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冷却原子気体を用いた量子可積分系の非平衡過程に関する実験的研究
冷却されたボース気体を光格子中に閉じ込めて1次元系にすれば、近似的に量子可積分系とみなせる系が生成できる。この系において、可積分性を崩す1次元系間のトンネリングレートを調整することにより、非平衡過程の観測と制御が可能となる。本研究では、古典的近可積分系に対して構築されてきたKAM理論による重要な概念や結果が、実際の量子多体系ではいかに拡張されていくのかを解明することを究極の目標とし、そのための基礎的かつ予備的な実験を行った。基盤となるボース凝縮(BEC)した気体が、研究期間途中、光源の故障により生成困難となった。BECはリカバーしたものの、当初の計画が大幅に遅れたことは否めない。H26年度はBEC回復の他、光格子系全体の高速振動、2次元青方離調光格子での擬1次元系の生成と格子間隔可変のアコーディオン格子の構築を行った。まず、圧縮可能な二重双極子トラップ中に原子を誘導し、マルチモードレーザーの欠点を巧みに回避し、約4秒の蒸発冷却で10の6乗個のBEC生成に成功した。全光学的手法では画期的とも言える個数であり、BECの安定供給が可能になった。BEC回復後は、2次元青方離調光格子でアンチドット型格子を生成し、擬似的な1次元系が生成されるかをパラメトリック共鳴により調べた。通常の2次元光格子による1次元系の場合と比べ、低周波数側で共鳴のような現象を観測した。これはアンチドット格子の交差領域の形状を反映し(2次ではなく4次のトラップ)、そこに原子が1次元状に局在しているためであると考えている。また、ピエゾ素子上にのったミラーを駆動し、格子系全体を高速で振動させるシステムを作った。これにより量子渦生成に伴う超流動性崩壊の現象等を観測したが、振動振幅は3kHz、70nm程度が限界であった。現在、5kHz、100nm以上まで高速対応できるようピエゾ+ミラー系を改良し、今後は1次元系での可積分性を崩すトンネリング制御の実験へと進む予定である。結合1次元系における運動量の再帰現象を観測するには、系の個数を少数に制限する必要がある。そこで2本の青方離調したビームを小さな角度(可変)を付けて交差させ、アコーディオン型光格子を作り、最小10μm以下の狭い領域内に1次元系を制限するトラップを新たに作成した。今後はこれら一連の手法を組み合わせ、当初計画していた1次元の非平衡系のダイナミクスの実験を本格化させる予定である。冷却されたボース気体を光格子中に閉じ込めて1次元系にすれば、近似的に量子可積分系とみなせる系が生成できる。この系において、可積分性を崩す1次元系間のトンネリングレートを調整することにより、非平衡過程の観測と制御が可能となる。本研究では、古典的近可積分系に対して構築されてきたKAM理論による重要な概念や結果が、実際の量子多体系ではいかに拡張されていくのかを解明することを究極の目標とし、そのための基礎的かつ予備的な実験を行った。2体相互作用している1次元ボース気体は可積分性を有する量子系であるが、3体衝突やトンネリングにより1次元系同士が互いに結合すると可積分性が崩れると考えられている。H24年度は3体衝突の効果の簡単な考察とトンネリング以外の結合手法の開発を試みた。ボース・アインシュタイン凝縮(BEC)したRb原子気体を、2次元光格子内に誘導し、独立した1次元ボース気体を生成、その1次元系の軸に沿ってブリージィングモードと双極子モードという2つの集団振動を各々独立に励起し、それらのダンピングについて調べた実験結果の理論的考察を行った。ブリージィングモードは密度の圧縮を伴い、さらに衝突エネルギーも高くなることから、3体衝突の起こる確率が増え、これらが2体原子間衝突のみでは散逸することがない1次元系において、より速い振動のダンピングに関与しているのではないかと考えている。次に、強度の非常に強い2次元アンチドット型光格子の生成を試みた。アンチドット型光格子では、ポテンシャル極小が連結しており、基本的には原子は局在しないはずであるが、ビーム強度が非常に強いと連結部分のトラップが極めてタイトなり、この部分の原子は周囲に比べて高いエネルギー状態になるため、閉じ込めが緩くなったカスプ状の中心部分に原子は集まり、縦方向には棒状に広がる。これは、上記の1次元系と状況は異なるが、擬似的に1次元系とみなせる可能性があり、ビーム強度により連結部分の原子の通過を制御し、1次元系間にトンネリングとは異なるカップリングの手法として利用できるが。実験では、上記のカスプ状の中心部に原子が局在していると思われる実験結果が得られたが、この系がどの程度“1次元性"を有しているのかという定量的な評価やその制御の手法の開拓にまでは至っていない。2当初の計画では、2光子ラマン遷移を用いた原子気体の運動量分布の測定を行うことを予定していたが、H24年度の実験では、この手法で運動量分布を詳細に測定したわけではなく、従来通りの手法である飛行時間計測法や原子波干渉を利用した。これらは簡便であり、最初のステップとしては有力な方法であるが、3体衝突の効果やトンネリングの影響を詳細に調べるには十分とはいえない。また、H24年度の途中、BECが生成される交差型光双極子トラップに使っているファイバーレーザーが故障し、BECが生成できない状況となった。
KAKENHI-PROJECT-24654131
https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-24654131
冷却原子気体を用いた量子可積分系の非平衡過程に関する実験的研究
原子気体による1次元系はBEC生成を基盤としているため、BECの回復に向けてかなりの時間と労力を費やせざるを得なくなった。新たなイメージング系の構築や擬似的な1次元系生成の試みなどが行えたのは収穫ではあるが、トンネリングの制御、擬似的な1次元系間のカップリング制御など、進めたかった課題が達成できなかったのは残念である。H25年度4月現在、代替の光源としてDBRレーザーが準備でき、間もなくBECによる実験を再開できる見通しである。速度に敏感な2光子ラマン遷移を用いた運動量分布測定法の開発は、十分冷却された原子気体であればBECでなくても、また1次元系でなくても可能であるので、下記に記した実験計画と並行してその開発を進める予定である。本研究での1次元系は、閉じ込めの強さなどが全く同質である多数の1次元チューブの束からなるが、国内の研究会等でKAM(コルモゴロフ=アーノルド=モーザー)理論の検証や再帰現象の観測には、トンネリングにより結合する1次元系の本数をかなり少数に絞るこむ必要があるとの指摘を受けた。そこで1次元系のチューブの本数を、結合する方向には5本以下、しない方向にはSN比の確保のためこれまで通り多数となるよう、ビーム強度や配置を工夫する。非平衡な運動量分布の生成には、予定通り1次元系の軸方向にパルス的に光を照射し、ラマン=ナス散乱による原子の回折を利用するほか、H24年度と同じくブリージィングモードや双極子モードなどの集団励起も試みる予定である。非平衡の状態の生成後、その後の時間発展を飛行時間計測法と新たに開発する2光子ラマン遷移による手法で運動量分布を測定し、結合した1次元の全系に分散したかに見えた運動量分布の再帰現象の有無、閾値の存在などを検証する。結合の強さを変えるツールとして、光格子ビーム強度の制御と光格子の高速シェイキングを行い、1次元系間の結合(トンネリング)の制御を行う。また、高強度のアンチドット内で生成している可能性が高い“擬似的な1次元系"がどの程度1次元性を有しているのか、ドット間の原子の通過が制御使えるのかなども確認する予定である。該当なし
KAKENHI-PROJECT-24654131
https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-24654131
エクソソーム解析を用いた再生医療等製品の安全性評価方法の確立
エクソソームとマイクロパーティクル(MP)の発現を解析することで、再生医療等製品の安全性評価が可能であるか検討した。まず、血管内皮細胞へLPSを加えて4時間培養した後、培養細胞よりCD9陽性反応を確認した結果、0.5ug/mlの濃度で添加した際に発現が強く見られた。次に、TNF-αを添加した培養上清から内皮特異的マーカーとmicroRNAの解析を行った。その結果、刺激開始24時間後にMCAM CD146の発現の増強が確認された。また、qRT-PCRではmir-126が確認された。以上より細胞中のエクソソームとMPの増加、減少を24時間以内で観察することができ、迅速な評価方法となりえると考える。エクソソームは細胞から分泌される脂質膜構造を持つ40-100nmほどの粒子である。その膜上及び小胞内には様々なたんぱく質、核酸、脂質を含んでいることが報告されている。発見当初は不要な物質を排除する機構と考えられていたが、分泌されたエクソソームが他の細胞を刺激することが確認されており、細胞間のコミュニケーションツールとして注目されている。また、繊維芽細胞、内皮細胞、血液細胞などを含む正常細胞やがん細胞などの異常な細胞からも分泌され、分泌された細胞情報を反映することからバイオマーカーとして病態との関連の解析が進んでいる。そこで本研究ではin vitroで感染性物質により刺激される宿主側の変化をエクソソームの量的、質的、及び経時的変化から解析することで、エンドトキシン試験、マイコプラズマ否定試験等に加えて、新た評価試験方法として再生医療等製品の安全性評価に有用であるかの検討を行うことを目的とした。今年度はHUVEC培養上清を検体としてエクソソーム解析による感染性物質の抽出、検出方法の選定、至適化を行うための前段階となる濃縮及び精製方法の検討のために各々の検体からWB解析によりエクソソームの代表的なマーカーであるCD9の検出を行った。しかしながら安定的な検出がされず、その要因として濃縮、精製等のエクソソームの収量が微量であることや培養液に用いたFBS中のエクソソームによる阻害が要因とも考えられた。次年度は引き続き回収、精製方法の検討やexosome-depletedFBSによる検討を進めていく予定である。培養上清回収の為の安定的なHUVECの培養ができず、上清回収に期間を要してしまった。その結果CD9の検出の為の上清の濃縮、精製方法の検討に遅れをとる形となってしまった。エクソソームは細胞から分泌される脂質膜構造を持つ40-100nmほどの粒子である。エクソソームは細胞から分泌される膜小胞であるが、タンパク質やRNA,DNAなどを包含し、炎症や疾患により特徴的な成分が分泌されることが明らかになっている。現在、再生医療等製品に含まれてくる細菌やウイルスの検出等、感染性微生物の安全性評価は、エンドトキシン、マイコプラズマ否定試験、無菌性試験、PCRによるウイルスの検出等の感染性微生物自体の検出、あるいは微生物が産生する毒素の検出を目的とする試験で行われている。しかしながら、これらの検出には1週間以上の日数が必要であり、最終製品の安全性確認には適さない。そこで本研究ではin vitroで感染性物質により刺激される宿主側の変化をエクソソームの変化を解析することで、再生医療等製品の安全性評価が可能であるかを検討することを目的とし、培養細胞へ感染性使役物質を添加することによって起こるエクソソームの分泌の変化をウェスタンブロット、FACS解析、またPCRを用いて検討した。その結果細胞中のエクソソームの刺激物質添加後の経時的変化で分泌量に変化がみられた。この方法は感染性微生物側の検出をするのではなく、感染性微生物に対する生体側の反応を評価するという、まったく逆の発想から生まれた斬新は評価方法となりえる。今後、microRNAの解析を行い、分泌されたエクソソームの同定を行っていくことで感染性物質に対する生体の反応や病態形成にいたる機序を明らかにするうえで有用な結果をもたらすことが期待されていくと考える。エクソソームとマイクロパーティクル(MP)の発現を解析することで、再生医療等製品の安全性評価が可能であるか検討した。まず、血管内皮細胞へLPSを加えて4時間培養した後、培養細胞よりCD9陽性反応を確認した結果、0.5ug/mlの濃度で添加した際に発現が強く見られた。次に、TNF-αを添加した培養上清から内皮特異的マーカーとmicroRNAの解析を行った。その結果、刺激開始24時間後にMCAM CD146の発現の増強が確認された。また、qRT-PCRではmir-126が確認された。以上より細胞中のエクソソームとMPの増加、減少を24時間以内で観察することができ、迅速な評価方法となりえると考える。引き続き、エクソソームの検出方法の検討を行う。また検出方法を検討後、培養細胞へ代表的な感染性刺激物質を添加して刺激し、分泌されるエクソソームの量的、経時的変化を検討する。複数の細胞株を用いて細胞間の違いも検討する。さらに今年度は培養作業者が感染源となる皮膚常在菌等の環境微生物等を中心に生菌と細胞株との共培養を行い、分泌されるエクソソームの抽出、解析を行う。また、エクソソームを用いた新たな評価方法を確立させるため、微生物評価方法としての感度は大事なファクターとなる。
KAKENHI-PROJECT-16H06617
https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-16H06617
エクソソーム解析を用いた再生医療等製品の安全性評価方法の確立
そのため、現行で行われているエンドトキシン法とエクソソーム解析法との比較検討を実施する。実験実施結果に基づき、予め生菌感染量を固定し、共培養した培養上清を用いて、エクソソーム解析とエンドトキシン濃度測定を同時に行い、感度の比較検討を行う。29年度が最終年度であるため、記入しない。再生医療29年度が最終年度であるため、記入しない。
KAKENHI-PROJECT-16H06617
https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-16H06617
遺伝子工学を用いた動脈硬化形成とその防御機構の解析―LOX-1とPPARγの役割
内皮細胞に存在する酸化低比重リポ蛋白(LDL)受容体としてはじめて同定されたレクチン様酸化LDL受容体(LOX-1)は高血圧を始めとする生活習慣病のモデル動物やヒト動脈硬化巣で発現が亢進しており、酸化ストレス亢進や接着因子などの発現亢進を介して動脈硬化形成に関与していると推測されている。一方、peroxisome proliferator-activated receptorsγ(PPARγ)は逆に酸化ストレス抑制作用などにより血管保護的に働いていると考えられている。そこで、PPARγとLOX-1の関係を調べたところ、培養内皮細胞においてサイトガイン刺激時のLOX-1発現亢進をPPARγリガンドが抑制することを見出した。さらに、in vivo(マウス)においてもPPARγリガンドのチアゾリジン誘導体を前投与しておくとTNFα腹腔内投与時の腎臓や大動脈におけるLOX-1発現亢進が抑えられることが明らかになった。この機序としてはPPARγリガンドの抗酸化作用が重要である可能性が推測された。そこで、他の抗酸化物質であるタウリンの腎保護作用を腎障害を来たしやすい高血圧モデル動物である(食塩負荷)Dahl食塩感受性(S)ラットで検討したが、タウリンは降圧効果は弱いにも関わらず、腎機能を改善し、この際に酸化ストレス抑制と腎LOX-1発現抑制を伴っていた。このことはLOX-1の発現における酸化ストレスの重要な役割を示唆するものであった。さらに、in vivoにおけるPPARγとLOX-1の関連を明らかにする目的で、PPARγノックアウトマウス(ヘテロ接合体:ホモ接合体は胎生致死)においてTNFα投与時の腎LOX-1発現は変わらなかった。これはノックアウトマウスがヘテロ接合体であったためかも知れない。さらに、LOX-1ノックアウトマウスを用いた実験ではLOX-1発現刺激の一つである長期アンジオテンシンII投与を行っても、野生型に認められるような大動脈におけるVCAM-1やMCP-1の発現増加を認めず、LOX-1の下流にこれらの因子があることをin vivoで始めて明らかにした。さらに、LOX-1遺伝子改変動物の実験ではLOX-1の機能敵意意義を明らかにする成果が出つつあり、萌芽的研究としては十分意義のあるプロジェクトであった。レクチン様酸化LDL受容体(LOX-1)は内皮細胞に存在する酸化LDL受容体としてはじめて同定されたものである。LOX-1は動脈硬化の原因となる高血圧をはじめとする生活習慣病モデルラットで臓器障害に伴う発現亢進が認められる。また、ヒトの動脈硬化巣においてもLOX-1の発現亢進を指摘する成績も示され、動脈硬化発症に関与していることが推測されている。一方、peroxisome proliferator-activatedreceptors (PPARs)は動脈硬化の形成や維持に重要な役割を果たしている可能性が示唆されている。PPARsのなかでもPPARγは臨床的にも動脈硬化との関連を示唆するような事実が知られており、動脈硬化形成における血管内皮細胞の役割に多大の影響を与えている可能性がある。われわれはLOX-1の発現に対するPPARγの影響に着目し、サイトカイン(TNFα)刺激時のLOX-1発現亢進に対してPPARγが抑制することをin vitro見出した。さらに、われわれはin vivoにおいてもマウスに対するTNFα投与による腎LOX-1発現亢進モデル系を確立し、このマウスを用いてin vivoにおいてPPARγのLOX-1発現抑制作用を証明した。さらに、このTNFα投与マウスの腎におけるLOX-1発現の局在を見ると腎間質に多く認められた。さらに、腎障害モデルの偏側尿細管結さつマウスにおけるLOX-1発現も検討したが、同様に腎間質でのLOX-1発現の亢進が間質線維化に伴い認められ、臓器障害因子としてのLOX-1の広範な役割が示された。さらに、われわれは高血圧性腎障害モデルの食塩負荷Dahl食塩感受性ラットにおいて、抗酸化物質のタウリンが、酸化ストレス抑制に伴いLOX-1発現亢進を抑制することを見出した。来年度はTNFα発現亢進マウスやLOX-1遺伝子改変マウス、PPARγ欠損マウスなどを用いてさらに研究を発展させる予定である。内皮細胞に存在する酸化低比重リポ蛋白(LDL)受容体としてはじめて同定されたレクチン様酸化LDL受容体(LOX-1)は高血圧を始めとする生活習慣病のモデル動物やヒト動脈硬化巣で発現が亢進しており、酸化ストレス亢進や接着因子などの発現亢進を介して動脈硬化形成に関与していると推測されている。一方、peroxisome proliferator-activated receptorsγ(PPARγ)は逆に酸化ストレス抑制作用などにより血管保護的に働いていると考えられている。そこで、PPARγとLOX-1の関係を調べたところ、培養内皮細胞においてサイトガイン刺激時のLOX-1発現亢進をPPARγリガンドが抑制することを見出した。さらに、in vivo(マウス)においてもPPARγリガンドのチアゾリジン誘導体を前投与しておくとTNFα腹腔内投与時の腎臓や大動脈におけるLOX-1発現亢進が抑えられることが明らかになった。この機序としてはPPARγリガンドの抗酸化作用が重要である可能性が推測された。そこで、他の抗酸化物質であるタウリンの腎保護作用を腎障害を来たしやすい高血圧モデル動物である(食塩負荷)Dahl食塩感受性(S)
KAKENHI-PROJECT-14657164
https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-14657164
遺伝子工学を用いた動脈硬化形成とその防御機構の解析―LOX-1とPPARγの役割
ラットで検討したが、タウリンは降圧効果は弱いにも関わらず、腎機能を改善し、この際に酸化ストレス抑制と腎LOX-1発現抑制を伴っていた。このことはLOX-1の発現における酸化ストレスの重要な役割を示唆するものであった。さらに、in vivoにおけるPPARγとLOX-1の関連を明らかにする目的で、PPARγノックアウトマウス(ヘテロ接合体:ホモ接合体は胎生致死)においてTNFα投与時の腎LOX-1発現は変わらなかった。これはノックアウトマウスがヘテロ接合体であったためかも知れない。さらに、LOX-1ノックアウトマウスを用いた実験ではLOX-1発現刺激の一つである長期アンジオテンシンII投与を行っても、野生型に認められるような大動脈におけるVCAM-1やMCP-1の発現増加を認めず、LOX-1の下流にこれらの因子があることをin vivoで始めて明らかにした。さらに、LOX-1遺伝子改変動物の実験ではLOX-1の機能敵意意義を明らかにする成果が出つつあり、萌芽的研究としては十分意義のあるプロジェクトであった。
KAKENHI-PROJECT-14657164
https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-14657164
博物館の先住民族への遺骨・遺品返還と先住民族のアイデンティティ形成の関係について
NAGPRAはその条項「文化的所属(Cultural Affiliation)」の中で、所有を前提とする近代主権を有する民族であることを要求している。そのため、排他的に近代民族概念を適応せざるを得ないことがあり、歴史的に複合的な要素が積み重なったアイテムに対して問題があった。このような近代民族概念を要求する概念の修正が求められていることが分かった。また、先住民族のアイテムに関しての言語媒体をめぐる主権を、アート・マーケットの中に可能にする契機がある。「アート」は市場を相手にするため、解釈の偶有性、臨界点に委ねるためである。日本との比較においては、博物館における先住民族のアイテムの解釈を、信仰の自由という観点から議論されることが少ないことに問題があることも分かった。NAGPRAはその条項「文化的所属(Cultural Affiliation)」の中で、所有を前提とする近代主権を有する民族であることを要求している。そのため、排他的に近代民族概念を適応せざるを得ないことがあり、歴史的に複合的な要素が積み重なったアイテムに対して問題があった。このような近代民族概念を要求する概念の修正が求められていることが分かった。また、先住民族のアイテムに関しての言語媒体をめぐる主権を、アート・マーケットの中に可能にする契機がある。「アート」は市場を相手にするため、解釈の偶有性、臨界点に委ねるためである。日本との比較においては、博物館における先住民族のアイテムの解釈を、信仰の自由という観点から議論されることが少ないことに問題があることも分かった。本研究では、NAGPRA(通称「再埋葬法」)以後の北米博物館における「返還(repatriation)」がどのようにインディアンのアイデンティティの形成に寄与し、持続可能な実践となってきたのかをその課題とともに研究し、それをアイヌ民族と関係する博物館の場合と比較研究することを目的としている。そして、博物館と先住民族との新しい関係作りのための基盤作りを図ることも目的としている。本年度は、米国と日本のケースを具体的な博物館に着目する調査から始めた。米国の場合は、バンダリア国立記念碑の博物館(BNMM)とニューメキシコ州インディアン文化芸術博物館において、日本の場合は旭川市博物館において、博物館とソースコミュニティ(SC)の関係のに関して調査した。この成果の一部(BNMMのケース)は、H23年11月に台北で行われるThe Museum2011という国際会議で報告され会議録として収められる予定である。この報告の準備段階で明らかになったことは、NAGPRAがすでに導入されている米国のケースと日本のケースでは、明らかに博物館とSCとの関係は異なる、ということである。NAGPRAのような法制がない日本の場合、果たして博物館とSCとの良好な関係はありえるのか、そして、アイデンティティ形成はあり得るのであろうか、という大きな問いを掲げることができるようになった。しかし、これは多大に政治的問題を含む。今年度は、2007年、展示のリニューアルが行われた旭川市博物館に対してなされた批判を調査し、そこでの問題点を、米国日系国立図書館と本学国際関係学研究科付設グローバル・スタディーズ研究センターとの学術交流の一環で行われた講演において口頭で報告し、議論をした。本研究では、NAGPRA(通称「再埋葬法」)以後の北米博物館における「返還(repatriation)」がどのようにインディアンのアイデンティティの形成に寄与し、持続可能な実践となってきたのかをその課題とともに研究し、それをアイヌ民族と関係する博物館の場合と比較研究することを目的としている。そして、博物館と先住民族との新しい関係作りのための基盤作りを図ることも目的としている。本年度も引き続き、米国と日本のケースを具体的な博物館に着目した。米国の場合は、バンダリア国立記念碑の博物館(BNMM)とニューメキシコ州インディアン文化芸術博物館において、日本の場合は旭川市博物館において、博物館とソースコミュニティの関係に関して調査し、H23年11月に台北で行われるThe Museum2011という国際会議での報告において、主権という概念が、所有するという近代博物館という社会制度に固有の問題であることが分かった。したがって、日米の間の違いを比較するよりも、近代博物館という制度の持つ作用を記述することが必要となってきた。そして、本研究の掲げる「問い」は、このような近代博物館という社会制度の中から、どのような試みがこの制度を乗り越えて行くことができるのか、というものにシフトすることになった。この「問い」に答えるための方法としては、それぞれの博物館の取り組みを丹念に記述し、その中から、制度としての博物館が、どのようなかたちでソースコミュニティとの関係を捉え直し、どのような具体的な実践を行っているのかを、再調査したり、再整理したりする中で、先住民族の「主権」概念の構築の方法にまで踏み込むことが必要となる。最終年度は、上記の内容を何らかのかたちで発信してみたい(紀要に論文を掲載、HP構築などを考えている。)本研究では、NAGPRA以後の北米博物館における「返還」がどのようにインディアンのアイデンティティの形成・発信に寄与してきたのかを研究してきた。そこで得た知見を日本のケースと比較することも目的として掲げたのであるが、問題も多く、本年度は本研究を遂行する中で生まれてきた「問い」を再検討し、新しい焦点を持つ研究に移行するための問題提起をすることとなった。まず、本研究がこれまで着目してきたNAGPRAの生み出した論争において争点となった「文化的所属(cultural affiliation)」概念に着目し、これが「インディアン」概念を近代民族概念に回収することによりインディアン間の争いを引き起こす原因となったことを分析し、「民族」概念の再編の必要性を提示した(Fujimaki 2013)。
KAKENHI-PROJECT-22601007
https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-22601007
博物館の先住民族への遺骨・遺品返還と先住民族のアイデンティティ形成の関係について
これを受け、NAGPRAのような近代法制度外でアイテムに対してなされる解釈という言語行為に着目することで、近代民族に回収されないものを求めることにし、毎年ニューメキシコ州サンタフェで開催される「インディアン・マーケット」というインディアン・アート・ショーでなされるインディアン・アイテムになされる解釈行為実践に、参与観察を通じて調査することとなった。この結果、(1)インディアンによる解釈がアイテムに反映されるためには、アイテムそのものが持つ力だけではなく、ミュージアムであれマーケットであれ、当事者の声を反映するための制度上の整備が具体的に求められている。(2)したがって、NAGPRAのような法制度の内だけで「返還」のための議論を展開するよりも、今後はアイテムに対しての解釈行為実践のあり方を、構造的に変化させてゆく方向性を、法制度の外にあるイデオロギー的作用にも探る必要がある(藤巻2013)。次回は、この作用を変化させてゆく可能性を、具体的な事例の中から見い出していく必要があると思われる。近代市民社会登場以後生まれた近代博物館のあり方を、歴史的に相対化する作業することができている一方で、私が着目している博物館による具体的な取り組みにも目配せをすることができているため。遺骨・遺品返還という実践は、米国においてもまだまだ始まったばかりなので、具体的な事例に当たるしか方法がないだろう。24年度が最終年度であるため、記入しない。1.具体的な事例を数件に絞ってまとめる必要がある。2.また、口頭による報告はすでに二回したために、活字にしたり電子媒体にしたり、そろそろ発信の方法を考える時期になった。その方法を模索するのも、今年度の課題である。24年度が最終年度であるため、記入しない。
KAKENHI-PROJECT-22601007
https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-22601007
日露・第一次大戦期における海軍兵器の供給をめぐる国家と企業
日露戦争を契機とする海軍兵器国産化過程で、その中軸的担い手であった海軍工廠による艦船兵器類の製造・修理の実態を明らかにし、また、民間軍事関連企業の有機的連携がどのようにはかられたかを解明した。本研究では、英国からの「武器移転」と関連する日本の「軍器独立」過程として捉えた。また、兵器の供給に関わる商社の活動をも明らかにした。そうした試みはジーメンス事件を捉え直す上でも重要な意味を持った。第一次大戦は、日英関係にとって「分水嶺」となり、英国系兵器火薬会社においても「技術移転」は基本的に完了するに至った。日露戦争を契機とする海軍兵器国産化過程で、その中軸的担い手であった海軍工廠による艦船兵器類の製造・修理の実態を明らかにし、また、民間軍事関連企業の有機的連携がどのようにはかられたかを解明した。本研究では、英国からの「武器移転」と関連する日本の「軍器独立」過程として捉えた。また、兵器の供給に関わる商社の活動をも明らかにした。そうした試みはジーメンス事件を捉え直す上でも重要な意味を持った。第一次大戦は、日英関係にとって「分水嶺」となり、英国系兵器火薬会社においても「技術移転」は基本的に完了するに至った。平成21年度の研究成果は、海軍軍令部『極秘明治三十七八年海戦史』「第五部施設(19冊)」の史料検討を本格的に行うことにより、四海軍工廠(横須賀・呉・佐世保・舞鶴)の日露戦時における艦船兵器の製造・修理の実態を詳細に示した(「日露戦争期における海軍工廠-海軍軍令部『極秘明治三十七八年海戦史』分析-」『獨協経済』第87号)。そこでは日露戦争期の海軍工廠の生産(製造・修理)と戦時動員の様相を今まで以上に明らかにできた。とくに四海軍工廠の中では横須賀工廠の先行性とともに呉工廠の急拡張ぶりは顕著であり、後者における大戦艦同時二隻建造体制構築と大砲・装甲板製造は「軍器独立」上極めて注目されることを強調した。また、海軍工廠における「ワンセット体制」については日露戦争中においては必ずしも十分とは言えず、とくに佐世保・舞鶴両工廠の場合は近郊民間造船所等の「支援」が不可欠な状況であったことも明らかにした。上記に引き続き、第一次大戦期の海軍工廠について、海軍軍令部『大正三四年戦役海軍戦史』『大正四乃至九年戦役海軍戦史』の検討にとりかかったが、上記『極秘明治三十七八年海戦史』と異なり、各鎮守府・工廠ごとの記述はあまり実りのあるものは得られなかった。そこで、平成21年末から取りかかっている防衛研究所所蔵の関連史料分析と併せて、22年度中に史料的に明らかになる範囲のことをまとめる。また、交付申請書「研究の目的」、「研究実施計画」に記載した民間軍事関連企業及び海軍兵器の輸入・販売を担った商社(とくに高田商会)についても史料収集・調査は進展したが、分析結果をまとめるまでには至らず、22年度の課題として引き継がれている。平成22年度においては、下記論文2篇を執筆した(掲載誌等、裏面記載参照)。論文1.「第一次世界大戦期の日本爆発物会社と技術移転-英国政府及び出資者との関係を中心に-」:日本爆発物会社(平塚製造所、後の海軍火薬廠)は海軍用火薬国産化過程において極めて重要な役割を果たした割には、その実態は殆ど知られていない。その一因は同社が英国法人(The Japanese Explosives Co. Ltd.)であったことによる。そこで数少ない日本側一次史料に加えて、英国側史料を発掘し(主としてアームストロング社旧蔵史料と英国公文書館所蔵史料)、第一次大戦期特有の条件にも留意して、英国政府・海軍による火薬供給要請及びアームストロング社との関係を中心に検討し、英国側から日本側への技術移転が円滑に行われた経緯を示した。論文2.「兵器機械商社・高田商会の活動(18811912年)-アームストロング社の対日活動との関連を探りつつ-」:日清・日露期に兵器機械商社として急速に発展した高田商会は、英国総合兵器会社アームストロング社日本代理店として日本海軍への艦船兵器類の供給に極めて重要な役割を果たしたが、その後倒産(1925年)したこともあって現存史料に乏しい。本論文では、同社の活動について、筆者の問題関心(もう一つの英国総合兵器会社ヴィッカーズ社及び日本代理店三井物産との競合)に沿って、史料的に可能な限り明らかにした。とくに重要な知見は、アームストロング社は対日活動に際しては、高田商会に先立ち、ジャーディン・マセソン商会、デンマーク退役軍人ミュンター、そして、薩閥海軍大将・樺山資紀とのコネクションを活用した赤星弥之助など、様々な形で日本海軍への売り込み工作に必要な人材・会社を活用していたことが明らかとなったことである。平成23年度においては、まず第一次大戦期における海軍兵器産業の発展とその問題点について、海軍工廠だけでなく、民間兵器関連産業・企業の発展も含めて考察してきた。それをふまえて、第一次大戦後の軍縮に対する海軍兵器産業の対応について検討し、連携研究者(千田武志広島国際大学教授・鈴木淳東京大学大学院人文科学研究科准教授)とともに、政治経済学・経済史学会におけるパネル・ディスカッションに応募した。パネル全体の報告の論題は「第一次大戦後の日本陸海軍軍縮と兵器関連産業・兵器生産」であり、奈倉は全体の問題提起と「海軍軍縮と兵器生産(民間兵器産業を中心に)」の報告を行った(11.研究発表欄の「学会発表」参照)。
KAKENHI-PROJECT-21530342
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日露・第一次大戦期における海軍兵器の供給をめぐる国家と企業
その中で民間兵器関連企業の動向について「軍艦建造における三菱と川崎」との対比を行った上で、新たな実証に基づき主要財閥ごとの特徴を示した。即ち、三菱財閥の重工業部門は従来から長崎造船所中心の製造体制であるが、その造船用鋼材自給計画の積極的な推進との関連で三菱製鉄(兼二補製鉄所)や長崎製鋼所の建設も推進されたこと、長崎兵器製作所は海軍の積極的勧奨により民間唯一の魚雷製造工場として設立されたこと、三井財閥は「軍縮補償」については積極的であったが、日本製鋼所の拡張政策や合理化には極めて消極的だったこと、住友財閥の重工業部門は従来から素材中心で、とくに住友伸銅所(住友伸銅鋼管)の鋼管事業は呉海軍工廠との緊密な連携のもとに行われ、鋼管販売高は艦船用が一貫して過半を占めたこと、大倉財閥は、海軍の積極的支援を受けつつ低燐銑鉄製造を企図し(山陽製鉄所の木炭吹「純銑鉄」製造)、軍縮後は「満州」本渓湖におけるコークス吹低燐銑鉄の製造を成功させたこと、などである。平成24年度においては、まず日露戦争直前における戦艦二隻(後「香取」「鹿島」と命名)同時発注問題を英国総合兵器会社2社(アームストロング社とヴィッカーズ社)の激しい受注競争との関係で考察した。本問題は、従来財政的に問題ないとの趣旨から殆ど全く検討されて来なかったが、英国に現存する資料をも検討することにより、2社の激しい受注競争とそれを背景とした日本海軍の編み出した妙案について解明し、後の巡洋戦艦「金剛」発注・受注との相似性と差異をも明らかにすることが出来た。次いで、史料的に未解明であった高田商会(海軍兵器供給で大きな役割)について、同社に先立つアームストロング社代理人・代理店との関連で解明した。また、平塚の海軍火薬廠について、先行の英国法人日本爆発物会社からの技術移転の経緯を明らかにした。また、日英合弁の兵器鉄鋼会社日本製鋼所について、従来の筆者による研究をふまえて、「利害関係者」という視点からあらためて同社の設立発展の意義を再考察した。とくに呉海軍工廠長・呉鎮守府司令長官を歴任して日本製鋼所取締役会長に就任した山内万寿次の役割に注目し、日本側出資者北海道炭鉱汽船会社と英国兵器会社二社との関わり合いを具体的に明らかにした。さらに、それらをふまえて、ジーメンス事件(とくにヴィッカーズ・金剛事件)について、かつて筆者も関わった共同研究の成果をふまえて「残された謎」の解明に挑んだ。その中で「灰色高官」として処理された山内万寿次の役割について、新発見の史料(斎藤実に宛てた「留書」)の解題をも行った。そのほか、かつての拙論二編(日露戦争期の海軍工廠の役割及び呉工廠と日本製鋼所との関係)について加筆補正作業をも行って「軍器独立」に果たした役割を明らかにし、以上のすべてを一書『日本軍事関連産業史ー海軍と英国兵器会社ー』に収録・刊行した(日本経済評論社、平成25年1月末)。昨年9月に体調を崩して1週間あまり入院したため、「9.研究実績の概要」に記した通り、学会(政治経済学・経済史学会)におけるパネル・ディスカッションへの応募・報告は行い、第一次大戦期・大戦後の民間兵器関連企業の動向について、新たな実証に基づき主要財閥ごとの特徴を示すことはできたものの、その後の文章化作業(論文としての投稿)が遅延している。24年度が最終年度であるため、記入しない。まず、上記学会パネル報告を基に、精緻化して文章化する。
KAKENHI-PROJECT-21530342
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大気圧プラズマ吸入による生体作用と治療医学への応用
プラズマ吸入治療の効果を肺、脳障害動物モデルで検討した。肺高血圧症の治療評価では、ヤギ(n=3)あるいはミニブタ(n=3)を使用し、低酸素負荷により肺高血圧の病態を作成後、プラズマフローによる吸入治療を施行した。吸入後から最高約1520%までの血圧低下を確認した。脳障害に対するプラズマ吸入治療評価では、日齢3日目の新生児期ラットを使用し左総頸動脈結紮後、1時間の6%低酸素負荷により虚血性の脳障害を発症させ、24時間後からプラズマ吸入治療を(90秒間)を1日1回、15日間継続できた6例と治療しない6例を比較検討した。プラズマ吸入治療群では、虚血部位の有意な血管新生を認めた。プラズマ吸入治療の効果を肺、脳障害動物モデルで検討した。肺高血圧症の治療評価では、ヤギ(n=3)あるいはミニブタ(n=3)を使用し、低酸素負荷により肺高血圧の病態を作成後、プラズマフローによる吸入治療を施行した。吸入後から最高約1520%までの血圧低下を確認した。脳障害に対するプラズマ吸入治療評価では、日齢3日目の新生児期ラットを使用し左総頸動脈結紮後、1時間の6%低酸素負荷により虚血性の脳障害を発症させ、24時間後からプラズマ吸入治療を(90秒間)を1日1回、15日間継続できた6例と治療しない6例を比較検討した。プラズマ吸入治療群では、虚血部位の有意な血管新生を認めた。低酸素障害による、重症呼吸障害(肺高血圧症)や虚血性脳症は、成人期にまで影響する重篤な疾患である。特に、低酸素性虚血性脳症は、脳神経細胞死を引き起こし、脳性麻痺の主たる原因であり、この神経細胞死に対する有効な治療法がない。そこで、大気圧プラズマ吸入による呼吸、循環障害及び障害組織再生に適応できる新しい治療法の確立を目指している。23年度は、1:プラズマフロー吸入に適した装置の開発と2:プラズマフローによる生体細胞の活性化とそのメカニズム解明の研究をおこなった。1:生体への使用が前提条件であるプラズマフロー吸入装置開発は、プラズマ生成部と反応部に静電的な電位差が生じないような構造とし侵襲性を無くした。従来型のペンシルプラズマの構造を基に、絶縁円筒の中心にプラズマ生成用電極(直径0.51.0mmのタンタル線)を通した同軸構造の大気圧プラズマ生成部を作製した。ガラスキャピラリー(プラズマ発生部の内径:8mm、先端部の内径:1mm)内にタングステン線(直径:1mm)を導入し、外部に筒状グランド電極を設置した同軸状構造とした。そのキャピラリー先端にシリコンチューブを装着し、細胞培養インキュベーター内と、麻酔ガス混入部へプラズマフローを送る装置を作成した。プラズマを発生させるための高電圧は、外部制御型高電圧電源装置を使用した。プラズマ発生条件は、印加電圧:5-9kV、周波数:1-3kHzであり、ヘリウムガス流量:1L/min、プラズマ発生時間:60-90秒である。2:生体細胞への効果を検討するため、マウス線維芽細胞株を含有した培地を使用しCO2インキュベーター内へシリコンチューブによるプラズマフロー流入あり(1回90秒で1日5回)群となし群で比較すると、流入群の場合が培養細胞株に対して細胞増殖を促進することが示唆された。さらに、大動物を対象にした吸入療法の実験では、心電図、血圧などの循環動態への効果判定においてプラズマ発生時のノイズ除去が重要課題であることが明らかとなった。プラズマフロー吸入装置(ガラスキャピラリー内にタングステン線導入、50cmシリコンチューブ装着)を使用しマウス維芽細胞を使用した培養細胞実験とヤギ、ラットによる肺、脳障害モデルでのプラズマ吸入治療の有効性を検討した。プラズマ発生条件は印加電圧5-9 kV、周波数1-3 kHz、ヘリウムガス流量1L/min、プラズマ発生90秒である。マウス繊維芽細胞を含有した無血清培養で、プラズマなし(n=6)群とプラズマあり(n=6)群で、プラズマあり群で細胞が約2倍に増殖した。さらに、細胞増殖に一酸化窒素(NO)が関連していると考え、細胞培養液中のNO濃度をNOセンサーにより測定した。その結果、プラズマあり群では培養液中でのNO濃度増加(610nmol)を認めプラズマ吸入はNO増加と関連し細胞増殖を促進すると考えられた。肺高血圧症の治療評価では、直接肺動脈圧の測定が可能なヤギ(n=3)を使用し実験を行なった。麻酔で無意識下処置を施し、右頸静脈から右心房、右心室を経由し右肺動脈にカテーテルを挿入して肺動脈圧を測定した。低酸素負荷(10%酸素)により肺高血圧の病態(正常1.5-2倍圧130140/90100mmHg)を作成した。この肺高血圧の状態で、プラズマフローによる90秒間吸入を施行した。吸入後(約20秒)から最高約1520%までの血圧低下を確認した。さらに、脳障害に対するプラズマ吸入治療評価では、日齢3日目の新生児期ラットを使用し左総頸動脈結紮後、1時間の6%低酸素負荷により脳梗塞を発症させた。この脳障害は約60%のラットで確認された。24時間後からプラズマ吸入治療を(90秒間)を1日1回、30日間継続できた7例とプラズマ吸入治療しない6例と比較検討した。結果は、治療1カ月後で、梗塞面積を未治療群の梗塞面積と比較するとプラズマ吸入治療群で優位な梗塞面積の減少を認めた。
KAKENHI-PROJECT-23340180
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大気圧プラズマ吸入による生体作用と治療医学への応用
大気圧プラズマ吸入による呼吸、循環障害及び障害組織再生に適応できる新しい治療法の確立を目指しプラズマフロー吸入のために、ガラスキャピラリー(プラズマ発生部の内径:8 mm、先端部の内径:1 mm)内にタングステン線(直径:1mm)を導入した装置の開発をおこない、マウス線維芽細胞株を含有した培地を使用しCO2インキュベーター内へのシリコンチューブによるプラズマフロー流入あり(1回90秒で1日5回)群となし群で比較すると、流入群の場合が培養細胞株に対して細胞増殖を促進することを明らかにし、その増殖メカニズムの解明を行った。マウス線維芽細胞株による培養細胞増殖メカニズム解明のために、細胞増殖には一酸化窒素(NO)などが関連すると考えられた。そのために、培養液中のNO濃度測定が重要と考えた。また、プラズマフロー吸入による血管内皮細胞活性でもNO濃度が関連していると考えられ、いずれもカテーテル型NO濃度測定装置によりノイズが含まれない安定したデータ取得が可能となった。現在培養細胞での実験(5回)また、ヤギ(3例)、ラット(22例)でプラズマフローによりNO濃度の増加を認め細胞活性にNOが関連していることが推測された。今後も症例数を増加し検討する予定である。さらに、昨年からの課題であった大、小動物を対象にしたプラズマ吸入療法の実験で、心電図、血圧などの循環動態への効果判定においてプラズマ発生時のノイズ除去が重要な問題であった。そこで,ノイズ対策として吸入を行う際に,ガラスキャピラリー吸入装置から直接プラズマフローを吸入するのではなく、ノイズ除去のためにシリコンチューブ(1mm)を介して距離をとることで、ノイズ除去が可能であった。現在ヤギ(3例)、ラット(症例18例)、での実験では、心電図への影響はなく、血圧は、低下する傾向を示した。プラズマフロー吸入装置が完成し、プラズマ生成用電極からシリコンチューブを長くした(約1m)装置により大動物を対象にした実験が可能となった。心電図、血圧などによる循環動態を計測し、プラズマフロー吸入療法の効果判定をするために、ヤギなどの大動物によるデータ収集が進んでいるため。25年度が最終年度であるため、記入しない。ガラスキャピラリー(プラズマ発生部の内径:8 mm、先端部の内径:1 mm)内にタングステン線(直径:1mm)を導入したプラズマフロー吸入装置が完成し、プラズマ生成用電極からシリコンチューブを長くした(1m)装置により大及び小動物を対象にした実験が可能となった。心電図、血圧などによる循環動態を計測し、プラズマフロー吸入療法の効果判定をするために、ヤギ、ラットなどの大小動物を用いたノイズのないデータ収集が進んでいる。さらに、一酸化窒素(NO)は血管内皮細胞より分泌され,血管内皮機能を調節し,血小板凝縮などの抗動脈硬化作用を有するが、血管内皮細胞などの細胞増殖にNOが関連していると考えられている。血中NO濃度をリアルタイムに測定可能なNOセンサが開発され,動物実験に使用されている。血中NO濃度の測定は,循環動態変動を理解する上で重要である。そのために、二極間に適切な電圧を印加して電気分解を行い,電流値を測定し,電流値と分子濃度の相関から分子濃度を得るNOセンサー(インターメディカル社製電気化学測定装置IMEC-601及び一酸化窒素電極INC-020)でノイズのない安定した計測が可能となったために研究の遂行が可能である。
KAKENHI-PROJECT-23340180
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可換環の導来圏のthick部分圏と次元
平成30年度は以下の研究成果を得た。(1)結合多元環上の有限生成加群の退化が定める関係の推移律を調べ、コピーの直和の差を除いて成立することを示した。(2) 2007年にHunekeとWiegandが、彼らの1994年の深度公式に欠陥があることを報告した。それに伴い削除された定理の成立の可否はわかっていなかった。この削除された定理が一般には不成立であることを示す例を構成した。(3)小次元という可換Noether局所環上の加群の新たな不変量を導入した。これを用いて改新交差定理を無限生成加群に拡張した。(4) Auslander-Reiten双対定理を二方向に拡張した。応用として、局所環上の加群の自由性のさまざまな判定法をExtの消滅を用いて与えた。(5) Balmer spectrumの類似物として、テンソル構造を持つとは限らない三角圏のspectrumを導入した。これを可換Noether環に付随するいくつかの三角圏に応用した。(6) Abel圏Aの擬分解部分圏Xの安定圏のSpanier-Whitehead圏をAの特異圏と関連付けて調べた。この結果を可換環に応用して、孤立特異点、Gorenstein環、Cohen-Macaulay環の特徴付けを与えた。また、Xの安定圏のSpanier-Whitehead圏のRouquier次元をX内の生成の言葉を用いて記述した。(7)可換Noether局所環の極大イデアルのべきはTor-rigidかつ強rigidであることを証明し、正則局所環の新しい特徴付けを得た。(8)可算表現型の超曲面の特異圏を調べ、それの任意のthick部分圏TとTの充満部分圏Xに対し、Xに関するTのRouquier次元を計算した。さらに、特異圏の中で、各非零対象に関する剰余体のレベルが1以下であることを見出した。Abel圏の擬分解部分圏の安定圏のSpanier-Whitehead圏の次元、および可算表現型の超曲面の特異圏のthick部分圏の次元の評価を得ることができた。また、テンソル構造を持つとは限らない三角圏のspectrumを導入したことで、thick部分圏の分類研究に新たな方向性を与えることができた。Kawasaki-Nakamura-Shimadaによる1次元の超曲面の特異圏の次元に関する最近の成果の証明をよく吟味し、より一般に行列因子化の拡大がなす圏の次元(正確には半径)に関する評価を行う。平成28年度は以下の研究を行った。(1)可換Noether環上の有限生成加群の第nシジジーがいつ(Auslander-Bridgerの意味での)n捩れ無しになるか?という問題を考察した。この問題をSerre条件とRの局所Gorenstein性に関連付けて捉えることで、古典的なEvans-Griffithの定理の逆を証明した。(2)可換Noether局所環上の有限生成自由加群からの既約全射および有限生成自由加群への既約単射の構造を詳細に調べた。そして、その結果を用いてTor,Extの消滅問題に一つの解答を与えた。(3)非可換特異点解消をもつNoether多元環上で別の非可換特異点解消を構築する方法を与えた。応用として、正則環上の任意の長さ有限な加群から非可換特異点解消が得られることがわかった。(4)体上のアフィン代数あるいは等標数の完備局所環では、Jacobiイデアルの冪がExt関手を零化することを示した。また、Jacobiイデアル自身がExt関手を零化するための十分条件もいくつか与えた。Noether differentの導来版を用いることでこれらが初めて可能になった。(5)著名な予想であるAuslander-Reiten予想に関連して、可換Noether局所環のイデアルの自己Ext加群の消滅問題を考察し、極大イデアルに関する弱充満イデアルに対して解答を与えた。(6)可換Noether環上の有限生成加群の右有界導来圏のテンソル三角圏構造を深く調べた。Thickテンソルイデアルの分類問題の考察、Balmer spectrumの位相構造の解析を通して、国際数学者会議(ICM)でBalmerが提示した予想に反例を与えた。(7) Cohen-Macaulay正規整域Rとそれの標準被覆Sに対し、Rが非可換クレパント特異点解消をもつことと、RがQ-GorensteinかつSがGorensteinかつSが非可換クレパント特異点解消をもつことが同値になることを示した。可換環の導来圏のthick部分圏の分類研究において満足できる成果を得た。すなわち、可換Noether環上の有限生成加群のなすアーベル圏の右有界導来圏の余コンパクト生成なthickテンソルイデアルを完全に分類することができた。さらに、コンパクト生成なthickテンソルイデアルおよび順thickテンソルイデアルの完全分類も副産物として得られた。平成29年度は以下の研究を行った。(1) Auslander-Reiten予想はGorenstein環上でも未解決だが、いくつかの条件下で成立する。これらの結果をCohen-Macaulay環に拡張し、荒谷の定理と小野-吉野の定理を回復した。(2)極大イデアルが直可約な局所環上では、射影次元が無限の加群のシジジーの直和が極大イデアルを直和因子にもつことを示した。
KAKENHI-PROJECT-16K05098
https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-16K05098
可換環の導来圏のthick部分圏と次元
極大イデアルが擬直可約な局所環上で特異圏のthick部分圏の完全分類を得た。(3)極小重複度をもつCohen-Macaulay局所環上のUlrich加群の構造を調べた。Ulrich加群の生成問題を考察し、Ulrich加群が極大Cohen-Macaulay加群のシジジーに一致する条件を決定した。(4) 2次元の正規次数付き環が斉次素元をもつための必要十分条件を、射影曲線上の有理係数Weil因子の言葉で記述した。そのような環が有理特異点をもつための必要十分条件を与えた。(5)岩永Gorenstein孤立特異点のCohen-Macaulay安定圏に対しては局所有限性と有限表現型が同値になること、有限生成Krull-Schmidt三角圏は局所有限ならば0次元になりExt有限の場合は逆も成り立つことを示した。導来圏の直交部分圏による生成問題も考察し、Rouquier, Krause-Kussin,吉脇の結果を回復する定理を得た。(6) Cohen-Macaulay局所環の(一様)Auslander条件および半双対化加群の自明性が一般に局所化しないことを証明した。有限表現型のCohen-Macaulayファイバー積の環構造を決定した。(7) (A_\infty)型の超曲面特異点上の直既約Cohen-Macaulay加群の退化を行列表現を用いて調べた。一般の可換環上の有限生成加群の退化を構成する一方法を提示した。コホモロジー(Ext加群)の消滅の自明性がthick部分圏の分類を可能にするが、Auslander-Reiten予想はコホモロジーの消滅の自明性を主張するものであり、この予想を研究することは課題の解決に繋がることである。また、非完全交差環上のthick部分圏の完全分類という大目標に向けてまずは環構造に多少の条件を設けてそれを行うことから始める計画だったが、その計画通りに極大イデアルが擬直可約な局所環上で特異圏のthick部分圏の完全分類に成功した。平成30年度は以下の研究成果を得た。(1)結合多元環上の有限生成加群の退化が定める関係の推移律を調べ、コピーの直和の差を除いて成立することを示した。(2) 2007年にHunekeとWiegandが、彼らの1994年の深度公式に欠陥があることを報告した。それに伴い削除された定理の成立の可否はわかっていなかった。この削除された定理が一般には不成立であることを示す例を構成した。(3)小次元という可換Noether局所環上の加群の新たな不変量を導入した。これを用いて改新交差定理を無限生成加群に拡張した。(4) Auslander-Reiten双対定理を二方向に拡張した。応用として、局所環上の加群の自由性のさまざまな判定法をExtの消滅を用いて与えた。(5) Balmer spectrumの類似物として、テンソル構造を持つとは限らない三角圏のspectrumを導入した。これを可換Noether環に付随するいくつかの三角圏に応用した。(6) Abel圏Aの擬分解部分圏Xの安定圏のSpanier-Whitehead圏をAの特異圏と関連付けて調べた。
KAKENHI-PROJECT-16K05098
https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-16K05098
図像・碑文資料と考古遺物の比較による古代エジプトの供物奉献儀礼の研究
本研究は、エジプト中王国時代の墓や供物奉献活動の場で発見されたミニチュア供物容器のセットの規格性に着目し、その背景となる典礼について検討することが目的である。平成30年度では、図像・碑文資料に見られる供物容器と実物の土器との関係について、2遺跡の調査・分析に基づく成果が得られた。ダハシュール北遺跡では、当該遺跡の中王国時代で最大規模の墓が昨年度発見されており、既に盗掘を受けていたが、石棺の使用や副葬品の内容は被葬者が高位の人物であることを示していた。ここから発見されたミニチュア土器は、既存の当該遺跡のものより良質だが、当時の王族の墓で発見された例よりは質的に劣っていた。ミニチュア土器においても、階層によって質的な差異があることが示唆された。アブ・シール南丘陵遺跡では、中王国時代の供物奉献祭祀遺構で遺構内部に収められた土器と、外部で繰り返し行われた奉献祭祀で使用され、廃棄されたミニチュア土器との比較を行った。内部は精製、外部は粗製の土器で質的な差が顕著だが、器形や構成には共通点が見られ、背後には共通の典礼があることが確認された。また、外部の粗製土器は約100年に渡る活動の過程で器形のバリエーションが減少し、土器の整形・調整が簡略化され、小型化していく傾向が認められた。一方で、器形の大まかな輪郭や色などは大きく変化せず、容器の外観が重要視されていた可能性が示された。供物容器には、儀礼上理想的な器形やその組み合わせの「祖型」が存在し、それを最もよく示しているのが内部の精製土器で、外部の粗製土器は当初「祖型」に近いものが当初製作・使用され、徐々に粗製化が進んで行った様子が看取された。以上2つの遺跡の分析では、典礼を背景とする儀礼上理想的な「祖型」が存在し、階層差や経時的な変化によってその影響の濃淡が変化する可能性が示された。本研究は、墓や供物奉献活動の場で発見されたミニチュア供物容器のセットの規格性に着目し、その背景となる典礼について検討することが目的である。平成28年度では、1供物リストの集成と分析、2ミニチュア供物容器のセットの変遷、地域性の分析、3エジプト現地での整理作業、を実施した。1については、供物リストの既往研究の集成をベースに、その成立に至る過程について調べ、一方で既往研究の出版時には発見されていなかった新たな資料を加え、現在も継続中である。2については、中王国時代の墓出土のミニチュア土器の集成を行なった。中王国時代は南のテーベ出身の王が全土を統一することで開始され、その後北のイチタウイに都が移された後、物質文化の様々な面で大きな変化が訪れる。墓の土器も例外ではなく、都を中心に新しい様式が導入され、エジプト全土に拡散していく。しかし、ミニチュア土器が一定のまとまりを持って墓に副葬される習慣はテーベを中心とする時代からすでにあり、中王国時代の終焉まで続いていることが明らかになってきた。土器の様式は変化しつつも、ミニチュア土器の使用とその背景と推測される典礼については、連綿と受け継がれていたことが推測される。次に、後の新王国時代の定礎具から発見された土器の分析に着手したところ、中王国時代の土器と共通する器形が多数あることが分かり、新王国時代にも伝統が続いている可能性が推測された。さらに、新王国時代のミニチュア土器には供物の名前が書かれているものがあり、中王国時代と共通する器形に関しては、その器形がどの供物を象徴していたのかを知る手がかりとなる可能性がある。3では、ダハシュール北遺跡において中王国時代の新たなミニチュア土器が発見されたため、その整理作業を重点的に実施した。その成果については、他の出土品とともに今後分析を進めていく予定である。供物リストの集成と分析についてはやや遅れが見られるものの、ミニチュア供物容器のセットの変遷、地域性の分析については、計画以上の進展が見られた。中王国時代第12王朝初期に見られる大幅な土器様式の変化の中で、ミニチュア土器のセットを副葬するという習慣は器形を変えつつも継続していることが明らかとなり、埋葬におけるミニチュア土器副葬の重要性を理解することができた意義は大きい。また、新王国時代のミニチュア土器には供物の名前を意味する文字が書かれていたことについては、これまでの自説を補強する材料になった。研究代表者はミニチュアの供物容器が死者の復活に必要な供物の一覧を示した供物リストに由来していると考えており、土器の1点1点はリストにある供物を象徴していると考えている。新王国時代のミニチュア土器の器形は中王国時代のものと共通性があり、新王国時代の土器の文字の研究が、中王国時代のミニチュア供物容器の意味を推測する強力な手掛かりとなると考えられる。データの量が膨大で整理に時間がかかっているため、平成28年度内に報告を発表することができなかったが、研究の骨組みは順調に作られていると考えられる。本研究は、エジプト中王国時代の墓や供物奉献活動の場で発見されたミニチュア供物容器のセットの規格性に着目し、その背景となる典礼について検討することが目的である。本年度は、計画にある供物容器セットの変遷と地域性の分析の一環として、中王国時代後半の墓から出土したミニチュア土器の地域性について検討した。
KAKENHI-PROJECT-16K16943
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図像・碑文資料と考古遺物の比較による古代エジプトの供物奉献儀礼の研究
ミニチュア土器を墓に副葬するという行為は、当時の中心だったメンフィス・ファイユーム地域に限定される傾向があり、王族・高官の墓で取り入れられていた「宮廷様式」の埋葬でも頻繁に認められる。したがって、ミニチュア土器の副葬は当時の支配層によって積極的に採用されていたと考えられる。しかし中王国時代末(第13王朝)になると、アビュドスやテーベ地域でミニチュア土器が副葬された墓が出現するようになることがわかってきた。これはアジア人ヒクソスの流入と王朝の成立に伴って、メンフィスを基盤とする王朝がテーベに移動するとされる時期に相当する。近年、こうした移動はなくテーベ側は独自に発展した王朝であるという説も提示されていたが、本研究代表者による墓の副葬品の分析によってメンフィスとテーベの物質文化には連続性が認められたことから、王朝の支配層の移動が実際にあった可能性が指摘された。したがって、ミニチュア土器のテーベ地域における出現は王朝の支配層の移動と関連していたと推測されるに至った。また、エジプト現地で過去の調査で出土したミニチュア土器の整理作業を実施し、発掘調査によって新たなミニチュア土器の資料を取得することができた。現在これらの資料化を進めている。研究の計画では、図像・碑文資料と考古遺物の比較を行うため、平成28年度、29年度は両者の集成と分析を行う予定であり、考古遺物側は順調で新資料も追加されているが、図像・碑文資料についてはやや遅れている。研究実績の概要で述べているように、ミニチュア土器副葬と王朝の支配層との関係が本研究の結果指摘された。テーベの第13王朝中期の見られる土器群にはそれまでメンフィス・ファイユーム地域に限定的だったミニチュア土器が含まれており、同じ墓には後の第2中間期でよく見られる土器も共伴していた。こうした物質文化の連続性は王朝の支配層の移動無くしては起こり得ないと考えられる。こうした連続性をミニチュア土器以外の遺物からも検討を進めて確認をした結果、予想以上に時間がかかってしまい、遅延の原因となった。しかし、ミニチュア土器の副葬の地域性が王朝の移動と重なるという事実は、ミニチュア土器副葬の重要性が強調されただけでなく、中王国時代末の重要な政治的イベントの実態を考察する上での重要な根拠となったことは、予想外の大きな成果であった。本研究は、エジプト中王国時代の墓や供物奉献活動の場で発見されたミニチュア供物容器のセットの規格性に着目し、その背景となる典礼について検討することが目的である。平成30年度では、図像・碑文資料に見られる供物容器と実物の土器との関係について、2遺跡の調査・分析に基づく成果が得られた。ダハシュール北遺跡では、当該遺跡の中王国時代で最大規模の墓が昨年度発見されており、既に盗掘を受けていたが、石棺の使用や副葬品の内容は被葬者が高位の人物であることを示していた。ここから発見されたミニチュア土器は、既存の当該遺跡のものより良質だが、当時の王族の墓で発見された例よりは質的に劣っていた。ミニチュア土器においても、階層によって質的な差異があることが示唆された。アブ・シール南丘陵遺跡では、中王国時代の供物奉献祭祀遺構で遺構内部に収められた土器と、外部で繰り返し行われた奉献祭祀で使用され、廃棄されたミニチュア土器との比較を行った。内部は精製、外部は粗製の土器で質的な差が顕著だが、器形や構成には共通点が見られ、背後には共通の典礼があることが確認された。また、外部の粗製土器は約100年に渡る活動の過程で器形のバリエーションが減少し、土器の整形・調整が簡略化され、小型化していく傾向が認められた。
KAKENHI-PROJECT-16K16943
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フラクタル・カオス理論を用いた超精密切削加工面の性状評価と表面機能に関する研究
フラクタル・カオス理論を用いて超精密切削加工面の表面性状評価を行うための手法を提案し、その有効性について検討・考察した結果、以下のような知見が得られた。1.超精密ダイヤモンド切削面の凹凸の複雑さを評価するために、その断面曲線のフラクタル次元を求め、加工条件との関連を調べた。超精密切削加工面の断面曲線はフラクタル性を有し、フラクタル次元の値は、送りの小さい条件ほど大きくなり、ほぼ1.11.5の範囲で変化した。また、フラクタル次元の値は、被削材種、切削油剤の有無によって影響を受けることがわかった。2.フラクタル次元を用いた機械加工表面のモデリング手法を提案した。ARMAモデルはフラクタル性を有することが明らかとなり、ARMAモデルのパラメータとフラクタル次元の関係が調べたられた。提案する手法は、加工表面のモデリングに有効であることがわかった。3.切削加工面のような比較的滑らかな比周期的断面曲線からカオス特徴が抽出され、切削断面曲線は非線形決定論に従うカオス的変動であることが明らかとなった。周期的断面曲線からカオス特徴は抽出されないが、決定論的規則に従う変動である。非常に不規則な断面曲線は、決定論的には捉えられない確率論的変動である。4.カオス挙動を示す非周期的断面曲線および、周期的断面曲線のモデリングに対して、決定論的手法であるRBFFネット・モデルが適している。モデリングする際のサンプリング間隔は、断面曲線の主要周期の約10分の1程度がよい。カオス特徴の抽出されなかった不規則な断面曲線のモデリングには、確率論的手法であるARモデルの方が、決定論的手法であるRBFネット・モデルよりも精度がよい。フラクタル・カオス理論を用いて超精密切削加工面の表面性状評価を行うための手法を提案し、その有効性について検討・考察した結果、以下のような知見が得られた。1.超精密ダイヤモンド切削面の凹凸の複雑さを評価するために、その断面曲線のフラクタル次元を求め、加工条件との関連を調べた。超精密切削加工面の断面曲線はフラクタル性を有し、フラクタル次元の値は、送りの小さい条件ほど大きくなり、ほぼ1.11.5の範囲で変化した。また、フラクタル次元の値は、被削材種、切削油剤の有無によって影響を受けることがわかった。2.フラクタル次元を用いた機械加工表面のモデリング手法を提案した。ARMAモデルはフラクタル性を有することが明らかとなり、ARMAモデルのパラメータとフラクタル次元の関係が調べたられた。提案する手法は、加工表面のモデリングに有効であることがわかった。3.切削加工面のような比較的滑らかな比周期的断面曲線からカオス特徴が抽出され、切削断面曲線は非線形決定論に従うカオス的変動であることが明らかとなった。周期的断面曲線からカオス特徴は抽出されないが、決定論的規則に従う変動である。非常に不規則な断面曲線は、決定論的には捉えられない確率論的変動である。4.カオス挙動を示す非周期的断面曲線および、周期的断面曲線のモデリングに対して、決定論的手法であるRBFFネット・モデルが適している。モデリングする際のサンプリング間隔は、断面曲線の主要周期の約10分の1程度がよい。カオス特徴の抽出されなかった不規則な断面曲線のモデリングには、確率論的手法であるARモデルの方が、決定論的手法であるRBFネット・モデルよりも精度がよい。今年度は、超精密切削加工面の性状評価に必要な断面曲線のモデル同定にフラクタル・カオス理論の採用の有用性について検討を試みた。得られた主な成果は下記の通りである。1.フラクタル理論による性状評価フラクタル次元の計算法は、カバー法、スペクトル法、メツシュ法および変分法があるが、これらを比較検討した結果、断面曲線の解析には変分法の精度が最も高く、これで解析した。その結果は、一般的に、旋削加工面はフラクタル性を有し、そのフラクタル次元は1.11.5の範囲に分布する。フラクタル次元と加工条件との関係について実験的考察を試みると、工具ノ-ズ半径と切削速度をある値に押さえ、送り量を大きくすると次元の値は小さくなる。また、ノ-ズ半径が増加すると工具振動やひびり振動が生じ易く、その結果、次元は大きくなる。一方、送り量が増加すると、断面曲線は規則的で単調なプロフィールを示すが次元は減少する。切削速度が次元に及ぼす影響は被削材の切り屑の形態に依存し、次元の値は不連続型切り屑(鋳鉄)、せん断型(黄銅)そして流れ型(炭素鋼)の順に値が低くなる。2.カオス理論による性状評価断面曲線のカオス特徴抽出はリアプノフ指数の値が一つでも正の値になればよい。計算した結果、最大リアプノフ指数が正になることがわかった。また、アトラクタの3次元相空間について相関積分と距離との関係を調べた結果、べき乗関係が存在し、一方、相関積分が相空間の次元の値の増加と共に収束し、また、相関次元も一定値に収束する事が認められた。ところで、リアプノフ指数と加工条件との関係は、工具ノ-ズ半径や送り量が増大するほど、また、切削速度が小さいほど指数は大きくなる。この事から旋削加工面の断面曲線のような慨周期関数はカオス特徴を有し、カオスで同定できることが明らかである。本研究を通して、旋削加工面断面曲線にはフラクタルとカオス性が認められ両者が双方的関係にある事が解った。
KAKENHI-PROJECT-08650178
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フラクタル・カオス理論を用いた超精密切削加工面の性状評価と表面機能に関する研究
フラクタル・カオス理論を用いて超精密切削加工面の表面性状評価を行うための手法を提案し、その有効性について検討・考察した結果、以下のような知見が得られた。1.超精密ダイヤモンド切削面の凹凸の複雑さを評価するために、その断面曲線のフラクタル次元を求め、加工条件との関連を調べた。超精密切削加工面の断面曲線はフラクタル性を有し、フラクタル次元の値は、送りの小さい条件ほど大きくなり、ほぼ1.11.54の範囲で変化した。また、フラクタル次元の値は、被削材種、切削油剤の有無によって影響を受けることが分かった。2.フラクタル次元を用いた機械加工表面のモデリング手法を提案した。ARMAモデルはフラクタル性を有することが明らかとなり、ARMAモデルのパラメータとフラクタル次元の関係が調べたられた。提案する手法は、加工表面のモデリングに有効であることがわかった。3.切削加工面のような比較的滑らかな非周期的断面曲線からカオス特徴が抽出され、切削断面曲線は非線形決定論に従うカオス的変動であることが明らかとなった。周期的断面曲線からカオス特徴は抽出されないが、決定論的規則に従う変動である。非常に不規則な断面曲線は、決定論的には捉えられない確率論的変動である。4.カオス挙動を示す非周期的断面曲線および、周期的断面曲線のモデリングに対して、決定論的手法であるRBFFネット・モデルが適している。モデリングする際のサンプリング間隔は、断面曲線の主要周期の約10分の1程度がよい。カオス特徴の抽出されなかった不規則な断面曲線のモデリングには、確率論的手法であるARモデルの方が、決定論的手法であるRBFネット・モデルよりも精度がよい。
KAKENHI-PROJECT-08650178
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扁桃体グルココルチコイド受容体を介する遠隔恐怖記憶の調節機構
心的外傷後ストレス障害(PTSD)は、トラウマ体験時の音や匂いなどの感覚刺激と恐怖との連合記憶が一ヶ月以上経っても強いレベルで維持され、それがPTSDの主な症状である侵入記憶や過度な回避行動、不安を引き起こす手がかりとなることが知られている。本研究では、遠隔恐怖記憶の異常な増強が認められた遺伝子組み換えマウス(LAGRKO)を用いて、このような記憶異常の原因となる分子変化や神経回路網の機能、構造変化などを生化学的、分子生物学的、組織学的、光遺伝学的ならびに行動学的手法を用いて解析し、過剰な遠隔恐怖記憶の抑制に関わる脳内機構を明らかにする。心的外傷後ストレス障害(PTSD)は、トラウマ体験時の音や匂いなどの感覚刺激と恐怖との連合記憶が一ヶ月以上経っても強いレベルで維持され、それがPTSDの主な症状である侵入記憶や過度な回避行動、不安を引き起こす手がかりとなることが知られている。本研究では、遠隔恐怖記憶の異常な増強が認められた遺伝子組み換えマウス(LAGRKO)を用いて、このような記憶異常の原因となる分子変化や神経回路網の機能、構造変化などを生化学的、分子生物学的、組織学的、光遺伝学的ならびに行動学的手法を用いて解析し、過剰な遠隔恐怖記憶の抑制に関わる脳内機構を明らかにする。
KAKENHI-PROJECT-19K06902
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ICUにおける鎮痛の客観的評価方法の確立-スキンコンダクタンスモニターを用いて
健常人において、鎮痛評価としてスキンコンダクタンスモニター(SCM)を用いることで刺激による交感神経の変化の中でも特に疼痛に近い刺激による変化によく相関し、客観的鎮痛評価ツールとしての可能性が高いと示唆された。集中治療室入室患者における使用では、鎮痛・鎮静薬の影響が大きくSCMの結果も患者間で大きく異なった。しかしストレスのかかる状況、特に疼痛の強い処置の場合には大きく変化したため、一定の傾向を示すことが証明された。今後更に症例数を獲得し検討することで、客観的鎮痛評価ツールとしての確立、並びに適切な鎮痛プロトコル作成に結びつくことが予想された。健常人(60歳以下の8名)を対象に、スキンコンダクタンスモニター(SCM)を装着し、下記に示す各種刺激を行いコンダクタンスの変化量を測定した(この実験は臨床試験審査委員会で承認済みである:群馬大学臨床試験部管理番号1031)。A)熱刺激:設定温度は39、46、47、48°Cとし、各刺激の間は10分とした。B)冷刺激:アイスパックを被験者の前腕内側に当てて測定した。C)機械刺激:一定の圧(250kPa:先端のサイズ1cm2)で指のみずかき部分に機械的刺激を与えて測定した。D)画像刺激:被験者に痛そうな画像を見せ、それが実際に自分におきたものとして想像してもらい測定した。E)音刺激: 85dBのノイズ音をヘッドホンで聞かせて測定した。各種刺激時にバイタルサインデータの取得を行った。心電図モニター(日本光電社製ベッドサイドモニターlife Scope B BSM-7105)を装着して、心拍数、Heart rate valiabilityの変化を解析。さらに、パルスオキシメーター(OLV-3100)を装着し、動脈血中酸素飽和度の振幅変化も計測した。結果は、機械刺激で最も変化量が大きく、熱刺激では温度が上がるとともに変化量も増加した。冷刺激、音刺激、画像刺激では変化量は認められなかった。これらの結果から、SCMは刺激による交感神経の変化の中でも特に疼痛に近い刺激による変化によく相関し、客観的鎮痛評価ツールとしての可能性が高いと示唆された。健常人23名を対象に、スキンコンダクタンスモニター(SCM)を装着し、下記に示す各種刺激を行いコンダクタンスの変化量を測定した。A)熱刺激:設定温度は39、46、47、48°Cとし、各刺激の間は10分とした。B)冷刺激:アイスパックを被験者の前腕内側に当てて測定した。C)機械刺激:一定の圧(250kPa:先端のサイズ1cm2)で指のみずかき部分に機械的刺激を与えて測定した。D)画像刺激:被験者に痛そうな画像を見せ、それが実際に自分におきたものとして想像してもらい測定した。E)音刺激: 85dBのノイズ音をヘッドホンで聞かせて測定した。各種刺激時にバイタルサインデータの取得を行った。心電図モニター(日本光電社製ベッドサイドモニターlife Scope B BSM-7105)を装着して、心拍数、Heart rate valiabilityの変化を解析。さらに、パルスオキシメーター(OLV-3100)を装着し、動脈血中酸素飽和度の振幅変化も計測した。結果は、機械刺激で最も変化量が大きく、熱刺激では温度が上がるとともに変化量も増加した。冷刺激、音刺激、画像刺激では変化量は認められなかった。また、評価項目としてはコンダクタンスのピークの数よりもベースラインからの上昇割合のほうが優れていることが分かった。これらの研究成果より、スキンコンダクタンスモニターは痛みを伴う刺激に対してのみ反応することが明らかになり、ICUにおける使用を含めた臨床応用への可能性が示唆された。健常人からは良好なデータが得られたが、ICU入室患者からのデータ取得は準備段階にとどまっている。健常人(60歳以下の8名)を対象に、スキンコンダクタンスモニター(SCM)を装着し、下記に示す各種刺激を行いコンダクタンスの変化量を測定した(この実験は臨床試験審査委員会で承認済みである:群馬大学臨床試験部管理番号1031)。A)熱刺激:設定温度は39、46、47、48°Cとし、各刺激の間は10分とした。B)冷刺激:アイスパックを被験者の前腕内側に当てて測定した。C)機械刺激:一定の圧(250kPa:先端のサイズ1cm2)で指のみずかき部分に機械的刺激を与えて測定した。D)画像刺激:被験者に痛そうな画像を見せ、それが実際に自分におきたものとして想像してもらい測定した。E)音刺激: 85dBのノイズ音をヘッドホンで聞かせて測定した。各種刺激時にバイタルサインデータの取得を行った。心電図モニター(日本光電社製ベッドサイドモニターlife Scope B BSM-7105)を装着して、心拍数、Heart rate valiabilityの変化を解析。さらに、パルスオキシメーター(OLV-3100)を装着し、動脈血中酸素飽和度の振幅変化も計測した。結果は、機械刺激で最も変化量が大きく、熱刺激では温度が上がるとともに変化量も増加した。冷刺激、音刺激、画像刺激では変化量は認められなかった。これらの結果から、SCMは刺激による交感神経の変化の中でも特に疼痛に近い刺激による変化によく相関し、客観的鎮痛評価ツールとしての可能性が高いと示唆された。
KAKENHI-PROJECT-26861518
https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-26861518
ICUにおける鎮痛の客観的評価方法の確立-スキンコンダクタンスモニターを用いて
臨床では食道癌術後患者に気管内挿管チューブ抜管前後のSCM装着、測定を行ったが、患者により値が安定せず更なる対象患者数を増やしているところである。健常人では交感神経の興奮を捉えるモニターとしてSCMが有用であると示唆された。しかし臨床では食道癌術後患者をメインにICUにて鎮静評価ツールとしてのSCM装着・測定を行っているが、患者によって値にバラつきが多い。また、対象患者も想定していた数より少なく、更なる患者数の調査を行う必要がある。健常人(60歳以下の8名)を対象に、スキンコンダクタンスモニター(SCM)を装着し、下記に示す各種刺激を行いコンダクタンスの変化量を測定した(この実験は臨床試験審査委員会で承認済みである:群馬大学臨床試験部管理番号1031)。A)熱刺激:設定温度は39、46、47、48°Cとし、各刺激の間は10分とした。B)冷刺激:アイスパックを被験者の前腕内側に当てて測定した。C)機械刺激:一定の圧(250kPa:先端のサイズ1cm2)で指のみずかき部分に機械的刺激を与えて測定した。D)画像刺激:被験者に痛そうな画像を見せ、それが実際に自分におきたものとして想像してもらい測定した。E)音刺激: 85dBのノイズ音をヘッドホンで聞かせて測定した。各種刺激時にバイタルサインデータの取得を行った。心電図モニター(日本光電社製ベッドサイドモニターlife Scope B BSM-7105)を装着して、心拍数、Heart rate valiabilityの変化を解析。さらに、パルスオキシメーター(OLV-3100)を装着し、動脈血中酸素飽和度の振幅変化も計測した。結果は、機械刺激で最も変化量が大きく、熱刺激では温度が上がるとともに変化量も増加した。冷刺激、音刺激、画像刺激では変化量は認められなかった。これらの結果から、SCMは刺激による交感神経の変化の中でも特に疼痛に近い刺激による変化によく相関し、客観的鎮痛評価ツールとしての可能性が高いと示唆された。最終年度に当初予定通り食道癌術後集中治療室入室患者において覚醒時に測定したところ、変化量が患者間で大きく異なることが分かった。鎮静薬の血中濃度や気管内刺激に対する個人差が大きく、予想に反して一定の傾向を示すことが困難であることが判明した。健常人において、鎮痛評価としてスキンコンダクタンスモニター(SCM)を用いることで刺激による交感神経の変化の中でも特に疼痛に近い刺激による変化によく相関し、客観的鎮痛評価ツールとしての可能性が高いと示唆された。集中治療室入室患者における使用では、鎮痛・鎮静薬の影響が大きくSCMの結果も患者間で大きく異なった。しかしストレスのかかる状況、特に疼痛の強い処置の場合には大きく変化したため、一定の傾向を示すことが証明された。今後更に症例数を獲得し検討することで、客観的鎮痛評価ツールとしての確立、並びに適切な鎮痛プロトコル作成に結びつくことが予想された。当初の目的では、健常人60歳以下の60名を対象として実験を行うことを目標にしていたが、達成できていない。理由として、これまで先行して行っていた熱刺激試験以外の各刺激試験は経験不足なため、手技やデータ取得に時間を要してしまったことが一因と考えられる。また、バイタルサインデータ取得解析の解釈・判断に困惑してしまうこともあった。
KAKENHI-PROJECT-26861518
https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-26861518
大卒新卒採用における最適な時期と選考方法・評価基準の開発に関する研究
本研究は、大卒新卒採用・就職活動の最適な時期と期間、採用選考手法と評価基準の妥当性について新たな知見を提供することを目的としている。2018年度においては、就職活動を終えた大学生を対象に実施した「就職活動と大学生活にかんするアンケート調査」の回答を統計的に分析し、就職活動を終えた大学生が考える「妥当な就職活動期間」を明らかにした。「就職活動と大学生活にかんするアンケート調査」被験者は2016年度に就職活動を行い、2017年4月に入社する者であるが、この時、政府、企業、大学による話し合いで、採用広報活動は3月から、採用選考活動は6月から始まっていた。このスケジュールに従うと、学生の就職活動は4ヶ月以上かかることになるが、アンケート調査からは、学生は4ヶ月未満の就職活動を希望していることが分かり、学学生不在のスケジュール決定である可能性を指摘した。また、この調査では大学生活の様々な要素(居住形態や友人関係、部活・サークル経験、アルバイト経験、大学生活の満足度など)についても回答を得ており、就職活動と大学生活の相互作用についても新たなデータを取得しつつ、2019年度も分析を続ける予定である。一方で採用側である民間企業についても、2018年度に、民間企業・団体318社に採用活動についてのアンケートを実施した2019年度にはこの回答結果の統計的な分析を行うとともに、企業の採用責任者・担当者に個別インタビューを実施し、採用活動の時期と期間、選考方法や基準について分析する予定である。学生へのアンケート実施とその分析、企業へのアンケート実施という大きなタスクは順調に終了している。就職活動を終えた学生への調査については、他大学でも同様のインタビュー調査を実施し、当該年度に得た結果が特定の大学に固有のものなのか一般化できるかを検証する。またアンケートの追加調査として質的研究(インタビュー)も実施し、学生の就職活動の全体像を捉えることに注力したい。日本の大卒新卒者の採用・就職活動は120年近くの歴史を持ち、日本に固有の慣行として深く社会に根付いている。昨今では、その採用活動の開始時期を巡って毎年、政府・経済団体・大学等の話し合いが持たれ、大学教育の担保と人材獲得という2つの側面から議論が続いている。本研究は、大卒新卒採用・就職活動の最適な時期と期間、採用選考手法と評価基準の妥当性について新たな知見を提供することを目的に進めている。大卒新卒採用・就職活動の時期と期間については「長期化」と「早期化」が大学教育と企業活動を阻害する要因として大きく取り上げられているが、本研究では特に「長期化」を取り上げ、文献調査とアンケートにより、長期化の実態を明らかにする。就職活動の学生にとっては就職活動が長引くことで通常の大学生活や研究活動に支障が出るという影響が考えられ、企業は採用活動が長期化することで、採用コストが増大し、競争力が低下するという影響が考えられる。これらの悪影響が実際に起こっているのであれば、改善は喫緊の課題である。しかし、文献調査からは過去から現在に至る過程で活動期間が伸びているという意味での「長期化」傾向は見られず、活動期間の伸び縮みは政府方針が大きく影響することが明らかになった。また、マスコミ等による報道についても、時期が変更になった際には盛んに「採用活動の長期化」を喧伝するが、そうでない時期の報道数は少なく、「長期化」という単語が実態なく使われている可能性があることが明らかになった。一方で、就職活動を行う個々人の活動については、「過度に長期に及ぶ」ことは弊害であるが、「じっくりと会社を選びたい」という要求もある。就職活動を経験した学生へのアンケート調査からは、34ヶ月の就職活動期間が望ましいという回答を得、今後は企業が望む採用活動期間との妥協点を見出したいと考えている。3カ年計画のうち、文献調査と学生へのアンケート調査(一回目)が完了している。平成30年度はこれらのデータをもとに、報告書や論文にまとめることと、企業へのアンケート、インタビューを行い、データを収集する予定である。研究は概ね計画通りに進んでおり、特に阻害要因と想定される事象もない。本研究は、大卒新卒採用・就職活動の最適な時期と期間、採用選考手法と評価基準の妥当性について新たな知見を提供することを目的としている。2018年度においては、就職活動を終えた大学生を対象に実施した「就職活動と大学生活にかんするアンケート調査」の回答を統計的に分析し、就職活動を終えた大学生が考える「妥当な就職活動期間」を明らかにした。「就職活動と大学生活にかんするアンケート調査」被験者は2016年度に就職活動を行い、2017年4月に入社する者であるが、この時、政府、企業、大学による話し合いで、採用広報活動は3月から、採用選考活動は6月から始まっていた。このスケジュールに従うと、学生の就職活動は4ヶ月以上かかることになるが、アンケート調査からは、学生は4ヶ月未満の就職活動を希望していることが分かり、学学生不在のスケジュール決定である可能性を指摘した。また、この調査では大学生活の様々な要素(居住形態や友人関係、部活・サークル経験、アルバイト経験、大学生活の満足度など)についても回答を得ており、就職活動と大学生活の相互作用についても新たなデータを取得しつつ、2019年度も分析を続ける予定である。
KAKENHI-PROJECT-17K04133
https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-17K04133
大卒新卒採用における最適な時期と選考方法・評価基準の開発に関する研究
一方で採用側である民間企業についても、2018年度に、民間企業・団体318社に採用活動についてのアンケートを実施した2019年度にはこの回答結果の統計的な分析を行うとともに、企業の採用責任者・担当者に個別インタビューを実施し、採用活動の時期と期間、選考方法や基準について分析する予定である。学生へのアンケート実施とその分析、企業へのアンケート実施という大きなタスクは順調に終了している。平成29年度中に行った文献調査と学生インタビューの結果を論文としてまとめることが第一の課題である。それと合わせて、企業アンケートを実施し、採用期間として望ましい期間や採用選考手法・評価基準についての現状を把握する。その後、個別に企業インタビュー調査や企業内調査を行う予定である。インタビューや企業内調査では人事データの提供を依頼することになるため、企業の協力が得られるかどうかがポイントになる。研究の意義を丁寧に説明し、企業側への研究結果報告を行うことで協力を募りたいと考えている。就職活動を終えた学生への調査については、他大学でも同様のインタビュー調査を実施し、当該年度に得た結果が特定の大学に固有のものなのか一般化できるかを検証する。またアンケートの追加調査として質的研究(インタビュー)も実施し、学生の就職活動の全体像を捉えることに注力したい。学生アンケートの結果集計を業者に委託せずに研究者自身が集計したこと、データの分析に無料の統計パッケージを用いたことから次年度使用額が生じた。平成30年度以降、学生アンケートを複数回実施する予定で、データ入力業者に委託する予定であることと、有料の統計解析パッケージを購入予定である。アンケート調査の実施と分析を調査会社や分析会社に依頼せずに実施したことにより次年度使用額が生じた。次年度実施の調査は当初計画よりも対象を広げ、インターネット上で行うことを予定しており、この調査の設計、実施、集計・分析に繰越分を充当させる予定である。
KAKENHI-PROJECT-17K04133
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高分子溶液のマイクロチャネル内流れのブラウン動力学シミュレーション
研究では,高分子溶液のマイクロチャネル内流れにおける高分子鎖の配向と特異な流動場の解明を目的として,ブラウン動力学シミュレーションによる数値解析と流れ場の測定と分子配向の光学測定の実験を行った.数値解析においては,分子鎖モデルの検討のために,有限伸長性非線形(FENE)バネで連結されたビーズ・スプリングモデルを用いて,単純せん断流れ下のモデル分子の挙動のブラウン動力学シミュレーションを行った.そして,モデル分子の挙動と系のレオロジー特性の解析を行い,本モデルで,一般的な高分子溶液のレオロジー特性を表現できることを確認した.さらに,分子の絡み合いの効果を取り入れるためにビーズ間のポテンシャルを導入したモデルの検討を行っている.また,流路内流れの計算のために,マクロ的な流れの計算手法に,高分子を分子モデルによりモデル化し,統計力学的手法を用いて分子挙動の計算を行う手法を組み込んだCONNFFESSITアプローチを用いた計算プログラムを作成し,通常の構成方程式を用いるマクロ的計算手法による結果と同様の結果が得られることを確認した.さらに,マイクロ流路において見られる分子と壁面との相互作用や壁面におけるすべり現象を取り入れたモデルの開発を行っている.実験では,マイクロ流路内の高分子水溶液の急縮小流れにおける流速測定実験を行い,マクロ流れとの流れ挙動の違いを見出した.また,分子配向を測定するための光学実験システムを構築し,微小領域における流動複屈折の測定に成功した.研究では,高分子溶液のマイクロチャネル内流れにおける高分子鎖の配向と特異な流動場の解明を目的として,ブラウン動力学シミュレーションによる数値解析と流れ場の測定と分子配向の光学測定の実験を行った.数値解析においては,分子鎖モデルの検討のために,有限伸長性非線形(FENE)バネで連結されたビーズ・スプリングモデルを用いて,単純せん断流れ下のモデル分子の挙動のブラウン動力学シミュレーションを行った.そして,モデル分子の挙動と系のレオロジー特性の解析を行い,本モデルで,一般的な高分子溶液のレオロジー特性を表現できることを確認した.さらに,分子の絡み合いの効果を取り入れるためにビーズ間のポテンシャルを導入したモデルの検討を行っている.また,流路内流れの計算のために,マクロ的な流れの計算手法に,高分子を分子モデルによりモデル化し,統計力学的手法を用いて分子挙動の計算を行う手法を組み込んだCONNFFESSITアプローチを用いた計算プログラムを作成し,通常の構成方程式を用いるマクロ的計算手法による結果と同様の結果が得られることを確認した.さらに,マイクロ流路において見られる分子と壁面との相互作用や壁面におけるすべり現象を取り入れたモデルの開発を行っている.実験では,マイクロ流路内の高分子水溶液の急縮小流れにおける流速測定実験を行い,マクロ流れとの流れ挙動の違いを見出した.また,分子配向を測定するための光学実験システムを構築し,微小領域における流動複屈折の測定に成功した.
KAKENHI-PROJECT-16360091
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ハイドロキシアパタイトマイクロパターンコーティングの骨形成促進効果
ハイドロキシアパタイト(HA)が骨芽細胞の分化増殖に与える影響を検討するため、1cm角のPESF(ポリエーテルスルフォン)基板を作製し、biomimetic法を用いて表面にHAをcoatingした基板とnon coatの基板上でのマウス骨芽細胞様細胞(MC3T3-E1)の接着性、形態、増殖、分化を調べた。当初、培養中にHAの脱落を認めたため、HA coating前の基板にグロー放電処理を行い、HAの脱落を改善した。極初期にはHA基板に対する細胞接着性の向上を認めたが、細胞がconfluentになった状態での形態的な差異は無かった。細胞増殖の指標として総タンパク質量、分化の指標としてアルカリフォスファターゼ(ALP)産生を培養開始後7日、14日の時点で測定した。HA基板では総タンパク質量の増加を認め、細胞増殖の促進を認めた。逆にnon-coat基板でのALP産生の増加を認めた。ALP染色では、confluent以降でnon-coat基板での優位な染色性の向上を認めた。次に50μm,100μmの平行線、dotからなるHAマイクロパターンを基板上に作成し同様の検討を行ったが、全面HA coat基板より優位な増殖、non-coat基板より優位なALP産生の増加は認めなかった。そのため、細胞大より微細なマイクロパターン(5,10,20μm大)の作製が必要との方針で基板を再作製することとなった。しかし、パターンが微細になればなるほどHAが剥奪し、1cm角の基板全面に均一にパターン形成させることが困難であることが判明した。そのため、4種類のパターン形成法を考案、実施したが、当初の目的を達成できていない。現在、成膜時のSBF濃度、pH、温度などを精密にコントロールすることにより、広い面積に再現性良く微細なパターンを敷き詰めることが可能となり、今後の研究の進展を期待している。ハイドロキシアパタイト(HA)が骨芽細胞の分化増殖に与える影響を検討するため、1cm角のPESF(ポリエーテルスルフォン)基板を作製し、biomimetic法を用いて表面にHAをcoatingした基板とnon coatの基板上でのマウス骨芽細胞様細胞(MC3T3-E1)の接着性、形態、増殖、分化を調べた。当初、培養中にHAの脱落を認めたため、HA coating前の基板にグロー放電処理を行い、HAの脱落を改善した。極初期にはHA基板に対する細胞接着性の向上を認めたが、細胞がconfluentになった状態での形態的な差異は無かった。細胞増殖の指標として総タンパク質量、分化の指標としてアルカリフォスファターゼ(ALP)産生を培養開始後7日、14日の時点で測定した。HA基板では総タンパク質量の増加を認め、細胞増殖の促進を認めた。逆にnon-coat基板でのALP産生の増加を認めた。ALP染色では、confluent以降でnon-coat基板での優位な染色性の向上を認めた。次に50μm,100μmの平行線、dotからなるHAマイクロパターンを基板上に作成し同様の検討を行ったが、全面HA coat基板より優位な増殖、non-coat基板より優位なALP産生の増加は認めなかった。そのため、細胞大より微細なマイクロパターン(5,10,20μm大)の作製が必要との方針で基板を再作製することとなった。しかし、パターンが微細になればなるほどHAが剥奪し、1cm角の基板全面に均一にパターン形成させることが困難であることが判明した。そのため、4種類のパターン形成法を考案、実施したが、当初の目的を達成できていない。現在、成膜時のSBF濃度、pH、温度などを精密にコントロールすることにより、広い面積に再現性良く微細なパターンを敷き詰めることが可能となり、今後の研究の進展を期待している。まず、ハイドロキシアパタイト(HA)が骨芽細胞の分化増殖に与える影響を検討するため、1cm角のPESF(ポリエーテルスルフォン)基板を作製し、biomimetic法を用いて表面にHAをcoatingした基板とnon coatのPESF基板上でのマウス骨芽細胞様細胞(MC3T3-E1)の接着性、形態、増殖、分化を調べた。細胞培養開始直後、2日、7日の時点で基板を固定・脱水・乾燥させ、SEM観察を行った。結果、極初期の段階においてHAによる基板にたいする細胞接着性の向上を認めたが、細胞がconfluentになった状態での形態的な差異は認められなかった。細胞増殖の指標として総タンパク質量、分化の指標としてアルカリフォスファターゼ(ALP)を培養開始後7日、14日目の時点で測定した。当初基板に対するHAの接着性に問題があり培養期間中に培養液中でのHAの脱落を認めたため、接着強度の向上を目的としてHA coating前の基板にグロー放電処理を行い、HAの脱落を改善することが可能であった。結果としてHA基板では総タンパク質量の増加を認め、細胞増殖の促進を認めた。逆にnon-coat基板でのALP産生の増加を認めた。基板のアルカリフォスファターゼ(ALP)染色では初期での染色性に差は認められなかったが、confluent以降ではnon-coat基板での優位な染色性の向上を認めた。次に50μm,100μmの平行線、dotからなるHAマイクロパターンを基板上に作成し同様の検討を行ったが、全面HA coat基板より優位な増殖、non-coat基板より優位なALP産生の増加を示す基板を探し出すことができなかった。
KAKENHI-PROJECT-15500316
https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-15500316
ハイドロキシアパタイトマイクロパターンコーティングの骨形成促進効果
パターン間隔が細胞に比して大きいためnon-coatの部分の影響をうけるためと考え、細胞挙動に影響しうる細胞大より微細なマイクロパターン(5,10,20μm大)の作製が必要との方針で基板を再作製することとなった。ハイドロキシアパタイト(HA)のマイクロパターンコーティングが骨芽細胞の分化増殖に与える影響を検討した。予備実験に基づき、HAコーティング層の脱落を防止するため、グロー放電したポリエーテルスルフォン(PESF)を基板(1cm角)として用いることとした。グロー放電処理によりHAの接着性だけでなく、細胞の接着性も向上した。まずbiomimetic法を用いてHAを全面にコーティングした基板(HA基板)とコーティングしていない基板(PESF基板)上でのマウス骨芽細胞様細胞(MC3T3-E1)の接着性、形態、増殖、分化の違いを調べた。細胞培養開始直後、2日、7日の時点で基板を固定、脱水、乾燥させ、SEM観察を行った。結果は、極初期の段階においてHA基板に対する細胞接着性の向上を認めたが、細胞がconfluentになった状態での形態的な差異は認められなかった。細胞増殖の指標として総タンパク質量、分化の指標としてアルカリフォスファターゼ(ALP)を培養開始後7日、14日目の時点で測定した。結果として総タンパク質量はHA基板上で、逆にALP産生はPESF基板上で高値となった。次に50μm,100μmの平行線、dotからなるHAマイクロパターンを基板上に作成し同様の検討を行ったが、全面HA基板より優位な増殖、PESF基板より優位なALP産生の増加は認められなかった。そこで、個々の細胞より微細なマイクロパターンの影響を検討することとし、さらに微細なパターン(5μm,10μm,20μmの平行線、dot)を作成することになった。しかし、パターンが微細になった分、作成段階において1cm角の基板上に均一にコーティングすることがさらに困難となった。現在、新たなマスク素材を用いるなどパターン作成に試行錯誤している。
KAKENHI-PROJECT-15500316
https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-15500316
動態としてのアフリカ「音文化」の研究
塚田と川田は、西アフリカの伝統的な音文化のコンテクストにおける動態の問題を扱い、一方鈴木および、研究協力者として加わった鶴田格と檜垣まりは、アフリカの今月的なコンテクストでの音文化の諸相をさまざまな視点から調査し各自大きな成果を上げた。まず塚田は、ガーナのファンティ族の社会史と音表現との関わりを調査し、ファンティの社会構造上の特徴が音楽のジャンルにも現れていることを明らかにした。また川田は、西アフリカのハウサとマンデの音文化複合に関するこれまでの仮説を各種の音具の起源と伝播をたどることによってさらに発展させた。鈴木はコートジボワール・アビジャンのストリート・ボーイたちの音文化がラップと結びつき、マス・メディアを通じてアビジャン社会に浸透してゆく過程を、また鶴田はタンザニアのダルエスサラームのダンス・バンドを経汚活動の観点から捉え、民間バンドと公営バンドの基本的相違を明らかにした。一方、檜垣は東アフリカ海岸地域のターラブ音楽をダルエスサラームを中心に調査し、特にこのジャンルの歴史的展開に関して、新しい知見を得た。塚田と川田は、西アフリカの伝統的な音文化のコンテクストにおける動態の問題を扱い、一方鈴木および、研究協力者として加わった鶴田格と檜垣まりは、アフリカの今月的なコンテクストでの音文化の諸相をさまざまな視点から調査し各自大きな成果を上げた。まず塚田は、ガーナのファンティ族の社会史と音表現との関わりを調査し、ファンティの社会構造上の特徴が音楽のジャンルにも現れていることを明らかにした。また川田は、西アフリカのハウサとマンデの音文化複合に関するこれまでの仮説を各種の音具の起源と伝播をたどることによってさらに発展させた。鈴木はコートジボワール・アビジャンのストリート・ボーイたちの音文化がラップと結びつき、マス・メディアを通じてアビジャン社会に浸透してゆく過程を、また鶴田はタンザニアのダルエスサラームのダンス・バンドを経汚活動の観点から捉え、民間バンドと公営バンドの基本的相違を明らかにした。一方、檜垣は東アフリカ海岸地域のターラブ音楽をダルエスサラームを中心に調査し、特にこのジャンルの歴史的展開に関して、新しい知見を得た。1.音象徴性に関するデータの収集と分析の結果、ザンビアのルヴァレ族の場合には音象徴性の傾向は顕著にあらわれるが、ガーナのファンティ族の場合にははっきりとあらわれないことがわかった。したがって、両集団における楽器の口唱歌と音象徴性との関係は一律には論じられない。この相違が社会変化によるものかどうかが今後の課題となる。2.ブルキナファソのモシ社会に強い影響を与えた北西のマンデ、東のハウサの二大音文化にはモシ族にとって重要な話し太鼓ベンドレが分布していないにもかかわらず、北東のソンライの音文化には分布している。したがって、モシの音文化とソンライ、さらに東方のカヌリの音文化との関わりをベンドレやハ-プ・リュートの系譜から跡づけていくことが今後必要である。3.(1)コートジボアールのダン族の仮面舞踊に用いられる楽器の運用のあり方を西アフリカの他の地域のそれと比較して特徴づけることができた。(2)コートシボアールにおいて独立運動期のさまざまな事象や事件が国の辺境村落部でいかに語られてきたかを歴史伝承の問題として跡づけることができた。4.コートジボアールのアビジャンの若者によるポピュラー音楽形成に対するマス・メディアの影響とそのプロセスを把握するとともに、ポピュラー音楽産業の構造を調べることによって、アビジャンの音文化のダイナミズムを理解することができた。5.タンザニアの大衆音楽タ-ラブと伝統的な舞踊音楽シゴマとの相互影響関係をとくに女性の身体表現や言語表現の観点からある程度明らかにすることができた。本プロジェクト「動態としてのアメリカ『音文化』の研究」は、アフリカにおけるさまざまな地域社会が相互の文化交渉を通じてどのように変化してきたか、また今日グローバルなシステムに組み入れられ、一変化しているかを「音の文化」(狭義の音楽を含む)の観点から明らかにすることを目ざしている。本年度は、昨年度にひき続き、ガーナ、ブルキナファソ、ニジェール、コートジボワール、ダンザニアを塚田、川田、鈴木、それに研究協力者の鶴田がそれぞれ調査し、以下の点が明らかとなった。1.ガーナのファンティ族の社会では過去数百年にわたって、分裂と統合を引き起こす相対立する社会的作用が働いてきたことが史料から明らかである。そしてその対立的諸力は、彼らのニつの太鼓合奏のジャンルの歌詞の中に文化的表現としてあらわれていることが、収集した資料の分析から判明した。(塚田)2.西アフリカのハウサとマンデの音文化複合の形成に関して、今回の調査で明らかとなったことは、ボヌルーの音文化にはハウサ音文化を特徴づける楽器(単弦弓奏リュートや調べ緒太鼓など)がなく、逆にハウサには見られない五弦ハープがあることである。これは、北アフリカがボルヌー帝国を通じてハウサの音文化に影響を及ぼしたという可能性を否定する資料として重要である。(川田)3.コートジボワールの首都アビジャンのストリート文化は、これまでジャマイカのレゲエが中心的位置を占めてきたが、近年アメリカで生まれたラップの抬頭が目立つ。今回の調査で、このストリート文化がどのようにしてマスメディアを通してラップという音楽表現を商品化していったか、その社会的過程を明らかにすることができた。(鈴木)4.タンザニアの首都ダルエスサラームでは、民間のダンス・バンドより公営のダンス・バンドの方がミュージシャンの定着率が高い。バンドの経済的活動としての側面に焦点をあて、その社会的背景を明らかにすることができた。(鶴田)
KAKENHI-PROJECT-09041029
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動態としてのアフリカ「音文化」の研究
塚田と川田は、西アフリカの「伝統的」な音文化のコンテクストにおける動態の問題を扱し、一方鈴木および、研究協力者として加わった鶴田格と檜垣まりはアフリカの今日的コンテクストでの音文化の諸相をさまざまな視点から調査し、各自大きな成果を上げた。まず、塚田はガーナのファンティ族の社会史と音表現との関わりを調査し、ファンティの社会構造上の特徴が音楽のジャンルにも表われていることを明らかにした。また川田は西アフリカのハウサとマンデの音文化複合に関するこれまでの仮説を各種の音具の起源と伝播をたどることによってさらに発展させた。鈴木はコートジボワール、アビジャンのストリート・ボーイたちの「音文化」がラップと結びつき、マス・メディアを通じてアビジャン社会に浸透してゆく過程を、また鶴田はタンザニアのダルエスサラームのダンス・バンドを経済活動の観点から捉え、民間バンドと公営バンドとの基本的な相違を明らかにした。一方、檜垣は、東アフリカ海岸地域のターラブ音楽をダルエスサラームを中心に調査し、特にこのジャンルの歴史的展開に関して新しい知見を得た。
KAKENHI-PROJECT-09041029
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ニロチニブの血中濃度の個体間変動要因探索
【目的】慢性骨髄性白血病(CML)治療薬のニロチニブに関し、我々はこれまでに高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いた血中濃度定量法を開発し、分子遺伝学的効果(MMR)達成に必要なトラフ濃度が約760ng/mLであることや、ニロチニブによる高ビリルビン血症がUDP-グルクロン酸転移酵素; UGT1A1の遺伝子多型の影響を受けることを見出した。その中で明らかとなったニロチニブ血中濃度の非常に大きな個体差に関し、本研究では個体間変動に影響を及ぼす要因を探索した。【方法】本研究は秋田大学医学部倫理委員会の承認を得、ニロチニブ服用中のCML患者50名を対象とした。ニロチニブのトラフ濃度はHPLC定量法を用いて測定した。患者検体よりDNAを抽出し、各薬物代謝酵素やトランスポーターの遺伝子多型をPCR-RFLP法にて解析した。【目的】慢性骨髄性白血病(CML)治療薬のニロチニブに関し、我々はこれまでに高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いた血中濃度定量法を開発し、分子遺伝学的効果(MMR)達成に必要なトラフ濃度が約760ng/mLであることや、ニロチニブによる高ビリルビン血症がUDP-グルクロン酸転移酵素; UGT1A1の遺伝子多型の影響を受けることを見出した。その中で明らかとなったニロチニブ血中濃度の非常に大きな個体差に関し、本研究では個体間変動に影響を及ぼす要因を探索した。【方法】本研究は秋田大学医学部倫理委員会の承認を得、ニロチニブ服用中のCML患者50名を対象とした。ニロチニブのトラフ濃度はHPLC定量法を用いて測定した。患者検体よりDNAを抽出し、各薬物代謝酵素やトランスポーターの遺伝子多型をPCR-RFLP法にて解析した。
KAKENHI-PROJECT-16H00499
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実定会社法の制度的変遷に伴う刑罰法規のあり方に関する日米比較法研究
会社法罰則の理論的根拠を再検討する際の手掛かりとするために、アメリカ会社法罰則の分析を行った。日本は会社法における基本的かつ重要な点において、アメリカ法の制度を多く取り入れてきたが、我が国会社法主要罰則に見られるような、債権者保護を目的とする刑罰規定は、アメリカ会社法にはほとんど見受けられないことが判明した。今後は、会社法以外の周辺法律も対象に加えて、研究を継続する。会社法罰則の理論的根拠を再検討する際の手掛かりとするために、アメリカ会社法罰則の分析を行った。日本は会社法における基本的かつ重要な点において、アメリカ法の制度を多く取り入れてきたが、我が国会社法主要罰則に見られるような、債権者保護を目的とする刑罰規定は、アメリカ会社法にはほとんど見受けられないことが判明した。今後は、会社法以外の周辺法律も対象に加えて、研究を継続する。本研究は、平成17年会社法制定により大きな変更を加えられた新たな会社(法)制度・資本概念下における、我が国会社法罰則の理論的根拠を再検討・再構築することを目的とする。本研究目的の達成には、我が国会社法罰則自体の総論的・各論的検討はもちろんのこと、平成17年会社法がアメリカ法に多大な影響を受けてつくられたものであることから、アメリカ会社法制度及び同罰則制度の参照が欠かせない。そこで平成25年度は、日本において、旧商法新設時のものをはじめとする会社法罰則関係の資料収集を完了したのに加え、アメリカにおいて、アメリカ会社法罰則関係の資料収集及びそれらを理解するための前提となる基礎的知識を獲得することに時間をあてた。平成25年度半ばから平成26年度半ばまでの1年間と、当初の予定より長くアメリカ滞在の機会を得ることができたため、当初の研究実施計画とは手順を変更せざるを得なくはなったものの、これにより、より深い比較法的視座を本研究に取り入れることができることになった。平成26年度前半は、これら平成25年度に収集した資料をもとに、アメリカにおける会社法や資本概念、株式会社に対する規制の在り方やその処罰根拠を解析し、本研究の成果につなげる予定である。なお、平成25年度後半から平成26年度前半の1年間、アメリカ合衆国ワシントン大学ロースクールに滞在し、Anita Ramasastry教授に協力を仰ぎ、本研究を進めている。本研究の目的は、平成17年会社法制定により大きな変更を加えられた新たな会社(法)制度・資本概念下における、我が国会社法罰則の理論的根拠を再検討することである。現商法及び会社法のもととなる明治32年商法及び明治44年改正商法は、ドイツ法に基礎をおいて作られたものであったが、昭和25年の改正以降、我が国は、授権資本制度を始めとするアメリカ法の制度を多く取り入れてきた。そこで、現在の我が国会社法罰則の処罰根拠を見直すにあたり、アメリカにおける株式会社に対する規制の在り方やその処罰根拠を参照する方法を採用した。アメリカの各州会社法等のうち、特に重要なものとして挙げられることの多い、模範会社法・デラウェア会社法・カリフォルニア会社法における罰則規定を抽出したところ、それぞれ情報開示の場面を規制する罰則を置いているという共通点を見出すことはできたものの、我が国の会社法主要罰則に見られるような債権者保護を目的とする刑罰規定はほとんど見受けられないこと、結論として、アメリカ法における会社債権者保護は、契約等あるいは会社法以外の法律などの罰則以外のもので担保されていることが明らかとなった。以上の知見を反映させての、現在の我が国会社法罰則の理論的根拠の再構築はいまだ途上であるが、アメリカと日本の資本制度及び関係罰則領域の比較に特化した研究は他に例を見ないため、一定の成果を挙げることができたと考える。また、アメリカの会社関係法体系の知識を得たことで、今後、本研究を継続していくにあたっての指針を得ることができた。刑法当初2週間を予定していたアメリカへの資料収集が1年間の滞在となったことから、研究実施計画の順序を変更せざるを得なくなったものの、本研究の目的達成のためにすべきことの内容は計画時から変更なく、現時点での進捗状況は、おおむね順調である。当初2週間を予定していたアメリカへの資料収集が1年間の滞在となったことから、研究実施計画の順序を変更せざるを得なくなり、また、関係するアメリカ法制度や概念の理解、それらの分析を行うために予想より多くの時間がかかっているが、今後はこれらの点を活かし、比較法的視座を多く取り入れて研究を遂行する。平成25年度半ばよりアメリカに滞在した関係から、予定していたよりも研究会の開催回数・出席回数が少なく、繰り越しする予算が生じた。平成26年度半ばまで、本研究のためにアメリカワシントン大学に滞在する予定であり、前年度より繰り越した予算を滞在費・資料収集費等に充てる予定である。
KAKENHI-PROJECT-25780044
https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-25780044
英語教育関係者間の理解と成長を促し組織的教育力の向上を導く探求的実践に関する研究
研究実績の概要としては、まず第1に、本研究の中心的なキーワードであるExploratory Practice(EP)に関して、理論的・実践的理解を深め、国際的なレベルで現在どのように展開しているのかを探るために、EPの先駆者である英国リーズ大学のJudith Hanks氏から直接教えを受ける機会に恵まれた。所属学会JACETのサマーセミナー講師及び国際大会基調講演者としてHanks氏が来日した際に、幸いにも学会員としての質疑のみならず個人的にも研究情報を交換することができた。第2に、JACET国際大会で代表を務める自律学習研究会でシンポジウムを企画し、研究会メンバーとの協働でEPと学習者・教師の自律に関して研究発表を行い、多くの参加者たちが協議に参加し盛況であった。第3に、日本教師教育学会で英語教育を含む全体の視点からEPを意識した研究発表を行い、参加した大学教員・大学院生・学校教員などから興味・関心を寄せられ、終了後にも情報を交換し合うことができた。第4に、教員免許状更新講習で現職英語教員に新しい理論と実践について説き、各教育機関における実情に耳を傾かながらアドバイスを与えることができた。第5に、自ら開発した英国Warwick大学への研修で学生引率者として参加し、応用言語学センターの所属研究者たちと対談し、本研究に関わる両国の教育事情について相互理解を深めることができた。第6に、本年度の研究成果について、所属の学会の研究大会で意欲的に口頭発表を行い、学内紀要などに論文を投稿することができた。第1に、本研究のテーマが、これまで強調した知識・技能に加え、リタラシーやコンピタンシーとの統合、チーム学校の組織的教育力の向上などを基本的理念とする日本の教育改革・英語教育改革との関連性が高く、多様な学会・研究会で研究発表をする機会に恵まれた。第2に、本研究を学術的に支える理論・実践について、日本で開催されたいくつかの国際学会への参加を通して、国際的なレベルで理解を深めることができた。第3に、現職英語教員たちと多様な研修を通して直接的に交流したことに加え、学校訪問で管理職の先生たちと対談し、チーム学校の現状を語り合う機会に恵まれた。第4に、3週間英国を訪問した際に、本研究テーマに関する話題で現地の大学教員・学校教員たちと意見・情報交換を図ることができた。以上から、おおむね順調な初年度であったと判断される。第1に、Exploratory Practice(EP)をよりよく理解するために、同じ系統の質的研究法とされるAction ResearchやReflective Practiceとの違いを再認識し、学会・研究会でも話題を提供して協議し合う。第2に、日本の教育改革を実りあるものにするために、英語教育を含む教育全体を視野に入れてEPの応用可能性を探る。第3に、日本の英語教育の未来を拓くために、現職英語教員を対象にした教師教育に加え、大学における英語教員養成教育をどのように改善するべきかについて、同僚と協議しながら新たなプログラムを開発する。第4に、国内外での学会・研究会において、本研究に関する話題を提供し続けながら、様々な情報を収集し今後の研究の方向性について探究する。第4に、英国Warwick大学応用言語学センターとの連携を深め、英語教員志望生を対象とする海外研修プログラムの教育的効果についてリサーチを継続する。研究実績の概要としては、まず第1に、本研究の中心的なキーワードであるExploratory Practice(EP)に関して、理論的・実践的理解を深め、国際的なレベルで現在どのように展開しているのかを探るために、EPの先駆者である英国リーズ大学のJudith Hanks氏から直接教えを受ける機会に恵まれた。所属学会JACETのサマーセミナー講師及び国際大会基調講演者としてHanks氏が来日した際に、幸いにも学会員としての質疑のみならず個人的にも研究情報を交換することができた。第2に、JACET国際大会で代表を務める自律学習研究会でシンポジウムを企画し、研究会メンバーとの協働でEPと学習者・教師の自律に関して研究発表を行い、多くの参加者たちが協議に参加し盛況であった。第3に、日本教師教育学会で英語教育を含む全体の視点からEPを意識した研究発表を行い、参加した大学教員・大学院生・学校教員などから興味・関心を寄せられ、終了後にも情報を交換し合うことができた。第4に、教員免許状更新講習で現職英語教員に新しい理論と実践について説き、各教育機関における実情に耳を傾かながらアドバイスを与えることができた。第5に、自ら開発した英国Warwick大学への研修で学生引率者として参加し、応用言語学センターの所属研究者たちと対談し、本研究に関わる両国の教育事情について相互理解を深めることができた。第6に、本年度の研究成果について、所属の学会の研究大会で意欲的に口頭発表を行い、学内紀要などに論文を投稿することができた。第1に、本研究のテーマが、これまで強調した知識・技能に加え、リタラシーやコンピタンシーとの統合、チーム学校の組織的教育力の向上などを基本的理念とする日本の教育改革・英語教育改革との関連性が高く、多様な学会・研究会で研究発表をする機会に恵まれた。第2に、本研究を学術的に支える理論・実践について、日本で開催されたいくつかの国際学会への参加を通して、国際的なレベルで理解を深めることができた。第3に、現職英語教員たちと多様な研修を通して直接的に交流したことに加え、学校訪問で管理職の先生たちと対談し、チーム学校の現状を語り合う機会に恵まれた。
KAKENHI-PROJECT-18K00878
https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-18K00878
英語教育関係者間の理解と成長を促し組織的教育力の向上を導く探求的実践に関する研究
第4に、3週間英国を訪問した際に、本研究テーマに関する話題で現地の大学教員・学校教員たちと意見・情報交換を図ることができた。以上から、おおむね順調な初年度であったと判断される。第1に、Exploratory Practice(EP)をよりよく理解するために、同じ系統の質的研究法とされるAction ResearchやReflective Practiceとの違いを再認識し、学会・研究会でも話題を提供して協議し合う。第2に、日本の教育改革を実りあるものにするために、英語教育を含む教育全体を視野に入れてEPの応用可能性を探る。第3に、日本の英語教育の未来を拓くために、現職英語教員を対象にした教師教育に加え、大学における英語教員養成教育をどのように改善するべきかについて、同僚と協議しながら新たなプログラムを開発する。第4に、国内外での学会・研究会において、本研究に関する話題を提供し続けながら、様々な情報を収集し今後の研究の方向性について探究する。第4に、英国Warwick大学応用言語学センターとの連携を深め、英語教員志望生を対象とする海外研修プログラムの教育的効果についてリサーチを継続する。次年度使用額が生じた理由は以下の2点である。初年度内に実施された所属学会の国際大会が、海外ではなく日本を開催地とする場合が予想よりも多かったため、また海外連携大学である英国Warwick大学での調査研究に際して、同大学応用言語学センターで英語教員志望生を対象に行われる短期研修の引率者を兼ねたことで、海外出張経費が所属大学から支出されたためである。残りの約16万円は、次年度の旅費分として請求した助成金額と合わせて使用する計画を立てており、4月6月に開催される学会・研究会参加に要する旅費としての支出が見込まれる。
KAKENHI-PROJECT-18K00878
https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-18K00878
計算機実験による蛋白質の熱安定性の予測と制御
本研究の第1の目的は、これまで筆者が開発してきた蛋白質の熱安定性の計算を行う一連の手順(アミノ酸置換->分子動力学シミュレーション->自由エネルギー計算)を自動化することであった。第2の目的は、この計算方法を並列計算機上で高速化することによって、安定性を短時間で計算することであった。第3の目的は、アミノ酸置換の方法を、様々なアミノ酸に適用できるように拡張することであった。第4の目的は、これらの手法を用いて、実験に先んじて計算を行い熱安定性を予測する事であった。第1の目的の計算の自動化は、アミノ酸置換と分子動力学シミュレーションの実行に必要なUnixシェルを自動生成することで可能にした。更に、グラフィックユーザーインターフェースを作成することによって、自動化を進める予定である。また、第2の目的の計算の高速化は、最も計算時間のかかる分子動力学シミュレーションのCOSMOS90を、富士通VPP5000上でVPP-Fortranを使って高速化することで達成できた。更に、あらゆる並列計算機で高速に稼動するように、HPF(High Performance Fortran)2.0とMPI(Message Passing Interface)を使った並列化を進めている。第3の目的のアミノ酸置換の拡張として、これまで行われていなかった疎水性アミノ酸(Val)<->親水性アミノ酸(Thr)の置換を行って成功した。更に、複雑なアミノ酸同士の置換を行う予定である。第4の目的として計算による予測を行った。核酸結合蛋白質MYB R2ドメインについて、2つの変異体の熱安定性を実験的に先んじて計算して予測した。その結果、2つのうち1つの変異体は予測結果が正しく、もう一つの変異体は正しくないことがわかった。後者については、予測がはずれた原因を解明した。これによって、予測精度は向上した。本研究の第1の目的は、これまで筆者が開発してきた蛋白質の熱安定性の計算を行う一連の手順(アミノ酸置換->分子動力学シミュレーション->自由エネルギー計算)を自動化することであった。第2の目的は、この計算方法を並列計算機上で高速化することによって、安定性を短時間で計算することであった。第3の目的は、アミノ酸置換の方法を、様々なアミノ酸に適用できるように拡張することであった。第4の目的は、これらの手法を用いて、実験に先んじて計算を行い熱安定性を予測する事であった。第1の目的の計算の自動化は、アミノ酸置換と分子動力学シミュレーションの実行に必要なUnixシェルを自動生成することで可能にした。更に、グラフィックユーザーインターフェースを作成することによって、自動化を進める予定である。また、第2の目的の計算の高速化は、最も計算時間のかかる分子動力学シミュレーションのCOSMOS90を、富士通VPP5000上でVPP-Fortranを使って高速化することで達成できた。更に、あらゆる並列計算機で高速に稼動するように、HPF(High Performance Fortran)2.0とMPI(Message Passing Interface)を使った並列化を進めている。第3の目的のアミノ酸置換の拡張として、これまで行われていなかった疎水性アミノ酸(Val)<->親水性アミノ酸(Thr)の置換を行って成功した。更に、複雑なアミノ酸同士の置換を行う予定である。第4の目的として計算による予測を行った。核酸結合蛋白質MYB R2ドメインについて、2つの変異体の熱安定性を実験的に先んじて計算して予測した。その結果、2つのうち1つの変異体は予測結果が正しく、もう一つの変異体は正しくないことがわかった。後者については、予測がはずれた原因を解明した。これによって、予測精度は向上した。本研究の第一の目的は、これまで筆者が開発してきた蛋白質の熱安定性の計算を行う一連の手順(アミノ酸置換->分子動力学シミュレーション->自由エネルギー計算)を自動化することであった。第二の目的は、この計算方法を並列計算機上で高速化することによって、蛋白質のアミノ酸置換を網羅的に行って、多数の変異体の安定性を短時間で計算することであった。また、これらの手法を用いて、実験に先んじて計算を行い熱安定性を予測する事であった。本年度は、まず、熱安定性の一連の計算(アミノ酸置換->分子動力学シミュレーション->自由エネルギー計算)を行うために必要なプログラム(COSMOS90,PERTURB,FENE)をすべて、最新の並列計算機(富士通VPP5000)に移植した。特に、最も計算時間のかかる分子動力学シミュレーションの部分のプログラムCOSMOS90を、高度に並列化することによって高速化することに成功した。そのため、1つの変異蛋白質の熱安定性を半日で計算することが可能になった。一方、核酸結合蛋白質であるMYB R2ドメインについて、2つの変異体の熱安定性を実験的に先んじて計算して予測した。その後、共同研究者が実験を行い予測結果を評価した。その結果、2つのうちの1つの変異体(バリンをメチオニンに変異)は予測結果が正しく、もう一つの変異体(バリンをスレオニン)は正しくないことがわかった。後者については、予測がはずれた原因を明らかにすることによって、正しい計算結果を得られるように計算方法を改善した。今後は、他の蛋白質についても同様の計算を行って、正しい結果が得られることを実証する計画である。本研究の第1の目的は、これまで筆者が開発してきた蛋白質の熱安定性の計算を行う一連の手順(アミノ酸置換->分子動力学シミュレーション->自由エネルギー計算)を自動化することであった。
KAKENHI-PROJECT-12680650
https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-12680650
計算機実験による蛋白質の熱安定性の予測と制御
第2の目的は、この計算方法を並列計算機上で高速化することによって、安定性を短時間で計算することであった。第3の目的は、アミノ酸置換の方法を、様々なアミノ酸に適用できるように拡張することであった。第4の目的は、これらの手法を用いて、実験に先んじて計算を行い熱安定性を予測する事であった。第1の目的の計算の自動化は、アミノ酸置換と分子動力学シミュレーションの実行に必要なUnixシェルを自動生成することで可能にした。更に、グラフィックユーザーインターフェースを作成することによって、自動化を進める予定である。また、第2の目的の計算の高速化は、最も計算時間のかかる分子動力学シミュレーションのプログラムCOSMOS90を、富士通VPP5000上でVPP-Fortranを使って高速化することで達成できた。更に、あらゆる並列計算機で高速に稼働するように、HPF(High Performance Fortran)2.0とMPI(Message Passing Interface)を使った並列化を進めている。第3の目的のアミノ酸置換の拡張として、これまで行われていなかった疎水性アミノ酸(Val)<->親水性アミノ酸(Thr)の置換を行って成功した。更に、複雑なアミノ酸同士の置換を行う予定である。第4の目的として計算による予測を行った。核酸結合蛋白質MYB R2ドメインについて、2つの変異体の熱安定性を実験的に先んじて計算して予測した。その結果、2つのうちの1つの変異体は予測結果が正しく、もう一つの変異体は正しくないことがわかった。後者については、予測がはずれた原因を解明した。これによって、予測精度は向上した。
KAKENHI-PROJECT-12680650
https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-12680650
新規がん患者の口腔保健に関わる自己効力感尺度の開発
本研究の目的は、がん患者の口腔保健に関わる自己効力感尺度を開発し、信頼性、妥当性の検証をすると共に、副次的なアウトカムとして横断研究によってその実態を明らかにし、歯科衛生指導のエビデンス構築及びチーム医療の推進に寄与することを目的としている。2017年度は「がん患者の口腔保健に関わる自己効力感尺度」を開発するためのインタビュー調査および文献検索を実施し、暫定版を作成した。研究計画の当初は半構造化面接法によるインタビュー調査を実施し、完全なオリジナルの尺度を作成する予定であったが、既存の口腔保健に関わる自己効力感尺度と開発する尺度が類似する可能性が示唆された。そこで、作成方法を類似尺度から質問項目を抽出する方法で暫定版を作成することにした。作成の流れは、がん患者に対するインタビューと文献検索によって得られた他の自己効力感尺度から質問項目プールを作成、プールから各質問項目を吟味して抽出し、暫定版の質問用紙を作成した。その後、作成した暫定版について、歯科医師、歯科衛生士によって内容的妥当性について検討を行い、完成させた。2018年度以降は暫定版尺度をがん治療を受ける入院患者(日本の男女別上位5位以内のがん胃・大腸・肝臓・肺・前立腺・乳房に加え、口腔有害事象の頻発部位である頭頚部を加えた7部位のがん患者)に対して、経時的にデータ収集を行い、データ解析により新規開発した尺度の信頼性と妥当性を検証し、その成果報告を行うことを予定していた。現時点で201名の入院患者が登録されており、再テスト法に必要なデータ、継時的なデータ等も含め解析に必要な最低限度の症例数が集まっている。従って、2019年度は中間解析を実施し、信頼性・妥当性を検証する予定である。また、2019年6月にはサンフランシスコにて開催される国際学会にて本研究の成果を報告する予定であり、同時に論文の作成、投稿まで行うことを予定している。2017年度は予定通り「がん患者の口腔保健に関わる自己効力感尺度」を開発するためのインタビュー調査および文献検索を実施し、暫定版を作成した。2018年度よりデータ収集を開始し、現時点で201名の入院患者が登録されており、再テスト法に必要なデータ、継時的なデータ等も含め解析に必要な最低限度の症例数が集まっている。従って、2019年度は中間解析を実施し、信頼性・妥当性を検証する予定であると共に、6月にはサンフランシスコにて開催される国際学会にて本研究の成果を報告する予定であり、同時に論文の作成、投稿まで見通しが立っているため、おおむね順調に進展している。今後、中間解析を実施し、信頼性および妥当性が確認でき次第、データ採取を終了とする。また、速やかに成果を論文化すると共に、本研究にて採取されたデータのサブ解析も行い、研究成果を増やしていくことを予定している。本研究の目的は、がん患者の口腔保健に関わる自己効力感尺度を開発し、信頼性、妥当性の検証をすると共に、副次的なアウトカムとして横断研究によってその実態を明らかにし、歯科衛生指導のエビデンス構築及びチーム医療の推進に寄与することを目的としている。平成29年度は「がん患者の口腔保健に関わる自己効力感尺度」を開発するためのインタビュー調査および文献検索を実施し、暫定版を作成した。研究計画の当初は半構造化面接法によるインタビュー調査を実施し、完全なオリジナルの尺度を作成する予定であったが、既存の口腔保健に関わる自己効力感尺度と開発する尺度が類似する可能性が示唆された。そこで、作成方法を類似尺度から質問項目を抽出する方法で暫定版を作成することにした。作成の流れは、がん患者に対するインタビューと文献検索によって得られた他の自己効力感尺度から質問項目プールを作成、プールから各質問項目を吟味して抽出し、暫定版の質問用紙を作成した。その後、作成した暫定版について、歯科医師、歯科衛生士によって内容的妥当性について検討を行い、完成させた。平成30年度以降は暫定版尺度をがん治療を受ける入院患者400名(日本の男女別上位5位以内のがん胃・大腸・肝臓・肺・前立腺・乳房に加え、口腔有害事象の頻発部位である頭頚部を加えた7部位のがん患者)に対して、経時的に3回のデータ収集を行い、データ解析により新規開発した尺度の信頼性と妥当性を検証し、その成果報告を行うことを予定している。平成29年度は予定通り「がん患者の口腔保健に関わる自己効力感尺度」を開発するためのインタビュー調査および文献検索を実施し、暫定版を作成した。また、すでに平成30年度に実施予定の400名のデータ収集のために協力いただける施設を1施設確保している。従って、平成30年度以降もスムーズにデータ採取に取り掛かることが可能であるため、おおむね順調に進展しているといえる。本研究の目的は、がん患者の口腔保健に関わる自己効力感尺度を開発し、信頼性、妥当性の検証をすると共に、副次的なアウトカムとして横断研究によってその実態を明らかにし、歯科衛生指導のエビデンス構築及びチーム医療の推進に寄与することを目的としている。2017年度は「がん患者の口腔保健に関わる自己効力感尺度」を開発するためのインタビュー調査および文献検索を実施し、暫定版を作成した。研究計画の当初は半構造化面接法によるインタビュー調査を実施し、完全なオリジナルの尺度を作成する予定であったが、既存の口腔保健に関わる自己効力感尺度と開発する尺度が類似する可能性が示唆された。そこで、作成方法を類似尺度から質問項目を抽出する方法で暫定版を作成することにした。
KAKENHI-PROJECT-17K17379
https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-17K17379
新規がん患者の口腔保健に関わる自己効力感尺度の開発
作成の流れは、がん患者に対するインタビューと文献検索によって得られた他の自己効力感尺度から質問項目プールを作成、プールから各質問項目を吟味して抽出し、暫定版の質問用紙を作成した。その後、作成した暫定版について、歯科医師、歯科衛生士によって内容的妥当性について検討を行い、完成させた。2018年度以降は暫定版尺度をがん治療を受ける入院患者(日本の男女別上位5位以内のがん胃・大腸・肝臓・肺・前立腺・乳房に加え、口腔有害事象の頻発部位である頭頚部を加えた7部位のがん患者)に対して、経時的にデータ収集を行い、データ解析により新規開発した尺度の信頼性と妥当性を検証し、その成果報告を行うことを予定していた。現時点で201名の入院患者が登録されており、再テスト法に必要なデータ、継時的なデータ等も含め解析に必要な最低限度の症例数が集まっている。従って、2019年度は中間解析を実施し、信頼性・妥当性を検証する予定である。また、2019年6月にはサンフランシスコにて開催される国際学会にて本研究の成果を報告する予定であり、同時に論文の作成、投稿まで行うことを予定している。2017年度は予定通り「がん患者の口腔保健に関わる自己効力感尺度」を開発するためのインタビュー調査および文献検索を実施し、暫定版を作成した。2018年度よりデータ収集を開始し、現時点で201名の入院患者が登録されており、再テスト法に必要なデータ、継時的なデータ等も含め解析に必要な最低限度の症例数が集まっている。従って、2019年度は中間解析を実施し、信頼性・妥当性を検証する予定であると共に、6月にはサンフランシスコにて開催される国際学会にて本研究の成果を報告する予定であり、同時に論文の作成、投稿まで見通しが立っているため、おおむね順調に進展している。今後、調査対象施設のリクルートを継続的に行い、理想的なサンプルサイズに近づける。また、200名程度のサンプルが採取された際には、中間解析を実施し、副次的なデータについては、学会発表や論文投稿を行なっていく予定である。今後、中間解析を実施し、信頼性および妥当性が確認でき次第、データ採取を終了とする。また、速やかに成果を論文化すると共に、本研究にて採取されたデータのサブ解析も行い、研究成果を増やしていくことを予定している。当初データ採取が予定より早まる可能性を見越して本年度にデータ解析用の物品費を計上していたが、予定が計画通りのスピードで進行したため平成30年度以降に物品を購入する予定となったため、想定していた物品費が余剰となっている。当初データ採取が予定より早まる可能性を見越して2017度にデータ解析用の物品費を計上していたが、予定が計画通りのスピードで進行したため2018年度以降に物品を購入する予定となったため、想定していた物品費が余剰となっている。
KAKENHI-PROJECT-17K17379
https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-17K17379
乳幼児の睡眠・覚醒リズムの発達とその発達過程に及ぼす要因に関する継続研究
本研究は、乳幼児の睡眠・覚醒リズムの発達とその発達過程に及ぼす要因、とくに母親の生活行動との関連性を主として検討した。16名の母子ペアーの睡眠日誌は、出産時から1年間に亘って連続して母親に記入してもらい、また3名の母子ペアーについては、出産後、3週目、6週目、9週目、15週目、23週目、34週目および55週目に、連続して2週間を通して手首actigraphyを記録した。乳児における睡眠・覚醒リズムの平均自己相関からみると、乳児の活動・休息のサーカデイアンリズムは出生後3週齢ですでに出現するものもみられた。24時間ピークのサーカデイアン振幅は、出生後5週から10週齢にかけて急激に増大することから、乳児におけるサーカデイアン睡眠リズムの発達の指標に使用できるかもしれない。また、セミ・サーカデイアンリズムと考えられる約12時間ピークのリズムは、6週齢ごろから観察された。一方、母親のサーカデイアン睡眠リズムの振幅は、分娩後3週目に著しく減少したが、その後振幅は増大傾向にあった。分娩後3週目における母親のサーカデイアンリズムは、彼女らの乳児の世話によって夜間中の睡眠が乱れることに影響していた。母親と乳児の夜間睡眠における就寝・起床時刻は、出生から55週齢まで類似した変化を示していたが、初産婦の母子ペアーの就寝・起床時刻は経産婦の母子ペアーのそれらよりも遅延していた。第1子と第2子以降の乳児の睡眠時間については、出生直後の週齢では第1子で短縮し、出生第5週齢から第10週齢にかけては第2子以降の昼間期で短縮していた。それらの結果から、母親の睡眠行動は乳児のサーカデイアン睡眠・覚醒リズムの強い同調要因となるとともに、母親の養育態度や兄弟による睡眠妨害などが、乳児の睡眠リズムの発達に修飾影響を与えているものと推測された。幼児を対象とした研究では90分の昼寝の有無に関する介入研究から、習慣的な長い昼寝の悪影響を明らかにした。また、小学4年から中学3年生1682名の調査結果から、学年進行とともに就寝時刻の遅延、睡眠時間の短縮、授業中の眠気が増大したが、これらは、自宅でのパソコンゲームや課外授業と関連していることを指摘した。本研究は、乳幼児の睡眠・覚醒リズムの発達とその発達過程に及ぼす要因、とくに母親の生活行動との関連性を主として検討した。16名の母子ペアーの睡眠日誌は、出産時から1年間に亘って連続して母親に記入してもらい、また3名の母子ペアーについては、出産後、3週目、6週目、9週目、15週目、23週目、34週目および55週目に、連続して2週間を通して手首actigraphyを記録した。乳児における睡眠・覚醒リズムの平均自己相関からみると、乳児の活動・休息のサーカデイアンリズムは出生後3週齢ですでに出現するものもみられた。24時間ピークのサーカデイアン振幅は、出生後5週から10週齢にかけて急激に増大することから、乳児におけるサーカデイアン睡眠リズムの発達の指標に使用できるかもしれない。また、セミ・サーカデイアンリズムと考えられる約12時間ピークのリズムは、6週齢ごろから観察された。一方、母親のサーカデイアン睡眠リズムの振幅は、分娩後3週目に著しく減少したが、その後振幅は増大傾向にあった。分娩後3週目における母親のサーカデイアンリズムは、彼女らの乳児の世話によって夜間中の睡眠が乱れることに影響していた。母親と乳児の夜間睡眠における就寝・起床時刻は、出生から55週齢まで類似した変化を示していたが、初産婦の母子ペアーの就寝・起床時刻は経産婦の母子ペアーのそれらよりも遅延していた。第1子と第2子以降の乳児の睡眠時間については、出生直後の週齢では第1子で短縮し、出生第5週齢から第10週齢にかけては第2子以降の昼間期で短縮していた。それらの結果から、母親の睡眠行動は乳児のサーカデイアン睡眠・覚醒リズムの強い同調要因となるとともに、母親の養育態度や兄弟による睡眠妨害などが、乳児の睡眠リズムの発達に修飾影響を与えているものと推測された。幼児を対象とした研究では90分の昼寝の有無に関する介入研究から、習慣的な長い昼寝の悪影響を明らかにした。また、小学4年から中学3年生1682名の調査結果から、学年進行とともに就寝時刻の遅延、睡眠時間の短縮、授業中の眠気が増大したが、これらは、自宅でのパソコンゲームや課外授業と関連していることを指摘した。本研究は、出産から最初の14週齢までにおける乳児の睡眠・覚醒リズムの発達と、母親の睡眠行動が乳児の睡眠リズムに及ぼす影響を検討した。妊娠末期にインフォムドコンセントをえた12名の母親(経産婦6名、初産婦6名)には、母親自身と赤ちゃんの睡眠日誌を出生時から14週間以上記録することをお願いした。全て母親は正常な妊娠と出産であった。乳児の1日当たりの昼間期(8:0020:00)における平均睡眠時間は、出産1週目から14週目にかけて暫時短縮していた。高速フーリエ解析による24時間周期のPower spectroは、出産後第6週目頃から第14週目にかけて急激に増大し、9週齢以降に有意な増大をみた。
KAKENHI-PROJECT-14570366
https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-14570366
乳幼児の睡眠・覚醒リズムの発達とその発達過程に及ぼす要因に関する継続研究
correlogramパターンを分類するためにクラスター分析をおこなった結果、種々のオートラディアン・リズムが混在し、サーカディアン要素がみられないパターンA、比較的優勢なサーカディアン要素と12時間ないしは3一間の周期が混在するパターンB、極めて優勢なサーカディアン要素を示すパターンCの3つに識別された。出産から6週齢まではパターンAが優勢であるが、第8週(58.3%)から第9週(83.3%)にかけて多くの乳児はパターンBに移行し、さらに第10週以降になるとパターンCを示す乳児もみられた。夜間における母親と乳児の就寝・起床時刻は、出生後14週間を通し類似した変化を示していたが、初産婦の母子は経産婦の母子よりも就寝・起床時刻とも遅かった。これらの結果から、乳児の睡眠・覚醒リズムの発達過程には大きな個人差がともなっているとはいえ、出生後6週齢以降から徐々に24時間周期の環境リズムに同期していくものと推測された。また、母親の睡眠習慣や哺育経験の有無、乳児以外の子供の存在有無など社会的同調因子が、乳児の睡眠リズムの発達に修飾影響を与えているものと推測された。本研究の目的は、上記の研究課題、「乳幼児の睡眠・覚醒リズムの発達とその発達過程に及ぼす要因に関する継続研究」である。本年度の研究は、1)客観的な睡眠・覚醒判定の信頼性が既に確認されているactigraphy測定装置を用い出産直後から産後15週間にわたって継続した母親の睡眠・覚醒パターンを詳細に検討するとともに、2)12組の母子ペアーで乳児の睡眠リズムの発達過程に母親の睡眠・覚醒行動が及ぼす影響について検討した。3)幼児期における昼寝の動向を探るために、actigraphyと母親が記載した睡眠日誌を用い、16名の保育園児(3才児と4才児)に規則で決められた90分間の昼寝がある場合とそれがない場合につき夜間睡眠との関連性で比較検討した。上記のいずれの研究にあっても、乳児と幼児の母親または父親からインフォームド・コンセントが得られた。1)の研究では、産後における母親の夜間の睡眠パターンは大きく乱れていた。全睡眠時間は短縮し、睡眠効率は低下し、中途覚醒が増大し、サーカデイアン振幅が有意に減少していた。2)の研究では、初産婦の母子は経産婦の母子よりも就寝・起床時刻が全ての週で遅延していた。母親の夜間睡眠中で乳児が眠っている時間のパーセンテージは、週齢とともに上昇していたが、出世以後の前半の週では初産婦の乳児でそのパーセンテージが高く、後半の週齢では低かった。母親の睡眠習慣や哺育経験の有無、乳児以外の兄弟の存在有無などが、乳児の睡眠・覚醒リズムの発達に修飾影響を及ぼしていた。3)の研究では90分間の昼寝がある条件では、就寝時刻が遅く、全睡眠時間が短縮し、睡眠効率が悪化し、中途覚醒時間や中途覚醒数が増加し、circadian周期の振幅が有意に低下していた。習慣的に長い昼寝時間の悪影響を指摘した。上記の成績については2編の英文雑誌に掲載され、各種国際学会4報・国内学会3報で発表した。本研究は、上記の研究課題、すなわち「乳幼児の睡眠・覚醒リズムの発達とその発達過程に及ぼす要因に関する継続研究」を遂行することである。本年度の研究は、さらに例数を増やして、1)actigraphy測定装置と睡眠日誌を用いて出産直後から産後15週間にわたって継続した母子ペアーの睡眠覚醒行動を検討した。2)幼児期における睡眠・覚醒パターンの変化と、保育園でとる昼寝の影響を探るために、actigraphyと母親が記載した睡眠日誌をもちいて16名の保育園児で検討した。上記の研究にあっては、乳児および幼児の母親または父親からいずれもインフォームド・コンセントが得られた。1)の研究では、(1)まず分娩直後から約1か月間における母親の夜間の睡眠パターンは大きく乱れていた。
KAKENHI-PROJECT-14570366
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マグネシウム添加タンタル酸リチウムを用いた高効率・高出力中赤外レーザー光発生
多様な中赤外波長域レーザー実現のための波長変換技術に適した新たな非線形光学材料である、マグネシウム添加コングルエント組成タンタル酸リチウム(Mg:LiTaO3)結晶について、透過特性、熱伝導特性、反転抗電界特性などの基礎評価と、これを用いた高出力波長変換に適した最大5mm厚までの周期分極反転構造を実現したほか、初めての光パラメトリック発振実験を行い、この結晶の有用性を確認した。多様な中赤外波長域レーザー実現のための波長変換技術に適した新たな非線形光学材料である、マグネシウム添加コングルエント組成タンタル酸リチウム(Mg:LiTaO3)結晶について、透過特性、熱伝導特性、反転抗電界特性などの基礎評価と、これを用いた高出力波長変換に適した最大5mm厚までの周期分極反転構造を実現したほか、初めての光パラメトリック発振実験を行い、この結晶の有用性を確認した。本研究では、多様な中赤外波長域レーザー実現のための波長変換技術に適した新たな非線形光学材料である、マグネシウム添加コングルエント組成タンタル酸リチウム(Mg:LiTaO_3)結晶の基礎特性評価と、これを用いた高出力中赤外波長域レーザー発振を主たる目的としている。研究初年度である平成19年度は、以下に示すように、主に各物性値評価と、波長変換用素子作製のための周期分極反転条件の検討およびそのための装置作製を実施した。1.基礎的物性値評価として、紫外域から中赤外域における光学透過特性、熱伝導率の評価を実施した。それぞれの評価は、方位の異なる結晶材料を用いることで、各方位の特性を個別に評価した。従来の無添加結晶に比較して、光学透過域は拡大し、熱伝導率は向上するなど、特性が改善されていることが確認できた。2.強誘電体の周期分極反転において重要な物性値である分極反転抗電界値に関して、Mg:LiTaO_3ではこれが結晶温度やマグネシウム添加濃度に対して大きな依存性をもつことを確認し、実際の周期分極反転に適した条件を検討した。この分極反転抗電界値は、特にマグネシウム添加濃度に対して反転抗電界値の依存性が大きく、無添加結晶と比較して数分の一にまで低下することを明らかとした。初年度の結果を元に、次年度ではMg:LiTaO_3を用いた実際の大口径波長変換素子を作製し、これを用いた中赤外域光パラメトリック発振実験を実施する予定である。本研究では、多様な中赤外波長域レーザー実現のための波長変換技術に適した新たな非線形光学材料である、マグネシウム添加コングルエント組成タンタル酸リチウム(Mg : LiTaO_3)結晶の基礎特性評価と、これを用いた高出力中赤外波長域レーザー発振を主たる目的としている。研究2年目で最終年度である平成20年度は、以下に示すように、主に実際の大口径波長変換素子の作製と、これを用いた中赤外域光パラメトリック発振実験を行った。1.前年度の結果をもとに、Mg : LiTaO_3結晶を用いた中赤外光発生用大口径擬似位相整合波長変換素子の作製を行った。その結果、現段階では3mm厚×3mm幅を持つ素子開口サイズまでは、光学実験に適用可能な精度を持つ素子が実現できた。これに加えて5mm厚結晶でも擬似位相整合波長変換素子に必要な周期構造形成が実現できることを確認した。これにより現段階では最大5mm×5mm幅開口サイズまでの素子を実現できる見通しを得た。2.作製した3mm厚×3mm幅開口の中赤外光発生用大口径擬似位相整合波長変換素子を用いて、光パラメトリック発振実験を実施した。波長1.064ミクロンのナノ秒パルス光励起で、出力光の波長は1.65ミクロンおよび3.00ミクロンであり、励起光エネルギー67mJ時に全出力エネルギー24mJを得た。以上、2年間の検討により、Mg : LiTaO_3結晶の基礎特性評価と、これを用いた波長変換による高出力中赤外光発生を実現し、その有用性を確認した。
KAKENHI-PROJECT-19760038
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ショウジョウバエの分布を制限する要因の解明
ショウジョウバエ科昆虫は、熱帯、寒帯まで主に森林地帯に広く分布している。しかし、それぞれの種がもつ分布範囲はそれほど広い訳でなく、熱帯種は熱帯にのみ、温帯種は温帯にのみ分布している。今回の研究は、何故熱帯種は温帯に分布できないのか、何故温帯種は熱帯に分布できないのか、という問題を取り扱った。まず、何故熱帯種は温帯に分布できないのかという問題であるが、日本産30種を対象とした比較研究から、低温耐性が低いことがその原因であると結論された。ところで、低温に適応した種は代謝率が高いという報告がさまざまな生物でなされているが、ショウジョウバエでは、そのような傾向は認められなかった。次に、何故温帯種は熱帯に分布できないのか、という問題であるが、低温耐性の獲得に伴い何らかの適応形質が変化し、そのため暖かい地域で不利になり、生息できないという可能性がある。そこで、28種を対象に、歩く速度と蛹の発育速度調べた。歩く速度は敏捷性を反映していると考えられ、歩く速度が遅いとより捕食者に襲われやすい可能性がある。蛹期間が長い(蛹の発育速度が遅い)と、やはり、捕食者、寄生者、感染性微生物に襲われる確率が高くなると考えられる。実験の結果、低温耐性の高い種ほど歩く速度が遅く、蛹の発育速度も遅いことが示された。したがって、低温耐性が高い種が暖かい地域に分布できないのは、低温耐性が低い種に比べ、捕食者,寄生者や感染性微生物に襲われやすいためである可能性がある。しかしながら、ショウジョウバエの捕食者,寄生者や感染性微生物についての情報は極めて限られている。そこで、日本全土でショウジョウバエの寄生蜂について調査し、20種近い種を確認した。今後、熱帯のショウジョウバエが温帯種に比べ寄生蜂に攻撃されにくいかどうかを調べる必要がある。ショウジョウバエ科昆虫は、熱帯、寒帯まで主に森林地帯に広く分布している。しかし、それぞれの種がもつ分布範囲はそれほど広い訳でなく、熱帯種は熱帯にのみ、温帯種は温帯にのみ分布している。今回の研究は、何故熱帯種は温帯に分布できないのか、何故温帯種は熱帯に分布できないのか、という問題を取り扱った。まず、何故熱帯種は温帯に分布できないのかという問題であるが、日本産30種を対象とした比較研究から、低温耐性が低いことがその原因であると結論された。ところで、低温に適応した種は代謝率が高いという報告がさまざまな生物でなされているが、ショウジョウバエでは、そのような傾向は認められなかった。次に、何故温帯種は熱帯に分布できないのか、という問題であるが、低温耐性の獲得に伴い何らかの適応形質が変化し、そのため暖かい地域で不利になり、生息できないという可能性がある。そこで、28種を対象に、歩く速度と蛹の発育速度調べた。歩く速度は敏捷性を反映していると考えられ、歩く速度が遅いとより捕食者に襲われやすい可能性がある。蛹期間が長い(蛹の発育速度が遅い)と、やはり、捕食者、寄生者、感染性微生物に襲われる確率が高くなると考えられる。実験の結果、低温耐性の高い種ほど歩く速度が遅く、蛹の発育速度も遅いことが示された。したがって、低温耐性が高い種が暖かい地域に分布できないのは、低温耐性が低い種に比べ、捕食者,寄生者や感染性微生物に襲われやすいためである可能性がある。しかしながら、ショウジョウバエの捕食者,寄生者や感染性微生物についての情報は極めて限られている。そこで、日本全土でショウジョウバエの寄生蜂について調査し、20種近い種を確認した。今後、熱帯のショウジョウバエが温帯種に比べ寄生蜂に攻撃されにくいかどうかを調べる必要がある。分布を決定する要因としてはまず温度耐性が挙げられる。本研究では、札幌、東京、西表島より得られたショウジョウバエ29種について、分布の北限、南限と低温耐性、高温耐性との関係について調べた。23°Cで飼育した羽化後8日目のメス成虫について、低温(-810°C)および高温(2835°C)に24時間曝した場合の死亡率を求め、その結果より半数致死温度を算出し、温度耐性の指標とした。その結果、低温耐性はより北方まで分布する種ほど低く、低温耐性がショウジョウバエの北限を決定している重要な要因であることが分かった。しかし、低温耐性と北限は完全に一致している訳ではなかった。キハダショウジョウバエ、オウトウショウジョウバエは、低温耐性が低いにも関わらず、北海道まで分布していた。これらのハエは人家のような暖かい場所で越冬しているか、それとも毎年南方から移動してきていると考えれた。トビクロショウジョウバエも低温耐性が低いが、このハエは札幌近郊では優占種であり、本種がどのように越冬しているかについては不明である。ヒメホシショウジョウバエとフタオビショウジョウバエは比較的低温耐性が高いにも関わらず、北海道には分布していない。北海道には、これら2種とニッチの似た低温により強い種が分布しており、これらの種との競争により北海道には分布できない可能性がある。一方、分布の南限と高温耐性にはなんの関係も見い出されなかった。むしろ、より南方まで分布する種ほど低温耐性が低くなる傾向が見られた。このことから、低温耐性を獲得すると、それにともなうトレードオフにより、南方の環境で不利になると考えられた。
KAKENHI-PROJECT-14540571
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ショウジョウバエの分布を制限する要因の解明
昨年度までの研究により、高緯度地域に生息するショウジョウバエは耐寒性が高く、またその多くは低緯度地域には生息していないことが明らかになっている。これらの高緯度種は耐寒性の獲得に伴い低緯度地域で生存し繁殖する能力を失ったと考えられる。一般に、低緯度地域では高緯度地域に比べ、捕食者、感染性微生物の密度が高いと考えられており、高緯度種は捕食者、感染性微生物から逃れる能力を失った可能性がある。そこで、感染性微生物・捕食性寄生蜂に対する防御反応を高緯度種と低緯度種で比較することを目指し、まず、感染性微生物・捕食性寄生蜂に対する防御反応を定量化することを試みた。現在のところ、感染性微生物に対する防御反応については定量化には至っていない。一方、寄生蜂に対する防御反応を調べるには、まず寄生蜂のホストに対する選好性を明らかにする必要があるが、今回、寄生蜂Asobara japonicaについてその選好性を明らかにした。今後、ショウジョウバエ各種の本寄生蜂に対する防御反応を調べる予定である。今年度は、また、高緯度地域(札幌)、中緯度地域(東京・仙台)、低緯度地域(西表島)においてショウジヨウバエの寄生蜂相と寄生率について調べた。その結果、これらの地域から8種の寄生蜂が確認され、その多くが未記載種であった。また寄生率は東京、仙台、西表島ではかなり高かったが、札幌では低かった。このことは、低緯度地域では高緯度地域に比べ捕食圧が高いという予測を支持している。ただ、今回の研究は果実食ショウジョウバエのみを対象にしており、今後キノコ食ショウジョウバエの寄生蜂についても調査が必要である。これまでの研究により、高緯度地域に生息するショウジョウバエは耐寒性が高く、またその多くは低緯度地域には生息していないことが明らかになっている。これらの高緯度種は耐寒性の獲得に伴い低緯度地域で生存し繁殖する能力を失ったと考えられる。低緯度では捕食圧や病原体の感染率が高いと考えられ、高緯度種は、低温耐性獲得により、捕食や感染の回避能力が低下したため、低緯度に生息できない、という可能性がある。そこで、昨年度から、捕食性寄生蜂に対する防御反応を高緯度種と低緯度種で比較することを目指し、寄生蜂についての研究を開始した。昨年度はまず、寄生蜂Asobara japonicaの寄主選好性を明らかにした。本年度は、さらに、A.rossica, A.mitsuii, Leptopilina victoriae, Ganaspis xanthopodaについてその選好性を明らかにした。今後、ショウジョウバエ各種のこれら寄生蜂に対する防御反応を調べる予定である。今年度はまた、冷温帯、暖温帯、亜熱帯より得られた28種のショウジョウバエを用い、高緯度地域に生息する種は代謝率を高めて寒さに対処している、という仮説について検討を加えた。その結果、一般的な解析でも、系統的制約を考慮した解析においても、この仮説は支持されなかった。むしろ、統計的には有意ではないものの、低緯度に生息する種の方が、代謝率が高いという傾向が認められた。このことは、低緯度に生息する種は、捕食から逃れるため、代謝率を高めている可能性を示唆している。このことは、細胞膜のリン脂質の脂肪酸組成からの予測とも一致する。
KAKENHI-PROJECT-14540571
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大学における「職場のいじめ・嫌がらせ」の定義とキャリアカウンセラーの役割
本研究は、大学におけるハラスメント予防を目的として、日本の大学が発行したハラスメント防止ガイドラインを対象に「いじめ・嫌がらせ」の概念の特徴について示した。具体的には、全数調査によりハラスメント防止ガイドラインの作成および公開状況について調べると同時に全国の大学からガイドラインを入手し、以下の分析を実施した。1.クラスター分析を用いたハラスメントの分類方法の特徴、2.テキスト分析を用いたガイドラインのタイトルやガイドラインに掲載されている「事例」の特徴を示した。3.聞き取り調査を行い日英比較によるハラスメント概念の違いや政策の違いを示し、日本の大学におけるハラスメント対策の課題を示した。平成25年度は、全国の日本の国公私立大学1137を対象に、アンケート調査を行い、ハラスメント防止対策マニュルアルやそれに準ずる資料を482資料収集した。平成26年度は、科研協力者とともに482資料を全て電子データ化し、データ整理し、テキスト分析のための下準備を行い、分析計画を練った。482資料中、資料タイトルに「ガイドラン」または「指針」と記載されている148資料を対象に、テキスト分析ソフトに読み込むためのエクセルシートの原本を作成する下準備を整えた。具体的には、1.全ての資料にIDをつけ、全ての資料を印刷→2.印刷した資料をスキャンしてワード化→3.ワード資料の文字化け修正→4.プレーンテキストエディタをもちいてプレーンテキスト化→5.全てのテキストを一文一行に配列する作業を実施した。全ての工程でダブルチェックまたはトリプルチェックを行った。この作業と並行して、148資料を大学ごとに統合し、各大学がハラスメントをいくつに分類しているか、どのような名称を用いて分類しているかについてダミー変数を用いてカウントし、クラスター分析を行った。パワー・ハラスメント、セクシャル・ハラスメント、アカデミック・ハラスメントの3分類法を用いている大学のうちセクシュアル・ハラスメント事例が掲載されている大学を抽出し、テキスト分析を実施した。研究成果の報告は、学会および研究会にて3回報告し、海外のオンラインジャーナルへの論文投稿(掲載済)を1回行った。昨年度に引き続き、科研研究会を1回開催し、研究協力者(大学院生2名)とともに報告を行った。実務レベルでは、教職員を対象にFD研修(国際FDワークショップ初心者向けキャリア・カウンセリング入門)を実施し、国内外から大学カウンセラーを招へいして学生相談支援の基本について学習する機会を提供した。平成27年度は、1.引き続きテキスト分析のためのデータ整理をした。2.ハラスメント防止関連資料を対象とするテキスト分析と、3.日英の大学関係者を対象にハラスメント予防の取り組みについて聞き取り調査を実施した。その成果の一部は、学会報告5回、講演会1回、論文1本(掲載決定、2016年6月発行予定)により公開した。概要は以下のとおりである。上記1については、1248校を対象に、ハラスメントの名称と分類の個数を入力し、個々の資料と大学基本情報のひもづけをした。2このうちセクシュアル・ハラスメント、アカデミック・ハラスメント、パワー・ハラスメントの3分類法を用いている大学130校を抽出し、大学ごとに「事例」を抽出した。3その後、各分類ごとに「事例」の一覧表を作成した。上記2については、上記1で準備した一覧表を用いて、1130校のハラスメントの分類方法の特徴についてテキスト分析とクラスター分析を実施し、日本の大学が「ハラスメント」と見なす行為を何種類に分類しているのか調べた。2日本の大学のハラスメント防止ガイドライン174資料を対象にガイドラインのタイトルの特徴についてテキスト分析とデータ解析を実施し、「セクシュアル」という語の有無でタイトルの内容に差があるかどうかについて検討した。その結果を受けて、3130校中、セクシュアル・ハラスメント事例があり、男女の学生総数の回答があった28校を対象にテキスト分析を実施し、女性の割合と男性の割合がそれぞれ多い大学の特徴を比較分析した。13の成果の一部は、6月に学会報告、10月の講演会で一般市民を対象に一部報告した。上記3については、日英の大学関係者8名を対象に聞き取り調査を実施し、ハラスメント概念の有無とその実態、各校のハラスメント防止の取り組みについて調べた。そのためのテープ起こしと翻訳作業を行った。この成果の一部は、9月に学会報告した。本研究は、大学におけるハラスメント予防を目的として、日本の大学が発行したハラスメント防止ガイドラインを対象に「いじめ・嫌がらせ」の概念の特徴について示した。具体的には、全数調査によりハラスメント防止ガイドラインの作成および公開状況について調べると同時に全国の大学からガイドラインを入手し、以下の分析を実施した。1.クラスター分析を用いたハラスメントの分類方法の特徴、2.テキスト分析を用いたガイドラインのタイトルやガイドラインに掲載されている「事例」の特徴を示した。3.聞き取り調査を行い日英比較によるハラスメント概念の違いや政策の違いを示し、日本の大学におけるハラスメント対策の課題を示した。当初予定していた定義の分析にまで至っていない。その理由は以下のとおりである。・テキスト分析の下準備にかなりの時間を要する。テキスト分析ソフトの使い方が予想以上に難しい。SPSSテキスト分析ソフトのマニュアルは市販されていないため、手さぐりで操作方法を学習しなければならない。・人員不足のため、作業がなかなか進まなかった。特任教員であるため、身近に仕事を依頼できる大学院生がいないため、適任の人材を探すのに苦労する。・エフォート10%という制約があったため十分な研究時間を作ることができなかった。
KAKENHI-PROJECT-25380682
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大学における「職場のいじめ・嫌がらせ」の定義とキャリアカウンセラーの役割
・膨大な資料の中から、分析対象となるテキスト(宣言文、定義、事例)をいかにバイアスのない方法で抽出し、正確に、効率よくデータ化し、整理してテキスト分析を行うかについて考案するのに多くの時間がかかった。新しい問題に直面しては議論し、調査方法論を確立するまで試行錯誤を繰り返しながら進めなければならなかった。ジェンダーの社会学・今年度6月に開催される北海道社会学会でテキスト分析を用いた結果を報告する。・イギリスの大学におけるハラスメント予防の取り組み事例について情報収集し、イギリスの大学で主要な役割を担っている人物を調査訪問し、指導・助言を受ける。・上述した148資料を対象に、大学ごとにハラスメント予防の宣言文、事例、定義が記載されているテキストを抽出し、エクセルシートを作成する。大学ごとに作成したエクセルシートを統合してデータ原本(読み込み用エクセルシート)を作成し、SPSSテキスト分析ソフトに読み込み、分析を行う。この成果の一部を今年度中に報告する。・今年度中に原著論文を研究協力者2名とともに執筆し、1本投稿する。・今年度中にホームページを作成し、本科研の成果を一般に公開する。全国の1137の日本の国公私立大学に対し、ハラスメント防止対策マニュルアルやそれに準ずる資料についての基本アンケート調査を実施し、資料提供の協力をよびかけ、全国347の大学から資料を郵送また電子メールにより入手した。本科研の調査内容および調査結果は、国内外の学会で計2回報告した。国内では第61回北海道社会学会にて科研の概要について報告し、国外では、イギリスのオックスフォード大学で毎年行われている2014 Spring Oxford Round Table Sessionにて、調査概要と結果について報告した。この他、科研研究会を1回開催した。科研研究会(於:首都大学東京)では、連携研究者1名(江原由美子氏首都大学東京教授)、テキスト分析に詳しい研究者1名(左古輝人氏首都大学東京准教授)、大学における女性研究者のキャリア形成およびハラスメント問題に詳しい研究者1名(坂無淳氏立教大学助教)、大学の相談員として10年以上の経歴がある臨床心理士1名(佐藤順子氏元大学非常勤講師)を招へいし、大学における「職場のいじめ・嫌がらせ」の定義の変遷について議論し、主にテキスト分析ソフトの基本的な使い方について勉強した。昨年度までに収集した資料のテキスト分析をする予定であったが未だ開始できていない。理由は以下のとおりである。・昨年4月より特任教員(非常勤職員)として採用され実務に専念しなければならない状況であったこと。・テキスト分析に関する専門的知識を有する研究協力者が見つかっていないこと。複数のイギリスの大学を調査訪問するための十分な調査期間を確保することができなかったため、調査に行くことができなかった。そのため、海外旅費、滞在中の文献複写費、運搬費、通信費の支出がなかった。
KAKENHI-PROJECT-25380682
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新規テルペン環化酵素の微生物ゲノムからの発掘
本研究では、ゲノム解析から見出された推定のテルペン環化酵素の機能解析を行い、新規環状骨格を形成する環化酵素の発見につなげることを目的としている。本年度において、すでにクローニングと大腸菌における発現を達成している結核菌Mycobacteriumtuberculosis由来の推定環化酵素について研究を進めた。基質はゲラニルゲラニル2リン酸であることが判明していたが、生成物の構造は確定していなかった。そこで、単離・精製し、MS及びNMRによって構造解析したところ、今までに見出されていないハリマン骨格のジテルペン(二リン酸体)であることが解った。他のミコバクテリア属にも新規テルペンが存在するのではないかと予想し、Mycobacterium smegmatisの炭化水素成分のGC-MS分析を行ってみた。その結果、新規物質の可能性がある2種類の脂質を見出すことができた。大量培養後、各種クロマトグラフィーによって単離・精製した。MS及びNMRによって構造解析したところ、両者ともC_<35>の単環性の炭化水素であることが判明した。構造からヘプタプレニル二リン酸の二リン酸脱離から開始する環化反応によって生合成されることが推測される。我々の知る限り、このようなC_<35>テルペン類の報告はなく、天然物として初めての例ではないかと考えている。スクアレン環化酵素の研究も同時に進めた。変異型酵素を機能解析し、反応最終段階の脱プロトン化の触媒機構について新たな知見を得ることができた。また、原核生物のスクアレン環化酵素を真核生物由来トリテルペン環化酵素型(Gly600欠損型酵素)の基質特異性へ改変することに成功した。本研究では、ゲノム解析から見出された推定のテルペン環化酵素の機能解析を行い、新規環状骨格を形成する環化酵素の発見につなげることを目的としている。本年度において、結核菌Mycobacterium tuberculosis由来の推定環化酵素のクローニング・大腸菌における発現・酵素活性検定を進めた。基質はゲラニルゲラニル2リン酸であることが判明した。さらに、生成物の単離を行い、MSとNMRにて構造を決定した。その結果、今までに見出されていないハリマン骨格のジテルペンであることが解った。この結果に基づき、他のミコバクテリア属にも新規テルペンが存在するのではないかと予想し、Mycobacterium smegmatisの炭化水素成分のGC-MS分析を行ってみた。その結果、結核菌よりも炭素数が大きく環状骨格を持つと考えられるテルペンが検出された。現在、大量培養を行い、単離精製を行っている。また、以前から研究を行ってきているトリテルペン環化酵素の触媒機構の解明も進めた。今回、脱プロトン化の詳細な触媒機構を解明するため、推定の脱プロトン化部位に位置する10個のアミノ酸残基を標的にした変異型酵素を作成し、生成物の分布や速度論定数を解析した。Q262とP263が、ホパノールやhop-21(22)-eneの様な副生成物の形成を抑えるために有効に働くことが判明した。また、水素結合ネットワークの構成アミノ酸残基(T41,E45,E93,R127およびW133)は、脱プロトン化の反応速度を促進するために重要であることが解った。さらに、Y267,F434およびF437の芳香族側鎖は、おそらく酵素の表面から反応キャビティーへ基質を導く機能をもっていると推定できた。本研究では、ゲノム解析から見出された推定のテルペン環化酵素の機能解析を行い、新規環状骨格を形成する環化酵素の発見につなげることを目的としている。本年度において、すでにクローニングと大腸菌における発現を達成している結核菌Mycobacteriumtuberculosis由来の推定環化酵素について研究を進めた。基質はゲラニルゲラニル2リン酸であることが判明していたが、生成物の構造は確定していなかった。そこで、単離・精製し、MS及びNMRによって構造解析したところ、今までに見出されていないハリマン骨格のジテルペン(二リン酸体)であることが解った。他のミコバクテリア属にも新規テルペンが存在するのではないかと予想し、Mycobacterium smegmatisの炭化水素成分のGC-MS分析を行ってみた。その結果、新規物質の可能性がある2種類の脂質を見出すことができた。大量培養後、各種クロマトグラフィーによって単離・精製した。MS及びNMRによって構造解析したところ、両者ともC_<35>の単環性の炭化水素であることが判明した。構造からヘプタプレニル二リン酸の二リン酸脱離から開始する環化反応によって生合成されることが推測される。我々の知る限り、このようなC_<35>テルペン類の報告はなく、天然物として初めての例ではないかと考えている。スクアレン環化酵素の研究も同時に進めた。変異型酵素を機能解析し、反応最終段階の脱プロトン化の触媒機構について新たな知見を得ることができた。また、原核生物のスクアレン環化酵素を真核生物由来トリテルペン環化酵素型(Gly600欠損型酵素)の基質特異性へ改変することに成功した。
KAKENHI-PROJECT-15780083
https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-15780083
公務労使関係法制の憲法学的研究――フランス公務員参加法との比較を通して
以下のとおり、日仏における公務労使関係法制に関する研究に従事した。一方では、フランス法につき、オランド政権において大幅に改革された公務員倫理法制を検討することにより、その改革の過程の中で、公務員参加法制が、意見表明と権利擁護の機会を公務員に与えていることを明らかにした。加えて、幹部公務員の任用に関する諮問機関の新設が、官僚の自律性の保障に資するものであることも指摘した。さらに、マクロン政権では、幹部公務員における政権への応答性を向上させる改革が進んでいるほか、労使間対話の迅速化を目指した労使関係法制の改革が進展していることを示した。後者の改革のうち、民間労使関係法制の改革は、既に2017年の法改正によりなされた。公務労使関係法制の改革についても、2019年3月に、法改正に向けた法案が下院に提出された。そのため、今後は、こうしたマクロン政権による改革の動向も踏まえながら研究を進めていく。他方では、以上をはじめとしたフランスの公務労使関係法制研究を踏まえ、これを日本の公務労使関係法制と比較研究していくに際し、日本法に固有のものである人事院法制、特に、人事院勧告法制について研究する必要がある。その研究の一環として、人事院勧告の内容に基づかない給与減額措置を定めた国家公務員給与改定・臨時特例法が、人事院勧告法制を形骸化させることから憲法28条に違反するか等の点が扱われた判決(東京高判平成28年12月5日労判1169号74頁)を検討した。その結果として、主として、同判決は、高裁判決であるため、従前の最高裁判例を何ら変更するものではないものの、その従前の判例よりも人事院勧告違反が直接に問題となった事案を受け、その判例以上に人事院勧告の重要性を強調したものであると評価し、その一方で、同判決では、人事院勧告の手続上の法的拘束力が否定されたが、その理由には問題のあることを指摘する等した。平成30年度が最終年度であるため、記入しない。平成30年度が最終年度であるため、記入しない。まず、フランス公務員参加法の研究に従事した。第1に、基本原理である官公吏関係法令規律原理と労働者参加原理につき、主として第三共和政期から現在に至るまでのフランスの議論を考察することにより、両者の意義を解明した(奥忠憲「フランス公務員参加法における基本原理ー官公吏関係法令規律原理と労働者参加原理」法学論叢183巻3号連載開始予定(2018年度予定))。第2に、これらの原理に基づく近年の公務員参加法制度改革を検討することにより、両原理の現代的意義等を明らかにした(奥忠憲「フランスにおける近年の公務員参加法制度改革」法学論叢(2019年度予定))。また、以上の研究を踏まえた公務労使関係法制に関する日仏比較研究に取り掛かる前に、その準備作業の一環として、日本に固有のものである人事院勧告法制の意義を考察し、その一端を明らかにした。その際には、東日本大震災からの復興財源の確保と財政危機への対応のために人事院勧告の内容に基づかない給与減額措置を定めた国家公務員給与改定臨時特例法が、国家公務員に対する労働基本権制約の代償措置のひとつである人事院勧告法制を形骸化させることから憲法28条に違反するか等の点について争われた裁判例(東京高裁平成28年12月5日判決(平成27年(行コ)第16号:給与等請求控訴事件)労判1169号74頁)の研究に主として従事し、その成果を研究会で発表した(奥忠憲「国家公務員給与改定・臨時特例法に関する合憲性」公法判例研究会(京都大学、2018年3月8日))。基本的には、順調に研究を遂行することができており、現に研究成果の発表にこぎ着けることもできている。ただし、当初の計画では、2月から3月にフランスに出張し、現地での調査の実施を検討していたが、公法判例研究会での前記報告に向けた準備等の用務のため、実施することができなかった。以下のとおり、日仏における公務労使関係法制に関する研究に従事した。一方では、フランス法につき、オランド政権において大幅に改革された公務員倫理法制を検討することにより、その改革の過程の中で、公務員参加法制が、意見表明と権利擁護の機会を公務員に与えていることを明らかにした。加えて、幹部公務員の任用に関する諮問機関の新設が、官僚の自律性の保障に資するものであることも指摘した。さらに、マクロン政権では、幹部公務員における政権への応答性を向上させる改革が進んでいるほか、労使間対話の迅速化を目指した労使関係法制の改革が進展していることを示した。後者の改革のうち、民間労使関係法制の改革は、既に2017年の法改正によりなされた。公務労使関係法制の改革についても、2019年3月に、法改正に向けた法案が下院に提出された。そのため、今後は、こうしたマクロン政権による改革の動向も踏まえながら研究を進めていく。他方では、以上をはじめとしたフランスの公務労使関係法制研究を踏まえ、これを日本の公務労使関係法制と比較研究していくに際し、日本法に固有のものである人事院法制、特に、人事院勧告法制について研究する必要がある。その研究の一環として、人事院勧告の内容に基づかない給与減額措置を定めた国家公務員給与改定・臨時特例法が、人事院勧告法制を形骸化させることから憲法28条に違反するか等の点が扱われた判決(東京高判平成28年12月5日労判1169号74頁)を検討した。
KAKENHI-PROJECT-17H06776
https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-17H06776
公務労使関係法制の憲法学的研究――フランス公務員参加法との比較を通して
その結果として、主として、同判決は、高裁判決であるため、従前の最高裁判例を何ら変更するものではないものの、その従前の判例よりも人事院勧告違反が直接に問題となった事案を受け、その判例以上に人事院勧告の重要性を強調したものであると評価し、その一方で、同判決では、人事院勧告の手続上の法的拘束力が否定されたが、その理由には問題のあることを指摘する等した。引き続き、フランス公務員参加法に関する研究に従事する。その際には、現在のマクロン政権が、国家公務員の人員削減や、これによる人員不足を補うための若年者の徴用、あるいは、政治任用の対象となる幹部公務員の拡大等といった公務員法制度改革に取り組んでいることから、その動向を注視し、これらの改革が与える影響にも目を光らせる必要があると考えている。そのうえで、継続して日本の公務労使関係法制についても研究し、両国の法制度を比較する。なお、当初の計画では、2018年末にフランスのトゥール大学で開催される予定であったシンポジウムに参加し、機会を得ることができれば研究発表することになっていた。しかしながら、2018年の1月に、開催時期が同年3月に変更となり、前記のとおり、同月は用務のためにフランスに出張できなかったため、シンポジウムに参加することもできなかった。したがって、この点については計画の変更を余儀なくされている。現時点では、前記の研究課題を遂行するに際し、必要に応じ、フランスに出張したうえでの現地調査や学術行事への参加等を検討しているところである。平成30年度が最終年度であるため、記入しない。平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
KAKENHI-PROJECT-17H06776
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脳輸送系と脳細胞環境系との相関性を基盤とした補完的脳蘇生法の構築
インフルエンザ感染脳症時にエクトヌクレオチダーゼの発現亢進を示す細胞を調べた。さらに、産生されたこの酵素が星状細胞のTNF-α、更にMMP-9発現に影響するかin vitroで検証し、そのシグナルを検討した。しかし、MMP-9の発現は感染後3日目で最大となりTNF-αの発現とも強調していたが、個体差が大きくて有意な結果が得られなかった。そのため、今後はインフルエンザ感染の初代培養脳細胞での研究に移行させることにした。そのため、最終年度は並行して研究を行っていた脳輸送系と脳細胞環境系を考慮した新規の脳保護物質に焦点を当てた。新規フェノキサジンは2-amino-4,4a-dihydro-4a-7-dimetyl-2H-phenoxazine-3-one(Phx-1),3-amino-1,4a-dihydro-4a-8-dimethyl-2H-phenoxazine-2-one(Phx-2),and 2-aminophenoxazine-3-one(Phx-3)であり、これらの脳への移行は良好であった。しかも、初代培養脳細胞を用いた研究ではグリア細胞が共存する場合にアシドーシス誘発アポトーシスを抑制することが明らかとなった。さらに、P糖蛋白が関連するBBBの一つであるmdrla欠損マウスでは脳梗塞巣の範囲がWild型と比較して狭いことも明らかとなった。これまでの研究成果と本年の研究成果をまとめると、脳細胞死が誘発されるとグリア細胞から脳保護に関与するIL-6が分泌され、細胞外マトリックスからGM-CSFやMMP-9、さらにはbFGFを分泌させる。新規フェノキサジンは、このような内在性脳保護物質の分泌を促すことが示唆された。インフルエンザ感染脳症時にエクトヌクレオチダーゼの発現亢進を示す細胞を調べた。さらに、産生されたこの酵素が星状細胞のTNF-α、更にMMP-9発現に影響するかin vitroで検証し、そのシグナルを検討した。しかし、MMP-9の発現は感染後3日目で最大となりTNF-αの発現とも強調していたが、個体差が大きくて有意な結果が得られなかった。そのため、今後はインフルエンザ感染の初代培養脳細胞での研究に移行させることにした。そのため、最終年度は並行して研究を行っていた脳輸送系と脳細胞環境系を考慮した新規の脳保護物質に焦点を当てた。新規フェノキサジンは2-amino-4,4a-dihydro-4a-7-dimetyl-2H-phenoxazine-3-one(Phx-1),3-amino-1,4a-dihydro-4a-8-dimethyl-2H-phenoxazine-2-one(Phx-2),and 2-aminophenoxazine-3-one(Phx-3)であり、これらの脳への移行は良好であった。しかも、初代培養脳細胞を用いた研究ではグリア細胞が共存する場合にアシドーシス誘発アポトーシスを抑制することが明らかとなった。さらに、P糖蛋白が関連するBBBの一つであるmdrla欠損マウスでは脳梗塞巣の範囲がWild型と比較して狭いことも明らかとなった。これまでの研究成果と本年の研究成果をまとめると、脳細胞死が誘発されるとグリア細胞から脳保護に関与するIL-6が分泌され、細胞外マトリックスからGM-CSFやMMP-9、さらにはbFGFを分泌させる。新規フェノキサジンは、このような内在性脳保護物質の分泌を促すことが示唆された。目的:本研究は各種静脈麻酔薬の薬理効果の相違を脳内GABA_A受容体サブユニットの変動から明らかにすることを主目的とする。そのため、各種静脈麻酔薬の麻酔導入時ならびに麻酔時におけるプロポフォール低感受性のC57BL/6Jマウス脳内各部位におけるGABA_A受容体α4サブユニットm-RNAならびにc-fos様蛋白発現の相違を比較検索した。方法:1)実験動物は雄性C57BL/6J(体重20-25g)マウスを用いた。2)薬物は吸入麻酔薬としてGOI、静脈麻酔薬として、ミダゾラム、プロポフォール、ペントバルビタールを使用した。3)麻酔効果の判定は正向反射が30秒以上消失した時点を麻酔効果発現とした。4)既報に従って脳内GABA_A受容体α4サブユニットのプライマーを作成し、RT-PCR法を基盤とした定量法にて各脳部位のサブユニットm-RNA発現を検索した。5)脳組織におけるc-fos様蛋白の発現はアビジン-ビオチンシステムで解析を行なった。結果:脳内GABA_A受容体α4サブユニットm-RNAはGOI麻酔下において、視床、線条体、皮質前頭葉、後頭葉に多く発現し、小脳、延髄、視床下部では低い発現であった。さらに、静脈麻酔薬誘発の麻酔期には、プロポフォール投与群のみ、線条体、中脳および海馬で統計的に有意な発現の増加が認められた。麻酔導入期ではミダゾラム脳全体ペントバルビタールでは線状体、後頭葉に有意な発現の増加が認められた。さらに、C-fos様蛋白の発現も上記部位で明らかに観察された。考察:本研究成績は、受容体のサブユニットの変動を定量測定した結果、静脈麻酔薬の薬理効果発現における作用点に相違があることを実証したものである。すなわち、脳内GABA_A受容体の中でも線条体、中脳や海馬のα
KAKENHI-PROJECT-17390433
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脳輸送系と脳細胞環境系との相関性を基盤とした補完的脳蘇生法の構築
4サブユニットを有するGABA_A受容体がプロポフォールの麻酔効果発現に重要な役割を果たしていることを示唆すると同時に、今後α4サブユニットを有するGABA_A受容体の局在する場所が神経細胞あるいはグリア細胞であるかを明確にすることが焦点となると考える。「緒言」インフルエンザ感染後における脳細胞環境系の機能的変動を神経科学的および組織形態学的に検索をして、インフルエンザ脳症の発症機序解明を試みた。「方法」1)ヒトから分離されたA/NWS/33(H1N1)株(NWS株)を使用した。2)NWS株をBLB/Cマウスの鼻腔より接種し、24時間、3日目、6日目で脳を摘出した。real time RT-PCRを用いて、摘出した脳部位でのnNOS, iNOS, IL-6、TNF-αを測定した。さらに、グリア細胞の変化やiNOSの産生部位,アポトーシスの検出を行った。各組織の一酸化窒素の代謝物(NO2およびNO3)をHPLC-UV法で定量測定を行った。3)8日令SDラットの雌雄別なく小脳を摘出した。定法に従い初代培養細胞を作成し、神経細胞とグリア細胞が混在して使用した。NWS株を適用後、24時間、3日目、6日目で上清ならびに細胞のNOx測定を行った。「結果」1)接種24時間後に脳内でウィルスの存在を確認した。接種6日後、全ての接種動物で明らかな体重減少が認められた。ウイルス接種マウスはmRNAレベルで脳内IL-6, TNF-α,NOxは上昇していた。特に摂取後24時間でIL-6とTNF-αは脳の各部位で上昇した。NOxは嗅球及び海馬で増量が認められた。病理組織では、特に皮質および海馬領域でアポトーシスの発現が感染後24時間以内で著明に認められた。さらに、海馬領域で血管拡張、血管周囲でのアストロサイトの活性化が示唆され、iNOSは海馬領域の血管内皮細胞に染まり,皮質などの血管内皮の染色はほとんど認められなかった。2)培養細胞でNOx量の有意な増量が感染後経時的に認められ、3日目で最大値を得た。「考察」インフルエンザウイルス感染によって、海馬内のアストロサイトの活性化や血管周囲や内皮でのiNOSの増量と血管拡張が感染6日目に認められた。一方、小脳顆粒細胞においても感染によってグリア細胞の活性化とNOxの増量が認められた。すなわち、インフルエンザ脳症の発症には、脳細胞環境系の機能異常がtriggerとなることが示唆された。神経親和性に強いインフルエンザウイルスをマウスに感染させ、脳内グリア細胞におけるMMP9の定性と脳病理変化を検討し、インフルエンザ脳症の病態解明を行った.1)エクトヌクレオチダーゼ発現からMMP-9発現に至るまでの過程の検討:ここまでの研究で同定した感染脳症時にエクトヌクレオチダーゼの発現充進を示す細胞をin vitroで培養し、感染-動物やgp120で感染させエクトヌクレオチダーゼ発現を調べた。また産生された酵素が脳グリア細胞のTNF-α、更にMMP-9発現に影響するかin vitroで検証し、そのシグナルを検討した。2)P2受容体発現減少の検討:In vitroで培養星状細胞を感染させ、ここまでの研究で同定した感染脳症時に星状細胞で発現減少の見られるP2(Y)受容体の発現の低下を検討し、関連シグナルを検索した。基底膜とMMPs
KAKENHI-PROJECT-17390433
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メンタルヘルスの問題が、がん検診受診行動および喫煙行動に与える影響の解明
1.メンタルヘルス上の問題を抱える人々の各種がん検診受診率を明らかとする。また、その受診率と関連する人口動態的要因、社会経済的要因を明らかとする:平成29年度に既に結果公表を済ませた。2.メンタルヘルス上の問題を抱える人々の喫煙率等の喫煙状況を明らかとする。また、その禁煙状況と関連する人口動態的要因・社会経済的要因を明らかとする:統計法第36条に基づき、厚生労働省から平成22年国民生活基礎調査の匿名データ(N=93,730)の提供を受けて、K6によって評価した重度の心理的苦痛(K6スコアが13点以上)と現在喫煙の有無との関連を横断研究デザインにて調査した。男女共に、重度の心理的苦痛を有する者で現在喫煙している者が有意に多かった。また、人口統計学的因子(年齢、教育、就業、婚姻)によって、心理的苦痛と現在喫煙の有無との関連に違いがあるかを解析した。男性では、50歳以上、配偶者ありの者で有意な関連を認めた。女性では、年齢を問わず有意な関連を認めたが、20-49歳の者は50歳以上の者よりも高いオッズ比を認めた。平成30年度に査読付き英文誌において本結果を公表した。3.重度の心理的苦痛の有無による、がん検診受診率・喫煙率の経時的変化の違いを明らかにする:統計法第33条に基づき、厚生労働省から平成19、22、25、28年の国民生活基礎調査の調査票情報の提供を受けた。現在、解析を進めている。心理的苦痛と、がん検診受診行動・喫煙行動との関連について、予定通り平成22年度匿名データを用いて解析を済ませ、平成30年度までにいずれも査読付き英文誌において公表された。「3.重度の心理的苦痛の有無による、がん検診受診率・喫煙率の経時的変化の違いを明らかにする研究」については、当初匿名データでの解析を予定していたが、第33条に基づいて厚生労働省から平成19、22、25、28年の国民生活基礎調査の調査票情報の提供を受け、現在解析を進めている。複数の専門家と意見交換して解析計画を立てた上で、統計法第33条に基づいて厚生労働省から平成19、22、25、28年の国民生活基礎調査の調査票情報の提供を受けた。引き続き疫学専門家と意見交換を継続して解析、結果の公表を進める。1.メンタルヘルス上の問題を抱える人々の各種がん検診受診率を明らかとする。また、その受診率と関連する人口動態的要因、社会経済的要因を明らかとする統計法第36条に基づき、厚生労働省から平成22年国民生活基礎調査の匿名データ(N=93,730)の提供を受けて、K6によって評価した重度の心理的苦痛(K6スコアが13点以上)と過去1年間の大腸・胃・肺がん検診受診、過去2年間の乳・子宮頸がん検診受診との関連を横断研究デザインにて調査した。その結果、重度の心理的苦痛を抱える者はそうでない者と比較して、過去1年間に大腸・胃・肺がん検診を受診した者が有意に少なかった。また、教育歴、婚姻状況、就労状況によって心理的苦痛とがん検診受診との関連に違いがあるかを解析したところ、教育歴が有意な修飾効果を有し、教育年数が相対的に短い場合に、重度の心理的苦痛ががん検診未受診と関連した。学会、査読付き英文誌において本結果を公表した。2.メンタルヘルス上の問題を抱える人々の喫煙率等の喫煙状況を明らかとする。また、その禁煙状況と関連する人口動態的要因・社会経済的要因を明らかとする心理的苦痛と現在の喫煙状況との関連を報告した文献をレビューし、欧米、アジアにおける先行研究の結果、課題について整理した。1.と同様に、平成22年匿名データを使用した解析を済ませ、結果公表の準備中である。1.メンタルヘルス上の問題を抱える人々の各種がん検診受診率を明らかとする。また、その受診率と関連する人口動態的要因、社会経済的要因を明らかとする予定した、平成22年匿名データを用いた解析を実施し、査読付き英文誌において公表され、プレスリリースも行った。2.メンタルヘルス上の問題を抱える人々の喫煙率等の喫煙状況を明らかとする。また、その禁煙状況と関連する人口動態的要因・社会経済的要因を明らかとする予定した、平成22年匿名データを用いた解析を実施し、結果公表の準備が進んでいる。1.メンタルヘルス上の問題を抱える人々の各種がん検診受診率を明らかとする。また、その受診率と関連する人口動態的要因、社会経済的要因を明らかとする:平成29年度に既に結果公表を済ませた。2.メンタルヘルス上の問題を抱える人々の喫煙率等の喫煙状況を明らかとする。また、その禁煙状況と関連する人口動態的要因・社会経済的要因を明らかとする:統計法第36条に基づき、厚生労働省から平成22年国民生活基礎調査の匿名データ(N=93,730)の提供を受けて、K6によって評価した重度の心理的苦痛(K6スコアが13点以上)と現在喫煙の有無との関連を横断研究デザインにて調査した。男女共に、重度の心理的苦痛を有する者で現在喫煙している者が有意に多かった。また、人口統計学的因子(年齢、教育、就業、婚姻)によって、心理的苦痛と現在喫煙の有無との関連に違いがあるかを解析した。男性では、50歳以上、配偶者ありの者で有意な関連を認めた。女性では、年齢を問わず有意な関連を認めたが、20-49歳の者は50歳以上の者よりも高いオッズ比を認めた。
KAKENHI-PROJECT-17K09112
https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-17K09112
メンタルヘルスの問題が、がん検診受診行動および喫煙行動に与える影響の解明
平成30年度に査読付き英文誌において本結果を公表した。3.重度の心理的苦痛の有無による、がん検診受診率・喫煙率の経時的変化の違いを明らかにする:統計法第33条に基づき、厚生労働省から平成19、22、25、28年の国民生活基礎調査の調査票情報の提供を受けた。現在、解析を進めている。心理的苦痛と、がん検診受診行動・喫煙行動との関連について、予定通り平成22年度匿名データを用いて解析を済ませ、平成30年度までにいずれも査読付き英文誌において公表された。「3.重度の心理的苦痛の有無による、がん検診受診率・喫煙率の経時的変化の違いを明らかにする研究」については、当初匿名データでの解析を予定していたが、第33条に基づいて厚生労働省から平成19、22、25、28年の国民生活基礎調査の調査票情報の提供を受け、現在解析を進めている。平成30年度内に、平成25年に実施された国民生活基礎調査の匿名データが利用可能となる予定である。利用可能となり次第、平成19年、平成22年、平成25年データを利用して、心理的苦痛とがん検診受診及び喫煙との関連について、経時的変化についても解析を進める予定である。複数の専門家との意見交換、フィードバックを受けて研究を進める。複数の専門家と意見交換して解析計画を立てた上で、統計法第33条に基づいて厚生労働省から平成19、22、25、28年の国民生活基礎調査の調査票情報の提供を受けた。引き続き疫学専門家と意見交換を継続して解析、結果の公表を進める。平成25年度に実施された国民生活基礎調査の匿名データの利用可能となる日が予想より遅れているため、その費用の繰り越しが生じたが、研究計画に大きな変更はない。当初の予定通り、平成19年、22年、25年のデータを入手し、解析に必要なソフトウエアの費用とともに、研究打ち合わせ及び成果発表の旅費に支出する予定である。経時的変化の解析については、匿名データ利用ではなく、研究をより充実させるよう第33条に基づいて調査票情報(より詳細かつ手数料も不要)を利用することとしたため、その変更に伴う費用の繰り越しが生じた。当初の予定通り、解析に必要なソフトウエアの費用とともに、研究打ち合わせ及び成果発表の旅費、英文校正費に支出する予定である。
KAKENHI-PROJECT-17K09112
https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-17K09112
タンパク質の立体構造形成と分子内相互作用の階層性に関する研究
1.大腸菌によるalpha-ラクトアルブミン(alphaLA)発現系の構築封入体として得られるalphaLArecombinantをRefoldingする条件を検討するためにジスルフィド結合還元alphaLAからの再生反応の効率を種々の条件で調べた。2.alphaLAのH^^1-NMR帰属通常の連鎖帰属法によりalphaLAのAヘリックスの一部(残基番号69)とCヘリックス部分(残基番号8699)のNMR信号を帰属した。alphaLAのフォールディング中間体(A状態)におけるヘリックスの安定性上記の帰属されたNMR信号を用いて各アミドプロトンのA状態における水素交換反応速度を調べた。Aヘリックス部分の水素交換反応は速いため観測できなかったが、Cヘリックス部分の水素交換速度は規則構造をとっていない場合に比べて数倍から十数倍遅いものであった。合成ペプチドの構造とその安定性alphaLAの残基番号84100と84から107相当するペプチドを合成した。後者の101107の部分はA状態で疎水性クラスターを形成していることが知られており、Cヘリックスの疎水性残基(Ile95,Leu96)と相互作用することが期待された。しかしながら、両ペプチドともに水溶液中では規則構造を形成せず、A状態におけるCヘリックスの安定化には一次構造上より離れた残基との相互作用が寄与していることが示された。トリフルオロエタノールを加えると両ペプチド共にヘリックスを形成し、その変化から見積もった水溶液中でのヘリックス形成の平衡定数は10^<-3>程度であった。1.大腸菌によるalpha-ラクトアルブミン(alphaLA)発現系の構築封入体として得られるalphaLArecombinantをRefoldingする条件を検討するためにジスルフィド結合還元alphaLAからの再生反応の効率を種々の条件で調べた。2.alphaLAのH^^1-NMR帰属通常の連鎖帰属法によりalphaLAのAヘリックスの一部(残基番号69)とCヘリックス部分(残基番号8699)のNMR信号を帰属した。alphaLAのフォールディング中間体(A状態)におけるヘリックスの安定性上記の帰属されたNMR信号を用いて各アミドプロトンのA状態における水素交換反応速度を調べた。Aヘリックス部分の水素交換反応は速いため観測できなかったが、Cヘリックス部分の水素交換速度は規則構造をとっていない場合に比べて数倍から十数倍遅いものであった。合成ペプチドの構造とその安定性alphaLAの残基番号84100と84から107相当するペプチドを合成した。後者の101107の部分はA状態で疎水性クラスターを形成していることが知られており、Cヘリックスの疎水性残基(Ile95,Leu96)と相互作用することが期待された。しかしながら、両ペプチドともに水溶液中では規則構造を形成せず、A状態におけるCヘリックスの安定化には一次構造上より離れた残基との相互作用が寄与していることが示された。トリフルオロエタノールを加えると両ペプチド共にヘリックスを形成し、その変化から見積もった水溶液中でのヘリックス形成の平衡定数は10^<-3>程度であった。
KAKENHI-PROJECT-05780445
https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-05780445
福祉コミュニティの社会学的研究
この研究は、市町村が地域福祉の時代に対応して、どのような福祉コミュニティを策定しつつあるかの実証的研究である。全国から10を越える市町村を選定して、福祉コミュニティの実証的研究を実施し、それぞれの地域社会の再編成過程に対応して福祉コミュニティの創造の道程を明らかにした。福祉コミュニティの現状と問題点など調査によって得た知見を福祉コミュニティのタイプごとに要約しておく。(1)過疎型福祉コミュニティ(福島県金山町)......高齢化率36%、在宅福祉では限界があり、市町村を越えた広域的な施設福祉の充実が必要。(2)住民参加型福祉コミュニティ(秋田県鷹巣町)......高齢化率19%、在宅福祉を住民が主体で推進、福祉に対する住民の考え方の違いからコンフリクトが発生して居る。(3)保健施設型福祉コミュニティ(愛媛県吉田町)......高齢化率22%、町営の病院を老人保健施設・在宅介護支援センターを核に、在宅福祉を推進、医療と福祉の統合が問題となっている。(4)施設誘致型福祉コミュニティ(秋田県大森町)......高齢化率18%、福祉、保健、医療の各施設を一同に集め、それぞれの機能を生かした老人福祉のまちを目指して居る。(5)伝統的介護福祉型コミュニティ(沖縄県平良市)......高齢化率12%、家族で老人介護を目指す在宅ケアシステムを検討している。(6)過疎化型福祉コミュニティ(秋田県上小阿仁村)......高齢化率26%、地域の福祉センターを利用したショートステイのあり方に特徴がある。(7)地域福祉型福祉コミュニティ(沖縄県名護市)......高齢化率11%、地域住民による老人の介護ネットワーク活動を通じてまちづくりを行う。(8)離島型福祉コミュニティ(沖縄県渡嘉敷村)......高齢化率29%、老人介護のための地域での相互扶助システムを模索(介護ゆいま-る事業)。この研究は、市町村が地域福祉の時代に対応して、どのような福祉コミュニティを策定しつつあるかの実証的研究である。全国から10を越える市町村を選定して、福祉コミュニティの実証的研究を実施し、それぞれの地域社会の再編成過程に対応して福祉コミュニティの創造の道程を明らかにした。福祉コミュニティの現状と問題点など調査によって得た知見を福祉コミュニティのタイプごとに要約しておく。(1)過疎型福祉コミュニティ(福島県金山町)......高齢化率36%、在宅福祉では限界があり、市町村を越えた広域的な施設福祉の充実が必要。(2)住民参加型福祉コミュニティ(秋田県鷹巣町)......高齢化率19%、在宅福祉を住民が主体で推進、福祉に対する住民の考え方の違いからコンフリクトが発生して居る。(3)保健施設型福祉コミュニティ(愛媛県吉田町)......高齢化率22%、町営の病院を老人保健施設・在宅介護支援センターを核に、在宅福祉を推進、医療と福祉の統合が問題となっている。(4)施設誘致型福祉コミュニティ(秋田県大森町)......高齢化率18%、福祉、保健、医療の各施設を一同に集め、それぞれの機能を生かした老人福祉のまちを目指して居る。(5)伝統的介護福祉型コミュニティ(沖縄県平良市)......高齢化率12%、家族で老人介護を目指す在宅ケアシステムを検討している。(6)過疎化型福祉コミュニティ(秋田県上小阿仁村)......高齢化率26%、地域の福祉センターを利用したショートステイのあり方に特徴がある。(7)地域福祉型福祉コミュニティ(沖縄県名護市)......高齢化率11%、地域住民による老人の介護ネットワーク活動を通じてまちづくりを行う。(8)離島型福祉コミュニティ(沖縄県渡嘉敷村)......高齢化率29%、老人介護のための地域での相互扶助システムを模索(介護ゆいま-る事業)。高齢化社会の現在、課題となっている福祉コミュニティ形成に関して、その中核となる諸問題を検討するため、主として農山漁村における福祉活動の現地調査を行った。平成5年度に調査した市町村は、秋田県北秋田郡上小阿仁村および平鹿郡大森町、愛媛県北宇和郡吉田町、沖縄県平良市、名護市及び島尻郡渡嘉敷村、広島御調郡御調町等である。各地の調査から得られた知見あるいは課題として次の諸点が挙げられる。1.伝統的村落構造の崩壊と再編成の軌跡の上に、福祉コミュニティの形が見られる。2.高齢者の生活形態のフローは、気候等の自然条件や地域性によって多少の違いはあるが、基本的に「呼び寄せ型」、「出暮し型」、「施設型」、及び「在宅型」の4形態に分けられる。3.福祉コミュニティの内部構造には小地域ネットワーク活動が必要である。4.多くの地域での高齢者は活動的な学習者であるが、学習や活動の内容には高齢期の発達課題へのより適切な対応が求められる。また、世代間交流の学習機会はまだ充実しておらず今後の大きい課題である。5.基本的コミュニケーションとしての「対話」の可能性が、公共輸送機関の衰弱とともに減少している。これは、マスメディアあるいは電子メディアがいかに発達しても覆いきれないものと考えられる。本年度は最終年度で、全国から選び出された各市町村の福祉コミュニティ調査の補充調査と全体のまとめを行い、報告や意見交換を実施した。
KAKENHI-PROJECT-05401005
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福祉コミュニティの社会学的研究
補充調査では、住民参加型の「福祉のまちづくり」に取り組み、全国に先駆けて24時間のホームヘルプサービスを実施している秋田県鷹巣町を取り上げ、「福祉のまちづくり」が計画されるプロセスと福祉サービスの提供体制をめぐる課題を検討した。平成6年度の調査で明らかになった知見を以下に要約しておく。(1)秋田県鷹巣町の高齢化率は19.5%、若者の流出は続いており、彼らの流出にともなって「夫婦のみ」世帯と「単独世帯」が漸次増加しており、高齢者の介護問題に適切に対応できるシステムをつくることが緊急の課題となっている。(2)鷹巣町が抱える「高齢化問題」に対処するために町長が中心となり、地域住民に呼びかけてワーキンググループを結成した。このグループは、短期間に住民全体の福祉に対する意識を高め、主体性を引き出し、「福祉のまちづくり」の担い手となっている。(3)グループは、行政との共同作業で様々な具体的な成果をあげつつあり、商店街の中心部への訪問看護ステーションの開設、ホームヘルパーの増員、リフトカ-の追加購入などが行われた。(4)24時間の支援体制が確立できた背景は、町長のリーダーシップ、ワーキンググループの存在、ホームヘルパーの意欲などである。(5)議会と住民との福祉政策の考え方の違いから、福祉予算をめぐるコンフリクトが発生している。
KAKENHI-PROJECT-05401005
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特発性心筋症における網羅的遺伝子解析による心血管事故リスク層別化の検討
ゲノムワイド関連解析研究(GWAS)の情報を用いて,特発性心筋症などの心不全患者を対象に,その心血管事故発症のリスク層別化の可否を検討することが目的であった.172人の心不全患者に対して,GWASのメタ解析で心房細動の感受性遺伝子であった10個の遺伝子多型を解析し,心房細動(AF)の有無とgenotype riskscore(GRS,リスクアレル2個,1個,0個保持=2,1,0点,10個の遺伝子多型の累積点数)を検討した.AF群では洞調律群に比べ,GRSが有意に高かった.GRSは心不全患者におけるAF発症のリスク層別化として有用な方法であることが示唆された.目的:拡張型心筋症における心血管事故と既知の候補遺伝子多型との関連を探索し,リスク層別化が可能かどうかを明らかにすることである.方法:対象は拡張型心筋症の83名である.拡張型心筋症との有意な関連が報告されたβ1アドレナリン受容体遺伝子多型であるADRB1Ser49Gly, Arg389Glyとノルエピネフリントランスポーター遺伝子多型であるNET T-182Cの計3多型をTaqMan法で解析した.各遺伝子多型と心血管事故との関連性の検討した.現在までの報告でリスク多型(ADRB1 49S保持者,389Arg保持者,NET -182C/C)とされた遺伝子多型の保持数と心血管事故との関連を解析した.結果:各種遺伝子多型単独での解析においては,NET -182CC遺伝子多型の頻度が心血管事故発症群で有意(P=0.04)に高かったが,他の遺伝子多型では有意差はなかった.Kaplan-Meier法でリスク遺伝子多型の保持数と心血管事故発症との関連を解析したところ,リスク遺伝子多型を3個すべて保持する群では,心血管事故の発症が有意に高かった.Cox比例ハザードモデルにおいても3個のリスク遺伝子多型をもつことは,3.98倍の心血管事故オッズ比であった.結論:拡張型心筋症において3種のアドレナリン受容体関連遺伝子多型を解析することは,心血管事故発症のリスクの層別化に有用な可能性が示唆された.特発性心筋症などの心不全患者を対象として,ゲノムワイド関連解析研究(GWAS)の情報を用いて,その心血管事故発症のリスク層別化の可否を検討すること,候補遺伝子解析では評価不能であった未知の病態修飾遺伝子を探索し,新たな治療標的を探究することが目的であった.主な2つの成果についてその概要を記載する.(1)149名の肥大型心筋症患者に対して,GWASで刺激伝導障害との関連が報告されているSCN10A遺伝子多型(rs6795970 (G>A))の解析を行った.伝導障害を認めない患者をA群(92名),認める患者をB群(57名)とした.肥大型心筋症患者の遺伝子型の頻度(G/G,G/A,A/A)は各々71%,26%,3%であった.伝導障害頻度はG/G遺伝子型で29%,G/AおよびA/A遺伝子型で61%であった.A群と比較してB群ではG/A,A/A遺伝子型頻度が有意(p=0.0018)に高いことが判明した.肥大型心筋症患者でこの遺伝子多型を解析することは,心血管事故のリスク層別化の一助になる可能性が示唆された.(2)172人の心不全患者に対して,GWASのメタ解析で心房細動の感受性遺伝子であった10個の遺伝子多型を解析し,心房細動(AF)の有無とgenotype riskscore(GRS,リスクアレル2個保持=2点,リスクアレル1個保持=1点,リスクアレル保持なし=0点,10個の遺伝子多型の累積点数)を検討した.AF群のGRSはSR群に比べ,有意に高かった(7.2±0.2 vs 6.5±0.3, p=0.028).GRSの上位群の89%がAFを有し,下位群においては66%のみであった.AFに対するオッズ比は1.23(95%CI 1.01-1.47; p=0.031)であった.調整後もGRSは独立した規定因子であった(p=0.044).このGWASのメタ解析で示された10個の遺伝子多型のGRSを評価することが,心不全患者におけるAF発症のリスク層別化として有用な方法であることが示唆された.ゲノムワイド関連解析研究(GWAS)の情報を用いて,特発性心筋症などの心不全患者を対象に,その心血管事故発症のリスク層別化の可否を検討することが目的であった.172人の心不全患者に対して,GWASのメタ解析で心房細動の感受性遺伝子であった10個の遺伝子多型を解析し,心房細動(AF)の有無とgenotype riskscore(GRS,リスクアレル2個,1個,0個保持=2,1,0点,10個の遺伝子多型の累積点数)を検討した.AF群では洞調律群に比べ,GRSが有意に高かった.GRSは心不全患者におけるAF発症のリスク層別化として有用な方法であることが示唆された.目的:拡張型心筋症における心血管事故(心臓死,心房細動,心不全)と既知の候補遺伝子多型との関連を探索し,リスク層別化が可能かどうかを明らかにすることである.
KAKENHI-PROJECT-23591048
https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-23591048
特発性心筋症における網羅的遺伝子解析による心血管事故リスク層別化の検討
方法:対象は拡張型心筋症と診断された83名(平均年齢59歳,男性64名,平均追跡期間45ヶ月)である.アドレナリン受容体関連候補遺伝子多型の選択にはPubMedを使用した.拡張型心筋症との有意な関連が報告された遺伝子多型を検索した結果より,β1アドレナリン受容体遺伝子多型であるADRB1 Ser49Gly, Arg389Glyとノルエピネフリントランスポーター遺伝子多型であるNET T-182Cの計3多型をTaqMan法で解析した.心血管事故の定義は心臓死,心不全・不整脈・脳梗塞による緊急の入院とした.まず,各遺伝子多型と心血管事故との関連性の検討した.次ぎに,現在までの報告でリスク多型(ADRB1 49S保持者,389Arg保持者,NET -182C/C)とされた遺伝子多型の保持数と心血管事故との関連を解析した.結果:各種遺伝子多型単独での解析においては,NET -182CC遺伝子多型の頻度が心血管事故発症群で有意(P=0.04)に高かったが,他の遺伝子多型では有意差はなかった.Kaplan-Meier法(図参照)でリスク遺伝子多型の保持数と心血管事故発症との関連を解析したところ,リスク遺伝子多型を3個すべて保持する群では,心血管事故の発症が有意(log rank test P=0.01)に高かった.Cox比例ハザードモデルにおいても3個のリスク遺伝子多型をもつことは,3.98倍の心血管事故オッズ比であった(P=0.028)結論:拡張型心筋症において3種のアドレナリン受容体関連遺伝子多型を解析することは,心血管事故発症のリスクの層別化に有用な可能性が示唆された.候補遺伝子多型解析は順調にすすんでいる.網羅的遺伝子多型解析については,DNAチップを一括購入したほうが,安価となるため,解析を最終年度にまとめて行う予定であったため,まだ解析できていない.候補遺伝子多型解析は順調にすすんでいる.しかし,DNAチップを用いた網羅的遺伝子多型解析により,未知の病態修飾遺伝子を探索することが,すすんでいない.特発性心筋症を対象にGenome-Wide Human SNP Array 5.0を用いて,網羅的遺伝子解析を施行する予定である.さらに当院に次世代シーケンサーであるMiSeq(illumina社)が導入されたこともあり,特発性心筋症に対する原因遺伝子解析を網羅的に施行できるTruSight(Cardiomyopathy)を購入し解析予定である.この解析により特発性心筋症の予後の層別化をより信頼性の高いものにしたい.特発性心筋症を対象にGenome-Wide Human SNP Array 5.0を用いて,網羅的遺伝子解析を施行する.循環動態的に対極に位置するこれら心筋症において,各種心血管事故と既知,または未知の遺伝子多型との相関を解析する.また,ヒトゲノムバリエーションデータベース(http://gwas.lifesciencedb.jp/index.Japanese.html)を利用し,特発性心筋症と他の疾患との遺伝子多型頻度の差異を評価する.さらには網羅的遺伝子多型解析で相関が有意となった多型について,その保持数を検討し,更なるリスク層別化が可能かどうかを検討する.当院に次世代シーケンサーであるMiSeq(illumina社)が導入されたこともあり,特発性心筋症に対する原因遺伝子解析を網羅的に施行できるTruSight (Cardiomyopathy)を購入する予定である.この解析により特発性心筋症の予後の層別化をより信頼性の高いものにしたい.また,ゲノムデータ解析用のソフト購入,研究成果発表と最新の情報入手のための学会出張費用に使用させていただく予定である.網羅的遺伝子解析のためのGenome-Wide Human SNP Array 5.0の購入とゲノムデータ解析用のソフト購入,研究成果発表と最新の情報入手のための学会
KAKENHI-PROJECT-23591048
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ニワトリの雌雄産み分けは可能か?ー鳥類性決定機構の解析を通してー
本研究課題では,鳥類であるニワトリの性を決定するマスター遺伝子ではないかと考えられているDmrt1遺伝子に着目し,本遺伝子をゲノム編集技術によりノックアウトする。本実験により,Dmrt1遺伝子ノックアウトのヘテロ接合体(Dmrt1+/-)やホモ接合体(Dmrt1-/-)を作出し,その生殖巣の特徴や周辺遺伝子の発現に与える影響を解析することで,ニワトリにおける性決定のメカニズムを明らかにする。得られた知見をもとに,産業面で極めて重要なニワトリにおいて,雌雄の産み分けが可能かどうかを検討し,応用展開をはかる。本研究課題では,鳥類であるニワトリの性を決定するマスター遺伝子ではないかと考えられているDmrt1遺伝子に着目し,本遺伝子をゲノム編集技術によりノックアウトする。本実験により,Dmrt1遺伝子ノックアウトのヘテロ接合体(Dmrt1+/-)やホモ接合体(Dmrt1-/-)を作出し,その生殖巣の特徴や周辺遺伝子の発現に与える影響を解析することで,ニワトリにおける性決定のメカニズムを明らかにする。得られた知見をもとに,産業面で極めて重要なニワトリにおいて,雌雄の産み分けが可能かどうかを検討し,応用展開をはかる。
KAKENHI-PROJECT-19H03107
https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-19H03107
活性種修飾法による共役モノマーとエチレンのブロック共重合体の合成と特性解析
活性種修飾法による共役モノマーとエチレンのブロック共重合体の合成と特性解析に関する研究において以下のことを明らかにした。重合活性種修飾によるスチレンおよびイソプレンとエチレンのブロック共重合体の合成を非極性溶媒中で行った。このとき活性種を修飾する第三級ジアミンによりブロック効率ならびに引き続いて起こるエチレンの重合に影響を与えることが分かった。一連のN,N,N^',N^'-テトラメチルアルキルジアミンの中ではアルキル基がエチルであるN,N,N^',N^'-テトラメチルエチレンジアミンがスチレンおよびイソプレンとエチレンのいずれのブロック共重合においても活性を示すことが明かとなった。これらのジアミン以外にも1,2-ジピペリジノエタンも活性を示すことが分った。^<13>CNMRスペクトルなどにより、目的とするブロック共重合体が高収率で生成していることが明かとなった。また、エチレンを先に重合させ、メタクリル酸メチルとのブロック共重合体も合成した。このときは、エチレンの重合でポリマーが沈澱しブロック効率は低くなった。つぎに、このような活性種の修飾を用いた重合をイソプレンおよびエチレンの単独重合系にも拡張し共重合の結果と比較した。イソプレンの重合においては活性種修飾によりミクロ構造が変化し、修飾しないときにはシス-1,4構造に富むものが、修飾法を用いると94%までビニル構造よりなるポリマーが得られた。エチレンの重合においては,第三級ジアミンによる活性種の修飾でジアミンによる活性変化はブロック共重合の場合と同様な関係が得られた。また、イソプレンとエチレンのブロック共重合体の合成については、活性種の修飾をイソプレンの重合の前後で行うことによりイソプレン単位のミクロ構造が変化することを明かにした。一方、二官能性の開始剤の合成を行い、そのものが合成できることを確認された。今後このものを用いたトリブロック共重合体の合成へと展開したい。活性種修飾法による共役モノマーとエチレンのブロック共重合体の合成と特性解析に関する研究において以下のことを明らかにした。重合活性種修飾によるスチレンおよびイソプレンとエチレンのブロック共重合体の合成を非極性溶媒中で行った。このとき活性種を修飾する第三級ジアミンによりブロック効率ならびに引き続いて起こるエチレンの重合に影響を与えることが分かった。一連のN,N,N^',N^'-テトラメチルアルキルジアミンの中ではアルキル基がエチルであるN,N,N^',N^'-テトラメチルエチレンジアミンがスチレンおよびイソプレンとエチレンのいずれのブロック共重合においても活性を示すことが明かとなった。これらのジアミン以外にも1,2-ジピペリジノエタンも活性を示すことが分った。^<13>CNMRスペクトルなどにより、目的とするブロック共重合体が高収率で生成していることが明かとなった。また、エチレンを先に重合させ、メタクリル酸メチルとのブロック共重合体も合成した。このときは、エチレンの重合でポリマーが沈澱しブロック効率は低くなった。つぎに、このような活性種の修飾を用いた重合をイソプレンおよびエチレンの単独重合系にも拡張し共重合の結果と比較した。イソプレンの重合においては活性種修飾によりミクロ構造が変化し、修飾しないときにはシス-1,4構造に富むものが、修飾法を用いると94%までビニル構造よりなるポリマーが得られた。エチレンの重合においては,第三級ジアミンによる活性種の修飾でジアミンによる活性変化はブロック共重合の場合と同様な関係が得られた。また、イソプレンとエチレンのブロック共重合体の合成については、活性種の修飾をイソプレンの重合の前後で行うことによりイソプレン単位のミクロ構造が変化することを明かにした。一方、二官能性の開始剤の合成を行い、そのものが合成できることを確認された。今後このものを用いたトリブロック共重合体の合成へと展開したい。活性種修飾法による共役モノマ-とエチレンのブロック共重合体の合成と特性解析に関する研究より当該年度において以下のことを明らかにした。まず共役モノマ-としてイソプレンを用いてシクロヘキサンあるいはヘキサン中でアルキルリチウム触媒によりリビングポリマ-を合成した。このリビング重合系にN,N,N^1,N^1ーテトラメチルエチレンジアミンのような第3級ジアミンを添加することにより重合活性種の修飾を行った。このとき溶液の色は談黄色から濃黄色へ変化した。この系にエチレンを導入すると引き続いてエチレンの重合が誘起され,系に不溶のポリマ-が得られた。一方,第3級ジアミンを添加せずにエチレンの重合を引き続き行ってもエチレンの重合は起こらず,ポリイソプレンのホモポリマ-が回収された。活性種修飾を行った系で生成したポリマ-きGPCおよび^<13>CーNMR測定などからイソプレンとエチレンのブロック共重合体であることが確認された。つまり活性種修飾法によりイソプレンとエチレンのブロック共重合体が合成できることを明らかにした。つづいてエチレンとメタクリル酸メチル(MMA)のブロック共重合体の合成も行った。本系ではMMAのリビング重合後第3級ジアミンを添加してもブロック共重合体は合成できなかった。そこでアルキルリチウムー第3級ジアミンを用いてエチレンを重合した後MMAとのブロック共重合を行った。その結果,エチレンのMMAのブロック共重合が合成できた。本系では両ホモポリマ-も副生するが溶媒抽出でブロック共重合体を単離することができた。
KAKENHI-PROJECT-03650751
https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-03650751
活性種修飾法による共役モノマーとエチレンのブロック共重合体の合成と特性解析
その生成はGPCおよび^<13>CーNMRより確認できた。MMAの重合後に活性末端をジフェニルエチレンで修飾することによりブロック効率が増加することも明らかとなった。電子低温〓各重合において所定温度で重合することに有効に利用している。活性種修飾法による共役モノマーとエチレンのブロック共重合体の合成と特性解析に関する研究において当該年度においては以下にことを明らかにした。前年度に引き続き活性種修飾によるスチレンおよびイソプレンとエチレンのブロック共重合体の合成お行った。このとき活性種を修飾する第三級ジアミンによりブロック効率ならびに引続いて起こるエチレンの重合に影響を与えることが分かった。一連のN,N,N',N'-テトラメチルアルキルジアミンの中ではアルキル基がエチルであるN,N,N',N'-テトラメチルエチレンジアミンがスチレンおよびイソプレンとエチレンのいずれのブロック共重合においても活性が高いことが明かとなった。さらに、これらのジアミン以外にも6員環アミン構造を持つ1,2-ジピペリジノエタンも活性を示すことが分かった。また、^<13>CNMRスペクトルやDSCによる生成重合体の解析より、目的とするブロック共重合体が高収率で生成していることが明かとなった。そこで、このような活性種の修飾を用いた重合をイソプレンおよびエチレンの単独重合系にも拡張して検討を加えブロック共重合の結果と比較した。イソプレンの重合においては活性種修飾によりミクロ構造が変化し、修飾しないときにはシス-1,4構造に富むものが、修飾法を用いるとビニル構造に大きく変化し、1,2-ジピペリジノエタンを用いたときには94%までビニル構造よりなるポリマーが得られた。ついで、エチレンの重合においては、第三級ジアミンによる活性種の修飾でジアミンの種類による活性の変化はブロック共重合におけるブロック効率と同様な関係にあることが明かとなった。また、イソプレンとエチレンのブロック共重合体の合成については、活性種の修飾をイソプレンの重合の前あるいは後に行うことによりブロック共重合体のイソプレンのミクロ構造を変化させうることも明かとなった。一方、二官能性の開始剤の合成を行い、スペクトルによる解析などから目的物が合成できたことは確認された。今後このものを用いた重合を展開したい。
KAKENHI-PROJECT-03650751
https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-03650751
炭素13を用いた太陽ニュートリノ検出器の基礎研究
本年度は、前年度に作製した液体シンチレータの特性の測定を行なうとともに、このような液体シンチレーション検出器を、実際の実験に用いることができる程度に大型化した場合に、期待される種々の特性について検討を行なった。後者では、具体的には、100トン程度の質量の液体シンチレータを透明容器に封入し、光電子増倍管を周囲に配置した検出器を想定し、内部で起こる現象を計算機によってシミュレーションし、その現象の再現性を調べ、検出器の性能を予想した。計算コードは、電磁シャワーに対しては評価の定まったEGS4(米国スタンフォード加速器研究所の開発)を利用したが、他の部分については新たに開発した。このシミュレーションは、本研究の主題である炭素13を含むものだけでなく、一般の液体シンチレータに対して有効である。大型の液体シンチレーション検出器は、いろいろな物質を含ませることによって、太陽ニュートリノのみならず、二重ベータ崩壊現象など他の希少現象の観測にも有用であると指摘されていることからもこれは大きな意味がある。このような観測では、発光量の多いシンチレータによって得られる高いエネルギー分解能と、材質の純化によるバックグラウンドの低減が実験の鍵を握っている。本研究によって、十分にバックグラウンドの現象が抑えられれば、探すべき現象の信号が観測可能であることが示されつつある。炭素13を含む液体シンチレータとして、トルエンベースの混合製剤二種類を用意した。炭素13を含む物質としては、液体シンチレータとの親和性を考慮し、トルエンの炭素原子(質量数12)を炭素13で置きかえたものを使用することにした。このようなトルエンは工業ベースに乗らないため非常に高価であることがわかり、将来実験に必要な10トン以上の量を確保するには、その生産方法も含めて検討する必要があることがわかった。炭素13のトルエンを混合した液体シンチレータの特性を測る準備を現在進めている。一方、シンチレータの特性を計測するため、光電子増培管を購入し、また、接続してデータを取得するためのエレクトロニクスモジュールを借用し、CAMACシステムを通じてパーソナルコンピュータで読み出すシステムを構築しつつある。ソフトウエアは、従来高エネルギー物理学研究所で開発されてきたものを基に、データ解析やヒストグラム表示等を行うためのサブルーチン群としてフォートラン言語のライブラリとして整理している。このソフトウエアは小規模なCAMAC-PCシステムとして汎用であるため、他の数か所の実験グループに供給して使用されている。しかし、パーソナルコンピュータから発生するノイズが微小な信号の測定を不可能にする例があり、性能計測の上でこれが問題になる場合はミニコンピュータ等を使用する必要が生じるかもしれない。本年度は、前年度に作製した液体シンチレータの特性の測定を行なうとともに、このような液体シンチレーション検出器を、実際の実験に用いることができる程度に大型化した場合に、期待される種々の特性について検討を行なった。後者では、具体的には、100トン程度の質量の液体シンチレータを透明容器に封入し、光電子増倍管を周囲に配置した検出器を想定し、内部で起こる現象を計算機によってシミュレーションし、その現象の再現性を調べ、検出器の性能を予想した。計算コードは、電磁シャワーに対しては評価の定まったEGS4(米国スタンフォード加速器研究所の開発)を利用したが、他の部分については新たに開発した。このシミュレーションは、本研究の主題である炭素13を含むものだけでなく、一般の液体シンチレータに対して有効である。大型の液体シンチレーション検出器は、いろいろな物質を含ませることによって、太陽ニュートリノのみならず、二重ベータ崩壊現象など他の希少現象の観測にも有用であると指摘されていることからもこれは大きな意味がある。このような観測では、発光量の多いシンチレータによって得られる高いエネルギー分解能と、材質の純化によるバックグラウンドの低減が実験の鍵を握っている。本研究によって、十分にバックグラウンドの現象が抑えられれば、探すべき現象の信号が観測可能であることが示されつつある。
KAKENHI-PROJECT-04640316
https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-04640316
農民グループ・ネットワークをとおしたイノベーション普及に関する実証的研究
2018年度の進捗は以下のとおりである。現地調査:8月に4週間ほど実施し、前年度に引き続き、現地で取得できる基礎資料を入手するとともに関係者らへのインタビューを実施した。本年度のおもなねらいは、県レベル以下での事例収集にあったが、MVIWATAが県レベル以上のアドボカシーの活動に重きを置いていて、新たなイノベーションの発掘および普及には積極的ではないという実態が明らかになりつつある。そもそも農村レベルではMVIWATAの存在はほぼ認知されておらず、その理由として、目的や役割が重複する農民グループ/ネットワーク支援が県レベル以下で複数存在していることが考えられた。そこで、農民グループ支援におけるMVIWATAの位置を明確にするため、タンザニアの農民グループ支援に関する情報を整理することに注力した。国内研究会:タンザニア研究者や日本国内で地域活性化や適正技術を専門とする研究者らと研究会(2019年3月)を企画し、そこで現地調査の進捗を報告した。タンザニアの他地域や日本国内の事例と比較しながら参加者らと討論を重ねた。成果発表:論文作成に関しては、上記のようにMVIWATAが置かれている状況を農民グループ支援の文脈において整理しまとめた。また、タンザニアの事例ではないが、戦後日本の改良かまど普及の事例に着目して分析し、当時の普及現場の取り組みから、現代の農村開発が学べることを考察した。口頭発表等については、農村に技術が普及・定着するうえでの問題をまとめ、アフリカ学会および国際開発学会で企画フォーラムの一報告として発表した。社会への発信については、大学主催の市民向け公開講座においては、タンザニア農村で見られる草の根のイノベーション(小型水力発電)について報告した。おおむね予定どおり、国内研究会への参加・発表、現地調査の実施、成果発表を進めることができている。資料収集・データ分析を進め、関連学会で報告するとともに、論文の執筆を進めていく。これまでの調査で明らかになったように、MVIWATAが、本研究のねらいである農民発のイノベーション普及を担っていない可能性が高くなったので、まずその要因について調査する。それと並行して、他の組織やネットワークがそうした役割を担っている可能性を考え、調査対象と視点を広げて現地調査を実施する。開発途上国におけるボトムアップ型の農業普及事業の充実に向けて、農民グループ・ネットワークの役割が注目されている。東アフリカのタンザニアでは1990年代に国内のすべての農民グループを統括するネットワーク(MVIWATA)が組織されたが、これまでに詳しい実態は明らかになっていない。本研究ではこのネットワークに着目し、とくにそれが農民発のイノベーションの普及にどのように貢献しているのかについて現地調査をもとに実証的に明らかにする。農民発のイノベーションが認知され、普及ベースの事業へと接合する条件を明らかにすることで、イノベーションの発生要因の解明に重点を置きがちな従来の研究に一石を投じるとともに、東アフリカにおけるボトムアップ型の農業普及事業に貢献することを目指す。本研究は、1関心領域の近い研究者らとの国内研究会、2現地調査そして3成果発表によって構成される。29年度の進捗は以下のとおりである。まずは国内で関連資料や文献の収集を進めた。4月に開催された国内研究会で研究の進捗を報告するとともに参加者らと討論を重ね、現地調査のポイントを抽出することに努めた。現地調査は8月に3週間実施し、現地で取得できる基礎資料を入手するとともに関係者らへのインタビューを実施した。県レベルでの関係者からの聞き取りが中心となり、県レベルの農民グループネットワーク(MVIWATA)の組織構造と、活動内容の概要、課題等が明らかになった。成果発表に関しては1つの学会で報告したほか、3つの公開講座/招待講演および2つのラジオ番組をとおして一般向けに研究内容を発信した。国内研究会への参加・発表、現地調査の実施、成果発表を進めることができている。現地調査をとおして、農民グループネットワーク(MVIWATA)の概要が明らかになりつつある。2018年度の進捗は以下のとおりである。現地調査:8月に4週間ほど実施し、前年度に引き続き、現地で取得できる基礎資料を入手するとともに関係者らへのインタビューを実施した。本年度のおもなねらいは、県レベル以下での事例収集にあったが、MVIWATAが県レベル以上のアドボカシーの活動に重きを置いていて、新たなイノベーションの発掘および普及には積極的ではないという実態が明らかになりつつある。そもそも農村レベルではMVIWATAの存在はほぼ認知されておらず、その理由として、目的や役割が重複する農民グループ/ネットワーク支援が県レベル以下で複数存在していることが考えられた。そこで、農民グループ支援におけるMVIWATAの位置を明確にするため、タンザニアの農民グループ支援に関する情報を整理することに注力した。国内研究会:タンザニア研究者や日本国内で地域活性化や適正技術を専門とする研究者らと研究会(2019年3月)を企画し、そこで現地調査の進捗を報告した。タンザニアの他地域や日本国内の事例と比較しながら参加者らと討論を重ねた。成果発表:論文作成に関しては、上記のようにMVIWATAが置かれている状況を農民グループ支援の文脈において整理しまとめた。また、タンザニアの事例ではないが、戦後日本の改良かまど普及の事例に着目して分析し、当時の普及現場の取り組みから、現代の農村開発が学べることを考察した。口頭発表等については、農村に技術が普及・定着するうえでの問題をまとめ、アフリカ学会および国際開発学会で企画フォーラムの一報告として発表した。社会への発信については、大学主催の市民向け公開講座においては、タンザニア農村で見られる草の根のイノベーション(小型水力発電)について報告した。
KAKENHI-PROJECT-17K15339
https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-17K15339
農民グループ・ネットワークをとおしたイノベーション普及に関する実証的研究
おおむね予定どおり、国内研究会への参加・発表、現地調査の実施、成果発表を進めることができている。当初の予定どおり、国内研究会、現地調査、成果発表を進めていくが、特に資料収集・データ分析を進め、論文の執筆と学会発表に力を注いでいく。複数の県を横断するデータを収集・整理して農民グループネットワーク(MVIWATA)に見られる活動の地域的な傾向を明らかにする作業に着手していく。また、引き続き公開講座等を積極的に活用して研究の社会還元に努めていく。資料収集・データ分析を進め、関連学会で報告するとともに、論文の執筆を進めていく。これまでの調査で明らかになったように、MVIWATAが、本研究のねらいである農民発のイノベーション普及を担っていない可能性が高くなったので、まずその要因について調査する。それと並行して、他の組織やネットワークがそうした役割を担っている可能性を考え、調査対象と視点を広げて現地調査を実施する。研究会や学会の開催地の関係で旅費が少な目に抑えられたことや、就労環境の変化と関連して、予算に計上していた備品・消耗品の一部の購入の必要性がなくなったことから次年度使用が生じた。関連する研究会・他大学や図書館への資料収集のための出張旅費、追加的に必要となる備品・消耗品購入に充てることとする。研究会や学会の開催地の関係で旅費が少な目に抑えられたことによる。次年度では研究会・学会への参加や現地調査,追加的に必要となる備品・消耗品購入などに充てることとする。
KAKENHI-PROJECT-17K15339
https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-17K15339
サイトカインによる心筋特異的電位依存性L型カルシウムチャネルの機能調節機序
心筋特異的電位依存性L型カルシウムチャネルは心筋細胞の興奮性、興奮収縮連関を規定する重要なチャネルである。カルシウム電流の調節は主としてα1サブユニットの細胞内ドメインのリン酸化で調節されているとされている。本研究の目的はL型カルシウムチャネルの新たな調節系を証明することである。ラット新生児培養心筋を正リン酸放射性に標識しIL-6族サイトカインであるLIFで刺激した。免疫沈降したL型カルシウムチャネルα1サブユニットはフォルスコリンによるリン酸化より強くリン酸化されていた。これらのリン酸化は必ずしもMEK1阻害薬(PD98059)では抑制できなかった。リン酸化サブユニットをペプチド片として抽出し2次元の薄層クロマトグラフィーで展開したところ、フォルスコリン、PMA、angiotensin IIによってリン酸化されたチャネルの展開パターンが異なり、それぞれ異なるリン酸化部位があることが示された。LIFによるリン酸化部位をERK1/2によるリン酸化と仮定し、そのconsensus sequenceでセリンを含む唯一の配列に対して、plasmidのS(1829)→A点変異を加えることで作成した変異体をHEK293にトランスフェクションし、パッチクランプ法を用いてチャネルの機能を確認する。この変異体ではLIFに反応するCa電流電流の増加が認められず、LIFによるリン酸化部位がS1829であり、そのリン酸化が機能調節に重要であることが示された。心筋特異的電位依存性L型カルシウムチャネルは心筋細胞の興奮性、興奮収縮連関を規定する重要なチャネルであるのみならず、その機能異常は不整脈の発生しやすさを規定する因子となっている。近年の解析により、カルシウム電流の調節は主としてα1サブユニットの細胞内ドメインがキナーゼによってリン酸化されることで調節されているとされている。本研究の目的は心筋特異的電位依存性L型カルシウムチャネが、サイトカイン刺激によって活性化される機序を、チャネルのリン酸化に求め、L型カルシウムチャネルの新たな調節系を証明することである。平成13年度には1ラット新生児培養心筋細胞の電位依存性L型カルシウムチャネルのリン酸化ラット新生児培養心筋を正リン酸放射性に標識し種々のサイトカインで刺激した。PMA、angioteinsin IIによる刺激では免疫沈降したL型カルシウムチャネルα1サブユニットはフォルスコリンによるリン酸化より強くリン酸化されていた。これらのリン酸化は必ずしもMEK1阻害薬(PD98059)では抑制できなかった。ERK1/2は活性化されているが、チャネルのリン酸化の全てがERK1/2によるものではないことが示唆された。2リン酸化サブユニットの小ペプチド化と薄層2次元展開リン酸化サブユニットをペプチド片として抽出し2次元の薄層クロマトグラフィーで展開したところ、フォルスコリン、PMA、angiotensin IIによってリン酸化されたチャネルの展開パターンが異なり、それぞれ異なるリン酸化部位があることが示された。心筋特異的電位依存性L型カルシウムチャネルは心筋細胞の興奮性、興奮収縮連関を規定する重要なチャネルである。カルシウム電流の調節は主としてα1サブユニットの細胞内ドメインのリン酸化で調節されているとされている。本研究の目的はL型カルシウムチャネルの新たな調節系を証明することである。ラット新生児培養心筋を正リン酸放射性に標識しIL-6族サイトカインであるLIFで刺激した。免疫沈降したL型カルシウムチャネルα1サブユニットはフォルスコリンによるリン酸化より強くリン酸化されていた。これらのリン酸化は必ずしもMEK1阻害薬(PD98059)では抑制できなかった。リン酸化サブユニットをペプチド片として抽出し2次元の薄層クロマトグラフィーで展開したところ、フォルスコリン、PMA、angiotensin IIによってリン酸化されたチャネルの展開パターンが異なり、それぞれ異なるリン酸化部位があることが示された。LIFによるリン酸化部位をERK1/2によるリン酸化と仮定し、そのconsensus sequenceでセリンを含む唯一の配列に対して、plasmidのS(1829)→A点変異を加えることで作成した変異体をHEK293にトランスフェクションし、パッチクランプ法を用いてチャネルの機能を確認する。この変異体ではLIFに反応するCa電流電流の増加が認められず、LIFによるリン酸化部位がS1829であり、そのリン酸化が機能調節に重要であることが示された。
KAKENHI-PROJECT-13770365
https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-13770365
ホットフィラメント・アシスト・スパッタ法による高配向性カーボン薄膜
本研究では、Carbyneと呼ばれる新しい炭素形態の生成をホットフィラメント・アシスト・スパッタ法により作成し、その生成膜の電気的、結晶学的評価と電子デバイスへの応用に関してなされたものである。研究実施計画である(1)「高配向性カーボン薄膜の作成プロセスの確立と電氣的諸特性の測定」、(2)「高配向性カーボン薄膜の成長機構及び結晶構造の確定」、(3)「高配向性カーボン薄膜の特性評価」に対して得られた成果は以下の通りである。研究成果:(a)「装置の改良」をはかることにより、炭素薄膜の結晶化及びCarbyneの生成に有効な熱フィラメント温度の限界値、フィラメント放出源の形状を明らかにし、プロセスの確立をはかった。(b)炭素薄膜の形態については、得られたデータを「購入機器」(PC-V520C,日本電気)にて処理し、炭素の擬一次元形態を持つCarbyneで、そのポリタイプはChaoiteであることを確認した。「装置の改良」をはかることによりその生成を容易にした。(c)Carbyne薄膜の電気的特性において、購入した「デジタルマルチメータ」(アドバンテスト社)、「抵抗測定架台」(503RS,共和埋研)を用いることにより、高導電性で且つポジティブな抵抗温度係数を持つことを見出した。(d)組織構造的には、超微粒子より成り立つことを見出した。(e)コイル状タングステンフィラメントを使用した条件下では、従来には存在しない全く新しい形態の「ナノ・カーボン・ファイバを含む炭素薄膜」が生成されて居ることを見出した。本研究で得られた結晶性炭素薄膜は、更なる研究開発とエレクトロニクス分野への応用が期待される。本研究では、Carbyneと呼ばれる新しい炭素形態の生成をホットフィラメント・アシスト・スパッタ法により作成し、その生成膜の電気的、結晶学的評価と電子デバイスへの応用に関してなされたものである。研究実施計画である(1)「高配向性カーボン薄膜の作成プロセスの確立と電氣的諸特性の測定」、(2)「高配向性カーボン薄膜の成長機構及び結晶構造の確定」、(3)「高配向性カーボン薄膜の特性評価」に対して得られた成果は以下の通りである。研究成果:(a)「装置の改良」をはかることにより、炭素薄膜の結晶化及びCarbyneの生成に有効な熱フィラメント温度の限界値、フィラメント放出源の形状を明らかにし、プロセスの確立をはかった。(b)炭素薄膜の形態については、得られたデータを「購入機器」(PC-V520C,日本電気)にて処理し、炭素の擬一次元形態を持つCarbyneで、そのポリタイプはChaoiteであることを確認した。「装置の改良」をはかることによりその生成を容易にした。(c)Carbyne薄膜の電気的特性において、購入した「デジタルマルチメータ」(アドバンテスト社)、「抵抗測定架台」(503RS,共和埋研)を用いることにより、高導電性で且つポジティブな抵抗温度係数を持つことを見出した。(d)組織構造的には、超微粒子より成り立つことを見出した。(e)コイル状タングステンフィラメントを使用した条件下では、従来には存在しない全く新しい形態の「ナノ・カーボン・ファイバを含む炭素薄膜」が生成されて居ることを見出した。本研究で得られた結晶性炭素薄膜は、更なる研究開発とエレクトロニクス分野への応用が期待される。炭素は、ダイヤモンド、グラファイトの他にニューカーボンと呼ばれる比較的新しい形態を持っている。ニューカーボンの中では、フラーレン、カーボン・ナノチューブ等が注目され、研究が進んでいるが、本研究は、Carbyneと呼ばれる新しい炭素形態の生成をホットフィラメント・アシスト・スパッタ法により作成し、その生成膜の電気的、結晶学的評価と電子デバイスへの応用に関するものである。本年度の研究実施計画である(1)「高配向性カーボン薄膜の作成プロセスの確立と電気的諸特性の測定」、(2)「高配向性カーボン薄膜の成長機構及び結晶構造の確定」、に対して得られた成果は以下の通りである。研究成果:本研究で作成されるカーボン薄膜は、タングステンフィラメント温度の違いによりその形態が異なっている。そこで、新しい構造のフィラメント放出源を作成し、炭素薄膜構造に与えるフィラメント温度依存性を調べ、以下の点を明らかにした。(a)電子放出源として用いたタングステン熱フィラメントを1800[°C]以上に加熱することは、炭素薄膜の結晶化及びCarbyneの生成に有効である。(b)タングステン温度2000[°C]以上において、優越配向したCarbyne薄膜が生成された。炭素薄膜の形態は、炭素の擬一次元形態を持つCarbyneで、そのポリタイプはChaoiteである。(c)Carbyne薄膜の電気的特性において、高導電性を持つこと(設備備品費にて購入測定器にて測定)、組織構造的には、超微粒子より成り立つことを見いだし、新しい機能性を持ち併せているので、その応用面が期待される。これらの成果の一部については、“Applied Surface Science"(Vol.121/122,1997)に発表した。結晶性炭素薄膜の生成と評価、電気的諸特性、結晶構造解析については、電子情報通信学会研究会(CPU-97,117,1997),電子情報通信学会信越支部大会(#I-15,1997)、電気学会東海支部大会(#342,1997)に発表した。
KAKENHI-PROJECT-09650351
https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-09650351
ホットフィラメント・アシスト・スパッタ法による高配向性カーボン薄膜
本研究では、Carbyneと呼ばれる新しい炭素形態の生成をホットフィラメント・アシスト・スパッタ法により作成し、その生成膜の電気的、結晶学的評価と電子デバイスへの応用に関してなされたものである。研究実施計画である(1)「高配向性カーボン薄膜の作成プロセスの確立と電氣的諸特性の測定」、(2)「高配向性カーボン薄膜の成長機構及び結晶構造の確定」、(3)「高配向性カーボン薄膜の特性評価」に対して得られた成果は以下の通りである。研究成果:(a)炭素薄膜の結晶化及びCarbyneの生成に有効な熱フィラメント温度の限界値、フィラメント放出源の形状を明らかにし、プロセスの確立をはかった。(b)炭素薄膜の形態については、得られたデータを「購入機器」(PC-V520C,日本電気)にて処理し、炭素の擬一次元形態を持っCarbyneで、そのポリタイプはChaoiteであることを確認した。「装置の改良」をはかることによりその生成を容易にした。(c)Carbyne薄膜の電気的特性において、購入した「抵抗測定架台」(503RS,共和理研)で測定し、高導電性で且つポジティブな抵抗温度係数を持つことを見出した。(d)組織構造的には、超微粒子より成り立つことを見出した。(e)コイル状タングステンフィラメントを使用した条件下では、従来には存在しない全く新しい形態の「ナノ・カーボン・ファイバを含む炭素薄膜」が生成されて居ることを見出した。本研究で得られた結晶性炭素薄膜は、更なる研究開発とエレクトロニクス分野への応用が期待される。
KAKENHI-PROJECT-09650351
https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-09650351
高分解能衛星を使用した森林のCO2吸収量に関するデータベースの確立に関する研究
京都議定書が発効し、地球温暖化に対する森林の役割が益々重要になってきた。森林が貯留する炭素量の測定は、京都議定書には「検証可能性かつ透明性の高い方法」と規定されており、衛星データの活用が期待されている。わが国には森林簿があり、材積も記載されている。しかし、森林簿の材積は、あまり現実を表わしてはいない。端的な例として小班の材積が挙げられる。小班の材積はただ一個の値が計上されているが、実際には個体ごとにかなり変動している。そこで、IKONOS衛星データを用いて、現地調査を行ったプロットサイズにリサンプリングし、プロット材積と輝度値との関係を解析した。その結果、両者にはべき乗式が成立した。この回帰式を使って、小班の材積分布および平均材積を推定した。現地の調査結果と比較してみると、IKONOS衛星から求めた材積の方が森林簿材積よりも格段に精度がよいことが確かめられた。実測値との差が大きいプロットも見られたが、衛星データを用いて小班内の細かなバラツキを解析し、実態にあった炭素貯留量の推定は可能であると考えられた。一方、京都議定書ではすべての森林の炭素貯留量を認めてはいない。3条4項にあるように、手入れや林業経営が行われた森林のみが対象となる。そこで、IKONOS衛星のパンクロマチック画像を用いて、目視でどの程度、スギ人工林の概況が把握できるかを17年度も解析した。スギ人工林を対象に、テクスチャ(キメ細かく見えるか、粗く見えるか)の違いを目視で行った。そうすると、本数密度の違いがはっきりとテクスチャに表れていることが分かった。一方、テクスチャは、林分の平均直径、平均樹高とも密接に関係している。したがって、特別の解析をしなくても、目視で本数が減少した箇所、例えば間伐実行林分等が解析可能である。このように、高分解能衛星データを使用し、人工林の概況をすばやく把握できることを示した。京都議定書が発効し、地球温暖化に対する森林の役割が益々重要になってきた。森林が貯留する炭素量の測定は、京都議定書には「検証可能性かつ透明性の高い方法」と規定されており、衛星データの活用が期待されている。わが国には森林簿があり、材積も記載されている。しかし、森林簿の材積は、あまり現実を表わしてはいない。端的な例として小班の材積が挙げられる。小班の材積はただ一個の値が計上されているが、実際には個体ごとにかなり変動している。そこで、IKONOS衛星データを用いて、現地調査を行ったプロットサイズにリサンプリングし、プロット材積と輝度値との関係を解析した。その結果、両者にはべき乗式が成立した。この回帰式を使って、小班の材積分布および平均材積を推定した。現地の調査結果と比較してみると、IKONOS衛星から求めた材積の方が森林簿材積よりも格段に精度がよいことが確かめられた。実測値との差が大きいプロットも見られたが、衛星データを用いて小班内の細かなバラツキを解析し、実態にあった炭素貯留量の推定は可能であると考えられた。一方、京都議定書ではすべての森林の炭素貯留量を認めてはいない。3条4項にあるように、手入れや林業経営が行われた森林のみが対象となる。そこで、IKONOS衛星のパンクロマチック画像を用いて、目視でどの程度、スギ人工林の概況が把握できるかを17年度も解析した。スギ人工林を対象に、テクスチャ(キメ細かく見えるか、粗く見えるか)の違いを目視で行った。そうすると、本数密度の違いがはっきりとテクスチャに表れていることが分かった。一方、テクスチャは、林分の平均直径、平均樹高とも密接に関係している。したがって、特別の解析をしなくても、目視で本数が減少した箇所、例えば間伐実行林分等が解析可能である。このように、高分解能衛星データを使用し、人工林の概況をすばやく把握できることを示した。高分解能衛星データの解析は、画素が小さいため、従来から用いられている分類手法だけでは、解析が不十分である。一方、最近、導入されてきたオブジェクトを用いた分類手法が注目されている。これは画素の輝度値だけでなく、形やキメ等の因子を用いて分類する手法である。このオブジェクトを用いた分類手法を使って、林分内の立木本数を推定するツールを開発した。画素をSegmentation(区分化)してメンバーシップ値を設定して分類し、1オブジェクトを1本とみなした。その結果、樹高の高い(24m以上)林分では立木本数の推定精度が高かった。一方、推定精度が低いプロットは、立木密度が2000本/haの高密度プロットや列状間伐の影響を受けたプロットに多かった。オブジェクトの数値(輝度値平均値、輝度値標準偏差、Area, Length, Width)とメンバーシップ値との間には相関関係は得られなかった。しかし、高分解能衛星データを利用して、森林内の単木推定の可能性を示すことができた。オブジェクトを用いた分類手法は、都市近郊林の微細なモザイク状の森林を抽出する上でも有効性が確かめられた。一方、高分解能衛星の利点は、特別の解析をしなくても森林状況が把握できることである。目視判読に関する研究が進めば、高分解能衛星を利用して森林状況が手軽に利用できることになる。
KAKENHI-PROJECT-16380097
https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-16380097
高分解能衛星を使用した森林のCO2吸収量に関するデータベースの確立に関する研究
そこで、高分解能IKONOS衛星のパンクロマティックを使用し、テクスチャ(キメの細かさ)と林分構造の関係を解析した。その結果、キメと輝度値の変動係数には正の相関関係が認められた。キメの細かさの判断は解析者の主観によるが、輝度値の変動係数から数段階の凡例画像を作成し目視の際の指標とすれば、目視による森林構造の判読が容易になり、森林のXCO2吸収量に関するデータベースの確立に寄与できると考えている。京都議定書が発効し、地球温暖化に対する森林の役割が益々重要になってきた。森林が貯留する炭素量の測定は、京都議定書には「検証可能かつ透明性の高い方法」と規定されており、衛生データの活用が期待されている。わが国には森林簿があり、材積も記載されている。しかし、森林簿の材積は、あまり現実を表わしてはいない。端的な例として小班の材積が挙げられる。小班の材積にただ一個の値が計上されているが、実際には個体ごとにかなり変動している。そこで、IKONOS衛星データを用いて、現地調査を行ったプロットサイズにリサンプリングし、プロット材積と輝度値との関係を解析した。その結果、両者にはべき乗式が成立した。この回帰式を使って、小班の材積分布および平均材積を推定した。現地の調査結果と比較してみると、IKONOS衛星から求めた材積の方が森林簿材積よりも格段に精度がよいことが確かめられた。実測値との差が大きいプロットも見られたが、衛星データを用いて小班内の細かなバラツキを解析し、実態にあった炭素貯留量の推定は可能であると考えられた。一方、京都議定書ではすべての森林の炭素貯留量を認めてはいない。3条4項にあるように、手入れや林業経営が行われた森林のみが対象となる.そこで、IKONOS衛星のパンクロマチック面像を用いて、目視でどの程度、スギ人工林の概況が把握できるかを17年度も解析した。スギ人工林を対象に、テクスチャ(キメ細かく見えるか、粗く見えるか)の違いを目視で行った。そうすると、本数密度の違いがはっきりとテクスチャに表れていることが分かった。一方、テクスチャは、林分の平均直径、平均樹高とも密接に関係している。したがって、特別の解析をしなくても、目視で本数が減少した箇所、例えば間伐実行林分等が解析可能である。このように、高分解能衛星データを使用し、人工林の概況をすばやく把握できることを示した。
KAKENHI-PROJECT-16380097
https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-16380097
日本型法化社会における自己決定と合意形成
1自己決定権を憲法上の基本権と捉えた上で、それが私法上の契約関係においていかに保護・調整されるのかについて基本的な枠組みと基準を提示した。2市場規制との関係で、契約の自由と取引の自由をめぐる英米判例法理を解明した。3労働法の基本理念としての自己決定権と生存権との複合的関係を明らかにした。4生命・医療倫理をめぐる自己決定と合意形成をめぐる諸問題に法がどう関与するべきかという関心から、その基本枠組みを明らかにすると同時に、ケアの専門職と法および倫理の関係についてドイツの事例を参考にして解明した。5日本における自己決定および法化問題とからめ、多元化する紛争処理システムにおける権利の生成に関する基本構図を提示した。6現代のリスク社会の特徴を明らかにし、そこにおける法と自己決定の問題を解明した。7 J.ラズをとりあげ、自律の価値と卓越主義的リベラリズムの関係を解明した。8社会的選択理論とゲーム理論との論争を手がかりに、選択の自由の概念を機会集合の観点から明らかにした。9ロールズの格差原理と互恵性(reciprocity)の観念との関係について解明した。10ロールズの提唱する公共的理性をめぐって、それが法の編成とどのようにかかわり合うのかを解明すると同時に、公共的理性の限界について「語りの正義」の観点から批判的に検討した。1自己決定権を憲法上の基本権と捉えた上で、それが私法上の契約関係においていかに保護・調整されるのかについて基本的な枠組みと基準を提示した。2市場規制との関係で、契約の自由と取引の自由をめぐる英米判例法理を解明した。3労働法の基本理念としての自己決定権と生存権との複合的関係を明らかにした。4生命・医療倫理をめぐる自己決定と合意形成をめぐる諸問題に法がどう関与するべきかという関心から、その基本枠組みを明らかにすると同時に、ケアの専門職と法および倫理の関係についてドイツの事例を参考にして解明した。5日本における自己決定および法化問題とからめ、多元化する紛争処理システムにおける権利の生成に関する基本構図を提示した。6現代のリスク社会の特徴を明らかにし、そこにおける法と自己決定の問題を解明した。7 J.ラズをとりあげ、自律の価値と卓越主義的リベラリズムの関係を解明した。8社会的選択理論とゲーム理論との論争を手がかりに、選択の自由の概念を機会集合の観点から明らかにした。9ロールズの格差原理と互恵性(reciprocity)の観念との関係について解明した。10ロールズの提唱する公共的理性をめぐって、それが法の編成とどのようにかかわり合うのかを解明すると同時に、公共的理性の限界について「語りの正義」の観点から批判的に検討した。共同体からのインフォーマルな規制圧力とお上によるパターナリスティックな介入が個人の自律を妨げる傾向の強い日本社会にあって、意見や利害の異なる市民相互が主体的に自己決定しつつ、合意を形成するためにどのような制度が望ましいかということを、そのような自己決定と合意を可能にするフォーラムとして法が重要な役割を果たすべきであるという観点から探求することが本研究の課題であり、具体的には、医療・生命、契約、市場規制、労使関係、紛争解決という5つの個別分野を、インフォ-マルな相互行為、パターナリズム・科学論、経済学、公正な妥協というより一般的な論点の研究と関連づけて、役割分担と相互連携のもとで扱う。本年度は、研究代表者および分担者ほぼ全員が参加した2回にわたる研究会において、上記の課題にかかわる問題状況を概観し、本研究の基本方針を再確認するとともに、生命倫理の分野(とくに医療選択権と自己決定・生命に関する権利の関係)と市場経済の分野(とくに市場経済と公共性と合意形成の関係)について、外部からの専門家も招いて全体討議を行った。来年度は、これらの分野について国際比較の観点をより強化するとともに、紛争解決(とくに裁判外紛争如理)の問題を全体討議で取り上げる予定である。研究会の全体討議で取り上げることのできなかった分野についても、資料収集・関連文献の分祷ならびにそれに基づく論文作成が各研究分担者において相当進行しており、その成果は、本研究のいわば中間報告として、研究代表者および分担者による論文集(『現代法の展望-自己決定の諸相』(有斐閣))として、2003年中に出版されることになっている。来年度以降は、そこで発表された諸論文を土台に、相互批判を通じて各分野の連携を一層強化し、本研究の一層の進展・深化をはかるつもりである。1自己決定権を憲法上の基本権と捉えた上で、それが契約関係においていかに保護・調整されるのかについて基本的な枠組みを提示した。2市場規制との関係で、契約の自由と取引の自由をめぐる判例法理を解明した。3労働法の基本理念としての自己決定権と生存権との複合的関係を明らかにした。4生命・医療倫理をめぐる自己決定と合意形成をめぐる重要問題について法的関与のあり方に関する基本枠組みを明らかにすると同時に、ケアの専門職と法および倫理の関係について解明した。5日本における自己決定および法化問題とからめ、多元化する紛争処理システムにおける権利の生成に関する基本構図を提示した。6リスク社会における法と自己決定の問題を解明した。7自律の価値と卓越主義的リベラリズムの関係を解明した。8選択の自由の概念を、機会集合の観点から明らかにした。9ロールズの格差原理が互恵性の観念を含むのかどうかという問題について綿密な検討を行った。10ロールズの提唱する公共的理性をめぐって、それが法の編成とどのようにかかわり合うのかを解明すると同時に、公共的理性の限界について「語りの正義」の観点から批判的に検討した。
KAKENHI-PROJECT-14320003
https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-14320003
日本型法化社会における自己決定と合意形成
以上の研究成果を各自論文にまとめ、近く田中成明編『現代法の展望-自己決定の諸相』(有斐閣)として公表する。本研究は、法哲学・法理論の支援を受けつつ、医療と生命、契約、市揚、労使関係、紛争解決という個別分野の制度設計の問題を具体的に扱い、市民の自律と共生を可能にする制度設計の提言をなすことをも目的とする。日本型法化社会における自己決定と合意形成に関し、各自の研究と研究分担者相互の討論をへて、各分担者が論文を執筆し、3年間の研究期間の総括を行い、その成果を、研究代表者を編者とする著書『現代法の展望-自己決定の諸相』のかたちで公表した。本書および研究代表者および研究分担者の論文で扱われた個別テーマは、以下のようなものである。1.生命倫理への法的関与の在り方。ケアの専門職と法および倫理の関係。2.契約関係における基本権の侵害と民事救済の可能性。取引の自由と契約の自由の関係。3.労働法と自己決定の関係。4.多元化する紛争処理システムにおける権利の生成。5.リスク社会における法と自己決定6.自律の価値と卓越主義的リベラリズム。7.選択の自由。8.格差原理と互恵性。9.法の形成と公共的理性。10.シビリティと語りの正義。11.法の経済分析と自己決定の関係。以上の研究によって、共同体からのインフォーマルな規制圧力とお上によるパターナリスティックな介入が個人の自律を妨げる傾向の強い日本社会にあって、意見や利害の異なる市民相互が主体的に自己決定を行いつつ、合意を形成するために,法がどのような役割を果たすことができるかについて、多くの重要な知見が得られた。
KAKENHI-PROJECT-14320003
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宇宙用大型膜の初期変形を用いた展開の高信頼性化と展張形状の高剛性化
2018年度は,宇宙用大型膜の展開/展張モデルに重心を置き,(a)膜の折り癖の収納/展開モデルの構築,(b)膜面デバイスの反り制御法,(c)折り癖/膜面デバイスを考慮した展開/展張解析,を実施した.詳細を以下に述べる.(a)展開後に高精度な膜面形状を実現するためには,収納時に膜に形成される折り目の展開特性を明らかにする必要がある.既往研究では,弾塑性を考慮した折り目モデルが検討されたものの,実際の折り畳みに近い,十分に折り癖がつけられた場合には,その折り目モデルによる解析結果と実験結果は一致しなかった.今年度の研究では,その原因が膜材の応力緩和にあることを明らかにし,それを考慮した数学モデルの構築と実験検証を行った結果,解析と実験がよく一致することを示した.(b)薄膜太陽電池セル等の膜面デバイスは,膜面に接着剤で貼り付けられている一方,探査機の温度環境の高低差が大きいため,接着層と膜面デバイスおよび膜面の線膨張係数のミスマッチによって反り変形が生じ,展開後の形状精度が低下する.そこで,温度依存性を考慮した材料物性値を取得し,反りの数学モデルを構築するとともに,反り量を低減するための接着位置の最適設計を実施した.(c) JAXAのソーラー電力セイルOKEANOSを対象とし,(b)の反りのモデルを考慮した展張解析モデルを構築した.2019年度は本モデルによる解析を実施するとともに,(a)で構築した折り癖の力学モデルを解析に取り込み,それらを同時に考慮した解析を実施する.また,簡易モデルによる実験検証を実施する.申請時に予定していた,(a)膜の折り癖の収納/展開モデルの構築,(b)膜面デバイスの反り制御法,(c)折り癖/膜面デバイスを考慮した展開/展張解析,のうち,(a)および(b)は完了している.(c)は展開解析における折り癖の考慮および実験検証が未実施であるが,申請時には(c)は2019年度にまたいで実施する計画であった.以上から,おおむね順調に進展していると判断した.2019年度は,(c)折り癖/膜面デバイスを考慮した展開/展張解析,のうち,2018年度未実施の展開解析における折り癖の考慮および実験検証を実施する.また,解析で得られた結果から,折り癖/膜面デバイスと展開/展張の関係を考察し,その紐づけを明確にしていく.さらに,解析結果を整理し,展開信頼性および展開後剛性の支配パラメータを明らかにする.2018年度は,宇宙用大型膜の展開/展張モデルに重心を置き,(a)膜の折り癖の収納/展開モデルの構築,(b)膜面デバイスの反り制御法,(c)折り癖/膜面デバイスを考慮した展開/展張解析,を実施した.詳細を以下に述べる.(a)展開後に高精度な膜面形状を実現するためには,収納時に膜に形成される折り目の展開特性を明らかにする必要がある.既往研究では,弾塑性を考慮した折り目モデルが検討されたものの,実際の折り畳みに近い,十分に折り癖がつけられた場合には,その折り目モデルによる解析結果と実験結果は一致しなかった.今年度の研究では,その原因が膜材の応力緩和にあることを明らかにし,それを考慮した数学モデルの構築と実験検証を行った結果,解析と実験がよく一致することを示した.(b)薄膜太陽電池セル等の膜面デバイスは,膜面に接着剤で貼り付けられている一方,探査機の温度環境の高低差が大きいため,接着層と膜面デバイスおよび膜面の線膨張係数のミスマッチによって反り変形が生じ,展開後の形状精度が低下する.そこで,温度依存性を考慮した材料物性値を取得し,反りの数学モデルを構築するとともに,反り量を低減するための接着位置の最適設計を実施した.(c) JAXAのソーラー電力セイルOKEANOSを対象とし,(b)の反りのモデルを考慮した展張解析モデルを構築した.2019年度は本モデルによる解析を実施するとともに,(a)で構築した折り癖の力学モデルを解析に取り込み,それらを同時に考慮した解析を実施する.また,簡易モデルによる実験検証を実施する.申請時に予定していた,(a)膜の折り癖の収納/展開モデルの構築,(b)膜面デバイスの反り制御法,(c)折り癖/膜面デバイスを考慮した展開/展張解析,のうち,(a)および(b)は完了している.(c)は展開解析における折り癖の考慮および実験検証が未実施であるが,申請時には(c)は2019年度にまたいで実施する計画であった.以上から,おおむね順調に進展していると判断した.2019年度は,(c)折り癖/膜面デバイスを考慮した展開/展張解析,のうち,2018年度未実施の展開解析における折り癖の考慮および実験検証を実施する.また,解析で得られた結果から,折り癖/膜面デバイスと展開/展張の関係を考察し,その紐づけを明確にしていく.さらに,解析結果を整理し,展開信頼性および展開後剛性の支配パラメータを明らかにする.2018年度に実施計画だった,(c)折り癖/膜面デバイスを考慮した展開/展張解析,の中の簡易モデルによる実験検証が2019年度に実施することになったため,2018年度に計上していた実験消耗品の分が次年度使用となった.本実験は2019年度中に実施する予定である.
KAKENHI-PROJECT-18K13929
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シアノバクテリアの分枝形成の分子機構と系統進化
糸状性シアノバクテリアに見られる分枝形成の起源とその形態的多様化の進化過程を明らかにするため、現性種の分子系統学的解析を行った。またその系統発生時期を推定するため、化石記録との対比を行った。一方で、分枝形成の分子機構を明らかにすることをめざし、非モデル生物株に分子遺伝学的手法を導入し、変異体の解析を行った。糸状性シアノバクテリアに見られる分枝形成の起源とその形態的多様化の進化過程を明らかにするため、現性種の分子系統学的解析を行った。またその系統発生時期を推定するため、化石記録との対比を行った。一方で、分枝形成の分子機構を明らかにすることをめざし、非モデル生物株に分子遺伝学的手法を導入し、変異体の解析を行った。シアノバクテリアは原核生物の中でも形態的多様性に富む分類群であり,その形態的特徴は,現生種や化石の重要な分類学的形質となっている。特に糸状性シアノバクテリアは,4種類の細胞分化や,分枝形成といった多細胞生物的な性質を持ち,発生学的・進化学的にも興味深い。しかし,糸状性シアノバクテリアの多様な形態の進化過程や形成機構の詳細はわかっていない。本研究では,シアノバクテリアの中で最も複雑な形態的特徴を持つスチゴネマ目に着目し,その分枝形成の機構と進化を遺伝子レベルで調べることで,糸状性シアノバクテリアの形態的多様化の背景を明らかにすることを目指している。本年度は,特にスチゴネマ目の分枝様式の進化史の解明と,分子遺伝学的手法を確立に焦点を置き,以下の研究を行った。1.形態的多様性を考慮して選んだ5属13株のスチゴネマ目シアノバクテリアを材料に,16S rRNA,異質細胞形成のマーカー遺伝子の配列に基づいた分子系統樹を作成した。得られた系統関係と,各株の分枝の発生様式を比較し,スチゴネマ目の分枝様式の進化過程を考察した。2.スチゴネマ目シアノバクテリアの形質転換を行うため,本年度は,主に接合による遺伝子導入の実験条件の検討を行った。一方で実験材料を選定のため,5属8株のスチゴネマ目シアノバクテリアについて,培養と導入効率の検討を進めた。3.分枝形成に関与する遺伝子の表現型観察のため,自家蛍光タンパク質GFPをレポーターとしたベクターコンストラクトの構築を行った。糸状性シアノバクテリアは、細胞分化や分枝形成といった多細胞生物的な性質を持ち、発生学的・進化学的に興味深い。しかし、その多様な形態の形成機構や進化過程には不明な点が多い。本研究では、スチゴネマ目シアノバクテリアを材料に、その分枝形成の分子レベルの解析を通して、糸状性シアノバクテリアの形態的多様化の背景の解明を目指した。本年度の研究内容は、以下の通りである。1.前年度に解析したスチゴネマ目5属13株と、系統的多様性を反映するように糸状性シアノバクテリアを合わせた計12属25株を材料に、16S rRNAと異質細胞形成制御遺伝子に基づく分子系統樹を作成したところ、当該グループの単系統性が支持された。また、スチゴネマ目の系統進化について、ボストン大学の研究者と化石記録も含めた議論を行った。2.スチゴネマ目シアノバクテリア5属8株について行った培養と形質転換効率の結果に基づき、PCC株を材料にしたトランスポゾン変異体の作成に成功した。しかし、得られた株の中には形態形成の変異体はみられなかった。3.スチゴネマ目にみられる分枝形成過程を観察するため、モデル生物で利用されている自家蛍光タンパク質GFPをレポーターとして利用し、特に細胞分裂過程の可視化のための実験系の構築を行った。シアノバクテリアには強い自家蛍光が存在するため、十分なシグナルを得るためにはフィルターの最適化だけでなく、レポーター遺伝子配列の改変を今後の課題として残した。
KAKENHI-PROJECT-19770072
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RNAiを用いた自然免疫系制御による硬化性骨髄炎の治療戦略
慢性骨髄炎などの骨硬化を伴う疾患においては病巣局所に対する薬物の移行性が低下しており、治療上大きな障害となっている。骨硬化の原因としては局所に存在する骨芽細胞の機能が亢進し、石灰化が促進していることが推測される。病原体の侵入を特異的に認識することが知られているToll様受容体(TLR)がマクロファージ等の破骨細胞前駆細胞に発現しており、細菌性抗原などを認識して破骨細胞に分化することが知られている。本研究において、われわれは骨芽細胞におけるTLRを介したシグナルに関して研究を行い、それらの関与する遺伝子発現を制御することにより、硬化性骨髄炎の治療に応用することを試みようとした。石灰化現象を観察可能な骨芽細胞としてMC3T3-E1細胞を用い、硬化性骨髄炎の原因の一つであると推測されるウイルスの2本鎖RNAの代用としてpoly(I):poly(C)を用いて実験を行った。RT-PCR法ならびにウエスタンブロット法によりMC3T3-E1細胞には2本鎖RNAを認識するTLR3が発現していた。MC3T3-E1細胞をpoly(I):poly(C)処理すると転写因子STAT1の活性化が生じ、インターフェロン(IFN)β、CXCL10、TLR3の発現が増加した。これらの発現の増加は抗IFN-β抗体を細胞に作用させることにより抑制された。これらの結果からウイルス感染を生ずるとTLR3の発現を増加させ、感染に対するアンテナをさらに増加させること、また、IFN-βやSTAT1を標的としてこれらを抑制することによりウイルス感染により生じるシグナルを阻害することが可能であると推測される。本研究においては実際に上記シグナルの抑制を行う実験までは終了することが出来なかったが、今後これらの因子に対する抗体やRNAiを用いた動物実験等により臨床応用への可能性について検討を行う必要がある。硬化性骨疾患の一つである硬化性骨髄炎は長期に及ぶ炎症が軽快または消失した骨髄部に多量の骨が形成される病態を示す疾患である。その発症は細菌やウイルスによるものであると推測されているが、その発症機構の詳細は未だ明らかにされていない。一方、自然免疫系においては微生物の表層抗原を認識する受容体としてToll-like receptor (TLR)群が発見され、それぞれ特異的な微生物の成分と結合してそのシグナルを伝達していることが広く知られている。本研究は病変部位に存在するウイルスや細菌が骨芽細胞のTLRを介して細胞外基質などの分泌に対して影響を及ぽし、石灰化現象に変化を生じさせるものと推測し、本研究を行った。マウス頭蓋冠由来骨芽細胞様細胞株MC3T3-E1細胞(E1細胞)ではTLR-1、3、4、5、6、7、ヒト骨肉腫細胞株MG-63ではTLR-3、7、6mRNAの発現が認められた。TLR-3のリガンドである二本鎖RNAであるpoly IC(100ng/ml)を添加してE1細胞を通法に従い培養すると培養開始10日目より石灰化結節を生じ、対照群と比較して結節の数、大きさともに増大傾向を示した。また、100ng/ml poly ICでE1細胞を12時間刺激すると線維芽細胞増殖因子2(FGF-2)mRNAの発現が2倍、cbfa1 mRNAでは1.6倍の増加が認められた。さらに、10mg/kg Poly ICをC57/B16マウスに投与すると有意な体重減少とともに皮質骨の肥厚が軟X線写真により観察された。以上の結果より、ウイルス二本鎖RNAを骨芽細胞のTLRが認識し、骨の石灰化を亢進させるシグナルを伝達させる可能性が示唆された。慢性骨髄炎などの骨硬化を伴う疾患においては病巣局所に対する薬物の移行性が低下しており、治療上大きな障害となっている。骨硬化の原因としては局所に存在する骨芽細胞の機能が亢進し、石灰化が促進していることが推測される。病原体の侵入を特異的に認識することが知られているToll様受容体(TLR)がマクロファージ等の破骨細胞前駆細胞に発現しており、細菌性抗原などを認識して破骨細胞に分化することが知られている。本研究において、われわれは骨芽細胞におけるTLRを介したシグナルに関して研究を行い、それらの関与する遺伝子発現を制御することにより、硬化性骨髄炎の治療に応用することを試みようとした。石灰化現象を観察可能な骨芽細胞としてMC3T3-E1細胞を用い、硬化性骨髄炎の原因の一つであると推測されるウイルスの2本鎖RNAの代用としてpoly(I):poly(C)を用いて実験を行った。RT-PCR法ならびにウエスタンブロット法によりMC3T3-E1細胞には2本鎖RNAを認識するTLR3が発現していた。MC3T3-E1細胞をpoly(I):poly(C)処理すると転写因子STAT1の活性化が生じ、インターフェロン(IFN)β、CXCL10、TLR3の発現が増加した。これらの発現の増加は抗IFN-β抗体を細胞に作用させることにより抑制された。これらの結果からウイルス感染を生ずるとTLR3の発現を増加させ、感染に対するアンテナをさらに増加させること、また、IFN-βやSTAT1を標的としてこれらを抑制することによりウイルス感染により生じるシグナルを阻害することが可能であると推測される。本研究においては実際に上記シグナルの抑制を行う実験までは終了することが出来なかったが、今後これらの因子に対する抗体やRNAiを用いた動物実験等により臨床応用への可能性について検討を行う必要がある。
KAKENHI-PROJECT-17659624
https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-17659624
アイヌの海魚漁に関する民俗学的研究
今回の調査で得られた成果はきわめて大きく、顕著なものを3点だけ取りあげてみたい。1.魚類と海獣類の区別一般的に海獣といえば海に生〓する哺乳動物をさし,爬虫類のカメを包含させる意見もあろうが、アイヌの人々は動物学的な見方のほかに、捕獲漁貝による分け方がある。即ち漁網で捕獲できるものを魚類、離れ銛で捕獲するものは海獣となる。大型のイトマキエイ・カジキ・マグロ・マンボウ・サメ・チョウザメらを海獣の仲間に入れ小型の魚には見られない霊送りの儀礼が存在する。2.魚類及び海獣の分類体系魚類や海獣類の中には成長別の名称があり海獣類にかたよっている。それは識別が可能であるほかに、捕獲(間引き)すべき種類を決め、群全体の年令構成を調整する目的が含まれている。海に生〓する動植物もそうした視点で分類体系化され、それに親族呼称名を与えて人格化させていることは注目すべきことである。3.海域の区分陸地では一つの河川流域を中心にそれぞれの生活領域が設けられ、その境界は丘陵や山の陵線をもって決められている。海域に関する資料は皆無に近かったが、各地の古老の証言から・海浜にある境界線をそのまま延長させ、沖合は5070カイリ位までをそれに当てている。これまでの調査に対して、海流・天候・船の操舵・山立て(三角測量を応用し海面での現在を知る)などの関連事項が次々と浮上してはいるが、1988度の「アイヌの川魚漁に関する民俗学的研究」と総合させ、アイヌの漁務に関するとりまとめを行い、今後は随時発表していく予定である。なお、海獣猟については改めて調査研究を申請したい。今回の調査で得られた成果はきわめて大きく、顕著なものを3点だけ取りあげてみたい。1.魚類と海獣類の区別一般的に海獣といえば海に生〓する哺乳動物をさし,爬虫類のカメを包含させる意見もあろうが、アイヌの人々は動物学的な見方のほかに、捕獲漁貝による分け方がある。即ち漁網で捕獲できるものを魚類、離れ銛で捕獲するものは海獣となる。大型のイトマキエイ・カジキ・マグロ・マンボウ・サメ・チョウザメらを海獣の仲間に入れ小型の魚には見られない霊送りの儀礼が存在する。2.魚類及び海獣の分類体系魚類や海獣類の中には成長別の名称があり海獣類にかたよっている。それは識別が可能であるほかに、捕獲(間引き)すべき種類を決め、群全体の年令構成を調整する目的が含まれている。海に生〓する動植物もそうした視点で分類体系化され、それに親族呼称名を与えて人格化させていることは注目すべきことである。3.海域の区分陸地では一つの河川流域を中心にそれぞれの生活領域が設けられ、その境界は丘陵や山の陵線をもって決められている。海域に関する資料は皆無に近かったが、各地の古老の証言から・海浜にある境界線をそのまま延長させ、沖合は5070カイリ位までをそれに当てている。これまでの調査に対して、海流・天候・船の操舵・山立て(三角測量を応用し海面での現在を知る)などの関連事項が次々と浮上してはいるが、1988度の「アイヌの川魚漁に関する民俗学的研究」と総合させ、アイヌの漁務に関するとりまとめを行い、今後は随時発表していく予定である。なお、海獣猟については改めて調査研究を申請したい。
KAKENHI-PROJECT-02610139
https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-02610139
アンジオテンシンIIによる細胞増殖・肥大におけるGRK-5抑制効果の検討
(1)血管平滑筋細胞におけるホスホリバーゼ活性測定法の確立:ラット大動脈中膜血管平滑筋細胞を継代培養した。(1)ホスホリパーゼC活性:[^3H]イノシトールで標識した培養細胞に100nMアンジオテンシンII(AII)を15秒間投与した。細胞溶解液よりAG-1-X8レジンカラムクロマトグラフィーにて各イノシトールリン酸(IP)分画を溶出、各分画の放射活性を測定した。AII刺激にて細胞内IP_3は250%増加した。(2)ホスホリパーゼD活性:[^3H]パルミチン酸で標識した培養細胞にAIIを15分間投与した。細胞溶解液の脂質相を一次元薄層クロマトグラフィーにて展開しホスファチジルブタノール(PtBu)放射活性を測定した。AII刺激にてPtBu産生量は330%増加した。(2)HVJ-リボゾーム法によるin vitro遺伝子導入:(1)G蛋白質共役型受容体キナーゼ5(GRK5)全長cDNAを発現ベクターpUCにGRK5cDNAを組み込んだ。不活化Hemmagglutinating Virus of Japan(HVJ)と脂質からなるリボゾームにGRK5組み換えpUCを取り込ませHVJ-リポゾーム-cDNA組み換えベクターを作成した。コントロールとしてβ-ガラクトシダーゼ(βGal)組み換えベクターを作成した。(2)βGal組み換えベクターを含むHVJ-リボゾームを培地に加え培養平滑筋細胞への遺伝子導入を試みた。現在導入効率の改善を検討中である。今後、GRK5組み換えHVJ-リボゾームを用いてGRK5過剰発現細胞を作成し、(1)細胞増殖・肥大に対する影響(2)AII刺激に対するPLC・PLD活性の変化を観察し、GRK5の生理学的意義の検討を行う予定である。(1)血管平滑筋細胞におけるホスホリバーゼ活性測定法の確立:ラット大動脈中膜血管平滑筋細胞を継代培養した。(1)ホスホリパーゼC活性:[^3H]イノシトールで標識した培養細胞に100nMアンジオテンシンII(AII)を15秒間投与した。細胞溶解液よりAG-1-X8レジンカラムクロマトグラフィーにて各イノシトールリン酸(IP)分画を溶出、各分画の放射活性を測定した。AII刺激にて細胞内IP_3は250%増加した。(2)ホスホリパーゼD活性:[^3H]パルミチン酸で標識した培養細胞にAIIを15分間投与した。細胞溶解液の脂質相を一次元薄層クロマトグラフィーにて展開しホスファチジルブタノール(PtBu)放射活性を測定した。AII刺激にてPtBu産生量は330%増加した。(2)HVJ-リボゾーム法によるin vitro遺伝子導入:(1)G蛋白質共役型受容体キナーゼ5(GRK5)全長cDNAを発現ベクターpUCにGRK5cDNAを組み込んだ。不活化Hemmagglutinating Virus of Japan(HVJ)と脂質からなるリボゾームにGRK5組み換えpUCを取り込ませHVJ-リポゾーム-cDNA組み換えベクターを作成した。コントロールとしてβ-ガラクトシダーゼ(βGal)組み換えベクターを作成した。(2)βGal組み換えベクターを含むHVJ-リボゾームを培地に加え培養平滑筋細胞への遺伝子導入を試みた。現在導入効率の改善を検討中である。今後、GRK5組み換えHVJ-リボゾームを用いてGRK5過剰発現細胞を作成し、(1)細胞増殖・肥大に対する影響(2)AII刺激に対するPLC・PLD活性の変化を観察し、GRK5の生理学的意義の検討を行う予定である。
KAKENHI-PROJECT-08770539
https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-08770539
ブラジルの都市サブカルチャーとしてのファンク音楽文化に関する研究
本研究は、ブラジルのリオデジャネイロ都市貧困層の若者の間で、1980年代後半から今日に至るまで圧倒的な支持を得ているファンク音楽をめぐる世界を対象とする。研究目的の一つは、その音楽世界における貧困層の若者の自己表現とアイデンティティの形成を考察することである。もう一つの目的は、北アメリカの都市から生まれたファンク音楽が、ブラジル都市でサブカルチャーとして変容する過程を、世界的規模で広がる情報化社会の中で文化がいかに生成されるかという視点から考察することである。昨年度に収集した現地発の第一次資料の分類と整理を行う過程で、リオデジャネイロのファンク音楽は、「ファンク」という名が付いているものの、その実態は、世界的に見られるクラブミュージックと北アメリカのヒップホップに非常に類似していることがわかった。音楽のスタイルは、クラブミュージックにポルトガル語の響きとリズムを巧みに乗せ、服装やレコードジャケットといった視覚的要素は、ヒップホップの影響を強く受けている。歌詞を通じて受け手(消費者)に伝えられるメッセージは、恋愛、日常生活、セックス、暴力など貧しい若者の日常世界をリアルに描写している。このようなファンク音楽は、北アメリカから発信される音楽を、リオデジャネイロの貧しい若者が自らのコンテクストにおいて変容させたものである。今年度の研究は、昨年度に収集した第一次資料の分析とサブカルチャーおよび大衆音楽に関わる文献資料の読解に主眼を置いて進めた。最終的には、特定の集団の音楽とその社会・文化的意味が、他社会の特定の集団によって変容され、新たにサブカルチャーとして生成される過程、および音楽の受け手の自己表現のあり方に関する理論化を中心に研究成果をまとめる。本研究は、ブラジルのリオデジャネイロの都市貧困層の若者の間で、1980年代後半から今日に至るまで、圧倒的支持を得ているファンク音楽をめぐる世界を対象とし、その音楽世界における自己表現とアイデンティティの形成を考察し、さらに、アメリカ合州国都市から生まれたファンク音楽が、ブラジルの都市でサブカルチャーとして変容する過程を、世界的規模で広がる情報化社会の中で文化がいかに生成されるかという視点から考察することを目的としている。今年度は、主として、現地調査において得られた第一次資料の分類・整理と基本文献の収集を行った。それにより得られた新しい知見は、次の通りである。1,研究対象である音楽の現地における導入と発展のプロセス、2,当該音楽のグローバルな音楽消費市場における位置づけ、3,現地で発売された音楽資料の歌詞分析およびミュージシャンのプロフィールなどを通してみる、音楽の送り手のマーケティングの分析、4,音楽の受け手である貧困層の若者の社会的位置づけ、5,受け手である貧困層の若者の、音楽を通して表現された自画像についての分析。現在は、特定の集団の音楽とその社会・文化的意味が、他社会の特定の集団によって変容され、新たにサブカルチャーとして生成される過程、および、音楽の受け手の自己表現のあり方に関する理論化を検討中である。来年度(平成11年度)は、日本民族学会全国大会において、本研究の成果を中間発表しレビューを受ける。さらに、現地の音楽資料の分析と理論化を進め、最終的な研究成果をまとめる予定である。本研究は、ブラジルのリオデジャネイロ都市貧困層の若者の間で、1980年代後半から今日に至るまで圧倒的な支持を得ているファンク音楽をめぐる世界を対象とする。研究目的の一つは、その音楽世界における貧困層の若者の自己表現とアイデンティティの形成を考察することである。もう一つの目的は、北アメリカの都市から生まれたファンク音楽が、ブラジル都市でサブカルチャーとして変容する過程を、世界的規模で広がる情報化社会の中で文化がいかに生成されるかという視点から考察することである。昨年度に収集した現地発の第一次資料の分類と整理を行う過程で、リオデジャネイロのファンク音楽は、「ファンク」という名が付いているものの、その実態は、世界的に見られるクラブミュージックと北アメリカのヒップホップに非常に類似していることがわかった。音楽のスタイルは、クラブミュージックにポルトガル語の響きとリズムを巧みに乗せ、服装やレコードジャケットといった視覚的要素は、ヒップホップの影響を強く受けている。歌詞を通じて受け手(消費者)に伝えられるメッセージは、恋愛、日常生活、セックス、暴力など貧しい若者の日常世界をリアルに描写している。このようなファンク音楽は、北アメリカから発信される音楽を、リオデジャネイロの貧しい若者が自らのコンテクストにおいて変容させたものである。今年度の研究は、昨年度に収集した第一次資料の分析とサブカルチャーおよび大衆音楽に関わる文献資料の読解に主眼を置いて進めた。最終的には、特定の集団の音楽とその社会・文化的意味が、他社会の特定の集団によって変容され、新たにサブカルチャーとして生成される過程、および音楽の受け手の自己表現のあり方に関する理論化を中心に研究成果をまとめる。
KAKENHI-PROJECT-10710152
https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-10710152
ニュ-モシスチスカリニの分子生物学的研究とその臨床応用
ニュ-モシスチス・カリニの分子生物学と臨床応用に関する基礎的研究についての以下の研究成果を得た。1.従来のヌ-ドラットを用いた感染系に加えて、ヌ-ドマウスを用いた感染・培養系を確立した。2.ラット及びマウス・カリニ表面抗原に対する単クロ-ン抗体の確立と解析を行なった。その結果、ラット・カリニ主要表面抗原糖蛋白質(P115)の糖鎖部分が主要抗原となっていることを明らかにした。3.P115蛋白質の部分配列を決定し、人工合成したペプチドに対する単クロ-ン抗体を作製した。これを用いて、カリニ表面抗原分析を行なった。4.5Sリボゾ-ムDNAのPCR増幅法を用いたDNA診断法を開発し、臨床的に確立した。5.ニュ-モシスチス・カリニのcDNAとゲノム・ライブラリ-を作製した。抗P115抗体を利用して、P115-cDNAクロ-ンを多数分離した。塩基配列分析の結果、表面抗原の構造に著しい多型性が観察された。今後、P115遺伝子のcDNAとゲノムDNAの全構造を明らかにし、本研究で示唆された表面抗原の可変性の分子機構および分子病理に関して解析を行なう。特に、抗原変換とAIDSとの関連を明らかにする。さらに、ワクチン化研究を推進する。ニュ-モシスチス・カリニの分子生物学と臨床応用に関する基礎的研究についての以下の研究成果を得た。1.従来のヌ-ドラットを用いた感染系に加えて、ヌ-ドマウスを用いた感染・培養系を確立した。2.ラット及びマウス・カリニ表面抗原に対する単クロ-ン抗体の確立と解析を行なった。その結果、ラット・カリニ主要表面抗原糖蛋白質(P115)の糖鎖部分が主要抗原となっていることを明らかにした。3.P115蛋白質の部分配列を決定し、人工合成したペプチドに対する単クロ-ン抗体を作製した。これを用いて、カリニ表面抗原分析を行なった。4.5Sリボゾ-ムDNAのPCR増幅法を用いたDNA診断法を開発し、臨床的に確立した。5.ニュ-モシスチス・カリニのcDNAとゲノム・ライブラリ-を作製した。抗P115抗体を利用して、P115-cDNAクロ-ンを多数分離した。塩基配列分析の結果、表面抗原の構造に著しい多型性が観察された。今後、P115遺伝子のcDNAとゲノムDNAの全構造を明らかにし、本研究で示唆された表面抗原の可変性の分子機構および分子病理に関して解析を行なう。特に、抗原変換とAIDSとの関連を明らかにする。さらに、ワクチン化研究を推進する。1.マウスを用いたニュ-モシスチスカリニ感染系の開発:ラットでのカリニの培養系の他に、新たにヌ-ドマウスで発症したカリニをアイソレ-タ-内で完全隔離・無菌条件下でヌ-ドマウスに感染・維持する系を確立した。2.マウスカリニにたいするモノクロ-ナル抗体の作製と表面抗原の解析:マウスカリニの表面抗原に対するモノクロ-ナル抗体を作製し、受動免疫療法のために大量精製した。3.ラットカリニ表面抗原P115に対するモノクロ-ナル抗体とP115の性状に関する解析:ラットカリニの主要表面抗原P115に対するモノクロ-ナル抗体はP115糖鎖部分をエピト-プとすることがわかった。4.P115遺伝子クロ-ニング:P115糖タンパク質を限定分解し、N末端アミノ酸配列を決定した。それを基に、2種類のペプチドを人工合成し、モノクロ-ナル抗体を作製した。現在、カリニcDNAライブラリ-のスクリ-ニングを行なっている。5.PCRの遺伝子増幅法によるDNA診断:カリニ5SrRNAをプライマ-とするPCR診断法を確立した。肺の生検によらなくとも喀痰や血液で容易に高精度の診断を行なうことが可能である。ニュ-モシスチス・カリニの分子生物学と臨床応用に関する基礎的研究について以下の研究成果を得た。1.従来のヌ-ドラットを用いた感染系に加えて、ヌ-ドマウスを用いた感染・培養系を確立した。2.ラット及びマウス・カリニ表面抗原に対する単クロ-ン抗体の確立と解析を行なった。その結果、ラット・カリニ主要表面抗原糖蛋白質(P115)の糖鎖部分が主要抗原となっていることを明らかにした。3.P115蛋白質の部分配列を決定し、人工合成したペプチドに対する単クロ-ン抗体を作製した。これを用いて、カリニ表面抗原分析を行なった。4.5Sリボゾ-ムDNAのPCR増幅法を用いたDNA診断法を開発し、臨床的に確立した。5.ニュ-モシスチス・カリニのcDNAとゲノム・ライブラリ-を作製した。抗P115抗体を利用して、P115ーcDNAクロ-ンを多数分離した。塩基配列分析の結果、表面抗原の構造に著しい多型性が観察された。今後、P115遺伝子のcDNAとゲノムDNAの全構造を明らかにし、本研究で示唆された表面抗原の可変性の分子機構および分子病理に関して解析を行なう。特に、抗原変換とAIDSとの関連を明らかにする。さらに、ワクチン化研究を推進する。
KAKENHI-PROJECT-02454175
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炭化物への根から滲出する物質の吸着が土壌微生物の変異に及ぼす作物生産向上の解明
今年度は,昨年作成した活性炭の処理区をそのまま連作し,Microcosm試験における炭化物種と根粒菌および硝化菌の動態変化について,活性炭の吸着能力と根粒菌の着生の関係および各系統のダイズ(3系統)の生育の関係を調査した。さらに,Microcosm試験による異なる窒素吸収植物種を用いた炭化物種と硝化作用に及ぼす影響についても確認を行った。この結果,昨年から混和している活性炭の吸着能力は低下しておらず,昨年と傾向が違うのは,TnVRSN4(超根粒)を含むすべての3系統の根粒菌着生数は,対照区に比べて有意に低下していた。一方,根粒菌の着生数が低下したにもかかわらず,各区にダイズの基準施肥量を施肥したことから,収量は維持されていた。根粒菌の誘導物質と報告されているDaidzeinおよびGenistein量は,活性炭施用量が多くなるにつれて減少していた。3系統における土壌中に放出されたN2Oは,活性炭の施用量が多くなるとN2O放出量が減少する傾向を示した。このように,ダイズの連作における活性炭の連用効果の現象は,昨年と若干異なる傾向を示した。今後は、活性炭施用量,収量を含むダイズ系統差,根粒菌着生,根粒菌の誘導物質およびN2O放出量の関係を統計解析にて解明していく予定である。異なる窒素吸収植物種を用いた炭化物種と硝化作用に及ぼす影響についても確認できた。つまり,炭化物施用によって,土壌中に施用した尿素はアンモニアには変化しているものの,そのまま炭化物に吸着し,明らかに硝化菌によって速やかに硝化されていないことが好アンモニア窒素および好硝酸態窒素植物を栽培することによって証明された。好硝酸態窒素植物は結局,炭化物施用量が増えればアンモニア態窒素の炭化物への吸着が多く,尿素から硝酸態窒素への移行が困難になり枯死するような処理区も認められた。今年度も引き継き調査をする予定である。各試験は終了しているが,土壌微生物群の追跡調査がすべて完了しておらず,冷凍保存している状態である。この分析を継続しながら,次年度の計画を遂行していく予定である。31年度は,応募時の計画通り下記の継続および新規実験3つを行う。1.ダイズの連用をもう1年行う。2.Microcosm試験による異なる窒素吸収植物種を用いた炭化物種と硝化作用に及ぼす影響を短期的(1作)かつ長期的(連作)に栽培することによって調査する。最終年度は,炭化物種の物理的および化学的吸着における破過点の推定年数を推定し,異なる炭化物種および施用量が植物の成育と土壌微生物の動態に与える影響調査する。同時に,炭化物種の吸着メカニズムと関連付けて短期および長期的に調査した結果をまとめ,総合的に農業分野で利用できる炭化種の土壌中の挙動を把握する。今年度は新作区で異なる根粒菌着生タイプの3系統ダイズの生育および収量における活性炭の施用効果を調査した。活性炭の施用量を0から2.4、4.8および9.6 t/haに増やしても有意な差が見られなかったが、TnVRSN4(超根粒)の系統だけは、活性炭4.8t/haで0t/haに比べて大きくなる傾向を示した。TnVRNN4(無根粒)の収量は各区で有意な差が認められないものの、活性炭施用量を多くしていくほど収量は低下する傾向を示した。TnVR7(根粒)のタチナガハは変化が認めらなかった。根粒菌着生数及び根粒菌の生重は、TnVRSN4で大きく変化し、活性炭施用量を多くするほど減少傾向を示した。逆にTnVRNN4とTnVR7(根粒)では活性炭を施用すればするほど1株当たりの根粒菌数および生重が増加傾向を示し、明らかにTnVRSN4系統と異なる現象を示した。各系統から放出されたN2O量は、TnVRSN4が他の2つの系統より明らかに多く、それは根粒菌の着生と何らかの関係があると推察された。また、TnVRSN4とTnVRNN4は活性炭の施用量が多くなるとN2O放出量が減少し、N2Oが活性炭に吸着したと推測されるが、TnVR7系統のN2O量には変化が認められなかったことから、上記の2系統だけが活性炭の施用によってN2O量を減少したかは不明である。一方、根粒菌の誘導物質と報告されているDaidzeinおよびGenisteinは、無根粒菌着生のTnVRNN4がTnVRSN4よりも有意に多く土壌中の滲出しているのにもかかわらず、明らかにさらに活性炭の施用量が多くなり、これらの物質の多くは吸着していると推測されるのに根粒菌着生数は増加を示した。この結果、根粒菌の着生に関わる物質はDaidzeinおよびGenistein以外の物質が関与していることが示唆され、過去の報告と全く異なる現象を発見した。29年度の2つの実験を設定し、短期および長期的研究を開始する計画になっていたが、実験1の取り組みに多くの時間を費やし、実験2の設定が若干遅れており、29年度の成果に結果が間に合わなかった。しかし現在継続中である。今年度は,昨年作成した活性炭の処理区をそのまま連作し,Microcosm試験における炭化物種と根粒菌および硝化菌の動態変化について,活性炭の吸着能力と根粒菌の着生の関係および各系統のダイズ(3系統)の生育の関係を調査した。
KAKENHI-PROJECT-17K07623
https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-17K07623
炭化物への根から滲出する物質の吸着が土壌微生物の変異に及ぼす作物生産向上の解明
さらに,Microcosm試験による異なる窒素吸収植物種を用いた炭化物種と硝化作用に及ぼす影響についても確認を行った。この結果,昨年から混和している活性炭の吸着能力は低下しておらず,昨年と傾向が違うのは,TnVRSN4(超根粒)を含むすべての3系統の根粒菌着生数は,対照区に比べて有意に低下していた。一方,根粒菌の着生数が低下したにもかかわらず,各区にダイズの基準施肥量を施肥したことから,収量は維持されていた。根粒菌の誘導物質と報告されているDaidzeinおよびGenistein量は,活性炭施用量が多くなるにつれて減少していた。3系統における土壌中に放出されたN2Oは,活性炭の施用量が多くなるとN2O放出量が減少する傾向を示した。このように,ダイズの連作における活性炭の連用効果の現象は,昨年と若干異なる傾向を示した。今後は、活性炭施用量,収量を含むダイズ系統差,根粒菌着生,根粒菌の誘導物質およびN2O放出量の関係を統計解析にて解明していく予定である。異なる窒素吸収植物種を用いた炭化物種と硝化作用に及ぼす影響についても確認できた。つまり,炭化物施用によって,土壌中に施用した尿素はアンモニアには変化しているものの,そのまま炭化物に吸着し,明らかに硝化菌によって速やかに硝化されていないことが好アンモニア窒素および好硝酸態窒素植物を栽培することによって証明された。好硝酸態窒素植物は結局,炭化物施用量が増えればアンモニア態窒素の炭化物への吸着が多く,尿素から硝酸態窒素への移行が困難になり枯死するような処理区も認められた。今年度も引き継き調査をする予定である。各試験は終了しているが,土壌微生物群の追跡調査がすべて完了しておらず,冷凍保存している状態である。この分析を継続しながら,次年度の計画を遂行していく予定である。30年度は、応募時の計画通り下記の継続および新規実験3つを行う。1.29年度供試したMicrocosm試験を連作で用い、引き続き根粒菌および硝化菌の動態変化を異なる根粒菌着生ダイズ3系統(TnVRNN4(無根粒)、TnVRSN4(超根粒)、TnVR7(根粒))を用いて各系統の根から滲出する根粒菌等の誘導物質を調査する。2.Microcosm試験による異なる窒素吸収植物種を用いた炭化物種と硝化作用に及ぼす影響を短期的(1作)かつ長期的(連作)に栽培することによって調査する。3.活性炭の物理的および化学的吸着における破過点の推定年数を推定していく。31年度は,応募時の計画通り下記の継続および新規実験3つを行う。1.ダイズの連用をもう1年行う。2.Microcosm試験による異なる窒素吸収植物種を用いた炭化物種と硝化作用に及ぼす影響を短期的(1作)かつ長期的(連作)に栽培することによって調査する。最終年度は,炭化物種の物理的および化学的吸着における破過点の推定年数を推定し,異なる炭化物種および施用量が植物の成育と土壌微生物の動態に与える影響調査する。同時に,炭化物種の吸着メカニズムと関連付けて短期および長期的に調査した結果をまとめ,総合的に農業分野で利用できる炭化種の土壌中の挙動を把握する。29年度行った実験1に対して計画通り予算を執行しましたが、実験2が実験途中で年度が終了したため、引き続き差額21226円を30年度使用し、実験2を終了させたいと考えています。炭化物施用有り無し土壌からの微生物群の調査が終了しておらず,それに使用する予算が余ったためである。31年度にこの予算を用いて引き続き分析を行う予定にしている。
KAKENHI-PROJECT-17K07623
https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-17K07623
単細胞紅藻葉緑体ゲノムにおける転写調節ネットワークの解明
Cyanidioschyzon merolaeは単細胞性の紅藻であり、培養が容易であることや、核ゲノムが小型である(約14-Mbp)ことなどから、紅藻類の研究に理想的なモデル系であると考えられる。紅藻の葉緑体は、そのゲノムに4種の転写因子をコードするなど、葉緑体の起源となった細菌に類似した性質をもち、自立性を保つ原始的な葉緑体であると考えられる。このような転写因子や転写制御は、高等植物に至る進化の過程で失われてしまった可能性が高い。本研究は、C.merolae葉緑体ゲノムの転写調節を解明し、葉緑体の機能と進化について理解することを目的とした。本年度の研究では、C.merolaeの葉緑体ゲノム配列を元に、推定される214個のORF、および核コードの2種のシグマ因子、アクチン遺伝子についてprimer setを設計し、PCR増幅後、スライドグラス上に配置してマイクロアレイを作成した。明条件で培養した細胞について、12時間暗処理後に明条件に移し、1時間後および6時間後の遺伝子発現の変化について、マイクロアレイを用いた解析を行った。その結果、全ての遺伝子について転写産物量の増加が観察されたが、一旦1時間後に増加した転写産物がさらに6時間後に増加するパターン(パターン1)と、一旦一時間後で増加した後に再び減少するパターン(パターン2)に大きく分類することができた。パターン1にはフィコビリゾーム遺伝子や光合成活性中心遺伝子、パターン2にはルビスコ遺伝子やABC transporter遺伝子などが含まれた。Cyanidioschyzon merolaeは単細胞性の紅藻であり、培養が容易であることや、核ゲノムが小型である(約14-Mbp)ことなどから、紅藻類の研究に理想的なモデル系であると考えられる。紅藻の葉緑体は、そのゲノムに4種の転写因子をコードするなど、葉緑体の起源となった細菌に類似した性質をもち、自立性を保つ原始的な葉緑体であると考えられる。このような転写因子や転写制御は、高等植物に至る進化の過程で失われてしまった可能性が高い。本研究は、C.merolae葉緑体ゲノムの転写調節を解明し、葉緑体の機能と進化について理解することを目的とした。本年度の研究では、C.merolaeの葉緑体ゲノム配列を元に、推定される214個のORF、および核コードの2種のシグマ因子、アクチン遺伝子についてprimer setを設計し、PCR増幅後、スライドグラス上に配置してマイクロアレイを作成した。明条件で培養した細胞について、12時間暗処理後に明条件に移し、1時間後および6時間後の遺伝子発現の変化について、マイクロアレイを用いた解析を行った。その結果、全ての遺伝子について転写産物量の増加が観察されたが、一旦1時間後に増加した転写産物がさらに6時間後に増加するパターン(パターン1)と、一旦一時間後で増加した後に再び減少するパターン(パターン2)に大きく分類することができた。パターン1にはフィコビリゾーム遺伝子や光合成活性中心遺伝子、パターン2にはルビスコ遺伝子やABC transporter遺伝子などが含まれた。
KAKENHI-PROJECT-12206027
https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-12206027
メディア統合型LMSを用いた遠隔大学院の教育システムの開発
働きながら学ぶ社会人を対象とした遠隔大学院における入学から学位取得までのトータルな遠隔教育システムを教育内容,教育方法,運用の側面から検討し,働きながら学ぶ現職教師のためのカリキュラムモデルを提案した。モデルでは,遠,隔教育が対面の補完的な手法としてよりも,学校等の教育実践フィールドを維持したまま学習,研究できる手法として優位性が認められることを積極的に意味づけた。働きながら学ぶ社会人を対象とした遠隔大学院における入学から学位取得までのトータルな遠隔教育システムを教育内容,教育方法,運用の側面から検討する必要があり,これをカリキュラム運用のキューブモデルとして開発する。すなわち教育内容としての(1)体験型演習, (2)実践型課題, (3)知識提供型コンテンツの構成,教育方法としての(4)メディア利用法, (5)教材開発法, (6)学習設計手法,運用としての(7)コース(科目)の配置,(8)受講パターン(修業年限や履修モデル),(9)運用支援体制の各要素を立体的に検討評価する枠組の構成を必要とする。さらに,上記(1)(9)の要素は,遠隔教育を支えるICT基盤としてのテレビ会議等の同期とVOD等非同期のシステムと密接に関係づけられるため基盤としてメディア統合型LMSの活用を前提としつつその機能の改善を図るものとする。具体的な研究内容を以下に示す。(1)働きながら学ぶ現職教師に適する教育内容の開発(2)インターネットを用いて自宅や職場等での学習に配慮した教育方法の開発(3)遠隔大学院の入学から学位取得までを見通したカリキュラム運用の開発(4)インターネット型の大学院における情報基盤としてのメディア統合型LMSの機能改善(5)遠隔大学院のカリキュラム運用キューブモデルに基づく教育システムの開発働きながら学ぶ社会人を対象とした遠隔大学院における入学から学位取得までのトータルな遠隔教育システムを教育内容,教育方法,運用の側面から検討し,働きながら学ぶ現職教師のためのカリキュラムモデルを提案した。モデルでは,遠,隔教育が対面の補完的な手法としてよりも,学校等の教育実践フィールドを維持したまま学習,研究できる手法として優位性が認められることを積極的に意味づけた。現職教師が働きながら学ぶ大学院の教育課題を検討し,開発すべき教育システム像を明確化するとともに,教育内容,教育方法,運用,基盤システムの観点を整理した。このための調査フィールドとして,すでにテレビ会議システムを中心に遠隔授業を実施しているカリキュラム開発専修の教育内容・方法,及び方法について実践を分析調査して検討した。また,平成19年度開講に向けて準備を進めている,働きながら学ぶ現職教師のためのインターネット大学院の取組を通して,カリキュラム運用のキューブモデルを検討した。キューブモデルでは,働きながら学ぶ社会人の大学院生の学習満足度,専門能力形成等を高いレベルで達成するために,通学できないからというネガティブな要因を克服するための手法から,仕事に従事していることを積極的に活かしたポジティブな教育手法への転換の観点が重要となると考えるもので,教育内容,教育方法,運用の3観点からモデルの構築を試みてきた。とくに,働きながら学ぶ現職教師に対する指導の枠組みを「のびちぢみする講義室」という概念を提示して,(1)学習内容,(2)掲示板でのコミュニケーション,(3)講義全般のインタラクション等を総括した概念化を試み,その効果を意思的に授業設計に取り入れることで,より効果的な遠隔講義を設計可能となることを指摘した。さらに,テレビ会議システムを用いた遠隔授業から自宅や職場での学習を可能とするインターネット型への拡充について検討し,基盤システムに求められる機能についてテレビ会議システムをインターネット型においても活用可能とするための手法を明らかにするとともに,このための運用体制のあり方について検討し,同期システムにおいての学習を重視する体制を構築した。岐阜大学教育学研究科では,働きながら学ぶ現職教師等を対象とした遠隔によるインターネット型大学院(eee)を平成19年度から実施し,入学から学位取得までを可能とする遠隔大学院の取組みとして展開してきた。メディア統合型LMSは,この遠隔大学院を支える主要な教育システムであり,その活用をカリキュラム運用キューブモデルの教育内容,教育方法,運用の3観点から検討してきた。教育内容・教育方法の観点からは,非同期型の遠隔授業を採用している自由選択科目について検討し,履修状況と受講生の評価について分析した。自由選択科目は専攻の専門科目とは別に開講され現職教師等が現代的教育課題等についての知見を広めることを目的としており基礎的な内容から教育事例までを扱うよう配慮することで適切な難易度と評価された。教育方法では学習進行を自己管理することが課題となるが,学習期間中に適度に講義ビデオと課題を計画的に分散して提示することで学習進行を円滑にし,掲示板への課題提出により相互作用の活動が出現することを示した。また,遠隔大学における離れた場所で学ぶ学生の仲間意識の形成についての知見を得るために,2年間の変容を調査した結果,初期の非対面遠隔講義において高機能テレビ会議とLMSの組み合わせで仲間意識を向上させることは可能であるが数か月を経過後は低下傾向を示す,この時期に対面講義を設定することで仲間意識は飛躍的に向上し,終期ではテレビ会議が仲間意識の維持に優位でLMSは補助的な役割となることを示した。さらに,統合型LMSは教育活動の情報基盤となる教育支援システムであるとの視点から,組織的開発と活用に関わる統合化プロセスを振り返ることで統合化プロセスを検討した。理念形成と開発視点の転換,のシステムで扱う情報内容の視点からの統合,機能充実を組織的な連携意識を基盤として推進の過程を経ることを示した。
KAKENHI-PROJECT-18300287
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メディア統合型LMSを用いた遠隔大学院の教育システムの開発
遠隔大学院におけるカリキュラム運用のキューブモデルとして開発してきた第二次モデルを実際のカリキュラムに適用し,働きながら学ぶ現職教員等の指導を対象として実践と検証を継続しつつモデルの改善を進めた。とくに,修士論文への取組は,働く場を常に対象として所有し,これをフィールドとして実践研究を推進することが特徴となる。この実践研究の中核に位置づくのは修士論文指導であり,その指導方略に合わせたメディア統合型LMSの活用を実践し実証的にモデル開発を進めた。専門科目等は同時・双方向のテレビ会議システムを利用してきたが,修士論文に係るゼミにおいても同様の手法を基本とすること,レポート提出や指導はLMSの掲示板などを使用するが複数の院生に対する指導方略について検討が必要となることを示してきた。さらに,この過程で実践研究のフィールドを働く場にもつことを意味づけた「実践研究者としての教師」を育成する人材像として,この姿を修了後も持続させることを意図した先輩モデルを導入したカリキュラムについて検討した。社会人が働きながら大学院で学ぶという特性を積極的に活かすには働く場を実践研究フィールドとしその環境に大きく手を加えることなく遠隔大学院を寄り添わせることのできるカリキュラムの理念を提示した。さらに,メディア統合型LMSの全学的な普及状況を分析し,指導する大学教員にとっては遠隔大学院に特別な教育環境に留まるものでないことを示した。遠隔大学院におけるカリキュラム運用のキューブモデルを適用して,働きながら学ぶ現職教員等の入学から学位取得,及び修了後の持続的な実践研究を意図した教育システムを検討してきた。また,働きながら学ぶという教育的意味について整理し遠隔大学院の教育システムの強みについて分析した。その結果,持続的な実践研究者の育成を目標とすべきとの合意を得ることができた。そこで,本年度の研究では先輩モデルに配慮した教育システムとすることを意図して,先輩・後輩が一堂に会する対面授業の構成について再検討し,相互の対話を増加させるべく先輩による研究のポスターセッションを組み入れたプログラムを開発した。さらに,メディア統合型LMSによる教育の情報化は,少なからず教育経営の観点を有しており,その観点からの情報システムとなるべきである。しかし,教育経営における情報手段の活用という視点からは充分な実践研究の知見を蓄積できていないことが指摘され,産業界の経営情報システムの変遷を踏まえた情報化モデルとして検討する必要があるとの考えに至った。そこで,学校における授業に関する情報の流れを分析して改善サイクルの特徴的課題を示すとともに,情報化計画を支援するための情報モデルの枠組みを検討した。教育経営における改善サイクルの機能を情報システムが一体的に支援するためには,情報の関連性と流れに着目したモデルを設定することが有効となると考え,(1)判断系,(2)計画系,(3)実務支援系,(4)実績把握系,
KAKENHI-PROJECT-18300287
https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-18300287
膵癌腹膜播種形成を導く細胞クリアランスと腹膜中皮の新たな役割ー防御から促進へー
3Dモデルや膵癌自然発生マウスモデルを用いて、膵癌細胞と腹膜中皮細胞との相互作用を含めた腹膜播種解析モデルにおける膵癌細胞の浸潤過程の検討を行い、播種を導くleading cellを同定し、その役割を検討する。また、膵癌細胞のSpheroid形成依存性のmesothelial clearanceに対する許容度を検討する。癌細胞以外の微小環境に存在する細胞に着目して浸潤・転移を検討していくのが今回の研究の計画である。膵臓は脂肪組織に囲まれた後腹膜臓器であり、特に膵外浸潤に関わる点で、脂肪組織が主要な間質成分となっている可能性を考え、脂肪細胞に関わる癌間質相互作用について検討した。脂肪組織由来間質細胞(ASC)に着目し、C57BL / 6-Tg(CAG-EGFP)マウスの内臓脂肪を用いたin vitroおよびin vivo実験により、ASCが腫瘍微小環境内に誘導され、CAFの特徴の一つであるαSMAを発現していることを確認した。次にヒトASCの機能を評価するため、ヒト膵癌患者の切除標本から樹立したASCを用いてコラーゲンマトリクスの構造変化について評価したところ、ASCによって産生されたコラーゲンマトリックスは、癌細胞馴化培地との共培養においてより緻密な構造に変化し、膵癌細胞の遊走能を促進することがわかった。また、in vivoの実験において、GFPを発現したマウスの内臓脂肪を皮下移植し、定着した脂肪内への腫瘍細胞を移植すると、通常の皮下移植モデル、同所移植モデルに比べて腫瘍の進行が促進し、病理学的観察においてもαSMA陽性細胞と間質の増加が観察された。これらのことから、ASCは膵癌に浸潤し活性化するとCAFとして作用し、サイトカインを分泌するだけでなく、高密度のコラーゲンマトリックスを生成することによっても、腫瘍の進行、膵外浸潤を促進することを報告した。膵癌細胞のcell lineや癌間質構成細胞である膵星細胞や脂肪細胞を用いての浸潤誘導、機能の推定は進んでいるが、実際の腹膜中皮細胞を用いた播種形成における相互作用に関しては、現時点では有意な結果が得られておらず、条件の改良を行いつつ実験を進めている。これまでの実験・解析手法に加え、胸膜中皮細胞と膵癌細胞の相互作用によって誘導される変化の解析手段として、当研究室で導入したsingle cell解析をもちいることも検討している。Single cellレベルでの機能解析により、癌細胞浸潤を導くleading cellとして機能する細胞同定とそのleading機序解明を目指す。また、mesothelial clearanceの許容度が高い腹膜中皮細胞集団の同定とその機序の解明し、特定の腹膜中皮細胞を標的とした播種形成制御法を検討する。3Dモデルや膵癌自然発生マウスモデルを用いて、膵癌細胞と腹膜中皮細胞との相互作用を含めた腹膜播種解析モデルにおける膵癌細胞の浸潤過程の検討を行い、播種を導くleading cellを同定し、その役割を検討する。また、膵癌細胞のSpheroid形成依存性のmesothelial clearanceに対する許容度を検討する。癌細胞以外の微小環境に存在する細胞に着目して浸潤・転移を検討していくのが今回の研究の計画である。まず、当科で多数樹立している膵星細胞を使用して癌細胞と間質細胞との相互作用の検討を行った。転移・播種に関わる間質細胞の役割を明らかにするために、コラーゲンゲルを用いた三次元共培養モデルにおいて、単独群と比較して膵癌細胞と膵星細胞を共培養した群において浸潤細胞数は有意に増加し、癌細胞の浸潤を先導する形式での膵星細胞浸潤がみられた。膵星細胞浸潤部のコラーゲンゲルの線維方向が、細胞の浸潤方向に沿って有意に変化しており、基質リモデリングが癌の浸潤を促進していると考えられた。その基質リモデリングに関与する因子として、Endo180を同定した。上記内容を論文として報告した。さらに、3Dモデルよりも実際の組織を模倣しているオルガノイドを用いて実験を行った。ヒト膵癌オルガノイドを樹立し膵星細胞と共培養すると、オルガノイドは基底膜・腺管構造を失い浸潤能が上昇した。このモデルにおいて、膵星細胞による直接の接触が膵癌の基底膜破壊・間質浸潤を誘導することを見出し、この現象が膵星細胞上のMT1MMPに結合するMMP2を介することを報告した。上記内容を学会で発表し、論文執筆中である。また、微小環境でのその他の細胞としてリンパ管内皮細胞を用いて、Spheroid形成依存性のclearanceを検討し、VEGFCがその一因であることを見出し、学会で発表した。膵星細胞やリンパ管内皮細胞を用いて、癌細胞との相互作用で転移・浸潤を促す因子などを検討することが出来ているが、実際の腹膜中皮細胞での実験は現在進めているところである。実験方法や手技は確立されているため、腹膜中皮細胞でも同様の実験を行えば成果を見込めると思われる。3Dモデルや膵癌自然発生マウスモデルを用いて、膵癌細胞と腹膜中皮細胞との相互作用を含めた腹膜播種解析モデルにおける膵癌細胞の浸潤過程の検討を行い、播種を導くleading cellを同定し、その役割を検討する。また、膵癌細胞のSpheroid形成依存性のmesothelial clearanceに対する許容度を検討する。癌細胞以外の微小環境に存在する細胞に着目して浸潤・転移を検討していくのが今回の研究の計画である。
KAKENHI-PROJECT-17K10701
https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-17K10701
膵癌腹膜播種形成を導く細胞クリアランスと腹膜中皮の新たな役割ー防御から促進へー
膵臓は脂肪組織に囲まれた後腹膜臓器であり、特に膵外浸潤に関わる点で、脂肪組織が主要な間質成分となっている可能性を考え、脂肪細胞に関わる癌間質相互作用について検討した。脂肪組織由来間質細胞(ASC)に着目し、C57BL / 6-Tg(CAG-EGFP)マウスの内臓脂肪を用いたin vitroおよびin vivo実験により、ASCが腫瘍微小環境内に誘導され、CAFの特徴の一つであるαSMAを発現していることを確認した。次にヒトASCの機能を評価するため、ヒト膵癌患者の切除標本から樹立したASCを用いてコラーゲンマトリクスの構造変化について評価したところ、ASCによって産生されたコラーゲンマトリックスは、癌細胞馴化培地との共培養においてより緻密な構造に変化し、膵癌細胞の遊走能を促進することがわかった。また、in vivoの実験において、GFPを発現したマウスの内臓脂肪を皮下移植し、定着した脂肪内への腫瘍細胞を移植すると、通常の皮下移植モデル、同所移植モデルに比べて腫瘍の進行が促進し、病理学的観察においてもαSMA陽性細胞と間質の増加が観察された。これらのことから、ASCは膵癌に浸潤し活性化するとCAFとして作用し、サイトカインを分泌するだけでなく、高密度のコラーゲンマトリックスを生成することによっても、腫瘍の進行、膵外浸潤を促進することを報告した。膵癌細胞のcell lineや癌間質構成細胞である膵星細胞や脂肪細胞を用いての浸潤誘導、機能の推定は進んでいるが、実際の腹膜中皮細胞を用いた播種形成における相互作用に関しては、現時点では有意な結果が得られておらず、条件の改良を行いつつ実験を進めている。腹膜中皮細胞を用いて、膵癌細胞によって誘導される形質変化の解析とphenotypingを行い、癌細胞浸潤を導くleading cellとして機能する細胞同定とそのleading機序解明を行う。さらには、mesothelial clearanceの許容度が高い腹膜中皮細胞集団の同定とその機序の解明し、特定の腹膜中皮細胞を標的とした播種形成制御法の確立を行っていく。これまでの実験・解析手法に加え、胸膜中皮細胞と膵癌細胞の相互作用によって誘導される変化の解析手段として、当研究室で導入したsingle cell解析をもちいることも検討している。Single cellレベルでの機能解析により、癌細胞浸潤を導くleading cellとして機能する細胞同定とそのleading機序解明を目指す。また、mesothelial clearanceの許容度が高い腹膜中皮細胞集団の同定とその機序の解明し、特定の腹膜中皮細胞を標的とした播種形成制御法を検討する。研究計画はやや遅れており、膵星細胞やリンパ管内皮細胞を用いて、癌細胞との相互作用で転移・浸潤を促す因子などを検討することが出来ているが、実際の腹膜中皮細胞での実験がまだ進んでないため。次年度は研究用試薬、器材、抗体などの消耗品に使用する予定。腹膜中皮細胞を用いた実験が難航しており、研究計画に遅れが生じているため。次年度は研究用試薬、器材、受託解析等に使用予定である。
KAKENHI-PROJECT-17K10701
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電気化学的手法による溶融塩薄膜下における材料の高温耐食性の評価
1.電気化学的測定の結果異なる雰囲気下におけるNiの分極を行った。アノード側では雰囲気の違いによる分極電流の差が小さいが、カソード分極電流は雰囲気によって大きく変動している。また、アルゴン雰囲気では腐食電位が卑な方向に変化した。このことから、酸素の供給量がカソード反応に大きく寄与していることが分かる。異なる温度及び雰囲気の溶融硫酸塩薄膜下における分極測定の結果からTafel外挿法で腐食電流密度を求めた。腐食電流密度の値が大きいほど腐食速度が速く、小さいほど遅いということから、いずれの雰囲気において温度が高くなるにつれ腐食速度が上昇していることが分かる。各雰囲気での電流値比較すると、最も腐食速度が速いのは酸素雰囲気、次いで空気雰囲気、アルゴン雰囲気の順になっている。インピーダンス測定による腐食速度の5時間モニタリングを行った。高い温度の場合、時間の経過とともに反応抵抗が急激に上昇していることが観察された。これは溶液抵抗の上昇によるものであり、温度が高くなるほど早い時間で起こる。インピーダンス測定の結果は、分極測定の結果と良い相関を示している。2.X線回析とEDX分析結果インピーダンス測定後の試料に対してX線回折及びEDXによる元素分析を行った。X線回析では酸化物のピークしか得られなかったが、EDXでは酸化物と試料の境界にSが存在しているのを確認した。3.浸漬状態との比較薄膜状態と比較するため浸漬状態での測定も行った。同じ条件下で浸漬状態の場合カソード電流が小さくなっていることが明らかとなった。実験の結果から、高温になるほどNiの腐食速度が速くなり、カソード反応は雰囲気の影響を強く受けることが分かった。電気化学測定法は、溶融塩薄膜状態での耐食性評価法として期待できるであろう。以上の研究成果は平成9年3月の日本金属学会春期大会において発表することになっている。1.電気化学的測定の結果異なる雰囲気下におけるNiの分極を行った。アノード側では雰囲気の違いによる分極電流の差が小さいが、カソード分極電流は雰囲気によって大きく変動している。また、アルゴン雰囲気では腐食電位が卑な方向に変化した。このことから、酸素の供給量がカソード反応に大きく寄与していることが分かる。異なる温度及び雰囲気の溶融硫酸塩薄膜下における分極測定の結果からTafel外挿法で腐食電流密度を求めた。腐食電流密度の値が大きいほど腐食速度が速く、小さいほど遅いということから、いずれの雰囲気において温度が高くなるにつれ腐食速度が上昇していることが分かる。各雰囲気での電流値比較すると、最も腐食速度が速いのは酸素雰囲気、次いで空気雰囲気、アルゴン雰囲気の順になっている。インピーダンス測定による腐食速度の5時間モニタリングを行った。高い温度の場合、時間の経過とともに反応抵抗が急激に上昇していることが観察された。これは溶液抵抗の上昇によるものであり、温度が高くなるほど早い時間で起こる。インピーダンス測定の結果は、分極測定の結果と良い相関を示している。2.X線回析とEDX分析結果インピーダンス測定後の試料に対してX線回折及びEDXによる元素分析を行った。X線回析では酸化物のピークしか得られなかったが、EDXでは酸化物と試料の境界にSが存在しているのを確認した。3.浸漬状態との比較薄膜状態と比較するため浸漬状態での測定も行った。同じ条件下で浸漬状態の場合カソード電流が小さくなっていることが明らかとなった。実験の結果から、高温になるほどNiの腐食速度が速くなり、カソード反応は雰囲気の影響を強く受けることが分かった。電気化学測定法は、溶融塩薄膜状態での耐食性評価法として期待できるであろう。以上の研究成果は平成9年3月の日本金属学会春期大会において発表することになっている。
KAKENHI-PROJECT-08750846
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朝鮮労働党の言語管理による支配政策の基礎研究
本研究により文化語の基礎となる朝鮮語がいつの時期のものか、朝鮮語の諸方言がどれかをを明らかにした。さらに方言の領域では文化語内での使用法を明らかにした。言語政策の基礎とされるチュチェの言語理論については政治指導者の断片的な言葉を蒐集し、整理分類した上で、それぞれを正しいこととした上で、敷衍し解説したものであるが、言語政策での指針の役割をしている。言語政策の年表を作成し、言語政策の歴史が詳細にたどれるようになった。本研究により文化語の基礎となる朝鮮語がいつの時期のものか、朝鮮語の諸方言がどれかをを明らかにした。さらに方言の領域では文化語内での使用法を明らかにした。言語政策の基礎とされるチュチェの言語理論については政治指導者の断片的な言葉を蒐集し、整理分類した上で、それぞれを正しいこととした上で、敷衍し解説したものであるが、言語政策での指針の役割をしている。言語政策の年表を作成し、言語政策の歴史が詳細にたどれるようになった。今年度の研究は「言語認識」と「言語開発」をテーマに行った。「言語認識」は北朝鮮の言語学の教科書を調査分析した。この分野の研究成果はさほど政策に反映されていないことがわかった。言語政策は朝鮮語学(該当国の国語学)者を中心に北朝鮮独自の方法により立案されていることが判明し、朝鮮語学者の論文、著書の分析検討に方向を変え、現在研究が進行中である。「言語開発」は1960年代の漢字語を固有語に置き換える運動は1980年代初めに頓挫したことが今年度の研究過程で判明した。この結果1990年代から現在までの北朝鮮における言語政策の揺れを明らかにすることが可能となった。この知見にもとづき広く文献を調査した結果、この政策に従うと、旧世代が書き残した回想や文献が直接読めなくなるという問題が提起され、教育を通じて次の世代への「革命伝統」の継承が困難なことが理解され、漢字語の教育が党の政策を維持してゆくためにも不可欠であるという認識に変わり、漢字語に対する政策が転換されたことがわかった。またそれ以前に新たに作られた語彙も定着できなかった語彙が多くあることもわかった。1990年代以降は政治の分野では漢字語による新しい語が党の文献で多く使われているがこの現象の原因も判明した。今年度は国連の対北朝鮮経済制裁により資料の入手が思うようにならず、8月中国の延辺朝鮮族自治州の図書館を訪問し不十分ながら資料の収集を行った。2010年度は「言語開発」と「言語管理」をテーマに義務教育用の教科書の語彙、歌謡曲の歌詞、文化語の開発理論を研究する計画であった。義務教育用の教科書の語彙分析は矢野が担当し、小学校教科書「偉大な領導者金正日元師の幼き頃」1年から4年生までの4冊と中学校教科書「偉大な領導者金正日元師の革命活動」1年と2年の2冊の分析を終了した。その結果、一定の単語と表現が頻繁に反復され、独特の敬語法の使用で「領導者」に対する尊敬と無条件の服従を無意識のうちに植え込もうとする手法が詳しく解明出来た。歌詞の分析は主に植田が担当したが、ある単語が出て来ると、別の単語が連想されるように作られていることがわかったが、更なる分析には曲が必要となったが、対北朝鮮経済封鎖の影響で資料のCDなどが入手出来ず、進展が望めず、植田は昨年の研究をより精密化することにした。この結果、月日を含んだ言語政策史の詳しい年表を作成できた。これによりより精密な言語政策の分析が可能となる。岸田は文化語の開発理論について1960年代以降を発表された論文や研究書を調べた。文化語開発については、まず先に金日成や金正日の発言があって、それに応じて政策が作られ、その結果を体系的に述べたものが「文化語開発理論」と言われていることがわかった。また中国黒竜江省や吉林省に行き、資料を求めたが、中国と北朝鮮は文化交流をほぼ中止しているようで、新しい資料は見られなかった。しかしハルビン朝鮮族1中で「朝鮮語」の授業を参観し、教師が自問自答する形で授業が行われていることがわかり、教科書の分析を新しい視点で行えるようになった。今年度の研究は「言語管理」と「技法」を中心におこなった。「言語管理」とは文化語として定められた規範を維持するための技術である。この研究を義務教育用の教科書と青少年用の漫画の言語を材料に研究した。特に対象を方言に定め、文化語にどの方言のどのような語彙が採用され,維持されているかを解明した。その結果、半島全域の方言のうち中部方言(開城方言)までが採用の対象となり、名詞は漢字語を固有語に替えるための語彙、北朝鮮で一般化しつつある地方の事物の名称が置き換えの対象となり、用言では憎しみや相手の動作を卑しめて表現する語彙が方言から採用され、それで仮想敵国の人々の動作を描写していることがわかった。その表現や語彙を定着されるため教科書の表現に使用し、青少年用の漫画に至ってはさらに下卑た語彙表現を使っている実態が明らかになった。子供たちに繰り返し用いさせることで言語の定着を計っている。また、これは仮想敵国の人々に対して憎悪心を駆り立て、自国民に優越感を持たせる手段としても使われている。「技法」は言語政策により実際に使用させる方法をいう。
KAKENHI-PROJECT-21520461
https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-21520461
朝鮮労働党の言語管理による支配政策の基礎研究
技法は文化語を使用させるというよりもむしろ労働党の政策の核心となる内容や価値観を短い言葉で表現し、党の機関紙その他の出版物の記事で繰り返し使用し、記憶させると同時に歌謡の歌詞に組み込み、音声媒体でも繰り返し聞かせる手段をとっていることを明らかにした。特に歌詞の分析では歌詞が1番、2番と複数ある場合には、最終番の終わりから2番目の歌詞に集中的に現れることがわかった。これが実際どううたわれているかは、経済制裁でCDが輸入不可能で解明できていない。今年度の研究は北朝鮮の言語によるいわゆる「領導芸術」の手法と技術を具体的な事実に基づき解明する基礎を築くことに成功したと言えよう。
KAKENHI-PROJECT-21520461
https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-21520461
大気大循環の変動理論構築によるMJOのメカニズム解明
採用2年度目では、Madden-Julian Oscillation (MJO)発生に有利な背景海面水温(Sea Surface Temperature; SST)場とその時定数を決定し、さらにそれらが関与する湿潤過程についても湿潤静的エネルギーの収支解析を行った。その結果、MJOの発生には西太平洋から中央太平洋にMJOよりも長い時間スケールの正の海面水温編差が発達することが重要であることが示唆された。さらに、対流に伴う湿潤過程の解析を湿潤静的エネルギーの収支解析から行い、MJO発生前と発生時においてこのような長期の海面水温編差場があることが、MJOの対流活動を深い対流に発達させ、MJOの期間中持続させ続けるための湿潤静的エネルギーの蓄積を可能としていることを示唆する結果を得た。そして、この解析で明らかになった海面水温パターンと海面水温変動の時定数が熱帯の対流活動の組織化に寄与しているかについて、SST分布に進行方向の確率が依存するランダムウォークモデル型の数理モデルの性質を調べた。この結果、インド洋から太平洋を模したSST分布で与えた確率密度分布に従うランダムウォークはMJO-likeな東進パターンを形成する一方、西進するシステムも形成しSSTパターンのみでは東進システムの選択は現段階ではこのモデルでは説明できないという結果になった。また、雲解像モデル、Nonhydrostatic ICosahedral Atmospheric Model (NICAM;非静力学正20面体格子大気モデル)を用いてSSTの空間分布と振動周期数の感度実験を開始した。ここでは特に、Hadley循環が強化される場合とWalker循環が強化される場合についての実験をそれぞれ行った。29年度が最終年度であるため、記入しない。29年度が最終年度であるため、記入しない。本年度は来年度以降の研究に向けて主にこれまで提唱されてきたマッデン・ジュリアン振動(MJO)の理論研究のレビューを進めながら、データ解析からMJOとHadley循環の関係及び全球非静力学モデル(NICAM)内のMJOの性質を調べた。また、理化学研究所ではインターン生として、水惑星実験の基礎となる数値実験と解析を行った。理論論文のレビューでは、MJOの主要理論の一つであるwave-CISKについて先行研究論文の精読をし、基礎方程式に異なるスケーリングを与えるなどの方法によってMJO理論を発展させる手法を考案中である。また、大規場の安定度であるGross Moist Stabilityを軸とした水蒸気モードの理論のレビューを元に、季節進行によって説明されるMJOについて研究を進めている。このMJOの季節進行性については、参加した現場観測で観測されたMJOイベントについて海洋の季節進行によってその東進がよく説明されることを示唆する解析結果を得ている。データ解析ではHadley循環の指標となる子午面循環(MMC)の変動について解析を行い、MJO発生時にMMCが弱化した状態から強化するように変動する結果を得た。それと共に、NICAMの30年気象シミュレーション内のMJOの性質について調べた。その結果、NICAMのMJOは東進速度と海面水温場や下層西風場との間の関係について現実のMJOと整合的な傾向を示すことが明らかになった。現在これらのデータ解析から得られた結果について論文を執筆中である。また、インターン生としては理研の全球大気モデルSCALEーGMを用いて、水蒸気を含むモデル間比較のための基礎実験を行なった。この結果MMCの変化は鉛直解像度によってその気候値的な南北の幅が変化するほか、鉛直解像度によって様々な時間スケールでMMCは変動していることも判明した。今後はこの結果を踏まえ水惑星実験を行ない、MMCの変動とMJOとの関係について調べていく予定である。28年度はデータ解析結果からハドレー循環の変動とMJOが関連づけられる結果が得られ、また理論研究のレビューを行なったことでMJO理論の発展の方向性を見出すことができた。また、今後行う予定である水惑星実験の基礎となる数値実験とその解析をインターン生として行い、29年度以降の研究を順調に進めるための準備ができていることから研究は概ね順調に進展しているといえる。採用2年度目では、Madden-Julian Oscillation (MJO)発生に有利な背景海面水温(Sea Surface Temperature; SST)場とその時定数を決定し、さらにそれらが関与する湿潤過程についても湿潤静的エネルギーの収支解析を行った。その結果、MJOの発生には西太平洋から中央太平洋にMJOよりも長い時間スケールの正の海面水温編差が発達することが重要であることが示唆された。さらに、対流に伴う湿潤過程の解析を湿潤静的エネルギーの収支解析から行い、MJO発生前と発生時においてこのような長期の海面水温編差場があることが、MJOの対流活動を深い対流に発達させ、MJOの期間中持続させ続けるための湿潤静的エネルギーの蓄積を可能としていることを示唆する結果を得た。そして、この解析で明らかになった海面水温パターンと海面水温変動の時定数が熱帯の対流活動の組織化に寄与しているかについて、SST分布に進行方向の確率が依存するランダムウォークモデル型の数理モデルの性質を調べた。この結果、インド洋から太平洋を模したSST分布で与えた確率密度分布に従うランダムウォークはMJO-likeな東進パターンを形成する一方、西進するシステムも形成しSSTパターンのみでは東進システムの選択は現段階ではこのモデルでは説明できないという結果になった。また、雲解像モデル、Nonhydrostatic ICosahedral Atmospheric Model (NICAM;非静力学
KAKENHI-PROJECT-16J07769
https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-16J07769
大気大循環の変動理論構築によるMJOのメカニズム解明
正20面体格子大気モデル)を用いてSSTの空間分布と振動周期数の感度実験を開始した。ここでは特に、Hadley循環が強化される場合とWalker循環が強化される場合についての実験をそれぞれ行った。これまでの解析結果ではMJOとハドレー循環との関係については、イベントごとの差異が大きく、MMCの季節変化を考慮し直す必要があることも判明し一般化した議論に達していないことから29年度以降はMJOの発生時期によってMMCとの関係に系統的な差異があるかどうか明らかにする。また、気象モデルを用いたデータ解析結果を検証する実験を行い、MJOとHadley循環との関係を調べていく予定である。具体的には海面水温を変動させる水惑星実験を行い、下部境界条件によって選択される循環の性質がどう変化するかを調べる。特に海面水温の季節変化に伴い子午面循環の強い循環セルと弱い循環セルが入れ替わる遷移過程がどのような大気現象によって達成されているのかを調べ、MJOとハドレー循環の関係について明らかにする。また、得られた研究結果については学会や学術誌にて発表する予定である。29年度が最終年度であるため、記入しない。29年度が最終年度であるため、記入しない。
KAKENHI-PROJECT-16J07769
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C型とD型ボツリヌス毒素遺伝子を伝達するファージの宿主認識機構の解明とその応用
ボツリヌス菌は、グラム陽性で酸素の存在下では増殖できない偏性嫌気性菌で、芽胞を形成し土壌や河川などの自然界で広く分布している。本菌は、強力な神経毒素(ボツリヌス毒素)を産生し、ヒトや家畜(ウシ、トリなど)に重篤な感染症(ボツリヌス症)を引き起こす。生産現場である農場で、ボツリヌス症のアウトブレイクが起きると、生産者への経済的な損失や消費者への食の安全に対する不安感を助長させる。従って、農場におけるボツリヌス菌の感染制御は緊急な課題である。ボツリヌス菌は、産生するボツリヌス毒素によりA型G型菌に分類されている。その中で、C型菌はトリに、D型菌はウシにボツリヌス症を引き起こす。原因となるC型とD型ボツリヌス毒素の遺伝子は、バクテリオファージ(ファージ)により伝播されている。その伝播を阻害することにより、畜産・食品への被害を抑えるのに有効であると考えた。しかしながら、ファージのボツリヌス菌(宿主菌)への吸着メカニズムは未だ明らかでない。今年度は、昨年度に引き続きC型とD型ファージ(c-468ファージ、d-1873ファージ、d-4947ファージ、c-6813ファージ、d-saファージ)ゲノムの全塩基配列の決定を行い、得られたゲノム情報を基にファージの構造タンパク質を特定し、その中で遺伝子間での相同性解析を行い、数種のファージ尾部吸着分子と予想される遺伝子を推定した。当該遺伝子産物の発現・精製を行なうため、複数の発現系について条件検討を行ったが、2つの遺伝子については、大腸菌を用いた発現系では宿主である大腸菌の培養ができなかった。このことは、ファージ由来溶菌酵素が大腸菌を溶菌した可能性を示唆している。また、他の推定した種々の遺伝子については、現在、遺伝子産物の発現・精製を行っており、得られた組換えタンパク質のボツリヌス菌に対する特異的吸着性を調べるため、環境を整えている。ボツリヌス菌は、極めて強力な神経毒素(ボツリヌス毒素)を産生し、ヒトだけではなく、産業動物(ウシ、トリなど)に重篤な感染症(ボツリヌス症)を引き起こす。畜産現場でウシやトリにおいて、C型とD型ボツリヌス症のアウトブレイクが起きると、食品・畜産経済への損失は計り知れない。原因となるC型とD型毒素の遺伝子は、バクテリオファージ(毒素変換ファージ)により伝播されている。その伝播を阻害することにより、畜産・食品への被害を抑えるのに有効であると考えた。しかしながら、毒素変換ファージのボツリヌス菌(宿主菌)への吸着メカニズムは未だ明らかでない。今年度は、まず他のC型とD型毒素変換ファージのゲノム構造を比較するため、それぞれのファージの全塩基配列の決定を行うこととした。種々のC型とD型毒素変換ファージ(c-468ファージ、d-1873ファージ、d-4947ファージ、c-6813ファージ、d-saファージ)の全ゲノム塩基配列を決定するため、種々のファージからDNAを精製することにしたが、思うようにファージを精製することが出来なかった。そこで、溶原株(C-468、D-1873、D-4947、C-6813、D-SA)からDNAの精製を行ったが、ボツリヌス菌では、DNaseの影響を受けやすく、完全なDNAを精製することが非常に困難であった。そこで、様々なDNA精製キットを用いて条件検討を行い、現在、約20 kb以上のDNA断片が得られた。現在、これらのDNA断片を用いて、配列決定に向けて準備を進めている。ボツリヌス菌は、厚生労働省令で定める感染症法により、二種病原体等に分類されている。本菌を所持するためには、厚生労働省の所持許可を得る必要がある。従って、厚生労働省より、事業所【北里大学医学部微生物学】として、二種病原体等(ボツリヌス菌およびボツリヌス毒素)の所持許可(許可番号:Y05000098)を得たが、学生も立ち入る建物で二種病原体等を取り扱うことは、安全上問題ではないかとの北里大学内からの指摘があった。従って、本研究を推進するために、所持しているボツリヌス菌を他事業所【国立感染症研究所】へ譲渡し、ボツリヌス菌の保管・管理を行なうことにした。ボツリヌス菌の輸送は、研究代表者(阪口義彦)が、届出対象病原体等運搬届出書を作成し、都道府県の公安委員会(東京都公安委員会および神奈川県公安委員会)より、ボツリヌス菌の運搬の許可を得た。また、研究代表者らにより、北里大学医学部から国立感染症研究所へボツリヌス菌の輸送を行った。このような予期していない状況であったことから、計画通りに実験を進めることができなかった。ボツリヌス菌は、極めて強力な神経毒素(ボツリヌス毒素)を産生し、ヒトや家畜(ウシ)、家きん(トリ)に重篤な感染症(ボツリヌス症)を引き起こす。生産現場である農場で、ウシやトリのボツリヌス症が発生すると、生産者への経済的な損失や消費者への食の安全に対する不安感を助長させる。原因となるC型とD型毒素の遺伝子は、バクテリオファージ(ファージ)により伝播されている。その伝播を阻害することが、農場への被害を抑えるのに有効であると考えた。
KAKENHI-PROJECT-16K08785
https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-16K08785
C型とD型ボツリヌス毒素遺伝子を伝達するファージの宿主認識機構の解明とその応用
しかしながら、ボツリヌス菌(宿主菌)へのファージの吸着メカニズムは未だ明らかでない。そこで、まず、ファージの構造タンパク質(尾部吸着分子を含む)をコードする遺伝子情報を得るため、D型ボツリヌス菌ファージ(d-1873)のゲノム解析を行うこととした。d-1873ファージの全ゲノム塩基配列を決定したところ、ゲノムサイズは186 kbpで、151個のopenreading frame (orf)を確定できた。既に報告したC型ボツリヌス菌ファージ(c-st)とd-1873ファージのゲノム構造を比較すると、boNT/D遺伝子およびDNA複製に関係する遺伝子を含む領域(45ー100 kbp)がよく保存されていた。しかしながら、boNT/D遺伝子の上流領域(1ー45 kbp)および下流領域(100ー115 kbp)は、c-stファージのゲノム構造とは著しく異なっていた。特に、下流領域は、ファージの構造タンパク質をコードする遺伝子群であることが推察された。この結果から、c-stファージとd-1873ファージの構造タンパク質は、異なる抗原性であることが推察された。現在、宿主特異性に関わるファージ尾部吸着分子をコードする遺伝子の解析を進めている。二種病原体等を用いた実験においては、国立感染症研究所(以下、「感染研」と称する)で行っている。感染研では、既に二種病原体等の所持許可が得られていること、感染研の加藤はる氏と妹尾充敏氏は、本研究課題の研究分担者であることから、同じ施設で研究分担者らの実験および解析技術の的確なサポートを受けられている。従って、研究の支援体制が非常に整っていることから、効率よく実験が進められている。研究代表者(阪口義彦)は、感染研での病原体等の安全な取扱及び管理に関するバイオリスク管理講習会において所定の課程を修了し、BSL2病原体等の取扱者として承認済みである。現在、感染研での組換えDNA実験安全委員会の承認を得て、ファージ尾部吸着分子に関する解析を進めている。ボツリヌス菌は、グラム陽性で酸素の存在下では増殖できない偏性嫌気性菌で、芽胞を形成し土壌や河川などの自然界で広く分布している。本菌は、強力な神経毒素(ボツリヌス毒素)を産生し、ヒトや家畜(ウシ、トリなど)に重篤な感染症(ボツリヌス症)を引き起こす。生産現場である農場で、ボツリヌス症のアウトブレイクが起きると、生産者への経済的な損失や消費者への食の安全に対する不安感を助長させる。従って、農場におけるボツリヌス菌の感染制御は緊急な課題である。ボツリヌス菌は、産生するボツリヌス毒素によりA型G型菌に分類されている。その中で、C型菌はトリに、D型菌はウシにボツリヌス症を引き起こす。原因となるC型とD型ボツリヌス毒素の遺伝子は、バクテリオファージ(ファージ)により伝播されている。その伝播を阻害することにより、畜産・食品への被害を抑えるのに有効であると考えた。しかしながら、ファージのボツリヌス菌(宿主菌)への吸着メカニズムは未だ明らかでない。今年度は、昨年度に引き続きC型とD型ファージ(c-468ファージ、d-1873ファージ、d-4947ファージ、c-6813ファージ、d-saファージ)ゲノムの全塩基配列の決定を行い、得られたゲノム情報を基にファージの構造タンパク質を特定し、その中で遺伝子間での相同性解析を行い、数種のファージ尾部吸着分子と予想される遺伝子を推定した。当該遺伝子産物の発現・精製を行なうため、複数の発現系について条件検討を行ったが、2つの遺伝子については、大腸菌を用いた発現系では宿主である大腸菌の培養ができなかった。
KAKENHI-PROJECT-16K08785
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パンルヴェ超越函数の大域接続問題
q-超幾何差分方程式(Basic hypergeometric equations)の接続問題を,一点が確定特異点の場合に解いた。q-超幾何方程式の接続問題は,古典的にはThomaeによって確定特異点型の場合は19世紀に解かれていた。不確定特異点を持つ場合にもWatsonによって1910年ごろにいくつかの場合には解かれているが,当時はq-発散級数の総和法が不十分であったために現代的には不満があるものであった。q-超幾何差分方程式の内,2階の差分方程式に対しては全ての場合について接続問題を解いていたが,3階以上の場合は困難があって未解決であった。困難の理由の一つは,3階以上の場合には不確定特異点におけるNewton図形が3つの辺を持つことに起因する。各辺ごとに異なる総和法を適用する必要があり,3つ辺を持つことは超幾何微分方程式の場合にはなかったからである。そこで,3つの辺を持つ場合には双方向の超幾何級数を考えて,その関係式を作り,なおかつ2段階の重ラプラス変換を考えることで接続問題を解くことに成功した。なお,本研究はリール大学のChanggui Zhang教授との共同研究である。なお,超幾何差分方程式の接続問題は,Painleve方程式の接続問題を解決する際にも基本になるものであり,本研究によって,q-Painleve方程式の漸近解析や接続問題の多くの問題にも応用可能となる。まだ実行してないが,いくつかの場合はほぼ自動的に計算するだけで求めることができるであろう。主テーマであったq-Painleve方程式の漸近解析そのものについては手をつけられずに終わったが,ある意味で決定的な補助結果を得たことになる。主にq-差分線型方程式の接続問題について研究を行なった。特に2階超幾何型の場合について、これまで接続問題が解かれていなかったハーン・エクストンのq-ベッセル方程式に対して接続問題を完全に決定した。発散級数の総和について1/2-位数のボレル変換という従来なかった手法を適用したものである。また、q-ウェーバー函数に関してもq-合流超幾何函数からの退化という形で接続問題を解いた。従来未解決であった、この2つの方程式の接続問題を解いたことによって、7種類ある2階q-超幾何型方程式の全てに対して接続問題が解かれたことになる。この2件に関して2017年3月に首都大学東京で行なわれた日本数学会で報告を行なったさらに、ハーン・エクストンのq-ベッセル方程式に関しては、12月の徳島大学数学談話会、1月の神戸大での超幾何研究会2017、3月の熊本でのアクセサリパラメタ研究会などでも少しずつ違った角度からの解説を行った。主目的であるq-パンルヴェ方程式に関してはq-パンルヴェ第III,第V型方程式の漸近解析を調べており、6月の京大での指数漸近解析での研究会ならびに7月のカナダ・サンタデールでのSIDE12で発表を行った。派生した研究としては、9月にフランス・トゥールーズ大で、12月にはフランス・レンヌ大で研究交流を行った。ともに差分方程式およびそのガロア理論に関する学位論文の海外審査員として参加する機会を得つつ、差分方程式の大域構造に関して若手研究者との交流を通じてたいへん有益な海外出張となった。また、10月の中央大でのAGTに関するEncounter with Mathmaticsや、11月の神戸大でのパンルヴェ方程式とそのタウ函数に関する研究会にも参加して幅広い研究交流を行った。q-差分パンルヴェ方程式の大域解析の考察に不可欠でありながら長い間解決にほど遠かったq-差分超幾何型方程式の接続問題について、2階の場合に完全な解決を見た。最後に残ったハーン・エクストンのq-ベッセル函数の大域解析は10数年前からの課題であり難物であったが、科研費で渡航したフランス・トゥールーズでの研究打ち合わせにおいて一気に急進展をみて、2階の場合にはすべてのタイプのq-差分超幾何型方程式の接続問題およびストークス問題を決定した。これによってようやく2階q-差分パンルヴェ方程式の大域解析に着手することが可能になった。この点で、進捗状況は当初の計画以上とは言い難いが想定内の進展をしている。3階以上の場合も必要になるが、同様の手法を用いることで大半は解決できるので、より一般のq-差分パンルヴェ方程式の大域解析に関して十分な道具がようやく手に入ったと思っている。またq-ウエーバー方程式の接続問題が解かれたことで、従来は扱いにくかった原点と無限遠点の両方に不確定特異点をもつ場合の接続問題に関しても進展をみた。地味ではあるが、この問題の解決も重要な結果である。q-差分超幾何型方程式の接続問題については大きく進み、もう少しで決定的と思える結果が得られるとは思っているが、他方で主目的であるq-パンルヴェ方程式の大域解析についてはさほど進んではいない。ただ、q-パンルヴェ方程式に対応する線型方程式の解析に関しては、ハイネのq-超幾何、合流型q-超幾何、そして今回得られたハーン・エクストンのq-ベッセルの3つの方程式が鍵になることはわかっており、形式的な部分の計算は終わっているので大きく目処がついたのも確かである。1年目に引き続き、q-差分線型方程式の接続問題について研究を行なった。3階以上の超幾何型の場合について2階や高階微分超幾何方程式と異なる点があることに気が付いて、やり直したものである。
KAKENHI-PROJECT-16K05176
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パンルヴェ超越函数の大域接続問題
q-差分であれ、連続であれ、超幾何方程式の大域構造は完全に決定できるはずである。少なくとも、q-差分でも確定特異点の場合は19世紀のThomaeの接続公式がある。不確定特異点の場合には分岐がおこるが、連続の場合と違って3通りの場合がある。収束級数が分岐する場合、発散級数が分岐する場合、二つの異なる度合いの発散級数を持つ場合である。この3通りは個別に攻略するしか現時点では方法が無い。収束級数が分岐する場合は容易であるが、発散級数が分岐する場合は困難であったが解決を見た。最後の場合は未完成で最終年度に完成したい。具体的には、まず5月にストラスブールでq-差分方程式の接続問題について現状報告を行なった。9月にリールに行き、高階q-差分微分超幾何方程式Zhangとの共同研究を行ない、大きく進展した。得られた結果の一部を徳島大学紀要で発表するとともに、10月のアクセサリパラメタ研究会、1月の超幾何研究会で発表した。また、今年度は1月に徳島大学で古典解析研究会を開いて、この分野の研究交流を行なった。30人程度の小さい集まりではあったが、地方大学でも研究交流の一端を担えることを示せたと思う。2月はトゥールーズに行き、本研究のもう一つのテーマであるq-パンルヴェ方程式の大域解析についてRamis, Sauloyらと共同研究を行なった。この点についても、3年前にうまくいかなった点はわかったが、まだ完成には至っていない。年度の終わりに、静岡大でも講演を行ない、日本数学会で接続公式について2講演した。本年度は3回渡仏して、うちリールとトゥールーズではかなり密度の濃い共同研究を行なって、q-差分方程式の大域解析について大きく進んだという手応えを持っている。他方で、二方向の研究がいずれも年度内では未完に終わってしまったので、出版された論文は徳島大学の紀要への1本だけになってしまった。昨年度は研究費の前倒しをしてまで渡仏したので、もう少し具体的な成果が欲しかったところである。q-差分超幾何方程式は、原理的には接続問題が完全に決定できるはずのものであり、実際に2階の場合は全て書けている。高階の場合は分岐がおこるため(正確に言うと2階でも分岐が起っているが、2階で分岐がある場合は収束級数になるため、大きな問題にならなかった)、やや困難ではあるが、9月に目処が付いていたのに年度内で完成できなかったのは残念であった。q-Painleve方程式の接続問題に関しても、3年ほど前にRamisらとの共同研究をはじめたものの、その後ほとんど進展がなかった。今回の共同研究で、とにかく前回の研究で不十分だった点がわかり、突破口は開けたが、慣性までにもう少し時間がかかるように思っている。他方で、1月に徳島大学・古典解析研究会を開き、小さいながらも参加者には好印象をもっていただいて終わったのは収穫であった。若手からシニア研究者まで幅広い層が集まって交流できたことも、今後に繋がるのではないかと思っている。以上をまとめて、やや遅れてはいるが、今年度にキャッチアップできる範囲であると考えている。q-超幾何差分方程式(Basic hypergeometric equations)の接続問題を,一点が確定特異点の場合に解いた。q-超幾何方程式の接続問題は,古典的にはThomaeによって確定特異点型の場合は19世紀に解かれていた。
KAKENHI-PROJECT-16K05176
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嗜好性を支える神経回路とその動作特性の解明
本研究では,嗜好性を生じさせている神経回路を同定し,その動作メカニズム解明の基となる知見を得ることを目的とした.その為にまず,聴覚系嗜好性行動実験パラダイムを開発し,ラット・マウスを用いた行動解析を行なった.最終年度は,音源のパラメータとして,旋律,音色,テンポの差異に着目し,ラットの音弁別能力と嗜好性行動解析を遂行した.なお,全ての呈示音源は, CuBASEソフトウェアを用い,ラットの可聴域を考慮して作成した.その結果,ラットは呈示音の旋律が同様であっても,ピアノ,バイオリン,ベルなどのように異なる音色で構成された音源であれば,弁別が可能であることが判明した.弁別可能な異なる音色の音源について,嗜好性行動を調査した結果,個体によっては,ベル音よりも,ピアノやバイオリン音源を好む行動パターンを示した.一方で,テンポの違いや旋律の差異は,今回使用した実験システムでは弁別が行えないことも判った.GABA受容体アゴニスト(蛍光ムシモル)の局所注入により,上述の実験で観察された行動へ関与する脳部位の同定を試みた.ガイドカニューレを慢性的に埋め込み,薬液のインジェクションの効果を,同一個体で,繰り返し解析可能な実験系を新たに立ち上げた.嗜好性に関与する部位を明確に同定するまでには至らなかったが,眼窩前頭皮質,側坐核へのムシモル投与が,学習した音への選択行動パターンに大きく影響を及ぼすことが示唆された.また,神経機能解析を行なうための,電気生理実験系および膜電位イメージング系を構築した.脳スライスの実験系では,感覚情報の認知ならびに親密度の評価に関わる嗅周囲皮質において,神経回路レベルでの可塑性現象が新たに見出された.本研究では,嗜好性を生み出す際の神経回路メカニズムを解明することを目的とした.その為にまず,ラット・マウスの聴覚系嗜好性行動実験パラダイムを開発し,その上で,齧歯類の視床,聴覚野,前頭眼窩皮質の脳部位が,情動中枢(扁桃体)などとどのように協調動作しているのかを神経科学的な手法を駆使して解析する計画とした.平成28年度は,主に,以下に示す実験系の構築,および,行動実験の計画を進めた.行動実験系の構築:課題遂行能力や神経応答解析の難易度の観点からはラットが適する為,まず,ラット用のM型迷路ボックスを構築した.赤外線センサーにより駆動される刺激や報酬の呈示用の回路,および,動物の行動パターン解析を行う画像処理は,LabVIEWにより開発した.また,将来,膜電位感受性プローブを発現させたマウスを活用する目的から,マウスの系の開発に取り掛かり完成させた.また,CuBASEソフトウェアを用いてラット・マウスの可聴域を考慮した,様々な呈示用音源を作成した.ラット・マウスを用いた行動実験:上述のM型迷路実験系を用いて,音源呈示側で報酬を与える条件付け課題を行った.ラットの場合,白色ノイズを含むいずれの呈示音に対しても忌避反応を示さず,音源呈示側の通路を選択する学習行動が確認できた.その後,複数の音源を対呈示することで,いずれの音源をラットが最も好むのかを調べ,嗜好性の有無を検討した.その結果,個体によって選ばれる音の順位が異なる傾向があることが示唆された.マウスについても,同様の検討を行ったが,音や報酬とは無関係の探索行動が長時間続き,ラットのような選択行動パターンを抽出することはできなかった.ラットの行動実験については,概ね順調に進んだ.行動実験については,ラットの場合,音をCSとした報酬(US)との条件付け実験は,23日で終了したが,異種音の対呈示課題で,例数を得るのに極めて時間を要したため,標本数が十分には得られていない状況である.引き続き,音の呈示時間の短縮などにより効果的にデータを収集するための検討を進める.また,マウスの実験では,ラットと比較して,選択行動観察に困難を要した.そこで,改編型Y迷路を構築した.この改編型Y迷路は,マウスが開始地点から一方のポートを選択すると,選択したポートに滞在しつづけるか,逆戻りせずに別の通路を経由して開始地点に戻ることしかできない仕様となっており,引き続き生じる選択行動を,長時間にわたって簡便に観察可能になることが期待される.また,行動実験と平行して,音嗜好性課題への関連が示唆される脳部位に着目した神経応答解析を,脳スライス標本を用いて進めるとともに,in vivo系の実験系構築にも取り掛かった.本研究では,嗜好性を生み出す際の神経回路メカニズムを解明することを目的とした.その為にまず,ラット・マウスの聴覚系嗜好性行動実験パラダイムを開発し,その上で,齧歯類の視床,聴覚野,前頭眼窩皮質の脳部位が,情動中枢(扁桃体)などとどのように協調動作しているのかを神経科学的な手法を駆使して解析する計画とした.これまでに,以下に示す実験系の構築,および,行動実験の計画を進めた.行動実験系の構築:二種の異なる呈示音のうち一種を選択する行動を解析するための,二者択一型のM型迷路ボックスを構築した.中央レーンの赤外線センサーを通過すると,右と左から音が呈示される仕様とし,赤外線センサーにより駆動される刺激や報酬の呈示用の回路,および,動物の行動パターン解析を行う画像処理は,LabVIEWにより開発した.なお,様々な呈示用音源は,ラット・マウスの可聴域を考慮して,CuBASEソフトウェアにより作成した.ラット・マウスを用いた行動実験:上述のM型迷路実験系を用いて,二つの音源種が呈示されるどちらのレーンを選択するかを,報酬なし条件下で調べた.
KAKENHI-PROJECT-16K00380
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嗜好性を支える神経回路とその動作特性の解明
その結果,マウスではいずれのレーンもほぼ同じ確率で選択する一方で,ラットは白色ノイズ側レーンを避ける傾向があることが確かめられた.また,呈示音側レーンで一定時間待機すると報酬が得られる,“報酬有り"実験を行った結果,ラットでは,白色ノイズのみを一方のレーンで呈示した場合,報酬を得るための待機行動を取るが,異なる音源を同時に別レーンで呈示した場合は,ノイズとは異なるレーンを好む行動を示すことが確かめられた.まず,構築したM型の二者択一式迷路実験系を用いて,複数のラットとマウスで行動解析を行った.その結果,マウスでは呈示音種とは無関係に交互にいずれのレーンも選択する行動を示すこと,その一方で,ラットは白色ノイズ側レーンを避ける傾向があることが判明した.そのため,M型迷路における行動解析にはラットを用いた.ラットM型迷路(報酬有り)実験では,音をCSとした報酬(US)との条件付け実験は,23日で終了した.このとき,白色ノイズ音に対しても,忌避行動を示すことなく音呈示レーンで20秒待機する行動が観察できたため,二種音呈示により,いずれの音種を好んで選択するかの解析に進んだ.現状では,クラッシク音楽1を好んで選択する結果が得られている.マウスの実験では,ラットと比較して,選択行動観察に困難を要した.そこで,改編型Y迷路を構築した.この改編型Y迷路は,マウスが開始地点から一方のポートを選択すると,選択したポートに滞在しつづけるか,逆戻りせずに別の通路を経由して開始地点に戻ることしかできない仕様となっており,引き続き生じる選択行動を,長時間にわたって簡便に観察可能になることが期待される.しかしながら,音の呈示方法など,現状では,改良のための課題も見出された.また,行動実験と平行して,音嗜好性課題への関連が示唆される脳部位に着目した神経応答解析を,脳スライス標本を用いて進めるとともに,ムシモルによる脳活動抑制実験にも取り掛かった.本研究では,嗜好性を生じさせている神経回路を同定し,その動作メカニズム解明の基となる知見を得ることを目的とした.その為にまず,聴覚系嗜好性行動実験パラダイムを開発し,ラット・マウスを用いた行動解析を行なった.最終年度は,音源のパラメータとして,旋律,音色,テンポの差異に着目し,ラットの音弁別能力と嗜好性行動解析を遂行した.なお,全ての呈示音源は, CuBASEソフトウェアを用い,ラットの可聴域を考慮して作成した.その結果,ラットは呈示音の旋律が同様であっても,ピアノ,バイオリン,ベルなどのように異なる音色で構成された音源であれば,弁別が可能であることが判明した.弁別可能な異なる音色の音源について,嗜好性行動を調査した結果,個体によっては,ベル音よりも,ピアノやバイオリン音源を好む行動パターンを示した.
KAKENHI-PROJECT-16K00380
https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-16K00380
ヒト骨髄幹細胞への多剤耐性遺伝子導入と骨髄移植への臨床応用に関する研究
ヒト多剤耐性遺伝子(MDR1)は薬剤のトランスポ-タ-としてはたらく膜タンパク質Pーglycoprotein(分子量約170kDa)をコ-ドしており、Vica alkaloids,anthracycline,colchicine,actinomycin Dをはじめとする各種薬剤の細胞外への排出に重要な役割をはたしている。近年、MDR1cDNAおよび28個のエクソンからなるMDR1遺伝子が単離され、がん化学療法を行う上での問題点であった多剤性の機構が分子レベルで解明される可能性が開かれてきた。こうした現状をうけて、我々はMDR1のcDNAを多分化能を有する正常ヒト骨髄造血幹細胞へ効率よく導入し、正常造血細胞の薬剤感受性を低下させることを最終的な目的として研究を行い、以下の結果を得た。(1)MDR1cDNAを含むレトロウイルスベクタ-の作製と多剤性形質の発現。全長約4.3kbのMDR1cDNAフラグメントをクロ-ニングし、これを発現ベクタ-pCO1に挿入し、ウイルスパッケ-ジングして培養細胞株MDCKに形質転換株を得た。(2)多分化能を有する正常ヒト骨髄造血幹細胞の精製とcarrier cellとしての検討骨髄有核細胞から各種抗体処理を経てx20ー30の血液細胞の濃縮、精製を行った。これらの細胞を用いてウイルス感染実験を行い、薬剤存在下でコロニ-あたりの生細胞数の増加は見られたが、コロニ-数の上昇は認められなかった。(3)より効率的な発現ベクタ-の作製。発現効率をさらに高めるために新たなベクタ-系の開発を行った。ヒト骨髄幹細胞の分離・精製の検討のため、急性白血病患者の寛解期骨髄細胞を材料とし、各種ヒト造血器細胞分化抗原に対する単クロ-ナル抗体と補体処理後に得られた細胞1×10^7個を、Dexter型stroma cell layer上で1014日間培養後、invitroコロニ-法にて各種のコロニ-数を算定した。抗体未処理群との比較では、CFU-MegとBFU-Eの低下を認めたが、CFU-mix CFU-GMはほぼ同等に保たれていた。in vitroコロニ-に用いた細胞数は24×10^4個であり、約2550倍の骨髄幹細胞の濃縮が可能であった。また、遺伝子移入後の予備実験として、各種発現ベクタ-に、コントロ-ル遺伝子として、凝固第IX因子遺伝子(cDNA 1.45kb)を挿入したキメラ遺伝子を作成し、標的細胞(CHO)に、ポリブレンもしくはリン酸カルシウム存在下に遺伝子移入を行った。1×10^7個のCHO細胞上清中の第IX因子量をELISA法にて測定した結果pMSG-FIX,pSVL-FIXおよびpKSV-10-FIXでそれぞれ培養5日間にて、2.3,8.1および3.6mg/dlの値であり、pSVLベクタ-系において最も効率よくヒト遺伝子産物がプロセスされることが明らかになった。一方、ヒト多剤耐性遺伝子(mdr)のfull lengthゲノム遺伝子は全長10kb以上にわたるため、本研究では、当教室で樹立された単球性白血病細胞株NOMO-1細胞の多剤耐性株よりmbr cDNAの単離を試みた。方法は従来のcDNA作成法を用い、pVCベクタ-にてcDNAライブラリ-を作成後、0.9kbのゲノムmbr1遺伝子断片をプロ-ブとしてコロニ-ハイブリダイゼ-ションにより、陽性コロニ-を単離した。更に、陽性コロニ-の挿入遺伝子をプロ-ブに二次スクリ-ニングを行い5個の陽性クロ-ンを得た。今後、制限酵素マッビングにてmbr遺伝子の構成を行った後、pSVLベクタ-に挿入し、上記の骨髄幹細胞への移入実験を実施する予定である。ヒト多剤耐性遺伝子(MDR1)は薬剤のトランスポ-タ-としてはたらく膜タンパク質Pーglycoprotein(分子量約170kDa)をコ-ドしており、Vica alkaloids,anthracycline,colchicine,actinomycin Dをはじめとする各種薬剤の細胞外への排出に重要な役割をはたしている。近年、MDR1cDNAおよび28個のエクソンからなるMDR1遺伝子が単離され、がん化学療法を行う上での問題点であった多剤性の機構が分子レベルで解明される可能性が開かれてきた。こうした現状をうけて、我々はMDR1のcDNAを多分化能を有する正常ヒト骨髄造血幹細胞へ効率よく導入し、正常造血細胞の薬剤感受性を低下させることを最終的な目的として研究を行い、以下の結果を得た。(1)MDR1cDNAを含むレトロウイルスベクタ-の作製と多剤性形質の発現。全長約4.3kbのMDR1cDNAフラグメントをクロ-ニングし、これを発現ベクタ-pCO1に挿入し、ウイルスパッケ-ジングして培養細胞株MDCKに形質転換株を得た。(2)多分化能を有する正常ヒト骨髄造血幹細胞の精製とcarrier cellとしての検討骨髄有核細胞から各種抗体処理を経てx20ー30の血液細胞の濃縮、精製を行った。これらの細胞を用いてウイルス感染実験を行い、薬剤存在下でコロニ-あたりの生細胞数の増加は見られたが、コロニ-数の上昇は認められなかった。(3)より効率的な発現ベクタ-の作製。発現効率をさらに高めるために新たなベクタ-系の開発を行った。
KAKENHI-PROJECT-01480299
https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-01480299
ヒト骨髄幹細胞への多剤耐性遺伝子導入と骨髄移植への臨床応用に関する研究
昨年度に引き続き、多分化能を有する正常ヒト骨髄造血幹細胞の精製とcarrier cellとしての検討、ならびにより効率的な発現ベクタ-の作製を目的として研究を行った。50x10^8個の正常ヒト骨髄有核細胞より貧食細胞、付着細胞を除去後、各種血液分化抗原の発現を指標に、モノクロ-ナル抗体処理により最終的にCD34(+),Ia(+)細胞1.2x10^7個を得た。BFUーE,CFUーGMコロニ-数から、出発材料から約25から30holdの造血幹細胞の濃縮が可能であった。次に、メチルセルロ-ス培地中にcolchicine 2ng/ml,ADR 4ng/ml,VP16 33ng/mlを添加したところ95%のコロニ-形成抑制が培養14日目にて得られた。この条件にて濃縮した骨髄細胞2x10^6個をウイルスを含む培養上清の存在下に半固型培地にて培養したところ、BFUーE,CFUーGMコロニ-数は90%以上の抑制を認めたが、21日目にて残存するコロニ-集落中の生細胞数はウイルス(+)培養において増加していた。さらに、より効率的な新レトロウイルス開発を目指し、二種のパッケ-ジング細胞を用いたピンポン増幅を試みた。すなわち、既に樹立されたプロデュ-サ-細胞(PA317)にGP+E86細胞を混ぜて高ウイルス力価株を作ることを試みた。その結果、208F力価は50倍程度増幅できたが、ベクタ-の中に大きなdeletionが起きて、挿入した遺伝子の発現のまったくない粒子が発生していることを確認した。このような増幅は、急速なものであるためにいろいろな組み替えが、起きているものと推測している。
KAKENHI-PROJECT-01480299
https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-01480299
ポアソン多様体の解析的変形と非可換幾何学
本研究の目的はシンプレクティック多様体を一般化するポアソン多様体に対して解析的変形が存在することを構成的に示すことである。ポアソン多様体は代数的変形である変形量子化の存在は長い間の懸案であったが、最終的に1997年M. Kontsevichにより肯定的に証明された。代数的変形と解析的変形の関係は、形式的べき級数とそれを実現する無限回連続微分可能関数の関係に類似している。シンプレクティック多様体はポアソン多様体の特別な場合であり構造が比較的よく分かっている。本計画の当初、先ずシンプレクティック多様体に対して解析的変形の存在を考察し、コペンハーゲン大学のR. Nest、ミュンスター大学のI. Peterとの共同研究において、与えられたシンプレクティック多様体の第2ホモトピー群が自明である場合、解析的変形が存在することを示し、その結果を論文「Strict quantization of symplecticmanifolds (Letters in Mathematical Physics掲載予定)」としてまとめた。第2ホモトピー群が自明でない閉シンプレクティック多様体の例が2次元球面である。2次元球面に対して解析的変形の存在をニューヨーク州立大学バファロー校のC. L. Olsenとの共同研究において考察した。2次元球面は回転で不変なシンプレクティック構造から定まるポアソン構造以外にも多くの重要なポアソン構造を持つ。南北両極で退化するポアソン構造に対して解析的変形の存在を示し、論文「A new family of noncommutative 2-spheres (Journal of Functional Analysis掲載予定)」としてまとめた。上記Nest、Peterとの共著論文で用いられた手法をさらに精密化することにより、Nestとの共同研究において任意の閉シンプレクティック多様体は解析的変形を持つことを示すことができ、その結果を現在論文としてまとめつつある。本研究の目的はシンプレクティック多様体を一般化するポアソン多様体に対して解析的変形が存在することを構成的に示すことである。ポアソン多様体は代数的変形である変形量子化の存在は長い間の懸案であったが、最終的に1997年M. Kontsevichにより肯定的に証明された。代数的変形と解析的変形の関係は、形式的べき級数とそれを実現する無限回連続微分可能関数の関係に類似している。シンプレクティック多様体はポアソン多様体の特別な場合であり構造が比較的よく分かっている。本計画の当初、先ずシンプレクティック多様体に対して解析的変形の存在を考察し、コペンハーゲン大学のR. Nest、ミュンスター大学のI. Peterとの共同研究において、与えられたシンプレクティック多様体の第2ホモトピー群が自明である場合、解析的変形が存在することを示し、その結果を論文「Strict quantization of symplecticmanifolds (Letters in Mathematical Physics掲載予定)」としてまとめた。第2ホモトピー群が自明でない閉シンプレクティック多様体の例が2次元球面である。2次元球面に対して解析的変形の存在をニューヨーク州立大学バファロー校のC. L. Olsenとの共同研究において考察した。2次元球面は回転で不変なシンプレクティック構造から定まるポアソン構造以外にも多くの重要なポアソン構造を持つ。南北両極で退化するポアソン構造に対して解析的変形の存在を示し、論文「A new family of noncommutative 2-spheres (Journal of Functional Analysis掲載予定)」としてまとめた。上記Nest、Peterとの共著論文で用いられた手法をさらに精密化することにより、Nestとの共同研究において任意の閉シンプレクティック多様体は解析的変形を持つことを示すことができ、その結果を現在論文としてまとめつつある。本年は2年計画の初年度にあたる。量子化は作用素環論、非可換幾何学、数理物理学の交叉点にある重要な研究テーマである。今年度初めバークレーのMSRIにおける非可換幾何学のワークショップでも量子化に関する数多くの研究発表がおこなわれた。研究代表者は、このワークショップに参加し世界中の多くの研究者と意見交換も場を持ち、その結果として、今年度の当初の目標を、コペンハーゲン大学のR.Nest氏ミュンスター大学のI.Peter両氏との共同研究「Strict quantizations of symplectic manifolds」(投稿中)の内容をより精密化することにおいた。議論を整理し、見通しの良い論文にすることができた。上記論文では一般のシンプレクティック多様体で第2ホモトピー群が自明という仮定の下で厳密量子化を構成したが、最も自然なシンプレクティック多様体である2次元球面はこの条件を満たさない。3次元空間の回転で不変なシンプレクティック構造が最も興味深いが、これにたいしては未だ残念ながら厳密量子化を構成することはなされていない。2次元球面で南北両極で退化するタイプのシンプレクティック構造に対して、ニューヨーク州立大学バファロー校のC.L.Olsen氏との共同研究において厳密量子化の構成に成功した。同氏を招聘し研究成果を「A new family of noncommutative 2-spheres」として論文にまとめた。Olsen氏との研究で得られたC^*環は、非可換多様体の重要な例であり、これらの非可換多様体上で幾何学を展開することは、来年度の重要な課題である。本年は2年計画の最終年度にあたる。本研究の目的はポアソン多様体に対して解析的変形が存在することを構成的に示すことである。任意のポアソン多様体は代数的変形(変形量子化)を持つことは長い間の懸案であったが、1999年M.Kontsevichにより肯定的に証明された。
KAKENHI-PROJECT-13640208
https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-13640208
ポアソン多様体の解析的変形と非可換幾何学
代数的変形と解析的変形の関係は、形式的べき級数とそれを実現する無限回連続微分可能関数の関係に類似している。シンプレクティック多様体はポアソン多様体の特別な場合であり構造が比較的よく分かっている。本計画の当初、先ずシンプレクティック多様体に対して解析的変形の存在を考察し、コペンハーゲン大学のR.Nest、ミュンスター大学のI.Peterとの共同研究において、与えられたシンプレクティック多様体の第2ホモトピー群が自明である場合、解析的変形が存在すること牽示し、その結果を論文「Strict quantization of symplectic manifolds(Letters in Mathematical Physics掲載予定)」としてまとめた。第2ホモトピー群が自明でない閉シンプレクティック多様体の例が2次元球面である。2次元球面に対して解析的変形の存在ニューヨーク州立大学バファロー校のC.L.Olsenとの共同研究において考察した。2次元球面は回転で不変なシンプレクティック構造から定まるポアソン構造以外にも多くの重要なポアソン構造を持つ。南北両極で退化するポアソン構造に対して解析的変形の存在を示し、論文「A new family of noncommutative 2-spheres(Journal of Functional Analysis掲載予定)」としてまとめた。上記Nest、Peterとの共著論文で用いられた手法をさらに精密化することにより、Nestとの共同研究において任意の閉シンプレクティック多様体は解析的変形を持つことを示すことができ、その結果を現在論文としてまとめつつある。
KAKENHI-PROJECT-13640208
https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-13640208
調査データベース公有化における個人データ保護の統計理論
母集団寸法指標の推定に用いられる超母集団モデルについて,その性質が新たに解明されるとともに,ノンパラメトリック法との融合が図られた。多重寸法指標についても研究が進められ,時系列データ,層化抽出されたデータから得られた個票データ,事後層化された個票データに対するリスク評価に適用され,その有効性も示された。また,PPDM,空間統計,医学統計,生物統計などの分野に,これまで蓄積された理論や手法が応用された。母集団寸法指標の推定に用いられる超母集団モデルについて,その性質が新たに解明されるとともに,ノンパラメトリック法との融合が図られた。多重寸法指標についても研究が進められ,時系列データ,層化抽出されたデータから得られた個票データ,事後層化された個票データに対するリスク評価に適用され,その有効性も示された。また,PPDM,空間統計,医学統計,生物統計などの分野に,これまで蓄積された理論や手法が応用された。官庁統計データについて,サンプリング方法やデータの特性を考慮に入れて秘匿措置を行い,プライバシー漏洩の観点から見て安全で,しかも分析の面から見ても十分な情報量を持つ個票データや表形式データを作成するための理論の構築を行うことが本研究の目的である。母集団寸法指標のパラメトリック推定に用いる確率分割モデルに関して,新たな知見が数多く見いだされた。また,多重寸法指標に関する研究も深められ,層化標本から得られた個票データのリスク評価に対する適用方法や,その必要性に関する研究が行われた。また個票データの秘匿措置に関して,有用性を表す情報量の指標と,リスクの指標を同時に用いる評価方法が提案され,今後の研究のベースに位置づけられた。各統計の個票データを一端縮約した後に復元することにより,安全でしかも元の個票データと同程度の情報量を持つ疑似個票データの作成を行うことも本研究では目的としている。縮約,復元の過程で多次元の分割表を用いる方法が提案され,現在,実際に疑似個票データの作成も行われている。また,それ以外の縮約方法の提案もなされており,来年度以降の研究の基礎が築かれた。これまでの研究において得られた知見を他の領域のデータへ応用することも目的である。空間統計データの重回帰分析において,元データと同等の結果を保証する秘匿方法の提案がなされた。またPPDMについて研究者等から情報収集を行っているところである。これらの研究成果については,2010年9月5日8日に早稲田大学で開催された統計関連学会連合大会などの学会やシンポジウムにおいて報告を行うとともに,各種研究集会や研究会などでも報告を行った。2010年10月29日,30日には,統計数理研究所において研究集会「官庁統計データの公開における諸問題の研究」を開催し,本研究に関連する研究者,官庁統計の実務者とも意見交換を行った。本研究の目的は次の3点である。(1)官庁統計について,各統計のサンプリング方法,時系列情報,調査項目の特性などを考慮に入れながら適切な秘匿措置を施すとともにリスク評価を行い,プライバシー漏洩の観点から見て安全で,しかも分析の面から見ても十分な情報量を持つ個票データや表形式データを作成するための理論構築を行うこと(2)個票データについて,有用な情報を残すための集計方法や統計量の算出方法を提案するとともに,その情報から,安全で,しかも元の個票データと同程度の情報量を持つ疑似個票データの作成を行うこと(3)研究過程において得られた知見を空間統計やPPDMなどの他の領域のデータへ応用すること(1)については,今年度も確率分割モデルの性質に関する研究を中心に順調に研究が進められた。また,単純無作為標本を事後層化することによるリスク評価の改善なども試みた。さらに,秘匿と有用性の評価の双方を考慮に入れた分析方法についても議論が深められている。(2)については本研究の成果を取り込む形で,独立行政法人統計センターにおいて,疑似個票データの試行的提供が行われた。(3)については,空間統計への応用を目的に,分析結果に影響を与えない秘匿措置についての提案がなされた。また,医学統計データの公開方法の研究に関して,これまで蓄積されてきた研究成果の提供と問題固有の新たな課題に対する検討を行っているところである。これらの研究成果については,2011年9月4日7日に九州大学で開催された統計関連学会連合大会などの学会やシンポジウムにおいて報告を行うとともに,各種研究集会や研究会などでも報告を行った。2011年10月21日,22日には,統計数理研究所において研究集会「官庁統計データの公開における諸問題の研究」を開催し,本研究に関連する研究者,官庁統計の実務者とも意見交換を行った。本研究の目的は次の3点である。(1)官庁統計について,各統計のサンプリング方法,時系列情報,調査項目の特性などを考慮に入れながら適切な秘匿措置を施すとともにリスク評価を行い,プライバシー漏洩の観点から見て安全で,しかも分析の面から見ても十分な情報量を持つ個票データや表形式データを作成するための理論構築を行うこと(2)個票データについて,有用な情報を残すための集計方法や統計量の算出方法を提案するとともに,その情報から,安全で,しかも元の個票データと同程度の情報量を持つ疑似個票データの作成を行うこと(3)研究過程において得られた知見を空間統計やPPDMなどの他の領域のデータへ応用すること(1)については,ピットマンモデルやイーベンスモデルなどの確率分割モデルについて,その性質や利用法に関する研究が行われた。
KAKENHI-PROJECT-22300097
https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-22300097
調査データベース公有化における個人データ保護の統計理論
単純無作為標本を事後層化することによってリスク評価を改善する方法についても理論が確立された。また,母集団寸法指標の推定において,ノンパラメトリック法とピットマンモデルを併用する方法が新たに提案された。(2)の疑似個票データについては,本研究の成果を取り込む形で行われている統計センターの方法とは別に,誤差を入れる方法などについて検討が行われた。(3)については,医学統計データベースに重複して登録されているレコード数に推定について,2種類の寸法指標を比較する方法が提案された。これらの研究成果については,2012年9月9日12日に北海道大学で開催された統計関連学会連合大会などの学会やシンポジウムにおいて報告を行うとともに,各種研究集会や研究会などでも報告を行った。2012年10月26日,27日には,統計数理研究所において研究集会「官庁統計データの公開における諸問題の研究と他分野への応用」を開催し,本研究に関連する研究者,官庁統計の実務者とも意見交換を行った。「研究実績の概要」に記載した目的のうち,(1)については当初の予定通りに研究が行われた。(2)については,元の個票データと疑似個票データの間に(多次元の)集計表を挟まなければならないとの統計法の解釈が示され,新たな方向を模索しなければならなかった。(3)については医学統計など,当初予定していなかった分野とも連携することができ,当初の計画以上に進展したと判断される。24年度が最終年度であるため、記入しない。「研究実績の概要」に記載した目的のうち(1)と(3)については,順調に研究が進められているため,来年度もこれまでの研究をさらに進めていく予定である。ただし,(1)についてはリスク評価に用いる確率分割モデルの研究に集中しがちであるため,秘匿と有用性の評価を同時に行う方法の研究,表形式データに関する秘匿方法やリスク評価方法の研究,サンプリング方法などを考慮に入れたリスク評価方法の研究,事後層化などを用いたリスク評価の改善方法の研究など,幅広く取り組みたい。(2)の疑似個票データ作成の研究では,官庁統計への適用、とは切り離して,理論的な研究を進めていきたいと考えている。24年度が最終年度であるため、記入しない。
KAKENHI-PROJECT-22300097
https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-22300097
DNAメチル化制御の異常がもたらす骨髄増殖性腫瘍の機能解明
骨髄増殖性腫瘍(myeloproliferative neoplasms:MPN)は、骨髄系細胞の遺伝子異常によって顆粒球を始めとする骨髄系細胞の腫瘍性増殖を認める疾患である。細胞内シグナル蛋白であるJAK2遺伝子の変異が主要因と考えられる一方で、TET2、DNMT3、ASXL1などエピジェネティックに遺伝子を制御する因子の関与も報告されている。本研究では、DNA脱メチル化を誘導する因子として知られるTET2によって制御される因子がMPN病態に関わる可能性を検討することで、エピジェネティック因子および下流因子の制御によるさらに効果的な治療戦略の確立を目指す。骨髄増殖性腫瘍(myeloproliferative neoplasms:MPN)は、骨髄系細胞の遺伝子異常によって顆粒球を始めとする骨髄系細胞の腫瘍性増殖を認める疾患である。細胞内シグナル蛋白であるJAK2遺伝子の変異が主要因と考えられる一方で、TET2、DNMT3、ASXL1などエピジェネティックに遺伝子を制御する因子の関与も報告されている。本研究では、DNA脱メチル化を誘導する因子として知られるTET2によって制御される因子がMPN病態に関わる可能性を検討することで、エピジェネティック因子および下流因子の制御によるさらに効果的な治療戦略の確立を目指す。
KAKENHI-PROJECT-19K17876
https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-19K17876