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口腔癌における転移形質の特定とその遺伝子発現の多様性 | 1、ZK-2細胞、および高転移能を有するMK-1細胞について、それらの発現する遺伝子を解析するため、それぞれ、周密化直前(subconfluent)の段階で、全RNAを抽出し、さらに精製して、各細胞から約1μgのmRNAを得た。これを試料としてDNAマイクロアレイチップによって解析をおこなった。その結果、高転移性細胞株には特異的にIV型コラゲン等の細胞外基質(ECM)分子およびインテグリン等のECM膜受容体分子の両遺伝子発現が低下し、そのかわりMMP、FGF7等のECM分解酵素ならびに細胞増殖細胞周期に関わる遺伝子発現が亢進していた。したがって、癌細胞の転移活動性は遺伝子レベルで制御されていることが示唆された。さらに、これらが蛋白質レベルでも発現低下・上昇しているかどうかを蛍光抗体法で検討したところ、同様な傾向がえられた。2)転移能の異なる口腔癌培養細胞系における細胞外基質とその分解酵素の経時的発現変動の比較検討:上記1)項の結果から、転移能を規定する重要な遺伝子が細胞外基質代謝に関するもであることが判明したので、上記細胞のうち、ACC2およびACCM細胞について、経時的にそれらの遺伝子発現を、蛍光抗体法とRT-PCR法、さらにin-situハイブリダイゼーション(ISH)法によって検討し、酵素については免疫ブロツト法とザイモグラフィ法によって蛋白質発現と活性を検討した。その結果、高転移性細胞ではファイブロネクチン等の細胞外基質は概して高発現し、MMP9/MMP1が特異的に亢進していた。一方低転移性細胞ではMMP2/MMP7の発現が上昇しており、細胞外基質代謝はその分子種特異性が高いことが示唆された。3)免疫およびハイブリッド組織細胞化学的実験:上記DNAチップ解析によって特定された遺伝子について、組織切片上でも特定された遺伝子およびその産物がそれぞれの細胞で対照的発現をしているかどうかを免疫組織化学とin-situハイブリダイゼーション(ISH)法によって確認し、その癌組織内での分布を解析することで、それらの遺伝子が実際の生体内でどのように転移機転に寄与しているかどうかを検討している。1)免疫およびハイブリッド組織細胞化学的実験:前年度DNAチップ解析によって特定された遺伝子について、組織切片上でも特定された遺伝子およびその産物がそれぞれの細胞で対照的発現をしているかどうかを免疫組織化学とin-situハイブリダイゼーション(ISH)法によって、その癌組織内での分布を解析した。その結果、ラミニン、IV型コラゲン、MMP、FGF7、ケラチン等の分子の蛋白質発現レベルが遺伝子レベルの発現と対応することが確認され、それらの遺伝子が実際の生体内でも転移機転に寄与している可能性が示唆された。2)標識培養および免疫沈降実験:各培養細胞を上記(1)項と同様の抗体をもちいて免疫沈降をおこなった。沈降物は糖鎖分解酵素処理の有無でSDSポリアクリルアミド電気泳動後にウェスタンブロッティングによって可視化し、各癌細胞における分子量ならびに構成を確定して分子種の差異を検出し、転移能との関連について蛋白質レベルで確認できた。 | KAKENHI-PROJECT-14571728 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-14571728 |
ケロイド・肥厚性瘢痕における線維芽細胞アポトーシス発現とその病態解析 | ケロイドにおいてアポトーシス発現の意義を明らかにするため、アポトーシス実行分子である活性化カスパーゼの発現性を解析した。扁平瘢痕と比較しケロイドでは活性化カスパーゼ3と9の陽性線維芽細胞やTUNEL陽性アポトーシス細胞の有意な増加を示した。したがって、ケロイド線維芽細胞の一部では活性化カスパーゼ3と9を介したアポトーシス誘導が示唆された。さらに血清除去による培養ケロイド線維芽細胞(KF)のアポトーシス誘導実験では、血清除去3時間のKFでカスパーゼ9と3の誘導活性とHoechst陽性細胞アポトーシス細胞の有意な増加を認めた。この増加はカスパーゼ9阻害剤(LEHD-CHO)で有意に阻害され、カスパーゼ8阻害剤(IETD-CHO)で阻害されなかった。したがって、血清除去KFアポトーシス誘導機構に活性化したカスパーゼ9とその下位のカスパーゼ3の関与が明らかとなった。これより過剰に増殖したケロイド線維芽細胞の除去に活性化カスパーゼ3と9を介した細胞死誘導の関与が示唆された。また、ケロイドの生じる部位による差について比較検討を行った。耳垂ケロイドの細胞増殖動態を明らかにするため、他部位ケロイドとの比較検討から増殖期マーカーとアポトーシス発現性の解析を行った。アポトーシス発現の判定はTUNEL法と、Single-strandedDNAの免疫染色を用いた。細胞増殖能の判定には、PCNA(proliferating Cell Nuclear Antigen)と、Ki-67抗体についての免疫組織染色を行い、それぞれの陽性細胞数を計測し比較検討を行った。ケロイドでは、Ki-67、PCNA共に陽性細胞の発現性は高く、特に耳垂ケロイドで有意なKi-67の発現性の増加を認めた。他部位ケロイドにおける細胞増殖能の低下は術前の保存的治療効果の関与も考えられるが、耳垂ケロイドと他部位に発生するケロイドとは、その性状が分子レベルやその他で異なるとの見解も従来報告されており、詳細な解明には今後更なる検討を要すと思われた。アポトーシスに関しては、TUNEL法、ssDNA共に陽性率は低く、耳垂以外のケロイドにて増加傾向を示すものの、耳垂と他部位ケロイドにおける有意差は認めなかった。正常の創傷治癒過程における瘢痕形成には、肉芽組織の線維芽細胞や血管内皮細胞にアポトーシスが発現し、肉芽組織の縮小化がおこり、扁平瘢痕が形成されることが動物実験から明らかとなっている。これに対して、肥厚性瘢痕やケロイドでは、アポトーシス抑制による細胞死減少で二次的に線維芽細胞の増生がおこり、隆起性の瘢痕が形成されるという仮説が考えられている。そこで、ケロイド・肥厚性瘢痕組織におけるアポトーシス発現とその機能を解明するため、ケロイド・肥厚性瘢痕組織におけるアポトーシス発現とをTUNEL法で解析し、さらにケロイド培養線維芽細胞を用いin vitroで解析した。TUNEL法によるアポトーシス発現性は、培養ケロイド線維芽細胞において、正常扁平瘢痕、軟性線維腫と比較し、有意な発現増加を示した。また、培養線維芽細胞では、培養正常瘢痕線維芽細胞に比して培養ケロイド線維芽細胞では、血清除去5時間で3倍のカスパーゼ3活性増加を認めた。また、Hoechst33258染色によるアポトーシス細胞は、血清除去24時間で培養正常瘢痕線維芽細胞に比して培養ケロイド線維芽細胞で有意な増加を認めた。さらに、この増加はカスパーゼ3阻害剤(DEVD-FMK)で有意に阻害された。in vivoでは、正常瘢痕に比してケロイドでアポトーシスの有意な発現増加が確認された。また、in vitroでは、ケロイド線維芽細胞にカスパーゼ3活性誘導能の増加がみられた。以上結果より、一部のケロイド線維芽細胞における、カスパーゼ3を介したアポトーシス誘導能の亢進が示唆された。ケロイドにおいてアポトーシス発現の意義を明らかにするため、アポトーシス実行分子である活性化カスパーゼの発現性を解析した。扁平瘢痕と比較しケロイドでは活性化カスパーゼ3と9の陽性線維芽細胞やTUNEL陽性アポトーシス細胞の有意な増加を示した。したがって、ケロイド線維芽細胞の一部では活性化カスパーゼ3と9を介したアポトーシス誘導が示唆された。さらに血清除去による培養ケロイド線維芽細胞(KF)のアポトーシス誘導実験では、血清除去3時間のKFでカスパーゼ9と3の誘導活性とHoechst陽性細胞アポトーシス細胞の有意な増加を認めた。この増加はカスパーゼ9阻害剤(LEHD-CHO)で有意に阻害され、カスパーゼ8阻害剤(IETD-CHO)で阻害されなかった。したがって、血清除去KFアポトーシス誘導機構に活性化したカスパーゼ9とその下位のカスパーゼ3の関与が明らかとなった。これより過剰に増殖したケロイド線維芽細胞の除去に活性化カスパーゼ3と9を介した細胞死誘導の関与が示唆された。また、ケロイドの生じる部位による差について比較検討を行った。耳垂ケロイドの細胞増殖動態を明らかにするため、他部位ケロイドとの比較検討から増殖期マーカーとアポトーシス発現性の解析を行った。アポトーシス発現の判定はTUNEL法と、Single-stranded DNAの免疫染色を用いた。 | KAKENHI-PROJECT-14770994 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-14770994 |
ケロイド・肥厚性瘢痕における線維芽細胞アポトーシス発現とその病態解析 | 細胞増殖能の判定には、PCNA(proliferating Cell Nuclear Antigen)と、Ki-67抗体についての免疫組織染色を行い、それぞれの陽性細胞数を計測し比較検討を行った。ケロイドでは、Ki-67、PCNA共に陽性細胞の発現性は高く、特に耳垂ケロイドで有意なKi-67の発現性の増加を認めた。他部位ケロイドにおける細胞増殖能の低下は術前の保存的治療効果の関与も考えられるが、耳垂ケロイドと他部位に発生するケロイドとは、その性状が分子レベルやその他で異なるとの見解も従来報告されており、詳細な解明には今後更なる検討を要すと思われた。アポトーシスに関しては、TUNEL法、ssDNA共に陽性率は低く、耳垂以外のケロイドにて増加傾向を示すものの、耳垂と他部位ケロイドにおける有意差は認めなかった。ケロイドにおいてアポトーシス発現の意義を明らかにするため、アポトーシス実行分子である活性化カスパーゼの発現性を解析した。扁平瘢痕と比較しケロイドでは活性化カスパーゼ3と9の陽性線維芽細胞やTUNEL陽性アポトーシス細胞の有意な増加を示した。したがって、ケロイド線維芽細胞の一部では活性化カスパーゼ3と9を介したアポトーシス誘導が示唆された。さらに血清除去による培養ケロイド線維芽細胞(KF)のアポトーシス誘導実験では、血清除去3時間のKFでカスパーゼ9と3の誘導活性とHoechst陽性細胞アポトーシス細胞の有意な増加を認めた。この増加はカスパーゼ9阻害剤(LEHD-CHO)で有意に阻害され、カスパーゼ8阻害剤(IETD-CHO)で阻害されなかった。したがって、血清除去KFアポトーシス誘導機構に活性化したカスパーゼ9とその下位のカスパーゼ3の関与が明らかとなった。これより過剰に増殖したケロイド線維芽細胞の除去に活性化カスパーゼ3と9を介した細胞死誘導の関与が示唆された。また、ケロイドの生じる部位による差について比較検討を行った。耳垂ケロイドの細胞増殖動態を明らかにするため、他部位ケロイドとの比較検討から増殖期マーカーとアポトーシス発現性の解析を行った。アポトーシス発現の判定はTUNEL法と、Single-strandedDNAの免疫染色を用いた。細胞増殖能の判定には、PCNA(proliferating Cell Nuclear Antigen)と、Ki-67抗体についての免疫組織染色を行い、それぞれの陽性細胞数を計測し比較検討を行った。ケロイドでは、Ki-67、PCNA共に陽性細胞の発現性は高く、特に耳垂ケロイドで有意なKi-67の発現性の増加を認めた。他部位ケロイドにおける細胞増殖能の低下は術前の保存的治療効果の関与も考えられるが、耳垂ケロイドと他部位に発生するケロイドとは、その性状が分子レベルやその他で異なるとの見解も従来報告されており、詳細な解明には今後更なる検討を要すと思われた。アポトーシスに関しては、TUNEL法、ssDNA共に陽性率は低く、耳垂以外のケロイドにて増加傾向を示すものの、耳垂と他部位ケロイドにおける有意差は認めなかった。 | KAKENHI-PROJECT-14770994 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-14770994 |
視線解析を用いた認知症の診断方法の開発 | 高齢化社会を迎えたわが国では認知症の患者が増加し、認知症を早期に診断して治療する方法の開発が求められている。われわれは、患者の眼の動きの特徴をみることで認知症を早期診断できるのではないかと考えている。なぜなら、ヒトは物を見るときに無意識に視線を動かしており、その動きは脳によってコントロールされるからである。本研究では、様々なタイプの認知症の患者で、視線の動かし方に違いがあるかどうかを明らかにすることを目指す。本研究で得られた知見をもとにすれば、視線の動きの特徴から認知症を早期に診断でき、早期治療で進行を抑えることにより、認知症患者がより長く人生を楽しめるような社会を作ることができる。高齢化社会を迎えたわが国では認知症の患者が増加し、認知症を早期に診断して治療する方法の開発が求められている。われわれは、患者の眼の動きの特徴をみることで認知症を早期診断できるのではないかと考えている。なぜなら、ヒトは物を見るときに無意識に視線を動かしており、その動きは脳によってコントロールされるからである。本研究では、様々なタイプの認知症の患者で、視線の動かし方に違いがあるかどうかを明らかにすることを目指す。本研究で得られた知見をもとにすれば、視線の動きの特徴から認知症を早期に診断でき、早期治療で進行を抑えることにより、認知症患者がより長く人生を楽しめるような社会を作ることができる。 | KAKENHI-PROJECT-19K17046 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-19K17046 |
エスニック集団間の差異化と連帯-多文化共生型コミュニティ・モデルの構築を目指して | 本研究の目的は、複数のエスニック集団から構成されるコミュニティの形成が可能となる多文化共生モデルを構築することにある。とくに、本研究は、最終的に日本社会への適用可能性を視野に入れた多文化共生モデルの構築を目指している。本年度は、前年度に行った先行研究の検討と、フィールドワーク(アメリカ合衆国ロサンゼルスの事例と日本国内、とくに東北地方の事例)から得たデータから得られた知見に考察をくわえた。(1)アメリカ合衆国:ロサンゼルスにおける複数のエスニック集団によるコミュニティ形成平成26年度は、前年度に引き続き、日系コミュニティを主なケーススタディとして考察した。その成果は主に以下次のとおりである。第一に、日系のエスニック・コミュニティは、それぞれに分離した存在ではなく、また、移民第一世代のホスト社会の定住や社会移動の後押し以上の役割を担っているということである。第二に、コミュニティは、その地域の特定のエスニック集団が、コミュニティ内の場所や空間の用途に対して発言力があるわけではないため、外的・内的という双方向からの変化のなかでエスニック・コミュニティとしての存続可能性を常に模索せざるを得ないことである。(2)日本国内:定住外国人コミュニティ形成(1)にくわえて、日本社会における移民コミュニティの現状と課題、およびその役割を考察するために、前年度に引き続き、人種/エスニック・マイノリティ集団によるコミュニティを対象としたフォローアップ調査を行った。その主な知見は、特定の移民集団によるコミュニティ形成が持つ機能である。以上、(1)(2)に関する成果を、複数の国際学会で報告した。くわえて、成果の一部を『社会学研究』において論文として発表した。26年度が最終年度であるため、記入しない。26年度が最終年度であるため、記入しない。本研究の目的は、異なるエスニック集団が持つ社会的資源の多寡に基づくヒエラルキーを可能な限り回避しながら、複数のエスニック集団から構成されるコミュニティの形成が可能となる多文化共生モデルを構築することにある。とくに、本研究は、最終的に日本社会への適用可能性を視野に入れた多文化共生モデルの構築を目指している。この点に鑑みて、本年度は(1)アメリカ合衆国ロサンゼルスの事例、および(2)日本国内、とくに東北地方の事例を対象として、以下のとおり資料や先行研究の検討、および調査分析を行った。本研究がロサンゼルスをフィールドとして、調査分析を進めているのは、複数のエスニック集団の連帯を基盤としたリトルトーキョーにおけるマルチエスニック・コミュニティ形成のプロセスと、日系とムスリム系を中心とした草の根レベルでの共生を目指す運動である。本年度は、まず、異なるエスニック集団の連帯に基づく運動に関する先行研究を、とくにロサンゼルス都市圏を対象とした研究を中心にレビューを行った。その成果として、先行研究においては、構成員の特徴によって共有される課題が異なる点に注目した。それらの先行研究のレビューと並行して、本年度は特に日系とムスリム系による運動に関する調査・分析を行った。特に、参与観察とインタビューを分析し、いかなる問題の枠組みにおいて両者が連帯を形成されているのか、その形成プロセスと連帯を中心的に明らかにし、日本社会学会で報告を行った。さらに、日本社会への応用を視野にいれ、日本の多文化共生に関する状況について、先行研究をレビューしながら、東北地方において調査も開始した。本研究の目的は、異なるエスニック集団が持つ社会的資源の多寡に基づくヒエラルキーを可能な限り回避しながら、複数のエスニック集団から構成されるコミュニティの形成が可能となる多文化共生モデルを構築することにある。とくに、本研究は、最終的に日本社会への適用可能性を視野に入れた多文化共生モデルの構築を目指している。この点に鑑みて、本年度は(1)アメリカ合衆国ロサンゼルスの事例、および類似事例としてサンフランシスコの事例を調査・分析し、また、(2)日本国内、とくに東北地方の事例を対象として、以下のとおり資料や先行研究の検討、および調査分析を行った。本研究がロサンゼルスをフィールドとして、調査分析を進めているのは、複数のエスニック集団の連帯を基盤としたリトルトーキョーにおけるマルチエスニック・コミュニティ形成のプロセスである。本年度は、まず、異なるエスニック集団の連帯に基づく運動に関する先行研究を、とくにロサンゼルス都市圏を対象とした研究のレビューを継続したのと並行して、ロサンゼルスのリトルトーキョー地区における、コミュニティ形成に関わるステークホルダーを対象としたインタビュー調査と、コミュニティ形成に関わる歴史的変遷について、資料収集を行った。その結果として、コミュニティ形成に関わるリトルトーキョー内部の構成要素と、コミュニティ形成に影響を及ぼす外的要因との両方がいかに関連するかが、明らかになってきた。他方、日本社会への応用を視野にいれ、日本の多文化共生に関する状況について、先行研究をレビューしながら、前年度から東北地方において調査も開始した。その成果として、複数の移民コミュニティの形成を確認し、また、出身国籍横断的なネットワークの萌芽をも見いだすことができた。ただし、それら移民コミュニティが抱える課題もまた明らかにすることができた。本研究の目的は、複数のエスニック集団から構成されるコミュニティの形成が可能となる多文化共生モデルを構築することにある。とくに、本研究は、最終的に日本社会への適用可能性を視野に入れた多文化共生モデルの構築を目指している。本年度は、前年度に行った先行研究の検討と、フィールドワーク(アメリカ合衆国ロサンゼルスの事例と日本国内、とくに東北地方の事例)から得たデータから得られた知見に考察をくわえた。(1)アメリカ合衆国:ロサンゼルスにおける複数のエスニック集団によるコミュニティ形成平成26年度は、前年度に引き続き、日系コミュニティを主なケーススタディとして考察した。その成果は主に以下次のとおりである。第一に、日系のエスニック・コミュニティは、それぞれに分離した存在ではなく、また、移民第一世代のホスト社会の定住や社会移動の後押し以上の役割を担っているということである。 | KAKENHI-PROJECT-12J07006 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-12J07006 |
エスニック集団間の差異化と連帯-多文化共生型コミュニティ・モデルの構築を目指して | 第二に、コミュニティは、その地域の特定のエスニック集団が、コミュニティ内の場所や空間の用途に対して発言力があるわけではないため、外的・内的という双方向からの変化のなかでエスニック・コミュニティとしての存続可能性を常に模索せざるを得ないことである。(2)日本国内:定住外国人コミュニティ形成(1)にくわえて、日本社会における移民コミュニティの現状と課題、およびその役割を考察するために、前年度に引き続き、人種/エスニック・マイノリティ集団によるコミュニティを対象としたフォローアップ調査を行った。その主な知見は、特定の移民集団によるコミュニティ形成が持つ機能である。以上、(1)(2)に関する成果を、複数の国際学会で報告した。くわえて、成果の一部を『社会学研究』において論文として発表した。26年度が最終年度であるため、記入しない。26年度が最終年度であるため、記入しない。・対象地でのフィールドワークが順調に進んでおり、また、データを整理し、今後に調査・分析する際の分析視角がより明確になっているからである。・また、研究内容をさらに展開させるためのフィールド調査へとも発展しているからである。1.対象地でのフィールドワークが順調に進んでおり、また調査内容に関連する他のケースもまた調査をも実施した。2.そのうえでデータを整理し、今後に調査・分析する際の分析視角がより明確になっているからである。・今後は、平成24年度に収集したデータと分析から得られた知見を、論文として発表する。とくに、昨年は学会報告を中心に成果発表を行い、他の研究者との議論を発展させた。その点を踏まえて、論文を作成・発表する。・今後は、対象者の属性などにより丹念に目を配って、ライフヒストリー収集も行うことで、コミュニティに関する試みへの参加経緯をも明らかにする。・そのうえで、都市社会学分野での理論研究を行うことによって、より研究の理論的側面を精緻化する。1.今後は、平成24年度、25年度に収集したデータと分析から得られた知見を、国内外の学会報告、および論文として発表する。2.今後は、対象者の属性(ナショナリティや世代、年齢等)、各集団の個別課題についても資料収集も行うことで、コミュニティ形成への参加経緯をも明らかにする。3.そのうえで、都市社会学分野での理論研究を行うことによって、より研究の理論的側面を精緻化する。 | KAKENHI-PROJECT-12J07006 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-12J07006 |
近世きもの資料の色彩美情報の数量的分析と色彩デザインへの応用に関する研究 | 本研究の成果は,大きく次の6つに分けることができる:1)きもの資料の色情報を取得するための基本的な問題認識の確立,2)デジタルカメラを用いたきもの資料の色彩情報の取得,3)絹織物の変角分光反射率測定および綾織物の分光反射率予測,4)かさね色目表示システムの開発,5)種々の色彩分析手法の開発,6)その他.1)色彩美分析の対象として,国立歴史民俗博物館所蔵の野村正治郎近世きものコレクションのうち小袖資料について,画像の各画素が測色値(たとえばCIEXYZ物体色値)で表わされる色彩画像の撮影を実施した.その過程で,大型のきもの資料の撮影においては,照明方法と照明ムラ情報取得の問題,やわらかい(形状が一定しない)対象であるがゆえの安定性の問題,および,絹織物に特有の光反射特性に対する理解の問題,など,解決すべき種々の問題が存在することを再認識した.そこで,数十点規模の撮影を実施するという当初の計画を変更し,撮影のための問題点を整理し,解決の方向性を見定めるための研究を中心に実施した.2)デジタルカメラを用いたきもの資料の色彩情報の記録について,5件の研究発表を行った.関連して,国立歴史民俗博物館の所蔵する錦絵資料のデジタルカメラによる撮影とデジタルアーカイブの構築について,2件の発表を行った.このうち,情報処理学会人文科学とコンピュータシンポジウム「じんもんこん2004」(2004年12月,京都市)における発表は,平成17年度情報処理学会山下記念研究賞(人文科学とコンピュータ研究会推薦)を受賞した.これらの成果をふまえて,きもの資料を含むさまざまな種類の資料(とくに博物館・美術館が収蔵する資料を念頭において)について,デジタルカメラで撮影を行なう際のガイドライン,とくに照明の状況による撮影対象のカテゴリー化の方法を提案し,3件の研究発表を行った.3)絹織物は,光を当てる角度や見る角度,および資料における織糸の方向などによって,光の反射特性が大きく変化する.そこで,典型的な技法で織られた絹織物(繻子織等)について,分光立体角反射率の3次元測定を実施し,反射特性を定性的にとらえることを試みた.測定の方法及び結果について,2件の研究発表を行った.また,複雑な表面形状をもつ綾織の布について,経糸緯糸の色が異なる布の分光反射率を推定するための,光の反射に関するマクロモデルを立て,検証した結果について,2件の研究発表を行った.4)中世貴族の装束等に用いられた配色システムである「かさね色目」について,これをコンピュータ画面上で,十二単(女房装束)をまとった女性貴族の画像に,指定した「かさね」に基づいて着色して表示するシステムを開発し,2件の研究発表を行った.5)きもの資料の色彩分析に応用できる,種々の色彩画像の計量分析手法について,10件の研究発表を行なった.6)日本色彩学会誌に,きもの資料の色彩分析に関する査読論文を投稿し,採択,掲載された.その他,2件の研究成果報告を行った.なお,研究代表者は,2005年4月10日放送のNHK教育テレビの番組「新日曜美術館」に出演し,ゴッホの絵画の色彩について分析および解説を行ったが,分析に用いた諸技術は本課題研究と深く関連するものである.本研究の成果は,大きく次の6つに分けることができる:1)きもの資料の色情報を取得するための基本的な問題認識の確立,2)デジタルカメラを用いたきもの資料の色彩情報の取得,3)絹織物の変角分光反射率測定および綾織物の分光反射率予測,4)かさね色目表示システムの開発,5)種々の色彩分析手法の開発,6)その他.1)色彩美分析の対象として,国立歴史民俗博物館所蔵の野村正治郎近世きものコレクションのうち小袖資料について,画像の各画素が測色値(たとえばCIEXYZ物体色値)で表わされる色彩画像の撮影を実施した.その過程で,大型のきもの資料の撮影においては,照明方法と照明ムラ情報取得の問題,やわらかい(形状が一定しない)対象であるがゆえの安定性の問題,および,絹織物に特有の光反射特性に対する理解の問題,など,解決すべき種々の問題が存在することを再認識した.そこで,数十点規模の撮影を実施するという当初の計画を変更し,撮影のための問題点を整理し,解決の方向性を見定めるための研究を中心に実施した.2)デジタルカメラを用いたきもの資料の色彩情報の記録について,5件の研究発表を行った.関連して,国立歴史民俗博物館の所蔵する錦絵資料のデジタルカメラによる撮影とデジタルアーカイブの構築について,2件の発表を行った.このうち,情報処理学会人文科学とコンピュータシンポジウム「じんもんこん2004」(2004年12月,京都市)における発表は,平成17年度情報処理学会山下記念研究賞(人文科学とコンピュータ研究会推薦)を受賞した.これらの成果をふまえて,きもの資料を含むさまざまな種類の資料(とくに博物館・美術館が収蔵する資料を念頭において)について,デジタルカメラで撮影を行なう際のガイドライン,とくに照明の状況による撮影対象のカテゴリー化の方法を提案し,3件の研究発表を行った.3)絹織物は,光を当てる角度や見る角度,および資料における織糸の方向などによって,光の反射特性が大きく変化する. | KAKENHI-PROJECT-15500060 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-15500060 |
近世きもの資料の色彩美情報の数量的分析と色彩デザインへの応用に関する研究 | そこで,典型的な技法で織られた絹織物(繻子織等)について,分光立体角反射率の3次元測定を実施し,反射特性を定性的にとらえることを試みた.測定の方法及び結果について,2件の研究発表を行った.また,複雑な表面形状をもつ綾織の布について,経糸緯糸の色が異なる布の分光反射率を推定するための,光の反射に関するマクロモデルを立て,検証した結果について,2件の研究発表を行った.4)中世貴族の装束等に用いられた配色システムである「かさね色目」について,これをコンピュータ画面上で,十二単(女房装束)をまとった女性貴族の画像に,指定した「かさね」に基づいて着色して表示するシステムを開発し,2件の研究発表を行った.5)きもの資料の色彩分析に応用できる,種々の色彩画像の計量分析手法について,10件の研究発表を行なった.6)日本色彩学会誌に,きもの資料の色彩分析に関する査読論文を投稿し,採択,掲載された.その他,2件の研究成果報告を行った.なお,研究代表者は,2005年4月10日放送のNHK教育テレビの番組「新日曜美術館」に出演し,ゴッホの絵画の色彩について分析および解説を行ったが,分析に用いた諸技術は本課題研究と深く関連するものである.平成15年度は,本研究に関して8件の研究発表を行なった.色彩美分析の対象として,国立歴史民俗博物館所蔵の野村正治郎近世きものコレクションのうち小袖資料について,画像の各画素が測色値(たとえばCIEXYZ物体色値)で表わされる色彩画像の撮影を実施した.その過程で,大型のきもの資料の撮影においては,照明方法と照明ムラ情報取得の問題,やわらかい(形状が一定しない)対象であるがゆえの安定性の問題,および,絹織物に特有の光反射特性に対する理解の問題,など,解決すべき種々の問題が存在することを再認識した.そこで,数十点規模の撮影を実施するという当初の計画を変更し,撮影のための問題点を整理し,解決の方向性を見定めるための研究を,平成15年度に実施した.デジタルカメラを利用した,測色値が得られる色彩画像の撮影方法について研究を行ない,第59回情報処理学会人文科学とコンピュータ研究会(2003年7月,東京都調布市),国際色彩学会中間大会(2003年8月,タイ王国バンコック),カラーフォーラムJAPAN2003(2003年11月,東京都新宿区),および人文科学とコンピュータシンポジウム「じんもんこん2003」(2003年12月,千葉県佐倉市)において,順次研究成果を報告した.絹織物は,光を当てる角度や見る角度,および資料における織糸の方向などによって,光の反射特性が大きく変化する.そこで,典型的な技法で織られた絹織物(繻子織等)について,分光立体角反射率の3次元測定を実施し,まずは反射特性を定性的にとらえることを試みた.測定の方法及び結果について,国際色彩学会中間大会(2003年8月,タイ王国バンコック),およびカラーフォーラムJAPAN2003(2003年11月,東京都新宿区)で発表した.今後は,得られた結果をもとに,絹織物の数理的モデルの推定を行ない,限られた撮影画像からパラメタ推定を行なって,きものの色のシミュレーションを行なう方向で研究をすすめたい.得られたきものの色彩情報を,さまざまな角度から分析し,配色デザインなどに利用するためには,それを支援するためのコンピュータソフトウェアの開発が欠かせない.平成15年度は,すでにデータとしてもっている,中世貴族の装束等に用いられた配色システムである「かさね色目」について,これをコンピュータ画面上で,十二単(女房装束)をまとった女性貴族の画像に,指定した「かさね」に基づいて着色して表示するシステムを開発した. | KAKENHI-PROJECT-15500060 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-15500060 |
公共土木分野への設計競技方式の導入に向けた総合的研究 | テーマA(公共調達制度における設計競技方式の取扱の変遷と諸課題):歴史的な経緯を把握しておくことは、本研究において非常に重要となるため、関連文献を収集し、土木設計競技の過去の変遷と諸課題について整理を行った。テーマB(設計競技に関する国内外の先行事例の比較分析):国内外の先行事例やベストプラクティスを分析することで、今後の設計競技のあるべき方向への示唆を得ることが可能となる。そのため、海外事例として、パリの7つの広場整備、ウィーンのマリアフィルファー通り、コペンハーゲンのノアポート駅についての文献調査と現地ヒアリングを実施し、設計競技の運営方法と実現プロセスについての情報収集を行った。国内事例として、秋田県CM業務の契約(CM業務導入理由、契約書、共通仕様書について等)及び鶴田ダム再開発事業・プロセス(鶴田ダム再開発事業の技術的ポイントに係る事業の流れや調達プロセス等)についてヒアリングを実施した。テーマC(まちづくりに資する設計競技プロセスの規範体系の構築):分析のみならず、今後のあるべき規範体系を構築するため、様々な議論を通じて検討を行う必要がある。全国6都市にて研究ワークショップを実施し、土木設計競技の最新事例にもとづく今後のあるべき制度設計について検討を行った。また、自治体と協力し、モデルケースとして歩道橋の設計競技の実施による実証研究を開始した。さらに、土木学会主催のデザインコンペ「22世紀の国づくりーありたい姿と未来へのタスク」において、土木界におけるデザインコンペの展開への知見を得た。テーマD(公共土木分野における設計競技の社会的便益の計測評価):関連文献を収集し、手法等についての整理を行った。研究ワークショップの実施において、当初予定していた全国9都市のうち、平成30年度は6都市のみの実施となり、その点ではやや遅れているが、一方、モデルケースの実施に予定より早く取り掛かることができたため、全体としては、概ね順調に進んでいる。テーマA(公共調達制度における設計競技方式の取扱の変遷と諸課題):文献調査及びヒアリング調査を実施する。テーマB(設計競技に関する国内外の先行事例の比較分析):引き続き、国内外の先進事例の調査を続け、設計競技の運営方法とその効果についての情報収集と、これらをもとに研究成果のとりまとめを行う。また、国内外の質の高い社会基盤デザインを実現するプロジェクト・マネジメント事例の調査及び比較研究、質の高い社会基盤デザインを実現するプロジェクト・マネジメント・モデルの構築、ケース・スタディによる有効性の確認などを行う。テーマC(まちづくりに資する設計競技プロセスの規範体系の構築):平成30年度に実施できなかった研究ワークショップをすべて実施し、引き続き、土木設計競技の最新事例にもとづく今後のあるべき制度設計について検討を行う。また、モデルケースについて、具体的な実証研究の段階へと進む。テーマD(公共土木分野における設計競技の社会的便益の計測評価):社会的便益及び社会的費用の調査を実施する。テーマA(公共調達制度における設計競技方式の取扱の変遷と諸課題):歴史的な経緯を把握しておくことは、本研究において非常に重要となるため、関連文献を収集し、土木設計競技の過去の変遷と諸課題について整理を行った。テーマB(設計競技に関する国内外の先行事例の比較分析):国内外の先行事例やベストプラクティスを分析することで、今後の設計競技のあるべき方向への示唆を得ることが可能となる。そのため、海外事例として、パリの7つの広場整備、ウィーンのマリアフィルファー通り、コペンハーゲンのノアポート駅についての文献調査と現地ヒアリングを実施し、設計競技の運営方法と実現プロセスについての情報収集を行った。国内事例として、秋田県CM業務の契約(CM業務導入理由、契約書、共通仕様書について等)及び鶴田ダム再開発事業・プロセス(鶴田ダム再開発事業の技術的ポイントに係る事業の流れや調達プロセス等)についてヒアリングを実施した。テーマC(まちづくりに資する設計競技プロセスの規範体系の構築):分析のみならず、今後のあるべき規範体系を構築するため、様々な議論を通じて検討を行う必要がある。全国6都市にて研究ワークショップを実施し、土木設計競技の最新事例にもとづく今後のあるべき制度設計について検討を行った。また、自治体と協力し、モデルケースとして歩道橋の設計競技の実施による実証研究を開始した。さらに、土木学会主催のデザインコンペ「22世紀の国づくりーありたい姿と未来へのタスク」において、土木界におけるデザインコンペの展開への知見を得た。テーマD(公共土木分野における設計競技の社会的便益の計測評価):関連文献を収集し、手法等についての整理を行った。研究ワークショップの実施において、当初予定していた全国9都市のうち、平成30年度は6都市のみの実施となり、その点ではやや遅れているが、一方、モデルケースの実施に予定より早く取り掛かることができたため、全体としては、概ね順調に進んでいる。テーマA(公共調達制度における設計競技方式の取扱の変遷と諸課題):文献調査及びヒアリング調査を実施する。テーマB(設計競技に関する国内外の先行事例の比較分析):引き続き、国内外の先進事例の調査を続け、設計競技の運営方法とその効果についての情報収集と、これらをもとに研究成果のとりまとめを行う。また、国内外の質の高い社会基盤デザインを実現するプロジェクト・マネジメント事例の調査及び比較研究、質の高い社会基盤デザインを実現するプロジェクト・マネジメント・モデルの構築、ケース・スタディによる有効性の確認などを行う。テーマC(まちづくりに資する設計競技プロセスの規範体系の構築):平成30年度に実施できなかった研究ワークショップをすべて実施し、引き続き、土木設計競技の最新事例にもとづく今後のあるべき制度設計について検討を行う。また、モデルケースについて、具体的な実証研究の段階へと進む。テーマD(公共土木分野における設計競技の社会的便益の計測評価):社会的便益及び社会的費用の調査を実施する。 | KAKENHI-PROJECT-18H03482 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-18H03482 |
氷晶形成促進機能をもつ天然高分子の構造解析と工業的応用 | 本邦の主要な氷核細菌の一種であるErwinia ananasを試料とした。まず、外膜成分を分画し、アルギン酸膜に固定化したものを氷核として利用し、生鮮食品(例として生卵白およびレモン果汁)の凍結濃縮を行った。タンパク質の変性不溶化やフレ-バ-の損失・劣化を殆ど伴うことなく、しかも過度の冷却エネルギ-を負荷することなく濃縮する本技術は、食品成分のみならず、不安定な生体成分・生体組織を高濃度で得るのにきわめて有効と考えられた。今後、工業規模で実施するための条件を検討していく予定である。同時に、菌体外膜の代わりにその構成成分の1つであるタンパク質そのものを氷核として利用するための基礎研究を行った。先ず、既知の氷核遺伝子がコ-ドするタンパク質の主要モチ-フAGYGSTLTに相当するオリゴヌクレオチドを合成し、プロ-ブとした。E.ananasで作製した遺伝子ライブラリ-からこのプロ-ブでスクリ-ニングを行い、陽性クロ-ンを単離した。これは5159の塩基対から成り、1322のアミノ酸残基から構成されるタンパク質をコ-ドしていた。大腸菌YA28にこれを導入したところ氷核活性を発現したことからE.ananasの氷核遺伝子であると結論し、inaAと命名した。この遺伝子は大腸菌内で氷核タンパク質(130k)をinclusionbodyの形で大量に生産した。生産されたタンパク質は0.01μg/mlの濃度で水をほとんど過冷却させることなく凍結せしめた。今後、このタンパク質をアルギン酸膜に固定化し、溶出を防ぐとともに再利用を可能としつつ、有用物質・有用素材の凍結濃縮に適用すべく、準備を進めている。本邦の主要な氷核細菌の一種であるErwinia ananasを試料とした。まず、外膜成分を分画し、アルギン酸膜に固定化したものを氷核として利用し、生鮮食品(例として生卵白およびレモン果汁)の凍結濃縮を行った。タンパク質の変性不溶化やフレ-バ-の損失・劣化を殆ど伴うことなく、しかも過度の冷却エネルギ-を負荷することなく濃縮する本技術は、食品成分のみならず、不安定な生体成分・生体組織を高濃度で得るのにきわめて有効と考えられた。今後、工業規模で実施するための条件を検討していく予定である。同時に、菌体外膜の代わりにその構成成分の1つであるタンパク質そのものを氷核として利用するための基礎研究を行った。先ず、既知の氷核遺伝子がコ-ドするタンパク質の主要モチ-フAGYGSTLTに相当するオリゴヌクレオチドを合成し、プロ-ブとした。E.ananasで作製した遺伝子ライブラリ-からこのプロ-ブでスクリ-ニングを行い、陽性クロ-ンを単離した。これは5159の塩基対から成り、1322のアミノ酸残基から構成されるタンパク質をコ-ドしていた。大腸菌YA28にこれを導入したところ氷核活性を発現したことからE.ananasの氷核遺伝子であると結論し、inaAと命名した。この遺伝子は大腸菌内で氷核タンパク質(130k)をinclusionbodyの形で大量に生産した。生産されたタンパク質は0.01μg/mlの濃度で水をほとんど過冷却させることなく凍結せしめた。今後、このタンパク質をアルギン酸膜に固定化し、溶出を防ぐとともに再利用を可能としつつ、有用物質・有用素材の凍結濃縮に適用すべく、準備を進めている。E.ananasIN-10の氷核遺伝子inaIN-10の全構造を解明することを目的として、E.ananasIN-10DNAを、Sau3AIで部分消化し、λEMBL3ファージベクターとライゲートし、ライブラリーを作製した。約15000のプラークから、inaZの繰り返しモチーフ(24mer)の合成オリゴヌクレオチドをプローブとしてスクリーニングした結果、約20の陽性クローンが得られた。構造解析したところ、inaIN-10は、全長約4kbpで、その中央部に16アミノ酸残基を単位とする約70の繰り返し配列を含んでいた。これをinaZおよびinaWと比較すると、後者とより高度の相同性が見いだされた。次いで、inaIN-10の全長を含むSmaI断片(約5kbp)をpUC18のHincII部位に挿入した。5'および3'末端からのトランケーションはエキソヌクレアーゼIIIおよびマングビーンヌクレアーゼを用いた単方向欠失法により、E.caliMM294に再導入することで行った。氷核活性は、22°Cで2日間のE.coli培養液を-5°Cまで冷却する過程での過冷却度の程度を測定することによって求めた。その結果、inaIN-10全長を含むプラスミドpSMA27を有するE.coliは、E.ananasIN-10と同程度の強い氷核活性を示した。5'ートランケイティッドミュータントは、用いたベクタ-pUC18 lacZと読み枠が合う場合にN末端約460アミノ酸残基を欠失しても活性を示した。3'ートランケイティッドミュータントでは、終止コドン直後まで欠失させても活性が残存するのに対して、終止コドンより上流の約100bpまで欠失させると活性は全く消失することが判明した。本邦の主要な氷核細菌の一種であるErwinia ananasを試料とした。まず、外膜成分を分画し、アルギン酸膜に固定化したものを氷核として利用し、生鮮食品(例として生卵白およびレモン果汁)の凍結濃縮を行った。 | KAKENHI-PROJECT-63860016 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-63860016 |
氷晶形成促進機能をもつ天然高分子の構造解析と工業的応用 | タンパク質の変性不溶化やフレ-バ-の損失・劣化を殆ど伴うことなく、しかも過度の冷却エネルギ-を負荷することなく濃縮する本技術は、食品成分のみならず、不安定な生体成分・生体組織を高濃度で得るのにきわめて有効と考えられた。今後、工業規模で実施するための条件を検討していく予定である。同時に、菌体外膜の代わりにその構成成分の1つであるタンパク質そのものを氷核として利用するための基礎研究を行った。先ず、既知の氷核遺伝子がコ-ドするタンパク質の主要モチ-フAGYGSTLTに相当するオリゴヌクレオチドを合成し、プロ-ブとした.E.ananasで作製した遺伝子ライブラリ-からこのプロ-ブでスクリ-ニングを行い、陽性クロ-ンを単離した。これは5159の塩基対から成り、1322のアミノ酸残基から構成されるタンパク質をコ-ドしていた。大腸菌YA28にこれを導入したところ氷核活性を発現した事からE.ananasの氷核遺伝子であると結論し、inaAと命名した。この遺伝子は大腸菌内で氷核タンパク質(130K)をinclusionbodyの形で大量に生産した。生産されたタンパク質は0.01μg/mlの濃度で水をほとんど過冷却させることなく凍結せしめた。今後、このタンパク質をアルギン酸膜に固定化し、溶出を防ぐとともに再利用を可能としつつ、有用物質・有用素材の凍結濃縮に適用すべく、準備を進めている。 | KAKENHI-PROJECT-63860016 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-63860016 |
地方創生と働き方改革時代における 旅館業界の人材確保・育成に関する研究 | 初年度(平成30年度)は、文献調査と旅館従業員を対象にヒアリングおよびウェブアンケート調査を実施するとしていた。まず、文献調査を行う中で、既存研究は労働者の仕事に対する満足度やスキルといった労働者レベルの研究や、離職率や労務管理といった組織レベルの研究が多く、これらに対して、本研究において仮説として重視している「地域レベル」での取り組みを検証した研究は少なく、数少ない地域レベルでの視点に立った研究はどれも理論的研究であり、実証性が弱いということがわかった。また、既存研究では「労働者はなぜ辞めるのか」という点に着目する研究が多く、「なぜこの職場に留まるのか」という視点に立つ研究は少ないということがわかった。こうした中で、Terence Mitchellが提唱する「Job Embeddeness」という考え方は、職場が立地する「地域」の要素を考慮しつつ、「労働者がなぜ職場に留まるのか」という視点を有していることから、本研究の理論的フレームワークの一つとして有効ではないかと考えている。「Job Embeddedness」を、ホテル従業員を対象として検証している既存研究もあるが、より地域密着型の宿泊施設である旅館においては、「地域」の要素がより大きな影響力を持つ可能性があり、本理論の発展に寄与する可能性が高いと考えている。旅館従業員を対象とする調査については、調査票設計のためのヒアリングを実施し、旅館業界に就職した経緯や就業を継続する意志等について把握を行った。なお、当初予定していたウェブアンケート調査は、希望するサンプルの確保が困難との結論に至り、別途、有効な調査手法を再検討することになった。当初予定していた調査手法(ウェブアンケート)が採用不可ということが判明し、その代替調査手法の検討に時間を要してしまったため。初年度(平成30年度)に予定していた調査(旅館従業員へのアンケート調査)については、調査手法を確定して速やかに実施するとともに、同時並行で2年目(今年度)の調査(旅館経営者へのヒアリング、消費者(宿泊客)へのウェブアンケート調査)の設計を行う。初年度(平成30年度)は、文献調査と旅館従業員を対象にヒアリングおよびウェブアンケート調査を実施するとしていた。まず、文献調査を行う中で、既存研究は労働者の仕事に対する満足度やスキルといった労働者レベルの研究や、離職率や労務管理といった組織レベルの研究が多く、これらに対して、本研究において仮説として重視している「地域レベル」での取り組みを検証した研究は少なく、数少ない地域レベルでの視点に立った研究はどれも理論的研究であり、実証性が弱いということがわかった。また、既存研究では「労働者はなぜ辞めるのか」という点に着目する研究が多く、「なぜこの職場に留まるのか」という視点に立つ研究は少ないということがわかった。こうした中で、Terence Mitchellが提唱する「Job Embeddeness」という考え方は、職場が立地する「地域」の要素を考慮しつつ、「労働者がなぜ職場に留まるのか」という視点を有していることから、本研究の理論的フレームワークの一つとして有効ではないかと考えている。「Job Embeddedness」を、ホテル従業員を対象として検証している既存研究もあるが、より地域密着型の宿泊施設である旅館においては、「地域」の要素がより大きな影響力を持つ可能性があり、本理論の発展に寄与する可能性が高いと考えている。旅館従業員を対象とする調査については、調査票設計のためのヒアリングを実施し、旅館業界に就職した経緯や就業を継続する意志等について把握を行った。なお、当初予定していたウェブアンケート調査は、希望するサンプルの確保が困難との結論に至り、別途、有効な調査手法を再検討することになった。当初予定していた調査手法(ウェブアンケート)が採用不可ということが判明し、その代替調査手法の検討に時間を要してしまったため。初年度(平成30年度)に予定していた調査(旅館従業員へのアンケート調査)については、調査手法を確定して速やかに実施するとともに、同時並行で2年目(今年度)の調査(旅館経営者へのヒアリング、消費者(宿泊客)へのウェブアンケート調査)の設計を行う。次年度使用額が生じた理由としては、当初予定していた調査手法(ウェブアンケート)を採用できなかったことと代替調査手法の選定が遅れたことによって、研究全体が遅延したことが大きな要因である。当該経費は今年度、初年度に予定していた調査を実施するために充当予定である。 | KAKENHI-PROJECT-18K11863 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-18K11863 |
能動的なリハーサル制御過程を中心としたワーキングメモリ機能の比較心理学的研究 | 本研究は,ワーキングメモリ過程の比較心理学的研究を行った。ラットでは放射状迷路課題において指示忘却現象を示すことに成功し,ワーキングメモリを能動的に制御可能であることを示した。また,継時提示される物体刺激についての計数が可能であり,特に特異刺激を除外できることから単なる短期保持を超えたワーキングメモリの操作が可能であることを示した。リクガメとキンギョについては放射状迷路の学習を示した。アカハライモリについては,古典的条件づけの成立とT字迷路および十字迷路の学習可能性を示した。これらの結果は,将来的な爬虫類,両生類,および魚類におけるワーキングメモリ研究の基礎を提供するものである。本研究は,ラット,リクガメ,アカハライモリ,キンギョにおける学習課題遂行について検討することにより,ワーキングメモリ過程と能動的リハーサルの制御機能の系統発生について明らかにすることを目的とする。ラットの指示忘却実験では,昨年度に示した知見について,記銘(R)手がかりと忘却(F)手がかりの種類を変更した追試を行った。昨年度は,各アームの中央と末端に餌皿を設置し,中央皿でのwin-shift課題を与え,末端皿で与える2種類の餌をR/F手がかりとして訓練した後に,R/F指示とは矛盾するプローブテストで成績が低下することを見いだした。本年度はR/F手がかりを末端皿の1種類の餌に被せる2種類のカバー物体とした場面で検討した。しかしながら,指示忘却効果が得られなかったことから,指示手がかりの明瞭性等の点からの再検討の必要性が示唆された。リクガメでは放射状迷路遂行における嗅覚・視覚手がかりの利用可能性について検討した結果,ランダムに配置された餌の場所を偶然水準以上の確率で選択できることが示された。この結果は,リクガメが餌刺激について嗅覚等手がかりを利用可能であることを示すものであり,迷路学習装置についてのさらなる改良の必要性が示された。キンギョでは,放射状迷路のアームの強制選択法による系列位置効果について, win-shift課題とwin-stay課題において検討した。その結果,win-stay課題よりもwin-shift課題の習得が速やかであるというラット型の結果が確認された。また,win-shift課題では新近性効果が生じることを示した。アカハライモリについては,昨年度に示した古典的条件づけの手法を用いて,条件刺激の先行提示による潜在制止効果について検討した。その結果,潜在制止現象は認められず,ラットよりもキンギョに近い能動的注意制御の不在を示唆する結果を得た。本研究は,ラット,リクガメ,アカハライモリ,キンギョにおける放射状迷路等の諸課題の学習について検討することにより,ワーキングメモリ過程の存在と能動的リハーサルの制御機能の系統発生について明らかにすることを目的とする。平成24年度の成果は以下の通りである。ラットの指示忘却実験では,放射状迷路を用いた課題を考案した。各アームの中央と末端に餌皿を設置し,中央餌皿でのwin-shift課題を与えたが,末端の餌皿で2種類の餌を提示して後のテストの有無の手がかりとした。習得後に末端餌皿での予告とは矛盾するテストを行うプローブ試行を挿入したところ,通常のテストよりも成績が低下することを示した。この結果は,認知資源配分型の指示忘却現象をラットで初めて示した成果である。リクガメにおける放射状迷路学習では,2個体を同時併行して実験可能な装置・記録機器を設置し,2個体における自由選択課題の習得を示した。また,4アームの強制選択後の自由選択行動を検討することで,固定的な反応パタンではなく,遂行が記憶によるものであることを示した。系列位置効果の分析では,2個体で新近性効果,1個体で初頭性効果が認められた。キンギョにおける放射状迷路の基本成績向上のための検討をアーム内への障害物の設置およびアーム幅の縮小による反応負荷の操作を中心に行った。その結果,チャンスレベルを超える遂行を確認することに成功したが,目的とした高水準の遂行には至らなかった。アカハライモリでは,乾燥した迷路から水槽への逃避行動を利用することにより明暗弁別の成立を確認した。また,物体刺激を条件刺激,餌を無条件刺激とした古典的条件づけについて検討した結果,餌刺激提示場所への接近であるゴールトラッキング反応ではなく,物体刺激への接近によるサイントラッキング反応が増加することを確認し,古典的条件づけの成立を示した。本研究は,ラット,リクガメ,アカハライモリ,キンギョにおける学習課題遂行について検討することにより,ワーキングメモリ過程における能動的なリハーサル制御機能の系統発生について明らかにすることを目的とした。ラットでは,放射状迷路を用いた認知資源配分型の課題を考案することにより,忘却手がかりに対する情動反応や反応型の不一致などのアーティファクトを排除した上で,指示忘却現象を複数の実験で反復して確認することに成功した。これにより,ラットがリハーサル過程を能動的に制御可能であることを明確に示す証拠を得ることができた。リクガメについては,放射状迷路にける自由選択課題だけでなく,強制選択ー自由選択課題を学習可能であることをやはり複数個体で示し,リクガメが少なくともワーキングメモリ過程を有することを強く示唆する知見を得た。キンギョでは,放射状迷路のアームの強制選択法による系列位置効果について, win-shift課題とwin-stay課題において検討した。その結果,win-stay課題よりもwin-shift課題の習得が速やかであるというラット型の結果が確認された。また,win-shift課題では新近性効果が生じることを示した。 | KAKENHI-PROJECT-24530913 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-24530913 |
能動的なリハーサル制御過程を中心としたワーキングメモリ機能の比較心理学的研究 | 初頭性効果はワーキングメモリ過程におけるリハーサル機能と関連することから,さらに継続した訓練後にもキンギョでは初頭性効果が認められないのか検討することで,リハーサル過程の存在に関する知見が得られると期待される。アカハライモリについては,食餌性の古典的条件づけにおける条件刺激の先行提示による潜在制止効果について検討したところ,潜在制止現象は認められず,ラットよりもキンギョに近い能動的注意制御の不在を示唆する結果を得た。本研究は,ワーキングメモリ過程の比較心理学的研究を行った。ラットでは放射状迷路課題において指示忘却現象を示すことに成功し,ワーキングメモリを能動的に制御可能であることを示した。また,継時提示される物体刺激についての計数が可能であり,特に特異刺激を除外できることから単なる短期保持を超えたワーキングメモリの操作が可能であることを示した。リクガメとキンギョについては放射状迷路の学習を示した。アカハライモリについては,古典的条件づけの成立とT字迷路および十字迷路の学習可能性を示した。これらの結果は,将来的な爬虫類,両生類,および魚類におけるワーキングメモリ研究の基礎を提供するものである。学習心理学・比較心理学ラットの指示忘却では情動反応統制実験だけでなく,認知資源配分型の指示忘却現象を確認し,計画を上回るペースで研究が進行している。リクガメについては,空間手がかり以外の手がかりの利用可能性が示されたことから,装置の改良が必要となり,やや計画が遅れることになったが,より厳密な実験事態の構築のためには必要なステップであると考えている。アカハライモリについては,古典的条件づけの成立を明確に示すことに成功したため,T字迷路学習の放射状迷路への展開という計画を修正し,古典的条件づけにおける情報の能動処理に関わる現象について検討しており,全体としての進度は順調であると考えられる。キンギョについては,昨年度までに,放射状迷路の遂行成績を向上させることが困難であることが示されたことから,系列位置効果による検討に切り替え,一定の成果を得ている。以上を総合すると,種毎に進度に差はあるものの,研究全体としては概ね計画通りの進行状況であると判断できる。ラットの指示忘却では,情動反応統制実験だけでなく,認知資源配分型の指示忘却現象を確認し,計画を上回る成果が得られた。リクガメ,アカハライモリについてはほぼ計画通りの成果が得られた。キンギョについては,放射状迷路学習を示したものの,基本的な遂行成績が期待した水準に到達しなかったことから,計画よりもやや遅れた状況である。以上を総合すると,研究全体としては概ね計画通りの進行状況であると判断できる。ラットの指示忘却では,これまでに成功している餌刺激による指示の実験を展開し,各種の一般性,特にラットの能動的な情報処理を引き出す可能性が示唆されているwin-shift課題における再現を検討する。 | KAKENHI-PROJECT-24530913 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-24530913 |
超疎水性有機化合物とイガイ類の種差を利用した生物濃縮プロセスの解明 | 本課題では直鎖アルキルベンゼン(LABs)の持つ超疎水性とイガイの生理学的種差を組み合わせ、溶存態曝露源としてLABs吸着ポリマーを用いたイガイへのLABs曝露実験を実施する。それにより世界規模モニタリングの高度化および生物濃縮における溶存相・懸濁相の経路別の寄与の定量化を目的とした。これらの目的が達成できると、イガイの種差を考慮した世界規模の比較や温暖化や他の外来種の加入により既存の指標生物の生息域が変遷した場合など時間的な比較が可能となる。さらに、異なる生理的性質を持つイガイと超疎水性化合物を組み合わせることにより、周辺環境と餌からの曝露経路の分別が可能となる。本課題では直鎖アルキルベンゼン(LABs)の持つ超疎水性とイガイの生理学的種差を組み合わせ、溶存態曝露源としてLABs吸着ポリマーを用いたイガイへのLABs曝露実験を実施する。それにより世界規模モニタリングの高度化および生物濃縮における溶存相・懸濁相の経路別の寄与の定量化を目的とした。これらの目的が達成できると、イガイの種差を考慮した世界規模の比較や温暖化や他の外来種の加入により既存の指標生物の生息域が変遷した場合など時間的な比較が可能となる。さらに、異なる生理的性質を持つイガイと超疎水性化合物を組み合わせることにより、周辺環境と餌からの曝露経路の分別が可能となる。 | KAKENHI-PROJECT-19K12367 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-19K12367 |
日本古代の涌泉・流れ遺構の研究 | 近年、奈良県を中心とする地域において発見された48世紀代の湧水施設とそこから流れ出る水を導いた水路の遺構について、立地、構造、意匠などを抽出し、その特色と起源を分析した。対象とした遺跡は以下の7箇所であり、(1)城之越遺跡(三重県上野市・4世紀)(2)阪戸遺跡(奈良市・5世紀)(3)南紀寺遺跡(奈良市・5世紀)(4)上之宮遺跡(奈良県桜井市・7世紀)(5)古宮遺跡(奈良県明日香村・7世紀)(6)島宮遺跡(奈良県明日香村・7世紀)(7)白毫寺遺跡(奈良市・8世紀)、収集した資料は発掘調査報告書、遺構実測図、写真、遺物関係資料、周辺地形図などである。これらの遺構を7世紀以降の日本の庭園遺構と比較し、以下の見通しを得た。平成8年度は調査対象とした以下の7ヶ所の湧水・流れの遺構について現地調査と資料収集、整理作業をおこなった。(1)城之越遺跡三重県上野市4世紀(2)阪戸遺跡奈良県奈良市5世紀(3)南紀寺遺跡奈良県奈良市5世紀(4)上之宮遺跡奈良県桜井市7世紀(5)小墾田宮遺跡奈良県明日香村7世紀(6)島宮遺跡奈良県明日香村7世紀(7)白亳寺遺跡奈良県奈良市8世紀収集した資料は発掘調査報告書、遺構実測図(平面図・断面図・土層図)、写真、遺物関係資料、周辺地形図などである。整理作業は上記実測図を同一スケールに統一し、湧水・流れの縦・横断面図作成、図面トレースなどである。次年度はこれらの資料と以前作成した7、8世紀の園池関係資料をあわせて検討し、古代の湧水・流れ遺構の性格分析、位置づけを行なう予定である。さらに湧水・流れ遺構と7、8世紀の園池との関連についての結論を導きたい。近年、奈良県を中心とする地域において発見された48世紀代の湧水施設とそこから流れ出る水を導いた水路の遺構について、立地、構造、意匠などを抽出し、その特色と起源を分析した。対象とした遺跡は以下の7箇所であり、(1)城之越遺跡(三重県上野市・4世紀)(2)阪戸遺跡(奈良市・5世紀)(3)南紀寺遺跡(奈良市・5世紀)(4)上之宮遺跡(奈良県桜井市・7世紀)(5)古宮遺跡(奈良県明日香村・7世紀)(6)島宮遺跡(奈良県明日香村・7世紀)(7)白毫寺遺跡(奈良市・8世紀)、収集した資料は発掘調査報告書、遺構実測図、写真、遺物関係資料、周辺地形図などである。これらの遺構を7世紀以降の日本の庭園遺構と比較し、以下の見通しを得た。 | KAKENHI-PROJECT-08660045 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-08660045 |
骨格筋におけるプロテアソームの筋量調節機構の解明 | 我が国では超高齢社会をむかえ、筋萎縮に伴う運動機能低下が多くの要介護者を生み、社会問題化が加速することは必至である。筋量調節の分子メカニズムが解明されれば、筋萎縮の予防や改善につながる可能性がある。これまでに、主のタンパク分解系であるプロテアソーム機構は、筋量の維持に必須であることを明らかにしてきた。本研究計画である骨格筋特異的プロテアソーム不全マウス(KOマウス)および筋幹細胞特異的プロテアソーム不全マウス(scKOマウス)による筋再生実験では、シビアな筋再生不良を呈した。scKOマウスにおいて筋幹細胞をフローサイトメトリーにより定量したところ、scKOマウスはコントロールマウスと比較して筋幹細胞プールが減少していること分かった。scKOマウスからサテライト細胞を単離し、細胞増殖能および細胞死を評価したところ、scKOマウス由来のサテライト細胞は、コントロールに比べて有意に増殖能が低下し、細胞死を亢進していた。これらのメカニズムを調べるためにマイクアレイ解析を行ったところ、p53シグナルが亢進していることを突き止めた。そこで、p53シグナルがメインに働いているかどうかを調べるために遺伝子レベルでp53シグナルを抑制したところ、scKOマウス由来の筋幹細胞で増殖不全がレスキューされた。これにより、scKOマウスでの細胞増殖抑制はp53経路の活性化により引き起こされることが明らかになった。これまでに、タンパク質分解系の不全やp53は老化との関連も指摘されており、今回の知見は筋幹細胞とタンパク質分解系、さらには老化をつなぐ研究の端緒になり、更なる研究が必要である。我が国は超高齢社会をむかえ、サルコペニアが社会問題化している。そのため骨格筋量を調節する分子機構の解明は喫緊の課題である。これまでに、筋量維持にプロテアソーム機構が重要であることを報告してきた。本研究では、骨格筋特異的なプロテアソーム不全マウス(KO)を用いて、代謝物質を網羅的に明らかにする。さらに、骨格筋を構築する骨格筋幹細胞におけるプロテアソーム不全マウスを作出し、骨格筋幹細胞恒常性維持におけるプロテアソームの役割についても検討する。まず本年度では、骨格筋特異的プロテアソーム不全マウスの代謝異常を明らかにするために骨格筋を対象にメタボローム解析を行った。検出できた112個の代謝物のうち64個がコントロールと比べてKOで有意な差を認めた。今後は、既に得ているマイクロアレイのデータを含め、ゲノムから代謝物までの網羅データの詳細な検討を行う。さらに既存のノックアウトマウスの維持に加えて、より細部のメカニズムを明らかにするために新たなノックアウトマウスモデルの構築を進めていく。今年度計画していたメタボローム解析を行うことができた。平成28年度は研究機関を異動するため早めに研究環境をセットアップし、研究計画をスタートしたい。我が国では超高齢社会をむかえ、筋萎縮に伴う運動機能低下が多くの要介護者を生み、社会問題化が加速することは必至である。筋量調節の分子メカニズムが解明されれば、筋萎縮の予防や改善につながる可能性がある。これまでに、主の蛋白分解系であるプロテアソーム機構は、筋量の維持に必須であることを明らかにしてきた。骨格筋では日常的に機械的な損傷が起き、再生するという過程が行われており、これらの筋損傷・再生により筋量の維持や増進につながっていると考えられる。今年度は、骨格筋特異的プロテアソーム不全マウスによる筋再生実験を行った。筋再生中には壊れた筋タンパク質などが新しい筋タンパク質に置き換わるため、タンパク分解系の不全マウスでは、筋再生不良を起こすと仮説をたてた。一般的に筋再生実験で用いられているカルディオトキシン(CTX: cardiotoxin)を前脛骨筋に筋注することで筋再生実験モデルとした。結果は、コントロールマウスと比較して骨格筋特異的プロテアソーム不全マウスでは、筋再生不良を呈した。筋再生中には多くのユビキチン化タンパク質が蓄積しており、骨格筋特異的プロテアソーム不全マウスではこれらが除去されずに骨格筋内に蓄積していた。筋再生後の筋横断面の免疫染色では、筋の繊維化が進んでいることも確認した。また、intactな骨格筋でのマイクロアレイのデータ比較では、骨格筋特異的プロテアソーム不全マウスにおいてコラーゲンを主とする結合組織の遺伝子発現や細胞周期関連の遺伝子発現が有意に変動していた。これらを踏まえ、さらに詳細に検討するために、筋再生に大きく寄与する骨格筋幹細胞の解析を進める。機関異動に伴い遺伝子改変マウスの搬入などで、研究環境のセットアップに多少時間がかかったが、今年度計画していた再生実験などを行うことができた。我が国では超高齢社会をむかえ、筋萎縮に伴う運動機能低下が多くの要介護者を生み、社会問題化が加速することは必至である。筋量調節の分子メカニズムが解明されれば、筋萎縮の予防や改善につながる可能性がある。これまでに、主の蛋白分解系であるプロテアソーム機構は、筋量の維持に必須であることを明らかにしてきた。本研究計画である骨格筋特異的プロテアソーム不全マウス(KOマウス)による筋再生実験では、シビアな筋再生不良を呈した。ワイルドタイプの再生筋での検討では、筋再生初期にはプロテアソーム系がとくに活性化されていることを確認した。KOマウスの再生筋では、新生された筋線維(eMyHC)はコントロールと比較して有意に少なく、さらに再生後期ではコラーゲンによる筋の線維化も確認した。 | KAKENHI-PROJECT-15K16486 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-15K16486 |
骨格筋におけるプロテアソームの筋量調節機構の解明 | KOマウスでは再生不良を呈したため、骨格筋再生を担うと考えられている筋幹細胞の解析を進めた。KOマウスからFACS(Fluorescence Activated Cell Sorting)を用いて、筋幹細胞を単離し、細胞増殖能を評価するためにEdUを用いた。KOマウス由来の筋幹細胞は、コントロールに比べて有意に増殖能が低下していた。これにより、骨格筋再生不良の一要因は、幹細胞の機能不全によるものであると考えられたが、これについては更なる解析が必要である。メカニズムの解明のために、プロテアソーム不全により進行しているシグナル系をいくつか同定できた。現在それらのノックアウトマウスやノックダウンの系で進行をとめることができるかどうかを検証している。我が国では超高齢社会をむかえ、筋萎縮に伴う運動機能低下が多くの要介護者を生み、社会問題化が加速することは必至である。筋量調節の分子メカニズムが解明されれば、筋萎縮の予防や改善につながる可能性がある。これまでに、主のタンパク分解系であるプロテアソーム機構は、筋量の維持に必須であることを明らかにしてきた。本研究計画である骨格筋特異的プロテアソーム不全マウス(KOマウス)および筋幹細胞特異的プロテアソーム不全マウス(scKOマウス)による筋再生実験では、シビアな筋再生不良を呈した。scKOマウスにおいて筋幹細胞をフローサイトメトリーにより定量したところ、scKOマウスはコントロールマウスと比較して筋幹細胞プールが減少していること分かった。scKOマウスからサテライト細胞を単離し、細胞増殖能および細胞死を評価したところ、scKOマウス由来のサテライト細胞は、コントロールに比べて有意に増殖能が低下し、細胞死を亢進していた。これらのメカニズムを調べるためにマイクアレイ解析を行ったところ、p53シグナルが亢進していることを突き止めた。そこで、p53シグナルがメインに働いているかどうかを調べるために遺伝子レベルでp53シグナルを抑制したところ、scKOマウス由来の筋幹細胞で増殖不全がレスキューされた。これにより、scKOマウスでの細胞増殖抑制はp53経路の活性化により引き起こされることが明らかになった。これまでに、タンパク質分解系の不全やp53は老化との関連も指摘されており、今回の知見は筋幹細胞とタンパク質分解系、さらには老化をつなぐ研究の端緒になり、更なる研究が必要である。今年度にはKOマウスの代謝異常を明らかにすることができた。このデータと既に得ているマイクロアレイのデータも含めて、より詳細なメカニズム解明を進める。また、骨格筋を構築する骨格筋幹細胞におけるプロテアソーム不全マウスを作出し、骨格筋幹細胞恒常性維持におけるプロテアソームの役割についても並行して検討する。骨格筋におけるタンパク分解系の不全は筋恒常性を破綻させることを、トランスクリプトーム解析、メタボローム解析や筋再生実験などで明らかにしてきた。これまでの成果を含めて、筋再生に関わる筋幹細胞レベルでの更なる解析を行う予定である。プロテアソーム不全マウスで進行しているシグナル系を明らかにし、その系のノックアウトマウスを新たに導入した。 | KAKENHI-PROJECT-15K16486 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-15K16486 |
新型分割イントロンの切り出し因子同定に基づく真核生物mRNA成熟機構進化の解明 | 腸管寄生虫Giardia intestinalisにおいて我々が発見した新型分割イントロンに注目し、Giardiaゲノムの中での分割・通常イントロンの分布を明らかにするとともに、分割イントロンのスプライシングメカニズムの解明とスプライセオソーム構成因子の解明を目的として研究を進めた。研究開始当初に明らかであったイントロンに加え、3つの通常イントロンと1つの分割イントロンをゲノム上に発見し、それらの存在を実験的に示した。一方、Giardiaスプライセオソームを精製するために、スプライセオソームを構成する複数のタンパク質にタグをつけてGiardiaで発現させる形質転換系の確立に取り組んだ。前駆体mRNA(pre-mRNA)中のイントロンとそれを切り出すスプライセオソームは、真核生物ゲノムの遺伝情報の発現を司る「要」の1つであり、真核生物成立とその後の細胞進化に大きな影響を与えた可能性が高い。しかし、これまでスプライセオソームは限られた生物種だけで研究されてきたため、全体像の理解は進んでいない。本研究では原始的真核生物の一候補であるGiardiaのゲノムに発見されたtransスプライシングにより切り出される新型『分割イントロン』に注目し、Giardiaゲノム中での分割イントロンの分布、スプライセオソーム構成因子の全容解明を行うことを目的としている。さらに、スプライセオソームの構成因子レパートリーをGiardiaと他の真核生物間で比較することで、真核生物スプライセオソーム構成因子と機能に関する共通・普遍性と、例外・特異性の解明を目指している。H23年度はまずGiardiaの培養条件とgDNA、mRNAを効率よく抽出するための条件を検討した。次に配列相同性検索と5' RACE(rapid amplification of cDNA ends)解析の結果を合わせることで、ゲノムデータ中の分割イントロンを探索した結果、新たに2つの分割イントロンを発見した。腸管寄生虫Giardia intestinalisにおいて我々が発見した新型分割イントロンに注目し、Giardiaゲノムの中での分割・通常イントロンの分布を明らかにするとともに、分割イントロンのスプライシングメカニズムの解明とスプライセオソーム構成因子の解明を目的として研究を進めた。研究開始当初に明らかであったイントロンに加え、3つの通常イントロンと1つの分割イントロンをゲノム上に発見し、それらの存在を実験的に示した。一方、Giardiaスプライセオソームを精製するために、スプライセオソームを構成する複数のタンパク質にタグをつけてGiardiaで発現させる形質転換系の確立に取り組んだ。Giardiaゲノムデータに対しmRNA配列をマッピングすることで分割および通常イントロンを網羅的に検出する作業を進めており、新たに2つの通常イントロンを発見した。2つは別々のhypothetical protein遺伝子上に存在していた。この片方のイントロンに関しては、近縁のGiardia株の1つで最近失われたことが明らかとなった。これら新規イントロンのデータは現在投稿中である。Giardiaに外来タンパク質を発現させるためのプラスミドをウプサラ大学のSvard教授から頂戴し、大腸菌により大量精製した。これを用いてタグ付きのスプライソソーム構成タンパク質をGiardia細胞内で発現させ、それと相互作用するタンパク質・RNAを網羅的に精製するための実験を計画した。タグを付す3つの候補タンパク質についてコンストラクトを作製し、現在Giardiaを形質転換するための条件検討を行っている。並行してGiardiaにGFP融合タンパク質を発現させるための実験についても条件検討を進めている。立体構造を考慮に入れた相同性解析のレベルでGiardiaとヒトに共通に存在すると考えられるスプライソソーム関連タンパク質約30種について、真核生物全体を網羅する代表的な25生物種のデータを収集し各アミノ酸配列をアライメントした。アライメントに曖昧さを伴わない座位を選択し各タンパク質について分子系統解析を行なうためのデータセットを作製した。真核生物スプライセオソーム進化の全体像を明らかにするために、原始的真核生物の一候補であるGiardiaゲノムに発見されたtransスプライシングにより切り出される新型『分割イントロン』に注目して研究を行っている。Giardiaゲノム中での分割イントロンの分布、スプライセオソーム構成因子の全容解明を行い、スプライセオソームの構成因子レパートリーをGiardiaと他の真核生物間で比較することで、真核生物スプライセオソーム構成因子と機能に関する共通・普遍性と、例外・特異性を解明することを目的としている。H24年度は、配列相同性検索と5' RACE(rapid amplification of cDNA ends)解析の結果を合わせることで、ゲノムデータ中の分割イントロンを探索した。また、既存の網羅的転写産物(EST)データを行い、ESTデータをゲノムデータへマップすることにより、通常・分割イントロンを探索した。このESTデータの中には発現していない遺伝子が存在する可能性もあるため、シスト化を誘導したり熱ショックを与えたりした際のESTをも用いて比較解析を行う必要がある。その準備段階として、複数の遺伝子を用い通常の栄養体増殖の状態との比較でそれらの発現が大きく異なるような条件の検討を行った。Giardiaゲノムデータに対してmRNA配列をマッピングすることで分割および通常イントロンを網羅的に検出する作業を進めてきた。前年度新たに発見された2つのhypothetical protein遺伝子上の通常イントロンの解析を終え、成果が論文公表された。分割イントロンに関しても、RNA-dependent helicase p68遺伝子上に存在する可能性が示唆され、実験的解析によりその存在を確認した。 | KAKENHI-PROJECT-23247038 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-23247038 |
新型分割イントロンの切り出し因子同定に基づく真核生物mRNA成熟機構進化の解明 | Giardiaスプライセオソームの精製を目指す実験に関しては、スプライセオソーム構成因子である3種類のタンパク質SMD1, SMD3, LSM1にFLAGタグを付して大量発現させるためのプラスミドコンストラクトを作製し、Giardiaを形質転換するための実験を進めてきた。現在、GFPタンパク質をGiardia細胞内で発現させることに成功しているため、今後、FLAGタグ付きタンパク質の大量発現と精製のステップに取り組む予定である。一方、さまざまな真核生物のスプライセオソーム構成タンパク質のデータを整理する作業を進め、Giardiaを含めて全真核生物に普遍的に存在すると考えられるタンパク質に関するアライメント解析と分子系統解析を行った。生物種・あるいは生物グループに特異的に存在するタンパク質に関しても同様の解析を進めている。これらの解析から、スプライソソームは真核生物全体で保存されているタンパク質に加え、系統特異的なさまざまなタンパク質から構成されており、超分子システムとして非常に多様な構造となっているとの可能性が示唆された。26年度が最終年度であるため、記入しない。分子進化学26年度が最終年度であるため、記入しない。新たに分割イントロンを発見することができ、既存の網羅的発現遺伝子(EST)のテータとゲノム配列データの比較により通常・分割イントロンを探索する方法も確立することができたため、順調に進展していると考えられる。イントロン検索のためのバイオインフォマティクス解析はほぼ順調に進んでおり、検出可能なものの大部分を同定できていると考えられる。スプライソソーム精製のための予備的な実験を完了することができた。スプライソソーム構成タンパク質のうち、真核生物で保存的と考えられるものに関するデータの収集とアライメントが完了し、比較解析の準備が整った。既存のESTデータとゲノムデータとの比較により通常および分割イントロンの探索を進めているが、このESTデータの中には発現していない遺伝子が存在する可能性もあるため、シスト化を誘導したり熱ショックを与えたりした際のESTをも用いて比較解析を行う必要がある。その準備段階として、複数の遺伝子を用い通常の栄養体増殖の状態との比較でそれらの発現が大きく異なるような条件の検討を行っているが、適切と考えられる条件を決定できていない。条件検討にまだしばらくの時間を必要とするため、その間インシリコ・RACE解析からの分割イントロンの探索を効率的に進めていく予定である。来年度もESTのテータとゲノム配列データの比較により通常・分割イントロンを探索を行う予定であるが、既存のESTデータでは発現していない遺伝子が存在する可能性がある。そこで、シスト化を誘導したり熱ショックを与えたりすることにより発現プロファイルの異なるESTデータを得て解析を進める必要があると考えている。 | KAKENHI-PROJECT-23247038 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-23247038 |
ファンデルワ-ルス・エピタキシ-法による人工準結晶の作成とその物性の解明 | 膜厚をフィルボナッチ数列に従って変化させ、一次元の準結晶構造を作成するためには、原子層レベルで平担で充分な強度を持った基板物質の深索が不可欠である。本年度は一次元準結晶構造の構成物質と考えている層状構造遷移金属ダイカルコゲナイド(MX_2)のエピタキシャル成長に適切な基板の探索に重点を置いた。白雲母(muscovite)は天然に産出する鉱物で、表面の平担さおよび物理的な安定性は充分である。また層状構造であるため劈開面上にはダングリングボンドは現れず、同様な層状構造のMX_2のエピタキシャル基板として適していると考えられる。雲母劈開面を基板としてその上にMX_2の成長をおこなうと、成長層の厚さが56層までは層状成長が確認され、RHEEDで観測した成長膜の結晶性も良好であった。しかし、膜厚がそれ以上の領域では、面内に30度回転した領域が現れ結晶性が低下することが明らかになった。次に、硫化物処理し表面を不活性化したGaAs基板上への成長を試みた。その結果、膜厚が10nm程度まで結晶性の良いMX_2膜がエピタキシャル成長することが確認できた。本年度の経費で購入した高圧電源および直流安定化電源を用い、複数の電子衝撃型蒸発源から高融点金属NbおよびMoを蒸発させ、異種のMX_2から成る積層構造(NbSe2/MoSe2/NbSe2)を硫化物処理したGaAs基板上に作成することにも成功し、MX_2を構成物質とした1次元準結晶構造の作成への道が拓かれた。一方、3次元結晶構造ではあるが、表面が不活性なアルカリハライドを構成物質とする1次元準結晶構造の作成を開始し、エピタキシャル条件などの基礎的なデ-タの集積をおこなった。膜厚をフィルボナッチ数列に従って変化させ、一次元の準結晶構造を作成するためには、原子層レベルで平担で充分な強度を持った基板物質の深索が不可欠である。本年度は一次元準結晶構造の構成物質と考えている層状構造遷移金属ダイカルコゲナイド(MX_2)のエピタキシャル成長に適切な基板の探索に重点を置いた。白雲母(muscovite)は天然に産出する鉱物で、表面の平担さおよび物理的な安定性は充分である。また層状構造であるため劈開面上にはダングリングボンドは現れず、同様な層状構造のMX_2のエピタキシャル基板として適していると考えられる。雲母劈開面を基板としてその上にMX_2の成長をおこなうと、成長層の厚さが56層までは層状成長が確認され、RHEEDで観測した成長膜の結晶性も良好であった。しかし、膜厚がそれ以上の領域では、面内に30度回転した領域が現れ結晶性が低下することが明らかになった。次に、硫化物処理し表面を不活性化したGaAs基板上への成長を試みた。その結果、膜厚が10nm程度まで結晶性の良いMX_2膜がエピタキシャル成長することが確認できた。本年度の経費で購入した高圧電源および直流安定化電源を用い、複数の電子衝撃型蒸発源から高融点金属NbおよびMoを蒸発させ、異種のMX_2から成る積層構造(NbSe2/MoSe2/NbSe2)を硫化物処理したGaAs基板上に作成することにも成功し、MX_2を構成物質とした1次元準結晶構造の作成への道が拓かれた。一方、3次元結晶構造ではあるが、表面が不活性なアルカリハライドを構成物質とする1次元準結晶構造の作成を開始し、エピタキシャル条件などの基礎的なデ-タの集積をおこなった。 | KAKENHI-PROJECT-01630503 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-01630503 |
アレルギー性鼻炎の発症・増悪における骨髄環境の関連性の解明 | 日本人の約1割は罹患していると言われているアレルギー性鼻炎。この研究では、アレルギー性鼻炎の発症に、骨髄環境が関与しているかどうかを検討したものである。通常だと、アレルギー性鼻炎に関与する細胞は、自己から排除されそうである。しかし実際はそのような機序は生じていない。そこで、骨髄が何らかの関与をする事で、発症してしまうのではないかと考えた。3年間にわたり、貴重な研究費を頂き、色んな角度から研究を行ってきた。本研究を通じて、アレルギー性鼻炎の発症に、骨髄環境は関与していないか、関与していてもその効果はわずかであるという結果が示唆された。昨年度同様、本年度も卵白アルブミン(OVA)と水酸化アルミニウム(ALM)を混合させたもので、実験用のアレルギー性鼻炎モデルマウスを作製し、実験を行ってきた。昨年度日本クレアより購入した遺伝子改変マウスであるOVA-IgEマウスを用いて、骨髄中ならびに末梢血中の細胞数の解析を行った。遺伝子改変マウスは、費用面から2匹のみの解析としたが、正常BALB/cマウスを感作させた場合の細胞比率と比較して明らかな有意差は認められなかった。このことから、OVAとALMによる感作方法で、本研究を行うためのモデルマウスは問題なく作製出来ているものと考えられた。しかし、本研究を行う上で、骨髄からは解析のための細胞数を十分に得ることが可能であったが、末梢血では、有核細胞数全体が相対的に少なく、有意差検定を行うのに十分な量を得るのが困難であり、この点を改善する事が今後の課題と考えられた。そして、正常マウスと感作マウスでの、末梢血並びに骨髄中の細胞数の解析を行った所、骨髄中の細胞比率に関しては、好酸球・好塩基球ともに感度以下という結果であり、正常状態並びにアレルギー性鼻炎の感作段階においては、アレルギー感作の成立に骨髄環境の関与はない、あるいは関与は少ないのではないかと考えられた。次に、骨髄移植にあたっての、適正細胞数の検討についてであるが、十分な細胞数を投与する事が実験結果の再現性には大切という結論になり、移植骨髄細胞数は2*10(6)個、5*10(6)個で、それぞれに対応する末梢血細胞は1*10(8)個、5*10(7)個で行う方針とした。異種骨髄移植にあたっては、個体中のキメラををドナー(BALB/cマウス)になるべく近い状態にすることが、移植細胞生着には重要な事であることがこれまでの研究で判明しており、上記の方針とした。また末梢血幹細胞の採取あるいは作製方法については、得られる血液量が少ないために、今後の検討課題とした。日本人の約1割は罹患していると言われているアレルギー性鼻炎。この研究では、アレルギー性鼻炎の発症に、骨髄環境が関与しているかどうかを検討したものである。通常だと、アレルギー性鼻炎に関与する細胞は、自己から排除されそうである。しかし実際はそのような機序は生じていない。そこで、骨髄が何らかの関与をする事で、発症してしまうのではないかと考えた。3年間にわたり、貴重な研究費を頂き、色んな角度から研究を行ってきた。本研究を通じて、アレルギー性鼻炎の発症に、骨髄環境は関与していないか、関与していてもその効果はわずかであるという結果が示唆された。実験用のアレルギー性鼻炎モデルマウスの作成にあたっては、一般的に利用されている、卵白アルブミン(OVA)と水酸化アルミニウムを混合させ、これを腹腔内に投与する方法を使用した。使用するマウスに関しても、一般的に利用されているBALB/cマウスを用いた。実際のモデルマウスは、上記混合液を1週間あるいは2週間連続して腹腔内に投与し、その後鼻腔内にOVA溶液を投与して感作を成立させた。感作の有効性を確認すべく、全く感作を行っていないBALB/cマウスと、生食のみを用いて、同様の方法で感作したマウスを作成し、コントロールとした。感作終了後、それぞれの群での、鼻かき行動や行動異常につき観察を行ったが、明らかな差は認められなかった。このため、感作の有効性を確認するために、それぞれの群のマウスから採血を行い、血中好酸球比率、好塩基球比率について、FACSの手法を用いて評価を行った。好酸球、好塩基球に関しては、同一個体でも測定時期により数値が変動するという報告もあり、今回の検討でもコントロールに比べるとやや好酸球比率が高い印象ではあったが、群間での有意差は認められなかった。上記のように、BALB/cマウスにOVAを感作させ作成したアレルギー性鼻炎モデルマウスを実験に使用するにあたり、そのモデルマウスとしての有用性を評価したく、日本クレアより遺伝子改変マウスであるOVA-IgEマウスを購入し、上記と同様の検討を行っている途中である。また、次年度より予定している、異種マウス(C57BL/6)への骨髄移植あるいは末梢血幹細胞移植に向けた準備として、遺伝子改変OVA-IgEマウスの骨髄細胞、ならびに末梢血幹細胞を採取ならびに抽出し、同種のBALB/cマウスに骨髄移植、あるいは末梢血幹細胞移植(経静脈的)を行って、それぞれに有効な細胞数につき検討を開始したところである。平成26年度は、平成24年度から25年度にかけて行ってきた研究業績を元に、研究方法の再検討も行いながら、追加研究を行ってきた。 | KAKENHI-PROJECT-24791755 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-24791755 |
アレルギー性鼻炎の発症・増悪における骨髄環境の関連性の解明 | 昨年度までの検討で、遺伝子組み換えモデルマウスであるOVA-IgEマウスと、自身で作成した卵白アルブミン(OVA)感作アレルギー性鼻炎モデルマウスとでは、それらの骨髄環境には大きな相違がなかったため、OVA感作モデルマウスを用いて研究を行ったきた。骨髄移植における細胞数に関しては、その後の検討で、個体差は若干認められたものの、骨髄移植には2*10(6)個、末梢血移植には1*10(8)個のドナー細胞を用いるのが最も効果的に、そして最も安定したキメラマウスの作成が可能であったため、これらの細胞数を用いて、研究を進めてきた。移植2週間後と4週間後での、レシピエントの骨髄細胞中の好酸球数および好塩基球数の測定を、FACSの手法を用いて検討を行ってきた。細胞比率に関しての測定は可能であったが、個体内での好酸球と好塩基球は変動がしやすい事が影響してか、一定の傾向は認められなかった。続いて、レシピエントの骨髄細胞自体を、骨髄移植4週間後に採取し、3日間並びに7日間培養した。培養後の上清を採取し、これを濃縮した後、ELISAの手法を用いて、培養液中のサイトカイン濃度について検討を行った。TGFーβ、ILー4、IL-10、IFNーγについて検討を行ったが、一定の傾向は認められず、アレルギー性鼻炎の感作や発症に関して、骨髄環境は全く関与していないか、関与していても大きな影響はしていない可能性が示唆された。またこれまでの懸案事項であった、末梢血を用いた解析を有効に行うための手法も検討を行ってきたが、マウスの好酸球や好塩基球を有効に測定できる方法を見出す事は出来なかった。耳鼻咽喉科学昨年度も挙げた項目であるが、もともと好酸球と好塩基球は、個体内でも変動があるとされており、解析を行った時点で、それが本来の状態を反映している結果かどうかが大切であると思われる。骨髄からは解析に十分な細胞数が採取できており、解析は可能であるが、末梢血は、全体的にも有核細胞数が少なく、こちらに関してある程度安定した結果が得られるようにすることが、今後の課題であると考えている。研究課題の実験を進めながらこれらの検討も行っており、達成度としてはやや遅れているものと考えている。実験の再現性を少しでも高めるための検討は、平成26年度も通常の研究と併行して継続していく予定である。好酸球、好塩基球に関して、今回の研究でコントロールに比べるとやや好酸球比率が高い印象ではあったが、群間での有意差は認められなかった。このため、さらなる詳細な検討を行うべく、遺伝子改変OVA-IgEマウス用いて、追加での検討を行った。このため、当初予定していたELISAによるサイトカインの測定が平成25年度に繰り越さざるを得ない状況となった。全体的な進展度としては、概ね順調に進行していると考えているが、上記の検討を追加した事から、やや遅れているものと考え、上記達成度とした。平成26年度は、骨髄移植に使用する細胞数が概ね決定したため、これが異種骨髄移植でも有効かどうかの検討を行いながら、骨髄中の細胞を中心に、構成細胞とその比率に関する検討をFACSの手法を用いて進めていく。また骨髄移植したマウスと正常マウスでの、体内環境の相違を検討すべく、骨髄中の細胞または末梢血を培養し、そこから産生されるサイトカイン等をELISAの手法を用いて解析していく。上記研究と並行して、末梢血における好酸球・好塩基球数の解析を行うのに十分な細胞数を得るために、昨年度の方策にも挙げた、培養方法の検討を継続して行う。 | KAKENHI-PROJECT-24791755 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-24791755 |
マスト細胞の活性化を制御する新規細胞内生理活性脂質の産生及び作用機構の解明 | 生体膜リン脂質中の多価不飽和脂肪酸は生体内で酸化され、「酸化リン脂質」を生成する。近年、酸化リン脂質及び、その分解産物である酸化脂肪酸が様々な生理活性を有することが明らかとなってきた。本研究の目的は、酸化脂肪酸の産生がどのように制御されているのか、また実際どのような酸化脂肪酸が生理的な細胞内シグナルに利用されているのか解明することである。これまでに、酸化リン脂質選択的ホスホリパーゼであるPAFAH2ノックアウトマウス用いたら解析から、PAFAH2の酵素活性がマスト細胞においてIgE/抗原刺激した際のFcεRI近傍の上流分子のリン酸化に必要であることを見出した。さらにPAFAH2依存的に放出されるエポキシ化ω3脂肪酸がマスト細胞のIgE/抗原刺激依存的な活性化に必要であることを突き止めた。PAFAH2は細胞内において酸化リン脂質を選択的に分解し、酸化脂肪酸を産生する酵素である。従って、これまでの結果は、マスト細胞内にこれまで報告のない、エポキシ化ω3脂肪酸が結合した酸化リン脂質が存在することを示唆する。そこで、本年度においては、エポキシ化ω3脂肪酸含有リン脂質の検出を試みた結果、培養マスト細胞中においてエポキシ化ω3脂肪酸含有リン脂質の検出に成功した。さらに、PAFAH2がこのエポキシ化ω3脂肪酸含有リン脂質を非常に効率良く分解しエポキシ化ω3脂肪酸を放出することを明らかとした。このことから、PAFAH2は生体膜中のエポキシ化ω3脂肪酸含有リン脂質を分解し、生理活性を有するエポキシ化ω3脂肪酸を直接切り出すことのできる酵素であることが明らかとなった。以上からPAFAH2を介した、酸化脂肪酸によるマスト細胞の全く新しい活性化制御機構の詳細が明らかとなった。27年度が最終年度であるため、記入しない。27年度が最終年度であるため、記入しない。生体膜リン脂質中の多価不飽和脂肪酸は、炎症や虚血等により産生される活性酸素種(ROS)により酸化され、「酸化リン脂質」を生成する。これまで、ROSや酸化リン脂質は生体にとって有害な因子と捉えられてきた。しかし近年、酸化リン脂質の分解産物である酸化脂肪酸が、核内受容体の活性化や、転写因子の抑制、ホスファターゼ、キナーゼ活性の阻害作用があることから、酸化脂肪酸が生理的な細胞内シグナルに関与することが考えられる。しかし、酸化脂肪酸の産生の制御機構や、実際どのような酸化脂肪酸が生理的な細胞内シグナルに利用されているのか、全く解明されていない。当研究室では、酸化リン脂質に特異的に作用し、酸化脂肪酸を切り出すユニークなホスホリパーゼ、細胞内II型PAFアセチルハイドロラーゼ(PAFAH2)のノックアウトマウスも有している。更にPAFAH2はマスト細胞に強く発現しており、ノックアウトマウスではIgE/抗原刺激依存的なマスト細胞の脱顆粒反応が減弱していることを明らかにしている。本年度では、酸化脂肪酸がどのようにマスト細胞の活性化を制御するのか、分子機構を明らかにするために、解析を行った。マスト細胞はIgE/抗原刺激を受けると、IgE受容体であるFcεRIが多量体化し、各種シグナル分子のリン酸化を経て、脱顆粒に至ることが知られている。そこで、野生型、及びPAFAH2ノックアウトマウスより単離した培養マスト細胞を抗原刺激した際の各分子のリン酸化をウェスタンブロッティング法により解析したところ、ノックアウトマウス由来のマスト細胞では、FcεRI近傍の上流分子のリン酸化が大きく減弱していることが分かった。また、ノックアウトマウス由来のマスト細胞にレトロウィルスを用いてPAFAH2を過剰発現させたところ、PAFAH2の酵素活性依存的にそのシグナル分子のリン酸化が回復した。この結果から、酸化脂肪酸がFcεRI近傍の上流分子に作用することが初めて示唆された。生体膜リン脂質中の多価不飽和脂肪酸は、炎症や虚血等により産生される活性酸素種(ROS)により酸化され、「酸化リン脂質」を生成する。これまで、ROSや酸化リン脂質は生体にとって有害な因子と捉えられてきた。しかし近年、酸化リン脂質の分解産物である酸化脂肪酸が、核内受容体の活性化や、転写因子の抑制、ホスファターゼ、キナーゼ活性の阻害作用があることから、酸化脂肪酸が生理的な細胞内シグナルに関与することが考えられる。しかし、酸化脂肪酸の産生の制御機構や、実際どのような酸化脂肪酸が生理的な細胞内シグナルに利用されているのか、全く解明されていない。当研究室では、酸化リン脂質に特異的に作用し、酸化脂肪酸を切り出すユニークなホスホリパーゼ、細胞内II型PAFアセチルハイドロラーゼ(PAFAH2)のノックアウトマウスも有している。我々はこれまでに、PAFAH2がマスト細胞に強く発現しており、ノックアウトマウスではIgE/抗原刺激依存的なマスト細胞の脱顆粒反応が減弱していること、ノックアウトマウス由来のマスト細胞では、FcεRI近傍の上流分子のリン酸化が大きく減弱しているために抗原刺激依存的な脱顆粒反応が減少していることが分かった。そこで昨年度において、PAFAH2が実際に基質として切り出している酸化脂肪酸を同定すべく、野生型及びPAFAH2ノックアウトマウス由来の培養マスト細胞の培養上清の脂肪酸画分に対し、最新の三連四重極型質量分析計を用い、酸化脂肪酸の網羅的な一斉定量を実施した。その結果、PAFAH2依存的にマスト細胞から培養上清に放出され、ノックアウトマウス由来の培養マスト細胞の抗原刺激依存的な脱顆粒反応の減弱を回復させる酸化脂肪酸の同定に成功した。 | KAKENHI-PROJECT-13J10909 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-13J10909 |
マスト細胞の活性化を制御する新規細胞内生理活性脂質の産生及び作用機構の解明 | この結果から、酸化脂肪酸がマスト細胞内の抗原刺激依存的な脱顆粒を制御することが初めて示された。生体膜リン脂質中の多価不飽和脂肪酸は生体内で酸化され、「酸化リン脂質」を生成する。近年、酸化リン脂質及び、その分解産物である酸化脂肪酸が様々な生理活性を有することが明らかとなってきた。本研究の目的は、酸化脂肪酸の産生がどのように制御されているのか、また実際どのような酸化脂肪酸が生理的な細胞内シグナルに利用されているのか解明することである。これまでに、酸化リン脂質選択的ホスホリパーゼであるPAFAH2ノックアウトマウス用いたら解析から、PAFAH2の酵素活性がマスト細胞においてIgE/抗原刺激した際のFcεRI近傍の上流分子のリン酸化に必要であることを見出した。さらにPAFAH2依存的に放出されるエポキシ化ω3脂肪酸がマスト細胞のIgE/抗原刺激依存的な活性化に必要であることを突き止めた。PAFAH2は細胞内において酸化リン脂質を選択的に分解し、酸化脂肪酸を産生する酵素である。従って、これまでの結果は、マスト細胞内にこれまで報告のない、エポキシ化ω3脂肪酸が結合した酸化リン脂質が存在することを示唆する。そこで、本年度においては、エポキシ化ω3脂肪酸含有リン脂質の検出を試みた結果、培養マスト細胞中においてエポキシ化ω3脂肪酸含有リン脂質の検出に成功した。さらに、PAFAH2がこのエポキシ化ω3脂肪酸含有リン脂質を非常に効率良く分解しエポキシ化ω3脂肪酸を放出することを明らかとした。このことから、PAFAH2は生体膜中のエポキシ化ω3脂肪酸含有リン脂質を分解し、生理活性を有するエポキシ化ω3脂肪酸を直接切り出すことのできる酵素であることが明らかとなった。以上からPAFAH2を介した、酸化脂肪酸によるマスト細胞の全く新しい活性化制御機構の詳細が明らかとなった。当初の予定通り、PAFAH2依存的に放出され、マスト細胞の抗原刺激依存的な脱顆粒反応を制御する酸化脂肪酸を同定することができ、今後の進展に多いに期待が持てるため。27年度が最終年度であるため、記入しない。現在、マスト細胞内において、この度同定された酸化脂肪酸を含むリン脂質が存在するのか、そのような酸化リン脂質をPAFAH2が実際に基質とすることができるのか、最新の三連四重極型質量分析計を用い解析している。当初の予定通り、マスト細胞の活性化における酸化脂肪酸の作用点の候補分子が同定された。更に当初の計画を超えて、野生型マウス由来培養マスト細胞の培養上清に、PAFAH2ノックアウトマウス由来培養マスト細胞の脱顆粒を促進する活性があることを突き止めており、今後の進展に多いに期待が持てるため。27年度が最終年度であるため、記入しない。現在、野生型マウス由来培養マスト細胞の培養上清に、PAFAH2ノックアウトマウス由来培養マスト細胞の脱顆粒を促進する活性があり、この活性がPAFAH2依存的であることを突き止めている。 | KAKENHI-PROJECT-13J10909 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-13J10909 |
透水係数の非定常変動という新概念に基づく河川堤防の安全性モニタリング技術の開発 | 地盤の透水係数は,一般的には人間の生活時間スケールにおいては不変として取り扱われている.しかし,堤防基盤漏水や地滑り発生時など,地中にパイプ流が伸展する場合などの局所の現象に限れば,地盤の透水性が非定常を示す事例は多くの確認されている.堤防基盤漏水および関連するパイピングやボイリングといった諸現象は,河川堤防の安全性に対するリスク要因として,その解明が急がれているが,現地におけるモニタリング手法が確立されていないこと等の要因で,依然として未解明な課題となっている.本研究では,局所的な地盤透水性の変動が引き金となる河川堤防の基盤漏水による被災を対象として,堤防維持管理の現場で実装できるモニタリングシステムの構築に向けた基礎的な取り組みを行った.観測項目には,地下浸透流を対象としたモニタリングとして最も一般的かつ安定的にデータ収取が可能な地下水観測孔内水位を採用し,そのための地下水観測孔を河川堤防の至近に設置した.地盤透水性が非定常変動する条件を課した数値解析によって出水時における孔内水位変動の応答性の変化を抽出し,その応答性変化から,観測孔周辺地盤における局所的な透水係数の変動を検出できるか検証した.結果,河川堤防近傍に設置した地下水観測孔における孔内水位は,河川水位の変動に対して有意な変動を示し,河川水位の変動を「総出水時間」および「河川水位ピーク到達時間」という2つのパラメータを用いて,「孔内水位ピーク到達時間」を定式化することができた.この定式化により,孔内水位変動を種々の出水条件の関数として一括して取り扱うことが可能となったため,次に地盤の透水性を非定常変動させた場合の孔内水位変動特性を調べると,数時間単位の差異として検出することが可能であり,実際の河川堤防維持管理の現場に実装できる余地のあるモニタリングシステムとして構築できる可能性が高いことを示すことができた.河川堤防至近に設置した伏流水観測孔内において使用可能な流向・流速観測システムを,比較的安価で導入し易く,且つ観測労力を減ずることで高密度・高頻度に観測を実施できるよう,独自に新規開発した.この際,当該観測孔においては一般的な地下水流速の存在範囲から逸脱するような10の0乗(cm/sec)オーダーの極めて高速な伏流水が常時確認されており,これら高速流から一般的な微速浸透流までに適用できる可視化観測システムを開発した.また,観測支援機器として30m没水状態で使用できる安価な孔内カメラを,広く一般に市販できることを念頭に開発し,試作品を完成させた.更に,特定の深度における流向・流速を測定するのに先行して実施する観測として,全深度を対象として流動層を検出するための新たな検層法を開発し,現地での適用性検証において有用性を確認した.この際,既往技術において課題となっていた孔内状態(温度や塩分濃度等の各パラメータについて)を全深度で均一化することで初期化する手法について,新たな手法を考案し実際に独自開発した.上記の新規開発機器を用いて,河川堤防近傍における伏流水を対象として年間を通じての連続観測を実施したところ,水平距離にして30m離れた観測孔間で大きくことなる流向・流速特性を示し極めて局所性が高い流動場となっていること,同一孔内であってもその深度によって大きく流向・流速が異なり,更に,季節性変動が大きいことが確認できた.これらの結果から,河川堤防近傍における伏流水は時空間的に大きく変動している実態となっていることが明らかとなった.観測期間中には小規模な出水が2度発生したが,出水時において伏流水の流向・流速が変化する,出水時応答を示した.機器開発について,当初案にくらべより多くの機器が開発できており,且つそのほとんどについて現地試験での適用性検証ができている.一部機器については,広く一般からも導入可能となるように,従来品に比べはるかに安価に購入できるよう市販可能な状態にまで至っている.一因には,計画段階で検討していた層区分型観測孔が,観測機器の改良によって必ずしも必須ではないと考えられ,その資源を機器開発に用いることができるようになったことが挙げられる.出水時応答を取得し,その応答特性を解明することが,本研究課題における主要な検討課題の1つであるが,H28年度においては,当該観測サイトにおいて大規模出水は発生していない.しかしながら,観測結果はキャリブレーションを経ての相対的数値であり直接的物理値ではないため,出水時応答を取得するためには,その比較としての平常時応答が取得できていなければならない.その意において,H28年度では平常時におけるデータ蓄積することができ,次年度以降において大規模な出水が発生した際に,その出水時応答特性を抽出することための準備を整えることができたと考えられる.堤防近傍の地下水観測孔を使用して透水係数の変動状況を推定するための数値シミュレーションを実施した.精度検証のための簡易な2次元室内実験を実施し,数値シミュレーションに用いるパラメータ値を決定した.土質条件は,取り組みの端緒として均質な豊浦標準砂を想定し,完全飽和状態とした.まず初めに,流入流量の変動に対する孔内水位の感度検証を実施したところ,孔に近い位置に発生する流量変動ほど孔内水位の応答が強いことが確認できた.ここから,孔内水位の応答性から,定量の変動が発生している位置を推定する近似式を提案することができた. | KAKENHI-PROJECT-16K12852 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-16K12852 |
透水係数の非定常変動という新概念に基づく河川堤防の安全性モニタリング技術の開発 | また,検討のなかで,観測孔の水位と周辺地盤内の地下水位に関する既往の提案式の適用性考察も実施したが,既往式のほとんどが,地下水が静水状態であることが前提となっており,河川近傍の伏流水を対象とした本研究のように,観測孔周辺に顕著な流動が確認できる場合には適用が難しいことが明らかとなった.そこで,地下水流動が存在する条件下における既往式の修正を試みた.提案式の検証には現地実証実験等,今後のデータの蓄積による検証が必要であり,それについては今後の課題とした.観測孔内水位が周辺地盤内の流量変化に対して有意な応答性を有していることが確認できたため,次に,流量変動を引き起こす要因として出水時を想定した直近河川の水位変動に対する応答を検討した.河川水位の非定常変動に対して示す孔内水位には数値シミュレーション上では有意な感度を示す結果が得られたが,実際の現地適用には,土質の不均質性の影響,3次元的な動水勾配の複雑な挙動,飽和・不飽和浸透流の考慮など,多くの課題があることが確認できた.本年度計画していた観測孔内水位のモニタリングから,周辺地盤内の局所的流量変動を推定する試みは限定的な条件下においてという制約はあるものの,良好な結果を得ることができた.このため,仮に有意な感度が得られなかった場合に取り組む予定であった超高感度ピックアップの開発を実施する必要が生じなかったため,数値シミュレーションによる感度検証を予定以上に推進することができた.一方で,数値シミュレーション結果を現地観測結果と比較検討する取り組みについては,観測対象として選定したサイト周辺における伏流水の流速が一般に想定される流速を大きく上回っており,現地観測結果との比較検討については一旦保留とした.地盤の透水係数は,一般的には人間の生活時間スケールにおいては不変として取り扱われている.しかし,堤防基盤漏水や地滑り発生時など,地中にパイプ流が伸展する場合などの局所の現象に限れば,地盤の透水性が非定常を示す事例は多くの確認されている.堤防基盤漏水および関連するパイピングやボイリングといった諸現象は,河川堤防の安全性に対するリスク要因として,その解明が急がれているが,現地におけるモニタリング手法が確立されていないこと等の要因で,依然として未解明な課題となっている.本研究では,局所的な地盤透水性の変動が引き金となる河川堤防の基盤漏水による被災を対象として,堤防維持管理の現場で実装できるモニタリングシステムの構築に向けた基礎的な取り組みを行った.観測項目には,地下浸透流を対象としたモニタリングとして最も一般的かつ安定的にデータ収取が可能な地下水観測孔内水位を採用し,そのための地下水観測孔を河川堤防の至近に設置した.地盤透水性が非定常変動する条件を課した数値解析によって出水時における孔内水位変動の応答性の変化を抽出し,その応答性変化から,観測孔周辺地盤における局所的な透水係数の変動を検出できるか検証した.結果,河川堤防近傍に設置した地下水観測孔における孔内水位は,河川水位の変動に対して有意な変動を示し,河川水位の変動を「総出水時間」および「河川水位ピーク到達時間」という2つのパラメータを用いて,「孔内水位ピーク到達時間」を定式化することができた. | KAKENHI-PROJECT-16K12852 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-16K12852 |
視覚障害者への触覚情報提供システム改善のための基礎的研究 | 本研究は、点字使用者を対象として、点字パターン識別時における大脳皮質活動を明らかにすることを目標として、これまでに誘発脳磁界測定に最適な点字パターン提示システムを開発し(平成15年度)、本装置を用いた体性感覚誘発電位の基本特性および至適刺激条件を明らかにするための実験を行ってきた(平成16年度)。本年度はこれまでの成果をふまえ、点字パターン判別課題実施時の体性感覚誘発脳磁界活動の検討を行った。被験者10名(点字使用者5名、非使用者5名)を対象として、点字パターン提示装置を用いた触覚パターン刺激を示指に与え、160チャンネル全頭型脳磁界計測システムにて体性感覚誘発脳磁界反応を測定し、その信号強度と信号源位置について検討した。触覚パターン刺激は、合計8本の点字ピンのうち2本を用いた計3種類を、それぞれ一定の出現率になるようにランダムに提示することによって行った。提示した刺激のうち、特定のパターンを判別し、カウントする判別課題と、カウント作業を行わせない非判別課題を実施し、両者間、および点字使用者・非使用者間の比較検討を行った。その結果、(1)ほぼすべての条件で刺激提示後50msに刺激対側第1次体性感覚野の反応を認め、その信号強度は点字使用者・非使用者間、および実施課題間で差をみとめなかったこと、(2)パターン判別課題時には刺激提示後100200msを中心として両側性と考えられる皮質反応が認められるが、非判別時にはこの反応は小さいか、欠落すること、(3)(2)で認められた反応は刺激対側の第1次体性感覚野の信号の影響を受けていると考えられ、信号源推定の結果解釈には慎重さが要求されるものの、両側第2次体性感覚野、ないしはその近傍に位置する可能性が考えられること、などが明らかとなった。本研究の詳細な結果は、平成18年の臨床神経生理学会に報告予定である。本研究は、点字使用者を対象として、点字パターン識別時におけるパフォーマンスと大脳皮質活動の関係を脳磁界計測法により検討し、高度視覚障害者における代償機能発現プロセスを明らかにすることを目的としている。初年度である平成15年度は、誘発脳磁界測定に最適な点字パターン提示システムを開発した。システムは、(1)点字ディスプレー用のバイモルフ型ピエゾ素子による点字セルを4個連結し、プラスチックケースにマウントした刺激提示部、(2)点字セルに電源を供給する機能と点字セルおよび脳磁計への制御信号を生成する機能を併せ持つ電源・制御ユニット、(3)電源・制御ユニットを制御するプログラムを動作させるパーソナルコンピュータ(PC)によって構成した。脳磁界計測では、電流や磁性体の振動による変動磁場ノイズの混入防止が極めて重要な課題となるため、磁気センサーの近傍に配置する必要のある刺激提示部は可能な限り非磁性体によって構成した。さらに、ノイズ混入のおそれのある電源部・制御ユニットは脳磁界計測装置の外に設置し、刺激提示部との接続はシールドされたツイストペアケーブルによって行うこととした。電源・制御ユニットとPCとの接続には汎用シリアルポート(RS232C)を用いた。点字セルの動作と、それに伴う脳磁計へのタイミング制御はPC上の専用ソフトウェアで行うこととした。今回開発した刺激装置を用い、平成16・17年度は点字使用者を対象とした脳磁界計測実験を段階的に実施する予定である。本研究は、点字使用者を対象として、点字パターン識別時におけるパフォーマンスと大脳皮質活動の関係を明らかにすることを最終目標としており、初年度(平成15年度)は、誘発脳磁界測定に最適な点字パターン提示システムを開発した。本年度は、(1)本装置を用いて得られる体性感覚(触覚)誘発活動の基本的性質を明らかにすること、(2)それを得るために至適な刺激提示条件およびデータ記録条件を決定すること、を目的とした実験研究を行った。被験者10名(うち、点字使用者2名)を対象として、点字パターン提示装置による触覚刺激を左右示指に与え、国際10-20に基づく頭皮上13カ所からの脳波信号を記録し、この信号を自作ソフトウェアによって加算平均することにより体性感覚誘発電位波形を求めた。刺激提示時間2種類(500,1000ms)、刺激提示間隔2種類(1000,2000ms)、提示パターン3種類(2,4,6点刺激)の条件を設定し、各条件下における誘発信号の出現状態と再現性について検討した。その結果、(a)触覚パターン刺激による体性感覚誘発電位は、刺激提示後約50msの陽性ピーク(P50)に始まる複数のピークを持つこと、(b)各成分の頭皮上分布では、P50が明確な対側感覚野優位性を持つのに対し、それ以降の成分はほぼ全頭から検出しうること。(c)各ピークを明瞭に検出するためには約100回以上の加算回数が必要なこと。(d)P50成分の振幅値は、刺激強度(点字パターンを構成するピン数)に依存すること、等が明らかとなった。今回得られた触覚パターンによる誘発反応の基本的特性をふまえ、平成17年度はパターン識別課題遂行に伴う脳活動信号の抽出を試みる予定である。 | KAKENHI-PROJECT-15700390 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-15700390 |
視覚障害者への触覚情報提供システム改善のための基礎的研究 | 本研究は、点字使用者を対象として、点字パターン識別時における大脳皮質活動を明らかにすることを目標として、これまでに誘発脳磁界測定に最適な点字パターン提示システムを開発し(平成15年度)、本装置を用いた体性感覚誘発電位の基本特性および至適刺激条件を明らかにするための実験を行ってきた(平成16年度)。本年度はこれまでの成果をふまえ、点字パターン判別課題実施時の体性感覚誘発脳磁界活動の検討を行った。被験者10名(点字使用者5名、非使用者5名)を対象として、点字パターン提示装置を用いた触覚パターン刺激を示指に与え、160チャンネル全頭型脳磁界計測システムにて体性感覚誘発脳磁界反応を測定し、その信号強度と信号源位置について検討した。触覚パターン刺激は、合計8本の点字ピンのうち2本を用いた計3種類を、それぞれ一定の出現率になるようにランダムに提示することによって行った。提示した刺激のうち、特定のパターンを判別し、カウントする判別課題と、カウント作業を行わせない非判別課題を実施し、両者間、および点字使用者・非使用者間の比較検討を行った。その結果、(1)ほぼすべての条件で刺激提示後50msに刺激対側第1次体性感覚野の反応を認め、その信号強度は点字使用者・非使用者間、および実施課題間で差をみとめなかったこと、(2)パターン判別課題時には刺激提示後100200msを中心として両側性と考えられる皮質反応が認められるが、非判別時にはこの反応は小さいか、欠落すること、(3)(2)で認められた反応は刺激対側の第1次体性感覚野の信号の影響を受けていると考えられ、信号源推定の結果解釈には慎重さが要求されるものの、両側第2次体性感覚野、ないしはその近傍に位置する可能性が考えられること、などが明らかとなった。本研究の詳細な結果は、平成18年の臨床神経生理学会に報告予定である。 | KAKENHI-PROJECT-15700390 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-15700390 |
聴覚・視覚障害に対する音響・画像情報の伝達手段 | 本総合研究の第1・2年度(平成3・4年度)には、聴覚・視覚障害に対する音響・画像情報の伝達手段について、A.聴覚障害に対する音響情報伝達では、聴覚補償のための音響情報処理、音響情報の視覚表示、音響情報の触覚表示、B.視覚障害に対する画像情報伝達では、視覚補償のための画像情報処理、画像情報の触覚表示、画像情報の聴覚表示などの、研究代表者・分担者のそれぞれの役割分担および周辺の研究課題について、国内・国外の関連する学会・研究会の文献情報のデータベースを作成したうえで、研究状況の調査や研究の組織化の検討を進めてきた。最終年度である第3年度(平成5年度)は、これらの調査と検討をとりまとめる作業を行った。その結果、視覚障害に対しては、印刷文字の自動認識と文字テキストからの人工音声合成による文字受容の代行、特定話者・限定単語の音声自動認識による文字表出の代行など、コンピュータの機能を感覚の一部として組込んだ補助手段の構成、聴覚障害に対しては、電気刺激・振動刺激による人工聴覚のための音響信号処理と、音声表出の補助としての人工音声合成が、基本的な方向となることが確かめられ、すでにこのための研究の再構成が本総合研究でも進められている。国内の関連する学会・研究会としては、日本ME学会や電子情報通信学会の教育工学研究会やヒューマンコミュニケーション研究会などが中心であるが、国外では、平成2年にスウェーデン王國で開催された「触覚補助具・補聴器・人工内耳に関する国際会議」、中国で開催された国際音響学会議での「聴覚障害に対する感覚補助に関する特別部会」、平成5年のスウェーデン王國での「リハビリテーション技術の進展に関するヨーロッパ会議」とヨーロッパ音声通信協会のワークショップ「障害者のための音声・言語技術」、平成6年のアメリカ合衆国での「障害者支援技術国際シンポジウム」などに、研究代表者・分担者が参加して、本総合研究で扱っている分野について、各國の活動方針との調整を計ることができた。本総合研究の第1・2年度(平成3・4年度)には、聴覚・視覚障害に対する音響・画像情報の伝達手段について、A.聴覚障害に対する音響情報伝達では、聴覚補償のための音響情報処理、音響情報の視覚表示、音響情報の触覚表示、B.視覚障害に対する画像情報伝達では、視覚補償のための画像情報処理、画像情報の触覚表示、画像情報の聴覚表示などの、研究代表者・分担者のそれぞれの役割分担および周辺の研究課題について、国内・国外の関連する学会・研究会の文献情報のデータベースを作成したうえで、研究状況の調査や研究の組織化の検討を進めてきた。最終年度である第3年度(平成5年度)は、これらの調査と検討をとりまとめる作業を行った。その結果、視覚障害に対しては、印刷文字の自動認識と文字テキストからの人工音声合成による文字受容の代行、特定話者・限定単語の音声自動認識による文字表出の代行など、コンピュータの機能を感覚の一部として組込んだ補助手段の構成、聴覚障害に対しては、電気刺激・振動刺激による人工聴覚のための音響信号処理と、音声表出の補助としての人工音声合成が、基本的な方向となることが確かめられ、すでにこのための研究の再構成が本総合研究でも進められている。国内の関連する学会・研究会としては、日本ME学会や電子情報通信学会の教育工学研究会やヒューマンコミュニケーション研究会などが中心であるが、国外では、平成2年にスウェーデン王國で開催された「触覚補助具・補聴器・人工内耳に関する国際会議」、中国で開催された国際音響学会議での「聴覚障害に対する感覚補助に関する特別部会」、平成5年のスウェーデン王國での「リハビリテーション技術の進展に関するヨーロッパ会議」とヨーロッパ音声通信協会のワークショップ「障害者のための音声・言語技術」、平成6年のアメリカ合衆国での「障害者支援技術国際シンポジウム」などに、研究代表者・分担者が参加して、本総合研究で扱っている分野について、各國の活動方針との調整を計ることができた。平成3年度(第1年度)は、本総合研究の基礎として、まず、研究代表者・分担者が協同して、感覚障害に対する情報伝達の補助手段についての、研究状況の調査を行なった。本総合研究では、聴覚・視覚障害に対する音響・画像情報の伝達手段の研究の対象の全体を包含して、両者を厳密に対比させて検討を進められるように、次のような役割分担を設定している。A.聴覚障害に対する音響情報伝達:聴覚補償のための音響情報処理、音響情報の視覚表示、音響情報の触覚表示。B.視覚障害に対する画像情報伝達:視覚補償のための画像情報処理、画像情報の触覚表示、画像情報の聴覚表示。そこで、それぞれの研究分担者が、各自の役割分担の項目およびその周辺の研究課題について、国内・国外の関連する学会・研究会の文献情報のデ-タベ-スを作成する作業を進めた。その作業の過程を研究代表者・分担者が相互に照合したうえで、年度末に、役割分担の各分野についての研究打合せのために、研究代表者と関連する研究分担者が数箇所で会合をして、その分野における研究の動向を分析し、今後の研究課題の発展の方向を検討するための討議を行った。これらの討議のなかでは、パ-ソナルコンピュ-タあるいはコンピュ-タネットワ-クの利用による感覚代行の新しい方式の実現・普及の可能性が、とくに注目されている。(このデ-タベ-スの作成は、昭和63平成2年度の総合研究(A)「感覚障害に対する言語情報伝達の補助手段」での、対象を言語情報に限定したデ-タベ-スの作成と研究の動向の分析を基礎として、音響・画像情報の全般に対象を拡張するという手順をとっているので、作業の過程には、前回のデ-タベ-スの追加・補充も含まれている。) | KAKENHI-PROJECT-03302058 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-03302058 |
聴覚・視覚障害に対する音響・画像情報の伝達手段 | 第1年度は、感覚障害に対する情報伝達の補助手段について、それぞれの研究分担者が役割分担およびそれらの周辺の研究課題について、国内・国外の関連する学会・研究会の文献情報のデータベースを作成したうえで、研究打合せのための会合を開いて、この分野における研究の動向を分析し、今後の研究課題の発展の方向を検討した。第2年度は、第1年度の研究状況の調査にもとずいて、聴覚・視覚障害に対する音響・画像情報の伝達手段の研究を組織化する可能性について検討を進めた。このために、聴覚障害に対する音響情報の伝達手段の役割分担の研究分担者と、視覚障害に対する画像情報の伝達手段の役割分担の研究分担者が、まず、それぞれに研究打合せのための会合を開き、さらに、合同の研究打合せのための会合を開いて、この分野の研究状況の調査のための文献情報の分析を重ねながら、関連の種々の学会・研究会における今後の長期的な活動方針について検討した。平成3年度(第1年度)と平成4年度(第2年度)にわたって、聴覚・視覚障害に対する音響・画像情報の伝達手段について、研究代表者・分担者が、A.聴覚障害に対する音響情報伝達では、聴覚補償のための音響情報処理、音響情報の視覚表示、音響情報の触覚表示、B.視覚障害に対する画像情報伝達では、視覚補償のための画像情報処理、画像情報の触覚表示、画像情報の聴覚表示などの、それぞれの役割分担およびそれらの周辺の研究課題について、国内・国外の関連する学会・研究会の文献情報のデータベースを作成したうえで、研究状況の調査や研究の組織化の検討を進めてきた。平成5年度(第3年度)は本総合研究の最終年度であるので、これらの調査と検討の結果をとりまとめるために、研究代表者・分担者が個別に打ち合せを繰り返してきた。そして、最終的には、聴覚・視覚障害に対する音響・画像情報の伝達手段についてのシンポジウムを、平成6年4月始めに開催する。そこでは、本総合研究の研究分担者が、それぞれの役割分担についての国内・国外の従来からの研究成果を解説し、また、研究の組織化の検討の結果を報告して、研究組織以外の諸領域の関係者にも、本総合研究の研究目的と研究成果について広く理解を求める。これらと並行して、平成5年5月にスウェーデン王國ストックホルム市で、スウェーデン・ハンデイキャップ研究所が開催した「リハビリテーション技術の進展に関するヨーロッパ会議」、および、ヨーロッパ音声通信協会のワークショップ「障害者のための音声・言語技術」に研究代表者・分担者の一部が参加して、本総合研究で中心的に扱っているこの分野の研究について、最近の成果を報告をするとともに、とくにヨーロッパ各國の積極的な活動との交流を計ることができた。 | KAKENHI-PROJECT-03302058 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-03302058 |
東アフリカ海岸地域におけるイスラムの多様性とネットワークに関する人類学的研究 | 本研究は、東アフリカ海岸地域(東アフリカ海岸部および後背地、島嶼喚部を含む)におけるイスラムの多様性を明らかにし、そこでのイスラム的知識の流通と、さまざまなイスラム像の形成の動態を明らかにすることを目的とした。研究は次の三つを中心に推進された。第一に東アフリカ海岸地域において展開されるイスラム・ネットワークについての調査を通して、イスラムの知識や言説が流通するイスラム内部のネットワークの動態を明かにする。第二に、東アフリカ海岸地域の各地におけるイスラム的知識のローカルな動態を、イスラムの中心による教義的一元化の動きと、各地域への個別的変異であるローカライゼーションとのダイナミズムとして明らかにしようとする。第三に、この地域において複雑に入り組んだ境界線を描きつつ共存している、ムスリム人口と非ムスリム近隣諸集団との日常的な関係の実態を、こうした周辺的他者による抵抗や、イスラム的慣行の部分的流用との関係をも含め、明らかにする。このようにより広いコンテクストにおけるイスラムの動態を明らかにし、新たなイスラム理解の可能性を開くことを通じて、本研究は、イスラムを単に宗教的体系としてではなく、多様なムスリムが共存し、またムスリムと非ムスリムが隣接し会うローカルなコンテクストにおける社会的・文化的現象として捉えようと試みたものである。成果としては東アフリカ海岸部におけるイスラムの多様性とその動態がかなりの程度明らかにでき、イスラム・ネットワークの周縁部における社会成型についての一定の洞察がえられたのではないかと自負している。まだまだ研究はその端緒についたばかりであり、今後の調査研究を通じて、単にこの地域のイスラムの特殊性のみならず、より一般に、文化的・民族構成的に多様な諸社会が宗教的イディオムを通じて、相互に自己成型していく歴史的プロセスについての解明がさらに進むことを期待したい。本研究は、東アフリカ海岸地域(東アフリカ海岸部および後背地、島嶼喚部を含む)におけるイスラムの多様性を明らかにし、そこでのイスラム的知識の流通と、さまざまなイスラム像の形成の動態を明らかにすることを目的とした。研究は次の三つを中心に推進された。第一に東アフリカ海岸地域において展開されるイスラム・ネットワークについての調査を通して、イスラムの知識や言説が流通するイスラム内部のネットワークの動態を明かにする。第二に、東アフリカ海岸地域の各地におけるイスラム的知識のローカルな動態を、イスラムの中心による教義的一元化の動きと、各地域への個別的変異であるローカライゼーションとのダイナミズムとして明らかにしようとする。第三に、この地域において複雑に入り組んだ境界線を描きつつ共存している、ムスリム人口と非ムスリム近隣諸集団との日常的な関係の実態を、こうした周辺的他者による抵抗や、イスラム的慣行の部分的流用との関係をも含め、明らかにする。このようにより広いコンテクストにおけるイスラムの動態を明らかにし、新たなイスラム理解の可能性を開くことを通じて、本研究は、イスラムを単に宗教的体系としてではなく、多様なムスリムが共存し、またムスリムと非ムスリムが隣接し会うローカルなコンテクストにおける社会的・文化的現象として捉えようと試みたものである。成果としては東アフリカ海岸部におけるイスラムの多様性とその動態がかなりの程度明らかにでき、イスラム・ネットワークの周縁部における社会成型についての一定の洞察がえられたのではないかと自負している。まだまだ研究はその端緒についたばかりであり、今後の調査研究を通じて、単にこの地域のイスラムの特殊性のみならず、より一般に、文化的・民族構成的に多様な諸社会が宗教的イディオムを通じて、相互に自己成型していく歴史的プロセスについての解明がさらに進むことを期待したい。本年度は東アフリカ海岸部におけるイスラム・ネットワークの全体像を多角的な視点から捉えるために、各研究分担者および研究協力者がそれぞれ13ヶ月間の現地調査を実施した。研究分担者の大塚は東アフリカ海岸部におけるイスラムの組織的な広がりについて明らかするために、ケニアのモンバサおよびラム島においてイスラム学校の実態調査を行うとともに、東アフリカ海岸部とアラビア半島とのムスリム・ネットワークについて聞き取り調査を行った。研究分担者の慶田はイスラムと非イスラムとの日常的な交流から産み出される多様なイスラム像について検討するために、ケニアのマリンディにおいて非ムスリムであるギリアマ人とムスリムとの相互関係について聞き取り調査を行った。慶田の研究協力者である重森は、ギリアマと接するチョーニ社会における呪術的信仰とイスラムとの関係について調査を行った。浜本の研究協力者である花渕は東アフリカ海岸部とコモロ諸島、マダガスカルとのイスラム・ネットワークの実態について調べるために、タンザニアのザンジバルにおいて調査を行った。研究代表者である浜本は文献資料を元にした研究を進めるとともに、各研究分担者および研究協力者の収集した調査資料を統括し、相互の調査データを共有化するために電子化する作業を行った.本年度は、東アフリカ海岸部におけるイスラームネットワークの展開とイスラームの多様性の実態についてさらに基礎的資料を収集するため、各分担者がそれぞれの調査地において13ヶ月間の現地調査を実施した。大塚はタンザニアのダルエスサラームとザンジバル島において、マドラサと呼ばれるイスラーム学校の展開と教育内容に関する調査を行った。また、アラブ地域と東アフリカ海岸部の歴史的関係についてロンドンにおいて資料収集を行った。慶田は、ケニアのマリンディを拠点にムスリムと非ムスリムが混在する都市・農村部で調査を行い、ギリアマ人のイスラーム化された文化的実践について研究を行った。花渕は、タンザニアのザンジバル島においてコモロ系移民のイスラームネットワークと憑依霊信仰について調査を行い、非ムスリム社会との歴史的接触と霊表象との関係について研究を行った。 | KAKENHI-PROJECT-13571016 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-13571016 |
東アフリカ海岸地域におけるイスラムの多様性とネットワークに関する人類学的研究 | 研究代表者である浜本は、ケニアの東海岸部後背地に位置する非ムスリムのドゥルマ社会において、イスラームに対する文化的想像力に関する調査研究を実施するとともに、研究協力者・古川優貴とともにケニア西部におけるイスフーム浸透の実態について予備的研究を行った。また、分担者の研究を総括し、全体の情報の整理を行った。本年度の調査研究の成果により、ケニア、タンザニア・コモロを結ぶイスラームネットワークの広がりと、地域的に展開するイスラームの多様性の実態に関する基礎的データが集まり、その全体像が解明されつつある。本年度は、3年計画の最終年度として、研究分担者がそれぞれの調査地において13ヶ月の調査を実施し、イスラム・ネットワークの実態と、非ムスリムとの相互関係に関するデータの収集を継続すると同時に、各地域で得られた知見を相互に比較し、東アフリカ地域におけるイスラムの動態についての全体像を描く総括を行った。慶田は、ケニアのマリンディを拠点にムスリムと非ムスリムが混在する都市・農村部で調査を行い、ギリアマ人の日常的な相互交渉を通じたイスラム・イメージと他者認識の形成について研究を行った。花渕は、ムスリム社会であるコモロ諸島において調査を行い、インド洋西域の海域世界における交易と移住のネットワークによる非ムスリム社会との歴史的接触と、ムスリムの霊と非ムスリムの霊が混在する憑依霊信仰の実践との相互関係について研究を行った。大塚は、これまでの現地調査によって収集したモスクとマドラサ(イスラム学校)に関する資料の整理と分析を国内において行い、アラブから東アフリカに広がるイスラムの諸宗派と教育のネットワークに関する研究を発展させた。浜本は、現地調査を通してサウジ・アラビアからの資金援助によって進められているケニア後背地におけるモスク建設とローカルな人口によるその誘致運動、その後の需要のあり方を調査し、こうした布教の活動と地域におけるイスラム・イメージとの接合について研究するとともに、研究会を開催し全体の研究の総括を行った。尚、本研究の成果として、研究報告論文集を作成中である。 | KAKENHI-PROJECT-13571016 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-13571016 |
高炉内条件下における焼結鉱の反応速度に関する実験的研究 | 高炉内での焼結鉱の還元速度を表す速度式を作成することを目的として、以下の実験ならびに解析を行い、併記の結論を得た。1.還元速度の計算に必要な諸定数の評価方法について検討を加え、ガス境膜内物質移動係数については、焼結鉱をナフタリンで被覆して物質移動実験を行い、形状係数を考慮して推算式を作成した。2.500°Cから1000°Cまでの温度範囲で、一定濃度のCO-【CO_2】-【N_2】あるいは【H_2】-【H_2】O-【N_2】混合ガスを用いて、単一粒子の段階ごとおよび連続還元実験を行い、質量変化を測定して還元曲線を求めた。3.2項と同様の実験において、還元途中で反応を停止し、試料を【N_2】ガス中で急冷した。この試料を埋め込み研摩後、断面を観察した。4.500°Cから1000°Cまでの温度範囲で、小型固定層(500g)の段階ごとの還元実験を行い、CO-【CO_2】-【N_2】混合ガスの場合は赤外線式CO-【CO_2】濃度測定装置、【H_2】-【H_2】O-【N_2】の場合はガスクロマトグラフを用いて出口ガス濃度変化を測定することにより還元曲線を算出した。5.24項の測定結果より、一界面および三界面モデルに基づく解析を行い、モデル中の速度パラメータの適合値を求め、各場合について温度依存式を作成した。単一粒子実験の結果はバラツキが大きいが、固定層実験の結果は再現性が優れていた。得られた温度依存式による速度パラメータ値を用いた解析により、もとの各実測値を満足に記述できることがわかった。6.焼結鉱が高炉内でさらされる温度およびガス濃度に近似した温度・ガス組成変化を与えて、4項と同様の測定を行い、これらの実験結果と、5項で得られた速度パラメータの温度依存式を三界面モデルに適用して計算した結果とを比較したところ、高温側でずれはじめるものの、計算値はおおむね実測値の傾向を表していた。高炉内での焼結鉱の還元速度を表す速度式を作成することを目的として、以下の実験ならびに解析を行い、併記の結論を得た。1.還元速度の計算に必要な諸定数の評価方法について検討を加え、ガス境膜内物質移動係数については、焼結鉱をナフタリンで被覆して物質移動実験を行い、形状係数を考慮して推算式を作成した。2.500°Cから1000°Cまでの温度範囲で、一定濃度のCO-【CO_2】-【N_2】あるいは【H_2】-【H_2】O-【N_2】混合ガスを用いて、単一粒子の段階ごとおよび連続還元実験を行い、質量変化を測定して還元曲線を求めた。3.2項と同様の実験において、還元途中で反応を停止し、試料を【N_2】ガス中で急冷した。この試料を埋め込み研摩後、断面を観察した。4.500°Cから1000°Cまでの温度範囲で、小型固定層(500g)の段階ごとの還元実験を行い、CO-【CO_2】-【N_2】混合ガスの場合は赤外線式CO-【CO_2】濃度測定装置、【H_2】-【H_2】O-【N_2】の場合はガスクロマトグラフを用いて出口ガス濃度変化を測定することにより還元曲線を算出した。5.24項の測定結果より、一界面および三界面モデルに基づく解析を行い、モデル中の速度パラメータの適合値を求め、各場合について温度依存式を作成した。単一粒子実験の結果はバラツキが大きいが、固定層実験の結果は再現性が優れていた。得られた温度依存式による速度パラメータ値を用いた解析により、もとの各実測値を満足に記述できることがわかった。6.焼結鉱が高炉内でさらされる温度およびガス濃度に近似した温度・ガス組成変化を与えて、4項と同様の測定を行い、これらの実験結果と、5項で得られた速度パラメータの温度依存式を三界面モデルに適用して計算した結果とを比較したところ、高温側でずれはじめるものの、計算値はおおむね実測値の傾向を表していた。 | KAKENHI-PROJECT-59850110 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-59850110 |
湿原の保全を中心とした地域環境の整備に関する総合的研究 | 本研究は、15-17年の3年間において、福島県会津若松市内に位置する「赤井谷地湿原」(以下、本湿原とする)を事例として、湿原の保全、湿原と周辺水田整備との共生、湿原の利活用等の検討を通して、湿原を中心とした持続的な地域環境創造に係わる手法の検討等を主な目的に実施した。その主な内容は、(1)生態的視点から見た湿原の持続的保全手法に関する検討、(2)水質環境、水環境等、湿原の保全手法に関する工学的視点からの検討、(3)薬剤散布等による湿原への負荷を軽減、回避した環境保全型農法の検討、(4)環境教育・学習施設としての湿原の利活用方策に係わる検討等、多角的な視点から持続的な地域環境整備について検討したものである。その際には、水質調査、水生生物の生息実態調査、広域地下水位計測調査、環境保全調和型農法としてのアイガモ農法の実験、アンケートによる住民意識調査、シンポジウムやワークショップの開催等、種々の調査・実験方法を用いた。その結果の概要は以下の通りである。本湿原内には視認できる水生生物は確認されなかったのに対し、湿原の周辺地域の用水路では、環境省の絶滅危惧種にも指定されているメダカやホトケドジョウなどの小型魚種や、多様な水生昆虫類が確認された。また、メダカやホトケドジョウのmtDNAの対象とした系統解析を行った結果、両種とも会津地方の固有種であることが明らかとなった。また、本湿原の地下水位の高位維持を目的に設置された矢板工法は、有効に機能していることが把握された。今後も本湿原の排水を促進するとされる堀の付け替え工事、水路の止水工事などが実施される予定であるが、これらの生物多様性の保全や水資源の維持を前提とした工事方法の検討に加え、継続して本湿原の環境変化について検証していくことが必要である。とりわけ、湿原の回復を見込んだ休耕田における原生のミズゴケを主体とした植物群落の再生にはかなりの困難が予想され、積極的な回復手法の検討が必要である。さらに、周辺における農法としては、本湿原を維持し生物多様性を維持するためには、化学肥料や農薬を使用しないアイガモ農法(有機農法)が生物界を撹乱しない農法として有効であると推察された。利活用方策については、エコミュージアムとしての野外環境教育・学習施設の整備案や木道等のイメージ案の作成等を行ったが、その実現に向けて、継続的な活動を担う市民組織を中心とした仕組みづくり、自然再生推進法の適用等を念頭においた協議会の設立等の検討が必要であること等が指摘された。本研究は、15-17年の3年間において、福島県会津若松市内に位置する「赤井谷地湿原」(以下、本湿原とする)を事例として、湿原の保全、湿原と周辺水田整備との共生、湿原の利活用等の検討を通して、湿原を中心とした持続的な地域環境創造に係わる手法の検討等を主な目的に実施した。その主な内容は、(1)生態的視点から見た湿原の持続的保全手法に関する検討、(2)水質環境、水環境等、湿原の保全手法に関する工学的視点からの検討、(3)薬剤散布等による湿原への負荷を軽減、回避した環境保全型農法の検討、(4)環境教育・学習施設としての湿原の利活用方策に係わる検討等、多角的な視点から持続的な地域環境整備について検討したものである。その際には、水質調査、水生生物の生息実態調査、広域地下水位計測調査、環境保全調和型農法としてのアイガモ農法の実験、アンケートによる住民意識調査、シンポジウムやワークショップの開催等、種々の調査・実験方法を用いた。その結果の概要は以下の通りである。本湿原内には視認できる水生生物は確認されなかったのに対し、湿原の周辺地域の用水路では、環境省の絶滅危惧種にも指定されているメダカやホトケドジョウなどの小型魚種や、多様な水生昆虫類が確認された。また、メダカやホトケドジョウのmtDNAの対象とした系統解析を行った結果、両種とも会津地方の固有種であることが明らかとなった。また、本湿原の地下水位の高位維持を目的に設置された矢板工法は、有効に機能していることが把握された。今後も本湿原の排水を促進するとされる堀の付け替え工事、水路の止水工事などが実施される予定であるが、これらの生物多様性の保全や水資源の維持を前提とした工事方法の検討に加え、継続して本湿原の環境変化について検証していくことが必要である。とりわけ、湿原の回復を見込んだ休耕田における原生のミズゴケを主体とした植物群落の再生にはかなりの困難が予想され、積極的な回復手法の検討が必要である。さらに、周辺における農法としては、本湿原を維持し生物多様性を維持するためには、化学肥料や農薬を使用しないアイガモ農法(有機農法)が生物界を撹乱しない農法として有効であると推察された。利活用方策については、エコミュージアムとしての野外環境教育・学習施設の整備案や木道等のイメージ案の作成等を行ったが、その実現に向けて、継続的な活動を担う市民組織を中心とした仕組みづくり、自然再生推進法の適用等を念頭においた協議会の設立等の検討が必要であること等が指摘された。 | KAKENHI-PROJECT-15380226 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-15380226 |
湿原の保全を中心とした地域環境の整備に関する総合的研究 | 本研究の実施にあたっては、福島県赤井谷地沼野植物群落(以下、本湿原とする)を事例に、湿原の保全方策の検討、地域環境の整備手法に関する検討等を前提として、文献調査を通した地域環境に関する基礎的データの収集、本湿原および周辺部における水生動物の生息調査、水質調査、地下水位計測調査、環境保全型農法の検討調査、会津市民を対象としたアンケート調査等を行った。その結果、水生動物の生息調査からは、湿原内では湿原特異的な可能性をもつミズダニや線虫類が観察された。また、周辺部では絶滅危倶種であるメダカやホトケドジョウが観察され、水環境保全の意義は極めて高いことが把握された。水質調査の結果からは、湿原の水質保全に関し、湿原内では植物遺体の分解産物である腐植酸の影響、周辺部に関しては用水路等のコンクリート護岸、農業肥料の使用や周辺農家の家畜糞尿の影響等がその要因として推察された。地下水位計測調査の結果からは、湿原内外における地下水の移動、水位安定化のための矢板等工学的手法による移動実態、水位の変動に伴う植生状況等が把握された。以上の調査結果等より、本湿原周辺部での湿原化候補地の選定を行う一方で、得られた調査データについてはデジタル化し、今後の調査結果との比較検討を可能とした。また、本湿原の保全に配慮した大規模水田整備工法の検討にあたっては、特に環境保全調和型農法であるアイガモ農法の実践例等を踏まえ、本湿原隣接地での実験水田の選定を行い、平成16年度からの実験開始の準備を行った。同様に、周辺地域環境に関わる整備手法の検討にあたっては、会津若栓市民を対象とした地域環境資源の認識、本湿原の保全や利活用や維持管理方策に関するアンケート調査を通して住民意識を把握し、今後の方向性等を把握した。なお、今後の湿原保全方策や地域環境整備手法の検討にあたっては、前掲の各種調査に関する継続的実施等の必要性が把握された。本研究にあたっては、15年度の結果を踏まえつつ、16年度の研究計画に基づき、福島県赤井谷地沼野植物群落(以下、本湿原とする)の保全方策の検討、地域環境の整備手法に関する検討等を前提として、本湿原および周辺部における水生動物の生息調査、地下水位計測調査、水質調査、環境保全型農法の実験、会津市民等を対象としたシンポジウムの開催、アンケート調査等を実施した。その結果、(1)水生動物の生息調査からは、ミズゴケ等が繁茂する湿原内では微小水生生物しか認められず、湿原特有の環境が保たれていること。また、湿原に隣接する復元予定地では、環境の変化に弱く全国的に生息数を減少させている水生昆虫や小型魚類が確認された。DNA解析等をも踏まえ、当該地域の水生動物にとっては、貴重な生息・生息の場であるものと推定された。(2)地下水位計測調査の結果からは、湿原内の地下水位は圃場側よりも高い位置で安定する等の矢板工法の成果が認められた。また、復元予定地等での植生調査の結果、中生植物から湿生植物への遷移が一部で見られ、水田開発以前の湿原へと回復する可能性が認められた。(3)水質調査の結果からは、赤井谷地周辺の水質については、Ca^<2+>・Mg^<2+>の値が上昇しており、この主要因としては、苦土石灰等の肥料の利用によるものと推定された。なお、以上の地下水位、水質、植生遷移、水生動物等のデータについてはデジタル化し、赤井谷地の水環境に関わる特性としてまとめる予定である。(4)本湿原の保全に配慮した環境保全調和型農法の検討にあたっては、48月にかけ湿原に隣接する35アールの水田において、アイガモ農法の実験を試み、水質等のデータを分析した。 | KAKENHI-PROJECT-15380226 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-15380226 |
上皮-間葉系転換(EMT)モデルシステムを利用したEMTメカニズムの解明 | EMTに関係すると推測した転写因子のうち、SOX9またはSOX10をマウス線維芽細胞に過剰発現させると、神経堤細胞マーカー遺伝子P75、Foxd3、Pax3を発現し、神経細胞、グリア細胞、平滑筋細胞、脂肪細胞、骨細胞に分化する神経堤様の細胞に直接転換することを明らかにした。また、EMTに関係すると推測した転写因子のうち、4つの転写因子が角化細胞にEMTを起こすことを明らかにした。この4つの転写因子によるEMTと供にSOX10を過剰発現させて、角化細胞を神経堤様の細胞に直接転換できる可能性も見い出した。上皮-間葉系転換(EMT)は、癌細胞浸潤、細胞の幹細胞性の獲得、臓器の形態形成で重要な役割を持つ現象である。本研究は、神経堤細胞発生という典型的なEMT現象を蛍光タンパク質GFPの発現で観察することができるSox10-IRES-GFPマウスを利用して、EMTのメカニズムを明らかにするものである。平成26年度においては、以下の実験を行った。1.Sox10-IRES-GFPマウスの上皮系細胞を用いたEMTモデルシステムの確立:EMT現象を観察するための上皮系組織として神経管を選び、胎齢7.514.5日のマウス胚神経管の摘出法と培養条件を検討した。胎齢8.5日マウス胚の神経管を高濃度のFGF存在下で培養することが適切であることを見出した。2.EMTモデルシステムを用いたEMT関係遺伝子の探索:レトロウィルスを用いた遺伝子過剰発現方法の検討を行い、神経管への効果的な発現方法を確立した。さらに、EMT現象に関係すると推測した転写因子を神経管で過剰発現させて、EMT現象の亢進や抑制をGFP発現を指標にしてフローサイトメーターで調べた。幾つかの転写因子の過剰発現でGFPの発現の変動が観察され、EMT現象への関与が示唆された。今後、明らかにした転写因子のEMTでの役割を解析する予定である。平成27年度においては、本研究中に観察された現象であるEMTに関係する転写因子を用いた神経堤細胞への直接転換について特化して行った。以下にその結果を述べる。1. EMT現象に関係する転写因子を用いた神経堤細胞への直接転換:EMT現象に関係すると推測した転写因子をSox10-IRES-GFPマウス由来の細胞に過剰発現させ神経堤細胞へ直接転換できるかどうかの検討を行った。様々な転写因子を検討した結果、SOX9もしくはSOX10をSox10-IRES-GFPマウス由来の線維芽細胞に各々単独で過剰発現させると、約6日でGFP(SOX10)陽性細胞が発生することが明らかになった。フローサイトメーターでGFP陽性細胞を採取したところ、神経堤細胞のマーカー遺伝子P75、Foxd3、Pax3等の発現がRT-PCRにより認められた。さらにGFP陽性細胞を分化培地で3週間培養すると、神経細胞、グリア細胞、平滑筋細胞、脂肪細胞、骨細胞への分化が認められた。以上より、SOX9とSOX10が線維芽細胞を神経堤様の細胞に直接転換していることが明らかになった。ただ、この神経堤様の細胞を長期間維持するにはSOX9もしくはSOX10だけでは十分ではなく、同時にc-MYC、KLF4の発現が必要だった。2.線維芽細胞以外の細胞での神経堤細胞への直接転換:線維芽細胞以外の細胞でもSOX10の過剰発現を行い、神経堤細胞への直接転換を試みた。骨髄由来ストローマ細胞ST2ではSOX10を過剰発現により神経堤細胞のマーカー遺伝子が発現し、グリア細胞に分化できる神経堤様細胞が発生した。一方、角化細胞XB2、ミエローマ細胞SE1ではSOX10を過剰発現しても神経堤様細胞は発生しなかった。以上より、線維芽細胞や骨髄ストローマ細胞などの間葉系細胞以外の細胞を神経堤細胞へ直接転換するためには、SOX10以外の転写因子が必要で有ることが示唆された。特に上皮系細胞の直接転換では、EMTに関係する転写因子の役割が期待された。本研究から派生した成果である線維芽細胞の神経堤細胞への直接転換研究に特化したため、本研究をあまり進展させることができなかった。しかしこの成果を元にして様々な細胞のEMTを介した神経堤細胞への転換研究を今後も続けることは、本研究の目的であるEMT現象の解明につながると思われる。平成28年度においては、以下の2つの研究を行った。1. EMT現象に関する遺伝子の探索:EMT現象に関係すると推測した転写因子群を上皮系細胞にレトロウィルスを用いて過剰発現させて、EMT現象の発生の有無をフローサイトメーターと定量的PCRで調べた。間葉系細胞のマーカーであるSca-1、PDGFRαの発現を指標にスクリーニングをした結果、4つの転写因子を同時に発現することでマウス角化細胞からSca-1、PDGFRα両陽性細胞が顕著に出現することがわかった。しかも、Sca-1、PDGFRα両陽性細胞ではVimentinの発現が上昇し、E-Cadherinの発現が減少するという典型的なEMT現象が発生していることが観察された。今後、出現したSca-1、PDGFRα両陽性細胞の間葉系細胞としての性質を遺伝子発現と分化能を中心に調べる予定である。 | KAKENHI-PROJECT-26460273 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-26460273 |
上皮-間葉系転換(EMT)モデルシステムを利用したEMTメカニズムの解明 | 2. EMT現象を用いた神経堤細胞への直接転換:平成27年度までの研究で、マウス線維芽細胞にSOX9もしくはSOX10を過剰発現させると、神経細胞、グリア細胞、平滑筋細胞、脂肪細胞、骨細胞への分化能を持つ神経堤細胞に直接転換することを見出した。しかし、同じ方法では線維芽細胞以外の細胞を神経堤細胞へ直接転換することはできなかった。そこで、線維芽細胞以外の細胞の神経堤細胞への直接転換法の探索を行った。マウス角化細胞にSOX10と供に上記の研究1で明らかしたEMTに関係する転写因子を過剰発現させると、約10日で神経堤細胞のマーカーであるP75を発現する細胞が発生した。フローサイトメーターでP75陽性細胞を採取しRT-PCRを行ったところ、神経堤細胞のマーカー遺伝子Foxd3、Pax3等の発現が認められた。今後、P75陽性細胞の分化能を調べる予定である。研究課題であるEMTの発生メカニズムの探索を進める中、予想しなかった新しい事象である線維芽細胞の神経堤細胞への直接転換が観察された。この現象は当研究課題の遂行に大きく影響を与え、今後大きく展開しうる可能性を秘めていた為、その研究を研究課題と並行して進める必要が生じた。さらに、組織改編により研究協力員を十分に確保できなかった。EMT現象に関する遺伝子の探索:前年度までに、マウス角化細胞に4つの転写因子をレトロウィルスを用いて同時に過剰発現するとSca-1、PDGFRα両陽性細胞が出現することを見出した。さらにこの両陽性細胞ではVimentinの発現上昇とE-Cadherinの発現減少がみられ、4つの転写因子によりマウス角化細胞でEMT現象が発生していることが明らかになった。本年度は、Sca-1、PDGFRα両陽性細胞の遺伝子発現と分化能を調べ、間葉系細胞としての性質を調べた。単離したSca-1、PDGFRα両陽性細胞では間葉系細胞のマーカーCD105とCD49eの発現が観察された。さらに間葉系細胞分化培地で培養したところ脂肪細胞への分化も観察された。以上より、Sca-1、PDGFRα両陽性細胞はEMTにより発生した間葉系細胞であることが示唆された。今後は発生した間葉系細胞の他の細胞系譜への分化(骨細胞、軟骨細胞など)を調べるとともに、4つの転写因子によるEMT発生のメカニズムも解明する予定である。EMT現象を用いた神経堤細胞への直接転換:これまでの研究では、神経堤細胞に直接転換できなかった角化細胞が、上記の研究で明らかした4つの転写因子によるEMT現象の発生と供にSOX10を過剰発現させると、約10日で神経堤細胞のマーカーであるP75を発現する細胞に転換することを示してきた。本年度はP75陽性細胞を採取し、その分化能を調べた。P75陽性細胞を採取し、神経堤細胞の分化条件で培養したところ、約3週間後にTuJ-1陽性の神経細胞、GFAP陽性のグリア細胞が免疫染色によって確認された。これにより出現したP75陽性細胞は、生体の神経堤細胞と同様の分化能を持つことが観察された。本研究により、神経堤細胞に直接転換できなかった角化細胞でも、EMTを経由すれば神経堤細胞に直接転換できる可能性が見い出された。EMTに関係すると推測した転写因子のうち、SOX9またはSOX10をマウス線維芽細胞に過剰発現させると、神経堤細胞マーカー遺伝子P75、Foxd3、Pax3を発現し、神経細胞、グリア細胞、平滑筋細胞、脂肪細胞、骨細胞に分化する神経堤様の細胞に直接転換することを明らかにした。 | KAKENHI-PROJECT-26460273 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-26460273 |
炭素同位体を用いた大気中メタンの循環の研究 | 2年目にあたる平成10年度には、平成9年度に完成した高精度大気中メタン炭素同位体比測定の技術を生かし、主に成層圏メタンの炭素同位体比の観測に重点を置き、以下のことを明らかにした。宇宙科学研究所と東北大学とによって継続されている、大気球を用いた日本上空の成層圏の空気採集実験に参加し、その空気試料からメタン炭素同位体比を測定した。これまでの気球実験において保存されていた、94、95、97年の試料を用い、高度35km付近までのメタン炭素同位体比の鉛直プロファイルが得られた。対流圏界面付近ではおよそ-47パーミルであるメタン炭素同位体比は、2025kmの高度で急激に増加する。2535kmにかけてはやや緩やかな増加を示し、高度35km付近では約-36-39パーミルという高い値を示した。このようなメタン炭素同位体比の増加は、成層圏内でのメタン消滅過程において強い同位体分別効果が生じていることを示している。また年による鉛直プロファイルの相違は、メタン濃度のそれと逆相関の良い対応が見られた。すなわちメタン炭素同位体比の鉛直プロファイルの相違は、主に成層圏でのメタンの消滅反応の強弱によって生じているものと考えられる。さらに国立極地研究所と共同し、1998年3月に航空機による北極域成層圏下部の広域観測も実施した。その結果、水平方向の空間分布でもメタン濃度と炭素同位体比の間には明瞭な負の相関があり、光化学反応によって消滅する際に同位体分別が起きていることが示された。北極上空成層圏下部で得られたメタン濃度と炭素同位体比の両者の関係から推定される見かけの同位体分別係数は1.013(±0.003)であり、このことから、成層圏メタン消滅の1217%が、塩素ラジカルとの反応消滅によるものと推定された。今年度は、航空機を用いた対流圏メタンの炭素同位体比の観測に重点を置き、メタン炭素同位体比を高精度で測定するためのサンプリングフラスコ、および航空機に搭載するための簡便な小型試料大気採集装置の製作を完了した。採集した空気試料は、まずガスクロマトグラフによるメタン濃度の分析に使用し、残りの試料に含まれるメタンを酸化精製装置によって純粋な二酸化炭素に変換し、その炭素同位体比を質量分析計を用いて測定した。これらの手法により、メタン炭素同位体比を、±0.1‰の精度で分析することに成功した。これを用いて、温室効果気体の航空機観測に実績のある東北大学理学部と協力し、蔵王山頂、および仙台と東京上空の対流圏内高度04kmにわたって試料空気の採集を実施した。その結果、蔵王でのメタン濃度が一般にバックグラウンドレベルと考えられる1820ppbv程度を示したのに対し、都内対流圏下部ではかなり高く、19002100ppbvの値を示した。これと同時に測定されたメタン炭素同位体比は、蔵王において約-47.8‰であるのに対し、都内では-47.1‰-46.3‰であり、都内域においてメタン炭素同位体比が高い値を示すことが明らかになった。この事実は、都市域における高濃度が、炭素同位体比の高いメタンを放出する特性を持った放出源に起因していることを示唆している。一般に自然起源のメタンは嫌気性微生物の生体活動に伴って発生するため、その生化学的プロセスのために、放出されるメタンの炭素同位体比は-60‰-70‰程度と低い。これに比して、本研究で示唆された同位体比の高い放出源は、生化学的プロセスによるものとは考えにくく、自動車の排気ガスなどの熱的変成を起源とするメタン放出であると考えられる。2年目にあたる平成10年度には、平成9年度に完成した高精度大気中メタン炭素同位体比測定の技術を生かし、主に成層圏メタンの炭素同位体比の観測に重点を置き、以下のことを明らかにした。宇宙科学研究所と東北大学とによって継続されている、大気球を用いた日本上空の成層圏の空気採集実験に参加し、その空気試料からメタン炭素同位体比を測定した。これまでの気球実験において保存されていた、94、95、97年の試料を用い、高度35km付近までのメタン炭素同位体比の鉛直プロファイルが得られた。対流圏界面付近ではおよそ-47パーミルであるメタン炭素同位体比は、2025kmの高度で急激に増加する。2535kmにかけてはやや緩やかな増加を示し、高度35km付近では約-36-39パーミルという高い値を示した。このようなメタン炭素同位体比の増加は、成層圏内でのメタン消滅過程において強い同位体分別効果が生じていることを示している。また年による鉛直プロファイルの相違は、メタン濃度のそれと逆相関の良い対応が見られた。すなわちメタン炭素同位体比の鉛直プロファイルの相違は、主に成層圏でのメタンの消滅反応の強弱によって生じているものと考えられる。さらに国立極地研究所と共同し、1998年3月に航空機による北極域成層圏下部の広域観測も実施した。その結果、水平方向の空間分布でもメタン濃度と炭素同位体比の間には明瞭な負の相関があり、光化学反応によって消滅する際に同位体分別が起きていることが示された。 | KAKENHI-PROJECT-09740360 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-09740360 |
炭素同位体を用いた大気中メタンの循環の研究 | 北極上空成層圏下部で得られたメタン濃度と炭素同位体比の両者の関係から推定される見かけの同位体分別係数は1.013(±0.003)であり、このことから、成層圏メタン消滅の1217%が、塩素ラジカルとの反応消滅によるものと推定された。 | KAKENHI-PROJECT-09740360 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-09740360 |
FRCフレームワークを利用した、直接法による栓塞子作製方法の開発 | 試作FRCの曲げ強さを測定したところ、試作FRCは栓塞子を構成するフレームワークとして十分な強度を有することが分かった。また、試作FRCを利用した外来での栓塞子作製方法を考案し実際に栓塞子作製を試みたところ、FRCフレームワークは栓塞子の軽量化に大きく貢献することが分かった。しかしながら、手技的に練度を求められる面があり、より簡便で術者を選ばない方法を引き続き研究していく必要があると思われる。試作FRCの曲げ強さを測定したところ、試作FRCは栓塞子を構成するフレームワークとして十分な強度を有することが分かった。また、試作FRCを利用した外来での栓塞子作製方法を考案し実際に栓塞子作製を試みたところ、FRCフレームワークは栓塞子の軽量化に大きく貢献することが分かった。しかしながら、手技的に練度を求められる面があり、より簡便で術者を選ばない方法を引き続き研究していく必要があると思われる。直接法による栓塞子作製を念頭におき、FRCフレームワークに関する材料科学的検討を行った。FRCは幅5.0mm,厚さ1.0mmの棒状に規格化された態で完成すちよう、光重合器丈(UniXS II,ヘレウスクルツァー)にて3分間光重合させた。FRCを構成するガラス繊維は、アクリルシラン処理された繊維径20μm(旭ファイバーグラス)のものを使用し、マトリックスレジンはUDMA : TEGDMA=1:1, 1:2, 1:3の3種を調合し採用した。直接法ということで、FRC補強を行う材料は通常の床用レジンではなく、硬質の床裏装材や修理用レジンを対象とした。ISO1567に準拠した板状の試料(2.5×10×65mm)を作製し、試料の中心部にFRCの硬化体が配置されるとう、試料を完成させた。試料は37°Cの蒸留水中に50時間浸漬後、オートグラフ(AGS-J,島製作所)にてクロスヘッドスピード5mm/min、支点間距離50mmので三点曲げ試験を行った。得られた結果に対し、一元配置分散分析とNewman-Keuls多重比較検定を行った。信頼区間は95%とした。今回、3種の床裏装材と2種の修理用レジンに対してこのような実験を行ったところ、FRC補強を質っや試料は補強なしの試料に対して、1.51.7倍の曲げ強さを示した。これは一般の加熱重合型床用レジンを有意に上まわる強さであった。3種のマスレジン間において強度に有意差は認めなかった。今回の結果から、FRCをフレームワークとして床裏装材や修理用レジンにて栓塞子を構成した場合の曲げ強さは、臨床応用に十分耐えるものであることが示唆された。このことは栓塞子のレジンの厚みを従来より薄く作製することが可能であることを意味しており、上顎の顎補綴物の軽量化に寄与するものであることを示すものである。FRCフレームワークを使用して歯科外来で直接法にて構築される栓塞子の実際の手技,診療の流れを考案した。工業界のFRP製品に見られるような,ガラス繊維材料による立体構築の手法,樹脂の被覆方法や,歯科界におけるFRCの応用の実際等を参考に,作製方法を模索した。今回採用した方法は,プリプレグ(ガラス繊維束に樹脂を含浸させ半硬化体としたもの)を複数積層することで所望の形態を構築し熱硬化させる、オートクレープと呼ばれる工業界の手法を参考とした。【製作ステップ】1. FRC作製(プリプレグ状):ガラス繊維(直径20μm,Eガラス)を任意の長さに切断し、光重合レジン(UDMA/TEGDMA=1:1)を含浸させ、FRCプリプレグとする。2.栓塞子骨格の構築:診断用模型や実際の口腔内等を参考にしながら、複数のFRCプリプレグを格子状に構成する。必要に応じて歯科用コンポジットレジン重合用の光照射器を用いて予備重合を行いつつ、徐々に栓塞子骨格を構築していく。栓塞子骨格を口腔内に試適し、骨格形態を見いだしていく。3.栓塞子骨格の光重合:最終的な形態を決定した後、栓塞子骨格の光重合を行う。この場合の光重合器は歯科用コンポジットレジン重合用の光照射器ではなく、歯科技工用の強力なものが望ましい。4.栓塞子骨格と義歯本体とを接着:栓塞子骨格と義歯本体との位置関係を決定した後、栓塞子骨格と義歯本体とを接着させる。接着材料には、接着強度の観点からはスーパーボンドC&B(サンメディカル)が優れていた。5.栓塞子骨格を床用材料で被覆:任意の修理用レジンもしくは床裏装材で栓塞子骨格を1本ずつ被覆した後、骨格間の間隙を埋めていく。最終的には床裏装法の要領で栓塞子骨格を床用材料で完全に被覆し、顎欠損部に適合させる。 | KAKENHI-PROJECT-20791485 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-20791485 |
シャフト炉による直接製鉄におけるエネルギーの有効利用 | シャフト炉プロセスは高炉以外の製鉄法として、資源やエネルギーを有する開発途上国において実用化が急速に進んでいる。しかし、シャフト炉法の原料から製品に至るまでの各々のプロセスおよびプロセス全体の評価に関する研究が不十分で、良質原料の開発や最適操業条件の検討などにより、生産性や省エネルギーに関して大巾な改善が期待できる。とくに、鉄鉱石をセメントで結合した非焼成原料の使用は環境保全の観点からも極めて有望である。以上の観点から、本研究では、まず、非焼成ペレットの製造方法、被還元性および物理的性質などの基礎的研究を行ない、非焼成ペレットは含有水分や粉発生の問題を有しているものの被還元性が良好で、シャフト炉装入原料として有効であることを見い出した。ついで、非焼成ペレットならびに塊鉄鋼石の実験室規模のシャフト炉による還元および乾燥の実験を行ない、装置への適用性を検討した。その結果、含有水分および還元過程における強度低下の問題を明らかにして、実プロセスへの適用が可能であることを見い出した。また、シャフト炉内での種々の現象は数学的モデルによる解析とシミュレーション計算によって確認されたので、広範囲の条件下における検討が可能となった。最後に、エクセルギー解析の手法により、シャフト炉による還元鉄製造プロセスのエネルギー評価を行ない、非焼成ペレットを使用するプロセスは所要エネルギーが少なく、省エネルギープロセスであることを明らかにした。昭和62年度は本研究期間3年の中間年にあたる.当初の計画に従がって本年は次の研究を行なった.1.セメントボンド非焼成ペレットの製造とその物理的,化学的性質に関する実験的研究セメント添加量の異なる非焼成ペレットを製造して,その強度ならびに被還元性に関する研究を行なった.その結果,セメント添加量は34%で十分であること,焼成ペレットと比較して被還元性が良いことが明らかとなった.2.還元鉄製造プロセスのエネルギー評価の研究還元鉄を製造するシャフト炉プロセスにおいて,焼成および非焼成原料を用いた場合のエネルギー評価を,実験データに基づき,エクセルギー解析の手法により行なった.その結果,非焼成プロセスは,原料の物理的性質に問題がなく,所要エネルギーの少ないプロセスであることが明らかとなった.現在,溶融プロセスまで含めた製鉄プロセス全体の評価を進めている.3.非焼成ペレット含有水分の乾燥に関する研究非焼成ペレットは焼成のエネルギーを要しない利点を有しているものの,セメント結合および原料鉱石が保有している結晶水などのために水分を含有している.したがって,乾燥のためのエネルギーを必要としている.本研究では移動層によるペレットの乾燥実験と数学的モデルによる解析を行ない,乾燥に要するエネルギーの評価を行なった.以上の研究結果は,研究発表に記述した論文課題で発表している.シャフト炉プロセスは高炉以外の製鉄法として、資源やエネルギーを有する開発途上国において実用化が急速に進んでいる。しかし、シャフト炉法の原料から製品に至るまでの各々のプロセスおよびプロセス全体の評価に関する研究が不十分で、良質原料の開発や最適操業条件の検討などにより、生産性や省エネルギーに関して大巾な改善が期待できる。とくに、鉄鉱石をセメントで結合した非焼成原料の使用は環境保全の観点からも極めて有望である。以上の観点から、本研究では、まず、非焼成ペレットの製造方法、被還元性および物理的性質などの基礎的研究を行ない、非焼成ペレットは含有水分や粉発生の問題を有しているものの被還元性が良好で、シャフト炉装入原料として有効であることを見い出した。ついで、非焼成ペレットならびに塊鉄鋼石の実験室規模のシャフト炉による還元および乾燥の実験を行ない、装置への適用性を検討した。その結果、含有水分および還元過程における強度低下の問題を明らかにして、実プロセスへの適用が可能であることを見い出した。また、シャフト炉内での種々の現象は数学的モデルによる解析とシミュレーション計算によって確認されたので、広範囲の条件下における検討が可能となった。最後に、エクセルギー解析の手法により、シャフト炉による還元鉄製造プロセスのエネルギー評価を行ない、非焼成ペレットを使用するプロセスは所要エネルギーが少なく、省エネルギープロセスであることを明らかにした。本研究者らは、これまで小型高圧シャフト炉実験装置を製作し、酸化鉄ペレットの高圧下におけるガス還元反応の実験を行ない、還元鉄製造に関する数々の知見を得るとともに、数学的モデルによるプロセス解析の研究を行ない、とくに高圧下では還元反応のみならず、水性ガスシフト反応、メタネーション反応などの反応速度と反応熱の評価が重要であることなどを明らかにしてきた。本研究ではこれまでの知見をさらに発展させ、これまで得られてたシャフト炉の実験データやペレット製造に関して公表されているデータに基づきエクセルギー解析の手法による製鉄プロセスのエネルギー評価を行なったものである。研究の進め方として、まず、セメントボンド非焼成ペレットにおけるセメント添加量の低減およびその物理的性質と被還元性に関する基礎的実験を行ない、ついで、還元鉄製造プロセスのエネルギー収支計算を行なった。現時点までに次のような知見が得られている。1.工業的に必要な強度を得るため、セメントボンド非焼成ペレットのセメント添加量は約34%まで低減できる。ただし、この、この値は現行法によるペレット製造の場合である。2.非焼成ペレットの還元過程における強度は低下するものの、シャフト炉への適用は可能であった。ペレット中に含まれる水分については乾燥などの事前処理が必要である。3.非焼成ペレットの被還元性は焼成ペレットよりも優れている。これは有効拡散保数が大きい細孔構造を有しているためである。 | KAKENHI-PROJECT-61550490 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-61550490 |
シャフト炉による直接製鉄におけるエネルギーの有効利用 | 4.非焼成ペレットを使用した場合のペレット製造シャフト炉による還元鉄製造プロセスにおける必要エクセルギーは焼成ペレットを使用した場合の約60%であった。昭和63年度は本研究期間の最終年にあたる。当初の計画に従って、本年は次の研究を行った。1.非焼成ペレット中水分の乾燥で伝熱解析非焼成ペレット中に含まれている付着水および結晶水の乾燥実験を等温および非等温条件下で行い、乾燥の挙動を数学的にモデルで解析し、水分の除去に必要な熱エネルギーの評価を行った。2.シャウト炉による還元のエネルギー評価シャフト炉による酸化鉄ペレットの還元実験で得られたデータに基づき、エクセルギー解析の手法によりエネルギー計算を行った。3.ペレット製造および焼成プロセスのエネルギー評価還元鉄製造プロセスの中でシャフト炉以外のペレット製造プロセス、焼成プロセス、養生プロセス、セメント製造プロセスなどのエネルギー評価を公表されているデータに基づいて行った。4.還元鉄製造プロセス全体のエネルギー評価前記2および3の結果から、還元鉄製造プロセス全体のエネルギー評価を非焼成プロセスと焼成プロセスに区別して行い、両者の比較検討を行った。5.まとめ過去3年間で得られた結果をとりまとめ、研究報告書を作成した。 | KAKENHI-PROJECT-61550490 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-61550490 |
降水を伴う中規模気象擾乱の観測・解析・数値モデルに関する総合的研究 | 本研究課的では、降水を伴う中規模気象擾乱の研究について、観測・解析・数値モデルのそれぞれの面から、現状と問題点さらに今後の課題について検討し、今後の方針をまとめた。これらは主に以下の3回の会議において行なわれた。1.第1回全体会議:平成4年7月7日(参加者21名)研究分担者は中規模気象擾乱に関する観測法・解析法・数値モデルのそれぞれの項目のグループにわかれて調査検討し研究課題を進めた。第1回目の会議では、それぞれの分担事項における現状のレビューと問題点の提示をし、それらについて討論を行なった。また今後の中規模気象擾羅の研究の方向づけができるように、それぞれのグループが有機的なつながりを持って研究課題を進めることになった。2.第2回全体会議:平成5年1月26日(参加者20名)この会議ではパネルディスカッションの形式をとり、提供された中規模気象擾乱及び雲物理学に関する話題について討論した。内容は、国内外のメソ気象観測の現状、京都大学防災研究所の観測設備計画、名古屋大学水圏科学研究所の全国共同利用化について、鉱山の縦坑における雲物理学実験、数値モデルの開発に関する調査・検討、メソモデルの現状と今後の現題、関東平野におけるメソ気象の総合的研究案、気象学と水文学の共同観測実験などであった。3.第3回全体会議:平成5年2月5日(参加者9名)この会議では第2回と同様にパネルディスカッションの形式をとり、前回出されなかった話題について討論した。内容は、北海道大学の観測体制、実用兵偏波レーダーの技術開発、寒地気象実験施設、MUレーダーのメソ気象観測への利用、レーダーデータの高圧縮アルゴリズム、メソモデルの現状と問題点などであった。これら3回の全体会議により国内のメソ気象の研究の、観測・解析・数値モデルについての現状と問題点が明らかにされ、将来の研究の方向が検討され、それらがまとめられた。本研究課的では、降水を伴う中規模気象擾乱の研究について、観測・解析・数値モデルのそれぞれの面から、現状と問題点さらに今後の課題について検討し、今後の方針をまとめた。これらは主に以下の3回の会議において行なわれた。1.第1回全体会議:平成4年7月7日(参加者21名)研究分担者は中規模気象擾乱に関する観測法・解析法・数値モデルのそれぞれの項目のグループにわかれて調査検討し研究課題を進めた。第1回目の会議では、それぞれの分担事項における現状のレビューと問題点の提示をし、それらについて討論を行なった。また今後の中規模気象擾羅の研究の方向づけができるように、それぞれのグループが有機的なつながりを持って研究課題を進めることになった。2.第2回全体会議:平成5年1月26日(参加者20名)この会議ではパネルディスカッションの形式をとり、提供された中規模気象擾乱及び雲物理学に関する話題について討論した。内容は、国内外のメソ気象観測の現状、京都大学防災研究所の観測設備計画、名古屋大学水圏科学研究所の全国共同利用化について、鉱山の縦坑における雲物理学実験、数値モデルの開発に関する調査・検討、メソモデルの現状と今後の現題、関東平野におけるメソ気象の総合的研究案、気象学と水文学の共同観測実験などであった。3.第3回全体会議:平成5年2月5日(参加者9名)この会議では第2回と同様にパネルディスカッションの形式をとり、前回出されなかった話題について討論した。内容は、北海道大学の観測体制、実用兵偏波レーダーの技術開発、寒地気象実験施設、MUレーダーのメソ気象観測への利用、レーダーデータの高圧縮アルゴリズム、メソモデルの現状と問題点などであった。これら3回の全体会議により国内のメソ気象の研究の、観測・解析・数値モデルについての現状と問題点が明らかにされ、将来の研究の方向が検討され、それらがまとめられた。 | KAKENHI-PROJECT-04352016 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-04352016 |
検索可能一部実施要因計画の研究 | m個の因子で各々2レベルで施される一部実施要因計画を考える。l+s+1因子交互作用以上の母数が無視可能、さらにl+1因子交互作用、....、l+s因子交互作用の中に高々k個の未知な母数が含まれ、それらは事前にはどれであるか不明であるというモデルの下で(2≦l<m、s≦m-l)、本研究は検索可能計画Tの具体的な構成に関わるものである。まずTを強さt、制約数mの均斉配列という組合せ的性質を持つ一部実施要因計画に限定して考え、Srivastava(1976)によって与えられた検索可能計画となるための必要十分条件を、構成的な観点から特徴付けた。均斉配列は応用的に有用である釣合い型一部実施要因計画と深い関わりを持ち、本研究代表者を含めた多くの研究者によって均斉配列の持つ組合せ的、代数的な性質が研究されている。ここでの研究の目的の1つは均斉配列と検索可能計画との関係を明らかにすることで、上記の特徴付でその目的は達成されたと云える。その結果を用いて、l=1,s=2,k=1及びl=1,s=2,k=2という具体的なモデルの下で、検索可能計画を与える均斉配列Tを構成した。この計画を得る過程で、すなわちSrivastavaの必要十分条件をチェックするための場合い分けに、グラフ論での非同型な単純グラフの分類を用いたことは大きな特徴である。さらに均斉配列の代数的な性質を用いて、ここで得られた検索可能計画は、均斉配列から得られるすべての検索可能計画の中で処理組合せ数(実験回数)が最小となることを示した。同様な理論を用いて、l=2、s=2、k=1のモデルの下で、検索可能計画を与える均斉配列が得られた。しかし本研究の目的の1つとしたk=2、3の場合の構成は、チェックのための場合い分けが非常に複雑で、さらなる検討が必要である。m個の因子で各々2レベルで施される一部実施要因計画を考える。l+s+1因子交互作用以上の母数が無視可能、さらにl+1因子交互作用、....、l+s因子交互作用の中に高々k個の未知な母数が含まれ、それらは事前にはどれであるか不明であるというモデルの下で(2≦l<m、s≦m-l)、本研究は検索可能計画Tの具体的な構成に関わるものである。まずTを強さt、制約数mの均斉配列という組合せ的性質を持つ一部実施要因計画に限定して考え、Srivastava(1976)によって与えられた検索可能計画となるための必要十分条件を、構成的な観点から特徴付けた。均斉配列は応用的に有用である釣合い型一部実施要因計画と深い関わりを持ち、本研究代表者を含めた多くの研究者によって均斉配列の持つ組合せ的、代数的な性質が研究されている。ここでの研究の目的の1つは均斉配列と検索可能計画との関係を明らかにすることで、上記の特徴付でその目的は達成されたと云える。その結果を用いて、l=1,s=2,k=1及びl=1,s=2,k=2という具体的なモデルの下で、検索可能計画を与える均斉配列Tを構成した。この計画を得る過程で、すなわちSrivastavaの必要十分条件をチェックするための場合い分けに、グラフ論での非同型な単純グラフの分類を用いたことは大きな特徴である。さらに均斉配列の代数的な性質を用いて、ここで得られた検索可能計画は、均斉配列から得られるすべての検索可能計画の中で処理組合せ数(実験回数)が最小となることを示した。同様な理論を用いて、l=2、s=2、k=1のモデルの下で、検索可能計画を与える均斉配列が得られた。しかし本研究の目的の1つとしたk=2、3の場合の構成は、チェックのための場合い分けが非常に複雑で、さらなる検討が必要である。 | KAKENHI-PROJECT-04640229 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-04640229 |
外科侵襲時の腸管免疫の病態とその全身防御反応への関与機序の分子生物学的解明と対策 | 本研究の目的は、外科侵襲時の腸管免疫の病態とその全身防御反応への関与機序を分子生物学的に解明し、生体防御能増強・炎症遷延化防止・臓器障害発生抑制をめざした対策を開発することにある。腸管免疫の異常と密接に関連した炎症性腸疾患をモデルとした実験系を用いて、本研究は、以下のような研究実績を得た。TNF-α・LPS刺激を受けた腸上皮細胞による好中球・リンパ球の遊走の増加を、double chamber modelを用いたchemotaxis assay法にて定量的に評価した。ヒト小腸上皮細胞株FHSにTNF-αまたはLPS刺激を加え、24時間後、ヒト臍帯血管内皮細胞を培養したinsert chamberを挿入し、健常成人末梢血より分離した好中球またはリンパ球を分注した。37°Cにて、リンパ球は3時間、好中球は45分培養し、下層に遊走した細胞の数をフローサイトメトリーにて計測した。その結果、腸上皮細胞はTNF-α刺激に反応して好中球・リンパ球の遊走を増加させたが、LPS刺激では遊走細胞数は増加しなかった。すなわち、炎症性腸疾患の症状増悪時には、TNF-αに刺激された腸上皮細胞が好中球やリンパ球のchemoattractantを産生し、この結果として遊走の増加した好中球・リンパ球が更に粘膜傷害を増悪させるという悪循環が生じている可能性が示唆された。腸管におけるサイトカインの過剰産生とそれに対する反応としての好中球・リンパ球の遊走を抑制することは、炎症性腸疾患の症状増悪の遷延防止に寄与するものと考えられる。本研究の目的は、外科侵襲時の腸管免疫の病態とその全身防御反応への関与機序を分子生物学的に解明し、生体防御能増強・炎症遷延化防止・臓器障害発生抑制をめざした対策を開発することにある。腸管免疫の異常と密接に関連した炎症性腸疾患をモデルとした実験系を用いて、本研究は、以下のような研究実績を得た。TNF-α・LPS刺激を受けた腸上皮細胞による好中球・リンパ球の遊走の増加を、double chamber modelを用いたchemotaxis assay法にて定量的に評価した。ヒト小腸上皮細胞株FHSにTNF-αまたはLPS刺激を加え、24時間後、ヒト臍帯血管内皮細胞を培養したinsert chamberを挿入し、健常成人末梢血より分離した好中球またはリンパ球を分注した。37°Cにて、リンパ球は3時間、好中球は45分培養し、下層に遊走した細胞の数をフローサイトメトリーにて計測した。その結果、腸上皮細胞はTNF-α刺激に反応して好中球・リンパ球の遊走を増加させたが、LPS刺激では遊走細胞数は増加しなかった。すなわち、炎症性腸疾患の症状増悪時には、TNF-αに刺激された腸上皮細胞が好中球やリンパ球のchemoattractantを産生し、この結果として遊走の増加した好中球・リンパ球が更に粘膜傷害を増悪させるという悪循環が生じている可能性が示唆された。腸管におけるサイトカインの過剰産生とそれに対する反応としての好中球・リンパ球の遊走を抑制することは、炎症性腸疾患の症状増悪の遷延防止に寄与するものと考えられる。本研究は、重症外科侵襲時における腸管免疫系に生ずる病態をまず明らかにし、さらにその腸管免疫系の変化が全身免疫系(全身防御反応)の低下にどのように関与しているかをも解明すること、さらには、腸管免疫系の賦活を通じて重症外科侵襲時における全身防御反応を賦活する治療対策を開発することを目的とする。本年度は以下のような研究成績を得た。LPSやサイトカインなどによって刺激された腸上皮細胞が産生したchemoattractantによって好中球やリンパ球の血管外への遊走が増加するか否かを検討するために、double chamber modelを用いたchemotaxisassay法にて、TNF-α・LPS刺激を受けた腸上皮細胞による好中球・リンパ球の遊走の増加を定量的に評価した。ヒト小腸上皮細胞株FHSにTNF-αまたはLPS刺激を加え、24時間後、ヒト臍帯血管内皮細胞を培養したinsert chamberを挿入し、健常成人末梢血により分離した好中球またはリンパ球を分注した。37°Cにて、リンパ球は3時間、好中球は45分培養し、下層に遊走した細胞の数をフローサイトメトリーにて計測した。その結果、腸上皮細胞はTNF-α刺激に反応して好中球・リンパ球の遊走を増加させたが、LPS刺激では遊走細胞数は増加しなかった。炎症性腸疾患の症状増悪時には、TNF-αに刺激された腸上皮細胞が好中球やリンパ球のchemoattractantを産生し、この結果として遊走の増加した好中球・リンパ球が更に粘膜傷害を憎悪させるという悪循環が生じている可能性があり、腸管免疫系の調節に腸管の上皮細胞自身も深く関与していることが示唆された。本研究の目的は、外科侵襲時の腸管免疫の病態とその全身防御反応への関与機序を分子生物学的に解明し、生体防御能増強・炎症遷延化防止・臓器障害発生抑制をめざした対策を開発することにある。腸管免疫の異常と密接に関連した炎症性腸疾患をモデルとした実験系を用いて、本研究は、以下のような研究実績を得た。TNF-α・LPS刺激を受けた腸上皮細胞による好中球・リンパ球の遊走の増加を、double chamber modelを用いたchemotaxis assay法にて定量的に評価した。 | KAKENHI-PROJECT-11671151 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-11671151 |
外科侵襲時の腸管免疫の病態とその全身防御反応への関与機序の分子生物学的解明と対策 | ヒト小腸上皮細胞株FHSにTNF-αまたはLPS刺激を加え、24時間後、ヒト臍帯血管内皮細胞を培養したinsert chamberを挿入し、健常成人末梢血より分離した好中球またはリンパ球を分注した。37°Cにて、リンパ球は3時間、好中球は45分培養し、下層に遊走した細胞の数をフローサイトメトリーにて計測した。その結果、腸上皮細胞はTNF-α刺激に反応して好中球・リンパ球の遊走を増加させたが、LPS刺激では遊走細胞数は増加しなかった。すなわち、炎症性腸疾患の症状増悪時には、TNF-αに刺激された腸上皮細胞が好中球やリンパ球のchemoattractantを産生し、この結果として遊走の増加した好中球・リンパ球が更に粘膜傷害を増悪させるという悪循環が生じている可能性が示唆された。腸管におけるサイトカインの過剰産生とそれに対する反応としての好中球・リンパ球の遊走を抑制することは、炎症性腸疾患の症状増悪の遷延防止に寄与するものと考えられる。 | KAKENHI-PROJECT-11671151 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-11671151 |
細胞老化による除菌後胃癌発癌機序の新規解明 | 胃癌予防としてピロリ菌除菌療法が普及しているが、「除菌後胃癌」が増加し、菌体成分によらない炎症性発癌機序の解明は急務である。慢性炎症に対する生体防御としての細胞老化は興味深い。除菌後発癌過程における細胞老化の関与の可能性を解明することを目的とした。高度萎縮性胃粘膜に対するpH3胆汁酸暴露により、let-7a発現低下→HMGA2-snail発現誘導・ZO-1/E-cadherin発現抑制・細胞老化マーカー発現抑制とともにヒト胃粘膜バリア傷害が惹起されることを解明した。本研究は、除菌後胃内環境においても弱酸性胆汁酸暴露により粘膜バリア傷害が惹起され、炎症性発癌過程が促進する可能性を示唆している。「Helicobacter pylori除菌後胃癌発癌過程における細胞老化の役割(2014-2-022-1)」という研究計画に同意を得た対象症例に、コンゴレッド色素内視鏡検査を施行し、胃癌背景胃粘膜を胃酸分泌能の廃絶した領域(機能的萎縮領域)と胃酸分泌能が保たれている領域(機能的非萎縮領域)に分別・各々の領域から内視鏡的生検により胃粘膜組織を採取・細胞老化マーカーHNE・p16・H2AX発現誘導について免疫組織学的検討を行った。除菌後胃癌の定義は、除菌療法成功を確認したのち2年以降に新たな胃癌病変を認めた症例とした。miRNA候補を選出するため、抽出したRNAの35例分を混合し、miRNA array解析を行った。1)H.pylori陽性例では、機能的萎縮領域-早期胃癌に伸展するにつれ細胞老化マーカー発現誘導が減弱、上皮間葉転換関連マーカー発現誘導がみとめられること、除菌後症例では機能的萎縮領域-早期胃癌に伸展するにつれ、細胞老化マーカー発現誘導をみとめ、上皮間葉転換関連マーカー発現抑制が認められること、2)非癌部分胃粘膜組織中miRNA profileは、除菌後・H.pylori陽性例で明らかな差異がないが、除菌後胃癌組織・H.pylori陽性胃癌組織では、病変内のmiRNA profileが大きく異なること、が明らかになった。これらの結果は、miRNAによる細胞老化と上皮間葉転換とのバランス制御の可能性を示唆している。その制御機構に関与するmiRNAとして10個の候補miRNAを抽出し、その機能解析・機能解明にむけての検討を更に展開させる。症例の集積も予定通り進んでおり、検体の解析も順調に進んでいると考える。ピロリ菌除菌療法成功後2年以降に認められた新たな胃癌病変を「除菌後胃癌」と定義し、除菌後胃癌は胃酸分泌能の廃絶した高度萎縮粘膜に高率に認められることを報告した。そこで、「Helicobacter pylori除菌後胃癌発癌過程における細胞老化の役割」という研究計画に同意を頂いた除菌後胃癌発癌患者に参加していただき、胃酸分泌能の廃絶した領域(コンゴレッド色素内視鏡検査により胃酸分泌能がある領域・廃絶した領域を識別した)からの胃癌発癌機序の解明をめざすことを目的とした。胃酸分泌能の廃絶した胃粘膜領域では、細胞老化マーカー発現抑制・上皮間葉転換マーカーの発現増強が認められ、その制御に関与するmicroRNAに関して、microRNA arrayで10個抽出した。そのうち、特定microRNAの2つ(let-7a: onco-suppressive micro RNA, mir-21: oncogenic microRNA)に注目した。これらのmicroRNA発現は、各々、多数症例から採取した胃粘膜上皮組織でも、胃酸分泌能の廃絶した胃粘膜領域では発現が減弱・増強していることが確認された。ヒト胃癌培養細胞株を用い、その特定microRNAによる上皮間葉転換マーカーsnail発現制御機構の可能性を明らかにした。このことは、ピロリ菌が排除された胃粘膜組織でも、microRNAを介し胃癌発癌過程が伸展することを示唆しており、ピロリ菌除菌後の発癌メカニズムの可能性を裏付けている。ヒト正常胃粘膜細胞を用いたかったが、入手困難で、一般的に用いられている胃癌培養細胞株のうち、除菌後胃粘膜に近い性格のものを選定してもちいた。その点以外は、microRNAの機能解析まですすんでおり、順調に進展していると考えられる。Helicobacter pylori (H.pylori)除菌療法の普及と共に、除菌療法後に認められる除菌後胃癌が増加している。菌体成分によらない炎症性発癌機序の解明は急務で、慢性炎症性細胞浸潤が遷延する機序は興味深い。細胞老化は慢性炎症に対する細胞応答機序で、本研究では、除菌後胃癌発癌過程における細胞老化制御の関与の可能性を明らかにすることを目的とした。まず、H.pylori感染胃癌・除菌後胃癌・非癌粘膜組織中の酸化ストレス4HNE・細胞老化・上皮間葉移行(EMT)関連遺伝子発現・microRNAプロファイルの違いを検討したところ、慢性炎症に伴う組織内微細環境と細胞老化マーカー発現動向との関連が示唆された。そこで、除菌後胃癌発癌過程においてlet-7a-HMGA2-snailシグナル伝達機構が重要な役割を果たす可能性に着目した。次に、除菌療法後胃液に類似したpH3胆汁酸刺激によりZO-1/ E-cadherin発現抑制・senescence associated b-galactosidase発現低下・snail/Zeb1発現誘導・let-7a発現抑制・HMGA2発現誘導が認められた。 | KAKENHI-PROJECT-15K08944 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-15K08944 |
細胞老化による除菌後胃癌発癌機序の新規解明 | let-7a inhibitor/ mimicによりHMGA2/snail発現・細胞増殖能・細胞浸潤能の減少/増加が認められた。最後に、胃粘膜細胞の細胞老化・EMTのバランス制御を介した胃粘膜バリア傷害への影響を検討した。内視鏡的胃生検標本をもちいたmini Ussing Chamber model(mUC)により生体内を模倣した実験モデルで粘膜バリア傷害を検討できる。除菌後胃癌症例の胃体部酸分泌領域・非分泌領域の粘膜バリア傷害が酸非分泌域で大きく、let-7a/ZO-1発現低下・snail発現上昇が認められた。胃液pHの改善した除菌後胃内環境においても、酸化ストレスにより高度萎縮性胃粘膜細胞のmicroRNAプロファイルが変化し、胃粘膜バリア傷害が惹起され、除菌後胃癌の発癌促進に関与する可能性が示唆された。胃癌予防としてピロリ菌除菌療法が普及しているが、「除菌後胃癌」が増加し、菌体成分によらない炎症性発癌機序の解明は急務である。慢性炎症に対する生体防御としての細胞老化は興味深い。除菌後発癌過程における細胞老化の関与の可能性を解明することを目的とした。高度萎縮性胃粘膜に対するpH3胆汁酸暴露により、let-7a発現低下→HMGA2-snail発現誘導・ZO-1/E-cadherin発現抑制・細胞老化マーカー発現抑制とともにヒト胃粘膜バリア傷害が惹起されることを解明した。本研究は、除菌後胃内環境においても弱酸性胆汁酸暴露により粘膜バリア傷害が惹起され、炎症性発癌過程が促進する可能性を示唆している。除菌後胃粘膜とH.pylori感染胃粘膜の細胞老化制御機構に関与する候補miRNAとして、10個の候補miRNAをあげ、その中でも、特に、細胞老化・上皮間葉転換のシグナル伝達機構に深く関与するとされる2つの候補miRNAに注目することとした。今後は、凍結保存してある検体を用いて、多数例でこれらの候補miRNA発現誘導について検討し、更に、培養細胞を用いた実験系で、除菌後胃癌の発癌機序におけるmiRNAによる細胞老化制御機構の解明に迫りたい。in vitroでの実験系の検体数を増やし、今までのところ集積されているデータが正しいかどうかを検証していき、論文として発表・公表をめざしたい。消化器(上部消化管)本年度は効率的に研究が遂行でき、免疫染色で用いる抗体などの試薬購入費が当初よりも少額ですんだため。凍結保存してある検体をもちいてqPCRで、細胞老化シグナル関連のRNA/miRNA発現の検討に踏み込む予定であり、そのための試薬の購入費として使用する計画である。 | KAKENHI-PROJECT-15K08944 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-15K08944 |
ひずみこう配塑性理論に基づく結晶粒微細化効果の解析的予測と均質化解析 | 結晶粒の微細化による降伏応力の増加は,Hall-Petchの関係として実験的によく知られている.しかし,サブμm数μmの粒径範囲では,降伏応力の粒径依存性はHall-Petchの関係より強くなると報告されている.そこで本研究では,転位の自己エネルギーをひずみこう配塑性理論に組み込んで降伏応力の粒径依存性を解析的に予測し,実験結果との比較を行った.さらに,転位の自己エネルギーを考慮した陰的均質化解析の方法を開発した.結晶粒の微細化による降伏応力の増加は,Hall-Petchの関係として実験的によく知られている.しかし,サブμm数μmの粒径範囲では,降伏応力の粒径依存性はHall-Petchの関係より強くなると報告されている.そこで本研究では,転位の自己エネルギーをひずみこう配塑性理論に組み込んで降伏応力の粒径依存性を解析的に予測し,実験結果との比較を行った.さらに,転位の自己エネルギーを考慮した陰的均質化解析の方法を開発した.1.GN転位の自己エネルギーを考慮するための理論構築初期降伏の段階を考えれば,GN転位の密度は十分に低い.このため,初期降伏の段階での転位の自由エネルギーはほとんどGN転位の自己エネルギーからなると考えられる.そこで,すべりこう配による自由エネルギーとしてGN転位の自己エネルギーを考え,すべりこう配の仕事共役としての高次応力を導出した.つづいて,この高次応力をGurtinの非局所結晶塑性理論に組み込むことで,GN転位の自己エネルギーを考慮したすべりこう配理論の構築を行った.2.モデル結晶粒の解析による予測式の導出上述のすべりこう配理論を簡単な2次元円結晶粒および3次元結晶粒(球結晶粒,多面体結晶粒)に適用し,初期降伏応力の粒径依存性を閉形解の形で導出した.その際,すべりは粒界で完全に拘束されると仮定した.つづいて,このような単結晶粒に対する閉形解を多結晶体に適用し,多結晶体の降伏応力の粒径依存性を評価した.なお,結晶粒間の相互作用はTaylor因子により考慮した.3.すべりこう配理論に基づく均質化法プログラムの作成すでに前報において,Gurtinの非局所結晶塑性理論を均質化法に従って多結晶体に適用するための有用要素法方程式の導出とプログラム作成を行っている.そこで,このプログラムを基にして,GN転位の自由エネルギーとして自己エネルギーを考えた場合のプログラムの作成を行った.1.結晶粒単体および多結晶体の解析GN転位の自己エネルギーを考慮した均質化解析プログラム(平成19年度作成)を用い,結晶粒単体および多結晶体の2次元解析を行った.結晶粒形状は六角形とし,粒径はサブμm50μmの範囲で変化させた.また,粒界でのすべり拘束条件(マイクロハード条件)を仮定し,擾乱変位に関しては周期単位の境界で周期条件が満足されるとした.このような均質化解析を行うことにより,初期降伏応力の粒径依存性に関する解析的予測式(平成19年度成果)の妥当性が確かめられた.しかし,除化・逆負荷のもとでの降伏挙動に異常なバウシンガー効果が生じ,GN転位の自己エネルギーによる高次応力についての検討が必要となった.2.累積GN転位密度の導入とこれに基づく高次応力の導出除化・逆負荷のもとで反対符号のGN転位が現れると仮定することにより,累積GN転位密度を導入した.次に,累積されたGN転位の自己エネルギーを考え,その微分形から高次応力を導出した.この高次応力は,ひずみ速度こう配と同方向であり,等方的な性質を有することが示された.このような高次応力を考慮して,結晶粒単体および多結晶体の2次元解析を行った.解析条件は,上述の解析と同じとした.この結果,初期降伏挙動については何ら違いが認められなかったが,除化・逆負荷のもとでの異常なバウシンガー効果は生じなくなり,その有効性が示された.1.GN転位の自己エネルギーを考慮した有限要素方程式の導出ひずみこう配結晶塑性理論に基づいた効率的な有限要素解析手法の開発を目的として,ひずみこう配結晶塑性を考慮した均質化方程式の陰的有限要素離散化を行った.高次応力にはGN転位(幾何学的に必要な転位)の自己エネルギーに基づくものを用い,後退オイラー法とニュートンラプソン法により巨視的ひずみ,擾乱変位,すべりの節点値を逐次反復的に求めるための有限要素方程式を導出した.2.結晶粒への適用構築した有限要素解析手法を正六角形結晶粒(大きさL)に適用した.結晶粒の大きさLは1μm,5μm,100μmの3種類とし,要素分割には8節点アイソパラメートリック2次要素を用いた.粒界では,すべりは完全に拘束されるとし,擾乱変位は周期条件を満たすとした.この結果,巨視的降伏応力の粒系依存性と高次応力の粒内での分布が数値的に求められ,これらの結果は前報で導出した解析解とほとんど完全に一致することが確かめられた.3.計算効率の検討上述の有限要素解析における時間増分とステップ数を準陰解法に基づく有限要素解析の結果と比較した.この結果,準陰解法に比べて時間増分については1040倍大きくとることができ,ステップ数については1/21/5となった.このように本研究で構築した有限要素解析手法が優れているのは,完全陰解法に基づいて有限要素方程式が導出されているからである. | KAKENHI-PROJECT-19360048 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-19360048 |
近代ロシア絵入り雑誌の研究―帝政末期ロシア社会の情報論的分析― | 平成23年度は、博士学位請求論文に多くの時間をとり、新しい論文の発表には至らなかった。そのため、学会および研究会報告を行い、今後の論文執筆のための準備とすることが、研究活動の中心となった。まず、2011年6月には、科研基盤研究(S)「ユーラシアの近代と新しい世界史叙述」の主催するシンポジウム「政治の中の翻訳:メディア、官報」で、「メディアの中のイメージ:近代ロシアのグラフィック・デザインと『翻訳』」と題する報告を行った。また、2012年3月末日、British Association for Slavonic and East European Studiesの年次大会にて、"The Representation of the Tsar and the Commercial Press in the Late Imperial Russia : a Study of Illustrated Journals and Koronatsionnyi Sbornik"と題する報告を行った。この他に、2011年7月には、研究協力者として参加する、科研基盤研究(B)「近現代ロシアにおける公衆/公論概念の系譜と市民の『主体性(agency)』」(研究代表者:松井康浩)の研究会で、「近代ロシアの論壇:V.スターソフと国民的芸術の形成」と題する報告を行った。2011年12月には、研究協力者として参加する、科研基盤研究(B)「ロシア帝国支配地域における民族知識人形成と大学網の発展に関する研究」(研究代表者:橋本伸也)の研究会で、「近代ロシア絵入り雑誌の研究-商業出版と専制、インテリゲンツィヤー」と題する報告を行った。また、今年度は、書評2本と史料紹介1本、論文の翻訳1篇が刊行された。以上が、平成23年度の活動実施状況である。2010年度は5月に、論文「近代ロシア都市のメディアと科学-サンクトペテルブルクの事例から」(『ロシア史研究』No.86、2010年、pp14-30)が刊行された。これは、本研究が課題の一つとして挙げている、近代ロシアの読者公衆への科学観の伝播を論じたものである。また、5月18日には、東京工業大学で開催された科学史・技術史研究会で、上述論文の内容にもとづき、「近代ロシア都市のメディアと科学」と題した報告を行った。12月8日-19日には、年始より企画準備していた、『Novoe literaturnoe obozrenie』編集者で書誌学者のアブラム・レイトブラト氏のロシアからの招聘を実施した。早稲田大学、大阪大学、北海道大学で氏の講演会を催すとともに、東京大学では「社会制度としてのロシア文学-作者・読者と読書の社会史-」と題したシンポジウムを行った。このシンポジウムの成果は、2011年3月に巽由樹子・乗松亨平・沼野充義編『シンポジウム企画社会制度としてのロシア文学-作者・読者と読書の社会史-Русскаялитературакаксоциалыйинститут』としてまとめた。12月には、紀要論文「近代サンクトペテルブルクの出版人たち-1860年代と1870年代の比較を通して-」(『れにくさ』第2号、2010年、pp.193-206)が刊行された。また、2011年2月21日-2月28日にはハーヴァード大学図書館、3月8日-16日にはヘルシンキ大学図書館、3月17-27日にはサンクトペテルブルクのロシア国立歴史文書館とロシア国立図書館で史料収集を行うとともに、アメリカ、フィンランド、ロシアの研究者と意見交換する機会を得た。平成23年度は、博士学位請求論文に多くの時間をとり、新しい論文の発表には至らなかった。そのため、学会および研究会報告を行い、今後の論文執筆のための準備とすることが、研究活動の中心となった。まず、2011年6月には、科研基盤研究(S)「ユーラシアの近代と新しい世界史叙述」の主催するシンポジウム「政治の中の翻訳:メディア、官報」で、「メディアの中のイメージ:近代ロシアのグラフィック・デザインと『翻訳』」と題する報告を行った。また、2012年3月末日、British Association for Slavonic and East European Studiesの年次大会にて、"The Representation of the Tsar and the Commercial Press in the Late Imperial Russia : a Study of Illustrated Journals and Koronatsionnyi Sbornik"と題する報告を行った。この他に、2011年7月には、研究協力者として参加する、科研基盤研究(B)「近現代ロシアにおける公衆/公論概念の系譜と市民の『主体性(agency)』」(研究代表者:松井康浩)の研究会で、「近代ロシアの論壇:V.スターソフと国民的芸術の形成」と題する報告を行った。2011年12月には、研究協力者として参加する、科研基盤研究(B)「ロシア帝国支配地域における民族知識人形成と大学網の発展に関する研究」(研究代表者:橋本伸也)の研究会で、「近代ロシア絵入り雑誌の研究-商業出版と専制、インテリゲンツィヤー」と題する報告を行った。また、今年度は、書評2本と史料紹介1本、論文の翻訳1篇が刊行された。以上が、平成23年度の活動実施状況である。 | KAKENHI-PROJECT-09J08953 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-09J08953 |
陽子線CT画像取得法の研究 | 現在、陽子線治療の治療計画では患者のX線CT画像を基に陽子線の線量計算が行われているが、陽子線飛程計算の不確定性は3%と報告されている。治療で用いる30 cmの飛程の陽子線の場合で9 mmにも及び、ブラックピークの活用による線量集中性が良さである陽子線治療の大きな問題点となっている。その解決手法の1つとして陽子線CT画像の利用があげられ、陽子線と物質の相互作用量をそのままイメージングすることで、前述の3%の不確定性を大きく減少させることができる。陽子線CT画像取得法が確立していない現状に対して、本研究では臨床利用可能な陽子線CT画像取得法の研究開発を行った。検出システムは主に厚いシンチレータとCCDカメラから構成される。陽子線イメージングでは被写体透過前後のエネルギーの差を投影データとして取得するが、本システムでは厚いシンチレータで陽子線を全て停止させ、その発光のビーム方向積算値をCCDカメラで取得することで2次元陽子線エネルギー分布を取得した。また被写体を回転させることにより360度方向からのデータを取得し、再構成することで陽子線CT画像を得た。この手法はシンプルな検出システムでかつ短時間で測定できることが長所である。シンチレータの種類や実験パラメータなどのハード面と画像処理・再構成手法のソフト面の両面での改善を行い、臨床に用いられている陽子線ビームを用いて検出システムの実証実験を実施することができた。その結果、実験的に本システムで取得できる陽子線CT画像の精度は臨床利用レベルにまで到達した。翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。現在、陽子線治療の治療計画では患者のX線CT画像を基に陽子線の線量計算が行われているが、陽子線飛程計算の不確定性は3%と報告されている。治療で用いる30 cmの飛程の陽子線の場合で9 mmにも及び、ブラックピークの活用による線量集中性が良さである陽子線治療の大きな問題点となっている。その解決手法の1つとして陽子線CT画像の利用があげられ、陽子線と物質の相互作用量をそのままイメージングすることで、前述の3%の不確定性を大きく減少させることができる。陽子線CT画像取得法が確立していない現状に対して、本研究では臨床利用可能な陽子線CT画像取得法の研究開発を行った。検出システムは主に厚いシンチレータとCCDカメラから構成される。陽子線イメージングでは被写体透過前後のエネルギーの差を投影データとして取得するが、本システムでは厚いシンチレータで陽子線を全て停止させ、その発光のビーム方向積算値をCCDカメラで取得することで2次元陽子線エネルギー分布を取得した。また被写体を回転させることにより360度方向からのデータを取得し、再構成することで陽子線CT画像を得た。この手法はシンプルな検出システムでかつ短時間で測定できることが長所である。シンチレータの種類や実験パラメータなどのハード面と画像処理・再構成手法のソフト面の両面での改善を行い、臨床に用いられている陽子線ビームを用いて検出システムの実証実験を実施することができた。その結果、実験的に本システムで取得できる陽子線CT画像の精度は臨床利用レベルにまで到達した。翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。 | KAKENHI-PROJECT-17J08146 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-17J08146 |
漁民の生活とスポーツ活動に関する研究-北海道羅臼町の事例- | 地域社会における住民のスポーツ活動に関する研究は、これまで体育社会学やスポーツ社会学の領域において数多くの研究成果が出されてきている。しかし、それらのほとんどが都市地域社会や農村地域社会を対象にしたものであり、漁村地域社会を対象とした研究は極めて少ないのが現状である。以上のことを踏まえ、平成5年度には、北海道における典型的な漁村地域である羅臼町を調査対象地域に選定し、漁村地域社会で生活する住民すべてを対象に生活の実態とスポーツに対する意識や活動実態をエクステンシブな調査方法で明らかにしてきた。そこでは、漁村地域住民の生活やスポーツに関するおおよその傾向や実態を捉えることはできたが、調査方法の限界からスポーツが漁村地域住民の生活にどのように位置づき、機能しているかを、スポーツを生活との関連で微細には明らかにはできなかった。そうした課題を明らかにするためには、インテンシブメソッドによる実態把握が重要であると考え、今回は、漁村地域を形成する中で重要な役割を担う漁民に焦点を当て、羅臼町に存在する異なる漁業形態すなわち、さし網漁業者、定置網漁業者、養殖漁業者に分類し、それぞれの漁業者の生活内容とスポーツの具体的様態を明らかにするためにインテンシブメソッドによる調査を実施した。調査の概要は以下のとおりである。1.対象地域の社会・経済的特性を調査した(特に水産関係の資料の収集と分析につとめた)。2.羅臼町の社会体育行政における漁民層への位置づけ(社会体育一般及び漁民を対象とした事業内容の分析)。3.漁民の生活とスポーツについては、事例をとうしてくわしく掘り下げ調査した。地域社会における住民のスポーツ活動に関する研究は、これまで体育社会学やスポーツ社会学の領域において数多くの研究成果が出されてきている。しかし、それらのほとんどが都市地域社会や農村地域社会を対象にしたものであり、漁村地域社会を対象とした研究は極めて少ないのが現状である。以上のことを踏まえ、平成5年度には、北海道における典型的な漁村地域である羅臼町を調査対象地域に選定し、漁村地域社会で生活する住民すべてを対象に生活の実態とスポーツに対する意識や活動実態をエクステンシブな調査方法で明らかにしてきた。そこでは、漁村地域住民の生活やスポーツに関するおおよその傾向や実態を捉えることはできたが、調査方法の限界からスポーツが漁村地域住民の生活にどのように位置づき、機能しているかを、スポーツを生活との関連で微細には明らかにはできなかった。そうした課題を明らかにするためには、インテンシブメソッドによる実態把握が重要であると考え、今回は、漁村地域を形成する中で重要な役割を担う漁民に焦点を当て、羅臼町に存在する異なる漁業形態すなわち、さし網漁業者、定置網漁業者、養殖漁業者に分類し、それぞれの漁業者の生活内容とスポーツの具体的様態を明らかにするためにインテンシブメソッドによる調査を実施した。調査の概要は以下のとおりである。1.対象地域の社会・経済的特性を調査した(特に水産関係の資料の収集と分析につとめた)。2.羅臼町の社会体育行政における漁民層への位置づけ(社会体育一般及び漁民を対象とした事業内容の分析)。3.漁民の生活とスポーツについては、事例をとうしてくわしく掘り下げ調査した。 | KAKENHI-PROJECT-08610168 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-08610168 |
琉球王国における海運と漂流・漂着に関する研究 | 本研究の目的は、近年注目され、かつ多くの成果をあげつつある漂流・漂着という歴史的事象に着目し、琉球史の再構成を図ることにある。漂流・漂着という歴史的事象は、偶発的な海難事故である。しかし、前近代において、それらの難船した船舶や人員に対して各国がどのように対応、処遇していたかという点では、それぞれに差異があった。その差異を検討することは、それぞれの前近代国家が海上交通や海域をどのように認識し、陸の権力として海上交通や海域をどのように処理していたかを明らかにすることにつながると言えよう。そのような問題意識から本研究では、琉球史における漂流・漂着の事例を探索することと同時に、漂流・漂着の前提となる琉球における海運の問題へのアプローチを行うこととした。これまでの琉球史における漂流・漂着の研究は、それ相応の蓄積が行われてきた。それらは、主に琉球列島へ漂着した日本船、朝鮮船、唐船、そしてオランダ船などである。他方、琉球船が中国、朝鮮、東南アジアなどへ漂流・漂着し、それらがどのように処遇され、送還されたかの議論も積み重ねられつつある。しかしながら、日本へ漂着した琉球船に関する研究は十分なものとは言えない状況にある。そのため、このような研究状況を打開するには、まず日本へ漂着した事例とそれに関する史料の探索が必要となる。そのような視角で史料探索した結果、四点の漂着関係文書を発掘することができた。旧来、注目されることのなかった史料であり、今後、琉球船の漂流・漂着関係を検討する上で重要な位置を占めるものと言えよう。本報告書は、第一部<論考篇>と第二部<史料篇>で構成されている。その第二部に上記四点の漂着関係史料を収録した。本研究のもう一つの柱は、琉球における海運の研究である。漂流・漂着という事象の前提には海上交通がある。つまり、海上交通・海運の状況が漂流・漂着という事象を生み出すのであり、漂流・漂着と海運は表裏の関係にあると言えよう。本研究の目的は、近年注目され、かつ多くの成果をあげつつある漂流・漂着という歴史的事象に着目し、琉球史の再構成を図ることにある。漂流・漂着という歴史的事象は、偶発的な海難事故である。しかし、前近代において、それらの難船した船舶や人員に対して各国がどのように対応、処遇していたかという点では、それぞれに差異があった。その差異を検討することは、それぞれの前近代国家が海上交通や海域をどのように認識し、陸の権力として海上交通や海域をどのように処理していたかを明らかにすることにつながると言えよう。そのような問題意識から本研究では、琉球史における漂流・漂着の事例を探索することと同時に、漂流・漂着の前提となる琉球における海運の問題へのアプローチを行うこととした。これまでの琉球史における漂流・漂着の研究は、それ相応の蓄積が行われてきた。それらは、主に琉球列島へ漂着した日本船、朝鮮船、唐船、そしてオランダ船などである。他方、琉球船が中国、朝鮮、東南アジアなどへ漂流・漂着し、それらがどのように処遇され、送還されたかの議論も積み重ねられつつある。しかしながら、日本へ漂着した琉球船に関する研究は十分なものとは言えない状況にある。そのため、このような研究状況を打開するには、まず日本へ漂着した事例とそれに関する史料の探索が必要となる。そのような視角で史料探索した結果、四点の漂着関係文書を発掘することができた。旧来、注目されることのなかった史料であり、今後、琉球船の漂流・漂着関係を検討する上で重要な位置を占めるものと言えよう。本報告書は、第一部<論考篇>と第二部<史料篇>で構成されている。その第二部に上記四点の漂着関係史料を収録した。本研究のもう一つの柱は、琉球における海運の研究である。漂流・漂着という事象の前提には海上交通がある。つまり、海上交通・海運の状況が漂流・漂着という事象を生み出すのであり、漂流・漂着と海運は表裏の関係にあると言えよう。(1)本研究と関連する研究発表を「第25回地中海学会大会」(2001年7月1日)において、「海域とネットワークから見た琉球史(14-19世紀)」として発表した(成果報告書に掲載予定)。その概要は、旧来の琉球史を海域・海運・漂流・ネットワークという視点から整理・再検討し、あわせて関係史料の発掘状況を紹介し、さらにデータ化の必要性を述べたものである。(2)本研究初年度で漂流・海運史料のテキストデータの入力は次のものを行った。第一に、既刊史料において、漂着船への包括的対応策を示す「進貢船・接貢船・唐人通船・朝鮮人乗船・日本他領人乗船、各漂着并破損之時、八重山島在番役々勤職帳」を原本と校訂し、正確なテキストデータを作成した。第二に、『琉球王国評定所文書』から海運・漂着関係を抽出し、テキストデータベースを作成した。第三に、未刊行の「上江洲家文書」から海運関係史料を翻刻・テキストデータを作成した。久米島での造船状況や久高船・慶良間船に関係する史料を発掘することができた。(3)久米島での臨地調査は、媽祖(天后)廟の現況、さらに現在、同島に残る伝統的木造船の状況を調査した。 | KAKENHI-PROJECT-13610391 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-13610391 |
琉球王国における海運と漂流・漂着に関する研究 | 小型木造船であるサバニが現在では圧倒的にグラスファイバー製に替わっている。ただし、なお数艘木造船も存在する。現存する木造船から前近代における造船技術の状況を窺う素材とした。(1)本研究と関連する研究発表を、沖縄県立博物館文化講座においで「近世琉球の海運と海人」と題して講演した(2002年12月)。王国末期の海船の全体状況の把握と、海運をめぐる琉球・薩摩間における紛争などを明らかにした。また、国立民族学博物館・大塚和義主催の「北太平洋の先住民交易と工芸」研究会(2003年3月)において、「琉球王国時代(15-19世紀)における琉球諸島域内・域外交易の諸相」として発表した(成果報告書に掲載予定)。その概要は、特に琉球列島域内交易史を中心に論じ、久高島民の海運と交易活動、渡名喜島民の交易活動を『南島雑話』から浮き彫りにしたものである。(2)本研究の2年度目として、前年度に引き続き、漂流・海運史料のテキストデータの入力を行った。第一に、既刊史料においては、奄美諸島の海運状況を把握することのできる、『道之島代官記集成』を全文テキストデータとして入力した。第二に、前年に続き未刊行の「上江洲家文書」から海運関係史料を翻刻・テキストデータを作成した。第三に、竹富町史十巻所収の、「必要書」「必要書類」中から八重山諸島における海運状況を把握する上でのテキスト入力を行った。第四に、八重山の豊川家文書中から、一八世紀中頃の八重山における(3)渡名喜島への臨地調査を行い、小型木造船の残存状況や第二次大戦後から一九七二年頃までの漁撈活動、戦前における渡名喜島から沖縄島・奄美諸島域への貝の採取活動を聞き取りで情報収集した。最終年度の本年度は、研究成果の取りまとめを下記のように行った。(1)琉球王国の海運および漂流・漂着に関する既刊史料のテキスト・データベース化を昨年度に引き続き継続した。(2)未刊行史料(古文書)の収集とテキスト化を行った。八重山関係史料中から海運関係の史料の古文書である「八重山蔵元日帳方日記」および「大波寄揚候次第」の読解と入力を行った。さらに、日本へ漂着した琉球船の関係として「南部人海上漂流記(選録)」、「琉球人漂着記」、「琉球船漂着始末」の読解・入力を行った。王国末期における漂流・漂着関係に関しては、「琉球藩在勤来往翰」中から抽出・読解・入力を行い、これらを成果報告書に盛り込んだ。(3)現地調査では、奄美大島へ赴むき、主に名瀬市立博物館において漂流・漂着関係の調査を行い、「南島雑話」の新たな異本から漂流関係を確認することができた。(4)以上の作業から琉球列島における海運と漂流・漂着の事象は密接に関連していること、おおよその関係史料を把握することが可能となったことなどの成果を得た。しかし、なお埋もれた関係史料(例、現在非公開の「尚家文書」等)の存在が判明しており、今後それらの古文書調査によって、さらに研究の深化が期待される。 | KAKENHI-PROJECT-13610391 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-13610391 |
結核菌の細胞内寄生機構の解明と新規治療戦略 | 結核菌の産生するLipoamide dehydrogenase C(LpdC)と宿主細胞のCoronin-1との相互作用が,結核菌の細胞内寄生性に関連していると考えられている.本研究では,組換え体LpdCとCoronin-1の結合性について解析を行い,両者が直接的に結合していることを明らかにした.また,Coronin-1のThr-412のリン酸化が結合を制御している可能性を示した.さらに,非病原性抗酸菌のLpdCホモログであるLpdAにCoronin-1への結合性が認められたことより,結合性以外の差異が細胞内寄生性に関与していることが示唆された.生体に侵入した細菌はマクロファージや好中球などの食細胞に貪食され、細胞内のリソソーム酵素によって殺菌・分解される。食細胞に発現するCoronin-1はファゴソームに一過性に集積し、解離後にリソソーム融合が起こることが知られている。しかしながら、結核菌を取り込んだファゴソームにはCoronin-1の持続的な集積が認められ、リソソーム融合が起こらないことが明らかにされた。これらより、結核菌は宿主のCoronin-1の細胞内局在を制御し細胞内寄生性を獲得していると考えられている。Coronin-1はファゴソームから解離する際にリン酸化されることや、結核菌のLpdCがCoronin-1に結合することが明らかになったため、結核菌の細胞内寄生機構を解明するためには、LpdCがCoronin-1のリン酸化に与える影響について解析を行う必要があると考えられた。結核菌のゲノムDNAを用いて、組換え体LpdCの発現ベクターを作製した。精製した組換え体LpdCをマウスに腹腔内へ投与した後、脾細胞をミエローマ細胞と融合させLpdCに対するモノクローナル抗体産生ハイブリドーマを樹立した。結核菌の培養上清中にLpdCが含まれること確認した後、プルダウン法により、Coronin-1はLpdCに結合することが明らかになった。また、Coronin-1のリン酸化とLpdCの結合について検討したところ、412番目のトレオニン残基をリン酸化させた場合においてLpdCの結合性が消失した。一方で、2番目のセリン残基のリン酸化は影響しなかった。本研究に必要なLpdCの発現ベクターや抗体、組換えタンパク質などが得られた。また、これらを用いたCoronin-1とLpdCの結合実験も順調に進んでおり、リン酸化Coronin-1はLpdCに結合しないことや、そのリン酸化部位が412番目のトレオニン残基であることが明らかになった。さらに、非病原性の抗酸菌(M. smegmatis)に発現するLpdCのホモログであるLpdA(アミノ酸レベルの相同性約85%)との結合実験も行い、LpdAとの差異を見出した。LpdAはLpdCと比較してコレステロール結合配列を有していないため、LpdCのCoronin-1への結合にコレステロールが必要だと考えられたが、コレステロールを介さない結合である可能性が示された。また、H29年度に行う予定である貪食実験の準備も進んでおり、LpdCでコーティング粒子の調製を行っている。結核菌が分泌するLpdCは、細胞内にてCoronin-1に結合し機能制御を行うことで正常な貪食作用の進行(ファゴソームからのCoronin-1の解離およびリソソーム融合)を妨げ、結核菌の細胞内寄生性発現に関連することが示唆されている。Coronin-1のリン酸化はファゴソームからの解離に必要であると考えられるため、LpdCの結合はCoronin-1のリン酸化に影響を与えることが予想された。in vitroにおけるCoronin-1とLpdCの結合実験より、リン酸化Coronin-1へのLpdCの結合性は著しく低下していることが明らかになった。LpdCと非病原性抗酸菌(M. smegmatis)のホモログであるLpdAのCoronin-1への結合性を比較し、その差異について報告したが、さらなる解析の結果、両者ともに結合性を有する可能性が明らかになった。LpdAおよびLpdCのCoronin-1への結合後における機能や、発現量の違いについては今後の検討課題である。LpdC固相化ビーズを作製し、マクロファージを用いた貪食実験を行ったところCoronin-1のファゴソームからの解離が認められ、結核菌貪食のモデルとはならなかった。ビーズへのLpdCの結合量や結合方法による活性への影響、他の因子の必要性などが原因として考えられた。また、LpdCに対するモノクローナル抗体(IgG1)を作製した。本抗体は、LpdCのC末端領域を特異的に認識すること、LpdCとCoronin-1の相互作用に影響を与えないことが示された。結核菌の産生するLipoamide dehydrogenase C(LpdC)と宿主細胞のCoronin-1との相互作用が,結核菌の細胞内寄生性に関連していると考えられている.本研究では,組換え体LpdCとCoronin-1の結合性について解析を行い,両者が直接的に結合していることを明らかにした.また,Coronin-1のThr-412のリン酸化が結合を制御している可能性を示した. | KAKENHI-PROJECT-16K21419 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-16K21419 |
結核菌の細胞内寄生機構の解明と新規治療戦略 | さらに,非病原性抗酸菌のLpdCホモログであるLpdAにCoronin-1への結合性が認められたことより,結合性以外の差異が細胞内寄生性に関与していることが示唆された.引き続きCoronin-1のリン酸化とLpdCの結合の関係性について解析を行う。現時点の結果は、「リン酸化Coronin-1にLpdCは結合しない」であるが、「LpdCが結合したCoronin-1はリン酸化されるのか?」を明らかにする。食細胞のファゴソーム膜上においてLpdCがCoronin-1に結合する理由が、「Coronin-1をリン酸化させない」つまり「ファゴソーム膜に局在を維持させてリソソーム融合を起こさせない」であるかを検証する。本研究において、我々はCoronin-1とLpdCの結合を阻害する抗Coronin-1抗体を有していることが示唆された。結核菌の感染予防や治療への抗体の応用性を考案したい。生化学購入予定であった消耗品の在庫および生産が年度内に満たされなかったために、未使用金が生じた。現在、消耗品の生産が完了したとの連絡があったため、予定通りに研究計画が進められる。 | KAKENHI-PROJECT-16K21419 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-16K21419 |
金属中の水素のトラッピング現象に対する結晶構造の影響 | 金属中の水素の基本的な挙動を理解する上で、トラッピング現象の結晶構造依存性を明らかにすることは意義が大きい。本研究では、トラッピング効果が大きいと期待されるNb-Ti合金(bcc)および、Pd-Y合金(fcc)、fccおよびbccの両構造をもつPd-Cu合金について、水素の拡散と溶解度の測定、水素のよる内部摩擦の測定などを行った。本研究で得られた主な結果は以下の通りである。1)Nb-Ti合金中(bcc)では、水素はTiの周りの2種類のトンネリング状態にトラップされている。2)PdにTiやYを添加すると水素の拡散が増加する。3)B2規則構造のPd-Cu合金ではTiを不純物を添加すると水素の拡散係数が1桁ほど低下するが、fcc不規則構造中では水素の拡散はほとんど変化しない。以上のように、bcc合金とfcc合金中における水素と合金原子の相互作用には本質的な違いがあることが明らかになった。bcc構造中の水素の拡散は量子力学的な過程(トンネル効果)が支配している。合金原子を含まない純金属の場合は、水素は格子全体にわたりそのような量子力学的な拡散が起こっているが、合金では合金原子の周りに別のトンネリング状態(トラップ状態)が形成されために均質な拡散が起こらなくなる。トラップ状態と自由な水素の状態のエネルギーが異なるために、この2つの状態間での遷移が著しく阻害され、これらの状態間の水素のジャンプが古典的なオーバーバリアジャンプに近くなり、全体的に見ると水素の拡散が低下するものと考えられる。一方、fcc構造中ではもともとの拡散が古典的な拡散に近いものであり、合金原子の添加により水素に対するポテンシアルが乱されても、拡散機構が大きく変化しない。このために、fcc構造中では水素の拡散が遅くなることがほとんどなく,添加する合金原子の種類によっては格子の膨張によって拡散が速くなる可能性もある。金属中の水素の基本的な挙動を理解する上で、トラッピング現象の結晶構造依存性を明らかにすることは意義が大きい。本研究では、トラッピング効果が大きいと期待されるNb-Ti合金(bcc)および、Pd-Y合金(fcc)、fccおよびbccの両構造をもつPd-Cu合金について、水素の拡散と溶解度の測定、水素のよる内部摩擦の測定などを行った。本研究で得られた主な結果は以下の通りである。1)Nb-Ti合金中(bcc)では、水素はTiの周りの2種類のトンネリング状態にトラップされている。2)PdにTiやYを添加すると水素の拡散が増加する。3)B2規則構造のPd-Cu合金ではTiを不純物を添加すると水素の拡散係数が1桁ほど低下するが、fcc不規則構造中では水素の拡散はほとんど変化しない。以上のように、bcc合金とfcc合金中における水素と合金原子の相互作用には本質的な違いがあることが明らかになった。bcc構造中の水素の拡散は量子力学的な過程(トンネル効果)が支配している。合金原子を含まない純金属の場合は、水素は格子全体にわたりそのような量子力学的な拡散が起こっているが、合金では合金原子の周りに別のトンネリング状態(トラップ状態)が形成されために均質な拡散が起こらなくなる。トラップ状態と自由な水素の状態のエネルギーが異なるために、この2つの状態間での遷移が著しく阻害され、これらの状態間の水素のジャンプが古典的なオーバーバリアジャンプに近くなり、全体的に見ると水素の拡散が低下するものと考えられる。一方、fcc構造中ではもともとの拡散が古典的な拡散に近いものであり、合金原子の添加により水素に対するポテンシアルが乱されても、拡散機構が大きく変化しない。このために、fcc構造中では水素の拡散が遅くなることがほとんどなく,添加する合金原子の種類によっては格子の膨張によって拡散が速くなる可能性もある。Tiを不純物として加えたfcc、bcc構造の試料を作製し、これらの合金中での水素の拡散を測定した。この結果、bcc構造中ではTiの添加により水素の拡散係数が著しく小さくなるのに対し、fcc合金中では大きな影響は現れないことを見出した。2.bcc合金の表面改質とこれらの合金中の水素の拡散Ta-TiおよびNb-Ti合金表面にPdをコーティングして、水素の拡散が測定可能であることを確かめた。また、これらの合金の水素の拡散係数の温度依存性を測定した結果、Nb-Ti合金でTi添加による拡散の抑制効果がより大きく現れることを見出した。3fcc合金とbcc合金中の水素の拡散の違いに関する考察fccのPb-Cu-Ti合金ではいわゆるトラップ効果が起らないことが明らかになった。が、このことはfcc構造では水素のトンネリングの拡散が起こりにくいことに関連しているものと考えられる。また、bccのTaとNbを比較した場合、より拡散の速いNbでトラップ効果が強く現れたが、このこともNb中でトンネルング拡散性が大きいことに関連があるものと考えられる。今後は、トラッピング効果とトンネリング拡散の関連を理論的に考察する必要がある。また、従来のトラツプモデルも全面的に考察しなおす必要がある。水素を添加したNb-2at%Ti合金単結晶(bcc)の低周波内部摩擦を測定して、60K付近に内部摩擦ピークを見出した。このピークはS_<44>および(S_<11>-S_<12>)のどちらの応力モードでも現れた。このことからTi-H対には2つのトラッピング状態があることを明らかになった。 | KAKENHI-PROJECT-06650725 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-06650725 |
金属中の水素のトラッピング現象に対する結晶構造の影響 | 1つはbcc単位胞の{100}面上の4つの四面体格子間位置の間を水素がトンネリングしている状態(4T)、他の1つは2つの隣り合った{100}面の2つの四面体格子間位置の間を水素がトンネリングしている状態(2T)である。内部摩擦のピークはこの2つの状態を経由した水素の応力誘起再配向により生じるものと結論される。同一組成で結晶構造の異なるPd-Cu-Ti合金(fcc、B2構造)を熱処理法を変えることにより作製し、この中の水素の拡散と溶解度を測定した。両構造とも、Tiの添加により水素の溶解度が増加するが、これはTiの周りに深いトラップサイトが形成されるためではなく、水素に対するポテンシアルエネルギーが全体的に低下して起こるものと考えられる。また、拡散に対するTi添加の影響はB2構造中のほうがより大きく現れた。これはbccベースの構造(B2)に特有なトンネリングによる水素の拡散が、Tiの添加により阻害されるためであると結論した。2)Nb薄膜中の水素の拡散挙動Nb(bcc)薄膜を作製し、この中の水素の拡散を電気抵抗法により測定した。室温における水素の拡散係数はバルク中の1/100程度であることが明らかになった。成膜中に導入された、種々の欠陥(空孔、粒界など)に水素がトラップされるものと結論した。 | KAKENHI-PROJECT-06650725 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-06650725 |
気中放電の先端電界と圧力が絶縁物貫通に与える影響の解明 | 雷が機器を貫通して破壊する事故を防ぐために、放電の先端の高電界や圧力などが絶縁物貫通に及ぼす影響を明らかにする必要がある。本研究では、絶縁物の貫通に大きな作用を及ぼすと考えられる放電先端の電界と圧力の時間変化を解明していく。研究の方法として、空気中に気中放電を生じさせて、放電経路上に配置したポッケルス素子と圧力センサを用いて電界と圧力の時間変化の測定を行う。本研究によって、気中放電の電界分布の時間変化や圧力の時間変化を明らかにすることで、雷が絶縁物を貫通するメカニズムを解明して、風力発電機のブレードなどの機器を落雷被害から防止することが可能になると考える。雷が機器を貫通して破壊する事故を防ぐために、放電の先端の高電界や圧力などが絶縁物貫通に及ぼす影響を明らかにする必要がある。本研究では、絶縁物の貫通に大きな作用を及ぼすと考えられる放電先端の電界と圧力の時間変化を解明していく。研究の方法として、空気中に気中放電を生じさせて、放電経路上に配置したポッケルス素子と圧力センサを用いて電界と圧力の時間変化の測定を行う。本研究によって、気中放電の電界分布の時間変化や圧力の時間変化を明らかにすることで、雷が絶縁物を貫通するメカニズムを解明して、風力発電機のブレードなどの機器を落雷被害から防止することが可能になると考える。 | KAKENHI-PROJECT-19K14973 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-19K14973 |
ウォ-タ-ジェットアンギオプラスティの開発と試作に関する研究 | 本報告は,ウォ-タ-ジェットカテ-テルを用いる新しい血管形成術(アンギオプラスティ)についての開発およびシステム構築に関する研究をまとめたものである.実施した研究項目は次のとうりである.1.カテ-テルノズルの形状と耐圧性:ノズルの形状は,溶液の粘性抵抗やノズルの加工の精度などを考慮に入れると,現在の0.2から0.3mm位が適当と結論された.そして耐圧・流量の性能試験から,試作カテ-テルは30ー40kgf/cm^2までの圧力に耐え,目的とする用途には充分であることが判明した.2.血栓および粥腫除去に要するジェット圧の検討:麻酔下の家兎大動脈の血栓と,上行大動脈に発生した粥腫を対象とした.ジェット圧はジェット溶液の物性(主に溶液の粘性)やノズル口径に大きく影響されるが,圧としては最高10kgf/cm^2で十分であることが判明した.そしてこの結果から,ウォ-タ-ジェットによる血栓の破壊作用とその特徴について考察した.3.ジェット溶液と噴射法の検討:各種医薬用輸液の噴射作用,とくに高粘性溶液の噴射特性と作用効果についてモデル実験を行った.高粘性溶液は,生理食塩水等と比べ血栓の除去や粉砕効果に優れた効果を示した.また水中噴射法は極めて安全性が高いことが判明した.4.ウォ-タ-ジェット法システムと血管形成術への適応:実用上の検討から,本法の応用は(a)一般外科的応用,(b)非観血的な手術法としての内視鏡的手術法,(c)内視鏡的血管形成術,(d)X線透視下血管形成術の四つに分類できる.そして血管形成術のシステム適応は次のようにまとめられる.a)急性期の症例を対象.一般外来や救急外来における検査時の診断において,直ちに治療し,早期快復を計るもの.b)慢性の経過をたどった症例あるいは重症例にたいする本格的手術.これはon lineで逐次モニタ-しながら治療する.on lineのモニタ-は,ジェットによる血栓の除去状態を治療前の画像と比較して表示し,さらに除去された血栓の推定容積の計算と開通率などの各種パラメ-タ-の表示を合わせ行う.本報告は,ウォ-タ-ジェットカテ-テルを用いる新しい血管形成術(アンギオプラスティ)についての開発およびシステム構築に関する研究をまとめたものである.実施した研究項目は次のとうりである.1.カテ-テルノズルの形状と耐圧性:ノズルの形状は,溶液の粘性抵抗やノズルの加工の精度などを考慮に入れると,現在の0.2から0.3mm位が適当と結論された.そして耐圧・流量の性能試験から,試作カテ-テルは30ー40kgf/cm^2までの圧力に耐え,目的とする用途には充分であることが判明した.2.血栓および粥腫除去に要するジェット圧の検討:麻酔下の家兎大動脈の血栓と,上行大動脈に発生した粥腫を対象とした.ジェット圧はジェット溶液の物性(主に溶液の粘性)やノズル口径に大きく影響されるが,圧としては最高10kgf/cm^2で十分であることが判明した.そしてこの結果から,ウォ-タ-ジェットによる血栓の破壊作用とその特徴について考察した.3.ジェット溶液と噴射法の検討:各種医薬用輸液の噴射作用,とくに高粘性溶液の噴射特性と作用効果についてモデル実験を行った.高粘性溶液は,生理食塩水等と比べ血栓の除去や粉砕効果に優れた効果を示した.また水中噴射法は極めて安全性が高いことが判明した.4.ウォ-タ-ジェット法システムと血管形成術への適応:実用上の検討から,本法の応用は(a)一般外科的応用,(b)非観血的な手術法としての内視鏡的手術法,(c)内視鏡的血管形成術,(d)X線透視下血管形成術の四つに分類できる.そして血管形成術のシステム適応は次のようにまとめられる.a)急性期の症例を対象.一般外来や救急外来における検査時の診断において,直ちに治療し,早期快復を計るもの.b)慢性の経過をたどった症例あるいは重症例にたいする本格的手術.これはon lineで逐次モニタ-しながら治療する.on lineのモニタ-は,ジェットによる血栓の除去状態を治療前の画像と比較して表示し,さらに除去された血栓の推定容積の計算と開通率などの各種パラメ-タ-の表示を合わせ行う.1.ウォ-タ-ジェットアンギオプァスティ-用のノズル付きカテ-テルあるいは内視鏡に挿入するノズル付きカテ-テルについて、材質、形状などについて検討し、試作した。そしてこのカテ-テルの耐圧、流量などの性能試験を行った結果、試作したカテ-テルは30ー40kg/cm^2までの圧力に耐え、目的とする用途には充分である事が判明した。2.次いでこのカテ-テルによる噴射の特性試験を、噴流流体として蒸留水および血漿の粘性とほぼ同一に希釈したEthylene Glycol:EGを用い、各種の条件下で実施した。水槽および空気中における二種の流体のノズル出射部位における噴流速度は、ほとんど同じ値を示したが、水槽中での蒸留水の場合、空気中に比べ、噴流の速度は急激に低下した。一方、希釈EGの同溶液中への噴射では、出射部位の速度が長く保たれるという興味ある所見が得られた。3.本法の内視鏡的応用において、噴流噴射は狙撃性を良くするため、目的部位に対して極めて近接して行われる。 | KAKENHI-PROJECT-02557047 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-02557047 |
ウォ-タ-ジェットアンギオプラスティの開発と試作に関する研究 | このため、たとえ噴射が液体中で行なわれたとしても、その作用は空気中における噴射と同様な効果が期待できる。非目的外部位への誤噴射に対し、ノズルからの距離がある程度あれば、噴流の速度は減少し、有害な作用を及ぼさない。このことから水中噴射法は極めて安全性が高い方法であることが判明した。4.噴流が内膜損傷や血管穿孔に与える影響を種々条件下で検討した。現段階での検索で、アオギオプラスティ-が行われる血液等、溶液の中では前述の試験で判明したように、ジェットが噴射された部位から僅かに離れた部位ではほとんどジェットの影響がなかった。昨年の噴流用溶液などの基礎的研究に引きつづき,本年は噴流による破砕状態,血管内膜の損傷程度およびシステム構築について検討した.1.高脂質飼料投与により家兎胸部大動脈に発生させた粥腫,あるいはレ-ザ-照射により形成された血栓に対し,直視下または内視鏡下で噴流噴射を行い,粥腫や血栓の剥離状況や過程を観察・測定した.噴流の正常血管に与える影響,特に内膜損傷や血管穿孔についての検討は家兎の動脈内膜にたいし種々条件下で噴射することにより行なった.検索は走査電子顕微鏡によりその表面形状,また病理組織学標本により内部への影響を調査した.その結果,内膜の損傷は電顕および組織学上,ノズルから5mm以上離れた正常血管内膜部位では見られなく,また通常の噴射による血栓除去後の損傷は軽微であった.2.次に,臨床用システムの試作開発を行った.システムは,基本的要素として,ノズル付きカテ-テル,溶液加圧装置,画像診断装置から構成される.本法による血管形成術は方法論から,血管用内視鏡で病変部を観察する方式と,造影剤をジェット溶液としX線透視下で血管形成術を行う2方式を開発した.実験の結果,2方式とも長所短所が存在することから,何れの方式を選ぶかは症例によるものの,初めに段階ではシステム導入の難易にもよることになる.適応は,一般外来や救急外来における急性期の症例を対象とするものと,慢性症例への本格的手術がある.いずれも画像診断装置で逐次モニタ-しながら治療する.3.本法の手術適応,安全性,操作性,手術成積,また応用分野などハ-ドウエア,ソフトウエアの両面から検討するため,平成3年度に医用ジェット研究会を新設し,討論の場を持つこととなった. | KAKENHI-PROJECT-02557047 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-02557047 |
作用素環論の記号力学系理論への応用 | 記号力学系とそのC*ー環の代数構造の研究を主に次の3つの観点から研究した。一つ目はソフィックでない記号力学系の典型例であるダイクシフトやマルコフダイクシフトからできるC*環の代数構造とそのK群公式を研究した。二つ目はWolfgang Krieger教授と共同で記号力学系にlambda-synchronizationという性質を導入し、それがflow equivalenceの不変量であることを証明した。また関連してマルコフダイクシフトのzeta関数と位相エントロピーを計算する公式を発見した。三つ目は松井宏樹教授と共同で位相的マルコフシフトの軌道同型類の完全分類定理を証明した。最近の松井宏樹氏(千葉大学理学研究科教授)との共同研究を発表した。内容は、論文「Kengo Matsumoto:記号力学系とそのC*ー環の代数構造の研究を主に次の3つの観点から研究した。一つ目はソフィックでない記号力学系の典型例であるダイクシフトやマルコフダイクシフトからできるC*環の代数構造とそのK群公式を研究した。二つ目はWolfgang Krieger教授と共同で記号力学系にlambda-synchronizationという性質を導入し、それがflow equivalenceの不変量であることを証明した。また関連してマルコフダイクシフトのzeta関数と位相エントロピーを計算する公式を発見した。三つ目は松井宏樹教授と共同で位相的マルコフシフトの軌道同型類の完全分類定理を証明した。23年度は、本研究計画の初年度であり、記号力学系ならびに作用素環の研究者との研究交流を行い、記号力学系と異分野である作用素環との関連を連携研究者の富山淳との協力の下に明らかにすることを当初の大きな目的としていた。計画書に書いた様に平成23年度に京都大学数理解析研究所において国際研究プロジェクト「作用素環とその応用」が9月、11月、1月と計3回のべ約20日間にわたり開催され、それに参加し、国内外の主に作用素環の研究者と最新の研究情報を交換できた。さらに、11月の上記研究集会においてI.F. Putnam教授(カナダビクトリア大学)の力学系の軌道同型類とその作用素環についての講演に触発され、記号力学系の特に位相的マルコフシフトの軌道同型類とCuntz-Krieger環の同型類に明確な対応があることが解明できた。その結果は、すぐに、論文「Classification of Cuntz-Krieger algebras by orbit equivalence of topological Markov shifts」にまとめられ、アメリカ数学会の学会誌(Proceedings of Amer. Math. Soc.)に掲載されることとなった。また、上記論文の内容を、3月に東京理科大学で行われた日本数学会においても発表した。また、2次元の記号力学系である平面タイルばりからC*-環を構成できることもわかり、その構成とC*-環の構造について、9月に信州大学で行われた日本数学会と11月に琉球大学で行われた作用素論・作用素環論研究集会で講演を行った。26年度最終年度は、国内の作用素環論ならびに記号力学系の研究者と交流を図り、共同論文を執筆し、9月と3月の日本数学会で研究成果を報告することができた。まず松井宏樹氏(千葉大理教授)とは、マルコフシフトの軌道同型とCuntz-Krieger環について、2編の共同論文"Continuous orbit equivalence of topological Markov shifts and Cuntz-Krieger algebras "を完成させ、連続軌道同型と周期点の関係について明確にした。この論文は、専門雑誌Ergodic Theory Dynamical Systemsに掲載されることとなった。また軌道同型と位相充足群の関係についてもHigman-Thompson群と言われる従来知られていた可算無限非従順群のクラスを一般化しこれらの群の表現について共同研究した、その結果は論文"Full groups of Cuntz-Krieger algebras and Higman-Thompson group"にまとめられた。これらはそれぞれ、9月の広島大学での日本数学会、3月の明治大学での日本数学会で発表した。また、連続軌道同型とCuntz-Krieger環のゲージ作用についての関係が分かりこれは単著で"Continuous orbitequivalence and torus actions on Cuntz-Krieger algebras"に纏めた。マルコフダイクシフトについては、W. Krieger (ドイツ、ハイデルベルグ大)との研究討論の末その分類に大きく迫ることができ、現在共同論文を執筆中である、その過程で、マルコフダイクシフトにはグラフの頂点から定義するやり方と辺から定義するやり方の2種類ありことが分かり、両者の違いについて明確にし頂点型のマルコフダイクシフトのゼータ関数の公式も証明したこれらは論文"On Markov Dyck shifts of Vertex type"に纏められ専門紙Discrete and Continuous Dynamical Systemsに掲載されることなった。作用素環論研究業績の概要にも記したように、松井宏樹氏との共同研究により、「マルコフシフトの片側連続軌道同型はflow equivalenceを導く」という予想を、肯定的に解くことができ、preprint「K. Matsumoto and H. Matui,Continuous orbitequivalence of markov shifts and Cuntz-Krieger algebras」にまとめることができた。これ結果により、片側マルコフシフトの連続軌道同型による分類問題がある意味で完全に決着がつき、片側マルコフシフトの連続軌道同型類、Cuntz-Krieger環プラス行列式det(1-A)の符号、片側マルコフシフトからできる亜群の同型類、片側マルコフシフトの充足群の同型類の4つがきちんと対応することがわかった。 | KAKENHI-PROJECT-23540237 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-23540237 |
作用素環論の記号力学系理論への応用 | また、松井宏樹氏との共同研究で、実数のbeta-進展開からできる亜群の充足群を考えることにより、無限単純離散群として有名なHigman-Thompson群の一般化を発見し、preprint「Topological full groups of C*-algebras arising from beta-expansions」にまとめられた。このように、主として記号力学系の軌道同型類についての研究成果が得られ、研究は順調に進展していると言えると思う。上記「研究事績の概要」に記載したように、位相的マルコフシフトという記号力学系の基本的なクラスについて、その軌道同型類が対応するC*環であるCuntz-Krieger環の同型類に対応することがおおむね解明でき、それを論文「Classification of Cuntz-Krieger algebras by orbit equivalence of topological Markov shifts」にまとめアメリカ数学会の学会誌(Proceedings of Amer. Math. Soc.)投稿し、受理された。新たな指針として充足群と軌道同型類との関係を解明することへの手がかりもつかみ、記号力学系の軌道同型類と構成されるC*環との関係がさらに明確になることへの手ごたえをつかんだ。また、同時に2次元の記号力学系からC*-環を構成することにも成功し、現在論文として出版するために準備をできる段階になった。このように、少しずつ、記号力学系とC*ー環の関係が明らかになりつつある。今後も継続して「記号力学系の軌道同型類の作用素環を用いた研究」、「記号力学系の作用素環を用いた不変量の研究」ならびに、「2次元の記号力学系の作用素環を用いた研究」を中心におこなう予定である。特に位相的マルコフシフトの充足群が、フルシフト場合は、R. Thompsonが1960年代に発見した有限生成無限単純群(いわゆるTompson群)になっていることがわかるので、今後は群論的な視点からも記号力学系の充足群の研究を行いたいと考えている。Thompson群は、幾何学的な視点特にホモトピー論的な視点からも研究されている群なので、記号力学系の充足群の研究にこのようなトポロジー的な観点からも研究することを考えている。また、「記号力学系の作用素環を用いた不変量の研究」においては、共同で研究してきたHiederberg大学(ドイツ)のKrieger教授とも研究を継続し、lambdaーsynchronizationの研究とくに、lambda-synchronizationをもったsubshiftからできるC*-環の代数構造やそのKー理論の研究も進めたい。 | KAKENHI-PROJECT-23540237 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-23540237 |
化学放射線療法施行時におけるグレリン血中濃度と免疫学的指標の変動に関する研究 | 【目的】化学放射線療法(CRT)施行癌患者の栄養状態と食欲促進作用を有するグレリンの血中濃度との関連性及び免疫学的指標の変動を検討し、癌患者の免疫・栄養状態の改善対策を構築する基盤となる基礎的情報の確立を行うことを目的とした。【方法】CRTを施行した癌患者を対象とし、CRT開始前及び終了時における血中グレリン濃度及び血中サイトカイン濃度をELISAで測定した。血中グレリン濃度と免疫学的指標、栄養学的指標との関連性について検討した。【結果】対象患者は食道癌6例で、男性5例女性1例であった。シスプラチン(標準投与量7mg/body)とフルオロウラシル(標準投与量350mg/body)を併用した化学療法と放射線治療が全例で施行された。血中グレリン濃度の平均値は、CRT開始前27.3±3.0fmol/ml、CRT終了時31.4±4.1fmol/mlであり、CRT開始前と終了時の血中グレリン濃度に有意な変化は認められなかった。嚥下・通過障害のため粥食摂取または経管栄養が行われ、CRT開始前の血清アルブミン値の平均は3.3±0.3g/dlであった。CRT開始前の血清アルブミン値と血中グレリン濃度には相関関係はなかった。血中インターロイキン6(IL-6)濃度の平均値は、CRT開始前13.1±5.3pg/ml、CRT終了時16.0±9.6pg/mlであり、CRT開始前と終了時の血中IL-6濃度に有意な変化は認められなかった。CRT開始前と終了時のいずれも、血中グレリン濃度と血中IL-6濃度には相関関係はなかった。【考察】肺癌患者において、放射線治療開始から2週間目に有意な血中IL-6濃度の増加を示す報告(Lung Cancer,59,219-226,2008)がある。今後は、経時的にCRT施行癌患者の栄養状態と血中グレリン濃度及び免疫学的指標の変動を追跡する必要が考えられた。【目的】化学放射線療法(CRT)施行癌患者の栄養状態と食欲促進作用を有するグレリンの血中濃度との関連性及び免疫学的指標の変動を検討し、癌患者の免疫・栄養状態の改善対策を構築する基盤となる基礎的情報の確立を行うことを目的とした。【方法】CRTを施行した癌患者を対象とし、CRT開始前及び終了時における血中グレリン濃度及び血中サイトカイン濃度をELISAで測定した。血中グレリン濃度と免疫学的指標、栄養学的指標との関連性について検討した。【結果】対象患者は食道癌6例で、男性5例女性1例であった。シスプラチン(標準投与量7mg/body)とフルオロウラシル(標準投与量350mg/body)を併用した化学療法と放射線治療が全例で施行された。血中グレリン濃度の平均値は、CRT開始前27.3±3.0fmol/ml、CRT終了時31.4±4.1fmol/mlであり、CRT開始前と終了時の血中グレリン濃度に有意な変化は認められなかった。嚥下・通過障害のため粥食摂取または経管栄養が行われ、CRT開始前の血清アルブミン値の平均は3.3±0.3g/dlであった。CRT開始前の血清アルブミン値と血中グレリン濃度には相関関係はなかった。血中インターロイキン6(IL-6)濃度の平均値は、CRT開始前13.1±5.3pg/ml、CRT終了時16.0±9.6pg/mlであり、CRT開始前と終了時の血中IL-6濃度に有意な変化は認められなかった。CRT開始前と終了時のいずれも、血中グレリン濃度と血中IL-6濃度には相関関係はなかった。【考察】肺癌患者において、放射線治療開始から2週間目に有意な血中IL-6濃度の増加を示す報告(Lung Cancer,59,219-226,2008)がある。今後は、経時的にCRT施行癌患者の栄養状態と血中グレリン濃度及び免疫学的指標の変動を追跡する必要が考えられた。 | KAKENHI-PROJECT-19923056 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-19923056 |
化学反応波が励起するラセン状対流波の階層的自己組織化構造の解明 | 本研究では、Belousov-Zhabotinsky(BZ)反応溶液中に化学反応波を励起し、その中で自己組織的に形成される対流波の発生メカニズムの解明を目指した。バッチリアクター内に励起したラセン状化学反応波は、反応容器中で30-40分ラセン状化学反応を伝播し続ける。この過程で、ラセンパターンが反応容器全体に広がった後に振動的対流減少が観測される。これに伴い、化学反応波の波長(約1mm)に比べてかなり波長の長い、対流の動的な秩序構造が発生する。これは対流波(flow wave)と呼ばれ、波長は数cmに及ぶ。従来の知見では、対流波は反応容器の周辺で発生し、ラセン状化学反応波の中心に向って伝播する事が知られていた。本研究で実験的に明らかとなったことは、1)ラセン波の中心で発生し、容器周辺に向って伝播する対流波(円形状、ラセン状)が存在する(平成12年度)、2)種々の対流波のパターンの出現が、一種の分岐現象で理解できる事を示し、マロン酸とブロムマロン酸を制御変数とする相図を提案した(平成13年度)、3)ラセン状対流波は、同期して回転する界面変形を伴う(平成14年度)、4)界面変形と同期して、界面の対流方向が時間と伴に回転する(平成14年度)、などである。また、反応拡散と対流現象を結合したモデルによる数値計算では、従来考慮されていたフェリイン以外に、表面張力に影響を与える物質としてブロムマロン酸濃度を含む3変数の反応拡散モデルを提案し、化学反応波のウエーブトレイン(波長約1mm)が長波長の対流ロール(波長数cm)を発生する可能性を証明した。数値解析では振動流の発生まではシミュレート出来なかったが、長波長の対流ロールの伝播と対流方向の変化までは再現出来ている。今後、界面変形を積極的に取り入れた数値解析や、対流波への重力の影響などを検討する必要がある。本研究では、Belousov-Zhabotinsky(BZ)反応溶液中に化学反応波を励起し、その中で自己組織的に形成される対流波の発生メカニズムの解明を目指した。バッチリアクター内に励起したラセン状化学反応波は、反応容器中で30-40分ラセン状化学反応を伝播し続ける。この過程で、ラセンパターンが反応容器全体に広がった後に振動的対流減少が観測される。これに伴い、化学反応波の波長(約1mm)に比べてかなり波長の長い、対流の動的な秩序構造が発生する。これは対流波(flow wave)と呼ばれ、波長は数cmに及ぶ。従来の知見では、対流波は反応容器の周辺で発生し、ラセン状化学反応波の中心に向って伝播する事が知られていた。本研究で実験的に明らかとなったことは、1)ラセン波の中心で発生し、容器周辺に向って伝播する対流波(円形状、ラセン状)が存在する(平成12年度)、2)種々の対流波のパターンの出現が、一種の分岐現象で理解できる事を示し、マロン酸とブロムマロン酸を制御変数とする相図を提案した(平成13年度)、3)ラセン状対流波は、同期して回転する界面変形を伴う(平成14年度)、4)界面変形と同期して、界面の対流方向が時間と伴に回転する(平成14年度)、などである。また、反応拡散と対流現象を結合したモデルによる数値計算では、従来考慮されていたフェリイン以外に、表面張力に影響を与える物質としてブロムマロン酸濃度を含む3変数の反応拡散モデルを提案し、化学反応波のウエーブトレイン(波長約1mm)が長波長の対流ロール(波長数cm)を発生する可能性を証明した。数値解析では振動流の発生まではシミュレート出来なかったが、長波長の対流ロールの伝播と対流方向の変化までは再現出来ている。今後、界面変形を積極的に取り入れた数値解析や、対流波への重力の影響などを検討する必要がある。反応拡散系の代表的な実験システムとして有名な、Belousov-Zhabotinsky(BZ)反応に伴い自己組織化的に形成される対流波のパターンダイナミックスとその階層性に関する研究を行った。この反応に伴う対流波の存在は、1995年にドイツのグループ(S.C.Muller et al.)によって見出された。この時の対流波はラセン状の化学反応波の周辺領域からラセンの核に向かうものであった。また、対流波に関連する振動的な流れの存在は、報告者がドイツ・マックスプランク研究所滞在中(博士研究員:1987)に見出している。10年以上、この現象の解明に取り組んでいるが、現象が反応・拡散と対流を伴うことからメカニズムの本質は解明されていない。2000年に報告者のグループでラセン状化学反応波の核付近から外向きに伝播する対流波の存在が明らかとなった。従来の対流波は内向きのみで、反応容器のサイズに比例してその波長と伝播速度が変化した(周期一定)。外向きの対流波(標的状)は固有の波長を持ち、ラセン状の対流波へと時間発展した。本研究では、この対流波の内向き、外向きの現れる原因はもちろん、対流波自身のメカニズムを解明することを目的としている。 | KAKENHI-PROJECT-13831009 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-13831009 |
化学反応波が励起するラセン状対流波の階層的自己組織化構造の解明 | 本年度は、対流波の発生に影響すると考えられる、触媒であるフェロインと反応の基質であるマロン酸(ブロムマロン酸)の濃度をシステマティックに変化させ、タイプの異なる対流波が発生する濃度領域を明確にする実験を行った。その結果、一定のマロン酸濃度領域で外向きのラセン状対流波が発生する事が見出された。また、数値シミュレーションによって、波長の長いロール状の対流波が発生しうる条件を探査した。その結果、反応の進行に伴ったブロムマロン酸の蓄積によって、反応の時間経過に伴って表面張力が低下する効果を取り入れる事が重要である事が確認された。この効果は、BZ反応での加速的伝播を示すBig Waveを説明するメカニズムとしても注目されている。これらの研究成果は、2001年10月ドイツ・ギッセンでの国際会議(First Conference of the International Marangoni Association)で報告し、現在投稿論文として纏めている。また、この研究に関連し対流波の発生に伴う界面のわずかな変形(約1μ前後)を計測するためにフィゾー干渉計で計測した干渉縞の動画像を解析する必要がある。この解析技術に関連する動画像処理手法の研究論文報告を行っている。干渉計を用いた実験から、ラセン状対流波に付随して界面の変形が同期してラセン状に回転している事も確認している。現在投稿論文準備中である。Belousov Zhabotinsky(BZ)反応は、溶液の調合によって振動系と興奮系を区別できる。本研究では、BZ反応溶液を興奮系に調合し、外部トリガにより化学反応波を励起し、その中で自己組織的に形成される対流波の発生メカニズム解明を目指した。バッチリアクター内に励起したラセン状化学反応波は、反応容器中で30-40分ラセン状化学反応波を伝播し続ける。この過程で、ラセンパターンが反応容器全体に広がりた後に振動的対流現象が観測される。これに伴い、化学反応波の波長(約1mm)に比べてかなり波長の長い対流の動的な秩序構造が発生する。これは対流波(flow wave)と呼まれ、波長は数cmに及ぶ。従来の知見では、対流波は反応容器の周辺で発生し、ラセン状化学反応波の中心に向って伝播する事が知られていた。本研究で実験的に明らかとなったことは、1)ラセン状化学反応波の中心で発生し、容器周辺に向って伝播する対流波が存在する(昨年度まで)、2)ラセン波の中心から外向きに伝播する対流波の中には、ラセン状パターンを示すものが出現する、3)ラセン状対流波は、同期して回転する界面変形を伴う、4)界面変形と同期して、界面の対流方向が時間と伴に回転する、5)対流方向の回転周期、界面変形の回転周期、ラセン状対流波の回転周期と化学反応波の回転周囲まほぼ一致し、1:1に引き込まれている。などである。また、反応拡散と対流現象を結合したモデルによる数値計算では、1)反応に伴う生成物質としてのブロムマロン酸(BM)と、触媒のフェリイン<Fe^<3+>)が界面張力に影響を与える、2)反応の進行に伴うブロムマロン酸とフェリインの空間分布の不均一が表面張力の不均一を生み、マランゴーニ対流発生の要因となる、などを考慮して化学反応波のウェーブトレイン(波長約1mm)が長波長の対流ロール(波長数cm)を発生する可能性を証明した。数値解析では振動流の発生まではシミュレート出来なかったが、長波長の対流ロールの伝播と対流方向の変化までは再現出来ている。今後、界面変形を積極的に取り入れた、対流波への重力の影響有無などを検討する必要がある。 | KAKENHI-PROJECT-13831009 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-13831009 |
生物材料を用いた無細胞自己複製系のダイナミクス | 多種多様な生物が相互作用しながら新しい機能が生まれてくる進化や細胞間の多様な結合によって起こる発生などは、生物学的創発の代表と言える。これを研究するのに、生物材料を用いた無細胞自己複製系を導入した。具体的には、DNA複製酵素の遺伝子から、試験管内でDNA複製酵素を合成し、その酵素がもとの遺伝子を複製する。よって、この系では、生物なしに、生物の特徴の一つである自己複製が達成される。この無細胞自己複製系では遺伝子がコード、そこからできてくる酵素がマシンとなっていて、それらは実験的に分離可能となっている。よって、試験管を細胞膜と考えれば、複数本の試験管で自己複製を行ない、その溶液を混ぜることによって、自由に細胞間の相互作用が制御できる。この自己複製系の1サイクルにかかる時間の短縮のために、遺伝子構造の改良を行った。また、利己性の制御のために、一分子のDNAの増幅を可能にするPCR法を開発した。多種多様な生物が相互作用しながら新しい機能が生まれてくる進化や細胞間の多様な結合によって起こる発生などは、生物学的創発の代表と言える。これを研究するのに、生物材料を用いた無細胞自己複製系を導入した。具体的には、DNA複製酵素の遺伝子から、試験管内でDNA複製酵素を合成し、その酵素がもとの遺伝子を複製する。よって、この系では、生物なしに、生物の特徴の一つである自己複製が達成される。この無細胞自己複製系では遺伝子がコード、そこからできてくる酵素がマシンとなっていて、それらは実験的に分離可能となっている。よって、試験管を細胞膜と考えれば、複数本の試験管で自己複製を行ない、その溶液を混ぜることによって、自由に細胞間の相互作用が制御できる。この自己複製系の1サイクルにかかる時間の短縮のために、遺伝子構造の改良を行った。また、利己性の制御のために、一分子のDNAの増幅を可能にするPCR法を開発した。 | KAKENHI-PROJECT-08233211 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-08233211 |
中学校における空間概念形成のための効果的指導の実証的研究 | 本研究は、二つに分けて行った。一つは、中学生の空間概念の形成の発達の様相の解明を行った。調査内容は、中学校理科第2分野の天体のうち、主として空間の相対概念について調査を行った。調査は、本学附属中学校、附属盲学校、附属聾学校、附属桐が丘養護学校、東京都公立中学校、秋田県公立中学校、静岡県公立中学校について行い、コンピュータ処理を行った。その結果、空間の相対概念は、学年を追って順調に発達するものの、特に変移点のようなものは見られなかった。男女差については、一般に男子の方が優れているが、その差はあまり大きなものではない。二つは、本研究の主題である空間概念の形成のための教材開発と指導法の開発、実践と評価を行った。教材開発は、地球の自転軸の傾き、月、惑星の満ち欠け等のモデルとして、直径8センチメートルの発泡スチロール球を水性塗料で灰色に塗り、これに5ミリメートルの太さをもった心棒を通し、垂直と23・4°傾く穴をもつ木製のスタンドを作成した。授業は附属中学校の1年生を対象にして行い、実験群、対象群を設けて行った。評価は、プレテストとポストテストを行った。また、実験群については、授業についての20項目のアンケート調査を行った。またビデオ撮りして授業分析を行った。その結果、学力にかかわる調査結果では、それ程の差は生じなかったものの、やや発展的な内容については、有意差を認めることができた。また、アンケートの結果によれば、モデルを用い、暗室にした実験室の中で、光の当たり方と見え方を具体的に視察することが面白く、よかったという者が多くあった。これは選抜された附属中学校の生徒の結果であるので、一般公立校では、もっとその効果は大きいものと思われる。これらの結果は、報告書として50ページほどのものにまとめて刊行した。本研究は、二つに分けて行った。一つは、中学生の空間概念の形成の発達の様相の解明を行った。調査内容は、中学校理科第2分野の天体のうち、主として空間の相対概念について調査を行った。調査は、本学附属中学校、附属盲学校、附属聾学校、附属桐が丘養護学校、東京都公立中学校、秋田県公立中学校、静岡県公立中学校について行い、コンピュータ処理を行った。その結果、空間の相対概念は、学年を追って順調に発達するものの、特に変移点のようなものは見られなかった。男女差については、一般に男子の方が優れているが、その差はあまり大きなものではない。二つは、本研究の主題である空間概念の形成のための教材開発と指導法の開発、実践と評価を行った。教材開発は、地球の自転軸の傾き、月、惑星の満ち欠け等のモデルとして、直径8センチメートルの発泡スチロール球を水性塗料で灰色に塗り、これに5ミリメートルの太さをもった心棒を通し、垂直と23・4°傾く穴をもつ木製のスタンドを作成した。授業は附属中学校の1年生を対象にして行い、実験群、対象群を設けて行った。評価は、プレテストとポストテストを行った。また、実験群については、授業についての20項目のアンケート調査を行った。またビデオ撮りして授業分析を行った。その結果、学力にかかわる調査結果では、それ程の差は生じなかったものの、やや発展的な内容については、有意差を認めることができた。また、アンケートの結果によれば、モデルを用い、暗室にした実験室の中で、光の当たり方と見え方を具体的に視察することが面白く、よかったという者が多くあった。これは選抜された附属中学校の生徒の結果であるので、一般公立校では、もっとその効果は大きいものと思われる。これらの結果は、報告書として50ページほどのものにまとめて刊行した。 | KAKENHI-PROJECT-63580220 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-63580220 |
液体の熱伝導率の光学的非定常測定法の研究 | 本研究で得られた成果の概要を各年度ごとにまとめると以下のようになる。〔昭和59年度〕1.強制レイリー散乱法による液体の温度伝導率測定装置を製作し、その機能と測定原理の確認を行なった。2.各種の測定誤差要因(試料層厚さ,容器壁厚さ,染料濃度)の実験的検討を、従来のデータの良くそろっているトルエンを用いて行なった。〔昭和60年度〕1.測定装置の精度の向上および適用範囲の拡大を目指して次のような改良検討を行なった。(1)コンピュータによるオンライン計測,(2)CCDによる格子間隔測定,(3)加熱時間の延長。2.強制レイリー散乱法の各種液体への適用を確認するために次のような物質についての測定を行なった。(1)有機液体(トルエン,ヘキサン,ヘプタン,メタノール),(2)水,(3)液晶。〔昭和61年度〕1.各種誤差要因を理論的に解析し、実験との比較を行なった。考慮した誤差要因は、(1)試料容器壁の影響,(2)試料に添加する染料の影響,(3)加熱領域が有限でかつ加熱光強度がガウス分布している影響,(4)初期加熱時間が有限である影響,(5)試料厚みが回折効率に与える影響である。2.高温の溶融塩に適用できるように装置の改良を行ない、また溶融塩用の染料の選択のための着色実験を行なった。3.溶融塩の測定を試み、NaNO3は約330°C、KClについては約1000°Cまでの測定を行なうことができた。その結果KClでは過去の測定値が、23倍も大きいことが明らかとなり、この方法の高温流体への適用性が広げられた。本研究で得られた成果の概要を各年度ごとにまとめると以下のようになる。〔昭和59年度〕1.強制レイリー散乱法による液体の温度伝導率測定装置を製作し、その機能と測定原理の確認を行なった。2.各種の測定誤差要因(試料層厚さ,容器壁厚さ,染料濃度)の実験的検討を、従来のデータの良くそろっているトルエンを用いて行なった。〔昭和60年度〕1.測定装置の精度の向上および適用範囲の拡大を目指して次のような改良検討を行なった。(1)コンピュータによるオンライン計測,(2)CCDによる格子間隔測定,(3)加熱時間の延長。2.強制レイリー散乱法の各種液体への適用を確認するために次のような物質についての測定を行なった。(1)有機液体(トルエン,ヘキサン,ヘプタン,メタノール),(2)水,(3)液晶。〔昭和61年度〕1.各種誤差要因を理論的に解析し、実験との比較を行なった。考慮した誤差要因は、(1)試料容器壁の影響,(2)試料に添加する染料の影響,(3)加熱領域が有限でかつ加熱光強度がガウス分布している影響,(4)初期加熱時間が有限である影響,(5)試料厚みが回折効率に与える影響である。2.高温の溶融塩に適用できるように装置の改良を行ない、また溶融塩用の染料の選択のための着色実験を行なった。3.溶融塩の測定を試み、NaNO3は約330°C、KClについては約1000°Cまでの測定を行なうことができた。その結果KClでは過去の測定値が、23倍も大きいことが明らかとなり、この方法の高温流体への適用性が広げられた。 | KAKENHI-PROJECT-59460092 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-59460092 |
単一遺伝子病に対する新しい遺伝子診断法の開発と応用 | 本研究の目的は、臨床の場で簡便・迅速に遺伝子変異が検出できる遺伝子診断法を開発し、その臨床応用を検討することである。本研究では、研究者が考案した新しい手法(CASSOH法)に改良を加えその臨床応用をおこなった。疾患や薬理遺伝学的遺伝子多型によっては、複数の遺伝子変異や多型が関与していることも少なくなく、このような場合、遺伝子診断法のマルチプレックス化が望ましい。そこで私たちは、CASSOH法の最終検出ステップに、試験紙ではなくイムノアフィニティーとELISA法を組み合わせた新しい手法を開発した。ここでは、PCR反応液をチップ上のメンブレンに吸着させ、試薬を順次加えることによって青の発色で多型の有無を検出する。チップには特別の工夫が加えられており、添加された液はすべてメンブレン下部のパッドに吸収されるため、通常のELISAのように廃液を処理する必要がない。また、多数のチップをケースに収納することによってマルチウェルプレートのフォーマットで用いることも可能である。この方法(CASSOH-ELISA法)は、比較的高いスループットを持ちながら、特別の機器を用いることなく肉眼で遺伝子型を判定できるというこれまでにない特徴を有しており、今後多くの遺伝子診断に応用可能と考えられる。本研究の目的は、臨床の場で簡便・迅速に遺伝子変異が検出できる遺伝子診断法を開発し、その臨床応用を検討することである。本研究では、研究者が考案した新しい手法(CASSOH法)に改良を加えその臨床応用をおこなった。このCASSOH法は遺伝子増幅装置以外の機器は一切用いずに免疫クロマトグラフィーを用いて肉眼的に既知の点変異を検出する新しい手法で、手技的にはインフルエンザ迅速診断キットに類似している。血液検体から判定までに要する時間は2時間以内である。まずこの手法に組み合わせるPCR法以外の定温度遺伝子増幅法を検討し、LAMP法との組み合わせが可能であることを確認した。つぎに、実際の臨床応用を目指して、単一遺伝子病の中で高頻度に見られる点変異や、薬理遺伝学的に有用な単塩基遺伝子多型を対象にした診断キットを試作した。対象とした疾患関連遺伝子変異は、糖原病Ia型、高グリシン血症、Tay-Sachs病、Gaucher病、家族性乳癌、ミトコンドリアA1555G変異である。また遺伝子多型は、NAT2、TPMT、UGT1A1、Factor V Leidenを対象とした。その結果、いずれの変異・多型の検出にも成功した。さらにまた改良を加え、DNAの抽出精製過程を経ることなく、微量の全血を直接反応系に加えることが可能な反応系を確立した。本方法は、一般病院・医院のベッドサイドで施行可能な遺伝子検査法であり、今後臨床の場における活用が期待される。本研究の目的は、臨床の場で簡便・迅速に遺伝子変異が検出できる遺伝子診断法を開発し、その臨床応用を検討することである。本研究では、研究者が考案した新しい手法(CASSOH法)に改良を加えその臨床応用をおこなった。疾患や薬理遺伝学的遺伝子多型によっては、複数の遺伝子変異や多型が関与していることも少なくなく、このような場合、遺伝子診断法のマルチプレックス化が望ましい。そこで私たちは、CASSOH法の最終検出ステップに、試験紙ではなくイムノアフィニティーとELISA法を組み合わせた新しい手法を開発した。ここでは、PCR反応液をチップ上のメンブレンに吸着させ、試薬を順次加えることによって青の発色で多型の有無を検出する。チップには特別の工夫が加えられており、添加された液はすべてメンブレン下部のパッドに吸収されるため、通常のELISAのように廃液を処理する必要がない。また、多数のチップをケースに収納することによってマルチウェルプレートのフォーマットで用いることも可能である。この方法(CASSOH-ELISA法)は、比較的高いスループットを持ちながら、特別の機器を用いることなく肉眼で遺伝子型を判定できるというこれまでにない特徴を有しており、今後多くの遺伝子診断に応用可能と考えられる。 | KAKENHI-PROJECT-15659241 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-15659241 |
ヒト幹細胞の DNA メチル化に基づいた病理診断システムの構築 | ヒト人工多能性幹細胞(iPS細胞)、胚性幹細胞(ES細胞)、体性幹細胞を用いた再生医療の実現のためには各幹細胞を厳密に評価することが必要不可欠である。本研究では、DNAメチル化の観点から各幹細胞の特性評価を行った。DNAメチル化比較解析から新たなヒト多能性幹細胞エピジェネティクマーカーを同定した。さらにiPS細胞は培養と共にES細胞に近づいていくことを示し、iPS細胞におけるリプログラミング機構の一端を明らかにした。ヒト人工多能性幹細胞(iPS細胞)、胚性幹細胞(ES細胞)、体性幹細胞を用いた再生医療の実現のためには各幹細胞を厳密に評価することが必要不可欠である。本研究では、DNAメチル化の観点から各幹細胞の特性評価を行った。DNAメチル化比較解析から新たなヒト多能性幹細胞エピジェネティクマーカーを同定した。さらにiPS細胞は培養と共にES細胞に近づいていくことを示し、iPS細胞におけるリプログラミング機構の一端を明らかにした。これまで再生医療応用を目指した成育医療センター・バイオリソースとして、様々な間葉系細胞の分離・培養に成功し、セルバンク化を進めてきた。これら希少なヒト細胞のうち、子宮内膜細胞、羊膜細胞、胎盤動脈細胞、月経血細胞、および胎児肺線維芽細胞のゲノムDNAを採取し、網羅的DNAメチル化解析に用いた。ゲノムDNA上の26,770箇所におけるDNAメチル化状態を収集し、各ヒト細胞におけるDNAメチル化プロファイルを行った。クラスター解析、主成分解析の結果、由来の異なる細胞が明確に判別でき、細胞の種類や特性に一致する分類が明確に可能であることが明らかになった。また、5種類のヒト細胞おける個々のメチル化状態について詳細に解析を行ったところ、解析した26,770箇所のうち、21,430箇所は異なる細胞間でDNAメチル化状態に差はなく、全体の19.95%の5,340が細胞特異的メチル化可変領域(T-DMR)であった。各細胞特異的なT-DMR遺伝子の数は、子宮内膜細胞43、羊膜細胞246、胎盤動脈細胞438、月経血細胞84、および胎児肺線維芽細胞321遺伝子であった。細胞特異的T-DMR遺伝子の内訳を見てみると、子宮内膜細胞では、HOXA9、羊膜細胞では、ZIC5、HOXB4、胎児肺線維芽細胞では、HOXB6、ZNF581、など発生、分化に重要な役割を示す遺伝子群が同定されているのが分かる。HOXやGATA、FOX関連遺伝子などが遺伝子発現解析ではなくDNAメチル化解析から抽出されてきた点は非常に興味深く、細胞の維持や分化の方向を規定する分子マーカーとして利用価値が高い。引き続き解析するヒト細胞を追加し、各細胞のDNAメチル化状態を比較検証することで細胞特異的T-DMR遺伝子を同定し、細胞固有のDNAメチル化パターン情報の収集と細胞特異的T-DMR遺伝子の詳細な解析を継続して行う。これまで再生医療応用を目指した成育医療センター・バイオリソースの希少なヒト細胞のうち、子宮内膜細胞、羊膜細胞、胎盤動脈細胞、月経血細胞、および胎児肺線維芽細胞のゲノムDNAを採取し、網羅的DNAメチル化解析を行い、細胞特異的メチル化可変遺伝子(T-DMR遺伝子)の同定と細胞固有のDNAメチル化パターン情報の収集、および細胞特異的T-DMR遺伝子の詳細な解析を行ってきた。本年度は更にヒト余剰指から得られた指皮膚細胞、指骨髄細胞、及びヒト耳軟骨細胞を解析対象に加え、ゲノムDNAを採取し、網羅的DNAメチル化解析を行った。ゲノムDNA上の28,000箇所のDNAメチル化状態をそれぞれ解析し、指皮膚細胞、指骨髄細胞、及びヒト耳軟骨細胞のDANメチル化プロファイルを行った。昨年度に収集した子宮内膜細胞、羊膜細胞、胎盤動脈細胞、月経血細胞、および胎児肺線維芽細胞のDANメチル化プロファイルデータに加え、総合的にクラスター解析、主成分解析の結果、指皮膚細胞と指骨髄細胞は近いグループとして区別することが出来、子宮内膜細胞と月経血細胞が近似グループとして区別することが出来た。指皮膚細胞、指骨髄細胞、及びヒト耳軟骨細胞特異的メチル化可変領域(T-DMR)の同定を進めており、HOXA9、ZIC5、HOXB4、HOXB6、ZNF581、GATA、FOXなど先に同定された遺伝子群との遺伝子発現及びDNAメチル化状態の比較検討と関連を解析中である。各種ヒト間葉系幹細胞において、癌関連遺伝子、未分化マーカー遺伝子、分化誘導遺伝子等を中心に網羅的なDNAメチル化解析を行いヒト間葉系細胞のDNAメチル化プロファイリング化を進めてきた。本年度はさらにヒトiPS細胞の網羅的なDNAメチル化解析、網羅的発現遺伝子解析結果を加え、比較横断的解析から再生医療に向けた細胞の品質の規格化と管理を行うための有用なデータを得ることができた。ヒト間葉系細胞、ヒトiPS細胞およびヒトES細胞の網羅的DNAメチル化解析からiPS/ES細胞特異的メチル化可変領域を220箇所同定した。さらに網羅的遺伝子発現解析データとの関連解析からiPS細胞におけるDNAメチル化変化と発現変化に相関のある8遺伝子(EPHA1、PTRN6、RAB25、SALL4、GBP3、LYST、SP100、UBE1L)を同定した。これら8遺伝子は、新たなエピジェネティクマーカーとして、iPS細胞の評価指標として使用できる。さらにiPS細胞における異常メチル化領域を同定し、詳細な解析を行った。 | KAKENHI-PROJECT-21790372 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-21790372 |
ヒト幹細胞の DNA メチル化に基づいた病理診断システムの構築 | 22iPS細胞株間で共通の異常メチル化領域は検出できなかった。しかし、各iPS細胞株とES細胞を比較すると、200-300領域においてES/iPS間で異常メチル化領域が検出されたことからiPS細胞における異常メチル化はゲノムDNA上にランダムに起こる現象であることを明らかにした。これら異常メチル化は一過性の高メチル化を経て長期培養と共に消失し、iPS細胞はES細胞に性質が近づいていくことが明らかになった。これらの結果はiPS細胞におけるリプログラミング機構の一端を明らかにしたものである.iPS/ES細胞特異的メチル化可変領域のDNAメチル化状態の測定と異常メチル化領域の数の検定は、ヒトiPS細胞比較評価指標として有用である。これまでに骨髄細胞、子宮内膜、胎盤、臍帯血等を由来とする様々な間葉系細胞の分離・培養に成功し、さらにこれらの細胞からiPS細胞を樹立し、これら希少なヒト間葉系細胞およびそれらから作成したヒトiPS細胞を含む多能性幹細胞を用いてDNAメチル化解析を中心としたエピジェネティクス研究を介して再生医療に向けた細胞の品質の標準化・規格化を行うための有用なデータを得ている。本年度はさらにヒト胎児性がん細胞(EC細胞)3株追加し、網羅的なDNAメチル化解析を追加し、iPS細胞、ES細胞および間葉系細胞の網羅的なDNAメチル化プロファイルとの比較解析を行った。各細胞のDNAメチル化プロファイルの階層的クラスタリング解析ではEC細胞、ES細胞、iPS細胞は、体細胞との間に明確な差があり多能性幹細胞群を形成した。しかし、EC細胞群はES/iPS細胞との間にES-iPS細胞間よりも大きな差があることが明らかになった。ES/iPS細胞と比べてEC細胞特異的に変化のあるDNAメチル化可変領域を同定し、EC細胞特異的DNAメチル化可変遺伝子の中で、特にKRAB box transcription factorがEC細胞における未分化維持に関与している可能性が示唆された。また、人為的DNAメチル化操作技術の開発を目的にiPS細胞、間葉系細胞に脱メチル化剤を添加し、その効果や発現解析を行った。TERT遺伝子はiPS細胞など多能性幹細胞に発現し、間葉系細胞には発現しない。多能性幹細胞および間葉系細胞に脱メチル化剤である5-aza-Cを添加、培養し、TERT遺伝子の発現を解析したところ、脱メチル化剤依存的にTERT遺伝子の発現が変動した。TERT遺伝子がエピジェネティックによって制御されていることを示唆する結果である。本年度は特にヒトiPS細胞の解析結果を加え、iPS/ES細胞特異的メチル化可変領域の同定と異常メチル化領域の詳細な動態を明らかにすることができた。異常メチル化領域のモニタリングは、よりES細胞に近いiPS細胞を同定するための新たなエピジェネティク指標として有用である。これらの結果は、再生医療へのiPS細胞利用に向けて、iPS細胞の評価や品質の規格化に貢献できる。24年度が最終年度であるため、記入しない。今後は人為的DNAメチル化改変技術の開発を進める。本研究で同定したiPS/ES細胞特異的メチル化可変領域OCT-4、NANOG、TERT遺伝子など未分化関連因子のDNAメチル化を人為的に制御できれば、より高効率で安全なiPS細胞の樹立方法の確立や、iPS細胞から特定の細胞への効率的な分化誘導法の開発に繋がる。 | KAKENHI-PROJECT-21790372 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-21790372 |
2原子酸素添加酵素の反応中間体結晶構造に基づいた触媒反応機構解析 | Extradiol型2原子酸素添加酵素は、芳香族化合物の代謝においてキーとなる酵素で、古くから精力的に研究されてきた。これらの酵素は活性中心に2価のノンヘム鉄を含んでおり、カテコール環に酸素原子を2個付加することで芳香環を開裂する。本研究では、extradiol型2原子酸素添加酵素の反応中間体構造を超高分解能で決定し、extradiol型2原子酸素添加酵素の触媒反応機構を明らかにすることを目指した。まず超高分解能の結晶構造を決定する為に、BphCの精製度を上げて結晶化を行った。その結果、分解能を1.45Åから1.3Å分解能まであげる事に成功した。この結晶を用いることで、活性中心の詳細な構造を決定する事が出来た。特に、低酸素濃度下で決定した構造では、これまで分子種が不明(O_2もしくはO_2^-である可能性を否定できなかった)であった鉄めリガンドが、OもしくはOHである事がはっきりと示された。また、本研究期間中に共同研究者により、4-メチルカテコールや、4-クロロカテコールが、BphCのユニークな阻害剤である事が示された。この知見は、本酵素の工学的応用に重要であるため、これらの阻害剤の触媒反応阻害機構を立体構造に基づき解析した。これらの阻害剤とBphCとの複合体の高分解能結晶構造の決定を行った結果、驚くべき事にこれらの4位置換阻害剤は、通常の基質と結合様式が全く異なっていることが明らかになった(論文準備中)。具体的には、4位置換の阻害剤の場合は、2つの水酸基が鉄イオンを中心としたOctahedralの配位構造中で共にequatorialの位置を占めていることが明らかになった(基質では、1つの水酸基がaxialに、他方の水酸基がequatorialな位置に結合する)。このような阻害形式は、初めて見いだされたもので極めて興味深い。構造を検討した結果、この異常な結合様式は、基質ポケットの形状に起因するとものと考えられた。この結果、基質結合ポケットの形状を変える事で、特定の基質に対して耐性の(失活しにくい)酵素を設計できる可能性があることが示された。本研究では、2原子酸素添加酵素であるBphCの反応中間体の結晶構造を決定し、これをもとに触媒反応機構を決定していくことを目的としている。これまでに、基質非結合型、および基質結合型(酸素濃度100ppm;以後、基質結合型Iと呼ぶ)の高分解能構造(1.45Å分解能)を決定してきた。また、基質結合型(酸素濃度400ppm;以後、基質結合型IIと呼ぶ)の結晶構造も2.0Å分解能で決定している。これらの結果から、触媒反応に必須なHis194が触媒反応の過程で往復運動をしているらしいことが示唆されていた。しかしながら、基質結合型IIの結晶構造の分解能が他に比べ劣るため、これまでは、この構造を他の反応中間体構造と同列に論じることができなかった。そこで、基質結合型IIの結晶構造を他と同様な高分解能で決定することを試み、この構造を1.4Å分解能で決定した。その結果、鉄イオンに対する配位子の違いにより、確かに活性中心のHis194が異なった配置をとることがはっきりと示された。また、本年度は、4-nitro-catechol,4-methyl-catecholの2つの阻害剤とBphCの複合体の結晶構造の決定も行った。その結果、これらの阻害剤は、通常のカテコール(およびその誘導体)と同様に2つの水酸基を使って鉄イオンに配位しているが、その配置が90°回転していることが明らかになった。つまり、基質とは異なる配置で活性中心の鉄イオンに配位することで活性中心を占有し、阻害剤として働いていることが明らかになった。阻害剤と蛋白質分子の相互作用を解析した結果、今回観察された現象は、阻害剤の置換基(ニトロ基やメチル基)と蛋白質分子との間の接触のため、通常の基質と同様な配置で鉄イオンに配位することができなくなり、生じたことが示唆された。Extradiol型2原子酸素添加酵素は、芳香族化合物の代謝においてキーとなる酵素で、古くから精力的に研究されてきた。これらの酵素は活性中心に2価のノンヘム鉄を含んでおり、カテコール環に酸素原子を2個付加することで芳香環を開裂する。本研究では、extradiol型2原子酸素添加酵素の反応中間体構造を超高分解能で決定し、extradiol型2原子酸素添加酵素の触媒反応機構を明らかにすることを目指した。まず超高分解能の結晶構造を決定する為に、BphCの精製度を上げて結晶化を行った。その結果、分解能を1.45Åから1.3Å分解能まであげる事に成功した。この結晶を用いることで、活性中心の詳細な構造を決定する事が出来た。特に、低酸素濃度下で決定した構造では、これまで分子種が不明(O_2もしくはO_2^-である可能性を否定できなかった)であった鉄めリガンドが、OもしくはOHである事がはっきりと示された。また、本研究期間中に共同研究者により、4-メチルカテコールや、4-クロロカテコールが、BphCのユニークな阻害剤である事が示された。この知見は、本酵素の工学的応用に重要であるため、これらの阻害剤の触媒反応阻害機構を立体構造に基づき解析した。 | KAKENHI-PROJECT-15770077 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-15770077 |
2原子酸素添加酵素の反応中間体結晶構造に基づいた触媒反応機構解析 | これらの阻害剤とBphCとの複合体の高分解能結晶構造の決定を行った結果、驚くべき事にこれらの4位置換阻害剤は、通常の基質と結合様式が全く異なっていることが明らかになった(論文準備中)。具体的には、4位置換の阻害剤の場合は、2つの水酸基が鉄イオンを中心としたOctahedralの配位構造中で共にequatorialの位置を占めていることが明らかになった(基質では、1つの水酸基がaxialに、他方の水酸基がequatorialな位置に結合する)。このような阻害形式は、初めて見いだされたもので極めて興味深い。構造を検討した結果、この異常な結合様式は、基質ポケットの形状に起因するとものと考えられた。この結果、基質結合ポケットの形状を変える事で、特定の基質に対して耐性の(失活しにくい)酵素を設計できる可能性があることが示された。 | KAKENHI-PROJECT-15770077 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-15770077 |
植物表皮の幹細胞維持と分化の制御ロジックに関わる内的因子と新奇化合物の探索 | 植物表皮の通気口である気孔は、一対の孔辺細胞が膨張・収縮することにより開閉し、光合成のためのガス交換と蒸散を調節する。気孔の存在は植物の生長と生存に必須なだけでなく、地球レベルの大気環境に影響を及ぼしている。気孔は、気孔系譜の幹細胞であるメリステモイド細胞から生まれ、メリステモイド細胞の数は様々な外部環境に適合するよう巧妙に調節されている。本研究では、申請者が新規に所属することになった名古屋大学トランスフォーマティブ生命分子研究所(ITbM)の理念である「合成化学と生物学の融合による新奇化合物の創出」を目指し、メリステモイド細胞の維持と分化を司る内的因子、および合成化合物の探索と同定を目的とする。平成27年度末までに、孔辺細胞特異的に強いGFP蛍光を発するシロイヌナズナレポーター植物を用いて現在までに約4200種類の化合物をスクリーニングした。その結果、気孔の数とメリステモイド細胞の数を増やす一群の新奇化合物が同定された。これらの中から効果が高く副作用が少ない候補をさらに選抜し、2つの化合物について詳細な解析を行った。その内の一つはメリステモイド細胞の増殖と気孔の分化の両方を著しく促進した。驚く事に、この化合物は地上部および地下部のバイオマスを増大させた。この効果は、広く作物植物で認められたため、この化合物は気孔の分化とバイオマス生産の両方に共通するプロセスに関わることが示唆された。今後は、合成化学によるアナログ(類似化合物)のレパートリーを増やし、生理活性を担う化合物構造を狭めるとともに、標的因子の同定につなげたい。27年度が最終年度であるため、記入しない。27年度が最終年度であるため、記入しない。過去一年間、孔辺細胞特異的に強いGFP蛍光を発するライン(野生型背景)を用いて現在までに約1300種類の化合物をスクリーニングした。そのうち、32種類の化合物の効果の再現性を確認できた。それらは、(i)気孔の数を増やす、(ii)気孔のクラスター化を起こす、(iii)孔辺母細胞の対称分裂異常を起こし気孔の形態が異常になる、というどれかの表現型グループに属していた。現在のところメリステモイド細胞の発生を停止させる化合物は見つかっていない。次に、上記の化合物の中でも今年度は特に、(i), (ii)の両方の効果を持ち、さらに植物体への生育阻害などの影響がない2つの化合物(E2とKC9)に関して、気孔発生に異常を示す突然変異体や形質転換体への影響を調べた。例えば、KC9添加はspchおよびscrm/ice1 scrm2二重変異体のように気孔系譜をまったく作り出さない変異体には効果が見られなかった。その一方、atml hdg2二重変異体ではメリステモイド細胞が高頻度で発生停止するが、KC9添加により、これらメリステモイドメリステモイドは気孔へと分化した。er erl1二重変異体では、気孔密度は高くなることが知られるが、気孔はクラスターを形成しない。しかし、er erl1二重変異体ではKC9に対する感受性が亢進しており、極端な気孔クラスターを形成した。これらの結果から、これら化合物はERECTAファミリー受容体キナーゼを介した、気孔パターンを制御するシグナル伝達経路に作用する可能性が示唆された。植物表皮の通気口である気孔は、一対の孔辺細胞が膨張・収縮することにより開閉し、光合成のためのガス交換と蒸散を調節する。気孔の存在は植物の生長と生存に必須なだけでなく、地球レベルの大気環境に影響を及ぼしている。気孔は、気孔系譜の幹細胞であるメリステモイド細胞から生まれ、メリステモイド細胞の数は様々な外部環境に適合するよう巧妙に調節されている。本研究では、申請者が新規に所属することになった名古屋大学トランスフォーマティブ生命分子研究所(ITbM)の理念である「合成化学と生物学の融合による新奇化合物の創出」を目指し、メリステモイド細胞の維持と分化を司る内的因子、および合成化合物の探索と同定を目的とする。平成27年度末までに、孔辺細胞特異的に強いGFP蛍光を発するシロイヌナズナレポーター植物を用いて現在までに約4200種類の化合物をスクリーニングした。その結果、気孔の数とメリステモイド細胞の数を増やす一群の新奇化合物が同定された。これらの中から効果が高く副作用が少ない候補をさらに選抜し、2つの化合物について詳細な解析を行った。その内の一つはメリステモイド細胞の増殖と気孔の分化の両方を著しく促進した。驚く事に、この化合物は地上部および地下部のバイオマスを増大させた。この効果は、広く作物植物で認められたため、この化合物は気孔の分化とバイオマス生産の両方に共通するプロセスに関わることが示唆された。今後は、合成化学によるアナログ(類似化合物)のレパートリーを増やし、生理活性を担う化合物構造を狭めるとともに、標的因子の同定につなげたい。昨年度から連携研究者と技術員との二人三脚で、化合物のスクリーニング系を立ち上げた。スクリーニングVersion1としては、孔辺細胞だけ強く緑色蛍光(GFP)を発色する特殊なシロイヌナズナを用いて、蛍光実体顕微鏡を用いる事により効率的に化合物の気孔の数や分布に対する効果を判断出来る系がつくれたと考えている。 | KAKENHI-PUBLICLY-26113507 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PUBLICLY-26113507 |
植物表皮の幹細胞維持と分化の制御ロジックに関わる内的因子と新奇化合物の探索 | スクリーニングのスループットは低いが、学生などにも参加してもらうことにより、また、植物栽培チャンバーなどに投資することにより実験の効率を上げる事を検討する予定である。27年度が最終年度であるため、記入しない。最近、ワシントン大学薬理学部のShao En Ong教授のグループが、プロテオミクスの手法を用いて動物細胞からキナーゼ群(キノーム)を簡便にプロファイルする技術を開発した。Ong教授と研究代表者との共同研究により、これまでにシロイヌナズナ芽生えを用いてもこの手法(キノビーズ法)で約600のキナーゼを効率よくpull downできることを見出した。そこで現在、キノビーズ法を用いて、上記の化合物と結合するキナーゼを同定できるか、そしてそれらキナーゼが化合物のターゲットである可能性を探索中である。共同研究者を名古屋大ITbMへ2015年夏に短期招聘する予定である。さらに、化合物の作用の特異性と活性のさらなる向上を目指し、ITbMの合成有機化学グループとの共同研究としてこれら化合物のアナログを多数創出するプロジェクトも開始した。ここから得られる構造活性相関の情報を活用することで、今後は生理活性を維持したままで化合物を固定化したアフィニティークロマトグラフィーによるターゲット因子の同定も試みる予定である。同時に、まだ多数残るITbMのケミカルライブラリー、およびITbMと提携関係にある理化学研究所環境資源科学研究センターが多数所有する天然物ケミカルライブラリーのスクリーニングにも着手することにより、候補化合物を増やしたい。最後に、通常の分子遺伝学的手法と異なる化合物の最も大きな利点には、形質転換植物(GMO)を作出する必要のないことが上げられる。予備実験から、我々が同定した化合物は、ナス科作物(タバコ)の芽生えにおいても、気孔の数を増やす効果が確認された。次年度には科・属など幅広く有用作物荷置ける効果を検討する予定である。27年度が最終年度であるため、記入しない。 | KAKENHI-PUBLICLY-26113507 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PUBLICLY-26113507 |
咀嚼能力と耐糖能障害の関連とその発症を及ぼす因子について | 過去に歯科健診を受診した吹田研究基本健診参加者の中から,4年以上経過し,同意書を得たものを再評価者とし,これらについた縦断分析と,この3年間で初回健診した評価者についての横断分析を行った.その結果,咀嚼能率と耐糖能障害の関連については,縦断分析については母数が少ないものの,耐糖能障害のある対象者ほど咀嚼能力の低下の傾向を認めたものの,横断分析では,その関連が認められなかった.1)データ収集:すでに平成20ー24年にコック率循環器病研究センター予防検診部において歯科検診を受診した吹田研究基本検診参加者(約2000名)の中から、初回歯科検診から4年以上経過し、文書により同意を得たものに再評価を行っている。再評価者は目標400名に対し297名、初回歯科検診は目標100名に対し41名であった。2)DMF指数:年齢が上がるにつれて指数が大きくなり、とくにM(欠損歯数)指数が増加する傾向が見られた。男女差はみられなかった。3)機能歯数、咬合支持:機能歯数では、一般的に咀嚼能率が低下し食品摂取に影響が出ると言われている歯数19本以下の受診者群は、70歳台の占める割合が高くなった。Eichnerの分類による咬合支持では、A群が半数を占め、年齢が上がることにB、C群の占める割合が多くなる傾向があった。4)CPITN:歯周状態を5段階評価で行っているが、全体の半数が4mm以上の歯周ポケットを有して3割が異常なしと評価された。5)歯周病と糖尿病との関連について:男性で耐糖能障害と糖尿病の占める割合が高く、女性よりも糖尿病群が多く見られた。当初の予定より、データ収集が目標数を達していない。再評価者、初回歯科験者共に目標数を達しておらず、さらなるデータ収集が必要である。横断解析についても、医科的項目データの抽出が不十分であるため、それらを整理する必要がある。歯科的項目データより、歯周状態の悪化と咀嚼能率の低下に関連があることが明らかになった。1)データの収集:すでに平成2024年に国立循環器病研究センター予防健診部において歯科検診を受診した吹田研究基本健診参加者の中で初回歯科検診から4年以上経過し、文書により同意を得た者に対して研究期間中に再評価を行った。また、同時に初回歯科検診も行い、ベースライン時の調査者数の増加を図った。平成2728年度内に歯科検診再評価は目標350名に対し、465名であった。初回歯科検診は目標80名に対し、57名であった。初回歯科検診は目標80名に対し、57名であった。累積は、初回歯科検診目標2070名に対し、2093名、再評価は目標1000名に対し1180名と目標数は達したといえる。2)横断解析:咬合支持、機能歯数では、一般的に咀嚼能率が低下し食品摂取に影響が出ると言われている19本以下の受診者群は、前年度と同じく70歳台の占める割合が高かった。Eichnerの分類による咬合支持では、A群が半数を占め、多くの対象者が咬合支持を維持していることがわかった。3)CPITN:歯周状態を5段階評価で行っているが、全体の半数が4mm以上の歯周ポケットを有して3割が異常なしと評価された。4)歯周病と糖尿病との関連について:男性で耐糖能障害と糖尿病の割合は女性に比較して高い。プレ解析より、耐糖能障害と歯周状態との関連が認められた。追跡期間中の変化が、再評価時における耐糖能障害リスク因子に及ぼす影響について、さらなる分析が必要となった。前年度より引き続きデータ収集を行っているが、目標数を達しておらず、さらなるデータ収集が必要である。医科的項目データの抽出が十分でなく、それらの整理、分析が必要である。現在としては歯科的項目データを中心に解析をすすめている。1)データ収集:すでに平成20-24年に国立循環器病研究センター予防検診部において歯科検診を受診した吹田研究基本検診参加者(約2000名)の中から、初回歯科検診から4年以上経過し、文書により同意を得たものに再評価を行っている。同時に初回歯科健診も行い,ベースライン時の調査者数の増加を図った.平成29年度内に歯科樹脂健診再評価は157名であり,初回歯科健診は14名であった.2)DMF指数:年齢が上がるにつれて指数が大きくなり、とくにM(欠損歯数)指数が増加する傾向が見られた。男女差はみられなかった。3)機能歯数、咬合支持:機能歯数では、一般的に咀嚼能率が低下し食品摂取に影響が出ると言われている歯数19本以下の受診者群は、70歳台の占める割合が高くなった。Eichnerの分類による咬合支持では、A群が半数を占め、年齢が上がることにB、C群の占める割合が多くなる傾向があった。また、ベースライン時に20歯以上を保有する1,425名を対象に、咀嚼能率低値に関連する要因について検討を行った結果、歯周病の悪化、機能歯数と義歯を含めた臼歯部咬合支持域の減少、最大咬合力の低下が関連する事が分かった。咀嚼能率の低下に伴ってグミゼリーの噛みづらさも生じてくる事も明らかとなった。 | KAKENHI-PROJECT-15K11157 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-15K11157 |
咀嚼能力と耐糖能障害の関連とその発症を及ぼす因子について | 4)CPITN:歯周状態を5段階評価で行っているが、全体の半数が4mm以上の歯周ポケットを有して3割が異常なしと評価された。5)歯周病と糖尿病との関連について:男性で耐糖能障害と糖尿病の占める割合が高く、女性よりも糖尿病群が有意に多く認められた。過去に歯科健診を受診した吹田研究基本健診参加者の中から,4年以上経過し,同意書を得たものを再評価者とし,これらについた縦断分析と,この3年間で初回健診した評価者についての横断分析を行った.その結果,咀嚼能率と耐糖能障害の関連については,縦断分析については母数が少ないものの,耐糖能障害のある対象者ほど咀嚼能力の低下の傾向を認めたものの,横断分析では,その関連が認められなかった.1)データ収集の継続前年に引き続きデータ収集を継続する。歯科検診再評価者は500名、初回歯科検診者は100名を目標とし、累積者数2400名を目処にベースライン調査者数の増加をはかる。2)横断解析、縦断解析これまでに横断解析で耐糖能障害と関連が見られている歯数、咬合支持、咀嚼能率について、再評価における糖尿病の発症について縦断解析を行い、コホート研究基礎資料を得ることを目標とする。1)データ収集の継続前年に引き続きデータ収集を継続する。歯科検診再評価者は350名を目標とする。累積対象者1000名を目標とする。2)横断解析、縦断解析耐糖能障害と関連が見られる歯数、咬合支持、咀嚼能率について、再評価における糖尿病の発症について横断解析を行い、コホート研究基礎資料を得ることを目的とする。歯科補綴物品の購入がデータ収集の影響から延期していること、また学会発表と論文作成が当初予定していた目標を達せなかったため。早急に必要な物品購入を行い、研究に活用する。また学会発表と論文作成を精力的に行う。 | KAKENHI-PROJECT-15K11157 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-15K11157 |
有用土壌微生物の二重共生による根粒着生植物の生育増進とその機構解析に関する研究 | マメ科根粒菌とAM菌根菌の2重共生した植物の生育収量の増進に対する2重共生効果を解析し、その機能発現要因を明らかにした。1.無施肥条件下で栽培した根粒着生ダイズの生育収量は根粒非着生ダイズのものに比べて顕著に高く、根粒菌感染効果が菌根菌感染効果を凌驚していた。2.根域の拡大を制限した根粒着生ダイズの生育や窒素固定能は根域制限の強いものほど低下したが、単位根粒重当りの窒素固定活性は逆に高まった。3.土壌中の菌根菌フローラは作付植物の肥培管理によって変動し、畑地ではGlomus ambisporum、草地ではAcaulosporumが優占菌種となり、またスイートコーンを前作としたときに後作植物の菌根菌感染率が顕著に高まることを認めた。4.無機性の土壌物理性改良資材の施用は菌根菌感染率を高め、その中でもモミガラくん炭の施用効果は顕著であった。5.モミガラくん炭の施用によりダイズの根粒着生や共生窒素固定能が高まり、その効果は施肥水準の低いものほど明確に発現した。6.以上の結果から、根粒菌と菌根菌は競合することなく、協調して作物の生育や収量増進に働いていることが明らかにできた。マメ科根粒菌とAM菌根菌の2重共生した植物の生育収量の増進に対する2重共生効果を解析し、その機能発現要因を明らかにした。1.無施肥条件下で栽培した根粒着生ダイズの生育収量は根粒非着生ダイズのものに比べて顕著に高く、根粒菌感染効果が菌根菌感染効果を凌驚していた。2.根域の拡大を制限した根粒着生ダイズの生育や窒素固定能は根域制限の強いものほど低下したが、単位根粒重当りの窒素固定活性は逆に高まった。3.土壌中の菌根菌フローラは作付植物の肥培管理によって変動し、畑地ではGlomus ambisporum、草地ではAcaulosporumが優占菌種となり、またスイートコーンを前作としたときに後作植物の菌根菌感染率が顕著に高まることを認めた。4.無機性の土壌物理性改良資材の施用は菌根菌感染率を高め、その中でもモミガラくん炭の施用効果は顕著であった。5.モミガラくん炭の施用によりダイズの根粒着生や共生窒素固定能が高まり、その効果は施肥水準の低いものほど明確に発現した。6.以上の結果から、根粒菌と菌根菌は競合することなく、協調して作物の生育や収量増進に働いていることが明らかにできた。緑肥(クロタラリア)を導入し、その後にキャベツを3ヶ年間、4水準(O、L、M、H)の施肥条件下で栽培した圃場跡地に根粒着生ダイズ(T202)と根粒非着生ダイズ(T201)を作付け、植物体生育、根粒着生、窒素固定能および菌根菌感染を調査したその結果、以下のことが明らかになった。1.ダイズ植物体生育や若莢収量は前作における緑肥導入の有無や施肥水準にかかわらず、T202>>T201となり、ダイズでは着生根粒による固定窒素への依存度がきわめて大きいことが認められた。2.根粒着生ダイズの個体当たりの根粒着生、窒素固定能(ARA)は緑肥導入の有無やキャベツに対する施肥水準によって大きく影響されなかったが、非活性(Specific ARA)は施肥水準の低いものほど高まる傾向を示した。3.根粒着生ダイズにおける菌根菌感染は緑肥導入の有無やキャベツに対する施肥水準によって大きく影響されず、いずれも70%程度の感染率を示した。これに対して、根粒非着生ダイズではいずれも60%程度の感染率しか示さなかった。4.このことは、ダイズにおける根粒着生と菌根菌感染が競合していないことを示唆している。5.現在、上記の植物材料を用いて養分吸収に対する影響、根域を制限した条件下での影響、大気や土壌が酸性化した条件下での影響等について調査を進めている。なお、酸性環境の作出には購入したSO_X測定計を用いている。キャベツに対して施用水準を4段階とり、クロタラリア緑肥ーキャベツの1年2作体の系下で3年栽培した跡地土壌の特性を調査したところ、跡地土壌ではクロタラリア緑肥の導入によって土壌化学性に対する影響は微小であるが、土壌硬度、透水性などの物理性が大きく改善されること、および緑肥導入の有無にかかわらず土壌中の可給態リン酸がキャベツ対する施用水準の増加に対応して高まっていることを認めた。前年度では、その跡地にダイズ(根粒着生ダイズと根粒非着生ダイズ)を無施肥条件下で栽培し、根粒による窒素固定能と菌根菌の二重共生関係を調べたところ、根粒着生ダイズでは根粒非着生ダイズに比べて顕著に良好な生育を示すが、菌根菌の感染率はやや低く、かつキャベツに対する施肥水準が高まるにつれて、やや低下することを認めた。また、適切な施肥水準下では緑肥の導入は菌根菌の感染に効果的であることを見い出した。これに関連して、土壌物理性の改善が菌根菌の感染や機能発現(宿主植物の生長を指導)にどの程度影響するかを検定植物としてマリ-ゴールドを用いてポット試験を行ったところ、いずれの土壌物理性改善資材(パ-ライト、鹿沼土、バ- | KAKENHI-PROJECT-08456040 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-08456040 |
有用土壌微生物の二重共生による根粒着生植物の生育増進とその機構解析に関する研究 | ミキュライト、もみがらくん炭)の施用も機能発現に対して促進的に働き、ダイズでみられた上記の現象が検証できた。そこで、土壌改良材として、もみがらくん炭に注目し、ダイズの生育に対する施用効果をポット試験により調査した。その結果、施肥水準の低い処理区ほど施用効果が明確に現れ、根粒着生や窒素固定能が高まることを見い出した。さらに、現在、上述のダイズ栽培跡地に菌根菌非感染植物である3種のアブラナ科植物(サラダナ、コマツナ、オ-タムポエム)を導入し、菌根菌が関与しない植物の生育に対する土壌の可給態リン酸の影響を調査している。本年度は土壌微生物の住み家としての機能を有するとされるくん炭の施用によってダイズの二菌共生がどの程度改善されるかを調査した。1.モミガラくん炭の施用はダイズの根粒着生や窒素固定能を高め、植物生育に対する増進効果を高めること、および、その生育増進効果は施用水準の低い処理区ほど高く発現することを明らかにできた。2.上記のようなモミガラくん炭施用による生育増進効果は根粒非着生ダイズでは認められなかった。3.ダイズの生育に対するモミガラくん炭の施用効果は、くん炭施用量の増加によって高まり、最大の生育増進が2t/10a相当量の施用で得られた。4.菌根菌の感染率は根粒非着生ダイズに比べて根粒着生ダイズにおいてやや高い値を示すが、くん炭施用による感染率の上昇は認められなかった。5.これらの結果から、モミガラくん炭施用によるダイズの生育促進効果は。菌根菌感染によるリン栄養の改善よりも着生根粒による窒素固定を介して発現することを明らかにできた。 | KAKENHI-PROJECT-08456040 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-08456040 |
偏波による2次元合成開口FM-CW映像レーダの研究 | この研究では,電波の持つベクトル性(偏波)を最大限に利用した2次元合成開口FM-CW映像レーダの実現を目標とした。XY方向にアンテナを走査できる2次元走査FM-CWレーダ装置を作成し,合成開口処理法を使って,ターゲットの像を取得した。また,レーダポーラリメトリの概念を導入し,直交偏波を組み合わせた合成開口後の映像ピクセルを偏波散乱行列に対応させ,いかにコントラストの高い偏波イメージングが達成できるかを理論的,実験的に検討した。従来,レーダポーラリメトリの理論は単一周波数を基本に構築されているが, FM-CWレーダは広い周波数を使う広帯域レーダである。そのため,如何にFM-CWレーダにレーダポーラリメトリの理論を組み込むことができるかが最大の問題点であった。ここではFM-CWレーダの掃引周波数帯域の中心周波数での複素反射係数値を散乱行列の要素に対応させた。そして,偏波による物体の散乱特性の違いを偏波イメージングに役立てるために偏波基底変換理論を詳細に調べ,任意の偏波状態でイメージングができることを確かめた。周波数帯はKuバンド, Xバンドで,ターゲットは平板,コーナーリフレクター,ワイヤ,プラスティック製の飛行機モデル等である。そのレーダにより室内での物体イメージングを行なった結果,電力,位相イメージともFM-CWレーダが完全なFull-Polarimetricシステムとして動作することが確認でき,画期的な偏波イメージングレーダを構築することができた。この成果は既に学会の論文,シンポジューム,講演に発表した。今後,物体形状の認識,埋没物体への応用などさらなる発展が期待できる。この研究では,電波の持つベクトル性(偏波)を最大限に利用した2次元合成開口FM-CW映像レーダの実現を目標とした。XY方向にアンテナを走査できる2次元走査FM-CWレーダ装置を作成し,合成開口処理法を使って,ターゲットの像を取得した。また,レーダポーラリメトリの概念を導入し,直交偏波を組み合わせた合成開口後の映像ピクセルを偏波散乱行列に対応させ,いかにコントラストの高い偏波イメージングが達成できるかを理論的,実験的に検討した。従来,レーダポーラリメトリの理論は単一周波数を基本に構築されているが, FM-CWレーダは広い周波数を使う広帯域レーダである。そのため,如何にFM-CWレーダにレーダポーラリメトリの理論を組み込むことができるかが最大の問題点であった。ここではFM-CWレーダの掃引周波数帯域の中心周波数での複素反射係数値を散乱行列の要素に対応させた。そして,偏波による物体の散乱特性の違いを偏波イメージングに役立てるために偏波基底変換理論を詳細に調べ,任意の偏波状態でイメージングができることを確かめた。周波数帯はKuバンド, Xバンドで,ターゲットは平板,コーナーリフレクター,ワイヤ,プラスティック製の飛行機モデル等である。そのレーダにより室内での物体イメージングを行なった結果,電力,位相イメージともFM-CWレーダが完全なFull-Polarimetricシステムとして動作することが確認でき,画期的な偏波イメージングレーダを構築することができた。この成果は既に学会の論文,シンポジューム,講演に発表した。今後,物体形状の認識,埋没物体への応用などさらなる発展が期待できる。この研究は、電波の持つベクトル性(偏波)を最大限に利用した2次元FM-CWイメージングレーダの開発とそのレーダによるターゲットの分類・識別が目標である。FM-CWレーダに対してレーダポーラリメトリの概念を導入し、散乱行列によって、いかにコントラストの高い偏波イメージングが達成できるかを理論的、実験的に検討した。従来レーダポーラリメトリの論理は単一周波数を基本に構築されているが,FM-CWレーダは広い周波数を使う広帯域レーダである。そのため,FM-CWレーダにレーダポーラリメトリの理論を組み込むことができるかが最大の問題点であった。この研究ではFM-CWレーダから得られるビ-トスペクトラムを2次元方向に合成開口処理し,ピクセル毎の複素反射係数値を散乱行列の要素に対応させた。また,実験で得られる散乱行列には誤差が含まれるので,それを取り除くべく校正用のターゲットを作成し,システム全体の校正方法を検討した.さらにKuバンドの周波数帯で動作する直交2偏波FM-CWレーダを作成し,そのレーダにより室内での物体イメージングを行なった。ターゲットはプラスティック製の飛行機モデルB747やワイヤ,コーナーリフレクタである。その結果,電力,位相イメージともFM-CWレーダが完全なFull-Polarimetricシステムとして動作することが確認でき,ターゲットの識別も条件付きではあるが一部可能な,画期的なイメージングレーダを構築することができた。この成果は既に学会のシンポジューム講演・論文に発表し,物体形状の認識,埋没物体への応用など今後さらなる発展が期待できる。この研究は,電波の持つベクトル性(偏波)を最大限に利用した2次元合成開口FM-CW映像レーダの実現が目標である。本年度は,XY方向に2次元走査ができるアンテナ装置を作成し,FM-CW合成開口レーダを使って,ターゲットの像を取得した。周波数帯はKuバンド,Xバンドで,ターゲットは平板,コーナーリフレクター,ワイヤ,プラスティック製の飛行機モデル等である。また,レーダポーラリメトリ理論を導入し,直交編波を組み合わせた合成開口後の映像のピクセルを編波散乱行列に対応させ,いかにコントラストの高い偏波イメージングが達成できるかを理論的,実験的に検討した。 | KAKENHI-PROJECT-07650479 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-07650479 |
偏波による2次元合成開口FM-CW映像レーダの研究 | 偏波による物体の散乱特性の違いを偏波イメージングに役立てるために,偏波基底変換理論,コントラストを最大にする偏波状態,ターゲット固有の偏波状態を詳細に調べ,任意の偏波状態でのイメージングの可能性を検討した。また,そのレーダにより室内での物体イメージングを行なった結果,電力,位相イメージともFM-CWレーダが完全なFull-Polarimetricシステムとして動作することが確認でき,画期的な偏波イメージングレーダを構築することができた。特に,ターゲットのコントラスト強調は偏波レーダ無しにはできないものであり,偏波FM-CWレーダの有用性が確認された。この成果は既に学会の論文,シンポジューム,講演に発表した。今後,レーダシステムの偏波校正を精密に行えば,物体形状の認識,埋没物体への応用など,さらなる発展が期待できる。 | KAKENHI-PROJECT-07650479 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-07650479 |
CD4+T細胞への分化に必須なキナーゼの発見に基づく新規運命決定機構の解明 | 我々は近年、未熟T細胞において抗原刺激に伴い強くリン酸化されるセリンスレオニンキナーゼPKDを見出し、T細胞特異的PKD欠損マウスを作製したところ、CD4+T細胞が特異的に消失していることを発見した。当該マウスを用いてPKDの基質を探索することで、未だ明らかとなっていないCD4+/ CD8+T細胞への運命決定の分子メカニズムの解明を目指した。PKD欠損細胞では、TCRシグナルが減弱しており、CD8+に比べCD4+T細胞への分化がより影響を受けていた。また、未熟T細胞におけるPKDの基質分子を数種類同定し、そのうち1種類の分子のPKDによるリン酸化がT細胞分化に寄与することを示唆する結果を得た。我々は近年、未熟T細胞において抗原刺激に伴い強くリン酸化されるセリンスレオニンキナーゼPKDを見出し、T細胞特異的PKD欠損マウスを作製したところ、CD4+T細胞が特異的に消失していることを発見した。当該マウスを用いてPKDの基質を探索することで、未だ明らかとなっていないCD4+/ CD8+T細胞への運命決定の分子メカニズムの解明を目指した。PKD欠損細胞では、TCRシグナルが減弱しており、CD8+に比べCD4+T細胞への分化がより影響を受けていた。また、未熟T細胞におけるPKDの基質分子を数種類同定し、そのうち1種類の分子のPKDによるリン酸化がT細胞分化に寄与することを示唆する結果を得た。胸腺において未熟T細胞は自身が発現するT細胞受容体(TCR)とリガンドであるMHC+抗原複合体との親和性を感知し、正の選択を受けCD4+あるいはCD8+T細胞へと分化するか、負の選択により死に至るかが決定されるが、このように抗原の質を多様な応答に変換する分子機構の詳細は未だに不明である。我々は近年、未熟T細胞において抗原刺激に伴い強くリン酸化されるセリン/スレオニンキナーゼ、PKDを見出した。T細胞に発現する2つのアイソフォームPKD2、PKD3をT細胞特異的に二重欠損するマウスを樹立し、PKDを全く発現しないT細胞の分化を調べたところ、予期しないことにCD4+T細胞のみが特異的に消失していることを見出した。この現象は、これまで報告のない独自の知見であり、当該マウスを用いてPKDの基質を探索することで、未だ明らかとなっていないCD4+/CD8+T細胞への運命決定の分子メカニズムを解明できるのではないかと考えた。本年度は当該マウスの詳細な解析を行った。PKD欠損CD4+T細胞は野生型に比べ生存率が低いことが明らかとなったが、生存シグナルを補ってもCD4+T細胞への分化を回復できなかったことから、CD4+T細胞の消失は、単に細胞の生存率が低いことだけが原因ではないと考えられた。次に、TCR Tgマウスと交配しTCRを1種類に固定することで、CD4+細胞あるいはCD8+細胞への正の選択における影響を調べたところ、CD4+T細胞への正の選択が著しく障害されていることが明らかとなった。また、CD4+T細胞へのcommitmentも障害されていた。これらの結果から、PKD欠損細胞では、TCRシグナルが減弱していることが強く示唆された。PKDのキナーゼ活性がCD4+T細胞分化に重要であることが確認できたため、次にTCRシグナル下流におけるPKDの基質探索を行った。現在までのところ、TCRシグナルに関与することが知られているいくつかの分子のリン酸化が、PKD欠損細胞で減弱していることが明らかとなってきた。我々は近年、未熟T細胞において抗原刺激に伴い強くリン酸化されるセリン/スレオニンキナーゼPKDを見出し、T細胞に発現する2つのアイソフォームPKD2、PKD3をT細胞特異的に二重欠損するマウスを樹立したところ、予期しないことにCD4+T細胞のみが消失していることを発見した。この現象はこれまで報告のない独自の知見であり、当該マウスを用いてPKDの基質を探索することで、未だ明らかとなっていないCD4+/ CD8+T細胞への運命決定の分子メカニズムを解明できるのではないかと考え、本研究を行った。昨年度までの当該マウスの詳細な解析から、PKD欠損胸腺細胞ではTCRシグナルが減弱しており、CD8+T細胞に比べCD4+T細胞への分化がより影響を受けていることが明らかとなってきた。また、TCR刺激によりリン酸化が誘導され、PKD欠損胸腺細胞でリン酸化が減弱する分子をプロテオミクスにより網羅的に解析したところ、いくつかのPKDの基質および下流候補分子を同定した。本年度はまず、候補分子がPKDの直接の基質であるか否かをキナーゼアッセイにより検証した。その結果、4種類のシグナル分子がPKD2、PKD3により直接リン酸化される基質であることが判明した。また、変異体を作製することで、各分子のリン酸化部位を同定した。抗原刺激によりCD4+T細胞への分化を誘導できるCD4+CD8+DP細胞株DPKに基質分子のリン酸化不能変異体を導入したところ、ある1種類の基質の変異体を導入した細胞でのみCD4+T細胞への分化およびCD5の発現上昇に減弱傾向が見られた。このことから、PKDによる当該基質分子のリン酸化は、T細胞分化に寄与していることが示唆された。 | KAKENHI-PROJECT-25860365 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-25860365 |
CD4+T細胞への分化に必須なキナーゼの発見に基づく新規運命決定機構の解明 | 一方、昨年度までにPKD結合分子探索のツールとして作製した強親和性Tag付きPKD2 TgマウスをPKD二重欠損マウスと交配しPKD2を再構築したマウスでは、T細胞分化異常が回復することが確認できたが、これまでのところPKD特異的な結合分子は得られていない。免疫学本研究の目的は、我々が新規に樹立し、CD4+T細胞のみが特異的に消失することを見出したセリンスレオニンキナーゼ、PKDのT細胞特異的欠損マウスを解析することで、未だ明らかとなっていないCD4+/CD8+T細胞への運命決定の分子メカニズムを解明することである。我々はまず当該マウスおいてCD4+T細胞が著しく減少している原因を明らかにすることを試みた。【仮説1】CD4+T細胞への正の選択が障害されている、【仮説2】CD4+T細胞へのcommitmentが障害されている、【仮説3】CD8分子の発現低下が障害されている、【仮説4】CD4+T細胞の生存が障害されている、という4つの可能性を想定し、その全てについて検証を行ったところ、【仮説1】と【仮説2】のCD4+T細胞への正の選択およびCD4+T細胞へのcommitmentが共に障害されていることが明らかとなった。この結果から、PKD欠損未熟T細胞ではTCRシグナルが減弱していることが強く示唆された。次に、in vitro T細胞分化系を用いることにより、PKDがアダプターとして働いているのではなく、そのキナーゼ活性がCD4+T細胞生成に必要であることを明らかとした。この前提を受け、抗リン酸化タンパク質抗体を用いた従来の方法により未熟T細胞におけるPKDの基質探索を行ったところ、この方法ではPKD欠損細胞で明らかにリン酸化が低下している分子を見つけることはできなかった。そこで、精製したリン酸化タンパク質を蛍光標識し、二次元電気泳動を行うことにより、PKD欠損細胞特異的にリン酸化が低下しているタンパク質を網羅的に解析したところ、いくつかの基質候補分子を見出した。さらに、マススペクトル解析によりこれらの分子を同定し、そのいくつかはTCRシグナルに関与することが既に知られている分子であることが判明した。よって、予定していた基質候補分子の探索さらには同定まで到達できたため、本年度の研究計画は概ね達成できたと考える。本年度同定した未熟T細胞におけるPKDの各基質候補分子について、まずはTCRシグナルに関与することが既に知られている分子について、PKDの直接の基質であるか否かをキナーゼアッセイにより検証する。また、直接の基質であるならば、PKDによるリン酸化部位をマススペクトル解析により同定する。リン酸化部位の同定に至れば、基質分子のセリン/スレオニンをアラニンに置換したリン酸化されない変異体を作成し、培養細胞あるいはin vitroT細胞分化系に導入することにより、PKDによる基質分子のリン酸化のT細胞分化における生理的意義を検討して行く予定である。具体的には、基質分子の安定性や機能に与える影響、他のシグナル分子との結合に与える影響と、TCRシグナルおよびCD4+T細胞生成に与える影響を調べることを考えている。in vitroの系で検証が難しい場合には、変異体トランスジェニックマウスあるいはノックインマウスの作製も視野に入れる。また、逆にPKD欠損細胞に基質分子のリン酸化をミミックした恒常的活性化型変異体を導入することで、CD4+T細胞への分化を回復できるか否かについても検討する。本研究計画作成時に作製中だったT細胞特異的One-STrEP-tag(強親和性Tag)-PKD2 Tgマウスは、トランスジーンの発現が確認でき、PKD二重欠損マウスとの交配によりPKD2を再構築したマウスがようやく数匹得られてきた。 | KAKENHI-PROJECT-25860365 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-25860365 |
歯周病治療用足場材料の設計指針の創出 | 超高齢社会が進行している我が国にとって、全身疾患に関与する歯周病に対する対策は重要な課題である。歯周病治療には、ヒト歯根膜細胞(PDL)などの接着、増殖、分化、機能を制御できるインプラント可能で安全な足場材料の開発が極めて重要である。しかし、ヒト間葉系幹細胞などに比べ、PDL細胞の性質や細胞ー材料間相互作用に関するデータが少なかった。本研究では、この相互作用に強く影響する、細胞接着の足場になる含水時の材料表面のナノ構造変化に着目した。原子間力顕微鏡(AFM)を用いた研究において、生体親和性に強く影響を与える特定の水和構造である中間水を有する高分子/水界面に数十ナノメートルスケールの微細構造が自発的に形成されていることが確認された。このような微細構造は、中間水を有さない高分子においては観測されず、この微細構造の制御が、細胞の接着挙動のカギであることが示唆された。この微細構造は、微細構造は高分子/水界面領域における高分子と水の相分離現象に起因しており、それにより形成された「Polymer-rich相」と「Water-rich相」が、それぞれ微細構造の凸部、凹部として観察されていると考えられる。血清培地中に含まれる血清タンパク質の吸着サイトを調べたところ、微細構造における「Polymer-rich相」に選択的に吸着することが示唆された。以上の結果から、含水時のナノ微細構造のサイズや間隔によるタンパク質吸着サイトの変化を利用した細胞接着挙動制御の可能性が考えられる。ホモポリマー系においても、細胞培養環境である含水状態において、高分子/水界面領域における高分子と水のナノ相分離現象を明らかにしたこと。この現象と、タンパク質レベル、細胞レベルでの挙動に相関性が見られることを提案したのは、世界初である。コーティング膜形成後の乾燥時は、平滑性を維持しているが、含水状態にいおかれた際にのみ起こる現象を見出したことは、特定のタンパク質や細胞などの生体成分を選択的に吸着・接着を行うための足場材料の設計にヒントになると考えれれる。中間水量とタンパク質の吸着、組成・構造変化の相関、中間水量とPDL細胞の接着性の相関、高分子側鎖の構造、側鎖間隔と中間水量、力学物性との関係性を明確にする。また、表面にコーティングした高分子薄膜の表面構造を、最近申請者が見出した原子間力顕微鏡による面内ナノ相分離構造解析および吸着タンパク質のナノ分布や吸着力解析を行う。また、表面物性の異なる材料へのPDL細胞の接着機構に関して、インテグリンの特異的な活性化の観点から考察を行い、水和構造を上位パラメーターとし、非特異的接着機構との差異を材料表面の物性と細胞表面の物性との相関を見出す。これにより、細胞種による接着選択率の高い材料表面設計指針を明確にする。超高齢社会が進行している我が国にとって、全身疾患に関与する歯周病に対する対策は重要な課題である。歯周病治療には、ヒト歯根膜細胞(PDL)などの接着、増殖、分化、機能を制御できるインプラント可能で安全な足場材料の開発が極めて重要である。しかし、ヒト間葉系幹細胞などに比べ、PDL細胞の性質や細胞ー材料間相互作用に関するデータが少なかった。本研究では、この相互作用に強く影響する、細胞接着の足場になる含水時の材料表面のナノ構造変化に着目した。原子間力顕微鏡(AFM)を用いた研究において、生体親和性に強く影響を与える特定の水和構造である中間水を有する高分子/水界面に数十ナノメートルスケールの微細構造が自発的に形成されていることが確認された。このような微細構造は、中間水を有さない高分子においては観測されず、この微細構造の制御が、細胞の接着挙動のカギであることが示唆された。この微細構造は、微細構造は高分子/水界面領域における高分子と水の相分離現象に起因しており、それにより形成された「Polymer-rich相」と「Water-rich相」が、それぞれ微細構造の凸部、凹部として観察されていると考えられる。血清培地中に含まれる血清タンパク質の吸着サイトを調べたところ、微細構造における「Polymer-rich相」に選択的に吸着することが示唆された。以上の結果から、含水時のナノ微細構造のサイズや間隔によるタンパク質吸着サイトの変化を利用した細胞接着挙動制御の可能性が考えられる。ホモポリマー系においても、細胞培養環境である含水状態において、高分子/水界面領域における高分子と水のナノ相分離現象を明らかにしたこと。この現象と、タンパク質レベル、細胞レベルでの挙動に相関性が見られることを提案したのは、世界初である。コーティング膜形成後の乾燥時は、平滑性を維持しているが、含水状態にいおかれた際にのみ起こる現象を見出したことは、特定のタンパク質や細胞などの生体成分を選択的に吸着・接着を行うための足場材料の設計にヒントになると考えれれる。中間水量とタンパク質の吸着、組成・構造変化の相関、中間水量とPDL細胞の接着性の相関、高分子側鎖の構造、側鎖間隔と中間水量、力学物性との関係性を明確にする。また、表面にコーティングした高分子薄膜の表面構造を、最近申請者が見出した原子間力顕微鏡による面内ナノ相分離構造解析および吸着タンパク質のナノ分布や吸着力解析を行う。また、表面物性の異なる材料へのPDL細胞の接着機構に関して、インテグリンの特異的な活性化の観点から考察を行い、水和構造を上位パラメーターとし、非特異的接着機構との差異を材料表面の物性と細胞表面の物性との相関を見出す。 | KAKENHI-PROJECT-17K19767 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-17K19767 |
歯周病治療用足場材料の設計指針の創出 | これにより、細胞種による接着選択率の高い材料表面設計指針を明確にする。新規合成高分子が予定より多く合成できたので、すべてまとめて生体評価を行うように計画を変更した。 | KAKENHI-PROJECT-17K19767 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-17K19767 |
特徴抽出におけるアマクリン細胞の役割 | 感覚神経系において側抑制は受けた刺激の輪郭を際立たせ、像や物体の形の認識の上で極めて重要なメカニズムである。視覚系ニューロンは網膜視細胞から外側膝状態のニューロンに至るまで拮抗する同心円状の受容野を持っている。周辺抑制に関与する網膜細胞として水平細胞とアマクリン細胞がある。いずれもGABA作動性の抑制性介在ニューロンである。今年度は受容野周辺部の形成に水平細胞がどのように関与しているかを明らかにする研究を行った。水平細胞は視細胞のシナプス終末にフィードバックするだけでなく、双極細胞への直接入力も否定できない。何故なら、双極細胞の樹状突起にもGABA受容体が存在するからである。しかし、ON型双極細胞とOFF型双極細胞では周辺部応答の極性が全く反対なので、おなじGABA入力がどのようにして双極細胞の周辺部応答を形成できるのかは謎であった。今回、グラミシジン穿孔パッチ法をマウス網膜スライス標本の双極細胞に適用しGABAに対する応答を検討した。その結果、ON型双極細胞では細胞内Cl-濃度が高く、GABAに対する逆転電位が静止膜電位よりも脱分極側にあり、一方、OFF型双極細胞では細胞内Cl-濃度が低いため、GABAに対する逆転電位が静止膜電位よりも過分極側にあった。この結果ON型とOFF型でGABAに対する応答の極性が異なることが説明できる。水平細胞からのGABAの放出は光照射で減少するから、ON型には過分極を、OFF型には脱分極を引き起こし、中心部応答と反対の極性を持った応答が生じることになる。最近、免疫組織化学法を用いてON型双極細胞には細胞内へCl-を取り込むNKCCが、OFF型双極細胞には細胞内からCl-を汲み出すKCC2が発現していることが示された。この組織化学的所見はON型双極細胞とOFF型双極細胞で細胞内Cl-濃度が異なる可能性を示し、今回の研究結果とよく一致する。感覚神経系において側抑制は受けた刺激の輪郭を際立たせ、像や物体の形の認識の上で極めて重要なメカニズムである。視覚系ニューロンは網膜視細胞から外側膝状態のニューロンに至るまで拮抗する同心円状の受容野を持っている。周辺抑制に関与する網膜細胞として水平細胞とアマクリン細胞がある。いずれもGABA作動性の抑制性介在ニューロンである。今年度は受容野周辺部の形成に水平細胞がどのように関与しているかを明らかにする研究を行った。水平細胞は視細胞のシナプス終末にフィードバックするだけでなく、双極細胞への直接入力も否定できない。何故なら、双極細胞の樹状突起にもGABA受容体が存在するからである。しかし、ON型双極細胞とOFF型双極細胞では周辺部応答の極性が全く反対なので、おなじGABA入力がどのようにして双極細胞の周辺部応答を形成できるのかは謎であった。今回、グラミシジン穿孔パッチ法をマウス網膜スライス標本の双極細胞に適用しGABAに対する応答を検討した。その結果、ON型双極細胞では細胞内Cl-濃度が高く、GABAに対する逆転電位が静止膜電位よりも脱分極側にあり、一方、OFF型双極細胞では細胞内Cl-濃度が低いため、GABAに対する逆転電位が静止膜電位よりも過分極側にあった。この結果ON型とOFF型でGABAに対する応答の極性が異なることが説明できる。水平細胞からのGABAの放出は光照射で減少するから、ON型には過分極を、OFF型には脱分極を引き起こし、中心部応答と反対の極性を持った応答が生じることになる。最近、免疫組織化学法を用いてON型双極細胞には細胞内へCl-を取り込むNKCCが、OFF型双極細胞には細胞内からCl-を汲み出すKCC2が発現していることが示された。この組織化学的所見はON型双極細胞とOFF型双極細胞で細胞内Cl-濃度が異なる可能性を示し、今回の研究結果とよく一致する。 | KAKENHI-PROJECT-13041051 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-13041051 |
膵癌の新規腫瘍マーカーApoC-1蛋白の機能解析-分子標的療法開発へ向けて | 本研究は、新規膵癌マーカーの発見とその治療応用を目的とした。まず、SELDI-TOFMSとProteinChipsystemを用い膵癌に対する血清中の特異的蛋白としてApoC-1の同定を行った。同定された蛋白の膵癌組織中での発現を確認、さらに膵癌患者ではApoC-1の血清値および組織発現の高値群の患者では低値群に比べ有意に予後不良であることが判明した。続いて,膵癌細胞株を用い、ApoC-l蛋白の発現を抑制すると、アポトーシスが起こり細胞増殖能の低下が認められた。本研究は、新規膵癌マーカーの発見とその治療応用を目的とした。まず、SELDI-TOFMSとProteinChipsystemを用い膵癌に対する血清中の特異的蛋白としてApoC-1の同定を行った。同定された蛋白の膵癌組織中での発現を確認、さらに膵癌患者ではApoC-1の血清値および組織発現の高値群の患者では低値群に比べ有意に予後不良であることが判明した。続いて,膵癌細胞株を用い、ApoC-l蛋白の発現を抑制すると、アポトーシスが起こり細胞増殖能の低下が認められた。膵癌患者術前術後のProteinChipSystem解析で得られた蛋白比較(Serum Protein profiling)により見出され、同定された膵癌特異的蛋白であるApoC-1蛋白が膵臓癌の増殖・進展にどのように携わっているかを解明するために、ApoC-1蛋白を発現する膵癌細胞株に対しsiRNA(shortinterfering RNA)を用いてApoC-lmRNAを特異的にknock down L、細胞増殖能、細胞浸潤能に及ぼす効果を検討している。更にその効果を発現するに至るメカニズムを受容体一細胞内シグナル伝達系を検討することにより分子レベルで解明をめざしている。ApoC-1の膵癌発育進展における機能解析を行うため、膵癌細胞の増殖への関与について検討している。ApoC-1蛋白の発現をWestern blot法にて確認した4種類の膵癌細胞株を用いApoC-l特異的siRNAを2種類のoligoを使用し、LipofectamineTM2000reagentをtransfection reagentとしてoligonucleotideとmixtureしたものを細胞内にtransfectionすることでApoC-1発現を抑制する。既にMIA PaCaII、AsPC-1においてApoC-1を抑制すると有意に細胞増殖能が低下することを見出しており、膵癌細胞のApoC-1発現抑制によるapoptosisおよび細胞周期への関与を現在検討している。膵癌患者術前術後のProteinChipSystem解析で得られた蛋白比較(Serum protein profiling)により見出され、同定された膵癌特異的蛋白であるApoC-1蛋白が膵臓癌の増殖・進展にどのように携わっているかを解明するために、ApoC-1蛋白を発現する膵癌細胞株に対しsiRNA(short interfering RNA)を用いてApoC-1mRNAを特異的にknock downし、細胞増殖能、細胞浸潤能に及ぼす効果を検討している。更にその効果を発現するに至るメカニズムを受容体-細胞内シグナル伝達系をより明らかにすることにより分子レベルで解明をめざしている。ApoC-1の膵癌発育進展における機能解析を行うため、膵癌細胞の増殖への関与について検討している。ApoC-1蛋白の発現をWestern blot法にて確認した4種類の膵癌細胞株を用いApoC-1特異的siRNAを2種類のoligoを使用し、LipofectamineTM 2000 reagentをtransfection reagentとしてoligonucleotideとmixtureしたものを細胞内にtransfectionすることでApoC-1発現を抑制する。既にMIA PaCa II、AsPC-1においてApoC-1を抑制すると有意に細胞増殖能が低下することを見出しており、膵癌細胞のApoC-1発現抑制によるapoptosisおよび細胞周期への関与を明らかにすべく現在各種assayを行っている。膵癌患者術前術後のProteinChipSystem解析で得られた蛋白比較(Serum protein profiling)により見出され、同定された膵癌特異的蛋白であるApoC-1蛋白が膵臓癌の増殖・進展にどのように携わっているかを解明するために、ApoC-1蛋白を発現する膵癌細胞株に対しsiRNA(short interfering RNA)を用いてApoC-1mRNAを特異的にknock downし、細胞増殖能、細胞浸潤能に及ぼす効果を検討し、更にその効果を発現するに至るメカニズムを受容体細胞内シグナル伝達系を検討することにより分子レベルで解明をめざしている。ApoC-1の膵癌発育進展における機能解析を行うため、膵癌細胞の増殖への関与について検討している。ApoC-1蛋白の発現をWestern blot法にて確認した4種類の膵癌細胞株を用いApoC-1特異的siRNAを2種類のoligoを使用し、Lipofectamine TM 2000 reagentをtransfection reagentとしてoligonucleotideとmixtureしたものを細胞内にtransfectionすることでApoC-1発現を抑制し、MIA PaCa II、AsPC-1においてApoC-1を抑制すると有意に細胞増殖能が低下することを見出し、膵癌細胞のApoC-1発現抑制によるapoptosisおよび細胞周期への関与を明らかにした。今後、さらなる研究にて膵癌に対する分子標的薬開発への一歩を目指している。 | KAKENHI-PROJECT-20591620 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-20591620 |
イノラートによる多置換複素環状化合物の効率合成 | 我々が開発したイノラートの生成法は-78度冷却下、ジブロモエステルにブチルリチウムを加えるという簡便な方法であり、これを利用して昨年度までに多置換ピロール等の複素環のワンポット合成を達成した。しかし、プロセス化学に応用する際には短時間とは言え、この低温冷却が問題となる。そこで、マイクロリアクターを活用したイノラートの生成と複素環合成を検討した。マイクロリアクターの流路径が数百μmではリチウム塩が析出し、フローを妨げたので、内径1000μmのステンレスチューブとHPLCで用いられる安価なマイクロミキサーを利用してマイクロリアクターを製作し、イノラートの生成を試みた。その結果、ブチルリチウムとジブロモエステルのTHF溶液を1分間に1.0mLの流速でミキシングすることで、冷却することなく室温で効率よくイノラートが生成することを見出した。さらに、反応時間を確保するため一旦フローを止めチューブ内で反応を進行させた後、再度フローするストップドフロー法を開発し、極端に長いチューブを用いることなく比較的長い反応時間の反応もマイクロリアクターで行うことができるようになった。この方法を用いて多置換ピロールの室温ワンポット合成に成功した。収率はバッチ系に匹敵するほど高く、連続的にフローすることで大量合成にも適用可能である。また、チューブ内での閉鎖空間における反応であるのでアルゴンガスのような不活性気体雰囲気下である必要もない。このようにバッチ系では容易でなかった、ブチルリチウムを用いた無水低温冷却反応のプロセス化学への適用が、マイクロリアクターで実現可能であることを示した。1.イノラートの改良合成法の開発申請者が既に開発している二臭素化エステルを原料とするイノラートの生成法を改良し、無置換のエステルを原料とした改良簡便合成法の開発を検討した。原料エステルに種々の強塩基を作用させる連続脱離法を試みた。その結果、エステルの求電子性を立体障害により抑制するとともに、脱離基の酸性度を上げて脱離性を向上させた2,6-ジ-tert-ブチルフェニルエステルを基質に-78度冷却下ブチルリチウムを2当量加えることで、イノラートを60%ほどの収率で得ることに成功した。本法は非臭素化エステルから直接的にイノラートが生成できる上に、副生成物が求核性や塩基性の低い2,6-ジ-tert-ブチルフェノキシドである点で優れている。2.多置換ピロールの効率合成イノラートを開始剤とする多置換ピロールの合成を検討した。基質としてα-アシルアミノケトンを種々検討したところ、窒素上の置換基をベンジル、パラメトキシフェニル、アリルなどとした場合、イノラートはこれら基質と反応し、ピロールを与えることを見出した。フランの合成の場合と異なり、中間体である縮合β-ラクトンを単離することなく、また酸処理も要せず、一気にピロールが生成することを見出した。反応温度と時間を詳細に検討したところ-20度から室温付近で最も効率よく反応が進行することがわかった。-78度という低温に冷却する必要はない。本反応機構を精査するために、赤外吸収スペクトルで反応をモニタリングしたところ、中間体にカルボキシラートの吸収が観測されたことから、系内に共存する塩基によってβ-脱離が進行しβ-ラクトンが開環し、後処理の段階で脱炭酸及び脱水反応が進行したと考えられる。本合成反応はフラスコの中で6工程が一気に進行する連続反応である。非対称多置換ピロールのワンポット合成の例は少なく、本法は医薬品等の合成に有用である。我々が開発したイノラートの生成法は-78度冷却下、ジブロモエステルにブチルリチウムを加えるという簡便な方法であり、これを利用して昨年度までに多置換ピロール等の複素環のワンポット合成を達成した。しかし、プロセス化学に応用する際には短時間とは言え、この低温冷却が問題となる。そこで、マイクロリアクターを活用したイノラートの生成と複素環合成を検討した。マイクロリアクターの流路径が数百μmではリチウム塩が析出し、フローを妨げたので、内径1000μmのステンレスチューブとHPLCで用いられる安価なマイクロミキサーを利用してマイクロリアクターを製作し、イノラートの生成を試みた。その結果、ブチルリチウムとジブロモエステルのTHF溶液を1分間に1.0mLの流速でミキシングすることで、冷却することなく室温で効率よくイノラートが生成することを見出した。さらに、反応時間を確保するため一旦フローを止めチューブ内で反応を進行させた後、再度フローするストップドフロー法を開発し、極端に長いチューブを用いることなく比較的長い反応時間の反応もマイクロリアクターで行うことができるようになった。この方法を用いて多置換ピロールの室温ワンポット合成に成功した。収率はバッチ系に匹敵するほど高く、連続的にフローすることで大量合成にも適用可能である。また、チューブ内での閉鎖空間における反応であるのでアルゴンガスのような不活性気体雰囲気下である必要もない。このようにバッチ系では容易でなかった、ブチルリチウムを用いた無水低温冷却反応のプロセス化学への適用が、マイクロリアクターで実現可能であることを示した。 | KAKENHI-PROJECT-19020052 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-19020052 |
尾張・三河武士における歴史再構築過程の研究 | 1.本研究では、中世近世前期における尾張・三河武士の家を対象とし、事実であった「歴史」と後代に再構築された各家の「歴史」とを個別に分析することによって、後者に通底する時代的心性を考察することを目的とした。2.個別の研究成果は下記の通りである。(1)当該期に成立した尾張・三河武士の家系伝承について系図史料等から、約四十の個別事例を検証した。その結果、軍記物や敗者復活の歴史としての南朝伝説の役割の大きさ、また近世における知行地確保などを企図したさまざまな作為の存在を確認した。(2)尾張熱田の加藤氏に関しては、一定の意図のもとに選択・収集された古文書群の存在について、文書群の内容が示す言説と文書群が家に相伝されたこと自体が示す言説との両面から具体的に分析し、古文書群の存在が物語る加藤家の歴史再構築過程を追求した。(3)三河の吉良氏については、不明な点が多かったため、まず、南北朝内乱期から16世紀初頭までの吉良氏の存在形態の変遷過程を明らかにする作業を行った。この成果により、近世吉良氏によって再構築された「歴史」を事実と比較することが可能となった。3.当初の計画ではデジタル画像データベースの構築を予定した。実際、高知県の山内家宝物資料館など現地調査を実施した際にはデジタル写真を撮影し、その準備をしたが、写真の公開許可を得られなかったこと、また、収集できた史料複製の大半が紙媒体によるものであったことなどから、結果として画像データベースは小規模なものにとどまった。4.本研究の目的からすれば、作業はようやくその一歩を踏みだしたに過ぎない。今後は本研究期間中に着手した、尾張大橋氏等の個別研究をまとめ、尾張・三河における武士の歴史伝承についての総合的な分析を行う予定である。1.本研究では、中世近世前期における尾張・三河武士の家を対象とし、事実であった「歴史」と後代に再構築された各家の「歴史」とを個別に分析することによって、後者に通底する時代的心性を考察することを目的とした。2.個別の研究成果は下記の通りである。(1)当該期に成立した尾張・三河武士の家系伝承について系図史料等から、約四十の個別事例を検証した。その結果、軍記物や敗者復活の歴史としての南朝伝説の役割の大きさ、また近世における知行地確保などを企図したさまざまな作為の存在を確認した。(2)尾張熱田の加藤氏に関しては、一定の意図のもとに選択・収集された古文書群の存在について、文書群の内容が示す言説と文書群が家に相伝されたこと自体が示す言説との両面から具体的に分析し、古文書群の存在が物語る加藤家の歴史再構築過程を追求した。(3)三河の吉良氏については、不明な点が多かったため、まず、南北朝内乱期から16世紀初頭までの吉良氏の存在形態の変遷過程を明らかにする作業を行った。この成果により、近世吉良氏によって再構築された「歴史」を事実と比較することが可能となった。3.当初の計画ではデジタル画像データベースの構築を予定した。実際、高知県の山内家宝物資料館など現地調査を実施した際にはデジタル写真を撮影し、その準備をしたが、写真の公開許可を得られなかったこと、また、収集できた史料複製の大半が紙媒体によるものであったことなどから、結果として画像データベースは小規模なものにとどまった。4.本研究の目的からすれば、作業はようやくその一歩を踏みだしたに過ぎない。今後は本研究期間中に着手した、尾張大橋氏等の個別研究をまとめ、尾張・三河における武士の歴史伝承についての総合的な分析を行う予定である。本年度は、史料の検索と収集に重点をおいて作業を進めた。まず、近世に作成された系図・由緒書等から尾張・三河出身の武士関係記事を検出する作業としては、東京大学史料編纂所・土佐山内家宝物資料館・高知県立図書館・名古屋市立鶴舞中央図書館・和歌山県立文書館等において、土佐山内家・尾張徳川家・紀伊徳川家等の藩士について調査した。残念ながら、室町期以前に遡る家伝はあまり見られず、大きな成果は得られなかったものの、尾張横井氏など数氏については、興味深い史料が検出できた。また、他に、愛知県西尾市岩瀬文庫・東京大学史料編纂所・石川県金沢市立玉川図書館・大阪府立中之島図書館等が所蔵する尾張三河関係氏族の系図数十点を複製、収集した。つぎに、古文書・古記録からの検索では、愛知県史編さん室・東京大学史料編纂所・国立公文書館内閣文庫を中心として調査し、尾張の荘園在地代官である坂井氏・海東氏・毛受氏、三河の中条氏・戸田氏などについて多くのデータを得た。また、史料のデジタル化については、土佐山内家宝物資料館架蔵山内系図のうちから数十カ所、三河医王寺の「縁起」(三河小野田氏関係)などを対象におこなった。なお、以上の作業過程において、中世近世前期の尾張・三河武士の家における「貴種流離伝説」「南朝伝説」の存在が浮かび上がってきた。それは伝承の世界から「再構築された歴史」であろう。次年度以降、一つの作業仮説として採用し、その分布エリアと初見年代に着目する予定である。前年度に引き続き、本年度も史料の検索と収集作業を進める一方、作業仮説の検討作業を開始した。第一に、名古屋市立鶴舞中央図書館・名古屋市蓬左文庫・東京大学史料編纂所・国立公文書館内閣文庫・石川県金沢市立玉川図書館近世史料館などにおいて、古文書・古記録、近世資料である系図・由緒書等から南北朝戦国期に活動したと思われる尾張・三河の武士の一族について調査した。 | KAKENHI-PROJECT-16520398 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-16520398 |
尾張・三河武士における歴史再構築過程の研究 | また、阿波蜂須賀家関係史料や尾張藩編纂の藩士系図集「士林泝〓」などからも、尾張の大橋・横井・兼松氏、三河の足助・吉良・大河内氏などについての史料を抽出し、データベースの作成に入った。第二に、中世近世前期の尾張武士の家における「貴種流離伝説」「南朝伝説」の存在についての検討を開始した。まず、鎌倉時代の名族の末裔を称する横井・梶原氏、後醍醐天皇伝説を伝える尾張津島の大橋・平野氏と丹羽郡の熊沢氏、菅原道真の落胤を称する阿久比の久松氏等を検出し、それらから、貴種の者が敗れ、その落胤が在地に土着して豪族となるという、「敗者の復活」としての氏祖伝承が、戦国末期から近世前期にかけて、テキスト化されていった状況を分析した。とくに南朝伝説は、信濃・遠江から三河・尾張にかけてのさまざまな伝承が、「記憶」の累層化を進展させていったものと思われ、今後、民俗学の成果をいかに吸収するかが課題となってきた。第三に、事実としての歴史と「再構築された歴史」の関係を考察するために、南北朝期室町期の尾張・三河の政治状況についての具体的検討と分析をおこない、総合的考察のための準備作業に入った。1、本年度は、「康富記」から15世紀の尾張・三河部の記事を検索するなど、古記録からの史料収集を行う一方、太田亮氏の『姓氏家系大辞典』を基礎とした尾張・三河の武士氏族についての一覧データベース(Access版)を作成し、尾張・三河武士の分布・量的把握を行い、現段階までの史料収集の状況についても確認した。ただし、すでに尾張・三河全域にわたる考察は実行困難となってきたため、南朝伝説と貴種流離譚については広域的な把握に努めるものの、個別事例の検証については、対象を尾張国北部、高橋郡、三河国碧海郡などに絞ることにした。2、南北朝期から戦国期に至る尾張・三河の政治状況については、同時代史料による検討を進めたが、中世後期における史料の少なさは如何ともしがたく、近世武士の家伝と直ちにリンクすることはできなかった。ただ、近世系図・由緒等からみた「再構築された歴史」は、神話的要素を排除しつつも、氏族の盛衰になにかしらの因果関係を与えるなどの規則性があり、そこに近世的な歴史認識のパターンを見いだすことができる。 | KAKENHI-PROJECT-16520398 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-16520398 |
NANTEN2による相対論的ジェット起源分子雲の系統的探査 | 「なんてん」銀河面サーベイのデータを詳細に解析し、計11個のジェット分子雲候補天体を発見した。このうちの1つは銀河系中心の大質量ブラックホールに付随し、過去にジェットを放出するような活動期があったことを初めて示すものである。また一酸化炭素分子(CO)の多輝線観測を候補天体に実施、特に348. 5度方向では分子雲内部の温度・密度分布を明らかにした。さらに磁気流体数値計算を共同研究で実施し、ジェットの周囲で高密度領域を形成することができることを示した。「なんてん」銀河面サーベイのデータを詳細に解析し、計11個のジェット分子雲候補天体を発見した。このうちの1つは銀河系中心の大質量ブラックホールに付随し、過去にジェットを放出するような活動期があったことを初めて示すものである。また一酸化炭素分子(CO)の多輝線観測を候補天体に実施、特に348. 5度方向では分子雲内部の温度・密度分布を明らかにした。さらに磁気流体数値計算を共同研究で実施し、ジェットの周囲で高密度領域を形成することができることを示した。なんてんによる12CO(1-0)輝線の銀河面分子雲地図から、ジェット状分子雲探査を行い、すでに発表済みのSS433やWesterlund 2を含め、約10個の分子雲ジェットを同定した。中でも、X線および電波連続波で高密度天体からのジェットが確認されているX線連星XTE J1550-564に対し、分子雲地図を詳細に解析したところ、ジェットの軸上に分子雲群を発見した。分子雲ジェットの詳細な分布や性質について理解を深めるため、これらの分子雲ジェット候補天体についてNANTEN2望遠鏡による12CO(J=2-1)、13CO(J=2-1)輝線を用いた高分解能観測を行った。今年度観測を遂行した天体は、対応する高密度天体が存在し、かつ高密度天体からのジェットの軸上に分子雲の存在が確認されているXTE J1550-564とSS433(Yamamoto et al.2008)である。その結果、分子雲には10パーセクスケールの構造が存在することがわかり、ヘリカル構造がより明らかに示された。両者とも、12CO(J=2-1)輝線と12CO(J=1-0)輝線の強度比は、銀河系内の星形成領域の値と同程度であった。このことは分子雲が高温もしくは高密度になっていることを示している。しかし、赤外線点源等の加熱源となりうる天体が分子雲の周囲には存在せず、高エネルギージェットからの衝撃波による加熱・圧縮が現在起こっており、それによって分子雲形成が誘発された可能性を示唆している。本年度は、ワークショップやコロキウムを開催し、これらの観測成果の紹介を行うとともに、ジェット形成の数値計算の結果などの報告をうけ、議論を進めた。本研究は1)NANTEN2望遠鏡を用いたCO J=2-1輝線の観測、2)電波連続波、X線、ガンマ線の観測データを活用し、駆動源となるコンパクト天体の特定、3)CO分子及び同位体の多遷移輝線観測と中性炭素原子の観測、4)磁気流体力学による数値シミュレーションを共同研究として行う、に大別される。2年目となる今年度は以下のことを遂行した。(1) SS433について野辺山45m鏡を用いた^<12>CO(J=1-0)輝線の観測SS433のジェットに付随する分子雲について高分解能の観測・データ解析を行い、以下のことを明らかにした。1. NANTEN2で取得している^<12>CO(J=2-1)輝線との比較を行い、CO(J=2-1)/CO(J=1-0)比は全体的に0.7以下と典型的な暗黒星雲より低いが、局所的には1.0を超える部分が存在している。2.北側でSS433に最も近い分子雲(NE)はX線ジェットと同一視線方向上にあり、SS433に近い場所ほど比が高い。3.分子雲の冷却のタイムスケールが年齢より短いため、全体的に励起状態が低い可能性が示唆される。4.比が高い部分は分子雲の冷却率よりジェットのエネルギーが大きく、局所的に高励起するのに矛盾しない。(2) MJG348.5の詳細解析Mopra22m鏡で取得した^<12>CO(J=1-0)輝線とNANTEN2で取得した^<12>CO(J=2-1)輝線のデータの詳細解析を行い、以下のことを明らかにした。1. SS433同様全体的にCO(J=2-1)/CO(J=1-0)は0.7と低いが、局所的には比が1.0を超える部分がある。2.南側の銀河面に近い分子雲(S1)は銀河面に近い側で比が0.9以上と高く、反対側で0.4と低い。これはコンパクト天体の位置関係と比の値、変化の具合がSS433の分子雲NEとよく似ている。3. SS433と同様に分子雲の年齢と冷却のタイムスケールの比較から、全体的には冷却が進んでいるが、冷却効率とジェットのエネルギーから局所的に高励起にすることができる。チリ・アタカマ高地に設置されているASTE10m鏡を用いて候補天体のうち、2天体について^<12>CO(J=3-2)の高励起線の観測を行った。これは分子雲の励起具合を調査し、性質をより克明に明らかにする上で重要な観測である。 | KAKENHI-PROJECT-21253003 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-21253003 |
NANTEN2による相対論的ジェット起源分子雲の系統的探査 | 今年度はWesterlund2領域のアークとジェット、および銀河系中心部の二重らせん星雲に集中して観測研究を推進した。また磁気流体力学数値計算(研究協力者による)を推進して相対論的ジェットによる分子雲形成の数値実験を遂行した。(1)Westerlund2領域において発見したアークとジェットについて、CO分子のJ=2-1およびJ=1-0輝線の強度比を解析して、温度と密度を導き、従来よりも3倍以上高い角度分解能で分子雲の分布を明らかにした。その結果、アークとジェットともに、10Kないし20Kの比較的低い温度を示すことが明らかになった。このことは、分子雲形成に伴う衝撃波の通過が約100万年以前に起き、冷却したことと矛盾がない。またアーク方向にあらたにジェット状の分子雲の存在を確認し、ジェットが中心天体の両側に存在することを見いだした。さらに、数値計算の結果との比較から、アークの成因として、超新星爆発ではなく、ジェットによって駆動されたバウショックである可能性を示した。(2)銀河系中心部の二重らせん星雲に付随する垂直に約400光年伸びた柱状の分子雲を発見した。その根元は銀河系中心核の大質量ブラックホールを取り囲むガス円盤に連なっており、回転円盤によって駆動された磁気流体力学的現象によって、分子雲の分布と運動が説明できる可能性を指摘した。これは我が銀河系の中心部にも、ジェットを放出した活動的な時期があることを初めて示すものである。(3)磁気流体力学的な数値計算によって、相対論的ジェットによるジェット状分子雲の形成課程を明らかにした。ジェットの先端にバウショック状の成分が形成されることを明らかにし、Westerlund2のアークの形成に適用できることを論じた。 | KAKENHI-PROJECT-21253003 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-21253003 |
インターネット画像検索のための進化的ニューラルネットへの知識埋込と抽出 | 本研究では,インターネット上で膨大に存在する画像から効率的に目的画像を検索するための基礎技術を開発した.特に,画像の潜在情報を言葉や概念として抽出し,情報検索法である潜在的意味インデキシングのための特徴ベクトルを生成するための基盤技術を研究開発した.この開発では,進化的に構造を変えていくニューラルネットワークの学習機能とルール化手法により,画像情報を言葉や概念に変換するための基礎研究を行い,ルール化手法を提案した.このルール化手法では人間の有する画像に対する概念や知識をニューラルネットワークに埋め込み,知識の洗練化のための学習を行い,その後にニューラルネットワークから人間が理解できる形式の知識やルールを抽出する.実際に,パターン分類問題とカオス信号の同定問題に対して,人間がパターン分類や同定を行うための規則を作成し,その規則をニューラルネットワークに埋め込み,規則の洗練化のための学習を行い,最後に学習済みのニューラルネットワークから人間が理解できる形式の簡単なルールを作成できることを示した.この技術を利用すると,画像に対して人間が有する知識をニューラルネットワークに埋め込み,さらなる学習後に,画像検索に有効な知識抽出規則や概念を抽出するためのルールを生成することが可能となり,本研究の目的を達成することが可能になると考えられる.平成14年度には,進化的手法であるインタラクティブ進化アルゴリズムにより,実際の画像に対して,キーワード抽出の実験を行い,比較的に良好な結果を得ている.さらに,様々な画像に対しても適用可能であるように,画像の大分類の方法の開発,進化的ニューラルネットワークを用いたキーワード抽出実験を行い,70%程度以上の精度で,大分類とキーワード分類を行うことができた.今後は,もっと多数の画像種類に対して有効性を検証するとともに,これまでに開発した手法を統合化して画像検索のためのキーワード抽出システムを実装化していく必要がある.さらに精度改善のための方法を開発することも重要である.本研究では,インターネット上で膨大に存在する画像から効率的に目的画像を検索するための基礎技術を開発した.特に,画像の潜在情報を言葉や概念として抽出し,情報検索法である潜在的意味インデキシングのための特徴ベクトルを生成するための基盤技術を研究開発した.この開発では,進化的に構造を変えていくニューラルネットワークの学習機能とルール化手法により,画像情報を言葉や概念に変換するための基礎研究を行い,ルール化手法を提案した.このルール化手法では人間の有する画像に対する概念や知識をニューラルネットワークに埋め込み,知識の洗練化のための学習を行い,その後にニューラルネットワークから人間が理解できる形式の知識やルールを抽出する.実際に,パターン分類問題とカオス信号の同定問題に対して,人間がパターン分類や同定を行うための規則を作成し,その規則をニューラルネットワークに埋め込み,規則の洗練化のための学習を行い,最後に学習済みのニューラルネットワークから人間が理解できる形式の簡単なルールを作成できることを示した.この技術を利用すると,画像に対して人間が有する知識をニューラルネットワークに埋め込み,さらなる学習後に,画像検索に有効な知識抽出規則や概念を抽出するためのルールを生成することが可能となり,本研究の目的を達成することが可能になると考えられる.平成14年度には,進化的手法であるインタラクティブ進化アルゴリズムにより,実際の画像に対して,キーワード抽出の実験を行い,比較的に良好な結果を得ている.さらに,様々な画像に対しても適用可能であるように,画像の大分類の方法の開発,進化的ニューラルネットワークを用いたキーワード抽出実験を行い,70%程度以上の精度で,大分類とキーワード分類を行うことができた.今後は,もっと多数の画像種類に対して有効性を検証するとともに,これまでに開発した手法を統合化して画像検索のためのキーワード抽出システムを実装化していく必要がある.さらに精度改善のための方法を開発することも重要である.本研究では,インターネット上で膨大に存在する画像から効率的に目的画像を検索するための基礎技術を開発した。特に,本年度は画像の潜在情報を言葉や概念として抽出し(画像知識獲得),情報検索法である潜在的意味インデキシングのための特徴ベクトルを生成するための基盤技術を研究開発した。この開発では,進化的に構造を変えていくニューラルネットワークの学習機能とルール化手法により,画像情報を言葉や概念に変換するための基礎研究を行い,ルール化手法を提案した。このルール化手法では人間の有する画像に対する概念や知識をニューラルネットワークに埋め込み,知識の洗練化のための学習を行い,その後にニューラルネットワークから人間が理解できる形式の知識やルールを抽出する(ヒューマン知識獲得)。実際に,パターン分類問題で,人間がパターン分類を行うための規則を作成し,その規則をニューラルネットワークに埋め込み,規則の洗練化のための学習を行い,最後に学習済みのニューラルネットワークから人間が理解できる形式の簡単なルールを作成できることを示した。この技術を利用すると,画像に対して人間が有する知識をニューラルネットワークに埋め込み,さらなる学習後に,画像検索に有効な知識抽出規則や概念を抽出するためのルールを生成することが可能となり,本研究の目的を達成することが可能になると考えられる。来年度には,実際に画像検索のための実験を行っていく予定である。本研究では,インターネット上で膨大に存在する画像から効率的に目的画像を検索するための基礎技術を開発した.特に,画像の潜在情報を言葉や概念として抽出し,情報検索法である潜在的意味インデキシングのための特徴ベクトルを生成するための基盤技術を研究開発した.この開発では,進化的に構造を変えていくニューラルネットワークの学習機能とルール化手法により,画像情報を言葉や概念に変換するための基礎研究を行い,ルール化手法を提案した. | KAKENHI-PROJECT-13680448 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-13680448 |
インターネット画像検索のための進化的ニューラルネットへの知識埋込と抽出 | このルール化手法では人間の有する画像に対する概念や知識をニューラルネットワークに埋め込み,知識の洗練化のための学習を行い,その後にニューラルネットワークから人間が理解できる形式の知識やルールを抽出する.実際に,パターン分類問題とカオス信号の同定問題に対して,人間がパターン分類や同定を行うための規則を作成し,その規則をニューラルネットワークに埋め込み,規則の洗練化のための学習を行い,最後に学習済みのニューラルネットワークから人間が理解できる形式の簡単なルールを作成できることを示した.この技術を利用すると,画像に対して人間が有する知識をニューラルネットワークに埋め込み,さらなる学習後に,画像検索に有効な知識抽出規則や概念を抽出するためのルールを生成することが可能となり,本研究の目的を達成することが可能になると考えられる.平成14年度には,進化的手法であるインタラクティブ進化アルゴリズムにより,実際の画像に対して,キーワード抽出の実験を行い,比較的に良好な結果を得ている.さらに,様々な画像に対しても適用可能であるように,画像の大分類の方法の開発,進化的ニューラルネットワークを用いたキーワード抽出実験を行い,70%程度以上の精度で,大分類とキーワード分類を行うことができた.今後は,もっと多数の画像種類に対して有効性を検証するとともに,これまでに開発した手法を統合化して画像検索のためのキーワード抽出システムを実装化していく必要がある.さらに精度改善のための方法を開発することも重要である. | KAKENHI-PROJECT-13680448 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-13680448 |
画像と言語を用いた質感情報表現のディープラーニング | 研究計画に従い,質感認識システムの実現にむけて多方面から取り組み,以下の成果を得た.CNNと人の視覚機能の振る舞いの違いの一つに,ノイズ等の画質劣化への耐性がある.これに対しわれわれは,画質劣化に対し,本質的な耐性を向上させるCNNの構造を研究し,活性化関数に手を加えることで性能を向上させられることを発見し,国際会議CVPR2018にて発表した.さらに,劣化した画質を改善する画像復元の研究を行い,いくつかの成果を得た.画像復元タスクを対象としたネットワーク構造の自動設計手法を世界で初めて開発,その効果を確認し,国際会議ICML2018にて公表した.その後の研究により,画質劣化に対し強力な性能を発揮するCNNの構造(双残差結合)を考案し,これが多様な劣化要因(ガウス性ノイズ,雨筋,雨滴,JPEG圧縮ノイズ,モーションブラー,霧・霞)を対象に,それぞれに細部構造を最適化することで,世界最高水準の性能を達成した.この方法は,入力画像が含む劣化要因が特定できない場合には使えない.そこで,その場合に,画像を復元可能な方法を開発している.以上の方法はともに,国際会議CVPR2019に採択されている.画像から認識した質感は,最終的には人に理解可能な言語情報として表現・出力する必要がある.画像と言語の間のクロスモーダルな情報統合を,注意(アテンション)を軸に実現する方法を開発し,国際会議CVPR2018で発表した.その後の研究で,画像と言語の融合タスク複数を,同一のネットワークによりマルチタスク学習の枠組みで学習する方法を開発し,国際会議CVPR2019で発表予定である.この他,質感認識の応用として,ファッションの着合わせの良し悪しを画像から推定し,ユーザにファッションアイテムの推薦を行う方法を研究してきたが,その推薦の根拠を説明可能な方法を開発し,国際会議に論文を投稿した.当初計画の中では,「研究実績の概要」に報告した通り,画質劣化への耐性の向上と,画像と言語の融合タスクにおいて,難関国際会議に論文が複数採択されるなど,進捗は順調である.一方,ランキングタスクにおける人と機械システムの正当な比較方法の理論の構築と,多層CNNとサルの視覚皮質の比較分析については,研究は一定の進捗を見ているものの,成果の公表が十分に行えていない.以上を総合的に判断すると,進捗はおおむね順調であると判断される.これまで,多様な要因で低下した入力画像の画質を,CNNを用いて改善する方法を研究してきた.そこでは,異なる要因ごとに個別のCNNをデザインし,学習を行う必要があった.今後は,マルチタスク学習等の手法を用いて,単一のCNNで多様な画質低下を扱うことのできる方法の実現に取り組む.この取り組みを通じ,画質低下を改善する上で必須と考えられる「自然画像の構造」が,CNN内でどのように表現されているかを分析することを目指す.質感は画質と深いつながりがあるが,この分析によって質感を構成する要因が何であるかを考え,一定の知見としてまとめる.次に,多層CNNとサルの視覚皮質の比較分析については,本領域で開発された質感画像データセットを用い,サルの視覚野の脳皮質電位図と多層CNNの関係を調べて行く.画像をサルに提示し,脳活動を記録するとともにその分析を進めることにしている.また,ランキングタスクにおける人と機械システムの正当な比較方法の理論の構築と,多層CNNとサルの視覚皮質の比較分析については,成果の公表を進めることとする.本研究の目的は,物体表面の質感を,その画像を入力にコンピュータが認識する画像認識システムを構築することにある.その達成へ向けて,当該年度に計画した研究項目は,大規模学習システムの構築,代理タスク選定とCNN構造設計,質感データセット構築の着手,言語埋め込み手法の理論検討,の4つある.第1の項目については,GPUサーバ2台を調達し,これを研究室で所有する同等のサーバと組み合わせてPCクラスタを構築し,深層学習が実験できる環境を構築した.次に第4の項目については,画像1枚の内容をCNNを用いて記述する2つの方法を開発した.それぞれ,国際会議ACL2016および国内会議MIRU2016に投稿中である.その他の項目については,当該分野での深層学習に関する研究開発のスピードが極めて早いことから,当初の研究の方向性を軌道修正する必要に迫られた.具体的には第2,3番目の項目については,当該年度中に発表された他の研究者による成果を利用することとし,本計画で実施を要しなかった.代わりに,特に質感とつながりの深い材質認識をターゲットに,物体認識からの転移学習の新たな方法を新たに開発した.また当領域での他の研究班との連携を考えて,生物視覚との関係性を最大限利用する必要性に思い至り,当該年度途中から研究に着手した.具体的には,材質認識におけるCNNの振る舞いと人視覚の振る舞いを比較する実験を行い,相違点および類似点を明らかにした.この成果は6月開催の国際会議VSS2016で報告予定である.また,以前より協力関係にある新潟大学医歯学研究科の協力を得て,サルの脳皮質電位図を用いた物体および素材認識の脳内機構の理解のための実験を行った.成果の一部はNeuroscience2016に投稿中であり,また国際ジャーナルへの投稿を準備中である.当該分野での深層学習の研究のスピードが早く,当初計画内容の見直しを迫られたものの,新たに解決すべき課題を設定し直し,これに取り組んだことで,一定の成果を得ることができた為.質感情報の表現空間を構築するという目標の達成へ向けて,複数のテーマに並行に取り組み,以下に述べる成果を得た. | KAKENHI-PLANNED-15H05919 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PLANNED-15H05919 |
画像と言語を用いた質感情報表現のディープラーニング | まず,物体認識を学習したCNNと材質認識を学習したCNNの内部特徴を融合し,両方の認識精度を向上させる方法を実現した(ICPR2016にて成果発表).また,こうして学習したCNNと人の視覚の間で,材質認識の精度およびその振る舞いを比較し,類似部分と非類似部分を明らかにした(国際会議VSS2016にて公表).さらに,以上の研究を踏まえ,商品販売サイトでの利用を念頭に,商品の画像1枚から質感の形容を含む商品のタイトルを自動生成する方法を実現した.こちらは国内会議MIRU2016にて発表を行い,優秀発表賞を受賞した他,国際会議ACCV2016にて成果発表を行った.さらに,タイトル生成に注意(attention)を取り入れたモデルを,MVA2017にて発表予定である.また,シーンを捉えた画像において,そこに映る物の間の関係性を表す概念,およびその特徴表現を獲得する方法を実現した(国際会議PACLIC2016にて成果発表・受賞).また,ウェブ上の情報を用いて,質感を表現する概念を自動的に収集する方法を実現し,トップレベル国際会議ECCV2016にて発表した.さらに,畳込みニューラルネットのフィルタ形状と認識性能の関係について,「凸」形状をしたフィルタを用いることで認識性能や頑健さが向上することを発見し,こちらもECCV2016にて発表した.多層CNNとサルの視覚皮質の比較分析を進め,ECoGによる脳波の異なる時間周波数信号が,CNNの異なる層との間でそれぞれ異なる相関を持つことを発見した(日本神経科学大会およびNeuroscience 2016にて公表).上で記述したとおり28年度において6件程度の成果発表を行っており,当初計画目標の達成へ向けて順調に進んでいると言える.研究計画に従い,質感認識システムの実現にむけて多方面から取り組み,以下のような成果を得た.まず,画像に加わる様々な変動,例えばノイズ,解像度低下,ブラーなどは,画像に写るものの質感を大きく左右する要因である.そういった変動に頑健なCNNを開発し,難関国際会議CVPR2018に採択された.質感認識を始め,あらゆる画像認識にCNNが用いられるようになったが,一般にCNNの性能は,その規模(層数・パラメータ数)に比例する傾向がある.この文脈で,高い性能を持つがパラメータ数も巨大になる傾向のあるWide ResNetを,その性能を維持しつつ1/4-1/5にパラメータ数を削減できる方法を開発し,難関国際会議ICCV2017にて発表した.次に,画像から認識した質感は,最終的には人に理解可能な言語情報として表現・主力する必要がある.この問題に取り組み,画像と言語の間のクロスモーダルな情報統合を,注意(アテンション)を軸に実現する方法を開発した.成果は難関国際会議CVPR2018に採択された.われわれは過去,画像ペアの順序付けタスクを通じて,画像から質感を読み取るCNNを学習する方法を研究してきた.こうして学習したCNNは,一定以上の性能を示すことが確認されていたが,人の認識との比較をうまく行えないでいた.29年度においてはこの問題に取り組み,問題解決の糸口を見出すことができた. | KAKENHI-PLANNED-15H05919 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PLANNED-15H05919 |
核内受容体を介した生体システム状態変動の細胞階層における解析 | 本研究では、リガンド依存的転写制御因子である核内受容体が発揮する多彩な機能を特異的に制御もしくは検出する化合物を創製した。具体的には、ホウ素クラスター(カルボラン)や高周期14族元素(ケイ素やゲルマニウム)含有官能基を基盤とした新規核内受容体機能制御剤の創製、核内受容体機能解析のための蛍光性リガンドの創製、代謝活性化を想定したビタミンK誘導体の創製と機能解析、新規ストア作動性カルシウム濃度制御剤の創製を行った。また、核内受容体研究を他の転写因子の機能制御剤開発へと応用し、Hippoシグナル伝達系の鍵転写因子であるTAZの活性を制御する分子を創製した。本研究では、リガンド依存的転写制御因子である核内受容体が発揮する多彩な機能を特異的に制御もしくは検出する化合物を創製した。具体的には、ホウ素クラスター(カルボラン)や高周期14族元素(ケイ素やゲルマニウム)含有官能基を基盤とした新規核内受容体機能制御剤の創製、核内受容体機能解析のための蛍光性リガンドの創製、代謝活性化を想定したビタミンK誘導体の創製と機能解析、新規ストア作動性カルシウム濃度制御剤の創製を行った。また、核内受容体研究を他の転写因子の機能制御剤開発へと応用し、Hippoシグナル伝達系の鍵転写因子であるTAZの活性を制御する分子を創製した。核内受容体群は、固有のリガンドと結合することにより特異的な遺伝子の転写活性とタンパク質の量的な変動を引き起こし、発生、代謝、恒常性といった生命維持の根幹に関わる現象を厳密に調節している。すなわち、核内受容体リガンドは細胞階層における状態変動を起こし、より上位の各階層における機能制御に密接に関わっている。核内受容体機能制御分子の創製とバイオプローブ開発を基盤として、核内受容体が発揮する多彩な生物機能に関する理解と制御を目的として、本年度は以下の項目を行った。1)レチノイド核内受容体RXRは様々な核内受容体とヘテロダイマーを形成する。各種ヘテロダイマー機能の制御を目的として、新規RXRリガンドを設計、合成した。2)種々の不飽和脂肪酸類が幾つかの核内受容体に結合し、その機能を制御していることが報告されているが、その活性は弱く、生理的意義もわかっていない。そこで、不飽和脂肪酸に官能基を導入した化合物や二重結合に対するバイオアイソスターを導入した誘導体群を合成した。3)カルボランを脂溶性ファーマコフォアとした核内受容体リガンドの創製を行った。その結果、高活性なカルボラン含有ビタミンDアゴニストをみいだし、複合体の結晶構造解析により、その受容体結合様式を明らかとした。また、変異した受容体にも有効なアンドロゲンアンタゴニストの創製にも成功した。4)核内受容体研究に有用な蛍光プローブの開発を目指し、会合状態の変化によって蛍光特性を変化させる系を設計、合成し、その機能を明らかとした。核内受容体群は、固有のリガンドと結合することにより特異的な遺伝子の転写活性とタンパク質の量的な変動を引き起こし、発生、代謝、恒常性といった生命維持の根幹に関わる現象を厳密に調節している。すなわち、核内受容体リガンドは細胞階層における状態変動を起こし、より上位の各階層における機能制御に密接に関わっている。核内受容体機能制御分子の創製とバイオプローブ開発を基盤として、核内受容体が発揮する多彩な生物機能に関する理解と制御を目的として、本年度は以下の項目を行った。1)様々な核内受容体とヘテロダイマーを形成するレチノイド核内受容体RXRの新しいリガンドとして、トリアルキルシリル基を有する化合物を創製した。また、各種トリアルキルシリル基の脂溶性置換基としての化学的性質を解析する目的で、p^-(トリアルキルシリル)フェノールを系統的に合成し、その酸性度と疎水性パラメータを算出し、これらの性質がエストロゲン活性へ与える寄与を解析した。2)カルボランを脂溶性ファーマコフォアとした核内受容体リガンドの創製を行った。また、カルボランと同程度のかさ高さを持つ球状炭化水素骨格であるビシクロ[2,2,2]オクタンをカルボランの変わりに導入した化合物を合成し、その活性を比較した。その結果、いずれの場合も、カルボラン誘導体がビシクロ[2,2,2]オクタンよりも高い活性を示したことから、カルボランの脂溶性構造としての有用性が明らかとなった。4)核内受容体研究に有用な蛍光プローブの開発を目指し、クマリン骨格をもつプロゲステロンアンタゴニストを開発した。本化合物は受容体との結合によって、蛍光特性を変化させることがわかった。核内受容体は、固有のリガンド依存的に特異的遺伝子の転写活性とタンパク質の量的な変動を引き起こし、様々な生命維持の根幹に関わる現象を厳密に調節している。すなわち、核内受容体リガンドは細胞階層における状態変動を起こし、より上位の各階層における機能制御に密接に関わっている。核内受容体が発揮する多彩な生物機能に関する理解と制御を目的として、本年度は以下の項目を行った。1)レチノイドの新しい作用解析:幾つかのレチノイドがストア作動性カルシウム流入作用に対する阻害活性を有することを見いだした。本活性における構造活性相関がRAR、RXRに対する親和性とは必ずしも相関しないことがわかり、レチノイドの新しい作用気候が示唆された。 | KAKENHI-PLANNED-22136013 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PLANNED-22136013 |
核内受容体を介した生体システム状態変動の細胞階層における解析 | 2)新規ファーマコフォアの探索:これまでに、脂溶性ファーマコフォアとしてホウ素クラスターであるカルボランの有用性を明らかにし、新規ビタミンD誘導体を創製してきた。より高活性な非ステロイド型ビタミンD誘導体の創製を目的に、その構造展開を図った。ビタミンD受容体とカルボラン含有リガンドとの共結晶の構造解析をもとに、新規骨格を有する分子を設計、合成した。幾つかの化合物にビタミンD活性が見られ、更なる構造展開の可能性を示した。3)新規ビタミンK誘導体の創製:ビタミンKは骨組織や血管内皮細胞の石灰化作用を担うビタミンであるが、最近、様々な新しい作用が報告されている。これまでに確立した酸化代謝物の合成法を応用して、新たなビタミンK誘導体を設計、合成した。その結果、肝細胞増殖抑制効果や抗炎症作用を有する新規化合物を同定した。4)核内受容体研究のための蛍光性プローブの創製:プロゲステロン受容体の蛍光性リガンド創製の知見をもとに、クマリン骨格を有するアンドロゲン受容体リガンドの創製を行った。その結果、アンドロゲン選択的なアンタゴニストを見いだし、その蛍光特性を明らかとした。核内受容体群は、固有のリガンドと結合することにより特異的な遺伝子の転写活性とタンパク質の量的な変動を引き起こし、発生、代謝、恒常性といった生命維持の根幹に関わる現象を厳密に調節している。核内受容体機能制御分子の創製とバイオプローブ開発を基盤として、核内受容体が発揮する多彩な生物機能に関する理解と制御を目的として、本年度は以下の項目を行った。1)新規ストア作動性カルシウム流入阻害剤の創製:化合物ライブラリーを用いたスクリーニングにより、ストア作動性カルシウム流入を阻害する化合物群を得た。その構造活性相関を明らかとし、それをもとに、新規化合物を設計、合成し、活性を評価した所、幾つかの化合物に濃度依存的なカルシウム濃度制御作用があることがわかった。2)ケイ素官能基を有する核内受容体リガンドの創製:極性官能基としてシラノール基を有する核内受容体リガンドへの展開を図った。アンドロゲン受容体を標的として、受容体との相互作用の鍵となる部分にシラノール基を導入した化合物群を設計、合成した。これらの化合物はアンドロゲン受容体アンタゴニストとして機能したが、シラノール基の役割の解明は今後の課題となった。3)脂溶性ファーマコフォアとしてカルボランを有する核内受容体リガンドの創製:カルボランを有するプロゲステロンアンタゴニストについて、エナンチオマー間の活性の差異を明らかとするため、リパーゼによる光学分割法を確立した。両エナンチオマーの活性を検討し、リガンドの特性とキラリティーに関する知見を得た。4)特定の条件で機能する蛍光センサー分子の開発:蛍光性核内受容体リガンドに加えて、特定の部位における酵素反応や官能基変換により蛍光特性が変わる分子を開発した。これらは、生体内の環境変化を検出する手法へと応用可能である。核内受容体は、固有のリガンドと結合することにより特異的な遺伝子の転写活性とタンパク質の量的な変動を引き起こし、発生、代謝、恒常性といった生命維持の根幹に関わる現象を厳密に調節している。すなわち、核内受容体リガンドは細胞階層における状態変動を起こし、より上位の各階層における機能制御に密接に関わっている。核内受容体機能制御分子の創製とバイオプローブ開発を基盤として、核内受容体が発揮する多彩な生物機能に関する理解と制御を目的として、本年度は以下の項目を行った。 | KAKENHI-PLANNED-22136013 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PLANNED-22136013 |
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