1997、1998、1999年各年について22部門延長表(購入者価格表示)を作成した。実質ベースに変換した接続表の試作にも着手した。これらの最終成果を今後データベースとして公表する。(1)中間段階1995年産業連関表(100部門)における不均衡・インバランスを解消するための様々の手法を開発し、そのうちの3つを適用して整合的なロシアSNA1995年産業連関表を作成することを試みた。ロシア当局はそれらを参考にし独自にバランス化を行った。(2)不整合表(元表)と整合化された表とについて厳密な分析を試み、後者については22部門レベルで、生産者価格表示表を作成すること、さらにそれを用いて産業連関表分析を詳しく行い、それらの結果を邦文・英文で逐次論文として公表した。(3)当局が最終結果(100部門レベル)を秘匿してしまったので独自に推計することを試みた(10部門のみ公表)。非公表ではあるが、22部門表は報告者には利用可能であったので、商業マージン表、輸入マトリックス、純生産物税マトリックスを含め、データベースとして公表する予定である。また、報告者推計の120部門表も公表する予定である。(4)1995年表と各年次部門別産出額、鉱工業部門統計とを用い、さらにRAS等を利用することにより、1995、1996、1997、1998、1999年各年について22部門延長表(購入者価格表示)を作成した。実質ベースに変換した接続表の試作にも着手した。これらの最終成果を今後データベースとして公表する。(1)ロシア1995年SNA産業連関表の第1次原表の基本部分を、供給表と投入産出表(資本ストック・労働付帯表を含む)に分けてデータベースとして整理し、第1次表の生産面と支出面との〓離の原因を、220以上の各部分について探求し、推計精度を高めた。そしてRHS法の変核を利用し、専門的評価(再定義法)も活用して、部門別需給バランスが完全にとれたロシア1995年表が作成された。この95年(最終)原表についてもデータベース化し、第1次原表との差異を明確化しつつ、精度の再検討を行った。(2)第1次表と最終表とを利用した、産業遷圏分析による移行期ロシア経済の構造分析を行い、産業政策上のインプリケーションを考察した。特に細部分制・分析による生産〓及効果の分析に力点をおいてこうした分析を行うよう努めた。その結果の一部を国際産業連関分析学会において発表した。(1)中間段階1995年産業連関表(100部門)における不均衡・インバランスを解消するための様々の手法を開発し、そのうちの3つを適用して整合的なロシアSNA1995年産業連関表を作成することを試みた。ロシア当局はそれらを参考にし独自にバランス化を行った。(2)不整合表(元表)と整合化された表とについて厳密な分析を試み、後者については22部門レベルで、生産者価格表示表を作成すること、さらにそれを用いて産業連関表分析を詳しく行い、それらの結果を邦文・英文で逐次論文として公表した。(3)当局が最終結果(100部門レベル)を秘匿してしまったので独自に推計することを試みた(10部門のみ公表)。非公表ではあるが、22部門表は報告者には利用可能であったので、商業マージン表、輸入マトリックス、純生産物税マトリックスを含め、データベースとして公表する予定である。また、報告者推計の120部門表も公表する予定である。(4)1995年表と各年次部門別産出額、鉱工業部門統計とを用い、さらにRAS等を利用することにより、1995、1996、1997、1998、1999年各年について22部門延長表(購入者価格表示)を作成した。実質ベースに変換した接続表の試作にも着手した。これらの最終成果を今後データベースとして公表する。
KAKENHI-PROJECT-10630022
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EP4受容体刺激の左室等容性弛緩能および充満期拡張能に対する作用および機序の解析
平成28年度および平成29年度の結果に基づき、平成30年度は、正常ハロセン麻酔犬にcaldaret(0.5, 5, 50 ug/kg/10 min, i.v.)を累積的に投与し電気生理学的作用および心血行動態への作用を検討した(n=5)。Caldaretは筋小胞体Ca2+/ATPase(SERCA)の働きを促進するとともにRyR2受容体からの拡張期Ca2+ leakを抑制する化合物である。今回のcaldaretの用量(0.5, 5および50 ug/kg)は細胞内Ca2+動態の修飾作用を期待できる血中濃度を達成しうると考えられた。低-中用量は左室等容性収縮速度を増加し、等容性弛緩速度も増加傾向を示したが、充満期拡張能には作用せず、拡張不全型心不全(HFpEF)よりも収縮不全型心不全(HFrEF)への有用性が期待された。本研究では正常犬を用いて評価しており拡張能改善効果を過小評価している可能性もあるので、慢性心不全モデル動物での詳細な評価が必要と考えられた。高用量は心拍数を増加し、末梢血管抵抗を増大したので、虚血性心疾患やHFpEF患者ではかえって有害かもしれない。低-中用量は房室結節伝導を促進した。これは僧帽弁/三尖弁閉鎖不全を惹起して心房細動の誘因になる可能性がある。中-高用量は右室有効不応期を延長した。心室内伝導速度や再分極過程には影響を与えなかったので、新規機序の心室不整脈予防薬としての可能性がある。以上のように細胞内Ca2+動態の修飾は、変力/変弛緩作用のみならず種々の電気薬理学的作用を有することが明らかになった。細胞内Ca2+動態の変化が心筋に存在する各イオンチャネルに与える作用に関しては細胞レベルでのさらなる機序の解明が必要である。左室駆出率が保たれた拡張性心不全(heart failure with preserved ejection fraction: HFpEF)は全心不全患者の半数以上を占め、予後不良である。HFpEFに対して、収縮性心不全(heart failure with reduced ejection fraction: HFrEF)の治療において予後改善が認められた薬物(レニン・アンジオテンシン系抑制薬およびβ遮断薬など)の有用性が評価されたが、同様の効果は認められず左室拡張機能を修復できる薬物の開発が強く求められている。本年度の研究では、正常犬を用いて薬理学的EP4受容体刺激薬ONO-AE1-329の「左室等容性弛緩能」および「充満期拡張能」に対する作用をそれぞれ評価した。低用量のONO-AE1-329(0.3 ng/kg/min)を静脈内に10分間持続投与し、投与開始5,10,15,20および30分後に各指標を測定した。次に中用量のONO-AE1-329(1 ng/kg/min)を静脈内に10分間持続投与し同様に各指標を測定した。さらに高用量のONO-AE1-329(3 ng/kg/min)を静脈内に10分間持続投与し、同様に各指標を測定した。対照薬の測定時間は、ドパミン(3 micro-g/kg/min)およびドブタミン(1 micro-g/kg/min)に関しては投与開始10分後、ミルリノンに関しては5 micro-g/kg/minで10分間持続投与し、0.5 micro-g/kg/minに変更10分後とした。ONO-AE1-329には、既存の強心薬と同様の等容性収縮力および拡張力の増強作用に加えて、既存薬に認められない左室拡張末期容積の増加作用および左室収縮末期容積の減少作用が認められた。正常犬を用いての実験は概ね順調に推移した。現時点で実験の遂行に支障をきたすような課題はない。当初は腎ラップ法による左室駆出率が保たれた拡張性心不全(HFpEF)モデル犬を用いてONO-AE1-329の左室等容性弛緩能および充満期拡張能に対する作用を評価する予定であった。しかし事前に実施した調査において、モデル作成の成功の歩留まり率が20%未満であることが判明した。そこで、腎ラップ法の代替として慢性完全房室ブロック犬を慢性心不全モデルとして使用した。すなわち、ビーグル犬をチオペンタール(30 mg/kg)で麻酔し、カテーテルアブレーション法により完全房室ブロック誘発し、全身管理を4週間以上行い、良好な術後経過をたどった個体を今回の実験に用いた(n=4)。ペントバルビタール(30 mg/kg, i.v.)で全身麻酔を導入し、イソフルラン(1.5%)を吸入させることで麻酔を維持した。大腿動静脈にシースを挿入し、左室圧測定用カテーテルおよび右房/右室電極カテーテルをそれぞれ挿入した。左室圧モニター下で、刺激周期400 msで、右房、右室を150 msの時間差で順次電気ペーシングを行った。ONO-AE1-329投与前にコントロール値を2回測定した。これらの値が安定していることを確認後に低用量のONO-AE1-329(0.3 ng/kg/min)を静脈内に30分間持続投与し、投与開始10、20および30分後に各指標を測定した。次に高用量のONO-AE1-329(1 ng/kg/min)を静脈内に30分間持続投与し同様に各指標を測定した。
KAKENHI-PROJECT-16K08559
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EP4受容体刺激の左室等容性弛緩能および充満期拡張能に対する作用および機序の解析
前年度実施した正常犬で観察された陽性変力作用は慢性心不全モデルでも確認されたが、変弛緩作用には一定の傾向を確認できなかった。慢性心不全に起因する心筋リモデリングを有する心臓ではEP4受容体刺激による細胞内情報伝達系が正常心と変化している可能性がある。腎ラップ法によるHFpEFモデル犬を用いてONO-AE1-329の左室等容性弛緩能および充満期拡張能に対する作用を評価する予定であった。しかし事前に実施した調査において、モデル作成の成功の歩留まり率が20%未満であることが判明した。そこで代替として慢性完全房室ブロック犬を慢性心不全モデルとして使用し、予定していた薬物評価を実施し、当初の到達目標を達成することができた。平成28年度および平成29年度の結果に基づき、平成30年度は、正常ハロセン麻酔犬にcaldaret(0.5, 5, 50 ug/kg/10 min, i.v.)を累積的に投与し電気生理学的作用および心血行動態への作用を検討した(n=5)。Caldaretは筋小胞体Ca2+/ATPase(SERCA)の働きを促進するとともにRyR2受容体からの拡張期Ca2+ leakを抑制する化合物である。今回のcaldaretの用量(0.5, 5および50 ug/kg)は細胞内Ca2+動態の修飾作用を期待できる血中濃度を達成しうると考えられた。低-中用量は左室等容性収縮速度を増加し、等容性弛緩速度も増加傾向を示したが、充満期拡張能には作用せず、拡張不全型心不全(HFpEF)よりも収縮不全型心不全(HFrEF)への有用性が期待された。本研究では正常犬を用いて評価しており拡張能改善効果を過小評価している可能性もあるので、慢性心不全モデル動物での詳細な評価が必要と考えられた。高用量は心拍数を増加し、末梢血管抵抗を増大したので、虚血性心疾患やHFpEF患者ではかえって有害かもしれない。低-中用量は房室結節伝導を促進した。これは僧帽弁/三尖弁閉鎖不全を惹起して心房細動の誘因になる可能性がある。中-高用量は右室有効不応期を延長した。心室内伝導速度や再分極過程には影響を与えなかったので、新規機序の心室不整脈予防薬としての可能性がある。以上のように細胞内Ca2+動態の修飾は、変力/変弛緩作用のみならず種々の電気薬理学的作用を有することが明らかになった。細胞内Ca2+動態の変化が心筋に存在する各イオンチャネルに与える作用に関しては細胞レベルでのさらなる機序の解明が必要である。HFpEFモデル犬を用いて薬理学的EP4受容体刺激の「左室等容性弛緩能」および「充満期拡張能」に対する作用をそれぞれ評価する。さらにiPS細胞由来心筋シート、モーションベクトル法および薬理学的分析手法を用いてEP4受容体刺激の拡張能に対する作用および機序を解析する。HFpEFに対する薬物治療の突破口となる知見を期待できる。しかしHFpEFモデル犬では当初想定したような安定した病態を得られない場合も想定される。そのような際には、慢性房室ブロック犬やモルモットを用いて必要な情報を補填することで対応する。これらのモデル動物を用いて薬物の薬理作用を評価する技術は当研究室で既に確立されている。慢性心不全に起因する心筋リモデリングを有する心臓ではEP4受容体刺激による細胞内情報伝達系が正常心とは異なっている可能性が判明した。
KAKENHI-PROJECT-16K08559
https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-16K08559
環境変動に対するベーリング海・チャクチ海の海洋生態系の応答
2007年および2008年に実施された現場観測と衛星リモートセンシングデータを利用することにより、海氷が最も後退した2007年には,それ以前よりも小型の植物プランクトンが優占していたこと、地球温暖化が進むとシロザケの現在の分布域は著しく狭まり,海氷が減少した北極海などの北方へ移動せざるを得ないこと、海氷の張り出しに対して底棲魚類の種に大きな変動は認められないことが明らかとなった。2007年および2008年に実施された現場観測と衛星リモートセンシングデータを利用することにより、海氷が最も後退した2007年には,それ以前よりも小型の植物プランクトンが優占していたこと、地球温暖化が進むとシロザケの現在の分布域は著しく狭まり,海氷が減少した北極海などの北方へ移動せざるを得ないこと、海氷の張り出しに対して底棲魚類の種に大きな変動は認められないことが明らかとなった。季節海氷域である当該海域における海洋環境と海洋生態系の応答を明らかにするべく、2007年7月8月の間、本学練習船「おしょろ丸」により海洋観測および各種トロール等を用いた魚類・底生生物サンプリングを実施した。当年は海氷の張り出しが非常に弱く9月には過去最低を記録した。観測海域には全く海氷を見ることは無かった。さらに物理観測ではアラスカ沿岸において1214°Cの高水温が観測された。これは、海氷の張り出しが過去最小となった原因の一つをいち早く捉えた重要な結果である。一方、このような海洋・海氷環境下において海洋観測を実施できたことにより、基礎生産力や動物プランクトン種組成などが環境の変化に対しどのような応答をするか、過去に無い重要かつ貴重な現象が明らかになると考えられる。また、当該海域は世界有数のトロール漁場である。しかしながら、観測期間中のボトムトロールによる魚類現存量は非常に少なく、海氷後退の影響を受けている可能性も示唆された。衛星リモートセンシングを利用した観測も実施し、アラスカ沿岸の高水温、海氷の後退および植物プランクトンブルームの様子が海洋観測期間中を含めモニタリングできた。さらに、植物プランクトンサイズを海色リモートセンシングデータから推定するアルゴリズムを開発した。上記海洋観測によって検証した結果、推定方法に改良が必要なものの大型/小型の植物プランクトンが優占する海域を判断することができた。海氷後退に伴う植物プランクトン種の遷移および高次生産への影響評価に役立つと期待される。季節海氷域である当該海域における海洋環境と海洋生態系の応答を明らかにすべく, 2008年6月から7月までの間に本学練習船「おしょろ丸」による観測をベーリング海およびチャクチ海において実施した.過去最小の海氷面積となった昨年よりも1ヶ月早い観測時期であったため,北緯70度-71度において海氷縁に達し,オッタートロールを含む各種ネットを用いたプランクトン,魚類,底棲生物サンプリングと海洋観測を行った.船尾オッタートロール調査は計15回行い, 14科34種4未同定種群の魚類を採集した.このうち,ホッキョクダラとアカガレイ属未同定種群は10地点以上で確認された.なお,本調査では過去に比べて小型魚類が多く採集されたが,これは網目のサイズに起因する可能性が高い.衛星リモートセンシングを利用した観測では,太平洋水流入が海氷の挙動に影響を与えていると考えられるバロー沖をモデルとして解析を行ったところ,植物プランクトンブルームの時期と規模が海氷融解と太陽放射増加のタイミングに依存していることが明らかとなった.また,衛星の光学データを利用し大型・小型植物プランクトンの優占率を推定するアルゴリズムを開発し, 67%の確率で推定することが可能となった.海洋生態系と生息魚類との応答として,サケ属魚類の摂餌生態と環境中の餌生物群集との関係を調べた結果,同属でも大量に普遍的に分布する小型の餌生物(e. g., Neocalanusplumcrus)より出現数は少ないものの大型の餌生物(N. cristatus)を選択的に摂餌することが分かった.最終年度の取りまとめとして,2007年の劇的な海氷後退およびそれに関連した海洋の物理的・化学的環境の変化に対する,基礎生産過程,動物プランクトン,底棲生物および魚類のバイオマスや多様性の変動を中心に解析を行った.また,2010年2月には,招聘した海外共同研究者(米国および韓国)および他の海洋調査参加者が参集し,おしょろ丸による北極観測航海成果に関するワークショップを開催し,環境変動に対する海洋生態系の応答過程について議論を行った.衛星リモートセンシングを利用した基礎生産過程の研究では,過去数年間の優占植物プランクトンサイズとクロロフィルaバイオマスの経年変化をまとめ,海氷が最も後退した2007年には,それ以前よりも小型の植物プランクトンが優占していたことが明らかとなった.しかしながら,現場において局所的に基礎生産および種組成を見ると,それぞれの場所で異なる応答をしていることが示された.また,2007年の動物プランクトンのバイオマスと多様性は1991年,1992年,2008年に比べ共に高く,太平洋種のチャクチ海への流入が確認された.
KAKENHI-PROJECT-19405002
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環境変動に対するベーリング海・チャクチ海の海洋生態系の応答
魚類に関しては,採集用具の形式やサイズ等の違いにより比較が困難であるが,底棲魚類の種に大きな変動は認められなかった.以上の成果は,海氷の激減は低次生産過程に短時間のうちに直接的に影響を与えているが,さらに高次の生物はそのような短い時間スケールで明確な応答は示さないことを示唆するものであり,観測・評価方法を改良しつつ今後の長期にわたる当該海域の監視が必要である.
KAKENHI-PROJECT-19405002
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肺アスペルギルス症に関するアレルギー学的診断
Aspergillus fumigatus抗原のimmunoblotting analysisを肺アスペルギルス症由来のヒト血清、レクチンをプローブとして行った。その結果18kdを中心とする低分子量成分が沈降抗体形成に重要であることが判明した。ConAに吸着しないこの成分の解析のためConAによるアフィニティー・クロマトグラフィーを行い、ConAに吸着する成分と吸着しない成分に分離した。さらに、この両成分をSDS-PAGEにかけるとConA非吸着成分の方は54kd、34kd、20kd、18kdの4つの主要バンドに分離が可能であった。immunoblottingの成積でIgG結合のほとんどない20kdを除く54kd,34kd,18kdの3成分が少くとも沈降抗体の形成に重要であることが示唆された。なぜならConA吸着成分と非吸着成分はほぼ同等に沈降抗体形成が可能であるからである。一方アレルギー性肺気管支アスペルギルス症の患者一例につき、急性期と寛解期血清の両者でIgE結合をみると、18kd^の結合が急性期血清で著明であった。このことにより18kd抗原は沈降状体形成のみならず、アレルギー惹起の働きを有する可能性が示された。今後18kd抗原の性状を分析することが、アスペルギルス・アレルギーあるいは侵襲型アスペルギルス症の研究に有用であると考えられた。Aspergillusfumigatus抗原のimmunoblotting analysisを肺アスペルギルス症由来のヒト血清、レクチンをプローブとして行った。その結果18kdを中心とする低分子量成分が沈降抗体形成に重要であることが判明した。ConAに吸着しないこの成分の解析のためConAによるアフィニティー・クロマトグラフィーを行い、ConAに吸着する成分と吸着しない成分に分離した。さらに、この両成分をSDS-PAGEにかけるとConA非吸着成分の方は54kd、34kd、20kd、18kdの4つの主要バンドに分離が可能であった。immunoblottingの成積でIgG結合のほとんどない20kdを除く54kd,34kd,18kdの3成分が少くとも沈降抗体の形成に重要であることが示唆された。なぜならConA吸着成分と非吸着成分はほぼ同等に沈降抗体形成が可能であるからである。一方アレルギー性肺気管支アスペルギルス症の患者一例につき、急性期と寛解期血清の両者でIgE結合をみると、18kd^の結合が急性期血清で著明であった。このことにより18kd抗原は沈降状体形成のみならず、アレルギー惹起の働きを有する可能性が示された。今後18kd抗原の性状を分析することが、アスペルギルス・アレルギーあるいは侵襲型アスペルギルス症の研究に有用であると考えられた。
KAKENHI-PROJECT-60570351
https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-60570351
精神疾患と自律神経疾患からみた「心の未来性」に関する認知神経機構の統合的解明
研究プロジェクト全体の目的は,未来性に関わる課題遂行中の脳活動および自律神経活動の測定を通して,「心・脳・身体」という三者関係から,不安障害や抑うつ障害と関係の深い未来思考性について検討することである.これまでの研究では「心の未来性」のメカニズムにおける「心・脳・身体」のダイナミクスの理解を目指し,文章の刺激を用いてポジティブあるいはネガティブ方向への自動思考性を引き出すような状況を作り,未来思考性と過去思考性における処理をターゲットとして,脳波計を用いた検討を行った.そして,心拍誘導電位を指標とした実験結果から,脳活動が身体由来であることを突き止めることができた.本年度はその成果を受け,さらに潜在連想テスト(IAT)を用いた検討を行った.そして,未来思考の特異性を呈する不安障害傾向と,過去思考の特異性を呈するうつ病傾向の違いを,時間方向に依存した思考と概念形成という新しい枠組みで捉えることを試みた.その結果,一部の指標において,仮説を支持する結果が得られ,初年度の成果と整合する結論を導き出すことができた.また,うつや不安とは逆の軸として位置づけられる楽観主義傾向についても行動実験を実施し,楽観傾向の背後にある行動的メカニズムを明らかにすることができた.これらの総合的な成果は,心の時間的な側面に関する基礎的,かつ臨床的な意義を持っており,時間と思考方向性に関する実験的パラダイムの確立に結びつけることができた.これは,心理学的にも神経科学的にも重要な知見であり,さまざまな方向性に発展,展開できる可能性を持つ重要な成果であると判断する.29年度が最終年度であるため、記入しない。29年度が最終年度であるため、記入しない。本研究プロジェクトの目的は,未来性に関わる課題遂行中の脳活動および自律神経活動の測定を通して,「心・脳・身体」という三者関係から,不安障害や抑うつ障害と関係の深い未来思考性について検討することである.初年度である平成28年度は「心の未来性」のメカニズムにおける「心・脳・身体」のダイナミクスの理解を目指し,未来・過去方向への自動思考性の背後にある機構の理解を深めることを目的とした実験を実施した.主要な実験課題では,文章の刺激を用いてポジティブあるいはネガティブ方向への自動思考性を引き出すような状況を作り,未来思考性と過去思考性における処理をターゲットとして,中枢神経活動の指標として脳波計を,自律神経活動の指標として心電図を用いることで,三者関係についての深い検討を行った.その結果,未来に思いを馳せる瞬間の活動に関連するコンポーネントを取り出すことに成功し,それが精神疾患の傾向性とも関連があること,またその脳活動が身体由来であることなどを心拍誘導電位のデータ解析方法を用いて明らかにすることができた.これまでの研究では,刺激に接した初期の成分でこのような結果が得られることは想定されていなかったため,潜在的な処理を示唆する重要な結果であると位置づけられる.本研究の成果は心の時間的な側面に関する基礎的な知見であると同時に,臨床的な意味合いも多く含んでいる.次年度における課題遂行につながるものであり,本研究の成果を裏付けるような,さまざまな方法論を用いた研究を発展的に実施し,本研究の信頼性を高める方向で今後の研究を推進させる予定である.ほぼ計画通りに遂行している.一部については当初の想定よりも結果が明確に示されたため,追加的な実験および解析を施行している状況である.次年度の計画に十分つながるものと考えている.研究プロジェクト全体の目的は,未来性に関わる課題遂行中の脳活動および自律神経活動の測定を通して,「心・脳・身体」という三者関係から,不安障害や抑うつ障害と関係の深い未来思考性について検討することである.これまでの研究では「心の未来性」のメカニズムにおける「心・脳・身体」のダイナミクスの理解を目指し,文章の刺激を用いてポジティブあるいはネガティブ方向への自動思考性を引き出すような状況を作り,未来思考性と過去思考性における処理をターゲットとして,脳波計を用いた検討を行った.そして,心拍誘導電位を指標とした実験結果から,脳活動が身体由来であることを突き止めることができた.本年度はその成果を受け,さらに潜在連想テスト(IAT)を用いた検討を行った.そして,未来思考の特異性を呈する不安障害傾向と,過去思考の特異性を呈するうつ病傾向の違いを,時間方向に依存した思考と概念形成という新しい枠組みで捉えることを試みた.その結果,一部の指標において,仮説を支持する結果が得られ,初年度の成果と整合する結論を導き出すことができた.また,うつや不安とは逆の軸として位置づけられる楽観主義傾向についても行動実験を実施し,楽観傾向の背後にある行動的メカニズムを明らかにすることができた.これらの総合的な成果は,心の時間的な側面に関する基礎的,かつ臨床的な意義を持っており,時間と思考方向性に関する実験的パラダイムの確立に結びつけることができた.これは,心理学的にも神経科学的にも重要な知見であり,さまざまな方向性に発展,展開できる可能性を持つ重要な成果であると判断する.現在までの進捗状況でも示した通り,初年度の成果として,想定以上に明確な結果が得られたため,それを裏づける臨床研究を実施する予定で進めている.既に研究倫理申請の承諾も得られており,計画通りに実施できる予定である.また多くの成果が得られるように,今年度も柔軟な計画の見直し,およびそれに伴う実験の遂行を実施する.29年度が最終年度であるため、記入しない。29年度が最終年度であるため、記入しない。
KAKENHI-PUBLICLY-16H01514
https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PUBLICLY-16H01514
基底膜に会合するIV型コラーゲン分子とそれをコードする遺伝子発現の特性
本年度施行した研究によって、当初掲げた研究目的の大半を達成することができた.1)ヒトα4(IV)鎖のアミノ酸一次構造を決定することができた.α4(IV)鎖をコードするcDNAの重複クローンを単離し、ヒトα4(IV)鎖のアミノ酸一次構造を決定することができた.2)α6(IV)鎖をコードする遺伝子の上流域の構造決定とα5(IV)遺伝子との関係を明かにした.ヒトα6(IV)鎖のアミノ酸一次構造を決定し報告した.さらにこれらのcDNAをもとに遺伝子DNAの構造を決定しつつある.私どもはα6(IV)鎖をコードする遺伝子の上流域にα5(IV)鎖をコードする遺伝子が存在しており、しかもこれらの遺伝子が反対向きに並んでいることをつきとめた.さらに興味あることは、α6(IV)鎖をコードする遺伝子の発現は通常の遺伝子発現と異なって、二つのRNA転写産物が存在することがわかった.このことはおそらくは二つのプロモーターが存在しこれらが組織特異的な発現に関係しているであろうことが想像される.3)α(IV)鎖特異的抗体の作製を行いIV型コラーゲン6遺伝子の発現様式を明かにした.上述のα4(IV)鎖およびα6(IV)鎖の一次構造より推定される特異抗体を作製に適する部位を同定し合成ペプチドを作製、このペプチドに対するモノクローン抗体を作製した.抗体は各々特異的であり、ウェスタンブロット、各組織の免疫染色法でこれらの特異的なα(IV)鎖の存在部位を特定することができた.その結果α1(IV)およびα2(IV)鎖はすべての基底膜に存在すること、α3(IV)およびα4(IV)鎖は限定された部位にしか発現されないが常にこの二つの遺伝子は同時に発現することがわかった.さらにα5(IV)およびα6(IV)鎖は限定された部位に必ずしも同時には発現しないことがわかった.この部位特異的発現が上述の二プロモーターの存在と関連があることが想像される.本年度施行した研究によって、当初掲げた研究目的の大半を達成することができた.1)ヒトα4(IV)鎖のアミノ酸一次構造を決定することができた.α4(IV)鎖をコードするcDNAの重複クローンを単離し、ヒトα4(IV)鎖のアミノ酸一次構造を決定することができた.2)α6(IV)鎖をコードする遺伝子の上流域の構造決定とα5(IV)遺伝子との関係を明かにした.ヒトα6(IV)鎖のアミノ酸一次構造を決定し報告した.さらにこれらのcDNAをもとに遺伝子DNAの構造を決定しつつある.私どもはα6(IV)鎖をコードする遺伝子の上流域にα5(IV)鎖をコードする遺伝子が存在しており、しかもこれらの遺伝子が反対向きに並んでいることをつきとめた.さらに興味あることは、α6(IV)鎖をコードする遺伝子の発現は通常の遺伝子発現と異なって、二つのRNA転写産物が存在することがわかった.このことはおそらくは二つのプロモーターが存在しこれらが組織特異的な発現に関係しているであろうことが想像される.3)α(IV)鎖特異的抗体の作製を行いIV型コラーゲン6遺伝子の発現様式を明かにした.上述のα4(IV)鎖およびα6(IV)鎖の一次構造より推定される特異抗体を作製に適する部位を同定し合成ペプチドを作製、このペプチドに対するモノクローン抗体を作製した.抗体は各々特異的であり、ウェスタンブロット、各組織の免疫染色法でこれらの特異的なα(IV)鎖の存在部位を特定することができた.その結果α1(IV)およびα2(IV)鎖はすべての基底膜に存在すること、α3(IV)およびα4(IV)鎖は限定された部位にしか発現されないが常にこの二つの遺伝子は同時に発現することがわかった.さらにα5(IV)およびα6(IV)鎖は限定された部位に必ずしも同時には発現しないことがわかった.この部位特異的発現が上述の二プロモーターの存在と関連があることが想像される.
KAKENHI-PROJECT-06454250
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ロシアの国際収支表と国民所得統計の整合性に関する理論的・数量的分析
1.本研究の前提となるロシアの体外経済活動に関するデータの収集・整理・検証を行った。とくに、ロシアの貿易統計の検討については、その成果を米国スラブ研究促進学会(AAASS)で報告し、米国の雑誌に発表した。1991年以降のロシアの貿易統計は、ソ連の崩壊、為替管理制度の変化、貿易制度の変化などの影響を受けて、混乱を極めている。本研究では、貿易額の評価方法、商品別貿易データおよび地域別貿易データの特殊性、通関統計への移行問題などを検討し、さらに、1980年代後半以降のロシアの貿易動向の分析を行った。本研究の成果は、今後、この時期のロシアの貿易統計データを処理する際の拠り所を与えるものである。2.作成され始めたばかりのロシアの国際収支表のデータの収集・整理・検証を行い、国際収支表作成の方法論についても考察した。貿易統計データとの突き合わせを行ったほか、ロシアの対外債務、その返済、ロシアへの外国投資、ロシアからの資本逃避などのデータが国際収支表にどのように把握されているのかについて検討した。3.貿易統計、国際収支統計と国民所得統計との関係に関して方法論的な考察を深めた。国民所得統計についても、物的生産を中心とする従来の統計に加えて、SNA方式の統計が作成され始めており、これらの統計相互の関係を完全に解明するには至らなかったが、基本的な枠組みを把握し、方法論上、データ上の問題点を抽出することができた。この成果は、平成7年度に実施予定の重点領域研究のなかで共同研究としてさらに発展させる予定である。1.本研究の前提となるロシアの体外経済活動に関するデータの収集・整理・検証を行った。とくに、ロシアの貿易統計の検討については、その成果を米国スラブ研究促進学会(AAASS)で報告し、米国の雑誌に発表した。1991年以降のロシアの貿易統計は、ソ連の崩壊、為替管理制度の変化、貿易制度の変化などの影響を受けて、混乱を極めている。本研究では、貿易額の評価方法、商品別貿易データおよび地域別貿易データの特殊性、通関統計への移行問題などを検討し、さらに、1980年代後半以降のロシアの貿易動向の分析を行った。本研究の成果は、今後、この時期のロシアの貿易統計データを処理する際の拠り所を与えるものである。2.作成され始めたばかりのロシアの国際収支表のデータの収集・整理・検証を行い、国際収支表作成の方法論についても考察した。貿易統計データとの突き合わせを行ったほか、ロシアの対外債務、その返済、ロシアへの外国投資、ロシアからの資本逃避などのデータが国際収支表にどのように把握されているのかについて検討した。3.貿易統計、国際収支統計と国民所得統計との関係に関して方法論的な考察を深めた。国民所得統計についても、物的生産を中心とする従来の統計に加えて、SNA方式の統計が作成され始めており、これらの統計相互の関係を完全に解明するには至らなかったが、基本的な枠組みを把握し、方法論上、データ上の問題点を抽出することができた。この成果は、平成7年度に実施予定の重点領域研究のなかで共同研究としてさらに発展させる予定である。
KAKENHI-PROJECT-06853001
https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-06853001
初期胚表面に存在する巨大糖鎖の機能とその分子機構の解明
初期胚表層にどうして巨大糖鎖が存在するのかという疑問の解決を目指して研究を行って、新しい知見を得た。まず、巨大糖鎖をもつ糖タンパク質LeX-gpについて、その精製に成功、その糖鎖が細胞接着性に関わるLeX構造のタンデム反復構造という新規構造をもつことを明らかにした。つぎに、受精時に卵から囲卵腔中に分泌されるhyosophorinについて、そのペプチド部分が細胞表面の特異的な受容体を介して細胞増殖促進活性を示すこと、糖鎖部分は受精時の卵表層反応の進行に重要であることを明らかにした。本研究成果を通じて、巨大糖鎖は細胞表面と相互作用して細胞表層の性質を変化させ、細胞の命運を決定するという仮説を提唱したい。初期胚表層にどうして巨大糖鎖が存在するのかという疑問の解決を目指して研究を行って、新しい知見を得た。まず、巨大糖鎖をもつ糖タンパク質LeX-gpについて、その精製に成功、その糖鎖が細胞接着性に関わるLeX構造のタンデム反復構造という新規構造をもつことを明らかにした。つぎに、受精時に卵から囲卵腔中に分泌されるhyosophorinについて、そのペプチド部分が細胞表面の特異的な受容体を介して細胞増殖促進活性を示すこと、糖鎖部分は受精時の卵表層反応の進行に重要であることを明らかにした。本研究成果を通じて、巨大糖鎖は細胞表面と相互作用して細胞表層の性質を変化させ、細胞の命運を決定するという仮説を提唱したい。1. Le^X-gpの細胞接着機能とその分子機構の解明:我々がメダカ初期胚表面に発見した巨大糖鎖をもつ糖タンパク質Le^X-gpは、原腸胚形成期に細胞接着分子E-cadherinと共同して胚細胞同士の接着を担う。その巨大糖鎖の細胞接着への関わり、特にE-cadherinとそのシグナル経路との関わりは不明である。その解明を目的として、今年度は、まず、メダカ原腸胚からLe^X-gpを精製し、質量分析を行った。構造決定にはさらなる解析を必要とするが、糖鎖については、Le^X糖鎖がタンデムに8回反復するような新奇構造を持つことが判明した。また、巨大糖鎖生合成に関わる糖転移酵素群について、候補遺伝子のひとつフコース転移酵素の発現をリアルタイムPCRによって解析した。複数の酵素が関与することから、今後、他の酵素の特定も必要である。2. hyosophorinの細胞増殖促進とその分子機構の解明:hyosophorinは、卵の分泌顆粒成分であり、受精と同時に囲卵腔中に分泌される。その際に巨大糖鎖(10kDa程度)をもつ糖ペプチドへとプロセスされる。今年度は、まずこのhyosophorin糖ペプチドが細胞増殖促進因子であることを確認した。次に、メダカhyosophorin糖ペプチドを調製し、その細胞増殖促進活性を確認した。糖鎖を持たないペプチド、N-型糖鎖を調製し構造機能相関を解析したところ、ペプチド部分が重要であることが判明した。また、メダカhyosophorinに特異的なモノクローナル抗体を調製した。さらに、hyosophorin糖ペプチド添加時に動く増殖シグナルをシグナル伝達関連分子について調べた。しかしメダカに特異的なタンパク質に対する抗体が必要であり、その抗体を準備中である。1.Le^X-gpの細胞接着機能とその分子機構の解明:まず、メダカLe^X-gpのタンパク質部分およびその遺伝子の決定を行うために、メダカ胚を採取し、Le^X-gpの精製を行った。次に、そのアミノ酸配列解析をEdman分解と質量分析によって徹底的に行ったが年度内では同定に至らなかった。おそらく糖鎖含有量が高く、糖鎖が密集しているために、タンパク質部分の情報が隠れてしまっている空であると考えられる。次に、Le^X関連糖鎖合成プローブの初期胚へ投与実験を行ったところ、きわだった効果は観察されなかった。Le^X関連糖鎖の合成プローブ上の多価性、反復性問題で効果が見えなかったと推定している。一方、フコース転移酵素のノックダウン実験を行い、後者では発生異常を示す結果も得られ再現性を調査中である。また、種を超えたLe^X-gpの存在を調べるために、ゼブラフィッシュLe^X-gpの探索を行ったところ、Le^X構造はもたないものの高分子領域に特徴的な糖タンパク質の存在が示唆された。糖鎖構造は異なるものの、種を超えて初期胚に存在する可能性が高いと考えられる。2.hyosophorinの細胞増殖促進とその分子機構の解明:hyosophorinの細胞増殖シグナルを解明するために、hyosophorin添加時の細胞増殖促進を阻害する種々のリン酸化酵素阻害剤の探索を開始したが、年度内には特定分子の同定に至らなかった。また、hyosophorin糖鎖に作用して糖鎖構造を改変する酵素を選び、それを囲卵腔注入して個体レベルの効果を調べたところ、囲卵腔注入によって発生異常を起こすものを見いだした。現在、これがhyosophorin特異的であるかどうかを検討中である。ゼブラフィッシュhyosophorinの同定のために材料を収集し、その精製を開始した。本研究は、初期胚表面に存在し、通常の糖鎖の510倍大きな巨大糖鎖で修飾された2種類の糖タンパク質、LeX-gpとhyosophorinに着目して、機能探索とその分子機構の解明を目的としている。今年度の研究成果は次に示すとおりである。
KAKENHI-PROJECT-22380187
https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-22380187
初期胚表面に存在する巨大糖鎖の機能とその分子機構の解明
1. LeX-gpの細胞接着機能とその分子機構の解明について:メダカLeX-gpの接着機能における糖鎖の重要性を調べる目的で、LeX構造の合成に関与すると思われる3種類のフコース転移酵素遺伝子の発現抑制胚の作製を試みた。遺伝子抑制が十分でなくはっきりとした表現型は得られなかった。次に、メダカLeX-gpに相当する分子をゼブラフィッシュで探索した。その結果、ゼブラフィッシュにはLeXエピトープをもつ糖タンパク質の存在は見出されず、種特異的な糖鎖構造をもつ分子であることが示唆された。さらに、LeX構造とE-cadherinを併せもつF9細胞からマイクロドメインを調製し、その自己接着能を調べた。その結果、E-cadherin依存的接着は観測されたが、糖鎖依存的接着は観察されず、メダカ初期胚で観察されるような接着における糖鎖機能の普遍性ははっきりしなかった。2. hyosophorinの細胞増殖促進とその分子機構の解明について:hyosophorinの細胞増殖活性については、種々の試薬を直接胚の外空間に投与する囲卵腔注入法を確立し、抗hyosophorin糖鎖抗体の注入効果を調べた。その結果、胚発生過程へのきわだった効果は観察されなかった。しかし、この抗体は受精阻害効果をもつことが判明し、hyosophorinが胚発生過程よりも受精時に重要な分子である可能性が示唆された。さらに、ゼブラフィッシュhyosophorin(zhyo)の精製と構造決定については、候補分子の精製とその組成分析までは行うことができ、今後の機能解析の基盤を確立することができた。まず、Le^X-gpについては、構造決定には至らなかったものの未知な性質をもつ糖タンパク質Le^X-gpに対する基礎的知見がえられたため。次に、hyosphorinについては、今回初めて試みたノックダウン動物を使用した結果から、糖鎖の重要性を示す結果が得られつつあるから。24年度が最終年度であるため、記入しない。まず、Le^X-gpについては、Le^X関連糖鎖合成プローブ、フコース転移酵素ノックダウンメダカを用いて、機能解析を昨年度に引き続き継続する。新しい試みとして、Le^X構造とE-cadherinの関連性をLe^X-gpとE-cadherinを単独あるいは同時に発現する細胞を入手して明らかにすることによって、Le^X-gpの構造と機能の普遍性と特殊性を解明する。次に、hyosophorinについては、その細胞増殖シグナルの解析を引き続き行う。また、最近確立した囲卵腔注入法(種々の試薬を直接胚胎外の空間に注入する方法)をもちいて、hyosophorin糖鎖特異的抗体の受精時および発生に及ぼす効果を個体レベルで評価する。あらたに、ゼブラフィッシュhyosophorin(zhyo)の精製とそのメダカにおける機能補完の有無を調べる。これらから、貴重な情報が得られると考えている。24年度が最終年度であるため、記入しない。
KAKENHI-PROJECT-22380187
https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-22380187
蛋白質立体構造ダイナミックス情報をX線結晶解析及びNMRの実験から引き出す
蛋白質の機能発現の仕組みを理解するためには、立体構造のダイナミックスに関する知見が必須である。本研究は、X線結晶解析およびNMRの実験データからこれに関する情報を引き出す解析法を開発し、さらにそれを実際の系に適用してダイナミックスに関する情報を得ることを目的としている。第一に、蛋白工学研究所の木寺博士と協力して開発した規準振動概念に基づく新しい蛋白質X線結晶解析を、実際の蛋白質ヒト・リゾチームとその部位特異的変異体に適用し、蛋白質分子中の各原子の非等方的な温度因子や分子の恊奏的運動に関する情報を実際的に引き出し得ることを実証した。さらに、変異に伴う構造と揺らぎの変化に関する情報を得ることによって、構造変化と揺らぎの変化の相関や酵素作用発現の仕組みに関する重要な知見を得た。第二に、X線結晶解析において測定される散漫散乱のデータから構造揺らぎ、特に分子の恊奏的揺らぎに関する新しい情報を得る方法を開発した。第三に、規準振動概念に基づく立体構造ダイナミックス解析法をNMRデータの解析にも適応できるように拡張するために、まず、分子内の二面角の一次の微分小変化に対する分子中の原子のデカルト座標の変化を二次の微分小まで求める表式を導き、これを用いてLipari-Szaboのオーダーパラメターを規準振動から求める方法を開発した。これを用いることにより、NMRデータから蛋白質の平均構造と共に構造揺らぎに関する情報を引き出す実用的な方法を開発するのが次の残された課題である。蛋白質の機能発現の仕組みを理解するためには、立体構造のダイナミックスに関する知見が必須である。本研究は、X線結晶解析およびNMRの実験データからこれに関する情報を引き出す解析法を開発し、さらにそれを実際の系に適用してダイナミックスに関する情報を得ることを目的としている。第一に、蛋白工学研究所の木寺博士と協力して開発した規準振動概念に基づく新しい蛋白質X線結晶解析を、実際の蛋白質ヒト・リゾチームとその部位特異的変異体に適用し、蛋白質分子中の各原子の非等方的な温度因子や分子の恊奏的運動に関する情報を実際的に引き出し得ることを実証した。さらに、変異に伴う構造と揺らぎの変化に関する情報を得ることによって、構造変化と揺らぎの変化の相関や酵素作用発現の仕組みに関する重要な知見を得た。第二に、X線結晶解析において測定される散漫散乱のデータから構造揺らぎ、特に分子の恊奏的揺らぎに関する新しい情報を得る方法を開発した。第三に、規準振動概念に基づく立体構造ダイナミックス解析法をNMRデータの解析にも適応できるように拡張するために、まず、分子内の二面角の一次の微分小変化に対する分子中の原子のデカルト座標の変化を二次の微分小まで求める表式を導き、これを用いてLipari-Szaboのオーダーパラメターを規準振動から求める方法を開発した。これを用いることにより、NMRデータから蛋白質の平均構造と共に構造揺らぎに関する情報を引き出す実用的な方法を開発するのが次の残された課題である。タンパク質の機能発現の仕組みを理解するためには立体構造のダイナミックスに関する知見が必須である。本研究は、X線結晶解析およびNMRの実験データからこれに関する情報を引き出す解析法を開発し、さらにそれを実際の系に適用してダイナミックスに関する情報を得ることを目的としている。第一に、蛋白工学研究所の木寺博士と協力して開発した新しいタンパク質X線結晶解析法を、実際のタンパク質ヒト・リゾチームに適用した。その結果この方法によってタンパク質分子中の協奏的運動に関する情報を実験的に引き出し得ることを実証した。この方法を現在、同じヒト・リゾチームの部位特異的アミノ酸置換体に適用し、変異に伴う構造と揺らぎの変化を明らかにし、物性・機能の変化との相関を考察することを目指している。第二に、X線結晶解析において測定される散漫散乱のデータから構造揺らぎに関する新しい情報を得る方法の開発を目指し、そのために有効な一連の解析法を開発した。第三に、基準振動概念に基づく立体構造ダイナミックス解析法をNMRデータの解析にも適用できるように拡張することを目指して、Lipari-Szaboのオーダーパラメターを基準振動から求める方法を開発した。そのためには、分子内の二面角の一次の微分小変化に対する分子中の原子のデカルト座標の変化を二次の微分小まで求める必要があることが判った。そこでそのための標識を導いた。次にこれを用いてNMRデータの解析法を開発する予定である。蛋白質の機能発現の仕組みを理解するためには、立体構造のダイナミックスに関する知見が必須である。本研究は、X線結晶解析およびNMRの実験データからこれに関する情報を引き出す解析法を開発し、さらにそれを実際の系に適用してダイナミックスに関する情報を得ることを目的としている。第一に、蛋白工学研究所の木寺博士と協力して開発した規準振動概念に基づく新しい蛋白質X線結晶解析を、実際の蛋白質ヒト・リゾチームとその部位特異的変異体に適用し、蛋白質分子中の各原子の非等方的な温度因子や分子の恊奏的運動に関する情報を実験的に引き出し得ることを実証した。さらに、変異に伴う構造と揺らぎの変化に関する情報を得ることによって、構造変化と揺らぎの変化の相関や酵素作用発現の仕組みに関する重要な知見を得た。第二に、X線結晶解析において測定される散漫散乱のデータから構造揺らぎ、特に分子の恊奏的揺らぎに関する新しい情報を得る方法を開発した。
KAKENHI-PROJECT-04453166
https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-04453166
蛋白質立体構造ダイナミックス情報をX線結晶解析及びNMRの実験から引き出す
第三に、規準振動概念に基づく立体構造ダイナミックス解析法をNMRデータの解析にも適用できるように拡張するために、まず、分子内の二面角の一次の微分小変化に対する分子中の原子のデカルト座標の変化を二次の微分小まで求める表式を導き、これを用いてLipari-Szaboのオーダーパラメターを規準振動から求める方法を開発した。これを用いることにより、NMRデータから蛋白質の平均構造と共に構造揺らぎに関する情報を引き出す実用的な方法を開発するのが次の残された課題である。
KAKENHI-PROJECT-04453166
https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-04453166
「ストレス生成モデル」に関する実証的研究
本研究の目的は,Hammen(1991)により提唱された「ストレス生成モデル」(「抑うつ脆弱性をもつ者は,客観的なストレッサーを自ら引き起こしてしまう」とする仮説)を検討することと,この「従来型ストレス生成モデル」を拡張した「拡張型ストレス生成モデル」(「抑うつ脆弱性をもつ者は,客観的なストレッサーが存在しないところで,主観的にストレスを作り出してしまう」とする仮説)を検討することである。平成19年度の成果は以下の通りである。従来型ストレス生成モデルの検討においては,ストレス生成要因として,対人コンピテンスに注目し,さらに,ネガティブなストレッサーだけでなくポジティブなストレッサーにも注目して,大学生を対象として質問紙調査を行った。その結果,対人関係で感情を制御できないとネガティブな対人出来事を経験しやすい傾向にあることと,非言語的コミュニケーションがうまくできたり関係づくりのスキルがあったりするとポジティブな対人出来事を経験しやすいことが示された(日本教育心理学会第50回大会と日本心理臨床学会第27回大会にて発表予定)。拡張型ストレス生成モデルに関しては2つの研究を行った。第1に,現代において問題となっている社会人の職場・仕事ストレスを,拡張型モデルの観点から検討した。その結果,抑うつスキーマ(非合理的な信念)が主観的な仕事ストレスと関係していることが示された(日本心理学会第70回大会にて発表予定)。第2に,約2ヶ月の期間を設けた2時点(2007年11月,2008年1月)の縦断調査を大学生に行った。その結果,1回目の抑うつを統制しても,1回目の抑うつスキーマが2回目の主観的ストレスと関係することが示された。この結果は,1時点の調査の結果では判断できない因果関係を確認できる意義ある結果であり,現在,学会誌に論文投稿するための準備を進めている。本研究の目的は,Hammen(1991,2006)により提唱された「ストレス生成モデル」(「抑うつのリスクのある者は,客観的なストレッサーを自ら引き起こし,抑うつを発症ないし悪化させる」とする仮説)を本邦において検討することと,この「従来型ストレス生成モデル」を拡張した「拡張型ストレス生成モデル」(「抑うつのリスクのある者は,客観的なストレッサーが存在しないにも関わらず,主観的なストレッサー知覚を高めて,自らの主観的環境を自らストレスフルにすることで抑うつを発症ないし悪化させる」とする仮説)を検討することである。平成18年度の研究成果は次の通りである。まず,従来型ストレス生成モデルを検討した。その結果,友人との関係を避けようとする回避行動は友人関係でネガティブな出来事の頻度を高めて抑うつを強めること,友人関係で親切にするなどの向社会的行動は友人関係でポジティブな出来事の頻度を高め抑うつを低めることなどが示された。この成果は,日本心理学会第68回大会において発表された。次に,拡張型ストレス生成モデルを検討した。主要な成果は,次の3つである。第1に,抑うつ的な対人スキーマが中立的な対人状況に対するストレッサー知覚を高めることと,ストレッサー知覚が抑うつと関係することが示された。この成果は,Association for Psychological Science 19th Annual Conventionで発表される(採択済み)。第2に,対人状況に対するストレッサー知覚は,対人領域の抑うつスキーマと関係するが,達成領域の抑うつスキーマとは関係しないこと(ストレス生成の領域特異性)が示された(日本教育心理学会第49回大会で発表予定)。第3に,両極的な愛着スタイルと不安定的な愛着スタイルはストレッサー知覚を高めることが見いだされた(日本心理学会第69回大会で発表予定)。本研究の目的は,Hammen(1991)により提唱された「ストレス生成モデル」(「抑うつ脆弱性をもつ者は,客観的なストレッサーを自ら引き起こしてしまう」とする仮説)を検討することと,この「従来型ストレス生成モデル」を拡張した「拡張型ストレス生成モデル」(「抑うつ脆弱性をもつ者は,客観的なストレッサーが存在しないところで,主観的にストレスを作り出してしまう」とする仮説)を検討することである。平成19年度の成果は以下の通りである。従来型ストレス生成モデルの検討においては,ストレス生成要因として,対人コンピテンスに注目し,さらに,ネガティブなストレッサーだけでなくポジティブなストレッサーにも注目して,大学生を対象として質問紙調査を行った。その結果,対人関係で感情を制御できないとネガティブな対人出来事を経験しやすい傾向にあることと,非言語的コミュニケーションがうまくできたり関係づくりのスキルがあったりするとポジティブな対人出来事を経験しやすいことが示された(日本教育心理学会第50回大会と日本心理臨床学会第27回大会にて発表予定)。拡張型ストレス生成モデルに関しては2つの研究を行った。第1に,現代において問題となっている社会人の職場・仕事ストレスを,拡張型モデルの観点から検討した。その結果,抑うつスキーマ(非合理的な信念)が主観的な仕事ストレスと関係していることが示された(日本心理学会第70回大会にて発表予定)。第2に,約2ヶ月の期間を設けた2時点(2007年11月,2008年1月)の縦断調査を大学生に行った。その結果,1回目の抑うつを統制しても,1回目の抑うつスキーマが2回目の主観的ストレスと関係することが示された。
KAKENHI-PROJECT-18730433
https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-18730433
「ストレス生成モデル」に関する実証的研究
この結果は,1時点の調査の結果では判断できない因果関係を確認できる意義ある結果であり,現在,学会誌に論文投稿するための準備を進めている。
KAKENHI-PROJECT-18730433
https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-18730433
ゴナドトロピンレセプターの構造と機能及びその調節について
LH/hCGレセプターの構造に関する検討では、以下の結果を得た。このレセプターcDNAを一時的に発現させた細胞を用いてホルモンに対する特異性を検討すると、このレセプターがLH,TSH両方のホルモンに結合しさらに、cAMP,PI turn overの上昇が観察された。一方TSHレセプターはLH/hCGとは結合せずTSHと結合してcANP,PI turn overの上昇が見られた。この事実は、卵巣に於けるホルモン分泌に対してTSHが関与する可能性を示唆するものであり、更にLH/hCGレセプターのセカンドメッセンジャーとしてPKCも関与することを示している。これらの事実は、現在までの報告と大きく異なり今後の更なる検討が必要である。LH/hCGレセプターの構造に関しては、思春期早発症をしめす家族性遺伝子異常を発見しレセプターの第3番目の細胞内部分のただ一つのアミノ酸の突然変異により恒常的にホルモン非存在下でテストステロンの合成が上昇する病態を報告した。これは、この分野に於けるレセプター異常症の存在と、レセプターの構造と機能の関連で重要な意味を持ち、今後検討する予定である。FSHレセプターに関してはCHO細胞に導入する事により恒常的に細胞膜上に発現し細胞系を確立し患者血清中のFSHの生物学的活性の測定に応用する事を検討した。測定感度は従来の測定法より改善されるものの正常範囲の検体の測定には、困難があり今後の工夫が要求される。卵胞内の局所生理活性物質の検討からは、Activinはゴナドトロピンレセプターに対して強い誘導作用を持つがこれはcAMPを介さない経路で情報伝達が行われる事を示した。顆粒膜細胞からのRNA抽出の分析から、この細胞にアクチビンのレセプターが存在する事も示した。LH/hCGレセプターの構造に関する検討では、以下の結果を得た。このレセプターcDNAを一時的に発現させた細胞を用いてホルモンに対する特異性を検討すると、このレセプターがLH,TSH両方のホルモンに結合しさらに、cAMP,PI turn overの上昇が観察された。一方TSHレセプターはLH/hCGとは結合せずTSHと結合してcANP,PI turn overの上昇が見られた。この事実は、卵巣に於けるホルモン分泌に対してTSHが関与する可能性を示唆するものであり、更にLH/hCGレセプターのセカンドメッセンジャーとしてPKCも関与することを示している。これらの事実は、現在までの報告と大きく異なり今後の更なる検討が必要である。LH/hCGレセプターの構造に関しては、思春期早発症をしめす家族性遺伝子異常を発見しレセプターの第3番目の細胞内部分のただ一つのアミノ酸の突然変異により恒常的にホルモン非存在下でテストステロンの合成が上昇する病態を報告した。これは、この分野に於けるレセプター異常症の存在と、レセプターの構造と機能の関連で重要な意味を持ち、今後検討する予定である。FSHレセプターに関してはCHO細胞に導入する事により恒常的に細胞膜上に発現し細胞系を確立し患者血清中のFSHの生物学的活性の測定に応用する事を検討した。測定感度は従来の測定法より改善されるものの正常範囲の検体の測定には、困難があり今後の工夫が要求される。卵胞内の局所生理活性物質の検討からは、Activinはゴナドトロピンレセプターに対して強い誘導作用を持つがこれはcAMPを介さない経路で情報伝達が行われる事を示した。顆粒膜細胞からのRNA抽出の分析から、この細胞にアクチビンのレセプターが存在する事も示した。
KAKENHI-PROJECT-05671353
https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-05671353