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気道過敏性の成立機序とその制御に関する研究 | (1)キサンチン、キサンチンオキシデ-スにより酵素学的に発生させたオキシゲンラジカルは一過性の気道収縮をおこす、(2)さらにアセチルコリンに対する気道反応性も亢進し、投与後30分が最も著明であった。これらのことより、気管支喘息の発症に活性酸素が関与していることが示唆された。(3)感作猫に抗原吸入させると、血漿中のヒスタミン濃度の上昇と気道収縮が認められるが、非アドレナリン非コリン作動性神経刺激はこの両者を抑制した。このことより、本神経が喘息発症の予防に有望と考えられた。又、モルモットを用いた実験からは、(1)知覚神経末端から遊離された,神経ペブタイドによる気道炎症に対して、抗アレルギ-剤であるKCー404,交感神経末端に存在するneuropepかdeY(NPY)が抑制効果をもち、その作用機序は、神経末端からの神経ペブタイド遊離抑制であった。(2)好酸球培養液の上清液を、モルモット気管に与えると、収縮性の亢進が認められた。これらのことより、気道過敏性亢進に対しKCー404,NPY,あるいは好酸球遊走阻害剤等が有望であると考えられた。ヒスタミンH_3レセプタ-に関しては(1)速走神経末端からのアセチルコリン放出抑制、(2)知覚神経末端からの神経ペブタイド放出抑制、(3)肥満細胞からのヒスタミン遊離抑制等の作用があり、本レセプタ-刺激剤は、気道過敏性亢進を抑制することが示唆された。さらに、気管支喘息に関与しているメディエ-タ-と考えられるブラディカイニンは、気道の反応性を亢進させるが、そのメカニズムは、気管支動脈領域の、白管透過性亢進による気道浮腫にあることが判明した。ウイルス感染時の気道反応性亢進の機序に関しては、犬を用いた実験より、速走神経末端のM_2レセプタ-の機能不全による、アセチルコリンの過放出がその一因であることが示唆された。A)基礎的研究においては、動物実験より以下のような成果を得た。1。感作したネコにおいて、抗原チャレンジにより、非アドレナリン作動性抑制神経の機能不全が起ることを示した。外因性VIPの気道拡張作用も抑制されることより、肥満細胞から放出されたトリプテ-スによる、VIPの分解がこのメカニズムであると考えられた。2。ネコのin situモデルにより、ブラディカイニンによる気道炎症と気道過敏性の関連について検討した。ブラディカイニンは、気道の血管透過性を亢進させ、気道の浮腫をきたし、アセチルコリンによる気道収縮反応を増強した。3。モルモットを用い、神経電気刺激、ブラディカイニン投与によっておこる神経原性炎症に対する抑制因子について検討した。Kチャンネルオ-プナ-、NPY、Ibudilast等によって、神経原性炎性が抑制され、新しい喘息治療薬の可能性が示唆された。4。モルモット遅発型喘息反応が、ILー1投与により増強された。5。活性酸素による気道収縮反応をモルモットin vitroで検討した。本反応に対する肥満細胞の関与が示された。以上の動物実験より、気道過敏性の成立機序として神経原性あるいは、活性酸素、抗原抗体反応によるサイトカインの関与が明らかとなった。B)臨床的検討1。ACE阻害剤によっておこる咳のメカニズムを検討した。 | KAKENHI-PROJECT-01440040 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-01440040 |
世代間交流における役割の獲得と認知症発症の関係について | 本研究は世代間交流における役割の獲得と認知症発症の関係について明らかにすることを目的とした。対象は65歳以上の精神科デイケア利用者とし、世代間交流群のべ51名と非交流群のべ58名において、運動機能、基本チェックリストおよびNMスケール、HDS-Rの経時的変化を追った。結果、非交流群の運動機能に改善が認められたが、他の項目について差は認められなかった。今回の研究では、直接的に認知症発症の関係を明らかにすることはできなかった。しかし加齢に伴う機能低下をしていく介護・終末期では、尊厳のある生活の援助をしていくことが重要である。21世紀ビジョンにおいて、世代間交流の必要性が強調されて以降、世代間交流の取り組みが盛んに行われるようになってきている。しかし通所施設における世代間交流の試みや精神障害者を対象とした研究は少ない。そこで本研究では、「介護予防を目的とした高齢者」と「就労を目的とした成年者」との双方の世代間交流について検討し、さらに世代間交流における「役割の獲得」と「認知症予防」との効果との関係についても経時的な変化から効果を検討することを目的としている。対象は精神科デイケア利用者とした。そのうち「世代間交流群」を土曜日利用者40名、「非世代間交流群」を金曜日利用者50名と設定した。世代間交流群については、意図的に世代間交流を図るため、高齢者と青年者が協同して実施するグループをを4チームつくり、1回/1ヶ月の定期的な頻度でサタデーカップと命名した風船バレーボール大会を実施している。この大会は1年間の通算成績を掲示しながら、継続した世代間交流を図るように実施している。「非世代間交流群」については、高齢者のみのプログラムを実施しており、世代間交流には参加していない。現在、「世代間交流群」のべ37名と「非世代間交流群」のべ43名について、1年間の変化について集計をしたところである。両群ともに身体および精神機能面ともに有意な変化は見られていない。今後も経時的変化を追っていく予定である。21世紀ビジョンにおいて、世代間交流の必要性が強調されて以降、世代間交流の取り組みが盛んに行われるようになってきている。しかし通所施設における世代間交流の試みや精神障害者を対象とした研究は少ない。そこで本研究では、「介護予防を目的とした高齢者」と「就労を目的とした青年者」との双方の世代間交流について検討し、さらに世代間交流における「役割の獲得」と「認知症予防」との効果との関係についても経時的な変化から効果を検討することを目的としている。対象は精神科デイケア利用者とした。そのうち「世代間交流群」を土曜日利用者40名、「非世代間交流群」を金曜日利用者50名と設定した。世代間交流については、意図的に世代間交流を図るため、高齢者と青年者が協同して実施するグループを4チームつくり、1回/1ヶ月の定期的な頻度でサタデーカップと命名した風船バレーボール大会を実施している。この大会は1年間の通算成績を掲示しながら、継続した世代間交流を図るように実施している。大会開始後1年間が経過し、年間の順位を決定した。また今年度はチーム編成を再構成した上で、再スタートしている。また、「非世代間交流群」については、高齢者のみのプログラムを実施しており、世代間交流には参加していない。現在、「世代間交流群」のべ47名と「非世代間交流群」のべ50名について、2年間の変化について集計を実施している。両群ともに身体および精神機能面ともに有意な変化は見られていない。今後も経時的変化を追っていく予定である。さらに、昨年度から、地域の健常高齢者を対象に、身体機能面と認知機能面の評価を実施しており、一般高齢者との比較もできるようにデータを収集している。現在、「世代間交流群」のべ47名および「非世代間交流群」のべ50名について、それぞれ身体機能面については約3ヶ月ごとに、精神機能面については約6ヶ月ごとに調査を継続して実施している。身体機能面に関しては、「握力」「開眼片足立時間」「5m歩行速度」について調査を実施し、同時に総合的視標として「基本チェックリスト」についても調査している。また精神機能面としては、認知症の評価として、「HDS-R」、うつの評価として「GDS15」について調査を実施している。なお、データ収集について、予定数よりも若干少なめであるため、今年度より、地域在住高齢者の「一般高齢者群」としてのべ22名に関してもデータを収集しており、比較検討しやすいようにしている。「一般高齢者群」については、身体機能面を中心に評価を実施している。21世紀ビジョンにおいて、世代間交流の必要性が強調されて以降、世代間交流の取り組みが盛んに行われるようになってきている。しかし通所施設における世代間交流の試みや精神障害者を対象とした研究は少ない。そこで本研究では、「介護予防を目的とした高齢者」と「就労を目的とした青年者」との双方の世代間交流について検討し、さらに世代間交流における「役割の獲得」と「認知症予防」との関係についても経時的な変化から効果を検討することを目的とした。対象は精神科デイケア利用者とし、そのうち「世代間交流群」を土曜日利用者40名、「非世代間交流群」を金曜日利用者50名と設定した。 | KAKENHI-PROJECT-26350686 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-26350686 |
世代間交流における役割の獲得と認知症発症の関係について | 世代間交流については、意図的に世代間交流を図るため、高齢者と青年者が協同して実施するグループを4チームつくり、1ヶ月に1回毎の定期的な頻度で「サタデーカップ」と命名した風船バレーボール大会を実施した。この大会は1年間の通算成績を掲示しながら、継続した世代間交流を図る目的で実施した。大会開始後1年毎の順位を決定し、1年間でチーム編成を再構成した上で、3年間実施した。また、「非世代間交流群」については、高齢者のみのプログラムを実施しており、世代間交流には参加していない。「世代間交流群」のべ52名と「非世代間交流群」55名の経時的変化について集計した結果、両群共に有意な機能の低下は認められなかった。これは、精神科デイケアでは身体・精神機能が低下し、要介護状態になると通所が中断するためと考えられた。そこで、地域の健常高齢者を対象に、身体機能面と認知機能面の評価も実施しており、一般高齢者との比較においても著明な変化は認められなかった。3年間という限定した期間であったため、今後継続したデータ収集を行い、役割の獲得と認知症予防および介護予防の関係について検討していく。本研究は世代間交流における役割の獲得と認知症発症の関係について明らかにすることを目的とした。対象は65歳以上の精神科デイケア利用者とし、世代間交流群のべ51名と非交流群のべ58名において、運動機能、基本チェックリストおよびNMスケール、HDS-Rの経時的変化を追った。結果、非交流群の運動機能に改善が認められたが、他の項目について差は認められなかった。今回の研究では、直接的に認知症発症の関係を明らかにすることはできなかった。しかし加齢に伴う機能低下をしていく介護・終末期では、尊厳のある生活の援助をしていくことが重要である。現在、「世代間交流群」のべ37名および「非世代間交流群」のべ43名について、それぞれ身体機能面については約3ヶ月ごとに、精神機能面については約6ヶ月ごとに調査を継続して実施している。身体機能面としては、「握力」「開眼片足立時間」「5m歩行速度」について調査を実施し、同時に総合的視標として「基本チェックリスト」についても調査している。また精神機能面としては、認知症の評価として「HDS-R」、うつの評価として「GDS15」について約6ヶ月ごとに調査を実施している。なお、データ収集については予定数よりも若干少なめであるが、特に問題は無い状態であると考えている。現在、研究の進捗状況としては概ね順調に進展しており、「世代間交流群」と「非世代間交流群」について、研究開始から約2年間のデータを収集し分析を実施中である。両群とも身体および精神機能面ともに有意な変化は見られていない。今後1年間、継続的なデータ収集を実施し、群間の比較を検討していき、さらに「一般高齢者群」との比較もしていく予定である。また量的データのみならず、多職種間による質的データの収集も実施しており、質的分析についても検討していく予定である。高齢期作業療法現在、研究の進捗状況としてはおおむね順調に進展しており、「世代間交流群」と「非世代間交流群」について、研究開始から約1年間のデータを収集し分析を実施中である。両群ともに身体および精神機能面ともに有意な変化は見られていない。今後、経時的データおよび症例数を増やしていき、群間の比較を検討していく予定である。 | KAKENHI-PROJECT-26350686 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-26350686 |
ウェーク場を用いたバンチ圧縮の研究 | 大阪大学産業科学研究所のLバンド電子ライナックは、最大電荷量73ナノクーロン電子バンチを加速できる。このような高輝度電子ビームを加速する場合、電子バンチが加速管内に誘起するウェーク場の影響を無視することはできない。次世代加速器の研究では、このウェーク場を加速管内で減衰させたり、加速管外に取り出して捨てたりすることが考えられている。本研究では、このウェーク場を積極的に利用して、RF加速電場とウェーク場を重ね合わせたときに、時間的に線形に変化する電場を作り出すことを目的としている。このような電場は、1本の加速管で電子バンチの加速とエネルギー変調を行い、磁気パルス圧縮を用いて短バンチ化を実現する場合や、エネルギー分散の極端に狭い電子バンチを作り出す場合に利用できる。この研究は、必要とされるウェーク場を誘起する電子バンチの密度分布を評価するプログラムの開発とそのプロクラムを用いたバンチ形状の導出、そして実際に阪大産研のライナックを用いたバンチ圧縮実験により構成される。本年度行われた実験では、電子ライナックの加速管出口にOTRモニターを設置し、ストリークカメラでバンチ形状を観測・調整しながら、90度アクロマテック偏向系でバンチ圧縮を行った。圧縮後のバンチ長は空気チェレンコフ光により観測した。比較のために直線部後端でもチェレンコフ光によるバンチ長の測定をおこなった。このとき、バンチ形状を計算で導出した形に近づけた場合には、バンチ長は38.4±3.5psから9.7±0.7psへと圧縮された。バンチの全電荷は30nCから20nCへと減少したが、ピーク電流は0.78Aから2kAへと大きく増加した。他方、エルネギースペクトルを狭くする通常のビーム調整を施した電子ビームでは圧縮後のバンチ長が11.6±1.3psで、ピーク電流は、1.7kAてあった。バンチ形状を、ウェーク場を考慮して計算された形に近づけることにより、およそ2割のピーク電流の増加が達成できた。本研究は、高輝度電子ビームが加速管内に誘起するウェーク場を用いて、1本の加速管で電子バンチの加速とエネルギー変調を行い、磁気パルス圧縮を用いて短バンチ化を実現することを目的としている。研究は、各種シミュレーションプログラムの作成と加速器制御系の開発、バンチ圧縮実験から構成される。本年度はその中で、プログラムの作成と計算機制御系の開発を行った。プログラム開発としては、(1)電子自身が誘起するウェーク場と外部RF源により励振される加速電場の重ねあわせが線形な傾きの電場となるバンチ形状を求めるプログラム、(2)阪大産研Lバンドライナック入射部での電子ビーム集群過程のビームダイナミクスとバンチ形状の計算プログラム、(3)このバンチ形状とエネルギー分散をもった電子ビームをアク口マテック偏向系でバンチ圧縮したときのシミュレーションプログラム、(4)圧縮後の短バンチから放射されるコヒーレント放射光スペクトルの計算プログラム、の4つのプログラムを作成した。また、現在阪大産研のLバンドライナックはすべてマニュアルで制御されている。このことは定量的な実験や実験結果の再現性という点で研究の妨げになっている。そこで、(5)ビーム輸送路上の偏向電磁石、4極電磁石、ステアリングの各電源をパーソナルコンピューターから制御及びモニターできる制御系を開発した。このパーソナルコンピューターを用いた制御系は、小規模な加速器システムの制御を簡便かつ安価に構築できる特性をもつ。また、汎用性に富んでいるので加速器以外のシステムにも利用可能である。大阪大学産業科学研究所のLバンド電子ライナックは、最大電荷量73ナノクーロン電子バンチを加速できる。このような高輝度電子ビームを加速する場合、電子バンチが加速管内に誘起するウェーク場の影響を無視することはできない。次世代加速器の研究では、このウェーク場を加速管内で減衰させたり、加速管外に取り出して捨てたりすることが考えられている。本研究では、このウェーク場を積極的に利用して、RF加速電場とウェーク場を重ね合わせたときに、時間的に線形に変化する電場を作り出すことを目的としている。このような電場は、1本の加速管で電子バンチの加速とエネルギー変調を行い、磁気パルス圧縮を用いて短バンチ化を実現する場合や、エネルギー分散の極端に狭い電子バンチを作り出す場合に利用できる。この研究は、必要とされるウェーク場を誘起する電子バンチの密度分布を評価するプログラムの開発とそのプロクラムを用いたバンチ形状の導出、そして実際に阪大産研のライナックを用いたバンチ圧縮実験により構成される。本年度行われた実験では、電子ライナックの加速管出口にOTRモニターを設置し、ストリークカメラでバンチ形状を観測・調整しながら、90度アクロマテック偏向系でバンチ圧縮を行った。圧縮後のバンチ長は空気チェレンコフ光により観測した。比較のために直線部後端でもチェレンコフ光によるバンチ長の測定をおこなった。このとき、バンチ形状を計算で導出した形に近づけた場合には、バンチ長は38.4±3.5psから9.7±0.7psへと圧縮された。バンチの全電荷は30nCから20nCへと減少したが、ピーク電流は0.78Aから2kAへと大きく増加した。 | KAKENHI-PROJECT-10740120 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-10740120 |
ウェーク場を用いたバンチ圧縮の研究 | 他方、エルネギースペクトルを狭くする通常のビーム調整を施した電子ビームでは圧縮後のバンチ長が11.6±1.3psで、ピーク電流は、1.7kAてあった。バンチ形状を、ウェーク場を考慮して計算された形に近づけることにより、およそ2割のピーク電流の増加が達成できた。 | KAKENHI-PROJECT-10740120 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-10740120 |
易感染性宿主における感染根管由来細菌に起因する歯性病巣感染モデルの開発 | 免疫抑制剤の根尖病巣局所への影響を検討するため、Cyclosporin A(CsA)を投与したラットの根尖病巣をコンピュータ断層撮影により経時的かつ3次元的に解析すると共に、病理組織学的に検索した。いずれのCsA投与群(5,10および20mg/Kg/day投与群)も、生理食塩水投与群に比べ、根尖病巣の体積は経時的に有意に減少し、投与終了後は4週間で対照群と同程度の大きさまで増大した。また、CsAの投与量による病理組織像上での著明な相違はみられなかったが、20mg/Kg/day投与群における線維性組織内の細胞間質は、対照群に比べ顕著に膨大していた。次に,ビーグル犬を用いて単一細菌感染による根尖孔外バイオフィルムモデルの開発に着手した。in vitro系でガッタパーチャ(GP)ポイントに対するバイオフィルム形成能を微細形態学的に評価し、GP表面のバイオフィルム形成にはEnterococcus faecalisが最適で、Fusobacterium nucleatumおよびPropionibacterium acnesはバイオフィルムを形成しないことを見出した。ビーグル犬の歯の根尖孔外にバイオフィルムを形成させる実験系において、E.faecalisが71.4%の頻度で単一分離・同定され、根尖孔外のバイオフィルム形成に最適であることが分かった。得られた結果に基き、E.faecalisバイオフィルムをビーグル犬の根尖孔外に形成した後、ステロイドの8週間投与により易感染性実験動物を作成し、根尖孔外バイオフィルムに起因する菌血症について検索する動物モデルを作成した。4週間の免疫抑制では、菌血症は惹起されなかったが、E.faecalis培養液,すなわちin vitro系でGPに形成されるバイオフィルム菌の10^3倍量(CFU/ml)の浮遊細菌を直接根尖孔外に接種すると、ステロイド投与時より持続的に菌血症が発症した。現在、投与濃度や期間を再検討し、菌血症について検索中である。免疫抑制剤の根尖病巣局所への影響を検討するため、Cyclosporin A(CsA)を投与したラットの根尖病巣をコンピュータ断層撮影により経時的かつ3次元的に解析すると共に、病理組織学的に検索した。いずれのCsA投与群(5,10および20mg/Kg/day投与群)も、生理食塩水投与群に比べ、根尖病巣の体積は経時的に有意に減少し、投与終了後は4週間で対照群と同程度の大きさまで増大した。また、CsAの投与量による病理組織像上での著明な相違はみられなかったが、20mg/Kg/day投与群における線維性組織内の細胞間質は、対照群に比べ顕著に膨大していた。次に,ビーグル犬を用いて単一細菌感染による根尖孔外バイオフィルムモデルの開発に着手した。in vitro系でガッタパーチャ(GP)ポイントに対するバイオフィルム形成能を微細形態学的に評価し、GP表面のバイオフィルム形成にはEnterococcus faecalisが最適で、Fusobacterium nucleatumおよびPropionibacterium acnesはバイオフィルムを形成しないことを見出した。ビーグル犬の歯の根尖孔外にバイオフィルムを形成させる実験系において、E.faecalisが71.4%の頻度で単一分離・同定され、根尖孔外のバイオフィルム形成に最適であることが分かった。得られた結果に基き、E.faecalisバイオフィルムをビーグル犬の根尖孔外に形成した後、ステロイドの8週間投与により易感染性実験動物を作成し、根尖孔外バイオフィルムに起因する菌血症について検索する動物モデルを作成した。4週間の免疫抑制では、菌血症は惹起されなかったが、E.faecalis培養液,すなわちin vitro系でGPに形成されるバイオフィルム菌の10^3倍量(CFU/ml)の浮遊細菌を直接根尖孔外に接種すると、ステロイド投与時より持続的に菌血症が発症した。現在、投与濃度や期間を再検討し、菌血症について検索中である。Cyclosporin A(CsA)などの免疫抑制薬は臓器移植および自己免疫疾患における免疫反応の抑制の目的で用いられている。CsA投与による免疫抑制により、それまで無症状のまま経過していた慢性根尖病巣が悪化するのではないか、さらに慢性根尖病巣局所の炎症反応が遠隔臓器に影響するのではないかという点については大きな興味がもたれている。これらを解明する第一段階として、本研究では、ラットの根尖病巣実験モデルを用いて、慢性根尖病巣を惹起し、CsA投与後の根尖病巣の大きさの経時的変化ならびに組織学的変化について検討した。5週齢雄性Wistarラットの下顎第一大臼歯咬合面を露髄後、口腔内環境に開放し4週間放置し、慢性根尖病巣を惹起した。その後、ラットにCsAの腹腔内投与(5,10あるいは20mg/kg/day)による免疫抑制を28日間行った。また生理食塩水投与を行ったものをコントロール群として用いた。CsA投与開始後より、CTスキャンによる病巣部の撮影を行い、画像解析による病巣の体積の経時的変化を検索した。CsA投与群(10あるいは20mg/kg/day)では、コントロール群に比べて有意な病巣の体積の減少がみられ、5mg/kg/dayのCsA投与群においても同様の傾向が認められた。さらに、28日間のCsA投与期間終了後、CsA投与中止により病巣の体積は経時的に増加傾向を示した。 | KAKENHI-PROJECT-12557161 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-12557161 |
易感染性宿主における感染根管由来細菌に起因する歯性病巣感染モデルの開発 | また、28日間CsA投与後、病巣部の病理組織学的観察により、CsA投与群は根尖病巣辺縁部に線維性組織増生を認めた。CsA投与による免疫抑制を行うと、病巣は辺縁部より線維性組織で被包され、周囲への病巣の拡大は抑制されるが、CsA投与中止後は病巣が拡大する可能性があることが分かった。免疫抑制剤などを投与された易感染性宿主における口腔感染症と全身疾患との関連性については注目を集めているが、慢性根尖病巣が全身疾患に与える影響については未解明である。本年度は、免疫抑制剤の局所病巣への影響を検討するため、Cyclosporin A (Cs-A)投与時のラット根尖病巣の体積変化をコンピュータ断層(CT)を用いて経時的かつ3次元的に解析すると共に、病巣周辺部を病理組織学的に検索した。さらに、ビーグル犬の下顎第1後臼歯根尖孔外にガッタパーチャ(GP)ポイントを用いてバイオフィルムを形成させ、根尖性歯周炎に由来する菌血症モデルの開発に着手し、以下の結果を得た。いずれのCs-A投与群(5,10ならびに20mg/kg/day投与群)も、Control群に比べ、根尖病巣の最大横断面積および体積は経時的に有意に減少した。また、組織学的検索では、生理学的根尖孔付近に著名な炎症性細胞浸潤が観察されたが、Cs-A投与群では炎症性細胞浸潤は軽度であった。Cs-A投与群の線維芽細胞を中心とする線維性組織の増生は、Control群に比べ根尖病巣周辺部で優位に認められ、Cs-Aが骨吸収の抑制と線維性組織の増生に影響を与えることが示唆された。一方、ビーグル犬の根尖孔外に突出させたGPポイント表面にStaphylococcus aureusの単一菌バイオフィルムを形成し、採取したGPポイントの微細形態学的検索、細菌培養試験および末梢血中のS. aureusに対する抗体価の測定を行ったところ、S. aureusが単一分離・同定され、形態的にはブドウの房状のバイオフィルムコロニーが観察された上、抗体価の上昇が認められ、実験動物の根尖孔外に単一感染バイオフィルムを形成させる実験系を確立した。現在、ステロイドホルモンなどを免疫抑制剤を投与し、易感染性実験動物を作成した後、この系を用いて根尖孔外のバイオフィルムに起因する菌血症を検索中である。Enterococcus faecalis, Streptococcus intermedius, Streptococcus pyogenes, Streptococcussanguis, Fusobacterium nucleatum, Staphylococcus aureusならびにPropionibacterium acnesの7細菌種を用いてin vitro系でガッタパーチャポイント(GP)に対するバイオフィルム形成能を微細形態学的に検索したところ、F. nucleatumおよびP. acnesはGP表面にはバイオフィルムを形成しないことが明らかとなった。続いて、平成13年度に確立した、ビーグル犬の第1後臼歯の根尖孔外にバイオフィルムを形成する実験系において,上記in vitro実験でGPに付着した5細菌種を4週間単一感染させ、それぞれの細菌種の根尖孔外バイオフィルムからの分離頻度を検索した。その結果、E. faecalisが71.4%(10/14)の頻度で単一分離・同定され、供試した5細菌種のうち最も根尖孔外にバイオフィルムを形成しやすいことが明らかとなった。 | KAKENHI-PROJECT-12557161 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-12557161 |
固体表面上での氷の付着に対する伝熱現象及び界面現象の寄与度に関する研究 | 1.平成18年度:固体表面上での氷の付着のメカニズムを解明するために,氷の付着力に対する伝熱現象及び界面現象の寄与度を検討した.その結果,以下の結論が得られた.・氷の剥離挙動が2つのタイプに分類され,それらは,時間比=(最大せん断力到達時間)/(緩和時間)<1のとき,弾性特時間比>1のとき粘弾性特性であることを示した.・氷のせん断応力(単位面積当りの氷の付着力)は試験板表面での冷却流束よりも試験場の表面エネルギーに強く依存する.・付着エネルギーは表面エネルギーに依存する.・せん断仕事に対する付着エネルギー(界面現象)の寄与度の定性的傾向を明らかにした.2.平成19年度:前年度の結果を踏まえ,せん断応力、試料の表面エネルギーの温度依存性を測定した。また,冷却固体面材料として熱伝導率が高い銅に着目し,銅表面に形成される酸化膜の氷のせん断応力に及ぼす影響を検討した.さらに,固体材料表面での氷の付着の本質的メカニズムを解明するために,走査型プローブ顕微鏡(SPM)やX線電子分光分析装置(ESCA)等を用いた表面分析により,ナノスケール場での,氷の剥離挙動、氷の付着力を測定した.その結果,以下の結論が得られた.・せん断応力及び表面エネルギーは温度低下と共に上昇し,両者の温度に対する概ね良好な相関が見られた.・銅酸化膜はそれが除去された直後から新たな酸化膜が形成され始め,その後徐々に形成が進行することを明らかにし,加えて,銅表面の表面分析により,生成される酸化膜の組成とせん断応力の関係を明らかにした.・ナノスケール場とマクロスケール場での氷の剥離挙動及び付着力を比較した結果,定性的に両者は比較的に良く一致することを明らかにした.以上より,今後のナノスケール場とマクロスケール場の連成理論の構築の端緒を示した。1.平成18年度:固体表面上での氷の付着のメカニズムを解明するために,氷の付着力に対する伝熱現象及び界面現象の寄与度を検討した.その結果,以下の結論が得られた.・氷の剥離挙動が2つのタイプに分類され,それらは,時間比=(最大せん断力到達時間)/(緩和時間)<1のとき,弾性特時間比>1のとき粘弾性特性であることを示した.・氷のせん断応力(単位面積当りの氷の付着力)は試験板表面での冷却流束よりも試験場の表面エネルギーに強く依存する.・付着エネルギーは表面エネルギーに依存する.・せん断仕事に対する付着エネルギー(界面現象)の寄与度の定性的傾向を明らかにした.2.平成19年度:前年度の結果を踏まえ,せん断応力、試料の表面エネルギーの温度依存性を測定した。また,冷却固体面材料として熱伝導率が高い銅に着目し,銅表面に形成される酸化膜の氷のせん断応力に及ぼす影響を検討した.さらに,固体材料表面での氷の付着の本質的メカニズムを解明するために,走査型プローブ顕微鏡(SPM)やX線電子分光分析装置(ESCA)等を用いた表面分析により,ナノスケール場での,氷の剥離挙動、氷の付着力を測定した.その結果,以下の結論が得られた.・せん断応力及び表面エネルギーは温度低下と共に上昇し,両者の温度に対する概ね良好な相関が見られた.・銅酸化膜はそれが除去された直後から新たな酸化膜が形成され始め,その後徐々に形成が進行することを明らかにし,加えて,銅表面の表面分析により,生成される酸化膜の組成とせん断応力の関係を明らかにした.・ナノスケール場とマクロスケール場での氷の剥離挙動及び付着力を比較した結果,定性的に両者は比較的に良く一致することを明らかにした.以上より,今後のナノスケール場とマクロスケール場の連成理論の構築の端緒を示した。2006年度は,試験板一氷界面での氷の剥離挙動からせん断応力(単位面積当たりの氷結力)と試薬により試験板表面の濡れ角を,その材質や表面状態を変えてそれぞれ測定された.濡れ角から表面エネルギーが計算され,せん断仕事と付着エネルギーがせん断応力と表面エネルギーからそれぞれ算出された.そして,固体表面上での氷の付着のメカニズムを解明するために,氷の付着に対する伝熱現象及び界面現象の寄与度を検討した.その結果,現状では以下の結論が得られた.1.氷の冷却面表面からの剥離過程を解析するために,Maxwellモデルが提案された.2.氷の剥離過程を2つのタイプに分類できることを示し,その判断基準がち。t_<max>/τ<1:TypeA(弾性特性),t_<max>/τ>1:TypeB(粘弾性特性)であることを示した.但し,τ:緩和時間,t_<max>:最大せん断力到達時間.3.TypeBの最大変位量は概ねTypeAのそれより大きい.4.試験板への氷の付着力(氷結力)は試験板の表面エネルギーに強く依存する.5.せん断応力はプラズマ照射や酸化膜除去により増加し,UV照射により減少する.6.銅の場合,プラズマ・UV照射や酸化膜除去によってもほとんどせん断仕事は変化しない.一方,ガラス,塩ビの場合,プラズマ照射によりせん断仕事は著しく増加し,UV照射により減少する.7.付着エネルギーは表面エネルギーに依存する.8.せん断付着仕事に対する付着エネルギー(界面現象)の寄与度の定性的傾向を明らかにした.平成18年度の結果を踏まえ,付着力・表面エネルギーの温度依存性を測定した. | KAKENHI-PROJECT-18560212 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-18560212 |
固体表面上での氷の付着に対する伝熱現象及び界面現象の寄与度に関する研究 | さらに,固体材料表面での氷の付着の本質的メカニズムを解明するために,走査型プローブ顕微鏡(SPM)やX線電子分光分析装置(ESCA),電子線マイクロアナライザ(EPMA)を用いた表面分析により,ナノスケール場での,氷の剥離挙動・氷の付着力,固体面上に存在する親水性基と疎水性基の分布や,大気圧プラズマや紫外線照射による表面改質の前後での,2種類の基の分布の変化を測定した.また,冷却固体面材料として熱伝導率が高く冷却熱流束の大きい銅に着目し,銅表面に形成される酸化膜の氷の付着力に及ぼす影響をナノスケール場で検討するために,ESCAやEPMAによる銅表面の表面分析を行った.その結果,以下の結論が得られた.1.せん断応力(単位面積あたりの付着力)および表面エネルギーは,温度の低下と共に上昇する傾向が得られ,両者の温度に対する概ね良好な相関が見られた.2.銅酸化膜が形成される過程での付着力の経時変化を明らかにし,銅酸化膜は,それが除去されたのち,きわめて短時間で再形成が始まり,その後徐々に形成が進行することを明らかにした.3.生成される酸化膜の組成とせん断応力の関係を明らかにした.4.大気圧プラズマ・紫外線照射による表面改質により,固体表面上の親水性基の割合が増加することを明らかにした.5.ナノスケール場とマクロスケール場での氷の剥離挙動及び付着力を比較した結果,定性的に両者は比較的に良く一致することを明らかにした.以上より,今後のナノスケール場とマクロスケール場の連成理論の構築の端緒を示した. | KAKENHI-PROJECT-18560212 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-18560212 |
ナノ形態制御薄膜-液体系の光熱音響効果に関する研究 | 光を効率良く吸収できるように形態を制御したAuのナノ粒子を使って熱を発生し,その熱が周囲の液体に伝わる際の液体の応答を調べた.独自の計測装置によって,パルスレーザを照射した際に発生する超音波の測定に成功し,音響強度が光の強度とともに非線形に変化することを発見した.また,顕微鏡下でAuナノ粒子にレーザを照射することで,マイクロバブルを自由に生成し,さらにその周辺に局所的な温度勾配を作ることで,様々なパターンの流れを生み出すことに成功した.これらの技術は,マイクロ流路内での新しい流体駆動力や粒子の捕集・分別のための技術への展開が期待される.【本研究の目的】本研究では,動的斜め蒸着法という独自の薄膜技術を駆使して作製する光吸収体をナノヒーターとして用い,液中での光音響効果を調べ,ナノバブル発生に伴う非線形光熱音響効果が発現するための条件やメカニズムを明らかにし,超音波発生源としてMEMS動力源や診断への応用のみちすじをつけることが目的である.【平成25年度の成果】平成25年度は,まず光音響効果を発現するためのレーザーの選定に取り組んだ.コロイドを用いた先攻研究では近赤外のナノ秒程度のパルスレーザが用いられており,報告例ではパルスあたりのエネルギーが数μJのものもあれば,数mJ以上のものを用いたものもある.そこで今後の実験に実用なレーザーの条件を明らかにするため,比較的安価な半導体パルスレーザー(1.7μJ/パルス)を購入し,空気中と水中の光音響効果を評価した.その結果,空気中の閉じた空間では光音響信号の検出に成功したが,水中の開いた空間での光音響信号の検出には,レーザーのパワーが足りないことが明らかになった.そこで,平成26年度には,150 μJ/パルス1 mJ/パルスの高出力レーザーを導入するとともに,水中での光音響信号測定用のセルを開発して装置を構築する.そして,固液界面での伝熱や相転移の現象の把握とメカニズムの解明に挑戦する.レーザーの選定に取り組む一方で,微小領域での光音響効果に誘起される流体の運動を観察するための顕微計測システムを導入した.試料上にマイクロ流路を形成してマイクロビーズの溶液を封入した系に,外部信号で強度を変調した連続発信の半導体レーザーを照射すると,流路内に流れを作り出すことができることを確認した.パルスレーザーによる光音響効果を利用することで,流路内の流体の運動の高度な制御を目指す.【本研究の目的】本研究では,動的斜め蒸着法という独自の薄膜技術を駆使して作製する光吸収体をナノヒーターとして用い,液中での光音響効果を調べ,ナノバブル発生に伴う非線形光熱音響効果が発現するための条件やメカニズムを明らかにし,超音波発生源としてMEMS動力源や診断への応用の,みちすじをつけることが目的である.【平成26年度の成果】平成26年度は,150 μJ/パルスの高出力レーザーを導入し,水中での光音響信号測定用のセルを開発して装置を構築した.そして,水中で,グラファイト,Si,Auナノ粒子などにパルスレーザーを照射し,光音響信号を計測することに計測した.また,音響信号の発生には,照射する光のパワー密度に対する閾値が存在することを確認した.この閾値の前後で液ー気の相転移が起きていると考えられ,平成27年度に詳しく調べる計画である.パルスレーザーによる光音響信号の計測を試みる一方で,連続発信レーザー照射を用いた光熱変換に誘起される微小領域での流れの詳細な観察を行った.その結果,1) Auナノ粒子配列を用いることで,所望の場所に所望の大きさの気泡を形成できること,2)気泡の周辺にレーザーを照射して局所的に加熱すると,気泡周辺に極めて強い流れを誘起できることを発見した.この現象は気液界面のマランゴニ効果によるものと考えられる.この結果をまとめた論文は,Appl. Phys. Lett.誌に掲載され,Editor's Picksに選出されるなど,高い評価を受けた.【本研究の目的】本研究では,動的斜め蒸着法という独自の薄膜技術を駆使して作製する光吸収体をナノヒーターとして用い,液中での光音響効果を調べ,ナノバブル発生に伴う非線形光熱音響効果が発現するための条件やメカニズムを明らかにし,超音波発生源としてMEMS動力源や診断への応用の,みちすじをつけることが目的である.【平成27年度の成果】平成27年度は,前年度に導入したパスルレーザを用いて水中に浸漬した金ナノ粒子の光熱変換によって発生する光音響効果を詳細に検討した.レーザ強度が5 mJ/cm2に達するまでは,光音響信号がレーザ強度に対してほぼ線形に増加するのに対し,レーザ強度が5 mJ/cm2を超えると光音響信号がレーザ強度の3乗に比例することがわかった.この非線形な光音響信号の増加は,金ナノ粒子表面におけるナノバブル発生によるものであると考えられる.これによって,光音響効果によって発生する超音波を利用したデバイスを検討するための基礎的な条件が明らかになり,MEMS動力源や診断への応用の道が開けたと考えている.一方,本研究の過程において偶然発見した連続発信レーザ | KAKENHI-PROJECT-25286037 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-25286037 |
ナノ形態制御薄膜-液体系の光熱音響効果に関する研究 | 照射によるマイクロバブルの生成・制御,及びその周辺への光照射によるマランゴニ効果の研究は,平成27年度中にさらに発展し,1)マイクロバブル周辺のマランゴニ対流の時間的制御が可能であること,2)マイクロバブル中心の極近傍を加熱することで一方向に収束する流れを生成できることなどを明らかにした.さらに,マイクロバブルやマランゴニ対流が,表面張力や表面のナノ形態によって大きく変化することなど,新しい知見が続々と見つかっており,「表面・界面機械工学」と呼べるような新しい学問分野創出のためのきっかけになるのではないかと期待している.光を効率良く吸収できるように形態を制御したAuのナノ粒子を使って熱を発生し,その熱が周囲の液体に伝わる際の液体の応答を調べた.独自の計測装置によって,パルスレーザを照射した際に発生する超音波の測定に成功し,音響強度が光の強度とともに非線形に変化することを発見した.また,顕微鏡下でAuナノ粒子にレーザを照射することで,マイクロバブルを自由に生成し,さらにその周辺に局所的な温度勾配を作ることで,様々なパターンの流れを生み出すことに成功した.これらの技術は,マイクロ流路内での新しい流体駆動力や粒子の捕集・分別のための技術への展開が期待される.パルスレーザーによる光音響効果の測定装置の開発が若干遅れ気味である一方で,レーザー照射による光熱変換を利用した流体制御に関しては,マランゴニ効果による極めて強い流れの生成に成功しており,MEMS等への応用への道筋が見えてきた.総合的には計画通りに推移している.27年度が最終年度であるため、記入しない。薄膜・表面・界面物性今後の推進方策1)パルレーザー照射による光音響効果における相転移の影響を詳しく調べ,ナノバブル発生のメカニズムを詳細に調べる.2)平成26年度に発見したマランゴニ効果による流れの制御法を確立し,MEMS分野におけるあたらしい流体駆動法への発展を試みる.3)パルスレーザーを用いたマランゴニ効果の発生に挑戦し,マランゴニ効果における相転移の影響を調べる.レーザーの選定は平成26年度に持ち越したが,代わりに申請段階では平成26年度に導入予定であった顕微計測システムの導入を完了している.全体ではおおむね計画通りすすんでいる,27年度が最終年度であるため、記入しない。マランゴニ効果によって気泡周辺で強い流れを発生することを発見し,メカニズムの解明に注力したために,パルスレーザーを用いた光音響計測系の整備が若干遅れた.差額が生じたのは主に計測系の構築に使用する光学素子の購入が遅れたためである.27年度が最終年度であるため、記入しない。[水中での光熱音響特性の評価装置の構築]上述のように,平成26年度にこれまでより強度の強いレーザーを導入して光音響効果の測定系を構築する.[局所プラズモン共振器の光熱音響特性の評価と固液界面の伝熱・相転移メカニズム解明]平成26年度の下半期から,我々が独自に開発した局所プラズモン共振器の光熱音響特性を系統的に評価する.局所プラズモン共振器の積層構造:多層膜の各層の厚さを変更すると,干渉の条件や,ナノ粒子の表面積などを系統的に制御することができる.局所プラズモン共振器の材料:動的斜め蒸着法の大きな長所の一つが,材料選択の幅がきわめて広いことである.比熱や熱伝導率の大きく異なる材料で局所プラズモン共振器を構成することで,光熱音響特性に寄与せずに基板側に逃げる熱について考察することが可能になる.具体的にはSiO2をZrO2やAl2O3などに変更した系を検討する.また,熱伝導率が極端に低いことが知られているポーラスSiをベースにした局所プラズモン共振器の作製も検討する. | KAKENHI-PROJECT-25286037 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-25286037 |
シナプス後肥厚部に発現するLRP4の高次神経機能への関与 | Lrp4 KOマウスは出生直後、呼吸不全で死亡し、合指・多指症を伴いE18.5において肺重量の減少、肺胞の発育不全が見られた。多くのKOマウスで両方/片方の腎臓欠損が見られE18.5 KO胎児では2.5倍の羊水過多が見られた。羊水は主に胎児尿が羊膜腔に排出されたものであるが両腎の欠損のある胎児でも羊水過多が見られた事からマウスとヒトでは羊水生産の様式が異なる事が示唆された。KOマウス胎児は呼吸様運動や嚥下ができない。卵膜、胎盤でアクアポリンの発現低下も見られ羊水の羊膜腔からの排出に異常を生じ羊水過多になったと考えられる。またアストロサイトでは活性化に伴いLRP4の発現誘導が起こる事が解った。本研究では胎生期の脳、成体の脳の神経新生、シナプス新生へのLRP4の関与を調べると共にKOマウスの学習・行動・情動等の高次神経機能を解析することによりLRP4の関与する神経回路形成、神経可塑性獲得の仕組みを明らかにする。2)Lrp4 conventional KOマウスを用いて胎生期の脳層構造の解析と4週齢のCaMK2α-Cre Lrp4 KOマウスをBrdU処理して海馬歯状回のBrdU陽性細胞数と4週間後のBrdU陽性細胞の生存率を解析したところ、コントロールとKOマウス間に有為な差は見られなかった。またBrdU陽性の細胞が神経細胞、アストロサイトいずれかに分化したか調べたが差はなかった。一方、CaMK2α-Cre Lrp4 KOマウスを用いて電気生理実験、行動科学実験を行うと予備的な結果ではあるが、いくつかの試験においてKOマウスに異常が見られた。3)マウスLRP4を抗原として高感度の抗体を作製する事ができた。抗LRP4リン酸化1900S特異的抗体を作製しin vivoで1900Sのリン酸化が起こっている事が確認できた。4)培養アストロサイトでLRP4の発現が見られた。本研究では胎生期の脳、成体の脳の神経新生、シナプス新生へのLRP4の関与を調べると共にKOマウスの学習・行動・情動等の高次神経機能を解析することによりLRP4の関与する神経回路形成、神経可塑性獲得の仕組みを明らかにする。2)Lrp4 conventional KOマウスを用いて胎生期の脳層構造の解析と4週齢のCaMK2α-Cre Lrp4 KOマウスをBrdU処理して海馬歯状回のBrdU陽性細胞数と4週間後のBrdU陽性細胞の生存率を解析したところ、コントロールとKOマウス間に有為な差は見られなかった。またBrdU陽性の細胞が神経細胞、アストロサイトいずれかに分化したか調べたが差はなかった。一方、CaMK2α-Cre Lrp4 KOマウスを用いて電気生理実験、行動科学実験を行うと予備的な結果ではあるが、いくつかの試験においてKOマウスに異常が見られた。3)予期しなかった表現型としてE18.5 KO胎児で羊水過多が見られた。羊水は主として胎児腎臓で作られた尿が羊膜腔に排出されたものであるが、両腎の欠損のある胎児においても羊水過多が見られた。KO胎児は呼吸様運動、嚥下、卵膜からの羊水の取り込みに異常をきたし羊水の羊膜腔からの排出に障害がおこり羊水過多になったと考えられる。羊水量の調節は生産だけでなく羊膜腔からの排出がいかに大事かを示す結果となった。Lrp4 KOマウスは出生直後、呼吸不全で死亡し、合指・多指症を伴いE18.5において肺重量の減少、肺胞の発育不全が見られた。多くのKOマウスで両方/片方の腎臓欠損が見られE18.5 KO胎児では2.5倍の羊水過多が見られた。羊水は主に胎児尿が羊膜腔に排出されたものであるが両腎の欠損のある胎児でも羊水過多が見られた事からマウスとヒトでは羊水生産の様式が異なる事が示唆された。KOマウス胎児は呼吸様運動や嚥下ができない。卵膜、胎盤でアクアポリンの発現低下も見られ羊水の羊膜腔からの排出に異常を生じ羊水過多になったと考えられる。またアストロサイトでは活性化に伴いLRP4の発現誘導が起こる事が解った。本研究ではシナプス後肥厚部に局在するレセプター蛋白LRP4のKOマウスを作製し、胎生期の脳、成体の脳の神経新生、シナプス新生へのLRP4の関与を調べると共にKOマウスの学習・行動・情動等の高次神経機能を解析することによりLRP4の関与する脳発育、神経回路形成、神経可塑性獲得の仕組みを明らかにする。本年度の実績は、1)LRP4のconventional KOマウス、神経幹細胞特異的(Nestin-Cre)条件付きKOマウス、前脳特異的(CaMK2α-Cre)条件付きKOマウスを作製した。Lrp4 conventional KOマウスはすべて出生直後に呼吸ができずに死亡し、合指多指症が見られた。また殆どのKOマウスに両方/片方の腎臓の欠損が見られた。Nestin-Cre Lrp4条件付きKOマウスもすべて出生直後に呼吸不全で死亡したが、合指多指症、腎臓の欠損は見られなかった。 | KAKENHI-PROJECT-23500441 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-23500441 |
シナプス後肥厚部に発現するLRP4の高次神経機能への関与 | 一方、CaMK2α-Cre Lrp4条件付きKOマウスは、同腹のマウスと同様に成長し繁殖可能であり、一部のKOマウスに合指多指症、歯数過剰、不正咬合が見られた。2)Lrp4 conventional KOマウスを用いて胎生期の脳層構造の解析と4週齢のCaMK2α-Cre Lrp4条件付きKOマウスをBrdU処理して海馬歯状回のBrdU陽性細胞数と4週間後のBrdU陽性細胞の生存率を解析したところ、コントロールとKOマウス間に調べた条件下では有為な差は見られなかった。一方、CaMK2α-Cre Lrp4条件付きKOマウスを用いて電気生理実験、行動科学実験を行うと予備的な結果ではあるが、いくつかの試験においてKOマウスに異常が見られた。3)マウスLRP4を抗原として高感度の抗体を作製する事ができた。抗LRP4リン酸化1900S特異的抗体を作製しin vivoで1900Sのリン酸化が起こっている事が確認できた。LRP4のconventional KOマウス、神経幹細胞特異的(Nestin-Cre)条件付きKOマウス、前脳特異的(CaMK2α-Cre)条件付きKOマウスを作製でき、それぞれのKOマウスにコントロールと異なる表現型を見つけることができた。特にCaMK2α-Cre Lrp4条件付きKOマウスでは電気生理実験、行動科学実験を行うと予備的な結果ではあるが、いくつかの試験においてKOマウスに異常を見つけることができた。これらの事から当初研究計画は、おおむね順調に進展している。当初計画以外の進展として1)高感度の抗マウスLRP4抗体を作製できた事、抗リン酸化特異的抗体の作製は難しいが、抗LRP4リン酸化1900S特異的抗体を作製しin vivoで1900Sのリン酸化が起こっている事が確認できた。2)神経細胞だけでなく培養アストロサイトでもLRP4の発現が見られた事からLrp4 KOマウス由来の培養アストロサイトを用いてLRP4の機能解析ができるようになった事等があげられる。LRP4のconventional KOマウス、神経幹細胞特異的(Nestin-Cre)条件付きKOマウス、前脳特異的(CaMK2α-Cre)条件付きKOマウスを作製でき、それぞれのKOマウスにコントロールと異なる表現型を見つけることができた。特にCaMK2α-Cre Lrp4条件付きKOマウスでは電気生理実験、行動科学実験を行うと予備的な結果ではあるが、いくつかの試験においてKOマウスに異常を見つけることができた。これらの事から当初研究計画は、おおむね順調に進展している。当初計画以外の進展として高感度の抗マウスLRP4抗体を作製できた事、抗リン酸化特異的抗体の作製は難しいが、抗LRP4リン酸化1900S特異的抗体を作製しin vivoで1900Sのリン酸化が起こっている事が確認できた事があげられる。CaMK2α-Cre Lrp4条件付きKOマウスを用いて電気生理実験、行動科学実験を行うと予備的な結果ではあるが、いくつかの試験においてKOマウスに異常が見られたのでより詳細な解析を行う。Lrp4 KOマウス脳におけるシナプス新生の解析、スパインの数、形状、樹状突起の分岐、長さ等の定量解析を行う。Lrp4 KOマウス由来の培養アストロサイトを用いてLRP4の機能解析を行う。CaMK2α-Cre Lrp4条件付きKOマウスを用いて電気生理実験、行動科学実験を行うと予備的な結果ではあるが、いくつかの試験においてKOマウスに異常が見られたのでより詳細な解析を行う。Lrp4 KOマウス脳におけるシナプス新生の解析、スパインの数、形状、樹状突起の分岐、長さ等の定量解析を行う。抗LRP4リン酸化1900S | KAKENHI-PROJECT-23500441 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-23500441 |
超臨界二酸化炭素中における高品質高度不飽和リン脂質の合成 | ホスホリパーゼA2によるドコサヘキサエン酸(DHA)結合型リン脂質の合成を行うに当たり、超臨界二酸化炭素中でのエステル合成反応を試みた。超臨界二酸化炭素の圧力、温度、水分量、ホスホリパーゼA2の固定化の有無等が所望のエステル合成反応に与える影響について検討し、以下のことが判明した。1.超臨界二酸化炭素の圧力と温度は基質の溶解度に著しく影響する。2.超臨界二酸化炭素をあらかじめ水分で飽和しておかないと、超臨界二酸化炭素がホスホリパーゼA2の活性発現に必要な必須水分まで引き抜いてしまい、その結果、所望のエステル合成反応が進行しない。3.僅かな余剰水分で基質が容易且つ速やかに加水分解する。すなわち水分量の制御が精密に行われなければ、エステル合成反応は進行しない。4.ホスホリパーゼA2の固定化によって固定化酵素中に空気(酸素)が閉じ込められ、それが反応中に酵素を酸化させてしまっている可能性がある。その結果、所望のエステル合成反応が進行していないことが推察される。5.超臨界二酸化炭素中のホスホリパーゼA2によるDHA結合型リン脂質の合成反応においても活性発現に不可欠な必須水分代替物として、ホルムアミドが必要であることが判明した。以上のことより、先ずは基質に用いた大豆由来のリゾレシチン、DHA、及びそれらのエステル合成物であるDHA結合型リン脂質の超臨界二酸化炭素における溶解度について、圧力と温度との関係で詳細に調べておく必要がある。それによって、例えば目的物であるDHA結合型リン脂質が相対的に低溶解度となる圧力と温度の条件にシフトさせる方法をとれば、所望のエステル合成反応を進行させ得る可能性がある。また、反応初速度を十分速くするためにはホルムアミドの如き高誘電物質の使用が避けられないものと判断される。本研究では予算の制約上、超臨界二酸化炭素装置を購入できず、依頼分析でデータ取りをせざるを得なかった。もしも手元に装置があったなら、木目細かな圧力・温度・高誘電物質量等の諸条件と、収率との関係を示すデータが得られ、超臨界二酸化炭素中でDHA結合型リン脂質を合成する至適条件を決定できたものと考える。ホスホリパーゼA2によるドコサヘキサエン酸(DHA)結合型リン脂質の合成を行うに当たり、超臨界二酸化炭素中でのエステル合成反応を試みた。超臨界二酸化炭素の圧力、温度、水分量、ホスホリパーゼA2の固定化の有無等が所望のエステル合成反応に与える影響について検討し、以下のことが判明した。1.超臨界二酸化炭素の圧力と温度は基質の溶解度に著しく影響する。2.超臨界二酸化炭素をあらかじめ水分で飽和しておかないと、超臨界二酸化炭素がホスホリパーゼA2の活性発現に必要な必須水分まで引き抜いてしまい、その結果、所望のエステル合成反応が進行しない。3.僅かな余剰水分で基質が容易且つ速やかに加水分解する。すなわち水分量の制御が精密に行われなければ、エステル合成反応は進行しない。4.ホスホリパーゼA2の固定化によって固定化酵素中に空気(酸素)が閉じ込められ、それが反応中に酵素を酸化させてしまっている可能性がある。その結果、所望のエステル合成反応が進行していないことが推察される。5.超臨界二酸化炭素中のホスホリパーゼA2によるDHA結合型リン脂質の合成反応においても活性発現に不可欠な必須水分代替物として、ホルムアミドが必要であることが判明した。以上のことより、先ずは基質に用いた大豆由来のリゾレシチン、DHA、及びそれらのエステル合成物であるDHA結合型リン脂質の超臨界二酸化炭素における溶解度について、圧力と温度との関係で詳細に調べておく必要がある。それによって、例えば目的物であるDHA結合型リン脂質が相対的に低溶解度となる圧力と温度の条件にシフトさせる方法をとれば、所望のエステル合成反応を進行させ得る可能性がある。また、反応初速度を十分速くするためにはホルムアミドの如き高誘電物質の使用が避けられないものと判断される。本研究では予算の制約上、超臨界二酸化炭素装置を購入できず、依頼分析でデータ取りをせざるを得なかった。もしも手元に装置があったなら、木目細かな圧力・温度・高誘電物質量等の諸条件と、収率との関係を示すデータが得られ、超臨界二酸化炭素中でDHA結合型リン脂質を合成する至適条件を決定できたものと考える。 | KAKENHI-PROJECT-13876046 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-13876046 |
HTLV-1関連脊髄症(HAM)における新規病原性T細胞の発生機構に関する研究 | HTLV-1関連脊髄症(HAM)の病態はHTLV-1感染細胞に起因した過剰な免疫応答による脊髄の炎症と考えられている。本研究では、我々が以前同定したHTLV-1の主な感染細胞であるCD4^+CD25^+CCR4^+T細胞が、HAMにおいてはHTLV-1ウイルス依存的に炎症性サイトカインであるIFN-γを異常産生するHAM病因細胞へと可塑的に変化する分子メカニズムについて解析を行った。その結果、HAM患者のHTLV-1感染細胞におけるTaxの発現が、IFN-γの発現を直接誘導する転写因子T-betの転写活性化を介してIFN-γの発現を誘導することにより、炎症促進的なIFN-γ産生細胞への可塑的変化をもたらし、HAM病態形成に重要な役割を果たしていることが示唆された。HTLV-1関連脊髄症(HAM)の病態はHTLV-1感染細胞に起因した過剰な免疫応答による脊髄の炎症と考えられている。本研究では、我々が以前同定したHTLV-1の主な感染細胞であるCD4^+CD25^+CCR4^+T細胞が、HAMにおいてはHTLV-1ウイルス依存的に炎症性サイトカインであるIFN-γを異常産生するHAM病因細胞へと可塑的に変化する分子メカニズムについて解析を行った。その結果、HAM患者のHTLV-1感染細胞におけるTaxの発現が、IFN-γの発現を直接誘導する転写因子T-betの転写活性化を介してIFN-γの発現を誘導することにより、炎症促進的なIFN-γ産生細胞への可塑的変化をもたらし、HAM病態形成に重要な役割を果たしていることが示唆された。これまでに、IFN-γの発現を直接誘導するTh1マスター転写因子T-betがHAM由来CD4+CD25+CCR4+T細胞においてTax依存的に発現誘導されることを見出した。また、T-betの遺伝子発現におけるTaxの作用機構の解析により、HTLV-1感染細胞株を用いた免疫沈降実験から内在性TaxとSp1の相互作用を確認し、TaxおよびSp1がT-betプロモーターにリクルートされていることを示した。また、Tbx21/T-betプロモーターを用いたルシフェラーゼアッセイからTaxがSp1依存的にTbx21/T-betプロモーター活性化し得ることを明らかにした。さらに、健常者CD4+CD25+CCR4+T細胞へのTax導入により、Tregの抑制機能の減弱を明らかにした。以上の結果から、HAMのHTLV-1感染細胞におけるTaxの発現は、T-betの転写活性化を介してIFN-γの発現を誘導することにより、炎症促進的なIFN-γ産生Th1様細胞への可塑的変化をもたらし、HAM病態形成に重要な役割を果たしていることが示唆された。また、HAM病変部である脊髄病理および髄液細胞における解析より、可塑的変化したHAM病因細胞の存在を確認し、実際にHAM病態形成に重要な役割を担っていることを示唆する結果を得た。 | KAKENHI-PROJECT-22790833 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-22790833 |
高次脳機能障害の評価とリハビリテーションにおける新技法の開発 | (1)オーストラリアのMattingleyら(1994)によって開発されたGrayscales taskは、実施や数量化が容易な空間性注意のバイアスの測定法として、脳損傷患者や精神神経神経疾患の患者への応用が期待されている。この課題は読みの方向性の影響を受ける可能性が報告されているが、特殊な読みの文化を持つ日本人でのデータは少ない。そこで、日本の健康な成人で水平と垂直方向のGrayscales taskの基礎データを収集し分析を行った。今回の研究では特に利き手や、性別、使用手の効果についても同時に研究を行い、1特殊な読みの文化を持つ日本人でも、英語・ヨーロッパ語圏と同じ左方向、上方向への注意のバイアスが存在すること、2左利きであってもその傾向は変わらないこと、3性差や使用手の効果も認められないこと、を確認した。これらの結果は、認知機能の文化的な差異に関する国際比較研究として意義がある。また、Grayscales taskをわが国で基礎研究や臨床で使用する場合の、基準データとして有用である(投稿中)。(2)高次脳機能障害者の神経疲労や感情の制御、さらには家族や介護者のストレスの低減にその効果が期待されているマインドフル瞑想を、さまざまセッティングで容易に実施できることを目指した簡易型プログラムの開発を行った。このプログラムは、マインドフルネスの代表的な手法である1「動きの観察」、2「呼吸の観察」、」3「身体感覚の観察」の3つのワークについて、週1回約80分のグループセッションを計4回実施し、その間に1日15分以上の自習(宿題)を義務づけるものである。精神科デイケアの通所患者10名(双極性障害2名,PTSD1名,強迫性の障害1名,うつ病3名,神経症2名,社会不安障害1名)を対象としたパイロットスタディでは、GHQ精神健康調査票28の得点や、自己受容尺度の得点において有意な改善が認められた。今後は、高次脳機能障害者やその家族への適用に関する研究を検討している。(1)高次脳機能障害の症状の一つである触覚情報処理障害(触覚失認,触覚失語,立体覚障害等)の評価の基礎データとなる触覚による物品呼称の基準データを,大学生を対象に収集,分析した。その結果,少なくとも健康な大学生は日常生活で使用する10カテゴリー100種類の物品を,右手,左手にかかわらず迅速かつ正確に呼称可能であることとが分かった。物品毎の詳細な基準データを付した英文の報告を作成し,International Journal of Psychological Studies誌に掲載した。(2)くすぐったさに関する基礎的研究では,自己くすぐり刺激がくすぐったさを引き起こすかどうかを大学生を対象として検討した。参加者は自分の手の5本の指で,足の裏をくすぐった。その結果,他者から観察可能なほど強いものではないが,くすぐったさを自覚した参加者が多かった。また,くすぐったさは,手と足が同側であった場合より,交差していた場合の方が強かった。この結果について英文の報告を作成し,インターネット上のオープンアクセス誌であるComprehensive Psychologyで公開した。(3)脳損傷による視空間認知の障害を調べる複数の検査課題を大学生や中高年の社会人に実施し,健常者の基準データを収集している。その一部について第39回日本神経心理学会学術集会でポスター発表した。(4)最近,記憶研究において学習の定着にテストが有効であるというtesting effectsが注目を集めているが,実際には実際には最長でも2週間程度の遅延再生で検討されることが多い。そこで,臨床用の非言語材料を使用した記憶検査であるRey複雑図形検査を材料として1年間の超長期遅延でテスト効果を検討した。その結果,一般的な言語材料ではなく非言語材料においてもテスト効果が認められること,またそれが1年間にわたって持続することが分かった。この結果を,第39回日本高次脳機能障害学会学術集会で口頭発表した。おおむね順調に進展しているが,一部の研究で進捗の遅れが生じている。特に詐病の検出に関する研究においては,研究協力施設から主たる協力者が転出したこともあり,データの収集が遅れている。また,研究代表者の多忙や,一時的な健康問題によってデータの収集が終わっても論文が完成していない研究がある。(1)空間性注意の障害を検出するために開発された線分二等分検査を健常者に実施した研究から、健常者の空間性注意には左方へのバイアスが存在し、それは空間性注意における右脳の優位性を反映していると考えられてきた。しかし、高齢者ではその左方バイアスが消失することから、加齢により大脳機能の半球機能差が小さくなる可能性が示唆された。この加齢による左方バイアスの消失が、他の注意課題でも認められるかどうかを、オーストラリアのMattingleyら(1994)によって開発されたGrayscales taskを使用して検討した。1885歳の110名の健常者のデータを分析した結果、注意の方向性と年齢の間には有意な相関は認められなかった。この結果について、第41回日本神経心理学会学術集会で口頭発表した。(2)大脳半球機能差との関連が深い、性別、利き手、使用手がGrayscales taskに及ぼす影響を、左利き女子20名、左利き男子20名、右利き女子20名、右利き男子20名を対象として検討した。その結果、それらの3つの主効果、及び交互作用は何れも有意ではなかった。この結果について、第40回日本高次脳機能障害学会学術総会で口頭発表した。 | KAKENHI-PROJECT-15K04130 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-15K04130 |
高次脳機能障害の評価とリハビリテーションにおける新技法の開発 | (3)学習の定着にテストが有効であるというtesting effectについて、非言語材料を使用した記憶検査であるRey複雑図形検査を材料として検討した。その結果、大学生の場合には一般的な言語材料ではなく非言語材料においてもtesting effectが認められること、またそれが1年間にわたって持続することが分かった。この研究結果を、Applied Neuropsychology: Adult誌に発表した。(4)くも膜下出血後に、自分の出身地に作られた映画のセットのような擬似大阪の病院に入院しているという地理的誤認妄想を呈した症例を分析し、精神医学誌に発表した。おおむね順調に進展しているが,一部の研究で進捗の遅れが生じている。特に詐病の検出に関する研究においては,外部の研究協力者が確保出来ず、分析に必要なデータ数が不足している。また,くすぐりに関する研究の一部など,論文が完成していない研究がある。それに対して、Grayscales taskなど当該年度から開始した研究でも既にある程度の成果が得られたものもある。(1)下肢のラテラリティには、移動に優れた利き足と、安定に優れた軸足があり、両者は相補関係にあるが、質問紙研究では全ての動作を同じ足(多くは右)で行うと回答する者も多く、質問紙の回答が実際に使用する足を反映していない可能性が指摘されていた。そこで大学生男女各60名に、Eliasら(1998)のWaterloo Footedness Questionnaire (WFQ-R)を回答させた後、その各下位項目の動作を実際に行わせ、再度WFQ-Rを回答させた。その結果10項目の全てで1回目と2回目と回答の間に有意な相関が得られた。質問紙には十分な信頼性と妥当性があり、利き足と軸足を区別して用いる者と、すべての動作を一方の足で行う者がいることが分かった(2)不注意、多動/衝動性を特徴とするADHD者では空間性注意の右方偏位が存在するという研究が、原因や神経基盤を考える上で注目されている。今回の研究では、大学生の男性119名、女性207名に対して空間性注意の方向性を測定するgrayscales task(GS)と、ADHD自己評定尺度(ASRS)を実施し、方向性バイアスとADHD特性の関係を検討した。ASRSの因子分析では、不注意と多動/衝動性の2因子が抽出された。各因子の合成得点とGSの相関を男女別に検討した結果、男性の不注意得点との間にのみ有意な正の相関が認められ、不注意傾向が強い男性では空間性注意の左方バイアスが生じ難い可能性が示された。(3)音読と黙読が短文の記憶に及ぼす影響について、大学生を対象とした実験的研究を行った。普段から単語や文章を憶える時に音読する者24名と、黙読する者14名に、10個の短文から構成される短文リストを音読と黙読で読ませ、直後再生の成績を比較した。その結果、普段の読みのスタイル(音読、黙読)に関わらず、黙読と音読での再生成績の差は認められなかった。(1)研究代表者の多忙と、病気(椎間板ヘルニア)・怪我(左肩腱板断裂)による通院加療のため研究時間が不足した。(2海外の雑誌に複数の論文が投稿中であり、まだ審査が終わっていない。 | KAKENHI-PROJECT-15K04130 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-15K04130 |
脳循環の自動調節能の機序および破綻における脳血流調節因子の解明 | 平成9年度は、脳血流の自動調節能における一酸化窒素(NO)の役割の解明を目的として研究を行った。ウィスターラットの頭頂部にマイクロダイアリーシス用プローブ、レーザードップラー血流計のプロープを装着し、脱血により体血圧を10mmHgずつ下降させ、脳血流、NO代謝産物(N0_2^-,N0_3^-)を測定した。また、我々が開発した循環予備能脆弱ラット(三血管閉塞ラット)においても同様の実験を行った。結果としては、1)生理的ラットにおいては、血圧が50mmHgに低下すると、有意の脳血流低下を認めた。また、NOは血圧70mmHgより増加傾向を示し、60mmHgにおいて有意の増加を示した。2)NO合成酵素阻害薬(N-monomethyl-L-arginine 30mg/kg)投与ラットにおいては、安静時のNO産生は低下し、血圧低下に対しても増加せず、体血圧が70mmHgより有意の脳血流低下を認めた。3)三血管閉塞ラットにおいては、体血圧90mmHgより脳血流低下を認め、NO産生の亢進も認められなかった。以上より、脳血流の自動調節能にNOが関与していることが示唆された。平成10年度は、脳血流自動調節能におけるアデノシンの役割の解明を目的として研究を行った。しかし、研究分担者の交代や実験手技の習熟不足などより、安定した循環予備能脆弱ラット(三血管閉塞ラット)の作製が得られず、アデノシン濃度の測定も誤差が大きく、評価可能なデータが得られなかった。平成11年度も10年度と同様に、生理的ラット及び脳虚血ラット(両側内頚動脈閉塞ラットを実験に供した)において、脱血による体血圧低下時のアデノシン濃度をマイクロダイアリーシス法にて測定した。結果としては、当初予測したデータは得られず、有意な上昇も低下も認められなかった。次いで、平成10年度に予定していた、正常ラット及び脳虚血ラット(両側総頚動脈閉塞ラット)において、NO基質(L-arginine 300mg/kg)を投与し、投与前後の脳血流、NO代謝産物(N0_2^-,N0_<>^-)を測定し、脱血により体血圧を10mmHgずつ下降させ、経時的に脳血流、NO代謝産物(N0_2^-,NO_3^-)を測定した。結果としては、1)生理的ラットにおいては、NO基質の投与により脳血流は平均69.2%の有意な増加を認め、NO代謝産物も平均36.0%と有意な増加を認めた。また、脱血により体血圧が50mnlHgに低下しても、脳血流は著変なく、NO代謝産物は平均58.5%と有意な増加を認めた。しかし、この有意な増加は20分で前値に戻った。次に、再度NO基質を投与すると、脳血流は平均59.8%、NO代謝産物も平均67.5%と更に有意な増加を認めた。2)脳虚血ラットにおいては、NO基質の投与により脳血流は平均37,7%の有意な増加を認め、NO代謝産物は平均50.4%の有意な増加を認めた。また、脱血により体血圧が70mmHgに低下すると、脳血流は平均24.0%の有意な低下を示したが、NO代謝産物は平均30.2%と有意な増加を認めた。しかし、この有意な増加も20分で前値に戻った。次に、再度NO基質を投与すると、脳血流は著変なく、NO代謝産物は平均83.5%と更に有意な増加を認めた。以上より、NO基質の投与により、一過性ではあるが、脳血流自動調節能の軽度の改善効果が示唆された。平成9年度は、脳血流の自動調節能における一酸化窒素(NO)の役割の解明を目的として研究を行った。ウィスターラットの頭頂部にマイクロダイアリーシス用プローブ、レーザードップラー血流計のプロープを装着し、脱血により体血圧を10mmHgずつ下降させ、脳血流、NO代謝産物(N0_2^-,N0_3^-)を測定した。また、我々が開発した循環予備能脆弱ラット(三血管閉塞ラット)においても同様の実験を行った。結果としては、1)生理的ラットにおいては、血圧が50mmHgに低下すると、有意の脳血流低下を認めた。また、NOは血圧70mmHgより増加傾向を示し、60mmHgにおいて有意の増加を示した。2)NO合成酵素阻害薬(N-monomethyl-L-arginine 30mg/kg)投与ラットにおいては、安静時のNO産生は低下し、血圧低下に対しても増加せず、体血圧が70mmHgより有意の脳血流低下を認めた。3)三血管閉塞ラットにおいては、体血圧90mmHgより脳血流低下を認め、NO産生の亢進も認められなかった。以上より、脳血流の自動調節能にNOが関与していることが示唆された。平成10年度は、脳血流自動調節能におけるアデノシンの役割の解明を目的として研究を行った。しかし、研究分担者の交代や実験手技の習熟不足などより、安定した循環予備能脆弱ラット(三血管閉塞ラット)の作製が得られず、アデノシン濃度の測定も誤差が大きく、評価可能なデータが得られなかった。平成11年度も10年度と同様に、生理的ラット及び脳虚血ラット(両側内頚動脈閉塞ラットを実験に供した)において、脱血による体血圧低下時のアデノシン濃度をマイクロダイアリーシス法にて測定した。 | KAKENHI-PROJECT-09671404 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-09671404 |
脳循環の自動調節能の機序および破綻における脳血流調節因子の解明 | 結果としては、当初予測したデータは得られず、有意な上昇も低下も認められなかった。次いで、平成10年度に予定していた、正常ラット及び脳虚血ラット(両側総頚動脈閉塞ラット)において、NO基質(L-arginine 300mg/kg)を投与し、投与前後の脳血流、NO代謝産物(N0_2^-,N0_<>^-)を測定し、脱血により体血圧を10mmHgずつ下降させ、経時的に脳血流、NO代謝産物(N0_2^-,NO_3^-)を測定した。結果としては、1)生理的ラットにおいては、NO基質の投与により脳血流は平均69.2%の有意な増加を認め、NO代謝産物も平均36.0%と有意な増加を認めた。また、脱血により体血圧が50mnlHgに低下しても、脳血流は著変なく、NO代謝産物は平均58.5%と有意な増加を認めた。しかし、この有意な増加は20分で前値に戻った。次に、再度NO基質を投与すると、脳血流は平均59.8%、NO代謝産物も平均67.5%と更に有意な増加を認めた。2)脳虚血ラットにおいては、NO基質の投与により脳血流は平均37,7%の有意な増加を認め、NO代謝産物は平均50.4%の有意な増加を認めた。また、脱血により体血圧が70mmHgに低下すると、脳血流は平均24.0%の有意な低下を示したが、NO代謝産物は平均30.2%と有意な増加を認めた。しかし、この有意な増加も20分で前値に戻った。次に、再度NO基質を投与すると、脳血流は著変なく、NO代謝産物は平均83.5%と更に有意な増加を認めた。以上より、NO基質の投与により、一過性ではあるが、脳血流自動調節能の軽度の改善効果が示唆された。本年度は脳血流の自動調節能における一酸化窒素(NO)の役割の解明を目的として研究を行なった。ウイスターラットの頭頂部にマイクロダイアリーシス用プローブ、レーザードップラー血流計のプローブを装着し、脱血により体血圧を10mmHgずつ下降させ、脳血流、NO代謝産物(NO_2^-,NO_3^-)を測定した。また、我々が開発した循環予備能脆弱ラット(三血管閉塞ラット)においても同様の実験を行なった。結果1.生理的ラットにおいては血圧が50mmHgに低下すると、有意の脳血流低下を認めた。NOは血圧70mmHgより増加傾向を示し、60mmHgにおいて有意の増加を示した。3.三血管閉塞ラットにおいては、体血圧90mmHgより脳血流の低下を認め、NO産生の亢進も認められなかった。以上より、脳血流の自動調節能にNOが関与していることが示唆された。平成10年度は、脳血流自動調節能におけるアデノシンの役割の解明を目的として研究を行った。平成9年度と同様に、ウィスターラットの頭頂部にマイクロダイアリーシス用プローブ、レーザードップラー血流計のプローブを装着し、安静時の脳血流及び脳組織内のアデノシン濃度を測定し、次いで、脱血により、体血圧を10mmHgずつ下降させ、脳血流とアデノシン濃度を測定し、更に我々が開発した循環予備能脆弱ラット(三血管閉塞ラット)においても同様の実験を行った。(結果)1.脳血流に関しては、生理的ラットでは、平成9年度の実験結果と同様で、血圧が50mmHgに低下すると、有意の脳血流低下を認め、平均低下率は24.2%であった。三血管閉塞ラットにおいては、実験に供することができたラット(作製したラットの約40%に過ぎなかった)については、概ね100-900mmHgより脳血流の低下を認め、平均低下率は41.6%であった。2.アデノシン濃度に関しては、生理的ラットでも三血管閉塞ラットにおいても個体によるばらつきが大きく、生理的ラットでは134.5±51.6で、体血圧の低下に伴って濃度が上昇する、下降するものが相半ばで、一定の傾向が掴めなかった。 | KAKENHI-PROJECT-09671404 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-09671404 |
平衡機能向上における学習の研究 | (1)前年度までに有色家兎を用い、視性訓練による視性平衡機能向上とその神経機構を検討した。平成6年度はそれに関与する物質面からの検討を行った。方法:有色家兎に、視性訓練として30°/secの等速度刺激を1日15分間、反時計回りに連日12日間与えた。12日目の測定が終了した時点で、NMDA受容体の拮抗剤であるMK-801を0.05,0.1,0.25,1.0mg/kgの4つの濃度にして、それぞれ4群(各群4羽)に分けて投与し、生食水を投与したコントロール群と比較した。検討項目は10°/secと30°/secの等速度刺激に対する視運動性眼振の定常状態の緩徐相速度の最大ゲイン、1°/sec^2の等加速度刺激による総眼振数である。同時に前庭系への影響を観察するために回転後眼振、また、MK-801は海馬に結合しやすいので海馬脳波を検査した。結果:(1)MK-801の投与1時間後、容量依存性に定常状態の最大ゲインおよび総眼振度は減少し、約48時間後にはすべての家兎において投与前のレベルまで回腹した。(2)回転後眼振の時定数は、0.1mg/kg以下の投与量では抑制されなかった。また、海馬脳波には影響はみられなかった。結論:視性訓練による視性平衡機能向上には大脳皮質内視覚経路においてNMDA受容体が関与していることが示唆された。(2)回転訓練による前庭系平衡機能向上につき検討した。方法:有色家兎に、100°/secの等速度刺激を40秒間反時計回り方向に与え、完全暗所下にて回転後眼振を記録し、その時定数と最大ゲインを測定した。この刺激を20回与え、15分間明所に放置した後、同様の刺激を5回与えた。刺激開始30分前に生食水(4羽)とメタンフェタミン(MAP,4羽)を投与した群を比較検討した。結果:両群ともresponse declineを認めた。15分間放置後、MAP群の時定数は放置前の時定数が維持されていたが、ゲインは維持されなかった。MAPは回転後眼振の時定数の低減の保持に促進的に作用すると考えられた。(1)前年度までに有色家兎を用い、視性訓練による視性平衡機能向上とその神経機構を検討した。平成6年度はそれに関与する物質面からの検討を行った。方法:有色家兎に、視性訓練として30°/secの等速度刺激を1日15分間、反時計回りに連日12日間与えた。12日目の測定が終了した時点で、NMDA受容体の拮抗剤であるMK-801を0.05,0.1,0.25,1.0mg/kgの4つの濃度にして、それぞれ4群(各群4羽)に分けて投与し、生食水を投与したコントロール群と比較した。検討項目は10°/secと30°/secの等速度刺激に対する視運動性眼振の定常状態の緩徐相速度の最大ゲイン、1°/sec^2の等加速度刺激による総眼振数である。同時に前庭系への影響を観察するために回転後眼振、また、MK-801は海馬に結合しやすいので海馬脳波を検査した。結果:(1)MK-801の投与1時間後、容量依存性に定常状態の最大ゲインおよび総眼振度は減少し、約48時間後にはすべての家兎において投与前のレベルまで回腹した。(2)回転後眼振の時定数は、0.1mg/kg以下の投与量では抑制されなかった。また、海馬脳波には影響はみられなかった。結論:視性訓練による視性平衡機能向上には大脳皮質内視覚経路においてNMDA受容体が関与していることが示唆された。(2)回転訓練による前庭系平衡機能向上につき検討した。方法:有色家兎に、100°/secの等速度刺激を40秒間反時計回り方向に与え、完全暗所下にて回転後眼振を記録し、その時定数と最大ゲインを測定した。この刺激を20回与え、15分間明所に放置した後、同様の刺激を5回与えた。刺激開始30分前に生食水(4羽)とメタンフェタミン(MAP,4羽)を投与した群を比較検討した。結果:両群ともresponse declineを認めた。15分間放置後、MAP群の時定数は放置前の時定数が維持されていたが、ゲインは維持されなかった。MAPは回転後眼振の時定数の低減の保持に促進的に作用すると考えられた。(目的)訓練による平衡機能向上のメカニズムはまだ不明確な点が多い。今年度は視性訓練による平衡機能向上(response increase現象、福田ら、1957)の機序を機能面と物質面から研究した。(方法)1.視性訓練方法:装置はOhm型回転ドラムを用い、その中央に有色家兎を置き、30deg/sの等角速度刺激を時計回りか反時計回りの方向のいずれかに1日15分間、連日3週間与えた。2.訓練効果判定法(1)測定方法:1,5,10,20,30,45deg/sのstep刺激を100秒間与え、その後消灯し、視運動性眼振を記録した。(2)判定項目: | KAKENHI-PROJECT-04671034 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-04671034 |
平衡機能向上における学習の研究 | 1)総眼振数、2)緩徐増加成分の加速度、3)定常状態に達するまでの時間、4)定常状態の平均緩徐相速度、5)視運動性後眼振の持続時間、6)視運動性後眼振の減速度(3)視運動性眼振は覚醒度に影響をうけることから、覚醒度の影響を上述の判定項目について検討した。(4)訓練終了後、免疫組織化学的に脳内物質(c-fos,GABA,glutamate,CRF,tyrosine hydroxylaseなど)の変化を検討した。(結果)1.覚醒度の影響:緩徐増加成分の加速度、定常状態に達するまでの時間は影響を認めたが、定常状態の平均緩徐相速度は覚醒度の影響をうけることは少なかった。2.訓練効果:視性訓練によって緩徐増加成分の加速度の上昇、定常状態の平均緩徐相速度の上昇を認めた。定常状態に達するまでの時間は変化が少なかった。視運動性後眼振の持続時間は有意な変化はなかったが、減速度は増加した。3.訓練後の脳内物質の変化については対照群で、c-fos,GABA,gulutamate,CRF,tyrosine hydroxylaseの局在を確認し、訓練群については現在検討中である。(まとめ)緩徐増加成分と視運動性後眼振はvelocity storaga mechanismに関係しているといわれているが、そのgeneratorなどはわかっていない。今回の結果から、velocity storage mechanismは訓練によって影響をうけることがわかった。(目的)今年度は、(1)視性訓練による平衡機能向上の機序を視性訓練効果の獲得モデル家兎を作成し、物質面から検討した。(2)回転訓練によるresponsedecline(RD)現象について機能面および物質面から検討した。(方法)(1)視性訓練:(1)視性訓練効果の獲得モデル家兎の作成:装置は前回と同様のドラムを用い、刺激は毎秒20度の等速度刺激(50秒間)を10回連続与えモデル家兎を作成した。(2)訓練効果に影響を与える物質の検討:ketamine,L-glutamateを訓練開始前に投与して訓練効果の獲得による変化を非投与群と比較検討した。(2)回転訓練:(1)刺激方法:回転椅子の中央に家兎を置き、暗所開眼にて毎秒100度の等速度(40秒間)を与えた後、急停止した。同様の刺激を30秒間隔で20回連続して行い、30分明所で放置したのち、再び同様の刺激を5回与え、RD現象の獲得と維持について検討した。(2)判定項目:回転後眼振の1)眼振数、2)最大緩徐相速度、3)時定数、(3)物質の検討:methamphetamine,ketamine,Baclofenを訓練開始前に投与して訓練効果による影響を非投与群と比較検討した。(結果)(1)視性訓練:1)10回連続刺激により長期の訓練効果とほぼ同様の効果を獲得したモデル家兎の作成に成功した。2)ketamine投与群は視性訓練効果の獲得が抑制された。L-glutamate投与群は訓練効果の獲得が促進された。(2)回転訓練:1)methamphetamine投与により、訓練により獲得した時定数の減少が維持される傾向が見られたが、訓練効果の獲得にはより有意な変化は見られなかった。2)ketamine投与により最大緩徐相速度の減少が見られ、Baclofen投与により時定数の減少が見られたが、獲得と維持には非投与群と有意な差は見られなかった。(まとめ)1)NMDA受容体であるketamineは視運動性眼振のdirect pathwayに作用していることが推測された。 | KAKENHI-PROJECT-04671034 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-04671034 |
痒み情報伝達にPACAP-PAC1受容体シグナルは関与するのか? | PACAPは神経系に広く分布する多機能神経ペプチドである。我々はこれまで脊髄PACAP-PAC1受容体シグナルが神経ーアストロサイト交互作用を誘起し、疼痛慢性化に寄与することを報告しているが、同シグナルが痒み伝達に関係するか否かは不明であった。本研究では、痒みモデルマウスを用いた解析と痒みを伴う皮膚疾患患者からの皮膚・血液サンプルを用いた臨床研究を行うことで、PACAPーPAC1受容体シグナルと痒みの関係について検討する。PACAPは神経系に広く分布する多機能神経ペプチドである。我々はこれまで脊髄PACAP-PAC1受容体シグナルが神経ーアストロサイト交互作用を誘起し、疼痛慢性化に寄与することを報告しているが、同シグナルが痒み伝達に関係するか否かは不明であった。本研究では、痒みモデルマウスを用いた解析と痒みを伴う皮膚疾患患者からの皮膚・血液サンプルを用いた臨床研究を行うことで、PACAPーPAC1受容体シグナルと痒みの関係について検討する。 | KAKENHI-PROJECT-19K07324 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-19K07324 |
次元拡張型ヘテロ-π共役分子群の創製 | ヘテロ原子をπ共役系に組み込んだディスク状ヘテロ-π共役分子として、湾曲型π共役分子として知られているスマネンにケイ素、スズ、リンといったヘテロ原子を導入したトリヘテラスマネンを合成した。また、スターバースト型の3次元構造を有するπ拡張スピロビヘテラフルオレンを合成した。これらの次元拡張型ヘテロ-π共役分子は、良好な青色発光特性や二光子吸収断面積を有することを明らかにした。ヘテロ原子をπ共役系に組み込んだディスク状ヘテロ-π共役分子として、湾曲型π共役分子として知られているスマネンにケイ素、スズ、リンといったヘテロ原子を導入したトリヘテラスマネンを合成した。また、スターバースト型の3次元構造を有するπ拡張スピロビヘテラフルオレンを合成した。これらの次元拡張型ヘテロ-π共役分子は、良好な青色発光特性や二光子吸収断面積を有することを明らかにした。本研究では、新たなヘテロ-π共役分子群として2次元的、あるいは3次元的にπ共役系が拡張した分子群の構築と光学特性の発現を目指す。今年度は2次元的にπ共役系が拡張したヘテロ-π共役化合物として、まずトリアジンを中心コアとして、3ヵ所にホウ素置換基を導入したトラキセン型化合物の合成検討を行った。2,4,6-トリス(2-ブロモフェニル)-1,3,5-トリアジンのトリリチオ化を経て、三つのピナコールボランユニットを導入したが、窒素-ホウ素分子内相互作用は発現せず、ホウ素上の置換基の検討が必要であることがわかった。続いて、トリヘテラスマネン合成を目標として、分子内ラジカル環化反応を基盤とした新規なホスホール骨格構築法の開発を検討した。種々の条件検討の結果、ビフェニル基を有する2級のホスフィンオキシドに空気存在下、トリエチルボランを作用させることによって収率よくジベンゾホスホールオキシドが得られることがわかった。本反応を活用することにより、これまで合成例がほとんどなかったラダー型ジベンゾホスホールオキシドの合成に成功した。また、ホスフィンオキシドをLawesson試薬と反応させることで、対応するホスフィンスルフィドへ変換した。さらに、ラダー型ジベンゾホスホールオキシドが有機蛍光材料として優れた蛍光特性を示すことを明らかにした。続いて、本反応を用いてトリホスファスマネンの合成を試みたところ、目的化合物は得られなかったものの、トリフェニレンの湾部に二つのホスホール環が縮環したトリフェニレノジホスホールオキシドの合成に成功した。このように、分子内ラジカル環化反応が、含リン2次元拡張型ヘテロ-π共役分子の合成に有効であることが分かった。本研究では、新たなヘテロ・π共役分子群として2次元的、あるいは3次元的にπ共役系が拡張した分子群の構築と新規な光学特性の発現を目指す。本年度は共役系を3次元に拡張したスターバースト型ヘテロ・π共役化合物の合成について検討した。分子周縁部から中心部への電荷移動を起こすために、中心部にアクセプターであるスピロ型ジベンゾシロールまたはスピロ型ホスホニウムを配置し、これにρ-アミノフェニレンビニレン基を導入した、スターバースト型分子を合成した。相当するジブロモビフェニル体から得たジリチオ体を用いた環化により、オリゴ(フェニレンビニレン)ユニットを有するスピロビシラフルオレン誘導体とスピロビホスホニアフルオレン誘導体の合成に成功した。これらの3次元型共役分子は、中心元素や共役系の構造に応じて二光子吸収特性が変化することを見出した。また、フェニレンビニレン基の置換位置の異なるスピロビシラフルオレン誘導体を合成し、光学特性に及ぼす置換位置の効果を明らかにした。また、二光子吸収特性の向上を狙い、フェニレンビニレンユニットをさらに伸長したスピロビホスホニアフルオレンの合成を検討したが、先の合成法では得ることができなかったため、テトラホルミルスピロビホスホニアフルオレンを前駆体とする別途合成法を検討した。この前駆体は、ホルミル基のアセタール保護、脱保護により合成することができた。これに、共役系を伸長させたフェニレンビニレンユニットをHorner・Emmons反応により導入することで、目的化合物の合成を試みる予定である。次に、クロスカップリング反応を利用したスピロビヘテラフルオレンのモジュラー合成法の開発のために、分子周縁部に反応点であるブロモ基を持つスピロビシラフルオレンおよびスピロビホスホニアフルオレンを合成した。ヘテローπ共役化合物は典型元素の元素特性とπ共役系の相互作用に起因して、発光性や電子受容能の向上といった優れた物性を有することから、盛んに研究されている。しかし、既存のヘテローπ共役化合物の多くは、アセン類のようにπ電子系を一次元的に伸長したものであり、より高次元のπ共役系に典型元素を組み込んだ例は限られていた。本研究では、2次元的あるいは3次元的な構造を有するπ共役系に典型元素を導入した次元拡張型ヘテローπ共役化合物を創製することで、拡張π共役系と典型元素固有の性質の相乗効果を活用した新規な光・電子物性の発現を目指した。2次元π共役系分子の基本骨格としてトリフェニレンを選定し、分子周縁部にケイ素、スズ、またはリンを配置したディスク状の平面π共役分子であるトリヘテラスマネンの合成に成功した。 | KAKENHI-PROJECT-21350025 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-21350025 |
次元拡張型ヘテロ-π共役分子群の創製 | リンを導入した分子では、リン原子上を硫化してホスフィンスルフィドへの誘導化も行なった。いくつかの化合物についてはX線結晶構造解析を行い、導入した典型元素がトリフェニレン環平面上に位置しており、新たに構築されたヘテローπ共役系が高い平面性を有していることを明らかにした。トリヘテラスマネンのUV/visスペクトルでは、導入した典型元素に応じて吸収・発光波長が変化しており、典型元素とトリフェニレンπ電子系が効果的に相互作用していることを確認した。トリシラスマネンは良好な青色発光特性を有しており、発光材料として有望であることが分かった。また、3次元的にπ電子系を拡張したヘテローπ共役分子の中心部にホウ素を導入し、分子周縁部のドナー性置換基とのドナーアクセプター相互作用の発現を狙ったスターバースト型分子の合成を検討した。現在までに、周縁部にブロモ基を有したスターバースト型分子のコアユニットの合成までを行なった。今後のカップリング反応によってドナー性置換基を導入するための前駆体として期待される。24年度が最終年度であるため、記入しない。24年度が最終年度であるため、記入しない。 | KAKENHI-PROJECT-21350025 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-21350025 |
渦鞭毛藻との共生と白化現象に関与するサンゴ遺伝子の解析 | サンゴと渦鞭毛藻の細胞内共生に関与する遣伝子を単離するために、渦鞭毛藻の共生した稚サンゴと共生していない稚サンゴを作した。それらのサンゴで発現する遺伝子をHiCEPにより比較し、渦鞭毛藻共生時に発現変化する遺伝子の単離を行った。これまで、25個の遺伝子の単離に成功した。脂質代謝に関わる遺伝子(Lipase,peririlin),イオン輸送に関わる遺伝子(sulfate transporter,Na/K ATPase),電子伝達系に関わる遺伝子(NADH-Ubiquinon oxidoreductase)等が細胞内共生に関与する可能性が示唆された。次に、cDNA AFLP法で単離した遺伝子が、サンゴの白化の際にどのように発現変化るのか、リアルタイムPCR法で確認した。その結果、白化の際に発現変化する遺伝子が7個得られた。これらの遺伝子はサンゴと渦鞭毛藻の細胞内共生に重要であると共に、サンゴの白化にも関与していると考えられる。この中でも、硫酸イオントランスポーターは渦鞭毛藻の共生時と白化時で発現が上昇することがわかったため、硫酸イオンのサンゴ組織内での動態を調べる事にした。オートラジオグラフィーによりサンゴ組織内への硫酸イオンの取り込みを調べたところ、^<35>SO_4^<2->は細胞内共生している褐虫藻の周辺に顕著に見られ、造骨細胞や粘液が蓄えられている外胚葉にも観察された。以上の結果から、サンゴ組織に取り込まれた硫酸イオンの多くは褐虫藻に輸送されている事が示唆された。サンゴの粘液と骨には硫酸化多糖が存在するため、褐虫藻内で造られた硫酸化多糖類がサンゴの骨形成や粘液の合成に利用されている事が考えられる。次に、cDNA AFLP法で単離した遺伝子が、サンゴの白化の際にどのように発現変化するのか、リアルタイムPCR法で確認した。渦鞭毛藻が感染した稚サンゴを高温水槽内で飼育し、強制的に白化させたサンプルを解析に用いた。その結果、自化の際に発現変化する遺伝子が7個得られた。これらの遺伝子はサンゴと渦鞭毛藻の細胞内共生に重要であると共に、サンゴの白化にも関与していると考えられる。近年サンゴの白化現象が世界各地で問題となっており、熱帯・亜熱帯海域特有のサンブ礁生態系が失われつつある。そのため、サンゴの白化や渦鞭毛藻との細胞内共生について、遺伝子レベルでの解明が急務とされ、世界中で研究されつつある。しかし、サンゴの遺伝子解析や飼育は難しく、遺伝子研究の成果は未だ発展途上である。本研究で得られた遺伝子は、白化現象の根本的原因について追求する手がかりとして重要であり、サンゴにおけるこれら遺伝子の機能を調べることで、サンゴの保全や養殖にも役立てられると考えている。サンゴと渦鞭毛藻の細胞内共生に関与する遣伝子を単離するために、渦鞭毛藻の共生した稚サンゴと共生していない稚サンゴを作した。それらのサンゴで発現する遺伝子をHiCEPにより比較し、渦鞭毛藻共生時に発現変化する遺伝子の単離を行った。これまで、25個の遺伝子の単離に成功した。脂質代謝に関わる遺伝子(Lipase,peririlin),イオン輸送に関わる遺伝子(sulfate transporter,Na/K ATPase),電子伝達系に関わる遺伝子(NADH-Ubiquinon oxidoreductase)等が細胞内共生に関与する可能性が示唆された。次に、cDNA AFLP法で単離した遺伝子が、サンゴの白化の際にどのように発現変化るのか、リアルタイムPCR法で確認した。その結果、白化の際に発現変化する遺伝子が7個得られた。これらの遺伝子はサンゴと渦鞭毛藻の細胞内共生に重要であると共に、サンゴの白化にも関与していると考えられる。この中でも、硫酸イオントランスポーターは渦鞭毛藻の共生時と白化時で発現が上昇することがわかったため、硫酸イオンのサンゴ組織内での動態を調べる事にした。オートラジオグラフィーによりサンゴ組織内への硫酸イオンの取り込みを調べたところ、^<35>SO_4^<2->は細胞内共生している褐虫藻の周辺に顕著に見られ、造骨細胞や粘液が蓄えられている外胚葉にも観察された。以上の結果から、サンゴ組織に取り込まれた硫酸イオンの多くは褐虫藻に輸送されている事が示唆された。サンゴの粘液と骨には硫酸化多糖が存在するため、褐虫藻内で造られた硫酸化多糖類がサンゴの骨形成や粘液の合成に利用されている事が考えられる。 | KAKENHI-PROJECT-07J10602 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-07J10602 |
ソビエト連邦構成共和国党エリートと中央・地方関係(1964-1991) | まず、昨年度に執筆した1955年から1991年までのカザフスタン共産党エリートのソ連邦内移動の特徴を検討した論文が『スラヴ文化研究』誌に掲載された。また、昨年度までに収集した1964年から1980年までの『カザフスタンスカヤ・プラヴダ』紙や1985年から1988年までの『ソヴィエツカヤ・キルギジヤ』紙の一次資料の読みを進め、当時、公開されていた範囲での共産党人事政策やソ連邦中央・共和国関係についての特徴の推移を把握した。7月に北海道大学スラヴ研究センターに国際シンポジウム(「中央ユーラシアの地域的・超域的ダイナミズム:帝国、イスラーム、政治」)参加のために国内出張し、同時に、同センターで1984年の『ソヴィエツカヤ・キルギジヤ』紙マイクロフィルムを閲覧し、資料収集を行った。また、1989、1990年の同誌のマイクロフィルムを購入し、分析を進めた。これは前年度からの新聞記事収集の継続である。8月10日から10月21日までキルギス共和国ビシュケク市に国外出張し、キルギス共和国国立中央政治文書館にて、1964年から1971年までのキルギスタン共産党中央委員会ビューロー議事録の閲覧を行い、当時は未公開の公文書資料からの詳細な共産党人事政策の推移を把握した。ここではキルギスタン共産党エリートのバイオグラフィー・データの収集作業も行い、これでカザフスタン・キルギスタンの共産党エリートのバイオグラフィー・データは全て揃ったことになる。10月末にはこれまで重点的に学んできた「帝国論」に関する自分なりの見解をまとめる意味を込め、『国家学会雑誌』誌に書評の投稿を行った。これまでの特別研究員としての研究を通じ、1964年から1991年までのソ連邦共産党人事政策を素材とした連邦中央・共和国関係に関する研究土台は概ね揃ったと総括できる。今後も学会報告や論文発表の形で研究成果を世に問うていきたい。今年度は、まず7月にソビエト史研究会で1980年から1991年までのカザフスタンの事例について研究報告を行い、その議論の中で、クナエフ・カザフスタン共産党中央委員会第一書記時代(1986年まで)の共産党人事政策(民族の別なくカザフスタン国内でキャリアを積んだカードルを政治エリートとして登用する傾向)が、カザフスタンの独立と体制転換の安定性と政治エリート間の「ナショナル」な意識の共有の基礎となったという結論に達した。ここでの議論に基づいで8月に『スラヴ研究』に論文を投稿した(2004年4月刊行予定)。10月から11月にかけて、資料収集のためにカザフスタン共和国アルマトゥ市に滞在し、1968年から1979年までの『カザフスタンスカヤ・プラヴダ』紙について、共和国政治の特徴や共産党人事政策に関する記事を収集し、現在はその資料の読み込みを進めている。また、上記の日本語論文とカザフスタンで収集した資料の一部に基づいて、1月に北海道大学スラブ研究センターの国際シンボジウム(若手研究者ワークショップ)で1970年から1991年までの党人事政策とモスクワ=カザフスタン関係の変遷について研究報告を行った(英語)。ここでは、カザフスタンの党エリート人事について、1970年代を通して共和国側に自律性が徐々に付与さるようになったことが新たに明らかになった。シンポジウムの後、2月に1週問ほど北海道大学スラブ研究センターに滞在し、キルギスタン共産党機関紙である『ソヴィエツカヤ・キルギジヤ』紙の収集を開始し、カザフスタンとキルギスタンを中心とした他共和国との比較の視座を組み込む上での基礎固めを行った。今年度は海外での資料収集に重点を置き、ブレジネフ時代のソ連邦中央・共和国関係を明らかにすべく研究を行った。まず、7月から9月にかけてカザフスタン共和国に渡航し、1964年から1967年までの『カザフスタンスカヤ・プラヴダ』紙、1985年から1988年までの『ソヴィエツカヤ・キルギジヤ』紙について、共産党人事政策や連邦中央・共和国関係に関連する記事を収集し、現在はその資料の読み込みを進めている。また、2月中旬から3月上旬にかけて3週間ほどのロシア連邦モスクワ市に渡航し、ロシア連邦国立現代史文書館でブレジネフ時代のソ連邦共産党中央委員会組織・党活動部の文書を閲覧した。今回のロシア渡航では本格的な資料収集というよりも予備調査に留まったが、次回以降の本格的な調査に当たる際の素地はできあがった。次に、論文執筆であるが、『スラヴ文化研究』誌に1955年から1991年までのカザフスタン共産党エリートのソ連邦内移動の特徴を検討する論文を検討した(現在査読中)。これにより、1950年代、60年と比べて1970年代に同党エリートのカザフスタン国内の浸透度が高くなり、カザフスタンにおけるカザフスタン人・非カザフ人を含んだ「国民国家」形成プロセスがブレジネフ時代の中期以降に促進されたことが詳らかにされた。また、一橋大学経済研究所所蔵の"Soviet Biographic Archives"やキルギス共和国最高会議議員録(2期分を新たに入手)などを活用したカザフスタン共産党、キルギス共産党エリートのバイオグラフィー・データ収集も昨年度より継続して行った。また、今年度は特に「帝国論」やソ連「帝国」に関する文献の購読を重点的に行ったことを特記しておく。まず、昨年度に執筆した1955年から1991年までのカザフスタン共産党エリートのソ連邦内移動の特徴を検討した論文が『スラヴ文化研究』誌に掲載された。 | KAKENHI-PROJECT-03J11534 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-03J11534 |
ソビエト連邦構成共和国党エリートと中央・地方関係(1964-1991) | また、昨年度までに収集した1964年から1980年までの『カザフスタンスカヤ・プラヴダ』紙や1985年から1988年までの『ソヴィエツカヤ・キルギジヤ』紙の一次資料の読みを進め、当時、公開されていた範囲での共産党人事政策やソ連邦中央・共和国関係についての特徴の推移を把握した。7月に北海道大学スラヴ研究センターに国際シンポジウム(「中央ユーラシアの地域的・超域的ダイナミズム:帝国、イスラーム、政治」)参加のために国内出張し、同時に、同センターで1984年の『ソヴィエツカヤ・キルギジヤ』紙マイクロフィルムを閲覧し、資料収集を行った。また、1989、1990年の同誌のマイクロフィルムを購入し、分析を進めた。これは前年度からの新聞記事収集の継続である。8月10日から10月21日までキルギス共和国ビシュケク市に国外出張し、キルギス共和国国立中央政治文書館にて、1964年から1971年までのキルギスタン共産党中央委員会ビューロー議事録の閲覧を行い、当時は未公開の公文書資料からの詳細な共産党人事政策の推移を把握した。ここではキルギスタン共産党エリートのバイオグラフィー・データの収集作業も行い、これでカザフスタン・キルギスタンの共産党エリートのバイオグラフィー・データは全て揃ったことになる。10月末にはこれまで重点的に学んできた「帝国論」に関する自分なりの見解をまとめる意味を込め、『国家学会雑誌』誌に書評の投稿を行った。これまでの特別研究員としての研究を通じ、1964年から1991年までのソ連邦共産党人事政策を素材とした連邦中央・共和国関係に関する研究土台は概ね揃ったと総括できる。今後も学会報告や論文発表の形で研究成果を世に問うていきたい。 | KAKENHI-PROJECT-03J11534 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-03J11534 |
高度職業人(翻訳・通訳)の方法論に関する実践的研究 | 本研究は、同時通訳者という高度職業人に求められる能力は何か、その能力を習得するために必要な要素は何か、実際に大学や大学院で通訳学習をしている学生を対象にした研究結果に考察を加えたものである。「同時通訳に必要なリスニング能力」では、国際機関で行われたスピーチを題材に、通訳訓練経験者と未経験者のシャドーイングと同時通訳のパフォーマンスにおける差を検証し、さらに英語のリスニングテストを実施した。その結果、リスニングとシャドーイングは通訳スキルの構成要素であり、同時通訳においてはキーワードを正確に聞き取れているかどうかが全体の意味の把握に大きな影響を及ぼすことが示唆された。「通訳学習の語彙サイズ調査と改善方法の提案」では、語彙サイズテストを実施し、通訳学習者の語彙サイズと通訳者に求められる語彙サイズとの乖離を調査した。その結果、10000語レベルの運用語彙を中心に語彙サイズの拡大を図る必要性が示唆された。また、それを踏まえ語彙習得講座を実施し、語彙サイズを増やすために有効な手段の検証を行ったところ、語彙サイズ拡大に関する学習手法として、意味交渉とクイックレスポンスの効果が認められた。「同時通訳の学習におけるデリバリー能力の検討」では、学習期間によるデリバリー能力の影響および通訳の質とデリバリー能力の相関について検討した。その結果、同時通訳においては文法や論理的結合性などの訳出にかかわるスキルが最も重要なスキルではあるものの、デリバリー能力の欠如は内容の分かりやすさに悪影響を及ぼすことが示唆された。本研究は、同時通訳者という高度職業人に求められる能力は何か、その能力を習得するために必要な要素は何か、実際に大学や大学院で通訳学習をしている学生を対象にした研究結果に考察を加えたものである。「同時通訳に必要なリスニング能力」では、国際機関で行われたスピーチを題材に、通訳訓練経験者と未経験者のシャドーイングと同時通訳のパフォーマンスにおける差を検証し、さらに英語のリスニングテストを実施した。その結果、リスニングとシャドーイングは通訳スキルの構成要素であり、同時通訳においてはキーワードを正確に聞き取れているかどうかが全体の意味の把握に大きな影響を及ぼすことが示唆された。「通訳学習の語彙サイズ調査と改善方法の提案」では、語彙サイズテストを実施し、通訳学習者の語彙サイズと通訳者に求められる語彙サイズとの乖離を調査した。その結果、10000語レベルの運用語彙を中心に語彙サイズの拡大を図る必要性が示唆された。また、それを踏まえ語彙習得講座を実施し、語彙サイズを増やすために有効な手段の検証を行ったところ、語彙サイズ拡大に関する学習手法として、意味交渉とクイックレスポンスの効果が認められた。「同時通訳の学習におけるデリバリー能力の検討」では、学習期間によるデリバリー能力の影響および通訳の質とデリバリー能力の相関について検討した。その結果、同時通訳においては文法や論理的結合性などの訳出にかかわるスキルが最も重要なスキルではあるものの、デリバリー能力の欠如は内容の分かりやすさに悪影響を及ぼすことが示唆された。研究代表者が実際に放送で通訳にあたった事例、国連総会におけるアナン事務総長の講演会の一部をとりあげ、通訳をする上で学習者にとって以下の2点からの制約を検討した。(1)英語理解の上での問題点(2)通訳の際の問題点具体的には、(1)をみるためにシャドーイング(聞こえてくる音声をそっくりそのまま繰り返す)、(2)同時通訳を学習者サンプル大学院生10名と学部生14名、合計24名に聞かせてテープにとり、書き起こして、どこが問題であるかを分析した。平行して英語のリスニングテストを実施した。結果、(1)英語理解に関して、なかでも英語が聞き取れているかについては、リスニングテストと相関が高いことがわかった。また語彙の知識は正確に単語が聞こえるかどうかに大きく関係している。日ごろ使う頻度の少ないなじみのない単語は共通して間違って聞こえる傾向がみてとれた。シャドーイングで品詞別にエラー数の少ない順位を調べたところで、興味深い結果がでたのはすでに通訳者として活動している大学院生が冠詞をシャドーイングのときに落とすことが多かったことである。冠詞は省いて聞いているという通訳者なりの効率追求の結果と思われる。(2)通訳の能力について、20のキーワードを抽出し正確に訳出ができているかを調べた。結果は、英語のリスニングテストの順位に通訳の勉強をした経験年数を加味した順位とほぼ一致していた。学部生でリスニングテストで上位得点であったものがキーワード抽出による通訳能力チェックでは、リスニングテストでより下位である者より下回っていた例があるが、英語で聞き取りができたものを日本語に訳出する訓練を受けた効果がでることを示している。通訳のアウトプットについて語彙のサイズがどう影響しているか、検討するための語彙テストを実施した。実際に社内通訳者として仕事についている人たちとどのレベルの語彙がどの程度違うのか、測定した。その結果、語彙力を高めるために研修を実施。どのような語彙訓練をするとどの程度効果があがるのか、検討した。前年度と異なる同時通訳テストを被験者に実施。同時通訳テストで、具体的に論理的一貫性、意味の一貫性、文法、について分析をおこなった。また、音声面について、アウトプットの聞きやすさを発音、イントネーション、冗語の有無、流暢さの面から検討を加えた。この研究のもとにしたのが、2004年に鶴田知佳子が東京外国語大学論集代69号(2004)に執筆した「大学院における通訳実技指導の評価の枠組み」である。また、研究をおこなううえで語彙サイズについては特にネーションのおこなった先行研究を参照した。 | KAKENHI-PROJECT-17520370 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-17520370 |
高度職業人(翻訳・通訳)の方法論に関する実践的研究 | ネーションの分類によって示されている語彙レベルでは、翻訳・通訳など高度職業人としては少なくとも10,000語のいわゆるアカデミックレベルの語彙が不可欠であることがわかった。音声の流暢さについては、聞き取りが正確にできているというレベルもさることながら、語彙や文法理解能力が正確性に大きく影響していることがわかった。本研究は、同時通訳者という高度職業人に求められる能力は何か、その能力を習得するために必要な要素は何か、実際に大学や大学院で通訳学習をしている学生を対象にした研究結果に考察を加えたものである。「同時通訳に必要なリスニング能力」では、国際機関で行われたスピーチを題材に、通訳訓練経験者と未経験者のシャドーイングと同時通訳のパフォーマンスにおける差を検証し、さらに英語のリスニングテストを実施した。その結果、リスニングとシャドーイングは通訳スキルの構成要素であり、同時通訳においてはキーワードを正確に聞き取れているかどうかが全体の意味の把握に大きな影響を及ぼすことが示唆された。「通訳学習の語彙サイズ調査と改善方法の提案」では、語彙サイズテストを実施し、通訳学習者の語彙サイズと通訳者に求められる語彙サイズとの乖離を調査した。その結果、10000語レベルの運用語彙を中心に語彙サイズの拡大を図る必要性が示唆された。また、それを踏まえ語彙習得講座を実施し、語彙サイズを増やすために有効な手段の検証を行ったところ、語彙サイズ拡大に関する学習手法として、意味交渉とクイックレスポンスの効果が認められた。「同時通訳の学習におけるデリバリー能力の検討」では、学習期間によるデリバリー能力の影響および通訳の質とデリバリー能力の相関について検討した。その結果、同時通訳においては文法や論理的結合性などの訳出にかかわるスキルが最も重要なスキルではあるものの、デリバリー能力の欠如は内容の分かりやすさに悪影響を及ぼすことが示唆された。 | KAKENHI-PROJECT-17520370 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-17520370 |
ハイブリッド型洋上発電用風車の制振に関する研究 | 本研究では,発電用陸上風車と浮体式洋上風車の振動解析,およびその制振性能について調べた.それぞれの風車のモデル化を行い,運動方程式を導出し,その系の固有振動数,共振曲線,時刻歴波形を求めた.まず,転動型動吸振器や液体ダンパなどの非線形動吸振器の制振性能について調べた.次に,二枚翼風車と浮体式風車のブレードについて,振幅が時間とともに増大する不安定振動が発生する領域について解析的,実験的に求めた.さらに,陸上風車ブレード単体について,ブレードの複数の回転速度領域に現れる共振ピークを一つの振子型動吸振器により,低減できることを解析的,実験的に明らかにした.平成27年度には,動吸振器による発電用風車ブレードの制振解析,および浮体式風車の安定性解析を行った.(1)動吸振器による発電用風車ブレードの制振解析では,一定速度で回転する風車ブレード単体に質量・ばね・ダッシュポッドから成る動吸振器,または振子型動吸振器を取り付けた系の運動方程式を求めた.次に,数値計算によりスイープ励振による共振曲線を描き,動吸振器の制振性能について調べた.さらに,風車の回転速度域に現れる複数の共振ピークにおいて,近似的に定常解を求めた.この解析により,以下の結論を得た.(a)一つの動吸振器をひとつの共振ピークに同調されることにより,複数の共振点における振動を抑えることができる.これは,系の係数励振項から派生する様々な振動動数成分の元となる成分を動吸振器により小さくできるためである.(b)振子型動吸振器も一つの制振装置により同様に複数の共振ピークを抑制できる.ただし,動吸振器とはその制振原理が異なる可能性がある.(2)浮体式風車の安定性解析では,浮体式風車の浮体,タワー,ナセルが剛に連結され,浮体の波による運動とブレードの支持点の運動が一致すると仮定することにより,浮体式風車のブレード単体にモデルを簡略化した.この系の運動方程式は,波の影響,およびブレードの回転に伴い現れる係数励振項をもつ.そこで,係数励振振動において現れる不安定領域について調べ,数値計算により共振曲線,および時刻歴波形を求めた.この解析により,以下の結果を得た.(a)風車ブレードの回転と波の励振作用により,風車ブレードには複数の振動数成分を含む不安定振動が発生する.(b)共振曲線はブレードの復元モーメントの非線形性により漸軟形を示し,ブレードの回転速度が大きくなるにつれてその性質は顕著となる.当初の計画では,実験装置を製作し,実際に風車に発生する振動について,解析の有効性を調べる予定であった.しかし,実験では鉄の板を回転させる実験を行うため,非常に危険を伴う.このため,コンクリートを用いたカバーの設計,および製作などが必要となり,実験準備が遅れている.また,ハイブリッド型洋上発電用風車のモデル化・風車ブレードの面内振動に関しても,上記の遅れに伴い,研究が進められていない.平成28年度には,二枚翼風車の不安定振動,振子型動吸振器による発電用風車ブレードの制振,および浮体式風車ブレードの不安定振動に関する実験的研究,転動型動吸振器,振り子型動吸振器,および液体容器による振動抑制に関する解析を行った.(1)二枚翼風車の不安定振動に関する実験において,タワー・ナセル・ブレードから成る実験装置を設計,製作し,モータにより様々な回転速度でブレードを回転させることにより,系に現れる不安定振動が発生するブレードの回転速度域について調べた.この結果,解析で求められた不安定振動が生じる複数の回転速度域のうち,最も広いひとつの領域においてのみ,不安定振動の発生が確認された.(2)振子型動吸振器による発電用風車ブレードの制振において,ブレード単体とその先端に取り付けた振子から成る実験装置を設計,製作し,大型扇風機により風を当て,様々な回転速度でブレードを回転させ,振子を取り付けた場合,固定した場合,ブレードに現れる面外振動をモーションセンサにより測定した.この結果,振子を固定した場合,複数の共振ピークが表れること,振子によりわずかではあるが,振動の抑制が可能であることが確認された.(3)浮体式風車ブレードの不安定振動において,上下に移動可能な台に回転軸,ブレードを取り付けた系を設計,製作し,モータにより様々な回転速度でブレードを回転させ,台を加振機により様々な励振振動数で上下に振動させ,風車ブレードに現れる不安定振動を測定した.この結果,理論解析と同様に複数の回転速度域において,風車ブレードに不安定振動が現れることが確認された.(4)転動型動吸振器,振り子型動吸振器,および液体容器による振動抑制において,それぞれの制振装置が共振現象を抑えられることを解析的に調べ,それらの特徴を明らかにした.当初の計画では,ハイブリッド型洋上発電用風車のモデル化・風車ブレードの面内振動の解析を進める予定であったが,実験に時間がかかり,解析を進めることができなかった.加えて,実験自体は行うことができ,解析に近い傾向は得られたが,二枚翼風車における不安定振動では,ひとつの不安定振動領域のみ確認され,ほかの不安定領域が確認されなかった.また,振子型動吸振器による風車ブレードの制振に関する研究においても,十分な制振効果は得られていない.このため,解析モデルにさらに近づける必要があり,より詳細な実験を行うことが必要である. | KAKENHI-PROJECT-15K17997 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-15K17997 |
ハイブリッド型洋上発電用風車の制振に関する研究 | 平成29年度には,浮体式風車ブレードの不安定振動に関する研究,および二枚翼風車の不安定振動,振子型動吸振器による発電用風車ブレードの制振,転動型動吸振器の制振に関する実験的研究を行った.(1)浮体式風車の安定性解析では,浮体式風車のブレード単体にモデルを簡略化したモデルに対して,波による水平励振と高さに依存して風速が線形的に変化する風が風車に作用する場合,系に生じる振動現象について調べ,ブレードの回転と波の励振作用により,ブレードには各種の振動数成分を含む振動が発生することを明らかにした.しかし,不安定振動の発生は確認されなかった.(2)二枚翼風車の不安定振動に関する実験において,前年度の製作したタワー・ナセル・ブレードから成る実験装置を改良し,モータにより様々な回転速度でブレードを回転させることにより,系に現れる不安定振動が発生するブレードの回転速度域について調べた.この結果,解析結果と同様に複数の回転速度域において,不安定振動の発生が確認された.(3)振子型動吸振器による発電用風車ブレードの制振において,前年度の製作したブレード単体とその先端に取り付けた振子から成る実験装置に対して,ブレードに当たる風圧が大きくなるように改良し,実験を行った.その結果,振子を固定した場合,複数の共振ピークが表れ,一つの振子により複数の共振ピークに対して,振動の抑制が可能であることが確認された.(4)転動型動吸振器の制振に関する研究について,構造物に転動面を取り付け,転動面に転動体を設置した系を設計,製作し,加振機により励振振動数で構造物を加振し,構造物と転動体の変位を測定し,転動型動吸振器の制振性能を調べた.その結果,動吸振器を設置することによって,構造物の振幅を低く抑えられることが可能であるが,新たに2つの共振ピークが現れることが分かった.本研究では,発電用陸上風車と浮体式洋上風車の振動解析,およびその制振性能について調べた.それぞれの風車のモデル化を行い,運動方程式を導出し,その系の固有振動数,共振曲線,時刻歴波形を求めた.まず,転動型動吸振器や液体ダンパなどの非線形動吸振器の制振性能について調べた.次に,二枚翼風車と浮体式風車のブレードについて,振幅が時間とともに増大する不安定振動が発生する領域について解析的,実験的に求めた.さらに,陸上風車ブレード単体について,ブレードの複数の回転速度領域に現れる共振ピークを一つの振子型動吸振器により,低減できることを解析的,実験的に明らかにした.まず,平成27年度に予定していた実機の作製を行う.平成28年度は,複数の学生に対して風車振動に関する実験を卒論のテーマとし,締め切りを設けることで,必ず年度内に複数の実験を行えるようにする.まず,平成28年度に行った実験に改良を加え,実験を行う.平成29年度は,複数の学生に対して風車振動に関する実験を与え,そこから派生的に研究を進められるようにする.年度末の学会発表に参加することを目標として,結果を出せるように促す.工学実験装置の製作,および実験が遅れているため,製作費用,および測定用のセンサの購入が済んでいないため,当該年度の使用額が少なくなっている.実験装置の製作,および実験が遅れ,成果が出ていないため,学会発表や論文投稿が遅れ,その費用を使っていない. | KAKENHI-PROJECT-15K17997 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-15K17997 |
近代日本の学知と中国ナショナリズム―中国社会論と東洋史学の交叉点から― | 2017年度に引き続き、戦前期の中国社会論及び東洋史学の諸成果に内在する中国認識の在り方を具体化するために、尾崎秀実の業績を中心に検討を加えた。『嵐に立つ支那』『国際関係からみた支那』『現代支那批判』『最近日支関係史』『支那社会経済論』など、戦前尾崎が単行の著書として刊行した書籍の記述内容を分析し、1)尾崎の同時代の中国の政治・社会・経済に対する認識の特徴、2)中国の歴史の展開に関する尾崎の認識、なかでも史的唯物論における世界史の基本法則的な中国史の発展のあり方やアジア的生産様式論争を踏まえて尾崎秀実がどのように中国史の展開を把握していたか、などを中心に分析を行った。その結果として、当時のマルクス主義歴史学のなかでの有力な見解の一つであった講座派の理論的枠組みに依拠して、尾崎も中国史認識を深めていたことを確認できた。また、『愛情はふる星のごとく』についても分析を加え、ゾルゲ事件で逮捕・収監された後に記された尾崎の言説と、逮捕・収監以前に公刊された尾崎の著作との比較を行うことで、尾崎の思想形成の過程を確かめることもできた。また、東洋史学の側の中国認識を確かめるため、本年度は、秋沢修二の『支那社会構成』の分析を行ったほか、戦前の『歴史学研究』や『歴史科学』等の学術雑誌に掲載された東洋史学出身の論者の研究論文のなかから本研究において分析対象とすべきものの選択に着手した。また、2017年度中に本研究の研究成果として、『竹内好とその時代歴史学からの対話』を刊行したが、その竹内好の中国認識形成の過程を検証するため、アジア・太平洋戦争期に竹内が従軍した中国湖北・湖南地域での調査を行い、咸寧市や岳陽市・華容県などで訪問調査を実施した。2018年度中は、尾崎秀実の主要な刊行物の検討を進め、また東洋史学の分野における検討対象についての選択にも着手したが、当初の研究計画と比較すると少々遅れている。これは、竹内好に関する研究成果を公刊するのが当初の予定よりも時間がかかってしまったことが要因である。2019年度においては検討対象の文献を精選することも含めて、研究を速やかに進めるように努力する。当初の研究計画と比較するとやや遅れているため、2019年度においては、検討対象とする文献をいっそう精選するなどして、研究のとりまとめに向けて作業を進めていくこととしたい。戦前期に研究活動を開始し、戦前から戦後にかけて中国に向かい合った研究者の代表的存在として、今年度は竹内好の著作の分析を進めてきた。毎月一回ずつ、東京において研究会を開催し、研究代表者・分担者・協力者が一同に会して、それぞれの研究の進捗状況を報告しあい、相互に検討し、認識を深める作業を行った。戦前の竹内好に関しては、その中国文学研究会での研究活動の具体相や、数回の中国旅行や滞在に伴う、竹内自身の中国認識の変容の過程を明らかにすることができた。また、竹内が二年間の北京滞在中に、中国古代社会経済史研究者として後年著名になる楊聯陞との親交があったことも明らかとなり、竹内が楊との日常的交流のなかで、中国の社会や人びとに対する理解を深めていったことも明らかにすることができた。あわせて、竹内ら中国文学研究会の同人たちと、当時の新興の歴史学研究者の集団であった歴史学研究会の東洋史専攻の人びととの交流の様子も確かめることができ、相互に意識・連絡をとりながら、必ずしも研究上の交流が十分には進展しなかったことも明らかにできた。同時に、東洋史家・野原四郎との交流の具体像も確かめることができた。竹内が、論壇から注目されるに至ったのは、戦後に公表した、その魯迅理解を基礎とした、日本と中国の近代化の差異を論じた論考であった。そのため、戦前の竹内の思想的変遷は、その中国認識が、竹内の『魯迅』にどのように結実していくかであり、戦後の竹内の思想の核もその『魯迅』で到達した中国認識とそれを媒介とする同時代日本認識であったと考えざるを得ない。本年度の竹内好に関する研究は、そうした観点を重視しつつ、戦後の竹内好についても進めることができ、竹内の明治維新論、アジア主義、『思想の科学』との関わり、歴史主義、丸山眞男と比較しつつの「「ドレイの精神」からの解放」、などの論点につき、検討・分析を深めることができた。本年度の研究計画の中心的課題であった、竹内好のテキストの読解を計画的に進め、それをもとにした竹内好に関する研究代表者・分担者・協力者の研究も計画的に進展し、次年度の早い段階で、各人が分担しているそれぞれのテーマ(戦前の竹内の思想形成のあゆみを中心とした前半生の評伝/戦後の竹内の思想の特質とあわせての後半生の評伝/歴史学との対話の中での竹内好にける歴史主義の展開/竹内好における「方法としてのアジア」と「朝鮮」というトポス/第三次『思想の科学』と竹内好/第四次『思想の科学』を中心とした竹内好の明治維新論)ごとに論文執筆を完成させ、その相互の批評・検討を通して、論文集を公刊する見通しがついている。計画はおおむね順調に進展しているということができる。2016年度に引き続き、近代日本の学知と中国ナショナリズムの関連をより深く理解していくために、竹内好についての検討を進めた。原則として月1回程度の研究会活動を開催し、2017年度中の論文集刊行を目指した。 | KAKENHI-PROJECT-16H03359 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-16H03359 |
近代日本の学知と中国ナショナリズム―中国社会論と東洋史学の交叉点から― | 特に2017年度においては、研究成果を論文集に寄稿する予定の研究代表者・研究分担者・研究協力者が、それぞれの研究成果を研究会において報告し、相互の批判・検討活動を踏まえて、個々の論考をより密度の濃いものとする作業を進めた。その結果、2018年2月に、研究成果として有志舎より『竹内好とその時代ー歴史学からの対話ー』を刊行することができた。この論集は、研究分担者の山田智による総論「竹内好と〈歴史学〉との対話」、研究代表者の小嶋茂稔による「〈魯迅〉にいたる道ー復員までー」、研究分担者の黒川みどりによる「〈ドレイ〉からの脱却を求めてー戦後社会のなかでー」、廣木尚「〈共通の広場〉の模索ー竹内好と第三次『思想の科学』ー」、田澤晴子「明治維新論の展開」、研究協力者の姜海守「〈朝鮮〉というトポスからみた「方法としてのアジア」」から構成されている。さらに2017年度は、竹内好の研究で得られた、戦前期の日本の学知と中国ナショナリズムの関連についての知見を基礎に同時期の中国社会論を分析し、そこにみられる学知とナショナリズムとの相互の影響のあり方を、違った角度から検討することに着手した。そのために、尾崎秀実のテキストの分析を進め始めたところである。2017年度中に、目標としていた竹内好についての研究成果を公刊することができた。尾崎秀実ら戦前に中国社会論を展開した論者のテキストの検討にも着手することができたので、おおむね順調に進展していると判断することができる。2017年度に引き続き、戦前期の中国社会論及び東洋史学の諸成果に内在する中国認識の在り方を具体化するために、尾崎秀実の業績を中心に検討を加えた。『嵐に立つ支那』『国際関係からみた支那』『現代支那批判』『最近日支関係史』『支那社会経済論』など、戦前尾崎が単行の著書として刊行した書籍の記述内容を分析し、1)尾崎の同時代の中国の政治・社会・経済に対する認識の特徴、2)中国の歴史の展開に関する尾崎の認識、なかでも史的唯物論における世界史の基本法則的な中国史の発展のあり方やアジア的生産様式論争を踏まえて尾崎秀実がどのように中国史の展開を把握していたか、などを中心に分析を行った。その結果として、当時のマルクス主義歴史学のなかでの有力な見解の一つであった講座派の理論的枠組みに依拠して、尾崎も中国史認識を深めていたことを確認できた。また、『愛情はふる星のごとく』についても分析を加え、ゾルゲ事件で逮捕・収監された後に記された尾崎の言説と、逮捕・収監以前に公刊された尾崎の著作との比較を行うことで、尾崎の思想形成の過程を確かめることもできた。また、東洋史学の側の中国認識を確かめるため、本年度は、秋沢修二の『支那社会構成』の分析を行ったほか、戦前の『歴史学研究』や『歴史科学』等の学術雑誌に掲載された東洋史学出身の論者の研究論文のなかから本研究において分析対象とすべきものの選択に着手した。また、2017年度中に本研究の研究成果として、『竹内好とその時代歴史学からの対話』を刊行したが、その竹内好の中国認識形成の過程を検証するため、アジア・太平洋戦争期に竹内が従軍した中国湖北・湖南地域での調査を行い、咸寧市や岳陽市・華容県などで訪問調査を実施した。2018年度中は、尾崎秀実の主要な刊行物の検討を進め、また東洋史学の分野における検討対象についての選択にも着手したが、当初の研究計画と比較すると少々遅れている。これは、竹内好に関する研究成果を公刊するのが当初の予定よりも時間がかかってしまったことが要因である。2019年度においては検討対象の文献を精選することも含めて、研究を速やかに進めるように努力する。 | KAKENHI-PROJECT-16H03359 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-16H03359 |
多能性幹細胞(iPS細胞)を利用した脳梗塞に対する再生医療の開発 | ヒトiPS細胞由来神経幹細胞は移植された虚血脳では同側corpus callosum、striatumに広く分布し、成熟神経細胞マーカーにて染色され、神経細胞の分化が示された。行動実験では、移植後2週間では運動学的スコアの改善が得られたが長期経過観察では、有意な改善は得られなかった。臨床研究としては急性期脳卒中患者において、ロボットスーツによる機能再生治療の可能性が示唆されるデータが得られた。脳血管疾患は厚生労働省の人口動態統計における国民年間死亡原因の第3位を長年占めている。しかも、厚生労働省の介護給付費実態調査によると要介護の原因となった疾患の内約3割が脳血管疾患であり、特に男性においてはその割合は4割以上と報告されている。脳梗塞に対する再生医療の試みとしては、内因性神経新生を亢進させる方法と細胞移植の二つに大別されるが、内因性神経新生は非常に数が少なく、たとえ亢進できたにしても機能回復をもたらすのには十分でないと考えられる。そこで、脳梗塞後の機能回復のためには細胞移植を行う必要がある。細胞移植による神経再生については、1990年代末から2000年前後にかけて、胚性幹細胞(embryonic stem cell, ES cell)や骨髄間質細胞がneuronに分化する方法や可能性が報告され、飛躍的に研究が進歩した。これらES細胞由来神経幹細胞、骨髄間質細胞由来神経幹細胞を用いた脳虚血に対する移植の問題点を解決し、いち早い臨床応用を目指す研究とする。これまで長い間傷害された中枢神経系は再生不可能とされてきたが神経幹細胞が発見され、また胚性幹細胞から神経幹細胞の分化が可能となり、さらに体細胞から多能性幹細胞(induced pluripotent cell: iPS)細胞が樹立され中枢神経系を再構築することが考えられるようになった。申請研究はHuman iPS細胞を使った脳梗塞に対する細胞移植治療を行うためのtranslational researchである。この研究ではhuman iPS細胞から誘導された神経幹細胞を使った霊長類脳梗塞モデルへの移植実験、移植後のビデオシステムによる行動解析、3T-MRIを使った移植細胞トラッキング、組織学的検討などのPre-clinical studyを行う。また効果のメカニズム解明や研究体制の整備も行い。臨床応用へのシステム作りも行う。脳血管疾患は厚生労働省の人口動態統計における国民年間死亡原因の第3位を長年閉めている。しかも厚生労働省の介護給付費実態調査によると要介護の原因となった疾患の内約3割が脳血管疾患である。脳梗塞後の機能回復のためには細胞移植を行い、細胞を機能させることが必要となる。移植ソースとして有望な細胞としてiPS細胞が挙げられる。この研究ではヒトiPS細胞を使い霊長類モデルへの移植や移植後の行動解析ビデオシステム、3T-MRIを使った、Pre-clinical studyを行う。分化メカニズム解明や骨髄間質細胞由来神経幹細胞を用いた研究も行い。臨床応用へのシステム作りも行う。脳梗塞に対する細胞移植治療を行うためのtranslational researchである。1.マウス脳梗塞モデルを使い、ヒトiPS細胞を分化させて移植を行い。細胞トラッキングを行い、機能回復にどの神経回路が賦活されているのかを解析している。2.ヒトへの応用を目指した骨髄間質細胞を使った再生医療のプロトコールを医の倫理委員会に申請中である。3.再生医療を応用した新規リハビリテーションシステムを開発中である。脳血管疾患は厚生労働省の人口動態統計における国民年間死亡原因の第3位を長年占めている。しかも、厚生労働省の介護給付費実態調査によると要介護の原因となった疾患の内約3割が脳血管疾患であり、特に男性においてはその割合は4割以上と報告されている。脳梗塞に対する再生医療の試みとしては、内因性神経新生を亢進させる方法と細胞移植の二つに大別されるが、内因性神経新生は非常に数が少なく、たとえ亢進できたにしても機能回復をもたらすのには十分でないと考えられる。よって細胞移植が未来の再生医療としては最も有望であると考えられる。今回はヒトiPS細胞より大脳皮質細胞を誘導しラット中大脳動脈閉塞モデルを用いて、梗塞巣の中心に移植を行い移植細胞の生着範囲、分化を組織学的に検討した。ヒトiPS細胞からCcip2陽性ヒト大脳皮質細胞を多く含む神経幹細胞を誘導することが可能となった。この細胞を、マウス脳虚血モデルに移植した。細胞は脳梗塞巣へ移動し生着した。移動した細胞は、コントロールマウス脳より、広範囲に生着した。また、ホストの反応としてはマイクログリアの増勢とオリゴデンドロサイト前駆細胞の増殖が認められた。これらのデータを基に論文執筆中である。ヒトiPS細胞由来神経幹細胞は移植された虚血脳では同側corpus callosum、striatumに広く分布し、成熟神経細胞マーカーにて染色され、神経細胞の分化が示された。行動実験では、移植後2週間では運動学的スコアの改善が得られたが長期経過観察では、有意な改善は得られなかった。臨床研究としては急性期脳卒中患者において、ロボットスーツによる機能再生治療の可能性が示唆されるデータが得られた。1.マウスES細胞をSFEB法で分化させ神経幹細胞のマーカーでFACS sortingを行い、viabilityや回収効率など至適条件を検討する。回収した細胞を脳虚血モデルに移植し腫瘍形成を解析する。また3T-MRIによる個体を生かしたままで腫瘍形成、生着を評価できるシステムを構築している。 | KAKENHI-PROJECT-25293308 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-25293308 |
多能性幹細胞(iPS細胞)を利用した脳梗塞に対する再生医療の開発 | 3.一過性マウス中大脳動脈閉塞モデルを梗塞巣形成後も血流が維持されるモデルとして使用し永久マウス中大脳動脈閉塞モデルと移植細胞の生着範囲、分化を比較検討している。5.臨床応用への準備臨床応用については、細胞の安全性より自己骨髄細胞由来細胞が用いられることが予想される。京都大学医の倫理委員会に臨床応用に向けて、必要なデータをあらかじめ準備しておく必要がある。また、京都大学細胞治療センターとは、自己骨髄細胞の採取や一時培養の可能性について検討を始めている。1.マウス脳梗塞モデルを使い、ヒトiPS細胞を分化させて移植を行い。細胞トラッキングを行い、機能回復にどの神経回路が賦活されているのかを解析し、免疫組織学的に検討する。2.ヒトへの応用を目指した骨髄間質細胞を使った再生医療を開始予定である。3.ロボットを使った新規リハビリテーションシステムにおける神経再生の関与を検討中である。28年度が最終年度であるため、記入しない。脳神経外科学1.カニクイサル中大脳動脈閉塞モデルは以前共同研究者であった国立循環器病センター林らが開発済みである。同モデルは血栓モデルであるため中大脳動脈の永久閉塞モデルとなり長期間の生存は難しい。従って今回の研究では血栓による閉塞ではなく、バルーンによる2時間の閉塞モデルを予定している。バルーン閉塞によると脳梗塞の範囲のばらつきがあるので移植は梗塞の中心である外側線状体に行う予定としているが前年度のラットの実験で変更する可能性がある。移植時期、細胞数と前処理は上記に述べたように行う。2.カニクイサル中大脳動脈閉塞モデルを用いて骨髄間質細胞由来神経幹細胞、iPS細胞由来神経幹細胞の移植実験を行う。3.動物実験を継続しながら、臨床試験導入のPhaseIプロトコール作成を行う。研究は順調に経過している。平成21年度は脳虚血後の血管透過性を左右するmatrix metalloproteinaseの役割を解明するためにその生体内の阻害物質であるtissue inhibitor of metalloproteinase (TIMP)の脳虚血時における役割をそのknockout mouseを用いて行った。その結果、脳虚血後再潅流における血管透過性亢進と神経細胞死にはTIPM-1が強く関わっていることが示されJCBF&M誌に掲載された。また平成22年度は骨髄間質細胞由来の神経幹細胞を脳梗塞巣に移植する実験を行った。骨髄間質細胞にNotch intracellular domain1を導入した神経幹細胞様細胞を一定期間培養し、そのコロニーを、マウス中大脳動脈閉塞モデルの外側線状体に移植した。すると移植細胞は生着し、さらに成熟神経細胞に分化しうることを見いだした。またこの移植後にマウスの行動解析結果に改善が得られること発見し、結果をJCBF&M誌に発表、そして細胞内抗酸化物質であるthioredoxin-1を過剰発現したTRX-1トランスジェニックマウスが、中大脳動脈閉塞による一過性脳虚血再潅流障害に耐性を持つことをBrain Res誌に発表した。 | KAKENHI-PROJECT-25293308 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-25293308 |
自然言語における名詞の分解-名詞の最小構成単位と類別システムとその普遍性の解明- | 本年度は前年度の沖縄語那覇方言の不定語の基本統語構造の研究成果に基づき、日本語と沖縄語那覇方言およびKabiye語の否定極性表現と不定語表現の文法数の比較対照研究を行なった。8月にはトーゴ大学教授のKomlan Essizewa氏を招聘し、約2週間に渡りKabiye語の名詞クラスシステムと否定極性表現の共同研究を行なった。特に否定極性表現等の不定代名詞の統語的分布と意味解釈を詳細に記述し、内部構造を明らかした。研究成果は来年以降、国際学会で発表予定である。9月にはルンド大学石原慎一郎教授と日本語の不定語のプロソディーに関する共同研究を行い、10月から1月にかけて関東出身の日本語話者約30名の協力のもと、録音実験を行なった。未発表のため内容の詳細は差し控えるが、録音データの整理・分析は現在もまだ進行中である。10月にはMITで開催されたWAFL14で沖縄語那覇方言における否定極性表現に関して研究発表を行なった。沖縄語那覇方言の否定極性表現は日本語とは異なり、否定一致表現と否定極性表現の両方の性質を兼ね備えていることを明らかにした。本研究内容は大会プロシーディングズに掲載予定である。1月にはNYCで開催された第93回アメリカ言語学会年次大会において、日本語の不定表現の文法数に関して研究発表を行なった。従来、日本語は文法数の区別がない言語とされてきたが、本研究では疑問詞を除く不定語が単数の指定を持っていることを明らかにした。その内容は大会プロシーディングズに出版された。3月には沖縄語那覇方言における存在量化表現と選言表現および疑問表現のデータ収集と記述を行なった。また本研究課題で研究を進めて来た日本語の不定表現と形容詞の統語構造に関する論考が12月に国際ジャーナル誌Glossaに出版された。日本語の不定語の内部構造の研究および琉球語(沖縄語那覇方言)とGur諸語の不定語/不定代名詞との比較対照研究、共に概ね順調に進展している。研究計画通りで研究課題の推進方策に変更はなく、引き続き日本語、沖縄語、Gur諸語との比較対照研究を行いながら、研究成果を出版していく予定である。本年度は名詞クラス(noun class)システム、性(gender)システム、類別詞(classifier)システムの3システムの中でも名詞クラスシステムの記述研究を行った。まずGur諸語の一つであるBuli語の名詞クラスシステムと名詞クラス代名詞の記述的研究を遂行した。この研究の一部分は5つのGur諸語の話者である5名の言語学者と共に国際学術誌Glossaに共著論文として出版受理された。また一方で、日本語の名詞クラスシステムが不定語システムに限り観察されることから、不定語から不定代名詞が生成される統語・形態プロセスの詳細な研究を行った。この研究では日本語の不定代名詞がすべて不定語の根要素(da-, nani, do, do-等)と名詞クラスを表す要素(-re, -ko, -ti)、及びQ要素(mo, ka)から成り立っていることを明らかにした。これら不定語の根要素のうち、naniは名詞クラスを表す要素を伴わない点で他とは一線を画すが、naniに名詞的用法が欠落していることは決して偶然ではなく、ラベル付け理論により原理的説明が与えられることを明らかにした。この研究はNELS47で発表を行い、proceedingsに掲載予定である。最後に、上記と関連する形でヒトの言語における数を表す名詞(数詞)の構造の研究を行った。数詞は非常に多くの自然言語において等位接続による加算構造を持つことを示し、それらは通常考えられているような原始回帰関数(successor function)のような構造を直接表示するものではなく、他の動物に共通する二つの数認知システムを併合操作により統合したシステムとなっていることを明らかにした。この研究は国際学術誌Frontiers in Psychologyに出版された。Buliの名詞内部句構造、日本語の不定語の内部構造の研究、共に概ね順調に進展している。本年度は前年度の日本語の不定語の統語構造の研究成果に基づき、沖縄語那覇方言の不定語の統語構造の詳細なフィールドワーク研究を行い、日本語との比較対照研究を行なった。未発表のため詳細は避けるが、このフィールドワークでは前年度の日本語の研究で提案した理論的説明の予測が正しいことが沖縄語のデータにより確認された。また、8月にはガーナ大学教授のGeorge Akanlig-Pare氏を招聘し、2週間に渡りBuli語の名詞クラスシステムと否定極性表現の共同研究を行なった。否定極性表現等の不定代名詞の内部構造を明らかにする一方で、Vallduvi (1994)以来影響力のある従来の否定極性表現の分類法が正しくないことを示す証拠を発見し、ACAL49で研究発表を行なった。この論文は来年度以降にproceedingsに掲載予定である。さらに日本語の類別詞と不定語の組み合わせに関する研究を行い、数を表す不定語はnanという独自の要素であること、またこの不定語は非顕在的要素であるNUMBERと結びつき一つの構成素を成していることを主張した。この研究はSnippetsに出版された。前年度出版受理されたGur諸語の主要部内在型関係節内在型関係節の論文が出版された。また前年度NELS47で発表を行なった日本語の不定語の統語構造に関する論文も出版された。 | KAKENHI-PROJECT-16K02645 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-16K02645 |
自然言語における名詞の分解-名詞の最小構成単位と類別システムとその普遍性の解明- | また、日本語の不定語の統語構造に関して複数の招聘講演(日本英文学会、TEAL11、慶応大学、ルンド大学)も行なった。日本語の不定語の内部構造の研究および琉球語(沖縄語那覇方言)とGur諸語の不定語/不定代名詞との比較対照研究、共に概ね順調に進展している。本年度は前年度の沖縄語那覇方言の不定語の基本統語構造の研究成果に基づき、日本語と沖縄語那覇方言およびKabiye語の否定極性表現と不定語表現の文法数の比較対照研究を行なった。8月にはトーゴ大学教授のKomlan Essizewa氏を招聘し、約2週間に渡りKabiye語の名詞クラスシステムと否定極性表現の共同研究を行なった。特に否定極性表現等の不定代名詞の統語的分布と意味解釈を詳細に記述し、内部構造を明らかした。研究成果は来年以降、国際学会で発表予定である。9月にはルンド大学石原慎一郎教授と日本語の不定語のプロソディーに関する共同研究を行い、10月から1月にかけて関東出身の日本語話者約30名の協力のもと、録音実験を行なった。未発表のため内容の詳細は差し控えるが、録音データの整理・分析は現在もまだ進行中である。10月にはMITで開催されたWAFL14で沖縄語那覇方言における否定極性表現に関して研究発表を行なった。沖縄語那覇方言の否定極性表現は日本語とは異なり、否定一致表現と否定極性表現の両方の性質を兼ね備えていることを明らかにした。本研究内容は大会プロシーディングズに掲載予定である。1月にはNYCで開催された第93回アメリカ言語学会年次大会において、日本語の不定表現の文法数に関して研究発表を行なった。従来、日本語は文法数の区別がない言語とされてきたが、本研究では疑問詞を除く不定語が単数の指定を持っていることを明らかにした。その内容は大会プロシーディングズに出版された。3月には沖縄語那覇方言における存在量化表現と選言表現および疑問表現のデータ収集と記述を行なった。また本研究課題で研究を進めて来た日本語の不定表現と形容詞の統語構造に関する論考が12月に国際ジャーナル誌Glossaに出版された。日本語の不定語の内部構造の研究および琉球語(沖縄語那覇方言)とGur諸語の不定語/不定代名詞との比較対照研究、共に概ね順調に進展している。研究計画通りで研究課題の推進方策に変更はないが、新たな方向性として日本語の不定語の統語構造と音韻構造の相関性に関する国際共同研究を行っていくことになった。研究計画通りで研究課題の推進方策に変更はなく、引き続き日本語、沖縄語、Gur諸語との比較対照研究を行う。研究計画通りで研究課題の推進方策に変更はなく、引き続き日本語、沖縄語、Gur諸語との比較対照研究を行いながら、研究成果を出版していく予定である。予定していたGur諸語およびBantu諸語の研究に謝金が発生しなかったため。2018年3月末に行ったACAL49での学会発表の旅費として精算予定である。2018年10月に行ったWAFL14での学会発表の旅費として精算予定である。不定語の統語論とプロソディーに関わる国際共同研究の旅費の一部として使用予定。 | KAKENHI-PROJECT-16K02645 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-16K02645 |
細胞内全遺伝子発現の網羅的1分子解析 | ゲノムが等しい細胞集団における個々の細胞の状態性を探る手段として、細胞内のトランスクリプトーム(全mRNA)、プロテオーム(全タンパク質)の発現量を定量化する技術が近年注目を集めている。研究代表者は昨年、単一の生きた細胞におけるトランスクリプトームとプロテオームの発現量を、1分子レベルの超高感度で、網羅的に定量化する技術を開発することに、世界で初めて成功した(Taniguchi et al.,Science,2010)。当該年度では、開発技術を用いて、大腸菌のパーシスター現象のメカニズムを検証した。抗生物質を細菌群に投与した時、ごくわずかな割合(1,0001,000,000個のうち1個)で、長時間置いても生存し続ける菌個体が存在する。この生き残りの細胞がパーシスターである。これらの菌個体は、通常個体とゲノムが等しいことが示されており、何らかの表現型の違いが影響していると考えられているがが、そのメカニズムは明らかとなっていない。本研究では、このパーシスターに対して1分子・1細胞レベルでのプロテオーム解析を行うことにより、パーシスター表現型形成のメカニズムを明らかにすることを目指した。これを実現するために研究代表者は、パーシスターに対して1分子顕微鏡観察を適用するためのマイクロ流体チップを開発した。このマイクロチップは、(1)1,000個以上の大腸菌を一層に並べて培養でき、(2)パーシスターを発生させるための培地交換を行うための機構を備えており、(3)複数のライブラリに対して並列に培養を行えるという特性を持っている。このため、パーシスター形成過程における複数の遺伝子発現を、同時に1分子レベルで観測することが可能となる。開発したマイクロ流体チップを用いて、現在、約50種類の遺伝子に対しての解析を終了した。今後はさらに約1,000種類の遺伝子に対して解析を進めていく予定である。解析データは近日公開される予定である。膨大な数の遺伝子により制御された複雑な細胞生命。そのメカニズムを包括的に理解することを目指して、遺伝子情報を網羅的に解析するオミックスの技術開発が近年急速に進展している。2003年にヒトゲノムが完全解読され、現在ではゲノム解読の高速化・低価格化が注目を集める一方で、その発現産物であるトランスクリプトームやプロテオームを解析するための技術開発が注目されている。申請者は今年、1分子顕微鏡法を応用することにより、単一生細胞内におけるプロテオームとトランスクリプトームを単一分子感度で検出することに世界で初めて実現した。ひとつひとつの細胞では、内在するmRNAとタンパク質は常に乱雑に変動している。こうした細胞のノイズは、多くの生物プロセスの発現に重要であり、細胞の分化や異質化を誘導したり、環境変化に対する生物種の適応度を高めたりしていると考えられている。申請者は、単一分子・単一細胞プロファイリング技術を用いて、この生物の大きな特徴ともいえる細胞ごとの遺伝子発現の乱雑さをプロテオームおよびトランスクリプトームワイドで定量化し、そのゲノムに共通する様々な性質と、その背景にある物理的法則を明らかにした。本研究で構築した技術とその方法論は、2010年のNature Methods誌において、「1分子生物学とシステム生物学とをつなげる」初めて技術であるとして紹介された。つまり、1分子とシステム両方のレベルからの網羅的分子情報を取得できるこの技術は、複雑な階層性をもつ生命の仕組みを分子・細胞相互のスケールから理解できる手法として期待されている。ひとつひとつの細胞にある分子数の確率的変化を絶対感度で捉えることが可能であるため、様々な生物学的問題にも将来的に応用できる可能性を秘めている。ゲノムが等しい細胞集団における個々の細胞の状態性を探る手段として、細胞内のトランスクリプトーム(全mRNA)、プロテオーム(全タンパク質)の発現量を定量化する技術が近年注目を集めている。研究代表者は昨年、単一の生きた細胞におけるトランスクリプトームとプロテオームの発現量を、1分子レベルの超高感度で、網羅的に定量化する技術を開発することに、世界で初めて成功した(Taniguchi et al.,Science,2010)。当該年度では、開発技術を用いて、大腸菌のパーシスター現象のメカニズムを検証した。抗生物質を細菌群に投与した時、ごくわずかな割合(1,0001,000,000個のうち1個)で、長時間置いても生存し続ける菌個体が存在する。この生き残りの細胞がパーシスターである。これらの菌個体は、通常個体とゲノムが等しいことが示されており、何らかの表現型の違いが影響していると考えられているがが、そのメカニズムは明らかとなっていない。本研究では、このパーシスターに対して1分子・1細胞レベルでのプロテオーム解析を行うことにより、パーシスター表現型形成のメカニズムを明らかにすることを目指した。これを実現するために研究代表者は、パーシスターに対して1分子顕微鏡観察を適用するためのマイクロ流体チップを開発した。このマイクロチップは、(1)1,000個以上の大腸菌を一層に並べて培養でき、(2)パーシスターを発生させるための培地交換を行うための機構を備えており、(3)複数のライブラリに対して並列に培養を行えるという特性を持っている。このため、パーシスター形成過程における複数の遺伝子発現を、同時に1分子レベルで観測することが可能となる。開発したマイクロ流体チップを用いて、現在、約50種類の遺伝子に対しての解析を終了した。今後はさらに約1,000種類の遺伝子に対して解析を進めていく予定である。解析データは近日公開される予定である。 | KAKENHI-PROJECT-10J01005 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-10J01005 |
歯周病原性細菌による上皮間葉転換誘導メカニズムの解明 | 本研究の目的は、根尖性および辺縁性歯周炎に対する新規の創薬・治療戦略の創成を念頭に、歯周病原性細菌が上皮間葉転換(EMT)を促進させる機序について多角的な検討を行うことである。本年度はまず、主要な歯周病原性細菌であるPorphyromonas gingivalisによるEMT誘導の主要シグナル伝達経路の探索、P. gingivalisによって誘導されるEMTが上皮細胞の遊走性に及ぼす影響についての検討、そしてP. gingivalisと他種細菌との混合感染による相互作用についての検討を行った。P. gingivalisが歯肉上皮細胞にEMTを誘導するシグナルを解明するべく、様々なシグナル特異的な阻害剤や主要遺伝子のノックダウン試薬を用いてヒト歯肉上皮細胞株を処理し、代表的なEMT関連転写因子であるZEB2の発現上昇に影響があるかどうかをリアルタイム定量PCRにて検討した。その結果、P. gingivalisによる感染はβ-カテニンシグナルを介してEMTを誘導していることが明らかとなった。また、マトリゲルインベージョンチャンバーを用いた培養による検討の結果、P. gingivalisが感染した歯肉上皮細胞では遊走能の亢進が認められた。さらに、歯肉上皮細胞をP. gingivalisと他の口腔内細菌とを同時に刺激した場合のZEB2の発現についてもリアルタイム定量PCRを用いて検討したところ、代表的な口腔常在菌であるStreptococcus gordoniiと共感染させた際にはP. gingivalisによるZEB2発現誘導が有意に阻害されることがわかった。このような阻害作用は同じく口腔内に観察されるFusobacterium nucleatumとの共感染では認められなかった。P. gingivalisが歯肉上皮に上皮間葉転換を誘導する主要なシグナル経路の同定に成功し、おおむね順調に進展している。今後は、P. gingivalis誘導性EMTの主要シグナル伝達経路について、さらにその分子メカニズムの解明を目指す。具体的には、P. gingivalisによるZEB2の発現上昇を指標として、誘導機構の起始点と、ZEB2発現を直接的に誘導する転写因子の同定を目標とする。本研究の目的は、根尖性および辺縁性歯周炎に対する新規の創薬・治療戦略の創成を念頭に、歯周病原性細菌が上皮間葉転換(EMT)を促進させる機序について多角的な検討を行うことである。本年度はまず、主要な歯周病原性細菌であるPorphyromonas gingivalisによるEMT誘導の主要シグナル伝達経路の探索、P. gingivalisによって誘導されるEMTが上皮細胞の遊走性に及ぼす影響についての検討、そしてP. gingivalisと他種細菌との混合感染による相互作用についての検討を行った。P. gingivalisが歯肉上皮細胞にEMTを誘導するシグナルを解明するべく、様々なシグナル特異的な阻害剤や主要遺伝子のノックダウン試薬を用いてヒト歯肉上皮細胞株を処理し、代表的なEMT関連転写因子であるZEB2の発現上昇に影響があるかどうかをリアルタイム定量PCRにて検討した。その結果、P. gingivalisによる感染はβ-カテニンシグナルを介してEMTを誘導していることが明らかとなった。また、マトリゲルインベージョンチャンバーを用いた培養による検討の結果、P. gingivalisが感染した歯肉上皮細胞では遊走能の亢進が認められた。さらに、歯肉上皮細胞をP. gingivalisと他の口腔内細菌とを同時に刺激した場合のZEB2の発現についてもリアルタイム定量PCRを用いて検討したところ、代表的な口腔常在菌であるStreptococcus gordoniiと共感染させた際にはP. gingivalisによるZEB2発現誘導が有意に阻害されることがわかった。このような阻害作用は同じく口腔内に観察されるFusobacterium nucleatumとの共感染では認められなかった。P. gingivalisが歯肉上皮に上皮間葉転換を誘導する主要なシグナル経路の同定に成功し、おおむね順調に進展している。今後は、P. gingivalis誘導性EMTの主要シグナル伝達経路について、さらにその分子メカニズムの解明を目指す。具体的には、P. gingivalisによるZEB2の発現上昇を指標として、誘導機構の起始点と、ZEB2発現を直接的に誘導する転写因子の同定を目標とする。当初参加を予定していた海外学会に参加しなかったため、学会参加費と旅費が不要であった。また、シークエンス解析費用が少なく済んだため。次年度は現在準備中の英語論文の英文校正費に支出予定である。また,国内外の学会にも参加予定である。 | KAKENHI-PROJECT-18K17066 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-18K17066 |
ナノ結晶化アルミニウム合金の低温・高速超塑性特性とその粒径依存性に関する研究 | 今年度は2024A1基粉末合金の組織微細化と高速超塑性特性について研究し,以下の結論が得られた.1.2024A1-3Fe-5Ni急冷凝固粉末(RS)の微細結晶粒組織を有するバルク材を得る方法として,(a)RS粉末の押出し(押出し温度:623723K,押出し比:10)→温間圧延(圧延温度:523623K,圧延率:55%),及び(b)RS粉末のMA(MA時間:0.543hr)→温間圧粉(圧粉温度:673K),の2種類で検討した.その結果,適切な固化成形条件の付加によって,RS材,MA材でそれぞれ約700nmと200nmの極めて微細な等軸微細粒組織が得られた.また,MA2024-SiCp複合材でも微細組織が得られた.2.RS材の破断伸び,および応力のひずみ速度依存性の測定の結果,773Kで,初期ひずみ速度3×10^<-2>10s^<-1>の範囲でm値が0.3以上,また最大約300%の破断伸びが得られ高速超塑性を示すことが分かった.3.MA材でも約5s^<-1>以上で約0.3の高いm値を示す.しかしそれ以下のひずみ速度領域ではm値は著しく低く,直線外挿法で見積もったしきい応力の値は,それぞれ約5MPaと16MPaでMA材の結晶粒組織が微細であるにもかかわらず,しきい値は大きい事が分かった.4.MAによって導入されたAl_2O_3やAl_4C_3微細粒子は結晶粒微細化に役立つが,しきい応力増大の要因となる事が結論された.今年度は2024A1基粉末合金の組織微細化と高速超塑性特性について研究し,以下の結論が得られた.1.2024A1-3Fe-5Ni急冷凝固粉末(RS)の微細結晶粒組織を有するバルク材を得る方法として,(a)RS粉末の押出し(押出し温度:623723K,押出し比:10)→温間圧延(圧延温度:523623K,圧延率:55%),及び(b)RS粉末のMA(MA時間:0.543hr)→温間圧粉(圧粉温度:673K),の2種類で検討した.その結果,適切な固化成形条件の付加によって,RS材,MA材でそれぞれ約700nmと200nmの極めて微細な等軸微細粒組織が得られた.また,MA2024-SiCp複合材でも微細組織が得られた.2.RS材の破断伸び,および応力のひずみ速度依存性の測定の結果,773Kで,初期ひずみ速度3×10^<-2>10s^<-1>の範囲でm値が0.3以上,また最大約300%の破断伸びが得られ高速超塑性を示すことが分かった.3.MA材でも約5s^<-1>以上で約0.3の高いm値を示す.しかしそれ以下のひずみ速度領域ではm値は著しく低く,直線外挿法で見積もったしきい応力の値は,それぞれ約5MPaと16MPaでMA材の結晶粒組織が微細であるにもかかわらず,しきい値は大きい事が分かった.4.MAによって導入されたAl_2O_3やAl_4C_3微細粒子は結晶粒微細化に役立つが,しきい応力増大の要因となる事が結論された. | KAKENHI-PROJECT-08242209 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-08242209 |
原始古代埋葬姿勢の比較考古学的研究-日本及び旧世界の事例を中心に- | 死者の埋葬姿勢については、好適な埋蔵環境のもとではほぼ普遍的に得られる考古学的情報であるにもかかわらず、これまでに本格的な研究対象となることは少なかった。埋葬に関する観念が個々人の恣意ではなくある種の社会的規範の中から生ずるものであるなら、埋葬姿勢という情報から当事者たちが属した集団や社会の特徴を探るアプローチが可能になるであろう。本研究ではこのような立揚にたって、原始古代葬.制にかんする諸要素の中でも本格的な考察が遅れている埋葬姿勢について、日本、東アジア、ヨーロッパ・中近東の事例の比較研究を行い、次のような成果を得た。1.日本列島では縄文時代には屈葬が一般的であったが、弥生時代開始期に大陸文化の影響を受けて伸展葬への変化が始まり、国家形成期の古墳時代には伸展葬が広く普及した。縄文的な屈肢は死者の再帰迷走を防ぐ観念と関係ある可能性が高いから、弥生時代の過渡期を経て古墳時代に伸展葬が完了していく背景には、日本列島における文明化の進展によって死生観が大きく変化したことが考えられる。伸展葬に転換する時期は、伊勢湾岸付近を境にして東西差が認められる。東日本の縄文的な観念や伝統の強さを示すものと考えた。2.縄文時代と同時期の東アジア大陸部では伸展葬が主流を占めている。縄文時代の古い段階において、大陸ではなく南島地域から屈葬を伴う文化的影響を受けた可能性を指摘し、縄文文化の系譜論にあらたな分析視点を提供した。3.新石器時代においてヨーロッパでは屈葬が主流を占めるのに対して、中国では伸展葬が多数派となっており、ユーラシア大陸の東西で埋葬姿勢にかんする大きな地域差が存在しいることを指摘した。これまでにまったく研究対象になっていない知見であり、その背景を追求していく必要性を提起した。死者の埋葬姿勢については、好適な埋蔵環境のもとではほぼ普遍的に得られる考古学的情報であるにもかかわらず、これまでに本格的な研究対象となることは少なかった。埋葬に関する観念が個々人の恣意ではなくある種の社会的規範の中から生ずるものであるなら、埋葬姿勢という情報から当事者たちが属した集団や社会の特徴を探るアプローチが可能になるであろう。本研究ではこのような立揚にたって、原始古代葬.制にかんする諸要素の中でも本格的な考察が遅れている埋葬姿勢について、日本、東アジア、ヨーロッパ・中近東の事例の比較研究を行い、次のような成果を得た。1.日本列島では縄文時代には屈葬が一般的であったが、弥生時代開始期に大陸文化の影響を受けて伸展葬への変化が始まり、国家形成期の古墳時代には伸展葬が広く普及した。縄文的な屈肢は死者の再帰迷走を防ぐ観念と関係ある可能性が高いから、弥生時代の過渡期を経て古墳時代に伸展葬が完了していく背景には、日本列島における文明化の進展によって死生観が大きく変化したことが考えられる。伸展葬に転換する時期は、伊勢湾岸付近を境にして東西差が認められる。東日本の縄文的な観念や伝統の強さを示すものと考えた。2.縄文時代と同時期の東アジア大陸部では伸展葬が主流を占めている。縄文時代の古い段階において、大陸ではなく南島地域から屈葬を伴う文化的影響を受けた可能性を指摘し、縄文文化の系譜論にあらたな分析視点を提供した。3.新石器時代においてヨーロッパでは屈葬が主流を占めるのに対して、中国では伸展葬が多数派となっており、ユーラシア大陸の東西で埋葬姿勢にかんする大きな地域差が存在しいることを指摘した。これまでにまったく研究対象になっていない知見であり、その背景を追求していく必要性を提起した。本年度は3年計画の研究の第一年目であり、日本の遺跡における埋葬事例の収集を中心に行った。福永が近畿・東日本、岡村が畿内地域、清家が中国九州・小児埋葬をおもに担当し、作業は各分担研究者が継続的に進めた。日本の事例については90%を資料化するという今年度の当初の目標からはやや遅れ気味であるので次年度でペースをあげる必要があるが、現時点でも弥生時代における埋葬姿勢の変化には地域的な遅速が認められることを把握できている。埋葬姿勢にかんする外国の研究事例や研究方法論の調査のために、岡村、清家の2名が9月にイギリスに赴いた。遺跡を踏査し現地の関係者と情報交換をおこなった結果、欧米では埋葬姿勢という考古学情報が本格的には研究対象として扱われていないこと、それゆえに本計画があらたな葬制研究の視点を開拓できるという見通しを得ることができた。また、この間に日本を訪問した韓国、中国などの東アジア圏の研究者とも当該研究の現状について情報交換を行う機会を持ち、同様の見通しを得た。方法論的には膝と肘の屈曲度を数値化する方法がもっとも有効であると判断できたので、これを次年度以降の資料収集の基本方針としたい。このほかに、国内では墳墓遺跡、出土遺物、出土人骨などの実地調査をおこなった。本年度は研究の第2年目であり、引き続き内外の墓葬資料の収集にあたるとともに、埋葬姿勢の地域的、時期的比較をおこなった。代表者福永伸哉は、日本列島において全体としては弥生時代中期から後期に屈肢葬から伸展葬へとおおきな変化が見られるが、関西以西の西日本では弥生後期にはほぼ進展化が達成されるのに対して、伊勢湾岸以東の東日本では弥生後期にも依然として屈肢の習俗が根強く残るという差異を明らかにしつつある。大陸の葬法である伸展葬と縄文的な葬法である屈肢 | KAKENHI-PROJECT-16520461 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-16520461 |
原始古代埋葬姿勢の比較考古学的研究-日本及び旧世界の事例を中心に- | 葬が弥生後期にはほぼ伊勢湾付近を境にして対峙することを示しており、その背後には大陸の文化要素や死生観に対する受容度合いの違いが横たわっていると推定した。このことは弥生文化の諸要素に見られる「東西差」ともかかわっている可能性が高いという見通しを持っている。また、福永は先島諸島の墓葬遺跡の現地調査も行い、当地では貝塚時代後期にも屈肢葬をおこなっている事例が多いことに注目した。根強い屈肢の伝統が南島地域に残っている可能性を示唆しており、日本列島の縄文時代の屈葬の系統を探る手がかりの一つになると推定している。これらの成果は、平成18年中に論文として公表される予定であるが、掲載誌の刊行時期がなお明確ではないので、本年度の成果論文の欄には示していない。岡村勝行、清家章は、韓半島の墓葬遺跡の事例を現地調査するとともに現地研究者と意見交換をおこない、韓半島においては当該研究がほとんどおこなわれていないこと、韓半島と倭の文化系統をとらえる場合に有効な視点となるであろうことなどを理解した。また、岡村は欧米における当該テーマの研究史について、清家は古墳時代後期における性別と葬法の相関関係についてそれぞれ検討を進めた。今年度は研究計画の第3年目であり、研究を総括する年であった。過去2年間にわたって収集した日本及び旧大陸の埋葬姿勢に関する事例資料について、代表・分担研究者間で議論を行った。まず、福永は日本列島の縄文から弥生時代の埋葬姿勢変化に関して考察した。弥生前期初頭に西日本で朝鮮半島からの人の渡来を含む大陸文化の影響のもとに、伸展葬の事例が一時的に増加するが、その後弥生中期前半になるとふたたび屈肢傾向が復活する過程を明らかにし、同時期の土器や石器など他の文化要素とも比較しながら縄文的な「揺り戻し」現象が生じたことを埋葬姿勢の面から指摘した。さらに弥生中期後葉以降に西日本では本格的な伸展葬化が進行するのに対して、伊勢湾以東ではそれが明確に遅れることを見いだし、縄文的要素の根強い残存という点で日本東西の大きな地域性が存在するととらえた。清家は、中四国以西の埋葬姿勢の変遷を整理するとともに、合葬や遺体改変といった特異な埋葬の出現背景を考察した。さらに、古墳文化境界域である南九州から薩南諸島にかけての埋葬姿勢と近畿地方の埋葬姿勢を比較して、その地域性を明確にした。岡村は、ヨーロッパ先史時代の埋葬姿勢を広く見渡し、現地研究者との情報交換をふまえて、時期的変化や文化による類似点・相違点について考察した。なお、この作業過程で岡村、清家は、韓半島の墓葬遺跡の事例を現地調査するとともに現地研究者と意見交換をおこない、韓国における関連研究事例を収集した。本研究では予想以上に膨大かつ多様な資料群を取り扱わなくてはならず、研究成果が特定の論点に収斂できたとはかならずしもいえないが、埋葬姿勢研究の有効性について多くの問題提起を行うことができたと考える。なお、成果報告書として各研究者の考察と基礎資料の集成を掲載した冊子を作成した。 | KAKENHI-PROJECT-16520461 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-16520461 |
ヘテロダイマー構築による水溶性PQQグルコース脱水素酵素の反応機構の解明 | 本年度の研究として以下の研究を遂行した。それぞれのサブユニットに異なる変異が導入された変異ヘテロダイマーの作製と特性検討昨年度までに最適化を行なったヘテロダイマーの作製方法を利用し、基質結合に関与する残基、Asp167をGluに置換することにより基質特異性が改良された変異酵素Asp167Gluを一つのサブユニットとして固定し、様々な変異酵素のサブユニットとのヘテロダイマーの構築を行なった。基質特異性を狭める変異が一方のサブユニットに導入されたヘテロダイマーの特性検討の結果、同変異が導入されたホモダイマーでみられるグルコース選択性は観察されず、逆に親変異酵素のホモダイマーよりも基質特異性が広がっていた。このことから基質特異性を狭めるこの変異の効果は両方のサブユニットの同じ残基に変異が導入されることで初めて発揮されうるものであるということが示唆された。そこでこの示唆に基づき、双方のサブユニットにAsp167Gluの変異が導入され、さらに一方に異なる変異が導入されたサブユニットからなるヘテロダイマーを作製し特性検討を行なった。その結果、Asp167Gluホモダイマーでみられた優れた基質特異性が示された。これらの結果よりPQQGDH-Bの活性部位はダイマー化により完成するということが提唱できる。これは作製したヘテロダイマーすべてが酵素活性を示すこと、さらに不活性型のサブユニットとのヘテロダイマーが酵素活性を示すことから。また、サブユニットの一方に基質特異性を狭める変異を導入しても予想される基質特異性が発揮されなかったことから、本酵素の基質認識を支配する基質結合ポケットの構造は、それぞれのサブユニット単独の三次構造により決定されるのではなく、両サブユニットの相互作用の結果構成されるものと推察された。本年度の研究として以下の研究を遂行した。(1)変異酵素を用いたヘテロダイマーの構築と特性検討昨年度までに最適化を行なったヘテロダイマーの作製方法を利用して基質親和性の異なる変異酵素、基質特異性の異なる変異酵素など様々なヘテロダイマーの構築に成功した。これらの特性検討の結果、ホモダイマーでは優れた基質特異性を示していた変異酵素が異なる変異を有するサブユニットとヘテロダイマー化することでその特性が失われた。この傾向は他のヘテロダイマーにおいても観察されており、本酵素のダイマー化が活性部位、基質結合部位の形成に大きく関与していることを裏付けることができた。またこのようにヘテロダイマーを作製していくことでサブユニットあたりの部位特異的変異導入の効果を評価できることが示唆された。(2)活性型/不活性型ヘテロダイマーの構築と特性検討本酵素の触媒残基に変異を導入することで得られた不活性型酵素を用いて、野生型とのヘテロダイマーの構築をすすめた。構築されたヘテロダイマーは酵素活性を示し、一方のサブユニットの活性の有無に関係なく酵素活性が示されることが明らかとなった。またkcat/Kmで表される本酵素の触媒効率はホモダイマーの約65%の値を示し、この値はサブユニット単体の触媒効率を示すものと考えられた。さらに解析をすすめるにつれて野生型が示す協同性効果が解消されていることが認められ、このことから本酵素の反応機構で不明確であった反応経路に関して新たな知見が得られた。本年度の研究として以下の研究を遂行した。それぞれのサブユニットに異なる変異が導入された変異ヘテロダイマーの作製と特性検討昨年度までに最適化を行なったヘテロダイマーの作製方法を利用し、基質結合に関与する残基、Asp167をGluに置換することにより基質特異性が改良された変異酵素Asp167Gluを一つのサブユニットとして固定し、様々な変異酵素のサブユニットとのヘテロダイマーの構築を行なった。基質特異性を狭める変異が一方のサブユニットに導入されたヘテロダイマーの特性検討の結果、同変異が導入されたホモダイマーでみられるグルコース選択性は観察されず、逆に親変異酵素のホモダイマーよりも基質特異性が広がっていた。このことから基質特異性を狭めるこの変異の効果は両方のサブユニットの同じ残基に変異が導入されることで初めて発揮されうるものであるということが示唆された。そこでこの示唆に基づき、双方のサブユニットにAsp167Gluの変異が導入され、さらに一方に異なる変異が導入されたサブユニットからなるヘテロダイマーを作製し特性検討を行なった。その結果、Asp167Gluホモダイマーでみられた優れた基質特異性が示された。これらの結果よりPQQGDH-Bの活性部位はダイマー化により完成するということが提唱できる。これは作製したヘテロダイマーすべてが酵素活性を示すこと、さらに不活性型のサブユニットとのヘテロダイマーが酵素活性を示すことから。また、サブユニットの一方に基質特異性を狭める変異を導入しても予想される基質特異性が発揮されなかったことから、本酵素の基質認識を支配する基質結合ポケットの構造は、それぞれのサブユニット単独の三次構造により決定されるのではなく、両サブユニットの相互作用の結果構成されるものと推察された。 | KAKENHI-PROJECT-01J09178 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-01J09178 |
MHCクラスI認識受容体による細胞傷害性T細胞活性調節機構の解明 | 本研究では、がん細胞の拒絶や臓器移植片の生着において重要な役割を担う細胞傷害性T細胞の活性調節について、その機能調節に関わるMHCクラスI認識受容体に注目し、その分子機構の一端を解明した。本研究成果は、がんや移植治療のみならず、細胞傷害性T細胞が関与する免疫病全般に対する新たな治療法開発に向けた重要な知見を提供するものと考えられる。本研究では、がん細胞の拒絶や臓器移植片の生着において重要な役割を担う細胞傷害性T細胞の活性調節について、その機能調節に関わるMHCクラスI認識受容体に注目し、その分子機構の一端を解明した。本研究成果は、がんや移植治療のみならず、細胞傷害性T細胞が関与する免疫病全般に対する新たな治療法開発に向けた重要な知見を提供するものと考えられる。本研究は、MHCクラスI認識受容体PIR/LILRによる細胞傷害活性T細胞の活性調節方法を見出し、ガン、ウイルス感染、臓器移植などにおける新規治療法開発を目的としている。平成21年度の研究として、MHCクラス1とPIR-Bの結合に介在し、細胞傷害性T細胞の活性を調節し得る因子の探索を行った。その中で、PIR-Bとの結合を示したneurite outgrowthinhibitor 66peptide(Nogo66)およびMyelin associated glycoprotein(MAG)について解析を進めている。NogoおよびMAGは脳神経系細胞において発現が認められているタンパク質だが、最近になってPIR/LILRとの結合が認められ、脳神経の可塑性の制御に関わることが示唆されている。本研究においては、免疫系細胞である細胞傷害性T細胞の活性調節にNogo66またはMAGタンパク質が介在可能であることを想定し、解析を進めている。現在のところ、Nogo66-Fc融合タンパク質およびMAG-Fc融合タンパク質を用いたin vitroの実験において、これらのタンパク質がPIR-Bを介して細胞内に抑制シグナルを入力していると見られる傍証データを得ている。すなわち、Nogo66-FcおよびMAG-Fcタンパク質を用いることで、細胞内抑制シグナルの増強にともなう免疫寛容を誘導できる可能性がある。マウス個体を用いた移植実験において効果が認められれば、移植医療における新たな治療法につながることが期待できる。また、Nogo66/MAGとPIR-Bとの結合がMHCクラスIとPIR-Bとの結合を阻害しうるのであれば、細胞傷害性T細胞上のCD8分子とT細胞受容体がMHCクラスIを認識しやすくなると考えられ、細胞傷害活性の増強につながることが期待できることから、癌または慢性ウイルス感染などにおける新規治療法開発としての重要な知見が得られる可能性がある。本研究は、MHCクラスI認識受容体PIR/LILRによる細胞傷害性T細胞(CTL)の活性調節方法を見出し、ガン、ウイルス感染、臓器移植などにおける新規治療法開発を目的としている。平成21年度の研究では、MHCクラスIとPIR-Bの結合に介在しCTLの活性を調節し得る因子の探索で、neurite outgrowthinhibitor 66 peptide (Nogo66)およびMyelin associated glycoprotein (MAG)に至り、これらのタンパク質がPIR-Bを介して細胞内に抑制シグナルを入力していると見られるデータを得た。Nogoは神経系タンパク質であり、これまで免疫系細胞との接点は全く知られていなかったことから、平成22年度の研究において、Nogoの免疫系における発現と機能について解析を行った。その結果、免疫系細胞においてもNogoの発現が認められ、なおかつ、Nogo欠損CTLは野生型CTLに比べて活性化が減弱することが判明した。すなわち、NogoはPIR-Bとの結合を介してCTLの活性制御に関与していると考えられ、PIR-Bを中心としたNogoおよびMHCクラスI両リガンドによるCTL調節システムの存在が伺える。Nogo66-FcおよびMAG-Fcタンパク質を用いることで、細胞内抑制シグナルの増強にともなう免疫寛容を誘導できる可能性があり、マウス個体を用いた移植実験において効果が認められれば、移植医療における新たな治療法につながることが期待できる。また、Nogo66/MAGとPIR-Bとの結合がMHCクラスIとPIR-Bとの結合を阻害し得るのであれば、CTL上のCD8分子とT細胞受容体がMHCクラスIを認識し易くなると考えられ、細胞傷害活性の増強につながることが期待できることから、癌またはウイルス感染などにおける新規治療法開発に向けた重要な知見となり得る。 | KAKENHI-PROJECT-21790458 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-21790458 |
超流動ヘリウム4量子渦の慣性質量と波動の研究 | 本研究では、超流動ヘリウムの量子渦について、そのユニークな性質を利用することで、量子渦の運動を実験的に研究し、以下の成果を得た。(1)物体の振動によって超流動ヘリウムに生成される量子渦輪は、ランダムに飛行する。(2)渦輪の飛行速度から見積もられる渦輪の直径は、0.21μmと分布する。この結果は、大きな渦輪から小さな渦輪へのカスケードが起こることを示している。(3)渦輪は点源から等方的に放出される。(4)生成される渦輪の直径は、振動振幅程度以下に制限される。(5)振動球のシミュレーションでは、渦輪の放出が異方的である。(6)量子渦波動の直接観測には、渦の付着制御の確立が必要である。本研究では、超流動ヘリウムの量子渦について、そのユニークな性質を利用することで、量子渦の運動を実験的に研究し、以下の成果を得た。(1)物体の振動によって超流動ヘリウムに生成される量子渦輪は、ランダムに飛行する。(2)渦輪の飛行速度から見積もられる渦輪の直径は、0.21μmと分布する。この結果は、大きな渦輪から小さな渦輪へのカスケードが起こることを示している。(3)渦輪は点源から等方的に放出される。(4)生成される渦輪の直径は、振動振幅程度以下に制限される。(5)振動球のシミュレーションでは、渦輪の放出が異方的である。(6)量子渦波動の直接観測には、渦の付着制御の確立が必要である。超流動ヘリウム(^4He)の渦の量子化の発見から半世紀がたつが、渦の慣性質量や波動といった動的な性質は、いまだ明らかになっていない。それは、渦芯が0.1nmと大変細く、渦の運動を観測する手段がなかったためである。我々は、超流動ヘリウムの量子渦が境界(壁)に付着し、境界の振動に伴って量子渦も運動することを発見した。この量子渦のユニークな性質を利用し、渦の線形・非線型運動を実験的に明らかにすることを目的としている。本研究を遂行するにあたって、量子渦の運動検出装置の開発と、量子渦の付着制御法の確立を必要とする。本年度の主な研究実績は以下のとおりである。1.量子渦の運動検出装置として振動ワイヤ法を開発した。量子渦を振動ワイヤに付着させ振動することにより、量子渦の運動を検出する。運動の高感度検出のために、極微細超伝導線を開発した。これにより量子渦運動の検出性能試験を行い、線形運動から非線形運動への移り変わりを検出した。さらなる性能評価により、運動検出の感度を上げる。2,量子渦の付着制御法を確立し、渦の付着しない振動ワイヤの製作に成功した。これにより超流動中を飛行する量子渦(渦環)の検出を可能にした。この成果を基に、量子渦環の飛行速度の測定に、世界で初めて成功した。3.ワイヤの振動によって起こる量子渦環の非線形運動が、量子渦環を生成することを発見した。2の量子渦環の飛行速度測定から、生成される量子渦環のサイズや飛行方向の分布を調べることで.非線形運動を明らかにできると期待される。超流動ヘリウム4の渦の量子化の発見から半世紀がたつが、渦の慣性質量や波動といった動的な性質は、いまだ明らかになっていない。それは、超流動ヘリウム渦の渦芯が0.1 nmと大変細く、渦の運動を観測する手段がほとんどなかったためである。我々は、超流動ヘリウム量子渦が境界(壁)に付着し、境界の振動に伴って量子渦も運動することを発見した。この量子渦のユニークな性質を利用し、渦の線形・非線形波動を実験的に明らかにすることを目的としている。本年度の主な研究実績は以下のとおりである。1.我々は、量子渦の非線形波動と渦間の再結合によって、量子渦輪が放出されることを明らかにした。渦輪の飛行検出装置を開発し、放出される渦輪の飛行速度とその頻度から、量子渦の運動状態を研究した。放出される渦輪のサイズは分布し、振動によって誘起される線形波動の波長と比べ、2桁小さいサイズの渦輪が放出されていることを発見した。2.放出される渦輪のサイズ分布を調べるために、渦輪の飛行検出装置を改良した。予備的な実験から、放出される渦輪の最大サイズは、波動を誘起する振動物体の振動振幅に匹敵することを示唆する結果を得た。この結果と1の結果は、非線形波動によって生成される渦輪サイズが2桁以上にわたって分布することを示唆している。超流動ヘリウム(4He)の渦の量子化の発見から半世紀がたつが、渦の慣性質量や波動といった動的な性質は、いまだ明らかになっていない。それは、渦芯が0.1 nmと大変細く、渦の運動を観測する手段が少なかったためである。我々は、超流動ヘリウムの量子渦が境界(壁)に付着し、境界の振動に伴って量子渦も運動することを発見した。この量子渦のユニークな性質を利用し、渦の線形・非線形波動を実験的に明らかにすることを目的としている。本年度の主な研究実績は以下のとおりである。1.我々はこれまでの研究で、量子渦の波動から量子渦環が放出されることを明らかにしてきた。この成果を踏まえ渦環の飛行検出装置を開発し、渦環の飛行速度と放出頻度から量子渦の運動状態を研究した。 | KAKENHI-PROJECT-23340108 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-23340108 |
超流動ヘリウム4量子渦の慣性質量と波動の研究 | 放出される渦環は、境界の振動周波数で予想される波長サイズの渦環よりも、2桁以上速い速度のものまで分布することを明らかにした。この結果は、量子渦の振動運動によって渦に誘起する波長よりも2桁以上小さい渦環が生成されていることを示しており、量子渦の非線形運動を示す直接的な結果である。これらの成果は、物理学の著名な学術雑誌Physical Reviewに掲載され、優秀な研究に贈られるEditors' Suggestionを取得するに至った。2.量子渦の線形・非線形波動を検出する装置として振動ワイヤ法を開発し、量子渦を振動ワイヤに付着させ振動させることにより、量子渦の運動検出を試みた。その結果、ワイヤの速い振動によって起こる抗力の発生から、量子渦の非線形運動を検出した。しかし線形波動を検出するまでには至らなかった。原因として、線形運動を検出するに十分な感度がないことが考えられる。これらの結果から線形運動を検出するためには、付着量子渦の数を増やすことと、より高感度な波動検出器が必要であることがわかった。超流動ヘリウム(4He)の渦の量子化の発見から半世紀がたつが、渦の慣性質量や波動といった動的な性質は、いまだ明らかになっていない。それは、渦芯が0.1 nmと大変細く、渦の運動を観測する手段が少ないためである。我々は、超流動ヘリウムの量子渦が境界(壁)に付着し、境界の振動に伴って量子渦が運動することを発見した。本研究では、この量子渦のユニークな性質を利用し、渦の線形・非線型波動を実験的に研究する。本年度の主な研究実績は以下のとおりである。1.我々はこれまでの研究から、量子渦が付着する境界の速い振動により、渦に波動が誘起され、渦が成長し、渦間の再結合により渦環が生成されることを明らかにした。境界として極微細超伝導線(直径2μm)を用い、その振動方向とそれと垂直方向について放出される渦環を検出し、放出渦環のサイズ分布とそのサイズの放出頻度を調べた。直径が10μmと40μmの渦環の放出頻度を比べると、同じ乱流生成パワーに対して、10μmの渦環の放出頻度が1桁以上多い。またこれらのサイズの渦環は、垂直方向への放出が振動方向に比べより低パワーで始まり、放出頻度も多い。これは渦の波動を考察する上で重要な示唆を与える。2.我々は、境界の振動によって誘起される渦の波動と生成される渦環の運動を、数値シミュレーションにより調べた。シミュレーションの制限から振動境界として球(直径2μm)を使用し、また量子渦を太さのない糸と近似し、超流動流れ場に対する量子渦の運動をすべて考慮するフルビオサバール法により、シミュレーションを行った。これにより、振動方向への渦環飛行の頻度は垂直方向に比べ多くなることを明らかにした。これは実験結果と異なり、境界の形状の違いが渦環生成に影響を与えることを示している。26年度が最終年度であるため、記入しない。超低温物理学26年度が最終年度であるため、記入しない。当初の計画どおり実験装置の開発・製作をおこなった。また製作した一部の装置について性能試験をおこない、期待された結果が得られた。当初の計画どおり実験装置の開発・製作をおこない、非線形波動について期待される成果が得られた。研究期間の前半に得られた成果は、物理学の著名な学術雑誌Physical Reviewに掲載され、優秀な研究に贈られるEditors' Suggestionを取得するに至った。これらの成果を基に後半の計画に着手し、予備的な実験ではあるが、期待される成果を得ている。 | KAKENHI-PROJECT-23340108 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-23340108 |
高精細MRI画像情報に基づくより高度な歯科臨床の確立 | 本研究は、高精度な核磁気共鳴画像(Magnetic resonance imaging: MRI)を用いてより詳細な解剖学的構造を描出することを目指しており、その結果得られる画像を歯科臨床へ応用していくことを目的としている。平成28年度に解析したMRIは、原則として造影剤を用いたものに症例を限定しており、この条件下では、下歯槽神経脈管束の描出能がCT以上であり、CTで下顎管の同定が不可能な症例でも、MRIと融合画像を形成することにより、その3次元的な位置関係が把握できることを示した。しかしながら、歯科臨床への応用ー具体的には歯科用インプラントの術前診査や埋伏智歯の抜歯など、を考慮したとき、下歯槽神経脈管束を同定する目的に対する造影剤の使用は、その使用の正当性、経済的なコスト、患者副作用の可能性、腎機能低下患者への不適応など、さまざまな問題があり、容易に活用できない恐れが想起された。仮に、造影剤を用いない単純MRIでの下歯槽神経脈管束の描出能が造影MRIに大きく劣ることがなければ、単純MRI検査の方が適用範囲が広がり、コストも下がることから、平成29年度は、単純MRIによる下歯槽神経脈管束の描出能について検討を行った。結果として、単純MRIでの下歯槽神経脈管束の描出能は、造影MRIと比較して非劣勢であり、同等の能力を持つことが明らかとなった。平成30年度は、これまでの結果について、学会発表を行うとともに、論文発表を行なった。これにより、今後は、CTで下顎管の同定が難しい症例については、単純MRI検査の追加が推奨されるエビデンスが提供された。CTとMRIの画像融合により、歯と骨の情報はCTから、下歯槽神経脈管束はMRI画像からの情報を歯科臨床に生かすことが期待される。本研究は、高精細MRIを用いて解剖学的構造を描出するという当初の計画を実現した。その結果、CTで下顎管を指摘できない症例に対して、MRIの融合画像を用いることにより、その局在を明らかにできるようになった。また、従来、歯科用コーンビームCTで観察された二分下顎管や下顎骨内の栄養管の描出について、MRI画像の新たな活用法を提供した。これらの点で当初の計画以上にす進展していると判断される。当研究費については、学会での発表をするために、2019年度までの延長の手続きを行った。これまでに得られた研究成果について国際的に発表する予定である。また、さらに高精細にMRI画像の追求のため、より高精細な画像を取得できるとされる歯科用MRIコイルを調達すべく、新たな科学研究費への申請を行っている段階である。本研究は、高精細な核磁気共鳴画像(Magnetic resonance imaging: MRI)を用いてより詳細な解剖学的構造を描出することを目指しており、その結果得られる画像を歯科臨床への応用していくことを目的としている。平成28年度においては、過去に高精細撮像された画像をretrospectiveに収集し、下歯槽神経脈管束(Neuro vascular bundle: NVB)の描出能と、同時期に撮影された同一の患者の高精細Computed tomography (CT)画像とを比較した。結果として、高精細撮像MRIにおけるNVBは、CTにおける下顎管よりも有意に高い描出能を持つことを明らかにした。さらに、上記MRIとCT画像から、あらたに融合画像(fusion image)を作成し、MRI上のNVBとCT画像上の下顎管との直接的な位置の比較を行い、のNVBは例外なく下顎管内に描出されることを確認した。このことは、従来CT画像上で下顎管が描出できなかった症例に対して、MRIがその同定を可能にすることを意味しており、画期的な結果といえる。一方で、MRI画像の限界も明らかになった。NVBの描出能力は高いものの必ずしも100%ではなく、症例によっては、モーションアーチファクトや金属アーチファクトにより、NVBが描出されないものも存在した。いずれもアーチファクトの低減に技術的なアプローチが可能であり、そうした面での検討も今後の研究計画に含めるべきかもしれない。また、本研究の最終的な目標である、prospectiveな画像評価や、その臨床応用については、まだ実現しておらず、今後も慎重かつ確実な研究の推進が求められる。本研究は、平成28年度に初められた研究ではあるが、すでに学会発表を3回、論文が3本受理されていることから、進捗は当初の計画以上に進展していると判断される。しかしながら、当初予定されていた、歯科用MRI受信コイルの入手ができていなかったり、計画された実験のすべてを行うことができていなかったりと、想定外の事態に遭遇していることも否定できない。今後も実現可能なことと、現実には実行不可能なことを見極めながら研究を進めていく必要がある。本研究は、高精度な核磁気共鳴画像(Magnetic resonance imaging: MRI)を用いてより詳細な解剖学的構造を描出することを目指しており、その結果得られる画像を歯科臨床へ応用していくことを目的としている。平成28年度に解析したMRIは、原則として造影剤を用いたものに症例を限定しており、この条件下では、下歯槽神経脈管束の描出能がCT以上であり、CTで下顎管の同定が不可能な症例でも、MRIと融合画像を形成することにより、その3次元的な位置関係が把握できることを示した。しかしながら、歯科臨床への応用ー | KAKENHI-PROJECT-16K11498 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-16K11498 |
高精細MRI画像情報に基づくより高度な歯科臨床の確立 | 具体的には歯科用インプラントの術前診査や埋伏智歯の抜歯など、を考慮したとき、下歯槽神経脈管束を同定する目的に対する造影剤の使用は、その使用の正当性、経済的なコスト、患者副作用の可能性、腎機能低下患者への不適応など、さまざまな問題があり、容易に活用できない恐れが想起された。仮に、造影剤を用いない単純MRIでの下歯槽神経脈管束の描出能が造影MRIに大きく劣ることがなければ、単純MRI検査の方が適用範囲が広がり、コストも下がることから、平成29年度は、単純MRIによる下歯槽神経脈管束の描出能について検討を行った。結果として、単純MRIでの下歯槽神経脈管束の描出能は、造影MRIと比較して非劣勢であり、同等の能力を持つことが明らかとなった。われわれは、この知見について、学会発表を行うとともに、論文発表も行なった。これにより、今後は、CTで下顎管の同定が難しい症例については、単純MRI検査の追加が推奨される。CTとMRIの画像融合により、歯と骨の情報はCTから、下歯槽神経脈管束はMRI画像からの情報を歯科臨床に生かすことが期待される。本研究は、当初の計画以上に早いペースで研究が進んでおり、学会発表や論文発表も精力的に行い、新たな知見の情報発信に努めている。現在は、高精細なMRI画像を観察する上で偶発的に有用な所見を認めたので、急所新たな視点からの解析を行っているところである。本研究は、高精度な核磁気共鳴画像(Magnetic resonance imaging: MRI)を用いてより詳細な解剖学的構造を描出することを目指しており、その結果得られる画像を歯科臨床へ応用していくことを目的としている。平成28年度に解析したMRIは、原則として造影剤を用いたものに症例を限定しており、この条件下では、下歯槽神経脈管束の描出能がCT以上であり、CTで下顎管の同定が不可能な症例でも、MRIと融合画像を形成することにより、その3次元的な位置関係が把握できることを示した。しかしながら、歯科臨床への応用ー具体的には歯科用インプラントの術前診査や埋伏智歯の抜歯など、を考慮したとき、下歯槽神経脈管束を同定する目的に対する造影剤の使用は、その使用の正当性、経済的なコスト、患者副作用の可能性、腎機能低下患者への不適応など、さまざまな問題があり、容易に活用できない恐れが想起された。仮に、造影剤を用いない単純MRIでの下歯槽神経脈管束の描出能が造影MRIに大きく劣ることがなければ、単純MRI検査の方が適用範囲が広がり、コストも下がることから、平成29年度は、単純MRIによる下歯槽神経脈管束の描出能について検討を行った。結果として、単純MRIでの下歯槽神経脈管束の描出能は、造影MRIと比較して非劣勢であり、同等の能力を持つことが明らかとなった。平成30年度は、これまでの結果について、学会発表を行うとともに、論文発表を行なった。これにより、今後は、CTで下顎管の同定が難しい症例については、単純MRI検査の追加が推奨されるエビデンスが提供された。CTとMRIの画像融合により、歯と骨の情報はCTから、下歯槽神経脈管束はMRI画像からの情報を歯科臨床に生かすことが期待される。本研究は、高精細MRIを用いて解剖学的構造を描出するという当初の計画を実現した。その結果、CTで下顎管を指摘できない症例に対して、MRIの融合画像を用いることにより、その局在を明らかにできるようになった。 | KAKENHI-PROJECT-16K11498 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-16K11498 |
三次元有機分子性金属の構築と超伝導化 | 本研究では,二次元金属を容易に与えるπ電子骨格として,本研究者らにより開発されたテトラチアペンタレン(TTP)系ドナーに化学修飾を施すことにより三次元的な電子構造を有する分子性金属を構築することを目的としている。得られた成果は以下のとおりである。(1)TTP骨格末端の1,3-ジチオール環を等電子構造のピラン,チオピランに置き換えた誘導体であるTM-TPDSおよびTM-PDSの陽イオンラジカル塩において,一次元スタックが互いに直交することにより三次元的な分子配列をとることを見出した。これらの塩の多くは金属的な電気伝導性を示し,低温において絶縁化する。(2)セレノメチル基を有するSM-(T)PDTおよびSM-(T)PDSの合成を行い,それらを用いた陽イオンラジカル塩の作製を行った。(SM-PDT)X(PhCl)_m(X=PF_6,AsF_6)のX線構造解析を行ったところ,通常の二次元導体に見られる分子短軸方向のside-by-side相互作用と異なり,分子長軸方向にセレノメチル基同士によるセレン-セレン接触が見られる擬二次元導体であることが明らかとなった。これらの塩はドナーとアニオンが1:1組成をもつため,いずれも半導体であったが,室温の伝導度は10^0Scm^<-1>と1:1塩にしてはかなり高い伝導性を示す。(3)TTPダイマーはスペーサー部分を含むと30Åに及ぶ長さを有するため,一つの分子が二分子にまたがって積層するといったspanning overlapにより二次元性を確保した後,side-by-side相互作用を加えた三次元的な相互作用の期待される分子システムである。そこで,スペーサーとしてアルキルジチオ基を用いたTTPダイマーの合成を行い,CV法により電気化学的性質を明らかにした。上記の結果をまとめた論文については一部を除き投稿済みである。本研究では,二次元金属を容易に与えるπ電子骨格として,本研究者らにより開発されたテトラチアペンタレン(TTP)系ドナーに化学修飾を施すことにより三次元的な電子構造を有する分子性金属を構築することを目的としている。得られた成果は以下のとおりである。(1)TTP骨格末端の1,3-ジチオール環を等電子構造のピラン,チオピランに置き換えた誘導体であるTM-TPDSおよびTM-PDSの陽イオンラジカル塩において,一次元スタックが互いに直交することにより三次元的な分子配列をとることを見出した。これらの塩の多くは金属的な電気伝導性を示し,低温において絶縁化する。(2)セレノメチル基を有するSM-(T)PDTおよびSM-(T)PDSの合成を行い,それらを用いた陽イオンラジカル塩の作製を行った。(SM-PDT)X(PhCl)_m(X=PF_6,AsF_6)のX線構造解析を行ったところ,通常の二次元導体に見られる分子短軸方向のside-by-side相互作用と異なり,分子長軸方向にセレノメチル基同士によるセレン-セレン接触が見られる擬二次元導体であることが明らかとなった。これらの塩はドナーとアニオンが1:1組成をもつため,いずれも半導体であったが,室温の伝導度は10^0Scm^<-1>と1:1塩にしてはかなり高い伝導性を示す。(3)TTPダイマーはスペーサー部分を含むと30Åに及ぶ長さを有するため,一つの分子が二分子にまたがって積層するといったspanning overlapにより二次元性を確保した後,side-by-side相互作用を加えた三次元的な相互作用の期待される分子システムである。そこで,スペーサーとしてアルキルジチオ基を用いたTTPダイマーの合成を行い,CV法により電気化学的性質を明らかにした。上記の結果をまとめた論文については一部を除き投稿済みである。本研究では,二次元金属を容易に与えるπ電子骨格として,本研究者らにより開発されたテトラチアペンタレン(TTP)系ドナーに化学修飾を施すことにより三次元的な電子構造を有する分子性金属を構築することを目的としている。本年度に得られた成果は以下のとおりである。(1)TTP骨格末端の1,3-ジチオール環を等電子構造のピラン,チオピランに置き換えた誘導体であるTM-TPDSおよびTM-PDSの陽イオンラジカル塩において,一次元スタックが互いに直交することにより三次元的な分子配列をとることを見出した。バンド計算によるとスタック間の重なり積分がスタック方向の十分の一程度存在する「擬三次元電子構造」を有することが明らかとなった。これらの塩の多くは金属的な電気伝導性を示し,低温において絶縁化するが,磁化率測定によるとこの絶縁化は一次元金属に見られるパイエルス転移ではなく,強い電子相関に由来するモット絶縁化であることが示唆された。(2)上記分子性導体よりも強い三次元性が期待される分子として,セレノピランあるいはセレノメチル基を有するTM-SPDTおよびSM-(T)PDTの合成を行い,それらを用いたTCNQ錯体ならびに陽イオンラジカル塩の作製を行った。これまでのところ,TM-PDSと同様の擬三次元分子配列をもつ塩は得られていないものの,(SM-PDT)AsF_6(PhCl)において,通常の二次元導体に見られる分子短軸方向のside-by-side相互作用と異なり,分子長軸方向にピラン環およびセレノメチル基同士による酸素-酸素およびセレン-セレン接触が見られる擬二次元導体であることが明らかとなった。 | KAKENHI-PROJECT-11640581 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-11640581 |
三次元有機分子性金属の構築と超伝導化 | 上記の結果をまとめた論文については一部を除き投稿済みである。本研究では,二次元金属を容易に与えるπ電子骨格として,本研究者らにより開発されたテトラチアペンタレン(TTP)系ドナーに化学修飾を施すことにより三次元的な電子構造を有する分子性金属を構築することを目的としている。本年度に得られた成果は以下のとおりである。(1)上記分子性導体よりも強い三次元性が期待される分子として,セレノメチル基を有するSM-(T)PDTおよびSM-(T)PDSの合成を行い,それらを用いた陽イオンラジカル塩の作製を行った。(SM-PDT)X(PhCl)_m(X=PF_6,AsF_6)のX線構造解析を行ったところ,通常の二次元導体に見られる分子短軸方向のside-by-side相互作用と異なり,分子長軸方向にピラン環およびセレノメチル基同士による酸素-酸素およびセレン-セレン接触が見られる擬二次元導体であることが明らかとなった。これらの塩はドナーとアニオンが1:1組成をもつため,いずれも半導体であったが,室温の伝導度は10^0Scm^<-1>と1:1塩にしてはかなり高い伝導性を示すことが明らかとなった。(2)TTPダイマーはスペーサー部分を含むと30Åに及ぶ長さを有するため,一つの分子が二分子にまたがって積層するといったspanning overlapにより二次元性を確保した後,side-by-side相互作用を加えた三次元的な相互作用の期待される分子システムである。本年度,スペーサーとしてアルキルジチオ基を用いたTTPダイマーの合成に成功した。CV法により電気化学的性質を検討したところ,4対の二電子酸化還元波が観測された。最も低電位側の波がブロードになっていることから,二分子のTTP間にはわずかながらも相互作用があることが示唆された。上記の結果をまとめた論文については一部を除き投稿済みである。 | KAKENHI-PROJECT-11640581 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-11640581 |
蝸牛外側壁組織培養と生細胞蛍光イメージングを用いた難聴予防・治療戦略の探索 | 本研究は老人性難聴の予防法確立を第一に目指している。この目的を達成するため、中間細胞の"蝸牛防御細胞"としての機能に注目して研究を進める。中間細胞による蝸牛防御機能を引き出す既存化合物をスクリーニングするため、蝸牛血管条の中間細胞が蛍光ラベルされたマウスを利用する。このマウスの蝸牛外側壁を組織培養することで、生きたままの中間細胞を明視下に、経時的に観察できる。たとえ再生医療で聴覚感覚細胞を再生出来たとしても、中間細胞の働きがなければ、結局感覚細胞は生存できない。老人性難聴のみならずその他の感音難聴疾患の予防、治療にも幅広く応用ができ、再生医療を支える知見も得られる研究である本研究は老人性難聴の予防法確立を第一に目指している。この目的を達成するため、中間細胞の"蝸牛防御細胞"としての機能に注目して研究を進める。中間細胞による蝸牛防御機能を引き出す既存化合物をスクリーニングするため、蝸牛血管条の中間細胞が蛍光ラベルされたマウスを利用する。このマウスの蝸牛外側壁を組織培養することで、生きたままの中間細胞を明視下に、経時的に観察できる。たとえ再生医療で聴覚感覚細胞を再生出来たとしても、中間細胞の働きがなければ、結局感覚細胞は生存できない。老人性難聴のみならずその他の感音難聴疾患の予防、治療にも幅広く応用ができ、再生医療を支える知見も得られる研究である | KAKENHI-PROJECT-19K09898 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-19K09898 |
農業法人経営の今日的到達点と新たな可能性に関する国際比較研究 | JA出資法人は全国の21.9%のJAが関与し、農業法人経営の最先頭を行く規模を実現していて、地域農業の「最後の守り手」となっている。法人経営は黒字の割合が70%弱に達するものの、役職員の報酬・賃金水準が地域のJAのそれ以上の割合が1/3程度に止まる現実の背後には周年就業が達成されていない問題がある。しかし、大規模経営においては一部に、〔米+麦・大豆二毛作〕型大規模水田農業によって周年就業が達成されており、日本の水田農業経営の新たな可能性が示された。JA出資法人は全国の21.9%のJAが関与し、農業法人経営の最先頭を行く規模を実現していて、地域農業の「最後の守り手」となっている。法人経営は黒字の割合が70%弱に達するものの、役職員の報酬・賃金水準が地域のJAのそれ以上の割合が1/3程度に止まる現実の背後には周年就業が達成されていない問題がある。しかし、大規模経営においては一部に、〔米+麦・大豆二毛作〕型大規模水田農業によって周年就業が達成されており、日本の水田農業経営の新たな可能性が示された。1.従来型の農業法人経営の今日的到達点の確認作業(財)農協協会が実施した「大規模農家と農業法人の経営状況とJaグループに対する意識調査」の設計,分析を担当し,2005年農林業センサスとの若干の比較検討を行った。また,11月末現在で,JA出資農業生産法人に関する簡単な状況調査を実施した。これらによると,農業法人は1992年の新農政による法人化重視路線のo下で急増していること,とはいえ,出資の面からは家族経営の枠内にあるが,労働力の面では家族経営の枠を大きく超えつつあること,JA出資農業生産法人は農業法人の中では大規模階層に属していることなどの新しい実態が浮き彫りにされつつある。2.集落営農とJA出資農業生産法人の現地実態調査集落営農については安藤が担当し,岩手県,宮城県,富山県,滋賀県,広島県などにおいて現地実態調査を実施した。それらの成果の一端は2008年度の日本農業経済学会シンポジウムにおける報告に盛り込まれている。JA出資法人については谷口が李侖美(目本農業研究所)の協力を得ながら実施し,宮崎県,茨城県,埼玉県,滋賀県(新潟県で現地調査した。それらの成果の一端はJA出資法人担当者全国交流集会や各県における関係者との研究会などでの報告に活かされている。3.外国における現地調査2007年11月に安藤がイギリス,ニューカッスルにおいて2008年度に行う調査の予備調査を実施した。また,谷口は李とともに,韓国において初めて設立された農協が直営する農場を現地調査した(全羅南道,順天市/順天農協)。形式こそ異なっているが,JA出資農業生産法人と酷似する実験が韓国でも行われており,我々の研究の国際的な広がりを実感した。それらの調査結果は順次整理され,公表される予定となっている。4,文献の検討2007年度は法人経営の新たな動きを的確に捉え,今後の研究課題を明確にすることを重点としたため,文献の収集は行ったものの,文献検討は不十分であった。この課題は2008年度の早い時期に行うことにしている。今年度は連携研究者の安藤が1年間のイギリス出張となったことにともなって、集落営農に関する研究は最終年度に持ち越し、一般農業法人とJA出資農業生産法人に関する研究に集中した。1.従来型の農業法人経営の今日的到達点の確認(農業法人の全国アンケート調査)(財)農協協会が実施した「大規模農家と農業法人の経営状況とJAグループに対する意識調査」の設計・分析を担当した。今年度は過去最多の500を超える法人等からのデータが収集され、その解析を行うとともに、比較的多数のデータが得られた8県についての個別分析が新規に加えられ、センサスでは把握しえない農業法人の具体的な展開実態が明らかにされた。2.JA出資農業生産法人に関する全国アンケート調査の実施と調査結果の整理2008年8月に実施した第3回の全国調査によって2004年に把握された142を大幅に超える277法人の存在が確認されるとともに、耕作放棄地対策・大規模農地貸付への対応・新規就農者育成研修事業などの新しい課題に対する知見が得られた。また、JA出資法人の位置づけに関して、「最後の守り手論」を含む原則を提案して、現場の運動に対する指針の提起を行った。3.JA出資農業生産法人の現地実態調査新たに畑作・施設園芸、新規就農研修事業などを中心とした実態調査を実施し、新たな知見を得た。4.外国における現地実態調査韓国・順天農協の実験については2経営撤退に関する最新実態調査を実施した。整理は次年度実施。1、本年度は一般農業法人経営に関する全国アンケート調査を実施し、これを分析することを最重要課題とした。とくに、(1)大量の農地貸付が一挙に起きるような事実の有無や原因、(2)耕作放棄地への大規模経営や法人経営の対応、(3)農地法改正による一般企業の農業参入の自由化に対する意見、(4)品目横断的経営安定対策や水田・畑作経営安定対策といった政策転換への対応、(5)法人経営が直面する問題の摘出と周年就業確保のための手段、(6)現在の採算水準や従業者の給与・報酬水準、などの特有の問題への調査項目を設定し、これを分析・検討した。 | KAKENHI-PROJECT-19380123 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-19380123 |
農業法人経営の今日的到達点と新たな可能性に関する国際比較研究 | その結果、大量の農地貸付という新たな事態の一端が明らかになるとともに、大規模法人農業経営のそれらへの積極的な対応が示され、さらに法人経営が耕作放棄地解消にも意欲的に取り組んでいることから、法人化が農業構造改革にもつ意義が鮮明となった。また、少なくない法人経営の経営改善傾向が示された。2、1のアンケート調査で着目した、大規模法人農業経営における周年農業の確立を通じた周年就業の実現について、JA出資法人を含む3経営の長期データの収集と分析を行った。その結果、日本農業においてもすでに〔米+麦・大豆二毛作〕型大規模法人農業経営が土地利用型農業で成立しており、今後の食料自給率向上と担い手育成の課題の同時達成を実現する条件が存在していることが明らかになった。3、農地法改正という新たな状況の下で、過去10年以内に新規参入した法人農業経営の実態を個別調査した。資金力や市場確保の点で有利な条件をもつこうした法人経営でっても、当初の農地条件や立地条件などによっては決して安定した採算性を確保できるわけではないことが明らかになりつつある。 | KAKENHI-PROJECT-19380123 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-19380123 |
クロマチン因子による標的ゲノム領域構築-生殖腺分化マスター遺伝子の制御ー | 分化細胞核ではダイナミックなクロマチン構造変換が起きる。Polycomb Group (PcG)遺伝子は、この分子過程における主要なクロマチン制御因子である。本研究課題では、生殖腺形成マスター遺伝子を制御することが明らかな唯一のPcGメンバーCbx2 (M33)、ならびにPcGと共役するクロマチン構成因子Jarid2 (Jumonji)に焦点をあてる。これらクロマチン構成因子の生殖腺形成過程における標的ゲノム領域クロマチン構造とその構築過程を明らかにする。同時に機能欠失マウスの遺伝学的解析により、標的ゲノム領域におけるこれらクロマチン構成因子相互作用の検証を個体レベルでおこなう。得られた知見をもとに、ヒト性分化疾患disorders of sex development (DSD)におけるこれら因子の変異解析をおこない、疾患発症分子機序の解明につなげる。初年度にあたる2018年度は、本研究課題で最も時間を要するマウス性分化・生殖腺分化過程におけるCbx2・Jarid2の遺伝学的相互作用の解析から着手した。Jarid2-floxはExon2欠失はin frame変異であることから、Creマウス交配によりJarid2機能が失われるかを検証する必要があった。Jarid2-floxに研究代表者が検証済みの受精卵発現性Creラインを交配し、null型の表現系を確認するための準備を整えた。一方、性分化疾患ゲノム解析はCbx2については解析を終了した。1名の性分化疾患患者に病原性の比較的高い変異が認められたが、NR5A1病原性ヘテロ変異も持っていることから、今後in silico解析など病原性検討を進める。1マウス性分化・生殖腺分化過程におけるCbx2・Jarid2の遺伝学的相互作用の解析Jarid2 null KOマウスは心臓の初期形成異常により胎生10.5日以降胎生致死あるいは異常胚となり生殖腺分化過程の解析は不可能であることから、null型Jarid2・Cbx2 double KOでは解析不能である。本研究課題ではJarid2-flox/+マウスを用い胎児生殖腺を解析する。Jarid2-flox/+は研究分担者が、本研究課題開始前に共同研究にて作成を進めてきていた。本研究課題では研究分担者共同研究者(理研・千葉大学)との共同研究ベースのMTAを取り交わし、研究分担者が保有するJarid2-flox/+マウスは、鳥取大学動物実験施設の協力のもと凍結精子を作成、系統保存を行なった。凍結精子は国立成育医療研究センターに液体窒素下で輸送した。本実験に先立ち、デザインされたExon2欠失はin frame変異であることから、Jarid2-floxにCreマウス交配によりJarid2機能が失われるかを検証する必要があった。Jarid2-floxに研究代表者が検証済みの受精卵発現性Creラインを交配し、null型の表現系を確認するための準備を整えた。2性分化疾患ゲノム解析約150名のDSD患者のDNA検体(国立成育医療研究センター深見研究室所有・研究代表所属)を用いて、CBX2の変異を次世代シークエンサー解析により検索した。1名の性分化疾患患者に病原性の比較的高い変異が認められたが、NR5A1病原性ヘテロ変異も持っていることから、今後in silico解析など病原性検討を進める。2年度目の2019年度以降は以下の実験を行う予定である。1マウス性分化・生殖腺分化過程におけるCbx2・Jarid2の遺伝学的相互作用の解析:Jarid2-flox/flox、受精卵発現性Creラインを用いたJarid2-flox/floxラインの検証を国立成育医療研究センターにて行う。さらに生殖腺特異的Creラインを導入して交配解析を行う。2性分化疾患ゲノム解析:約150名のDSD患者のDNA検体JARID2変異を次世代シークエンサー解析により検索する。3性分化・生殖腺分化過程におけるCbx2・Jarid2標的ゲノム領域の比較解析:クロマチン因子Cbx2およびJarid2のゲノム集積領域との比較解析のために、マウス胎児期生殖腺を用いた標的領域(Nr5a1, Lhx9, Gadd45g等)におけるChIP解析を行なう。Cbx2抗体(Guinea Pig,自作)および市販Jarid2抗体を用いる。分化細胞核ではダイナミックなクロマチン構造変換が起きる。Polycomb Group (PcG)遺伝子は、この分子過程における主要なクロマチン制御因子である。本研究課題では、生殖腺形成マスター遺伝子を制御することが明らかな唯一のPcGメンバーCbx2 (M33)、ならびにPcGと共役するクロマチン構成因子Jarid2 (Jumonji)に焦点をあてる。これらクロマチン構成因子の生殖腺形成過程における標的ゲノム領域クロマチン構造とその構築過程を明らかにする。同時に機能欠失マウスの遺伝学的解析により、標的ゲノム領域におけるこれらクロマチン構成因子相互作用の検証を個体レベルでおこなう。得られた知見をもとに、ヒト性分化疾患disorders of sex development (DSD)におけるこれら因子の変異解析をおこない、疾患発症分子機序の解明につなげる。初年度にあたる2018年度は、本研究課題で最も時間を要するマウス性分化・生殖腺分化過程におけるCbx2・Jarid2の遺伝学的相互作用の解析から着手した。Jarid2-floxはExon2欠失はin frame変異であることから、Creマウス交配によりJarid2機能が失われるかを検証する必要があった。Jarid2-floxに研究代表者が検証済みの受精卵発現性Creラインを交配し、null型の表現系を確認するための準備を整えた。一方、性分化疾患ゲノム解析はCbx2については解析を終了した。 | KAKENHI-PROJECT-18K06926 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-18K06926 |
クロマチン因子による標的ゲノム領域構築-生殖腺分化マスター遺伝子の制御ー | 1名の性分化疾患患者に病原性の比較的高い変異が認められたが、NR5A1病原性ヘテロ変異も持っていることから、今後in silico解析など病原性検討を進める。1マウス性分化・生殖腺分化過程におけるCbx2・Jarid2の遺伝学的相互作用の解析Jarid2 null KOマウスは心臓の初期形成異常により胎生10.5日以降胎生致死あるいは異常胚となり生殖腺分化過程の解析は不可能であることから、null型Jarid2・Cbx2 double KOでは解析不能である。本研究課題ではJarid2-flox/+マウスを用い胎児生殖腺を解析する。Jarid2-flox/+は研究分担者が、本研究課題開始前に共同研究にて作成を進めてきていた。本研究課題では研究分担者共同研究者(理研・千葉大学)との共同研究ベースのMTAを取り交わし、研究分担者が保有するJarid2-flox/+マウスは、鳥取大学動物実験施設の協力のもと凍結精子を作成、系統保存を行なった。凍結精子は国立成育医療研究センターに液体窒素下で輸送した。本実験に先立ち、デザインされたExon2欠失はin frame変異であることから、Jarid2-floxにCreマウス交配によりJarid2機能が失われるかを検証する必要があった。Jarid2-floxに研究代表者が検証済みの受精卵発現性Creラインを交配し、null型の表現系を確認するための準備を整えた。2性分化疾患ゲノム解析約150名のDSD患者のDNA検体(国立成育医療研究センター深見研究室所有・研究代表所属)を用いて、CBX2の変異を次世代シークエンサー解析により検索した。1名の性分化疾患患者に病原性の比較的高い変異が認められたが、NR5A1病原性ヘテロ変異も持っていることから、今後in silico解析など病原性検討を進める。2年度目の2019年度以降は以下の実験を行う予定である。1マウス性分化・生殖腺分化過程におけるCbx2・Jarid2の遺伝学的相互作用の解析:Jarid2-flox/flox、受精卵発現性Creラインを用いたJarid2-flox/floxラインの検証を国立成育医療研究センターにて行う。さらに生殖腺特異的Creラインを導入して交配解析を行う。2性分化疾患ゲノム解析:約150名のDSD患者のDNA検体JARID2変異を次世代シークエンサー解析により検索する。3性分化・生殖腺分化過程におけるCbx2・Jarid2標的ゲノム領域の比較解析:クロマチン因子Cbx2およびJarid2のゲノム集積領域との比較解析のために、マウス胎児期生殖腺を用いた標的領域(Nr5a1, Lhx9, Gadd45g等)におけるChIP解析を行なう。Cbx2抗体(Guinea Pig,自作)および市販Jarid2抗体を用いる。2018年度予定のマウスライン購入が2019年度にずれ込んだ。 | KAKENHI-PROJECT-18K06926 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-18K06926 |
炎症免疫反応の神経・内分泌系による制御とその破綻による消化管粘膜障害に関する研究 | 今日までに蓄積した我々の粘膜免疫系と神経・内分泌系に関する豊富な分析的研究成果の上にたち、両系の連携に基づいた粘膜組織での生体調節のしくみとその破綻に基づく病態の解明を行うことを目的に、本研究は、粘膜免疫系と神経・内分泌系をそれぞれ独立した系としてではなく、それらの相互作用に研究方向を定め、それぞれの系の基本的現象を組織細胞レベルから遺伝子・機能分子レベルで解析した。消化管粘膜では、固有層のマクロファージが腸内抗原の処理や粘膜免疫系への抗原提示に重要な役割を果たしているが、corticotropin-releasing factor(CRF)ファミリーのウロコルチンが生後抗原曝露とともにこれらのマクロファージに出現することが明らかとなり、CRF受容体は固有層単核球に出現していた。粘膜マクロファージウロコルチンは視床下部のCRFとともに粘膜局所でオートクリン、パラクリン的にマクロファージ機能を制御していることがわかった。さらに腸管の機能障害と考えられている過敏性腸症候群(IBS)大腸粘膜では、情動ストレスあるいはCRFによって消化管運動異常が惹起されるが、これらのマクロファージがIBS大腸粘膜被覆上皮細胞層直下で減少消失し、粘膜基底部に小集簇をなしていることが観察され、さらに好酸球が増加していた。すなわちIBSの大腸粘膜において、マクロファージによる抗原処理機能が破綻し、好酸球が増加しているという本研究の結果は、そこではTh1/Th2バランスがTh2優位型の微小炎症が存在することを示唆している(2001米国DDW発表予定)。また消化管の水や電解質代謝に重要な影響を及ぼしているVIPは腸管上皮細胞に直接作用し、また17-hydroxysteroid dehydrogenase Type1,2は胎生期から腸管上皮細胞に発現しているが、潰瘍性大腸炎大腸粘膜上皮にはほとんど欠損していた。以上の研究成果から消化管の免疫機能や吸収機能、消化管運動は粘膜の免疫系と神経内分泌系によってたくみに制御されており、この破綻がさまざまな消化管粘膜異常を惹起させる直接的な証拠を提出できた。今日までに蓄積した我々の粘膜免疫系と神経・内分泌系に関する豊富な分析的研究成果の上にたち、両系の連携に基づいた粘膜組織での生体調節のしくみとその破綻に基づく病態の解明を行うことを目的に、本研究は、粘膜免疫系と神経・内分泌系をそれぞれ独立した系としてではなく、それらの相互作用に研究方向を定め、それぞれの系の基本的現象を組織細胞レベルから遺伝子・機能分子レベルで解析した。消化管粘膜では、固有層のマクロファージが腸内抗原の処理や粘膜免疫系への抗原提示に重要な役割を果たしているが、corticotropin-releasing factor(CRF)ファミリーのウロコルチンが生後抗原曝露とともにこれらのマクロファージに出現することが明らかとなり、CRF受容体は固有層単核球に出現していた。粘膜マクロファージウロコルチンは視床下部のCRFとともに粘膜局所でオートクリン、パラクリン的にマクロファージ機能を制御していることがわかった。さらに腸管の機能障害と考えられている過敏性腸症候群(IBS)大腸粘膜では、情動ストレスあるいはCRFによって消化管運動異常が惹起されるが、これらのマクロファージがIBS大腸粘膜被覆上皮細胞層直下で減少消失し、粘膜基底部に小集簇をなしていることが観察され、さらに好酸球が増加していた。すなわちIBSの大腸粘膜において、マクロファージによる抗原処理機能が破綻し、好酸球が増加しているという本研究の結果は、そこではTh1/Th2バランスがTh2優位型の微小炎症が存在することを示唆している(2001米国DDW発表予定)。また消化管の水や電解質代謝に重要な影響を及ぼしているVIPは腸管上皮細胞に直接作用し、また17-hydroxysteroid dehydrogenase Type1,2は胎生期から腸管上皮細胞に発現しているが、潰瘍性大腸炎大腸粘膜上皮にはほとんど欠損していた。以上の研究成果から消化管の免疫機能や吸収機能、消化管運動は粘膜の免疫系と神経内分泌系によってたくみに制御されており、この破綻がさまざまな消化管粘膜異常を惹起させる直接的な証拠を提出できた。本研究は、粘膜免疫系と神経・内分泌系をそれぞれ独立した系としてではなく、それらの相互作用に研究方向を定め、それぞれの系の基本的現象を組織細胞レベルから遺伝子・機能分子レベルで解析し、それぞれの独立性と相互制御機構を解明するとともに、その成果に基づき消化管粘膜の炎症性病変の発症と病態、細胞増殖やアポトーシスによる粘膜上皮細胞の動態の異常による萎縮や腫瘍化、ならびに組織形成や発育障害の成り立ちを明らかにすることを目的に遂行された。本年度は、胆道系を含む消化管粘膜の炎症性病変の発症と病態、粘膜障害機序における好中球とマクロファージの役割を中心に成果が得られた。好中球とマクロファージの浸潤部位を中心に上皮細胞のDNA傷害とアポトーシスが誘導され、mRNAと蛋白レベルでのP53過剰発現が観察された。その結果、cellrenewal systemのバランスを乱していることが明らかとなり、また形態学的には上皮細胞の変性、再生異型、構築の改変という形で観察された。また、ヒト消化管粘膜のRT-PCR法およびそれらの組織から分離した炎症免疫担当細胞のflow cytometryの解析から、下垂体前葉刺激ホルモン系のCRF familyに属する神経ペプチドであるurocortinの発現が観察された。urocortinは免疫担当細胞でその産生が本研究により証明された初めての神経ペプチドである。すなわちCRF-urocortinがヒト消化管機能での、消化管粘膜や炎症免疫反応制御を司っていることが明らかとなった。 | KAKENHI-PROJECT-10470045 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-10470045 |
炎症免疫反応の神経・内分泌系による制御とその破綻による消化管粘膜障害に関する研究 | 今日までに蓄積した我々の粘膜免疫系と神経・内分泌に関する豊富な分析的研究成果の上にたち、両系の連携に基づいた粘膜組織での生体調節のしくみとその破綻に許ずく病態の解明を行うことを目的に、本研究は企画された。さまざまな内分泌関連物質の発現が消化管において報告されてきており、消化管の免疫機能を含めた諸機能の内分泌的制御が注目されつつある。本研究では、ヒト消化管における11β-Hydroxysteroiddehydrogenase type 2(11βHDS2)、ミネラルコルチコイドレセプター及びcorticotropin-releasinghormonle(CRH)ファミリーに属すurocortinの発現について検討した。前二者はすでに胎生11週から消化管上皮細胞に出現し、粘膜固有層のマクロファージにも発現していた。水分吸収や粘膜免疫といった消化管の重要な機能が、発達のごく初期から神経内分泌的制御を受けている可能性が今回の実験から示された。過敏性腸症候群(IBS)がまた、腸管は情動ストレスあるいは視床下部からのCRHの直接作用で異常腸管運動をきたすことが知られているが、それは消化管における粘膜免疫によるバリア機能の破綻によることが明らかになった。すなわち、IBSの大腸粘膜において、マクロファージバリアが破綻し、好酸球が増加しているという本研究の結果は、そこではTh1/Th2バランスがTh2優位型の微小炎症が存在することを示唆している。今日までに蓄積した我々の粘膜免疫系と神経・内分泌系に関する豊富な分析的研究成果の上にたち、両系の連携に基づいた粘膜組織での生体調節のしくみとその破綻に基づく病態の解明を行うことを目的に、本研究は、粘膜免疫系と神経・内分泌系をそれぞれ独立した系としてではなく、それらの相互作用に研究方向を定め、それぞれの系の基本的現象を組織細胞レベルから遺伝子・機能分子レベルで解析した。消化管粘膜では、固有層のマクロファージが腸内抗原の処理や粘膜免疫系への抗原提示に重要な役割を果たしているが、CRFファミリーのウロコルチンおよびその受容体が生後抗原曝露とともにこれらのマクロファージに出現することが明らかとなり、視床下部のCRFとともに粘膜局所でオートクリン、パラクリン的にマクロファージ機能を制御していることがわかった。さらに腸管の機能障害と考えられている過敏性腸症候群大腸粘膜ではCRFによって消化管運動異常が惹起されるが、これらのマクロファージの分布や機能に異常があることが観察されている(2001米国DDW発表予定)。また消化管の水代謝に重要な影響を及ぼしているVIPは腸管上皮細胞に直接作用し、また17β-hydroxy-steroid dehydrogenase Type 1,2は胎生期から腸管上皮細胞に発現しているが、潰瘍性大腸炎大腸粘膜上皮にはほとんど欠損していた。以上の研究成果から消化管の免疫機能や吸収機能、消化管運動は粘膜の免疫系と神経内分泌系によってたくみに制御されており、この破綻がさまざまな消化管粘膜異常を惹起させる直接的な証拠を提出できた。 | KAKENHI-PROJECT-10470045 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-10470045 |
離婚紛争の法社会学的研究 | 研究成果報告書は、研究方針である「序説」をはじめに、離婚紛争の原因に関する2つの章「離婚紛争の発生因」「離婚紛争の発生基盤」、離婚紛争の処理手続に関する3つの章「協議による紛争処理」「調停による紛争処理」「裁判による紛争処理」、離婚紛争の処理にかかわる今日的課題として「弁護士と離婚紛争」「DVと離婚紛争」「DVとDV防止法」の3つの章、離婚紛争の処理にともなう重要課題として「離婚紛争と離婚給付」「離婚紛争と子ども」の2つの章、アフター・ディボースの問題を扱った「ひとり親家庭の生活問題」、そして結論部の「終章」から構成される。以上の研究は、離婚紛争について法社会学の観点から理論的・実証的にアプローチし、その総合的な解明を行ったものである。実証面では、ひとり親家庭に対する調査によって、離婚原因や生活実態が明らかにされ、また家裁調査によって、調停委員の選任・研修の実態や家裁における「裁判離婚」の現状が明らかにされた。さらに、DV調査によって、配偶者暴力相談支援センターの実情が明らにされた。理論面では、収集した豊富な文献・資料によって、離婚給付や面接交渉、養育費確保等に関する新しい制度的動きとともに、DV防止法の仕組みや裁判離婚の法理等が把握された。全体を通じて、離婚における男女格差-たとえば司法におけるジェンダー・バイアスや養育費確保制度の脆弱さ、また児童扶養手当の縮小等-が鮮明にされた。換言すれば、日本社会の男女不平等な構造が、離婚というプリズムを通して理論的・実証的に確認された。研究成果報告書は、研究方針である「序説」をはじめに、離婚紛争の原因に関する2つの章「離婚紛争の発生因」「離婚紛争の発生基盤」、離婚紛争の処理手続に関する3つの章「協議による紛争処理」「調停による紛争処理」「裁判による紛争処理」、離婚紛争の処理にかかわる今日的課題として「弁護士と離婚紛争」「DVと離婚紛争」「DVとDV防止法」の3つの章、離婚紛争の処理にともなう重要課題として「離婚紛争と離婚給付」「離婚紛争と子ども」の2つの章、アフター・ディボースの問題を扱った「ひとり親家庭の生活問題」、そして結論部の「終章」から構成される。以上の研究は、離婚紛争について法社会学の観点から理論的・実証的にアプローチし、その総合的な解明を行ったものである。実証面では、ひとり親家庭に対する調査によって、離婚原因や生活実態が明らかにされ、また家裁調査によって、調停委員の選任・研修の実態や家裁における「裁判離婚」の現状が明らかにされた。さらに、DV調査によって、配偶者暴力相談支援センターの実情が明らにされた。理論面では、収集した豊富な文献・資料によって、離婚給付や面接交渉、養育費確保等に関する新しい制度的動きとともに、DV防止法の仕組みや裁判離婚の法理等が把握された。全体を通じて、離婚における男女格差-たとえば司法におけるジェンダー・バイアスや養育費確保制度の脆弱さ、また児童扶養手当の縮小等-が鮮明にされた。換言すれば、日本社会の男女不平等な構造が、離婚というプリズムを通して理論的・実証的に確認された。ひとり親家庭の生活実態に関する調査と調停委員の選任・研修並びに離婚裁判の実情に関する2つの調査を実施。前者については当初、全国の母子生活支援施設入所者1,000名を対象に調査を実施する予定であったが、施設が広範に広がっておりまた生活困窮度の高いひとり親に限定されてしまうことから、本調査では広島市母子福祉連合会会員ならびに同会無料職業相談来訪者、就業支援講習会受講者730名を対象に、郵送法によるアンケート調査を実施した。回収票は395票(54.1%)、有効票394票(54.0%)である。調査内容は、住居状況、就業状況、子どもの世話、公的制度の認知度・利用度、そして離婚に関するものである。とくに今回の調査の柱である離婚については、離婚原因をはじめ、養育費の支払い状況、面接交渉の有無、財産分与の実情、離婚に際しての相談機関など多様な項目を盛り込んでいる。最も興味ある離婚原因についてみると、司法統計の離婚原因とほぼ同じ傾向が現れている。そして、「性格が合わない」の中身として、その49%が役割不満、生活態度、人生目標など役割の問題を挙げている。なお、今回の調査データを他の大都市と比較するために、また母子福祉会の活動にも目を向けるために、札幌、仙台、東京、名古屋、大阪、福岡の母子寡婦福祉会を訪問し、貴重な資料を収集した。また当初、小規模サンプルを対象に詳細な面接調査を計画していたが、個人情報保護法がネックとなって協力を得ることができなかった。後者について、札幌、仙台、東京、名古屋、大阪、福岡の各家庭裁判所を訪問した。当初聴き取り調査を実施する予定であったが、複雑な問題であることから調査の趣旨説明だけにとどめ、後日調査票を郵送。トータルな分析はこれからであるが、研修カリキュラムにジェンダーに関するものも採り入れられつつあることが明らか。まず、DV問題については、高裁所在地の7大都市におけるDV支援の実情と先進的に取り組んでいる鳥取県の実情について調査を実施。本調査の準備作業については院生の協力を得た。準備作業で得られた資料をもとに、DV支援の中核である配偶者暴力相談支援センター、委託機関として重要な母子生活支援施設ならびに民間シェルターを調査対象として選定し、調査を実施。調査対象機関が、暴力を振るう夫から女性を保護する機関という性格から、調査は難航し、いくつかの補充調査(次年度予定)を残したものの、一応調査は完了。DV防止法以降着実にセンターの拡充は進んできている。 | KAKENHI-PROJECT-17530367 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-17530367 |
離婚紛争の法社会学的研究 | 全体的に、一時保護の部屋数は少なくまた狭隘であるが、その点は、母子生活支援施設や民間シェルターなどの他機関によってほぼ補われている。むしろ問題は、職員とりわけケア役割を担う職員不足にある。またセンターは、婦人相談所の編成替えという性格から、DVに特化しえない難しさが見て取れる。母子生活支援施設の取り組みは、とくに市の社会福祉事務所との連携のもとに、保護と自立に向けて着実に行われている。しかし、財政的な問題もあって、警備体制などは手薄となっている。また、委託を受けている民間シェルターも重要な役割を果たしているが、小規模なものが林立しており、また外部との接触を強く警戒していることから、活動実態が見えにくくなっている。次に、面接交渉の問題に関しては、FPICを訪問し、面接交流の実情についての情報を得るとともに、面接交流に関する貴重な調査資料を入手。最後に、離婚給付の問題に関しては、多種の資料を入手し、新しい知見を得ることができた。今年度は、研究のまとめの年度として、まとめに必要な文献資料の収集ならびに図書の購入を行うとともに、17年度、18年度の研究成果をもとに、補助者の協力を得て研究テーマのまとめ作業を遂行した。まとめ作業は、研究全体の研究方針である序説をはじめとして、離婚紛争の原因に関する2つの章、「離婚紛争の発生因」と「離婚紛争の発生基盤」、離婚紛争の処理手続に関する3つの章、「協議による紛争処理」「調停による紛争処理」「裁判による紛争処理」、離婚紛争の処理にかかわる今日的課題に関する3つの章、「弁護士と離婚紛争」「DVと離婚紛争」「DVとDV防止法」、離婚紛争にともなう処理課題に関する2つの章、「離婚紛争と離婚給付」と「離婚紛争と子ども」、そして、アフター・ディボースの問題として、「ひとり親家庭の生活問題」の10テーマと、結論部である終章からなる。3年間の研究によって、離婚紛争の発生から終結、さらにはアフター・ディボースに至る全過程の理論的実証的研究をまとめることができたが、こうした研究を通じて、離婚における男女格差-たとえば司法におけるジェンダー・バイアスや養育費確保制度の脆弱さ等-を鮮明にすることができた。別の言い方をすれば、日本社会の男女不平等な構造を離婚というプリズムを通して理論的実証的に確認することができた、といえる。 | KAKENHI-PROJECT-17530367 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-17530367 |
細胞の増殖・分化・組織形成および病的変化に於けるコラーゲンの役割 | マウス腎臓から基底膜IV型コラーゲンを精製し,ウサギで抗IV型コラーゲン血清を作成し,それを蛍光抗体法及び免疫組織化学法に応用し,正常及び病的組織でIV型コラーゲンの存在状態を調べた.マウス初期胚発生へのコラーゲンの関与を解明する目的で, 2細胞期の胚を体外培養して, 2-8細胞期の各段階で,特異的コラーゲン合成阻害剤を添加し,影響を追跡し,コラーゲンがコンパクションで重要な役割を果たすことを形態学的に証明した.IV型コラーゲンの役割を免疫組織化学的に追研中である.BALB/C-nct/nct白内障のマウスを樹立し,それをモデルとして,水晶体白濁過程でのIV型コラーゲンの変化を免疫組織化学法により調べたが,積極的に関与している証拠が得られなかった. (C57BL/6×DBA/2)F,マウスへDBA/2脾細胞を静脈内移植し,移入細胞対宿生(GVH)反応による自己免疫病マウス及びCBA/Klマウスのミュータント系自己免疫病マウスをモデルとして腎臓の病的変化に伴う基底膜の変化を免疫組織化学法により追跡した.糸球体及び尿細管の基底膜の肥厚,脆弱化など濾過機能障害を示唆する証拠が得られた.DDDマウスで樹立した可移植性妊娠依存性乳癌TPDMT-4は非常に安定したホルモン依存性を維持している点で独特であるが,ある条件では自律性癌へ進展する.最近,コラゲナーゼとヒアルロニダーゼによる細胞外基質を破壊し,遊離細胞の状態で移植すると悪性癌へ進展することを証明し,悪性度を異にする亜株を樹立した.これらをモデルとして実験を進め,ホルモン依存性→自律性→転移性癌への進展に伴って,細胞外基質量とIV型コラーゲン量が減少し,コラーゲン合成能が低下することを認めた.更に,ウサギ及びヒトの腎臓からIV型コラーゲンを精製し,抗血清を作成し,実験動物間でのIV型コラーゲンの抗原部位が動物により同じものと,異なるものがあることが判明した.マウス腎臓から基底膜IV型コラーゲンを精製し,ウサギで抗IV型コラーゲン血清を作成し,それを蛍光抗体法及び免疫組織化学法に応用し,正常及び病的組織でIV型コラーゲンの存在状態を調べた.マウス初期胚発生へのコラーゲンの関与を解明する目的で, 2細胞期の胚を体外培養して, 2-8細胞期の各段階で,特異的コラーゲン合成阻害剤を添加し,影響を追跡し,コラーゲンがコンパクションで重要な役割を果たすことを形態学的に証明した.IV型コラーゲンの役割を免疫組織化学的に追研中である.BALB/C-nct/nct白内障のマウスを樹立し,それをモデルとして,水晶体白濁過程でのIV型コラーゲンの変化を免疫組織化学法により調べたが,積極的に関与している証拠が得られなかった. (C57BL/6×DBA/2)F,マウスへDBA/2脾細胞を静脈内移植し,移入細胞対宿生(GVH)反応による自己免疫病マウス及びCBA/Klマウスのミュータント系自己免疫病マウスをモデルとして腎臓の病的変化に伴う基底膜の変化を免疫組織化学法により追跡した.糸球体及び尿細管の基底膜の肥厚,脆弱化など濾過機能障害を示唆する証拠が得られた.DDDマウスで樹立した可移植性妊娠依存性乳癌TPDMT-4は非常に安定したホルモン依存性を維持している点で独特であるが,ある条件では自律性癌へ進展する.最近,コラゲナーゼとヒアルロニダーゼによる細胞外基質を破壊し,遊離細胞の状態で移植すると悪性癌へ進展することを証明し,悪性度を異にする亜株を樹立した.これらをモデルとして実験を進め,ホルモン依存性→自律性→転移性癌への進展に伴って,細胞外基質量とIV型コラーゲン量が減少し,コラーゲン合成能が低下することを認めた.更に,ウサギ及びヒトの腎臓からIV型コラーゲンを精製し,抗血清を作成し,実験動物間でのIV型コラーゲンの抗原部位が動物により同じものと,異なるものがあることが判明した.マウス腎臓から、従来の方法に比べて効率よく精製する方法を確立し約20mgのN型コラーゲンを得た。これを抗原としてウサギを免疫し、蛍光抗体法により糸球体,尿細管の基底膜を特異的に染色する抗血清を得た。その力価は64倍で、追加免疫によっても、これ以上力価を高めることができなかった。形態学的観察のために、免疫組織学への応用条件を確立した。アルコール・酢酸固定後に切片を作り、プロテアーゼ処理により基底膜が特異的に染色されることがわかった。染色の状態については、蛍光抗体法と差がみとめられなかった。この方法をマウスの正常眼球での【IV】型コラーゲンの分布の観察に応用し、レンズでは【IV】型コラーゲンがカプセル部分にのみ限局し、レンズの内部では検出されなかった。このことから、マウスの遺伝性白内障の発生では、【IV】型コラーゲンが重要な役割りを果たしているとは考えられない。自己免疫病で起る腎臓の病的変化に伴なう基底膜の変化を追求するため、(C57BL×DBA/2)【F_1】マウスにDBA/2の脾細胞を静脈内注射しGHV | KAKENHI-PROJECT-61570165 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-61570165 |
細胞の増殖・分化・組織形成および病的変化に於けるコラーゲンの役割 | マウスを作成し、明らかなタンパク尿が起った時点で屠殺し、腎臓を取り出し、現在標本を作成中である。CBA/Keマウスで発生する遺伝性自己免疫病での腎臓も検索中である。マウス初期発生に於けるコラーゲンの役割について解明するために、マウス受精卵を試験管内で培養し、コラーゲン合成の特異的阻害剤であるヒドロキシプロリンを添加し、発生への影響を調べた結果、コンパクションが抑えられ、コラーゲンが重要であることが示唆された。マウス初期胚の形態学的観察法を確立したので、抗IV型コラーゲン抗体の応用をさらに進めている。マウス乳癌をモデルとして、癌の悪性化に伴なうコラーゲンの変化を追求し、組織学的レベルでは、癌の悪性化にともなって、それを構成している【IV】型コラーゲンの量が減少することを見出した。応用を広げるため、他の動物種にも研究を広げた。 | KAKENHI-PROJECT-61570165 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-61570165 |
薄膜セラミックス被覆材の創成と強度の分子動力学的解析に関する基礎研究 | まず,高周波マグネトロンパッタリング法を用いてアルミナ薄膜および炭化ケイ素薄膜をガラス基板上に形成し,超微小ダイナミック硬度測定ならびに3点曲げ試験によってスパッタリング薄膜の機械的特性の評価を行った.アルミナ薄膜の成膜では基板の加熱は行わず,一方炭化ケイ素薄膜の成膜では2種類の初期基板温度を設定し,それぞれ膜厚および高周波電源出力を変化させて,薄膜特性の成膜条件に対する依存性を明らかにした.いずれのセラミック薄膜においても膜厚を厚くすると硬度は増大した.一方,曲げ強度については,アルミナ被覆材では高周波電源出力を小さくすると強度が低下したが,炭化ケイ素被覆材では顕著な電源出力に対する依存性が認められなかった。なお,アルミナ被覆材の曲げ強度に関しては高強度側と低強度側とで成膜時の欠陥形成に関連すると考えられる破壊形態の相違が認められた.特に低い高周波電源出力で成膜した被覆材については,その曲げ強度が低下し,基板および被覆材の界面近傍に欠陥が存在することが破面観察の結果判明した.このような実験結果に基づいて,界面特性の改善には成膜条件の選定に注意する必要があることを指摘した.さらに,上述のスパッタリング過程で形成される薄膜構造の解析を行う手法として,剛体球モデルによる3次元薄膜形成解析コードを構築した.今回は,上述の実験的検討から薄膜がアモルファスであることが確認されたため,分子動力学法のうちポテンシャルを仮定しない剛体球衝突解析モデルを採用した.解析にあたっては,実験における高周波電源出力および薄膜硬度を,それぞれ解析条件における初期粒子体積密度および見かけの膜粒子体積密度に対応させた.解析の結果,本解析モデルにより実験結果の定性的傾向を説明できることを明らかにした.まず,高周波マグネトロンパッタリング法を用いてアルミナ薄膜および炭化ケイ素薄膜をガラス基板上に形成し,超微小ダイナミック硬度測定ならびに3点曲げ試験によってスパッタリング薄膜の機械的特性の評価を行った.アルミナ薄膜の成膜では基板の加熱は行わず,一方炭化ケイ素薄膜の成膜では2種類の初期基板温度を設定し,それぞれ膜厚および高周波電源出力を変化させて,薄膜特性の成膜条件に対する依存性を明らかにした.いずれのセラミック薄膜においても膜厚を厚くすると硬度は増大した.一方,曲げ強度については,アルミナ被覆材では高周波電源出力を小さくすると強度が低下したが,炭化ケイ素被覆材では顕著な電源出力に対する依存性が認められなかった。なお,アルミナ被覆材の曲げ強度に関しては高強度側と低強度側とで成膜時の欠陥形成に関連すると考えられる破壊形態の相違が認められた.特に低い高周波電源出力で成膜した被覆材については,その曲げ強度が低下し,基板および被覆材の界面近傍に欠陥が存在することが破面観察の結果判明した.このような実験結果に基づいて,界面特性の改善には成膜条件の選定に注意する必要があることを指摘した.さらに,上述のスパッタリング過程で形成される薄膜構造の解析を行う手法として,剛体球モデルによる3次元薄膜形成解析コードを構築した.今回は,上述の実験的検討から薄膜がアモルファスであることが確認されたため,分子動力学法のうちポテンシャルを仮定しない剛体球衝突解析モデルを採用した.解析にあたっては,実験における高周波電源出力および薄膜硬度を,それぞれ解析条件における初期粒子体積密度および見かけの膜粒子体積密度に対応させた.解析の結果,本解析モデルにより実験結果の定性的傾向を説明できることを明らかにした.まず,高周波マグネトロンスパッタリング法を用いてアルミナ薄膜をガラス基板上に形成し,薄膜性状の微視的観察,超微小ダイナミック硬度測定ならびに3点曲げ試験によってスパッタリング薄膜の機械的特性の評価を行った.今回の成膜条件としては,基板の加熱は行わず,高周波電源出力,および雰囲気ガスのアルゴンの圧力を変化させて,薄膜特性の成膜条件に対する依存性を明らかにした.高周波電源出力を小さくし,雰囲気ガス圧を高くすると,巨視的な膜面の性状は荒くなり,硬度および曲げ強度が低下することがわかった.成膜されたアルミナ薄膜はアモルファスになっており,X線による応力測定ができなかったため,圧子の押込み荷重を変化させることにより微視的な応力勾配を推定した.押込み荷重が大きくするにつれて,すなわち押込み深さが深くなるにつれて硬度は小さくなり,膜内部方向に向かって応力が引張側になることが推察された.また,曲げ強度に関しては高強度側と低強度側とで成膜時の欠陥形成に関連すると考えられる破壊形態の相違が認められた.つぎに,スパッタリング薄膜の成膜過程の微視的構造を解析するにあたっては,本年度購入したパソコン上で作動する分子動力学シミュレーションコードを構築し,計算機のダウンサイジングの可能性を模索した.解析では,2次元の剛体球モデルを採用し,スパッタ過程におけるセラミックス分子の積層構造を明らかにした.実験における成膜条件との対応に関しては,電源出力を大きくすると,スパッタ粒子のクラスタが大きくなるという経験的知見に基づいて,解析では剛体球の寸法を大きくすることにより対応させた.その結果,スパッタ薄膜の見かけの充填率が電源出力を大きくすると高くなる,すなわち膜の変形抵抗が大きくなることがわかった.これにより,電源出力が大きいほど硬度が大きくなるという実験的傾向を定性的に説明することができた.まず、高周波マグネトロンスパッタリング法を用いて炭化ケイ素薄膜をガラス基板上に形成し,超微小ダイナミック硬度測定ならびに3点曲げ試験によってスパッタリング薄膜の機械的特性の評価を行った.アルミナ薄膜の成膜では基板の加熱は行わなかったのに対して,炭化ケイ素薄膜の成膜では基板の加熱が必要になった. | KAKENHI-PROJECT-06650107 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-06650107 |
薄膜セラミックス被覆材の創成と強度の分子動力学的解析に関する基礎研究 | そこで,2種類の初期基板温度を設定し,それぞれ膜厚および高周波電源出力を変化させて、薄膜特性の成膜条件に対する依存性を明らかにした.炭化ケイ素被覆材に関しては,いずれの条件においてもセラミック薄膜の膜厚を厚くすると硬度は増大したが,曲げ強度の電源出力に対する顕著な依存性は認められなかった.なお,破面観察の結果,アルミナ被覆材の曲げ強度に関しては高強度側と低強度側とで成膜時の欠陥形成に関連すると考えられる破壊形態の相違が認められたが,特に低い高周波電源出力で成膜した被覆材については,その曲げ強度が低下し,基板および被覆材の界面近傍に欠陥が存在することが破面観察の結果判明した.このような実験結果に基づいて,界面特性の改善には成膜条件の選定に注意する必要があることを指摘した.さらに、上述のスパッタリング過程で形成される薄膜構造の解析を行う手法として、剛体球モデルに基づいて提案した2次元薄膜形成解析コードを3次元に拡張した.今回は,上述の実験的検討から薄膜がアモルファスであることが確認されたため、分子動力学法のうちポテンシャルを仮定しない剛体球衝突解析モデルを採用した.解析にあたっては,実験における高周波電源出力および薄膜硬度を,それぞれ解析条件における初期粒子体積密度および見かけの膜粒子体積密度に対応させた.解析の結果,本解析モデルにより実験結果の定性的傾向を説明できることを明らかにした. | KAKENHI-PROJECT-06650107 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-06650107 |
膜タンパク質Na^+, K^+-ATPaseの基本構造体とその2量体の機能的差異 | Na^+, K^+-ATPase(酵素)の基本構造体(αβ-プロトマー, P)とその2量体((αβ)_2-ダイプロトマー, D)について比較し,以下の結果が得られた.(1)ATPase活性について-C_<12>E_8と活性発現に必要なリガンド(ATP, Na^+, K^+, Mg^<2+>)の他に,精製ホスファチジルセリン(60μg/ml)を含んだ溶出緩衝液でHPLCカラム(TSK-gel G3000SW)を平衡化し,そこに種々の量の可溶化酵素を負荷して,クロマトグラフィーを行い,溶出する蛋白質成分の分子量とATPase活性を同時に測定した.分子量は低角レーザー光散乱法,活性は溶出液中のPi濃度測定で行った.溶出した成分は,負荷量に依らず常に1つで,その分子量は高負荷量時の22万から,低負荷量時の15.8万へと連続的に変化した.これは,可溶化酵素は2P【.dblbarw.】Dの解離・会合平衡系にあり,低蛋白濃度でP状態で,高濃度ではPとDの混合状態となることを示した.一方, ATPase活性値は,蛋白質負荷量に依存せず一定で,膜結合型酵素の64%を示した.従って, DとPの構造体間には, ATPase活性に差がないと結論した.(2)ATP結合-0.1M NaClと10μM^<14>C-ATPを含む溶出緩衝液を用い,上記のカラムを使ったHummel-Dreyerの方法でATPの結合を測定した.Dに大して1.5で, Pに1.3molATP/1.5×10^5g蛋白質の結合量で,有意な差はなかった.(3)カチオン結合-同じ手法で^<204>Tl^+の結合を測定した.DとPへの結合量は, 4μMTl^+でそれぞれ1.1と0, 16μMTl^+で1.9と1.2mol/1.5×10^5g蛋白質であった.DとP間に, Tl^+に対する親和性の差が認められた.以上の結果は, PとDの間には, Tl^+結合に対する親和性以外に差は認められず, Pが機能の最小構造単位であることを示した.しかし, (1)で得られた解離曲線の蛋白質濃度依存性は,膜ではD以上のオリゴマー構造で存在することを示した.Na^+, K^+-ATPase(酵素)の基本構造体(αβ-プロトマー, P)とその2量体((αβ)_2-ダイプロトマー, D)について比較し,以下の結果が得られた.(1)ATPase活性について-C_<12>E_8と活性発現に必要なリガンド(ATP, Na^+, K^+, Mg^<2+>)の他に,精製ホスファチジルセリン(60μg/ml)を含んだ溶出緩衝液でHPLCカラム(TSK-gel G3000SW)を平衡化し,そこに種々の量の可溶化酵素を負荷して,クロマトグラフィーを行い,溶出する蛋白質成分の分子量とATPase活性を同時に測定した.分子量は低角レーザー光散乱法,活性は溶出液中のPi濃度測定で行った.溶出した成分は,負荷量に依らず常に1つで,その分子量は高負荷量時の22万から,低負荷量時の15.8万へと連続的に変化した.これは,可溶化酵素は2P【.dblbarw.】Dの解離・会合平衡系にあり,低蛋白濃度でP状態で,高濃度ではPとDの混合状態となることを示した.一方, ATPase活性値は,蛋白質負荷量に依存せず一定で,膜結合型酵素の64%を示した.従って, DとPの構造体間には, ATPase活性に差がないと結論した.(2)ATP結合-0.1M NaClと10μM^<14>C-ATPを含む溶出緩衝液を用い,上記のカラムを使ったHummel-Dreyerの方法でATPの結合を測定した.Dに大して1.5で, Pに1.3molATP/1.5×10^5g蛋白質の結合量で,有意な差はなかった.(3)カチオン結合-同じ手法で^<204>Tl^+の結合を測定した.DとPへの結合量は, 4μMTl^+でそれぞれ1.1と0, 16μMTl^+で1.9と1.2mol/1.5×10^5g蛋白質であった.DとP間に, Tl^+に対する親和性の差が認められた.以上の結果は, PとDの間には, Tl^+結合に対する親和性以外に差は認められず, Pが機能の最小構造単位であることを示した.しかし, (1)で得られた解離曲線の蛋白質濃度依存性は,膜ではD以上のオリゴマー構造で存在することを示した. | KAKENHI-PROJECT-62580131 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-62580131 |
溶解セルロースの分子構造の解析 | 溶解セルロースの分子構造の解析について、本年度はまず溶解の原因の解明をすることを第1の目標としていた。さらに、溶解セルロースの分子の状態について手がかりとなるデータの集積を行うことを考えた。1.セルロースの溶解原因の検討セルロース多系のうちIV型のみが溶解することが確認されていたが、溶解・非溶解の原因についてX線広角・小角散乱、13C-NMRスペクトル、IRスペクトルを用いて検討を行った。その結果、セルロースの結晶構造に生じたわずかな歪が格子エネルギーの低下を生み出して、セルロースの溶解・非溶解の原因となっているのではないかと考えられた。2.溶解セルロースの構造解析セルロースの溶解過程を、偏光顕微鏡によって試料の状態を確認しながら、X線及び光散乱という波長域が大きく異なる2つのプローブを用いて検討を行った。分子が結晶構造を維持している状態では、既存のX線広角及び小角散乱を用いて、また分子が溶解を開始した状態ではX線小角を用いて実験を行った。更に溶解した分子の状態では分子の形状・大きさ等の検討が求められるため、X線装置より長い波長域で実験が可能な光散乱による測定を行った。そこで本年度新たに購入したレーザー装置・CCDカメラ・データ集積ボード等を光散乱測定装置として組み立てて実験を行った。年度の前半は主に装置が順調に作動することを確認するための実験を行っていたが、現在はセルロースの溶解溶液の光散乱測定を順調に行っているところである。溶解セルロースの分子構造の解析について、本年度はまず溶解の原因の解明をすることを第1の目標としていた。さらに、溶解セルロースの分子の状態について手がかりとなるデータの集積を行うことを考えた。1.セルロースの溶解原因の検討セルロース多系のうちIV型のみが溶解することが確認されていたが、溶解・非溶解の原因についてX線広角・小角散乱、13C-NMRスペクトル、IRスペクトルを用いて検討を行った。その結果、セルロースの結晶構造に生じたわずかな歪が格子エネルギーの低下を生み出して、セルロースの溶解・非溶解の原因となっているのではないかと考えられた。2.溶解セルロースの構造解析セルロースの溶解過程を、偏光顕微鏡によって試料の状態を確認しながら、X線及び光散乱という波長域が大きく異なる2つのプローブを用いて検討を行った。分子が結晶構造を維持している状態では、既存のX線広角及び小角散乱を用いて、また分子が溶解を開始した状態ではX線小角を用いて実験を行った。更に溶解した分子の状態では分子の形状・大きさ等の検討が求められるため、X線装置より長い波長域で実験が可能な光散乱による測定を行った。そこで本年度新たに購入したレーザー装置・CCDカメラ・データ集積ボード等を光散乱測定装置として組み立てて実験を行った。年度の前半は主に装置が順調に作動することを確認するための実験を行っていたが、現在はセルロースの溶解溶液の光散乱測定を順調に行っているところである。 | KAKENHI-PROJECT-06740349 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-06740349 |
妊婦の携帯端末の使用による妊婦と新生児の健康への影響評価 | 本研究では、出生時体重を低下させる既存の要因との関連もふまえて、より詳細な検討を行うことで、「妊娠中の携帯端末の過剰使用」が母体健康及び胎児の発育・発達、出生時健康状態に影響を与える新たなリスク要因となることを科学的な根拠をもって実証し、どのようなメカニズムでどのような影響を与えるかを明らかにしたい。そのため、H29年10月現在、熊本県内協力医療機関の産婦人科で同意の得られた妊婦およびその出生児を対象し、出産直前の妊婦健診で協力医療機関の看護師から研究の概要説明を受け、同意を得た妊婦に自記式質問票を配布し、調査を行う。今のところ順調に進展して、合計300人ぐらいのサンプルを回収できて、パイロット解析もしている。現段階の解析によると、妊娠中の携帯電話の依存度と微弱陣痛との間に、有意な関連が見られた。携帯電話の依存度が高い人は、微弱陣痛になるりリスクが上がり、さらに分娩所要時間も長かった。今から、交絡因子の影響を考慮しながら、サンプルサイズを増やして、仮説を検討していきたいと考えている。熊本地震の影響で、協力医療機関の出産人数が一時的に減少したが、今は少しずつ回復しているため、続きましてサンプルの収集を頑張りたいと思います。本研究では、「妊娠中の携帯端末の過剰使用」が、妊婦自身の健康状態と出産時状況、胎児の発育・発達、出生時の健康状態に対し、どのようなメカニズムでどのような影響を与えるかを明らかにする。そのため、妊娠中の携帯端末の使用状況、抑うつ・不安のようなリスク因子を評価するための調査票を用いて、疫学研究を行う。「妊娠中の携帯端末の過剰使用が、1抑うつや不安の増加など、母体の精神状態の悪化や、2睡眠の質の低下、さらには3流産・早産や低体重児の出産などを引き起こし、妊婦・母親・新生児の緊急搬送の増加を導く」ことを明らかにし、4妊婦の携帯端末の使用方法に関するリーフレットを作成する。本研究では、出生時体重を低下させる既存の要因との関連もふまえて、より詳細な検討を行うことで、「妊娠中の携帯端末の過剰使用」が母体健康及び胎児の発育・発達、出生時健康状態に影響を与える新たなリスク要因となることを科学的な根拠をもって実証し、どのようなメカニズムでどのような影響を与えるかを明らかにしたい。そのため、H29年10月現在、熊本県内協力医療機関の産婦人科で同意の得られた妊婦およびその出生児を対象し、出産直前の妊婦健診で協力医療機関の看護師から研究の概要説明を受け、同意を得た妊婦に自記式質問票を配布し、調査を行う。今のところ順調に進展して、合計300人ぐらいのサンプルを回収できて、パイロット解析もしている。現段階の解析によると、妊娠中の携帯電話の依存度と微弱陣痛との間に、有意な関連が見られた。携帯電話の依存度が高い人は、微弱陣痛になるりリスクが上がり、さらに分娩所要時間も長かった。今から、交絡因子の影響を考慮しながら、サンプルサイズを増やして、仮説を検討していきたいと考えている。熊本地震の影響で、協力医療機関の出産人数が一時的に減少したが、今は少しずつ回復しているため、続きましてサンプルの収集を頑張りたいと思います。本研究では、「妊娠中の携帯端末の過剰使用」が、妊婦自身の健康状態と出産時状況、胎児の発育・発達、出生時の健康状態に対し、どのようなメカニズムでどのような影響を与えるかを明らかにする。そのため、妊娠中の携帯端末の使用状況、抑うつ・不安のようなリスク因子を評価するための調査票を用いて、疫学研究を行う。「妊娠中の携帯端末の過剰使用が、1抑うつや不安の増加など、母体の精神状態の悪化や、2睡眠の質の低下、さらには3流産・早産や低体重児の出産などを引き起こし、妊婦・母親・新生児の緊急搬送の増加を導く」ことを明らかにし、4妊婦の携帯端末の使用方法に関するリーフレットを作成する。初年度に関して、地震の影響で協力医療機関の患者数が減少したため、予定より取集したサンプル数が少し少なかったが、今少しづつ患者数は回復している。そのため、前年度のサンプル回収にかかる費用を今年で使いたいと考えている。さらに、今年は研究の2年目になり、結果を解析するため、統計ソフトの購入、データ管理用のハードディスクの追加、中間結果を学会で発表するなど、前年度の助成金と合わせて、研究を進めたいと考える。 | KAKENHI-PROJECT-18K17384 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-18K17384 |
建設作業現場における安全性確保に関する研究 | 外足場を想定し,身体装着可能な小型の三次元加速度計を用いた階段昇降実験を行った。得られた加速度波形を対象にフラクタル解析とスペクトル解析とを行い,加速度の絶対値・フラクタル次元・ゆらぎ値を用いて墜落の主要因と考えられる人体の不安定さを客観的な物理量として定量化するとともに,実験と同時に行った感性評価による主観的データをも鑑みながら,回避すべき行為の特定,ならびに作業環境の評価手法を提案した。外足場を想定し,身体装着可能な小型の三次元加速度計を用いた階段昇降実験を行った。得られた加速度波形を対象にフラクタル解析とスペクトル解析とを行い,加速度の絶対値・フラクタル次元・ゆらぎ値を用いて墜落の主要因と考えられる人体の不安定さを客観的な物理量として定量化するとともに,実験と同時に行った感性評価による主観的データをも鑑みながら,回避すべき行為の特定,ならびに作業環境の評価手法を提案した。文献や購入書籍に基づいて,建設業における労働安全に関する諸規定,ならびに労働災害発生の実例と対策などについて調査した。その結果,災害発生防止のための規定は過去の災害からの教訓を踏まえつつかなり詳細に整備されていることがわかった。しかしながら,建設業における労働災害の発生は未だに撲滅されていない現状を鑑みると,法律や規定の記述内容と実態との間には相当な乖離があることが示唆された。災害発生防止には作業現場組織おける体制の確立もさることながら,最終的には作業当事者の意識に委ねられている部分があるのではないかとも考えられることから,法律、規定や作業体制以外の請負体制や雇用形態などの外見からは顕在化しにくいソフトの部分にも問題が潜んでいるようにも思われる。また,施工現場責任者からの聞取り調査と併せて予備実験として被験者に実際の施工現場で歩行して貰い,被験者の属性(性別・身長・年齢)、作業足場の地上からの高さ、同足場の幅を変化させ,歩行速度との関係をみた。その結果,転落などの災害発生は踏み板上の歩行においてよりも足場壁面寄りの作業,すなわち身体の重心が踏み板から壁面と踏み板との空間にある作業における場合が多いこと,歩行速度には作業者の歩行空間が無限の場合(頭上の踏み板なし)は属性による影響はないが,歩行踏み板と頭上踏み板との空間高さが一定の場合には上背があると頭上部空間が狭くなり歩行速度は減少すること,足場側面の転落防止ネットの存在は作業者への不安軽減に大きく寄与していることなどがわかった。さら,荷物の上げ下ろし作業時の加速度測定結果に基づいてフラクタル次元の算出を行った。昨年度の続く更なる調査から,建設分野における災害発生要因は「転落・墜落」が今日においても最多であること,その内訳をみると法規制にもかかわらず物理的対策を取りにくい「窓・階段・開口部・床の端から」・「屋根・屋上から」・「足場から」の上位3位で全体の約4割を占めていることなどが判明した。そこで,今年度は施工行為のうち不可欠であり,且つ転落事故が多く発生している階段昇降を対象とした実験を行うこととし,それに先立ち実験条件設定のための調査および予備実験を行った。まず,25件の文献調査では,実験計画の策定にあたり不可欠となる昇降速度・踏面寸法・蹴上寸法の表記の有無を重点調査項目とした。続いて,加速度計を装着した被験者を仕様の異なる数種の外階段において昇降させ,昇降速度と段差(蹴上げ寸法差)を変化させた実験を感性評価と併せて行なった。その結果,実験対象は「踏面150300mm,蹴上150230mmの階段」とし,昇降速度は「ストライド時間0.51.7秒で0.1秒刻み」とした。実験はシリーズ1(昇降速度変化)とシリーズ2(蹴上げ寸法変化)とから成る。小型三次元加速度計を臍・膝・足首に装着し加速度波形を得た。得られた加速度波形から,物理量としての加速度の振幅(身体にかかる力)・フラクタル次元(身体の安定性)・ゆらぎ値(変化の急激性と予測の難易)を求め,感性評価との比較検討を行なった。その結果,災害発生防止のためには適切な昇降速度があること,ならびに蹴上げ寸法差よりも昇降速度のほうが重要であることなどが明らかとなった。さらに,安全性確保からみた作業環境の評価手法を提案し,本実験で得られた結果を対象に同手法に基づく評価を行った。その結果同手法の有効性を示唆する結果が得られた。なお,評価手法の有効性の確認のためには,他の施工行為についての同様な実験を行うことが必要である。 | KAKENHI-PROJECT-19510169 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-19510169 |
真核生物染色体DNA複製開始領域における複製因子集合の分子機構 | 真核生物染色体の複製開始領域には、サイクリン依存性キナーゼ(CDK)活性の低いM期後期からG1期にpre-Replicative Complex(pre-RC)が形成される。次に、CDKが活性化するG1期後期に、多数の複製タンパク質がpre-RCに集合し、複製が開始する。しかし、CDKに依存した複製タンパク質の集合機構は殆ど分っていなかった。それは、複製開始におけるCDK基質及びCDK依存の素過程の同定が不十分であったためである。そこで本研究では、まず複製開始における必須なCDK基質が酵母ではSld2とSld3であることを明らかにした。CDKにリン酸化されたSld2とSld3は、ともにDpb11に結合する。この結合が複製開始に必須であり、両結合をバイパスするとCDK非依存的に複製が開始する。Sld2は11ヶ所のCDKリン酸化モチーフを持ち、その中でThr84のリン酸化がDpb11との結合に必須であった。そしてSld2の他のリン酸化は,Thr84のリン酸化レベルを調節し、複製開始の微調整に働くことが分った。一方Sld3は、新規因子Sld7と複合体を形成して働くことが分かった。次ぎに、CDKに依存した過程としてpre-Loading Complex(pre-LC)の形成を見つけた。pre-LCはDNAポリメラーゼε、GINS、Sld2、Dpb11を含む新たな複合体で、その形成はCDK活性に依存するが、複製開始領域への結合やpre-RCには依存しない。以上のことから、1)CDKによりリン酸化されたSld2がDpb11と結合するとpre-LCが形成する、2)Sld3はG1期から複製開始領域に結合しているので、開始領域上でCDKによりリン酸化される、3)リン酸化されたSld3はDpb11との結合を介してpre-LCを開始領域に引き寄せる、ことにより複製が開始すると考えている。真核生物染色体の複製開始領域には、サイクリン依存性キナーゼ(CDK)活性の低いM期後期からG1期にpre-Replicative Complex(pre-RC)が形成される。次に、CDKが活性化するG1期後期に、多数の複製タンパク質がpre-RCに集合し、複製が開始する。しかし、CDKに依存した複製タンパク質の集合機構は殆ど分っていなかった。それは、複製開始におけるCDK基質及びCDK依存の素過程の同定が不十分であったためである。そこで本研究では、まず複製開始における必須なCDK基質が酵母ではSld2とSld3であることを明らかにした。CDKにリン酸化されたSld2とSld3は、ともにDpb11に結合する。この結合が複製開始に必須であり、両結合をバイパスするとCDK非依存的に複製が開始する。Sld2は11ヶ所のCDKリン酸化モチーフを持ち、その中でThr84のリン酸化がDpb11との結合に必須であった。そしてSld2の他のリン酸化は,Thr84のリン酸化レベルを調節し、複製開始の微調整に働くことが分った。一方Sld3は、新規因子Sld7と複合体を形成して働くことが分かった。次ぎに、CDKに依存した過程としてpre-Loading Complex(pre-LC)の形成を見つけた。pre-LCはDNAポリメラーゼε、GINS、Sld2、Dpb11を含む新たな複合体で、その形成はCDK活性に依存するが、複製開始領域への結合やpre-RCには依存しない。以上のことから、1)CDKによりリン酸化されたSld2がDpb11と結合するとpre-LCが形成する、2)Sld3はG1期から複製開始領域に結合しているので、開始領域上でCDKによりリン酸化される、3)リン酸化されたSld3はDpb11との結合を介してpre-LCを開始領域に引き寄せる、ことにより複製が開始すると考えている。出芽酵母の染色体DNA複製開始に関わる因子の集合に関して以下のような結果を得た。1,これまでdpb11-1変異と合成致死になる変異としてsld変異を分離した。これらの変異を相補する遺伝子が新規の複製開始因子をコードするものが多かった。しかし、合成致死になることが他の研究から明らかになっているにも関わらず、分離されていない遺伝子の変異もあった。そこで、既に分離していた新たなdpb11変異を用いてsld変異のスクリーニングを再度行った。先のスクリーニングでは分離されなかった既知のMCM3,MCM10遺伝子に加えて、新規の遺伝子の変異を1つ分離できたが、この新規の遺伝子は細胞増殖には必須ではなく、DNA複製に関与しているものでは無かった。2,複製開始に関与するSld3,GINSの大腸菌および昆虫細胞からの発現系を確立した。ここで発現したものを、今後精製し解析に用いる予定である。Dpb11,Sld2についても、両者の結合に必要な領域を限定し、その領域を大腸菌で発現し精製する系を確立した。精製したタンパク質のみで、両者の結合がCDKによるリン酸化に依存して制御されていることが分かった。3,2-ハイブリッド法と遺伝学的手法を組み合わせることにより、Sld3のN末がCdc45とC末がGINSのサブユニットであるPsf1と相互作用することが明らかになった。4,Sld2には11個のCDKリン酸化部位(SP/TP)が存在するが、その全ての部位をリン酸化型に近いDPに変えた変異を作成した。この変異株は増殖でき、複製開始にはCDK活性が必要である。 | KAKENHI-PROJECT-15207012 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-15207012 |
真核生物染色体DNA複製開始領域における複製因子集合の分子機構 | 従って、複製の開始にはSld2に加えて、他の因子のCDKによるリン酸化が必要であると結論できる。出芽酵母の染色体DNA複製開始に関わる因子の集合に関して以下のような結果を得た。1,複製の開始には,多数の複製因子が開始領域に結合しなければならない。これら因子の結合に必要なGINSと複合体を作る因子を調べた。弱い結合により作られる複合体を調べる目的で,ホルマリンによりクロスリンクさせた後,GINS複合体と共免疫沈降する因子を調べた。その結果,DNAポリメラーゼε(Polε)とGINS複合体が細胞周期を通じて結合していること,S期に入るとこの複合体にDpb11,Sld2が加わることを明らかにした。2,GINSの昆虫細胞の発現系から,Polε,Dpb11,Sld2は酵母から精製する系を確立したが,酵母からの精製量が少なく今後の課題である。これらタンパク質を用いて,1で同定した複合体の再構築を試みる予定である。3,Dpb11はCDKによりリン酸化されたSld2と効率よく結合する。Sld2は11ヶ所のCDKによるリン酸化部位を持つが,結合にはその内1ヶ所のリン酸化が必須であるを明らかにした。他の部位のリン酸化は,結合に必須なリン酸化部位のリン酸化レベルを調節しているようである。4,我々が分離したSld3は,Cdc45と結合して複製開始に必要である。Sld3も12ヶ所のCDKによるリン酸化部位を持つ。これらのリン酸化部位に変異を導入することによりSld3の機能に影響を与えるか調べた。その結果,2ヶ所のリン酸化部位を同時に変異させると,細胞増殖に欠損を持つことが明らかになった。このことは,Sld3もCDKによるリン酸化の基質であることを示唆する。真核生物の複製開始領域には、サイクリン依存性キナーゼ(CDK)活性の低いM期後期からG1期にpre-Replicative Complex(pre-RC)が形成し、CDK活性がG1期後期に増加すると多数の複製タンパク質がpre-RCに集合して、複製が開始する。この集合に関して本年度は以下の点を明かにした。1.この集合反応には、Sld2とDpb11タンパク質の結合が必須である。この結合には、CDKによるSld2のリン酸化が必須である。Sld2は11個のCDKリン酸化モチーフを持つが、このうち84番目のスレオニン(Thr84)のリン酸化がDpb11との結合に必須であり、他のCDKによるリン酸化はThr84がリン酸化されることに必要である。この制御により、Dpb11とSld2との結合には高いCDK活性が必要となるが、このことが複製開始制御には重要である。2.CDK活性に依存して形成されるpre-LandingComplex(pre-LC)を同定している。pre-LCはDNAポリメラーゼε(Polε)、GINS、Sld2、Dpb11を含むが、それぞれの因子の変異を用いることにより、GINS-Polε-Sld2-Dpb11の順に結合していることを示唆した。また、この複合体形成がCDKには依存するがDDKには依存したいことを示した。3.Sld2のリン酸化型変異を導入しても、CDK非依存的に複製を開始することはできない。これは、Sld2以外にもCDKのターゲットがあるためである。 | KAKENHI-PROJECT-15207012 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-15207012 |
キャピラリー電気泳動による超高速SNP分析法の開発 | 本研究課題の研究経過および成績は以下に示すとおりである。ABO式血液型、HLA-DRB1型、Y染色体上のSNP座位等の複数の多型DNA部位をPCRにより増幅し,それらの産物の一部を鋳型として、蛍光ラベルddNTPと各塩基置換部位(SNP)に対応した塩基長の異なる10本程度の非蛍光ラベルプライマーを用いた一塩基プライマー伸長反応により複数座位のSNPの同時分析を行った。次いで、プライマー伸長反応により得られた蛍光ラベルDNAフラグメントを、キャピラリー電気泳動装置(ABI PRISM 310 Genetic Analyzer)を用いて検出し、GeneScan Analysis Softwareを用いて解析することにより各SNP座位の塩基配列を決定した。ABO式血液型遺伝子内の7個のSNPを本法により同時分析し、遺伝子型を明確に判定することが可能であった。また、この方法を法医学上の実際例に応用する際に問題となる検出感度、正確さ、加熱の影響等について検討し、良好な成績を得た。Y染色体上の15座位のSNPを本法により同時の検出し、そのハプロタイプ解析が可能であった。なお、HLA-DRB1遺伝子座のSNP検出については、DRB1座の各対立遺伝子を大きく3つのグループに分け、それぞれのグループ毎に複数のSNP部位を検出してHLA-DRB1遺伝子型をタイピングする方法について検討し、主要なDRB1対立遺伝子を総てのタイピングできる分析系をほぼ確立した。さらに、ヒトの各染色体上の合計38個のSNP座位を5つの検出グループに分け、それぞれのグループ毎に一塩基プライマー伸長反応を行った後、時間差連続インジェクション法を採用したキャピラリー電気泳動により同時検出して38座位のSNPの遺伝子型を一度の電気泳動でタイピングする方法をほぼ確立した。また、この方法を法医学上の実際例に応用する際に問題となる検出感度、正確さ、加熱の影響等について検討し、良好な成績を得た。本研究課題の研究経過および成績は以下に示すとおりである。ABO式血液型、HLA-DRB1型、Y染色体上のSNP座位等の複数の多型DNA部位をPCRにより増幅し,それらの産物の一部を鋳型として、蛍光ラベルddNTPと各塩基置換部位(SNP)に対応した塩基長の異なる10本程度の非蛍光ラベルプライマーを用いた一塩基プライマー伸長反応により複数座位のSNPの同時分析を行った。次いで、プライマー伸長反応により得られた蛍光ラベルDNAフラグメントを、キャピラリー電気泳動装置(ABI PRISM 310 Genetic Analyzer)を用いて検出し、GeneScan Analysis Softwareを用いて解析することにより各SNP座位の塩基配列を決定した。ABO式血液型遺伝子内の7個のSNPを本法により同時分析し、遺伝子型を明確に判定することが可能であった。また、この方法を法医学上の実際例に応用する際に問題となる検出感度、正確さ、加熱の影響等について検討し、良好な成績を得た。Y染色体上の15座位のSNPを本法により同時の検出し、そのハプロタイプ解析が可能であった。なお、HLA-DRB1遺伝子座のSNP検出については、DRB1座の各対立遺伝子を大きく3つのグループに分け、それぞれのグループ毎に複数のSNP部位を検出してHLA-DRB1遺伝子型をタイピングする方法について検討し、主要なDRB1対立遺伝子を総てのタイピングできる分析系をほぼ確立した。さらに、ヒトの各染色体上の合計38個のSNP座位を5つの検出グループに分け、それぞれのグループ毎に一塩基プライマー伸長反応を行った後、時間差連続インジェクション法を採用したキャピラリー電気泳動により同時検出して38座位のSNPの遺伝子型を一度の電気泳動でタイピングする方法をほぼ確立した。また、この方法を法医学上の実際例に応用する際に問題となる検出感度、正確さ、加熱の影響等について検討し、良好な成績を得た。本年度の研究経過および成績は以下に示すとおりである。ABO式血液型、HLA-DRB1型、Y染色体上のSNP座位等の複数の多型DNA部位をPCRにより増幅し,それらの産物の一部を鋳型として、蛍光ラベルddNTPと各塩基置換部位(SNP)に対応した塩基長の異なる10本程度の非蛍光ラベルプライマを用いた一塩基プライマー伸長反応により複数座位のSNPの同時分析を行った。次いで、プライマー伸長反応により得られた蛍光ラベルDNAフラグメントを、キャピラリー電気泳動装置(ABI PRISM 310 Genetic Analyzer)を用いて検出し、GeneScan Analysis Softwareを用いて解析することにより各SNP座位の塩基配列を決定した。ABO式血液型遺伝子内の7個のSNPを本法により同時分析し、遺伝子型を明確に判定することが可能であった。また、本法により、Y染色体上の15座位のSNPが同時の検出され、そのハプロタイプ解析が可能であった。なお、HLA-DRB1遺伝子座のSNP検出については、DRB1座の各対立遺伝子を大きく3つのグループに分け、それぞれのグループ毎に複数のSNP部位を検出してHLA-DRB1遺伝子型をイピングする方法について検討し、現在までにDR4グループの対立遺伝子をタイピングする分析系をほぼ確立した。次いでDR3,5,6,およびDR8を含むグループの分析法につき検討を行っている。本年度の研究経過および成績は以下に示すとおりである。ABO式血液型、HLA-DRB1型、Y染色体上のSNP座位等の複数の多型DNA部位をPCRにより増幅し、それらの産物の一部を鋳型として、蛍光ラベル | KAKENHI-PROJECT-13470102 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-13470102 |
キャピラリー電気泳動による超高速SNP分析法の開発 | ddNTPと各塩基置換部位(SNP)に対応した塩基長の異なる10本程度の非蛍光ラベルプライマーを用いた一塩基プライマー伸長反応により複数座位のSNPの同時分析を行った。次いで、プライマー伸長反応により得られた蛍光ラベルDNAフラグメントを、キャピラリー電気泳動装置(ABI PRISM 310 Genetic Analyzer)を用いて検出し、GeneScan Analysis Softwareを用いて解析することにより各SNP座位の塩基配列を決定した。ABO式血液型遺伝子内の7個のSNPを本法により同時分析し、遺伝子型を明確に判定することが可能であった。また、この方法を法医学上の実際例に応用する際に問題となる検出感度、正確さ、加熱の影響等について検討し、良好な成績を得た。Y染色体上の15座位のSNPを本法により同時の検出し、そのハプロタイプ解析が可能であった。なお、HLA-DRB1遺伝子座のSNP検出については、DRB1座の各対立遺伝子を大きく3つのグループに分け、それぞれのグループ毎に複数のSNP部位を検出してHLA-DRB1遺伝子型をタイピングする方法について検討し、主要なDRB1対立遺伝子を総てのタイピングできる分析系をほぼ確立した。さらに、ヒトの各染色体上の合計38個のSNP座位を5つの検出グループに分け、それぞれのグループ毎に一塩基プライマー伸長反応を行った後、時間差連続インジェクション法を採用したキャピラリー電気泳動により同時検出して38座位のSNPの遺伝子型を一度の電気泳動でタイピングする方法をほぼ確立した。本年度の研究経過および成績は以下に示すとおりである。ABO式血液型、HLA-DRB1型、Y染色体上のSNP座位等の複数の多型DNA部位をPCRにより増幅し,それらの産物の一部を鋳型として、蛍光ラベルddNTPと各塩基置換部位(SNP)に対応した塩基長の異なる10本程度の非蛍光ラベルプライマーを用いた一塩基プライマー伸長反応により複数座位のSNPの同時分析を行った。次いで、プライマー伸長反応により得られた蛍光ラベルDNAフラグメントを、キャピラリー電気泳動装置(ABI PRISM 310 Genetic Analyzer)を用いて検出し、GeneScan Analysis Softwareを用いて解析することにより各SNP座位の塩基配列を決定した。ABO式血液型遺伝子内の7個のSNPを本法により同時分析し、遺伝子型を明確に判定することが可能であった。また、この方法を法医学上の実際例に応用する際に問題となる検出感度、正確さ、加熱の影響等について検討し、良好な成績を得た。Y染色体上の15座位のSNPを本法により同時の検出し、そのハプロタイプ解析が可能であった。なお、HLA-DRB1遺伝子座のSNP検出については、DRB1座の各対立遺伝子を大きく3つのグループに分け、それぞれのグループ毎に複数のSNP部位を検出してHLA-DRB1遺伝子型をタイピングする方法について検討し、主要なDRB1対立遺伝子を総てのタイピングできる分析系をほぼ確立した。 | KAKENHI-PROJECT-13470102 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-13470102 |
NC工作機械用サ-ボスピンドルの2相PLL制御に関する研究 | 近年,工作機械は急速にNC化されつつあるが,その中でNC化が困難とされているものに,歯車加工機が挙げられる.例えば,数年前までは,NCホブ盤は機械式ホブ盤と比較して高精度加工は困難であるとされていた.本研究では,これを解決するため,歩行ロボットの研究を通して得られたダイレクト・ドライブ技術をもとに,歯車加工機に搭載可能な高精度高速サ-ボスピンドルの実現を試みた.このサ-ボスピンドルの制御には,研究代表者が1981年に提案した2相PLL(Phase Locked Loop)が応用されており,高精度かつ高剛性な同期回転を得ることを可能にするものである.本研究は平成2年度と平成3年度の2年間に亘って行われたものであり,本研究実績は次のようである.まず,ビルドインモ-タと磁気スケ-ルを組み込んだ歯車研削盤用サ-ボスピンドルを試作した.これには最高12,000rpmの回転速度を実現するために必要となる動バランシング機構が搭載されている.さらに,2相PLL回路とサ-ボアンプを製作し,必要とされる高速応答性が実現されていることを確認した.制御系には,繰り返し制御を導入し,周期的外乱に対する適応性の向上を図った.また,実際に歯車研削盤をNC化する場合,歯車の研削時に回転中の工具とワ-クが正しい相対位置関係にあるかどうかを判定して,ずれている場合にはそれを補正する機構が必要となるが,この初期歯合わせを行うために,ビデオカメラを用いた画像処理を導入した新しい手法を提案し,その有用性を明らかにした.本研究で試作したサ-ボスピンドルを用いたNC歯車研削盤で研削実験を行った結果,累積ピッチ誤差が10"以内の高精度な歯車を極めて高速に加工することが可能であることが実証された.近年,工作機械は急速にNC化されつつあるが,その中でNC化が困難とされているものに,歯車加工機が挙げられる.例えば,数年前までは,NCホブ盤は機械式ホブ盤と比較して高精度加工は困難であるとされていた.本研究では,これを解決するため,歩行ロボットの研究を通して得られたダイレクト・ドライブ技術をもとに,歯車加工機に搭載可能な高精度高速サ-ボスピンドルの実現を試みた.このサ-ボスピンドルの制御には,研究代表者が1981年に提案した2相PLL(Phase Locked Loop)が応用されており,高精度かつ高剛性な同期回転を得ることを可能にするものである.本研究は平成2年度と平成3年度の2年間に亘って行われたものであり,本研究実績は次のようである.まず,ビルドインモ-タと磁気スケ-ルを組み込んだ歯車研削盤用サ-ボスピンドルを試作した.これには最高12,000rpmの回転速度を実現するために必要となる動バランシング機構が搭載されている.さらに,2相PLL回路とサ-ボアンプを製作し,必要とされる高速応答性が実現されていることを確認した.制御系には,繰り返し制御を導入し,周期的外乱に対する適応性の向上を図った.また,実際に歯車研削盤をNC化する場合,歯車の研削時に回転中の工具とワ-クが正しい相対位置関係にあるかどうかを判定して,ずれている場合にはそれを補正する機構が必要となるが,この初期歯合わせを行うために,ビデオカメラを用いた画像処理を導入した新しい手法を提案し,その有用性を明らかにした.本研究で試作したサ-ボスピンドルを用いたNC歯車研削盤で研削実験を行った結果,累積ピッチ誤差が10"以内の高精度な歯車を極めて高速に加工することが可能であることが実証された.サ-ボスピンドルとは,NC工作機械のスピンドルにサ-ボ性能を持たせたものであり,例えば,歯車の加工に使用されるNCホブ盤やNC歯車研削盤等に用いられている。このサ-ボスピンドルの回転精度は,歯車の加工精度を左右する重要な因子であるため,可能な限り高いことが望ましい。また,重加工においては,高い動剛性も要求される。ところが,現在一般に用いられているサ-ボスピンドルには,精度および動剛性とも十分に満足できるものは無い。そこで,本研究は,高精度,高剛性で高速回転を行うサ-ボスピンドルを,研究代表者が1981年に提案した2相PLL(Phase Locked Loop)を応用することにより実現しようとするものである。本研究の完成により,4,000rpm以上の高速回転において,10"程度の回転精度を有するサ-ボ機構が実現されることになり,NC工作機械用サ-ボスピンドルの飛躍的性能向上をはかることが可能となる。本研究は平成2年度と平成3年度の2年間に亘って行われるものであり,平成2年度の研究実績は次のようである。すなわち,サ-ボスピンドルを試作するために必要な部品類は,大学内の工作機械を使用して出来上がっており,ビルドインモ-タと磁気スケ-ルも既に組み込み済みである。現在,高速回転のためのバランスィングの作業を行っている。2相PLL回路とサ-ボアンプはほぼ出来上がっており,回路の調整中である。繰り返し制御の基礎実験もほぼ完了し,実際のサ-ボスピンドルに応用できる日を心待ちにしている。新たに得られた知見として,歯車の研削時に工具とワ-クの正しい相対位置関係を回転中に与えねばならず,位置関係が正しいかどうかの判定をビデオカメラを用いて行っているが,この画像入力の手法に多くの知見が得られた。 | KAKENHI-PROJECT-02650172 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-02650172 |
NC工作機械用サ-ボスピンドルの2相PLL制御に関する研究 | 近年,工作機械は急速にNC化されつつあるが,その中でNC化が困難とされているものに,歯車加工機が挙げられる.例えば,数年前までは,NCホブ盤は機械式ホブ盤と比較して高精度加工は困難であるとされていた.本研究では,これを解決するため,歩行ロボットの研究を通して得られたダイレクト・ドライブ技術をもとに,歯車加工機に搭載可能な高精度高速サ-ボスピンドルの実現を試みた.このサ-ボスピンドルの制御には,研究代表者が1981年に提案した2相PLL(Phase Locked Loop)が応用されており,高精度かつ高剛性な同期回転を得ることを可能にするものである.本研究は平成2年度と平成3年度の2年間に亘って行われたものであり,本研究実績は次のようである.まず,ビルドインモ-タと磁気スケ-ルを組み込んだ歯車研削盤用サ-ボスピンドルを試作した.これには最高12,000rpmの回転速度を実現するために必要となる動バランシング機構が搭載されている.さらに,2相PLL回路とサ-ボアンプを製作し,必要とされる高速応答性が実現されていることを確認した.制御系には,繰り返し制御を導入し,周期的外乱に対する適応性の向上を図った.また,実際に歯車研削盤をNC化する場合,歯車の研削時に回転中の工具とワ-クが正しい相対位置関係にあるかどうかを判定して,ずれている場合にはそれを補正する機構が必要となるが,この初期歯合わせを行うために,ビデオカメラを用いた画像処理を導入した新しい手法を提案し,その有用性を明らかにした.本研究で試作したサ-ボスピンドルを用いたNC歯車研削盤で研削実験を行った結果,累積ピッチ誤差が10"以内の高精度な歯車を極めて高速に加工することが可能であることが実証された. | KAKENHI-PROJECT-02650172 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-02650172 |
遺伝性皮質性小脳萎縮症(SCA6と非SCA6)の発現機序の解明と原因遺伝子の同定 | 他施設から診断以来のあったものを含め、多数のSCA6症例について、その臨床症状の詳細な解析を行い、やはりほぼ純粋な小脳症状が主体であることを明らかにした。また、ヒト脳におけるα1A-Caチャンネル遺伝子の発現を検討し、mRNAは広く神経系に発現しているものの小脳に圧倒的に多く発現しており,かつそれはとくにプルキンエ細胞に多いことを初めて明らかにし、SCA6がプルキンエ細胞に優位の細胞死を来たし、ほぼ純粋な小脳失調症をきたすことをよく説明できることを示した。さらに、α1A-Caチャンネ蛋白に対する特異抗体を作製して、この蛋白の中枢神経系各部位での発現状況を明らかにするとともに、SCA6における特徴的な異常を初めて明らかにした(論文投稿中)。培養細胞系を用いた研究では、HEKやPC12などにCAGリピートが正常および異常に伸長したα1A-Caチャンネル遺伝子を導入し、そのチャンネル機能をパッチクランプ法により検討している。また、この系における細胞死の有無やその機序、異常蛋白の発現パターンを明らかにした(論文投稿中)。さらに異常α1A-Caチャンネル遺伝子を導入したマウスを作製しており、今後解析の予定である。すでに、我国には臨床・病理所見がSCA6とほぼ同一ながら原因の異なる症例(non-SCA6)が、SCA6とほぼ同様に多数存在することを指摘してきたが、現在候補遺伝子を含め連鎖解析を進めており原因となる遺伝子座を見出し(論文投稿中)、さらに原因遺伝子の同定に向けて研究を進めている。他施設から診断以来のあったものを含め、多数のSCA6症例について、その臨床症状の詳細な解析を行い、やはりほぼ純粋な小脳症状が主体であることを明らかにした。また、ヒト脳におけるα1A-Caチャンネル遺伝子の発現を検討し、mRNAは広く神経系に発現しているものの小脳に圧倒的に多く発現しており,かつそれはとくにプルキンエ細胞に多いことを初めて明らかにし、SCA6がプルキンエ細胞に優位の細胞死を来たし、ほぼ純粋な小脳失調症をきたすことをよく説明できることを示した。さらに、α1A-Caチャンネ蛋白に対する特異抗体を作製して、この蛋白の中枢神経系各部位での発現状況を明らかにするとともに、SCA6における特徴的な異常を初めて明らかにした(論文投稿中)。培養細胞系を用いた研究では、HEKやPC12などにCAGリピートが正常および異常に伸長したα1A-Caチャンネル遺伝子を導入し、そのチャンネル機能をパッチクランプ法により検討している。また、この系における細胞死の有無やその機序、異常蛋白の発現パターンを明らかにした(論文投稿中)。さらに異常α1A-Caチャンネル遺伝子を導入したマウスを作製しており、今後解析の予定である。すでに、我国には臨床・病理所見がSCA6とほぼ同一ながら原因の異なる症例(non-SCA6)が、SCA6とほぼ同様に多数存在することを指摘してきたが、現在候補遺伝子を含め連鎖解析を進めており原因となる遺伝子座を見出し(論文投稿中)、さらに原因遺伝子の同定に向けて研究を進めている。 | KAKENHI-PROJECT-10176207 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-10176207 |
一般座標変換に不変なg像の特徴抽出手法に関する研究 | 一部、予定を早めて、一般座標変換に不変なスムージング手法のアルゴリズムを開発した。このアルゴリズムは最終目標である一般座標変換に不変な特徴抽出方法を実現するベースとなるものである。一般座標変換とは画像処理の分野で通常使われるアフィン変換の上位概念であり、連続で微分可能な座標変換の総称である。画像の任意のひずみを表現できる座標変換である。例えば、円柱や球などの曲面上の画像を異なる視点から観測すると、二つの画像は一般座標変換によって関係づけられる。一般座標変換に不変な画像処理が実現すれば、このような視点の移動に影響されない画像処理が実現できる。この一般座標変換に対する不変性を実現するために、一般座標変換に対して適切な変換性を持つ位置に依存する計量テンソルを利用する。今回、このような計量テンソルをを用意することが出来れば、一般座標変換に不変なスムージングを実現できることをリーマン幾何学の枠組みの中で数学的に証明するkとができた。また、計算機で作成した画像を用いたシミュレーション実験によって、一般座標変換に不変なスムージングが実現していることを確認した。残されている問題は1この方法を一般座標変換に不変な特徴抽出法に拡張すること、2今回前提とした一般座標変換に対して適切な変換性を持つ位置に依存する計量テンソルを実際に構成することである。1の課題はほぼ解決しており、今後2の課題の実現に力を尽くす。なお、この成果は画像処理に関する国際会議で発表した。スムージングを例として一般座標変換に対する不変性を実現する枠組みができたことは、当初の予定に比べて先行している。只、理論が先行しており、評価実験が必ずしも順調に進んでいない点が問題である。最終的には予定通り終了できることが見込まれる。残る課題が認識できているので、それを力強く実行することが重要である。特に、評価実験はデータ量と計算量が多いので、効率的に遂行するために環境整備などの工夫が必要である。本研究の目標は画像から一般座標変換に不変な特徴を抽出する方法を開発することである。その1ステップとして、画像からアフィン変換に不変な一連の特徴を抽出する方法について研究した。今回の研究において最も重要なポイントは、アフィン変換に対して適切な変換性を持つ計量テンソルを導入したこと、そして、アフィン変換に不変な評価関数を利用してそれを導き出す方法を見出したことである。アフィン変換に対して適切な変換性を持つ計量テンソルを利用すれば、アフィン変換に不変なスムージングや、アフィン変換に不変な微分演算が可能となる。一般に、画像からの特徴抽出は、低周波数成分と高周波数成分を抑制することで行われる。中間的な周波数成分に本質的な特徴が含まれることが多いからである。スムージングは高周波数成分を抑制する処理であり、微分演算は低周波数成分を抑制する処理である。これを組み合わせることで画像の特徴が抽出されることが期待できる。このことを利用し、アフィン変換に不変なスムージングを画像に施した後、アフィン変換に不変な一連の微分演算子をカスケード的にその画像に適用することで、アフィン変換に不変な一連の特徴を抽出するようにした。合成画像を使って開発した手法の妥当性を定量的に評価し、アフィン変換に対する不変性が達成されていることを確認した。また、実画像を用いた実験により、所望の結果が得られていることを確認した。なお、本研究ではアフィン変換に対する不変性を達成したが、この方法を発展させることで、最終的な目標である一般座標変換に不変な特徴抽出方法を開発できることを期待している。1年目に予定していた「一般座標返還に不変なスムージング手法の開発」をスキップして、2年目に計画していた「アフィン変換に不変な特徴抽出手法の開発」を初年度に達成した。この目標を達成するためのアイデアに思い至ったので、こちらを先に着手することとした。そのため、理論面での研究は予想以上に進んだが、一方、実画像による系統的な評価が必ずしも十分でない。しかし、今後の研究の道筋がかなり明瞭になってきており、全体としては、おおむね順調に進展していると判断する。一部、予定を早めて、一般座標変換に不変なスムージング手法のアルゴリズムを開発した。このアルゴリズムは最終目標である一般座標変換に不変な特徴抽出方法を実現するベースとなるものである。一般座標変換とは画像処理の分野で通常使われるアフィン変換の上位概念であり、連続で微分可能な座標変換の総称である。画像の任意のひずみを表現できる座標変換である。例えば、円柱や球などの曲面上の画像を異なる視点から観測すると、二つの画像は一般座標変換によって関係づけられる。一般座標変換に不変な画像処理が実現すれば、このような視点の移動に影響されない画像処理が実現できる。この一般座標変換に対する不変性を実現するために、一般座標変換に対して適切な変換性を持つ位置に依存する計量テンソルを利用する。今回、このような計量テンソルをを用意することが出来れば、一般座標変換に不変なスムージングを実現できることをリーマン幾何学の枠組みの中で数学的に証明するkとができた。また、計算機で作成した画像を用いたシミュレーション実験によって、一般座標変換に不変なスムージングが実現していることを確認した。残されている問題は1この方法を一般座標変換に不変な特徴抽出法に拡張すること、2今回前提とした一般座標変換に対して適切な変換性を持つ位置に依存する計量テンソルを実際に構成することである。1の課題はほぼ解決しており、今後2の課題の実現に力を尽くす。なお、この成果は画像処理に関する国際会議で発表した。 | KAKENHI-PROJECT-17K00245 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-17K00245 |
一般座標変換に不変なg像の特徴抽出手法に関する研究 | スムージングを例として一般座標変換に対する不変性を実現する枠組みができたことは、当初の予定に比べて先行している。只、理論が先行しており、評価実験が必ずしも順調に進んでいない点が問題である。最終的には予定通り終了できることが見込まれる。2年目に予定していた「アフィン返還に不変な特徴抽出手法の開発」を達成したので、1年目に予定していた「一般座標返還に不変なスムージング手法の開発」はスキップして、直接に最終年度の目標である「一般座標返還に不変な特徴抽出手法の開発」に取り組む。そのためには、アフィン変換に対して所定の変換性を有する計量テンソルを一般化して、一般座標変換に対して所定の変換性を有する計量テンソルを導入する必要がある。それを達成するために最も重要なことは一般座標変換に不変な評価関数を見出すことである。その評価関数を最小化することで一般座標変換に対して望ましい変換性を有する計量テンソルが定まる。1年目に導入したアフィン変換に不変な評価関数を一般化することになるが、ヒントとして、物質やエネルギーなどの空間的な分布に応じて重力場を表す計量テンソルが定まる一般相対性理論における理論的枠組み利用できないかについて検討する。特に、評価関数に相当する汎関数最小化のアプローチによる定式化の方法を参考にする。残る課題が認識できているので、それを力強く実行することが重要である。特に、評価実験はデータ量と計算量が多いので、効率的に遂行するために環境整備などの工夫が必要である。初年度は理論面での研究が中心となったため、消耗品などの支出を要しなかった。また、発表にかかる経費がやや予想より下回った。2年目においても、当面取り組むべきは、理論面での研究を完成させることであり、初年度の繰り越し分の一部は3年目に繰り越される見込みである。3年目は、実画像を用いた系統的な評価を行うことを予定しているので、実験に伴う経費が発生する見込みである。評価実験用の機器、研究発表費(旅費含み)に使用予定。 | KAKENHI-PROJECT-17K00245 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-17K00245 |
シナプス伝達機序に対するATPのフィードバック修飾の細胞生理学的解析 | 1.孵卵14-15日のニワトリ胚を断頭し、動眼神経と毛様体神経節を同定した。蛍光Ca^<2+>指示薬のFura-2を結合したdextran(fura-dextran)を動眼神経の断端に投与することにより、杯状シナプス前終末を選択的に標識した。1個のシナプス前終末から、活動電位各々に応答する細胞内Ca^<2+>濃度の変化が捉えられた。シナプス前終末のCa^<2+>濃度は、静止状態で20-60nM(n=10)、単一活動電位により、10-20nM上昇した。2.ATPは、興奮性シナプス電流(EPSC)を抑制すると同時に活動電位に伴うシナプス前終末のCa^<2+>上昇を著明に抑制した。これらのATPの作用は、アデノシンA1受容体特異的な阻害薬の8-cyclopentyltheophylline(CPT、1μM)により拮抗された。また、アデノシンにより、EPSCおよびシナプス前終末のCa^<2+>上昇が抑制され、CPTにより拮抗された。以上により、ATPは速やかにアデノシンに分解され、アデノシンA1受容体を活性化することにより、シナプス前終末のCa^<2+>上昇が抑制され、その結果、伝達物質の放出が抑制されることが分かった。3.杯状シナプスには、ω-コノトキシン感受性と抵抗性の2種類のCa^<2+>チャネルサブタイプが存在している。アデノシンは、ω-コノトキシン感受性のCa^<2+>流入を抑制するのに対し、ω-コノトキシン抵抗性のCa^<2+>流入を抑制しない。すなわち、ω-コノトキシン感受性のCa^<2+>チャネルが、アデノシンにより選沢的に修飾されることが示された。アデノシンの作用の大部分がCa^<2+>チャネルの抑制により説明される。4.アデノシンがω-コノトキシン感受性のCa^<2+>チャネルを特異的に抑制することから、アデノシン受容体とこのCa^<2+>チャネルが近接していることが考えられる。他の可能性として、ω-コノトキシン抵抗性のCa^<2+>チャネルには、A1受容体の情報伝達系と反応するような分子ドメインが存在しないことが考えられる。1.孵卵14-15日のニワトリ胚を断頭し、動眼神経と毛様体神経節を同定した。蛍光Ca^<2+>指示薬のFura-2を結合したdextran(fura-dextran)を動眼神経の断端に投与することにより、杯状シナプス前終末を選択的に標識した。1個のシナプス前終末から、活動電位各々に応答する細胞内Ca^<2+>濃度の変化が捉えられた。シナプス前終末のCa^<2+>濃度は、静止状態で20-60nM(n=10)、単一活動電位により、10-20nM上昇した。2.ATPは、興奮性シナプス電流(EPSC)を抑制すると同時に活動電位に伴うシナプス前終末のCa^<2+>上昇を著明に抑制した。これらのATPの作用は、アデノシンA1受容体特異的な阻害薬の8-cyclopentyltheophylline(CPT、1μM)により拮抗された。また、アデノシンにより、EPSCおよびシナプス前終末のCa^<2+>上昇が抑制され、CPTにより拮抗された。以上により、ATPは速やかにアデノシンに分解され、アデノシンA1受容体を活性化することにより、シナプス前終末のCa^<2+>上昇が抑制され、その結果、伝達物質の放出が抑制されることが分かった。3.杯状シナプスには、ω-コノトキシン感受性と抵抗性の2種類のCa^<2+>チャネルサブタイプが存在している。アデノシンは、ω-コノトキシン感受性のCa^<2+>流入を抑制するのに対し、ω-コノトキシン抵抗性のCa^<2+>流入を抑制しない。すなわち、ω-コノトキシン感受性のCa^<2+>チャネルが、アデノシンにより選沢的に修飾されることが示された。アデノシンの作用の大部分がCa^<2+>チャネルの抑制により説明される。4.アデノシンがω-コノトキシン感受性のCa^<2+>チャネルを特異的に抑制することから、アデノシン受容体とこのCa^<2+>チャネルが近接していることが考えられる。他の可能性として、ω-コノトキシン抵抗性のCa^<2+>チャネルには、A1受容体の情報伝達系と反応するような分子ドメインが存在しないことが考えられる。 | KAKENHI-PROJECT-05680720 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-05680720 |
透過光光電脈波を用いた無痛的歯髄診断法に関する研究 | 光電脈波の検出感度を向上するために、照射光および光検出器に関する検討を行った。ヒト抜去歯及びヒト末梢血に白色光を照射し、光検出器にはCdS-CdSe光導電セルを用い、可視領域における透過光スペクトラムの測定を行った。その結果、ヒト末梢血は歯に比較して、600nm以下の波長域において、波長の短縮に伴い光透過性が低下すること、および550nm付近に極値が存在することがわかった。次いで、ヒト健全上顎中切歯に、白色光、565nmあるいは695nmに強度ピークを有するLEDを光源として用い、脈波の導出を試みた。光検出器にはCdS-CdSe光導電セル、フォトダイオードおよび光電子増倍管を用いた。その結果、565nmにピークを有するLEDと光導電セルの組み合せが有効であった。透過光スペクトラム測定の結果と併せて考察してみると、透過光光電脈波の導出のための光源としては、酸化ヘモグロビンと還元ヘモグロビンとの吸光度の差は小さくとも、ヘモグロビンの吸光度の高い波長領域の光が適当あることが示唆された。フォトダイオードあるいは光電子増倍管を検出器として用いた場合に比べ、光導電セルを検出器として用いた場合は、対象とする波長領域が比較的広範囲であるため変化量を大きく検出でき、脈波導出に適していると考えられた。更に本方法による血流観察が、特に歯根歯髄のどの範囲までの血流を反映しているのか、抜去歯を用いてシミュレーションを行った。その結果、照射及び採光部から約4mm程度根尖方向、即ちエナメルセメント境より約2mm程度根尖方向までの範囲を透過した光を、本方法によって検出できることが示唆された。光電脈波の検出感度を向上するために、照射光および光検出器に関する検討を行った。ヒト抜去歯及びヒト末梢血に白色光を照射し、光検出器にはCdS-CdSe光導電セルを用い、可視領域における透過光スペクトラムの測定を行った。その結果、ヒト末梢血は歯に比較して、600nm以下の波長域において、波長の短縮に伴い光透過性が低下すること、および550nm付近に極値が存在することがわかった。次いで、ヒト健全上顎中切歯に、白色光、565nmあるいは695nmに強度ピークを有するLEDを光源として用い、脈波の導出を試みた。光検出器にはCdS-CdSe光導電セル、フォトダイオードおよび光電子増倍管を用いた。その結果、565nmにピークを有するLEDと光導電セルの組み合せが有効であった。透過光スペクトラム測定の結果と併せて考察してみると、透過光光電脈波の導出のための光源としては、酸化ヘモグロビンと還元ヘモグロビンとの吸光度の差は小さくとも、ヘモグロビンの吸光度の高い波長領域の光が適当あることが示唆された。フォトダイオードあるいは光電子増倍管を検出器として用いた場合に比べ、光導電セルを検出器として用いた場合は、対象とする波長領域が比較的広範囲であるため変化量を大きく検出でき、脈波導出に適していると考えられた。更に本方法による血流観察が、特に歯根歯髄のどの範囲までの血流を反映しているのか、抜去歯を用いてシミュレーションを行った。その結果、照射及び採光部から約4mm程度根尖方向、即ちエナメルセメント境より約2mm程度根尖方向までの範囲を透過した光を、本方法によって検出できることが示唆された。1.歯髄透過光スペクトラムに関する研究歯髄透過光光電脈波を容易に行うために、照射光および光検出器に関する検討を行った。まず、ヒト抜去歯及びヒト末梢血に白色光を照射し、可視領域における透過光スペクトラムの測定を行った。光検出器にはCdS-CdSe光導電セルを用いた。その結果、ヒト末梢血は歯に比較して、600nm以下の波長域において、波長の短縮に伴い光透過性が低下すること、および550nm付近に極値が存在することがわかった。2.ヒト歯髄およびネコ歯髄からの光電脈波の導出ヒト健全上顎中切歯に、白色光、565nmあるいは695nmに強度ピークを有するLEDを光源として用い、脈波の導出を試みた。光検出器にはCdS-CdSe光導電セル、あるいは光電子増倍管を用いた。その結果、565nmにピークを有するLEDと光導電セルの組み合わせが有効であった。透過光スペクトラム測定の結果と併せて考察してみると、透過光光電脈波の導出のための光源としては、550nm付近に強度ピークを有するような帯域の波長の光が適当あることが示唆された。現在、ネコ歯髄からの光電脈波の導出に努めているけれども、再現性の高い脈波の導出はまだ得られていない。この原因としては主として、現在使用している測定子に比して、ネコの歯が小さすぎるためと考えられる。今後は測定子の小型化につとめるとともに、場合によっては実験動物をイヌに変えることも検討する。昨年度の研究により、光電脈波の導出に適切な照射光および光検出器を選択し、ヒト歯髄光電脈波の導出が可能となった。今年度は本方法による血流観察が、特に歯根歯髄のどの範囲までの血流を反映しているのかを知るために、抜去歯を用いてシュミレーションを行った。 | KAKENHI-PROJECT-05671589 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-05671589 |
透過光光電脈波を用いた無痛的歯髄診断法に関する研究 | 歯冠がintactなヒト抜去歯の根尖部を切断し、そこから根管内容物を除去した。抜去歯はマグネチックランプに固定し、根尖方向から透明なビニルチューブをマイクロマニピュレータを用いて挿入し続け、その際の透過光量の推移を観察した。565nmに強度ピークを有するLEDを光源に、光検出器には565nmに検出ピークを有するCdS-CdSe光導電セルを用い、光の照射および透過光の検出はin situの場合と同様の配置にした。ビニルチューブ先端が根尖部付近に位置している場合は、チューブの歯冠方向への移動に関わらず、透過光量に変化は見られなかった。ビニルチューブを更に歯冠方向に進めて行き、チューブ先端が、照射部及び採光部から約4mm程度根尖方向、即ちエナメルセメント境より約2mm程度根尖方向の位置から透過光量が減少し始め、チューブの挿入につれ、更に減少が続いた。その後、光量の減少は停止し、光量は一定値を維持した。これは本方法において、エナメルセメント境より約2mm程度根尖方向までの歯根歯髄を含んで光が透過し、この範囲に歯髄血流が存在すればその変化を脈波として検出できることを示唆している。このような根管内の空間は臨床的には通常歯髄が存在する部位であり、本方法の歯髄血流観察法としての臨床応用の可能性を示している。 | KAKENHI-PROJECT-05671589 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-05671589 |
完全並進不変性を有する複素ウェーブレットパケット変換の実現 | 本研究での成果は以下のように纏められる.(1)章らの提案した完全並進不変複素離散ウェーブレット変換(PTI-CDWT)をそのままウェーブレットパケットへ拡張できないことを明らかにした.この場合,多重解像度的構成を省けば,構成可能となる.(2)ここでは,多重解像度的構成を行い,近似的構成ではあるが,新たに置換型複素ウェーブレットパケット変換と位相補正型複素ウェーブレットパケット変換を開発した.(3)提案した近似並進不変複素ウェーブレットパケット変換(ATI-CWPT)を,線形システムの入出力関係の解析に応用し,線形時変伝達特性解析へのツールとしての基礎を築いた.(4)さらに,提案したATI-CWPTを,削岩音の異常信号解析,および地中レーダによる埋設物(金属管)の標評問題に適用し,産業応用における有用性を示した本研究での成果は以下のように纏められる.(1)章らの提案した完全並進不変複素離散ウェーブレット変換(PTI-CDWT)をそのままウェーブレットパケットへ拡張できないことを明らかにした.この場合,多重解像度的構成を省けば,構成可能となる.(2)ここでは,多重解像度的構成を行い,近似的構成ではあるが,新たに置換型複素ウェーブレットパケット変換と位相補正型複素ウェーブレットパケット変換を開発した.(3)提案した近似並進不変複素ウェーブレットパケット変換(ATI-CWPT)を,線形システムの入出力関係の解析に応用し,線形時変伝達特性解析へのツールとしての基礎を築いた.(4)さらに,提案したATI-CWPTを,削岩音の異常信号解析,および地中レーダによる埋設物(金属管)の標評問題に適用し,産業応用における有用性を示した平成21年度においては,完全並進不変複素離散ウェーブレット変換(PIT-CDWT)のウェーブレットパケットへの拡張(完全並進不変性を実現する置換型不変複素ウェーブレット変換の開発),およびシステム解析への応用を行った.まず,章らの提案した完全並進不変複素離散ウェーブレット変換(PTI-CDWT)をそのままウェーブレットパケットへ拡張した場合,並進不変性が満足されないことを明らかにした.次いで,完全並進不変性を実現する置換型複素ウェーブレットパケット変換アルゴリズムを考案した.ウェーブレットパケットの構成可能条件は,分割技法と呼ばれる補題によるものである.この分割技法において注目すべきは,ウェーブレット関数に関係ない任意のツースケール数列p(k),q(k)を用いても成立するという点である.これより,従来のツースケール数列を用いても,ウェーブレットパケットと同様な変換が行えることがわかった.ここでは,従来とは違う新しいツースケール数列に置き換えて並進不変性を保存することを考えた.この複素ウェーブレットパケットを置換型複素ウェーブレットパケットと呼ぶことにする.これの具体的応用として,音声分離の劣決定問題や電磁波の雑音分離問題を検討した.特に後者については,ウェーブレット変換による地中レーダ受信信号の強調問題に対して日本信号株式会社との共同研究を開始した.これについては特許申請を行う予定で準備中である.ウェーブレットパケット変換は離散ウェーブレット変換の一般化であって,離散ウェーブレット変換に対して多重解像度解析(MRA)と似たやり方で実行される.その違いは,ウェーブレットパケット信号分解では各レベルにおいて近似係数と詳細係数両方ともに分解されるということである.MRAでは,分解されるにつれて配置されるウェーブレット係数の数はダウンサンプリングにより減少するが,全体としての情報量は元の信号と同じになるように設計されている.これは,いわば情報論的に冗長性が無い状態にあるわけで,このことにより並進不変性が欠如してしまう.例えば,異常信号の検出問題に対して並進不変性をもたないまま信号解析すると,その信号の発生時刻を安定して検出することはできなくなる.昨年度において,置換型複素ウェーブレットパケット変換につづき,位相補正型複素ウェープレットパケット変換の開発を行った.これは6つのツースケール数列を用意することにより簡単に変換尾が行えるが,一部が直交でないため完全に再構成することができないことを証明した.これらウェーブレットパケット変換の工学応用については,クロータドリルにおける切削音の基づく異常診断に適用した.さらに企業と共同でリアルタイム処理を可能にするためにDSPによるハードウェア実現を行った.ウェーブレットパケット変換は離散ウェーブレット変換の一般化であって,離散ウェーブレット変換に対して多重解像度解析(MRA)と似たやり方で実行される.その違いは,ウェーブレットパケット信号分解では各レベルにおいて近似係数と詳細係数両方ともに分解されるということである.MRAでは,分解されるにつれて配置されるウェーブレット係数の数はダウンサンプリングにより減少するが,全体としての情報量は元の信号と同じになるように設計されている.このことにより並進不変性が欠如してしまう.例えば,異常信号の検出問題に対して並進不変性をもたないまま信号解析すると,その信号の発生時刻,あるいは発生位置を安定して検出することはできなくなる.最終年度では,昨年度までの開発の成果である,置換型複素ウェーブレットパケット変換および位相補正型複素ウェーブレットパケット変換についての工学応用について検討した.具体的には,章らの手法を比較対象として,提案するウェーブレットパケット変換手法を(1)クロータドリルにおける切削音に基づく異常検知・診断,(2)地中レーダによる地下埋蔵物(金属管)の標定に応用し,その有用性を確認した. | KAKENHI-PROJECT-21560441 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-21560441 |
ECAEと低温焼きなましの組合せプロセスによる高機能性材料の創製 | 各種炭素鋼を用いて室温においてECAE加工(くり返しせん断変形加工)を行い、超塑性ひずみ(Severe Plastic Strain)を試料内に与え、結晶粒を超微細化することにより引張強さを高くした材料およびその高強度化した材料に低温度・短時間の熱処理を行うことにより延性を向上させた材料を創製することにより超マイクロボルト用の素材を作製することを試みた。平成17年度は材料として現在マイクロボルト用の素材であるSWCHとほぼ同じ炭素含有量のS15Cの低炭素鋼を用いた。両方の材料とも、室温においてルートCでそれぞれの材料を4回までECAE加工を施すことにより引張強さを高くし、マイクロボルトの製造を行った。つづいて、4回までECAE加工した材料を600°Cで短時間の熱処理を行い延性を向上させた材料を用いてマイクロボルトの製造を行った。平成18年度は材料として炭素鋼の炭素含有量を変化させたS25C、S35CおよびS45Cの3種類の炭素鋼を用いた。それぞれの材料とも、室温においてルートCでそれぞれの材料を4回までECAE加工を施すことにより引張強さを高くし、マイクロボルトの製造を行った。つづいて、4回までECAE加工した材料を600°Cで短時間の熱処理を行い延性を向上させた材料を用いてマイクロボルトの製造を行った。マイクロボルトを製造するために設計した中島田鉄工所製造のマイクロヘッダーを用いて、マイクロボルトの製造を行った。マイクロボルトの製造に際して、用意した各種材料が加工できたか、できなかったかにより、それぞれの材料の特性の最適化を行った。これらの知見から直径1mm以下の超マイクロボルト創製用の素材の最適化を行った。各種炭素鋼を用いて室温においてECAE加工(くり返しせん断変形加工)を行い、超塑性ひずみ(Severe Plastic Strain)を試料内に与え、結晶粒を超微細化することにより引張強さを高くした材料およびその高強度化した材料に低温度・短時間の熱処理を行うことにより延性を向上させた材料を創製することにより超マイクロボルト用の素材を作製することを試みた。平成17年度は材料として現在マイクロボルト用の素材であるSWCHとほぼ同じ炭素含有量のS15Cの低炭素鋼を用いた。両方の材料とも、室温においてルートCでそれぞれの材料を4回までECAE加工を施すことにより引張強さを高くし、マイクロボルトの製造を行った。つづいて、4回までECAE加工した材料を600°Cで短時間の熱処理を行い延性を向上させた材料を用いてマイクロボルトの製造を行った。平成18年度は材料として炭素鋼の炭素含有量を変化させたS25C、S35CおよびS45Cの3種類の炭素鋼を用いた。それぞれの材料とも、室温においてルートCでそれぞれの材料を4回までECAE加工を施すことにより引張強さを高くし、マイクロボルトの製造を行った。つづいて、4回までECAE加工した材料を600°Cで短時間の熱処理を行い延性を向上させた材料を用いてマイクロボルトの製造を行った。マイクロボルトを製造するために設計した中島田鉄工所製造のマイクロヘッダーを用いて、マイクロボルトの製造を行った。マイクロボルトの製造に際して、用意した各種材料が加工できたか、できなかったかにより、それぞれの材料の特性の最適化を行った。これらの知見から直径1mm以下の超マイクロボルト創製用の素材の最適化を行った。各種炭素鋼を用いて室温においてECAE加工(くり返しせん断変形加工)を行い、超塑性ひずみ(Severe Plastic Strain)を試料内に与え、結晶粒を超微細化することにより引張強さを高くした材料およびその高強度化した材料に低温度・短時間の熱処理を行うことにより延性を向上させた材料を創製することにより超マイクロボルト用の素材を作製することを試みた。平成17年度の材料としては現在マイクロボルト用の素材であるSWCHとほぼ同じ炭素含有量のSI5Cの低炭素鋼を用いた。両方の材料とも、室温に置いてルートCでそれぞれの材料を4回までECAE加工を施すことにより引張強さを高くし、マイクロボルトの製造を行った。つづいて、4画までECAE加工した材料を600°Cで短時間の熱処理を行い延性を向上させた材料を用いてマイクロボルトの製造を行った。マイクロボルトの製造に際して、用意した各種材料が加工できたか、できなかったかにより、それぞれの材料の特性の最適化を行った。これらの知見から直径1mm以下の超マイクロボルト創製用の素材の最適化を行った。一方、超マイクロボルトを製造するためのマイクロヘッダーの設計を行い、中島田鉄工所において製造して、実験室に設置した。設置と同時に素材を加熱して超マイクロボルトを製造するためのマイクロヘッダー用抵抗加熱器の設計を行い、同じく中島田鉄工所において製造して、実験室に設置した。設置した装置についてその機械特性についての検討を行った。各種炭素鋼を用いて室温においてECAE加工(くり返しせん断変形加工)を行い、超塑性ひずみ(Severe Plastic Strain)を試料内に与え、結晶粒を超微細化することにより引張強さを高くした材料およびその高強度化した材料に低温度・短時間の熱処理を行うことにより延性を向上させた材料を創製することにより超マイクロボルト用の素材を作製することを試みた。平成17年度は材料として現在マイクロボルト用の素材であるSWCHとほぼ同じ炭素含有量のS15Cの低炭素鋼を用いた。両方の材料とも、室温においてルートCでそれぞれの材料を4回までECAE加工を施すことにより引張強さを高くし、マイクロボルトの製造を行った。 | KAKENHI-PROJECT-17360350 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-17360350 |
ECAEと低温焼きなましの組合せプロセスによる高機能性材料の創製 | つづいて、4回までECAE加工した材料を600°Cで短時間の熱処理を行い延性を向上させた材料を用いてマイクロボルトの製造を行った。平成18年度は材料として炭素鋼の炭素含有量を変化させたS25C、S35CおよびS45Cの3種類の炭素鋼を用いた。それぞれの材料とも、室温においてルートCでそれぞれの材料を4回までECAE加工を施すことにより引張強さを高くし、マイクロボルトの製造を行った。つづいて、4回までECAE加工した材料を600°Cで短時間の熱処理を行い延性を向上させた材料を用いてマイクロボルトの製造を行った。マイクロボルトを製造するための中島田鉄工所製造のマイクロヘッダーを用いて、マイクロボルトの製造を行った。マイクロボルトの製造に際して、用意した各種材料が加工の可否およびそれらのTEM組織により、それぞれの材料の特性の最適化を行った。これらの知見から直径1mm以下の超マイクロボルト創製用の素材の最適化を行った。 | KAKENHI-PROJECT-17360350 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-17360350 |
高周期14族元素ー酸素二重結合化学種の創製と小分子の活性化 | 独自に開発した「縮環型立体保護基(Rind基)」の導入により、「高周期14族元素ー酸素二重結合化学種」の合成について調査した。前駆体として一連の高周期14族元素二価化学種である「ジアリールテトレリン」を系統的に合成し、それらの分子構造や電子物性について実験化学と理論化学の両面から解明した。前例のない「スズー酸素二重結合化学種」である「スタンナノン」の合成に成功し、分光学的手法や結晶学的手法を用いてキャラクタリゼーションするとともに、種々の基質との反応性について調査した。本研究では、高周期14族元素ー酸素二重結合化学種を創製し、小分子の活性化などの反応性の開拓を通して、典型元素化合物に関する先駆的な研究を格段に発展させることを目的とする。独自に開発した嵩高い「縮環型立体保護基(Rind基)」を駆使することで、シラノンやゲルマノン、スタンナノンなどの新しい典型元素不飽和結合化学種を合成する。それらの分子構造や化学結合について解明するとともに、結合電子に由来する特異な反応性を探究することを目標とする。平成27年度は、種々のかさ高さのRind基を有するゲルマニウム二価化学種「ゲルミレン」を合成し、16族元素源(亜酸化窒素、元素硫黄、元素セレン)との反応について調査した。比較的かさの小さなEMind基を導入した場合、Ge=O結合をもつ「ゲルマノン」ではなく、Ge2O2四員環構造のゲルマノン二量体が生成した。また、Ge=S結合をもつ「ゲルマンチオン」ではなく、GeS4五員環化合物が生成することをX線結晶構造解析により明らかにした。また平成27年度は、低温下ジアリールジブロモシランとtBuLiとの反応により「ジアリールシリレン」を合成し、その分子構造と電子状態について実験化学と理論化学の両面からアプローチした。新しいRind基を設計・開発し、ケイ素上への導入について調査した。さらに平成27年度は、種々のかさ高さのRind基を有するスズ二価化学種「スタンニレン」を合成し、分子構造をX線結晶構造解析により決定した。比較的かさの大きなMPind基を導入した場合、Sn=O結合をもつ「スタンナノン」の合成が可能であることを見いだした。高周期14族元素ー酸素二重結合化学種(重いカルボニル化合物)として、新たにスズー酸素二重結合化学種「スタンナノン」の合成に成功しており、ケイ素ー酸素二重結合化学種「シラノン」の前駆体である「ジアリールシリレン」の合成研究も着実に進んでいることから、本研究はおおむね順調に進展している。ゲルマノンの酸素原子移動反応について、基質や触媒、反応条件をさらに精査することで、優れた典型元素触媒の開発につながることが期待できる状況である。本研究では、高周期14族元素ー酸素二重結合化学種を創製し、小分子の活性化などの反応性の開拓を通して、典型元素化合物に関する先駆的な研究成果を格段に発展させることを目的とする。独自に開発したかさ高い「縮環型立体保護基(Rind基)」を駆使することで、シラノンやゲルマノン、スタンナノンなどの新しい典型元素不飽和結合化学種を合成する。それらの分子構造や化学結合について解明するとともに、結合電子に由来する特異な反応性を探究することを目標とする。平成28年度は、種々のかさ高さのRind基(EMind基、Eind基、MPind基)を有するスズ二価化学種「ジアリールスタンニレン」および「ハロスタンニレン」を系統的に合成した。合成したスタンニレンはいずれも室温で安定であり、分光学的手法と結晶構造解析により同定した。比較的かさの小さなEMind基を有するブロモスタンニレンは結晶中でスズと臭素が交互に配列した一次元鎖ポリマー構造を形成するのに対し、かさ高いEind基を有するブロモスタンニレンは臭素原子がスズ原子間を架橋した二量体構造を形成することを明らかにした。また、比較的かさの大きなMPind基を有するジアリールスタンニレンと種々の酸素源との反応による「スタンナノン」の合成について調査した結果、亜酸化窒素(N2O)ガスを酸素源とした場合に反応が定量的に進行することを突き止めた。生成したスタンナノンのスズー酸素二重結合は電気陰性度の差に基づき高度に分極しており、グローブボックス内の僅かな二酸化炭素と反応して環状化合物を与えた他、系中のごく微量の水分とも瞬時に反応して対応するジオール体を与えた。また平成28年度は、さらに高度に分極した鉛ー酸素二重結合化学種「プルンバノン」の合成に向けて、かさ高いRind基を有する鉛二価化学種「ジアリールプルンビレン」の合成を行った。高周期14族元素ー酸素二重結合化学種(重いカルボニル化合物)として、スズー酸素二重結合化学種「スタンナノン」の合成に成功しているものの、合成したスタンナノンは極めて反応性が高く純粋な単結晶を作製することが難しい状況にある。現在のところ、スタンナノンの単結晶X線構造解析は、水分子が反応したジオール体とのディスオーダーとして解析結果が得られている。また、鉛ー酸素二重結合化学種「プルンバノン」の前駆体として、鉛二価化学種「ジアリールプルンビレン」の合成に成功しているものの、熱安定性が乏しく、室温では固体状態でも分解することがわかった。今後、プルンバノンに合成変換するためには、より熱的に安定なジアリールプルンビレンを開発する必要がある。 | KAKENHI-PROJECT-15H03788 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-15H03788 |
高周期14族元素ー酸素二重結合化学種の創製と小分子の活性化 | 以上のように、合成ターゲットである「高周期14族元素ー酸素二重結合化学種」は電気陰性度の差に基づき高度に電荷分離した非常に反応活性な結合である。安定小分子の活性化など目標とする反応性を開拓するためには、立体保護基であるRind基のより精密なかさ高さの調整が必要な状況にある。本研究では、高周期14族元素ー酸素二重結合化学種を創製し、小分子の活性化などの反応性の開拓を通して、典型元素化合物に関する先駆的な研究成果を格段に発展させることを目的とする。独自に開発した嵩高い「縮環型立体保護基(Rind基)」を駆使することで、シラノンやゲルマノン、スタンナノンなどの新しい典型元素不飽和化学種を合成する。それらの分子構造や化学結合について解明するとともに、高度に分極した結合電子に由来する特異な反応性を探究することを目標とする。平成29年度は、種々のRind基(EMind基、Eind基、MPind基)を有するゲルマニウム二価化学種「ジアリールゲルミレン」を系統的に合成し、それらの分子構造をX線結晶構造解析により決定するとともに、電子構造を分光学的手法と理論計算により明らかにした。また、ジアリールゲルミレンとジクロロゲルミレン・ジオキサン錯体との配位子再分配反応を調査し、種々の「ジハロジゲルメン」を合成して結晶構造を解明するとともに、溶液中においてGe=Ge二重結合が解離した「ハロゲルミレン」として存在することを各種分光法により突き止めた。また、ハロゲルミレンとアルカリ金属塩との反応により「ゲルミレノイド」が生成することを見いだし、その分子構造を明らかにした。また平成29年度は、嵩高いEind基によって安定化されたゲルマニウムー酸素二重結合化学種である「ゲルマノン」の電子密度分布解析を行い、高度に分極したパイ結合と特異な水素結合の存在について明らかにするとともに、熱反応について調査した。独自に開発した「縮環型立体保護基(Rind基)」の導入により、「高周期14族元素ー酸素二重結合化学種」の合成について調査した。前駆体として一連の高周期14族元素二価化学種である「ジアリールテトレリン」を系統的に合成し、それらの分子構造や電子物性について実験化学と理論化学の両面から解明した。前例のない「スズー酸素二重結合化学種」である「スタンナノン」の合成に成功し、分光学的手法や結晶学的手法を用いてキャラクタリゼーションするとともに、種々の基質との反応性について調査した。「ジアリールシリレンの合成と構造」「ゲルマノンの酸素原子移動反応」「スタンナノンの合成と構造」に関する研究成果のとりまとめを行うとともに、未踏の「シラノン」や「プルンバノン」の合成にアタックする。高周期14族元素二価化学種「メタリレン」と16族元素源との反応を系統的に調査することで、従来にない「重いカルボニル化合物」の創製にチャレンジする。また、高度に電荷分離した二重結合に由来する特異な反応性について探究する。かさ高いRind基を有する一連の14族元素二価化学種「ジアリールテトリレン」に関する研究成果のとりまとめを行う。分光学的手法や結晶構造解析などの実験化学だけでなく、DFT計算などの理論化学とインタープレイすることで、分子構造や電子物性に関する総合的な理解をすすめる。Rind基のかさ高さをより精密に調節するとともに、スタンナノンやプルンバノンの合成実験条件をより厳密にすることで、純粋な化合物として単離することを目指す。高度に電荷分離した二重結合に由来する特異な反応性について探究する。29年度が最終年度であるため、記入しない。 | KAKENHI-PROJECT-15H03788 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-15H03788 |
アームを有する2台の移動ロボットによる協調作業に関する研究 | 1台のロボットでできない作業は複数のロボットで協調して行う必要がある.本研究は,2台の移動ロボットにより長尺パイプを設置された状態から取り外し,所定の経路を通って指定の場所まで搬送し,指定された位置に取り付けるという一連の具体的作業を設定し,その実現に必要なさまざまな問題を解決することを目的とし,以下の結果を得ている.(1) 2台の移動ロボットにより一連の作業(取り外し,搬送と取り付け)を行うシステムの概念設計を行った.まず一連の作業について解析を行い,2台の移動ロボットによる協調作業を前提としたマニピュレーション機能,移動機能を検討した.そして,各機能を実現でき,かつ簡単なシステムとして2輪独立駆動式の移動部と能動/受動切り替え可能な関節を有するマニピュレータからなる移動マニピュレータシステムを提案し,協調制御を考慮してマニピュレータの自由度の数と関節配置方法を決めた.(2)5自由度の能動/受動切り替え可能な関節を有するマニピュレータと2輪独立駆動式の移動部からなる移動マニピュレータを設計し,試作した.能動/受動切り替え関節において,電磁クラッチを用いて切り替えを行い,受動時にも各関節の各位置を知るために関節軸にエンコーダも取り付けている.(3)開発した1台の移動マニピュレータと人間の協調により,本研究で設定した一連の作業実験を行った.新たに開発した運動計画ソフトウエアにより移動マニピュレータの軌道を生成し,これらの作業を行う.受動関節により各作業中の位置誤差を吸収し,受動関節の変位に基づき移動マニピュレータの軌道修正を行う制御アルゴリズムを提案した.これらにより,人間との協調によりこの一連の作業を簡単な制御方法で成功させた.今後,以上の成果に基づき2台の移動マニピュレータによる作業実験を行っていく予定である.1台のロボットでできない作業は複数のロボットで協調して行う必要がある.本研究は,2台の移動ロボットにより長尺パイプを設置された状態から取り外し,所定の経路を通って指定の場所まで搬送し,指定された位置に取り付けるという一連の具体的作業を設定し,その実現に必要なさまざまな問題を解決することを目的とし,以下の結果を得ている.(1) 2台の移動ロボットにより一連の作業(取り外し,搬送と取り付け)を行うシステムの概念設計を行った.まず一連の作業について解析を行い,2台の移動ロボットによる協調作業を前提としたマニピュレーション機能,移動機能を検討した.そして,各機能を実現でき,かつ簡単なシステムとして2輪独立駆動式の移動部と能動/受動切り替え可能な関節を有するマニピュレータからなる移動マニピュレータシステムを提案し,協調制御を考慮してマニピュレータの自由度の数と関節配置方法を決めた.(2)5自由度の能動/受動切り替え可能な関節を有するマニピュレータと2輪独立駆動式の移動部からなる移動マニピュレータを設計し,試作した.能動/受動切り替え関節において,電磁クラッチを用いて切り替えを行い,受動時にも各関節の各位置を知るために関節軸にエンコーダも取り付けている.(3)開発した1台の移動マニピュレータと人間の協調により,本研究で設定した一連の作業実験を行った.新たに開発した運動計画ソフトウエアにより移動マニピュレータの軌道を生成し,これらの作業を行う.受動関節により各作業中の位置誤差を吸収し,受動関節の変位に基づき移動マニピュレータの軌道修正を行う制御アルゴリズムを提案した.これらにより,人間との協調によりこの一連の作業を簡単な制御方法で成功させた.今後,以上の成果に基づき2台の移動マニピュレータによる作業実験を行っていく予定である.本年度は、2台の移動マニピュレータにより一連の作業(持ち上げ、搬送、取り付けなど)を行うシステムの概念設計を行い、その全体構成及び搬送作業を安定かつ効率よく行うための受動/能動可変式マニピュレータの機構構成を検討し、障害物検出センサについての実験的な研究を行った。その結果、(1)パイプの持ち上げ、搬送、取り付けなどの作業について分類し、それに必要な機能として、2台の移動ロボットの協調制御を前提としたマニピュレーション機能、移動機能、障害物回避機能が挙げられる。以上の機能を実現でき、かつ簡単なシステムとして、2輪独立駆動式の移動部分と受動/能動可変式マニピュレータ部分からなる移動マニピュレータシステムを提案し、2台の移動マニピュレータの協調制御を考慮した場合取り付けなどの作業にマニピュレータの必要な能動関節の数と配置を検討した。(2)2台の2輪独立駆動式の移動ロボットの協調制御によりパイプの搬送作業を安定かつ効率よく行うために、パイプの搬送に必要な平面3自由度ホロノミックな運動、移動マニピュレータ間の位置誤差や干渉内力を吸収できる移動マニピュレータの必要な受動関節の数を検討し、受動関節の配置を考案した。この結果と(1)の結果に基づき、これから移動マニピュレータの詳細設計を行う予定である。(3)障害物回避の検出センサとして、複数の送受信器を持ち、異なる送受信の組み合わせにより障害物の検出分解能を高めることのできる超音波センサシステムを試作し、実験によりその有用性を確認することができた。本年度は、2台の移動マニピュレータにより一連の作業(持ち上げ、搬送、取り付けなど)を行うシステムにおいて、受動/能動切替式マニピュレータの詳細設計と試作を行い、ソナーリングを用いた障害物の拘束検出法の提案と実験的な研究、移動マニピュレータの自己位置を計測するためのランドマークシステムの開発を行った。その結果、(1)マニピュレータと移動部の協調制御を考慮して、各マニピュレータの関節数を5とし、協調作業に適した関節配置を決めた。試験的に5関節全てを受動/能動切替関節にし、受動/能動の切替機構として、電磁クラッチを用いた。 | KAKENHI-PROJECT-08455120 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-08455120 |
アームを有する2台の移動ロボットによる協調作業に関する研究 | 受動時の各関節の角度を計測できるように、各関節の駆動モータ内蔵のエンコーダとは別に関節軸に直接エンコーダを取り付けた。この5自由度受動/能動切替式マニピュレータの制御系を設計、製作し実際に動作実験を行い、試作したマニピュレータの有効性を確認できた。現在、移動ロボットに搭載し、基本性能を実験的に調べている。(2)ソナーリングにおいて、スキャンなどにかかっている時間を短縮するために複数のセンサを同時にファイリングし、各センサで受信した距離データを取り込む。次にニューラルネットワークを用いて取り込んだデータ中のクロストークデータを排除し、ロボット周辺の障害物までの距離データを得る。これを実現するソナーリングシステムを実際に試作し、実験を行った結果、通常のソナーリングに比べて810倍の検出速度を得ることができた。(3)ランドマークの偏光フィルム上に形成されたパターンと基準点を読み取ることにより、ロボットの絶対位置と姿勢を計測できるシステムを開発し、移動制御に必要な精度を実現できた。このシステムを併用することにより、従来のデッドレコニングの誤差累積問題を解決することができる。本年度は,2台の移動マニピュレータによる一連の作業(取り外し,搬送と取り付けなど)を行うシステムにおいて,(1)試作した受動/能動切替式移動マニピュレータの性能実験,2台目の移動マヌピュレータの設計・試作および2台の受動/能動切替式移動マニピュレータによる一連の作業の実験,(2)開発したランドマークシステムを用いた移動ロボットの走行実験を行った.その結果,1) 1台目の受動/能動切替式移動マニピュレータのシステムを完成させ,位置決め実験,パイプの取り外し実験とパイプの搬送実験を行い,本方式の移動マニピュレータを用いると受動関節の誤差吸収による内力の低減効果と安定な作業ができることを確認できた.また,これらの実験結果を考慮して2台目の移動マニピュレータの設計と試作を行い,現在2台の受動/能動切替式移動マニピュレータによる一連の作業の実験を行っている.2)開発したランドマークシステムを用いて移動ロボットの移動誤差を補正することにより,ランドマーク間隔6.5mに設置した場合,30mm以下の移動誤差で走行できることを確認した. | KAKENHI-PROJECT-08455120 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-08455120 |
相変態およびひずみの効果に着目した鉄系超伝導線材開発 | 鉄系超伝導体FeSeの超伝導線材を作製する新しい手法として構造相変態PIT法を開発した.六方晶FeSe1.2を前駆体として用い,高温下で鉄シースと反応させることで超伝導を示す正方晶FeSeへと構造相変態させることを実現した.これにより高密度コアを持つFeSe系超伝導線材を作成する最適な手法を開発した.また,研究期間中に新しいBiS2系超伝導体(Bi4O4S3とREOBiS2系)を発見し,多くの類似超伝導体が発見されている.鉄系超伝導体FeSeの超伝導線材を作製する新しい手法として構造相変態PIT法を開発した.六方晶FeSe1.2を前駆体として用い,高温下で鉄シースと反応させることで超伝導を示す正方晶FeSeへと構造相変態させることを実現した.これにより高密度コアを持つFeSe系超伝導線材を作成する最適な手法を開発した.また,研究期間中に新しいBiS2系超伝導体(Bi4O4S3とREOBiS2系)を発見し,多くの類似超伝導体が発見されている.本研究は2008年に発見された新しい高温超伝導体である鉄系超伝導体を用い,高性能な超伝導線材を作成する手法を開発することを目的としている.鉄系超伝導体は上部臨界磁場が非常に高く,強磁場下での超伝導応用に期待が寄せられている.本研究で対象とする鉄カルコゲナイド系(FeSe系,FeTe系)は,鉄系超伝導体の中で最も単純な結晶構造と組成を持ち,さらに超伝導異方性が非常に低いことから,応用の有力な候補である.本研究は,構造相変態およびひずみの効果に着目した鉄カルコゲナイド系線材化手法の開発を目的とする.鉄系超伝導体の中で毒性の低い鉄カルコゲナイド系超伝導線材を簡便なプロセスで作成でき,さらにその特性が実用化レベルに達すれば,強磁場下での超伝導線材応用を担う材料となることが期待できる.平成23年度の研究成果として,構造相変態を駆使したFeSe超伝導線材の高密度コア化を実現する新手法を開発した.FeSe超伝導線材の従来の作製法(Fe拡散法)では完成した線材のコアに空洞ができる現象が観測されていた.この問題点を解決するために,線材焼成過程でコアが膨張する化学変化に着目した手法を開発した.線材焼成前にFeシース内に密度が高くFeに対してSeが過剰な組成の六方晶FeSe1+xを充てんする.熱処理により六方晶FeSe1+xとシースのFeが化学反応を起こし,体積膨張を伴う超伝導コア(正方晶相のFeSe)を実現する.実際に得られたFeSe線材は高密度コアを持ち,さらに熱処理温度の最適化からJc>600A/cm2の臨界電流密度を観測した.この値は実用化レベルにはまだ及ばないが,FeSe系線材として二番目に高い値である.今後の作成手法最適化,ピンニングセンター導入など改良点を加えていくことでJc>100000A/cm2の実現を目指す.平成24年度は,FeSeだけでなくより高い超伝導転移温度を持つFe(Te,Se)系に関しても,構造相変態法をはじめとした様々なPIT法により超伝導線材作製を試みた.その結果,Fe(Te,Se)系では構造相変態PIT法により最適な超伝導特性を得られることが判明した(ISS2012国際会議および卒業研究として発表).今後,構造相変態法によりさまざまなコア組成を持ったFe(Te,Se)超伝導線材を作製し,コアの構造解析および臨界電流密度評価を行っていく.テーマとして設定した"相変態"を取り入れた新規鉄系超伝導線材作製手法を平成23年度に開発でき,平成24年度の研究でさらなる特性向上を期待できるため.24年度が最終年度であるため、記入しない。平成23年度に開発した"構造相変態PIT法"を用いてFeSe系超伝導線材の高性能化を目指す.具体的には現在用いている鉄シースの代わりに銀シースなどを用いた展開や,多芯化,ピンニングセンターの導入などを検討し,本手法に最適な線材化条件を見出す.また,これまでに導入していなかった評価法として,線材コアの密度(硬さ)を測定し,線材化プロセスの最適化を目指す.24年度が最終年度であるため、記入しない。 | KAKENHI-PROJECT-23860042 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-23860042 |
タンパク質構造転移の多層性 | Streoptomyces subtilisin inhibitor(SSI)というタンパク質の存在状態が、温度、pHによってどう変わるかを示す相図を作成した。これは、円二色性(CD)装置を用い、タンパク質の二次構造を反映する遠紫外領域、および三次構造を反映する近紫外領域の測定を、温度、pHを変化させて行うことで得たものである。この結果、SSIの構造転移について以下のことが明らかになった。1,native構造は、室温から温度を上げた場合だけでなく、下げた場合にも壊れる。後者即ち低温変性は、以前報告されたような特殊なものではなく、タンパク質に一般的なメカニズムおよび熱力学的量を示した。2,ところが、1で述べた一般的な低温変性が起こった後に、native構造とは全く異なった三次構造および熱力学量をもった状態(D′)を新たに形成する。3,pH2.4以下では、D′状態から温度を上げると、三次構造はほとんど高温変性構造と同等に壊れているが、二次構造は半分程度しか壊れていない中間状態となる1段目の転移と、引き続き高度に変性する2段目の転移が起こる。熱力学量を得るプログラムでの解析と併せて、この2段目の転移は1次の相転移ではないと考えられた。さらに詳細な情報を得るため、SSI中の窒素を15Nで標識し、窒素と水素の2次元相関核磁気共鳴(NMR)測定をpH1.5で温度を変えて行った。この結果、D′状態では相当量の明確な3次構造が存在すること、この構造が20°C以上ではほぼ消滅することなどがわかり、CDの結果をさらに高い空間分解能で支持することができた。Streoptomyces subtilisin inhibitor(SSI)というタンパク質の存在状態が、温度、pHによってどう変わるかを示す相図を作成した。これは、円二色性(CD)装置を用い、タンパク質の二次構造を反映する遠紫外領域、および三次構造を反映する近紫外領域の測定を、温度、pHを変化させて行うことで得たものである。この結果、SSIの構造転移について以下のことが明らかになった。1,native構造は、室温から温度を上げた場合だけでなく、下げた場合にも壊れる。後者即ち低温変性は、以前報告されたような特殊なものではなく、タンパク質に一般的なメカニズムおよび熱力学的量を示した。2,ところが、1で述べた一般的な低温変性が起こった後に、native構造とは全く異なった三次構造および熱力学量をもった状態(D′)を新たに形成する。3,pH2.4以下では、D′状態から温度を上げると、三次構造はほとんど高温変性構造と同等に壊れているが、二次構造は半分程度しか壊れていない中間状態となる1段目の転移と、引き続き高度に変性する2段目の転移が起こる。熱力学量を得るプログラムでの解析と併せて、この2段目の転移は1次の相転移ではないと考えられた。さらに詳細な情報を得るため、SSI中の窒素を15Nで標識し、窒素と水素の2次元相関核磁気共鳴(NMR)測定をpH1.5で温度を変えて行った。この結果、D′状態では相当量の明確な3次構造が存在すること、この構造が20°C以上ではほぼ消滅することなどがわかり、CDの結果をさらに高い空間分解能で支持することができた。 | KAKENHI-PROJECT-08780625 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-08780625 |
マイクロプロ-ブ・オ-ジェ電子回折法による金属/半導体多層膜の研究 | 1.下地Si(111)表面の平滑性本研究では多層膜形成の下地として,Si(111)やSi(001)表面を用いるので,それら表面の平滑性を知ることが重要である。そこで,マイクロプロ-ブ・オ-ジェ電子回折法の一応用である超高真空走査電子顕微鏡(UHVーSEM)により,下地表面のステップを直接観察する以下のような方法を考察した。(1)下地Si(111)表面の清浄化とSi(111)7×7周期のマイクロプロ-ブRHEEDによる確認。(2)下地を約250°Cに保ってInを0.2原子層蒸着。(3)UHVーSEM観察。これにより下地Si(111)表面のステップが直接検出できることを見いだした。この方法を用いて本研究で用いたSi(111)7×7表面の平滑性を調べた結果,3.1A^^°のシングルステップと9A^^°のトリプルステップが存在し,平滑な部分の広がりは1μm^2程度であることが分かった。2.In/Si(111)初期界面の構造In/Siの多層膜形成の前段階として,In/Si(111)初期界面の構造をマイクロプロ-ブ・オ-ジェ電子回折法を用いて調べた。In/Si(111)初期界面としては,√<3>×√<3>ーIn表面と4×1ーIn表面が存在するが,√<3>×√<3>ーIn表面の構造はかなり良く分かっている。一方,4×1ーIn表面の構造はほとんど分かっていない。4×1ーIn表面からのIn MNNオ-ジェ電子のマイクロプロ-ブ・オ-ジェ電子回折パタ-ンを測定し,運動学解析を行うことによって,4×1ーIn表面上のIn原子配列についての情報を得た。1.下地Si(111)表面の平滑性本研究では多層膜形成の下地として,Si(111)やSi(001)表面を用いるので,それら表面の平滑性を知ることが重要である。そこで,マイクロプロ-ブ・オ-ジェ電子回折法の一応用である超高真空走査電子顕微鏡(UHVーSEM)により,下地表面のステップを直接観察する以下のような方法を考察した。(1)下地Si(111)表面の清浄化とSi(111)7×7周期のマイクロプロ-ブRHEEDによる確認。(2)下地を約250°Cに保ってInを0.2原子層蒸着。(3)UHVーSEM観察。これにより下地Si(111)表面のステップが直接検出できることを見いだした。この方法を用いて本研究で用いたSi(111)7×7表面の平滑性を調べた結果,3.1A^^°のシングルステップと9A^^°のトリプルステップが存在し,平滑な部分の広がりは1μm^2程度であることが分かった。2.In/Si(111)初期界面の構造In/Siの多層膜形成の前段階として,In/Si(111)初期界面の構造をマイクロプロ-ブ・オ-ジェ電子回折法を用いて調べた。In/Si(111)初期界面としては,√<3>×√<3>ーIn表面と4×1ーIn表面が存在するが,√<3>×√<3>ーIn表面の構造はかなり良く分かっている。一方,4×1ーIn表面の構造はほとんど分かっていない。4×1ーIn表面からのIn MNNオ-ジェ電子のマイクロプロ-ブ・オ-ジェ電子回折パタ-ンを測定し,運動学解析を行うことによって,4×1ーIn表面上のIn原子配列についての情報を得た。 | KAKENHI-PROJECT-02233201 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-02233201 |
含窒素環状化合物の新規合成法を基盤としたインドールアルカロイドの合成研究 | 本年度は、新たな骨格転移反応を用いた二量体型アルカロイド、ハプロファイチンの左部4環性骨格のモデル化合物の構築に成功した。また、ハプロフィチンの右部を構成しているアスピドファイチンに関して、Fisherインドール合成法を用いる全合成を達成することができた。前者については、まず、文献既知のテトラヒドロ-β-カルボリン誘導体から1,2-ジアミノエテン構造を有する基質を合成した。この化合物をmCPBAで処理したところ、二重結合のエポキシ化と続く窒素原子からの電子供与による位置選択的なエポキシドの開環、ピナコール転移と類似の骨格転移反応が進行し、アミナールと架橋ケトン部を有するハプロファイチンの左部4環性骨格の構築に成功した。位置選択的なエポキシドの開環には窒素の保護基の選択が重要であり、ニトロベンゼンスルホニル基では骨格異性体の混合物が生成したのに対し、Cbz基を有する基質は選択的に望みの生成物を与えた。なお、生成物の構造は、Cbz基を脱保護した後、N-メチル化を行って得た化合物のX線結晶構造解析を行うことにより決定した。また、アスピドフィチンの合成について、ダンジェロらの不斉共役付加反応を用いて合成した光学活性3環性ケトンのFischerインドール合成法を鍵工程とする全合成を達成することができた。以上の検討により、上記、骨格転移反応を用いて合成したハプロファイチンのモデル化合物の誘導体に対してFisherインドール合成を適用することで右部アスピドファイチン部の構築を行い、ハプロファイチンの合成を行う合成戦略の実現性を示すことができた。本年度は、抗腫瘍性構成物質であるヤタケマイシンの合成研究を中心にして検討を行った。ヤタケマイシンの2つのペプチド結合を逆合成的に切断して得られる3つのセグメントを、それぞれに含まれるsp2炭素-窒素結合を独自のヨウ化銅と酢酸セシウムを用いた芳香族ハロゲン化物の分子内アミノ化反応により形成する合成を試みた。まず、ジエノンシクロプロパン骨格を有する中央部セグメント環上に2級ヒドロキシル基を有するテトラヒドロキノリンへと逆合成した。この化合物の光学活性体の合成は、2,6-ジブロモヨードベンゼン誘導体のヨウ素選択的リチオ化により生成させたリチオ体とエピクロロヒドリンとの反応により合成した。窒素官能基の導入の後芳香族アミノ化を行いテトラヒドロキノリン環を形成した。さらに、残りのブロモ基へのデヒドロアラニンをHeck反応により導入し、ベンゼン環上へのブロモ化を経て、インドール骨格を再び銅触媒を用いた芳香族アミノ化を用いて形成し中央部フラグメントの合成を完了した。左部フラグメントについては、文献既知のジメトキシテトラヒドロイソキノリン誘導体をジブロモ化し、ジヒドロキソキノリン誘導体へと酸化を経た後にヘミアミナール誘導体へと誘導し、還元的開環を行って環化誘導体へと導いた。ここで、芳香族アミノ化反応を行い、Horner-Emmons反応によるデヒドロアミノ酸部分の構築と芳香族アミノ化、ヤタケマイシンに特徴的なチオールエステルへの変換を経て三環性骨格を含む左部セグメントを合成した。右部セグメントについても分子内芳香族アミノ化反応を用いて構築し、現在、それらセグメントの結合と全合成について最適化を行っている。本年度は、高い抗腫瘍性を示すヤタケマイシンの全合成を達成した。ヤタケマイシンの2つのペプチド結合を逆合成的に切断して得られる3つのセグメントについては、昨年の研究によって合成法を確立することができたので、本年度は確立された合成法に従って3つのセグメントのグラムスケールでの合成を行い、それらの縮合反応を含む全合成達成に向けた研究を行った。その結果、まず、中央部セグメントのピペリジン環部分と右フラングメントのカルボン酸を酸クロリドとして活性化したものを縮合した。得られた化合物のメチルエステルを加水分解し、同時にシリル保護の脱保護された中央部の第2級アルコール部分を最終段階でのシクロプロパン環の形成に備えてメシラートとした。続いて、チオールエステル基を有する左セグメントのインドリン窒素の保護基であるFmoc基をテトラブチルアンモニウムフロリドで除去した後、単離精製せずに中央、右セグメントのカップリング体と縮合させ、3つのセグメントが縮合した化合物を高収率で得ることができた。続く、右部、中央部のフェノールの保護基であるベンジル基の除去は、困難を極めたが、ペンタメチルベンゼンの存在下三塩化ホウ素で処理する条件を見いだし、他の官能基を損なわずに高収率で脱ベンジル化を行うことができた。最後にDMF水混合溶媒中、重曹での処理によって、シクロプロパン環を形成しヤタケマイシンの世界で2番目の全合成を達成した。本年度は、新たな骨格転移反応を用いた二量体型アルカロイド、ハプロファイチンの左部4環性骨格のモデル化合物の構築に成功した。また、ハプロフィチンの右部を構成しているアスピドファイチンに関して、Fisherインドール合成法を用いる全合成を達成することができた。前者については、まず、文献既知のテトラヒドロ-β-カルボリン誘導体から1,2-ジアミノエテン構造を有する基質を合成した。この化合物をmCPBAで処理したところ、二重結合のエポキシ化と続く窒素原子からの電子供与による位置選択的なエポキシドの開環、ピナコール転移と類似の骨格転移反応が進行し、アミナールと架橋ケトン部を有するハプロファイチンの左部4環性骨格の構築に成功した。 | KAKENHI-PROJECT-17689003 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-17689003 |
含窒素環状化合物の新規合成法を基盤としたインドールアルカロイドの合成研究 | 位置選択的なエポキシドの開環には窒素の保護基の選択が重要であり、ニトロベンゼンスルホニル基では骨格異性体の混合物が生成したのに対し、Cbz基を有する基質は選択的に望みの生成物を与えた。なお、生成物の構造は、Cbz基を脱保護した後、N-メチル化を行って得た化合物のX線結晶構造解析を行うことにより決定した。また、アスピドフィチンの合成について、ダンジェロらの不斉共役付加反応を用いて合成した光学活性3環性ケトンのFischerインドール合成法を鍵工程とする全合成を達成することができた。以上の検討により、上記、骨格転移反応を用いて合成したハプロファイチンのモデル化合物の誘導体に対してFisherインドール合成を適用することで右部アスピドファイチン部の構築を行い、ハプロファイチンの合成を行う合成戦略の実現性を示すことができた。 | KAKENHI-PROJECT-17689003 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-17689003 |
スピネルフェライトによるスピンフィルタ型スピン源の作製 | 本研究ではこの高いスピン偏極電流を実現するための手段として、非磁性金属/強磁性絶縁体/強磁性金属という構造をもつスピンフィルタ型トンネル抵抗(TMR)素子の開発を行った。スピンフィルタでは、非磁性電極から強磁性絶縁層をへて強磁性電極に電子がトンネルする構造になる。強磁性絶縁層をトンネルする電子が感じる障壁高さは、スピンの向きに依存して異なるため、この強磁性絶縁体を抜けたスピン依存トンネル電流は、100%近く偏極するはずである。本研究では、優れた絶縁体であり、室温よりも高いキュリー温度(Tc=848K)をもつマグヘマイト(γ-Fe_2O_3)に着目しこれを障壁層に用いた(全エピタキシャルな)スピンフィルタ型MTJを作製し、電気伝導特性を評価することを目的とし研究を行った。まずγ・Fe_2O_3が成長するような金属表面の探索を行った。いろいろな下部電極材料を試みたが最終的には、TiN(001)上にγ-Fe_2O_3(001)を成長させることで良好な膜が得られることが分かった。さらにMgO (subst.) /TiN (100nm) /γ-Fe2O3 (3.6nm)/A1203 (1nm) /Fe(10nm) /Au(20nm)の構造の素子を作製し、室温で2%のTMRが観測された。素子抵抗と素子面積の比(RA)は、γ-Fe203膜厚ともに指数関数的に増加し、また電流電圧特性は明瞭な非線型性を示しており、この伝導がトンネル的なものであると理解できる。さらにTMRのバイアス依存性も観測された。現時点では小さなTMRであるが、今後成膜条件の最適化をおこなうことでより大きなMRが得られるものと期待している。本研究ではこの高いスピン偏極電流を実現するための手段として、非磁性金属/強磁性絶縁体/強磁性金属という構造をもつスピンフィルタ型トンネル抵抗(TMR)素子の開発を行った。スピンフィルタでは、非磁性電極から強磁性絶縁層をへて強磁性電極に電子がトンネルする構造になる。強磁性絶縁層をトンネルする電子が感じる障壁高さは、スピンの向きに依存して異なるため、この強磁性絶縁体を抜けたスピン依存トンネル電流は、100%近く偏極するはずである。本研究では、優れた絶縁体であり、室温よりも高いキュリー温度(Tc=848K)をもつマグヘマイト(γ-Fe_2O_3)に着目しこれを障壁層に用いた(全エピタキシャルな)スピンフィルタ型MTJを作製し、電気伝導特性を評価することを目的とし研究を行った。まずγ・Fe_2O_3が成長するような金属表面の探索を行った。いろいろな下部電極材料を試みたが最終的には、TiN(001)上にγ-Fe_2O_3(001)を成長させることで良好な膜が得られることが分かった。さらにMgO (subst.) /TiN (100nm) /γ-Fe2O3 (3.6nm)/A1203 (1nm) /Fe(10nm) /Au(20nm)の構造の素子を作製し、室温で2%のTMRが観測された。素子抵抗と素子面積の比(RA)は、γ-Fe203膜厚ともに指数関数的に増加し、また電流電圧特性は明瞭な非線型性を示しており、この伝導がトンネル的なものであると理解できる。さらにTMRのバイアス依存性も観測された。現時点では小さなTMRであるが、今後成膜条件の最適化をおこなうことでより大きなMRが得られるものと期待している。 | KAKENHI-PROJECT-20042005 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-20042005 |
遠赤外線加熱を受ける合成繊維集合体の伝熱特性と溶融挙動 | 合成繊維屑の再利用(リサイクル)システムの構築の一環として、繊維屑集合体の表面近傍のみを遠赤外線により加熱溶融した後、圧縮固化させることによって内部に繊維層をもった断熱性に優れた板材を成形する手法の確立を目的とし、本研究ではとくに表面プラスチック固化層の成形性を左右する遠赤外線加熱下の合成繊維屑集合体内部の伝熱特性と繊維屑の溶融挙動を明確にした。具体的には上部が開放された金型内に繊維集合体を挿入し、加熱炉内において上部から遠赤外線ヒタ-で加熱溶融し、そのときの繊維集合体内の温度場の時間的変動および溶融挙動に及ぼす加熱時間、加熱温度、金型温度、繊維集合体の初期みかけ密度などの影響を考察した。繊維屑としては合成繊維織物の織り工程で大量に発生するひも状のポリエステルを用いた。実験の結果、加熱温度を高くすると所定量の溶融に必要な時間は短縮されるが、短時間での金型温度の上昇が追従せず、この場合も金型周りの繊維屑の溶融が悪くなるとともに高温による樹脂の焼けが生じる問題点が生じた。そこで一例として金型厚みを薄くすることを試みた結果、迅速な金型温度上昇が得られ、短時間の均一溶融化が可能になった。その他、加熱温度と加熱時間が同じである場合、溶融量は金型設置時の繊維屑集合体のみかけ密度に依存しないことも明らかになった。さらに、板材の断熱性能向上と軽量化を計るために、表面層にガラス繊維入りペレット樹脂を配置し、表面の複合材料化を試みた。この場合も均一な溶融が得られたがガラス繊維束内への樹脂の含浸が悪いと成形品の強度に問題が生じることが明らかになった。合成繊維屑の再利用(リサイクル)システムの構築の一環として、繊維屑集合体の表面近傍のみを遠赤外線により加熱溶融した後、圧縮固化させることによって内部に繊維層をもった断熱性に優れた板材を成形する手法の確立を目的とし、本研究ではとくに表面プラスチック固化層の成形性を左右する遠赤外線加熱下の合成繊維屑集合体内部の伝熱特性と繊維屑の溶融挙動を明確にした。具体的には上部が開放された金型内に繊維集合体を挿入し、加熱炉内において上部から遠赤外線ヒタ-で加熱溶融し、そのときの繊維集合体内の温度場の時間的変動および溶融挙動に及ぼす加熱時間、加熱温度、金型温度、繊維集合体の初期みかけ密度などの影響を考察した。繊維屑としては合成繊維織物の織り工程で大量に発生するひも状のポリエステルを用いた。実験の結果、加熱温度を高くすると所定量の溶融に必要な時間は短縮されるが、短時間での金型温度の上昇が追従せず、この場合も金型周りの繊維屑の溶融が悪くなるとともに高温による樹脂の焼けが生じる問題点が生じた。そこで一例として金型厚みを薄くすることを試みた結果、迅速な金型温度上昇が得られ、短時間の均一溶融化が可能になった。その他、加熱温度と加熱時間が同じである場合、溶融量は金型設置時の繊維屑集合体のみかけ密度に依存しないことも明らかになった。さらに、板材の断熱性能向上と軽量化を計るために、表面層にガラス繊維入りペレット樹脂を配置し、表面の複合材料化を試みた。この場合も均一な溶融が得られたがガラス繊維束内への樹脂の含浸が悪いと成形品の強度に問題が生じることが明らかになった。合成繊維屑の再利用(リサイクル)システムの構築の一環として、繊維屑集合体の表面近傍のみを遠赤外線により加熱溶融した後、圧縮固化させることによって内部に繊維層をもった断熱性に優れた板材を成形する手法の確立を目的とし、本研究ではとくに表面プラスチック固化層の成形性を左右する遠赤外線加熱下の合成繊維屑集合体内部の伝熱特性と繊維屑の溶融挙動を明確にした。具体的には上部が開放された金型内に繊維集合体を挿入し、加熱炉内において上部から遠赤外線ヒタ-で加熱溶融し、そのときの繊維集合体内の温度場の時間的変動および溶融挙動に及ぼす加熱時間、加熱温度、金型温度、繊維集合体の初期みかけ密度などの影響を考察した。繊維屑としては合成繊維織物の織り工程で大量に発生するひも状のポリエステルを用いている。実験の結果、本加熱方式では遠赤外線加熱によって繊維集合体表面温度は急激に上昇するものの金型温度の上昇が追従せず、したがって、金型周りの繊維屑の溶融状態が悪くなることがわかった。この問題の解決策として補助ヒ-タにより周囲雰囲気温度を上昇させることによって金型温度の上昇割合を増加させた。その結果、金型周りの繊維屑の溶融が進み、溶融の均一化がはかれることが明らかになった。しかし、加熱温度を高くすると所定量の溶融に必要な時間は短縮されるが、短時間での金型温度の上昇が追従せず、この場合も金型周りの繊維屑の溶融が悪くなるとともに高温による樹脂の焼けが生じる問題点が生じた。したがって、繊維屑集合体の温度上昇に追従する金型設計が必要になる。そこで一例として金型厚みを薄くすることを試みた結果、迅速な金型温度上昇が得られ、短時間の均一溶融化が可能になった。その他、加熱温度と加熱時間が同じである場合、溶融量は金型設置時の繊維屑集合体のみかけ密度に依存しないことも明らかになった。 | KAKENHI-PROJECT-08650249 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-08650249 |
遠赤外線加熱を受ける合成繊維集合体の伝熱特性と溶融挙動 | 合成繊維屑の再利用(リサイクル)システムの構築の一環として、繊維屑集合体の表面近傍のみを遠赤外線により加熱溶融した後、圧縮固化させることによって内部に繊維層をもった断熱性に優れた板材を成形する手法の確立を目的とし、本研究ではとくに表面プラスチック固化層の成形性を左右する遠赤外線加熱下の合成繊維屑集合体内部の伝熱特性と繊維屑の溶融挙動を明確にした。具体的には上部が開放された金型内に繊維集合体を挿入し、加熱炉内において上部から遠赤外線ヒーターで加熱溶融し、そのときの繊維集合体内の温度場の時間的変動および溶融挙動に及ぼす加熱時間、加熱温度、金型温度、繊維集合体の初期みかけ密度などの影響を考察した。繊維屑としては合成繊維物の織り工程で大量に発生するひも状のポリエステルを用いた。実験の結果、加熱温度を高くすると所定量の溶融に必要な時間は短縮されるが、短時間での金型温度の上昇が追従せず、この場合も金型周りの繊維屑の溶融が悪くなるとともに高温による樹脂の焼けが生じる問題点が生じた。そこで一例として金型厚みを薄くすることを試みた結果、迅速な金型温度上昇が得られ、短時間の均一溶融化が可能になった。その他、加熱温度と加熱時間が同じである場合、溶融量は金型設置時の繊維屑集合体のみかけ密度に依存しないことも明らかになった。さらに、板材の断熱性能向上と軽量化を計るために、表面層にガラス繊維入りペレット樹脂を配置し、表面の複合材料化を試みた。この場合も均一な溶融が得られたがガラス繊維束内への樹脂の含浸が悪いと成形品の強度に問題が生じることが明らかになった。 | KAKENHI-PROJECT-08650249 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-08650249 |
T字形合流配管における高・低温流体の混合過程と流動場の構造に関する研究 | 管路途中で枝管が主管に接合されている合流配管において,主管と枝管を流れる流体の温度が異なる場合には混合により温度ゆらぎが生じ,それが管壁に到達して高サイクルの熱疲労を与えるサーマルストライピングが発生することが知られており,原子炉などの安全性において重要な問題となっている.合流部の下流では,縦渦・はく離・再付着,再循環などを伴った複雑な3次元・非定常流が現れ,その結果,高・低温流体の混合プロセスも複雑なメカニズムを有すると考えられる.本研究の目的は,高温流体と低温流体が合流する合流配管内において,流れ場と温度場に関する詳細な実験を行い,流動場の構造と高・低温流体の混合過程,および熱疲労の発生するメカニズムを解明することにある.具体的には,流動系として互いに対向する2本の管が直角に接続された1本の管に合流する対向型T形合流配管を取り上げ,非定常流動場の計測に不可欠なダイナミックPIVシステムの構築・確立とそれによる瞬時速度場の時系列計測,ならびに熱輸送と物質輸送の相似性に基づきレーザ誘起蛍光法(PLIF)による瞬時濃度場の時系列計測を実施した.前者の流動計測では,2本の対向管内の流れが合流した界面に形成される強い速度変動,合流部直後に生じる大規模なはく離泡,合流管断面における複雑な縦渦の分布特性を明らかにすることができた.また,固有直交展開を用いて,合流界面の速度揺らぎや,はく離泡周りのせん断層における渦放出などの組織的構造とその非定常特性を抽出することができた.後者の濃度場計測では,合流界面において強い速度変動に対応した高い濃度変動が生じ,それが合流管の接合部付近に到達してサーマルストライピングを引き起こす可能性があること,また合流管断面内に誘起される縦渦により物質が輸送され,下流域では当初高濃度流体が流れていた管とは逆側で濃度が高くなることなどが明らかになった.管路途中で枝管が主管に接合されている合流配管において,主管と枝管を流れる流体の温度が異なる場合には混合により温度ゆらぎが生じ,それが管壁に到達して高サイクルの熱疲労を与えるサーマルストライピングが発生することが知られており,原子炉などの安全性において重要な問題となっている.合流部の下流では,縦渦・はく離・再付着,再循環などを伴った複雑な3次元・非定常流が現れ,その結果,高・低温流体の混合プロセスも複雑なメカニズムを有すると考えられる.本研究の目的は,高温流体と低温流体が合流する合流配管内において,流れ場と温度場に関する詳細な実験を行い,流動場の構造と高・低温流体の混合過程,および熱疲労の発生するメカニズムを解明することにある.具体的には,流動系として互いに対向する2本の管が直角に接続された1本の管に合流する対向型T形合流配管を取り上げ,非定常流動場の計測に不可欠なダイナミックPIVシステムの構築・確立とそれによる瞬時速度場の時系列計測,ならびに熱輸送と物質輸送の相似性に基づきレーザ誘起蛍光法(PLIF)による瞬時濃度場の時系列計測を実施した.前者の流動計測では,2本の対向管内の流れが合流した界面に形成される強い速度変動,合流部直後に生じる大規模なはく離泡,合流管断面における複雑な縦渦の分布特性を明らかにすることができた.また,固有直交展開を用いて,合流界面の速度揺らぎや,はく離泡周りのせん断層における渦放出などの組織的構造とその非定常特性を抽出することができた.後者の濃度場計測では,合流界面において強い速度変動に対応した高い濃度変動が生じ,それが合流管の接合部付近に到達してサーマルストライピングを引き起こす可能性があること,また合流管断面内に誘起される縦渦により物質が輸送され,下流域では当初高濃度流体が流れていた管とは逆側で濃度が高くなることなどが明らかになった.管路途中で支管が主管に接合されている合流管において,主管と支管を流れる流体の温度が異なる場合には,混合により温度ゆらぎが生じ,それが管壁に到達して高サイクルの熱疲労を与えるサーマルストライピングが発生することが知られている.合流部下流においては,縦渦,はく離・再付着,再循環,大規模変動などを伴った複雑な3次元・非定常流が現れ,その結果,高・低温流体の混合プロセスも非常に複雑なメカニズムを有する考えられる.本研究の目的は,高温流体と低温流体が合流する合流配管内において,流れ場と温度場に関する詳細な実験を行い,流動場の構造と高・低温流体の混合過程,および熱疲労の発生するメカニズムを解明することにある.本年度は,実験流路系の設計・製作に加えて,本研究で測定対象とする非定常流動場の計測に不可欠な時系列PIVシステムの構築・確立とそれによる非定常流計測,ならびに逆流を伴う流動場に適用可能なLDVと抵抗線温度計を組み合わせた速度・温度同時計測システムの開発とそれを用いた2次元高温・低温並行せん断流の乱流熱拡散計測を実施した.前者の流動計測では,デジタルハイスピードビデオとレーザーシートを用いた時系列PIVシステムを構築し,代表的な非定常流であるブラフボディの後流を計測してその有効性を確認した.また,PIVにより得られた速度データから,PODを用いて流れのはく離や渦放出の非定常性や組織構造を抜き出す手法を確立し,実際の計測に応用した.後者の温度場計測では,LDVからの離散的速度信号と抵抗線からの温度信号とを同期させ,抵抗線の熱慣性に起因した温度信号のゲイン低下と位相遅れを補償しながら速度と温度を同時計測するシステムを完成させた.このシステムを,単純な乱流混合系である2 | KAKENHI-PROJECT-14350106 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-14350106 |
T字形合流配管における高・低温流体の混合過程と流動場の構造に関する研究 | 次元高温・低温並行せん断流の乱流熱流束計測に適用し,高温流体と低温流体の詳細な乱流混合過程を明らかにした.管路途中で枝管が主管に接合されている合流配管において,主管と枝管を流れる流体の温度が異なる場合には混合により温度ゆらぎが生じ,それが管壁に到達して高サイクルの熱疲労を与えるサーマルストライピングが発生することが知られており,原子炉などの安全性において重要な問題となっている.合流部の下流では,縦渦,はく離・再付着,再循環などを伴った複雑な3次元・非定常流が現れ,その結果,高・低温流体の混合プロセスも複雑なメカニズムを有すると考えられる.本研究の目的は,高温流体と低温流体が合流する合流配管内において,流れ場と温度場に関する詳細な実験を行い,流動場の構造と高・低温流体の混合過程,および熱疲労の発生するメカニズムを解明することにある.具体的には,流動系として互いに対向する2本の管が直角に接続された1本の管に合流する対向型T形合流配管を取り上げ,非定常流動場の計測に不可欠なダイナミックPIVシステムの構築・確立とそれによる瞬時速度場の時系列計測,ならびに熱輸送と物質輸送の相似性に基づきレーザ誘起蛍光法(PLIF)による瞬時濃度場の時系列計測を実施した.前者の流動計測では,2本の対向管内の流れが合流した界面に形成される強い速度変動,合流部直後に生じる大規模なはく離泡,合流管断面における複雑な縦渦の分布特性を明らかにすることができた.また,固有直交展開を用いて,合流界面の速度揺らぎや,はく離泡周りのせん断層における渦放出などの組織的構造とその非定常特性を抽出することができた.後者の濃度場計測では,合流界面において強い速度変動に対応した高い濃度変動が生じ,それが合流管の接合部付近に到達してサーマルストライピングを引き起こす可能性があること,また合流管断面内に誘起される縦渦により物質が輸送され,下流域では当初高濃度流体が流れていた管とは逆側で濃度が高くなることなどが明らかになった. | KAKENHI-PROJECT-14350106 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-14350106 |
バルクの電磁気的熱的挙動解明に基づくバルク応用回転機の課題解決法の研究 | 超伝導バルクの回転機応用の実用化で問題となる,回転機特有の変動磁界によるバルクの捕捉磁束への影響について解析と実験より検討を行った.実験においては,製作した試験装置を用いて変動磁界を発生させ交流損失の観点から検討を行い,これらの変動磁界がバルクの捕捉磁束に一定の影響がある見通しを得た.また,バルク捕捉磁束減衰抑制のためのシールドコイルの効果的な配置により十分な抑制効果が得られることを明らかにした.超伝導バルクの回転機応用の実用化で問題となる,回転機特有の変動磁界によるバルクの捕捉磁束への影響について解析と実験より検討を行った.実験においては,製作した試験装置を用いて変動磁界を発生させ交流損失の観点から検討を行い,これらの変動磁界がバルクの捕捉磁束に一定の影響がある見通しを得た.また,バルク捕捉磁束減衰抑制のためのシールドコイルの効果的な配置により十分な抑制効果が得られることを明らかにした.平成21年度の研究実績は以下の通りである.1.高温超伝導バルクの応用回転機実用化への基礎的課題である変動磁界下におけるバルクの損失および熱的挙動の解析モデルを構築するために,まず一般的な回転機モデルの磁界解析を行えるような解析ツールを作成し,その解析結果を参考にして一般的な永久磁石を用いた回転子だけでなく,超伝導特性を考慮したバルクを用いた回転子を使ったバルク応用回転機モデルの簡易解析ができるようになった.2.上記の解析ツールの結果を参考にして,複数のモデルを構築できるような試験装置を考案し,そのモデル内で回転機特有の変動磁界を模擬できる回転機変動磁界模擬試験装置の製作を行った.さらに,その変動磁界模擬装置中でのバルク損失の計測方法を検討し,試験装置と組み合わせて予備的な測定を行った.3.変動磁界によるバルク損失抑制の解決方法の一つとして我々が提案している高温超伝(HTS)導線材を用いたシールドコイルを付加したバルクの損失について解析モデルを構築すると共に,シールドコイル用HTS線材としてBi系銀シース線材およびY系薄膜線材を使用したシールドコイルを製作し,交流磁場下での電磁気的熱的挙動の測定を行った.それらの測定データを収集することによりシールドコイルの構成法及び,設計法について検討を行うことができた.また,国内の関連学会においてこの分野の研究者達と意見交換を行い,いくつかの問題点等を洗い出すことができ,本研究への新たな課題も見つけることができた.平成22年度の研究実績は以下の通りである.1.前年度に製作した回転機特有の変動磁界環境下で測定を行うことができる回転機変動磁界模擬試験装置については,変動磁界により発生する交流損失にともなう温度変化等のデータの収集を行った.しかし,そのデータを検討した結果,回転子構造等の問題と計測上の問題点が抽出されたため,装置の改良と更なる測定方法の検討を行った.2.高温超伝導バルクの応用回転機実用化への基礎的課題である変動磁界下におけるバルクの損失および熱的挙動の解析モデルを構築するために,昨年度から行っている回転機モデルの磁界解析ツールの一部に改良を加えて,一般的な永久磁石型と超伝導バルク型回転子を使ったバルク応用回転機モデルの解析ができるような変更を行った.この解析ツールを使用して,改良した試験装置による一部測定結果と比較検討を行うことができた.3.変動磁界による損失抑制の解決方法として我々が提案している高温超伝導(HTS)線材を用いたシールドコイルを付加したバルクへの影響について前年度に引き続きデータ収集を行った,それらの測定データによリシールドコイルのより効果的な構成法など,設計法について検討を行うことができた.4.上記の研究成果を米国・ワシントンDCで行われた国際会議(Applied Superconductivity Conference 2010)において発表を行い,この分野の研究者達とディスカッションし情報交換を行った.また,国内の関連学会(低温工学・超電導学会)においてもこの分野の研究者達と意見交換を行い,いくつかの問題点等を見出すことができ,本研究への新たな課題を見つけることができた.平成23年度の研究実績は以下の通りである.1.高温超伝導(HTS)バルクの応用回転機実用化に向けての問題点として挙げられる変動磁界環境下でのHTSバルクへの影響について,前年度に引き続きデータ収集を行った.回転機特有の変動磁界環境下で測定を行うことができる模擬試験装置を使用し,回転駆動時の問題の一つとして挙げられる高調波成分を含んだ変動磁界がHTSバルクの捕捉磁界へ及ぼす影響について交流損失の観点から検証を行なった.測定結果より,変動磁界下でのバルクへの影響について一定の影響がある見通しを得ることができた.さらに別の変動磁界の問題として,ローター回転時の移動磁界(回転磁界)による影響についても検証を行った.この検証については,使用した測定法の精度の問題もあり,十分な検証結果を得るに至っておらず不十分な結果となったが,次の目標への方向性を示すことができた.2.実験モデルの修正を考慮した回転機モデルに基づいて解析ツールの改良を行いバルク応用回転機モデルの磁界解析を行った.この解析ツールを使用して,バルク回転機の変動磁界環境下による影響について,これまでの測定結果と比較検討を行い,実験結果とある程度の妥当性を得られたと考えられる. | KAKENHI-PROJECT-21560292 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-21560292 |
バルクの電磁気的熱的挙動解明に基づくバルク応用回転機の課題解決法の研究 | 3.前年度を含めたこれまでの結果をまとめ,バルク応用回転機の変動磁界による影響を低く抑えるためのシールドコイルの効果および構成法などを考慮した最適設計法の検討ができた.さらに,回転機特有の変動磁界の影響を考慮した設計法の見通しを得た.上記の研究成果をオランダ・デンハーグで行われた第10回欧州超伝導応用会議(EUCAS2011)において発表を行い,この分野の研究者達とディスカッションし情報交換を行った.また,国内の関連学会(低温工学・超電導学会)においても研究者達と意見交換を行い,いくつかの問題点等を見出すことができ,新たな課題を見つけることができた. | KAKENHI-PROJECT-21560292 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-21560292 |
口腔扁平上皮癌細胞におけるTGF-B受容体の癌特異的変異の解析 | 我々はこれまでに、HSC-2ならびにHSC-4細胞におけるTGF-β受容体遺伝子の構造異常もしくは、シグナル伝達異常の可能性を示唆してきた。そこで以下の実験により、TGF-β受容体とシグナル伝達経路における癌化機構との関連を検討した。1.HSC-2ならびにHSC-4細胞よりmRNAを抽出し、逆転写酵素によりcDNAを合成し、PCR法によりTβRI、TβRII遺伝子をcloningし塩基配列を決定した。我々はすでに正常繊維芽細胞からTGF-β受容体(TβRI、TβRII)をcloning済みであり、これらと比較したところ、すくなくとも受容体遺伝子の細胞外領域に関して構造異常を認めず、シグナル伝達異常が推測された。2.これら受容体に関する抗体を用いて、TGF-β刺激時・非刺激時におけるin-vitro-kinase-assayをおこない、一次元ならびに二次元電気泳動にて解析し、標的リン酸化蛋白質の検索を行なった。1.TβRIIの発現が低くTGF-βに反応しない細胞(HSC-2)にTβRIIをtransfectionしたところDNA合性能に関してはTGF-βの反応を回復したものの、細胞外基質の産性能等は回復を認めなかった。我々はこれまでに、HSC-2ならびにHSC-4細胞におけるTGF-β受容体遺伝子の構造異常もしくは、シグナル伝達異常の可能性を示唆してきた。そこで以下の実験により、TGF-β受容体とシグナル伝達経路における癌化機構との関連を検討した。1.HSC-2ならびにHSC-4細胞よりmRNAを抽出し、逆転写酵素によりcDNAを合成し、PCR法によりTβRI、TβRII遺伝子をcloningし塩基配列を決定した。我々はすでに正常繊維芽細胞からTGF-β受容体(TβRI、TβRII)をcloning済みであり、これらと比較したところ、すくなくとも受容体遺伝子の細胞外領域に関して構造異常を認めず、シグナル伝達異常が推測された。2.これら受容体に関する抗体を用いて、TGF-β刺激時・非刺激時におけるin-vitro-kinase-assayをおこない、一次元ならびに二次元電気泳動にて解析し、標的リン酸化蛋白質の検索を行なった。1.TβRIIの発現が低くTGF-βに反応しない細胞(HSC-2)にTβRIIをtransfectionしたところDNA合性能に関してはTGF-βの反応を回復したものの、細胞外基質の産性能等は回復を認めなかった。 | KAKENHI-PROJECT-06671994 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-06671994 |
口腔癌における転移形質の特定とその遺伝子発現の多様性 | 1)DNAチップマイクロアレイ法による転移性細胞に特異的遺伝子発現様式の解析:ヒト唾液腺腺様嚢胞癌細胞ACC2、ACC3細胞、および高転移能を有するACCM細胞、舌扁平上皮癌細胞ZK-1、ZK-2細胞、および高転移能を有するMK-1細胞について、それらの発現する遺伝子を解析するため、それぞれ、周密化直前の段階で、全RNAを抽出し、mRNAを得た。これを試料としてDNAマイクロアレイチップによって解析をおこなった。その結果、高転移性細胞株には特異的にIV型コラゲン等の細胞外基質(ECM)分子およびインテグリン等のECM膜受容体分子の両遺伝子発現が低下し、そのかわりMMP、FGF7等のECM分解酵素ならびに細胞増殖細胞周期に関わる遺伝子発現が亢進していた。したがって、癌細胞の転移活動性は遺伝子レベルで制御されていることが示唆された。さらに、これらが蛋白質レベルでも発現低下・上昇してしているかどうかを蛍光抗体法で検討したところ、同様の傾向がえられた。2)転移能の異なる口腔癌培養細胞系におけるECM分子とその分解酵素の経時的発現変動の比較検討:上記1)項の結果から、転移能を規定する重要な遺伝子が細胞外基質代謝に関することもあることが判明したので、上記ACC2、ACCM細胞について、経時的にそれらの遺伝子発現を、蛍光抗体法とRT-PCR法、さらにISH法によって検討し、酵素については免疫ブロット法とザイモグラフィ法によって蛋白質発現と活性を検討した。その結果、高転移性細胞ではファイブロネクチン等の細胞外基質は概して高発現し、MMP9/MMP1が特異的に亢進していた。一方低転移性細胞ではMMP2/MMP7の発現が上昇しており、細胞外基質代謝はその分子種特異性が高いことが示唆された。3)免疫・ハイブリッド組織細胞化学的実験:上記解析によって特定された遺伝子について、組織切片上でも特定された遺伝子およびその産物がそれぞれの細胞で対照的発現をしているかどうかを免疫組織化学とISH法によって検討したところ、蛋白質レベルでも遺伝子と同様の発現変動が確認された。4)転移形質として決定された遺伝子の発現調整による転移能の制御:特定された遺伝子について、高発現細胞にはRNAi法で遺伝子発現抑制試験をおこなっているが、この実験については今後さらに方法の検討が必要である。以上の結果より、口腔癌の転移を制御する遺伝子群は、大略細胞外基質とその代謝、アポトーシスと細胞増殖、さらに細胞骨格に関与するものであることが判明し、これらの遺伝子の発現調節によって口腔癌転移阻止にむけて今後の研究展望が開けたと考えられる。1)DNAチップマイクロアレイ法による転移性細胞に特異的遺伝子発現様式の解析:ヒト唾液腺腺様嚢胞癌細胞ACC2、ACC3細胞、および高転移能を有するACCM細胞、舌扁平上皮癌細胞ZK-1、ZK-2細胞、および高転移能を有するMK-1細胞について、それらの発現する遺伝子を解析するため、それぞれ、周密化直前の段階で、全RNAを抽出し、mRNAを得た。これを試料としてDNAマイクロアレイチップによって解析をおこなった。その結果、高転移性細胞株には特異的にIV型コラゲン等の細胞外基質(ECM)分子およびインテグリン等のECM膜受容体分子の両遺伝子発現が低下し、そのかわりMMP、FGF7等のECM分解酵素ならびに細胞増殖細胞周期に関わる遺伝子発現が亢進していた。したがって、癌細胞の転移活動性は遺伝子レベルで制御されていることが示唆された。さらに、これらが蛋白質レベルでも発現低下・上昇してしているかどうかを蛍光抗体法で検討したところ、同様の傾向がえられた。2)転移能の異なる口腔癌培養細胞系におけるECM分子とその分解酵素の経時的発現変動の比較検討:上記1)項の結果から、転移能を規定する重要な遺伝子が細胞外基質代謝に関することもあることが判明したので、上記ACC2、ACCM細胞について、経時的にそれらの遺伝子発現を、蛍光抗体法とRT-PCR法、さらにISH法によって検討し、酵素については免疫ブロット法とザイモグラフィ法によって蛋白質発現と活性を検討した。その結果、高転移性細胞ではファイブロネクチン等の細胞外基質は概して高発現し、MMP9/MMP1が特異的に亢進していた。一方低転移性細胞ではMMP2/MMP7の発現が上昇しており、細胞外基質代謝はその分子種特異性が高いことが示唆された。3)免疫・ハイブリッド組織細胞化学的実験:上記解析によって特定された遺伝子について、組織切片上でも特定された遺伝子およびその産物がそれぞれの細胞で対照的発現をしているかどうかを免疫組織化学とISH法によって検討したところ、蛋白質レベルでも遺伝子と同様の発現変動が確認された。4)転移形質として決定された遺伝子の発現調整による転移能の制御:特定された遺伝子について、高発現細胞にはRNAi法で遺伝子発現抑制試験をおこなっているが、この実験については今後さらに方法の検討が必要である。以上の結果より、口腔癌の転移を制御する遺伝子群は、大略細胞外基質とその代謝、アポトーシスと細胞増殖、さらに細胞骨格に関与するものであることが判明し、これらの遺伝子の発現調節によって口腔癌転移阻止にむけて今後の研究展望が開けたと考えられる。1)DNAチップマイクロアレイ法による転移性細胞に特異的遺伝子発現様式の解析:ヒト唾液腺腺様嚢胞癌細胞ACC2、ACC3細胞、および高転移能を有するACCM細胞、舌扁平上皮癌細胞ZK- | KAKENHI-PROJECT-14571728 | https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-14571728 |
Subsets and Splits