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大豆ペクチンメチルエステラーゼと煮豆の硬度との関係に関する遺伝学的・形態学的研究 | 煮豆や納豆等大豆加工食品では、加工の過程で加熱処理により調製する煮豆(蒸煮大豆)は柔らかいほうが好ましいとされている。申請者らの研究成果より、大豆のペクチンメチルエステラーゼ(PME)遺伝子であるGlyma03g03360が煮豆の子葉の硬さに大きく影響を及ぼすことが明らかとなった。しかし、その後の研究で、煮豆の種皮の硬度や種子保存中の煮豆の硬度変化には別のPMEが関与する可能性が示唆された。そこでGlyma03g03360以外のPME遺伝子変異体や、変異体と既存品種との交配後代等を用いて、煮豆種皮の硬度や、種子の保存中の煮豆硬度変化との関係を明らかにするとともに有望な育種素材を作出する。煮豆や納豆等大豆加工食品では、加工の過程で加熱処理により調製する煮豆(蒸煮大豆)は柔らかいほうが好ましいとされている。申請者らの研究成果より、大豆のペクチンメチルエステラーゼ(PME)遺伝子であるGlyma03g03360が煮豆の子葉の硬さに大きく影響を及ぼすことが明らかとなった。しかし、その後の研究で、煮豆の種皮の硬度や種子保存中の煮豆の硬度変化には別のPMEが関与する可能性が示唆された。そこでGlyma03g03360以外のPME遺伝子変異体や、変異体と既存品種との交配後代等を用いて、煮豆種皮の硬度や、種子の保存中の煮豆硬度変化との関係を明らかにするとともに有望な育種素材を作出する。 | KAKENHI-PROJECT-19K05985 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-19K05985 |
薬物依存成立の共通発現機序の同定とその遺伝子治寮への応用 | 本研究では、薬物依存形成過程に共通するL型高電位開口性カルシウムチャネル(HVCC)の機能亢進の機序解析と、薬物依存の遺伝子治療への応用を試みる目的で、薬物依存形成時におけるL型HVCC subunitの発現調節機序と依存状態の関連性について検討した。諸種の薬物依存モデル動物あるいは依存性薬物を連続曝露した神経細胞を用い、脳内L型HVCCの機能変化の共通性および相違点について検討したところ、精神および身体依存を誘発する依存性薬物ではその種類に関係なく共通にL型HVCCの機能亢進を誘導するが、その発現様式には明らかな相違が認められた。この薬物依存成立過程において認められるHVCCの機能変化には、L型HVCCα1subunitのリン酸化に伴う調節は関与しないこと、細胞内リアノジン受容体(RyR)機能元進に伴う細胞内Ca^<2+>濃度の上昇(Ca^<2+>-induced Ca^<2+> release ; CICR)が重要な役割を担っていることが判明した。さらに、細胞内RyR遮断薬を前処置した動物では、依存性薬物による報酬効果が減弱・消失することを初めて明らかにしたが、身体依存の成立を抑制することはできなかった。L型HVCCの機能調節に連関する諸種の細胞内機能性蛋白の発現・動態変化について検討したところ、細胞内Ca^<2+>センサー蛋白(NCS-1)の有意な細胞内局在の変化が、細胞内RyRの機能亢進に先行して生じることが明らかとなった。本研究の結果から、依存性薬物によるL型HVCCの機能亢進を介した細胞内Ca^<2+>の動態変化が薬物依存形成に重要な役割を担っているものと考えられ、またこれら疾患に至る神経化学的な共通経路としてL型HVCCの発現変化が極めて重要であることが判明した。さらに、身体依存にみられるL型HVCCの発現変化の機序は精神依存の場合とは異なる様式であることが判明した。本研究では、薬物依存形成過程に共通するL型高電位開口性カルシウムチャネル(HVCC)の機能亢進の機序解析と、薬物依存の遺伝子治療への応用を試みる目的で、薬物依存形成時におけるL型HVCC subunitの発現調節機序と依存状態の関連性について検討した。諸種の薬物依存モデル動物あるいは依存性薬物を連続曝露した神経細胞を用い、脳内L型HVCCの機能変化の共通性および相違点について検討したところ、精神および身体依存を誘発する依存性薬物ではその種類に関係なく共通にL型HVCCの機能亢進を誘導するが、その発現様式には明らかな相違が認められた。この薬物依存成立過程において認められるHVCCの機能変化には、L型HVCCα1subunitのリン酸化に伴う調節は関与しないこと、細胞内リアノジン受容体(RyR)機能元進に伴う細胞内Ca^<2+>濃度の上昇(Ca^<2+>-induced Ca^<2+> release ; CICR)が重要な役割を担っていることが判明した。さらに、細胞内RyR遮断薬を前処置した動物では、依存性薬物による報酬効果が減弱・消失することを初めて明らかにしたが、身体依存の成立を抑制することはできなかった。L型HVCCの機能調節に連関する諸種の細胞内機能性蛋白の発現・動態変化について検討したところ、細胞内Ca^<2+>センサー蛋白(NCS-1)の有意な細胞内局在の変化が、細胞内RyRの機能亢進に先行して生じることが明らかとなった。本研究の結果から、依存性薬物によるL型HVCCの機能亢進を介した細胞内Ca^<2+>の動態変化が薬物依存形成に重要な役割を担っているものと考えられ、またこれら疾患に至る神経化学的な共通経路としてL型HVCCの発現変化が極めて重要であることが判明した。さらに、身体依存にみられるL型HVCCの発現変化の機序は精神依存の場合とは異なる様式であることが判明した。本研究では、薬物依存形成過程に共通するL型高電位開口性カルシウムチャネル(HVCC)の機能亢進の機序解析と、薬物依存の遺伝子治療への応用を試みる目的で、本年度は薬物依存形成時および退薬症候発現時におけるL型HVCC subunitの発現調節と依存状態の関連性について検討した。諸種の薬物依存モデル動物あるいは依存性薬物を連続曝露した神経細胞を用い、脳内L型HVCCの機能変化の共通性および相違点について検討したところ、身体依存を誘発する依存性薬物ではその種類に関係なく共通にα1およびα2/δsubunitの発現増加を誘導するが、βsubunit発現は依存性薬物の種類により固有の発現変化を示した。薬物依存成立時あるいはその退薬後に見られる症状は、依存性薬物の種類に関係なく極めて類似していることから、これら疾患に至る神経化学的な共通経路としてL型HVCC α1およびα2/δsubunitの発現変化が極めて重要であることが判明した。さらに、神経細胞におけるHVCC subunitの発現調節と依存状態の経時変化ついても検討したところ、薬物依存の成立に先行してHVCCの機能変化が生じること、またその機能変化にはHVCC機能の調節機構の1つとして考えられているL型HVCC α1 subunitのリン酸化に伴う調節によるものではないことが判明した。さらに、L型HVCC機能の調節に連関する諸種の細胞内機能性蛋白の発現・動態変化について検討したところ、細胞内calcium sensor蛋白の有意な細胞内局在の変化が観察された。本研究の結果から、依存性薬物によるL型HVCC α1 subunitの発現増加を介した細胞内Ca^<2+>の動態変化が薬物依存形成に重要な役割を担っているものと考えられる。 | KAKENHI-PROJECT-16590212 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-16590212 |
薬物依存成立の共通発現機序の同定とその遺伝子治寮への応用 | 本研究では、薬物依存形成過程に共通するL型高電位開口性カルシウムチャネル(HVCC)の機能亢進の機序解析と、薬物依存の遺伝子治療への応用を試みる目的で、昨年度に続き薬物依存形成時におけるL型HVCC subunitの発現調節機序と依存状態の関連性について検討した。諸種の薬物依存モデル動物あるいは依存性薬物を連続曝露した神経細胞を用い、脳内L型HVCCの機能変化の共通性および相違点について検討したところ、精神および身体依存を誘発する依存性薬物ではその種類に関係なく共通にL型HVCCの機能亢進を誘導するが、その発現様式には明らかな相違が認められた。この薬物依存成立過程において認められるHVCCの機能変化には、L型HVCC α1 subunitのリン酸化に伴う調節は関与しないこと、細胞内リアノジン受容体(RyR)機能亢進に伴う細胞内Ca^<2+>濃度の上昇(Ca^<2+>-induced Ca^<2+> release)が重要な役割を担っていることが判明した。さらに、細胞内RyRを一過性に機能抑制させた動物では、依存性薬物による報酬効果が減弱・消失することが初めて観察されたが、身体依存の成立を抑制することはできなかった。L型HVCCの機能調節に連関する諸種の細胞内機能性蛋白の発現・動態変化について検討したところ、細胞内Ca^<2+>センサー蛋白(NCS-1)の有意な細胞内局在の変化が、細胞内RyRの機能亢進に先行して生じることが明らかとなった。本研究の結果から、依存性薬物によるL型HVCCの機能亢進を介した細胞内Ca^<2+>の動態変化が薬物依存形成に重要な役割を担っているものと考えられ、またこれら疾患に至る神経化学的な共通経路としてL型HVCCの発現変化が極めて重要であることが判明した。さらに、身体依存にみられるL型HVCCの発現変化の機序は精神依存の場合とは異なる様式であることが判明した。 | KAKENHI-PROJECT-16590212 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-16590212 |
質量分析ナノーディラトメトリによる中性子照射欠陥の回復及び生成ガスの放出挙動 | 核融合炉や核分裂炉においては、各種セラミックスが使用されている。セラミックスの中性子照射損傷はその結晶構造特性に著しく影響されることが分かってきたが、その本質である生成欠陥の特定、それらの回復機構は必ずしも明らかではなく、セラミックスの中性子照射損傷の統一的な解釈は得られていない。さらに、核変換で生成するヘリウムが、はじき出しによる格子欠陥と相互作用をして複雑な挙動を示すと想定される。本研究では、照射済み各種セラミックスを質量分析装置を組み合わせた高精度熱膨張計を用いて長さの回復挙動を精密に解析することにより、生成した格子欠陥の種類と熱安定性を明らかにした。核融合炉や核分裂炉においては、各種セラミックスが使用されている。セラミックスの中性子照射損傷はその結晶構造特性に著しく影響されることが分かってきたが、その本質である生成欠陥の特定、それらの回復機構は必ずしも明らかではなく、セラミックスの中性子照射損傷の統一的な解釈は得られていない。さらに、核変換で生成するヘリウムが、はじき出しによる格子欠陥と相互作用をして複雑な挙動を示すと想定される。本研究では、照射済み各種セラミックスを質量分析装置を組み合わせた高精度熱膨張計を用いて長さの回復挙動を精密に解析することにより、生成した格子欠陥の種類と熱安定性を明らかにした。本研究では、種々の条件で中性子照射した炭化ケイ素を始めとする各種セラミックスについて、質量分析装置を付加した超精密熱膨張計を用いて、徐々に昇温しながら、高温で長さ(体積)変化とその時のヘリウムなどのガス放出を同時にその場測定し、核変換ガスの挙動を含めた照射欠陥の回復挙動、すなわち安定性を明らかにすることを目的とする。本年度の研究実績を次に示す。1)非密封放射性物質取扱施設に設置されている超高精度熱膨張計に、質量分析装置を新規に購入して連結した。精度の維持のため、空調設備の有る部屋の、除振台の上に設置した。2)材料試験炉で中性子照射したSiC、SiAlONおよびSi_3N_4等について、長さ測定、格子定数測定を行った。また低温から順次高い温度に電気炉にょり等時アニールを行い、室温にもどしてその変化を観察した。3)2)に示した同一照射条件の試料を、超高精度熱膨張計を用いて、ある一定温度に昇温後、その温度に6時間以上一定に保ち、長さの時間変化を1ナノメートル感度で検出した。ついで、温度を少し昇温し、試料長が照射以前の長さに戻るまで順次温度を上昇しながら繰り返し測定した。4)測定温度範囲全体について変化の活性化エネルギーを求め、欠陥回復機構および温度によるその変化を明らかにした。5)すでに日本原子力研究所の材料試験炉で中性子照射した焼結助剤としてホウ素を添加したSiC焼結体と、ホウ素以外の助剤を添加したSiC焼結体に関して、本研究で組み立てる放出ガスの質量分析が同時に測定可能な超高精度膨張計を用いて、照射後アニールによる長さ変化とヘリウム放出速度を高温において、"その場"連続同時測定し、放出ガスの質量分析と長さ測定の同時計測が可能なことを確認した。本研究では、種々の条件で中性子照射した炭化ケイ素を始めとする各種セラミックスのついて、質量分析装置を付加した超精密熱膨張計を用いて、徐々に昇温しながら、高温で長さ(体積)変化とその時のヘリウムなどのガス放出を同時にその場測定し、核変換ガスの挙動を含めた照射欠陥の回復挙動、すなわち欠陥の安定性を明らかにすることを目的とする。本年度の研究実績を次に示す。1)東工大に輸送した、東北大学金属材料研究所附属量子エネルギー材料科学国際研究センターの共同利用にて中性子照射した炭化ケイ素(SiC)およびその複合材、炭化ケイ素焼結に用いる各種酸化物等各種セラミックスについて、引き続き長さ測定(スウェリング測定)、格子定数測定(X線回折装置)を行った。2)1)に示した同一照射条件の試料を、質量分析装置付き超高精度熱膨張計を用いて、ある一定温度に昇温後、その温度に3時間以上一定に保ち、長さの時間変化を1ナノメートル感度で検出した。ついで、温度を少し昇温し、同様な測定繰り返す。これを、試料長が照射以前の長さに戻るまで順次温度を上昇しながら繰り返し測定すた。3)測定温度範囲全体について、各温度での長さの時間変化から、回復の活性化エネルギーを求め、欠陥回復機構および温度によるその変化を明らかにした。4)精密熱膨張計に質量分析装置を結合して、ヘリウムの検出感度と測定条件について種々検討し、検量線を得た。JOYO高速実験炉で制御材として使用されたヘリウム生成量の多い試料である照射済みの炭化ホウ素(B4C)粉末を用いて、昇温と同時にヘリウム放出量連続測定を行ったところ、昇温過程の800°C以上において、ヘリウムが検出され、本研究で提案した手法により、熱膨張回復とヘリウム放出の同時測定が可能なことを明らかにした。本研究では、種々の条件で中性子照射した炭化ケイ素を始めとする各種セラミックスのついて、質量分析装置を付加した超精密熱膨張計を用いて、徐々に昇温しながら、高温で長さ(体積)変化とその時のヘリウムなどのガス放出を同時にその場測定し、核変換ガスの挙動を含めた照射欠陥の回復挙動、すなわち欠陥の安定性を明らかにすることを目的とする。本年度の研究実績を次に示す。 | KAKENHI-PROJECT-23360424 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-23360424 |
質量分析ナノーディラトメトリによる中性子照射欠陥の回復及び生成ガスの放出挙動 | 1)昨年度に東工大に輸送した、日本原子力研究開発機構で中性子照射を行った炭化ケイ素(SiC)、窒化ケイ素(Si3N4)、サイアロン(SiAlON)等各種セラミックスについて、引き続き長さ測定(スウェリング測定)、格子定数測定(X線回折装置)、及び熱拡散率測定(熱定数測定装置)を行った。2)1)に示した同一照射条件の試料を、昨年度に設置した質量分析装置付き超高精度熱膨張計を用いて、ある一定温度に昇温後、その温度に3時間以上一定に保ち、長さの時間変化を1ナノメートル感度で検出した。ついで、温度を少し昇温し、同様な測定を繰り返す。これを、試料長が照射以前の長さに戻るまで順次温度を上昇しながら繰り返し測定すた。3)測定温度範囲全体について長さの時間変化から、回復の活性化エネルギーを求め、欠陥回復機構および温度によるその変化を明らかにした。4)質量分析装置について、ヘリウムの検出感度と測定条件について種々検討し、検量線を得た。長さ測定と同時に、ヘリウム放出量連続測定を行ったが、今回測定の試料においては、単位時間当たりの放出量が極めて少なく、検出感度以下であることが分かった。今後は、試料形態や昇温速度を変化させて、実験を進める。本研究の目的とする、中性子照射後のセラミックスの回復過程において、スウェリング回復過程と核変換ガス、特にヘリウムの放出の関連を検出することを試みるため、新たに質量分析装置を購入し、既存設備に連結して組み立て、本装置が正常に動作することを確認できた。ヘリウムの検出感度の確認がやや遅れているので、24年度当初に実施する予定である。25年度が最終年度であるため、記入しない。本研究の目的は、中性子照射後のセラミックスの回復過程において、スウェリングの回復機構と核変換生成ガス原子、特にヘリウムの放出量の関連を調べることであるが、23年度に購入した質量分析装置と精密熱膨張計の連結は確認できた。ヘリウムの検出感度と測定条件について種々検討し、検量線を得たが、試料中に生成していると想定されるヘリウム量と、その温度変化に伴う放出量は極めて少なく、今回用いた試料に関しての長さ測定とヘリウム放出の同時測定はかなり難しいことが分かってきた。今後は、ヘリウム生成量のより多い試料で測定条件も勘案して、引き続き計測を行う予定である。24年度当初において、ヘリウム生成量が分かっている試料を用いて、ヘリウムガスの検出感度の確認を行う。その後、計画通り、長さ測定とのその場連動計測を行う。25年度が最終年度であるため、記入しない。今後は、炭化ホウ素などヘリウム生成量のより多い試料で測定条件も勘案して、引き続き計測を行う予定である。バルクでの測定が困難な場合には、粉末試料を用いて、温度条件だけを揃えた測定に切り替える。精密熱膨張計による長さ(体積)変化の測定は順調であり、酸化物を含めた各種セラミックスの測定を順次進める予定である。 | KAKENHI-PROJECT-23360424 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-23360424 |
読書紹介の活動を通して中学生の読書意欲を高める実践的研究 | 1.実践授業の概要「『わたしの一冊』を紹介しよう」-後輩達に図書室の本を紹介しよう-第1次作品の選定・紹介する方法や内容の検討をする。...4時間第2次読書案内冊子の作成...3時間第3次活動についての振り返り...2時間2.成果と課題これまでも読書を勧める情報発信の方法として,スビーチや紹介ポスターなど様々なスタイルを用いてきた。ぞの中で出てきた課題を次の目標に設定するという形で学習を積み上げ,今回の授業につなげていった。今回,後輩達へ贈る読書案内の冊子作りにおいて,生徒は意欲的に取り組み,活動に対する自己評価も高かった。その理由として,「日頃の読書が生かせたこと」「活動の目的が明確であったこと」「冊子を読んだ相手の反応から達成感が味わえたこと」が挙げられる。また,冊子を読んだ生徒の感想も「身近な人のすすめだったので興味がわいた。」「『この本面白そう!』と思える本がたくさんあった。」などの評価を得,図書の貸出し冊数は,読書案内冊子発行前後3ヶ月を比較すると,2.3倍(497冊)に増えていた。読書指導に「紹介活動」を取り入れることで,紹介する側,される側双方の読書意欲を高めることができた。ただ,その意欲を継続的なものにするためには,「紹介活動」が教室の中だけで行われるのではなく,日常生活の中で当たり前に行われるものへと発展させていく必要があり,さらなる取組みが必要であろう。新学習指導要領においても,読書指導の重要性は増すばかりである。読書指導を行った時期は読書量も増える実態からみると,「読書をする目的」や「読書したくなる環境」を教師が作りだすことで,中学生の読書意欲を喚起することは十分可能であると考える。1.実践授業の概要「『わたしの一冊』を紹介しよう」-後輩達に図書室の本を紹介しよう-第1次作品の選定・紹介する方法や内容の検討をする。...4時間第2次読書案内冊子の作成...3時間第3次活動についての振り返り...2時間2.成果と課題これまでも読書を勧める情報発信の方法として,スビーチや紹介ポスターなど様々なスタイルを用いてきた。ぞの中で出てきた課題を次の目標に設定するという形で学習を積み上げ,今回の授業につなげていった。今回,後輩達へ贈る読書案内の冊子作りにおいて,生徒は意欲的に取り組み,活動に対する自己評価も高かった。その理由として,「日頃の読書が生かせたこと」「活動の目的が明確であったこと」「冊子を読んだ相手の反応から達成感が味わえたこと」が挙げられる。また,冊子を読んだ生徒の感想も「身近な人のすすめだったので興味がわいた。」「『この本面白そう!』と思える本がたくさんあった。」などの評価を得,図書の貸出し冊数は,読書案内冊子発行前後3ヶ月を比較すると,2.3倍(497冊)に増えていた。読書指導に「紹介活動」を取り入れることで,紹介する側,される側双方の読書意欲を高めることができた。ただ,その意欲を継続的なものにするためには,「紹介活動」が教室の中だけで行われるのではなく,日常生活の中で当たり前に行われるものへと発展させていく必要があり,さらなる取組みが必要であろう。新学習指導要領においても,読書指導の重要性は増すばかりである。読書指導を行った時期は読書量も増える実態からみると,「読書をする目的」や「読書したくなる環境」を教師が作りだすことで,中学生の読書意欲を喚起することは十分可能であると考える。 | KAKENHI-PROJECT-20902008 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-20902008 |
建築技術史における日本古代設計技術の復元研究 | 本研究は、古代社会における建築造営史の構築を全体構想に据えつつ、奈良時代を中心に建造物が設計される際に用いられた計画技術(設計技術)の復元を目的とする。研究は史料と遺構のふたつを対象として進め、史料は『正倉院文書』の造石山寺所関係文書を扱い、記録された建材の整理をた。たをつの材に目し、のをて、が計画されるを復元した。遺構もの技術に着目し、現存する古代の材の確認と測量調査を実施した。本研究は、古代社会における建築造営史の構築を全体構想に据えつつ、奈良時代を中心に建造物が設計される際に用いられた計画技術(設計技術)の復元を目的とする。研究は史料と遺構のふたつを対象として進め、史料は『正倉院文書』の造石山寺所関係文書を扱い、記録された建材の整理をた。たをつの材に目し、のをて、が計画されるを復元した。遺構もの技術に着目し、現存する古代の材の確認と測量調査を実施した。本研究課題は、古代社会における建築造営史の解明を構想に据えつつ、奈良時代の日本において建造物が設計される際に用いられた計画技術(設計技術)の復元を目的とするものである。本年度は、研究初年度として、既往研究の確認・整理を踏まえ、文献研究、遺構研究を行った。1.文献研究建材の詳細な寸法値が残る史料として、『正倉院文書』に残る天平宝字期の石山寺造営記録を考察対象とし、造形記録からの設計技術の復元を試みた。同史料についてはこれまで約千三百余りの建材について寸法値や製材・運搬過程の整理を進めてきたが、本年度は建築の具体像について部分的復元を行った。中心的建造物であった「仏堂」(本堂)を主とし、特に軒形式に着目し、棉梠(木負・茅負)、架(垂木)、角木(隅木)について、寸法・部材数・収納時期の史料の整理を行い、復元した。史料記録に混乱があり解釈に幅があるため、従来と異なる見解を導き、成果の一部を学術論文として投稿した。造営全体、具体的な建築全形の復元について、今後も継続して分析・考察を行ってゆく。2.遺構研究現存遺構と既往研究を設計技術の観点から整理し、未解明な点が多く残されている海龍王寺五重小塔を対象として設計技術の復元を試みた。未解明な点が多いのは、後世に確立した計画法が見られない以上に、整合性や統一性のある計画概念が不明瞭であるよう見受けられることによる。本年度は寸法値の整理を行い、基本となる規模計画から検討を開始し、2011年3月には現地での確認調査を実施した。本研究については、調査結果の分析を含め、継続して考察を行ってゆく。本研究課題は、古代社会における建築造営史の解明を構想に据えつつ、奈良時代の日本において建造物が設計される際に用いられた計画技術(設計技術)の復元を目的とするものである。本年度は、研究2年目として、昨年度までの研究成果を踏まえ、文献研究、遺構研究を行った。1.文献研究建材の詳細な寸法値が残る史料として、『正倉院文書』に残る天平宝字期の石山寺造営記録を考察対象とし、造形記録からの設計技術の復元を試みた。同史料についてはこれまで約千三百余りの建材について数量・寸法値や、製材・運搬過程の整理を進めてきたが、本年度は改めて製材過程の整理と復元分析を実施した。その結果、技術的な知識を有し、建材作成の指導や作業に携わった職掌の人物を新たに比定することができ、技術情報の伝達の流れを示して学術論文として投稿した。造営過程の全体、具体的な建築形態の復元について、今後も継続して分析・考察を行ってゆく。2.遺構研究現存遺構と既往研究を設計技術の観点から整理し、未解明な点が多く残されている海龍王寺五重小塔を対象として設計技術の復元を試みた。未解明な点が多いのは、中世や近世における設計技術の計画方法が当てはまらない以上に、整合性や統一性のある計画概念が不明瞭であると見受けられることによる。本年度は、前年度からの継続課題として現地調査を再び実施し、非接触型調査であることを条件に、仕様や風蝕等の視認調査、記録写真の撮影、光波測量による外寸測量、三次元デジタルデータのスキャニング等を行った。視認調査では、補修や材料の交換を確認することができ、特に下層部や正面にあたる東面には新材使用が多くあることが判明した。また、計画技法については、垂木割が左右対称ではない層もある点などを確認できた。三次元デジタルデータの情報工学的なデータ処理作業には時間を要するため、今後は具体的な形状分析から検証を行う。 | KAKENHI-PROJECT-22700843 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-22700843 |
新規非侵襲的イメージング法による受精における卵子微絨毛とCD9分子の機能解析 | 本研究では、卵子微絨毛とCD9分子に注目し、(1)微絨毛欠損卵子の受精能解析、と(2)非侵襲的イメージング法による微絨毛の可視化を目指した。結果、(1)微絨毛関連遺伝子群を欠損したマウスを作りその卵子が不妊になる可能性を証明した。(2)受精ライブセルイメージング系の開発に成功し微絨毛の可視化を実現した。また、この応用から、受精必須因子を通して精子と卵子の融合過程を可視化することに初めて成功した。本研究では、卵子微絨毛とCD9分子に注目し、(1)微絨毛欠損卵子の受精能解析、と(2)非侵襲的イメージング法による微絨毛の可視化を目指した。結果、(1)微絨毛関連遺伝子群を欠損したマウスを作りその卵子が不妊になる可能性を証明した。(2)受精ライブセルイメージング系の開発に成功し微絨毛の可視化を実現した。また、この応用から、受精必須因子を通して精子と卵子の融合過程を可視化することに初めて成功した。受精は、次世代に遺伝子を伝達するという生物にとって極めて重要な過程だが、分子生物学的な機構について未知の部分が多い。本研究では、卵子微絨毛に存在し、受精に必須なCD9分子の機能について、(1)遺伝子改変により微絨毛欠損卵子を作製し、受精能を解析する(2)非侵襲的イメージング法により受精における微絨毛やCD9分子の挙動を解析することにより、CD9の機能を解明するのが目的である。本研究は、(1)遺伝子ノックアウト(KO)マウスを用いたmicrovilli欠損卵子の解析(2)受精時におけるCD9分子の動態に関する解析、の二つの主軸からなる。このうち今年度は、(1)について、計画通りI-plastin遺伝子ホモKO個体を作出し、卵子microvilliの状態を観察した。この結果、I-Plastin KOでは、微絨毛の構造に変化が見られる一方で受精が進行することが明らかとなった。次に、ezrin遺伝子について、Cre-LoxP系を用いたコンディショナルKOマウスの生殖細胞を入手し、個体をICSI法により作出した。また、卵子特異的Cre発現マウスとの交配により、卵子特異的にezrinを欠損させたマウスを作出することができた。(2)については、野生型マウス卵子をいて受精観察ライブセルイメージングの条件を設定した。また、CD9-GFPのみを卵子上に持つマウスの繁殖と受精時の卵子の観察を行うため、CD9 KOマウスに対し、交配によりCD9-GFPを導入したマウスを作出した。また、精子の先体反応の状態を可視化できるマウスについて繁殖と精子の観察を行い、これらの組み合わせにより受精の瞬間と微絨毛を可視化する実験系を構築した。受精は、次世代に遺伝子を伝達する生物にとって極めて重要な過程だが、分子生物学的な機構について未知の部分が多い。本研究では、卵子微絨毛上に存在し、受精に必須なCD9分子の機能に注目し、(1)遺伝子改変により微絨毛欠損卵子を作製しその受精能を解析し、(2)非侵襲的イメージング法により受精における微絨毛やCD9分子の挙動を可視化することで、その機能を解明するのが目的である。本研究は、(1)遺伝子ノックアウト(KO)マウスを用いたmicrovilli欠損卵子の解析(2)受精時におけるCD9分子の動態に関する解析、の二つの主軸からなる。今年度までの研究で、このうち、(1)のKOマウスの研究では、微絨毛に関連する複数の遺伝子を卵子特異的に欠損したダブルKOマウスの作出を経て、このマウスの卵子が不妊になる可能性を強く示唆することができた。(2)については、昨年度開発した受精ライブセルイメージングの実験系とCD9-GFP導入マウスを用いて、卵子上の微絨毛のダイナミクスを可視化することに成功した。この結果、生きた卵子上のCD9-GFPの挙動が予想よりも活発であり、受精する前の精子の状態に応じて選択的に結合する可能性を示唆することができた。また、この技術を応用して、精子側の受精必須因子であるIzumoが先体膜の崩壊時に精子頭部外面に移動する仕組みと、卵子との融合時にその融合特異部分で最初に失われていく状態を可視化することができた(論文投稿中)。 | KAKENHI-PROJECT-21870021 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-21870021 |
人癌増殖局所における免疫応答の解析 | 人癌増殖局所に浸潤するリンパ球の機能を解析し、癌患者の自家癌に対する免疫反応を証明し、その機序を明かにせんとした。1.乳癌、膵癌など数例の癌症例において、先ず癌細胞を培養株化し、一方その患者の癌組織または胸膜浸潤、腹膜浸潤のある例の胸水腹水よりリンパ球を分離し、FACSアナライザーで表面形質を検討した。分離リンパ球はT細胞が多く、Len-2陽性細胞が優越する。2.分離リンパ球の機能、その培養、クローン化:現在までに、癌細胞を培養し、同一患者リンパ球を1L-2加、癌細胞抗原刺激により長期培養し得たのは乳癌4例、膵癌2例、胸癌3例、子宮頸癌2例である。このうち乳癌の1例、HMC-1は、自家癌に対して特異的なキラー活性を示すT細胞をクローン化することができたので、これについて更に検索した。他の症例では、培養T細胞は何れもNK活性、LAK活性を示した。3.自家癌抗原認識機構の解析:HMC-1癌活性に対する自家癌特異的キラーT細胞クローンについて、モノクローナル抗体T3、T4、T8を用いてcompetitive inhibition assayを行った。T3、T8処理で明かな抑制があり、キラーT細胞による特異的癌抗原認識にはT3、T8抗原が関与していることが示唆された。4.HMC-1のブタノール抽出抗原(CBE)刺激によって、キラーT細胞クローンのキラー活性はdose dependentに上昇した。このことは癌細胞のCBE抗原が自己キラーT細胞の認識あるいは破壊の対象であることを示唆する。5.自家癌拒絶抗原と考えられるCBE抗原をSephadex Ct200で分画し、各画分についてキラー活性誘導能を検索した所、Fraction3、4の分子量20万前後に高いキラー活性誘導能を認めた。現在その生化学的純晃と、これに対応するT細胞クローンのレセプターを検索している。人癌増殖局所に浸潤するリンパ球の機能を解析し、癌患者の自家癌に対する免疫反応を証明し、その機序を明かにせんとした。1.乳癌、膵癌など数例の癌症例において、先ず癌細胞を培養株化し、一方その患者の癌組織または胸膜浸潤、腹膜浸潤のある例の胸水腹水よりリンパ球を分離し、FACSアナライザーで表面形質を検討した。分離リンパ球はT細胞が多く、Len-2陽性細胞が優越する。2.分離リンパ球の機能、その培養、クローン化:現在までに、癌細胞を培養し、同一患者リンパ球を1L-2加、癌細胞抗原刺激により長期培養し得たのは乳癌4例、膵癌2例、胸癌3例、子宮頸癌2例である。このうち乳癌の1例、HMC-1は、自家癌に対して特異的なキラー活性を示すT細胞をクローン化することができたので、これについて更に検索した。他の症例では、培養T細胞は何れもNK活性、LAK活性を示した。3.自家癌抗原認識機構の解析:HMC-1癌活性に対する自家癌特異的キラーT細胞クローンについて、モノクローナル抗体T3、T4、T8を用いてcompetitive inhibition assayを行った。T3、T8処理で明かな抑制があり、キラーT細胞による特異的癌抗原認識にはT3、T8抗原が関与していることが示唆された。4.HMC-1のブタノール抽出抗原(CBE)刺激によって、キラーT細胞クローンのキラー活性はdose dependentに上昇した。このことは癌細胞のCBE抗原が自己キラーT細胞の認識あるいは破壊の対象であることを示唆する。5.自家癌拒絶抗原と考えられるCBE抗原をSephadex Ct200で分画し、各画分についてキラー活性誘導能を検索した所、Fraction3、4の分子量20万前後に高いキラー活性誘導能を認めた。現在その生化学的純晃と、これに対応するT細胞クローンのレセプターを検索している。 | KAKENHI-PROJECT-60218030 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-60218030 |
ヒトNK細胞が増殖する新規ヒト化マウスによるin vivo細胞傷害性試験系の開発 | ヒト造血幹細胞移植後ヒトNK細胞が優位に分化したNOG-hIL-2 TgマウスにヒトCCR4陽性腫瘍株L428を移植し、抗CCR4抗体を投与することで抗体依存性細胞傷害活性を評価し得るin vivo ADCCモデルを確立した。ヒトNK細胞の成熟度を向上させるためNOG-hIL-15 Tgマウスを樹立した。NOG-hIL-15 Tgマウスは、ヒト造血幹細胞を移植するとヒト成熟NK細胞が顕著に分化・増幅し、また、ヒト血液由来成熟NK細胞を移植すると増幅し3カ月以上維持され、ヒト腫瘍株K562に対する細胞傷害活性も認められたことから、生体内でのヒトNK細胞の解析に適した系統だと考えられた。申請者らが開発した、ヒトインターロイキン-2(IL-2)遺伝子を導入したNOG-hIL-2 Tgマウスはヒト造血幹細胞を移植してヒト化すると、ヒト腫瘍細胞を傷害する能力のある機能的なNK細胞が劇的に分化する。本研究では、ヒト化NOG-hIL-2 Tgマウスを使い、in vivoでヒトNK細胞によって引き起こされる抗体依存性細胞傷害(ADCC)活性を検証することが可能となる細胞傷害試験系の作製を試みる。平成25年度は、NOG-hIL-2 Tgマウスへ既存のヒト腫瘍細胞株および抗体医薬品を多様に組み合わせて移植・投与することで、in vivoでの細胞傷害試験に最適と考えられる細胞・抗体の組み合わせを決定できた。この細胞・抗体をヒト造血幹細胞を移植してヒト化したNOG-hIL-2 Tgマウスに用いた結果、ヒトNK細胞に起因すると考えられる腫瘍抑制効果(ADCC活性)を確認することができた。本研究課題の目的は、ヒト腫瘍細胞を傷害する能力を有する機能的ヒトNK細胞が劇的に分化するマウスを作製し、ヒトNK細胞の抗体依存性細胞傷害(ADCC)活性をin vivoで検証することが可能となる実験システムを確立することである。申請者らが開発したヒトインターロイキン-2(hIL-2)遺伝子を導入した超免疫不全NOGマウスは、ヒト造血幹細胞を移植しヒト化するとヒト腫瘍細胞を傷害する能力を有する機能的成熟NK細胞が劇的に分化する。平成26年度は、ヒト造血幹細胞を移植し機能的成熟NK細胞を増加させたヒト化NOG-hIL-2 Tgマウスに、既存のヒト腫瘍細胞および抗体医薬品を組み合わせて作製したin vivo ADCCモデルの検証を複数回実施した。NOG-hIL-2 Tgマウスの結果をまとめ、論文を投稿し、採択された。一方で、機能的NK細胞の分化・成熟に必須と言われているhIL-15の遺伝子を導入し樹立したNOG-hIL-15 Tgマウスに関して、造血幹細胞移植実験の至適条件を検証したが、細胞の移植条件とヒトNK細胞の分化率とのバランスの良い系を作製することは非常に困難であることが判明した。しかし、ヒト末梢血より単離した成熟NK細胞を移植細胞として用いた場合、ヒト成熟NK細胞が生着・一時的に増幅し、さらに、ヒト末梢血と同様の表現型を有したままマウス生体内に長期間維持されることが判明した。本研究課題の目的は、ヒト腫瘍細胞を傷害する能力の持つ機能的ヒトNK細胞が劇的に分化・増幅・維持するよう遺伝子改変を加えた免疫不全マウスを作製し、ヒトNK細胞申請者らが開発したヒトインターロイキン-2(hIL-2)遺伝子を導入した超免疫不全NOGマウス(NOG-hIL-2 Tgマウス)は、ヒト造血幹細胞を移植しヒト化すると、ヒト腫瘍細胞を傷害する能力を有する機能的成熟NK細胞が分化・増幅し、ヒト腫瘍細胞およびヒト抗体を併用することでin vivo ADCCモデルを確立することができた。一方、ヒトインターロイキン-15(hIL-15)遺伝子を導入した超免疫不全NOGマウス(NOG-hIL-15 Tgマウス)も、ヒト造血幹細胞を移植することで機能的成熟NK細胞が劇的に分化・増幅したが、in vivo ADCCモデルを作製する上でバランスの良い実験プロトコールを確立をすることは困難であると評価した。従って、移植細胞をヒト末梢血から分離した成熟NK細胞に変更し、前年度に引き続き平成27年度も、NOG-IL-15 Tgマウスへ移植した後のヒト成熟NK細胞の特性解析およびヒト腫瘍細胞株に対する抗腫瘍活性の検証を行った。結果、NOG-hIL-15 Tgマウス内で増幅したヒト成熟NK細胞は、その分子生物学的特性は維持されているが、細胞傷害活性は減退することが明らかとなった。ヒト成熟NK細胞の細胞傷害活性が維持/向上されることを目的とし、NOG-hIL-2/IL-15 double Tgマウスを作製し、ヒト成熟NK細胞移植実験を行ったが、NK細胞に少量混入していたヒトT細胞が急激に増幅したため、NK細胞に対する正確な評価が困難となった。従って、ヒトT細胞増幅を抑制できる移植条件を確立するために、NK細胞の精製方法およびヒト抗体投与による抑制効果を組み入れた検証実験を実施した。ヒト造血幹細胞移植後ヒトNK細胞が優位に分化したNOG-hIL-2 TgマウスにヒトCCR4陽性腫瘍株L428を移植し、抗CCR4抗体を投与することで抗体依存性細胞傷害活性を評価し得るin vivo ADCCモデルを確立した。ヒトNK細胞の成熟度を向上させるためNOG-hIL-15 Tgマウスを樹立した。NOG-hIL-15 Tgマウスは、ヒト造血幹細胞を移植するとヒト成熟 | KAKENHI-PROJECT-25871075 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-25871075 |
ヒトNK細胞が増殖する新規ヒト化マウスによるin vivo細胞傷害性試験系の開発 | NK細胞が顕著に分化・増幅し、また、ヒト血液由来成熟NK細胞を移植すると増幅し3カ月以上維持され、ヒト腫瘍株K562に対する細胞傷害活性も認められたことから、生体内でのヒトNK細胞の解析に適した系統だと考えられた。1)ヒト造血幹細胞を移植してヒト化したNOG-hIL-2 Tgマウスに、ヒト腫瘍細胞株および医療用抗体を用いることで、in vivo ADCC細胞傷害試験系を複数回実施した。3) NOG-hIL-15 Tgマウスに造血幹細胞を移植し、移植時の至適条件の検討および分化したヒトNK細胞の特性解析を行った。4) NOG-hIL-15 Tgマウスにヒト末梢血由来成熟NK細胞を移植し、長期的な生着能を確認した。免疫学、実験動物学1) NOG-hIL-15 Tgマウスは、ヒト末梢血由来NK細胞移植実験を主体に研究を進める。NOG-hIL-15 Tgマウスで増幅・維持されたヒトNK細胞の特性解析を進める。さらに、ヒト腫瘍細胞株・抗体医薬品を用い、in vivo細胞傷害試験系の樹立を目指す。1) NOG-hIL-2 Tgマウスに、標的抗原を高発現するヒト腫瘍細胞株を移植した後に抗体医薬品を投与することで、in vivo ADCCの作製に適する組み合わせを選定できた。2) 1)で選定した腫瘍細胞株および医療用抗体をヒト造血幹細胞を移植したNOG-hIL-2 Tgマウスに用いることで、in vivo細胞傷害試験を実施できた。以上の結果から、申請書に記載した計画通り、おおむね順調に進展していると考えられる。また、現在1),2)の結果を含めた論文を作成しており、近日中に投稿する予定である。次年度に予定している実験で、高額な試薬の使用量が増える可能性が考えられた。2) NOG-hIL-15 Tgマウスの特性検査:ヒト造血幹細胞の移植実験、およびヒト末梢血由来NK細胞の移植実験を行い、ヒトNK細胞の分化・生着能について検証する。また、ヒト化したNOG-hIL-15 TgマウスからヒトNK細胞を分離し、細胞の性質についても検証する。さらに、ヒト化したNOG-hIL-15 Tgマウスにヒト腫瘍細胞株を移植し、細胞傷害活性を有するか検証する。次年度の物品費と併せて、高額試薬の購入に充てる。申請段階では、国内学会(2か所)の旅費を含めて計画をしていたが、1か所は参加できなくなったことに加え、もう1か所は他の研究費を使用することができたため余剰分ができた。この余剰分を試薬の購入代にしようと検討したが高額な製品であったため、次年度分の経費と併せて購入することにした。次年度以降の物品費と併せて、高額試薬の購入に充てる。 | KAKENHI-PROJECT-25871075 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-25871075 |
色素性乾皮症モデルマウスにおける紫外線発癌予防に関する研究 | XPマウスでは,B紫外線照射により高頻度紫外線発癌を生じるだけでなく光老化も著明となる。光老化皮膚は突然変異を生じた細胞を含み,光老化防止も紫外線発癌の抑制につながることが考えられる。われわれはSPF60サンスクリーン外用がSPF10に比べて紫外線発癌や光老化を強力に抑制することを報告した。今回,サンスクリーン剤のピリミジンダイマー(CPD)形成防御能を検討した。XP(+/+)(-/-)両マウスにUVB200mJ/cm^2,1回照射し,経時的にCPD形成を観察した。照射12時間後,両マウスに有意差を認めなかった。(+/+)マウスでは時間経過とともにCPD形成の抑制を認め,72時間後には認められなくなった。一方(-/-)マウスでは蛍光強度に変化なく,72時間後でもほとんど変化を認めずXPマウスのDNA損傷修復能欠損を裏付ける結果であった。さらに(-/-)マウス照射12時間後,SPF60サンスクリーン外用群ではCPD形成をほとんど抑制されていたがSPF10サンスクリーンでは十分な抑制効果が得られなかった。以上の結果はサンスクリーンによる紫外線発癌抑制にDNA障害防止効果が大きく関与していることを示唆する。さらにXP患者のDNA障害や発癌抑制には健常者sunburnの抑制に必要とされるよりもより高いSPF値のサンスクリーンが必要であることが示唆された。目的色素性乾皮症(以下XP)患者の遮光指導に資するため色素性乾皮症モデルマウス(XPA遺伝子ノックアウトマウス以下XPマウス)を用いてサンスクリーン剤のSPF値と紫外線免疫抑制防御能,紫外線発癌抑制能を比較検討した。方法XP -/-マウス背部にサンスクリーン剤を2mg/cm^2塗布後B紫外線を1回照射量20から40mJ/cm^2まで漸増,計24週間,71回,2.6mJ/cm^2照射し,紫外線発癌を誘発,さらにサンスクリーン剤を塗布後,UVB照射(40mJ/cm^2)し,1%DNFBで感作することで紫外線免疫抑制防御能を測定した。結果紫外線発癌抑制効果について,SPF10塗布群は平均1.75個/匹, SPF60塗布群で平均0.143個/匹(非塗布群では平均8.5個/匹)と,高SPFサンスクリーン剤は低SPF値のものより紫外線発癌を有意に抑制した。紫外線免疫抑制防御能では,非サンスクリーン塗布-/-マウスでは非照射群で80.6%抑制に対し,SPF60では47.6%, SPF10では60.0%と,両者とも部分的防御にとどまった。結論高SPFサンスクリーン剤外用は低値よりも強力な紫外線発癌抑制効果が得られた。今後の課題シクロブタン型ピリミジンダイマー形成をDNA章害の指標SPF値とサンスクリーン剤のDNA防御能の関係を比較検討,さらに光老化に与える効果も併せて検討する予定である。XPマウスでは,B紫外線照射により高頻度紫外線発癌を生じるだけでなく光老化も著明となる。光老化皮膚は突然変異を生じた細胞を含み,光老化防止も紫外線発癌の抑制につながることが考えられる。われわれはSPF60サンスクリーン外用がSPF10に比べて紫外線発癌や光老化を強力に抑制することを報告した。今回,サンスクリーン剤のピリミジンダイマー(CPD)形成防御能を検討した。XP(+/+)(-/-)両マウスにUVB200mJ/cm^2,1回照射し,経時的にCPD形成を観察した。照射12時間後,両マウスに有意差を認めなかった。(+/+)マウスでは時間経過とともにCPD形成の抑制を認め,72時間後には認められなくなった。一方(-/-)マウスでは蛍光強度に変化なく,72時間後でもほとんど変化を認めずXPマウスのDNA損傷修復能欠損を裏付ける結果であった。さらに(-/-)マウス照射12時間後,SPF60サンスクリーン外用群ではCPD形成をほとんど抑制されていたがSPF10サンスクリーンでは十分な抑制効果が得られなかった。以上の結果はサンスクリーンによる紫外線発癌抑制にDNA障害防止効果が大きく関与していることを示唆する。さらにXP患者のDNA障害や発癌抑制には健常者sunburnの抑制に必要とされるよりもより高いSPF値のサンスクリーンが必要であることが示唆された。 | KAKENHI-PROJECT-10770430 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-10770430 |
腎幹細胸特黒的マーカーおよびその活性化因子の探索 | 「細胞の分裂速度が非常に遅い」という組織幹細胞に共通した性質を持つ,いわゆるSlow-Cycling Cell(SCC)が腎臓には存在する。我々はこの細胞が障害後の尿細管再生においてごく初期から分裂を開始し,増殖を繰り返して最終的には成熟した尿細管上皮へ分化するという,腎幹細胞的な役割を果たす細胞集団であることを報告した(JAm Soc Nephrol14:3138-3146,2003)。このSCC特異的に発現するマーカーを調べるため,FACSを用いてSCCを選択的に分離した。その後,RNAを抽出しSuperarrayを用いて,SCCが特異的に発現しているマーカーをスクリーニングした。同時に,ラット正常腎組織を用いて種々の未分化な幹細胞マーカーの免疫組織染色を行った。その結果,Oct4と呼ばれる遺伝子の発現が腎尿細管に確認され,SCCと同様の局在パターンを示した。これは別のグループが同定した尿細管に存在するOct4陽性腎幹細胞(JAm Soc Nephrol17:3028-40,2006)の内容に矛盾しない所見であった。今後,障害後の尿細管再生過程におけるOct陽性細胞の動態を把握するとともに,in situ hybridizationと免疫染色を同時に行い,Oct4陽性細胞とSCC(BrdU陽性細胞)が全く同一の細胞集団かどうか検証する。これにより腎幹細胞活性化因子を探索するストラテジーがより具体的になると思われる。「細胞の分裂速度が非常に遅い」という組織幹細胞に共通した性質を持つ、いわゆるSlow-Cycling Cell (SCC)が腎臓には存在する。我々はこの細胞が障害後の尿細管再生においてごく初期から分裂を開始し、増殖を繰り返して最終的には成熟した尿細管上皮へ分化するという、腎幹細胞的な役割を果たす細胞集団であることを報告した(J Am Soc Nephrol 14:3138-3146,2003)。本研究では、このSCC特異的に発現するマーカーを検討し、腎再生促進因子の探索や治療薬の開発といった腎再生医療のさらなる発展を目指す。まず、その予備実験としてSCCの最適な検出条件を検討した。正常ラットをBrdUで標識(1w)し、一定の観察期間(024w)をおいて腎臓を摘出。その後BrdU染色を行い、SCCの局在とその数の推移を検討した。その結果、BrdUラベル直後と比較し、2wの観察期間をおくとBrdU陽性細胞数(SCC)は約114に減少することが分かった。その後も徐々にではあるがSCC数は減少傾向を示した。ほとんどのSCCは近位尿細管に存在していた。BrdU標識の方法は既報告プロトコール(連日の腹腔内注射)と異なり、浸透圧ポンプを利用した持続投与を行うことにより、より多くの細胞をBrdUで標識することが確認できた。標識期間については長ければ長いほどBrdU陽性細胞数は増加するが、過剰なBrdUの取り込みはアポトーシスを誘導することが知られているため既報告と同様1wとした。観察期間に関しては、少なくとも2wあれば、細胞分裂スピードの速いRapidly-cycling Cellを除外できることが判明した。以上のことから、BrdU標識1w/観察期間2wがSCCを最も効率よく検出する条件と考えられた。今後はこの知見を利用して腎幹細胞特異的マーカーをスクリーニングする予定である。「細胞の分裂速度が非常に遅い」という組織幹細胞に共通した性質を持つ,いわゆるSlow-Cycling Cell(SCC)が腎臓には存在する。我々はこの細胞が障害後の尿細管再生においてごく初期から分裂を開始し,増殖を繰り返して最終的には成熟した尿細管上皮へ分化するという,腎幹細胞的な役割を果たす細胞集団であることを報告した(JAm Soc Nephrol14:3138-3146,2003)。このSCC特異的に発現するマーカーを調べるため,FACSを用いてSCCを選択的に分離した。その後,RNAを抽出しSuperarrayを用いて,SCCが特異的に発現しているマーカーをスクリーニングした。同時に,ラット正常腎組織を用いて種々の未分化な幹細胞マーカーの免疫組織染色を行った。その結果,Oct4と呼ばれる遺伝子の発現が腎尿細管に確認され,SCCと同様の局在パターンを示した。これは別のグループが同定した尿細管に存在するOct4陽性腎幹細胞(JAm Soc Nephrol17:3028-40,2006)の内容に矛盾しない所見であった。今後,障害後の尿細管再生過程におけるOct陽性細胞の動態を把握するとともに,in situ hybridizationと免疫染色を同時に行い,Oct4陽性細胞とSCC(BrdU陽性細胞)が全く同一の細胞集団かどうか検証する。これにより腎幹細胞活性化因子を探索するストラテジーがより具体的になると思われる。 | KAKENHI-PROJECT-18890041 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-18890041 |
過酷事故対策に関する規制制度の政治経済分析 | 本研究の目的は、事故対策に関する法的ルールの政治的な実現可能性を考慮した上で、いかなる制度またはルールを構築することで企業活動に伴う過酷事故リスクを社会的に望ましい水準に近づけることができるかを明らかにすることである。具体的な研究項目は、1.政治的に実現可能な規制主体間の事故の規模に応じた最適権限配分の分析、2.規制の虜(regulatory capture)を防ぐための政治的に実現可能な規制制度の分析、3.規制主体(官僚)の情報提供を考慮した場合の政治的に実現可能な規制制度の分析、の3項目である。これらのうち、本年度は関連する先行研究のサーベイを行うととともに、主に研究課題2について研究を進めた。本研究の先行研究の一つであるMartimort et al.(2010)で分析された規制主体と企業との癒着のモデルに選挙を導入することで、規制主体のモニタリング頻度と企業の防災・減災対策水準との関係について分析し、企業の安全対策水準を社会的に最適にするモニタリング頻度と政治的に実現可能な最適規制制度の条件を明らかにするためのモデルを構築した。これまで、いくつかの条件のもと、事前と事後のモニタリングについて、規制主体を事前と事後で分割するか否かで、最適水準が異なることが明らかになった。更に、事前と事後のそれぞれのモニタリング強度の違いが企業の減災・防災への対策水準に影響を及ぼしうることが明らかになった。モデル構築に時間を要したため、計画よりも若干遅れている。現在進行中の分析を進めると同時に、本研究の位置付けを明確にし、研究成果を海外学術誌において公刊するすることを目指す。本研究の目的は、事故対策に関する法的ルールの政治的な実現可能性を考慮した上で、企業の過酷事故リスクを社会的に望ましい水準に抑えるために、いかなる規制制度が有効であるかについて分析することである。具体的な研究項目は、1.政治的に実現可能な規制主体間の事故の規模に応じた最適権限配分の分析、2.規制の虜(regulatory capture)を防ぐための政治的に実現可能な規制制度の分析、3.規制主体(官僚)の情報提供を考慮した場合の政治的に実現可能な規制制度の分析、の3項目である。これらのうち、本年度は関連する先行研究のサーベイを行うととともに、主に研究課題1について研究を進めた。これまで、いくつかの条件の下、有限責任下の企業の事故対策水準は規制主体の選好が親企業的かどうかに依存すること、規制者が親企業的なほど社会的に最善な水準と比較して防災対策は過大、減災対策は過少になることなどが明らかとなっていた。今年度は、この基本モデルに政策決定者(政治家)の選挙を導入し、政治的な実現可能性を考慮に入れた、規制主体間の最適権限配分を分析するためのモデルを構築し分析を進めた。その結果、予想される事故の規模に応じて最適な防災・減災対策水準が変わりうること、事業者により多くの安全対策の権限を委譲することで政治家の再選誘因が最適な防災・減災対策水準に与える影響が低下する可能性があることなどが明らかになった。研究成果をまとめた論文が国内学術書に掲載される予定である。本研究の目的は、事故対策に関する法的ルールの政治的な実現可能性を考慮した上で、いかなる制度またはルールを構築することで企業活動に伴う過酷事故リスクを社会的に望ましい水準に近づけることができるかを明らかにすることである。具体的な研究項目は、1.政治的に実現可能な規制主体間の事故の規模に応じた最適権限配分の分析、2.規制の虜(regulatory capture)を防ぐための政治的に実現可能な規制制度の分析、3.規制主体(官僚)の情報提供を考慮した場合の政治的に実現可能な規制制度の分析、の3項目である。これらのうち、本年度は関連する先行研究のサーベイを行うととともに、主に研究課題2について研究を進めた。本研究の先行研究の一つであるMartimort et al.(2010)で分析された規制主体と企業との癒着のモデルに選挙を導入することで、規制主体のモニタリング頻度と企業の防災・減災対策水準との関係について分析し、企業の安全対策水準を社会的に最適にするモニタリング頻度と政治的に実現可能な最適規制制度の条件を明らかにするためのモデルを構築した。これまで、いくつかの条件のもと、事前と事後のモニタリングについて、規制主体を事前と事後で分割するか否かで、最適水準が異なることが明らかになった。更に、事前と事後のそれぞれのモニタリング強度の違いが企業の減災・防災への対策水準に影響を及ぼしうることが明らかになった。モデル構築に時間を要したため、計画よりも若干遅れている。現在進行中の研究成果をまとめ海外学術雑誌において公刊することを目指す。現在進行中の分析を進めると同時に、本研究の位置付けを明確にし、研究成果を海外学術誌において公刊するすることを目指す。(理由)研究項目の順番を変更したために、英語論文校正費の使用について計画変更が生じたため。(使用計画)海外学術誌への投稿のための英文校正費及び国内外の学会出張費として使用する予定である。使用計画のほとんどが海外学術誌への投稿のための英文校正費となっており、本年度においては研究の若干の遅れから校正用の論文執筆を終えていないため、次年度使用額が生じている。 | KAKENHI-PROJECT-17K18059 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-17K18059 |
退化型核関数を持つU-統計量に関する極限定理の精密化とその応用 | 対称関数uと確率変数列に対して定義されたU-統計量は核関数をいろいろ与えることによってフォン・ミーゼスの統計量を始め各種の重要な統計量を作ることが出来る.研究代表者は既に定常な確率変数列のU-統計量から構成された確率過程とブラウン運動から構成された確率過程との誤差の大きさを評価して概収束型不変原理(almost sure invarianceprinciple)を示している.この結果からU-統計量に対して、未知パラメータの推定や検定問題の基礎となるドンスカー型不変原理や重複対数の法則などの極限定理が成立することを示した.この時、degree 2のU-統計量に対して核関数によるH-S作用素の固有値と固有関数を用いて定義されたヒルベルト空間Hに値を取る確率変数列の和に関する極限定理を応用した.この方法をU-統計量およびV-統計量における漸近展開理論に適用して、従来はっきり求めることが出来なかった漸近展開における定数項を具体的に表現することができた.対称統計量はノンパラメトリック統計において基本的は統計量であるため、この方面への応用が期待できる.このような漸近理論の応用として確率微分方程式の近似解の漸近的な性質を調べ、反射壁を持つブラウン運動の近似とそのコンピュータシミュレーションについて問題点を提起した.対称関数uと確率変数列に対して定義されたU-統計量は核関数をいろいろ与えることによってフォン・ミーゼスの統計量を始め各種の重要な統計量を作ることが出来る.研究代表者は既に定常な確率変数列のU-統計量から構成された確率過程とブラウン運動から構成された確率過程との誤差の大きさを評価して概収束型不変原理(almost sure invarianceprinciple)を示している.この結果からU-統計量に対して、未知パラメータの推定や検定問題の基礎となるドンスカー型不変原理や重複対数の法則などの極限定理が成立することを示した.この時、degree 2のU-統計量に対して核関数によるH-S作用素の固有値と固有関数を用いて定義されたヒルベルト空間Hに値を取る確率変数列の和に関する極限定理を応用した.この方法をU-統計量およびV-統計量における漸近展開理論に適用して、従来はっきり求めることが出来なかった漸近展開における定数項を具体的に表現することができた.対称統計量はノンパラメトリック統計において基本的は統計量であるため、この方面への応用が期待できる.このような漸近理論の応用として確率微分方程式の近似解の漸近的な性質を調べ、反射壁を持つブラウン運動の近似とそのコンピュータシミュレーションについて問題点を提起した.退化型核関数を持つU-統計量はクラメール・フォンミーゼス統計量など多くの重要な統計量を含むものであるが、非退化型に比べ漸近的な性質が十分に調べられていない.これはANOVA-分解のような古くから知られている方法に明らかな限界があるためである.申請者は、1994年度に発表した退化型核関数を持つU-統計量をバナッハ空間に値を取る確率変数列の和で表現する方法によってドンスカー・ヴァラダン型の大域偏差理論におけるエントロピー関数を求めた.この方法を退化型核関数を持つU-統計量のエッジワース展開に応用した.本研究は、確率変数列の単純和に対するエッジワース展開や大域偏差理論をU-統計量に拡張するという確率論の視点からの興味だけでなく、広くノンパラメトリックな数理統計学の問題に応用することを目的としている.更に、U-統計量から得られた確率過程が多重ウィナー積分へ収束することを用いて、反射壁を持つブラウン運動の近似解の精度について調べ、計算機シュミレーションによってその分布が領域内に一様分布に収束することを示した.以上の結果について平成12年12月に香港において開催される統計学と数値解析に関する国際会議で研究成果を発表した.退化型核関数を持つU-統計量はクラメール・フォンミーゼス統計量など多くの重要な統計量を含むものであるが、非退化型に比べ漸近的な性質が十分に調べられていない.これはANOVA-分解のような古くから知られている方法に明らかな限界があるためである.申請者は、1994年度に発表した退化型核関数を持つU-統計量をバナッハ空間に値を取る確率変数列の和で表現する方法によってドンスガー・ヴァラダン型の大域偏差理論におけるエントロピー関数を求めた.この方法を退化型核関数を持つU-統計量のエッジワース展開に応用した.本研究は、確率変数列の単純和に対するエッジワース展開や大域偏差理論をU-統計量に拡張するという確率論の視点からの興味だけでなく、広くノンパラメトリックな数理統計学の問題に応用することを目的としている.U-統計量のような対称統計量の研究の発展のため平成13年12月に金沢大学で本研究代表者は科研シンポジウム「対称統計量の漸近理論と応用」を主催し、多くの研究者と最近の結果について討論を行った.対称関数と確率変数列に対してをdegree mのU-統計量と呼び、核関数をいろいろ与えることによって、フォン・ミーゼスの統計量を始め各種の重要な統計量を作ることが出来る.研究代表者は既に定常な確率変数列のU-統計量から構成された確率過程とブラウン運動から構成された確率過程との誤差の大きさを評価して概収束型不変原理(almost sure invarianceprinciple)を示している.この結果からU-統計量に対して、未知パラメータの推定や検定問題の基礎となるドンスカー型不変原理や重複対数の法則などの極限定理が成立する.この時、degree2のU-統計量に対して核関数によるH-S作用素の固有値と固有関数を用いて定義されたヒルベルト空間Hに値を取る確率変数列の和に関する極限定理を応用した. | KAKENHI-PROJECT-12640112 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-12640112 |
退化型核関数を持つU-統計量に関する極限定理の精密化とその応用 | この方法をU-統計量およびV-統計量における漸近展開理論に適用して、従来はっきり求めることが出来なかった漸近展開における定数項を具体的に表現することができた.対称統計量はノンパラメトリック統計において基本的は統計量であるため、この方面への応用が期待できる.上記の対称統計量の漸近理論の応用として確率微分方程式の近似解の漸近的な性質を調べることから、反射壁を持つブラウン運動の近似とそのコンピュータシミュレーションについて問題点を提起した.申請者は、1994年度に発表した退化型核関数を持つU-統計量をバナッハ空間に値を取る確率変数列の和で表現する方法によってドンスカー・ヴァラダン型の大域偏差理論におけるエントロピー関数を求めた.この方法を退化型核関数を持つU-統計量のエッジワース展開に応用した.本研究は、確率変数列の単純和に対するエッジワース展開や大域偏差理論をU-統計量に拡張するという確率論の視点からの興味だけでなく、広くノンパラメトリックな数理統計学の問題に応用することを目的としている.スチューデント化されたU-統計量の大域偏差理論やエッジワース展開を調べた.特に大域偏差理論のエントロピー関数の具体的な関数を求めることはルジャンドル変換を計算することの困難さからこれまで十分にやられてこなかった.この計算方法を調べ、また正確な評価が困難な場合に計算機シュミレーションを用いて実行した.平成15年6月にアトランタにおいて開催される力学系と数値解析に関する国際会議で研究成果を発表した.この渡航費用として約40万円を支出した.また、モスクワ大学V.V.ウリヤノフ教授を2004年1月に2週間程度招聘し、共同研究を行った.U-統計量や大域偏差理論の専門家である九州大学前園宣彦助教授、鹿児島大学大和教授、横浜国立大学高野清治教授、創価大学吉原健一教授、慶応義塾大学田村要造助教授、広島大学税所康正助教授との研究連絡を行った.以上の研究で得られた結果を論文にまとめた. | KAKENHI-PROJECT-12640112 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-12640112 |
Hepatocyte Growth Factorを介した口腔扁平上皮癌の進展 | 本研究は、口腔癌における血管新生の機序についての解析を行うとともに、このことを応用した新しい治療法の開発を試みる目的で行った。ウサギの角膜法を用いてHGFの腫瘍血管新生における役割について検討したところ以下の結果を得た。1)VX2舌癌の小片およびrHGFは血管新生を誘導した。2)VX2舌癌の小片による血管新生は抗HGF抗体で阻害された。これらのことからVX2舌癌の腫瘍血管新生には、HGFが関与していることが示唆された。一方、実際の口腔癌患者から得た検体の組織標本において、癌胞巣周囲の微少血管の血管内皮細胞にc-Met(HGF受容体)発現が高頻度に認められことから、口腔癌の腫瘍血管新生には、HGF-c-Metの情報伝達系が関与している可能性が推察された。一方、vascular endothelial cell growthfactor(VGEF)の受容体であるFlt-1やFlk、あるいは癌の転移と関与していると考えられている接着分子ICAM-1やV-CAM-1の発現に、HGFが関与している可能性について検討した。培養血管内皮細胞(HUVEC)に対して、rHGFを添加し、ELIZA法を用いてFlt-1やFlkあるいはICAM-1やV-CAM-1の発現強度を測定したが、HGFによるこれら受容体の発現増強は明らかでなかった。すなわち、これら分子の発現はHGF以外の因子によって発現が制御されることが推察された。これに加えて、口腔癌における血管新生阻害の抗腫瘍効果について検討した。TNP-470は著しい血管新生阻害と抗腫瘍効果を示した。すなわち、腫瘍血管新生阻害剤は口腔癌の治療に有用であり、新しい治療法として臨床応用が可能であるとが考えられた。本研究の結果より、HGFが腫瘍血管新生に関与し、ひいては口腔癌の進展に関与していることは明らかであるため、今後はHGF-c-Metのシグナル伝達系の阻害による抗腫瘍効果とその臨床応用についても検討したいと考えている。本研究は、口腔癌における血管新生の機序についての解析を行うとともに、このことを応用した新しい治療法の開発を試みる目的で行った。ウサギの角膜法を用いてHGFの腫瘍血管新生における役割について検討したところ以下の結果を得た。1)VX2舌癌の小片およびrHGFは血管新生を誘導した。2)VX2舌癌の小片による血管新生は抗HGF抗体で阻害された。これらのことからVX2舌癌の腫瘍血管新生には、HGFが関与していることが示唆された。一方、実際の口腔癌患者から得た検体の組織標本において、癌胞巣周囲の微少血管の血管内皮細胞にc-Met(HGF受容体)発現が高頻度に認められことから、口腔癌の腫瘍血管新生には、HGF-c-Metの情報伝達系が関与している可能性が推察された。一方、vascular endothelial cell growthfactor(VGEF)の受容体であるFlt-1やFlk、あるいは癌の転移と関与していると考えられている接着分子ICAM-1やV-CAM-1の発現に、HGFが関与している可能性について検討した。培養血管内皮細胞(HUVEC)に対して、rHGFを添加し、ELIZA法を用いてFlt-1やFlkあるいはICAM-1やV-CAM-1の発現強度を測定したが、HGFによるこれら受容体の発現増強は明らかでなかった。すなわち、これら分子の発現はHGF以外の因子によって発現が制御されることが推察された。これに加えて、口腔癌における血管新生阻害の抗腫瘍効果について検討した。TNP-470は著しい血管新生阻害と抗腫瘍効果を示した。すなわち、腫瘍血管新生阻害剤は口腔癌の治療に有用であり、新しい治療法として臨床応用が可能であるとが考えられた。本研究の結果より、HGFが腫瘍血管新生に関与し、ひいては口腔癌の進展に関与していることは明らかであるため、今後はHGF-c-Metのシグナル伝達系の阻害による抗腫瘍効果とその臨床応用についても検討したいと考えている。ウサギの角膜法を用いて、抗HGF抗体の腫瘍血管新生に対する阻害効果について検討した。ウサギの角膜法にVX2舌癌の小片(2mm^3)を移植し、抗HGF抗体を含む徐放性ペレットを腫瘍小片と角膜輪部の間に挿入した。その結果、1)抗HGF抗体を含まない徐放性ペレットを挿入したcontrol群では、角膜輪部から腫瘍小片にまで達する多くの微少血管の形成が肉眼的に認められた。2)一方、血管新生阻害剤TNP-470を含むペレット挿入群(negative control)では、角膜輪部から立ち上がる血管は認められなかった。3)rHGFを含むペレット挿入群では、角膜輪部からペレットにいたる血管がみとめられた。4)抗HGF抗体を含むペレット挿入群では、角膜輪部から立ち上がる血管の数は少なく、また多くの血管は腫瘍小片にまで達さなかった。これらのことから、VX2舌癌の腫瘍血管新生には、部分的ではあるがHGFが関与していることが示唆された。培養血管内皮細胞(HUVEC)が細胞膜上に表出している接着分子ICAM-1,V-CAM-1のHGFによる変化について研究した。96-well培養皿で培養中のHUVECに対して、HGF(10ng/ml)を添加し、ELIZA法を用いてこれら接着分子の発現強度を測定した。その結果、24、48時間後におけるこれらの接着分子発現は、HGF添加群と非添加群で顕著な変化は認められなかった。 | KAKENHI-PROJECT-09672087 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-09672087 |
Hepatocyte Growth Factorを介した口腔扁平上皮癌の進展 | このことから、HGFは血管内皮細胞におけるこれら接着分子の発現増強に対する影響は少ないものと考えられた。実際の口腔癌患者から得た検体の組織標本において、癌胞巣周囲の微少血管の血管内皮細胞にc-Met(HGF受容体)発現が高頻度に認められた。すなわち、口腔癌の腫瘍血管新生には、HGFが関与している可能性が推察された。一方、Vascular endothelial cell growthfactor(VGEF)の受容体であるFlt-1やFlkは、すべての微少血管に発現は認められず、頻度的にはo-Metより少なかった。このことから、口腔癌においてはFlt-1やFlkの発現は常に生じているのではなく、むしろ何らかの因子によって誘導されている可能性が考えられた。HGFによるこれら受容体発現の可能性も考えられたため、in vitroの実験にて検討した。96-well培養皿で培養中のHUVECに対して、HGF(10ng/ml)を添加し、ELIZA法を用いてFlt-1やFlkの発現強度を測定したが、HGFによるこれら受容体の発現増強は明らかでなかった。すなわち、Flt-1やFlkの発現はHGF-c-Metのシグナル伝達の下流にあるのではなく、HGF以外の因子によってこれら受容体の発現が制御されることが推察された。さらに、血管新生を阻害することによる口腔癌における抗腫瘍効果について検討するために、TNP-470をウサギVX2舌癌モデルに対して投与した。その結果、同薬剤の著しい抗腫瘍効果が認めらた。すなわち、腫瘍血管新生を阻害することは口腔癌の治療に有用であり、新しい治療法として臨床応用が可能であるとか考えられた。本研究の結果より、HGFが腫瘍血管新生に作用し、ひいては口腔癌の進展に関与していることは明らかであるため、今後はHGF-c-Metのシグナル伝達の阻害による抗腫瘍効果について研究したいと考えている。 | KAKENHI-PROJECT-09672087 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-09672087 |
アストロサイト系譜細胞の代謝異常によって生じる神経病態メカニズムの解析 | メチオニン代謝経路において、ホモシステイン(Hcy)からシスタチオニンの合成に働くシスタチオニンβーシンターゼ(CBS)の遺伝子欠損マウス(CBS-/-マウス)を用い、脳内のHcy代謝異常がもたらす神経病態メカニズムを解析した。その結果、アストロサイト特異的に発現するCBSの機能異常が細胞非自律的な神経細胞死を誘導することが示された。また、発達期においてCBSが神経幹細胞の分化・増殖に関与することがわかった。神経細胞死のメカニズムについてさらに詳しく調べた結果、アストロサイトから放出されるHcyの細胞毒性による酸化ストレス及びDNAダメージが深く関わっている可能性が示唆された。研究実施計画に従い、「エピジェネティックな脳神経細胞の分化制御に関わるホモシステイン代謝の役割」について検討を行った。まず始めに、正常ならびにCBSノックアウトマウス脳由来の神経幹細胞を培養し、培地中に基質となるメチオニンを異なる濃度加え、ニューロン、アストロサイト、オリゴデンドロサイト、それぞれの細胞に分化する様子がどの様に影響されるかを観察した。興味深いことに、CBSノックアウトマウス由来の神経幹細胞は、メチオニン濃度の上昇に伴い、細胞増殖および生存が顕著に阻害される様子が観察された。現在、神経幹細胞を無血清培地、BMP2/LIF、チロキシンでそれぞれニューロン、アストロサイト、オリゴデンドロサイトに分化させ、それらの分化効率を細胞免疫染色、ウェスタンブロッティング等で定量・確認している。また、ホモシステイン代謝異常が細胞内ヒストン蛋白質修飾にどの様な影響を与えるか、それぞれの条件で培養した細胞由来の細胞抽出液を用い、ウェスタンブロッティングによる定量を行った。次に、DNAメチル化による神経分化マーカー遺伝子の発現制御とホモシステイン代謝との関係を調べるため、研究実施計画に記載した分化マーカー遺伝子発現プロモーター領域に特異的な定量プライマーをデザインし、マウス脳組織由来のDNAサンプルを用いた解析を開始した。今後さらに、これらの実験結果を脳組織レベルで確認するため、生後マウス脳組織を抗メチル化/アセチル化ヒストンタンパク質に対する抗体で免疫組織染色し、培養系で得られた結果と比較を行う予定である。研究実施計画に従い、神経幹細胞を無血清培地、BMP2/LIF、チロキシンでそれぞれニューロン、アストロサイト、オリゴデンドロサイトに分化させ、それらの分化効率を細胞免疫染色、ウェスタンブロッティング等で定量・確認した。また、ホモシステイン代謝異常が細胞内ヒストン蛋白修飾にどの様な影響を与えるか、それぞれの条件で培養した細胞由来の細胞抽出液を用い、ウェスタンブロッティングによる定量を行った。次に、DNAメチル化による神経分化マーカー遺伝子の発現制御とホモシステイン代謝との関係を調べるため、研究実施計画に記載した分化マーカー遺伝子発現プロモーター領域に特異的な定量プライマーをデザインし、マウス脳組織由来のDNAサンプルを用いた解析をおこなった。現在までの所、神経幹細胞の分化に伴って大きくタンパク修飾が変化するヒストン蛋白質は同定されていない。加えて、脳組織レベルで変動するタンパク質が無いか詳細な組織免疫染色解析を行っている。また、高濃度のメチオニン添加に伴い、アストロサイトの分化が抑制される事を示唆する結果が得られた。本年度はこれらの結果をもとに、ニューロンならびにアストロサイトの分化関連遺伝子プロモーター領域のメチル化状態がメチオニン代謝異常によって変化するか否かを解析して行く予定である。また、CBS-/-マウス脳における細胞非自律的な神経細胞死の病態解析結果については、論文発表を視野に置くデータ解析を仕上げる。メチオニン代謝経路において、ホモシステイン(Hcy)からシスタチオニンの合成に働くシスタチオニンβーシンターゼ(CBS)の遺伝子欠損マウス(CBS-/-マウス)を用い、脳内のHcy代謝異常がもたらす神経病態メカニズムを解析した。その結果、アストロサイト特異的に発現するCBSの機能異常が細胞非自律的な神経細胞死を誘導することが示された。また、発達期においてCBSが神経幹細胞の分化・増殖に関与することがわかった。神経細胞死のメカニズムについてさらに詳しく調べた結果、アストロサイトから放出されるHcyの細胞毒性による酸化ストレス及びDNAダメージが深く関わっている可能性が示唆された。1.正常あるいはCBS-/-マウス脳から採取したアストロサイトと正常マウス脳由来のニューロンとを、それぞれ0.13mMのメチオニン存在下、47日間共培養した。次に、アストロサイト上で生存しているニューロンを抗MAP2抗体ならびに抗NeuNで染色し、その数を比較した。その結果、CBS-/-マウス脳から採取したアストロサイトと正常マウス脳由来のニューロンとを培養した場合だけ、ニューロン死が観察された。また、正常アストロサイト上で正常あるいはCBS-/-マウス脳から採取したニューロンを培養した場合、どちらの条件下でもニューロン死は観察されなかった。2.CBS-/-アストロサイトから過剰のHcyが細胞外に放出されるか、メチオニン存在下で初代培養した正常およびCBS-/-アストロサイトの培養上清を回収し、その中に含まれるHcyの濃度をガスクロマトグラフィー/質量分析法(GC/MS)で定量した。この時、Hcy合成酵素阻害剤(3-Deazaadenosine)によってHcyの放出ならびに神経毒性が抑制されるか併せて確認した。その結果、CBS-/-アストロサイトから過剰のHcyが細胞外に放出され、これは3-Deazaadenosineによって阻害された。またLDHアッセイにより、放出されたHcyはし細胞からの流出でないことを確認した。 | KAKENHI-PROJECT-23500438 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-23500438 |
アストロサイト系譜細胞の代謝異常によって生じる神経病態メカニズムの解析 | 3.脳代謝異常がDNAダメージ障害の引き金となるか検討するため、正常ならびにCBS-/-マウス脳組織をγH2AXなどのDNAダメージマーカー抗体で免疫組織染色し、それぞれニューロンとグリア細胞のDNAダメージ蓄積量を比較した。現在解析を行っている。4.CBS-/-マウス脳で見られた神経幹細胞障害の病態メカニズムを、それらの分化ならびに増殖能を指標に初代培養系を用いて解析するため、神経上皮細胞の単層培養系を確立した。前年度までに得られた成果を英文原著論文として発表するため、データをまとめた。現在、論文投稿中である。本年度行った研究から、CBS+/-及びCBS-/-マウスは、正常マウスに比べてカイニン酸投与によるてんかん誘発刺激に高い感受性を示すことがわかった。古くからCBS遺伝子変異で発症するホモシスチン尿症患者の代表的な神経症状としててんかんが知られるが、その病態は未だ明らかでない。こうした中、さらに我々は、カイニン酸刺激が、CBS-/-マウス大脳皮質及び海馬においてH2AXのリン酸化を顕著に亢進することを見出した。ヒストンタンパク質の一つであるH2AXのリン酸化は、ニューロンや神経幹細胞におけるDNAダメージ修復やエピジェネティックな遺伝子発現制御に関与することが知られる(Nature 451:460-4, 2008; PNAS 108:5837-42, 2011)。また、てんかん発作によって誘導されるエピジェネティックな遺伝子発現制御異常がその病態と深く関わることが指摘されている(J Neurosci 33:2507-11, 2013; J Clin Invest 123:3552-63)。現在までのところ、平常時のCBS-/-マウス脳において、ヒストンタンパク質のメチル化やアセチル化に大きな変動は検出されていないが、てんかん等の病態が惹起する脳内環境変化がホモシステイン代謝異常の背景と相まって、エピジェネティックな遺伝子発現や神経系譜細胞の分化異常を引き起こしている可能性があり、今後これらの関わりについて明らかにしたいと考えている。神経化学途中、研究代表者の所属機関が変わったことで、新たな所属機関への実験動物移動、設備・備品の整備等に時間を費やさざるを得ない状況となったため。またそれに伴い、研究グループの再編やその事務手続きのため、実験技術の習得やデータの引き継ぎ等に予想以上の時間を要してしまったため。研究グループの再編に伴い、実験技術やデータの引き継ぎがスムーズに行かなかったため。また、それに伴う新たな研究プロジェクト立ち上げの必要性が生じたため。本年度半ばに研究代表者の所属研究機関が変ったため、実験材料となる遺伝子組換えマウスの異動や繁殖、研究器機の調達などに時間を要した。現在、研究分担者との連絡・調整も含め、異動前と同様の研究環境となっており、今後の研究の遂行に支障はない。また研究データの取得も、次年度中に十分遅れを取り戻せる程度である。 | KAKENHI-PROJECT-23500438 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-23500438 |
トレーサ粒子を用いない革新的非接触流速計測手法確立と多様な流動場に対する適用 | 流速は流動現象を理解するために重要な物理量の一つであるため,この定量計測技術の確立は重要である.例えば,レーザーを用いた流速計測技術であるLDVやPIVは極めて強力な流速計測技術である.しかしながら,これらのレーザー計測を実施するためには流動場にトレーサ粒子を添加する必要があり,観察窓の汚染や,添加自体が困難となるような流れ場が存在する可能性がある.そこで本研究では,これまで検討を行ってきたLaser Induced Thermal Grating Spectroscopy (LITGS)技術を用いて,トレーサ粒子を必要としない流速計測技術を確立することを目的とする.LITGSの計測点に流れがある場合,励起レーザー入射によって形成されるThermal Gratingも同様に流れに沿って移動するものと考えられる.ここに2本のプローブビームを導くと,それらから得られるLITGS信号の振動周波数はThermal Gratingの移動速度に応じて,ドップラー効果によって変化するものと考えられる.すなわち,LITGS信号の振動周波数の差から流速が計測できるものと考えられる.平成30年度は,ローダミン/エタノール溶液を対象に,光学系の構築を行った.まずは光学系が構築できているかどうかを検証するために,静止液体を計測対象とした.励起波長はNd:YAGレーザーの第二高調波とした.平成30年度は,レーザー光学系の構築は行えたものの,ローダミン/エタノール溶液から信号を取得する事はできなかった.これは,最初に検討対象としたローダミン/エタノール溶液からの信号取得自体が困難であった可能性がある.今後は比較的容易にLITGS信号が取得可能なアセトン蒸気が励起可能な波長のレーザー光を用いたLITGS光学系に変更し,光学系の確認ならびに流動場に対する検証を実施する.平成30年度は(I)光学系の構築,(II)噴流および燃焼場に対する流速計測を当初の目標としていた.計測対象として,より広範囲な対象に対して本手法が利用可能であることを実証するために,挑戦的な対象である液体に対する計測を最初の目標とした.Nd:YAGレーザーの第二高調波である532 nmを励起レーザー光として,6本のレーザー光を1点で交差させるLITGS光学系を構築した.しかしながら,平成30年度は計測対象としたローダミン/エタノール溶液からはLITGS信号を取得する事はできなかった.これまでローダミン/エタノール溶液を対象としたLITGS計測の実施例は少なく,これを対象とした場合の計測自体が困難である可能性がある.以上のことから,現在の進捗として,やや遅れていると評価する.平成30年は信号を取得する事ができず,研究進捗にやや遅れが生じている.この遅れは,挑戦的な計測対象であるローダミン/エタノール溶液を計測対象としたために信号の取得ができなかったためである.そこで,令和元年度は,励起波長をNd:YAGレーザーの第四高調波である266 nmに変更してLITGS光学系を構築する.この波長は,アセトン蒸気を対象としたLITGSが実施可能である.光学系自体は概ね構築しているので,アセトン蒸気からのLITGS信号は速やかに取得できるものと考えられる.光学系を構築した後に,当初の検討対象である噴流や燃焼場といった様々な流動場に対するLITGS計測を実施する予定である.また平成30年度は信号取得できなかった液体に対するLITGS計測も,本計測手法の適用という観点からは重要であるため,これついても継続して実施する.流速は流動現象を理解するために重要な物理量の一つであるため,この定量計測技術の確立は重要である.例えば,レーザーを用いた流速計測技術であるLDVやPIVは極めて強力な流速計測技術である.しかしながら,これらのレーザー計測を実施するためには流動場にトレーサ粒子を添加する必要があり,観察窓の汚染や,添加自体が困難となるような流れ場が存在する可能性がある.そこで本研究では,これまで検討を行ってきたLaser Induced Thermal Grating Spectroscopy (LITGS)技術を用いて,トレーサ粒子を必要としない流速計測技術を確立することを目的とする.LITGSの計測点に流れがある場合,励起レーザー入射によって形成されるThermal Gratingも同様に流れに沿って移動するものと考えられる.ここに2本のプローブビームを導くと,それらから得られるLITGS信号の振動周波数はThermal Gratingの移動速度に応じて,ドップラー効果によって変化するものと考えられる.すなわち,LITGS信号の振動周波数の差から流速が計測できるものと考えられる.平成30年度は,ローダミン/エタノール溶液を対象に,光学系の構築を行った.まずは光学系が構築できているかどうかを検証するために,静止液体を計測対象とした.励起波長はNd:YAGレーザーの第二高調波とした.平成30年度は,レーザー光学系の構築は行えたものの,ローダミン/エタノール溶液から信号を取得する事はできなかった.これは,最初に検討対象としたローダミン/エタノール溶液からの信号取得自体が困難であった可能性がある.今後は比較的容易にLITGS信号が取得可能なアセトン蒸気が励起可能な波長のレーザー光を用いたLITGS光学系に変更し,光学系の確認ならびに流動場に対する検証を実施する.平成30年度は(I)光学系の構築,(II)噴流および燃焼場に対する流速計測を当初の目標としていた.計測対象として,より広範囲な対象に対して本手法が利用可能であることを実証するために,挑戦的な対象である液体に対する計測を最初の目標とした. | KAKENHI-PROJECT-18K18820 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-18K18820 |
トレーサ粒子を用いない革新的非接触流速計測手法確立と多様な流動場に対する適用 | Nd:YAGレーザーの第二高調波である532 nmを励起レーザー光として,6本のレーザー光を1点で交差させるLITGS光学系を構築した.しかしながら,平成30年度は計測対象としたローダミン/エタノール溶液からはLITGS信号を取得する事はできなかった.これまでローダミン/エタノール溶液を対象としたLITGS計測の実施例は少なく,これを対象とした場合の計測自体が困難である可能性がある.以上のことから,現在の進捗として,やや遅れていると評価する.平成30年は信号を取得する事ができず,研究進捗にやや遅れが生じている.この遅れは,挑戦的な計測対象であるローダミン/エタノール溶液を計測対象としたために信号の取得ができなかったためである.そこで,令和元年度は,励起波長をNd:YAGレーザーの第四高調波である266 nmに変更してLITGS光学系を構築する.この波長は,アセトン蒸気を対象としたLITGSが実施可能である.光学系自体は概ね構築しているので,アセトン蒸気からのLITGS信号は速やかに取得できるものと考えられる.光学系を構築した後に,当初の検討対象である噴流や燃焼場といった様々な流動場に対するLITGS計測を実施する予定である.また平成30年度は信号取得できなかった液体に対するLITGS計測も,本計測手法の適用という観点からは重要であるため,これついても継続して実施する. | KAKENHI-PROJECT-18K18820 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-18K18820 |
シンチレ-ションファイバ-カロリメタ-の高エネルギ-粒子に対する振舞いの研究 | 高いエネルギ-の粒子がカロリメタ-の物質と反応して引き起こしたシャワ-状の粒子の塊がシンチレ-ションファイバ-通過する際に発生する光をファイバ-の集光性を利用して集め、カロリメタ-の末端部まで導く。この光を、光電子増倍管により電気信号に変換して解析に使いやすい形にする。このようなものをシンチレションファイバ-カロリメタ-という。ここで研究すべきカロリメタ-として、長さ2.3mで1mmの直径のシンチレションファイバ-をファイバ-と鉛の体積比、1:4、の割合で鉛の中に均等に分布するように埋め込み、外形寸法を、先端部4cmx4cm、末端部8cmx8cm、長さ2.3mに加工したモジュ-ルを製作した。末端部につきだしたシンチレ-ションファイバ-を束ね、切断してこれを鏡面状に研磨する。切断面は4cmx4cmである。別途開発した、四角の断面を持った光電子増倍管、浜松H4484、を信号読みだしに使用する。さらに、この光電子増倍管は、細かな粒子シャワ-の発達を観測するために、即ち、シンチレ-ションファイバ-の発光分布が細かに観測ことができるように、一個の光電子増倍管の出力信号が64個に分割され、独立な光に対応して出力信号を出せるように設計されている。このようにしてできたカロリメタ-モジュ-ルは、約100kgの重量になる。このモジュ-ルを9個作りこれを3x3のマトリックス状に組み上げたものを用いてその性能を研究する。このカロリメタ-の高いエネルギ-に対する振る舞いを、セルンに於ける数100GeVのビ-ムを用いて調べる前に、高エネルギ-物理学研究所に於ける電子ビ-ムを用いて基礎的な性質を調べた。高エネルギ-物理学研究所のトリスタン蓄積リングに於ける内部標的ビ-ムからは、1から6GeVまでのエネルギ-の電子ビ-ムが得られる。このビ-ムラインにカロリメタ-モジュ-ルを設置し、主にカロリメタ-の先端部に電子ビ-ムを照射し、以下の項目についてカロリメタ-の性質を調べた。1)出力信号のFADCを用いた処理方法のチェック2)出力信号のエネルギ-依存性3)電磁シャ-ワ-のカロリメタ-内での広がりのエネルギ-依存性4)カロリメタ-内におけるシンチレ-ション光の減衰5)光電子増倍管の出力信号の相互干渉の度合いの測定6)カロリメタ-間の信号の漏れの大きさの測定7)カロリメタ-に対するストレスの大きさと出力信号の相関の測定8)出力信号の電子ビ-ムの入射角依存性9)出力信号の長期的時間変動などである。この結果は現在整理中であるが、概ね期待どうりであった。ただし、カロリメタ-内における光の減衰について、研究協力者であるセルンのウイグマンおよびデサルボたちの同様なモジュ-ルによる計測の結果、シンチレ-ションファイバ-の組み込みに際し、接着剤を用いると、エネルギ-分解能の劣化をもたらすことが報告されたので、現在、我々の製作したモジュ-ルについて、同様な効果が確認できるかを調べるよう準備を行なっている。これには、新しいカロリメタ-モジュ-ルの製作が必要である。そのために、数箇月の時間が必要であるのでその結果を見てから、セルンに我々の製作したカロリメタ-の持ち込み、そしてビ-ムテストを行なうように、計画の見直しをしている。高いエネルギ-の粒子がカロリメタ-の物質と反応して引き起こしたシャワ-状の粒子の塊がシンチレ-ションファイバ-通過する際に発生する光をファイバ-の集光性を利用して集め、カロリメタ-の末端部まで導く。この光を、光電子増倍管により電気信号に変換して解析に使いやすい形にする。このようなものをシンチレションファイバ-カロリメタ-という。ここで研究すべきカロリメタ-として、長さ2.3mで1mmの直径のシンチレションファイバ-をファイバ-と鉛の体積比、1:4、の割合で鉛の中に均等に分布するように埋め込み、外形寸法を、先端部4cmx4cm、末端部8cmx8cm、長さ2.3mに加工したモジュ-ルを製作した。末端部につきだしたシンチレ-ションファイバ-を束ね、切断してこれを鏡面状に研磨する。切断面は4cmx4cmである。別途開発した、四角の断面を持った光電子増倍管、浜松H4484、を信号読みだしに使用する。さらに、この光電子増倍管は、細かな粒子シャワ-の発達を観測するために、即ち、シンチレ-ションファイバ-の発光分布が細かに観測ことができるように、一個の光電子増倍管の出力信号が64個に分割され、独立な光に対応して出力信号を出せるように設計されている。このようにしてできたカロリメタ-モジュ-ルは、約100kgの重量になる。このモジュ-ルを9個作りこれを3x3のマトリックス状に組み上げたものを用いてその性能を研究する。このカロリメタ-の高いエネルギ-に対する振る舞いを、セルンに於ける数100GeVのビ-ムを用いて調べる前に、高エネルギ-物理学研究所に於ける電子ビ-ムを用いて基礎的な性質を調べた。高エネルギ-物理学研究所のトリスタン蓄積リングに於ける内部 | KAKENHI-PROJECT-02044150 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-02044150 |
シンチレ-ションファイバ-カロリメタ-の高エネルギ-粒子に対する振舞いの研究 | 標的ビ-ムからは、1から6GeVまでのエネルギ-の電子ビ-ムが得られる。このビ-ムラインにカロリメタ-モジュ-ルを設置し、主にカロリメタ-の先端部に電子ビ-ムを照射し、以下の項目についてカロリメタ-の性質を調べた。1)出力信号のFADCを用いた処理方法のチェック2)出力信号のエネルギ-依存性3)電磁シャ-ワ-のカロリメタ-内での広がりのエネルギ-依存性4)カロリメタ-内におけるシンチレ-ション光の減衰5)光電子増倍管の出力信号の相互干渉の度合いの測定6)カロリメタ-間の信号の漏れの大きさの測定7)カロリメタ-に対するストレスの大きさと出力信号の相関の測定8)出力信号の電子ビ-ムの入射角依存性9)出力信号の長期的時間変動などである。この結果は現在整理中であるが、概ね期待どうりであった。ただし、カロリメタ-内における光の減衰について、研究協力者であるセルンのウイグマンおよびデサルボたちの同様なモジュ-ルによる計測の結果、シンチレ-ションファイバ-の組み込みに際し、接着剤を用いると、エネルギ-分解能の劣化をもたらすことが報告されたので、現在、我々の製作したモジュ-ルについて、同様な効果が確認できるかを調べるよう準備を行なっている。これには、新しいカロリメタ-モジュ-ルの製作が必要である。そのために、数箇月の時間が必要であるのでその結果を見てから、セルンに我々の製作したカロリメタ-の持ち込み、そしてビ-ムテストを行なうように、計画の見直しをしている。 | KAKENHI-PROJECT-02044150 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-02044150 |
自然排出便中からの大腸がん細胞の分離法の開発とその大腸がん遺伝子診断への応用 | 本研究の目的は、新しい大腸がんスクリーニング検査の開発である。確立した基本手法は、手作業の工程を多く残している。また、分離した微量の細胞を高感度で検出するがん細胞同定技術の確立が課題である。いままで、便中の細胞の分離から検出までの一連の検査工程について、簡便かつ高感度な検査プロトコールの構築を行ってきた。本年度は、これまでの試作機をベースとして、自然排出便から便を必要量採取し、簡便に処理するための研究開発を行った。このなかで、便中細胞分離のための処理に関しては、現行の方法で採用しているDynal社のEp-CAMに対するイムノビーズが高額であることと、より回収効率を高めるために、JSR株式会社と協力して、新たなイムノビーズの開発を行った。ビーズの至適サイズの決定に際しては、3μmと4.9μmと5.3μmと5.9μmの4種のサイズのビーズを作製した。付加した抗体はEp-CAMに対する抗体であるが、Ber-EP4-クローンVU-1D9クローンと、M1-8クローンとM6-35クローンの4種について評価した。評価方法は大腸がん細胞株HT-29細胞を一定量便に加え、現在までに確立した細胞分離工程のうち、イムノビーズの部分だけを変えて、細胞回収率を比較することで評価した。その結果、サイズに関しては4.9μmサイズのビーズが便からの細胞回収率が高かった。抗体に関しては、M6-35がもっともすぐれていた。今後、さらに大腸がん親和性の高いモノクローナル抗体の作製を含めて、新しい強力ないむのビーズを開発する予定である。便潜血反応テストは、世界中に普及しているが、最近の大腸内視鏡で確認した研究では、その感度が10ないし20%であることがわかってきた。従って国内外で大腸がんでの遺伝子変異、遺伝子発現変化を検索し、それを便DNAに応用することにより、大腸がんの分子診断学を確率しようとする試みが幾多もみられるが、感度が5割をこえることはない。本研究では、自然排出便を血清入りの特殊な緩衝液セホモジナイズし、その後フィルターで濾過し便残渣を可及的に除き、大腸がん細胞で高く発現していることが知られているEp-CAMに対する抗体が付加されたイムノビーズによりフィルター濾液中のがん細胞を含む上皮細胞を分離する方法を確立した。手術目的の大腸がん患者116名、大腸内視鏡検査を受けて、ポリープとがんがない健常ボランティア83名につき解析した。症例に関しては文書により同意を得た。細胞診ではがん患者において、28%陽性(32/116)、健常人は0%(0/83)であった。分離細胞からDNAを抽出し、K-ras、APC、p53およびBAT26遺伝子変異を調べた、その結果、がんで71%(82/116)陽性であった。健常者では88%(73/83)が陰性であった。がん患者のうち早期がんであるDukes A,Bでは72%(44/61)の陽性率であった、また、比較的診断が困難な右側結腸がんにおいても陽性率が57%(20/35)であった。今後はDNAレベルの診断で、かつ自動化ができるような方法を開発すべく、現在SSCP法の適応の可能性について検討を行っている。本研究の目的は、新しい大腸がんスクリーニング検査の開発である。確立した基本手法は、手作業の工程を多く残している。また、分離した微量の細胞を高感度で検出するがん細胞同定技術の確立が課題である。いままで、便中の細胞の分離から検出までの一連の検査工程について、簡便かつ高感度な検査プロトコールの構築を行ってきた。本年度は、これまでの試作機をベースとして、自然排出便から便を必要量採取し、簡便に処理するための研究開発を行った。このなかで、便中細胞分離のための処理に関しては、現行の方法で採用しているDynal社のEp-CAMに対するイムノビーズが高額であることと、より回収効率を高めるために、JSR株式会社と協力して、新たなイムノビーズの開発を行った。ビーズの至適サイズの決定に際しては、3μmと4.9μmと5.3μmと5.9μmの4種のサイズのビーズを作製した。付加した抗体はEp-CAMに対する抗体であるが、Ber-EP4-クローンVU-1D9クローンと、M1-8クローンとM6-35クローンの4種について評価した。評価方法は大腸がん細胞株HT-29細胞を一定量便に加え、現在までに確立した細胞分離工程のうち、イムノビーズの部分だけを変えて、細胞回収率を比較することで評価した。その結果、サイズに関しては4.9μmサイズのビーズが便からの細胞回収率が高かった。抗体に関しては、M6-35がもっともすぐれていた。今後、さらに大腸がん親和性の高いモノクローナル抗体の作製を含めて、新しい強力ないむのビーズを開発する予定である。 | KAKENHI-PROJECT-17659172 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-17659172 |
ものづくり教育と知財教育の相乗効果 | 中学校技術・家庭科技術分野において創意工夫のあるものづくりに絡めた知的財産教育を日中の学校現場の協力を得て展開し、その際の相乗効果を検証した。創意工夫のあるものづくりに絡めた国際的な知的財産教育出前授業が、知的財産の取り扱いの点で途上にある海外の地域にもまた日本にとっても双方に有益であることを確認した。知財教育は日本では企業主導であるのに対し中国では政府主導で進められてきている。韓国、米国もそれぞれ特徴があり、これらの特徴、社会的背景の相違を相互に理解することで知財教育の在り方の一層の発展が見込まれる。中学校技術・家庭科技術分野において創意工夫のあるものづくりに絡めた知的財産教育を日中の学校現場の協力を得て展開し、その際の相乗効果を検証した。創意工夫のあるものづくりに絡めた国際的な知的財産教育出前授業が、知的財産の取り扱いの点で途上にある海外の地域にもまた日本にとっても双方に有益であることを確認した。知財教育は日本では企業主導であるのに対し中国では政府主導で進められてきている。韓国、米国もそれぞれ特徴があり、これらの特徴、社会的背景の相違を相互に理解することで知財教育の在り方の一層の発展が見込まれる。中学校の技術において創意工夫のあるものづくりに絡めた知的財産教育を学校現場の協力を得て展開し、その相乗効果を検証し、さらにより有効な組み合わせ方を開発するのが本研究の目的である。平成21年度は三重県津市内中学校1校、中国内モンゴル自治区内の中学校2校、及び内モンゴル師範大学准教授(平成21年度三重大学外国人招へい研究者)1名の授業実施協力チームを編成し、ほぼ同内容のロボット作りと知的財産教育を組み合わせた授業を開始した。日本側は授業が終了、中国側は学年開始時期が異なることから継続中である。生徒への事前(、事後)アンケート等によりデータを取得してきている。国内では学校との打ち合わせ、各種研究会への参加等によりデータを収集した。中国については8月に現地中学校を訪問し、研究の主旨を説明すると共に意見交換、調査を行った。中国では地域により教育格差がなお大きい状況にあり、協力いただく両学校は僻地で今後の発展が求められている。特に工夫を要するものづくりと知的財産教育は新しい産業振興のために不可欠であり、研究協力に留まらず、非常に歓迎されるプロジェクトとして迎え入れられた。教師、生徒ともこれからの地域を支えていこうという意欲が強く、日中での比較で興味ある結果が得られつつある。これら調査・研究成果をいくつかの形ですでに報告してきている。中国側の中学校への必要な消耗品の持ち込みの手続きに想定以上の手間を要したことから当初計画よりはやや遅れているが研究全体としてはほぼ順調と言える。中学校の技術において創意工夫のあるものづくりに絡めた知的財産教育を学校現場の協力を得て展開し、その相乗効果を検証し、さらにより有効な組み合わせ方を開発するのが本研究の目的である。平成22年度は三重県津市内中学校1校、中国内モンゴル自治区内の中学校2校、及び内モンゴル師範大学准教授(平成21年度三重大学外国人招へい研究者)1名の授業実施協力チームを編成、昨年度と同様にほぼ両国で同内容のロボット作りと知的財産教育を組み合わせた授業を行った。昨年度との違いは、中国側で中国独自の材料を用いて進めることを試みたことにある。中国には6月(事前打ち合わせ)、3月(進捗状況視察)の2回、出張し、研究を進めた。6月は托県第4中学校及び二連浩特市モンゴル族学校を訪問した。托県第4中学校では昨年度から進めてきているロボット作りの成果報告に立ち会うことができた(年度の開始が中国では9月からであることによる)。二連浩特市モンゴル族学校では「日中ロボット教育実践基地」の看板の設置式を行った。これはこの研究が国際交流貢献として受け取られ、それを形にしたいとの申し出を受けたものである。2年目の実践研究は日本側は授業が終了した。3月の訪問で明らかとなったことは、1)中国独自の材料だけでは中学生向けのロボット作りが安価には実施できないこと、2)中国の中学校におけるこの種の取り組みについては当該の中学校を管理する担当者に大きく依存し、担当者の意向に沿い実施方法や実施中学校を選定しなおす必要があることである。1)については日本製の材料を用いた方が適切なものについては日本より支給することとした。2)については新しい実施候補学校を訪問し、協力を得られる旨の確認を得た。なお、従来の中学校の生徒への事前(、事後)アンケート等のデータは3月の訪問で取得した。研究全体としてはほぼ順調と言える。中学校の技術において創意工夫のあるものづくりに絡めた知的財産教育を学校現場の協力を得て展開し、その相乗効果を検証し、さらにより有効な組み合わせ方を開発するのが本研究の目的である。平成23年度は三重県津市内中学校1校,中国内モンゴル自治区内の中学校1校,及び内モンゴル師範大学准教授1名の授業実施協力チームを編成し,ロボット作りと知的財産教育を組み合わせた授業を行った。中国側は昨年度とは別の中学校とし,環境の異なる中学校においてもほぼ同様に効果の上がることを確認した。平成23年6月には日中両国の知財に詳しい中国重慶大学の研究者を招へいし,三重大学において「日中知財教育ネットワーク構築を目指して」と題する講演会を開催し,意見交換を行った。 | KAKENHI-PROJECT-21530927 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-21530927 |
ものづくり教育と知財教育の相乗効果 | 9月には米国ネブラスカ州に出張し,ネブラスカ大学,及び近隣小学校において知財教育の取り扱いについて聞き取り調査を行った。公的な資料では米国は知財教育が進んでいるようにみられるが,教育現場を見る限りは必ずしもそうとは言えない。日本学生支援機構のショートステイプログラムに「ものづくり/知財教育研修」というテーマで申請・採択され,平成24年1月3月にかけて内モンゴル師範大学の学生3名を受け入れた。帰国後は出身大学での報告を通じ,さらには将来教員採用後に経験を活かして当地に応じたものづくり/知財教育を率先して進めることによりものづくり/知財教育が広がることが期待される。以上のとおり,当初想定した研究の枠組みの成果としてはもちろん,その枠組みを超えて,日中でものづくり教育と知財教育の相乗効果を踏まえた教育の振興を具体化するところまで進めることができた。また,上記の米国の知財教育の調査の他に,申請者は韓国の知財教育研究者とのコンタクトを深めつつあるところであり,今後日中韓米の連携によるものづくり/知財教育の教育・研究の連携へと発展が期待される。 | KAKENHI-PROJECT-21530927 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-21530927 |
琉球語与那国島方言の記述文法書の作成 | 本研究では南琉球語与那国島方言の文法記述を行った。本研究では当初,記述文法書の形式で音韻から統語まで記述する予定であったが,申請後,本研究とは別に,フランスEHESSのトマ・ペラール氏と京大助教の山田真寛氏が形態論と音韻論に関して記述を進めているという事情があったため,その成果と本研究の重複はおのずと避けざるをえず,本研究の当初の計画である音韻・形態・統語の総合的な記述という部分を修正し,音韻形態の概要を示しつつ,統語の部分をより詳細に記述した。統語的な記述の成果は書籍の一章としてすでに入稿済みであり,1報が掲載決定済である。また,音韻・形態・統語の概要について出版済・入稿済が1報ずつある。本研究では南琉球語与那国島方言の文法記述を行った。本研究では当初,記述文法書の形式で音韻から統語まで記述する予定であったが,申請後,本研究とは別に,フランスEHESSのトマ・ペラール氏と京大助教の山田真寛氏が形態論と音韻論に関して記述を進めているという事情があったため,その成果と本研究の重複はおのずと避けざるをえず,本研究の当初の計画である音韻・形態・統語の総合的な記述という部分を修正し,音韻形態の概要を示しつつ,統語の部分をより詳細に記述した。統語的な記述の成果は書籍の一章としてすでに入稿済みであり,1報が掲載決定済である。また,音韻・形態・統語の概要について出版済・入稿済が1報ずつある。本研究の目的は与那国方言の記述文法書の作成である.研究初年度である本年度は,記述の基盤固めの年として位置付けている.本年度の「研究実施計画」では(1)文献調査(与那国方言関連文献と一般言語学文献),(2)研究者との情報交換,(3)現地調査,(4)学会発表・論文投稿を目指していた.以下ではそれぞれについて実績を報告する.(1)について,与那国島方言に関する全文献リストを作成するという当初目標を達成した.さらに,一般言語学的な論考の収集もほぼ完成した.(2)について,与那国方言の研究者である獨協大学のパトリック・ハインリッヒ氏,京都大学PDのトマ・ペラール氏,同山田正寛氏との交流によって音声・映像・文献データを多数入手でき,この交流で得たデータで,本年度進める予定であった音韻・形態の基礎研究が可能となっている.(3)現地調査について,本年度は沖縄本島での予備調査を1回行った.本年度必要としていたデータはすでに上記(2)に絡むもので足りるため,今回の現地調査では話者との関係づくり・話者コミュニティの状況の情報収集,そして自家出版の言語資料の入手などに専念した.その結果,沖縄本島・与那国・日本本土における話者の情報を入手でき,またいくつかの自家出版書籍を入手し,来年度の主要な研究課題であるデータ収集・分析に関して重要な進展が得られた.(4)学会発表については,シンポジウム発表が1件ある(「与那国語の文法記述-現状と展望」).論文投稿について,出版計画中の書籍の編集者(宮良信詳・パトリックハインリッヒ)から,与那国方言についての執筆依頼を受け,上記の与那国研究者たちとの共著としてアブストラクトを提出済みである(筆者は筆頭).その論考では,今年度の主要な成果である文献リストを添付する予定である.本研究の目的は、琉球語与那国島方言の記述文法書の作成である.本年度の「研究実施計画」では(1)現地調査と(2)データ書き起こし、(3)文法概説の出版を主な目標にかかげていた。以下ではそれぞれについて実績を報告する。(1)夏に与那国島での調査を行い、テキストを3時間程度採録し、さらに例文調査も行った。この調査において、前年度までに収集した既存テキスト資料と合算して十分な量のテキストを収集できたと考えている。よって、今後はこのテキスト資料を主なデータとして文法書の執筆を進める計画を立てている。その点において、(1)の作業の完了をもって、今年度のみならず全体計画における最重要課題をクリアしたといえる。(2)京都大学において、与那国島方言を研究している山田正寛氏・トマペラール氏と書き起こしのセッションを行って、聞き取り・書き起こしの際の注意点について情報交換を行った。そののち、研究代表者は独自で書き起こしを行うことを中心に書き起こしを進めてきた。書き起こしがまだ完全ではないため、来年度以降の課題としてこの(2)の作業を引き続き行って書き起こしを完了させることを挙げておく。(3)出版計画中の琉球諸語のハンドブックの共同編集者になり、与那国方言についての文法概説を共同執筆(共同執筆者は上記(2)の2名)している。このハンドブックは2012年中に出版予定である。この概説は英語で書かれ、かつほかの方言と共通の章立てを採用している。章立ては本研究の記述項目とほぼ重なり、その点において本研究の中間のまとめとして機能しているといえる。本年度は以下の成果を研究実績として完成させた。まず,記述文法の作成を実際に開始するにあたり,何をどのような順序で記述すべきかという点について精査する必要があった。これについてさまざまな少数言語の記述文法を参考に議論を尽くし,一定の成果を得た(くろしお出版から書籍の一章として刊行)。次に,記述そのものに関して,統語記述を重点的に行った。 | KAKENHI-PROJECT-22720161 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-22720161 |
琉球語与那国島方言の記述文法書の作成 | 統語記述はこれまでほとんど手つかずの分野であったが,特にこの言語の統語記述において最も難解なトピックである格組織(主語と目的語の格標示)に関して、フィールドワークと自然談話の両方のデータにもとづき、一定の結論を示した。すなわち、この言語では、日本語やよく知られている琉球諸語のシステムと異なり、他動詞主語や自動詞主語といった統語的な役割よりも意味的な特徴(動作主性が高いかどうか)が重要である。この結論は、先行研究とは大きく異なり、また先行研究で問題とされていた現象をうまく説明できるだけでなく、ほかの琉球諸語の格組織に関する研究にも応用可能な分析である。これについては論文としてまとめ,論集の一章として入稿済である(『琉球諸語と古代日本語』2014年中にくろしお出版から出版予定)。また,より一般的な統語記述(上記を含め,さらに句構造,述語構造,ボイス,複文)は,すでに記述は終えており,その成果は2015年度中に東京外国語大学記述言語学研究室の紀要において出版予定である。一方で、与那国語の数少ない辞書のひとつである『与那国語辞典』(池間苗著)の録音テープを編者から借り、電子化するという作業もこの科研で行った。エクセルなどに見出しを打ち込み、音声にリンクさせて検索可能な形にすることを目指していたが、今年度は実現できなかった。しかし、録音テープを見出し語ごとに切り分ける作業は完了し、今後の研究に役立つ重要な成果を残せたと考える。本年度は、前年度までに収集したデータを書き起こし、分析し、実際に執筆しはじめる時期と位置付けていた。そのうえで、本年度の計画を、1データの書き起こし(既に収集した談話の録音データの書き起こしと、文字化されている談話資料のグロスづけを行う)、2分析(上記1で作成した談話書き起こしデータ(すなわちテキストデータ)と、活用リストや文献資料における音韻・形態論の分析データをもとに、形態論と統語論の基本的な記述を開始する)、および3確認調査(上記1および2の補足調査を今年度後半に行う)として掲げていた。1に関して、目標の半分程度の掻き起しを行うにとどまる結果となったが、これは当初よりも談話の利用を制限する方向で研究計画を転換したからである。結果的に、elicitationデータをより積極的に採取することにつながり、本年度での調査でそれを行った。そのelicitationの方法論に関して多数の先行研究を吟味し、結果として論文の体裁にまとめることができた。この論文は、琉球諸語全体の記述研究にも応用可能なelicitationの方法論をまとめたものであり、本研究における調査で使用しただけでなく、別の科研(狩俣繁久氏が代表を務める基盤A科研)においても採用が決定しているなど、多くの方面に役立つと予想される。2に関して、代名詞体系の分析、動詞活用の分析、基礎的な構文の分析が進み、それは研究成果となって公開ないし出版準備中となっている。3に関して、電話による確認調査にとどまったが、1におけるelicitation調査を補完するものとして有効に作用した。全体的に、本年度はelicitationの方法論を定め、名詞形態論の概要、動詞形態論の概要、そして構文論のうちごく基礎的な部分の記述を行うことができたといえる。構文論に関するより詳細かつ広範な記述は来年度の課題としたい。本年度の目的はテキストの収集と書き起こしであったが、収集については満足のいく結果が得られたものの、テキストの書き起こしが遅れていることから、(3)という自己評価を下した。 | KAKENHI-PROJECT-22720161 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-22720161 |
新規血管新生抑制因子バソヒビンによる血管内皮の老化と細胞死の抑制 | 血管新生抑制因子vasohibin-1は血管内皮細胞に細胞死を起こすのではなく、逆に抗細胞死・抗老化作用など内皮細胞の生存や恒常性維持に重要な役割を演じていること、その抗細胞死・抗老化作用は長寿遺伝子SIRT1を介していることを明らかにした。この研究をさらに進めることによって内皮細胞の老化によって生じる動脈硬化(心疾患や脳血管疾患の原因)を抑制できることが期待される。血管新生抑制因子vasohibin-1は血管内皮細胞に細胞死を起こすのではなく、逆に抗細胞死・抗老化作用など内皮細胞の生存や恒常性維持に重要な役割を演じていること、その抗細胞死・抗老化作用は長寿遺伝子SIRT1を介していることを明らかにした。この研究をさらに進めることによって内皮細胞の老化によって生じる動脈硬化(心疾患や脳血管疾患の原因)を抑制できることが期待される。vasohibin-1はVEGFなどの血管新生因子に反応して血管内皮細胞が産生・分泌し、自らに作用して血管新生を抑制するユニークな分子である。申請者はこれまでにvasohibin-1の遺伝子を安定導入したマウス内皮細胞では、H_2O_2などの種々の細胞ストレスに対して細胞死を抑制すること、逆にヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)においてvasohibin-1の発現をノックダウンすると細胞老化に陥った後、細胞死がひきおこされることを確認してきた。平成19年度における研究の進展として、(1)vasohibin-1を過剰発現したマウス内皮細胞では抗細胞死作用を有するGalectin-3の発現が増加しており、Galectin-3を過剰発現したマウス内皮細胞では細胞死が抑制され、逆にGalectin-3をノックダウンしたマウス内皮細胞では細胞死が増加した。このことからvasohibin-1は抗細胞死作用の一部をGalectin-3を介して発揮していることが示唆された。(2)細胞老化に重要な分子であり抗老化作用を持つSIRT1の発現がHUVECにおいてvasohibin-1の発現増加に伴い増加し、逆にvasohibin-1の発現減少に伴い減少することを見出した。このことからvasohibin-1は一部、SIRTIの発現を調節することにより内皮細胞の老化に関与していることが示唆された。以上の結果から血管新生抑制因子として単離・同定されたvasohibin-1は、血管内皮の老化や細胞死をGalectin-3やSIRT1を介して抑制するなど血管内皮の恒常性維持にも重要な役割を演じている事が示唆され、さらなる究明は高齢化社会に伴い増加している老化関連疾患(脳血管障害、虚血性心疾患、動脈硬化、変性神経疾患など)の臨床応用に貢献できると考えられる。vasohibin-1はVEGFなどの血管新生因子に反応して血管内皮細胞が産生・分泌し、自らに作用して血管新生を抑制するユニークな分子である。申請者はこれまでにvasohibin-1の遺伝子を安定導入したマウス内皮細胞では、H_2O_2などの種々の細胞ストレスに対して細胞死を抑制すること、逆にヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)においてvasohibin-1の発現をノックダウンすると細胞老化に陥った後、細胞死がひきおこされることを確認してきた。平成20年度における研究の進展として、(1)抗老化作用をもつSIRT1の発現がHUVECにおいてvasohibin-1の発現増加に伴い増加し、逆にvasollibin-1の発現減少に伴い減少すること、さらにSIRT1の強力な活性物質であるレスベラトロールがvasohibin-1の発現をノックダウンにより老化した内皮細胞をレスキューすることを示した。このことからvasohibin-1は一部、SIRTIの発現を調節することにより内皮細胞の老化に関与していることを明らかにした。SIRTIはp53, FOXOsなどを脱アセチル化することによって細胞の生存および老化などを調節することから、現在、vasohibin-Iとそれらの分子との関連も解析中である。(2)HUVECにおいてsuperoxide dismutase-2の発現がvasohibin-1の発現の増加に伴い増加し、逆にvasohibin-1の発現を低下させると減少し、活性酸素(ROS)が増加することを見出した。このことからvasohibin-1が活性酸素の産生抑制または除去促進にも関与していると考え解析中である。in vivoにおいてはvasohibin-1ノックアウトマウスの寿命や加齢による変化、特に動脈硬化の進行について解析中である。 | KAKENHI-PROJECT-19590847 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-19590847 |
カンナビノイドによる脊髄鎮痛の機序解明 | 大麻の活性成分であるカンナビノイドの脊髄投与による鎮痛効果を検証した。ACEAの脊髄投与により熱刺激に対する逃避行動を抑制が得られた。抗癌剤による末梢神経障害モデルに対してin vivoパッチクランプ法により脊髄神経活動を検討したところ、自発性EPSCおよび寒冷刺激によって誘発されたEPSCは対照群と比較し振幅・頻度が増強していたが、ACEAの脊髄潅流によって抑制された。カンナビノイドの脊髄投与によって鎮痛効果が得られることが行動学的・電気生理学的に示された。大麻の活性成分であるカンナビノイドの脊髄投与による鎮痛効果を検証した。ACEAの脊髄投与により熱刺激に対する逃避行動を抑制が得られた。抗癌剤による末梢神経障害モデルに対してin vivoパッチクランプ法により脊髄神経活動を検討したところ、自発性EPSCおよび寒冷刺激によって誘発されたEPSCは対照群と比較し振幅・頻度が増強していたが、ACEAの脊髄潅流によって抑制された。カンナビノイドの脊髄投与によって鎮痛効果が得られることが行動学的・電気生理学的に示された。古くからマリファナには痛みを和らげる効果があり,不安の軽減や気分の高揚,嘔吐の抑制と食欲増進といった作用があることが知られていた,1960年代には活性成分であるTHC(Δ-9テトラヒドロカンナビノール)が同定され1990年代に入ると内在性カンナビノイド受容体CB1が単離された。現存は不安,食欲,吐気を調節する部位に作用する薬剤の開発が進行しているが,疼痛に関わるメカニズムにおいては,疼痛中枢のいくつかでカンナビノイドが明らかにされているのみで未だ解明されていない。一方,抹消からの侵害情報は脊髄後角、特に膠様質(Substantia gelatinosa:SG)ニューロンに入力し,様々な修飾な受けた後,最終的に一次体性感覚野に投射する。そのため脊髄後角をターゲットとした鎮痛,-脊髄鎮痛-は効果的な鎮痛法であり,CB1受容体は脊髄に多く存在するためCB1受容体を介した脊髄鎮痛が得られる可能性がある。そこで,痛み刺激が脊髄でのシナプス応答に応える影響をin vivoパッチクランプ法で調査した。ウレタンの腹腔内投与による全身麻酔下に6週ラットを椎弓切除し,脊髄を露出しパッチクランプを行い,興奮性シナプス後電流,(EPSC)を記録した。CB1作動薬の投与によりEPSCの頻度・振幅は増加するもの,減少するものと様々であった。ラットの足底にカラゲチンを投与し炎症を作成したラットにおいては、自発EPSCが増加しておりCB1作動薬の投与によってEPSCの抑制が見られた。以上より正常ラットにおいてカンナビノイド投与による反応は一様ではないが炎症モデルラットにおいてはカンナビノイドが侵害刺激の伝達を抑制した。今後,モデルの種類を増やし,様々な状態におけるカンナビノイドの作用を検討していく予定である。古くからマリファナには痛みを和らげる効果があり、不安の軽減や気分の高揚、嘔吐の抑制と食欲増進といった作用があることが知られていた。不安、食欲、吐き気の調節にはCB1受容体が関与していると考えられているが、疼痛に関わるメカニズムについては未だ解明されていない。CB1受容体は侵害情報が入力される脊髄後角に多く存在するためCB1受容体を介した脊髄鎮痛が得られる可能性がある。現在、諸外国においてはがん患者の嘔吐抑制・食欲増進目的にマリファナが使用されつつある。一方、癌に用いられるさまざまな抗癌剤はしばしば末梢神経障害を用いることが知られている。CB1作動薬により末梢神経障害による痛みの緩和が得られれば癌治療においてCB1作動薬の有用性が証明される。そこで抗癌剤(paclitaxel)による神経障害モデルラットを作成し、in vivoパッチクランプによるEPSCの記録を試みた。生後6週のラットにPaclitaxel 2mg/kgを隔日に4回投与したところ、投与終了後1週間後・3週間後にvehicle群と比較しmechanical allodynia, cold allodyniaが認められ抗癌剤による末梢神経障害モデルラットが得られた。次にウレタン腹腔内投与による全身麻酔下に生後6週となる末梢神経障害モデルラットおよびvehicle群のラットを椎弓切除し、脊髄を露出、パッチクランプを行いEPSCを記録した。末梢神経障害モデルラットではvehicle群と比較し自発EPSCの増加が認められた。今後脊髄灌流液にCB1作動薬を投与することによりEPSCの変化を計測していく古くからマリファナには痛みを和らげる効果が知られていた。1960年代に活性成分であるΔ-9-テトラヒドロカンナビノールが同定され1990年代に入ると内在性カンナビノイド受容体CB1受容体が単離された。しかし、疼痛に関わるメカニズムは疼痛中枢のいくつかでカンナビノイドが明らかにされているのみで未だ解明されていない。末梢からの侵害情報は脊髄後角、特に膠様質(substantia gelatinosa : SG)ニューロンに入力し、様々な修飾を受けた後、最終的に一次体性感覚野に投射する.そのため脊髄後角をターゲットとした鎮痛-脊髄鎮痛-は効果的な鎮痛法であり、CB1受容体は脊髄に多く存在するためCB1受容体を介した脊髄鎮痛が得られる可能性がある。そこで、実際の痛み刺激が脊髄でのシナプス応答に与える影響をパッチクランプ法で調査した。In vivoパッチクランプを行ったところ、CB1作動薬の投与によりEPSCの頻度、振幅ともに増加するもの、減少するものと様々であった。 | KAKENHI-PROJECT-19791075 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-19791075 |
カンナビノイドによる脊髄鎮痛の機序解明 | パクリタキセル投与によって生じた末梢神経障害ラットにおいては自発および寒冷刺激に誘発されるEPSCが増加していた。ACEAの灌流により自発、誘発EPSCはともに抑制された。これらの結果からカンナビノイドによる鎮痛効果の発現機序はカンナビノイドにより脊髄SGニューロンのEPSCが抑制されることで生じていると考えられた。カンナビノイドによるEPSC抑制が疼痛緩和の機序の一つとして存在していることが推測された。 | KAKENHI-PROJECT-19791075 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-19791075 |
動体追跡システムの高度化と強度変調/スキャニング照射への応用 | 腫瘍追跡システムの高度化をめざしてハードウェアとソフトウェアの改善を行なった。さらに腫瘍領域画像を利用した追跡精度事前評価関数を構築した。大幅な追跡精度向上には至らなかったが、多数の追跡アルゴリズムの試験結果と追跡精度事前評価関数から追跡精度向上のために必要な条件を明確にした。基本的な条件下での呼吸同期の周期性と追跡精度と考慮したスキャニング照射の線量分布を推定した。腫瘍追跡システムの高度化をめざしてハードウェアとソフトウェアの改善を行なった。さらに腫瘍領域画像を利用した追跡精度事前評価関数を構築した。大幅な追跡精度向上には至らなかったが、多数の追跡アルゴリズムの試験結果と追跡精度事前評価関数から追跡精度向上のために必要な条件を明確にした。基本的な条件下での呼吸同期の周期性と追跡精度と考慮したスキャニング照射の線量分布を推定した。本年度は、我々が開発している患者体内に標的金属マーカーを留置しない非侵襲的な動体追跡システムについて、より高精度で高信頼の追跡を可能にするためのハードウェアとソフトウェアの整備と強化を進めることが研究目的であり、ほぼ実施計画通りの成果が得られた。具体的には、ハードウェア面では、従来よりもX線動画像を高解像度で取り込むことを可能とし体内の情報量が増加した。同様に、体表情報も従来のレーザー距離計による一点測定だけではなくTOF式赤外線距離カメラと光学カメラにより多点測定を可能とし情報量が増加した。これら体内外の複合的な情報を並列計算により処理するシステムの基本構成を構築した。ソフトウェア面では、追跡精度を呼吸位相毎にパターンマッチングの相互相関係数を基にするコスト関数で評価した。結果として、通常は高い追跡精度が得られるが、低コントラスト画像追跡時にテンプレート画像取得時付近の呼吸位相でも的外れ検出が僅かに発生することが判明した。的外れ検出位置は、ガウス分布型測定誤差を大きく外れるためカルマンフィルター等の線形フィティングでは除去困難であることも明らかどなった。この問題への対応として、線形フィルタで多く採用されている最小2乗法ではなく、的外れデータに比較的強い最小絶対残差によるフィルタを試みたところ、的外れデータが連続しない場合には効果があることが明らかになった。今後、追跡精度の向上と信頼性確保のためには、リアルタイムで体内外情報を有効に利用しながら、パターンマッチングの精度そのものを向上させ、非線形フィルタの適応等による誤検出除去をする必要があるという課題も明らかになった。本年度は、我々が開発している患者体内に標的金属マーカーを留置しない非侵襲的な動体追跡システムについて、より高精度で高信頼の追跡を可能にするためのハードウェアとソフトウェアの整備と強化を、前年度同様に進めることが研究目的であり、ほぼ実施計画通りの成果が得られた。具体的には、次に示す3つの内容で進展が得られた。1)多領域追跡を可能にした。これにより、標的のみならず治療ビームの体内の通過点上の構造物の追跡が技術的に可能となり、不明瞭標的の追跡時に他点からの情報により高精度な追跡を実現できる可能性が開かれた。2)事前に腫瘍追跡精度を予測するシステムの開発を行った。これは、追跡腫瘍を含む画像から、腫瘍の画像特徴量と周辺の画像類似性を数値化し腫瘍の追跡可能性と追跡精度を予測するものであり、現時点では不完全であるが、将来的にはマーカーレス追跡の臨床適応を判断するための指標となる重要な機能である。3)XYZ昭移動ステージによる腫瘍移動の再現システムの開発をおこなった。H23年度は、我々が開発している患者体内に標的金属マーカーを留置しない非侵襲的な動体追跡システムについて、より高精度で高信頼の追跡を可能にするハードウェアとソフトウェアの整備と強化を、前年度同様に進めることが研究目的であり、ほぼ実施計画通りの成果が得られた。具体的には、次に示す3つの内容で進展が得られた。1)多領域追跡の精度評価と高度化:昨年度作成した、治療ビームの体内の通過点上の比較的高密度である骨構造の追跡機能の精度評価を実施した。横隔膜がテンプレート画像に含まれる場合に横隔膜の運動方向の影響を若干受けることが判明した。その他の場合は高精度の追跡結果が得られることが判明した。2)不明瞭標的の追跡精度の評価:標的の透視像が不明瞭である場合に、テンプレート画像の特徴量が乏しく追跡精度が低下することが判っている。数名の患者の不明瞭標的の追跡精度評価をおこなった。3)多領域追跡による不明瞭標的の追跡精度向上の試み:上記1)2)を組み合わせ不明瞭標的の追跡精度向上の試みを開始した。本研究は患者体内に標的となる金属マーカーを留置しない非侵襲的な動体追跡システムの開発である。開発中のシステムは透視画像に対してリアルタイムにパターンマッチング演算を実行することが可能であり、既に基本機能を完成させた。本年度はこれまでの研究成果を基に、1)動体追跡システムのさらなる高精度化・高機能化・高信頼度化とその精度検証を行い、また現状の追跡精度環境下における2)強度変調/スキャニング照射を想定した線量分布の精度評価、を研究することが目的であった。追跡精度の向上については、これまでの精度を劇的に上回るアルゴリズムを開発するには至っていない。しかしながら、本研究を通して追跡精度を悪化させる要因が、透視画像上の呼吸に伴う腫瘍の変形や腫瘍周辺の組織等の映り込みによるものであるとことが明らかになっている。 | KAKENHI-PROJECT-21611002 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-21611002 |
動体追跡システムの高度化と強度変調/スキャニング照射への応用 | 対応策として従来のテンプレートマッチングではなく、オプティカルフローやパーティクルフィルターなどの追跡対象物の変形に強い追跡アルゴリズムを試したが、これらの単一ピクセルの統計的追跡は精度向上に資さないことが判明した。この結果は周辺組織を除外した弱識別器を組み合わせた追跡アルゴリズムの有効性を示唆するものである。変調/スキャニング照射を組み合わせた場合の精度評価については、基礎的な研究に留まっている。動体ファントムに2次元的線量分布測定系を装着した検証系を作成したが、実照射での確認をするまでには至っていない。しかし、数値シミュレーションによってスキャニング方向と呼吸移動方向が線量分布に対する関係を明らかにした。マーカーレスの腫瘍追跡について、多領域追跡により単領域追跡時よりも精度が向上することが示された。24年度が最終年度であるため、記入しない。今年度は、これまでの成果を論文として発表するとともに、動きのある模擬腫瘍に対して本研究で示された追跡精度に基づき照射をおこなった場合の線量分布評価を進める予定である。24年度が最終年度であるため、記入しない。 | KAKENHI-PROJECT-21611002 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-21611002 |
ウニ小割球由来培養細胞の虚足成長誘起機構の研究 | ウニ胚から16細胞期に小割球を単離し、馬血清又はウニ胞胚腔内液存在下で20°Cで培養すると、約15時間目に虚足が生じ、その後約5時間目に骨片形成がはじまる。1)ウニ胚細胞はプロテインチロシンキナーゼをはじめ各種のプロテインキナーゼ,Gタンパク質('93,DGD)を含み、インシュリンは虚足成長をひきおこす('94a,DGD)ことを見出した。2)小割球由来培養細胞は、インシュリン受容体をもち('94b,DGD)、インシュリン受容体は培養細胞6時間目のあいだにミクロソームから細胞膜への移動によって増加する('94b,DGD)。3)インシュリン受容体とインシュリンの結合を競合的に阻害する物質が馬血清及び胞胚腔液に存在する('94a,DGD)。4)インシュリン又は馬血清、胚胞腔液で細胞を処理するとタンパク質リン酸化が促進され、つゞいてRNA合成が活性化される。タンパク質リン酸化を阻害するとRNA合成活性化が阻止され、アクチノマイシンDはタンパク質リン酸化を阻止せず、RNA合成を阻害し、インシュリンなどによるタンパク質リン酸化、RNA合成の活性化のおこる時期に限って、虚足成長を阻止する(DGD投稿)。馬血清、胞胚腔内液は、虚足成長後もタンパク質リン酸化、RNA合成率を高くたもち、この時期では、アクチノマイシンDは虚足成長後の骨片形成に限って阻害する(DGD投稿)。馬血清、胞胚腔内液は、インシュリン様物質以外の細胞間情報物質をもち、その物質が骨片形成をひきおこしていると考えられる。今後の研究課題は、虚足成長に関する細胞外情報物質を明らかにし、虚足成長及び骨片形成をそれぞれ支えるRNAを見出すことである。更に、細胞外信号によってリン酸化されるタンパク質及びそれに関するプロテインキナーゼ種を同定する必要があろう。ウニ胚から16細胞期に小割球を単離し、馬血清又はウニ胞胚腔内液存在下で20°Cで培養すると、約15時間目に虚足が生じ、その後約5時間目に骨片形成がはじまる。1)ウニ胚細胞はプロテインチロシンキナーゼをはじめ各種のプロテインキナーゼ,Gタンパク質('93,DGD)を含み、インシュリンは虚足成長をひきおこす('94a,DGD)ことを見出した。2)小割球由来培養細胞は、インシュリン受容体をもち('94b,DGD)、インシュリン受容体は培養細胞6時間目のあいだにミクロソームから細胞膜への移動によって増加する('94b,DGD)。3)インシュリン受容体とインシュリンの結合を競合的に阻害する物質が馬血清及び胞胚腔液に存在する('94a,DGD)。4)インシュリン又は馬血清、胚胞腔液で細胞を処理するとタンパク質リン酸化が促進され、つゞいてRNA合成が活性化される。タンパク質リン酸化を阻害するとRNA合成活性化が阻止され、アクチノマイシンDはタンパク質リン酸化を阻止せず、RNA合成を阻害し、インシュリンなどによるタンパク質リン酸化、RNA合成の活性化のおこる時期に限って、虚足成長を阻止する(DGD投稿)。馬血清、胞胚腔内液は、虚足成長後もタンパク質リン酸化、RNA合成率を高くたもち、この時期では、アクチノマイシンDは虚足成長後の骨片形成に限って阻害する(DGD投稿)。馬血清、胞胚腔内液は、インシュリン様物質以外の細胞間情報物質をもち、その物質が骨片形成をひきおこしていると考えられる。今後の研究課題は、虚足成長に関する細胞外情報物質を明らかにし、虚足成長及び骨片形成をそれぞれ支えるRNAを見出すことである。更に、細胞外信号によってリン酸化されるタンパク質及びそれに関するプロテインキナーゼ種を同定する必要があろう。ウニ胚16細胞期から単離した小割球は、馬血清又は胞胚腔内物質の存在下で培養すると、胚に存在する細胞と同じく虚足成長が起り、細胞内の骨格胞内に炭酸カルシウムを含む骨片が形成される。虚足成長はインシュリン投与でおこり、タンパク質のチロシン残基のリン酸化が促進されるが、骨片形成は馬血清又は胞胚腔内物質の存在がなければおこらない。虚足成長開始直前に、インシュリンは馬血清に含まれる物質と競合的に小割球由来細胞と結合するようになる。この時期にインシュリンと結合し得る受容体が細胞膜に発現し、その結合によって細胞内への信号が起生して、虚足成長を引き起すと考えられる。インシュリンによる虚足成長は骨片形成を伴なわない。培養小割球由来細胞の虚足成長と骨片形成は、アクチノマイシンDによるRNA合成で阻害されるが、虚足成長開始直後にRNA合成を阻害すると、虚足成長は続き、骨片形成は起らない。虚足成長と骨片形成は異なったトランスクリプションによるものであり、前者はインシュリンと結合し得る受容体による細胞信号によって開始するものと考えられる。後者を開始する細胞間情報として、インシュリン抗体で処理した馬血清を用い、インシュリン処理細胞に投与すると骨片形成が開始するが、処理されていない細胞では虚足成長、骨片形成は起らない。インシュリン処理で虚足成長がはじまると、新しい骨片形成開始と関連する受容体が生ずる可能性がある。インシュリン受容体は、本研究で得られた知見によれば、チロシンキナ-ゼをもつものと考えられる。もう一方の受容体の特性を知る第一歩として胚細胞のGプロテインを測定した。全胚と同じく、Gs,Gi又はGo,低分子Gプロテインを見出した。 | KAKENHI-PROJECT-03454026 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-03454026 |
ウニ小割球由来培養細胞の虚足成長誘起機構の研究 | このうち、Gi又はGoの活性に影響する百日咳毒素は骨片形成に影響を与えた。16細胞期のウニ胚から単離した小割球は馬血清存在下で培養すると虚足を生じ、その虚足内に骨(片炭酸カルシウム単結晶)を形成する。虚足成長は、小割球を20°Cで培養すると約10時間目にはじまり、培養開始後約15時間目に骨片形成がはじまる。虚足形成開始5時間前までに培養細胞にアクチノマイシンDを投与すると虚足成長、骨片形成が阻害される。そして、骨片形成開始5時間前にアクチノマイシンDを投与すると虚足成長は阻害されないが、骨片形成は阻害される。虚足成長と骨片形成にはそれぞれ異なった時期での異なった遺伝子発現が必要である。虚足成長は、馬血清のかわりにインシュリンを投与することでおこる。インシュリン受容体は、培養5時間目には見出され、その量は増加し、培養10時間目に最高になる。培養細胞の受容体は、哺乳動物のそれより分子量が小さく、チロシンキナーゼドメインをもつか否か不明である。培養5時間目からRNA合成阻害剤を投与すると、受容体発現速度は遅くなり、インシュリンによる虚足成長はほとんどおこらない。インシュリン受容体遺伝子発現がこの時期におこると考えられる。このことは、虚足成長を支えることを見出しているC-キナーゼ遺伝子発現と共に虚足成長開始の重要な機構であり、これらcDNAを得るべく準備中である。一方、骨片形成開始については、胞胚内液又は馬血清をインシュリン抗体で処理し、インシュリン存在下で15時間飼育した細胞に投与すると骨片形成がおこる。従って、この受容体発現について検当中である。骨片形成に必須であることを明らかにしたH^+、K^+ATPアーゼのcDNA作成と共に、この受容体のcDNAを得るべく準備中である。これら受容体を通じての細胞信号のトランスミッターであるG-プロテイン群の同定、及びその発生過程での量的変化についても明らかにした。ウニ胚から16細胞期に小割球を単離し、馬血清又はウニ胞胚腔内液存在下、20°Cで培養すると、約15時間間目に虚足が生じ、その後約5時間目に骨片形成がはじまる。1)ウニ胚細胞はプロティンチロシンキナーゼをはじめ各種のプロティンキナーゼ、Gタンパク質(′93,DGD)を含み、インシュリンは虚足成長をひきおこす(′94a,DGD)ことを見出した。2)小割球由来培養細胞は、インシュリン受容体をもち(′94b,DGD)、インシュリン受容体は、培養細胞6時間目のあいだに、ミクロソームから細胞膜への移動によって、増加する(′94b,DGD)。3)インシュリン受容体とインシュリンの結合を競合的に阻害する物質が馬血清及び胞胚腔液に存在する(′94a,DGD)。4)インシュリン又は馬血清、胞胚腔液で細胞を処理するとタンパク質リン酸化が促進され、つヾいてRNA合成が活性化される。タンパク質リン酸化阻害RNA合成活性化を阻止し,アクチノマイシンDは、タンパクリン酸化を阻止せず、RNA合成を阻害し、インシュリンなどによるタンパク質リン酸化、RNA合成の活性化のおこる時期に限って、虚足成長を阻止する(DGD、投稿)。馬血清、胞胚腔内液は、虚足成長後もタンパクリン酸化、RNA合成率を高くたもち、この時期では、アクチノマイシンDは、虚足成長後の骨片形成に限って阻害する(DGD.投稿)。馬血清、胞胚腔内液は、インシュリン様物質以外の細胞間情報物質をもち、その物質が骨片形成を引きおこしていると考えられる。 | KAKENHI-PROJECT-03454026 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-03454026 |
タスク別書き言葉コーパスを利用したメール文のweb自動採点システムの開発 | 本研究は、「メール文のweb自動採点システム」を開発することを目指した。そのために、本研究は、日本語母語話者30名、および日本語学習者90名(韓中独)によるタスク別(依頼、勧誘、断り、お礼、相談、等)のメール文のデータ1200件を収集し、書き言葉コーパスとした。また、収集したメール文を分析し、文法、語彙、文体、読み手配慮の表現などを明らかにした上で、そのデータをリスト化したものをもとに、メール文のweb自動採点システム『花便り』を開発した。本システムでは、web上でタスクを選び、それにしたがいメール文を入力すると、メール文の判定を行い、読み手に配慮した表現が使えるようにアドバイスを行う。本研究の目的は、日本語母語話者、および日本語学習者によるタスク別(依頼、勧誘、断り、お礼、相談、等)の作文(メール文)のデータを蓄積し、書き言葉コーパスとすること、ならびに、そのコーパスの作文を分析し、構成、内容、文法、表現、語彙、文体などを明らかにした上で、そのデータをリスト化しコンピュータに学習させ、「メール文のweb自動採点システム」を開発することを目的としている。平成27年度は、タスク別に複数の課題を作成し、日本語母語話者、国内外の日本語学習者の一部を対象にデータを収集し、そのデータの分析を行った。また、既存の依頼文のメールの分析結果をもとにしたweb自動採点システムβ版の開発を行った。具体的な内容は次の通りである。1.日本語母語話者のデータ収集:日本人大学生30名を対象に10のメール文タスク(勧誘、断り、お礼、相談、等)を課し、平成28年3月までデータの収集を行った。2.日本語学習者のデータ収集:海外は学習者数が多くデータの利用価値のある中国(上海外国語大学)や韓国(ハンバット大学)の学習者計60名を対象に12のタスクを課し、データを収集した。また、独国(ミュンヘン大学)の協力を得て、データの収集を開始している。3.メール文のweb自動採点システムβ版の開発:データ収集に先行してweb自動採点システムを開発するため、既存の依頼のメール文のタスクのデータを分析し、分析結果からメール文の評価項目を決定し、リストを作成した。そのリストをコンピュータに学習させ、自動採点システムβ版を開発し、http://hanadayori.farm.overworks.jp/において運用実験を開始した。メール文のデータ収集は9月に開始したが、韓国は平成27年12月に終え、中国も3月には十分なデータを得ることができた。欧州圏のデータ収集は中国韓国より遅くスタートしたため、平成28年度中の収集を予定しており、現在進行中である。現在収集したデータをもとに分析を行っており、評価項目を選定し、順次リスト化している。一方、メール文のweb自動採点システムβ版は平成27年7月にはほぼ大枠が決定し、サイトを開設することができた。今後、複数のタスクの示し方、各タスクの評価結果の示し方等、webデザインの検討を進める。メール文の12のタスクのデータを分析した結果、想定以上の内容が盛り込まれ自動評価が難しいタスクが4つあることが判明した。本研究は、タスク別のメール文を蓄積することが目的の一つであり、そのデータ自体、日本語教育の教材開発や習得研究等のために利用価値が高い。これらのデータは日本語教育における研究のため蓄積することにする。本研究の目的は、日本語母語話者、および日本語学習者によるタスク別(依頼、勧誘、断り、お礼、相談、等)の作文(メール文)のデータを蓄積し、書き言葉コーパスとすること、ならびに、そのコーパスの作文を分析し、構成、内容、文法、表現、語彙、文体などを明らかにした上で、そのデータをリスト化しコンピュータに学習させ、「メール文のweb自動採点システム」を開発することを目的としている。1年目の平成27年度は、日本語母語話者、学習者(韓国語、中国語、ドイツ語母語話者)、各グループ30名ずつ、計120名、1012タスク、計1320データを収集した。ドイツ語母語話者のデータ収集は目標人数に達するまで平成28年度も引き続き行った。一方、「メール文のweb自動採点システム」の開発を行った。2年目である平成28年度は収集したデータの分析を行い、8つのタスクに対し、特に、文法、表現についての分析を行った。その中で、各言語母語話者に対する読み手配慮のための表現のリストを作成した。またその結果にもとづき、韓国語母語話者にとって留意しなければならない表現について学会等で発表を行った。また、web自動採点システムβ版の開発を進めており、搭載するリストのアップロード、ダウンロードが可能になった。さらに各タスクが自由に選択できるようにwebデザインを調整中である。またこのシステムの成果の一部として、ウェブ上で使用可能な「文体チェッカー」を作成した。このシステムは、各タスクに共通の文体を確認するためのものであるが、レポートの文体チェックなどにも使用可能なものである。それについても学会等で発表を行った。現在収集した各母語話者のデータをもとに分析を行っており、評価項目を選定し、順次リスト化している。特に、表現の分析を行い、「読み手配慮のための表現」のリストを作成し、韓国語母語話者がメール文を作成する際の留意点を明らかにすることができた。また、他の言語母語話者のデータに対し、引き続き同様の分析を行っている。メール文のweb自動採点システムβ版は、現在http://hanatayori.farm.overworks.jp/において運用実験を開始しており、現在学習のために効果的なwebデザイン(レイアウト)の検討を進めている。 | KAKENHI-PROJECT-15K02658 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-15K02658 |
タスク別書き言葉コーパスを利用したメール文のweb自動採点システムの開発 | しかしながら、システムに搭載するデータリストがまだ整っていないため、1つのタスクしか運用実験ができなかった。今後も収集したデータの分析を進め、各タスクのリストの8月までの搭載を目指す。本研究は、日本語母語話者、及び日本語学習者によるタスク別(依頼、勧誘、断り、お礼、相談、等)の作文(メール文)のデータを蓄積し、書き言葉コーパスとすること、ならびに収集したメール文を分析し、構成、内容、文法、表現、語彙、文体などを明らかにした上で、そのデータをリスト化しコンピュータに学習させ、「メール文のweb自動採点システム」を開発することを目的とした。平成27年度は、日本語母語話者ならびに国内外で日本語を学習している非母語話者、120名を対象に10タスクのメール文のデータを収集し分析を行った。また、自動採点システムの基本設計を行い、システム開発をすすめた。平成28年度は、収集したタスク別のデータを分析し、その結果の一部を自動採点システムに組み込み、運用実験を行った。このシステムは、学習者がタスクをもとに作成したメール文を自動で評価し、問題点の指摘を行う。本研究では収集した基礎データをもとに、各メールタスクにおいて特に読み手配慮の点から収集した適切な語彙や表現のリストと不適切な語彙や表現のリストを作成し、両リストから指摘を行うことにした。またシステムでは、搭載するリストのアップロード、ダウンロードを可能にした。平成29年度は引き続き収集したデータの分析を進め、作成されたリストと学習者のメール文の照合を行い、メールタスクの達成に必要でかつ適切な表現の有無と、不適切な表現の有無により評価が行えるようにした。完成したシステムを用いて、6つのメールタスクに対し評価実験を行った。それに基づきプログラムやリストの修正を行い、公開可能とした。本研究で収集したデータは従来にないデータであり、学術的に有用なデータである。またこの研究成果はメール作成タスクを用いた作文支援システム『花便り』として無償公開しており、日本語学習者にとって有益な学習支援ツールの一つとなると思われる。本研究は、「メール文のweb自動採点システム」を開発することを目指した。そのために、本研究は、日本語母語話者30名、および日本語学習者90名(韓中独)によるタスク別(依頼、勧誘、断り、お礼、相談、等)のメール文のデータ1200件を収集し、書き言葉コーパスとした。また、収集したメール文を分析し、文法、語彙、文体、読み手配慮の表現などを明らかにした上で、そのデータをリスト化したものをもとに、メール文のweb自動採点システム『花便り』を開発した。本システムでは、web上でタスクを選び、それにしたがいメール文を入力すると、メール文の判定を行い、読み手に配慮した表現が使えるようにアドバイスを行う。平成28年度は、収集したタスク別データを詳細に分析し、評価項目を決定し、web自動採点システムに組み込む必要なリストをタスク毎に作成する。リストを組み込んだweb自動採点システムの運用実験を行い、平成29年3月の完成を目指す。システムの公開はタスク毎に行い、徐々に増やしていく予定である。 | KAKENHI-PROJECT-15K02658 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-15K02658 |
到達目標を明確にした教育課程基準のモデル開発に関する研究 | 日本の教育課程の基準はこれまで各学校で指導すべき内容を中心に示してきた。この研究は、教育課程の基準に関して、内容中心のカリキュラムから、目標に重点を置いたカリキュラムに改善するための方向性を探ることをねらいにした。そのための基礎資料として、諸外国の学校カリキュラムや日本の学校カリキュラムの開発事例の分析を行った。研究の結果、カリキュラムの改善の例として、四つのパターンを示した。本研究では、求められる資質や能力の育成を重視した学校カリキュラムの在り方を展望する目的から、到達目標を明確にした教育課程基準の構成や示し方について検討を進めてきた。その結果、次の結論を得た。1.教育課程基準における到達目標の示し方については、例えば、近年のフランスのように「共通知識技能」を定めて、教育課程基準の内容を示す例、「十大基本能力」を策定し、教育課程を各領域として構成する中華民国の例がある。また各学習領域に諸能力を横断的に位置づけるオーストラリアの教育課程基準の例、複数学年のステージごとに目標を示すイギリスの例がある。これらのタイプを目標と内容の関係の観点から比較すると、基準として目標は示すが、内容は具体的に示さず各学校に委ねるタイプと、内容は教科ではなく緩やかな領域として示すタイプなどに整理できる。2.これらの整理を手掛かりに、教育課程基準の示し方について次のように類型化した。ア学習指導要領の総則において、教科等の学習で共通に習得させる資質や能力を明示し、この共通目標と各教科等における目標との関連を明確にして示す方法。イアに加え、各教科等の内容を示す場合、個々の内容の扱いにおいて習得させる資質や能力をより明確に示す方法。ウ現行の学習指導要領の内容の示し方は、文章で示しているが、これを目標としての資質・能力と扱う内容の例を区別して示す方法。この場合、資質・能力と内容の示し方については、複数学年に渡って示すことが考えられる。エ現行の学習指導要領の構成に加え、教科等横断的な資質や能力を育成する教科等や学年をより具体的に示す方法。これは全体計画の基礎的な枠組みを教育課程の基準として示す方法である。現行の学習指導要領を漸次改善していく際には、これらの中でアとイの方法が現実的であると考えられる。日本の教育課程の基準はこれまで各学校で指導すべき内容を中心に示してきた。この研究は、教育課程の基準に関して、内容中心のカリキュラムから、目標に重点を置いたカリキュラムに改善するための方向性を探ることをねらいにした。そのための基礎資料として、諸外国の学校カリキュラムや日本の学校カリキュラムの開発事例の分析を行った。研究の結果、カリキュラムの改善の例として、四つのパターンを示した。平成23年度においては、次の3点について研究を進めた。(1)外国における教育課程基準に関わる資料の分析整理研究の対象とした国等は、到達目標を重視した教育課程基準を設定している、イギリス、オーストラリア、フランス、中華民国とした。これらの国の教育課程基準の構成について、国立教育政策研究所のこれまでの調査研究の成果や関連学会の成果物、インターネットによって得た資料を参考に整理を行った。分析整理の着眼点は、(1)到達目標設定の根拠や設定手続き、設定方法、(2)到達目標と教育課程を構成する内容との関連、(3)到達目標及び教育課程基準を評価する仕組みと方法、などである。(2)国内における先行開発事例の調査我が国において、目標とする資質や能力の習得を目指した教育課程の開発を進めている、教育課程特例校及び文部科学省研究開発学校における教育課程の開発事例の調査を行った。構造改革特区の指定を受けて行われた東京都品川区の「市民科」や世田谷区の「日本語」等についてカリキュラム関係の資料を収集し、指導目標、内容、指導方法の関係について整理を行った。(3)現行の教育課程基準における目標、内容等の相互関係の整理現行の教育課程基準である学校教育法等の法令及び学習指導要領を、目標、内容等の相互関係の視点から整理・分析を行った。学校教育法に規定されている教育目標と学習指導要領との関係、学習指導要領における総則の目標と各教科等の目標と内容、方法との関連の整理を行った。学習指導要領の総則の意義について、教育課程と各教科等との関連の視点から考察を進めている。「研究実績の概要」欄に記した三つの研究について、それぞれほぼ順調に資料の収集と整理、考察を行ってきたが、それぞれの相互関係を踏まえた体系的な調査にまでは至らなかったのが現状である。また、教育課程特例校及び文部科学省研究開発学校の開発事例に関する資料調査については、報告書等を通して詳細で具体的な内容が把握できない事例も見られ、資料に限界があることが分かった。平成24年度においては、次の二つの点から研究を進める。(1)到達目標を明確にした教育課程基準の示し方の類型化到達目標を明確にした教育課程基準については、例えば、総括目標、領域目標を用意し、それらを元に教育課程の区分を構成する方法、学年段階をステージ等に区分し、ステージごとの目標を示す方法、教育課程のシークェンスとスコープの交差ごとに諸能力を配置編成する方法等が考えられる。一方、国の基準と地方基準、各学校の相互関係についても、視野に入れた類型を考える。これらの視点及び平成23年度の研究から得られた知見を生かしながら、教育課程基準の示し方のタイプ化を図る。(2)到達目標を明確にした教育課程基準の試案の作成到達目標を明確にした教育課程基準について、現行の学習指導要領の範囲を前提に、その組み替え案を作成する。 | KAKENHI-PROJECT-23653259 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-23653259 |
到達目標を明確にした教育課程基準のモデル開発に関する研究 | その際、教育課程を構成する教育目標と教育内容、学年やステージの組み合わせ方法について、教科のように"境界維持"の強い類型と、領域や分野のように弱い類型とに区別して試案を作成する。平成24年度に使用することとなる研究費(19,943円)が生じた理由については、旅費や物品費の額が予定よりも押さえられたからである。平成24年度においては、前年度からの繰り越し分も含めて、物品費約15万円、旅費約25万円、その他約12万円の使用を予定している。物品費は図書や消耗品、旅費は資料収集並びに調査旅費、その他は印刷費等を予定している。 | KAKENHI-PROJECT-23653259 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-23653259 |
癌特異的プロモーターを導入した組換え単純ヘルペスによる転移性肝癌治療の研究 | 1組み換えHSV-1の作成survivin promoter下のみで増殖するsurvivin specific HSV-1を作成し、survivin高発現株であるHT-29に感染させsingle step growth assayにより細胞の増殖活性を測定した。この際survivin発現のない繊維芽細胞を用いて同様に実験を行い増殖活性がないことを確認した。この結果survivin発現及び未発現の細胞間での増殖活性の選択性は認められたものHT29における増殖活性が予測していたより弱かった。以上の結果はCEA specific HSV-1についても同様であった。(1)皮下腫瘍モデルを用いた腫瘍縮小効果の検討。ヌードマウスの皮下腫瘍に対する治療効果を検討したところsurvivin高発現株あるhepG3、Panc1での腫瘍縮小効果は認められ、またsurvivin低発現株であるLovoでは腫瘍縮小効果は認められなかった.一方、HSV-survの対照として用いた組み換え型単純ヘルペスウイルスhrR3はHSV-survに比べ腫瘍縮小効果は著明であったがHSV-survに見られたような腫瘍選択性は認められなかった。(2)転移性肝癌モデルを用いたウイルス効果の検討肝動脈内に留置じたカテーテルからのウイルス投与を計画したが手技的に困難であり且つウイルス投与が不確実になるためウイルスを脾臓に投与し経門脈的にウイルスを脾臓に投与し経門脈的にウイルスを肝臓内へ投与した。この結果対照のhrR3は著明な腫瘍縮小効果をみとめたもののHSV-survでは腫瘍効果を認めなかった。本研究の課題としてはウイルス増殖を充分に促す強力なプロモーターを選択且つ改良することにありこの問題が克服されれば癌治療に有効な研究成果が期待出来るものと考える。1組み換えHSV-1の作成survivin promoter下のみで増殖するsurvivin specific HSV-1を作成し、survivin高発現株であるHT-29に感染させsingle step growth assayにより細胞の増殖活性を測定した。この際survivin発現のない繊維芽細胞を用いて同様に実験を行い増殖活性がないことを確認した。この結果survivin発現及び未発現の細胞間での増殖活性の選択性は認められたものHT29における増殖活性が予測していたより弱かった。以上の結果はCEA specific HSV-1についても同様であった。(1)皮下腫瘍モデルを用いた腫瘍縮小効果の検討。ヌードマウスの皮下腫瘍に対する治療効果を検討したところsurvivin高発現株あるhepG3、Panc1での腫瘍縮小効果は認められ、またsurvivin低発現株であるLovoでは腫瘍縮小効果は認められなかった.一方、HSV-survの対照として用いた組み換え型単純ヘルペスウイルスhrR3はHSV-survに比べ腫瘍縮小効果は著明であったがHSV-survに見られたような腫瘍選択性は認められなかった。(2)転移性肝癌モデルを用いたウイルス効果の検討肝動脈内に留置じたカテーテルからのウイルス投与を計画したが手技的に困難であり且つウイルス投与が不確実になるためウイルスを脾臓に投与し経門脈的にウイルスを脾臓に投与し経門脈的にウイルスを肝臓内へ投与した。この結果対照のhrR3は著明な腫瘍縮小効果をみとめたもののHSV-survでは腫瘍効果を認めなかった。本研究の課題としてはウイルス増殖を充分に促す強力なプロモーターを選択且つ改良することにありこの問題が克服されれば癌治療に有効な研究成果が期待出来るものと考える。平成13年度は腫瘍特異性を有する組み換え型単純ヘルペスの作成を以下の通り行った。(1)転移性肝癌に特異的活性を有するプロモーターの作成転移性肝癌に発現の強いCEAのpromoter及びapoptosis inhibitorの一種で癌特異性が極めて高いsurvivinのpromoterの2種類のc-DNAを作成しルシフェラーゼアッセイを行ないプロモーター活性を確認した。(2)組み換え用プラスミドの作成HSV-Iのimmediate early geneであるICP4を上記で作成したプラスミドのプロモーターの下流に組み込みプロモーター/ICP4のfragmentをHSV-IのTKcodingregionにlac Z及びSV40 polyadenylation siteを挿入したpTKΔLの下流に組込みpTKΔL-CEA及びpTKΔL-survivinを作成した。(3)組み換えHSV-1の作成作成したウイルスをsurvivin高発現株である大腸癌細胞株HT-29に感染させ細胞の増殖活性を測定した。この際suvivin発現のない繊維芽細胞を用いて同様に実験を行った。この結果、増殖活性の選択性は認められたもののsurvivin高発現株での増殖活性が予測していたより弱かったため現在、組み換えプラスミドを改良中である平成14年度は昨年度に作成した腫瘍特異性を有する組み換え型単純ヘルペスの改良並びに動物実験を以下の通り行った。(1)ヘルペスウイルスの改良昨年度に樹立した組み換え型単純ヘルペス(以下HSV-surv)は増殖活性の選択性は認められたもののsurvivin高発現株での増殖活性が予測していたより弱かったため、survivin promoterの上流に4F2蛋白のenhancerを組み込んだ。この結果ウイルスの増殖活性が増大した。HSV-CEAは増殖活性が上がらず以下の動物実験には使用しなかった。(a)皮下腫瘍モデルを用いた腫瘍縮小効果の検討。ヌードマウスの皮下腫瘍に対する治療効果を検討したところsurvivin高発現 | KAKENHI-PROJECT-13671356 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-13671356 |
癌特異的プロモーターを導入した組換え単純ヘルペスによる転移性肝癌治療の研究 | 株あるhepG3、Panc1での腫瘍縮小効果は認められ、またsurvivin低発現株であるLovoでは腫瘍縮小効果は認められなかった。一方、HSV-survの対照として用いた組み換え型単純ヘルペスウイルスhrR3はHSV-survに比べ腫瘍縮小効果は著明であったがHSV-survに見られたような腫瘍選択性は認められなかった。(b)転移性肝癌モデルを用いたウイルス効果の検討上記の腫瘍細胞を脾注し転移性肝癌モデルを作成した。当初、肝動脈内に留置したカテーテルからのウイルス投与を計画したが手技的に困難であり且つウイルス投与が不確実になるためウイルスを脾臓に投与し経門脈的にウイルスを肝臓内へ投与した。この結果対照のhrR3は著明な腫瘍縮小効果をみとめたもののHSV-survでは腫瘍効果を認めなかった。これはHSV-survの増殖活性がまだ不十分であることに起因すると考えられ、今後はさらなるウイルスの改良やウイルスプロモーターの活性を上げる腫瘍細胞内の環境の検討等が望まれる。 | KAKENHI-PROJECT-13671356 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-13671356 |
iPS細胞、及び疾患特異的iPS細胞からの骨格筋細胞分化誘導に関する基盤研究開発 | ヒトES細胞Kh-ES1およびヒトiPS細胞253G4を用いてin vitroで骨格筋細胞を分化誘導することに成功した。更に、分化誘導した骨格筋細胞は移植実験のもと、生体内での生着することを確認した。今後はこれらの成果を発展させ、移植可能な前駆細胞の抽出を目標とする。また既に確立している筋ジストロフィー患者由来iPS細胞を用い、in vitroでの比較実験等を行う予定である。我々はこれまでにES細胞から骨格筋への分化誘導培養の基盤研究をすすめており、マウスES細胞及びiPS細胞から、実験的に質のよい骨格筋線維を産生し、マウス骨格筋に有効に生着する前駆細胞を抽出する系を確立してきた(Mizuno Y et al. FASEB J 2010)。この方法を応用させ、ヒトES細胞、iPS細胞から骨格筋細胞へ分化誘導する基盤技術の開発に取り組んできた。未分化ヒトES細胞およびiPS細胞を胚様体と呼ばれる細胞塊として浮遊培養した後、特定条件下で付着培養すると、7週から16週程度で成熟骨格筋マーカーであるミオシン重鎖II型を発現し、間葉系細胞が選択的に誘導可能であった。本研究で誘導された細胞集団は、間葉系幹細胞マーカーであるCD73、CD105、CD166、およびCD29を一様に発現していることに加え、骨格筋前駆細胞マーカーのひとつであるCD56を強発現しており、最終的にin vitroで骨格筋ミオシンとジストロフィンを発現する多核成熟筋管へと分化した。本研究で誘導された細胞集団は、間葉系幹細胞マーカーであるCD73、CD105、CD166、およびCD29を一様に発現していることに加え、骨格筋前駆細胞マーカーのひとつであるCD56を強発現しており、最終的にin vitroで骨格筋ミオシンとジストロフィンを発現する多核成熟筋管へと分化した。ES細胞およびiPS細胞由来の骨格筋幹/前駆細胞の生体内での骨格筋再生能はいままで十分に検証されて来なかったが、本研究において誘導された筋原性間葉系細胞は、筋衛星細胞分画への生着能と、長期にわたる骨格筋再生能を有しておりより有用であると考えられた。この内容は、PLOS ONE 2012に論文発表している。ヒトES細胞Kh-ES1およびヒトiPS細胞253G4を用いてin vitroで骨格筋細胞を分化誘導することに成功した。更に、分化誘導した骨格筋細胞は移植実験のもと、生体内での生着することを確認した。今後はこれらの成果を発展させ、移植可能な前駆細胞の抽出を目標とする。また既に確立している筋ジストロフィー患者由来iPS細胞を用い、in vitroでの比較実験等を行う予定である。当研究室において、これまでにES細胞から骨格筋への分化誘導培養の基盤研究をすすめており、マウスES細胞及びiPS細胞から、実験的に質のよい骨格筋線維を産生し、マウス骨格筋に有効に生着する前駆細胞を抽出する系を確立してきた(Mizuno Y et al. FASEB J 2010)。今回、この方法を応用させ、ヒトES細胞、ヒトiPS細胞から骨格筋細胞へ分化誘導する基盤技術の開発に取り組み、簡便な分化誘導系を用い、骨格筋選択的な分化誘導を行うことに成功し、論文発表を行った(Awaya T et al. PLOS ONE 2012)。本実験系では成熟骨格筋マーカーであるミオシン重鎖陽性細胞への分化誘導に成功し、また、骨格筋細胞への分化効率としてヒトES細胞、ヒトiPS細胞はともにほぼ同等な効率が得られ、また成熟骨格筋である多核筋繊維の形成も確認している。この実験系を用いて作成したヒトES細胞、ヒトiPS細胞由来の骨格筋細胞を免疫抑制マウス(NOGマウス)の筋障害モデルに移植することにより、マウス筋組織内に生着したこと確認した。また、移植したヒトES細胞、ヒトiPS細胞由来の骨格筋細胞は骨格筋の幹細胞と考えられている筋衛星細胞(PAX7陽性細胞)に組織内にて分化し、かつ、長期生着(少なくとも6ヶ月)を確認した。以上より、現時点で我々はヒトES細胞、ヒトiPS細胞から骨格筋細胞へ分化誘導する基盤技術を確立させ、この実験系によって分化誘導された骨格筋細胞は再生医療の手段、並びに筋疾患の病態解析のin vitroにおける実験的検証を行うことが可能であると考えている。我々はこれまでにES細胞から骨格筋への分化誘導培養の基盤研究をすすめており、マウスES細胞及びiPS細胞から、実験的に質のよい骨格筋線維を産生し、マウス骨格筋に有効に生着する前駆細胞を抽出する系を確立してきた(Mizuno Y et al. FASEB J 2010)。この方法を応用させ、ヒトES細胞、iPS細胞から骨格筋細胞へ分化誘導する基盤技術の開発に取り組んできた。未分化ヒトES細胞およびiPS細胞を胚様体と呼ばれる細胞塊として富裕培養した後に、特定の条件下で培養すると7週から16週程度で成熟骨格筋マーカーであるミオシン重鎖II型を発現し、間葉系細胞の選択的分化誘導が可能となった。本研究で分化誘導された細胞集団は間葉系幹細胞マーカーを発現し、かつ骨格筋前駆細胞マーカーであるCD56も強発現している。従って、in vitroで骨格筋ミオシンとジストロフィンを発現する多核成熟筋管へと分化していることが判明した。 | KAKENHI-PROJECT-24591508 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-24591508 |
iPS細胞、及び疾患特異的iPS細胞からの骨格筋細胞分化誘導に関する基盤研究開発 | 本研究で分化誘導された筋原性間葉系細胞は生体内においても長期生着、ならびに骨格筋最性能を有しており、有用な骨格筋への分化誘導実験系の確立に成功した。これらの内容についてPLOS ONEに論文報告をした。小児神経近年、iPS細胞へのMyoD導入による骨格筋分化誘導の系が他施設で確立し、これまで当方で行っている分化誘導系より簡便であり、かつ、培養日数(分化誘導日数)の短縮が可能となった。この分化誘導系に変更を検討しており、その基礎検討の実験などにより、当初の目的である疾患iPS細胞の骨格筋分化誘導の実験が当初より遅れているという状況に至っている。我々はDuchenne型筋ジストロフィー(DMD)疾患特異的iPS細胞(DMD-iPS細胞)を8株所有している。iPS細胞の未分化能、多分化能のクオリティーを確認している。細胞株ごとにより細胞のクオリティーは多様性を示すことから、それぞれの細胞株のクオリティーの安定維持に時間を要している。iPS細胞のMyoD導入による骨格筋分化誘導の実験系の安定化を早急に目指し、その上で、検討すべき筋ジストロフィー疾患特異的iPS細胞の骨格筋分化誘導の実験を進めていく。現在、iPS細胞のMyoD導入による疾患特異的iPS細胞の骨格筋分化誘導を代謝疾患系の疾患特異的iPS細胞で行っている。正常iPS細胞から分化誘導した骨格筋細胞、骨格筋前駆細胞をコントロールとして、DMD-iPS細胞から分化誘導した骨格筋細胞、骨格筋前駆細胞における疾患特異的に発現しているタンパク質、RNA遺伝子を検出することによって、DMDの病態に関与する因子と、その作用機序について検討していくことを予定している。また、近年、DMDの治療として期待されている治療法の1つにエキソンスキッピング療法が注目されており、DMDモデル動物に対する治療効果について報告も多くされるようになっている。本システムがDMDの病態をin vitroで再現することが可能であることが確認されれば、本システムを用いて、DMDモデル動物において効果が示された治療のヒトにおける効果評価を安全に解析してきことも予定している。本年度の旅費を使用しておらず、その分を物品に回したが、金額的に未使用額余った。研究成果の報告として学会などで発表するべく、旅費を使用する。また、疾患特異的iPSの骨格筋分化誘導培養実験系の確立のために、物品などの購入を行う。疾患特異的iPS細胞の骨格筋分化培養の実験系を確立させるため、培養用メディウム250,000円、及び培養用プラスチック製品250,000円を次年度の研究費として計上した。また、骨格筋細胞の分化誘導の効率化の向上を計る目的にて各種サイトカインが必要となり、平成25年度は培養システム確立のため300,000円必要となる。免疫細胞組織染色を行なう上で、各種抗体の購入費用(平成25年度は200,000円)が必要とされ、RT-PCR解析を行なうために、RNA抽出キット、cDNA合成試薬、PCRプライマー等の費用(平成25年度は400,000円)が必要とされる。 | KAKENHI-PROJECT-24591508 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-24591508 |
肝臓からのコレステロール排泄機構の解明 | 肝臓は体内のコレステロールを排泄する唯一の臓器である。今回の研究から、(1)ヒトには肝臓特異的なステロリンが存在しており、そのコレステロール排泄力は小腸のそれとは異なること、(2)胆汁中に排泄されたコレステロールはNPC1L1で再度肝臓に取り込まれ、アポEに富んだリポ蛋白の産生に関与していること、(3)肝細胞のコレステロールがどこから由来するかにより、その生理的役割が異なる可能性があること、が示唆された。肝臓は体内のコレステロールを排泄する唯一の臓器である。今回の研究から、(1)ヒトには肝臓特異的なステロリンが存在しており、そのコレステロール排泄力は小腸のそれとは異なること、(2)胆汁中に排泄されたコレステロールはNPC1L1で再度肝臓に取り込まれ、アポEに富んだリポ蛋白の産生に関与していること、(3)肝細胞のコレステロールがどこから由来するかにより、その生理的役割が異なる可能性があること、が示唆された。肝臓からのコレステロール排泄機構の全貌は未だ明らかにはなっていない。我々は、肝臓では小腸と異なるABCG5遺伝子(ステロリン1)が存在することを見出し(未発表データ)、この遺伝子の役割および細胞内動態を追求するとともに、既報のステロール排泄に関与する分子の細胞内動態の研究、および可能ならば新たなトランスポーターの発見を本研究にて目指す。平成20年度は、肝臓特異的ABCG5遺伝子およびNPC1L1遺伝子のクローニングとこれら遺伝子を含有するアデノウイルスの作成、ABCG8遺伝子含有アデノウイルスの作成、およびin vitroで用いる細胞系spheroid HepG2細胞(以下、sHep細胞)の確立とその検証を行った。昨年度提出した報告書に記載したとおり、平成20年度末までにsHep細胞の確立と、通常培養HepG2細胞と比較してのsHep細胞の脂質代謝を検討する上での有用性を確認し、ABCG5遺伝子およびNPC1L1遺伝子のクローニングは終了していたが、各遺伝子発現ウイルス、およびこれら対象遺伝子とGFPなどとの融合蛋白を発現を可能とするウイルス作成するも十分に目的蛋白発現を確認できなかったため、平成20年度研究費の繰越を行い以下の研究を行った。まず、ABCG5およびABCG8遺伝子の上流部に新たにコザック配列を挿入することにより、目的とするステロリン蛋白の発現をWestern blotで十分に確認できるように改良に成功した。また、レポーター蛋白とステロリン蛋白との融合蛋白遺伝子改変においても、目的遺伝子とレポーター遺伝子との接合配列を改変することにより、細胞内でレポーター蛋白の発現を蛍光顕微鏡で確認できるように改良できた。これにより、平成21年度の研究隊行につながった。本年度は昨年度確立したウイルスベクターを用いての検討を行った。ヒト小腸型ABCG5 (iABCG5)とヒト肝臓型ABCG5(hABCG5)をそれぞれ単独でHepG2細胞に発現させると、いずれも理論上想定される分子量に相当する蛋白の発現が確認されたが、それぞれをABCG8と共発現させた場合、iABCG5においてのみ単独発現の場合に比べ新規により大きい分子量の蛋白の発現が確認された。この大きい分子量の蛋白質はPNGase処理にて消失することから、iABCG5が糖化を受けた蛋白質であることが判明した。ABCG8もhABCG5と共発現させた場合には大きい分子量の蛋白を認めなかったが、iABCG5と共発現させるとより大きい分子量の蛋白が出現し、これもPNGaseで消失した。今回の実験の結果から、iABCG5とABCG8は共発現させるとお互いの蛋白の糖化を進行させるが、hABCG5にはそのような作用は認めないことが判明した。なお、肝臓特異的ABCG5 (hABCG5)の確認は欧米人のcDNAライブラリーを用いての検討であったため、日本人でもhABCG5が肝臓におけるABCG5であることを、2名の日本人の肝組織から精製したcDNAを用いて確認した。hABCG5-GFP,iABCG5-YFP,ABCG8-RFPの融合蛋白アデノウイルスを用い、細胞内蛋白局在を単層培養HepG2細胞(mHep)で行ったところ、単独発現でどの蛋白も小胞体に存在するパターンを認めた。iABCG5-YFPあるいはhABCG5-GFPとABCG8-RFPの共発現系にての検討でも、その局在に大きな変化は認めなかった。この現象はmHepの極性非形成によると考え、極性を有するsHepでの検証を試みたが、ウイルスがスフェロイドの表面に存在する細胞にのみにしか感染しなかったため、その局在を検討することができなかった。HepG2細胞にNPC1L1を発現させると、胆汁酸とコレステロールのミセルを培養液中に入れることにより細胞内コレステロール濃度が上昇することを確認し、また細胞の小胞体ストレスがNPC1L1発現により亢進することを発見した。本年度は、昨年度in vitroでの発現検討を行ったABCG5,ABCG8,NPC1L1について、in vivoで肝臓に発現させることにより、その発現蛋白の特徴および生理的役割について検討した。まず、ヒト小腸型ABCG5(iG5),ヒト肝臓型ABCG5(hG5)をコードするアデノウイルスをABCG5/8ダブルノックアウトマウスに感染させたところ、HepG2細胞でみられた蛋白(iG5約70kDa,hG5約55kDa)の他に、hG5,iG5ともにほぼ同じ分子量のより小さい(約50kDa)蛋白を認めた。また、iG5,hG5をそれぞれABCG8(G8)と共発現させると、ともに成熟化(糖化)されていた。 | KAKENHI-PROJECT-20591079 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-20591079 |
肝臓からのコレステロール排泄機構の解明 | 今回の結果より、in vivoではABCG5,ABCG8は、単層培養のHepG2とは異なる動態を示す可能性が示唆された。また、予備検討の結果からではあるが、hG5+G8の発現に比較しiG5+G8発現は胆汁中コレステロール濃度が低く、コレステロール排泄能において劣る可能性が示唆された(hG5+G8 22.8μmol/ml vs iG5+G86.0μmol/ml)。現在ABCG5/8ダブルノックアウトマウスを繁殖させ、さらなる検討を行っている。NPC1L1に関しては、ヒトNPC1L1をC57BL6マウスの肝臓に発現させると、NPC1L1が毛細胆管に沿って発現すること、胆汁中のコレステロールが減少することが判明した。このことより肝NPC1L1は胆汁からコレステロールを再吸収していることが示唆された。また、LDLとHDLの中間の大きさの、アポEに富んだリポ蛋白が出現することも判明した。このリポ蛋白は、NPC1L1の阻害剤であるエゼチミブを投与することにより抑制された。また、遊離コレステロール、リン脂質に富み、アガロース電気泳動でα位に泳動されることから、HDLに近い性質を有する、と考えられた。 | KAKENHI-PROJECT-20591079 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-20591079 |
学校横断的な研究開発学校の分析と評価に関する研究―資質・能力に着目して― | 学習指導要領に拠らない教育課程を編成することができる「研究開発学校」における新しい教育課程の編成実施は、学校を基盤としたカリキュラム開発(SBCD)の営みそのものである。本課題では、研究開発学校の成果を、資質・能力の育成や教科等の再編成をはじめとした様々な観点で再分析を行い、新しい教育課程の在り方を提案するとともに、各学校におけるカリキュラムデザインやSBC)の具体的手法を明らかにし支援する。教科等横断的な資質・能力の育成という点で大変重要な示唆が得られるとともに、各学校におけるカリキュラム・マネジメント、特にカリキュラムデザインや編成・実施・評価・改善といったサイクルに資することができる。学習指導要領に拠らない教育課程を編成することができる「研究開発学校」における新しい教育課程の編成実施は、学校を基盤としたカリキュラム開発(SBCD)の営みそのものである。本課題では、研究開発学校の成果を、資質・能力の育成や教科等の再編成をはじめとした様々な観点で再分析を行い、新しい教育課程の在り方を提案するとともに、各学校におけるカリキュラムデザインやSBC)の具体的手法を明らかにし支援する。教科等横断的な資質・能力の育成という点で大変重要な示唆が得られるとともに、各学校におけるカリキュラム・マネジメント、特にカリキュラムデザインや編成・実施・評価・改善といったサイクルに資することができる。 | KAKENHI-PROJECT-19K03076 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-19K03076 |
国際連盟における国際法の法典化事業と国際法学者ハドソン | 本研究は、国際連盟における国際法の法典化事業に深く関与した米国の国際法学者ハドソン(Manley O. Hudson)の残した個人文書や、米国政府の外交記録等を海外の公文書館・図書館で渉猟し、これらの分析をすることで、連盟を中心に行われた国際法の発展に対する米国の関わりを史的に明らかにするものである。本研究は、国際連盟における国際法の法典化事業に深く関与した米国の国際法学者ハドソン(Manley O. Hudson)の残した個人文書や、米国政府の外交記録等を海外の公文書館・図書館で渉猟し、これらの分析をすることで、連盟を中心に行われた国際法の発展に対する米国の関わりを史的に明らかにするものである。 | KAKENHI-PROJECT-19K13635 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-19K13635 |
EMC・真空適合性を重視した高感度変位センサの研究 | 本研究は,短波帯の電圧制御発振器(VCO)を用いて,簡便な機構の非接触変位センサの作成を試みるものである.主な特徴として,二種類の周波数の電磁波をポンプ波として用い,その周波数差を読みとることで,線形性の改善,さらに絶対長の推定を行えることを目指していた.第一年次ではVCO・変調用発振器の作成,センサヘッドの特性測定のためのマイクロメータ付きステージの作成を行ない,同軸ケーブル共振器の共振パターンの取得とその変位依存性を調べた.また,指数の一つ異なる共振周波数の差をカウンタで計測できるようにするため共振器長を数m程度に長くする必要があり,微小変位の測定には不利ではないかと危惧していたが,1mm以下の変位が十分計測できる感度を持っていることが確認できた.さらに,測定対象物が電気的導体の場合には,センサヘッドの測定対象物への接触時に起こる共振点と反共振点の転換を利用して,接触を検出できるという性質も見出された.しかし,第二年次のより詳細な調査実験により,変位の絶対値の推定に関しては簡単にはいかないという見通しとなった.まず,対象物との距離を遠ざけた時の特定指数の共振のピーク周波数が,下がるのではなく上がるという結果が得られた.これは,対象物との距離の増加が共振空洞の拡大に結び付く効果より,センサ部分での損失の減少の寄与が優勢であったためと考えられる.センサヘッドの再デザインにより当初の目的を達成できる可能性も残っているが,本研究期間内に行なうことができなかった.このため,第二年次の計画項目であった被測定物の材質・温度依存性,長期安定性,雑音特性評価,相互妨害特性評価は行なっていない.しかしながら,指数の一つ異なる二種類の共振周波数の差をとる方式により,センサの非線形性をかなり取り除けるという予想は,実測により裏付けることができた.本研究は、短波帯の電圧制御発振器(VCO)を用いて簡便な機構の非接触変位センサの作成を試みるものである.本年度(第一年次)に予定されていた計画のうち,VCO・変調用発振器の作成,センサヘッドの特性測定のためのマイクロメータ付きステージの作成が済み,同軸ケーブル共振器の共振パターンの取得とその変位依存性を調べた.設備備品として購入したネットワークアナライザの解析可能上限周波数が150MHzであるため,VCOは120MHz近辺で動作させている.これは,共振器として用いている7m同軸ケーブルの10倍高調波に対応する.指数の一つ異なる共振周波数の差をカウンタで計測できるようにするため共振器長をある程度長くする必要があり,これが測定感度自体を悪化させるのを危惧していたが,1mm以下の変位が十分計測できる感度を持っていることが確認できた.一般に非接触型変位センサの応用分野では,センサヘッドの測定対象物への接触は深刻な問題を引き起こす.接触の検出には別系統のセンサを用意しなければならないことが多いが,本計画で利用している機構では,接触時の「共振点と反共振点の転換」を利用して,センサヘッド部分に付加物を加えることなく接触を検出できることが見出された.この好ましい特性は,事前に予想していなかったが,レーザー干渉計型重力波検出器では光共振器で類似の現象が起こることは良く知られており,容易に理解することができた.本研究の要である,異次数共振周波数の差の読み出しのために必要な二系統のVCOのうち,系統は未作成となっており,現在行っているセンサヘッドの寸法と電気系パラメータの摺り合わせが済んだ後に取り掛かる予定である.その後に,本来の第二年次の計画項目である被測定物の材質・温度依存性,長期安定性,雑音特性評価,相互妨害特性評価に進む.本研究は,短波帯の電圧制御発振器(VCO)を用いて,簡便な機構の非接触変位センサの作成を試みるものである.主な特徴として,二種類の周波数の電磁波をポンプ波として用い,その周波数差を読みとることで,線形性の改善,さらに絶対長の推定を行えることを目指していた.第一年次ではVCO・変調用発振器の作成,センサヘッドの特性測定のためのマイクロメータ付きステージの作成を行ない,同軸ケーブル共振器の共振パターンの取得とその変位依存性を調べた.また,指数の一つ異なる共振周波数の差をカウンタで計測できるようにするため共振器長を数m程度に長くする必要があり,微小変位の測定には不利ではないかと危惧していたが,1mm以下の変位が十分計測できる感度を持っていることが確認できた.さらに,測定対象物が電気的導体の場合には,センサヘッドの測定対象物への接触時に起こる共振点と反共振点の転換を利用して,接触を検出できるという性質も見出された.しかし,第二年次のより詳細な調査実験により,変位の絶対値の推定に関しては簡単にはいかないという見通しとなった.まず,対象物との距離を遠ざけた時の特定指数の共振のピーク周波数が,下がるのではなく上がるという結果が得られた.これは,対象物との距離の増加が共振空洞の拡大に結び付く効果より,センサ部分での損失の減少の寄与が優勢であったためと考えられる.センサヘッドの再デザインにより当初の目的を達成できる可能性も残っているが,本研究期間内に行なうことができなかった. | KAKENHI-PROJECT-13750383 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-13750383 |
EMC・真空適合性を重視した高感度変位センサの研究 | このため,第二年次の計画項目であった被測定物の材質・温度依存性,長期安定性,雑音特性評価,相互妨害特性評価は行なっていない.しかしながら,指数の一つ異なる二種類の共振周波数の差をとる方式により,センサの非線形性をかなり取り除けるという予想は,実測により裏付けることができた. | KAKENHI-PROJECT-13750383 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-13750383 |
変形性膝関節症に対する後期糖化最終生成物による半月板変性の影響 | 加齢関連物質である後期糖化最終生成物(AGE)の受容体(RAGE)の働きを変形性膝関節症(膝OA)患者より採取した軟骨や半月板で調査した。AGEによる代謝反応はRAGEを介して行われ、膝OA患者の治療で広く使われるヒアルロン酸によりその効果が減弱した。またOAなどの損傷組織から分泌されるalarminのひとつでRAGEリガンドでもあるS100蛋白についても調査したところ、これらはOA組織に多く存在しており、OA同様な代謝反応がMAPKやNFκBを介して行われていた。変形性膝関節症(以下、膝OA)の予防・治療のため、その発症・進行に関わる後期糖化最終生成物(以下、AGE)と、AGEをリガントとするAGE受容体(以下RAGE)が膝軟骨および半月板変性に与える影響を調査した。正常膝よりも膝OAの軟骨・半月板でRAGEがつよく発現していることを免疫染色やPCRなどにて確認。またRAGEのリガンドであり、損傷組織より分泌されてOAの進行や修復などに関わるアラルミンの一つであるS100タンパクのうち、S100A12に関しても同様に調査し、軟骨において上記と同様の結果を得た。続いて、AGEやS100A12を、単離培養したOA軟骨細胞や半月板細胞に添加したところ、PCRやWestern BlottingにてOA進行に関与すると考えられる炎症反応や代謝反応の亢進がみられ、これらの反応はMAPKを介するものであることも証明出来た。さらに膝OAの治療薬として広く使用されているヒアルロン酸による炎症反応や代謝反応の抑制効果も示すことができ、現行のヒアルロン酸関節注射はこの系においても有用な治療方法の一つであることがわかった。このようにAGE、RAGEそしてS100タンパクはOAの軟骨や半月板に多く発現し、炎症や代謝などの反応により、膝OAの進行に強く関連していることが証明された。これらの発現や反応経路をコントロールすることは、膝OAの予防や治療に結びつくと考えられ、例えば膝関節内にも存在しRAGEのデコイの働きをする可溶性RAGEに注目し、その発現を増やすことでRAGE経路を抑制しOAを予防したり、S100タンパクを含めたアラルミンのOA進行でなく、損傷組織の修復に関与する過程を調査して、内在的な修復能力をコントロールすることでOAを治療したりなど、今回の結果により、新しい膝OAの予防・治療法への道がひらけた。加齢関連物質である後期糖化最終生成物(AGE)の受容体(RAGE)の働きを変形性膝関節症(膝OA)患者より採取した軟骨や半月板で調査した。AGEによる代謝反応はRAGEを介して行われ、膝OA患者の治療で広く使われるヒアルロン酸によりその効果が減弱した。またOAなどの損傷組織から分泌されるalarminのひとつでRAGEリガンドでもあるS100蛋白についても調査したところ、これらはOA組織に多く存在しており、OA同様な代謝反応がMAPKやNFκBを介して行われていた。変形性膝関節症(以下、膝OA)の予防・治療のため、その発症原因究明の一端として、後期糖化最終生成物(以下、AGE)が膝半月板変性に与える影響を調査している。ます最初に、膝OAに対するAGEの物理的な関与につき調査した。ペントシジンやCMLなどの各種AGEの抗体を用いた免疫染色にて、変性程度やAGEの種類により染色に差があることを発見した。今後サンプル数を増やすことでそれぞれの症例ごとにおける年齢や膝OA進行程度と各AGEの影響を詳細に解明できると考えている。つづいて膝OAに対するAGEの化学的な関与につき半月板細胞や軟骨細胞を用いて調査した。AGEの受容体のひとつであるRAGEのsignalingを調べたところp38の関与が認められた。しかしこのp38は種々の受容体からの経路であり、このままこのp38を治療ターゲットとはできないため、現在この上流のシグナルの解析中である。このほかに最近RAGEのデコイの働きをする可溶性RAGEの研究が各分野で行われており、膝関節内にもこの可溶性RAGEの存在が認められている。これまでの調査でAGEによる軟骨への代謝的反応が可溶性RAGEで抑制できることを証明できており、受容体より前でRAGEの経路を抑制し治療ターゲットとなりやすいと考えられる可溶性RAGEの調査もRAGEのsignalingの調査と並行して行っている。半月板組織を用いた各種AGEの調査では染色の傾向がみえてきており、このままサンプル数を増やすことで詳細なデータが得られると考えている。半月板および軟骨細胞を用いた調査ではRAGEシグナルの解明には難航しているが、かわりに可溶性RAGEの可能性を広げることができたため、差し引きで考え、おおむね順調とした。半月板組織を用いた各種AGEの免疫染色の調査にてこれまでつかんだ傾向をさらに確実なものとするため、サンプル数を増やして詳細なデータが得るための研究を進めている。半月板および軟骨細胞を用いた調査ではこれまで行ってきたRAGEシグナルの詳細、特にRAGEのすぐ下流のシグナルの調査を続行しながら、可溶性RAGEの分類や分泌産生などの詳しい調査も行っていく。さらにAGE-OAモデルマウスをもちいてのin vivo研究も進めているところである。抗体、試薬、各種測定キット、その他の物品費研究に携わる人の人件費学会参加・報告のための旅費など | KAKENHI-PROJECT-23659716 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-23659716 |
開放系温暖化実験法開発のための群落微気象モデリングと数値流体力学実験 | 1昇温手法の数値実験方法前年度までに開発した水田生態系の群落微気象モデルを用いて,赤外線ランプ・放熱管・風よけの3つの昇温手法における昇温効果と環境改変の数値実験を行った。ただし、これらは単独では地温を十分昇温できなかったことから,すべて地中には温床線を付加して計算を行った。まず将来予測される温暖化条件(全体の温度が2°C上昇)での群落微気象を計算し,それと各昇温手法の数値実験結果との差を,手法間で比較した。2異なる気象条件下での数値実験赤外線ランプでは,群落上部で過大・下部で過小な葉温上昇を示し,植物体から昇温するため常に気温の上昇が不十分であった。特に弱風で湿潤な気象条件では,葉面飽差が過大に増大した。放熱管は,群落上部に設置するほど鉛直に均一な昇温効果が認められ,理想的な葉温分布が得られた。葉温より気温が先に昇温し,葉面飽差の増大は赤外線ランプより小さかった。風よけでは,外が強風であるほど防風による昇温効果が顕著である一方,低日射条件では昇温自体が認められず,温度制御は不可能であった。夜間は,赤外線ランプ・放熱管共に昇温に要する熱量が小さいため,理想的な葉面分布が得られたが,葉-気温差、葉面飽差へのアーティファクトは,放熱管の方がやや小さかった。風よけでは夜間には昇温自体が認められなかった。3開放系温暖化実験手法についての指針の提示放熱管と温床線埋設を組み合わせた昇温手法が,葉温分布の均一さと葉面飽差へのアーティファクトの小ささにおいて最適であると結論された。しかし,一般的に放熱管の放熱量には技術上限界があり,熱交換率を向上させるための放熱管の材質や形状の工夫(フィンを付けるなど),あるいは強風時に赤外線ランプに切り替える等の操作が必要であると考えられる。1中国FACEでの微気象観測と熱収支解析中国江蘇省の水田地帯で実施中の開放系高CO_2(Free-Air CO_2 Enrichment, FACE)実験圃場において微気象観測を行った。現CO_2(対照)区と高CO_2(FACE)区の両区で,水稲移植後の7月始めから収穫の10月中旬まで,群落内外の日射(放射)環境,気温・湿度のプロファイル等の微気象環境を連続測定した。分げつ期,出穂期,登熟期に気孔抵抗を測定し,微気象要素やCO_2濃度に対する気孔の応答をサブモデル化した。さらに微気象データを,気孔応答サブモデルを組み込んだバルク2層熱収支モデルに適用し,高CO_2濃度が葉温や飽差に及ぼす影響を定量的に把握した。2昇温手法の整理生態系を対象とする温暖化実験手法について文献検索し,熱収支的にみた昇温のメカニズムや,温度・湿度・土壌水分・風速等の群落微気象へのアーティファクト,適用する際の経済性・汎用性などについて整理した。半閉鎖系手法である温度勾配型チャンバー(TGC)や温度制御型オープントップチャンバー(OTC)は,温度制御性に優れ,温室効果により群落全体を昇温可能であるが,湿度・風速・土壌水分等の他の環境条件へのアーティファクトが大きい。パッシブ制御型の温室やオープントップチャンバー・赤外線反射カバー等は,温度制御性は劣るが,安価で電力供給の困難なサイトにも有効であり,チャンバーやカバーの形状によってはアーティファクトをかなり抑えられる。温床線埋設や赤外線ランプは温度制御性もよく環境改変も少ないが,地表面の乾燥,植物体温と気温との差などの各手法特有の問題もあり,他の手法との併用や制御方法の検討が必要であることがわかった。3今後の展開中国FACEにおける微気象データを基に数値モデルを構築し,各昇温手法による群落の微気象環境への影響に関するシミュレーションを開始する。1中国FACEでの微気象観測の継続と微気象モデル構築中国江蘇省の水田地帯で実施中の開放系高CO_2 (Free-Air CO_2 Enrichment, FACE)実験圃場において微気象観測を行った。気孔コンダクタンスや葉面積分布などの植物側のパラメータを決定し,既存の多層微気象モデル(吉本ら,2000)を改良した。現在の水稲群落にモデルを適用した結果,温湿度プロファイルや葉温分布などの微気象や熱収支構造を十分再現しうることを確かめた。2温暖化手法の数値実験前年度に整理した代表的な各温暖化手法について,その昇温効果や他の環境条件へのアーティファクトについて数値実験を行い,手法間比較ならびに将来予測される温暖化状態(A)との定量的な比較を行った。赤外線ランプによる群落内の気温プロファイルは,予測される温暖化状態(A)に最も近かったが,群落上部において葉温・葉面飽差が過度に高く,群落の熱収支構造の変化も大きいため,それらが植物生理に少なからず影響を及ぼすことが推測された。風よけは,厳密には開放系装置でなく温度制御性能にも劣るが,群落内全体の気温・湿度,葉温を,(A)に近い状態でほぼ一様に上げることができた。温床線埋設では,地表面付近(1020cm)のみ昇温し地表面蒸発が増大した。 | KAKENHI-PROJECT-14760169 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-14760169 |
開放系温暖化実験法開発のための群落微気象モデリングと数値流体力学実験 | 放熱管を群落中層に設置すると,そこからの熱伝達と長波放射の増大のため,設置高さ付近の葉温が効率的に上昇し気温も上昇した。地温を効率的に上昇させるのは温床線方式のみであり,他の3手法は全て気温に比べ地温上昇が不十分であった。3今後の展開より高次の乱流拡散と大気安定度の効果を入れる等のモデルの改良を行い,昇温手法の実態に即した数値実験を行うと共に,水田生態系に適した温暖化システムの開発について具体的指針の提案を試みる。1昇温手法の数値実験方法前年度までに開発した水田生態系の群落微気象モデルを用いて,赤外線ランプ・放熱管・風よけの3つの昇温手法における昇温効果と環境改変の数値実験を行った。ただし、これらは単独では地温を十分昇温できなかったことから,すべて地中には温床線を付加して計算を行った。まず将来予測される温暖化条件(全体の温度が2°C上昇)での群落微気象を計算し,それと各昇温手法の数値実験結果との差を,手法間で比較した。2異なる気象条件下での数値実験赤外線ランプでは,群落上部で過大・下部で過小な葉温上昇を示し,植物体から昇温するため常に気温の上昇が不十分であった。特に弱風で湿潤な気象条件では,葉面飽差が過大に増大した。放熱管は,群落上部に設置するほど鉛直に均一な昇温効果が認められ,理想的な葉温分布が得られた。葉温より気温が先に昇温し,葉面飽差の増大は赤外線ランプより小さかった。風よけでは,外が強風であるほど防風による昇温効果が顕著である一方,低日射条件では昇温自体が認められず,温度制御は不可能であった。夜間は,赤外線ランプ・放熱管共に昇温に要する熱量が小さいため,理想的な葉面分布が得られたが,葉-気温差、葉面飽差へのアーティファクトは,放熱管の方がやや小さかった。風よけでは夜間には昇温自体が認められなかった。3開放系温暖化実験手法についての指針の提示放熱管と温床線埋設を組み合わせた昇温手法が,葉温分布の均一さと葉面飽差へのアーティファクトの小ささにおいて最適であると結論された。しかし,一般的に放熱管の放熱量には技術上限界があり,熱交換率を向上させるための放熱管の材質や形状の工夫(フィンを付けるなど),あるいは強風時に赤外線ランプに切り替える等の操作が必要であると考えられる。 | KAKENHI-PROJECT-14760169 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-14760169 |
細菌の不飽和脂肪酸シスノトランス異性化酵素の特性と役割 | Vibrio ABEー1株とPsendomonas Eー3株は生育温度上限付近の温度で培養された時、トランス型不飽和脂肪酸である16:1(9t)を16:1(9C)からの異性化により合成する。Pseudomonas Eー3株の無細胞抽出液には、遊離の16:1(9C)を基質とする酵素の活性とホスファチジルエタノ-ルアミンに結合している16:1(9C)を基質とする酵素の活性が存在することがわかった。本研究ではPseudomonas Eー3株の酵素について調査した。細胞分画により、遊離脂肪酸を基質とする酵素は細胞質に、ホスファチジルエタノ-ルアミンを基質とするものは細胞膜に存在することがわかった。但し後者の活性発現には細胞質成分の共存が必要とされた。細胞質画分を硫安画分の後、DEAEートヨパ-ル、Butylートヨパ-ル・ゲルろ過の各クロマトグラフィにより、細胞質成分として存在する酵素を約5000倍に精製した。本酵素はSDSーPAGE,native PAGEのいずれによっても2本の主要なタンパク質バンドからなることがわかった。又ゲルろ過により分離された2つのタンパン質の分子量は39,000と41,000であった。これらのタンパク質は単独では16:1(9C)を異性化できず、活性発現のためには両者の共存が必須であった。精製された本酵素は0°Cで最大活性を示し、-20°Cでも最大活性の5%を維持するという特異な性質をもつことが明らかとなった。40°Cでは最大活性の23%が残っていた。炭素数16で、二重結合の位置は△9にある遊離の脂肪酸を基質として利用したが、炭素数(鎖長)、二重結合の位置に関する特異性は厳密なものではなかった。Vibrio ABEー1株とPsendomonas Eー3株は生育温度上限付近の温度で培養された時、トランス型不飽和脂肪酸である16:1(9t)を16:1(9C)からの異性化により合成する。Pseudomonas Eー3株の無細胞抽出液には、遊離の16:1(9C)を基質とする酵素の活性とホスファチジルエタノ-ルアミンに結合している16:1(9C)を基質とする酵素の活性が存在することがわかった。本研究ではPseudomonas Eー3株の酵素について調査した。細胞分画により、遊離脂肪酸を基質とする酵素は細胞質に、ホスファチジルエタノ-ルアミンを基質とするものは細胞膜に存在することがわかった。但し後者の活性発現には細胞質成分の共存が必要とされた。細胞質画分を硫安画分の後、DEAEートヨパ-ル、Butylートヨパ-ル・ゲルろ過の各クロマトグラフィにより、細胞質成分として存在する酵素を約5000倍に精製した。本酵素はSDSーPAGE,native PAGEのいずれによっても2本の主要なタンパク質バンドからなることがわかった。又ゲルろ過により分離された2つのタンパン質の分子量は39,000と41,000であった。これらのタンパク質は単独では16:1(9C)を異性化できず、活性発現のためには両者の共存が必須であった。精製された本酵素は0°Cで最大活性を示し、-20°Cでも最大活性の5%を維持するという特異な性質をもつことが明らかとなった。40°Cでは最大活性の23%が残っていた。炭素数16で、二重結合の位置は△9にある遊離の脂肪酸を基質として利用したが、炭素数(鎖長)、二重結合の位置に関する特異性は厳密なものではなかった。我々は好冷菌VibrioABE-1株が不飽和脂肪酸のシス/トランス異性化という新しいタイプの温度適応様式を持つことを明らかにした。これは不飽和脂肪酸のシス/トランス異性化酵素が温度に依存して活性化されるためと考えられているが、本研究の初年度においてはVibrio ABE-1株より本酵素を精製しその性質を明らかにすること、及びシス/トランス異性化酵素欠損株の単離を目的として行なわれた。今までのところ不飽和脂肪酸シス/トランス異性化酵素の精製には至っていないが、本酵素のin vitroでの活性を測定する際、ラジオアイソト-プを使わない方法として市販のジパルミトオレオイル-ホスファチジルコリンからストレプトミセス由来のホスホリパ-ゼDを用いてホスファチジル基転移反応により得たジパルミトオレオイルホスファチジル-エタノ-ルアミンを基質とし反応産物をキャピラリ-カラムを用いたガスクロマトグラフィにより定量する新しい方法を確立した。酵素源として細胞質画分、細胞膜画分の何れを用いても異性化酵素活性が認められ、本菌が複数種の異性化酵素を持つことが示唆された。これはin vivo実験により既に本菌が温度依存性の異なる異性化酵素をもつという可能性が示されているが、この結果と符号た。異性化酵素活性を欠く突然変異株はまだ得られていない。しかし、突然変異誘発剤てあるニトロソグアニジン、及び変異株濃縮に用いられるアンピシリンの処理条件など突然変異の誘発のための初期条件を整えた。1.不飽和脂肪酸のシス/トランス異性化酵素が耐冷菌Pseudomonas Eー3株に見出され、その活性は従来研究材料として用いていたVibrio ABEー1株より数10倍高く、かつ安定していることがわかった。2.Pseudomonas Eー3株の異性化 | KAKENHI-PROJECT-01540557 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-01540557 |
細菌の不飽和脂肪酸シスノトランス異性化酵素の特性と役割 | 酵素には、遊離脂肪酸を基質とする、細胞質に局在する可溶性タイプとリン脂質を基質とする膜結合性タイプの少なくとも2種類存在することがわかった。膜結合性タイプの酵素活性発現には細胞質に存在するタンパク質の関与が必須であった。3.両タイプの異性化酵素ともカテコ-ル系の化合物で強く阻害されることから、この物質により同様に阻害を受ける植物のリポキシナ-ゼとの構造上の類似性が示唆されている。4.両タイプの異性化酵素の精製を試みているが、細胞質に存在する可溶性タイプの酵素は硫安分画、イオン交換クロマトグラフィ、ゲルろ過クロマトグラフィにより約100倍に精製された。ゲルろ過クロマトグラフィによる分子量測定によれば、約90,000である。5.膜結合性の異性化酵素を活性化する可溶性成分は分子量約20,000のタンパク質である。今後は更に精製度の高い酵素標品を得て、ティネティクス等・酵素の性質を明らかにしていく。耐冷菌Pseudomonas Eー3株はシス型不飽和脂肪酸である9ーヘキサデセン酸(9ーcー16:1)をトランス型(9ーtー16:1)に異性化する酵素を少なくとも2種類持つことが明らかとなった。1つは可溶性画分に存在し、遊離の9ーcー16:1を基質にするものであり、1つは細胞膜結合性で、リン脂質のホスファチジルエタノ-ルアミン(PE)に結合している9ーcー16:1を基質とするものである。いずの酵素も従来知られていない新規な酵素である。本研究では可溶性画分に存在する酵素を硫安分画、HPLCを用いたイオン交換・疎水性・ゲル濾過の各クロマトグラフィにより約5000倍に精製した。この標品のSDSーPAGEの結果から本酵素は分子量39000、42000の2種類の蛋白質からなることがわかった。他方、nativeーPAGEでもこの2種類の蛋白質は分離可能であることから、本酵素は全く異なる2種類の蛋白質の共存により活性を発現させることが明らかとなった。本酵素は0°Cで最大活性を示し、-20°Cでも活性を維持しているという特異な性質を持つことがわかった。酵素活性はαートコフェロ-ルなど不飽和脂肪酸の抗酸化剤で強く阻害された。基質としては9ーcー16:1に強い特異性を示したほか、9ーシスーテトラデセン酸、11ーシスーヘキサデセン酸を低い効率ながら基質とした。これらの結果らは本酵素の不飽和脂肪酸の鎖長および二重結合の位置の認識機構は特定できない。 | KAKENHI-PROJECT-01540557 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-01540557 |
染色体自身が制御する分裂期の分子機構と、その機能破綻による疾患誘導機序の解明 | 内定年度:2016 | KAKENHI-PROJECT-16K21749 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-16K21749 |
運動学習システムのエラー参照機構の解明 | 視覚的情報に基づいてリズミカルな反復運動(周期運動)を学習する場合、運動の視覚的情報を常に与えられるよりも、数サイクルに1回だけ与えられる方が、むしろ学習の到達度(上手さ)が向上することを明らかにした。これは、絶え間なく与えられる運動の視覚的情報が、脳にとっては、運動の学習を促進するどころか、かえって阻害するように働いてしまうという周期運動の学習に特有の運動情報処理機構によるためであった。視覚的情報に基づいてリズミカルな反復運動(周期運動)を学習する場合、運動の視覚的情報を常に与えられるよりも、数サイクルに1回だけ与えられる方が、むしろ学習の到達度(上手さ)が向上することを明らかにした。これは、絶え間なく与えられる運動の視覚的情報が、脳にとっては、運動の学習を促進するどころか、かえって阻害するように働いてしまうという周期運動の学習に特有の運動情報処理機構によるためであった。我々が新しい運動技能を獲得するとき、目標とする運動と実際の運動との誤差(エラー)が小さくなるように運動を修正する。つまり、エラー情報をもとに運動は学習され、エラー情報が多いほど学習が促進されると考えられている。これに対して申請者は、「連続的に供給される過度なエラー情報は、むしろ学習を阻害する」という、従来の学習概念とは異なる実験結果を平成22年度の研究によって得た。視覚運動変換課題の学習中に、間欠的にエラー情報(運動の視覚情報)を与えることによって、周期運動の学習過程にどのような影響を及ぼすかを調べた。結果、5周期に1周期だけエラー情報を与えると連続的に与えるより運動学習の成績が良くなることがわかった。次に、周期運動学習システムがどのようにエラー情報を参照しているのかを調べるためにシステム同定を行った。結果、現在の運動指令を調整するために、5周期前までのエラー情報を用いており、特に2周期以上前のエラー情報は現在の運動エラーを増大させるように働いていることがわかった。このように、周期運動の制御システムは、数周期前までのエラー情報を一度に参照してしまうという特徴を有しており、連続的にエラー情報を与えるとそれが弊害となって顕在化してくるものと考えられる。本研究によって得られた「過度なエラー情報は、運動学習を阻害する」という新しい知見は、運動の研究分野にとどまらず、認知・知覚など学習に関する広い研究分野に大きな示唆を与える。この知見に基づいた運動学習計画の考案など、リハビリテーション、スポーツ指導の現場にも有用な知見を与え得る。従って、本研究は極めて大きな学術的意義のみならず、社会的意義も有する。投球動作のように、一回きりの運動(離散運動)を学習するとき、脳は実際の運動と目標の運動とのずれ(誤差)にもとづいて次の運動指令を修正し、学習を促進する。この考えの下では、誤差情報は運動学習にとって常に好ましいものである。一方、バスケットのドリブルのようなリズミカルな繰り返し運動(周期運動)における脳内メカニズムに関しては、良く分かっていなかった。脳が連続的に誤差情報を受け取る周期運動の場合も、離散運動と同様に、脳の修正指令はうまく働くのだろうか?この問いを解明するために、周期運動を学習する場合に、脳が視覚的な誤差情報を用いて、運動を修正・学習する仕組みを、システム同定という解析手法を用いて調べた。その結果、ある運動サイクルで生じた運動誤差の情報は、その次のサイクルではその誤差を打ち消すように運動指令を修正していた。しかし、誤差情報が影響を及ぼすのは、次のサイクルの運動指令だけでなく、2サイクル後以降の運動指令の修正にも影響を与えていた。しかも、その影響は学習を促進するどころか、かえって阻害するように働いていた。誤差情報が2サイクル後以降の運動指令の修正に阻害的な影響を及ぼすのであれば、運動の視覚的情報を数サイクルに1サイクルだけ与えることで、運動学習の成績が向上するはずである。様々な視覚情報提示条件において、周期運動の学習成績を調べたところ、予測どおり、運動の視覚的情報を45サイクルに1サイクルだけ与える方が、毎サイクル与えるよりも、学習成績が向上することを見出した。本研究によって、周期運動の学習においては、運動誤差情報が学習を促進するだけでなく、阻害するものにもなり得ることを初めて示した。過度な運動情報のフィードバックは、かえって学習を阻害するという結果は、スポーツの練習法やリハビリテーション手法に対して実践的な示唆を与える。本研究成果はThe Journal of Neurosciece誌に掲載された。 | KAKENHI-PROJECT-22800096 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-22800096 |
日本語学習者の読解を困難にする要因の解明とそのモデル化 | 留学生にとって読解は重要なスキルである。読解指導を効果的に行うためには、留学生が日本語の文章を読む際にどのような問題点を抱えているのかを明らかにする必要がある。そこで、本研究では、(1)再生課題が与えられたとき、中級上級の日本語学習者はどのような内容を報告するのか、(2)その過程においてどのような困難点があるのかを調査した。その結果、文章中の重要な情報については選択して再生することはできるが、日本語レベルによってその再生内容が異なることが分かった。困難点としては、文章構造の把握や内容の整理など理解した内容をまとめること、語や文、文章レベルの問題が文章理解を難しくしていることが分かった。日本の大学や大学院で学ぶ留学生にとって、読解は重要なスキルである。レポートや論文を書く、ゼミで発表するなどのために、文献や資料を読み、重要な情報を取捨選択しながら、内容を把握する読解能力が必要である。しかし、日本語の学習時間は限られており、実践的な読解指導は十分に行われていないのが現状である。そのため、学習者が自律的に読む力を養成する指導法の確率が急務である。読解の指導方法や教材開発は進んできているが、学習者がどこで、何に、どのようにつまずいているかという根本的な原因は明らかにされていない。読解には様々な要因が深く関係しあっており、これらの要因がどのように文章理解と関わるかについて解明されていない。そこで、本研究では、日本語学習者が遭遇する読解の困難点と、それらがどのような要因で構成されているのかを詳細に調査し、分析したうえでモデル化することを目的としている。平成25年度は、平成24年度に行った先行研究の整理、方向性をもとに、読解を困難にしている問題点について、より深く探ることを目的に、実験及び分析を行った。日本語母語話者と上級の日本語学習者に対して、文章を読んでもらいその内容を報告してもらうという再生実験の追加実験を行った。日本語母語話者と比較すると、日本語学習者は、文章中の詳細な情報を再生するものが多く、上級の学習者であっても重要な情報の選択に困難を抱えているものが多いことが分かった。また、文章の階層構造の点から分析を行ったところ、日本語母語話者は重要な情報が集まる上位階層、詳細な情報が集まる下位階層まで連続してとらえていたのに対して、日本語学習者は下位の階層だけを再生してしまうなど、全体構造がうまくとらえられていないものがいることが分かった。このことから、文章の構造という視点からも学習者の問題点を探っていく必要があることがわかった。日本の大学や大学院で学ぶ留学生にとって、読解は重要なスキルである。レポートや論文を書く、ゼミで発表するなどのために、文献や資料を読み、重要な情報を取捨選択しながら、内容を把握する読解能力が必要である。しかし、日本語の学習時間は限られており、実践的な読解指導は十分には行われていないのが現状である。そのため、学習者が自律的に読む力を養成する指導法の確立が急務である。指導方法や教材開発が進んではきているが、学習者が読解のどこで、何に、どのようにつまずいているのかという根本的な原因は明らかにされていない。読解には様々な要因が深く関係しあっており、これらの要因がどのように文章理解と関わるかについて解明されていない。そこで、本研究では、日本語学習者が遭遇する読解の困難点と、それらがどのような要因で構成されているのかを詳細に調査し、分析したうえでモデル化することを目的とする。平成24年度は、読解に関するこれまでの多くなされてきた研究成果をまとめるとともに、読解に関連する最新の先行研究を日本語教育及び関連分野も含めて収集し、読解研究に関連する課題について整理し、研究の方向性を定めた。また、日本語学習者が読解でどのような困難を感じているのかについて、インタビュー調査を行った。対象者は、日本における留学生の大半を占める中国人の日本語学習者である。さらに、日本語学習者の読解の問題点を明らかにするため、日本語母語話者と日本語学習者に、文章を読んでその内容を報告するという再生実験を行った。その結果、学習者は大意把握が表面上できているように見えても大事な結論が読み取れていない、自分が読み誤っていることに気づかない、単語や文が理解できていても効果的に推測できない、具体例が何のために提示されているのかが理解できていない、などの多くの問題点を抱えていることが明らかになった。日本の大学や大学院で学ぶ留学生にとって、読解は重要なスキルである。レポートや論文を書く、ゼミで発表するなどのために、文献や資料を読み、重要な情報を取捨選択しながら、内容を把握する読解能力が必要である。しかし、日本語の学習時間は限られており、実践的な読解指導は十分に行われていないのが現状である。そのため、学習者が自律的に読む力を養成する指導法の確立が急務である。読解の指導方法や教材開発は進んできているが、学習者がどこで、何に、どのようにつまずいているかという根本的な原因は明らかにされていない。読解には様々な要因が深く関係しあっており、これらの要因がどのように文章理解と関わるのかに解明されていない。そこで、本研究では、日本語学習者が遭遇する読解の困難点と、それらがどのような要因で構成されているのかを詳細に調査し、分析したうえでモデル化することを目的としている。 | KAKENHI-PROJECT-24520563 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-24520563 |
日本語学習者の読解を困難にする要因の解明とそのモデル化 | 平成26年度は、文章構造に焦点を当てて、口頭及び筆記による再生実験の再分析と新たな実験を実施した。口頭による再生実験の結論として、中級・上級学習者ともに重要な情報は選べるが、情報間の関連付けについては、中級学習者は、詳細な情報から上位の情報への統合が困難であることが分かった。筆記再生による再生実験の再分析からは、学習者は詳細な情報は十分に理解でき、それを記憶として留めておくことができること、最も重要な情報であれば把握することができることが分かった。しかし、詳細な情報をまとめて上位の情報へと統合していくこと、重要度を重みづけして階層を作ること、つまり、マクロ構造の構築過程で困難を抱えていることが分かった。文章構造を図式化する実験では、上級学習者は文章中の重要な情報とそれ以外の情報とを選別して重要な情報のみを図に示す傾向、中級学習者には、重要な情報が選択できないなどの傾向が見られた。日本の大学や大学院で学ぶ留学生にとって、読解は重要なスキルである。レポートや論文を書く、ゼミで発表するなどのために、文献や資料を読み、、重要な情報を取捨選択しながら、内容を把握する読解能力が必要である。しかし、日本語の学習時間は限られており、実践的な読解指導は十分に行われていないのが現状である。そのため、学習者が自律的に読む力を要請する指導法の確立が急務である。読解の指導方法や教材開発は進んできているが、学習者がどこで、何に、どのようにつまずいているかという根本的な原因は明らかにされていない。読解には様々な要因が深く関係しあっており、これらの要因がどのように文章理解と関わるのかについては解明されていない。そこで、本研究では、日本語学習者が遭遇する読解の困難点と、それがどのような要因で構成されているのかを詳細に調査し、分析した上で、モデル化することを目的としている。平成27年度は、中級の日本語学習者を対象として、様々な文章を読んでもらい、その内容をどのように理解したのか、読む際にどのような問題点があったのかを調べるための実験を行った。その結果、中級学習者といっても、大きく、漢字圏と非漢字圏で問題点が異なることが分かった。漢字圏の学習者はひらがなで書かれている場合の単語の切れ目、文法や語彙などに問題を抱えているが、漢字を頼りに読み進めており、文章全体の意味を把握することに困難はほぼ見られなかった。一方、非漢字圏の学習者の場合には、未知語の問題が大きいことが分かった。しかしながら、非漢字圏の学習者の中にも、内容が把握できるものとそうでないものが見られた。内容が把握できない学習者は、未知語が出てきても意味を調べたりしないこと、読むスピードが極端に遅いために言語処理に時間がかかってしまい、内容を理解して保持することができなくなってしまうこと、などが明らかになった。留学生にとって読解は重要なスキルである。読解指導を効果的に行うためには、留学生が日本語の文章を読む際にどのような問題点を抱えているのかを明らかにする必要がある。そこで、本研究では、(1)再生課題が与えられたとき、中級上級の日本語学習者はどのような内容を報告するのか、(2)その過程においてどのような困難点があるのかを調査した。その結果、文章中の重要な情報については選択して再生することはできるが、日本語レベルによってその再生内容が異なることが分かった。 | KAKENHI-PROJECT-24520563 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-24520563 |
家族システムを活用したうつ病を有する医療系大学学生の修学支援策の考案 | 本研究は、うつ病を有する医療系大学生を対象とした修学支援を家族というシステムの観点から考案することを目的に、実際にうつ病を有しながらも家族や周囲のサポートを得て医療系大学を卒業することのできた卒業生にインタビュー調査する。その内容は医療系大学在学中にうつ病を発症以降、学生は修学を継続するためにどのような体験をし、システムとしての家族からどのような影響を受け、何をサポートと感じたのかについてである。本研究は、うつ病を有する医療系大学生を対象とした修学支援を家族というシステムの観点から考案することを目的に、実際にうつ病を有しながらも家族や周囲のサポートを得て医療系大学を卒業することのできた卒業生にインタビュー調査する。その内容は医療系大学在学中にうつ病を発症以降、学生は修学を継続するためにどのような体験をし、システムとしての家族からどのような影響を受け、何をサポートと感じたのかについてである。 | KAKENHI-PROJECT-19K19572 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-19K19572 |
小口径動脈・静脈用の新しい人工血管の開発 | 一定期間、高度の抗血栓性を保証する有力なる方法として、抗凝固剤が材料表面から徐放されるコントロール・リリース技術が極めて有効である。親水性セグメント化ポリウレタンに合成抗凝固剤MD-805及びFUT-175を均一に分散したコントロール・リリース系を開発した。上記の合成薬剤が極性溶媒に易溶である性質を利用したもので、高分子製膜時に高分子溶液から同時に薬剤をポリマー中に任意の割合で導入できる(One-Step Co-Casting法)点に特徴がある。従って、従来のヘパリン徐放系のシステム開発において問題となる材料の制約、加工工程の繁雑さや付加量の任意性等に比べて、我々が開発したシステムは大きな利点を有していると言える。in vitro及びex vivoにおいても顕著な抗凝固の薬理効果が認められた。徐放系のシステム設計においては、薬物の添加量,膜厚,材料の親水性を選択することができた。一定期間、高度の抗血栓性を保証する有力なる方法として、抗凝固剤が材料表面から徐放されるコントロール・リリース技術が極めて有効である。親水性セグメント化ポリウレタンに合成抗凝固剤MD-805及びFUT-175を均一に分散したコントロール・リリース系を開発した。上記の合成薬剤が極性溶媒に易溶である性質を利用したもので、高分子製膜時に高分子溶液から同時に薬剤をポリマー中に任意の割合で導入できる(One-Step Co-Casting法)点に特徴がある。従って、従来のヘパリン徐放系のシステム開発において問題となる材料の制約、加工工程の繁雑さや付加量の任意性等に比べて、我々が開発したシステムは大きな利点を有していると言える。in vitro及びex vivoにおいても顕著な抗凝固の薬理効果が認められた。徐放系のシステム設計においては、薬物の添加量,膜厚,材料の親水性を選択することができた。 | KAKENHI-PROJECT-60570612 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-60570612 |
新規脂肪蓄積関連遺伝子SLC22A18の生理的機能の解明 | 本研究課題においては、機能未知のトランスポーターSLC22A18の内蔵脂肪や肝臓の中性脂肪蓄積における役割を解明するため、SLC22A18遺伝子改変マウスの解析とSLC22A18の内因性基質の探索を行った。動物実験によって、SLC22A18は白色脂肪組織重量や肝臓の脂質含量を正に制御していることが分かった。またSLC22A18の内因性基質の候補物質としてビリルビンを見出すことができた。以上のことから、SLC22A18の新しい生理機能が明らかとなり、本分子を標的とした代謝性疾患治療の可能性が示された。SHRの2系統(SHR/IzmとSHR/NCrj)間にみられる内臓脂肪量の差異に連鎖する遺伝子としてSLC22A18遺伝子を同定した。SLC22A18は物質輸送に関わるトランスポーターの一種と考えられているがその機能や脂肪蓄積との関連は不明である。初年度の検討の結果、SLC22A18は脂肪組織量や体重、肝脂質含量を制御することが明らかとなった。今年度はSLC22A18の基質同定に関する検討を中心に行った。SLC22A18の内因性基質を同定するため、SLC22A18KOマウスサンプルを使用したメタボローム解析や文献より基質候補物質をピックアップし、その取り込み実験を行った。その結果、クロロキン、グルコース、オレイン酸、タウロコール酸いずれもin vitroにおいてSLC22A18強発現細胞への有意な取り込みが認められなかった。一方、ビリルビンは強力な抗酸化物質であり、動物実験において抗肥満作用の報告、ヒトのSLC22A18遺伝子領域のSNPと血中ビリルビン濃度との関連の報告があることから、この物質に注目した。SLC22A18KOマウスを調べたところ、ビリルビンの血中濃度が野生型マウスに比べて有意に高く、血中からのビリルビンのクリアランス低下も認められたことから、この物質が基質の候補のひとつと考えられた。以上のことから、SLC22A18の内因性基質の有力な候補物質を見出した。脂肪組織や肝臓において深く病態と関連しているSLC22A18遺伝子の機能についてメカニズムを解明する手掛かりを得ることができた。本研究課題においては、機能未知のトランスポーターSLC22A18の内蔵脂肪や肝臓の中性脂肪蓄積における役割を解明するため、SLC22A18遺伝子改変マウスの解析とSLC22A18の内因性基質の探索を行った。動物実験によって、SLC22A18は白色脂肪組織重量や肝臓の脂質含量を正に制御していることが分かった。またSLC22A18の内因性基質の候補物質としてビリルビンを見出すことができた。以上のことから、SLC22A18の新しい生理機能が明らかとなり、本分子を標的とした代謝性疾患治療の可能性が示された。(背景)SHRの2系統(SHR/IzmとSHR/NCrj)間にみられる内臓脂肪量の差異に連鎖する遺伝子としてSLC22A18遺伝子を同定した。SLC22A18は物質輸送に関わるトランスポーターの一種と考えられているがその機能や脂肪蓄積との関連は不明である。そこでSLC22A18の脂肪細胞と肝臓における生理的機能の解明を試み以下の成果を得た。(研究の成果)1肥満モデルであるob/obマウスとSLC22A18KOマウスの掛け合わせを行ったところ、12週齢では精巣脂肪重量が対照群に比べてKOマウスでは有意に低下が認められた。反対に、脂肪組織特異的なaP2 SLC22A18Tgマウスでは25週齢では精巣脂肪重量が対照群の約2倍に増加しており、耐糖能の悪化も認められた。2SLC22A18の発現は3T3-L1細胞の成熟脂肪細胞への分化に伴い増加し、ノックダウン実験では著明な脂肪分化の抑制と脂肪蓄積の減少が認められ、PPARg, C/EBPaといった脂肪細胞への分化誘導を制御する転写因子の発現が低下していた。レポーターアッセイの結果、SLC22A18プロモーター活性は脂肪細胞分化制御因子の一つであるC/EBPbで強く亢進することが分かった。3一方、マウス肝臓ではアデノウィルスを用いた過剰発現により著明な脂肪肝が惹起された。反対にノックダウンによりマウスの食餌誘発性の脂肪肝が改善し、脂質合成系遺伝子群の発現が低下していた。(本成果の意義)以上のことからSLC22A18が脂肪細胞や肝臓において脂質の蓄積に関与することが明らかとなった。これらは脂肪組織や肝臓においてSLC22A18遺伝子が深く病態と関連していることを示唆しており、本研究がメタボリックシンドロームの新たな診断や治療法の開発に資することが期待される。本研究では、SLC22A18の機能とそのメカニズムに迫るため下記の2つに取り組むものである。1、SLC22A18の生理的機能の解明2、SLC22A18の活性評価のためのアッセイ系の確立とその内因性基質の同定当初の計画に従い、平成24年度はそのうち「1、SLC22A18の生理的機能の解明」に重点を置き、1遺伝子改変マウスの解析、2組み換えアデノウィルスを用いたin vivoにおける解析33T3-L1細胞を用いた解析4肝細胞におけるSLC22A18の機能解析などを行い、【研究実績の概要】にあるような成果を得た。 | KAKENHI-PROJECT-24790909 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-24790909 |
新規脂肪蓄積関連遺伝子SLC22A18の生理的機能の解明 | その結果はSLC22A18が内臓脂肪蓄積と密接に関連していることを示しており、「2、SLC22A18の活性評価のためのアッセイ系の確立とその内因性基質の同定」作業の有用性を示すことができたと考えられる。ここまでの研究の結果、SLC22A18は脂肪組織の増加、肝脂質含量の増加を正に制御する可能性が見出され、脂質代謝における役割の一端が明らかになりつつある。今後は当初の計画に従い、主に内因性基質の候補分子の探索に重点を置いて研究を推進する。SLC22A18KOマウスの組織サンプルを利用したメタボローム解析、in vitroでのSLC22A18の活性評価系構築などによって、内因性基質の同定により分子メカニズムの解明に迫りたいと考えている。該当なし | KAKENHI-PROJECT-24790909 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-24790909 |
新しいイレウス管挿入術の検討:CT透視下でのイレウス管挿入 | イレウス管挿入術は本邦にて広く普及している方法である。イレウス管は小腸に対する迅速な減圧が可能であり,閉塞部位に近いほどその減圧効果が期待される。胃や小腸のたわみが高度な症例などでは、原因の狭窄部まで進めることが困難である。この場合は症状を経過観察するか改善なければ手術となる。イレウス管の挿入方法はこの20年来大きな発展の無かった方法である。今回われわれはCT下で、経皮的にイレウス管を挿入できないかと考えた。その前段階として、経皮的な腸管穿刺に関して、安全性と効果を確認するため、動物実験を行った。今後研究が進み、CT下で経皮的なイレウス管挿入術まで、展開していくことが、本研究の目的である。当院での人間用のCT検査では、マウスをCT撮影しても容量の評価が困難であることが予想されることや倫理上の問題もあり、当院での研究の遂行が困難となった。動物用のCT検査を備えている施設を探索したが、動物実験までを施行できる施設は非常に少なく難航した。長期間を要したが、該当する動物病院を確認。同病院に所属する獣医師と連携を図り、共同研究を締結中である。またマウスでは腸管の評価が小さいとの意見もあり、ウサギに変更する予定である。背景:閉塞性イレウスに対し、イレウス管は本邦にて広く普及している方法である。イレウス管は小腸に対する迅速な減圧が可能であり,閉塞部位に近いほどその減圧効果が期待される。胃や小腸のたわみが高度であるような症例などでは、イレウスの原因となっている狭窄部まで進めることが困難であることがある。この場合は症状を経過観察するか改善なければ手術となる。イレウス管の挿入方法は、内視鏡を使用するなど改良はあれどこの20年来大きな発展の無かった方法である。今回われわれはCT下で、経皮的にイレウス管を挿入できないかと考えた。その前段階として、経皮的な腸管穿刺に関して、安全性と効果を確認するため、動物実験を行った。ビーグル犬を1頭使用し、CT透視下で、直接腸管を穿刺、腸管内容を吸引する実験を行った。方法:ビーグル犬に全身麻酔下に経肛門的に直腸バルーンカテーテルを挿入。バルーンを拡張後、薄めた造影剤を注入。腸管を拡張し、CTを撮影し、穿刺前の腸管の容積を計測かつ穿刺部位を確定。18Gの穿刺針にて腸管を穿刺・吸引し、抜去。CTを撮影し、穿刺後の腸管及び腸管外漏出液の容量を計測。結果:穿刺前小腸・結腸の容積(261.8ml),穿刺後腸管内容量211.9ml吸引した量:31ml腹腔内に漏れたair 0.48mlであった。結語:CT下での経皮的腸管内容吸入の安全性と有用性について、文献を用いて考察する。今後研究が進み、CT下で経皮的なイレウス管挿入術まで、展開していることが、本研究の目的である。この研究成果を第24回消化器関連学会週間にて発表予定であるイレウス管挿入術は本邦にて広く普及している方法である。イレウス管は小腸に対する迅速な減圧が可能であり,閉塞部位に近いほどその減圧効果が期待される。胃や小腸のたわみが高度な症例などでは、原因の狭窄部まで進めることが困難である。この場合は症状を経過観察するか改善なければ手術となる。イレウス管の挿入方法はこの20年来大きな発展の無かった方法である。今回われわれはCT下で、経皮的にイレウス管を挿入できないかと考えた。その前段階として、経皮的な腸管穿刺に関して、安全性と効果を確認するため、動物実験を行った。今後研究が進み、CT下で経皮的なイレウス管挿入術まで、展開していくことが、本研究の目的である。当院での人間用のCT検査では、マウスをCT撮影しても容量の評価が困難であることが予想され、動物用のCT検査を備えている施設を探索するも、難航したため。施設が確認できたため、今年度の研究は順調に遂行できるものと考えている。透視下治療今後は動物用のCTを備えている施設にて、研究を遂行する。当院での人間用のCT検査では、マウスをCT撮影しても容量の評価が困難であることが予想され、当院での研究の遂行が難しく、研究が行えなかったため、使用できなかった。今後は動物用のCT装置を備えている施設を確認したため、そちらで、研究を行う予定である。 | KAKENHI-PROJECT-26670567 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-26670567 |
結晶格子における離散シュレディンガー作用素の逆問題と連続体極限 | 2012年度は,六角格子など,非正方格子上の離散シュレディンガー作用素に対する逆散乱問題の研究に着手した.加えて,前年度正方格子上で証明したレリッヒ型定理について,連続スペクトル内に含まれていたしきい値について結果を一般化することに成功した.これにより,正方格子上においては,有限個の台を持つポテンシャルの場合に,離散シュレディンガー作用素の連続スペクトルの絶対連続性を示した.格子上の逆散乱問題に関しては,正方格子の場合に得られていたレリッヒ型定理,レゾルベントの空間遠方での漸近展開等を再度証明する必要がある.この典型的な場合として,まず六角格子の場合を中心に検討し,ほぼ肯定的な結果を得つつある.レリッヒ型定理は,ヘルムホルツ方程式の解の空間遠方での漸近的下限を与えるものであり,定常散乱理論のみならず,埋蔵固有値の非存在の証明にも応用できる.六角格子での結果は,結晶格子上の離散シュレディンガー作用素のスペクトル理論に広く適用可能な内容,及び格子形状を変えた場合に対する示唆を多く含んでいるように思われる.正方格子上のレリッヒ型定理とスペクトル,散乱理論については,連続スペクトル内部にある種の特異な性質を持つしきい値が存在し,そのエネルギーでの解析が課題であった.これは,離散ラプラシアンから導かれるフェルミ面が特異性を持つことに起因する.多変数複素関数論と代数幾何学の基本的結果を用いて,しきい値となるエネルギーにおけるレリッヒ型定理と埋蔵固有値の非存在については結果を得た.前年度の結果と合わせ,有限個の台を持つ場合については,離散シュレディンガー作用素の連続スペクトルが絶対連続であることを示した.2011年度は,離散シュレディンガー作用素の散乱理論,逆散乱問題の最も基本的な場合として,多次元正方格子において有限個の台を持つポテンシャルを伴う場合を検討した.特に,与えられる散乱データのエネルギーを1個に固定した場合の逆散乱問題を解くことを目標として研究を進めた.その際,ヘルムホルツ型方程式の解の漸近挙動に関する基本的な結果であるレリッヒ型定理及びある種の解を特徴付ける放射条件を離散モデルの場合にも得た.レリッヒ型定理は,ヘルムホルツ型方程式の解の空間遠方での減衰速度の下限を示す結果である.この定理は放射条件と呼ばれるある種の解の特徴付けにも基本的な役割を果たす.証明には代数幾何学や多変数複素解析学の手法を援用したその結果,我々の離散モデルの場合には,偏微分方程式で知られている解の漸近挙動とほぼ類似の性質が成り立つことが分かった.放射条件とは,ヘルムホルツ方程式の解であって,レゾルベントの極限吸収を用いて表せるものを特徴付ける条件である.レリッヒ型定理が得られたことで,離散モデルの場合の放射条件を得た.これにより,放射条件を満たす解を扱うのに優れた関数空間であるベゾフ空間がレゾルベントの極限吸収で表わされる解の漸近挙動で特徴付けられることが分かった.以上をもとに,逆散乱問題を解いた.逆散乱問題は,擬似的に導入された適当な境界値逆問題と同値であり,与えられた散乱データから対応する境界データを一意に構成できることを示した.この証明の際には,やはりレリッヒ型定理と放射条件が本質的な役割を持つ.離散モデルの場合の境界値逆問題は有限次元行列の問題であり,有限回の手続きにより解くことができる.関連する結果として,この離散シュレディンガー作用素の本質的スペクトル(スペクトルバンド)に埋蔵された固有値は,有限個の除外点を除き存在しないことを示した.2012年度は,六角格子など,非正方格子上の離散シュレディンガー作用素に対する逆散乱問題の研究に着手した.加えて,前年度正方格子上で証明したレリッヒ型定理について,連続スペクトル内に含まれていたしきい値について結果を一般化することに成功した.これにより,正方格子上においては,有限個の台を持つポテンシャルの場合に,離散シュレディンガー作用素の連続スペクトルの絶対連続性を示した.格子上の逆散乱問題に関しては,正方格子の場合に得られていたレリッヒ型定理,レゾルベントの空間遠方での漸近展開等を再度証明する必要がある.この典型的な場合として,まず六角格子の場合を中心に検討し,ほぼ肯定的な結果を得つつある.レリッヒ型定理は,ヘルムホルツ方程式の解の空間遠方での漸近的下限を与えるものであり,定常散乱理論のみならず,埋蔵固有値の非存在の証明にも応用できる.六角格子での結果は,結晶格子上の離散シュレディンガー作用素のスペクトル理論に広く適用可能な内容,及び格子形状を変えた場合に対する示唆を多く含んでいるように思われる.正方格子上のレリッヒ型定理とスペクトル,散乱理論については,連続スペクトル内部にある種の特異な性質を持つしきい値が存在し,そのエネルギーでの解析が課題であった.これは,離散ラプラシアンから導かれるフェルミ面が特異性を持つことに起因する.多変数複素関数論と代数幾何学の基本的結果を用いて,しきい値となるエネルギーにおけるレリッヒ型定理と埋蔵固有値の非存在については結果を得た.前年度の結果と合わせ,有限個の台を持つ場合については,離散シュレディンガー作用素の連続スペクトルが絶対連続であることを示した.当初は境界値逆問題及び逆散乱問題を中心に計画を進める一方,偏微分方程式論で知られているような基本的な結果を離散モデルで得るのは難しいと考えていた.しかしながら,逆散乱問題のみならず,解の漸近挙動に関する基本的性質,埋蔵固有値の非存在など,非常に基本的な結果を示すことができた.その中で,離散モデル特有の様相も少しずつ理解が深まった. | KAKENHI-PROJECT-11J00110 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-11J00110 |
結晶格子における離散シュレディンガー作用素の逆問題と連続体極限 | これは予想していなかった成果と言える.他方,離散モデルの連続極限に関する研究は本年度は本格的に着手するには至らなかった.これは今後の課題である.本年度の研究を通じて,離散シュレディンガー作用素は偏微分方程式論と類似性を持つ部分がある一方,スペクトルの性質等をはじめやや異なる様相を示すことが分かってきた.今後は離散モデルと偏微分方程式論の相違点及び関係性,及び偏微分方程式論と明らかに異なる様相を示した部分の詳細を調べていくことが課題となる.具体的には,スペクトルバンドの中に現れたある種のしきい値の性質,正方格子以外の格子での研究,及び連続極限の考察である.スペクトルバンドに現れたしきい値は埋蔵固有値の存在の可能性を残しており,これは連続のシュレディンガー方程式とどのような対応を持つのかが興昧深いところである.また六角格子など,他の格子上での散乱理論やスペクトルの性質など,より詳細に考察することで深い結果が得られると期待される.これらの連続極限を調べることにより,偏微分方程式論との関係も明らかとなると思われる. | KAKENHI-PROJECT-11J00110 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-11J00110 |
歴史的市街地の計画コントロール手法の総合的研究 | 歴史的な市街地における都市計画規制は一般的な郊外型住宅地を想定している現在の建築基準法や都市計画法では対応が困難である。その現状を奈良県橿原市を対象にして検討をおこなった。その結果、主として住宅地の場合、狭い前面道路に由来する道路上の建築物、道路斜線制限を遵守することが困難であること、建て詰まりにより基準建蔽率を上回る建物が少なからず存在すること、町家型の住宅においては有効採光面積が不足がちであること、防火地域、準防火地域に指定されている場合延焼のおそれある部分に要求される防火構造が伝統的な構法にそぐわないこと等の問題点が定量的なデータとともに明らかになった。これに対して壁面線の連続をより重視した建物の配置計画を容認する具体的な建築基準法緩和の方法、安全性を確保することを条件として建蔽率の緩和を認める手法(ただし容積率は今回の調査の結果では特に緩和する必要はないと結論づけている)、前面の道路から枝状に延びる路地からの道路斜線を緩和するために新しい道路のカテゴリーを作成し、路地をそこへ位置づけるという方法などを検討している。一方、近年デザイン・ガイドラインや地方条例、各種助成措置による誘導型のコントロールの充実が顕著であり、これらをどのようにして近代的な法定計画上に位置づけてゆくかにかんして現状を整理し、特に風致地区や美観地区といった地区制度を積極的に活用してゆくための現況の隘路と可能性に関して具体的な検討をおこなった。また、欧米先進国の歴史的市街地の計画コントロール手法を網羅的に検討し、アメリカの美観ゾーニング、イギリスの新しいユニタリー・ディベロップメント・プランで試みられているビュー・コリド-、フランスの土地占有計画(POS)で実例が多い視覚的な紡錘(fuseaux)によるコントロールについて詳細にその内容を検討している。1955年東京大学による今井町町家調査にはじまる一連の調査結果を集大成し、その成果を建築史、建築計画、都市計画ならびに歴史的環境保全それぞれの分野において位置付けた。調査記録は『今井町の町並み(仮称)』として出版予定である。特に1990年に始まる建築基準法緩和条例制定のための基礎調査の資料を再検討することにより、現行の建築基準法を歴史的市街地に適用する際の問題点とその今井町における実態を条文ごとに明らかにした。さらにそうした法令が実際の伝統的町家のプランや構造等にどのような影響を及ぼしているのか、増改築にあたってどれだけの障害になっているのかを明らかにした。これらの情報をもとに新たに今井町をはじめとする歴史的市街地向けの建築基準のあり方を考察した。また、伝統的建造物群保存地区内で制定される保存計画が現在形骸化しており、これを積極的に将来の都市像を提示するような計画案として充実させてゆくことによって地区詳細計画を先取りした都市計画コントロールが可能であることを示した。さらに住環境整備関係の補助金制度が次第に不良住宅改善の性格を薄めてゆき、良好な住環境の維持・創造へと向かっている現状を示し、住環境整備と歴史的環境保全の両制度の使い分けの検討をおこなった。歴史的な市街地における都市計画規制は一般的な郊外型住宅地を想定している現在の建築基準法や都市計画法では対応が困難である。その現状を奈良県橿原市を対象にして検討をおこなった。その結果、主として住宅地の場合、狭い前面道路に由来する道路上の建築物、道路斜線制限を遵守することが困難であること、建て詰まりにより基準建蔽率を上回る建物が少なからず存在すること、町家型の住宅においては有効採光面積が不足がちであること、防火地域、準防火地域に指定されている場合延焼のおそれある部分に要求される防火構造が伝統的な構法にそぐわないこと等の問題点が定量的なデータとともに明らかになった。これに対して壁面線の連続をより重視した建物の配置計画を容認する具体的な建築基準法緩和の方法、安全性を確保することを条件として建蔽率の緩和を認める手法(ただし容積率は今回の調査の結果では特に緩和する必要はないと結論づけている)、前面の道路から枝状に延びる路地からの道路斜線を緩和するために新しい道路のカテゴリーを作成し、路地をそこへ位置づけるという方法などを検討している。一方、近年デザイン・ガイドラインや地方条例、各種助成措置による誘導型のコントロールの充実が顕著であり、これらをどのようにして近代的な法定計画上に位置づけてゆくかにかんして現状を整理し、特に風致地区や美観地区といった地区制度を積極的に活用してゆくための現況の隘路と可能性に関して具体的な検討をおこなった。また、欧米先進国の歴史的市街地の計画コントロール手法を網羅的に検討し、アメリカの美観ゾーニング、イギリスの新しいユニタリー・ディベロップメント・プランで試みられているビュー・コリド-、フランスの土地占有計画(POS)で実例が多い視覚的な紡錘(fuseaux)によるコントロールについて詳細にその内容を検討している。歴史的な市街地における都市計画規制は一般的な郊外型住宅地を想定している現在の建築基準法や都市計画法では対応が困難である。その現状を奈良県橿原市を対象にして検討をおこなった。その結果、主として住宅地の場合、狭い前面道路に由来する道路上の建築物、道路斜線制限を遵守することが困難であること、建て詰まりにより基準建蔽率を上回る建物が少なからず存在すること、町家型の住宅においては有効採光面積が不足がちであること、防火地域、準防火地域に指定されている場合延焼のおそれある部分に要求される防火構造が伝統的な構法にそぐわないこと等の問題点が定量的なデータとともに明らかになった。 | KAKENHI-PROJECT-05302046 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-05302046 |
歴史的市街地の計画コントロール手法の総合的研究 | これに対して壁面線の連続をより重視した建物の配置計画を容認する具体的な建築基準法緩和の方法、安全性を確保することを条件として建蔽率の緩和を認める手法(ただし容積率は今回の調査の結果では特に緩和する必要はないと結論づけている)、前面の道路から枝状に延びる路地からの道路斜線を緩和するために新しい道路のカテゴリーを作成し、路地をそこへ位置づけるという方法などを検討している。 | KAKENHI-PROJECT-05302046 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-05302046 |
サイトメガロウイルス胎内感染による脳障害成立機序に関する実験的研究 | 1.マウスサイトメガロウイルス(MCMV)の胎生期後期脳室内注入マウスの新生児期後期の嚢胞状病変の形成ICRマウスを交配し、妊娠15日目に手術的に子宮壁を通してMCMVを注入し、生後の脳病変を解析する実験モデルについて前年度の報告書に記載した。今年度はこの実験モデルを用いて、弱いウイルス価(1X10^3 p.f.u./embryo)を注入したマウスについて、生後比較的長期間(30日まで)飼育したマウス脳について解析した。これらのマウスのおよそ20%に生後3週から4週にかけて、大脳皮質から白質に嚢胞状病変が出現した。嚢胞の内面は一層の上皮が覆い、大脳皮質の表面や脳底部の血管周囲にリンパ球の浸潤を認めた。形成された嚢胞状病変は、このウイルスの血管内皮への親和性によって生じた血流障害による乏血性病変と考えた。このことを確めるために、上記の実験のマウス脳について、抗ヒトファクタ-VIII関連抗原に対する抗体と、MCMV前初期抗原に対する抗体を用いた二重染色を行った。この結果、ウイルス抗原陽性細胞は血管内皮細胞にも認められ、MCMVが血管内皮にも親和性を持つことが明かとなった。MCMV発育期脳において大脳皮質や海馬の神経細胞に感染し、神経細胞の脱落と局所の萎縮をきたすことを既に示したが、これ以外に、血管内皮細胞に感染して乏血性の機序による脳の局所的破壊と嚢胞形成の可能性を示した。2.胎生年期および中期マウス胚へのMCMVの感染我々は今まで胎生後期にマウス胎仔脳室内にMCMVを注入して発育期脳へのウイルス感染の直接的影響をみてきた。ヒトのCMVの胎内感染による脳障害あるいは脳寄形の形成を考えるとき、この様な直接的影響以外に、小頭症など胎生のもっと早い時期にCMVの影響を受けて、その後の中枢神経系の発生に影響を与えることも考えられる。これらの可能性を追求するために、胎生早期および中期のマウス胚にMCMVを注入した。妊娠4日目のマウス胚盤胞の胚胞腔の中にマイクロマニピュレイタ-でMCMVを注入して偽妊娠マウスの子宮内に戻し、胎令11日目まで飼育して解析したが、感染は認められなかった。妊娠8.5日目にMCMVを注入すると、胎令11.5日目に胎盤、血管内皮、および中胚葉系細胞ウイルス抗原陽性細胞を認めた。1.マウスサイトメガロウイルス(MCMV)の胎生期後期脳室内注入マウスの新生児期後期の嚢胞状病変の形成ICRマウスを交配し、妊娠15日目に手術的に子宮壁を通してMCMVを注入し、生後の脳病変を解析する実験モデルについて前年度の報告書に記載した。今年度はこの実験モデルを用いて、弱いウイルス価(1X10^3 p.f.u./embryo)を注入したマウスについて、生後比較的長期間(30日まで)飼育したマウス脳について解析した。これらのマウスのおよそ20%に生後3週から4週にかけて、大脳皮質から白質に嚢胞状病変が出現した。嚢胞の内面は一層の上皮が覆い、大脳皮質の表面や脳底部の血管周囲にリンパ球の浸潤を認めた。形成された嚢胞状病変は、このウイルスの血管内皮への親和性によって生じた血流障害による乏血性病変と考えた。このことを確めるために、上記の実験のマウス脳について、抗ヒトファクタ-VIII関連抗原に対する抗体と、MCMV前初期抗原に対する抗体を用いた二重染色を行った。この結果、ウイルス抗原陽性細胞は血管内皮細胞にも認められ、MCMVが血管内皮にも親和性を持つことが明かとなった。MCMV発育期脳において大脳皮質や海馬の神経細胞に感染し、神経細胞の脱落と局所の萎縮をきたすことを既に示したが、これ以外に、血管内皮細胞に感染して乏血性の機序による脳の局所的破壊と嚢胞形成の可能性を示した。2.胎生年期および中期マウス胚へのMCMVの感染我々は今まで胎生後期にマウス胎仔脳室内にMCMVを注入して発育期脳へのウイルス感染の直接的影響をみてきた。ヒトのCMVの胎内感染による脳障害あるいは脳寄形の形成を考えるとき、この様な直接的影響以外に、小頭症など胎生のもっと早い時期にCMVの影響を受けて、その後の中枢神経系の発生に影響を与えることも考えられる。これらの可能性を追求するために、胎生早期および中期のマウス胚にMCMVを注入した。妊娠4日目のマウス胚盤胞の胚胞腔の中にマイクロマニピュレイタ-でMCMVを注入して偽妊娠マウスの子宮内に戻し、胎令11日目まで飼育して解析したが、感染は認められなかった。妊娠8.5日目にMCMVを注入すると、胎令11.5日目に胎盤、血管内皮、および中胚葉系細胞ウイルス抗原陽性細胞を認めた。1.マウスサイトメガロウィルス(MCMV)の胎生後期マウス胎仔脳室内注入による出生時の脳障害ICRマウスを交配し、妊娠23日目にMuneokaらの方法に従って子宮壁を開き、MCMVを卵黄膜嚢に包まれた胎仔脳室内に注入した。腹腔を閉じて、妊娠満期である18日目まで飼育し、妊娠18日目に胎仔を取り出し、肉眼的観察、およびBouin固定後、組織病理学的および免疫組織化学的解析を行った。 | KAKENHI-PROJECT-01570264 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-01570264 |
サイトメガロウイルス胎内感染による脳障害成立機序に関する実験的研究 | MCMVを注入した胎仔で、妊娠18日まで生き延びたもの26匹中、肉眼的に大脳の腫脹したもの4例、大脳半球の変形したもの3例であった。2.MCMVの胎生期脳室内注入マウスの生後の解析マウスでは生後1週で大脳皮質と白質が明確化し、皮質の層状構造が進む。MCMVの脳室内注入胎仔を生後母親マウスに哺乳させることは非常に困難であった。胎生15日目に子宮壁を通して、IX10^3PFUのウィルス価を注入することによって、生後まで生育させることが可能になった。3.免疫組織化学二重染色によるMCMV脳室内注入マウスの生後の脳の解析生後10日目で、ウィルス抗原陽性細胞は主として大脳皮質および海馬に層状に配列する傾向を認めた。神経組織特異抗原である神経細胞特異エノラ-ゼ(NSE)に対するウサギ抗体と、MCMV前初期抗原に対するモノクロ-ナル抗体(Dー5)による二重染色を行った。大脳皮質および海馬においてウィルス抗原陽性細胞と、NSE抗原が同時に染色される細胞群が認められ、ある種の神経細胞が、MCMVの感染に感受生があることを示した。MCMVをSallで切断した任意のフラグメントを、幾つかクロ-ニングし、マウスDNAとハイブリダイズしないものをビオチル化dATPでラベルしてプロ-ブとした。陽性反応は核内が顆粒状に染まり、ウィルス抗原陽性細胞の約10分の1ほどがウィルスゲノム陽性で、両者は一した局在を示した。1胎生後期マウス脳室内へのマウスサイトメガロウイルス(MCMV)の感染による発育期脳障害の実験モデルの作成胎生15日目のマウス脳室内にMCMVを注入して、生後の脳障害を解析できる実験モデルを作った。生後2週目までに大脳皮質および海馬の軽度の萎縮、側脳室の軽度の拡張を認めた。2.MCMVが感染した発育期脳のウイルス感受性細胞胞の解析上記実験モデルによってMCMVを胎生後期に脳室内に注入したマウスの生後2週間までの脳について、ウイルス抗原陽性細胞を検出するMCMVの前初期抗原に対する抗体と、neuronーspecific enolase(NSE)等の神経組織特異抗原に対する抗体を用いて免疫組織化学二重染色を行った。その結果、ウイルス抗原陽性細胞は大脳皮質および海馬に層状に配列し、その中の一部の細胞が抗NSE抗体で染色されることが分かった。従って、発育期マウス脳においては、MCMVはある種の神経細胞に親和性を示すことが明かとなった。3.MCMVを胎生後期に脳室内に感染させたマウスの新生児期後期の嚢胞状脳病変の解析MCMV感染マウスについて、生後、比較的長期間(30日まで)飼育したマウスについて脳を解析した。これらのマウスのおよそ20%に生後3週から4週にかけて、大脳皮質から白質にかけて嚢胞状病変が出現した。これらの病変の近傍の皮質表面や大脳底部に血管周囲のリンパ球の浸潤を認めた。ウイルスの血管はの親和性による乏血性変化による可能性を考え、抗ヒトファクタ-VIII抗体と抗ウイルス抗体を用いた二重染色を行った。その結果ウイルス抗原陽性細胞は血管内皮細胞にも認められ、MCMVが血管内皮にも親和性を有することが明かとなった。4.胎生初期および中期マウス胚へのMCMVの感染妊娠4日目のマウス胚盤胞の胚胞腔にマイクロマニプレイタ-でMCMVを注入し、偽妊娠マウスの子宮内に戻し、胎令11日まで生育させて解析したが、感染は認められなかった。妊娠8.5日目にMCMVを注入すると、胎令11.5日目に胎盤、血管内皮、中胚葉細胞にウイルス感染陽性細胞を認めた。 | KAKENHI-PROJECT-01570264 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-01570264 |
メスの交尾可能回数の種間変異がオスの繁殖戦略に与える進化的影響 | 1年目に続き、ゴミグモとミナミノシマゴミグモ(以下、ミナミノシマと省略)において、オスによるメスの選択実験を行った。ゴミグモで20例、ミナミノシマの春世代で17例、ミナミノシマの秋世代で23例のデータを得た。2年間の合計データ数は、ゴミグモでは去年のデータを厳しく選別して25例となり、ミナミノシマの春世代で32例、秋世代で31例となった。現時点での傾向としては、ゴミグモではメスの交尾経験の有無や未成熟であることに対してオスの選択は起こらず、ミナミノシマでは未交尾のメスが選ばれるようで、両種のメスの多回交尾の起きやすさと符合する結果である。レーザードップラー振動計を用いて求愛時の振動を測定した。ゴミグモで10例、ミナミノシマで10例の測定を行った。波形データとともに、その波形が生じる際のクモの動きのビデオ映像が取得できた。メス1個体に対するオス2個体の同時求愛の実験では、ゴミグモで6例、ミナミノシマで6例のビデオ映像が取得できた。両種とも、オス間で闘争や追い出しが起こることは無いが、求愛行動は通常に比べて激しく感じられた。メスは2個体のオスと続けて交尾することがほとんどであった。オスの繁殖戦術を明らかにするために、ミナミノシマの交尾行動を詳細に分析した。まず交尾時に密着した状態のまま糸上で半回転する現象が、オスとメスのどちらにより引き起こされているのかを、1メスがオスを捕食するため行っている、2オスがメスの垂体を切るために行っている、という2つの仮説を立て検証したがどちらも支持されず、回転時の姿勢から、回転はメスが引き起こしており、交尾を中断するための行動であることが示唆された。次に交尾時の過程を6段階に分け、それぞれの継続時間と、垂体切除の関係を調べたところ、正準判別分析により2者は明確に分けられ、ある段階の継続時間の違いが垂体切除を引き起こすことが分かった。ゴミグモの大規模な個体群を見つけ、1年で観察できる例数が格段に増えたものの、亜成体が次々と成体へと脱皮していく中で、亜成体を使った実験数を増やすことができず、3年目には亜成体を中心に早期に実験を進める必要がある。ゴミグモは個体数が少なく3年目もデータを取る予定であったため、進捗状況としては「おおむね順調に進んでいる」と言える。ミナミノシマゴミグモでは、去年度に修正したサンプル数の目標値を達成するために、1年目は春秋併せて28例だったものを2年目では40例に増やし、修正した最終目標数である「春世代で30例、秋世代で30例」を達成することができたが、ゴミグモ同様に亜成体を用いた実験の例数が少なく、またより確かな検定結果を得るために、3年目も40例を追加し「春世代で50例、秋世代で50例」を目指すこととする。ミナミノシマでは2年でデータを取り終える予定だったため、進捗状況としては「やや遅れている」と言える。レーザードップラー振動計による振動信号の測定は行えたが、その振動の周波数や強さの比較までは行えていないため「やや遅れている」と言える。2オス導入実験については、ビデオ映像を撮れてはいるものの、その分析までは行えていないため「やや遅れている」と言える。ミナミノシマの交尾行動の分析により、各性の行動の詳細が判明し、交尾の中断や垂体切除に関わる行動が示唆されたので、配偶者選択や切除行動を分析する糸口が見つかったといえる。「概ね順調に進展している」といえる。総合的な進捗状況は、3年目に行わなければならない事項が、選択実験のデータ採取とその分析、振動及び2オス導入試験の映像解析、および論文執筆であることから、全体の進捗状況は「やや遅れている」と言える。オスによるメスの選択実験については、ゴミグモで20例のデータを追加して3年間の合計を45例とし、ミナミノシマの春世代で20例、秋世代で20例を追加して、3年間の合計を50例ずつとする。データの取得は4月から9月にかけて行う。データの分析は1年目から行っているので、3年目のデータも手順に沿って集計し、統計解析を行うことができる。レーザードップラー振動計による振動データと行動の映像データは、選択実験を行いながら例数を追加する。数値化の方法は、様々な動物の「求愛歌」の分析手法を参考にし、種間および種内で比較を行う。選択実験が一時休止となる8月に行う。2オス導入実験についても選択実験を行う中でデータ数を追加する。映像データの分析は10月に行う。1オス導入時との違いを数値化する方法を考案する必要がある。論文執筆を11月から開始する。ゴミグモの亜成体を採集し野外飼育装置にて成熟させ、成熟後は室内で給餌し実験した。交尾の際、本種ではメスが腹部を小刻みに震わせ、オスは求愛を始めるまでの時間が長いほか、交尾によりメスの交尾器が破壊されることは無いため複数回交尾が起こった。オスによる選択は、匂いによる選択をY字管で行わせ、網に対する選択は、2つの網から2本の糸を引っ張ってきて棒の先端に付着させ選ばせた。まだ13例だが、網に対する選択の結果は、既交尾メスの網と未交尾メスの網を(4:9)の比率で選んだ。 | KAKENHI-PROJECT-17K07577 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-17K07577 |
メスの交尾可能回数の種間変異がオスの繁殖戦略に与える進化的影響 | ミナミノシマゴミグモの交尾においては、交接前にオスがメスの第一歩脚を長くたたき、その途中でどちらかが引き返したり落下したりするなど、複雑な流れが観察された。1ペアにおいて、オスが触肢をメスの生殖孔に押しつける行動は2回で終わる例が最も多く、その半数でメスの交尾器が破壊された。破壊されたメスにもオスは触肢を押しつけようとするが、引き返すことも多く、複数回交尾はできない。春世代の実験においては、オスが捕食される例は、未交尾メスとの交尾で5%(4例)、垂体が切除されたメスで9%(1例)見られた。オスによる選択の実験では「未交尾メス」「既交尾メス」「亜成体メス」のうちの2者をオスに提示した。網に対する選択は、未:既=6:1、既:亜=1:1、未:亜=5:1であった。匂いに対する選択を滞在時間で比較すると、網に対する選択と似た傾向であった。秋の実験では、(未:既)のみ行ったが、網への選択結果は(4:4)で、匂いでは既交尾メス側に長く引き付けられ、データ数は少ないが、春世代とは異なる傾向であった。予備実験として、レーザードップラー振動計を用いて求愛時の振動データを取得した。また1匹のメスの網に2匹のオスを導入すると、オス同士で戦うことは無いが、盛んに糸を振動させ、メスは片方もしくは両方のオスと交尾を行うなどの反応を見せた。ゴミグモでは予定を上回る13回の選択行動を観察し、本種に特徴的な交尾行動と、本種では垂体切除が起こらないことを確認できた。また、これまでの採集地より高密度に分布する生息地を見つけ、翌年度からはさらに効率的に研究を実施できるようになった。ミナミノシマゴミグモは、6月に18回、10月に10回、合計28回の選択行動を観察した。これは計画していた30例には届かなかったが、これは秋世代の成熟時期がばらつき、成熟個体をコンスタントに準備できなかったためで、次年度には採集個体を増やすことで成熟個体を確保して挽回できる。本種の交尾行動については、行動の流れの分析や、求愛発生率、性的共食いの発生率、密着回数、交尾の流れと垂体切除の起きやすさの関係などを分析し、学会発表を行うことができた。選択実験の結果から、春世代と秋世代で選択の傾向が違うという可能性が生じたので、正確な選択傾向を明らかにするために実験計画を立て直し、当初予定していた「春・秋合わせて3040例」ではなく、「各世代で30例ずつ」を観察することでこの可能性を検証できるようにした。翌年度以降のための予備実験として、1匹のメスの網に2匹のオスを導入する実験や、レーザードップラー振動計による振動信号の検出試験も行い、それぞれにおいてデータ収集ができることが確かめられた。これらのことから、本研究はおおむね順調に進展していると判断できる。1年目に続き、ゴミグモとミナミノシマゴミグモ(以下、ミナミノシマと省略)において、オスによるメスの選択実験を行った。ゴミグモで20例、ミナミノシマの春世代で17例、ミナミノシマの秋世代で23例のデータを得た。2年間の合計データ数は、ゴミグモでは去年のデータを厳しく選別して25例となり、ミナミノシマの春世代で32例、秋世代で31例となった。現時点での傾向としては、ゴミグモではメスの交尾経験の有無や未成熟であることに対してオスの選択は起こらず、ミナミノシマでは未交尾のメスが選ばれるようで、両種のメスの多回交尾の起きやすさと符合する結果である。レーザードップラー振動計を用いて求愛時の振動を測定した。ゴミグモで10例、ミナミノシマで10例の測定を行った。波形データとともに、その波形が生じる際のクモの動きのビデオ映像が取得できた。 | KAKENHI-PROJECT-17K07577 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-17K07577 |
ユーザ再構成ハードウェアを内蔵したマイクロコンピュータの研究 | Mbクラスの大規模メモリをユニットとする“メモリをベースにしたマイコン周辺回路用再構成デバイス"を考案した。従来はハードウェアとして大規模なスイッチボックスを用いていたが、考案したアーキテクチャでは、少数のレジスタを追加するだけで再構成デバイスを実現した。主たる部分をFPGA上に実装して、種々のマイコン周辺回路を構成し、再構成デバイスとして機能することを、ハードウェア上で確認した。更には、考案したアーキテクチャを、ウィルスチェックなどに用いられるパケットフィルタや通信用バッファメモリへ適用し、基本的な考え方やデバイス構成が、マイコンだけでなく、他のシステムに広く応用できることを確認した。平成27年度の研究計画は,マイコン周辺回路用のプログラマブルデバイスに関し、大規模メモリに適したアーキテクチャを検討し,ユーザ再構成のハードウェア部の仕様を固定することであった。この研究計画に対する具体的な検討内容と成果は以下の通りである。(1) FPSMのアーキテクチャの再分析とマイクロ命令の体系化:FPSM(Field Programmable Sequencer and Memory)の基本となるアドレス制御を用いたアーキテクチャ上でのマイクロ命令として,分岐制御,シーケンス制御を行うためのビット配列の定義を最少ビット数(ここでは8bit以内)で実現する命令体系を構築した。この成果については学会発表を行った。(2)メモリの粗粒度設計およびスイッチボックスの構成検討:FPSMを構成する最少単位のPMU(Programmable Memory Unit)の粗粒度設計例として512words x 523bits(26.8Kbit)のRAMを設計し,パケットフィルタを実装して,(1)で体系化した命令を利用して動作を確認した。命令セットは種々の応用においても有効であることを確認した。また,従来のスイッチボックスについては検討の結果,面積の増加に鑑み採用しない方向とした。これらの成果については,国際学会,国内学会において発表した。研究計画の各項目について下記のような成果が得られており,概ね順調に進展していると考えられる。(1) FPSMのアーキテクチャの再分析とマイクロ命令の体系化を行なった。この命令セットをベースに,いくつかのマイコンの周辺回路を実装し,シミュレーションにおいて動作を確認した。学会発表も行っており,順調に推移している。(2)メモリの粗粒度設計(最小単位の一例)を行うとともに,体系化したマイクロ命令セットをもとに,ウイルス検出などを目的とするパケットフィルタを実装し動作を確認し,その有効性を実証した。更には,学会発表も行っており,概ね順調に推移している。(3)スイッチボックスの基本構成を検討した結果,新しいアーキテクチャには採用しない方向とした。平成28年度は,前年度に引続き,スイッチボックスを簡素化し大規模メモリに適したアーキテクチャを検討した.また,前年度のマイクロ命令の体系化やスイッチボックスの構成の検討,いわゆる方式設計を踏まえ,機能設計を実施する計画であった.具体的には,バスインタフェース部の設計,C言語モデルの環境構築とC言語モデルを用いた機能設計である.各項目の検討内容と成果は以下の通りである.(1)大規模メモリに適したプログラマブル方式の検討:レジスタとデコーダを組み合わせることにより,スイッチボックスを使用しないで,大規模メモリをプログラマブルデバイスとして有効に使用できるアーキテクチャを考案した.(2)バスインタフェース部の設計:入力部のアドレス制御部のレジスタ部,制御スイッチ等の設計を行った.また,(1)の成果を盛り込み、前年度体系化したマイクロ命令のブラシアップを図った.これらの成果を国際会議で発表した.(3)C言語モデルの環境構築およびC言語モデルを用いた機能設計:C言語モデルでシミュレーションができる環境を構築した.(1)で考案したアーキテクチャをベースにして,基本となるカウンタ機能のアルゴリズム化を完了し,この機能に特化したC言語モデルを作成してシミュレーションを行い,動作を確認した.更に,32ビットCPUを想定し,1Mbのメモリ上に,種々のマイコン周辺回路をプログラマブルに実現できるモデルを構築中である.平成27年度の成果は論文誌に掲載された.また,今年度の計画に対して,各項目について下記のような成果が得られ,概ね順調に進展していると考える.(1)レジスタとデコーダを組み合わせることにより,スイッチボックスを用いずに,大規模メモリをプログラマブルデバイスとして有効に使用できるアーキテクチャを考案した.本研究の主題であるスイッチボックスを用いずに,つまりハードウェア規模増加させずに,大規模メモリにマイコン周辺回路をフレキシブルに実装できる方式が実現できた.(2)バスインタフェース部の設計を行い,この一部の成果を国際会議で発表した.(3)基本機能の確認として,カウンタ/タイマー機能のC言語モデルの作成と動作確認を完了した.汎用的なC言語モデルは現在作成中である.本課題の目的は,1Mb4Mbの大規模メモリをユニットとする「メモリをベースにしたマイコン周辺回路用フィールドプログラマブルデバイス」の新しい回路アーキテクチャを開発し,主たる部分を設計することによって,その有効性を実証することであった.H27, 28年度をかけて,レジスタとデコーダを組み合わせることにより,スイッチボックスを使用しないで,大規模メモリをプログラマブルデバイスとして有効に使用できるアーキテクチャを考案した.最終年度にあたるH29年度の研究実績は以下の通りである.(1)C言語モデルの構築:32b CPUを想定し,考案したアーキテクチャを1Mbの大規模メモリ上に具現化し,種々のマイコン周辺回路をプログラマブルに実現できるC言語モデルを構築した.(2)C言語モデルによるプログラマブル機能の確認:構築したC言語モデル上で,マイコンの基本的な周辺回路であるカウンタ/タイマ,PWM,FIFO機能を組込み,プログラマブル機能を確認した. | KAKENHI-PROJECT-15K00072 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-15K00072 |
ユーザ再構成ハードウェアを内蔵したマイクロコンピュータの研究 | (3)RTLモデルの設計とFPGAへの実装:構築したC言語モデルを元に,RTL設計を行い,考案した回路アーキテクチャを模擬するRTLモデルを構築した.更にRTL設計されたモデルをFPGAに実装し,その上にカウンタ/タイマ,PWM,FIFO機能を実装し,意図したプログラマブルな動作がH/W上で確認できた.これにより,同一ハードウェア上で複数種類のマイコン周辺回路を再構成できることが実証できた.その他,前年度までに体系化したマクロ命令の応用として,パケットフィルタにおける検索ルールの自律的な登録・削除機能に関する論文を発表した.Mbクラスの大規模メモリをユニットとする“メモリをベースにしたマイコン周辺回路用再構成デバイス"を考案した。従来はハードウェアとして大規模なスイッチボックスを用いていたが、考案したアーキテクチャでは、少数のレジスタを追加するだけで再構成デバイスを実現した。主たる部分をFPGA上に実装して、種々のマイコン周辺回路を構成し、再構成デバイスとして機能することを、ハードウェア上で確認した。更には、考案したアーキテクチャを、ウィルスチェックなどに用いられるパケットフィルタや通信用バッファメモリへ適用し、基本的な考え方やデバイス構成が、マイコンだけでなく、他のシステムに広く応用できることを確認した。今後は本年度の検討事項の結果を踏まえ,アーキテクチャの改良,最適化をモデル設計ベースで進める。ハードウェア仕様を決定し,C言語によるモデルを構築する。C言語モデル上で動作するソフトウェアの開発を行い,この上に各種周辺回路を実装し,機能評価を実施する。具体的には新PMUアーキテクチャで動作させるためのシーケンス情報(マイクロ命令)とLUT情報(論理回路の真理値情報)を組込み,これらを組み合わせてマイコン周辺回路をエミュレートする。来年度は,現在作成中である種々のマイコン周辺回路を実装できるプログラマブルデバイスの汎用的なC言語モデルを完成させる.このモデルを元にRTL設計,評価を終了する.RTLで設計されたハードウェア上で動作するマイクロ命令,各機能部品の為の真理値情報等を実装し,これらを組合せた動作評価を行う.その後,ハードウェアモデル上にプログラムを実装して,マイコン周辺回路としての動作を確認し,提案アーキテクチャの有効性を実証する.計算機システム | KAKENHI-PROJECT-15K00072 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-15K00072 |
琉球と福建を結ぶ海上ルートの考古学的研究-遺跡出土中国陶磁の分析を中心として- | 研究初年度である平成30年度は、琉球と福建を結ぶ海上ルートの考古学的研究を具体的に進めるための基礎的資料の調査・研究から開始した。琉球と福州を結ぶ海路だけでなく、琉球王国の進貢使が福州到着後に明の都に向かったルートをも含めてフィールド調査と出土遺物の調査を実施したが、今年度の調査地点と内容は以下の通りである。8月中旬に、故宮所蔵の琉球資料の調査、山東・明魯荒王墓出土資料の調査、江西・高安窖蔵出土陶磁資料の調査、明・中都のフィールド調査と出土遺物の調査、江蘇・太倉遺跡のフィールド調査と出土遺物の調査、福建・東洛島沈船引揚げ遺物の実測と撮影、福州宦渓窯の調査などを実施した。12月下旬には福建省博物院(福州)において、東洛島沈船引揚げ遺物の実測・撮影(途中まで)、泉州博物館における泉州地域出土陶磁の調査、泉州東門窯のフィールド調査、晋江磁竈窯のフィールド調査と出土遺物の調査、広東省奇石窯のフィールド調査と出土遺物の調査を実施した。平成31年3月上旬には西表、石垣、与那国島での出土中国陶磁の調査を実施した(旅費別途)。3月末には明中都の明代瓦窯の調査、景徳鎮における明・清時代の官窯磁器と民窯磁器の調査、福建省建窯の窯址フィールド調査、福州郊外の瓦窯跡調査、徳化窯のフィールド調査と出土遺物の調査を実施した。こうした調査によって、今後の研究を進める上で重要な資料の確認および検証を行い、重要なデータが豊富に得られた。平成30年度には、福州・泉州・広州・明中都などの海外の基礎的な調査と福建・洛東島沈船引揚げ陶磁の実測、撮影など、沖縄での西表島、石垣島、与那国島での資料調査を実施しており、おおむね順調に進展していると言って問題ない。令和元年度には、現時点でまだ調査を実施していない宮古島、慶良間諸島、久米島などの調査を実施し、また福州・東洛島沈船引揚げ資料の追加調査を実施予定である。令和2年度には福州、泉州の港湾地域の出土陶磁資料の調査、沖縄本島の主要グスクと港湾遺跡の出土陶磁資料の調査を実施し、最終年度の調査・研究の総括、シンポジウムの開催、報告書の出版へと繋げていく予定である。研究初年度である平成30年度は、琉球と福建を結ぶ海上ルートの考古学的研究を具体的に進めるための基礎的資料の調査・研究から開始した。琉球と福州を結ぶ海路だけでなく、琉球王国の進貢使が福州到着後に明の都に向かったルートをも含めてフィールド調査と出土遺物の調査を実施したが、今年度の調査地点と内容は以下の通りである。8月中旬に、故宮所蔵の琉球資料の調査、山東・明魯荒王墓出土資料の調査、江西・高安窖蔵出土陶磁資料の調査、明・中都のフィールド調査と出土遺物の調査、江蘇・太倉遺跡のフィールド調査と出土遺物の調査、福建・東洛島沈船引揚げ遺物の実測と撮影、福州宦渓窯の調査などを実施した。12月下旬には福建省博物院(福州)において、東洛島沈船引揚げ遺物の実測・撮影(途中まで)、泉州博物館における泉州地域出土陶磁の調査、泉州東門窯のフィールド調査、晋江磁竈窯のフィールド調査と出土遺物の調査、広東省奇石窯のフィールド調査と出土遺物の調査を実施した。平成31年3月上旬には西表、石垣、与那国島での出土中国陶磁の調査を実施した(旅費別途)。3月末には明中都の明代瓦窯の調査、景徳鎮における明・清時代の官窯磁器と民窯磁器の調査、福建省建窯の窯址フィールド調査、福州郊外の瓦窯跡調査、徳化窯のフィールド調査と出土遺物の調査を実施した。こうした調査によって、今後の研究を進める上で重要な資料の確認および検証を行い、重要なデータが豊富に得られた。平成30年度には、福州・泉州・広州・明中都などの海外の基礎的な調査と福建・洛東島沈船引揚げ陶磁の実測、撮影など、沖縄での西表島、石垣島、与那国島での資料調査を実施しており、おおむね順調に進展していると言って問題ない。令和元年度には、現時点でまだ調査を実施していない宮古島、慶良間諸島、久米島などの調査を実施し、また福州・東洛島沈船引揚げ資料の追加調査を実施予定である。令和2年度には福州、泉州の港湾地域の出土陶磁資料の調査、沖縄本島の主要グスクと港湾遺跡の出土陶磁資料の調査を実施し、最終年度の調査・研究の総括、シンポジウムの開催、報告書の出版へと繋げていく予定である。平成30年度末に予定していた久米島の調査が、相手方の都合で令和元年度初めにずれ込んだために、30年度は残額が出た。令和元年度早々に久米島の調査を実施する予定である。 | KAKENHI-PROJECT-18K01070 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-18K01070 |
カイラルナノ構造を有する層状水酸化物結晶の合成 | 本研究では、多彩な機能性を有する水酸化物ナノ結晶へのカイラリティーの導入を試みた。研究初年度においては、Ni系水酸化物をターゲットとして、カイラリティーを有する種々の有機分子を共存させた状況下でナノ水酸化物粒子の合成を試みた。合成条件を適切に調整することで多くの組成系においてカイラル有機分子の水酸化物結晶への導入を確認することに成功した。また、検討した多くの組成系において、ナノ水酸化物粒子は溶媒に分散したナノクラスターとして得られることも明らかになった。このような特徴を併せ持つ材料群はこれまでに報告されておらず、特異な材料特性を利用した機能応用を当初研究計画にしたがって今後進める予定である。具体的には、カイラル選択的な吸着特性を有するナノプローブ粒子としての応用を検討している。研究初年度においては、得られた結晶の構造解析や化学組成の解析に加えて反応溶液中の有機分子と金属イオンの相互作用を詳細に検討した。これにより、カイラリティーを有するナノ水酸化物結晶の成長メカニズムに関する基礎科学的知見を得ることにも成功した。カイラル選択的な吸着現象を利用した「ナノ水酸化物へのカイラリティー導入」も可否を併せて検討した。吸着実験に関する実験手法は研究初年度に確立している。研究目的の達成に向けた現状の問題点は、「合成したナノ結晶の化学的耐久性の向上」と「表面機能性の開拓」に絞られており、研究2年目においては、この点を解決したうえで機能応用の端緒を開くことを目的とする。想定以上の多くの材料群においてカイラル有機分子を含有した層状結晶の合成に成功しており、この点において当初研究計画以上の成果が見られたと言える。一方で、このようにして得られた結晶が想定以上に不安定であり、応用を検討している水系反応場においてはいずれの結晶も効果的に機能を発現しないということが明らかになった。具体的には、カイラリティーを導入した結晶が水中ではより安定な結晶へと変化しカイラリティーが失われる。このような状況下、本研究計画の目的達成に向けて解決すべき課題は、「結晶の化学的安定性の向上」の1点に絞られたと言える。これまでに合成に成功している多くの水酸化物結晶を体系的にとらえることで、既に問題解決に向けた糸口は得ている。このように、機能応用面においては今後解決すべき課題はあるものの、基本的な材料合成や合成コンセプトの実証においては既に想定以上の成果を得ているため、研究計画全体としては「おおむね順調に進展している」と結論付けた。研究初年度の成果として、カイラリティーを有する各種有機分子を取り込んだNi水酸化物ナノ結晶の合成に成功している。これらNi水酸化物ナノ結晶は溶媒に分散したナノクラスターとすることもできる。一方で、結晶表面に吸着したカイラル有機分子は応用時に共存する水により水酸化物結晶表面から容易に脱離することが明らかになった。このように、吸着や触媒特性において重要な「結晶表面の特性」に対してカイラリティーを導入するには至っていない。現在得られている結晶においても、結晶のバルク特性が重要な影響を及ぼす電気的特性や磁気的特性においてはカイラリティー導入の効果がみられる可能性がある。一方で、高い比表面積を有するナノ水酸化物粒子の特異な表面特性に対してカイラリティー導入の効果を発現させるためには、水に対して安定なカイラル分子の選定をおこなう必要がある。このような観点から既に検討を開始しており、候補となる有機分子を共存させた状態での水酸化物結晶の合成を進めている。カイラリティー導入の可否の評価は吸着測定によりおこなう。研究初年度に実験方法は確立しており、本年度も継続して検討を進める。カイラリティーを有し、かつ、粒子分散液として得られる材料に対して、タンパク質吸着特性および触媒特性を評価し新たな機能応用の端緒を開くことを本年度の研究目的とする。本研究では、多彩な機能性を有する水酸化物ナノ結晶へのカイラリティーの導入を試みた。研究初年度においては、Ni系水酸化物をターゲットとして、カイラリティーを有する種々の有機分子を共存させた状況下でナノ水酸化物粒子の合成を試みた。合成条件を適切に調整することで多くの組成系においてカイラル有機分子の水酸化物結晶への導入を確認することに成功した。また、検討した多くの組成系において、ナノ水酸化物粒子は溶媒に分散したナノクラスターとして得られることも明らかになった。このような特徴を併せ持つ材料群はこれまでに報告されておらず、特異な材料特性を利用した機能応用を当初研究計画にしたがって今後進める予定である。具体的には、カイラル選択的な吸着特性を有するナノプローブ粒子としての応用を検討している。研究初年度においては、得られた結晶の構造解析や化学組成の解析に加えて反応溶液中の有機分子と金属イオンの相互作用を詳細に検討した。これにより、カイラリティーを有するナノ水酸化物結晶の成長メカニズムに関する基礎科学的知見を得ることにも成功した。カイラル選択的な吸着現象を利用した「ナノ水酸化物へのカイラリティー導入」も可否を併せて検討した。吸着実験に関する実験手法は研究初年度に確立している。研究目的の達成に向けた現状の問題点は、「合成したナノ結晶の化学的耐久性の向上」と「表面機能性の開拓」に絞られており、研究2年目においては、この点を解決したうえで機能応用の端緒を開くことを目的とする。想定以上の多くの材料群においてカイラル有機分子を含有した層状結晶の合成に成功しており、この点において当初研究計画以上の成果が見られたと言える。 | KAKENHI-PROJECT-18K19134 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-18K19134 |
カイラルナノ構造を有する層状水酸化物結晶の合成 | 一方で、このようにして得られた結晶が想定以上に不安定であり、応用を検討している水系反応場においてはいずれの結晶も効果的に機能を発現しないということが明らかになった。具体的には、カイラリティーを導入した結晶が水中ではより安定な結晶へと変化しカイラリティーが失われる。このような状況下、本研究計画の目的達成に向けて解決すべき課題は、「結晶の化学的安定性の向上」の1点に絞られたと言える。これまでに合成に成功している多くの水酸化物結晶を体系的にとらえることで、既に問題解決に向けた糸口は得ている。このように、機能応用面においては今後解決すべき課題はあるものの、基本的な材料合成や合成コンセプトの実証においては既に想定以上の成果を得ているため、研究計画全体としては「おおむね順調に進展している」と結論付けた。研究初年度の成果として、カイラリティーを有する各種有機分子を取り込んだNi水酸化物ナノ結晶の合成に成功している。これらNi水酸化物ナノ結晶は溶媒に分散したナノクラスターとすることもできる。一方で、結晶表面に吸着したカイラル有機分子は応用時に共存する水により水酸化物結晶表面から容易に脱離することが明らかになった。このように、吸着や触媒特性において重要な「結晶表面の特性」に対してカイラリティーを導入するには至っていない。現在得られている結晶においても、結晶のバルク特性が重要な影響を及ぼす電気的特性や磁気的特性においてはカイラリティー導入の効果がみられる可能性がある。一方で、高い比表面積を有するナノ水酸化物粒子の特異な表面特性に対してカイラリティー導入の効果を発現させるためには、水に対して安定なカイラル分子の選定をおこなう必要がある。このような観点から既に検討を開始しており、候補となる有機分子を共存させた状態での水酸化物結晶の合成を進めている。カイラリティー導入の可否の評価は吸着測定によりおこなう。研究初年度に実験方法は確立しており、本年度も継続して検討を進める。カイラリティーを有し、かつ、粒子分散液として得られる材料に対して、タンパク質吸着特性および触媒特性を評価し新たな機能応用の端緒を開くことを本年度の研究目的とする。当初予定よりも材料合成が効率的に進行し、高額な有機キラル分子、各種塩化物、高純度ガスの使用量を抑えることができたため消耗品費を低く抑えることができた。一方で、2019年4月より研究代表者の所属研究室が変更となり、各種消耗品に加えて備品(測定装置、実験器具)を追加で購入する必要が生まれている。次年度使用額として本年度分として請求した助成金は、当初計画の消耗品に加えて、追加で必要となった備品購入に充てることを計画している。 | KAKENHI-PROJECT-18K19134 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-18K19134 |
溶融塩を用いた廃家電からのインジウム分離・精製一括処理 | 昨年度、Mo溶融塩が酸化インジウムを溶融することを見出したことを受けて、種々の濃度の三酸化モリブデン混合モリブデン酸ナトリウム溶融塩(Na_2MoO_4+MoO_3)に酸化インジウムを溶解した。その結果、MoO_3濃度が高いほど溶融塩への酸化インジウムの溶解時間が短縮することが明らかになった。酸化インジウムがモリブデン酸溶融塩に溶解する条件としては、Ar雰囲気であることと三酸化モリブデンが共存する場合であることが明らかとなった。なお、溶解時に発泡現象が観察されたことから、酸化インジウムのモリブデン酸溶融塩への溶解は、共存するMoO_3もしくはIn_2O_3の脱酸素が生じ、相互に酸素を共有し固溶体を生成することに起因していると推察された。さらに、共存溶解するIn_2O_3に対するMoO_3モル数とIn_2O_3の溶解率の関係を調べた結果、固溶体のIn/MoO_3比は6倍モルであることが推察された。ITO及びIn金属を用いた実験では、In金属及びITO中のSnはモリブデン酸溶融塩に対して不溶性であること、Inについては、In_2O_3と同様に溶解することが明らかになった。溶融塩電解によるInの分離については、InよりもMo酸化物の還元反応が優位に起こることを実験的に確認し、当初想定していた溶融塩中でIn金属に還元して回収するには、酸化還元電位の精密制御による検討が必要と推察された。しかしながら、余剰のMo酸化物を除去した後、In酸化物の形態で回収しうる可能性を見出し,その実現性について今後検討する課題を抽出することができた。本研究は、モリブデン酸溶融塩による廃家電基板と廃液晶パネルからのIn金属の回収プロセスの構築を目的として、ITOの成分である酸化インジウム及び酸化スズを種々の溶解条件(温度、溶融塩組成等)で溶解し、溶解度及び溶融塩中での溶解状態を調べ、溶解機構を明らかにするとともに、酸化インジウムを溶解した溶融塩の電解挙動を把握することにより、溶融塩での一括処理により廃家電からIn金属を直接回収する技術の原理的実現性の可否を明らかにする。種々の濃度の三酸化モリブデン混合モリブデン酸ナトリウム溶融塩(Na_2MoO_4+MoO_3)に酸化インジウムを溶解した(試験方法参照)。その結果、MoO_3濃度が高いほど溶融塩への酸化インジウムの溶解時間が短縮すること、及び酸化インジウムを溶解できることが明らかとなり、原理的には本研究で検討する技術の実現可能性が高いことが確認できた。酸化インジウムがモリブデン酸溶融塩に溶解する条件としては、Ar雰囲気であることと三酸化モリブデンが共存する場合であった。また、溶解時に発泡現象が観察された。このことから、酸化インジウムのモリブデン酸溶融塩への溶解機構は、まず、溶融塩中で共存するMoO_3もしくはIn_2O_3の脱酸素が生じ、相互に酸素を共有し固溶体を生成することに起因していると推察された。溶解するIn_2O_3に対するMoO_3モル数とIn_2O_3の溶解率の関係を調べた結果、固溶体のIn/MoO_3比は6倍モルであることが推察された。昨年度、Mo溶融塩が酸化インジウムを溶融することを見出したことを受けて、種々の濃度の三酸化モリブデン混合モリブデン酸ナトリウム溶融塩(Na_2MoO_4+MoO_3)に酸化インジウムを溶解した。その結果、MoO_3濃度が高いほど溶融塩への酸化インジウムの溶解時間が短縮することが明らかになった。酸化インジウムがモリブデン酸溶融塩に溶解する条件としては、Ar雰囲気であることと三酸化モリブデンが共存する場合であることが明らかとなった。なお、溶解時に発泡現象が観察されたことから、酸化インジウムのモリブデン酸溶融塩への溶解は、共存するMoO_3もしくはIn_2O_3の脱酸素が生じ、相互に酸素を共有し固溶体を生成することに起因していると推察された。さらに、共存溶解するIn_2O_3に対するMoO_3モル数とIn_2O_3の溶解率の関係を調べた結果、固溶体のIn/MoO_3比は6倍モルであることが推察された。ITO及びIn金属を用いた実験では、In金属及びITO中のSnはモリブデン酸溶融塩に対して不溶性であること、Inについては、In_2O_3と同様に溶解することが明らかになった。溶融塩電解によるInの分離については、InよりもMo酸化物の還元反応が優位に起こることを実験的に確認し、当初想定していた溶融塩中でIn金属に還元して回収するには、酸化還元電位の精密制御による検討が必要と推察された。しかしながら、余剰のMo酸化物を除去した後、In酸化物の形態で回収しうる可能性を見出し,その実現性について今後検討する課題を抽出することができた。 | KAKENHI-PROJECT-20656148 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-20656148 |
都市地震防災のためのマイクロゾ-ニング技法の高精度化の研究 | 本研究は地震防災のための都市地盤のマイクロゾ-ニングの技法を高精度化することを目的とするもので、以下のような研究成果が得られた。1.脈動観測による地盤の地震波の増幅特性の推定とマイクロゾ-ニングへの適用を論じた。これは、1秒10秒の周期領域を対象とするもので、長周期微動の観測技術に依拠するものである。京都盆地とサンフランシスコ湾岸地域を対象として、地盤と岩盤における同時観測から、各周期帯域における振幅の地盤/岩盤増幅比に及ぼす地質条件と地盤条件の影響、地質構造が変化する境界付近での増幅比の方向性などを波動論的に詳細に論じ、マイクロゾ-ニングへの適用性を確かめた。2.0.1秒1秒の短周期領域での地震動増幅特性に及ぼす地盤の非線形性の影響を論じた。シミュレ-ション技法により作成された非線形増幅モデルを、わが国における鉛直アレ-観測記録によって検証するとともに、ロマ・プリエタ地震による地震記録においても、このような非線形性が現れていることを確認した。3.断層震源の特性を考慮し、さらに方位特性など伝播経路をも考慮した強震地動のシミュレ-ション手法を開発し、既存の強震記録との対比により、その妥当性を検証した。4.都市の建物群の地震被害予測解析において、2.で述べた地盤の非線形性を考慮したマイクロゾ-ニングの手法を京都盆地の地盤に適用し、ケ-ス・スタディを行った。本研究は地震防災のための都市地盤のマイクロゾ-ニングの技法を高精度化することを目的とするもので、以下のような研究成果が得られた。1.脈動観測による地盤の地震波の増幅特性の推定とマイクロゾ-ニングへの適用を論じた。これは、1秒10秒の周期領域を対象とするもので、長周期微動の観測技術に依拠するものである。京都盆地とサンフランシスコ湾岸地域を対象として、地盤と岩盤における同時観測から、各周期帯域における振幅の地盤/岩盤増幅比に及ぼす地質条件と地盤条件の影響、地質構造が変化する境界付近での増幅比の方向性などを波動論的に詳細に論じ、マイクロゾ-ニングへの適用性を確かめた。2.0.1秒1秒の短周期領域での地震動増幅特性に及ぼす地盤の非線形性の影響を論じた。シミュレ-ション技法により作成された非線形増幅モデルを、わが国における鉛直アレ-観測記録によって検証するとともに、ロマ・プリエタ地震による地震記録においても、このような非線形性が現れていることを確認した。3.断層震源の特性を考慮し、さらに方位特性など伝播経路をも考慮した強震地動のシミュレ-ション手法を開発し、既存の強震記録との対比により、その妥当性を検証した。4.都市の建物群の地震被害予測解析において、2.で述べた地盤の非線形性を考慮したマイクロゾ-ニングの手法を京都盆地の地盤に適用し、ケ-ス・スタディを行った。本研究は(i)地盤の非線形増幅特性をとり入れること、(ii)長周期地震動に対する地盤の増幅特性を組み込むこと、(iii)多変量地震危険度解析の手法を適用すること、(iv)震源特性および地震波の伝播特性の最新の知見を組み込むことにより、新しい都市の地震防災に適用しうるような高精度のマイクロゾ-ニング技法の開発を目的とするもので、平成元年度には以下のような研究を行った。(1)地盤の非線形増幅特性を考慮したマイクロゾ-ニング技法を開発する。注目地点のN植資料と工学的基盤の深さ及び基盤入力強度を説明変量する増幅率推定式を提示した。(2)基盤岩での地震観測及び測線上の発破観測結果と、長周期微動観測とを組み合わせて、長周期領域の地盤増幅率と基盤岩の形状との関係を見いだし、長周期微動観測による都市地盤のマイクロゾ-ニングの方法を評価した。(3)多変量地震危険度解析を用いることにより、地震動強度のみでなく、地震動の継続時間や周期特性などの推定を行いうるように、地震危険度解析の手法を拡張した。(4)震源パラメ-タ、特にサイズミックモ-メントや応力降下が地震動特性に及ぼす影響を評価した。(5)構造物の非線形応答解析の立場から、マイクロゾ-ニングの対象とすべき地震動特性を整理した。本研究は地震防災のための都市地盤のマイクロゾ-ニングの技法を高精度化することを目的とするもので、以下のような研究成果が得られた。1.脈動観測による地盤の地震波の増幅特性の推定とマイクロゾ-ニングへの適用を論じた。これは、1秒10秒の周期領域を対象とするもので、長周期微動の観測技術に依拠するものである。京都盆地とサンフランシスコ湾岸地域を対象として、地盤と岩盤における同時観測から、各周期帯域における振幅の地盤/岩盤増幅比に及ぼす地質条件と地盤条件の影響、地質構造が変化する境界付近での増幅比の方向性などを波動論的に詳細に論じ、マイクロゾ-ニングへの適用性を確かめた。2.0.1秒1秒の短周期領域での地震動増幅特性に及ぼす地盤の非線形性の影響を論じた。シミュレ-ション技法により作成された非線形増幅モデルを、わが国における鉛直アレ-観測記録によって検証するとともに、ロマ・プリエタ地震による地震記録においても、このような非線形性が現れていることを確認した。3.断層震源の特性を考慮し、さらに方位特性など伝播経路をも考慮した強震地動のシミュレ-ション手法を開発し、既存の強震記録との対比により、その妥当性を検証した。 | KAKENHI-PROJECT-01460170 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-01460170 |
都市地震防災のためのマイクロゾ-ニング技法の高精度化の研究 | 4.都市の建物群の地震被害予測解析において、2.で述べた地盤の非線形性を考慮したマイクロゾ-ニングの手法を京都盆地の地盤に適用し、ケ-ス・スタディを行った。 | KAKENHI-PROJECT-01460170 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-01460170 |
センサーによる嗅覚嗜好評価へのアプローチ | ヒトは食品の嗜好に関与する特性(ここでは香気を中心に考える)を即座に識別するが、これに代わる機器はまだ開発されていない。生体の化学感覚器官を単純にモデル化した半導体ガスセンサーシステムを構築し、ヒトの化学感覚に代わる客観的評価の汎用化に資する基礎データを得ることを本研究の主目的として以下のことを行なった。初年度は、半導体ガスセンサー応答の茶類香気評価への適用性を検討した。茶は、緑茶、ウ-ロン茶、紅茶など製法により風味がかなり異なる3群に大きく分けられ、さらに、その中で栽培種の相違等により風味が微妙に異なるものが多く市販されている。本研究では各群の茶について3種類ずつ代表的な茶を選び官能検査、香気成分のの科学的分析及びセンサー応答による各茶の識別を試みた。その結果、官能検査及び化学分析結果はよく一致し、両者とも各茶について細かく識別可能であったが、センサーでは、各茶群は明確に識別されたものの栽培種による微妙な差異については官能検査の結果と少し異なっていた。従って、センサーを香気の質の微妙な差異に応用するにはまだ検討の余地が多く残されていると判定された。次年度は、センシングシステムの自動化を図り、購入したパソコンを用いて試作品を作成した。これを用いて、茶にに比べかなり香気の弱い大豆臭について検討した。大豆は加工製品において豆臭が問題となるため、改良種であるリポキシゲナーゼ欠損大豆2種を用い標準大豆との識別を試みた。大豆の場合は、試料間の香気は質的な差というより、香気の強さに差異があったことより、官能的な識別とセンサー応答解折結果はよく対応した。本研究のデータは、微妙な質的差異の評価にはまだ多くの問題が残されているが、対象を選ぶことによりセンシングシステムによる嗜好特性評価が将来汎用化される可能性を示したと考えている。ヒトは食品の嗜好に関与する特性(ここでは香気を中心に考える)を即座に識別するが、これに代わる機器はまだ開発されていない。生体の化学感覚器官を単純にモデル化した半導体ガスセンサーシステムを構築し、ヒトの化学感覚に代わる客観的評価の汎用化に資する基礎データを得ることを本研究の主目的として以下のことを行なった。初年度は、半導体ガスセンサー応答の茶類香気評価への適用性を検討した。茶は、緑茶、ウ-ロン茶、紅茶など製法により風味がかなり異なる3群に大きく分けられ、さらに、その中で栽培種の相違等により風味が微妙に異なるものが多く市販されている。本研究では各群の茶について3種類ずつ代表的な茶を選び官能検査、香気成分のの科学的分析及びセンサー応答による各茶の識別を試みた。その結果、官能検査及び化学分析結果はよく一致し、両者とも各茶について細かく識別可能であったが、センサーでは、各茶群は明確に識別されたものの栽培種による微妙な差異については官能検査の結果と少し異なっていた。従って、センサーを香気の質の微妙な差異に応用するにはまだ検討の余地が多く残されていると判定された。次年度は、センシングシステムの自動化を図り、購入したパソコンを用いて試作品を作成した。これを用いて、茶にに比べかなり香気の弱い大豆臭について検討した。大豆は加工製品において豆臭が問題となるため、改良種であるリポキシゲナーゼ欠損大豆2種を用い標準大豆との識別を試みた。大豆の場合は、試料間の香気は質的な差というより、香気の強さに差異があったことより、官能的な識別とセンサー応答解折結果はよく対応した。本研究のデータは、微妙な質的差異の評価にはまだ多くの問題が残されているが、対象を選ぶことによりセンシングシステムによる嗜好特性評価が将来汎用化される可能性を示したと考えている。茶には製造工程や品種の違いにより風味の異なる製品が多種ある。緑茶、ウーロン茶、紅茶の中より各3種、計9種類を研究試料として用い、センサーは半導体ガスセンサー5種類を使用し、本年度はまず実験方法の確立を目ざした。飲用時に感じられる茶香気の違いをどこまでセンサーが識別可能かを調べることにし、茶葉のヘッドスペースガス中の香気を効率よくセンサーに導く方法を検討した。ガスセンサーは、水蒸気があると過敏に反応してしまうため、食品に広く応用するためにもまず水蒸気を除去する前処理法を確立した。茶のヘッドスペースガスをポーラスポリマー樹脂に通し、香気成分を一度樹脂に吸着させた後、熱脱着してセンサー部に送り込むシステムを再現性を考慮し、できるだけ自動化するよう組み立てた。5種のセンサー応答は増幅器で増幅し5種のレコーダーで記録した。高さをセンサー応答とし、絶対数に換算した後、変数として多変量解析に供した。クラスター分析を行ったところ、茶粉末、茶浸出液いずれにおいても、緑茶、ウーロン茶、紅茶は完全にグループ分けされ、グループ間では、緑茶とウーロン茶が近く紅茶が離れる結果となった。一方、9種の製茶について、センサーと同様の前処理をした後、香気成分の化学的分析をGC,GC-MSを用いて行った。同定された29成分のGCのピーク面積を変数として、同様にクラスター分析を行った結果、やはり各製茶は完全にグループ分けされグループ間の距離もセンサーの結果とよく対応していた。このことは、人間の化学感覚による識別をセンサーに代替させる可能性を示唆するものである。現在、センサー応答を直接パソコンに導入するシステムも順調に動き始めたので今後さらにデータを集積する予定である。 | KAKENHI-PROJECT-05680006 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-05680006 |
センサーによる嗅覚嗜好評価へのアプローチ | 本研究は、生体におけるレセプターと脳を単純にモデル化した半導体ガスセンサーシステムを用いた分析と、スペクトルによる科学的分析結果を融合し人間の化学感覚について新しい視点から再検討し基礎的データを得ることを目的として昨年度から継続研究を行なったものである。本年度の主目的は、当研究費で購入したパソコンにセンサーのデータを直接取り込み、波形のデジタル化自動システムを完成させ、将来に向けての汎用化を図ることである。資料は昨年度の茶に代わり、大豆を用いた。大豆は茶に比べると香気は弱いが、特有の豆臭は時として異臭となり食品として無視できないものである。弱い香気に対するセンサーの適用範囲を検討する意義も含め、標準大豆の他に、豆臭が弱い品種として開発されたリボキシゲナーゼの2種のアイソザイムL-2,3欠失およびL-1,2,3欠失(全欠)大豆から呉汁(豆乳原料)を調製し、これらに対する上述の自動化センサーシステムを確立した。本年度はセンサーの数を1種増やし、よりデータの多次元化を行なった。ガスセンサーの応答を6次元データと考え、各資料について10回ずつ測定を行ないその結果を統計処理した。クラスタ分析の結果、[L-2,3欠大豆、全欠大豆]、[標準大豆]の2つの大きなクラスタが形成され、さらにL-2,3欠大豆と全欠大豆は2つのクラスタに分かれた。センサーに感知された香気とほぼ同様のもの(呉汁ヘッドスペースガス)とガスクロマトグラフィー、マススペクトロメトリーを用いて化学分析をした結果、豆乳を飲用した際強く感じられると思われる低沸点化合物のほとんどがリポキシゲナーゼ欠失大豆では標準大豆よりも有意に減少し、センサーの結果をよく支持した。従って本研究で用いたセンサーは弱い香気に対しても有用で、人間の鼻と同様に大豆の香気識別がなされ、本研究の目的に適合することが示唆された。 | KAKENHI-PROJECT-05680006 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-05680006 |
LSIライフサイクル全般の信頼性向上のための組込み自己テストに関する研究 | LSIライフサイクル全般の信頼性向上のための組み込み自己テストに関する研究を行った。組み込み自己テストのテストデータ量およびテスト時間削減手法を提案しフィールド運用時にも自己テストを可能にするとともに、テスト精度を向上させるための電圧ノイズや遅延故障時の解析技術の向上、また、組み込みメモリの信頼性向上のためのアーキテクチャの提案を行った。本研究では、LSIのライフサイクル全般に渡る信頼性向上のための設計およびテスト手法の提案を目的とし、組み込み自己テスト(Built-In Self-Test, BIST)技術を製造テスト、フィールドテストとライフサイクル全般で効率よく利用できるような設計およびテスト技術、故障や障害の予測によりLSIの安全性を向上させる技術を提案する。平成25年度は、1BIST時の電圧変動によるテスト結果誤判定の解析、2FPGAのためのBISTアーキテクチャ、3フィールドテストのためのテスト削減手法について研究を行った。1BIST実行時電圧変動によるテスト結果の誤判定について:BIST実行時には、過度な消費電力によるIR-ドロップ、過度な電流変動による電圧ドループなど異なる種類の電圧変動が起きることがわかっている。平成25年度は、BIST実行時のIR-ドロップ、電圧ドループ等について調査解析と行った。解析結果を考慮して、平成26年度に電圧変動を考慮するBIST手法の提案を行う。2FPGAのためのBISTアーキテクチャ:FPGAでフィールドテストを行うためのBISTアーキテクチャを提案した。提案手法は、FPGA内のロジック部、メモリ部を柔軟に効率よく使用しBIST回路を実装するコストを削減する。研究成果を国内研究会、国際会議で発表した。3フィールドテストのためのテスト削減手法:大規模回路ではBISTによるフィールドテストの実現を容易にするために、テスト品質を維持し、テスト時間、テストデータ量を削減する手法を提案した。平成26年度は、以下の研究成果が得られた。1テスト実行時の電圧変動を考慮するBIST手法:LSIテスト実行時には、過剰電力や過剰電流変動による電源ノイズが起こりテスト結果の御判定をもたらすことが問題となっている。電源ノイズには、抵抗によるIRドロップやインダクタとキャパシタ間のエネルギー交換によって起こる共振ノイズなどがある。これまで、テスト実行時のIRドロップ解析に取り組んでいたが、今年度は共振ノイズの解析に取り組んだ。共振ノイズの大きさとシフトクロック周波数との関係を高速に解析する手法を考案し、ノイズの影響を低減するシフトクロックの導出法を提案した。2ライフサイクル全般での信頼性を考慮するメモリ自己修復・誤り訂正手法:システムオンチップに組み込まれるメモリが大容量化しており、メモリの信頼性確保がLSIの信頼性確保に大きく影響している。そこで、自己テスト・自己修復手法と誤り訂正手法を組み合わせてメモリの信頼性を向上させる手法を提案した。提案手法では、定期的な自己テストによる故障検出、スペアワードへのアドレスリマッピングによる機能的なメモリワード修復、誤り訂正符号(ECC)を用いた誤り訂正を組み合わせ、故障メモリセルの個数や分布に応じて修復、訂正をアダプティブに切り替えることで信頼性を向上することに成功した。3微小遅延故障検出のためのパス遅延故障シミュレーションの高速化:本研究テーマは、主に平成25年度に行ったものであるが、今年度は評価実験を追加し内容を拡充させて国際会議での成果発表を行った。平成27年度は、1.論理BISTにおけるテストデータ量およびテスト時間の最適化、2.テスト時の電圧ノイズ軽減、3.組み込みメモリの信頼性向上に取り組んだ。1.論理BISTにおけるテストデータ量およびテスト時間の最適化:論理BIST時のテストデータ量およびテスト時間削減手法として、重み付きランダムパターン生成法、リシード法などが提案されている。本研究では、重み付きランダムパターン生成法のテストデータ量を削減する手法を提案し、さらにリシード法を組み合わせることで、テストデータ量およびテスト時間を削減する手法を提案した。2.テスト時の電圧ノイズ軽減法:テスト時の電圧ノイズであるIRドロップを高速に見積もる手法の改善を行い、研究成果の発表の準備段階である。また、電圧ノイズ等に起因する微小な遅延発生時の回路動作を高速にシミュレーションする手法を提案した。3.組み込みメモリの信頼性向上:ECC機能と自己テスト・自己修復手法を組み合わせた組み込みメモリの高信頼アーキテクチャを提案した。前年度、メモリセルの状態として、正常、故障の2状態を考慮し、ECCによる謝り訂正と自己修復をフィールド運用時にアダプティブに組み合わせ信頼性を向上させる手法を提案したが、今年度は、メモリセルの状態を、正常、劣化、故障の3状態を考慮し、メモリの信頼ををさらに高める手法を提案した。LSIライフサイクル全般の信頼性向上のための組み込み自己テストに関する研究を行った。組み込み自己テストのテストデータ量およびテスト時間削減手法を提案しフィールド運用時にも自己テストを可能にするとともに、テスト精度を向上させるための電圧ノイズや遅延故障時の解析技術の向上、また、組み込みメモリの信頼性向上のためのアーキテクチャの提案を行った。研究実施計画に記入した1テスト実行時の電圧変動を考慮するBIST手法、2ライフサイクル全般での信頼性を考慮するメモリ自己修復・誤り訂正手法に関して、それぞれ解決するための手法を提案することができた。2に関しては、研究会発表1回、国際会議発表1回を行い、さらに拡張した結果が国際会議に採択され、平成27年度に発表を行う予定であり、順調に進捗している。1に関しては、手法の提案を行い評価を充実させているところである。また、前年度に行った3微小遅延故障検出のためのパス遅延故障シミュレーションの高速化に関しては、評価を拡充して国際会議での成果発表を行うことができた。27年度が最終年度であるため、記入しない。 | KAKENHI-PROJECT-25280015 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-25280015 |
LSIライフサイクル全般の信頼性向上のための組込み自己テストに関する研究 | ディペンダブルコンピューティング今度は、これまで得られたテスト実行時のノイズ等の解析をさらに推進し、また、それらの解析結果を踏まえ、製造時だけでなく出荷後のフィールドテストに適用可能な高品質なテストを低コストで実現する自己テストアーキテクチャの提案を行う。組込みメモリの信頼性もさらに向上させ、論理部、メモリ部双方の信頼性を高める手法の確率を目指す。平成25年度は、1BIST時の電圧変動によるテスト結果誤判定の解析、2FPGAのためのBISTアーキテクチャ、3フィールドテストのためのテスト削減手法の内容に関して、研究の進捗があった。当初、1から研究を始める予定であったが、2、3も先行して研究を進めた。1に関しては、当初の計画よりやや遅れているは、平成26年度以降に計画したいた2、3も先行して研究を進めたため、全体的にはおおむね順調に進展していると評価できる。以下、それぞれの成果と進捗について評価を行う。1BIST実行時電圧変動によるテスト結果の誤判定について:BIST実行時の電圧変動のテスト結果への影響について調査、解析を行った。解析の結果、過剰消費電力によるIR-ドロップはトランジスタのスイッチングに誘発され一時的に起こる現象であり、また、過剰電流変動による電圧ドループは電流変動後ある一定期間回路に影響を与える現象であることがわかった。その結果、同じテストパターンに起因するIR-ドロップ、電圧ドループが異なるタイミングで回路に影響することがわかった。この解析結果を考慮して、現在、電圧変動によるテスト結果誤判定を回避するテスト手法を考案中である。当初の予定では平成25年度中にてすと手法の提案を行う予定であり、予定よりやや遅れている。2FPGAのためのBISTアーキテクチャ:回路構成を書き換え可能な半導体デバイスであるFPGAは、最先端の半導体テクノロジーを採用するため、微細化対策が必要である。平成25年度は、FPGAのためのBISTアーキテクチャに関する研究を行った。BISTアーキテクチャの研究は、平成27年度に予定しており、計画に先行している。3フィールドテストのためのテスト削減手法:大規模回路でのBISTを用いたフィールドテストのためのテストコスト削減手法を提案した。これも、当初の計画に先行している。27年度が最終年度であるため、記入しない。平成26年度の研究成果を平成27年に開催される国際会議で発表するため、旅費の一部を平成27年度に使用することにしたため。27年度が最終年度であるため、記入しない。 | KAKENHI-PROJECT-25280015 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-25280015 |
大気乱流境界層の発達に伴う海面抵抗変化の再評価と海面フラックスモデルへの導入 | 本研究は,波浪上に形成される組織的渦構造に応じた風速分布並びに海面抵抗が生じるという渦力学をベースとしたアプローチにより,数値実験・風洞水槽実験・気象海象現地観測を通して,砕波による飛沫の混入に伴う波浪上渦構造の変化が海面抵抗を再修正するメカニズムを解明し,暴風下の抵抗低下に関わる問題を解決すると同時に,渦力学的枠組みにおける新たな大気海洋運動量交換モデルの構築を行うものである.本研究は,波浪上に形成される組織的渦構造に応じた風速分布並びに海面抵抗が生じるという渦力学をベースとしたアプローチにより,数値実験・風洞水槽実験・気象海象現地観測を通して,砕波による飛沫の混入に伴う波浪上渦構造の変化が海面抵抗を再修正するメカニズムを解明し,暴風下の抵抗低下に関わる問題を解決すると同時に,渦力学的枠組みにおける新たな大気海洋運動量交換モデルの構築を行うものである. | KAKENHI-PROJECT-19J20923 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-19J20923 |
混合モ-ド衝撃破壊の基礎実験と数値シミュレ-ション | はじめにPMMA材の3点曲げ試験片に偏心衝撃荷重を落重棒により加え、混合モ-ド衝撃破壊の実験を行った。この際、レ-ザ-コ-スティックス法により、き裂先端のコ-スティック像高速度写真を撮影した。これらの高速度写真により、本研究者らが開発している動的混合モ-ドコ-スティックス法理論に基づき応力拡大係数K_I、K_<II>の時間変化を求めた。また荷重偏心角度とき裂伝ぱ開始角度および安定伝ぱ角度の間に明確な関係があることを示した。本実験では、PMMA材を用いたが、動的破壊実験では歪速度依存性の少ないアラルダイトBなどもよく用いられている。しかし、アラルダイトBは光学的異方性があり、光学的異方性材に対する動的混合モ-ドコ-スティックス法理論の確立が望まれていた。本研究では、光学的異方性材中静止き裂および高速伝ぱき裂に対してこれらの理論を確立した。これらは今後の衝撃破壊実験に不可欠のものと考えられる。上記実験の生成形シミュレ-ションを行うために、動的き裂の一般解を変位関数とする移動特異要素法を開発した。この方法では応力拡大係数をK_I、K_<II>を高精度に直接評価できる。これにより特異要素内のエネルギ分布の時間変化を明らかにした。また、シミュレ-ション結果より、実験では捉えられなかった現象、すなわち混合モ-ド衝撃破壊に先行し、衝撃波によるき裂閉口現象があることを明らかにした。この閉口現象はモ-ドI衝撃荷重下では生ぜず、モ-ドII荷重が大きくなると生じることがわかった。したがって今後の課題として、き裂閉口現象を考慮した実験解析手法およびシミュレ-ション手法を確立する必要がある。さらに,通常の有限要素法を用いて、動的J積分(J)より混合モ-ド応力拡大係数を精度よく評価できる成分分離法と呼ぶ手法を開発した。はじめにPMMA材の3点曲げ試験片に偏心衝撃荷重を落重棒により加え、混合モ-ド衝撃破壊の実験を行った。この際、レ-ザ-コ-スティックス法により、き裂先端のコ-スティック像高速度写真を撮影した。これらの高速度写真により、本研究者らが開発している動的混合モ-ドコ-スティックス法理論に基づき応力拡大係数K_I、K_<II>の時間変化を求めた。また荷重偏心角度とき裂伝ぱ開始角度および安定伝ぱ角度の間に明確な関係があることを示した。本実験では、PMMA材を用いたが、動的破壊実験では歪速度依存性の少ないアラルダイトBなどもよく用いられている。しかし、アラルダイトBは光学的異方性があり、光学的異方性材に対する動的混合モ-ドコ-スティックス法理論の確立が望まれていた。本研究では、光学的異方性材中静止き裂および高速伝ぱき裂に対してこれらの理論を確立した。これらは今後の衝撃破壊実験に不可欠のものと考えられる。上記実験の生成形シミュレ-ションを行うために、動的き裂の一般解を変位関数とする移動特異要素法を開発した。この方法では応力拡大係数をK_I、K_<II>を高精度に直接評価できる。これにより特異要素内のエネルギ分布の時間変化を明らかにした。また、シミュレ-ション結果より、実験では捉えられなかった現象、すなわち混合モ-ド衝撃破壊に先行し、衝撃波によるき裂閉口現象があることを明らかにした。この閉口現象はモ-ドI衝撃荷重下では生ぜず、モ-ドII荷重が大きくなると生じることがわかった。したがって今後の課題として、き裂閉口現象を考慮した実験解析手法およびシミュレ-ション手法を確立する必要がある。さらに,通常の有限要素法を用いて、動的J積分(J)より混合モ-ド応力拡大係数を精度よく評価できる成分分離法と呼ぶ手法を開発した。 | KAKENHI-PROJECT-01550073 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-01550073 |
脳局所神経細胞の膜透過性と制限拡散の変化に基づく新しい脳機能的MRI法の基礎研究 | 本研究では、2006年に発案された新しいQSI(q-space MRI}法について、生体ラット脳を対象としたin vivo MRIでの有用性、特にfMRIへの実用性を探ることを目的とし、種々の基礎的検討を行った。本法は異なる数個のb値で収集される拡散強調画像の解析において、確立統計論に関する数学的手法を応用するものである。これにより従来のQSIに比して短い撮像時間で脳内局所の水分子拡散にかかわる要約統計量、すなわち尖度や分散が求められるため、生体ラット脳を対象としたMRIに応用し、虚血における経時的変化や神経賦活に伴うイオンチャネルの開口に伴って細胞内外に生じる制限拡散の変化についてMRIによる可視化を試みた。本年度に実施した基礎検討の結果から、本法では従来のQSI法に比して短時間でのデータ収集が可能であり、また比較的低いb値の印加によって必要な画像データが得られることから、生体小動物を対象とした実験利用での有用性も示唆された。また実験動物専用装置のような高磁場、高傾斜磁場強度をもたない臨床装置での応用についても可能性が示された。一方、原理的に収集データのSN比が十分でないことや、生体に不可避のバルクモーションに影響を受けやすいこと、神経活動を視覚化する上で重要となる時間分解能が悪いことなど、さらなる検討と最適化が必要であることも明示された。本年度に導入した末梢神経電流刺激装置や病理解析用の機材を有効に活用し、次年度は上記において明確となったこれら問題点について、引き続き検討をする予定である。本研究では,ラット脳における神経賦活領域の可視化を制限拡散に鋭敏な新しい拡散MRI撮像技術,すなわち比較的小さな値の数個のb値を用いることで撮像(データ収集)の高速化が図れるq-spaceimaging(以下,QSI)にて捕らえることを目的とし,初年度には実験小動物用超伝導磁石型7T-MRI装置を用いた基礎検討を実施した.今年度はその成果として得られた課題の解決を目的として,本学に新規導入された永久磁石型1.5T-MRI装置を使用した新たな画像解析実験系を構築し,継続的に研究を遂行した.前年度に実施した超高磁場MRI装置におけるQSIでは,数個のb値について得られた拡散MRIデータから,従来のフーリエ変換法によるQSIで得られた各種要約統計量の算出を実現し,それらを用いたラット脳のマッピングが可能であることを示した.一方,明示された課題の一つは,同法が従来法に比して大幅にデータ収集時間を短縮することが可能である反面,装置性能や撮像シーケンスの制限に伴う画質の低下であり,もう一つは本法により描出される神経賦活領域の検証手段として,他の脳機能的MRI法との比較検証が不可欠となったことである,前者については,本研究課題の実施期間において容易に解決できないことから撮像条件およびデータ処理法の最適化にとどめ,後者については神経細胞の膜透過性を直接反映するfMRI法として知られる「神経賦活マンガン造影MRI法(以下,AIMMRI)」に着眼し,さらに光ファイバー式レーザー血流量計を用いた局所脳血流量との同時計測を実現する実験環境を構築した.一方,本研究課題の実施期間が2年間であることに加え,同検討を実施する新たな環境として磁化率効果の影響を受けにくい新たな実験系の構築が必要となっため,最終年度となる本年度の成果はその目的を十分に達するには至らなかった. | KAKENHI-PROJECT-22650086 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-22650086 |
「文字ストローク」の「動きイメージ」が単語認知に及ぼす影響-基礎的実験研究 | 「動きイメージ」の認知的機能を研究することが基本的目的であった。「動きイメージ」は単語の認知処理である記憶実験によって検討した。そのためにカタカナ語をその筆順を示すことで、「動きイメージ」の効果を検討することになった。すなわち、「動きイメージ」をディスプレイに示すソフトウエアを利用して「動きイメージ」を生成することになった。しかしながら、初年度から、参照モデルがないために、以前には予想もしなかったいろいろな問題、テーマに遭遇した。単語刺激であるカタカナ語の筆順は、ストローク間を一定のtime-intervalでコントロールして、「動きイメージ」を生成した。しかし、単語刺激のカタカナを見た被験者は、筆順の「動きイメージ」がやや不自然に見えるという問題が発生したのである。この不自然さが、かえってカタカナ語の認知に大きな影響を及ぼすために、いかに不自然さを縮減することが出発点となった。すなわち、文字の「ストローク」を自然な動きにするために、カタカナ語の各ストロークを異なったタイム・インタバルによって制御することが不可欠になり、基礎的な実証的研究をしなければならなくなった。そこで、カタナカ語を大人に書いてもらい、ストロークごとの「動きの速さ」を反映した「動きイメージ」を作成しなかればならなくなった。厳密には、不可能であるが、新しい基礎研究を実施することになった。すなわち、カタカナ語を書かせて、文字のストローク毎に動きの速さを測定した。多くの被験者のカタカナ語の筆順の動きを集めて、ストロークの速さの概要を把握することにした。ここで明らかになったことは、「自然な筆順の動きイメージ」は、学校の教育過程で習得され、具体的には、文字学習の過程と一体になった実践的研究をすることは不可欠になった。こうした問題意識にかわって、当初と違って大きく深まった。しかしながら、単語の「動きイメージ」は、その認知処理過程に「生成処理」と同じ効果を持つであろうという理論は、関連研究をレヴューすると間違っていないので、理論編を学会誌に発表することにしている。「動きイメージ」の認知的機能を研究することが基本的目的であった。「動きイメージ」は単語の認知処理である記憶実験によって検討した。そのためにカタカナ語をその筆順を示すことで、「動きイメージ」の効果を検討することになった。すなわち、「動きイメージ」をディスプレイに示すソフトウエアを利用して「動きイメージ」を生成することになった。しかしながら、初年度から、参照モデルがないために、以前には予想もしなかったいろいろな問題、テーマに遭遇した。単語刺激であるカタカナ語の筆順は、ストローク間を一定のtime-intervalでコントロールして、「動きイメージ」を生成した。しかし、単語刺激のカタカナを見た被験者は、筆順の「動きイメージ」がやや不自然に見えるという問題が発生したのである。この不自然さが、かえってカタカナ語の認知に大きな影響を及ぼすために、いかに不自然さを縮減することが出発点となった。すなわち、文字の「ストローク」を自然な動きにするために、カタカナ語の各ストロークを異なったタイム・インタバルによって制御することが不可欠になり、基礎的な実証的研究をしなければならなくなった。そこで、カタナカ語を大人に書いてもらい、ストロークごとの「動きの速さ」を反映した「動きイメージ」を作成しなかればならなくなった。厳密には、不可能であるが、新しい基礎研究を実施することになった。すなわち、カタカナ語を書かせて、文字のストローク毎に動きの速さを測定した。多くの被験者のカタカナ語の筆順の動きを集めて、ストロークの速さの概要を把握することにした。ここで明らかになったことは、「自然な筆順の動きイメージ」は、学校の教育過程で習得され、具体的には、文字学習の過程と一体になった実践的研究をすることは不可欠になった。こうした問題意識にかわって、当初と違って大きく深まった。しかしながら、単語の「動きイメージ」は、その認知処理過程に「生成処理」と同じ効果を持つであろうという理論は、関連研究をレヴューすると間違っていないので、理論編を学会誌に発表することにしている。3年計画の初年度として、「文字ストローク」を研究計画に従って、実験材料としてカタカナ語を使い、「動きイメージ」を再現できる刺激を作成することから始めた。50音のカタカナ語の「動きイメージ」をコントロールするために、ソフトウエアを利用して、パソコン・デスプレイ上に、カタカナ語の筆順の「動きイメージ」を生成することとした。この過程は、最初の基礎的実験に至る一番肝心の準備段階であるが、この準備過程の間に、いろいろ新しいテーマに遭遇するとともに、当初の本研究の仮説に加えて、新しいいくつもの仮説が誕生することとなった。すなわち、カタカナ語の「動きイメージ」刺激を構成するに当たっては、「文字ストローク」の「動きイメージ」が、被験者から見て、「自然なストロークの動き」として受けとめられることが非常に重要である、ということが浮き上がってきたのである。当初は、一定のタイム・インタバルで「文字ストローク」のパーツをコントロールすれば、動きが現れ、筆順に基づいた生成過程が活性かされる、と簡単に想定していたのだが、意外にも、また考えてみれば当然ではあったが、「自然なストロークの動き」こそが基本なのであった。「自然な動き」とは、人間が普段、カタナカ語を書く時の「動き」がそのまま投射される場合に、最も自然な「文字ストローク」の「動きイメージ」と感じられることを発見したのである。すなわち、第一実験に至る前段階にあって、非常に大きな研究主題に出会ったということであった。 | KAKENHI-PROJECT-17530491 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-17530491 |
「文字ストローク」の「動きイメージ」が単語認知に及ぼす影響-基礎的実験研究 | そのために、カタカナ語の「文字ストローク」をより自然な動きに見せるために、カタカナ語のストロークの各パーツごとに、異なったタイム・インタバルでコントロールするために、いくつもの基礎的トライアルを試行錯誤的に実施することとなった。その結果は、当初考えていた以上に、カタカナ語による「文字ストローク」の「動きイメージ」が自然なかたちで被験者に提示できるようになった。そのために本実験は半年遅れてスタートすることとなったが、「文字ストローク」の「動きイメージ」を自然に提示するための新しい仮説、考え方が生まれ、今後の研究の展開に希望を抱かせることとなった。3年計画の二年次であり、昨年の実験の反省に基づいて、「文字ストローク」を表示する実験材料として、昨年同様に、カタカナ語を使い、「筆順イメージ」を再現できる刺激を作成した。50音のカタカナ語の筆順を示す「動きイメージ」をコントロールするために、ソフトウエアを利用して、パソコン・デスプレイ上に、カタカナ語の筆順の「動きイメージ」を生成することが基本になる。筆順を表示する過程は、本実験をする一番肝心の準備段階であるが、本邦には筆順をコントロールする参照モデルが無いために、初年度から創作することとなった。この準備過程の間に、当初は予想もしなかった、いろいろ新しい問題、テーマに遭遇することとなった。当初の本研究の仮説に加えて、新しいいくつもの仮説が誕生し、一筋縄ではいかない複雑な研究活動を推進しなければならないこととなった。第一は、カタカナ語の筆順、すなわち、「動きイメージ」が、日常にカタカナを書いている被験者から見て、「自然なストロークの動き」として受けとめられるか否か、ということがあり、非常に大きな課題として浮き上ってきた、ということである。ゴツゴツしたストローク、筆順の動きでは、それ自体が一つの刺激条件になり、認知に大きな影響を及ぼす、ということになる。したがって、当初、一定のタイム・インタバルで「文字ストローク」のパーツを細分化して、継時的にコントロールすれば、映画フィルムで動きを見せるように筆順をコントロールできる、と考えていたアイディアを根本から修正しなければならなくなった。すると第二は、「自然な筆順の動きイメージ」を提示することが、文字の生成過程を効果的に活性させる、という仮説が基本となるように考えられる。この問題意識が当初と違って大きく発展した事項である。第三は、カタカナ語の「文字ストローク」をより自然な動きに見せるために、どうしたらよいか、という次の重大なテーマが浮彫りになってきた。すなわち、カタカナ語のストロークの各パーツごとに、異なったタイム・インタバルでコントロールするために、いくつもの基礎的、基本的な実証的研究を実施することとなった。すなわち、カタカナ語を修得した人に、カタカナ語を書いてもらい、その動き、ストロークを収集し、その結果に基づいて、「動きイメージ」を表示できるように基本的考え方を変えることになった。そのために本研究は半年遅れてスタートすることとなったが、「文字ストローク」の「動きイメージ」を自然に提示するための新しい仮説、考え方が生まれ、今後の発展が期待されると思っている。 | KAKENHI-PROJECT-17530491 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-17530491 |
日本人英語学習者の読解における予期的推論生成とテキスト理解プロセスの関連 | 本研究は日本人英語学習者のテキスト読解を研究対象とし,読解中の予期的推論の生成(後続のテキスト内容に関する予測)に関わる要因の検証,及び生成された予期的推論が誤っていた場合にその推論を修正するプロセスの検証を目的としたものである。推論の生成に関して本年度では,多くの先行研究で指摘されているような「読解方略教示の影響」についての検証を行った。実験では,特定の予期的推論の生成が促される英文を用いて,通常の読解と予測を促す教示を与えた条件での学習者の読解プロセスを比較した。読解直後に提示された推論情報に対する学習者の反応時間(語彙性判断時間)を分析した結果,英語熟達度の高い学習者においてのみ方略教示によって推論の生成が促されていることが示された。また,読解時間の分析からは,英語熟達度にかかわらず,方略教示がある場合に学習者はより注意深く英文を読解していたことが示唆された。読解から時間を空けて行われた再生課題の分析結果からは,方略教示によって学習者の注意が推論生成に向いた場合でも,明示的に記述されたテキスト情報の理解は減少しないことが明らかになった。推論の修正に関しては,学習者の推論が否定された際の読解プロセスを,読解中の眼球運動測定に基づいて検証した。推論を否定する文に対する注視時間を分析した結果,英語熟達度にかかわらず,学習者は自身の推論内容と読解しているテキスト情報の不一致を即座に検知していることが示された。一方で,英語熟達度の低い学習者は熟達度の高い学習者と比較して,推論内容を否定する文を自身のテキスト理解に統合することに大きな困難があることが明らかになった。これらの実証研究の結果は,日本人英語学習者が推論の生成やその修正において抱える困難を明らかにするものであり,これらの結果に基づいて効率的・柔軟な英文読解力を育成するための指導についての示唆が与えられた。26年度が最終年度であるため、記入しない。26年度が最終年度であるため、記入しない。本研究は日本人英語学習者のテキスト読解を研究対象とし、読解中の予期的推論の生成に関わる要因の検証、及び生成された予期的推論が誤っていた場合にその活性化を抑制・推論を修正するプロセスを検証することを目的とする。初年度である24年度では、2つの実験を通して、英文読解中の予期的推論の生成に関わる要因の検証を行った。1つ目の実験では、推論概念を表す単語に対する再認課題の正反応時間と、読解後の手がかり再生課題における推論情報の混入状況に基づく分析が行われた。その結果、学習者は文脈の収束度が高いとき、及び推論がテキストの局所的一貫性の保持に必要となるときに、最も予期的推論を生成する可能性が高いことが明らかにされた。2つ目の実験では、学習者自身に関連した要因としてテキスト読解中の認知負荷を操作し、認知負荷と予期的推論活性化との関わりについて検証を行った。読解中にテキストに関連しない単語の記憶を求める、二重課題を用いた手法によって読解中の認知負荷の高さを操作し、語彙性判断課題の正反応時間と読解後の推論内容に対する妥当性判断課題の分析が行われた。その結果、読解中に付加的な認知負荷が与えられると予期的推論生成が困難になり、特に即時的な推論生成を阻害する可能性が示唆された。これまで英文読解中の予期的推論生成を検証した研究は少なく、本研究の上記2つの実験からその生成に関わる要因が特定されたことは、重要な意義がある。また、本研究結果からは、学習者が流暢な読解や積極的な読解を達成するためには予期的推論の生成が有用であるが、教室場面ではテキストの特徴や学習者の認知能力、及びそれらのバランスを考慮したうえで、予期的推論を促す活動が行われることが望ましいと示唆される。本研究は日本人英語学習者のテキスト読解を研究対象とし、読解中の予期的推論の生成(後続のテキスト内容に関する予測)に関わる要因の検証、及び生成された予期的推論が誤っていた場合にその推論を抑制・修正するプロセスの検証を目的としたものである。2年目である25年度では、前年度の予期的推論の生成に関する実証結果に基づき、2つの実験によって誤った予期的推論の抑制・修正の検証を行った。1つ目の実験では、学習者は特定の予期的推論の生成が促されるものの、後続の文脈によりその推論が否定される文章を読解した。英文読解直後に提示された推論情報に対する学習者の反応時間を分析し、推論が否定された直後では、誤った予期的推論の活性化は抑制されていないことが明らかになった。一方で、読解から時間を空けて行われた推論情報への再認課題の分析結果からは、読解後の長期テキスト記憶では誤った予期的推論が部分的にではあるが修正されていたことが示された。2つ目の実験では、学習者の英文読解熟達度を主要な要因として、読解から時間を空けた推論情報への再認課題のみが行われた。その結果、熟達度が高い学習者ほど自身の誤った推論を柔軟に修正している可能性が指摘された。初年度では英文読解中の予期的推論生成を検証していたが、本年度はその検証を発展させる形で上記のような生成された推論の抑制・修正の検証が行われた。 | KAKENHI-PROJECT-12J01337 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-12J01337 |
日本人英語学習者の読解における予期的推論生成とテキスト理解プロセスの関連 | 2つの実証研究の結果からは、日本人学習者の誤った推論の抑制・修正に対する困難性が指摘されたと同時に、柔軟に自身の理解を修正する能力が英文読解力の重要な側面となることが示唆された。これらの点は、英文読解指導においては学習者の活発な予測を促すだけでなく、その予測を十分に修正できる能力を育成することの重要性を示すものである。本研究は日本人英語学習者のテキスト読解を研究対象とし,読解中の予期的推論の生成(後続のテキスト内容に関する予測)に関わる要因の検証,及び生成された予期的推論が誤っていた場合にその推論を修正するプロセスの検証を目的としたものである。推論の生成に関して本年度では,多くの先行研究で指摘されているような「読解方略教示の影響」についての検証を行った。実験では,特定の予期的推論の生成が促される英文を用いて,通常の読解と予測を促す教示を与えた条件での学習者の読解プロセスを比較した。読解直後に提示された推論情報に対する学習者の反応時間(語彙性判断時間)を分析した結果,英語熟達度の高い学習者においてのみ方略教示によって推論の生成が促されていることが示された。また,読解時間の分析からは,英語熟達度にかかわらず,方略教示がある場合に学習者はより注意深く英文を読解していたことが示唆された。読解から時間を空けて行われた再生課題の分析結果からは,方略教示によって学習者の注意が推論生成に向いた場合でも,明示的に記述されたテキスト情報の理解は減少しないことが明らかになった。推論の修正に関しては,学習者の推論が否定された際の読解プロセスを,読解中の眼球運動測定に基づいて検証した。推論を否定する文に対する注視時間を分析した結果,英語熟達度にかかわらず,学習者は自身の推論内容と読解しているテキスト情報の不一致を即座に検知していることが示された。一方で,英語熟達度の低い学習者は熟達度の高い学習者と比較して,推論内容を否定する文を自身のテキスト理解に統合することに大きな困難があることが明らかになった。これらの実証研究の結果は,日本人英語学習者が推論の生成やその修正において抱える困難を明らかにするものであり,これらの結果に基づいて効率的・柔軟な英文読解力を育成するための指導についての示唆が与えられた。26年度が最終年度であるため、記入しない。26年度が最終年度であるため、記入しない。本年度では、当初の目的のとおり英文読解中の予期的推論生成に関わる複数の実験を行い、それぞれにおいて「テキスト特徴(文脈の収束度と局所的一貫性の保持)」と「読解中の認知負荷」が英語学習者の推論生成に与える影響を明らかにした。これらの研究結果については、関連する国内外での学会で発表され、さらに年度中に論文としてまとめられ、学会誌掲載まで至っている。この点は計画以上の進展であったといえる。本年度では、当初の目的・計画のとおり、英文読解中の誤った予期的推論の抑制・修正に関わる複数の実験を行った。これらの実験においては、英語学習者における誤った推論の抑制・修正の困難性と、英語熟達度との関わりが指摘された。このような研究結果については関連する国内外での学会で発表され、さらにその一部は年度内に査読付き論文として採択されるに至った。この点は当初の計画以上の進展である。本年度では、テキスト・学習者の双方に関連した要因を扱い、英文読解における予期的推論生成の検証を試みたが、学習者に関連した要因について推論生成を阻害する側面しか検証できていないため、次年度では推論生成を促すと考えられるテキスト以外の要因(読解教示)について検証を行う。さらに、生成された予期的推論が誤っていた場合にその活性化が抑制されるのか、そして学習者はそれを修正した正しいテキスト理解を達成できるのかについても次年度より検証を行っていく。 | KAKENHI-PROJECT-12J01337 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-12J01337 |
小児難治性急性骨髄性白血病に対するアロ反応性NK細胞による抗腫瘍メカニズムの解明 | 化学療法に抵抗性で予後不良な急性白血病に対して、HLAハプロ一致造血幹細胞移植が試みられている。移植後に白血病細胞がヒト主要組織適合抗原であるHLAを失うことが6番染色体による異常で起こり、それが再発のメカニズムの一つであることを解明できた。HLAを失った白血病細胞はNK細胞に攻撃されやすくなっており、移植後にドナーからのNK細胞を輸注することが再発予防につながる可能性が示唆された。化学療法に抵抗性で予後不良な急性白血病に対して、HLAハプロ一致造血幹細胞移植が試みられている。移植後に白血病細胞がヒト主要組織適合抗原であるHLAを失うことが6番染色体による異常で起こり、それが再発のメカニズムの一つであることを解明できた。HLAを失った白血病細胞はNK細胞に攻撃されやすくなっており、移植後にドナーからのNK細胞を輸注することが再発予防につながる可能性が示唆された。急性骨髄性白血病(M7)の3歳男児例の白血病細胞より細胞株を樹立し、白血病が持っていた予後不良の染色体異常であるt(16;21)由来のTLS/FUS-ERG融合遺伝子が陽性であり、患者白血病細胞由来であることを証明した。この細胞株を標的として移植後のNK細胞による抗白血病効果のメカニズムを検討した。この患者さんは非寛解状態で造血幹細胞移植をHLA3座不一致の母(GVH方向にKIRリガンド不一致)を行った。患者とドナー間にKIRリガンドミスマッチがあるためアロ反応性NK細胞が抗白血病効果(GVL効果)をin vitroで証明できるかどうかを検討した。移植後のT細胞とNK細胞の骨髄における回復はリンパ球分画中でそれぞれ、day14(T 0.48%, NK 51.7%)、day21 (T 0.53%, NK 43.7%)、day28(T 1.79%, NK 39.4%)で移植前処置のATGによるT細胞除去およびNK細胞の早期回復が確認された。移植後の患者血液(ドナー由来)よりNK細胞、T細胞を分離し、患者白血病細胞に対する障害活性を検討したところ移植後Day28と早期に患者血液内のドナー由来NK細胞は、患者白血病に強い障害活性を示したが、T細胞はin vitroで障害活性を示さなかった。ドナーNK細胞の移植後の抗白血病細胞効果を経時的に検討したところ、Day90以後に障害活性が減弱しはじめ移植1年後には、感度以下となっていた。キメラ遺伝子を利用した微少残存腫瘍の検討で移植後一旦は分子生物学的寛解が得られていたが、白血病細胞に対するドナー由来NK細胞の障害活性を消失したDay90に微少再発が確認された。以上の検討からKIR不一致NK細胞の抗腫瘍効果をモニタリングすることが可能であり、移植後に何らかの免疫寛容によってアロ反応性NK細胞の障害活性が低下することからドナーNK細胞輸注療法の可能性が示唆された。近年、白血病に対する血液幹細胞移植の分野での大きな進歩の一つに、アロ反応性NK細胞のドナー選択法の改善があげられる。患者とKIRリガンド不一致のドナーを選ぶことによりアロ反応性NK細胞が、Graft versus leukemia(GVL)効果を起こし、そのようなドナーを選ばない場合と比べて有意に再発率が減少し、生存率が向上する。このアロ反応性NK細胞のGVL効果を解明することは、さらに臨床応用可能な治療法をもたらすことが可能性が高い。我々は、KIRリガンド不一致造血細胞移植後の患者末梢血単核球より磁気ビーズ法を用いてNK細胞を分離し、移植前の患者由来PHAブラストとドナー由来PHAブラストの傷害活性の差を検討し、移植後のドナー体内に存在するドナー由来NK細胞が、患者由来血液細胞を傷害することを確認した。移植後に経時的に傷害活性を調べると移植後1年の経過でしだいにアロ反応性NK細胞の障害活性が減少していくことが判明した。またアロ反応性NK細胞活性を示すsingle KIR陽性NK細胞の数を同定することが樹立でき、より簡便にアロ反応性NK細胞のモニタリングが可能となった。さらに、St.Jude Childeren's hospitalのDr.Campanaのグループとの共同研究により、臨床応用可能なGMPグレードでNK細胞を効率よく培養増幅可能なmodified K562細胞を供与され、現在培養NK細胞輸注法の開発を行っている。すでにアメリカではこの細胞はFDAにapproveされており、実際にハイリスク白血病患者に培養NK細胞輸注を組み込んだ治療研究が行われている。我々は現在アロ反応性NK細胞を利用した新規治療法の開発を進めている。治療抵抗性白血病患者に対してHLAハプロ一致移植後に再発した白血病細胞に患者・ドナー間不一致HLAが欠失する場合があり、6番染色体短腕におけるuniparental disomyがそのメカニズムであることを解明し、学会および論文報告した(Villalobos et al. Blood 2010)。これは不一致HLAに対する傷害性T細胞(CTL)による強いGVL効果から白血病細胞がHLAを失うことでエスケープすることを示唆ずる。HLAがNK細胞抑制性KIR受容体のリガンドそのものであるため、ハプロ一致移植における患者・ドナー間不一致HLAモニタリングの有用性ついて検討した。2004年1月から2010年3月までに非寛解期にHLAハプロ一致移植を行った8例の白血病患者に対し患者・ドナー間不一致HLAに対する抗体(Onelambda社)を利用したフローサイトメトリー法により移植後微小残存腫瘍(MRD)の検出を行った。 | KAKENHI-PROJECT-20591252 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-20591252 |
小児難治性急性骨髄性白血病に対するアロ反応性NK細胞による抗腫瘍メカニズムの解明 | 8例中6例でリネージごとにキメリズム解析が可能で、少なくとも10^4個に1個のMRD検出が解析可能であった。さらに顕微鏡的に寛解状態でありながら移植後30日を越えてMRDが検出されながら、次第にMRDが消失していく経過を2例で観察できた。不一致HLAのモニタリングはギメリズムだけでなくGVL効果のモニタリングに有用であることが示唆された。不一致HLAロスを生じた白血病患者2例において、ドナーNK細胞による傷害活性が初診時白血病細胞と比べてロスした白血病細胞で有意に高かった。うち1例でHLAロス後の白血病細胞においてNK細胞の活性化受容体リガンドであるULBP-2の発現が増加していた。HLA不一致移植後のGVL効果においてドナーCTLとNK細胞が相補的に働いている重要な知見が得られ、移植後の維持療法にNK細胞輸注療法を組み合わせる治療戦略の根拠となるものと考えられた。 | KAKENHI-PROJECT-20591252 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-20591252 |
「職員室文化」の継承による学校づくり推進のための力量形成に関する研究 | 本研究では,学校の「職員室文化」の継承により,「地域とともにある学校」としての「特色ある開かれた学校づくり」に資する教職員の力量形成のあり方を検討した。そのため,第一に,勤務校で教職員の力量を向上させるために行われている取組とその効果の分析を通じて,教職員の力量形成に資する「職員室文化」の特徴を明らかにした。第二に,現職教員を対象としたインタビュー調査の分析を通じて,教師の力量形成に資する「職員室文化」の様相を明らかにした。第三に,現職教員を対象としたグループ・インタビュー調査の分析を通じて,「職員室文化」のもつ学校づくり推進に対する機能を明らかにした。そして,地域に根ざした特色ある教育・特色ある学校づくりを推進する学校における「職員室文化」の継承に取り組む事例を手がかりに,学校づくり推進のための力量形成に注目して,その力量の構成項目を考察し,「職員室文化」の継承による学校づくりに関する効果的な推進方略について明らかにした。とりわけ,1「職員室文化」における教職員の力量形成からみた学校づくり推進の力量をめぐって,教師としての生き方に最も影響を与えた勤務校のエピソードや効果的な取組に関する意識,及び「職員室文化」の具体的な様相からみた教師の力量形成を示し,「職員室文化」の継承による学校づくり推進の力量の構成項目を検討して,「職員室文化」にみる学校づくり推進に係る力量の特徴を明らかにした。2「職員室文化」継承による学校づくり推進をめぐって,その課題として,時代の変化による「職員室文化」の取捨選択,「職員室文化」の喪失への対応と継承に向けられた努力を指摘するとともに,「職員室文化」の継承による学校づくり推進には,「職員室文化」継承の研修プログラムの構築や,「職員室文化」を「ともに」継承することの意義を教育活動における子どものアウトカムとしての姿に求められることを示した。地域に根ざした特色ある教育活動を展開する学校において継承されている「職員室文化」の現状を分析考察し、勤務校で教職員の力量を向上させるために行われている取組とその効果の分析を通じて、教職員の力量形成に資する「職員室文化」の特徴を学校の条件性に照らして明らかにすることを研究の目的としている。そのため、本年度は、第一に、勤務校で教職員の力量を向上させる効果的な取組に関する意識について、小中学校の教諭を対象とする意識調査結果を分析考察し、学習指導に関わる内容領域、生徒指導に関わる内容領域、学級経営に関わる内容領域、学校の伝統づくりに関わる内容領域、保護者・地域との連携に関わる内容領域、教職員集団づくりに関わる内容領域から明らかにした。特に、教職員の力量形成の視点から、勤務校での効果的な取組として、研究授業や校内研修での公開授業の実施やその後の授業検討など教員研修、学校目標・子供像の共有や各自の学級経営の参観といった学校での組織的な取組、保護者や地域住民と連携・協働した教育活動の展開などをあげられた。また、学校づくりの視点からは、学校の一体感を生み出すような研究授業や校内研修、学校での組織的な取組は、教職員の力量形成と同様、学校づくりにも効果的な取組であると指摘できるとともに、学校の伝統づくりに地域の伝統や文化の取り入れやその継続的な研修、学校組織の体制づくりの強化、学校の教育力の地域社会への発信なども効果的な取組と指摘できた。第二に、学校の「職員室文化」の継承による「特色ある開かれた学校づくり」に資する教職員の力量形成のあり方についての検討の方向性を明確にするため、教職経験20年となる小学校教諭一名の協力を得て、これまで勤務した6校の小学校の「職員室文化」と自己の力量形成との関連についてインタビュー調査を実施することができ、現在、その調査結果を分析考察している。研究計画の段階では、第一に、「職員室文化」の継承について、地域に根ざした特色ある教育活動を展開する「職員室文化」の現状を学校の条件性に照らして明らかにするために、当初は、昭和50年代以降の我が国の学校教育施策や教職員の力量形成に関する方策の変遷を踏まえることとして検討した結果、「職員室文化」との関連について明確な知見を得ることができなかった。そこで、「職員室文化」の特徴を学校の条件性に照らして明らかにすることから教職員の力量形成との関連を検討することによって、「職員室文化」の継承の現状と課題との関連について検討することができた。また、第二に、そのことを通じて「特色ある開かれた学校づくり」の取組との関連から職員室文化形成のメカニズムを明らかにすることに努めたが、研究計画において想定した調査協力校の複数の協力者の協力を得ることが難しく、善後策を検討した結果、教職員の個が感じ取り受け止めている「職員室文化」の掘り起こしを念頭に置いて、「職員室文化」の継承による「地域とともにある学校」としての「特色ある開かれた学校づくり」に不可欠となる力量についての示唆を明らかにすることを目指した。実際には、教職経験20年となる小学校教諭一名の協力を得て、これまで勤務した6校の小学校の「職員室文化」と自己の力量形成との関連についてインタビュー調査を実施でき、調査結果を分析考察している。有効な質的なデータを収集できたが、そのデータの量はまだ多くは集まっておらず、その点で、「(3)やや遅れている。」と判断しているが、データの量的補充の方途を見出すことができており、平成28年度においてさらに充実させる予定である。 | KAKENHI-PROJECT-15K04299 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-15K04299 |
「職員室文化」の継承による学校づくり推進のための力量形成に関する研究 | 地域に根ざした特色ある教育活動を展開する学校において継承されている「職員室文化」の現状をめぐって、平成27年度に引き続き、勤務校で教職員の力量を向上させるために行われている取組とその効果の分析考察を行い、教職員の力量形成に資する「職員室文化」の特徴を学校の条件性に照らして明らかにすることに努めた。そのため、第一に、勤務校で教職員の力量を向上させるために行っている効果的な取組に関する意識についての6つの内容領域に基づき、学校の「職員室文化」の継承による「特色ある開かれた学校づくり」に資する教職員の力量形成のあり方についての検討の方向性を明確にするため実施した平成27年度教諭1名に対するインタビュー調査の結果を分析考察した。その結果、勤務校の「学校のもつ条件性」という良さを生かしながら長年行ってきた教育活動に象徴される「職員室文化」が継承されることとなり,結果として,そこに実感される勤務校の価値ある取組を教職員それぞれは咀嚼し自分の力量向上へと繋げて行くことを明らかにした。第二に、上記の結果を受けて、勤務地・校種・経験年数の異なる4校の教諭4名のグループインタビュー及び個別のインタビュー調査を計画実施した。具体的には、広島県内の勤務経験20年以上の小学校・中学校ベテラン教諭2名と広島県外の小学校若手教諭2名の学校の「職員室文化」に対する視座の異なりを抽出して学校づくりに資する「職員室文化」との出会いと自己の力量形成への取り込みを確認した。現在は、その調査結果の精緻な分析考察を進めている。平成28年度においては、教職員の力量形成に資する「職員室文化」の特徴を学校の条件性に照らして検討した「職員室文化」の継承の現状と課題との関連に基づき、教職経験20年となる小学校教諭一名のインタビュー調査結果の精緻な分析考察を行うことはできた。その結果、「職員室文化」の継承による「地域とともにある学校」としての「特色ある開かれた学校づくり」に不可欠となる力量についての示唆をめぐって、これまで勤務した6校の小学校の「職員室文化」と自己の力量形成との関連についての分析考察を通じて、赴任校における「職員室文化」との出会い,すなわち,目標として価値ある取組につながる「職員室文化」や手段として取り組むこととなった「職員室文化」との出会いによって,それへの取組の中でその学校や地域ならではの大切にされてきた価値を日々感じながら,自身のあり方や生き方を鍛錬してきたことを明らかにした。そのことを通じて「特色ある開かれた学校づくり」の取組との関連から職員室文化形成のメカニズムを明らかにすることを通じて、研究計画では学校のもつ条件性に根ざす「特色ある開かれた学校づくり」の事例から「職員室文化」の継承による学校づくりの力量を抽出することを目指し、実際には、勤務地・校種・経験年数の異なる4校の教諭4名のグループインタビュー及び個別のインタビュー調査を計画実施した。学校の「職員室文化」に対する視座の異なりを抽出して学校づくりに資する「職員室文化」との出会いと自己の力量形成への取り込みを確認した。現在は、その調査結果の精緻な分析考察を進めており、当初計画からは少し遅れている状況にある。平成29年度においても、さらに有効な質的なデータを収集して、学校づくりに係る研修プログラムの開発のための学校経営方策を明らかにする予定である。 | KAKENHI-PROJECT-15K04299 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-15K04299 |
電荷密度波の集団運動を利用した新規非線形光学素子の関発 | 電荷密度波の集団運動を利用した新しい動作原理に基づく非線形光学素子を開発することを目指して,本研究では,(1)AlGaAs/GaAs単一ヘテロ構造に代表される理想的な2次元電子系における電荷密度ゆらぎと光散乱の解析,(2)遷移金属カルコゲナイドに形成される電荷密度波の挙動の解明,および(3)電荷密度波状態における非線形伝導への光照射効果の実験を行った。(1)理想的な2次元電子系における電荷密度ゆらぎと密度変調の解析AlGaAs/GaAs単一ヘテロ構造の2次元電子系における電荷密度ゆらぎによる共鳴光散乱の実験を行い,それに対する理論的な解析を行った。さらに,バイアス電圧を表面周期グレーティングに印加することで発生する2次元電子密度変調の様子を理論的に解析した。(2)遷移金属カルコゲナイドに形成される電荷密度波の挙動擬二次元伝導体TaS_2の単結晶を,化学気相成長法で育成した。結晶育成時に過剰のイオウを加えると,伝導キャリアの注入が起こり,電荷密度波転移が抑制されることを明らかにした。このとき注入されるキャリアは電子ではなく正孔であることを新たに見出した。(3)電荷密度波状態における非線形伝導への光照射効果擬一次元伝導体TaS_3の針状結晶をクライオスタットに取り付け,180Kまで冷却し電荷密度波状態を実現する。この状態の試料に対して、Ar^+レーザーで発振されたポンプ光(488nm)を照射すると,試料を流れる電流の値が増加することが確認された。光照射による電流変化はしきい電場付近で最大となり,電場の上昇とともに減少する。この効果は,ポンプ光によって光励起された準粒子がピン止めポテンシャルを遮蔽することにより電荷密度波電流が増加したためと理解できる。本研究により,遮蔽効果を介して電荷密度波の運動を制御することが可能であることが明らかとなった。電荷密度波の集団運動を利用した新しい動作原理に基づく非線形光学素子を開発することを目指して,本研究では,(1)AlGaAs/GaAs単一ヘテロ構造に代表される理想的な2次元電子系における電荷密度ゆらぎと光散乱の解析,(2)遷移金属カルコゲナイドに形成される電荷密度波の挙動の解明,および(3)電荷密度波状態における非線形伝導への光照射効果の実験を行った。(1)理想的な2次元電子系における電荷密度ゆらぎと密度変調の解析AlGaAs/GaAs単一ヘテロ構造の2次元電子系における電荷密度ゆらぎによる共鳴光散乱の実験を行い,それに対する理論的な解析を行った。さらに,バイアス電圧を表面周期グレーティングに印加することで発生する2次元電子密度変調の様子を理論的に解析した。(2)遷移金属カルコゲナイドに形成される電荷密度波の挙動擬二次元伝導体TaS_2の単結晶を,化学気相成長法で育成した。結晶育成時に過剰のイオウを加えると,伝導キャリアの注入が起こり,電荷密度波転移が抑制されることを明らかにした。このとき注入されるキャリアは電子ではなく正孔であることを新たに見出した。(3)電荷密度波状態における非線形伝導への光照射効果擬一次元伝導体TaS_3の針状結晶をクライオスタットに取り付け,180Kまで冷却し電荷密度波状態を実現する。この状態の試料に対して、Ar^+レーザーで発振されたポンプ光(488nm)を照射すると,試料を流れる電流の値が増加することが確認された。光照射による電流変化はしきい電場付近で最大となり,電場の上昇とともに減少する。この効果は,ポンプ光によって光励起された準粒子がピン止めポテンシャルを遮蔽することにより電荷密度波電流が増加したためと理解できる。本研究により,遮蔽効果を介して電荷密度波の運動を制御することが可能であることが明らかとなった。電荷密度波の集団運動を利用した,新しい動作原理に基づく非線形光学素子を開発することを目的として,本年度は主に良質の単結晶育成条件の確立とフォトリフラクティブ効果測定用光学系の構築を行った.1.低次元伝導体の単結晶育成電荷密度波を生成する擬一次元伝導体NbSe_3,TaS_3および擬二次元伝導体TaS_2の単結晶を,化学気相成長法で育成した.前者は,定比の出発物質を600°C以下の比較的低い温度で育成したときに,良質な結晶が得られることが明らかとなった.しかしながら育成温度が低いため成長速度は遅く,得られた結晶は1000×10×0.1μm程度の非常に細い針状であった.TaS_2の単結晶は,定比の出発物質に加えて輸送剤のヨウ素を加えることにより,大きな板状単結晶が得られた.さらに過剰のイオウを加えることにより伝導キャリアの注入が起こり,電荷密度波転移が抑制されることを確かめた.このとき注入されるキャリアは電子ではなく正孔であることを新たに見出し,現在これに関する論文を準備中である.2.フォトリフラクティブ効果測定用光学系の構築Ar^+レーザーで発振された10mWのポンプ光(488nm)を,NDフィルタを通してハーフミラーで1/2分割した後,クライオスタット内部のサンプル位置に干渉パターンを形成するように光学系を構築した.この干渉パターンによって誘起された試料内部の空間電荷による屈折率変化を,He-Neレーザーとフォトディテクタで読み取る。 | KAKENHI-PROJECT-12650039 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-12650039 |
電荷密度波の集団運動を利用した新規非線形光学素子の関発 | 前述したように測定試料は針状で微小なため,新たに焦点距離100mmの球面レンズを用いて,He-Neレーザーを絞るように改良した.今年度の成果に基づき,来年度は電荷密度波の集団運動(並進)により分極の誘起と再構成が起こることを実証し,それによる非線形光学定数の変化を明らかにし,電荷密度波集団運動の理論と比較検討するとともに,実用化への指針を探る。電荷密度波の集団運動を利用した新しい動作原理に基づく非線形光学素子を開発することを目指して,本研究では,(1)AlGaAs/GaAs単一ヘテロ構造に代表される理想的な2次元電子系における電荷密度ゆらぎと光散乱の解析,(2)遷移金属カルコゲナイドに形成される電荷密度波の挙動の解明,および(3)遷移金属カルコゲナイドを用いた非線形伝導とフォトリフラクティブ効果の実験を行った.(1)理想的な2次元電子系における電荷密度ゆらぎと密度変調の解析AlGaAs/GaAs単一ヘテロ構造の2次元電子系における電荷密度ゆらぎによる共鳴光散乱の実験を行い,それに対する理論的な解析を行った.さらに,バイアス電圧を表面周期グレーティングに印加することで発生する2次元電子密度変調の様子を理論的に解析した.(2)遷移金属カルコゲナイドに形成される電荷密度波の挙動電荷密度波を生成する擬一次元伝導体TaS_3および擬二次元伝導体TaS_2の単結晶を,化学気相成長法で育成した.TaS_2の単結晶育成時に過剰のイオウを加えると,伝導キャリアの注入が起こり,電荷密度波転移が抑制されることを明らかにした.このとき注入されるキャリアは電子ではなく正孔であることを新たに見出した.(3)電荷密度波状態における非線形伝導とフォトリフラクティブ効果の実験擬一次元伝導体TaS_3の針状結晶をクライオスタットに取り付け,180Kまで冷却し電荷密度波状態を実現する.この温度で電流・電圧特性を測定したところ,しきい電場以上で電流値が増加するという明確な非線形伝導が観測された.これはしきい電場以上で電荷密度波の集団運動が電気伝導に寄与することを示している.この状態の試料に対して,Ar^+レーザーで発振されたポンプ光(488nm)を照射すると,試料を流れる電流の値が変化することが確認された.レーザー照射による電流変化は,しきい電場付近で最大となり,電場の上昇とともに小さくなる.この効果は,光照射により電荷密度波の変形すなわち分極変化が実際に起こっていることを示唆している.現在のところ,これをフォトリフラクティブ効果を通じて検出するには至っていないが,今後反射率の変化を測定することにより,電荷密度波の集団運動(並進)により分極の誘起と再構成が起こることを実証したい. | KAKENHI-PROJECT-12650039 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-12650039 |
T細胞腫瘍のin vivo増殖に関与する新しい細胞膜分子の同定 | T細胞腫瘍の生体内での生着と増殖のメカニズムを明らかにすることを目的として、in vivoの環境でのみ発現が増強する細胞膜蛋白の同定と機能解析を行った。HTLV-I感染ヒトT細胞株をSCIDマウスに移植継代して得られた亜株に発現して、in vitroでの長期培養後の同一株の亜株には発現しないか、発現が低下している抗原を認識するモノクローナル抗体を作製し、抗原分子の遺伝子クローニングを行うとともに、in vivoでの生着と増殖への関与について検討した。すでにわれわれは、SCIDマウスへの移植継代を繰り返したヒトT細胞腫瘍の亜株は、in vitroで長期培養した亜株に比較してヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)に対して強い接着性を持つようになることを見いだしていたので、HUVECと免疫に用いたT細胞株との接着に対するこれらの抗体の影響を検討した結果、50kDの細胞膜糖蛋白を認識する抗体がこの接着を阻害することが示された。COS-7細胞での一過性発現系による抗原分子のcDNAクローニングの結果、これがヒトOX40と同一であることが判明した。OX40はTNFレセプター・ファミリーに属し、最近、そのリガンドがHTLV-I感染細胞株に好発現するgp34であることが明らかにされている。そこで抗gp34抗体(北里大、田中勇悦博士より供与)の影響についても検討したところ、同様にHUVECとの接着を阻害するという結果が得られた。その他に、現在までにin vivoとin vitroで発現に差が見られる2つの細胞膜蛋白の遺伝子の単離に成功し、そのうち1つはintegrin β7であった。これはintegrin α4またはαEとヘテロダイマーを形成し、消化管リンパ組織へのホ-ミング受容体として機能するといわれているので、T細胞腫瘍の消化管への浸潤との関連が注目される。もう一つの細胞膜蛋白は既知のものとのホモロジーがなく、現在その機能に関して解析を進めているところである。T細胞腫瘍の生体内での生着と増殖のメカニズムを明らかにすることを目的として、in vivoの環境でのみ発現が増強する細胞膜蛋白の同定と機能解析を行った。HTLV-I感染ヒトT細胞株をSCIDマウスに移植継代して得られた亜株に発現して、in vitroでの長期培養後の同一株の亜株には発現しないか、発現が低下している抗原を認識するモノクローナル抗体を作製し、抗原分子の遺伝子クローニングを行うとともに、in vivoでの生着と増殖への関与について検討した。すでにわれわれは、SCIDマウスへの移植継代を繰り返したヒトT細胞腫瘍の亜株は、in vitroで長期培養した亜株に比較してヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)に対して強い接着性を持つようになることを見いだしていたので、HUVECと免疫に用いたT細胞株との接着に対するこれらの抗体の影響を検討した結果、50kDの細胞膜糖蛋白を認識する抗体がこの接着を阻害することが示された。COS-7細胞での一過性発現系による抗原分子のcDNAクローニングの結果、これがヒトOX40と同一であることが判明した。OX40はTNFレセプター・ファミリーに属し、最近、そのリガンドがHTLV-I感染細胞株に好発現するgp34であることが明らかにされている。そこで抗gp34抗体(北里大、田中勇悦博士より供与)の影響についても検討したところ、同様にHUVECとの接着を阻害するという結果が得られた。その他に、現在までにin vivoとin vitroで発現に差が見られる2つの細胞膜蛋白の遺伝子の単離に成功し、そのうち1つはintegrin β7であった。これはintegrin α4またはαEとヘテロダイマーを形成し、消化管リンパ組織へのホ-ミング受容体として機能するといわれているので、T細胞腫瘍の消化管への浸潤との関連が注目される。もう一つの細胞膜蛋白は既知のものとのホモロジーがなく、現在その機能に関して解析を進めているところである。 | KAKENHI-PROJECT-07671200 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-07671200 |
ウェーブレット変換の逆散乱問題への応用に関する研究 | 本研究は,物体からの散乱波をウェーブレット変換を用いて分析し,時間-周波数分布の特性から物体の情報をどの程度得ることができるかを検討することを目的として行った。研究では,まず,代表的な形状の物体(柱状導体,柱状誘電体,球等)について散乱断面積の周波数特性を広帯域に渡って計算し,次に,得られた周波数特性に連続ウェーブレット変換を施し,時間-周波数分布図を作成した。マザ-ウェーブレットとしてはMexican hat及びMorlet型ウェーブレットを用いた。このようにして得られた結果を基に,時間-周波数分布図から散乱中心の同定,および物体固有の外部共振周波数の抽出がどの程度可能かの検討を行った。1.ウェーブレット変換によって,散乱中心の同定が可能かどうかについての検討ウェーブレット変換では,高周波成分に対して時間分解能が高いため,パルスの時間遅れの計算精度が高く,散乱中心の同定にかなり有効であることが示された。特に,Mexican hatを用いた場合は時間分解能が高く,良好な分析結果が得られることが明らかとなった。2.外部共振周波数をどの程度の精度で求めることができるかについての検討Mexican hat及びMorlet型ウェーブレットのいずれを用いた場合でも,導体柱や球の外部共振周波数の抽出はほとんど困難であった。これは,ウェーブレット変換が周波数分解能を犠牲にして時間分解能を向上させているという,ウェーブレット変換の本質を如実に反映した結果であり,ウェーブレット変換の弱点といえる。一方,対象とした散乱体が空洞共振等の鋭い共振構造を有していないことも大きな理由の一つといえる。しかし,逆に言えば,共振構造を有している散乱体の同定に対してはウェーブレット変換は有効とも考えられる。結局,ウェーブレット変換を用いた時間-周波数分布の特性解析により,散乱中心の同定はかなり精度よく行うことができるが,外部共振周波数の抽出に対しては難しいということが明らかにできた。本研究は,物体からの散乱波をウェーブレット変換を用いて分析し,時間-周波数分布の特性から物体の情報をどの程度得ることができるかを検討することを目的として行った。研究では,まず,代表的な形状の物体(柱状導体,柱状誘電体,球等)について散乱断面積の周波数特性を広帯域に渡って計算し,次に,得られた周波数特性に連続ウェーブレット変換を施し,時間-周波数分布図を作成した。マザ-ウェーブレットとしてはMexican hat及びMorlet型ウェーブレットを用いた。このようにして得られた結果を基に,時間-周波数分布図から散乱中心の同定,および物体固有の外部共振周波数の抽出がどの程度可能かの検討を行った。1.ウェーブレット変換によって,散乱中心の同定が可能かどうかについての検討ウェーブレット変換では,高周波成分に対して時間分解能が高いため,パルスの時間遅れの計算精度が高く,散乱中心の同定にかなり有効であることが示された。特に,Mexican hatを用いた場合は時間分解能が高く,良好な分析結果が得られることが明らかとなった。2.外部共振周波数をどの程度の精度で求めることができるかについての検討Mexican hat及びMorlet型ウェーブレットのいずれを用いた場合でも,導体柱や球の外部共振周波数の抽出はほとんど困難であった。これは,ウェーブレット変換が周波数分解能を犠牲にして時間分解能を向上させているという,ウェーブレット変換の本質を如実に反映した結果であり,ウェーブレット変換の弱点といえる。一方,対象とした散乱体が空洞共振等の鋭い共振構造を有していないことも大きな理由の一つといえる。しかし,逆に言えば,共振構造を有している散乱体の同定に対してはウェーブレット変換は有効とも考えられる。結局,ウェーブレット変換を用いた時間-周波数分布の特性解析により,散乱中心の同定はかなり精度よく行うことができるが,外部共振周波数の抽出に対しては難しいということが明らかにできた。 | KAKENHI-PROJECT-06855050 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-06855050 |
コールドスプレー質量分析(CSI-MS)法による生体分子の組織的溶液動態の観測 | 生体系試料の溶液動態解析に関し、CSIを用いて分子間相互作用の観測を試みた。一例として、タンパク質に結合する結合水の観測を行い、重要となる結合水の存在を明らかにした。またタンパク質-リガンド間相互作用では、HSAに結合する、サリチル酸、フルセミド、ワルファリンを観測し、HSAに結合する分子数の特定を行った。この研究は将来ハイスループットスクリーニングに応用され、迅速かつ高い信頼性をもったスクリーニング法として期待される。さらに対象を核酸に移し、ガン抑制の機能を持つと期待される緑茶に多く含まれるカテキン(-)-epigallocatecin gallate(EGCG)との相互作用を明らかにした。がん予防の研究は非常に大きな役割を持っが、本結果は今後の研究の展開に期待がもたれる。一方、複成分系での分子間相互作用について精査すべく有機酸塩基による水素結合を利用した複合体の結晶構造、溶液構造について単結晶X線構造解析、CSI-MS、PFG NMRを用いて考察した。対象化合物として強い塩基性を示すグアニジン(BG)および代表的有機芳香族カルボン酸である安息香酸(BA)を選択し、グアニジンの合成および複合体の形成を行った。最後にRTSを開発およびこれによる反応溶液の直接観測という新しい試みについて述べた。RTSの基本機能を精査し、その応用としてスルホンアミドの生成反応およびMorita-Baylis-Hillman反応等の連続観測を行った。これより、反応中間体を捉ええることで、反応の進行またその反応メカニズムの証明が可能であることが判明した。このように、本研究において限定された領域ではあるがコールドスプレーイオン化質量分析により生体分子をはじめとする不安定機能性分子の溶液動態を捉えることができた。生体系試料の溶液動態解析に関し、CSIを用いて分子間相互作用の観測を試みた。一例として、タンパク質に結合する結合水の観測を行い、重要となる結合水の存在を明らかにした。またタンパク質-リガンド間相互作用では、HSAに結合する、サリチル酸、フルセミド、ワルファリンを観測し、HSAに結合する分子数の特定を行った。この研究は将来ハイスループットスクリーニングに応用され、迅速かつ高い信頼性をもったスクリーニング法として期待される。さらに対象を核酸に移し、ガン抑制の機能を持つと期待される緑茶に多く含まれるカテキン(-)-epigallocatecin gallate(EGCG)との相互作用を明らかにした。がん予防の研究は非常に大きな役割を持っが、本結果は今後の研究の展開に期待がもたれる。一方、複成分系での分子間相互作用について精査すべく有機酸塩基による水素結合を利用した複合体の結晶構造、溶液構造について単結晶X線構造解析、CSI-MS、PFG NMRを用いて考察した。対象化合物として強い塩基性を示すグアニジン(BG)および代表的有機芳香族カルボン酸である安息香酸(BA)を選択し、グアニジンの合成および複合体の形成を行った。最後にRTSを開発およびこれによる反応溶液の直接観測という新しい試みについて述べた。RTSの基本機能を精査し、その応用としてスルホンアミドの生成反応およびMorita-Baylis-Hillman反応等の連続観測を行った。これより、反応中間体を捉ええることで、反応の進行またその反応メカニズムの証明が可能であることが判明した。このように、本研究において限定された領域ではあるがコールドスプレーイオン化質量分析により生体分子をはじめとする不安定機能性分子の溶液動態を捉えることができた。本研究課題において中心的役割を果たすコールドスプレー質量分析装置の改良に関し,いくつかの有用な知見を得た.スプレー角度について精査した結果,直行スプレー方式の利点が示されたが,スプレー角を直角より小さく設定しても良好な結果を与えた.さらにスプレー冷却方式にも改良を加え,スプレー直近に液体窒素による小型熱交換器を設置することにより冷却効率を改善し,より低い温度で精密測定ができることを見出した.速度論的考察および結合定数の測定に関しては,DNAと低分子リガンドとの複合体観測を行ない,これに基づく諸実験結果より,ある程度の結論を得た.即ちDNAとカテキン複合体をコードスプレー質量分析により明確に捉えることができ,さらにサーフェースプラズモン解析により結合定数の概略を知ることができた.コールドスプレー質量分析によるイオンピーク強度の温度依存性に関する精密測定を行ない,既に求めた結合定数の概略と比較する予定である.次に,本解析系による具体的溶液動態に関する取組みであるが,水素結合に基づく複合体形成を例に検討した.複成分系での分子間相互作用について精査すべく有機酸-塩基による水素結合を利用した複合体の結晶構造,溶液構造について考察することを目的として実施された.対象化合物として強い塩基性を示すグアニジンおよび代表的有機芳香族カルボン酸である安息香酸を選択した.グアニジンの合成および安息香酸との合成複合化より開始し,各複合体の単結晶X線構造解析,CSI-MS,そしてPFG NMRによる拡散係数の測定を順次行った.この結果化学量論的混合比調節により水素結合に基づく「意図した結晶」を自在に作り分けることを可能とし,自己組織化のモデル構築に成功した.更に溶液構造を精密に解析し,この系での自己組織化の初期過程を観測することができた.結晶構造より得た定量的分子間相互作用の一部または全体が,溶液中においてもなお保持されていることが,我々の開発したコールドスプレー質量分析法(CSI-MS)より明らかとなった.さらにこの事実はNMRにより拡散係数を比較することからも支持された. | KAKENHI-PROJECT-17390008 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-17390008 |
Subsets and Splits