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26,180 | 小学校生活 | くさ や き のことを、 しょくぶつ と、いいます。
しょくぶつ を そだてる には、 つち や みず が ひつよう です。
しょくぶつ には、 いろんな くさ や き が、 たくさん あります。
これから、アサガオ という しょくぶつ に ついて 、おはなし します。
しょくぶつ の たね を、 つち に うめます。
たね を、 うめるとき は、 たね を あな に いれて、 それから つち を すこし かぶせます。 かぶせた土 を かためて しまうと そだちません。
さいご に 水 を かけます。
たねまき は これで おわり です。
まいにち、 水(みず)やり など の おせわ を しましょう。
みず が おおすぎては いけません。 水を やりすぎると たね が くさって しまいます。 すくなすぎても いけません。
水 は ほどほど に。
チューリップは、たね では なく、 きゅうこん(球根) から そだちます。
しょくぶつ の なか には、 たね で なく 、 きゅうこん から そだつ もの も います。
スイセン や クロッカス や ヒヤシンス も、きゅうこん から そだちます。
チューリップのきゅうこんは、 たべないで。
チューリップの きゅうこん を たべると、 おなか を こわします。
土(つち) に まいた、 植物(しょくぶつ) の たね が、 芽(め) を だすには、 水(みず) と 空気(くうき) が ひつよう です。
ひとつでも かけていると、 芽(め)は でません。
水(みず)が 多すぎる(おおすぎる)と、 たね に 空気(くうき) が とどかなく なります。
土(つち) に 水(みず)を かけるとき は、 土(つち) が すこしだけ ぬれている 「しめりけ」 を おびる ぐらい に して ください。
土(つち) に、 水(みず) を、 かける とき は、 「じょうろ」 など で かけて ください。
土には、バケツ では 水は かけないで ください。
しょくぶつ は、 ひかり(光) が あたる ところ で、 そだてて ください。
ひかり(光) が あたらないと、 しょくぶつ は そだちません。
たいよう の、 ひかり が よくあたる ばしょ を、 ひなた と いいます。
たてもの の かげ とか に なっていて、くらい ばしょ を、ひかげ(日かげ) と いいます。
ひかげ でも、 あさ や ゆうがた ぐらい の あかるさ ならば、 しょくぶつ は そだちます。
ですが、 まったく ひかり の あたらない くらやみ だと、 しょくぶつ は そだちません。
たね を まくと、 芽(め) が でます。 め(芽) が 大きくなり、はっぱ が ひらきます。
め が でた しょくぶつ は、 つち の なか に、 ねっこ を のばして います。
しょくぶつ は、 この ねっこ を つかって、 えいよう を とっています。
ねっこ は、 みず(水) も すいこみます。 しょくぶつ は ねっこ で みず を とっています。
しょくぶつ は 、これからも そだって いきます。
くき が でた しょくぶつ に みず を あげるとき は、 ねもと の 土(つち) に 水を かけます 。
くき や はっぱ には 、 みず を あまり かけないで ください。
アサガオ が そだってきたら ぼう を たてます 。
アサガオ は ぼう に まきつきます。
しょくぶつ の まきつく くき を つる と いいます。
アサガオ は つる が まきつきます。
ぼう を たてないと 、 アサガオ は 下(した)に たれていきます。
アサガオが そだって 、 しばらく すると つぼみ が できます。
つぼみ が ふくらむと、その あと に 花(はな) が さきます。
花(はな) は しばらく ひにち が たつと かれます。
花 が かれる と み(実) が できます。
実(み) が できて 、 しばらく すると しょくぶつ は かれます。
これ が しょくぶつ の 一生(いっしょう) です。 一生(いっしょう) とは 、「うまれて から、しぬ まで」 の ことです。
しょうぶつ の み(実) は たね(種) を のこします。
こうして、 また 来年(らいねん) の たね に つながって いくのです。
花(はな) の ある しょくぶつ(植物) の 、 花を かんさつ(観察) してみましょう 。
よくみると 、 どの花も にたような つくり を しています 。
花には、花びら(はなびら)が あります 。 花びら の つけね の ほうにある みどりいろ さきのわかれた もの を がく と いいます。
アサガオでは、がくは、5つ に わかれてます。
アブラナでは、がくは、4つ に わかれています。
ほとんどの しょくぶつの 花には、花びら と がく と おしべ と めしべ が あります。
花(はな)からは、中(なか)から、先の 黄色(きいろ)く ふくらんだ、白い(しろい)、ひげのようなものが、何本(なんほん)も、でていますね。
これは おしべ です。
花(はな)の まんなか に、太い(ふとい)、一本(いっぽん)のものが、でていますね。
これが、 めしべ です。
花(はな)が かれた あと に、実(み)に なるのは 、 めしべ の あった ところ です。
これから ここで しょうかいする 春(はる)や 夏(なつ)や 秋(あき)の しょくぶつ の なまえ は 、 小学1年(しょうがく いちねん)では、 まだ 、 おぼえなくて いいです 。
「せり、なずな、ごぎょう、はこべら、・・・・」は、「春(はる)の七種(ななくさ)」として、有名(ゆうめい)です。
モクレンやスミレなども、春(はる)の植物(しょくぶつ)です。
モクレンからサツキまで、上(うえ)の花(はな)や草(くさ)は、春(はる)に 多い(おおい) 植物(しょくぶつ) です。
秋の七草(あき の ななくさ)はつぎの、オミナエシからハギまでの7つの野草(やそう)のことである。
オナモミの 実(み) は、トゲトゲ が ついています。 これは、動物(どうぶつ)に くっつきやすく して、 種(たね)を とおくまで はこばせる ため です。
ウサギは、耳(みみ)が、長いです。
長い(ながい) 耳(みみ)は、 音(おと)を、 よく ききとる ために あります。
ウサギは、小さくて、よわいので、大きな(おおきな) 動物(どうぶつ)には、たべられてしまいます。
なので、おおきな 動物(どうぶつ)の 音(おと)を きいて、 にげる ために、耳が ながいのです。
ウサギは、ニンジンを、よく たべます。
ウサギ は、 とびはねる ように はしります。
どうぶつ には 、 あまり さわっては いけません 。
ウサギ に とって 、 にんげん は からだ が おおきくて 、とても こわい の です。
だから 、 手(て)を だしたりすると かまれてしまう ばあい も あります 。
また 、 ウサギ など の どうぶつ は 、 にんげん の におい を いやがります 。
なので 、 ウサギ を なでたり しては いけません 。 うさぎ を だっこ しても いけません 。
ウサギ に ちかづく ばあい は 、 エサ を あげるとき など だけ に してください 。
にわとり の こども を ひよこ と いいます。
ひよこ が おおきく なると、 にわとり に なります 。
にわとり は たまご を うみますね 。
たまご を うむ のが できる のは、 おんな の にわとり だけ です。
どうぶつ の おんな を メス と いいます。 メス とは 女(おんな) という 意味(いみ)です。
にわとり の メス だけ が たまご を うみます 。
にわとり の おかあさん だけ が たまご を うむ のです 。
メス の にわとり を めんどり と いいます。
どうぶつ の おとこ を オス と いいます。
オス の にわとり は 、 たまご を うみません 。
オス の にわとり を おんどり と いいます。
にわとり の たべもの は 、じめん に いる ちいさな むし です。 みみず など も、にわとり は たべます。
ツバメは、かれくさ や どろ を あつめて す(巣) を つくります。
ツバメは、春(はる)になると、みなみのくにから、日本(にほん)に やってきます。
あきごろになると、ツバメは、あたたかい みなみ に、かえります。
このような、きせつ が かわると 、ほかの くに に うつりすむ こと を わたり と いいます。
ツバメのように、わたり を する とり を わたりどり と いいます。
きんぎょ
ダンゴムシ や アリ や バッタ や トンボ や チョウ は 虫(むし) です。
むし の なか には 、 はね が あって 、 空(そら) を とぶもの も います 。 チョウ や カブトムシ や ミツバチ は そら を とびます。 トンボ や テントウムシ も そら を とびます 。
アリ や ダンゴムシ は そら を とびません 。
ハチ には 、 はり が あります。
はり に さされると 、 とても いたいし 、あぶないので 、 ハチ には ちかづかないように しましょう 。
モンシロチョウは、花(はな)の みつ を すいます。
よのなか(世の中) には、 いろいろ な しごと(仕事) が あります。
たとえば、おこめ(お米) を つくる ひと(人) が います。
おこめ を つくる こと は しごと です。
やさい を つくる しごと も あります。
くだもの を つくる しごと も あります。
こめ や くだもの や やさい を つくる しごと を している ひと を のうか(農家) と いいます。
ほかにも、やおや とか スーパー で 、 しょうばい(商売) を するひと が います。
ほんや(本屋) さん が 、 ほん(本) を うる(売る) のも しごと です 。
とこや(床屋) さん が 、 かみのけ(髪の毛) を きる(切る) のも しごと です 。
しごと は このほか にも 、 たくさん の しごと が あります。
おとうさん や おかあさん も しごと を します。
くらし を するには おかね が ひつようです。
おかね を てにいれる には しごと を しないと 、いけません。
おかね が ないと 、 ごはん も かえません。
みず を ながすのにも 、 おかね は かかります。
でんき を つかうにも 、 おかね は かかります。
だから 、 おとうさん や おかあさん は しごと を して 、おかね を もらう のです。
しごと を する こと を はたらく と いいます。
しごと には おかね を もらわない しごと も あります 。
たとえば、おかあさん が 、 りょうり を つくったり、 せんたく したり することは 、おかね を もらいません。 おうち の りょうり を つくること も しごと です。 せんたく することも しごと です。
りょうり を つくる こと も りっぱ な しごと です。
りょうり を つくらないと 、 おなかが へって 、 いきられません。
おかね を もらわない しごと だけだと 、せいかつ に ひつよう な もの が かえません 。
いえ の なか の しごと だけ だと、 おかね が いえ に はいってきません。
なので 、 おかね を もらえる しごと も 、かぞく が しないと いけません。
なので 、おとうさん や おかあさん の どちらか は 、いえ の そとで 、 しごと を します。
がっこう(学校) の なか(中) にも 、 しごと を している ひと(人) は います。
がっこう の せんせい(先生) も 、 よのなか にある しごと です。
がっこう には 、せんせい の ほか にも 、 しごと を している ひと が いますね。
たとえば 、 きゅうしょく(給食) を つくる おばさん たち 。 この きゅうしょく を つくる こと も しごと です。
きゅうしょく の おばさん たち は、きゅうしょく を つくる ほかにも 、しごと を しています。
きゅうしょく の こんだて を かんがえる しごと です。
えいよう が あって 、 おいしい こんだて を かんがえて くれています。
きゅうしょく の おばさん たち が きゅうしょく を つくる きゅうしょくしつ では 、 たくさん の きゅうしょく が つくられます。
がっこう には せいと が たくさん いるので 、 きゅうしょく も たくさん つくるのです。
きゅうしょく を つくる ため の、なべ(鍋) などの どうぐ も おおきい です。
おうち の りょうり で つかう なべ と くらべたら 、 きゅうしょくしつ の なべ は とても おおきい です。
きゅうしょく の おばさん は 、て(手) を せいけつ に しています。
きゅうしょく を つくるまえには 、かならず て を あらいます。
あらう ばしょは てのひら や ての うら だけではなく 、ゆびさき から てくびのつけね 、さらには 、うでのあたりまで あらうことも あります 。
これは 、 きゅうしょく を たべる みんな に 、あんぜん な きゅうしょく を たべて もらいたい から です。
きゅうしょく の おばさん たち は 、きゅうしょく を つくっている とき には、しろい かっぽうぎ を きていますね。
この かっぽうぎ の しろい いろ は、 よごれ を めだたせる ため の いろ です。
きゅうしょく の おばさん たち は、きゅうしょく を つくるとき、くち に マスク を しています 。
これは 、きゅうしょく に つば が はいらない ように するためです。
きゅうしょくの おばさん は、 てぶくろ も していますね。
がっこう の そうじ を する ようむいん(用務員) さん 。 がっこう の そうじ(掃除) も しごと です。
ようむいん さん の しごと は、がっこう の なかで でた ごみ を、ごみしょり(ごみ処理) の ぎょうしゃ に だしたり します。
がっこう で うえている うえき など の ていれ も、ようむいん さん が おこなってくれます。
かだん など が こわれた とき は、 ようむいん さん が なおせる ばあい は、なおして くれます 。
ほけんしつ(保健室) に いる ようご の せんせい 。がっこう の せいと が けが を したときに てあて を してくれます。せいと の ぐあい が わるい びょうき の とき は 、しんさつ も します 。 これも しごと です。
がっこう には ときどき 、 ほか の しごと の ひと も きます。
たとえば 、 ごみ を ひきとる ごみしょり ぎょうしゃ さん。
ほかにも 、 きゅうしょく の ざいりょう を とどける ぎょうしゃ さん。
こうつうルール は がっこう で おそわるはずです。 がっこう で きちんと おそわりましょう。
(※保護者の方へ: 交通ルールに関しては、なるべく学校で、きちんと教わってください。ウィキペディアおよびウィキブックス等には免責事項があり、事故にあわれた場合の責任は、ウィキペディア一同は負いません。ページ末の免責事項を、お読みください。)
そと に でかける とき は 、 こうつうルール を まもりましょう。
みち を あるくとき は 、 ほどう(歩道) を あるきましょう。
がっこう の いき や かえり で 、 くるま の とおっている どうろ を わたる ばあい が あるかも しれません。
くるま の とおる どうろ を 「しゃどう」(車道) と いいます。
くるま の とおる どうろ を わたるとき は 、 しんごう が あるとき は 、しんごう の ルール を まもって わたりましょう。
ほこうしゃ が みる のは ほこうしゃ よう の しんごう です。
しんごう は あおしんごう の とき は わたって いい です。
あか しんごう の とき は わたって は いけません。
あおしんごう で わたる とき は おうだんほどう の うえ を わたりましょう。
おうだんほどう は どうろ の うえ に ある 、 しろい しましま の もよう が ある ばしょ です。
こども が おうだんほどう を わたる とき は 、 て を あげて 、 わたりましょう。
こども の せ は ちいさい ので 、 くるま から は 、みえにくい ばあい が あるからです 。
どうろ を わたる まえ に 、 みぎ と ひだり を みて 、くるま が とまって いること を かくにん しましょう 。
ざんねん な こと ですが 、 おとな たち の なかには 、 こうつうルール を まもらない わるい ひと も います 。 そういう わるい ひと が うんてん している くるま に 、ひかれない よう に しましょう 。
ほこうしゃよう の しんごう が、 あおしんごう の ときに 、 て を あげて 、 みぎ と ひだり を みて 、くるま が とまって いる こと を かくにん して 、おうだんほどう を わたりましょう。
ほどうきょう が あるばあい は 、あるいている ひと は 、 ほどうきょう を のぼって、 わたります。
でかける ばしょ は いえ の ちかく に しましょう。
あそび に いったり 、 しらべ に いったり 、 がっこう の ほか の ばしょ に 、 でかける とき は 、おかあさん や おとうさん に れんらく を しましょう。
どこ へ いく か を 、おかあさん や おとうさん に れんらく しましょう 。
なるべく まえ の ひ(日) まで に れんらく しましょう。
「だれと、いつまで」 を つたえても よいでしょう。
でかける とき 、いえ(家) から そと(外) に でる(出る) とき に 「いってきます。」 と いって から 、げんかん の ドア を あけて、そと(外) に でましょう(出ましょう)。
だまって そと に でかけては いけません。
だまって でかけると 、 おとうさん と おかあさん は 、 なんで あなた が おうち に いないのか 、わからない から 、 しんぱい します。
だから でかける まえ には 、きちんと 「いってきます。」 と いって ください。
くらく なる まえ に かえりましょう。
こども が よる を、ひとり で あるく のは 、 あぶない です。
よる に なる まえ に 、 きちんと おうち に かえりましょう。
おうち に かえったら 、 「ただいま」 と いいましょう。
それから 、 せんめんじょ に いって、 て(手) を あらって 、 うがい を しましょう。
とおい ところ に は(わ)、ひとり(一人) で いっては いけません。 がっこうの きまり に なっているかも しれません。
こども だけ で とおい ところ に いっては いけません。
なるべく とおい ところ には 、 でかけ なくても すむように しましょう。
1ねんせい や 2ねんせい が 、 とおい ところ に いく ばあい は 、 おかあさん など の おとな の ひと に ついてきて もらいましょう。
おかあさん は いそがしい かも しれません。 そういうとき は 、とおく に でかける のは 、やめましょう。
がっこう の つうがく の いき や かえり で 、 いろんな たてもの が ありますね。
すんでいる ばしょ に よって 、 どんな たてもの が あるか は 、おうち の ばしょ に よって ちがいます。
こうえん には すべりだい や ブランコ や ジャングルジム や てつぼう など が あります。
つうがくろ の とちゅう に こうえん が あっても 、 つうがくちゅう は あそんでは いけません。
よりみち しては いけません。
がっこう から の かえりみち の とちゅう も 、 よりみち せず に 、 おうち に かえりましょう。
こうえん で あそぶ ばあい は 、 がっこう が おわって おうち に かえって から 、 こうえん に いきましょう。
これから おしえる ばしょ では 、 しごと を している おとな たち が います 。
ようじ の ない ひと は 、たてもの の なか に はいっては いけません 。
しごと を している ひとたち を 、 じゃま しては いけません 。
しょうぼうしょ とは 、 かじ が あったら 、 いそいで かじ を けしにいく しょうぼうし さん が いる ばしょ です 。
しょうぼうしょ には しょうぼうしゃ(消防車) という、かじ(火事) を けす ため の あかい くるま(車) が あります。 かじ が あったら 、しょうぼうし(消防士) さん は 、しょうぼうしゃ に のって 、 おおいそぎ で かけつけます。
こうばん(交番) は おまわり さん が いる ところ です 。 おまわり さん の しごと は 、 どろぼう など の わるいこと を する ひと を つかまえる こと です。
こうつうルールを まもらない ひと に ちゅうい を したり、 とりしまったり する こと も 、おまわりさん の しごと です。
びょういん は けが や びょうき を なおす ところ です 。
びょういん には おいしゃさん(お医者さん) や かんごし(看護師)さん など が はたらいています 。 びょういん には、 きゅうきゅうしゃ(救急車) が あります。
おおけが を している ひと を はこぶ ため の くるま です 。
ゆうびんきょく(郵便局)では、 てがみ(手紙) や はがき など の ゆうびん を はいたつ する ゆうびんきょくいん さん が はたらいて います。
「郵便局」 という もじ を 「ゆうびんきょく」 と よみます。
ゆうびん を だす には 、 おかね が かかります 。
ゆうびん の だしかた を しりたい ばあい は 、ゆうびん の だしかた は おかあさん や おとうさん に 、 おしえて もらって ください 。
スーパー は かいもの を する ところ です 。 たべもの(食べ物) や ようふく(洋服) や ほん(本) や ぶんぼうぐ(文房具) など いろんな もの が うっています。
マンション の へや には 、 ひと が すんでいます 。 たにん の おうち なので、 よそ の うち の ひと は 、 かって に なか に はいっては いけません 。
にちようび(日曜日) の つぎの ひ(日) は げつようび(月曜日)ですね。
にちようび(日曜日) から 、つぎの 2日め(ふつかめ)の げつようび(月曜日)、3日め(みっかめ)の かようび(火曜日)、4日め(よっかめ)の すいようび(水曜日) 、 5日め(いつかめ) の もくようび(木曜日)、6日め(むいかめ)の きんようび(金曜日)、7日め の どようび(土曜日) まで の あいだ を いっしゅうかん(一週間) といいます。一週間を 月曜日からと することも あります。
なので、 いっしゅうかん は 7にち(ななにち) あります。
7にち の ことを こくご では 「なのか」 と いいます。
1年(いちねん) は 12か月(じゅうにかげつ) あります。
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"text": "ですが、 まったく ひかり の あたらない くらやみ だと、 しょくぶつ は そだちません。",
"title": "しょくぶつ"
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"text": "たね を まくと、 芽(め) が でます。 め(芽) が 大きくなり、はっぱ が ひらきます。",
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"text": "め が でた しょくぶつ は、 つち の なか に、 ねっこ を のばして います。",
"title": "しょくぶつ"
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"text": "しょくぶつ は、 この ねっこ を つかって、 えいよう を とっています。",
"title": "しょくぶつ"
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"text": "ねっこ は、 みず(水) も すいこみます。 しょくぶつ は ねっこ で みず を とっています。",
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"text": "しょくぶつ は 、これからも そだって いきます。",
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"text": "くき が でた しょくぶつ に みず を あげるとき は、 ねもと の 土(つち) に 水を かけます 。",
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"text": "くき や はっぱ には 、 みず を あまり かけないで ください。",
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"text": "",
"title": "しょくぶつ"
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"text": "アサガオ が そだってきたら ぼう を たてます 。",
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"text": "アサガオ は ぼう に まきつきます。",
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"text": "しょくぶつ の まきつく くき を つる と いいます。",
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"text": "アサガオ は つる が まきつきます。",
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"text": "ぼう を たてないと 、 アサガオ は 下(した)に たれていきます。",
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"text": "アサガオが そだって 、 しばらく すると つぼみ が できます。",
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"text": "つぼみ が ふくらむと、その あと に 花(はな) が さきます。",
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"text": "花(はな) は しばらく ひにち が たつと かれます。",
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"text": "花 が かれる と み(実) が できます。",
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"text": "実(み) が できて 、 しばらく すると しょくぶつ は かれます。",
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"text": "これ が しょくぶつ の 一生(いっしょう) です。 一生(いっしょう) とは 、「うまれて から、しぬ まで」 の ことです。",
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"text": "しょうぶつ の み(実) は たね(種) を のこします。",
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"text": "こうして、 また 来年(らいねん) の たね に つながって いくのです。",
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"text": "花(はな) の ある しょくぶつ(植物) の 、 花を かんさつ(観察) してみましょう 。",
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"text": "よくみると 、 どの花も にたような つくり を しています 。",
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"text": "花には、花びら(はなびら)が あります 。 花びら の つけね の ほうにある みどりいろ さきのわかれた もの を がく と いいます。",
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"text": "アサガオでは、がくは、5つ に わかれてます。",
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"text": "アブラナでは、がくは、4つ に わかれています。",
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"text": "ほとんどの しょくぶつの 花には、花びら と がく と おしべ と めしべ が あります。",
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"text": "花(はな)からは、中(なか)から、先の 黄色(きいろ)く ふくらんだ、白い(しろい)、ひげのようなものが、何本(なんほん)も、でていますね。",
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"text": "これは おしべ です。",
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"title": "しょくぶつ"
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"text": "花(はな)の まんなか に、太い(ふとい)、一本(いっぽん)のものが、でていますね。",
"title": "しょくぶつ"
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"text": "これが、 めしべ です。",
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"text": "花(はな)が かれた あと に、実(み)に なるのは 、 めしべ の あった ところ です。",
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"text": "これから ここで しょうかいする 春(はる)や 夏(なつ)や 秋(あき)の しょくぶつ の なまえ は 、 小学1年(しょうがく いちねん)では、 まだ 、 おぼえなくて いいです 。",
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"text": "「せり、なずな、ごぎょう、はこべら、・・・・」は、「春(はる)の七種(ななくさ)」として、有名(ゆうめい)です。",
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"text": "モクレンやスミレなども、春(はる)の植物(しょくぶつ)です。",
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"text": "モクレンからサツキまで、上(うえ)の花(はな)や草(くさ)は、春(はる)に 多い(おおい) 植物(しょくぶつ) です。",
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"text": "秋の七草(あき の ななくさ)はつぎの、オミナエシからハギまでの7つの野草(やそう)のことである。",
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"text": "オナモミの 実(み) は、トゲトゲ が ついています。 これは、動物(どうぶつ)に くっつきやすく して、 種(たね)を とおくまで はこばせる ため です。",
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"text": "ウサギは、耳(みみ)が、長いです。",
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"text": "長い(ながい) 耳(みみ)は、 音(おと)を、 よく ききとる ために あります。",
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"text": "ウサギは、小さくて、よわいので、大きな(おおきな) 動物(どうぶつ)には、たべられてしまいます。",
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"text": "なので、おおきな 動物(どうぶつ)の 音(おと)を きいて、 にげる ために、耳が ながいのです。",
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"text": "ウサギは、ニンジンを、よく たべます。",
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"text": "ウサギ は、 とびはねる ように はしります。",
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"text": "どうぶつ には 、 あまり さわっては いけません 。",
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"text": "ウサギ に とって 、 にんげん は からだ が おおきくて 、とても こわい の です。",
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"text": "だから 、 手(て)を だしたりすると かまれてしまう ばあい も あります 。",
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"text": "また 、 ウサギ など の どうぶつ は 、 にんげん の におい を いやがります 。",
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"text": "なので 、 ウサギ を なでたり しては いけません 。 うさぎ を だっこ しても いけません 。",
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"text": "ウサギ に ちかづく ばあい は 、 エサ を あげるとき など だけ に してください 。",
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"text": "にわとり の こども を ひよこ と いいます。",
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"text": "ひよこ が おおきく なると、 にわとり に なります 。",
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"text": "にわとり は たまご を うみますね 。",
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"text": "たまご を うむ のが できる のは、 おんな の にわとり だけ です。",
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"text": "どうぶつ の おんな を メス と いいます。 メス とは 女(おんな) という 意味(いみ)です。",
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"text": "にわとり の メス だけ が たまご を うみます 。",
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"text": "にわとり の おかあさん だけ が たまご を うむ のです 。",
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"text": "メス の にわとり を めんどり と いいます。",
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"text": "どうぶつ の おとこ を オス と いいます。",
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"text": "オス の にわとり は 、 たまご を うみません 。",
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"text": "オス の にわとり を おんどり と いいます。",
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"text": "にわとり の たべもの は 、じめん に いる ちいさな むし です。 みみず など も、にわとり は たべます。",
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"text": "ツバメは、かれくさ や どろ を あつめて す(巣) を つくります。",
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"text": "ツバメは、春(はる)になると、みなみのくにから、日本(にほん)に やってきます。",
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"text": "このような、きせつ が かわると 、ほかの くに に うつりすむ こと を わたり と いいます。",
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"text": "ツバメのように、わたり を する とり を わたりどり と いいます。",
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"text": "きんぎょ",
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"text": "ダンゴムシ や アリ や バッタ や トンボ や チョウ は 虫(むし) です。",
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"text": "むし の なか には 、 はね が あって 、 空(そら) を とぶもの も います 。 チョウ や カブトムシ や ミツバチ は そら を とびます。 トンボ や テントウムシ も そら を とびます 。",
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"text": "アリ や ダンゴムシ は そら を とびません 。",
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"text": "ハチ には 、 はり が あります。",
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"text": "はり に さされると 、 とても いたいし 、あぶないので 、 ハチ には ちかづかないように しましょう 。",
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"text": "モンシロチョウは、花(はな)の みつ を すいます。",
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"text": "よのなか(世の中) には、 いろいろ な しごと(仕事) が あります。",
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"text": "たとえば、おこめ(お米) を つくる ひと(人) が います。",
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"text": "やさい を つくる しごと も あります。",
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"text": "くだもの を つくる しごと も あります。",
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"text": "こめ や くだもの や やさい を つくる しごと を している ひと を のうか(農家) と いいます。",
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"text": "ほかにも、やおや とか スーパー で 、 しょうばい(商売) を するひと が います。",
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"text": "ほんや(本屋) さん が 、 ほん(本) を うる(売る) のも しごと です 。",
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"text": "とこや(床屋) さん が 、 かみのけ(髪の毛) を きる(切る) のも しごと です 。",
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"text": "しごと は このほか にも 、 たくさん の しごと が あります。",
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"text": "おとうさん や おかあさん も しごと を します。",
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"text": "くらし を するには おかね が ひつようです。",
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"text": "おかね を てにいれる には しごと を しないと 、いけません。",
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"text": "おかね が ないと 、 ごはん も かえません。",
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"text": "みず を ながすのにも 、 おかね は かかります。",
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"text": "でんき を つかうにも 、 おかね は かかります。",
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"text": "だから 、 おとうさん や おかあさん は しごと を して 、おかね を もらう のです。",
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"text": "しごと を する こと を はたらく と いいます。",
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"text": "しごと には おかね を もらわない しごと も あります 。",
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"text": "たとえば、おかあさん が 、 りょうり を つくったり、 せんたく したり することは 、おかね を もらいません。 おうち の りょうり を つくること も しごと です。 せんたく することも しごと です。",
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"text": "りょうり を つくる こと も りっぱ な しごと です。",
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"text": "りょうり を つくらないと 、 おなかが へって 、 いきられません。",
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"text": "おかね を もらわない しごと だけだと 、せいかつ に ひつよう な もの が かえません 。",
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{
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"text": "いえ の なか の しごと だけ だと、 おかね が いえ に はいってきません。",
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"text": "なので 、 おかね を もらえる しごと も 、かぞく が しないと いけません。",
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{
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"text": "なので 、おとうさん や おかあさん の どちらか は 、いえ の そとで 、 しごと を します。",
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{
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"text": "",
"title": "しごと"
},
{
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"text": "がっこう(学校) の なか(中) にも 、 しごと を している ひと(人) は います。",
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{
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"text": "がっこう の せんせい(先生) も 、 よのなか にある しごと です。",
"title": "しごと"
},
{
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"text": "がっこう には 、せんせい の ほか にも 、 しごと を している ひと が いますね。",
"title": "しごと"
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{
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"text": "たとえば 、 きゅうしょく(給食) を つくる おばさん たち 。 この きゅうしょく を つくる こと も しごと です。",
"title": "しごと"
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{
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"text": "きゅうしょく の おばさん たち は、きゅうしょく を つくる ほかにも 、しごと を しています。",
"title": "しごと"
},
{
"paragraph_id": 153,
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"text": "きゅうしょく の こんだて を かんがえる しごと です。",
"title": "しごと"
},
{
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"text": "えいよう が あって 、 おいしい こんだて を かんがえて くれています。",
"title": "しごと"
},
{
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"text": "きゅうしょく の おばさん たち が きゅうしょく を つくる きゅうしょくしつ では 、 たくさん の きゅうしょく が つくられます。",
"title": "しごと"
},
{
"paragraph_id": 156,
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"text": "がっこう には せいと が たくさん いるので 、 きゅうしょく も たくさん つくるのです。",
"title": "しごと"
},
{
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"text": "きゅうしょく を つくる ため の、なべ(鍋) などの どうぐ も おおきい です。",
"title": "しごと"
},
{
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"text": "おうち の りょうり で つかう なべ と くらべたら 、 きゅうしょくしつ の なべ は とても おおきい です。",
"title": "しごと"
},
{
"paragraph_id": 159,
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"text": "きゅうしょく の おばさん は 、て(手) を せいけつ に しています。",
"title": "しごと"
},
{
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"text": "きゅうしょく を つくるまえには 、かならず て を あらいます。",
"title": "しごと"
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{
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"text": "あらう ばしょは てのひら や ての うら だけではなく 、ゆびさき から てくびのつけね 、さらには 、うでのあたりまで あらうことも あります 。",
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"text": "これは 、 きゅうしょく を たべる みんな に 、あんぜん な きゅうしょく を たべて もらいたい から です。",
"title": "しごと"
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{
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"text": "きゅうしょく の おばさん たち は 、きゅうしょく を つくっている とき には、しろい かっぽうぎ を きていますね。",
"title": "しごと"
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"text": "この かっぽうぎ の しろい いろ は、 よごれ を めだたせる ため の いろ です。",
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"text": "きゅうしょく の おばさん たち は、きゅうしょく を つくるとき、くち に マスク を しています 。",
"title": "しごと"
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{
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"text": "これは 、きゅうしょく に つば が はいらない ように するためです。",
"title": "しごと"
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"paragraph_id": 167,
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"text": "きゅうしょくの おばさん は、 てぶくろ も していますね。",
"title": "しごと"
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{
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"text": "",
"title": "しごと"
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{
"paragraph_id": 169,
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"text": "がっこう の そうじ を する ようむいん(用務員) さん 。 がっこう の そうじ(掃除) も しごと です。",
"title": "しごと"
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"text": "ようむいん さん の しごと は、がっこう の なかで でた ごみ を、ごみしょり(ごみ処理) の ぎょうしゃ に だしたり します。",
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"text": "がっこう で うえている うえき など の ていれ も、ようむいん さん が おこなってくれます。",
"title": "しごと"
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{
"paragraph_id": 172,
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"text": "かだん など が こわれた とき は、 ようむいん さん が なおせる ばあい は、なおして くれます 。",
"title": "しごと"
},
{
"paragraph_id": 173,
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"text": "ほけんしつ(保健室) に いる ようご の せんせい 。がっこう の せいと が けが を したときに てあて を してくれます。せいと の ぐあい が わるい びょうき の とき は 、しんさつ も します 。 これも しごと です。",
"title": "しごと"
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"text": "がっこう には ときどき 、 ほか の しごと の ひと も きます。",
"title": "しごと"
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"text": "たとえば 、 ごみ を ひきとる ごみしょり ぎょうしゃ さん。",
"title": "しごと"
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{
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"text": "ほかにも 、 きゅうしょく の ざいりょう を とどける ぎょうしゃ さん。",
"title": "しごと"
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{
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"text": "",
"title": "しごと"
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{
"paragraph_id": 178,
"tag": "p",
"text": "こうつうルール は がっこう で おそわるはずです。 がっこう で きちんと おそわりましょう。",
"title": "こうつうルール を まもろう"
},
{
"paragraph_id": 179,
"tag": "p",
"text": "(※保護者の方へ: 交通ルールに関しては、なるべく学校で、きちんと教わってください。ウィキペディアおよびウィキブックス等には免責事項があり、事故にあわれた場合の責任は、ウィキペディア一同は負いません。ページ末の免責事項を、お読みください。)",
"title": "こうつうルール を まもろう"
},
{
"paragraph_id": 180,
"tag": "p",
"text": "そと に でかける とき は 、 こうつうルール を まもりましょう。",
"title": "こうつうルール を まもろう"
},
{
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"text": "みち を あるくとき は 、 ほどう(歩道) を あるきましょう。",
"title": "こうつうルール を まもろう"
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{
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"text": "がっこう の いき や かえり で 、 くるま の とおっている どうろ を わたる ばあい が あるかも しれません。",
"title": "こうつうルール を まもろう"
},
{
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"text": "",
"title": "こうつうルール を まもろう"
},
{
"paragraph_id": 184,
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"text": "くるま の とおる どうろ を 「しゃどう」(車道) と いいます。",
"title": "こうつうルール を まもろう"
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{
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"text": "くるま の とおる どうろ を わたるとき は 、 しんごう が あるとき は 、しんごう の ルール を まもって わたりましょう。",
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"text": "ほこうしゃ が みる のは ほこうしゃ よう の しんごう です。",
"title": "こうつうルール を まもろう"
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"text": "しんごう は あおしんごう の とき は わたって いい です。",
"title": "こうつうルール を まもろう"
},
{
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"text": "あか しんごう の とき は わたって は いけません。",
"title": "こうつうルール を まもろう"
},
{
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"text": "あおしんごう で わたる とき は おうだんほどう の うえ を わたりましょう。",
"title": "こうつうルール を まもろう"
},
{
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"text": "おうだんほどう は どうろ の うえ に ある 、 しろい しましま の もよう が ある ばしょ です。",
"title": "こうつうルール を まもろう"
},
{
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"text": "こども が おうだんほどう を わたる とき は 、 て を あげて 、 わたりましょう。",
"title": "こうつうルール を まもろう"
},
{
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"text": "こども の せ は ちいさい ので 、 くるま から は 、みえにくい ばあい が あるからです 。",
"title": "こうつうルール を まもろう"
},
{
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"text": "どうろ を わたる まえ に 、 みぎ と ひだり を みて 、くるま が とまって いること を かくにん しましょう 。",
"title": "こうつうルール を まもろう"
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{
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"text": "ざんねん な こと ですが 、 おとな たち の なかには 、 こうつうルール を まもらない わるい ひと も います 。 そういう わるい ひと が うんてん している くるま に 、ひかれない よう に しましょう 。",
"title": "こうつうルール を まもろう"
},
{
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"tag": "p",
"text": "ほこうしゃよう の しんごう が、 あおしんごう の ときに 、 て を あげて 、 みぎ と ひだり を みて 、くるま が とまって いる こと を かくにん して 、おうだんほどう を わたりましょう。",
"title": "こうつうルール を まもろう"
},
{
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"text": "ほどうきょう が あるばあい は 、あるいている ひと は 、 ほどうきょう を のぼって、 わたります。",
"title": "こうつうルール を まもろう"
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{
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"text": "でかける ばしょ は いえ の ちかく に しましょう。",
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},
{
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"text": "あそび に いったり 、 しらべ に いったり 、 がっこう の ほか の ばしょ に 、 でかける とき は 、おかあさん や おとうさん に れんらく を しましょう。",
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"text": "どこ へ いく か を 、おかあさん や おとうさん に れんらく しましょう 。",
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"text": "なるべく まえ の ひ(日) まで に れんらく しましょう。",
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"text": "「だれと、いつまで」 を つたえても よいでしょう。",
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{
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"title": "でかける とき"
},
{
"paragraph_id": 203,
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"text": "でかける とき 、いえ(家) から そと(外) に でる(出る) とき に 「いってきます。」 と いって から 、げんかん の ドア を あけて、そと(外) に でましょう(出ましょう)。",
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{
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"text": "だまって そと に でかけては いけません。",
"title": "でかける とき"
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{
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"text": "だまって でかけると 、 おとうさん と おかあさん は 、 なんで あなた が おうち に いないのか 、わからない から 、 しんぱい します。",
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"text": "だから でかける まえ には 、きちんと 「いってきます。」 と いって ください。",
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"title": "でかける とき"
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{
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"text": "くらく なる まえ に かえりましょう。",
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"text": "こども が よる を、ひとり で あるく のは 、 あぶない です。",
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"text": "よる に なる まえ に 、 きちんと おうち に かえりましょう。",
"title": "でかける とき"
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"text": "",
"title": "でかける とき"
},
{
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"text": "おうち に かえったら 、 「ただいま」 と いいましょう。",
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"text": "それから 、 せんめんじょ に いって、 て(手) を あらって 、 うがい を しましょう。",
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{
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"text": "",
"title": "でかける とき"
},
{
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"text": "とおい ところ に は(わ)、ひとり(一人) で いっては いけません。 がっこうの きまり に なっているかも しれません。",
"title": "でかける とき"
},
{
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"text": "こども だけ で とおい ところ に いっては いけません。",
"title": "でかける とき"
},
{
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"text": "なるべく とおい ところ には 、 でかけ なくても すむように しましょう。",
"title": "でかける とき"
},
{
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"text": "1ねんせい や 2ねんせい が 、 とおい ところ に いく ばあい は 、 おかあさん など の おとな の ひと に ついてきて もらいましょう。",
"title": "でかける とき"
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{
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"text": "おかあさん は いそがしい かも しれません。 そういうとき は 、とおく に でかける のは 、やめましょう。",
"title": "でかける とき"
},
{
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"tag": "p",
"text": "がっこう の つうがく の いき や かえり で 、 いろんな たてもの が ありますね。",
"title": "でかける とき"
},
{
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"text": "すんでいる ばしょ に よって 、 どんな たてもの が あるか は 、おうち の ばしょ に よって ちがいます。",
"title": "でかける とき"
},
{
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"text": "",
"title": "でかける とき"
},
{
"paragraph_id": 223,
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"text": "",
"title": "でかける とき"
},
{
"paragraph_id": 224,
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"text": "こうえん には すべりだい や ブランコ や ジャングルジム や てつぼう など が あります。",
"title": "でかける とき"
},
{
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"tag": "p",
"text": "つうがくろ の とちゅう に こうえん が あっても 、 つうがくちゅう は あそんでは いけません。",
"title": "でかける とき"
},
{
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"text": "よりみち しては いけません。",
"title": "でかける とき"
},
{
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"tag": "p",
"text": "がっこう から の かえりみち の とちゅう も 、 よりみち せず に 、 おうち に かえりましょう。",
"title": "でかける とき"
},
{
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"tag": "p",
"text": "こうえん で あそぶ ばあい は 、 がっこう が おわって おうち に かえって から 、 こうえん に いきましょう。",
"title": "でかける とき"
},
{
"paragraph_id": 229,
"tag": "p",
"text": "これから おしえる ばしょ では 、 しごと を している おとな たち が います 。",
"title": "でかける とき"
},
{
"paragraph_id": 230,
"tag": "p",
"text": "ようじ の ない ひと は 、たてもの の なか に はいっては いけません 。",
"title": "でかける とき"
},
{
"paragraph_id": 231,
"tag": "p",
"text": "しごと を している ひとたち を 、 じゃま しては いけません 。",
"title": "でかける とき"
},
{
"paragraph_id": 232,
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"text": "",
"title": "でかける とき"
},
{
"paragraph_id": 233,
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"text": "",
"title": "でかける とき"
},
{
"paragraph_id": 234,
"tag": "p",
"text": "しょうぼうしょ とは 、 かじ が あったら 、 いそいで かじ を けしにいく しょうぼうし さん が いる ばしょ です 。",
"title": "でかける とき"
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{
"paragraph_id": 235,
"tag": "p",
"text": "しょうぼうしょ には しょうぼうしゃ(消防車) という、かじ(火事) を けす ため の あかい くるま(車) が あります。 かじ が あったら 、しょうぼうし(消防士) さん は 、しょうぼうしゃ に のって 、 おおいそぎ で かけつけます。",
"title": "でかける とき"
},
{
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"tag": "p",
"text": "",
"title": "でかける とき"
},
{
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"tag": "p",
"text": "こうばん(交番) は おまわり さん が いる ところ です 。 おまわり さん の しごと は 、 どろぼう など の わるいこと を する ひと を つかまえる こと です。",
"title": "でかける とき"
},
{
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"tag": "p",
"text": "こうつうルールを まもらない ひと に ちゅうい を したり、 とりしまったり する こと も 、おまわりさん の しごと です。",
"title": "でかける とき"
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{
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"tag": "p",
"text": "",
"title": "でかける とき"
},
{
"paragraph_id": 240,
"tag": "p",
"text": "びょういん は けが や びょうき を なおす ところ です 。",
"title": "でかける とき"
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{
"paragraph_id": 241,
"tag": "p",
"text": "びょういん には おいしゃさん(お医者さん) や かんごし(看護師)さん など が はたらいています 。 びょういん には、 きゅうきゅうしゃ(救急車) が あります。",
"title": "でかける とき"
},
{
"paragraph_id": 242,
"tag": "p",
"text": "おおけが を している ひと を はこぶ ため の くるま です 。",
"title": "でかける とき"
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{
"paragraph_id": 243,
"tag": "p",
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"title": "でかける とき"
},
{
"paragraph_id": 244,
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"text": "ゆうびんきょく(郵便局)では、 てがみ(手紙) や はがき など の ゆうびん を はいたつ する ゆうびんきょくいん さん が はたらいて います。",
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{
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"text": "「郵便局」 という もじ を 「ゆうびんきょく」 と よみます。",
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{
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"text": "ゆうびん を だす には 、 おかね が かかります 。",
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{
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"text": "ゆうびん の だしかた を しりたい ばあい は 、ゆうびん の だしかた は おかあさん や おとうさん に 、 おしえて もらって ください 。",
"title": "でかける とき"
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{
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{
"paragraph_id": 249,
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"title": "でかける とき"
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{
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"text": "スーパー は かいもの を する ところ です 。 たべもの(食べ物) や ようふく(洋服) や ほん(本) や ぶんぼうぐ(文房具) など いろんな もの が うっています。",
"title": "でかける とき"
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{
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"title": "でかける とき"
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{
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"title": "でかける とき"
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{
"paragraph_id": 253,
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"text": "マンション の へや には 、 ひと が すんでいます 。 たにん の おうち なので、 よそ の うち の ひと は 、 かって に なか に はいっては いけません 。",
"title": "でかける とき"
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{
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"tag": "p",
"text": "にちようび(日曜日) の つぎの ひ(日) は げつようび(月曜日)ですね。",
"title": "つきひ"
},
{
"paragraph_id": 255,
"tag": "p",
"text": "にちようび(日曜日) から 、つぎの 2日め(ふつかめ)の げつようび(月曜日)、3日め(みっかめ)の かようび(火曜日)、4日め(よっかめ)の すいようび(水曜日) 、 5日め(いつかめ) の もくようび(木曜日)、6日め(むいかめ)の きんようび(金曜日)、7日め の どようび(土曜日) まで の あいだ を いっしゅうかん(一週間) といいます。一週間を 月曜日からと することも あります。",
"title": "つきひ"
},
{
"paragraph_id": 256,
"tag": "p",
"text": "なので、 いっしゅうかん は 7にち(ななにち) あります。",
"title": "つきひ"
},
{
"paragraph_id": 257,
"tag": "p",
"text": "7にち の ことを こくご では 「なのか」 と いいます。",
"title": "つきひ"
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{
"paragraph_id": 258,
"tag": "p",
"text": "1年(いちねん) は 12か月(じゅうにかげつ) あります。",
"title": "つきひ"
},
{
"paragraph_id": 259,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "つきひ"
}
]
| null | == しょくぶつ ==
<big>くさ</big> や <big>き</big> のことを、 <big>しょくぶつ</big> と、いいます。
しょくぶつ を そだてる には、 <big>つち</big> や <big>みず</big> が ひつよう です。
しょくぶつ には、 いろんな くさ や き が、 たくさん あります。
* いろんな、しょくぶつ。
<gallery widths=250px heights=250px>
ファイル:Löwenzahn uhf.JPG|* タンポポ の 花(はな)。 タンポポ は くさ です。
ファイル:DandelionTatebayashiJapan.JPG|* タンポポ の わたげ。 わたげ の ねもと には、 たね が ついています。 <br>わたげ は、タンポポ が、風(かぜ)で、 とおくまで たね を とばすため の 工夫(くふう) です。
ファイル:Sunflower sky backdrop.jpg|* ヒマワリ の 花(はな)。 ヒマワリ は くさ です。
ファイル:Sunflower seeds.JPG|* ヒマワリの種(たね)。 ヒマワリの たね は、ほそながい です。
</gallery>
* 木(き)
<gallery widths=250px heights=250px>
File:USA-Cherry Blossom0.jpg|* サクラ。 サクラ は き(木) です 。木(き) にも、花(はな) が さくもの が、 あります。
ファイル:Ginkgo Tree 08-11-04a.jpg|* イチョウ の 木(き) 。 <br>イチョウは、秋(あき)には、はっぱ が、きいろく なる。
ファイル:Ginkgo Tree Ginkgo biloba Leaves Rock 3008px.jpg|* イチョウ の はっぱ。
</gallery>
* アサガオ
これから、<big>アサガオ</big> という しょくぶつ に ついて 、おはなし します。
<gallery widths=250px heights=250px>
ファイル:Ipomoea nil Akatsukinoumi1.jpg|アサガオ の 花(はな)
File:The Botanical Magazine, Plate 188 (Volume 6, 1793).png|アサガオ の 絵(え)
</gallery>
=== しょくぶつ の たねまき ===
[[File:Seed variety.jpg|right|200px|thumb|いろいろ な しょくぶつ の たね]]
しょくぶつ の たね を、 つち に うめます。
たね を、 うめるとき は、 たね を あな に いれて、 それから つち を すこし かぶせます。 かぶせた土 を かためて しまうと そだちません。
さいご に 水 を かけます。
たねまき は これで おわり です。
まいにち、 水(みず)やり など の おせわ を しましょう。
みず が おおすぎては いけません。
水を やりすぎると たね が くさって しまいます。
すくなすぎても いけません。
水 は ほどほど に。
* きゅうこん
[[Image:Tulipa fringed - burgundy lace - bulbs.jpg|thumb|200px|left| チューリップ の きゅうこん 。]]
[[File:Tulipa suaveolens floriade to Canberra.jpg|thumb|200px|チューリップ]]
チューリップは、たね では なく、 きゅうこん(球根) から そだちます。
しょくぶつ の なか には、 たね で なく 、 きゅうこん から そだつ もの も います。
スイセン や クロッカス や ヒヤシンス も、きゅうこん から そだちます。
チューリップのきゅうこんは、 たべないで。
チューリップの きゅうこん を たべると、 おなか を こわします。
{{clear}}
=== しょくぶつ が そだつ ようす ===
[[Image:Watercan.png|thumb|150px|right|じょうろ]]
土(つち) に まいた、 植物(しょくぶつ) の たね が、 芽(め) を だすには、 <big>水</big>(<big>みず</big>) と <big>空気</big>(<big>くうき</big>) が ひつよう です。
ひとつでも かけていると、 芽(め)は でません。
水(みず)が 多すぎる(おおすぎる)と、 たね に 空気(くうき) が とどかなく なります。
土(つち) に 水(みず)を かけるとき は、 土(つち) が すこしだけ ぬれている 「しめりけ」 を おびる ぐらい に して ください。
土(つち) に、 水(みず) を、 かける とき は、 「じょうろ」 など で かけて ください。
土には、バケツ では 水は かけないで ください。
しょくぶつ は、 ひかり(光) が あたる ところ で、 そだてて ください。
ひかり(光) が あたらないと、 しょくぶつ は そだちません。
たいよう の、 ひかり が よくあたる ばしょ を、 '''<big>ひなた</big>''' と いいます。
たてもの の かげ とか に なっていて、くらい ばしょ を、'''<big>ひかげ</big>'''(日かげ) と いいます。
ひかげ でも、 あさ や ゆうがた ぐらい の あかるさ ならば、 しょくぶつ は そだちます。
ですが、 まったく ひかり の あたらない くらやみ だと、 しょくぶつ は そだちません。
たね を まくと、 芽(<big>め</big>) が でます。 め(芽) が 大きくなり、<big>はっぱ</big> が ひらきます。
め が でた しょくぶつ は、 つち の なか に、 <big>ねっこ</big> を のばして います。
しょくぶつ は、 この ねっこ を つかって、 <big>えいよう</big> を とっています。
ねっこ は、 <big>みず</big>(<big>水</big>) も すいこみます。 しょくぶつ は ねっこ で みず を とっています。
しょくぶつ は 、これからも そだって いきます。
くき が でた しょくぶつ に みず を あげるとき は、 ねもと の 土(つち) に 水を かけます 。
くき や はっぱ には 、 みず を あまり かけないで ください。
* アサガオ の ばあい
アサガオ が そだってきたら ぼう を たてます 。
アサガオ は ぼう に まきつきます。
しょくぶつ の まきつく くき を <big>つる</big> と いいます。
アサガオ は つる が まきつきます。
ぼう を たてないと 、 アサガオ は 下(した)に たれていきます。
アサガオが そだって 、 しばらく すると <big>つぼみ</big> が できます。
つぼみ が ふくらむと、その あと に <big>花</big>(<big>はな</big>) が さきます。
花(はな) は しばらく ひにち が たつと かれます。
花 が かれる と <big>み</big>(<big>実</big>) が できます。
実(み) が できて 、 しばらく すると しょくぶつ は かれます。
これ が しょくぶつ の 一生(いっしょう) です。 一生(いっしょう) とは 、「うまれて から、しぬ まで」 の ことです。
しょうぶつ の み(実) は たね(種) を のこします。
こうして、 また 来年(らいねん) の たね に つながって いくのです。
=== はな の つくり ===
花(はな) の ある しょくぶつ(植物) の 、 花を かんさつ(観察) してみましょう 。
よくみると 、 どの花も にたような つくり を しています 。
[[ファイル:Petal-sepal.jpg|thumb|left|花びら (petal) と、がく (sepal)]]
花には、<big>'''花びら'''</big>(はなびら)が あります 。 花びら の つけね の ほうにある みどりいろ さきのわかれた もの を <big>'''がく'''</big> と いいます。
アサガオでは、がくは、5つ に わかれてます。
アブラナでは、がくは、4つ に わかれています。
[[File:Mature flower diagram.svg|right|thumb|450px|ほとんどの 花 の つくり; <br>めしべ, Stigma:柱頭(ちゅうとう)、Style:花柱(かちゅう)、Ovary:子ぼう(しぼう)、Ovule:はいしゅ。<br>おしべ, Stamen]]
ほとんどの しょくぶつの 花には、花びら と がく と おしべ と めしべ が あります。
* おしべ
[[File:Tulip Stamen Tip.jpg|thumb|チューリップの、おしべの先についている花粉。]]
花(はな)からは、中(なか)から、先の 黄色(きいろ)く ふくらんだ、白い(しろい)、ひげのようなものが、何本(なんほん)も、でていますね。
これは <big>'''おしべ'''</big> です。
* めしべ
花(はな)の まんなか に、太い(ふとい)、一本(いっぽん)のものが、でていますね。
これが、 <big>'''めしべ'''</big> です。
花(はな)が かれた あと に、実(み)に なるのは 、 めしべ の あった ところ です。
=== きせつ の しょくぶつ ===
これから ここで しょうかいする 春(はる)や 夏(なつ)や 秋(あき)の しょくぶつ の なまえ は 、 小学1年(しょうがく いちねん)では、 まだ 、 おぼえなくて いいです 。
==== 春(はる)の しょくぶつ ====
「せり、なずな、ごぎょう、はこべら、・・・・」は、「春(はる)の七種(ななくさ)」として、有名(ゆうめい)です。
[[ファイル:The seven herbs.jpg|thumb|right|200px|春(はる)の七種(ななくさ)]]
[[ファイル:Nanakusa gayu on Nanakusa no sekku.jpg|thumb|right|200px|七草(ななくさ)がゆ]]
{| class="wikitable" border="1" cellspacing="0" cellpadding="3"
|-
! style="background:#DDD;" |画像(がぞう)
! style="background:#DDD;" |なまえ<br />
! style="background:#DDD;" |科名(かめい)
|-
|[[File:W seri4081.jpg|200px]]
|'''せり'''<br />
|セリ科(セリか)
|-
|[[File:Capsela bursa-pastoris Enfoque 2010 3 14 DehesaBoyalPuertollano.jpg|200px]]
|'''なずな'''<br />
|アブラナ科
|-
|[[File:Gnaphalium affine2.jpg|200px]]
|'''ごぎょう'''<br />
|キク科
|-
|[[File:Chickweed (aka).jpg|200px]]
|'''はこべら'''<br />
|ナデシコ科
|-
|[[File:Lapsana apogonoides konitb01.jpg|200px]]
|'''ほとけのざ'''<br />
|キク科
|-
|画像(がぞう)が、無い(ない)。
|'''すずな'''<br />
|アブラナ科
|-
|[[File:Leaves of Japanese Radish.jpg|200px]]
|'''すずしろ'''<br />
|アブラナ科
|}
モクレンやスミレなども、春(はる)の植物(しょくぶつ)です。
<gallery widths=250px heights=250px>
Magnolia liliiflora2.jpg|モクレン
ファイル:Viola mandshurica 1-1.jpg|スミレ
File:Philadelphia Fleabane.jpg|ハルジオン
ファイル:Salix gracilistyla (200704).jpg|ネコヤナギ
File:Starr 070313-5645 Trifolium repens.jpg|シロツメグサ
File:Veronica persica 060403Fw.jpg|オオイヌノフグリ
ファイル:Brassica rapa ja02.jpg|アブラナ
File:Tulipa suaveolens floriade to Canberra.jpg|チューリップ
ファイル:Löwenzahn uhf.JPG|タンポポ。<br>タンポポは春に花を、さかせます。
File:Plum blossoms in Vancouver 3 crop.jpg|サクラ<br>サクラは春に花を、さかせます。
ファイル:AlopecurusAequalis1.JPG|スズメノテッポウ
File:Unknown flower-9.jpg|パンジー
File:(MHNT) Vicia sativa - flower.jpg|カラスノエンドウ
ファイル:Equisetum arvense.jpg|ツクシ
ファイル:Petasites japonicus 001.jpg|フキノトウ
File:Osmunda japonica 002.jpg|ゼンマイ
ファイル:Adelaarsvaren plant Pteridium aquilinum.jpg|ワラビ
ファイル:Rhododendron indicum1.jpg|サツキ
</gallery>
モクレンからサツキまで、上(うえ)の花(はな)や草(くさ)は、春(はる)に 多い(おおい) 植物(しょくぶつ) です。
{{clear}}
==== 夏(なつ)の しょくぶつ ====
<gallery widths=250px heights=250px>
ファイル:W ayame2041.jpg|アヤメ<br>
ファイル:Impatiens balsamina0.jpg|ホウセンカ<br>
ファイル:Sunflower sky backdrop.jpg|ヒマワリ<br>
ファイル:Lilium candidum 1.jpg|ユリ<br>
ファイル:Hydrangea macrophylla 02.jpg|アジサイ<br>
ファイル:Kikyo 06c1347s.jpg|キキョウ<br>
ファイル:Ipomoea nil Akatsukinoumi1.jpg|アサガオ<br>
File:Erigeron annuus.jpg|ヒメジョオン<br>
File:C.communis after rain.jpg|ツユクサ<br>
</gallery>
{{clear}}
==== 秋の しょくぶつ ====
'''秋の七草'''(あき の ななくさ)はつぎの、オミナエシからハギまでの7つの野草(やそう)のことである。
{| class="wikitable" border="1" cellspacing="0" cellpadding="3"|
|-
! style="background:#DDD;" |画像
! style="background:#DDD;" |よみ<br />名称
! style="background:#DDD;" |科名
|-
|[[File:Patrinia scabiosifolia1.jpg|200px]]
|'''おみなえし'''<br />
|オミナエシ科
|-
|[[File:Susuki01s3200.jpg|200px]]
|'''おばな'''<br />
|イネ科
|-
|[[File:Platycodon grandiflorum ja01.jpg|200px]]
|'''ききょう'''<br />
|キキョウ科
|-
|[[File:Dianthus superbus var. longicalycinus in Mount Ibuki 2011-08-28.JPG|200px]]
|'''なでしこ'''<br />
|ナデシコ科
|-
|[[File:Eupatorium japonicum flower.jpg|200px]]
|'''ふじばかま'''<br />
|キク科
|-
|[[File:Starr 021012-0015 Pueraria montana var. lobata.jpg|200px]]
|'''くず'''<br />
|マメ科
|-
|[[File:Lespedeza ja02.jpg|200px]]
|'''はぎ'''<br />
|マメ科
|}
<gallery widths=250px heights=250px>
ファイル:Cosmos01s3200.jpg|コスモス
ファイル:Donguri.jpg|ドングリ
ファイル:Xanthium strumarium 000.jpg|オナモミ
</gallery>
オナモミの 実(み) は、トゲトゲ が ついています。 これは、動物(どうぶつ)に くっつきやすく して、 種(たね)を とおくまで はこばせる ため です。
{{clear}}
== どうぶつ ==
=== うさぎ ===
{|class="wikitable"
|-
|[[File:Rabbit in montana.jpg|200px]][[File:JumpingRabbit.JPG|JumpingRabbit.|200px]][[ファイル:Oryctolagus cuniculus Tasmania.jpg|200px]]
|}
ウサギは、耳(みみ)が、長いです。
長い(ながい) 耳(みみ)は、 音(おと)を、 よく ききとる ために あります。
ウサギは、小さくて、よわいので、大きな(おおきな) 動物(どうぶつ)には、たべられてしまいます。
なので、おおきな 動物(どうぶつ)の 音(おと)を きいて、 にげる ために、耳が ながいのです。
ウサギは、ニンジンを、よく たべます。
ウサギ は、 とびはねる ように はしります。
どうぶつ には 、 あまり さわっては いけません 。
ウサギ に とって 、 にんげん は からだ が おおきくて 、とても こわい の です。
だから 、 手(て)を だしたりすると かまれてしまう ばあい も あります 。
また 、 ウサギ など の どうぶつ は 、 にんげん の におい を いやがります 。
なので 、 ウサギ を なでたり しては いけません 。 うさぎ を だっこ しても いけません 。
ウサギ に ちかづく ばあい は 、 エサ を あげるとき など だけ に してください 。
{{clear}}
=== にわとり ===
[[File:Coq-gaulois-dore.JPG|thumb|300px|にわとり]]
[[File:Day old chick black background.jpg|thumb|300px|ひよこ]]
にわとり の こども を ひよこ と いいます。
ひよこ が おおきく なると、 にわとり に なります 。
にわとり は たまご を うみますね 。
たまご を うむ のが できる のは、 おんな の にわとり だけ です。
どうぶつ の おんな を <big>メス</big> と いいます。
メス とは 女(おんな) という 意味(いみ)です。
にわとり の メス だけ が たまご を うみます 。
にわとり の おかあさん だけ が たまご を うむ のです 。
メス の にわとり を めんどり と いいます。
どうぶつ の おとこ を オス と いいます。
オス の にわとり は 、 たまご を うみません 。
オス の にわとり を おんどり と いいます。
にわとり の たべもの は 、じめん に いる ちいさな むし です。
みみず など も、にわとり は たべます。
{{clear}}
=== いろんな どうぶつ ===
* けもの
<gallery widths=250px heights=250px>
ファイル:Akita inu.jpeg|イヌ<br>
File:Burchell's Zebra (Etosha).jpg|シマウマ<br>
ファイル:Koala and joey.jpg|コアラ<br>
File:Japanese Bobtail looking like Manx.jpg|ねこ<br>
File:Cow_00.jpg|うし<br>
File:Lamb_01.jpg|ひつじ<br>
File:Pig_8907.JPG|ぶた<br>
File:Capra,_Crete_1.jpg|やぎ<br>
File:Lion_waiting_in_Namibia.jpg|ライオン<br>
File:Bored_fox.jpg|きつね<br>
File:"Cinnamon"_Black_Bear.jpg|くま<br>
File:ZhangJiaJie_Monkey.jpg|さる<br>
File:Elefant_Tanzània.JPG|ぞう<br>
File:House_mouse.jpg|ねずみ<br>
File:Wild_Boar_Habbitat_2.jpg|いのしし<br>
File:20100716_Sika_Deer_Nara_2382.jpg|しか<br>
File:Panthera_tigris_tigris.jpg|とら<br>
File:Dromedary_Camel_14.jpg|らくだ<br>
File:Sciurus-vulgaris_hernandeangelis_stockholm_2008-06-04.jpg|りす<br>
File:Giraffa_camelopardalis_antiquorum_(Vincennes_Zoo)_2.jpg|きりん<br>
File:Humpback_Whale_fg1.jpg|くじら<br>クジラは、じつは、さかな では ない の です。さかな は エラ で こきゅう しますが、クジラは イヌやネコとおなじように、肺(はい)で こきゅう します。
</gallery>
* とり
<gallery widths=250px heights=250px>
File:Tree_Sparrow_Japan_Flip.jpg|すずめ<br>
File:Ostrich_in_the_crater.jpg|だちょう<br>
File:Mandschurenkranich.jpg|つる<br>
File:Cygnus_bewickii_01.jpg|はくちょう<br>
File:06x0042s.jpg|はと<br>
File:B_owl-face.jpg|ふくろう<br>
ファイル:Melopsittacus undulatus.jpg|インコ<br>
ファイル:Buberel Unknown bird 3.jpg|ブンチョウ
ファイル:Eolophus roseicapilla -Wamboin, NSW, Australia -adult-8-2cp.jpg|おうむ
File:Serinus canaria -Parque Rural del Nublo, Gran Canaria, Spain -male-8a.jpg|カナリア
ファイル:Hirundo rustica gutturalis.JPG|つばめ
</gallery>
[[File:CríasHirundorustica.JPG|300px|thumb|ツバメ の こども]]
ツバメは、かれくさ や どろ を あつめて す(巣) を つくります。
ツバメは、春(はる)になると、みなみのくにから、日本(にほん)に やってきます。
あきごろになると、ツバメは、あたたかい みなみ に、かえります。
このような、きせつ が かわると 、ほかの くに に うつりすむ こと を わたり と いいます。
ツバメのように、わたり を する とり を '''わたりどり''' と いいます。
{{clear}}
=== さかな ===
きんぎょ
[[ファイル:Goldfishs.jpg|250px|thumb|キンギョ]]
[[File:Goldfish3.jpg|250px|thumb|left|キンギョ]]
{{clear}}
=== むし ===
ダンゴムシ や アリ や バッタ や トンボ や チョウ は 虫(むし) です。
<gallery widths=250px heights=250px>
File:Armadillidium vulgare 001.jpg|ダンゴムシ
File:Armadillidium vulgare 000.jpg|ダンゴムシの まるくなった ようす
</gallery>
むし の なか には 、 はね が あって 、 空(そら) を とぶもの も います 。
チョウ や カブトムシ や ミツバチ は そら を とびます。
トンボ や テントウムシ も そら を とびます 。
アリ や ダンゴムシ は そら を とびません 。
<gallery widths=250px heights=250px>
ファイル:Orthetrum albistylum speciosum 2007.07.05 16.38.31-p7050469.jpg|トンボ。<br>
ファイル:Dragonfly eye 3811.jpg|トンボの目(め)。
</gallery>
<gallery widths=250px heights=250px>
ファイル:Kabutomushi-JapaneseBeetle-July2004.jpg|カブトムシ
ファイル:Honeybee landing on milkthistle02.jpg|ミツバチ
</gallery>
ハチ には 、 <big>はり</big> が あります。
はり に さされると 、 とても いたいし 、あぶないので 、 ハチ には ちかづかないように しましょう 。
<gallery widths=250px heights=250px>
ファイル:Coccinella septempunctata detail.jpg|テントウムシ。
ファイル:Teleogryllus emma Hyogo.jpg|コオロギ
File:Neotibicen linnei.jpg|セミ
ファイル:Pieris rapae total Richard Bartz.jpg|モンシロチョウ
</gallery>
モンシロチョウは、花(はな)の みつ を すいます。
== しごと ==
よのなか(世の中) には、 いろいろ な しごと(仕事) が あります。
たとえば、おこめ(お米) を つくる ひと(人) が います。
おこめ を つくる こと は しごと です。
やさい を つくる しごと も あります。
くだもの を つくる しごと も あります。
こめ や くだもの や やさい を つくる しごと を している ひと を <big>のうか</big>(農家) と いいます。
ほかにも、やおや とか スーパー で 、 しょうばい(商売) を するひと が います。
ほんや(本屋) さん が 、 ほん(本) を うる(売る) のも しごと です 。
とこや(床屋) さん が 、 かみのけ(髪の毛) を きる(切る) のも しごと です 。
しごと は このほか にも 、 たくさん の しごと が あります。
=== おとうさん と おかあさん のしごと ===
おとうさん や おかあさん も しごと を します。
くらし を するには おかね が ひつようです。
おかね を てにいれる には しごと を しないと 、いけません。
おかね が ないと 、 ごはん も かえません。
みず を ながすのにも 、 おかね は かかります。
でんき を つかうにも 、 おかね は かかります。
だから 、 おとうさん や おかあさん は しごと を して 、おかね を もらう のです。
しごと を する こと を <big>はたらく</big> と いいます。
しごと には おかね を もらわない しごと も あります 。
たとえば、おかあさん が 、 りょうり を つくったり、 せんたく したり することは 、おかね を もらいません。
おうち の りょうり を つくること も しごと です。 せんたく することも しごと です。
りょうり を つくる こと も りっぱ な しごと です。
りょうり を つくらないと 、 おなかが へって 、 いきられません。
おかね を もらわない しごと だけだと 、せいかつ に ひつよう な もの が かえません 。
いえ の なか の しごと だけ だと、 おかね が いえ に はいってきません。
なので 、 おかね を もらえる しごと も 、かぞく が しないと いけません。
なので 、おとうさん や おかあさん の どちらか は 、いえ の そとで 、 しごと を します。
=== がっこう の なか の しごと ===
がっこう(学校) の なか(中) にも 、 しごと を している ひと(人) は います。
がっこう の せんせい(先生) も 、 よのなか にある しごと です。
がっこう には 、せんせい の ほか にも 、 しごと を している ひと が いますね。
* きゅうしょく の おばさん
たとえば 、 きゅうしょく(給食) を つくる おばさん たち 。 この きゅうしょく を つくる こと も しごと です。
きゅうしょく の おばさん たち は、きゅうしょく を つくる ほかにも 、しごと を しています。
きゅうしょく の こんだて を かんがえる しごと です。
えいよう が あって 、 おいしい こんだて を かんがえて くれています。
きゅうしょく の おばさん たち が きゅうしょく を つくる きゅうしょくしつ では 、 たくさん の きゅうしょく が つくられます。
がっこう には せいと が たくさん いるので 、 きゅうしょく も たくさん つくるのです。
きゅうしょく を つくる ため の、なべ(鍋) などの どうぐ も おおきい です。
おうち の りょうり で つかう なべ と くらべたら 、 きゅうしょくしつ の なべ は とても おおきい です。
きゅうしょく の おばさん は 、て(手) を せいけつ に しています。
きゅうしょく を つくるまえには 、かならず て を あらいます。
あらう ばしょは てのひら や ての うら だけではなく 、ゆびさき から てくびのつけね 、さらには 、うでのあたりまで あらうことも あります 。
これは 、 きゅうしょく を たべる みんな に 、あんぜん な きゅうしょく を たべて もらいたい から です。
きゅうしょく の おばさん たち は 、きゅうしょく を つくっている とき には、しろい かっぽうぎ を きていますね。
この かっぽうぎ の しろい いろ は、 よごれ を めだたせる ため の いろ です。
きゅうしょく の おばさん たち は、きゅうしょく を つくるとき、くち に マスク を しています 。
これは 、きゅうしょく に つば が はいらない ように するためです。
きゅうしょくの おばさん は、 てぶくろ も していますね。
* ようむいん さん
がっこう の そうじ を する ようむいん(用務員) さん 。 がっこう の そうじ(掃除) も しごと です。
ようむいん さん の しごと は、がっこう の なかで でた ごみ を、ごみしょり(ごみ処理) の ぎょうしゃ に だしたり します。
がっこう で うえている うえき など の ていれ も、ようむいん さん が おこなってくれます。
かだん など が こわれた とき は、 ようむいん さん が なおせる ばあい は、なおして くれます 。
[[ファイル:Hitane Elementary School nurses office 1.jpg|thumb|180px|ほけんしつ]]
[[ファイル:Hitane Elementary School nurses office 2.jpg|thumb|180px|ほけんしつ]]
* ほけんしつ の せんせい
ほけんしつ(保健室) に いる ようご の せんせい 。がっこう の せいと が けが を したときに てあて を してくれます。せいと の ぐあい が わるい びょうき の とき は 、しんさつ も します 。 これも しごと です。
{{clear}}
がっこう には ときどき 、 ほか の しごと の ひと も きます。
たとえば 、 ごみ を ひきとる ごみしょり ぎょうしゃ さん。
ほかにも 、 きゅうしょく の ざいりょう を とどける ぎょうしゃ さん。
== こうつうルール を まもろう ==
こうつうルール は がっこう で おそわるはずです。
がっこう で きちんと おそわりましょう。
('''※保護者の方へ''': 交通ルールに関しては、なるべく学校で、きちんと教わってください。<br>ウィキペディアおよびウィキブックス等には免責事項があり、事故にあわれた場合の責任は、ウィキペディア一同は負いません。ページ末の免責事項を、お読みください。)
そと に でかける とき は 、 こうつうルール を まもりましょう。
みち を あるくとき は 、 ほどう(歩道) を あるきましょう。
がっこう の いき や かえり で 、 くるま の とおっている どうろ を わたる ばあい が あるかも しれません。
くるま の とおる どうろ を 「しゃどう」(車道) と いいます。
くるま の とおる どうろ を わたるとき は 、 しんごう が あるとき は 、しんごう の ルール を まもって わたりましょう。
ほこうしゃ が みる のは ほこうしゃ よう の しんごう です。
しんごう は あおしんごう の とき は わたって いい です。
[[ファイル:Pedestrian Signal with Waiting Time Indicator.jpg|thumb|left|250px|ほこうしゃよう の しんごう 。<br>あかしんごう なので わたっては いけません。]]
あか しんごう の とき は わたって は いけません。
[[File:Hokkaido sinngou.JPG|thumb|right|200px|じどうしゃ よう の しんごう。 これは ほこうしゃよう では ありません。 ]]
{{clear}}
[[画像:Pedestrian Crossing with Textured Paving Blocks.jpg|thumb|350px|right|しろい しましま が、 おうだんほどう です 。]]
[[File:Place Saint-Michel, Paris June 2010.jpg|thumb|350px|right|おとな の おうだんほどう の わたりかた 。<br>こども たち は 、てをあげて おうだんほどう を わたりましょう。]]
あおしんごう で わたる とき は おうだんほどう の うえ を わたりましょう。
おうだんほどう は どうろ の うえ に ある 、 しろい しましま の もよう が ある ばしょ です。
こども が おうだんほどう を わたる とき は 、 て を あげて 、 わたりましょう。
こども の せ は ちいさい ので 、 くるま から は 、みえにくい ばあい が あるからです 。
どうろ を わたる まえ に 、 みぎ と ひだり を みて 、くるま が とまって いること を かくにん しましょう 。
ざんねん な こと ですが 、 おとな たち の なかには 、 こうつうルール を まもらない わるい ひと も います 。
そういう わるい ひと が うんてん している くるま に 、ひかれない よう に しましょう 。
ほこうしゃよう の しんごう が、 あおしんごう の ときに 、 て を あげて 、 みぎ と ひだり を みて 、くるま が とまって いる こと を かくにん して 、おうだんほどう を わたりましょう。
{{clear}}
[[ファイル:Severe Tropical Storm Etau (2009) aftermath in Sayo 29.jpg|thumb|right|250px|ほどうきょう]]
ほどうきょう が あるばあい は 、あるいている ひと は 、 ほどうきょう を のぼって、 わたります。
{{clear}}
=== どうろ ひょうしき ===
<gallery widths="150" heights="100">
ファイル:Japan road sign 325-4.svg|* あるく ひと だけ が とおれる ばしょ です。
ファイル:Japan road sign 325-3.svg|* あるく ひと と、 じてんしゃ だけ が とおれます。
ファイル:Japan road sign 332.svg|* このどうろ は、 おうだん しては いけません。
ファイル:Japan road sign 407-B.svg|* ここ は おうだんほどう です。
</gallery>
== でかける とき ==
でかける ばしょ は いえ の ちかく に しましょう。
* れんらく しよう
あそび に いったり 、 しらべ に いったり 、 がっこう の ほか の ばしょ に 、 でかける とき は 、おかあさん や おとうさん に れんらく を しましょう。
どこ へ いく か を 、おかあさん や おとうさん に れんらく しましょう 。
なるべく まえ の ひ(日) まで に れんらく しましょう。
「だれと、いつまで」 を つたえても よいでしょう。
* 「いって きます。」
でかける とき 、いえ(家) から そと(外) に でる(出る) とき に 「いってきます。」 と いって から 、げんかん の ドア を あけて、そと(外) に でましょう(出ましょう)。
だまって そと に でかけては いけません。
だまって でかけると 、 おとうさん と おかあさん は 、 なんで あなた が おうち に いないのか 、わからない から 、 しんぱい します。
だから でかける まえ には 、きちんと 「いってきます。」 と いって ください。
* くらく なる まえ に かえろう
くらく なる まえ に かえりましょう。<br>
こども が よる を、ひとり で あるく のは 、 あぶない です。<br>
よる に なる まえ に 、 きちんと おうち に かえりましょう。
* おうち に かえったら
おうち に かえったら 、 「ただいま」 と いいましょう。
それから 、 せんめんじょ に いって、 て(手) を あらって 、 うがい を しましょう。
=== とおい ところ に いきたい とき ===
とおい ところ に は(わ)、ひとり(一人) で いっては いけません。 がっこうの きまり に なっているかも しれません。
こども だけ で とおい ところ に いっては いけません。
なるべく とおい ところ には 、 でかけ なくても すむように しましょう。
1ねんせい や 2ねんせい が 、 とおい ところ に いく ばあい は 、 おかあさん など の おとな の ひと に ついてきて もらいましょう。
おかあさん は いそがしい かも しれません。 そういうとき は 、とおく に でかける のは 、やめましょう。
=== めじるし ===
がっこう の つうがく の いき や かえり で 、 いろんな たてもの が ありますね。
すんでいる ばしょ に よって 、 どんな たてもの が あるか は 、おうち の ばしょ に よって ちがいます。
* こうえん
[[File:Slide in Parque.jpg|300px]][[File:046Reb ToiSchaukel.jpg|300px]]
こうえん には すべりだい や ブランコ や ジャングルジム や てつぼう など が あります。
つうがくろ の とちゅう に こうえん が あっても 、 つうがくちゅう は あそんでは いけません。
よりみち しては いけません。
がっこう から の かえりみち の とちゅう も 、 よりみち せず に 、 おうち に かえりましょう。
こうえん で あそぶ ばあい は 、 がっこう が おわって おうち に かえって から 、 こうえん に いきましょう。
----
これから おしえる ばしょ では 、 しごと を している おとな たち が います 。
ようじ の ない ひと は 、たてもの の なか に はいっては いけません 。
しごと を している ひとたち を 、 じゃま しては いけません 。
* しょうぼうしょ
[[ファイル:Tri-Heart.JPG|300px]]
しょうぼうしょ とは 、 かじ が あったら 、 いそいで かじ を けしにいく しょうぼうし さん が いる ばしょ です 。
しょうぼうしょ には しょうぼうしゃ(消防車) という、かじ(火事) を けす ため の あかい くるま(車) が あります。
かじ が あったら 、しょうぼうし(消防士) さん は 、しょうぼうしゃ に のって 、 おおいそぎ で かけつけます。
{{clear}}
* こうばん
[[ファイル:Policeman at Tokyo.jpg|250px|thumb|right|しごとちゅう の おまわりさん]]
[[ファイル:Kameariekimae-Kitaguchi Koban.jpg|300px]]
こうばん(交番) は おまわり さん が いる ところ です 。
おまわり さん の しごと は 、 どろぼう など の わるいこと を する ひと を つかまえる こと です。
こうつうルールを まもらない ひと に ちゅうい を したり、 とりしまったり する こと も 、おまわりさん の しごと です。
{{clear}}
* びょういん
[[File:Hospital.png|left]]
[[File:Hospital room ubt.jpeg|thumb|right|250px|びょうしつ]]
[[ファイル:Kamagaya-Ambulance.JPG|right|300px|thumb|きゅうきゅうしゃ]]
びょういん は けが や びょうき を なおす ところ です 。
びょういん には おいしゃさん(お医者さん) や かんごし(看護師)さん など が はたらいています 。
びょういん には、 きゅうきゅうしゃ(救急車) が あります。
おおけが を している ひと を はこぶ ため の くるま です 。
{{clear}}
* ゆうびんきょく
[[ファイル:Billboard of JpNetwork.jpg|300px]]
ゆうびんきょく(郵便局)では、 てがみ(手紙) や はがき など の <big>ゆうびん</big> を はいたつ する ゆうびんきょくいん さん が はたらいて います。
「郵便局」 という もじ を 「ゆうびんきょく」 と よみます。
ゆうびん を だす には 、 おかね が かかります 。
ゆうびん の だしかた を しりたい ばあい は 、ゆうびん の だしかた は おかあさん や おとうさん に 、 おしえて もらって ください 。
{{clear}}
=== おみせ ===
* スーパー
[[ファイル:Itoyokado taira.JPG|300px]]
スーパー は かいもの を する ところ です 。
たべもの(食べ物) や ようふく(洋服) や ほん(本) や ぶんぼうぐ(文房具) など いろんな もの が うっています。
----
{{clear}}
=== マンション ===
* マンション
[[ファイル:Takashimadaira housing development.jpg|300px]]
マンション の へや には 、 ひと が すんでいます 。
たにん の おうち なので、 よそ の うち の ひと は 、 かって に なか に はいっては いけません 。
=== バス や でんしゃ に のるとき ===
== つきひ ==
=== ようび(曜日) と しゅう(週) ===
にちようび(日曜日) の つぎの ひ(日) は げつようび(月曜日)ですね。
にちようび(日曜日) から 、つぎの 2日め(ふつかめ)の げつようび(月曜日)、3日め(みっかめ)の かようび(火曜日)、4日め(よっかめ)の すいようび(水曜日) 、 5日め(いつかめ) の もくようび(木曜日)、6日め(むいかめ)の きんようび(金曜日)、7日め の どようび(土曜日) まで の あいだ を '''いっしゅうかん'''(一週間) といいます。一週間を 月曜日からと することも あります。
なので、 いっしゅうかん は 7にち(ななにち) あります。
7にち の ことを こくご では 「なのか」 と いいます。
=== ねん と つき ===
1年(いちねん) は 12か月(じゅうにかげつ) あります。
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[[カテゴリ:生活]] | null | 2023-02-02T10:12:33Z | [
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| https://ja.wikibooks.org/wiki/%E5%B0%8F%E5%AD%A6%E6%A0%A1%E7%94%9F%E6%B4%BB |
26,193 | 小学校ガイド | おうちのひとと いっしょに よんで みましょう。
せんせいやおともだち おうちのひと に おはなし しましょう。 やさしく なやみを かいけつ してくれます。 | [
{
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"text": "おうちのひとと いっしょに よんで みましょう。",
"title": "小学校について(もうすぐにゅうがくするひとへ)"
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"text": "せんせいやおともだち おうちのひと に おはなし しましょう。 やさしく なやみを かいけつ してくれます。",
"title": "なやみがあるときは…"
}
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| null | == {{ruby|小学校|しょうがっこう}}について(もうすぐにゅうがくするひとへ) ==
おうちのひとと いっしょに よんで みましょう。
:もうすぐ にゅうがく ですね。
:{{ruby|ランドセル|らんどせる}}は、 かいましたか?
:しょうがっこうでは、 べんきょう や うんどう を おともだちと たのしく がんばりましょう。
== なやみがあるときは… ==
せんせいやおともだち おうちのひと に おはなし しましょう。
やさしく なやみを かいけつ してくれます。 | null | 2022-12-03T02:32:59Z | [
"テンプレート:Ruby"
]
| https://ja.wikibooks.org/wiki/%E5%B0%8F%E5%AD%A6%E6%A0%A1%E3%82%AC%E3%82%A4%E3%83%89 |
26,201 | 中学校国語/現代文/議論のための意見や提案のしかた |
まず、「会議」と「議論」は違う。(※ 検定教科書では、混同されている。しかし、旺文社の参考書では区別している。)
会議とは、なにかの団体が、今後の行動などを決めるための相談である。そのため、会議では事前に、どのようにして、決めるのかを、あらかじめ打ち合わせしておくのが、望ましい。
たとえば、その団体の長(会長や社長など、学校ならば担任(たんにん)の教員)が決めるのか、それとも会議の出席者の多数決で決めるのか、などの決定の方法を、会議ではあらかじめ決めておくのが望ましい。
(※ なので、たとえば、「学級会」などで委員会のメンバーを選挙したりするのは、「議論」ではなく「会議」。)
議論(ぎろん、英語ではディスカッション)の目的として、なにかのトラブルなどの解決策をさぐるためのアイデアを出させたり、あるいは、なにか未解明のものを解明するのに情報を出し合うのが目的である。
なので議論をする場合、解決策になりそうな、いろんなアイデアを出させよう。
アイデアを出すのが目的だから、わざわざ2グループに分けて、勝ち負けを決める必要は無い。(なお、議論のさいに2グループに分けて、勝ち負けを決める方法で競争させて意見を出させる方法のことを「競技ディベート」という。 小学校で練習した、2グループに分けて勝負させるのは、正確には「競技ディベート」である。)
ただし、あくまで解決策を出させるのが目的だから、解決策をすばやく見つけ出させそうにない話題がでてきた場合、その話題は中断してもらおう。
よくある例として、たとえば、「転勤して他校にうつる英語教員のALT(アシスタント・ラーニング・ティーチャー)の先生に、クラスから贈り物をすべきか?」という議論のさいに、「そもそも、日本のAETの制度の始まりは、〜〜〜〜(以下略)」とかの歴史などの話題が出てきたら、たとえその歴史の内容が正しくても、議論の進行をさまたげるので中断してもらうのが普通です。
もし、ほかの人が歴史とかの話題を持ち出してきて、それに反論するために「そもそも」とかの意見をいうのなら構いません。しかし、いきなり、「そもそも」とか言い出すのは、まず、議論のさまたげになります。けっして「そもそも、〜〜」とか自分から言い出さないように、つつしみましょう。
この単元では、特に採決(さいけつ)をしない、「議論」について扱う。
さて、議論をするにも会議をするにも、時間にかぎりがある。なので、なるべく実現可能性の高い話題について、話し合うべきである。
また、建設的な話し合いをするために、客観的に検証できような話題を議題に選ぶのが良い。
たとえどんなに高尚(こうしょう)な話題でも、客観的に検証できない話題は、議論では、あまり好ましくない。なぜなら、第三者の役に立たないからである。
たとえば、「夏目漱石と、森鴎外(もり おうがい)の、どちらが、すぐれた文豪(ぶんごう)か?」というのは、話題は文学的に高尚でありそうだが、しかし、検証方法が無い。
どうしても、このような話題を話し合いたい場合、検証可能な話題に置き換える必要がある。
たとえば、出版社での今後の出版方針のために夏目と森を比較する議論なら、「夏目漱石の著作と、森鴎外の著作、どちらが今までの販売数が多いか?」などの、客観的な指標に置き換える必要がある。
学習塾での塾講師どうしの議論なら、「夏目漱石の著作と、森鴎外の著作、どちらを読むように進めるのが、塾生の全国模試での成績を上げるか?」など、客観的な指標に置き換える必要がある。
議論のさいに意見を求められることもある。また、「これから◯◯の賛否についての議論をしよう」という提案も、意見である。
さて、どちらの場合にせよ、まず実現可能性の高そうなアイデアをみちびけそうな意見を出すべきであう。(※ 旺文社の参考書では、そう主張している。)
たとえば、「世界から病気を無くすべきだ」という主張や、「死を無くそう」とかの主張は、もはや、なにも建設的な提案をしてないのと同じである。
たとえ、一見すると高尚な字面をならべていても、実現可能性の極端に低い主張や、実現可能性を無視した主張は、議論などでは好ましくないか、そもそも「議論に値しない」として無視されかねない。
とにかく、前提として、実現可能性の高いことを、話題にすべきである。
たとえば、「(私達は)割り箸をつかわないようにしよう」という提案があったとしましょう。(※ 教育出版の検定教科書にある例)
さて、意見を提案する場合、冒頭に、あなたが「◯◯させたい」と思っている提案の内容を先に書くべきです。そのあとに、根拠を書くべきです。
つまり、たとえば
のようになります。
そもそも、意見以外の感想は、「意見」ではない事です。
「割り箸を使わない人が好きです。」とか、そういうのは、個人の感覚にもとづくので意見ではないのです。
また、もし「割り箸を使わない人が好きです。」という主観を意見であるとすると、これはつまり、「私の主観を、あなたは尊重すべきだ」という命令であり、とても傲慢です。
競技ディベートを開催したいなら、議題としては、意見が「賛成」または「反対」の2種類だけに分かれる議題を選びましょう。
たとえば、
という議題は、学校内での競技ディベートの議題としても、かまいません。(※ 学校図書や光村図書などで、図書室マンガ案のディベートがある。)
しかし、
という模索は、競技ディベートとしては不適切です。
なぜなら、賛成または反対の2つの意見に分かれないからです。
べつに、こういった模索を考えること自体が悪いのでなく、競技ディベートのルールとはズレている、という事です。
なお、学校などで意見の出し方の練習として競技ディベートをする場合、賛成派と反対派のグループ分けは、くじ引き や コイン投げ などで機械的に決めます。(※ 学校図書の中2国語の検定教科書の見解。) このため、競技ディベート中の立場が自身の本音とは違う場合もあるかもしれませんが、そういうのを体験することも勉強のひとつです。
この節で話すのは、競技ディベートではなく、ディスカッションの仕方の説明です。
ディスカッションでの議論の議題として、「○○すべきである。」といった意見を出すときは、そう思った具体的な理由を出しましょう。
たとえば、ディスカッションにふさわしくない提案のしかたとして「わが中学の図書室にマンガをもっと置くべきだ。」という提案だけで、なぜそう思ったのか理由のない提案のしかたがあります。
この提案だけで理由が無い提案は、競技ディベートの場合の最初の議題の出し方です。ディスカッションの提案の仕方ではないのです。
なので、競技を目的としない議論としては、あまり良くない提案のしかたです。(※ いくつかの検定教科書が、競技ディベートの方法だけを「意見」として説明している。)
議論では、最初の理由の説明によって、しばらくはそれに合った話を皆でするので、よって最初の理由説明で議論の内容が大きく変わるのです。なので、議論の開催のさいには、あらかじめ、提案の根拠を述べるべきです。
たとえば、提案のときに、
という理由なのか、あるいは、
という理由では、
その後の議論の内容が、大きく変わってきます。
もし図書室を利用する生徒を増やしたいという理由なら、「そもそも、なぜ利用する生徒を増やす必要があるのか? 利用者が少なくても良いのでは? 少ないと困ると考えている理由を話すべきだ」という反論などのように次の議論につながります。
いっぽう、「マンガは今や日本が世界に誇る文化なので、」なら、「だったら、ゲームもマンガ同様に、日本が誇る子供文化だが、それも置くべきと考えているのか?」などの反論・議論につながります。
このように、提案者や、議論の開始時点の理由で、その後の議論の方向は、大きく変わります。
なので、マジメな議論をする場合、提案に理由をつけくわえましょう。
理由のない提案の場合、そもそも議論に、マジメな人が集まらないのが普通です。
ディスカッションは、べつに勝ち負けを争う(あらそう)ものではないので、
のような、模索をする議題でも可能です。
パソコンでプレゼンテーション用のソフトがあるので、それによって映像を編集できる。
また、プロジェクターがやや高価だが、電気量販店などで市販されている。すでに学校で購入ずみだろうから、それを使えばいい。
プレゼンテーションは、時間が数分と限られている場合が多いので、短時間で説明できるように、映像にする図やグラフなどをあらかじめ、まとめておく必要があります。
また、その図やグラフを作成するための資料集めなどにも、時間が掛かります。なので、仕事でプレゼンテーションにする場合、スケジュールを遅らさないように気を付けましょう。
また、プレゼンテーションにかぎらず演説などでも、外部の人の前で発表する場合は、事前に内部の人どうしでリハーサルをしましょう。
中学校で習う「意見文」というのも、読者が、上述のような議論などのさいの参考になるように、書き手が自分の意見を書いた文章のことです。
とはいえ、一人で書くわけですので、限界はあります。
まず、書き手は、よくありそうな反対意見を想定して、自身の意見を書くべきです。
このように、反論を想定して書くことで、自分の意見が明確になります。(※ 光村図書の中2国語の見解)
また、ある程度の反論に対して、理由のある再反論をすることで、自分の意見の説得力を高めることもできます。(※ 東京書籍の中2国語の見解)
そして、自分の主張の根拠などを述べます。 | [
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"text": "まず、「会議」と「議論」は違う。(※ 検定教科書では、混同されている。しかし、旺文社の参考書では区別している。)",
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"title": "そもそも「議論」とは"
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"text": "会議とは、なにかの団体が、今後の行動などを決めるための相談である。そのため、会議では事前に、どのようにして、決めるのかを、あらかじめ打ち合わせしておくのが、望ましい。",
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"text": "たとえば、その団体の長(会長や社長など、学校ならば担任(たんにん)の教員)が決めるのか、それとも会議の出席者の多数決で決めるのか、などの決定の方法を、会議ではあらかじめ決めておくのが望ましい。",
"title": "そもそも「議論」とは"
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"text": "議論(ぎろん、英語ではディスカッション)の目的として、なにかのトラブルなどの解決策をさぐるためのアイデアを出させたり、あるいは、なにか未解明のものを解明するのに情報を出し合うのが目的である。",
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"title": "そもそも「議論」とは"
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"title": "そもそも「議論」とは"
},
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"text": "もし、ほかの人が歴史とかの話題を持ち出してきて、それに反論するために「そもそも」とかの意見をいうのなら構いません。しかし、いきなり、「そもそも」とか言い出すのは、まず、議論のさまたげになります。けっして「そもそも、〜〜」とか自分から言い出さないように、つつしみましょう。",
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"text": "たとえどんなに高尚(こうしょう)な話題でも、客観的に検証できない話題は、議論では、あまり好ましくない。なぜなら、第三者の役に立たないからである。",
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"text": "たとえば、「夏目漱石と、森鴎外(もり おうがい)の、どちらが、すぐれた文豪(ぶんごう)か?」というのは、話題は文学的に高尚でありそうだが、しかし、検証方法が無い。",
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"text": "どうしても、このような話題を話し合いたい場合、検証可能な話題に置き換える必要がある。",
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"text": "たとえば、出版社での今後の出版方針のために夏目と森を比較する議論なら、「夏目漱石の著作と、森鴎外の著作、どちらが今までの販売数が多いか?」などの、客観的な指標に置き換える必要がある。",
"title": "そもそも「議論」とは"
},
{
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"text": "学習塾での塾講師どうしの議論なら、「夏目漱石の著作と、森鴎外の著作、どちらを読むように進めるのが、塾生の全国模試での成績を上げるか?」など、客観的な指標に置き換える必要がある。",
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"title": "そもそも「議論」とは"
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"text": "さて、どちらの場合にせよ、まず実現可能性の高そうなアイデアをみちびけそうな意見を出すべきであう。(※ 旺文社の参考書では、そう主張している。)",
"title": "意見や提案の出し方"
},
{
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"text": "たとえば、「世界から病気を無くすべきだ」という主張や、「死を無くそう」とかの主張は、もはや、なにも建設的な提案をしてないのと同じである。",
"title": "意見や提案の出し方"
},
{
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"text": "たとえ、一見すると高尚な字面をならべていても、実現可能性の極端に低い主張や、実現可能性を無視した主張は、議論などでは好ましくないか、そもそも「議論に値しない」として無視されかねない。",
"title": "意見や提案の出し方"
},
{
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"text": "とにかく、前提として、実現可能性の高いことを、話題にすべきである。",
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},
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"text": "たとえば、「(私達は)割り箸をつかわないようにしよう」という提案があったとしましょう。(※ 教育出版の検定教科書にある例)",
"title": "意見や提案の出し方"
},
{
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"tag": "p",
"text": "さて、意見を提案する場合、冒頭に、あなたが「◯◯させたい」と思っている提案の内容を先に書くべきです。そのあとに、根拠を書くべきです。",
"title": "意見や提案の出し方"
},
{
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},
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"text": "「割り箸を使わない人が好きです。」とか、そういうのは、個人の感覚にもとづくので意見ではないのです。",
"title": "意見や提案の出し方"
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"text": "また、もし「割り箸を使わない人が好きです。」という主観を意見であるとすると、これはつまり、「私の主観を、あなたは尊重すべきだ」という命令であり、とても傲慢です。",
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"text": "競技ディベートを開催したいなら、議題としては、意見が「賛成」または「反対」の2種類だけに分かれる議題を選びましょう。",
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"text": "という議題は、学校内での競技ディベートの議題としても、かまいません。(※ 学校図書や光村図書などで、図書室マンガ案のディベートがある。)",
"title": "もし競技ディベートをするなら"
},
{
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"text": "しかし、",
"title": "もし競技ディベートをするなら"
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"text": "という模索は、競技ディベートとしては不適切です。",
"title": "もし競技ディベートをするなら"
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"text": "べつに、こういった模索を考えること自体が悪いのでなく、競技ディベートのルールとはズレている、という事です。",
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"text": "なお、学校などで意見の出し方の練習として競技ディベートをする場合、賛成派と反対派のグループ分けは、くじ引き や コイン投げ などで機械的に決めます。(※ 学校図書の中2国語の検定教科書の見解。) このため、競技ディベート中の立場が自身の本音とは違う場合もあるかもしれませんが、そういうのを体験することも勉強のひとつです。",
"title": "もし競技ディベートをするなら"
},
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"title": "もし競技ディベートをするなら"
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"text": "この節で話すのは、競技ディベートではなく、ディスカッションの仕方の説明です。",
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"text": "たとえば、ディスカッションにふさわしくない提案のしかたとして「わが中学の図書室にマンガをもっと置くべきだ。」という提案だけで、なぜそう思ったのか理由のない提案のしかたがあります。",
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"text": "この提案だけで理由が無い提案は、競技ディベートの場合の最初の議題の出し方です。ディスカッションの提案の仕方ではないのです。",
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"text": "なので、競技を目的としない議論としては、あまり良くない提案のしかたです。(※ いくつかの検定教科書が、競技ディベートの方法だけを「意見」として説明している。)",
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"text": "議論では、最初の理由の説明によって、しばらくはそれに合った話を皆でするので、よって最初の理由説明で議論の内容が大きく変わるのです。なので、議論の開催のさいには、あらかじめ、提案の根拠を述べるべきです。",
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"text": "たとえば、提案のときに、",
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"text": "という理由なのか、あるいは、",
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"text": "という理由では、",
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"text": "もし図書室を利用する生徒を増やしたいという理由なら、「そもそも、なぜ利用する生徒を増やす必要があるのか? 利用者が少なくても良いのでは? 少ないと困ると考えている理由を話すべきだ」という反論などのように次の議論につながります。",
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"text": "このように、提案者や、議論の開始時点の理由で、その後の議論の方向は、大きく変わります。",
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| null | :※ 単元名では「意見文」と名付けられているが、しかし、この単元の内容は、議論(ディスカッション)のために意見を出す方法である。
:そのため、まず、ディスカッションとは何かを知る必要がある。
== そもそも「議論」とは ==
まず、「会議」と「議論」は違う。(※ 検定教科書では、混同されている。しかし、旺文社の参考書では区別している。)
:※ いちおう中3の検定教科書の巻末に「会議」の方法が書いてある(光村図書、東京書籍などの中3巻末)。
=== 会議と議論のちがい ===
* 会議
会議とは、なにかの団体が、今後の行動などを決めるための相談である。そのため、会議では事前に、どのようにして、決めるのかを、あらかじめ打ち合わせしておくのが、望ましい。
たとえば、その団体の長(会長や社長など、学校ならば担任(たんにん)の教員)が決めるのか、それとも会議の出席者の多数決で決めるのか、などの決定の方法を、会議ではあらかじめ決めておくのが望ましい。
(※ なので、たとえば、「学級会」などで委員会のメンバーを選挙したりするのは、「議論」ではなく「会議」。)
* 議論
議論(ぎろん、英語ではディスカッション)の目的として、なにかのトラブルなどの解決策をさぐるためのアイデアを出させたり、あるいは、なにか未解明のものを解明するのに情報を出し合うのが目的である。
なので議論をする場合、解決策になりそうな、いろんなアイデアを出させよう。
アイデアを出すのが目的だから、わざわざ2グループに分けて、勝ち負けを決める必要は無い。(なお、議論のさいに2グループに分けて、勝ち負けを決める方法で競争させて意見を出させる方法のことを「競技ディベート」という。 小学校で練習した、2グループに分けて勝負させるのは、正確には「競技ディベート」である。)
:※ 学校の検定教科書では、競技ディベートのことを単に「ディベート」と言ってるが(※ 学校図書など)、しかしこれは間違った用法、あるいは不正確な用法である。
ただし、あくまで解決策を出させるのが目的だから、解決策をすばやく見つけ出させそうにない話題がでてきた場合、その話題は中断してもらおう。
よくある例として、たとえば、「転勤して他校にうつる英語教員のALT(アシスタント・ラーニング・ティーチャー)の先生に、クラスから贈り物をすべきか?」という議論のさいに、「そもそも、日本のAETの制度の始まりは、〜〜〜〜(以下略)」とかの歴史などの話題が出てきたら、たとえその歴史の内容が正しくても、議論の進行をさまたげるので中断してもらうのが普通です。
もし、ほかの人が歴史とかの話題を持ち出してきて、それに反論するために「そもそも」とかの意見をいうのなら構いません。しかし、いきなり、「そもそも」とか言い出すのは、まず、議論のさまたげになります。けっして「そもそも、〜〜」とか自分から言い出さないように、つつしみましょう。
=== 議論のノウハウ ===
この単元では、特に採決(さいけつ)をしない、「議論」について扱う。
さて、議論をするにも会議をするにも、時間にかぎりがある。なので、なるべく実現可能性の高い話題について、話し合うべきである。
また、建設的な話し合いをするために、客観的に検証できような話題を議題に選ぶのが良い。
たとえどんなに高尚(こうしょう)な話題でも、客観的に検証できない話題は、議論では、あまり好ましくない。なぜなら、第三者の役に立たないからである。
たとえば、「夏目漱石と、森鴎外(もり おうがい)の、どちらが、すぐれた文豪(ぶんごう)か?」というのは、話題は文学的に高尚でありそうだが、しかし、検証方法が無い。
どうしても、このような話題を話し合いたい場合、検証可能な話題に置き換える必要がある。
たとえば、出版社での今後の出版方針のために夏目と森を比較する議論なら、「夏目漱石の著作と、森鴎外の著作、どちらが今までの販売数が多いか?」などの、客観的な指標に置き換える必要がある。
学習塾での塾講師どうしの議論なら、「夏目漱石の著作と、森鴎外の著作、どちらを読むように進めるのが、塾生の全国模試での成績を上げるか?」など、客観的な指標に置き換える必要がある。
== 意見や提案の出し方 ==
議論のさいに意見を求められることもある。また、「これから◯◯の賛否についての議論をしよう」という提案も、意見である。
さて、どちらの場合にせよ、まず実現可能性の高そうなアイデアをみちびけそうな意見を出すべきであう。(※ 旺文社の参考書では、そう主張している。)
たとえば、「世界から病気を無くすべきだ」という主張や、「死を無くそう」とかの主張は、もはや、なにも建設的な提案をしてないのと同じである。
たとえ、一見すると高尚な字面をならべていても、実現可能性の極端に低い主張や、実現可能性を無視した主張は、議論などでは好ましくないか、そもそも「議論に値しない」として無視されかねない。
とにかく、前提として、実現可能性の高いことを、話題にすべきである。
=== 例 ===
たとえば、「(私達は)割り箸をつかわないようにしよう」という提案があったとしましょう。(※ 教育出版の検定教科書にある例)
さて、意見を提案する場合、冒頭に、あなたが「◯◯させたい」と思っている提案の内容を先に書くべきです。そのあとに、根拠を書くべきです。
つまり、たとえば
:割り箸をつかわないようにするべきです。なぜなら、割り箸は森林資源を消費しているからです。
のようになります。
そもそも、意見以外の感想は、「意見」ではない事です。
「割り箸を使わない人が好きです。」とか、そういうのは、個人の感覚にもとづくので意見ではないのです。
また、もし「割り箸を使わない人が好きです。」という主観を意見であるとすると、これはつまり、「私の主観を、あなたは尊重すべきだ」という命令であり、とても傲慢です。
{{コラム|議論のフリして議論しない人のパターン|
世の中には、ご都合主義の自分勝手な人で、自分の意見を主張するときは「世間はもっと議論すべきだ」「世間はもっとディネートすべきだ」と言い、なのに、自分の嫌いな意見を他人に言われた時は「あなたの意見を聞いたせいで、気分が悪くなった」とか「めまいが酷くなる」とか言い出す、頭おかしい人または詐欺師(さぎし)・ペテン師がいます。人によっては、「医師もそう言っている」とか言い出します。はたして、その医者が実在するかどうか知りませんが。医師がどうこう言いますが診断書を見せなかったりします。
対する世間の人は仕事で忙しく、慰謝料とか請求されたら面倒なので、そこで世間の人は意見を言い続けるのをやめます。しかし、頭おかしい人は、それで論破、論証などの議論をしたつもりになります。
自分の嫌いな主張や意見に対して「気分が悪くなる」とか「めまいが酷くなる」とか生理的反応を言い出して、病気を言い訳に意見の中止をさせて、それで議論で論破したつもりになる頭のヘンな人がいます。もしかしたらそういう反対意見を聞くと気分が悪くなる病気があるのかもしれませんが、しかしそういう人があたかも論理的なフリをされては世間に迷惑です(肉体労働の現場に、五体不満足の人が来られても迷惑なのと同様)。
なお、この手の人物の行動パターンとして、自分の意見を肩書で権威づけるために大卒のフリをしたりもしますが、実は短大卒だったり、難関の私大の系列のそれほど難関でない専門学校卒だったりするようなこともあります。
}}
== もし競技ディベートをするなら ==
競技ディベートを開催したいなら、議題としては、意見が「賛成」または「反対」の2種類だけに分かれる議題を選びましょう。
たとえば、
:「わが中学の図書室にマンガをもっと置くべきだ。」
という議題は、学校内での競技ディベートの議題としても、かまいません。(※ 学校図書や光村図書などで、図書室マンガ案のディベートがある。)
しかし、
:「わが中学の図書室に、図書室の職員から、置いてほしい本のリクエストが届いている。では、何を置くべきとリクエストすべきだろうか?」
という模索は、競技ディベートとしては不適切です。
なぜなら、賛成または反対の2つの意見に分かれないからです。
べつに、こういった模索を考えること自体が悪いのでなく、競技ディベートのルールとはズレている、という事です。
なお、学校などで意見の出し方の練習として競技ディベートをする場合、賛成派と反対派のグループ分けは、くじ引き や コイン投げ などで機械的に決めます。(※ 学校図書の中2国語の検定教科書の見解。) このため、競技ディベート中の立場が自身の本音とは違う場合もあるかもしれませんが、そういうのを体験することも勉強のひとつです。
== ※ 範囲外かもしれないこと ==
この節で話すのは、競技ディベートではなく、ディスカッションの仕方の説明です。
ディスカッションでの議論の議題として、「○○すべきである。」といった意見を出すときは、そう思った具体的な理由を出しましょう。
たとえば、ディスカッションにふさわしくない提案のしかたとして「わが中学の図書室にマンガをもっと置くべきだ。」という提案だけで、なぜそう思ったのか理由のない提案のしかたがあります。
この提案だけで理由が無い提案は、競技ディベートの場合の最初の議題の出し方です。ディスカッションの提案の仕方ではないのです。
なので、競技を目的としない議論としては、あまり良くない提案のしかたです。(※ いくつかの検定教科書が、競技ディベートの方法だけを「意見」として説明している。)
議論では、最初の理由の説明によって、しばらくはそれに合った話を皆でするので、よって最初の理由説明で議論の内容が大きく変わるのです。なので、議論の開催のさいには、あらかじめ、提案の根拠を述べるべきです。
たとえば、提案のときに、
:「わが中学の図書室にマンガをもっと置くべきです。なぜならマンガを置いて、図書室を利用する生徒を増やしたいからです。」
という理由なのか、あるいは、
:「わが中学の図書室にマンガをもっと置くべきです。なぜなら、マンガは今や日本が世界に誇る文化なので、過去の名作マンガも、若者が勉強するべき時代になったからです。」
という理由では、
その後の議論の内容が、大きく変わってきます。
もし図書室を利用する生徒を増やしたいという理由なら、「そもそも、なぜ利用する生徒を増やす必要があるのか? 利用者が少なくても良いのでは? 少ないと困ると考えている理由を話すべきだ」という反論などのように次の議論につながります。
いっぽう、「マンガは今や日本が世界に誇る文化なので、」なら、「だったら、ゲームもマンガ同様に、日本が誇る子供文化だが、それも置くべきと考えているのか?」などの反論・議論につながります。
このように、提案者や、議論の開始時点の理由で、その後の議論の方向は、大きく変わります。
なので、マジメな議論をする場合、提案に理由をつけくわえましょう。
理由のない提案の場合、そもそも議論に、マジメな人が集まらないのが普通です。
ディスカッションは、べつに勝ち負けを争う(あらそう)ものではないので、
:「わが中学の図書室に、図書室の職員から、置いてほしい本のリクエストが着ている。では、何を置くべきとリクエストすべきだろうか?」
のような、模索をする議題でも可能です。
== プレゼンテーション ==
パソコンでプレゼンテーション用のソフトがあるので、それによって映像を編集できる。
また、プロジェクターがやや高価だが、電気量販店などで市販されている。すでに学校で購入ずみだろうから、それを使えばいい。
プレゼンテーションは、時間が数分と限られている場合が多いので、短時間で説明できるように、映像にする図やグラフなどをあらかじめ、まとめておく必要があります。
また、その図やグラフを作成するための資料集めなどにも、時間が掛かります。なので、仕事でプレゼンテーションにする場合、スケジュールを遅らさないように気を付けましょう。
また、プレゼンテーションにかぎらず演説などでも、外部の人の前で発表する場合は、事前に内部の人どうしでリハーサルをしましょう。
== 意見文 ==
中学校で習う「意見文」というのも、読者が、上述のような議論などのさいの参考になるように、書き手が自分の意見を書いた文章のことです。
とはいえ、一人で書くわけですので、限界はあります。
まず、書き手は、よくありそうな反対意見を想定して、自身の意見を書くべきです。
このように、反論を想定して書くことで、自分の意見が明確になります。(※ 光村図書の中2国語の見解)
また、ある程度の反論に対して、理由のある再反論をすることで、自分の意見の説得力を高めることもできます。(※ 東京書籍の中2国語の見解)
そして、自分の主張の根拠などを述べます。
[[カテゴリ:中学校国語]]
[[カテゴリ:日本の国語科教育]]
__目次非表示__
__節編集非表示__
__インデックス__
__新しい節リンク非表示__ | 2019-09-18T07:04:03Z | 2024-02-19T09:21:01Z | [
"テンプレート:コラム"
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| https://ja.wikibooks.org/wiki/%E4%B8%AD%E5%AD%A6%E6%A0%A1%E5%9B%BD%E8%AA%9E/%E7%8F%BE%E4%BB%A3%E6%96%87/%E8%AD%B0%E8%AB%96%E3%81%AE%E3%81%9F%E3%82%81%E3%81%AE%E6%84%8F%E8%A6%8B%E3%82%84%E6%8F%90%E6%A1%88%E3%81%AE%E3%81%97%E3%81%8B%E3%81%9F |
26,202 | 中学校国語/現代文/説明のしかた | 小学校で、説明的な文章の書き方や、説明的な発表のしかたを練習したでしょう。
では、中学生むけの教材として、説明的な文章の書き方などを、本書では、まとめます。(本単元の内容は、基本的には、小学校で習ったことを、中学生むけの語句で簡潔に言い直したものである。)
説明の対象の時間が変化していく場合(たとえば過去、現在、未来と変化していく場合)、
なにかの作りかたを説明する場合と、それとも予想や分析を説明する場合とで、順序がちがう。
なにかの作り方(たとえば料理の作り方)の説明の場合、
時間の順に、
また、説明の順序を決めたら、その説明の最中は統一するべきです。
たとえば、学校の通学路で、危険な場所について調査して報告をする場合、報告の順序としては、(※ 下記の例の一覧は、教育出版の検定教科書での例)
など、順番の考え方がいくつも、あります。
どの順序で伝えるにしても、順序の方針を決めたら、その順序で最後まで伝えないと、聞き手・読み手が混乱します。
何かを説明する文章を書く時は、見出しをつけると、読みやすくなる場合が多いです。(※ 東京書籍の中1国語教科書の見解)
たとえば、ある料理の作り方の説明では(※ 架空の料理です)、
/////////////// 例 ///////////////
<この料理をつくるときに特別に準備するもの>
食材
器具
<調理の手順>
(※ 以下省略)
///////////////
のように、見出しをつけると、どこに何が書いてあるのか、ハッキリと分かるようになります。
事実を伝えるときは、5W1H(ごダブリュいちエイチ)を意識して、伝えると良い。
文章で書く場合は、「いつ・どこで・だれが・なにを・どのように・どうした」(←これが5W1H)を意識して、書くのである。
理由などの「なぜ、そうしたのか?」などの分析や理由などの詳しい情報は、5W1Hのあとから説明する。
なお、こういう説明の書き方でいう「事実」とは、いわゆる客観的事実(きゃっかんてき じじつ)のことです。
なので、「私がこう思ったことは事実です。」というのは、たしかに一応(いちおう)は「私」さんにとっては事実ですが、しかし「私」さんの主観なので、客観的事実ではないので、説明的な文章では避けるべき(さけるべき)です。
また、事実でないことを伝えるには、たとえば推測ならば、文末に「だろうと思います。」などのように文末表現を工夫して、その文章が、推測であると分かるようにすべきである。
この前提として、事実と、それ以外の意見(感想または推測や予想)などとは、文章を別々に分けるべきである。(※ 教育出版の中1国語の見解)
いっぽう、事実を伝えるときは、文末をはっきりと「である。」「です。」「ます。」「だ。」などといった言い切りの形にすべきです。(※ 教育出版の中1国語の見解)
もしかしたら、ひかえめな表現のつもりで、事実を伝えようとしているのに「思います。」という表現をする人がいそうですが、しかし説明の場所では、語尾が「思います」だと意見だと誤解をされる可能性があります。
人前で演説(えんぜつ)や発表などのスピーチをする場合、 まず、自分の番のスピーチの最初で、自己紹介をしましょう。
くらいの簡潔な紹介でかまいません。(※ 三省堂の中学3年国語など)
作文だったら、原稿用紙に自分の名前を書けば分かりますが、しかしスピーチでは自分で自己紹介をする必要があります。
そして、その演説をとおして何を伝えたいのか、ハッキリさせておきましょう。
というのも、スピーチを聞くために、多くの聴衆に集まっていただいているからです。
学生のスピーチの場合、「です・ます」調で話すのが良いとされる。
また、スピーチは、あまり、1人あたりの発表時間を長くできません。
このため、自分の意見の根拠の全てを伝えることは、スピーチでは無理です。
なのでスピーチでは、どうしても伝えたい意見と、その根拠にしぼって、話すことになるでしょう。(※ 三省堂の見解)
よって、スピーチのための原稿を用意する段階では、発表する内容をしぼりこむ必要があります。
さて、スピーチでは、聞いている相手は、わからない事があっても、その場では調べることができません。
なので、たとえば小学生を聞き手として、中学生が、自中学に見学にきた小学生を相手に、小学校と中学校との違いを説明するような場合は、話し手の中学生の側は、相手の小学生の知識を想定して、わかりやすい言葉で話す必要があります。(※ たとえば三省堂の中3国語では、全校生徒にスピーチする場合は、中1が聞いても分かるように言葉づかいを選びなさい、という内容の指導している。)
さて、小学生を相手にスピーチする場合、具体的には、小学生が知らないだろう「部活」や「中間テスト」「期末テスト」といった、普通の小学校では使うことのない言葉を、無意識に使わないように気をつけましょう。
なお、一般に、スピーチのあとには、聞き手からの質問などの時間があります。これを「質疑応答」(しつぎ おうとう)といいます。(※ 光村図書の中2国語)
なので話し手の側は事前に、よくありそうな質問には、ある程度は応えられるように準備しておきましょう。
議論(ぎろん)や討論(とうろん)などをする場合の「意見」の書き方としては、自分がその意見を「客観的に正しい」と思える理由も伝えましょう。(※ 東京書籍が中1で紹介)
くわしくは2年生の範囲になりますが、議論や討論とは、そういうものだから、です。
たとえば、あるアンケートでの、多かった意見の回答者数などのように、数値で客観的に計算できるものが多くある場合、数値そのものを記述するだけでなく、グラフなどを活用すると、わかりやすくなる。(※ 東京書籍の見解)
ある商品の販売数の年度ごとの変化や、ライバル他社の販売数との比較なども、数値などで説明できるものはグラフで説明すると、わかりやすい。(※ 東京書籍の見解
棒グラフや円グラフ、折れ線グラフなど、適したグラフを活用しよう。
もし、数値の対象の人数や販売数が膨大な場合(たとえば「15,6427台」とかの場合、「15万台」のように近似(きんじ)の値で良い。
なお、報告書では、保護者への校内の合唱コンクールについての、保護者への報告がある。
案内状の書き方は、どんなイベントの案内をするかで変わってきますが、どのイベントでも共通することもあります。
まず、
という事です。
たとえば、仮に、ある学校で、生徒たちの書いたポスターの展示会をしたとしましょう。
日時と場所は、箇条書きで書くのが普通です。
のように。
こういうのを、3~5行ていどのアイサツ文の直後にでも置きます。
たとえば、草稿(そうこう、下書きの原稿のこと)を考えると、下記のような感じになるでしょうか?
なお、左上のあて先(あてさき、宛先)などを通して、誰は来れないのかを、伝達する必要もあります。(※ たとえば、光村図書の中2国語の同窓会の案内では、「元6年2組の皆様」と宛先を明記してある。)
たとえば、「生徒の兄弟や姉妹や友人は、来れるのか?」という問題もあります。
「生徒の近所の家に住んでいる大人は、これるのか?」という問題もあります。
あて先で、「保護者の皆様へ」とあるので、なるべく保護者だけに来て来てほしいと、しているのです。
(※ 観客席などの席のある校内イベントでは、席の数の問題や、防犯などの問題で、もし保護者でない人が来ても、退席ねがう場合がある。)
(※ ほぼ範囲外:)また、案内状の最後には、「以上」と明記して、文の終わりを明記します。(※ たとえば、光村図書の中2国語の同窓会の案内では、「以上」と文末を明記してある。)
こうすることで、もし、印刷ミスなどの不備によって、たとえば「日時」とその下の行の印刷が消えてしまった印刷物が保護者に届けられても、その場合には、「以上」の語句も消えるので、保護者は「以上」の語句が無いので異常に気づきます。
また、同窓会などの学外イベントの場合、開催場所が(学校ではなく)たとえば市民ホールだったりして、その施設をレンタルするのに費用が掛かるなどの都合で、出席者の会費をとったり、あるいは出欠の連絡が事前の必要になったりします。(※ 光村が中2にそう指導している。)
出欠の連絡が必要な場合、
などの明記も必要です。
(※ くわしくは中学レベルを大幅に超えるので、以降の説明を省略したい。)
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"tag": "p",
"text": "",
"title": "事実を伝えるとき"
},
{
"paragraph_id": 30,
"tag": "p",
"text": "また、事実でないことを伝えるには、たとえば推測ならば、文末に「だろうと思います。」などのように文末表現を工夫して、その文章が、推測であると分かるようにすべきである。",
"title": "事実と意見の分離"
},
{
"paragraph_id": 31,
"tag": "p",
"text": "この前提として、事実と、それ以外の意見(感想または推測や予想)などとは、文章を別々に分けるべきである。(※ 教育出版の中1国語の見解)",
"title": "事実と意見の分離"
},
{
"paragraph_id": 32,
"tag": "p",
"text": "いっぽう、事実を伝えるときは、文末をはっきりと「である。」「です。」「ます。」「だ。」などといった言い切りの形にすべきです。(※ 教育出版の中1国語の見解)",
"title": "事実と意見の分離"
},
{
"paragraph_id": 33,
"tag": "p",
"text": "もしかしたら、ひかえめな表現のつもりで、事実を伝えようとしているのに「思います。」という表現をする人がいそうですが、しかし説明の場所では、語尾が「思います」だと意見だと誤解をされる可能性があります。",
"title": "事実と意見の分離"
},
{
"paragraph_id": 34,
"tag": "p",
"text": "人前で演説(えんぜつ)や発表などのスピーチをする場合、 まず、自分の番のスピーチの最初で、自己紹介をしましょう。",
"title": "スピーチ"
},
{
"paragraph_id": 35,
"tag": "p",
"text": "くらいの簡潔な紹介でかまいません。(※ 三省堂の中学3年国語など)",
"title": "スピーチ"
},
{
"paragraph_id": 36,
"tag": "p",
"text": "作文だったら、原稿用紙に自分の名前を書けば分かりますが、しかしスピーチでは自分で自己紹介をする必要があります。",
"title": "スピーチ"
},
{
"paragraph_id": 37,
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"text": "そして、その演説をとおして何を伝えたいのか、ハッキリさせておきましょう。",
"title": "スピーチ"
},
{
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"text": "というのも、スピーチを聞くために、多くの聴衆に集まっていただいているからです。",
"title": "スピーチ"
},
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"text": "学生のスピーチの場合、「です・ます」調で話すのが良いとされる。",
"title": "スピーチ"
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{
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"text": "",
"title": "スピーチ"
},
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"text": "また、スピーチは、あまり、1人あたりの発表時間を長くできません。",
"title": "スピーチ"
},
{
"paragraph_id": 42,
"tag": "p",
"text": "このため、自分の意見の根拠の全てを伝えることは、スピーチでは無理です。",
"title": "スピーチ"
},
{
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"tag": "p",
"text": "なのでスピーチでは、どうしても伝えたい意見と、その根拠にしぼって、話すことになるでしょう。(※ 三省堂の見解)",
"title": "スピーチ"
},
{
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"text": "よって、スピーチのための原稿を用意する段階では、発表する内容をしぼりこむ必要があります。",
"title": "スピーチ"
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"title": "スピーチ"
},
{
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"text": "さて、スピーチでは、聞いている相手は、わからない事があっても、その場では調べることができません。",
"title": "スピーチ"
},
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"tag": "p",
"text": "なので、たとえば小学生を聞き手として、中学生が、自中学に見学にきた小学生を相手に、小学校と中学校との違いを説明するような場合は、話し手の中学生の側は、相手の小学生の知識を想定して、わかりやすい言葉で話す必要があります。(※ たとえば三省堂の中3国語では、全校生徒にスピーチする場合は、中1が聞いても分かるように言葉づかいを選びなさい、という内容の指導している。)",
"title": "スピーチ"
},
{
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"text": "さて、小学生を相手にスピーチする場合、具体的には、小学生が知らないだろう「部活」や「中間テスト」「期末テスト」といった、普通の小学校では使うことのない言葉を、無意識に使わないように気をつけましょう。",
"title": "スピーチ"
},
{
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"tag": "p",
"text": "なお、一般に、スピーチのあとには、聞き手からの質問などの時間があります。これを「質疑応答」(しつぎ おうとう)といいます。(※ 光村図書の中2国語)",
"title": "スピーチ"
},
{
"paragraph_id": 50,
"tag": "p",
"text": "なので話し手の側は事前に、よくありそうな質問には、ある程度は応えられるように準備しておきましょう。",
"title": "スピーチ"
},
{
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"tag": "p",
"text": "議論(ぎろん)や討論(とうろん)などをする場合の「意見」の書き方としては、自分がその意見を「客観的に正しい」と思える理由も伝えましょう。(※ 東京書籍が中1で紹介)",
"title": "議論や討論での「意見」の書き方"
},
{
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"text": "くわしくは2年生の範囲になりますが、議論や討論とは、そういうものだから、です。",
"title": "議論や討論での「意見」の書き方"
},
{
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"text": "",
"title": "議論や討論での「意見」の書き方"
},
{
"paragraph_id": 54,
"tag": "p",
"text": "たとえば、あるアンケートでの、多かった意見の回答者数などのように、数値で客観的に計算できるものが多くある場合、数値そのものを記述するだけでなく、グラフなどを活用すると、わかりやすくなる。(※ 東京書籍の見解)",
"title": "グラフなどの活用"
},
{
"paragraph_id": 55,
"tag": "p",
"text": "ある商品の販売数の年度ごとの変化や、ライバル他社の販売数との比較なども、数値などで説明できるものはグラフで説明すると、わかりやすい。(※ 東京書籍の見解",
"title": "グラフなどの活用"
},
{
"paragraph_id": 56,
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"text": "棒グラフや円グラフ、折れ線グラフなど、適したグラフを活用しよう。",
"title": "グラフなどの活用"
},
{
"paragraph_id": 57,
"tag": "p",
"text": "もし、数値の対象の人数や販売数が膨大な場合(たとえば「15,6427台」とかの場合、「15万台」のように近似(きんじ)の値で良い。",
"title": "グラフなどの活用"
},
{
"paragraph_id": 58,
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"text": "なお、報告書では、保護者への校内の合唱コンクールについての、保護者への報告がある。",
"title": "案内状"
},
{
"paragraph_id": 59,
"tag": "p",
"text": "案内状の書き方は、どんなイベントの案内をするかで変わってきますが、どのイベントでも共通することもあります。",
"title": "案内状"
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"title": "案内状"
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"text": "という事です。",
"title": "案内状"
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"text": "たとえば、仮に、ある学校で、生徒たちの書いたポスターの展示会をしたとしましょう。",
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"text": "日時と場所は、箇条書きで書くのが普通です。",
"title": "案内状"
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"text": "のように。",
"title": "案内状"
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"text": "こういうのを、3~5行ていどのアイサツ文の直後にでも置きます。",
"title": "案内状"
},
{
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"text": "たとえば、草稿(そうこう、下書きの原稿のこと)を考えると、下記のような感じになるでしょうか?",
"title": "案内状"
},
{
"paragraph_id": 67,
"tag": "p",
"text": "なお、左上のあて先(あてさき、宛先)などを通して、誰は来れないのかを、伝達する必要もあります。(※ たとえば、光村図書の中2国語の同窓会の案内では、「元6年2組の皆様」と宛先を明記してある。)",
"title": "案内状"
},
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"text": "たとえば、「生徒の兄弟や姉妹や友人は、来れるのか?」という問題もあります。",
"title": "案内状"
},
{
"paragraph_id": 69,
"tag": "p",
"text": "「生徒の近所の家に住んでいる大人は、これるのか?」という問題もあります。",
"title": "案内状"
},
{
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"tag": "p",
"text": "あて先で、「保護者の皆様へ」とあるので、なるべく保護者だけに来て来てほしいと、しているのです。",
"title": "案内状"
},
{
"paragraph_id": 71,
"tag": "p",
"text": "(※ 観客席などの席のある校内イベントでは、席の数の問題や、防犯などの問題で、もし保護者でない人が来ても、退席ねがう場合がある。)",
"title": "案内状"
},
{
"paragraph_id": 72,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "案内状"
},
{
"paragraph_id": 73,
"tag": "p",
"text": "(※ ほぼ範囲外:)また、案内状の最後には、「以上」と明記して、文の終わりを明記します。(※ たとえば、光村図書の中2国語の同窓会の案内では、「以上」と文末を明記してある。)",
"title": "案内状"
},
{
"paragraph_id": 74,
"tag": "p",
"text": "こうすることで、もし、印刷ミスなどの不備によって、たとえば「日時」とその下の行の印刷が消えてしまった印刷物が保護者に届けられても、その場合には、「以上」の語句も消えるので、保護者は「以上」の語句が無いので異常に気づきます。",
"title": "案内状"
},
{
"paragraph_id": 75,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "案内状"
},
{
"paragraph_id": 76,
"tag": "p",
"text": "また、同窓会などの学外イベントの場合、開催場所が(学校ではなく)たとえば市民ホールだったりして、その施設をレンタルするのに費用が掛かるなどの都合で、出席者の会費をとったり、あるいは出欠の連絡が事前の必要になったりします。(※ 光村が中2にそう指導している。)",
"title": "案内状"
},
{
"paragraph_id": 77,
"tag": "p",
"text": "出欠の連絡が必要な場合、",
"title": "案内状"
},
{
"paragraph_id": 78,
"tag": "p",
"text": "などの明記も必要です。",
"title": "案内状"
},
{
"paragraph_id": 79,
"tag": "p",
"text": "(※ くわしくは中学レベルを大幅に超えるので、以降の説明を省略したい。)",
"title": "案内状"
},
{
"paragraph_id": 80,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "案内状"
}
]
| 小学校で、説明的な文章の書き方や、説明的な発表のしかたを練習したでしょう。 では、中学生むけの教材として、説明的な文章の書き方などを、本書では、まとめます。(本単元の内容は、基本的には、小学校で習ったことを、中学生むけの語句で簡潔に言い直したものである。) | 小学校で、説明的な文章の書き方や、説明的な発表のしかたを練習したでしょう。
では、中学生むけの教材として、説明的な文章の書き方などを、本書では、まとめます。(本単元の内容は、基本的には、小学校で習ったことを、中学生むけの語句で簡潔に言い直したものである。)
== 説明の順序 ==
説明の対象の時間が変化していく場合(たとえば過去、現在、未来と変化していく場合)、
なにかの作りかたを説明する場合と、それとも予想や分析を説明する場合とで、順序がちがう。
なにかの作り方(たとえば料理の作り方)の説明の場合、
時間の順に、
:最初にやる作業 → 次にやる作業 → その次にやる作業 → と説明していくのが良い。
:(※ 範囲外:)ただし、予想や分析を伝える場合は、ちがう。
:予想を伝える場合、もし聞き手・読み手が予想を知りたくて来たのなら、話し手・書き手は、いきなり予想を書くべきである。
:また、報告の場合、現状の話を優先して説明すべきである。なぜなら、報告では普通、読み手や聞き手は、まず現状を確認したいからである。
:予想や報告を伝える場合、過去の経緯などの詳しい情報は、さきに未来予想そのものや現状報告そのものを伝達したあとに、あとから説明すべきである。
また、説明の順序を決めたら、その説明の最中は統一するべきです。
たとえば、学校の通学路で、危険な場所について調査して報告をする場合、報告の順序としては、(※ 下記の例の一覧は、教育出版の検定教科書での例)
:方針1: 学校から近い順に説明する。
:方針2: 危険そうな場所から説明する。
:方針3: 多くの生徒の通りそうな場所から説明する。
など、順番の考え方がいくつも、あります。
どの順序で伝えるにしても、順序の方針を決めたら、その順序で最後まで伝えないと、聞き手・読み手が混乱します。
== 見出しの活用 ==
何かを説明する文章を書く時は、見出しをつけると、読みやすくなる場合が多いです。(※ 東京書籍の中1国語教科書の見解)
たとえば、ある料理の作り方の説明では(※ 架空の料理です)、
/////////////// 例 ///////////////
<この料理をつくるときに特別に準備するもの>
'''食材'''
:小麦粉 ◯◯グラム、カレー粉 △グラム、キャベツの葉 □枚、サラダ油、ジャガイモ◯◯グラム、
'''器具'''
:フライパン、計量カップ、耐熱性のあるザル、お湯を沸かせるナベ、
'''<調理の手順>'''
:1: まず、ジャガイモをサイの目状に切ります。
:2: 切ったジャガイモを煮炊き用のナベに入れて、沸騰した湯で3分間、ジャガイモを煮ます。
(※ 以下省略)
///////////////
のように、見出しをつけると、どこに何が書いてあるのか、ハッキリと分かるようになります。
== 事実を伝えるとき ==
事実を伝えるときは、5W1H(ごダブリュいちエイチ)を意識して、伝えると良い。
文章で書く場合は、「いつ・どこで・だれが・なにを・どのように・どうした」(←これが5W1H)を意識して、書くのである。
理由などの「なぜ、そうしたのか?」などの分析や理由などの詳しい情報は、5W1Hのあとから説明する。
なお、こういう説明の書き方でいう「事実」とは、いわゆる客観的事実(きゃっかんてき じじつ)のことです。
なので、「私がこう思ったことは事実です。」というのは、たしかに一応(いちおう)は「私」さんにとっては事実ですが、しかし「私」さんの主観なので、客観的事実ではないので、説明的な文章では避けるべき(さけるべき)です。
:(※ 範囲外:)5W1Hとは、When (いつ)、Where(どこで)、Who(誰が)、何を(What)、どのように(How)、どうした。というものです。これに疑問詞 Why (なぜ)をまとめて 5W1H と言います。
:(※ 範囲外:)最近は、「5W3H」という表現もある。How many (いくら(※数量))とHow much(どの程度)を追加したものである。よくビジネス論などで使われる。
== 事実と意見の分離 ==
また、事実でないことを伝えるには、たとえば推測ならば、文末に「だろうと思います。」などのように文末表現を工夫して、その文章が、推測であると分かるようにすべきである。
この前提として、事実と、それ以外の意見(感想または推測や予想)などとは、文章を別々に分けるべきである。(※ 教育出版の中1国語の見解)
いっぽう、事実を伝えるときは、文末をはっきりと「である。」「です。」「ます。」「だ。」などといった言い切りの形にすべきです。(※ 教育出版の中1国語の見解)
もしかしたら、ひかえめな表現のつもりで、事実を伝えようとしているのに「思います。」という表現をする人がいそうですが、しかし説明の場所では、語尾が「思います」だと意見だと誤解をされる可能性があります。
== 箇条書きなど ==
:※ 未記述
== スピーチ ==
人前で演説(えんぜつ)や発表などのスピーチをする場合、
まず、自分の番のスピーチの最初で、自己紹介をしましょう。
:「○○中学校の山田タロウです。」
くらいの簡潔な紹介でかまいません。(※ 三省堂の中学3年国語など)
作文だったら、原稿用紙に自分の名前を書けば分かりますが、しかしスピーチでは自分で自己紹介をする必要があります。
そして、その演説をとおして何を伝えたいのか、ハッキリさせておきましょう。
というのも、スピーチを聞くために、多くの聴衆に集まっていただいているからです。
学生のスピーチの場合、「です・ます」調で話すのが良いとされる。
また、スピーチは、あまり、1人あたりの発表時間を長くできません。
このため、自分の意見の根拠の全てを伝えることは、スピーチでは無理です。
なのでスピーチでは、どうしても伝えたい意見と、その根拠にしぼって、話すことになるでしょう。(※ 三省堂の見解)
よって、スピーチのための原稿を用意する段階では、発表する内容をしぼりこむ必要があります。
さて、スピーチでは、聞いている相手は、わからない事があっても、その場では調べることができません。
なので、たとえば小学生を聞き手として、中学生が、自中学に見学にきた小学生を相手に、小学校と中学校との違いを説明するような場合は、話し手の中学生の側は、相手の小学生の知識を想定して、わかりやすい言葉で話す必要があります。(※ たとえば三省堂の中3国語では、全校生徒にスピーチする場合は、中1が聞いても分かるように言葉づかいを選びなさい、という内容の指導している。)
さて、小学生を相手にスピーチする場合、具体的には、小学生が知らないだろう「部活」や「中間テスト」「期末テスト」といった、普通の小学校では使うことのない言葉を、無意識に使わないように気をつけましょう。
なお、一般に、スピーチのあとには、聞き手からの質問などの時間があります。これを「質疑応答」(しつぎ おうとう)といいます。(※ 光村図書の中2国語)
なので話し手の側は事前に、よくありそうな質問には、ある程度は応えられるように準備しておきましょう。
== 議論や討論での「意見」の書き方 ==
議論(ぎろん)や討論(とうろん)などをする場合の「意見」の書き方としては、自分がその意見を「客観的に正しい」と思える理由も伝えましょう。(※ 東京書籍が中1で紹介)
くわしくは2年生の範囲になりますが、議論や討論とは、そういうものだから、です。
== グラフなどの活用 ==
たとえば、あるアンケートでの、多かった意見の回答者数などのように、数値で客観的に計算できるものが多くある場合、数値そのものを記述するだけでなく、グラフなどを活用すると、わかりやすくなる。(※ 東京書籍の見解)
ある商品の販売数の年度ごとの変化や、ライバル他社の販売数との比較なども、数値などで説明できるものはグラフで説明すると、わかりやすい。(※ 東京書籍の見解
棒グラフや円グラフ、折れ線グラフなど、適したグラフを活用しよう。
もし、数値の対象の人数や販売数が膨大な場合(たとえば「15,6427台」とかの場合、「15万台」のように近似(きんじ)の値で良い。
== 案内状 ==
:※ 検定教科書では、案内状の例として、「ブックカバー作品展」なるイベントの案内状の例がある(※ 学校図書の中1国語の教科書)。ほかにも小学校の同窓会の案内状の例(光村図書の中2国語)などを紹介している。
なお、報告書では、保護者への校内の合唱コンクールについての、保護者への報告がある。
=== 範囲内 ===
案内状の書き方は、どんなイベントの案内をするかで変わってきますが、どのイベントでも共通することもあります。
まず、
:・ いつ、どこで(つまり日時)、なにのイベントを開催するのか?
:・ (※ 範囲外:) 誰に来てほしいのか?
という事です。
たとえば、仮に、ある学校で、生徒たちの書いたポスターの展示会をしたとしましょう。
日時と場所は、箇条書きで書くのが普通です。
<pre>
日時: 10月19日(日曜日) 9時30分から開催
場所: ブックス中学校 体育館
</pre>
のように。
こういうのを、3~5行ていどのアイサツ文の直後にでも置きます。
たとえば、草稿(そうこう、下書きの原稿のこと)を考えると、下記のような感じになるでしょうか?
<pre>
20XX年9月10日
保護者の皆様へ
ブックス中学 生徒一同
校内ポスター展示会の開催お知らせ
下記の日時において、本校において、ポスター展示会を
保護者に見せる行事が開催されます。
ぜひご来場ください。
日時: 10月19日(土曜日) 9時30分から入場可能
(終了時刻は夕方の午後4時を予定)
場所: ブックス中学校 体育館
以上
</pre>
=== ほぼ範囲外 ===
==== 入場できる人の明記 ====
なお、左上のあて先(あてさき、宛先)などを通して、誰は来れないのかを、伝達する必要もあります。(※ たとえば、光村図書の中2国語の同窓会の案内では、「元6年2組の皆様」と宛先を明記してある。)
たとえば、「生徒の兄弟や姉妹や友人は、来れるのか?」という問題もあります。
「生徒の近所の家に住んでいる大人は、これるのか?」という問題もあります。
あて先で、「保護者の皆様へ」とあるので、なるべく保護者だけに来て来てほしいと、しているのです。
(※ 観客席などの席のある校内イベントでは、席の数の問題や、防犯などの問題で、もし保護者でない人が来ても、退席ねがう場合がある。)
==== 「以上」で文末表現 ====
(※ ほぼ範囲外:)また、案内状の最後には、「以上」と明記して、文の終わりを明記します。(※ たとえば、光村図書の中2国語の同窓会の案内では、「以上」と文末を明記してある。)
こうすることで、もし、印刷ミスなどの不備によって、たとえば「日時」とその下の行の印刷が消えてしまった印刷物が保護者に届けられても、その場合には、「以上」の語句も消えるので、保護者は「以上」の語句が無いので異常に気づきます。
==== 出欠の連絡の有無と方法、会費の有無など ====
また、同窓会などの学外イベントの場合、開催場所が(学校ではなく)たとえば市民ホールだったりして、その施設をレンタルするのに費用が掛かるなどの都合で、出席者の会費をとったり、あるいは出欠の連絡が事前の必要になったりします。(※ 光村が中2にそう指導している。)
:来場時などに会費をとる場合は、いくらの金額が必要なのか、「会費: 500円」などのように金額を明記する必要があります。(※ 「日時:」 「場所:」 の一覧のところに「会費: 500円」と書くとよい。光村図書の例では、そうしている。)
出欠の連絡が必要な場合、
:・ 連絡手段は何なのか(ハガキ、電話?)、
:・ そして、誰に連絡するのか? (※ 範囲外)
:・ 連絡の期日はいつまでなのか? 「○月□日までに連絡をお願いします。」などのように、期日を明記する。
などの明記も必要です。
(※ くわしくは中学レベルを大幅に超えるので、以降の説明を省略したい。)
== 関連項目 ==
{{デフォルトソート:けんたいふんにおけるせつめいのしかた}}
[[カテゴリ:中学校国語]]
[[Category:日本の国語科教育]] | null | 2022-11-09T05:05:31Z | []
| https://ja.wikibooks.org/wiki/%E4%B8%AD%E5%AD%A6%E6%A0%A1%E5%9B%BD%E8%AA%9E/%E7%8F%BE%E4%BB%A3%E6%96%87/%E8%AA%AC%E6%98%8E%E3%81%AE%E3%81%97%E3%81%8B%E3%81%9F |
26,204 | ラテン文学の作家と著作/古ラテン語 | ここでは、古ラテン語で著作を表した作家とその著作について、それぞれ紹介する。
ラテン語で著作を著わした著名な作家を、時代区分・生没年の順に配列した一覧表。日本語名・ラテン語名・英語名・仏語名ごとにソートすることができるようになっている。
マルクス・アントーニウス(Marcus Antonius:前143-87)は、ローマ共和制後期の政治家・弁論家。三頭政治家として有名なマルクス・アントニウスの祖父に当たる。 | [
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"text": "ここでは、古ラテン語で著作を表した作家とその著作について、それぞれ紹介する。",
"title": "はじめに"
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"text": "ラテン語で著作を著わした著名な作家を、時代区分・生没年の順に配列した一覧表。日本語名・ラテン語名・英語名・仏語名ごとにソートすることができるようになっている。",
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"title": "カエキリウス"
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"title": "ルーキーリウス"
},
{
"paragraph_id": 12,
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"title": "アッキウス"
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{
"paragraph_id": 13,
"tag": "p",
"text": "マルクス・アントーニウス(Marcus Antonius:前143-87)は、ローマ共和制後期の政治家・弁論家。三頭政治家として有名なマルクス・アントニウスの祖父に当たる。",
"title": "そのほかの作家"
}
]
| null | == はじめに ==
ここでは、古ラテン語で著作を表した作家とその著作について、それぞれ紹介する。
=== 著名な作家の一覧 ===
ラテン語で著作を著わした著名な作家を、時代区分・生没年の順に配列した一覧表。<br>日本語名・ラテン語名・英語名・仏語名ごとにソートすることができるようになっている。
{| class="wikitable sortable"
! style="width:4em; font-size:9pt;" |生没年
! style="width:9em;" |日本語名!!ラテン語名!!英語名!!仏語名!!全 名!!ジャンル!!代表作!!備 考
|- <!--【リーウィウス・アンドロニークス】-->
|前284頃-205頃
| style="font-size:9pt; background-color:#ffdcdc;" |[[w:ルキウス・リウィウス・アンドロニクス|リーウィウス・アンドロニークス]]
| style="font-size:10pt;" |Livius <br>Andronicus
| style="font-size:8pt;" |[[w:en:Livius Andronicus|Livius <br>Andronicus]]
| style="font-size:8pt;" |[[w:fr:Livius Andronicus|Livius <br>Andronicus]]
| style="font-size:9pt;" |[[w:la:Lucius Livius Andronicus|Lucius <br>Livius<br> Andronicus]]
|悲劇・喜劇
|<small>「[[w:オデュッセイア|オデュッセイア]]」の翻案</small>
|「ラテン文学の父」
|- <!--【ナエウィウス】-->
|前270頃-201頃
| style="font-size:11pt; background-color:#ffdcdc;" |[[w:グナエウス・ナエウィウス|ナエウィウス]]
| style="font-size:11pt;" |Naevius
| style="font-size:8pt;" |[[w:en:Gnaeus Naevius|Naevius]]
| style="font-size:8pt;" |[[w:fr:Naevius|Naevius]]
| style="font-size:9pt;" |[[w:la:Gnaeus Naevius|Gnaeus <br>Naevius]]
|叙事詩・悲劇
|<small>『ポエニ戦争』</small>
|<small>ローマ国民叙事詩の創始者</small>
|- <!--【プラウトゥス】-->
|前254頃-184
| style="font-size:13pt; background-color:#ffbbbb;" |[[w:プラウトゥス|プラウトゥス]]
| style="font-size:11pt;" |Plautus
| style="font-size:8pt;" |[[w:en:Plautus|Plautus]]
| style="font-size:11pt;" |[[w:fr:Plaute|Plaute]]
| style="font-size:9pt;" |[[w:la:Titus Maccius Plautus|Titus <br>Maccius <br>Plautus]]
|喜劇
|<small>『金の小壺』<br>『幽霊』</small>
|ラテン喜劇の<br>最大の作家
|- <!--【エンニウス】-->
|前239頃-169頃
| style="font-size:11pt; background-color:#ffdcdc;" |[[w:エンニウス|エンニウス]]
| style="font-size:11pt;" |Ennius
| style="font-size:8pt;" |[[w:en:Ennius|Ennius]]
| style="font-size:8pt;" |[[w:fr:Ennius|Ennius]]
| style="font-size:9pt;" |[[w:la:Quintus Ennius|Quintus <br>Ennius]]
|叙事詩
|<small>『年代記』</small>
|「ラテン詩の父」
|- <!--【大カトー】-->
|前234-149
| style="font-size:13pt; background-color:#ffdcdc;" |[[w:マルクス・ポルキウス・カト・ケンソリウス|カトー]]</br>(大カトー)
| style="font-size:11pt;" |Cato maior
| style="font-size:10pt;" |[[w:en:Cato the Elder|Cato <br>the Elder]]
| style="font-size:10pt;" |[[w:fr:Caton l'Ancien|Caton<br> l'Ancien]]
| style="font-size:9pt;" |[[w:la:Marcus Porcius Cato maior|Marcus <br>Porcius <br>Cato maior]]
|散文
|<small>『農耕論』<br> 『起源史』</small>
|「ラテン散文の父」
|- <!--【カエキリウス】-->
|前220頃-166頃
| style="font-size:11pt; background-color:#ffdcdc;" |カエキリウス
| style="font-size:11pt;" |Caecilius
| style="font-size:8pt;" |[[w:en:Caecilius Statius|Caecilius<br> Statius]]
| style="font-size:8pt;" |[[w:fr:Caecilius Statius|Caecilius<br> Statius]]
| style="font-size:9pt;" |[[w:la:Caecilius Statius|Caecilius<br> Statius]]
|喜劇
|<small></small>
|
|- <!--【パークウィウス】-->
|前220-130頃
| style="font-size:11pt; background-color:#ffdcdc;" |パークウィウス
| style="font-size:11pt;" |Pacuvius
| style="font-size:8pt;" |[[w:en:Pacuvius|Pacuvius]]
| style="font-size:8pt;" |[[w:fr:Pacuvius|Pacuvius]]
| style="font-size:9pt;" |[[w:la:Marcus Pacuvius|Marcus<br> Pacuvius]]
|悲劇
|<small></small>
|
|- <!--【テレンティウス】-->
|前195頃-159頃
| style="font-size:13pt; background-color:#ffbbbb;" |[[w:プビリウス・テレンティウス・アフェル|テレンティウス]]
| style="font-size:11pt;" |Terentius
| style="font-size:11pt;" |[[w:en:Terence|Terence]]
| style="font-size:11pt;" |[[w:fr:Térence|Térence]]
| style="font-size:9pt;" |[[w:la:Publius Terentius Afer|Publius <br>Terentius<br> Afer]]
|喜劇
|<small>『アンドロスの女』</br>『ポルミオ』ほか</small>
|
|- <!--【ルーキーリウス】-->
|前180頃-102頃
| style="font-size:11pt; background-color:#ffdcdc;" |ルーキーリウス
| style="font-size:11pt;" |Lucilius
| style="font-size:8pt;" |[[w:en:Gaius Lucilius|Lucilius]]
| style="font-size:8pt;" |[[w:fr:Lucilius|Lucilius]]
| style="font-size:9pt;" |[[w:la:Gaius Lucilius|Gaius <br>Lucilius]]
|諷刺詩
|<small></small>
|諷刺詩の創始者
|- <!--【アッキウス】-->
|前170頃-86頃
| style="font-size:11pt; background-color:#ffdcdc;" |アッキウス
| style="font-size:11pt;" |Accius<br>(Attius)
| style="font-size:8pt;" |[[w:en:Lucius Accius|Accius]]
| style="font-size:8pt;" |[[w:fr:Lucius Accius|Accius]]
| style="font-size:9pt;" |[[w:la:Lucius Accius|Lucius<br> Accius]]
|悲劇
|<small></small>
|
|- <!--【アントーニウス】-->
|前143-87
| style="font-size:11pt;" |アントーニウス
| style="font-size:11pt;" |Antonius
| style="font-size:8pt;" |[[w:en:Marcus Antonius (orator)|Marcus <br>Antonius]]
| style="font-size:8pt;" |[[w:fr:Marc Antoine l'Orateur|Marc <br>Antoine]]
| style="font-size:9pt;" |[[w:la:Marcus Antonius (consul 99 a.C.n.)|Marcus Antonius]]
|弁論
|<small></small>
|
|- <!--【】-->
|前頃-頃
| style="font-size:11pt;" |
| style="font-size:11pt;" |
| style="font-size:8pt;" |
| style="font-size:8pt;" |
| style="font-size:9pt;" |
|
|<small></small>
|
|}
=== 目次 ===
:[[#リーウィウス・アンドロニークス]]
:[[#ナエウィウス]]
:[[#プラウトゥス]]
:[[#エンニウス]]
:[[#カトー]]
:[[#カエキリウス]]
:[[#パークウィウス]]
:[[#テレンティウス]]
:[[#ルーキーリウス]]
:[[#アッキウス]]
;そのほかの作家
:[[#アントーニウス]]
== リーウィウス・アンドロニークス ==
== ナエウィウス ==
== プラウトゥス ==
== エンニウス ==
== カトー ==
== カエキリウス ==
== パークウィウス ==
== テレンティウス ==
== ルーキーリウス ==
== アッキウス ==
== そのほかの作家 ==
=== アントーニウス ===
{{wikipedia|w:en:Marcus Antonius (orator)|Marcus Antonius (orator)}}
'''マルクス・アントーニウス'''([[w:la:w:la:Marcus Antonius (consul 99 a.C.n.)|Marcus Antonius]]:前143-87)は、ローマ共和制後期の政治家・弁論家。三頭政治家として有名な[[w:マルクス・アントニウス|マルクス・アントニウス]]の祖父に当たる。
*<span style="background-color:#ffffff;font-size:15pt;">'''[[/アントーニウス (弁論家)]]''' {{進捗|00%|2020-00-00}}</span>
== 脚 注 ==
<references />
== 参考文献 ==
<!--
*{{Cite book |和書 |author=[[w:|]] |title= |publisher=[[w:|]] |date=2007-1|isbn=978-4---|ref= }}
-->
== 関連項目 ==
*[[ラテン語学習モジュール]]
**'''[[ラテン語の時代区分]]'''
**'''[[ラテン文学]]'''
***'''[[ラテン文学/ローマ文学の年表|/ローマ文学の年表]]'''
== 外部リンク ==
[[Category:ラテン文学の作家と著作|古ラテン]]
[[Category:ラテン語の時代区分|作家]]
[[Category:ラテン語学習モジュール|文学]] | null | 2020-01-29T12:00:27Z | [
"テンプレート:Wikipedia",
"テンプレート:進捗"
]
| https://ja.wikibooks.org/wiki/%E3%83%A9%E3%83%86%E3%83%B3%E6%96%87%E5%AD%A6%E3%81%AE%E4%BD%9C%E5%AE%B6%E3%81%A8%E8%91%97%E4%BD%9C/%E5%8F%A4%E3%83%A9%E3%83%86%E3%83%B3%E8%AA%9E |
26,205 | ラテン文学の作家と著作/作家名の索引 | ラテン語で著作を著した作家名のアルファベット表記と日本語表記による索引。
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| null | == はじめに ==
ラテン語で著作を著した作家名のアルファベット表記と日本語表記による索引。
*[[#アルファベット索引]]
*[[#日本語索引]]
== アルファベット索引 ==
;A
*'''Accius''' →悲劇詩人 [[w:la:Lucius Accius|Lucius Accius]] ⇒[[ラテン文学の作家と著作/古ラテン語#アッキウス|アッキウス]]
*'''Andronicus''' →「ラテン文学の父」 [[w:la:Lucius Livius Andronicus|Lucius Livius Andronicus]] ⇒[[ラテン文学の作家と著作/古ラテン語#リーウィウス・アンドロニークス|リーウィウス・アンドロニークス]]
*'''Antonius'''
*# [[w:la:Marcus Antonius|Marcus Antonius]] →共和制末期の三頭政治家 ⇒[[ラテン文学の作家と著作/関連人物解説#アントーニウス,マルクス|アントーニウス,マルクス]]
*# [[w:la:Marcus Antonius (consul 99 a.C.n.)|Marcus Antonius]] →共和制後期の弁論家 ⇒[[ラテン文学の作家と著作/古ラテン語#アントーニウス|アントーニウス]]
*'''Atticus'''
*# [[w:la:Titus Pomponius Atticus|Titus Pomponius Atticus]] →キケローの親友として知られる ⇒[[ラテン文学の作家と著作/黄金期#アッティクス|アッティクス]]
*# [[w:la:Herodes Atticus|Herodes Atticus]] →ローマ帝制期のギリシアの弁論家ヘロデス・アッティコスのラテン語名
*'''Attius''' →悲劇詩人 [[w:la:Lucius Accius|Lucius Accius]]の別表記 ⇒[[ラテン文学の作家と著作/古ラテン語#アッキウス|アッキウス]]
;C
*'''Caecilius''' →喜劇詩人 [[w:la:Caecilius Statius|Caecilius Statius]] ⇒[[ラテン文学の作家と著作/古ラテン語#カエキリウス|カエキリウス]]
*'''Calvus''' →抒情詩人 ''[[:w:en:Licinius Macer Calvus|Gaius Licinius Macer Calvus]]'' ⇒[[ラテン文学の作家と著作/黄金期#カルウス|カルウス]]
*'''Cato'''
*#'''Cato maior''' →「ラテン散文の父」 [[w:la:Marcus Porcius Cato maior|Marcus Porcius Cato maior]] ⇒[[ラテン文学の作家と著作/古ラテン語#カトー|カトー]]
*'''[[w:en:Cornelius (name)|Cornelius]]'''
*# Cornelius Gallus →共和制末期のエレゲイア詩人 [[w:la:Gaius Cornelius Gallus|Gaius Cornelius Gallus]] ⇒[[ラテン文学の作家と著作/黄金期#ガッルス|ガッルス]]
;E
*'''Ennnius''' → 「ラテン詩の父」 叙事詩人 [[w:la:Quintus Ennius|Quintus Ennius]] ⇒[[ラテン文学の作家と著作/古ラテン語#エンニウス|エンニウス]]
;F
*'''[[w:en:Flaccus|Flaccus]]'''
*# [[w:la:Horatius (nomen)|Horatius]] Flaccus →帝制初期の抒情詩人 [[w:la:Quintus Horatius Flaccus|Quintus Horatius Flaccus]] ⇒[[ラテン文学の作家と著作/黄金期#ホラーティウス|ホラーティウス]]
*# Verrius Flaccus →帝制初期の文法家 ''[[w:en:Verrius Flaccus|Marcus Verrius Flaccus]]'' ⇒[[ラテン文学の作家と著作/黄金期#ウェッリウス・フラックス|ウェッリウス・フラックス]]
;G
*'''[[w:en:Gallus (cognomen)|Gallus]]'''
*# [[w:la:Gaius Cornelius Gallus|Gaius Cornelius Gallus]]:共和制末期のエレゲイア詩人 ⇒[[ラテン文学の作家と著作/黄金期#ガッルス|ガッルス]]
;H
*'''[[w:la:Horatius (nomen)|Horatius]]''' →帝制初期の抒情詩人 [[w:la:Quintus Horatius Flaccus|Quintus Horatius Flaccus]] ⇒[[ラテン文学の作家と著作/黄金期#ホラーティウス|ホラーティウス]]
*'''Hortalus''' →キケローの好敵手として知られる弁論家 [[:w:la:Quintus Hortensius Hortalus|Quintus Hortensius Hortalus]] ⇒[[ラテン文学の作家と著作/黄金期#ホルテーンシウス|ホルテーンシウス]]
*'''Hortensius''' →キケローの好敵手として知られる弁論家 [[:w:la:Quintus Hortensius Hortalus|Quintus Hortensius Hortalus]] ⇒[[ラテン文学の作家と著作/黄金期#ホルテーンシウス|ホルテーンシウス]]
;L
*'''[[:wikt:en:Licinius|Licinius]]'''
*#Licinius Macer →共和制末期の年代記作家 [[:w:la:Gaius Licinius Macer|Gaius Licinius Macer]] ⇒[[ラテン文学の作家と著作/黄金期#リキニウス・マケル|リキニウス・マケル]]
*#Licinius Macer Calvus →抒情詩人 ''[[:w:en:Licinius Macer Calvus|Gaius Licinius Macer Calvus]]'' ⇒[[ラテン文学の作家と著作/黄金期#カルウス|カルウス]]
*'''Livius'''
*#'''Livius Andronicus''' →「ラテン文学の父」 [[w:la:Lucius Livius Andronicus|Lucius Livius Andronicus]] ⇒[[ラテン文学の作家と著作/古ラテン語#リーウィウス・アンドロニークス|リーウィウス・アンドロニークス]]
*'''Lucilius''' →諷刺詩の創始者 [[w:la:Gaius Lucilius|Gaius Lucilius]] ⇒[[ラテン文学の作家と著作/古ラテン語#ルーキーリウス|ルーキーリウス]]
;M
*'''Macer'''
*#Aemilius Macer →帝制初期の詩人 ''[[w:en:Aemilius Macer|Aemilius Macer]]''
*#Licinius Macer →共和制末期の年代記作家 [[:w:la:Gaius Licinius Macer|Gaius Licinius Macer]] ⇒[[ラテン文学の作家と著作/黄金期#リキニウス・マケル|リキニウス・マケル]]
*#Licinius Macer Calvus →抒情詩人 ''[[:w:en:Licinius Macer Calvus|Gaius Licinius Macer Calvus]]'' ⇒[[ラテン文学の作家と著作/黄金期#カルウス|カルウス]]
;N
*'''Naevius''' →叙事詩・悲劇詩人 [[w:la:Gnaeus Naevius|Gnaeus Naevius]] ⇒[[ラテン文学の作家と著作/古ラテン語#ナエウィウス|ナエウィウス]]
;P
*'''Pacuvius''' →悲劇詩人 [[w:la:Marcus Pacuvius|Marcus Pacuvius]] ⇒[[ラテン文学の作家と著作/古ラテン語#パークウィウス|パークウィウス]]
*'''Plautus''' →ラテン喜劇の最大の作家 [[w:la:Titus Maccius Plautus|Titus Maccius Plautus]] ⇒[[ラテン文学の作家と著作/古ラテン語#プラウトゥス|プラウトゥス]]
*'''[[wikt:en:Pomponius|Pomponius]]'''
*# [[w:la:Titus Pomponius Atticus|Titus Pomponius Atticus]] →キケローの親友として知られる ⇒[[ラテン文学の作家と著作/黄金期#アッティクス|アッティクス]]
;S
*'''Statius'''
*#Caecilius Statius →喜劇詩人 [[w:la:Caecilius Statius|Caecilius Statius]] ⇒[[ラテン文学の作家と著作/古ラテン語#カエキリウス|カエキリウス]]
;T
*''[[w:en:Terence|Terence]]'' ⇒[[ラテン文学の作家と著作/古ラテン語#テレンティウス|テレンティウス]]
*''[[w:fr:Térence|Térence]]'' ⇒[[ラテン文学の作家と著作/古ラテン語#テレンティウス|テレンティウス]]
*'''Terentius'''
*#Terentius Afer →喜劇詩人 [[w:la:Publius Terentius Afer|Publius Terentius Afer]] ⇒[[ラテン文学の作家と著作/古ラテン語#テレンティウス|テレンティウス]]
;V
*'''Verrius''' →帝制初期の文法家 ''[[w:en:Verrius Flaccus|Marcus Verrius Flaccus]]'' ⇒[[ラテン文学の作家と著作/黄金期#ウェッリウス・フラックス|ウェッリウス・フラックス]]
== 日本語索引 ==
;ア
*'''アッキウス''' →悲劇詩人 [[w:la:Lucius Accius|Lucius Accius]] ⇒[[ラテン文学の作家と著作/古ラテン語#アッキウス|アッキウス]]
*'''アッティウス''' →アッキウスの別表記
*'''アッティクス'''
*# [[w:la:Titus Pomponius Atticus|Titus Pomponius Atticus]] →キケローの親友として知られる ⇒[[ラテン文学の作家と著作/黄金期#アッティクス|アッティクス]]
*# [[w:la:Herodes Atticus|Herodes Atticus]] →帝制ローマ期のギリシアの弁論家ヘロデス・アッティコスのラテン語名
*'''アントーニウス'''
*# [[w:la:Marcus Antonius|Marcus Antonius]] →共和制末期の三頭政治家 ⇒[[ラテン文学の作家と著作/関連人物解説#アントーニウス,マルクス|アントーニウス,マルクス]]
*# [[w:la:Marcus Antonius (consul 99 a.C.n.)|Marcus Antonius]] →共和制後期の弁論家 ⇒[[ラテン文学の作家と著作/古ラテン語#アントーニウス|アントーニウス]]
*'''アンドロニークス''' →「ラテン文学の父」 [[w:la:Lucius Livius Andronicus|Lucius Livius Andronicus]] ⇒[[ラテン文学の作家と著作/古ラテン語#リーウィウス・アンドロニークス|リーウィウス・アンドロニークス]]
;ウ
*ウェッリウス(Verrius) →帝制初期の文法家 ''[[w:en:Verrius Flaccus|Marcus Verrius Flaccus]]'' ⇒[[ラテン文学の作家と著作/黄金期#ウェッリウス・フラックス|ウェッリウス・フラックス]]
;エ
*'''エンニウス''' → 「ラテン詩の父」 叙事詩人 [[w:la:Quintus Ennius|Quintus Ennius]] ⇒[[ラテン文学の作家と著作/古ラテン語#エンニウス|エンニウス]]
;カ
*'''カエキリウス''' →喜劇詩人 [[w:la:Caecilius Statius|Caecilius Statius]]⇒[[ラテン文学の作家と著作/古ラテン語#カエキリウス|カエキリウス]]
*'''ガッルス''' →共和制末期のエレゲイア詩人 [[w:la:Gaius Cornelius Gallus|Gaius Cornelius Gallus]] ⇒[[ラテン文学の作家と著作/黄金期#ガッルス|ガッルス]]
*'''カトー'''
*#'''大カトー''' →「ラテン散文の父」 [[w:la:Marcus Porcius Cato maior|Marcus Porcius Cato maior]] ⇒[[ラテン文学の作家と著作/古ラテン語#カトー|カトー]]
*'''カルウス''' →抒情詩人 ''[[:w:en:Licinius Macer Calvus|Gaius Licinius Macer Calvus]]'' ⇒[[ラテン文学の作家と著作/黄金期#カルウス|カルウス]]
;ス
*'''スターティウス'''
*#Caecilius Statius →喜劇詩人 [[w:la:Caecilius Statius|Caecilius Statius]] ⇒[[ラテン文学の作家と著作/古ラテン語#カエキリウス|カエキリウス]]
;テ
*'''テレンティウス'''
*#Terentius Afer →喜劇詩人 [[w:la:Publius Terentius Afer|Publius Terentius Afer]] ⇒[[ラテン文学の作家と著作/古ラテン語#テレンティウス|テレンティウス]]
;ナ
*'''ナエウィウス''' →叙事詩・悲劇詩人 [[w:la:Gnaeus Naevius|Gnaeus Naevius]] ⇒[[ラテン文学の作家と著作/古ラテン語#ナエウィウス|ナエウィウス]]
;ハ
*'''パークウィウス''' →悲劇詩人 [[w:la:Marcus Pacuvius|Marcus Pacuvius]] ⇒[[ラテン文学の作家と著作/古ラテン語#パークウィウス|パークウィウス]]
;フ
*'''プラウトゥス'''→ラテン喜劇の最大の作家 [[w:la:Titus Maccius Plautus|Titus Maccius Plautus]] ⇒[[ラテン文学の作家と著作/古ラテン語#プラウトゥス|プラウトゥス]]
*'''フラックス'''
*# ウェッリウス・フラックス(Verrius Flaccus) →帝制初期の文法家 ⇒[[ラテン文学の作家と著作/黄金期#ウェッリウス・フラックス|ウェッリウス・フラックス]]
*# ホラーティウス・フラックス(Horatius Flaccus) →帝制初期の抒情詩人 [[w:la:Quintus Horatius Flaccus|Quintus Horatius Flaccus]] ⇒[[ラテン文学の作家と著作/黄金期#ホラーティウス|ホラーティウス]]
;ホ
*'''ホラーティウス''' →帝制初期の抒情詩人 [[w:la:Quintus Horatius Flaccus|Quintus Horatius Flaccus]] ⇒[[ラテン文学の作家と著作/黄金期#ホラーティウス|ホラーティウス]]
*'''ホルタルス''' →キケローの好敵手として知られる弁論家 [[:w:la:Quintus Hortensius Hortalus|Quintus Hortensius Hortalus]] ⇒[[ラテン文学の作家と著作/黄金期#ホルテーンシウス|ホルテーンシウス]]
*'''ホルテーンシウス''' →キケローの好敵手として知られる弁論家 [[:w:la:Quintus Hortensius Hortalus|Quintus Hortensius Hortalus]] ⇒[[ラテン文学の作家と著作/黄金期#ホルテーンシウス|ホルテーンシウス]]
*'''ポンポーニウス'''
*# [[w:la:Titus Pomponius Atticus|Titus Pomponius Atticus]] →キケローの親友として知られる ⇒[[ラテン文学の作家と著作/黄金期#アッティクス|アッティクス]]
;マ
*'''マケル'''
*#リキニウス・マケル →共和制末期の年代記作家 [[:w:la:Gaius Licinius Macer|Gaius Licinius Macer]] ⇒[[ラテン文学の作家と著作/黄金期#リキニウス・マケル|リキニウス・マケル]]
*#リキニウス・マケル・カルウス →抒情詩人 ''[[:w:en:Licinius Macer Calvus|Gaius Licinius Macer Calvus]]'' ⇒[[ラテン文学の作家と著作/黄金期#カルウス|カルウス]]
;リ
*'''リーウィウス'''
*#'''リーウィウス・アンドロニークス''' →「ラテン文学の父」 [[w:la:Lucius Livius Andronicus|Lucius Livius Andronicus]] ⇒[[ラテン文学の作家と著作/古ラテン語#リーウィウス・アンドロニークス|リーウィウス・アンドロニークス]]
*'''リキニウス'''
*#リキニウス・マケル →共和制末期の年代記作家 [[:w:la:Gaius Licinius Macer|Gaius Licinius Macer]] ⇒[[ラテン文学の作家と著作/黄金期#リキニウス・マケル|リキニウス・マケル]]
*#リキニウス・マケル・カルウス →抒情詩人 ''[[:w:en:Licinius Macer Calvus|Gaius Licinius Macer Calvus]]'' ⇒[[ラテン文学の作家と著作/黄金期#カルウス|カルウス]]
*'''ルーキーリウス''' →諷刺詩の創始者 [[w:la:Gaius Lucilius|Gaius Lucilius]] ⇒[[ラテン文学の作家と著作/古ラテン語#ルーキーリウス|ルーキーリウス]]
== 脚 注 ==
<references />
== 関連項目 ==
*[[ラテン語学習モジュール]]
**'''[[ラテン語の時代区分]]'''
**'''[[ラテン文学]]'''
***'''[[ラテン文学/ローマ文学の年表|/ローマ文学の年表]]'''
== 外部リンク ==
[[Category:ラテン文学の作家と著作|作家]]
[[Category:ラテン語学習モジュール|文学]] | null | 2020-01-29T13:32:08Z | []
| https://ja.wikibooks.org/wiki/%E3%83%A9%E3%83%86%E3%83%B3%E6%96%87%E5%AD%A6%E3%81%AE%E4%BD%9C%E5%AE%B6%E3%81%A8%E8%91%97%E4%BD%9C/%E4%BD%9C%E5%AE%B6%E5%90%8D%E3%81%AE%E7%B4%A2%E5%BC%95 |
26,207 | ラテン文学の作家と著作/著作名の索引 | ラテン語で著された著作名のアルファベット表記と日本語表記による索引。
| [
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"title": "はじめに"
},
{
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}
]
| null | == はじめに ==
ラテン語で著された著作名のアルファベット表記と日本語表記による索引。
*[[#アルファベット索引]]
*[[#日本語索引]]
== アルファベット索引 ==
;A
*'''[[w:la:Annales|Annales]]'''
*#'''[[w:la:Annales (Ennius)|Annales (Ennius)]]''' :「ラテン詩の父」 叙事詩人 [[w:la:Quintus Ennius|Quintus Ennius]] [[ラテン文学の作家と著作/古ラテン語#エンニウス|エンニウス]]の叙事詩
;B
*'''[[w:la:Bellum Poenicum (carmen)|Bellum Poenicum]]''' :叙事詩人 [[w:la:Gnaeus Naevius|Gnaeus Naevius]] [[ラテン文学の作家と著作/古ラテン語#ナエウィウス|ナエウィウス]]の叙事詩『ポエニ戦争』
;C
*'''Carmen Belli Poenici''' →'''[[w:la:Bellum Poenicum (carmen)|Bellum Poenicum]]''' :叙事詩人 [[w:la:Gnaeus Naevius|Gnaeus Naevius]] [[ラテン文学の作家と著作/古ラテン語#ナエウィウス|ナエウィウス]]の叙事詩『ポエニ戦争』
;D
*'''[[w:la:De agri cultura|De agri cultura]]''':(農耕論) 「ラテン散文の父」大カトー [[w:la:Marcus Porcius Cato maior|Marcus Porcius Cato maior]]の著作
;L
*'''Liber annalis''' [[ラテン文学の作家と著作/黄金期#アッティクス|アッティクス]]がローマの政治史や文学史について著した年代記。
;O
*'''[[w:la:Origines|Origines]]''':(起源論) 「ラテン散文の父」大カトー [[w:la:Marcus Porcius Cato maior|Marcus Porcius Cato maior]]の著作
== 日本語索引 ==
;き
;起源論
*'''[[w:la:Origines|Origines]]''':(起源論) 「ラテン散文の父」大カトー [[w:la:Marcus Porcius Cato maior|Marcus Porcius Cato maior]]の著作
;ね
;年代記
#'''[[w:la:Annales (Ennius)|Annales (Ennius)]]''' :「ラテン詩の父」 叙事詩人 [[w:la:Quintus Ennius|Quintus Ennius]] [[ラテン文学の作家と著作/古ラテン語#エンニウス|エンニウス]]の叙事詩
#'''Liber annalis''' [[ラテン文学の作家と著作/黄金期#アッティクス|アッティクス]]がローマの政治史や文学史について著した年代記。
;の
;農耕論(農業論)
*'''[[w:la:De agri cultura|De agri cultura]]''' :(農耕論) 「ラテン散文の父」大カトー [[w:la:Marcus Porcius Cato maior|Marcus Porcius Cato maior]]の著作
;ほ
*'''ポエニ戦争''' →'''[[w:la:Bellum Poenicum (carmen)|Bellum Poenicum]]''' :叙事詩人 [[w:la:Gnaeus Naevius|Gnaeus Naevius]] [[ラテン文学の作家と著作/古ラテン語#ナエウィウス|ナエウィウス]]の叙事詩『ポエニ戦争』
== 脚 注 ==
<references />
== 関連項目 ==
*[[ラテン語学習モジュール]]
**'''[[ラテン語の時代区分]]'''
**'''[[ラテン文学]]'''
***'''[[ラテン文学/ローマ文学の年表|/ローマ文学の年表]]'''
== 外部リンク ==
[[Category:ラテン文学の作家と著作|作家]]
[[Category:ラテン語学習モジュール|文学]] | null | 2020-01-08T12:51:54Z | []
| https://ja.wikibooks.org/wiki/%E3%83%A9%E3%83%86%E3%83%B3%E6%96%87%E5%AD%A6%E3%81%AE%E4%BD%9C%E5%AE%B6%E3%81%A8%E8%91%97%E4%BD%9C/%E8%91%97%E4%BD%9C%E5%90%8D%E3%81%AE%E7%B4%A2%E5%BC%95 |
26,209 | 中学校国語/古典常識 | (※ 三省堂、教育出版の中3)
干支(えと)は、図のように、東西南北の方角とも関連づけされている。むかしの中国や、むかしの日本では、しばしば、干支(えと)が用いられた。
子(ね) = ネズミ
丑(うし) = 牛
寅(とら) = 虎
卯(う) = うさぎ
辰(たつ) = 龍
巳(み) = 蛇(へび)
午(うま) = 馬
未(ひつじ)= 羊(ひつじ)
申(さる) = 猿
酉(とり) = 鳥
戌(いぬ) = 犬(イヌ)
亥(い) = いのしし
(春)
(夏)
(秋)
(冬)
日本の旧暦は、月の満ち欠けを元にした太陰暦である。
現在の暦は、太陽を元にした太陽暦(たいようれき)である。
旧暦と、現在の暦には、季節のずれがある。 旧暦では、1月・2月・3月が春。旧暦の夏は4月・5月・6月である。旧暦の秋は7月・8月・9月である。旧暦の冬は10月・11月・12月である。 | [
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| null | == 干支 ==
(※ 三省堂、教育出版の中3)
干支(えと)は、図のように、東西南北の方角とも関連づけされている。むかしの中国や、むかしの日本では、しばしば、干支(えと)が用いられた。
[[File:十二支と方角.svg|thumb|500px|十二支]]
子(ね) = ネズミ
丑(うし) = 牛
寅(とら) = 虎
卯(う) = うさぎ
辰(たつ) = 龍
巳(み) = 蛇(へび)
午(うま) = 馬
未(ひつじ)= 羊(ひつじ)
申(さる) = 猿
酉(とり) = 鳥
戌(いぬ) = 犬(イヌ)
亥(い) = いのしし
== 日本の旧暦 ==
(春)
:1月 = 睦月(むつき)
:2月 = 如月(きさらぎ)
:3月 = 弥生(やよい)
(夏)
:4月 = 卯月(うづき)
:5月 = 皐月(さつき)
:6月 = 水無月(みなづき)
(秋)
:7月 = 文月(ふみづき)
:8月 = 葉月(はづき)
:9月 = 長月(ながつき)
(冬)
:10月 = 神無月(かんなづき)
:11月 = 霜月(しもつき)
:12月 = 師走(しわす)
日本の旧暦は、月の満ち欠けを元にした太陰暦である。
現在の暦は、太陽を元にした太陽暦(たいようれき)である。
旧暦と、現在の暦には、季節のずれがある。
旧暦では、1月・2月・3月が春。旧暦の夏は4月・5月・6月である。旧暦の秋は7月・8月・9月である。旧暦の冬は10月・11月・12月である。
[[カテゴリ:中学校国語]] | null | 2022-11-25T06:57:32Z | []
| https://ja.wikibooks.org/wiki/%E4%B8%AD%E5%AD%A6%E6%A0%A1%E5%9B%BD%E8%AA%9E/%E5%8F%A4%E5%85%B8%E5%B8%B8%E8%AD%98 |
26,217 | 数学演習/中学校1年生/平面図形 | 右の図で、次のものを示しなさい。 | [
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| null | == 直線・線分・半直線・角 ==
右の図で、次のものを示しなさい。
[[File:中1平面図形1.png|250px]]
# 直線BC
# 線分AD
# 半直線CA
# 角ADB
[[カテゴリ:中学校数学演習|1年へいめんすけい]] | 2019-09-23T03:11:26Z | 2024-03-16T06:48:36Z | []
| https://ja.wikibooks.org/wiki/%E6%95%B0%E5%AD%A6%E6%BC%94%E7%BF%92/%E4%B8%AD%E5%AD%A6%E6%A0%A11%E5%B9%B4%E7%94%9F/%E5%B9%B3%E9%9D%A2%E5%9B%B3%E5%BD%A2 |
26,247 | 中学受験社会/時事 | 本ページ (中学受験社会/時事) では2024(令和6) 年の中学受験生向けに2023 (令和5) 年度の時事を掲載しています。
2023年5月19日から5月21日まで、7年ぶりに7か国で構成されるG7サミットが日本で開催されました。 G7は 日本・アメリカ・カナダ・イタリア・フランス・イギリス・ドイツ の7つの先進国首脳会議です。
近年、AIを用いた文章や画像の生成を行えるインターネット上のサイトが増加しています。
2022年には対話型のAIチャットボットが発表され、大きな話題となっています。
一方で、AIの活用にはさまざまな問題が発生します。
2023年1月、ある飲食チェーン店内での不適切行為を撮影した動画がSNS上で拡散され、批判が殺到し、さまざまなメディアで報道されました。この飲食チェーン店を運営する企業の株価は大幅に下落し、大きな影響を与えています。
2023年度のNHK大河ドラマは 『どうする家康』です。江戸幕府の初代将軍である 徳川家康 を描いています。
2023年度のNHK朝ドラ(連続テレビ小説) の前期(4~9月)は、『らんまん』です。モデルは現在の高知県出身の植物学者の牧野富太郎です。後期(10月~2023年3月)は、『ブギウギ』です。
2024=2*2*2*11*23
過去の時事、および時事問題はこちらのページにあります。 | [
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| 本ページ (中学受験社会/時事) では2024(令和6) 年の中学受験生向けに2023 (令和5) 年度の時事を掲載しています。 | {{Pathnav|メインページ|小学校・中学校・高等学校の学習|中学受験参考書|中学受験社会|frame=1}}
<!-- 編集の際の3原則(仮)
1.必ず中立的な観点での編集を心がけ、独自研究および感想・意見・主張などを書かないでください。
2.中学受験に不要と思われる内容はできるだけ書かないでください。
3.まだ確定していないことはできるだけ書かないでください。 -->
本ページ ([[{{PAGENAME}}]]) では2024(令和6) 年の中学受験生向けに2023 (令和5) 年度の時事を掲載しています。
== 政治 ==
=== ロシアによるウクライナ侵攻 ===
=== 広島G7サミット ===
2023年5月19日から5月21日まで、7年ぶりに7か国で構成されるG7サミットが日本で開催されました。
G7は 日本・アメリカ・カナダ・イタリア・フランス・イギリス・ドイツ の7つの先進国首脳会議です。
=== こども家庭庁新設 ===
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== 社会・経済 ==
=== 新型コロナウイルス感染症(COVID-19) ===
==== 概要 ====
==== 日本および世界の対応 ====
==== 関連することがら ====
* 公共の福祉
* WHO
* グローバル化
=== 国内の出生数、初めて80万人を下回る ===
=== 生成AI研究の活発化 ===
近年、AIを用いた文章や画像の生成を行えるインターネット上のサイトが増加しています。
2022年には対話型のAIチャットボットが発表され、大きな話題となっています。
一方で、AIの活用にはさまざまな問題が発生します。
=== SNSでの迷惑投稿問題 ===
2023年1月、ある飲食チェーン店内での不適切行為を撮影した動画がSNS上で拡散され、批判が殺到し、さまざまなメディアで報道されました。この飲食チェーン店を運営する企業の株価は大幅に下落し、大きな影響を与えています。
=== 日本、WBC優勝 ===
=== ラグビーワールドカップ開催 ===
== 自然・科学 ==
=== 14年ぶりに宇宙飛行士選抜 ===
== 文化 ==
=== 藤井聡太棋士 ===
=== 芥川賞・直木賞受賞者 ===
=== NHK大河ドラマ・朝ドラ ===
2023年度のNHK大河ドラマは 『[[w:どうする家康|どうする家康]]』です。江戸幕府の初代将軍である '''徳川家康''' を描いています。
2023年度のNHK朝ドラ(連続テレビ小説) の前期(4~9月)は、『[[w:らんまん|らんまん]]』です。モデルは現在の高知県出身の植物学者の[[w:牧野富太郎|{{ruby|牧野富太郎|まきのとみたろう}}]]です。後期(10月~2023年3月)は、『[[w:ブギウギ (テレビドラマ)|ブギウギ]]』です。
==== 関連することがら ====
== その他 ==
== 参考 ==
=== 2022年のできごとカレンダー ===
=== 2023年以降に予定されていること ===
* 復興庁廃止(2021年3月末までに実行される予定だったが、2031年への延期が決定)
* 新紙幣発行(2024年上期)
=== 〇年前のできごと ===
=== 2024という数 ===
2024=2*2*2*11*23
== 参考書籍・ウェブサイト ==
== 脚注 ==
=== 注釈 ===
<references group="注釈" />
=== 出典 ===
<references />
== 過去の時事について ==
過去の時事、および時事問題はこちらのページにあります。
* [[中学受験社会/時事/過去]]
{{デフォルトソート:ちゆうかくしゆけんししもんたい}}
[[Category:社会|ちゆうかくしゆけんしやかいししもんたい]]
[[Category:中学受験参考書|ししもんたい]]
{{カテゴリ準備|中学受験社会|小学校社会|ししもんたい}} | 2019-09-28T23:01:34Z | 2023-08-09T13:57:49Z | [
"テンプレート:Ruby",
"テンプレート:カテゴリ準備",
"テンプレート:Pathnav",
"テンプレート:Clear"
]
| https://ja.wikibooks.org/wiki/%E4%B8%AD%E5%AD%A6%E5%8F%97%E9%A8%93%E7%A4%BE%E4%BC%9A/%E6%99%82%E4%BA%8B |
26,248 | GTKプログラミング | プログラミング > GTKプログラミング
「GTK」なんとか(なんとかの部分にはバージョン番号などが入る) という、Gnomeコミュニティによる公式のGUIアプリ開発ソフトがあるので、そのGTKなんとかを使えば、GNOME用のGUIアプリを作れる。2021年現在ではgtk4まで出ているが、現状の本ページでは主にgtk3について説明する。
なので、まずGTKをインストールすればいい。GnomeはLinuxコミュニティで普及しているので、gtkのインストールにはLinux上でgtkをインストールして開発するのがラクである。
GTKは、C言語など既存のプログラミング言語で開発したコードに組み込んで使える。(C言語のコード中に、GTKを呼び出すためのコードを、あなたがテキストファイルなどを用いて追記することになる。)
また、GTKで開発したGUIアプリを試しに使用する場合、通常のC言語の実行ファイル(オブジェクトファイル)と同様に、gccなどのC言語コンパイラでコンパイルして作成出力したオブジェクトファイルを(単にアイコンをダブルクリックするなどして)起動すればいいだけである。
本書では特にことわりのないかぎり、使用OSとして Linux上でGTKアプリを開発することを前提とする。また、GTKやgccを管理しているコミュニティはGnomeというデスクトップ環境を作っている組織(組織名もGnome)なので、本書で前提とするデスクトップ環境は原則的にGnomeとする。
もし読者が、これら技術的な背景の説明がまったく分からないなら、OSS開発ツール/GUIツールキットを読んでから再び本書に戻ることになるだろう。あるいは、当分のあいだはLinux用GUIアプリの開発は諦め(あきらめ) WindowsでWindows APIなどでWindows用GUIアプリを開発するのが良いだろう。
なので、前提として、まずgccなどのC言語コンパイラをインストールしてあり、あなたもgccやC言語などに、ある程度は習熟している必要がある。
C言語には標準C言語のほかにもC++言語やC#などいくつか派生の言語がありますが、GTKが準拠しているのは標準C言語です。
なので、もし読者が C++ や C# を知らなくてもC言語プログラミングとLinuxさえ知っていれば、とりあえずはGTKプログラミングはできます。
まず、GTKの開発環境をインストールする必要があります。もし開発環境をインストールしておかないと、もしもGTK開発環境で定義されている関数を含む自作プログラムがあっても、その自作プログラムのソースコードのコンパイル自体が不可能です(コンパイルしようとしてもエラーになります)。
なお、GTKで開発されたアプリの実行環境と、GTKの開発環境は、別物です。たとえばリナックスのディストリビューションのひとつ Fedora には、GTKの実行環境が標準でインストールされており、そのため、多くのGTK(で開発された)アプリを動かせます。しかし、GTKの開発環境そのものは、Fedoraには標準ではインストールされていません。
Fedora の場合、gtk3-devel など「gtkなんとかdevel」の書式の名前のアプリーケーションが、gtk3対応の開発環境そのもののアプリです。 もし (gtk3-devel でなくて)「gtk3」 だけをインストールしても(初期状態で既に入っているが)、まだgtk3-develはインストールされていない状態です。なので gtk3アプリを開発するためには別途、 gtk3-devel をインストールする必要があります。
そのため、たとえばOSがFedoraなら、GTKの開発環境をインストールするため、コマンド端末で、
などのコマンドを実行して、GTKの開発環境(Fedoraの場合、「gtk3-devel」などの名前)をインストールします。(なお、「gtk3」の「3」は単なるバージョン番号。将来的にもっと高いバージョン番号になる可能性があるので、読者は適宜、判断してください。)
なお2021年現在のFedoraの最新版が搭載しているのはgtk4なので、そのgtk4の開発環境を入れたいなら
でそのまま入る。ただし、gtk3とgtk4は文法が多少違っているので、そのままではコードは使い回しできません。
なおCent OS 7 の場合、
になります(CentOS-7-x86_64-LiveGNOME-1908.iso で確認。)
なお、名前の似ている gtk-devel またはgtk+-devel などと gtk3-devel とは異なる開発環境です。これら名前の似ている異なる開発環境を入れても、コンパイルできない場合がよくあります。
なので、かならず、 gtk3-devel を入れるようにしてください。
gtkにはバージョン3以外にもバージョン2などがあるので、develのバージョンとコンパイル時のコマンド(「gtk+-3.0」の部分)のバージョンとを合わせる必要があること。
その後、テキストエディタで、次のようにコードを書いてください。下記コードは、ウィンドウだけのプログラムです。
gtk3は下記のようなコードになります。(gtk4ではエラーになります。)
GTKは、C言語のライブラリで、ここではC言語から利用するので、拡張子を「.c」にしてC言語のソースファイルとして保存してください。他のプログラミング言語からは、バインドを介して利用できますが、ここでは説明しません。例えば、上記のコードを、テスト用のファイルという意味で「test.c」で保存したとしましょう。
上記のコードを実行できるようにするには、コンパイルする必要があります。
まず、そのために、さきほどの章でも述べたように、OSに開発環境(例えばFedoraなら gtk3-devel など)をインストールする必要がある。
のようなコマンドでインストールできるはずである。もし gtk3-devel などをインストールしてないと、#include <gtk/gtk.h>でコンパイルエラーになる。
さて、上記のソースコードをコンパイルするために、オブジェクトファイル名がたとえば「object」なら、
のようにコマンド端末に入力します。この入力のさい「`pkg-config --cflags --libs gtk+-3.0`」などの設定をつける必要があります。この設定をつけないと、コンパイルエラーになってしまい、コマンド端末から「No such file or directory」(そのようなファイルまたはディレクトリはありません)などとエラー報告されてしまいます。
コンパイルできたら、あとは実行するだけです。 gcc test.c -o object を使った場合、ユーザープロファイルなど出力先として設定されているフォルダーに実行ファイル「object」が作成されていますので、それをダブルクリックするだけで実行できます。
実行すると、作成したウィンドウが表示されます。
なお、上記コード中に
とありますが、前半の「GtkWidget」 とはGTKの提供している型(かた)であり、ウィジェットを扱うための型です。
後半の windowは単なる変数名です。別に「 GtkWidget *variable; 」などと書いても構いませんが、その場合は上記コード中のwindowをすべてvariable に置き換えてください。
コード中の「gtk_window_new」が、GTKでウィンドウを作成する関数です。
例のように「◯◯_new」という関数で、何らかの特徴を持ったウィジェットの ひな形 を作れますので、そうして作ったウィジェットの ひな形 に必要な情報を代入していきます。
作成しただけでは、まだ表示の設定はされていません。
なので、「 gtk_widget_show_all (window);」のように表示の設定を追加する必要があります。
1980年代BASICなどとは違い、GTKでは、けっしてウィンドウを作成しただけではウィンドウを自動表示はしないのです。
GTKでは、ウィンドウの作成と、ウィンドウの表示は、それぞれ別の関数です。なので、ウィンドウを表示したいなら、そのために追加的に関数を記述する必要があります。
さきほど紹介したプログラムと似たようなプログラムですが、単に窓を開くだけのgtkプログラムは、次のようにも書けます。 このように、基本的なプログラムでも、何通りかの書き方があります。
さきほどの説明と似たような内容ですが、基本的な重要テクニックなので、復習するのも良いでしょう。
このソースコードのファイル名が「test.c」なら、コンパイル時には、
のように、フラグをつけて(「`pkg-config --cflags --libs gtk+-3.0`」の部分)コンパイルすること。単に「gcc test.c」としても、コンパイルエラーになって中断してしまう。
を単体で実行してみるとヘッダーファイルへのパスやライブラリやライブラリのパスなどをせっていることがわかります。
エラーなくコンパイルできたら、オブジェクトファイルをダブルクリックするなどして実行すると、ウィンドウが表示される。表示されたウィンドウのタイトルは、オブジェクト名と同じである。つまり、ウィンドウ名は「test」になっている。
ためしにコンパイル時にオブジェクトファイルの名前を「wiki」に変えてみて
を実行し、作成されたオブジェクトファイルwikiを実行すると、表示されるウィンドウのタイトルも「wiki」になっている。
ここでは、このプログラム(単に窓を開くだけのgtkプログラム)の説明を行ないます。
2行目で、gtk_init()は、g_type_init()を含んだ全体的な初期化を行ないます。gtkを利用する場合には必ず最初にこの関数を呼ぶ必要があります。また、argcとargvを引数として使っていますが、この引数は省略できないので、必ずargc,argvを定義するようにして下さい。
3行目にある「GtkWidget」は型名であり、名前が事前に決まってるので、勝手に名前を変えてはいけません。
3行目ではGtkWidget型の要素*win の定義を、行っています。
3行目ではgtk_window_newというライブラリ関数を使用しています。このgtk_window_newは、CPlusPlusを使った経験があるなら、たとえるなら gtkのwindowのnew関数のようなものです。ほぼ予想される通りの動作をします。(C++では、あるクラスのnew関数はそのクラスの変数を動的に確保し、確保した変数のポインタを返します。)
簡単な例として、ウィンドウ内のタイトルバー下の任意の位置に、文字を表示してみましょう。
下記の例のように「◯◯_new」という関数で、何らかの特徴を持ったウィジェットの ひな形 を作れますので、そうして作ったウィジェットの ひな形 に必要な情報を代入していきます。
さて、座標を指定して文字表示できるようにするには、
作成した文字列の代入は、 gtk_label_new で作ったウィジェットで可能です。
そして最後に gtk_widget_show_all 関数で、表示したいウィンドウを指定することにより、そのウィンドウごと文字列などを表示するだけです。
ラベル・ウィジェットは文字列しか表示できないので、数値計算の計算結果を表示するには、文字列への変換が必要です。
C言語の標準ライブラリ関数 sprintf は数値型などを文字列に置き換えることのできる関数ですので、この関数のgtk版であるg_sprintf関数と、ラベル書き換え関数であるgtk_label_set_text関数を組み合わせることによって、なんらかの計算結果の数値もGTKアプリのウィンドウに文字列として表示可能です。
sprintf を使ったウィンドウでの変数表示のテクニックはGTKだけでなくWindowsでもWin32APIプログラミングで使うテクニックなので覚えておきましょう。( 正確には、Windowsでのウィンドウでの文字表示では _stprintf_s を使う。)
また、前提としてGTKでは数値の変数型としては gint型 や gchar型 を使います。これらは、それぞれ、C言語のint型およびchar型のgtk版の型です。
なお、コード中の計算内容にある型の宣言では、じつは、べつに gint や gchar や g_sprintf を使わなくとも、単なるC言語の int 型 、char型、sprintf を使ってもコンパイルできてウィンドウを作成できます。
ですが、 単なる sprintf 関数は gint などgtk版の型を認識しないので、もしも gint型 や gchar型 を使ったら必ず(sprintfでなく) g_sprintf で変換してください。
ウィンドウのサイズは、 gtk_widget_set_size_request(window, 640, 480); で指定できます。
ネット上では、
と続けて、 { } 括弧で括られたブロックが書かれる場合がありますが、この括弧は限定のスコープを作るためのもので、必要ないなら無くても構いません。 実際、下記コードのように gtk_widget_set_size_request の後に { } の無いコードを書いても、コンパイル可能であり、正常にウィンドウサイズが更新されます。(Fedora 28 で動作を確認ずみ。)
上記のコードのように、メインループgtk_main()までの設定をもとに、メインループgtk_main()でウィンドウなど作成したGUIアプリを表示しつづけます。
メインループがないと、そのまま関数の最後に到達して終了してしまうので、何もウィンドウは表示されません。
ループといっても、ウィンドウ表示中に他の作業もできますので、安心してください。
手前にある gtk_widget_show_all 関数は、ウィンドウ表示の関数ではなく、メインループ実行時にウィンドウ表示することを設定する関数です。
さて、上のコードの例ではGtkFixedウィジェットを作成しボタン、ラベルのウィジェットをGtkFixedウィジェット内に配置しています。このようにウィジェット内のどこにでも他のウィジェットを収納できるウィジェットがGtkFixedウィジェットです。
実際にはgnome-panelの中でもGtkFixedウィジェットが使用されており、"オブジェクト"の配置を自由な位置に行うために役立っています。ただし、GUIを提供する以外に他の項目を設定するために、GtkFixedクラスを継承する形でウィジェットが提供されています。
実際に提供されているウィジェットはPanelWidgetウィジェットと呼ばれ、ソースコード中では./gnome-panel/panel-widget.hで定義されています。このクラスに対応する構造体は最初にGtkFixedを持っていますが、これとCの機能を使うとw:en:glibでいう"継承"を行うことができます。詳しくはOSS開発ツール GUIツールキットを参照してください。
ここまでで、gnome-panel内で"オブジェクト"の配置はGtkFixedクラスの機能によってなされていることが分かりました。他に興味ある点としては、個々の"オブジェクト"がどのように定義されているかや、オブジェクトを導入するための操作などがあります。例えば、"オブジェクト"が配置できる部分を右クリックすると、メニューが開き、追加するオブジェクトを選ぶことができます。この操作はGtkMenuなどで提供される機能ですが、実際にソースコード中でどのようにGtkMenuが用いられているかも調べることができます。
図形として線分を表示したり、円などを表示する機能は、図形描画ライブラリが担当している。
最近のGTKでは、図形描画ライブラリにcairoというフリーの画像描画ライブラリを採用している。特に追加インストールすることなく、cairoの図形描画関数が使用できる。 cairo自体は、GTKとは別のアプリなので、詳細はcairoの入門書を参照のこと。
コード例を示すと下記のようになります。
2019年の現在、GTK3で cairo を使うと、いくつかのライブラリ関数を別の関数(たとえば gdk_window_begin_draw_frame() など)に置き換えるようにコンパイラを介して警告されます
が、しかし、
これらの関数( gdk_window_begin_draw_frame() など)は Gnome開発者が使うものであるので(IRCでGnome開発者がそう解答した(2020年4月26日、日本時間で9時ごろ) )。なので 一般の GTKアプリケーション製作者は、この関数( gdk_window_begin_draw_frame() など)は用いないとの事である。
今後は、別の方法に置き換わっているとの、Gnomeの解答のこと。
gdk_cairo_create からの新方式への移行ガイドラインについては
を参照せよ、との解答。
いまのところGTK開発元のGnomeコミュニティが、ロクに それらのライブラリ関数のマニュアルを整備してない状況です(形式的にリファレンス。
なお、上記コードは Fedora31 および31以降ではバグります。
もし将来的にcairoが使えなくなったら、フォークするか、でなければGTKでなくQtなどの別のデスクトップ環境に移行しましょう。どうせ組込系ではGTKよりもQtのほうが主流です。
この文章は要らないですね。マニュアルにちゃんと書かれてますよ。あと、基本ボランティア活動なんですから、文句があるなら、あなたも協力したらいかがですか?折角の素晴らしいチュートリアルなのに、この辺のせいですっかり台無しです。
ちなみに、上記のコード例の場合、このように警告されます。
GTK3 では、まず main 関数側で、図形の描画をできるように設定を宣言する必要があります。
なお、ネットに転がってるコード例をみると、cairo の呼び出し方では、一般に任意の自作の関数(上記のコード例では kansuu)を介して cairo を呼び出します。
cairo による図形描画プログラムを作成するとき、windows APIプログラミングでいうところのハンドルのような物を宣言する必要があります。
上記コードでは
で、ハンドル作成しています。
なお、関数宣言のさいの static gboolean kansuu(GtkWidget *widget1, cairo_t *handle, gpointer abcde) の際に、すでに引数として cairo_t *handle のように宣言されており、この時点ですでにハンドル作成などのための必要なメモリの確保を行っているものと考えられます。
cairo_t型とは、ハンドルのようなものを定義するための型です。そもそも一般的にC言語では、型の宣言とは、メモリの確保でもあります。
ともかく、cairo_t型の宣言のさいに既にメモリは確保されているので、あとは実際にハンドルの作成をすれば済むだけなので、 よって
で、実際にハンドル作成を実行するわけです。
この画像描画の説明でいう「ハンドル」とは、たとえるなら絵を書くときのキャンバスのようなものです。
線を引いたりなど図形を描画するときは、初心者には わずらわしいですが、どのハンドル(キャンバス)に図形を描画するのかを、各関数で宣言する必要があります。
GTKでは図形の性質の定義と、実際に図形の描画を実行する関数とは、異なる関数になります。(Winodws APIと同様。)
cairo_stroke の関数で、実際に線分の描画を実行します。
そして、使用し終わったら、destroy でハンドルを破棄するのが一般的です。(メモリの圧迫を防ぐため。)(Winodws APIでも同様に、使い終わったハンドルは破棄を宣言する。)
GdkWindowに対して、gdk_cairo_create関数を使うことで、w:Cairoライブラリの描画コンテキストを得ることができます。ここで、Cairoは2D描画用のライブラリで、GTK+2が依存しているライブラリの1つです。gdk_cairo_create関数を使うと、GtkDrawingAreaウィジェットの中で、Cairoの描画関数を用いた図形の描画ができます。
Cairoライブラリには、GDKに存在しない描画機能があります。例えば、GDKの描画関数にはw:ベジエ曲線を描くための関数は存在しません。Cairoライブラリにはこれを描くための関数が用意されています。GtkDrawingArea内で、これらの機能を利用したいときにはCairoライブラリを使うとよいでしょう。
Cairoライブラリを使う場合には、expose_cbは次のようになります。まず最初にGdkWindowからCairoコンテキストを作ります。
cairo_t*はCairoコンテキストで、Cairoの関数によって画面の描画を行える長方形です。gdk_cairo_create関数はGdkWindow*を引数に取り、GdkWindow*の全体からCairoコンテキストを作ります。Cairoコンテキストは描画が終わった時に、cairo_destroy関数で解放する必要があります。
Cairoの関数はCairoコンテキスト内に"パス"を作成します。例えば、ある点(x,y)から(a,b)に向けた直線を引く場合を考えます。この場合、Cairoコンテキストに対して、1つの直線のパスを作ります。
Cairoコンテキストには"現在の位置"という量があります。まず最初に、"現在の位置"をパスの先端に動かし、その後位置をパスの後端に動かします。パスの先端に動かすには、cairo_move_to関数を使います。
次に、cairo_line_to関数でCairoコンテキスト中にパスを作成します。
これによって(x,y)から(a,b)へのパスをひくことができます。実際にこの直線を描画するには、cairo_stroke関数を使います。
描画する際に色を変えることもできます。このためには、cairo_set_source_rgb(a)関数を使います。最後のaはw:アルファチャンネルを表すパラメータです。これらの関数は
または、
で表されます。ただし、R, G, Bは、0-255ですが、Aは0-1で表されます。
また、描画の色はパスに対して設定することはできないため、パスを定義した後 色を変えたとしても、cairo_strokeを実行する前なら、パスの色は変更した後の色で描画されます。
cairo_move_to, cairo_line_to以外に、cairo_rel_move_to, cairo_rel_line_toという関数もあります。これらの関数は対応する関数と同じ働きをしますが、移動の位置を"現在の位置"からの相対位置で決めます。
Cairoの関数は対応するw:PostScriptの関数と等しくなっています。例えば、三角形を描くPostScriptファイルは次のようになります。
moveto, lineto, strokeはそれぞれ対応するCairoの関数と似た働きをします。
他に、パスを作る関数として、cairo_rectangle, cairo_arc関数などがあります。これらの関数についてはCairoのリファレンスを参照してください。
w:ベジエ曲線は一般的な3次曲線で、w:ベクタ図形を記録するためによく用いられます。例えば、w:PostScript、w:SVGは曲線としてベジエ曲線を使っています。
ベジエ曲線を使う関数はcairo_curve_to, cairo_rel_curve_toの2つです。具体的には、cairo_curve_toは次のように使います。
は"現在の位置"から(x3, y3)まで曲線をひきます。曲線の曲がり具合は、(x1, y1),(x2,y2)によって定めます。これらの点については、Cairoのリファレンスとw:ベジエ曲線を参照してください。
ここからは、個々のオブジェクトについて詳しく調べていきます。gnome-panelの多くの設定で使用されているオブジェクトに、"メニューバー"があります。
このオブジェクトはアプリケーションメニューと場所メニュー、アクションメニューの3つのメニューから構成されています。それぞれのメニューをクリックすると種々のメニューが提供されます。アプリケーションメニューではシステムに存在するアプリケーションの起動が扱われ、アクションメニューでは"画面のロック"や"ログアウト"などのGNOMEデスクトップ全体に関わる事柄が扱われます。
メニューバーは大抵の設定でただ1つだけパネル内におかれているので、この部分は動かせないと思われがちです。しかし、実際にはこの部分は取り去ることが可能であり、またパネル内に複数置くことも可能です。
メニューバーのクラスはソースコード内では./gnome-panel/panel-menu-bar.hで定義されています。この中のPanelMenuBar構造体を確認すると分かる通り、このクラスはGtkMenuBarを継承しています。そのため、このクラスは基本的にGtkMenuBarと同じ動作をします。GtkMenuBarを使ったサンプルとして次のようなメニューの例があげられます。
GtkMenuBarはGtkMenuItemを書き込むことでメニューを作成することができるウィジェットです。 上の例はmmmという名のメニューを作成し、それをクリックしたときlllと書かれたメニューを表示し、更にその中のlllと書かれた部分をクリックすることで関数menu_cbを実行するというプログラムです。メニューの項目は増やせるので、コールバック関数をいろいろなアプリケーションの起動を行う関数とすることで、ランチャーの役目を果たすアプリケーションとすることができます。
gnome-panelではパネルの各所を右クリックすることでポップアップメニューを得ることができます。この操作はGUIを使った操作としてはよく見られるもので、どのように実現されるかが気になる所です。実は、この操作はGTK+のクラスであるGtkMenuの操作として典型的なものです。ここではGtkMenuのポップアップの例を見るとともに、実際にこの操作がどのようにgnome-panel中で用いられているかを見て行きます。
GtkMenuのポップアップの例として、次のサンプルをあげます。
上の例では"lll"と書き込まれたメニューを作成した後、そのメニューをgtk_menu_popupによって表示します。メニューが表示される場所はgtk_menu_popupの引数によって変更できるのですが、上の例ではgtk_menu_popupが実行された時点でのマウスカーソルの場所になります。実行例を見るとわかるのですがこの例は何も無い部分に突然メニューが表示されるため、やや非直観的です。普通の例ではGtkWindow等のマウスイベントを設定し,マウスのボタンが押されたときにメニューが表示されるようにします。ただし、GtkWindowは通常ではマウスのボタンに対応するイベントを持たないため,その点を補う必要があります。 このためには、gtk_widget_add_eventsかGtkEventBoxを使う方法がありますが、ここではgtk_widget_add_eventsを用いる方法を述べます。GtkEventBoxについてはGTK+のリファレンス等を参照してください。以降の説明ではある程度Xプログラミングの経験があると理解が容易になります。
gtk_widget_add_eventsはウィジェットがGTK+の背後で動いているウィンドウシステムから、新しいイベントを得るように設定する関数です。背後のウィンドウシステムの代表例はw:X Window SystemですがUnix系のシステムでないなら他のものになることもあります。GTKではウィンドウシステムの値を直接使わなくてもすむよう、w:GDKというライブラリを用いています。GDKはGTK+とともに配布されるライブラリです。
gtk_widget_add_eventsでは引数として(GtkWidget *, GdkEventMask)を取ります。ここで、EventMask(イベントマスク)は対応するイベントをXなどから受け取るかを定めるビット列です。例えば,Xを用いてイベントを処理する場合にはXSelectInputなどを用いますが,この関数の引数としてイベントマスクが用いられます。詳しくはXプログラミングを参照してください。ここで扱うGdkEventMaskも同種の値です。
実際にマウスボタンのイベントを見るには,GdkEventMaskとしてGDK_BUTTON_PRESS_MASKを用います。結局GtkWindowを作った後,
を実行すると,ウィンドウ内でマウスボタンの操作を見ることができるようになります。この関数の後には,GTKのイベントである"button_press_event"を用いてマウスのボタンを扱うことができます。
ここまでのことを用いて,メニューを作成してからメインループに至るまでの部分は次のようになります。
ただし、menuは上で作成したGtkMenuと同一です。ここで、window_button_cbは次のように与えます。
アプリケーションの起動を行うためには、 コールバック関数として定義された関数(上の例ではmenu_cbと与えられている)の中で、新たな"プロセス"を作る必要があります。"プロセス"はOSが複数のアプリケーションを同時に動かすときの単位で、それを作る方法はOSによって異なっています。Unix系のOSではプロセスを作る関数は大抵w:forkと呼ばれます。forkはプロセスを作成し、新たに作成されたプロセスのIDを返します。また、作成されたプロセスで実際にあるアプリケーションを起動する関数として、Unix系のOSではexec系の関数が与えられます。execは与えられる引数によっていくつかの似た関数が提供されます。
実際にそれぞれのメニューバーの項目に対応するコールバックを設定する操作は、./gnome-panel/panel-menu-item.c内の関数panel_menu_items_append_from_desktop内で行われています。この関数は第1引数にメニューの項目、第2引数に起動するアプリケーションの名称を取り、これを新たに作成したメニューの項目に与えています。
既にメニューの項目をクリックしたときの動作を与える方法として、
を使う方法を紹介しました。ここで、menuitemはここで内容を与えるメニュー項目であり、menu_cbは実際にこのメニューの項目がクリックされたときに実行させたい関数です。指定したアプリケーションを起動して、新たなプロセスを実行するためには、この関数はforkやexecを用いる関数である必要があります。
g_signal_connectはw:en:glibで定義された関数で、"シグナル"が定義されたGObjectクラス及びそれを継承したクラスに対して、コールバック関数を与える関数です。ここで、"シグナル"はおおよそコールバック関数と同じ意味で、Unixでいう"シグナル"(他のプロセスに影響を与える機構)とは無関係です。
panel_menu_item_append_from_desktop内でもこの関数が用いられており、コールバック関数として同じファイル内で定義された、関数panel_menu_item_activate_desktop_fileを取ります。この関数はクリックされたメニュー項目の情報に加えて、そのメニュー項目がクリックされたときに実行されるべきアプリケーションの名称を引数として受け取ります。ここで、この関数はアプリケーションの名称を引数として与えながら、関数panel_ditem_launchを呼びます。launchの名から分かる通り、この関数は実際にアプリケーションの起動を行います。launchは"起動する"、"発射する"などの意味を持つ英単語です。
ここまでも既に長い道のりでした。しかし、ここから実際にforkが呼ばれるまでに、更にいくつかのライブラリを見る必要があります。ある意味でlaunchと名の付いた関数を見付けた時点で、この関数がプログラムの実行を行う可能性は高いため、そこで探索を終える方法もあるでしょう。ここでは、一応最後まで関数の流れを追ってみます。
panel_ditem_launchは、./gnome-panel/panel-util.c内で定義されています。この関数はいくつかの準備を行った後、関数gnome_desktop_item_launch_on_screenを呼びます。実はこの関数はgnome-panel内の関数ではないため、ソースを読もうと試みる人は、この関数が定義されたソースを求めて方々を探す必要があります。実際にはw:googleなどを試してみるのがよいでしょう。
実際にこれを探すと、関数gnome_desktop_item_launch_on_screenは、gnome-desktopというライブラリ内の関数だとわかります。このライブラリもGNOMEのサイトから提供されているので、必要ならダウンロードしてください。実際には、この関数は、gnome-desktop-x.x.x/libgnome-desktop/gnome-desktop-item.cで定義されています。
この関数ではいくつかの引数のチェックを行った後、同じファイル内の関数ditem_executeを呼びます。この関数は関数の名前の最初に、gnome_desktop_...がついていません。このような関数は大抵staticをつけて宣言されており、そのファイル内だけで用いられる関数です。これは、staticをつけた関数は外部からは参照できないことを利用しています。他のファイルの関数名と重複することがないため、単純な名前でもよい訳です。
ditem_executeは様々なチェックなどを行った後、関数g_spawn_asyncを呼びます。この関数はg_から始まっていますが、GNOMEのアプリケーションでこの名称が出て来た場合、この関数は大抵w:en:glibの関数です。例えば、コールバックを与える関数であるg_signal_connectがglibの関数であることは既に述べました。
多くの関数をたどって来ましたが、g_spawn_asyncは事実上最後の関数です。この関数はglib-x.x.x/glib/gspawn.c内で定義されていますが、この関数はいくつかの関数を経て、関数fork_exec_with_pipesという関数を呼びます。この関数は名前の通りforkとexecを呼ぶ関数です。
ここまでで一応gnome-panelのメニュー項目がクリックされてから、実際に新たなプロセスが作成されるまでの道のりを見て来ました。もちろんただプロセスを作ることが目的なら、gnome-panel内で直接forkを呼ぶことも可能です。敢えてライブラリを使うのは、例えばw:Windowsを使うときにはこの方法が使えないことがあげられます。これは、Windows上でプロセスを作るときにはforkではなく別のw:Windows APIを使う必要があるからです。実際glibのgspawn.cがあるディレクトリ内には、gspawn-win32.cというWindows向けの関数も定義されており、glibライブラリをクロスプラットフォームライブラリにするよう試みているようです。
ここまでで一応ランチャーとしての役目を果たすための機能を見て来ました。メニューを表示し、そのメニュー項目と対応するアプリケーションを起動することは、ランチャーの機能としては基本的です。ただし、ランチャーが扱えるアプリケーションは、プログラムのふるまいを外部から制御する機構がないのなら、ランチャーを作った人間がプログラム内に書き込んだアプリケーションに限られます。これでは新たなアプリケーションが加わった時にランチャーの振舞いを拡張することができないことになり、不便です。
ソフトウェアの動作を制御するためには、"設定ファイル"を使った方法がよく用いられます。例えば、XサーバやWebサーバ の動作を変更するために、これらの設定ファイルを書き直すことは特にホビーとしてのPC-Unixではよく行われます。
ただし、アプリケーションの動作を制御するために設定ファイルを使った方法を用いる場合には、その設定がアプリケーション内に取り込まれるタイミングが重要になります。例えば、設定ファイルを読む操作がアプリケーションの起動時にしか行われない場合、設定ファイルを変更した後アプリケーションの動作を変更するには、設定ファイルを書き直すたびに対応するアプリケーションを起動し直す必要があり、少し不便です。
より進んだ方法では、設定ファイルを書き直した後、そのことをアプリケーションに伝達する機構を用意しています。ここで、設定ファイルを書き直すプロセスは、一般には設定ファイルを利用するプロセスとは異なっています。このため、設定が変更されたことをその設定を使用しているアプリケーションに伝達するには、"プロセス間通信"の機構を用いる必要があります。
プロセス間通信は異なったプロセスの間で情報を伝達する機構です。この機構もプロセスの操作と同様OSによって提供される機構であり、異なったOSでは異なった動作をします。Unixにおける代表的なプロセス間通信には、w:ソケットを使った方法があげられます。ソケットは異なったプロセスからの情報を受け取るための一般的な機構ですが、これは異なったコンピュータ上にあるプロセスに対しても用いることができます。例えばLinuxでは、w:TCPの通信を行うためのソケットを提供していますが、この通信手法はw:インターネットのあらゆるサービスを提供するための手法として用いられています。
GNOMEでは、設定を扱うためにw:en:gconfと呼ばれるライブラリを利用します。これは、設定を扱うための1つのサーバ(gconfd)を導入し、そのサーバに、サーバ上の設定を参照しているgconfクライアントを記憶させておき、設定が変更された際に、そのことをgconfクライアントに伝える機構です。簡単な例では、gconfdが保持している設定は利用者のホームディレクトリ~の~/.gconf/以下に記録されます。
Unixの"シェル"では、利用者のホームディレクトリを~の記号で表します。設定によるのですが、このディレクトリは大抵/home/user_name/以下におかれます。ただし、user_nameはそのコンピュータに登録されている利用者の名前です。PC-Unixでは大抵利用者はそのパソコンの所有者1人だけなので、/home以下に直接設定ファイルをおけばよいようですが、多くの利用者が異なった設定でgconfを使う場面を想定してこのような作りになっています。
実際のシステムでは~/.gconfは次のようになります。
これはfedora core 5での~/.gconf/内のファイルを表示した例です。ここには2つのディレクトリしかありませんが,apps/以下にはw:en:Eye of GNOME, w:geditなどの各種アプリケーションの設定が記録されています。これらはそれぞれ
などの名前を与えられています。
gconfの動作を見るために、gconfが提供するツールを使った実験をしてみます。gconfはGConf-x.x.xというライブラリとしてGNOMEのサイトから配布されているのですが、その中には、GConf-x.x.x/gconf/gconftool.cで与えられるファイルが存在します。ここで、GConfのバージョンはGConf-2.14.0を使いました。このファイルは、gconfの設定内容を変更したり参照するための簡単なツールを提供します。このツールはgconftoolと呼ばれます。
ここでは、このツールを用いてgconfを使ってみます。既に~/.gconf/の中を見てみました。ここでは、gconftoolを使ってこのディレクトリ以下に新たな設定項目を作ります。もちろんこの項目は実際にアプリケーションで使われる項目ではないのですが、gconfの動作を見る上では便利です。具体的には、~/.gconf/以下に、/aaa/bbbという項目を作ります。ここで、/aaaは項目が配置されるディレクトリ名を表し、bbbが実際に記録される設定の名前です。もちろんこの階層はいくらでも深くすることができますが、ここではこの程度でよいでしょう。
また、gconfで設定される項目には"型"が必要になります。"型"にはint, bool, float型がなどがあります。これらのうち、intとfloatはC言語の対応する型と同じで、intは整数、floatは実数を表します。boolは例えばCPlusPlusなどでは導入されているのですが、"真"、"偽"の2つの値だけを持つ型です。C言語では1 を"真"、0を"偽"などとしてint型で代用することができます。ここでは、bbbの型はboolで、値を"真"、つまりtrueとします。
具体的に、/aaa以下にbool型の項目bbbを値trueで設定するには、
とします。ここで、-sは項目を指定するための引数であり、-tは項目の型を指定する引数です。
実際にこの操作を実行すると、~/.gconf/は次のようになります。
新たにaaa/というディレクトリが加わっている様子がわかります。aaa/内のファイルを表示すると,
が得られます。ここではgconfの設定はw:XMLファイルに記録されています。この中身は,
で与えられます。この中では3行目の"bbb", "bool", "true"から、上で扱った内容が記録されている様子がわかります。
ここまででgconfの基本的な使い方を見て来ました。gnome-panelでもパネル内のどの位置にどのオブジェクトが配置されているかなどをを記録するために、gconfを用いています。ここではまず、gnome-panelがどのようにgconfdから設定を受け取り、設定への変更を取得しているかを見て行きます。
ここではgnome-panelがどのように起動するかを見て行きます。通常のアプリケーションと同様、gnome-panelは起動時に設定を参照してどこにオブジェクトを配置するかなどを決めます。この設定は設定ファイルではなく、gconfを用いて行われるのですが、ここでは実際にアプリケーションの起動時にどのようにgconfが用いられているかを見て行きます。
大抵のGNOMEアプリケーションではアプリケーションの起動はmain関数から始まります。これは普通のCプログラムと同じです。一方、w:Windows APIを用いたWindowsのcプログラムでは、アプリケーションはWinMain関数から始まります。これはGUIアプリケーション一般の性質という訳ではないので注意してください。
そのため、アプリケーションの起動の様子を見るためには、このアプリケーションのmain関数を探す必要があります。gnome-panelでは、./gnome-panel/main.cに、アプリケーションのmain関数が定義されています。main関数では各種の初期化や設定が行われているのですが、その中でgconfとの相互作用を扱う関数として、関数panel_profile_loadが呼ばれています。この関数は、./gnome-panel/panel-profile.c内で定義された関数で、"いくつのパネルがあるか、それぞれのパネルにはどのようなオブジェクトやアプレットが配置されているか"などの各種情報をgconfdから受け取り、対応するウィジェットを作成しています。
実際には関数panel_profile_loadの最後で、関数panel_applet_load_queued_appletsが呼ばれています。 この関数は、./gnome-panel/applet.c内で定義されていますが、おおよそ関数panel_applet_load_idle_handlerを呼び出す関数です。panel_applet_load_idle_handlerもapplet.c内の関数ですが、この中では追加されたオブジェクトのタイプに対して、動作を変更するための、大きなswitch文が用いられています。switch文はC言語の制御構造の1つで、複数の条件があるときに、それらの条件に対して場合分けを行う文です。詳しくはC言語内の説明を参照してください。このswitch文はgconfが与えた内容に対して作成するウィジェットを変更するための場合分けで、これ以降各ウィジェットを作成する手順はウィジェットの種類によって様々です。 具体的には追加されたオブジェクトが"メニューバー"だった場合にはpanel_menu_bar_load_from_gconfを呼んでいます。この関数は設定に従って対応する"メニューバー"オブジェクトを作成する関数です。この関数の詳細を追うこともできますが、一応gconfの設定を読んだ後に、設定に応じて各種のオブジェクトを与える過程が得られたので、アプリケーションの起動に限った話はここまでとします。
ここまでで、gnome-panelが起動するときに、gconfが与える設定に従って、各種ウィジェットを見分ける方法を見て来ました。実際にはgnome-panelはgnome-panelが動作している最中に設定が変更されても、それに対応してウィジェットを作成する機構を持っています。これはgconfの機能を活用した機構です。
具体的には、gnome-panelはパネルの自由な位置に利用者が指定したオブジェクトをgnome-panelを再起動すること無く導入するためのGUIを持っています。このGUIは、gnome-panelの設定の変更とそのことのgnome-panelへの伝達を同時に行っており、設定を変更するたびにgnome-panelを起動しなおす手間を省いています。 ここでは、このGUIを用いて、gnome-panelに各種オブジェクトを配置する方法を見て行きます。
まず、gnome-panelの設定を変更するためのGUIとして、gnome-panel/panel-addto.c内の関数が用いられています。このファイル内の関数はGtkDialogを用いて利用者からgnome-panel内で変更したい設定を取得しようとします。ここではこのウィジェットをAddToダイアログと呼びます。
ここで、GtkDialogはGtkWindowを継承したクラスで、GtkWindowに"OK", "キャンセル"などの各種ボタンを与えるクラスです。一般的なGtkDialogの例として、次のようなサンプルがあげられます。
AddToダイアログの動作はgconfの機能を使っています。具体的には、gconfの設定のうち、オブジェクトの種類や配置が記録されている部分にgconf_client_add_dirを使い、その値が変更されたときのコールバック関数を登録するために、gconf_client_notify_addを使っています。具体的には、これらの関数は既に見た関数panel_profile_load内及びそこから呼び出された関数内で用いられています。
関数panel_profile_loadは、途中でgconf_client_add_dir関数を呼び出しています。ここで指定するgconfの階層は、/apps/panel/generalです。この階層以下には、パネルの数やオブジェクトの位置などが記録されるため、オブジェクトの数を確認するためにはこの部分の変化を見ておく必要があります。
ここで実際のgnome-panelでの例を示します。実際にgconfの設定を見るためにgconftoolを用います。gconftoolで対応するディレクトリ以下の設定項目を見るには,
とします。
gnome-panelの設定を見るためには、あらかじめgnome-panelをできるだけ単純に設定しておくと後が楽になります。ここでは、パネルは1つだけを残して全て取り去り、残ったパネル内のオブジェクトも全て取り去りました。この操作は対応するパネルやオブジェクトを右クリックし、対応するメニューを用いることで行えます。また、最後のパネルを消そうとすると、メニューが表示されなくなるため、全てのパネルを消し去ることはできません。パネルを右クリックした場合新たなパネルを追加するメニューが表示されるため、それを用いて新たにパネルを加え、設定を元に戻すことができます。
実際にこの設定にした後,上のコマンドでディレクトリ名として/apps/panel/generalを用いると
などの出力が得られます。ここで、object_id_list、applet_id_listはそれぞれパネルに含まれるオブジェクト、アプレットを表します。ここでは、オブジェクトを1つも用いていないので、これらは空欄となります。一方toplevel_id_listはパネルがいくつあるかを示すリストです。ここではただ1つのパネルを用いているため項目は1つだけとなります。後にわかるのですが、panelが複数になった時にはこの部分にpanel_2, panel_3, ... などの項目が追加されます。ここで、1, 2, 3などの数字はidと呼ばれます。この用語はtoplevel_id_list等の名前にも用いられていますが、以降のソース内の関数名にも何度か用いられます。
これで、オブジェクト、アプレット、パネルの数がどのように記録されているかがわかりました。更にこれらの設定の詳細については/apps/panel以下の各ディレクトリに記録されています。例えば,/apps/panel/toplevelsにはパネルの設定が記録され、/apps/panel/appletsにはアプレットの設定が記録されます。例えば/apps/panel/toplevels/panel_1の設定を見ることもできますが、設定項目の数が多いのでこれらの詳細には触れません。比較的意味が取りやすいものでは、
などがあります。これらは、それぞれパネルの幅(単位はピクセル)、パネルを画面中でどの位置に置くか、カーソルが置かれていないときパネルを隠すかどうかに対応します。これらはどれもパネルの右クリックメニューから扱うことができる"プロパティ"によって設定できる項目です。
次に、パネルの数とアプレットの数を増やして同じ操作をしてみます。ここではパネルを2枚にし、メインメニュー、時計、通知スペース、ウィンドウの一覧、デスクトップの表示などの各種オブジェクトを追加しました。ただし、パネルの位置はそれぞれ上と下とし、オブジェクトのうち最初の3つは上のパネルに加え、後の2つを下のパネルに加えました。この場合/apps/panel/generalでの出力は
のようになります。ここで上では5つのオブジェクトを加えたのに、設定ではオブジェクトが1つでアプレットが4つとなっています。実際にはアプレットもオブジェクトの一種なのですが、アプレットは他のオブジェクトと比べてかなり動作が異なるので、アプレットは別に扱われます。
具体的にはアプレットはソース内ではOBJECT_BONOBOなどと呼ばれます。ここで、BONOBOはアプレットを扱う技術の名前なのですが、この技術は単純にはプロセス間通信を用いた技術です。実は上の時計などのアプレットの本体は、gnome-panelのプロセスとは別のプロセスとして存在します。例えば,時計が動いているgnome-panelが存在する時には,常にclock-appletというプログラムが動いています。具体的には、対応するpsコマンドの出力には、
などの出力が含まれます。ここで注目してほしいのは、中間の/usr/libexec/以下の各項目です。これらは上から順に通知スペース(notification-area)、時計(clock), ウィンドウの一覧に対応するプロセスです。BONOBOのライブラリであるlibbonoboについてはここでは深くは扱いません。w:en:bonobo (computing)、などを参照してください。
ここでは更に、/apps/panel/objectsやa/apps/panel/appletsの中身も見てみます。上で導入したオブジェクトの中でメインメニューはオブジェクト(アプレットでない)なので、/apps/panel/objects内に記述があるはずです。実際にこの項目を見ると、
などの項目が与えられます。この中で、object_1はメインメニューに対応するオブジェクトのはずですが、menu-barの名前が3行目にあるので、確かにこのオブジェクトがメインメニューに対応することがわかります。他にpositionはメニューの位置を表し、toplevel_idはこのオブジェクトがどのパネルに含まれるかを表します。panel_1は上側のパネルなのでこれで正しいわけです。他にlockedという項目がありましたがこの項目はおそらくそのオブジェクトが"ロック"されているかを表します。"ロック"はオブジェクトの移動を禁止する機能で、右クリックメニューから選ぶことができます。
更にアプレットについては次のような項目が存在します。
ここで、object_typeはbonobo-appletとなっていますが、この項目はアプレット全般に対して用いられます。また、toplevel_idとpositionについては既に扱いました。最後にbonobo_iidですが、これはBONOBOの機構内でどのプロセスからの入力を扱うかを定める1つの文字列です。ここではNotificationAreaの文字があるので、このアプレットが"通知スペース"に対応することがわかります。
ここまででgnome-panelの設定に関する実例を見てきました。これらの設定の変更を扱うために、関数panel_profile_loadの中ではgconfの設定内のパネル、オブジェクト、アプレットそれぞれの設定に対して、panel_profile_load_listという関数が呼ばれています。関数panel_profile_load_listもpanel_profile_loadと同じファイル内で定義されているのですが、この関数は関数内でgconf_client_notify_addを呼び出しています。
gconf_client_notify_addの引数は、パネルの設定に対してこの関数が呼ばれた場合とオブジェクトやアプレットに対して呼ばれた場合で変化します。例えば、オブジェクトの設定を読んだ場合には関数panel_profile_object_id_list_notifyが引数として与えられます。この関数はどのオブジェクトが消えたり追加されたりしたのかを把握し、オブジェクトに対応するウィジェットを追加したり取り除くという作業を行う関数です。実際に関数panel_profile_object_id_list_notify内ではpanel_profile_load_added_idsとpanel_profile_delete_removed_idsの2つの関数が呼ばれていますが、これらの関数は名前の通りの動作をし、付け加えられた(added)オブジェクトを読み出したり(load)、取り除かれた(removed)オブジェクトを解放したり(delete)します。
実際にウィジェットを追加するのは関数panel_profile_object_id_list_notifyの最後で呼ばれている関数panel_applet_load_queued_appletsですが、この関数は既に見た関数で、gconfから受け取ったリストを用いて、対応するウィジェットを作成する関数です。ここでは、関数panel_profile_object_id_list_notify内でリストの変更が取り入れられているので、ウィジェトの追加や削除を行うことができるわけです。
ここまででgconfの設定をアプリケーションの動作中に反映するための機構を見て来ました。これらはアプリケーションの起動時にしか変更を反映できない方法と比べて優れた方法です。同様の方法は他のGNOMEアプリケーションでも用いられており、gconfがGNOMEのライブラリとして重要であることを示しています。
既に"アプレット"がlibbonoboを通じて実現されていることを述べました。ここで、libbonoboはプロセス間通信を行うための一般的な技術です。これは、アプレットを扱うプロセスとgnome-panelのプロセスの間の通信を行うために用いられます。
アプレットはlibbonoboに加えてlibbonobouiライブラリに含まれる技術も用いています。libbonobouiライブラリはlibbonoboを用いてあるプロセスで制御されるGTKウィジェットを他のプロセスのウィジェットに埋め込む一般的なライブラリです。
まず最初に、GTKを用いたウィジェットの埋め込みを扱います。GTKの枠組みでウィジェットの埋め込みを行うには、GtkPlug, GtkSocketのウィジェットを使います。GtkSocketは、ウィジェットを埋め込まれる側のプロセスが作成するウィジェットで、GtkPlugが実際に埋め込まれるウィジェットに対応します。
X上で動くGTKのプロセス中では、GtkPlug, GtkSocketは埋め込まれるウィンドウを決めるために、WindowIDを用います。WindowIDはXのウィンドウに与えられる一意の数値で、型はXID(大抵unsigned long)で与えられます。
X上でのWindowIDを知るには、xwininfoコマンドを使うのが簡単です。
これは指定されたウィンドウのWindow IDやジオメトリ(位置と大きさ)などの情報を与えます。
GtkPlug, GtkSocketを用いて埋め込みを行うには、GtkSocketにGtkPlugのWindowIDを伝える必要があります。このためのlibbonoboui内のクラスとして、BonoboPlug, BonoboSocketの両クラスがあります。これらはそれぞれGtkPlug, GtkSocketを継承します。
実際に埋め込みを行うために、BonoboPlug, BonoboSocketはそれぞれBonoboControl, BonoboControlFrameを使います。ここで、BonoboControlはgetWindowIDという名の"メソッド"を持っており、他のプロセスで実行されるBonoboControlFrameにBonoboPlugのWindowIDを伝えます。ただし、libbonobo, libbonobouiのバージョンとして、2.16.0を用いました。
BonoboControlFrameはGtkWidgetを継承していないため、埋め込まれる側のウィジェットの配置に手間がかかります。この手間を省くため、BonoboControlFrameを"private"なメンバとして持ったクラスBonoboWidgetが存在します。
gnome-panel中でも、/gnome-panel/panel-applet-frame.c内でBonoboWidgetが用いられています。panel-applet-frameはBonoboWidgetを収納するGtkWidgetで、GtkEventBoxを継承します。GtkEventBoxはGtkBinクラスを継承したウィジェットで1つのウィジェットを収納します。
一方gnome-panelでは、埋め込むウィジェットを提供する機構としてPanelAppletクラスが提供されています。(./libpanel-applet/panel-applet.[ch]を参照)このクラスはBonoboControlへのポインタを所持します。各アプレットはこのクラスを継承し、PanelAppletFrameと相互作用します。
既にgnome-panelの動作は"アプレット"によって拡張されることを見てきました。ここでアプレットはBonoboと呼ばれる技術を用いて作られており、これらはgnome-panelとは異なったプロセス内で動作しています。この時、なぜ単純にgnome-panelの新たなオブジェクトとして各機能を作成しなかったのかが疑問に思われます。
詳細は不明ですがこの方式の明らかな利点として、各アプレットを作成する言語として、C言語以外の言語を選べることがあげられます。実際gnome-applets内に含まれるアプレットでinvest-applet(gnome-applets-x.x.x/invest-applet)はw:Pythonを用いて作成されています。ここでgnome-appletsはGNOMEから配布されているファイルで、gnome-panelの各種アプレットを扱っています。この中には音量調節(gnome-applets-x.x.x/mixer)やごみ箱(gnome-applets-x.x.x/trashapplet)などのアプレットが含まれています。ただし、gnome-appletsのバージョンとしてはgnome-applets-2.16.2を用いました。
これに加えて既に登場した時計、通知スペースなどのアプレットがgnome-panel内に含まれています。(それぞれ./applets/clock, ./applets/notification_area内のファイル)ここでは、Bonoboの詳細には触れずに、各種"アプレット"の動作を見ていきます。これはBonoboを使う場合でもアプレット自体は通常のGTK+アプリケーションと同じように書くことができるからです。このことの詳細についてはなどを参照してください。
時計アプレットはその名の通りw:時計を表示するアプレットです。このアプレットはgnome-panelの./applets/clock以下に含まれています。時計アプレットの仕事はおおよそGTK+を使って時計を作成することです。簡単な時計の作り方については例えばXプログラミングを参照してください。
(赤線は筆者が導入した)基本的に時計アプレットの本体は時刻の数値をテキストとして書き込まれたGtkLabelです。GtkLabelは既にGtkFixedの中で用いたのでここでは説明しません。対応するGtkLabelは./applets/clock/clock.c内のcreate_clock_widget関数中で作られています。時刻の書き換えはclock_timeout_callback中で呼ばれるupdate_clockで行われます。この間数はgtk_label_set_textを用いてGtkLabel内の数値を変えた後、gtk_widget_queue_resize関数を呼びます。この関数はGtkWidget及びそれを継承したウィジェットに対してその変更を画面に反映するために呼ばれます。同種の関数にgtk_widget_queue_draw(_area)がありますが、gtk_widget_queue_resizeは変更によってウィジェットのサイズが変わる場合に呼ばれます。一方、gtk_widget_queue_drawはウィジェットのサイズを変えません。
追加の機能として、時計アプレットは24時間表示と12時間表示を切り替えたり、カレンダーを表示したりといくつかの機能があります。前者はGtkLabelのフォーマットを変更するだけで書き換えられますが、後者は多くの操作が必要となります。実際にはカレンダーはGtkCalendarとしてGTK+のウィジェットが与えられているため、時計アプレット内ではそれが用いられています。GtkCalendarについてはGTK+のソースを参照してください。
また、時計アプレットはロケールを変更してgnome-panelを起動すると表示が変化します。次の例はロケールをen_USに変更した例です。ただし、シェルとしてw:bashを用いています。
(赤線は筆者が導入した)
ロケールの変更による時刻のフォーマットの変更は、gettextライブラリによって行われます。gettextの詳細はOSS開発ツールを参照してください。実際のpoディレクトリは./po/以下で与えられます。この中では各国語でのフォーマットが文字列の形で定義されています。
wnckアプレット(wnck-applet)は、"libwnck"を用いるアプレット群で、GNOMEデスクトップのウィンドウの管理を行います。このアプレット群は複数のアプレットを含んでおり、これらはそれぞれ"デスクトップの表示"(ShowDesktop), "ウィンドウ一覧"(WindowList), "ウィンドウセレクタ"(WindowMenu), "ワークスペース切替器"(WorkspaceSwitcher)が含まれます。既にアプレットの例でwnck-appletが起動されている場面を見ました。これらはここで与えられる複数のアプレットに対応するプロセスです。
ここで、それぞれのアプレットの機能を簡単に紹介します。"デスクトップの表示"は全てのウィンドウを最小化し、デスクトップを表示します。実はデスクトップは後に述べるw:Nautilusの画面なのですがここでは触れません。ウィンドウの大きさを変更する機能はウィンドウマネージャの機能であるため、対応するウィンドウマネージャがlibwnckの要求を受けない場合には、このアプレットは機能しません。実際twmを用いて"デスクトップの表示"を動かしたところ、エラーメッセージが表示されました。
次に"ウィンドウ一覧"と"ウィンドウセレクタ"はどちらもその時点で存在するウィンドウを選択するためのアプレットです。ただし、"ウィンドウセレクタ"はこれをWnckSelectorとして与え、"ウィンドウ一覧"はWnckTasklistとして与えます。
"ウィンドウ一覧"はよく用いられるアプレットで、既に意識せずに使っているかも知れません。こちらもtwmで管理されるウィンドウは表示されません。
"ワークスペース切替器"は何枚もの画面(ワークスペース)があるように見せ、それらを切り替えながら使うことで画面を広く使うアプレットです。こちらもtwmと同時には使えません。
gnome-appletsにもいくつかのアプレットが含まれています。ここでは比較的動作がわかりやすいアプレットを選んで紹介します。具体的には"CPU周波数"(cpufreq)アプレットと"音量調節"(mixer)アプレットを扱います。
cpufreqアプレットは使っているw:コンピュータのw:クロック周波数を表示するアプレットです。クロック周波数はCPUの動作速度を表す指標で、基本的にはこの数値が大きい程速いCPUであるといえます。ただし、コンピュータを使う際の体感速度は、w:メモリの量などCPU以外の条件にもよるので、この数字だけでコンピュータの性能が決まるわけではありません。
Linux上では、使っているCPUの周波数は"ファイル"として利用者から利用できるようになっています。ただし、この値を変更してもハードウェアが変更されるわけではなく、この機能はシステムの状態を把握することを目的とした機能です。CPU周波数の情報は/proc/cpuinfo、もしくは/sys以下のディレクトリに記録されています。cpufreqアプレットはこれらの値を読み出して表示します。
//////////////////////////
以降、『OSS開発ツール/GUIツールキット』 2019年9月28日 (土) 13:36 からの引用。統合作業中。
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ここでは、Gtkウィジェットの例として、GtkDrawingAreaウィジェットを扱います。GtkDrawingAreaは、内部にGdkWindowを持っており、利用者はその中に自由な描画を行えます。これは、w:WindowsでいうところのDevice Context(w:GDIを参照)と似た機能です。
GtkWindowを作り、GtkDrawingAreaを収納するサンプルは次のようになります。まず最初にGTKライブラリの初期化とウィジェットポインタの宣言を行います。
この関数の名前はg, signal, connectの3つに分かれます。
まず、最初のgは、この関数がw:en:glibに属するためにつけられています。これは、C言語に、w:名前空間の概念が無く、接頭詞g_を外すと、他のライブラリからの関数名と2重に関数が登録される危険があるためです。
次に、signalは、GSignalのことを指します。GSignalはおおよそコールバック関数へのポインタのことです。GSignalはw:en:glibで定義され、1つのコールバック関数と1つの文字列を対応付けます。上の例では、文字列"expose_event"で表されるシグナルが扱われます。GSignalはGObjectを継承した"クラス"に対して適用され、プログラムの実行時に"クラス"の初期化が行われる時、後に利用者のプログラム中で定義されるコールバックの置き場を与えます。
最後に、connectは、指定されたGSignalに対してあるコールバック関数を実際に与えることを指します。
結局、g_signal_connectでは、引数によってあるGObjectのGSignalを指定し、それに対して1つのコールバック関数を与える関数です。ここで、g_signal_connectの引数は
であり、第1、第2引数はそれぞれGSignalを指定するためのGObjectと、GSignalの名前を表します。第3、第4引数はそれぞれ、コールバック関数と関数に与える引数を表します。第4引数ではコールバック関数内で必要なデータを与えます。
また、"expose_event"は、w:X Window Systemなどから与えられる"イベント"の1つで、あるウィンドウ内の長方形を描画する必要があるときにXクライアントに対して与えられるイベントです。詳しくはXプログラミングを参照してください。ここでは、GtkWindowが他のウィンドウによって隠されたときや、一旦ウィンドウを最小化したときを扱うための手法であると述べるに留めます。
ここまでで、GtkDrawingAreaをGtkWindowに収納しました。これらを表示するためには次のようにします。
ここで、gtk_widget_show_allは指定されたウィジェットに収納されたウィジェット全てを"show"する関数です。
ここまででプログラムは終わりですが、expose_cbを空の関数としてこれを実行すると窓を開くだけの例と同じ結果になります。これは、GtkDrawingArea内に実際に描画を行っていないことによります。実際に描画を行うためには、expose_cb関数を書く必要があります。
expose_cb関数は次の様に宣言されます。
ここで、"expose_event"のコールバック関数は"expose_event"を受け取ったウィジェットを渡されます。ここでは、g_signal_connectで指定されたウィジェットがGtkDrawingAreaなので、コールバック関数にもGtkDrawingAreaが渡されます。
ここで、実際にGtkDrawingAreaに描画を行う方法について述べます。GtkDrawingArea構造体には、GdkWindowが含まれています。GdkWindowはXなどから与えられる長方形の領域で、この中の各ピクセルを扱う事で、図形を描画することができます。実際にGtkDrawingArea*内のGdkWindow*は次のように指定されます。
ここで、daは、GtkDrawingArea*を表します。
GdkWindowにはいくつかの描画用の関数があります。これらは基本的にw:X Window Systemの関数に対応しています。例えば、線をひくための関数であるgdk_draw_lineは、XDrawLine関数に対応しています。Xを扱う関数に関してはXプログラミングを参照してください。
ここでは、実際に線をひく関数を試してみます。まず、expose_cbの定義です。
ここで、実際に図形の描画を行うためには、GdkWindowのGC(Graphic Context)を指定する必要があります。ここで、GCはXなどで扱われる描画要素で、図形の色や線の太さなどを表します。ここでは全ての値をデフォルトとしたGCを作るため、gdk_gc_new関数を使います。ただし、1度だけgcを作るため、staticで定義します。
更にこのGdkGC*であるgcを用いてgdk_draw_lineは次のように書けます。
ここで、線は(x0, y0)から(x1, y1)までひかれます。
ここで、ウィンドウの最小化やウィンドウの重なりがうまく扱われていることに注意してください。
GDKの描画関数は他に、gdk_draw_polygon, gdk_draw_rectangle, gdk_draw_point(s), gdk_draw_arcなどがあります。これらについてはGDKのリファレンスを参照してください。
ウィジェットは"ラベル"や"ボタン"などの様々なよく用いられるGUI要素のことを指します。ここからはこれらのGUI要素を用いたプログラムについて述べます。ウィジェットはw:Windows APIでは"(コモン)コントロール"と呼ばれるものです。
ここでは、GtkButtonを利用した例を扱います。この例は公式のチュートリアルでも扱われているので、簡単に済ませます。しかし、コールバックの話をするときに、再びこの例を使います。
GtkButtonは、gnomeのソフトウェアを利用するときに頻繁に利用されるボタンウィジェットです。
ボタンウィジェットは単独で使うことは出来ず、必ずGtkWindowの中で使う必要があります。あるウィジェットの中で別のウィジェットを使うことをウィジェットのパッキングといいます。ここではGtkButtonをGtkWidgetの中にパッキングします。
GtkWindowには1つのウィジェットしかパックできないため、複数のウィジェットを表示したい場合には複数のウィジェットを収納できるウィジェットをパックする必要があります。よく使われる例にGtkVBox, GtkHBox, GtkTableなどがあり、GtkButtonを複数収納する例はよく用いられます。しかし、複数のウィジェットを利用する場合にはlibgladeを利用した方が便利なので、ここでは1つのウィジェットを扱う例だけを扱います。
GtkButtonをGtkWindowに収納するには、上の例の3行目の次に、以下のプログラムを追加します。
ここでは順を追って追加されたプログラムを見ていきます。
1行目はGtkButtonのnew関数で、buttonを作成します。やはり、この関数もGtkWidgetポインタを作成します。
2行目はgtk_widget_show関数です。GtkWindow同様、GtkButtonにもgtk_widget_showを使わないとウィジェットが表示されません。
3行目はgtk_container_add関数を利用しています。gtk_container_add関数はGtkContainerクラスを継承したクラスを第1引数に取って利用され、第2引数のウィジェットを第1引数のコンテナに収納します。ここで、GTK_CONTAINERは、glibの例で見た通り、GTK_CONTAINERのインスタンスにキャストを行なうマクロです。第1引数はGtkContainer* なので、このキャストが必要になります。
ここまででウィジェットの性質を変えたり、ウィジェット間に収納関係を与える方法について見てきました。これらはどれも似たようなコードであり、作成するのが面倒になりがちです。例えば、ボタンを10個作らねばならないプログラムでは上で追加したのと同じ内容を10回繰りかえす必要があります。(実はforループを利用することも出来ます。)これは非常に大変な作業です。幸いにもこれらの作業を手軽に行なうプログラムがあるので、ここではそれを紹介します。
このようなプログラムはインターフェースビルダと呼ばれます。現在では類似の機能は例えば、Javaのw:Swingに対して、w:Eclipseで提供されています。( )
まずgladeは、GUIを用いてgtk+のウィジェットを扱うプログラムです。
次に、libgladeはgladeを含む何らかの手法で作られたw:XMLファイルから、実際にウィジェットを作成するライブラリです。ここではまずlibgladeを使った場合に実際に書く必要があるコードを扱います。幸いにも複雑なウィジェット群を扱うときにもここで扱うプログラムはそれほど変化しません。この例は、gladeリファレンスマニュアル( )で扱われている例とほとんど同じものです。
ウィジェットの情報が含まれるXMLファイルの拡張子は.gladeです。ここではXMLファイルの名前をsample.gladeとします。このときlibgladeを使ったプログラムは、次のようになります。
単にウィジェットを表示することが目的なら、これだけで十分です。XMLファイルでコールバック関数を利用することが指定されているときには、3行目を
に変更する必要があります。
stub
ここではgladeを使ってより複雑なウィジェットを作成します。幸いにもほとんどの作業はGUIを利用して行なうことが出来ます。
ここでは次のようなウィジェットを作成します。
ウィジェットの関係は次のようになります。
このウィジェットはWindow内に2つのボタンが入っているだけの簡単な例です。しかしそれでも、手作業で全てを作成するのは厄介な仕事です。
1. GtkWindow(window1)を作る。
2. GtkVBox(vbox1)をwindow1に収納する。'サイズ'は2とする。
3. GtkButtonをvbox1の2つの空白に収納する。(button1, button2)
4. button1の'ラベル'をaaaとする。button2の'ラベル'をbbbとする。
gladeを使ったより複雑な例として、gtk-demoからの例をあげます。ただし、コールバック関数は提供せず、インターフェースだけとします。gtk-demoは、gtk+とともに配布されているデモで、ソースはgtk+-x.x.x/demos以下に含まれています。gtk-demoは、gtk+とともにインストールされているので、
のコマンドで利用することができます。ここでは、Dialog and Message Boxes という例を取り上げます。(demos/gtk-demo/dialog.c)
dialog.cはいくつかのウィジェットを利用して書かれています。多くはコンテナウィジェットであり、コンテナの使い方を見る上でよい題材です。
まず、それぞれのウィジェットを紹介します。gladeを使わずにこれらのウィジェットを扱う方法は、dialog.cのソースを参照してください。
Dialogsと書き込まれた外枠は、gtkframeを利用します。gtkframeは、内側に1つのウィジェットを収納できるコンテナです。ここには、gtkvboxを収納します。gtkvboxは複数のウィジェットを収納することができ、収納したウィジェットを縦に並べます。gtkvboxに収納するウィジェットは上から順にgtkhbox, gtkhseparator, gtkhboxです。gtkhboxはgtkvboxと似た性質を持ちますが、縦ではなく横にウィジェットを配置します。hseparatorは、スクリーンショット内の横棒で、ウィジェット間に距離をとる働きをします。
次に、2つのgtkhbox内のウィジェットについて順に述べていきます。上のウィジェットにはgtkbuttonを収納します。gtkbuttonにはlabelというパラメータがあり、この部分は_Message Dialogとします。label中のアンダースコアは、gtkbuttonのパラメータを書き換えることで、下線として表示させることができます。(設定次第でそのままアンダースコアとして表示させることもできます。)
下のgtkhboxには、左から順にgtkvbox, gtktableを配置します。gtkvboxには、_Interactive Dialogと書かれたgtkbuttonを収納します。下線の扱いは先程の_Message Dialogと同じです。gtktableは、碁盤目状の枠を作り、それぞれのマスにウィジェットを収納するコンテナです。ここでは、幅2、 高さ2のgtktableを作成します。gtktableには、左上から順にgtklabel, gtkentry, gtklabel, gtkentryを収納します。(左上、右上、左下、右下の順)gtklabelには、それぞれ_Entry 1または、E_ntry 2と書き込みます。
ここからはここまでの手順をgladeを利用して作成していきます。 1. gtkwindowを導入する。 2. gtkframeを加える。影の種類を'Etched In'にする。'境界線の幅'を、5程度にしておく。
3. gtkvboxを収納する。
4. gtkhboxをgtkvboxに収納し、gtkbuttonをgtkhboxに収納する。
5. gtkhseparatorをgtkvboxに収納する。
6. gtkvboxにgtkhboxを収納する。列の数は2とする。 7. gtkhboxにgtkbuttonとgtktableを加える。
8. gtktableに、gtklabel, gtkentryを加える。
9. gtkbutton, gtklabelの'ラベル'を_Message Dialog などの内容に書き換える。詳しい内容は前述した。gtklabelでは、'下線付き'を'はい'にしておく。
10. .gladeファイルとして保存し、先程のプログラムを使って表示する。
次に、gtk-demoの'Expander'の例を扱います。GtkExpanderは閉じた状態と開いた状態を持つウィジェットです。
GtkExpanderはコンテナウィジェットでもあり、GtkExpanderを開いた時に現れるウィジェットはGtkExpanderに収納されているウィジェットです。ここでは上の例を順に作成していきます。
ウィジェットの関係は次のようになります。
ここでGtkExpander自身も"Details"と書かれたラベルを持っていますが、これはGtkExpanderの一部ということで上の関係図には入れていません。
新たなウィジェットとして、GtkDialogが登場しています。GtkDialogは主となっているウィンドウではない新しいウィンドウを使いたいときによく用いられます。特に、設定を変更するときに用いられる'OK', 'キャンセル'などのボタンを含んだウィンドウはおそらくGtkDialogが用いられています。上の例では、'閉じる'のボタンが使われていますが、これもGtkDialogの標準のボタンの1つです。上の例の内で、'閉じる'だけが日本語で後は英語であるのもそれが原因です。標準の文章なのでボタンに書かれた文章だけは翻訳が進んでいます。
(Gtk+では、各国語に翻訳を行うために、gettextを用いています。gettextはコンパイル時ではなく実行時に文章を変更することができるため、gtk-demoをw:ロケールを変更して実行することでボタンの文章を変更することができます。例えば、
とすると、ボタンの文章が英語に変わります。
こちらはドイツ語の例です。
)
ここからは実際にウィジェットを作成します。手順は次のようになります。
1: GtkDialogを開く。
2: GtkDialogにGtkVBoxを収納する。GtkVBoxの収納数は2とする。
3: GtkVBoxの上部に、GtkLabelを収納する。
4: GtkVBoxの下部にGtkExpanderを収納する。
5: GtkExpanderにGtkLabelを収納する。 GtkExpanderを開いた状態です。
GtkExpanderにGtkLabelを追加した状態です。
6: 2つのGtkLabelと、GtkExpanderの文章を書き換える。
7: 先程のプログラムを作成し.gladeファイルを表示する。
上の例以外でもgtk-demoの中には比較的簡単に作成できそうな物が含まれています。これらを作成してみるとよいかもしれません。gtk+を使ったプログラムは数多いので、これらを探して読んでみるのもよいでしょう。
2021年現在のFedoraの最新版が搭載しているのはgtk4です。gtk4の開発環境を入れるコマンドは、ターミナルで
でそのまま入る。ただし、gtk3とgtk4は文法が多少違っているので、gtk3のコードは使い回しできません。
下記のgtk4コードはgtk4公式マニュアル からの引用をしたものに、本wiki側で説明用にコメントを加えたり、説明しやすいようにコードの数値や文字列などを少々変更しています。
これはもう、このまま使ってください。 一応、いくつかの変数名を変更しても使用できますが。
ファイル名は、公式サイトのサンプルファイル名に合わせて「example-0」にしましょう。
上記コードをコンパイルするには、ターミナルでコマンド
です。 これでオブジェクトファイルが生成されているので、あとはそのオブジェクトファイルの実行コマンドをターミナルで入力すればいいだけです。たとえばオブジェクトファイルの存在場所がユーザープロファイルなら
で実行できるはずです。
上記コードの大まかな仕組みを言うと、main関数ではどのウィンドウを呼び出すかだけを関数名を用いて設定しており、ウィンドウのサイズなどの設定は個々のユーザ定義関数で行う仕組みになっています。もしかしたらユーザ定義関数を使わなくてもウィンドウ表示できるのかもしれませんが、しかしGTK公式サイトがそのような方法を紹介しないという事はおそらく、そのような方法を推奨していないのでしょう。つまり、ユーザ定義関数を用いてウィンドウ設定などはmain関数から分けてから呼び出して欲しいようです。
次に、ボタンをウィンドウに追加してみましょう。下記コードも公式サイトにあるコードを元にしましたが、本wiki側で説明用に若干のコード書き換えをしています。
コンパイルは上記と同様にできます。もしファイル名を変えなければ、上記コンパイルコマンドでそのままコンパイルできます。
g_print はターミナルで文字表示する命令ですので、ここの表示文をいくら弄って、ボタンにラベル表示されている文章は変わりません。混同しないように注意しましょう。
GNOME | [
{
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"tag": "p",
"text": "プログラミング > GTKプログラミング",
"title": ""
},
{
"paragraph_id": 1,
"tag": "p",
"text": "「GTK」なんとか(なんとかの部分にはバージョン番号などが入る) という、Gnomeコミュニティによる公式のGUIアプリ開発ソフトがあるので、そのGTKなんとかを使えば、GNOME用のGUIアプリを作れる。2021年現在ではgtk4まで出ているが、現状の本ページでは主にgtk3について説明する。",
"title": "GNOME用のGUIアプリの作り方"
},
{
"paragraph_id": 2,
"tag": "p",
"text": "なので、まずGTKをインストールすればいい。GnomeはLinuxコミュニティで普及しているので、gtkのインストールにはLinux上でgtkをインストールして開発するのがラクである。",
"title": "GNOME用のGUIアプリの作り方"
},
{
"paragraph_id": 3,
"tag": "p",
"text": "GTKは、C言語など既存のプログラミング言語で開発したコードに組み込んで使える。(C言語のコード中に、GTKを呼び出すためのコードを、あなたがテキストファイルなどを用いて追記することになる。)",
"title": "GNOME用のGUIアプリの作り方"
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"paragraph_id": 4,
"tag": "p",
"text": "また、GTKで開発したGUIアプリを試しに使用する場合、通常のC言語の実行ファイル(オブジェクトファイル)と同様に、gccなどのC言語コンパイラでコンパイルして作成出力したオブジェクトファイルを(単にアイコンをダブルクリックするなどして)起動すればいいだけである。",
"title": "GNOME用のGUIアプリの作り方"
},
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"text": "",
"title": "GNOME用のGUIアプリの作り方"
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"tag": "p",
"text": "本書では特にことわりのないかぎり、使用OSとして Linux上でGTKアプリを開発することを前提とする。また、GTKやgccを管理しているコミュニティはGnomeというデスクトップ環境を作っている組織(組織名もGnome)なので、本書で前提とするデスクトップ環境は原則的にGnomeとする。",
"title": "GNOME用のGUIアプリの作り方"
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"paragraph_id": 7,
"tag": "p",
"text": "もし読者が、これら技術的な背景の説明がまったく分からないなら、OSS開発ツール/GUIツールキットを読んでから再び本書に戻ることになるだろう。あるいは、当分のあいだはLinux用GUIアプリの開発は諦め(あきらめ) WindowsでWindows APIなどでWindows用GUIアプリを開発するのが良いだろう。",
"title": "GNOME用のGUIアプリの作り方"
},
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"tag": "p",
"text": "なので、前提として、まずgccなどのC言語コンパイラをインストールしてあり、あなたもgccやC言語などに、ある程度は習熟している必要がある。",
"title": "GNOME用のGUIアプリの作り方"
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"tag": "p",
"text": "C言語には標準C言語のほかにもC++言語やC#などいくつか派生の言語がありますが、GTKが準拠しているのは標準C言語です。",
"title": "GNOME用のGUIアプリの作り方"
},
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"text": "なので、もし読者が C++ や C# を知らなくてもC言語プログラミングとLinuxさえ知っていれば、とりあえずはGTKプログラミングはできます。",
"title": "GNOME用のGUIアプリの作り方"
},
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"text": "まず、GTKの開発環境をインストールする必要があります。もし開発環境をインストールしておかないと、もしもGTK開発環境で定義されている関数を含む自作プログラムがあっても、その自作プログラムのソースコードのコンパイル自体が不可能です(コンパイルしようとしてもエラーになります)。",
"title": "GNOME用のGUIアプリの作り方"
},
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"tag": "p",
"text": "なお、GTKで開発されたアプリの実行環境と、GTKの開発環境は、別物です。たとえばリナックスのディストリビューションのひとつ Fedora には、GTKの実行環境が標準でインストールされており、そのため、多くのGTK(で開発された)アプリを動かせます。しかし、GTKの開発環境そのものは、Fedoraには標準ではインストールされていません。",
"title": "GNOME用のGUIアプリの作り方"
},
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"text": "Fedora の場合、gtk3-devel など「gtkなんとかdevel」の書式の名前のアプリーケーションが、gtk3対応の開発環境そのもののアプリです。 もし (gtk3-devel でなくて)「gtk3」 だけをインストールしても(初期状態で既に入っているが)、まだgtk3-develはインストールされていない状態です。なので gtk3アプリを開発するためには別途、 gtk3-devel をインストールする必要があります。",
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"text": "そのため、たとえばOSがFedoraなら、GTKの開発環境をインストールするため、コマンド端末で、",
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"text": "などのコマンドを実行して、GTKの開発環境(Fedoraの場合、「gtk3-devel」などの名前)をインストールします。(なお、「gtk3」の「3」は単なるバージョン番号。将来的にもっと高いバージョン番号になる可能性があるので、読者は適宜、判断してください。)",
"title": "GNOME用のGUIアプリの作り方"
},
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"paragraph_id": 16,
"tag": "p",
"text": "なお2021年現在のFedoraの最新版が搭載しているのはgtk4なので、そのgtk4の開発環境を入れたいなら",
"title": "GNOME用のGUIアプリの作り方"
},
{
"paragraph_id": 17,
"tag": "p",
"text": "でそのまま入る。ただし、gtk3とgtk4は文法が多少違っているので、そのままではコードは使い回しできません。",
"title": "GNOME用のGUIアプリの作り方"
},
{
"paragraph_id": 18,
"tag": "p",
"text": "なおCent OS 7 の場合、",
"title": "GNOME用のGUIアプリの作り方"
},
{
"paragraph_id": 19,
"tag": "p",
"text": "になります(CentOS-7-x86_64-LiveGNOME-1908.iso で確認。)",
"title": "GNOME用のGUIアプリの作り方"
},
{
"paragraph_id": 20,
"tag": "p",
"text": "なお、名前の似ている gtk-devel またはgtk+-devel などと gtk3-devel とは異なる開発環境です。これら名前の似ている異なる開発環境を入れても、コンパイルできない場合がよくあります。",
"title": "GNOME用のGUIアプリの作り方"
},
{
"paragraph_id": 21,
"tag": "p",
"text": "なので、かならず、 gtk3-devel を入れるようにしてください。",
"title": "GNOME用のGUIアプリの作り方"
},
{
"paragraph_id": 22,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "GNOME用のGUIアプリの作り方"
},
{
"paragraph_id": 23,
"tag": "p",
"text": "gtkにはバージョン3以外にもバージョン2などがあるので、develのバージョンとコンパイル時のコマンド(「gtk+-3.0」の部分)のバージョンとを合わせる必要があること。",
"title": "GNOME用のGUIアプリの作り方"
},
{
"paragraph_id": 24,
"tag": "p",
"text": "その後、テキストエディタで、次のようにコードを書いてください。下記コードは、ウィンドウだけのプログラムです。",
"title": "GNOME用のGUIアプリの作り方"
},
{
"paragraph_id": 25,
"tag": "p",
"text": "gtk3は下記のようなコードになります。(gtk4ではエラーになります。)",
"title": "GNOME用のGUIアプリの作り方"
},
{
"paragraph_id": 26,
"tag": "p",
"text": "GTKは、C言語のライブラリで、ここではC言語から利用するので、拡張子を「.c」にしてC言語のソースファイルとして保存してください。他のプログラミング言語からは、バインドを介して利用できますが、ここでは説明しません。例えば、上記のコードを、テスト用のファイルという意味で「test.c」で保存したとしましょう。",
"title": "GNOME用のGUIアプリの作り方"
},
{
"paragraph_id": 27,
"tag": "p",
"text": "上記のコードを実行できるようにするには、コンパイルする必要があります。",
"title": "GNOME用のGUIアプリの作り方"
},
{
"paragraph_id": 28,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "GNOME用のGUIアプリの作り方"
},
{
"paragraph_id": 29,
"tag": "p",
"text": "まず、そのために、さきほどの章でも述べたように、OSに開発環境(例えばFedoraなら gtk3-devel など)をインストールする必要がある。",
"title": "GNOME用のGUIアプリの作り方"
},
{
"paragraph_id": 30,
"tag": "p",
"text": "のようなコマンドでインストールできるはずである。もし gtk3-devel などをインストールしてないと、#include <gtk/gtk.h>でコンパイルエラーになる。",
"title": "GNOME用のGUIアプリの作り方"
},
{
"paragraph_id": 31,
"tag": "p",
"text": "さて、上記のソースコードをコンパイルするために、オブジェクトファイル名がたとえば「object」なら、",
"title": "GNOME用のGUIアプリの作り方"
},
{
"paragraph_id": 32,
"tag": "p",
"text": "のようにコマンド端末に入力します。この入力のさい「`pkg-config --cflags --libs gtk+-3.0`」などの設定をつける必要があります。この設定をつけないと、コンパイルエラーになってしまい、コマンド端末から「No such file or directory」(そのようなファイルまたはディレクトリはありません)などとエラー報告されてしまいます。",
"title": "GNOME用のGUIアプリの作り方"
},
{
"paragraph_id": 33,
"tag": "p",
"text": "コンパイルできたら、あとは実行するだけです。 gcc test.c -o object を使った場合、ユーザープロファイルなど出力先として設定されているフォルダーに実行ファイル「object」が作成されていますので、それをダブルクリックするだけで実行できます。",
"title": "GNOME用のGUIアプリの作り方"
},
{
"paragraph_id": 34,
"tag": "p",
"text": "実行すると、作成したウィンドウが表示されます。",
"title": "GNOME用のGUIアプリの作り方"
},
{
"paragraph_id": 35,
"tag": "p",
"text": "なお、上記コード中に",
"title": "GNOME用のGUIアプリの作り方"
},
{
"paragraph_id": 36,
"tag": "p",
"text": "とありますが、前半の「GtkWidget」 とはGTKの提供している型(かた)であり、ウィジェットを扱うための型です。",
"title": "GNOME用のGUIアプリの作り方"
},
{
"paragraph_id": 37,
"tag": "p",
"text": "後半の windowは単なる変数名です。別に「 GtkWidget *variable; 」などと書いても構いませんが、その場合は上記コード中のwindowをすべてvariable に置き換えてください。",
"title": "GNOME用のGUIアプリの作り方"
},
{
"paragraph_id": 38,
"tag": "p",
"text": "コード中の「gtk_window_new」が、GTKでウィンドウを作成する関数です。",
"title": "GNOME用のGUIアプリの作り方"
},
{
"paragraph_id": 39,
"tag": "p",
"text": "例のように「◯◯_new」という関数で、何らかの特徴を持ったウィジェットの ひな形 を作れますので、そうして作ったウィジェットの ひな形 に必要な情報を代入していきます。",
"title": "GNOME用のGUIアプリの作り方"
},
{
"paragraph_id": 40,
"tag": "p",
"text": "作成しただけでは、まだ表示の設定はされていません。",
"title": "GNOME用のGUIアプリの作り方"
},
{
"paragraph_id": 41,
"tag": "p",
"text": "なので、「 gtk_widget_show_all (window);」のように表示の設定を追加する必要があります。",
"title": "GNOME用のGUIアプリの作り方"
},
{
"paragraph_id": 42,
"tag": "p",
"text": "1980年代BASICなどとは違い、GTKでは、けっしてウィンドウを作成しただけではウィンドウを自動表示はしないのです。",
"title": "GNOME用のGUIアプリの作り方"
},
{
"paragraph_id": 43,
"tag": "p",
"text": "GTKでは、ウィンドウの作成と、ウィンドウの表示は、それぞれ別の関数です。なので、ウィンドウを表示したいなら、そのために追加的に関数を記述する必要があります。",
"title": "GNOME用のGUIアプリの作り方"
},
{
"paragraph_id": 44,
"tag": "p",
"text": "さきほど紹介したプログラムと似たようなプログラムですが、単に窓を開くだけのgtkプログラムは、次のようにも書けます。 このように、基本的なプログラムでも、何通りかの書き方があります。",
"title": "GNOME用のGUIアプリの作り方"
},
{
"paragraph_id": 45,
"tag": "p",
"text": "さきほどの説明と似たような内容ですが、基本的な重要テクニックなので、復習するのも良いでしょう。",
"title": "GNOME用のGUIアプリの作り方"
},
{
"paragraph_id": 46,
"tag": "p",
"text": "このソースコードのファイル名が「test.c」なら、コンパイル時には、",
"title": "GNOME用のGUIアプリの作り方"
},
{
"paragraph_id": 47,
"tag": "p",
"text": "のように、フラグをつけて(「`pkg-config --cflags --libs gtk+-3.0`」の部分)コンパイルすること。単に「gcc test.c」としても、コンパイルエラーになって中断してしまう。",
"title": "GNOME用のGUIアプリの作り方"
},
{
"paragraph_id": 48,
"tag": "p",
"text": "を単体で実行してみるとヘッダーファイルへのパスやライブラリやライブラリのパスなどをせっていることがわかります。",
"title": "GNOME用のGUIアプリの作り方"
},
{
"paragraph_id": 49,
"tag": "p",
"text": "エラーなくコンパイルできたら、オブジェクトファイルをダブルクリックするなどして実行すると、ウィンドウが表示される。表示されたウィンドウのタイトルは、オブジェクト名と同じである。つまり、ウィンドウ名は「test」になっている。",
"title": "GNOME用のGUIアプリの作り方"
},
{
"paragraph_id": 50,
"tag": "p",
"text": "ためしにコンパイル時にオブジェクトファイルの名前を「wiki」に変えてみて",
"title": "GNOME用のGUIアプリの作り方"
},
{
"paragraph_id": 51,
"tag": "p",
"text": "を実行し、作成されたオブジェクトファイルwikiを実行すると、表示されるウィンドウのタイトルも「wiki」になっている。",
"title": "GNOME用のGUIアプリの作り方"
},
{
"paragraph_id": 52,
"tag": "p",
"text": "ここでは、このプログラム(単に窓を開くだけのgtkプログラム)の説明を行ないます。",
"title": "GNOME用のGUIアプリの作り方"
},
{
"paragraph_id": 53,
"tag": "p",
"text": "2行目で、gtk_init()は、g_type_init()を含んだ全体的な初期化を行ないます。gtkを利用する場合には必ず最初にこの関数を呼ぶ必要があります。また、argcとargvを引数として使っていますが、この引数は省略できないので、必ずargc,argvを定義するようにして下さい。",
"title": "GNOME用のGUIアプリの作り方"
},
{
"paragraph_id": 54,
"tag": "p",
"text": "3行目にある「GtkWidget」は型名であり、名前が事前に決まってるので、勝手に名前を変えてはいけません。",
"title": "GNOME用のGUIアプリの作り方"
},
{
"paragraph_id": 55,
"tag": "p",
"text": "3行目ではGtkWidget型の要素*win の定義を、行っています。",
"title": "GNOME用のGUIアプリの作り方"
},
{
"paragraph_id": 56,
"tag": "p",
"text": "3行目ではgtk_window_newというライブラリ関数を使用しています。このgtk_window_newは、CPlusPlusを使った経験があるなら、たとえるなら gtkのwindowのnew関数のようなものです。ほぼ予想される通りの動作をします。(C++では、あるクラスのnew関数はそのクラスの変数を動的に確保し、確保した変数のポインタを返します。)",
"title": "GNOME用のGUIアプリの作り方"
},
{
"paragraph_id": 57,
"tag": "p",
"text": "簡単な例として、ウィンドウ内のタイトルバー下の任意の位置に、文字を表示してみましょう。",
"title": "GNOME用のGUIアプリの作り方"
},
{
"paragraph_id": 58,
"tag": "p",
"text": "下記の例のように「◯◯_new」という関数で、何らかの特徴を持ったウィジェットの ひな形 を作れますので、そうして作ったウィジェットの ひな形 に必要な情報を代入していきます。",
"title": "GNOME用のGUIアプリの作り方"
},
{
"paragraph_id": 59,
"tag": "p",
"text": "さて、座標を指定して文字表示できるようにするには、",
"title": "GNOME用のGUIアプリの作り方"
},
{
"paragraph_id": 60,
"tag": "p",
"text": "作成した文字列の代入は、 gtk_label_new で作ったウィジェットで可能です。",
"title": "GNOME用のGUIアプリの作り方"
},
{
"paragraph_id": 61,
"tag": "p",
"text": "そして最後に gtk_widget_show_all 関数で、表示したいウィンドウを指定することにより、そのウィンドウごと文字列などを表示するだけです。",
"title": "GNOME用のGUIアプリの作り方"
},
{
"paragraph_id": 62,
"tag": "p",
"text": "ラベル・ウィジェットは文字列しか表示できないので、数値計算の計算結果を表示するには、文字列への変換が必要です。",
"title": "GNOME用のGUIアプリの作り方"
},
{
"paragraph_id": 63,
"tag": "p",
"text": "C言語の標準ライブラリ関数 sprintf は数値型などを文字列に置き換えることのできる関数ですので、この関数のgtk版であるg_sprintf関数と、ラベル書き換え関数であるgtk_label_set_text関数を組み合わせることによって、なんらかの計算結果の数値もGTKアプリのウィンドウに文字列として表示可能です。",
"title": "GNOME用のGUIアプリの作り方"
},
{
"paragraph_id": 64,
"tag": "p",
"text": "sprintf を使ったウィンドウでの変数表示のテクニックはGTKだけでなくWindowsでもWin32APIプログラミングで使うテクニックなので覚えておきましょう。( 正確には、Windowsでのウィンドウでの文字表示では _stprintf_s を使う。)",
"title": "GNOME用のGUIアプリの作り方"
},
{
"paragraph_id": 65,
"tag": "p",
"text": "また、前提としてGTKでは数値の変数型としては gint型 や gchar型 を使います。これらは、それぞれ、C言語のint型およびchar型のgtk版の型です。",
"title": "GNOME用のGUIアプリの作り方"
},
{
"paragraph_id": 66,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "GNOME用のGUIアプリの作り方"
},
{
"paragraph_id": 67,
"tag": "p",
"text": "なお、コード中の計算内容にある型の宣言では、じつは、べつに gint や gchar や g_sprintf を使わなくとも、単なるC言語の int 型 、char型、sprintf を使ってもコンパイルできてウィンドウを作成できます。",
"title": "GNOME用のGUIアプリの作り方"
},
{
"paragraph_id": 68,
"tag": "p",
"text": "ですが、 単なる sprintf 関数は gint などgtk版の型を認識しないので、もしも gint型 や gchar型 を使ったら必ず(sprintfでなく) g_sprintf で変換してください。",
"title": "GNOME用のGUIアプリの作り方"
},
{
"paragraph_id": 69,
"tag": "p",
"text": "ウィンドウのサイズは、 gtk_widget_set_size_request(window, 640, 480); で指定できます。",
"title": "GNOME用のGUIアプリの作り方"
},
{
"paragraph_id": 70,
"tag": "p",
"text": "ネット上では、",
"title": "GNOME用のGUIアプリの作り方"
},
{
"paragraph_id": 71,
"tag": "p",
"text": "と続けて、 { } 括弧で括られたブロックが書かれる場合がありますが、この括弧は限定のスコープを作るためのもので、必要ないなら無くても構いません。 実際、下記コードのように gtk_widget_set_size_request の後に { } の無いコードを書いても、コンパイル可能であり、正常にウィンドウサイズが更新されます。(Fedora 28 で動作を確認ずみ。)",
"title": "GNOME用のGUIアプリの作り方"
},
{
"paragraph_id": 72,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "GNOME用のGUIアプリの作り方"
},
{
"paragraph_id": 73,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "GNOME用のGUIアプリの作り方"
},
{
"paragraph_id": 74,
"tag": "p",
"text": "上記のコードのように、メインループgtk_main()までの設定をもとに、メインループgtk_main()でウィンドウなど作成したGUIアプリを表示しつづけます。",
"title": "GNOME用のGUIアプリの作り方"
},
{
"paragraph_id": 75,
"tag": "p",
"text": "メインループがないと、そのまま関数の最後に到達して終了してしまうので、何もウィンドウは表示されません。",
"title": "GNOME用のGUIアプリの作り方"
},
{
"paragraph_id": 76,
"tag": "p",
"text": "ループといっても、ウィンドウ表示中に他の作業もできますので、安心してください。",
"title": "GNOME用のGUIアプリの作り方"
},
{
"paragraph_id": 77,
"tag": "p",
"text": "手前にある gtk_widget_show_all 関数は、ウィンドウ表示の関数ではなく、メインループ実行時にウィンドウ表示することを設定する関数です。",
"title": "GNOME用のGUIアプリの作り方"
},
{
"paragraph_id": 78,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "GNOME用のGUIアプリの作り方"
},
{
"paragraph_id": 79,
"tag": "p",
"text": "さて、上のコードの例ではGtkFixedウィジェットを作成しボタン、ラベルのウィジェットをGtkFixedウィジェット内に配置しています。このようにウィジェット内のどこにでも他のウィジェットを収納できるウィジェットがGtkFixedウィジェットです。",
"title": "GNOME用のGUIアプリの作り方"
},
{
"paragraph_id": 80,
"tag": "p",
"text": "実際にはgnome-panelの中でもGtkFixedウィジェットが使用されており、\"オブジェクト\"の配置を自由な位置に行うために役立っています。ただし、GUIを提供する以外に他の項目を設定するために、GtkFixedクラスを継承する形でウィジェットが提供されています。",
"title": "GNOME用のGUIアプリの作り方"
},
{
"paragraph_id": 81,
"tag": "p",
"text": "実際に提供されているウィジェットはPanelWidgetウィジェットと呼ばれ、ソースコード中では./gnome-panel/panel-widget.hで定義されています。このクラスに対応する構造体は最初にGtkFixedを持っていますが、これとCの機能を使うとw:en:glibでいう\"継承\"を行うことができます。詳しくはOSS開発ツール GUIツールキットを参照してください。",
"title": "GNOME用のGUIアプリの作り方"
},
{
"paragraph_id": 82,
"tag": "p",
"text": "ここまでで、gnome-panel内で\"オブジェクト\"の配置はGtkFixedクラスの機能によってなされていることが分かりました。他に興味ある点としては、個々の\"オブジェクト\"がどのように定義されているかや、オブジェクトを導入するための操作などがあります。例えば、\"オブジェクト\"が配置できる部分を右クリックすると、メニューが開き、追加するオブジェクトを選ぶことができます。この操作はGtkMenuなどで提供される機能ですが、実際にソースコード中でどのようにGtkMenuが用いられているかも調べることができます。",
"title": "GNOME用のGUIアプリの作り方"
},
{
"paragraph_id": 83,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "GNOME用のGUIアプリの作り方"
},
{
"paragraph_id": 84,
"tag": "p",
"text": "図形として線分を表示したり、円などを表示する機能は、図形描画ライブラリが担当している。",
"title": "GNOME用のGUIアプリの作り方"
},
{
"paragraph_id": 85,
"tag": "p",
"text": "最近のGTKでは、図形描画ライブラリにcairoというフリーの画像描画ライブラリを採用している。特に追加インストールすることなく、cairoの図形描画関数が使用できる。 cairo自体は、GTKとは別のアプリなので、詳細はcairoの入門書を参照のこと。",
"title": "GNOME用のGUIアプリの作り方"
},
{
"paragraph_id": 86,
"tag": "p",
"text": "コード例を示すと下記のようになります。",
"title": "GNOME用のGUIアプリの作り方"
},
{
"paragraph_id": 87,
"tag": "p",
"text": "2019年の現在、GTK3で cairo を使うと、いくつかのライブラリ関数を別の関数(たとえば gdk_window_begin_draw_frame() など)に置き換えるようにコンパイラを介して警告されます",
"title": "GNOME用のGUIアプリの作り方"
},
{
"paragraph_id": 88,
"tag": "p",
"text": "が、しかし、",
"title": "GNOME用のGUIアプリの作り方"
},
{
"paragraph_id": 89,
"tag": "p",
"text": "これらの関数( gdk_window_begin_draw_frame() など)は Gnome開発者が使うものであるので(IRCでGnome開発者がそう解答した(2020年4月26日、日本時間で9時ごろ) )。なので 一般の GTKアプリケーション製作者は、この関数( gdk_window_begin_draw_frame() など)は用いないとの事である。",
"title": "GNOME用のGUIアプリの作り方"
},
{
"paragraph_id": 90,
"tag": "p",
"text": "今後は、別の方法に置き換わっているとの、Gnomeの解答のこと。",
"title": "GNOME用のGUIアプリの作り方"
},
{
"paragraph_id": 91,
"tag": "p",
"text": "gdk_cairo_create からの新方式への移行ガイドラインについては",
"title": "GNOME用のGUIアプリの作り方"
},
{
"paragraph_id": 92,
"tag": "p",
"text": "を参照せよ、との解答。",
"title": "GNOME用のGUIアプリの作り方"
},
{
"paragraph_id": 93,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "GNOME用のGUIアプリの作り方"
},
{
"paragraph_id": 94,
"tag": "p",
"text": "いまのところGTK開発元のGnomeコミュニティが、ロクに それらのライブラリ関数のマニュアルを整備してない状況です(形式的にリファレンス。",
"title": "GNOME用のGUIアプリの作り方"
},
{
"paragraph_id": 95,
"tag": "p",
"text": "なお、上記コードは Fedora31 および31以降ではバグります。",
"title": "GNOME用のGUIアプリの作り方"
},
{
"paragraph_id": 96,
"tag": "p",
"text": "もし将来的にcairoが使えなくなったら、フォークするか、でなければGTKでなくQtなどの別のデスクトップ環境に移行しましょう。どうせ組込系ではGTKよりもQtのほうが主流です。",
"title": "GNOME用のGUIアプリの作り方"
},
{
"paragraph_id": 97,
"tag": "p",
"text": "この文章は要らないですね。マニュアルにちゃんと書かれてますよ。あと、基本ボランティア活動なんですから、文句があるなら、あなたも協力したらいかがですか?折角の素晴らしいチュートリアルなのに、この辺のせいですっかり台無しです。",
"title": "GNOME用のGUIアプリの作り方"
},
{
"paragraph_id": 98,
"tag": "p",
"text": "ちなみに、上記のコード例の場合、このように警告されます。",
"title": "GNOME用のGUIアプリの作り方"
},
{
"paragraph_id": 99,
"tag": "p",
"text": "GTK3 では、まず main 関数側で、図形の描画をできるように設定を宣言する必要があります。",
"title": "GNOME用のGUIアプリの作り方"
},
{
"paragraph_id": 100,
"tag": "p",
"text": "なお、ネットに転がってるコード例をみると、cairo の呼び出し方では、一般に任意の自作の関数(上記のコード例では kansuu)を介して cairo を呼び出します。",
"title": "GNOME用のGUIアプリの作り方"
},
{
"paragraph_id": 101,
"tag": "p",
"text": "cairo による図形描画プログラムを作成するとき、windows APIプログラミングでいうところのハンドルのような物を宣言する必要があります。",
"title": "GNOME用のGUIアプリの作り方"
},
{
"paragraph_id": 102,
"tag": "p",
"text": "上記コードでは",
"title": "GNOME用のGUIアプリの作り方"
},
{
"paragraph_id": 103,
"tag": "p",
"text": "で、ハンドル作成しています。",
"title": "GNOME用のGUIアプリの作り方"
},
{
"paragraph_id": 104,
"tag": "p",
"text": "なお、関数宣言のさいの static gboolean kansuu(GtkWidget *widget1, cairo_t *handle, gpointer abcde) の際に、すでに引数として cairo_t *handle のように宣言されており、この時点ですでにハンドル作成などのための必要なメモリの確保を行っているものと考えられます。",
"title": "GNOME用のGUIアプリの作り方"
},
{
"paragraph_id": 105,
"tag": "p",
"text": "cairo_t型とは、ハンドルのようなものを定義するための型です。そもそも一般的にC言語では、型の宣言とは、メモリの確保でもあります。",
"title": "GNOME用のGUIアプリの作り方"
},
{
"paragraph_id": 106,
"tag": "p",
"text": "ともかく、cairo_t型の宣言のさいに既にメモリは確保されているので、あとは実際にハンドルの作成をすれば済むだけなので、 よって",
"title": "GNOME用のGUIアプリの作り方"
},
{
"paragraph_id": 107,
"tag": "p",
"text": "で、実際にハンドル作成を実行するわけです。",
"title": "GNOME用のGUIアプリの作り方"
},
{
"paragraph_id": 108,
"tag": "p",
"text": "この画像描画の説明でいう「ハンドル」とは、たとえるなら絵を書くときのキャンバスのようなものです。",
"title": "GNOME用のGUIアプリの作り方"
},
{
"paragraph_id": 109,
"tag": "p",
"text": "線を引いたりなど図形を描画するときは、初心者には わずらわしいですが、どのハンドル(キャンバス)に図形を描画するのかを、各関数で宣言する必要があります。",
"title": "GNOME用のGUIアプリの作り方"
},
{
"paragraph_id": 110,
"tag": "p",
"text": "GTKでは図形の性質の定義と、実際に図形の描画を実行する関数とは、異なる関数になります。(Winodws APIと同様。)",
"title": "GNOME用のGUIアプリの作り方"
},
{
"paragraph_id": 111,
"tag": "p",
"text": "cairo_stroke の関数で、実際に線分の描画を実行します。",
"title": "GNOME用のGUIアプリの作り方"
},
{
"paragraph_id": 112,
"tag": "p",
"text": "そして、使用し終わったら、destroy でハンドルを破棄するのが一般的です。(メモリの圧迫を防ぐため。)(Winodws APIでも同様に、使い終わったハンドルは破棄を宣言する。)",
"title": "GNOME用のGUIアプリの作り方"
},
{
"paragraph_id": 113,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "GNOME用のGUIアプリの作り方"
},
{
"paragraph_id": 114,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "GNOME用のGUIアプリの作り方"
},
{
"paragraph_id": 115,
"tag": "p",
"text": "GdkWindowに対して、gdk_cairo_create関数を使うことで、w:Cairoライブラリの描画コンテキストを得ることができます。ここで、Cairoは2D描画用のライブラリで、GTK+2が依存しているライブラリの1つです。gdk_cairo_create関数を使うと、GtkDrawingAreaウィジェットの中で、Cairoの描画関数を用いた図形の描画ができます。",
"title": "GNOME用のGUIアプリの作り方"
},
{
"paragraph_id": 116,
"tag": "p",
"text": "Cairoライブラリには、GDKに存在しない描画機能があります。例えば、GDKの描画関数にはw:ベジエ曲線を描くための関数は存在しません。Cairoライブラリにはこれを描くための関数が用意されています。GtkDrawingArea内で、これらの機能を利用したいときにはCairoライブラリを使うとよいでしょう。",
"title": "GNOME用のGUIアプリの作り方"
},
{
"paragraph_id": 117,
"tag": "p",
"text": "Cairoライブラリを使う場合には、expose_cbは次のようになります。まず最初にGdkWindowからCairoコンテキストを作ります。",
"title": "GNOME用のGUIアプリの作り方"
},
{
"paragraph_id": 118,
"tag": "p",
"text": "cairo_t*はCairoコンテキストで、Cairoの関数によって画面の描画を行える長方形です。gdk_cairo_create関数はGdkWindow*を引数に取り、GdkWindow*の全体からCairoコンテキストを作ります。Cairoコンテキストは描画が終わった時に、cairo_destroy関数で解放する必要があります。",
"title": "GNOME用のGUIアプリの作り方"
},
{
"paragraph_id": 119,
"tag": "p",
"text": "Cairoの関数はCairoコンテキスト内に\"パス\"を作成します。例えば、ある点(x,y)から(a,b)に向けた直線を引く場合を考えます。この場合、Cairoコンテキストに対して、1つの直線のパスを作ります。",
"title": "GNOME用のGUIアプリの作り方"
},
{
"paragraph_id": 120,
"tag": "p",
"text": "Cairoコンテキストには\"現在の位置\"という量があります。まず最初に、\"現在の位置\"をパスの先端に動かし、その後位置をパスの後端に動かします。パスの先端に動かすには、cairo_move_to関数を使います。",
"title": "GNOME用のGUIアプリの作り方"
},
{
"paragraph_id": 121,
"tag": "p",
"text": "次に、cairo_line_to関数でCairoコンテキスト中にパスを作成します。",
"title": "GNOME用のGUIアプリの作り方"
},
{
"paragraph_id": 122,
"tag": "p",
"text": "これによって(x,y)から(a,b)へのパスをひくことができます。実際にこの直線を描画するには、cairo_stroke関数を使います。",
"title": "GNOME用のGUIアプリの作り方"
},
{
"paragraph_id": 123,
"tag": "p",
"text": "描画する際に色を変えることもできます。このためには、cairo_set_source_rgb(a)関数を使います。最後のaはw:アルファチャンネルを表すパラメータです。これらの関数は",
"title": "GNOME用のGUIアプリの作り方"
},
{
"paragraph_id": 124,
"tag": "p",
"text": "または、",
"title": "GNOME用のGUIアプリの作り方"
},
{
"paragraph_id": 125,
"tag": "p",
"text": "で表されます。ただし、R, G, Bは、0-255ですが、Aは0-1で表されます。",
"title": "GNOME用のGUIアプリの作り方"
},
{
"paragraph_id": 126,
"tag": "p",
"text": "また、描画の色はパスに対して設定することはできないため、パスを定義した後 色を変えたとしても、cairo_strokeを実行する前なら、パスの色は変更した後の色で描画されます。",
"title": "GNOME用のGUIアプリの作り方"
},
{
"paragraph_id": 127,
"tag": "p",
"text": "cairo_move_to, cairo_line_to以外に、cairo_rel_move_to, cairo_rel_line_toという関数もあります。これらの関数は対応する関数と同じ働きをしますが、移動の位置を\"現在の位置\"からの相対位置で決めます。",
"title": "GNOME用のGUIアプリの作り方"
},
{
"paragraph_id": 128,
"tag": "p",
"text": "Cairoの関数は対応するw:PostScriptの関数と等しくなっています。例えば、三角形を描くPostScriptファイルは次のようになります。",
"title": "GNOME用のGUIアプリの作り方"
},
{
"paragraph_id": 129,
"tag": "p",
"text": "moveto, lineto, strokeはそれぞれ対応するCairoの関数と似た働きをします。",
"title": "GNOME用のGUIアプリの作り方"
},
{
"paragraph_id": 130,
"tag": "p",
"text": "他に、パスを作る関数として、cairo_rectangle, cairo_arc関数などがあります。これらの関数についてはCairoのリファレンスを参照してください。",
"title": "GNOME用のGUIアプリの作り方"
},
{
"paragraph_id": 131,
"tag": "p",
"text": "w:ベジエ曲線は一般的な3次曲線で、w:ベクタ図形を記録するためによく用いられます。例えば、w:PostScript、w:SVGは曲線としてベジエ曲線を使っています。",
"title": "GNOME用のGUIアプリの作り方"
},
{
"paragraph_id": 132,
"tag": "p",
"text": "ベジエ曲線を使う関数はcairo_curve_to, cairo_rel_curve_toの2つです。具体的には、cairo_curve_toは次のように使います。",
"title": "GNOME用のGUIアプリの作り方"
},
{
"paragraph_id": 133,
"tag": "p",
"text": "は\"現在の位置\"から(x3, y3)まで曲線をひきます。曲線の曲がり具合は、(x1, y1),(x2,y2)によって定めます。これらの点については、Cairoのリファレンスとw:ベジエ曲線を参照してください。",
"title": "GNOME用のGUIアプリの作り方"
},
{
"paragraph_id": 134,
"tag": "p",
"text": "ここからは、個々のオブジェクトについて詳しく調べていきます。gnome-panelの多くの設定で使用されているオブジェクトに、\"メニューバー\"があります。",
"title": "コンポーネント"
},
{
"paragraph_id": 135,
"tag": "p",
"text": "このオブジェクトはアプリケーションメニューと場所メニュー、アクションメニューの3つのメニューから構成されています。それぞれのメニューをクリックすると種々のメニューが提供されます。アプリケーションメニューではシステムに存在するアプリケーションの起動が扱われ、アクションメニューでは\"画面のロック\"や\"ログアウト\"などのGNOMEデスクトップ全体に関わる事柄が扱われます。",
"title": "コンポーネント"
},
{
"paragraph_id": 136,
"tag": "p",
"text": "メニューバーは大抵の設定でただ1つだけパネル内におかれているので、この部分は動かせないと思われがちです。しかし、実際にはこの部分は取り去ることが可能であり、またパネル内に複数置くことも可能です。",
"title": "コンポーネント"
},
{
"paragraph_id": 137,
"tag": "p",
"text": "メニューバーのクラスはソースコード内では./gnome-panel/panel-menu-bar.hで定義されています。この中のPanelMenuBar構造体を確認すると分かる通り、このクラスはGtkMenuBarを継承しています。そのため、このクラスは基本的にGtkMenuBarと同じ動作をします。GtkMenuBarを使ったサンプルとして次のようなメニューの例があげられます。",
"title": "コンポーネント"
},
{
"paragraph_id": 138,
"tag": "p",
"text": "GtkMenuBarはGtkMenuItemを書き込むことでメニューを作成することができるウィジェットです。 上の例はmmmという名のメニューを作成し、それをクリックしたときlllと書かれたメニューを表示し、更にその中のlllと書かれた部分をクリックすることで関数menu_cbを実行するというプログラムです。メニューの項目は増やせるので、コールバック関数をいろいろなアプリケーションの起動を行う関数とすることで、ランチャーの役目を果たすアプリケーションとすることができます。",
"title": "コンポーネント"
},
{
"paragraph_id": 139,
"tag": "p",
"text": "gnome-panelではパネルの各所を右クリックすることでポップアップメニューを得ることができます。この操作はGUIを使った操作としてはよく見られるもので、どのように実現されるかが気になる所です。実は、この操作はGTK+のクラスであるGtkMenuの操作として典型的なものです。ここではGtkMenuのポップアップの例を見るとともに、実際にこの操作がどのようにgnome-panel中で用いられているかを見て行きます。",
"title": "コンポーネント"
},
{
"paragraph_id": 140,
"tag": "p",
"text": "GtkMenuのポップアップの例として、次のサンプルをあげます。",
"title": "コンポーネント"
},
{
"paragraph_id": 141,
"tag": "p",
"text": "上の例では\"lll\"と書き込まれたメニューを作成した後、そのメニューをgtk_menu_popupによって表示します。メニューが表示される場所はgtk_menu_popupの引数によって変更できるのですが、上の例ではgtk_menu_popupが実行された時点でのマウスカーソルの場所になります。実行例を見るとわかるのですがこの例は何も無い部分に突然メニューが表示されるため、やや非直観的です。普通の例ではGtkWindow等のマウスイベントを設定し,マウスのボタンが押されたときにメニューが表示されるようにします。ただし、GtkWindowは通常ではマウスのボタンに対応するイベントを持たないため,その点を補う必要があります。 このためには、gtk_widget_add_eventsかGtkEventBoxを使う方法がありますが、ここではgtk_widget_add_eventsを用いる方法を述べます。GtkEventBoxについてはGTK+のリファレンス等を参照してください。以降の説明ではある程度Xプログラミングの経験があると理解が容易になります。",
"title": "コンポーネント"
},
{
"paragraph_id": 142,
"tag": "p",
"text": "gtk_widget_add_eventsはウィジェットがGTK+の背後で動いているウィンドウシステムから、新しいイベントを得るように設定する関数です。背後のウィンドウシステムの代表例はw:X Window SystemですがUnix系のシステムでないなら他のものになることもあります。GTKではウィンドウシステムの値を直接使わなくてもすむよう、w:GDKというライブラリを用いています。GDKはGTK+とともに配布されるライブラリです。",
"title": "コンポーネント"
},
{
"paragraph_id": 143,
"tag": "p",
"text": "gtk_widget_add_eventsでは引数として(GtkWidget *, GdkEventMask)を取ります。ここで、EventMask(イベントマスク)は対応するイベントをXなどから受け取るかを定めるビット列です。例えば,Xを用いてイベントを処理する場合にはXSelectInputなどを用いますが,この関数の引数としてイベントマスクが用いられます。詳しくはXプログラミングを参照してください。ここで扱うGdkEventMaskも同種の値です。",
"title": "コンポーネント"
},
{
"paragraph_id": 144,
"tag": "p",
"text": "実際にマウスボタンのイベントを見るには,GdkEventMaskとしてGDK_BUTTON_PRESS_MASKを用います。結局GtkWindowを作った後,",
"title": "コンポーネント"
},
{
"paragraph_id": 145,
"tag": "p",
"text": "を実行すると,ウィンドウ内でマウスボタンの操作を見ることができるようになります。この関数の後には,GTKのイベントである\"button_press_event\"を用いてマウスのボタンを扱うことができます。",
"title": "コンポーネント"
},
{
"paragraph_id": 146,
"tag": "p",
"text": "ここまでのことを用いて,メニューを作成してからメインループに至るまでの部分は次のようになります。",
"title": "コンポーネント"
},
{
"paragraph_id": 147,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "コンポーネント"
},
{
"paragraph_id": 148,
"tag": "p",
"text": "ただし、menuは上で作成したGtkMenuと同一です。ここで、window_button_cbは次のように与えます。",
"title": "コンポーネント"
},
{
"paragraph_id": 149,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "コンポーネント"
},
{
"paragraph_id": 150,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "コンポーネント"
},
{
"paragraph_id": 151,
"tag": "p",
"text": "アプリケーションの起動を行うためには、 コールバック関数として定義された関数(上の例ではmenu_cbと与えられている)の中で、新たな\"プロセス\"を作る必要があります。\"プロセス\"はOSが複数のアプリケーションを同時に動かすときの単位で、それを作る方法はOSによって異なっています。Unix系のOSではプロセスを作る関数は大抵w:forkと呼ばれます。forkはプロセスを作成し、新たに作成されたプロセスのIDを返します。また、作成されたプロセスで実際にあるアプリケーションを起動する関数として、Unix系のOSではexec系の関数が与えられます。execは与えられる引数によっていくつかの似た関数が提供されます。",
"title": "コンポーネント"
},
{
"paragraph_id": 152,
"tag": "p",
"text": "実際にそれぞれのメニューバーの項目に対応するコールバックを設定する操作は、./gnome-panel/panel-menu-item.c内の関数panel_menu_items_append_from_desktop内で行われています。この関数は第1引数にメニューの項目、第2引数に起動するアプリケーションの名称を取り、これを新たに作成したメニューの項目に与えています。",
"title": "コンポーネント"
},
{
"paragraph_id": 153,
"tag": "p",
"text": "既にメニューの項目をクリックしたときの動作を与える方法として、",
"title": "コンポーネント"
},
{
"paragraph_id": 154,
"tag": "p",
"text": "を使う方法を紹介しました。ここで、menuitemはここで内容を与えるメニュー項目であり、menu_cbは実際にこのメニューの項目がクリックされたときに実行させたい関数です。指定したアプリケーションを起動して、新たなプロセスを実行するためには、この関数はforkやexecを用いる関数である必要があります。",
"title": "コンポーネント"
},
{
"paragraph_id": 155,
"tag": "p",
"text": "g_signal_connectはw:en:glibで定義された関数で、\"シグナル\"が定義されたGObjectクラス及びそれを継承したクラスに対して、コールバック関数を与える関数です。ここで、\"シグナル\"はおおよそコールバック関数と同じ意味で、Unixでいう\"シグナル\"(他のプロセスに影響を与える機構)とは無関係です。",
"title": "コンポーネント"
},
{
"paragraph_id": 156,
"tag": "p",
"text": "panel_menu_item_append_from_desktop内でもこの関数が用いられており、コールバック関数として同じファイル内で定義された、関数panel_menu_item_activate_desktop_fileを取ります。この関数はクリックされたメニュー項目の情報に加えて、そのメニュー項目がクリックされたときに実行されるべきアプリケーションの名称を引数として受け取ります。ここで、この関数はアプリケーションの名称を引数として与えながら、関数panel_ditem_launchを呼びます。launchの名から分かる通り、この関数は実際にアプリケーションの起動を行います。launchは\"起動する\"、\"発射する\"などの意味を持つ英単語です。",
"title": "コンポーネント"
},
{
"paragraph_id": 157,
"tag": "p",
"text": "ここまでも既に長い道のりでした。しかし、ここから実際にforkが呼ばれるまでに、更にいくつかのライブラリを見る必要があります。ある意味でlaunchと名の付いた関数を見付けた時点で、この関数がプログラムの実行を行う可能性は高いため、そこで探索を終える方法もあるでしょう。ここでは、一応最後まで関数の流れを追ってみます。",
"title": "コンポーネント"
},
{
"paragraph_id": 158,
"tag": "p",
"text": "panel_ditem_launchは、./gnome-panel/panel-util.c内で定義されています。この関数はいくつかの準備を行った後、関数gnome_desktop_item_launch_on_screenを呼びます。実はこの関数はgnome-panel内の関数ではないため、ソースを読もうと試みる人は、この関数が定義されたソースを求めて方々を探す必要があります。実際にはw:googleなどを試してみるのがよいでしょう。",
"title": "コンポーネント"
},
{
"paragraph_id": 159,
"tag": "p",
"text": "実際にこれを探すと、関数gnome_desktop_item_launch_on_screenは、gnome-desktopというライブラリ内の関数だとわかります。このライブラリもGNOMEのサイトから提供されているので、必要ならダウンロードしてください。実際には、この関数は、gnome-desktop-x.x.x/libgnome-desktop/gnome-desktop-item.cで定義されています。",
"title": "コンポーネント"
},
{
"paragraph_id": 160,
"tag": "p",
"text": "この関数ではいくつかの引数のチェックを行った後、同じファイル内の関数ditem_executeを呼びます。この関数は関数の名前の最初に、gnome_desktop_...がついていません。このような関数は大抵staticをつけて宣言されており、そのファイル内だけで用いられる関数です。これは、staticをつけた関数は外部からは参照できないことを利用しています。他のファイルの関数名と重複することがないため、単純な名前でもよい訳です。",
"title": "コンポーネント"
},
{
"paragraph_id": 161,
"tag": "p",
"text": "ditem_executeは様々なチェックなどを行った後、関数g_spawn_asyncを呼びます。この関数はg_から始まっていますが、GNOMEのアプリケーションでこの名称が出て来た場合、この関数は大抵w:en:glibの関数です。例えば、コールバックを与える関数であるg_signal_connectがglibの関数であることは既に述べました。",
"title": "コンポーネント"
},
{
"paragraph_id": 162,
"tag": "p",
"text": "多くの関数をたどって来ましたが、g_spawn_asyncは事実上最後の関数です。この関数はglib-x.x.x/glib/gspawn.c内で定義されていますが、この関数はいくつかの関数を経て、関数fork_exec_with_pipesという関数を呼びます。この関数は名前の通りforkとexecを呼ぶ関数です。",
"title": "コンポーネント"
},
{
"paragraph_id": 163,
"tag": "p",
"text": "ここまでで一応gnome-panelのメニュー項目がクリックされてから、実際に新たなプロセスが作成されるまでの道のりを見て来ました。もちろんただプロセスを作ることが目的なら、gnome-panel内で直接forkを呼ぶことも可能です。敢えてライブラリを使うのは、例えばw:Windowsを使うときにはこの方法が使えないことがあげられます。これは、Windows上でプロセスを作るときにはforkではなく別のw:Windows APIを使う必要があるからです。実際glibのgspawn.cがあるディレクトリ内には、gspawn-win32.cというWindows向けの関数も定義されており、glibライブラリをクロスプラットフォームライブラリにするよう試みているようです。",
"title": "コンポーネント"
},
{
"paragraph_id": 164,
"tag": "p",
"text": "ここまでで一応ランチャーとしての役目を果たすための機能を見て来ました。メニューを表示し、そのメニュー項目と対応するアプリケーションを起動することは、ランチャーの機能としては基本的です。ただし、ランチャーが扱えるアプリケーションは、プログラムのふるまいを外部から制御する機構がないのなら、ランチャーを作った人間がプログラム内に書き込んだアプリケーションに限られます。これでは新たなアプリケーションが加わった時にランチャーの振舞いを拡張することができないことになり、不便です。",
"title": "コンポーネント"
},
{
"paragraph_id": 165,
"tag": "p",
"text": "ソフトウェアの動作を制御するためには、\"設定ファイル\"を使った方法がよく用いられます。例えば、XサーバやWebサーバ の動作を変更するために、これらの設定ファイルを書き直すことは特にホビーとしてのPC-Unixではよく行われます。",
"title": "コンポーネント"
},
{
"paragraph_id": 166,
"tag": "p",
"text": "ただし、アプリケーションの動作を制御するために設定ファイルを使った方法を用いる場合には、その設定がアプリケーション内に取り込まれるタイミングが重要になります。例えば、設定ファイルを読む操作がアプリケーションの起動時にしか行われない場合、設定ファイルを変更した後アプリケーションの動作を変更するには、設定ファイルを書き直すたびに対応するアプリケーションを起動し直す必要があり、少し不便です。",
"title": "コンポーネント"
},
{
"paragraph_id": 167,
"tag": "p",
"text": "より進んだ方法では、設定ファイルを書き直した後、そのことをアプリケーションに伝達する機構を用意しています。ここで、設定ファイルを書き直すプロセスは、一般には設定ファイルを利用するプロセスとは異なっています。このため、設定が変更されたことをその設定を使用しているアプリケーションに伝達するには、\"プロセス間通信\"の機構を用いる必要があります。",
"title": "コンポーネント"
},
{
"paragraph_id": 168,
"tag": "p",
"text": "プロセス間通信は異なったプロセスの間で情報を伝達する機構です。この機構もプロセスの操作と同様OSによって提供される機構であり、異なったOSでは異なった動作をします。Unixにおける代表的なプロセス間通信には、w:ソケットを使った方法があげられます。ソケットは異なったプロセスからの情報を受け取るための一般的な機構ですが、これは異なったコンピュータ上にあるプロセスに対しても用いることができます。例えばLinuxでは、w:TCPの通信を行うためのソケットを提供していますが、この通信手法はw:インターネットのあらゆるサービスを提供するための手法として用いられています。",
"title": "コンポーネント"
},
{
"paragraph_id": 169,
"tag": "p",
"text": "GNOMEでは、設定を扱うためにw:en:gconfと呼ばれるライブラリを利用します。これは、設定を扱うための1つのサーバ(gconfd)を導入し、そのサーバに、サーバ上の設定を参照しているgconfクライアントを記憶させておき、設定が変更された際に、そのことをgconfクライアントに伝える機構です。簡単な例では、gconfdが保持している設定は利用者のホームディレクトリ~の~/.gconf/以下に記録されます。",
"title": "コンポーネント"
},
{
"paragraph_id": 170,
"tag": "p",
"text": "Unixの\"シェル\"では、利用者のホームディレクトリを~の記号で表します。設定によるのですが、このディレクトリは大抵/home/user_name/以下におかれます。ただし、user_nameはそのコンピュータに登録されている利用者の名前です。PC-Unixでは大抵利用者はそのパソコンの所有者1人だけなので、/home以下に直接設定ファイルをおけばよいようですが、多くの利用者が異なった設定でgconfを使う場面を想定してこのような作りになっています。",
"title": "コンポーネント"
},
{
"paragraph_id": 171,
"tag": "p",
"text": "実際のシステムでは~/.gconfは次のようになります。",
"title": "コンポーネント"
},
{
"paragraph_id": 172,
"tag": "p",
"text": "これはfedora core 5での~/.gconf/内のファイルを表示した例です。ここには2つのディレクトリしかありませんが,apps/以下にはw:en:Eye of GNOME, w:geditなどの各種アプリケーションの設定が記録されています。これらはそれぞれ",
"title": "コンポーネント"
},
{
"paragraph_id": 173,
"tag": "p",
"text": "などの名前を与えられています。",
"title": "コンポーネント"
},
{
"paragraph_id": 174,
"tag": "p",
"text": "gconfの動作を見るために、gconfが提供するツールを使った実験をしてみます。gconfはGConf-x.x.xというライブラリとしてGNOMEのサイトから配布されているのですが、その中には、GConf-x.x.x/gconf/gconftool.cで与えられるファイルが存在します。ここで、GConfのバージョンはGConf-2.14.0を使いました。このファイルは、gconfの設定内容を変更したり参照するための簡単なツールを提供します。このツールはgconftoolと呼ばれます。",
"title": "コンポーネント"
},
{
"paragraph_id": 175,
"tag": "p",
"text": "ここでは、このツールを用いてgconfを使ってみます。既に~/.gconf/の中を見てみました。ここでは、gconftoolを使ってこのディレクトリ以下に新たな設定項目を作ります。もちろんこの項目は実際にアプリケーションで使われる項目ではないのですが、gconfの動作を見る上では便利です。具体的には、~/.gconf/以下に、/aaa/bbbという項目を作ります。ここで、/aaaは項目が配置されるディレクトリ名を表し、bbbが実際に記録される設定の名前です。もちろんこの階層はいくらでも深くすることができますが、ここではこの程度でよいでしょう。",
"title": "コンポーネント"
},
{
"paragraph_id": 176,
"tag": "p",
"text": "また、gconfで設定される項目には\"型\"が必要になります。\"型\"にはint, bool, float型がなどがあります。これらのうち、intとfloatはC言語の対応する型と同じで、intは整数、floatは実数を表します。boolは例えばCPlusPlusなどでは導入されているのですが、\"真\"、\"偽\"の2つの値だけを持つ型です。C言語では1 を\"真\"、0を\"偽\"などとしてint型で代用することができます。ここでは、bbbの型はboolで、値を\"真\"、つまりtrueとします。",
"title": "コンポーネント"
},
{
"paragraph_id": 177,
"tag": "p",
"text": "具体的に、/aaa以下にbool型の項目bbbを値trueで設定するには、",
"title": "コンポーネント"
},
{
"paragraph_id": 178,
"tag": "p",
"text": "とします。ここで、-sは項目を指定するための引数であり、-tは項目の型を指定する引数です。",
"title": "コンポーネント"
},
{
"paragraph_id": 179,
"tag": "p",
"text": "実際にこの操作を実行すると、~/.gconf/は次のようになります。",
"title": "コンポーネント"
},
{
"paragraph_id": 180,
"tag": "p",
"text": "新たにaaa/というディレクトリが加わっている様子がわかります。aaa/内のファイルを表示すると,",
"title": "コンポーネント"
},
{
"paragraph_id": 181,
"tag": "p",
"text": "が得られます。ここではgconfの設定はw:XMLファイルに記録されています。この中身は,",
"title": "コンポーネント"
},
{
"paragraph_id": 182,
"tag": "p",
"text": "で与えられます。この中では3行目の\"bbb\", \"bool\", \"true\"から、上で扱った内容が記録されている様子がわかります。",
"title": "コンポーネント"
},
{
"paragraph_id": 183,
"tag": "p",
"text": "ここまででgconfの基本的な使い方を見て来ました。gnome-panelでもパネル内のどの位置にどのオブジェクトが配置されているかなどをを記録するために、gconfを用いています。ここではまず、gnome-panelがどのようにgconfdから設定を受け取り、設定への変更を取得しているかを見て行きます。",
"title": "コンポーネント"
},
{
"paragraph_id": 184,
"tag": "p",
"text": "ここではgnome-panelがどのように起動するかを見て行きます。通常のアプリケーションと同様、gnome-panelは起動時に設定を参照してどこにオブジェクトを配置するかなどを決めます。この設定は設定ファイルではなく、gconfを用いて行われるのですが、ここでは実際にアプリケーションの起動時にどのようにgconfが用いられているかを見て行きます。",
"title": "コンポーネント"
},
{
"paragraph_id": 185,
"tag": "p",
"text": "大抵のGNOMEアプリケーションではアプリケーションの起動はmain関数から始まります。これは普通のCプログラムと同じです。一方、w:Windows APIを用いたWindowsのcプログラムでは、アプリケーションはWinMain関数から始まります。これはGUIアプリケーション一般の性質という訳ではないので注意してください。",
"title": "コンポーネント"
},
{
"paragraph_id": 186,
"tag": "p",
"text": "そのため、アプリケーションの起動の様子を見るためには、このアプリケーションのmain関数を探す必要があります。gnome-panelでは、./gnome-panel/main.cに、アプリケーションのmain関数が定義されています。main関数では各種の初期化や設定が行われているのですが、その中でgconfとの相互作用を扱う関数として、関数panel_profile_loadが呼ばれています。この関数は、./gnome-panel/panel-profile.c内で定義された関数で、\"いくつのパネルがあるか、それぞれのパネルにはどのようなオブジェクトやアプレットが配置されているか\"などの各種情報をgconfdから受け取り、対応するウィジェットを作成しています。",
"title": "コンポーネント"
},
{
"paragraph_id": 187,
"tag": "p",
"text": "実際には関数panel_profile_loadの最後で、関数panel_applet_load_queued_appletsが呼ばれています。 この関数は、./gnome-panel/applet.c内で定義されていますが、おおよそ関数panel_applet_load_idle_handlerを呼び出す関数です。panel_applet_load_idle_handlerもapplet.c内の関数ですが、この中では追加されたオブジェクトのタイプに対して、動作を変更するための、大きなswitch文が用いられています。switch文はC言語の制御構造の1つで、複数の条件があるときに、それらの条件に対して場合分けを行う文です。詳しくはC言語内の説明を参照してください。このswitch文はgconfが与えた内容に対して作成するウィジェットを変更するための場合分けで、これ以降各ウィジェットを作成する手順はウィジェットの種類によって様々です。 具体的には追加されたオブジェクトが\"メニューバー\"だった場合にはpanel_menu_bar_load_from_gconfを呼んでいます。この関数は設定に従って対応する\"メニューバー\"オブジェクトを作成する関数です。この関数の詳細を追うこともできますが、一応gconfの設定を読んだ後に、設定に応じて各種のオブジェクトを与える過程が得られたので、アプリケーションの起動に限った話はここまでとします。",
"title": "コンポーネント"
},
{
"paragraph_id": 188,
"tag": "p",
"text": "ここまでで、gnome-panelが起動するときに、gconfが与える設定に従って、各種ウィジェットを見分ける方法を見て来ました。実際にはgnome-panelはgnome-panelが動作している最中に設定が変更されても、それに対応してウィジェットを作成する機構を持っています。これはgconfの機能を活用した機構です。",
"title": "コンポーネント"
},
{
"paragraph_id": 189,
"tag": "p",
"text": "具体的には、gnome-panelはパネルの自由な位置に利用者が指定したオブジェクトをgnome-panelを再起動すること無く導入するためのGUIを持っています。このGUIは、gnome-panelの設定の変更とそのことのgnome-panelへの伝達を同時に行っており、設定を変更するたびにgnome-panelを起動しなおす手間を省いています。 ここでは、このGUIを用いて、gnome-panelに各種オブジェクトを配置する方法を見て行きます。",
"title": "コンポーネント"
},
{
"paragraph_id": 190,
"tag": "p",
"text": "まず、gnome-panelの設定を変更するためのGUIとして、gnome-panel/panel-addto.c内の関数が用いられています。このファイル内の関数はGtkDialogを用いて利用者からgnome-panel内で変更したい設定を取得しようとします。ここではこのウィジェットをAddToダイアログと呼びます。",
"title": "コンポーネント"
},
{
"paragraph_id": 191,
"tag": "p",
"text": "ここで、GtkDialogはGtkWindowを継承したクラスで、GtkWindowに\"OK\", \"キャンセル\"などの各種ボタンを与えるクラスです。一般的なGtkDialogの例として、次のようなサンプルがあげられます。",
"title": "コンポーネント"
},
{
"paragraph_id": 192,
"tag": "p",
"text": "AddToダイアログの動作はgconfの機能を使っています。具体的には、gconfの設定のうち、オブジェクトの種類や配置が記録されている部分にgconf_client_add_dirを使い、その値が変更されたときのコールバック関数を登録するために、gconf_client_notify_addを使っています。具体的には、これらの関数は既に見た関数panel_profile_load内及びそこから呼び出された関数内で用いられています。",
"title": "コンポーネント"
},
{
"paragraph_id": 193,
"tag": "p",
"text": "関数panel_profile_loadは、途中でgconf_client_add_dir関数を呼び出しています。ここで指定するgconfの階層は、/apps/panel/generalです。この階層以下には、パネルの数やオブジェクトの位置などが記録されるため、オブジェクトの数を確認するためにはこの部分の変化を見ておく必要があります。",
"title": "コンポーネント"
},
{
"paragraph_id": 194,
"tag": "p",
"text": "ここで実際のgnome-panelでの例を示します。実際にgconfの設定を見るためにgconftoolを用います。gconftoolで対応するディレクトリ以下の設定項目を見るには,",
"title": "コンポーネント"
},
{
"paragraph_id": 195,
"tag": "p",
"text": "とします。",
"title": "コンポーネント"
},
{
"paragraph_id": 196,
"tag": "p",
"text": "gnome-panelの設定を見るためには、あらかじめgnome-panelをできるだけ単純に設定しておくと後が楽になります。ここでは、パネルは1つだけを残して全て取り去り、残ったパネル内のオブジェクトも全て取り去りました。この操作は対応するパネルやオブジェクトを右クリックし、対応するメニューを用いることで行えます。また、最後のパネルを消そうとすると、メニューが表示されなくなるため、全てのパネルを消し去ることはできません。パネルを右クリックした場合新たなパネルを追加するメニューが表示されるため、それを用いて新たにパネルを加え、設定を元に戻すことができます。",
"title": "コンポーネント"
},
{
"paragraph_id": 197,
"tag": "p",
"text": "実際にこの設定にした後,上のコマンドでディレクトリ名として/apps/panel/generalを用いると",
"title": "コンポーネント"
},
{
"paragraph_id": 198,
"tag": "p",
"text": "などの出力が得られます。ここで、object_id_list、applet_id_listはそれぞれパネルに含まれるオブジェクト、アプレットを表します。ここでは、オブジェクトを1つも用いていないので、これらは空欄となります。一方toplevel_id_listはパネルがいくつあるかを示すリストです。ここではただ1つのパネルを用いているため項目は1つだけとなります。後にわかるのですが、panelが複数になった時にはこの部分にpanel_2, panel_3, ... などの項目が追加されます。ここで、1, 2, 3などの数字はidと呼ばれます。この用語はtoplevel_id_list等の名前にも用いられていますが、以降のソース内の関数名にも何度か用いられます。",
"title": "コンポーネント"
},
{
"paragraph_id": 199,
"tag": "p",
"text": "これで、オブジェクト、アプレット、パネルの数がどのように記録されているかがわかりました。更にこれらの設定の詳細については/apps/panel以下の各ディレクトリに記録されています。例えば,/apps/panel/toplevelsにはパネルの設定が記録され、/apps/panel/appletsにはアプレットの設定が記録されます。例えば/apps/panel/toplevels/panel_1の設定を見ることもできますが、設定項目の数が多いのでこれらの詳細には触れません。比較的意味が取りやすいものでは、",
"title": "コンポーネント"
},
{
"paragraph_id": 200,
"tag": "p",
"text": "などがあります。これらは、それぞれパネルの幅(単位はピクセル)、パネルを画面中でどの位置に置くか、カーソルが置かれていないときパネルを隠すかどうかに対応します。これらはどれもパネルの右クリックメニューから扱うことができる\"プロパティ\"によって設定できる項目です。",
"title": "コンポーネント"
},
{
"paragraph_id": 201,
"tag": "p",
"text": "次に、パネルの数とアプレットの数を増やして同じ操作をしてみます。ここではパネルを2枚にし、メインメニュー、時計、通知スペース、ウィンドウの一覧、デスクトップの表示などの各種オブジェクトを追加しました。ただし、パネルの位置はそれぞれ上と下とし、オブジェクトのうち最初の3つは上のパネルに加え、後の2つを下のパネルに加えました。この場合/apps/panel/generalでの出力は",
"title": "コンポーネント"
},
{
"paragraph_id": 202,
"tag": "p",
"text": "のようになります。ここで上では5つのオブジェクトを加えたのに、設定ではオブジェクトが1つでアプレットが4つとなっています。実際にはアプレットもオブジェクトの一種なのですが、アプレットは他のオブジェクトと比べてかなり動作が異なるので、アプレットは別に扱われます。",
"title": "コンポーネント"
},
{
"paragraph_id": 203,
"tag": "p",
"text": "具体的にはアプレットはソース内ではOBJECT_BONOBOなどと呼ばれます。ここで、BONOBOはアプレットを扱う技術の名前なのですが、この技術は単純にはプロセス間通信を用いた技術です。実は上の時計などのアプレットの本体は、gnome-panelのプロセスとは別のプロセスとして存在します。例えば,時計が動いているgnome-panelが存在する時には,常にclock-appletというプログラムが動いています。具体的には、対応するpsコマンドの出力には、",
"title": "コンポーネント"
},
{
"paragraph_id": 204,
"tag": "p",
"text": "などの出力が含まれます。ここで注目してほしいのは、中間の/usr/libexec/以下の各項目です。これらは上から順に通知スペース(notification-area)、時計(clock), ウィンドウの一覧に対応するプロセスです。BONOBOのライブラリであるlibbonoboについてはここでは深くは扱いません。w:en:bonobo (computing)、などを参照してください。",
"title": "コンポーネント"
},
{
"paragraph_id": 205,
"tag": "p",
"text": "ここでは更に、/apps/panel/objectsやa/apps/panel/appletsの中身も見てみます。上で導入したオブジェクトの中でメインメニューはオブジェクト(アプレットでない)なので、/apps/panel/objects内に記述があるはずです。実際にこの項目を見ると、",
"title": "コンポーネント"
},
{
"paragraph_id": 206,
"tag": "p",
"text": "などの項目が与えられます。この中で、object_1はメインメニューに対応するオブジェクトのはずですが、menu-barの名前が3行目にあるので、確かにこのオブジェクトがメインメニューに対応することがわかります。他にpositionはメニューの位置を表し、toplevel_idはこのオブジェクトがどのパネルに含まれるかを表します。panel_1は上側のパネルなのでこれで正しいわけです。他にlockedという項目がありましたがこの項目はおそらくそのオブジェクトが\"ロック\"されているかを表します。\"ロック\"はオブジェクトの移動を禁止する機能で、右クリックメニューから選ぶことができます。",
"title": "コンポーネント"
},
{
"paragraph_id": 207,
"tag": "p",
"text": "更にアプレットについては次のような項目が存在します。",
"title": "コンポーネント"
},
{
"paragraph_id": 208,
"tag": "p",
"text": "ここで、object_typeはbonobo-appletとなっていますが、この項目はアプレット全般に対して用いられます。また、toplevel_idとpositionについては既に扱いました。最後にbonobo_iidですが、これはBONOBOの機構内でどのプロセスからの入力を扱うかを定める1つの文字列です。ここではNotificationAreaの文字があるので、このアプレットが\"通知スペース\"に対応することがわかります。",
"title": "コンポーネント"
},
{
"paragraph_id": 209,
"tag": "p",
"text": "ここまででgnome-panelの設定に関する実例を見てきました。これらの設定の変更を扱うために、関数panel_profile_loadの中ではgconfの設定内のパネル、オブジェクト、アプレットそれぞれの設定に対して、panel_profile_load_listという関数が呼ばれています。関数panel_profile_load_listもpanel_profile_loadと同じファイル内で定義されているのですが、この関数は関数内でgconf_client_notify_addを呼び出しています。",
"title": "コンポーネント"
},
{
"paragraph_id": 210,
"tag": "p",
"text": "gconf_client_notify_addの引数は、パネルの設定に対してこの関数が呼ばれた場合とオブジェクトやアプレットに対して呼ばれた場合で変化します。例えば、オブジェクトの設定を読んだ場合には関数panel_profile_object_id_list_notifyが引数として与えられます。この関数はどのオブジェクトが消えたり追加されたりしたのかを把握し、オブジェクトに対応するウィジェットを追加したり取り除くという作業を行う関数です。実際に関数panel_profile_object_id_list_notify内ではpanel_profile_load_added_idsとpanel_profile_delete_removed_idsの2つの関数が呼ばれていますが、これらの関数は名前の通りの動作をし、付け加えられた(added)オブジェクトを読み出したり(load)、取り除かれた(removed)オブジェクトを解放したり(delete)します。",
"title": "コンポーネント"
},
{
"paragraph_id": 211,
"tag": "p",
"text": "実際にウィジェットを追加するのは関数panel_profile_object_id_list_notifyの最後で呼ばれている関数panel_applet_load_queued_appletsですが、この関数は既に見た関数で、gconfから受け取ったリストを用いて、対応するウィジェットを作成する関数です。ここでは、関数panel_profile_object_id_list_notify内でリストの変更が取り入れられているので、ウィジェトの追加や削除を行うことができるわけです。",
"title": "コンポーネント"
},
{
"paragraph_id": 212,
"tag": "p",
"text": "ここまででgconfの設定をアプリケーションの動作中に反映するための機構を見て来ました。これらはアプリケーションの起動時にしか変更を反映できない方法と比べて優れた方法です。同様の方法は他のGNOMEアプリケーションでも用いられており、gconfがGNOMEのライブラリとして重要であることを示しています。",
"title": "コンポーネント"
},
{
"paragraph_id": 213,
"tag": "p",
"text": "既に\"アプレット\"がlibbonoboを通じて実現されていることを述べました。ここで、libbonoboはプロセス間通信を行うための一般的な技術です。これは、アプレットを扱うプロセスとgnome-panelのプロセスの間の通信を行うために用いられます。",
"title": "コンポーネント"
},
{
"paragraph_id": 214,
"tag": "p",
"text": "アプレットはlibbonoboに加えてlibbonobouiライブラリに含まれる技術も用いています。libbonobouiライブラリはlibbonoboを用いてあるプロセスで制御されるGTKウィジェットを他のプロセスのウィジェットに埋め込む一般的なライブラリです。",
"title": "コンポーネント"
},
{
"paragraph_id": 215,
"tag": "p",
"text": "まず最初に、GTKを用いたウィジェットの埋め込みを扱います。GTKの枠組みでウィジェットの埋め込みを行うには、GtkPlug, GtkSocketのウィジェットを使います。GtkSocketは、ウィジェットを埋め込まれる側のプロセスが作成するウィジェットで、GtkPlugが実際に埋め込まれるウィジェットに対応します。",
"title": "コンポーネント"
},
{
"paragraph_id": 216,
"tag": "p",
"text": "X上で動くGTKのプロセス中では、GtkPlug, GtkSocketは埋め込まれるウィンドウを決めるために、WindowIDを用います。WindowIDはXのウィンドウに与えられる一意の数値で、型はXID(大抵unsigned long)で与えられます。",
"title": "コンポーネント"
},
{
"paragraph_id": 217,
"tag": "p",
"text": "X上でのWindowIDを知るには、xwininfoコマンドを使うのが簡単です。",
"title": "コンポーネント"
},
{
"paragraph_id": 218,
"tag": "p",
"text": "これは指定されたウィンドウのWindow IDやジオメトリ(位置と大きさ)などの情報を与えます。",
"title": "コンポーネント"
},
{
"paragraph_id": 219,
"tag": "p",
"text": "GtkPlug, GtkSocketを用いて埋め込みを行うには、GtkSocketにGtkPlugのWindowIDを伝える必要があります。このためのlibbonoboui内のクラスとして、BonoboPlug, BonoboSocketの両クラスがあります。これらはそれぞれGtkPlug, GtkSocketを継承します。",
"title": "コンポーネント"
},
{
"paragraph_id": 220,
"tag": "p",
"text": "実際に埋め込みを行うために、BonoboPlug, BonoboSocketはそれぞれBonoboControl, BonoboControlFrameを使います。ここで、BonoboControlはgetWindowIDという名の\"メソッド\"を持っており、他のプロセスで実行されるBonoboControlFrameにBonoboPlugのWindowIDを伝えます。ただし、libbonobo, libbonobouiのバージョンとして、2.16.0を用いました。",
"title": "コンポーネント"
},
{
"paragraph_id": 221,
"tag": "p",
"text": "BonoboControlFrameはGtkWidgetを継承していないため、埋め込まれる側のウィジェットの配置に手間がかかります。この手間を省くため、BonoboControlFrameを\"private\"なメンバとして持ったクラスBonoboWidgetが存在します。",
"title": "コンポーネント"
},
{
"paragraph_id": 222,
"tag": "p",
"text": "gnome-panel中でも、/gnome-panel/panel-applet-frame.c内でBonoboWidgetが用いられています。panel-applet-frameはBonoboWidgetを収納するGtkWidgetで、GtkEventBoxを継承します。GtkEventBoxはGtkBinクラスを継承したウィジェットで1つのウィジェットを収納します。",
"title": "コンポーネント"
},
{
"paragraph_id": 223,
"tag": "p",
"text": "一方gnome-panelでは、埋め込むウィジェットを提供する機構としてPanelAppletクラスが提供されています。(./libpanel-applet/panel-applet.[ch]を参照)このクラスはBonoboControlへのポインタを所持します。各アプレットはこのクラスを継承し、PanelAppletFrameと相互作用します。",
"title": "コンポーネント"
},
{
"paragraph_id": 224,
"tag": "p",
"text": "既にgnome-panelの動作は\"アプレット\"によって拡張されることを見てきました。ここでアプレットはBonoboと呼ばれる技術を用いて作られており、これらはgnome-panelとは異なったプロセス内で動作しています。この時、なぜ単純にgnome-panelの新たなオブジェクトとして各機能を作成しなかったのかが疑問に思われます。",
"title": "コンポーネント"
},
{
"paragraph_id": 225,
"tag": "p",
"text": "詳細は不明ですがこの方式の明らかな利点として、各アプレットを作成する言語として、C言語以外の言語を選べることがあげられます。実際gnome-applets内に含まれるアプレットでinvest-applet(gnome-applets-x.x.x/invest-applet)はw:Pythonを用いて作成されています。ここでgnome-appletsはGNOMEから配布されているファイルで、gnome-panelの各種アプレットを扱っています。この中には音量調節(gnome-applets-x.x.x/mixer)やごみ箱(gnome-applets-x.x.x/trashapplet)などのアプレットが含まれています。ただし、gnome-appletsのバージョンとしてはgnome-applets-2.16.2を用いました。",
"title": "コンポーネント"
},
{
"paragraph_id": 226,
"tag": "p",
"text": "これに加えて既に登場した時計、通知スペースなどのアプレットがgnome-panel内に含まれています。(それぞれ./applets/clock, ./applets/notification_area内のファイル)ここでは、Bonoboの詳細には触れずに、各種\"アプレット\"の動作を見ていきます。これはBonoboを使う場合でもアプレット自体は通常のGTK+アプリケーションと同じように書くことができるからです。このことの詳細についてはなどを参照してください。",
"title": "コンポーネント"
},
{
"paragraph_id": 227,
"tag": "p",
"text": "時計アプレットはその名の通りw:時計を表示するアプレットです。このアプレットはgnome-panelの./applets/clock以下に含まれています。時計アプレットの仕事はおおよそGTK+を使って時計を作成することです。簡単な時計の作り方については例えばXプログラミングを参照してください。",
"title": "コンポーネント"
},
{
"paragraph_id": 228,
"tag": "p",
"text": "(赤線は筆者が導入した)基本的に時計アプレットの本体は時刻の数値をテキストとして書き込まれたGtkLabelです。GtkLabelは既にGtkFixedの中で用いたのでここでは説明しません。対応するGtkLabelは./applets/clock/clock.c内のcreate_clock_widget関数中で作られています。時刻の書き換えはclock_timeout_callback中で呼ばれるupdate_clockで行われます。この間数はgtk_label_set_textを用いてGtkLabel内の数値を変えた後、gtk_widget_queue_resize関数を呼びます。この関数はGtkWidget及びそれを継承したウィジェットに対してその変更を画面に反映するために呼ばれます。同種の関数にgtk_widget_queue_draw(_area)がありますが、gtk_widget_queue_resizeは変更によってウィジェットのサイズが変わる場合に呼ばれます。一方、gtk_widget_queue_drawはウィジェットのサイズを変えません。",
"title": "コンポーネント"
},
{
"paragraph_id": 229,
"tag": "p",
"text": "追加の機能として、時計アプレットは24時間表示と12時間表示を切り替えたり、カレンダーを表示したりといくつかの機能があります。前者はGtkLabelのフォーマットを変更するだけで書き換えられますが、後者は多くの操作が必要となります。実際にはカレンダーはGtkCalendarとしてGTK+のウィジェットが与えられているため、時計アプレット内ではそれが用いられています。GtkCalendarについてはGTK+のソースを参照してください。",
"title": "コンポーネント"
},
{
"paragraph_id": 230,
"tag": "p",
"text": "また、時計アプレットはロケールを変更してgnome-panelを起動すると表示が変化します。次の例はロケールをen_USに変更した例です。ただし、シェルとしてw:bashを用いています。",
"title": "コンポーネント"
},
{
"paragraph_id": 231,
"tag": "p",
"text": "(赤線は筆者が導入した)",
"title": "コンポーネント"
},
{
"paragraph_id": 232,
"tag": "p",
"text": "ロケールの変更による時刻のフォーマットの変更は、gettextライブラリによって行われます。gettextの詳細はOSS開発ツールを参照してください。実際のpoディレクトリは./po/以下で与えられます。この中では各国語でのフォーマットが文字列の形で定義されています。",
"title": "コンポーネント"
},
{
"paragraph_id": 233,
"tag": "p",
"text": "wnckアプレット(wnck-applet)は、\"libwnck\"を用いるアプレット群で、GNOMEデスクトップのウィンドウの管理を行います。このアプレット群は複数のアプレットを含んでおり、これらはそれぞれ\"デスクトップの表示\"(ShowDesktop), \"ウィンドウ一覧\"(WindowList), \"ウィンドウセレクタ\"(WindowMenu), \"ワークスペース切替器\"(WorkspaceSwitcher)が含まれます。既にアプレットの例でwnck-appletが起動されている場面を見ました。これらはここで与えられる複数のアプレットに対応するプロセスです。",
"title": "コンポーネント"
},
{
"paragraph_id": 234,
"tag": "p",
"text": "ここで、それぞれのアプレットの機能を簡単に紹介します。\"デスクトップの表示\"は全てのウィンドウを最小化し、デスクトップを表示します。実はデスクトップは後に述べるw:Nautilusの画面なのですがここでは触れません。ウィンドウの大きさを変更する機能はウィンドウマネージャの機能であるため、対応するウィンドウマネージャがlibwnckの要求を受けない場合には、このアプレットは機能しません。実際twmを用いて\"デスクトップの表示\"を動かしたところ、エラーメッセージが表示されました。",
"title": "コンポーネント"
},
{
"paragraph_id": 235,
"tag": "p",
"text": "次に\"ウィンドウ一覧\"と\"ウィンドウセレクタ\"はどちらもその時点で存在するウィンドウを選択するためのアプレットです。ただし、\"ウィンドウセレクタ\"はこれをWnckSelectorとして与え、\"ウィンドウ一覧\"はWnckTasklistとして与えます。",
"title": "コンポーネント"
},
{
"paragraph_id": 236,
"tag": "p",
"text": "\"ウィンドウ一覧\"はよく用いられるアプレットで、既に意識せずに使っているかも知れません。こちらもtwmで管理されるウィンドウは表示されません。",
"title": "コンポーネント"
},
{
"paragraph_id": 237,
"tag": "p",
"text": "\"ワークスペース切替器\"は何枚もの画面(ワークスペース)があるように見せ、それらを切り替えながら使うことで画面を広く使うアプレットです。こちらもtwmと同時には使えません。",
"title": "コンポーネント"
},
{
"paragraph_id": 238,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "コンポーネント"
},
{
"paragraph_id": 239,
"tag": "p",
"text": "gnome-appletsにもいくつかのアプレットが含まれています。ここでは比較的動作がわかりやすいアプレットを選んで紹介します。具体的には\"CPU周波数\"(cpufreq)アプレットと\"音量調節\"(mixer)アプレットを扱います。",
"title": "コンポーネント"
},
{
"paragraph_id": 240,
"tag": "p",
"text": "cpufreqアプレットは使っているw:コンピュータのw:クロック周波数を表示するアプレットです。クロック周波数はCPUの動作速度を表す指標で、基本的にはこの数値が大きい程速いCPUであるといえます。ただし、コンピュータを使う際の体感速度は、w:メモリの量などCPU以外の条件にもよるので、この数字だけでコンピュータの性能が決まるわけではありません。",
"title": "コンポーネント"
},
{
"paragraph_id": 241,
"tag": "p",
"text": "Linux上では、使っているCPUの周波数は\"ファイル\"として利用者から利用できるようになっています。ただし、この値を変更してもハードウェアが変更されるわけではなく、この機能はシステムの状態を把握することを目的とした機能です。CPU周波数の情報は/proc/cpuinfo、もしくは/sys以下のディレクトリに記録されています。cpufreqアプレットはこれらの値を読み出して表示します。",
"title": "コンポーネント"
},
{
"paragraph_id": 242,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "コンポーネント"
},
{
"paragraph_id": 243,
"tag": "p",
"text": "//////////////////////////",
"title": "※ 統合作業用の見出し"
},
{
"paragraph_id": 244,
"tag": "p",
"text": "以降、『OSS開発ツール/GUIツールキット』 2019年9月28日 (土) 13:36 からの引用。統合作業中。",
"title": "※ 統合作業用の見出し"
},
{
"paragraph_id": 245,
"tag": "p",
"text": "//////////////////////////",
"title": "※ 統合作業用の見出し"
},
{
"paragraph_id": 246,
"tag": "p",
"text": "ここでは、Gtkウィジェットの例として、GtkDrawingAreaウィジェットを扱います。GtkDrawingAreaは、内部にGdkWindowを持っており、利用者はその中に自由な描画を行えます。これは、w:WindowsでいうところのDevice Context(w:GDIを参照)と似た機能です。",
"title": "Gtk+"
},
{
"paragraph_id": 247,
"tag": "p",
"text": "GtkWindowを作り、GtkDrawingAreaを収納するサンプルは次のようになります。まず最初にGTKライブラリの初期化とウィジェットポインタの宣言を行います。",
"title": "Gtk+"
},
{
"paragraph_id": 248,
"tag": "p",
"text": "この関数の名前はg, signal, connectの3つに分かれます。",
"title": "Gtk+"
},
{
"paragraph_id": 249,
"tag": "p",
"text": "まず、最初のgは、この関数がw:en:glibに属するためにつけられています。これは、C言語に、w:名前空間の概念が無く、接頭詞g_を外すと、他のライブラリからの関数名と2重に関数が登録される危険があるためです。",
"title": "Gtk+"
},
{
"paragraph_id": 250,
"tag": "p",
"text": "次に、signalは、GSignalのことを指します。GSignalはおおよそコールバック関数へのポインタのことです。GSignalはw:en:glibで定義され、1つのコールバック関数と1つの文字列を対応付けます。上の例では、文字列\"expose_event\"で表されるシグナルが扱われます。GSignalはGObjectを継承した\"クラス\"に対して適用され、プログラムの実行時に\"クラス\"の初期化が行われる時、後に利用者のプログラム中で定義されるコールバックの置き場を与えます。",
"title": "Gtk+"
},
{
"paragraph_id": 251,
"tag": "p",
"text": "最後に、connectは、指定されたGSignalに対してあるコールバック関数を実際に与えることを指します。",
"title": "Gtk+"
},
{
"paragraph_id": 252,
"tag": "p",
"text": "結局、g_signal_connectでは、引数によってあるGObjectのGSignalを指定し、それに対して1つのコールバック関数を与える関数です。ここで、g_signal_connectの引数は",
"title": "Gtk+"
},
{
"paragraph_id": 253,
"tag": "p",
"text": "であり、第1、第2引数はそれぞれGSignalを指定するためのGObjectと、GSignalの名前を表します。第3、第4引数はそれぞれ、コールバック関数と関数に与える引数を表します。第4引数ではコールバック関数内で必要なデータを与えます。",
"title": "Gtk+"
},
{
"paragraph_id": 254,
"tag": "p",
"text": "また、\"expose_event\"は、w:X Window Systemなどから与えられる\"イベント\"の1つで、あるウィンドウ内の長方形を描画する必要があるときにXクライアントに対して与えられるイベントです。詳しくはXプログラミングを参照してください。ここでは、GtkWindowが他のウィンドウによって隠されたときや、一旦ウィンドウを最小化したときを扱うための手法であると述べるに留めます。",
"title": "Gtk+"
},
{
"paragraph_id": 255,
"tag": "p",
"text": "ここまでで、GtkDrawingAreaをGtkWindowに収納しました。これらを表示するためには次のようにします。",
"title": "Gtk+"
},
{
"paragraph_id": 256,
"tag": "p",
"text": "ここで、gtk_widget_show_allは指定されたウィジェットに収納されたウィジェット全てを\"show\"する関数です。",
"title": "Gtk+"
},
{
"paragraph_id": 257,
"tag": "p",
"text": "ここまででプログラムは終わりですが、expose_cbを空の関数としてこれを実行すると窓を開くだけの例と同じ結果になります。これは、GtkDrawingArea内に実際に描画を行っていないことによります。実際に描画を行うためには、expose_cb関数を書く必要があります。",
"title": "Gtk+"
},
{
"paragraph_id": 258,
"tag": "p",
"text": "expose_cb関数は次の様に宣言されます。",
"title": "Gtk+"
},
{
"paragraph_id": 259,
"tag": "p",
"text": "ここで、\"expose_event\"のコールバック関数は\"expose_event\"を受け取ったウィジェットを渡されます。ここでは、g_signal_connectで指定されたウィジェットがGtkDrawingAreaなので、コールバック関数にもGtkDrawingAreaが渡されます。",
"title": "Gtk+"
},
{
"paragraph_id": 260,
"tag": "p",
"text": "ここで、実際にGtkDrawingAreaに描画を行う方法について述べます。GtkDrawingArea構造体には、GdkWindowが含まれています。GdkWindowはXなどから与えられる長方形の領域で、この中の各ピクセルを扱う事で、図形を描画することができます。実際にGtkDrawingArea*内のGdkWindow*は次のように指定されます。",
"title": "Gtk+"
},
{
"paragraph_id": 261,
"tag": "p",
"text": "ここで、daは、GtkDrawingArea*を表します。",
"title": "Gtk+"
},
{
"paragraph_id": 262,
"tag": "p",
"text": "GdkWindowにはいくつかの描画用の関数があります。これらは基本的にw:X Window Systemの関数に対応しています。例えば、線をひくための関数であるgdk_draw_lineは、XDrawLine関数に対応しています。Xを扱う関数に関してはXプログラミングを参照してください。",
"title": "Gtk+"
},
{
"paragraph_id": 263,
"tag": "p",
"text": "ここでは、実際に線をひく関数を試してみます。まず、expose_cbの定義です。",
"title": "Gtk+"
},
{
"paragraph_id": 264,
"tag": "p",
"text": "ここで、実際に図形の描画を行うためには、GdkWindowのGC(Graphic Context)を指定する必要があります。ここで、GCはXなどで扱われる描画要素で、図形の色や線の太さなどを表します。ここでは全ての値をデフォルトとしたGCを作るため、gdk_gc_new関数を使います。ただし、1度だけgcを作るため、staticで定義します。",
"title": "Gtk+"
},
{
"paragraph_id": 265,
"tag": "p",
"text": "更にこのGdkGC*であるgcを用いてgdk_draw_lineは次のように書けます。",
"title": "Gtk+"
},
{
"paragraph_id": 266,
"tag": "p",
"text": "ここで、線は(x0, y0)から(x1, y1)までひかれます。",
"title": "Gtk+"
},
{
"paragraph_id": 267,
"tag": "p",
"text": "ここで、ウィンドウの最小化やウィンドウの重なりがうまく扱われていることに注意してください。",
"title": "Gtk+"
},
{
"paragraph_id": 268,
"tag": "p",
"text": "GDKの描画関数は他に、gdk_draw_polygon, gdk_draw_rectangle, gdk_draw_point(s), gdk_draw_arcなどがあります。これらについてはGDKのリファレンスを参照してください。",
"title": "Gtk+"
},
{
"paragraph_id": 269,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "Gtk+"
},
{
"paragraph_id": 270,
"tag": "p",
"text": "ウィジェットは\"ラベル\"や\"ボタン\"などの様々なよく用いられるGUI要素のことを指します。ここからはこれらのGUI要素を用いたプログラムについて述べます。ウィジェットはw:Windows APIでは\"(コモン)コントロール\"と呼ばれるものです。",
"title": "Gtk+"
},
{
"paragraph_id": 271,
"tag": "p",
"text": "ここでは、GtkButtonを利用した例を扱います。この例は公式のチュートリアルでも扱われているので、簡単に済ませます。しかし、コールバックの話をするときに、再びこの例を使います。",
"title": "Gtk+"
},
{
"paragraph_id": 272,
"tag": "p",
"text": "GtkButtonは、gnomeのソフトウェアを利用するときに頻繁に利用されるボタンウィジェットです。",
"title": "Gtk+"
},
{
"paragraph_id": 273,
"tag": "p",
"text": "ボタンウィジェットは単独で使うことは出来ず、必ずGtkWindowの中で使う必要があります。あるウィジェットの中で別のウィジェットを使うことをウィジェットのパッキングといいます。ここではGtkButtonをGtkWidgetの中にパッキングします。",
"title": "Gtk+"
},
{
"paragraph_id": 274,
"tag": "p",
"text": "GtkWindowには1つのウィジェットしかパックできないため、複数のウィジェットを表示したい場合には複数のウィジェットを収納できるウィジェットをパックする必要があります。よく使われる例にGtkVBox, GtkHBox, GtkTableなどがあり、GtkButtonを複数収納する例はよく用いられます。しかし、複数のウィジェットを利用する場合にはlibgladeを利用した方が便利なので、ここでは1つのウィジェットを扱う例だけを扱います。",
"title": "Gtk+"
},
{
"paragraph_id": 275,
"tag": "p",
"text": "GtkButtonをGtkWindowに収納するには、上の例の3行目の次に、以下のプログラムを追加します。",
"title": "Gtk+"
},
{
"paragraph_id": 276,
"tag": "p",
"text": "ここでは順を追って追加されたプログラムを見ていきます。",
"title": "Gtk+"
},
{
"paragraph_id": 277,
"tag": "p",
"text": "1行目はGtkButtonのnew関数で、buttonを作成します。やはり、この関数もGtkWidgetポインタを作成します。",
"title": "Gtk+"
},
{
"paragraph_id": 278,
"tag": "p",
"text": "2行目はgtk_widget_show関数です。GtkWindow同様、GtkButtonにもgtk_widget_showを使わないとウィジェットが表示されません。",
"title": "Gtk+"
},
{
"paragraph_id": 279,
"tag": "p",
"text": "3行目はgtk_container_add関数を利用しています。gtk_container_add関数はGtkContainerクラスを継承したクラスを第1引数に取って利用され、第2引数のウィジェットを第1引数のコンテナに収納します。ここで、GTK_CONTAINERは、glibの例で見た通り、GTK_CONTAINERのインスタンスにキャストを行なうマクロです。第1引数はGtkContainer* なので、このキャストが必要になります。",
"title": "Gtk+"
},
{
"paragraph_id": 280,
"tag": "p",
"text": "ここまででウィジェットの性質を変えたり、ウィジェット間に収納関係を与える方法について見てきました。これらはどれも似たようなコードであり、作成するのが面倒になりがちです。例えば、ボタンを10個作らねばならないプログラムでは上で追加したのと同じ内容を10回繰りかえす必要があります。(実はforループを利用することも出来ます。)これは非常に大変な作業です。幸いにもこれらの作業を手軽に行なうプログラムがあるので、ここではそれを紹介します。",
"title": "Gtk+"
},
{
"paragraph_id": 281,
"tag": "p",
"text": "このようなプログラムはインターフェースビルダと呼ばれます。現在では類似の機能は例えば、Javaのw:Swingに対して、w:Eclipseで提供されています。( )",
"title": "Gtk+"
},
{
"paragraph_id": 282,
"tag": "p",
"text": "まずgladeは、GUIを用いてgtk+のウィジェットを扱うプログラムです。",
"title": "Gtk+"
},
{
"paragraph_id": 283,
"tag": "p",
"text": "次に、libgladeはgladeを含む何らかの手法で作られたw:XMLファイルから、実際にウィジェットを作成するライブラリです。ここではまずlibgladeを使った場合に実際に書く必要があるコードを扱います。幸いにも複雑なウィジェット群を扱うときにもここで扱うプログラムはそれほど変化しません。この例は、gladeリファレンスマニュアル( )で扱われている例とほとんど同じものです。",
"title": "Gtk+"
},
{
"paragraph_id": 284,
"tag": "p",
"text": "ウィジェットの情報が含まれるXMLファイルの拡張子は.gladeです。ここではXMLファイルの名前をsample.gladeとします。このときlibgladeを使ったプログラムは、次のようになります。",
"title": "Gtk+"
},
{
"paragraph_id": 285,
"tag": "p",
"text": "単にウィジェットを表示することが目的なら、これだけで十分です。XMLファイルでコールバック関数を利用することが指定されているときには、3行目を",
"title": "Gtk+"
},
{
"paragraph_id": 286,
"tag": "p",
"text": "に変更する必要があります。",
"title": "Gtk+"
},
{
"paragraph_id": 287,
"tag": "p",
"text": "stub",
"title": "Gtk+"
},
{
"paragraph_id": 288,
"tag": "p",
"text": "ここではgladeを使ってより複雑なウィジェットを作成します。幸いにもほとんどの作業はGUIを利用して行なうことが出来ます。",
"title": "Gtk+"
},
{
"paragraph_id": 289,
"tag": "p",
"text": "ここでは次のようなウィジェットを作成します。",
"title": "Gtk+"
},
{
"paragraph_id": 290,
"tag": "p",
"text": "ウィジェットの関係は次のようになります。",
"title": "Gtk+"
},
{
"paragraph_id": 291,
"tag": "p",
"text": "このウィジェットはWindow内に2つのボタンが入っているだけの簡単な例です。しかしそれでも、手作業で全てを作成するのは厄介な仕事です。",
"title": "Gtk+"
},
{
"paragraph_id": 292,
"tag": "p",
"text": "1. GtkWindow(window1)を作る。",
"title": "Gtk+"
},
{
"paragraph_id": 293,
"tag": "p",
"text": "2. GtkVBox(vbox1)をwindow1に収納する。'サイズ'は2とする。",
"title": "Gtk+"
},
{
"paragraph_id": 294,
"tag": "p",
"text": "3. GtkButtonをvbox1の2つの空白に収納する。(button1, button2)",
"title": "Gtk+"
},
{
"paragraph_id": 295,
"tag": "p",
"text": "4. button1の'ラベル'をaaaとする。button2の'ラベル'をbbbとする。",
"title": "Gtk+"
},
{
"paragraph_id": 296,
"tag": "p",
"text": "gladeを使ったより複雑な例として、gtk-demoからの例をあげます。ただし、コールバック関数は提供せず、インターフェースだけとします。gtk-demoは、gtk+とともに配布されているデモで、ソースはgtk+-x.x.x/demos以下に含まれています。gtk-demoは、gtk+とともにインストールされているので、",
"title": "Gtk+"
},
{
"paragraph_id": 297,
"tag": "p",
"text": "のコマンドで利用することができます。ここでは、Dialog and Message Boxes という例を取り上げます。(demos/gtk-demo/dialog.c)",
"title": "Gtk+"
},
{
"paragraph_id": 298,
"tag": "p",
"text": "dialog.cはいくつかのウィジェットを利用して書かれています。多くはコンテナウィジェットであり、コンテナの使い方を見る上でよい題材です。",
"title": "Gtk+"
},
{
"paragraph_id": 299,
"tag": "p",
"text": "まず、それぞれのウィジェットを紹介します。gladeを使わずにこれらのウィジェットを扱う方法は、dialog.cのソースを参照してください。",
"title": "Gtk+"
},
{
"paragraph_id": 300,
"tag": "p",
"text": "Dialogsと書き込まれた外枠は、gtkframeを利用します。gtkframeは、内側に1つのウィジェットを収納できるコンテナです。ここには、gtkvboxを収納します。gtkvboxは複数のウィジェットを収納することができ、収納したウィジェットを縦に並べます。gtkvboxに収納するウィジェットは上から順にgtkhbox, gtkhseparator, gtkhboxです。gtkhboxはgtkvboxと似た性質を持ちますが、縦ではなく横にウィジェットを配置します。hseparatorは、スクリーンショット内の横棒で、ウィジェット間に距離をとる働きをします。",
"title": "Gtk+"
},
{
"paragraph_id": 301,
"tag": "p",
"text": "次に、2つのgtkhbox内のウィジェットについて順に述べていきます。上のウィジェットにはgtkbuttonを収納します。gtkbuttonにはlabelというパラメータがあり、この部分は_Message Dialogとします。label中のアンダースコアは、gtkbuttonのパラメータを書き換えることで、下線として表示させることができます。(設定次第でそのままアンダースコアとして表示させることもできます。)",
"title": "Gtk+"
},
{
"paragraph_id": 302,
"tag": "p",
"text": "下のgtkhboxには、左から順にgtkvbox, gtktableを配置します。gtkvboxには、_Interactive Dialogと書かれたgtkbuttonを収納します。下線の扱いは先程の_Message Dialogと同じです。gtktableは、碁盤目状の枠を作り、それぞれのマスにウィジェットを収納するコンテナです。ここでは、幅2、 高さ2のgtktableを作成します。gtktableには、左上から順にgtklabel, gtkentry, gtklabel, gtkentryを収納します。(左上、右上、左下、右下の順)gtklabelには、それぞれ_Entry 1または、E_ntry 2と書き込みます。",
"title": "Gtk+"
},
{
"paragraph_id": 303,
"tag": "p",
"text": "ここからはここまでの手順をgladeを利用して作成していきます。 1. gtkwindowを導入する。 2. gtkframeを加える。影の種類を'Etched In'にする。'境界線の幅'を、5程度にしておく。",
"title": "Gtk+"
},
{
"paragraph_id": 304,
"tag": "p",
"text": "3. gtkvboxを収納する。",
"title": "Gtk+"
},
{
"paragraph_id": 305,
"tag": "p",
"text": "4. gtkhboxをgtkvboxに収納し、gtkbuttonをgtkhboxに収納する。",
"title": "Gtk+"
},
{
"paragraph_id": 306,
"tag": "p",
"text": "5. gtkhseparatorをgtkvboxに収納する。",
"title": "Gtk+"
},
{
"paragraph_id": 307,
"tag": "p",
"text": "6. gtkvboxにgtkhboxを収納する。列の数は2とする。 7. gtkhboxにgtkbuttonとgtktableを加える。",
"title": "Gtk+"
},
{
"paragraph_id": 308,
"tag": "p",
"text": "8. gtktableに、gtklabel, gtkentryを加える。",
"title": "Gtk+"
},
{
"paragraph_id": 309,
"tag": "p",
"text": "9. gtkbutton, gtklabelの'ラベル'を_Message Dialog などの内容に書き換える。詳しい内容は前述した。gtklabelでは、'下線付き'を'はい'にしておく。",
"title": "Gtk+"
},
{
"paragraph_id": 310,
"tag": "p",
"text": "10. .gladeファイルとして保存し、先程のプログラムを使って表示する。",
"title": "Gtk+"
},
{
"paragraph_id": 311,
"tag": "p",
"text": "次に、gtk-demoの'Expander'の例を扱います。GtkExpanderは閉じた状態と開いた状態を持つウィジェットです。",
"title": "Gtk+"
},
{
"paragraph_id": 312,
"tag": "p",
"text": "GtkExpanderはコンテナウィジェットでもあり、GtkExpanderを開いた時に現れるウィジェットはGtkExpanderに収納されているウィジェットです。ここでは上の例を順に作成していきます。",
"title": "Gtk+"
},
{
"paragraph_id": 313,
"tag": "p",
"text": "ウィジェットの関係は次のようになります。",
"title": "Gtk+"
},
{
"paragraph_id": 314,
"tag": "p",
"text": "ここでGtkExpander自身も\"Details\"と書かれたラベルを持っていますが、これはGtkExpanderの一部ということで上の関係図には入れていません。",
"title": "Gtk+"
},
{
"paragraph_id": 315,
"tag": "p",
"text": "新たなウィジェットとして、GtkDialogが登場しています。GtkDialogは主となっているウィンドウではない新しいウィンドウを使いたいときによく用いられます。特に、設定を変更するときに用いられる'OK', 'キャンセル'などのボタンを含んだウィンドウはおそらくGtkDialogが用いられています。上の例では、'閉じる'のボタンが使われていますが、これもGtkDialogの標準のボタンの1つです。上の例の内で、'閉じる'だけが日本語で後は英語であるのもそれが原因です。標準の文章なのでボタンに書かれた文章だけは翻訳が進んでいます。",
"title": "Gtk+"
},
{
"paragraph_id": 316,
"tag": "p",
"text": "(Gtk+では、各国語に翻訳を行うために、gettextを用いています。gettextはコンパイル時ではなく実行時に文章を変更することができるため、gtk-demoをw:ロケールを変更して実行することでボタンの文章を変更することができます。例えば、",
"title": "Gtk+"
},
{
"paragraph_id": 317,
"tag": "p",
"text": "とすると、ボタンの文章が英語に変わります。",
"title": "Gtk+"
},
{
"paragraph_id": 318,
"tag": "p",
"text": "こちらはドイツ語の例です。",
"title": "Gtk+"
},
{
"paragraph_id": 319,
"tag": "p",
"text": ")",
"title": "Gtk+"
},
{
"paragraph_id": 320,
"tag": "p",
"text": "ここからは実際にウィジェットを作成します。手順は次のようになります。",
"title": "Gtk+"
},
{
"paragraph_id": 321,
"tag": "p",
"text": "1: GtkDialogを開く。",
"title": "Gtk+"
},
{
"paragraph_id": 322,
"tag": "p",
"text": "2: GtkDialogにGtkVBoxを収納する。GtkVBoxの収納数は2とする。",
"title": "Gtk+"
},
{
"paragraph_id": 323,
"tag": "p",
"text": "3: GtkVBoxの上部に、GtkLabelを収納する。",
"title": "Gtk+"
},
{
"paragraph_id": 324,
"tag": "p",
"text": "4: GtkVBoxの下部にGtkExpanderを収納する。",
"title": "Gtk+"
},
{
"paragraph_id": 325,
"tag": "p",
"text": "5: GtkExpanderにGtkLabelを収納する。 GtkExpanderを開いた状態です。",
"title": "Gtk+"
},
{
"paragraph_id": 326,
"tag": "p",
"text": "GtkExpanderにGtkLabelを追加した状態です。",
"title": "Gtk+"
},
{
"paragraph_id": 327,
"tag": "p",
"text": "6: 2つのGtkLabelと、GtkExpanderの文章を書き換える。",
"title": "Gtk+"
},
{
"paragraph_id": 328,
"tag": "p",
"text": "7: 先程のプログラムを作成し.gladeファイルを表示する。",
"title": "Gtk+"
},
{
"paragraph_id": 329,
"tag": "p",
"text": "上の例以外でもgtk-demoの中には比較的簡単に作成できそうな物が含まれています。これらを作成してみるとよいかもしれません。gtk+を使ったプログラムは数多いので、これらを探して読んでみるのもよいでしょう。",
"title": "Gtk+"
},
{
"paragraph_id": 330,
"tag": "p",
"text": "2021年現在のFedoraの最新版が搭載しているのはgtk4です。gtk4の開発環境を入れるコマンドは、ターミナルで",
"title": "gtk4"
},
{
"paragraph_id": 331,
"tag": "p",
"text": "でそのまま入る。ただし、gtk3とgtk4は文法が多少違っているので、gtk3のコードは使い回しできません。",
"title": "gtk4"
},
{
"paragraph_id": 332,
"tag": "p",
"text": "下記のgtk4コードはgtk4公式マニュアル からの引用をしたものに、本wiki側で説明用にコメントを加えたり、説明しやすいようにコードの数値や文字列などを少々変更しています。",
"title": "gtk4"
},
{
"paragraph_id": 333,
"tag": "p",
"text": "これはもう、このまま使ってください。 一応、いくつかの変数名を変更しても使用できますが。",
"title": "gtk4"
},
{
"paragraph_id": 334,
"tag": "p",
"text": "ファイル名は、公式サイトのサンプルファイル名に合わせて「example-0」にしましょう。",
"title": "gtk4"
},
{
"paragraph_id": 335,
"tag": "p",
"text": "上記コードをコンパイルするには、ターミナルでコマンド",
"title": "gtk4"
},
{
"paragraph_id": 336,
"tag": "p",
"text": "です。 これでオブジェクトファイルが生成されているので、あとはそのオブジェクトファイルの実行コマンドをターミナルで入力すればいいだけです。たとえばオブジェクトファイルの存在場所がユーザープロファイルなら",
"title": "gtk4"
},
{
"paragraph_id": 337,
"tag": "p",
"text": "で実行できるはずです。",
"title": "gtk4"
},
{
"paragraph_id": 338,
"tag": "p",
"text": "上記コードの大まかな仕組みを言うと、main関数ではどのウィンドウを呼び出すかだけを関数名を用いて設定しており、ウィンドウのサイズなどの設定は個々のユーザ定義関数で行う仕組みになっています。もしかしたらユーザ定義関数を使わなくてもウィンドウ表示できるのかもしれませんが、しかしGTK公式サイトがそのような方法を紹介しないという事はおそらく、そのような方法を推奨していないのでしょう。つまり、ユーザ定義関数を用いてウィンドウ設定などはmain関数から分けてから呼び出して欲しいようです。",
"title": "gtk4"
},
{
"paragraph_id": 339,
"tag": "p",
"text": "次に、ボタンをウィンドウに追加してみましょう。下記コードも公式サイトにあるコードを元にしましたが、本wiki側で説明用に若干のコード書き換えをしています。",
"title": "gtk4"
},
{
"paragraph_id": 340,
"tag": "p",
"text": "コンパイルは上記と同様にできます。もしファイル名を変えなければ、上記コンパイルコマンドでそのままコンパイルできます。",
"title": "gtk4"
},
{
"paragraph_id": 341,
"tag": "p",
"text": "g_print はターミナルで文字表示する命令ですので、ここの表示文をいくら弄って、ボタンにラベル表示されている文章は変わりません。混同しないように注意しましょう。",
"title": "gtk4"
},
{
"paragraph_id": 342,
"tag": "p",
"text": "GNOME",
"title": "参考としたプログラム"
}
]
| プログラミング > GTKプログラミング | {{pathnav|プログラミング}}
== GNOME用のGUIアプリの作り方 ==
=== 作業の全体像 ===
「GTK」なんとか(なんとかの部分にはバージョン番号などが入る) という、Gnomeコミュニティによる公式のGUIアプリ開発ソフトがあるので、そのGTKなんとかを使えば、GNOME用のGUIアプリを作れる。2021年現在ではgtk4まで出ているが、現状の本ページでは主にgtk3について説明する。
なので、まずGTKをインストールすればいい。GnomeはLinuxコミュニティで普及しているので、gtkのインストールにはLinux上でgtkをインストールして開発するのがラクである。
:※ Linuxにも種類がいろいろあって(ubuntu とか Fedora とか)、それごとにインストール方法が異なるので、インストール方法の説明は後述する。
GTKは、C言語など既存のプログラミング言語で開発したコードに組み込んで使える。(C言語のコード中に、GTKを呼び出すためのコードを、あなたがテキストファイルなどを用いて追記することになる。)
また、GTKで開発したGUIアプリを試しに使用する場合、通常のC言語の実行ファイル(オブジェクトファイル)と同様に、gccなどのC言語コンパイラでコンパイルして作成出力したオブジェクトファイルを(単にアイコンをダブルクリックするなどして)起動すればいいだけである。
=== 予備知識 ===
本書では特にことわりのないかぎり、使用OSとして Linux上でGTKアプリを開発することを前提とする。また、GTKやgccを管理しているコミュニティはGnomeというデスクトップ環境を作っている組織(組織名もGnome)なので、本書で前提とするデスクトップ環境は原則的にGnomeとする。
もし読者が、これら技術的な背景の説明がまったく分からないなら、[[OSS開発ツール/GUIツールキット]]を読んでから再び本書に戻ることになるだろう。あるいは、当分のあいだはLinux用GUIアプリの開発は諦め(あきらめ) Windowsで[[Windows API]]などでWindows用GUIアプリを開発するのが良いだろう。
なので、前提として、まずgccなどのC言語コンパイラをインストールしてあり、あなたもgccやC言語などに、ある程度は習熟している必要がある。
C言語には標準C言語のほかにもC++言語やC#などいくつか派生の言語がありますが、GTKが準拠しているのは標準C言語です。
なので、もし読者が C++ や C# を知らなくてもC言語プログラミングとLinuxさえ知っていれば、とりあえずはGTKプログラミングはできます。
=== 方法 ===
==== インストール例 ====
まず、GTKの開発環境をインストールする必要があります。もし開発環境をインストールしておかないと、もしもGTK開発環境で定義されている関数を含む自作プログラムがあっても、その自作プログラムのソースコードのコンパイル自体が不可能です(コンパイルしようとしてもエラーになります)。
なお、GTKで開発されたアプリの実行環境と、GTKの開発環境は、別物です。たとえばリナックスのディストリビューションのひとつ Fedora には、GTKの実行環境が標準でインストールされており、そのため、多くのGTK(で開発された)アプリを動かせます。しかし、GTKの開発環境そのものは、Fedoraには標準ではインストールされていません。
Fedora の場合、gtk3-devel など「gtkなんとかdevel」の書式の名前のアプリーケーションが、gtk3対応の開発環境そのもののアプリです。
もし (gtk3-devel でなくて)「gtk3」 だけをインストールしても(初期状態で既に入っているが)、まだgtk3-develはインストールされていない状態です。なので gtk3アプリを開発するためには別途、 gtk3-devel をインストールする必要があります。
そのため、たとえばOSがFedoraなら、GTKの開発環境をインストールするため、コマンド端末で、
sudo dnf install gtk3-devel
などのコマンドを実行して、GTKの開発環境(Fedoraの場合、「gtk3-devel」などの名前)をインストールします。(なお、「gtk3」の「3」は単なるバージョン番号。将来的にもっと高いバージョン番号になる可能性があるので、読者は適宜、判断してください。)
なお2021年現在のFedoraの最新版が搭載しているのはgtk4なので、そのgtk4の開発環境を入れたいなら
sudo dnf install gtk4-devel
でそのまま入る。ただし、gtk3とgtk4は文法が多少違っているので、そのままではコードは使い回しできません。
:※ 本ページの現在の版では、主にgtk3を想定して説明しています。gtk4については[https://docs.gtk.org/gtk4/getting_started.html gtk4公式マニュアル ]などを参照してください。
なおCent OS 7 の場合、
sudo yum install gtk3-devel
になります(CentOS-7-x86_64-LiveGNOME-1908.iso で確認。)
なお、名前の似ている gtk-devel またはgtk+-devel などと gtk3-devel とは異なる開発環境です。これら名前の似ている異なる開発環境を入れても、コンパイルできない場合がよくあります。
なので、かならず、 gtk3-devel を入れるようにしてください。
:(※ 注意: ) 2019年の近年、gtkの名前が変更され、「gtk+」から「gtk」に名称が変更された。これにともない、いくつかのOSではインストール時のコマンド名の「gtk+-3.0」も「gtk-3.0」などに変更されている可能性があるので、詳しくは実機で確認のこと。
gtkにはバージョン3以外にもバージョン2などがあるので、develのバージョンとコンパイル時のコマンド(「gtk+-3.0」の部分)のバージョンとを合わせる必要があること。
==== コーディング ====
その後、テキストエディタで、次のようにコードを書いてください。下記コードは、ウィンドウだけのプログラムです。
===== ウィンドウだけのプログラム =====
gtk3は下記のようなコードになります。(gtk4ではエラーになります。)
;コード例 (Fedora 31 で確認ずみ)
<syntaxhighlight lang="c">
#include <gtk/gtk.h>
int main (int argc, char *argv[])
{
GtkWidget *window; // ウィジェットを格納するためのポインタ変数を宣言。ポインタ変数で宣言するのは単なるGTKでの決まり事なので、気にしなくてイイ
gtk_init (&argc, &argv); // GTKの初期化
/* ウィンドウを作成 */
window = gtk_window_new (GTK_WINDOW_TOPLEVEL); // ここでウィンドウを作成
gtk_window_set_title (GTK_WINDOW (window), "ウィンドウ"); // ウィンドウのタイトル名として「ウィンドウ」と命名しているだけ
/* 表示することを設定 */
gtk_widget_show_all (window);
/* メインループ */
gtk_main ();
return 0;
}
</syntaxhighlight>
GTKは、C言語のライブラリで、ここではC言語から利用するので、拡張子を「.c」にしてC言語のソースファイルとして保存してください。他のプログラミング言語からは、バインドを介して利用できますが、ここでは説明しません。例えば、上記のコードを、テスト用のファイルという意味で「test.c」で保存したとしましょう。
上記のコードを実行できるようにするには、コンパイルする必要があります。
まず、そのために、さきほどの章でも述べたように、OSに開発環境(例えばFedoraなら gtk3-devel など)をインストールする必要がある。
sudo dnf install gtk3-devel
のようなコマンドでインストールできるはずである。もし gtk3-devel などをインストールしてないと、<code>#include <gtk/gtk.h></code>でコンパイルエラーになる。
さて、上記のソースコードをコンパイルするために、オブジェクトファイル名がたとえば「object」なら、
gcc test.c -o object `pkg-config --cflags --libs gtk+-3.0`
のようにコマンド端末に入力します。この入力のさい「`pkg-config --cflags --libs gtk+-3.0`」などの設定をつける必要があります。この設定をつけないと、コンパイルエラーになってしまい、コマンド端末から「No such file or directory」(そのようなファイルまたはディレクトリはありません)などとエラー報告されてしまいます。
コンパイルできたら、あとは実行するだけです。 gcc test.c -o object を使った場合、ユーザープロファイルなど出力先として設定されているフォルダーに実行ファイル「object」が作成されていますので、それをダブルクリックするだけで実行できます。
実行すると、作成したウィンドウが表示されます。
なお、上記コード中に
GtkWidget *window;
とありますが、前半の「GtkWidget」 とはGTKの提供している型(かた)であり、ウィジェットを扱うための型です。
後半の windowは単なる変数名です。別に「 GtkWidget *variable; 」などと書いても構いませんが、その場合は上記コード中のwindowをすべてvariable に置き換えてください。
コード中の「gtk_window_new」が、GTKでウィンドウを作成する関数です。
例のように「◯◯_new」という関数で、何らかの特徴を持ったウィジェットの ひな形 を作れますので、そうして作ったウィジェットの ひな形 に必要な情報を代入していきます。
作成しただけでは、まだ表示の設定はされていません。
なので、「 gtk_widget_show_all (window);」のように表示の設定を追加する必要があります。
1980年代BASICなどとは違い、GTKでは、けっしてウィンドウを作成しただけではウィンドウを自動表示は'''しない'''のです。
GTKでは、ウィンドウの作成と、ウィンドウの表示は、それぞれ別の関数です。なので、ウィンドウを表示したいなら、そのために追加的に関数を記述する必要があります。
===== 窓を開くだけの例 =====
さきほど紹介したプログラムと似たようなプログラムですが、単に窓を開くだけのgtkプログラムは、次のようにも書けます。
このように、基本的なプログラムでも、何通りかの書き方があります。
さきほどの説明と似たような内容ですが、基本的な重要テクニックなので、復習するのも良いでしょう。
<syntaxhighlight lang=c line>
#include <gtk/gtk.h>
int main (int argc, char *argv[]) { // 標準Cのエントリーポイント
gtk_init(&argc, &argv); // ツールキットの動作に必要なすべてのものを初期化
GtkWidget *win = gtk_window_new(GTK_WINDOW_TOPLEVEL); // GtkWidget 型のポインタ変数「win」を宣言し、ウィンドウオブジェクトで初期化。
gtk_widget_show(win); // リアライズしてマップする。
gtk_main(); // イベントループ
return 0; // 正常に終了した場合0を返す。
}
</syntaxhighlight>
このソースコードのファイル名が「test.c」なら、コンパイル時には、
gcc test.c -o test `pkg-config --cflags --libs gtk+-3.0`
のように、フラグをつけて(「`pkg-config --cflags --libs gtk+-3.0`」の部分)コンパイルすること。単に「gcc test.c」としても、コンパイルエラーになって中断してしまう。
pkg-config --cflags --libs gtk+-3.0
を単体で実行してみるとヘッダーファイルへのパスやライブラリやライブラリのパスなどをせっていることがわかります。
エラーなくコンパイルできたら、オブジェクトファイルをダブルクリックするなどして実行すると、ウィンドウが表示される。表示されたウィンドウのタイトルは、オブジェクト名と同じである。つまり、ウィンドウ名は「test」になっている。
ためしにコンパイル時にオブジェクトファイルの名前を「wiki」に変えてみて
gcc test.c -o wiki `pkg-config --cflags --libs gtk+-3.0`
を実行し、作成されたオブジェクトファイルwikiを実行すると、表示されるウィンドウのタイトルも「wiki」になっている。
ここでは、このプログラム(単に窓を開くだけのgtkプログラム)の説明を行ないます。
2行目で、gtk_init()は、g_type_init()を含んだ全体的な初期化を行ないます。gtkを利用する場合には必ず最初にこの関数を呼ぶ必要があります。また、argcとargvを引数として使っていますが、この引数は省略できないので、必ずargc,argvを定義するようにして下さい。
3行目にある「GtkWidget」は型名であり、名前が事前に決まってるので、勝手に名前を変えてはいけません。
3行目ではGtkWidget型の要素*win の定義を、行っています。
3行目ではgtk_window_newというライブラリ関数を使用しています。このgtk_window_newは、[[CPlusPlus]]を使った経験があるなら、たとえるなら gtkのwindowのnew関数のようなものです。ほぼ予想される通りの動作をします。(C++では、あるクラスのnew関数はそのクラスの変数を動的に確保し、確保した変数のポインタを返します。)
=== コード例 1 ===
簡単な例として、ウィンドウ内のタイトルバー下の任意の位置に、文字を表示してみましょう。
下記の例のように「◯◯_new」という関数で、何らかの特徴を持ったウィジェットの ひな形 を作れますので、そうして作ったウィジェットの ひな形 に必要な情報を代入していきます。
<syntaxhighlight lang="c">
#include <gtk/gtk.h>
int main (int argc, char *argv[])
{
gtk_init(&argc, &argv); // GTKの初期化
/* ウィンドウ、GtkFixedなど各種ウィジェットを作成 */
GtkWidget *window = gtk_window_new(GTK_WINDOW_TOPLEVEL);
GtkWidget *fixed = gtk_fixed_new();
GtkWidget *label = gtk_label_new("Hello, world!");
/* GtkFixedをウィンドウにパック */
gtk_container_add(GTK_CONTAINER(window), fixed);
/* GtkFixed内の(10,20)にラベルを配置 */
gtk_fixed_put(GTK_FIXED(fixed), label, 10, 20);
/* 表示することを設定 _all であることに注意 */
gtk_widget_show_all(window);
/* メインループ */
gtk_main();
return 0;
}
</syntaxhighlight>
さて、座標を指定して文字表示できるようにするには、
:gtk_fixed_new 関数でgtk_fixed というという種類のウィジェット()を作成し、
:さらにそれをgtk_container_add() 関数でウィンドウに追加する必要があります。
作成した文字列の代入は、 gtk_label_new で作ったウィジェットで可能です。
そして最後に gtk_widget_show_all 関数で、表示したいウィンドウを指定することにより、そのウィンドウごと文字列などを表示するだけです。
=== 変数の文字列としての表示 ===
ラベル・ウィジェットは文字列しか表示できないので、数値計算の計算結果を表示するには、文字列への変換が必要です。
C言語の標準ライブラリ関数 <code>sprintf</code> は数値型などを文字列に置き換えることのできる関数ですので、この関数のgtk版である<code>g_sprintf</code>関数と、ラベル書き換え関数である<code>gtk_label_set_text</code>関数を組み合わせることによって、なんらかの計算結果の数値もGTKアプリのウィンドウに文字列として表示可能です。
<code>sprintf</code> を使ったウィンドウでの変数表示のテクニックはGTKだけでなくWindowsでもWin32APIプログラミングで使うテクニックなので覚えておきましょう。( 正確には、Windowsでのウィンドウでの文字表示では _stprintf_s を使う。)
また、前提としてGTKでは数値の変数型としては gint型 や gchar型 を使います。これらは、それぞれ、C言語のint型およびchar型のgtk版の型です。
;コード例 (CentOS 7 で確認ずみ)
<syntaxhighlight lang="c">
#include <gtk/gtk.h>
int main(int argc, char **argv) {
/* 数値計算の内容の記述 */
gint xxx = 3;
gint fff = 5;
gint zzz = xxx + fff; // 計算内容
gchar buf[100]; // 単なるバッファ(仲介)の文字列 変数。
g_sprintf(
buf, "計算結果は%d です。",
zzz); // 置き換え内容の書式の定義。bufに格納された段階であり、まだ置き換えは実行していない。
gtk_init(&argc, &argv);
GtkWidget *window, *fixed, *label;
/* ウィンドウ、GtkFixedなど各種ウィジェットを作成 */
window = gtk_window_new(GTK_WINDOW_TOPLEVEL);
fixed = gtk_fixed_new();
label = gtk_label_new("Hello, world! kubetu");
gtk_label_set_text(GTK_LABEL(label), buf); // ラベルを上書きしている。
/* GtkFixedをウィンドウにパック */
gtk_container_add(GTK_CONTAINER(window), fixed);
/* GtkFixed内の(10,20)にラベルを配置 */
gtk_fixed_put(GTK_FIXED(fixed), label, 10, 20);
/* 表示することを設定 */
gtk_widget_show_all(window);
/* メインループ */
gtk_main();
return 0;
}
</syntaxhighlight>
なお、コード中の計算内容にある型の宣言では、じつは、べつに gint や gchar や <code>g_sprintf</code> を使わなくとも、単なるC言語の int 型 、char型、<code>sprintf</code> を使ってもコンパイルできてウィンドウを作成できます。
ですが、 単なる <code>sprintf</code> 関数は gint などgtk版の型を認識しないので、もしも gint型 や gchar型 を使ったら必ず(<code>sprintf</code>でなく) <code>g_sprintf</code> で変換してください。
=== ウィンドウのサイズ設定 ===
ウィンドウのサイズは、
<code>
gtk_widget_set_size_request(window, 640, 480);
</code>
で指定できます。
ネット上では、
<syntaxhighlight lang="c">
gtk_widget_set_size_request(window, 640, 480);
{
}
</syntaxhighlight>
と続けて、 { } 括弧で括られたブロックが書かれる場合がありますが、この括弧は限定のスコープを作るためのもので、必要ないなら無くても構いません。
実際、下記コードのように gtk_widget_set_size_request の後に { } の無いコードを書いても、コンパイル可能であり、正常にウィンドウサイズが更新されます。(Fedora 28 で動作を確認ずみ。)
<syntaxhighlight lang="c">
#include <gtk/gtk.h>
int main (int argc, char **argv){
gtk_init(&argc, &argv);
GtkWidget *window, *fixed, *label;
/* ウィンドウ、GtkFixedなど各種ウィジェットを作成 */
window = gtk_window_new(GTK_WINDOW_TOPLEVEL);
gtk_widget_set_size_request(window, 640, 480); // ウィンドウのサイズを設定
fixed = gtk_fixed_new();
label = gtk_label_new("Hello, world!");
/* GtkFixedをウィンドウにパック */
gtk_container_add(GTK_CONTAINER(window), fixed);
/* GtkFixed内の(10,20)にラベルを配置 */
gtk_fixed_put(GTK_FIXED(fixed), label, 10,20);
/* 表示することを設定 */
gtk_widget_show_all(window);
/* メインループ */
gtk_main();
return 0;
}
</syntaxhighlight>
=== コード例 3 ===
<syntaxhighlight lang="c">
#include <gtk/gtk.h>
int main (int argc, char **argv){
gtk_init(&argc, &argv); // GTKの初期化
GtkWidget *window, *fixed, *button, *label; // ウィジェットを格納するための変数を宣言
/* ウィンドウ、GtkFixedなど各種ウィジェットを作成 */
window = gtk_window_new(GTK_WINDOW_TOPLEVEL);
fixed = gtk_fixed_new();
button = gtk_button_new_with_label("aaa");
label = gtk_label_new("bbb");
/* GtkFixedをウィンドウにパック */
gtk_container_add(GTK_CONTAINER(window), fixed);
/* GtkFixed内の(100,100)にボタンを置き、(200,200)にラベルを配置 */
gtk_fixed_put(GTK_FIXED(fixed), button, 100,100);
gtk_fixed_put(GTK_FIXED(fixed), label, 200,200);
/* 表示することを設定 */
gtk_widget_show_all(window);
/* メインループ */
gtk_main();
return 0;
}
</syntaxhighlight>
:[[画像:gnome_fixed.png]]
=== 解説 ===
上記のコードのように、メインループgtk_main()までの設定をもとに、メインループgtk_main()でウィンドウなど作成したGUIアプリを表示しつづけます。
メインループがないと、そのまま関数の最後に到達して終了してしまうので、何もウィンドウは表示されません。
ループといっても、ウィンドウ表示中に他の作業もできますので、安心してください。
手前にある gtk_widget_show_all 関数は、ウィンドウ表示の関数ではなく、メインループ実行時にウィンドウ表示することを設定する関数です。
さて、上のコードの例ではGtkFixedウィジェットを作成しボタン、ラベルのウィジェットをGtkFixedウィジェット内に配置しています。このようにウィジェット内のどこにでも他のウィジェットを収納できるウィジェットがGtkFixedウィジェットです。
実際にはgnome-panelの中でもGtkFixedウィジェットが使用されており、"オブジェクト"の配置を自由な位置に行うために役立っています。ただし、GUIを提供する以外に他の項目を設定するために、GtkFixedクラスを継承する形でウィジェットが提供されています。
実際に提供されているウィジェットはPanelWidgetウィジェットと呼ばれ、ソースコード中では./gnome-panel/panel-widget.hで定義されています。このクラスに対応する構造体は最初にGtkFixedを持っていますが、これとCの機能を使うと[[w:en:glib]]でいう"継承"を行うことができます。詳しくは[[OSS開発ツール GUIツールキット]]を参照してください。
ここまでで、gnome-panel内で"オブジェクト"の配置はGtkFixedクラスの機能によってなされていることが分かりました。他に興味ある点としては、個々の"オブジェクト"がどのように定義されているかや、オブジェクトを導入するための操作などがあります。例えば、"オブジェクト"が配置できる部分を右クリックすると、メニューが開き、追加するオブジェクトを選ぶことができます。この操作はGtkMenuなどで提供される機能ですが、実際にソースコード中でどのようにGtkMenuが用いられているかも調べることができます。
=== 図形の描画 ===
図形として線分を表示したり、円などを表示する機能は、図形描画ライブラリが担当している。
最近のGTKでは、図形描画ライブラリにcairoというフリーの画像描画ライブラリを採用している。特に追加インストールすることなく、cairoの図形描画関数が使用できる。
cairo自体は、GTKとは別のアプリなので、詳細はcairoの入門書を参照のこと。
コード例を示すと下記のようになります。
;コード例 (CentOS-7-x86_64-LiveGNOME-1908.iso で確認ずみ)
<syntaxhighlight lang="c">
#include <gtk/gtk.h>
//#include <gdk/gdk.h>
GtkWidget *window;
static gboolean kansuu(GtkWidget *widget1, cairo_t *handle, gpointer abcde)
{
//ハンドルの作成
handle = gdk_cairo_create(gtk_widget_get_window(widget1));
//線の性質の定義
cairo_set_line_width (handle, 10); // 線の太さ
cairo_set_source_rgb (handle, 1.0 , 0.0 , 0.0); // 線の色
cairo_move_to (handle, 00, 50); // 線の起点
cairo_line_to (handle, 300, 300); // 線の終点
// 実際に線を引く関数
cairo_stroke (handle);
//長方形の描画
{
//長方形(x,y,width,height)の大きさを指定
cairo_rectangle(handle, 50.0, 20.0, 30.0, 90.0);
//線の色の指定(Red,Green,Blue)
cairo_set_source_rgb(handle, 0.0, 0.0, 1.0);
//実際に長方形を塗りつぶす関数
cairo_fill(handle);
}
cairo_destroy(handle);
return FALSE;
}
int main(int argc, char **argv)
{
gtk_init(&argc, &argv);
window = gtk_window_new(GTK_WINDOW_TOPLEVEL);
gtk_window_set_title(GTK_WINDOW(window), "テスト");
gtk_widget_set_size_request(window, 420,200);
//ウインドウに図形を描けるように設定
gtk_widget_set_app_paintable(window, TRUE);
//ウインドウが表示されたときにkansuu()を呼び出す
g_signal_connect(G_OBJECT(window), "draw", G_CALLBACK(kansuu), NULL);
gtk_widget_show_all(window);
gtk_main();
return 0;
}
</syntaxhighlight>
2019年の現在、GTK3で cairo を使うと、いくつかのライブラリ関数を別の関数(たとえば gdk_window_begin_draw_frame() など)に置き換えるようにコンパイラを介して警告されます
<pre>
[ユーザー名@localhost ~]$ gcc gtktest.c -o object `pkg-config --cflags --libs gtk+-3.0`
gtktest.c: 関数 ‘kansuu’ 内:
gtktest.c:9:3: 警告: ‘gdk_cairo_create’ is deprecated: Use 'gdk_window_begin_draw_frame() and gdk_drawing_context_get_cairo_context()' instead [-Wdeprecated-declarations]
9 | handle = gdk_cairo_create(gtk_widget_get_window(widget1));
| ^~~~~~~
In file included from /usr/include/gtk-3.0/gdk/gdk.h:33,
from /usr/include/gtk-3.0/gtk/gtk.h:30,
from gtktest.c:1:
/usr/include/gtk-3.0/gdk/gdkcairo.h:35:12: 備考: ここで宣言されています
35 | cairo_t * gdk_cairo_create (GdkWindow *window);
| ^~~~~~~~~~~~~~~~
</pre>
が、しかし、
これらの関数( gdk_window_begin_draw_frame() など)は Gnome開発者が使うものであるので(IRCでGnome開発者がそう解答した(2020年4月26日、日本時間で9時ごろ) )。なので 一般の GTKアプリケーション製作者は、この関数( gdk_window_begin_draw_frame() など)は用いないとの事である。
今後は、別の方法に置き換わっているとの、Gnomeの解答のこと。
gdk_cairo_create からの新方式への移行ガイドラインについては
:https://developer.gnome.org/gtk3/stable/ch26s02.html#id-1.6.3.4.11
を参照せよ、との解答。
いまのところGTK開発元のGnomeコミュニティが、ロクに それらのライブラリ関数のマニュアルを整備してない状況です(形式的にリファレンス[https://developer.gnome.org/gdk3/stable/gdk3-Cairo-Interaction.html]。
なお、上記コードは Fedora31 および31以降ではバグります。
もし将来的にcairoが使えなくなったら、フォークするか、でなければGTKでなくQtなどの別のデスクトップ環境に移行しましょう。どうせ組込系ではGTKよりもQtのほうが主流です。
この文章は要らないですね。マニュアルにちゃんと書かれてますよ。あと、基本ボランティア活動なんですから、文句があるなら、あなたも協力したらいかがですか?折角の素晴らしいチュートリアルなのに、この辺のせいですっかり台無しです。
ちなみに、上記のコード例の場合、このように警告されます。
<pre>
‘gdk_cairo_create’ is deprecated (declared at /usr/include/gtk-3.0/gdk/gdkcairo.h:35): Use 'gdk_window_begin_draw_frame() and gdk_drawing_context_get_cairo_context()' instead [-Wdeprecated-declarations]
handle = gdk_cairo_create(gtk_widget_get_window(window));
</pre>
;コードの解説
GTK3 では、まず main 関数側で、図形の描画をできるように設定を宣言する必要があります。
なお、ネットに転がってるコード例をみると、cairo の呼び出し方では、一般に任意の自作の関数(上記のコード例では kansuu)を介して cairo を呼び出します。
cairo による図形描画プログラムを作成するとき、windows APIプログラミングでいうところのハンドルのような物を宣言する必要があります。
上記コードでは
handle = gdk_cairo_create(gtk_widget_get_window(widget1));
で、ハンドル作成しています。
なお、関数宣言のさいの <code> static gboolean kansuu(GtkWidget *widget1, cairo_t *handle, gpointer abcde) </code> の際に、すでに引数として<code> cairo_t *handle</code> のように宣言されており、この時点ですでにハンドル作成などのための必要なメモリの確保を行っているものと考えられます。
cairo_t型とは、ハンドルのようなものを定義するための型です。そもそも一般的にC言語では、型の宣言とは、メモリの確保でもあります。
ともかく、cairo_t型の宣言のさいに既にメモリは確保されているので、あとは実際にハンドルの作成をすれば済むだけなので、 よって
handle = gdk_cairo_create(gtk_widget_get_window(widget1));
で、実際にハンドル作成を実行するわけです。
この画像描画の説明でいう「ハンドル」とは、たとえるなら絵を書くときのキャンバスのようなものです。
線を引いたりなど図形を描画するときは、初心者には わずらわしいですが、どのハンドル(キャンバス)に図形を描画するのかを、各関数で宣言する必要があります。
GTKでは図形の性質の定義と、実際に図形の描画を実行する関数とは、異なる関数になります。(Winodws APIと同様。)
cairo_stroke の関数で、実際に線分の描画を実行します。
そして、使用し終わったら、destroy でハンドルを破棄するのが一般的です。(メモリの圧迫を防ぐため。)(Winodws APIでも同様に、使い終わったハンドルは破棄を宣言する。)
;この章を書くに当たり参考にした文献:
:[http://uchigo.main.jp/gtk3/chap08/chap08.html 素人の独学GTK+3.0 8章:タイムカウントとGDK3] 2019年9月28日に閲覧
===== Cairoライブラリの描画関数 =====
GdkWindowに対して、gdk_cairo_create関数を使うことで、[[w:Cairo]]ライブラリの描画コンテキストを得ることができます。ここで、Cairoは2D描画用のライブラリで、GTK+2が依存しているライブラリの1つです。gdk_cairo_create関数を使うと、GtkDrawingAreaウィジェットの中で、Cairoの描画関数を用いた図形の描画ができます。
Cairoライブラリには、GDKに存在しない描画機能があります。例えば、GDKの描画関数には[[w:ベジエ曲線]]を描くための関数は存在しません。Cairoライブラリにはこれを描くための関数が用意されています。GtkDrawingArea内で、これらの機能を利用したいときにはCairoライブラリを使うとよいでしょう。
====== 直線を用いた例 ======
Cairoライブラリを使う場合には、expose_cbは次のようになります。まず最初にGdkWindowからCairoコンテキストを作ります。
void expose_cb(GtkWidget *da){
cairo_t *cr = gdk_cairo_create(da->window);
cairo_t*はCairoコンテキストで、Cairoの関数によって画面の描画を行える長方形です。gdk_cairo_create関数はGdkWindow*を引数に取り、GdkWindow*の全体からCairoコンテキストを作ります。Cairoコンテキストは描画が終わった時に、cairo_destroy関数で解放する必要があります。
Cairoの関数はCairoコンテキスト内に"パス"を作成します。例えば、ある点(x,y)から(a,b)に向けた直線を引く場合を考えます。この場合、Cairoコンテキストに対して、1つの直線のパスを作ります。
Cairoコンテキストには"現在の位置"という量があります。まず最初に、"現在の位置"をパスの先端に動かし、その後位置をパスの後端に動かします。パスの先端に動かすには、cairo_move_to関数を使います。
cairo_move_to(cr, x, y);
次に、cairo_line_to関数でCairoコンテキスト中にパスを作成します。
cairo_line_to(cr, a, b);
これによって(x,y)から(a,b)へのパスをひくことができます。実際にこの直線を描画するには、cairo_stroke関数を使います。
cairo_stroke(cr);
描画する際に色を変えることもできます。このためには、cairo_set_source_rgb(a)関数を使います。最後のaは[[w:アルファチャンネル]]を表すパラメータです。これらの関数は
cairo_set_source_rgb(cr, R, G, B);
または、
cairo_set_source_rgba(cr, R, G, B, A);
で表されます。ただし、R, G, Bは、0-255ですが、Aは0-1で表されます。
また、描画の色はパスに対して設定することはできないため、パスを定義した後
色を変えたとしても、cairo_strokeを実行する前なら、パスの色は変更した後の色で描画されます。
cairo_move_to, cairo_line_to以外に、cairo_rel_move_to, cairo_rel_line_toという関数もあります。これらの関数は対応する関数と同じ働きをしますが、移動の位置を"現在の位置"からの相対位置で決めます。
*注意
Cairoの関数は対応する[[w:PostScript]]の関数と等しくなっています。例えば、三角形を描くPostScriptファイルは次のようになります。
20 20 moveto
50 230 lineto
230 50 lineto
20 20 lineto
stroke
showpage
:実行例
:[[画像:cairo_resembles_post_script.png|200px]]
moveto, lineto, strokeはそれぞれ対応するCairoの関数と似た働きをします。
他に、パスを作る関数として、cairo_rectangle, cairo_arc関数などがあります。これらの関数についてはCairoのリファレンス[http://www.cairographics.org/manual/]を参照してください。
====== ベジエ曲線を用いた例 ======
[[w:ベジエ曲線]]は一般的な3次曲線で、[[w:ベクタ]]図形を記録するためによく用いられます。例えば、[[w:PostScript]]、[[w:SVG]]は曲線としてベジエ曲線を使っています。
ベジエ曲線を使う関数はcairo_curve_to, cairo_rel_curve_toの2つです。具体的には、cairo_curve_toは次のように使います。
cairo_curve_to(cairo_t*, x1, y1, x2, y2, x3, y3)
は"現在の位置"から(x3, y3)まで曲線をひきます。曲線の曲がり具合は、(x1, y1),(x2,y2)によって定めます。これらの点については、Cairoのリファレンスと[[w:ベジエ曲線]]を参照してください。
:実行例
== コンポーネント ==
===== "メニューバー"オブジェクトについて =====
ここからは、個々のオブジェクトについて詳しく調べていきます。gnome-panelの多くの設定で使用されているオブジェクトに、"メニューバー"があります。
:[[画像:gnome_panel_menu_bar_generic.png|200px]]
このオブジェクトはアプリケーションメニューと場所メニュー、アクションメニューの3つのメニューから構成されています。それぞれのメニューをクリックすると種々のメニューが提供されます。アプリケーションメニューではシステムに存在するアプリケーションの起動が扱われ、アクションメニューでは"画面のロック"や"ログアウト"などのGNOMEデスクトップ全体に関わる事柄が扱われます。
メニューバーは大抵の設定でただ1つだけパネル内におかれているので、この部分は動かせないと思われがちです。しかし、実際にはこの部分は取り去ることが可能であり、またパネル内に複数置くことも可能です。
:[[画像:gnome_panel_no_menu.png|400px]]
:[[画像:gnome_panel_multiple_menus.png|400px]]
メニューバーのクラスはソースコード内では./gnome-panel/panel-menu-bar.hで定義されています。この中のPanelMenuBar構造体を確認すると分かる通り、このクラスはGtkMenuBarを継承しています。そのため、このクラスは基本的にGtkMenuBarと同じ動作をします。GtkMenuBarを使ったサンプルとして次のようなメニューの例があげられます。
<syntaxhighlight lang="c">
int main (int argc, char **argv){
gtk_init(&argc, &argv);
GtkWidget *window, *menubar, *menuitem, *menu;
/* ウィンドウを作成 */
window = gtk_window_new(GTK_WINDOW_TOPLEVEL);
/* メニューバーを登録 */
menubar = gtk_menu_bar_new();
gtk_container_add(GTK_CONTAINER(window), menubar);
/* メニューバーの項目を登録 */
menuitem = gtk_menu_item_new_with_label("mmm");
gtk_menu_shell_prepend(GTK_MENU_SHELL(menubar), menuitem);
/* 項目から派生するメニューを登録 */
menu = gtk_menu_new();
gtk_menu_item_set_submenu(GTK_MENU_ITEM(menuitem), menu);
/* 派生した先に登録する項目を作成 */
menuitem = gtk_menu_item_new_with_label("lll");
gtk_menu_shell_prepend(GTK_MENU_SHELL(menu), menuitem);
/* メニューの項目に対応するコールバック menu_cb を登録 */
g_signal_connect(G_OBJECT(menuitem), "activate", G_CALLBACK(menu_cb), NULL );
gtk_widget_show_all(window);
gtk_main();
return 0;
}
</syntaxhighlight>
:[[画像:gnome_menu.png|GtkMenuを使った例。この画像はできたGUIアプリケーションを見ながら、手で描いたものである。]]
GtkMenuBarはGtkMenuItemを書き込むことでメニューを作成することができるウィジェットです。
上の例はmmmという名のメニューを作成し、それをクリックしたときlllと書かれたメニューを表示し、更にその中のlllと書かれた部分をクリックすることで関数menu_cbを実行するというプログラムです。メニューの項目は増やせるので、コールバック関数をいろいろなアプリケーションの起動を行う関数とすることで、ランチャーの役目を果たすアプリケーションとすることができます。
===== ポップアップメニュー =====
gnome-panelではパネルの各所を右クリックすることでポップアップメニューを得ることができます。この操作はGUIを使った操作としてはよく見られるもので、どのように実現されるかが気になる所です。実は、この操作はGTK+のクラスであるGtkMenuの操作として典型的なものです。ここではGtkMenuのポップアップの例を見るとともに、実際にこの操作がどのようにgnome-panel中で用いられているかを見て行きます。
GtkMenuのポップアップの例として、次のサンプルをあげます。
<syntaxhighlight lang="c">
int main (int argc, char **argv){
gtk_init(&argc, &argv);
GtkWidget *menuitem, *menu;
/* メニューの例を参照 */
menu = gtk_menu_new();
menuitem = gtk_menu_item_new_with_label("lll");
gtk_menu_shell_prepend(GTK_MENU_SHELL(menu), menuitem);
g_signal_connect(G_OBJECT(menuitem), "activate", G_CALLBACK(menu_cb), NULL );
gtk_widget_show_all(menu);
/* ウィンドウから離れてメニューを表示*/
gtk_menu_popup(GTK_MENU(menu), NULL, NULL, NULL, NULL, 0,
gtk_get_current_event_time() );
/*メインループ*/
gtk_main();
return 0;
}
</syntaxhighlight>
:[[画像:gnome_panel_gtk_menu_popup_no_window.svg]]
上の例では"lll"と書き込まれたメニューを作成した後、そのメニューをgtk_menu_popupによって表示します。メニューが表示される場所はgtk_menu_popupの引数によって変更できるのですが、上の例ではgtk_menu_popupが実行された時点でのマウスカーソルの場所になります。実行例を見るとわかるのですがこの例は何も無い部分に突然メニューが表示されるため、やや非直観的です。普通の例ではGtkWindow等のマウスイベントを設定し,マウスのボタンが押されたときにメニューが表示されるようにします。ただし、GtkWindowは通常ではマウスのボタンに対応するイベントを持たないため,その点を補う必要があります。 このためには、gtk_widget_add_eventsかGtkEventBoxを使う方法がありますが、ここではgtk_widget_add_eventsを用いる方法を述べます。GtkEventBoxについてはGTK+のリファレンス等を参照してください。以降の説明ではある程度[[Xプログラミング]]の経験があると理解が容易になります。
gtk_widget_add_eventsはウィジェットがGTK+の背後で動いているウィンドウシステムから、新しいイベントを得るように設定する関数です。背後のウィンドウシステムの代表例は[[w:X Window System]]ですがUnix系のシステムでないなら他のものになることもあります。GTKではウィンドウシステムの値を直接使わなくてもすむよう、[[w:GDK]]というライブラリを用いています。GDKはGTK+とともに配布されるライブラリです。
gtk_widget_add_eventsでは引数として(GtkWidget *, GdkEventMask)を取ります。ここで、EventMask(イベントマスク)は対応するイベントをXなどから受け取るかを定めるビット列です。例えば,Xを用いてイベントを処理する場合にはXSelectInputなどを用いますが,この関数の引数としてイベントマスクが用いられます。詳しくは[[Xプログラミング]]を参照してください。ここで扱うGdkEventMaskも同種の値です。
実際にマウスボタンのイベントを見るには,GdkEventMaskとしてGDK_BUTTON_PRESS_MASKを用います。結局GtkWindowを作った後,
gtk_widget_add_events(window, GDK_BUTTON_PRESS_MASK);
を実行すると,ウィンドウ内でマウスボタンの操作を見ることができるようになります。この関数の後には,GTKのイベントである"button_press_event"を用いてマウスのボタンを扱うことができます。
ここまでのことを用いて,メニューを作成してからメインループに至るまでの部分は次のようになります。
<syntaxhighlight lang="c">
GtkWindow *window;
window = gtk_window_new(GTK_WINDOW_TOPLEVEL);
gtk_widget_add_events(window, GDK_BUTTON_PRESS_MASK);
g_signal_connect(window, "button_press_event", G_CALLBACK(window_button_cb), menu);
gtk_widget_show(window);
</syntaxhighlight>
ただし、menuは上で作成したGtkMenuと同一です。ここで、window_button_cbは次のように与えます。
<syntaxhighlight lang="c">
void window_button_cb(GtkWidget *window, GdkEventButton *button, GtkWidget *menu){
gtk_menu_popup(GTK_MENU(menu), NULL, NULL, NULL, NULL, 0,
gtk_get_current_event_time() );
}
</syntaxhighlight>
:[[画像:gnome_panel_gtk_menu_popup_with_window.svg]]
===== アプリケーションの起動 =====
アプリケーションの起動を行うためには、 コールバック関数として定義された関数(上の例ではmenu_cbと与えられている)の中で、新たな"プロセス"を作る必要があります。"プロセス"はOSが複数のアプリケーションを同時に動かすときの単位で、それを作る方法はOSによって異なっています。Unix系のOSではプロセスを作る関数は大抵[[w:fork]]と呼ばれます。forkはプロセスを作成し、新たに作成されたプロセスのIDを返します。また、作成されたプロセスで実際にあるアプリケーションを起動する関数として、Unix系のOSではexec系の関数が与えられます。execは与えられる引数によっていくつかの似た関数が提供されます。
:forkとexecを使った例
実際にそれぞれのメニューバーの項目に対応するコールバックを設定する操作は、./gnome-panel/panel-menu-item.c内の関数panel_menu_items_append_from_desktop内で行われています。この関数は第1引数にメニューの項目、第2引数に起動するアプリケーションの名称を取り、これを新たに作成したメニューの項目に与えています。
既にメニューの項目をクリックしたときの動作を与える方法として、
g_signal_connect(menuitem, "activate", menu_cb, NULL);
を使う方法を紹介しました。ここで、menuitemはここで内容を与えるメニュー項目であり、menu_cbは実際にこのメニューの項目がクリックされたときに実行させたい関数です。指定したアプリケーションを起動して、新たなプロセスを実行するためには、この関数はforkやexecを用いる関数である必要があります。
* 注意
g_signal_connectは[[w:en:glib]]で定義された関数で、"シグナル"が定義されたGObjectクラス及びそれを継承したクラスに対して、コールバック関数を与える関数です。ここで、"シグナル"はおおよそコールバック関数と同じ意味で、Unixでいう"シグナル"(他のプロセスに影響を与える機構)とは無関係です。<!-- 例えば、"シグナル"を発する関数と受け取る関数は同じプロセス内にあることが普通です。 -->
panel_menu_item_append_from_desktop内でもこの関数が用いられており、コールバック関数として同じファイル内で定義された、関数panel_menu_item_activate_desktop_fileを取ります。この関数はクリックされたメニュー項目の情報に加えて、そのメニュー項目がクリックされたときに実行されるべきアプリケーションの名称を引数として受け取ります。ここで、この関数はアプリケーションの名称を引数として与えながら、関数panel_ditem_launchを呼びます。launchの名から分かる通り、この関数は実際にアプリケーションの起動を行います。launchは"起動する"、"発射する"などの意味を持つ英単語です。
ここまでも既に長い道のりでした。しかし、ここから実際にforkが呼ばれるまでに、更にいくつかのライブラリを見る必要があります。ある意味でlaunchと名の付いた関数を見付けた時点で、この関数がプログラムの実行を行う可能性は高いため、そこで探索を終える方法もあるでしょう。ここでは、一応最後まで関数の流れを追ってみます。
panel_ditem_launchは、./gnome-panel/panel-util.c内で定義されています。この関数はいくつかの準備を行った後、関数gnome_desktop_item_launch_on_screenを呼びます。実はこの関数はgnome-panel内の関数ではないため、ソースを読もうと試みる人は、この関数が定義されたソースを求めて方々を探す必要があります。実際には[[w:google]]などを試してみるのがよいでしょう。
実際にこれを探すと、関数gnome_desktop_item_launch_on_screenは、gnome-desktopというライブラリ内の関数だとわかります。このライブラリもGNOMEのサイトから提供されているので、必要ならダウンロードしてください。実際には、この関数は、gnome-desktop-x.x.x/libgnome-desktop/gnome-desktop-item.cで定義されています。
この関数ではいくつかの引数のチェックを行った後、同じファイル内の関数ditem_executeを呼びます。この関数は関数の名前の最初に、gnome_desktop_...がついていません。このような関数は大抵staticをつけて宣言されており、そのファイル内だけで用いられる関数です。これは、staticをつけた関数は外部からは参照できないことを利用しています。他のファイルの関数名と重複することがないため、単純な名前でもよい訳です。
ditem_executeは様々なチェックなどを行った後、関数g_spawn_asyncを呼びます。この関数はg_から始まっていますが、GNOMEのアプリケーションでこの名称が出て来た場合、この関数は大抵[[w:en:glib]]の関数です。例えば、コールバックを与える関数であるg_signal_connectがglibの関数であることは既に述べました。
多くの関数をたどって来ましたが、g_spawn_asyncは事実上最後の関数です。この関数はglib-x.x.x/glib/gspawn.c内で定義されていますが、この関数はいくつかの関数を経て、関数fork_exec_with_pipesという関数を呼びます。この関数は名前の通りforkとexecを呼ぶ関数です。
ここまでで一応gnome-panelのメニュー項目がクリックされてから、実際に新たなプロセスが作成されるまでの道のりを見て来ました。もちろんただプロセスを作ることが目的なら、gnome-panel内で直接forkを呼ぶことも可能です。敢えてライブラリを使うのは、例えば[[w:Windows]]を使うときにはこの方法が使えないことがあげられます。これは、Windows上でプロセスを作るときにはforkではなく別の[[w:Windows API]]を使う必要があるからです。実際glibのgspawn.cがあるディレクトリ内には、gspawn-win32.cというWindows向けの関数も定義されており、glibライブラリをクロスプラットフォームライブラリにするよう試みているようです。
==== gconfを用いた設定 ====
ここまでで一応ランチャーとしての役目を果たすための機能を見て来ました。メニューを表示し、そのメニュー項目と対応するアプリケーションを起動することは、ランチャーの機能としては基本的です。ただし、ランチャーが扱えるアプリケーションは、プログラムのふるまいを外部から制御する機構がないのなら、ランチャーを作った人間がプログラム内に書き込んだアプリケーションに限られます。これでは新たなアプリケーションが加わった時にランチャーの振舞いを拡張することができない<!-- 、もしくはアプリケーションを追加するためにgnome-panelを[[w:コンパイル]]し直す必要がある-->ことになり、不便です。
ソフトウェアの動作を制御するためには、"設定ファイル"を使った方法がよく用いられます。例えば、XサーバやWebサーバ<!-- が用いる[[w:ドライバ]]を定めるために、Xの--> の動作を変更するために、これらの設定ファイルを書き直すことは特にホビーとしてのPC-Unixではよく行われます。
ただし、アプリケーションの動作を制御するために設定ファイルを使った方法を用いる場合には、その設定がアプリケーション内に取り込まれるタイミングが重要になります。例えば、設定ファイルを読む操作がアプリケーションの起動時にしか行われない場合、設定ファイルを変更した後アプリケーションの動作を変更するには、設定ファイルを書き直すたびに対応するアプリケーションを起動し直す必要があり、少し不便です。
より進んだ方法では、設定ファイルを書き直した後、そのことをアプリケーションに伝達する機構を用意しています。ここで、設定ファイルを書き直すプロセスは、一般には設定ファイルを利用するプロセスとは異なっています。このため、設定が変更されたことをその設定を使用しているアプリケーションに伝達するには、"プロセス間通信"の機構を用いる必要があります。
プロセス間通信は異なったプロセスの間で情報を伝達する機構です。この機構もプロセスの操作と同様OSによって提供される機構であり、異なったOSでは異なった動作をします。Unixにおける代表的なプロセス間通信には、[[w:ソケット]]を使った方法があげられます。ソケットは異なったプロセスからの情報を受け取るための一般的な機構ですが、これは異なったコンピュータ上にあるプロセスに対しても用いることができます。例えばLinuxでは、[[w:TCP]]の通信を行うためのソケットを提供していますが、この通信手法は[[w:インターネット]]のあらゆるサービスを提供するための手法として用いられています。
GNOMEでは、設定を扱うために[[w:en:gconf]]と呼ばれるライブラリを利用します。これは、設定を扱うための1つのサーバ(gconfd)を導入し、そのサーバに、サーバ上の設定を参照しているgconfクライアントを記憶させておき、設定が変更された際に、そのことをgconfクライアントに伝える機構です。簡単な例では、gconfdが保持している設定は利用者のホームディレクトリ~の~/.gconf/以下に記録されます。
* 注意
Unixの"シェル"では、利用者のホームディレクトリを~の記号で表します。設定によるのですが、このディレクトリは大抵/home/user_name/以下におかれます。ただし、user_nameはそのコンピュータに登録されている利用者の名前です。PC-Unixでは大抵利用者はそのパソコンの所有者1人だけなので、/home以下に直接設定ファイルをおけばよいようですが、多くの利用者が異なった設定でgconfを使う場面を想定してこのような作りになっています。
実際のシステムでは~/.gconfは次のようになります。
$ls
apps/ desktop/
これはfedora core 5での~/.gconf/内のファイルを表示した例です。ここには2つのディレクトリしかありませんが,apps/以下には[[w:en:Eye of GNOME]], [[w:gedit]]などの各種アプリケーションの設定が記録されています。これらはそれぞれ
eog/ gedit/
などの名前を与えられています。
gconfの動作を見るために、gconfが提供するツールを使った実験をしてみます。gconfはGConf-x.x.xというライブラリとしてGNOMEのサイトから配布されているのですが、その中には、GConf-x.x.x/gconf/gconftool.cで与えられるファイルが存在します。ここで、GConfのバージョンはGConf-2.14.0を使いました。このファイルは、gconfの設定内容を変更したり参照するための簡単なツールを提供します。このツールはgconftoolと呼ばれます。
ここでは、このツールを用いてgconfを使ってみます。既に~/.gconf/の中を見てみました。ここでは、gconftoolを使ってこのディレクトリ以下に新たな設定項目を作ります。もちろんこの項目は実際にアプリケーションで使われる項目ではないのですが、gconfの動作を見る上では便利です。具体的には、~/.gconf/以下に、/aaa/bbbという項目を作ります。ここで、/aaaは項目が配置されるディレクトリ名を表し、bbbが実際に記録される設定の名前です。もちろんこの階層はいくらでも深くすることができますが、ここではこの程度でよいでしょう。
また、gconfで設定される項目には"型"が必要になります。"型"にはint, bool, float型がなどがあります。これらのうち、intとfloatは[[C言語]]の対応する型と同じで、intは整数、floatは実数を表します。boolは例えば[[CPlusPlus]]などでは導入されているのですが、"真"、"偽"の2つの値だけを持つ型です。C言語では1 を"真"、0を"偽"などとしてint型で代用することができます。ここでは、bbbの型はboolで、値を"真"、つまりtrueとします。
具体的に、/aaa以下にbool型の項目bbbを値trueで設定するには、
$gconftool-2 -s /aaa/bbb -t bool true
とします。ここで、-sは項目を指定するための引数であり、-tは項目の型を指定する引数です。
実際にこの操作を実行すると、~/.gconf/は次のようになります。
$ls
aaa/ apps/ desktop/
新たにaaa/というディレクトリが加わっている様子がわかります。aaa/内のファイルを表示すると,
$ls
%gconf.xml
が得られます。ここではgconfの設定は[[w:XML]]ファイルに記録されています。この中身は,
<?xml version="1.0"?>
<gconf>
<entry name="bbb" mtime="1168623910" type="bool" value="true">
</entry>
</gconf>
で与えられます。この中では3行目の"bbb", "bool", "true"から、上で扱った内容が記録されている様子がわかります。
<!--
まず、gconfを用いる上で重要となる関数として、gconf_client_add_dir, gconf_client_notify_add, gconf_client_set_...があります。これらの関数はそれぞれGConf-x.x.x内で定義された関数です。gconftoolもこれらの関数の機能を使っています。
* 注意
実際にはgconftool.cでは、gconf_client_...ではなく、gconf_engine_...の名称を持つ関数を用いています。gconf_engine_...の関数はgconf_client_...と対応する関数が存在し、gconfライブラリの内部でgconf_client_...を作成するために用いられています。例えば、gconf_client_set_listの中では、gconf_engine_set_listが呼ばれています。(GConf-x.x.x/gconf/gconf-client.cを参照)
ここでは、これらの関数の動作を順に見て行きます。まず、gconfは各アプリケーションの設定を階層構造にして記録します。例えば、gnome-panelの設定は、/apps/panel/以下に記録されます。ここで、各"/"(スラッシュ)は階層構造の切れ目を表します。gconf_client_add_dirはgconfdに対して、ある階層以下の設定が変更されたときに、そのことをクライアントに伝えるように指令を出します。
:使用例
gconf_client_add_dirが使われた後には、gconfdはある設定が変更されたときにクライアントにそのことを伝達します。このとき、クライアントが何らかの動作を取るためには、クライアントに何らかのコールバック関数を提供する必要があります。具体的には、関数gconf_client_notify_addは、gconfdから連絡が来たときに実行するべきコールバック関数をクライアントに与える関数です。
:使用例
実際にgconfdにある設定を変更することを伝えるには、gconf_client_set_...の各種関数を使います。...には例えばstring, int ,bool, list, ...などの値が入ります。
:使用例
* 注意
GConf-x.x.x以下のソースを追うことで、gconf_client_set_...以下の関数に対してgconfdサーバがクライアントに連絡を行う機構を、実際に見ることができます。この機構はgconf_client_add_dirとgconf_client_notify_addの内部での振舞いがかなり異なることから、複雑になっています。具体的には、gconf_client_add_dirは階層の名前を実際にgconfdに伝達するのに対して、gconf_client_notify_addはコールバック関数をクライアント側にとどめるからなのですが、これ以上はこのことに深入りはしません。GConfのバージョンとしては、GConf-2.14.0を用いました。
実際にこれらの関数がどう使われているかを見るためには、cファイルとヘッダファイル全体を見ることができるアプリケーションを使って、gconf_client_notify_addなどの特徴的な関数を探すのが早道です。ここでは、"grep"を利用しました。grepは各種ファイルの中から特定の文字列を探すコマンドで、ソースファイルを探る目的でよく用いられます。具体的には、./gnome-panelディレクトリ内で
$grep \\bgconf_client_notify_add\\b *
としました。ここで、"\b"はそこで単語が途切れていることを表す表現です。ただし、"シェル"の動作を考慮して、"\"(バックスラッシュ)を2重にしています。実際に関数が見付かった順に進めてもよいのですが、ここではより体系だった方法でまとめます。
-->
===== gnome-panelでのgconf =====
ここまででgconfの基本的な使い方を見て来ました。gnome-panelでもパネル内のどの位置にどのオブジェクトが配置されているかなどをを記録するために、gconfを用いています。ここではまず、gnome-panelがどのようにgconfdから設定を受け取り、設定への変更を取得しているかを見て行きます。
===== gnome-panelの起動 =====
ここではgnome-panelがどのように起動するかを見て行きます。通常のアプリケーションと同様、gnome-panelは起動時に設定を参照してどこにオブジェクトを配置するかなどを決めます。この設定は設定ファイルではなく、gconfを用いて行われるのですが、ここでは実際にアプリケーションの起動時にどのようにgconfが用いられているかを見て行きます。
大抵のGNOMEアプリケーションではアプリケーションの起動はmain関数から始まります。これは普通のCプログラムと同じです。一方、[[w:Windows API]]を用いたWindowsのcプログラムでは、アプリケーションはWinMain関数から始まります。これはGUIアプリケーション一般の性質という訳ではないので注意してください。
そのため、アプリケーションの起動の様子を見るためには、このアプリケーションのmain関数を探す必要があります。gnome-panelでは、./gnome-panel/main.cに、アプリケーションのmain関数が定義されています。main関数では各種の初期化や設定が行われているのですが、その中でgconfとの相互作用を扱う関数として、関数panel_profile_loadが呼ばれています。この関数は、./gnome-panel/panel-profile.c内で定義された関数で、"いくつのパネルがあるか、それぞれのパネルにはどのようなオブジェクトやアプレットが配置されているか"などの各種情報をgconfdから受け取り、対応するウィジェットを作成しています。
実際には関数panel_profile_loadの最後で、関数panel_applet_load_queued_appletsが呼ばれています。<!--
gnome-panelを起動した際のウィジェットの構築は関数gconf_client_notify_addを用いた機構とは関係の無い方法で行われていることが分かります。これ以降の話は、アプリケーション起動時のウィジェットの構築ではなく、アプリケーションが動作している状態でウィジェットを構築するための機構です。
panel_applet_load_queued_appletsです。
-->
この関数は、./gnome-panel/applet.c内で定義されていますが、おおよそ関数panel_applet_load_idle_handlerを呼び出す関数です。panel_applet_load_idle_handlerもapplet.c内の関数ですが、この中では追加されたオブジェクトのタイプに対して、動作を変更するための、大きなswitch文が用いられています。switch文は[[C言語]]の制御構造の1つで、複数の条件があるときに、それらの条件に対して場合分けを行う文です。詳しくは[[C言語]]内の説明を参照してください。このswitch文はgconfが与えた内容に対して作成するウィジェットを変更するための場合分けで、これ以降各ウィジェットを作成する手順はウィジェットの種類によって様々です。
具体的には追加されたオブジェクトが"メニューバー"だった場合にはpanel_menu_bar_load_from_gconfを呼んでいます。この関数は設定に従って対応する"メニューバー"オブジェクトを作成する関数です。この関数の詳細を追うこともできますが、一応gconfの設定を読んだ後に、設定に応じて各種のオブジェクトを与える過程が得られたので、アプリケーションの起動に限った話はここまでとします。
===== 各種設定の変更 =====
ここまでで、gnome-panelが起動するときに、gconfが与える設定に従って、各種ウィジェットを見分ける方法を見て来ました。実際にはgnome-panelはgnome-panelが動作している最中に設定が変更されても、それに対応してウィジェットを作成する機構を持っています。これはgconfの機能を活用した機構です。
具体的には、gnome-panelはパネルの自由な位置に利用者が指定したオブジェクトをgnome-panelを再起動すること無く導入するためのGUIを持っています。このGUIは、gnome-panelの設定の変更とそのことのgnome-panelへの伝達を同時に行っており、設定を変更するたびにgnome-panelを起動しなおす手間を省いています。
ここでは、このGUIを用いて、gnome-panelに各種オブジェクトを配置する方法を見て行きます。
まず、gnome-panelの設定を変更するためのGUIとして、gnome-panel/panel-addto.c内の関数が用いられています。このファイル内の関数はGtkDialogを用いて利用者からgnome-panel内で変更したい設定を取得しようとします。ここではこのウィジェットをAddToダイアログと呼びます。
:[[画像:Gnome_panel_addto_dialog.png|200px]]
ここで、GtkDialogはGtkWindowを継承したクラスで、GtkWindowに"OK", "キャンセル"などの各種ボタンを与えるクラスです。一般的なGtkDialogの例として、次のようなサンプルがあげられます。
<syntaxhighlight lang="c">
#include <gtk/gtk.h>
int main (int argc, char **argv){
gtk_init(&argc, &argv);
GtkWidget *dialog, *label;
/* ダイアログの作成 */
dialog = gtk_dialog_new_with_buttons(NULL,
NULL,
0,
"はい",
1,
"いいえ",
2,
NULL);
label = gtk_label_new("あああ\n");
gtk_container_add(GTK_CONTAINER(GTK_DIALOG(dialog)->vbox), label);
gtk_widget_show_all(dialog);
/* 応対(response)の取得*/
int response = 0;
response = gtk_dialog_run(GTK_DIALOG(dialog));
switch(response){
case 1:
g_print("はい\n");
break;
case 2:
g_print("いいえ\n");
break;
default:
break;
}
return 0;
}
</syntaxhighlight>
:[[画像:gnome_panel_gtk_dialog.png|200px]]
:解説
AddToダイアログの動作はgconfの機能を使っています。具体的には、gconfの設定のうち、オブジェクトの種類や配置が記録されている部分にgconf_client_add_dirを使い、その値が変更されたときのコールバック関数を登録するために、gconf_client_notify_addを使っています。具体的には、これらの関数は既に見た関数panel_profile_load内及びそこから呼び出された関数内で用いられています。
関数panel_profile_loadは、途中でgconf_client_add_dir関数を呼び出しています。ここで指定するgconfの階層は、/apps/panel/generalです。この階層以下には、パネルの数やオブジェクトの位置などが記録されるため、オブジェクトの数を確認するためにはこの部分の変化を見ておく必要があります。
ここで実際のgnome-panelでの例を示します。実際にgconfの設定を見るためにgconftoolを用います。gconftoolで対応するディレクトリ以下の設定項目を見るには,
$gconftool-2 [-R|--recursive-list] ディレクトリ名
とします。
gnome-panelの設定を見るためには、あらかじめgnome-panelをできるだけ単純に設定しておくと後が楽になります。ここでは、パネルは1つだけを残して全て取り去り、残ったパネル内のオブジェクトも全て取り去りました。この操作は対応するパネルやオブジェクトを右クリックし、対応するメニューを用いることで行えます。また、最後のパネルを消そうとすると、メニューが表示されなくなるため、全てのパネルを消し去ることはできません。パネルを右クリックした場合新たなパネルを追加するメニューが表示されるため、それを用いて新たにパネルを加え、設定を元に戻すことができます。
実際にこの設定にした後,上のコマンドでディレクトリ名として/apps/panel/generalを用いると
object_id_list = []
applet_id_list = []
toplevel_id_list = [panel_1]
などの出力が得られます。ここで、object_id_list、applet_id_listはそれぞれパネルに含まれるオブジェクト、アプレットを表します。ここでは、オブジェクトを1つも用いていないので、これらは空欄となります。一方toplevel_id_listはパネルがいくつあるかを示すリストです。ここではただ1つのパネルを用いているため項目は1つだけとなります。後にわかるのですが、panelが複数になった時にはこの部分にpanel_2, panel_3, ... などの項目が追加されます。ここで、1, 2, 3などの数字はidと呼ばれます。この用語はtoplevel_id_list等の名前にも用いられていますが、以降のソース内の関数名にも何度か用いられます。
これで、オブジェクト、アプレット、パネルの数がどのように記録されているかがわかりました。更にこれらの設定の詳細については/apps/panel以下の各ディレクトリに記録されています。例えば,/apps/panel/toplevelsにはパネルの設定が記録され、/apps/panel/appletsにはアプレットの設定が記録されます。例えば/apps/panel/toplevels/panel_1の設定を見ることもできますが、設定項目の数が多いのでこれらの詳細には触れません。比較的意味が取りやすいものでは、
size = 24
orientation = top
auto_hide = false
などがあります。これらは、それぞれパネルの幅(単位はピクセル)、パネルを画面中でどの位置に置くか、カーソルが置かれていないときパネルを隠すかどうかに対応します。これらはどれもパネルの右クリックメニューから扱うことができる"プロパティ"によって設定できる項目です。
次に、パネルの数とアプレットの数を増やして同じ操作をしてみます。ここではパネルを2枚にし、メインメニュー、時計、通知スペース、ウィンドウの一覧、デスクトップの表示などの各種オブジェクトを追加しました。ただし、パネルの位置はそれぞれ上と下とし、オブジェクトのうち最初の3つは上のパネルに加え、後の2つを下のパネルに加えました。この場合/apps/panel/generalでの出力は
object_id_list = [object_1]
applet_id_list = [applet_0,applet_1,applet_2,applet_3]
toplevel_id_list = [panel_1,panel_2]
のようになります。ここで上では5つのオブジェクトを加えたのに、設定ではオブジェクトが1つでアプレットが4つとなっています。実際にはアプレットもオブジェクトの一種なのですが、アプレットは他のオブジェクトと比べてかなり動作が異なるので、アプレットは別に扱われます。
具体的にはアプレットはソース内ではOBJECT_BONOBOなどと呼ばれます。ここで、BONOBOはアプレットを扱う技術の名前なのですが、この技術は単純にはプロセス間通信を用いた技術です。実は上の時計などのアプレットの本体は、gnome-panelのプロセスとは別のプロセスとして存在します。例えば,時計が動いているgnome-panelが存在する時には,常にclock-appletというプログラムが動いています。具体的には、対応するpsコマンドの出力には、
3855 ? S 0:00 /usr/libexec/notification-area-applet --oaf-activate-
3859 ? S 0:00 /usr/libexec/clock-applet --oaf-activate-iid=OAFIID:G
3874 ? S 0:00 /usr/libexec/wnck-applet --oaf-activate-iid=OAFIID:GN
などの出力が含まれます。ここで注目してほしいのは、中間の/usr/libexec/以下の各項目です。これらは上から順に通知スペース(notification-area)、時計(clock), ウィンドウの一覧に対応するプロセスです。BONOBOのライブラリであるlibbonoboについてはここでは深くは扱いません。[[w:en:bonobo (computing)]]、[http://www.gnome.gr.jp/docs/inside_bonobo/index.html]などを参照してください。
ここでは更に、/apps/panel/objectsやa/apps/panel/appletsの中身も見てみます。上で導入したオブジェクトの中でメインメニューはオブジェクト(アプレットでない)なので、/apps/panel/objects内に記述があるはずです。実際にこの項目を見ると、
/apps/panel/objects/object_1:
toplevel_id = panel_1
object_type = menu-bar
position = 79
などの項目が与えられます。この中で、object_1はメインメニューに対応するオブジェクトのはずですが、menu-barの名前が3行目にあるので、確かにこのオブジェクトがメインメニューに対応することがわかります。他にpositionはメニューの位置を表し、toplevel_idはこのオブジェクトがどのパネルに含まれるかを表します。panel_1は上側のパネルなのでこれで正しいわけです。他にlockedという項目がありましたがこの項目はおそらくそのオブジェクトが"ロック"されているかを表します。"ロック"はオブジェクトの移動を禁止する機能で、右クリックメニューから選ぶことができます。
更にアプレットについては次のような項目が存在します。
/apps/panel/applets/applet_0:
toplevel_id = panel_1
bonobo_iid = OAFIID:GNOME_NotificationAreaApplet
object_type = bonobo-applet
position = 606
ここで、object_typeはbonobo-appletとなっていますが、この項目はアプレット全般に対して用いられます。また、toplevel_idとpositionについては既に扱いました。最後にbonobo_iidですが、これはBONOBOの機構内でどのプロセスからの入力を扱うかを定める1つの文字列です。ここではNotificationAreaの文字があるので、このアプレットが"通知スペース"に対応することがわかります。
<!--
他のアプレットについても同様の設定がありますが、applet_idとbonobo_iidだけを書くと、
-->
ここまででgnome-panelの設定に関する実例を見てきました。これらの設定の変更を扱うために、関数panel_profile_loadの中ではgconfの設定内のパネル、オブジェクト、アプレットそれぞれの設定に対して、panel_profile_load_listという関数が呼ばれています。関数panel_profile_load_listもpanel_profile_loadと同じファイル内で定義されているのですが、この関数は関数内でgconf_client_notify_addを呼び出しています。
gconf_client_notify_addの引数は、パネルの設定に対してこの関数が呼ばれた場合とオブジェクトやアプレットに対して呼ばれた場合で変化します。例えば、オブジェクトの設定を読んだ場合には関数panel_profile_object_id_list_notifyが引数として与えられます。この関数はどのオブジェクトが消えたり追加されたりしたのかを把握し、オブジェクトに対応するウィジェットを追加したり取り除くという作業を行う関数です。実際に関数panel_profile_object_id_list_notify内ではpanel_profile_load_added_idsとpanel_profile_delete_removed_idsの2つの関数が呼ばれていますが、これらの関数は名前の通りの動作をし、付け加えられた(added)オブジェクトを読み出したり(load)、取り除かれた(removed)オブジェクトを解放したり(delete)します。
実際にウィジェットを追加するのは関数panel_profile_object_id_list_notifyの最後で呼ばれている関数panel_applet_load_queued_appletsですが、この関数は既に見た関数で、gconfから受け取ったリストを用いて、対応するウィジェットを作成する関数です。ここでは、関数panel_profile_object_id_list_notify内でリストの変更が取り入れられているので、ウィジェトの追加や削除を行うことができるわけです。
ここまででgconfの設定をアプリケーションの動作中に反映するための機構を見て来ました。これらはアプリケーションの起動時にしか変更を反映できない方法と比べて優れた方法です。同様の方法は他のGNOMEアプリケーションでも用いられており、gconfがGNOMEのライブラリとして重要であることを示しています。
==== アプレットの動作に必要なライブラリ ====
既に"アプレット"がlibbonoboを通じて実現されていることを述べました。ここで、libbonoboはプロセス間通信を行うための一般的な技術です。これは、アプレットを扱うプロセスとgnome-panelのプロセスの間の通信を行うために用いられます。
アプレットはlibbonoboに加えてlibbonobouiライブラリに含まれる技術も用いています。libbonobouiライブラリはlibbonoboを用いてあるプロセスで制御されるGTKウィジェットを他のプロセスのウィジェットに埋め込む一般的なライブラリです。
===== GtkPlug, GtkSocket =====
まず最初に、GTKを用いたウィジェットの埋め込みを扱います。GTKの枠組みでウィジェットの埋め込みを行うには、GtkPlug, GtkSocketのウィジェットを使います。GtkSocketは、ウィジェットを埋め込まれる側のプロセスが作成するウィジェットで、GtkPlugが実際に埋め込まれるウィジェットに対応します。
X上で動くGTKのプロセス中では、GtkPlug, GtkSocketは埋め込まれるウィンドウを決めるために、WindowIDを用います。WindowIDはXのウィンドウに与えられる一意の数値で、型はXID(大抵unsigned long)で与えられます。
:サンプルコード
X上でのWindowIDを知るには、xwininfoコマンドを使うのが簡単です。
$xwininfo
これは指定されたウィンドウのWindow IDやジオメトリ(位置と大きさ)などの情報を与えます。
GtkPlug, GtkSocketを用いて埋め込みを行うには、GtkSocketにGtkPlugのWindowIDを伝える必要があります。このためのlibbonoboui内のクラスとして、BonoboPlug, BonoboSocketの両クラスがあります。これらはそれぞれGtkPlug, GtkSocketを継承します。
実際に埋め込みを行うために、BonoboPlug, BonoboSocketはそれぞれBonoboControl, BonoboControlFrameを使います。ここで、BonoboControlはgetWindowIDという名の"メソッド"を持っており、他のプロセスで実行されるBonoboControlFrameにBonoboPlugのWindowIDを伝えます。ただし、libbonobo, libbonobouiのバージョンとして、2.16.0を用いました。
BonoboControlFrameはGtkWidgetを継承していないため、埋め込まれる側のウィジェットの配置に手間がかかります。この手間を省くため、BonoboControlFrameを"private"なメンバとして持ったクラスBonoboWidgetが存在します。
gnome-panel中でも、/gnome-panel/panel-applet-frame.c内でBonoboWidgetが用いられています。panel-applet-frameはBonoboWidgetを収納するGtkWidgetで、GtkEventBoxを継承します。GtkEventBoxはGtkBinクラスを継承したウィジェットで1つのウィジェットを収納します。
一方gnome-panelでは、埋め込むウィジェットを提供する機構としてPanelAppletクラスが提供されています。(./libpanel-applet/panel-applet.[ch]を参照)このクラスはBonoboControlへのポインタを所持します。各アプレットはこのクラスを継承し、PanelAppletFrameと相互作用します。
==== 各種アプレットの動作 ====
既にgnome-panelの動作は"アプレット"によって拡張されることを見てきました。ここでアプレットはBonoboと呼ばれる技術を用いて作られており、これらはgnome-panelとは異なったプロセス内で動作しています。この時、なぜ単純にgnome-panelの新たなオブジェクトとして各機能を作成しなかったのかが疑問に思われます。
詳細は不明ですがこの方式の明らかな利点として、各アプレットを作成する言語として、[[C言語]]以外の言語を選べることがあげられます。実際gnome-applets内に含まれるアプレットでinvest-applet(gnome-applets-x.x.x/invest-applet)は[[w:Python]]を用いて作成されています。ここでgnome-appletsはGNOMEから配布されているファイルで、gnome-panelの各種アプレットを扱っています。この中には音量調節(gnome-applets-x.x.x/mixer)やごみ箱(gnome-applets-x.x.x/trashapplet)などのアプレットが含まれています。ただし、gnome-appletsのバージョンとしてはgnome-applets-2.16.2を用いました。
これに加えて既に登場した時計、通知スペースなどのアプレットがgnome-panel内に含まれています。(それぞれ./applets/clock, ./applets/notification_area内のファイル)ここでは、Bonoboの詳細には触れずに、各種"アプレット"の動作を見ていきます。これはBonoboを使う場合でもアプレット自体は通常のGTK+アプリケーションと同じように書くことができるからです。このことの詳細については[http://developer.gnome.org/doc/API/2.0/libbonobo/index.html]などを参照してください。
===== gnome-panel内のアプレット =====
====== 時計アプレット ======
時計アプレットはその名の通り[[w:時計]]を表示するアプレットです。このアプレットはgnome-panelの./applets/clock以下に含まれています。時計アプレットの仕事はおおよそGTK+を使って時計を作成することです。簡単な時計の作り方については例えば[[Xプログラミング]]を参照してください。
:[[画像:gnome_panel_clock_applet.png|200px]]
(赤線は筆者が導入した)基本的に時計アプレットの本体は時刻の数値をテキストとして書き込まれたGtkLabelです。GtkLabelは既にGtkFixedの中で用いたのでここでは説明しません。対応するGtkLabelは./applets/clock/clock.c内のcreate_clock_widget関数中で作られています。時刻の書き換えはclock_timeout_callback中で呼ばれるupdate_clockで行われます。この間数はgtk_label_set_textを用いてGtkLabel内の数値を変えた後、gtk_widget_queue_resize関数を呼びます。この関数はGtkWidget及びそれを継承したウィジェットに対してその変更を画面に反映するために呼ばれます。同種の関数にgtk_widget_queue_draw(_area)がありますが、gtk_widget_queue_resizeは変更によってウィジェットのサイズが変わる場合に呼ばれます[http://developer.gnome.org/doc/API/2.0/gtk/GtkWidget.html]。一方、gtk_widget_queue_drawはウィジェットのサイズを変えません。
追加の機能として、時計アプレットは24時間表示と12時間表示を切り替えたり、カレンダーを表示したりといくつかの機能があります。前者はGtkLabelのフォーマットを変更するだけで書き換えられますが、後者は多くの操作が必要となります。実際にはカレンダーはGtkCalendarとしてGTK+のウィジェットが与えられているため、時計アプレット内ではそれが用いられています。GtkCalendarについてはGTK+のソースを参照してください。
また、時計アプレットはロケールを変更してgnome-panelを起動すると表示が変化します。次の例はロケールをen_USに変更した例です。ただし、シェルとして[[w:bash]]を用いています。
$LANG=en_US gnome-panel
:[[画像:gnome_panel_clock_applet_en_US.png]]
(赤線は筆者が導入した)
ロケールの変更による時刻のフォーマットの変更は、gettextライブラリによって行われます。gettextの詳細は[[OSS開発ツール]]を参照してください。実際のpoディレクトリは./po/以下で与えられます。この中では各国語でのフォーマットが文字列の形で定義されています。
====== wnckアプレット ======
wnckアプレット(wnck-applet)は、"libwnck"を用いるアプレット群で、GNOMEデスクトップのウィンドウの管理を行います。このアプレット群は複数のアプレットを含んでおり、これらはそれぞれ"デスクトップの表示"(ShowDesktop), "ウィンドウ一覧"(WindowList), "ウィンドウセレクタ"(WindowMenu), "ワークスペース切替器"(WorkspaceSwitcher)が含まれます。既にアプレットの例でwnck-appletが起動されている場面を見ました。これらはここで与えられる複数のアプレットに対応するプロセスです。
ここで、それぞれのアプレットの機能を簡単に紹介します。"デスクトップの表示"は全てのウィンドウを最小化し、デスクトップを表示します。実はデスクトップは後に述べる[[w:Nautilus]]の画面なのですがここでは触れません。ウィンドウの大きさを変更する機能はウィンドウマネージャの機能であるため、対応するウィンドウマネージャがlibwnckの要求を受けない場合には、このアプレットは機能しません。実際twmを用いて"デスクトップの表示"を動かしたところ、エラーメッセージが表示されました。
次に"ウィンドウ一覧"と"ウィンドウセレクタ"はどちらもその時点で存在するウィンドウを選択するためのアプレットです。ただし、"ウィンドウセレクタ"はこれをWnckSelectorとして与え、"ウィンドウ一覧"はWnckTasklistとして与えます。
:実行例
"ウィンドウ一覧"はよく用いられるアプレットで、既に意識せずに使っているかも知れません。こちらもtwmで管理されるウィンドウは表示されません。
"ワークスペース切替器"は何枚もの画面(ワークスペース)があるように見せ、それらを切り替えながら使うことで画面を広く使うアプレットです。こちらもtwmと同時には使えません。
====== 通知スペース(NotificationArea)アプレット ======
{{スタブ}}
===== gnome-applets内のアプレット =====
gnome-appletsにもいくつかのアプレットが含まれています。ここでは比較的動作がわかりやすいアプレットを選んで紹介します。具体的には"CPU周波数"(cpufreq)アプレットと"音量調節"(mixer)アプレットを扱います。
cpufreqアプレットは使っている[[w:コンピュータ]]の[[w:クロック周波数]]を表示するアプレットです。クロック周波数はCPUの動作速度を表す指標で、基本的にはこの数値が大きい程速いCPUであるといえます。ただし、コンピュータを使う際の体感速度は、[[w:メモリ]]の量などCPU以外の条件にもよるので、この数字だけでコンピュータの性能が決まるわけではありません。
[[UNIX/Linux入門|Linux]]上では、使っているCPUの周波数は"ファイル"として利用者から利用できるようになっています。ただし、この値を変更してもハードウェアが変更されるわけではなく、この機能はシステムの状態を把握することを目的とした機能です。CPU周波数の情報は/proc/cpuinfo、もしくは/sys以下のディレクトリに記録されています。cpufreqアプレットはこれらの値を読み出して表示します。
== 関連項目 ==
[[OSS開発ツール/GUIツールキット]]
== ※ 統合作業用の見出し ==
//////////////////////////
以降、『OSS開発ツール/GUIツールキット』 2019年9月28日 (土) 13:36 からの引用。統合作業中。
//////////////////////////
== Gtk+ ==
==== GtkDrawingAreaの例 ====
===== GtkDrawingAreaとは =====
ここでは、Gtkウィジェットの例として、GtkDrawingAreaウィジェットを扱います。GtkDrawingAreaは、内部にGdkWindowを持っており、利用者はその中に自由な描画を行えます。これは、[[w:Windows]]でいうところのDevice Context([[w:GDI]]を参照)と似た機能です。
GtkWindowを作り、GtkDrawingAreaを収納するサンプルは次のようになります。まず最初にGTKライブラリの初期化とウィジェットポインタの宣言を行います。
<syntaxhighlight lang=c>
#include <gtk/gtk.h>
int main(int argc, char **argv){
gtk_init(&argc, &argv);
GtkWidget *win, *da;
/* ここで、win, daはそれぞれGtkWindowとGtkDrawingAreaに対応します。GtkWindowとGtkDrawingAreaを実際に作るには、次のようにします。*/
win = gtk_window_new(GTK_WINDOW_TOPLEVEL);
da = gtk_drawing_area_new();
/* これらの関数は対応する構造体のnew関数です。*/
/* 更に、GtkWindow*winにGtkDrawingArea*daを収納します。このためには、gtk_container_addを使います。*/
gtk_container_add(GTK_CONTAINER(win), da);
/* ここで、winに対してGtkContainer*へのキャストが行われていることに注意してください。GtkWindowはGtkContainerを継承するので、この操作は正しい操作です。しかし、GtkContainerを継承しない"クラス"に対してこの操作を行うと、プログラムの実行時に警告が出されます。*/
/* 次に、実際に描画関数を呼ぶ処理を行います。ここで、実際の描画はコールバック関数の中で行います。コールバック関数の名称はexpose_cbとします。コールバック関数を登録するために、*/
g_signal_connect(da, "expose_event", G_CALLBACK(expose_cb), NULL); // を使います。ここでは、関数g_signal_connectについて解説します。
</syntaxhighlight>
この関数の名前はg, signal, connectの3つに分かれます。
まず、最初のgは、この関数が[[w:en:glib]]に属するためにつけられています。これは、[[C言語]]に、[[w:名前空間]]の概念が無く、接頭詞g_を外すと、他のライブラリからの関数名と2重に関数が登録される危険があるためです。
次に、signalは、GSignalのことを指します。GSignalはおおよそコールバック関数へのポインタのことです。<!-- 関数へのポインタについては[[C言語]]を参照してください。 -->GSignalは[[w:en:glib]]で定義され、1つのコールバック関数と1つの文字列を対応付けます。上の例では、文字列"expose_event"で表されるシグナルが扱われます。GSignalはGObjectを継承した"クラス"に対して適用され、プログラムの実行時に"クラス"の初期化が行われる時、後に利用者のプログラム中で定義されるコールバックの置き場を与えます。
最後に、connectは、指定されたGSignalに対してあるコールバック関数を実際に与えることを指します。
結局、g_signal_connectでは、引数によってあるGObjectのGSignalを指定し、それに対して1つのコールバック関数を与える関数です。ここで、g_signal_connectの引数は
g_signal_connect(GObject *, gchar *, GCallback*, gpointer)
であり、第1、第2引数はそれぞれGSignalを指定するためのGObjectと、GSignalの名前を表します。第3、第4引数はそれぞれ、コールバック関数と関数に与える引数を表します。第4引数ではコールバック関数内で必要なデータを与えます。
また、"expose_event"は、[[w:X Window System]]などから与えられる"イベント"の1つで、あるウィンドウ内の長方形を描画する必要があるときにXクライアントに対して与えられるイベントです。詳しくは[[Xプログラミング]]を参照してください。ここでは、GtkWindowが他のウィンドウによって隠されたときや、一旦ウィンドウを最小化したときを扱うための手法であると述べるに留めます。
ここまでで、GtkDrawingAreaをGtkWindowに収納しました。これらを表示するためには次のようにします。
gtk_widget_show_all(win);
gtk_main();
return 0;
}
ここで、gtk_widget_show_allは指定されたウィジェットに収納されたウィジェット全てを"show"する関数です。
ここまででプログラムは終わりですが、expose_cbを空の関数としてこれを実行すると窓を開くだけの例と同じ結果になります。これは、GtkDrawingArea内に実際に描画を行っていないことによります。実際に描画を行うためには、expose_cb関数を書く必要があります。
===== GdkWindowの描画関数 =====
expose_cb関数は次の様に宣言されます。
void expose_cb(GtkWidget *da);
ここで、"expose_event"のコールバック関数は"expose_event"を受け取ったウィジェットを渡されます。ここでは、g_signal_connectで指定されたウィジェットがGtkDrawingAreaなので、コールバック関数にもGtkDrawingAreaが渡されます。
ここで、実際にGtkDrawingAreaに描画を行う方法について述べます。GtkDrawingArea構造体には、GdkWindowが含まれています。GdkWindowはXなどから与えられる長方形の領域で、この中の各ピクセルを扱う事で、図形を描画することができます。実際にGtkDrawingArea*内のGdkWindow*は次のように指定されます。
da->window
ここで、daは、GtkDrawingArea*を表します。
GdkWindowにはいくつかの描画用の関数があります。これらは基本的に[[w:X Window System]]の関数に対応しています。例えば、線をひくための関数であるgdk_draw_lineは、XDrawLine関数に対応しています。Xを扱う関数に関しては[[Xプログラミング]]を参照してください。
ここでは、実際に線をひく関数を試してみます。まず、expose_cbの定義です。
void expose_cb(GtkWidget *da){
ここで、実際に図形の描画を行うためには、GdkWindowのGC(Graphic
Context)を指定する必要があります。ここで、GCはXなどで扱われる描画要素で、図形の色や線の太さなどを表します。ここでは全ての値をデフォルトとしたGCを作るため、gdk_gc_new関数を使います。ただし、1度だけgcを作るため、staticで定義します。
static GdkGC *gc = NULL;
if (!gc)
gc = gdk_gc_new(da->window);
更にこのGdkGC*であるgcを用いてgdk_draw_lineは次のように書けます。
gtk_draw_line(da->window, gc, x0, y0, x1, y1);
}
ここで、線は(x0, y0)から(x1, y1)までひかれます。
:実行例
ここで、ウィンドウの最小化やウィンドウの重なりがうまく扱われていることに注意してください。
GDKの描画関数は他に、gdk_draw_polygon, gdk_draw_rectangle, gdk_draw_point(s),
gdk_draw_arcなどがあります。これらについてはGDKのリファレンス[http://developer.gnome.org/doc/API/2.0/gdk/index.html]を参照してください。
==== Gtkのウィジェット ====
ウィジェットは"ラベル"や"ボタン"などの様々なよく用いられるGUI要素のことを指します。ここからはこれらのGUI要素を用いたプログラムについて述べます。ウィジェットは[[w:Windows API]]では"(コモン)コントロール"と呼ばれるものです。
===== ボタンを利用した例 =====
ここでは、GtkButtonを利用した例を扱います。この例は公式のチュートリアル[http://www.gnome.gr.jp/docs/gtk+-2.0.x-tut/gtk-tut.html]でも扱われているので、簡単に済ませます。しかし、コールバックの話をするときに、再びこの例を使います。
GtkButtonは、gnomeのソフトウェアを利用するときに頻繁に利用されるボタンウィジェットです。
* 図
ボタンウィジェットは単独で使うことは出来ず、必ずGtkWindowの中で使う必要があります。あるウィジェットの中で別のウィジェットを使うことをウィジェットのパッキングといいます。ここではGtkButtonをGtkWidgetの中にパッキングします。
GtkWindowには1つのウィジェットしかパックできないため、複数のウィジェットを表示したい場合には複数のウィジェットを収納できるウィジェットをパックする必要があります。よく使われる例にGtkVBox, GtkHBox, GtkTableなどがあり、GtkButtonを複数収納する例はよく用いられます。しかし、複数のウィジェットを利用する場合にはlibgladeを利用した方が便利なので、ここでは1つのウィジェットを扱う例だけを扱います。
GtkButtonをGtkWindowに収納するには、上の例の3行目の次に、以下のプログラムを追加します。
1: GtkWidget *button = gtk_button_new();
2: gtk_widget_show(button);
3: gtk_container_add(GTK_CONTAINER(win), button);
ここでは順を追って追加されたプログラムを見ていきます。
1行目はGtkButtonのnew関数で、buttonを作成します。やはり、この関数もGtkWidgetポインタを作成します。
2行目はgtk_widget_show関数です。GtkWindow同様、GtkButtonにもgtk_widget_showを使わないとウィジェットが表示されません。
3行目はgtk_container_add関数を利用しています。gtk_container_add関数はGtkContainerクラスを継承したクラスを第1引数に取って利用され、第2引数のウィジェットを第1引数のコンテナに収納します。ここで、GTK_CONTAINERは、glibの例で見た通り、GTK_CONTAINERのインスタンスにキャストを行なうマクロです。第1引数はGtkContainer* なので、このキャストが必要になります。
*スクリーンショット
===== glade =====
ここまででウィジェットの性質を変えたり、ウィジェット間に収納関係を与える方法について見てきました。これらはどれも似たようなコードであり、作成するのが面倒になりがちです。例えば、ボタンを10個作らねばならないプログラムでは上で追加したのと同じ内容を10回繰りかえす必要があります。(実はforループを利用することも出来ます。)これは非常に大変な作業です。幸いにもこれらの作業を手軽に行なうプログラムがあるので、ここではそれを紹介します。
このようなプログラムはインターフェースビルダと呼ばれます。<!--、おそらく[[w:Microsoft]]の[[w:VisualBasic]]に対する[[w:Visual Studio]]で最初に扱われました。-->現在では類似の機能は例えば、[[Java]]の[[w:Swing]]に対して、[[w:Eclipse]]で提供されています。([http://www.eclipse.org/vep/WebContent/main.php] )
まずgladeは、GUIを用いてgtk+のウィジェットを扱うプログラムです。
:[[画像:Glade on Debian.png|200px|gladeのスクリーンショット]]
次に、libgladeはgladeを含む何らかの手法で作られた[[w:XML]]ファイルから、実際にウィジェットを作成するライブラリです。ここではまずlibgladeを使った場合に実際に書く必要があるコードを扱います。幸いにも複雑なウィジェット群を扱うときにもここで扱うプログラムはそれほど変化しません。この例は、gladeリファレンスマニュアル([http://www.gnome.gr.jp/docs/libglade-2.4.x-refs/index.html] )で扱われている例とほとんど同じものです。
===== libglade =====
ウィジェットの情報が含まれるXMLファイルの拡張子は.gladeです。ここではXMLファイルの名前をsample.gladeとします。このときlibgladeを使ったプログラムは、次のようになります。
1: int main(int argc, char** argv){
2: gtk_init(&argc, &argv);
3: glade_xml_new("sample.glade", NULL, NULL);
4: gtk_main();
5: return 0;
6: }
単にウィジェットを表示することが目的なら、これだけで十分です。XMLファイルでコールバック関数を利用することが指定されているときには、3行目を
1: GladeXML *xml = glade_xml_new("sample.glade", NULL, NULL);
2: glade_xml_signal_autoconnect(xml);
に変更する必要があります。
====== gladeの使い方 ======
stub
<!--
===== gladeを使った例 =====-->
===== 複数のボタンを使った例 =====
ここではgladeを使ってより複雑なウィジェットを作成します。幸いにもほとんどの作業はGUIを利用して行なうことが出来ます。
ここでは次のようなウィジェットを作成します。
:[[画像:ボタンを使った例.png]]
ウィジェットの関係は次のようになります。
GtkWindow - GtkVBox - GtkButton
- GtkButton
このウィジェットはWindow内に2つのボタンが入っているだけの簡単な例です。しかしそれでも、手作業で全てを作成するのは厄介な仕事です。
1. GtkWindow(window1)を作る。
:空ウィンドウ.png
2. GtkVBox(vbox1)をwindow1に収納する。'サイズ'は2とする。
:垂直ボックス.png
3. GtkButtonをvbox1の2つの空白に収納する。(button1, button2)
:[[画像:ボタンとウィンドウ.png|200px]]
4. button1の'ラベル'をaaaとする。button2の'ラベル'をbbbとする。
:[[画像:ラベルの変更.png|200px]]
===== gtk-demoの例 =====
====== Message Boxの例 ======
gladeを使ったより複雑な例として、gtk-demoからの例をあげます。ただし、コールバック関数は提供せず、インターフェースだけとします。gtk-demoは、gtk+とともに配布されているデモで、ソースはgtk+-x.x.x/demos以下に含まれています。gtk-demoは、gtk+とともにインストールされているので、
$gtk-demo
のコマンドで利用することができます。ここでは、Dialog and Message Boxes という例を取り上げます。(demos/gtk-demo/dialog.c)
:[[画像:dialog_messege.png|200px]] <!-- スペルミスに注意。 -->
dialog.cはいくつかのウィジェットを利用して書かれています。多くはコンテナウィジェットであり、コンテナの使い方を見る上でよい題材です。
まず、それぞれのウィジェットを紹介します。gladeを使わずにこれらのウィジェットを扱う方法は、dialog.cのソースを参照してください。
Dialogsと書き込まれた外枠は、gtkframeを利用します。gtkframeは、内側に1つのウィジェットを収納できるコンテナです。ここには、gtkvboxを収納します。gtkvboxは複数のウィジェットを収納することができ、収納したウィジェットを縦に並べます。gtkvboxに収納するウィジェットは上から順にgtkhbox, gtkhseparator, gtkhboxです。gtkhboxはgtkvboxと似た性質を持ちますが、縦ではなく横にウィジェットを配置します。hseparatorは、スクリーンショット内の横棒で、ウィジェット間に距離をとる働きをします。
次に、2つのgtkhbox内のウィジェットについて順に述べていきます。上のウィジェットにはgtkbuttonを収納します。gtkbuttonにはlabelというパラメータがあり、この部分は_Message Dialogとします。label中のアンダースコアは、gtkbuttonのパラメータを書き換えることで、下線として表示させることができます。(設定次第でそのままアンダースコアとして表示させることもできます。)
下のgtkhboxには、左から順にgtkvbox, gtktableを配置します。gtkvboxには、_Interactive Dialogと書かれたgtkbuttonを収納します。下線の扱いは先程の_Message Dialogと同じです。gtktableは、碁盤目状の枠を作り、それぞれのマスにウィジェットを収納するコンテナです。ここでは、幅2、 高さ2のgtktableを作成します。gtktableには、左上から順にgtklabel, gtkentry, gtklabel, gtkentryを収納します。(左上、右上、左下、右下の順)gtklabelには、それぞれ_Entry 1または、E_ntry 2と書き込みます。
ここからはここまでの手順をgladeを利用して作成していきます。
1. gtkwindowを導入する。
2. gtkframeを加える。影の種類を'Etched In'にする。'境界線の幅'を、5程度にしておく。
:[[画像:Gtk-demo_frame.png|200px]]
3. gtkvboxを収納する。
:[[画像:Frame_vbox.png|200px]]
4. gtkhboxをgtkvboxに収納し、gtkbuttonをgtkhboxに収納する。
:[[画像:Button_hbox.png|200px]]
5. gtkhseparatorをgtkvboxに収納する。
* 図
6. gtkvboxにgtkhboxを収納する。列の数は2とする。
7. gtkhboxにgtkbuttonとgtktableを加える。
:[[画像:Button_table.png|200px]]
8. gtktableに、gtklabel, gtkentryを加える。
:[[画像:Labels_and_entries.png|200px]]
9. gtkbutton, gtklabelの'ラベル'を_Message Dialog などの内容に書き換える。詳しい内容は前述した。gtklabelでは、'下線付き'を'はい'にしておく。
:[[画像:Label_changed.png|200px]]
10. .gladeファイルとして保存し、先程のプログラムを使って表示する。
:[[画像:Gtk-demo_completed.png|200px]]
<!-- (注意 例ではgtkhseparatorを入れるのと、gtkframeのプロパティを変更するのを忘れたため、作成時の見ためが違ってしまっている。) -->
====== Expanderの例 ======
次に、gtk-demoの'Expander'の例を扱います。GtkExpanderは閉じた状態と開いた状態を持つウィジェットです。
:[[画像:gtk_expander_closed.png|200px]]
:[[画像:gtk_expander_open.png|200px]]
GtkExpanderはコンテナウィジェットでもあり、GtkExpanderを開いた時に現れるウィジェットはGtkExpanderに収納されているウィジェットです。ここでは上の例を順に作成していきます。
ウィジェットの関係は次のようになります。
GtkDialog - GtkVBox - GtkLabel
- GtkExpander -GtkLabel
ここでGtkExpander自身も"Details"と書かれたラベルを持っていますが、これはGtkExpanderの一部ということで上の関係図には入れていません。
新たなウィジェットとして、GtkDialogが登場しています。GtkDialogは主となっているウィンドウではない新しいウィンドウを使いたいときによく用いられます。特に、設定を変更するときに用いられる'OK', 'キャンセル'などのボタンを含んだウィンドウはおそらくGtkDialogが用いられています。上の例では、'閉じる'のボタンが使われていますが、これもGtkDialogの標準のボタンの1つです。上の例の内で、'閉じる'だけが日本語で後は英語であるのもそれが原因です。標準の文章なのでボタンに書かれた文章だけは翻訳が進んでいます。
(Gtk+では、各国語に翻訳を行うために、gettextを用いています。gettextはコンパイル時ではなく実行時に文章を変更することができるため、gtk-demoを[[w:ロケール]]を変更して実行することでボタンの文章を変更することができます。例えば、
$LC_ALL=en_US gtk-demo
とすると、ボタンの文章が英語に変わります。
:[[画像:gtk_expander_eng.png|200px]]
こちらはドイツ語の例です。
$LC_ALL=de gtk-demo
:[[画像:gtk_expander_de.png|200px]]
)
ここからは実際にウィジェットを作成します。手順は次のようになります。
1: GtkDialogを開く。
:[[画像:expander_dialog.png|200px]]
2: GtkDialogにGtkVBoxを収納する。GtkVBoxの収納数は2とする。
:[[画像:expander_vbox.png|200px]]
3: GtkVBoxの上部に、GtkLabelを収納する。
:[[画像:expander_label.png|200px]]
4: GtkVBoxの下部にGtkExpanderを収納する。
:[[画像:expander_expander.png|200px]]
5: GtkExpanderにGtkLabelを収納する。
GtkExpanderを開いた状態です。
:[[画像:expander_expander_open.png|200px]]
GtkExpanderにGtkLabelを追加した状態です。
:[[画像:expander_expander_label.png|200px]]
6: 2つのGtkLabelと、GtkExpanderの文章を書き換える。
:[[画像:expander_label_changed.png|200px]]
7: 先程のプログラムを作成し.gladeファイルを表示する。
:[[画像:expander_completed_closed.png|200px]]
:[[画像:expander_completed_open.png|200px]]
==== より進んだ例 ====
上の例以外でもgtk-demoの中には比較的簡単に作成できそうな物が含まれています。これらを作成してみるとよいかもしれません。gtk+を使ったプログラムは数多いので、これらを探して読んでみるのもよいでしょう。
==参考文献==
[[w:Gtk+]],[[w:Qt]],[[w:SDL]],gcc-3.4.4 man及びinfo
== gtk4 ==
2021年現在のFedoraの最新版が搭載しているのはgtk4です。gtk4の開発環境を入れるコマンドは、ターミナルで
sudo dnf install gtk4-devel
でそのまま入る。ただし、gtk3とgtk4は文法が多少違っているので、gtk3のコードは使い回しできません。
下記のgtk4コードは[https://docs.gtk.org/gtk4/getting_started.html gtk4公式マニュアル ] からの引用をしたものに、本wiki側で説明用にコメントを加えたり、説明しやすいようにコードの数値や文字列などを少々変更しています。
:<syntaxhighlight lang="c">
#include <gtk/gtk.h>
// main関数から呼び出されるコールバック関数
static void activate(GtkApplication *app, gpointer user_data) {
GtkWidget *window = gtk_application_window_new(app);
gtk_window_set_title(GTK_WINDOW(window), "Window 題名"); // ウィンドウタイトルの設定
gtk_window_set_default_size(GTK_WINDOW(window), 300, 200); // ウィンドウサイズの設定
gtk_widget_show(window); // ウィンドウの表示:
// ↑ gtk_widget_showの呼び出しを消すと、プロセスを殺さない限り終了できなくなる。このコードは残せ!
}
int main(int argc, char **argv) {
GtkApplication *app = gtk_application_new("org.gtk.example", G_APPLICATION_FLAGS_NONE);
/* g_signal_connectの第2引数の"active"はイベントのニーモニックなので、
* 変更するとコンパイルエラーにならず、実行時にイベントを捕捉できなくなる */
g_signal_connect(app, "activate", G_CALLBACK(activate), NULL);
int status = g_application_run(G_APPLICATION(app), argc, argv); // GtkApplication のイベントプール
g_object_unref(app); // すぐ終了するので、この行を消しても実行できるが、公式サイトにあるので残そう
return status;
}
</syntaxhighlight>
これはもう、このまま使ってください。
一応、いくつかの変数名を変更しても使用できますが。
ファイル名は、公式サイトのサンプルファイル名に合わせて「example-0」にしましょう。
上記コードをコンパイルするには、ターミナルでコマンド
gcc $( pkg-config --cflags gtk4 ) -o example-0 example-0.c $( pkg-config --libs gtk4 )
です。
これでオブジェクトファイルが生成されているので、あとはそのオブジェクトファイルの実行コマンドをターミナルで入力すればいいだけです。たとえばオブジェクトファイルの存在場所がユーザープロファイルなら
./example-0
で実行できるはずです。
上記コードの大まかな仕組みを言うと、main関数ではどのウィンドウを呼び出すかだけを関数名を用いて設定しており、ウィンドウのサイズなどの設定は個々のユーザ定義関数で行う仕組みになっています。もしかしたらユーザ定義関数を使わなくてもウィンドウ表示できるのかもしれませんが、しかしGTK公式サイトがそのような方法を紹介しないという事はおそらく、そのような方法を推奨していないのでしょう。つまり、ユーザ定義関数を用いてウィンドウ設定などはmain関数から分けてから呼び出して欲しいようです。
次に、ボタンをウィンドウに追加してみましょう。下記コードも公式サイトにあるコードを元にしましたが、本wiki側で説明用に若干のコード書き換えをしています。
<syntaxhighlight lang="c">
#include <gtk/gtk.h>
// コールバックのユーザ定義関数. ※ ボタン設定ではない
static void print_hello (GtkWidget *widget,
gpointer data)
{
g_print ("ターミナルでhello\n"); // ボタンではなくターミナルに表示される文
}
// main関数から呼び出されるコールバックのユーザ定義関数. ボタン設定はここに追加されている
static void activate (GtkApplication* app,
gpointer user_data)
{
GtkWidget *window;
window = gtk_application_window_new (app);
gtk_window_set_title (GTK_WINDOW (window), "Window 題名"); // ウィンドウ名が「Window題名」になる
gtk_window_set_default_size (GTK_WINDOW (window), 300, 200); // ウィンドウサイズの設定、横300、縦200
// ボタン関連
GtkWidget *button;
button = gtk_button_new_with_label ("Hello World"); // ボタンに表示される文章をラベル命令で決定
gtk_widget_set_halign (button, GTK_ALIGN_CENTER);
gtk_widget_set_valign (button, GTK_ALIGN_CENTER);
g_signal_connect (button, "clicked", G_CALLBACK (print_hello), NULL); // クリック時にターミナル文字表示の冒頭関数を実行
g_signal_connect_swapped (button, "clicked", G_CALLBACK (gtk_window_destroy), window); // クリック時にアプリ終了
gtk_window_set_child (GTK_WINDOW (window), button); // これ消すとボタンが表示されない. ボタンをウィンドウに貼り付ける命令だと思われる.
// 以上、ボタン関連の追加コード
gtk_widget_show (window); // ウィンドウの表示 。この命令を消すと終了できなくなるのでコードに残せ
}
int main (int argc,
char **argv)
{
GtkApplication *app;
int status;
app = gtk_application_new ("org.gtk.example", G_APPLICATION_FLAGS_NONE);
g_signal_connect (app, "activate", G_CALLBACK (activate), NULL); // 第2引数の"active"は(冒頭のコールバック関数ではなく)コマンド名なので変更するとエラー
status = g_application_run (G_APPLICATION (app), argc, argv); // ウィンドウ描画の実行をしていると思われる
//g_object_unref (app); // この行を消しても実行できるが、公式サイトにあるので残そう
return status;
}
</syntaxhighlight>
コンパイルは上記と同様にできます。もしファイル名を変えなければ、上記コンパイルコマンドでそのままコンパイルできます。
g_print はターミナルで文字表示する命令ですので、ここの表示文をいくら弄って、ボタンにラベル表示されている文章は変わりません。混同しないように注意しましょう。
==参考としたプログラム==
GNOME
*http://gnome.org
[[Category:OSS開発ツール|GUIつるきつと]] | null | 2022-06-24T11:55:08Z | [
"テンプレート:スタブ"
]
| https://ja.wikibooks.org/wiki/GTK%E3%83%97%E3%83%AD%E3%82%B0%E3%83%A9%E3%83%9F%E3%83%B3%E3%82%B0 |
26,259 | Qtプログラミング | プログラミング > Qtプログラミング
Qtには、有償版ライセンスと、無償版ライセンスがある。
無償版Qtの場合のライセンスは、Linux界隈で普及しているGPLライセンスになる。
GPLはかなり制約の強いライセンスであり、GPLライセンスのアプリでは、販売・配布などする場合、絶対にソースコードを公開しなければならない。
まず、開発環境および実行環境をインストールしなければならない。
LinuxにもWindowsにもQtは対応しているが、しかしインストール方法はLinuxとWindowsとでは違う。
まず、Linux版にしろWindows版にしろ、なるべくそれらのOSの既存のOS公式アプリケーションを流用しているので、まずはそれぞれのOSを更新しておいて、 OSがなるべく最新の状態になるようにアップデートしておく必要がある。
windows版の場合、Qtアプリの実行環境として、数十GB(ギガバイト)もの容量を占有するので(たとえば40GB以上)、Windowsインストールの際に、あらかじめそのぶんの容量を確保しておくこと。
もし、すでにインストール済みのパーティションの限界がそのQt実行環境の容量も小さいなら、次回のWindows再インストールのときまで見送って、それまでの間はLinuxで勉強しよう。
Linuxの場合、オープンソース版Qtなら 数百MB~1GB ていどでインストールできる。
とりあえずLinuxでのインストール方法を説明する。
まず、qt5やqt4など実行環境として新らしめのバージョンのqtをインストールする。
Fedora系の場合(Fedora31 で確認ずみ)、
deb系の場合(ubuntu20.04)
で入る。
また、Linux版のqtでは、実行環境と開発環境は別である。qt5-devel のような、語尾に -devel のついたのが開発環境アプリなので、それをインストールする必要がある。
で入る。
また、これとは別に、 qt-creator という、IDE(統合開発環境)で設定や編集などを行うアプリを入れる必要がある。
qt-creator は、例えるなら Windowsでいうところの Visual Studio のような統合開発環境の、qtアプリ開発版の統合開発環境である。 この qt-creator が無いと、設定などの編集が(初心者には)ほぼ不可能になので、入れよう。
さて、Qt そのもののプログラミング言語は C++ で設計されており、Qtアプリを作るさいにも C++ の文法でプログラミングする。
LinuxではC++用コンパイラとしてgcc-C++ というのがあるが、しかし Linux には標準では gcc-C++ は入ってないので、インストールする必要がある。
ただし、 qt-creator をインストールした際に、自動で gcc-c++ もインストールされている場合がある。
Linuxそのもののプログラミング言語はC++ではなく、標準C言語でLinuxは書かれている。なので、Linuxの多くのディストリビューションに初期状態で入っているコンパイラは、(C++に対応しておらず、標準C言語にだけ対応しているコンパイラである) GCCである。
Linux版 Qt では、この gcc-C++ をコンパイラとして流用している。
また、qtにかぎらない話題だが、複数個のコードを連結させて、makeコマンドを使ってmakeファイルというのを作る。 だが、Fedoraなど一部のLinuxでは、初期状態ではmakeコマンドが入ってないので、まずはmakeコマンド自体をインストールする必要がある。
でmakeコマンドをインストールできる。
もし読者が Windows の Visual Studio を使ってプログラミングしたことがあるなら分かると思うが、 Visual Stuido では C++的な言語で書かれたソースコードとは別に、そのアプリのための各種の設定などを保存したファイルが作成されていただろう。
そして、それら一連のファイルを、Visual Studio の作成した、プロジェクト名のついたフォルダの中に入れて管理していただろう。
Qtも、似たような仕組みである。 Qtでも、C++的なソースコードとは別に、設定などの書かれたソースコードがあり、それをプロジェクト名のついたフォルダの中に入れて管理することになる。
そして先程も述べたが qt-creator とは、Visual Studio のような統合開発環境(IDE)である。
なので、設定を書かれたソースコードを読み取って自動処理するために、どうしても qt-creator 必要になる。
Qt-Creator をデスクトップ側からマウスクリックなどでアイコンをクリックして起動する。そういうアイコンが追加されているハズです。
いっぽう、コマンド端末などで Qt-Creator とか、または単に qt などと入力しても、何も起動しない。
なので、とにかくアイコンクリックで起動しよう。
それから、まず手始めに、画面上部にあるメニューバーの左側の項目から、ファイルの新規作成を選択する必要がある。
どんな種類のアプリケーションを作るか聞かれるので、とりあえず、Qt Widget Application を選べばいい。
Widget (ウィジェット)とは、ウィンドウ部品(ボタンとか、タイトルバーとか、スライダーとか、そういうのの全部)のことである。Qt以外のGUIツールキット(たとえばGTKなど)でも、こういうウィンドウ部品のことをウィジェットというので、覚えておこう。ウィジェットとは、Windowsでいうところの、GUIアプリ開発時の「コンポーネント」のようなものである。
その後、各種の設定確認ダイアログが出てくるので、メクラで「Next」ボタンを押してって、どんどん自動決定できるところまで進んでいけばいい。
しかし、Kit の設定で止まるので、Addでキットを追加する必要がある。
まず、qtの関連ファイルがインストールされているフォルダの場所が画面のメッセージに表示されているので、それをメモしておこう。 /usr/bin/qmake-qt5のようなパスが、画面のどこかに表示されているか、もしくは Qt Versionsタグ またはKitsタグ などを調べれば書かれているだろう。
そして、option のリンクがあるので、そこから、オプション設定画面に移る。
その後、Addボタンなどで、さきほどメモしておいた場所の情報を追加する。いちいちキーボード入力しなくても、Addボタンなどで表示されたファイル選択ダイアログ内で、さきほどメモしておいたフォルダの場所( /usr/bin/qmake-qt5 のような場所)にあるファイルをオープンすれば、自動で設定などを追加してくれるハズである。
こうして、いちど設定しておけば、2回目以降からの新規作成では、この設定情報を再利用することになるので、もはや再度の設定の追加は不要になる。
まず、上述の初期設定に成功すると、ウィンドウ・ウィジェットの新規作成をする際には、すでに下記のように最低限のコードが書かれたソースコードがIDE画面(Qt-Creator )のコード記述欄に表示される。
IDE内で F5 ボタンを押すか、メニューバーからビルドを選んでビルドすると、このプログラムを実行できる。
このプログラムだけでは単にウィンドウを表示するだけのプログラムである。まだ文字も表示できないので、「Hello World」すらも表示できない。タイトルで「Main Window」などが表示されているだけである。
この何も文字表示されてないウィンドウを開いたままにすると以降の作業に邪魔になるので、いった閉じよう。ウィンドウ右上に、ふつうのウィンドウと同様に、閉じる(×)ボタンがあるはずである。
さて、文字表示でいるようにするために「ラベル」というウィジェットを追加する必要があるが、しかしラベルの機能はテンプレ文では、まだインクルードされてないので、
でインクルードする必要がある。
これを実行するとわかるが、ウィンドウとは別にラベルが表示される。つまり、このプログラムでは、何も文字が書かれてないウィンドウ1つの表示と、「Hello World!」としか書かれてないラベルという、2つの物体が画面に表示されるだけである。
なぜなら、まだウィンドウとラベルを何も関連づけていないからである。
関連づけは、下記コードのようにラベル作成時などに関連づけを行う。
Linux では、IDE内でいくら実行しても、単に実行結果をシミュレートするだけで、Windowsでいうようなexeファイル的な実行ファイルを作ることは、IDEでは不可能です。
そもそもLinuxは、環境が多彩なので、だれのパソコンでも動作できるような互換性の高い実行ファイルをサポートするのが困難です。
しかし、オブジェクトファイルは、次のような方法で作れます。
まず、コマンド端末で、ソースコードのあるフォルダに移動します。(初期設定のままなら、Homeフォルダの近くに造られてるので、探してください。)
unixコマンドの cd (チェンジ・ディレクトリ)コマンドで移動できるので、そこに移動してください。 を維持する
そのあと、
で、オブジェクトファイルが造られます。OSによっては、コマンド時に上記のようにバージョン番号が必要です。(※ Fedora 31 で確認したところ、「qmake」とだけバージョン番号をつけずにコマンド入力しても「command not found...」エラーになります。)
作成されたオブジェクトファイルを確認するために、GUI側から、ひし形みたいなアイコンがオブジェクトファイルですので、そのアイコンをダブルクリックして起動してみましょう。起動して、「Hello World!」と文字の書かれたウィンドウが出たら成功です。
次の確認作業のため、いったん先ほど開いたウィンドウを閉じましょう。
また、このファイルが本当にオブジェクトファイルであることを確認するために、別フォルダとしてドキュメントフォルダやダウンロードフォルダなどの別のフォルダに、オブジェクトファイルとされるファイルをコピペーストとしてみて、起動して実行してみて確認しましょう。起動して、「Hello World!」と文字の書かれたウィンドウが出たら成功です。 | [
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"title": "インストールの方法"
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"text": "また、qtにかぎらない話題だが、複数個のコードを連結させて、makeコマンドを使ってmakeファイルというのを作る。 だが、Fedoraなど一部のLinuxでは、初期状態ではmakeコマンドが入ってないので、まずはmakeコマンド自体をインストールする必要がある。",
"title": "インストールの方法"
},
{
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"text": "でmakeコマンドをインストールできる。",
"title": "インストールの方法"
},
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"text": "もし読者が Windows の Visual Studio を使ってプログラミングしたことがあるなら分かると思うが、 Visual Stuido では C++的な言語で書かれたソースコードとは別に、そのアプリのための各種の設定などを保存したファイルが作成されていただろう。",
"title": "インストールの方法"
},
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"text": "そして、それら一連のファイルを、Visual Studio の作成した、プロジェクト名のついたフォルダの中に入れて管理していただろう。",
"title": "インストールの方法"
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"text": "Qtも、似たような仕組みである。 Qtでも、C++的なソースコードとは別に、設定などの書かれたソースコードがあり、それをプロジェクト名のついたフォルダの中に入れて管理することになる。",
"title": "インストールの方法"
},
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"text": "そして先程も述べたが qt-creator とは、Visual Studio のような統合開発環境(IDE)である。",
"title": "インストールの方法"
},
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"text": "なので、設定を書かれたソースコードを読み取って自動処理するために、どうしても qt-creator 必要になる。",
"title": "インストールの方法"
},
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"text": "Qt-Creator をデスクトップ側からマウスクリックなどでアイコンをクリックして起動する。そういうアイコンが追加されているハズです。",
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"text": "いっぽう、コマンド端末などで Qt-Creator とか、または単に qt などと入力しても、何も起動しない。",
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"text": "Widget (ウィジェット)とは、ウィンドウ部品(ボタンとか、タイトルバーとか、スライダーとか、そういうのの全部)のことである。Qt以外のGUIツールキット(たとえばGTKなど)でも、こういうウィンドウ部品のことをウィジェットというので、覚えておこう。ウィジェットとは、Windowsでいうところの、GUIアプリ開発時の「コンポーネント」のようなものである。",
"title": "インストールの方法"
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{
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"text": "その後、各種の設定確認ダイアログが出てくるので、メクラで「Next」ボタンを押してって、どんどん自動決定できるところまで進んでいけばいい。",
"title": "インストールの方法"
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"text": "しかし、Kit の設定で止まるので、Addでキットを追加する必要がある。",
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"text": "まず、qtの関連ファイルがインストールされているフォルダの場所が画面のメッセージに表示されているので、それをメモしておこう。 /usr/bin/qmake-qt5のようなパスが、画面のどこかに表示されているか、もしくは Qt Versionsタグ またはKitsタグ などを調べれば書かれているだろう。",
"title": "インストールの方法"
},
{
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"text": "そして、option のリンクがあるので、そこから、オプション設定画面に移る。",
"title": "インストールの方法"
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{
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"text": "その後、Addボタンなどで、さきほどメモしておいた場所の情報を追加する。いちいちキーボード入力しなくても、Addボタンなどで表示されたファイル選択ダイアログ内で、さきほどメモしておいたフォルダの場所( /usr/bin/qmake-qt5 のような場所)にあるファイルをオープンすれば、自動で設定などを追加してくれるハズである。",
"title": "インストールの方法"
},
{
"paragraph_id": 46,
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"text": "こうして、いちど設定しておけば、2回目以降からの新規作成では、この設定情報を再利用することになるので、もはや再度の設定の追加は不要になる。",
"title": "インストールの方法"
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"title": "インストールの方法"
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"text": "まず、上述の初期設定に成功すると、ウィンドウ・ウィジェットの新規作成をする際には、すでに下記のように最低限のコードが書かれたソースコードがIDE画面(Qt-Creator )のコード記述欄に表示される。",
"title": "ウィンドウに文字を表示するだけのプログラム"
},
{
"paragraph_id": 49,
"tag": "p",
"text": "IDE内で F5 ボタンを押すか、メニューバーからビルドを選んでビルドすると、このプログラムを実行できる。",
"title": "ウィンドウに文字を表示するだけのプログラム"
},
{
"paragraph_id": 50,
"tag": "p",
"text": "このプログラムだけでは単にウィンドウを表示するだけのプログラムである。まだ文字も表示できないので、「Hello World」すらも表示できない。タイトルで「Main Window」などが表示されているだけである。",
"title": "ウィンドウに文字を表示するだけのプログラム"
},
{
"paragraph_id": 51,
"tag": "p",
"text": "この何も文字表示されてないウィンドウを開いたままにすると以降の作業に邪魔になるので、いった閉じよう。ウィンドウ右上に、ふつうのウィンドウと同様に、閉じる(×)ボタンがあるはずである。",
"title": "ウィンドウに文字を表示するだけのプログラム"
},
{
"paragraph_id": 52,
"tag": "p",
"text": "さて、文字表示でいるようにするために「ラベル」というウィジェットを追加する必要があるが、しかしラベルの機能はテンプレ文では、まだインクルードされてないので、",
"title": "ウィンドウに文字を表示するだけのプログラム"
},
{
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"text": "でインクルードする必要がある。",
"title": "ウィンドウに文字を表示するだけのプログラム"
},
{
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"tag": "p",
"text": "これを実行するとわかるが、ウィンドウとは別にラベルが表示される。つまり、このプログラムでは、何も文字が書かれてないウィンドウ1つの表示と、「Hello World!」としか書かれてないラベルという、2つの物体が画面に表示されるだけである。",
"title": "ウィンドウに文字を表示するだけのプログラム"
},
{
"paragraph_id": 55,
"tag": "p",
"text": "なぜなら、まだウィンドウとラベルを何も関連づけていないからである。",
"title": "ウィンドウに文字を表示するだけのプログラム"
},
{
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"text": "関連づけは、下記コードのようにラベル作成時などに関連づけを行う。",
"title": "ウィンドウに文字を表示するだけのプログラム"
},
{
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"tag": "p",
"text": "Linux では、IDE内でいくら実行しても、単に実行結果をシミュレートするだけで、Windowsでいうようなexeファイル的な実行ファイルを作ることは、IDEでは不可能です。",
"title": "ウィンドウに文字を表示するだけのプログラム"
},
{
"paragraph_id": 58,
"tag": "p",
"text": "そもそもLinuxは、環境が多彩なので、だれのパソコンでも動作できるような互換性の高い実行ファイルをサポートするのが困難です。",
"title": "ウィンドウに文字を表示するだけのプログラム"
},
{
"paragraph_id": 59,
"tag": "p",
"text": "しかし、オブジェクトファイルは、次のような方法で作れます。",
"title": "ウィンドウに文字を表示するだけのプログラム"
},
{
"paragraph_id": 60,
"tag": "p",
"text": "まず、コマンド端末で、ソースコードのあるフォルダに移動します。(初期設定のままなら、Homeフォルダの近くに造られてるので、探してください。)",
"title": "ウィンドウに文字を表示するだけのプログラム"
},
{
"paragraph_id": 61,
"tag": "p",
"text": "unixコマンドの cd (チェンジ・ディレクトリ)コマンドで移動できるので、そこに移動してください。 を維持する",
"title": "ウィンドウに文字を表示するだけのプログラム"
},
{
"paragraph_id": 62,
"tag": "p",
"text": "そのあと、",
"title": "ウィンドウに文字を表示するだけのプログラム"
},
{
"paragraph_id": 63,
"tag": "p",
"text": "で、オブジェクトファイルが造られます。OSによっては、コマンド時に上記のようにバージョン番号が必要です。(※ Fedora 31 で確認したところ、「qmake」とだけバージョン番号をつけずにコマンド入力しても「command not found...」エラーになります。)",
"title": "ウィンドウに文字を表示するだけのプログラム"
},
{
"paragraph_id": 64,
"tag": "p",
"text": "作成されたオブジェクトファイルを確認するために、GUI側から、ひし形みたいなアイコンがオブジェクトファイルですので、そのアイコンをダブルクリックして起動してみましょう。起動して、「Hello World!」と文字の書かれたウィンドウが出たら成功です。",
"title": "ウィンドウに文字を表示するだけのプログラム"
},
{
"paragraph_id": 65,
"tag": "p",
"text": "次の確認作業のため、いったん先ほど開いたウィンドウを閉じましょう。",
"title": "ウィンドウに文字を表示するだけのプログラム"
},
{
"paragraph_id": 66,
"tag": "p",
"text": "また、このファイルが本当にオブジェクトファイルであることを確認するために、別フォルダとしてドキュメントフォルダやダウンロードフォルダなどの別のフォルダに、オブジェクトファイルとされるファイルをコピペーストとしてみて、起動して実行してみて確認しましょう。起動して、「Hello World!」と文字の書かれたウィンドウが出たら成功です。",
"title": "ウィンドウに文字を表示するだけのプログラム"
}
]
| プログラミング > Qtプログラミング | {{Pathnav|プログラミング}}
== ライセンスの注意事項 ==
Qtには、有償版ライセンスと、無償版ライセンスがある。
無償版Qtの場合のライセンスは、Linux界隈で普及しているGPLライセンスになる。
GPLはかなり制約の強いライセンスであり、GPLライセンスのアプリでは、販売・配布などする場合、絶対にソースコードを公開しなければならない。
== インストールの方法 ==
まず、開発環境および実行環境をインストールしなければならない。
LinuxにもWindowsにもQtは対応しているが、しかしインストール方法はLinuxとWindowsとでは違う。
まず、Linux版にしろWindows版にしろ、なるべくそれらのOSの既存のOS公式アプリケーションを流用しているので、まずはそれぞれのOSを更新しておいて、
OSがなるべく最新の状態になるようにアップデートしておく必要がある。
windows版の場合、Qtアプリの実行環境として、数十GB(ギガバイト)もの容量を占有するので(たとえば40GB以上)、Windowsインストールの際に、あらかじめそのぶんの容量を確保しておくこと。
もし、すでにインストール済みのパーティションの限界がそのQt実行環境の容量も小さいなら、次回のWindows再インストールのときまで見送って、それまでの間はLinuxで勉強しよう。
Linuxの場合、オープンソース版Qtなら 数百MB~1GB ていどでインストールできる。
=== Linux の場合 ===
とりあえずLinuxでのインストール方法を説明する。
まず、qt5やqt4など実行環境として新らしめのバージョンのqtをインストールする。
Fedora系の場合(Fedora31 で確認ずみ)、
<syntaxhighlight lang="bash">
sudo dnf install qt5
</syntaxhighlight>
deb系の場合(ubuntu20.04)
<syntaxhighlight lang="bash">
sudo apt install qt5
</syntaxhighlight>
で入る。
また、Linux版のqtでは、実行環境と開発環境は別である。qt5-devel のような、語尾に -devel のついたのが開発環境アプリなので、それをインストールする必要がある。
<syntaxhighlight lang="bash">
sudo dnf install qt5-devel
</syntaxhighlight>
で入る。
また、これとは別に、 qt-creator という、IDE(統合開発環境)で設定や編集などを行うアプリを入れる必要がある。
<syntaxhighlight lang="bash">
sudo dnf install qt-creator
sudo apt install qt-creator
</syntaxhighlight>
qt-creator は、例えるなら Windowsでいうところの Visual Studio のような統合開発環境の、qtアプリ開発版の統合開発環境である。
この qt-creator が無いと、設定などの編集が(初心者には)ほぼ不可能になので、入れよう。
さて、Qt そのもののプログラミング言語は [[C++]] で設計されており、Qtアプリを作るさいにも C++ の文法でプログラミングする。
LinuxではC++用コンパイラとしてgcc-C++ というのがあるが、しかし Linux には標準では gcc-C++ は入ってないので、インストールする必要がある。
<syntaxhighlight lang="bash">
sudo dnf install gcc-c++
sudo apt install build-essential
</syntaxhighlight>
ただし、 qt-creator をインストールした際に、自動で gcc-c++ もインストールされている場合がある。
Linuxそのもののプログラミング言語はC++ではなく、標準C言語でLinuxは書かれている。なので、Linuxの多くのディストリビューションに初期状態で入っているコンパイラは、(C++に対応しておらず、標準C言語にだけ対応しているコンパイラである) GCCである。
Linux版 Qt では、この gcc-C++ をコンパイラとして流用している。
また、qtにかぎらない話題だが、複数個のコードを連結させて、makeコマンドを使ってmakeファイルというのを作る。
だが、Fedoraなど一部のLinuxでは、初期状態ではmakeコマンドが入ってないので、まずはmakeコマンド自体をインストールする必要がある。
<syntaxhighlight lang="bash">
sudo dnf install make
</syntaxhighlight>
でmakeコマンドをインストールできる。
もし読者が Windows の Visual Studio を使ってプログラミングしたことがあるなら分かると思うが、
Visual Stuido では C++的な言語で書かれたソースコードとは別に、そのアプリのための各種の設定などを保存したファイルが作成されていただろう。
そして、それら一連のファイルを、Visual Studio の作成した、プロジェクト名のついたフォルダの中に入れて管理していただろう。
Qtも、似たような仕組みである。
Qtでも、C++的なソースコードとは別に、設定などの書かれたソースコードがあり、それをプロジェクト名のついたフォルダの中に入れて管理することになる。
そして先程も述べたが qt-creator とは、Visual Studio のような統合開発環境(IDE)である。
なので、設定を書かれたソースコードを読み取って自動処理するために、どうしても qt-creator 必要になる。
=== インストール後の設定 ===
Qt-Creator をデスクトップ側からマウスクリックなどでアイコンをクリックして起動する。そういうアイコンが追加されているハズです。
いっぽう、コマンド端末などで Qt-Creator とか、または単に qt などと入力しても、何も起動しない。
なので、とにかくアイコンクリックで起動しよう。
それから、まず手始めに、画面上部にあるメニューバーの左側の項目から、ファイルの新規作成を選択する必要がある。
どんな種類のアプリケーションを作るか聞かれるので、とりあえず、Qt Widget Application を選べばいい。
Widget (ウィジェット)とは、ウィンドウ部品(ボタンとか、タイトルバーとか、スライダーとか、そういうのの全部)のことである。Qt以外のGUIツールキット(たとえばGTKなど)でも、こういうウィンドウ部品のことをウィジェットというので、覚えておこう。ウィジェットとは、Windowsでいうところの、GUIアプリ開発時の「コンポーネント」のようなものである。
その後、各種の設定確認ダイアログが出てくるので、メクラで「Next」ボタンを押してって、どんどん自動決定できるところまで進んでいけばいい。
しかし、Kit の設定で止まるので、Addでキットを追加する必要がある。
まず、qtの関連ファイルがインストールされているフォルダの場所が画面のメッセージに表示されているので、それをメモしておこう。
{{code|/usr/bin/qmake-qt5}}のようなパスが、画面のどこかに表示されているか、もしくは Qt Versionsタグ またはKitsタグ などを調べれば書かれているだろう。
そして、option のリンクがあるので、そこから、オプション設定画面に移る。
その後、Addボタンなどで、さきほどメモしておいた場所の情報を追加する。いちいちキーボード入力しなくても、Addボタンなどで表示されたファイル選択ダイアログ内で、さきほどメモしておいたフォルダの場所( {{code|/usr/bin/qmake-qt5}} のような場所)にあるファイルをオープンすれば、自動で設定などを追加してくれるハズである。
こうして、いちど設定しておけば、2回目以降からの新規作成では、この設定情報を再利用することになるので、もはや再度の設定の追加は不要になる。
== ウィンドウに文字を表示するだけのプログラム ==
まず、上述の初期設定に成功すると、ウィンドウ・ウィジェットの新規作成をする際には、すでに下記のように最低限のコードが書かれたソースコードがIDE画面(Qt-Creator )のコード記述欄に表示される。
<syntaxhighlight lang="cpp">
#include "mainwindow.h"
#include <QApplication>
int main(int argc, char *argv[])
{
QApplication a(argc, argv);
MainWindow w;
w.show();
return a.exec();
}
</syntaxhighlight>
IDE内で F5 ボタンを押すか、メニューバーからビルドを選んでビルドすると、このプログラムを実行できる。
このプログラムだけでは単にウィンドウを表示するだけのプログラムである。まだ文字も表示できないので、「Hello World」すらも表示できない。タイトルで「Main Window」などが表示されているだけである。
この何も文字表示されてないウィンドウを開いたままにすると以降の作業に邪魔になるので、いった閉じよう。ウィンドウ右上に、ふつうのウィンドウと同様に、閉じる(×)ボタンがあるはずである。
さて、文字表示でいるようにするために「ラベル」というウィジェットを追加する必要があるが、しかしラベルの機能はテンプレ文では、まだインクルードされてないので、
<syntaxhighlight lang="cpp">
#include <QLabel>
</syntaxhighlight>
でインクルードする必要がある。
<syntaxhighlight lang="cpp">
#include "mainwindow.h"
#include <QApplication>
#include <QLabel>
int main(int argc, char *argv[])
{
QApplication a(argc, argv);
MainWindow w;
QLabel label("Hello, world!"); // 追加した文。ラベルの文字内容の定義。
label.show(); //追加した文。表示の設定。
w.show();
return a.exec();
}
</syntaxhighlight>
これを実行するとわかるが、ウィンドウとは別にラベルが表示される。つまり、このプログラムでは、何も文字が書かれてないウィンドウ1つの表示と、「Hello World!」としか書かれてないラベルという、2つの物体が画面に表示されるだけである。
なぜなら、まだウィンドウとラベルを何も関連づけていないからである。
関連づけは、下記コードのようにラベル作成時などに関連づけを行う。
;コード例(Fedora 31 で確認ずみ)
<syntaxhighlight lang="cpp">
#include "mainwindow.h"
#include <QApplication>
#include <QLabel>
int main(int argc, char *argv[])
{
QApplication a(argc, argv);
MainWindow w;
QLabel label("Hello, world!", &w); // 2番目の引数でウィンドウ「w」と関連づけを行っている。
// label.show(); // 不要。なぜなら w.show(); でウィンドウを表示すれば、ウィンドウに関連づけられたラベルも同時に表示されるので。
w.show();
return a.exec();
}
</syntaxhighlight>
=== 実行ファイルの作成 ===
Linux では、IDE内でいくら実行しても、単に実行結果をシミュレートするだけで、Windowsでいうようなexeファイル的な実行ファイルを作ることは、IDEでは不可能です。
そもそもLinuxは、環境が多彩なので、だれのパソコンでも動作できるような互換性の高い実行ファイルをサポートするのが困難です。
しかし、オブジェクトファイルは、次のような方法で作れます。
まず、コマンド端末で、ソースコードのあるフォルダに移動します。(初期設定のままなら、Homeフォルダの近くに造られてるので、探してください。)
unixコマンドの cd (チェンジ・ディレクトリ)コマンドで移動できるので、そこに移動してください。
を維持する
そのあと、
<syntaxhighlight lang="bash">
qmake-qt5 && make
</syntaxhighlight>
で、オブジェクトファイルが造られます。OSによっては、コマンド時に上記のようにバージョン番号が必要です。(※ Fedora 31 で確認したところ、「qmake」とだけバージョン番号をつけずにコマンド入力しても「command not found...」エラーになります。)
作成されたオブジェクトファイルを確認するために、GUI側から、ひし形みたいなアイコンがオブジェクトファイルですので、そのアイコンをダブルクリックして起動してみましょう。起動して、「Hello World!」と文字の書かれたウィンドウが出たら成功です。
次の確認作業のため、いったん先ほど開いたウィンドウを閉じましょう。
また、このファイルが本当にオブジェクトファイルであることを確認するために、別フォルダとしてドキュメントフォルダやダウンロードフォルダなどの別のフォルダに、オブジェクトファイルとされるファイルをコピペーストとしてみて、起動して実行してみて確認しましょう。起動して、「Hello World!」と文字の書かれたウィンドウが出たら成功です。
[[カテゴリ:プログラミング]] | null | 2022-11-20T09:33:16Z | [
"テンプレート:Code"
]
| https://ja.wikibooks.org/wiki/Qt%E3%83%97%E3%83%AD%E3%82%B0%E3%83%A9%E3%83%9F%E3%83%B3%E3%82%B0 |
26,260 | ラテン文学の作家と著作/黄金期 | ここでは、古典ラテン文学黄金期に著作を表した作家(Golden Age Latin writers )とその著作について、それぞれ紹介する。
黄金期は、さらに、
に細分化されている。
ラテン語で著作を著わした著名な作家を、時代区分・生没年の順に配列した一覧表。日本語名・ラテン語名・英語名・仏語名ごとにソートすることができるようになっている。
ティトゥス・ポンポーニウス・アッティクス(Titus Pomponius Atticus:前110/109-32)は、ローマ共和制期の富豪・文芸愛好家・作家。#キケローの親友としてよく知られる。
キケローが前68年~前44年に彼に宛てた手紙を、アッティクス自身がすべて公開し、これは『アッティクス宛書簡集』(Epistulae ad Atticum)として知られる。また、伝記作家#コルネリウス・ネポースは、アッティクスの伝記を著している。アッティクス自身の著作はほぼ散逸したが、ローマの政治史や文学史を扱った『年代記』(Liber annalis)1巻のみが伝存する。詳しくは、次の記事を参照。
マルクス・ウェッリウス・フラックス(Marcus Verrius Flaccus:前55頃-後20)は、帝制初期にアウグストゥス帝に仕えた文法家。
ガーイウス・コルネーリウス・ガッルス(Gaius Cornelius Gallus:前70頃-26)は、ローマの政治家・弁論家・詩人。エレゲイア詩を書いたとされるが、散逸して残っていない。
ガーイウス・リキニウス・マケル・カルウス(Gaius Licinius Macer Calvus:前82-47年)は、ローマの弁論家・詩人。弁論においては#キケローに劣らぬ名声があり、詩人としても#カトゥッルスと並ぶほどであったが、その作品はわずかな断片が残るのみである。年代記作家#リキニウス・マケルの息子。詳しくは、次の記事を参照。
クゥイーントゥス・ホルテーンシウス・ホルタルス(Quintus Hortensius Hortalus:前114-50)は、ローマの政治家・弁論家。ローマにおける弁論の第一人者で、#キケローの好敵手として知られる。詳しくは、次の記事を参照。
ガーイウス・リキニウス・マケル(Gaius Licinius Macer:前118頃-66頃)は、ローマの政治家・年代記作家。息子は、弁論家・詩人の#カルウス。
ローマ建国以来の『年代記』(Annales)(少なくとも21巻)を著したが、そのほとんどは散逸した。弁論家としても名声があった。詳しくは、次の記事を参照。 | [
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"text": "ここでは、古典ラテン文学黄金期に著作を表した作家(Golden Age Latin writers )とその著作について、それぞれ紹介する。",
"title": "はじめに"
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"text": "黄金期は、さらに、",
"title": "はじめに"
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"text": "に細分化されている。",
"title": "はじめに"
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"text": "ラテン語で著作を著わした著名な作家を、時代区分・生没年の順に配列した一覧表。日本語名・ラテン語名・英語名・仏語名ごとにソートすることができるようになっている。",
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"title": "マーニーリウス"
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"text": "ティトゥス・ポンポーニウス・アッティクス(Titus Pomponius Atticus:前110/109-32)は、ローマ共和制期の富豪・文芸愛好家・作家。#キケローの親友としてよく知られる。",
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"text": "キケローが前68年~前44年に彼に宛てた手紙を、アッティクス自身がすべて公開し、これは『アッティクス宛書簡集』(Epistulae ad Atticum)として知られる。また、伝記作家#コルネリウス・ネポースは、アッティクスの伝記を著している。アッティクス自身の著作はほぼ散逸したが、ローマの政治史や文学史を扱った『年代記』(Liber annalis)1巻のみが伝存する。詳しくは、次の記事を参照。",
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"text": "マルクス・ウェッリウス・フラックス(Marcus Verrius Flaccus:前55頃-後20)は、帝制初期にアウグストゥス帝に仕えた文法家。",
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"text": "ガーイウス・コルネーリウス・ガッルス(Gaius Cornelius Gallus:前70頃-26)は、ローマの政治家・弁論家・詩人。エレゲイア詩を書いたとされるが、散逸して残っていない。",
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"text": "ガーイウス・リキニウス・マケル・カルウス(Gaius Licinius Macer Calvus:前82-47年)は、ローマの弁論家・詩人。弁論においては#キケローに劣らぬ名声があり、詩人としても#カトゥッルスと並ぶほどであったが、その作品はわずかな断片が残るのみである。年代記作家#リキニウス・マケルの息子。詳しくは、次の記事を参照。",
"title": "そのほかの作家"
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"text": "クゥイーントゥス・ホルテーンシウス・ホルタルス(Quintus Hortensius Hortalus:前114-50)は、ローマの政治家・弁論家。ローマにおける弁論の第一人者で、#キケローの好敵手として知られる。詳しくは、次の記事を参照。",
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},
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"text": "ガーイウス・リキニウス・マケル(Gaius Licinius Macer:前118頃-66頃)は、ローマの政治家・年代記作家。息子は、弁論家・詩人の#カルウス。",
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"text": "ローマ建国以来の『年代記』(Annales)(少なくとも21巻)を著したが、そのほとんどは散逸した。弁論家としても名声があった。詳しくは、次の記事を参照。",
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}
]
| null | == はじめに ==
ここでは、古典ラテン文学黄金期に著作を表した作家(''[[:w:en:Category:Golden Age Latin writers|Golden Age Latin writers]]'' )とその著作について、それぞれ紹介する。
黄金期は、さらに、
*共和制末期「キケローの時代」
*帝制初期「アウグストゥス時代」(''[[:w:en:Augustan literature (ancient Rome)|Augustan literature]]'' )
に細分化されている。
=== 著名な作家の一覧 ===
ラテン語で著作を著わした著名な作家を、時代区分・生没年の順に配列した一覧表。<br>日本語名・ラテン語名・英語名・仏語名ごとにソートすることができるようになっている。
{| class="wikitable sortable"
! style="width:3em; font-size:9pt;" |時代<br>区分
! style="width:4em; font-size:9pt;" |生没年
! style="width:9em;" |日本語名!!ラテン語名!!英語名!!仏語名!!全 名!!ジャンル!!代表作!!備 考
|- <!--【ウァッロー】-->
| style="font-size:9pt; background-color:#e6cf8a;" |共和制<br>末期
|前116-27
| style="font-size:11pt;" |[[w:マルクス・テレンティウス・ウァロ|ウァッロー]]<br>(ウァロ、ワロ)
| style="font-size:11pt;" |Varro
| style="font-size:8pt;" |[[w:en:Marcus Terentius Varro|Varro]]
| style="font-size:11pt;" |[[w:fr:Varron (écrivain)|Varron]]
| style="font-size:9pt;" |[[w:la:Marcus Terentius Varro|Marcus <br>Terentius <br>Varro]]
|博物学
|<small>『農業論』<br>ほか、散逸多数</small>
|ローマ最大の</br>人文学者
|- <!--【ホルテーンシウス】-->
| style="font-size:9pt; background-color:#e6cf8a;" |共和制<br>末期
|前114-50
| style="font-size:11pt;" |'''[[/ホルテーンシウス|ホルテーンシウス]]'''
| style="font-size:9pt;" |Hortensius Hortalus
| style="font-size:8pt;" |[[w:en:Quintus Hortensius|Quintus <br>Hortensius]]
| style="font-size:8pt;" |[[w:fr:Quintus Hortensius Hortalus|Quintus <br>Hortensius <br>Hortalus]]
| style="font-size:9pt;" |[[w:la:Quintus Hortensius Hortalus|Quintus <br>Hortensius <br>Hortalus]]
|弁論<br>・年代記など
|<small></small>(散逸)
|キケローの好敵手として有名
|- <!--【リキニウス・マケル】-->
| style="font-size:9pt; background-color:#e6cf8a;" |共和制<br>末期
|前110頃-66
| style="font-size:11pt;" |'''[[/リキニウス・マケル|リキニウス・マケル]]'''
| style="font-size:11pt;" |Licinius Macer
| style="font-size:8pt;" |[[w:en:Licinius Macer|Licinius Macer]]
| style="font-size:11pt;" |[[w:fr:Caius Licinius Macer|Licinius Macer]]
| style="font-size:9pt;" |[[w:la:Gaius Licinius Macer|Gaius<br>Licinius <br>Macer]]
|弁論<br>・年代記
|<small>『年代記』</small>
|
|- <!--【アッティクス】-->
| style="font-size:9pt; background-color:#e6cf8a;" |共和制<br>末期
|前110-32
| style="font-size:11pt;" |'''[[/アッティクス|アッティクス]]'''
| style="font-size:11pt;" |Atticus
| style="font-size:8pt;" |[[w:en:Titus Pomponius Atticus|Atticus]]
| style="font-size:8pt;" |[[w:fr:Atticus|Atticus]]
| style="font-size:9pt;" |[[w:la:Titus Pomponius Atticus|Titus <br>Pomponius <br>Atticus]]
|著述
|<small>『年代記』</small>
|キケローの親友として有名
|- <!--【キケロー】-->
| style="font-size:9pt; background-color:#e6cf8a;" |共和制<br>末期
|前106-43
| style="font-size:18pt;background-color:gold;" |[[w:マルクス・トゥッリウス・キケロ|キケロー]]
| style="font-size:18pt;background-color:gold;" |Cicero
| style="font-size:15pt;" |[[w:en:Cicero|Cicero]]
| style="font-size:15pt;" |[[w:fr:Cicéron|Cicéron]]
| style="font-size:9pt;" |[[w:la:Marcus Tullius Cicero|Marcus <br>Tullius <br>Cicero]]
|弁論・<br>哲学
|<small>『カティリーナ弾劾』<br>『義務について』<br> ほか多数</small>
|ラテン散文の<br>完成者・模範<br>とみなされる
|- <!--【カエサル】-->
| style="font-size:9pt; background-color:#e6cf8a;" |共和制<br>末期
|前100-44
| style="font-size:18pt;background-color:gold;" |[[w:ガイウス・ユリウス・カエサル|カエサル]]
| style="font-size:18pt;background-color:gold;" |Caesar
| style="font-size:15pt;" |[[w:en:Julius Caesar|Caesar ]]
| style="font-size:15pt;" |[[w:fr:Jules César|César]]
| style="font-size:9pt;" |[[w:la:Gaius Iulius Caesar|Gaius <br>Iulius <br>Caesar]]
|戦記
|『'''[[ガリア戦記]]'''』<br>『'''[[内乱記]]'''』<small></small>
|キケローと並ぶ</br>ラテン散文の</br>完成者・模範
|- <!--【コルネリウス・ネポース】-->
| style="font-size:9pt; background-color:#e6cf8a;" |共和制<br>末期
|前100頃-25頃
| style="font-size:13pt;background-color:khaki;" |[[w:コルネリウス・ネポス|ネポース]]
| style="font-size:11pt;" |Cornelius<br> Nepos
| style="font-size:8pt;" |[[w:en:Cornelius Nepos|Nepos]]
| style="font-size:10pt;" |[[w:fr:Cornélius Népos|Népos]]
| style="font-size:9pt;" |[[w:la:Cornelius Nepos|Cornelius<br> Nepos]]
|伝記
|<small>『著名な人物について』</br>ほか、散逸</small>
|
|- <!--【ルクレーティウス】-->
| style="font-size:9pt; background-color:#e6cf8a;" |共和制<br>末期
|前99頃-55頃
| style="font-size:13pt;background-color:khaki;" |[[w:ルクレティウス|ルクレーティウス]]
| style="font-size:11pt;" |Lucretius
| style="font-size:11pt;" |[[w:en:Lucretius|Lucretius]]
| style="font-size:13pt;" |[[w:fr:Lucrèce|Lucrèce]]
| style="font-size:9pt;" |[[w:la:Lucretius|Titus <br>Lucretius<br> Carus]]
|哲学的叙事詩
|<small>『物の本性について』</small>
|
|- <!--【サッルスティウス】-->
| style="font-size:9pt; background-color:#e6cf8a;" |共和制<br>末期
|前86-35
| style="font-size:16pt;background-color:khaki;" |[[w:ガイウス・サッルスティウス・クリスプス|サッルスティウス]]
| style="font-size:11pt;" |Sallustius
| style="font-size:13pt;" |[[w:en:Sallust|Sallust]]
| style="font-size:13pt;" |[[w:fr:Salluste|Salluste]]
| style="font-size:9pt;" |[[w:la:Gaius Sallustius Crispus|Gaius <br>Sallustius<br> Crispus]]
|歴史
|<small>『カティリーナの陰謀』<br>『ユグルタ戦記』</small>
|
|- <!--【カルウス】-->
| style="font-size:9pt; background-color:#e6cf8a;" |共和制<br>末期
|前82頃-47
| style="font-size:11pt;" |'''[[/カルウス|カルウス]]'''
| style="font-size:11pt;" |Calvus
| style="font-size:8pt;" |[[w:en:Licinius Macer Calvus|Calvus]]
| style="font-size:8pt;" |[[w:fr:Caius Licinius Macer Calvus|Calvus]]
| style="font-size:9pt;" |Gaius <br>Licinius <br>Macer <br>Calvus
|弁論・詩
|<small></small>(散逸)
|
|- <!--【ラベリウス】-->
| style="font-size:9pt; background-color:#e6cf8a;" |共和制<br>末期
|前105頃-43
| style="font-size:11pt;" |ラベリウス
| style="font-size:11pt;" |Laberius
| style="font-size:8pt;" |[[w:en:Decimus Laberius|Laberius]]
| style="font-size:8pt;" |[[w:fr:Decimus Laberius|Laberius]]
| style="font-size:9pt;" |[[w:la:Decimus Laberius|Decimus <br>Laberius]]
|ミモス劇
|<small></small>
|
|- <!--【シュルス】-->
| style="font-size:9pt; background-color:#e6cf8a;" |共和制<br>末期
|前85頃-43
| style="font-size:11pt;" |シュルス<br>(シルス)
| style="font-size:11pt;" |Syrus
| style="font-size:8pt;" |[[w:en:Publilius Syrus|Syrus]]
| style="font-size:8pt;" |[[w:fr:Publilius Syrus|Syrus]]
| style="font-size:9pt;" |[[w:la:Publilius Syrus|Publilius<br> Syrus]]
|ミモス劇<br>・格言
|<small>『格言集』</small>
|
|- <!--【カトゥッルス】-->
| style="font-size:9pt; background-color:#e6cf8a;" |共和制<br>末期
|前84頃-54頃
| style="font-size:13pt; background-color:khaki;" |[[w:ガイウス・ウァレリウス・カトゥルス|カトゥッルス]]
| style="font-size:13pt;" |Catullus
| style="font-size:11pt;" |[[w:en:Catullus|Catullus]]
| style="font-size:13pt;" |[[w:fr:Catulle|Catulle]]
| style="font-size:9pt;" |[[w:la:Gaius Valerius Catullus|Gaius <br>Valerius<br> Catullus]]
|抒情詩・<br>恋愛詩
|<small>『詩集』</small>
|
|- <!--【ウィトルーウィウス】-->
| style="background-color:khaki;" |帝制<br>初期
|前80/50-15以後
| style="font-size:11pt; background-color:khaki;" |[[w:ウィトルウィウス|ウィトルーウィウス]]
| style="font-size:11pt;" |Vitruvius
| style="font-size:11pt;" |[[w:en:Vitruvius|Vitruvius]]
| style="font-size:11pt;" |[[w:fr:Vitruve|Vitruve]]
| style="font-size:9pt;" |[[w:la:Marcus Vitruvius Pollio|Marcus <br>Vitruvius <br>Pollio]]
|建築、<br>軍事技術
|<small>『建築について』</small>
|
|- <!--【アシニウス・ポッリオ】-->
| style="background-color:khaki;" |帝制<br>初期
|前75-後4
| style="font-size:11pt;" |[[w:ガイウス・アシニウス・ポッリオ (紀元前40年の執政官)|アシニウス・ポッリオ]]
| style="font-size:11pt;" |Asinius Pollio
| style="font-size:8pt;" |[[w:en:Gaius Asinius Pollio (consul 40 BC)|Asinius <br>Pollio]]
| style="font-size:8pt;" |[[w:fr:Caius Asinius Pollio| Asinius <br>Pollion]]
| style="font-size:9pt;" |[[w:la:Gaius Asinius Pollio (consul 40 a.C.n.)|Gaius <br>Asinius <br>Pollio]]
|詩、劇作、<br>歴史など
|<small>(伝存せず)<ref>伝存しない史書は[[w:アッピアノス|アッピアノス]]や[[w:プルタルコス|プルタルコス]]の引用で知られる</ref></small>
|
|- <!--【ガッルス】-->
| style="background-color:khaki;" |帝制<br>初期
|前70頃-26
| style="font-size:11pt;" |ガッルス(ガルス)
| style="font-size:11pt;" |Gallus
| style="font-size:8pt;" |[[w:en:Cornelius Gallus|Gallus]]
| style="font-size:8pt;" |[[w:fr:Gaius Cornelius Gallus|Gallus]]
| style="font-size:9pt;" |[[w:la:Gaius Cornelius Gallus|Gaius <br>Cornelius <br>Gallus]]
|エレゲイア詩、弁論
|<small>(ほぼ散逸)</small>
|ラテン語エレゲイア詩<br>の創始者、大詩人
|- <!--【ウェルギリウス】-->
| style="font-size:9pt; background-color:khaki;" |帝制<br>初期
|前70-19
| style="font-size:16pt;background-color:gold;" |[[w:ウェルギリウス|ウェルギリウス]]
| style="font-size:16pt;background-color:gold;" |Vergilius
| style="font-size:15pt;" |[[w:en:Virgil|Virgil]]
| style="font-size:15pt;" |[[w:fr:Virgile|Virgile]]
| style="font-size:9pt;" |[[w:la:Publius Vergilius Maro|Publius <br>Vergilius<br> Maro]]
|叙事詩
|『アエネーイス』<br><small>『牧歌』 『農耕詩』</small>
|黄金期の最高の詩人<br>とみなされる
|- <!--【ホラーティウス】-->
| style="font-size:9pt; background-color:khaki;" |帝制<br>初期
|前65-8
| style="font-size:16pt;background-color:gold;" |[[w:ホラティウス|ホラーティウス]]
| style="font-size:16pt;background-color:gold;" |Horatius
| style="font-size:15pt;" |[[w:en:Horace|Horace]]
| style="font-size:15pt;" |[[w:fr:Horace|Horace]]
| style="font-size:9pt;" |[[w:la:Quintus Horatius Flaccus|Quintus <br>Horatius<br> Flaccus]]
|抒情詩
|『詩論』 『歌章』<br>『諷刺詩』 『書簡詩』<small></small>
|黄金期の三大詩人の<br>一人とされる
|-
|- <!--【ヒュギーヌス】-->
| style="font-size:9pt; background-color:khaki;" |帝制<br>初期
|前64頃-後17
| style="font-size:11pt;background-color:khaki;" |[[w:ガイウス・ユリウス・ヒュギーヌス|ヒュギーヌス]]
| style="font-size:11pt;" |Hyginus
| style="font-size:9pt;" |[[w:en:Gaius Julius Hyginus|Hyginus]]
| style="font-size:11pt;" |[[w:fr:Caius Julius Hyginus|Hygin]]
| style="font-size:9pt;" |[[w:la:Gaius Iulius Hyginus|Gaius <br>Iulius <br>Hyginus]]
|博物
|<small>『神話集』など。<br>散逸多数。</small>
|
|- <!--【リーウィウス】-->
| style="font-size:9pt; background-color:khaki;" |帝制<br>初期
|前59頃-後17
| style="font-size:16pt;background-color:gold;" |[[w:ティトゥス・リウィウス|リーウィウス]]
| style="font-size:16pt;background-color:gold;" |Livius
| style="font-size:15pt;" |[[w:en:Livy|Livy]]
| style="font-size:15pt;" |[[w:fr:Tite-Live|Tite<br>-Live]]
| style="font-size:9pt;" |[[w:la:Titus Livius|Titus <br>Livius]]
|年代記
|<small>『ローマ建国<br>以来の歴史』</small>
|彼の著作は<br>黄金期の白眉<br>と評される
|- <!--【ティブッルス】-->
| style="font-size:9pt; background-color:khaki;" |帝制<br>初期
|前55頃-前19
| style="font-size:15pt;background-color:khaki;" |[[w:アルビウス・ティブッルス|ティブッルス]]
| style="font-size:13pt;" |Tibullus
| style="font-size:10pt;" |[[w:en:Tibullus|Tibullus]]
| style="font-size:12pt;" |[[w:fr:Tibulle|Tibulle]]
| style="font-size:9pt;" |[[w:la:Albius Tibullus|Albius <br>Tibullus]]
|エレゲイア詩
|<small>詩集</small>
|
|- <!--【ウェッリウス・フラックス】-->
| style="font-size:9pt; background-color:khaki;" |帝制<br>初期
|前55-後20
| style="font-size:11pt;" |ウェッリウス・フラックス
| style="font-size:11pt;" |Verrius Flaccus
| style="font-size:8pt;" |[[w:en:Verrius Flaccus|Verrius <br>Flaccus]]
| style="font-size:8pt;" |[[w:fr:Verrius Flaccus|Verrius <br>Flaccus]]
| style="font-size:9pt;" |Marcus <br>Verrius <br>Flaccus
|ラテン語文法
|<small></small>
|
|- <!--【オウィディウス】-->
| style="font-size:9pt; background-color:khaki;" |帝制<br>初期
|前43-後17頃
| style="font-size:16pt;background-color:gold;" |[[w:オウィディウス|オウィディウス]]
| style="font-size:16pt;background-color:gold;" |Ovidius
| style="font-size:15pt;" |[[w:en:Ovid|Ovid]]
| style="font-size:15pt;" |[[w:fr:Ovide|Ovide]]
| style="font-size:9pt;" |[[w:la:Publius Ovidius Naso|Publius <br>Ovidius <br>Naso]]
|エレゲイア詩
|『[[w:変身物語|変身物語]]』 <br><small>『祭暦』 『名婦の書簡』 <br>『愛の技法』 『悲歌』</small>
|黄金期の三大詩人の<br>一人とされる
|- <!--【プロペルティウス】-->
| style="font-size:9pt; background-color:khaki;" |帝制<br>初期
|前50頃-前15頃
| style="font-size:13pt;background-color:khaki;" |[[w:セクストゥス・プロペルティウス|プロペルティウス]]
| style="font-size:12pt;" |Propertius
| style="font-size:10pt;" |[[w:en:Propertius|Propertius]]
| style="font-size:11pt;" |[[w:fr:Properce|Properce]]
| style="font-size:9pt;" |[[w:la:Sextus Propertius|Sextus <br>Propertius]]
|エレゲイア詩
|<small>『詩集』</small>
|[[w:エレジー|エレゲイア詩]]<br>の完成者
|- <!--【ポンペイウス・トログス】-->
| style="font-size:9pt; background-color:khaki;" |帝制<br>初期
|前1世紀頃
| style="font-size:11pt;" |[[w:グナエウス・ポンペイウス・トログス|ポンペイウス<br>・トログス]]
| style="font-size:11pt;" |Pompeius<br> Trogus
| style="font-size:8pt;" |[[w:en:Gnaeus Pompeius Trogus|Pompey<br> Trogue]]
| style="font-size:8pt;" |[[w:fr:Trogue Pompée|Trogue<br> Pompée]]
| style="font-size:9pt;" |[[w:la:Gnaeus Pompeius Trogus|Gnaeus <br>Pompeius <br>Trogus]]
|博物
|<small>『ピリッポス史』<br>『動物について』</small>
|
|- <!--【マーニーリウス】-->
| style="font-size:9pt; background-color:khaki;" |帝制<br>初期
|後1世紀初め頃
| style="font-size:11pt;" |[[w:マルクス・マニリウス|マーニーリウス]]
| style="font-size:11pt;" |Manilius
| style="font-size:8pt;" |[[w:en:Marcus Manilius|Manilius]]
| style="font-size:8pt;" |[[w:fr:Marcus Manilius|Manilius]]
| style="font-size:9pt;" |[[w:la:Marcus Manilius|Marcus <br>Manilius]]
|<small>叙事詩的<br>教訓詩<br>・占星術</small>
|<small>『アストロノミカ』<br>(占星術書)</small>
|
|- <!--【】-->
| style="font-size:9pt; background-color:khaki;" |帝制<br>初期
|前-前後
| style="font-size:11pt;" |
| style="font-size:11pt;" |
| style="font-size:8pt;" |[[w:en:|en:]]
| style="font-size:8pt;" |[[w:fr:|fr:]]
| style="font-size:9pt;" |[[w:la:|la:]]
|<br>
|<small></small>
|
|}
=== 目次 ===
;共和制末期「キケローの時代」の作家
:[[#ウァッロー]]
:[[#キケロー]]
:[[#カエサル]]
:[[#コルネリウス・ネポース]]
:[[#ルクレーティウス]]
:[[#サッルスティウス]]
:[[#ラベリウス]]
:[[#プブリリウス・スュルス]](シュルス)
:[[#カトゥッルス]]
;帝制初期「アウグストゥス時代」の作家
:[[#ウィトルーウィウス]]
:[[#アシニウス・ポッリオ]]
:[[#ウェルギリウス]]
:[[#ホラーティウス]]
:[[#ヒュギーヌス]]
:[[#リーウィウス]]
:[[#ティブッルス]]
:[[#オウィディウス]]
:[[#プロペルティウス]]
:[[#ポンペイウス・トログス]]
:[[#マーニーリウス]]
;そのほかの作家
:[[#アッティクス]]
:[[#ウェッリウス・フラックス]]
:[[#ガッルス]]
:[[#カルウス]]
:[[#ホルテーンシウス]]
:[[#リキニウス・マケル]]
== ウァッロー ==
== キケロー ==
== カエサル ==
== コルネリウス・ネポース ==
== ルクレーティウス ==
== サッルスティウス ==
== ラベリウス ==
== プブリリウス・スュルス ==
== カトゥッルス ==
:<span style="background-color:#ffa;font-size:15pt;">'''[[カトゥッルス 詩集]]''' {{進捗|00%|2020-08-15}}</span>
== ウィトルーウィウス ==
== アシニウス・ポッリオ ==
== ウェルギリウス ==
== ホラーティウス ==
== ヒュギーヌス ==
== リーウィウス ==
== ティブッルス ==
== オウィディウス ==
== プロペルティウス ==
== ポンペイウス・トログス ==
== マーニーリウス ==
== そのほかの作家 ==
=== アッティクス ===
{{wikipedia|ティトゥス・ポンポニウス・アッティクス|ティトゥス・ポンポニウス・アッティクス}}
'''ティトゥス・ポンポーニウス・アッティクス'''([[w:la:Titus Pomponius Atticus|Titus Pomponius Atticus]]:前110/109-32)は、ローマ共和制期の富豪・文芸愛好家・作家。[[#キケロー]]の親友としてよく知られる。
キケローが前68年~前44年に彼に宛てた手紙を、アッティクス自身がすべて公開し、これは『'''アッティクス宛書簡集'''』([[w:la:Epistulae ad Atticum|Epistulae ad Atticum]])として知られる。また、伝記作家[[#コルネリウス・ネポース]]は、アッティクスの伝記を著している。アッティクス自身の著作はほぼ散逸したが、ローマの政治史や文学史を扱った『'''年代記'''』(Liber annalis)1巻のみが伝存する。詳しくは、次の記事を参照。
*<span style="background-color:#ffff88;font-size:15pt;">'''[[/アッティクス]]''' {{進捗|75%|2019-12-14}}</span>
=== ウェッリウス・フラックス ===
{{wikipedia|en:Verrius Flaccus|Verrius Flaccus}}
'''マルクス・ウェッリウス・フラックス'''(Marcus Verrius Flaccus:前55頃-後20)は、帝制初期に[[ラテン文学の作家と著作/関連人物解説#アウグストゥス|アウグストゥス帝]]に仕えた文法家。
*<span style="background-color:#ffffff;font-size:15pt;">'''[[/ウェッリウス・フラックス]]''' {{進捗|00%|2020-00-00}}</span>
=== ガッルス ===
{{wikipedia|en:Cornelius Gallus|Cornelius Gallus}}
'''ガーイウス・コルネーリウス・ガッルス'''([[w:la:Gaius Cornelius Gallus|Gaius Cornelius Gallus]]:前70頃-26)は、ローマの政治家・弁論家・詩人。エレゲイア詩を書いたとされるが、散逸して残っていない。
*<span style="background-color:#ffffff;font-size:15pt;">'''[[/コルネーリウス・ガッルス]]''' {{進捗|00%|2020-00-00}}</span>
=== カルウス ===
'''ガーイウス・リキニウス・マケル・カルウス'''([[w:en:Licinius Macer Calvus|Gaius Licinius Macer Calvus]]:前82-47年)は、ローマの弁論家・詩人。弁論においては[[ラテン文学の作家と著作/黄金期#キケロー|#キケロー]]に劣らぬ名声があり、詩人としても[[ラテン文学の作家と著作/黄金期#カトゥッルス|#カトゥッルス]]と並ぶほどであったが、その作品はわずかな断片が残るのみである。年代記作家[[ラテン文学の作家と著作/黄金期#リキニウス・マケル|#リキニウス・マケル]]の息子。詳しくは、次の記事を参照。
*<span style="background-color:#ffff88;font-size:15pt;">'''[[/カルウス]]''' {{進捗|50%|2019-12-31}}</span>
=== ホルテーンシウス ===
'''クゥイーントゥス・ホルテーンシウス・ホルタルス'''([[w:la:Quintus Hortensius Hortalus|Quintus Hortensius Hortalus]]:前114-50)は、ローマの政治家・弁論家。ローマにおける弁論の第一人者で、[[ラテン文学の作家と著作/黄金期#キケロー|#キケロー]]の好敵手として知られる。詳しくは、次の記事を参照。
*<span style="background-color:#ffff88;font-size:15pt;">'''[[/ホルテーンシウス]]''' {{進捗|50%|2019-12-31}}</span>
=== リキニウス・マケル ===
'''ガーイウス・リキニウス・マケル'''([[w:la:Gaius Licinius Macer|Gaius Licinius Macer]]:前118頃-66頃)は、ローマの政治家・年代記作家。息子は、弁論家・詩人の[[ラテン文学の作家と著作/黄金期#カルウス|#カルウス]]。
ローマ建国以来の『'''年代記'''』(Annales)(少なくとも21巻)を著したが、そのほとんどは散逸した。弁論家としても名声があった。詳しくは、次の記事を参照。
*<span style="background-color:#ffff88;font-size:15pt;">'''[[/リキニウス・マケル]]''' {{進捗|50%|2019-12-31}}</span>
== 脚 注 ==
<references />
== 参考文献 ==
<!--
*{{Cite book |和書 |author=[[w:|]] |title= |publisher=[[w:|]] |date=2007-1|isbn=978-4---|ref= }}
-->
== 関連項目 ==
*[[ラテン語学習モジュール]]
**'''[[ラテン語の時代区分]]'''
**'''[[ラテン文学]]'''
***'''[[ラテン文学/ローマ文学の年表|/ローマ文学の年表]]'''
*英語版記事
**[[:w:en:Category:Golden Age Latin writers]]
**[[:w:en:Classical_Latin#Authors_of_the_Golden_Age]]
**[[:w:en:Augustan literature (ancient Rome)]]
*仏語版記事
**[[:w:fr:Latin_classique#Auteurs_de_l'âge_d'or]]
*ラテン語版記事
**[[:w:la:Litterae Latinae]]
== 外部リンク ==
[[Category:ラテン文学の作家と著作|金]]
[[Category:ラテン文学黄金期|*]]
[[Category:ラテン語の時代区分|作家]]
[[Category:ラテン語学習モジュール|文学]] | null | 2020-08-16T15:14:23Z | [
"テンプレート:進捗",
"テンプレート:Wikipedia"
]
| https://ja.wikibooks.org/wiki/%E3%83%A9%E3%83%86%E3%83%B3%E6%96%87%E5%AD%A6%E3%81%AE%E4%BD%9C%E5%AE%B6%E3%81%A8%E8%91%97%E4%BD%9C/%E9%BB%84%E9%87%91%E6%9C%9F |
26,261 | 小学校・中学校・高等学校の学習/ウィキブックスについて | ウィキブックス日本語版をご利用いただき、ありがとうございます。このページでは、児童・生徒の方を対象にウィキブックスについて解説します。
有志が作った、インターネット上のフリー教科書です。ウィキペディアの姉妹プロジェクトです。日本語版ウィキブックスでは現在13,615項目が書かれています。
ウィキブックスの読み方を説明します。
教科書の本文です。大切なところは太字で強調されている場合があります。
Wikibooksのリンクには、赤リンクと青リンクがあります。 赤リンクのサンプル 赤リンクになっているページは、存在しないページです。これをクリック、またはタップすると、そのページの作成画面が表示されてしまいます。基本的に押さないようにしましょう。
青リンクのサンプル 青リンク(あるいは紫)になっているページは、すでに存在するページです。※他のウェブサイトへのリンクになっている場合もあります。 また、青リンクのそばには進捗状況を示すテンプレートが貼ってある場合があります。
:数行の文章か目次があります。
:本文が少しあります。
:本文が半分ほどあります。
:間もなく完成します。
:一応完成しています。
なお、このテンプレートやその横の日付をクリック、またはタップすると別のページが表示されてしまいます。注意してください。
内容が少ない場合や、教科書などと異なる内容がふくまれている場合があります。また、学校の授業や教科書などと内容が異なる場合は、必ずそちらに従ってください。
画像の準備の都合上、画像が用意できない場合もあります。
また、この教科書には、中立的でない記述や独自研究、特定の考え方への誘導と思われる記述が含まれている場合があります。
活動人数が少ないため、更新頻度は少なくなっています。そのため、誤字や、誤った・古い情報が存在したり、まれにページが荒らされたままになっていたりしますのでご注意ください。共同編集というシステム上、編集合戦が発生することがあります。
Wikibooks上の文章や画像は、ウィキブックスのどこのページのいつのものかを書けば自由に複製・改変してご利用いただけます。ただし、そのことによって生じた損害について、ウィキブックス(ウィキメディア財団)は一切の責任を負いません。
できるだけ、保護者の方などに下の内容を読んでもらいましょう。 | [
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}}
== リンクの{{ruby|色|いろ}}と{{ruby|進捗状況|しんちょくじょうきょう}}の{{Ruby|見方|みかた}} ==
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<span style="color:#3860d0;text-decoration:underline;">{{ruby|青|あお}}リンクのサンプル</span> {{ruby|青|あお}}リンク(あるいは<span style="color:#300030;text-decoration:underline;">{{ruby|紫|むらさき}}</span>)になっているページは、すでに{{ruby|存在|そんざい}}するページです。※{{Ruby|他|ほか}}のウェブサイトへのリンクになっている{{Ruby|場合|ばあい}}もあります。
また、{{ruby|青|あお}}リンクのそばには{{ruby|進捗状況|しんちょくじょうきょう}}を{{ruby|示|しめ}}すテンプレートが{{ruby|貼|は}}ってある{{ruby|場合|ばあい}}があります。
;テンプレートの{{ruby|意味|いみ}}
[[File:00%.svg|50px]]:{{ruby|数行|すうぎょう}}の{{ruby|文章|ぶんしょう}}か{{ruby|目次|もくじ}}があります。
[[File:25%.svg|50px]]:{{ruby|本文|ほんぶん}}が{{ruby|少|すこ}}しあります。
[[File:50%.svg|50px]]:{{ruby|本文|ほんぶん}}が{{ruby|半分|はんぶん}}ほどあります。
[[File:75%.svg|50px]]:{{ruby|間|ま}}もなく{{ruby|完成|かんせい}}します。
[[File:100 percent.svg|50px]]:{{ruby|一応完成|いちおうかんせい}}しています。
なお、このテンプレートやその{{ruby|横|よこ}}の{{ruby|日付|ひづけ}}をクリック、またはタップすると{{ruby|別|べつ}}のページが{{ruby|表示|ひょうじ}}されてしまいます。{{ruby|注意|ちゅうい}}してください。
== Wikibooksについての{{ruby|注意|ちゅうい}} ==
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{{ruby|画像|がぞう}}の{{ruby|準備|じゅんび}}の{{ruby|都合上|つごうじょう}}、{{ruby|画像|がぞう}}が{{ruby|用意|ようい}}できない{{ruby|場合|ばあい}}もあります。
また、この{{ruby|教科書|きょうかしょ}}には、{{ruby|中立的|ちゅうりつてき}}でない{{ruby|記述|きじゅつ}}や{{ruby|独自研究|どくじけんきゅう}}、{{ruby|特定|とくてい}}の{{ruby|考|かんが}}え{{ruby|方|かた}}への{{ruby|誘導|ゆうどう}}と{{ruby|思|おも}}われる{{ruby|記述|きじゅつ}}が{{ruby|含|ふく}}まれている{{ruby|場合|ばあい}}があります。
{{ruby|活動人数|かつどうにんずう}}が{{ruby|少|すく}}ないため、{{ruby|更新頻度|こうしんひんど}}は{{ruby|少|すく}}なくなっています。そのため、{{ruby|誤字|ごじ}}や、{{ruby|誤|あやま}}った・{{ruby|古|ふる}}い{{Ruby|情報|じょうほう}}が{{Ruby|存在|そんざい}}したり、まれにページが{{ruby|荒|あ}}らされたままになっていたりしますのでご{{ruby|注意|ちゅうい}}ください。{{Ruby|共同編集|きょうどうへんしゅう}}というシステム{{ruby|上|じょう}}、{{ruby|編集合戦|へんしゅうがっせん}}が{{Ruby|発生|はっせい}}することがあります。
== Wikibooksの{{ruby|利用|りよう}}について ==
Wikibooks{{ruby|上|じょう}}の{{ruby|文章|ぶんしょう}}や{{ruby|画像|がぞう}}は、'''ウィキブックスのどこのページのいつのものかを{{Ruby|書|か}}けば'''{{ruby|自由|じゆう}}に{{ruby|複製|ふくせい}}・{{ruby|改変|かいへん}}してご{{Ruby|利用|りよう}}いただけます。ただし、そのことによって{{ruby|生|しょう}}じた{{ruby|損害|そんがい}}について、ウィキブックス(ウィキメディア{{ruby|財団|ざいだん}})は{{ruby|一切|いっさい|の}}{{Ruby|責任|せきにん}}を{{ruby|負|お}}いません。
できるだけ、{{Furi|保護者|ほごしゃ}}の{{ruby|方|かた}}などに{{ruby|下|した}}の{{Ruby|内容|ないよう}}を{{Ruby|読|よ|ん}}でもらいましょう。
{{コラム|{{Ruby|保護者|ほごしゃ}}または{{Ruby|教員|きょういん}}の方へ:再利用に関して|Wikibooks日本語版をご利用いただき、ありがとうございます。Wikibooksの本文 (の文章) は、[[w:CC BY-SA 3.0|CC BY-SA 3.0]]という[[w:クリエイティブコモンズライセンス|クリエイティブコモンズライセンス]]で使用が可能で、営利目的であるかや改変の有無に関わらず、複製、再配布も可能です。ただし、
* ウィキブックス日本語版のどのページか、いつの時点かを明確に表示すること。
* 再配布に際し、全く同じライセンス(CC BY-SA 3.0)を適用すること。
これらの条件を満たす必要があります。詳しくは、[https://creativecommons.org/licenses/by-sa/3.0/deed.ja Creative Commonsのサイト]をご確認ください。
また、画像や音声などのメディアは、ファイルごとにライセンスが異なります。より条件の低いパブリック・ドメインなどが指定されている場合もありますので、ご確認をお願いします。
}}
{{コラム|{{Ruby|保護者|ほごしゃ}}または{{Ruby|教員|きょういん}}の方へ:免責事項のご案内|Wikibooks日本語版をご利用いただき、ありがとうございます。ウィキブックス日本語版には、[[foundation:Terms_of_Use|ウィキメディア財団の利用規約]][[foundation:Terms_of_Use/ja|<sup>(補助の日本語訳)</sup>]]並びに[[Wikibooks:免責事項]]があります。ウィキブックスはウィキペディア及び他言語版をはじめとする他のすべてのウィキメディアプロジェクトとは異なります。方針が異なる場合もありますので、十分ご留意ください。}}
[[カテゴリ:ウィキブックス]] | null | 2022-11-27T17:33:22Z | [
"テンプレート:Furi",
"テンプレート:Pathnav",
"テンプレート:Ombox",
"テンプレート:Ruby",
"テンプレート:コラム"
]
| https://ja.wikibooks.org/wiki/%E5%B0%8F%E5%AD%A6%E6%A0%A1%E3%83%BB%E4%B8%AD%E5%AD%A6%E6%A0%A1%E3%83%BB%E9%AB%98%E7%AD%89%E5%AD%A6%E6%A0%A1%E3%81%AE%E5%AD%A6%E7%BF%92/%E3%82%A6%E3%82%A3%E3%82%AD%E3%83%96%E3%83%83%E3%82%AF%E3%82%B9%E3%81%AB%E3%81%A4%E3%81%84%E3%81%A6 |
26,263 | 小学校算数/4学年/4つの4の答え | 4×4÷(4×4)=1 | [
{
"paragraph_id": 0,
"tag": "p",
"text": "4×4÷(4×4)=1",
"title": "4つの4の答えの例"
}
]
| null | == 4つの4の答えの{{ruby|例|れい}} ==
=== 1の作り方 ===
:<math>4\div4+4-4=1</math>
:<math>(4+4)\div(4+4)=1</math>
:<math>(4\times4)\div(4\times4)=1</math>
:<math>(4+4-4)\div4=1</math>
:<math>(4\div4)\times(4\div4)=1</math>
4×4÷(4×4)=1
=== 2の作り方 ===
:<math>4\div4+4\div4=2</math>
:<math>4-(4+4)\div4=2</math>
:<math>4\times4\div(4+4)=2</math>
=== 3の作り方 ===
:<math>(4+4+4)\div4=3</math>
:<math>(4\times4-4)\div4=3</math>
=== 4の作り方 ===
:<math>(4-4)\times4+4=4</math>
:<math>4-(4-4)\times4=4</math>
=== 5の作り方 ===
:<math>(4\times4+4)\div4=5</math>
=== 6の作り方 ===
:<math>4+(4+4)\div4=6</math>
=== 7の作り方 ===
:<math>4+4-4\div4=7</math>
=== 8の作り方 ===
:<math>4+4+4-4=8</math>
:<math>4\times4-4-4=8</math>
:<math>(4+4)\times4\div4=8</math>
:<math>4\times4\div4+4=8</math>
:<math>(4+4)\div(4\div4)=8</math>
=== 9の作り方 ===
:<math>4+4+4\div4=9</math>
{{DEFAULTSORT:よっつのよんのこたえ}}
[[Category:小学校算数]]
[[Category:中学受験算数]]
[[Category:頭の体操]]
[[Category:算法]] | null | 2022-05-25T10:57:13Z | [
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26,269 | 中学受験国語 | Main Page > 小学校・中学校・高等学校の学習 > 中学受験参考書 > 中学受験国語
中学受験国語では、中学受験国語について解説しています。 | [
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== 語句 ==
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* [[中学受験国語/品詞]]{{進捗|25%|2020-08-29}}
* [[中学受験国語/文法]]{{進捗|00%|2020-08-29}}
* [[中学受験国語/ことわざと慣用句]]{{進捗|00%|2020-08-29}}
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== 読解 ==
* [[中学受験国語/読解]]{{進捗|00%|2020-08-29}}
== 参考・対策==
* [[小学校国語]]{{進捗|25%|2020-08-30}}
* [[中学受験国語/演習]]{{進捗|25%|2020-08-30}}
* [[中学受験国語/資料]]{{進捗|00%|2020-08-30}}
* [[中学受験国語/作文対策]]{{進捗|25%|2020-08-30}}
* [[中学受験国語/筆記試験対策]]{{進捗|00%|2020-08-30}}
* [[中学受験国語/プレゼンテーション対策]]{{進捗|25%|2020-08-30}}
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26,270 | 小学校書写 | 小学校の書写では、文字をていねいに書く書き方について学びます。 | [
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| 小学校(しょうがっこう)の書写(しょしゃ)では、文字(もじ)をていねいに書(か)く書(か)き方(かた)について学(まな)びます。 | {{Pathnav|メインページ|小学校・中学校・高等学校の学習|小学校の学習|小学校国語|frame=1}}
{{Ruby|小学校|しょうがっこう}}の{{Ruby|書写|しょしゃ}}では、{{ruby|文字|もじ}}をていねいに{{Ruby|書|か}}く{{Ruby|書|か}}き{{Ruby|方|かた}}について{{ruby|学|まな}}びます。
== {{Ruby|教科書|きょうかしょ}}ほか ==
=== {{Ruby|教科書|きょうかしょ}} ===
* [[小学校書写/1学年|1ねんせい]] {{進捗|00%|2020-08-01}}
* [[小学校書写/2学年|2年生]] {{進捗|00%|2020-08-02}}
* [[小学校書写/3学年|3年生]] {{進捗|00%|2020-08-02}}
* [[小学校書写/4学年|4年生]] {{進捗|00%|2019-09-11}}
* [[小学校書写/5学年|5年生]] {{進捗|00%|2019-09-11}}
* [[小学校書写/6学年|6年生]] {{進捗|00%|2019-09-11}}
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[[カテゴリ:小学校教育]] | null | 2020-08-02T05:43:29Z | [
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26,276 | 中学受験理科 | メインページ > 小学校・中学校・高等学校の学習 > 小学校の学習 > 中学受験参考書 > 中学受験理科
本ページは中学受験生向けの理科の教科書です。学習したい内容を各ページのリンクから選んで読んでください。 | [
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== 4年生 ==
* [[中学受験理科/生物/4年生]]{{進捗|00%|2020-08-29}}
* [[中学受験理科/化学/4年生]]{{進捗|00%|2020-08-29}}
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* [[中学受験理科/物理/5年生]]{{進捗|00%|2020-08-29}}
== 6年生 ==
* [[中学受験理科/生物/6年生]]{{進捗|25%|2020-08-29}}
* [[中学受験理科/化学/6年生]]{{進捗|25%|2020-08-29}}
* [[中学受験理科/地学/6年生]]{{進捗|00%|2020-08-29}}
* [[中学受験理科/物理/6年生]]{{進捗|00%|2020-08-29}}
== 参考 ==
* [[小学校理科]]{{進捗|75%|2020-08-30}}
* [[中学受験理科/分野|中学受験理科/分野別]] 分野ごとに復習したい場合にはこちらも参考にしてください。なお、内容は同じです。
* [[中学受験理科/演習]]{{進捗|00%|2020-08-30}}
* [[中学受験理科/資料]]{{進捗|25%|2020-08-30}}
{{DEFAULTSORT:ちゆうかくしゆけんりか}}
[[Category:中学校理科]]
[[Category:小学校理科]]
[[Category:中学受験参考書|りか]]
[[カテゴリ:中学受験理科|*]] | null | 2020-08-30T06:24:07Z | [
"テンプレート:進捗状況",
"テンプレート:進捗"
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26,278 | 中学受験算数/演習 | Main Page > 小学校・中学校・高等学校の学習 > 中学受験参考書 > 中学受験算数/演習
問題の質が悪いため、良質な問題を募集しています。 追記:問題量増加必須
次の問いに答えなさい。
中学受験算数演習/総合演習
中学受験算数演習/解説
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"text": "問題の質が悪いため、良質な問題を募集しています。 追記:問題量増加必須",
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"text": "次の問いに答えなさい。",
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"text": "中学受験算数演習/総合演習",
"title": "総合演習"
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"text": "中学受験算数演習/解説",
"title": "解答解説"
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"text": "",
"title": "リンク集"
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| Main Page > 小学校・中学校・高等学校の学習 > 中学受験参考書 > 中学受験算数/演習 問題の質が悪いため、良質な問題を募集しています。 追記:問題量増加必須 | {{Pathnav|Main Page|小学校・中学校・高等学校の学習|中学受験参考書}}
:[[{{PAGENAME}}]]では、これから中学受験を目前にさ
:れた方への演習問題を掲載しています。
'''問題の質が悪いため、良質な問題を募集しています。 追記:問題量増加必須'''
== 計算 ==
===ふつうの計算===
{{一問一答ヘッダ}}
{{一問一答簡易|次の計算をしなさい。
(1)39+72-59
(2)83-(12+53)
(3)10×8-6×4÷2|(1)52
(2)18
(3)68}}{{一問一答フッタ}}
===逆算===
{{一問一答ヘッダ}}
{{一問一答フッタ}}
===特別な計算===
{{一問一答ヘッダ}}
{{一問一答簡易|次の計算をしなさい。
:(1)67×28+33×28
:(2)76×8+42×76
:(3)<math>\frac{1}{2}\times \frac{2}{3} \times \frac{3}{4} \times \cdots \times \frac{49}{50}</math>
|:(1)2800
:(2)3800
:(3)<math>\frac{1}{50}</math>}}
{{一問一答フッタ}}
== 植木算 ==
{{一問一答ヘッダ}}
{{一問一答簡易|問1、長さ180mの直線道路に、15mおきに木を植えます。両端にも木を植えるとして、木は何本必要か答えなさい。|13本}}
{{一問一答簡易|問2、まわりの長さが240mの円形の池のまわりに、12mおきに木を植えます。木は何本必要か答えなさい。|20本}}
{{一問一答簡易|問3、長さ3mの丸太から50cmの丸太を切れるだけ切り出します。1回切るのに1分20秒かかり、切った後20秒休みます。何分何秒かかりますか。|8分}}
{{一問一答簡易|問4、長さ15cmのテープがたくさんあります。これを3cmずつ重なるようにつなげていきます。
:(1)20枚のテープをつなげると全体の長さは何cmになりますか。
:(2)全体の長さが999cmになるのは何枚つなげたときですか。|(1)243cm (2)83枚}}
{{一問一答フッタ}}
== 周期・数列 ==
{{一問一答ヘッダ}}
{{一問一答簡易|問1、「7,3,9,5,7,3,9,5,…」と数が並んでいます。
:(1)30番目の数は何ですか。
:(2)2019番目の数は何ですか。
:(3)30番目までの数をすべて加えるといくつになりますか。
:(4)1番目から数をすべてたしていったとき、その合計が2019より大きくなるのは何番目の数ですか。また、その数はいくつですか。|(1)3 (2)9 (3)178 (4)337番目、7}}
{{一問一答簡易|問2、次の計算をしなさい。
:(1)1+2+3+…+50
:(2)23+27+31+35+…+199
:(3)2+4+8+16+…+4096
|(1)1275 (2)4995 (3)8190}}
{{一問一答簡易|問3、7を2019回かけた数の十の位と一の位の数を求めなさい。|十の位:4、一の位:3}}
{{一問一答簡易|問4、(1)~(3)は、ある規則に従って数を並べたものです。(A)~(C)に入る数を求めなさい。
:(1)3,10,17,24,(A),38,45,…
:(2)1,4,13,40,121,(B),1093,…
:(3)1,1,2,3,5,8,13,(C),…
|A:31 B:364 C:21}}
{{一問一答簡易|問5、<math>\frac{5}{13}</math>を小数になおしたとき、小数第50位の数と、小数第1位から第50位の和を求めなさい。|8,173}}
{{一問一答簡易|問6、<math>1 \times 1 \times 1 + 2 \times 2 \times 2 + 3 \times 3 \times 3 + \cdot \cdot \cdot + 20 \times 20 \times 20</math>を計算しなさい。|44100}}
{{一問一答簡易|問7、ある年の5月23日(平年)は火曜日でした。
:(1)その年の10月7日は何曜日ですか。
:(2)その年の1月4日は何曜日ですか。
:(3)翌年(平年)の5月23日は何曜日ですか。
|(1)土曜日 (2)水曜日 (3)水曜日}}
{{一問一答簡易|問8、西暦2019年のカレンダーが、次にまったく同じように使えるのは西暦何年ですか。|2030年}}
{{一問一答フッタ}}
== 仕事算・ニュートン算 ==
{{一問一答ヘッダ}}
{{一問一答簡易|問1、ある仕事を終えるのに、Aは8時間、Bは12時間かかります。では、AとBがいっしょにすると何時間何分かかりますか。|4時間48分}}
{{一問一答簡易|問2、ある仕事を終えるのに、Aは40分、Bは1時間かかります。Aだけでこの仕事を10分間したあと、Bが1人でこの仕事を終わらせるのに何分かかりますか。|45分}}
{{一問一答簡易|問3、ある仕事を終えるのに、Aは24日、Bは36日かかります。はじめはA・B2人でこの仕事をしていましたが、途中からAが休み、Bだけで仕事をしたので27日で終わりました。Bだけで仕事をしたのは何日間ですか。|21日間}}
{{一問一答簡易|問4、6人で1日8時間働いて10日かかる仕事を15人で6日で終わらせるには1人1日何時間何分働けばよいですか。|5時間20分}}
{{一問一答簡易|問5、あるスーパーにお客が120人いました。午後10時となり、閉店時間が近くなったため、1分間に10人のお客が店を出ますが、あらたに1分間に4人のお客が店にやってきます。スーパーからお客がいなくなるのは何時何分ですか。|午後10時20分}}
{{一問一答簡易|問6、ある牧場では、20頭の牛を放牧すると12日で草を食べつくし、30頭の牛を放牧すると8日で草を食べつくします。
:(1)40頭の牛を放牧すると何日で草を食べつくしますか。
:(2)20日で草を食べつくすようにするには、何頭の牛を放牧すればいいですか。|(1)6日 (2)12頭}}
{{一問一答フッタ}}
== つるかめ算 ==
{{一問一答ヘッダ}}
{{一問一答簡易|問1、つるとかめが合わせて12ひきいて、足の数は30本であるとき、それぞれ何匹いますか。|つる9ひき、かめ3ひき}}
{{一問一答簡易|問2、Aさんは63円切手と83円切手を合わせて20枚買い、1400円{{ruby|支払|しはら}}いました。それぞれ何枚買いましたか。|63円13枚、83円7枚}}
{{一問一答簡易|問3、Bさんの家から公園までは1.5kmあります。Bさんは、家からはじめは分速60mで歩き、{{ruby|途中|とちゅう}}から分速180mで走って公園に行ったところ、15分かかりました。歩いた{{ruby|距離|きょり}}と走った距離は何mですか。|歩いた距離:600m・走った距離:900m}}
{{一問一答簡易|問4、密度8.9gの銅と密度11.3gの{{ruby|鉛|なまり}}を{{ruby|溶|と}}かして混ぜ合わせた、体積200cm<sup>3</sup>、密度9.86g/cm<sup>3</sup>の合金Cがあります。合金Cにふくまれる銅と鉛はそれぞれ何cm<sup>3</sup>ですか。 |銅120cm<sup>3</sup>、鉛80cm<sup>3</sup>}}
{{一問一答簡易|問5、{{ruby|陶器|とうき}}を運ぶ仕事があり、1つ運ぶと30円もらえますが、こわすと30円もらえないうえ、1つにつき10円を{{ruby|弁償|べんしょう}}しなければなりません。Dさんはこの仕事で陶器400個を運び、10800円もらいました。こわさずに運んだのは何個ですか。|370個}}
{{一問一答簡易|問6、Eさんは、1個10円のガムと1個15円のアメと1個25円のチョコレートを合わせて64個買い、970円支払いました。買ったガムの個数とアメの個数の比が<math>4:3</math>であるとき、ガムとアメとチョコレートはそれぞれいくつ買いましたか。|ガム:28個・アメ:21個・チョコレート:15個}}
{{一問一答フッタ}}
== 和差算 ==
{{一問一答ヘッダ}}
{{一問一答簡易|問1、大小2つの数があり、和は41、差は13です。それぞれいくつか求めなさい。|大:27・小:14}}
{{一問一答簡易|問2、りんごとみかんの値段は合わせて120円で、りんごはみかんより50円高いです。りんごとみかんはそれぞれいくらか求めなさい。|リンゴ:85円・ミカン:35円}}
{{一問一答簡易|問3、ある小学校の6年生の人数は160人で、女子の人数は男子より14人多いといいます。この小学校の6年生の男子と女子の人数を求めなさい。|男子:73人・女子:87人}}
{{一問一答簡易|問4、ある日の昼の長さは夜の長さより1時間40分長かった。この日の昼の長さと夜の長さを求めなさい。|昼:12時間50分・夜:11時間10分}}
{{一問一答簡易|問5、1から20までの20個の整数から1つ選んだところ、その数と残り19個の数の差は188でした。選んだ数はいくつですか。|11}}
{{一問一答簡易|問6、長方形の土地があり、周りの長さは80mで、横の長さは縦の長さより6m長くなっています。この土地の面積を求めなさい。|391m<sup>2</sup>}}
{{一問一答簡易|1=問7、[[File:Math-drill4.png|left|100px]]左の図で、角DCB=34°、角DCA=27°、角BDC=80°、角ABD=46°です。角DBCの大きさを求めなさい。|2=66°}}
{{一問一答フッタ}}
== 過不足算・差集め算 ==
{{一問一答ヘッダ}}
{{一問一答簡易|問1、何人かのグループで、何本かのえんぴつを、1人に8本ずつ分けると38本余り、1人に11本ずつ分けても5本余ります。このグループの人数は何人ですか。|11人}}
{{一問一答簡易|問2、何個かのみかんを、1人に8個ずつ分けると5個余り、1人に10個ずつ分けると9個不足します。みかんはいくつありますか。|61個}}
{{一問一答簡易|問3、何個かのあめを、1人に9個ずつ配ると14個余り、1人に13個ずつ配ろうとすると、1人には9個しか配れず、2人は1個ももらえません。あめはいくつありますか。|113個}}
{{一問一答簡易|問4、あるケーキ屋さんではチョコレートケーキよりもチーズケーキのほうが60円高いです。太郎くんはチョコレートケーキとチーズケーキを合計20個買うつもりでこのお店に行きましたが、買う個数を予定とあべこべにして注文してしまいました。その結果本来1円も余らない予定だったのに太郎くんの手元には360円残っています。もともとケーキはそれぞれいくつ買うつもりでしたか。|チョコレートケーキ7個、チーズケーキ13個}}
{{一問一答フッタ}}
== 比と割合 ==
次の問いに答えなさい。
{{一問一答ヘッダ}}
{{一問一答簡易|問1、<math>A:B=5:3</math>、<math>B:C=4:7</math>のとき、<math>A:B:C</math>を求めなさい。|<math>A:B:C=20:12:21</math>}}
{{一問一答簡易|問2、<math>D:E=8:3</math>、<math>D:F=12:5</math>のとき、<math>D:E:F</math>を求めなさい。|<math>D:E:F=24:9:10</math>}}
{{一問一答簡易|問3、兄と弟で、取り分が<Math>3:2</math>になるように1000円を分けます。それぞれ何円になりますか。|兄600円、弟400円}}
{{一問一答簡易|問4、PさんとQさんの所持金の比は<math>7:5</math>でしたが、PさんがQさんに100円渡したので、PさんとQさんの所持金の比は<math>4:3</math>になりました。初めの2人の所持金はそれぞれいくらですか。|P4900円、Q3500円}}
{{一問一答簡易|問5、もともと兄と弟の貯金の比は<math>3:5</math>でしたが、兄は600円貯金し弟は300円引き出したので兄と弟の貯金の比は<math>3:4</math>になりました。もともと兄と弟の貯金はそれぞれいくらでしたか。|兄3300円、弟5500円}}
{{一問一答簡易|問6、ある地区では、男性の虫歯のある人とない人の人数の比は3:2で、女性の虫歯のある人とない人の人数の比は5:4で、男性と女性の人数の比は4:3です。この地区全体での虫歯のある人とない人の人数の比を求めなさい。|61:44}}
{{一問一答フッタ}}
== 平均 ==
{{一問一答ヘッダ}}
{{一問一答フッタ}}
== 速さ ==
{{一問一答ヘッダ}}
{{一問一答簡易|問1、AとBが歩いた道のりの比は<math>4:3</math>で、時間の比は<math>3:5</math>のとき、AとBの速さの比を求めなさい。|<math>20:9</math>}}
{{一問一答簡易|問2、(1)兄が6歩で歩く距離を弟は5歩で歩きます。また、兄が4歩 歩く間に、弟は3歩 歩きます。兄と弟の歩く速さの比を求めなさい。
:(2)弟が200歩先に歩いてから兄がそのあとを追いかけます。何歩で追いつきますか。|(1)<math>10:9</math> (2)1620歩}}
{{一問一答簡易|問3、長さ80m、時速72kmの電車Aと、長さ100m、時速54kmの電車Bがあります。
:(1)電車Aが立っている人の前を通り過ぎるのに何秒かかりますか。
:(2)電車Bが長さ400mの鉄橋を通りすぎるのに何秒かかりますか。
:(3)電車AとBが反対方向に走っています。すれちがうのに何秒かかりますか。
:(4)電車AとBが同じ方向に走っています。AがBを追い抜くのに何秒かかりますか。|(1)4秒 (2)33<math>\frac{1}{3}</math>秒 (3)5<math>\frac{1}{7}</math>秒 (4)4秒}}
{{一問一答簡易|問4、3時40分に時計の長針と短針が作る小さいほうの角の大きさは何度ですか。|130°}}
{{一問一答簡易|問5、4時から5時の間で、
:(1)時計の長針と短針が重なるのは4時何分ですか。
:(2)時計の長針と短針が反対方向に一直線になるのは4時何分ですか。
:(3)時計の長針と短針の間の角が時計の中心と「6」の目盛りを結ぶ直線で2等分されるのは4時何分ですか。|(1)4時21<math>\frac{9}{11}</math>分 (2)4時54<math>\frac{6}{11}</math>分 (3)4時36<math>\frac{12}{13}</math>分}}
{{一問一答フッタ}}
== 食塩水の問題 ==
{{一問一答ヘッダ}}
{{一問一答簡易|問1、150gの水に、10gの水を溶かして作った食塩水があります。濃度を求めなさい(小数第2位を四捨五入しなさい)。|6.3%}}
{{一問一答簡易|問2、12%の食塩水100gに、水を加えて8%の食塩水を作りました。加えた水の量を求めなさい。|50g}}
{{一問一答簡易|問3、10%の食塩水400gに、食塩を加えて20%の食塩水を作りました。加えた食塩は何gですか。|50g}}
{{一問一答簡易|問4、9%の食塩水200gと、16%の食塩水150gを混ぜると何%の食塩水ができますか。|12%}}
{{一問一答簡易|問5、5%の食塩水と、13%の食塩水を混ぜたところ、10%の食塩水が400gできました。それぞれ何gずつ混ぜましたか。|5%の食塩水150g、13%の食塩水250g}}
{{一問一答簡易|問6、食塩水AとBを1:3の比で混ぜると14%の食塩水になり、2:1の比で混ぜると9%になります。このとき、3:1の比で混ぜると何%になりますか。|8%(Aは5%、Bは17%)}}
{{一問一答簡易|問7、容器A,B,Cに、それぞれ5%,10%,15%の食塩水200gが入っています。いま、Aから100gをBに入れ、次にBから100gをCに入れ、最後にCから100gをAに入れました。この操作でできた容器Aの食塩水の濃度を求めなさい(小数第2位を四捨五入しなさい)。|7.9%}}
{{一問一答簡易|問8、容器Aには7%の食塩水が400g、容器Bには12%の食塩水が300g入っています。いま、それぞれの容器から同じ量だけ食塩水を取り出して、同時に入れ替えたところ、Aの濃度は10%、Bの濃度は<math>\Box</math>%になりました。|8}}
{{一問一答簡易|問9、アルコールが120g入っている容器Aと、水が240g入っている容器Bがあります。それぞれの容器から<math>\Box</math>gだけアルコールや水を取り出して、同時に入れ替えたところ、2つの容器のアルコール水のアルコールの濃度が等しくなりました。|80}}
{{一問一答フッタ}}
== 売買の問題 ==
{{一問一答ヘッダ}}
{{一問一答フッタ}}
== 消去算 ==
{{一問一答ヘッダ}}
{{一問一答簡易|問1、えんぴつ3本と消しゴム4個で370円、えんぴつ5本と消しゴム3個で470円です。えんぴつ1本と消しゴム1個の値段をそれぞれ求めなさい。|えんぴつ70円、消しゴム40円}}
{{一問一答簡易|問2、りんご4個とみかん7個で710円で、りんご1個はみかん1個より40円高いです。りんご1個とみかん1個の値段をそれぞれ求めなさい。|りんご90円、みかん50円}}
{{一問一答簡易|問3、昨日A君とB君は2人合わせて6時間勉強しました。今日、A君は勉強時間を20%増やして、B君は勉強時間を20%減らしたので2人の勉強時間は合わせて6時間8分となりました。今日はそれぞれ何時間勉強しましたか。|A4時間、B2時間8分}}
{{一問一答簡易|問4、2つのお茶C,Dがあり、Cを3kgとDを2kg混ぜると1kgあたりの値段は1640円になり、Cを2kgとDを3kg混ぜると1kgあたりの値段は1560円になります。C1kg、D1kgの値段はそれぞれ何円ですか。|C1800円、D1400円}}
{{一問一答フッタ}}
== 数の性質 ==
=== 整数問題 ===
{{一問一答ヘッダ}}
{{一問一答簡易|問1、5けたの整数 <math>592\Box 7</math>は9の倍数です。 <math>\Box</math>に入る数は何ですか。 |4}}
{{一問一答簡易|問2、6けたの整数 7A2B4C が (1)999の倍数である (2)7でも11でも13でも割り切れる とき、A,B,Cの数の組を求めなさい。|(1)(A,B,C)=(5,2,7) (2)(A,B,C)=(4,7,2)}}
{{一問一答簡易|問3、<math>A \times A=529,B \times B=3481,C \times C \times C=5832</math>です。A,B,Cはそれぞれいくらですか。|A=23,B=59,C=18}}
{{一問一答簡易|問4、<math>1\times2\times3\times</math>…<Math>\times1000</math>について、 <br>(1)7で何回割り切れますか。<br>(2)一の位から数えて、0はいくつ続きますか。|(1)164回 (2)249個}}
{{一問一答簡易|問5、みかん112個、りんご86個、バナナ47本を(ア)人で分けたところ、どれも(イ)個余りました。アとイに入る数を求めなさい。|ア:13 イ:8}}
{{一問一答簡易|問6、1個136円のりんご、1個119円のなし、1個88円のかき、1個51円のみかんをそれぞれ何個か買ったところ、1216円になりました。かきはいくつ買いましたか。|3個 解説は[[算数演習 中学受験版/解説|こちら]]}}
{{一問一答簡易|問7、1から500までの整数について、
:(1)3でも4でも割り切れるもの
:(2)3でも4でも割り切れないもの
:はいくつありますか。|(1)41個 (2)250個}}
{{一問一答簡易|問8、(1)7でわると2あまり、11でわると4あまる最小の整数を求めなさい。
:(2)8をたすと11で割り切れ、10をたすと13で割り切れる最小の整数を求めなさい。
:(3)16をたすと61で割り切れ、61をたすと16で割り切れる最小の整数を求めなさい。|(1)37 (2)146 (3)899}}
{{一問一答簡易|問9、3の倍数と4の倍数を並べた数列「3,4,6,8,9,12,15,16,…」があります。100番目の数は何ですか。|200}}
{{一問一答簡易|問10、95個の分数 <math>\frac{1}{96},\frac{2}{96},\frac{3}{96} \cdot \cdot \cdot,\frac{95}{96}</math>があります。このうち、これ以上約分できないものをすべて足すといくつになりますか。|16}}
{{一問一答フッタ}}
=== 数の範囲 ===
{{一問一答ヘッダ}}
{{一問一答簡易|問1、A市の人口を千の位までの{{ruby|概数|がいすう}} で表すと、83000人となります。また、B市の人口を千の位までの概数で表すと、49000人となります。A市の人口とB市の人口の実際の合計は何人以上何人未満ですか。|131000人以上133000人未満}}
{{一問一答簡易|問2、分母と分子の数の和が100の{{ruby|既約|きやく}}分数(これ以上約分できない分数)があり、この分数を小数第2位で四捨五入すると0.7になります。この分数を求めなさい。|<Math>\frac{41}{59}</math>}}
{{一問一答フッタ}}
=== N進法 ===
{{一問一答ヘッダ}}
{{一問一答簡易|問1、数を次のように表すことにします。
:1:○○○○○○●
:2:○○○○○●○
:3:○○○○○●●
:4:○○○○●○○
:5:○○○○●○●
:6:○○○○●●○
:(1)19を表す記号をかきなさい。
:(2)「●○●○●○●」が表す数は何ですか。
:(3)○●○○●○●+○●●○●●○ の答えを表す記号を書きなさい。
|(1)○○○●○○● (2)85 (3)●○●●○●●}}
{{一問一答簡易|問2、3つの数 4,6,8だけを使ってできる整数を、小さい順に 4,6,8,44,46,48,64,66,68,84,86,88,444,446…と並べていきます。84648は何番目ですか。|181番目}}
{{一問一答簡易|問3、ロッカーに1から順に番号をふろうと思っていますが、「4」は「死」を、「9」は「苦」を連想させるため、この2つの数字を使わずに「1,2,3,5,6,7,…」と番号をふろうと思います。300番目のロッカーの番号は何ですか。|565}}
{{一問一答フッタ}}
== 場合の数 ==
{{一問一答ヘッダ}}
{{一問一答簡易|問1、A、B、C、D、E、Fの6人から、掃除当番を (1)2人 (2)3人 (3)4人 選びます。選び方は何通りありますか。|(1)15通り (2)20通り (3)15通り}}
{{一問一答簡易|問2、G、H、I、J、Kの5人が、一列に並んで写真をとります。次の場合は何通りありますか。
:(1)両端にGとHがくる場合 (2)GとHがとなりあわない場合|(1)12通り (2)72通り}}
{{一問一答簡易|問3、「0」「1」「2」「3」と書かれたカードがそれぞれ1枚ずつあります。これから3枚選んでできる3けたの整数は何通りありますか。|18通り}}
{{一問一答フッタ}}
== 単位の間の関係 ==
{{一問一答ヘッダ}}
{{一問一答簡易|問1、[ ]内の単位に直しなさい。<br>
(1) 3kg[g]
(2)70mm[cm]
(3)240m[km]
(4)530mL[L]
(5)70000cm<sup>2</sup>[m<sup>2</sup>]<br>
(6)5km<sup>2</sup>[<math>a</math>]
(7)9000<math>a</math>[<math>ha</math>]
(8)4000cm<sup>3</sup>[L]
(9)70kg+9000g[kg]<br>
(10)(8km+5500m+250000cm)<math>\times</math>2[m]|(1)3000g
(2)7cm
(3)0.24km
(4)0.53L
(5)7m<sup>2</sup> <br>
(6)50000<math>a</math>
(7)9<math>ha</math>
(8)4L
(9)79kg
(10)31000m}}
{{一問一答簡易|問2、4tまで積みこめるトラックがあります。1俵65kgの米俵を何俵まで積みこめますか。|61俵}}
{{一問一答簡易|問3、100cm<sup>3</sup>で790gの鉄のかたまりがあります。重さ3.16tの鉄の体積は何m<sup>3</sup>ですか。|0.4m<sup>3</sup>}}
{{一問一答簡易|問4、<math>\Box</math>に入る数を書きなさい。
:(1)時速54km=(1)15(2)90|1=問4、<math>\Box</math>に入る数を書きなさい。
:(1)時速54km=分速<math>\Box</math>m
:(2)秒速25m=時速<math>\Box</math>km}}
{{一問一答フッタ}}
== 推論 ==
{{一問一答ヘッダ}}
{{一問一答簡易|問1、あるマンションには、200人が住んでいます。そのうち、大人は145人、男性は117人です。また、子供の女の人は21人です。このとき、男の大人は何人いますか。|83人}}
{{一問一答簡易|問2、次の式で、ABCDEが表す5けたの数を答えなさい。ABCDE×4=EDCBA|21978}}
{{一問一答簡易|問3、あい、かな、さき、たえ、なみの5人が、{{ruby|卓球|たっきゅう}}の総当たり戦をしました。あいは3勝1敗、さきは2勝2敗、たえは1勝3敗、なみは1勝3敗なら、かなは何勝何敗しましたか。|3勝1敗}}
{{一問一答フッタ}}
== 平面図形 ==
{{一問一答ヘッダ}}
{{一問一答簡易|問1、(1)~(3)に適切な数字を入れなさい。
:正九角形について、対角線を(1)本引くことができ、内角の和は(2)度で、外角の和は(3)度です。|(1)27 (2)1260 (3)360}}
{{一問一答簡易|1=問2、[[Math-drill3.png]]左の図で、四角形ABCDは平行四辺形で、AP:PD=3:1、CQ:QD=1:2です。また、BPとAQの交点をRとします。
:(1)BR:RPを求めなさい。
:(2)四角形PRQDの面積は平行四辺形ABCDの何倍ですか。|2=(1)2:1 (2)<math>\frac{5}{24}</math>倍}}{{一問一答フッタ}}
== 立体図形 ==
{{一問一答ヘッダ}}
{{一問一答簡易|問1、[[File:Dual Cube-Octahedron.jpg|200px]]左の図は、1辺の長さが12cmの立方体の各面の中心(対角線の交点)を結んで正八面体を作ったものです。この正八面体の体積を求めなさい。|288cm<sup>3</sup>}}
{{一問一答フッタ}}
== いろいろな問題 ==
{{一問一答ヘッダ}}
{{一問一答簡易|問1、<math>\frac{35}{27}</math>と<math>\frac{28}{9}</math>のどちらを割っても整数になる最大の分数を求めなさい。|<math>\frac{7}{27}</math>}}
{{一問一答簡易|問2、<math>\frac{1}{3}</math>より大きく、<math>\frac{2}{5}</math>より小さい分子が7の分数をすべて求めなさい。|<math>\frac{7}{18},\frac{7}{19},\frac{7}{20}</math>}}
{{一問一答簡易|問3、ある店ではジュース5本の空き{{ruby|瓶|びん}}を店に持っていくと新しいジュースが1本もらえます。
:(1)ジュースを36本買うと最大何本のジュースを飲むことができますか。
:(2)100本のジュースを飲むには最低何本のジュースを買えばいいですか。|(1)44本 (2)81本}}
{{一問一答フッタ}}
== 総合演習 ==
[[中学受験算数演習/総合演習]]
== 解答解説 ==
[[中学受験算数演習/解説]]
== リンク集 ==
:[https://happylilac.net/eikoh/c-ek2017year-ee.html ちびむすドリル] 中学受験算数の問題も扱っています。
:[https://sansu-seijin.jp/ 算数星人のWEB問題集] おもに中学受験算数の図形問題を扱っています。
{{DEFAULTSORT:さんすうえんしゆう}}
[[Category:小学校算数演習|ちゆうかくしゆけんさんすうえんしゆう]]
[[Category:中学受験算数]] | 2019-10-06T11:22:33Z | 2024-03-16T07:12:14Z | [
"テンプレート:Pathnav",
"テンプレート:一問一答ヘッダ",
"テンプレート:一問一答簡易",
"テンプレート:一問一答フッタ"
]
| https://ja.wikibooks.org/wiki/%E4%B8%AD%E5%AD%A6%E5%8F%97%E9%A8%93%E7%AE%97%E6%95%B0/%E6%BC%94%E7%BF%92 |
26,285 | 電磁気学/電磁場/第一類/初等ベクトル解析/ベクトル | ある量が大きさと方向を指定すると決められるとき,その量をベクトル (vector) といい,ここでは太文字 A {\displaystyle \mathbf {A} } などであらわす. 細文字 A = | A | {\displaystyle A=|\mathbf {A} |} はそのベクトルの大きさを示すものとする. いま二つのベクトル a {\displaystyle \mathbf {a} } と b {\displaystyle \mathbf {b} } を考えたとき,その合成ベクトル c {\displaystyle \mathbf {c} } は
であらわされ,その方向と大きさは図A.1のように平行四辺形の法則であたえられる.
このとき,
がなりたつことが容易に確められる. ベクトル A {\displaystyle A} と同じ方向の大きさが 1 {\displaystyle 1} のベクトルを n {\displaystyle \mathbf {n} } とかき, これを単位ベクトルという.すると,
とかくことができる.図A.2 のような直交座標を考えよう.
このとき原典 O {\displaystyle \mathrm {O} } から点 P {\displaystyle \mathrm {P} } に向かってひいたベクトル O P → {\displaystyle {\vec {\mathrm {OP} }}} を位置ベクトルといい, r {\displaystyle \mathbf {r} } とかく.また x , y , z {\displaystyle x,y,z} 軸のそれぞれの方向を向く単位ベクトルを x , y , z {\displaystyle \mathbf {x} ,\mathbf {y} ,\mathbf {z} } であらわすと, 任意のベクトル A {\displaystyle \mathbf {A} } は
とかくことができる.この e x , e y , e z {\displaystyle \mathbf {e_{x}} ,\mathbf {e_{y}} ,\mathbf {e_{z}} } を基本ベクトルという. ここで A x , A y , A z {\displaystyle A_{x},A_{y},A_{z}} はベクトル A {\displaystyle \mathbf {A} } のそれぞれの軸の方向の成分の大きさである. 明らかに
である. | [
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| ある量が大きさと方向を指定すると決められるとき,その量をベクトル (vector) といい,ここでは太文字 A などであらわす.
細文字 A = | A | はそのベクトルの大きさを示すものとする.
いま二つのベクトル a と b を考えたとき,その合成ベクトル c は であらわされ,その方向と大きさは図A.1のように平行四辺形の法則であたえられる. このとき, がなりたつことが容易に確められる.
ベクトル A と同じ方向の大きさが 1 のベクトルを n とかき,
これを単位ベクトルという.すると, とかくことができる.図A.2 のような直交座標を考えよう. このとき原典 O から点 P に向かってひいたベクトル O P → を位置ベクトルといい, r とかく.また x , y , z 軸のそれぞれの方向を向く単位ベクトルを x , y , z であらわすと,
任意のベクトル A は とかくことができる.この e x , e y , e z を基本ベクトルという.
ここで A x , A y , A z はベクトル A のそれぞれの軸の方向の成分の大きさである.
明らかに である. | ある量が大きさと方向を指定すると決められるとき,その量をベクトル (vector) といい,ここでは太文字 <math>\mathbf{A}</math> などであらわす.
細文字 <math>A = |\mathbf{A}|</math> はそのベクトルの大きさを示すものとする.
いま二つのベクトル <math>\mathbf{a}</math> と <math>\mathbf{b}</math> を考えたとき,その合成ベクトル <math>\mathbf{c}</math> は
{{電磁気学/電磁場/第一類/equation|<math>\mathbf{c} = \mathbf{a}+\mathbf{b} = \mathbf{b} + \mathbf{a}</math>}}
であらわされ,その方向と大きさは図A.1のように平行四辺形の法則であたえられる.
[[File:Example.jpg|border|]]
このとき,
{{電磁気学/電磁場/第一類/equation|<math>(\mathbf{a} + \mathbf{b}) + \mathbf{c} = \mathbf{a} + (\mathbf{b} + \mathbf{c})</math>}}
がなりたつことが容易に確められる.
ベクトル <math>A</math> と同じ方向の大きさが <math>1</math> のベクトルを <math>\mathbf{n}</math> とかき,
これを単位ベクトルという.すると,
{{電磁気学/電磁場/第一類/equation|<math>\mathbf{A} = A\mathbf{n}</math>|tag=(A.1)|label=eq:A.1}}
とかくことができる.図A.2 のような直交座標を考えよう.
[[File:Example.jpg|border|]]
このとき原典 <math>\mathrm{O}</math> から点 <math>\mathrm{P}</math> に向かってひいたベクトル <math>\vec{\mathrm{OP}}</math> を位置ベクトルといい,
<math>\mathbf{r}</math> とかく.また <math>x, y, z</math> 軸のそれぞれの方向を向く単位ベクトルを <math>\mathbf{x}, \mathbf{y}, \mathbf{z}</math> であらわすと,
任意のベクトル <math>\mathbf{A}</math> は
{{電磁気学/電磁場/第一類/equation|<math>A = A_x\mathbf{e_x} + A_y\mathbf{e_y} + A_z\mathbf{e_z}</math>|tag=(A.2)|label=eq:A.2}}
とかくことができる.この <math>\mathbf{e_x}, \mathbf{e_y}, \mathbf{e_z}</math> を基本ベクトルという.
ここで <math>A_x, A_y, A_z</math> はベクトル <math>\mathbf{A}</math> のそれぞれの軸の方向の成分の大きさである.
明らかに
{{電磁気学/電磁場/第一類/equation|<math>A = |\mathbf{A}| = \sqrt{A_x^2 + A_y^2 + A_z^2}</math>|tag=(A.3)|label=eq:A.3}}
である.
{{DEFAULTSORT:てんしきかくてんしはたいいちるいしよとうへくとるかいせきへくとる}}
[[カテゴリ:電磁気学|てんしはたいいちるいしよとうへくとるかいせきへくとる]]
[[カテゴリ:ベクトル]] | 2019-10-08T13:09:40Z | 2024-03-16T05:52:28Z | [
"テンプレート:電磁気学/電磁場/第一類/equation"
]
| https://ja.wikibooks.org/wiki/%E9%9B%BB%E7%A3%81%E6%B0%97%E5%AD%A6/%E9%9B%BB%E7%A3%81%E5%A0%B4/%E7%AC%AC%E4%B8%80%E9%A1%9E/%E5%88%9D%E7%AD%89%E3%83%99%E3%82%AF%E3%83%88%E3%83%AB%E8%A7%A3%E6%9E%90/%E3%83%99%E3%82%AF%E3%83%88%E3%83%AB |
26,287 | 電磁気学/電磁場/第一類/真空電磁場の基本法則/場の概念 | 正負にそれぞれ帯電した 2 個の小球が空間にある距離をおいておかれたとき,それらのあいだに引力がはたらく. これによく似た現象として有名な Newton の万有引力の法則がある. 万有引力は物体間の作用を媒介するものは何もなく,直接物体間に力がはたらく遠隔作用によるものであると考えられている. 電気的な力も,万有引力の場合とおなじく,遠隔作用によるものであると解釈する立場がある. 一方電気的作用にたいして,次のような比喩による描像をえがくことも可能であろう. いま容器に水銀をみたし,その上に適当なガラス球を 2 個うかべたとしよう. それぞれのガラス球のまわりの水銀表面は,ガラス球の重さのためゆがんでいる. これらのガラス球を近づけると,それらは水銀の表面張力のために引きつけられ,たがいに接触するにいたるであろう. このとき,もし水銀をみることができないとすれば,われわれはこのガラス球間には引力がはたらいていると考えるであろう. 真空内に帯電体球をおいたときも同様に,そのまわりの真空中にはある種のゆがみを生じ,そのゆがみが真空中に伝わることにより,帯電体間に引力をひきおこすと考えるのである. このように真空中のゆがみを媒介として電気的作用が伝わるという考え方が近接作用の立場である.
物理学の目的は物理的現象を正確に記述することであるという考え方があるが, 近接作用の立場は単に自然現象を記述するにとどまらず, どのようにして帯電体球のあいだに力がはたらくかという‘からくり’にまでたちいる点で説得力をもつという利点がある. しかしこのような模型的な解釈が,かならずしも正しいとはいえないことは後にくわしくのべる. これらの二つのいずれの立場にたつにしても,それぞれの立場で電気的現象を記述したとき, それからえられる物理的結論がまったく同等であるならば, いずれの立場をとるかは単に各自の趣味の問題にすぎず, 物理学的見地からは二つの立場はまったく同等である. しかしながら,もしそれらの立場からみちびかれる結論に,何らかの相違があるときには,実験事実がそれらのあいだの優劣を決定してくれるであろう.
真空中に帯電体球が孤立している場合を考えてみよう. 遠隔作用の立場では,帯電体球のまわりの真空はそれがないときと比べて何の変わりもない. 他の帯電体があらわれたとき,はじめてそれに対して作用をおよぼす. したがって,孤立した帯電体球をはげしく振動させても,そのまわりの真空中には何事もおきようはない. 近接作用の立場にたつと,事情は一変する. このときは,ほかに帯電体があるなしにかかわらず,孤立した帯電体球のまわりの真空はゆがんだ状態にある. 水銀にうかべたガラス球に例をとるなら,孤立したガラス球のまわりの水銀表面は,他のガラス球のあるなしにかかわらず,ゆがんだ状態にある. このガラス球をはげしく振動させてみよう.明らかに,水銀表面のゆがみは波動として水銀面上を伝播していくであろう. そして,じゅうぶん遠方にある他のガラス球を振動させるであろう. 同様に帯電体を真空中ではげしく振動させると,そのまわりの真空のゆがみは波動として真空中を伝播していく可能性がある. この結論は近接作用特有のものであって,遠隔作用の立場からはでてこない. 上にのべた真空中を伝播する波動こそ実にわれわれのよく知っている電磁波なのである. したがって現在ではこれらの二つの立場の優劣はきわめて明らかであるから,ここではもっぱら近接作用の立場から電磁気の理論を解説する.
近接作用の立場をとるとき,ただちに問題になるのは,真空の‘ゆがみ’とはないか,ということである. 水銀面上のゆがみの場合はそれを純力学的効果とみなすことができる. 電気的作用の場合には,何もない空虚な空間すなわち真空がゆがむというのである. ‘ゆがみ’を考えるためには,それを生ずる母体の存在を予想せざるをえない. Newton 力学万能の 19 世紀前半の物理学者は,いわゆる力学的自然観にもとづいて,‘ゆがむもの’の存在を仮定することにより, 電気的現象を Newton 力学の問題に還元しようとこころみた.すなわち‘真空’と考えられている空間は, 人間の五感ではその存在を感知することのできないある種の力学的性質をもつ物質によりみたされていると考えた. この物質を エーテル(ether) となづける.このエーテルの力学的振動が電磁波であるとするのである. しかし不幸にして,このような試みはまったく失敗におわったのである.
自然現象にたいしてある種の模型をつくり,それにもとづいて現象を解釈することは,その研究の所期の段階においてはきわめて有効な場合が多いが, その模型にとらわれてしまうと,往々にしてその現象の本質が見失われてしまうことはよくあることである. 上の失敗はエーテルの検出という問題によって,決定的に明らかにされた. 宇宙がエーテルなるものによってみたされているならば,そのエーテルの静止している空間を絶対静止の空間と考えることができるであろう. 絶対静止のエーテルが実在するものならば,それを物理的現象によって検出することができるはずである. その方法の一つとして,エーテルに対する地球の絶対速度の測定があげられる. 電磁波(光波といってもよい)はエーテルに対して光速度で伝播するから,エーテルに対して運動している地球上からみると, 光の速さはその方向により異なってくるはずである. この相違を検出することにより,地球のエーテルに対する絶対速度を知ることができ, それはまたエーテルの実在を検証するものと考えられる. しかるに,あらゆる努力にもかかわらず,地球のエーテルに対する絶対運動を検出することはできなかった. 絶対静止のエーテルの存在は否定された.これがきっかけとなって,かの有名な特殊相対論がつくられたのである. 電気的現象を力学的に解釈しようという試みは,20 世紀初頭において,まったくすてさられた.
電気的現象を力学的模型により説明することができないということがはっきりしたいま, われわれは近接作用による真空のゆがみというものをどのように理解したらよいであろうか. 手がかりは真空という言葉にある. その言葉の示す意味から,われわれは‘真空’を何もない空虚なひろがりのみをもつ数学的な 3 次元空間と考えがちである. しかし,われわれのまわりにひろがる真空空間が,そのような空虚な何も物理的性質ももたないものであるという先験的な理由はまったくない. 一見無にすぎない真空空間がおもいがけない物理的性質をもつか否かは,実験によりはじめてたしかめられるものであって,はじめから無にすぎないと考えることは,まったく独断にすぎないというべきであろう. むしろ電気的現象は物理的真空の性質の一端を解明する手がかりをあたえたものと考えるべきであって,何もない真空に‘ゆがみ’ができるわけがないという考え方は,真空がまったく物理的性質をもたない空虚なものであるという先入観にわざわいされているのである. くりかえしていうと,われわれの真空空間は物理的な真空空間であって,その性質は実験によってのみたしかめられる. 現在の時点において,自然記述のもっとも基礎的理論であると考えられている場の量子論においては,電気的現象のみならず,物質を構成する素粒子さえもが,物理的真空における波動現象としてとらえられており,真空は空虚どころか背負いきれぬほどの複雑な性質をもつものと考えられる.
帯電体が物理的真空にあるとき,物理的真空自身の性質によって,そこに物理変化を生ずる. この変化の空間的分布を電場(electric field) という. 電場を記述するには,ある時刻 t {\displaystyle t} のある場所(その座標を x , y , z {\displaystyle x,y,z} であらわす)における物理的変化の大きさ,すなわち電場の強さをあらわす量 E ( x , y , z , t ) {\displaystyle \mathbf {E} (x,y,z,t)} をもいちる(以下においては x , y , z {\displaystyle x,y,z} をまとめて x {\displaystyle \mathbf {x} } であらわし, E ( x , y , z , t ) {\displaystyle \mathbf {E} (x,y,z,t)} を E ( x , t ) {\displaystyle \mathbf {E} (\mathbf {x} ,t)} と略記する.注意すべきことは, E ( x , t ) {\displaystyle \mathbf {E} (\mathbf {x} ,t)} は x {\displaystyle \mathbf {x} } なるベクトルの関数ということではなく, x , y , z {\displaystyle x,y,z} を独立変数とする関数であることである.). この E ( x , t ) {\displaystyle \mathbf {E} (\mathbf {x} ,t)} は 3 次元空間におけるベクトル量であり,空間のすべての点 x {\displaystyle \mathbf {x} } において定義される. したがって,空間内に適当な表面を考えると,その面上の各点においてベクトル E ( x , t ) {\displaystyle \mathbf {E} (\mathbf {x} ,t)} があたえられて,それらを矢じるしであらわすと,あたかも麦畑のような図ができるので,これを場 (field) となづけた. 時間とともに,その矢じるしの方向と大きさが変化するさまは,麦の穂が風にそよぐ様子に似ている. 念のため注意しておくが,上の x {\displaystyle \mathbf {x} } は空間の各点の場所を指示するパラメーターであって,物理量ではない. 質点の力学において,粒子の位置を同じ x {\displaystyle \mathbf {x} } という文字でかくことがあるが,このときの x {\displaystyle \mathbf {x} } は時間 t {\displaystyle t} をパラメーターとして,粒子の位置という物理量 x ( t ) {\displaystyle \mathbf {x} (t)} という物理量を示すもので,上記の場所を指定するパラメーター x {\displaystyle \mathbf {x} } と混同してはならない. E ( x , t ) {\displaystyle \mathbf {E} (\mathbf {x} ,t)} は空間内の各点 x {\displaystyle \mathbf {x} } において,それぞれあたえられる物理量であるから, x {\displaystyle \mathbf {x} } が連続的数値をとりうることに対応して,場 E ( x , t ) {\displaystyle \mathbf {E} (\mathbf {x} ,t)} は連続無限の自由度をもつ物理的体験を表現するものであると考えられる.この章においては,物理量である電磁場がどのように決定されるかという基本法則をあたえる. | [
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"text": "正負にそれぞれ帯電した 2 個の小球が空間にある距離をおいておかれたとき,それらのあいだに引力がはたらく. これによく似た現象として有名な Newton の万有引力の法則がある. 万有引力は物体間の作用を媒介するものは何もなく,直接物体間に力がはたらく遠隔作用によるものであると考えられている. 電気的な力も,万有引力の場合とおなじく,遠隔作用によるものであると解釈する立場がある. 一方電気的作用にたいして,次のような比喩による描像をえがくことも可能であろう. いま容器に水銀をみたし,その上に適当なガラス球を 2 個うかべたとしよう. それぞれのガラス球のまわりの水銀表面は,ガラス球の重さのためゆがんでいる. これらのガラス球を近づけると,それらは水銀の表面張力のために引きつけられ,たがいに接触するにいたるであろう. このとき,もし水銀をみることができないとすれば,われわれはこのガラス球間には引力がはたらいていると考えるであろう. 真空内に帯電体球をおいたときも同様に,そのまわりの真空中にはある種のゆがみを生じ,そのゆがみが真空中に伝わることにより,帯電体間に引力をひきおこすと考えるのである. このように真空中のゆがみを媒介として電気的作用が伝わるという考え方が近接作用の立場である.",
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| 正負にそれぞれ帯電した 2 個の小球が空間にある距離をおいておかれたとき,それらのあいだに引力がはたらく.
これによく似た現象として有名な Newton の万有引力の法則がある.
万有引力は物体間の作用を媒介するものは何もなく,直接物体間に力がはたらく遠隔作用によるものであると考えられている.
電気的な力も,万有引力の場合とおなじく,遠隔作用によるものであると解釈する立場がある.
一方電気的作用にたいして,次のような比喩による描像をえがくことも可能であろう.
いま容器に水銀をみたし,その上に適当なガラス球を 2 個うかべたとしよう.
それぞれのガラス球のまわりの水銀表面は,ガラス球の重さのためゆがんでいる.
これらのガラス球を近づけると,それらは水銀の表面張力のために引きつけられ,たがいに接触するにいたるであろう.
このとき,もし水銀をみることができないとすれば,われわれはこのガラス球間には引力がはたらいていると考えるであろう.
真空内に帯電体球をおいたときも同様に,そのまわりの真空中にはある種のゆがみを生じ,そのゆがみが真空中に伝わることにより,帯電体間に引力をひきおこすと考えるのである.
このように真空中のゆがみを媒介として電気的作用が伝わるという考え方が近接作用の立場である. 物理学の目的は物理的現象を正確に記述することであるという考え方があるが,
近接作用の立場は単に自然現象を記述するにとどまらず,
どのようにして帯電体球のあいだに力がはたらくかという‘からくり’にまでたちいる点で説得力をもつという利点がある.
しかしこのような模型的な解釈が,かならずしも正しいとはいえないことは後にくわしくのべる.
これらの二つのいずれの立場にたつにしても,それぞれの立場で電気的現象を記述したとき,
それからえられる物理的結論がまったく同等であるならば,
いずれの立場をとるかは単に各自の趣味の問題にすぎず,
物理学的見地からは二つの立場はまったく同等である.
しかしながら,もしそれらの立場からみちびかれる結論に,何らかの相違があるときには,実験事実がそれらのあいだの優劣を決定してくれるであろう. 真空中に帯電体球が孤立している場合を考えてみよう.
遠隔作用の立場では,帯電体球のまわりの真空はそれがないときと比べて何の変わりもない.
他の帯電体があらわれたとき,はじめてそれに対して作用をおよぼす.
したがって,孤立した帯電体球をはげしく振動させても,そのまわりの真空中には何事もおきようはない.
近接作用の立場にたつと,事情は一変する.
このときは,ほかに帯電体があるなしにかかわらず,孤立した帯電体球のまわりの真空はゆがんだ状態にある.
水銀にうかべたガラス球に例をとるなら,孤立したガラス球のまわりの水銀表面は,他のガラス球のあるなしにかかわらず,ゆがんだ状態にある.
このガラス球をはげしく振動させてみよう.明らかに,水銀表面のゆがみは波動として水銀面上を伝播していくであろう.
そして,じゅうぶん遠方にある他のガラス球を振動させるであろう.
同様に帯電体を真空中ではげしく振動させると,そのまわりの真空のゆがみは波動として真空中を伝播していく可能性がある.
この結論は近接作用特有のものであって,遠隔作用の立場からはでてこない.
上にのべた真空中を伝播する波動こそ実にわれわれのよく知っている電磁波なのである.
したがって現在ではこれらの二つの立場の優劣はきわめて明らかであるから,ここではもっぱら近接作用の立場から電磁気の理論を解説する. 近接作用の立場をとるとき,ただちに問題になるのは,真空の‘ゆがみ’とはないか,ということである.
水銀面上のゆがみの場合はそれを純力学的効果とみなすことができる.
電気的作用の場合には,何もない空虚な空間すなわち真空がゆがむというのである.
‘ゆがみ’を考えるためには,それを生ずる母体の存在を予想せざるをえない.
Newton 力学万能の 19 世紀前半の物理学者は,いわゆる力学的自然観にもとづいて,‘ゆがむもの’の存在を仮定することにより,
電気的現象を Newton 力学の問題に還元しようとこころみた.すなわち‘真空’と考えられている空間は,
人間の五感ではその存在を感知することのできないある種の力学的性質をもつ物質によりみたされていると考えた.
この物質を エーテル(ether) となづける.このエーテルの力学的振動が電磁波であるとするのである.
しかし不幸にして,このような試みはまったく失敗におわったのである. 自然現象にたいしてある種の模型をつくり,それにもとづいて現象を解釈することは,その研究の所期の段階においてはきわめて有効な場合が多いが,
その模型にとらわれてしまうと,往々にしてその現象の本質が見失われてしまうことはよくあることである.
上の失敗はエーテルの検出という問題によって,決定的に明らかにされた.
宇宙がエーテルなるものによってみたされているならば,そのエーテルの静止している空間を絶対静止の空間と考えることができるであろう.
絶対静止のエーテルが実在するものならば,それを物理的現象によって検出することができるはずである.
その方法の一つとして,エーテルに対する地球の絶対速度の測定があげられる.
電磁波(光波といってもよい)はエーテルに対して光速度で伝播するから,エーテルに対して運動している地球上からみると,
光の速さはその方向により異なってくるはずである.
この相違を検出することにより,地球のエーテルに対する絶対速度を知ることができ,
それはまたエーテルの実在を検証するものと考えられる.
しかるに,あらゆる努力にもかかわらず,地球のエーテルに対する絶対運動を検出することはできなかった.
絶対静止のエーテルの存在は否定された.これがきっかけとなって,かの有名な特殊相対論がつくられたのである.
電気的現象を力学的に解釈しようという試みは,20 世紀初頭において,まったくすてさられた. 電気的現象を力学的模型により説明することができないということがはっきりしたいま,
われわれは近接作用による真空のゆがみというものをどのように理解したらよいであろうか.
手がかりは真空という言葉にある.
その言葉の示す意味から,われわれは‘真空’を何もない空虚なひろがりのみをもつ数学的な 3 次元空間と考えがちである.
しかし,われわれのまわりにひろがる真空空間が,そのような空虚な何も物理的性質ももたないものであるという先験的な理由はまったくない.
一見無にすぎない真空空間がおもいがけない物理的性質をもつか否かは,実験によりはじめてたしかめられるものであって,はじめから無にすぎないと考えることは,まったく独断にすぎないというべきであろう.
むしろ電気的現象は物理的真空の性質の一端を解明する手がかりをあたえたものと考えるべきであって,何もない真空に‘ゆがみ’ができるわけがないという考え方は,真空がまったく物理的性質をもたない空虚なものであるという先入観にわざわいされているのである.
くりかえしていうと,われわれの真空空間は物理的な真空空間であって,その性質は実験によってのみたしかめられる.
現在の時点において,自然記述のもっとも基礎的理論であると考えられている場の量子論においては,電気的現象のみならず,物質を構成する素粒子さえもが,物理的真空における波動現象としてとらえられており,真空は空虚どころか背負いきれぬほどの複雑な性質をもつものと考えられる. 帯電体が物理的真空にあるとき,物理的真空自身の性質によって,そこに物理変化を生ずる.
この変化の空間的分布を電場(electric field) という.
電場を記述するには,ある時刻 t のある場所における物理的変化の大きさ,すなわち電場の強さをあらわす量 E をもいちる.
この E は 3 次元空間におけるベクトル量であり,空間のすべての点 x において定義される.
したがって,空間内に適当な表面を考えると,その面上の各点においてベクトル E があたえられて,それらを矢じるしであらわすと,あたかも麦畑のような図ができるので,これを場 (field) となづけた.
時間とともに,その矢じるしの方向と大きさが変化するさまは,麦の穂が風にそよぐ様子に似ている.
念のため注意しておくが,上の x は空間の各点の場所を指示するパラメーターであって,物理量ではない.
質点の力学において,粒子の位置を同じ x という文字でかくことがあるが,このときの x は時間 t をパラメーターとして,粒子の位置という物理量 x という物理量を示すもので,上記の場所を指定するパラメーター x と混同してはならない. E は空間内の各点 x において,それぞれあたえられる物理量であるから, x が連続的数値をとりうることに対応して,場 E は連続無限の自由度をもつ物理的体験を表現するものであると考えられる.この章においては,物理量である電磁場がどのように決定されるかという基本法則をあたえる. | 正負にそれぞれ帯電した 2 個の小球が空間にある距離をおいておかれたとき,それらのあいだに引力がはたらく.
これによく似た現象として有名な Newton の万有引力の法則がある.
万有引力は物体間の作用を媒介するものは何もなく,直接物体間に力がはたらく<strong>遠隔作用</strong>によるものであると考えられている.
電気的な力も,万有引力の場合とおなじく,遠隔作用によるものであると解釈する立場がある.
一方電気的作用にたいして,次のような比喩による描像をえがくことも可能であろう.
いま容器に水銀をみたし,その上に適当なガラス球を 2 個うかべたとしよう.
それぞれのガラス球のまわりの水銀表面は,ガラス球の重さのためゆがんでいる.
これらのガラス球を近づけると,それらは水銀の表面張力のために引きつけられ,たがいに接触するにいたるであろう.
このとき,もし水銀をみることができないとすれば,われわれはこのガラス球間には引力がはたらいていると考えるであろう.
真空内に帯電体球をおいたときも同様に,そのまわりの真空中にはある種のゆがみを生じ,そのゆがみが真空中に伝わることにより,帯電体間に引力をひきおこすと考えるのである.
このように真空中のゆがみを媒介として電気的作用が伝わるという考え方が<strong>近接作用</strong>の立場である.
物理学の目的は物理的現象を正確に記述することであるという考え方があるが,
近接作用の立場は単に自然現象を記述するにとどまらず,
どのようにして帯電体球のあいだに力がはたらくかという‘からくり’にまでたちいる点で説得力をもつという利点がある.
しかしこのような模型的な解釈が,かならずしも正しいとはいえないことは後にくわしくのべる.
これらの二つのいずれの立場にたつにしても,それぞれの立場で電気的現象を記述したとき,
それからえられる物理的結論がまったく同等であるならば,
いずれの立場をとるかは単に各自の趣味の問題にすぎず,
物理学的見地からは二つの立場はまったく同等である.
しかしながら,もしそれらの立場からみちびかれる結論に,何らかの相違があるときには,実験事実がそれらのあいだの優劣を決定してくれるであろう.
真空中に帯電体球が孤立している場合を考えてみよう.
遠隔作用の立場では,帯電体球のまわりの真空はそれがないときと比べて何の変わりもない.
他の帯電体があらわれたとき,はじめてそれに対して作用をおよぼす.
したがって,孤立した帯電体球をはげしく振動させても,そのまわりの真空中には何事もおきようはない.
近接作用の立場にたつと,事情は一変する.
このときは,ほかに帯電体があるなしにかかわらず,孤立した帯電体球のまわりの真空はゆがんだ状態にある.
水銀にうかべたガラス球に例をとるなら,孤立したガラス球のまわりの水銀表面は,他のガラス球のあるなしにかかわらず,ゆがんだ状態にある.
このガラス球をはげしく振動させてみよう.明らかに,水銀表面のゆがみは波動として水銀面上を伝播していくであろう.
そして,じゅうぶん遠方にある他のガラス球を振動させるであろう.
同様に帯電体を真空中ではげしく振動させると,そのまわりの真空のゆがみは波動として真空中を伝播していく可能性がある.
この結論は近接作用特有のものであって,遠隔作用の立場からはでてこない.
上にのべた真空中を伝播する波動こそ実にわれわれのよく知っている電磁波なのである.
したがって現在ではこれらの二つの立場の優劣はきわめて明らかであるから,ここではもっぱら近接作用の立場から電磁気の理論を解説する.
近接作用の立場をとるとき,ただちに問題になるのは,真空の‘ゆがみ’とはないか,ということである.
水銀面上のゆがみの場合はそれを純力学的効果とみなすことができる.
電気的作用の場合には,何もない空虚な空間すなわち真空がゆがむというのである.
‘ゆがみ’を考えるためには,それを生ずる母体の存在を予想せざるをえない.
[[Newton 力学]]万能の 19 世紀前半の物理学者は,いわゆる力学的自然観にもとづいて,‘ゆがむもの’の存在を仮定することにより,
電気的現象を Newton 力学の問題に還元しようとこころみた.すなわち‘真空’と考えられている空間は,
人間の五感ではその存在を感知することのできないある種の力学的性質をもつ物質によりみたされていると考えた.
この物質を <strong>エーテル</strong>(ether) となづける.このエーテルの力学的振動が電磁波であるとするのである.
しかし不幸にして,このような試みはまったく失敗におわったのである.
自然現象にたいしてある種の模型をつくり,それにもとづいて現象を解釈することは,その研究の所期の段階においてはきわめて有効な場合が多いが,
その模型にとらわれてしまうと,往々にしてその現象の本質が見失われてしまうことはよくあることである.
上の失敗はエーテルの検出という問題によって,決定的に明らかにされた.
宇宙がエーテルなるものによってみたされているならば,そのエーテルの静止している空間を絶対静止の空間と考えることができるであろう.
絶対静止のエーテルが実在するものならば,それを物理的現象によって検出することができるはずである.
その方法の一つとして,エーテルに対する地球の絶対速度の測定があげられる.
電磁波(光波といってもよい)はエーテルに対して光速度で伝播するから,エーテルに対して運動している地球上からみると,
光の速さはその方向により異なってくるはずである.
この相違を検出することにより,地球のエーテルに対する絶対速度を知ることができ,
それはまたエーテルの実在を検証するものと考えられる.
しかるに,あらゆる努力にもかかわらず,地球のエーテルに対する絶対運動を検出することはできなかった.
絶対静止のエーテルの存在は否定された.これがきっかけとなって,かの有名な特殊相対論がつくられたのである.
電気的現象を力学的に解釈しようという試みは,20 世紀初頭において,まったくすてさられた.
電気的現象を力学的模型により説明することができないということがはっきりしたいま,
われわれは近接作用による真空のゆがみというものをどのように理解したらよいであろうか.
手がかりは真空という言葉にある.
その言葉の示す意味から,われわれは‘真空’を何もない空虚なひろがりのみをもつ数学的な 3 次元空間と考えがちである.
しかし,われわれのまわりにひろがる真空空間が,そのような空虚な何も物理的性質ももたないものであるという先験的な理由はまったくない.
一見無にすぎない真空空間がおもいがけない物理的性質をもつか否かは,実験によりはじめてたしかめられるものであって,はじめから無にすぎないと考えることは,まったく独断にすぎないというべきであろう.
むしろ電気的現象は物理的真空の性質の一端を解明する手がかりをあたえたものと考えるべきであって,何もない真空に‘ゆがみ’ができるわけがないという考え方は,真空がまったく物理的性質をもたない空虚なものであるという先入観にわざわいされているのである.
くりかえしていうと,われわれの真空空間は物理的な真空空間であって,その性質は実験によってのみたしかめられる.
現在の時点において,自然記述のもっとも基礎的理論であると考えられている場の量子論においては,電気的現象のみならず,物質を構成する素粒子さえもが,物理的真空における波動現象としてとらえられており,真空は空虚どころか背負いきれぬほどの複雑な性質をもつものと考えられる.
帯電体が物理的真空にあるとき,物理的真空自身の性質によって,そこに物理変化を生ずる.
この変化の空間的分布を<strong>電場</strong>(electric field) という.
電場を記述するには,ある時刻 <math>t</math> のある場所(その座標を <math>x, y, z</math> であらわす)における物理的変化の大きさ,すなわち電場の強さをあらわす量 <math>\mathbf{E}(x, y, z, t)</math> をもいちる(以下においては <math>x, y, z</math> をまとめて <math>\mathbf{x}</math> であらわし,<math>\mathbf{E}(x, y, z, t)</math> を <math>\mathbf{E}(\mathbf{x}, t)</math> と略記する.注意すべきことは,<math>\mathbf{E}(\mathbf{x}, t)</math> は <math>\mathbf{x}</math> なるベクトルの関数ということではなく,<math>x, y, z</math> を独立変数とする関数であることである.).
この <math>\mathbf{E}(\mathbf{x}, t)</math> は 3 次元空間におけるベクトル量であり,空間のすべての点 <math>\mathbf{x}</math> において定義される.
したがって,空間内に適当な表面を考えると,その面上の各点においてベクトル <math>\mathbf{E}(\mathbf{x}, t)</math> があたえられて,それらを矢じるしであらわすと,あたかも麦畑のような図ができるので,これを場 (field) となづけた.
時間とともに,その矢じるしの方向と大きさが変化するさまは,麦の穂が風にそよぐ様子に似ている.
念のため注意しておくが,上の <math>\mathbf{x}</math> は空間の各点の場所を指示するパラメーターであって,物理量ではない.
質点の力学において,粒子の位置を同じ <math>\mathbf{x}</math> という文字でかくことがあるが,このときの <math>\mathbf{x}</math> は時間 <math>t</math> をパラメーターとして,粒子の位置という物理量 <math>\mathbf{x}(t)</math> という物理量を示すもので,上記の場所を指定するパラメーター <math>\mathbf{x}</math> と混同してはならない.
<math>\mathbf{E}(\mathbf{x}, t)</math> は空間内の各点 <math>\mathbf{x}</math> において,それぞれあたえられる物理量であるから,<math>\mathbf{x}</math> が連続的数値をとりうることに対応して,場 <math>\mathbf{E}(\mathbf{x}, t)</math> は<strong>連続無限の自由度をもつ物理的体験</strong>を表現するものであると考えられる.この章においては,物理量である電磁場がどのように決定されるかという基本法則をあたえる.
[[カテゴリ:電磁気学]] | null | 2022-11-23T06:30:07Z | []
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26,291 | 小学校英語/3学年 | ※「Let's Try! 1」をもとに作成予定です。「Let's Try! 1」をPDFで見られるサイト:https://web.archive.org/web/20210505193811/http://www.kyokyo-u.ac.jp/eibun/andrew/classes/booklet3_all.pdf
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音声
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No.1
Hello. I'm Olivia. I'm from America.
No.2
JUMBO! I'm Jomo. I'm from Kenya.
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== P.2~P.5 Unit1 Hello! ==
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== Unit2 How are you? ==
== Unit3 How many? ==
== Unit4 I like blue. ==
== Unit5 What do you like? ==
== Unit6 ALPHABET ==
== Unit7 This is for you. ==
* グリーティングカードを作ってみよう
== Unit8 What's this? ==
== Unit9 Who are you? ==
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26,292 | 小学校英語/4学年 | ※「Let's Try! 2」をもとに作成予定です。「Let's Try! 2」をPDFで見られるサイト:http://www.kyokyo-u.ac.jp/eibun/andrew/classes/booklet4_all.pdf | [
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== Unit1 Hello,world! ==
== Unit2 Let's play cards. ==
== Unit3 I like Mondays. ==
== Unit4 What time is it? ==
== Unit5 Do you have a pen? ==
== Unit6 Alphabet ==
== Unit7 What do you want? ==
== Unit8 This is my favorite plase. ==
== Unit9 This is my day. ==
[[カテゴリ:英語]] | null | 2022-11-30T16:10:27Z | []
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26,296 | Wikijunior:環境の問題とヒトの進化/ヒトの起源 | このページでは、ヒトが初めて生まれてきた時(猿人)を説明します。
ヒトの祖先は、チンパンジーやゴリラなどに近い仲間です。チンパンジーなどに近い仲間から分かれて「ヒト」となったのは、約600万年前〜700万年前と考えられています。チンパンジーなどとの大きな違いは、いくつかあります。直立二足歩行をする事です。チンパンジーなどは、4つの足で歩く四足歩行をしますが、ヒトは2本の足で歩くようになりました。
四足歩行のすがたを想像してみてください。体をささえる、4本の足の外に、脳がある頭がありますね。もしも、脳が大きくなれば、体をささえるのに、バランスが悪くなって運動したりするのにこまることがわかると思います。では、二足歩行ではどうでしょう。体をささえる、2本の足のま上に、頭がありますね。この姿勢がたもてるようになれば、脳が大きくなっても、運動にこまることがありません。
こうして、ヒトの脳はだんだんと大きいものになり、たくさんのやったことをおぼえる(記憶する)ことができるようになりました。仲間への合図のさけび声がくりかえされることによって、たとえば、「ライオンを見つけて、仲間とにげるとき」と「えもののシカを見つけて、仲間とおうとき」のように、さけび声をだすときの状況のちがいで、さけび声がちがうようになって、それが記憶され、また、つたえられて言葉・言語になります。
走るのに使わなくなった前足は、物をつかむことで「手」として、物を道具として利用することができるようになりました。
脳の容量は現在の1/3で、大人の身長でも、110cmほどだったと言われています。
まだ尻尾は生えていて、足でものを器用に使えました。今のヒトは、足でものをつかむ必要がなくなったため、足で器用に物をつかめません。皆さんは、足で棒などをしっかりつかめますか?他にも、「虫垂(盲腸の先端)」や、尾骶骨も今では退化し、意味をなさない器官になっています。このような器官を痕跡器官といいます。
アフリカでの乾燥化によって森林が縮小されたことに背景はあり、森林での生活からサバンナの大変な生活に対応するためにヒトがチンパンジーなどから分かれたという説があります。ジャワ原人とか北京原人などの原人がいますが、決してインドネシアや中国が元々の起源ではなく、アフリカが起源だと言われています。
ヒトにも化石はあり、猿人から新人まで幅広くあります。けれど、自分たちのような今を生きる人達とは血がつながっておらず、途中で、ぜつめつしたものと考えられています。
このような気候が挙げられます。現時点ではこれらが分かっています。
ヒトの起源-大人向けの解説本です。 | [
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| このページでは、ヒトが初めて生まれてきた時(猿人)を説明します。 | このページでは、ヒトが初めて生まれてきた時(猿人)を説明します。
==ヒトとはなにか==
ヒトの{{ruby|祖先|そせん}}は、チンパンジーやゴリラなどに近い仲間です。チンパンジーなどに近い仲間から分かれて「ヒト」となったのは、約600万年前〜700万年前と考えられています。チンパンジーなどとの大きな違いは、いくつかあります。'''{{ruby|直立|ちょくりりつ}}{{ruby|二足|にそく}}{{ruby|歩行|ほこう}}'''をする事です。チンパンジーなどは、4つの足で歩く{{ruby|四足|しそく/よんそく}}歩行をしますが、ヒトは2本の足で歩くようになりました。
四足歩行のすがたを{{ruby|想像|そうぞう}}してみてください。体をささえる、4本の足の外に、{{ruby|脳|のう}}がある頭がありますね。もしも、脳が大きくなれば、体をささえるのに、バランスが悪くなって運動したりするのにこまることがわかると思います。では、二足歩行ではどうでしょう。体をささえる、2本の足のま上に、頭がありますね。この{{ruby|姿勢|しせい}}がたもてるようになれば、脳が大きくなっても、運動にこまることがありません。
こうして、ヒトの脳はだんだんと大きいものになり、たくさんのやったことをおぼえる(記憶する)ことができるようになりました。仲間への{{ruby|合図|あいず}}のさけび声がくりかえされることによって、たとえば、「ライオンを見つけて、仲間とにげるとき」と「えもののシカを見つけて、仲間とおうとき」のように、さけび声をだすときの{{ruby|状況|じょうきょう}}のちがいで、さけび声がちがうようになって、それが記憶され、また、つたえられて{{ruby|言葉|ことば}}・{{ruby|言語|げんご}}になります。
走るのに使わなくなった前足は、物をつかむことで「手」として、物を{{ruby|道具|どうぐ}}として利用することができるようになりました。
==この頃のヒトの姿==
脳の容量は現在の1/3で、大人の身長でも、110cmほどだったと言われています。
まだ尻尾は生えていて、足でものを器用に使えました。今のヒトは、足でものをつかむ必要がなくなったため、足で器用に物をつかめません。皆さんは、足で棒などをしっかりつかめますか?他にも、「{{Ruby|虫垂|ちゅうすい}}({{Ruby|盲腸|もうちょう}}の先端)」や、{{Ruby|尾骶骨|びていこつ}}も今では退化し、意味をなさない器官になっています。このような器官を'''痕跡器官'''といいます。
==なぜ進化したのか==
アフリカでの乾燥化によって森林が縮小されたことに背景はあり、森林での生活からサバンナの大変な生活に対応するためにヒトがチンパンジーなどから分かれたという説があります。ジャワ原人とか北京原人などの原人がいますが、決してインドネシアや中国が元々の起源ではなく、アフリカが起源だと言われています。
==ヒトの化石==
ヒトにも化石はあり、猿人から新人まで幅広くあります。けれど、自分たちのような今を生きる人達とは血がつながっておらず、途中で、ぜつめつしたものと考えられています。
==この頃の環境の変化==
*世界的に、'''二酸化炭素'''が減少。
*アフリカの東の方に高地ができた。
*温暖な海水がインド洋にこなくなる。
*赤道直下なのに、熱帯雨林(暑い場所で雨が多く降る森)が出来ない。
*長い時間で比較しても、寒い気候
このような気候が挙げられます。現時点ではこれらが分かっています。
==役に立つリンク集・関連項目==
[https://www.s-yamaga.jp/nanimono/seimei/jinrui-01.htm ヒトの起源]-大人向けの解説本です。
----
*[[Wikijunior:環境の問題とヒトの進化/はじめに|<<戻る:はじめに]]
*[[Wikijunior:環境の問題とヒトの進化/原人と関わっていた自然|>>次へ:原人と関わっていた自然]]
[[Category:環境の問題とヒトの進化 (ウィキジュニア)|ひとのきけん]] | null | 2022-09-16T07:50:14Z | [
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26,306 | 中学受験社会/地理 | Main Page > 小学校・中学校・高等学校の学習 > 中学受験参考書 > 中学受験社会 > 中学受験社会/地理
中学受験社会/地理では、これから中学受験をされる方への地理の教科書をご案内いたします。ご活用ください。 | [
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== 目次 ==
# [[中学受験社会/地理/上巻]]{{進捗|25%|2020-08-29}}
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* 特別な場合 (「ここだけを読みたい」など) を除いて1、2の順にお読みください。
== 関連項目 ==
* [[中学受験社会/歴史]] - 歴史分野です。
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{{カテゴリ準備|中学受験社会|小学校社会|ちゆうかくしゆけんちり|ちり*}} | null | 2020-09-16T07:08:00Z | [
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| https://ja.wikibooks.org/wiki/%E4%B8%AD%E5%AD%A6%E5%8F%97%E9%A8%93%E7%A4%BE%E4%BC%9A/%E5%9C%B0%E7%90%86 |
26,311 | 日本語/品詞/自立語/体言/代名詞 | 代名詞は、文中で、名詞を何度も使用することを避けるために使われる言葉である。
人を表す固有名詞の代わりに使用する言葉。
自分を表す固有名詞の代わりに使用する言葉。<例>私、俺、僕、麿など
聞き手を表す固有名詞の代わりに使用する言葉。 <例>あなた、君、お前など
自分とと聞き手以外の人を表す固有名詞の代わりに使用する言葉。 <例>彼、彼女、あいつ、こいつなど
誰か不明の人を表す固有名詞の代わりに使用する言葉。 <例>どいつ、誰かなど
物を表す固有名詞の代わりに使用する言葉。
話し手にとって近い物事を表す固有名詞の代わりに使用する言葉。 <例>これ、ここ、この
聞き手にとって近い物事を表す固有名詞の代わりに使用する言葉。 <例>それ、そこ、その
話し手、聞き手の両方にとって遠い物事を表す固有名詞の言葉。 <例>あれ、あそこ、あの
不明の物事を表す言葉。 <例>どれ、どこ、どの
人称代名詞においては、時と場に応じて、使う代名詞に変化がある。 | [
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| 代名詞は、文中で、名詞を何度も使用することを避けるために使われる言葉である。 | 代名詞は、文中で、[[日本語/品詞/自立語/体言/名詞|名詞]]を何度も使用することを避けるために使われる言葉である。
==人称代名詞==
人を表す固有名詞の代わりに使用する言葉。
===自称===
自分を表す固有名詞の代わりに使用する言葉。<br><例>私、俺、僕、麿など
===対称===
聞き手を表す固有名詞の代わりに使用する言葉。<br>
<例>あなた、君、お前など
===他称===
自分とと聞き手以外の人を表す固有名詞の代わりに使用する言葉。<br>
<例>彼、彼女、あいつ、こいつなど
===不定称===
誰か不明の人を表す固有名詞の代わりに使用する言葉。<br>
<例>どいつ、誰かなど
==指示代名詞==
物を表す固有名詞の代わりに使用する言葉。
===他称===
====近称====
話し手にとって近い物事を表す固有名詞の代わりに使用する言葉。<br>
<例>これ、ここ、この
====中称====
聞き手にとって近い物事を表す固有名詞の代わりに使用する言葉。<br>
<例>それ、そこ、その
====遠称====
話し手、聞き手の両方にとって遠い物事を表す固有名詞の言葉。<br>
<例>あれ、あそこ、あの
===不定称===
不明の物事を表す言葉。<br>
<例>どれ、どこ、どの
==使い分け==
人称代名詞においては、時と場に応じて、使う代名詞に変化がある。
*公的な場面
わたくし、あなた、彼、彼女
*私的な場面
俺、お前、こいつ
[[カテゴリ:日本語 品詞|たいめいし]] | null | 2022-12-03T13:49:01Z | []
| https://ja.wikibooks.org/wiki/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E8%AA%9E/%E5%93%81%E8%A9%9E/%E8%87%AA%E7%AB%8B%E8%AA%9E/%E4%BD%93%E8%A8%80/%E4%BB%A3%E5%90%8D%E8%A9%9E |
26,312 | Wikijunior:インターネットとの付き合い方 | 皆さんは、インターネットについて考えたことがありますか?小学生の人でも、もうスマートフォンなどを持っている人もいるかと思います。そこで、インターネットやスマホとの付き合い方を考えましょう。
発明と発見の世界
自然界
私たち人間の世界
テストの対策
保護者の皆様の方へ はじめにをご覧ください。
編集者の方々へ このプロジェクトで作業をするときは、子ども向けに作るということを忘れないでください。すべての項目を詳述することよりも、理解されるように書くことのほうが重要です。必要であれば専門用語を使うことは構いませんが、なるべく簡単に書いてください。
また、有志でこのページを編集してくださっている方は「有志編集者」のページにユーザー名を残して下さい。 | [
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| 皆さんは、インターネットについて考えたことがありますか?小学生の人でも、もうスマートフォンなどを持っている人もいるかと思います。そこで、インターネットやスマホとの付き合い方を考えましょう。 | {{ウィキジュニアのスタブ}}
皆さんは、インターネットについて考えたことがありますか?小学生の人でも、もうスマートフォンなどを持っている人もいるかと思います。そこで、インターネットやスマホとの付き合い方を考えましょう。
==目次==
{{進捗状況}}
{{ウィキジュニアの蔵書一覧}}
#[[/タイトルページ|はじめに]]{{進捗|100%|2020-05-07}}
#[[/著作権について|著作権について]](ちょさくけんについて){{進捗|100%|2020-05-07}}
#[[/情報化社会の今|情報化社会のイマ]](じょうほうかしゃかいのいま){{進捗|50%|2020-05-07}}
#[[/スマホの害とトラブル|スマホの害とトラブル]](スマホのがいとトラブル){{進捗|00%|2020-05-07}}
#[[/インターネットとの上手な付き合い方|インターネットとの上手な付き合い方]](インターネットとのじょうずなつきあいかた)
#[[/おわりに|おわりに]]
==役に立つリンク集==
----
'''保護者の皆様の方へ'''<br>
[[/タイトルページ|はじめに]]をご覧ください。
----
'''編集者の方々へ'''<br>
このプロジェクトで作業をするときは、子ども向けに作るということを忘れないでください。すべての項目を詳述することよりも、理解されるように書くことのほうが重要です。必要であれば専門用語を使うことは構いませんが、なるべく簡単に書いてください。
また、有志でこのページを編集してくださっている方は「有志編集者」のページにユーザー名を残して下さい。
[[カテゴリ:インターネット]] | null | 2022-11-20T09:34:05Z | [
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| https://ja.wikibooks.org/wiki/Wikijunior:%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%82%BF%E3%83%BC%E3%83%8D%E3%83%83%E3%83%88%E3%81%A8%E3%81%AE%E4%BB%98%E3%81%8D%E5%90%88%E3%81%84%E6%96%B9 |
26,313 | 小学校音楽 | 小学校の音楽では、音や楽器・歌に親しみ、かんしょうします。 | [
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| 小学校(しょうがっこう)の音楽(おんがく)では、音(おと)や楽器(がっき)・歌(うた)に親(した)しみ、かんしょうします。 | {{Pathnav|小学校・中学校・高等学校の学習|小学校の学習|frame=1}}
{{Ruby|小学校|しょうがっこう}}の{{Ruby|音楽|おんがく}}では、{{Ruby|音|おと}}や{{Ruby|楽器|がっき}}・{{Ruby|歌|うた}}に{{Ruby|親|した}}しみ、かんしょうします。
== {{Ruby|教科書|きょうかしょ}}ほか ==
=== 教科書 ===
* [[小学校音楽/1学年|1ねんせい]] {{進捗|00%|0000–00–00}}
* [[小学校音楽/2学年|2年生]] {{進捗|00%|0000–00–00}}
* [[小学校音楽/3学年|3年生]] {{進捗|00%|0000–00–00}}
* [[小学校音楽/4学年|4年生]] {{進捗|00%|0000–00–00}}
* [[小学校音楽/5学年|5年生]] {{進捗|00%|0000–00–00}}
* [[小学校音楽/6学年|6年生]] {{進捗|00%|0000–00–00}}
{{stub}}
[[Category:音楽]] | null | 2020-08-02T01:25:23Z | [
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"テンプレート:Stub"
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| https://ja.wikibooks.org/wiki/%E5%B0%8F%E5%AD%A6%E6%A0%A1%E9%9F%B3%E6%A5%BD |
26,319 | 電磁気学/電磁場/第一類/初等ベクトル解析/ベクトルのスカラー積 | 2 個のベクトル A {\displaystyle \mathbf {A} } と B {\displaystyle \mathbf {B} } とのスカラー積 (scalar product) A ⋅ B {\displaystyle \mathbf {A} \cdot \mathbf {B} } を,
で定義する.ここで ( A B ) {\displaystyle (AB)} はベクトル A , B {\displaystyle \mathbf {A} ,\mathbf {B} } のあいだの角度である. (A.4) の定義から,
であることがわかる.さきの単位ベクトル e x , e y , e z {\displaystyle \mathbf {e_{x}} ,\mathbf {e_{y}} ,\mathbf {e_{z}} } はその大きさが 1 {\displaystyle 1} で,互いに直交しているから,
である.また
もすぐ証明できる.いまある単位ベクトル n {\displaystyle \mathbf {n} } を考えると
となる.これはベクトル A {\displaystyle \mathbf {A} } の n {\displaystyle \mathbf {n} } 方向の成分の大きさをあらわすから
とかける.さて
であるから, A n {\displaystyle A_{n}} を直角座標系の成分でかくと
となる.また,スカラー積 A ⋅ B {\displaystyle \mathbf {A} \cdot \mathbf {B} } を直角座標系の成分でかくと,(A.5) の性質から
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| 2 個のベクトル A と B とのスカラー積 A ⋅ B を, で定義する.ここで はベクトル A , B のあいだの角度である.
(A.4) の定義から, であることがわかる.さきの単位ベクトル e x , e y , e z はその大きさが 1 で,互いに直交しているから, である.また もすぐ証明できる.いまある単位ベクトル n を考えると となる.これはベクトル A の n 方向の成分の大きさをあらわすから とかける.さて であるから, A n を直角座標系の成分でかくと となる.また,スカラー積 A ⋅ B を直角座標系の成分でかくと,(A.5) の性質から となる. | 2 個のベクトル <math>\mathbf{A}</math> と <math>\mathbf{B}</math> との<strong>スカラー積</strong> (scalar product) <math>\mathbf{A}\cdot\mathbf{B}</math> を,
{{電磁気学/電磁場/第一類/equation|<math>\mathbf{A}\cdot\mathbf{B} = AB\cos(AB)</math>|tag=(A.4)|label=eq:A.4}}
で定義する.ここで <math>(AB)</math> はベクトル <math>\mathbf{A}, \mathbf{B}</math> のあいだの角度である.
[[電磁気学/電磁場/第一類/初等ベクトル解析/ベクトルのスカラー積#eq:A.4|(A.4)]] の定義から,
{{電磁気学/電磁場/第一類/equation|<math>\mathbf{A}\cdot\mathbf{B} = \mathbf{B}\cdot\mathbf{A}</math>}}
であることがわかる.さきの単位ベクトル <math>\mathbf{e_x}, \mathbf{e_y}, \mathbf{e_z}</math> はその大きさが <math>1</math> で,互いに直交しているから,
{{電磁気学/電磁場/第一類/equation|<math>\mathbf{e_x}\cdot\mathbf{e_y} = \mathbf{e_y}\cdot\mathbf{e_z} = \mathbf{e_z}\cdot\mathbf{e_x} = 0,\quad\quad \mathbf{e_x}\cdot\mathbf{e_x} = \mathbf{e_y}\cdot\mathbf{e_y} = \mathbf{e_z}\cdot\mathbf{e_z} = 1</math>|tag=(A.5)|label=eq:A.5}}
である.また
{{電磁気学/電磁場/第一類/equation|<math>(\mathbf{A} + \mathbf{B})\cdot\mathbf{C} = \mathbf{A}\cdot\mathbf{C}+\mathbf{B}\cdot\mathbf{C}</math>|tag=(A.6)|label=eq:A.6}}
もすぐ証明できる.いまある単位ベクトル <math>\mathbf{n}</math> を考えると
{{電磁気学/電磁場/第一類/equation|<math>\mathbf{A}\cdot\mathbf{n} = A\cdot1\cdot\cos(An) = Acos(An)</math>}}
となる.これはベクトル <math>\mathbf{A}</math> の <math>\mathbf{n}</math> 方向の成分の大きさをあらわすから
{{電磁気学/電磁場/第一類/equation|<math>A_n \equiv A\cos(An) = \mathbf{A}\cdot\mathbf{n}</math>|tag=(A.7)|label=eq:A.7}}
とかける.さて
{{電磁気学/電磁場/第一類/equation|<math>A = A_x\mathbf{e_x} + A_y\mathbf{e_y} + A_z\mathbf{e_z}</math>}}
であるから,<math>A_n</math> を直角座標系の成分でかくと
{{電磁気学/電磁場/第一類/equation|<math>A_n = \mathbf{A}\cdot\mathbf{n} = A_x(\mathbf{e_x}\cdot\mathbf{n}) + A_y(\mathbf{e_y}\cdot\mathbf{n}) + A_z(\mathbf{e_z}\cdot\mathbf{n})</math>}}
{{電磁気学/電磁場/第一類/equation|<math>= A_x\cos(e_x n) + A_y\cos(e_y n) + A_z\cos(e_z n)</math>|tag=(A.8)|label=eq:A.8}}
となる.また,スカラー積 <math>\mathbf{A}\cdot\mathbf{B}</math> を直角座標系の成分でかくと,[[電磁気学/電磁場/第一類/初等ベクトル解析/ベクトルのスカラー積#eq:A.5|(A.5)]] の性質から
{{電磁気学/電磁場/第一類/equation|<math>\mathbf{A}\cdot\mathbf{B} = (A_x\mathbf{e_x}+A_y\mathbf{e_y}+A_z\mathbf{ezy})\cdot(B_x\mathbf{e_x}+B_y\mathbf{e_y}+B_z\mathbf{ezy})</math>}}
{{電磁気学/電磁場/第一類/equation|<math>= A_xB_x + A_yB_y + A_zB_z</math>|tag=(A.9)|label=eq:A.9}}
となる.
{{DEFAULTSORT:てんしきかくてんしはたいいちるいしよとうへくとるかいせきへくとるのすからあせき}}
[[カテゴリ:電磁気学|てんしはたいいちるいしよとうへくとるかいせきへくとるのすからあせき]]
[[カテゴリ:ベクトル]] | 2019-10-15T15:53:42Z | 2024-03-16T05:53:26Z | [
"テンプレート:電磁気学/電磁場/第一類/equation"
]
| https://ja.wikibooks.org/wiki/%E9%9B%BB%E7%A3%81%E6%B0%97%E5%AD%A6/%E9%9B%BB%E7%A3%81%E5%A0%B4/%E7%AC%AC%E4%B8%80%E9%A1%9E/%E5%88%9D%E7%AD%89%E3%83%99%E3%82%AF%E3%83%88%E3%83%AB%E8%A7%A3%E6%9E%90/%E3%83%99%E3%82%AF%E3%83%88%E3%83%AB%E3%81%AE%E3%82%B9%E3%82%AB%E3%83%A9%E3%83%BC%E7%A9%8D |
26,326 | ラテン文学の作家と著作/白銀期 | ここでは、古典ラテン文学黄金期に著作を表した作家(Silver Age Latin writers )とその著作について、それぞれ紹介する。
白銀期は、さらに、
などと細分化されることがある。
ラテン語で著作を著わした著名な作家を、時代区分・生没年の順に配列した一覧表。日本語名・ラテン語名・英語名・仏語名ごとにソートすることができるようになっている。
| [
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"text": "ここでは、古典ラテン文学黄金期に著作を表した作家(Silver Age Latin writers )とその著作について、それぞれ紹介する。",
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"text": "などと細分化されることがある。",
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"title": "ガイウス"
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"title": "そのほかの作家"
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]
| null | == はじめに ==
ここでは、古典ラテン文学黄金期に著作を表した作家(''[[:w:en:Category:Silver Age Latin writers|Silver Age Latin writers]]'' )とその著作について、それぞれ紹介する。
白銀期は、さらに、
*帝制前期:トラヤヌス帝の崩御まで(''[[:w:en:Classical_Latin#From the Ides of March to Trajan|From the Ides of March to Trajan]]'')
*帝制中期:マルクス・アウレリウス帝の崩御まで(''[[:w:en:Classical_Latin#Through the death of Marcus Aurelius, 180 AD|Through the death of Marcus Aurelius, 180 AD]]'')
などと細分化されることがある。
=== 著名な作家の一覧 ===
ラテン語で著作を著わした著名な作家を、時代区分・生没年の順に配列した一覧表。<br>日本語名・ラテン語名・英語名・仏語名ごとにソートすることができるようになっている。
{| class="wikitable sortable"
! style="width:3em; font-size:9pt;" |時代<br>区分
! style="width:4em; font-size:9pt;" |生没年
! style="width:9em;" |日本語名!!ラテン語名!!英語名!!仏語名!!全 名!!ジャンル!!代表作!!備 考
|- <!--【大セネカ】-->
| style="font-size:9pt; background-color:lightgray;" |前期
|前54頃-後39頃
| style="font-size:11pt;" |[[w:マルクス・アンナエウス・セネカ|大セネカ]]
| style="font-size:11pt;" |Seneca <br>maior
| style="font-size:10pt;" |[[w:en:Seneca the Elder|Seneca<br> the Elder]]
| style="font-size:11pt;" |[[w:fr:Sénèque l'Ancien|Sénèque<br> l'Ancien]]
| style="font-size:9pt;" |[[w:la:Annaeus Seneca maior|Annaeus <br>Seneca <br>maior]]
|修辞学
|<small>『論争と説得法』</small>
|<small>小セネカの父で、<br>ルーカーヌスの祖父</small>
|- <!--【ポンポーニウス・メラ】-->
| style="font-size:9pt; background-color:lightgray;" |前期
|?-後45頃
| style="font-size:11pt;" |ポンポーニウス<br>・メラ
| style="font-size:11pt;" |Pomponius<br> Mela
| style="font-size:8pt;" |[[w:en:Pomponius Mela|Pomponius<br> Mela]]
| style="font-size:8pt;" |[[w:fr:Pomponius Mela|Pomponius<br> Mela]]
| style="font-size:9pt;" |[[w:la:Pomponius Mela|Pomponius<br> Mela]]
|地誌
|<small>『世界地理』</small>
|
|- <!--【ケルスス】-->
| style="font-size:9pt; background-color:lightgray;" |前期
|前25頃-後50頃
| style="font-size:11pt;" |[[w:アウルス・コルネリウス・ケルスス|ケルスス]]
| style="font-size:13pt;" |Celsus
| style="font-size:10pt;" |[[w:en:Aulus Cornelius Celsus|Celsus]]
| style="font-size:13pt;" |[[w:fr:Aulus Cornelius Celsus|Celse]]
| style="font-size:9pt;" |[[w:la:Aulus Cornelius Celsus|Aulus <br>Cornelius<br> Celsus]]
|博物
|<small>百科事典を著したが、<br>医学論のみ現存</small>
|
|- <!--【クルティウス・ルフス】-->
| style="font-size:9pt; background-color:lightgray;" |前期
|後1世紀頃
| style="font-size:11pt;" |クルティウス<br>・ルフス
| style="font-size:11pt;" |Curtius<br> Rufus
| style="font-size:11pt;" |[[w:en:Quintus Curtius Rufus|Curtius <br>Rufus]]
| style="font-size:11pt;" |[[w:fr:Quinte-Curce|Quinte<br>-Curce]]
| style="font-size:9pt;" |[[w:la:Quintus Curtius Rufus|Quintus <br>Curtius <br>Rufus]]
|伝記
|<span style="font-size:8pt;">『アレクサンドロス大王伝』</span>
|
|- <!--【ウァレリウス・マクシムス】-->
| style="font-size:9pt; background-color:lightgray;" |前期
|後1世紀頃
| style="font-size:11pt;" |ウァレリウス<br>・マクシムス
| style="font-size:11pt;" |Valerius Maximus
| style="font-size:9pt;" |[[w:en:Valerius Maximus|Valerius <br>Maximus]]
| style="font-size:10pt;" |[[w:fr:Valère Maxime|Valère <br>Maxime]]
| style="font-size:9pt;" |[[w:la:Valerius Maximus|Valerius <br>Maximus]]
|説話
|<small>『有名言行録』</small>
|
|- <!--【ウェッレーイウス・パテルクルス】-->
| style="font-size:9pt; background-color:lightgray;" |前期
|前19頃-後31頃
| style="font-size:11pt;" |[[w:ウェッレイウス・パテルクルス|ウェッレーイウス<br>・パテルクルス]]
| style="font-size:11pt;" |Velleius <br>Paterculus
| style="font-size:8pt;" |[[w:en:Marcus Velleius Paterculus|Velleius]]
| style="font-size:8pt;" |[[w:fr:Velleius Paterculus|Velleius <br>Paterculus]]
| style="font-size:9pt;" |[[w:la:Velleius Paterculus|Velleius <br>Paterculus]]
|歴史
|<small>『歴史』</small>
|
|- <!--【パエドルス】-->
| style="font-size:9pt; background-color:lightgray;" |前期
|前15頃-後50頃
| style="font-size:11pt;background-color:lightgray;" |パエドルス<br>(ファエドルス)
| style="font-size:13pt;" |Phaedrus
| style="font-size:13pt;" |[[w:en:Phaedrus (fabulist)|Phaedrus]]
| style="font-size:13pt;" |[[w:fr:Phèdre (fabuliste)|Phèdre]]
| style="font-size:9pt;" |[[w:la:Phaedrus|Gaius <br>Iulius <br>Phaedrus]]
|寓話
|<small>『寓話集』</small>
|
|- <!--【小セネカ】-->
| style="font-size:9pt; background-color:lightgray;" |前期
|前4頃-後65
| style="font-size:17pt;background-color:silver;" |[[w:ルキウス・アンナエウス・セネカ|セネカ]]<br><small>(小セネカ)</small>
| style="font-size:17pt;background-color:silver;" |Seneca<br> minor
| style="font-size:13pt;" |[[w:en:Seneca the Younger|Seneca <br>the Younger]]
| style="font-size:15pt;" |[[w:fr:Sénèque|Sénèque]]
| style="font-size:9pt;" |[[w:la:Lucius Annaeus Seneca minor|Lucius <br>Annaeus <br>Seneca<br> minor]]
|道徳哲学・<br>政治哲学・<br>悲劇
|『幸福なる生活』<br>『道徳書簡』<br>ほか<small></small>
|<small>ストア哲学者、<br>白銀期を<br>代表する文人</small>
|- <!--【コルメッラ】-->
| style="font-size:9pt; background-color:lightgray;" |前期
|後4-70頃
| style="font-size:11pt;" |コルメッラ<!--[[w:| ]]-->
| style="font-size:12pt;" |Columella
| style="font-size:10pt;" |[[w:en:Columella|Columella]]
| style="font-size:12pt;" |[[w:fr:Columelle|Columelle]]
| style="font-size:9pt;" |[[w:la:Lucius Iunius Moderatus Columella|Lucius <br>Iunius <br>Moderatus <br>Columella]]
|農学
|<small>『農耕論』</small>
|
|- <!--【ウァレリウス・フラックス】-->
| style="font-size:9pt; background-color:lightgray;" |前期
|後22頃-95頃
| style="font-size:11pt;" |[[w:ガイウス・ウァレリウス・フラックス|ウァレリウス<br>・フラックス]]
| style="font-size:11pt;" |Valerius <br>Flaccus
| style="font-size:9pt;" |[[w:en:Gaius Valerius Flaccus|Valerius <br>Flaccus]]
| style="font-size:9pt;" |[[w:fr:Caius Valerius Flaccus|Valerius <br>Flaccus]]
| style="font-size:9pt;" |[[w:la:Gaius Valerius Flaccus|Gaius <br>Valerius <br>Flaccus]]
|叙事詩
|<small>『アルゴナウティカ』<br>ラテン語版</small>
|
|- <!--【大プリーニウス】-->
| style="font-size:9pt; background-color:lightgray;" |前期
|後23頃-79
| style="font-size:16pt;background-color:silver;" |[[w:ガイウス・プリニウス・セクンドゥス|プリーニウス]]<br><small>(大プリーニウス)</small>
| style="font-size:16pt;background-color:silver;" |Plinius<br> Maior
| style="font-size:13pt;" |[[w:en:Pliny the Elder|Pliny <br>the Elder]]
| style="font-size:13pt;" |[[w:fr:Pline l'Ancien|Pline <br>l'Ancien]]
| style="font-size:9pt;" |[[w:la:Gaius Plinius Secundus|Gaius <br>Plinius <br>Secundus]]
|博物
|<big>『[[w:博物誌|博物誌]]』</big><small></small>
|
|- <!--【シーリウス・イータリクス】-->
| style="font-size:9pt; background-color:lightgray;" |前期
|後28頃-103頃
| style="font-size:13pt;" |[[w:シリウス・イタリクス|シーリウス<br>・イータリクス]]
| style="font-size:11pt;" |Silius <br>Italicus
| style="font-size:9pt;" |[[w:en:Silius Italicus|Silius <br>Italicus]]
| style="font-size:9pt;" |[[w:fr:Silius Italicus|Silius <br>Italicus]]
| style="font-size:9pt;" |[[w:la:Silius Italicus|Tiberius <br>Catius <br>Asconius <br>Silius <br>Italicus]]
|叙事詩
|<small>『プニカ』</small>
|
|- <!--【ペトローニウス】-->
| style="font-size:9pt; background-color:lightgray;" |前期
|後27頃-66
| style="font-size:15pt; background-color:lightgray;" |[[w:ペトロニウス|ペトローニウス]]
| style="font-size:13pt;" |Petronius
| style="font-size:11pt;" |[[w:en:Petronius|Petronius]]
| style="font-size:13pt;" |[[w:fr:Pétrone|Pétrone]]
| style="font-size:9pt;" |[[w:la:Publius Petronius Niger|Publius <br>Petronius <br>Niger]]
|諷刺小説
|<small>『[[w:サテュリコン|サテュリコン]]』</small>
|
|- <!--【ペルシウス】-->
| style="font-size:9pt; background-color:lightgray;" |前期
|後34-62
| style="font-size:13pt;" |ペルシウス
| style="font-size:12pt;" |Persius
| style="font-size:11pt;" |[[w:en:Persius|Persius]]
| style="font-size:11pt;" |[[w:fr:Perse (poète)|Perse]]
| style="font-size:9pt;" |[[w:la:Aulus Persius Flaccus|Aulus <br>Persius <br>Flaccus]]
|諷刺詩
|<small>『諷刺詩』</small>
|
|- <!--【クインティリアーヌス】-->
| style="font-size:9pt; background-color:lightgray;" |前期
|後35頃-100頃
| style="font-size:11pt; background-color:lightgray;" |[[w:クインティリアヌス|クインティリアーヌス]]
| style="font-size:12pt;" |Quintilianus
| style="font-size:12pt;" |[[w:en:Quintilian|Quintilian]]
| style="font-size:12pt;" |[[w:fr:Quintilien|Quintilien]]
| style="font-size:9pt;" |[[w:la:Marcus Fabius Quintilianus|Marcus <br>Fabius <br>Quintilianus]]
|修辞学
|<small>『弁論術教程』</small>
|
|- <!--【ルーカーヌス】-->
| style="font-size:9pt; background-color:lightgray;" |前期
|後39-65
| style="font-size:13pt; background-color:lightgray;" |[[w:マルクス・アンナエウス・ルカヌス|ルーカーヌス]]
| style="font-size:13pt;" |Lucanus
| style="font-size:13pt;" |[[w:en:Lucan|Lucan]]
| style="font-size:13pt;" |[[w:fr:Lucain|Lucain]]
| style="font-size:9pt;" |[[w:la:Lucanus|Marcus <br>Annaeus <br>Lucanus]]
|叙事詩
|<small>『内乱記』<br>(『パルサリア』)</small>
|
|- <!--【フロンティーヌス】-->
| style="font-size:9pt; background-color:lightgray;" |前期
|後40頃-103頃
| style="font-size:11pt;" |[[w:セクストゥス・ユリウス・フロンティヌス|フロンティーヌス]]
| style="font-size:11pt;" |Frontinus
| style="font-size:10pt;" |[[w:en:Frontinus|Frontinus]]
| style="font-size:10pt;" |[[w:fr:Frontin|Frontin]]
| style="font-size:9pt;" |[[w:la:Sextus Iulius Frontinus|Sextus <br>Iulius <br>Frontinus]]
|ローマ水道<br>・戦術
|<small>『水道論』<br>『戦術論』</small>
|
|- <!--【マルティアーリス】-->
| style="font-size:9pt; background-color:lightgray;" |前期
|後41頃-104頃
| style="font-size:13pt; background-color:lightgray;" |[[w:マルティアリス|マルティアーリス]]
| style="font-size:13pt;" |Martialis
| style="font-size:13pt;" |[[w:en:Martial|Martial]]
| style="font-size:13pt;" |[[w:fr:Martial (poète)|Martial]]
| style="font-size:9pt;" |[[w:la:Marcus Valerius Martialis|Marcus <br>Valerius <br>Martialis]]
|エピグラム詩<br>・諷刺
|<small>『エピグラム集』</small>
|
|- <!--【スターティウス】-->
| style="font-size:9pt; background-color:lightgray;" |前期
|後45頃-96頃
| style="font-size:11pt;" |[[w:スタティウス|スターティウス]]
| style="font-size:11pt;" |Statius
| style="font-size:11pt;" |[[w:en:Statius|Statius]]
| style="font-size:12pt;" |[[w:fr:Stace|Stace]]
| style="font-size:9pt;" |[[w:la:Publius Papinius Statius|Publius <br>Papinius <br>Statius]]
|叙事詩
|<small>『[[w:テーバイド#テーバイド(スタティウス)|テーバイ物語]]』<br>『シルウァエ』</small>
|
|- <!--【ユウェナーリス】-->
| style="font-size:9pt; background-color:lightgray;" |前期
|後50頃-2世紀頃
| style="font-size:13pt;" |[[w:ユウェナリス|ユウェナーリス]]
| style="font-size:11pt;" |Iuvenalis
| style="font-size:11pt;" |[[w:en:Juvenal|Juvenal]]
| style="font-size:11pt;" |[[w:fr:Juvénal|Juvénal]]
| style="font-size:9pt;" |[[w:la:Decimus Iunius Iuvenalis|Decimus <br>Iunius <br>Iuvenalis]]
|諷刺詩
|<small>『諷刺詩集』</small>
|
|- <!--【タキトゥス】-->
| style="font-size:9pt; background-color:lightgray;" |前期
|後56頃-120頃
| style="font-size:16pt; background-color:silver;" |[[w:タキトゥス|タキトゥス]]
| style="font-size:16pt; background-color:silver;" |Tacitus
| style="font-size:15pt;" |[[w:en:Tacitus|Tacitus]]
| style="font-size:15pt;" |[[w:fr:Tacite|Tacite]]
| style="font-size:9pt;" |[[w:la:Cornelius Tacitus|Cornelius <br>Tacitus]]
|年代記など
|『年代記』<br>『同時代史』<br><small>『[[w:ゲルマニア (書物)|ゲルマーニア]]』<br><span style="font-size:8pt;">『アグリコラの生涯と性格』</span></small>
|
|- <!--【小プリーニウス】-->
| style="font-size:9pt; background-color:lightgray;" |前期
|後61-113頃
| style="font-size:13pt; background-color:silver;" |[[w:ガイウス・プリニウス・カエキリウス・セクンドゥス|小プリーニウス]]
| style="font-size:15pt; background-color:silver;" |Plinius<br> minor
| style="font-size:13pt;" |[[w:en:Pliny the Younger|Pliny <br>the Younger]]
| style="font-size:13pt;" |[[w:fr:Pline le Jeune|Pline<br> le Jeune]]
| style="font-size:9pt;" |[[w:la:Gaius Plinius Caecilius Secundus|Gaius <br>Plinius <br>Caecilius <br>Secundus]]
|雄弁・書簡
|<small>『書簡集』</small>
|
|- <!--【スエートーニウス】-->
| style="font-size:9pt; background-color:lavender;" |中期
|後69頃-122以降
| style="font-size:14pt; background-color:silver;" |[[w:ガイウス・スエトニウス・トランクィッルス|スエートーニウス]]
| style="font-size:15pt; background-color:silver;" |Suetonius
| style="font-size:13pt;" |[[w:en:Suetonius|Suetonius]]
| style="font-size:13pt;" |[[w:fr:Suétone|Suétone]]
| style="font-size:9pt;" |[[w:la:Suetonius|Gaius <br>Suetonius <br>Tranquillus]]
|伝記
|『ローマ皇帝伝』<small></small>
|
|- <!--【フロールス】-->
| style="font-size:9pt; background-color:lavender;" |中期
|後70頃-140頃
| style="font-size:13pt; background-color:lightgray;" |フロールス
| style="font-size:13pt;" |Florus
| style="font-size:11pt;" |[[w:en:Works attributed to Florus|Florus]]
| style="font-size:11pt;" |[[w:fr:Florus|Florus]]
| style="font-size:9pt;" |[[w:la:Publius Annius Florus|Publius <br>Annius <br>Florus]]
|歴史・<br>詩
|<span style="font-size:9pt;">『ローマ史概略』<br>『ウェルギリウスは弁論家か詩人か</span>
|<small>Lucius Annaeus Florusなどとされる場合もある</small>
|- <!--【アープレーイウス】-->
| style="font-size:9pt; background-color:lavender;" |中期
|後124頃-170頃
| style="font-size:15pt; background-color:silver;" |[[w:アプレイウス|アープレーイウス]]
| style="font-size:15pt; background-color:silver;" |Apuleius
| style="font-size:13pt;" |[[w:en:Apuleius|Apuleius]]
| style="font-size:13pt;" |[[w:fr:Apulée|Apulée]]
| style="font-size:9pt;" |[[w:la:Lucius Apuleius|Lucius <br>Apuleius]]
|小説
|<small>『変身物語』<br>(『黄金のろば』)</small>
|
|- <!--【ゲッリウス】-->
| style="font-size:9pt; background-color:lavender;" |中期
|後125頃-180頃
| style="font-size:13pt; background-color:lightgray;" |[[w:アウルス・ゲッリウス|ゲッリウス]]
| style="font-size:13pt;" |Gellius
| style="font-size:11pt;" |[[w:en:Aulus Gellius|Gellius]]
| style="font-size:11pt;" |[[w:fr:Aulu-Gelle|Aulu-Gelle]]
| style="font-size:9pt;" |[[w:la:Aulus Gellius|Aulus <br>Gellius]]
|小説
|<small>『アッティカ夜話』</small>
|
|- <!--【ガイウス】-->
| style="background-color:lavender;" |中期
|後130頃-180頃
| style="font-size:11pt;" |[[w:ガイウス (法学者)|ガイウス]]
| style="font-size:11pt;" |Gaius
| style="font-size:8pt;" |[[w:en:Gaius (jurist)|Gaius]]
| style="font-size:8pt;" |[[w:fr:Gaius|Gaius]]
| style="font-size:9pt;" |[[w:la:Gaius (iuris consultus)|Gaius]]
|法学
|<small>『法学提要』</small>
|
|- <!--【】-->
| style="background-color:lavender;" |
|-
| style="font-size:11pt;" |
| style="font-size:11pt;" |
| style="font-size:8pt;" |[[w:en:|en:]]
| style="font-size:8pt;" |[[w:fr:|fr:]]
| style="font-size:9pt;" |[[w:la:|la:]]
|<br>
|<small></small>
|
|}
=== 目次 ===
;帝制前期(トラヤヌス帝崩御まで)の作家
:[[#大セネカ]]
:[[#ポンポーニウス・メラ]]
:[[#ケルスス]]
:[[#クルティウス・ルフス]]
:[[#ウァレリウス・マクシムス]]
:[[#ウェッレーイウス・パテルクルス]]
:[[#パエドルス]]
:[[#セネカ(小セネカ)]]
:[[#コルメッラ]]
:[[#ウァレリウス・フラックス]]
:[[#大プリーニウス]]
:[[#シーリウス・イータリクス]]
:[[#ペトローニウス]]
:[[#ペルシウス]]
:[[#クインティリアーヌス]]
:[[#ルーカーヌス]]
:[[#フロンティーヌス]]
:[[#マルティアーリス]]
:[[#スターティウス]]
:[[#ユウェナーリス]]
:[[#タキトゥス]]
:[[#小プリーニウス]]
;帝制中期(マルクス・アウレリウス帝崩御まで)の作家
:[[#スエトーニウス]]
:[[#フロールス]]
:[[#アープレーイウス]]
:[[#ゲッリウス]]
:[[#ガイウス]]
== 大セネカ ==
== ポンポーニウス・メラ ==
== ケルスス ==
== クルティウス・ルフス ==
== ウァレリウス・マクシムス ==
== ウェッレーイウス・パテルクルス ==
== パエドルス ==
== セネカ(小セネカ) ==
== コルメッラ ==
== ウァレリウス・フラックス ==
== 大プリーニウス ==
== シーリウス・イータリクス ==
== ペトローニウス ==
== ペルシウス ==
== クインティリアーヌス ==
== ルーカーヌス ==
== フロンティーヌス ==
== マルティアーリス ==
== スターティウス ==
== ユウェナーリス ==
== タキトゥス ==
== 小プリーニウス ==
== スエトーニウス ==
== フロールス ==
== アープレーイウス ==
== ゲッリウス ==
== ガイウス ==
== そのほかの作家 ==
== 脚 注 ==
<references />
== 参考文献 ==
<!--
*{{Cite book |和書 |author=[[w:|]] |title= |publisher=[[w:|]] |date=2007-1|isbn=978-4---|ref= }}
-->
== 関連項目 ==
*[[ラテン語学習モジュール]]
**'''[[ラテン語の時代区分]]'''
**'''[[ラテン文学]]'''
***'''[[ラテン文学/ローマ文学の年表|/ローマ文学の年表]]'''
*英語版記事
**[[:w:en:Category:Silver Age Latin writers]]
**[[:w:en:Classical_Latin#Authors_of_the_Silver_Age]]
*仏語版記事
**[[:w:fr:Latin_classique#L'âge_d'argent_du_latin_classique]]
*ラテン語版記事
**[[:w:la:Litterae Latinae]]
== 外部リンク ==
<!-- [[Category:ラテン文学白銀期|*]] -->
[[Category:ラテン文学の作家と著作|銀]]
[[Category:ラテン語の時代区分|作家]]
[[Category:ラテン語学習モジュール|文学]] | null | 2020-01-12T13:03:01Z | []
| https://ja.wikibooks.org/wiki/%E3%83%A9%E3%83%86%E3%83%B3%E6%96%87%E5%AD%A6%E3%81%AE%E4%BD%9C%E5%AE%B6%E3%81%A8%E8%91%97%E4%BD%9C/%E7%99%BD%E9%8A%80%E6%9C%9F |
26,328 | 中学受験社会/地理/上巻 | 中学受験社会/地理/上巻では、これから中学受験をされる方への社会科地理分野を解説します。
地図上では実際の距離を、そのまま地図に表すことはできません。元の大きさのままそこで、縮小してかいています。
この、実際の距離を、地図に、ちぢめた割合を、縮尺といいます。
縮尺は、分数で、あらわします。
5万分の1の縮尺の地図では、地図上での 1cm の距離は、実物では、 50000cm = 500m になります。
縮尺の数字は、5万分の1だけでなく、他の数字の場合もあります。
2万5千分の1の縮尺の地図では、地図上での 1cm の距離は、実物では、 25000cm = 250m になります。
10万分の1の縮尺の地図では、地図上での 1cm の距離は、実物では、 100000cm = 1000m = 1km になります。
縮尺の表し方は、「5万分の1」といった表し方のほかにも 1 50000 {\displaystyle {\frac {1}{50000}}} といった表し方や、 あるいは 1:50000 と、表す場合も、あります。
日本の国土の全体の地図や、県の地図など、正確で広い地図をつくるのは、とても、手間が、かかります。
正確な地図は、距離をはかるだけでなく、高さも、はからないと、いけません。
日本では、国土地理院が、正確な地図を発行しています。
おなじ高さの地点を結んだ線を 等高線(とうこうせん)といいます。
山の高さ や 谷の深さなど、地図上での土地の高さは、等高線を つかって あらわします。
等高線の間かく(かんかく)が、せまいほど、実物のかたむきが、急です。
等高線の間かくが、広いほど、実物のかたむきが、ゆるやかです。
岐阜県のあたりにある、木曽川・長良川(ながらがわ)・揖斐川(いびがわ)の下流の流域には 濃尾平野(のうびへいや) があります。 木曽川・長良川・揖斐川の三つの川は、伊勢湾(いせわん)に通じています。
この三つの川の下流の流域は堤防で囲まれている土地が多いです。堤防で囲まれた土地を輪中(わじゅう)と言います。 濃尾平野の川の流域には輪中が多いです。
輪中の中の土地の高さは川の水面と同じくらいか、水面よりも低いことが多いです。
この濃尾平野の輪中には、水田が多いです。
この土地は低地なので水がたまりやすいので、水はけがわるいです。水田は水を必要としますが、水がたまりすぎても、稲はよく育ちません。なので、この土地の人は、かわりに水田を高くしようと、土をもって、そのうえに水田をつくります。水田のまわりの土を掘って、その掘った土で田を高くするので 堀田(ほりた) といいます。
最近では、洪水は起きていませんが、もし起きても、被害(ひがい)が少なくなるように、この輪中の住人たちは工夫をしています。
この輪中の土地では、家をたてるときは、盛り土をして家の土台を高くします。 こうすることで、もし洪水が起きても、ひがいを減らしたいわけです。 | [
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| 中学受験社会/地理/上巻では、これから中学受験をされる方への社会科地理分野を解説します。 | {{Pathnav|メインページ|小学校・中学校・高等学校の学習|中学受験参考書|中学受験社会|中学受験社会/地理|frame=1}}
[[{{PAGENAME}}]]では、これから中学受験をされる方への社会科地理分野を解説します。
== 地図の見方 ==
=== 地図の{{ruby|縮尺|しゅくしゃく}} ===
地図上では実際の距離を、そのまま地図に表すことはできません。元の大きさのままそこで、縮小してかいています。
この、実際の距離を、地図に、ちぢめた割合を、'''縮尺'''といいます。
縮尺は、分数で、あらわします。
5万分の1の縮尺の地図では、地図上での 1cm の距離は、実物では、 50000cm = 500m になります。
縮尺の数字は、5万分の1だけでなく、他の数字の場合もあります。
2万5千分の1の縮尺の地図では、地図上での 1cm の距離は、実物では、 25000cm = 250m になります。
10万分の1の縮尺の地図では、地図上での 1cm の距離は、実物では、 100000cm = 1000m = 1km になります。
縮尺の表し方は、「5万分の1」といった表し方のほかにも <math> \frac{1}{50000}</math> といった表し方や、 あるいは 1:50000 と、表す場合も、あります。
[[ファイル:Topographic_map_example.png|thumb|500px|外国の地形図の一例<br>※ 日本の地図ではありません。(日本の地形図がウィキペディア内に見つからないので、外国のもので代用して説明しています)]]
日本の国土の全体の地図や、県の地図など、正確で広い地図をつくるのは、とても、手間が、かかります。
正確な地図は、距離をはかるだけでなく、高さも、はからないと、いけません。
日本では、'''国土地理院'''が、正確な地図を発行しています。
* 等高線(とうこうせん)
おなじ高さの地点を結んだ線を <span style="color:Maroon"><big>等高線</big></span>(とうこうせん)といいます。
山の高さ や 谷の深さなど、地図上での土地の高さは、等高線を つかって あらわします。
[[File:Courbe niveau.svg|thumb|left|等高線の考え方<br>この図の場合、間かく(かんかく)のせまい右側は、急な斜面(しゃめん)です。]]
{{clear}}
等高線の間かく(かんかく)が、せまいほど、実物のかたむきが、急です。
等高線の間かくが、広いほど、実物のかたむきが、ゆるやかです。
=== 地図記号 ===
{| class="wikitable" style="text-align:left; font-size:small"
!記号!!意味(カッコ内に由来)!!実物の例!!記号!!意味(カッコ内に由来)!!実物の例
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|[[ファイル:Japanese Map symbol (City Hall).svg|60px|市役所]]||市役所、区役所<BR>||[[ファイル:Tsu City Hall.jpg|125px|市役所]]||[[ファイル:Japanese Map symbol (Town or Village Office).svg|60px|町役場・村役場]]||役場・村役場<BR>||[[ファイル:Kota town office 1.jpg|125px|町役場・村役場]]
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|[[ファイル:Japanese Map symbol (Court of law).svg|60px|裁判所]]||裁判所(さいばんしょ)<BR>(裁判内容を知らせた、立てふだを図にした)||[[ファイル:Sapporo-High-District-Court-01.jpg|125px|裁判所]]||[[ファイル:Japanese Map symbol (Fire station).svg|60px|消防署]]||消防署(しょうぼうしょ)<BR>(火消しが用いた道具「さすまた」を図にした)||[[ファイル:Tri-Heart.JPG|125px|消防署]]
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|[[ファイル:Japanese Map symbol (Police station).svg|60px|警察署]]||警察署(けいさつしょ)<BR>(警棒「けいぼう」が、まじわっているようすを、○で図式化し交番と区別)||[[ファイル:Keishicho.jpg|125px|警察署]]||[[ファイル:Japanese Map symbol (Koban).svg|60px|交番]]||交番<BR>(警棒が、まじわっているようすを、図にした。)||[[ファイル:Kameariekimae-Kitaguchi Koban.jpg|125px|交番]]
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|[[ファイル:Japanese Map symbol (Health center).svg|60px|保健所]]||保健所<BR>(旧・日本陸軍の衛生隊の印を○で図式化した。)|| ||[[ファイル:Japanese Map symbol (Post office).svg|60px|郵便局]]||郵便局<BR>(逓信省(テイシンショウ)の「テ」を○で図式化)||[[ファイル:Tokorozawa Post office.jpg|125px|郵便局]]
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|[[ファイル:Japanese Map symbol (Government or Municipal office).svg|60px|官公署]]||官公署<BR>(漢字「公」の異体字(いたいじ)を図にした。)||[[ファイル:Kinyucho3.jpg|125px|官公署]]||[[ファイル:Japanese Map symbol (Elementary or Junior high school).svg|60px|小学校・中学校]]||小学校、中学校<BR>(漢字の「文」を図にした。学校で文字を、ならうから。)||[[ファイル:Classroom2.jpg|125px|小学校・中学校]]
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|[[ファイル:Japanese Map symbol (High school).svg|60px|高等学校]]||高等学校<BR>(漢字の「文」を○で図式化し、他学校と区別)||[[ファイル:Kozakai High School 1.jpg|125px|高等学校]]||[[ファイル:Japanese Map symbol (Junior college).svg|60px|短期大学]]||短期大学<BR>(漢字の「文」を図式化、添字で区別)||[[ファイル:Siraumegakuen.jpg|125px|画像募集中]]
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|[[ファイル:Japanese Map symbol (Technical college).svg|60px|専修学校]]||高等専門学校<BR>(漢字の「文」を図式化、添字で区別)||[[ファイル:TohokuBunkaGakuenUniversity(main building).jpg|125px|専修学校]]||[[ファイル:Japanese Map symbol (University).svg|60px|大学]]||大学<BR>(漢字の「文」を図式化、添字で区別)||[[ファイル:Inside_of_Tama_Campus,_Chuo_University.jpg|125px|大学]]
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|[[ファイル:Japanese Map symbol (Museum).svg|60px|博物館]]||博物館<BR>(東京国立博物館を図式化)||[[ファイル:Tokyo National Museum, Honkan 2010.jpg|125px|博物館]]||[[ファイル:Japanese Map symbol (Library).svg|60px|図書館]]||図書館<BR>(開いた本)||[[ファイル:SanDiegoCityCollegeLearningResource_-_bookshelf.jpg|125px|図書館]]
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|[[ファイル:Japanese Map symbol (Shrine).svg|60px|神社]]||神社<BR>(神社にある、鳥居を図にした。)||[[ファイル:Fushimi Inari - front torii.jpg|125px|神社]]||[[ファイル:Japanese Map symbol (Temple).svg|60px|寺院]]||寺院<BR>(古いインドの文字の卍「まんじ」を、そのまま利用した。)||[[ファイル:Horyu-ji10s3200.jpg|125px|寺院]]
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|[[ファイル:Japanese Map symbol (Factory).svg|60px|工場]]||工場<BR>(歯車を図にした。)|| ||[[ファイル:Japanese Map symbol (Hospital).svg|60px|病院]]||病院<BR>(旧・日本陸軍の衛生隊の印を図式化)||[[ファイル:Hospital room ubt.jpeg|125px|病院]]
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|[[ファイル:Japanese Map symbol (the Self-Defense Forces).svg|60px|自衛隊関係]]||自衛隊(じえいたい)<BR>(旗(はた)を図式化)||[[ファイル:陸自第二教育団記念行事.jpg|125px|自衛隊関係]]||[[ファイル:Japanese Map symbol (Oil or Gas well).svg|60px|油井・ガス井]]||油井(ゆせい)・ガス井(ガスせい)<BR>
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|[[ファイル:Japanese Map symbol (Power plant).svg|60px|発電所]]||発電所<BR>(発電機を図にした。)|| ||[[ファイル:Japanese Map symbol (Home for the aged).svg|60px|老人ホーム]]||老人ホーム<BR>(ホーム建物と老人が使う杖で、老人が建物内に居る様子を図式化)||[[ファイル:Altenheim.jpg|125px|老人ホーム]]
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|[[ファイル:Japanese Map symbol (Castle).svg|60px|城跡]]||城跡(じょうせき)<BR>(築城時の縄張(設計)の形を図式化)||[[ファイル:Himeji Castle The Keep Towers.jpg|125px|城跡]]||[[ファイル:Japanese Map symbol (Chimney).svg|60px|煙突]]||煙突(えんとつ)<BR>(煙突と立ち上る煙、煙突の影を図式化)||[[ファイル:Gelsenkirchen Kraftwerk Scholven.jpg|125px|煙突]]
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|[[ファイル:Japanese Map symbol (Historical site-Place of scenic beauty-Natural monument-Protected animal plant).svg|60px|史跡・名勝・天然記念物]]||史跡(しせき)・名勝(めいしょう)・天然記念物<BR>||[[ファイル:NintokuTomb Aerial photograph 2007.jpg|125px|史跡・名勝・天然記念物]]
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|[[ファイル:Japanese Map symbol (Monument).svg|60px|記念碑]]||石碑(せきひ)・記念碑(きねんひ)<BR>(石碑の形と影を図式化)|| ||[[ファイル:Japanese Map symbol (Windmill).svg|60px|風車]]||風車(ふうしゃ)<BR>(風力発電用風車を図式化)||[[ファイル:Wattle Point windmill.jpg|125px|風車]]
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|[[ファイル:Japanese Map symbol (Lighthouse).svg|60px|灯台]]||灯台<BR>(灯台を上から見て光が周囲に照射されている様子を図式化)||[[ファイル:Sugashima Lighthouse and Kami Island (2016-01-16).jpg|125px|灯台]]
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|[[ファイル:Japanese Map symbol (Broadleaf trees).svg|60px|広葉樹林]]||広葉樹(こうようじゅ)<BR>(葉を広げて立つ広葉樹を図式化)||[[ファイル:Forest Floor in Kamikochi.jpg|125px|広葉樹林]]||[[ファイル:Japanese Map symbol (Coniferous trees).svg|60px|針葉樹林]]||針葉樹(しんようじゅ)<BR>(そびえ立つ針葉樹を図式化)||[[ファイル:Larix leptolepis.JPG|125px|針葉樹林]]
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|[[ファイル:Japanese Map symbol (Bamboo grove).svg|60px|竹林]]||竹林<BR>(生えている竹と影を図式化)||[[ファイル:Bamboo maze.jpg|125px|竹林]]
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|[[ファイル:Japanese Map symbol (Field).svg|60px|畑]]||畑<BR>(栽培している植物の二葉を図式化)|| ||[[ファイル:Japanese Map symbol (Rice field).svg|60px|水田]]||田(た)<BR>(稲の刈取り跡を図式化)||[[ファイル:Oryza sativa Rice sprouts ja01.jpg|125px|水田]]
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|[[ファイル:Japanese Map symbol (Orchard).svg|60px|果樹園]]||果樹園(かじゅえん)<BR>(果樹の果実を図式化)||[[ファイル:Sour cherry 3428.JPG|125px|果樹園]]||[[ファイル:Japanese Map symbol (Tea plantation).svg|60px|茶畑]]||茶畑<BR>(茶の実の断面図を図式化)||
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|[[ファイル:Japanese Map symbol (Mulberry field).svg|60px|桑畑]]||桑畑(くわばたけ)<BR>(くわの木を図式化)||[[ファイル:MorusAlba.jpg|125px|桑畑]]
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|[[ファイル:Japanese Map symbol (Spa).svg|60px|温泉]]||温泉(おんせん)<BR>(お湯と湯気を図にした。)||[[ファイル:Onsen in Nachikatsuura, Japan.jpg|125px|温泉]]
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|[[ファイル:Japanese Map symbol (Important port).svg|60px|重要港]]||港(重要港)<BR>(船の碇を地方港と区別して図式化)||[[ファイル:Kobe takahama01s3200.jpg|125px|重要港]]||[[ファイル:Japanese Map symbol (Local port).svg|60px|地方港]]||地方港<BR>(船の碇を漁港と区別して図式化)||[[ファイル:Shodoshima-maru No.1 Tonosho Port Shodo Island Kagawa pref Japan01bs5.jpg|125px|地方港]]
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|[[ファイル:Japanese Map symbol (Fishing port).svg|60px|漁港]];||漁港<BR>(船の碇を図式化)||[[ファイル:Kamijima-port 01.JPG|125px|漁港]]
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|[[ファイル:Japanese Map symbol (Standard point).svg|60px|水準点]]||水準点(すいじゅんてん)<BR>(水準点の標石を真上から見た形を図式化)||[[ファイル:基準水準点・基21号-2.JPG|125px|水準点]]||[[ファイル:Japanese Map symbol (Triangulation point).svg|60px|三角点]]||三角点(さんかくてん)<BR>(三角測量を行うときの三角網の一部を図式化)||[[ファイル:1 tou sankakuen.jpg|125px|三角点]]
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|[[ファイル:Japanese Map tax office.jpg|100px|税務署]]||税務署(ぜいむしょ)<br />(そろばんの玉を図式化)||
|}
== 都道府県 ==
== 日本の地形 ==
=== 山脈・山地 ===
=== 河川・湖 ===
=== 平野 ===
=== 半島 ===
== 各地方の暮らし ==
[[ファイル:Kiso River mouth in Ise Bay.jpg|thumb|300px|木曽川(奥)・揖斐川(手前)。河口の空撮。]]
岐阜県のあたりにある、{{ruby|木曽|きそ}}川・長良川(ながらがわ)・揖斐川(いびがわ)の下流の流域には <big>濃尾平野</big>(のうびへいや) があります。
木曽川・長良川・揖斐川の三つの川は、伊勢湾(いせわん)に通じています。
この三つの川の下流の流域は堤防で囲まれている土地が多いです。堤防で囲まれた土地を<big>輪中</big>(わじゅう)と言います。
濃尾平野の川の流域には輪中が多いです。
輪中の中の土地の高さは川の水面と同じくらいか、水面よりも低いことが多いです。
この濃尾平野の輪中には、水田が多いです。
[[Image:Kaizu city Museum H02.JPG|thumb|right|200px|堀田。海津市歴史民俗資料館の敷地内に再現されている堀田。]]
この土地は低地なので水がたまりやすいので、水はけがわるいです。水田は水を必要としますが、水がたまりすぎても、稲はよく育ちません。なので、この土地の人は、かわりに水田を高くしようと、土をもって、そのうえに水田をつくります。水田のまわりの土を掘って、その掘った土で田を高くするので <big>堀田</big>(ほりた) といいます。
最近では、洪水は起きていませんが、もし起きても、被害(ひがい)が少なくなるように、この輪中の住人たちは工夫をしています。
この輪中の土地では、家をたてるときは、盛り土をして家の土台を高くします。
こうすることで、もし洪水が起きても、ひがいを減らしたいわけです。
== 日本の各地方の気候 ==
== 世界地理 ==
== 関連項目 ==
=== 下巻 ===
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26,329 | 中学受験社会/地理/下巻 | 中学受験社会/地理/下巻では、これから中学受験をされる方への社会科地理分野を解説します。
農業や林業や漁業などを 第1次産業 と言います。 製造業や建設業を 第2次産業 といいます。商業やサービス業、運輸業などを 第3次産業 といいます。 現在は、第3次産業に関わる人が一番多く(71.0%)、次いで第2次産業(25.0%)、第1次産業 (4.0%) です。[()内の数字は2015年のもの]
日本の森林面積は、国土のおよそ3分の2です。
日本の食料自給率は、37%(2018年)である。これは、ほかの先進国と比べて、大変低いです。
米は、1942年(第二次世界大戦中)に成立した食料管理法で、政府が農家から米を買い上げて、米の値段(米価)を安定させ、農家のくらしをささえていました。ですが、戦後の食生活の変化により、だんだん生産があまるようになり、そのため買い上げている国の財政にも負担になりました。
自動車は、部品工場で作った部品を、組み立て工場で組み立てている。 部品を生産する会社は、親会社とは、べつの会社である。親会社の一社では、部品を作っていない。
自動車の部品は、数万点はある。
自動車の組みたては、流れ作業で行なう。ベルト コンベア方式である。
自動車の組み立て工場での、組み立て手順を示す。
鉄板をプレスし、形を作る。
溶接とは、金属を高温で溶かして、金属どうしを、つなぐこと。
溶接では、産業用ロボットを使っている。溶接は危険なので、ロボットに行わせている。
産業用ロボットのまわりには、安全のため、人が入らないように、カバーがあり、柵(さく)がある。
自動車の場合、産業用ロボットに、塗装を行わせる。上塗り(うわぬり)、下塗り(したぬり)、と複数回の塗装をする。
取り付ける部品によって、人が組み立てるか、ロボットが組み立てるかが、ことなる。ガラスやシートなどの思い部品の組み立てはロボットで行なう。
輸出する自動車は、専用船で運んで輸出する。
自動車産業は、日本の主要産業である。また、日本の自動車は、世界でもトップクラスの売上や評判である。
関連工場とは、部品をつくってる子会社の、部品工場のこと。いわゆる、下請け工場。下請け会社である関連会社の工場なので関連工場ということ。
1970年代には、日本とアメリカとの貿易摩擦の原因にもなった。 アメリカでの日本製品への不買運動のこと。日本製品がよく売れるということは、うらをかえせば、アメリカ製の商品が売れなくなるということでもある。 (もっとも、日本製品を買っているのもアメリカ人たちなのだが・・・)
アメリカ製の製品が売れなくなれば、そのアメリカの製品を作る企業は経営悪化し、仕事の人は、失業してしまう。 なので、アメリカで、日本製品の不買運動が、もりあがったのである。
不買運動をされたのは、べつに自動車だけでなく、家電製品なども、そうである。
現在では、自動車会社は、アメリカに、現地の工場を持って、現地のアメリカ人を雇って生産している。 ただし、アメリカの日本車が、すべてアメリカでの生産とは限らず、日本国内で生産された自動車が輸出されている場合もある。
アメリカだけでなく、ヨーロッパや東南アジアなどでも、現地生産を進めている。
中国(中華人民共和国のほうの中国)・日本・アメリカが高い。時期によって順位はちがうが、2010年では中国が1位で日本が2位である。
各国の自動車の輸出量では、フランス・日本・ドイツが高い。
マイカーなどの新車を運ぶときは、自動車を運ぶ専用のトラック車のようなキャリア カーで運ぶ。日本国内で運ぶときは、高速道路を通ったりして運んでいる場合もある。
海外に運ぶときなどは、タンカー船などで運ぶ。
ただし、近年では、海外の工場で現地生産する量も増えており、タンカーで運ぶ自動車の量は減っている、と言われている。
自動車を購入するときの価格には、こういった輸送にかかるお金も、ふくまれているのです。
いらなくなった自動車は、中古車市場にも売れる。
だが、古すぎる自動車や、壊れすぎた自動車は、ゴミとして処分するしかない。
もちろん、けっして一般のごみ捨て場では、すてられない。
日本各地に、自動車など大型機械の専用の解体工場があり、専用の解体用クレーンなどの重機がある。その解体工場にキャリアカーなどで運んでいき、解体する。
近年の自動車には、ハイブリッド車など、最新のエンジンを積んだ自動車が増えて生きている。
なお、ハイブリッド車とは、動力としてガソリンと電気で走る車である。
また、研究開発では、酸素と水素で走る仕組みである燃料電池車の開発も進められている。
また、事故などのさいの安全の対策も、むかしからのシートベルトに加え、さらにエアバッグや、赤外線センサーなどの各種のセンターによる警告(けいこく)など、さまざまな技術がすでに導入され、すでに自動車の部品の一部として実用化されている。
自動車会社では、このような部品の安全性をたしかめるため、開発のための工場では開発時に、じっさいに、自動車の衝突の実験をしている。
衝突実験といって、人間のかわりに実験用のマネキンを乗せて自動走行させた自動車を、じっさいに障害物などに衝突させて、エアバッグなどが作動するか確認したり、また衝突時にどこが壊れやすいかなどを調べたりなどの調査を行う。
最近では、「カーシェア」といって、複数の家庭の人が、一台の車を共有する仕組みも、登場している。
自動車にかぎらず機械工場では、加工のさいに、金属のクズや、金属の切れ端などの余りものの金属が発生する。
それらの金属のごみは、専門の業者に回収してもらう。
金属ごみでも、品質のよい状態のごみだと、場合によっては、有料で業者に買い取ってもらえる(自動車会社などの側のほうが、金をもらえる)場合もある。
中小工場とは、従業員数が300人 未満の工場のこと。つまり299人 以下の工場のこと。従業員数が29人以下の工場を小工場と言い、30人以上〜299人以下の工場を中工場という。 300人以上の工場を大工場と言う。
中小工場は、大企業の下請けが多い。中小工場の多くは、大工場でつくっている製品の、部品などを作っている。 部品工場のことを、最終製品を作っている工場からの視点で、関連工場(かんれんこうじょう)ともいう。
部品工場である関連工場が、かならずしも中小工場とはかぎらないので、まちがえないこと。
中小工場ではたらく人は、工場労働者の70%近い。
全工場の99%が中小工場。
鉄の原料は鉄鉱石(てっこうせき)です。
鉄をつくるには、鉄鉱石から、製鉄所にある高炉(こうろ)で鉄を溶かします。高炉の高さは100m以上もあります。高炉で溶かした鉄が、銑鉄(せんてつ)です。
鉄鉱石は、酸化していて、さびています。鉄鉱石を溶かす時に、さびをとるため、炭素をふくんでいる石炭をむしやきにしたコークスを加えています。
銑鉄は、高炉の中で下に液状になって、たまり、炉の下のほうから取り出されます。
この炭素が鉄に多くまざると、鉄はかたくなり、もろくなる。銑鉄には炭素が多くあるので、銑鉄は、かたくてもろいです。銑鉄に、ふくまれる炭素の濃度は、だいたい4%から5%まで、です。この炭素の濃度だと、銑鉄が、やや低い温度で溶けやすくなるので、結果的に、銑鉄の濃度が、こうなります。
不純物は、酸素の他にも、ふくまれているので、コークスの他に、石灰石を加えています。
鋼(はがね)とは、銑鉄を転炉(てんろ)という炉に送り、転炉で酸素を吹き込むことで、炭素を燃焼させて減らし、ちょうどいいぐあいにまで炭素を減らすことで、丈夫な鋼(はがね)に、なります。ねばりが ありながら、しかも かたくなるように、炭素の量を調節した鉄です。鋼にふくまれる炭素の量が、どのくらいかと言うと、0.02% から 2.1%までの炭素濃度です。
転炉のあと、さらに圧延機におくられ、板のかたちの鋼板(こうばん)や、棒のかたちの棒材(ぼうざい)などへと、加工されます。
鉄や鋼をあわせて、鉄鋼(てっこう)と、よびます。 鉄鋼を生産している産業を鉄鋼業(てっこうぎょう)と言います。
なお、ステンレス鋼とは、鋼(はがね)にニッケルやクロムを加えた合金です。
アルミニウムをつくったり、銅をつくったりなど、鉄鋼以外の金属を生産するのは、金属工業と言います。アルミや銅の生産は、鉄鋼業とは言いません。
日本では、金属生産のなかでも、アルミや銅よりも、鉄鋼生産が、もっともさかんです。
昔は、鉄は「産業の米」と言われていた。しかし、今では半導体が「産業の米」と呼ばれている。
「鉄は国家なり」という格言も、ある。
プレスなどの加工をなにもしていない、製鉄所で作ったままの鉄鋼を、粗鋼(そこう)という。この粗鋼の生産量が、国の製鉄業の規模をはかるのに、よく用いられる。
粗鋼の生産量では、中国(中華人民共和国)が2010年では第1位で、世界の45%ちかくを生産し、約6億トンを生産している。ついで、日本が1億トンで2位、アメリカが8千万トンで3位、それからロシア4位、インド5位、韓国6位・・・というように続く。 このように、中国の粗鋼生産量が、ずばぬけて高い。
製鉄所は、臨海部に多くある。場所が、埋め立て地であることも多い。ほとんどの製鉄所は太平洋ベルトにある。ただし、北海道の室蘭は例外。
臨海部にある理由は、原料の輸入や、製品の輸出に便利であることです。また、埋め立て地を作ることで、広い土地を確保できます。
日本の、主な製鉄所の場所は、以下の通り。
企業名は、記憶しなくても良いが、どれも日本の大企業なので、知っておいても損は無いです。
鉄鉱石は、オーストラリアから、ほとんどを輸入しています。
日本への鉄鉱石の輸入元の国は、オーストラリアからの輸入が約60%です。ブラジルから約28%です。インドから約5%です。
鉄鉱石の合計輸入量は、年にもよりますが、だいたい、1億5000万トンです。
石炭は、オーストラリアから約75%を輸入しています。カナダから約13%を輸入しています。 石炭の合計輸入量は、年にもよりますが、だいたい5000万トン〜6000万トンです。
石油を原料として、さまざまな製品をつくる産業である。 プラスチックや、ビニル袋などのビニル製品、合成ゴム、灯油や軽油やガソリン、などは、石油から作られている。
地中から取り出したままの石油を原油という。この原油が、石油工業の、おおもとの原料である。 原油そのものでは製品にはならず、この原油を工場で成分ごとに分けます。これを石油の精製(せいせい)といいます。
蒸留塔(じょうりゅうとう)で、成分ごとに分けられます。 石油の蒸気は、温度によって、ふくまれる成分の割合がかわってくるので、この現象を利用して、成分ごとに分けています。蒸留塔の中には、数十段ものトレイ( 棚(たな)のこと )が組み込まれています。図では、トレイが数段ですが、じっさいには、もっと多いです。このように、成分ごとに沸騰(ふっとう)する温度のちがいで物質をわけることを、 分留(ぶんりゅう) と言います。
精製によって、原油は成分ごとにわかれ、ガス、ガソリン、ナフサ、灯油、軽油、アスファルトなどに分かれ、分留されます。分留された成分のことを留分と言うことがあります。「ガソリン留分」、「ナフサ留分」、「軽油留分」などのように言います。ガソリン留分からガソリンがつくられ、軽油留分から軽油が作られます。
ナフサは、プラスチックなど、さまざまな製品の原料になります。ナフサを分解するナフサ分解炉(ぶんかいろ)で、エチレンやプロピレン、ブタジエン、ベンゼン、トルエンなどのガスの成分が、とり出されていきます。
これらエチレンなどの成分から、プラスチックや合成繊維、合成ゴムなどの誘導品(ゆうどうひん)を作っていきます
プラスチックのポリエチレンは、エチレンを原料に作られます。ポリプロピレンは、プロピレンを原料に、作られます。
石油工場では、パイプによって、関連する工場どうしがつながっている。このようなパイプラインでつながった石油工場をコンビナートという。コンビナートとは、ロシア語で、「つながり」とかの意味である。英語のコンビネーションの意味に近いとおもえば、よいだろう。
石油化学コンビナートは、太平洋ベルトにあります。太平洋側の太平洋ベルトの臨海部にあります。臨海部にある理由は、原料を海外から輸入していることや、海岸の埋め立てで広い工場用地を確保しやすかったからです。
輸入先は中東のアラブ地域が、ほとんどです。サウジアラビア(約30%)やアラブ首長国連邦(約20%)やカタール(約12%)、イラン(約11%)、クウェート(約8%)などから原油を輸入しています。
企業名は おぼえる必要はありませんが、石油化学業界の大企業ですので、知っておいてください。
原油の合計輸入量は、年にもよりますが、だいたい、2億キロリットルです。
ICとは、集積回路とも言われ、数mmのチップに、電子素子を、とても多く、つめこんだ部品です。コンピュータ部品にICが使われます。パソコンだけでなく、計算する機能をもっている「デジタル家電」などの製品のほとんどに、ICは入っています。
IC産業や電子産業が、半導体産業と言われることもあります。ICの材料に、半導体という材料が使われることが多いからです。
半導体とは、電気の流しやすさが、電気を流す金属などの導体(どうたい)と、電気を流さないゴムなどの絶縁体とのあいだの、半分くらいの流しやすさの材料なので、半導体(はんどうたい)といいます。 元素のケイ素であるシリコンなどが半導体です。
高機能のICの製造には、とても、お金がかかります。どれだけ多くの素子をICチップに多く組み込めるかで性能がきまるので、最先端の精密(せいみつ)技術を持った大企業でないと、製造も開発も、出来ません。
LSI(、大規模集積回路)とは、ICの中でも、1つのチップの中の電子部品の数が、とても多いICです。
かつて1980年代は、日本は世界の半導体生産の半分くらいを生産していました。しかし、その後のアメリカとの競争にやぶれ、また韓国にも競争でやぶれ、日本の影響力(えいきょうりょく)は、落ちています。
世界での半導体生産の企業シェアは、2012年度は、上位から順に、
と、なっております。
※この節は、きちんと理解するのは、とても難しいです。半導体の仕組みを完全に理解しようとすると、予備知識には大学生ていど(それも理系の大学)の知識が必要になります。小学生には、完全な理解はむりなので、読み物として、コンピュータの歴史を知ることを、この節では目的にしてください。
小学校の理科で習うような電気部品では、デジタルの計算機は、つくれません。
コンピュータに計算させる部品には、今でこそ半導体ICを用いているが、1940年ごろのアメリカでは、真空管というを用いていた時代もあった。
真空管とは、ガラス管の中を真空にしたガラス管の中で、電源のマイナス極に結びついた電極と、電源のプラス極に結びついた電極を取り付け、マイナス極を熱することで電子を放電させることで電気をながすという、大きな電気部品です。
この仕組みを使うと、電気を一方向のみに流すことができます。電子の放電は、マイナス極を熱したときにしか、おきません。プラス極を熱しても、電子は放電しません。なお、この真空管の実験事実から、電子はマイナスの電荷である、ということが科学的に発見されました。
真空管の整流の仕組みは、離れた陽極と陰極に大きな電圧差をかけ、このとき陰極に高温を加えると電子が放出するという、陰極線(いんきょくせん)の発見でした。
この一方向にしか電気が流れないという真空管の性質をもちいると、ふつうのエナメル線や豆電球などの電気回路では出来ないような複雑な処理を、真空管などの電子回路に、処理させることが、できます。
この真空管に、マイナス極とプラス極の2個の電極を取り付けた真空管を、2極真空管と言います。 半導体を用いる現代では、真空管のかわりにダイオードという部品が、この真空管とおなじような一方向にのみ電子を流す機能を持っています。
この真空管に、さらに、もう一本、マイナス極の近くに電極を取り付けます。3本目の電極の電圧の大きさを変えると、陰極から放電される電子の量が変わります。3本目の電極の電圧をかえるのに流した電流の大きさ以上に、陰極からの電流の大きさを変えることができます。これによって、3極真空管には、少ない電流の変化を、大きな変化に変える 増幅が可能になります。(増幅といっても、べつに無から有の電流を作るわけでは無く、外部電源は必要になる。)
この3個の極を持つ真空管が、3極真空管です。
半導体を用いる今日では、この、3極真空管は、半導体の実用化後は、トランジスタという部品に、置き換えられていった。
陰極線が発見されたばかりのころは、まだコンピュータへの応用には、気づかれていませんでした。それから時代が変わって1940年ごろに、第二次大戦のため、アメリカでは高性能の計算機が必要になり、新型の計算機の開発が進みます。この時代に、陰極線を用いた真空管で計算機が作れる、ということが、気づかれます。
アメリカ軍は、真空管を用いた電子式の計算機の開発に、巨額の資金(しきん)を、つぎ込みます。 そうして、完成した電子計算機が、エニアック ENIAC というコンピュータです。
真空管は、陰極を加熱するという理由から、耐久性に欠陥があった。たとえば電球のフィラメントが焼き切れるように、真空管が熱で電極が焼き切れたりなどして、故障するということが多かった。
また、真空管は小型化も難しかった。
しばらく時代がたち、半導体という物質に、いくつかの物質をまぜると、一方向にしか電子が流れないという現象が発見されます。半導体の中を、一方向にのみ、電子が流れます。
しかも、半導体により一方向に流すばあいは、真空管とはちがい、熱する必要がありませんでした。材料の中を電子がながれるので、放電をさせる必要もなくなります。 なので、熱で故障することが無くなります。おまけに加熱のためのヒータを取り付ける必要も無くなります。
半導体ダイオードや半導体トランジスタの実用化後は、加熱の必要がなくなり、真空管を用いていた多くの電子部品で、耐久性の高い半導体部品へと置き換わることになりました。
ICの配線の加工は、とても細かいので、手では不可能です。おもに、光を用いています。 たとえば写真の業界では、銀塩写真は、光を用いて、化学反応を制御しています。半導体の製造でも、光を用いて、シリコンウエハにぬられた感光剤(かんこうざい)の化学反応を制御して、ICを作っています。
なので、半導体製造装置(はんどうたいせいぞうそうち)には、レンズなどの光学部品が、ついています。 シリコンウエハに、写真のように回路図をうつして、ICの配線をつくっているのです。
「半導体産業」と言った場合、最近では、材料が本来の意味の導電率が半分という意味の「半導体」でなくても、製品がICなどと同じ機能をもっている高性能の計算処理能力などを持つ電子部品をつくる産業ならば、その製品をつくる産業も「半導体産業」と言う場合があります。
軽工業には、食品工業や繊維工業など、色々とあるが、食品工業の割合が、もっとも大きい。
たとえば小麦粉からパンをつくったり、果物からジュースをつくったりするように、農産物や畜産物、水産物を加工して 加工食品(かこう しょくひん) をつくる産業である。
食料品工業とも言う。
肉からハムを作ったり、魚からカマボコや ちくわ を作るのも食品工業です。
スーパーで売られてるようなカレーライスのルーを作ったり、インスタントラーメンなどをつくるのも食品工業です。
牛乳からバターやチーズなどの加工した乳製品をつくるのも食品工業です。 小麦からビールを作るのも、コーヒー豆からインスタントコーヒーを作るのも食品工業です。
大豆から味噌(みそ)を作ったり、醤油(しょうゆ)をつくるのも食品工業です。
調味料を作ったり、コメの精米や、小麦の製粉、漬物、缶詰食品などの保存食づくり、お菓子工場のお菓子づくりなど、食品工業は、たくさん、あります。
食品工場の工場は、多くの工場は、中小の工場です。工場の場所は、原料の産地のちかく、または東京などの大消費地の近く、または原料の輸入する貿易港の近くが多いです。
なので、全国に工場が、ちらばっています。
繊維の種類には綿や、絹の生糸などの天然繊維や、ナイロン繊維やアクリル繊維などの化学繊維がある。
綿の材料は、綿花から採れる。コットンとは、綿のことです。
絹の原料は、虫であるカイコの繭です。シルク silk とは絹のことです。
ウールとは、羊の羊毛のことです。
化学繊維の多くは、ふつうは、石油を原料にしています。
日本では、繊維工業は、第二次世界大戦の前までは、天然繊維の製品の輸出が、日本の主要な工業であった。しかし戦後は、人件費の安い中国(中華人民共和国のほう)や東南アジアなどの外国に工場が移ったことや、ナイロンなどの化学繊維の発明によって、繊維工業の割合は低下した。
人件費とは、従業員の一人あたりに支払う給料のことです。
経済力の高い先進国では、高い給料を払わないと労働者が集まりにくいので、先進国では人件費が高くなる傾向があります。
戦前の繊維工業の参考として、たとえば、現在では自動車会社で有名なトヨタ自動車も、昔は、1926年(大正15年)に創業したばかりの豊田自動織機という織機をつくる会社でした。
ふつうの紙の原料は、木です。
木材をチップにして、さらにチップから パルプ を作ります。
製紙会社の工場で、釜でチップが煮込まれ、苛性ソーダ(水酸化ナトリウム)などを加えられて化学処理されて、チップからパルプになります。
パルプから紙が作られます。 パルプを漂白(ひょうはく)するため過酸化水素水などを使います。漂白して白くしたあと、抄紙機という巨大なローラーのついた機械で、均等な厚さに伸ばしていきます。
出来た紙は巨大なので、そのままでは製品にならないので、機械で必要な大きさに裁断(さいだん)されて、取引先に出荷されます。
紙は、木材から作る他にも、古紙から作った再生パルプを使ってつくる再生紙があります。
陶磁器(とうじき)などの焼き物を作ったり、ガラスを作ったり、セメントを作ったりする工業を 窯業 と言います。 どれも、石や粘土(ねんど)などを焼いて、作っています。
陶磁器は、ふつう、粘土 をやいて、作ります。
ガラスの材料は、ケイ砂です。ケイ砂を高温で溶かし液状にしたものを、成形して固めたものがガラスです。
セメントの材料は石灰岩(せっかいがん)と粘土です。 石灰岩と粘土とを粉々にしてから焼き固めたあとに、冷却して、砕いた(くだいた)ものです。
そしてセメントは、コンクリートの原料です。
セメントに砂利と砂を入れ、水を適切な配合でまぜると、水とセメントとの化学反応が起きて、時間がたつとコンクリートとなって固まっていきます。
セメントの原料の石灰岩は、日本国内で自給できています。(2014年に記述。)
このような石などを焼いて作った材料、またはそれと似た化学成分の材料をまとめて、セラミックス とも言います。
セラミックスのなかで、とくに高性能な、とくべつな材料を ファインセラミックス と言います。ファインセラミックスの原材料は、きびしく管理されています。
セラミックスは、金属とちがい、さびないのが普通です。 セラミックスは電気を流さないので、電子材料で、絶縁(ぜつえん)が必要なところに使われることがあります。 電気回路で電気を一時的に保持する部品をコンデンサと言うのですが、セラミックコンデンサなどの応用があります。
2019年4月現在、日本の人口は1億2615万人 (推計値) であるが、減少している。
年齢層と性別ごとの人口をグラフにしたものを人口ピラミッドといいます。ここで、3つの年の人口ピラミッドを見てみましょう。
※左、すなわち青いほうが男、右、ピンクの方が女です。
これは、左から順に 1950年、1980年、2015年のものです。(クリックで拡大できます。)
まず、1950年のものを見てみましょう。ほぼ三角形の形で、子どもが多く、高齢者が少なくなっています。このような多産多死型の人口ピラミッドを、ピラミッド型とか、富士山型といいます。これは、発展途上国でよく見られます。
次に、1980年のものを見てみましょう。1950年のときと比べて、細くなっています。このような多産少死型の人口ピラミッドを、つりがね型といいます。
最後に、2015年のものを見てみましょう。1980年のときと比べて、さらに細くなっています。子どもが少なく、高齢者が多くなっています(少子高齢化)。このような少産少死型の人口ピラミッドを、つぼ型といいます。これは、先進国でよく見られます。
「出生率」とは、一人の女性が、一生で何人の子供を産むかの平均です。2.07を切ると人口減少が始まるといわれています。2016年の出生率は、1.44でした。(先進国の中でも、かなり低いが、2018年、韓国の出生率は0.98であった)
一時的に出生率が高くなる時期をベビーブームといいます。
第一次ベビーブームは、太平洋戦争の直後に起こりました。先ほどの1950年の人口ピラミッドで、子どもの数が多くなっている1つの原因です。第一次ベビーブームのときに生まれた人を団塊の世代ということがあります。現在、70代前半の人です。
第二次ベビーブームは、1970年代に起こりました。第一次ベビーブームのときに生まれた人が、子どもを出産したことにより起こりました(第二次ベビーブームのときに生まれた人を「団塊ジュニア」ということがあります)。現在、40代中ごろの人です。
都市部では、人口増加により、交通渋滞などを引き起こしています。
中心部の人口が減少し、周辺部の人口が増加する。
外国へ商品を売ることを輸出(ゆしゅつ)という。外国から、商品を買うことを輸入(ゆにゅう)という。
輸出額が輸入額より大きい場合を 貿易黒字という。輸入額が輸出額より大きい場合を 貿易赤字という。
日本には、資源が乏しく、外国から原料などを多く輸入している。 このように外国から原料を輸入し、日本国内で加工して工業製品にして、その工業製品を外国に輸出することで外貨をかせぐ貿易の方法を加工貿易という。
日本にとって、加工貿易は 必要な方法である。
1960年代ごろから、せんい製品・カラーテレビ・自動車・半導体電子部品などが多く輸出され、アメリカの製造業が不振になり、アメリカと日本との貿易摩擦が起こる。 アメリカは日本に輸出の規制を求めている。
アメリカと中国が、大きな貿易相手。 日本から外国への輸出先は、多い順に中国、アメリカ、韓国などである。
外国から日本への輸入は、中国からの輸入、アメリカからの輸入、オーストラリアからの輸入が多い。
中国は人件費が安いので、その結果、輸出品の価格も安くなるので、各国の消費者が価格の安い中国製品を好んで買うので、多くの製品が中国から輸出される。 中国からの輸出品の生産は、中国の現地企業が生産している場合もあれば、外国の企業が人件費の安い中国に工場をたてて生産している場合もある。
中国にかぎらず、東南アジアも人件費が安いので、中国と同様に、安い製品の輸出をしている。
日本からも、人件費の安い外国に生産工場をうつす動きがあるが、その結果、国内の工場の仕事が減り、国内の生産力が下がるという「産業の空洞化」が起きている。
また、外国に工場を作ると、日本国内の工場でつちかわれた生産ノウハウも外国の労働者に教えることになるので、外国に技術ノウハウが流出するという 技術流出 も、問題になっている。また、中国は人口が多く、世界最大の人口を持つので、中国市場に多くの企業が参入し、中国への輸出額も多くなっている。
工場などからでる排水や排煙などの処理が不十分だと、排水・排煙にふくまれる有害物質により、周辺の環境が汚染され、近隣の住民など多くの人の健康に被害が出る場合がある。このように、産業活動による多くの人への健康への悪影響を 公害 という。
工場から有害な物質が出ている場合は、工場の中で働いている人にも健康への悪影響がある。
工場の中の人だけに健康被害がある場合は、ふつうは「公害」とは呼ばずに、「職業病」など異なったよび方をする。
家庭などから出る物質によっても、環境に悪影響が出る場合があるが、それらの場合は、ふつうは公害とは呼ばずに、単に、環境汚染(かんきょうおせん)として、あつかわれる。 環境汚染とは、環境が、よごれることである。公害によって空気が汚染された場合なども、環境汚染の、ひとつである。
この節では、職業病ではなく、主に、公害を中心に説明する。
公害とは、主に、以下の7つの公害が典型的である。
環境基本法では、この7つの種類の公害を「典型七公害」としている。
世界の各地でさまざまな公害が発生したが、この節では、日本で起きた公害のうち、戦後に起きた公害を取り上げる。
日本でも、かつて大きな公害が発生したことがある。以下の4つの公害およびその公害による病気が、特に被害が大きい公害として有名である。
この4つの公害を四大公害病と言います。
化学工場の排水にふくまれていた水銀および水銀化合物(有機水銀、メチル水銀)が原因でおきた病気です。水銀は猛毒なので、この水銀に汚染された水を飲んだり、水銀に汚染された海水で育った魚や貝を食べたりすると、病気になります。体が水銀におかされると、神経細胞が破壊され、手足がしびれたり、うごかなくなります。
1953年ごろに熊本県の水俣という地域や、水俣湾の周辺で、有名になった公害なので、水俣病と言います。
なお、有名になったのは1953年ごろからだが、それ以前の1940年代ごろから、水俣病とおぼしき症例が知られている。
人間以外にも、猫や鳥など、水銀に汚染された魚を食べたり水を飲んだりしたと思われる動物の不審死がいくつもあり、当初は、水俣病の原因もよく分かっていなかったので、しびれている猫が踊ってるようにも見えたことから、当初は「猫病おどり病」とも言われた。
三重県の四日市市は、1940年ごろから石油化学工業で、繁栄していました。現在も、多くの石油化学工場があつまった「石油化学コンビナート」といわれる工場の集まりがあります。
1950年ごろから、この周辺では、ぜんそくや気管支炎など、のどをいためる病気の人が、ふえてきました。また、この近くの海でとれた魚は油くさい、と言われたりもしました。
ちなみに、四日市ぜんそくの原因の物質は 亜硫酸 ガスだということが、今では分かっています。
この頃はまだ詳しくは分かっていませんでしたが、石油化学コンビナートから出る、けむりや排水が、環境に悪い影響をあたえているらしい、ということが1960年ころから言われはじめ、社会問題になりました。
このうち、とくに 喘息 の被害が有名なので、この四日市でおきた公害を 四日市ぜんそく というのです。
1955年ごろ富山県の神通川の周辺で起きた病気であり、体の ふしぶし が痛くなり、骨が折れやすくなる病気です。これはカドミウムが原因で、そのカドミウムは猛毒です。
川の上流にある鉱山から流れ出る廃水にカドミウムがふくまれており、その廃水を飲んだ人や、廃水に汚染された米などの農産物などを食べた人に、被害が出ました。感染者が皆「イタイイタイ」というため、この名がつけられたと言われています。
1964年ごろに新潟県の阿賀野川の流域で起きた、水銀および水銀化合物による公害で、化学工場の排水の中の水銀化合物が原因です。
症状は、熊本県の水俣病と同じです。第二水俣病とも言われます。
これらの公害病の原因の物質を排出した会社や工場に対し、住民らが国に裁判を、訴えでます。1960年代の後半に裁判が起こされ、1970年代の前半の1971年〜1973年ごろに判決が出ます。どれも企業側の責任を認め、企業側は被害住民に 賠償金 を支払うように命じる判決が出ます。
四大公害などの発生を受け、公害対策の気運が高まります。
地球温暖化 の主な原因は、石油などの化石燃料の大量使用によって、排気にふくまれる二酸化炭素により、空気中の二酸化炭素が増加したためと考えられている。
国連では温暖化の防止のため、1992年に国連環境開発会議(地球サミット)がブラジルのリオデジャネイロで開かれ、地球サミットで条約として地球温暖化防止条約( 気候変動枠組み条約 )が採択された。
また1997年には、国連の会議(地球温暖化防止 京都会議)で,温室効果ガスの削減目標を定めた京都議定書(きょうとぎていしょ)が採択された。
しかし、中国などの発展途上国と見なされていた国には、削減が義務づけられていない。 また、アメリカは当時に会議から離脱した。
国別の排出量では2016年では、中国が1位であり、アメリカが2位、インドが3位である。
このような理由のため、京都議定書の実効性が疑問視されている。
(削減義務を負わない)発展途上国と見なされた国の反論は、「地球環境問題を引き起こした原因は、主に先進国の活動が原因であり、われわれ途上国に負担を負わせるのはおかしい。」というような反論をしている。
海抜の低いツバル、モルディブ、キリバスでは、海水面が上がれば国土の多くが水没してしまう恐れがある。 南極の大陸上の氷や氷河の氷が溶ければ、海面上昇。低地が水没する。なお、北極の氷が溶けても、もともと北極海に浮かんでいる氷が水に変わるだけなので、海面は上昇しない。
温暖化によって、マラリアを媒介する蚊のハマダラカの生息域が広がる恐れが有る。
1990年より6%減少を目標とした。
なお、二酸化炭素のことを化学式から CO2(シー・オーツー) とも言う。Cが炭素(英:carbon カーボン)のことで、Oが酸素(英:Oxygen オキシジェン)および酸化(Oxidation オキシデイション)のことである。
主に発展途上国で、耕作や放牧や工業化を目的にした森林伐採などで、森林面積が減少している。温暖化の原因にもなっていると考えられている。また、動物の生息域が減るので、生態系の保護の観点からも、森林破壊が問題である。
なお、温暖化の化石燃料以外の他の原因として、森林伐採などによる森林の減少によって、植物の光合成による二酸化炭素の吸収量が減ったのも理由の一つでは、という説もある。
もともと植物の少ない地域で、その地域が砂漠になる現象が世界の各地で起きている。原因は、過度の農業化や周辺の森林伐採などにより、土壌の保水性が失われたことなどである。
酸性雨の原因は、化石燃料の排気にふくまれる窒素酸化物などの物質が、雨の酸性化の原因と考えられている。酸性雨により、森林が枯れたり、湖や川の魚が死んだりする場合もある。
フロンガスという物質が原因で、オゾン層が破壊されることが1980年代に分かった。
地球環境問題は一国だけの問題ではなく、複数の国々、さらに世界中全ての国に影響を与える問題である。このため、1970年代から国際会議でも取り上げられる重大なテーマとなった。
地球環境問題についての最初の国際会議は1972年にスウェーデンのストックホルムで開かれた国連人間環境会議(ストックホルム会議)である。このとき「かけがえのない地球」というキャッチフレーズが用いられた。
1992年にはブラジルのリオデジャネイロで国連地球サミットが開かれた。( ※ 正式名称は「環境と開発に関する国際連合会議」。ただし、「リオ会議」「国際連合環境開発会議」などとも呼ばれる。 ) 国連地球サミットにおいて、「持続可能な開発」という考え方が示された。
1997年には京都で開かれた京都会議( ※ 正式名称は「第3回 気候変動枠組(わくぐみ)条約 締約国(ていやくこく)会議」 )において京都議定書が締結され、世界の主要国が温室効果ガスの削減を求められるようになった。議定書の発効は2005年からである。
このようにして世界の国々が地球環境問題に対して一致して取り組むことが求められるようになったが、京都議定書からのアメリカの離脱、中国の経済発展にともなう温室効果ガス排出量の急増、発展途上国の経済発展と環境への影響の増大などに見られるように、各国の事情や利害の対立から一致した行動にはほど遠いという問題は解決されていない。
ヨーロッパでは陸続きの国が多いので、一つの国の環境問題が周囲の国に影響を与えることも大きく、環境問題が外交問題になりかねないこともあり、ヨーロッパでは1970年代ごろから環境問題の取り組みが積極的に行われてきた。 | [
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"text": "中学受験社会/地理/下巻では、これから中学受験をされる方への社会科地理分野を解説します。",
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"text": "農業や林業や漁業などを 第1次産業 と言います。 製造業や建設業を 第2次産業 といいます。商業やサービス業、運輸業などを 第3次産業 といいます。 現在は、第3次産業に関わる人が一番多く(71.0%)、次いで第2次産業(25.0%)、第1次産業 (4.0%) です。[()内の数字は2015年のもの]",
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"text": "日本の森林面積は、国土のおよそ3分の2です。",
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"text": "米は、1942年(第二次世界大戦中)に成立した食料管理法で、政府が農家から米を買い上げて、米の値段(米価)を安定させ、農家のくらしをささえていました。ですが、戦後の食生活の変化により、だんだん生産があまるようになり、そのため買い上げている国の財政にも負担になりました。",
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"text": "自動車は、部品工場で作った部品を、組み立て工場で組み立てている。 部品を生産する会社は、親会社とは、べつの会社である。親会社の一社では、部品を作っていない。",
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"text": "1970年代には、日本とアメリカとの貿易摩擦の原因にもなった。 アメリカでの日本製品への不買運動のこと。日本製品がよく売れるということは、うらをかえせば、アメリカ製の商品が売れなくなるということでもある。 (もっとも、日本製品を買っているのもアメリカ人たちなのだが・・・)",
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"text": "アメリカ製の製品が売れなくなれば、そのアメリカの製品を作る企業は経営悪化し、仕事の人は、失業してしまう。 なので、アメリカで、日本製品の不買運動が、もりあがったのである。",
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"text": "また、事故などのさいの安全の対策も、むかしからのシートベルトに加え、さらにエアバッグや、赤外線センサーなどの各種のセンターによる警告(けいこく)など、さまざまな技術がすでに導入され、すでに自動車の部品の一部として実用化されている。",
"title": "工業"
},
{
"paragraph_id": 43,
"tag": "p",
"text": "自動車会社では、このような部品の安全性をたしかめるため、開発のための工場では開発時に、じっさいに、自動車の衝突の実験をしている。",
"title": "工業"
},
{
"paragraph_id": 44,
"tag": "p",
"text": "衝突実験といって、人間のかわりに実験用のマネキンを乗せて自動走行させた自動車を、じっさいに障害物などに衝突させて、エアバッグなどが作動するか確認したり、また衝突時にどこが壊れやすいかなどを調べたりなどの調査を行う。",
"title": "工業"
},
{
"paragraph_id": 45,
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"text": "",
"title": "工業"
},
{
"paragraph_id": 46,
"tag": "p",
"text": "最近では、「カーシェア」といって、複数の家庭の人が、一台の車を共有する仕組みも、登場している。",
"title": "工業"
},
{
"paragraph_id": 47,
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"text": "",
"title": "工業"
},
{
"paragraph_id": 48,
"tag": "p",
"text": "自動車にかぎらず機械工場では、加工のさいに、金属のクズや、金属の切れ端などの余りものの金属が発生する。",
"title": "工業"
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{
"paragraph_id": 49,
"tag": "p",
"text": "それらの金属のごみは、専門の業者に回収してもらう。",
"title": "工業"
},
{
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"tag": "p",
"text": "金属ごみでも、品質のよい状態のごみだと、場合によっては、有料で業者に買い取ってもらえる(自動車会社などの側のほうが、金をもらえる)場合もある。",
"title": "工業"
},
{
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"text": "",
"title": "工業"
},
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"text": "",
"title": "工業"
},
{
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"tag": "p",
"text": "中小工場とは、従業員数が300人 未満の工場のこと。つまり299人 以下の工場のこと。従業員数が29人以下の工場を小工場と言い、30人以上〜299人以下の工場を中工場という。 300人以上の工場を大工場と言う。",
"title": "工業"
},
{
"paragraph_id": 54,
"tag": "p",
"text": "中小工場は、大企業の下請けが多い。中小工場の多くは、大工場でつくっている製品の、部品などを作っている。 部品工場のことを、最終製品を作っている工場からの視点で、関連工場(かんれんこうじょう)ともいう。",
"title": "工業"
},
{
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"tag": "p",
"text": "部品工場である関連工場が、かならずしも中小工場とはかぎらないので、まちがえないこと。",
"title": "工業"
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"tag": "p",
"text": "中小工場ではたらく人は、工場労働者の70%近い。",
"title": "工業"
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"tag": "p",
"text": "全工場の99%が中小工場。",
"title": "工業"
},
{
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"tag": "p",
"text": "鉄の原料は鉄鉱石(てっこうせき)です。",
"title": "工業"
},
{
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"tag": "p",
"text": "鉄をつくるには、鉄鉱石から、製鉄所にある高炉(こうろ)で鉄を溶かします。高炉の高さは100m以上もあります。高炉で溶かした鉄が、銑鉄(せんてつ)です。",
"title": "工業"
},
{
"paragraph_id": 60,
"tag": "p",
"text": "鉄鉱石は、酸化していて、さびています。鉄鉱石を溶かす時に、さびをとるため、炭素をふくんでいる石炭をむしやきにしたコークスを加えています。",
"title": "工業"
},
{
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"tag": "p",
"text": "銑鉄は、高炉の中で下に液状になって、たまり、炉の下のほうから取り出されます。",
"title": "工業"
},
{
"paragraph_id": 62,
"tag": "p",
"text": "この炭素が鉄に多くまざると、鉄はかたくなり、もろくなる。銑鉄には炭素が多くあるので、銑鉄は、かたくてもろいです。銑鉄に、ふくまれる炭素の濃度は、だいたい4%から5%まで、です。この炭素の濃度だと、銑鉄が、やや低い温度で溶けやすくなるので、結果的に、銑鉄の濃度が、こうなります。",
"title": "工業"
},
{
"paragraph_id": 63,
"tag": "p",
"text": "不純物は、酸素の他にも、ふくまれているので、コークスの他に、石灰石を加えています。",
"title": "工業"
},
{
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"tag": "p",
"text": "",
"title": "工業"
},
{
"paragraph_id": 65,
"tag": "p",
"text": "鋼(はがね)とは、銑鉄を転炉(てんろ)という炉に送り、転炉で酸素を吹き込むことで、炭素を燃焼させて減らし、ちょうどいいぐあいにまで炭素を減らすことで、丈夫な鋼(はがね)に、なります。ねばりが ありながら、しかも かたくなるように、炭素の量を調節した鉄です。鋼にふくまれる炭素の量が、どのくらいかと言うと、0.02% から 2.1%までの炭素濃度です。",
"title": "工業"
},
{
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"tag": "p",
"text": "転炉のあと、さらに圧延機におくられ、板のかたちの鋼板(こうばん)や、棒のかたちの棒材(ぼうざい)などへと、加工されます。",
"title": "工業"
},
{
"paragraph_id": 67,
"tag": "p",
"text": "鉄や鋼をあわせて、鉄鋼(てっこう)と、よびます。 鉄鋼を生産している産業を鉄鋼業(てっこうぎょう)と言います。",
"title": "工業"
},
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"tag": "p",
"text": "なお、ステンレス鋼とは、鋼(はがね)にニッケルやクロムを加えた合金です。",
"title": "工業"
},
{
"paragraph_id": 69,
"tag": "p",
"text": "アルミニウムをつくったり、銅をつくったりなど、鉄鋼以外の金属を生産するのは、金属工業と言います。アルミや銅の生産は、鉄鋼業とは言いません。",
"title": "工業"
},
{
"paragraph_id": 70,
"tag": "p",
"text": "日本では、金属生産のなかでも、アルミや銅よりも、鉄鋼生産が、もっともさかんです。",
"title": "工業"
},
{
"paragraph_id": 71,
"tag": "p",
"text": "昔は、鉄は「産業の米」と言われていた。しかし、今では半導体が「産業の米」と呼ばれている。",
"title": "工業"
},
{
"paragraph_id": 72,
"tag": "p",
"text": "「鉄は国家なり」という格言も、ある。",
"title": "工業"
},
{
"paragraph_id": 73,
"tag": "p",
"text": "プレスなどの加工をなにもしていない、製鉄所で作ったままの鉄鋼を、粗鋼(そこう)という。この粗鋼の生産量が、国の製鉄業の規模をはかるのに、よく用いられる。",
"title": "工業"
},
{
"paragraph_id": 74,
"tag": "p",
"text": "粗鋼の生産量では、中国(中華人民共和国)が2010年では第1位で、世界の45%ちかくを生産し、約6億トンを生産している。ついで、日本が1億トンで2位、アメリカが8千万トンで3位、それからロシア4位、インド5位、韓国6位・・・というように続く。 このように、中国の粗鋼生産量が、ずばぬけて高い。",
"title": "工業"
},
{
"paragraph_id": 75,
"tag": "p",
"text": "製鉄所は、臨海部に多くある。場所が、埋め立て地であることも多い。ほとんどの製鉄所は太平洋ベルトにある。ただし、北海道の室蘭は例外。",
"title": "工業"
},
{
"paragraph_id": 76,
"tag": "p",
"text": "臨海部にある理由は、原料の輸入や、製品の輸出に便利であることです。また、埋め立て地を作ることで、広い土地を確保できます。",
"title": "工業"
},
{
"paragraph_id": 77,
"tag": "p",
"text": "日本の、主な製鉄所の場所は、以下の通り。",
"title": "工業"
},
{
"paragraph_id": 78,
"tag": "p",
"text": "企業名は、記憶しなくても良いが、どれも日本の大企業なので、知っておいても損は無いです。",
"title": "工業"
},
{
"paragraph_id": 79,
"tag": "p",
"text": "鉄鉱石は、オーストラリアから、ほとんどを輸入しています。",
"title": "工業"
},
{
"paragraph_id": 80,
"tag": "p",
"text": "日本への鉄鉱石の輸入元の国は、オーストラリアからの輸入が約60%です。ブラジルから約28%です。インドから約5%です。",
"title": "工業"
},
{
"paragraph_id": 81,
"tag": "p",
"text": "鉄鉱石の合計輸入量は、年にもよりますが、だいたい、1億5000万トンです。",
"title": "工業"
},
{
"paragraph_id": 82,
"tag": "p",
"text": "石炭は、オーストラリアから約75%を輸入しています。カナダから約13%を輸入しています。 石炭の合計輸入量は、年にもよりますが、だいたい5000万トン〜6000万トンです。",
"title": "工業"
},
{
"paragraph_id": 83,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "工業"
},
{
"paragraph_id": 84,
"tag": "p",
"text": "石油を原料として、さまざまな製品をつくる産業である。 プラスチックや、ビニル袋などのビニル製品、合成ゴム、灯油や軽油やガソリン、などは、石油から作られている。",
"title": "工業"
},
{
"paragraph_id": 85,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "工業"
},
{
"paragraph_id": 86,
"tag": "p",
"text": "地中から取り出したままの石油を原油という。この原油が、石油工業の、おおもとの原料である。 原油そのものでは製品にはならず、この原油を工場で成分ごとに分けます。これを石油の精製(せいせい)といいます。",
"title": "工業"
},
{
"paragraph_id": 87,
"tag": "p",
"text": "蒸留塔(じょうりゅうとう)で、成分ごとに分けられます。 石油の蒸気は、温度によって、ふくまれる成分の割合がかわってくるので、この現象を利用して、成分ごとに分けています。蒸留塔の中には、数十段ものトレイ( 棚(たな)のこと )が組み込まれています。図では、トレイが数段ですが、じっさいには、もっと多いです。このように、成分ごとに沸騰(ふっとう)する温度のちがいで物質をわけることを、 分留(ぶんりゅう) と言います。",
"title": "工業"
},
{
"paragraph_id": 88,
"tag": "p",
"text": "精製によって、原油は成分ごとにわかれ、ガス、ガソリン、ナフサ、灯油、軽油、アスファルトなどに分かれ、分留されます。分留された成分のことを留分と言うことがあります。「ガソリン留分」、「ナフサ留分」、「軽油留分」などのように言います。ガソリン留分からガソリンがつくられ、軽油留分から軽油が作られます。",
"title": "工業"
},
{
"paragraph_id": 89,
"tag": "p",
"text": "ナフサは、プラスチックなど、さまざまな製品の原料になります。ナフサを分解するナフサ分解炉(ぶんかいろ)で、エチレンやプロピレン、ブタジエン、ベンゼン、トルエンなどのガスの成分が、とり出されていきます。",
"title": "工業"
},
{
"paragraph_id": 90,
"tag": "p",
"text": "これらエチレンなどの成分から、プラスチックや合成繊維、合成ゴムなどの誘導品(ゆうどうひん)を作っていきます",
"title": "工業"
},
{
"paragraph_id": 91,
"tag": "p",
"text": "プラスチックのポリエチレンは、エチレンを原料に作られます。ポリプロピレンは、プロピレンを原料に、作られます。",
"title": "工業"
},
{
"paragraph_id": 92,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "工業"
},
{
"paragraph_id": 93,
"tag": "p",
"text": "石油工場では、パイプによって、関連する工場どうしがつながっている。このようなパイプラインでつながった石油工場をコンビナートという。コンビナートとは、ロシア語で、「つながり」とかの意味である。英語のコンビネーションの意味に近いとおもえば、よいだろう。",
"title": "工業"
},
{
"paragraph_id": 94,
"tag": "p",
"text": "石油化学コンビナートは、太平洋ベルトにあります。太平洋側の太平洋ベルトの臨海部にあります。臨海部にある理由は、原料を海外から輸入していることや、海岸の埋め立てで広い工場用地を確保しやすかったからです。",
"title": "工業"
},
{
"paragraph_id": 95,
"tag": "p",
"text": "輸入先は中東のアラブ地域が、ほとんどです。サウジアラビア(約30%)やアラブ首長国連邦(約20%)やカタール(約12%)、イラン(約11%)、クウェート(約8%)などから原油を輸入しています。",
"title": "工業"
},
{
"paragraph_id": 96,
"tag": "p",
"text": "企業名は おぼえる必要はありませんが、石油化学業界の大企業ですので、知っておいてください。",
"title": "工業"
},
{
"paragraph_id": 97,
"tag": "p",
"text": "原油の合計輸入量は、年にもよりますが、だいたい、2億キロリットルです。",
"title": "工業"
},
{
"paragraph_id": 98,
"tag": "p",
"text": "ICとは、集積回路とも言われ、数mmのチップに、電子素子を、とても多く、つめこんだ部品です。コンピュータ部品にICが使われます。パソコンだけでなく、計算する機能をもっている「デジタル家電」などの製品のほとんどに、ICは入っています。",
"title": "工業"
},
{
"paragraph_id": 99,
"tag": "p",
"text": "IC産業や電子産業が、半導体産業と言われることもあります。ICの材料に、半導体という材料が使われることが多いからです。",
"title": "工業"
},
{
"paragraph_id": 100,
"tag": "p",
"text": "半導体とは、電気の流しやすさが、電気を流す金属などの導体(どうたい)と、電気を流さないゴムなどの絶縁体とのあいだの、半分くらいの流しやすさの材料なので、半導体(はんどうたい)といいます。 元素のケイ素であるシリコンなどが半導体です。",
"title": "工業"
},
{
"paragraph_id": 101,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "工業"
},
{
"paragraph_id": 102,
"tag": "p",
"text": "高機能のICの製造には、とても、お金がかかります。どれだけ多くの素子をICチップに多く組み込めるかで性能がきまるので、最先端の精密(せいみつ)技術を持った大企業でないと、製造も開発も、出来ません。",
"title": "工業"
},
{
"paragraph_id": 103,
"tag": "p",
"text": "LSI(、大規模集積回路)とは、ICの中でも、1つのチップの中の電子部品の数が、とても多いICです。",
"title": "工業"
},
{
"paragraph_id": 104,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "工業"
},
{
"paragraph_id": 105,
"tag": "p",
"text": "かつて1980年代は、日本は世界の半導体生産の半分くらいを生産していました。しかし、その後のアメリカとの競争にやぶれ、また韓国にも競争でやぶれ、日本の影響力(えいきょうりょく)は、落ちています。",
"title": "工業"
},
{
"paragraph_id": 106,
"tag": "p",
"text": "世界での半導体生産の企業シェアは、2012年度は、上位から順に、",
"title": "工業"
},
{
"paragraph_id": 107,
"tag": "p",
"text": "と、なっております。",
"title": "工業"
},
{
"paragraph_id": 108,
"tag": "p",
"text": "※この節は、きちんと理解するのは、とても難しいです。半導体の仕組みを完全に理解しようとすると、予備知識には大学生ていど(それも理系の大学)の知識が必要になります。小学生には、完全な理解はむりなので、読み物として、コンピュータの歴史を知ることを、この節では目的にしてください。",
"title": "工業"
},
{
"paragraph_id": 109,
"tag": "p",
"text": "小学校の理科で習うような電気部品では、デジタルの計算機は、つくれません。",
"title": "工業"
},
{
"paragraph_id": 110,
"tag": "p",
"text": "コンピュータに計算させる部品には、今でこそ半導体ICを用いているが、1940年ごろのアメリカでは、真空管というを用いていた時代もあった。",
"title": "工業"
},
{
"paragraph_id": 111,
"tag": "p",
"text": "真空管とは、ガラス管の中を真空にしたガラス管の中で、電源のマイナス極に結びついた電極と、電源のプラス極に結びついた電極を取り付け、マイナス極を熱することで電子を放電させることで電気をながすという、大きな電気部品です。",
"title": "工業"
},
{
"paragraph_id": 112,
"tag": "p",
"text": "この仕組みを使うと、電気を一方向のみに流すことができます。電子の放電は、マイナス極を熱したときにしか、おきません。プラス極を熱しても、電子は放電しません。なお、この真空管の実験事実から、電子はマイナスの電荷である、ということが科学的に発見されました。",
"title": "工業"
},
{
"paragraph_id": 113,
"tag": "p",
"text": "真空管の整流の仕組みは、離れた陽極と陰極に大きな電圧差をかけ、このとき陰極に高温を加えると電子が放出するという、陰極線(いんきょくせん)の発見でした。",
"title": "工業"
},
{
"paragraph_id": 114,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "工業"
},
{
"paragraph_id": 115,
"tag": "p",
"text": "この一方向にしか電気が流れないという真空管の性質をもちいると、ふつうのエナメル線や豆電球などの電気回路では出来ないような複雑な処理を、真空管などの電子回路に、処理させることが、できます。",
"title": "工業"
},
{
"paragraph_id": 116,
"tag": "p",
"text": "この真空管に、マイナス極とプラス極の2個の電極を取り付けた真空管を、2極真空管と言います。 半導体を用いる現代では、真空管のかわりにダイオードという部品が、この真空管とおなじような一方向にのみ電子を流す機能を持っています。",
"title": "工業"
},
{
"paragraph_id": 117,
"tag": "p",
"text": "この真空管に、さらに、もう一本、マイナス極の近くに電極を取り付けます。3本目の電極の電圧の大きさを変えると、陰極から放電される電子の量が変わります。3本目の電極の電圧をかえるのに流した電流の大きさ以上に、陰極からの電流の大きさを変えることができます。これによって、3極真空管には、少ない電流の変化を、大きな変化に変える 増幅が可能になります。(増幅といっても、べつに無から有の電流を作るわけでは無く、外部電源は必要になる。)",
"title": "工業"
},
{
"paragraph_id": 118,
"tag": "p",
"text": "この3個の極を持つ真空管が、3極真空管です。",
"title": "工業"
},
{
"paragraph_id": 119,
"tag": "p",
"text": "半導体を用いる今日では、この、3極真空管は、半導体の実用化後は、トランジスタという部品に、置き換えられていった。",
"title": "工業"
},
{
"paragraph_id": 120,
"tag": "p",
"text": "陰極線が発見されたばかりのころは、まだコンピュータへの応用には、気づかれていませんでした。それから時代が変わって1940年ごろに、第二次大戦のため、アメリカでは高性能の計算機が必要になり、新型の計算機の開発が進みます。この時代に、陰極線を用いた真空管で計算機が作れる、ということが、気づかれます。",
"title": "工業"
},
{
"paragraph_id": 121,
"tag": "p",
"text": "アメリカ軍は、真空管を用いた電子式の計算機の開発に、巨額の資金(しきん)を、つぎ込みます。 そうして、完成した電子計算機が、エニアック ENIAC というコンピュータです。",
"title": "工業"
},
{
"paragraph_id": 122,
"tag": "p",
"text": "真空管は、陰極を加熱するという理由から、耐久性に欠陥があった。たとえば電球のフィラメントが焼き切れるように、真空管が熱で電極が焼き切れたりなどして、故障するということが多かった。",
"title": "工業"
},
{
"paragraph_id": 123,
"tag": "p",
"text": "また、真空管は小型化も難しかった。",
"title": "工業"
},
{
"paragraph_id": 124,
"tag": "p",
"text": "しばらく時代がたち、半導体という物質に、いくつかの物質をまぜると、一方向にしか電子が流れないという現象が発見されます。半導体の中を、一方向にのみ、電子が流れます。",
"title": "工業"
},
{
"paragraph_id": 125,
"tag": "p",
"text": "しかも、半導体により一方向に流すばあいは、真空管とはちがい、熱する必要がありませんでした。材料の中を電子がながれるので、放電をさせる必要もなくなります。 なので、熱で故障することが無くなります。おまけに加熱のためのヒータを取り付ける必要も無くなります。",
"title": "工業"
},
{
"paragraph_id": 126,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "工業"
},
{
"paragraph_id": 127,
"tag": "p",
"text": "半導体ダイオードや半導体トランジスタの実用化後は、加熱の必要がなくなり、真空管を用いていた多くの電子部品で、耐久性の高い半導体部品へと置き換わることになりました。",
"title": "工業"
},
{
"paragraph_id": 128,
"tag": "p",
"text": "ICの配線の加工は、とても細かいので、手では不可能です。おもに、光を用いています。 たとえば写真の業界では、銀塩写真は、光を用いて、化学反応を制御しています。半導体の製造でも、光を用いて、シリコンウエハにぬられた感光剤(かんこうざい)の化学反応を制御して、ICを作っています。",
"title": "工業"
},
{
"paragraph_id": 129,
"tag": "p",
"text": "なので、半導体製造装置(はんどうたいせいぞうそうち)には、レンズなどの光学部品が、ついています。 シリコンウエハに、写真のように回路図をうつして、ICの配線をつくっているのです。",
"title": "工業"
},
{
"paragraph_id": 130,
"tag": "p",
"text": "「半導体産業」と言った場合、最近では、材料が本来の意味の導電率が半分という意味の「半導体」でなくても、製品がICなどと同じ機能をもっている高性能の計算処理能力などを持つ電子部品をつくる産業ならば、その製品をつくる産業も「半導体産業」と言う場合があります。",
"title": "工業"
},
{
"paragraph_id": 131,
"tag": "p",
"text": "軽工業には、食品工業や繊維工業など、色々とあるが、食品工業の割合が、もっとも大きい。",
"title": "工業"
},
{
"paragraph_id": 132,
"tag": "p",
"text": "たとえば小麦粉からパンをつくったり、果物からジュースをつくったりするように、農産物や畜産物、水産物を加工して 加工食品(かこう しょくひん) をつくる産業である。",
"title": "工業"
},
{
"paragraph_id": 133,
"tag": "p",
"text": "食料品工業とも言う。",
"title": "工業"
},
{
"paragraph_id": 134,
"tag": "p",
"text": "肉からハムを作ったり、魚からカマボコや ちくわ を作るのも食品工業です。",
"title": "工業"
},
{
"paragraph_id": 135,
"tag": "p",
"text": "スーパーで売られてるようなカレーライスのルーを作ったり、インスタントラーメンなどをつくるのも食品工業です。",
"title": "工業"
},
{
"paragraph_id": 136,
"tag": "p",
"text": "牛乳からバターやチーズなどの加工した乳製品をつくるのも食品工業です。 小麦からビールを作るのも、コーヒー豆からインスタントコーヒーを作るのも食品工業です。",
"title": "工業"
},
{
"paragraph_id": 137,
"tag": "p",
"text": "大豆から味噌(みそ)を作ったり、醤油(しょうゆ)をつくるのも食品工業です。",
"title": "工業"
},
{
"paragraph_id": 138,
"tag": "p",
"text": "調味料を作ったり、コメの精米や、小麦の製粉、漬物、缶詰食品などの保存食づくり、お菓子工場のお菓子づくりなど、食品工業は、たくさん、あります。",
"title": "工業"
},
{
"paragraph_id": 139,
"tag": "p",
"text": "食品工場の工場は、多くの工場は、中小の工場です。工場の場所は、原料の産地のちかく、または東京などの大消費地の近く、または原料の輸入する貿易港の近くが多いです。",
"title": "工業"
},
{
"paragraph_id": 140,
"tag": "p",
"text": "なので、全国に工場が、ちらばっています。",
"title": "工業"
},
{
"paragraph_id": 141,
"tag": "p",
"text": "繊維の種類には綿や、絹の生糸などの天然繊維や、ナイロン繊維やアクリル繊維などの化学繊維がある。",
"title": "工業"
},
{
"paragraph_id": 142,
"tag": "p",
"text": "綿の材料は、綿花から採れる。コットンとは、綿のことです。",
"title": "工業"
},
{
"paragraph_id": 143,
"tag": "p",
"text": "絹の原料は、虫であるカイコの繭です。シルク silk とは絹のことです。",
"title": "工業"
},
{
"paragraph_id": 144,
"tag": "p",
"text": "ウールとは、羊の羊毛のことです。",
"title": "工業"
},
{
"paragraph_id": 145,
"tag": "p",
"text": "化学繊維の多くは、ふつうは、石油を原料にしています。",
"title": "工業"
},
{
"paragraph_id": 146,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "工業"
},
{
"paragraph_id": 147,
"tag": "p",
"text": "日本では、繊維工業は、第二次世界大戦の前までは、天然繊維の製品の輸出が、日本の主要な工業であった。しかし戦後は、人件費の安い中国(中華人民共和国のほう)や東南アジアなどの外国に工場が移ったことや、ナイロンなどの化学繊維の発明によって、繊維工業の割合は低下した。",
"title": "工業"
},
{
"paragraph_id": 148,
"tag": "p",
"text": "人件費とは、従業員の一人あたりに支払う給料のことです。",
"title": "工業"
},
{
"paragraph_id": 149,
"tag": "p",
"text": "経済力の高い先進国では、高い給料を払わないと労働者が集まりにくいので、先進国では人件費が高くなる傾向があります。",
"title": "工業"
},
{
"paragraph_id": 150,
"tag": "p",
"text": "戦前の繊維工業の参考として、たとえば、現在では自動車会社で有名なトヨタ自動車も、昔は、1926年(大正15年)に創業したばかりの豊田自動織機という織機をつくる会社でした。",
"title": "工業"
},
{
"paragraph_id": 151,
"tag": "p",
"text": "ふつうの紙の原料は、木です。",
"title": "工業"
},
{
"paragraph_id": 152,
"tag": "p",
"text": "木材をチップにして、さらにチップから パルプ を作ります。",
"title": "工業"
},
{
"paragraph_id": 153,
"tag": "p",
"text": "製紙会社の工場で、釜でチップが煮込まれ、苛性ソーダ(水酸化ナトリウム)などを加えられて化学処理されて、チップからパルプになります。",
"title": "工業"
},
{
"paragraph_id": 154,
"tag": "p",
"text": "パルプから紙が作られます。 パルプを漂白(ひょうはく)するため過酸化水素水などを使います。漂白して白くしたあと、抄紙機という巨大なローラーのついた機械で、均等な厚さに伸ばしていきます。",
"title": "工業"
},
{
"paragraph_id": 155,
"tag": "p",
"text": "出来た紙は巨大なので、そのままでは製品にならないので、機械で必要な大きさに裁断(さいだん)されて、取引先に出荷されます。",
"title": "工業"
},
{
"paragraph_id": 156,
"tag": "p",
"text": "紙は、木材から作る他にも、古紙から作った再生パルプを使ってつくる再生紙があります。",
"title": "工業"
},
{
"paragraph_id": 157,
"tag": "p",
"text": "陶磁器(とうじき)などの焼き物を作ったり、ガラスを作ったり、セメントを作ったりする工業を 窯業 と言います。 どれも、石や粘土(ねんど)などを焼いて、作っています。",
"title": "工業"
},
{
"paragraph_id": 158,
"tag": "p",
"text": "陶磁器は、ふつう、粘土 をやいて、作ります。",
"title": "工業"
},
{
"paragraph_id": 159,
"tag": "p",
"text": "ガラスの材料は、ケイ砂です。ケイ砂を高温で溶かし液状にしたものを、成形して固めたものがガラスです。",
"title": "工業"
},
{
"paragraph_id": 160,
"tag": "p",
"text": "セメントの材料は石灰岩(せっかいがん)と粘土です。 石灰岩と粘土とを粉々にしてから焼き固めたあとに、冷却して、砕いた(くだいた)ものです。",
"title": "工業"
},
{
"paragraph_id": 161,
"tag": "p",
"text": "そしてセメントは、コンクリートの原料です。",
"title": "工業"
},
{
"paragraph_id": 162,
"tag": "p",
"text": "セメントに砂利と砂を入れ、水を適切な配合でまぜると、水とセメントとの化学反応が起きて、時間がたつとコンクリートとなって固まっていきます。",
"title": "工業"
},
{
"paragraph_id": 163,
"tag": "p",
"text": "セメントの原料の石灰岩は、日本国内で自給できています。(2014年に記述。)",
"title": "工業"
},
{
"paragraph_id": 164,
"tag": "p",
"text": "このような石などを焼いて作った材料、またはそれと似た化学成分の材料をまとめて、セラミックス とも言います。",
"title": "工業"
},
{
"paragraph_id": 165,
"tag": "p",
"text": "セラミックスのなかで、とくに高性能な、とくべつな材料を ファインセラミックス と言います。ファインセラミックスの原材料は、きびしく管理されています。",
"title": "工業"
},
{
"paragraph_id": 166,
"tag": "p",
"text": "セラミックスは、金属とちがい、さびないのが普通です。 セラミックスは電気を流さないので、電子材料で、絶縁(ぜつえん)が必要なところに使われることがあります。 電気回路で電気を一時的に保持する部品をコンデンサと言うのですが、セラミックコンデンサなどの応用があります。",
"title": "工業"
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{
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"text": "",
"title": "工業"
},
{
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"tag": "p",
"text": "",
"title": "工業"
},
{
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"text": "2019年4月現在、日本の人口は1億2615万人 (推計値) であるが、減少している。",
"title": "人口"
},
{
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"text": "年齢層と性別ごとの人口をグラフにしたものを人口ピラミッドといいます。ここで、3つの年の人口ピラミッドを見てみましょう。",
"title": "人口"
},
{
"paragraph_id": 171,
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"text": "※左、すなわち青いほうが男、右、ピンクの方が女です。",
"title": "人口"
},
{
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"text": "これは、左から順に 1950年、1980年、2015年のものです。(クリックで拡大できます。)",
"title": "人口"
},
{
"paragraph_id": 173,
"tag": "p",
"text": "まず、1950年のものを見てみましょう。ほぼ三角形の形で、子どもが多く、高齢者が少なくなっています。このような多産多死型の人口ピラミッドを、ピラミッド型とか、富士山型といいます。これは、発展途上国でよく見られます。",
"title": "人口"
},
{
"paragraph_id": 174,
"tag": "p",
"text": "次に、1980年のものを見てみましょう。1950年のときと比べて、細くなっています。このような多産少死型の人口ピラミッドを、つりがね型といいます。",
"title": "人口"
},
{
"paragraph_id": 175,
"tag": "p",
"text": "最後に、2015年のものを見てみましょう。1980年のときと比べて、さらに細くなっています。子どもが少なく、高齢者が多くなっています(少子高齢化)。このような少産少死型の人口ピラミッドを、つぼ型といいます。これは、先進国でよく見られます。",
"title": "人口"
},
{
"paragraph_id": 176,
"tag": "p",
"text": "「出生率」とは、一人の女性が、一生で何人の子供を産むかの平均です。2.07を切ると人口減少が始まるといわれています。2016年の出生率は、1.44でした。(先進国の中でも、かなり低いが、2018年、韓国の出生率は0.98であった)",
"title": "人口"
},
{
"paragraph_id": 177,
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"text": "一時的に出生率が高くなる時期をベビーブームといいます。",
"title": "人口"
},
{
"paragraph_id": 178,
"tag": "p",
"text": "第一次ベビーブームは、太平洋戦争の直後に起こりました。先ほどの1950年の人口ピラミッドで、子どもの数が多くなっている1つの原因です。第一次ベビーブームのときに生まれた人を団塊の世代ということがあります。現在、70代前半の人です。",
"title": "人口"
},
{
"paragraph_id": 179,
"tag": "p",
"text": "第二次ベビーブームは、1970年代に起こりました。第一次ベビーブームのときに生まれた人が、子どもを出産したことにより起こりました(第二次ベビーブームのときに生まれた人を「団塊ジュニア」ということがあります)。現在、40代中ごろの人です。",
"title": "人口"
},
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"text": "都市部では、人口増加により、交通渋滞などを引き起こしています。",
"title": "人口"
},
{
"paragraph_id": 181,
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"text": "中心部の人口が減少し、周辺部の人口が増加する。",
"title": "人口"
},
{
"paragraph_id": 182,
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"text": "外国へ商品を売ることを輸出(ゆしゅつ)という。外国から、商品を買うことを輸入(ゆにゅう)という。",
"title": "貿易"
},
{
"paragraph_id": 183,
"tag": "p",
"text": "輸出額が輸入額より大きい場合を 貿易黒字という。輸入額が輸出額より大きい場合を 貿易赤字という。",
"title": "貿易"
},
{
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"text": "",
"title": "貿易"
},
{
"paragraph_id": 185,
"tag": "p",
"text": "日本には、資源が乏しく、外国から原料などを多く輸入している。 このように外国から原料を輸入し、日本国内で加工して工業製品にして、その工業製品を外国に輸出することで外貨をかせぐ貿易の方法を加工貿易という。",
"title": "貿易"
},
{
"paragraph_id": 186,
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"text": "日本にとって、加工貿易は 必要な方法である。",
"title": "貿易"
},
{
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"text": "1960年代ごろから、せんい製品・カラーテレビ・自動車・半導体電子部品などが多く輸出され、アメリカの製造業が不振になり、アメリカと日本との貿易摩擦が起こる。 アメリカは日本に輸出の規制を求めている。",
"title": "貿易"
},
{
"paragraph_id": 188,
"tag": "p",
"text": "アメリカと中国が、大きな貿易相手。 日本から外国への輸出先は、多い順に中国、アメリカ、韓国などである。",
"title": "貿易"
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"paragraph_id": 189,
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"text": "外国から日本への輸入は、中国からの輸入、アメリカからの輸入、オーストラリアからの輸入が多い。",
"title": "貿易"
},
{
"paragraph_id": 190,
"tag": "p",
"text": "中国は人件費が安いので、その結果、輸出品の価格も安くなるので、各国の消費者が価格の安い中国製品を好んで買うので、多くの製品が中国から輸出される。 中国からの輸出品の生産は、中国の現地企業が生産している場合もあれば、外国の企業が人件費の安い中国に工場をたてて生産している場合もある。",
"title": "貿易"
},
{
"paragraph_id": 191,
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"text": "中国にかぎらず、東南アジアも人件費が安いので、中国と同様に、安い製品の輸出をしている。",
"title": "貿易"
},
{
"paragraph_id": 192,
"tag": "p",
"text": "日本からも、人件費の安い外国に生産工場をうつす動きがあるが、その結果、国内の工場の仕事が減り、国内の生産力が下がるという「産業の空洞化」が起きている。",
"title": "貿易"
},
{
"paragraph_id": 193,
"tag": "p",
"text": "また、外国に工場を作ると、日本国内の工場でつちかわれた生産ノウハウも外国の労働者に教えることになるので、外国に技術ノウハウが流出するという 技術流出 も、問題になっている。また、中国は人口が多く、世界最大の人口を持つので、中国市場に多くの企業が参入し、中国への輸出額も多くなっている。",
"title": "貿易"
},
{
"paragraph_id": 194,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "貿易"
},
{
"paragraph_id": 195,
"tag": "p",
"text": "工場などからでる排水や排煙などの処理が不十分だと、排水・排煙にふくまれる有害物質により、周辺の環境が汚染され、近隣の住民など多くの人の健康に被害が出る場合がある。このように、産業活動による多くの人への健康への悪影響を 公害 という。",
"title": "環境と資源"
},
{
"paragraph_id": 196,
"tag": "p",
"text": "工場から有害な物質が出ている場合は、工場の中で働いている人にも健康への悪影響がある。",
"title": "環境と資源"
},
{
"paragraph_id": 197,
"tag": "p",
"text": "工場の中の人だけに健康被害がある場合は、ふつうは「公害」とは呼ばずに、「職業病」など異なったよび方をする。",
"title": "環境と資源"
},
{
"paragraph_id": 198,
"tag": "p",
"text": "家庭などから出る物質によっても、環境に悪影響が出る場合があるが、それらの場合は、ふつうは公害とは呼ばずに、単に、環境汚染(かんきょうおせん)として、あつかわれる。 環境汚染とは、環境が、よごれることである。公害によって空気が汚染された場合なども、環境汚染の、ひとつである。",
"title": "環境と資源"
},
{
"paragraph_id": 199,
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"text": "この節では、職業病ではなく、主に、公害を中心に説明する。",
"title": "環境と資源"
},
{
"paragraph_id": 200,
"tag": "p",
"text": "公害とは、主に、以下の7つの公害が典型的である。",
"title": "環境と資源"
},
{
"paragraph_id": 201,
"tag": "p",
"text": "環境基本法では、この7つの種類の公害を「典型七公害」としている。",
"title": "環境と資源"
},
{
"paragraph_id": 202,
"tag": "p",
"text": "世界の各地でさまざまな公害が発生したが、この節では、日本で起きた公害のうち、戦後に起きた公害を取り上げる。",
"title": "環境と資源"
},
{
"paragraph_id": 203,
"tag": "p",
"text": "日本でも、かつて大きな公害が発生したことがある。以下の4つの公害およびその公害による病気が、特に被害が大きい公害として有名である。",
"title": "環境と資源"
},
{
"paragraph_id": 204,
"tag": "p",
"text": "この4つの公害を四大公害病と言います。",
"title": "環境と資源"
},
{
"paragraph_id": 205,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "環境と資源"
},
{
"paragraph_id": 206,
"tag": "p",
"text": "化学工場の排水にふくまれていた水銀および水銀化合物(有機水銀、メチル水銀)が原因でおきた病気です。水銀は猛毒なので、この水銀に汚染された水を飲んだり、水銀に汚染された海水で育った魚や貝を食べたりすると、病気になります。体が水銀におかされると、神経細胞が破壊され、手足がしびれたり、うごかなくなります。",
"title": "環境と資源"
},
{
"paragraph_id": 207,
"tag": "p",
"text": "1953年ごろに熊本県の水俣という地域や、水俣湾の周辺で、有名になった公害なので、水俣病と言います。",
"title": "環境と資源"
},
{
"paragraph_id": 208,
"tag": "p",
"text": "なお、有名になったのは1953年ごろからだが、それ以前の1940年代ごろから、水俣病とおぼしき症例が知られている。",
"title": "環境と資源"
},
{
"paragraph_id": 209,
"tag": "p",
"text": "人間以外にも、猫や鳥など、水銀に汚染された魚を食べたり水を飲んだりしたと思われる動物の不審死がいくつもあり、当初は、水俣病の原因もよく分かっていなかったので、しびれている猫が踊ってるようにも見えたことから、当初は「猫病おどり病」とも言われた。",
"title": "環境と資源"
},
{
"paragraph_id": 210,
"tag": "p",
"text": "三重県の四日市市は、1940年ごろから石油化学工業で、繁栄していました。現在も、多くの石油化学工場があつまった「石油化学コンビナート」といわれる工場の集まりがあります。",
"title": "環境と資源"
},
{
"paragraph_id": 211,
"tag": "p",
"text": "1950年ごろから、この周辺では、ぜんそくや気管支炎など、のどをいためる病気の人が、ふえてきました。また、この近くの海でとれた魚は油くさい、と言われたりもしました。",
"title": "環境と資源"
},
{
"paragraph_id": 212,
"tag": "p",
"text": "ちなみに、四日市ぜんそくの原因の物質は 亜硫酸 ガスだということが、今では分かっています。",
"title": "環境と資源"
},
{
"paragraph_id": 213,
"tag": "p",
"text": "この頃はまだ詳しくは分かっていませんでしたが、石油化学コンビナートから出る、けむりや排水が、環境に悪い影響をあたえているらしい、ということが1960年ころから言われはじめ、社会問題になりました。",
"title": "環境と資源"
},
{
"paragraph_id": 214,
"tag": "p",
"text": "このうち、とくに 喘息 の被害が有名なので、この四日市でおきた公害を 四日市ぜんそく というのです。",
"title": "環境と資源"
},
{
"paragraph_id": 215,
"tag": "p",
"text": "1955年ごろ富山県の神通川の周辺で起きた病気であり、体の ふしぶし が痛くなり、骨が折れやすくなる病気です。これはカドミウムが原因で、そのカドミウムは猛毒です。",
"title": "環境と資源"
},
{
"paragraph_id": 216,
"tag": "p",
"text": "川の上流にある鉱山から流れ出る廃水にカドミウムがふくまれており、その廃水を飲んだ人や、廃水に汚染された米などの農産物などを食べた人に、被害が出ました。感染者が皆「イタイイタイ」というため、この名がつけられたと言われています。",
"title": "環境と資源"
},
{
"paragraph_id": 217,
"tag": "p",
"text": "1964年ごろに新潟県の阿賀野川の流域で起きた、水銀および水銀化合物による公害で、化学工場の排水の中の水銀化合物が原因です。",
"title": "環境と資源"
},
{
"paragraph_id": 218,
"tag": "p",
"text": "症状は、熊本県の水俣病と同じです。第二水俣病とも言われます。",
"title": "環境と資源"
},
{
"paragraph_id": 219,
"tag": "p",
"text": "これらの公害病の原因の物質を排出した会社や工場に対し、住民らが国に裁判を、訴えでます。1960年代の後半に裁判が起こされ、1970年代の前半の1971年〜1973年ごろに判決が出ます。どれも企業側の責任を認め、企業側は被害住民に 賠償金 を支払うように命じる判決が出ます。",
"title": "環境と資源"
},
{
"paragraph_id": 220,
"tag": "p",
"text": "四大公害などの発生を受け、公害対策の気運が高まります。",
"title": "環境と資源"
},
{
"paragraph_id": 221,
"tag": "p",
"text": "地球温暖化 の主な原因は、石油などの化石燃料の大量使用によって、排気にふくまれる二酸化炭素により、空気中の二酸化炭素が増加したためと考えられている。",
"title": "環境と資源"
},
{
"paragraph_id": 222,
"tag": "p",
"text": "国連では温暖化の防止のため、1992年に国連環境開発会議(地球サミット)がブラジルのリオデジャネイロで開かれ、地球サミットで条約として地球温暖化防止条約( 気候変動枠組み条約 )が採択された。",
"title": "環境と資源"
},
{
"paragraph_id": 223,
"tag": "p",
"text": "また1997年には、国連の会議(地球温暖化防止 京都会議)で,温室効果ガスの削減目標を定めた京都議定書(きょうとぎていしょ)が採択された。",
"title": "環境と資源"
},
{
"paragraph_id": 224,
"tag": "p",
"text": "しかし、中国などの発展途上国と見なされていた国には、削減が義務づけられていない。 また、アメリカは当時に会議から離脱した。",
"title": "環境と資源"
},
{
"paragraph_id": 225,
"tag": "p",
"text": "国別の排出量では2016年では、中国が1位であり、アメリカが2位、インドが3位である。",
"title": "環境と資源"
},
{
"paragraph_id": 226,
"tag": "p",
"text": "このような理由のため、京都議定書の実効性が疑問視されている。",
"title": "環境と資源"
},
{
"paragraph_id": 227,
"tag": "p",
"text": "(削減義務を負わない)発展途上国と見なされた国の反論は、「地球環境問題を引き起こした原因は、主に先進国の活動が原因であり、われわれ途上国に負担を負わせるのはおかしい。」というような反論をしている。",
"title": "環境と資源"
},
{
"paragraph_id": 228,
"tag": "p",
"text": "海抜の低いツバル、モルディブ、キリバスでは、海水面が上がれば国土の多くが水没してしまう恐れがある。 南極の大陸上の氷や氷河の氷が溶ければ、海面上昇。低地が水没する。なお、北極の氷が溶けても、もともと北極海に浮かんでいる氷が水に変わるだけなので、海面は上昇しない。",
"title": "環境と資源"
},
{
"paragraph_id": 229,
"tag": "p",
"text": "温暖化によって、マラリアを媒介する蚊のハマダラカの生息域が広がる恐れが有る。",
"title": "環境と資源"
},
{
"paragraph_id": 230,
"tag": "p",
"text": "1990年より6%減少を目標とした。",
"title": "環境と資源"
},
{
"paragraph_id": 231,
"tag": "p",
"text": "なお、二酸化炭素のことを化学式から CO2(シー・オーツー) とも言う。Cが炭素(英:carbon カーボン)のことで、Oが酸素(英:Oxygen オキシジェン)および酸化(Oxidation オキシデイション)のことである。",
"title": "環境と資源"
},
{
"paragraph_id": 232,
"tag": "p",
"text": "主に発展途上国で、耕作や放牧や工業化を目的にした森林伐採などで、森林面積が減少している。温暖化の原因にもなっていると考えられている。また、動物の生息域が減るので、生態系の保護の観点からも、森林破壊が問題である。",
"title": "環境と資源"
},
{
"paragraph_id": 233,
"tag": "p",
"text": "なお、温暖化の化石燃料以外の他の原因として、森林伐採などによる森林の減少によって、植物の光合成による二酸化炭素の吸収量が減ったのも理由の一つでは、という説もある。",
"title": "環境と資源"
},
{
"paragraph_id": 234,
"tag": "p",
"text": "もともと植物の少ない地域で、その地域が砂漠になる現象が世界の各地で起きている。原因は、過度の農業化や周辺の森林伐採などにより、土壌の保水性が失われたことなどである。",
"title": "環境と資源"
},
{
"paragraph_id": 235,
"tag": "p",
"text": "酸性雨の原因は、化石燃料の排気にふくまれる窒素酸化物などの物質が、雨の酸性化の原因と考えられている。酸性雨により、森林が枯れたり、湖や川の魚が死んだりする場合もある。",
"title": "環境と資源"
},
{
"paragraph_id": 236,
"tag": "p",
"text": "フロンガスという物質が原因で、オゾン層が破壊されることが1980年代に分かった。",
"title": "環境と資源"
},
{
"paragraph_id": 237,
"tag": "p",
"text": "地球環境問題は一国だけの問題ではなく、複数の国々、さらに世界中全ての国に影響を与える問題である。このため、1970年代から国際会議でも取り上げられる重大なテーマとなった。",
"title": "環境と資源"
},
{
"paragraph_id": 238,
"tag": "p",
"text": "地球環境問題についての最初の国際会議は1972年にスウェーデンのストックホルムで開かれた国連人間環境会議(ストックホルム会議)である。このとき「かけがえのない地球」というキャッチフレーズが用いられた。",
"title": "環境と資源"
},
{
"paragraph_id": 239,
"tag": "p",
"text": "1992年にはブラジルのリオデジャネイロで国連地球サミットが開かれた。( ※ 正式名称は「環境と開発に関する国際連合会議」。ただし、「リオ会議」「国際連合環境開発会議」などとも呼ばれる。 ) 国連地球サミットにおいて、「持続可能な開発」という考え方が示された。",
"title": "環境と資源"
},
{
"paragraph_id": 240,
"tag": "p",
"text": "1997年には京都で開かれた京都会議( ※ 正式名称は「第3回 気候変動枠組(わくぐみ)条約 締約国(ていやくこく)会議」 )において京都議定書が締結され、世界の主要国が温室効果ガスの削減を求められるようになった。議定書の発効は2005年からである。",
"title": "環境と資源"
},
{
"paragraph_id": 241,
"tag": "p",
"text": "このようにして世界の国々が地球環境問題に対して一致して取り組むことが求められるようになったが、京都議定書からのアメリカの離脱、中国の経済発展にともなう温室効果ガス排出量の急増、発展途上国の経済発展と環境への影響の増大などに見られるように、各国の事情や利害の対立から一致した行動にはほど遠いという問題は解決されていない。",
"title": "環境と資源"
},
{
"paragraph_id": 242,
"tag": "p",
"text": "ヨーロッパでは陸続きの国が多いので、一つの国の環境問題が周囲の国に影響を与えることも大きく、環境問題が外交問題になりかねないこともあり、ヨーロッパでは1970年代ごろから環境問題の取り組みが積極的に行われてきた。",
"title": "環境と資源"
}
]
| 中学受験社会/地理/下巻では、これから中学受験をされる方への社会科地理分野を解説します。 | {{Pathnav|メインページ|小学校・中学校・高等学校の学習|中学受験参考書|中学受験社会|中学受験社会/地理|frame=1}}
[[{{PAGENAME}}]]では、これから中学受験をされる方への社会科地理分野を解説します。
== 産業の種類 ==
農業や林業や漁業などを '''第1次産業''' と言います。
製造業や建設業を '''第2次産業''' といいます。商業やサービス業、運輸業などを '''第3次産業''' といいます。
現在は、第3次産業に関わる人が一番多く(71.0%)、次いで第2次産業(25.0%)、第1次産業 (4.0%) です。[()内の数字は2015年のもの]
{{コラム|6次産業|
一部の企業では、農作物などの生産 (第1次産業) から、加工(第2次産業)、流通・販売 (第3次産業) まですべて行うことがあります。これを、1と2と3をたして「6次産業」ということがあります。
}}
== 農林水産業 ==
=== 農業 ===
=== 林業 ===
*日本の森林面積
日本の森林面積は、国土のおよそ'''3分の2'''です。
=== 水産業 ===
=== 食料生産と食生活 ===
==== 日本の特徴 ====
==== 低い食料自給率 ====
日本の食料自給率は、37%(2018年)である。これは、ほかの先進国と比べて、大変低いです。
==== 食糧管理政策 ====
*減反政策
米は、1942年(第二次世界大戦中)に成立した'''食料管理法'''で、政府が農家から米を買い上げて、米の値段(米価)を安定させ、農家のくらしをささえていました。ですが、戦後の食生活の変化により、だんだん生産があまるようになり、そのため買い上げている国の財政にも負担になりました。
:1970年ごろから、米の'''生産調整'''が行われました。米の農地の面積を減らした政策を減'''{{ruby|反|たん}}政策'''といいます。当時は米の生産量のわりに、食生活の洋風化などでコメの生産量が減っていたため、コメの転作(麦など他の物を作る)や休作(作るのをやめる)が行われました。2018年度から廃止されました。
:1995年には、古い食料管理法は廃止され、現在では、{{ruby|食糧|しょくりょう}}法に変わっている。
== 工業 ==
=== 自動車工業 ===
自動車は、部品工場で作った部品を、組み立て工場で組み立てている。
部品を生産する会社は、親会社とは、べつの会社である。親会社の一社では、部品を作っていない。
自動車の部品は、数万点はある。
自動車の組みたては、流れ作業で行なう。'''ベルト コンベア'''方式である。
自動車の組み立て工場での、組み立て手順を示す。
:ここで紹介するもの以外にも、部品工場で、それぞれの部品を作っている。
* プレス
鉄板をプレスし、形を作る。
* 溶接(ようせつ)
溶接とは、金属を高温で溶かして、金属どうしを、つなぐこと。
溶接では、産業用ロボットを使っている。溶接は危険なので、ロボットに行わせている。
産業用ロボットのまわりには、安全のため、人が入らないように、カバーがあり、柵(さく)がある。
* 塗装(とそう)
自動車の場合、産業用ロボットに、塗装を行わせる。上塗り(うわぬり)、下塗り(したぬり)、と複数回の塗装をする。
* 組み立て
取り付ける部品によって、人が組み立てるか、ロボットが組み立てるかが、ことなる。ガラスやシートなどの思い部品の組み立てはロボットで行なう。
* 検査
* 出荷
[[画像:Car Carrier Rhea Leader.jpg|thumb|300px|自動車運搬船 レア・リーダー(RHEA LEADER)<br/>(63,004総トン)]]
輸出する自動車は、専用船で運んで輸出する。
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自動車産業は、日本の主要産業である。また、日本の自動車は、世界でもトップクラスの売上や評判である。
関連工場とは、部品をつくってる子会社の、部品工場のこと。いわゆる、下請け工場。下請け会社である関連会社の工場なので関連工場ということ。
1970年代には、日本とアメリカとの貿易摩擦の原因にもなった。
アメリカでの日本製品への不買運動のこと。日本製品がよく売れるということは、うらをかえせば、アメリカ製の商品が売れなくなるということでもある。
(もっとも、日本製品を買っているのもアメリカ人たちなのだが・・・)
アメリカ製の製品が売れなくなれば、そのアメリカの製品を作る企業は経営悪化し、仕事の人は、失業してしまう。
なので、アメリカで、日本製品の不買運動が、もりあがったのである。
不買運動をされたのは、べつに自動車だけでなく、家電製品なども、そうである。
現在では、自動車会社は、アメリカに、現地の工場を持って、現地のアメリカ人を雇って生産している。
ただし、アメリカの日本車が、すべてアメリカでの生産とは限らず、日本国内で生産された自動車が輸出されている場合もある。
アメリカだけでなく、ヨーロッパや東南アジアなどでも、現地生産を進めている。
* 自動車の各国の生産量
中国(中華人民共和国のほうの中国)・日本・アメリカが高い。時期によって順位はちがうが、2010年では中国が1位で日本が2位である。
各国の自動車の輸出量では、フランス・日本・ドイツが高い。
* 自動車の輸送(ゆそう)の方法
[[File:Car transporter 002.JPG|thumb|キャリアカー]]
マイカーなどの新車を運ぶときは、自動車を運ぶ専用のトラック車のようなキャリア カーで運ぶ。日本国内で運ぶときは、高速道路を通ったりして運んでいる場合もある。
海外に運ぶときなどは、タンカー船などで運ぶ。
ただし、近年では、海外の工場で現地生産する量も増えており、タンカーで運ぶ自動車の量は減っている、と言われている。
自動車を購入するときの価格には、こういった輸送にかかるお金も、ふくまれているのです。
:※ 自動車にかかわらず、一般に、店で買える物の価格には、輸送などの費用も、ふくまれている。
:なお、自動車を買うには、大人が自動車の販売店に行って(いわゆる「自動車販売店」)、客が 自動車の価格のお金を払って注文すれば、自動車を買え、数週間~数か月後くらいには自宅などに注文した自動車が届きます。
:※ 自動車の「販売店」という概念も、東京書籍などの教科書で扱っている。
* 使い終わった自動車の最終処分
いらなくなった自動車は、中古車市場にも売れる。
だが、古すぎる自動車や、壊れすぎた自動車は、ゴミとして処分するしかない。
もちろん、けっして一般のごみ捨て場では、すてられない。
日本各地に、自動車など大型機械の専用の解体工場があり、専用の解体用クレーンなどの重機がある。その解体工場にキャリアカーなどで運んでいき、解体する。
* 自動車の技術と開発手法
近年の自動車には、ハイブリッド車など、最新のエンジンを積んだ自動車が増えて生きている。
なお、ハイブリッド車とは、動力としてガソリンと電気で走る車である。
また、研究開発では、酸素と水素で走る仕組みである燃料電池車の開発も進められている。
また、事故などのさいの安全の対策も、むかしからのシートベルトに加え、さらにエアバッグや、赤外線センサーなどの各種のセンターによる警告(けいこく)など、さまざまな技術がすでに導入され、すでに自動車の部品の一部として実用化されている。
自動車会社では、このような部品の安全性をたしかめるため、開発のための工場では開発時に、じっさいに、自動車の衝突の実験をしている。
衝突実験といって、人間のかわりに実験用のマネキンを乗せて自動走行させた自動車を、じっさいに障害物などに衝突させて、エアバッグなどが作動するか確認したり、また衝突時にどこが壊れやすいかなどを調べたりなどの調査を行う。
* その他
;カーシェア
最近では、「カーシェア」といって、複数の家庭の人が、一台の車を共有する仕組みも、登場している。
:※ いまは昔とちがい、自動車の利用する機会も減ってきたので、普段はあまり車を使わない人も増えている。なので、一人一台で買ったのにほとんど運転しあによりも、複数の家庭の人どうしでお金を出し合って一台を共有したほう安上がりな場合もある。
;工場での金属の処分
自動車にかぎらず機械工場では、加工のさいに、金属のクズや、金属の切れ端などの余りものの金属が発生する。
それらの金属のごみは、専門の業者に回収してもらう。
金属ごみでも、品質のよい状態のごみだと、場合によっては、有料で業者に買い取ってもらえる(自動車会社などの側のほうが、金をもらえる)場合もある。
=== 中小工場 ===
'''中小工場'''とは、従業員数が300人 未満の工場のこと。つまり299人 以下の工場のこと。従業員数が29人以下の工場を小工場と言い、30人以上〜299人以下の工場を中工場という。
300人以上の工場を大工場と言う。
中小工場は、大企業の下請けが多い。中小工場の多くは、大工場でつくっている製品の、部品などを作っている。
部品工場のことを、最終製品を作っている工場からの視点で、<big>関連工場</big>(かんれんこうじょう)ともいう。
部品工場である関連工場が、かならずしも中小工場とはかぎらないので、まちがえないこと。
中小工場ではたらく人は、工場労働者の70%近い。
全工場の99%が中小工場。
=== 製鉄業 ===
[[File:Hochofenprozess.PNG|thumb|400px|高炉プロセスの概略図。<br>
Trocken -und Vorwärmzone:乾燥および予熱<br>
Reductionzone :還元の領域 。 Kohlungzone :浸炭の領域<br>
Schmelzzone :融解の領域 。 <br>
Roheisen :銑鉄<br>
schlacke :スラグ<br>
<br>
Erz :鉱石 。 koks :コークス 。 zuschläge :追加物<br>
<br>
Gichtgas :高炉ガス<br>
]]
[[Image:Alto horno antiguo Sestao.jpg|thumb|スペイン、セスタオ (Sestao) の高炉]]
鉄の原料は鉄鉱石(てっこうせき)です。
* 高炉(こうろ)
鉄をつくるには、鉄鉱石から、製鉄所にある高炉(こうろ)で鉄を溶かします。高炉の高さは100m以上もあります。高炉で溶かした鉄が、銑鉄(せんてつ)です。
鉄鉱石は、酸化していて、さびています。鉄鉱石を溶かす時に、さびをとるため、炭素をふくんでいる石炭をむしやきにした'''コークス'''を加えています。
銑鉄は、高炉の中で下に液状になって、たまり、炉の下のほうから取り出されます。
この炭素が鉄に多くまざると、鉄はかたくなり、もろくなる。銑鉄には炭素が多くあるので、銑鉄は、かたくてもろいです。銑鉄に、ふくまれる炭素の濃度は、だいたい4%から5%まで、です。この炭素の濃度だと、銑鉄が、やや低い温度で溶けやすくなるので、結果的に、銑鉄の濃度が、こうなります。
不純物は、酸素の他にも、ふくまれているので、コークスの他に、石灰石を加えています。
* 転炉(てんろ)
鋼(はがね)とは、銑鉄を転炉(てんろ)という炉に送り、転炉で酸素を吹き込むことで、炭素を燃焼させて減らし、ちょうどいいぐあいにまで炭素を減らすことで、丈夫な鋼(はがね)に、なります。ねばりが ありながら、しかも かたくなるように、炭素の量を調節した鉄です。鋼にふくまれる炭素の量が、どのくらいかと言うと、0.02% から 2.1%までの炭素濃度です。
転炉のあと、さらに圧延機におくられ、板のかたちの鋼板(こうばん)や、棒のかたちの棒材(ぼうざい)などへと、加工されます。
鉄や鋼をあわせて、鉄鋼(てっこう)と、よびます。
鉄鋼を生産している産業を鉄鋼業(てっこうぎょう)と言います。
なお、ステンレス鋼とは、鋼(はがね)にニッケルやクロムを加えた合金です。
アルミニウムをつくったり、銅をつくったりなど、鉄鋼以外の金属を生産するのは、金属工業と言います。アルミや銅の生産は、鉄鋼業とは言いません。
日本では、金属生産のなかでも、アルミや銅よりも、鉄鋼生産が、もっともさかんです。
昔は、鉄は「産業の米」と言われていた。しかし、今では半導体が「産業の米」と呼ばれている。
「鉄は国家なり」という格言も、ある。
プレスなどの加工をなにもしていない、製鉄所で作ったままの鉄鋼を、粗鋼(そこう)という。この粗鋼の生産量が、国の製鉄業の規模をはかるのに、よく用いられる。
粗鋼の生産量では、中国(中華人民共和国)が2010年では第1位で、世界の45%ちかくを生産し、約6億トンを生産している。ついで、日本が1億トンで2位、アメリカが8千万トンで3位、それからロシア4位、インド5位、韓国6位・・・というように続く。
このように、中国の粗鋼生産量が、ずばぬけて高い。
製鉄所は、臨海部に多くある。場所が、埋め立て地であることも多い。ほとんどの製鉄所は太平洋ベルトにある。ただし、北海道の室蘭は例外。
臨海部にある理由は、原料の輸入や、製品の輸出に便利であることです。また、埋め立て地を作ることで、広い土地を確保できます。
日本の、主な製鉄所の場所は、以下の通り。
:・室蘭(むろらん)市 (北海道) :北海製鉄(ほっかいせいてつ) 室蘭製鉄所
:・鹿島(かしま)市 (茨城県) :住友金属工業(すみとも きんぞくこうぎょう) 鹿島製鉄所
:・千葉市 (千葉県) :JFEスチール 東日本製鉄所 千葉地区
:・君津(きみつ)市 :新日本製鐵(しんにほんせいてつ) 君津製鉄所
:・川崎(かわさき)市 (神奈川県) :JFEスチール 東日本製鉄所 川崎地区
:・東海市 (愛知県) :新日本製鐵(しんにほんせいてつ) 名古屋製鉄所
:・和歌山市 (和歌山県) :住友金属工業
:・神戸(こうべ)市 (兵庫県) :神戸製鋼所(こうべせいこうしょ)
:・加古川(かこがわ)市 (兵庫県) :神戸製鋼所(こうべせいこうしょ)
:・倉敷(くらしき)市の水島(みずしま)地区 (岡山県) :JFEスチール 西日本製鉄所 倉敷地区
:・福山(ふくやま)市 (広島県) :JFEスチール 西日本製鉄所 福山地区
:・呉(くれ)市 (広島県) :日新製鋼(にっしんせいこう) 呉(くれ)製鉄所
:・北九州市 (福岡県) :住友金属工業および新日本製鐵
:・大分(おおいた)市 (福岡県) :新日本製鐵
企業名は、記憶しなくても良いが、どれも日本の大企業なので、知っておいても損は無いです。
鉄鉱石は、オーストラリアから、ほとんどを輸入しています。
日本への鉄鉱石の輸入元の国は、オーストラリアからの輸入が約60%です。ブラジルから約28%です。インドから約5%です。
鉄鉱石の合計輸入量は、年にもよりますが、だいたい、1億5000万トンです。
石炭は、オーストラリアから約75%を輸入しています。カナダから約13%を輸入しています。
石炭の合計輸入量は、年にもよりますが、だいたい5000万トン〜6000万トンです。
=== 石油化学 ===
[[File:Crude Oil Distillation.png|thumb|right|500px|蒸留塔。<br>最上は石油ガス。<br>35℃〜180℃: ガソリンおよびナフサ。<br>170℃〜250℃: 灯油およびジェット燃料。<br>240℃〜350℃: 軽油。<br>350℃以上: アスファルト。<br>温度は、おぼえなくてもよいです。]]
石油を原料として、さまざまな製品をつくる産業である。
プラスチックや、ビニル袋などのビニル製品、合成ゴム、灯油や軽油やガソリン、などは、石油から作られている。
* 原油
地中から取り出したままの石油を原油という。この原油が、石油工業の、おおもとの原料である。
原油そのものでは製品にはならず、この原油を工場で成分ごとに分けます。これを石油の精製(せいせい)といいます。
蒸留塔(じょうりゅうとう)で、成分ごとに分けられます。
石油の蒸気は、温度によって、ふくまれる成分の割合がかわってくるので、この現象を利用して、成分ごとに分けています。蒸留塔の中には、数十段ものトレイ( 棚(たな)のこと )が組み込まれています。図では、トレイが数段ですが、じっさいには、もっと多いです。このように、成分ごとに沸騰(ふっとう)する温度のちがいで物質をわけることを、 分留(ぶんりゅう) と言います。
精製によって、原油は成分ごとにわかれ、ガス、ガソリン、'''ナフサ'''、灯油、軽油、アスファルトなどに分かれ、分留されます。分留された成分のことを留分と言うことがあります。「ガソリン留分」、「ナフサ留分」、「軽油留分」などのように言います。ガソリン留分からガソリンがつくられ、軽油留分から軽油が作られます。
ナフサは、プラスチックなど、さまざまな製品の原料になります。ナフサを分解するナフサ分解炉(ぶんかいろ)で、'''エチレン'''やプロピレン、ブタジエン、ベンゼン、トルエンなどのガスの成分が、とり出されていきます。
これらエチレンなどの成分から、プラスチックや合成繊維、合成ゴムなどの誘導品(ゆうどうひん)を作っていきます
プラスチックのポリエチレンは、エチレンを原料に作られます。ポリプロピレンは、プロピレンを原料に、作られます。
* '''コンビナート'''
[[Image:Anacortes Refinery 31911.JPG|right|thumb|300px|アメリカの製油所。日本の製油所の画像が見つからないので、この画像で代用します。]]
石油工場では、パイプによって、関連する工場どうしがつながっている。このようなパイプラインでつながった石油工場をコンビナートという。'''コンビナート'''とは、ロシア語で、「つながり」とかの意味である。英語のコンビネーションの意味に近いとおもえば、よいだろう。
石油化学コンビナートは、太平洋ベルトにあります。太平洋側の太平洋ベルトの臨海部にあります。臨海部にある理由は、原料を海外から輸入していることや、海岸の埋め立てで広い工場用地を確保しやすかったからです。
輸入先は中東のアラブ地域が、ほとんどです。'''サウジアラビア'''(約30%)やアラブ首長国連邦(約20%)やカタール(約12%)、イラン(約11%)、クウェート(約8%)などから原油を輸入しています。
* 石油化学コンビナートの立地
::鹿島市 (茨城県) :
::千葉市 (千葉県) :
::市原市 (いちはらし、千葉県) :三井(みつい)化学、住友(すみとも)化学、出光興産(いでみつこうさん)、丸善石油(まるぜんせきゆ)
::川崎(かわさき)市 (神奈川県) :新日本石油化学、東燃化学、
::四日市(よっかいち)市 (三重県) :三菱化学(みつびしかがく)、東ソー(とうソー)
::高石(たかいち)市 (大阪府) :三井化学
::倉敷(くらしき)市の水島(みずしま)地区 (岡山県) :旭化成(あさひかせい)、三菱化学(みつびしかがく)
::岩国 (いわくに、山口県) :三井化学
::周南 (しゅうなん、山口県) :出光興産
::新居浜(にいはま、愛媛県):住友化学
::大分 (大分県) :昭和電工(しょうわでんこう)
企業名は おぼえる必要はありませんが、石油化学業界の大企業ですので、知っておいてください。
原油の合計輸入量は、年にもよりますが、だいたい、2億キロリットルです。
=== 電気機械工業および電子工業 ===
==== 半導体産業 ====
[[ファイル:Chip.jpg|thumb|300px|SOPパッケージに封入された標準ロジックICの例]]
[[ファイル:Cleanroom1.jpg|thumb|300px|建設中の半導体製造工場用のクリーンルーム。半導体の配線(はいせん)は、とても細かいので、すこしでもホコリがつくと、配線が断線(だんせん)して故障(こしょう)して使えなくなってしまう。なので、ホコリがつかないように、特別なクリーンルームで半導体を製造(せいぞう)する必要がある。]]
ICとは、集積回路とも言われ、数mmのチップに、電子素子を、とても多く、つめこんだ部品です。コンピュータ部品にICが使われます。パソコンだけでなく、計算する機能をもっている「デジタル家電」などの製品のほとんどに、ICは入っています。
IC産業や電子産業が、半導体産業と言われることもあります。ICの材料に、半導体という材料が使われることが多いからです。
[[画像:Monokristalines Silizium für die Waferherstellung.jpg|thumb|110px|right|ケイ素(けいそ)の単結晶<br>これをうすく切断して、シリコンウエハにする。]]
半導体とは、電気の流しやすさが、電気を流す金属などの導体(どうたい)と、電気を流さないゴムなどの絶縁体とのあいだの、半分くらいの流しやすさの材料なので、半導体(はんどうたい)といいます。
元素のケイ素であるシリコンなどが半導体です。
高機能のICの製造には、とても、お金がかかります。どれだけ多くの素子をICチップに多く組み込めるかで性能がきまるので、最先端の精密(せいみつ)技術を持った大企業でないと、製造も開発も、出来ません。
LSI(、大規模集積回路)とは、ICの中でも、1つのチップの中の電子部品の数が、とても多いICです。
かつて1980年代は、日本は世界の半導体生産の半分くらいを生産していました。しかし、その後のアメリカとの競争にやぶれ、また韓国にも競争でやぶれ、日本の影響力(えいきょうりょく)は、落ちています。
世界での半導体生産の企業シェアは、2012年度は、上位から順に、
:インテル(アメリカ) :シェア 15.7%
:サムスン電子(韓国) :シェア 110.1%
:クアルコム(アメリカ) :シェア 14.3%
:テキサス・インスツルメンツ(アメリカ) :シェア 14.0%
:東芝(日本) :シェア 13.6%
と、なっております。
==== 半導体ICと真空管 ====
※この節は、きちんと理解するのは、とても難しいです。半導体の仕組みを完全に理解しようとすると、予備知識には大学生ていど(それも理系の大学)の知識が必要になります。小学生には、完全な理解はむりなので、読み物として、コンピュータの歴史を知ることを、この節では目的にしてください。
;真空管(しんくうかん)
[[File:Elektronenroehren-auswahl.jpg|thumb|300px|left|いろいろな真空管]]
[[Image:Diode vacuum tube.png|thumb|200px|right|二極真空管の模式図]]
小学校の理科で習うような電気部品では、デジタルの計算機は、つくれません。
コンピュータに計算させる部品には、今でこそ半導体ICを用いているが、1940年ごろのアメリカでは、真空管というを用いていた時代もあった。
真空管とは、ガラス管の中を真空にしたガラス管の中で、電源のマイナス極に結びついた電極と、電源のプラス極に結びついた電極を取り付け、マイナス極を熱することで電子を放電させることで電気をながすという、大きな電気部品です。
この仕組みを使うと、電気を一方向のみに流すことができます。電子の放電は、マイナス極を熱したときにしか、おきません。プラス極を熱しても、電子は放電しません。なお、この真空管の実験事実から、電子はマイナスの電荷である、ということが科学的に発見されました。
真空管の整流の仕組みは、離れた陽極と陰極に大きな電圧差をかけ、このとき陰極に高温を加えると電子が放出するという、陰極線(いんきょくせん)の発見でした。
この一方向にしか電気が流れないという真空管の性質をもちいると、ふつうのエナメル線や豆電球などの電気回路では出来ないような複雑な処理を、真空管などの電子回路に、処理させることが、できます。
この真空管に、マイナス極とプラス極の2個の電極を取り付けた真空管を、2極真空管と言います。
半導体を用いる現代では、真空管のかわりにダイオードという部品が、この真空管とおなじような一方向にのみ電子を流す機能を持っています。
この真空管に、さらに、もう一本、マイナス極の近くに電極を取り付けます。3本目の電極の電圧の大きさを変えると、陰極から放電される電子の量が変わります。3本目の電極の電圧をかえるのに流した電流の大きさ以上に、陰極からの電流の大きさを変えることができます。これによって、3極真空管には、少ない電流の変化を、大きな変化に変える 増幅が可能になります。(増幅といっても、べつに無から有の電流を作るわけでは無く、外部電源は必要になる。)
この3個の極を持つ真空管が、3極真空管です。
半導体を用いる今日では、この、3極真空管は、半導体の実用化後は、トランジスタという部品に、置き換えられていった。
[[ファイル:Glen Beck and Betty Snyder program the ENIAC in building 328 at the Ballistic Research Laboratory.jpg|250px|thumb|プログラミングされるENIAC]]
[[ファイル:Two women operating ENIAC.gif|thumb|250px|thumb|2人のプログラマがENIACの制御パネルを操作しているところ]]
陰極線が発見されたばかりのころは、まだコンピュータへの応用には、気づかれていませんでした。それから時代が変わって1940年ごろに、第二次大戦のため、アメリカでは高性能の計算機が必要になり、新型の計算機の開発が進みます。この時代に、陰極線を用いた真空管で計算機が作れる、ということが、気づかれます。
アメリカ軍は、真空管を用いた電子式の計算機の開発に、巨額の資金(しきん)を、つぎ込みます。
そうして、完成した電子計算機が、エニアック ENIAC というコンピュータです。
真空管は、陰極を加熱するという理由から、耐久性に欠陥があった。たとえば電球のフィラメントが焼き切れるように、真空管が熱で電極が焼き切れたりなどして、故障するということが多かった。
また、真空管は小型化も難しかった。
{{clear}}
[[ファイル:Transistor description ja.svg|right|frame|NPN型トランジスタの模式図]]
しばらく時代がたち、半導体という物質に、いくつかの物質をまぜると、一方向にしか電子が流れないという現象が発見されます。半導体の中を、一方向にのみ、電子が流れます。
しかも、半導体により一方向に流すばあいは、真空管とはちがい、熱する必要がありませんでした。材料の中を電子がながれるので、放電をさせる必要もなくなります。
なので、熱で故障することが無くなります。おまけに加熱のためのヒータを取り付ける必要も無くなります。
半導体ダイオードや半導体トランジスタの実用化後は、加熱の必要がなくなり、真空管を用いていた多くの電子部品で、耐久性の高い半導体部品へと置き換わることになりました。
ICの配線の加工は、とても細かいので、手では不可能です。おもに、光を用いています。
たとえば写真の業界では、銀塩写真は、光を用いて、化学反応を制御しています。半導体の製造でも、光を用いて、シリコンウエハにぬられた感光剤(かんこうざい)の化学反応を制御して、ICを作っています。
なので、半導体製造装置(はんどうたいせいぞうそうち)には、レンズなどの光学部品が、ついています。
シリコンウエハに、写真のように回路図をうつして、ICの配線をつくっているのです。
「半導体産業」と言った場合、最近では、材料が本来の意味の導電率が半分という意味の「半導体」でなくても、製品がICなどと同じ機能をもっている高性能の計算処理能力などを持つ電子部品をつくる産業ならば、その製品をつくる産業も「半導体産業」と言う場合があります。
{{clear}}
=== 軽工業 ===
軽工業には、食品工業や繊維工業など、色々とあるが、食品工業の割合が、もっとも大きい。
==== 食品工業 ====
たとえば小麦粉からパンをつくったり、果物からジュースをつくったりするように、農産物や畜産物、水産物を加工して <span style="color:Brown"><big>加工食品</big></span>(かこう しょくひん) をつくる産業である。
食料品工業とも言う。
肉からハムを作ったり、魚からカマボコや ちくわ を作るのも食品工業です。
スーパーで売られてるようなカレーライスのルーを作ったり、インスタントラーメンなどをつくるのも食品工業です。
牛乳からバターやチーズなどの加工した乳製品をつくるのも食品工業です。
小麦からビールを作るのも、コーヒー豆からインスタントコーヒーを作るのも食品工業です。
大豆から味噌(みそ)を作ったり、醤油(しょうゆ)をつくるのも食品工業です。
調味料を作ったり、コメの精米や、小麦の製粉、漬物、缶詰食品などの保存食づくり、お菓子工場のお菓子づくりなど、食品工業は、たくさん、あります。
食品工場の工場は、多くの工場は、中小の工場です。工場の場所は、原料の産地のちかく、または東京などの大消費地の近く、または原料の輸入する貿易港の近くが多いです。
なので、全国に工場が、ちらばっています。
==== 繊維工業 ====
{{ruby|繊維|せんい}}の種類には綿や、絹の生糸などの天然繊維や、ナイロン繊維やアクリル繊維などの化学繊維がある。
綿の材料は、綿花から採れる。コットンとは、綿のことです。
絹の原料は、虫であるカイコの{{ruby|繭|まゆ}}です。シルク silk とは絹のことです。
ウールとは、羊の羊毛のことです。
化学繊維の多くは、ふつうは、石油を原料にしています。
日本では、繊維工業は、第二次世界大戦の前までは、天然繊維の製品の輸出が、日本の主要な工業であった。しかし戦後は、人件費の安い中国(中華人民共和国のほう)や東南アジアなどの外国に工場が移ったことや、ナイロンなどの化学繊維の発明によって、繊維工業の割合は低下した。
人件費とは、従業員の一人あたりに支払う給料のことです。
経済力の高い先進国では、高い給料を払わないと労働者が集まりにくいので、先進国では人件費が高くなる傾向があります。
[[File:1924 Non-Stop Shuttle Change Toyoda Automatic Loom, Type G 1.jpg|thumb|200px|right|無停止杼換式豊田自動織機(G型)。産業技術記念館の展示。]]
戦前の繊維工業の参考として、たとえば、現在では自動車会社で有名なトヨタ自動車も、昔は、1926年(大正15年)に創業したばかりの豊田自動{{ruby|織機|しょっき}}という織機をつくる会社でした。
{{clear}}
==== 製紙・パルプ工業 ====
[[File:Florida Pulp and Paper Company mill, Cantonment, Florida.jpg|thumb|外国企業での、パルプの製造。1947年。]]
[[Image:InternationalPaper6413.jpg|thumb|left|製紙・パルプ工場。外国企業。]]
[[Image:Papermaking machine at a paper mill near Pensacola.jpg|thumb|left|300px|抄紙機。]]
[[File:Paper machine.ogv|thumb|製紙会社の製紙の機械。外国企業。]]
ふつうの紙の原料は、木です。
木材をチップにして、さらにチップから <big>パルプ</big> を作ります。
製紙会社の工場で、釜でチップが煮込まれ、苛性ソーダ(水酸化ナトリウム)などを加えられて化学処理されて、チップからパルプになります。
パルプから紙が作られます。
パルプを漂白(ひょうはく)するため過酸化水素水などを使います。漂白して白くしたあと、{{ruby|抄紙機|しょうしき}}という巨大なローラーのついた機械で、均等な厚さに伸ばしていきます。
出来た紙は巨大なので、そのままでは製品にならないので、機械で必要な大きさに裁断(さいだん)されて、取引先に出荷されます。
紙は、木材から作る他にも、古紙から作った再生パルプを使ってつくる再生紙があります。
{{clear}}
=== よう業 ===
陶磁器(とうじき)などの焼き物を作ったり、ガラスを作ったり、セメントを作ったりする工業を '''{{ruby|窯|よう}}業''' と言います。
どれも、石や粘土(ねんど)などを焼いて、作っています。
陶磁器は、ふつう、粘土 をやいて、作ります。
==== ガラス ====
ガラスの材料は、ケイ{{ruby|砂|しゃ}}です。ケイ砂を高温で溶かし液状にしたものを、成形して固めたものがガラスです。
==== セメント ====
[[File:06 Contes cimenterie.jpg|thumb|セメント工場。外国。]]
[[File:റോട്ടറി ക്ളിൻ.jpg|thumb|250px|回転がま。ロータリー・キルン。]]
セメントの材料は石灰岩(せっかいがん)と粘土です。
石灰岩と粘土とを粉々にしてから焼き固めたあとに、冷却して、砕いた(くだいた)ものです。
そして<big>セメントは、コンクリートの原料です。</big>
セメントに{{ruby|砂利|じゃり}}と砂を入れ、水を適切な配合でまぜると、水とセメントとの化学反応が起きて、時間がたつとコンクリートとなって固まっていきます。
セメントの原料の石灰岩は、日本国内で自給できています。(2014年に記述。)
{{clear}}
==== ファインセラミックス ====
[[Image:Si3N4bearings.jpg|thumb|250px|セラミックスでできたベアリング部材 Si<sub>3</sub>N<sub>4</sub>]]
[[Image:Zayka-Ceramic-Knife.jpg|thumb|250px|セラミックス製ナイフ]]
このような石などを焼いて作った材料、またはそれと似た化学成分の材料をまとめて、セラミックス とも言います。
セラミックスのなかで、とくに高性能な、とくべつな材料を ファインセラミックス と言います。ファインセラミックスの原材料は、きびしく管理されています。
セラミックスは、金属とちがい、さびないのが普通です。
セラミックスは電気を流さないので、電子材料で、絶縁(ぜつえん)が必要なところに使われることがあります。
電気回路で電気を一時的に保持する部品をコンデンサと言うのですが、セラミックコンデンサなどの応用があります。
{{clear}}
== 人口 ==
=== 日本の人口の移り変わり ===
2019年4月現在、日本の人口は'''1億2615万人''' (推計値) であるが、減少している。
* 人口ピラミッドと人口の移り変わり
年齢層と性別ごとの人口をグラフにしたものを'''人口ピラミッド'''といいます。ここで、3つの年の人口ピラミッドを見てみましょう。
<gallery>
File:Population pyramid of Japan, 1950.svg|250px
File:Population pyramid of Japan, 1980.svg|250px
File:Population pyramid of Japan, 2015.svg|250px
</gallery>
※左、すなわち青いほうが男、右、ピンクの方が女です。
これは、左から順に 1950年、1980年、2015年のものです。(クリックで拡大できます。)
まず、1950年のものを見てみましょう。ほぼ三角形の形で、子どもが多く、高齢者が少なくなっています。このような多産多死型の人口ピラミッドを、'''ピラミッド型'''とか、'''富士山型'''といいます。これは、発展途上国でよく見られます。
次に、1980年のものを見てみましょう。1950年のときと比べて、細くなっています。このような多産少死型の人口ピラミッドを、'''つりがね型'''といいます。
最後に、2015年のものを見てみましょう。1980年のときと比べて、さらに細くなっています。子どもが少なく、高齢者が多くなっています(少子高齢化)。このような少産少死型の人口ピラミッドを、'''つぼ型'''といいます。これは、先進国でよく見られます。
*出生率の低下
「{{ruby|出生率|しゅっしょうりつ}}」とは、一人の女性が、一生で何人の子供を産むかの平均です。2.07を切ると人口減少が始まるといわれています。2016年の出生率は、1.44でした。(先進国の中でも、かなり低いが、2018年、韓国の出生率は0.98であった)
*ベビーブーム
一時的に出生率が高くなる時期を'''ベビーブーム'''といいます。
第一次ベビーブームは、太平洋戦争の直後に起こりました。先ほどの1950年の人口ピラミッドで、子どもの数が多くなっている1つの原因です。第一次ベビーブームのときに生まれた人を'''{{ruby|団塊|だんかい}}の世代'''ということがあります。現在、70代前半の人です。
第二次ベビーブームは、1970年代に起こりました。第一次ベビーブームのときに生まれた人が、子どもを出産したことにより起こりました(第二次ベビーブームのときに生まれた人を「団塊ジュニア」ということがあります)。現在、40代中ごろの人です。
=== 地域と人口 ===
*{{ruby|過密|かみつ}}
都市部では、人口増加により、交通{{ruby|渋滞|じゅうたい}}などを引き起こしています。
*{{ruby|過疎|かそ}}
*ドーナツ化現象
中心部の人口が減少し、周辺部の人口が増加する。
== 貿易 ==
外国へ商品を売ることを'''輸出'''(ゆしゅつ)という。外国から、商品を買うことを'''輸入'''(ゆにゅう)という。
輸出額が輸入額より大きい場合を {{Ruby|<b>貿易黒字</b>|ぼうえき くろじ}}という。輸入額が輸出額より大きい場合を {{Ruby|<b>貿易赤字</b>|ぼうえき あかじ}}という。
=== 加工貿易 ===
日本には、資源が乏しく、外国から原料などを多く輸入している。
このように外国から原料を輸入し、日本国内で加工して工業製品にして、その工業製品を外国に輸出することで外貨をかせぐ貿易の方法を'''加工貿易'''という。
日本にとって、加工貿易は 必要な方法である。
{{clear}}
=== 貿易摩擦 ===
;アメリカとの日米貿易摩擦
1960年代ごろから、せんい製品・カラーテレビ・自動車・半導体電子部品などが多く輸出され、アメリカの製造業が不振になり、アメリカと日本との貿易摩擦が起こる。
アメリカは日本に輸出の規制を求めている。
=== 現状 ===
アメリカと中国が、大きな貿易相手。
日本から外国への輸出先は、多い順に中国、アメリカ、韓国などである。
外国から日本への輸入は、中国からの輸入、アメリカからの輸入、オーストラリアからの輸入が多い。
中国は人件費が安いので、その結果、輸出品の価格も安くなるので、各国の消費者が価格の安い中国製品を好んで買うので、多くの製品が中国から輸出される。
中国からの輸出品の生産は、中国の現地企業が生産している場合もあれば、外国の企業が人件費の安い中国に工場をたてて生産している場合もある。
中国にかぎらず、東南アジアも人件費が安いので、中国と同様に、安い製品の輸出をしている。
日本からも、人件費の安い外国に生産工場をうつす動きがあるが、その結果、国内の工場の仕事が減り、国内の生産力が下がるという「産業の空洞化」が起きている。
また、外国に工場を作ると、日本国内の工場でつちかわれた生産ノウハウも外国の労働者に教えることになるので、外国に技術ノウハウが流出するという 技術流出 も、問題になっている。また、中国は人口が多く、世界最大の人口を持つので、中国市場に多くの企業が参入し、中国への輸出額も多くなっている。
{{コラム|{{Ruby|石油危機|せきゆ きき}}|
1973年におきた中東戦争が原因の、世界的な石油の値上がりを '''石油危機''' と言う。
中東戦争とは、西アジアの中東で起きた戦争である。
石油危機のことをオイルショックともいう。
イスラエルと、アラブ諸国との、戦争である。この1973年の戦争を {{Ruby|第四次 中東戦争|だいよじ ちゅうとう せんそう}}という。
中東戦争の主な理由は、領土問題である。イスラエルは第二次世界大戦後にユダヤ人によりクーデターで出来たばかりの新しい国なので、周辺のアラブ人がおさめるアラブ諸国とは、領土でもめることが多いのである。
イスラエルはアメリカの同盟国なので、アメリカはイスラエルを支援します。アメリカを支援する国の多くは、イスラエルを支援することになります。
産油国であるアラブ諸国は、イスラエルを支援する国への対抗措置として、石油の輸出制限をおこないます。その結果、石油を輸入していた国では、大幅に石油製品の値段が上がり、石油製品の値上がりにともない物価も値上がりし、経済が混乱しました。これが オイルショック です。
[[ファイル:Oil Prices Since 1861.svg|right|thumb|right|800px|1861年~2007年の原油価格。100年近く続いた安値が1970年代に破られたことがわかる。
<br>黄色 実質(物価変動補正)
<br>青色 名目(当時の金額)
]]
}}
{{clear}}
== 交通 ==
=== 自動車 ===
=== 鉄道(新幹線) ===
== 環境と資源 ==
工場などからでる排水や排煙などの処理が不十分だと、排水・排煙にふくまれる有害物質により、周辺の環境が汚染され、近隣の住民など多くの人の健康に被害が出る場合がある。このように、産業活動による多くの人への健康への悪影響を <big>{{Ruby|公害|こうがい}}</big> という。
工場から有害な物質が出ている場合は、工場の中で働いている人にも健康への悪影響がある。
工場の中の人だけに健康被害がある場合は、ふつうは「公害」とは呼ばずに、「職業病」など異なったよび方をする。
家庭などから出る物質によっても、環境に悪影響が出る場合があるが、それらの場合は、ふつうは公害とは呼ばずに、単に、環境汚染(かんきょうおせん)として、あつかわれる。
環境汚染とは、環境が、よごれることである。公害によって空気が汚染された場合なども、環境汚染の、ひとつである。
この節では、職業病ではなく、主に、公害を中心に説明する。
公害とは、主に、以下の7つの公害が典型的である。
* {{Ruby|大気汚染|たいき おせん}} ・・・ 排煙などで、空気が、よごれること。
* {{Ruby|水質汚濁|すいしつ おだく}} ・・・ 川や海などの水がよごれること。
* {{Ruby|土壌汚染|どじょう おせん}} ・・・
* {{Ruby|騒音|そうおん}} ・・・
* {{Ruby|振動|しんどう}} ・・・
* {{Ruby|地盤沈下|じばん ちんか}} ・・・ 地下水を大量に取り出すと、地面が低くなる地盤沈下が起きることがある。
* {{Ruby|悪臭|あくしゅう}} ・・・
環境基本法では、この7つの種類の公害を「{{Ruby|典型七公害|てんけい ななこうがい}}」としている。
世界の各地でさまざまな公害が発生したが、この節では、日本で起きた公害のうち、戦後に起きた公害を取り上げる。
=== 四大公害病 ===
日本でも、かつて大きな公害が発生したことがある。以下の4つの公害およびその公害による病気が、特に被害が大きい公害として有名である。
* {{Ruby|水俣病|みなまたびょう}}
* {{Ruby|四日市|よっかいち|ぜんそく}}
* イタイイタイ病
* {{Ruby|新潟水俣病|にいがたみなまたびょう}}
この4つの公害を{{Ruby|四大公害|よんだいこうがい|病}}と言います。
==== 水俣病 ====
[[File:水俣病-位置-地図.jpg |thumb|right|300px|熊本水俣病</BR>赤:水俣市、青:葦北郡、薄黄色:その他の熊本県]]
化学工場の排水にふくまれていた'''水銀'''および水銀化合物(有機水銀、メチル水銀)が原因でおきた病気です。水銀は{{Ruby|猛毒|もうどく}}なので、この水銀に汚染された水を飲んだり、水銀に汚染された海水で育った魚や貝を食べたりすると、病気になります。体が水銀におかされると、神経細胞が破壊され、手足がしびれたり、うごかなくなります。
1953年ごろに熊本県の{{Ruby|水俣|みなまた}}という地域や、{{Ruby|水俣湾|みなまたわん}}の周辺で、有名になった公害なので、水俣病と言います。
なお、有名になったのは1953年ごろからだが、それ以前の1940年代ごろから、水俣病とおぼしき症例が知られている。
人間以外にも、猫や鳥など、水銀に汚染された魚を食べたり水を飲んだりしたと思われる動物の不審死がいくつもあり、当初は、水俣病の原因もよく分かっていなかったので、しびれている猫が踊ってるようにも見えたことから、当初は「{{Ruby|猫病|ねこ|}}おどり病」とも言われた。
==== 四日市ぜんそく ====
三重県の{{Ruby|四日市|よっかいち|市}}は、1940年ごろから石油化学工業で、繁栄していました。現在も、多くの石油化学工場があつまった「石油化学コンビナート」といわれる工場の集まりがあります。
1950年ごろから、この周辺では、ぜんそくや{{Ruby|[[w:気管支炎|気管支炎]]|きかんしえん}}など、のどをいためる病気の人が、ふえてきました。また、この近くの海でとれた魚は油くさい、と言われたりもしました。
ちなみに、四日市ぜんそくの原因の物質は {{Ruby|'''亜硫酸'''|ありゅうさん}} ガスだということが、今では分かっています。
この頃はまだ詳しくは分かっていませんでしたが、石油化学コンビナートから出る、けむりや排水が、環境に悪い影響をあたえているらしい、ということが1960年ころから言われはじめ、社会問題になりました。
このうち、とくに 喘息 の被害が有名なので、この四日市でおきた公害を 四日市ぜんそく というのです。
==== イタイイタイ病 ====
1955年ごろ富山県の{{Ruby|神通川|じんづうがわ}}の周辺で起きた病気であり、体の ふしぶし が痛くなり、骨が折れやすくなる病気です。これは'''カドミウム'''が原因で、そのカドミウムは猛毒です。
川の上流にある鉱山から流れ出る廃水にカドミウムがふくまれており、その廃水を飲んだ人や、廃水に汚染された米などの農産物などを食べた人に、被害が出ました。感染者が皆「イタイイタイ」というため、この名がつけられたと言われています。
==== 新潟水俣病 ====
1964年ごろに新潟県の{{Ruby|阿賀野川|あがのがわ}}の流域で起きた、水銀および水銀化合物による公害で、化学工場の排水の中の水銀化合物が原因です。
症状は、熊本県の水俣病と同じです。{{Ruby|第二|だいに|水俣病}}とも言われます。
=== そのほかの公害 ===
*ヘドロ
==== 四大公害裁判 ====
これらの公害病の原因の物質を排出した会社や工場に対し、住民らが国に裁判を、訴えでます。1960年代の後半に裁判が起こされ、1970年代の前半の1971年〜1973年ごろに判決が出ます。どれも企業側の責任を認め、企業側は被害住民に {{Ruby|賠償金|ばいしょうきん}} を支払うように命じる判決が出ます。
=== 公害対策 ===
四大公害などの発生を受け、公害対策の気運が高まります。
# 1967年に'''{{Ruby|公害対策|こうがいたいさく}}基本法'''が制定されました。
# 1970年に{{Ruby|環境庁|かんきょうちょう}}が、設置されます。2001年に、環境庁から環境省に格上げされました。
# 1970年に{{Ruby|水質汚濁|すいしつおだく}}防止法が制定されました。
# 1993年に、'''{{Ruby|環境|かんきょう}}'''基本法が制定されました。これにともない、古い公害対策基本法は廃止されました。環境基本法は、公害対策だけではなく、その他の多くの環境問題にも対策をした法律です。
# 2002年に{{Ruby|土壌汚染対策法|どじょうおせん たいさくほう}}が制定されました。
=== さまざまな環境問題 ===
*地球温暖化
*森林の破壊や減少
*砂漠化
*大気汚染
*オゾン層の破壊
*希少動物の絶滅などの生態系の破壊
=== 地球温暖化 ===
[[ファイル:Global Warming Map.jpg|thumb|right|280px|1940年–1980年の平均値に対する1995年から2004年の地表面の平均気温の変化]]
[[ファイル:Greenhouse Effect ja.png|thumb|right|300px|温室効果の概念図]]
'''地球温暖化''' の主な原因は、石油などの化石燃料の大量使用によって、排気にふくまれる二酸化炭素により、空気中の二酸化炭素が増加したためと考えられている。
*温室効果
:大気中の二酸化炭素には、熱を吸収する働きがあるので、地上の熱が宇宙に逃れず地球の周囲に閉じ込められることが、温暖化の原因と考えられている。また、大気中の二酸化炭素が熱を閉じ込める作用のことを '''温室効果'''</big>と言う。二酸化炭素など、熱を閉じ込める温室効果のある気体のことを温室効果ガスと言う。
国連では温暖化の防止のため、1992年に国連環境開発会議(地球サミット)がブラジルのリオデジャネイロで開かれ、地球サミットで条約として地球温暖化防止条約( 気候変動枠組み条約 )が採択された。
また1997年には、国連の会議(地球温暖化防止 京都会議)で,温室効果ガスの削減目標を定めた京都議定書(きょうとぎていしょ)が採択された。
しかし、中国などの発展途上国と見なされていた国には、削減が義務づけられていない。
また、アメリカは当時に会議から離脱した。
国別の排出量では2016年では、中国が1位であり、アメリカが2位、インドが3位である。
このような理由のため、京都議定書の実効性が疑問視されている。
(削減義務を負わない)発展途上国と見なされた国の反論は、「地球環境問題を引き起こした原因は、主に先進国の活動が原因であり、われわれ途上国に負担を負わせるのはおかしい。」というような反論をしている。
海抜の低いツバル、モルディブ、キリバスでは、海水面が上がれば国土の多くが水没してしまう恐れがある。
南極の大陸上の氷や氷河の氷が溶ければ、海面上昇。低地が水没する。なお、北極の氷が溶けても、もともと北極海に浮かんでいる氷が水に変わるだけなので、海面は上昇しない。
[[ファイル:Anopheles gambiae mosquito feeding 1354.p lores.jpg|left|thumb|200px|マラリア原虫を媒介するハマダラカ]]
温暖化によって、マラリアを媒介する蚊のハマダラカの生息域が広がる恐れが有る。
*チーム・マイナス6%
1990年より6%減少を目標とした。
なお、二酸化炭素のことを化学式から CO<sub>2</sub>(シー・オーツー) とも言う。Cが炭素(英:carbon カーボン)のことで、Oが酸素(英:Oxygen オキシジェン)および酸化(Oxidation オキシデイション)のことである。
{{clear}}
=== 森林破壊と砂漠化 ===
*森林破壊
主に発展途上国で、耕作や放牧や工業化を目的にした森林伐採などで、森林面積が減少している。温暖化の原因にもなっていると考えられている。また、動物の生息域が減るので、生態系の保護の観点からも、森林破壊が問題である。
なお、温暖化の化石燃料以外の他の原因として、森林伐採などによる森林の減少によって、植物の光合成による二酸化炭素の吸収量が減ったのも理由の一つでは、という説もある。
*砂漠化
もともと植物の少ない地域で、その地域が砂漠になる現象が世界の各地で起きている。原因は、過度の農業化や周辺の森林伐採などにより、土壌の保水性が失われたことなどである。
=== 酸性雨 ===
[[File:酸性雨.gif|thumb|300px|酸性雨の発生に関わる概念]]
酸性雨の原因は、化石燃料の排気にふくまれる窒素酸化物などの物質が、雨の酸性化の原因と考えられている。酸性雨により、森林が枯れたり、湖や川の魚が死んだりする場合もある。
=== オゾン層の破壊 ===
フロンガスという物質が原因で、オゾン層が破壊されることが1980年代に分かった。
=== 国際社会と環境問題への取り組み ===
地球環境問題は一国だけの問題ではなく、複数の国々、さらに世界中全ての国に影響を与える問題である。このため、1970年代から国際会議でも取り上げられる重大なテーマとなった。
地球環境問題についての最初の国際会議は1972年にスウェーデンのストックホルムで開かれた'''国連人間環境会議'''(ストックホルム会議)である。このとき「'''かけがえのない地球'''」というキャッチフレーズが用いられた。
1992年にはブラジルのリオデジャネイロで'''国連地球サミット'''が開かれた。( ※ 正式名称は「環境と開発に関する国際連合会議」。ただし、「リオ会議」「国際連合環境開発会議」などとも呼ばれる。 ) 国連地球サミットにおいて、「'''持続可能な開発'''」という考え方が示された。
1997年には京都で開かれた'''京都会議'''( ※ 正式名称は「第3回 気候変動枠組(わくぐみ)条約 締約国(ていやくこく)会議」 )において'''京都議定書'''が締結され、世界の主要国が温室効果ガスの削減を求められるようになった。議定書の発効は2005年からである。
このようにして世界の国々が地球環境問題に対して一致して取り組むことが求められるようになったが、京都議定書からのアメリカの離脱、中国の経済発展にともなう温室効果ガス排出量の急増、発展途上国の経済発展と環境への影響の増大などに見られるように、各国の事情や利害の対立から一致した行動にはほど遠いという問題は解決されていない。
ヨーロッパでは陸続きの国が多いので、一つの国の環境問題が周囲の国に影響を与えることも大きく、環境問題が外交問題になりかねないこともあり、ヨーロッパでは1970年代ごろから環境問題の取り組みが積極的に行われてきた。
== 情報 ==
=== いろいろなメディア ===
== 資料出典 ==
*農林水産省
*総務省統計局
*全国地球温暖化防止活動推進センター(JCCCA)
*国土交通省
== 関連項目 ==
=== 上巻 ===
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26,332 | 線型代数学/行列と行列式/第三類/行列の積 | 次に行列どうしの積について説明する. 行列の積は少々面倒である. 成分ごとに積というわけにはいかない.
行列の積の基本は,次のような1行からなる行列と1列からなる行列の計算のしかたである.
左の行列を列ベクトルとしてみれば,この計算はちょうど列ベクトルどうしの内積の値に等しくなる.
2 行の行列と 1 列の行列の積は次のようにして計算する.
左の行列を行にわけて計算するところがポイントである.
2 次の正方行列どうしの積,(2, 3) 型行列と (3, 2) 型行列の積はつぎのようになる.
左の行列は行に分け,右の行列は列に分けて計算する.
ここまでの例で一般の行列の積の計算の要領をわかっていただけたものと思う. 一般の行列の積に関してまとめると次のようになる.
定義7 行列の積
A {\displaystyle A} を ( l , m ) {\displaystyle (l,m)} 型行列, B {\displaystyle B} を ( m , n ) {\displaystyle (m,n)} 型行列とすると, A B {\displaystyle AB} は ( l , n ) {\displaystyle (l,n)} 型行列であり, ( i , j ) {\displaystyle (i,j)} 成分は A {\displaystyle A} の第 i {\displaystyle i} 行と B {\displaystyle B} の第 j {\displaystyle j} 列の積である.
◼ {\displaystyle \blacksquare }
行列 A , B {\displaystyle A,B} の積 A B {\displaystyle AB} が計算できるためには, A {\displaystyle A} の列のサイズと B {\displaystyle B} の行のサイズが一致しなければならないことに注意する.
なお,この定義によると 1 列の行列と 1 行の行列の積は,
となる.左の行列の行で,右の行列を列に分けると1つずつの成分で行,列を構成することになってしまうのでこうなるわけである. 盲点になっている人がいるので念のため.
こうして定義された行列の積について,次のような計算法則が成り立つ.
定理7 行列の積の計算法則
(1) ( A B ) C = A ( B C ) {\displaystyle (AB)C=A(BC)\ \ \ } (結合則) (2a) ( A + B ) C = A C + B C {\displaystyle (A+B)C=AC+BC\ \ \ } (2b) A ( B + C ) = A B + A C {\displaystyle A(B+C)=AB+AC\ \ \ } (分配則) (3) A O = O A = O {\displaystyle AO=OA=O}
証明
以下、行列 M {\displaystyle M} の第 i {\displaystyle i} 行第 j {\displaystyle j} 列成分を m i j {\displaystyle m_{ij}} , これと並行に成分の表示方法として,行列 M {\displaystyle M} の各成分を ( M ) i j {\displaystyle (M)_{ij}} と表示するものとする.
(1)
行列の積 A B , ( A B ) C , B C , A ( B C ) {\displaystyle AB,(AB)C,BC,A(BC)} のすべてが定義できるものと仮定する. 定理7 より、 ( A B ) i j = ∑ k a i k b k j {\displaystyle (AB)_{ij}=\sum _{k}a_{ik}b_{kj}} よって、 ( A B ) i j = ∑ x a i x b x j {\displaystyle (AB)_{ij}=\sum _{x}a_{ix}b_{xj}} ∴ { ( A B ) C } i j = ∑ y ( A B ) i y c y j {\displaystyle \therefore \left\{(AB)C\right\}_{ij}=\sum _{y}(AB)_{iy}c_{yj}} = ∑ y ( ∑ x a i x b x y ) c y j {\displaystyle =\sum _{y}\left(\sum _{x}a_{ix}b_{xy}\right)c_{yj}} = ∑ y ∑ x a i x b x y c y j ( ∵ {\displaystyle =\sum _{y}\sum _{x}a_{ix}b_{xy}c_{yj}\ \ \ (\because } c {\displaystyle c} の添え字は内側の ∑ x {\displaystyle \sum _{x}} の添え字 x {\displaystyle x} (従属変数)と関係ない。) 同様に、 { A ( B C ) } i j = ∑ x a i x ( B C ) x j {\displaystyle \left\{A(BC)\right\}_{ij}=\sum _{x}a_{ix}\left(BC\right)_{xj}} = ∑ x a i x ∑ y b x y c y j {\displaystyle =\sum _{x}a_{ix}\sum _{y}b_{xy}c_{yj}} = ∑ x ∑ y a i x b x y c y j ( ∵ a {\displaystyle =\sum _{x}\sum _{y}a_{ix}b_{xy}c_{yj}\ \ \ (\because a} の添え字は内側の ∑ y {\displaystyle \sum _{y}} の添え字 y {\displaystyle y} (従属変数)と関係ない。) = ∑ y ∑ x a i x b x y c y j {\displaystyle =\sum _{y}\sum _{x}a_{ix}b_{xy}c_{yj}} = { ( A B ) C } i j {\displaystyle =\left\{(AB)C\right\}_{ij}} ∴ A ( B C ) = ( A B ) C {\displaystyle \therefore A(BC)=(AB)C}
(2a)
行列の積 ( A + B ) C , A C , B C {\displaystyle (A+B)C,AC,BC} が定義可能であると仮定する. { ( A + B ) C } i j = ∑ k ( A + B ) i k c k j {\displaystyle \left\{(A+B)C\right\}_{ij}=\sum _{k}(A+B)_{ik}c_{kj}} = ∑ k ( a i k + b i k ) c k j {\displaystyle =\sum _{k}(a_{ik}+b_{ik})c_{kj}} = ∑ k ( a i k c k j + b i k c k j ) {\displaystyle =\sum _{k}(a_{ik}c_{kj}+b_{ik}c_{kj})} = ∑ k a i k b k j + ∑ k b i k c k j {\displaystyle =\sum _{k}a_{ik}b_{kj}+\sum _{k}b_{ik}c_{kj}} = ( A C ) i j + ( B C ) i j {\displaystyle =(AC)_{ij}+(BC)_{ij}} = ( A C + B C ) i j {\displaystyle =(AC+BC)_{ij}} ∴ ( A + B ) C = A C + B C {\displaystyle \therefore (A+B)C=AC+BC}
(2b)
行列の積 A ( B + C ) , A B , A C {\displaystyle A(B+C),AB,AC} が定義可能であると仮定する. { A ( B + C ) } i j = ∑ k a i k ( B + C ) k j {\displaystyle \left\{A(B+C)\right\}_{ij}=\sum _{k}a_{ik}(B+C)_{kj}} = ∑ k a i k ( b k j + c k j ) {\displaystyle =\sum _{k}a_{ik}(b_{kj}+c_{kj})} = ∑ k a i k b k j + a i k c k j {\displaystyle =\sum _{k}a_{ik}b_{kj}+a_{ik}c_{kj}} = ∑ k a i k b k j + ∑ k a i k c k j {\displaystyle =\sum _{k}a_{ik}b_{kj}+\sum _{k}a_{ik}c_{kj}} = ( A B ) i j + ( A C ) i j {\displaystyle =(AB)_{ij}+(AC)_{ij}} = ( A B + A C ) i j {\displaystyle =(AB+AC)_{ij}} ∴ A ( B + C ) = A B + A C {\displaystyle \therefore A(B+C)=AB+AC}
(3)
O {\displaystyle O} を零行列とし、行列の積 A O {\displaystyle AO} および O A {\displaystyle OA} のいずれも定義可能であると仮定する. ( A O ) i j = ∑ k a i k o k j {\displaystyle (AO)_{ij}=\sum _{k}a_{ik}o_{kj}} = ∑ k a i k ⋅ 0 ∵ o k j ≡ 0 {\displaystyle =\sum _{k}a_{ik}\cdot 0\ \ \ \because o_{kj}\equiv 0} ≡ 0 {\displaystyle \equiv 0} ∴ A O = O {\displaystyle \therefore AO=O} ( O A ) i j = ∑ k o i k a k j {\displaystyle (OA)_{ij}=\sum _{k}o_{ik}a_{kj}} = ∑ k 0 ⋅ a k j ∵ o k j ≡ 0 {\displaystyle =\sum _{k}0\cdot a_{kj}\ \ \ \because o_{kj}\equiv 0} ≡ 0 {\displaystyle \equiv 0} ∴ O A = O {\displaystyle \therefore OA=O} ∴ A O = O A = O {\displaystyle \therefore AO=OA=O}
◼ {\displaystyle \blacksquare }
行列の積の計算練習を行う.
演習5. {\displaystyle \quad } 行列の積 A = ( 2 − 1 3 1 ) , B = ( − 2 3 2 1 ) {\displaystyle A=\left({\begin{array}{c}2&-1\\3&1\end{array}}\right),\ B=\left({\begin{array}{c}-2&3\\2&1\end{array}}\right)\ } のとき, A B , B A {\displaystyle AB,BA} を求めよ.
解答例
A B = ( 2 − 1 3 1 ) ( − 2 3 2 1 ) {\displaystyle AB=\left({\begin{array}{c}2&-1\\3&1\end{array}}\right)\left({\begin{array}{c}-2&3\\2&1\end{array}}\right)} = ( 2 ( − 2 ) + ( − 1 ) ⋅ 2 2 ⋅ 3 − 1 ⋅ 1 3 ( − 2 ) + 1 ⋅ 2 3 ⋅ 3 + 1 ⋅ 1 ) = ( − 6 5 − 4 10 ) {\displaystyle =\left({\begin{array}{c}2(-2)+(-1)\cdot 2&2\cdot 3-1\cdot 1\\3(-2)+1\cdot 2&3\cdot 3+1\cdot 1\end{array}}\right)=\left({\begin{array}{c}-6&5\\-4&10\end{array}}\right)} B A = ( − 2 3 2 1 ) ( 2 − 1 3 1 ) {\displaystyle BA=\left({\begin{array}{c}-2&3\\2&1\end{array}}\right)\left({\begin{array}{c}2&-1\\3&1\end{array}}\right)} = ( − 2 ⋅ 2 + 3 ⋅ 3 ( − 2 ) ⋅ 2 + 3 ⋅ 3 ( − 2 ) ( − 1 ) + 3 ⋅ 1 2 ⋅ 2 + 1 ⋅ 3 2 ⋅ ( − 1 ) + 1 ⋅ 1 ) = ( 5 5 7 − 1 ) {\displaystyle =\left({\begin{array}{c}-2\cdot 2+3\cdot 3&(-2)\cdot 2+3\cdot 3&(-2)(-1)+3\cdot 1\\2\cdot 2+1\cdot 3&2\cdot (-1)+1\cdot 1\end{array}}\right)=\left({\begin{array}{c}5&5\\7&-1\end{array}}\right)}
A B ≠ B A {\displaystyle AB\neq BA} となっている。この例からわかるように、一般に行列の積は交換法則が成り立たない. 正方行列でない行列の席の場合は、そもそも A B {\displaystyle AB} が計算できても B A {\displaystyle BA} が計算できるとは限らない.
◼ {\displaystyle \blacksquare }
演習6. A = ( − 3 0 0 0 1 0 0 0 2 ) {\displaystyle A=\left({\begin{array}{c}-3&0&0\\0&1&0\\0&0&2\end{array}}\right)} 、 ( 1 0 0 0 − 3 0 0 0 3 ) {\displaystyle \left({\begin{array}{c}1&0&0\\0&-3&0\\0&0&3\end{array}}\right)} のとき、 A B {\displaystyle AB} 、 B A {\displaystyle BA} を計算せよ.
解答例
◼ {\displaystyle \blacksquare } | [
{
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"text": "次に行列どうしの積について説明する. 行列の積は少々面倒である. 成分ごとに積というわけにはいかない.",
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},
{
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"text": "行列の積の基本は,次のような1行からなる行列と1列からなる行列の計算のしかたである.",
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},
{
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"text": "左の行列を列ベクトルとしてみれば,この計算はちょうど列ベクトルどうしの内積の値に等しくなる.",
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},
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"text": "2 行の行列と 1 列の行列の積は次のようにして計算する.",
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},
{
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"text": "左の行列を行にわけて計算するところがポイントである.",
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},
{
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"tag": "p",
"text": "2 次の正方行列どうしの積,(2, 3) 型行列と (3, 2) 型行列の積はつぎのようになる.",
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},
{
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"text": "左の行列は行に分け,右の行列は列に分けて計算する.",
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},
{
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"tag": "p",
"text": "ここまでの例で一般の行列の積の計算の要領をわかっていただけたものと思う. 一般の行列の積に関してまとめると次のようになる.",
"title": ""
},
{
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"text": "定義7 行列の積",
"title": ""
},
{
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"text": "A {\\displaystyle A} を ( l , m ) {\\displaystyle (l,m)} 型行列, B {\\displaystyle B} を ( m , n ) {\\displaystyle (m,n)} 型行列とすると, A B {\\displaystyle AB} は ( l , n ) {\\displaystyle (l,n)} 型行列であり, ( i , j ) {\\displaystyle (i,j)} 成分は A {\\displaystyle A} の第 i {\\displaystyle i} 行と B {\\displaystyle B} の第 j {\\displaystyle j} 列の積である.",
"title": ""
},
{
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"text": "◼ {\\displaystyle \\blacksquare }",
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},
{
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"text": "行列 A , B {\\displaystyle A,B} の積 A B {\\displaystyle AB} が計算できるためには, A {\\displaystyle A} の列のサイズと B {\\displaystyle B} の行のサイズが一致しなければならないことに注意する.",
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},
{
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"text": "なお,この定義によると 1 列の行列と 1 行の行列の積は,",
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},
{
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"text": "となる.左の行列の行で,右の行列を列に分けると1つずつの成分で行,列を構成することになってしまうのでこうなるわけである. 盲点になっている人がいるので念のため.",
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},
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"text": "こうして定義された行列の積について,次のような計算法則が成り立つ.",
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},
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"text": "定理7 行列の積の計算法則",
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"text": "(1) ( A B ) C = A ( B C ) {\\displaystyle (AB)C=A(BC)\\ \\ \\ } (結合則) (2a) ( A + B ) C = A C + B C {\\displaystyle (A+B)C=AC+BC\\ \\ \\ } (2b) A ( B + C ) = A B + A C {\\displaystyle A(B+C)=AB+AC\\ \\ \\ } (分配則) (3) A O = O A = O {\\displaystyle AO=OA=O}",
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"text": "証明",
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"text": "以下、行列 M {\\displaystyle M} の第 i {\\displaystyle i} 行第 j {\\displaystyle j} 列成分を m i j {\\displaystyle m_{ij}} , これと並行に成分の表示方法として,行列 M {\\displaystyle M} の各成分を ( M ) i j {\\displaystyle (M)_{ij}} と表示するものとする.",
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},
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"text": "(1)",
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"text": "行列の積 A B , ( A B ) C , B C , A ( B C ) {\\displaystyle AB,(AB)C,BC,A(BC)} のすべてが定義できるものと仮定する. 定理7 より、 ( A B ) i j = ∑ k a i k b k j {\\displaystyle (AB)_{ij}=\\sum _{k}a_{ik}b_{kj}} よって、 ( A B ) i j = ∑ x a i x b x j {\\displaystyle (AB)_{ij}=\\sum _{x}a_{ix}b_{xj}} ∴ { ( A B ) C } i j = ∑ y ( A B ) i y c y j {\\displaystyle \\therefore \\left\\{(AB)C\\right\\}_{ij}=\\sum _{y}(AB)_{iy}c_{yj}} = ∑ y ( ∑ x a i x b x y ) c y j {\\displaystyle =\\sum _{y}\\left(\\sum _{x}a_{ix}b_{xy}\\right)c_{yj}} = ∑ y ∑ x a i x b x y c y j ( ∵ {\\displaystyle =\\sum _{y}\\sum _{x}a_{ix}b_{xy}c_{yj}\\ \\ \\ (\\because } c {\\displaystyle c} の添え字は内側の ∑ x {\\displaystyle \\sum _{x}} の添え字 x {\\displaystyle x} (従属変数)と関係ない。) 同様に、 { A ( B C ) } i j = ∑ x a i x ( B C ) x j {\\displaystyle \\left\\{A(BC)\\right\\}_{ij}=\\sum _{x}a_{ix}\\left(BC\\right)_{xj}} = ∑ x a i x ∑ y b x y c y j {\\displaystyle =\\sum _{x}a_{ix}\\sum _{y}b_{xy}c_{yj}} = ∑ x ∑ y a i x b x y c y j ( ∵ a {\\displaystyle =\\sum _{x}\\sum _{y}a_{ix}b_{xy}c_{yj}\\ \\ \\ (\\because a} の添え字は内側の ∑ y {\\displaystyle \\sum _{y}} の添え字 y {\\displaystyle y} (従属変数)と関係ない。) = ∑ y ∑ x a i x b x y c y j {\\displaystyle =\\sum _{y}\\sum _{x}a_{ix}b_{xy}c_{yj}} = { ( A B ) C } i j {\\displaystyle =\\left\\{(AB)C\\right\\}_{ij}} ∴ A ( B C ) = ( A B ) C {\\displaystyle \\therefore A(BC)=(AB)C}",
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"text": "(2a)",
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{
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"text": "行列の積 ( A + B ) C , A C , B C {\\displaystyle (A+B)C,AC,BC} が定義可能であると仮定する. { ( A + B ) C } i j = ∑ k ( A + B ) i k c k j {\\displaystyle \\left\\{(A+B)C\\right\\}_{ij}=\\sum _{k}(A+B)_{ik}c_{kj}} = ∑ k ( a i k + b i k ) c k j {\\displaystyle =\\sum _{k}(a_{ik}+b_{ik})c_{kj}} = ∑ k ( a i k c k j + b i k c k j ) {\\displaystyle =\\sum _{k}(a_{ik}c_{kj}+b_{ik}c_{kj})} = ∑ k a i k b k j + ∑ k b i k c k j {\\displaystyle =\\sum _{k}a_{ik}b_{kj}+\\sum _{k}b_{ik}c_{kj}} = ( A C ) i j + ( B C ) i j {\\displaystyle =(AC)_{ij}+(BC)_{ij}} = ( A C + B C ) i j {\\displaystyle =(AC+BC)_{ij}} ∴ ( A + B ) C = A C + B C {\\displaystyle \\therefore (A+B)C=AC+BC}",
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"text": "行列の積 A ( B + C ) , A B , A C {\\displaystyle A(B+C),AB,AC} が定義可能であると仮定する. { A ( B + C ) } i j = ∑ k a i k ( B + C ) k j {\\displaystyle \\left\\{A(B+C)\\right\\}_{ij}=\\sum _{k}a_{ik}(B+C)_{kj}} = ∑ k a i k ( b k j + c k j ) {\\displaystyle =\\sum _{k}a_{ik}(b_{kj}+c_{kj})} = ∑ k a i k b k j + a i k c k j {\\displaystyle =\\sum _{k}a_{ik}b_{kj}+a_{ik}c_{kj}} = ∑ k a i k b k j + ∑ k a i k c k j {\\displaystyle =\\sum _{k}a_{ik}b_{kj}+\\sum _{k}a_{ik}c_{kj}} = ( A B ) i j + ( A C ) i j {\\displaystyle =(AB)_{ij}+(AC)_{ij}} = ( A B + A C ) i j {\\displaystyle =(AB+AC)_{ij}} ∴ A ( B + C ) = A B + A C {\\displaystyle \\therefore A(B+C)=AB+AC}",
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{
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"text": "O {\\displaystyle O} を零行列とし、行列の積 A O {\\displaystyle AO} および O A {\\displaystyle OA} のいずれも定義可能であると仮定する. ( A O ) i j = ∑ k a i k o k j {\\displaystyle (AO)_{ij}=\\sum _{k}a_{ik}o_{kj}} = ∑ k a i k ⋅ 0 ∵ o k j ≡ 0 {\\displaystyle =\\sum _{k}a_{ik}\\cdot 0\\ \\ \\ \\because o_{kj}\\equiv 0} ≡ 0 {\\displaystyle \\equiv 0} ∴ A O = O {\\displaystyle \\therefore AO=O} ( O A ) i j = ∑ k o i k a k j {\\displaystyle (OA)_{ij}=\\sum _{k}o_{ik}a_{kj}} = ∑ k 0 ⋅ a k j ∵ o k j ≡ 0 {\\displaystyle =\\sum _{k}0\\cdot a_{kj}\\ \\ \\ \\because o_{kj}\\equiv 0} ≡ 0 {\\displaystyle \\equiv 0} ∴ O A = O {\\displaystyle \\therefore OA=O} ∴ A O = O A = O {\\displaystyle \\therefore AO=OA=O}",
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},
{
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"text": "◼ {\\displaystyle \\blacksquare }",
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},
{
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},
{
"paragraph_id": 30,
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"text": "行列の積の計算練習を行う.",
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},
{
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},
{
"paragraph_id": 32,
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"text": "演習5. {\\displaystyle \\quad } 行列の積 A = ( 2 − 1 3 1 ) , B = ( − 2 3 2 1 ) {\\displaystyle A=\\left({\\begin{array}{c}2&-1\\\\3&1\\end{array}}\\right),\\ B=\\left({\\begin{array}{c}-2&3\\\\2&1\\end{array}}\\right)\\ } のとき, A B , B A {\\displaystyle AB,BA} を求めよ.",
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},
{
"paragraph_id": 33,
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"text": "解答例",
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},
{
"paragraph_id": 34,
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"text": "A B = ( 2 − 1 3 1 ) ( − 2 3 2 1 ) {\\displaystyle AB=\\left({\\begin{array}{c}2&-1\\\\3&1\\end{array}}\\right)\\left({\\begin{array}{c}-2&3\\\\2&1\\end{array}}\\right)} = ( 2 ( − 2 ) + ( − 1 ) ⋅ 2 2 ⋅ 3 − 1 ⋅ 1 3 ( − 2 ) + 1 ⋅ 2 3 ⋅ 3 + 1 ⋅ 1 ) = ( − 6 5 − 4 10 ) {\\displaystyle =\\left({\\begin{array}{c}2(-2)+(-1)\\cdot 2&2\\cdot 3-1\\cdot 1\\\\3(-2)+1\\cdot 2&3\\cdot 3+1\\cdot 1\\end{array}}\\right)=\\left({\\begin{array}{c}-6&5\\\\-4&10\\end{array}}\\right)} B A = ( − 2 3 2 1 ) ( 2 − 1 3 1 ) {\\displaystyle BA=\\left({\\begin{array}{c}-2&3\\\\2&1\\end{array}}\\right)\\left({\\begin{array}{c}2&-1\\\\3&1\\end{array}}\\right)} = ( − 2 ⋅ 2 + 3 ⋅ 3 ( − 2 ) ⋅ 2 + 3 ⋅ 3 ( − 2 ) ( − 1 ) + 3 ⋅ 1 2 ⋅ 2 + 1 ⋅ 3 2 ⋅ ( − 1 ) + 1 ⋅ 1 ) = ( 5 5 7 − 1 ) {\\displaystyle =\\left({\\begin{array}{c}-2\\cdot 2+3\\cdot 3&(-2)\\cdot 2+3\\cdot 3&(-2)(-1)+3\\cdot 1\\\\2\\cdot 2+1\\cdot 3&2\\cdot (-1)+1\\cdot 1\\end{array}}\\right)=\\left({\\begin{array}{c}5&5\\\\7&-1\\end{array}}\\right)}",
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},
{
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"text": "A B ≠ B A {\\displaystyle AB\\neq BA} となっている。この例からわかるように、一般に行列の積は交換法則が成り立たない. 正方行列でない行列の席の場合は、そもそも A B {\\displaystyle AB} が計算できても B A {\\displaystyle BA} が計算できるとは限らない.",
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},
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"text": "◼ {\\displaystyle \\blacksquare }",
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},
{
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},
{
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"text": "演習6. A = ( − 3 0 0 0 1 0 0 0 2 ) {\\displaystyle A=\\left({\\begin{array}{c}-3&0&0\\\\0&1&0\\\\0&0&2\\end{array}}\\right)} 、 ( 1 0 0 0 − 3 0 0 0 3 ) {\\displaystyle \\left({\\begin{array}{c}1&0&0\\\\0&-3&0\\\\0&0&3\\end{array}}\\right)} のとき、 A B {\\displaystyle AB} 、 B A {\\displaystyle BA} を計算せよ.",
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},
{
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"text": "解答例",
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},
{
"paragraph_id": 40,
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"text": "◼ {\\displaystyle \\blacksquare }",
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}
]
| 次に行列どうしの積について説明する.
行列の積は少々面倒である.
成分ごとに積というわけにはいかない. 行列の積の基本は,次のような1行からなる行列と1列からなる行列の計算のしかたである. 左の行列を列ベクトルとしてみれば,この計算はちょうど列ベクトルどうしの内積の値に等しくなる. 2 行の行列と 1 列の行列の積は次のようにして計算する. 左の行列を行にわけて計算するところがポイントである. 2 次の正方行列どうしの積,(2, 3) 型行列と 型行列の積はつぎのようになる. 左の行列は行に分け,右の行列は列に分けて計算する. ここまでの例で一般の行列の積の計算の要領をわかっていただけたものと思う.
一般の行列の積に関してまとめると次のようになる. 定義7
行列の積 A を 型行列, B を 型行列とすると, A B は 型行列であり, 成分は A の第 i 行と B の第 j 列の積である. ◼ 行列 A , B の積 A B が計算できるためには, A の列のサイズと B の行のサイズが一致しなければならないことに注意する. なお,この定義によると 1 列の行列と 1 行の行列の積は, となる.左の行列の行で,右の行列を列に分けると1つずつの成分で行,列を構成することになってしまうのでこうなるわけである.
盲点になっている人がいるので念のため. こうして定義された行列の積について,次のような計算法則が成り立つ. 定理7
行列の積の計算法則 (1) C = A (結合則)
(2a) C = A C + B C (2b) A = A B + A C (分配則)
(3) A O = O A = O 証明 以下、行列 M の第 i 行第 j 列成分を m i j ,
これと並行に成分の表示方法として,行列 M の各成分を i j と表示するものとする. | 次に行列どうしの積について説明する.
行列の積は少々面倒である.
成分ごとに積というわけにはいかない.
行列の積の基本は,次のような1行からなる行列と1列からなる行列の計算のしかたである.
:<math>
\left(
\begin{array}{c}
a & b
\end{array}
\right)
\left(
\begin{array}{c}
x \\
y
\end{array}
\right)
=
ax + by \quad\quad\quad
\left(
\begin{array}{c}
a & b &c
\end{array}
\right)
\left(
\begin{array}{c}
x \\
y \\
z
\end{array}
\right)
=
ax + by + cz
</math>
左の行列を列ベクトルとしてみれば,この計算はちょうど列ベクトルどうしの内積の値に等しくなる.
:<math>
\left(
\begin{array}{c}
a \\
b
\end{array}
\right)
\cdot
\left(
\begin{array}{c}
x \\
y
\end{array}
\right)
=
ax + by \quad\quad\quad
\left(
\begin{array}{c}
a \\
b \\
c
\end{array}
\right)
\cdot
\left(
\begin{array}{c}
x \\
y \\
z
\end{array}
\right)
=
ax + by + cz
</math>
2 行の行列と 1 列の行列の積は次のようにして計算する.
:<math>
\left(
\begin{array}{c}
a & b \\
c & d
\end{array}
\right)
\left(
\begin{array}{c}
x \\
y
\end{array}
\right)
=
\left(
\begin{array}{c}
ax + by \\
cx + dy
\end{array}
\right)
\quad\quad\quad
\left(
\begin{array}{c}
a & b & c\\
d & e & f
\end{array}
\right)
\left(
\begin{array}{c}
x \\
y \\
z
\end{array}
\right)
=
\left(
\begin{array}{c}
ax + by + cz\\
dx + ey + fz
\end{array}
\right)
</math>
左の行列を行にわけて計算するところがポイントである.
2 次の正方行列どうしの積,(2, 3) 型行列と (3, 2) 型行列の積はつぎのようになる.
:<math>
\left(
\begin{array}{c}
a & b \\
c & d
\end{array}
\right)
\left(
\begin{array}{c}
x & z\\
y & w
\end{array}
\right)
=
\left(
\begin{array}{c}
ax + by & az + bw \\
cx + dy & cz + dw
\end{array}
\right)
\quad\quad\quad
\left(
\begin{array}{c}
a & b & c\\
d & e & f
\end{array}
\right)
\left(
\begin{array}{c}
x & w \\
y & u \\
z & v
\end{array}
\right)
=
\left(
\begin{array}{c}
ax + by + cz & aw + bu + cv \\
dx + ey + fz & dw + eu + fv
\end{array}
\right)
</math>
左の行列は行に分け,右の行列は列に分けて計算する.
ここまでの例で一般の行列の積の計算の要領をわかっていただけたものと思う.
一般の行列の積に関してまとめると次のようになる.
<!-- def:007:start -->
<strong>定義7</strong>
<strong>行列の積</strong>
<math>A</math> を <math>(l, m)</math> 型行列,<math>B</math> を <math>(m, n)</math> 型行列とすると,
<math>AB</math> は <math>(l, n)</math> 型行列であり,<math>(i, j)</math> 成分は <math>A</math> の第 <math>i</math> 行と <math>B</math> の第 <math>j</math> 列の積である.
<math>\blacksquare</math>
<!-- def:007:end -->
行列 <math>A, B</math> の積 <math>AB</math> が計算できるためには,<math>A</math> の列のサイズと <math>B</math> の行のサイズが一致しなければならないことに注意する.
なお,この定義によると 1 列の行列と 1 行の行列の積は,
:<math>
\begin{pmatrix}a \\ b\end{pmatrix}
\begin{pmatrix}x & y\end{pmatrix}
=
\begin{pmatrix}ax & ay \\ bx & by\end{pmatrix}\quad\quad
\begin{pmatrix}a \\ b \end{pmatrix}
\begin{pmatrix}x & y & z\end{pmatrix}
=
\begin{pmatrix}ax & ay & az \\ bx & by & bz \end{pmatrix}\quad\quad
</math>
となる.左の行列の行で,右の行列を列に分けると1つずつの成分で行,列を構成することになってしまうのでこうなるわけである.
盲点になっている人がいるので念のため.
こうして定義された行列の積について,次のような計算法則が成り立つ.
<!-- th:007:start -->
<strong>定理7</strong>
<strong>行列の積の計算法則</strong>
(1) <math>(AB)C = A(BC)\ \ \ </math>(結合則)<br />
(2a) <math>(A+B)C = AC + BC\ \ \ </math><br />
(2b) <math>A(B+C) = AB + AC\ \ \ </math>(分配則)<br />
(3) <math>AO = OA = O</math><br >
<strong>証明</strong>
以下、行列 <math>M</math> の第 <math>i</math> 行第 <math>j</math> 列成分を <math>m_{ij}</math>,
これと並行に成分の表示方法として,行列 <math>M</math> の各成分を <math>(M)_{ij}</math> と表示するものとする.<br />
<div id="matrix's-associativity">
(1)
行列の積 <math>AB, (AB)C, BC, A(BC)</math> のすべてが定義できるものと仮定する.<br />
定理7 より、<br />
<math>(AB)_{ij} = \sum_k a_{ik}b_{kj}</math><br />
よって、<br />
<math>(AB)_{ij} = \sum_x a_{ix}b_{xj}</math><br />
<math>\therefore \left\{ (AB)C \right\}_{ij} = \sum_y (AB)_{iy}c_{yj}</math><br />
<math>= \sum_y \left( \sum_x a_{ix}b_{xy} \right)c_{yj}</math><br />
<math>= \sum_y \sum_x a_{ix}b_{xy}c_{yj}\ \ \ (\because</math> <math>c</math> の添え字は内側の <math>\sum_x</math> の添え字<math>x</math>(従属変数)と関係ない。) <br />
同様に、<br />
<math>\left\{A(BC)\right\}_{ij} = \sum_x a_{ix}\left(BC\right)_{xj}</math><br />
<math>=\sum_{x}a_{ix}\sum_y b_{xy}c_{yj}</math><br />
<math>=\sum_x \sum_y a_{ix}b_{xy}c_{yj}\ \ \ (\because a </math>の添え字は内側の<math>\sum_y</math> の添え字<math>y</math>(従属変数)と関係ない。)<br />
<math>=\sum_y \sum_x a_{ix}b_{xy}c_{yj}</math><br />
<math>= \left\{ (AB)C \right\}_{ij}</math><br />
<math>\therefore A(BC) = (AB)C</math><br />
(2a)
行列の積 <math>(A + B)C, AC, BC</math> が定義可能であると仮定する.<br />
<math>\left\{ (A+B)C \right\}_{ij} = \sum_k (A + B)_{ik}c_{kj}</math><br />
<math>= \sum_k (a_{ik} + b_{ik} )c_{kj}</math><br />
<math>= \sum_k (a_{ik}c_{kj} + b_{ik}c_{kj})</math><br />
<math>= \sum_k a_{ik}b_{kj} + \sum_k b_{ik}c_{kj}</math><br />
<math>= (AC)_{ij} + (BC)_{ij}</math><br />
<math>= (AC + BC)_{ij}</math><br />
<math>\therefore (A + B)C = AC + BC</math><br />
(2b)
行列の積 <math>A(B + C), AB, AC</math> が定義可能であると仮定する.<br />
<math>\left\{ A(B + C) \right\}_{ij} = \sum_k a_{ik} (B + C)_{kj}</math><br />
<math>= \sum_k a_{ik}(b_{kj} + c_{kj})</math><br />
<math>= \sum_k a_{ik}b_{kj} + a_{ik}c_{kj}</math><br />
<math>= \sum_k a_{ik}b_{kj} + \sum_k a_{ik}c_{kj}</math><br />
<math>= (AB)_{ij} + (AC)_{ij}</math><br />
<math>= (AB + AC)_{ij}</math><br />
<math>\therefore A(B + C) = AB + AC</math><br />
(3)
<math>O</math> を零行列とし、行列の積 <math>AO</math> および <math>OA</math> のいずれも定義可能であると仮定する.<br />
<math>(AO)_{ij} = \sum_k a_{ik}o_{kj}</math><br />
<math>= \sum_k a_{ik}\cdot 0 \ \ \ \because o_{kj} \equiv 0</math><br />
<math> \equiv 0</math><br />
<math>\therefore AO = O</math><br />
<br />
<math>(OA)_{ij} = \sum_k o_{ik}a_{kj}</math><br />
<math>= \sum_k 0\cdot a_{kj} \ \ \ \because o_{kj} \equiv 0</math><br />
<math>\equiv 0</math><br />
<math>\therefore OA = O</math><br />
<math>\therefore AO = OA = O</math><br />
<math>\blacksquare</math>
<!-- th:007:end -->
行列の積の計算練習を行う.
<!-- ex:005:start-->
<div id="ex:5">
<strong>演習5.</strong><math>\quad</math>行列の積<br />
<br />
<math>
A =
\left(\begin{array}{c}
2 & -1 \\
3 & 1
\end{array}\right)
, \ B =
\left(\begin{array}{c}
-2 & 3 \\
2 & 1
\end{array}\right)\ </math> のとき,<math>AB, BA</math> を求めよ.
<strong>解答例</strong>
<math>
AB = \left(\begin{array}{c}
2 & -1 \\
3 & 1
\end{array}\right)
\left(\begin{array}{c}
-2 & 3 \\
2 & 1
\end{array}\right)</math><br />
<math>
=
\left(\begin{array}{c}
2(-2) + (-1)\cdot 2 & 2\cdot 3 - 1\cdot 1 \\
3(-2) + 1\cdot 2 & 3\cdot 3 + 1\cdot 1
\end{array}\right)
=
\left(\begin{array}{c}
-6 & 5 \\
-4 & 10
\end{array}\right)</math><br />
<math>BA = \left(\begin{array}{c}
-2 & 3 \\
2 & 1
\end{array}\right)
\left(\begin{array}{c}
2 & -1 \\
3 & 1
\end{array}\right)</math><br />
<math>
=
\left(\begin{array}{c}
-2\cdot 2 + 3\cdot 3 & (-2)\cdot 2 + 3\cdot 3 & (-2)(-1) + 3\cdot 1 \\
2\cdot 2 + 1\cdot 3 & 2\cdot (-1) + 1\cdot 1
\end{array}\right)
=
\left(\begin{array}{c}
5 & 5 \\
7 & -1
\end{array}\right)</math><br />
<math>AB \ne BA</math> となっている。この例からわかるように、一般に行列の積は交換法則が成り立たない.
正方行列でない行列の席の場合は、そもそも <math>AB</math> が計算できても <math>BA</math> が計算できるとは限らない.
<math>\blacksquare</math>
<!-- ex:005:end-->
<!-- ex:006:start-->
<div id="ex:6">
<strong>演習6.</strong>
<math>
A =
\left(\begin{array}{c}
-3 & 0 & 0 \\
0 & 1 & 0 \\
0 & 0 & 2
\end{array}\right)</math>、
<math>\left(\begin{array}{c}
1 & 0 & 0 \\
0 & -3 & 0 \\
0 & 0 & 3
\end{array}\right)</math>
のとき、<math>AB</math>、<math>BA</math> を計算せよ.
<strong>解答例</strong>
<math>\blacksquare</math>
<!-- ex:006:end-->
[[カテゴリ:線形代数学]] | null | 2022-11-22T17:06:33Z | []
| https://ja.wikibooks.org/wiki/%E7%B7%9A%E5%9E%8B%E4%BB%A3%E6%95%B0%E5%AD%A6/%E8%A1%8C%E5%88%97%E3%81%A8%E8%A1%8C%E5%88%97%E5%BC%8F/%E7%AC%AC%E4%B8%89%E9%A1%9E/%E8%A1%8C%E5%88%97%E3%81%AE%E7%A9%8D |
26,338 | 制御と振動の数学/第一類/Laplace 変換による解の吟味/解法の正しさの証明 | 以上の準備の下に,Laplace 変換による解法の正しさを証明することができる. この章の初めに述べたことを,特性方程式を用いて簡単に復習しておこう.
特性方程式を,
とするとき,同次方程式
および非同次方程式
を初期条件
の下に解くという問題であった.
[定理 3.2]
ここに, q ( t ) {\displaystyle q(t)} は高々 n − 1 {\displaystyle n-1} 次の任意の多項式である. ♢ {\displaystyle \diamondsuit }
これを示すことが目標である.一般に,
と因数分解できるから,補題3.2 を念頭におけば,定理 3.2 は,
の場合に証明すれば十分である.
は例67で示した.よって,定理は,
の場合だけ示せばよい.ところで補題 3.3 に留意すれば,
の場合だけを論ずればよいことが分かる.したがって,
を確めればよいことが分かる.ところが,これらは前章ですでに示されている. すなわち 式 (2.33) によれば,
より直ちに,
が出る. また,
に注意すれば,
も明らかである.以上で定理の (i) の部分が示された.
(ii) の部分は次のようにして示される.いま証明したことから,
は p ( D ) x = 0 {\displaystyle p(D)x=0} の解である.しかも初期値は,
を満たす.この初期条件に留意しつつ g ∗ f {\displaystyle g*f} に合成積の微分の公式を次々に適用すると,
および,
となり,上から順に a n , a n − 1 , a n − 2 , ⋯ a 2 , a 1 , 1 {\displaystyle a_{n},a_{n-1},a_{n-2},\cdots a_{2},a_{1},1} を掛けて加えると,
を得る.
この証明からも分かる通り, f ( t ) {\displaystyle f(t)} の Laplace 変換が存在しなくても g ∗ f {\displaystyle g*f} は,
の解となる.たとえば,
において, e t 2 {\displaystyle e^{t^{2}}} の Laplace 変換は存在しないが,
が解であることは明らかである.
| [
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| 以上の準備の下に,Laplace 変換による解法の正しさを証明することができる.
この章の初めに述べたことを,特性方程式を用いて簡単に復習しておこう. 特性方程式を, とするとき,同次方程式 および非同次方程式 を初期条件 の下に解くという問題であった. | 以上の準備の下に,[[w:%E3%83%A9%E3%83%97%E3%83%A9%E3%82%B9%E5%A4%89%E6%8F%9B|Laplace 変換]]による解法の正しさを証明することができる.
この章の初めに述べたことを,特性方程式を用いて簡単に復習しておこう.
特性方程式を,
{{制御と振動の数学/equation|<math>p(s) = s^n + a_1s^{n-1} + a_2s^{n-2} + \cdots + a_{n-2}s^2 + a_{n-1}s + a_n</math>}}
とするとき,同次方程式
{{制御と振動の数学/equation|<math>p(D)x = 0</math>}}
および非同次方程式
{{制御と振動の数学/equation|<math>p(D)x = f(t)</math>}}
を初期条件
{{制御と振動の数学/equation|<math>x(0) = \xi_1, x'(0) = \xi_2, x''(0)=\xi_3, \cdots, x^{(n-1)}(0) = \xi_n</math>}}
の下に解くという問題であった.
<div id="theorem:3.2">
<strong>[定理 3.2]</strong>
{{制御と振動の数学/equation|(i) <math>\frac{q(s)}{p(s)} \sqsubset x_0(t)</math> ならば <math>p(D)x_0 = 0</math>}}
{{制御と振動の数学/equation|(i) <math>\frac{1}{p(s)} \sqsubset g(t)</math> ならば <math>p(D)(g*f) = f</math>}}
ここに,<math>q(t)</math> は高々 <math>n-1</math> 次の任意の多項式である.
<math>\diamondsuit</math>
これを示すことが目標である.一般に,
{{制御と振動の数学/equation|<math>p(s) = \prod_{i=1}^{\mu} (s-\gamma_i)^{l_i} \prod_{j=1}^{\nu} \bigg[ (s-\alpha_j)^2 + \beta_j^2 \bigg]^{m_j}</math>}}
と因数分解できるから<ref>
これは[[制御と振動の数学/Laplace 変換/有理関数の原像/部分分数分解#bubun-bunsu|部分分数定理]]の注にて証明した.
</ref>,[[制御と振動の数学/第一類/Laplace 変換による解の吟味/特性多項式の構造と解の性質#lemma:3.2|補題3.2]] を念頭におけば,[[制御と振動の数学/第一類/Laplace 変換による解の吟味/解法の正しさの証明#theorem:3.2|定理 3.2]] は,
{{制御と振動の数学/equation|<math>p(s) = (s-\alpha)^l, </math> および <math>\bigg[(s-\alpha)^2 + \beta^2 \bigg]^l</math>}}
の場合に証明すれば十分である<ref>
<math>p(D) = p_1(D)p_2(D)</math> にて <math>p_2(D)x = 0</math> ならば <math>p(D)x = 0</math>.よって <math>p_2(D)x = 0</math> となる <math>p_2(D)</math> があればよい. この節の証明方針を以下に整理すると,[[制御と振動の数学/第一類/Laplace 変換による解の吟味/解法の正しさの証明#theorem:3.2|定理3.2]](i) の <math>\frac{q(s)}{p(s)}</math> の分母 <math>p(s)</math> を因数分解したときに因数として <math>(s-\alpha)^l</math> を持ち,したがって <math>\frac{q(s)}{p(s)}</math> の[[制御と振動の数学/Laplace 変換/有理関数の原像/部分分数分解#bubun-bunsu|部分分数展開]]を[[制御と振動の数学/Laplace 変換/有理関数の原像/部分分数分解#bubun-bunsu2|第二分解定理]]まで実施した結果,項 <math>\frac{a_l}{(s-\alpha)^l}</math> を持つのであれば,この原像の <math>t</math> の次数が微分方程式の解 <math>x</math> を構成する項の中で最高次数となり [[制御と振動の数学/第一類/Laplace 変換/指数関数の Laplace 変換とその応用#eq:2.17b|式(2.17b)]]よりその次数は <math>l-1</math> .これに作用素 <math>p_2(D) = (D-\alpha)^l</math> を働かせた結果が <math>0</math> になれば,証明全体の中のこの項 <math>(D-\alpha)^l</math> に関与する部分を完了させられる. 部分分数展開の結果,項として <math>\frac{q_1(s)}{(s-\alpha)^2 + \beta^2}</math> を持つものについては後述される.
</ref>.
{{制御と振動の数学/equation|<math>\frac{1}{(s-\alpha)^l} \sqsubset \frac{t^{l-1}}{(l-1)!}e^{\alpha t} \Longrightarrow (D-\alpha)^l \frac{t^{l-1}}{(l-1)!}e^{\alpha t} = 0</math>}}
は[[制御と振動の数学/第一類/Laplace 変換による解の吟味/特性多項式の構造と解の性質#ex:67|例67]]で示した<ref>
<math>(D-\alpha)^l\frac{t^{l-1}}{(l-1)!}e^{\alpha t} = e^{\alpha t}D^l\frac{t^{l-1}}{(l-1)!} = 0\quad(\because</math> [[制御と振動の数学/第一類/Laplace 変換による解の吟味/特性多項式の構造と解の性質#lemma:3.3corollary|補題 3.3(ii) およびその系]])<br />
</ref>.よって,定理は,
{{制御と振動の数学/equation|<math>p(s) = \bigg[ (s - \alpha)^2 + \beta^2 \bigg]^l</math>}}
の場合だけ示せばよい.ところで[[制御と振動の数学/第一類/Laplace 変換による解の吟味/特性多項式の構造と解の性質#lemma:3.3|補題 3.3]] に留意すれば,
{{制御と振動の数学/equation|<math>p(s) = ( s^2 + \beta^2 )^l</math>}}
の場合だけを論ずればよいことが分かる<ref>
<math>p(D-\alpha) = (D-\alpha)^2 + \beta^2</math> のとき,<math>p(D-\alpha)e^{\alpha t}x = e^{\alpha t}p(D)x</math><br />
</ref>.したがって,
{{制御と振動の数学/equation|<math>\frac{1}{(s^2 + \beta^2)^l} \sqsubset \varphi_l(t) \Longrightarrow (D^2+\beta^2)^l \varphi_l = 0</math>}}
{{制御と振動の数学/equation|<math>\frac{s}{(s^2 + \beta^2)^l} \sqsubset \phi_l(t) \Longrightarrow (D^2+\beta^2)^l \phi_l = 0</math>}}
を確めればよいことが分かる.ところが,これらは[[制御と振動の数学/Laplace 変換/有理関数の原像/有理関数の原像の求め方|前章]]ですでに示されている.
すなわち [[制御と振動の数学/Laplace 変換/有理関数の原像/有理関数の原像の求め方#eq:2.33|式 (2.33)]] によれば,
{{制御と振動の数学/equation|<math>(D^2+\beta^2)\varphi_l = \varphi_{l-1}, \quad \varphi_1(t) = \frac{1}{\beta}\sin\beta t</math>}}
より直ちに,
{{制御と振動の数学/equation|<math>(D^2+\beta^2)^l\varphi_l = 0</math>}}
が出る.<ref>
<math>(D^2+\beta^2)^l\varphi_l = (D^2+\beta^2)^{l-1}\varphi_{l-1} = (D^2+\beta^2)^{l-2}\varphi_{l-2} = \cdots = (D^2+\beta^2)^2\varphi_2 = (D^2+\beta^2)\varphi_1</math><br />
<math>=(D^2+\beta^2)\frac{1}{\beta}\sin\beta t = -\beta\sin\beta t + \beta\sin\beta t = 0</math><br />
</ref>
また,
{{制御と振動の数学/equation|<math>\phi_l(t) = D\varphi_l(t)</math>}}
に注意すれば,
{{制御と振動の数学/equation|<math>(D^2 + \beta^2)^l \phi_l = 0</math>}}
も明らかである.以上で定理の (i) の部分が示された.
(ii) の部分は次のようにして示される<ref>
ここでの証明法は[[制御と振動の数学/第一類/Laplace 変換/二階線形微分方程式の解法#§2|二階線形微分方程式の解法]]と同じ.
</ref>.いま証明したことから,
{{制御と振動の数学/equation|<math>\frac{1}{p(s)} \sqsubset g(t)</math>}}
は <math>p(D)x = 0</math> の解である<ref>
<math>\frac{q(s)}{p(s)} \sqsubset x_0(t)</math> ならば <math>p(D)x_0 = 0</math> で,<math>q(s)=1</math> の場合.<br />
</ref>.しかも初期値は,
{{制御と振動の数学/equation|<math>x(0) = x'(0) = x''(0) = \cdots = x^{(n-2)}(0) = 0, \quad x^{(n-1)}(0) = 1</math>|tag=(3.11b)|label=eq:3.11b}}
を満たす<ref>
<math>p(s) = s^n + a_1s^{n-1} + a_2s^{n-2} + \cdots + a_{n-2}s^2 + a_{n-1}s + a_n</math><br />
で,<br />
<math>G(s) = \frac{1}{p(s)} \sqsubset g(t)</math> と <math>G</math> をおくと,<br />
<math>s^nG + a_1s^{n-1}G + a_2s^{(n-2)}G + \cdots + a_{n-2}s^2G + a_{n-1}sG + a_nG = 1</math>…①<br />
一方,[[制御と振動の数学/第一類/Laplace 変換/f(t) の積分および微分の Laplace 変換#eq:2.10|式 (2.1) ]],したがって[[制御と振動の数学/第一類/Laplace 変換/f(t) の積分および微分の Laplace 変換#eq:2.11|式 (2.11) ]]より、<br />
<math> sG = \mathcal{L}[g'] + g(0)</math><br />
<math> s^2G = \mathcal{L}[g''] + g(0)s + g'(0)</math><br />
<math> s^3G = \mathcal{L}[g'''] + g(0)s^2 + g'(0)s + g''(0)</math><br />
<math> \vdots</math><br />
<math> s^{n-1}G = \mathcal{L}[g^{(n-1)}] + g(0)s^{n-2} + g'(0)s^{n-3} + \cdots + g^{(n-2)}</math><br />
<math> s^{n}G = \mathcal{L}[g^{(n)}] + g(0)s^{n-1} + g'(0)s^{n-2} + \cdots + g^{(n-1)}</math><br />
これらを①に代入して,<br />
<math>\mathcal{L}\bigg[g^{(n)} + a_1g^{(n-1)} + a_2g^{(n-2)} + \cdots + a_{n-2}g'' + a_{n-1}g' + a_ng\bigg]</math><br />
<math> + g(0)s^{(n-1)} + \left\{ g(0) + g'(0) \right\}s^{(n-2)} + \cdots + \left\{ g(0) + g'(0) + g''(0) + \cdots + g^{(n-2)} \right\}s + g^{(n-1)}(0) = 1</math><br />
<math>p(D)g = 0</math> より <math>\mathcal{L}\bigg[\ \bigg]</math> 内は <math>0</math> となり,①より <math>s</math> の係数を比較して,<br />
<math>g(0) = g'(0) = g''(0) = \cdots = g^{(n-2)}(0) = 0, \quad g^{(n-1)}(0) = 1</math><br />
</ref>.この初期条件に留意しつつ <math>g*f</math> に[[制御と振動の数学/第一類/Laplace 変換/二階線形微分方程式の解法#lemma:2.2|合成積の微分の公式]]を次々に適用すると,
{{制御と振動の数学/equation|<math>g*f = g*f</math>}}
{{制御と振動の数学/equation|<math>D(g*f) = (Dg)*f</math>}}
{{制御と振動の数学/equation|<math>D^2(g*f) = (D^2g)*f</math>}}
{{制御と振動の数学/equation|<math>\vdots</math>}}
{{制御と振動の数学/equation|<math>D^{n-1}(g*f) = (D^{n-1}g)*f</math>}}
および,
{{制御と振動の数学/equation|<math>D^n(g*f)=(D^ng)*f + f</math>}}
となり,上から順に <math>a_n, a_{n-1}, a_{n-2}, \cdots a_2, a_1, 1</math> を掛けて加えると,
{{制御と振動の数学/equation|<math>p(D)(g*f) = \{p(D)g\}*f + f = f</math><ref>
<math>\because p(D)g = 0</math><br />
</ref>}}
を得る.
この証明からも分かる通り,<math>f(t)</math> の Laplace 変換が存在しなくても <math>g*f</math> は,
{{制御と振動の数学/equation|<math>p(D)x = f</math>}}
の解となる.たとえば,
{{制御と振動の数学/equation|<math>\frac{dx}{dt} + x = e^{t^2}, \quad x(0) = 0</math>}}
において,<math>e^{t^2}</math> の Laplace 変換は存在しないが,
{{制御と振動の数学/equation|<math>x(t) = e^{-t}*e^{t^2} = \int_0^t e^{-(t-\tau)}e^{\tau^2}d\tau</math>}}
が解であることは明らかである<ref>
この章の証明に Laplace 変換 が使われていない,というのは,Laplace 変換によって求めた原像 <math>x_0, g * f</math> が微分方程式 <math>p(D)x = f</math> の解であることを証明するのに Lapalce 変換を使っていない,ということである.ただ,非同次微分方程式の定常解 <math>g*f</math> の <math>f</math> については,<math>f</math> は与えられた関数であり,「<math>f</math> に対応する Laplace 変換がなくとも <math>g*f</math> は解となる」という部分には Laplace 変換が使われていないことはいえる.初期値の与え方についても最終項を除いて <math>D^i(g*f) = (D^ig)*f</math> となるように初期値 <math>g^{(i)}(0) = 0</math>,最終項は <math>g^{(n-1)}(0) = 1</math> と後から与えてよい.
</ref>.
<references /> | null | 2020-01-17T05:27:30Z | [
"テンプレート:制御と振動の数学/equation"
]
| https://ja.wikibooks.org/wiki/%E5%88%B6%E5%BE%A1%E3%81%A8%E6%8C%AF%E5%8B%95%E3%81%AE%E6%95%B0%E5%AD%A6/%E7%AC%AC%E4%B8%80%E9%A1%9E/Laplace_%E5%A4%89%E6%8F%9B%E3%81%AB%E3%82%88%E3%82%8B%E8%A7%A3%E3%81%AE%E5%90%9F%E5%91%B3/%E8%A7%A3%E6%B3%95%E3%81%AE%E6%AD%A3%E3%81%97%E3%81%95%E3%81%AE%E8%A8%BC%E6%98%8E |
26,350 | 公立小松大対策 | 本項は、公立小松大学の入学試験対策に関する事項である。
公立小松大学は石川県小松市に拠点を置く公立大学である。生産システム科学部、保健医療学部、国際文化交流学部を有する。
どの学部も共通テストの割合が高いため、共通テスト対策を念入りに行う必要がある。2次試験は生産システム科学部は数学、物理の2教科、それ以外の学部は小論文の1科目の出題となる。
生産システム科学部は数学、物理の2教科の出題、それ以外の学部は小論文の1科目が課される。
生産システム科学部のみ課される。出題範囲は数学I•A,II・B,IIIである。 90分で大問4題出題され、半分は数IIIからの出題である。大問は2~4問からなる誘導形式で解いていく問題である。難易度は基礎から標準レベルであるので、教科書章末問題、教科書傍用問題集のB問題で基礎を身につけ、「黄チャート」レベルの参考書で入試に必要なテーマの問題を演習してから過去問演習をするとよい。数IIIの複素数平面、微積分、極限がよく出題されている。数III以外の分野は、年毎に出題される分野が異なっている傾向である。したがって分野毎の偏りがないように対策する必要がある。
生産システム科学部のみ課される。出題範囲は物理基礎、物理である。 100分で大問4題出題され、力学から1題、電磁気学から1題、波動から1題、熱力学から1題と満遍なく出題されている。教科書の基本事項から標準レベルまで出題されているので、学校で配布されている問題集(リードα、セミナー等)を徹底的に繰り返してから過去問演習するとよい。計算だけでなく現象、理由の説明問題、グラフの図示、図の作図問題が出題されている。
保健医療学部と国際文化交流学部で出題されている。 保健医療学部は60分で、与えられたテーマに沿って2000語程度で小論文を作成する。 国際文化交流学部は120分で英語、日本語それぞれ1題ずつ計2題出題され、本文の内容に沿った記述、論述式解答の読解問題と本文に関連するテーマに沿って自分の意見を日本語でそれぞれ400字程度で論述する問題が出題される。 | [
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]
| 日本の大学受験ガイド > 公立小松大対策 本項は、公立小松大学の入学試験対策に関する事項である。 公立小松大学は石川県小松市に拠点を置く公立大学である。生産システム科学部、保健医療学部、国際文化交流学部を有する。 | {{wikipedia|公立小松大学}}
*[[日本の大学受験ガイド]] > [[公立小松大対策]]
本項は、[[w:公立小松大学|公立小松大学]]の入学試験対策に関する事項である。
公立小松大学は石川県小松市に拠点を置く公立大学である。生産システム科学部、保健医療学部、国際文化交流学部を有する。
==共通テスト==
どの学部も共通テストの割合が高いため、共通テスト対策を念入りに行う必要がある。2次試験は生産システム科学部は数学、物理の2教科、それ以外の学部は小論文の1科目の出題となる。
==2次試験==
生産システム科学部は数学、物理の2教科の出題、それ以外の学部は小論文の1科目が課される。
===数学===
生産システム科学部のみ課される。出題範囲は数学Ⅰ•A,Ⅱ・B,Ⅲである。
90分で大問4題出題され、半分は数Ⅲからの出題である。大問は2~4問からなる誘導形式で解いていく問題である。難易度は基礎から標準レベルであるので、教科書章末問題、教科書傍用問題集のB問題で基礎を身につけ、「黄チャート」レベルの参考書で入試に必要なテーマの問題を演習してから過去問演習をするとよい。数Ⅲの複素数平面、微積分、極限がよく出題されている。数Ⅲ以外の分野は、年毎に出題される分野が異なっている傾向である。したがって分野毎の偏りがないように対策する必要がある。
===物理===
生産システム科学部のみ課される。出題範囲は物理基礎、物理である。
100分で大問4題出題され、力学から1題、電磁気学から1題、波動から1題、熱力学から1題と満遍なく出題されている。教科書の基本事項から標準レベルまで出題されているので、学校で配布されている問題集(リードα、セミナー等)を徹底的に繰り返してから過去問演習するとよい。計算だけでなく現象、理由の説明問題、グラフの図示、図の作図問題が出題されている。
===小論文===
保健医療学部と国際文化交流学部で出題されている。
保健医療学部は60分で、与えられたテーマに沿って2000語程度で小論文を作成する。
国際文化交流学部は120分で英語、日本語それぞれ1題ずつ計2題出題され、本文の内容に沿った記述、論述式解答の読解問題と本文に関連するテーマに沿って自分の意見を日本語でそれぞれ400字程度で論述する問題が出題される。
[[Category:大学入試|こうりつこまつだいたいさく]] | null | 2022-12-30T12:06:40Z | [
"テンプレート:Wikipedia"
]
| https://ja.wikibooks.org/wiki/%E5%85%AC%E7%AB%8B%E5%B0%8F%E6%9D%BE%E5%A4%A7%E5%AF%BE%E7%AD%96 |
26,352 | 電磁気学/電磁場/第一類/初等ベクトル解析/ベクトルのベクトル積 | 2 個のベクトル A {\displaystyle \mathbf {A} } と B {\displaystyle \mathbf {B} } によってつくられる平行四辺形の面積は,
であたえられる. | [
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| 2 個のベクトル A と B によってつくられる平行四辺形の面積は, であたえられる. | 2 個のベクトル <math>\mathbf{A}</math> と <math>\mathbf{B}</math> によってつくられる平行四辺形の面積は,
{{電磁気学/電磁場/第一類/equation|<math>\mathbf{AB}\sin(AB)</math>}}
であたえられる.
{{DEFAULTSORT:てんしきかくてんしはたいいちるいしよとうへくとるかいせきへくとるのへくとるせき}}
[[カテゴリ:電磁気学]]
[[カテゴリ:ベクトル]] | 2019-10-20T13:20:11Z | 2024-03-16T05:54:42Z | [
"テンプレート:電磁気学/電磁場/第一類/equation"
]
| https://ja.wikibooks.org/wiki/%E9%9B%BB%E7%A3%81%E6%B0%97%E5%AD%A6/%E9%9B%BB%E7%A3%81%E5%A0%B4/%E7%AC%AC%E4%B8%80%E9%A1%9E/%E5%88%9D%E7%AD%89%E3%83%99%E3%82%AF%E3%83%88%E3%83%AB%E8%A7%A3%E6%9E%90/%E3%83%99%E3%82%AF%E3%83%88%E3%83%AB%E3%81%AE%E3%83%99%E3%82%AF%E3%83%88%E3%83%AB%E7%A9%8D |
26,353 | 電磁気学/電磁場/第一類/真空電磁場の基本法則/電場と磁場の定義 | 物理的真空中に帯電体があると,そのまわりに電場ができる. 電場が物理的量として意味をもつためには,その測定方法があたえられなくてはならない. そのため,あらかじめ帯電させた点電荷をもちいる. このとき,点電荷とは電子のような素粒子的な意味における点電荷ではなく,巨視的な意味で点とみなせるほど微小な古典的粒子という意味である. したがって,厳密にはある 1 点における電場というものは物理的に意味を持たない. ただ,ある微小な空間領域における平均的な場のみが測定可能である. さて,この微小電荷を試験子として電場内にもちこみ,その座標値が x {\displaystyle \mathbf {x} } であたえられる場所にそれを静止させたとき(電子のような素粒子を試験子として用いたのでは,その量子力学的交換のため,それを静止させることはできない),それにはたらく力が F ( x ) {\displaystyle \mathbf {F} (\mathbf {x} )} であったならば, | [
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| 物理的真空中に帯電体があると,そのまわりに電場ができる.
電場が物理的量として意味をもつためには,その測定方法があたえられなくてはならない.
そのため,あらかじめ帯電させた点電荷をもちいる.
このとき,点電荷とは電子のような素粒子的な意味における点電荷ではなく,巨視的な意味で点とみなせるほど微小な古典的粒子という意味である.
したがって,厳密にはある 1 点における電場というものは物理的に意味を持たない.
ただ,ある微小な空間領域における平均的な場のみが測定可能である.
さて,この微小電荷を試験子として電場内にもちこみ,その座標値が x であたえられる場所にそれを静止させたとき,それにはたらく力が F であったならば, | 物理的真空中に帯電体があると,そのまわりに電場ができる.
電場が物理的量として意味をもつためには,その測定方法があたえられなくてはならない.
そのため,あらかじめ帯電させた点電荷をもちいる.
このとき,点電荷とは電子のような素粒子的な意味における点電荷ではなく,巨視的な意味で点とみなせるほど微小な古典的粒子という意味である.
したがって,厳密にはある 1 点における電場というものは物理的に意味を持たない.
ただ,ある微小な空間領域における平均的な場のみが測定可能である.
さて,この微小電荷を試験子として電場内にもちこみ,その座標値が <math>\mathbf{x}</math> であたえられる場所にそれを静止させたとき(電子のような素粒子を試験子として用いたのでは,その量子力学的交換のため,それを静止させることはできない),それにはたらく力が <math>\mathbf{F}(\mathbf{x})</math> であったならば,
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[[カテゴリ:電磁気学]] | null | 2022-11-23T06:30:11Z | [
"テンプレート:電磁気学/電磁場/第一類/equation"
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26,360 | 解析学基礎/解析概論/第一類 | 基本の概念
付録1 | [
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基本の概念
*[[解析学基礎/解析概論/第一類/数の概念|数の概念]]
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付録1
[[カテゴリ:解析学]] | null | 2022-11-23T05:47:25Z | []
| https://ja.wikibooks.org/wiki/%E8%A7%A3%E6%9E%90%E5%AD%A6%E5%9F%BA%E7%A4%8E/%E8%A7%A3%E6%9E%90%E6%A6%82%E8%AB%96/%E7%AC%AC%E4%B8%80%E9%A1%9E |
26,361 | 解析学基礎/解析概論/第一類/数の概念 | 数の概念及び四則演算法は既知と仮定する. 始めの中は実数のみを取り扱うから一々断らない. 次の用語は周知である.
自然数. 1 , 2 , 3 {\displaystyle 1,2,3} 等.物の順位又は物の集合の個数を示す為に用いられる.
整数. 0 , ± 1 , ± 2 {\displaystyle 0,\pm 1,\pm 2} 等.自然数は正の整数である.
有理数. 0 {\displaystyle 0} 及び ± a b {\displaystyle \pm {\frac {a}{b}}} ,但し a , b {\displaystyle a,b} は自然数. b = 1 {\displaystyle b=1} なるとき,それは整数である.
無理数. 有理数以外の実数.例えば
(但し,それらが有理数でないことは証明を要する)
十進法.実数を十進法で表すことも周知である. 有理数を十進法で表せば,数字は有限か,又は無限ならば循環小数になる. 但し,有限位数の十進数を循環小数の形に表すことも出来る. 例えば 0.6 = 0.5999 ⋯ {\displaystyle 0.6=0.5999\cdots } . 無理数を十進法で表すならば,無限の位数を要し,数字は決して循環しない.
吾々が十進法によって数を表すに至ったのは,手指の数にその原因があるのであろうが,理論上は 1 {\displaystyle 1} 以外の任意の自然数を基本として, 十進法と同様の方法によって,数を表すことが出来る.
特に二進法では,数は 0 {\displaystyle 0} と 1 {\displaystyle 1} とだけで足る.有理数を二進数で表せば,分母が 2 {\displaystyle 2} の巾になるものの外は,循環二進数になる. | [
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"text": "十進法.実数を十進法で表すことも周知である. 有理数を十進法で表せば,数字は有限か,又は無限ならば循環小数になる. 但し,有限位数の十進数を循環小数の形に表すことも出来る. 例えば 0.6 = 0.5999 ⋯ {\\displaystyle 0.6=0.5999\\cdots } . 無理数を十進法で表すならば,無限の位数を要し,数字は決して循環しない.",
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| 数の概念及び四則演算法は既知と仮定する.
始めの中は実数のみを取り扱うから一々断らない.
次の用語は周知である. 自然数. 1 , 2 , 3 等.物の順位又は物の集合の個数を示す為に用いられる. 整数. 0 , ± 1 , ± 2 等.自然数は正の整数である. 有理数. 0 及び ± a b ,但し a , b は自然数. b = 1 なるとき,それは整数である. 無理数. 有理数以外の実数.例えば 十進法.実数を十進法で表すことも周知である.
有理数を十進法で表せば,数字は有限か,又は無限ならば循環小数になる.
但し,有限位数の十進数を循環小数の形に表すことも出来る.
例えば 0.6 = 0.5999 ⋯ .
無理数を十進法で表すならば,無限の位数を要し,数字は決して循環しない. 吾々が十進法によって数を表すに至ったのは,手指の数にその原因があるのであろうが,理論上は 1 以外の任意の自然数を基本として,
十進法と同様の方法によって,数を表すことが出来る. 特に二進法では,数は 0 と 1 とだけで足る.有理数を二進数で表せば,分母が 2 の巾になるものの外は,循環二進数になる. ↑ ↑ | <strong>数の概念</strong>及び四則演算法は既知と仮定する<ref>[[解析学基礎/解析概論/第一類#付録1|付録1]]を参照</ref>.
始めの中は実数のみを取り扱うから一々断らない.
次の用語は周知である.
<strong>自然数</strong>. <math>1, 2, 3</math> 等.物の順位又は物の集合の個数を示す為に用いられる.
<strong>整数</strong>. <math>0, \pm1, \pm2</math> 等.自然数は正の整数である.
<strong>有理数</strong>. <math>0</math> 及び <math>\pm\frac{a}{b}</math>,但し <math>a, b</math> は自然数.<math>b = 1</math> なるとき,それは整数である.
<strong>無理数</strong>. 有理数以外の実数.例えば
{{解析学基礎/解析概論/equation|<math>\sqrt{2} = 1.4142135\cdots</math>,}}
{{解析学基礎/解析概論/equation|<math>e = 2.718281828\cdots,</math>}}
{{解析学基礎/解析概論/equation|<math>\pi = 3.1415926535\cdots.</math>}}
(但し,それらが有理数でないことは証明を要する)
<strong>十進法</strong>.実数を十進法で表すことも周知である.
有理数を十進法で表せば,数字は有限か,又は無限ならば循環小数になる.
但し,有限位数の十進数を循環小数の形に表すことも出来る.
例えば <math>0.6=0.5999\cdots</math>.
無理数を十進法で表すならば,無限の位数を要し,数字は決して循環しない.
吾々が十進法によって数を表すに至ったのは,手指の数にその原因があるのであろうが,理論上は <math>1</math> 以外の任意の自然数を基本として,
十進法と同様の方法によって,数を表すことが出来る.
特に二進法では,数は <math>0</math> と <math>1</math> とだけで足る.有理数を二進数で表せば,分母が <math>2</math> の巾<ref>巾は冪の仮字(和算の用例による).</ref>になるものの外は,循環二進数になる.
[[カテゴリ:解析学]] | null | 2022-11-23T05:47:29Z | [
"テンプレート:解析学基礎/解析概論/equation"
]
| https://ja.wikibooks.org/wiki/%E8%A7%A3%E6%9E%90%E5%AD%A6%E5%9F%BA%E7%A4%8E/%E8%A7%A3%E6%9E%90%E6%A6%82%E8%AB%96/%E7%AC%AC%E4%B8%80%E9%A1%9E/%E6%95%B0%E3%81%AE%E6%A6%82%E5%BF%B5 |
26,365 | 解析学基礎/解析概論/第三類/論理と論理記号 | 数学では,「正しいこと」と「正しそうなこと」は厳しく区別されている. 正しそうに見えた主張が結局は成り立たたないことが分かった,という経験を積んできたからでもあるし,論証を積み重ねて進んで行くという数学の性格から,ある段階で間違いが入り込むと以後のすべてが無駄になってしまうおそれが大きいからである. そのため,数学の論証では,誤りを犯さないように記号を工夫して見やすくしたり,論理的な構造をはっきり意識するようになってきた. ここでは,普通に用いられる論理的な記号を説明する. 数理論理学そのものに関心がある方はその方面の成書で勉強して頂きたいが,論証を進める力になるものは,あくまでも数学的な対象への深い理解であることを強調しておきたい.
命題とその結合(命題論理) {\displaystyle \quad } 数学では,日常言語と違って,原理的に「真」か「偽」かのどちらかに定まっている文のみが議論の対象になり,これらを命題と呼ぶ. 少し例を挙げると,「今日は暑い」という文は,日常の場面では「今日私は暑いと感じている」ということの表現であることが多く,この用法の場合には「真」とか「偽」を問題にするほうがおかしい. 「今日は暑い」という文を真偽の定まった「命題」として受け取るためには,前提として「今日は暑い」ということの定義が,たとえば「最高気温 28 度以上は暑いという」というようにはっきりあたえられなくてはならない. 一方「真」か「偽」かのどちらかに原理的に定まっている文といっても,「真偽のどちらかが成り立っているのかすでに分かっている文」とは異なるわけである. 分かりやすい例で言えば,「円周率 π {\displaystyle \pi } | [
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"text": "数学では,「正しいこと」と「正しそうなこと」は厳しく区別されている. 正しそうに見えた主張が結局は成り立たたないことが分かった,という経験を積んできたからでもあるし,論証を積み重ねて進んで行くという数学の性格から,ある段階で間違いが入り込むと以後のすべてが無駄になってしまうおそれが大きいからである. そのため,数学の論証では,誤りを犯さないように記号を工夫して見やすくしたり,論理的な構造をはっきり意識するようになってきた. ここでは,普通に用いられる論理的な記号を説明する. 数理論理学そのものに関心がある方はその方面の成書で勉強して頂きたいが,論証を進める力になるものは,あくまでも数学的な対象への深い理解であることを強調しておきたい.",
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"text": "命題とその結合(命題論理) {\\displaystyle \\quad } 数学では,日常言語と違って,原理的に「真」か「偽」かのどちらかに定まっている文のみが議論の対象になり,これらを命題と呼ぶ. 少し例を挙げると,「今日は暑い」という文は,日常の場面では「今日私は暑いと感じている」ということの表現であることが多く,この用法の場合には「真」とか「偽」を問題にするほうがおかしい. 「今日は暑い」という文を真偽の定まった「命題」として受け取るためには,前提として「今日は暑い」ということの定義が,たとえば「最高気温 28 度以上は暑いという」というようにはっきりあたえられなくてはならない. 一方「真」か「偽」かのどちらかに原理的に定まっている文といっても,「真偽のどちらかが成り立っているのかすでに分かっている文」とは異なるわけである. 分かりやすい例で言えば,「円周率 π {\\displaystyle \\pi }",
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| 数学では,「正しいこと」と「正しそうなこと」は厳しく区別されている.
正しそうに見えた主張が結局は成り立たたないことが分かった,という経験を積んできたからでもあるし,論証を積み重ねて進んで行くという数学の性格から,ある段階で間違いが入り込むと以後のすべてが無駄になってしまうおそれが大きいからである.
そのため,数学の論証では,誤りを犯さないように記号を工夫して見やすくしたり,論理的な構造をはっきり意識するようになってきた.
ここでは,普通に用いられる論理的な記号を説明する.
数理論理学そのものに関心がある方はその方面の成書で勉強して頂きたいが,論証を進める力になるものは,あくまでも数学的な対象への深い理解であることを強調しておきたい. 命題とその結合(命題論理) 数学では,日常言語と違って,原理的に「真」か「偽」かのどちらかに定まっている文のみが議論の対象になり,これらを命題と呼ぶ.
少し例を挙げると,「今日は暑い」という文は,日常の場面では「今日私は暑いと感じている」ということの表現であることが多く,この用法の場合には「真」とか「偽」を問題にするほうがおかしい.
「今日は暑い」という文を真偽の定まった「命題」として受け取るためには,前提として「今日は暑い」ということの定義が,たとえば「最高気温 28 度以上は暑いという」というようにはっきりあたえられなくてはならない.
一方「真」か「偽」かのどちらかに原理的に定まっている文といっても,「真偽のどちらかが成り立っているのかすでに分かっている文」とは異なるわけである.
分かりやすい例で言えば,「円周率 π | 数学では,「正しいこと」と「正しそうなこと」は厳しく区別されている.
正しそうに見えた主張が結局は成り立たたないことが分かった,という経験を積んできたからでもあるし,論証を積み重ねて進んで行くという数学の性格から,ある段階で間違いが入り込むと以後のすべてが無駄になってしまうおそれが大きいからである.
そのため,数学の論証では,誤りを犯さないように記号を工夫して見やすくしたり,論理的な構造をはっきり意識するようになってきた.
ここでは,普通に用いられる論理的な記号を説明する.
数理論理学そのものに関心がある方はその方面の成書で勉強して頂きたいが,論証を進める力になるものは,あくまでも数学的な対象への深い理解であることを強調しておきたい.
<strong>命題とその結合(命題論理)</strong><math>\quad</math> 数学では,日常言語と違って,原理的に「真」か「偽」かのどちらかに定まっている文のみが議論の対象になり,これらを命題と呼ぶ.
少し例を挙げると,「今日は暑い」という文は,日常の場面では「今日私は暑いと感じている」ということの表現であることが多く,この用法の場合には「真」とか「偽」を問題にするほうがおかしい.
「今日は暑い」という文を真偽の定まった「命題」として受け取るためには,前提として「今日は暑い」ということの定義が,たとえば「最高気温 28 度以上は暑いという」というようにはっきりあたえられなくてはならない.
一方「真」か「偽」かのどちらかに原理的に定まっている文といっても,「真偽のどちらかが成り立っているのかすでに分かっている文」とは異なるわけである.
分かりやすい例で言えば,「円周率 <math>\pi</math>
[[カテゴリ:解析学]] | null | 2022-11-23T05:47:38Z | []
| https://ja.wikibooks.org/wiki/%E8%A7%A3%E6%9E%90%E5%AD%A6%E5%9F%BA%E7%A4%8E/%E8%A7%A3%E6%9E%90%E6%A6%82%E8%AB%96/%E7%AC%AC%E4%B8%89%E9%A1%9E/%E8%AB%96%E7%90%86%E3%81%A8%E8%AB%96%E7%90%86%E8%A8%98%E5%8F%B7 |
26,366 | 中学受験算数演習/解説 | (1)与式=67×28+33×28=(67+33)×28=100×28=2800
(2)与式= 1 2 × 2 3 × 3 4 ⋅ ⋅ ⋅ 49 50 {\displaystyle {\frac {1}{2}}\times {\frac {2}{3}}\times {\frac {3}{4}}\cdot \cdot \cdot {\frac {49}{50}}} =1× 1 50 {\displaystyle {\frac {1}{50}}} = 1 50 {\displaystyle {\frac {1}{50}}}
問6、かき以外の値段は、すべて17の倍数であることに着目する。かきの値段88円は、17で割ると3余ることから、かき1個につき、値段を17で割った余りは3ずつ変化していく。1216を17で割った余りは9であるから、(17でわると3余る整数)個買ったことがわかる。しかし、20個以上買うと 20個の時点で、88 × {\displaystyle \times } 20 = {\displaystyle =} 1760 より、明らかに1216円を超えてしまう。よって、3個である。
| [
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"text": "問6、かき以外の値段は、すべて17の倍数であることに着目する。かきの値段88円は、17で割ると3余ることから、かき1個につき、値段を17で割った余りは3ずつ変化していく。1216を17で割った余りは9であるから、(17でわると3余る整数)個買ったことがわかる。しかし、20個以上買うと 20個の時点で、88 × {\\displaystyle \\times } 20 = {\\displaystyle =} 1760 より、明らかに1216円を超えてしまう。よって、3個である。",
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| null | == 計算 ==
*ふつうの計算
*逆算
*特別な計算
(1)与式=67×28+33×28=(67+33)×28=100×28=2800
(2)与式=<math>\frac{1}{2}\times \frac{2}{3} \times \frac{3}{4} \cdot \cdot \cdot \frac{49}{50}</math>=1×<math>\frac{1}{50}</math>=<math>\frac{1}{50}</math>
== 植木算 ==
== 周期・数列 ==
== 仕事算・ニュートン算 ==
== つるかめ算 ==
== 和差算 ==
== 過不足算(差集め算) ==
== 比 ==
== 平均 ==
== 速さ ==
== 食塩水の問題 ==
== 売買の問題 ==
== 数の性質 ==
=== 整数問題 ===
問6、かき以外の値段は、すべて17の倍数であることに着目する。かきの値段88円は、17で割ると3余ることから、かき1個につき、値段を17で割った余りは3ずつ変化していく。1216を17で割った余りは9であるから、(17でわると3余る整数)個買ったことがわかる。しかし、20個以上買うと 20個の時点で、88<math>\times</math>20<math>=</math>1760 より、明らかに1216円を超えてしまう。よって、3個である。
=== 数の範囲 ===
=== N進法 ===
=== いろいろな問題 ===
== 場合の数 ==
== 単位の間の関係 ==
== 推論 ==
== 平面図形 ==
== 立体図形 ==
== 総合演習 ==
{{stub}}
{{DEFAULTSORT:さんすうえんしゆうかいせつ}}
[[Category:小学校算数演習|ちゆうかくしゆけんさんすうえんしゆうかいせつ]]
[[Category:中学受験算数]] | 2019-10-21T22:07:51Z | 2024-03-16T06:59:37Z | [
"テンプレート:Stub"
]
| https://ja.wikibooks.org/wiki/%E4%B8%AD%E5%AD%A6%E5%8F%97%E9%A8%93%E7%AE%97%E6%95%B0%E6%BC%94%E7%BF%92/%E8%A7%A3%E8%AA%AC |
26,381 | 制御と振動の数学/第一類/Laplace 変換による解の吟味/線形定常性 | は a i {\displaystyle a_{i}} が定数であるため,系の特性は時が経過しても不変である.したがってその解も時間軸を移動させても変わらないことが当然予想される. このことを用いて t 0 ≠ 0 {\displaystyle t_{0}\neq 0} で初期値が与えられている時の解法を見出すことができる.
定常性の原理 I
φ ( t ) {\displaystyle \varphi (t)} が p ( D ) x = 0 {\displaystyle p(D)x=0} の解ならば, φ ( t + α ) {\displaystyle \varphi (t+\alpha )} も同じく解となる.ここに α {\displaystyle \alpha } は定数である.
証明
において t {\displaystyle t} を t + α {\displaystyle t+\alpha } に置き換えると,
となる.ここで,
が成立するので所要の結果が得られる.事実 k = 1 {\displaystyle k=1} の場合は, τ := t + α {\displaystyle \tau :=t+\alpha } とおくと,
となる. k ≧ 2 {\displaystyle k\geqq 2} の場合も同様である.
♢ {\displaystyle \diamondsuit }
つまり微分演算子が不変,すなわち D t = D t + α {\displaystyle D_{t}=D_{t+\alpha }} であるので,一般に a i {\displaystyle a_{i}} が定数であるから p t + α ( D ) = p t ( D ) {\displaystyle p_{t+\alpha }(D)=p_{t}(D)} が成立するということである.ここで添え字で微分する変数を示した.
例68 {\displaystyle \quad }
x ( t ) = cos β t {\displaystyle x(t)=\cos \beta t} は
の x ( 0 ) = 1 , x ′ ( 0 ) = 0 {\displaystyle x(0)=1,x'(0)=0} の解である.定常性の原理 Iによって,
も上の微分方程式の解である.しかも
を満足する. ♢ {\displaystyle \diamondsuit }
また非同次式の場合は,
において, t {\displaystyle t} を t + α {\displaystyle t+\alpha } とおくと,
前と同様の議論により,
となる.よって,
定常性の原理 II
x ( t ) {\displaystyle x(t)} を p ( D ) x = f ( t ) {\displaystyle p(D)x=f(t)} の解とすると, x ( t + α ) {\displaystyle x(t+\alpha )} は,
の解となる. ♢ {\displaystyle \diamondsuit }
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| は a i が定数であるため,系の特性は時が経過しても不変である.したがってその解も時間軸を移動させても変わらないことが当然予想される.
このことを用いて t 0 ≠ 0 で初期値が与えられている時の解法を見出すことができる. | {{制御と振動の数学/equation|<math>p(D)x = \frac{d^nx}{dt^n} + a_1\frac{d^{n-1}x}{dt^{n-1}} + a_2\frac{d^{n-2}x}{dt^{n-2}} + \cdots + a_{n-1}\frac{dx}{dt} + a_nx = 0</math>}}
は <math>a_i</math> が定数であるため,系の特性は時が経過しても不変である.したがってその解も時間軸を移動させても変わらないことが当然予想される.
このことを用いて <math>t_0 \ne 0</math> で初期値が与えられている時の解法を見出すことができる.
<div id = "stationary:1>
<strong>定常性の原理 Ⅰ</strong>
<math>\varphi(t)</math> が <math>p(D)x = 0</math> の解ならば,<math>\varphi(t+\alpha)</math> も同じく解となる.ここに <math>\alpha</math> は定数である.
<strong>証明</strong>
{{制御と振動の数学/equation|<math>\frac{d^n\varphi(t)}{dt^n} + a_1\frac{d^{n-1}\varphi(t)}{dt^{n-1}} + a_2\frac{d^{n-2}\varphi(t)}{dt^{n-2}} + \cdots + a_{n-1}\frac{d\varphi(t)}{dt} + a_n\varphi(t) \equiv 0</math>}}
において <math>t</math> を <math>t + \alpha</math> に置き換えると,
{{制御と振動の数学/equation|<math>\frac{d^n\varphi(t+\alpha)}{d(t+\alpha)^n} + a_1\frac{d^{n-1}\varphi(t+\alpha)}{d(t+\alpha)^{n-1}} + a_2\frac{d^{n-2}\varphi(t+\alpha)}{d(t+\alpha)^{n-2}} + \cdots + a_{n-1}\frac{d\varphi(t+\alpha)}{d(t+\alpha)} + a_n\varphi(t+\alpha) \equiv 0</math>}}
となる.ここで,
{{制御と振動の数学/equation|<math>\frac{d^k\varphi(t + \alpha)}{d(t+\alpha)^k} = \frac{d^k\varphi(t+\alpha)}{dt^k} \quad (k = 1, 2, \cdots)</math>}}
が成立するので所要の結果が得られる.事実 <math>k=1</math> の場合は,<math>\tau := t + \alpha</math><ref><math>\therefore d\tau = dt</math></ref> とおくと,
{{制御と振動の数学/equation|<math>\frac{d\varphi(t+\alpha)}{dt} = \frac{d\varphi(\tau)}{dt} = \frac{d\varphi(\tau)}{d\tau}\cdot\frac{d\tau}{dt} = \frac{d\varphi(\tau)}{d\tau}</math>}}
{{制御と振動の数学/equation|<math>\therefore \frac{d\varphi(t+\alpha)}{dt} = \frac{d\varphi(t+\alpha)}{d(t+\alpha)}</math>}}
となる.<math>k \geqq 2</math> の場合も同様である<ref>
<math>\frac{d^2\varphi(t+\alpha)}{dt^2} = \frac{d}{dt}\frac{d\varphi(t+\alpha)}{dt} = \frac{d}{d\tau}\frac{d\varphi(\tau)}{d\tau} (\because d\tau = dt)</math><br />
<math> = \frac{d^2\varphi(t+\alpha)}{d(t + \alpha)^2}</math><br />
</ref>.
<math>\diamondsuit</math>
<!-- stationary:1:end-->
つまり微分演算子が不変,すなわち <math>D_{t} = D_{t+\alpha}</math> であるので,一般に <math>a_i</math> が定数であるから <math>p_{t+\alpha}(D) = p_t(D)</math> が成立するということである.ここで添え字で微分する変数を示した.
<!-- ex:068:start-->
<div id="ex:68">
<strong>例68</strong><math>\quad</math>
<math>x(t) = \cos\beta t</math> は
{{制御と振動の数学/equation|<math>\frac{d^2x}{dt^2} + \beta^2x = 0</math>}}
の <math>x(0) = 1, x'(0) = 0</math> の解である.定常性の原理 Ⅰによって,
{{制御と振動の数学/equation|<math>x(t) = \cos\beta(t-t_0)</math>}}
も上の微分方程式の解である<ref>
<math>\cos(t-t_0) = \cos t\cos t_0 + \sin t\sin t_0</math>…①<br />
すなわち <math>A\cos t + B\sin t</math> の形であり,①は与微分方程式の一般解に含まれる.<br />
また,微分方程式 <math>(D + \alpha)x = 0</math>…② について特殊解 <math>x = e^{-t}</math> が得られたとき,<br />
<math>e^{-(t + t_0)} = e^{-t_0}e^{-t}</math> よりこれも②の一般解 <math>x = Ce^{^-t}</math> に含まれる.
</ref>.しかも
{{制御と振動の数学/equation|<math>x(t_0) = 1, x'(t_0) = 0</math>}}
を満足する.
<math>\diamondsuit</math>
<!-- ex:068:end-->
また非同次式の場合は,
{{制御と振動の数学/equation|<math> \frac{d^nx(t)}{dt^n} + a_1\frac{d^{n-1}x(t)}{dt^{n-1}} + a_2\frac{d^{n-2}x(t)}{dt^{n-2}} + \cdots + a_{n-1}\frac{dx(t)}{dt} + a_nx(t) \equiv f(t)</math>}}
において,<math>t</math> を <math>t+\alpha</math> とおくと,
{{制御と振動の数学/equation|<math>\frac{d^nx(t+\alpha)}{d(t+\alpha)^n} + a_1\frac{d^{n-1}x(t+\alpha)}{d(t+\alpha)^{n-1}} + a_2\frac{d^{n-2}x(t+\alpha)}{d(t+\alpha)^{n-2}} + \cdots + a_{n-1}\frac{dx(t+\alpha)}{d(t+\alpha)} + a_nx(t+\alpha) = f(t+\alpha)</math>}}
前と同様の議論により,
{{制御と振動の数学/equation|<math>p(D)x = \frac{d^nx(t+\alpha)}{dt^n} + a_1\frac{d^{n-1}x(t+\alpha)}{dt^{n-1}} + a_2\frac{d^{n-2}x(t+\alpha)}{dt^{n-2}} + \cdots + a_{n-1}\frac{dx(t+\alpha)}{dt} + a_nx(t+\alpha) \equiv f(t+\alpha)</math>}}
となる.よって,
<div id = "stationary:2>
<strong>定常性の原理 Ⅱ</strong>
<math>x(t)</math> を <math>p(D)x = f(t)</math> の解とすると,<math>x(t+\alpha)</math> は,
{{制御と振動の数学/equation|<math>p(D)x = f(t+\alpha)</math>}}
の解となる<ref>
<math>p(D)x = f(x)</math> で考える <math>t</math>軸 および値域軸からなる平面を <math>t</math> 軸方向に <math>-\alpha</math> 平行移動したものとして捉える.<br />
式 <math>p(D)x = f(x + \alpha)</math> の右辺は平行移動の量 <math>\alpha</math> が変われば解 <math>x</math> も変わる.<br />
</ref>.
<math>\diamondsuit</math>
<!-- stationary:2:end-->
<references />
[[カテゴリ:ラプラス変換]] | null | 2022-11-23T14:28:45Z | [
"テンプレート:制御と振動の数学/equation"
]
| https://ja.wikibooks.org/wiki/%E5%88%B6%E5%BE%A1%E3%81%A8%E6%8C%AF%E5%8B%95%E3%81%AE%E6%95%B0%E5%AD%A6/%E7%AC%AC%E4%B8%80%E9%A1%9E/Laplace_%E5%A4%89%E6%8F%9B%E3%81%AB%E3%82%88%E3%82%8B%E8%A7%A3%E3%81%AE%E5%90%9F%E5%91%B3/%E7%B7%9A%E5%BD%A2%E5%AE%9A%E5%B8%B8%E6%80%A7 |
26,382 | 制御と振動の数学/第一類/Laplace 変換による解の吟味/t0≠0で初期値が与えられている場合 | Laplace 変換を用いて微分方程式を解くとき,初期値は t = 0 {\displaystyle t=0} で与えられている必要があった. しかし,前節で述べた定常性の原理を用いると, t = t 0 ≠ 0 {\displaystyle t=t_{0}\neq 0} で初期値が与えられている場合,すなわち,
の解法を与えることができる.
[定理 3.3]
式 (3.12) の解は,
の解を y ( t ) {\displaystyle y(t)} とするとき, y ( t − t 0 ) {\displaystyle y(t-t_{0})} で与えられる.
証明
式 (3.13) の解を y ( t ) {\displaystyle y(t)} とする. そうすれば,定常性の原理 IIにより,
は式 (3.12) を満足し,しかも,
となる.
♢ {\displaystyle \diamondsuit }
例68 {\displaystyle \quad }
を解け.
解
を Laplace 変換すると
となる.この原像は,
ここで, τ + t 0 {\displaystyle \tau +t_{0}} を改めて τ {\displaystyle \tau } とおくと,
となる.これが求める結果である.
♢ {\displaystyle \diamondsuit }
一般的な解放も同様である.式 (3.13) を Laplace 変換すれば,
となる.ここに q ( s ) {\displaystyle q(s)} は高々 n − 1 {\displaystyle n-1} 次の s {\displaystyle s} の多項式である.
の原像を求めるため,
とおけば,
ここで τ + t 0 {\displaystyle \tau +t_{0}} を τ {\displaystyle \tau } とおくと,
を得る.
原像を求める際,(3.13b) で,
とおいても誤りではない.このとき, y ( t − t 0 ) {\displaystyle y(t-t_{0})} は,
となる. ♢ {\displaystyle \diamondsuit }
例69 {\displaystyle \quad }
を直接示せ.
解答例
I = ∫ t 0 t g ( t − τ ) f ( τ ) d τ {\displaystyle I=\int _{t_{0}}^{t}g(t-\tau )f(\tau )d\tau } にて, θ = t − τ {\displaystyle \theta =t-\tau } とおいて, τ → θ {\displaystyle \tau \to \theta } の変数変換を行う. τ : t 0 → t {\displaystyle \tau :t_{0}\to t} のとき, θ : t − t 0 → 0 {\displaystyle \theta :t-t_{0}\to 0} ,また τ = t − θ , d θ = − d τ {\displaystyle \tau =t-\theta ,\quad d\theta =-d\tau } . I = − ∫ t − t 0 0 g ( θ ) f ( t − θ ) d θ {\displaystyle I=-\int _{t-t_{0}}^{0}g(\theta )f(t-\theta )d\theta } = ∫ 0 t − t 0 g ( θ ) f ( t − θ ) d θ = ∫ 0 t − t 0 g ( τ ) f ( t − τ ) d τ {\displaystyle =\int _{0}^{t-t_{0}}g(\theta )f(t-\theta )d\theta =\int _{0}^{t-t_{0}}g(\tau )f(t-\tau )d\tau } .
♢ {\displaystyle \diamondsuit }
例70 {\displaystyle \quad }
x ′ + a x = f ( t ) , x ( t 0 ) = x 0 {\displaystyle x'+ax=f(t),\quad x(t_{0})=x_{0}} の解は,
または
となることを示せ.
解答例
例 69 と同じ推論で解く.
y ′ + a y = f ( t + t 0 ) , y ( 0 ) = x 0 {\displaystyle y'+ay=f(t+t_{0}),\quad y(0)=x_{0}} にて Y ( s ) ⊏ y ( t ) {\displaystyle Y(s)\sqsubset y(t)} とおき両辺をラプラス変換すると, s Y − x 0 + a Y = L [ f ( t + t 0 ) ] {\displaystyle sY-x_{0}+aY={\mathcal {L}}[f(t+t_{0})]} ( s + a ) Y = x 0 + L [ f ( t + t 0 ) ] {\displaystyle (s+a)Y=x_{0}+{\mathcal {L}}[f(t+t_{0})]} Y = x 0 s + a + 1 s + a ⋅ L [ f ( t + t 0 ) ] {\displaystyle Y={\frac {x_{0}}{s+a}}+{\frac {1}{s+a}}\cdot {\mathcal {L}}[f(t+t_{0})]} ∴ y ( t ) = x 0 e − a t + e − a t ∗ f ( t + t 0 ) {\displaystyle \therefore y(t)=x_{0}e^{-at}+e^{-at}*f(t+t_{0})} ...1
1からの展開は二通りある,まず一つは, y = x 0 e − a t + ∫ 0 t e − a ( t − τ ) f ( τ + t 0 ) d τ {\displaystyle y=x_{0}e^{-at}+\int _{0}^{t}e^{-a(t-\tau )}f(\tau +t_{0})d\tau } x ( t ) = y ( t − t 0 ) = x 0 e − a ( t − t 0 ) + ∫ 0 t − t 0 e − a ( t − t 0 − τ ) f ( τ + t 0 ) d τ {\displaystyle x(t)=y(t-t_{0})=x_{0}e^{-a(t-t_{0})}+\int _{0}^{t-t_{0}}e^{-a(t-t_{0}-\tau )}f(\tau +t_{0})d\tau } t 0 + τ = θ {\displaystyle t_{0}+\tau =\theta } とおいて, τ → θ {\displaystyle \tau \to \theta } の積分変数変換を行う. このとき d τ = d θ {\displaystyle d\tau =d\theta } , τ : 0 → t − t 0 {\displaystyle \tau :0\to t-t_{0}} のとき θ : t 0 → t {\displaystyle \theta :t_{0}\to t} すなわち, x ( t ) = x 0 e − a ( t − t 0 ) + ∫ t 0 t e − a ( t − θ ) f ( θ ) d θ {\displaystyle x(t)=x_{0}e^{-a(t-t_{0})}+\int _{t_{0}}^{t}e^{-a(t-\theta )}f(\theta )d\theta } これが解の表現の一つ.
もう一つは1から, y = x 0 e − a t + ∫ 0 t e − a τ f ( t + t 0 − τ ) d τ {\displaystyle y=x_{0}e^{-at}+\int _{0}^{t}e^{-a\tau }f(t+t_{0}-\tau )d\tau } よって x = y ( t − t 0 ) = x 0 e − a ( t − t 0 ) + ∫ 0 t − t 0 e − a τ f ( t − t 0 + t 0 − τ ) d τ {\displaystyle x=y(t-t_{0})=x_{0}e^{-a(t-t_{0})}+\int _{0}^{t-t_{0}}e^{-a\tau }f(t-t_{0}+t_{0}-\tau )d\tau } = x 0 e − a ( t − t 0 ) + ∫ 0 t − t 0 e − a τ f ( t − τ ) d τ {\displaystyle =x_{0}e^{-a(t-t_{0})}+\int _{0}^{t-t_{0}}e^{-a\tau }f(t-\tau )d\tau }
♢ {\displaystyle \diamondsuit }
例71 {\displaystyle \quad }
を解け.
解答例
直前の x ( t ) = x 0 ( t − t 0 ) + ∫ 0 t − t 0 g ( τ ) f ( t − τ ) d τ {\displaystyle x(t)=x_{0}(t-t_{0})+\int _{0}^{t-t_{0}}g(\tau )f(t-\tau )d\tau } を使う. t = t 0 {\displaystyle t=t_{0}} における初期値はすべて 0 {\displaystyle 0} より過渡解 x 0 {\displaystyle x_{0}} は 0 {\displaystyle 0} p ( s ) = s 4 − 2 s 3 + 2 s 2 − 2 s + 1 {\displaystyle p(s)=s^{4}-2s^{3}+2s^{2}-2s+1} = ( s − 1 ) 2 ( s 2 + 1 ) {\displaystyle =(s-1)^{2}(s^{2}+1)} 1 p ( s ) = − 1 2 s − 1 + 1 2 ( s − 1 ) 2 + 1 2 s s 2 + 1 {\displaystyle {\frac {1}{p(s)}}={\frac {-{\frac {1}{2}}}{s-1}}+{\frac {\frac {1}{2}}{(s-1)^{2}}}+{\frac {{\frac {1}{2}}s}{s^{2}+1}}} 1 p ( s ) ⊏ g {\displaystyle {\frac {1}{p(s)}}\sqsubset g} とおくと, g ( t ) = 1 2 { − e t + t e t + cos t } {\displaystyle g(t)={\frac {1}{2}}\left\{-e^{t}+te^{t}+\cos t\right\}} x = ∫ 0 t − t 0 g ( τ ) f ( t − τ ) d τ {\displaystyle x=\int _{0}^{t-t_{0}}g(\tau )f(t-\tau )d\tau } = 1 2 ∫ 0 t − t 0 ( − e τ + τ e τ + cos τ ) f ( t − τ ) d τ {\displaystyle ={\frac {1}{2}}\int _{0}^{t-t_{0}}(-e^{\tau }+\tau e^{\tau }+\cos \tau )f(t-\tau )d\tau }
♢ {\displaystyle \diamondsuit }
| [
{
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"text": "Laplace 変換を用いて微分方程式を解くとき,初期値は t = 0 {\\displaystyle t=0} で与えられている必要があった. しかし,前節で述べた定常性の原理を用いると, t = t 0 ≠ 0 {\\displaystyle t=t_{0}\\neq 0} で初期値が与えられている場合,すなわち,",
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"text": "式 (3.12) の解は,",
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"text": "の解を y ( t ) {\\displaystyle y(t)} とするとき, y ( t − t 0 ) {\\displaystyle y(t-t_{0})} で与えられる.",
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"text": "証明",
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"text": "式 (3.13) の解を y ( t ) {\\displaystyle y(t)} とする. そうすれば,定常性の原理 IIにより,",
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"text": "は式 (3.12) を満足し,しかも,",
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"text": "となる.",
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"text": "♢ {\\displaystyle \\diamondsuit }",
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"text": "例68 {\\displaystyle \\quad }",
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"text": "となる.この原像は,",
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"text": "ここで, τ + t 0 {\\displaystyle \\tau +t_{0}} を改めて τ {\\displaystyle \\tau } とおくと,",
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"text": "となる.これが求める結果である.",
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"text": "♢ {\\displaystyle \\diamondsuit }",
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"text": "一般的な解放も同様である.式 (3.13) を Laplace 変換すれば,",
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"text": "となる.ここに q ( s ) {\\displaystyle q(s)} は高々 n − 1 {\\displaystyle n-1} 次の s {\\displaystyle s} の多項式である.",
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"text": "の原像を求めるため,",
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"text": "ここで τ + t 0 {\\displaystyle \\tau +t_{0}} を τ {\\displaystyle \\tau } とおくと,",
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"text": "を得る.",
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"text": "原像を求める際,(3.13b) で,",
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"text": "とおいても誤りではない.このとき, y ( t − t 0 ) {\\displaystyle y(t-t_{0})} は,",
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"text": "を直接示せ.",
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"text": "I = ∫ t 0 t g ( t − τ ) f ( τ ) d τ {\\displaystyle I=\\int _{t_{0}}^{t}g(t-\\tau )f(\\tau )d\\tau } にて, θ = t − τ {\\displaystyle \\theta =t-\\tau } とおいて, τ → θ {\\displaystyle \\tau \\to \\theta } の変数変換を行う. τ : t 0 → t {\\displaystyle \\tau :t_{0}\\to t} のとき, θ : t − t 0 → 0 {\\displaystyle \\theta :t-t_{0}\\to 0} ,また τ = t − θ , d θ = − d τ {\\displaystyle \\tau =t-\\theta ,\\quad d\\theta =-d\\tau } . I = − ∫ t − t 0 0 g ( θ ) f ( t − θ ) d θ {\\displaystyle I=-\\int _{t-t_{0}}^{0}g(\\theta )f(t-\\theta )d\\theta } = ∫ 0 t − t 0 g ( θ ) f ( t − θ ) d θ = ∫ 0 t − t 0 g ( τ ) f ( t − τ ) d τ {\\displaystyle =\\int _{0}^{t-t_{0}}g(\\theta )f(t-\\theta )d\\theta =\\int _{0}^{t-t_{0}}g(\\tau )f(t-\\tau )d\\tau } .",
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"text": "例70 {\\displaystyle \\quad }",
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"text": "x ′ + a x = f ( t ) , x ( t 0 ) = x 0 {\\displaystyle x'+ax=f(t),\\quad x(t_{0})=x_{0}} の解は,",
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"text": "または",
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"text": "となることを示せ.",
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"text": "解答例",
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"text": "例 69 と同じ推論で解く.",
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"text": "y ′ + a y = f ( t + t 0 ) , y ( 0 ) = x 0 {\\displaystyle y'+ay=f(t+t_{0}),\\quad y(0)=x_{0}} にて Y ( s ) ⊏ y ( t ) {\\displaystyle Y(s)\\sqsubset y(t)} とおき両辺をラプラス変換すると, s Y − x 0 + a Y = L [ f ( t + t 0 ) ] {\\displaystyle sY-x_{0}+aY={\\mathcal {L}}[f(t+t_{0})]} ( s + a ) Y = x 0 + L [ f ( t + t 0 ) ] {\\displaystyle (s+a)Y=x_{0}+{\\mathcal {L}}[f(t+t_{0})]} Y = x 0 s + a + 1 s + a ⋅ L [ f ( t + t 0 ) ] {\\displaystyle Y={\\frac {x_{0}}{s+a}}+{\\frac {1}{s+a}}\\cdot {\\mathcal {L}}[f(t+t_{0})]} ∴ y ( t ) = x 0 e − a t + e − a t ∗ f ( t + t 0 ) {\\displaystyle \\therefore y(t)=x_{0}e^{-at}+e^{-at}*f(t+t_{0})} ...1",
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},
{
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"text": "1からの展開は二通りある,まず一つは, y = x 0 e − a t + ∫ 0 t e − a ( t − τ ) f ( τ + t 0 ) d τ {\\displaystyle y=x_{0}e^{-at}+\\int _{0}^{t}e^{-a(t-\\tau )}f(\\tau +t_{0})d\\tau } x ( t ) = y ( t − t 0 ) = x 0 e − a ( t − t 0 ) + ∫ 0 t − t 0 e − a ( t − t 0 − τ ) f ( τ + t 0 ) d τ {\\displaystyle x(t)=y(t-t_{0})=x_{0}e^{-a(t-t_{0})}+\\int _{0}^{t-t_{0}}e^{-a(t-t_{0}-\\tau )}f(\\tau +t_{0})d\\tau } t 0 + τ = θ {\\displaystyle t_{0}+\\tau =\\theta } とおいて, τ → θ {\\displaystyle \\tau \\to \\theta } の積分変数変換を行う. このとき d τ = d θ {\\displaystyle d\\tau =d\\theta } , τ : 0 → t − t 0 {\\displaystyle \\tau :0\\to t-t_{0}} のとき θ : t 0 → t {\\displaystyle \\theta :t_{0}\\to t} すなわち, x ( t ) = x 0 e − a ( t − t 0 ) + ∫ t 0 t e − a ( t − θ ) f ( θ ) d θ {\\displaystyle x(t)=x_{0}e^{-a(t-t_{0})}+\\int _{t_{0}}^{t}e^{-a(t-\\theta )}f(\\theta )d\\theta } これが解の表現の一つ.",
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{
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"text": "もう一つは1から, y = x 0 e − a t + ∫ 0 t e − a τ f ( t + t 0 − τ ) d τ {\\displaystyle y=x_{0}e^{-at}+\\int _{0}^{t}e^{-a\\tau }f(t+t_{0}-\\tau )d\\tau } よって x = y ( t − t 0 ) = x 0 e − a ( t − t 0 ) + ∫ 0 t − t 0 e − a τ f ( t − t 0 + t 0 − τ ) d τ {\\displaystyle x=y(t-t_{0})=x_{0}e^{-a(t-t_{0})}+\\int _{0}^{t-t_{0}}e^{-a\\tau }f(t-t_{0}+t_{0}-\\tau )d\\tau } = x 0 e − a ( t − t 0 ) + ∫ 0 t − t 0 e − a τ f ( t − τ ) d τ {\\displaystyle =x_{0}e^{-a(t-t_{0})}+\\int _{0}^{t-t_{0}}e^{-a\\tau }f(t-\\tau )d\\tau }",
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"text": "直前の x ( t ) = x 0 ( t − t 0 ) + ∫ 0 t − t 0 g ( τ ) f ( t − τ ) d τ {\\displaystyle x(t)=x_{0}(t-t_{0})+\\int _{0}^{t-t_{0}}g(\\tau )f(t-\\tau )d\\tau } を使う. t = t 0 {\\displaystyle t=t_{0}} における初期値はすべて 0 {\\displaystyle 0} より過渡解 x 0 {\\displaystyle x_{0}} は 0 {\\displaystyle 0} p ( s ) = s 4 − 2 s 3 + 2 s 2 − 2 s + 1 {\\displaystyle p(s)=s^{4}-2s^{3}+2s^{2}-2s+1} = ( s − 1 ) 2 ( s 2 + 1 ) {\\displaystyle =(s-1)^{2}(s^{2}+1)} 1 p ( s ) = − 1 2 s − 1 + 1 2 ( s − 1 ) 2 + 1 2 s s 2 + 1 {\\displaystyle {\\frac {1}{p(s)}}={\\frac {-{\\frac {1}{2}}}{s-1}}+{\\frac {\\frac {1}{2}}{(s-1)^{2}}}+{\\frac {{\\frac {1}{2}}s}{s^{2}+1}}} 1 p ( s ) ⊏ g {\\displaystyle {\\frac {1}{p(s)}}\\sqsubset g} とおくと, g ( t ) = 1 2 { − e t + t e t + cos t } {\\displaystyle g(t)={\\frac {1}{2}}\\left\\{-e^{t}+te^{t}+\\cos t\\right\\}} x = ∫ 0 t − t 0 g ( τ ) f ( t − τ ) d τ {\\displaystyle x=\\int _{0}^{t-t_{0}}g(\\tau )f(t-\\tau )d\\tau } = 1 2 ∫ 0 t − t 0 ( − e τ + τ e τ + cos τ ) f ( t − τ ) d τ {\\displaystyle ={\\frac {1}{2}}\\int _{0}^{t-t_{0}}(-e^{\\tau }+\\tau e^{\\tau }+\\cos \\tau )f(t-\\tau )d\\tau }",
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"text": "",
"title": ""
},
{
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"tag": "p",
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}
]
| Laplace 変換を用いて微分方程式を解くとき,初期値は t = 0 で与えられている必要があった.
しかし,前節で述べた定常性の原理を用いると, t = t 0 ≠ 0 で初期値が与えられている場合,すなわち, の解法を与えることができる. | [[w:%E3%83%A9%E3%83%97%E3%83%A9%E3%82%B9%E5%A4%89%E6%8F%9B|Laplace 変換]]を用いて微分方程式を解くとき,初期値は <math>t = 0</math> で与えられている必要があった.
しかし,前節で述べた[[制御と振動の数学/第一類/Laplace 変換による解の吟味/線形定常性|定常性の原理]]を用いると,<math>t=t_0 \ne 0</math> で初期値が与えられている場合,すなわち,
{{制御と振動の数学/equation|<math>p(D)x = f(t)</math>}}
{{制御と振動の数学/equation|<math>x(t_0) = \xi_1, x'(t_0) = \xi_2, \cdots, x^{(n-1)}(t_0) = \xi_n</math>|tag=(3.12)|label=eq:3.12}}
の解法を与えることができる.
<div id="theorem:3.3">
<strong>[定理 3.3]</strong>
[[制御と振動の数学/第一類/Laplace 変換による解の吟味/t0≠0で初期値が与えられている場合#eq:3.12|式 (3.12)]] の解は,
{{制御と振動の数学/equation|<math>p(D)y=f(t+t_0)</math>}}
{{制御と振動の数学/equation|<math>y(0)=\xi_1, y'(0)=\xi_2, \cdots, y^{(n-1)}(0)=\xi_n</math>|tag=(3.13)|label=eq:3.13}}
の解を <math>y(t)</math> とするとき,<math>y(t-t_0)</math> で与えられる.
<strong>証明</strong>
[[制御と振動の数学/第一類/Laplace 変換による解の吟味/t0≠0で初期値が与えられている場合#eq:3.13|式 (3.13)]] の解を <math>y(t)</math> とする.
そうすれば,[[制御と振動の数学/第一類/Laplace 変換による解の吟味/線形定常性#stationary:2|定常性の原理 Ⅱ]]により,
{{制御と振動の数学/equation|<math>x(t)=y(t-t_0)</math>}}
は[[制御と振動の数学/第一類/Laplace 変換による解の吟味/t0≠0で初期値が与えられている場合#eq:3.12|式 (3.12)]] を満足し,しかも,
{{制御と振動の数学/equation|<math>x(t_0)=y(0)=\xi_1, \cdots, x^{(n-1)}(t_0)=y^{(n-1)}(0)=\xi_n</math>}}
となる<ref>
<math>y</math> が <math>p(D)x = f(t + t_0)</math> の解,すなわち <math>p(D)y = f(t + t_0)</math> であるならば,
<math>y(t - t_0)</math> は <math>p(D)x = f\{(t + t_0) - t_0\} = f(t)</math> の解である.
</ref>.
<math>\diamondsuit</math>
<!-- theorem:3.3:end-->
<!-- ex:068:start-->
<div id="ex:68">
<strong>例68</strong><math>\quad</math>
{{制御と振動の数学/equation|<math> \frac{d^2x}{dt^2} + \beta^2x = f(x)</math>}}
{{制御と振動の数学/equation|<math> x(t_0) = x'(t_0) = 0</math>}}
を解け.
<strong>解</strong>
{{制御と振動の数学/equation|<math> y'' + \beta^2y = f(t + t_0), \quad y(0) = y'(0) = 0</math>}}
を Laplace 変換すると
{{制御と振動の数学/equation|<math> \mathcal{L}[y] = \frac{\mathcal{L}[ f(t + t_0) ]}{s^2 + \beta^2}</math>}}
となる.この原像は,
{{制御と振動の数学/equation|<math>y(t) = \int_0^t \frac{1}{\beta}\sin\beta(t-\tau)f(\tau + t_0)d\tau</math><ref>
<math>\frac{\mathcal{L}[ f(t + t_0) ]}{s^2 + \beta^2} = \frac{1}{s^2 + \beta^2}\cdot\mathcal{L}[ f(t + t_0) ] \sqsubset \frac{1}{\beta}\sin\beta t * f(t+t_0)</math>
</ref>}}
{{制御と振動の数学/equation|<math>y(t-t_0) = \int_0^{t-t_0} \frac{1}{\beta}(t-t_0-\tau)f(\tau+t_0)d\tau</math>}}
ここで,<math>\tau+t_0</math> を改めて <math>\tau</math> とおくと<ref>
したがって置き換える前の <math>\tau</math> について,<math>\tau : 0 \to t-t_0</math> のとき,<math>\tau+t_0 : t_0 \to t</math><br />
</ref>,
{{制御と振動の数学/equation|<math>x(t)=y(t-t_0) = \int_{t_0}^t \frac{1}{\beta}(t-\tau)f(\tau)d\tau</math>}}
となる.これが求める結果である.
<math>\diamondsuit</math>
<!-- ex:068:end-->
一般的な解放も同様である.式 [[制御と振動の数学/第一類/Laplace 変換による解の吟味/t0≠0で初期値が与えられている場合#eq:3.13|(3.13)]] を Laplace 変換すれば,
{{制御と振動の数学/equation|<math>p(s)\mathcal{L}[y] = q(s) + \mathcal{L}[f(t+ t_0)]</math><ref>
<math>q(s)</math> は過渡解.</ref>}}
となる.ここに <math>q(s)</math> は高々 <math>n-1</math> 次の <math>s</math> の多項式である.
{{制御と振動の数学/equation|<math>\mathcal{L}[y] = \frac{q(s)}{p(s)} + \frac{\mathcal{L}[f(t + t_0)]}{p(s)}</math>}}
の原像を求めるため,
{{制御と振動の数学/equation|<math>\frac{q(s)}{p(s)} \sqsubset x_0(t), \quad \frac{1}{p(s)} \sqsubset g(t)</math>}}
とおけば,
{{制御と振動の数学/equation|<math>y(t) = x_0(t) + \int_0^t g(t-\tau)f(\tau + t_0)d\tau</math>|tag=(3.13b)|label=eq:3.13b}}
{{制御と振動の数学/equation|<math>\therefore x(t) = y(t-t_0) = x_0(t-t_0) + \int_0^{t-t_0} g(t-t_0-\tau)f(\tau+t_0)d\tau</math>}}
ここで <math>\tau+t_0</math> を <math>\tau</math> とおくと,
{{制御と振動の数学/equation|<math>x(t) = x_0(t-t_0) + \int_{t_0}^t g(t-\tau)f(\tau)d\tau</math><ref><math>g(t-t_o-\tau) = g(t - (t_0 + \tau))</math>,<math>t_0 + \tau</math> を <math>\tau</math> とおき直せばこれは <math>g(t - \tau)</math></ref>}}
を得る.
原像を求める際,[[制御と振動の数学/第一類/Laplace 変換による解の吟味/t0≠0で初期値が与えられている場合#eq:3.13b|(3.13b)]] で,
{{制御と振動の数学/equation|<math>y(t) = x_0(t) + \int_0^t g(\tau)f(t+t_0-\tau)d\tau</math><ref><math>g*f = f*g</math>,すなわち <math>\int g(t-\tau)f(\tau)d\tau = \int g(\tau)f(t-\tau)d\tau</math>.
[[制御と振動の数学/第一類/Laplace 変換/Laplace 変換の定義とその基本的性質/合成積の Laplace 変換#ex:19|例 19 ]]を参照.
</ref>}}
とおいても誤りではない.このとき,<math>y(t-t_0)</math> は,
{{制御と振動の数学/equation|<math>x(t)=y(t-t_0) = x_0(t-t_0) + \int_0^{t-t_0} g(\tau)f(t-\tau)d\tau</math>}}
となる.
<math>\diamondsuit</math>
<!-- ex:069:start-->
<div id="ex:69">
<strong>例69</strong><math>\quad</math>
{{制御と振動の数学/equation|<math>\int_{t_0}^t g(t-\tau)f(\tau)d\tau = \int_0^{t-t_0} g(\tau)f(t-\tau)d\tau</math>}}
を直接示せ.
<strong>解答例</strong>
<math>I = \int_{t_0}^t g(t-\tau)f(\tau)d\tau</math><br />
にて,<math>\theta = t-\tau</math> とおいて,<math>\tau \to \theta</math> の変数変換を行う.<br />
<math>\tau : t_0 \to t</math> のとき,<math>\theta : t-t_0 \to 0</math>,また <math>\tau = t - \theta, \quad d\theta = -d\tau</math>.<br />
<math>I = -\int_{t-t_0}^0 g(\theta)f(t-\theta)d\theta</math><br />
<math>= \int_0^{t-t_0} g(\theta)f(t-\theta)d\theta = \int_0^{t-t_0} g(\tau)f(t-\tau)d\tau</math>.
<math>\diamondsuit</math>
<!-- ex:069:end-->
<!-- ex:070:start-->
<div id="ex:70">
<strong>例70</strong><math>\quad</math>
<math>x' + ax = f(t), \quad x(t_0) = x_0</math> の解は,
{{制御と振動の数学/equation|<math>x(t) = e^{-a(t-t_0)}x_0 + \int_{t_0}^t e^{-a(t-\tau)}f(\tau)d\tau</math>}}
または
{{制御と振動の数学/equation|<math>x(t) = e^{-a(t-t_0)}x_0 + \int_0^{t-t_0} e^{-a\tau}f(t-\tau)d\tau</math>}}
となることを示せ.
<strong>解答例</strong>
[[制御と振動の数学/第一類/Laplace 変換による解の吟味/t0≠0で初期値が与えられている場合#ex:69|例 69]] と同じ推論で解く.
<math>y' + ay = f(t + t_0), \quad y(0) = x_0</math> にて <br />
<math>Y(s) \sqsubset y(t)</math> とおき両辺をラプラス変換すると,<br />
<math>sY - x_0 + aY = \mathcal{L}[f(t + t_0)]</math><br />
<math>(s + a)Y = x_0 + \mathcal{L}[f(t + t_0)]</math><br />
<math>Y = \frac{x_0}{s + a} + \frac{1}{s + a}\cdot\mathcal{L}[f(t + t_0)]</math><br />
<math>\therefore y(t) = x_0e^{-at} + e^{-at}*f(t + t_0)</math>…①<br />
①からの展開は二通りある,まず一つは,<br />
<math>y = x_0e^{-at} + \int_0^t e^{-a(t-\tau)}f(\tau + t_0)d\tau</math><br />
<math>x(t) = y(t-t_0) = x_0e^{-a(t-t_0)} + \int_0^{t-t_0} e^{-a(t-t_0-\tau)}f(\tau + t_0)d\tau</math><br />
<math>t_0+\tau = \theta</math> とおいて,<math>\tau \to \theta</math> の積分変数変換を行う.<br />
このとき <math>d\tau = d\theta</math>,<math>\tau : 0 \to t-t_0</math> のとき <math>\theta : t_0 \to t</math><br />
すなわち,<math>x(t) = x_0e^{-a(t-t_0)} + \int_{t_0}^t e^{-a(t-\theta)}f(\theta)d\theta</math><br />
これが解の表現の一つ.<br />
もう一つは①から,
<math>y = x_0e^{-at} + \int_0^t e^{-a\tau}f(t+t_0-\tau)d\tau</math><br />
よって <math>x = y(t - t_0) = x_0e^{-a(t-t_0)} + \int_0^{t-t_0} e^{-a\tau}f(t-t_0 + t_0-\tau)d\tau</math><br />
<math>= x_0e^{-a(t-t_0)} + \int_0^{t-t_0} e^{-a\tau}f(t-\tau)d\tau</math><br />
<math>\diamondsuit</math>
<!-- ex:070:end-->
<!-- ex:071:start-->
<div id="ex:71">
<strong>例71</strong><math>\quad</math>
{{制御と振動の数学/equation|<math>x^{(4)} - 2x^{(3)} + 2x'' -2x' + x = f(x)</math>}}
{{制御と振動の数学/equation|<math>x(t_0) = x'(t_0) = x''(t_0) = x^{(3)}(t_0) = 0</math>}}
を解け.
<strong>解答例</strong>
直前の <math>x(t) = x_0(t-t_0) + \int_0^{t-t_0}g(\tau)f(t-\tau)d\tau</math> を使う.
<math>t = t_0</math> における初期値はすべて <math>0</math> より過渡解 <math>x_0</math> は <math>0</math><br />
<math>p(s) = s^4-2s^3+2s^2-2s+1</math><br />
<math>= (s-1)^2(s^2 + 1)</math><br />
<math>\frac{1}{p(s)} = \frac{-\frac{1}{2}}{s-1} + \frac{\frac{1}{2}}{(s-1)^2}+\frac{\frac{1}{2}s}{s^2+1}</math><br />
<math>\frac{1}{p(s)} \sqsubset g</math> とおくと,<math>g(t) = \frac{1}{2} \left\{ -e^t + te^t + \cos t \right\}</math><br />
<math>x = \int_0^{t-t_0}g(\tau)f(t-\tau)d\tau</math><br />
<math>= \frac{1}{2}\int_0^{t-t_0}(-e^{\tau} + \tau e^{\tau} + \cos\tau)f(t-\tau)d\tau</math><br />
<math>\diamondsuit</math>
<!-- ex:071:end-->
<references />
[[カテゴリ:ラプラス変換]] | null | 2022-11-23T14:26:13Z | [
"テンプレート:制御と振動の数学/equation"
]
| https://ja.wikibooks.org/wiki/%E5%88%B6%E5%BE%A1%E3%81%A8%E6%8C%AF%E5%8B%95%E3%81%AE%E6%95%B0%E5%AD%A6/%E7%AC%AC%E4%B8%80%E9%A1%9E/Laplace_%E5%A4%89%E6%8F%9B%E3%81%AB%E3%82%88%E3%82%8B%E8%A7%A3%E3%81%AE%E5%90%9F%E5%91%B3/t0%E2%89%A00%E3%81%A7%E5%88%9D%E6%9C%9F%E5%80%A4%E3%81%8C%E4%B8%8E%E3%81%88%E3%82%89%E3%82%8C%E3%81%A6%E3%81%84%E3%82%8B%E5%A0%B4%E5%90%88 |
26,390 | 中学受験社会/公民/財政 | 国の1年間の収入(歳入)と支出(歳出)を見積もったものを 予算 といいます。日本の予算では、4月1日から翌年の3月31日を1年間としています。予算は年々高額になっており、2019年には100兆円を突破しました。2020年度の予算は、約105兆円となっています。予算案は内閣が作成し、国会で議決されます。
所得が高いほど金額が高くなります(累進課税)。所得税、法人税、相続税などがあります。戦後には間接税より直接税のほうが大きくなっています。基本的人権の尊重という考え方が定着したためです。
だれでも同じ金額を支払います。ですから、所得の低い人ほど負担の割合が大きくなります。消費税・関税・酒税などがあります。 | [
{
"paragraph_id": 0,
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"text": "国の1年間の収入(歳入)と支出(歳出)を見積もったものを 予算 といいます。日本の予算では、4月1日から翌年の3月31日を1年間としています。予算は年々高額になっており、2019年には100兆円を突破しました。2020年度の予算は、約105兆円となっています。予算案は内閣が作成し、国会で議決されます。",
"title": "国の予算"
},
{
"paragraph_id": 1,
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"text": "所得が高いほど金額が高くなります(累進課税)。所得税、法人税、相続税などがあります。戦後には間接税より直接税のほうが大きくなっています。基本的人権の尊重という考え方が定着したためです。",
"title": "税の種類"
},
{
"paragraph_id": 2,
"tag": "p",
"text": "だれでも同じ金額を支払います。ですから、所得の低い人ほど負担の割合が大きくなります。消費税・関税・酒税などがあります。",
"title": "税の種類"
}
]
| null | == 国の予算 ==
国の1年間の収入(歳入)と支出(歳出)を見積もったものを '''予算''' といいます。日本の予算では、4月1日から翌年の3月31日を1年間としています。予算は年々高額になっており、2019年には100兆円を突破しました。2020年度の予算は、約105兆円となっています。予算案は内閣が作成し、国会で議決されます。
:また、国が国民から借りた資金を 国債 といいます。
== 税の種類 ==
=== 直接税 ===
所得が高いほど金額が高くなります(累進課税)。所得税、法人税、相続税などがあります。戦後には間接税より直接税のほうが大きくなっています。基本的人権の尊重という考え方が定着したためです。
=== 間接税 ===
だれでも同じ金額を支払います。ですから、所得の低い人ほど負担の割合が大きくなります。消費税・関税・酒税などがあります。
[[カテゴリ:中学受験社会]] | null | 2022-11-25T08:55:40Z | []
| https://ja.wikibooks.org/wiki/%E4%B8%AD%E5%AD%A6%E5%8F%97%E9%A8%93%E7%A4%BE%E4%BC%9A/%E5%85%AC%E6%B0%91/%E8%B2%A1%E6%94%BF |
26,398 | 制御と振動の数学/第一類/Laplace 変換による解の吟味/初期値問題の解の一意性 | ここでは,初期値問題の解が唯一つしかないことを証明しておこう. そうすれば Laplace 変換を用いて求めたもの以外には解がないので安心である. 簡単な場合から順を追って説明する. | [
{
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"text": "ここでは,初期値問題の解が唯一つしかないことを証明しておこう. そうすれば Laplace 変換を用いて求めたもの以外には解がないので安心である. 簡単な場合から順を追って説明する.",
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}
]
| ここでは,初期値問題の解が唯一つしかないことを証明しておこう.
そうすれば Laplace 変換を用いて求めたもの以外には解がないので安心である.
簡単な場合から順を追って説明する. 1 階線形微分方程式の場合
単振動の方程式の場合
三角関数の加法定理
一般の 2 階の微分方程式の場合 | ここでは,初期値問題の解が唯一つしかないことを証明しておこう.
そうすれば [[w:%E3%83%A9%E3%83%97%E3%83%A9%E3%82%B9%E5%A4%89%E6%8F%9B|Laplace 変換]]を用いて求めたもの以外には解がないので安心である.
簡単な場合から順を追って説明する.
*[[制御と振動の数学/第一類/Laplace 変換による解の吟味/初期値問題の解の一意性/1 階線形微分方程式の場合|1 階線形微分方程式の場合]]
*[[制御と振動の数学/第一類/Laplace 変換による解の吟味/初期値問題の解の一意性/単振動の方程式の場合|単振動の方程式の場合]]
*[[制御と振動の数学/第一類/Laplace 変換による解の吟味/初期値問題の解の一意性/三角関数の加法定理|三角関数の加法定理]]
*[[制御と振動の数学/第一類/Laplace 変換による解の吟味/初期値問題の解の一意性/一般の 2 階の微分方程式の場合|一般の 2 階の微分方程式の場合]]
[[カテゴリ:ラプラス変換]] | null | 2022-11-23T14:26:31Z | []
| https://ja.wikibooks.org/wiki/%E5%88%B6%E5%BE%A1%E3%81%A8%E6%8C%AF%E5%8B%95%E3%81%AE%E6%95%B0%E5%AD%A6/%E7%AC%AC%E4%B8%80%E9%A1%9E/Laplace_%E5%A4%89%E6%8F%9B%E3%81%AB%E3%82%88%E3%82%8B%E8%A7%A3%E3%81%AE%E5%90%9F%E5%91%B3/%E5%88%9D%E6%9C%9F%E5%80%A4%E5%95%8F%E9%A1%8C%E3%81%AE%E8%A7%A3%E3%81%AE%E4%B8%80%E6%84%8F%E6%80%A7 |
26,399 | 制御と振動の数学/第一類/Laplace 変換による解の吟味/初期値問題の解の一意性/1 階線形微分方程式の場合 | の解が二つあると仮定し,それらを φ 1 ( t ) , φ 2 ( t ) {\displaystyle \varphi _{1}(t),\varphi _{2}(t)} とする.
であるから,
とおくと,これは
を満たす. u ( t ) ≡ 0 {\displaystyle u(t)\equiv 0} を示せばよい.上式の両辺に e a t {\displaystyle e^{at}} をかけると,
となる.これを t 0 {\displaystyle t_{0}} から t {\displaystyle t} まで積分すると, u ( t 0 ) = 0 {\displaystyle u(t_{0})=0} であるから,
を得る. | [
{
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"tag": "p",
"text": "の解が二つあると仮定し,それらを φ 1 ( t ) , φ 2 ( t ) {\\displaystyle \\varphi _{1}(t),\\varphi _{2}(t)} とする.",
"title": ""
},
{
"paragraph_id": 1,
"tag": "p",
"text": "であるから,",
"title": ""
},
{
"paragraph_id": 2,
"tag": "p",
"text": "とおくと,これは",
"title": ""
},
{
"paragraph_id": 3,
"tag": "p",
"text": "を満たす. u ( t ) ≡ 0 {\\displaystyle u(t)\\equiv 0} を示せばよい.上式の両辺に e a t {\\displaystyle e^{at}} をかけると,",
"title": ""
},
{
"paragraph_id": 4,
"tag": "p",
"text": "となる.これを t 0 {\\displaystyle t_{0}} から t {\\displaystyle t} まで積分すると, u ( t 0 ) = 0 {\\displaystyle u(t_{0})=0} であるから,",
"title": ""
},
{
"paragraph_id": 5,
"tag": "p",
"text": "を得る.",
"title": ""
}
]
| の解が二つあると仮定し,それらを φ 1 , φ 2 とする. であるから, とおくと,これは を満たす. u ≡ 0 を示せばよい.上式の両辺に e a t をかけると, となる.これを t 0 から t まで積分すると, u = 0 であるから, を得る. ↑ ↑ | {{制御と振動の数学/equation|<math>\frac{dx}{dt} + ax = f(x), \quad x(t_0) = x_0</math>}}
の解が二つあると仮定し,それらを <math>\varphi_1(t), \varphi_2(t)</math> とする.
{{制御と振動の数学/equation|<math>\frac{d\varphi_1(t)}{dt} + a\varphi_1(t) \equiv f(x), \quad \varphi_1(t_0) = x_0</math>}}
{{制御と振動の数学/equation|<math>\frac{d\varphi_2(t)}{dt} + a\varphi_2(t) \equiv f(x), \quad \varphi_2(t_0) = x_0</math>}}
であるから,
{{制御と振動の数学/equation|<math>u(t) := \varphi_1(t) - \varphi_2(t)</math>}}
とおくと,これは
{{制御と振動の数学/equation|<math>\frac{du}{dt} + au(t) \equiv 0, \quad u(t_0) = 0</math>}}
を満たす.<math>u(t) \equiv 0</math> を示せばよい.上式の両辺に <math>e^{at}</math> をかけると,
{{制御と振動の数学/equation|<math>e^{at}\frac{du}{dt} + e^{at}\cdot au(t) = \frac{d}{dt}\left\{e^{at}u(t)\right\} \equiv 0</math>|tag=(3.13c)|label=eq:3.13c}}
となる.これを <math>t_0</math> から <math>t</math> まで積分すると,<math>u(t_0) = 0</math> であるから,
{{制御と振動の数学/equation|<math>e^{at}u(t) \equiv 0, \quad \therefore u(t) \equiv 0</math>}}
を得る<ref>
[[制御と振動の数学/第一類/Laplace 変換による解の吟味/初期値問題の解の一意性/1 階線形微分方程式の場合#eq:3.13c|式 (3.13c)]]の左辺は <math>\int_{t_0}^t \frac{d}{dt}e^{at}u(t) dt = \bigg[ e^{at}u(t) \bigg]_{t_0}^t = e^{at}u(t) - e^{at_0}u(t_0) = e^{at}u(t) \quad (\because u(t_0) = 0)</math><br />
右辺は,<math>0</math> を <math>t_0</math> から <math>t</math> まで積分すると,これは定積分だから <math>\bigg[C\bigg]_{t_0}^t = 0</math><br />
すなわち <math>e^{at}u(t) \equiv 0</math><br />
よって <math>u(0) \equiv 0</math>.<br />
</ref><ref>
普通に <math>\frac{du}{dt} + au = 0</math> を解くことも可能であるが,現時点ではこの形での解の一意性は証明していないのだから,別に一意性の証明が必要になると解釈する.</ref>.
[[カテゴリ:ラプラス変換]] | null | 2022-11-23T14:26:37Z | [
"テンプレート:制御と振動の数学/equation"
]
| https://ja.wikibooks.org/wiki/%E5%88%B6%E5%BE%A1%E3%81%A8%E6%8C%AF%E5%8B%95%E3%81%AE%E6%95%B0%E5%AD%A6/%E7%AC%AC%E4%B8%80%E9%A1%9E/Laplace_%E5%A4%89%E6%8F%9B%E3%81%AB%E3%82%88%E3%82%8B%E8%A7%A3%E3%81%AE%E5%90%9F%E5%91%B3/%E5%88%9D%E6%9C%9F%E5%80%A4%E5%95%8F%E9%A1%8C%E3%81%AE%E8%A7%A3%E3%81%AE%E4%B8%80%E6%84%8F%E6%80%A7/1_%E9%9A%8E%E7%B7%9A%E5%BD%A2%E5%BE%AE%E5%88%86%E6%96%B9%E7%A8%8B%E5%BC%8F%E3%81%AE%E5%A0%B4%E5%90%88 |
26,400 | 制御と振動の数学/第一類/Laplace 変換による解の吟味/初期値問題の解の一意性/単振動の方程式の場合 | の解の一意性を示すのは簡単である. m > 0 , k > 0 {\displaystyle m>0,k>0} である.前項と同様に考えて,
の解が x ≡ 0 {\displaystyle x\equiv 0} に限ることをいえばよい.いまこの系のエネルギーを考える:
これが保存されることは物理的にみて明らかである.事実,微分すると,
式 (3.14) を考慮すると,
となる.よって
を得,再び式 (3.14) の初期条件を思い起こすと, E ( t 0 ) = 0 {\displaystyle E(t_{0})=0} であることが分かる. すなわち,
この技法をエネルギーの方法といい,偏微分方程式の解の一意性を示す場合などにも使われる.
| [
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"text": "の解の一意性を示すのは簡単である. m > 0 , k > 0 {\\displaystyle m>0,k>0} である.前項と同様に考えて,",
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"text": "の解が x ≡ 0 {\\displaystyle x\\equiv 0} に限ることをいえばよい.いまこの系のエネルギーを考える:",
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{
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"text": "式 (3.14) を考慮すると,",
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},
{
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"text": "となる.よって",
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"text": "を得,再び式 (3.14) の初期条件を思い起こすと, E ( t 0 ) = 0 {\\displaystyle E(t_{0})=0} であることが分かる. すなわち,",
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"text": "この技法をエネルギーの方法といい,偏微分方程式の解の一意性を示す場合などにも使われる.",
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{
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"text": "",
"title": ""
}
]
| の解の一意性を示すのは簡単である. m > 0 , k > 0 である.前項と同様に考えて, の解が x ≡ 0 に限ることをいえばよい.いまこの系のエネルギーを考える: これが保存されることは物理的にみて明らかである.事実,微分すると, 式 (3.14) を考慮すると, となる.よって を得,再び式 (3.14) の初期条件を思い起こすと, E = 0 であることが分かる.
すなわち, この技法をエネルギーの方法といい,偏微分方程式の解の一意性を示す場合などにも使われる. ↑ ↑ ↑ ↑ | {{制御と振動の数学/equation|<math>m\frac{d^2x}{dt^2} + kx = f(t)</math>}}
{{制御と振動の数学/equation|<math>x(t_0) = x_0, \quad x'(t_0) = v_0</math>}}
の解の一意性を示すのは簡単である.<math>m > 0, k > 0</math> である.[[制御と振動の数学/第一類/Laplace 変換による解の吟味/初期値問題の解の一意性/1 階線形微分方程式の場合|前項]]と同様に考えて,
{{制御と振動の数学/equation|<math>m\frac{d^2x}{dt^2} + kx = 0</math>}}
{{制御と振動の数学/equation|<math>x(t_0) = x'(t_0) = 0</math>|tag=(3.14)|label=eq:3.14}}
の解が <math>x \equiv 0</math> に限ることをいえばよい.いまこの系のエネルギーを考える:
{{制御と振動の数学/equation|<math>E(t) = \frac{1}{2}mx'^2 + \frac{1}{2}kx^2</math>}}
これが保存されることは物理的にみて明らか<ref>
エネルギー保存則が実際成立することは次の式変形で示される.
ばね定数 <math>k</math>,自然長からの変位が <math>x</math> であるバネの保有するエネルギーは <math>\frac{1}{2}kx^2</math>.
</ref>である.事実,微分すると,
{{制御と振動の数学/equation|<math>\frac{dE}{dt} = mx'x'' + kxx'</math>}}
[[制御と振動の数学/第一類/Laplace 変換による解の吟味/初期値問題の解の一意性/単振動の方程式の場合#eq:3.14|式 (3.14) ]]を考慮すると,
{{制御と振動の数学/equation|<math>\frac{dE}{dt} = x'(-kx) + kxx' = 0</math><ref>
<math>m\frac{d^2x}{dt^2} + kx = 0</math> より <math>mx'' = -kx</math>.
</ref>}}
となる.よって
{{制御と振動の数学/equation|<math>E(t) = const. = E(t_0)</math>}}
を得,再び[[制御と振動の数学/第一類/Laplace 変換による解の吟味/初期値問題の解の一意性/単振動の方程式の場合#eq:3.14|式 (3.14) ]]の初期条件を思い起こすと,
<math>E(t_0) = 0</math> であることが分かる<ref>
<math>E(t) = E(t_0) = \frac{1}{2}m\{x'(t_0)^2\} + \frac{1}{2}k\{x(t_0)\}^2 = 0</math>
</ref>.
すなわち,
{{制御と振動の数学/equation|<math>E(t) = \frac{1}{2}m\{x'(t)\}^2 + \frac{1}{2}k\{x(t)\}^2 \equiv 0</math>}}
{{制御と振動の数学/equation|<math>\therefore x(t) \equiv 0</math><ref>
すなわち,
<math>\frac{1}{2}m\{x'(t)\}^2 = -\frac{1}{2}k\{x(t)\}^2</math><br />
<math>x'(t) = \pm\sqrt{\frac{k}{m}}x(t)</math><br />
<math>x' = \alpha x</math><br />
この解は<math> x = Ce^{\alpha x}, \quad -\infty < \alpha < \infty</math><br />
<math>x(t_0) = 0</math> より <math>x(t_0) = Ce^{-\alpha t_0} = 0 \therefore C = 0 \therefore x \equiv 0</math>.
</ref>}}
この技法をエネルギーの方法といい,偏微分方程式の解の一意性を示す場合などにも使われる.
<references />
[[カテゴリ:ラプラス変換]] | null | 2022-11-23T14:26:53Z | [
"テンプレート:制御と振動の数学/equation"
]
| https://ja.wikibooks.org/wiki/%E5%88%B6%E5%BE%A1%E3%81%A8%E6%8C%AF%E5%8B%95%E3%81%AE%E6%95%B0%E5%AD%A6/%E7%AC%AC%E4%B8%80%E9%A1%9E/Laplace_%E5%A4%89%E6%8F%9B%E3%81%AB%E3%82%88%E3%82%8B%E8%A7%A3%E3%81%AE%E5%90%9F%E5%91%B3/%E5%88%9D%E6%9C%9F%E5%80%A4%E5%95%8F%E9%A1%8C%E3%81%AE%E8%A7%A3%E3%81%AE%E4%B8%80%E6%84%8F%E6%80%A7/%E5%8D%98%E6%8C%AF%E5%8B%95%E3%81%AE%E6%96%B9%E7%A8%8B%E5%BC%8F%E3%81%AE%E5%A0%B4%E5%90%88 |
26,405 | 中学受験社会/資料出典・参考文献一覧 |
(順不同) | [
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<!-- このページには導入部がありません。適切な導入部を作成し、このコメントを除去してください。 -->
== 一覧 ==
(順不同)
* 総務省統計局
* 国際復興開発銀行(世界銀行・IBRD)
* 国税庁
* 国土交通省
* 農林水産省
* アメリカ合衆国政府統計関係機関(FEDSTATES)
* 中国国家統計局
* 全国地球温暖化防止活動推進センター(JCCCA)
* 気象庁
[[Category:社会|ちゆうかくしゆけんしゆつてん]]
[[Category:中学受験参考書|しゆつてん]]
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26,414 | 制御と振動の数学/第一類/Laplace 変換による解の吟味/初期値問題の解の一意性/三角関数の加法定理 | 解の一意性の応用として,三角関数の加法定理の証明を紹介しよう. x ( t ) = sin ( t + α ) {\displaystyle x(t)=\sin(t+\alpha )} は,
の解であり,その初期値は,
である.この解は一つしかない.いま式 (3.15) , 式 (3.16) を満たす解を Laplace 変換で求めてみよう.
この原像は,
である.よって解の一意性から,
を得る.
例72 {\displaystyle \quad }
例にならって e t , cos t {\displaystyle e^{t},\cos t} の加法定理を導け.
解答例
x ( t ) = e t {\displaystyle x(t)=e^{t}} は d x d t − x = 0 {\displaystyle {\frac {dx}{dt}}-x=0} ...1 の解. よって定常性の原理より x ( t + α ) = e t + α {\displaystyle x(t+\alpha )=e^{t+\alpha }} も1の解であり,この解の1における初期値は x ( 0 ) = e α {\displaystyle x(0)=e^{\alpha }} ...2 12の微分方程式を解く. X ⊏ x {\displaystyle X\sqsubset x} とおくと, s X − e α − X = 0 {\displaystyle sX-e^{\alpha }-X=0} ∴ X = e α s − 1 {\displaystyle \therefore X={\frac {e^{\alpha }}{s-1}}} この原像は, x = e α e t {\displaystyle x=e^{\alpha }e^{t}} ...3 解の一意性より、12の特殊解は3のみであるから, e t + α = e t e α {\displaystyle e^{t+\alpha }=e^{t}e^{\alpha }} .
x = cos t {\displaystyle x=\cos t} は d 2 x d t 2 + x = 0 {\displaystyle {\frac {d^{2}x}{dt^{2}}}+x=0} ...4 の解 よって定常性の原理より cos ( t + α ) {\displaystyle \cos(t+\alpha )} も4の解であり,この解の4における初期値は x ( 0 ) = cos α , x ′ ( 0 ) = − sin α {\displaystyle x(0)=\cos \alpha ,x'(0)=-\sin \alpha } ...5 45の微分方程式を解く. X ⊏ x {\displaystyle X\sqsubset x} とおくと, s 2 S − s cos α + sin α + sin α + X = 0 {\displaystyle s^{2}S-s\cos \alpha +\sin \alpha +\sin \alpha +X=0} ∴ X = s s 2 + 1 cos α − 1 s 2 + 1 sin α {\displaystyle \therefore X={\frac {s}{s^{2}+1}}\cos \alpha -{\frac {1}{s^{2}+1}}\sin \alpha } この原像は, x = cos t cos α − sin t sin α {\displaystyle x=\cos t\cos \alpha -\sin t\sin \alpha } ...6 解の一意性より,45の特殊解は6のみであるから, cos ( t + α ) = cos t cos α − sin t sin α {\displaystyle \cos(t+\alpha )=\cos t\cos \alpha -\sin t\sin \alpha }
♢ {\displaystyle \diamondsuit }
| [
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| 解の一意性の応用として,三角関数の加法定理の証明を紹介しよう. x = sin は, の解であり,その初期値は, である.この解は一つしかない.いま式 (3.15),
式 (3.16) を満たす解を
Laplace 変換で求めてみよう. この原像は, である.よって解の一意性から, を得る. | 解の一意性の応用として,三角関数の加法定理の証明を紹介しよう.
<math>x(t) = \sin(t + \alpha)</math> は,
{{制御と振動の数学/equation|<math>\frac{d^2x}{dt^2} + x = 0</math>|tag=(3.15)|label=eq:3.15}}
の解であり,その初期値は,
{{制御と振動の数学/equation|<math>x(0)=\sin\alpha, \quad x'(0)=\cos\alpha</math>|tag=(3.16)|label=eq:3.16}}
である<ref>
なぜなら <math>x(t) = \sin(t+\alpha)</math> より <math>x'(t)=\cos(t+\alpha)</math> だから <math>t=0</math> を両者に代入して <math>x(0)=\sin\alpha, \ \ x'(0)=\cos\alpha</math><br />
</ref>.この解は一つしかない.いま[[制御と振動の数学/第一類/Laplace 変換による解の吟味/初期値問題の解の一意性/三角関数の加法定理#eq:3.15|式 (3.15) ]],
[[制御と振動の数学/第一類/Laplace 変換による解の吟味/初期値問題の解の一意性/三角関数の加法定理#eq:3.16|式 (3.16) ]]を満たす解を
[[w:%E3%83%A9%E3%83%97%E3%83%A9%E3%82%B9%E5%A4%89%E6%8F%9B|Laplace 変換]]で求めてみよう.
{{制御と振動の数学/equation|<math>s^2\mathcal{L}[x] - s\sin\alpha - \cos\alpha + \mathcal{L}[x] = 0</math>}}
{{制御と振動の数学/equation|<math>\therefore \mathcal{L}[x] = \frac{1}{s^2 + 1}\cos\alpha + \frac{s}{s^2 + 1}\sin\alpha</math>}}
この原像は,
{{制御と振動の数学/equation|<math>x(t)=\sin t\cos\alpha + \cos t\sin\alpha</math>}}
である.よって解の一意性から,
{{制御と振動の数学/equation|<math>\sin(t + \alpha) = \sin t\cos\alpha + \cos t\sin\alpha</math>}}
を得る.
<!-- ex:072:start-->
<div id="ex:72">
<strong>例72</strong><math>\quad</math>
例にならって <math>e^t, \cos t</math> の加法定理を導け.
<strong>解答例</strong>
<math>x(t) = e^t</math> は <math>\frac{dx}{dt} - x = 0</math>…① の解.<br />
よって定常性の原理より <math>x(t+\alpha)=e^{t+\alpha}</math> も①の解であり,この解の①における初期値は <math>x(0) = e^{\alpha}</math>…②<br />
①②の微分方程式を解く.<math>X \sqsubset x</math> とおくと,<br />
<math>sX-e^{\alpha} - X= 0</math><br />
<math>\therefore X = \frac{e^{\alpha}}{s-1}</math><br />
この原像は,<br />
<math>x = e^{\alpha}e^t</math>…③<br />
解の一意性より、①②の特殊解は③のみであるから,<br />
<math>e^{t+\alpha} = e^te^{\alpha}</math>.<br />
<math>x=\cos t</math> は <math>\frac{d^2x}{dt^2} + x = 0</math> …④ の解<br />
よって定常性の原理より <math>\cos(t+\alpha)</math> も④の解であり,この解の④における初期値は <math>x(0) = \cos\alpha, x'(0) = -\sin\alpha</math>…⑤<br />
④⑤の微分方程式を解く.<math>X \sqsubset x</math> とおくと,<br />
<math>s^2S-s\cos\alpha+\sin\alpha + \sin\alpha + X = 0</math><br />
<math>\therefore X = \frac{s}{s^2 + 1}\cos\alpha - \frac{1}{s^2+1}\sin\alpha</math><br />
この原像は,<br />
<math>x = \cos t\cos\alpha - \sin t\sin\alpha</math>…⑥<br />
解の一意性より,④⑤の特殊解は⑥のみであるから,<br />
<math>\cos(t+\alpha) = \cos t\cos\alpha - \sin t\sin\alpha</math><br >
<math>\diamondsuit</math>
<!-- ex:072:end-->
<references />
[[カテゴリ:ラプラス変換]] | null | 2022-11-23T14:26:50Z | [
"テンプレート:制御と振動の数学/equation"
]
| https://ja.wikibooks.org/wiki/%E5%88%B6%E5%BE%A1%E3%81%A8%E6%8C%AF%E5%8B%95%E3%81%AE%E6%95%B0%E5%AD%A6/%E7%AC%AC%E4%B8%80%E9%A1%9E/Laplace_%E5%A4%89%E6%8F%9B%E3%81%AB%E3%82%88%E3%82%8B%E8%A7%A3%E3%81%AE%E5%90%9F%E5%91%B3/%E5%88%9D%E6%9C%9F%E5%80%A4%E5%95%8F%E9%A1%8C%E3%81%AE%E8%A7%A3%E3%81%AE%E4%B8%80%E6%84%8F%E6%80%A7/%E4%B8%89%E8%A7%92%E9%96%A2%E6%95%B0%E3%81%AE%E5%8A%A0%E6%B3%95%E5%AE%9A%E7%90%86 |
26,416 | 制御と振動の数学/第一類/Laplace 変換による解の吟味/初期値問題の解の一意性/一般の 2 階の微分方程式の場合 | の解が一意であることを示すには,前と同様にして,
の解が x ( t ) ≡ 0 {\displaystyle x(t)\equiv 0} に限ることを示せばよい.そのために,
とおいて, u ( t ) ≡ 0 {\displaystyle u(t)\equiv 0} を示そう. 式 (3.17) に示したように,初期値は 0 {\displaystyle 0} であるから,
が成り立つ.これを用いて u ( t ) {\displaystyle u(t)} を計算する. K := m a x { | a | , | b | } {\displaystyle K:=\mathrm {max} \{|a|,|b|\}} とおくと,
と変形できるから,
を得る. 式 (3.18) の両辺に e − ( 1 + K ) t {\displaystyle e^{-(1+K)t}} をかけ移項すると,
となる.これを t 0 {\displaystyle t_{0}} から t {\displaystyle t} まで積分すると,
すなわち,
を得る.これと 式 (3.18) より,
よって,
となり,証明が完了する. t < t 0 {\displaystyle t<t_{0}} の場合も同様である.
例73 {\displaystyle \quad }
u ( t ) := { x ( t ) } 2 + { x ′ ( t ) } 2 {\displaystyle u(t):=\left\{x(t)\right\}^{2}+\left\{x'(t)\right\}^{2}} とおいてももちろん証明はできる.試みよ.
解答例
♢ {\displaystyle \diamondsuit }
例74 {\displaystyle \quad }
例と同様にして, n {\displaystyle n} 階の微分方程式
の場合の解の一意性を証明せよ.
解答例
与方程式の解が一意であることを示すために,
の解が x ( t ) ≡ 0 {\displaystyle x(t)\equiv 0} に限ることを示す. 1について, u ( t ) = | x | + | x ′ | + | x ′′ | + ⋯ + | x ( n − 1 ) | {\displaystyle u(t)=|x|+|x'|+|x''|+\cdots +|x^{(n-1)}|} とおく. x ( t 0 ) = x ′ ( t 0 ) = x ′′ ( t 0 ) = ⋯ = 0 {\displaystyle x(t_{0})=x'(t_{0})=x''(t_{0})=\cdots =0} であるから,
同様に,
また,
今, K = m a x ( a 1 , a 2 , a 3 , ⋯ , a n − 1 , a n ) {\displaystyle K=\mathrm {max} (a_{1},a_{2},a_{3},\cdots ,a_{n-1},a_{n})} とすると,23より
すなわち, u ≦ ( K + 1 ) ∫ t 0 t u d t {\displaystyle u\leqq (K+1)\int _{t_{0}}^{t}u\ dt} ...4 両辺に e − ( 1 + K ) t > 0 {\displaystyle e^{-(1+K)t}>0} を掛けて, u e − ( 1 + K ) t ≦ e − ( 1 + K ) t ( 1 + K ) ∫ t 0 t u d t {\displaystyle ue^{-(1+K)t}\leqq e^{-(1+K)t}(1+K)\int _{t_{0}}^{t}u\ dt} ∴ u e − ( 1 + K ) t − ( 1 + K ) e − ( 1 + K ) t ∫ t 0 t u d t ≦ 0 {\displaystyle \therefore ue^{-(1+K)t}-(1+K)e^{-(1+K)t}\int _{t_{0}}^{t}u\ dt\leqq 0} ∴ d d t { e − ( 1 + K ) t ∫ t 0 t u d t } ≦ 0 {\displaystyle \therefore {\frac {d}{dt}}\left\{e^{-(1+K)t}\int _{t_{0}}^{t}u\ dt\right\}\leqq 0} 両辺を t 0 {\displaystyle t_{0}} から t {\displaystyle t} まで積分すると, e − ( 1 + K ) t ∫ t 0 t u d t ≦ 0 {\displaystyle e^{-(1+K)t}\int _{t_{0}}^{t}u\ dt\leqq 0} ∴ ∫ t 0 t u d t ≦ 0 {\displaystyle \therefore \int _{t_{0}}^{t}u\ dt\leqq 0} ...5 u {\displaystyle u} は明らかに, u = | x | + | x ′ | + | x ′′ | + ⋯ + | x ( n − 1 ) | ≧ 0 {\displaystyle u=|x|+|x'|+|x''|+\cdots +|x^{(n-1)}|\geqq 0} ...6 456より 0 ≦ u ≦ ∫ t 0 t u d t ≦ 0 {\displaystyle 0\leqq u\leqq \int _{t_{0}}^{t}u\ dt\leqq 0} ∴ u = 0 {\displaystyle \therefore u=0} . ∴ x = 0 {\displaystyle \therefore x=0} .
♢ {\displaystyle \diamondsuit } | [
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"text": "の解が x ( t ) ≡ 0 {\\displaystyle x(t)\\equiv 0} に限ることを示す. 1について, u ( t ) = | x | + | x ′ | + | x ′′ | + ⋯ + | x ( n − 1 ) | {\\displaystyle u(t)=|x|+|x'|+|x''|+\\cdots +|x^{(n-1)}|} とおく. x ( t 0 ) = x ′ ( t 0 ) = x ′′ ( t 0 ) = ⋯ = 0 {\\displaystyle x(t_{0})=x'(t_{0})=x''(t_{0})=\\cdots =0} であるから,",
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"text": "すなわち, u ≦ ( K + 1 ) ∫ t 0 t u d t {\\displaystyle u\\leqq (K+1)\\int _{t_{0}}^{t}u\\ dt} ...4 両辺に e − ( 1 + K ) t > 0 {\\displaystyle e^{-(1+K)t}>0} を掛けて, u e − ( 1 + K ) t ≦ e − ( 1 + K ) t ( 1 + K ) ∫ t 0 t u d t {\\displaystyle ue^{-(1+K)t}\\leqq e^{-(1+K)t}(1+K)\\int _{t_{0}}^{t}u\\ dt} ∴ u e − ( 1 + K ) t − ( 1 + K ) e − ( 1 + K ) t ∫ t 0 t u d t ≦ 0 {\\displaystyle \\therefore ue^{-(1+K)t}-(1+K)e^{-(1+K)t}\\int _{t_{0}}^{t}u\\ dt\\leqq 0} ∴ d d t { e − ( 1 + K ) t ∫ t 0 t u d t } ≦ 0 {\\displaystyle \\therefore {\\frac {d}{dt}}\\left\\{e^{-(1+K)t}\\int _{t_{0}}^{t}u\\ dt\\right\\}\\leqq 0} 両辺を t 0 {\\displaystyle t_{0}} から t {\\displaystyle t} まで積分すると, e − ( 1 + K ) t ∫ t 0 t u d t ≦ 0 {\\displaystyle e^{-(1+K)t}\\int _{t_{0}}^{t}u\\ dt\\leqq 0} ∴ ∫ t 0 t u d t ≦ 0 {\\displaystyle \\therefore \\int _{t_{0}}^{t}u\\ dt\\leqq 0} ...5 u {\\displaystyle u} は明らかに, u = | x | + | x ′ | + | x ′′ | + ⋯ + | x ( n − 1 ) | ≧ 0 {\\displaystyle u=|x|+|x'|+|x''|+\\cdots +|x^{(n-1)}|\\geqq 0} ...6 456より 0 ≦ u ≦ ∫ t 0 t u d t ≦ 0 {\\displaystyle 0\\leqq u\\leqq \\int _{t_{0}}^{t}u\\ dt\\leqq 0} ∴ u = 0 {\\displaystyle \\therefore u=0} . ∴ x = 0 {\\displaystyle \\therefore x=0} .",
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| の解が一意であることを示すには,前と同様にして, の解が x ≡ 0 に限ることを示せばよい.そのために, とおいて, u ≡ 0 を示そう.
式 (3.17) に示したように,初期値は 0 であるから, が成り立つ.これを用いて u を計算する. K := m a x { | a | , | b | } とおくと, と変形できるから, を得る.
式 (3.18) の両辺に e − t をかけ移項すると, となる.これを t 0 から t まで積分すると, すなわち, を得る.これと 式 (3.18) より, よって, となり,証明が完了する. t < t 0 の場合も同様である. ↑ ↑ | {{制御と振動の数学/equation|<math>\frac{d^2x}{dt^2} + a\frac{dx}{dt} + bx = f(t)</math>}}
{{制御と振動の数学/equation|<math>x(t_0) = x'(t_0) = 0</math>}}
の解が一意であることを示すには,前と同様にして,
{{制御と振動の数学/equation|<math>\frac{d^2x}{dt^2} + a\frac{dx}{dt} + bx = 0</math>}}
{{制御と振動の数学/equation|<math>x(t_0) = x'(t_0) = 0</math>|tag=(3.17)|label=eq:3.17}}
の解が <math>x(t) \equiv 0</math> に限ることを示せばよい.そのために,
{{制御と振動の数学/equation|<math>u(t) := |x(t)| + |x'(t)|</math>}}
とおいて,<math>u(t) \equiv 0</math> を示そう.
[[制御と振動の数学/第一類/Laplace 変換による解の吟味/初期値問題の解の一意性/一般の 2 階の微分方程式の場合#eq:3.17|式 (3.17) ]]に示したように,初期値は <math>0</math> であるから<ref><math>x(t_0) = 0</math></ref>,
{{制御と振動の数学/equation|<math>x(t) = \int_{t_0}^t x'(t)dt</math>}}
{{制御と振動の数学/equation|<math>x'(t) = \int_{t_0}^t x''(t)dt = -\int_{t_0}^t \left\{ ax'(t) + bx(t) \right\}dt</math>}}
が成り立つ.これを用いて <math>u(t)</math> を計算する.
<math>K := \mathrm{max } \{ |a|, |b| \}</math> とおくと,
{{制御と振動の数学/equation|<math>|x(t)| + |x'(t)| \leqq \int_{t_0}^t |x'(t)|dt + K \int_{t_0}^t \{ |x'(t)| + |x(t)| \} dt</math>}}
{{制御と振動の数学/equation|<math>\leqq (1 + K) \int_{t_0}^t \{ |x(t)| + |x'(t)| \} dt</math>}}
と変形できるから,
{{制御と振動の数学/equation|<math>u(t) \leqq (1+K) \int_{t_0}^t u(t)dt</math>|tag=(3.18)|label=eq:3.18}}
を得る.
[[制御と振動の数学/第一類/Laplace 変換による解の吟味/初期値問題の解の一意性/一般の 2 階の微分方程式の場合#eq:3.18|式 (3.18) ]]
の両辺に <math>e^{-(1+K)t}</math> をかけ移項すると,
{{制御と振動の数学/equation|<math>e^{-(1+K)t}u(t) - e^{-(1+K)t}(1+K) \int_{t_0}^t u(t)dt \leqq 0</math>}}
{{制御と振動の数学/equation|<math>\frac{d}{dt} \left\{ e^{-(1+K)t}\int_{t_0}^t u(t)dt \right\} \leqq 0</math>}}
となる.これを <math>t_0</math> から <math>t</math> まで積分すると<ref>
<math>F(t) = e^{-(1+K)t}\int_{t_0}^t u(\tau)d\tau</math> で,<math>\frac{dF}{dt}</math> を <math>a</math> から <math>b</math> まで積分すると,<br />
<math>I(a, b) = \int_a^b \frac{dF}{dt}dt = F(b) - F(a)</math><br />
ここで,<math>F(t_0) = e^{-(1+K)t_0}\int_{t_0}^{t = t_0} u(\tau)d\tau = 0</math> より,<br />
<math>I(t_0, t) = F(t) - F(t_0) = F(t) = e^{-(1+K)t}\int_{t_0}^t u(\tau)d\tau</math>.<br />
</ref>,
{{制御と振動の数学/equation|<math>e^{-(1+K)t}\int_{t_0}^t u(t)dt \leqq 0</math>}}
すなわち,
{{制御と振動の数学/equation|<math>\int_{t_0}^t u(t)dt \leqq 0</math>}}
を得る.これと [[制御と振動の数学/第一類/Laplace 変換による解の吟味/初期値問題の解の一意性/一般の 2 階の微分方程式の場合#eq:3.18|式 (3.18) ]] より,
{{制御と振動の数学/equation|<math>0 \leqq u(t) \leqq (1+K)\int_{t_0}^t u(t)dt \leqq 0</math>}}
よって,
{{制御と振動の数学/equation|<math>u(t) \equiv 0</math>}}
となり,証明が完了する.<math>t<t_0</math> の場合も同様である.
<references />
<!-- ex:073:start-->
<div id="ex:73">
<strong>例73</strong><math>\quad</math>
<math>u(t) := \left\{ x(t) \right\}^2 + \left\{ x'(t) \right\}^2</math> とおいてももちろん証明はできる.試みよ.
<strong>解答例</strong>
<math>\diamondsuit</math>
<!-- ex:073:end-->
<!-- ex:074:start-->
<div id="ex:74">
<strong>例74</strong><math>\quad</math>
例と同様にして,<math>n</math> 階の微分方程式
{{制御と振動の数学/equation|<math>x^{(n)} + a_1x^{(n-1)} + a_2x^{(n-2)} + \cdots + a_{n-1}x' + a_nx = f(t)</math>}}
{{制御と振動の数学/equation|<math>x(t_0) = \xi_1, x'(t_0) = \xi_2, \cdots x^{(n-1)}(t_0) = \xi_n</math>}}
の場合の解の一意性を証明せよ.
<strong>解答例</strong>
与方程式の解が一意であることを示すために,
:<math>x^{(n)} + a_1x^{(n-1)} + a_2x^{(n-2)} + \cdots + a_{n-1}x' + a_nx = 0</math>…①<br />
:<math>x(t_0) = x'(t_0) = x''(t_0) = \cdots = x^{(n-1)}(t_0) = 0</math><br />
の解が <math>x(t) \equiv 0</math> に限ることを示す.<br />
①について,<math>u(t) = |x| + |x'| + |x''| + \cdots + |x^{(n-1)}|</math> とおく.<br />
<math>x(t_0) = x'(t_0) = x''(t_0) = \cdots = 0</math> であるから,
:<math>x(t) = \int_{t_0}^t x'dt + x(t_0) = \int_{t_0}^t x'dt \quad (\because x(t_0) = 0)</math><br />
:<math>\therefore |x(t)| \leqq \int_{t_0}^t |x'|dt</math><br />
同様に,<br />
:<math>|x'(t)| \leqq \int_{t_0}^t |x''|dt</math><br />
:<math>|x''(t)| \leqq \int_{t_0}^t |x'''|dt</math>
:<math> \cdots </math>
:<math>|x^{(n-2)}| \leqq \int_{t_0}^t |x^{(n-1)}|dt</math>…以上の式を②<br />
また,
:<math>|x^{(n-1)}| \leqq \int_{t_0}^t |x^{(n)}| dt = \int_{t_0}^t |(-a_1x^{(n-1)} - a_2x^{(n-2)} - \cdots - a_{n-1}x' - a_nx)|dt</math>
:<math>\leqq \int_{t_0}^t \{ a_1|x^{(n-1)}| + a_2|x^{(n-2)}| + \cdots a_{n-1}|x'| + a_n|x| \} dt</math>…③<br />
今,<math>K = \mathrm{max }(a_1, a_2, a_3, \cdots , a_{n-1}, a_n)</math> とすると,②③より<br />
:<math>|x|+|x'|+|x''| + \cdots +|x^{(n-1)}| \leqq \int_{t_0}^t|x'|dt + \int_{t_0}^t|x''|dt + \int_{t_0}^t|x'''|dt + \cdots +\int_{t_0}^t |x^{(n)}|dt</math><br />
:<math>\leqq \int_{t_0}^t|x'|dt + \int_{t_0}^t|x''|dt + \int_{t_0}^t|x'''|dt + \cdots + \int_{t_0}^t |x^{(n-1)}|dt+K\int_{t_0}^t \{ |x^{(n-1)}| + |x^{(n-2)}| + \cdots + |x'| + |x| \}dt</math><br />
:<math>\leqq (K+1)\int_{t_0}^t \{ |x^{(n-1)}| + |x^{(n-2)}| + \cdots + |x'| + |x| \}dt</math><br />
すなわち,
<math>u \leqq (K+1)\int_{t_0}^t u\ dt</math>…④<br />
両辺に <math>e^{-(1+K)t} > 0</math> を掛けて,<br />
<math>ue^{-(1+K)t} \leqq e^{-(1+K)t}(1+K)\int_{t_0}^t u\ dt</math><br />
<math>\therefore ue^{-(1+K)t} - (1+K)e^{-(1+K)t}\int_{t_0}^t u\ dt \leqq 0</math><br />
<math>\therefore \frac{d}{dt} \left\{ e^{-(1+K)t}\int_{t_0}^t u\ dt\right\} \leqq 0</math><br />
両辺を <math>t_0</math> から <math>t</math> まで積分すると,<br />
<math>e^{-(1+K)t}\int_{t_0}^t u\ dt \leqq 0</math><br />
<math>\therefore \int_{t_0}^t u\ dt \leqq 0</math>…⑤<br />
<math>u</math> は明らかに,
<math>u = |x| + |x'| + |x''| + \cdots + |x^{(n-1)}| \geqq 0</math>…⑥<br />
④⑤⑥より<br />
<math>0 \leqq u \leqq \int_{t_0}^t u\ dt \leqq 0</math><br />
<math>\therefore u = 0</math>.<br />
<math>\therefore x = 0</math>.<br />
<math>\diamondsuit</math>
<!-- ex:074:end-->
[[カテゴリ:ラプラス変換]] | null | 2022-11-23T14:26:47Z | [
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26,417 | 制御と振動の数学/第一類/Laplace 変換による解の吟味/微分不等式と比較定理 | 不等式式 (3.18) を解く技法は重要なので,ここで復習しておこう.
微分不等式
u ( t ) {\displaystyle u(t)} が次の微分方程式
を満たすならば,
が成立する.
証明
1 階線形微分方程式の解法と同じである.
の両辺に e − K t {\displaystyle e^{-Kt}} を掛けると,
となる.これは [ ] {\displaystyle [\ \ ]} 内の関数が広義の単調減少であることを示している.よって
これは求める結果にほかならない.
♢ {\displaystyle \diamondsuit }
この結果は実際に解くまでもなく予想できる.
は微分方程式 φ ′ = K φ , φ ( t 0 ) = u ( t 0 ) {\displaystyle \varphi '=K\varphi ,\quad \varphi (t_{0})=u(t_{0})} の解である. そこで,同じ初期値 α {\displaystyle \alpha } を持った二つの式,
の解を比較してみよう.
であるから,
である. t = t 0 {\displaystyle t=t_{0}} で u ( t 0 ) = φ ( t 0 ) {\displaystyle u(t_{0})=\varphi (t_{0})} . よって次の瞬間,
となり, 式 (3.19) により,この状態が持続する. 比喩的にいえば,兎 φ {\displaystyle \varphi } と亀 u {\displaystyle u} との競争である. 兎の方が俊足であるから u ′ < φ ′ {\displaystyle u'<\varphi '} . t = t 0 {\displaystyle t=t_{0}} で 2 匹が肩を並べていたら,それ以降は兎が先行し,
それ以前は兎が亀を追っ掛けていたことになる.すなわち,
ただし兎は居眠りをしないものとする.
例75 {\displaystyle \quad }
ならば
となることを示せ.
解答例
♢ {\displaystyle \diamondsuit }
兎と亀の比喩が理解できれば,次の比較定理が成立することは直感的には明らかであろう.
比較定理
二つの微分方程式,
があって,
が常に成立するならば,同じ初期条件,
を持つ二つの解 x ( t ) , y ( t ) {\displaystyle x(t),y(t)} に対して
が成立する.ただし f ( t , x ) , g ( t , x ) {\displaystyle f(t,x),g(t,x)} は領域 a ≦ t ≦ b , − ∞ < x < ∞ {\displaystyle a\leqq t\leqq b,\quad -\infty <x<\infty } で定義されており,連続であるとする. また f ( t , x ) , g ( t , x ) {\displaystyle f(t,x),g(t,x)} のいずれか一方は Lipschitz の条件,
ここに K {\displaystyle K} は定数,を満たすものとする.
♢ {\displaystyle \diamondsuit }
説明
定理の真意はただし書き以前の部分にある.ただし書きによって解の存在や一意性が保証されているのであるが,それよりも,Lipschitz の条件により,非線形の方程式がほとんど線形の方程式となり,取り扱いが簡単となるのである.
証明
f ( t , x ) {\displaystyle f(t,x)} が Lipschitz の条件を満たす場合だけを証明しておこう. 仮定から,
であるから,
となる.いま u := y − x {\displaystyle u:=y-x} とおけば,上式は,
である.問題より u ( t ) ≦ 0 {\displaystyle u(t)\leqq 0} すなわち
を得る.
♢ {\displaystyle \diamondsuit }
例76 {\displaystyle \quad }
g ( t , x ) {\displaystyle g(t,x)} が Lipschitz の条件を満たす場合の証明を実行せよ.
解答例
♢ {\displaystyle \diamondsuit }
| [
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| 不等式式 (3.18) を解く技法は重要なので,ここで復習しておこう. | 不等式[[制御と振動の数学/第一類/Laplace 変換による解の吟味/初期値問題の解の一意性/一般の 2 階の微分方程式の場合#eq:3.18|式 (3.18) ]]を解く技法は重要なので,ここで復習しておこう.
<div id="diff-inequality">
<strong>微分不等式</strong>
<math>u(t)</math> が次の微分方程式
{{制御と振動の数学/equation|<math>\frac{du}{dt} \leqq Ku \quad (K > 0)</math>}}
を満たすならば,
{{制御と振動の数学/equation|<math>u(t) \leqq e^{K(t-t_0)}u(t_0) \quad (t \geqq t_0)</math>}}
{{制御と振動の数学/equation|<math>u(t) \geqq e^{K(t-t_0)}u(t_0) \quad (t \leqq t_0)</math>}}
が成立する.
<strong>証明</strong>
1 階線形微分方程式の解法と同じである.
{{制御と振動の数学/equation|<math>\frac{du(t)}{dt} - Ku(t) \leqq 0</math>}}
の両辺に <math>e^{-Kt}</math> を掛ける<ref><math>e^{-Kt} > 0</math></ref>と,
{{制御と振動の数学/equation|<math>\frac{d [ e^{-Kt}u(t) ] }{dt} \leqq 0</math>}}
となる<ref>
<math>\frac{d}{dt}\left[e^{-Kt}u(t)\right] = \frac{du}{dt}e^{-Kt} - Ke^{-Kt}u</math><br />
</ref>.これは <math>[\ \ ]</math> 内の関数が広義の単調減少であることを示している.よって
{{制御と振動の数学/equation|<math>e^{-Kt}u(t) \leqq e^{-Kt_0}u(t_0) \quad t \geqq 0</math>}}
{{制御と振動の数学/equation|<math>e^{-Kt}u(t) \geqq e^{-Kt_0}u(t_0) \quad t \leqq 0</math>}}
これは求める結果にほかならない<ref>
<math>e^{-Kt}u(t) \leqq e^{-Kt_0}u(t_0)</math> の両辺に <math>e^{Kt}>0</math> をかけると<br />
<math>u(t) \leqq e^{Kt}e^{-Kt_0}u(t_0) = e^{K(t-t_0)}u(t_0)</math><br />
</ref>.
<math>\diamondsuit</math>
<!-- diff-inequality:end-->
<references />
この結果は実際に解くまでもなく予想できる.
{{制御と振動の数学/equation|<math>\varphi(t) := e^{K(t-t_0)}u(t_0)</math>}}
は微分方程式 <math>\varphi' = K\varphi, \quad \varphi(t_0) = u(t_0)</math> の解である<ref>
<math>\varphi = Ce^{Kt}</math> にて <math>\varphi(t_0) = u(t_0)</math> より <br />
<math>\varphi(t_0) = Ce^{Kt_0} = u(t_0)</math><br />
<math>\therefore C = u(t_0)e^{-Kt_0}, \quad \varphi(t) = u(t_0)e^{K(t-t_0)}</math><br />
</ref>.
そこで,同じ初期値 <math>\alpha</math> を持った二つの式,
{{制御と振動の数学/equation|<math>\varphi'(t) = K\varphi(t), \quad \varphi(t_0) = \alpha</math>}}
{{制御と振動の数学/equation|<math>u'(t) \leqq Ku(t), \quad u(t_0) = \alpha</math>}}
の解を比較してみよう.
{{制御と振動の数学/equation|<math>u' - \varphi' \leqq K(u-\varphi)</math>}}
であるから,
{{制御と振動の数学/equation|<math>u(t) \leqq \varphi(t) \implies u'(t) \leqq \varphi'(t)</math>|tag=(3.19)|label=eq:3.19}}
である.<math>t=t_0</math> で <math>u(t_0) = \varphi(t_0)</math>.
よって次の瞬間,
{{制御と振動の数学/equation|<math>u(t) \leqq \varphi(t)</math>}}
となり,
[[制御と振動の数学/第一類/Laplace 変換による解の吟味/微分不等式と比較定理#eq:3.19|式 (3.19) ]]により,この状態が持続する.
比喩的にいえば,兎 <math>\varphi</math> と亀 <math>u</math> との競争である.
兎の方が俊足であるから <math>u' < \varphi'</math>.
<math>t = t_0</math> で 2 匹が肩を並べていたら,それ以降は兎が先行し,
{{制御と振動の数学/equation|<math>u(t) \leqq \varphi(t) = e^{K(t-t_0)}u(t_0) \quad t \geqq t_0</math>}}
それ以前は兎が亀を追っ掛けていたことになる.すなわち,
{{制御と振動の数学/equation|<math>u(t) \geqq \varphi(t) = e^{K(t-t_0)}u(t_0) \quad t \leqq t_0</math>}}
ただし兎は居眠りをしないものとする.
<references />
<!-- ex:075:start-->
<div id="ex:75">
<strong>例75</strong><math>\quad</math>
{{制御と振動の数学/equation|<math>u' \leqq K|u|, \ \ K \geqq 0; \quad u(t_0) = 0</math>}}
ならば
{{制御と振動の数学/equation|<math>u(t) \leqq 0 \quad (t \geqq t_0)</math>}}
となることを示せ.
<strong>解答例</strong>
<math>\diamondsuit</math>
<!-- ex:075:end-->
兎と亀の比喩が理解できれば,次の比較定理が成立することは直感的には明らかであろう.
<div id="comparison-theorem">
<strong>比較定理</strong>
二つの微分方程式,
{{制御と振動の数学/equation|<math>\frac{dx}{dt} = f(t, x), \quad \frac{dy}{dt} = g(t, y)</math>}}
があって,
{{制御と振動の数学/equation|<math>g(t, x) \leqq f(t, y)</math>}}
が常に成立するならば,同じ初期条件,
{{制御と振動の数学/equation|<math>x(a) = y(a)</math>}}
を持つ二つの解 <math>x(t), y(t)</math> に対して
{{制御と振動の数学/equation|<math>x(t) \geqq y(t) \quad (b \geqq t \geqq a)</math>}}
が成立する.ただし <math>f(t, x), g(t, x)</math> は領域 <math>a \leqq t \leqq b, \quad -\infty < x < \infty</math> で定義されており,連続であるとする.
また <math>f(t, x), g(t, x)</math> のいずれか一方は[[w:%E3%83%AA%E3%83%97%E3%82%B7%E3%83%83%E3%83%84%E9%80%A3%E7%B6%9A| Lipschitz の条件]],
{{制御と振動の数学/equation|<math>\forall y, x : |f(t, y) - f(t, x)| \leqq K|y - x|</math>}}
ここに <math>K</math> は定数,を満たすものとする.
<math>\diamondsuit</math>
<strong>説明</strong>
定理の真意はただし書き以前の部分にある.ただし書きによって解の存在や一意性が保証されているのであるが,それよりも,Lipschitz の条件により,非線形の方程式がほとんど線形の方程式となり,取り扱いが簡単となるのである.
<strong>証明</strong>
<math>f(t, x)</math> が Lipschitz の条件を満たす場合だけを証明しておこう.
仮定から,
{{制御と振動の数学/equation|<math>x' = f(t, x), \quad y' \leqq f(t, y)</math>}}
であるから,
{{制御と振動の数学/equation|<math>y' - x' \leqq f(t, y) - f(t, x) \leqq K|y - x|</math>}}
となる.いま <math>u := y - x</math> とおけば,上式は,
{{制御と振動の数学/equation|<math>u'(t) \leqq K|u(t)|, \quad u(a) = 0</math>}}
である.問題より <math>u(t) \leqq 0</math> すなわち
{{制御と振動の数学/equation|<math>y(t) \leqq x(t) \quad (a \leqq t \leqq b)</math>}}
を得る.
<math>\diamondsuit</math>
<!-- comparison-theorem:end-->
<!-- ex:076:start-->
<div id="ex:76">
<strong>例76</strong><math>\quad</math>
<math>g(t, x)</math> が Lipschitz の条件を満たす場合の証明を実行せよ.
<strong>解答例</strong>
<math>\diamondsuit</math>
<!-- ex:076:end-->
<references />
[[カテゴリ:ラプラス変換]] | null | 2022-11-23T14:28:26Z | [
"テンプレート:制御と振動の数学/equation"
]
| https://ja.wikibooks.org/wiki/%E5%88%B6%E5%BE%A1%E3%81%A8%E6%8C%AF%E5%8B%95%E3%81%AE%E6%95%B0%E5%AD%A6/%E7%AC%AC%E4%B8%80%E9%A1%9E/Laplace_%E5%A4%89%E6%8F%9B%E3%81%AB%E3%82%88%E3%82%8B%E8%A7%A3%E3%81%AE%E5%90%9F%E5%91%B3/%E5%BE%AE%E5%88%86%E4%B8%8D%E7%AD%89%E5%BC%8F%E3%81%A8%E6%AF%94%E8%BC%83%E5%AE%9A%E7%90%86 |
26,425 | 制御と振動の数学/第一類/Laplace 変換による解の吟味/解の構造と一般解/一つの例 | 一般論に入る前に,まず一つの例を与える.
の解を,特に初期値を指定しないで求めてみよう. Laplace 変換すると,
L [ x ] {\displaystyle {\mathcal {L}}[x]} について整理すると,
となる.この式の右辺は s {\displaystyle s} の 2 次式である. x ( 0 ) , x ′ ( 0 ) , x ′′ ( 0 ) {\displaystyle x(0),x'(0),x''(0)} をとくに指定しないので,一般には高々 2 次式の多項式となる. これを q ( s ) {\displaystyle q(s)} とおこう.すると,
とまとまる.これを部分分数に展開すると,
ここで初期値を指定していないので A , B , C {\displaystyle A,B,C} は未定の定数である.この原像は,
となる.すでに述べたことであるが,3 階の微分方程式は一般に 3 個の未定定数を含む. このような解を一般解と呼んでいる.“一般”という意味は A , B , C {\displaystyle A,B,C} を適当に選ぶことによって,どのように初期値を与えてもそれを満たす解が 式 (3.21) から作れるという意味である. そのことを確かめよう.初期値を,
と与えると,
とならなければならないが,この係数の作る行列式は
3 行目に 1 行目を加えて,
となり,これは t 0 {\displaystyle t_{0}} がどんな値であっても,決して 0 {\displaystyle 0} とはならない. よって式 (3.22) を満たす A , B , C {\displaystyle A,B,C} が一意に確定する.このことは,
が式 (3.20) の解であって, しかも 1 次独立であることに起因する.このことの詳細は次節に示すこととし,ここでは 式 (3.23) が 1 次独立であることを示しておこう.
から A = B = C = 0 {\displaystyle A=B=C=0} を導けばよい.それにはまず 式 (3.24) に D 2 + 1 {\displaystyle D^{2}+1} を作用させるとよい.このとき cos t {\displaystyle \cos t} と sin t {\displaystyle \sin t} の項は消えて,
となる.次に,
において t = 0 {\displaystyle t=0} とおくと B = 0 {\displaystyle B=0} を得,ついで C = 0 {\displaystyle C=0} を得る. このように,3 階の線形微分方程式は常に 3 個の 1 次独立な解をもち,その 1 次結合が一般解となるのである. 一般の場合の証明も,この例とほぼ同様にして示される.
例77 {\displaystyle \quad }
次の微分方程式の一般解を求めよ.
解答例
♢ {\displaystyle \diamondsuit }
例78 {\displaystyle \quad }
次の微分方程式の一般解を求めよ.
解答例
♢ {\displaystyle \diamondsuit }
例79 {\displaystyle \quad }
次の微分方程式の一般解を求めよ.
解答例
♢ {\displaystyle \diamondsuit }
例80 {\displaystyle \quad }
一般解は Laplace 変換によらずとも,特性多項式を見れば直ちに分かる.どうしてか.
解答例
♢ {\displaystyle \diamondsuit }
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| 一般論に入る前に,まず一つの例を与える. の解を,特に初期値を指定しないで求めてみよう.
Laplace 変換すると, L [ x ] について整理すると, となる.この式の右辺は s の 2 次式である. x , x ′ , x ″ をとくに指定しないので,一般には高々 2 次式の多項式となる.
これを q とおこう.すると, とまとまる.これを部分分数に展開すると, ここで初期値を指定していないので A , B , C は未定の定数である.この原像は, となる.すでに述べたことであるが,3 階の微分方程式は一般に 3 個の未定定数を含む.
このような解を一般解と呼んでいる.“一般”という意味は A , B , C を適当に選ぶことによって,どのように初期値を与えてもそれを満たす解が
式 (3.21) から作れるという意味である.
そのことを確かめよう.初期値を, と与えると, とならなければならないが,この係数の作る行列式は 3 行目に 1 行目を加えて, となり,これは t 0 がどんな値であっても,決して 0 とはならない.
よって式 (3.22) を満たす A , B , C が一意に確定する.このことは, が式 (3.20) の解であって,
しかも 1 次独立であることに起因する.このことの詳細は次節に示すこととし,ここでは 式 (3.23) が 1 次独立であることを示しておこう. から A = B = C = 0 を導けばよい.それにはまず 式 (3.24) に D 2 + 1 を作用させるとよい.このとき cos t と sin t の項は消えて, となる.次に, において t = 0 とおくと B = 0 を得,ついで C = 0 を得る.
このように,3 階の線形微分方程式は常に 3 個の 1 次独立な解をもち,その 1 次結合が一般解となるのである.
一般の場合の証明も,この例とほぼ同様にして示される. | 一般論に入る前に,まず一つの例を与える.
{{制御と振動の数学/equation|<math>\frac{d^3x}{dt^3} - \frac{d^2x}{dt^2} + \frac{dx}{dt} - x - 0</math>|tag=(3.20)|label=eq:3.20}}
の解を,特に初期値を指定しないで求めてみよう.
[[w:%E3%83%A9%E3%83%97%E3%83%A9%E3%82%B9%E5%A4%89%E6%8F%9B|Laplace 変換]]すると,
{{制御と振動の数学/equation|<math>s^3\mathcal{L}[x] - x(0)s^2 - x'(0)s - x''(0) - \{ s^2\mathcal{L}[x] - x(0)s - x'(0)\} + s\mathcal{L}[x] - x(0)-\mathcal{L}[x] = 0</math>}}
<math>\mathcal{L}[x]</math> について整理すると,
{{制御と振動の数学/equation|<math>(x^3-s^2+s^1)\mathcal{L}[x] = x(0)s^2 + \{-x(0)+x'(0)\}s + \{x(0) - x'(0) + x''(0)\}</math>}}
となる.この式の右辺は <math>s</math> の 2 次式である.<math>x(0), x'(0), x''(0)</math> をとくに指定しないので,一般には高々 2 次式の多項式となる.
これを <math>q(s)</math> とおこう.すると,
{{制御と振動の数学/equation|<math>\mathcal{L}[x] = \frac{q(s)}{(s-1)(s^2 + 1)}</math>}}
とまとまる.これを部分分数に展開すると,
{{制御と振動の数学/equation|<math>=\frac{A}{s-1} + \frac{Bs + C}{s^2 + 1}</math>}}
ここで初期値を指定していないので <math>A, B, C</math> は未定の定数である.この原像は,
{{制御と振動の数学/equation|<math>x(t) = Ae^t + B\cos t + C\sin t</math>|tag=(3.21)|label=eq:3.21}}
となる.すでに述べたことであるが,3 階の微分方程式は一般に 3 個の未定定数を含む.
このような解を一般解と呼んでいる.“一般”という意味は <math>A, B, C</math> を適当に選ぶことによって,どのように初期値を与えてもそれを満たす解が
[[制御と振動の数学/第一類/Laplace 変換による解の吟味/解の構造と一般解/一つの例#eq:3.21|式 (3.21) ]]から作れるという意味である.
そのことを確かめよう.初期値を,
{{制御と振動の数学/equation|<math>x(t_0) = \alpha, \quad x'(t_0) = \beta, \quad x''(t_0) = \gamma</math>}}
と与えると,
{{制御と振動の数学/equation|<math>\begin{cases}
Ae^{t_0} + B\cos t_0 + C\sin t_0 = \alpha \\
Ae^{t_0} - B\sin t_0 + C\cos t_0 = \beta \\
Ae^{t_0} - B\cos t_0 - C\sin t_0 = \gamma
\end{cases}</math>|tag=(3.22)|label=eq:3.22}}
とならなければならないが,この係数の作る行列式は
{{制御と振動の数学/equation|<math>J = \begin{vmatrix}
e^{t_0} & \cos t_0 & \sin t_0 \\
e^{t_0} & -\sin t_0 & \cos t_0 \\
e^{t_0} & -\cos t_0 & -\sin t_0
\end{vmatrix}</math>}}
3 行目に 1 行目を加えて,
{{制御と振動の数学/equation|<math>J = \begin{vmatrix}
e^{t_0} & \cos t_0 & \sin t_0 \\
e^{t_0} & -\sin t_0 & \cos t_0 \\
2e^{t_0} & 0 & 0
\end{vmatrix} = 2e^{t_0}</math>}}
となり,これは <math>t_0</math> がどんな値であっても,決して <math>0</math> とはならない.
よって[[制御と振動の数学/第一類/Laplace 変換による解の吟味/解の構造と一般解/一つの例#eq:3.22|式 (3.22) ]]を満たす <math>A, B, C</math> が一意に確定する.このことは,
{{制御と振動の数学/equation|<math> \{ e^t, \cos t, \sin t \}</math>|tag=(3.23)|label=eq:3.23}}
が[[制御と振動の数学/第一類/Laplace 変換による解の吟味/解の構造と一般解/一つの例#eq:3.20|式 (3.20) ]]の解であって,
しかも 1 次独立であることに起因する.このことの詳細は次節に示すこととし,ここでは [[制御と振動の数学/第一類/Laplace 変換による解の吟味/解の構造と一般解/一つの例#eq:3.23|式 (3.23) ]]が 1 次独立であることを示しておこう.
{{制御と振動の数学/equation|<math>Ae^{t} + B\cos t + C\sin t \equiv 0</math>|tag=(3.24)|label=eq:3.24}}
から <math>A=B=C=0</math> を導けばよい.それにはまず [[制御と振動の数学/第一類/Laplace 変換による解の吟味/解の構造と一般解/一つの例#eq:3.24|式 (3.24) ]]に <math>D^2 + 1</math> を作用させるとよい.このとき <math>\cos t</math> と <math>\sin t</math> の項は消えて,
{{制御と振動の数学/equation|<math>A(D^2 + 1)e^t = 2Ae^t = 0 \quad \therefore A = 0</math>}}
となる.次に,
{{制御と振動の数学/equation|<math>B\cos t + C\sin t \equiv 0</math>}}
において <math>t = 0</math> とおくと <math>B=0</math> を得,ついで <math>C=0</math> を得る.
このように,3 階の線形微分方程式は常に 3 個の 1 次独立な解をもち,その 1 次結合が一般解となるのである.
一般の場合の証明も,この例とほぼ同様にして示される.
<!-- ex:077:start-->
<div id="ex:77">
<strong>例77</strong><math>\quad</math>
次の微分方程式の一般解を求めよ.
{{制御と振動の数学/equation|<math>x'''+x'-2x = 0</math>}}
<strong>解答例</strong>
<math>\diamondsuit</math>
<!-- ex:077:end-->
<!-- ex:078:start-->
<div id="ex:78">
<strong>例78</strong><math>\quad</math>
次の微分方程式の一般解を求めよ.
{{制御と振動の数学/equation|<math>x^{(4)} - 2x''' + 2x'' - 2x' + x = 0</math>}}
<strong>解答例</strong>
<math>\diamondsuit</math>
<!-- ex:078:end-->
<!-- ex:079:start-->
<div id="ex:79">
<strong>例79</strong><math>\quad</math>
次の微分方程式の一般解を求めよ.
{{制御と振動の数学/equation|<math>x^{(4)} + x = 0</math>}}
<strong>解答例</strong>
<math>\diamondsuit</math>
<!-- ex:079:end-->
<!-- ex:080:start-->
<div id="ex:80">
<strong>例80</strong><math>\quad</math>
一般解は Laplace 変換によらずとも,特性多項式を見れば直ちに分かる.どうしてか.
<strong>解答例</strong>
<math>\diamondsuit</math>
<!-- ex:080:end-->
<references />
[[カテゴリ:ラプラス変換]] | null | 2022-11-23T14:30:36Z | [
"テンプレート:制御と振動の数学/equation"
]
| https://ja.wikibooks.org/wiki/%E5%88%B6%E5%BE%A1%E3%81%A8%E6%8C%AF%E5%8B%95%E3%81%AE%E6%95%B0%E5%AD%A6/%E7%AC%AC%E4%B8%80%E9%A1%9E/Laplace_%E5%A4%89%E6%8F%9B%E3%81%AB%E3%82%88%E3%82%8B%E8%A7%A3%E3%81%AE%E5%90%9F%E5%91%B3/%E8%A7%A3%E3%81%AE%E6%A7%8B%E9%80%A0%E3%81%A8%E4%B8%80%E8%88%AC%E8%A7%A3/%E4%B8%80%E3%81%A4%E3%81%AE%E4%BE%8B |
26,426 | 制御と振動の数学/第一類/Laplace 変換による解の吟味/解の構造と一般解/1 次独立性 | 定数係数の線形微分方程式を,
とおく.ここに p ( s ) {\displaystyle p(s)} は特性多項式である.もし,これが,
と因数分解できるならば,式 (3.25) の解は,
および,
のような n {\displaystyle n} 個の関数の 1 次結合で与えられることは,前節で示した.ここに,
である.これらが 1 次独立であることを示すのが,本項の目的である.つまり t {\displaystyle t} に関する恒等式,
から,すべての i , l , j , m {\displaystyle i,l,j,m} に対して,
を示すことである.この証明には補題 3.4 と,前章に示した事実,
および
を用いる.
定理 3.4
n {\displaystyle n} 個の関数
は 1 次独立である.
証明
の場合を証明すれば十分であろう.一般の場合は添え字 i , j {\displaystyle i,j} などが二重についてわずらわしいだけである.
に,
を作用させると, i = l {\displaystyle i=l} の場合以外はすべて消えて,
となる.補題 3.4 により
であるから,
を得る.次に,
を作用させると A l = 0 {\displaystyle A_{l}=0} となり,以下同様にして,
を得る.このとき式 (3.26) は,
となっている.これに,
を作用させると,
となる.以下同様にして,
を得る.
♢ {\displaystyle \diamondsuit }
| [
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"text": "定数係数の線形微分方程式を,",
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"text": "と因数分解できるならば,式 (3.25) の解は,",
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"text": "および,",
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"text": "のような n {\\displaystyle n} 個の関数の 1 次結合で与えられることは,前節で示した.ここに,",
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"text": "から,すべての i , l , j , m {\\displaystyle i,l,j,m} に対して,",
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| 定数係数の線形微分方程式を, とおく.ここに p は特性多項式である.もし,これが, と因数分解できるならば,式 (3.25) の解は, および, のような n 個の関数の 1 次結合で与えられることは,前節で示した.ここに, である.これらが 1 次独立であることを示すのが,本項の目的である.つまり t に関する恒等式, から,すべての i , l , j , m に対して, を示すことである.この証明には補題 3.4 と,前章に示した事実, および を用いる. | 定数係数の線形微分方程式を,
{{制御と振動の数学/equation|<math>p(D)x = 0</math>|tag=(3.25)|label=eq:3.25}}
とおく.ここに <math>p(s)</math> は特性多項式である.もし,これが,
{{制御と振動の数学/equation|<math>p(s) = \prod_{i=1}^{\mu}(s-\gamma_i)^{l_i}\prod_{j=1}^{\nu}\bigg[(s-\alpha_j)^2 + \beta_j^2\bigg]^{m_j}</math>}}
{{制御と振動の数学/equation|<math>n = \sum_{i=1}^{\mu} + 2\sum_{j=1}^{\nu}m_j</math>}}
と因数分解できるならば,[[制御と振動の数学/第一類/Laplace 変換による解の吟味/解の構造と一般解/1 次独立性#eq:3.25|式 (3.25) ]]の解は,
{{制御と振動の数学/equation|<math>\frac{1}{(s-\gamma_i)^l} \sqsubset e^{\gamma_i}t\xi_l(t)</math>}}
および,
{{制御と振動の数学/equation|<math>\frac{1}{\bigg[(s-\alpha_j)^2 + \beta_j^2\bigg]^m} \sqsubset e^{\alpha_jt}\varphi_{j_m}(t)</math>}}
{{制御と振動の数学/equation|<math>\frac{s-\alpha_j}{\bigg[(s-\alpha_j)^2 + \beta_j^2\bigg]^m} \sqsubset e^{\alpha_jt}\phi_{j_m}(t)</math>}}
のような <math>n</math> 個の関数の 1 次結合で与えられることは,前節で示した.ここに,
{{制御と振動の数学/equation|<math>\xi_l(t) = \frac{t^{l-1}}{(l-1)!} \sqsupset \frac{1}{s^l}</math>}}
{{制御と振動の数学/equation|<math>\varphi_{j_m}(t) = \frac{\sin\beta_j t}{\beta_j} * \cdots * \frac{\sin\beta_j t}{\beta_j} \sqsupset \frac{1}{(s^2+ \beta_j^2)^m}</math>}}
{{制御と振動の数学/equation|<math>\phi_{j_m}(t) = \frac{d\varphi_{j_m}(t)}{dt} \sqsupset \frac{s}{(s^2+\beta_j^2)^m}</math>}}
である.これらが 1 次独立であることを示すのが,本項の目的である.つまり <math>t</math> に関する恒等式,
{{制御と振動の数学/equation|<math>\sum_{i, l}A_{il}e^{\gamma_i t}\xi_l(t) + \sum_{j, m}e^{\alpha_j t}\left\{ B_{jm}\varphi_{jm}(t) + C_{jm}\phi_{jm}(t) \right\} = 0</math>}}
から,すべての <math>i, l, j, m</math> に対して,
{{制御と振動の数学/equation|<math>A_{il} = B_{jm} = C_{jm} = 0</math>}}
を示すことである.この証明には[[制御と振動の数学/第一類/Laplace 変換による解の吟味/特性多項式の構造と解の性質#lemma:3.4|補題 3.4 ]]と,前章に示した事実,
{{制御と振動の数学/equation|<math>(D-\gamma)^{l-1}\cdot e^{\gamma t}\xi_l(t) = e^{\gamma t}</math>}}
および
{{制御と振動の数学/equation|<math>\bigg[(D-\alpha)^2+ \beta^2\bigg]^{m-1}\cdot e^{\alpha t}\left\{ B\varphi_m(t) + C\phi_m(t) \right\} = e^{\alpha t} \left( \frac{B}{\beta}\sin\beta t + C\cos\beta t\right)</math>}}
を用いる.
<div id="theorem:3.4">
<strong>定理 3.4</strong>
<math>n</math> 個の関数
{{制御と振動の数学/equation|<math>\left\{ e^{\gamma_i t}\xi_l(t), e^{\alpha_j t}\varphi_{jl}(t), e^{\alpha_j t}\phi_{jl}(t)\right\}</math>}}
は 1 次独立である.
<strong>証明</strong>
{{制御と振動の数学/equation|<math>p(s)=(s-\gamma)^l \bigg[ (s-\alpha)^2+\beta^2\bigg]^m</math>}}
の場合を証明すれば十分であろう.一般の場合は添え字 <math>i, j</math> などが二重についてわずらわしいだけである.
{{制御と振動の数学/equation|<math>\sum_{i=1}^l A_{i}e^{\gamma t}\xi_i(t) + \sum_{j=1}^m e^{\alpha t}\left\{ B_{j}\varphi_{j}(t) + C_{j}\phi_{j}(t) \right\} \equiv 0</math>|tag=(3.26)|label=eq:3.26}}
に,
{{制御と振動の数学/equation|<math>p_1(D) := (D-\gamma)^{l-1} \bigg[(D-\alpha)^2+\beta^2\bigg]^m</math>}}
を作用させると,<math>i=l</math> の場合以外はすべて消えて,
{{制御と振動の数学/equation|<math>A_l \bigg[(D-\alpha)^2 + \beta^2\bigg]^m e^{\gamma t} = 0</math>}}
となる.[[制御と振動の数学/第一類/Laplace 変換による解の吟味/特性多項式の構造と解の性質#lemma:3.4|補題 3.4 ]]により
{{制御と振動の数学/equation|<math>\bigg[(D-\alpha)^2 + \beta^2\bigg]^m e^{\gamma t} \ne 0</math>}}
であるから,
{{制御と振動の数学/equation|<math>A_l = 0</math>}}
を得る.次に,
{{制御と振動の数学/equation|<math>p_2(D) := (D-\gamma)^{l-2}\bigg[(D-\alpha)^2 + \beta^2\bigg]^m</math>}}
を作用させると <math>A_l = 0</math> となり,以下同様にして,
{{制御と振動の数学/equation|<math>A_i = 0 \quad (i = 1, 2, \cdots, l)</math>}}
を得る.このとき[[制御と振動の数学/第一類/Laplace 変換による解の吟味/解の構造と一般解/1 次独立性#eq:3.26|式 (3.26) ]]は,
{{制御と振動の数学/equation|<math>\sum_{i=1}^m e^{\alpha t} \left\{ B_j\varphi_j(t) + C_j\phi_j(t)\right\} \equiv 0</math>}}
となっている.これに,
{{制御と振動の数学/equation|<math>q_1(D) := \bigg[(D-\alpha)^2+\beta^2\bigg]^{m-1}</math>}}
を作用させると,
{{制御と振動の数学/equation|<math>e^{\alpha t} \left\{ B_m\frac{1}{\beta}\sin\beta t + C_m\cos\beta t \right\} = 0</math>}}
{{制御と振動の数学/equation|<math>\therefore B_m = C_m = 0</math>}}
となる.以下同様にして,
{{制御と振動の数学/equation|<math>B_j = C_j = 0 \quad (j=1, 2, \cdots, m)</math>}}
を得る.
<math>\diamondsuit</math>
<!-- theorem:3.4:end-->
<references />
[[カテゴリ:ラプラス変換]] | null | 2022-11-23T14:30:32Z | [
"テンプレート:制御と振動の数学/equation"
]
| https://ja.wikibooks.org/wiki/%E5%88%B6%E5%BE%A1%E3%81%A8%E6%8C%AF%E5%8B%95%E3%81%AE%E6%95%B0%E5%AD%A6/%E7%AC%AC%E4%B8%80%E9%A1%9E/Laplace_%E5%A4%89%E6%8F%9B%E3%81%AB%E3%82%88%E3%82%8B%E8%A7%A3%E3%81%AE%E5%90%9F%E5%91%B3/%E8%A7%A3%E3%81%AE%E6%A7%8B%E9%80%A0%E3%81%A8%E4%B8%80%E8%88%AC%E8%A7%A3/1_%E6%AC%A1%E7%8B%AC%E7%AB%8B%E6%80%A7 |
26,427 | 制御と振動の数学/第一類/Laplace 変換による解の吟味/解の構造と一般解/一般解と解の基本形 | 以上の議論によって, n {\displaystyle n} の定常線形微分方程式,
には, n {\displaystyle n} 個の 1 次独立な解が存在することが分かった.またその 1 組を具体的に求める方法も全章で学んだ.それをいま,
としよう.重ね合わせの原理により,その 1 次結合
もまた式 (3.27) の解であることを知っている. ここでは 式 (3.28) が 式 (3.27) の一般解であること, すなわち任意の初期値,
を与えたとき,
が任意の t 0 {\displaystyle t_{0}} と { ξ 1 , ξ 2 , ξ 3 , ⋯ , ξ n − 1 , ξ n } {\displaystyle \left\{\xi _{1},\xi _{2},\xi _{3},\cdots ,\xi _{n-1},\xi _{n}\right\}} に対して常に解けることを示そう.それは次の定理によって保証される.
定理 3.5
p ( D ) x = 0 {\displaystyle p(D)x=0} の 1 次独立な n {\displaystyle n} 個の解を,
とすると,次の行列式,
は決して 0 {\displaystyle 0} になることはない.この行列式を Wronsky の行列式といい,
などで表す.
証明
いまある t 0 {\displaystyle t_{0}} に対して Wronsky の行列式が 0 {\displaystyle 0} となったとする.このとき 1 次方程式,
には,すべては 0 {\displaystyle 0} でない解が存在する.それを,
としよう.この値を用いて
を作れば,これは p ( D ) x = 0 {\displaystyle p(D)x=0} の解であって,しかも,
を満たす.よって解の一意性から, x ( t ) ≡ 0 {\displaystyle x(t)\equiv 0} でなければならない. このとき { φ 1 , φ 2 , ⋯ φ n } {\displaystyle \left\{\varphi _{1},\varphi _{2},\cdots \varphi _{n}\right\}} の 1 次独立性から,
でなければならない.これは矛盾である.
♢ {\displaystyle \diamondsuit }
例81 {\displaystyle \quad }
φ 1 , φ 2 {\displaystyle \varphi _{1},\varphi _{2}} が 1 次独立で, W [ φ 1 , φ 2 ] ≡ 0 {\displaystyle W[\varphi _{1},\varphi _{2}]\equiv 0} となる例を作れ.
解答例
♢ {\displaystyle \diamondsuit }
n {\displaystyle n} 階の線形定常常微分方程式の任意の解は, n {\displaystyle n} 個の独立な解を見出せばその 1 次結合で表されることが分かった. この n {\displaystyle n} 個の独立な解のことを,解の基本系または基本解系という.この事実は次の定理にまとめられる.
定理 3.6
n {\displaystyle n} 階の線形定常常微分方程式の解の全体は, n {\displaystyle n} 次元ベクトル空間を作る.その基底は解の基本形である.
♢ {\displaystyle \diamondsuit }
| [
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"text": "以上の議論によって, n {\\displaystyle n} の定常線形微分方程式,",
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"paragraph_id": 26,
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"text": "n {\\displaystyle n} 階の線形定常常微分方程式の任意の解は, n {\\displaystyle n} 個の独立な解を見出せばその 1 次結合で表されることが分かった. この n {\\displaystyle n} 個の独立な解のことを,解の基本系または基本解系という.この事実は次の定理にまとめられる.",
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"text": "♢ {\\displaystyle \\diamondsuit }",
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| 以上の議論によって, n の定常線形微分方程式, には, n 個の 1 次独立な解が存在することが分かった.またその 1 組を具体的に求める方法も全章で学んだ.それをいま, としよう.重ね合わせの原理により,その 1 次結合 もまた式 (3.27) の解であることを知っている.
ここでは 式 (3.28) が
式 (3.27) の一般解であること,
すなわち任意の初期値, を与えたとき, が任意の t 0 と { ξ 1 , ξ 2 , ξ 3 , ⋯ , ξ n − 1 , ξ n } に対して常に解けることを示そう.それは次の定理によって保証される. | 以上の議論によって,<math>n</math> の定常線形微分方程式,
{{制御と振動の数学/equation|<math>p(D)x = 0</math>|tag=(3.27)|label=eq:3.27}}
には,<math>n</math> 個の 1 次独立な解が存在することが分かった.またその 1 組を具体的に求める方法も全章で学んだ.それをいま,
{{制御と振動の数学/equation|<math>\varphi_1(t), \varphi_2(t), \varphi_3(t), \cdots, \varphi_{n-1}(t), \varphi_n(t)</math>}}
としよう.重ね合わせの原理により,その 1 次結合
{{制御と振動の数学/equation|<math>x(t) = A_1\varphi_1(t) + A_2\varphi_2(t) + A_3\varphi_3(t)+ \cdots + A_{n-1}\varphi_{n-1}(t) + A_n\varphi_n(t)</math>|tag=(3.28)|label=eq:3.28}}
もまた[[制御と振動の数学/第一類/Laplace 変換による解の吟味/解の構造と一般解/一般解と解の基本形#eq:3.27|式 (3.27) ]]の解であることを知っている.
ここでは [[制御と振動の数学/第一類/Laplace 変換による解の吟味/解の構造と一般解/一般解と解の基本形#eq:3.28|式 (3.28) ]]が
[[制御と振動の数学/第一類/Laplace 変換による解の吟味/解の構造と一般解/一般解と解の基本形#eq:3.27|式 (3.27) ]]の一般解であること,
すなわち任意の初期値,
{{制御と振動の数学/equation|<math>x(t_0)=\xi_1, x'(t_0)=\xi_2, x''(t_0)=\xi_3, \cdots, x^{(n-2)}(t_0)=\xi_{n-1}, x^{(n-1)}(t_0)=\xi_n</math>}}
を与えたとき,
{{制御と振動の数学/equation|<math>A_1\varphi_1(t_0) + A_2\varphi_2(t_0) + A_3\varphi_3(t_0) + \cdots + A_{n-1}\varphi_{n-1}(t_0) + A_n\varphi_n(t_0) = \xi_1</math>}}
{{制御と振動の数学/equation|<math>A_1\varphi_1'(t_0) + A_2\varphi_2'(t_0) + A_3\varphi_3'(t_0) + \cdots + A_{n-1}\varphi_{n-1}'(t_0) + A_n\varphi_n'(t_0) = \xi_2</math>}}
{{制御と振動の数学/equation|<math>A_1\varphi_1''(t_0) + A_2\varphi_2''(t_0) + A_3\varphi_3''(t_0) + \cdots + A_{n-1}\varphi_{n-1}''(t_0) + A_n\varphi_n''(t_0) = \xi_3</math>}}
{{制御と振動の数学/equation|<math>\cdots\cdots</math>}}
{{制御と振動の数学/equation|<math>A_1\varphi_1^{(n-2)}(t_0) + A_2\varphi_2^{(n-2)}(t_0) + A_3\varphi_3^{(n-2)}(t_0) + \cdots + A_{n-1}\varphi_{n-1}^{(n-2)}(t_0) + A_n\varphi_n^{(n-2)}(t_0) = \xi_{n-1}</math>}}
{{制御と振動の数学/equation|<math>A_1\varphi_1^{(n-1)}(t_0) + A_2\varphi_2^{(n-1)}(t_0) + A_3\varphi_3^{(n-1)}(t_0) + \cdots + A_{n-1}\varphi_{n-1}^{(n-1)}(t_0) + A_n\varphi_n^{(n-1)}(t_0) = \xi_{n}</math>}}
が任意の <math>t_0</math> と <math>\left\{ \xi_1, \xi_2, \xi_3, \cdots, \xi_{n-1}, \xi_n \right\}</math> に対して常に解けることを示そう.それは次の定理によって保証される.
<div id="theorem:3.5">
<strong>定理 3.5</strong>
<math>p(D)x = 0</math> の 1 次独立な <math>n</math> 個の解を,
{{制御と振動の数学/equation|<math>\left\{ \varphi_1(t), \varphi_2(t), \varphi_3(t), \cdots, \varphi_{n-1}(t), \varphi_n(t)\right\}</math>}}
とすると,次の行列式,
{{制御と振動の数学/equation|<math>\begin{vmatrix}
\varphi_1(t), & \varphi_2(t), & \varphi_3(t), & \cdots, & \varphi_n(t) \\
\varphi_1'(t), & \varphi_2'(t), & \varphi_3'(t), & \cdots, & \varphi_n'(t) \\
\varphi_1''(t), & \varphi_2''(t), & \varphi_3''(t), & \cdots, & \varphi_n''(t) \\
\vdots & \vdots & \vdots & & \vdots \\
\varphi_1^{n-2}(t), & \varphi_2^{n-2}(t), & \varphi_3^{n-2}(t), & \cdots, & \varphi_n^{n-2}(t) \\
\varphi_1^{n-1}(t), & \varphi_2^{n-1}(t), & \varphi_3^{n-1}(t), & \cdots, & \varphi_n^{n-1}(t)
\end{vmatrix}</math>}}
は決して <math>0</math> になることはない.この行列式を [[w:%E3%83%AD%E3%83%B3%E3%82%B9%E3%82%AD%E3%83%BC%E8%A1%8C%E5%88%97%E5%BC%8F|Wronsky の行列式]]といい,
{{制御と振動の数学/equation|<math>W[\varphi_1, \varphi_2, \cdots, \varphi_n](t)</math> または <math>W(t)</math>}}
などで表す.
<strong>証明</strong>
いまある <math>t_0</math> に対して Wronsky の行列式が <math>0</math> となったとする.このとき 1 次方程式,
{{制御と振動の数学/equation|<math>W(t_0) \left(
\begin{array}{c}
x_1 \\
x_2 \\
\vdots \\
x_n
\end{array}
\right) = 0</math>}}
には,すべては <math>0</math> でない解が存在する.それを,
{{制御と振動の数学/equation|<math>\left\{ A_1, A_2, \cdots, A_n\right\}</math>}}
としよう.この値を用いて
{{制御と振動の数学/equation|<math>x(t) = A_1\varphi_1(t) + A_2\varphi_2(t) + \cdots + A_n\varphi_n(t)</math>}}
を作れば,これは <math>p(D)x = 0</math> の解であって,しかも,
{{制御と振動の数学/equation|<math>x(t_0) = x'(t_0) = \cdots = x^{(n-1)}(t_0) = 0</math>}}
を満たす.よって解の一意性から,<math>x(t) \equiv 0</math> でなければならない.
このとき <math>\left\{ \varphi_1, \varphi_2, \cdots \varphi_n\right\}</math> の 1 次独立性から,
{{制御と振動の数学/equation|<math>A_1 = A_2 = \cdots = A_n = 0</math>}}
でなければならない.これは矛盾である.
<math>\diamondsuit</math>
<!-- theorem:3.5:end-->
<!-- ex:081:start-->
<div id="ex:81">
<strong>例81</strong><math>\quad</math>
<math>\varphi_1, \varphi_2</math> が 1 次独立で,<math>W[\varphi_1, \varphi_2] \equiv 0</math> となる例を作れ.
<strong>解答例</strong>
<math>\diamondsuit</math>
<!-- ex:081:end-->
<math>n</math> 階の線形定常常微分方程式の任意の解は,<math>n</math> 個の独立な解を見出せばその 1 次結合で表されることが分かった.
この <math>n</math> 個の独立な解のことを,解の基本系または基本解系という.この事実は次の定理にまとめられる.
<div id="theorem:3.6">
<strong>定理 3.6<ref>定常という仮定は実は不要である.</ref></strong>
<math>n</math> 階の線形定常常微分方程式の解の全体は,<math>n</math> 次元ベクトル空間を作る.その基底は解の基本形である.
<math>\diamondsuit</math>
<!-- theorem:3.6:end-->
<references />
[[カテゴリ:ラプラス変換]] | null | 2022-11-23T14:30:39Z | [
"テンプレート:制御と振動の数学/equation"
]
| https://ja.wikibooks.org/wiki/%E5%88%B6%E5%BE%A1%E3%81%A8%E6%8C%AF%E5%8B%95%E3%81%AE%E6%95%B0%E5%AD%A6/%E7%AC%AC%E4%B8%80%E9%A1%9E/Laplace_%E5%A4%89%E6%8F%9B%E3%81%AB%E3%82%88%E3%82%8B%E8%A7%A3%E3%81%AE%E5%90%9F%E5%91%B3/%E8%A7%A3%E3%81%AE%E6%A7%8B%E9%80%A0%E3%81%A8%E4%B8%80%E8%88%AC%E8%A7%A3/%E4%B8%80%E8%88%AC%E8%A7%A3%E3%81%A8%E8%A7%A3%E3%81%AE%E5%9F%BA%E6%9C%AC%E5%BD%A2 |
26,429 | 制御と振動の数学/第一類/Laplace 変換による解の吟味/解の構造と一般解/非同次の場合 | まず次の例から始める.
を Laplace 変換すると,
ここに, q ( s ) {\displaystyle q(s)} は高々 3 次式の多項式である.
であるから,
となる.ここに A , B , C {\displaystyle A,B,C} は未知の定数である. A , B , C {\displaystyle A,B,C} を適当に選ぶことによって,任意の初期条件を満たす解が得られる. よってこれが一般解である.この解をみると,
という形をとっている.この特解は,その解法からわかるように,初期値がすべて 0 {\displaystyle 0} の解である. 一般に特解というのは,初期値を指定した特定の解という意味で,初期値が 0 {\displaystyle 0} の解という意味ではない.一般には次の定理が成立する.
定理 3.6
非同次線形微分方程式の任意の解は,非同次式の特定の解と同次式の解の和で表される.
証明
非同次式を
と書く.いま,
とすると,
が成立する.これにより,
となり,
すなわち,
を得る.
♢ {\displaystyle \diamondsuit }
例82 {\displaystyle \quad }
以下は大学入試問題に出た. f ( t ) = 1 + 2 cos t + 3 sin t {\displaystyle f(t)=1+2\cos t+3\sin t} のとき,
となるように A , B , C {\displaystyle A,B,C} を定めよ.
♢ {\displaystyle \diamondsuit }
容易に分かるように,
は微分方程式,
の解の基本系である.したがってそれらの 1 次結合 f ( t ) {\displaystyle f(t)} も f ( t − C ) {\displaystyle f(t-C)} も解である. それは重ね合わせの原理と定常性の原理からの帰結である. よってまた
も解であり,これが基底の一つ 1 {\displaystyle 1} に等しくなるようにせよという問題である. これは三角関数の加法定理を用いて
と求まるが,実はこれには物理的背景がある. 式 (3.30) は単振動の方程式,
と同じである. f ( t ) {\displaystyle f(t)} は c o n s t . = 1 {\displaystyle const.=1} のときの解である. また 1 2 f ( t ) {\displaystyle {\frac {1}{2}}f(t)} , 1 2 f ( t − C ) {\displaystyle {\frac {1}{2}}f(t-C)} は c o n s t . = 2 {\displaystyle const.=2} のときの解である. 振動の周期は 2 π {\displaystyle 2\pi } であるから, C = π {\displaystyle C=\pi } (半周期)ととると sin , cos {\displaystyle \sin ,\cos } の項は相殺する. C {\displaystyle C} は π {\displaystyle \pi } の奇数倍でもよい.
この種の現象は実際目で見ることができる.(図:「有限時間整定応答」)
最初 A {\displaystyle A} の位置に静止している振子の支点を t = 0 {\displaystyle t=0} で瞬間的に B {\displaystyle B} に移す. すると B {\displaystyle B} を中心として左右に振動し始める. C {\displaystyle C} の直下に錘がきた瞬間( t = π {\displaystyle t=\pi } の奇数倍)に支点を B {\displaystyle B} から C {\displaystyle C} に移すと, C {\displaystyle C} で静止する. 厳密には,この振子系は線形の微分方程式では表せないが,それでも実際にやってみると,うまく C {\displaystyle C} で静止するから面白い. このような現象は,線形定常常微分方程式で表される系ではいつでも実現できる. 一般的に考えると,微分方程式で表される系では,初期値が与えられると解の一意性から,特定のパターンを持った運動が持続する. そのとき,外からの操作によって,異なった初期値をもつ別のパターンの運動を実現させることができる. ある位置で静止させようと思えば,その位置にきたとき,初期条件が 0 {\displaystyle 0} となるようにうまく操作すればよい. 線形定常な系では,そのような操作は常に可能であり,自動制御の分野では,一部実用に供されている.
♢ {\displaystyle \diamondsuit }
| [
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| まず次の例から始める. を Laplace 変換すると, ここに, q は高々 3 次式の多項式である. であるから, となる.ここに A , B , C は未知の定数である. A , B , C を適当に選ぶことによって,任意の初期条件を満たす解が得られる.
よってこれが一般解である.この解をみると, という形をとっている.この特解は,その解法からわかるように,初期値がすべて 0 の解である.
一般に特解というのは,初期値を指定した特定の解という意味で,初期値が 0 の解という意味ではない.一般には次の定理が成立する. | まず次の例から始める.
{{制御と振動の数学/equation|<math>\frac{d^3x}{dt^3} - \frac{d^2x}{dt^2} + \frac{dx}{dt} - x = f(t)</math>}}
を[[w:%E3%83%A9%E3%83%97%E3%83%A9%E3%82%B9%E5%A4%89%E6%8F%9B| Laplace 変換]]すると,
{{制御と振動の数学/equation|<math>\mathcal{L}[x] = \frac{q(s)}{(s-1)(s^2+1)} + \frac{\mathcal{L}[f]}{(s-1)(s^2+1)}</math>}}
ここに,<math>q(s)</math> は高々 3 次式の多項式である.
{{制御と振動の数学/equation|<math>\frac{1}{(s-1)(s^2+1)} \sqsubset \frac{1}{2}(e^t-\cos t + \sin t)</math>}}
であるから,
{{制御と振動の数学/equation|<math>x(t) = Ae^t + B\cos t + C\sin t + \frac{1}{2}\int_0^t (e^{\tau}-\cos\tau+\sin\tau)f(t-\tau)d\tau</math>}}
となる.ここに <math>A, B, C</math> は未知の定数である.<math>A, B, C</math> を適当に選ぶことによって,任意の初期条件を満たす解が得られる.
よってこれが一般解である.この解をみると,
{{制御と振動の数学/equation|非同次式の一般解 = 同次式の一般解 + 非同次式の特解}}
という形をとっている.この特解は,その解法からわかるように,初期値がすべて <math>0</math> の解<ref>ただしある初期値は <math>1</math> である.</ref>である.
一般に特解というのは,初期値を指定した特定の解という意味で,初期値が <math>0</math> の解という意味ではない.一般には次の定理が成立する.
<div id="theorem:3.6">
<strong>定理 3.6</strong>
非同次線形微分方程式の任意の解は,非同次式の特定の解と同次式の解の和で表される.
<strong>証明</strong>
非同次式を
{{制御と振動の数学/equation|<math>p(D)x = f(t)</math>|tag=(3.29)|label=eq:3.29}}
と書く.いま,
{{制御と振動の数学/equation|<math>\varphi(t) : </math> [[制御と振動の数学/第一類/Laplace 変換による解の吟味/解の構造と一般解/非同次の場合#eq:3.29|式 (3.29) ]]の任意の解}}
{{制御と振動の数学/equation|<math>\phi(t) : </math> [[制御と振動の数学/第一類/Laplace 変換による解の吟味/解の構造と一般解/非同次の場合#eq:3.29|式 (3.29) ]]の特定の解}}
とすると,
{{制御と振動の数学/equation|<math>p(D)\varphi(t)=f(t)</math>}}
{{制御と振動の数学/equation|<math>p(D)\phi(t)=f(t)</math>}}
が成立する.これにより,
{{制御と振動の数学/equation|<math>p(D)\left\{ \varphi(t) - \phi(t)\right\} = 0</math>}}
となり,
{{制御と振動の数学/equation|<math>\varphi(t) - \phi(t) = </math> 同次式の解}}
すなわち,
{{制御と振動の数学/equation|<math>\varphi(t) = \phi(t) + </math> 同次式の解}}
を得る.
<math>\diamondsuit</math>
<!-- theorem:3.6:end-->
<!-- ex:082:start-->
<div id="ex:82">
<strong>例82</strong><math>\quad</math>
以下は大学入試問題に出た.
<math>f(t) = 1 + 2\cos t + 3\sin t</math> のとき,
{{制御と振動の数学/equation|<math>Af(t)+Bf(t-C) = 1</math>}}
となるように <math>A, B, C</math> を定めよ.
<math>\diamondsuit</math>
容易に分かるように,
{{制御と振動の数学/equation|<math>\left\{ 1, \cos t, \sin t \right\}</math>}}
は微分方程式,
{{制御と振動の数学/equation|<math>\frac{d^3x}{dt^3} + \frac{dx}{dt} = 0</math>|tag=(3.30)|label=eq:3.30}}
の解の基本系である.したがってそれらの 1 次結合 <math>f(t)</math> も <math>f(t-C)</math> も解である.
それは重ね合わせの原理と定常性の原理からの帰結である.
よってまた
{{制御と振動の数学/equation|<math>Af(t)+Bf(t-C)</math>}}
も解であり,これが基底の一つ <math>1</math> に等しくなるようにせよという問題である.
これは三角関数の加法定理を用いて
{{制御と振動の数学/equation|<math>A=B=\frac{1}{2}, \quad C=(2n-1)\pi</math>}}
と求まるが,実はこれには物理的背景がある.
[[制御と振動の数学/第一類/Laplace 変換による解の吟味/解の構造と一般解/非同次の場合#eq:3.30|式 (3.30) ]]は単振動の方程式,
{{制御と振動の数学/equation|<math>\frac{d^2x}{dt^2} + x = const.</math>}}
と同じである.<math>f(t)</math> は <math>const. = 1</math> のときの解である.
また <math>\frac{1}{2}f(t)</math>,<math>\frac{1}{2}f(t-C)</math> は <math>const. = 2</math> のときの解である.
振動の周期は <math>2\pi</math> であるから,<math>C = \pi</math>(半周期)ととると <math>\sin, \cos</math> の項は相殺する.
<math>C</math> は <math>\pi</math> の奇数倍でもよい.
この種の現象は実際目で見ることができる.(図:「[[w:en:Dead-beat_control|有限時間整定応答]]」)
[[ファイル:有限時間整定応答.png|サムネイル|有限時間整定応答]]
最初 <math>A</math> の位置に静止している振子の支点を <math>t=0</math> で瞬間的に <math>B</math> に移す.
すると <math>B</math> を中心として左右に振動し始める.
<math>C</math> の直下に錘がきた瞬間(<math>t=\pi</math> の奇数倍)に支点を <math>B</math> から <math>C</math> に移すと,<math>C</math> で静止する.
厳密には,この振子系は線形の微分方程式では表せないが,それでも実際にやってみると,うまく <math>C</math> で静止するから面白い.
このような現象は,線形定常常微分方程式で表される系ではいつでも実現できる.
一般的に考えると,微分方程式で表される系では,初期値が与えられると解の一意性から,特定のパターンを持った運動が持続する.
そのとき,外からの操作によって,異なった初期値をもつ別のパターンの運動を実現させることができる.
ある位置で静止させようと思えば,その位置にきたとき,初期条件が <math>0</math> となるようにうまく操作すればよい.
線形定常な系では,そのような操作は常に可能であり,自動制御の分野では,一部実用に供されている.
<math>\diamondsuit</math>
<!-- ex:082:end-->
<references />
[[カテゴリ:ラプラス変換]] | null | 2022-11-23T14:30:43Z | [
"テンプレート:制御と振動の数学/equation"
]
| https://ja.wikibooks.org/wiki/%E5%88%B6%E5%BE%A1%E3%81%A8%E6%8C%AF%E5%8B%95%E3%81%AE%E6%95%B0%E5%AD%A6/%E7%AC%AC%E4%B8%80%E9%A1%9E/Laplace_%E5%A4%89%E6%8F%9B%E3%81%AB%E3%82%88%E3%82%8B%E8%A7%A3%E3%81%AE%E5%90%9F%E5%91%B3/%E8%A7%A3%E3%81%AE%E6%A7%8B%E9%80%A0%E3%81%A8%E4%B8%80%E8%88%AC%E8%A7%A3/%E9%9D%9E%E5%90%8C%E6%AC%A1%E3%81%AE%E5%A0%B4%E5%90%88 |
26,446 | 制御と振動の数学/第一類/複素数値関数の Laplace 変換/複素数値関数の微分積分学/実変数の複素数値関数 | 前章では Laplace 変換,
において, f ( t ) {\displaystyle f(t)} は実変数 t {\displaystyle t} の実数値関数, s {\displaystyle s} は実数と考えた. この章では, f ( t ) {\displaystyle f(t)} としては実変数 t {\displaystyle t} の複素数値関数をも許すものとする. すなわち,
を考える.ここに g ( t ) , h ( t ) {\displaystyle g(t),h(t)} は実数値関数であり,
と呼ぶ.また, s {\displaystyle s} は実数でも,複素数でもよいが,一応複素数としておく.
以下で取り扱う複素数値関数としては,次のものが一番重要である.
ここに α {\displaystyle \alpha } は複素数である.この関数の定義を述べよう.指数関数の Taylor 展開,
が, x {\displaystyle x} が複素数 i t {\displaystyle it} であっても成り立つとすればどのような結果が得られるか考えてみよう.
ここで最右辺の式の括弧内はそれぞれ cos t {\displaystyle \cos t} と sin t {\displaystyle \sin t} の Taylor 展開であるから,
という関係が得られる.これを Euler の公式と呼んでいる. ここで t = π {\displaystyle t=\pi } とおくと,
となる.これも Euler の公式ということがある. この公式の発見は,当時の数学界(サロン)におけるセンセーショナルな事件であったという. それは 1 , i , π , e {\displaystyle 1,i,\pi ,e} という当時知られていた数学の基本定数が,このような簡単なそして美しい関係で結び付けられていることに対する驚きによるものである.
我々は以後この結果から出発する.すなわち 式 (4.1) を指数関数 e i t {\displaystyle e^{it}} の定義とするのである.“良き結果は良き定義として採用できる”からである.このことは,これからの議論によって次第に明らかになるであろう.
まず,指数関数の加法定理,
が導かれる.なぜなら三角関数の加法定理から,
が出, これより直ちに,
が得られる からである.これらの式は d'Moivre の公式として知られている.
この加法定理が,もっと一般に成立するものだとすれば,
でなければならない.これが最初に述べた e α t {\displaystyle e^{\alpha t}} の定義である.すなわち,
定義 4.1
♢ {\displaystyle \diamondsuit }
例83 {\displaystyle \quad }
この定義から,
を示せ.
解答例
α = a + i b , β = c + i d ( a , b , c , d ∈ R ) {\displaystyle \alpha =a+ib,\beta =c+id\quad (a,b,c,d\in \mathbf {R} )} とおくと, e α t ⋅ e β t = e ( a + i b ) t ⋅ e ( c + i d ) t {\displaystyle e^{\alpha t}\cdot e^{\beta t}=e^{(a+ib)t}\cdot e^{(c+id)t}} = e a t ( cos b t + i sin b t ) ⋅ e c t ( cos d t + i sin d t ) {\displaystyle =e^{at}(\cos bt+i\sin bt)\cdot e^{ct}(\cos dt+i\sin dt)} = e ( a + c ) t e i ( b t ) e i ( d t ) ( ∵ cos b t + i sin b t = e i ( b t ) , e t c . ) {\displaystyle =e^{(a+c)t}e^{i(bt)}e^{i(dt)}(\because \cos bt+i\sin bt=e^{i(bt)},etc.)} = e ( a + c ) t e i ( b t + d t ) ( ∵ e i t e i τ = e i ( t + τ ) ) {\displaystyle =e^{(a+c)t}e^{i(bt+dt)}(\because e^{it}e^{i\tau }=e^{i(t+\tau )})} = e { ( a + c ) + i ( b + d ) } t {\displaystyle =e^{\{(a+c)+i(b+d)\}t}} .
♢ {\displaystyle \diamondsuit }
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| 前章では Laplace 変換, において, f は実変数 t の実数値関数, s は実数と考えた.
この章では, f としては実変数 t の複素数値関数をも許すものとする.
すなわち, を考える.ここに g , h は実数値関数であり, と呼ぶ.また, s は実数でも,複素数でもよいが,一応複素数としておく. 以下で取り扱う複素数値関数としては,次のものが一番重要である. ここに α は複素数である.この関数の定義を述べよう.指数関数の Taylor 展開, が, x が複素数 i t であっても成り立つとすればどのような結果が得られるか考えてみよう. ここで最右辺の式の括弧内はそれぞれ cos t と sin t の Taylor 展開であるから, という関係が得られる.これを Euler の公式と呼んでいる.
ここで t = π とおくと, となる.これも Euler の公式ということがある.
この公式の発見は,当時の数学界(サロン)におけるセンセーショナルな事件であったという.
それは 1 , i , π , e という当時知られていた数学の基本定数が,このような簡単なそして美しい関係で結び付けられていることに対する驚きによるものである. 我々は以後この結果から出発する.すなわち 式 (4.1) を指数関数 e i t の定義とするのである.“良き結果は良き定義として採用できる”からである.このことは,これからの議論によって次第に明らかになるであろう. まず,指数関数の加法定理, が導かれる.なぜなら三角関数の加法定理から, が出,
これより直ちに, が得られる
からである.これらの式は d'Moivre の公式として知られている. ↑ ↑ ↑ ↑ この加法定理が,もっと一般に成立するものだとすれば, でなければならない.これが最初に述べた e α t の定義である.すなわち, | [[制御と振動の数学/第一類/Laplace 変換|前章]]では[[w:%E3%83%A9%E3%83%97%E3%83%A9%E3%82%B9%E5%A4%89%E6%8F%9B| Laplace 変換]],
{{制御と振動の数学/equation|<math>\mathcal{L}[f] = \int_0^{\infty} f(t)e^{-st}dt</math>}}
において,<math>f(t)</math> は実変数 <math>t</math> の実数値関数,<math>s</math> は実数と考えた.
この章では,<math>f(t)</math> としては実変数 <math>t</math> の複素数値関数をも許すものとする.<ref>
定義域の変数 <math>t</math> としては常に実数を考える.
</ref>
すなわち,
{{制御と振動の数学/equation|<math>f(t) = g(t) + ih(t)</math>}}
を考える.ここに <math>g(t), h(t)</math> は実数値関数であり,
{{制御と振動の数学/equation|<math>g(t) := \mathrm{Re}\ f(t) : f(t)</math> の実部}}
{{制御と振動の数学/equation|<math>h(t) := \mathrm{Im}\ f(t) : f(t)</math> の虚部}}
と呼ぶ.また,<math>s</math> は実数でも,複素数でもよいが,一応複素数としておく.<ref>
複素数は既知として取り扱う.複素数の全体を <math>\mathbf{C}</math>,実数の全体を <math>\mathbf{R}</math> で表す.
</ref>
以下で取り扱う複素数値関数としては,次のものが一番重要である.
{{制御と振動の数学/equation|<math>e^{\alpha t}; \alpha := a + ib, \quad i = \sqrt{-1}</math>}}
ここに <math>\alpha</math> は複素数である.この関数の定義を述べよう.指数関数の [[w:%E3%83%86%E3%82%A4%E3%83%A9%E3%83%BC%E5%B1%95%E9%96%8B| Taylor 展開]],
{{制御と振動の数学/equation|<math>e^x = \sum_{n=0}^{\infty} \frac{x^n}{n!}</math>}}
が,<math>x</math> が複素数 <math>it</math> であっても成り立つとすればどのような結果が得られるか考えてみよう.
{{制御と振動の数学/equation|<math>e^{it} = \sum_{n=0}^{\infty}\frac{(it)^n}{n!} = \left( 1 - \frac{t^2}{2!} + \frac{t^4}{4!} - \frac{t^6}{6!} + \cdots \right) + i \left(t - \frac{t^3}{3!} + \frac{t^5}{5!} - \frac{t^7}{7!} + \cdots \right)</math>}}
ここで最右辺の式の括弧内はそれぞれ <math>\cos t</math> と <math>\sin t</math> の Taylor 展開であるから,
{{制御と振動の数学/equation|<math>e^{it} = \cos t + i\sin t</math>|tag=(4.1)|label=eq:4.1}}
という関係が得られる.これを[[w:%E3%82%AA%E3%82%A4%E3%83%A9%E3%83%BC%E3%81%AE%E5%85%AC%E5%BC%8F| Euler の公式]]と呼んでいる.
ここで <math>t = \pi</math> とおくと,
{{制御と振動の数学/equation|<math>e^{i\pi} = -1</math>}}
となる.これも [[w:%E3%82%AA%E3%82%A4%E3%83%A9%E3%83%BC%E3%81%AE%E7%AD%89%E5%BC%8F| Euler の公式]]ということがある.
この公式の発見は,当時の数学界(サロン)におけるセンセーショナルな事件であったという.
それは <math>1, i, \pi, e</math> という当時知られていた数学の基本定数が,このような簡単なそして美しい関係で結び付けられていることに対する驚きによるものである.
我々は以後この結果から出発する.すなわち [[制御と振動の数学/第一類/複素数値関数の Laplace 変換/複素数値関数の微分積分学/実変数の複素数値関数#eq:4.1|式 (4.1) ]]を指数関数 <math>e^{it}</math> の定義とするのである.“良き結果は良き定義として採用できる”からである.このことは,これからの議論によって次第に明らかになるであろう.
まず,指数関数の加法定理,
{{制御と振動の数学/equation|<math>e^{it}\cdot e^{i\tau} = e^{i(t+\tau)}</math>}}
{{制御と振動の数学/equation|<math>(e^{it})^n = e^{int}</math>}}
が導かれる.なぜなら三角関数の加法定理から,
{{制御と振動の数学/equation|<math>(\cos t + i\sin t)(\cos\tau + i\sin\tau) = \cos(t + \tau) + i\sin(t + \tau)</math>}}
が出<ref>
:<math>(\cos t + i\sin t)(\cos\tau + i\sin\tau) = \cos t\cos\tau + i\cos t\sin\tau + i\sin t\cos\tau - \sin t\sin\tau</math><br />
:<math>= \left\{ \cos t\cos\tau - \sin t\sin\tau \right\} + i\left\{ \cos t\sin\tau + \sin t\cos\tau \right\}</math><br />
:<math>= \cos(t+\tau) + i\sin(t+\tau) \quad (\because </math> 実部は <math>\cos</math> の加法定理,虚部は <math>\sin</math> の加法定理.)<br />
</ref>,
これより直ちに,
{{制御と振動の数学/equation|<math>(\cos t + i\sin t)^n = \cos nt + i\sin nt</math>}}
が得られる<ref>
<math>(\cos t + i\sin t)^n = (\cos t + i\sin t)(\cos t + i\sin t)(\cos t + i\sin t)^{n-2}</math><br />
<math>= (\cos 2t + i\sin 2t)(\cos t + i\sin t)^{n-2} = (\cos 2t + i\sin 2t)(\cos t + i\sin t)(\cos t + i\sin t)^{n-3}</math><br />
<math>= (\cos 3t + i\sin 3t)(\cos t + i\sin t)^{n-3}</math><br />
<math>= (\cos 4t + i\sin 4t)(\cos t + i\sin t)^{n-4}</math><br />
<math>\cdots</math><br />
<math> = \left\{ \cos(n-1)t + i\sin(n-1)\right\}(\cos t + i\sin t)</math><br />
<math> = \cos nt + i\sin nt</math><br />
</ref>
からである.これらの式は [[w:%E3%83%89%E3%83%BB%E3%83%A2%E3%82%A2%E3%83%96%E3%83%AB%E3%81%AE%E5%AE%9A%E7%90%86| d'Moivre の公式]]として知られている.
<references />
この加法定理が,もっと一般に成立するものだとすれば,
{{制御と振動の数学/equation|<math>e^{(a+ib)t} = e^{at}\cdot e^{ibt} = e^{at}(\cos bt + i\sin bt)</math>}}
でなければならない.これが最初に述べた <math>e^{\alpha t}</math> の定義である.すなわち,
<div id="def:4.1">
<strong>定義 4.1</strong>
{{制御と振動の数学/equation|<math>e^{(a+ib)t} = e^{at}(\cos bt + i\sin bt)</math>}}
<math>\diamondsuit</math>
<!-- def:4.1:end-->
<!-- ex:083:start-->
<div id="ex:83">
<strong>例83</strong><math>\quad</math>
この定義から,
{{制御と振動の数学/equation|<math>e^{\alpha t}\cdot e^{\beta t} = e^{(\alpha + \beta)t}, \quad \alpha, \beta \in \mathbf{C}</math>}}
を示せ.
<strong>解答例</strong>
<math>\alpha = a + ib, \beta = c + id \quad (a, b, c, d \in \mathbf{R})</math> とおくと,<br />
<math>e^{\alpha t}\cdot e^{\beta t} = e^{(a + ib)t}\cdot e^{(c + id)t}</math><br />
<math>= e^{at}(\cos bt + i\sin bt)\cdot e^{ct}(\cos dt + i\sin dt)</math><br />
<math>= e^{(a+c)t}e^{i(bt)}e^{i(dt)}(\because \cos bt + i\sin bt = e^{i(bt)}, etc.)</math><br />
<math>= e^{(a+c)t}e^{i(bt + dt)} (\because e^{it}e^{i\tau} = e^{i(t+\tau)})</math><br />
<math>= e^{\{(a+c) + i(b+d)\}t}</math>.<br />
<math>\diamondsuit</math>
<!-- ex:83:end-->
<references /> | null | 2019-12-18T05:11:00Z | [
"テンプレート:制御と振動の数学/equation"
]
| https://ja.wikibooks.org/wiki/%E5%88%B6%E5%BE%A1%E3%81%A8%E6%8C%AF%E5%8B%95%E3%81%AE%E6%95%B0%E5%AD%A6/%E7%AC%AC%E4%B8%80%E9%A1%9E/%E8%A4%87%E7%B4%A0%E6%95%B0%E5%80%A4%E9%96%A2%E6%95%B0%E3%81%AE_Laplace_%E5%A4%89%E6%8F%9B/%E8%A4%87%E7%B4%A0%E6%95%B0%E5%80%A4%E9%96%A2%E6%95%B0%E3%81%AE%E5%BE%AE%E5%88%86%E7%A9%8D%E5%88%86%E5%AD%A6/%E5%AE%9F%E5%A4%89%E6%95%B0%E3%81%AE%E8%A4%87%E7%B4%A0%E6%95%B0%E5%80%A4%E9%96%A2%E6%95%B0 |
26,451 | 制御と振動の数学/第一類/複素数値関数の Laplace 変換/複素数値関数の微分積分学/複素数値関数の微分 | の t {\displaystyle t} に関する微分を,
と定義する.したがって f ( t ) {\displaystyle f(t)} が微分可能とはその実部も虚部もともに微分可能であることを意味する. その他の性質もこれに準じて考えるものとする. この定義から直ちに,次の基本的性質が従う.
複素数値関数の微分の基本的性質
(1)
(2)
♢ {\displaystyle \diamondsuit }
例84 {\displaystyle \quad }
これらの事実を,微分の定義 式 (4.3) に従って証明せよ
解答例
f 1 = g 1 + i h 1 , f 2 = g 2 + i h 2 {\displaystyle f_{1}=g_{1}+i\ h_{1},\ f_{2}=g_{2}+i\ h_{2}} とする
I(1)
I(2)
II
♢ {\displaystyle \diamondsuit }
例85 {\displaystyle \quad }
f ( t ) = e α t , α = a + i b {\displaystyle f(t)=e^{\alpha t},\quad \alpha =a+ib} を微分せよ.
解説
であるから,
ここで
であるから,
よって最初に戻って
すなわち α {\displaystyle \alpha } が複素数のときも,実数のときと同じ公式,
が成立する. ♢ {\displaystyle \diamondsuit }
この例題から,複素係数の微分方程式,
の解が,
であることが分かる.式 (4.4) において
とおいて,実部と虚部に分けると,実係数の連立方程式,
となる. この解は z = e α t z 0 {\displaystyle z=e^{\alpha t}z_{0}} の実部と虚部であって,
となる.ここに z 0 = x 0 + i y 0 {\displaystyle z_{0}=x_{0}+iy_{0}} である. あるいは z 0 = r e i θ ( r > 0 ) {\displaystyle z_{0}=re^{i\theta }\quad (r>0)} と極形式で表すと,
を得る.
さて 式 (4.4) を微分記号 D = d d t {\displaystyle D={\frac {d}{dt}}} を用いて表すと,
と書ける.この式に z = e α t x {\displaystyle z=e^{\alpha t}x} を代入すると,
となることは,複素数値関数の微分の基本的性質Iの (2) から容易に分かる.よって,
であるから,上述の解 z = e α t z 0 {\displaystyle z=e^{\alpha t}z_{0}} が得られる.この技法を一般化して,微分方程式,
の解を求めてみよう.
とおいて,上式に代入すると,
となる.これより,
を得る.この多項式の係数は複素数でよい.また式 (4.5) の解の基本系は,
である.
次にもっと一般の複素係数の微分方程式,
を考えよう.ここに係数 a 1 , a 2 , ⋯ , a n {\displaystyle a_{1},a_{2},\cdots ,a_{n}} はすべて複素数とする.この場合も実係数の微分方程式の場合と同様に,重ね合わせの原理,定常性の原理などが成立することは明らかであろう.複素関数の微分に関する基本的性質I・IIがあるので,前章での証明をなんら変更する必要はない.
また,微分方程式(4.6)に付随する特性多項式が,
と因数に分解できるとき,
も成立することも同様である.前章では述べなかったが,係数が実数であっても複素数であっても,次の補題が成立する.
補題 4.1 {\displaystyle \quad }
ここに, p 1 ( s ) {\displaystyle p_{1}(s)} と p 2 ( s ) {\displaystyle p_{2}(s)} は互いに素ならば,
が成り立つ.
証明
p 1 {\displaystyle p_{1}} と p 2 {\displaystyle p_{2}} が互いに素であるから,
となる多項式 μ ( s ) , ν ( s ) {\displaystyle \mu (s),\nu (s)} が存在する. よって,
が成り立つが,仮定を満たすとき左辺は 0 {\displaystyle 0} となるから, z = 0 {\displaystyle z=0} を得る. ♢ {\displaystyle \diamondsuit }
系 {\displaystyle \quad } 同じ条件の下に,
ならば, z 1 ( t ) {\displaystyle z_{1}(t)} と z 2 ( t ) {\displaystyle z_{2}(t)} は 1 次独立である. ♢ {\displaystyle \diamondsuit }
証明は演習問題とする. 以上は同次方程式の場合だけを述べたが,非同次方程式の場合も前章と同じ結果が成立する.
| [
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"text": "を得る.この多項式の係数は複素数でよい.また式 (4.5) の解の基本系は,",
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"text": "を考えよう.ここに係数 a 1 , a 2 , ⋯ , a n {\\displaystyle a_{1},a_{2},\\cdots ,a_{n}} はすべて複素数とする.この場合も実係数の微分方程式の場合と同様に,重ね合わせの原理,定常性の原理などが成立することは明らかであろう.複素関数の微分に関する基本的性質I・IIがあるので,前章での証明をなんら変更する必要はない.",
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"text": "証明は演習問題とする. 以上は同次方程式の場合だけを述べたが,非同次方程式の場合も前章と同じ結果が成立する.",
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]
| の t に関する微分を, と定義する.したがって f が微分可能とはその実部も虚部もともに微分可能であることを意味する.
その他の性質もこれに準じて考えるものとする.
この定義から直ちに,次の基本的性質が従う. | {{制御と振動の数学/equation|<math>f(t) = g(t) + i h(t)</math>}}
の <math>t</math> に関する微分を,
{{制御と振動の数学/equation|<math>\frac{df}{dt} := \frac{dg}{dt} + i\frac{dh}{dt}</math>|tag=(4.3)|label=eq:4.3}}
と定義する.したがって <math>f(t)</math> が微分可能とはその実部も虚部もともに微分可能であることを意味する.
その他の性質もこれに準じて考えるものとする.
この定義から直ちに,次の基本的性質が従う.
<div id="fundamental">
<strong>複素数値関数の微分の基本的性質</strong>
<div id="fundamental:1">Ⅰ <math>f_1(t), f_2(t)</math> が複素数値関数ならば,
(1)
{{制御と振動の数学/equation|<math>\frac{d(f_1 + f_2)}{dt} = \frac{df_1}{dt} + \frac{df_2}{dt}</math>}}
(2)
{{制御と振動の数学/equation|<math>\frac{d(f_1\cdot f_2)}{dt} = \frac{df_1}{dt}\cdot f_2 + f_1\cdot\frac{df_2}{dt}</math>}}
<div id="fundamental:2">Ⅱ <math>f(t)</math> を複素数値関数,<math>\varphi(\tau)</math> を実数値関数とすれば,
{{制御と振動の数学/equation|<math>\frac{df[\varphi(\tau)]}{d\tau} = \frac{df}{dt}\cdot\frac{d\varphi}{d\tau}</math>}}
<math>\diamondsuit</math>
<!-- fundamental:end-->
<!-- ex:084:start-->
<div id="ex:84">
<strong>例84</strong><math>\quad</math>
これらの事実を,微分の定義 [[制御と振動の数学/第一類/複素数値関数の Laplace 変換/複素数値関数の微分積分学/複素数値関数の微分#eq:4.3|式 (4.3) ]]に従って証明せよ
<strong>解答例</strong>
<math>f_1 = g_1 + i\ h_1,\ f_2 = g_2 + i\ h_2</math> とする
Ⅰ(1)
{{制御と振動の数学/equation|<math>\frac{df_1}{dt} + \frac{df_2}{dt} = \frac{d(g_1 + i\ h_1)}{dt} + \frac{d(g_2 + i\ h_2)}{dt}</math>}}
{{制御と振動の数学/equation|<math>= \frac{dg_1}{dt} + i\ \frac{h_1}{dt} + \frac{dg_2}{dt} + i\ \frac{h_2}{dt}</math>}}
{{制御と振動の数学/equation|<math>= \frac{dg_1}{dt} + \frac{dg_2}{dt} + i\left( \frac{dh_1}{dt} + \frac{dh_2}{dt}\right)</math>}}
{{制御と振動の数学/equation|<math>= \frac{d}{dt}\left(g_1 + g_2\right)+ i\ \frac{d}{dt}\left(h_1 + h_2\right)</math>}}
{{制御と振動の数学/equation|<math>= \frac{d}{dt}\left(f_1 + f_2\right)</math>}}
Ⅰ(2)
{{制御と振動の数学/equation|<math>\frac{df_1}{dt}f_2 + f_1\frac{df_2}{dt} = \left(\frac{dg_1}{dt} + i\ \frac{dh_1}{dt}\right)(g_2 + i\ h_2) + \left(\frac{dg_2}{dt} + i\ \frac{dh_2}{dt}\right)(g_1 + i\ h_1)</math>}}
{{制御と振動の数学/equation|<math>=\frac{d}{dt}\Big\{(g_1 + i\ h_1)\Big\}(g_2 + i\ h_2) + (g_1 + i\ h_1)\frac{d}{dt}\Big\{(g_2 + i\ h_2)\Big\}</math>}}
{{制御と振動の数学/equation|<math>=\frac{d}{dt}\Big\{(g_1 + i\ h_1)(g_2 + i\ h_2)\Big\}</math>}}
{{制御と振動の数学/equation|<math>=\frac{d}{dt}\left(f_1\cdot f_2\right)</math>}}
II
<math>\diamondsuit</math>
<!-- ex:84:end-->
<!-- ex:085:start-->
<div id="ex:85">
<strong>例85</strong><math>\quad</math>
<math>f(t)=e^{\alpha t}, \quad \alpha=a + ib</math> を微分せよ.
<strong>解説</strong>
{{制御と振動の数学/equation|<math>e^{\alpha t} = e^{at}(\cos bt + i\sin bt)</math>}}
であるから,
{{制御と振動の数学/equation|<math>\frac{df}{dt} = \frac{d(e^{at}\cos bt)}{dt} + i\frac{d(e^{at}\sin bt)}{dt}</math>}}
{{制御と振動の数学/equation|<math>= (ae^{at}\cos bt - e^{at}\cdot b\sin bt) + i(ae^{at}\sin bt + e^{at}\cdot b\cos bt)</math>}}
{{制御と振動の数学/equation|<math>= e^{at} \bigg[ a\cos bt - b\sin bt + i(a\sin bt + b\cos bt) \bigg]</math>}}
{{制御と振動の数学/equation|<math>= e^{at} \bigg[ a \left\{ \cos bt + i\sin bt\right\} + b\left\{ -\sin bt + i\cos bt\right\}\bigg]</math>}}
ここで
{{制御と振動の数学/equation|<math>-\sin bt = i^2\sin bt = i\cdot i\sin bt</math>}}
であるから,
{{制御と振動の数学/equation|<math>b \left\{ -\sin bt + i\cos bt\right\} = b\left\{i\cdot i\sin bt + i\cos bt\right\}</math>}}
{{制御と振動の数学/equation|<math>= ib\left\{i\sin bt + \cos bt\right\} = ib\left\{ \cos bt + i\sin bt\right\}</math>}}
よって最初に戻って
{{制御と振動の数学/equation|<math>\frac{df}{dt} = e^{at} \bigg[ a \left\{ \cos bt + i\sin bt\right\} + b\left\{ -\sin bt + i\cos bt\right\}\bigg]</math>}}
{{制御と振動の数学/equation|<math>= e^{at} \bigg[ a \left\{ \cos bt + i\sin bt\right\} + ib\left\{ \cos bt + i\sin bt\right\}\bigg]</math>}}
{{制御と振動の数学/equation|<math>= e^{at} \left\{ \cos bt + i\sin bt\right\}(a + ib) = e^{\alpha t}\cdot\alpha = \alpha f(t)</math>}}
すなわち <math>\alpha</math> が複素数のときも,実数のときと同じ公式,
{{制御と振動の数学/equation|<math>\frac{de^{\alpha t}}{dt} = \alpha e^{\alpha t}</math>}}
が成立する.
<math>\diamondsuit</math>
<!-- ex:85:end-->
この例題から,複素係数の微分方程式,
{{制御と振動の数学/equation|<math>\frac{dz}{dt} = \alpha z</math>|tag=(4.4)|label=eq:4.4}}
の解が,
{{制御と振動の数学/equation|<math>z(t) = e^{\alpha t}z_0 \quad z_0 \in \mathbf{C}</math>}}
であることが分かる.[[制御と振動の数学/第一類/複素数値関数の Laplace 変換/複素数値関数の微分積分学/複素数値関数の微分#eq:4.4|式 (4.4) ]]において
{{制御と振動の数学/equation|<math>z(t) = x(t)+iy(t), \quad \alpha = a + ib</math>}}
とおいて,実部と虚部に分けると,実係数の連立方程式,
{{制御と振動の数学/equation|<math>\frac{dx}{dt} = ax - by</math>}}
{{制御と振動の数学/equation|<math>\frac{dy}{dt} = bx + ay</math>|tag=(4.4b)|label=eq:4.4b}}
となる<ref>
<math>\frac{dx}{dt} + i\frac{dy}{dt} = (a + ib)(x + iy)</math><br />
<math>\therefore \frac{dx}{dt} + i\frac{dy}{dt} = (ax -by) + i(bx + ay)</math><br />
</ref>.
この解は <math>z = e^{\alpha t}z_0</math> の実部と虚部であって,
{{制御と振動の数学/equation|<math>x(t) = e^{at}(x_0\cos bt-y_0\sin bt)</math>}}
{{制御と振動の数学/equation|<math>y(t) = e^{at}(x_0\sin bt+y_0\cos bt)</math>}}
となる.ここに <math>z_0 = x_0+iy_0</math> である<ref>
連立微分方程式[[制御と振動の数学/第一類/複素数値関数の Laplace 変換/複素数値関数の微分積分学/複素数値関数の微分#eq:4.4b|式 (4.4b) ]]を実際に解いてみる.<br />
<math>x' = ax-by</math>…①<br />
<math>y' = bx+ay</math>…②<br />
にて,①の両辺を微分すると,<br />
<math>x'' = ax'-by'</math>…①'<br />
①'に②を代入して,
<math>x'' = ax' - b(bx + ay) = ax'-b^2x - a(by)</math>…③<br />
①より <math>by = ax - x'</math> だからこれを③に代入して,<br />
<math>x''=ax'-b^2x -a(ax - x') = ax' - (a^2 + b^2)x + ax'</math><br />
<math>\therefore x''-2ax' + (a^2 + b^2)x = 0</math><br />
これが連立方程式から導かれた,解くべき 2 階の微分方程式で,初期条件は <math>x_0</math>,<math>x_0' = ax_0 - by_0</math>.<br />
<math>X \sqsubset x</math> として微分方程式をラプラス変換すると,<br />
<math>s^2X-x_0s-(ax_0-by_0) - 2a(sX-x_0) + (a^2+b^2)X = 0</math><br />
<math>\therefore X = \frac{x_0s}{s^2-2as + (a^2 + b^2)} + \frac{-ax_0-by_0}{s^2-2as + (a^2 + b^2)}</math><br />
<math>s^2-2as+(a^2+b^2) = (s-a)^2 + b^2</math> でラプラス変換公式を当てはめられるようにさらに変形して,<br />
<math>X = \frac{x_0(s-a)}{(s-a)^2 + b^2} + \frac{-y_0b}{(s-a)^2 + b^2}</math><br />
この原像は,<br />
<math>x = x_0e^{at}\cos bt - y_0e^{at}\sin bt = e^{at}\left\{ x_0\cos bt - y_0\sin bt \right\}</math><br />
これで <math>x</math> が再現できた.①より <math>by = ax - x'</math> を計算すると,<br />
<math>x' = e^{at}\left\{ x_0(-b)\sin bt - y_0b\cos bt\right\} + ae^{at}(x_0\cos bt-y_0\sin bt)</math><br />
<math>=e^{at} \bigg[ (ax_0 - by_0)\cos bt + (-ay_0-bx_0)\sin bt \bigg]</math><br />
<math>\therefore by = ax - x' = e^{at} \bigg[ {\color{red}ax_0\cos bt} {\color{blue}- ay_0\sin bt} + ({\color{red}-ax_0} + by_0)\cos bt + ({\color{blue}ay_0}+bx_0)\sin bt \bigg]</math><br />
<math>= e^{at}\bigg[ by_0\cos bt + bx_0\sin bt\bigg] \therefore y = e^{at}(x_0\sin bt + y_0\cos bt)</math><br />
</ref><ref>
<math>z=e^{\alpha t}z_0</math> の実部と虚部を実際に取り出してみる.<br />
<math>z = e^{\alpha t}z_0 = e^{at}(\cos bt + i\sin bt)(x_0 + iy_0)</math><br >
<math>= e^{at}\bigg[ (x_0\cos bt - y_0\sin bt) + i(x_0\sin bt + y_0\cos bt) \bigg]</math> と先の連立微分方程式の解と一致する.<br />
</ref>.
あるいは <math>z_0=re^{i\theta}\quad(r > 0)</math> と極形式で表すと,
{{制御と振動の数学/equation|<math>x(t) = re^{at}\cos(bt + \theta)</math>}}
{{制御と振動の数学/equation|<math>y(t) = re^{at}\sin(bt+\theta)</math>}}
を得る<ref>
<math>x(t) = e^{at}(x_0\cos bt - y_0\sin bt)</math> にて <math>\cos</math> の加法定理に持ち込む.<math>\theta = \tan^{-1}\frac{y_0}{x_0}</math>,したがって <math>\cos\theta = \frac{x_0}{\sqrt{x_0^2 + y_0^2}}, \sin\theta = \frac{y_0}{\sqrt{x_0^2 + y_0^2}}</math> だから,<br />
<math>x(t) = e^{at}\sqrt{x_0^2 + y_0^2}\bigg[\frac{x_0}{\sqrt{x_0^2 + y_0^2}}\cos bt - \frac{y_0}{\sqrt{x_0^2 + y_0^2}}\sin bt\bigg]</math><br />
<math>= e^{at}r(\cos\theta\cos bt - \sin\theta\sin bt) = re^{at}\cos(bt + \theta),\quad \left(\because r = \sqrt{x_0^2 + y_0^2}\right)</math><br />
<math>y</math> も同様に,<br />
<math>y(t) = e^{at}\sqrt{x_0^2 + y_0^2}\bigg[\frac{x_0}{\sqrt{x_0^2 + y_0^2}}\sin bt + \frac{y_0}{\sqrt{x_0^2 + y_0^2}}\cos bt \bigg]</math><br />
<math>= e^{at}r(\cos\theta\sin bt + \sin\theta\cos bt) = re^{at}\sin(bt + \theta)</math><br />
</ref><ref>
<math>z = e^{\alpha t}z_0, \quad z_0 = re^{i\theta}</math> で <math>z</math> を極形式に変形するとどうなるか?<br />
<math>z = e^{\alpha t}z_0 = e^{(a+ib)t}re^{i\theta}</math><br />
<math>= re^{at + i(bt + \theta)} = re^{at}e^{i(bt + \theta)}</math><br />
</ref>.
さて [[制御と振動の数学/第一類/複素数値関数の Laplace 変換/複素数値関数の微分積分学/複素数値関数の微分#eq:4.4|式 (4.4) ]]を微分記号 <math>D = \frac{d}{dt}</math> を用いて表すと,
{{制御と振動の数学/equation|<math>(D-\alpha)x = 0</math>}}
と書ける.この式に <math>z=e^{\alpha t}x</math> を代入すると,
{{制御と振動の数学/equation|<math>(D-\alpha)e^{\alpha t}x = e^{\alpha t}Dx = 0</math>}}
となることは,[[制御と振動の数学/第一類/複素数値関数の Laplace 変換/複素数値関数の微分積分学/複素数値関数の微分#fundamental:1|複素数値関数の微分の基本的性質Ⅰ]]の (2) から容易に分かる<ref>
<math>(D-\alpha)e^{\alpha t}x = D\{e^{\alpha t}x\} - \alpha e^{\alpha t}x</math><br />
<math>= e^{\alpha t}Dx + \alpha e^{\alpha t}x - \alpha e^{\alpha t}x</math><br />
<math>= e^{\alpha t}Dx</math>.<br />
これは [[制御と振動の数学/第一類/Laplace 変換による解の吟味/特性多項式の構造と解の性質#lemma:3.3|補題 3.3 ]] の (ii) を再現している.
</ref>.よって,
{{制御と振動の数学/equation|<math>Dx = 0 \implies x = z_0</math>(定数)}}
であるから,上述の解 <math>z=e^{\alpha t}z_0</math> が得られる.この技法を一般化して,微分方程式,
{{制御と振動の数学/equation|<math>(D-\alpha)^nz = 0</math>|tag=(4.5)|label=eq:4.5}}
の解を求めてみよう.
{{制御と振動の数学/equation|<math>z(t)=e^{\alpha t}x(t)</math>}}
とおいて,上式に代入すると,
{{制御と振動の数学/equation|<math>e^{\alpha t}D^nx = 0</math>}}
となる.これより,
{{制御と振動の数学/equation|<math>x(t) = </math> 高々 <math>n-1</math> 次の <math>t</math> の多項式}}
を得る.この多項式の係数は複素数でよい.また[[制御と振動の数学/第一類/複素数値関数の Laplace 変換/複素数値関数の微分積分学/複素数値関数の微分#eq:4.5|式 (4.5) ]]の解の基本系は,
{{制御と振動の数学/equation|<math>e^{\alpha t}, te^{\alpha t}, t^2e^{\alpha t}, \cdots, t^{n-1}e^{\alpha t}</math>}}
である.
次にもっと一般の複素係数の微分方程式,
{{制御と振動の数学/equation|<math>\frac{d^nz}{dt^n} + a_1\frac{d^{n-1}z}{dt^{n-1}} + a_2\frac{d^{n-2}z}{dt^{n-2}} + \cdots + a_{n-1}\frac{dz}{dt} + a_nz = 0</math>|tag=(4.6)|label=eq:4.6}}
を考えよう.ここに係数 <math>a_1, a_2, \cdots, a_n</math> はすべて複素数とする.この場合も実係数の微分方程式の場合と同様に,[[制御と振動の数学/第一類/Laplace 変換による解の吟味/線形性と重ね合わせの原理#superposision:1|重ね合わせの原理]],[[制御と振動の数学/第一類/Laplace 変換による解の吟味/線形定常性#stationary:1|定常性の原理]]などが成立することは明らかであろう.[[制御と振動の数学/第一類/複素数値関数の Laplace 変換/複素数値関数の微分積分学/複素数値関数の微分#fundamental|複素関数の微分に関する基本的性質Ⅰ・Ⅱ]]があるので,[[制御と振動の数学/第一類/Laplace 変換による解の吟味|前章]]での証明をなんら変更する必要はない.
また,微分方程式[[制御と振動の数学/第一類/複素数値関数の Laplace 変換/複素数値関数の微分積分学/複素数値関数の微分#eq:4.6|(4.6)]]に付随する特性多項式が,
{{制御と振動の数学/equation|<math>p(s) = p_1(s)p_2(s)</math>}}
と因数に分解できるとき,
{{制御と振動の数学/equation|<math>p_i(D)z = 0 \quad (i = 1, 2) \implies p(D)x = 0</math>}}
も成立することも同様である.[[制御と振動の数学/第一類/Laplace 変換による解の吟味|前章]]では述べなかったが,係数が実数であっても複素数であっても,次の補題が成立する.
<!-- lemma:4.1:start-->
<div id="lemma:4.1">
<strong>補題 4.1</strong><math>\quad</math>
{{制御と振動の数学/equation|<math>p(s)=p_1(s)p_2(s)</math>}}
ここに,<math>p_1(s)</math> と <math>p_2(s)</math> は互いに素ならば,
{{制御と振動の数学/equation|<math>p_1(D)z = 0</math> かつ <math> p_2(D)z = 0 \implies z=0</math>}}
が成り立つ.
<strong>証明</strong>
<math>p_1</math> と <math>p_2</math> が互いに素であるから,
{{制御と振動の数学/equation|<math>\mu(s)p_1(s) + \nu(s)p_2(s) = 1</math>}}
となる多項式 <math>\mu(s), \nu(s)</math> が存在する.<ref>
多項式における互いに素をこのように定義してもよい.[[w:%E3%83%99%E3%82%BA%E3%83%BC%E3%81%AE%E7%AD%89%E5%BC%8F|ベズーの等式]]によれば整数 <math>a, b</math> が互いに素であるとき,<math>ax + by = 1</math> なる整数 <math>x, y</math> が存在し,これは多項式であっても同じ.
</ref>
よって,
{{制御と振動の数学/equation|<math>\mu(D)p_1(D)z + \nu(D)p_2(D)z = z</math>}}
が成り立つが,仮定を満たすとき左辺は <math>0</math> となるから,<math>z = 0</math> を得る.
<math>\diamondsuit</math>
<!-- lemma:4.1:end-->
<!-- lemma:4.1corollary:start-->
<div id="lemma:4.1corollary">
<strong>系</strong><math>\quad</math>
同じ条件の下に,
{{制御と振動の数学/equation|<math>p_1(D)z_1 = 0, \quad z_1 \ne 0</math>}}
{{制御と振動の数学/equation|<math>p_2(D)z_2 = 0, \quad z_2 \ne 0</math>}}
ならば,<math>z_1(t)</math> と <math>z_2(t)</math> は 1 次独立である.
<math>\diamondsuit</math>
<!-- lemma:4.1corollary:end-->
証明は演習問題とする.<ref>
<math>Az_1 + Bz_2 = 0 \implies A=B=0</math> を導く.<br />
<math>Az_1 + Bz_2 = 0</math>…① の両辺に <math>p_1(D)</math> を働かせる.<br />
<math>p_1(D)(Az_1 + Bz_2) = 0</math><br />
<math>Ap_1(D)z_1 + Bp_1(D)z_2 = 0</math>…②<br />
ここで,<math>p_1(D)z_1 = 0</math>,一方 <math>z_2\ne 0</math> で[[制御と振動の数学/第一類/複素数値関数の Laplace 変換/複素数値関数の微分積分学/複素数値関数の微分#lemma:4.1|補題4.1]]より,<math>p_1(D)z_2 = 0</math> はありえない,すなわち <math>p_1(D)z_2 \ne 0</math>.<br />
<math>\therefore</math> ②が成立するためには <math>B = 0</math> が必要.
同様にして①の両辺に <math>p_2(D)</math> を働かせれば,<math>A = 0</math> の結論を得る.よって <math>A=B=0</math>.以上により <math>z_1, z_2</math> は 1 次独立である.
</ref>
以上は同次方程式の場合だけを述べたが,非同次方程式の場合も[[制御と振動の数学/第一類/Laplace 変換による解の吟味|前章]]と同じ結果が成立する.
<references />
[[カテゴリ:ラプラス変換]] | null | 2022-11-23T14:32:22Z | [
"テンプレート:制御と振動の数学/equation"
]
| https://ja.wikibooks.org/wiki/%E5%88%B6%E5%BE%A1%E3%81%A8%E6%8C%AF%E5%8B%95%E3%81%AE%E6%95%B0%E5%AD%A6/%E7%AC%AC%E4%B8%80%E9%A1%9E/%E8%A4%87%E7%B4%A0%E6%95%B0%E5%80%A4%E9%96%A2%E6%95%B0%E3%81%AE_Laplace_%E5%A4%89%E6%8F%9B/%E8%A4%87%E7%B4%A0%E6%95%B0%E5%80%A4%E9%96%A2%E6%95%B0%E3%81%AE%E5%BE%AE%E5%88%86%E7%A9%8D%E5%88%86%E5%AD%A6/%E8%A4%87%E7%B4%A0%E6%95%B0%E5%80%A4%E9%96%A2%E6%95%B0%E3%81%AE%E5%BE%AE%E5%88%86 |
26,452 | 制御と振動の数学/第一類/複素数値関数の Laplace 変換/複素数値関数の微分積分学/複素振幅の方法 | もとに戻って,実係数微分方程式,
を考える. a i ∈ R {\displaystyle a_{i}\in \mathbf {R} } であるが, f ( t ) {\displaystyle f(t)} は複素数値関数で,
とする.そうすれば解も当然複素数値関数となるので,
とおくことにしよう.これらを式 (4.7) に代入して,両辺の実部と虚部を等置すると,二つの実形式の微分方程式,
を得る.この性質を利用すると,
の特解を簡単に見出すことができる. ただし, A ∈ R {\displaystyle A\in \mathbf {R} } とする.それには
に注目して,式 (4.8) の代わりに,
を解き,解の虚部を取り出せばよいのである.そこで解を,
と仮定して式 (4.9) に代入すると,
を得る.これを特性多項式を用いて表すと,
となる.いま p ( i ω ) ≠ 0 {\displaystyle p(i\omega )\neq 0} と仮定すると,
となり,式 (4.9)の解は,
と求まる.この虚部を取り出すために,
と複素数の極形式で表すと,
となり,この式の虚部を取り出し,
と求まる.これが式 (4.8) の解である.この技法を複素振幅の方法と呼んでいる.
例86 {\displaystyle \quad }
の特解を上例にならって求めよ.
解答例
A e a t cos ( b t + c ) {\displaystyle Ae^{at}\cos(bt+c)} を実部に持つ複素指数関数は, A e a t e i ( b t + c ) {\displaystyle Ae^{at}e^{i(bt+c)}} ( ∵ A e a t e i ( b t + c ) = A e a t { cos ( b t + c ) + i sin ( b t + c ) } ) {\displaystyle (\because Ae^{at}e^{i(bt+c)}=Ae^{at}\left\{\cos(bt+c)+i\sin(bt+c)\right\})} A e a t e i ( b t + c ) = A e a t e i b t e i c = A e i c e ( a + i b ) t {\displaystyle Ae^{at}e^{i(bt+c)}=Ae^{at}e^{ibt}e^{ic}=Ae^{ic}e^{(a+ib)t}} よって、解 z = B e i c e α t , α = a + i b {\displaystyle z=Be^{ic}e^{\alpha t},\quad \alpha =a+ib} とおく.これを与微分方程式に代入すると, B e i c p ( α ) e α t = A e i c e α t {\displaystyle Be^{ic}p(\alpha )e^{\alpha t}=Ae^{ic}e^{\alpha t}} B = A p ( α ) ∴ z = A p ( α ) e i c e α t {\displaystyle B={\frac {A}{p(\alpha )}}\therefore z={\frac {A}{p(\alpha )}}e^{ic}e^{\alpha t}} p ( α ) = | p ( α ) | e i θ {\displaystyle p(\alpha )=|p(\alpha )|e^{i\theta }} と極形式におくと, z = A | p ( α ) | e i c + α t − i θ = A | p ( α ) | e i c + ( a + i b ) t − i θ {\displaystyle z={\frac {A}{|p(\alpha )|}}e^{ic+\alpha t-i\theta }={\frac {A}{|p(\alpha )|}}e^{ic+(a+ib)t-i\theta }} = A | p ( α ) | e a t e i ( b t + c − θ ) {\displaystyle ={\frac {A}{|p(\alpha )|}}e^{at}e^{i(bt+c-\theta )}} この実部をとると, x = A | p ( α ) | e a t cos ( b t + c − θ ) , α = a + i b {\displaystyle x={\frac {A}{|p(\alpha )|}}e^{at}\cos(bt+c-\theta ),\quad \alpha =a+ib}
♢ {\displaystyle \diamondsuit }
| [
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| もとに戻って,実係数微分方程式, を考える. a i ∈ R であるが, f は複素数値関数で, とする.そうすれば解も当然複素数値関数となるので, とおくことにしよう.これらを式 (4.7) に代入して,両辺の実部と虚部を等置すると,二つの実形式の微分方程式, を得る.この性質を利用すると, の特解を簡単に見出すことができる.
ただし, A ∈ R とする.それには に注目して,式 (4.8) の代わりに, を解き,解の虚部を取り出せばよいのである.そこで解を, と仮定して式 (4.9) に代入すると, を得る.これを特性多項式を用いて表すと, となる.いま p ≠ 0 と仮定すると, となり,式 (4.9)の解は, と求まる.この虚部を取り出すために, と複素数の極形式で表すと, となり,この式の虚部を取り出し, と求まる.これが式 (4.8) の解である.この技法を複素振幅の方法と呼んでいる. | もとに戻って,実係数微分方程式,
{{制御と振動の数学/equation|<math>\frac{d^nz}{dt^n} + a_1\frac{d^{n-1}z}{dt^{n-1}} + a_2\frac{d^{n-2}z}{dt^{n-2}} + \cdots + a_{n-1}\frac{dz}{dt} + a_nz = f(t)</math>|tag=(4.7)|label=eq:4.7}}
を考える.<math>a_i \in \mathbf{R}</math> であるが,<math>f(t)</math> は複素数値関数で,
{{制御と振動の数学/equation|<math>f(t) = g(t) + ih(t)</math>}}
とする.そうすれば解も当然複素数値関数となるので,
{{制御と振動の数学/equation|<math>z(t)=x(t) + iy(t)</math>}}
とおくことにしよう.これらを[[制御と振動の数学/第一類/複素数値関数の Laplace 変換/複素数値関数の微分積分学/複素振幅の方法#eq:4.7|式 (4.7) ]]に代入して,両辺の実部と虚部を等置すると<ref>
複素数の相等の定義は,<math>a+ib = c+id \iff a=c, b=d</math> である.
</ref>,二つの実形式の微分方程式,
{{制御と振動の数学/equation|<math>\frac{d^nx}{dt^n} + a_1\frac{d^{n-1}x}{dt^{n-1}} + a_2\frac{d^{n-2}x}{dt^{n-2}} + \cdots + a_{n-1}\frac{dx}{dt} + a_nx = g(t)</math>}}
{{制御と振動の数学/equation|<math>\frac{d^ny}{dt^n} + a_1\frac{d^{n-1}y}{dt^{n-1}} + a_2\frac{d^{n-2}y}{dt^{n-2}} + \cdots + a_{n-1}\frac{dy}{dt} + a_ny = h(t)</math>}}
を得る.この性質を利用すると,
{{制御と振動の数学/equation|<math>\frac{d^nx}{dt^n} + a_1\frac{d^{n-1}x}{dt^{n-1}} + a_2\frac{d^{n-2}x}{dt^{n-2}} + \cdots + a_{n-1}\frac{dx}{dt} + a_nx = A\sin\omega t</math>|tag=(4.8)|label=eq:4.8}}
の[[制御と振動の数学/第一類/Laplace 変換による解の吟味/解の構造と一般解/非同次の場合|特解]]を簡単に見出すことができる.
ただし,<math>A \in \mathbf{R}</math> とする.それには
{{制御と振動の数学/equation|<math>\sin\omega t = \mathrm{Im}\ \{e^{i\omega t}\}</math><ref>
<math>e^{i\omega t} = \cos\omega t + i\sin\omega t</math>
</ref>}}
に注目して,[[制御と振動の数学/第一類/複素数値関数の Laplace 変換/複素数値関数の微分積分学/複素振幅の方法#eq:4.8|式 (4.8) ]]の代わりに,
{{制御と振動の数学/equation|<math>\frac{d^nz}{dt^n} + a_1\frac{d^{n-1}z}{dt^{n-1}} + a_2\frac{d^{n-2}z}{dt^{n-2}} + \cdots + a_{n-1}\frac{dz}{dt} + a_nz = Ae^{i\omega t}</math>|tag=(4.9)|label=eq:4.9}}
を解き,解の虚部を取り出せばよいのである.そこで解を,
{{制御と振動の数学/equation|<math>z(t)=Be^{i\omega t}</math>}}
と仮定して[[制御と振動の数学/第一類/複素数値関数の Laplace 変換/複素数値関数の微分積分学/複素振幅の方法#eq:4.9|式 (4.9) ]]に代入すると,
{{制御と振動の数学/equation|<math>B(i\omega)^ne^{i\omega t} + a_1B(i\omega)^{n-1}e^{i\omega t} + a_2B(i\omega)^{n-2}e^{i\omega t} + \cdots + a_{n-1}B(i\omega t)e^{i\omega t} + a_nBe^{i\omega t} = Ae^{i\omega t}</math>}}
を得る.これを特性多項式を用いて表すと,
{{制御と振動の数学/equation|<math>p(i\omega)Be^{i\omega t} = Ae^{i\omega t}</math>}}
となる.いま <math>p(i\omega) \ne 0</math> と仮定すると,
{{制御と振動の数学/equation|<math>B = \frac{A}{p(i\omega)}</math>}}
となり,[[制御と振動の数学/第一類/複素数値関数の Laplace 変換/複素数値関数の微分積分学/複素振幅の方法#eq:4.9|式 (4.9)]]の解は,
{{制御と振動の数学/equation|<math>z(t)=\frac{A}{p(i\omega)}e^{i\omega t}</math>}}
と求まる.この虚部を取り出すために,
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と複素数の極形式で表すと,
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となり,この式の虚部を取り出し,
{{制御と振動の数学/equation|<math>x(t) = \frac{A}{|p(i\omega)|}\sin(\omega t - \theta)</math>}}
と求まる.これが[[制御と振動の数学/第一類/複素数値関数の Laplace 変換/複素数値関数の微分積分学/複素振幅の方法#eq:4.8|式 (4.8) ]]の解である.この技法を複素振幅の方法と呼んでいる.
<!-- ex:086:start-->
<div id="ex:86">
<strong>例86</strong><math>\quad</math>
{{制御と振動の数学/equation|<math>\frac{d^nx}{dt^n} + a_1\frac{d^{n-1}x}{dt^{n-1}} + a_2\frac{d^{n-2}x}{dt^{n-2}} + \cdots + a_{n-1}\frac{dx}{dt} + a_nx = Ae^{at}\cos(bt + c)</math>}}
の特解を上例にならって求めよ.
<strong>解答例</strong>
<math>Ae^{at}\cos(bt + c)</math> を実部に持つ複素指数関数は,<math>Ae^{at}e^{i(bt + c)}</math><br />
<math>(\because Ae^{at}e^{i(bt + c)} = Ae^{at}\left\{\cos(bt + c) + i\sin(bt + c)\right\})</math><br />
<math>Ae^{at}e^{i(bt + c)} = Ae^{at}e^{ibt}e^{ic} = Ae^{ic}e^{(a+ib)t}</math><br />
よって、解 <math>z = Be^{ic}e^{\alpha t}, \quad \alpha = a + ib</math> とおく.これを与微分方程式に代入すると,<br />
<math>Be^{ic}p(\alpha)e^{\alpha t} = Ae^{ic}e^{\alpha t}</math><br />
<math>B = \frac{A}{p(\alpha)} \therefore z = \frac{A}{p(\alpha)}e^{ic}e^{\alpha t}</math><br />
<math>p(\alpha) = |p(\alpha)|e^{i\theta}</math> と極形式におくと,<br />
<math>z = \frac{A}{|p(\alpha)|}e^{ic+\alpha t - i\theta} = \frac{A}{|p(\alpha)|}e^{ic+(a + ib)t - i\theta}</math><br />
<math>= \frac{A}{|p(\alpha)|}e^{at}e^{i(bt + c -\theta)}</math><br />
この実部をとると,
<math>x = \frac{A}{|p(\alpha)|}e^{at}\cos(bt + c -\theta), \quad \alpha = a + ib</math>
<math>\diamondsuit</math>
<!-- ex:86:end-->
<references />
[[カテゴリ:ラプラス変換]] | null | 2022-11-23T14:32:18Z | [
"テンプレート:制御と振動の数学/equation"
]
| https://ja.wikibooks.org/wiki/%E5%88%B6%E5%BE%A1%E3%81%A8%E6%8C%AF%E5%8B%95%E3%81%AE%E6%95%B0%E5%AD%A6/%E7%AC%AC%E4%B8%80%E9%A1%9E/%E8%A4%87%E7%B4%A0%E6%95%B0%E5%80%A4%E9%96%A2%E6%95%B0%E3%81%AE_Laplace_%E5%A4%89%E6%8F%9B/%E8%A4%87%E7%B4%A0%E6%95%B0%E5%80%A4%E9%96%A2%E6%95%B0%E3%81%AE%E5%BE%AE%E5%88%86%E7%A9%8D%E5%88%86%E5%AD%A6/%E8%A4%87%E7%B4%A0%E6%8C%AF%E5%B9%85%E3%81%AE%E6%96%B9%E6%B3%95 |
26,456 | 制御と振動の数学/第一類/複素数値関数の Laplace 変換/複素数値関数の微分積分学/複素数値関数の積分 | 実変数 t {\displaystyle t} の複素数値関数 f ( t ) {\displaystyle f(t)} が与えられているとき,
となる関数 F ( t ) {\displaystyle F(t)} を f ( t ) {\displaystyle f(t)} の原始関数という.
例87 {\displaystyle \quad }
は e α t {\displaystyle e^{\alpha t}} の原始関数.
♢ {\displaystyle \diamondsuit }
A i n C {\displaystyle Ain\mathbf {C} } を任意の定数とするとき, F ( t ) + A {\displaystyle F(t)+A} も f ( t ) {\displaystyle f(t)} の原始関数となる.これを,
と表す.時には A {\displaystyle A} を省略することがある.
さてこのように定義すると g ( t ) , h ( t ) {\displaystyle g(t),h(t)} を実関数とし,
なるとき,
すなわち,
が成立する.
事実, f ( t ) {\displaystyle f(t)} の原始関数の一つを,
とすると,微分の定義から,
であるが,これが,
に等しいのであるから,相等の定義から,
となる.これは G , H {\displaystyle G,H} が実関数 g , h {\displaystyle g,h} の原始関数であることを意味するから,
と書ける.ここに a , b {\displaystyle a,b} は任意の実定数である.ここで A = a + i b {\displaystyle A=a+ib} とおくと,
すなわち,
を得る.
例88 {\displaystyle \quad }
の実部と虚部を等置することにより,
を得る. ♢ {\displaystyle \diamondsuit }
複素数値関数 f ( t ) = g ( t ) + i h ( t ) {\displaystyle f(t)=g(t)+ih(t)} の定積分を,
と定義する.このとき微分積分学の基本公式が成立する.
微分積分学の基本公式
証明
実関数に対する基本公式,
は既知であるから,第 2 式に i {\displaystyle i} を掛けて加えればよい.
また定積分に関して次の性質が成立する.
複素数値関数の積分の基本的性質
[I] f 1 ( t ) , f 2 ( t ) {\displaystyle f_{1}(t),f_{2}(t)} を複素数値関数, c 1 , c 2 ∈ C {\displaystyle c_{1},c_{2}\in \mathbf {C} } とすれば
[II] f ( t ) , g ( t ) {\displaystyle f(t),g(t)} を複素数値関数とするとき,
[III] f ( t ) {\displaystyle f(t)} を複素数値関数, φ ( τ ) {\displaystyle \varphi (\tau )} は実数値関数とする.このとき,
ここに, a = φ ( τ a ) , b − φ ( τ b ) {\displaystyle a=\varphi (\tau _{a}),b-\varphi (\tau _{b})} .
[IV]
ここに f ( t ) {\displaystyle f(t)} は複素数値関数
[V] f ( t ) {\displaystyle f(t)} を任意の有限区間で積分可能な複素数値関数とする.
以下に IV の証明だけ与えておく. ほかは,実関数に関する同様な公式を既知とすれば,複素数値関数の積分の定義から簡単に得られる.
公式IVの証明
∫ a b f ( t ) d t {\displaystyle \int _{a}^{b}f(t)dt} は複素数であるから,その偏角を θ {\displaystyle \theta } とおいて,極形式で表すと,
よって,
公式Iを用いて
定積分の定義により,
となる.左辺は実数であるから,右辺の第 2 項は 0 {\displaystyle 0} である.また,
であるから,実関数に関する公式IVを用いると,
を得る.
♢ {\displaystyle \diamondsuit } | [
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"text": "実変数 t {\\displaystyle t} の複素数値関数 f ( t ) {\\displaystyle f(t)} が与えられているとき,",
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"text": "となる関数 F ( t ) {\\displaystyle F(t)} を f ( t ) {\\displaystyle f(t)} の原始関数という.",
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"text": "に等しいのであるから,相等の定義から,",
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"text": "複素数値関数 f ( t ) = g ( t ) + i h ( t ) {\\displaystyle f(t)=g(t)+ih(t)} の定積分を,",
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"text": "と定義する.このとき微分積分学の基本公式が成立する.",
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"text": "微分積分学の基本公式",
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"text": "実関数に対する基本公式,",
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"text": "は既知であるから,第 2 式に i {\\displaystyle i} を掛けて加えればよい.",
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},
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"text": "また定積分に関して次の性質が成立する.",
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"text": "複素数値関数の積分の基本的性質",
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},
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"text": "[I] f 1 ( t ) , f 2 ( t ) {\\displaystyle f_{1}(t),f_{2}(t)} を複素数値関数, c 1 , c 2 ∈ C {\\displaystyle c_{1},c_{2}\\in \\mathbf {C} } とすれば",
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},
{
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"text": "[II] f ( t ) , g ( t ) {\\displaystyle f(t),g(t)} を複素数値関数とするとき,",
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},
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"text": "[III] f ( t ) {\\displaystyle f(t)} を複素数値関数, φ ( τ ) {\\displaystyle \\varphi (\\tau )} は実数値関数とする.このとき,",
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},
{
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"text": "ここに, a = φ ( τ a ) , b − φ ( τ b ) {\\displaystyle a=\\varphi (\\tau _{a}),b-\\varphi (\\tau _{b})} .",
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"text": "[IV]",
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"text": "ここに f ( t ) {\\displaystyle f(t)} は複素数値関数",
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},
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"text": "[V] f ( t ) {\\displaystyle f(t)} を任意の有限区間で積分可能な複素数値関数とする.",
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},
{
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"text": "以下に IV の証明だけ与えておく. ほかは,実関数に関する同様な公式を既知とすれば,複素数値関数の積分の定義から簡単に得られる.",
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},
{
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"text": "公式IVの証明",
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},
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"text": "∫ a b f ( t ) d t {\\displaystyle \\int _{a}^{b}f(t)dt} は複素数であるから,その偏角を θ {\\displaystyle \\theta } とおいて,極形式で表すと,",
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"text": "よって,",
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},
{
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"text": "公式Iを用いて",
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{
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"text": "定積分の定義により,",
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"text": "であるから,実関数に関する公式IVを用いると,",
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},
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"text": "を得る.",
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},
{
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"tag": "p",
"text": "♢ {\\displaystyle \\diamondsuit }",
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}
]
| null | ===(1)原始関数===
実変数 <math>t</math> の複素数値関数 <math>f(t)</math> が与えられているとき,
{{制御と振動の数学/equation|<math>\frac{dF(t)}{dt} = f(t)</math>}}
となる関数 <math>F(t)</math> を <math>f(t)</math> の原始関数という.
<!-- ex:087:start-->
<div id="ex:87">
<strong>例87</strong><math>\quad</math>
{{制御と振動の数学/equation|<math>\frac{1}{\alpha}e^{\alpha t}</math>}}
は <math>e^{\alpha t}</math> の原始関数.
<math>\diamondsuit</math>
<!-- ex:87:end-->
<math>A in \mathbf{C}</math> を任意の定数とするとき,<math>F(t) + A</math> も <math>f(t)</math> の原始関数となる.これを,
{{制御と振動の数学/equation|<math>\int f(t)dt := F(t) + A</math>}}
と表す.時には <math>A</math> を省略することがある.
さてこのように定義すると <math>g(t), h(t)</math> を実関数とし,
{{制御と振動の数学/equation|<math>f(t) = g(t) + ih(t)</math>}}
なるとき,
{{制御と振動の数学/equation|<math>\int f(t)dt = \int g(t)dt + i\int h(t)dt</math>}}
すなわち,
{{制御と振動の数学/equation|<math>\mathrm{Re}\ \int f(t)dt = \int \mathrm{Re}\ f(t)dt</math>}}
{{制御と振動の数学/equation|<math>\mathrm{Im}\ \int f(t)dt = \int \mathrm{Im}\ f(t)dt</math>}}
が成立する.
事実,<math>f(t)</math> の原始関数の一つを,
{{制御と振動の数学/equation|<math>F(t) = G(t)+iH(t)</math>}}
とすると,微分の定義<ref>[[制御と振動の数学/第一類/複素数値関数の Laplace 変換/複素数値関数の微分積分学/複素数値関数の微分#eq:4.3|式 (4.3) ]]</ref>から,
{{制御と振動の数学/equation|<math>\frac{dF}{dt} = \frac{dG}{dt} + i\frac{dH}{dt}</math>}}
であるが,これが,
{{制御と振動の数学/equation|<math>g(t) + ih(t)</math>}}
に等しいのであるから,相等の定義<ref>複素数の相等の定義</ref>から,
{{制御と振動の数学/equation|<math>\frac{dG}{dt} = g, \quad \frac{dH}{dt} = h</math>}}
となる.これは <math>G, H</math> が実関数 <math>g, h</math> の原始関数であることを意味するから,
{{制御と振動の数学/equation|<math>G(t) + a = \int g(t)dt, \quad H(t) + b = \int h(t)dt</math>}}
と書ける.ここに <math>a, b</math> は任意の実定数である.ここで <math>A = a + ib</math> とおくと,
{{制御と振動の数学/equation|<math>F(t) + A = \{G(t) + a\} + i\{H(t) + b\}</math>}}
すなわち,
{{制御と振動の数学/equation|<math>\int f(t)dt = \int g(t)dt + i\int h(t)dt</math>}}
を得る.
<!-- ex:088:start-->
<div id="ex:88">
<strong>例88</strong><math>\quad</math>
{{制御と振動の数学/equation|<math>\int e^{\alpha t}dt = \frac{1}{\alpha}e^{\alpha t} \quad \alpha = a + ib</math>}}
の実部と虚部を等置することにより,
{{制御と振動の数学/equation|<math>\int e^{\alpha t}\cos bt\ dt = \frac{e^{at}}{a^2 + b^2}(a\cos bt + b\sin bt)</math>}}
{{制御と振動の数学/equation|<math>\int e^{\alpha t}\sin bt\ dt = \frac{e^{at}}{a^2 + b^2}(a\sin bt - b\cos bt)</math>}}
を得る<ref>
<math>\int e^{\alpha t}dt = \int e^{(a + ib)t}dt</math><br />
<math>=\int e^{at}(\cos bt + i\sin bt)dt</math><br />
また,<br />
<math>\frac{1}{\alpha}e^{\alpha t} = \frac{1}{a+ib}e^{at}(\cos bt + i\sin bt)</math><br />
<math>= \frac{e^{at}}{(a+ib)(a-ib)}(a-ib)(\cos bt + i\sin bt)</math><br />
<math>= \frac{e^{at}}{a^2 + b^2}\left\{ (a\cos bt + b\sin bt) + i(a\sin bt - b\cos bt)\right\}</math><br />
</ref>.
<math>\diamondsuit</math>
<!-- ex:88:end-->
===(2)定積分===
複素数値関数 <math>f(t) = g(t) + ih(t)</math> の定積分を,
{{制御と振動の数学/equation|<math>\int_a^b f(t)dt = \int_a^b g(t)dt + i\int_a^b h(t)dt</math>}}
と定義する.このとき微分積分学の基本公式が成立する.
<div id="fundamental">
<strong>微分積分学の基本公式</strong>
{{制御と振動の数学/equation|<math>\int_a^b f'(t)dt = f(b) - f(a)</math>}}
<strong>証明</strong>
実関数に対する基本公式,
{{制御と振動の数学/equation|<math>\int_a^b g'(t)dt = g(b)-g(a)</math>}}
{{制御と振動の数学/equation|<math>\int_a^b h'(t)dt = h(b)-h(a)</math>}}
は既知であるから,第 2 式に <math>i</math> を掛けて加えればよい.
また定積分に関して次の性質が成立する.
<div id="characteristic">
<strong>複素数値関数の積分の基本的性質</strong>
<div id="characteristic:1">
[Ⅰ] <math>f_1(t), f_2(t)</math> を複素数値関数,<math>c_1, c_2 \in \mathbf{C}</math> とすれば
{{制御と振動の数学/equation|<math>\int_a^b \left\{ c_1f_1(t) + c_2\right\} = c_1\int_a^b f_1(t)dt + c_2\int_a^b f_2(t)dt</math>}}
<div id="characteristic:2">
[Ⅱ] <math>f(t), g(t)</math> を複素数値関数とするとき,
{{制御と振動の数学/equation|<math>\int_a^b f'(t)g(t) = \bigg[ f(t)g(t) \bigg]_a^b - \int_a^b f(t)g'(t)dt</math>}}
<div id="characteristic:3">
[Ⅲ] <math>f(t)</math> を複素数値関数,<math>\varphi(\tau)</math> は実数値関数とする.このとき,
{{制御と振動の数学/equation|<math>\int_a^b f(t)dt = \int_{\tau_a}^{\tau_b} f[\varphi(\tau)]\varphi'(\tau)d\tau</math>}}
ここに,<math>a = \varphi(\tau_a), b - \varphi(\tau_b)</math>.
<div id="characteristic:4">
[Ⅳ]
{{制御と振動の数学/equation|<math>\left| \int_a^b f(t)dt\right| \leqq \int_a^b \left| f(t) \right| dt \quad b>a</math>}}
ここに <math>f(t)</math> は複素数値関数
<div id="characteristic:5">
[Ⅴ] <math>f(t)</math> を任意の有限区間で積分可能な複素数値関数とする.
{{制御と振動の数学/equation|<math>\int_0^{\infty} \left| f(t) \right|dt < \infty</math> ならば <math>\int_0^\infty f(t)dt</math> は存在する.}}
以下に [[制御と振動の数学/第一類/複素数値関数の Laplace 変換/複素数値関数の微分積分学/複素数値関数の積分#characteristic:4|Ⅳ]] の証明だけ与えておく.
ほかは,実関数に関する同様な公式を既知とすれば,複素数値関数の積分の定義から簡単に得られる.
<div id="characteristic:4:proof">
<strong>[[制御と振動の数学/第一類/複素数値関数の Laplace 変換/複素数値関数の微分積分学/複素数値関数の積分#characteristic:4|公式Ⅳ]]の証明</strong>
<math>\int_a^b f(t)dt</math> は複素数であるから,その偏角を <math>\theta</math> とおいて,極形式で表すと,
{{制御と振動の数学/equation|<math>\int_a^b f(t)dt = \left|\int_a^b f(t)dt\right|e^{i\theta}</math>}}
よって,
{{制御と振動の数学/equation|<math>\left|\int_a^b f(t)dt\right| = e^{-i\theta}\int_a^b f(t)dt</math>}}
[[制御と振動の数学/第一類/複素数値関数の Laplace 変換/複素数値関数の微分積分学/複素数値関数の積分#characteristic:1|公式Ⅰ]]を用いて
{{制御と振動の数学/equation|<math>=\int_a^b e^{-i\theta}f(t)dt</math>}}
定積分の定義により,
{{制御と振動の数学/equation|<math>=\int_a^b \mathrm{Re}\ \left\{e^{-i\theta}f(t)\right\}dt + i\int_a^b \mathrm{Im}\ \left\{e^{-i\theta}f(t)\right\}dt</math>}}
となる.左辺は実数であるから,右辺の第 2 項は <math>0</math> である.また,
{{制御と振動の数学/equation|<math>\mathrm{Re}\ \left\{e^{-i\theta}f(t)\right\} \leqq \left|e^{-i\theta}f(t)\right|=|f(t)|</math><ref>
<math>|e^{-i\theta}| = |\cos(-\theta) + i\sin(-\theta)|=1</math><br />
</ref>}}
であるから,実関数に関する公式[[制御と振動の数学/第一類/複素数値関数の Laplace 変換/複素数値関数の微分積分学/複素数値関数の積分#characteristic:4|Ⅳ]]を用いると,
{{制御と振動の数学/equation|<math>\left|\int_a^b f(t)dt\right| = \int_a^b \mathrm{Re}\ \left\{e^{-i\theta}f(t)\right\}dt</math>}}
{{制御と振動の数学/equation|<math>\leqq \int_a^b |f(t)|dt \quad (b > a)</math>}}
を得る<ref>
<!--
実数に関して公式Ⅳを適用すると <math>\left|\int_a^b \mathrm{Re}\ \left\{e^{-i\theta}f(t)\right\}dt\right| \leqq \int_a^b \left| \mathrm{Re}\ \left\{e^{-i\theta}f(t)\right\}\right|dt</math><br />
そして <math>\mathrm{Re}\ \left\{e^{-i\theta}f(t)\right\} \leqq |f(t)|</math><br />
すなわち <math>\int_a^b \left| \mathrm{Re}\ \left\{e^{-i\theta}f(t)\right\}\right|dt \leqq \int_a^b |f(t)|dt</math><br />
-->
</ref>.
<math>\diamondsuit</math>
<!-- characteristic:4:proof:end-->
[[カテゴリ:ラプラス変換]] | null | 2022-11-23T14:32:26Z | [
"テンプレート:制御と振動の数学/equation"
]
| https://ja.wikibooks.org/wiki/%E5%88%B6%E5%BE%A1%E3%81%A8%E6%8C%AF%E5%8B%95%E3%81%AE%E6%95%B0%E5%AD%A6/%E7%AC%AC%E4%B8%80%E9%A1%9E/%E8%A4%87%E7%B4%A0%E6%95%B0%E5%80%A4%E9%96%A2%E6%95%B0%E3%81%AE_Laplace_%E5%A4%89%E6%8F%9B/%E8%A4%87%E7%B4%A0%E6%95%B0%E5%80%A4%E9%96%A2%E6%95%B0%E3%81%AE%E5%BE%AE%E5%88%86%E7%A9%8D%E5%88%86%E5%AD%A6/%E8%A4%87%E7%B4%A0%E6%95%B0%E5%80%A4%E9%96%A2%E6%95%B0%E3%81%AE%E7%A9%8D%E5%88%86 |
26,464 | 制御と振動の数学/第一類/複素数値関数の Laplace 変換/Laplace 変換/定義と例 | f ( t ) {\displaystyle f(t)} を任意の有限な区間で積分可能の関数とするとき,
を f ( t ) {\displaystyle f(t)} の Laplace 変換ということ,およびその対応関係を記号 ⊏ {\displaystyle \sqsubset } で表すことなどは, 前章と同じである.ただ異なるところは,
(1) f ( t ) {\displaystyle f(t)} は実変数 t {\displaystyle t} の複素数値関数
(2) s = σ + i ω {\displaystyle s=\sigma +i\omega } は複素数
の 2 点である.
例89 {\displaystyle \quad }
1 {\displaystyle 1} の Laplace 変換,
は s {\displaystyle s} が実数の場合と同様である. R e s = σ > 0 {\displaystyle \mathrm {Re} \ s=\sigma >0} ならば,
である.ここに絶対値は複素数の絶対値を示す.よって,
となる.
♢ {\displaystyle \diamondsuit }
例90 {\displaystyle \quad } e α t ( α = a + i b ) {\displaystyle e^{\alpha t}\quad (\alpha =a+ib)} の Laplace 変換
であるから,例 89の s {\displaystyle s} が s − α {\displaystyle s-\alpha } に変わっただけである. よって R e ( s − α ) > 0 {\displaystyle \mathrm {Re} \ (s-\alpha )>0} のとき Laplace 積分は存在して,
を得る.
♢ {\displaystyle \diamondsuit }
例91 {\displaystyle \quad } e a t cos b t {\displaystyle e^{at}\cos bt} の Laplace 変換
であるから,例 90の結果を用いると,
となる.
♢ {\displaystyle \diamondsuit }
例92 {\displaystyle \quad }
e a t sin b t {\displaystyle e^{at}\sin bt} の Laplace 変換を例 91にならって求めよ.
解答例
定義 4.1 に従って, e ( a + i b ) t = e a t [ cos b t + i sin b t ] {\displaystyle e^{(a+ib)t}=e^{at}{\bigg [}\cos bt+i\sin bt{\bigg ]}} ...1 e ( a − i b ) t = e a t [ cos b t − i sin b t ] {\displaystyle e^{(a-ib)t}=e^{at}{\bigg [}\cos bt-i\sin bt{\bigg ]}} ...2 ( ∵ cos ( − θ ) = cos θ , sin ( − θ ) = − sin θ ) {\displaystyle \quad (\because \cos(-\theta )=\cos \theta ,\quad \sin(-\theta )=-\sin \theta )} cos b t {\displaystyle \cos bt} を導出するのには 1+2 を考えた,ここでは,1-2を考えてみると, e ( a + i b ) t − e ( a − i b ) t = 2 i e a t sin b t {\displaystyle e^{(a+ib)t}-e^{(a-ib)t}=2i\ e^{at}\sin bt} e a t sin b t = 1 2 i { e ( a + i b ) t − e ( a − i b ) t } {\displaystyle e^{at}\sin bt={\frac {1}{2i}}\left\{e^{(a+ib)t}-e^{(a-ib)t}\right\}} ⊐ 1 2 i { 1 s − ( a + i b ) − 1 s − ( a − i b ) } {\displaystyle \sqsupset {\frac {1}{2i}}\left\{{\frac {1}{s-(a+ib)}}-{\frac {1}{s-(a-ib)}}\right\}} = 1 2 i s − ( a − i b ) − { s − ( a + i b ) } s 2 − 2 a s + ( a 2 + b 2 ) {\displaystyle ={\frac {1}{2i}}{\frac {s-(a-ib)-\{s-(a+ib)\}}{s^{2}-2as+(a^{2}+b^{2})}}} = 1 2 i 2 i b ( s − a ) 2 + b 2 = b ( s − a ) 2 + b 2 {\displaystyle ={\frac {1}{2i}}{\frac {2ib}{(s-a)^{2}+b^{2}}}={\frac {b}{(s-a)^{2}+b^{2}}}}
♢ {\displaystyle \diamondsuit } | [
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| f を任意の有限な区間で積分可能の関数とするとき, を f の Laplace 変換ということ,およびその対応関係を記号 ⊏ で表すことなどは,
前章と同じである.ただ異なるところは, (1) f は実変数 t の複素数値関数 (2) s = σ + i ω は複素数 の 2 点である. | <math>f(t)</math> を任意の有限な区間で積分可能の関数とするとき,
{{制御と振動の数学/equation|<math>F(s) = \int_0^{\infty} f(t)e^{-st}dt = \mathcal{L}[f(t)]</math>}}
を <math>f(t)</math> の [[w:%E3%83%A9%E3%83%97%E3%83%A9%E3%82%B9%E5%A4%89%E6%8F%9B|Laplace 変換]]ということ,およびその対応関係を記号 <math>\sqsubset</math> で表すことなどは,
[[制御と振動の数学/第一類/Laplace 変換|前章]]と同じである.ただ異なるところは,
(1) <math>f(t)</math> は実変数 <math>t</math> の複素数値関数
(2) <math>s = \sigma + i\omega</math> は複素数
の 2 点である.
<!-- ex:089:start-->
<div id="ex:89">
<strong>例89</strong><math>\quad</math>
<math>1</math> の Laplace 変換,
{{制御と振動の数学/equation|<math>\int_0^T e^{-st}dt = \bigg[-\frac{e^{-st}}{s}\bigg]_0^{\infty} = \frac{1}{s} - \frac{e^{-sT}}{s}</math>}}
は <math>s</math> が実数の場合と同様である.<math>\mathrm{Re}\ s = \sigma > 0</math> ならば,
{{制御と振動の数学/equation|<math>\left| \frac{e^{-sT}}{s}\right| \leqq \frac{e^{-\sigma T}}{|s|} \to 0</math><ref>
<math>s = \sigma+i\omega</math> において,<math>\mathrm{Re}\ (e^{-sT}) = e^{-\mathrm{Re}\ s\ T} = e^{-\sigma t}</math>
</ref>}}
である.ここに絶対値は複素数の絶対値を示す.よって,
{{制御と振動の数学/equation|<math>1 \sqsupset \frac{1}{s}</math>}}
となる.
<math>\diamondsuit</math>
<!-- ex:89:end-->
<!-- ex:090:start-->
<div id="ex:90">
<strong>例90</strong><math>\quad</math>
<math>e^{\alpha t} \quad (\alpha = a + ib)</math> の Laplace 変換
{{制御と振動の数学/equation|<math>\int_0^T e^{\alpha t}\cdot e^{-st}dt = \int_0^T e^{-(t-\alpha)t}dt</math>}}
であるから,[[制御と振動の数学/第一類/複素数値関数の Laplace 変換/Laplace 変換/定義と例#ex:89|例 89]]の <math>s</math> が <math>s-\alpha</math> に変わっただけである.
よって <math>\mathrm{Re}\ (s-\alpha) > 0</math> のとき Laplace 積分は存在して,
{{制御と振動の数学/equation|<math>e^{\alpha t} \sqsupset \frac{1}{s-\alpha} \quad (\mathrm{Re}\ s > \mathrm{Re}\ \alpha)</math>}}
を得る.
<math>\diamondsuit</math>
<!-- ex:90:end-->
<!-- ex:091:start-->
<div id="ex:91">
<strong>例91</strong><math>\quad</math>
<math>e^{at}\cos bt</math> の Laplace 変換
{{制御と振動の数学/equation|<math>e^{at}\cos bt = \frac{1}{2}\left\{ e^{(a + ib)t} + e^{(a-ib)t}\right\}</math>}}
であるから,[[制御と振動の数学/第一類/複素数値関数の Laplace 変換/Laplace 変換/定義と例#ex:90|例 90]]の結果を用いると,
{{制御と振動の数学/equation|<math>e^{at}\cos bt \sqsupset \frac{1}{2} \left\{ \frac{1}{s-(a + ib)} + \frac{1}{s-(a-ib)}\right\} = \frac{s-a}{(s-a)^2 + b^2}</math><ref>
<math>\frac{1}{2} \left\{ \frac{1}{s-(a + ib)} + \frac{1}{s-(a-ib)}\right\} = \frac{1}{2} \frac{s-(a-ib) + s - (a+ib)}{s^2 -2as + (a^2 + b^2)}</math><br />
<math>= \frac{1}{2} \frac{2(s-a)}{(s-a)^2 + b^2}</math><br />
<math>= \frac{s-a}{(s-a)^2 + b^2}</math><br />
</ref>}}
となる.
<math>\diamondsuit</math>
<!-- ex:91:end-->
<references />
<!-- ex:092:start-->
<div id="ex:92">
<strong>例92</strong><math>\quad</math>
<math>e^{at}\sin bt</math> の Laplace 変換を[[制御と振動の数学/第一類/複素数値関数の Laplace 変換/Laplace 変換/定義と例#ex:91|例 91]]にならって求めよ.
<strong>解答例</strong>
[[制御と振動の数学/第一類/複素数値関数の Laplace 変換/複素数値関数の微分積分学/実変数の複素数値関数#def:4.1|定義 4.1 ]]に従って,<br />
<math>e^{(a+ib)t} = e^{at}\bigg[ \cos bt + i\sin bt\bigg]</math>…①<br />
<math>e^{(a-ib)t} = e^{at}\bigg[ \cos bt - i\sin bt\bigg]</math>…②<br />
<math>\quad (\because \cos(-\theta)=\cos\theta, \quad \sin(-\theta)=-\sin\theta)</math><br />
<math>\cos bt</math> を導出するのには ①+② を考えた,ここでは,①-②を考えてみると,<br />
<math>e^{(a+ib)t} - e^{(a-ib)t} = 2i\ e^{at}\sin bt</math><br />
<math>e^{at}\sin bt = \frac{1}{2i} \left\{ e^{(a+ib)t} - e^{(a-ib)t} \right\}</math><br />
<math>\sqsupset \frac{1}{2i} \left\{\frac{1}{s-(a+ib)}-\frac{1}{s-(a-ib)}\right\}</math><br />
<math>= \frac{1}{2i} \frac{s-(a-ib)-\{s-(a+ib)\}}{s^2-2as+(a^2+b^2)}</math><br />
<math>=\frac{1}{2i} \frac{2ib}{(s-a)^2+b^2} = \frac{b}{(s-a)^2+b^2}</math><br />
<math>\diamondsuit</math>
<!-- ex:92:end-->
[[カテゴリ:ラプラス変換]] | null | 2022-11-23T14:31:42Z | [
"テンプレート:制御と振動の数学/equation"
]
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26,466 | 制御と振動の数学/第一類/複素数値関数の Laplace 変換/Laplace 変換/指数位の関数 | さて一般に, L [ f ( t ) ] {\displaystyle {\mathcal {L}}[f(t)]} が存在するための十分条件は,導入章にも言及しておいたように, f ( t ) {\displaystyle f(t)} が次の関係を満たすことである.すなわち t {\displaystyle t} が十分大きいところで,
となることである.このとき f ( t ) {\displaystyle f(t)} を指数 α {\displaystyle \alpha } 位の関数ということは前にも述べた. α {\displaystyle \alpha } を特に意識する必要のないときは, α {\displaystyle \alpha } を省略して呼ぶことにする.
例93 {\displaystyle \quad }
f ( t ) {\displaystyle f(t)} が指数位の関数であるとき, R e f ( t ) {\displaystyle \mathrm {Re} \ f(t)} も I m f ( t ) {\displaystyle \mathrm {Im} \ f(t)} も指数位の関数であることを示せ.
解答例
f ( t ) = g ( t ) + i h ( t ) , g ( t ) {\displaystyle f(t)=g(t)+i\ h(t),\quad g(t)} と h ( t ) {\displaystyle h(t)} は実数を定義域とした実数値関数とすると,
この式が成立するためには { g ( t ) e α t } {\displaystyle \left\{{\frac {g(t)}{e^{\alpha t}}}\right\}} と { h ( t ) e α t } {\displaystyle \left\{{\frac {h(t)}{e^{\alpha t}}}\right\}} の両方が有限の値に収束しなければならない. すなわち, g ( t ) = R e f ( t ) {\displaystyle g(t)=\mathrm {Re} \ f(t)} と h ( t ) = I m f ( t ) {\displaystyle h(t)=\mathrm {Im} \ f(t)} の両方が指数位である必要がある.
♢ {\displaystyle \diamondsuit }
f ( t ) {\displaystyle f(t)} が指数位 α {\displaystyle \alpha } の関数であるとき, R e s > α {\displaystyle \mathrm {Re} \ s>\alpha } に対して,
が存在することは明らかである.事実,
で, σ > α {\displaystyle \sigma >\alpha } のとき,
であるから,複素数値関数の基本的性質Vから L [ f ] {\displaystyle {\mathcal {L}}[f]} の存在が保証されるのである.
例94 {\displaystyle \quad }
t n e α t ( α ∈ C ) {\displaystyle t^{n}e^{\alpha t}\quad (\alpha \in \mathbf {C} )} は任意の n {\displaystyle n} に対して指数位の関数である.
事実,
であるから, β > R e α , t > 0 {\displaystyle \beta >\mathrm {Re} \ \alpha ,\quad t>0} のとき,
したがって t n e α t {\displaystyle t^{n}e^{\alpha t}} の Laplace 変換が存在する.
であるから, R e s > R e α {\displaystyle \mathrm {Re} \ s>\mathrm {Re} \ \alpha } ならば, T → ∞ {\displaystyle T\to \infty } のとき,
これを逐次繰り返すことによって,
を得る.
♢ {\displaystyle \diamondsuit }
補題 4.2 {\displaystyle \quad } f ( t ) {\displaystyle f(t)} が指数位の関数ならば ∫ 0 t f ( τ ) d τ {\displaystyle \int _{0}^{t}f(\tau )d\tau } もそうである.
証明
複素数値積分の基本的性質IVと式 (4.10) により, t > 0 {\displaystyle t>0} のとき,
ここに, M 1 := M α {\displaystyle M_{1}:={\frac {M}{\alpha }}} である.
♢ {\displaystyle \diamondsuit } | [
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| さて一般に, L [ f ] が存在するための十分条件は,導入章にも言及しておいたように, f が次の関係を満たすことである.すなわち t が十分大きいところで, となることである.このとき f を指数 α 位の関数ということは前にも述べた. α を特に意識する必要のないときは, α を省略して呼ぶことにする. ↑ ↑ ↑ | さて一般に,<math>\mathcal{L}[f(t)]</math> が存在するための十分条件は,[[制御と振動の数学/第一類/演算子法の誕生/演算子法の合理化|導入章]]にも言及しておいたように,
<math>f(t)</math> が次の関係を満たすことである.すなわち <math>t</math> が十分大きいところで,
{{制御と振動の数学/equation|<math>|f(t)|\leqq Me^{\alpha t} \quad (M, \alpha \in \mathbf{R})</math>|tag=(4.10)|label=eq:4.10}}
となることである.このとき <math>f(t)</math> を指数 <math>\alpha</math> 位の関数ということは前にも述べた.
<math>\alpha</math> を特に意識する必要のないときは,<math>\alpha</math> を省略して呼ぶことにする.
<!-- ex:093:start-->
<div id="ex:93">
<strong>例93</strong><math>\quad</math>
<math>f(t)</math> が指数位の関数であるとき,<math>\mathrm{Re}\ f(t)</math> も <math>\mathrm{Im}\ f(t)</math> も指数位の関数であることを示せ.
<strong>解答例</strong>
<math>f(t) = g(t) + i\ h(t), \quad g(t)</math> と <math>h(t)</math> は実数を定義域とした実数値関数とすると,<br />
:<math>|f(t)| = \sqrt{ \{ g(t) \}^2 + \{ h(t) \}^2 } \leqq Me^{\alpha t}</math><br />
:<math>\therefore \frac{1}{e^{\alpha t}}\sqrt{ \{ g(t) \}^2 + \{ h(t) \}^2 } \leqq M</math><br />
:<math>\sqrt{ \left\{ \frac{g(t)}{e^{\alpha t}}\right\}^2 + \left\{\frac{h(t)}{e^{\alpha t}}\right\}^2 } \leqq M</math><br />
この式が成立するためには <math>\left\{ \frac{g(t)}{e^{\alpha t}}\right\}</math> と <math>\left\{ \frac{h(t)}{e^{\alpha t}}\right\}</math> の両方が有限の値に収束しなければならない.<br />
すなわち,<math>g(t) = \mathrm{Re}\ f(t)</math> と <math>h(t) = \mathrm{Im}\ f(t)</math> の両方が指数位である必要がある.
<math>\diamondsuit</math>
<!-- ex:93:end-->
<math>f(t)</math> が指数位 <math>\alpha</math> の関数であるとき,<math>\mathrm{Re}\ s > \alpha</math> に対して,
{{制御と振動の数学/equation|<math>\lim_{T\to\infty}\int_0^T f(t)e^{-st}dt = \int_0^{\infty}f(t)e^{-st}dt</math>}}
が存在することは明らかである.事実,
{{制御と振動の数学/equation|<math>|f(t)e^{-st}| \leqq |f(t)|e^{-\sigma t} \leqq Me^{(\alpha-\sigma)t}</math>}}
で,<math>\sigma > \alpha</math> のとき,
{{制御と振動の数学/equation|<math>\int_0^{\infty} e^{-(\sigma-\alpha)t}dt = \frac{1}{\sigma-\alpha} < \infty</math>}}
であるから,複素数値関数の基本的性質[[制御と振動の数学/第一類/複素数値関数の Laplace 変換/複素数値関数の微分積分学/複素数値関数の積分#characteristic:5|Ⅴ]]から <math>\mathcal{L}[f]</math> の存在が保証されるのである.
<!-- ex:094:start-->
<div id="ex:94">
<strong>例94</strong><math>\quad</math>
<math>t^ne^{\alpha t} \quad (\alpha \in \mathbf{C})</math> は任意の <math>n</math> に対して指数位の関数である.
事実,
{{制御と振動の数学/equation|<math>e^x > \frac{x^n}{n!} \quad (x > 0)</math>}}
であるから,<math>\beta > \mathrm{Re}\ \alpha, \quad t > 0</math> のとき<ref><math>\beta \in \mathbf{R}</math></ref>,
{{制御と振動の数学/equation|<math>e^{(\beta-\mathrm{Re}\ \alpha)t} > \frac{[(\beta-\mathrm{Re}\ \alpha)t]^n}{n!}</math>}}
{{制御と振動の数学/equation|<math>\frac{n!}{(\beta-\mathrm{Re}\ \alpha)^n}e^{\beta t} > t^ne^{(\mathrm{Re}\ \alpha)\cdot t} = |t^ne^{\alpha t}|</math><ref><math>e^{\alpha t} = e^{(\mathrm{Re}\ \alpha) t}e^{i(\mathrm{Im}\ \alpha) t}</math>,<math>|e^{i(\mathrm{Im})\ \alpha t}| = 1</math> より <math>e^{(\mathrm{Re}\ \alpha) t} = |e^{\alpha t}|</math>
</ref>}}
したがって <math>t^ne^{\alpha t}</math> の Laplace 変換が存在する.
{{制御と振動の数学/equation|<math>\int_0^T \frac{t^n}{n!}e^{\alpha t}e^{-st}dt = \bigg[ \frac{-t^n e^{-(s-\alpha)t}} {n!(s-\alpha)} \bigg]_0^T + \frac{1}{s-\alpha}\int_0^T \frac{t^{n-1}}{(n-1)!}e^{\alpha t}e^{-st}dt</math><ref>
[[制御と振動の数学/第一類/Laplace 変換/f(t) の積分および微分の Laplace 変換#eq:2.8b|式 (2.8b) ]]と同じ考え方である.
</ref>}}
であるから,<math>\mathrm{Re}\ s > \mathrm{Re}\ \alpha</math> ならば,<math>T \to \infty</math> のとき,
{{制御と振動の数学/equation|<math>\mathcal{L}\bigg[\frac{t^n}{n!}e^{\alpha t}\bigg] = \frac{1}{s-\alpha}\mathcal{L}\bigg[\frac{t^{n-1}}{(n-1)!}e^{\alpha t}\bigg]</math>}}
これを逐次繰り返すことによって,
{{制御と振動の数学/equation|<math>\frac{t^n}{n!}e^{\alpha t} \sqsupset \frac{1}{(s-\alpha)^{n+1}}</math>}}
を得る.
<math>\diamondsuit</math>
<!-- ex:94:end-->
<!-- lemmma:4.2:start-->
<div id="lemma:4.2">
<strong>補題 4.2</strong><math>\quad</math>
<math>f(t)</math> が指数位の関数ならば <math>\int_0^t f(\tau)d\tau</math> もそうである.
<strong>証明</strong>
複素数値積分の基本的性質[[制御と振動の数学/第一類/複素数値関数の Laplace 変換/複素数値関数の微分積分学/複素数値関数の積分#characteristic:4|Ⅳ]]と[[制御と振動の数学/第一類/複素数値関数の Laplace 変換/Laplace 変換/指数位の関数#eq:4.10|式 (4.10) ]]により,<math>t > 0</math> のとき,
{{制御と振動の数学/equation|<math>\left|\int_0^t f(\tau)d\tau\right| \leqq \int_0^T |f(\tau)|d\tau \leqq M\int_0^t e^{\alpha\tau}d\tau</math>}}
{{制御と振動の数学/equation|<math>= \frac{M}{\alpha}(e^{\alpha t} - 1) \leqq M_1e^{\alpha t}</math>}}
ここに,<math>M_1 := \frac{M}{\alpha}</math> である.
<math>\diamondsuit</math>
<!-- lemma:4.2:end-->
[[カテゴリ:ラプラス変換]] | null | 2022-11-23T14:31:54Z | [
"テンプレート:制御と振動の数学/equation"
]
| https://ja.wikibooks.org/wiki/%E5%88%B6%E5%BE%A1%E3%81%A8%E6%8C%AF%E5%8B%95%E3%81%AE%E6%95%B0%E5%AD%A6/%E7%AC%AC%E4%B8%80%E9%A1%9E/%E8%A4%87%E7%B4%A0%E6%95%B0%E5%80%A4%E9%96%A2%E6%95%B0%E3%81%AE_Laplace_%E5%A4%89%E6%8F%9B/Laplace_%E5%A4%89%E6%8F%9B/%E6%8C%87%E6%95%B0%E4%BD%8D%E3%81%AE%E9%96%A2%E6%95%B0 |
26,467 | 木星 | Main Page > 自然科学 > 天文学 > 太陽系 > 木星
木星は太陽系で最大の惑星である。太陽系からは5番目に近い、第5惑星である。
木星の中心には鉄などの岩石から成る中心核が存在する。核の外側は金属水素やヘリウムの層がある。
表層付近は水素とヘリウムの大気があり、アンモニアの氷や水の氷があると考えられている。
木星の表層には大赤斑という大きな渦があり長径26000kmであるため地球の直径の約2倍である。
木星は土星のようなはっきりとした環はないがボイジャー1号により発見された。成分はケイ酸塩などで木星の衛星に隕石が衝突した時に環が作られた考えられている。
木星のラグランジュ点L4とL5の位置は木星のトロヤ群と呼ばれる。
ここに位置する小惑星は木星と公転周期がほぼ同じである。
木星はガス惑星であるため着地できず、フライバイのみによる探査となる。
1973年、パイオニア10号が初めて木星を訪れた。
1979年からはボイジャー計画が始まり、多くの写真が撮影された。
現在も探査機ジュノーなどが探査している。 | [
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| Main Page > 自然科学 > 天文学 > 太陽系 > 木星 木星は太陽系で最大の惑星である。太陽系からは5番目に近い、第5惑星である。 | {{Pathnav|Main Page|自然科学|天文学|太陽系}}
[[ファイル:Jupiter_by_Cassini-Huygens.jpg|thumb|NASAの探査機カッシーニによる木星の画像。|right|300px]]
'''木星'''は太陽系で最大の惑星である。太陽系からは5番目に近い、第5惑星である。
== 大気と構造 ==
木星の中心には鉄などの岩石から成る中心核が存在する。核の外側は金属水素やヘリウムの層がある。
表層付近は水素とヘリウムの大気があり、アンモニアの氷や水の氷があると考えられている。
=== 大赤斑 ===
[[ファイル:Great Red Spot From Voyager 1.jpg|thumb|right|300px|ボイジャー1号による大赤斑画像。]]
木星の表層には大赤斑という大きな渦があり長径26000kmであるため地球の直径の約2倍である。
=== 木星の環 ===
木星は土星のようなはっきりとした環はないがボイジャー1号により発見された。成分はケイ酸塩などで木星の衛星に隕石が衝突した時に環が作られた考えられている。
== 木星の衛星 ==
{{Main|ガリレオ衛星}}
== 木星のトロヤ群 ==
木星のラグランジュ点L<sub>4</sub>とL<sub>5</sub><ref>ラグランジュ点は2天体間の重力が均衡を保てる場所。詳しくはWikipediaの[[Wikipedia:ラグランジュ点|ラグランジュ点]]を参照。</ref>の位置は木星のトロヤ群と呼ばれる。
ここに位置する小惑星は木星と公転周期がほぼ同じである。
== 木星探査 ==
木星はガス惑星であるため着地できず、フライバイのみによる探査となる。
1973年、パイオニア10号が初めて木星を訪れた。
1979年からはボイジャー計画が始まり、多くの写真が撮影された。
現在も探査機ジュノーなどが探査している。
== 関連項目 ==
* [[Wikijunior:太陽系]]
** * [[Wikijunior:太陽系/木星]]
{{スタブ}}
{{デフォルトソート:もくせい}}
[[Category:太陽系]] | null | 2019-11-10T14:23:29Z | [
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| https://ja.wikibooks.org/wiki/%E6%9C%A8%E6%98%9F |
26,474 | 土星 | 天文学 > 太陽系 > 土星
土星は太陽系にある惑星で第6惑星である。
土星は木星と同じ木星型惑星(ガス惑星)で、太陽系内では太陽を除いて2番目に大きい。密度は0.7g/cm程度しかなく、水に浮く惑星と表現されることもある。
半径は地球の約9.4倍、質量は地球の約95倍。
その他データ
大気の成分
土星は密度が太陽系内の惑星で最も小さい。木星と同じくガス惑星であり、風により縞模様が見られる。特に南側ではドラゴンストームと呼ばれる嵐が見られる。
土星には環があり太陽系内ではいちばんはっきりと見える。土星の環にはA~G環までがあり土星側からD、E、B、A、F、G、Eの順である。また、AとBの間にはカッシーニの間隙と言われる隙間があり、AとFの間にはロシュの間隙と言われる隙間がある。環の粒子の主成分は水の氷であり、その大きさなどは環ごとで異なっている。
土星の環の形成はまだ明瞭ではないが、彗星や小惑星の潮汐力による破壊であるという仮説がある。
また、土星の環は非常に薄く、日によって角度が変わって見えるため環が見にくくなることがある。
土星探査は土星が地球の約9から10倍ほどの場所を公転しているため最初に到達したのは1979年のパイオニア11号である。
その後、ボイジャー1号が土星の衛星タイタンにある大気を発見した。
現在もカッシーニが2004年から打ち上げられており、土星やその衛星の数々の写真を撮影している。 | [
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| 天文学 > 太陽系 > 土星 土星は太陽系にある惑星で第6惑星である。 | {{Pathnav|天文学|太陽系}}
{{Wikipedia}}
[[ファイル:Saturn HST 2004-03-22.jpg|thumb|right|220px|ハッブル宇宙望遠鏡が撮影した土星。]]
土星は太陽系にある惑星で第6惑星である。
== 概要 ==
土星は木星と同じ木星型惑星(ガス惑星)で、太陽系内では太陽を除いて2番目に大きい。密度は0.7g/cm<sup>3</sup>程度しかなく、水に浮く惑星と表現されることもある。
半径は地球の約9.4倍、質量は地球の約95倍。
その他データ
* 自転周期...10時間14分(赤道付近)
* 公転周期...29.5年
大気の成分
* 水素...93%
* ヘリウム...5%
* メタン...0.2%
* 水(水蒸気)...0.1%
== 構造 ==
土星は密度が太陽系内の惑星で最も小さい。木星と同じくガス惑星であり、風により縞模様が見られる。特に南側ではドラゴンストームと呼ばれる嵐が見られる。
=== 環 ===
[[ファイル:Astronomy for high schools and colleges (1881) (14761496014).jpg|thumb|right|220px|土星の環は日によって見え方が変わる。]]
土星には環があり太陽系内ではいちばんはっきりと見える。土星の環にはA~G環までがあり土星側からD、E、B、A、F、G、Eの順である。また、AとBの間にはカッシーニの間隙と言われる隙間があり、AとFの間にはロシュの間隙と言われる隙間がある。環の粒子の主成分は水の氷であり、その大きさなどは環ごとで異なっている。
土星の環の形成はまだ明瞭ではないが、彗星や小惑星の潮汐力による破壊であるという仮説がある。
また、土星の環は非常に薄く、日によって角度が変わって見えるため環が見にくくなることがある。
== 土星探査 ==
土星探査は土星が地球の約9から10倍ほどの場所を公転しているため最初に到達したのは1979年のパイオニア11号である。
その後、ボイジャー1号が土星の衛星タイタンにある大気を発見した。
現在もカッシーニが2004年から打ち上げられており、土星やその衛星の数々の写真を撮影している。
{{デフォルトソート:とせい}}
[[Category:太陽系]] | null | 2022-08-31T06:49:56Z | [
"テンプレート:Wikipedia"
]
| https://ja.wikibooks.org/wiki/%E5%9C%9F%E6%98%9F |
26,475 | 天王星 | 天文学 > 太陽系 > 天王星
天王星は太陽系の第7惑星である。
天王星は木星型惑星(ガス惑星)に分類され、更に細かい分類では天王星型惑星に分類される。太陽を除いて太陽系で3番目に大きい。
半径は地球の約4倍。質量は地球の約14.5倍。
赤道傾斜角が約98°のため環は横倒しされたように見える。
自転周期は約17時間、公転周期は約84年である。このため極では公転周期の半分、42年間昼か夜が続いた状態になっている。42年間も昼や夜が続いているが熱は対流により天王星全体に行き渡っているので天王星の表面の温度はほぼ同じである。
ガス惑星であるため、大気は主に水素とヘリウムから成る。また、メタンが2%ほど含まれているため天王星は青く見える。 大気の成分
天王星は中心から核、マントル、大気の順の構造である。マントルには水やアンモニア、メタンなどの氷が含まれていると考えられている。また、核の部分には地球と同じく鉄やニッケルが含まれている。
天王星には現在、衛星が27個、環が13個発見されている。天王星の主な衛星にはアリエル、ウンブリエル、チタニア、オベロン、ミランダの5つがあり、ミランダ以外はどれも直径が1000kmを超える。
天王星は土星より更に遠いので探査も土星より遅く1986年のボイジャー2号によるフライバイが初の探査である。
天王星への探査計画は考案されているものの遠いため計画は難航している。 | [
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| 天文学 > 太陽系 > 天王星 天王星は太陽系の第7惑星である。 | {{Pathnav|天文学|太陽系}}
{{Wikipedia}}
[[ファイル:Uranus - Voyager 2.jpg|thumb|right|220px|天王星]]
'''天王星'''は太陽系の第7惑星である。
== 概要 ==
天王星は木星型惑星(ガス惑星)に分類され、更に細かい分類では天王星型惑星に分類される。太陽を除いて太陽系で3番目に大きい。
半径は地球の約4倍。質量は地球の約14.5倍。
赤道傾斜角が約98°のため環は横倒しされたように見える。
自転周期は約17時間、公転周期は約84年である。このため極では公転周期の半分、42年間昼か夜が続いた状態になっている。42年間も昼や夜が続いているが熱は対流により天王星全体に行き渡っているので天王星の表面の温度はほぼ同じである。
== 大気と構造 ==
=== 大気 ===
ガス惑星であるため、大気は主に水素とヘリウムから成る。また、メタンが2%ほど含まれているため天王星は青く見える。
大気の成分
* 水素...83%
* ヘリウム...15%
* メタン...2%
=== 構造 ===
天王星は中心から核、マントル、大気の順の構造である。マントルには水やアンモニア、メタンなどの氷が含まれていると考えられている。また、核の部分には地球と同じく鉄やニッケルが含まれている。
天王星には現在、衛星が27個、環が13個発見されている。天王星の主な衛星にはアリエル、ウンブリエル、チタニア、オベロン、ミランダの5つがあり、ミランダ以外はどれも直径が1000kmを超える。
== 天王星探査 ==
天王星は土星より更に遠いので探査も土星より遅く1986年のボイジャー2号によるフライバイが初の探査である。
天王星への探査計画は考案されているものの遠いため計画は難航している。
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[[Category:太陽系]] | null | 2022-08-31T06:50:15Z | [
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26,478 | 海王星 | Main Page > 自然科学 > 天文学 > 太陽系 > 海王星
海王星は太陽から一番遠い惑星で太陽系の第8惑星。
海王星は天王星と同じく木星型惑星(ガス惑星)に分類され、天王星型惑星にも分類される惑星である。
半径は地球の約3.8倍。質量は約17倍。
表面温度は-200°Cを下回り、惑星の中では遠いのもあって最も低い。
自転周期は約16時間。公転周期は太陽から一番遠い惑星なので一番長く、164.8年にもなる。
海王星はガス惑星であるため水素とヘリウムを多く含む。海王星は天王星のようにメタンを含むので青く見える。大気の成分は以下の通りである。
海王星の内部は内側から核、マントル、大気の順である。マントルの部分に水やアンモニア、メタンの氷があると思われている。
海王星には現在も現在衛星が14個、環が5個発見されている。海王星の衛星であるトリトンは大気を持つが厚さは地球の7万分の1程度である。
海王星はいちばん遠いため探査は難しく、1989年に接近したボイジャー2号のみが探査に成功している
ネプチューン・オービターなどの計画が考案されるも難航している。 | [
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| Main Page > 自然科学 > 天文学 > 太陽系 > 海王星 海王星は太陽から一番遠い惑星で太陽系の第8惑星。 | {{Pathnav|Main Page|自然科学|天文学|太陽系}}
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[[ファイル:Neptune Voyager2 color calibrated.png|thumb|right|220px|海王星。]]
'''海王星'''は太陽から一番遠い惑星で太陽系の第8惑星。
== 概要 ==
海王星は天王星と同じく木星型惑星(ガス惑星)に分類され、天王星型惑星にも分類される惑星である。
半径は地球の約3.8倍。質量は約17倍。
表面温度は-200℃を下回り、惑星の中では遠いのもあって最も低い。
自転周期は約16時間。公転周期は太陽から一番遠い惑星なので一番長く、164.8年にもなる。
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== 大気と構造 ==
=== 大気 ===
海王星はガス惑星であるため水素とヘリウムを多く含む。海王星は天王星のようにメタンを含むので青く見える。大気の成分は以下の通りである。
* 水素...80%
* ヘリウム...19%
* メタン...1.5%
=== 構造 ===
海王星の内部は内側から核、マントル、大気の順である。マントルの部分に水やアンモニア、メタンの氷があると思われている。
海王星には現在も現在衛星が14個、環が5個発見されている。海王星の衛星であるトリトンは大気を持つが厚さは地球の7万分の1程度である。
== 海王星探査 ==
海王星はいちばん遠いため探査は難しく、1989年に接近したボイジャー2号のみが探査に成功している
ネプチューン・オービターなどの計画が考案されるも難航している。
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[[Category:太陽系]]
<!-- [[カテゴリ:惑星]] --> | 2019-11-15T21:57:50Z | 2024-01-14T07:47:08Z | [
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26,479 | 制御と振動の数学/第一類/複素数値関数の Laplace 変換/Laplace 変換/Laplace 変換の基本的性質 | 前章と同様に,次の基本的性質が成立する. f ( t ) , g ( t ) {\displaystyle f(t),g(t)} を複素数値関数, α , β {\displaystyle \alpha ,\beta } を複素数とする.
複素数値関数の Lapalce 変換の基本的性質
I
II f ( t ) ⊐ F ( s ) , g ( t ) ⊐ G ( s ) {\displaystyle f(t)\sqsupset F(s),g(t)\sqsupset G(s)} とすれば,
III
証明
第 1 段: f ( t ) , g ( t ) {\displaystyle f(t),g(t)} が実数値関数のとき,
s = σ + i ω {\displaystyle s=\sigma +i\omega } とすると,積分の定義から,
である.第 1 項を I 1 {\displaystyle I_{1}} ,第 2 項を − i I 2 {\displaystyle -iI_{2}} とおき,積分順序を交換すると,前章と同様にして,
を得る.よって I 1 − i I 2 {\displaystyle I_{1}-iI_{2}} は再び積分の定義により,
となる.よって 前章と同じ関係式,
ここで積分変数を ξ := t − τ {\displaystyle \xi :=t-\tau } と変更すれば,積分の基本的性質IIIにより,
を得る.これで f ( t ) , g ( t ) {\displaystyle f(t),g(t)} が実数値関数のとき証明ができた.次に,
第 2 段: f = f 1 + i f 2 , g = g 1 + i g 2 {\displaystyle f=f_{1}+if_{2},g=g_{1}+ig_{2}} のときを証明する.
であるから,第 1 段の結果と Laplace 変換の基本性質IIを用いればよい. ♢ {\displaystyle \diamondsuit }
このように,基本的性質が示されたので前章と同様に,微分方程式を解くのに必要な公式のすべてを導くことができる. 例えば,
積分
微分
など.これらはもちろん Laplace 変換の定義から直接導くこともできる.また,
移動定理
などの証明も,前章と全く同様である.
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| 前章と同様に,次の基本的性質が成立する. f , g を複素数値関数, α , β を複素数とする. | [[制御と振動の数学/第一類/Laplace 変換|前章]]と同様に,次の基本的性質が成立する.
<math>f(t), g(t)</math> を複素数値関数,<math>\alpha, \beta</math> を複素数とする.
<div id="laplace-fundamental">
<strong>複素数値関数の Lapalce 変換の基本的性質</strong>
<div id="laplace-fundamental:1">
Ⅰ
{{制御と振動の数学/equation|<math>1 \sqsupset \frac{1}{s}</math>}}
<div id="laplace-fundamental:2">
Ⅱ <math>f(t) \sqsupset F(s), g(t) \sqsupset G(s)</math> とすれば,
{{制御と振動の数学/equation|<math>\alpha f(t) + \beta g(t) \sqsupset \alpha F(s) + \beta G(s)</math>}}
<div id="laplace-fundamental:3">
Ⅲ
{{制御と振動の数学/equation|<math> f(t) * g(t) \sqsupset F(s)G(s)</math>}}
<strong>証明</strong>
第 1 段:
<math>f(t), g(t)</math> が実数値関数のとき,
{{制御と振動の数学/equation|<math>\mathcal{L}[f*g] = \int_0^{\infty} (f*g)e^{-st}dt</math>}}
<math>s=\sigma+i\omega</math> とすると,積分の定義から,
{{制御と振動の数学/equation|<math>=\int_0^{\infty} (f*g)e^{-\sigma t}\cos\omega t\ dt - i\int_0^{\infty}(f*g)e^{-\sigma t}\sin\omega t\ dt</math><ref>
<math>(f*g)e^{-st} = (f*g)e^{-(\sigma + i\omega)t}</math><br />
<math>= (f*g)e^{-\sigma t}e^{-i\omega t}</math><br />
<math>= (f*g)e^{-\sigma t} \left\{ \cos\omega t - i\sin\omega t \right\}</math><br />
</ref>}}
である.第 1 項を <math>I_1</math>,第 2 項を <math>-iI_2</math> とおき,積分順序を交換すると,[[制御と振動の数学/第一類/Laplace 変換|前章]]と同様にして<ref>
<math>\int_0^{\infty}dt\left\{\int_0^t d\tau\ f(t-\tau)g(\tau)\right\}e^{-st} = \int_0^{\infty} d\tau \left\{ \int_{\tau}^{\infty} dt\ f(t-\tau)e^{-st}\right\}g(\tau)</math>
</ref>,
{{制御と振動の数学/equation|<math>I_1 = \int_0^{\infty} \left\{ \int_{\tau}^{\infty} f(t-\tau) e^{-\sigma t} \cos\omega t\ dt \right\} g(\tau)d\tau</math>}}
{{制御と振動の数学/equation|<math>I_2 = \int_0^{\infty} \left\{ \int_{\tau}^{\infty} f(t-\tau) e^{-\sigma t} \sin\omega t\ dt \right\} g(\tau)d\tau</math>}}
を得る.よって <math>I_1-iI_2</math> は再び積分の定義により,
{{制御と振動の数学/equation|<math>\int_0^{\infty} \left\{ \int_{\tau}^{\infty} f(t-\tau) e^{-\sigma t} (\cos\omega t\ - i\sin\omega t) dt \right\} g(\tau)d\tau</math>}}
となる.よって [[制御と振動の数学/第一類/Laplace 変換|前章]]と同じ関係式,
{{制御と振動の数学/equation|<math>\int_0^{\infty}(f*g)e^{-st}dt = \int_0^{\infty} \left\{ \int_{\tau}^{\infty} f(t-\tau)e^{-st}dt \right\}g(\tau)d\tau</math>}}
ここで積分変数を <math>\xi := t-\tau</math> と変更すれば,積分の基本的性質[[制御と振動の数学/第一類/複素数値関数の Laplace 変換/複素数値関数の微分積分学/複素数値関数の積分#characteristic:3|Ⅲ]]により<ref>
<math>\xi = t-\tau</math> により積分変数を <math>t</math> から <math>\xi</math> に変更すると,<br />
<math>t = \xi+\tau, t: \tau \to \infty</math> より <math>\xi : 0 \to \infty, d\xi = dt</math><br />
<math>\int_0^{\infty} \left\{ \int_{\tau}^{\infty} f(t-\tau)e^{-st}dt \right\}g(\tau)d\tau = \int_0^{\infty} \left\{ \int_0^{\infty} f(\xi)e^{-s(\xi+\tau)}d\xi \right\} g(\tau)d\tau</math><br />
<math>=\int_0^{\infty} \left\{ \int_0^{\infty} f(\xi)e^{-s\xi}d\xi \right\} e^{-s\tau}g(\tau)d\tau</math><br />
<math>=\int_0^{\infty} f(\xi)e^{-s\xi}d\xi \cdot \int_0^{\infty}e^{-s\tau}g(\tau)d\tau</math><br />
</ref>,
{{制御と振動の数学/equation|<math>=\mathcal{L}[f]\cdot\mathcal{L}[g]</math>}}
を得る.これで <math>f(t), g(t)</math> が実数値関数のとき<ref>で、<math>s</math> が複素数のとき</ref>証明ができた.次に,
第 2 段:<math>f=f_1 + if_2, g=g_1 + ig_2</math> のときを証明する.
{{制御と振動の数学/equation|<math>f*g = (f_1*g_1 - f_2*g_2) + i(f_1*g_2 + f_2*g_2)</math>}}
であるから,第 1 段の結果と Laplace 変換の基本性質[[制御と振動の数学/第一類/複素数値関数の Laplace 変換/Laplace 変換/Laplace 変換の基本的性質#laplace-fundamental:2|Ⅱ]]を用いればよい<ref>
<math>\int \{(f_1*g_1 - f_2*g_2) + i(f_1*g_2 + f_2*g_2)\}e^{-st} = \int f_1e^{-st}dt \int g_1e^{-st}dt - \int f_2e^{-st}dt \int g_2e^{-st}dt + i\left\{\int f_1e^{-st}dt \int g_2e^{-st}dt + \int f_2e^{-st}dt \int g_2e^{-st}dt \right\}</math><br />
<math> = \int \left( f_1 + if_2\right)e^{-st}dt \cdot \int\left(g_1 + ig_2\right)e^{-st}dt</math><br />
</ref>.
<math>\diamondsuit</math>
<!--laplace-fundamental:3:end-->
このように,基本的性質が示されたので[[制御と振動の数学/第一類/Laplace 変換|前章]]と同様に,微分方程式を解くのに必要な公式のすべてを導くことができる.
例えば,
<strong>積分</strong>
{{制御と振動の数学/equation|<math>\int_0^t f(\tau)d\tau \sqsupset \frac{1}{s}\mathcal{L}[f]</math>}}
<strong>微分</strong>
{{制御と振動の数学/equation|<math>f'(t) \sqsupset s\mathcal{L}[f] - f(0)</math>}}
など.これらはもちろん Laplace 変換の定義から直接導くこともできる.また,
<strong>移動定理</strong>
{{制御と振動の数学/equation|<math>f(t-\alpha) \sqsupset e^{-s\alpha}\mathcal{L}[f]</math>}}
などの証明も,[[制御と振動の数学/第一類/Laplace 変換|前章]]と全く同様である.
<references />
[[カテゴリ:ラプラス変換]] | null | 2022-11-23T14:31:38Z | [
"テンプレート:制御と振動の数学/equation"
]
| https://ja.wikibooks.org/wiki/%E5%88%B6%E5%BE%A1%E3%81%A8%E6%8C%AF%E5%8B%95%E3%81%AE%E6%95%B0%E5%AD%A6/%E7%AC%AC%E4%B8%80%E9%A1%9E/%E8%A4%87%E7%B4%A0%E6%95%B0%E5%80%A4%E9%96%A2%E6%95%B0%E3%81%AE_Laplace_%E5%A4%89%E6%8F%9B/Laplace_%E5%A4%89%E6%8F%9B/Laplace_%E5%A4%89%E6%8F%9B%E3%81%AE%E5%9F%BA%E6%9C%AC%E7%9A%84%E6%80%A7%E8%B3%AA |
26,480 | 制御と振動の数学/第一類/複素数値関数の Laplace 変換/Laplace 変換/微分方程式の解法 | まず,複素係数の線形定常常微分方程式
を考える.ここに a i ∈ C {\displaystyle a_{i}\in \mathbf {C} } とする.これを初期条件,
の下に Laplace 変換すると,実係数の場合と同様にして,
を得る.ここに p ( s ) {\displaystyle p(s)} は式 (4.11) に付随する特性多項式, q ( s ) {\displaystyle q(s)} は ξ i {\displaystyle \xi _{i}} で決まる高々 n − 1 {\displaystyle n-1} 次の多項式である.
一般に,複素係数の多項式は,代数学の基本定理により,複素係数の範囲で 1 次の積に因数分解できるから,それを,
とすると,これに対応して,
と部分分数に展開できる.それゆえ,この原像は,
または
と求まる.ここに f i ( t ) {\displaystyle f_{i}(t)} は t {\displaystyle t} の多項式で次数は高々 l i − 1 {\displaystyle l_{i}-1} ,係数は複素数である.
複素数値関数の微分に述べたように,
であるから
となり,式 (4.12) が式 (4.11) の解であることが分かる.解の一意性の証明も全く同じであるから,繰り返さない.また非同次方程式,
の解法も,全く同様である.なお,式 (4.11) の解の基本系は,
となる.実際,これらが 1 次独立となることは,前章の証明よりも,はるかに容易に示し得る. 事実,補題 4.1 の系によれば,
は一次独立であるから,あとは,
の 1 次独立性だけを示せばよい.これは,
の 1 次独立性と同じであるから,明らかである.
微分方程式式 (4.11) の係数が実数の場合を,この章の立場から述べておく. 特性方程式 p ( s ) {\displaystyle p(s)} が 1 次の因数に分解できることは同様であるが,その内容は,
のような形をしている.ここに c i ∈ R , α j , α j ̄ ∈ C {\displaystyle c_{i}\in \mathbf {R} ,\alpha _{j},{\overline {\alpha _{j}}}\in \mathbf {C} } で α j ̄ {\displaystyle {\overline {\alpha _{j}}}} は α j {\displaystyle \alpha _{j}} の共役複素数である. このとき解の基本系は,次の 3 種類の型のものから成り立っている.
I型は実関数である.しかし,II,III型は複素数値関数である.これらを,
ここに α = a + i b , α ̄ = a − i b {\displaystyle \alpha =a+ib,\ {\overline {\alpha }}=a-ib} を用いて実関数の基本形に直すと,II,IIIの変わりに,
となる.I,II',III'が実形式で表した解の基本形である.前章で求めたものと形は異なるが,この方が導出が簡単である.
例94 {\displaystyle \quad }
{I,II',III'}が解の基本系となること,すなわち 1 次独立であることを示せ.
解答例
♢ {\displaystyle \diamondsuit }
非同次方程式の一般解は,同次方程式の一般解に特解を付加すればよいことは,前章と同様である.
ここに述べたように,一般に,理論的な話をするときには,複素数値関数で取り扱う方が見通しがよい. しかし実際に初期値問題を解くときには,前章の手法の方が優れている. ただ,一般解を求めるのは,本章の方法によるのが賢明である.
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| null | ===§1===
まず,複素係数の線形定常常微分方程式
{{制御と振動の数学/equation|<math>\frac{d^nz}{dt^n} + a_1\frac{d^{n-1}z}{dt^{n-1}} + a_2\frac{d^{n-2}z}{dt^{n-2}} + \cdots + a_{n-1}\frac{dz}{dt} + a_nz = 0</math>|tag=(4.11)|label=eq:4.11}}
を考える.ここに <math>a_i \in \mathbf{C}</math> とする.これを初期条件,
{{制御と振動の数学/equation|<math>z(0)=\xi_1, z'(0)=\xi_2, \cdots, z^{(n-1)}(0)=\xi_n, \quad \xi_i \in \mathbf{C}</math>}}
の下に [[w:%E3%83%A9%E3%83%97%E3%83%A9%E3%82%B9%E5%A4%89%E6%8F%9B|Laplace 変換]]すると,実係数の場合と同様にして,
{{制御と振動の数学/equation|<math>\mathcal{L}[z] = \frac{q(s)}{p(s)}</math>}}
を得る.ここに <math>p(s)</math> は[[制御と振動の数学/第一類/複素数値関数の Laplace 変換/Laplace 変換/微分方程式の解法#eq:4.11|式 (4.11) ]]に付随する特性多項式,<math>q(s)</math> は <math>\xi_i</math> で決まる高々 <math>n-1</math> 次の多項式である.
一般に,複素係数の多項式は,[[w:%E4%BB%A3%E6%95%B0%E5%AD%A6%E3%81%AE%E5%9F%BA%E6%9C%AC%E5%AE%9A%E7%90%86|代数学の基本定理]]により,複素係数の範囲で 1 次の積に因数分解できるから,それを,
{{制御と振動の数学/equation|<math>p(s) = \prod_{i=1}^{\mu}(s-\alpha_i)^{l_i}</math>}}
とすると,これに対応して,
{{制御と振動の数学/equation|<math>\mathcal{L}[z] = \sum_{i=0}^{\mu} \left\{ \frac{A_{i1}}{s-\alpha_i} + \frac{A_{i2}}{(s-\alpha_i)^2} + \cdots + \frac{A_{il_i}}{(s-\alpha_i)^{l_i}} \right\}</math>}}
と部分分数に展開できる.それゆえ,この原像は,
{{制御と振動の数学/equation|<math>z(t) = \sum_{i=1}^{\mu} \left\{ A_{i1} + A_{i2}t + A_{i3}\frac{t^2}{2!} + \cdots + A_{il_i}\frac{t^{l_i - 1}}{(l_i-1)!} \right\}e^{\alpha_i}t</math>}}
または
{{制御と振動の数学/equation|<math>=\sum_{i=1}^{\mu}f_i(t)e^{\alpha_i}t</math>|tag=(4.12)|label=eq:4.12}}
と求まる.ここに <math>f_i(t)</math> は <math>t</math> の多項式で次数は高々 <math>l_i - 1</math>,係数は複素数である.
[[制御と振動の数学/第一類/複素数値関数の Laplace 変換/複素数値関数の微分積分学/複素数値関数の微分|複素数値関数の微分]]に述べたように,
{{制御と振動の数学/equation|<math>(D-\alpha_i)^{l_i} \left\{ f_i(t)e^{\alpha_i}t \right\} = e^{\alpha_i t}D^{l_i}f_i(t) = 0</math>}}
であるから
{{制御と振動の数学/equation|<math>p(D)z(t) = 0 \quad \left( D=\frac{d}{dt} \right)</math>}}
となり,[[制御と振動の数学/第一類/複素数値関数の Laplace 変換/Laplace 変換/微分方程式の解法#eq:4.12|式 (4.12) ]]が[[制御と振動の数学/第一類/複素数値関数の Laplace 変換/Laplace 変換/微分方程式の解法#eq:4.11|式 (4.11) ]]の解であることが分かる.解の一意性の証明も全く同じであるから,繰り返さない.また非同次方程式,
{{制御と振動の数学/equation|<math>p(D)z(t) = f(t)</math>}}
の解法も,全く同様である.なお,[[制御と振動の数学/第一類/複素数値関数の Laplace 変換/Laplace 変換/微分方程式の解法#eq:4.11|式 (4.11) ]]の解の基本系は,
{{制御と振動の数学/equation|<math>\{ e^{\alpha_i t}, te^{\alpha_i t}, t^2e^{\alpha_i t}, \cdots, t^{l_i - 1}e^{\alpha_i t}; i = 1, \cdots, \mu \}</math>}}
となる.実際,これらが 1 次独立となることは,[[制御と振動の数学/第一類/Laplace 変換による解の吟味/解の構造と一般解|前章]]の証明よりも,はるかに容易に示し得る.
事実,[[制御と振動の数学/第一類/複素数値関数の Laplace 変換/複素数値関数の微分積分学/複素数値関数の微分#lemma:4.1corollary|補題 4.1 の系]]によれば,
{{制御と振動の数学/equation|<math>f_i(t)e^{\alpha_i t} \quad (i=1, \cdots \mu)</math>}}
は一次独立であるから,あとは,
{{制御と振動の数学/equation|<math>e^{\alpha_i t}, te^{\alpha_i t}, t^2e^{\alpha_i t}, \cdots, t^{l_i - 1}e^{\alpha_i t}</math>}}
の 1 次独立性だけを示せばよい.これは,
{{制御と振動の数学/equation|<math>1, t, t^2, \cdots, t^{l_i - 1}</math>}}
の 1 次独立性と同じであるから,明らかである.
===§2===
微分方程式[[制御と振動の数学/第一類/複素数値関数の Laplace 変換/Laplace 変換/微分方程式の解法#eq:4.11|式 (4.11) ]]の係数が実数の場合を,この章の立場から述べておく.
特性方程式 <math>p(s)</math> が 1 次の因数に分解できることは同様であるが,その内容は,
{{制御と振動の数学/equation|<math>p(s) = \prod_{i=1}^{\mu}(s-c_i)^{l_i} \prod_{j=1}^{\nu} (s-\alpha_j)^{m_j}(s-\overline{\alpha_j})^{m_j}</math>}}
のような形をしている.ここに <math>c_i \in \mathbf{R}, \alpha_j, \overline{\alpha_j} \in \mathbf{C}</math> で <math>\overline{\alpha_j}</math> は <math>\alpha_j</math> の共役複素数である.
このとき解の基本系は,次の 3 種類の型のものから成り立っている.
{{制御と振動の数学/equation|Ⅰ<math>\quad e^{ct}, te^{ct}, t^2e^{ct}, \cdots t^{l - 1}e^{ct}</math>}}
{{制御と振動の数学/equation|Ⅱ<math>\quad e^{\alpha t}, te^{\alpha t}, t^2e^{\alpha t}, \cdots t^{m - 1}e^{\alpha t}</math>}}
{{制御と振動の数学/equation|Ⅲ<math>\quad e^{\overline{\alpha} t}, te^{\overline{\alpha} t}, t^2e^{\overline{\alpha} t}, \cdots t^{m - 1}e^{\overline{\alpha} t}</math>}}
Ⅰ型は実関数である.しかし,Ⅱ,Ⅲ型は複素数値関数である.これらを,
{{制御と振動の数学/equation|<math>\frac{e^{\alpha t} + e^{\overline{\alpha} t}}{2} = e^{at}\cos bt</math>}}
{{制御と振動の数学/equation|<math>\frac{e^{\alpha t} - e^{\overline{\alpha} t}}{2i} = e^{at}\sin bt</math>}}
ここに <math>\alpha = a + ib, \ \overline{\alpha} = a - ib</math> を用いて実関数の基本形に直すと,Ⅱ,Ⅲの変わりに,
{{制御と振動の数学/equation|Ⅱ'<math>\quad e^{at}\cos bt, te^{at}\cos bt, t^2e^{at}\cos bt, \cdots t^{m - 1}e^{at}\cos bt</math>}}
{{制御と振動の数学/equation|Ⅲ'<math>\quad e^{at}\sin bt, te^{at}\sin bt, t^2e^{at}\sin bt, \cdots t^{m - 1}e^{at}\sin bt</math>}}
となる.Ⅰ,Ⅱ',Ⅲ'が実形式で表した解の基本形である.[[制御と振動の数学/第一類/Laplace 変換による解の吟味/解の構造と一般解|前章]]で求めたものと形は異なるが,この方が導出が簡単である.
<!-- ex:094:start-->
<div id="ex:94">
<strong>例94</strong><math>\quad</math>
{Ⅰ,Ⅱ',Ⅲ'}が解の基本系となること,すなわち 1 次独立であることを示せ.
<strong>解答例</strong>
<math>\diamondsuit</math>
<!-- ex:94:end-->
非同次方程式の一般解は,同次方程式の一般解に特解を付加すればよいことは,[[制御と振動の数学/第一類/Laplace 変換による解の吟味/解の構造と一般解|前章]]と同様である.
ここに述べたように,一般に,理論的な話をするときには,複素数値関数で取り扱う方が見通しがよい.
しかし実際に初期値問題を解くときには,[[制御と振動の数学/第一類/Laplace 変換による解の吟味/解の構造と一般解|前章]]の手法の方が優れている.
ただ,一般解を求めるのは,本章の方法によるのが賢明である.
<references />
[[カテゴリ:ラプラス変換]] | null | 2022-11-23T14:31:51Z | [
"テンプレート:制御と振動の数学/equation"
]
| https://ja.wikibooks.org/wiki/%E5%88%B6%E5%BE%A1%E3%81%A8%E6%8C%AF%E5%8B%95%E3%81%AE%E6%95%B0%E5%AD%A6/%E7%AC%AC%E4%B8%80%E9%A1%9E/%E8%A4%87%E7%B4%A0%E6%95%B0%E5%80%A4%E9%96%A2%E6%95%B0%E3%81%AE_Laplace_%E5%A4%89%E6%8F%9B/Laplace_%E5%A4%89%E6%8F%9B/%E5%BE%AE%E5%88%86%E6%96%B9%E7%A8%8B%E5%BC%8F%E3%81%AE%E8%A7%A3%E6%B3%95 |
26,482 | ガリレオ衛星 | Main Page > 自然科学 > 天文学 > 太陽系 > 木星 > ガリレオ衛星
ガリレオ衛星は木星の衛星のうち、ガリレオにより発見された4つの天体のことを指す。本項目では木星から近い順(イオ、エウロパ、ガニメデ、カリストの順)で説明する。
イオは木星の第1衛星である。
半径は地球の約0.28倍(1800km)。質量は地球の約0.015倍。(8.94×10kg)。
また、密度が最も高い(約3.5g/cm)ことでも知られる。
イオでは太陽系の中でも激しい火山活動が起こっている。火山活動の熱は他のガリレオ衛星との位置的変化による潮汐力の変化で伸縮するため発生すると考えられている。イオが黄色いのは火山活動の際に噴出される硫黄の化合物のためである。
イオは自転周期と公転周期が42時間30分ほどで一致している。衛星において自転と公転の周期が同じ場合、惑星に対しては同じ面しか向かない。これは月でも起こり、自転と公転の同期と言われる。
太陽系の惑星の衛星ではほとんどがこれに当てはまる。
エウロパは木星の第2衛星である。
半径は地球の約0.25倍(1600km)。質量は地球の約0.008倍(4.8×10kg)。
エウロパもイオと同じく、自転と公転は同期している。
写真を見ると分かるがエウロパにはひびの入ったような地形が多数ある。これは木星の潮汐力によって割れたものと考えられている。なお、このひびのようなものは線条と言われている。
また、エウロパは100kmの氷の層からできており、この下には液体の水から成る内部海が存在していると考えられている。
ガニメデは木星の第3衛星であり、太陽系内では最も大きい衛星である。
半径は地球の0.41倍(2600km)。質量は地球の約0.025倍(1.5×10kg)。
ガニメデも自転と公転は同期している。
ガニメデの表面は岩石と水の氷から成る。
また、光条と呼ばれる地形があり、天体の衝突の際に放射状にできたものである。
また、ガニメデには暗い領域と明るい領域があり、暗い方にはクレーターが多く見られる。
カリストは木星の第4衛星である。
半径は地球の約0.38倍(2410.3km)。質量は地球の約0.019倍(1.076×10kg)。
カリストも自転と公転が同期している。
カリストの表面は岩石と水の氷から成る。
カリストの表面には多くのクレーターがあり、多重リング構造といわれるクレーターもある。
カリストは、木星の4つのガリレオ衛星のうち、最も外縁の軌道を周回している。 | [
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| Main Page > 自然科学 > 天文学 > 太陽系 > 木星 > ガリレオ衛星 ガリレオ衛星は木星の衛星のうち、ガリレオにより発見された4つの天体のことを指す。本項目では木星から近い順(イオ、エウロパ、ガニメデ、カリストの順)で説明する。 | {{Pathnav|Main Page|自然科学|天文学|太陽系|木星}}
{{Wikipedia}}
'''ガリレオ衛星'''は木星の衛星のうち、ガリレオにより発見された4つの天体のことを指す。本項目では木星から近い順(イオ、エウロパ、ガニメデ、カリストの順)で説明する。
== イオ ==
[[ファイル:Io (Jupiter moon) PIA02308 (with starfield).jpg|right|thumb|220px|探査機ガリレオが撮影した高解像度のイオ]]
'''イオ'''は木星の第1衛星である。
半径は地球の約0.28倍(1800km)。質量は地球の約0.015倍。(8.94×10<sup>22</sup>kg)。
また、密度が最も高い(約3.5g/cm<sup>3</sup>)ことでも知られる。
=== イオにおける火山活動 ===
イオでは太陽系の中でも激しい火山活動が起こっている。火山活動の熱は他のガリレオ衛星との位置的変化による潮汐力の変化で伸縮するため発生すると考えられている。イオが黄色いのは火山活動の際に噴出される硫黄の化合物のためである。
=== イオの自転と公転 ===
イオは自転周期と公転周期が42時間30分ほどで一致している。衛星において自転と公転の周期が同じ場合、惑星に対しては同じ面しか向かない。これは月でも起こり、自転と公転の'''同期'''と言われる。
太陽系の惑星の衛星ではほとんどがこれに当てはまる。
== エウロパ ==
[[ファイル:PIA01295 Europa (moon).jpg|thumb|right|220px|探査機ガリレオが撮影したエウロパ]]
'''エウロパ'''は木星の第2衛星である。
半径は地球の約0.25倍(1600km)。質量は地球の約0.008倍(4.8×10<sup>22</sup>kg)。
エウロパもイオと同じく、自転と公転は同期している。
=== エウロパの地形 ===
写真を見ると分かるがエウロパにはひびの入ったような地形が多数ある。これは木星の潮汐力によって割れたものと考えられている。なお、このひびのようなものは'''線条'''と言われている。
また、エウロパは100kmの氷の層からできており、この下には液体の水から成る内部海が存在していると考えられている。
== ガニメデ ==
[[ファイル:Ganymede g1 true.jpg|right|thumb|220px|探査機ガリレオによって撮影されたガニメデ]]
'''ガニメデ'''は木星の第3衛星であり、太陽系内では最も大きい衛星である。
半径は地球の0.41倍(2600km)。質量は地球の約0.025倍(1.5×10<sup>23</sup>kg)。
ガニメデも自転と公転は同期している。
=== ガニメデの表面 ===
ガニメデの表面は岩石と水の氷から成る。
また、'''光条'''と呼ばれる地形があり、天体の衝突の際に放射状にできたものである。
また、ガニメデには暗い領域と明るい領域があり、暗い方にはクレーターが多く見られる。
== カリスト ==
[[ファイル:Callisto (cropped)-1.jpg|thumb|right|220px|探査機ガリレオによって撮影されたカリスト]]
'''カリスト'''は木星の第4衛星である。
半径は地球の約0.38倍(2410.3km)。質量は地球の約0.019倍(1.076×10<sup>23</sup>kg)。
カリストも自転と公転が同期している。
=== カリストの表面 ===
カリストの表面は岩石と水の氷から成る。
カリストの表面には多くのクレーターがあり、多重リング構造といわれるクレーターもある。
=== カリストの軌道 ===
カリストは、木星の4つのガリレオ衛星のうち、最も外縁の軌道を周回している。
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[[Category:太陽系]] | null | 2022-11-22T02:57:22Z | [
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| https://ja.wikibooks.org/wiki/%E3%82%AC%E3%83%AA%E3%83%AC%E3%82%AA%E8%A1%9B%E6%98%9F |
26,518 | 制御と振動の数学/第一類/複素数値関数の Laplace 変換/解の漸近的挙動(安定論)/安定の定義と定理 | 線形定常常微分方程式
の解の t → ∞ {\displaystyle t\to \infty } における振舞を調べるのが目的である.ここでは係数は実数としておく.
式 (4.13) には x = 0 {\displaystyle x=0} という解がある. これを零解という.零解は時間の経過には無関係に一定値を取り続ける.そのような解を式 (4.13) の平衡点と呼ぶことがある. a n ≠ 0 {\displaystyle a_{n}\neq 0} ならば式 (4.13) の平衡点は零解だけである. さて,零解以外の任意の解 x ( t ) {\displaystyle x(t)} が,零解に近づくかどうか,その条件はなにかというのが我々の問題である.
安定の定義
(i) 式 (4.13) の解 x ( t ) {\displaystyle x(t)} が
となるとき, x ( t ) {\displaystyle x(t)} は安定な解であるという.すべての解が安定な解となるとき, 式 (4.13) の零解は安定である, あるいは微分方程式 (4.13) は安定であるという.
(ii)
となる解を不安定な解という.このような解が少なくとも一つ存在すれば, 式 (4.13) は不安定であるという.
(iii) (i) でも (ii) でもないとき,すなわち t → ∞ {\displaystyle t\to \infty } で発散する解は存在しない.しかしすべての解が 0 {\displaystyle 0} に漸近するわけではないとき, 式 (4.13) は安定限界であるという. ♢ {\displaystyle \diamondsuit }
例95 {\displaystyle \quad }
(i) e − t , t 3 e − 2 t cos t {\displaystyle e^{-t},t^{3}e^{-2t}\cos t\quad } (安定な解)
(ii) t , e 2 t , t sin t {\displaystyle t,e^{2t},t\sin t\quad } (不安定な解)
(iii) 1 , sin t {\displaystyle 1,\sin t\quad } (安定限界となる解)
♢ {\displaystyle \diamondsuit }
さて式 (4.13) の特性方程式を p ( s ) {\displaystyle p(s)} とし, α {\displaystyle \alpha } をその根とすると,
なる根がある.
であるから,
となる.上から e α t {\displaystyle e^{\alpha t}} は安定,不安定,安定限界であることが分かる.一般の解は,
のような解の 1 次結合から成り立っている.したがって,この解の安定,不安定を調べればよい.
であるから a > 0 {\displaystyle a>0} なら,この解は t → ∞ {\displaystyle t\to \infty } とともに発散する.また a < 0 {\displaystyle a<0} なら,
なる負の実数 c {\displaystyle c} が存在し,この c {\displaystyle c} に対して,
であるから,
となる.よって c < 0 {\displaystyle c<0} に留意すれば,
を得る.それゆえ,次の結果が得られた.
定理 4.1(安定定理) 式 (4.13) の特性方程式 p ( s ) {\displaystyle p(s)} の根 α i {\displaystyle \alpha _{i}} の実数部の最大なるものを a ∗ {\displaystyle a^{*}} とする.すなわち,
とするとき,微分方程式 (4.13) は,
である.また,
ならば,
である.
証明
前半の安定・不安定の部分の証明はすでに与えた.後半の単根の場合も終わっている. 重根の場合は, α ∗ = a ∗ + i b ∗ {\displaystyle \alpha ^{*}=a^{*}+ib^{*}} とすると,
であるから,この解は発散する.よって不安定である. ♢ {\displaystyle \diamondsuit }
この定理から,安定・不安定の判別は, p ( s ) {\displaystyle p(s)} の根の,複素平面 ( s {\displaystyle s} 平面)上における配置によって決まることが分かる.
安定 {\displaystyle \quad } 根がすべて左半面にあるとき
不安定 {\displaystyle \quad } 少なくとも 1 根が右半面に存在するか,あるいは右半面には存在しないが,虚軸上に重根があるとき
安定限界 {\displaystyle \quad } 虚軸上の根は単根で、他はすべて左半面にあるとき
とまとめることができる.
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| 線形定常常微分方程式 の解の t → ∞ における振舞を調べるのが目的である.ここでは係数は実数としておく. 式 (4.13) には x = 0 という解がある.
これを零解という.零解は時間の経過には無関係に一定値を取り続ける.そのような解を式 (4.13) の平衡点と呼ぶことがある. a n ≠ 0 ならば式 (4.13) の平衡点は零解だけである.
さて,零解以外の任意の解 x が,零解に近づくかどうか,その条件はなにかというのが我々の問題である. | 線形定常常微分方程式
{{制御と振動の数学/equation|<math>\frac{d^nx}{dt^n} + a_1\frac{d^{n-1}x}{dt^{n-1}} + a_2\frac{d^{n-2}x}{dt^{n-2}} + \cdots + a_{n-1}\frac{dx}{dt} + a_nx = 0</math>|tag=(4.13)|label=eq:4.13}}
の解の <math>t \to \infty</math> における振舞を調べるのが目的である.ここでは係数は実数としておく.
[[制御と振動の数学/第一類/複素数値関数の Laplace 変換/解の漸近的挙動(安定論)/安定の定義と定理#eq:4.13|式 (4.13) ]]には <math>x = 0</math> という解がある.
これを零解という.零解は時間の経過には無関係に一定値を取り続ける.そのような解を[[制御と振動の数学/第一類/複素数値関数の Laplace 変換/解の漸近的挙動(安定論)/安定の定義と定理#eq:4.13|式 (4.13) ]]の平衡点と呼ぶことがある.<math>a_n \ne 0</math> ならば[[制御と振動の数学/第一類/複素数値関数の Laplace 変換/解の漸近的挙動(安定論)/安定の定義と定理#eq:4.13|式 (4.13) ]]の平衡点は零解だけである<ref>
<math>p(D)x = 0</math>…①で <br />
<math>p(D)x = \{ q(D) + a_n \}x</math> とおく.<br />
今,<math>x \equiv C</math> が①の解であるとき,<br />
<math>\{ q(D) + a_n \} C = 0</math><br />
<math>q(D)x = 0</math> より <math>a_nC = 0</math><br />
<math>a_n \ne 0</math> より <math>C = 0</math>.
</ref>.
さて,零解以外の任意の解 <math>x(t)</math> が,零解に近づくかどうか,その条件はなにかというのが我々の問題である.
<div id="def_stabirity">
<strong>安定の定義</strong>
(i) [[制御と振動の数学/第一類/複素数値関数の Laplace 変換/解の漸近的挙動(安定論)/安定の定義と定理#eq:4.13|式 (4.13) ]]の解 <math>x(t)</math> が
{{制御と振動の数学/equation|<math>\lim_{t\to\infty} x(t) = 0</math>}}
となるとき,<math>x(t)</math> は安定な解であるという.すべての解が安定な解となるとき,
[[制御と振動の数学/第一類/複素数値関数の Laplace 変換/解の漸近的挙動(安定論)/安定の定義と定理#eq:4.13|式 (4.13) ]]の零解は安定である,
あるいは微分方程式 [[制御と振動の数学/第一類/複素数値関数の Laplace 変換/解の漸近的挙動(安定論)/安定の定義と定理#eq:4.13|(4.13) ]]は安定であるという.
(ii)
{{制御と振動の数学/equation|<math>\lim_{t\to\infty}|x(t)| = \infty</math>}}
となる解を不安定な解という.このような解が少なくとも一つ存在すれば,
[[制御と振動の数学/第一類/複素数値関数の Laplace 変換/解の漸近的挙動(安定論)/安定の定義と定理#eq:4.13|式 (4.13) ]]は不安定であるという.
(iii)
(i) でも (ii) でもないとき,すなわち <math>t\to\infty</math> で発散する解は存在しない.しかしすべての解が <math>0</math> に漸近するわけではないとき,
[[制御と振動の数学/第一類/複素数値関数の Laplace 変換/解の漸近的挙動(安定論)/安定の定義と定理#eq:4.13|式 (4.13) ]]は安定限界であるという.
<math>\diamondsuit</math>
<!-- def_stabirity:end-->
<!-- ex:095:start-->
<div id="ex:95">
<strong>例95</strong><math>\quad</math>
(i) <math>e^{-t}, t^3e^{-2t}\cos t \quad</math> (安定な解)
(ii) <math>t, e^{2t}, t\sin t \quad</math> (不安定な解)
(iii) <math>1, \sin t \quad</math> (安定限界となる解)
<math>\diamondsuit</math>
<!-- ex:95:end-->
さて[[制御と振動の数学/第一類/複素数値関数の Laplace 変換/解の漸近的挙動(安定論)/安定の定義と定理#eq:4.13|式 (4.13) ]]の特性方程式を <math>p(s)</math> とし,
<math>\alpha</math> をその根とすると,
{{制御と振動の数学/equation|<math>e^{\alpha t}, \quad \alpha = a + ib</math>}}
なる根がある.
{{制御と振動の数学/equation|<math>e^{\alpha t} = e^{at}(\cos bt + i\sin bt)</math>}}
であるから,
{{制御と振動の数学/equation|<math>\mathrm{Re }=a < 0 \implies e^{\alpha t} \to 0 \quad (t \to \infty)</math>}}
{{制御と振動の数学/equation|<math>\mathrm{Re }=a > 0 \implies |e^{\alpha t}| \to \infty (t \to \infty)</math>}}
{{制御と振動の数学/equation|<math>\mathrm{Re }=a = 0 \implies e^{\alpha t} = \cos bt + i\sin bt</math>}}
となる.上から <math>e^{\alpha t}</math> は安定,不安定,安定限界であることが分かる.一般の解は,
{{制御と振動の数学/equation|<math>t^ke^{\alpha t}</math>}}
のような解の 1 次結合から成り立っている.したがって,この解の安定,不安定を調べればよい.
{{制御と振動の数学/equation|<math>|t^ke^{\alpha t}| = |t|^k e^{at}</math>}}
であるから <math>a > 0</math> なら,この解は <math>t \to \infty</math> とともに発散する.また <math>a < 0</math> なら,
{{制御と振動の数学/equation|<math>a < c < 0</math>}}
なる負の実数 <math>c</math> が存在し,この <math>c</math> に対して,
{{制御と振動の数学/equation|<math>e^{(c-a)t} \geqq \frac{ \{ |c-a| |t| \}^k}{k!} \quad (t>0)</math><ref>.
</ref>|tag=(4.13b)|lagel=eq:4.13b}}
であるから,
{{制御と振動の数学/equation|<math>\frac{k!}{|c-a|^k}e^{ct} \geqq |t|^ke^{at}</math>}}
となる.よって <math>c<0</math> に留意すれば,
{{制御と振動の数学/equation|<math>|t^ke^{at}| = |t|^ke^{at} \to 0 \quad (t\to\infty)</math>}}
を得る.それゆえ,次の結果が得られた.
<div id="theorem:4.1">
<strong>定理 4.1(安定定理)</strong>
[[制御と振動の数学/第一類/複素数値関数の Laplace 変換/解の漸近的挙動(安定論)/安定の定義と定理#eq:4.13|式 (4.13) ]]の特性方程式 <math>p(s)</math> の根 <math>\alpha_i</math> の実数部の最大なるものを <math>a^{*}</math> とする.すなわち,
{{制御と振動の数学/equation|<math>a^{*} := \underset{i}{\mathrm{max}}\ \mathrm{Re}\ \alpha_i, \quad a^{*} = \mathrm{Re}\ a^{*}</math>}}
とするとき,微分方程式[[制御と振動の数学/第一類/複素数値関数の Laplace 変換/解の漸近的挙動(安定論)/安定の定義と定理#eq:4.13| (4.13) ]]は,
{{制御と振動の数学/equation|<math>a^{*} < 0</math> なら,安定}}
{{制御と振動の数学/equation|<math>a^{*} > 0</math> なら不安定}}
である.また,
{{制御と振動の数学/equation|<math>a^{*} = 0</math>}}
ならば,
{{制御と振動の数学/equation|(i) <math>a^{*}</math> が <math>p(s)</math> の単根のとき,安定限界}}
{{制御と振動の数学/equation|(ii) <math>a^{*}</math> が <math>p(s)</math> の重根のとき,不安定}}
である.
<strong>証明</strong>
前半の安定・不安定の部分の証明はすでに与えた.後半の単根の場合も終わっている.
重根の場合は,<math>\alpha^* = a^* + ib^*</math> とすると<ref>
さらに <math>a^* = 0</math><br />
</ref>,
{{制御と振動の数学/equation|<math>|t^ke^{\alpha^* t}| = |t^k e^{ib^*t}|</math>}}
{{制御と振動の数学/equation|<math>=|t|^k \quad (k \geqq 1)</math>}}
であるから,この解は発散する.よって不安定である.
<math>\diamondsuit</math>
<!-- theorem:4.1:end-->
この定理から,安定・不安定の判別は,<math>p(s)</math> の根の,複素平面 (<math>s</math> 平面)上における配置によって決まることが分かる.
<strong>安定</strong><math>\quad</math> 根がすべて左半面にあるとき
<strong>不安定</strong><math>\quad</math> 少なくとも 1 根が右半面に存在するか,あるいは右半面には存在しないが,虚軸上に重根があるとき
<strong>安定限界</strong><math>\quad</math> 虚軸上の根は単根で、他はすべて左半面にあるとき
とまとめることができる.
<references />
[[カテゴリ:ラプラス変換]] | null | 2022-11-23T14:33:28Z | [
"テンプレート:制御と振動の数学/equation"
]
| https://ja.wikibooks.org/wiki/%E5%88%B6%E5%BE%A1%E3%81%A8%E6%8C%AF%E5%8B%95%E3%81%AE%E6%95%B0%E5%AD%A6/%E7%AC%AC%E4%B8%80%E9%A1%9E/%E8%A4%87%E7%B4%A0%E6%95%B0%E5%80%A4%E9%96%A2%E6%95%B0%E3%81%AE_Laplace_%E5%A4%89%E6%8F%9B/%E8%A7%A3%E3%81%AE%E6%BC%B8%E8%BF%91%E7%9A%84%E6%8C%99%E5%8B%95%EF%BC%88%E5%AE%89%E5%AE%9A%E8%AB%96%EF%BC%89/%E5%AE%89%E5%AE%9A%E3%81%AE%E5%AE%9A%E7%BE%A9%E3%81%A8%E5%AE%9A%E7%90%86 |
26,520 | 太陽系小天体 | Main Page > 自然科学 > 天文学 > 太陽系 > 太陽系小天体
太陽系小天体は太陽系内にある、太陽、惑星、準惑星、衛星を除く全天体のことを指す。主に小惑星と彗星、惑星間塵に大別できる。しかし、惑星間塵を小天体には含めないという考えもある。
小惑星は準惑星よりも小さい天体で惑星間塵ほど小さくないものである。なお、準惑星を小惑星に含めることもある。
ふつうは火星と木星の間に多く見つかるが、海王星以遠でも見つかり、これらは太陽系外縁天体と言われる。
海王星より内側にある小惑星、つまり太陽系外縁天体に含まれない小惑星については小惑星、太陽系外縁天体に含まれる小惑星については太陽系外縁天体を参照。
彗星は小天体の中で水や二酸化炭素などの揮発性成分を含み、イオンや塵の尾を示すものである。
ヘール・ボップ彗星のように一度太陽に近づくと戻ってこない非周期彗星とハレー彗星のように周期的に太陽に近づいてくる周期彗星がある。
詳細は彗星を参照。
惑星間塵は太陽系内にある塵であり、1m以下のもの、つまり天体としては極めて小さいもののことである。
多くは彗星の尾が放出した氷や二酸化炭素、または小惑星が衝突する際に放出された欠片のようなものである。
なお惑星間塵が地球から黄道面にある場合、惑星間塵が太陽の光を反射するので、黄道光という太陽の中心に淡い光の帯が見える現象がある。
また、彗星や小惑星の周りではその軌道に沿って放出された惑星間塵が細い道のようにのびていることがある。これはダストトレイルと呼ばれている。 | [
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"text": "詳細は彗星を参照。",
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"text": "惑星間塵は太陽系内にある塵であり、1m以下のもの、つまり天体としては極めて小さいもののことである。",
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| Main Page > 自然科学 > 天文学 > 太陽系 > 太陽系小天体 太陽系小天体は太陽系内にある、太陽、惑星、準惑星、衛星を除く全天体のことを指す。主に小惑星と彗星、惑星間塵に大別できる。しかし、惑星間塵を小天体には含めないという考えもある。 | {{Pathnav|Main Page|自然科学|天文学|太陽系}}
{{Wikipedia}}
'''太陽系小天体'''は太陽系内にある、太陽、惑星、準惑星、衛星を除く全天体のことを指す。主に小惑星と彗星、惑星間塵に大別できる。しかし、惑星間塵を小天体には含めないという考えもある。
== 小惑星 ==
'''小惑星'''は準惑星よりも小さい天体で惑星間塵ほど小さくないものである。なお、準惑星を小惑星に含めることもある。
ふつうは火星と木星の間に多く見つかるが、海王星以遠でも見つかり、これらは'''太陽系外縁天体'''と言われる。
海王星より内側にある小惑星、つまり太陽系外縁天体に含まれない小惑星については[[小惑星]]、太陽系外縁天体に含まれる小惑星については[[太陽系外縁天体]]を参照。
== 彗星 ==
'''彗星'''は小天体の中で水や二酸化炭素などの揮発性成分を含み、イオンや塵の尾を示すものである。
ヘール・ボップ彗星のように一度太陽に近づくと戻ってこない'''非周期彗星'''とハレー彗星のように周期的に太陽に近づいてくる'''周期彗星'''がある。
詳細は[[彗星]]を参照。
== 惑星間塵 ==
[[ファイル:Zodiacal Light Seen from Paranal.jpg|thumb|right|220px|パラナル天文台で観測された黄道光。]]
[[ファイル:PIA08452.jpg|thumb|right|220px|スピッツァー宇宙望遠鏡の撮影した彗星のダストトレイル]]
'''惑星間塵'''は太陽系内にある塵であり、1m以下のもの、つまり天体としては極めて小さいもののことである。
多くは彗星の尾が放出した氷や二酸化炭素、または小惑星が衝突する際に放出された欠片のようなものである。
なお惑星間塵が地球から黄道面にある場合、惑星間塵が太陽の光を反射するので、'''黄道光'''という太陽の中心に淡い光の帯が見える現象がある。
また、彗星や小惑星の周りではその軌道に沿って放出された惑星間塵が細い道のようにのびていることがある。これは'''ダストトレイル'''と呼ばれている。
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26,547 | 小惑星 | Main Page > 自然科学 > 天文学 > 太陽系 > 太陽系小天体 > 小惑星
小惑星は太陽系において太陽、惑星、衛星、惑星間塵、彗星を除いた太陽系小天体のことである。準惑星を小惑星に含めることがあるがWikibooksでは準惑星とは区別して項目を設けている。
小惑星は主に火星と木星の間に存在する。もちろん、火星より内側や木星より外側にも存在するため、火星と木星の間にしかないという誤解があってはいけない。
火星と木星の間に一番多く存在するのでその空間はメインベルト、または小惑星帯と呼ばれる。メインベルトにある小惑星は惑星形成時に木星の一部になれず、現在も木星の重力の影響をあまり受けていない。
小惑星にはメインベルト以外にも軌道が似ているものはよく同じグループとして分類される。このグループを小惑星族という。例えば、小惑星フローラに似たグループはフローラ族と言われ、500以上もの小惑星がこの族に属する。
太陽系外縁天体は海王星より外側にある小惑星を指す。太陽系外縁天体はほとんどが小惑星と惑星間塵で他に彗星、準惑星などであるので、この項目では特記のない限り太陽系外縁天体は全て海王星以遠にある小惑星を指すものとする。
エッジワース・カイパーベルトは海王星より遠く(30AU以上)、50AU以下の範囲を指す。冥王星などがこの空間で公転している。エッジワース・カイパーベルトにある天体はそのままエッジワース・カイパーベルト天体という。
エッジワース・カイパーベルト天体には海王星の公転周期との比が簡単な整数比になる場合がある。例えば冥王星族という小惑星族では海王星が2回公転する間にその天体は3回公転する。このような天体を共鳴外縁天体という。
共鳴外縁天体のうち、共鳴が1:1で起こっている天体も存在する。これは海王星と同一の軌道をとっているが、海王星よりも60°前、または後を公転している。このような天体はトロヤ群の小惑星と言われ、木星などにも存在しているため、区別するためにふつうは海王星のトロヤ群という。
散乱円盤天体は、遠日点が数100AUにも及ぶ天体のことである。小惑星セドナは軌道長半径が500AUにものぼり、近日点でさえ76AUもある。
オールトの雲は1光年(6万AU)より先にあると考えられている球状に太陽系を取り巻く理論上の天体群のことである。彗星はここを起源として太陽にやってくると考えられている。
小惑星の中には地球に近い軌道をとるものもある。これらはまとめて地球近傍小惑星と言われ、地球から近いためリュウグウやイトカワなどが探査の対象となっている。
しかし、地球近傍小惑星の中には将来、地球に衝突する恐れのある小惑星がある。これらは潜在的に危険な小惑星と言われ、アポフィスなどは世間でも話題になった。なお、アポフィスが地球に接近するのは2029年だと予測されている。 | [
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| Main Page > 自然科学 > 天文学 > 太陽系 > 太陽系小天体 > 小惑星 小惑星は太陽系において太陽、惑星、衛星、惑星間塵、彗星を除いた太陽系小天体のことである。準惑星を小惑星に含めることがあるがWikibooksでは準惑星とは区別して項目を設けている。 | {{Pathnav|Main Page|自然科学|天文学|太陽系|太陽系小天体}}
{{Wikipedia}}
'''小惑星'''は太陽系において太陽、惑星、衛星、惑星間塵、彗星を除いた太陽系小天体のことである。準惑星を小惑星に含めることがあるがWikibooksでは[[準惑星]]とは区別して項目を設けている。
== 小惑星の分布 ==
小惑星は主に火星と木星の間に存在する。もちろん、火星より内側や木星より外側にも存在するため、火星と木星の間にしかないという誤解があってはいけない。
火星と木星の間に一番多く存在するのでその空間は'''メインベルト'''、または'''小惑星帯'''と呼ばれる。メインベルトにある小惑星は惑星形成時に木星の一部になれず、現在も木星の重力の影響をあまり受けていない。
小惑星にはメインベルト以外にも軌道が似ているものはよく同じグループとして分類される。このグループを'''小惑星族'''という。例えば、小惑星フローラに似たグループは'''フローラ族'''と言われ、500以上もの小惑星がこの族に属する。
== 太陽系外縁天体 ==
[[ファイル:Planetoid 90377 sedna animation location.gif|thumb|right|220px|セドナの軌道を太陽系の惑星と比較したアニメーション。軌道長半径がかなり長いことが分かる。]]
'''太陽系外縁天体'''は海王星より外側にある小惑星を指す。太陽系外縁天体はほとんどが小惑星と惑星間塵で他に彗星、準惑星などであるので、この項目では特記のない限り太陽系外縁天体は全て海王星以遠にある小惑星を指すものとする。
'''エッジワース・カイパーベルト'''は海王星より遠く(30AU以上)、50AU以下の範囲を指す。冥王星などがこの空間で公転している。エッジワース・カイパーベルトにある天体はそのまま'''エッジワース・カイパーベルト天体'''という。
エッジワース・カイパーベルト天体には海王星の公転周期との比が簡単な整数比になる場合がある。例えば冥王星族という小惑星族では海王星が2回公転する間にその天体は3回公転する。このような天体を'''共鳴外縁天体'''という。
共鳴外縁天体のうち、共鳴が1:1で起こっている天体も存在する。これは海王星と同一の軌道をとっているが、海王星よりも60°前、または後を公転している。このような天体は'''トロヤ群'''の小惑星と言われ、木星などにも存在しているため、区別するためにふつうは海王星のトロヤ群という。
'''散乱円盤天体'''は、遠日点が数100AUにも及ぶ天体のことである。小惑星セドナは軌道長半径が500AUにものぼり、近日点でさえ76AUもある。
'''オールトの雲'''は1光年(6万AU)より先にあると考えられている球状に太陽系を取り巻く理論上の天体群のことである。[[彗星]]はここを起源として太陽にやってくると考えられている。
== 地球近傍小惑星 ==
[[ファイル:99942 Apophis shape.png|thumb|right|220px|アポフィスの想像図。]]
小惑星の中には地球に近い軌道をとるものもある。これらはまとめて'''地球近傍小惑星'''と言われ、地球から近いためリュウグウやイトカワなどが探査の対象となっている。
しかし、地球近傍小惑星の中には将来、地球に衝突する恐れのある小惑星がある。これらは'''潜在的に危険な小惑星'''と言われ、アポフィスなどは世間でも話題になった。なお、アポフィスが地球に接近するのは2029年だと予測されている。
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[[Category:太陽系]] | null | 2022-08-31T07:00:12Z | [
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26,549 | 彗星 | Main Page > 自然科学 > 天文学 > 太陽系 > 太陽系小天体 > 彗星
彗星は太陽系小天体のうち、水や二酸化炭素などの揮発性成分を持ち、尾を生じる天体である。日本では古くはほうき星とも呼んだ。
彗星はガスや微粒子が広がって輝いている一時的な大気であるコマと呼ばれる部分とコマが噴出した尾と呼ばれる部分から成る。
彗星の本体は核といい、水、一酸化炭素、二酸化炭素、アンモニア、メタンなどが主成分である。
彗星の種類はその周期の長さまたは周期の有無で分類できる。公転周期が短い(200年未満)のものは短周期彗星といい、有名なものでは周期75年のハレー彗星などがある。
周期的であるがその期間が長いもの(200年以上)は長周期彗星といい、池谷・関彗星などがある。
それ以外の周期をもたないものは非周期彗星といい、パンスターズ彗星などがある。
大彗星は地球から見て誰でも彗星と分かる彗星である。1882年の大彗星は昼でも彗星と分かるぐらいに明るくなった例である。
サングレーザーは彗星のうち、太陽の極めて近い場所を通過する彗星のことである。サングレーザーのほとんどは太陽の熱によって蒸発されるか太陽の潮汐力によって分裂してしまう。
彗星の元となる物質はオールトの雲からやってくると考えられている。オールトの雲にある天体は摂動を起こすためその一部が太陽の方向に引っ張られ、離心率が大きい楕円軌道をとると考えられている。 | [
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| Main Page > 自然科学 > 天文学 > 太陽系 > 太陽系小天体 > 彗星 彗星は太陽系小天体のうち、水や二酸化炭素などの揮発性成分を持ち、尾を生じる天体である。日本では古くはほうき星とも呼んだ。 | {{Pathnav|Main Page|自然科学|天文学|太陽系|太陽系小天体}}
{{Wikipedia}}
[[ファイル:Comet-Halley's-tail-NASA-1986-b&w.jpg|thumb|right|220px|1986年に撮影されたハレー彗星。]]
'''彗星'''は太陽系小天体のうち、水や二酸化炭素などの揮発性成分を持ち、尾を生じる天体である。日本では古くはほうき星とも呼んだ。
== 概要 ==
彗星はガスや微粒子が広がって輝いている一時的な大気である'''コマ'''と呼ばれる部分とコマが噴出した'''尾'''と呼ばれる部分から成る。
彗星の本体は'''核'''といい、水、一酸化炭素、二酸化炭素、アンモニア、メタンなどが主成分である。
== 彗星の分類 ==
彗星の種類はその周期の長さまたは周期の有無で分類できる。公転周期が短い(200年未満)のものは'''短周期彗星'''といい、有名なものでは周期75年の'''ハレー彗星'''などがある。
周期的であるがその期間が長いもの(200年以上)は'''長周期彗星'''といい、池谷・関彗星などがある。
それ以外の周期をもたないものは'''非周期彗星'''といい、パンスターズ彗星などがある。
== 大彗星 ==
[[ファイル:Great Comet of 1882.jpg|thumb|right|220px|南アフリカで撮影された1882年の大彗星。]]
'''大彗星'''は地球から見て誰でも彗星と分かる彗星である。1882年の大彗星は昼でも彗星と分かるぐらいに明るくなった例である。
== サングレーザー ==
'''サングレーザー'''は彗星のうち、太陽の極めて近い場所を通過する彗星のことである。サングレーザーのほとんどは太陽の熱によって蒸発されるか太陽の潮汐力によって分裂してしまう。
== 彗星の起源 ==
彗星の元となる物質はオールトの雲からやってくると考えられている。オールトの雲にある天体は摂動を起こすためその一部が太陽の方向に引っ張られ、離心率<ref>離心率は簡単にいうと曲線の開き具合のことである。eで表し、楕円のとき0<e<1、放物線はe=1、双曲線はe>1である。</ref>が大きい楕円軌道をとると考えられている。
== 脚注 ==
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[[Category:太陽系]] | null | 2022-08-31T06:43:09Z | [
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| https://ja.wikibooks.org/wiki/%E5%BD%97%E6%98%9F |
26,563 | 恒星 | Main Page > 自然科学 > 天文学 > 恒星
恒星は太陽のように自ら光や熱を放出する天体のことである。また、太陽以外では地球からはほとんど位置を変えない。夜空に見える星々はほとんどが恒星である。
星座はいくつかの恒星を結んだもので、それに似た神話上の動物や人物にちなんで名付けられている。北半球、南半球でしか見えないものもあるが、それらを含めて総計88個の星座がある。
星座の中では明るい順にα星、β星、γ星...と呼ばれる。もちろん例外があり、見かけ上の配列で順を決めることもある。このような名称をバイエル名という。例えばデネブははくちょう座でいちばん明るいのではくちょう座α星ともいう。
また、フラムスティード名という名称が用いられることも多く、バイエル名がない時に使われる。フラムスティード名は観測において西から1番、2番...と付けられている。例えばベテルギウスはオリオン座α星とも言われるが、オリオン座58番星とも言われる。
フラムスティード名でも名称が付けられなかった星はその他のカタログ番号呼ばれる。最も多いのはヘンリー・ドレイパーカタログ(HD星表)で、20万もの恒星を収録しているため、よく用いられる。また、他にも輝星星表(HR)やボン掃天星表(BD)などが使われている。
恒星は太陽系外に多数あるためいちばん近いものでも4.3光年離れている。そのため明るさは地球から見た時の視等級と10パーセク離れたときの明るさを基準にした絶対等級がある。
ここで絶対等級M、視等級mの差は距離d(単位はパーセク)で決まることが分かっており、
M-m=5-5log10dと表せることが分かっている。
右図では太陽を黄色い点、地球を青い点とし、距離を測りたい恒星をピンクの点としている。太陽、恒星、地球のなす角をp、太陽から恒星の距離をrとする。p=1''とすると太陽から地球までの距離はrに比べれば無視することが出来る。つまり、pとrは反比例すると考えられる。
pr = d(dは定数)
しかしこのままではdが不明の値であるため使いにくい。p=1''のとき、r=3.26光年であることが分かっているが計算がしにくいため、rの単位をパーセクにして計算する。すると、
pr = 1となる(p[秒]、r[パーセク])
物体は表面温度が高い場合、熱の放射量が多くなったり、色が変わったりする。天体でも物体の温度と放射される色や光の波長は変わる。これをウィーンの変位則という。光の波長λ[m]、絶対温度T[K]とすると
λT = 2.9×10
が成り立つ。温度が高いほど青く低いほど赤いのは波長が短いほど紫に近づき、長いほど赤に近づくためである。
表面温度T[K]の物体が毎秒その天体1mから放射するエネルギーは
E = σT
で表されることが分かっている。なお、σはシュテファン・ボルツマン定数といい、5.67×10W/(m・K)である。この法則をシュテファン・ボルツマンの法則という。
恒星全体の出す量は半径をRとすると4πRであるから、恒星が宇宙に放射するエネルギーLは
L = 4πR・E
で表せる。
恒星には太陽と同じくらいのものや太陽の100倍もの大きさのものもある。これは恒星の種類によって異なっている。詳しくは恒星の分類で述べる。 | [
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| Main Page > 自然科学 > 天文学 > 恒星 恒星は太陽のように自ら光や熱を放出する天体のことである。また、太陽以外では地球からはほとんど位置を変えない。夜空に見える星々はほとんどが恒星である。 | {{Pathnav|Main Page|自然科学|天文学}}
{{Wikipedia}}
[[ファイル:Betelgeuse – NASA.jpg|thumb|220px|right|NASAが撮影したベテルギウス。]]
'''恒星'''は太陽のように自ら光や熱を放出する天体のことである。また、太陽以外では地球からはほとんど位置を変えない。夜空に見える星々はほとんどが恒星である。
== 星座 ==
'''星座'''はいくつかの恒星を結んだもので、それに似た神話上の動物や人物にちなんで名付けられている。北半球、南半球でしか見えないものもあるが、それらを含めて総計88個の星座がある。
星座の中では明るい順にα星、β星、γ星...と呼ばれる。もちろん例外があり、見かけ上の配列で順を決めることもある。このような名称を'''バイエル名'''という。例えばデネブははくちょう座でいちばん明るいのではくちょう座α星ともいう。
また、'''フラムスティード名'''という名称が用いられることも多く、バイエル名がない時に使われる。フラムスティード名は観測において西から1番、2番...と付けられている。例えばベテルギウスはオリオン座α星とも言われるが、オリオン座58番星とも言われる。
フラムスティード名でも名称が付けられなかった星はその他のカタログ番号呼ばれる。最も多いのは'''ヘンリー・ドレイパーカタログ'''('''HD星表''')で、20万もの恒星を収録しているため、よく用いられる。また、他にも'''輝星星表'''(HR)や'''ボン掃天星表'''(BD)などが使われている。
== 恒星の明るさと距離 ==
恒星は太陽系外に多数あるためいちばん近いものでも4.3光年離れている。そのため明るさは地球から見た時の'''視等級'''と10パーセク<ref>1パーセク=3.26光年</ref>離れたときの明るさを基準にした'''絶対等級'''がある。
ここで絶対等級M、視等級mの差は距離d(単位はパーセク)で決まることが分かっており、
M-m=5-5log<sub>10</sub>dと表せることが分かっている<ref>logとは対数のことである。詳しくは[[解析学基礎/指数関数と対数関数]]を参照。</ref>。
[[ファイル:Stellarparallax2.svg|220px|right]]
右図では太陽を黄色い点、地球を青い点とし、距離を測りたい恒星をピンクの点としている。太陽、恒星、地球のなす角をp、太陽から恒星の距離をrとする。p=1<nowiki>''</nowiki><ref><nowiki>''</nowiki>は角度の単位で秒と読む。1秒=3600分の1度である。</ref>とすると太陽から地球までの距離はrに比べれば無視することが出来る。つまり、pとrは反比例すると考えられる。
pr = d(dは定数)
しかしこのままではdが不明の値であるため使いにくい。p=1<nowiki>''</nowiki>のとき、r=3.26光年であることが分かっているが計算がしにくいため、rの単位をパーセクにして計算する。すると、
pr = 1となる(p[秒]、r[パーセク])
== 恒星の温度 ==
物体は表面温度が高い場合、熱の放射量が多くなったり、色が変わったりする。天体でも物体の温度と放射される色や光の波長は変わる。これを'''ウィーンの変位則'''という。光の波長λ[m]、絶対温度T[K]とすると
λT = 2.9×10<sup>-3</sup>
が成り立つ。温度が高いほど青く低いほど赤いのは波長が短いほど紫に近づき、長いほど赤に近づくためである。
表面温度T[K]の物体が毎秒その天体1m<sup>2</sup>から放射するエネルギーは
E = σT<sup>4</sup>
で表されることが分かっている。なお、σはシュテファン・ボルツマン定数といい、5.67×10<sup>-8</sup>W/(m<sup>2</sup>・K<sup>4</sup>)である。この法則を'''シュテファン・ボルツマンの法則'''という。
恒星全体の出す量は半径をRとすると4πR<sup>2</sup>である<ref>小学校で球の表面積の公式を習った読者なら知っているだろうが、半径Rの球の表面積は4πR<sup>2</sup>である。</ref>から、恒星が宇宙に放射するエネルギーLは
L = 4πR<sup>2</sup>・E
で表せる。
== 恒星の大きさ ==
恒星には太陽と同じくらいのものや太陽の100倍もの大きさのものもある。これは恒星の種類によって異なっている。詳しくは[[恒星の分類]]で述べる。
== 脚注 ==
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[[Category:恒星]] | null | 2022-08-31T07:03:41Z | [
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26,565 | 制御と振動の数学/第一類/複素数値関数の Laplace 変換/解の漸近的挙動(安定論)/Hurwitzの定理 | 特性多項式の係数から,直ちに微分方程式 (4.13) の解の安定性を判別する方法がいくつかある. 次のものは有名である.
定理 4.2 Hurwitz の定理
実係数の代数方程式,
のすべての根が, s {\displaystyle s} 平面の左半平面に位置するための必要十分条件は,
の首座の小行列式がすべて正となることである.すなわち,
が成立することである. ♢ {\displaystyle \diamondsuit }
この定理は,1895 年にある技術者の依頼によって,Hurwitz が解いたものであるが, それ以前に Routh によって解かれていたので, Routh-Hurwitz の定理とも呼ばれる.証明は付録に譲る.
例96 {\displaystyle \quad }
p 1 ( s ) = s + a 1 , ( a 0 = 1 > 0 ) {\displaystyle p_{1}(s)=s+a_{1},\quad (a_{0}=1>0)} のとき,
♢ {\displaystyle \diamondsuit }
例97 {\displaystyle \quad }
p 2 ( s ) = s 2 + a 1 s + a 2 {\displaystyle p_{2}(s)=s^{2}+a_{1}s+a_{2}} のとき,
であるから, H 1 = a 1 > 0 , H 2 = a 1 a 2 > 0 {\displaystyle H_{1}=a_{1}>0,H_{2}=a_{1}a_{2}>0} ,それゆえ,
を得る.これは,2 根の和が負,積が正ということで,解と係数の関係から得られるものと一致する.
♢ {\displaystyle \diamondsuit }
例98 {\displaystyle \quad }
p 3 ( s ) = s 3 + a 1 s 2 + a 2 s + a 3 {\displaystyle p_{3}(s)=s^{3}+a_{1}s^{2}+a_{2}s+a_{3}} のとき,
であるから,
したがって
を得る.これから当然 a 2 > 0 {\displaystyle a_{2}>0} .
♢ {\displaystyle \diamondsuit }
例99 {\displaystyle \quad }
a 0 > 0 , H i > 0 ( i = 1 , 2 , ⋯ , n ) {\displaystyle a_{0}>0,\quad H_{i}>0\quad (i=1,2,\cdots ,n)} より, a i > 0 ( i = 1 , 2 , ⋯ , n ) {\displaystyle a_{i}>0\quad (i=1,2,\cdots ,n)} を導け.
♢ {\displaystyle \diamondsuit }
よく他書に Hurwitz の条件として,
(1) a 0 > 0 , a 1 > 0 , ⋯ , a n > 0 {\displaystyle a_{0}>0,a_{1}>0,\cdots ,a_{n}>0}
(2) H 1 > 0 , ⋯ , H n > 0 {\displaystyle H_{1}>0,\cdots ,H_{n}>0}
の両方満足するべきことが述べられているが,(1) の a 0 > 0 {\displaystyle a_{0}>0} 以外は不要である. もし (1) が満たされれば,(2) の条件のうち幾つかは不要となる.
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| 特性多項式の係数から,直ちに微分方程式 (4.13) の解の安定性を判別する方法がいくつかある.
次のものは有名である. | 特性多項式の係数から,直ちに微分方程式 [[制御と振動の数学/第一類/複素数値関数の Laplace 変換/解の漸近的挙動(安定論)/安定の定義と定理#eq:4.13|(4.13) ]]の解の安定性を判別する方法がいくつかある.
次のものは有名である.
<div id="theorem:4.2:Hurwitz">
<strong>定理 4.2 [[w:%E3%83%A9%E3%82%A6%E3%82%B9%E3%83%BB%E3%83%95%E3%83%AB%E3%83%93%E3%83%83%E3%83%84%E3%81%AE%E5%AE%89%E5%AE%9A%E5%88%A4%E5%88%A5%E6%B3%95|Hurwitz の定理]]</strong>
実係数の代数方程式,
{{制御と振動の数学/equation|<math>p_n(s) = a_0s^n + a_1s^{n-1} + a_2s^{n-2} + \cdots + a_{n-1}s + a_n = 0 \quad (a_0 > 0)</math>}}
のすべての根が,<math>s</math> 平面の左半平面に位置するための必要十分条件は,
{{制御と振動の数学/equation|<math>H_n =
\begin{vmatrix}
a_1 & a_0 & \\
a_3 & a_2 & a_1 & a_0 \\
a_5 & a_4 & a_3 & a_2 \\
a_7 & a_6 & a_5 & a_4 & \cdot & \cdot & \\
\cdot&\cdot&\cdot&\cdot& \cdot & \cdot & \\
\cdot&\cdot&\cdot&\cdot& \cdot & \cdot & \\
\cdot&\cdot&\cdot&\cdot& \cdot & a_{n-2} & \\
\cdot&\cdot&\cdot&\cdot& \cdot & a_{n}
\end{vmatrix}</math>}}
の首座の小行列式がすべて正となることである.すなわち,
{{制御と振動の数学/equation|<math>a_0 > 0, \quad H_1 = a_1 > 0, \quad H_2 =
\begin{vmatrix}
a_1 & a_0 \\
a_3 & a_2
\end{vmatrix} > 0,
\quad
H_3 =
\begin{vmatrix}
a_1 & a_0 & 0 \\
a_3 & a_2 & a_1 \\
a_5 & a_4 & a_3
\end{vmatrix} > 0,
\quad \cdots, H_n > 0</math>}}
が成立することである.
<math>\diamondsuit</math>
<!-- theorem:4.2:Hurwitz:end-->
この定理は,1895 年にある技術者の依頼によって,[[w:%E3%82%A2%E3%83%89%E3%83%AB%E3%83%95%E3%83%BB%E3%83%95%E3%83%AB%E3%83%B4%E3%82%A3%E3%83%83%E3%83%84|Hurwitz]] が解いたものであるが,
それ以前に [[w:%E3%82%A8%E3%83%89%E3%83%AF%E3%83%BC%E3%83%89%E3%83%BB%E3%83%A9%E3%82%A6%E3%82%B9|Routh]] によって解かれていたので,
Routh-Hurwitz の定理とも呼ばれる.証明は[[制御と振動の数学/第一類/付録・Hurwitz の定理|付録]]に譲る.
<!-- ex:096:start-->
<div id="ex:96">
<strong>例96</strong><math>\quad</math>
<math>p_1(s) = s + a_1, \quad (a_0 = 1 > 0)</math> のとき,
{{制御と振動の数学/equation|<math>H_1 = a_1 > 0</math>}}
<math>\diamondsuit</math>
<!-- ex:96:end-->
<!-- ex:097:start-->
<div id="ex:97">
<strong>例97</strong><math>\quad</math>
<math>p_2(s) = s^2 + a_1s + a_2</math> のとき,
{{制御と振動の数学/equation|<math>H_2 =
\begin{vmatrix}
a_1 & 1 \\
0 & a_2
\end{vmatrix}
</math>}}
であるから,<math>H_1 = a_1 > 0, H_2 = a_1a_2 > 0</math>,それゆえ,
{{制御と振動の数学/equation|<math>a_1 > 0, \quad a_2 > 0</math>}}
を得る.これは,2 根の和が負,積が正ということで,解と係数の関係から得られるものと一致する.
<math>\diamondsuit</math>
<!-- ex:97:end-->
<!-- ex:98:start-->
<div id="ex:98">
<strong>例98</strong><math>\quad</math>
<math>p_3(s) = s^3 + a_1s^2 + a_2s + a_3</math> のとき,
{{制御と振動の数学/equation|<math>H_3 =
\begin{vmatrix}
a_1 & 1 & \\
a_3 & a_2 & a_1 \\
0 & 0 & a_3
\end{vmatrix}
</math>}}
であるから,
{{制御と振動の数学/equation|<math>H_1 = a_1 > 0, H_2 = a_1a_2 - a_3 > 0, H_3 = a_3H_2 > 0</math>}}
したがって
{{制御と振動の数学/equation|<math>a_1 > 0, \quad a_3 > 0, \quad a_1a_2 > a_3</math>}}
を得る.これから当然 <math>a_2 > 0</math>.
<math>\diamondsuit</math>
<!-- ex:98:end-->
<!-- ex:99:start-->
<div id="ex:99">
<strong>例99</strong><math>\quad</math>
<math>a_0 > 0, \quad H_i > 0 \quad (i = 1, 2, \cdots, n)</math> より,
<math>a_i > 0 \quad (i = 1, 2, \cdots, n)</math> を導け.
<math>\diamondsuit</math>
<!-- ex:99:end-->
よく他書に Hurwitz の条件として,
(1) <math>a_0 > 0, a_1 > 0, \cdots, a_n > 0</math>
(2) <math>H_1 > 0, \cdots, H_n > 0</math>
の両方満足するべきことが述べられているが,(1) の <math>a_0 > 0</math> 以外は不要である.
もし (1) が満たされれば,(2) の条件のうち幾つかは不要となる<ref>
高木貞治:代数学講義(共立出版)第10章.
</ref>.
<references />
[[カテゴリ:ラプラス変換]] | null | 2022-11-23T14:33:19Z | [
"テンプレート:制御と振動の数学/equation"
]
| https://ja.wikibooks.org/wiki/%E5%88%B6%E5%BE%A1%E3%81%A8%E6%8C%AF%E5%8B%95%E3%81%AE%E6%95%B0%E5%AD%A6/%E7%AC%AC%E4%B8%80%E9%A1%9E/%E8%A4%87%E7%B4%A0%E6%95%B0%E5%80%A4%E9%96%A2%E6%95%B0%E3%81%AE_Laplace_%E5%A4%89%E6%8F%9B/%E8%A7%A3%E3%81%AE%E6%BC%B8%E8%BF%91%E7%9A%84%E6%8C%99%E5%8B%95%EF%BC%88%E5%AE%89%E5%AE%9A%E8%AB%96%EF%BC%89/Hurwitz%E3%81%AE%E5%AE%9A%E7%90%86 |
26,568 | 制御と振動の数学/第一類/複素数値関数の Laplace 変換/解の漸近的挙動(安定論)/グラフによる安定判別 | 平面上の 1 点 a {\displaystyle a} と閉曲線 C {\displaystyle C} が与えられているとき, C {\displaystyle C} が a {\displaystyle a} を何回まわるか,その回転数を数えることによって,安定判別をする方法がある. 結果を述べる前に若干の準備をしておこう.
回転数
C {\displaystyle C} は a {\displaystyle a} を通らない閉曲線とする. 動点 s {\displaystyle s} が C {\displaystyle C} 上を動くとき,半直線 a s → {\displaystyle {\vec {as}}} が a {\displaystyle a} の周りを正の向き(反時計まわり)に回る回数を, C {\displaystyle C} の a {\displaystyle a} のまわりの回転数といい,
で表す.
例100 {\displaystyle \quad }
C {\displaystyle C} を単純閉曲線とすると,
♢ {\displaystyle \diamondsuit }
であるから,
が成立する.ここに,複素数 s − a {\displaystyle s-a} を極表示したものを s − a = r e i θ {\displaystyle s-a=re^{i\theta }} とし,
とおいている.
定理 4.3 偏角変化量の原理 {\displaystyle \quad }
p ( s ) {\displaystyle p(s)} を n {\displaystyle n} 次の多項式, C {\displaystyle C} を s {\displaystyle s} 平面上の単純閉曲線とし, p ( s ) {\displaystyle p(s)} の根は C {\displaystyle C} 上にはないものとする.このとき, Γ {\displaystyle \Gamma } を ω = p ( s ) {\displaystyle \omega =p(s)} による C {\displaystyle C} の像,すなわち Γ := p ( C ) {\displaystyle \Gamma :=p(C)} とすると,
が成立する.
証明
とする. α i {\displaystyle \alpha _{i}} は重複していてもよい.複素数の偏角を a r g {\displaystyle \mathrm {arg} } で表すと,
よって,
となる. 上述のように, r ( C , α i ) {\displaystyle r(C,\alpha _{i})} は α i {\displaystyle \alpha _{i}} は C {\displaystyle C} の内部にあるときだけ 1 {\displaystyle 1} で, その他のときは 0 {\displaystyle 0} であるから求める結果を得る. ♢ {\displaystyle \diamondsuit }
定理 4.4 {\displaystyle \quad }
において, s {\displaystyle s} が虚軸上を下から上まで動くとき, ω = p ( s ) {\displaystyle \omega =p(s)} の軌跡が ω {\displaystyle \omega } 平面の原点を通らずに,原点を n 2 {\displaystyle {\frac {n}{2}}} 回まわれば, p ( s ) {\displaystyle p(s)} の根はすべて s {\displaystyle s} 平面の左半平面に存在する.逆も成立する.
証明
左半平面を囲む半径 ∞ {\displaystyle \infty } の半円を考え,これを C {\displaystyle C} とする. C {\displaystyle C} 内に n {\displaystyle n} 個の根が存在することをいえばよい. いまこの半円 C {\displaystyle C} を虚軸上の部分 C 1 {\displaystyle C_{1}} と円弧部分 C 2 {\displaystyle C_{2}} に分け,
とする.このとき,
である. 仮定は r ( Γ 1 , 0 ) = n 2 {\displaystyle r(\Gamma _{1},0)={\frac {n}{2}}} である. さて, s ∈ C 2 {\displaystyle s\in C_{2}} のとき,
と表すと,半径 ∞ {\displaystyle \infty } (十分大)であるから ε ( s ) ≒ 0 {\displaystyle \varepsilon (s)\fallingdotseq 0} である.この偏角は,
となるが, s {\displaystyle s} が C 2 {\displaystyle C_{2}} を動くとき, a r g { 1 + ε ( s ) } {\displaystyle \mathrm {arg} \ \{1+\varepsilon (s)\}} の変化量は 0 {\displaystyle 0} である. C 2 {\displaystyle C_{2}} は s {\displaystyle s} 平面上の原点を正の方向に半周するから, n a r g s {\displaystyle n\ \mathrm {arg} \ s} の変化量は n 2 {\displaystyle {\frac {n}{2}}} である. よって,
それゆえ,
を得る.このことは p ( s ) = 0 {\displaystyle p(s)=0} の根がすべて s {\displaystyle s} 平面の左半平面に位置していることを示す.逆は明らかであろう. ♢ {\displaystyle \diamondsuit }
例101 {\displaystyle \quad }
の場合を考えてみよう. s = i ω ( ω ∈ R ) {\displaystyle s=i\omega \quad (\omega \in \mathbf {R} )} とおき実部と虚部とに分けると,
となる. a 1 = 0 {\displaystyle a_{1}=0} なら, s {\displaystyle s} 平面の虚軸の像 Γ 1 = p ( i ω ) , − ∞ < ω < ∞ {\displaystyle \Gamma _{1}=p(i\omega ),\quad -\infty <\omega <\infty } は y {\displaystyle y} 軸に平行な直線であるから, r ( Γ 1 , 0 ) = ± 1 2 {\displaystyle r(\Gamma _{1},0)=\pm {\frac {1}{2}}} となって 不安定である.そこで a 1 ≠ 0 {\displaystyle a_{1}\neq 0} とする. 式 (4.14) から ω {\displaystyle \omega } を消去すると,
ここに,
となる. y 2 > 0 {\displaystyle y^{2}>0} であるから,
となる. いずれの場合も ω {\displaystyle \omega } が − ∞ {\displaystyle -\infty } から + ∞ {\displaystyle +\infty } へ動くとき 式 (4.14) から分かるように, y {\displaystyle y} は + ∞ {\displaystyle +\infty } から − ∞ {\displaystyle -\infty } へ動く.つまり Γ 1 {\displaystyle \Gamma _{1}} 上を上から下へ動く. したがって, a 1 < 0 {\displaystyle a_{1}<0} なら a 3 , H 2 {\displaystyle a_{3},H_{2}} がどんな値をとっても, r ( Γ 1 , 0 ) {\displaystyle r(\Gamma _{1},0)} は 3 2 {\displaystyle {\frac {3}{2}}} にならない. a 1 > 0 {\displaystyle a_{1}>0} のとき,原点を囲むような形となるときだけ,
が成立する.このとき,
である.すなわち,
のとき安定となる.これは Hurwitz の方法で求めたものと一致する. ♢ {\displaystyle \diamondsuit }
この技法は Hurwitz の方法に比べて,極めて迂遠のようであるが,自動制御理論では,フィードバック系の安定判別に用いられ,極めて有用である.
例102 {\displaystyle \quad }
の場合の安定判別を,上例にならって行い,Hurwitz の方法による結果と比較せよ.
解答例
p ( i ω ) = i ω + a 1 , ( ω ∈ R ) {\displaystyle p(i\omega )=i\omega +a_{1},\quad (\omega \in \mathbf {R} )} を実部 x {\displaystyle x} と虚部 y {\displaystyle y} とにわける.
x {\displaystyle x} は定数だから軌跡 Γ 1 {\displaystyle \Gamma _{1}} は y {\displaystyle y} に平行. a 1 < 0 {\displaystyle a_{1}<0} ならば, r ( Γ 1 , 0 ) {\displaystyle r(\Gamma _{1},0)} は時計回りに回転し,その値は − 1 2 {\displaystyle -{\frac {1}{2}}} で不安定. a 1 > 0 {\displaystyle a_{1}>0} ならば, r ( Γ 1 , 0 ) {\displaystyle r(\Gamma _{1},0)} は反時計回りに回転し,その値は + 1 2 {\displaystyle +{\frac {1}{2}}} で n = 1 {\displaystyle n=1} より安定. これは Hurwitz の定理による結果に符合する.
♢ {\displaystyle \diamondsuit }
例103 {\displaystyle \quad }
の場合の安定判別を,上例にならって行い,Hurwitz の方法による結果と比較せよ.
解答例
p ( i ω ) = − ω 2 + a 1 , ( ω ∈ R ) {\displaystyle p(i\omega )=-\omega ^{2}+a_{1},\quad (\omega \in \mathbf {R} )} を実部 x {\displaystyle x} と虚部 y {\displaystyle y} とにわける.
1から ω {\displaystyle \omega } を消去すると, y 2 = − a 1 2 x + a 1 2 a 2 {\displaystyle y^{2}=-a_{1}^{2}x+a_{1}^{2}a_{2}} ...2 2のグラフの形は y = x 2 {\displaystyle y=x^{2}} を 90°反時計回りに回転させたもので、頂点の座標は ( a 2 , 0 ) {\displaystyle (a_{2},0)} . 2が原点 ( 0 , 0 ) {\displaystyle (0,0)} を「取り込む」必要があるから, a 2 > 0 {\displaystyle a_{2}>0} 1の軌跡が y {\displaystyle y} の − ∞ {\displaystyle -\infty } から + ∞ {\displaystyle +\infty } まで動けば,原点の周りを反時計回りに 1 回転して n = 2 {\displaystyle n=2} より安定,すなわち a 1 > 0 {\displaystyle a_{1}>0} 条件 a 1 > 0 , a 2 > 0 {\displaystyle a_{1}>0,a_{2}>0} は Hurwitz の定理とも一致する.
♢ {\displaystyle \diamondsuit } | [
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"text": "平面上の 1 点 a {\\displaystyle a} と閉曲線 C {\\displaystyle C} が与えられているとき, C {\\displaystyle C} が a {\\displaystyle a} を何回まわるか,その回転数を数えることによって,安定判別をする方法がある. 結果を述べる前に若干の準備をしておこう.",
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"text": "C {\\displaystyle C} は a {\\displaystyle a} を通らない閉曲線とする. 動点 s {\\displaystyle s} が C {\\displaystyle C} 上を動くとき,半直線 a s → {\\displaystyle {\\vec {as}}} が a {\\displaystyle a} の周りを正の向き(反時計まわり)に回る回数を, C {\\displaystyle C} の a {\\displaystyle a} のまわりの回転数といい,",
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"text": "で表す.",
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"text": "C {\\displaystyle C} を単純閉曲線とすると,",
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"text": "が成立する.ここに,複素数 s − a {\\displaystyle s-a} を極表示したものを s − a = r e i θ {\\displaystyle s-a=re^{i\\theta }} とし,",
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"text": "p ( s ) {\\displaystyle p(s)} を n {\\displaystyle n} 次の多項式, C {\\displaystyle C} を s {\\displaystyle s} 平面上の単純閉曲線とし, p ( s ) {\\displaystyle p(s)} の根は C {\\displaystyle C} 上にはないものとする.このとき, Γ {\\displaystyle \\Gamma } を ω = p ( s ) {\\displaystyle \\omega =p(s)} による C {\\displaystyle C} の像,すなわち Γ := p ( C ) {\\displaystyle \\Gamma :=p(C)} とすると,",
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"text": "となる. 上述のように, r ( C , α i ) {\\displaystyle r(C,\\alpha _{i})} は α i {\\displaystyle \\alpha _{i}} は C {\\displaystyle C} の内部にあるときだけ 1 {\\displaystyle 1} で, その他のときは 0 {\\displaystyle 0} であるから求める結果を得る. ♢ {\\displaystyle \\diamondsuit }",
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"text": "左半平面を囲む半径 ∞ {\\displaystyle \\infty } の半円を考え,これを C {\\displaystyle C} とする. C {\\displaystyle C} 内に n {\\displaystyle n} 個の根が存在することをいえばよい. いまこの半円 C {\\displaystyle C} を虚軸上の部分 C 1 {\\displaystyle C_{1}} と円弧部分 C 2 {\\displaystyle C_{2}} に分け,",
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"text": "となるが, s {\\displaystyle s} が C 2 {\\displaystyle C_{2}} を動くとき, a r g { 1 + ε ( s ) } {\\displaystyle \\mathrm {arg} \\ \\{1+\\varepsilon (s)\\}} の変化量は 0 {\\displaystyle 0} である. C 2 {\\displaystyle C_{2}} は s {\\displaystyle s} 平面上の原点を正の方向に半周するから, n a r g s {\\displaystyle n\\ \\mathrm {arg} \\ s} の変化量は n 2 {\\displaystyle {\\frac {n}{2}}} である. よって,",
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"text": "解答例",
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"text": "p ( i ω ) = − ω 2 + a 1 , ( ω ∈ R ) {\\displaystyle p(i\\omega )=-\\omega ^{2}+a_{1},\\quad (\\omega \\in \\mathbf {R} )} を実部 x {\\displaystyle x} と虚部 y {\\displaystyle y} とにわける.",
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"text": "1から ω {\\displaystyle \\omega } を消去すると, y 2 = − a 1 2 x + a 1 2 a 2 {\\displaystyle y^{2}=-a_{1}^{2}x+a_{1}^{2}a_{2}} ...2 2のグラフの形は y = x 2 {\\displaystyle y=x^{2}} を 90°反時計回りに回転させたもので、頂点の座標は ( a 2 , 0 ) {\\displaystyle (a_{2},0)} . 2が原点 ( 0 , 0 ) {\\displaystyle (0,0)} を「取り込む」必要があるから, a 2 > 0 {\\displaystyle a_{2}>0} 1の軌跡が y {\\displaystyle y} の − ∞ {\\displaystyle -\\infty } から + ∞ {\\displaystyle +\\infty } まで動けば,原点の周りを反時計回りに 1 回転して n = 2 {\\displaystyle n=2} より安定,すなわち a 1 > 0 {\\displaystyle a_{1}>0} 条件 a 1 > 0 , a 2 > 0 {\\displaystyle a_{1}>0,a_{2}>0} は Hurwitz の定理とも一致する.",
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"paragraph_id": 55,
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"text": "♢ {\\displaystyle \\diamondsuit }",
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}
]
| 平面上の 1 点 a と閉曲線 C が与えられているとき, C が a を何回まわるか,その回転数を数えることによって,安定判別をする方法がある.
結果を述べる前に若干の準備をしておこう. ↑ ↑ ↑ ↑ ↑ ↑ ↑ | 平面上の 1 点 <math>a</math> と閉曲線 <math>C</math> が与えられているとき,
<math>C</math> が <math>a</math> を何回まわるか,その回転数を数えることによって,安定判別をする方法がある.
結果を述べる前に若干の準備をしておこう.
<div id = "rotation">
<strong>回転数</strong>
<math>C</math> は <math>a</math> を通らない閉曲線とする.
動点 <math>s</math> が <math>C</math> 上を動くとき,半直線 <math>\vec{as}</math> が <math>a</math> の周りを正の向き(反時計まわり)に回る回数を,
<math>C</math> の <math>a</math> のまわりの回転数といい,
{{制御と振動の数学/equation|<math>r(C, a)</math>}}
で表す.
<!-- ex:100:start-->
<div id="ex:100">
<strong>例100</strong><math>\quad</math>
<math>C</math> を単純閉曲線<ref>
自分自身と交わらない閉曲線のことである.
</ref>とすると,
{{制御と振動の数学/equation|<math>r(C, a) =
\begin{cases}
1 & (a \ \text{が} \ \ C \ \text{の 内 部 に あ る と き}\ ) \\
0 & (a \ \text{が} \ \ C \ \text{の 外 部 に あ る と き}\ )
\end{cases}</math>}}
<math>\diamondsuit</math>
<!-- ex:100:end-->
{{制御と振動の数学/equation|<math>r(C, a) = \frac{1}{2\pi}\times ( s</math> が <math>C</math> を正の向きに 1 周するときの <math>s-a</math> の偏角 <math>\theta</math> の全変化量 <math>)</math>}}
{{制御と振動の数学/equation|<math>= \frac{1}{2\pi}\int_{C}d\theta</math>}}
であるから,
{{制御と振動の数学/equation|<math>r(C, a) = \frac{1}{2\pi}\int_{C}d\ \mathrm{arg}\ (s-a)</math>}}
が成立する.ここに,複素数 <math>s - a</math> を極表示したものを <math>s - a = re^{i\theta}</math> とし,
{{制御と振動の数学/equation|<math>\theta := \mathrm{arg}\ (s-a)</math>}}
とおいている.
<div id="theorem:4.3">
<strong>定理 4.3 偏角変化量の原理</strong><math>\quad</math>
<math>p(s)</math> を <math>n</math> 次の多項式,<math>C</math> を <math>s</math> 平面上の単純閉曲線とし,
<math>p(s)</math> の根は <math>C</math> 上にはないものとする.このとき,
<math>\Gamma</math> を <math>\omega = p(s)</math> による <math>C</math> の像,すなわち <math>\Gamma := p(C)</math> とすると,
{{制御と振動の数学/equation|<math>r(\Gamma, 0; p)</math><ref>
<math>p(C)</math> の原点 <math>0</math> 周りの回転数である.
</ref><math> := r(p(C), 0)</math>}}
{{制御と振動の数学/equation|<math>= C</math> の内部にある <math>p(s)</math> の根の個数}}
が成立する.
<strong>証明</strong>
{{制御と振動の数学/equation|<math>p(s) = a_0s^n + a_1s^{n-1} + a_2s^{n-2} + \cdots + a_n = a_0(s-\alpha_1)(s-\alpha_2)\cdots(s-\alpha_n)</math>}}
とする.<math>\alpha_i</math> は重複していてもよい.複素数の偏角を <math>\mathrm{arg}</math> で表すと,
{{制御と振動の数学/equation|<math>\mathrm{arg}\ p(s) = \mathrm{arg}\ a_0 + \sum_{i=1}^n \mathrm{arg}\ (s-\alpha_i)</math><ref>
<math>\alpha, \beta</math> を複素数とするとき,<math>\mathrm{arg}\ (\alpha\beta) = \mathrm{arg}\ \alpha + \mathrm{arg}\ \beta</math><br />
</ref>}}
よって,
{{制御と振動の数学/equation|<math>r(\Gamma, 0; p) = \sum_{i=1}^n r(C, \alpha_i)</math>}}
となる<ref>
:<math>\mathrm{arg}\ p(s) = \mathrm{arg}\ a_0 + \sum_{i=1}^n \mathrm{arg}\ (s-\alpha_i)</math><br />
の両辺を <math>\int d\theta</math> とすると,<br />
<math>\int_{p(C)} d\ \mathrm{arg}\ \{p(s)-0\} = \sum_{i=1}^n \int_{C} d\ \mathrm{arg}\ (s-\alpha_i)</math><br />
すなわち<br />
<math>r(\Gamma, 0; p) = \sum_{i=1}^n r(C, \alpha_i)</math><br />
</ref>.
上述のように,<math>r(C, \alpha_i)</math> は <math>\alpha_i</math> は <math>C</math> の内部にあるときだけ <math>1</math> で,
その他のときは <math>0</math> であるから求める結果を得る.
<math>\diamondsuit</math>
<!-- theorem:4.3:end-->
<div id="theorem:4.4">
<strong>定理 4.4</strong><math>\quad</math>
{{制御と振動の数学/equation|<math>p(s) = s^n + a_1s^{n-1} + a_2s^{n-2} + \cdots + a_{n-1}s + a_n</math>}}
において,<math>s</math> が虚軸上を下から上まで動くとき,
<math>\omega = p(s)</math> の軌跡が <math>\omega</math> 平面の原点を通らずに,原点を <math>\frac{n}{2}</math> 回まわれば,
<math>p(s)</math> の根はすべて <math>s</math> 平面の左半平面に存在する.逆も成立する.
<strong>証明</strong>
左半平面を囲む半径 <math>\infty</math> の半円を考え,これを <math>C</math> とする.
<math>C</math> 内に <math>n</math> 個の根が存在することをいえばよい.
いまこの半円 <math>C</math> を虚軸上の部分 <math>C_1</math> と円弧部分 <math>C_2</math> に分け,
{{制御と振動の数学/equation|<math>\Gamma = f(C), \quad \Gamma_i = f(C_i)\quad (i = 1, 2)</math>}}
とする.このとき,
{{制御と振動の数学/equation|<math>r(\Gamma, 0) = r(\Gamma_1, 0) + r(\Gamma_2, 0)</math>}}
である.
仮定は <math>r(\Gamma_1, 0) = \frac{n}{2}</math> である.
さて,<math>s \in C_2</math> のとき,
{{制御と振動の数学/equation|<math>p(s) = s^n \{ 1 + \varepsilon(s) \}</math>}}
と表すと,半径 <math>\infty</math>(十分大)であるから <math>\varepsilon(s) \fallingdotseq 0</math> である.この偏角は,
{{制御と振動の数学/equation|<math>\mathrm{arg}\ p(s) = n\ \mathrm{arg}\ s + \mathrm{arg}\ \{ 1 + \varepsilon(s) \}</math>}}
となるが,<math>s</math> が <math>C_2</math> を動くとき,<math>\mathrm{arg}\ \{ 1 + \varepsilon(s)\}</math> の変化量は <math>0</math> である.
<math>C_2</math> は <math>s</math> 平面上の原点を正の方向に半周するから,<math>n\ \mathrm{arg}\ s</math> の変化量は <math>\frac{n}{2}</math> である.
よって,
{{制御と振動の数学/equation|<math>r(\Gamma_2, 0) = \frac{n}{2}</math>}}
それゆえ,
{{制御と振動の数学/equation|<math>r(\Gamma, 0) = \frac{n}{2} + \frac{n}{2} = n</math><ref>
仮定より <math>r(\Gamma_1, 0) = \frac{n}{2}</math>.
</ref>}}
を得る.このことは <math>p(s)=0</math> の根がすべて <math>s</math> 平面の左半平面に位置していることを示す.逆は明らかであろう.
<math>\diamondsuit</math>
<!-- theorem:4.3:end-->
<!-- ex:101:start-->
<div id="ex:101">
<strong>例101</strong><math>\quad</math>
{{制御と振動の数学/equation|<math>p^3 + a_1s^2 + a_2s + a_3</math>}}
の場合を考えてみよう.<math>s = i\omega \quad (\omega \in \mathbf{R})</math> とおき実部と虚部とに分けると,
{{制御と振動の数学/equation|<math>
\begin{cases}
x &= -a_1\omega^2 + a_3 \\
y &= -\omega^3 + a_2\omega
\end{cases}</math>|tag=(4.14)|label=eq:4.14}}
となる.<math>a_1 = 0</math> なら,<math>s</math> 平面の虚軸の像 <math>\Gamma_1 = p(i\omega), \quad -\infty < \omega < \infty</math> は <math>y</math> 軸に平行な直線であるから,
<math>r(\Gamma_1, 0) = \pm \frac{1}{2}</math> となって<ref>
<math>\omega: -\infty \to \infty</math> にて <math>a_3 < 0</math> なら回転数は <math>-\frac{1}{2}</math>,<math>a_3 > 0</math> なら <math>+\frac{1}{2}</math>,いずれにしても <math>n = 3</math> であるのだから原点の周りの回転数は <math>\frac{3}{2}</math> にならなければ安定でないが,そうではない.
</ref>
不安定である.そこで <math>a_1 \ne 0</math> とする.
[[制御と振動の数学/第一類/複素数値関数の Laplace 変換/解の漸近的挙動(安定論)/グラフによる安定判別#eq:4.14|式 (4.14) ]]から <math>\omega</math> を消去すると,
{{制御と振動の数学/equation|<math>y^2 = \frac{(a_1a_2 - a_3 + x)^2(a_3 - x)}{a_1^3} = \frac{1}{a_1^3}(H_2 + x)^2(a_3 - x)</math>}}
ここに,
{{制御と振動の数学/equation|<math>H_2 := a_1a_2 - a_3</math>}}
となる.<math>y^2 > 0</math> であるから,
{{制御と振動の数学/equation|<math>a_1 > 0 \implies a_3 > x</math>}}
{{制御と振動の数学/equation|<math>a_1 < 0 \implies a_3 < x</math>}}
となる.
いずれの場合も <math>\omega</math> が <math>-\infty</math> から <math>+\infty</math> へ動くとき
[[制御と振動の数学/第一類/複素数値関数の Laplace 変換/解の漸近的挙動(安定論)/グラフによる安定判別#eq:4.14|式 (4.14) ]]
から分かるように,<math>y</math> は <math>+\infty</math> から <math>-\infty</math> へ動く.つまり <math>\Gamma_1</math> 上を上から下へ動く.
したがって,<math>a_1 < 0</math> なら<math>a_3, H_2</math> がどんな値をとっても,<math>r(\Gamma_1, 0)</math> は <math>\frac{3}{2}</math> にならない<ref>
原点を時計回りに周る軌跡であるため,<math>r(\Gamma_1, 0)</math> は負の値となる.
</ref>.
<math>a_1 > 0</math> のとき,原点を囲むような形となるときだけ,
{{制御と振動の数学/equation|<math>r(\Gamma_1, 0) = \frac{3}{2}</math>}}
が成立する.このとき,
{{制御と振動の数学/equation|<math>a_3 > 0, H_2 > 0</math>}}
である.すなわち,
{{制御と振動の数学/equation|<math>a_1 > 0, a_3 > 0, H_2 > 0</math>}}
のとき安定となる.これは
[[w:%E3%83%A9%E3%82%A6%E3%82%B9%E3%83%BB%E3%83%95%E3%83%AB%E3%83%93%E3%83%83%E3%83%84%E3%81%AE%E5%AE%89%E5%AE%9A%E5%88%A4%E5%88%A5%E6%B3%95|Hurwitz の方法]]で求めたものと一致する.
<math>\diamondsuit</math>
<!-- ex:101:end-->
この技法は Hurwitz の方法に比べて,極めて迂遠のようであるが,自動制御理論では,フィードバック系の安定判別に用いられ,極めて有用である.
<!-- ex:102:start-->
<div id="ex:102">
<strong>例102</strong><math>\quad</math>
{{制御と振動の数学/equation|<math>p(s) = s + a_1</math>}}
の場合の安定判別を,上例にならって行い,Hurwitz の方法による結果と比較せよ.
<strong>解答例</strong>
<math>p(i\omega) = i\omega + a_1, \quad (\omega \in \mathbf{R})</math> を実部 <math>x</math> と虚部 <math>y</math> とにわける.
:<math>\begin{cases}
x &= a_1 \\
y &= \omega
\end{cases}</math><br />
<math>x</math> は定数だから軌跡 <math>\Gamma_1</math> は <math>y</math> に平行.<br />
<math>a_1 < 0</math> ならば,<math>r(\Gamma_1, 0)</math> は時計回りに回転し,その値は <math>-\frac{1}{2}</math> で不安定.<br />
<math>a_1 > 0</math> ならば,<math>r(\Gamma_1, 0)</math> は反時計回りに回転し,その値は <math>+\frac{1}{2}</math> で <math>n = 1</math> より安定.<br />
これは Hurwitz の定理による結果に符合する.
<math>\diamondsuit</math>
<!-- ex:102:end-->
<!-- ex:103:start-->
<div id="ex:103">
<strong>例103</strong><math>\quad</math>
{{制御と振動の数学/equation|<math>p(s) = s^2 + a_1s + a_2</math>}}
の場合の安定判別を,上例にならって行い,Hurwitz の方法による結果と比較せよ.
<strong>解答例</strong>
<math>p(i\omega) = -\omega^2 + a_1, \quad (\omega \in \mathbf{R})</math> を実部 <math>x</math> と虚部 <math>y</math> とにわける.<br />
:<math>\begin{cases}
x &= a_2 - \omega^2 \\
y &= a_1\omega
\end{cases}</math>…①<br />
①から <math>\omega</math> を消去すると,<math>y^2 = -a_1^2x + a_1^2a_2</math>…②<br />
②のグラフの形は <math>y = x^2</math> を 90°反時計回りに回転させたもので、頂点の座標は <math>(a_2, 0)</math>.<br />
②が原点 <math>(0, 0)</math> を「取り込む」必要があるから,<math>a_2 > 0</math><br />
①の軌跡が <math>y</math> の <math>-\infty</math> から <math>+\infty</math> まで動けば,原点の周りを反時計回りに 1 回転して <math>n = 2</math> より安定,すなわち <math>a_1 > 0</math><br />
条件 <math>a_1 > 0, a_2 > 0</math> は Hurwitz の定理とも一致する.
<math>\diamondsuit</math>
<!-- ex:103:end-->
[[カテゴリ:ラプラス変換]] | null | 2022-11-23T14:33:23Z | [
"テンプレート:制御と振動の数学/equation"
]
| https://ja.wikibooks.org/wiki/%E5%88%B6%E5%BE%A1%E3%81%A8%E6%8C%AF%E5%8B%95%E3%81%AE%E6%95%B0%E5%AD%A6/%E7%AC%AC%E4%B8%80%E9%A1%9E/%E8%A4%87%E7%B4%A0%E6%95%B0%E5%80%A4%E9%96%A2%E6%95%B0%E3%81%AE_Laplace_%E5%A4%89%E6%8F%9B/%E8%A7%A3%E3%81%AE%E6%BC%B8%E8%BF%91%E7%9A%84%E6%8C%99%E5%8B%95%EF%BC%88%E5%AE%89%E5%AE%9A%E8%AB%96%EF%BC%89/%E3%82%B0%E3%83%A9%E3%83%95%E3%81%AB%E3%82%88%E3%82%8B%E5%AE%89%E5%AE%9A%E5%88%A4%E5%88%A5 |
26,569 | 制御と振動の数学/第一類/複素数値関数の Laplace 変換/解の漸近的挙動(安定論)/正弦波入力に対する定常応答 | 前節で述べた複素振幅の方法に関連して,安定論の立場から若干の補足をしておこう.
は安定な微分方程式としておく.つまり f ( t ) = 0 {\displaystyle f(t)=0} とおいた同次式の解は,十分時間が経過した後では消えるものとする.なお式 (4.15) の係数は実数であるとする.さて,
のとき,式 (4.15) の任意の解は,
となる.ここに, p ( s ) {\displaystyle p(s)} は特性多項式で,
(i) x 0 ( t ) {\displaystyle x_{0}(t)} は同次式の解
(ii) p ( i ω ) = | p ( i ω ) | e i θ {\displaystyle p(i\omega )=|p(i\omega )|e^{i\theta }}
である.系が安定であるから,
となる.よって,十分時間が経過した後では,どんな初期条件から出発した解も,定常解 x s ( t ) : {\displaystyle x_{s}(t):}
に近づく.この結果をLaplace 変換による解法から導いてみよう. 式 (4.15) の解は
と書けるのであった.ここに x 0 ( t ) {\displaystyle x_{0}(t)} は同次式の解で,
である. t → ∞ {\displaystyle t\to \infty } のとき,式 (4.17) で x 0 ( t ) {\displaystyle x_{0}(t)} は消えるから,第 2 項だけが問題になる.
を式 (4.17) の右辺第 2 項に代入すると,
となる.ところで,式 (4.18) から,
となるので,式 (4.19) は,
に漸近する.事実, t → ∞ {\displaystyle t\to \infty } のとき,
となるからである.このことは,言い換えれば式 (4.20) の無限積分の存在は, g ( t ) {\displaystyle g(t)} が安定な同次方程式 p ( D ) x = 0 {\displaystyle p(D)x=0} の解であることから保証される.すなわち,このとき既述のように,
なる評価ができるから, g ( t ) {\displaystyle g(t)} の Laplace 変換は R e s = 0 {\displaystyle \mathrm {Re} \ s=0} において存在する.
最後に,この問題の工学的応用に触れておこう.ここで議論したことは, 式 (4.15) が安定な微分方程式ならば, これに正弦波が入力として加えられたとき,それに対する応答は,しばらく待てば同じ周波数の正弦波になるということである. それでは,任意の波形を持った信号が入力として加えられたとき,しばらく待つと同じ波形の応答が得られるであろうか.この問題を考えてみる. 記録器に対してはこのことが要求される.
さて任意の信号 f ( t ) {\displaystyle f(t)} は,ある範囲 0 ≦ t ≦ T {\displaystyle 0\leqq t\leqq T} で,いくつかの正弦波で近似できる.すなわち,
この信号に対する式 (4.15) の定常応答は,重ね合わせの原理と上の議論から,
となる.これが f ( t ) {\displaystyle f(t)} とほぼ同じ波形となるためには,
(i) | p ( i n ω | , n = 0 , 1 , ⋯ , N {\displaystyle |p(in\omega |,n=0,1,\cdots ,N} がほぼ一定( ≒ B {\displaystyle \fallingdotseq B} )
(ii) θ n {\displaystyle \theta _{n}} がほぼ n {\displaystyle n} に比例する.( n ω 0 ) {\displaystyle n\omega _{0})} )
という条件があればよいことが分かる.このとき,
となり,所期の目的を達成する.
ω {\displaystyle \omega } を変数と考え, p ( i ω ) {\displaystyle p(i\omega )} を系 (4.15) の周波数特性と呼ぶことにすれば,上の条件は“考えている周波数範囲では,周波数特性があまり変わらない”ということである( p ( i ω ) {\displaystyle p(i\omega )} の偏角は ω {\displaystyle \omega } に比例して変わってもよい)。この条件は周波数の小さい範囲で現実できる.言い換えれば,入力信号の変動が余り激しくなければ,出力応答はそれに追従するということで,あたりまえの結果である.交流を直流の計器で計る場合を想像してみればよい.
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| 前節で述べた複素振幅の方法に関連して,安定論の立場から若干の補足をしておこう. は安定な微分方程式としておく.つまり f = 0 とおいた同次式の解は,十分時間が経過した後では消えるものとする.なお式 (4.15) の係数は実数であるとする.さて, のとき,式 (4.15) の任意の解は, となる.ここに, p は特性多項式で, (i) x 0 は同次式の解 (ii) p = | p | e i θ である.系が安定であるから, となる.よって,十分時間が経過した後では,どんな初期条件から出発した解も,定常解 x s : に近づく.この結果をLaplace 変換による解法から導いてみよう.
式 (4.15) の解は と書けるのであった.ここに x 0 は同次式の解で, である. t → ∞ のとき,式 (4.17) で x 0 は消えるから,第 2 項だけが問題になる. を式 (4.17) の右辺第 2 項に代入すると, となる.ところで,式 (4.18) から, となるので,式 (4.19) は, に漸近する.事実, t → ∞ のとき, となるからである.このことは,言い換えれば式 (4.20) の無限積分の存在は, g が安定な同次方程式 p x = 0 の解であることから保証される.すなわち,このとき既述のように, なる評価ができるから, g の Laplace 変換は R e s = 0 において存在する. 最後に,この問題の工学的応用に触れておこう.ここで議論したことは,
式 (4.15) が安定な微分方程式ならば,
これに正弦波が入力として加えられたとき,それに対する応答は,しばらく待てば同じ周波数の正弦波になるということである.
それでは,任意の波形を持った信号が入力として加えられたとき,しばらく待つと同じ波形の応答が得られるであろうか.この問題を考えてみる.
記録器に対してはこのことが要求される. さて任意の信号 f は,ある範囲 0 ≦ t ≦ T で,いくつかの正弦波で近似できる.すなわち, この信号に対する式 (4.15) の定常応答は,重ね合わせの原理と上の議論から, となる.これが f とほぼ同じ波形となるためには, (i) | p を系 (4.15) の周波数特性と呼ぶことにすれば,上の条件は“考えている周波数範囲では,周波数特性があまり変わらない”ということである。この条件は周波数の小さい範囲で現実できる.言い換えれば,入力信号の変動が余り激しくなければ,出力応答はそれに追従するということで,あたりまえの結果である.交流を直流の計器で計る場合を想像してみればよい. ↑ ↑ ↑ ↑ ↑ | [[制御と振動の数学/第一類/複素数値関数の Laplace 変換/複素数値関数の微分積分学/複素振幅の方法|前節]]で述べた複素振幅の方法に関連して,安定論の立場から若干の補足をしておこう.
{{制御と振動の数学/equation|<math>\frac{d^nx}{dt^n} + a_1\frac{d^{n-1}x}{dt^{n-1}} + a_1\frac{d^{n-2}x}{dt^{n-2}} + \cdots + a_{n-1}\frac{dx}{dt} + a_nx = f(t)</math>|tag=(4.15)|label=eq:4.15}}
は安定な微分方程式としておく.つまり <math>f(t)=0</math> とおいた同次式の解は,十分時間が経過した後では消えるものとする.なお[[制御と振動の数学/第一類/複素数値関数の Laplace 変換/解の漸近的挙動(安定論)/正弦波入力に対する定常応答#eq:4.15|式 (4.15) ]]の係数は実数であるとする.さて,
{{制御と振動の数学/equation|<math>f(t)=A\sin\omega t</math>}}
のとき,[[制御と振動の数学/第一類/複素数値関数の Laplace 変換/解の漸近的挙動(安定論)/正弦波入力に対する定常応答#eq:4.15|式 (4.15) ]]の任意の解は,
{{制御と振動の数学/equation|<math>x(t)=x_0(t) + \frac{A}{|p(i\omega)|}\sin(\omega t-\theta)</math>}}
となる.ここに,<math>p(s)</math> は特性多項式で,
(i) <math>x_0(t)</math> は同次式の解
(ii) <math>p(i\omega) = |p(i\omega)|e^{i\theta}</math>
である.系が安定であるから,
{{制御と振動の数学/equation|<math>x_0(t) \to 0 \quad (t \to \infty)</math>}}
となる.よって,十分時間が経過した後では,どんな初期条件から出発した解も,定常解 <math>x_s(t):</math>
{{制御と振動の数学/equation|<math>x_s(t)=\frac{A}{|p(i\omega)|}\sin(\omega t-\theta)</math>|tag=(4.16)|label=eq:4.16}}
に近づく.この結果を[[w:%E3%83%A9%E3%83%97%E3%83%A9%E3%82%B9%E5%A4%89%E6%8F%9B|Laplace 変換]]による解法から導いてみよう.
[[制御と振動の数学/第一類/複素数値関数の Laplace 変換/解の漸近的挙動(安定論)/正弦波入力に対する定常応答#eq:4.15|式 (4.15) ]]の解は
{{制御と振動の数学/equation|<math>x(t)=x_0(t) + \int_0^t g(\tau)A\sin\omega(t-\tau)d\tau</math>|tag=(4.17)|label=eq:4.17}}
と書けるのであった.ここに <math>x_0(t)</math> は同次式の解で,
{{制御と振動の数学/equation|<math>g(t) \sqsupset \frac{1}{p(s)}</math>|tag=(4.18)|label=eq:4.18}}
である.<math>t\to\infty</math> のとき,[[制御と振動の数学/第一類/複素数値関数の Laplace 変換/解の漸近的挙動(安定論)/正弦波入力に対する定常応答#eq:4.17|式 (4.17) ]]で <math>x_0(t)</math> は消えるから,第 2 項だけが問題になる.
{{制御と振動の数学/equation|<math>\sin\omega t = \frac{1}{2i}(e^{i\omega t}-e^{-i\omega t})</math>}}
を[[制御と振動の数学/第一類/複素数値関数の Laplace 変換/解の漸近的挙動(安定論)/正弦波入力に対する定常応答#eq:4.17|式 (4.17) ]]の右辺第 2 項に代入すると,
{{制御と振動の数学/equation|<math>\int_0^t g(\tau)A\sin\omega(t-\tau)d\tau = \frac{Ae^{i\omega t}}{2i} \int_0^t g(\tau)e^{-i\omega\tau}d\tau - \frac{Ae^{-i\omega t}}{2i}\int_0^t g(\tau)e^{i\omega\tau}d\tau</math><ref>
<math>\int_0^t g(\tau)A\sin\omega(t-\tau)d\tau = \frac{A}{2i}\int_0^t g(\tau) \left\{ e^{i\omega(t-\tau)}-e^{-\omega(t-\tau)}\right\}d\tau</math><br />
<math>= \frac{A}{2i} \left\{ e^{i\omega t}\int_0^t g(\tau) e^{-\omega\tau} - e^{-i\omega t}\int_0^t g(\tau) e^{\omega\tau}\right\}</math><br />
</ref>|tag=(4.19)|label=eq:4.19}}
となる.ところで,[[制御と振動の数学/第一類/複素数値関数の Laplace 変換/解の漸近的挙動(安定論)/正弦波入力に対する定常応答#eq:4.18|式 (4.18) ]]から,
{{制御と振動の数学/equation|<math>\int_0^{\infty}g(\tau)e^{\pm i\omega \tau}d\tau = \frac{1}{p(\mp i\omega)}</math>|tag=(4.20)|label=eq:4.20}}
となるので<ref>
Laplace 変換の定義から <math>\int_0^{\infty} g(\tau)e^{-s\tau}d\tau = \frac{1}{p(s)}</math>,これに <math>s = \mp i\omega</math> を代入する.
</ref>,[[制御と振動の数学/第一類/複素数値関数の Laplace 変換/解の漸近的挙動(安定論)/正弦波入力に対する定常応答#eq:4.19|式 (4.19) ]]は,
{{制御と振動の数学/equation|<math>\frac{1}{2i}\left\{ \frac{A}{p(i\omega)}e^{i\omega t} - \frac{A}{p(-\omega)}e^{-i\omega t}\right\} = \frac{A}{|p(i\omega)|}\sin(\omega t-\theta)</math>}}
に漸近する<ref>
[[制御と振動の数学/第一類/複素数値関数の Laplace 変換/解の漸近的挙動(安定論)/正弦波入力に対する定常応答#eq:4.19|式 (4.19) ]]を <math>t\to\infty</math> とし,[[制御と振動の数学/第一類/複素数値関数の Laplace 変換/解の漸近的挙動(安定論)/正弦波入力に対する定常応答#eq:4.20|式 (4.20) ]]をあてはめる.
</ref>.事実,<math>t\to\infty</math> のとき,
{{制御と振動の数学/equation|<math>\left|\frac{Ae^{i\omega t}}{2i}\int_0^tg(\tau)e^{-i\omega\tau}d\tau - \frac{Ae^{i\omega t}}{2ip(i\omega)}\right| = \frac{A}{2}\left|\int_0^tg(\tau)e^{-i\omega\tau}d\tau - \frac{1}{p(i\omega)}\right| \to 0</math><ref>
<math>|e^{i\omega t}| = 1, |i| = 1</math><br />
</ref>}}
となるからである.このことは,言い換えれば[[制御と振動の数学/第一類/複素数値関数の Laplace 変換/解の漸近的挙動(安定論)/正弦波入力に対する定常応答#eq:4.20|式 (4.20) ]]の無限積分の存在は,<math>g(t)</math> が安定な同次方程式 <math>p(D)x = 0</math> の解であることから保証される.すなわち,このとき既述のように,
{{制御と振動の数学/equation|<math>|g(t)| \leqq Me^{-ct} \quad (c > 0)</math>}}
なる評価ができるから,<math>g(t)</math> の Laplace 変換は <math>\mathrm{Re}\ s = 0</math> において存在する.
最後に,この問題の工学的応用に触れておこう.ここで議論したことは,
[[制御と振動の数学/第一類/複素数値関数の Laplace 変換/解の漸近的挙動(安定論)/正弦波入力に対する定常応答#eq:4.15|式 (4.15) ]]が安定な微分方程式ならば,
これに正弦波が入力として加えられたとき,それに対する応答は,しばらく待てば同じ周波数の正弦波になるということである.
それでは,任意の波形を持った信号が入力として加えられたとき,しばらく待つと同じ波形の応答が得られるであろうか.この問題を考えてみる.
記録器に対してはこのことが要求される.
さて任意の信号 <math>f(t)</math> は,ある範囲 <math>0 \leqq t \leqq T</math> で,いくつかの正弦波で近似できる<ref>
[[w:%E3%83%95%E3%83%BC%E3%83%AA%E3%82%A8%E7%B4%9A%E6%95%B0|Fourier 級数展開]]</ref>.すなわち,
{{制御と振動の数学/equation|<math>f(t) \fallingdotseq \sum_{n=0}^N A_n\sin(n\omega t+\varphi_n)</math>}}
{{制御と振動の数学/equation|<math>\omega = \frac{2\pi}{T}</math>}}
この信号に対する[[制御と振動の数学/第一類/複素数値関数の Laplace 変換/解の漸近的挙動(安定論)/正弦波入力に対する定常応答#eq:4.15|式 (4.15) ]]の定常応答は,重ね合わせの原理と上の議論から,
{{制御と振動の数学/equation|<math>x_s(t) \fallingdotseq \sum_{n=0}^N \frac{A_n}{|p(i\omega)|}\sin(n\omega t + \varphi_n-\theta_n)</math>}}
{{制御と振動の数学/equation|<math>\theta_n := \mathrm{arg}\ p(i n\omega)</math>}}
となる.これが <math>f(t)</math> とほぼ同じ波形となるためには,
(i) <math>|p(in\omega|, n=0, 1, \cdots, N</math> がほぼ一定(<math>\fallingdotseq B</math>)
(ii) <math>\theta_n</math> がほぼ <math>n</math> に比例する.(<math>n\omega_0)</math>)
という条件があればよいことが分かる.このとき,
{{制御と振動の数学/equation|<math>x_s(t) \fallingdotseq\sum_{n=0}^N \frac{A}{B}\sin\left\{n\omega\left(t-\frac{\omega_0}{\omega}\right)+\varphi_n\right\}</math>}}
{{制御と振動の数学/equation|<math>x_s(t) \fallingdotseq \frac{1}{B}f\left(t-\frac{\omega_0}{\omega}\right)</math>}}
となり,所期の目的を達成する.
<math>\omega</math> を変数と考え,<math>p(i\omega)</math> を[[制御と振動の数学/第一類/複素数値関数の Laplace 変換/解の漸近的挙動(安定論)/正弦波入力に対する定常応答#eq:4.15|系 (4.15) ]]の周波数特性と呼ぶことにすれば,上の条件は“考えている周波数範囲では,周波数特性があまり変わらない”ということである(<math>p(i\omega)</math> の偏角は <math>\omega</math> に比例して変わってもよい)。この条件は周波数の小さい範囲で現実できる.言い換えれば,入力信号の変動が余り激しくなければ,出力応答はそれに追従するということで,あたりまえの結果である.交流を直流の計器で計る場合を想像してみればよい.
<references />
[[カテゴリ:ラプラス変換]] | null | 2022-11-23T14:33:10Z | [
"テンプレート:制御と振動の数学/equation"
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26,570 | 恒星の分類 | Main Page > 自然科学 > 天文学 > 恒星 > 恒星の分類 恒星の分類では恒星を分類する方法について紹介する。
まず以下の説明において必要な知識を導入する。
太陽光をプリズムに通すと光は分散し虹色の光が見られる。このとき見られる虹色の線をスペクトルという。
太陽光のスペクトルを詳しく見ると暗い筋が多数見える。このような線を発見者の名にちなんでフラウンホーファー線または吸収線、暗線という。例えば右図でFの位置は水素のフラウンホーファー線である。
恒星のフラウンホーファー線の現れ方で分類できる。温度が高くなると水素のフラウンホーファー線が見られ、低くなると重元素のフラウンホーファー線が見られやすくなる。スペクトル分類では高温のものからO、B、A、F、G、K、Mの順である。高温のものほど青く、低温のものほど赤いためOは青くMは赤い。
さらに分類するときは温度の大きさで区別し、アルファベットの後ろに0~9で付ける。0ほど温度が大きく、9ほど温度が小さい。
また、温度以外でも光度で分類することもある。例えばいちばん明るい極超巨星という星では0、いちばん暗い白色矮星という星ではVIIに分類される。
ふつうはこれらをまとめて表すMK分類という分類法が使われており、K型主系列星はK5Vなど表したりする。
右図は恒星の分類を表した図である。このような図をヘルツシュプルング・ラッセル図(HR図)という。縦軸は絶対等級、横軸はスペクトルを示しているため、上ほど明るく、右ほど温度が低い。
右図を見ると0 - VIIまでの範囲がある。以下にその名称を示し、有名な例を挙げた。
また、光度による名称の分類の他にも、他とは離れた位置にあるものには名前が付いている。例えばスペクトルはO型が最も左にあると言ったが、それよりも左に位置するW型のWR星(ウォルフ・ライエ星)がある。WR星は輝線が顕著に見られ、更に酸素や窒素、炭素の輝線が見られると、WO型、WN型、WC型のように細分化される。
また、逆に最も右にあるMよりも右にはL型やT型がある。この範囲には褐色矮星という十分な大きさがなく、恒星になれなかった天体やまだ恒星になる前の初期段階のYSOなどがある。
2つの恒星が重心を共有してその重心を回っている恒星を連星という。連星の明るい方を主星、暗い方を伴星という。
連星の中でも実際に2つが見える実視連星、暗い恒星により光度が変わる食連星、視線速度の変化で発見される分光連星がある。
連星と似て非なるものに二重星があり、これは方向が同じために重なって見えるものである。二重星以外にも3つ以上が重なった多重星もある。
食連星のスペクトル線はドップラー効果で波長にずれがあるため、公転周期を求めることができる。ここでケプラーの第三法則を使うと
a 3 T 2 = G ( M + m ) 4 π 2 {\displaystyle {\frac {a^{3}}{T^{2}}}={\frac {G(M+m)}{4\pi ^{2}}}}
(a:平均距離、T:公転周期、G:万有引力定数、M:主星の質量、m:伴星の質量)になることが分かっている。主星と伴星の共通重心の距離が分かればmをMで表せるのでMが求められる。
連星は質量が分かるが、質量と光度の関係を調べると光度は質量の3から4乗に比例する。これを質量光度関係という。これは質量が増えるというのはすなわち核融合反応が活発になるということである。 | [
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| Main Page > 自然科学 > 天文学 > 恒星 > 恒星の分類
恒星の分類では恒星を分類する方法について紹介する。 | {{Pathnav|Main Page|自然科学|天文学|恒星}}
'''恒星の分類'''では恒星を分類する方法について紹介する。
== 基礎知識の導入 ==
まず以下の説明において必要な知識を導入する。
[[File:Light dispersion of a mercury-vapor lamp with a flint glass prism IPNr°0125.jpg|250px|thumb|right|光をプリズムに通した写真。]]
太陽光をプリズムに通すと光は分散し虹色の光が見られる。このとき見られる虹色の線を'''スペクトル'''という。
[[ファイル:Fraunhofer lines.jpg|250px|thumb|right|フラウンホーファー線。]]
太陽光のスペクトルを詳しく見ると暗い筋が多数見える。このような線を発見者の名にちなんで'''フラウンホーファー線'''または'''吸収線'''、'''暗線'''という。例えば右図でFの位置は水素のフラウンホーファー線である。
== スペクトル分類 ==
恒星のフラウンホーファー線の現れ方で分類できる。温度が高くなると水素のフラウンホーファー線が見られ、低くなると重元素のフラウンホーファー線が見られやすくなる。スペクトル分類では高温のものからO、B、A、F、G、K、Mの順である。高温のものほど青く、低温のものほど赤いためOは青くMは赤い。
さらに分類するときは温度の大きさで区別し、アルファベットの後ろに0~9で付ける。0ほど温度が大きく、9ほど温度が小さい。
また、温度以外でも光度で分類することもある。例えばいちばん明るい極超巨星という星では0、いちばん暗い白色矮星という星ではVIIに分類される。
ふつうはこれらをまとめて表す'''MK分類'''という分類法が使われており、K型主系列星はK5Vなど表したりする<ref>ここではK'''5'''Vと表したがあくまで一例であり、K7VやK0VなどもあるのでK型主系列星=K5Vという誤解を招かないよう注意。</ref>。
== HR図 ==
[[ファイル:HR-diag-no-text-4.svg|250px|thumb|right|HR図。]]
右図は恒星の分類を表した図である。このような図を'''ヘルツシュプルング・ラッセル図'''('''HR図''')という。縦軸は絶対等級、横軸はスペクトルを示しているため、上ほど明るく、右ほど温度が低い。
右図を見ると0 - VIIまでの範囲がある。以下にその名称を示し、有名な例を挙げた。
* 0 - 極超巨星 - ピストル星
* I - 超巨星 - リゲル
* II - 輝巨星 - カノープス
* III - 巨星 - ミラ
* IV - 準巨星
* V - 主系列星 - 太陽
* VI - 準矮星 - カプタイン星
* VII - 白色矮星 - シリウスの伴星
また、光度による名称の分類の他にも、他とは離れた位置にあるものには名前が付いている。例えばスペクトルはO型が最も左にあると言ったが、それよりも左に位置するW型の'''WR星'''('''ウォルフ・ライエ星''')がある。WR星は輝線が顕著に見られ、更に酸素や窒素、炭素の輝線が見られると、WO型、WN型、WC型のように細分化される。
また、逆に最も右にあるMよりも右にはL型やT型がある。この範囲には'''褐色矮星'''という十分な大きさがなく、恒星になれなかった天体やまだ恒星になる前の初期段階の'''YSO'''などがある。
== 連星と多重星 ==
2つの恒星が重心を共有してその重心を回っている恒星を'''連星'''という。連星の明るい方を'''主星'''、暗い方を'''伴星'''という。
連星の中でも実際に2つが見える'''実視連星'''、暗い恒星により光度が変わる'''食連星'''、視線速度の変化で発見される'''分光連星'''がある。
連星と似て非なるものに'''二重星'''があり、これは方向が同じために重なって見えるものである。二重星以外にも3つ以上が重なった多重星もある。
食連星のスペクトル線はドップラー効果で波長にずれがあるため、公転周期を求めることができる。ここでケプラーの第三法則を使うと
<math> \frac{a^3}{T^2} = \frac{G (M+m)}{4\pi^2} </math>
(a:平均距離、T:公転周期、G:万有引力定数、M:主星の質量、m:伴星の質量)になることが分かっている。主星と伴星の共通重心の距離が分かればmをMで表せるのでMが求められる<ref>主星から重心までの距離をa<sub>M</sub>、伴星から重心までの距離をa<sub>m</sub>とするとM:m=a<sub>m</sub>:a<sub>M</sub>となる。</ref>。
連星は質量が分かるが、質量と光度の関係を調べると光度は質量の3から4乗に比例する。これを'''質量光度関係'''という。これは質量が増えるというのはすなわち核融合反応が活発になるということである。
== 脚注 ==
{{reflist}}
{{デフォルトソート:こうせいのふんるい}}
[[Category:恒星]] | null | 2022-08-31T07:01:14Z | [
"テンプレート:Reflist"
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| https://ja.wikibooks.org/wiki/%E6%81%92%E6%98%9F%E3%81%AE%E5%88%86%E9%A1%9E |
26,573 | 制御と振動の数学/第一類/連立微分方程式の解法/例題による考察/同次微分方程式 | 例104 {\displaystyle \quad }
を解け.
これは普通に解けばよい. x ⊐ X , y ⊐ Y {\displaystyle x\sqsupset X,y\sqsupset Y} とおいて式 (5.1) をLaplace 変換すれば
この原像を求めると,
を得る. ♢ {\displaystyle \diamondsuit }
例105 {\displaystyle \quad }
次の連立微分方程式を解け.
解答例
X ⊏ x , Y ⊏ y {\displaystyle X\sqsubset x,Y\sqsubset y} とおいて,与方程式を Laplace 変換すると, ( s + 1 − 3 2 s − 4 ) ( X Y ) = ( α β ) {\displaystyle {\begin{pmatrix}s+1&-3\\2&s-4\end{pmatrix}}{\begin{pmatrix}X\\Y\end{pmatrix}}={\begin{pmatrix}\alpha \\\beta \end{pmatrix}}} ∴ ( X Y ) = ( s + 1 − 3 2 s − 4 ) − 1 ( α β ) = 1 s 2 − 3 s + 2 ( s − 4 3 − 2 s + 1 ) ( α β ) = 1 ( s − 1 ) ( s − 2 ) ( α ( s − 4 ) + 3 β − 2 α + β ( s + 1 ) ) {\displaystyle \therefore {\begin{pmatrix}X\\Y\end{pmatrix}}={\begin{pmatrix}s+1&-3\\2&s-4\end{pmatrix}}^{-1}{\begin{pmatrix}\alpha \\\beta \end{pmatrix}}={\frac {1}{s^{2}-3s+2}}{\begin{pmatrix}s-4&3\\-2&s+1\end{pmatrix}}{\begin{pmatrix}\alpha \\\beta \end{pmatrix}}={\frac {1}{(s-1)(s-2)}}{\begin{pmatrix}\alpha (s-4)+3\beta \\-2\alpha +\beta (s+1)\end{pmatrix}}} α s − 4 α ( s − 1 ) ( s − 2 ) = 3 α s − 1 − 2 α s − 2 {\displaystyle {\frac {\alpha s-4\alpha }{(s-1)(s-2)}}={\frac {3\alpha }{s-1}}-{\frac {2\alpha }{s-2}}} ...1 3 β ( s − 1 ) ( s − 2 ) = − 3 β s − 1 + 3 β s − 2 {\displaystyle {\frac {3\beta }{(s-1)(s-2)}}={\frac {-3\beta }{s-1}}+{\frac {3\beta }{s-2}}} ...2 12の原像は, x = 3 α e t − 2 α e 2 t − 3 β e t + 3 β e 2 t {\displaystyle x=3\alpha e^{t}-2\alpha e^{2t}-3\beta e^{t}+3\beta e^{2t}} ∴ x = α ( 3 e t − 2 e 2 t ) + 3 ( − e t + e 2 t ) β . {\displaystyle \therefore x=\alpha (3e^{t}-2e^{2t})+3(-e^{t}+e^{2t})\beta .} 同様に − 2 α ( s − 1 ) ( s − 2 ) = 2 α ( 1 s − 1 − 1 s − 2 ) {\displaystyle {\frac {-2\alpha }{(s-1)(s-2)}}=2\alpha \left({\frac {1}{s-1}}-{\frac {1}{s-2}}\right)} ...3 β ( s + 1 ) ( s − 1 ) ( s − 2 ) = − 2 β s − 1 + 3 β s − 2 {\displaystyle {\frac {\beta (s+1)}{(s-1)(s-2)}}={\frac {-2\beta }{s-1}}+{\frac {3\beta }{s-2}}} ...4 34の原像は, y = 2 α e t − 2 α e 2 t − 2 β e t + 3 β e 2 t {\displaystyle y=2\alpha e^{t}-2\alpha e^{2t}-2\beta e^{t}+3\beta e^{2t}} ∴ y = 2 ( e t − e 2 t ) α + ( − 2 e t + 3 e 2 t ) β {\displaystyle \therefore y=2(e^{t}-e^{2t})\alpha +(-2e^{t}+3e^{2t})\beta } ♢ {\displaystyle \diamondsuit }
例106 {\displaystyle \quad }
次の連立微分方程式を解け.
解答例
X ⊏ x , Y ⊏ y {\displaystyle X\sqsubset x,Y\sqsubset y} とおいて,与方程式を Laplace 変換すると, { s X − α X − β Y = β s − α s Y − 1 + β X − α Y = 0 {\displaystyle {\begin{cases}sX-\alpha X-\beta Y={\frac {\beta }{s-\alpha }}\\sY-1+\beta X-\alpha Y=0\end{cases}}}
∴ ( s − α − β β s − α ) ( X Y ) = ( β s − α 1 ) {\displaystyle \therefore {\begin{pmatrix}s-\alpha &-\beta \\\beta &s-\alpha \end{pmatrix}}{\begin{pmatrix}X\\Y\end{pmatrix}}={\begin{pmatrix}{\frac {\beta }{s-\alpha }}\\1\end{pmatrix}}} ∴ ( X Y ) = 1 ( s − α ) 2 + β 2 ( s − α β − β s − α ) ( β s − α 1 ) {\displaystyle \therefore {\begin{pmatrix}X\\Y\end{pmatrix}}={\frac {1}{(s-\alpha )^{2}+\beta ^{2}}}{\begin{pmatrix}s-\alpha &\beta \\-\beta &s-\alpha \end{pmatrix}}{\begin{pmatrix}{\frac {\beta }{s-\alpha }}\\1\end{pmatrix}}} = 1 ( s − α ) 2 + β 2 ( 2 β − β 2 s − α + ( s − α ) ) {\displaystyle ={\frac {1}{(s-\alpha )^{2}+\beta ^{2}}}{\begin{pmatrix}2\beta \\{\frac {-\beta ^{2}}{s-\alpha }}+(s-\alpha )\end{pmatrix}}} = L − 1 [ e α t ] {\displaystyle ={\mathcal {L}}^{-1}[e^{\alpha t}]} ⋅ 1 s 2 + β 2 ( 2 β − β s + s ) {\displaystyle \cdot {\frac {1}{s^{2}+\beta ^{2}}}{\begin{pmatrix}2\beta \\{\frac {-\beta }{s}}+s\end{pmatrix}}} X = L − 1 [ e α t ] ⋅ 2 β s 2 + β 2 {\displaystyle X={\mathcal {L}}^{-1}[e^{\alpha t}]\cdot {\frac {2\beta }{s^{2}+\beta ^{2}}}} この原像は, x = e α t ⋅ 2 sin β t {\displaystyle x=e^{\alpha t}\cdot 2\sin \beta t} また, Y = L − 1 [ e α t ] 1 s 2 + β 2 ( − β 2 s + s ) {\displaystyle Y={\mathcal {L}}^{-1}[e^{\alpha t}]{\frac {1}{s^{2}+\beta ^{2}}}\left({\frac {-\beta ^{2}}{s}}+s\right)} = L − 1 [ e α t ] 1 s 2 + β 2 s 2 − β 2 s {\displaystyle ={\mathcal {L}}^{-1}[e^{\alpha t}]{\frac {1}{s^{2}+\beta ^{2}}}{\frac {s^{2}-\beta ^{2}}{s}}} これを部分分数展開すると, Y = L − 1 [ e α t ] ( 2 s s 2 + β 2 − 1 s ) {\displaystyle Y={\mathcal {L}}^{-1}[e^{\alpha t}]\left({\frac {2s}{s^{2}+\beta ^{2}}}-{\frac {1}{s}}\right)} この原像は, y = e α t ( 2 cos β t − 1 ) {\displaystyle y=e^{\alpha t}(2\cos \beta t-1)} ♢ {\displaystyle \diamondsuit }
例107 {\displaystyle \quad }
次の連立微分方程式を解け.
解答例
♢ {\displaystyle \diamondsuit } | [
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"text": "X ⊏ x , Y ⊏ y {\\displaystyle X\\sqsubset x,Y\\sqsubset y} とおいて,与方程式を Laplace 変換すると, ( s + 1 − 3 2 s − 4 ) ( X Y ) = ( α β ) {\\displaystyle {\\begin{pmatrix}s+1&-3\\\\2&s-4\\end{pmatrix}}{\\begin{pmatrix}X\\\\Y\\end{pmatrix}}={\\begin{pmatrix}\\alpha \\\\\\beta \\end{pmatrix}}} ∴ ( X Y ) = ( s + 1 − 3 2 s − 4 ) − 1 ( α β ) = 1 s 2 − 3 s + 2 ( s − 4 3 − 2 s + 1 ) ( α β ) = 1 ( s − 1 ) ( s − 2 ) ( α ( s − 4 ) + 3 β − 2 α + β ( s + 1 ) ) {\\displaystyle \\therefore {\\begin{pmatrix}X\\\\Y\\end{pmatrix}}={\\begin{pmatrix}s+1&-3\\\\2&s-4\\end{pmatrix}}^{-1}{\\begin{pmatrix}\\alpha \\\\\\beta \\end{pmatrix}}={\\frac {1}{s^{2}-3s+2}}{\\begin{pmatrix}s-4&3\\\\-2&s+1\\end{pmatrix}}{\\begin{pmatrix}\\alpha \\\\\\beta \\end{pmatrix}}={\\frac {1}{(s-1)(s-2)}}{\\begin{pmatrix}\\alpha (s-4)+3\\beta \\\\-2\\alpha +\\beta (s+1)\\end{pmatrix}}} α s − 4 α ( s − 1 ) ( s − 2 ) = 3 α s − 1 − 2 α s − 2 {\\displaystyle {\\frac {\\alpha s-4\\alpha }{(s-1)(s-2)}}={\\frac {3\\alpha }{s-1}}-{\\frac {2\\alpha }{s-2}}} ...1 3 β ( s − 1 ) ( s − 2 ) = − 3 β s − 1 + 3 β s − 2 {\\displaystyle {\\frac {3\\beta }{(s-1)(s-2)}}={\\frac {-3\\beta }{s-1}}+{\\frac {3\\beta }{s-2}}} ...2 12の原像は, x = 3 α e t − 2 α e 2 t − 3 β e t + 3 β e 2 t {\\displaystyle x=3\\alpha e^{t}-2\\alpha e^{2t}-3\\beta e^{t}+3\\beta e^{2t}} ∴ x = α ( 3 e t − 2 e 2 t ) + 3 ( − e t + e 2 t ) β . {\\displaystyle \\therefore x=\\alpha (3e^{t}-2e^{2t})+3(-e^{t}+e^{2t})\\beta .} 同様に − 2 α ( s − 1 ) ( s − 2 ) = 2 α ( 1 s − 1 − 1 s − 2 ) {\\displaystyle {\\frac {-2\\alpha }{(s-1)(s-2)}}=2\\alpha \\left({\\frac {1}{s-1}}-{\\frac {1}{s-2}}\\right)} ...3 β ( s + 1 ) ( s − 1 ) ( s − 2 ) = − 2 β s − 1 + 3 β s − 2 {\\displaystyle {\\frac {\\beta (s+1)}{(s-1)(s-2)}}={\\frac {-2\\beta }{s-1}}+{\\frac {3\\beta }{s-2}}} ...4 34の原像は, y = 2 α e t − 2 α e 2 t − 2 β e t + 3 β e 2 t {\\displaystyle y=2\\alpha e^{t}-2\\alpha e^{2t}-2\\beta e^{t}+3\\beta e^{2t}} ∴ y = 2 ( e t − e 2 t ) α + ( − 2 e t + 3 e 2 t ) β {\\displaystyle \\therefore y=2(e^{t}-e^{2t})\\alpha +(-2e^{t}+3e^{2t})\\beta } ♢ {\\displaystyle \\diamondsuit }",
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"text": "X ⊏ x , Y ⊏ y {\\displaystyle X\\sqsubset x,Y\\sqsubset y} とおいて,与方程式を Laplace 変換すると, { s X − α X − β Y = β s − α s Y − 1 + β X − α Y = 0 {\\displaystyle {\\begin{cases}sX-\\alpha X-\\beta Y={\\frac {\\beta }{s-\\alpha }}\\\\sY-1+\\beta X-\\alpha Y=0\\end{cases}}}",
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"text": "解答例",
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"text": "♢ {\\displaystyle \\diamondsuit }",
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}
]
| ↑ | <!-- ex:104:start-->
<div id="ex:104">
<strong>例104</strong><math>\quad</math>
{{制御と振動の数学/equation|<math>\begin{cases}
\frac{dx}{dt}=-y \\
\frac{dy}{dt}=x
\end{cases}\quad\begin{cases}
x(0)=\alpha \\
y(0)=\beta
\end{cases}</math>|tag=(5.1)|label=eq:5.1}}
を解け.
これは普通に解けばよい.<math>x\sqsupset X, y\sqsupset Y</math> とおいて[[制御と振動の数学/第一類/連立微分方程式の解法/例題による考察/同次微分方程式#eq:5.1|式 (5.1) ]]を[[w:%E3%83%A9%E3%83%97%E3%83%A9%E3%82%B9%E5%A4%89%E6%8F%9B|Laplace 変換]]すれば
{{制御と振動の数学/equation|<math>\begin{cases}
sX - \alpha &= -Y \\
sY - \beta &= X
\end{cases}</math>}}
{{制御と振動の数学/equation|<math>
\begin{pmatrix}
s & 1 \\
-1 & s
\end{pmatrix}
\begin{pmatrix}
X \\
Y
\end{pmatrix} =
\begin{pmatrix}
\alpha \\
\beta
\end{pmatrix}</math><ref>
:<math>s\begin{pmatrix}
X \\
Y
\end{pmatrix} + \begin{pmatrix}
Y \\
-X
\end{pmatrix} = \begin{pmatrix}
\alpha \\
\beta
\end{pmatrix}
</math><br />
:<math>\begin{pmatrix}
s & 0 \\
0 & s
\end{pmatrix}\begin{pmatrix}
X \\
Y
\end{pmatrix} + \begin{pmatrix}
0 & 1 \\
-1 & 0
\end{pmatrix}\begin{pmatrix}
X \\
Y
\end{pmatrix} = \begin{pmatrix}
\alpha \\
\beta
\end{pmatrix}</math><br />
<math>\therefore\begin{pmatrix}
s & 1 \\
-1 & s
\end{pmatrix}\begin{pmatrix}
X \\
Y
\end{pmatrix} = \begin{pmatrix}
\alpha \\
\beta
\end{pmatrix}
</math><br />
</ref>}}
{{制御と振動の数学/equation|<math>\therefore
\begin{pmatrix}
X \\
Y
\end{pmatrix}=
\begin{pmatrix}
s & 1 \\
-1 & s
\end{pmatrix}^{-1}
\begin{pmatrix}
\alpha \\
\beta
\end{pmatrix}=
\frac{1}{s^2+1}
\begin{pmatrix}
s & -1 \\
1 & s
\end{pmatrix}
\begin{pmatrix}
\alpha \\
\beta
\end{pmatrix}=
\begin{pmatrix}
\frac{\alpha s}{s^2+1} + \frac{-\beta}{s^2+1} \\
\frac{\alpha}{s^2+1} + \frac{\beta s}{s^2+1}
\end{pmatrix}</math>}}
この原像を求めると,
{{制御と振動の数学/equation|<math>
\begin{cases}
x(t)=\alpha\cos t - \beta\sin t \\
y(t)=\alpha\sin t + \beta\cos t
\end{cases}</math>|tag=(5.2)|label=eq:5.2}}
を得る.
<math>\diamondsuit</math>
<!-- ex:104:end-->
<references />
<!-- ex:105:start-->
<div id="ex:105">
<strong>例105</strong><math>\quad</math>
次の連立微分方程式を解け.
{{制御と振動の数学/equation|<math>
\begin{cases}
x' = -x + 3y \\
y' = -2x + 4y
\end{cases}
\quad
\begin{cases}
x(0) = \alpha \\
y(0) = \beta
\end{cases}</math>}}
<strong>解答例</strong>
<math>X \sqsubset x, Y \sqsubset y</math> とおいて,与方程式を Laplace 変換すると,<br />
<math>\begin{pmatrix}
s+1 & -3 \\
2 & s-4
\end{pmatrix}
\begin{pmatrix}
X \\
Y
\end{pmatrix} =
\begin{pmatrix}
\alpha \\
\beta
\end{pmatrix}</math><br />
<math>\therefore
\begin{pmatrix}
X \\
Y
\end{pmatrix}=
\begin{pmatrix}
s+1 & -3 \\
2 & s-4
\end{pmatrix}^{-1}
\begin{pmatrix}
\alpha \\
\beta
\end{pmatrix}
=
\frac{1}{s^2-3s+2}
\begin{pmatrix}
s-4 & 3 \\
-2 & s+1
\end{pmatrix}
\begin{pmatrix}
\alpha \\
\beta
\end{pmatrix}
=
\frac{1}{(s-1)(s-2)}
\begin{pmatrix}
\alpha(s-4) + 3\beta \\
-2\alpha + \beta(s+1)
\end{pmatrix}
</math><br />
<math>\frac{\alpha s - 4\alpha}{(s-1)(s-2)} = \frac{3\alpha}{s-1} - \frac{2\alpha}{s-2}</math>…①<br />
<math>\frac{3\beta}{(s-1)(s-2)} = \frac{-3\beta}{s-1} + \frac{3\beta}{s-2}</math>…②<br />
①②の原像は,<br />
<math>x = 3\alpha e^{t} - 2\alpha e^{2t} - 3\beta e^{t} + 3\beta e^{2t}</math><br />
<math>\therefore x = \alpha(3e^{t}-2e^{2t}) + 3(-e^{t}+e^{2t})\beta.</math><br />
同様に<br />
<math>\frac{-2\alpha}{(s-1)(s-2)} = 2\alpha\left(\frac{1}{s-1} - \frac{1}{s-2}\right)</math>…③<br />
<math>\frac{\beta(s+1)}{(s-1)(s-2)} = \frac{-2\beta}{s-1} + \frac{3\beta}{s-2}</math>…④<br />
③④の原像は,<br />
<math>y = 2\alpha e^t - 2\alpha e^{2t} - 2\beta e^t + 3\beta e^{2t}</math><br />
<math>\therefore y = 2(e^t-e^{2t})\alpha + (-2e^t+3e^{2t})\beta</math><br />
<math>\diamondsuit</math>
<!-- ex:105:end-->
<!-- ex:106:start-->
<div id="ex:106">
<strong>例106</strong><math>\quad</math>
次の連立微分方程式を解け.
{{制御と振動の数学/equation|<math>
\begin{cases}
x' -\alpha x -\beta y &= \beta e^{\alpha t} \\
y' + \beta x -\alpha y &= 0
\end{cases}
\quad
\begin{cases}
x(0) = 0 \\
y(0) = 1
\end{cases}</math>}}
<strong>解答例</strong>
<math>X \sqsubset x, Y \sqsubset y</math> とおいて,与方程式を Laplace 変換すると,<br />
<math>
\begin{cases}
sX -\alpha X -\beta Y = \frac{\beta}{s-\alpha} \\
sY - 1 +\beta X - \alpha Y = 0
\end{cases}</math><br />
<math>\therefore
\begin{pmatrix}
s-\alpha & -\beta \\
\beta & s-\alpha
\end{pmatrix}
\begin{pmatrix}
X \\
Y
\end{pmatrix}
=
\begin{pmatrix}
\frac{\beta}{s-\alpha} \\
1
\end{pmatrix}</math><br />
<math>\therefore
\begin{pmatrix}
X \\
Y
\end{pmatrix}=
\frac{1}{(s-\alpha)^2+\beta^2}
\begin{pmatrix}
s-\alpha & \beta \\
-\beta & s-\alpha
\end{pmatrix}
\begin{pmatrix}
\frac{\beta}{s-\alpha} \\
1
\end{pmatrix}</math><br />
<math>=
\frac{1}{(s-\alpha)^2+\beta^2}
\begin{pmatrix}
2\beta \\
\frac{-\beta^2}{s-\alpha} + (s - \alpha)
\end{pmatrix}</math><br />
<math>
= \mathcal{L}^{-1}[e^{\alpha t}]</math><ref>
この書き方は…厳密にはおかしいというべきかもしれない.
</ref><math>\cdot \frac{1}{s^2+\beta^2} \begin{pmatrix}
2\beta \\
\frac{-\beta}{s} + s
\end{pmatrix}</math><br />
<math>
X = \mathcal{L}^{-1}[e^{\alpha t}]\cdot\frac{2\beta}{s^2+\beta^2}</math><br />
この原像は,<br />
<math>x = e^{\alpha t}\cdot 2\sin\beta t</math><br />
また,<br />
<math>Y = \mathcal{L}^{-1}[e^{\alpha t}]\frac{1}{s^2+\beta^2}\left(\frac{-\beta^2}{s} + s\right)</math><br />
<math>= \mathcal{L}^{-1}[e^{\alpha t}] \frac{1}{s^2+\beta^2} \frac{s^2-\beta^2}{s}</math><br />
これを部分分数展開すると,<br />
<math>Y = \mathcal{L}^{-1}[e^{\alpha t}] \left( \frac{2s}{s^2 + \beta^2} - \frac{1}{s}\right)</math><br />
この原像は,<br />
<math>y = e^{\alpha t} (2\cos\beta t - 1)</math><br />
<math>\diamondsuit</math>
<!-- ex:106:end-->
<!-- ex:107:start-->
<div id="ex:107">
<strong>例107</strong><math>\quad</math>
次の連立微分方程式を解け.
{{制御と振動の数学/equation|<math>
\begin{cases}
x' + m(y - z) &= 1\\
y' + m(z - x) &= 1\\
z' + m(x - y) &= 1
\end{cases}
\quad
\begin{cases}
x(0) = \alpha \\
y(0) = \beta \\
z(0) = \gamma
\end{cases}</math>}}
<strong>解答例</strong>
<math>\diamondsuit</math>
<!-- ex:107:end-->
[[カテゴリ:微分方程式]] | null | 2022-11-23T12:09:55Z | [
"テンプレート:制御と振動の数学/equation"
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| https://ja.wikibooks.org/wiki/%E5%88%B6%E5%BE%A1%E3%81%A8%E6%8C%AF%E5%8B%95%E3%81%AE%E6%95%B0%E5%AD%A6/%E7%AC%AC%E4%B8%80%E9%A1%9E/%E9%80%A3%E7%AB%8B%E5%BE%AE%E5%88%86%E6%96%B9%E7%A8%8B%E5%BC%8F%E3%81%AE%E8%A7%A3%E6%B3%95/%E4%BE%8B%E9%A1%8C%E3%81%AB%E3%82%88%E3%82%8B%E8%80%83%E5%AF%9F/%E5%90%8C%E6%AC%A1%E5%BE%AE%E5%88%86%E6%96%B9%E7%A8%8B%E5%BC%8F |
26,575 | 恒星の一生 | Main Page > 自然科学 > 天文学 > 恒星 > 恒星の一生
恒星の一生では恒星が誕生してから恒星が爆発したり白色矮星になったりするまでについてを述べる。
恒星は星間雲の中でも特に密度が高い分子雲コアでは重力により収縮されて原始星が誕生する。原始星の光度は主系列星よりも明るいが、このときはまだ周りに星間塵などがあるので可視光では発見できず、赤外線でしか観測できない。このような星は赤外線星という。この一連の状態を発見者にちなみ林フェーズと呼ぶ。
恒星はふつう惑星を持つが初期の過程では恒星の周りにガスがあり、円盤状になっている。この 円盤を原始惑星系円盤という。
太陽の0.08倍以上の質量を持つ恒星は核融合反応を起こしているが、それ以下のものは核融合反応を行えない。このような星を褐色矮星という。
恒星は林フェーズを終えると活発に核融合反応を起こす。なお、核融合反応の化学式は以下のように表せる。
4 H ⟶ He + 2 e + + 2 ν + 26 MeV {\displaystyle {\ce {4H -> He + 2e+ + 2\nu + 26MeV}}}
なお、eは陽電子、νはニュートリノ、MeVは光や熱エネルギーの単位で100万eV(eVは電子ボルト)のこと。詳細は物理化学で扱われるためここでは省く。
恒星にも寿命があり、その寿命は質量が大きいものほど短いことが分かっている。これは核融合反応が速く進むためである。例えば太陽の寿命は10年(100億年)と考えられているがそれよりも大きいB型やO型の主系列星になると10~10年(1000万 - 1億年)になると考えられている。逆にスペクトル分類がK型やM型の恒星の寿命は、太陽の10倍の1000億年から1000倍の10兆年を超えると考えられている。
恒星の中心核はその恒星の質量によって変わる。太陽の半分以下では中心核がヘリウムとなる。
それより大きいものはヘリウムが以下の核融合反応を起こす。
3 He ⟶ C {\displaystyle {\ce {3He -> C}}}
C + He ⟶ O {\displaystyle {\ce {C + He -> O}}}
これにより炭素と酸素の中心核ができる。更に核融合反応を起こすためには太陽の8倍程度の質量が必要となる。それ以下の場合は白色矮星となり縮退する。それ以外はNe、Mg、Si...と続きFeまで続く。Feから先はない。
恒星の最後はその質量によって変わる。
太陽の8倍以下の恒星は白色矮星となる。太陽程度の質量の星が小さくちぢんでいるため、密度が大きい。白色矮星はしだいに冷えていくのでその後だんだん暗くなっていき、黒色矮星となる。
太陽の8倍以上の恒星は中心部に鉄が作られ、ヘリウムと中性子に分解される。このときエネルギーが吸収されるため恒星を支える圧力は減少し重力崩壊が起きる。この際に爆発を伴うことがあり超新星爆発という。このとき絶対等級は-15等にものぼる。超新星爆発の際に残ったものを超新星残骸といい、私たちが見える可視光線以外にもX線などを発している。
超新星爆発をする際にはFeよりも大きい重元素の核融合反応も起こりうる。例えば私たちが身近で使っている銅や銀などもこの時につくられ、超新星残骸が由来とされる。
超新星爆発が起こると全てが吹き飛んでしまうわけではなく、中心にはまだ星が残っている。
太陽の30倍以下の場合、中性子星となり超高密度の星となる。中性子星はその名の通り主に中性子から成る。これは高密度なため+をもつ陽子に-をもつ電子が取り込まれることにより中性子になるからである。中性子星の中には電磁波をパルス状に出すパルサーといわれるものがあり、その周期は1秒に満たないものもある。中性子星の中でも特に磁場が大きいものはマグネターと言われる。マグネターはその磁場を利用してX線やγ線などの電磁波を放射している。
さらに大きいものにはブラックホールがあり重力が大きすぎて光ですら脱することが出来ず、直接見ることは出来ない。
また、ブラックホールと中性子星の中間としてクォーク星があると考えられている。なお、クォークとは陽子や中性子を構成する素粒子であり、それらが、クォークの状態で存在するのがクォーク星である。w:3C 58などがその候補として上がっている。
白色矮星と赤色巨星などが連星をなしていると巨星のガスと白色矮星の表面が反応して核融合反応を起こすことがある。このときも超新星ほどではないが絶対等級は-5等ほどにもなる。これは新星という。
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"text": "超新星爆発が起こると全てが吹き飛んでしまうわけではなく、中心にはまだ星が残っている。",
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"text": "太陽の30倍以下の場合、中性子星となり超高密度の星となる。中性子星はその名の通り主に中性子から成る。これは高密度なため+をもつ陽子に-をもつ電子が取り込まれることにより中性子になるからである。中性子星の中には電磁波をパルス状に出すパルサーといわれるものがあり、その周期は1秒に満たないものもある。中性子星の中でも特に磁場が大きいものはマグネターと言われる。マグネターはその磁場を利用してX線やγ線などの電磁波を放射している。",
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"text": "さらに大きいものにはブラックホールがあり重力が大きすぎて光ですら脱することが出来ず、直接見ることは出来ない。",
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| Main Page > 自然科学 > 天文学 > 恒星 > 恒星の一生 恒星の一生では恒星が誕生してから恒星が爆発したり白色矮星になったりするまでについてを述べる。 | {{Pathnav|Main Page|自然科学|天文学|恒星}}
'''恒星の一生'''では恒星が誕生してから恒星が爆発したり白色矮星になったりするまでについてを述べる。
== 誕生 ==
[[ファイル:HL Tau protoplanetary disk.jpg|thumb|right|250px|アルマ望遠鏡により撮影されたおうし座HL星の原始惑星系円盤。]]
恒星は星間雲の中でも特に密度が高い'''分子雲コア'''では重力により収縮されて'''原始星'''が誕生する。原始星の光度は主系列星よりも明るいが、このときはまだ周りに星間塵などがあるので可視光では発見できず、赤外線でしか観測できない。このような星は'''赤外線星'''という。この一連の状態を発見者にちなみ'''林フェーズ'''と呼ぶ。
恒星はふつう惑星を持つが初期の過程では恒星の周りにガスがあり、円盤状になっている。この
円盤を'''原始惑星系円盤'''という。
太陽の0.08倍以上の質量を持つ恒星は核融合反応を起こしているが、それ以下のものは核融合反応を行えない。このような星を'''褐色矮星'''という。
== 恒星の活動 ==
恒星は林フェーズを終えると活発に'''核融合反応'''を起こす。なお、核融合反応の化学式は以下のように表せる。
<chem>4H -> He + 2e+ + 2\nu + 26MeV</chem>
なお、e<sup>+</sup>は陽電子、νはニュートリノ、MeVは光や熱エネルギーの単位で100万eV(eVは電子ボルト)のこと。詳細は物理化学で扱われるためここでは省く。
=== 恒星の寿命 ===
恒星にも寿命があり、その寿命は質量が大きいものほど短いことが分かっている。これは核融合反応が速く進むためである。例えば太陽の寿命は10<sup>10</sup>年(100億年)と考えられているがそれよりも大きいB型やO型の主系列星になると10<sup>7</sup>~10<sup>8</sup>年(1000万 - 1億年)になると考えられている。逆にスペクトル分類がK型やM型の恒星の寿命は、太陽の10倍の1000億年から1000倍の10兆年を超えると考えられている。
=== 中心核 ===
恒星の中心核はその恒星の質量によって変わる。太陽の半分以下では中心核がヘリウムとなる。
それより大きいものはヘリウムが以下の核融合反応を起こす。
<chem>3He -> C</chem>
<chem>C + He -> O</chem>
これにより炭素と酸素の中心核ができる。更に核融合反応を起こすためには太陽の8倍程度の質量が必要となる。それ以下の場合は白色矮星となり縮退する。それ以外はNe、Mg、Si...と続きFeまで続く。Feから先はない。
== 恒星の最後 ==
恒星の最後はその質量によって変わる。
太陽の8倍以下の恒星は'''白色矮星'''となる。太陽程度の質量の星が小さくちぢんでいるため、密度が大きい。白色矮星はしだいに冷えていくのでその後だんだん暗くなっていき、'''黒色矮星'''となる。
[[ファイル:Crab Nebula.jpg|thumb|right|250px|超新星残骸で有名なかに星雲。ハッブル宇宙望遠鏡撮影。]]
太陽の8倍以上の恒星は中心部に鉄が作られ、ヘリウムと中性子に分解される。このときエネルギーが吸収されるため恒星を支える圧力は減少し重力崩壊が起きる。この際に爆発を伴うことがあり'''超新星爆発'''という。このとき絶対等級は-15等にものぼる。超新星爆発の際に残ったものを'''超新星残骸'''といい、私たちが見える可視光線以外にもX線などを発している。
超新星爆発をする際にはFeよりも大きい重元素の核融合反応も起こりうる。例えば私たちが身近で使っている銅や銀などもこの時につくられ、超新星残骸が由来とされる。
超新星爆発が起こると全てが吹き飛んでしまうわけではなく、中心にはまだ星が残っている。
[[ファイル:Vela Pulsar jet.jpg|thumb|right|250px|パルサーのひとつであるベラ・パルサー。]]
太陽の30倍以下の場合、'''中性子星'''となり超高密度の星となる。中性子星はその名の通り主に中性子から成る。これは高密度なため+をもつ陽子に-をもつ電子が取り込まれることにより中性子になるからである。中性子星の中には電磁波をパルス状に出す'''パルサー'''といわれるものがあり、その周期は1秒に満たないものもある。中性子星の中でも特に磁場が大きいものは'''マグネター'''と言われる。マグネターはその磁場を利用してX線やγ線などの電磁波を放射している。
[[ファイル:BBH gravitational lensing of gw150914.webm|thumb|right|ブラックホールの連星系が合体する時のシミュレーション映像。]]
さらに大きいものには'''ブラックホール'''があり重力が大きすぎて光ですら脱することが出来ず、直接見ることは出来ない。
また、ブラックホールと中性子星の中間として'''クォーク星'''があると考えられている。なお、クォークとは陽子や中性子を構成する素粒子であり、それらが、クォークの状態で存在するのがクォーク星である。[[:w:3C 58]]などがその候補として上がっている。
== その他 ==
白色矮星と赤色巨星などが連星をなしていると巨星のガスと白色矮星の表面が反応して核融合反応を起こすことがある。このときも超新星ほどではないが絶対等級は-5等ほどにもなる。これは'''新星'''という。
{{デフォルトソート:こうせいのいつしよう}}
[[Category:恒星]] | 2019-11-28T13:17:34Z | 2023-10-28T15:59:54Z | [
"テンプレート:Pathnav"
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| https://ja.wikibooks.org/wiki/%E6%81%92%E6%98%9F%E3%81%AE%E4%B8%80%E7%94%9F |
26,583 | 星団 | Main Page > 自然科学 > 天文学 > 恒星 > 星団
星団は恒星がその重力によって集まり、全体としては共通の運動を行うものである。星間物質の星雲と言葉は似ているが全くの別物なので注意。また、この項目では恒星の種族についても扱う。
星団には主に散開星団と球状星団がある。
散開星団はいくつかの星が比較的離れて見える星団である。また、若い星が多く、スペクトルはO型やB型など、高温のものが多い。右のプレアデス星団などが代表的な例である。
球状星団は散開星団とは逆に密度の高い星団である。密度が高いため望遠鏡でも個々の星は識別できない場合がある。右のきょしちょう座47などが代表的な例である。
恒星には種族というものがあり種族Iと種族IIがある。種族Iは金属量が多いもの、種族IIは金属量の少ないものである。また、種族Iほど若く、種族IIほど老いているため若さによっても分類できる。
種族IIは質量が小さく、寿命が長いため老いていて、種族Iは質量が大きく、寿命が小さいため若い。星団では散開星団は主に種族I、球状星団は主に種族IIである。
散開星団と球状星団の距離を測定するには主に分光視差法と標準光源法がある。
分光視差法は恒星のスペクトルから絶対等級を求め、視等級と比べて距離を求める方法である。絶対等級と視等級との関係には
M − m = 5 − 5 l o g 10 d {\displaystyle M-m=5-5log_{10}d}
(M:絶対等級、m:視等級、d:距離[pc])という関係があるが、視等級は実測値、絶対等級はスペクトルの似たものを使えばよいので間接的に距離が求まる。スペクトルによる測定なので個々が比較的離れて見える散開星団の方が適している。
標準光源法は明るさが定まっている天体をもとに距離を測定する方法である。星団のなかに標準光源があればその星団まで測定できるので比較的多くの恒星から成る球状星団の方が適している。 | [
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| Main Page > 自然科学 > 天文学 > 恒星 > 星団 星団は恒星がその重力によって集まり、全体としては共通の運動を行うものである。星間物質の星雲と言葉は似ているが全くの別物なので注意。また、この項目では恒星の種族についても扱う。 | {{Pathnav|Main Page|自然科学|天文学|恒星}}
{{Wikipedia}}
'''星団'''は恒星がその重力によって集まり、全体としては共通の運動を行うものである。[[星間物質]]の星雲と言葉は似ているが全くの別物なので注意。また、この項目では恒星の種族についても扱う。
== 星団の分類 ==
星団には主に散開星団と球状星団がある。
[[ファイル:Pleiades large.jpg|thumb|right|250px|散開星団の1つであるプレアデス星団。]]
'''散開星団'''はいくつかの星が比較的離れて見える星団である。また、若い星が多く、スペクトルはO型やB型など、高温のものが多い。右のプレアデス星団などが代表的な例である。
[[ファイル:2MASS Image of 47 Tucanae.jpg|thumb|right|250px|球状星団の1つであるきょしちょう座47。]]
'''球状星団'''は散開星団とは逆に密度の高い星団である。密度が高いため望遠鏡でも個々の星は識別できない場合がある。右のきょしちょう座47などが代表的な例である。
== 種族 ==
恒星には'''種族'''というものがあり種族Iと種族IIがある。'''種族I'''は金属量が多いもの、'''種族II'''は金属量の少ないものである。また、種族Iほど若く、種族IIほど老いているため若さによっても分類できる。
種族IIは質量が小さく、寿命が長いため老いていて、種族Iは質量が大きく、寿命が小さいため若い。星団では散開星団は主に種族I、球状星団は主に種族IIである。
== 距離の測定法 ==
散開星団と球状星団の距離を測定するには主に分光視差法と標準光源法がある。
'''分光視差法'''は恒星のスペクトルから絶対等級を求め、視等級と比べて距離を求める方法である。絶対等級と視等級との関係には
<math>M - m = 5 - 5log_{10}d</math>
(M:絶対等級、m:視等級、d:距離[pc])という関係があるが、視等級は実測値、絶対等級はスペクトルの似たものを使えばよいので間接的に距離が求まる。スペクトルによる測定なので個々が比較的離れて見える散開星団の方が適している。
'''標準光源法'''は明るさが定まっている天体をもとに距離を測定する方法である。星団のなかに標準光源があればその星団まで測定できるので比較的多くの恒星から成る球状星団の方が適している。
{{デフォルトソート:せいたん}}
[[Category:恒星]] | null | 2022-08-31T07:02:55Z | [
"テンプレート:Wikipedia"
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| https://ja.wikibooks.org/wiki/%E6%98%9F%E5%9B%A3 |
26,584 | 星間物質 | Main Page > 自然科学 > 天文学 > 星間物質
星間物質(せいかんぶっしつ)は恒星間にある物体で気体の星間ガスと固体の星間塵(せいかんじん)がある。星間物質が多く、雲のように見える天体を星雲(せいうん)という。
星雲には暗黒星雲、散光星雲、惑星状星雲、超新星残骸の4種に大別できる。
暗黒星雲(あんこくせいうん)は後ろに光源があることで識別できる星雲で、それ自体は光っていない。オリオン座にある馬頭星雲などが有名である。
散光星雲(さんこうせいうん)は広がって光っている星雲である。後に説明する惑星状星雲や超新星残骸に含める場合もある。オメガ星雲やばら星雲などが有名である。
惑星状星雲(わくせいじょうせいうん)は比較的質量の小さい恒星が赤色巨星となり、その時に放出したガスが中心の恒星の紫外線を受けて光っている。木星状星雲などが有名である。
超新星残骸(ちょうしんせいざんがい)は超新星爆発の際に残ったものである。かに星雲などが有名である。
また、水素が分子でいる星雲は分子雲(ぶんしうん)という。
星雲のうち、特にガス星雲では自ら光を放つか、他の光を反射して光っているかによってそれぞれ名称が付けられている。自ら光を放つガス星雲を輝線星雲(きせんせいうん)、他の光を反射して光る星雲を反射星雲(はんしゃせいうん)という。輝線星雲も反射星雲もいずれも散光星雲に含まれる。
散光星雲の中でも電離した水素(HIIという)が発光することで発見される星雲などの天体をHII領域という。この電離した水素はふつう若い星が紫外線を放射することによって電離した状態となる。この光が水素から発光されたものだということはこの星雲を観測すれば水素の輝線が見つかるはずである。そしてHII領域には赤い光を放つものが多く、ばら星雲や干潟星雲などは赤い。これは水素の輝線、Hα線を放出しているためである。
恒星間にある物体には星間物質以外にも恒星間天体(こうせいかんてんたい)がある。恒星間にあるので恒星のまわりを公転していない。現在はオウムアムアとボリソフ彗星の2つしか見つかっておらず、詳細が解明されていない。 | [
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"text": "星雲には暗黒星雲、散光星雲、惑星状星雲、超新星残骸の4種に大別できる。",
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"text": "散光星雲(さんこうせいうん)は広がって光っている星雲である。後に説明する惑星状星雲や超新星残骸に含める場合もある。オメガ星雲やばら星雲などが有名である。",
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"text": "超新星残骸(ちょうしんせいざんがい)は超新星爆発の際に残ったものである。かに星雲などが有名である。",
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"text": "また、水素が分子でいる星雲は分子雲(ぶんしうん)という。",
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"text": "星雲のうち、特にガス星雲では自ら光を放つか、他の光を反射して光っているかによってそれぞれ名称が付けられている。自ら光を放つガス星雲を輝線星雲(きせんせいうん)、他の光を反射して光る星雲を反射星雲(はんしゃせいうん)という。輝線星雲も反射星雲もいずれも散光星雲に含まれる。",
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"text": "散光星雲の中でも電離した水素(HIIという)が発光することで発見される星雲などの天体をHII領域という。この電離した水素はふつう若い星が紫外線を放射することによって電離した状態となる。この光が水素から発光されたものだということはこの星雲を観測すれば水素の輝線が見つかるはずである。そしてHII領域には赤い光を放つものが多く、ばら星雲や干潟星雲などは赤い。これは水素の輝線、Hα線を放出しているためである。",
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"text": "恒星間にある物体には星間物質以外にも恒星間天体(こうせいかんてんたい)がある。恒星間にあるので恒星のまわりを公転していない。現在はオウムアムアとボリソフ彗星の2つしか見つかっておらず、詳細が解明されていない。",
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| Main Page > 自然科学 > 天文学 > 星間物質 星間物質(せいかんぶっしつ)は恒星間にある物体で気体の星間ガスと固体の星間塵(せいかんじん)がある。星間物質が多く、雲のように見える天体を星雲(せいうん)という。 | {{Pathnav|Main Page|自然科学|天文学}}
{{Wikipedia}}
'''星間物質'''(せいかんぶっしつ)は恒星間にある物体で気体の'''星間ガス'''と固体の'''星間塵'''(せいかんじん)がある。星間物質が多く、雲のように見える天体を'''星雲'''(せいうん)という。<!-- 執筆者向けに星雲と星間雲についてコメントアウト。星間雲は英語でInterstellar cloud、星雲はNebulaであるため区別はされているようだが定義が曖昧であるためここでは星雲という表記で統一させる。 -->
== 星雲の種類 ==
星雲には暗黒星雲、散光星雲、惑星状星雲、超新星残骸の4種に大別できる。
[[ファイル:A reproduction of a composite colour image of the Horsehead Nebula and its immediate surroundings - Eso0202a.jpg|thumb|right|250px|馬頭星雲]]
'''暗黒星雲'''(あんこくせいうん)は後ろに光源があることで識別できる星雲で、それ自体は光っていない。オリオン座にある馬頭星雲などが有名である。
[[ファイル:Messier 017 2MASS.jpg|thumb|right|250px|M17としても知られるオメガ星雲]]
'''散光星雲'''(さんこうせいうん)は広がって光っている星雲である。後に説明する惑星状星雲や超新星残骸に含める場合もある。オメガ星雲やばら星雲などが有名である。
[[ファイル:Ngc3242b.jpg|thumb|right|250px|木星状星雲]]
'''惑星状星雲'''(わくせいじょうせいうん)は比較的質量の小さい恒星が赤色巨星となり、その時に放出したガスが中心の恒星の紫外線を受けて光っている。木星状星雲などが有名である。
[[ファイル:Crab Nebula.jpg|thumb|right|250px|かに星雲]]
'''超新星残骸'''(ちょうしんせいざんがい)は超新星爆発の際に残ったものである。かに星雲などが有名である。
また、水素が分子でいる星雲は'''分子雲'''(ぶんしうん)という。
=== 光を放つかどうかによる区別 ===
星雲のうち、特にガス星雲では自ら光を放つか、他の光を反射して光っているかによってそれぞれ名称が付けられている。自ら光を放つガス星雲を'''輝線星雲'''(きせんせいうん)、他の光を反射して光る星雲を'''反射星雲'''(はんしゃせいうん)という。輝線星雲も反射星雲もいずれも散光星雲に含まれる。
=== HII領域 ===
散光星雲の中でも電離した水素(HIIという)が発光することで発見される星雲などの天体を'''HII領域'''という。この電離した水素はふつう若い星が紫外線を放射することによって電離した状態となる。この光が水素から発光されたものだということはこの星雲を観測すれば水素の輝線が見つかるはずである。そしてHII領域には赤い光を放つものが多く、ばら星雲や干潟星雲などは赤い。これは水素の輝線、Hα線を放出しているためである。
== 恒星間天体 ==
[[ファイル:Artist's impression of ʻOumuamua.jpg|thumb|right|250px|恒星間天体の1つ、オウムアムアの想像図]]
恒星間にある物体には星間物質以外にも'''恒星間天体'''(こうせいかんてんたい)がある。恒星間にあるので恒星のまわりを公転していない。現在はオウムアムアとボリソフ彗星の2つしか見つかっておらず、詳細が解明されていない。
{{デフォルトソート:せいかんふつしつ}}
[[Category:恒星]] | null | 2022-08-31T07:02:30Z | [
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26,588 | 小学校保健/3学年 | メインページ > 小学校・中学校・高等学校の学習 > 小学校の学習 > 小学校保健/3学年
健康とは , 心や体の調子がよいじょうたいのことです。
健康とは , 心や体の調子がよいじょうたいのことです。毎日の健康な生活には、食事・運動・すいみんが大きくかかわります。規則正しい生活をつづけて自分の生活のリズムを作り、それに合わせて 食事・運動・すいみん をしっかりとることが大切です。
体のあせやあぶらなど、体はよごれやすいです。手はせっけんであらい、おふろなどでは体をしっかりあらいましょう。下着やくつ下・くつなどは 時間がたったらとりかえるようにしましょう。 | [
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| メインページ > 小学校・中学校・高等学校の学習 > 小学校の学習 > 小学校保健/3学年 | {{Pathnav|メインページ|小学校・中学校・高等学校の学習|小学校の学習}}
== {{ruby|健康|けんこう}}な生活 ==
'''{{ruby|健康|けんこう}}'''とは , 心や体の{{ruby|調子|ちょうし}}がよいじょうたいのことです。
=== 生活のリズム ===
'''{{ruby|健康|けんこう}}'''とは , 心や体の{{ruby|調子|ちょうし}}がよいじょうたいのことです。毎日の健康な生活には、'''{{ruby|食事|しょくじ}}'''・'''{{ruby|運動|うんどう}}'''・'''すいみん'''が大きくかかわります。{{ruby|規則|きそく}}正しい生活をつづけて自分の'''生活のリズム'''を作り、それに合わせて 食事・運動・すいみん をしっかりとることが大切です。
=== 体のせいけつ ===
体のあせやあぶらなど、体はよごれやすいです。手はせっけんであらい、おふろなどでは体をしっかりあらいましょう。下{{ruby|着|ぎ}}やくつ下・くつなどは 時間がたったらとりかえるようにしましょう。
=== まわりのかんきょう ===
[[カテゴリ:小学校保健]] | null | 2022-11-25T13:09:54Z | [
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26,589 | 小学校保健/4学年 | 年れいとともに、体の外には多くの変化が起こります。
このような変化は、個人差がありますが、だれにでも起こります。決して心配する必要はありません。 | [
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== 育ちゆく体 ==
=== 体の外の{{ruby|変化|へんか}} ===
年れいとともに、体の外には多くの{{ruby|変化|へんか}}が起こります。
* 男子
** ひげが生える
** 声{{Ruby|変|が}}わりする(声が{{ruby|低|ひく}}くなる)
** {{Ruby|性器|せいき}}に毛が生えてくる
このような変化は、{{Ruby|個人差|こじんさ}}がありますが、だれにでも起こります。決して心配する必要はありません。
[[カテゴリ:小学校保健]] | null | 2022-11-25T13:10:01Z | [
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26,624 | 銀河と分類 | Main Page > 自然科学 > 天文学 > 銀河と分類
銀河は何億もの恒星から成りその形状を維持している天体である。球状星団に似ているが質量をもつが電磁波では見えない暗黒物質を銀河は含んでいる。
我々が住んでいる地球は太陽系にある。太陽系のある銀河を銀河系、または天の川銀河という。銀河系と銀河が紛らわしいためWikibooksでは特記のない限り天の川銀河を使用する。
天の川銀河の直径は約10万光年。その中心には超大質量ブラックホールがあり、太陽の300~400倍程度の質量を持つと言われている。このブラックホールは強い電波源であり、いて座A*と呼ばれる。
銀河には特徴的な構造がいくつかある。銀河の中心のふくらんだ部分をバルジ、バルジを取り囲む円盤状の部分を銀河円盤、銀河を球状に包みこんでいる領域をハローという。
銀河系ではバルジには超大質量ブラックホールがあり、ハローには少ないものの球状星団などが存在している。銀河円盤の直径は約10万光年であるがハローの直径は約15万光年である。
銀河のうち後に説明する渦巻銀河には渦巻腕といわれる特徴的な構造がある。これはその名の通り、渦巻銀河の渦巻を形成するものである。
※ここからは専門的な話になるので次のサブ節まで飛ばしてもらっても構わない。
宇宙には水素原子が多く存在するがよく見られる陽子1、電子1の水素原子を中性水素原子という。原子や電子はスピンという量を持つがスピンの向きが同じ時と違う時とではエネルギーの状態が異なるために遷移することがある。このとき放射される線を21cm線という。
1951年、中性水素原子から21cm線が放射されるのが見つかったため中性水素ガスの宇宙空間の分布を調べられるようになった。この水素ガスは渦巻状に分布していることが分かっている。
天の川銀河の中は無数の恒星があるが、それは銀河中心の周りを公転している。太陽は銀河中心から約2.8万光年あるが、太陽の公転速度は約220km/s。1周するには2億年もかかる。
銀河の回転速度は中心からの距離で変わるため、これを図にしたものを銀河の回転曲線という。銀河の回転曲線からは重力の分布を求めることができるが図でも分かるように予想値Aより実測値Bははるかに大きい。これは見ることのできないダークマターによるものと推定されている。
銀河を分類する際はおもにハッブル分類が使われる。このハッブル分類はE4、Saなどとアルファベットと数字により表されるが、ここでは銀河を5つに大別した名称を用いる。
楕円銀河はその名の通り楕円状の銀河で渦巻き構造がない。ハッブル分類ではEと表す。その後に扁平率の10倍の数をつける。
レンズ状銀河は楕円銀河と後に紹介する渦巻銀河の間の銀河である。楕円銀河に比べると扁平であり、渦巻銀河に比べると渦巻腕を持たない。ハッブル分類ではS0で表される。
渦巻銀河は円盤を持ち、渦巻腕を持つ銀河である。渦巻の形状でハッブル分類は異なり、Sa、Sb、Scがある。また、渦巻銀河のうち棒状の構造をもつものを棒渦巻銀河といい、ハッブル分類はSBa、SBb、SBc。棒渦巻銀河も合わせて渦巻銀河と呼ぶこともある。
不規則銀河は上記の特徴を持たない、または持つがはっきりと区別できないものである。ハッブル分類ではIrr。
銀河の中には普通とは少し違った特徴をもつものがある。これを特異銀河といい、それに似たもののハッブル分類の後ろにpecをつけて表す。
銀河の中でも中心から非常に強い電磁波を放出するものを活動銀河という。これは銀河中心の超大質量ブラックホールに物質が落ちて降着円盤と呼ばれるものを形成し電磁波を放出するためである。
ふつうの銀河よりも異常に電波を出す銀河を電波銀河という。その電波の強さは私たちの天の川銀河の1万倍にも及ぶ。
恒星のように見えるが大きい赤方偏移を示し強い電波を放出する天体をクェーサーという。クェーサーの明るさは天文学的には短い期間で変動する。
中心核が明るく、クェーサーに似た性質を持つものはセイファート銀河という。クェーサーの方が遠方にあり、セイファート銀河の方が比較的近い。 | [
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| Main Page > 自然科学 > 天文学 > 銀河と分類 銀河は何億もの恒星から成りその形状を維持している天体である。球状星団に似ているが質量をもつが電磁波では見えない暗黒物質を銀河は含んでいる。 | {{Pathnav|Main Page|自然科学|天文学}}
[[ファイル:ESO-VLT-Laser-phot-33a-07.jpg|thumb|right|250px|ESOにより撮影された天の川銀河。]]
'''銀河'''は何億もの恒星から成りその形状を維持している天体である。[[星団|球状星団]]に似ているが質量をもつが電磁波では見えない'''暗黒物質'''を銀河は含んでいる。
== 銀河系 ==
我々が住んでいる地球は太陽系にある。太陽系のある銀河を'''銀河系'''、または'''天の川銀河'''という。銀河系と銀河が紛らわしいためWikibooksでは特記のない限り天の川銀河を使用する。
天の川銀河の直径は約10万光年。その中心には超大質量ブラックホールがあり、太陽の300~400倍程度の質量を持つと言われている。このブラックホールは強い電波源であり、'''いて座A*'''と呼ばれる。
== 銀河の構造 ==
<!-- ※執筆者向け - 銀河の構造を説明した図があるとよい。説明箇所はバルジ、円盤、ハローがあればよい。 -->
銀河には特徴的な構造がいくつかある。銀河の中心のふくらんだ部分を'''バルジ'''、バルジを取り囲む円盤状の部分を'''銀河円盤'''、銀河を球状に包みこんでいる領域を'''ハロー'''という。
銀河系ではバルジには超大質量ブラックホールがあり、ハローには少ないものの球状星団などが存在している。銀河円盤の直径は約10万光年であるがハローの直径は約15万光年である。
=== 渦巻腕 ===
[[ファイル:Milky Way Spiral Arm.svg|thumb|right|250px|銀河系の渦巻腕。黄色が太陽系、茶色がオリオン腕。obscuredは観測が困難な場所を示す。]]
銀河のうち後に説明する渦巻銀河には'''渦巻腕'''といわれる特徴的な構造がある。これはその名の通り、渦巻銀河の渦巻を形成するものである。
※ここからは専門的な話になるので次のサブ節まで飛ばしてもらっても構わない。
宇宙には水素原子が多く存在するがよく見られる陽子1、電子1の水素原子を'''中性水素原子'''という。原子や電子はスピンという量を持つがスピンの向きが同じ時と違う時とではエネルギーの状態が異なるために遷移することがある。このとき放射される線を'''21cm線'''という。
1951年、中性水素原子から21cm線が放射されるのが見つかったため中性水素ガスの宇宙空間の分布を調べられるようになった。この水素ガスは渦巻状に分布していることが分かっている。
{{Clear}}
== 銀河の回転速度 ==
天の川銀河の中は無数の恒星があるが、それは銀河中心の周りを公転している。太陽は銀河中心から約2.8万光年あるが、太陽の公転速度は約220km/s。1周するには2億年もかかる<ref>2.8万光年=2.649×10<sup>17</sup>km。2π×2.8万光年=1.6644×10<sup>18</sup>。1年=31536000秒なので公転速度=6.9379×10<sup>9</sup>km/年。これで1.6644×10<sup>18</sup>を6.9379×10<sup>9</sup>で割れば求められる。</ref>。
[[ファイル:GalacticRotation2.svg|thumb|right|300px|銀河の回転速度を表した図。Aはダークマターがないとしたときの予想値。Bは実測値。]]
銀河の回転速度は中心からの距離で変わるため、これを図にしたものを銀河の'''回転曲線'''という。銀河の回転曲線からは重力の分布を求めることができるが図でも分かるように予想値Aより実測値Bははるかに大きい。これは見ることのできない[[w:ダークマター|ダークマター]]によるものと推定されている。
== 銀河の分類 ==
銀河を分類する際はおもに'''ハッブル分類'''が使われる。このハッブル分類はE4、Saなどとアルファベットと数字により表されるが、ここでは銀河を5つに大別した名称を用いる。
{{Clear}}
=== 楕円銀河 ===
[[ファイル:Messier object 105.jpg|thumb|right|250px|楕円銀河であるNGC 3384(左)とM105(右)。]]
'''楕円銀河'''はその名の通り楕円状の銀河で渦巻き構造がない。ハッブル分類ではEと表す。その後に扁平率の10倍<ref>扁平率は楕円の長径a、短径bとすると<br /><math>\frac{a-b}{a}</math></ref>の数をつける。
{{Clear}}
=== レンズ状銀河 ===
[[ファイル:Ngc5866 hst big.png|thumb|right|250px|レンズ状銀河であるNGC 5866]]
'''レンズ状銀河'''は楕円銀河と後に紹介する渦巻銀河の間の銀河である。楕円銀河に比べると扁平であり、渦巻銀河に比べると渦巻腕を持たない。ハッブル分類ではS0で表される。
{{Clear}}
=== 渦巻銀河 ===
[[ファイル:NGC36 - SDSS DR14.jpg|thumb|right|250px|渦巻銀河であるNGC 36]]
'''渦巻銀河'''は円盤を持ち、渦巻腕を持つ銀河である。渦巻の形状でハッブル分類は異なり、Sa、Sb、Scがある。また、渦巻銀河のうち棒状の構造をもつものを'''棒渦巻銀河'''といい、ハッブル分類はSBa、SBb、SBc。棒渦巻銀河も合わせて渦巻銀河と呼ぶこともある。
{{Clear}}
=== 不規則銀河 ===
[[ファイル:large.mc.arp.750pix.jpg|thumb|right|250px|不規則銀河である大マゼラン雲。]]
'''不規則銀河'''は上記の特徴を持たない、または持つがはっきりと区別できないものである。ハッブル分類ではIrr。
{{Clear}}
=== その他 ===
[[ファイル:Hubble Interacting Galaxy NGC 6240 (2008-04-24).jpg|thumb|right|250px|特異銀河であるNGC 6240。銀河の融合によりこのような形になった。]]
銀河の中には普通とは少し違った特徴をもつものがある。これを'''特異銀河'''といい、それに似たもののハッブル分類の後ろにpecをつけて表す。
== 活動銀河 ==
銀河の中でも中心から非常に強い電磁波を放出するものを'''活動銀河'''という。これは銀河中心の超大質量ブラックホールに物質が落ちて降着円盤と呼ばれるものを形成し電磁波を放出するためである。
=== 電波銀河 ===
ふつうの銀河よりも異常に電波を出す銀河を'''電波銀河'''という。その電波の強さは私たちの天の川銀河の1万倍にも及ぶ。
{{Clear}}
=== クェーサー ===
恒星のように見えるが大きい赤方偏移を示し強い電波を放出する天体を'''クェーサー'''という。クェーサーの明るさは天文学的には短い期間で変動する。
{{Clear}}
=== セイファート銀河 ===
[[ファイル:NGC4151 Galaxy from the Mount Lemmon SkyCenter Schulman Telescope courtesy Adam Block.jpg|thumb|right|250px|セイファート銀河であるNGC 4151。]]
中心核が明るく、クェーサーに似た性質を持つものは'''セイファート銀河'''という。クェーサーの方が遠方にあり、セイファート銀河の方が比較的近い。
{{Clear}}
== 脚注 ==
{{reflist}}
{{デフォルトソート:きんかとふんるい}}
[[Category:銀河と大宇宙]] | null | 2022-06-14T15:16:52Z | [
"テンプレート:Clear",
"テンプレート:Reflist"
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| https://ja.wikibooks.org/wiki/%E9%8A%80%E6%B2%B3%E3%81%A8%E5%88%86%E9%A1%9E |
26,626 | 数学演習/中学校2年生/不等式 | 次の数量関係を、不等式を使って表しなさい。
次の不等式を解きなさい。
次の連立不等式を解きなさい。解がない場合は解なしと書くこと。
( 1 ) {\displaystyle (1)}
( 2 ) {\displaystyle (2)}
( 3 ) {\displaystyle (3)}
( 4 ) {\displaystyle (4)}
( 5 ) {\displaystyle (5)}
/解答 | [
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"text": "次の数量関係を、不等式を使って表しなさい。",
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"text": "次の不等式を解きなさい。",
"title": "不等式"
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"tag": "p",
"text": "次の連立不等式を解きなさい。解がない場合は解なしと書くこと。",
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"text": "( 1 ) {\\displaystyle (1)}",
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"text": "( 5 ) {\\displaystyle (5)}",
"title": "連立不等式"
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{
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"text": "/解答",
"title": "不等式の利用"
}
]
| null | == 数量と不等式 ==
次の数量関係を、不等式を使って表しなさい。
:(1)<math>x</math>人に、<math>y</math>個の{{ruby|飴|あめ}}を1人に2個ずつ配ろうとすると足りなかった。
:(2)1000円で、<math>a</math>円の品物3個を買えた。
:(3)ある数<math>x</math>を小数第1位で四捨五入すると12になった。
== 不等式 ==
次の不等式を解きなさい。
:(1)<math>3x<9</math>
:(2)<math>-4x+5 \geqq 13</math>
:(3)<math>3x-4>5x+9</math>
:(4)<math>-5x < 2(3x+1)-3</math>
:(5)<math>-7x-6 \leqq 2(x+12)</math>
:(6)<math>\frac{2}{3}x-\frac{1}{2}<\frac{3}{4}x+1</math>
:(7)<math>0.45x-0.28 \leqq 0.37x+0.2</math>
== 連立不等式 ==
次の連立不等式を解きなさい。解がない場合は解なしと書くこと。
<math>(1)</math>
:<math>\left\{ \begin{matrix} 3x<-2x-5 \\ 3x-4\geqq -6x+5 \end{matrix}\right.</math>
<math>(2)</math>
:<math>\left\{ \begin{matrix} 6x\leqq 4x+2 \\ \frac{x}{2}+11>6x \end{matrix}\right.</math>
<math>(3)</math>
:<math>\left\{ \begin{matrix} 4(2x-3)\leqq x-5 \\ 3x-2\geqq -2 \end{matrix}\right.</math>
<math>(4)</math>
:<math>\left\{ \begin{matrix} -6<2x+3 \\ 5+3x>6x+5 \end{matrix}\right.</math>
<math>(5)</math>
:<math>\left\{ \begin{matrix} \frac{3a}{4}+4 < \frac{1}{2}(-a-5) \\ -a-2\leqq7a+5 \end{matrix}\right.</math>
== 不等式の利用 ==
:(1)<math>x</math>についての不等式 <math>\frac{3x-5}{2}+4<5x-a</math> の解は<math>x>1</math>である。定数<math>a</math>の値を求めなさい。
:(2)連立不等式 <math>5x-6 \leqq 2(x+2) \leqq ax-1</math> をみたす整数が5個あるように、定数<math>a</math>の値の{{ruby|範囲|はんい}}を求めなさい。
:(3)家から公園まで1.2kmある。家から分速60mで歩き、途中から分速180mで走ったところ、10分以上15分以下で公園に着いた。歩いた距離は何m以上何m以下ですか。
:(4)パンフレットを作ることになりました。代金は100部までは3000円で、それをこえる分は1枚につき23円です。1部あたりの値段を25円以下にするためには、何部以上作ればよいですか。
[[カテゴリ:中学校数学演習|2年ふとうしき]]
----
[[/解答]] | 2019-12-02T09:29:46Z | 2024-03-16T06:33:37Z | [
"テンプレート:Ruby"
]
| https://ja.wikibooks.org/wiki/%E6%95%B0%E5%AD%A6%E6%BC%94%E7%BF%92/%E4%B8%AD%E5%AD%A6%E6%A0%A12%E5%B9%B4%E7%94%9F/%E4%B8%8D%E7%AD%89%E5%BC%8F |
26,632 | 太陽系外惑星 | Main Page > 自然科学 > 天文学 > 恒星 > 太陽系外惑星
太陽系外惑星は太陽系以外にある惑星である。地球に似たものも見つかっており、生命がいる可能性もある。系外惑星と略す場合もある。恒星とその太陽系外惑星を含む集まりは惑星系という。
太陽系外惑星は1995年に初めて発見された。最近になって発見されたということはつまり発見するのが難しいということである。
太陽系外惑星の発見方法には主に2つある。
視線速度法は恒星が動いた際のドップラー効果をとらえ、惑星の存在を確認する方法である。ドップラー分光法ともいう。太陽はほとんど動かないが実は木星や土星と引力の相互作用を引き起こしているため少しは動いている。これは太陽系以外でも起こりうるため、太陽系外の恒星と太陽系外惑星でもこの現象が起こっていると考えられる。特に太陽系外惑星が大きい惑星系では恒星の動きが観測できるため惑星の存在を知ることができる。
トランジット法は恒星の減光現象により惑星の存在を確認する方法である。太陽と月が同じ方向にあるとき、月が太陽の前を通る日食という現象が起こるため太陽は暗くなるはずである。これを太陽系外の恒星と惑星で例えれば惑星の存在は確認できる。この方法を使うと減光の割合により恒星と惑星の大きさの比が求められるため、半径を知ることができる。
この他にも多くの発見方法がある。
ホット・ジュピターは恒星からの距離が地球と太陽の距離の半分以下しかないのに木星のような質量をもつ天体のことである。視線速度法で容易に見つけることができる。密度は土星よりも小さいことがある。自転と公転が同期しているため、潮汐ロックが起こっている。
太陽系外惑星のうち、地球と似た自然環境で生命の存在が可能とされる領域をハビタブルゾーンという。
ハビタブルゾーンの前提条件として、水が液体として存在できる(表面温度が0°Cから100°C)ことが必要であるため恒星からの距離が程よくないといけない。また、生命を構築する有機物のある環境でないと生命が誕生しない。これを踏まえた生命の存在可能性の目安を生存可能指標という。
太陽系外惑星には生命の存在する可能性があるが1961年、ドレイクは人類が接触する可能性のある地球外文明の数を算出する式を導き出した。これをドレイクの方程式という。この式は以下のように表される。
N = R ∗ × f p × n e × f l × f i × f c × L {\displaystyle N=R_{*}\times f_{p}\times n_{e}\times f_{l}\times f_{i}\times f_{c}\times L}
で表される。このときR*は生まれる恒星の年間平均数、fpは恒星が惑星を持つ確率、neは1つの恒星で生命存在の可能性がある惑星の平均数、flは生命存在可能性のある惑星での生命が実際に存在する確率、fcは生命が通信を行う確率、Lは生命が通信を行ったとしてそれが続く期間である。 | [
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| Main Page > 自然科学 > 天文学 > 恒星 > 太陽系外惑星 太陽系外惑星は太陽系以外にある惑星である。地球に似たものも見つかっており、生命がいる可能性もある。系外惑星と略す場合もある。恒星とその太陽系外惑星を含む集まりは惑星系という。 | {{Pathnav|Main Page|自然科学|天文学|恒星}}
{{Wikipedia}}
[[ファイル:Artist’s impression of Proxima Centauri b shown hypothetically as an arid rocky super-earth.jpg|thumb|right|250px|太陽系に最も近い系外惑星であるプロキシマ・ケンタウリb想像図。]]
'''太陽系外惑星'''は太陽系以外にある惑星である。地球に似たものも見つかっており、生命がいる可能性もある。'''系外惑星'''と略す場合もある。恒星とその太陽系外惑星を含む集まりは'''惑星系'''という。
== 発見 ==
太陽系外惑星は1995年に初めて発見された。最近になって発見されたということはつまり発見するのが難しいということである。
=== 発見方法 ===
太陽系外惑星の発見方法には主に2つある。
'''視線速度法'''は恒星が動いた際のドップラー効果をとらえ、惑星の存在を確認する方法である。'''ドップラー分光法'''ともいう。太陽はほとんど動かないが実は木星や土星と引力の相互作用を引き起こしているため少しは動いている。これは太陽系以外でも起こりうるため、太陽系外の恒星と太陽系外惑星でもこの現象が起こっていると考えられる。特に太陽系外惑星が大きい惑星系では恒星の動きが観測できるため惑星の存在を知ることができる。
'''トランジット法'''は恒星の減光現象により惑星の存在を確認する方法である。太陽と月が同じ方向にあるとき、月が太陽の前を通る日食という現象が起こるため太陽は暗くなるはずである。これを太陽系外の恒星と惑星で例えれば惑星の存在は確認できる。この方法を使うと減光の割合により恒星と惑星の大きさの比が求められるため、半径を知ることができる。
この他にも多くの発見方法がある。
== ホット・ジュピター ==
[[ファイル:HD189733b.jpg|thumb|right|250px|ホット・ジュピターの想像図。]]
'''ホット・ジュピター'''は恒星からの距離が地球と太陽の距離の半分以下しかないのに木星のような質量をもつ天体のことである。視線速度法で容易に見つけることができる。密度は土星よりも小さいことがある。自転と公転が同期している<ref>自転と公転の周期に関しては[[ガリレオ衛星#イオ]]を参照。</ref>ため、潮汐ロックが起こっている。
== ハビタブルゾーン ==
[[ファイル:TRAPPIST-1d Artist's Impression.png|thumb|right|250px|居住可能性のあるTRAPPIST-1dの想像図。]]
太陽系外惑星のうち、地球と似た自然環境で生命の存在が可能とされる領域を'''ハビタブルゾーン'''という。
ハビタブルゾーンの前提条件として、水が液体として存在できる(表面温度が0℃から100℃)ことが必要であるため恒星からの距離が程よくないといけない。また、生命を構築する有機物のある環境でないと生命が誕生しない。これを踏まえた生命の存在可能性の目安を'''生存可能指標'''という。
== ドレイク方程式 ==
太陽系外惑星には生命の存在する可能性があるが1961年、ドレイクは人類が接触する可能性のある地球外文明の数を算出する式を導き出した。これを'''ドレイクの方程式'''という。この式は以下のように表される。
<math>N = R_* \times f_p \times n_e \times f_l \times f_i \times f_c \times L</math>
で表される。このときR<sub>*</sub>は生まれる恒星の年間平均数、f<sub>p</sub>は恒星が惑星を持つ確率、n<sub>e</sub>は1つの恒星で生命存在の可能性がある惑星の平均数、f<sub>l</sub>は生命存在可能性のある惑星での生命が実際に存在する確率、f<sub>c</sub>は生命が通信を行う確率、Lは生命が通信を行ったとしてそれが続く期間である。
== 脚注 ==
{{reflist}}
{{デフォルトソート:たいようけいかいわくせい}}
[[Category:恒星]] | null | 2019-12-03T09:11:23Z | [
"テンプレート:Wikipedia",
"テンプレート:Reflist"
]
| https://ja.wikibooks.org/wiki/%E5%A4%AA%E9%99%BD%E7%B3%BB%E5%A4%96%E6%83%91%E6%98%9F |
26,633 | 中学校書写 | 中学校書写では、行書が始まります。 要点を押さえつつ、行書の発祥や楷書との違いを押さえておくと、行書の書き方や面白さが分かると思いますので、自らでも調べてみて下さい。
楷書(かいしょ)は、普段私たちが使う字のことです。 硬筆などで扱われ、小学校での書写で教わった書き方です。 一方、行書は以下に述べるように、いかにも人間の書く自然に見える字です。 小学校との大きな違いは、個性を表現して、ルールがなく伸びやかにかけるところです。
行書(ぎょうしょ)が中学校から始まるわけですが、「行書」と聞くと難しそうだなぁというイメージがあるかもしれません。 しかし、ルールや決まりの多い楷書に比べれば簡単です。 中国の後漢時代にできましたが、筆を使えることができたら誰でもかける字体となっています。
行書では、一筆書きのような滑らかな字を書くことができ、特にこれといった決まりがありません。 したがって、どこを繋げるかなど、自分で工夫することができ、人によって個性が現れます。 街などに行くとよく看板などで見る(例:飲食店や古道具売りなど)文字ですが、とても読みやすいというメリットがあります。 手紙やメッセージなどに使うことによって、自然体の柔らかい印象を持たすことができます。 行書は生活にてとても重宝されている字体なのです。
先程述べたように、これといった書き方はありません。しかし、綺麗に見える文字の形や書き方というのは自然と出てくるものです。 道具は、筆を柔らかくほぐしたものが最適です。 「崩そう」という意識を持たず、筆の流れを意識して書くと効率的に行書に味を持たせることができます。 書く姿勢も大事です。 体の重心を中央に持ってきて、背中をピンと伸ばす。(これは小学校で習ったものかもしれません。)書道の基本を押さえつつ自分の書きたい文字を書いたら上手く行きます。
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"text": "行書では、一筆書きのような滑らかな字を書くことができ、特にこれといった決まりがありません。 したがって、どこを繋げるかなど、自分で工夫することができ、人によって個性が現れます。 街などに行くとよく看板などで見る(例:飲食店や古道具売りなど)文字ですが、とても読みやすいというメリットがあります。 手紙やメッセージなどに使うことによって、自然体の柔らかい印象を持たすことができます。 行書は生活にてとても重宝されている字体なのです。",
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| 中学校書写では、行書が始まります。
要点を押さえつつ、行書の発祥や楷書との違いを押さえておくと、行書の書き方や面白さが分かると思いますので、自らでも調べてみて下さい。 | {{Pathnav|メインページ|小学校・中学校・高等学校の学習|中学校書写|frame=1|hide=1}}
中学校書写では、行書が始まります。
要点を押さえつつ、行書の発祥や楷書との違いを押さえておくと、行書の書き方や面白さが分かると思いますので、自らでも調べてみて下さい。
== 楷書との違い ==
[[w:楷書|楷書(かいしょ)]]は、普段私たちが使う字のことです。
硬筆などで扱われ、小学校での書写で教わった書き方です。
一方、行書は以下に述べるように、いかにも人間の書く自然に見える字です。
<br>
小学校との大きな違いは、個性を表現して、ルールがなく伸びやかにかけるところです。
== 行書 ==
[[w:行書|行書(ぎょうしょ)]]が中学校から始まるわけですが、「行書」と聞くと難しそうだなぁというイメージがあるかもしれません。<br>
しかし、ルールや決まりの多い楷書に比べれば簡単です。
<br>
中国の後漢時代にできましたが、筆を使えることができたら誰でもかける字体となっています。
===行書のメリット===
行書では、[[w:一筆書き|一筆書き]]のような滑らかな字を書くことができ、特にこれといった決まりがありません。
したがって、どこを繋げるかなど、自分で工夫することができ、人によって個性が現れます。<br>
街などに行くとよく看板などで見る(例:飲食店や古道具売りなど)文字ですが、とても読みやすいというメリットがあります。<br>
手紙やメッセージなどに使うことによって、自然体の柔らかい印象を持たすことができます。
行書は生活にてとても重宝されている字体なのです。
== 書き方 ==
先程述べたように、これといった書き方はありません。しかし、綺麗に見える文字の形や書き方というのは自然と出てくるものです。<br>
道具は、筆を柔らかくほぐしたものが最適です。
「崩そう」という意識を持たず、筆の流れを意識して書くと効率的に行書に味を持たせることができます。<br>
書く姿勢も大事です。
体の重心を中央に持ってきて、背中をピンと伸ばす。(これは小学校で習ったものかもしれません。)書道の基本を押さえつつ自分の書きたい文字を書いたら上手く行きます。
==関連項目==
* [[中学校国語]] | 2019-12-03T13:16:27Z | 2024-01-26T11:53:45Z | [
"テンプレート:Pathnav"
]
| https://ja.wikibooks.org/wiki/%E4%B8%AD%E5%AD%A6%E6%A0%A1%E6%9B%B8%E5%86%99 |
26,643 | ラテン文学の作家と著作/作家名の参考文献 | 以下に、作家の記事の参考にした文献を挙げる。
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"title": "そのほかの参考文献"
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]
| null | == 主要な参考文献 ==
以下に、作家の記事の参考にした文献を挙げる。
===集英社世界文学事典 (2002)===
*{{Cite book |和書 |title='''集英社 世界文学事典'''|ref=集英社世界文学事典}}
*: (『世界文学事典』編集委員会 編、[[w:集英社|集英社]]、2002年2月、<nowiki>ISBN 4-08-143007-1</nowiki>)
===集英社世界文学大事典 (1996-97)===
*{{Cite book |和書 |title='''集英社 世界文学大事典'''|ref=集英社世界文学大事典}}
*: (『世界文学大事典』編集委員会 編、[[w:集英社|集英社]]、全6巻)
*# 第1巻 人名 ア~クリメ (1996年10月、<nowiki>ISBN 4-08-143001-2</nowiki>)
*# 第2巻 人名 クリヤ~チ (1997年1月、<nowiki>ISBN 4-08-143002-0</nowiki>)
*# 第3巻 人名 ツ~ヘメ (1997年4月、<nowiki>ISBN 4-08-143003-9</nowiki>)
*# 第4巻 人名 ヘヤ~ン (1997年7月、<nowiki>ISBN 4-08-143004-7</nowiki>)
===新潮世界文学辞典 (1990)===
*{{Cite book |和書 |title='''増補改訂 新潮世界文学辞典'''|ref=新潮世界文学辞典}}
*: (新潮社辞典編集部 編、[[w:新潮社|新潮社]]、1990年4月、<nowiki>ISBN 4-10-730209-1</nowiki>)
===岩波ケンブリッジ世界人名辞典 (1997)===
*{{Cite book |和書 |title='''岩波=ケンブリッジ世界人名辞典'''|ref=岩波ケンブリッジ世界人名辞典}}
*: (デイヴィド・クリスタル 編集、金子雄司・富山太佳夫 日本語版編集主幹、[[w:岩波書店|岩波書店]]、1997年11月、<nowiki>ISBN 4-00-080088-4</nowiki>)
*:(原著は The Cambridge Biographical Encyclopedia, edited by David Crystal, Cambridge University Press, New York, 1994, <nowiki>ISBN 0-521-63099-1</nowiki>;<br>なお、原著は1998年に第2版が刊行されている。)
===岩波西洋人名辞典 (1981)===
*{{Cite book |和書 |title='''岩波 西洋人名辞典 増補版'''|ref=岩波西洋人名辞典}}
*: (岩波書店編集部 編、[[w:岩波書店|岩波書店]]、1956年 初版、1981年12月 増補版)
===古代ローマ人名事典 (1994)===
*{{Cite book |和書 |title='''古代ローマ人名事典'''|ref=古代ローマ人名事典}}
*: (ダイアナ・バウダー編、小田謙爾・兼利琢也・荻原英二・長谷川岳男 訳、[[w:原書房|原書房]]、1994年7月、<nowiki>ISBN 4-562-02605-7</nowiki>)
*:(原著は Who was who in the Roman World, edited by Diana Bowder, Phaidon Press Ltd., Oxford, 1980)
===グリマル ラテン文学史 (1966)===
*{{Cite book |和書 |title='''ラテン文学史'''|ref=ラテン文学史}}
*: (ピエール・グリマル著、藤井昇・松原秀一 共訳、[[w:白水社|白水社]]([[w:文庫クセジュ|文庫クセジュ]] 407)、1966年12月初版、<nowiki>ISBN 4-560-05407-X</nowiki>)
*:(原著は Pierre GRIMAL : La littérature latine, Presses Universitaires de France ([[w:fr:Que sais-je ?|Collection QUE SAIS-JE ?]] 327), 1965, <nowiki>ISBN 2-13-037406-9</nowiki>)
<!--
*:( 編、[[w:|]]、年月、<nowiki>ISBN ---</nowiki>)
*:( 編、[[w:|]]、年月、<nowiki>ISBN ---</nowiki>)
*{{Cite book |和書 |author= |title='''''' |publisher=[[w:|]] |date=2007-1|isbn=978-4---|ref= }}
-->
=== 文献ごとの作家掲載 ===
{| class="wikitable sortable"
|-
!
!
!集英社<br><span style="font-size:8pt;">世界文学<br>事典</span>
!集英社<br><span style="font-size:8pt;">世界文学<br>大事典</span>
!新潮<br><span style="font-size:8pt;">世界文学<br>辞典</span>
!<span style="font-size:8pt;">岩波<br>ケンブリッジ<br>世界人名辞典</span>
!岩波<br><span style="font-size:8pt;">西洋人名<br>辞典</span>
!<span style="font-size:8pt;">バウダー<br>古代ローマ<br>人名事典</span>
!<span style="font-size:8pt;">グリマル<br>ラテン文学史</span>
|- align="center" style="font-size:9pt;"
|
|
|<!--集英-->2002
|<!--集大-->1996-97
|<!--新潮-->1990
|<!--岩ケ-->1994 (1997)
|<!--岩波-->1981
|<!--ロマ-->1980 (1994)
|<!--ラ文-->1965 (1966)
|-
![[ラテン文学の作家と著作/黄金期/リキニウス・マケル|リキニウス・マケル]]
|Licinius
|<!--集英--> ×
|<!--集大--> ○
|<!--新潮--> ×
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|<!--岩波--> ○
|<!--ロマ--> ○
|<!--ラ文--> ×
|-
![[ラテン文学の作家と著作/黄金期/ホルテーンシウス|ホルテーンシウス]]
|Hortensius
|<!--集英--> ×
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|<!--ラ文--> ○
|-
![[ラテン文学の作家と著作/黄金期/アッティクス|アッティクス]]
|Atticus
|<!--集英--> ×
|<!--集大--> ○
|<!--新潮--> ○
|<!--岩ケ--> ○
|<!--岩波--> ○
|<!--ロマ--> ○
|<!--ラ文--> ○
|-
![[ラテン文学の作家と著作/黄金期/カルウス|カルウス]]
|Calvus
|<!--集英--> ×
|<!--集大--> ×
|<!--新潮--> ×
|<!--岩ケ--> ×
|<!--岩波--> ○
|<!--ロマ--> ○
|<!--ラ文--> ×
|-
!
|
|<!--集英-->
|<!--集大-->
|<!--新潮-->
|<!--岩ケ-->
|<!--岩波-->
|<!--ロマ-->
|<!--ラ文-->
|}
== ギリシア・ローマ全般の参考文献 ==
===Hazel:Who's Who in the Roman World (2002)===
*{{Cite book |洋書 |title='''Who's Who in the Roman World'''|ref=Hazel:Who's Who in the Roman World}}
*:(by John Hazel, [[w:en:Routledge|Routledge]], 2001, 2002, <nowiki>ISBN 0-415-29162-3</nowiki>;<br>著者ジョン・ヘイゼルはイギリスの西洋古典学研究者。発行所[[w:ラウトレッジ|ラウトレッジ]]は、イギリスの大手学術出版社。2001年初版、2002年第2版)
===西洋古典学事典 (2010)===
*{{Cite book |和書 |title='''西洋古典学事典'''|ref=西洋古典学事典}}
*: (松原國師 著、[[w:京都大学学術出版会|京都大学学術出版会]]、2010年6月、<nowiki>ISBN 978-4-87698-925-6</nowiki>)
===物語古代ギリシア・ローマ人物地名事典 (2008)===
*{{Cite book |和書 |title='''物語 古代ギリシア・ローマ人物地名事典'''|ref=物語古代ギリシア・ローマ人物地名事典}}
*: (足達正 編著、[[w:彩流社|彩流社]]、2008年11月、<nowiki>ISBN 978-4-7791-1396-3</nowiki>)
===ギリシア・ローマ古典文学参照事典 (1971)===
*{{Cite book |和書 |title='''ギリシア・ローマ古典文学参照事典'''|ref=ギリシア・ローマ古典文学参照事典}}
*: (アウグスチン・シュタウプ 著、中央出版社、1971年3月、書籍コード3098-200507-4627)
<!--
*{{Cite book |和書 |title=''' '''|ref= }}
*:( 編著、[[w:|]]、年月、<nowiki>ISBN 978-4---</nowiki>)
-->
== そのほかの参考文献 ==
===キケロ (グリマル1994)===
*{{Cite book |和書 |title='''キケロ'''|ref=キケロ}}
*:(ピエール・グリマル 著、高田康成 訳、[[w:白水社|白水社]]([[w:文庫クセジュ|文庫クセジュ]] 758)、1994年9月、<nowiki>ISBN 978-4-560-05758-2 (ISBN4-560-05758-3)</nowiki>)
<!--
*{{Cite book |和書 |title=''' '''|ref= }}
*:( 編著、[[w:|]]、年月、<nowiki>ISBN 978-4---</nowiki>)
-->
== 脚 注 ==
<references />
== 関連項目 ==
*[[ラテン語学習モジュール]]
**'''[[ラテン語の時代区分]]'''
**'''[[ラテン文学]]'''
***'''[[ラテン文学/ローマ文学の年表|/ローマ文学の年表]]'''
== 外部リンク ==
[[Category:ラテン文学の作家と著作|作家]]
[[Category:ラテン語学習モジュール|文学]] | null | 2020-08-16T11:51:26Z | [
"テンプレート:Cite book"
]
| https://ja.wikibooks.org/wiki/%E3%83%A9%E3%83%86%E3%83%B3%E6%96%87%E5%AD%A6%E3%81%AE%E4%BD%9C%E5%AE%B6%E3%81%A8%E8%91%97%E4%BD%9C/%E4%BD%9C%E5%AE%B6%E5%90%8D%E3%81%AE%E5%8F%82%E8%80%83%E6%96%87%E7%8C%AE |
26,644 | ラテン文学の作家と著作/黄金期/アッティクス | ティトゥス・ポンポーニウス・アッティクス(Titus Pomponius Atticus:前110/109-32)は、ローマ共和制期の富豪・文芸愛好家・作家。#キケローの親友としてよく知られる。
騎士身分の富裕な家に生まれ、キケローとは幼少期から生涯にわたって親交があった。前80年代にローマの内乱状態を避けてイタリアを去り、ギリシアのアッティカ地方のアテーナイに移住して、エピクロス哲学を学ぶなどして、前88-65年まで20年以上も滞在した。スッラによる追放処分を免れ、彼自身は閥族派寄りでありながらも、すべての有力者と親しくして、内乱時代を生き抜いた。アッティカ(アテーナイ)に永くいたため、アッティクス(Atticus)という添え名(コグノーメン)で呼ばれるようになった。
前65年ごろにローマに帰ったが、その後は政治家や公職を志すこともなく、父や叔父から相続した多額の遺産をもとに購入したギリシアのエペイロス地方の広大な所領において、エピクロス主義的な快楽主義に徹した別荘生活を送った。しかし、蓄財や商売に携わり、金融業や出版業を営んで富を築いた。出版業では、大勢の筆写専門の奴隷を使って書物を筆写させ、親交のあったキケローの著作の出版にも尽力した。ギリシアの学芸にも造詣が深く、自らの邸宅で文芸サロンを主宰した。
キケローが前68年~前44年に彼に宛てた426通の手紙を、アッティクス自身がすべて公開し、これは『アッティクス宛書簡集』(Epistulae ad Atticum)として知られる。だが、アッティクスがキケローに宛てた手紙は失われた。キケローの『大カトー(老年について)』(Cato maior de senectute)や『ラエリウス(友情について)』(Laelius de amicitia)は、文通の友であるアッティクスに献呈された作品であり、冒頭に彼宛の「献辞」が述べられている。
伝記作家#コルネリウス・ネポースとも親交があり、彼の有名な『著名な人物たちについて』はアッティクスの依頼により書かれた伝記である。ネポースはアッティクスの伝記も残している。
アッティクス自身の著作は、ローマの氏族の系譜についての論考や、キケローの執政官時代を記した書、肖像集などがあり、それらはほぼ散逸した。ただし、ローマ史に年代的な枠組みを与え、ローマの政治史や文学史を扱った『年代記』(Liber annalis)1巻のみが伝存する。ローマに伝わる互いに異なる伝承を秩序づけようと試み、ローマの各氏族や家系の起源を探り当てようとし、年代記の正確な年次を定めることにも努めている。
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| ティトゥス・ポンポーニウス・アッティクスは、ローマ共和制期の富豪・文芸愛好家・作家。#キケローの親友としてよく知られる。 騎士身分の富裕な家に生まれ、キケローとは幼少期から生涯にわたって親交があった。前80年代にローマの内乱状態を避けてイタリアを去り、ギリシアのアッティカ地方のアテーナイに移住して、エピクロス哲学を学ぶなどして、前88-65年まで20年以上も滞在した。スッラによる追放処分を免れ、彼自身は閥族派寄りでありながらも、すべての有力者と親しくして、内乱時代を生き抜いた。アッティカ(アテーナイ)に永くいたため、アッティクス(Atticus)という添え名(コグノーメン)で呼ばれるようになった。 前65年ごろにローマに帰ったが、その後は政治家や公職を志すこともなく、父や叔父から相続した多額の遺産をもとに購入したギリシアのエペイロス地方の広大な所領において、エピクロス主義的な快楽主義に徹した別荘生活を送った。しかし、蓄財や商売に携わり、金融業や出版業を営んで富を築いた。出版業では、大勢の筆写専門の奴隷を使って書物を筆写させ、親交のあったキケローの著作の出版にも尽力した。ギリシアの学芸にも造詣が深く、自らの邸宅で文芸サロンを主宰した。 キケローが前68年~前44年に彼に宛てた426通の手紙を、アッティクス自身がすべて公開し、これは『アッティクス宛書簡集』として知られる。だが、アッティクスがキケローに宛てた手紙は失われた。キケローの『大カトー(老年について)』や『ラエリウス(友情について)』は、文通の友であるアッティクスに献呈された作品であり、冒頭に彼宛の「献辞」が述べられている。 伝記作家#コルネリウス・ネポースとも親交があり、彼の有名な『著名な人物たちについて』はアッティクスの依頼により書かれた伝記である。ネポースはアッティクスの伝記も残している。 アッティクス自身の著作は、ローマの氏族の系譜についての論考や、キケローの執政官時代を記した書、肖像集などがあり、それらはほぼ散逸した。ただし、ローマ史に年代的な枠組みを与え、ローマの政治史や文学史を扱った『年代記』1巻のみが伝存する。ローマに伝わる互いに異なる伝承を秩序づけようと試み、ローマの各氏族や家系の起源を探り当てようとし、年代記の正確な年次を定めることにも努めている。 | __notoc__
{| class="wikitable"
|-
| style="height:5em; width:50em; background-color:#ffffcc;" |
<div style="font-family:Times New Roman;font-style:normal;font-size:30pt;color:#990033;text-align:center;">T・POMPONIVS・ATTICVS</div>
|}
'''ティトゥス・ポンポーニウス・アッティクス'''([[w:la:Titus Pomponius Atticus|Titus Pomponius Atticus]]:前110/109<ref>文献によって生年が前110年または前109年となっている。ユリウス暦以前の年月をキリスト紀元に正確に換算するのは難しい。</ref>-32)は、ローマ共和制期の富豪・文芸愛好家・作家。[[ラテン文学の作家と著作/黄金期#キケロー|#キケロー]]の親友としてよく知られる。
[[ラテン文学の作家と著作/関連事項解説#エクィテース|騎士]]身分の富裕な家に生まれ、キケローとは幼少期から生涯にわたって親交があった。前80年代にローマの内乱状態を避けてイタリアを去り、ギリシアのアッティカ地方の[[w:アテナイ|アテーナイ]]に移住して、[[w:エピクロス主義|エピクロス哲学]]を学ぶなどして、前88-65年まで20年以上も滞在した。[[w:ルキウス・コルネリウス・スッラ|スッラ]]による追放処分を免れ、彼自身は閥族派寄りでありながらも、すべての有力者と親しくして、内乱時代を生き抜いた。アッティカ(アテーナイ)に永くいたため、'''アッティクス'''(Atticus)<ref>[[:w:en:Atticus|Atticus]] といラテン語は、「アッティカ人」または「アテーナイ人」という意味を持つ。</ref>という添え名(コグノーメン)で呼ばれるようになった。
前65年ごろにローマに帰ったが、その後は政治家や公職を志すこともなく、父や叔父から相続した多額の遺産をもとに購入したギリシアの[[w:イピロス|エペイロス]]地方の広大な所領において、エピクロス主義的な快楽主義に徹した別荘生活を送った。しかし、蓄財や商売に携わり、金融業や出版業を営んで富を築いた。出版業では、大勢の筆写専門の奴隷を使って書物を筆写させ、親交のあったキケローの著作の出版にも尽力した。ギリシアの学芸にも造詣が深く、自らの邸宅で文芸サロンを主宰した。
;キケローとの交流
キケローが前68年~前44年に彼に宛てた426通の手紙を、アッティクス自身がすべて公開し、これは『'''アッティクス宛書簡集'''』([[w:la:Epistulae ad Atticum|Epistulae ad Atticum]])として知られる。だが、アッティクスがキケローに宛てた手紙は失われた。キケローの『'''大カトー(老年について)'''』([[w:la:Cato maior de senectute|Cato maior de senectute]])や『'''ラエリウス(友情について)'''』([[w:la:Laelius de amicitia|Laelius de amicitia]])は、文通の友であるアッティクスに献呈された作品であり、冒頭に彼宛の「献辞」が述べられている。
;コルネリウス・ネポースとの交流
伝記作家[[ラテン文学の作家と著作/黄金期#コルネリウス・ネポース|#コルネリウス・ネポース]]とも親交があり、彼の有名な『'''著名な人物たちについて'''』はアッティクスの依頼により書かれた伝記である。ネポースはアッティクスの伝記も残している。
;アッティクスの著作や業績
アッティクス自身の著作は、ローマの氏族の系譜についての論考や、キケローの執政官時代を記した書、肖像集などがあり、それらはほぼ散逸した。ただし、ローマ史に年代的な枠組みを与え、ローマの政治史や文学史を扱った『'''年代記'''』(Liber annalis)1巻のみが伝存する。ローマに伝わる互いに異なる伝承を秩序づけようと試み、ローマの各氏族や家系の起源を探り当てようとし、年代記の正確な年次を定めることにも努めている。
== 脚 注 ==
<references />
== 参考文献 ==
*'''[[ラテン文学の作家と著作/作家名の参考文献#西洋古典学事典|西洋古典学事典(2010)]]'''の「ポンポーニウス・アッティクス、ティトゥス」
*'''[[ラテン文学の作家と著作/作家名の参考文献#集英社世界文学大事典|集英社世界文学大事典(1996)]]'''の「アッティクス」(山沢孝至)
*'''[[ラテン文学の作家と著作/作家名の参考文献#新潮世界文学辞典|新潮世界文学辞典(1990)]]'''の「アッティクス」(沓掛良彦)
*[[ラテン文学の作家と著作/作家名の参考文献#岩波西洋人名辞典|岩波西洋人名辞典(1981)]]の「アッティクス」
*[[ラテン文学の作家と著作/作家名の参考文献#古代ローマ人名事典|古代ローマ人名事典(1994)]]の「アッティクス」
*[[ラテン文学の作家と著作/作家名の参考文献#ラテン文学史|ラテン文学史(1966)]]のp.64-65等
== 関連図書 ==
*『老年について』キケロー著、中務哲郎訳、岩波書店(岩波文庫)
*『友情について』キケロー著、中務哲郎訳、岩波書店(岩波文庫)
== 関連記事 ==
{{wikipedia|ティトゥス・ポンポニウス・アッティクス|ティトゥス・ポンポニウス・アッティクス}}
{{Wikisource|fr:Vies des grands capitaines/Pomponius Atticus|ネポースの『アッティクス伝』仏訳}}
*[[:w:en:Titus Pomponius Atticus]]
*[[:w:fr:Atticus]]
*[[:w:la:Titus Pomponius Atticus]]
== 関連項目 ==
*[[ラテン語学習モジュール]]
**'''[[ラテン語の時代区分]]'''
**'''[[ラテン文学]]'''
***'''[[ラテン文学/ローマ文学の年表|/ローマ文学の年表]]'''
== 外部リンク ==
[[Category:ラテン文学の作家と著作|A]]
[[Category:ラテン文学黄金期|作家]]
[[Category:ラテン語学習モジュール|作家]] | null | 2020-01-29T12:16:36Z | [
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"テンプレート:Wikisource"
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26,645 | 小学校英語/5学年 | 英語で使う文字のアルファベットには、大文字 と 小文字があり、それぞれ26字ずつあります。ひとつの大文字に、ひとつの小文字が対応し、対応する文字どうしは同じ名前で呼ばれます。
| [
{
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"text": "英語で使う文字のアルファベットには、大文字 と 小文字があり、それぞれ26字ずつあります。ひとつの大文字に、ひとつの小文字が対応し、対応する文字どうしは同じ名前で呼ばれます。",
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"title": "アルファベットをおぼえよう"
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]
| null | == アルファベットをおぼえよう ==
英語で使う文字のアルファベットには、{{Ruby|大文字|おおもじ}} と {{Ruby|小文字|こもじ}}があり、それぞれ26字ずつあります。ひとつの大文字に、ひとつの小文字が対応し、対応する文字どうしは同じ名前で呼ばれます。
{| border="1" cellpadding="5" style="margin-left: auto; margin-right: auto;"
|- style="text-align: center;"
|+'''アルファベット alphabet'''
|- style="text-align: center;"
| rowspan="2" | <small>大文字 小文字</small>
|width="40" style="font-size:18px;"|A a||width="40" style="font-size:18px;"|B b
|width="40" style="font-size:18px;"|C c||width="40" style="font-size:18px;"|D d
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|width="40" style="font-size:18px;"|G g||width="40" style="font-size:18px;"|H h
|width="40" style="font-size:18px;"|I i||width="40" style="font-size:18px;"|J j
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|- style="text-align: center;"
|width="40" style="font-size:18px;"|N n||width="40" style="font-size:18px;"|O o
|width="40" style="font-size:18px;"|P p||width="40" style="font-size:18px;"|Q q
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|width="40" style="font-size:18px;"|Z z
|}
* 実際に書くときの例
[[File:English alphabet writing.svg|thumb|700px|left|英語のアルファベットの書きかた]]
== いろいろな単語 ==
# スポーツ
*baseball-野球
*softball-ソフトボール
*basketball-バスケットボール
*volleyball-バレーボール
*dodgeball-ドッチボール
*soccer-サッカー
*tennis-テニス
*table tennis-卓球
[[カテゴリ:英語]] | null | 2022-11-24T16:57:50Z | [
"テンプレート:Ruby"
]
| https://ja.wikibooks.org/wiki/%E5%B0%8F%E5%AD%A6%E6%A0%A1%E8%8B%B1%E8%AA%9E/5%E5%AD%A6%E5%B9%B4 |
26,647 | 機械語 | 機械語は、コンピュータが直接実行できるプログラムの形式であり、通常は2進数で表されます。コンピュータのプロセッサは、機械語プログラムの命令を一つずつ読み込み、解釈して実行します。機械語は、高水準のプログラム言語(例えばC言語など)と比較すると、非常に低レベルの言語であり、直接ハードウェアに対するアクセスが可能です。
機械語は、一般的にアセンブリ言語という人間が理解しやすい形式に変換されます。アセンブリ言語は、機械語と1対1に対応する命令を持つため、プログラマにとっては理解しやすいものになっています。
機械語は、コンピュータのプロセッサが理解できる唯一のプログラム形式であるため、コンピュータの動作を理解する上で非常に重要な概念です。また、機械語を直接書くことで、コンピュータの性能を最大限に引き出すことができます。
このコードは32bitARMプロセッサをターゲットとしたもので、すべての命令が32ビット長なのでアセンブラーの初学者向きです。 また、ARMアーキテクチャは多くのスマートフォンやタブレットで採用されていたり、組込み用途での採用も多いので最も普及しているコンピュータ・アーキテクチャの1つです。
ARMプロセッサはThumbと呼ばれるコード効率の向上を意図した16ビット長のThumb命令モードを持っています。
ARMアーキテクチャーは、ARMv8-Aから64ビットモードアーキテクチャーAArch64を採用してます。 AArch64は、32本の64ビットレジスター(うち1本はスタックポインター兼ゼロレジスタ、1本は戻り番地を保持するリンクレジスタ)を持ち、Xnnレジスターは64ビットレジスターのnn本目、WnnはXnnレジスターの下位32ビットです。
wzrはゼロレジスターを32bitで参照しています、spはスタックポインターでアドレス演算の文脈と左辺値の文脈ではスタックポインター、右辺値の場合はゼロレジスターになりレジスタインデックス(31番)を共有しています。 aarch64 では32bitARMと違って全ての命令に条件フラッグ参照が着くわけではないので、どちらかというと Thumb に似ていますが最小命令サイズは32bitです。
amd64(X86-64とも)の命令は最小単位は1バイトで、バイト数あたりの操作が多いのが特徴です。 逆アッセンブルされたコードを読む限り不便は感じませんが、ハンドディスアッセンブルする場合は1バイトずれるとまるで違った意味になるのが厄介で、プロセッサーの中でも数命令先の命令を読み込み実行効率を上げる為に命令の切れ目を探すことが性能向上のボトルネックになっています(ARMなら次の命令は4バイト先と決まっているので深い先読みが相対的に容易)。
amd64は、x86のアーキテクチャーを拡張する形で命令セットを設計しているので、両者は似通っていますが相応の差異があります。
機械語に関する用語集
| [
{
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"text": "機械語は、コンピュータが直接実行できるプログラムの形式であり、通常は2進数で表されます。コンピュータのプロセッサは、機械語プログラムの命令を一つずつ読み込み、解釈して実行します。機械語は、高水準のプログラム言語(例えばC言語など)と比較すると、非常に低レベルの言語であり、直接ハードウェアに対するアクセスが可能です。",
"title": "概要"
},
{
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"text": "機械語は、一般的にアセンブリ言語という人間が理解しやすい形式に変換されます。アセンブリ言語は、機械語と1対1に対応する命令を持つため、プログラマにとっては理解しやすいものになっています。",
"title": "概要"
},
{
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"text": "機械語は、コンピュータのプロセッサが理解できる唯一のプログラム形式であるため、コンピュータの動作を理解する上で非常に重要な概念です。また、機械語を直接書くことで、コンピュータの性能を最大限に引き出すことができます。",
"title": "概要"
},
{
"paragraph_id": 3,
"tag": "p",
"text": "このコードは32bitARMプロセッサをターゲットとしたもので、すべての命令が32ビット長なのでアセンブラーの初学者向きです。 また、ARMアーキテクチャは多くのスマートフォンやタブレットで採用されていたり、組込み用途での採用も多いので最も普及しているコンピュータ・アーキテクチャの1つです。",
"title": "ソースコードからどんな機械語が生成されるか"
},
{
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"text": "ARMプロセッサはThumbと呼ばれるコード効率の向上を意図した16ビット長のThumb命令モードを持っています。",
"title": "ソースコードからどんな機械語が生成されるか"
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"text": "ARMアーキテクチャーは、ARMv8-Aから64ビットモードアーキテクチャーAArch64を採用してます。 AArch64は、32本の64ビットレジスター(うち1本はスタックポインター兼ゼロレジスタ、1本は戻り番地を保持するリンクレジスタ)を持ち、Xnnレジスターは64ビットレジスターのnn本目、WnnはXnnレジスターの下位32ビットです。",
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{
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"text": "wzrはゼロレジスターを32bitで参照しています、spはスタックポインターでアドレス演算の文脈と左辺値の文脈ではスタックポインター、右辺値の場合はゼロレジスターになりレジスタインデックス(31番)を共有しています。 aarch64 では32bitARMと違って全ての命令に条件フラッグ参照が着くわけではないので、どちらかというと Thumb に似ていますが最小命令サイズは32bitです。",
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"text": "amd64(X86-64とも)の命令は最小単位は1バイトで、バイト数あたりの操作が多いのが特徴です。 逆アッセンブルされたコードを読む限り不便は感じませんが、ハンドディスアッセンブルする場合は1バイトずれるとまるで違った意味になるのが厄介で、プロセッサーの中でも数命令先の命令を読み込み実行効率を上げる為に命令の切れ目を探すことが性能向上のボトルネックになっています(ARMなら次の命令は4バイト先と決まっているので深い先読みが相対的に容易)。",
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"text": "amd64は、x86のアーキテクチャーを拡張する形で命令セットを設計しているので、両者は似通っていますが相応の差異があります。",
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"text": "機械語に関する用語集",
"title": "用語集"
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"title": "用語集"
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| null | {{Wikipedia}}
== 概要 ==
機械語は、コンピュータが直接実行できるプログラムの形式であり、通常は2進数で表されます。コンピュータのプロセッサは、機械語プログラムの命令を一つずつ読み込み、解釈して実行します。機械語は、高水準のプログラム言語(例えばC言語など)と比較すると、非常に低レベルの言語であり、直接ハードウェアに対するアクセスが可能です。
機械語は、一般的にアセンブリ言語という人間が理解しやすい形式に変換されます。アセンブリ言語は、機械語と1対1に対応する命令を持つため、プログラマにとっては理解しやすいものになっています。
機械語は、コンピュータのプロセッサが理解できる唯一のプログラム形式であるため、コンピュータの動作を理解する上で非常に重要な概念です。また、機械語を直接書くことで、コンピュータの性能を最大限に引き出すことができます。
== ソースコードからどんな機械語が生成されるか ==
;フィボナッチ数を返す関数(C言語):<syntaxhighlight lang=c line>
int fibo(int n) {
if (n == 0 || n == 1)
return n;
return fibo(n-1) + fibo(n-2);
}
</syntaxhighlight>
=== 32bitARMプロセッサーの例 ===
;コンパイラーによって生成されたコード:<syntaxhighlight lang=c-objdump highlight=16 line>
fibo.o: file format elf32-littlearm
Disassembly of section .text:
00000000 <fibo>:
int fibo(int n) {
0: e92d4830 push {r4, r5, fp, lr}
4: e28db008 add fp, sp, #8
if (n == 0 || n == 1)
8: e3500002 cmp r0, #2
c: e1a04000 mov r4, r0
return n;
return fibo(n-1) + fibo(n-2);
}
10: 31a00004 movcc r0, r4
14: 38bd4830 popcc {r4, r5, fp, lr}
18: 312fff1e bxcc lr
return fibo(n-1) + fibo(n-2);
1c: e2440001 sub r0, r4, #1
20: ebfffffe bl 0 <fibo>
24: e1a05000 mov r5, r0
28: e2440002 sub r0, r4, #2
2c: ebfffffe bl 0 <fibo>
30: e0800005 add r0, r0, r5
}
34: e8bd4830 pop {r4, r5, fp, lr}
38: e12fff1e bx lr
</syntaxhighlight>
このコードは[[W:ARMアーキテクチャ#32ビットARM|32bitARMプロセッサ]]をターゲットとしたもので、すべての命令が32ビット長なのでアセンブラーの初学者向きです。
また、ARMアーキテクチャは多くのスマートフォンやタブレットで採用されていたり、組込み用途での採用も多いので最も普及しているコンピュータ・アーキテクチャの1つです。
:<syntaxhighlight lang=c-objdump start=16 line>
10: 31a00004 movcc r0, r4
</syntaxhighlight>
:<code>10:</code>がアドレス、<code>31a00004</code>が機械語命令の16進数表現です。
:'''movcc''' は Move on キャリークリアーで、キャリーフラッグ(桁上りがあった時にセットされる)かセットされたときだけ r4レジスターの値を r0レジスターに代入します<ref>ARMアーキテクチャでは、多くの命令でキャリーなどのコンディションコードによって実行する・しないを制御できるのが大きな特徴で、他のアーキテクチャではジャンプ命令以外でコンディションコードによって実行する・しないを制御できるのは稀です(他にはIA-64がプレディケート可能です)。</ref>
==== Thumb命令の例 ====
ARMプロセッサはThumbと呼ばれるコード効率の向上を意図した16ビット長の[[W:ARMアーキテクチャ#Thumb|Thumb命令モード]]を持っています。
;コンパイラーによって生成されたコード:<syntaxhighlight lang=c-objdump highlight=21 line>
fibo.o: file format elf32-littlearm
Disassembly of section .text:
00000000 <fibo>:
int fibo(int n) {
0: b5b0 push {r4, r5, r7, lr}
2: af02 add r7, sp, #8
4: 4604 mov r4, r0
if (n == 0 || n == 1)
6: 2802 cmp r0, #2
8: d201 bcs.n e <fibo+0xe>
return n;
return fibo(n-1) + fibo(n-2);
}
a: 4620 mov r0, r4
c: bdb0 pop {r4, r5, r7, pc}
return fibo(n-1) + fibo(n-2);
e: 1e60 subs r0, r4, #1
10: f7ff fffe bl 0 <fibo>
14: 4605 mov r5, r0
16: 1ea0 subs r0, r4, #2
18: f7ff fffe bl 0 <fibo>
1c: 4428 add r0, r5
}
1e: bdb0 pop {r4, r5, r7, pc}
</syntaxhighlight>
:<syntaxhighlight lang=c-objdump start=21 line>
10: f7ff fffe bl 0 <fibo>
</syntaxhighlight>
:'''bl''' は Brunch with link で、次の命令のアドレス(ここで言えば 14:)を lrレジスター(リンクレジスター)に保存し、指定されたアドレス(この場合は <fibo>; 関数自身なので再帰です)にジャンプします。多くのプロセッサーでは '''call''' と呼ばれスタックに次の命令のアドレスを積んだ後に関数やサプルーチンにジャンプしますが、ARMでは lr が戻り番地を保存される目的に使われ、リーフプロシージャー(それ自身は関数やサブルーチンを呼び出さないプロシージャー)の効率を向上させています。
:Thumb命令は概ね命令長は16ビットで、長いオペランドが必要な命令(この場合は bl)だけが追加のオペランドを持ちます。
=== 64bitARMプロセッサーの例 ===
ARMアーキテクチャーは、ARMv8-Aから64ビットモードアーキテクチャーAArch64を採用してます。
AArch64は、32本の64ビットレジスター(うち1本はスタックポインター兼ゼロレジスタ、1本は戻り番地を保持するリンクレジスタ)を持ち、Xnnレジスターは64ビットレジスターのnn本目、WnnはXnnレジスターの下位32ビットです。
;コンパイラーによって生成されたコード:<syntaxhighlight lang=c-objdump highlight=16 line>
fibo.o: file format elf64-littleaarch64
Disassembly of section .text:
0000000000000000 <fibo>:
int fibo(int n) {
0: a9be7bfd stp x29, x30, [sp, #-32]!
4: a9014ff4 stp x20, x19, [sp, #16]
8: 910003fd mov x29, sp
c: 2a1f03f3 mov w19, wzr
if (n == 0 || n == 1)
10: 71000814 subs w20, w0, #0x2
14: 540000e3 b.cc 30 <fibo+0x30> // b.lo, b.ul, b.last
return n;
return fibo(n-1) + fibo(n-2);
18: 51000400 sub w0, w0, #0x1
1c: 94000000 bl 0 <fibo>
20: 2a0003e8 mov w8, w0
24: 2a1403e0 mov w0, w20
28: 0b130113 add w19, w8, w19
2c: 17fffff9 b 10 <fibo+0x10>
}
30: 0b130000 add w0, w0, w19
34: a9414ff4 ldp x20, x19, [sp, #16]
38: a8c27bfd ldp x29, x30, [sp], #32
3c: d65f03c0 ret
</syntaxhighlight>
wzrはゼロレジスターを32bitで参照しています、spはスタックポインターでアドレス演算の文脈と左辺値の文脈ではスタックポインター、右辺値の場合はゼロレジスターになりレジスタインデックス(31番)を共有しています。
aarch64 では32bitARMと違って全ての命令に条件フラッグ参照が着くわけではないので、どちらかというと Thumb に似ていますが最小命令サイズは32bitです。
=== amd64プロセッサーの例 ===
;同じコードをamd64向けにコンパイル:<syntaxhighlight lang=c-objdump highlight=20 line>
fibo.o: file format elf64-x86-64-freebsd
Disassembly of section .text:
0000000000000000 <fibo>:
int fibo(int n) {
0: 55 push %rbp
1: 48 89 e5 mov %rsp,%rbp
4: 41 56 push %r14
6: 53 push %rbx
7: 89 fb mov %edi,%ebx
9: 45 31 f6 xor %r14d,%r14d
if (n == 0 || n == 1)
c: 83 ff 02 cmp $0x2,%edi
f: 72 16 jb 27 <fibo+0x27>
11: 45 31 f6 xor %r14d,%r14d
return n;
return fibo(n-1) + fibo(n-2);
14: 8d 7b ff lea -0x1(%rbx),%edi
17: e8 00 00 00 00 call 1c <fibo+0x1c>
1c: 83 c3 fe add $0xfffffffe,%ebx
1f: 41 01 c6 add %eax,%r14d
if (n == 0 || n == 1)
22: 83 fb 01 cmp $0x1,%ebx
25: 77 ed ja 14 <fibo+0x14>
return fibo(n-1) + fibo(n-2);
27: 41 01 de add %ebx,%r14d
}
2a: 44 89 f0 mov %r14d,%eax
2d: 5b pop %rbx
2e: 41 5e pop %r14
30: 5d pop %rbp
31: c3 ret
</syntaxhighlight>
amd64(X86-64とも)の命令は最小単位は1バイトで、バイト数あたりの操作が多いのが特徴です。
逆アッセンブルされたコードを読む限り不便は感じませんが、ハンドディスアッセンブルする場合は1バイトずれるとまるで違った意味になるのが厄介で、プロセッサーの中でも数命令先の命令を読み込み実行効率を上げる為に命令の切れ目を探すことが性能向上のボトルネックになっています(ARMなら次の命令は4バイト先と決まっているので深い先読みが相対的に容易)。
:<syntaxhighlight lang=c-objdump start=20 line>
14: 8d 7b ff lea -0x1(%rbx),%edi
</syntaxhighlight>
:<code>14:</code>がアドレス、<code>8d 7b ff</code>が機械語命令の16進数表現です。
:'''lea'''は Load effective address で、通常は <code>-0x1(%rbx)</code>は rbx レジスタの値から1引いたアドレスの値へのアクセスを表しますが、LEA ではその時にアドレスバスに出る値(Effective address)を第二オペランド(この場合は edi レジスタ)にセットします。内部的にはアドレス計算器を数値演算に転用しています。
:またコードにはARMにはあった再帰のコードがなくループに置き換えられています。
==== x86(32ビット)のコード ====
;x86(32ビット)のコード:<syntaxhighlight lang=c-objdump line>
fibo.o: file format elf32-i386-freebsd
Disassembly of section .text:
00000000 <fibo>:
int fibo(int n) {
0: 55 push %ebp
1: 89 e5 mov %esp,%ebp
3: 57 push %edi
4: 56 push %esi
5: 8b 7d 08 mov 0x8(%ebp),%edi
8: 31 f6 xor %esi,%esi
if (n == 0 || n == 1)
a: 83 ff 02 cmp $0x2,%edi
d: 72 18 jb 27 <fibo+0x27>
f: 31 f6 xor %esi,%esi
return n;
return fibo(n-1) + fibo(n-2);
11: 8d 47 ff lea -0x1(%edi),%eax
14: 50 push %eax
15: e8 fc ff ff ff call 16 <fibo+0x16>
1a: 83 c4 04 add $0x4,%esp
1d: 83 c7 fe add $0xfffffffe,%edi
20: 01 c6 add %eax,%esi
if (n == 0 || n == 1)
22: 83 ff 01 cmp $0x1,%edi
25: 77 ea ja 11 <fibo+0x11>
return fibo(n-1) + fibo(n-2);
27: 01 fe add %edi,%esi
}
29: 89 f0 mov %esi,%eax
2b: 5e pop %esi
2c: 5f pop %edi
2d: 5d pop %ebp
2e: c3 ret
</syntaxhighlight>
amd64は、x86のアーキテクチャーを拡張する形で命令セットを設計しているので、両者は似通っていますが相応の差異があります。
;amd64:<syntaxhighlight lang=c-objdump>
1: 48 89 e5 mov %rsp,%rbp
</syntaxhighlight>
;x86:<syntaxhighlight lang=c-objdump>
1: 89 e5 mov %esp,%ebp
</syntaxhighlight>
:amd64では RSPレジスターの内容をRBPレジスタにコピーしており 48 が前置され3バイト。
:x86では ESPレジスターの内容をEBPレジスタにコピーしており 48 がなく、2バイトです。
:RSPとRBPは64ビットレジスター、ESPとEBPは32ビットのレジスターです。
:48はREXプリフィックスの一種で、「REX.w=オペランドサイズを64ビットにする。」を意味します。
:x86/amd64はこの様なプリフィックスがいくつもあり、1つの命令にいくつもプリフィックスを前置する場合まであります。
== まとめ ==
* 異なるプロセッサーでは、同じ高級言語のコードが全く違う機械語命令列にコンパイルされる。
* 同じプロセッサーでも命令モードによって、同じ高級言語のコードが全く違う機械語命令列にコンパイルされる。
* 再帰などのプログラム構造もコンパイラーによって(意味解析され)等価のより速度的に(あるいはメモリーフットプリント的に)優れたコードに置き換えられる(事がある)。
{{コラム|機械語 = バイナリーデータ?|
機械語はバイナリーデータですが、全てのバイナリーデータが機械語ではありません。
例えば、画像データや映像データはバイナリーデータですが機械語ではありません。
実行ファイルもバイナリーデータですが、オペレーションシステムが「どの様に配置するのか?」「どの位置から実行するのか?」あるいは「初期化済みのデータ領域の値」など機械語以外の付帯的な情報(一般にヘッダーと呼ばれます)を重層的に持っているので、機械語を含んでいますが機械語そのものではありません。
機械語は、アセンブラのニーモニックに一対一で対応するコードと理解するとわかりやすいと思います。
}}
== 用語集 ==
機械語に関する用語集
* オペコード(Opcode) - 機械語命令の操作コード。特定の動作を実行するための識別子。
* オペランド(Operand) - オペコードによって指定された操作対象。演算の対象となる数値やアドレス。
* レジスタ(Register) - CPU内にある高速なメモリ領域で、演算に使用されるデータやアドレスを格納するために使用される。
* フラグ(Flag) - CPUの状態を示すビットで、演算の結果を表す。フラグは、CPU内部で条件分岐を行うために使用される。
* メモリアドレス(Memory Address) - メモリ内の特定の場所を示す番号。機械語のオペランドとして使用されることが多い。
* メモリマップドI/O(Memory-mapped I/O) - I/Oデバイスを制御するために、メモリアドレスを使用する方法。
* ファイルI/O(File I/O) - ディスクやネットワーク上のファイルを操作するために使用される命令。
* 命令ポインタ(Instruction Pointer) - CPUが次に実行する機械語命令のアドレスを示すレジスタ。
* サブルーチン(Subroutine) - 他の部分から呼び出される、独立した機械語のブロック。
* スタック(Stack) - プログラム内で一時的なデータを格納するためのメモリ領域。
* エンディアン(Endian) - データの並び順を示す方法。リトルエンディアンは、最下位バイトから順にデータを配置する方式。ビッグエンディアンは、最上位バイトから順にデータを配置する方式。
* マシンサイクル(Machine Cycle) - CPUが一つの命令を実行するために必要なサイクル数。
* 命令セット(Instruction Set) - 特定のCPUが実行できる機械語命令の集合。
* アセンブラ(Assembler) - アセンブリ言語を機械語に変換するプログラム。
* リンカ(Linker) - 複数のオブジェクトファイルを結合して、実行可能なプログラムを生成するプログラム。
* デバッガ(Debugger) - プログラムの実行中に、機械語命令やレジスタの値を監視し、プログラムの動作を解析するツール。
* トレース(Trace) - プログラムの実行中に、実行された命令やメモリアクセスなどの履歴を保存すること。
* ブレークポイント(Breakpoint) - プログラムの実行中に、特定の命令の実行を一時停止し、デバッグのために命令の内容やレジスタの値を確認するために使用されるポイント。
* クロスコンパイラ(Cross-compiler) - 特定のCPU向けに、異なるプラットフォームでコンパイルするためのコンパイラ。
* リバースエンジニアリング(Reverse Engineering) - プログラムやハードウェアの動作を解析して、仕様や設計図を作成するプロセス。
* コンパイル(Compile) - 高水準言語で書かれたプログラムを、機械語に変換するプロセス。
* リンク(Link) - コンパイルされた複数のオブジェクトファイルを、実行可能なプログラムに結合するプロセス。
* アセンブル(Assemble) - アセンブリ言語で書かれたプログラムを、機械語に変換するプロセス。
* ローダ(Loader) - プログラムをメモリに読み込み、実行可能な状態にするプログラム。
* バイトコード(Bytecode) - 実行環境に依存しない、仮想マシン上で実行される機械語。
* オーバーフロー(Overflow) - データ型の最大値を超える演算が行われた場合に発生する、予期しない結果のこと。
* セグメンテーション違反(Segmentation Fault) - プログラムがメモリの範囲外をアクセスしようとした場合に発生するエラー。
* プロセス(Process) - プログラムの実行中に割り当てられる、メモリやレジスタ、実行状態などのリソースの集合。
* マルチプロセッシング(Multiprocessing) - 複数のプロセッサを使用して、プログラムを並列に処理する方式。
== 脚註 ==
<references/>
[[Category:機械語|*]]
[[Category:プログラミング言語]] | 2019-12-04T16:27:31Z | 2024-03-03T11:05:40Z | [
"テンプレート:Wikipedia",
"テンプレート:コラム"
]
| https://ja.wikibooks.org/wiki/%E6%A9%9F%E6%A2%B0%E8%AA%9E |
26,659 | Kotlin | メインページ > 工学 > 情報技術 > プログラミング > Kotlin
Kotlinは、JetBrains社によって開発された静的型付けされたオブジェクト指向のプログラミング言語で、Java仮想マシン(JVM)上で動作します。JavaScriptや、LLVMフレームワークを介して多くのプラットフォームで実行可能なコードにもコンパイルできます。 また、Kotlin/Wasmは、Kotlinの新しいコンパイルターゲットであり、WebAssemblyをサポートする環境やデバイス上で実行可能なアプリケーションを作成することができます。これにより、Kotlinの強力な機能と柔軟性を活用して、Webアプリケーションやクライアントサイドのプログラミングにも取り組むことができます。
KotlinはJavaよりも簡潔で型安全性が高く、Scalaよりもシンプルな言語を目指して開発されました。Scalaと比較して、簡略化された結果、コンパイルが高速化され、IDEでの言語サポートも充実しています。また、KotlinはJavaと完全な互換性があり、Java開発者は徐々に導入することができます。特に、KotlinはAndroidにも組み込まれており、既存のAndroidアプリケーションは、アプリケーション全体を書き換えることなくKotlinで新機能を実装することができます。Kotlin FoundationがKotlinTM商標を守っています。
Kotlinは多様なプラットフォームで利用できるモダンで柔軟なプログラミング言語です。
このチュートリアルに取り組む前に、以下の予備知識が役立ちます。
以上の予備知識を持っていると、Kotlinをより効果的に学習し、異なるプラットフォームでの利用に対応することができます。各プラットフォームにおけるKotlinの特徴や最適な利用法を理解することで、幅広い開発環境で柔軟かつ効率的なプログラミングが可能になります。
Kotlinを学ぶ際に他の言語のプログラミング経験がある場合、以下のアドバイスが役立つかもしれません。
総じて、Kotlinは他のプログラミング言語において得た経験を活かしやすい言語です。適応期間は短く、生産性を高めるために積極的に新しい機能や手法を試してみることが重要です。また、公式のドキュメントやサンプルコードを利用して、Kotlinの言語仕様やベストプラクティスに精通することもおすすめです。
プログラミング未経験者がKotlinやプログラミング全般に取り組む際のアドバイスは以下の通りです:
プログラミングは絶え間ない学習が求められる分野です。新しい技術やツールに興味を持ち、継続的に学び続けることでスキルを向上させることができます。
プログラミングはスキルの向上に時間がかかるものですが、継続的な努力と実践を通じて着実に成長していきます。最初は小さなステップから始め、徐々に進んでいくことが大切です。
他の多くのチュートリアルがそうであるように、 私たちもまずはKotlinの世界にあいさつすることから始めましょう。hello.ktというファイルを作り、次のように書いて保存して下さい(Kotlinのソースファイルの拡張子は .kt です)。
それでは、ソースプログラムをコンパイルして実行してみましょう。
これにより、この一行のコードは「mainという関数を宣言し、その中で 'Hello, World!' という文字列をコンソールに表示する」という単純なプログラムを実現しています。Kotlinはこのようにシンプルかつ読みやすい構文を持っており、初学者にも優れた学習言語となっています。
Kotlinのクイックツアーでは、基本的な構文や機能に焦点を当て、簡単なコード例を通じて言語の特徴を理解していきます。
この例では、Kotlin DSLを使用して、特定のドメイン(ここではPersonオブジェクトの構築)に特化した言語拡張を行っています。
これらの例はKotlinの基本を紹介するものであり、より高度な概念や機能も学ぶことができます。
Kotlinは、ターゲットごとに
の3つの実装があり、ツールチェインとしては統合されていますが、使用するコマンドやオプションが異なります。
Kotlin/JVM 環境をインストールする手順は以下の通りです:
以上で、Kotlin/JVM 環境のインストールが完了します。
Kotlin/JVM では、Kotlin のソースファイルからJARファイルをコンパイルします。 Kotlin のソースファイルの拡張子は .kt です。
hello.kt をコンパイルして hello.jar を得るのであれば
生成された hello.jar を実行するには
別のKotlinのソースファイル universe.kt をコンパイル/実行するには hello を filename に読替えて同じ手順を行えばいいのですが、このような単純作業はコンピューターに任せましょう。
ビルド手順の自動化を行うツールに make があります。 make にはいくつかの方言がありますが、BSD-make と GNU-make に共通した構文を紹介します。
コマンドラインでの操作は
この様に、make を使うとファイルのタイムスタンプから必要な処理を判断し実行します。
make と同じくビルドツールに gradle があり、gradle のビルドルールは Kotlin Script で書けるので、Kolin の学習には gradle が適しているとも言えますが、ビルドルールを書くためにKotlinのコードを読み書きする必要があるという「鶏卵問題」に陥るので、より一般的な make を紹介しました。
ここでは、kotlinソースからJARファイルをコンパイルし実行する最小限のルールを書きましたが、機会をみて、make のチュートリアルを書こうと思います。
エラトステネスの篩を、若干 Kotlin らしく書いてみました。
最大公約数と最小公倍数を、若干 Kotlin らしく書いてみました。
それぞれの関数定義は式形式で1行なので拍子抜けですが、概念を簡素にかけていると思います。
二分法を、若干 Kotlin らしく書いてみました。
オーソドックスな複素数型の実装(Kotlinの標準ライブラリーには複素数型が見当たらなかったので)
KotlinとJavaは、どちらもJava Virtual Machine(JVM)上で動作するプログラミング言語です。以下は、KotlinとJavaの主な比較ポイントです。
総合的に見ると、KotlinはJavaよりも簡潔で読みやすく、より現代的な言語機能を備えています。ただし、Javaのライブラリやフレームワークを使用する場合は、Javaを使用することが必要な場合があります。
KotlinとScalaは、どちらもJVM(Java Virtual Machine)上で動作する静的型付け言語であり、それぞれ異なる特徴を持っています。以下に、KotlinとScalaをいくつかの側面で比較してみます。
総合的に見ると、KotlinはJavaからの移行が容易であり、Androidアプリケーションの開発に特に適しています。一方で、Scalaは関数型プログラミングの特徴を生かして複雑なシステムの開発に向いており、高度な拡張性を提供しています。選択する言語は、開発の目的や開発者のスキルセットによって異なることがあります。
KotlinとSwiftは、それぞれAndroidとiOSのアプリ開発で主に使用されるプログラミング言語です。以下に、両言語の類似点と相違点をいくつか挙げてみます。
どちらの言語も優れた特性を持っており、選択はプロジェクトのニーズや開発者の好みによって異なります。
Kotlinでは、関数 mainがエントリーポイントです。
なにもしないプログラムはこの様になります。
パッケージの指定は、ソースファイルの冒頭(shebang!の次)で行ってください。
ディレクトリとパッケージの一致は必須ではなく、ソースファイルはファイルシステム上に任意に配置することができます。
Kotlinでは、特定のパッケージやクラスを明示的にインポートすることなく、いくつかのデフォルトのインポートが提供されています。これにより、コードをより簡潔にし、冗長性を減少させることができます。以下は、デフォルトでインポートされる主要なパッケージです。
また、ターゲットプラットフォームに応じて、追加のデフォルトインポートが行われます。
上記のパッケージは、明示的にインポートすることなく既にインポートされています。
このようなデフォルトのインポートにより、開発者は冗長なコードを書かずに済み、効率的にKotlinの機能を利用することができます。
以下は、デフォルトでインポートされる主要なパッケージの概要を表形式でまとめたものです。
また、ターゲットプラットフォームによっては、追加のデフォルトインポートが行われます。
これらのデフォルトインポートは、通常のKotlinプロジェクトで基本的な操作や機能を利用するための便利な手段となります。
デフォルトインポートとは別に、各ファイルは独自の import ディレクティブを含むことができます。
単一の名前でインポートすることができます。
または、パッケージ、クラス、オブジェクトなどのスコープのすべてのアクセス可能なコンテンツをインポートすることができます。
名前の衝突がある場合、as キーワードを使用して、衝突するエンティティの名前をローカルに変更することで、曖昧さをなくすことができます。
import キーワードは、クラスのインポートに限定されません。他の宣言をインポートするためにも使用することができます。
トップレベル宣言が private とマークされている場合、その宣言が行われたファイルに対してプライベートとなります。
いかなる関数スコープにも属さないオブジェクトのことを、トップレベルオブジェクト( top level object )と言います。
Kotlinには、行末で終わるコメントと、複数行に渡ることと、入れ子にすることができるコメントがあります。
Kotlinでは、任意のインスタンスに対してプロパティーを参照したりメンバー関数を呼出すことができるという意味で、すべてのインスタンスがクラスに属しています。 いくつかの型は特別な内部表現を持つことができます。例えば、数字、文字、ブール値は実行時にプリミティブ値として表現できますが、ユーザーからは参照されるときに自動的にボックス化されるので普通のクラスのインスタンスのように見えます。 これらの型は基本的にJavaのプリミティブに一対一に対応しますが、Stringだけはjava.lang.Stringクラスに対応しています。 基本型は Package kotlin で定義されています。
Kotlinの論理型は Boolean で
の2つの値以外は取りえません。
JVMでは、この型の非Nullable値は、プリミティブ型のbooleanの値として表現されます。 論理型と数値型は可換ではないので、制御構造の条件式などでもゼロとの比較を行う必要があります。
Kotlinの数値型は、整数型と浮動小数点数型に分かれています。 これらの型は、抽象クラスである Number クラスから派生しており、具象クラスとして利用されます。
なお、文字型は数値型と可換ではありません。
Kotlinの整数型には、符号付き整数型と符号なし整数型があります。 符号なし整数型の名前は、対応する符号付き整数型の名前の先頭に U を補ったものになります。以下が主な整数型です:
Kotlinの浮動小数点数型には、以下の2つがあります:
これらの数値型は、数学的な演算や精密な計算に利用され、Kotlin言語において数値処理をサポートする基本的な要素となっています。
Charクラスは文字を表すクラスです。'a' のようなKotlinプログラム内の文字リテラルはすべてこのクラスのインスタンスとして実装されています。 Charは、16ビットのUnicode文字を表します。これは、Charがすべての文字をユニコード文字を表すことが出来ない事をしめしています。
Kotlinは、Javaの文字エンコーディングシステムを引継いだので、Charの収まらない文字の問題に限らずUnicodeを内部エンコーディングに使っていることに起因する厄介ごとと付き合い続ければなりません。
Charでは、いくつかの演算子が定義されています。
特殊文字は、エスケープする \(バックスラッシュ)から始まります。以下のエスケープシーケンスに対応しています。
その他の文字をエンコードする場合は、Unicodeエスケープシーケンス構文を使用します。'\uFF00' を使用します。
String クラスは文字列を表すクラスです。"abc" のようなKotlinプログラム内の文字列リテラルはすべてこのクラスのインスタンスとして実装されています。 Kotlinでは、文字列( String )と文字( Char )とは直接の関係はありません(StringはCharの配列ではありません)。
Stringでは、加算演算子を連結として定義されています。
加算演算子( + )は、文字列( this )と与えられた他のオブジェクトの文字列表現を連結して得られる文字列を返します。
既に紹介したように、Stringクラスのリテラルは "(ダブルクオーテーション)で括った文字列です。
Stringリテラルには変数や式を埋込むことが出来ます。 このように、変数や式が埋込まれたStringリテラルのことをテンプレートリテラルといいます。
生文字列( Raw strings )は、改行や任意のテキストを含むことができます。トリプルクォート(”””; triple quote )で区切られ、エスケープを含まず、改行や他の任意の文字を含むことができます。
Kotlinで配列型は Array で、main() の引数でも使われています。
Array(), arrayOf(), arrayOfNulls() や emptyArray() で生成します。
Kotlinには、IntArray、DoubleArray、BooleanArray、CharArrayなどのプリミティブ型を要素とする配列のクラスが用意されています。 これらを総称してプリミティブ型配列( Primitive type arrays )と呼びます。 プリミティブ型配列は、機能的にはArray<T>のTにプリミティブ型を与えたものと変わりありませんが、ボックス化されないので性能向上とフットプリントの削減が期待できます。 このため、プリミティブ型配列はArrayを継承していません。
StringArray はありません。
基本型の他にも幾つかの特別な型があります。 これらは、基本型同様 Package kotlin で定義されています。
AnyはKotlinのクラス階層のルートです。すべてのKotlinクラスはAnyをスーパークラスとして持っています。 クラス定義で継承元を指定しないと Any が暗黙の継承元になります。 また、Anyクラスのオブジェクトは、あらゆるオブジェクトを代入できます。
Unitは、何も返さない関数の戻値の型です。JVMでは、Javaのvoid型に相当します。
は
と等価です。
Nothingはインスタンスを持ちません。例えば、ある関数の戻り値がNothingであれば、それは決して戻らない(常に例外を投げる)ことを意味します。
KotlinのNULL安全性(Null safety)とNullableに関して、以下のポイントが重要です。
KotlinのNull安全性とNullable型は、プログラミングにおける安全性と信頼性を向上させるための重要な機能です。これらの機能を適切に理解し、利用することで、Nullによるエラーを最小限に抑えることができます。
Javaを含む多くのプログラミング言語における最も一般的な落とし穴の1つは、Null参照のメンバーにアクセスするとNull参照例外が発生することです。Javaでは、これはNullPointerException、略してNPEと呼ばれるものに相当します。
KotlinでNPEが発生する原因として考えられるのは、以下の通りです。
Kotlinの型システムでは、nullを保持できる参照(Null可能参照; nullable references )とそうでない参照(非Null参照; non-null references )を区別しています。例えば、String型の通常の変数はnullを保持できません。
nullを許容するには、String?と書いて変数をnull可能な文字列として宣言します。
さて、aのメンバー関数を呼び出したり、プロパティーにアクセスしたりしても、NPEが発生しないことが保証されています。
しかし、bのメンバー関数を呼び出したり、プロパティーにアクセスしたりすると、それは安全ではなく、コンパイラはエラーを報告します。
それでもそのプロパティにアクセスする必要がありますよね?そのためには、いくつかの方法があります。
まず、bがnullかどうかを明示的にチェックし、2つの選択肢を別々に処理することができます。
コンパイラーは実行したチェックの情報を記録し、ifの内部でlengthの呼出しを可能にする。より複雑な条件もサポートされています。
註:b が immutable な場合 (つまり、チェックから使用までの間に変更されないローカル変数か、 バッキングフィールドを持つオーバーライド不可のメンバー変数) にのみ有効です。
Not-Null断定演算子(!!)で任意の値をnullでない型に変換し、値がnullの場合は例外をスローします。b!!と書くと、bの非null値(例えばこの例ではString)を返し、bがnullの場合はNPEを投げます。
このように、NPEを発生させたい場合は、明示的に要求する必要があり、突然発生することはありません。
?. 演算子は、null安全性を保証しつつ、str 変数がnullでない場合に length プロパティにアクセスします。str がnullの場合、length には null が代入されます。
このように、?. 演算子はnull値を安全に処理するために使用されます。例えば、Javaの場合、nullチェックを行わないとNullPointerExceptionが発生しますが、Kotlinでは ?. 演算子を使用することで、nullに対する操作を安全に行うことができます。
変数の名前のような名前を識別子( identifiers )と呼びます。 変数ほかに、関数、クラス、クラスのメンバー、クラスのメンバー関数、enum、ラベルなどの名前も識別子です。
Kotlinでは、変数は使う前にかならず宣言する必要があります。
いままでの例で既に型推論( type inference ) は使われています。 変数を宣言するときに、特に型を明示しませんでしたが、初期化式の型から変数の型を特定していたのです。
初期化式は省略可能です。 その場合は変数の型がわからないので型アノテーション( type annotation )が必要になります。
シャドーイング( Shadowing )とは、スコープ内の2つの宣言が同じ名前になり、より内側の識別子が外側の識別子を隠すことです。
多くのシャドーイングは無害ですが...
オブジェクトを複数の変数に分解して初期化する宣言する方法があり、分解宣言( Destructuring declarations )と呼ばれます。
Kotlinでは、演算子はメソッド形式の別名を持ちます。 例えば、a + b は a.plus(b) とも書けます。 この plus メンバー関数を再定義すると、演算子オーバーロードができます。
演算子は、もちろん加算だけではありません。
Kotlinは、if と when の2つの分岐構文を持ち、両方とも値を返す式です。
if式は、条件式に基づき分岐し、分岐先の式を評価します。 if式の値は、分岐先の式の値です(C言語系の三項演算子に相当する働きをします)。 if式の値を右辺値化した場合、else節は必須です。
if や while の条件式は
でなければいけません。
when式を使って条件分岐をすることができます。 when 式は、when に与えられた式(境界値)に最初にマッチするパターンに結びついた値を返すパターンマッチングです。 式が省略されると、パターンの条件が最初に真になるパターンに結びついた値を返します。
whenは式なので以下のように書換えることができます。
区切子 -> を使った構文の左辺の条件には、以下のようなバリエーションがあります。
when 文は、多くの条件分岐をシンプルに表現するための強力な構造です。境界値が省略された場合、true が境界値とみなされます。
when 文を使うことで、このような条件分岐をより簡潔に表現できます。
境界値を省略した例として、以下のコードを見てみましょう。
このコードでは、when 文が x の値に基づいて文字列を返します。境界値が省略されているため、条件が true のブロックが実行されます。
when 文を使用してループから脱出する例もあります。以下は、when 文を使って特定の条件でループを脱出する例です。
このコードでは、when 文を使用して number が3の場合にループから脱出します。
enum クラスを使った when 文の例も挙げてみましょう。
このコードでは、enum クラス Day を使用して、曜日に応じた活動を選択しています。when 文が enum の各ケースを処理し、対応する活動が選択されます。
Kotlinには、while・do-while と for の3つの繰返し構文があります。これらは文で、値を返すことはできません。
whileは、条件式が true の間、式を評価しつづけます。
do-whileは、条件式が true の間、式を評価しつづけるという意味では、whileと同じですが、条件式がループの最後にある、つまり条件が成立しなくても1周はループが回ることが異なります。
Kotlinのforはw:foreach文タイプのループ構文で、C言語の for(;;) とは異なる構文です。
関数は、キーワード fun を使って定義します。
関数のボディが単一の式からなる場合、{ return 式 } を、= 式と書くことができます。
初見だと驚きますが、関数型プログラミング風の書き方が簡素にできます。 特に、ifやwhenが値を返すことができる式であることが効いてきます。
ボディが単一の式からなる関数定義では、戻値式の型が推論できる場合が多いので、戻値型を省略できる場合があります。
再帰関数の戻値型を省略しようとすると、自分自身が型不明な項になりコンパイルできません。
関数の引数はイミュータブルです。 これは Zig も同じで、新興言語は不用意な書換えによる古参言語で度々アクシデントのもととなった引数の破壊を永久になくしたいようです。
関数には、引数にディフォルト値を設定できます。これにより、呼び出し側は引数を指定しなくても関数を呼び出すことができます。
たとえば、次の関数は、名前と年齢の2つの引数を取ります。名前には「John Doe」というデフォルト値が設定されています。
この関数を呼び出すには、名前を指定するか、デフォルト値を使用できます。
関数の引数にデフォルト値を設定すると、呼び出し側がすべての引数を指定する手間を省くことができます。また、関数の使い方を覚えやすくすることもできます。
次のコードは、関数指向の構文を使用して関数を呼び出す方法を示しています。
このコードは、add 関数を呼び出して、2つの引数 1 と 2 を渡します。add 関数は、これらの引数を受け取った後、それらを加算して結果を返します。関数 main は、結果をコンソールに出力します。
次のコードは、メソッド指向の構文を使用して関数を呼び出す方法を示しています。
このコードは、Person クラスのインスタンスを作成し、name プロパティに John Doe という値、age プロパティに 30 という値を設定します。次に、greet メソッドを呼び出して、インスタンスの名前を出力します。
Kotlin は関数を呼出す時、引数を名前で指定する事ができます。
関数修飾子 infix を使うと、中置表現の関数呼出しを行うことができるようになります。外観は文法を拡張したかのような印象をうけます。
関数スコープは、変数や関数が定義され、利用可能な範囲を指します。Kotlinでは、関数スコープ内で定義された変数や関数はそのスコープ内でのみアクセス可能で、外部のスコープからは見えません。
以下に、関数スコープの基本的な特徴と例を示します。
この例では、main 関数が外部のスコープで、myFunction が関数スコープ内で宣言されています。main 関数内では outerVariable にアクセスでき、myFunction 内では innerVariable と innerFunction にアクセスできます。ただし、逆は成り立ちません。
関数スコープは、変数や関数の可視性を制御し、プログラムの構造を整理する上で重要な役割を果たします。関数ごとにスコープが分離されるため、変数や関数の名前の衝突を防ぎ、コードの保守性を向上させます。
可変長引数( Variable-Length Arguments )は、関数が異なる数の引数を受け入れることを可能にする Kotlin の機能です。これは vararg キーワードとスプレッド演算子( spread operator )を使用して実現されます。
このように、関数を呼び出す際に異なる数の引数を渡すことができます。可変長引数は、同じ型の引数が複数個ある場面で便利です。
スプレッド演算子( Spread Operator )は、リストや配列などの要素を展開して、可変長引数として渡すための演算子です。
この例では、arrayOf で作成した配列の要素をスプレッド演算子 * を使って myVaPrint 関数に渡しています。これにより、配列の各要素が可変長引数として関数に渡されます。
可変長引数とスプレッド演算子の組み合わせにより、異なる数の引数を柔軟に扱うことができ、関数の再利用性を向上させます。
引数あるいは戻値あるいは両方が関数の関数を高階関数()と呼びます。
ラムダ式( lambda expressions )では、波括弧の周囲と、パラメータと本体を分ける矢印の周囲に空白を使用する必要があります。ラムダを1つだけ指定する場合は、可能な限り括弧で囲んでください。
また、ラムダのラベルを指定する場合、ラベルと中括弧の間にスペースを入れてはいけません。
上記のラムダ式構文には、関数の戻値の型を指定する機能がひとつだけ欠けています。ほとんどの場合、戻値の型は自動的に推測されるため、この指定は不要です。しかし、明示的に指定する必要がある場合は、別の構文として無名関数( Anonymous functions )を使用することができます。
ラムダ式や無名関数(ローカル関数やオブジェクト式も同様)は、外部スコープで宣言された変数を含むクロージャー( Closures )にアクセスすることができます。クロージャーに取り込まれた変数は、ラムダ式で変更することができます。
高階関数を使用すると、ある種の実行時ペナルティーが課せられます。各関数はオブジェクトであり、クロージャーを捕捉します。クロージャー( closure )とは、関数本体でアクセス可能な変数のスコープです。メモリー確保(関数オブジェクトとクラスの両方)と仮想呼出しは、実行時オーバーヘッドを発生させます。
しかし、多くの場合、ラムダ式をインライン化することで、この種のオーバーヘッドをなくすことができます。
Kotlin は、特に修飾辞なしに関数を再帰呼び出しできます。
tailrec は、Kotlinのキーワードで、末尾再帰最適化(Tail Recursion Optimization)を実現するために使用されます。末尾再帰最適化は、再帰関数が最後の操作として再帰呼び出しを行う場合に、スタックの消費を減少させる最適化手法です。これにより、スタックオーバーフローを避けることができます。
上記の例では、factorial 関数が末尾再帰関数として宣言されています。再帰呼び出しは末尾で行われており、コンパイラが最適化を行うことが期待されます。
tailrec を使用するためにはいくつかの制約があります。
tailrec を使うと、再帰関数の性能を向上させることができます。ただし、制約を理解し、満たすことが重要です。tailrec が適用される場合、コンパイラはループに変換し、スタックの使用を最小限に抑えます。
Kotlinでは、クラスやインターフェースを継承したり、Decoratorのようなデザインパターンを使わずに、新しい機能を拡張することができます。これは、拡張( extensions )と呼ばれる特別な宣言によって実現されます。
拡張関数( Extension functions )を宣言するには、その名前の前に拡張される型を示すレシーバー型をつけます。以下は、Array<Int>にrotate関数を追加したものです。
拡張関数でもジェネリックス(型パラメーター)が使用可能です。
先の例は、Array<Int>とIntのアレイ専用でしたが、任意の型 T のアレイ Array<T> に拡張関数を拡張してみましょう。
拡張は、一見するとクラスの中に後からメンバー関数を追加しているように見えるかもしれませんが、インスタンス.メソッド(実引数リスト) のパターンに合致する拡張定義があるかを静的に調べ、該当する拡張関数があればそれを呼出すことで実現しています。
このため拡張関数でメンバー関数をオーバーライドすることはできません。
Kotlinは関数型プログラミング言語であると同時に、クラスベースのオブジェクト指向プログラミング言語です。 クラス( class )はオブジェクトの設計図であり、インスタンスはその設計図に基づいて作成されます。
クラスは、キーワード classを使って定義します。
Kotlinのクラスはプライマリーコンストラクターと1つまたは複数のセカンダリーコンストラクターを持つことができます。プライマリーコンストラクターはクラスヘッダの一部で、クラス名とオプションの型パラメターの後に続きます。
メンバー関数は、クラス定義の中で定義された関数です。 メンバー関数の呼出はドット記法で行います。 メンバー関数からは、プライベートなクラスのメンバーにアクセスできます。
オブジェクトは、匿名クラスの定義とインスタンス化を同時に行うものです。
クラスは、明示的に継承元を指定しない場合は Any を継承します。
継承モディファイア( inheritance modifier )には、次のような種類があり、これらのトークンはモディファイア・キーワードです。
抽象クラス( abstract class )は、抽象メンバー関数( abstract method )だけを持つクラスです。 モディファイア・キーワード abstract は、抽象メンバー関数の定義でも使われます。
ファイナルクラス( final class )は、継承を禁止したクラスです。 KotlinのクラスはJavaと異なり、ディフォルトで継承禁止なので、継承禁止を強調する意味しかありません。 モディファイア・キーワード final は、オーバーライド禁止メンバーの宣言でも使われます。
オープンクラス( open class )は、継承を許可したクラスです。 KotlinのクラスはJavaと異なり、ディフォルトで継承禁止なので、継承を行う可能性がある場合は明示的に許可する必要があります。 モディファイア・キーワード open は、メンバー関数のオーバーライド許可でも使われます。
クラスのメンバー関数が、プロパティやメンバー関数を参照するとき、クラスの外の変数や関数との間で曖昧さが生じる事があります。 このようなときには、インスタンスを表すキーワード this を使います。
this はこのほか、2 次コンストラクタから同じクラスの別のコンストラクタを呼出すときにもつかわれます。
クラスモディファイア( class modifier )には、次のような種類があり、これらのトークンはモディファイア・キーワードです。
列挙型クラス( Enum class )は、有限個の識別子の集合を表現するために使用されます。
シールドクラス( Sealed class )は、制限されたクラス階層を表現するために使用されます。
アノテーションクラス( annotation class )は、コードにメタデータを付加するための手段を提供します。
データークラス( Data class )は、データーを保持するためのクラスで、copy() などのメンバー関数がクラスを定義しただけで生えてきます。
インナークラス( Inner class )は、入れ子になった内側になったクラスが外側のクラスのメンバーにアクセスすることを可能にします。
値クラス( Value class )は、イミュータブルなスカラー値の型を定義します。プロポーザル段階では inline class と呼ばれていました。
+ ラッパークラスとして機能し、型安全性やコードの表現力を向上させます。
オブジェクト( object )は、モディファイア・キーワードではありませんが、特殊なクラスの一種なので併せて紹介します。 オブジェクトは一過的な匿名クラスを定義し、そのインスタンスの生成を行います。
各クラスモディファイアは、異なる用途や特性を持っており、柔軟なクラス定義を可能にします。 適切なモディファイアを選択することで、コードの意図を明確に表現し、保守性や可読性を向上させることができます。
クラス、オブジェクト、インターフェース、コンストラクター、関数、およびプロパティとそのセッターは、可視性モディファイア( Visibility modifiers )を持つことができます。ゲッターは常にそのプロパティと同じ可視性を持っています。
可視性モディファイアには、次のような4種類があり、これらのトークンはモディファイア・キーワードです。
デフォルトの可視性はpublicです。
関数、プロパティ、クラス、オブジェクト、およびインタフェースは、パッケージの中で直接「トップレベル」で宣言することができます。
クラス内部で宣言されたメンバー。
protectedまたはinternalメンバーをオーバーライド( override )し、可視性を明示的に指定しない場合、オーバーライドしたメンバーも元のメンバーと同じ可視性を持つことになります。
クラスの一次コンストラクタの可視性を指定するには、次の構文を使用します。
ローカル変数、関数、クラスは可視性モディファイアを持つことができません。
internal 可視性モディファイアは、そのメンバーが同じモジュール内で可視であることを意味します。具体的にモジュールとは、例えば、一緒にコンパイルされたKotlinファイルの集合のことです。
抽象クラス( abstract class )は、抽象メソッド( abstract method )だけを持つクラスであり、直接のインスタンス化ができません。抽象メソッドは本体を持たず、具体的な実装はそのサブクラスに委ねられます。Kotlinでは、abstract キーワードを使用して抽象クラスと抽象メソッドを宣言します。
上記の例では、Shape という抽象クラスがあります。このクラスは抽象メソッド draw を宣言しています。サブクラスである Circle と Rectangle は、それぞれ draw メソッドをオーバーライドして具体的な実装を提供します。
抽象クラスは直接インスタンス化できないため、Shape クラスのインスタンスを作成しようとするとコンパイルエラーが発生します。代わりに、具象サブクラスである Circle や Rectangle のインスタンスを作成して使用します。
抽象クラスは抽象プロパティを持つこともできます。また、抽象クラス自体はコンストラクタを持つことができます。
この例では、Shape クラスはコンストラクタを持ち、name という抽象プロパティを宣言しています。サブクラスである Circle と Rectangle は、コンストラクタで name を渡し、draw メソッドをオーバーライドしています。
抽象クラスは、クラス階層の一部として柔軟で再利用可能なコードを設計する際に役立ちます。
抽象クラスは、以下のようなユースケースやベストプラクティスに適しています。
抽象クラスは、柔軟性と再利用性を向上させるために使われますが、適切に設計される必要があります。必要以上に多くの機能を含めると、過度な依存関係が生まれる可能性があるため、慎重な設計が求められます。
ファイナルクラス(final class)は、Kotlinにおいて継承を禁止したクラスを指します。Kotlinでは、デフォルトでクラスが継承不可(final)となっており、継承可能にするためには明示的にopen修飾子を使用する必要があります。そのため、finalキーワードは主にオーバーライド禁止メンバーの宣言で使用され、クラス自体に適用することは少ないです。
上記の例では、MyFinalClass はファイナルクラスとして宣言されています。このクラスは他のクラスから継承できません。
上記の例では、MyBaseClass の myFinalMethod は final 修飾子が付いており、このメソッドはオーバーライドできません。
上記の例では、Configuration クラスがファイナルクラスとして定義されています。このクラスは他のクラスから継承できないため、設定情報の不正な変更や上書きを防ぐことが期待されます。ApplicationSettings クラスは Configuration を利用してアプリケーションの設定を管理しています。
ファイナルクラスは特定の状況で利用され、継承を禁止してクラスの拡張を制御するために使用されます。
オープンクラス(open class)は、Kotlinにおいて継承を許可したクラスを指します。 Kotlinのクラスはデフォルトで継承不可(final)となっているため、クラスを継承可能にするには明示的にopen修飾子を使用する必要があります。
上記の例では、MyOpenClass はオープンクラスとして宣言されています。このクラスは他のクラスから継承できます。
上記の例では、MyBaseClass の myMethod は open 修飾子が付いており、このメソッドはオーバーライド可能です。
上記の例では、Shape クラスがオープンクラスとして定義されています。Circle と Square クラスが Shape を継承し、draw メソッドをオーバーライドしています。これにより、各図形クラスは自身の特定の描画方法を持つことができます。
オープンクラスは継承を許可し、クラスの拡張やカスタマイズが可能となります。ただし、使用する際には慎重に設計し、必要なメソッドやプロパティに対してのみopen修飾子を使用することが推奨されます。
列挙型クラス( Enum classes )は、キーワード enum を class に前置して定義します。
Swift/オブジェクト指向#列挙型の例を Kotlin 向けにモディファイしました。
シールドクラス(Sealed class)は、制限されたクラス階層を表現するために使用される Kotlin 特有の機能です。シールドクラスは、特定のサブクラスのみを許容し、新しいサブクラスの追加を防ぎます。これにより、特定の型に対するパターンマッチングが容易になります。
上記の例では、Result クラスはシールドクラスとして宣言されています。このクラスには3つのサブクラスがあります:Success、Error、および Loading。Success と Error はデータクラスで、それぞれデータを保持します。Loading はオブジェクトクラスで、データを保持しません。
上記の例では、Result クラスのサブクラスごとに異なる処理を行う processResult 関数があります。when 式を使用して、特定のサブクラスに対するパターンマッチングを行っています。
シールドクラスは、特に固定されたクラス階層を表現する場合や、特定の型に対する安全なパターンマッチングを行う場合に便利です。
アノテーションクラス(annotation class)は、Kotlinにおいてコードにメタデータを付加するための手段を提供します。これにより、コンパイラや実行時の処理で追加の情報を提供することが可能となります。
アノテーションクラスは、@シンボルを使って宣言されます。アノテーションクラスの主な目的は、アノテーションを作成し、それをコードの要素に適用することです。
上記の例では、MyAnnotation というアノテーションクラスが宣言されています。このアノテーションは、name と version というパラメータを持っています。
アノテーションは、クラスや関数、プロパティなど、さまざまな要素に適用できます。
上記の例では、MyClass クラスとその中の myFunction 関数に MyAnnotation が適用されています。これにより、このクラスや関数に対する追加のメタデータが提供されます。
アノテーションをプロセッシングするためには、リフレクションやKotlinのアノテーションプロセッサを使用することがあります。これにより、アノテーションに関連する処理を行うカスタムロジックを実装できます。
上記の例では、AnnotatedElementを受け取り、その要素に MyAnnotation が適用されているかを調べ、情報を取得しています。
アノテーションクラスは、コードにメタデータを追加し、プロセッシングや設定などの目的で使用されます。
データークラス(Data class)は、Kotlinにおいてデータの保持や操作を目的としたクラスで、copy() メソッドなどがクラスを定義するだけで自動的に生成されます。これにより、不変性やイミュータビリティ(immutable)を維持しながら、簡潔で効果的なデータクラスを作成できます。
上記の例では、Person クラスがデータークラスとして宣言されています。コンストラクタで定義されたプロパティ(name と age)に対して、equals()、hashCode()、toString() などの標準メソッドが自動的に生成されます。
上記の例では、equals() メソッドにより person1 と person2 の内容が一致するか比較され、toString() メソッドによりクラスの内容が文字列として表示されます。また、copy() メソッドを使って一部のプロパティを変更した新しいインスタンスを作成しています。
データークラスが生成される主なメソッドは以下の通りです。
データークラスは、イミュータブルでありながら効果的にデータを操作するための便利な手段を提供します。
Kotlinのインターフェース(interface)は、抽象的なメソッドの宣言と、メソッドの実装を含むことができます。インターフェースは、抽象クラスと異なり状態を保持することができません。プロパティを持つ場合、これらは抽象クラスであるか、アクセサーの実装を提供する必要があります。
上記の例では、MyInterface インターフェースが、抽象メソッド doSomething() とデフォルトのメソッド doSomethingElse()、抽象プロパティ property を宣言しています。
上記の例では、MyClass クラスが MyInterface インターフェースを実装しています。doSomething() メソッドと property プロパティをオーバーライドしています。
上記の例では、C クラスが A インターフェースと B インターフェースの両方を実装しています。複数のインターフェースをカンマで区切って指定することができます。
上記の例では、D インターフェースが A インターフェースと B インターフェースを継承しています。これにより、D インターフェースは A と B のメソッドを含むことになります。
Kotlinのインターフェースは、クラスが異なる振る舞いを持つ場合に簡潔で柔軟な解決策を提供します。異なるインターフェースを実装することで、複数の振る舞いを同じクラスで組み合わせることができます。
インナークラス(Inner class)は、入れ子になった内側のクラスが外側のクラスのメンバーにアクセスすることを可能にします。これにより、外側のクラスと強い結びつきを持ちながら、内部で独自の振る舞いやデータを持つクラスを定義できます。
上記の例では、OuterClass という外側のクラスがあり、その中に InnerClass というインナークラスが定義されています。InnerClass は OuterClass のプロパティにアクセスすることができます。
上記の例では、OuterClass のインスタンスを作成し、そのインナークラスである InnerClass のインスタンスを取得しています。そして、InnerClass のメソッドを呼び出して外側のクラスのプロパティにアクセスしています。
インナークラスは、外部クラスとの緊密な連携が必要な場合や、外部クラスのプライベートなメンバーにアクセスする必要がある場合に有用です。
値クラス(data class)は、イミュータブルでスカラーな値の型を定義するための概念です。プロポーザル段階では inline class と呼ばれていました。値クラスは、プリミティブ型のように振る舞い、同時に型安全性を提供します。
上記の例では、Email という値クラスが宣言されています。この値クラスは、イミュータブルであり、value というプロパティを持っています。
上記の例では、異なるインスタンスの Email クラスを作成し、その値が等しいかを比較しています。値クラスでは、プライマリコンストラクタの引数で値が確定し、その値に基づいて等価性が判定されます。
値クラスは、ドメインモデリングや特定のデータ型を表現する際に有用であり、プロジェクト全体でのコードの理解性や保守性を向上させる役割を果たします。
オブジェクト(object)は、モディファイア・キーワードではありませんが、特殊なクラスの一種であり、一過的な匿名クラスを定義し、その唯一のインスタンスを生成します。オブジェクトはシングルトンのような振る舞いを持ち、一般的には特定の目的に使用されます。
上記の例では、Logger という名前のオブジェクトが宣言されています。このオブジェクトはシングルトンであり、log メソッドを持っています。
上記の例では、Logger オブジェクトの唯一のインスタンスにアクセスし、その log メソッドを呼び出しています。オブジェクトは初回のアクセス時に遅延初期化され、以降は同じインスタンスが再利用されます。
オブジェクトは特定のタスクや目的に対して唯一のインスタンスを提供する場合に利用され、例えばロギングや設定の管理などに適しています。
ジェネリックス( Generics )とは、汎用的なクラス・関数やメソッドを特定の型に対応づける機能のことです。
Kotlinのキーワード( Keywords )は
に分類されます。
以下のトークンは、常にキーワードとして解釈され、識別子として使用することはできません。 このようなキーワードをハード・キーワード( Hard keywords )と呼びます。
以下のトークンは、それが適用される文脈( context )ではキーワードとして機能し、他の文脈では識別子として使用することができます。 このようなキーワードをソフト・キーワード( Soft keywords )と呼びます。
アノテーション使用側ターゲット( Annotation use-site target )は、Kotlinにおいてアノテーションが特定の要素に対して適用される位置を指定する構文です。これにより、生成されるJavaバイトコードにおいてアノテーションがどの要素に適用されるかを正確に指定できます。
以下は、一般的なアノテーション使用側ターゲットの指定方法です。
これらの使用側ターゲットを使うことで、アノテーションが生成される場所を明確に指定することができ、柔軟性を保ちつつ、正確な挙動を得ることができます。
以下のトークンは、宣言の修飾語リスト( modifier lists of declarations )のキーワードとして機能し、他のコンテキストでは識別子として使用することができます。 このようなキーワードをモディファイア・キーワード( Modifier keywords )と呼びます。
以下の識別子は,コンパイラーが特定の文脈で定義したもので、他の文脈では通常の識別子として使用することができます。 このような識別子を特殊識別子( Special identifiers )と呼びます。
Kotlinは以下の演算子( Operators )や特殊特殊シンボル( special symbols )をサポートしています。
Kotlin標準ライブラリー( Kotlin Standard Library )は、以下のような機能を提供します。
Kotlin標準ライブラリーはKotlin自身で書かれています。
kotlin.annotation.*
Kotlinには、Arrayから始まり、Iterable, Collection, List, Set, Mapなどのコレクション型が豊富に用意されています。これらは主に kotlin.collections パッケージで提供されており、ディフォルトインポートなので追加のインポートなしで利用できます。
Iterable インターフェースは、Kotlinの標準ライブラリで使用される反復可能なコレクションの基本的なインターフェースです。このインターフェースは、コレクションが要素の反復処理を可能にするために必要な機能を提供します。
以下に、Iterable インターフェースの主な要素と使用法を示します:
Iterable インターフェースは、Kotlinでコレクションを扱う際に非常に重要であり、様々な反復処理操作を可能にします。
Collection インターフェースは、Kotlinの標準ライブラリで提供されるコレクション型の基本インターフェースの一つです。このインターフェースは、複数の要素を保持するデータ構造を表現し、それらの要素に対する基本的な操作を提供します。
以下に、Collection インターフェースの主な特徴と使用法を示します:
Collection インターフェースは、Kotlinのコレクションの基本的な機能を提供し、様々な種類のコレクションがこれを実装しています。これにより、異なる種類のコレクションを一貫して扱うことができます。
Listは、要素数が固定で要素の値を変更できないコレクションです。
上記の例では、ArrayList を使ってListを生成しています。ArrayListは要素の順序が保持され、可変長の動的な配列を表現します。add メソッドを使用して要素を追加することができます。
mutableListOf() を使って MutableList を生成し、add メソッドを使用して要素を追加しています。MutableListは要素の変更が可能なListです。
これらの例から分かるように、Kotlinのコレクションは型安全で、読み取り専用と可変なコレクションの違いが明確になっています。リストの他にも、SetやMapも用意されており、それぞれの特徴に応じて適切なものを選択できます。
kotlin.collections パッケージのコレクションクラスや関連機能は、さまざまなプログラミングシナリオで利用されます。以下は、kotlin.collections の主なユースケースのいくつかです:
以下は、これらのユースケースの簡単な例です:
これらの例は一部の機能を示すものであり、kotlin.collections のコレクションは、さまざまなプログラミングニーズに対応する強力なツールセットを提供します。
kotlin.collections を使用する際のベストプラクティスはいくつかあります。以下にいくつか挙げてみましょう:
これらのベストプラクティスは、コードの品質、パフォーマンス、保守性を向上させるのに役立ちます。使用ケースによって最適なアプローチを選択することが重要です。
kotlin.comparisons.*
kotlin.io.*
kotlin.ranges.*
kotlin.sequences.*
kotlin.text.*
[TODO:Rangeはコレクションではないので再分類が必要]
println((1..5).javaClass.kotlin)の結果が示す通り、範囲リテラル1..5はclass kotlin.ranges.IntRangeです。 コレクションは、Ranges以外にも、Sequences・Ranges・Lists・Arrays・Sets・Mapsなどがあります。これは網羅していませんし、上記の forプロトコルに従ったクラスを作れば、ユーザー定義のコレクションも作成できます。
Kotlinの標準ライブラリーにあるrepeat関数は、定数回の繰返しが必要な時に便利です。
repeat関数もそうですが、Kotlinにはブロックを受取る関数(やメソッド)があります。
このように、ブロックを取るメソッドを使うとコレクションに関する操作を簡素に書けます。
Kotlinは、言語レベルでコルーチンをサポートし、機能の大部分をライブラリに委ねることで、この問題を柔軟に解決しています。
Kotlin Script では、.jar を生成せず、そのままコードが実行されます。 また、main 関数をエントリーポイントはぜず、スクリプトの書かれた順に評価します。
ビルドツールの Gradle では、従来は Groovy がビルド構成ファイルに使われていましたが、Kotlin Script への移行が進んでいます。 | [
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"text": "メインページ > 工学 > 情報技術 > プログラミング > Kotlin",
"title": ""
},
{
"paragraph_id": 1,
"tag": "p",
"text": "Kotlinは、JetBrains社によって開発された静的型付けされたオブジェクト指向のプログラミング言語で、Java仮想マシン(JVM)上で動作します。JavaScriptや、LLVMフレームワークを介して多くのプラットフォームで実行可能なコードにもコンパイルできます。 また、Kotlin/Wasmは、Kotlinの新しいコンパイルターゲットであり、WebAssemblyをサポートする環境やデバイス上で実行可能なアプリケーションを作成することができます。これにより、Kotlinの強力な機能と柔軟性を活用して、Webアプリケーションやクライアントサイドのプログラミングにも取り組むことができます。",
"title": ""
},
{
"paragraph_id": 2,
"tag": "p",
"text": "KotlinはJavaよりも簡潔で型安全性が高く、Scalaよりもシンプルな言語を目指して開発されました。Scalaと比較して、簡略化された結果、コンパイルが高速化され、IDEでの言語サポートも充実しています。また、KotlinはJavaと完全な互換性があり、Java開発者は徐々に導入することができます。特に、KotlinはAndroidにも組み込まれており、既存のAndroidアプリケーションは、アプリケーション全体を書き換えることなくKotlinで新機能を実装することができます。Kotlin FoundationがKotlinTM商標を守っています。",
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"text": "",
"title": ""
},
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"paragraph_id": 4,
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"text": "Kotlinは多様なプラットフォームで利用できるモダンで柔軟なプログラミング言語です。",
"title": "はじめに"
},
{
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"text": "このチュートリアルに取り組む前に、以下の予備知識が役立ちます。",
"title": "はじめに"
},
{
"paragraph_id": 6,
"tag": "p",
"text": "以上の予備知識を持っていると、Kotlinをより効果的に学習し、異なるプラットフォームでの利用に対応することができます。各プラットフォームにおけるKotlinの特徴や最適な利用法を理解することで、幅広い開発環境で柔軟かつ効率的なプログラミングが可能になります。",
"title": "はじめに"
},
{
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"text": "Kotlinを学ぶ際に他の言語のプログラミング経験がある場合、以下のアドバイスが役立つかもしれません。",
"title": "はじめに"
},
{
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"text": "総じて、Kotlinは他のプログラミング言語において得た経験を活かしやすい言語です。適応期間は短く、生産性を高めるために積極的に新しい機能や手法を試してみることが重要です。また、公式のドキュメントやサンプルコードを利用して、Kotlinの言語仕様やベストプラクティスに精通することもおすすめです。",
"title": "はじめに"
},
{
"paragraph_id": 9,
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"text": "プログラミング未経験者がKotlinやプログラミング全般に取り組む際のアドバイスは以下の通りです:",
"title": "はじめに"
},
{
"paragraph_id": 10,
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"text": "プログラミングは絶え間ない学習が求められる分野です。新しい技術やツールに興味を持ち、継続的に学び続けることでスキルを向上させることができます。",
"title": "はじめに"
},
{
"paragraph_id": 11,
"tag": "p",
"text": "プログラミングはスキルの向上に時間がかかるものですが、継続的な努力と実践を通じて着実に成長していきます。最初は小さなステップから始め、徐々に進んでいくことが大切です。",
"title": "はじめに"
},
{
"paragraph_id": 12,
"tag": "p",
"text": "他の多くのチュートリアルがそうであるように、 私たちもまずはKotlinの世界にあいさつすることから始めましょう。hello.ktというファイルを作り、次のように書いて保存して下さい(Kotlinのソースファイルの拡張子は .kt です)。",
"title": "はじめに"
},
{
"paragraph_id": 13,
"tag": "p",
"text": "それでは、ソースプログラムをコンパイルして実行してみましょう。",
"title": "はじめに"
},
{
"paragraph_id": 14,
"tag": "p",
"text": "これにより、この一行のコードは「mainという関数を宣言し、その中で 'Hello, World!' という文字列をコンソールに表示する」という単純なプログラムを実現しています。Kotlinはこのようにシンプルかつ読みやすい構文を持っており、初学者にも優れた学習言語となっています。",
"title": "はじめに"
},
{
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"tag": "p",
"text": "",
"title": "はじめに"
},
{
"paragraph_id": 16,
"tag": "p",
"text": "Kotlinのクイックツアーでは、基本的な構文や機能に焦点を当て、簡単なコード例を通じて言語の特徴を理解していきます。",
"title": "はじめに"
},
{
"paragraph_id": 17,
"tag": "p",
"text": "この例では、Kotlin DSLを使用して、特定のドメイン(ここではPersonオブジェクトの構築)に特化した言語拡張を行っています。",
"title": "はじめに"
},
{
"paragraph_id": 18,
"tag": "p",
"text": "これらの例はKotlinの基本を紹介するものであり、より高度な概念や機能も学ぶことができます。",
"title": "はじめに"
},
{
"paragraph_id": 19,
"tag": "p",
"text": "Kotlinは、ターゲットごとに",
"title": "インストール方法"
},
{
"paragraph_id": 20,
"tag": "p",
"text": "の3つの実装があり、ツールチェインとしては統合されていますが、使用するコマンドやオプションが異なります。",
"title": "インストール方法"
},
{
"paragraph_id": 21,
"tag": "p",
"text": "Kotlin/JVM 環境をインストールする手順は以下の通りです:",
"title": "インストール方法"
},
{
"paragraph_id": 22,
"tag": "p",
"text": "以上で、Kotlin/JVM 環境のインストールが完了します。",
"title": "インストール方法"
},
{
"paragraph_id": 23,
"tag": "p",
"text": "Kotlin/JVM では、Kotlin のソースファイルからJARファイルをコンパイルします。 Kotlin のソースファイルの拡張子は .kt です。",
"title": "実行方法"
},
{
"paragraph_id": 24,
"tag": "p",
"text": "hello.kt をコンパイルして hello.jar を得るのであれば",
"title": "実行方法"
},
{
"paragraph_id": 25,
"tag": "p",
"text": "生成された hello.jar を実行するには",
"title": "実行方法"
},
{
"paragraph_id": 26,
"tag": "p",
"text": "別のKotlinのソースファイル universe.kt をコンパイル/実行するには hello を filename に読替えて同じ手順を行えばいいのですが、このような単純作業はコンピューターに任せましょう。",
"title": "実行方法"
},
{
"paragraph_id": 27,
"tag": "p",
"text": "ビルド手順の自動化を行うツールに make があります。 make にはいくつかの方言がありますが、BSD-make と GNU-make に共通した構文を紹介します。",
"title": "実行方法"
},
{
"paragraph_id": 28,
"tag": "p",
"text": "コマンドラインでの操作は",
"title": "実行方法"
},
{
"paragraph_id": 29,
"tag": "p",
"text": "この様に、make を使うとファイルのタイムスタンプから必要な処理を判断し実行します。",
"title": "実行方法"
},
{
"paragraph_id": 30,
"tag": "p",
"text": "make と同じくビルドツールに gradle があり、gradle のビルドルールは Kotlin Script で書けるので、Kolin の学習には gradle が適しているとも言えますが、ビルドルールを書くためにKotlinのコードを読み書きする必要があるという「鶏卵問題」に陥るので、より一般的な make を紹介しました。",
"title": "実行方法"
},
{
"paragraph_id": 31,
"tag": "p",
"text": "ここでは、kotlinソースからJARファイルをコンパイルし実行する最小限のルールを書きましたが、機会をみて、make のチュートリアルを書こうと思います。",
"title": "実行方法"
},
{
"paragraph_id": 32,
"tag": "p",
"text": "エラトステネスの篩を、若干 Kotlin らしく書いてみました。",
"title": "コード・ギャラリー"
},
{
"paragraph_id": 33,
"tag": "p",
"text": "最大公約数と最小公倍数を、若干 Kotlin らしく書いてみました。",
"title": "コード・ギャラリー"
},
{
"paragraph_id": 34,
"tag": "p",
"text": "それぞれの関数定義は式形式で1行なので拍子抜けですが、概念を簡素にかけていると思います。",
"title": "コード・ギャラリー"
},
{
"paragraph_id": 35,
"tag": "p",
"text": "二分法を、若干 Kotlin らしく書いてみました。",
"title": "コード・ギャラリー"
},
{
"paragraph_id": 36,
"tag": "p",
"text": "オーソドックスな複素数型の実装(Kotlinの標準ライブラリーには複素数型が見当たらなかったので)",
"title": "コード・ギャラリー"
},
{
"paragraph_id": 37,
"tag": "p",
"text": "KotlinとJavaは、どちらもJava Virtual Machine(JVM)上で動作するプログラミング言語です。以下は、KotlinとJavaの主な比較ポイントです。",
"title": "KotlinとJavaの比較"
},
{
"paragraph_id": 38,
"tag": "p",
"text": "総合的に見ると、KotlinはJavaよりも簡潔で読みやすく、より現代的な言語機能を備えています。ただし、Javaのライブラリやフレームワークを使用する場合は、Javaを使用することが必要な場合があります。",
"title": "KotlinとJavaの比較"
},
{
"paragraph_id": 39,
"tag": "p",
"text": "KotlinとScalaは、どちらもJVM(Java Virtual Machine)上で動作する静的型付け言語であり、それぞれ異なる特徴を持っています。以下に、KotlinとScalaをいくつかの側面で比較してみます。",
"title": "KotlinとScalaの比較"
},
{
"paragraph_id": 40,
"tag": "p",
"text": "総合的に見ると、KotlinはJavaからの移行が容易であり、Androidアプリケーションの開発に特に適しています。一方で、Scalaは関数型プログラミングの特徴を生かして複雑なシステムの開発に向いており、高度な拡張性を提供しています。選択する言語は、開発の目的や開発者のスキルセットによって異なることがあります。",
"title": "KotlinとScalaの比較"
},
{
"paragraph_id": 41,
"tag": "p",
"text": "KotlinとSwiftは、それぞれAndroidとiOSのアプリ開発で主に使用されるプログラミング言語です。以下に、両言語の類似点と相違点をいくつか挙げてみます。",
"title": "KotlinとSwiftの比較"
},
{
"paragraph_id": 42,
"tag": "p",
"text": "どちらの言語も優れた特性を持っており、選択はプロジェクトのニーズや開発者の好みによって異なります。",
"title": "KotlinとSwiftの比較"
},
{
"paragraph_id": 43,
"tag": "p",
"text": "Kotlinでは、関数 mainがエントリーポイントです。",
"title": "エントリーポイント"
},
{
"paragraph_id": 44,
"tag": "p",
"text": "なにもしないプログラムはこの様になります。",
"title": "エントリーポイント"
},
{
"paragraph_id": 45,
"tag": "p",
"text": "パッケージの指定は、ソースファイルの冒頭(shebang!の次)で行ってください。",
"title": "パッケージ"
},
{
"paragraph_id": 46,
"tag": "p",
"text": "ディレクトリとパッケージの一致は必須ではなく、ソースファイルはファイルシステム上に任意に配置することができます。",
"title": "パッケージ"
},
{
"paragraph_id": 47,
"tag": "p",
"text": "Kotlinでは、特定のパッケージやクラスを明示的にインポートすることなく、いくつかのデフォルトのインポートが提供されています。これにより、コードをより簡潔にし、冗長性を減少させることができます。以下は、デフォルトでインポートされる主要なパッケージです。",
"title": "パッケージ"
},
{
"paragraph_id": 48,
"tag": "p",
"text": "また、ターゲットプラットフォームに応じて、追加のデフォルトインポートが行われます。",
"title": "パッケージ"
},
{
"paragraph_id": 49,
"tag": "p",
"text": "上記のパッケージは、明示的にインポートすることなく既にインポートされています。",
"title": "パッケージ"
},
{
"paragraph_id": 50,
"tag": "p",
"text": "このようなデフォルトのインポートにより、開発者は冗長なコードを書かずに済み、効率的にKotlinの機能を利用することができます。",
"title": "パッケージ"
},
{
"paragraph_id": 51,
"tag": "p",
"text": "以下は、デフォルトでインポートされる主要なパッケージの概要を表形式でまとめたものです。",
"title": "パッケージ"
},
{
"paragraph_id": 52,
"tag": "p",
"text": "また、ターゲットプラットフォームによっては、追加のデフォルトインポートが行われます。",
"title": "パッケージ"
},
{
"paragraph_id": 53,
"tag": "p",
"text": "これらのデフォルトインポートは、通常のKotlinプロジェクトで基本的な操作や機能を利用するための便利な手段となります。",
"title": "パッケージ"
},
{
"paragraph_id": 54,
"tag": "p",
"text": "デフォルトインポートとは別に、各ファイルは独自の import ディレクティブを含むことができます。",
"title": "パッケージ"
},
{
"paragraph_id": 55,
"tag": "p",
"text": "単一の名前でインポートすることができます。",
"title": "パッケージ"
},
{
"paragraph_id": 56,
"tag": "p",
"text": "または、パッケージ、クラス、オブジェクトなどのスコープのすべてのアクセス可能なコンテンツをインポートすることができます。",
"title": "パッケージ"
},
{
"paragraph_id": 57,
"tag": "p",
"text": "名前の衝突がある場合、as キーワードを使用して、衝突するエンティティの名前をローカルに変更することで、曖昧さをなくすことができます。",
"title": "パッケージ"
},
{
"paragraph_id": 58,
"tag": "p",
"text": "import キーワードは、クラスのインポートに限定されません。他の宣言をインポートするためにも使用することができます。",
"title": "パッケージ"
},
{
"paragraph_id": 59,
"tag": "p",
"text": "トップレベル宣言が private とマークされている場合、その宣言が行われたファイルに対してプライベートとなります。",
"title": "パッケージ"
},
{
"paragraph_id": 60,
"tag": "p",
"text": "いかなる関数スコープにも属さないオブジェクトのことを、トップレベルオブジェクト( top level object )と言います。",
"title": "トップレベルオブジェクト"
},
{
"paragraph_id": 61,
"tag": "p",
"text": "Kotlinには、行末で終わるコメントと、複数行に渡ることと、入れ子にすることができるコメントがあります。",
"title": "コメント"
},
{
"paragraph_id": 62,
"tag": "p",
"text": "Kotlinでは、任意のインスタンスに対してプロパティーを参照したりメンバー関数を呼出すことができるという意味で、すべてのインスタンスがクラスに属しています。 いくつかの型は特別な内部表現を持つことができます。例えば、数字、文字、ブール値は実行時にプリミティブ値として表現できますが、ユーザーからは参照されるときに自動的にボックス化されるので普通のクラスのインスタンスのように見えます。 これらの型は基本的にJavaのプリミティブに一対一に対応しますが、Stringだけはjava.lang.Stringクラスに対応しています。 基本型は Package kotlin で定義されています。",
"title": "基本型"
},
{
"paragraph_id": 63,
"tag": "p",
"text": "Kotlinの論理型は Boolean で",
"title": "基本型"
},
{
"paragraph_id": 64,
"tag": "p",
"text": "の2つの値以外は取りえません。",
"title": "基本型"
},
{
"paragraph_id": 65,
"tag": "p",
"text": "JVMでは、この型の非Nullable値は、プリミティブ型のbooleanの値として表現されます。 論理型と数値型は可換ではないので、制御構造の条件式などでもゼロとの比較を行う必要があります。",
"title": "基本型"
},
{
"paragraph_id": 66,
"tag": "p",
"text": "Kotlinの数値型は、整数型と浮動小数点数型に分かれています。 これらの型は、抽象クラスである Number クラスから派生しており、具象クラスとして利用されます。",
"title": "基本型"
},
{
"paragraph_id": 67,
"tag": "p",
"text": "なお、文字型は数値型と可換ではありません。",
"title": "基本型"
},
{
"paragraph_id": 68,
"tag": "p",
"text": "Kotlinの整数型には、符号付き整数型と符号なし整数型があります。 符号なし整数型の名前は、対応する符号付き整数型の名前の先頭に U を補ったものになります。以下が主な整数型です:",
"title": "基本型"
},
{
"paragraph_id": 69,
"tag": "p",
"text": "Kotlinの浮動小数点数型には、以下の2つがあります:",
"title": "基本型"
},
{
"paragraph_id": 70,
"tag": "p",
"text": "これらの数値型は、数学的な演算や精密な計算に利用され、Kotlin言語において数値処理をサポートする基本的な要素となっています。",
"title": "基本型"
},
{
"paragraph_id": 71,
"tag": "p",
"text": "Charクラスは文字を表すクラスです。'a' のようなKotlinプログラム内の文字リテラルはすべてこのクラスのインスタンスとして実装されています。 Charは、16ビットのUnicode文字を表します。これは、Charがすべての文字をユニコード文字を表すことが出来ない事をしめしています。",
"title": "基本型"
},
{
"paragraph_id": 72,
"tag": "p",
"text": "Kotlinは、Javaの文字エンコーディングシステムを引継いだので、Charの収まらない文字の問題に限らずUnicodeを内部エンコーディングに使っていることに起因する厄介ごとと付き合い続ければなりません。",
"title": "基本型"
},
{
"paragraph_id": 73,
"tag": "p",
"text": "Charでは、いくつかの演算子が定義されています。",
"title": "基本型"
},
{
"paragraph_id": 74,
"tag": "p",
"text": "特殊文字は、エスケープする \\(バックスラッシュ)から始まります。以下のエスケープシーケンスに対応しています。",
"title": "基本型"
},
{
"paragraph_id": 75,
"tag": "p",
"text": "その他の文字をエンコードする場合は、Unicodeエスケープシーケンス構文を使用します。'\\uFF00' を使用します。",
"title": "基本型"
},
{
"paragraph_id": 76,
"tag": "p",
"text": "String クラスは文字列を表すクラスです。\"abc\" のようなKotlinプログラム内の文字列リテラルはすべてこのクラスのインスタンスとして実装されています。 Kotlinでは、文字列( String )と文字( Char )とは直接の関係はありません(StringはCharの配列ではありません)。",
"title": "基本型"
},
{
"paragraph_id": 77,
"tag": "p",
"text": "Stringでは、加算演算子を連結として定義されています。",
"title": "基本型"
},
{
"paragraph_id": 78,
"tag": "p",
"text": "加算演算子( + )は、文字列( this )と与えられた他のオブジェクトの文字列表現を連結して得られる文字列を返します。",
"title": "基本型"
},
{
"paragraph_id": 79,
"tag": "p",
"text": "既に紹介したように、Stringクラスのリテラルは \"(ダブルクオーテーション)で括った文字列です。",
"title": "基本型"
},
{
"paragraph_id": 80,
"tag": "p",
"text": "Stringリテラルには変数や式を埋込むことが出来ます。 このように、変数や式が埋込まれたStringリテラルのことをテンプレートリテラルといいます。",
"title": "基本型"
},
{
"paragraph_id": 81,
"tag": "p",
"text": "生文字列( Raw strings )は、改行や任意のテキストを含むことができます。トリプルクォート(”””; triple quote )で区切られ、エスケープを含まず、改行や他の任意の文字を含むことができます。",
"title": "基本型"
},
{
"paragraph_id": 82,
"tag": "p",
"text": "Kotlinで配列型は Array で、main() の引数でも使われています。",
"title": "基本型"
},
{
"paragraph_id": 83,
"tag": "p",
"text": "Array(), arrayOf(), arrayOfNulls() や emptyArray() で生成します。",
"title": "基本型"
},
{
"paragraph_id": 84,
"tag": "p",
"text": "Kotlinには、IntArray、DoubleArray、BooleanArray、CharArrayなどのプリミティブ型を要素とする配列のクラスが用意されています。 これらを総称してプリミティブ型配列( Primitive type arrays )と呼びます。 プリミティブ型配列は、機能的にはArray<T>のTにプリミティブ型を与えたものと変わりありませんが、ボックス化されないので性能向上とフットプリントの削減が期待できます。 このため、プリミティブ型配列はArrayを継承していません。",
"title": "基本型"
},
{
"paragraph_id": 85,
"tag": "p",
"text": "StringArray はありません。",
"title": "基本型"
},
{
"paragraph_id": 86,
"tag": "p",
"text": "基本型の他にも幾つかの特別な型があります。 これらは、基本型同様 Package kotlin で定義されています。",
"title": "特別な型"
},
{
"paragraph_id": 87,
"tag": "p",
"text": "AnyはKotlinのクラス階層のルートです。すべてのKotlinクラスはAnyをスーパークラスとして持っています。 クラス定義で継承元を指定しないと Any が暗黙の継承元になります。 また、Anyクラスのオブジェクトは、あらゆるオブジェクトを代入できます。",
"title": "特別な型"
},
{
"paragraph_id": 88,
"tag": "p",
"text": "Unitは、何も返さない関数の戻値の型です。JVMでは、Javaのvoid型に相当します。",
"title": "特別な型"
},
{
"paragraph_id": 89,
"tag": "p",
"text": "は",
"title": "特別な型"
},
{
"paragraph_id": 90,
"tag": "p",
"text": "と等価です。",
"title": "特別な型"
},
{
"paragraph_id": 91,
"tag": "p",
"text": "Nothingはインスタンスを持ちません。例えば、ある関数の戻り値がNothingであれば、それは決して戻らない(常に例外を投げる)ことを意味します。",
"title": "特別な型"
},
{
"paragraph_id": 92,
"tag": "p",
"text": "KotlinのNULL安全性(Null safety)とNullableに関して、以下のポイントが重要です。",
"title": "Null安全"
},
{
"paragraph_id": 93,
"tag": "p",
"text": "KotlinのNull安全性とNullable型は、プログラミングにおける安全性と信頼性を向上させるための重要な機能です。これらの機能を適切に理解し、利用することで、Nullによるエラーを最小限に抑えることができます。",
"title": "Null安全"
},
{
"paragraph_id": 94,
"tag": "p",
"text": "Javaを含む多くのプログラミング言語における最も一般的な落とし穴の1つは、Null参照のメンバーにアクセスするとNull参照例外が発生することです。Javaでは、これはNullPointerException、略してNPEと呼ばれるものに相当します。",
"title": "Null安全"
},
{
"paragraph_id": 95,
"tag": "p",
"text": "KotlinでNPEが発生する原因として考えられるのは、以下の通りです。",
"title": "Null安全"
},
{
"paragraph_id": 96,
"tag": "p",
"text": "Kotlinの型システムでは、nullを保持できる参照(Null可能参照; nullable references )とそうでない参照(非Null参照; non-null references )を区別しています。例えば、String型の通常の変数はnullを保持できません。",
"title": "Null安全"
},
{
"paragraph_id": 97,
"tag": "p",
"text": "nullを許容するには、String?と書いて変数をnull可能な文字列として宣言します。",
"title": "Null安全"
},
{
"paragraph_id": 98,
"tag": "p",
"text": "さて、aのメンバー関数を呼び出したり、プロパティーにアクセスしたりしても、NPEが発生しないことが保証されています。",
"title": "Null安全"
},
{
"paragraph_id": 99,
"tag": "p",
"text": "しかし、bのメンバー関数を呼び出したり、プロパティーにアクセスしたりすると、それは安全ではなく、コンパイラはエラーを報告します。",
"title": "Null安全"
},
{
"paragraph_id": 100,
"tag": "p",
"text": "それでもそのプロパティにアクセスする必要がありますよね?そのためには、いくつかの方法があります。",
"title": "Null安全"
},
{
"paragraph_id": 101,
"tag": "p",
"text": "まず、bがnullかどうかを明示的にチェックし、2つの選択肢を別々に処理することができます。",
"title": "Null安全"
},
{
"paragraph_id": 102,
"tag": "p",
"text": "コンパイラーは実行したチェックの情報を記録し、ifの内部でlengthの呼出しを可能にする。より複雑な条件もサポートされています。",
"title": "Null安全"
},
{
"paragraph_id": 103,
"tag": "p",
"text": "註:b が immutable な場合 (つまり、チェックから使用までの間に変更されないローカル変数か、 バッキングフィールドを持つオーバーライド不可のメンバー変数) にのみ有効です。",
"title": "Null安全"
},
{
"paragraph_id": 104,
"tag": "p",
"text": "Not-Null断定演算子(!!)で任意の値をnullでない型に変換し、値がnullの場合は例外をスローします。b!!と書くと、bの非null値(例えばこの例ではString)を返し、bがnullの場合はNPEを投げます。",
"title": "Null安全"
},
{
"paragraph_id": 105,
"tag": "p",
"text": "このように、NPEを発生させたい場合は、明示的に要求する必要があり、突然発生することはありません。",
"title": "Null安全"
},
{
"paragraph_id": 106,
"tag": "p",
"text": "?. 演算子は、null安全性を保証しつつ、str 変数がnullでない場合に length プロパティにアクセスします。str がnullの場合、length には null が代入されます。",
"title": "Null安全"
},
{
"paragraph_id": 107,
"tag": "p",
"text": "このように、?. 演算子はnull値を安全に処理するために使用されます。例えば、Javaの場合、nullチェックを行わないとNullPointerExceptionが発生しますが、Kotlinでは ?. 演算子を使用することで、nullに対する操作を安全に行うことができます。",
"title": "Null安全"
},
{
"paragraph_id": 108,
"tag": "p",
"text": "変数の名前のような名前を識別子( identifiers )と呼びます。 変数ほかに、関数、クラス、クラスのメンバー、クラスのメンバー関数、enum、ラベルなどの名前も識別子です。",
"title": "識別子"
},
{
"paragraph_id": 109,
"tag": "p",
"text": "Kotlinでは、変数は使う前にかならず宣言する必要があります。",
"title": "変数"
},
{
"paragraph_id": 110,
"tag": "p",
"text": "いままでの例で既に型推論( type inference ) は使われています。 変数を宣言するときに、特に型を明示しませんでしたが、初期化式の型から変数の型を特定していたのです。",
"title": "変数"
},
{
"paragraph_id": 111,
"tag": "p",
"text": "初期化式は省略可能です。 その場合は変数の型がわからないので型アノテーション( type annotation )が必要になります。",
"title": "変数"
},
{
"paragraph_id": 112,
"tag": "p",
"text": "シャドーイング( Shadowing )とは、スコープ内の2つの宣言が同じ名前になり、より内側の識別子が外側の識別子を隠すことです。",
"title": "変数"
},
{
"paragraph_id": 113,
"tag": "p",
"text": "多くのシャドーイングは無害ですが...",
"title": "変数"
},
{
"paragraph_id": 114,
"tag": "p",
"text": "オブジェクトを複数の変数に分解して初期化する宣言する方法があり、分解宣言( Destructuring declarations )と呼ばれます。",
"title": "変数"
},
{
"paragraph_id": 115,
"tag": "p",
"text": "Kotlinでは、演算子はメソッド形式の別名を持ちます。 例えば、a + b は a.plus(b) とも書けます。 この plus メンバー関数を再定義すると、演算子オーバーロードができます。",
"title": "演算子"
},
{
"paragraph_id": 116,
"tag": "p",
"text": "演算子は、もちろん加算だけではありません。",
"title": "演算子"
},
{
"paragraph_id": 117,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "演算子"
},
{
"paragraph_id": 118,
"tag": "p",
"text": "Kotlinは、if と when の2つの分岐構文を持ち、両方とも値を返す式です。",
"title": "制御構造"
},
{
"paragraph_id": 119,
"tag": "p",
"text": "if式は、条件式に基づき分岐し、分岐先の式を評価します。 if式の値は、分岐先の式の値です(C言語系の三項演算子に相当する働きをします)。 if式の値を右辺値化した場合、else節は必須です。",
"title": "制御構造"
},
{
"paragraph_id": 120,
"tag": "p",
"text": "if や while の条件式は",
"title": "制御構造"
},
{
"paragraph_id": 121,
"tag": "p",
"text": "でなければいけません。",
"title": "制御構造"
},
{
"paragraph_id": 122,
"tag": "p",
"text": "when式を使って条件分岐をすることができます。 when 式は、when に与えられた式(境界値)に最初にマッチするパターンに結びついた値を返すパターンマッチングです。 式が省略されると、パターンの条件が最初に真になるパターンに結びついた値を返します。",
"title": "制御構造"
},
{
"paragraph_id": 123,
"tag": "p",
"text": "whenは式なので以下のように書換えることができます。",
"title": "制御構造"
},
{
"paragraph_id": 124,
"tag": "p",
"text": "区切子 -> を使った構文の左辺の条件には、以下のようなバリエーションがあります。",
"title": "制御構造"
},
{
"paragraph_id": 125,
"tag": "p",
"text": "when 文は、多くの条件分岐をシンプルに表現するための強力な構造です。境界値が省略された場合、true が境界値とみなされます。",
"title": "制御構造"
},
{
"paragraph_id": 126,
"tag": "p",
"text": "when 文を使うことで、このような条件分岐をより簡潔に表現できます。",
"title": "制御構造"
},
{
"paragraph_id": 127,
"tag": "p",
"text": "境界値を省略した例として、以下のコードを見てみましょう。",
"title": "制御構造"
},
{
"paragraph_id": 128,
"tag": "p",
"text": "このコードでは、when 文が x の値に基づいて文字列を返します。境界値が省略されているため、条件が true のブロックが実行されます。",
"title": "制御構造"
},
{
"paragraph_id": 129,
"tag": "p",
"text": "when 文を使用してループから脱出する例もあります。以下は、when 文を使って特定の条件でループを脱出する例です。",
"title": "制御構造"
},
{
"paragraph_id": 130,
"tag": "p",
"text": "このコードでは、when 文を使用して number が3の場合にループから脱出します。",
"title": "制御構造"
},
{
"paragraph_id": 131,
"tag": "p",
"text": "enum クラスを使った when 文の例も挙げてみましょう。",
"title": "制御構造"
},
{
"paragraph_id": 132,
"tag": "p",
"text": "このコードでは、enum クラス Day を使用して、曜日に応じた活動を選択しています。when 文が enum の各ケースを処理し、対応する活動が選択されます。",
"title": "制御構造"
},
{
"paragraph_id": 133,
"tag": "p",
"text": "Kotlinには、while・do-while と for の3つの繰返し構文があります。これらは文で、値を返すことはできません。",
"title": "制御構造"
},
{
"paragraph_id": 134,
"tag": "p",
"text": "whileは、条件式が true の間、式を評価しつづけます。",
"title": "制御構造"
},
{
"paragraph_id": 135,
"tag": "p",
"text": "do-whileは、条件式が true の間、式を評価しつづけるという意味では、whileと同じですが、条件式がループの最後にある、つまり条件が成立しなくても1周はループが回ることが異なります。",
"title": "制御構造"
},
{
"paragraph_id": 136,
"tag": "p",
"text": "Kotlinのforはw:foreach文タイプのループ構文で、C言語の for(;;) とは異なる構文です。",
"title": "制御構造"
},
{
"paragraph_id": 137,
"tag": "p",
"text": "関数は、キーワード fun を使って定義します。",
"title": "関数"
},
{
"paragraph_id": 138,
"tag": "p",
"text": "関数のボディが単一の式からなる場合、{ return 式 } を、= 式と書くことができます。",
"title": "関数"
},
{
"paragraph_id": 139,
"tag": "p",
"text": "初見だと驚きますが、関数型プログラミング風の書き方が簡素にできます。 特に、ifやwhenが値を返すことができる式であることが効いてきます。",
"title": "関数"
},
{
"paragraph_id": 140,
"tag": "p",
"text": "ボディが単一の式からなる関数定義では、戻値式の型が推論できる場合が多いので、戻値型を省略できる場合があります。",
"title": "関数"
},
{
"paragraph_id": 141,
"tag": "p",
"text": "再帰関数の戻値型を省略しようとすると、自分自身が型不明な項になりコンパイルできません。",
"title": "関数"
},
{
"paragraph_id": 142,
"tag": "p",
"text": "関数の引数はイミュータブルです。 これは Zig も同じで、新興言語は不用意な書換えによる古参言語で度々アクシデントのもととなった引数の破壊を永久になくしたいようです。",
"title": "関数"
},
{
"paragraph_id": 143,
"tag": "p",
"text": "関数には、引数にディフォルト値を設定できます。これにより、呼び出し側は引数を指定しなくても関数を呼び出すことができます。",
"title": "関数"
},
{
"paragraph_id": 144,
"tag": "p",
"text": "たとえば、次の関数は、名前と年齢の2つの引数を取ります。名前には「John Doe」というデフォルト値が設定されています。",
"title": "関数"
},
{
"paragraph_id": 145,
"tag": "p",
"text": "この関数を呼び出すには、名前を指定するか、デフォルト値を使用できます。",
"title": "関数"
},
{
"paragraph_id": 146,
"tag": "p",
"text": "関数の引数にデフォルト値を設定すると、呼び出し側がすべての引数を指定する手間を省くことができます。また、関数の使い方を覚えやすくすることもできます。",
"title": "関数"
},
{
"paragraph_id": 147,
"tag": "p",
"text": "次のコードは、関数指向の構文を使用して関数を呼び出す方法を示しています。",
"title": "関数"
},
{
"paragraph_id": 148,
"tag": "p",
"text": "このコードは、add 関数を呼び出して、2つの引数 1 と 2 を渡します。add 関数は、これらの引数を受け取った後、それらを加算して結果を返します。関数 main は、結果をコンソールに出力します。",
"title": "関数"
},
{
"paragraph_id": 149,
"tag": "p",
"text": "次のコードは、メソッド指向の構文を使用して関数を呼び出す方法を示しています。",
"title": "関数"
},
{
"paragraph_id": 150,
"tag": "p",
"text": "このコードは、Person クラスのインスタンスを作成し、name プロパティに John Doe という値、age プロパティに 30 という値を設定します。次に、greet メソッドを呼び出して、インスタンスの名前を出力します。",
"title": "関数"
},
{
"paragraph_id": 151,
"tag": "p",
"text": "Kotlin は関数を呼出す時、引数を名前で指定する事ができます。",
"title": "関数"
},
{
"paragraph_id": 152,
"tag": "p",
"text": "関数修飾子 infix を使うと、中置表現の関数呼出しを行うことができるようになります。外観は文法を拡張したかのような印象をうけます。",
"title": "関数"
},
{
"paragraph_id": 153,
"tag": "p",
"text": "関数スコープは、変数や関数が定義され、利用可能な範囲を指します。Kotlinでは、関数スコープ内で定義された変数や関数はそのスコープ内でのみアクセス可能で、外部のスコープからは見えません。",
"title": "関数"
},
{
"paragraph_id": 154,
"tag": "p",
"text": "以下に、関数スコープの基本的な特徴と例を示します。",
"title": "関数"
},
{
"paragraph_id": 155,
"tag": "p",
"text": "この例では、main 関数が外部のスコープで、myFunction が関数スコープ内で宣言されています。main 関数内では outerVariable にアクセスでき、myFunction 内では innerVariable と innerFunction にアクセスできます。ただし、逆は成り立ちません。",
"title": "関数"
},
{
"paragraph_id": 156,
"tag": "p",
"text": "関数スコープは、変数や関数の可視性を制御し、プログラムの構造を整理する上で重要な役割を果たします。関数ごとにスコープが分離されるため、変数や関数の名前の衝突を防ぎ、コードの保守性を向上させます。",
"title": "関数"
},
{
"paragraph_id": 157,
"tag": "p",
"text": "可変長引数( Variable-Length Arguments )は、関数が異なる数の引数を受け入れることを可能にする Kotlin の機能です。これは vararg キーワードとスプレッド演算子( spread operator )を使用して実現されます。",
"title": "関数"
},
{
"paragraph_id": 158,
"tag": "p",
"text": "このように、関数を呼び出す際に異なる数の引数を渡すことができます。可変長引数は、同じ型の引数が複数個ある場面で便利です。",
"title": "関数"
},
{
"paragraph_id": 159,
"tag": "p",
"text": "スプレッド演算子( Spread Operator )は、リストや配列などの要素を展開して、可変長引数として渡すための演算子です。",
"title": "関数"
},
{
"paragraph_id": 160,
"tag": "p",
"text": "この例では、arrayOf で作成した配列の要素をスプレッド演算子 * を使って myVaPrint 関数に渡しています。これにより、配列の各要素が可変長引数として関数に渡されます。",
"title": "関数"
},
{
"paragraph_id": 161,
"tag": "p",
"text": "可変長引数とスプレッド演算子の組み合わせにより、異なる数の引数を柔軟に扱うことができ、関数の再利用性を向上させます。",
"title": "関数"
},
{
"paragraph_id": 162,
"tag": "p",
"text": "引数あるいは戻値あるいは両方が関数の関数を高階関数()と呼びます。",
"title": "関数"
},
{
"paragraph_id": 163,
"tag": "p",
"text": "ラムダ式( lambda expressions )では、波括弧の周囲と、パラメータと本体を分ける矢印の周囲に空白を使用する必要があります。ラムダを1つだけ指定する場合は、可能な限り括弧で囲んでください。",
"title": "関数"
},
{
"paragraph_id": 164,
"tag": "p",
"text": "また、ラムダのラベルを指定する場合、ラベルと中括弧の間にスペースを入れてはいけません。",
"title": "関数"
},
{
"paragraph_id": 165,
"tag": "p",
"text": "上記のラムダ式構文には、関数の戻値の型を指定する機能がひとつだけ欠けています。ほとんどの場合、戻値の型は自動的に推測されるため、この指定は不要です。しかし、明示的に指定する必要がある場合は、別の構文として無名関数( Anonymous functions )を使用することができます。",
"title": "関数"
},
{
"paragraph_id": 166,
"tag": "p",
"text": "ラムダ式や無名関数(ローカル関数やオブジェクト式も同様)は、外部スコープで宣言された変数を含むクロージャー( Closures )にアクセスすることができます。クロージャーに取り込まれた変数は、ラムダ式で変更することができます。",
"title": "関数"
},
{
"paragraph_id": 167,
"tag": "p",
"text": "高階関数を使用すると、ある種の実行時ペナルティーが課せられます。各関数はオブジェクトであり、クロージャーを捕捉します。クロージャー( closure )とは、関数本体でアクセス可能な変数のスコープです。メモリー確保(関数オブジェクトとクラスの両方)と仮想呼出しは、実行時オーバーヘッドを発生させます。",
"title": "関数"
},
{
"paragraph_id": 168,
"tag": "p",
"text": "しかし、多くの場合、ラムダ式をインライン化することで、この種のオーバーヘッドをなくすことができます。",
"title": "関数"
},
{
"paragraph_id": 169,
"tag": "p",
"text": "Kotlin は、特に修飾辞なしに関数を再帰呼び出しできます。",
"title": "関数"
},
{
"paragraph_id": 170,
"tag": "p",
"text": "tailrec は、Kotlinのキーワードで、末尾再帰最適化(Tail Recursion Optimization)を実現するために使用されます。末尾再帰最適化は、再帰関数が最後の操作として再帰呼び出しを行う場合に、スタックの消費を減少させる最適化手法です。これにより、スタックオーバーフローを避けることができます。",
"title": "関数"
},
{
"paragraph_id": 171,
"tag": "p",
"text": "上記の例では、factorial 関数が末尾再帰関数として宣言されています。再帰呼び出しは末尾で行われており、コンパイラが最適化を行うことが期待されます。",
"title": "関数"
},
{
"paragraph_id": 172,
"tag": "p",
"text": "tailrec を使用するためにはいくつかの制約があります。",
"title": "関数"
},
{
"paragraph_id": 173,
"tag": "p",
"text": "tailrec を使うと、再帰関数の性能を向上させることができます。ただし、制約を理解し、満たすことが重要です。tailrec が適用される場合、コンパイラはループに変換し、スタックの使用を最小限に抑えます。",
"title": "関数"
},
{
"paragraph_id": 174,
"tag": "p",
"text": "Kotlinでは、クラスやインターフェースを継承したり、Decoratorのようなデザインパターンを使わずに、新しい機能を拡張することができます。これは、拡張( extensions )と呼ばれる特別な宣言によって実現されます。",
"title": "拡張"
},
{
"paragraph_id": 175,
"tag": "p",
"text": "拡張関数( Extension functions )を宣言するには、その名前の前に拡張される型を示すレシーバー型をつけます。以下は、Array<Int>にrotate関数を追加したものです。",
"title": "拡張"
},
{
"paragraph_id": 176,
"tag": "p",
"text": "拡張関数でもジェネリックス(型パラメーター)が使用可能です。",
"title": "拡張"
},
{
"paragraph_id": 177,
"tag": "p",
"text": "先の例は、Array<Int>とIntのアレイ専用でしたが、任意の型 T のアレイ Array<T> に拡張関数を拡張してみましょう。",
"title": "拡張"
},
{
"paragraph_id": 178,
"tag": "p",
"text": "拡張は、一見するとクラスの中に後からメンバー関数を追加しているように見えるかもしれませんが、インスタンス.メソッド(実引数リスト) のパターンに合致する拡張定義があるかを静的に調べ、該当する拡張関数があればそれを呼出すことで実現しています。",
"title": "拡張"
},
{
"paragraph_id": 179,
"tag": "p",
"text": "このため拡張関数でメンバー関数をオーバーライドすることはできません。",
"title": "拡張"
},
{
"paragraph_id": 180,
"tag": "p",
"text": "Kotlinは関数型プログラミング言語であると同時に、クラスベースのオブジェクト指向プログラミング言語です。 クラス( class )はオブジェクトの設計図であり、インスタンスはその設計図に基づいて作成されます。",
"title": "クラス"
},
{
"paragraph_id": 181,
"tag": "p",
"text": "クラスは、キーワード classを使って定義します。",
"title": "クラス"
},
{
"paragraph_id": 182,
"tag": "p",
"text": "Kotlinのクラスはプライマリーコンストラクターと1つまたは複数のセカンダリーコンストラクターを持つことができます。プライマリーコンストラクターはクラスヘッダの一部で、クラス名とオプションの型パラメターの後に続きます。",
"title": "クラス"
},
{
"paragraph_id": 183,
"tag": "p",
"text": "メンバー関数は、クラス定義の中で定義された関数です。 メンバー関数の呼出はドット記法で行います。 メンバー関数からは、プライベートなクラスのメンバーにアクセスできます。",
"title": "クラス"
},
{
"paragraph_id": 184,
"tag": "p",
"text": "オブジェクトは、匿名クラスの定義とインスタンス化を同時に行うものです。",
"title": "クラス"
},
{
"paragraph_id": 185,
"tag": "p",
"text": "クラスは、明示的に継承元を指定しない場合は Any を継承します。",
"title": "クラス"
},
{
"paragraph_id": 186,
"tag": "p",
"text": "継承モディファイア( inheritance modifier )には、次のような種類があり、これらのトークンはモディファイア・キーワードです。",
"title": "クラス"
},
{
"paragraph_id": 187,
"tag": "p",
"text": "抽象クラス( abstract class )は、抽象メンバー関数( abstract method )だけを持つクラスです。 モディファイア・キーワード abstract は、抽象メンバー関数の定義でも使われます。",
"title": "クラス"
},
{
"paragraph_id": 188,
"tag": "p",
"text": "ファイナルクラス( final class )は、継承を禁止したクラスです。 KotlinのクラスはJavaと異なり、ディフォルトで継承禁止なので、継承禁止を強調する意味しかありません。 モディファイア・キーワード final は、オーバーライド禁止メンバーの宣言でも使われます。",
"title": "クラス"
},
{
"paragraph_id": 189,
"tag": "p",
"text": "オープンクラス( open class )は、継承を許可したクラスです。 KotlinのクラスはJavaと異なり、ディフォルトで継承禁止なので、継承を行う可能性がある場合は明示的に許可する必要があります。 モディファイア・キーワード open は、メンバー関数のオーバーライド許可でも使われます。",
"title": "クラス"
},
{
"paragraph_id": 190,
"tag": "p",
"text": "クラスのメンバー関数が、プロパティやメンバー関数を参照するとき、クラスの外の変数や関数との間で曖昧さが生じる事があります。 このようなときには、インスタンスを表すキーワード this を使います。",
"title": "クラス"
},
{
"paragraph_id": 191,
"tag": "p",
"text": "this はこのほか、2 次コンストラクタから同じクラスの別のコンストラクタを呼出すときにもつかわれます。",
"title": "クラス"
},
{
"paragraph_id": 192,
"tag": "p",
"text": "クラスモディファイア( class modifier )には、次のような種類があり、これらのトークンはモディファイア・キーワードです。",
"title": "クラス"
},
{
"paragraph_id": 193,
"tag": "p",
"text": "列挙型クラス( Enum class )は、有限個の識別子の集合を表現するために使用されます。",
"title": "クラス"
},
{
"paragraph_id": 194,
"tag": "p",
"text": "シールドクラス( Sealed class )は、制限されたクラス階層を表現するために使用されます。",
"title": "クラス"
},
{
"paragraph_id": 195,
"tag": "p",
"text": "アノテーションクラス( annotation class )は、コードにメタデータを付加するための手段を提供します。",
"title": "クラス"
},
{
"paragraph_id": 196,
"tag": "p",
"text": "データークラス( Data class )は、データーを保持するためのクラスで、copy() などのメンバー関数がクラスを定義しただけで生えてきます。",
"title": "クラス"
},
{
"paragraph_id": 197,
"tag": "p",
"text": "インナークラス( Inner class )は、入れ子になった内側になったクラスが外側のクラスのメンバーにアクセスすることを可能にします。",
"title": "クラス"
},
{
"paragraph_id": 198,
"tag": "p",
"text": "値クラス( Value class )は、イミュータブルなスカラー値の型を定義します。プロポーザル段階では inline class と呼ばれていました。",
"title": "クラス"
},
{
"paragraph_id": 199,
"tag": "p",
"text": "+ ラッパークラスとして機能し、型安全性やコードの表現力を向上させます。",
"title": "クラス"
},
{
"paragraph_id": 200,
"tag": "p",
"text": "オブジェクト( object )は、モディファイア・キーワードではありませんが、特殊なクラスの一種なので併せて紹介します。 オブジェクトは一過的な匿名クラスを定義し、そのインスタンスの生成を行います。",
"title": "クラス"
},
{
"paragraph_id": 201,
"tag": "p",
"text": "各クラスモディファイアは、異なる用途や特性を持っており、柔軟なクラス定義を可能にします。 適切なモディファイアを選択することで、コードの意図を明確に表現し、保守性や可読性を向上させることができます。",
"title": "クラス"
},
{
"paragraph_id": 202,
"tag": "p",
"text": "クラス、オブジェクト、インターフェース、コンストラクター、関数、およびプロパティとそのセッターは、可視性モディファイア( Visibility modifiers )を持つことができます。ゲッターは常にそのプロパティと同じ可視性を持っています。",
"title": "クラス"
},
{
"paragraph_id": 203,
"tag": "p",
"text": "可視性モディファイアには、次のような4種類があり、これらのトークンはモディファイア・キーワードです。",
"title": "クラス"
},
{
"paragraph_id": 204,
"tag": "p",
"text": "デフォルトの可視性はpublicです。",
"title": "クラス"
},
{
"paragraph_id": 205,
"tag": "p",
"text": "関数、プロパティ、クラス、オブジェクト、およびインタフェースは、パッケージの中で直接「トップレベル」で宣言することができます。",
"title": "クラス"
},
{
"paragraph_id": 206,
"tag": "p",
"text": "クラス内部で宣言されたメンバー。",
"title": "クラス"
},
{
"paragraph_id": 207,
"tag": "p",
"text": "protectedまたはinternalメンバーをオーバーライド( override )し、可視性を明示的に指定しない場合、オーバーライドしたメンバーも元のメンバーと同じ可視性を持つことになります。",
"title": "クラス"
},
{
"paragraph_id": 208,
"tag": "p",
"text": "クラスの一次コンストラクタの可視性を指定するには、次の構文を使用します。",
"title": "クラス"
},
{
"paragraph_id": 209,
"tag": "p",
"text": "ローカル変数、関数、クラスは可視性モディファイアを持つことができません。",
"title": "クラス"
},
{
"paragraph_id": 210,
"tag": "p",
"text": "internal 可視性モディファイアは、そのメンバーが同じモジュール内で可視であることを意味します。具体的にモジュールとは、例えば、一緒にコンパイルされたKotlinファイルの集合のことです。",
"title": "クラス"
},
{
"paragraph_id": 211,
"tag": "p",
"text": "抽象クラス( abstract class )は、抽象メソッド( abstract method )だけを持つクラスであり、直接のインスタンス化ができません。抽象メソッドは本体を持たず、具体的な実装はそのサブクラスに委ねられます。Kotlinでは、abstract キーワードを使用して抽象クラスと抽象メソッドを宣言します。",
"title": "クラス"
},
{
"paragraph_id": 212,
"tag": "p",
"text": "上記の例では、Shape という抽象クラスがあります。このクラスは抽象メソッド draw を宣言しています。サブクラスである Circle と Rectangle は、それぞれ draw メソッドをオーバーライドして具体的な実装を提供します。",
"title": "クラス"
},
{
"paragraph_id": 213,
"tag": "p",
"text": "抽象クラスは直接インスタンス化できないため、Shape クラスのインスタンスを作成しようとするとコンパイルエラーが発生します。代わりに、具象サブクラスである Circle や Rectangle のインスタンスを作成して使用します。",
"title": "クラス"
},
{
"paragraph_id": 214,
"tag": "p",
"text": "抽象クラスは抽象プロパティを持つこともできます。また、抽象クラス自体はコンストラクタを持つことができます。",
"title": "クラス"
},
{
"paragraph_id": 215,
"tag": "p",
"text": "この例では、Shape クラスはコンストラクタを持ち、name という抽象プロパティを宣言しています。サブクラスである Circle と Rectangle は、コンストラクタで name を渡し、draw メソッドをオーバーライドしています。",
"title": "クラス"
},
{
"paragraph_id": 216,
"tag": "p",
"text": "抽象クラスは、クラス階層の一部として柔軟で再利用可能なコードを設計する際に役立ちます。",
"title": "クラス"
},
{
"paragraph_id": 217,
"tag": "p",
"text": "抽象クラスは、以下のようなユースケースやベストプラクティスに適しています。",
"title": "クラス"
},
{
"paragraph_id": 218,
"tag": "p",
"text": "抽象クラスは、柔軟性と再利用性を向上させるために使われますが、適切に設計される必要があります。必要以上に多くの機能を含めると、過度な依存関係が生まれる可能性があるため、慎重な設計が求められます。",
"title": "クラス"
},
{
"paragraph_id": 219,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "クラス"
},
{
"paragraph_id": 220,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "クラス"
},
{
"paragraph_id": 221,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "クラス"
},
{
"paragraph_id": 222,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "クラス"
},
{
"paragraph_id": 223,
"tag": "p",
"text": "ファイナルクラス(final class)は、Kotlinにおいて継承を禁止したクラスを指します。Kotlinでは、デフォルトでクラスが継承不可(final)となっており、継承可能にするためには明示的にopen修飾子を使用する必要があります。そのため、finalキーワードは主にオーバーライド禁止メンバーの宣言で使用され、クラス自体に適用することは少ないです。",
"title": "クラス"
},
{
"paragraph_id": 224,
"tag": "p",
"text": "上記の例では、MyFinalClass はファイナルクラスとして宣言されています。このクラスは他のクラスから継承できません。",
"title": "クラス"
},
{
"paragraph_id": 225,
"tag": "p",
"text": "上記の例では、MyBaseClass の myFinalMethod は final 修飾子が付いており、このメソッドはオーバーライドできません。",
"title": "クラス"
},
{
"paragraph_id": 226,
"tag": "p",
"text": "上記の例では、Configuration クラスがファイナルクラスとして定義されています。このクラスは他のクラスから継承できないため、設定情報の不正な変更や上書きを防ぐことが期待されます。ApplicationSettings クラスは Configuration を利用してアプリケーションの設定を管理しています。",
"title": "クラス"
},
{
"paragraph_id": 227,
"tag": "p",
"text": "ファイナルクラスは特定の状況で利用され、継承を禁止してクラスの拡張を制御するために使用されます。",
"title": "クラス"
},
{
"paragraph_id": 228,
"tag": "p",
"text": "オープンクラス(open class)は、Kotlinにおいて継承を許可したクラスを指します。 Kotlinのクラスはデフォルトで継承不可(final)となっているため、クラスを継承可能にするには明示的にopen修飾子を使用する必要があります。",
"title": "クラス"
},
{
"paragraph_id": 229,
"tag": "p",
"text": "上記の例では、MyOpenClass はオープンクラスとして宣言されています。このクラスは他のクラスから継承できます。",
"title": "クラス"
},
{
"paragraph_id": 230,
"tag": "p",
"text": "上記の例では、MyBaseClass の myMethod は open 修飾子が付いており、このメソッドはオーバーライド可能です。",
"title": "クラス"
},
{
"paragraph_id": 231,
"tag": "p",
"text": "上記の例では、Shape クラスがオープンクラスとして定義されています。Circle と Square クラスが Shape を継承し、draw メソッドをオーバーライドしています。これにより、各図形クラスは自身の特定の描画方法を持つことができます。",
"title": "クラス"
},
{
"paragraph_id": 232,
"tag": "p",
"text": "オープンクラスは継承を許可し、クラスの拡張やカスタマイズが可能となります。ただし、使用する際には慎重に設計し、必要なメソッドやプロパティに対してのみopen修飾子を使用することが推奨されます。",
"title": "クラス"
},
{
"paragraph_id": 233,
"tag": "p",
"text": "列挙型クラス( Enum classes )は、キーワード enum を class に前置して定義します。",
"title": "クラス"
},
{
"paragraph_id": 234,
"tag": "p",
"text": "Swift/オブジェクト指向#列挙型の例を Kotlin 向けにモディファイしました。",
"title": "クラス"
},
{
"paragraph_id": 235,
"tag": "p",
"text": "シールドクラス(Sealed class)は、制限されたクラス階層を表現するために使用される Kotlin 特有の機能です。シールドクラスは、特定のサブクラスのみを許容し、新しいサブクラスの追加を防ぎます。これにより、特定の型に対するパターンマッチングが容易になります。",
"title": "クラス"
},
{
"paragraph_id": 236,
"tag": "p",
"text": "上記の例では、Result クラスはシールドクラスとして宣言されています。このクラスには3つのサブクラスがあります:Success、Error、および Loading。Success と Error はデータクラスで、それぞれデータを保持します。Loading はオブジェクトクラスで、データを保持しません。",
"title": "クラス"
},
{
"paragraph_id": 237,
"tag": "p",
"text": "上記の例では、Result クラスのサブクラスごとに異なる処理を行う processResult 関数があります。when 式を使用して、特定のサブクラスに対するパターンマッチングを行っています。",
"title": "クラス"
},
{
"paragraph_id": 238,
"tag": "p",
"text": "シールドクラスは、特に固定されたクラス階層を表現する場合や、特定の型に対する安全なパターンマッチングを行う場合に便利です。",
"title": "クラス"
},
{
"paragraph_id": 239,
"tag": "p",
"text": "アノテーションクラス(annotation class)は、Kotlinにおいてコードにメタデータを付加するための手段を提供します。これにより、コンパイラや実行時の処理で追加の情報を提供することが可能となります。",
"title": "クラス"
},
{
"paragraph_id": 240,
"tag": "p",
"text": "アノテーションクラスは、@シンボルを使って宣言されます。アノテーションクラスの主な目的は、アノテーションを作成し、それをコードの要素に適用することです。",
"title": "クラス"
},
{
"paragraph_id": 241,
"tag": "p",
"text": "上記の例では、MyAnnotation というアノテーションクラスが宣言されています。このアノテーションは、name と version というパラメータを持っています。",
"title": "クラス"
},
{
"paragraph_id": 242,
"tag": "p",
"text": "アノテーションは、クラスや関数、プロパティなど、さまざまな要素に適用できます。",
"title": "クラス"
},
{
"paragraph_id": 243,
"tag": "p",
"text": "上記の例では、MyClass クラスとその中の myFunction 関数に MyAnnotation が適用されています。これにより、このクラスや関数に対する追加のメタデータが提供されます。",
"title": "クラス"
},
{
"paragraph_id": 244,
"tag": "p",
"text": "アノテーションをプロセッシングするためには、リフレクションやKotlinのアノテーションプロセッサを使用することがあります。これにより、アノテーションに関連する処理を行うカスタムロジックを実装できます。",
"title": "クラス"
},
{
"paragraph_id": 245,
"tag": "p",
"text": "上記の例では、AnnotatedElementを受け取り、その要素に MyAnnotation が適用されているかを調べ、情報を取得しています。",
"title": "クラス"
},
{
"paragraph_id": 246,
"tag": "p",
"text": "アノテーションクラスは、コードにメタデータを追加し、プロセッシングや設定などの目的で使用されます。",
"title": "クラス"
},
{
"paragraph_id": 247,
"tag": "p",
"text": "データークラス(Data class)は、Kotlinにおいてデータの保持や操作を目的としたクラスで、copy() メソッドなどがクラスを定義するだけで自動的に生成されます。これにより、不変性やイミュータビリティ(immutable)を維持しながら、簡潔で効果的なデータクラスを作成できます。",
"title": "クラス"
},
{
"paragraph_id": 248,
"tag": "p",
"text": "上記の例では、Person クラスがデータークラスとして宣言されています。コンストラクタで定義されたプロパティ(name と age)に対して、equals()、hashCode()、toString() などの標準メソッドが自動的に生成されます。",
"title": "クラス"
},
{
"paragraph_id": 249,
"tag": "p",
"text": "上記の例では、equals() メソッドにより person1 と person2 の内容が一致するか比較され、toString() メソッドによりクラスの内容が文字列として表示されます。また、copy() メソッドを使って一部のプロパティを変更した新しいインスタンスを作成しています。",
"title": "クラス"
},
{
"paragraph_id": 250,
"tag": "p",
"text": "データークラスが生成される主なメソッドは以下の通りです。",
"title": "クラス"
},
{
"paragraph_id": 251,
"tag": "p",
"text": "データークラスは、イミュータブルでありながら効果的にデータを操作するための便利な手段を提供します。",
"title": "クラス"
},
{
"paragraph_id": 252,
"tag": "p",
"text": "Kotlinのインターフェース(interface)は、抽象的なメソッドの宣言と、メソッドの実装を含むことができます。インターフェースは、抽象クラスと異なり状態を保持することができません。プロパティを持つ場合、これらは抽象クラスであるか、アクセサーの実装を提供する必要があります。",
"title": "クラス"
},
{
"paragraph_id": 253,
"tag": "p",
"text": "上記の例では、MyInterface インターフェースが、抽象メソッド doSomething() とデフォルトのメソッド doSomethingElse()、抽象プロパティ property を宣言しています。",
"title": "クラス"
},
{
"paragraph_id": 254,
"tag": "p",
"text": "上記の例では、MyClass クラスが MyInterface インターフェースを実装しています。doSomething() メソッドと property プロパティをオーバーライドしています。",
"title": "クラス"
},
{
"paragraph_id": 255,
"tag": "p",
"text": "上記の例では、C クラスが A インターフェースと B インターフェースの両方を実装しています。複数のインターフェースをカンマで区切って指定することができます。",
"title": "クラス"
},
{
"paragraph_id": 256,
"tag": "p",
"text": "上記の例では、D インターフェースが A インターフェースと B インターフェースを継承しています。これにより、D インターフェースは A と B のメソッドを含むことになります。",
"title": "クラス"
},
{
"paragraph_id": 257,
"tag": "p",
"text": "Kotlinのインターフェースは、クラスが異なる振る舞いを持つ場合に簡潔で柔軟な解決策を提供します。異なるインターフェースを実装することで、複数の振る舞いを同じクラスで組み合わせることができます。",
"title": "クラス"
},
{
"paragraph_id": 258,
"tag": "p",
"text": "インナークラス(Inner class)は、入れ子になった内側のクラスが外側のクラスのメンバーにアクセスすることを可能にします。これにより、外側のクラスと強い結びつきを持ちながら、内部で独自の振る舞いやデータを持つクラスを定義できます。",
"title": "クラス"
},
{
"paragraph_id": 259,
"tag": "p",
"text": "上記の例では、OuterClass という外側のクラスがあり、その中に InnerClass というインナークラスが定義されています。InnerClass は OuterClass のプロパティにアクセスすることができます。",
"title": "クラス"
},
{
"paragraph_id": 260,
"tag": "p",
"text": "上記の例では、OuterClass のインスタンスを作成し、そのインナークラスである InnerClass のインスタンスを取得しています。そして、InnerClass のメソッドを呼び出して外側のクラスのプロパティにアクセスしています。",
"title": "クラス"
},
{
"paragraph_id": 261,
"tag": "p",
"text": "インナークラスは、外部クラスとの緊密な連携が必要な場合や、外部クラスのプライベートなメンバーにアクセスする必要がある場合に有用です。",
"title": "クラス"
},
{
"paragraph_id": 262,
"tag": "p",
"text": "値クラス(data class)は、イミュータブルでスカラーな値の型を定義するための概念です。プロポーザル段階では inline class と呼ばれていました。値クラスは、プリミティブ型のように振る舞い、同時に型安全性を提供します。",
"title": "クラス"
},
{
"paragraph_id": 263,
"tag": "p",
"text": "上記の例では、Email という値クラスが宣言されています。この値クラスは、イミュータブルであり、value というプロパティを持っています。",
"title": "クラス"
},
{
"paragraph_id": 264,
"tag": "p",
"text": "上記の例では、異なるインスタンスの Email クラスを作成し、その値が等しいかを比較しています。値クラスでは、プライマリコンストラクタの引数で値が確定し、その値に基づいて等価性が判定されます。",
"title": "クラス"
},
{
"paragraph_id": 265,
"tag": "p",
"text": "値クラスは、ドメインモデリングや特定のデータ型を表現する際に有用であり、プロジェクト全体でのコードの理解性や保守性を向上させる役割を果たします。",
"title": "クラス"
},
{
"paragraph_id": 266,
"tag": "p",
"text": "オブジェクト(object)は、モディファイア・キーワードではありませんが、特殊なクラスの一種であり、一過的な匿名クラスを定義し、その唯一のインスタンスを生成します。オブジェクトはシングルトンのような振る舞いを持ち、一般的には特定の目的に使用されます。",
"title": "クラス"
},
{
"paragraph_id": 267,
"tag": "p",
"text": "上記の例では、Logger という名前のオブジェクトが宣言されています。このオブジェクトはシングルトンであり、log メソッドを持っています。",
"title": "クラス"
},
{
"paragraph_id": 268,
"tag": "p",
"text": "上記の例では、Logger オブジェクトの唯一のインスタンスにアクセスし、その log メソッドを呼び出しています。オブジェクトは初回のアクセス時に遅延初期化され、以降は同じインスタンスが再利用されます。",
"title": "クラス"
},
{
"paragraph_id": 269,
"tag": "p",
"text": "オブジェクトは特定のタスクや目的に対して唯一のインスタンスを提供する場合に利用され、例えばロギングや設定の管理などに適しています。",
"title": "クラス"
},
{
"paragraph_id": 270,
"tag": "p",
"text": "ジェネリックス( Generics )とは、汎用的なクラス・関数やメソッドを特定の型に対応づける機能のことです。",
"title": "ジェネリックス"
},
{
"paragraph_id": 271,
"tag": "p",
"text": "Kotlinのキーワード( Keywords )は",
"title": "キーワード一覧"
},
{
"paragraph_id": 272,
"tag": "p",
"text": "に分類されます。",
"title": "キーワード一覧"
},
{
"paragraph_id": 273,
"tag": "p",
"text": "以下のトークンは、常にキーワードとして解釈され、識別子として使用することはできません。 このようなキーワードをハード・キーワード( Hard keywords )と呼びます。",
"title": "キーワード一覧"
},
{
"paragraph_id": 274,
"tag": "p",
"text": "以下のトークンは、それが適用される文脈( context )ではキーワードとして機能し、他の文脈では識別子として使用することができます。 このようなキーワードをソフト・キーワード( Soft keywords )と呼びます。",
"title": "キーワード一覧"
},
{
"paragraph_id": 275,
"tag": "p",
"text": "アノテーション使用側ターゲット( Annotation use-site target )は、Kotlinにおいてアノテーションが特定の要素に対して適用される位置を指定する構文です。これにより、生成されるJavaバイトコードにおいてアノテーションがどの要素に適用されるかを正確に指定できます。",
"title": "キーワード一覧"
},
{
"paragraph_id": 276,
"tag": "p",
"text": "以下は、一般的なアノテーション使用側ターゲットの指定方法です。",
"title": "キーワード一覧"
},
{
"paragraph_id": 277,
"tag": "p",
"text": "これらの使用側ターゲットを使うことで、アノテーションが生成される場所を明確に指定することができ、柔軟性を保ちつつ、正確な挙動を得ることができます。",
"title": "キーワード一覧"
},
{
"paragraph_id": 278,
"tag": "p",
"text": "以下のトークンは、宣言の修飾語リスト( modifier lists of declarations )のキーワードとして機能し、他のコンテキストでは識別子として使用することができます。 このようなキーワードをモディファイア・キーワード( Modifier keywords )と呼びます。",
"title": "キーワード一覧"
},
{
"paragraph_id": 279,
"tag": "p",
"text": "以下の識別子は,コンパイラーが特定の文脈で定義したもので、他の文脈では通常の識別子として使用することができます。 このような識別子を特殊識別子( Special identifiers )と呼びます。",
"title": "キーワード一覧"
},
{
"paragraph_id": 280,
"tag": "p",
"text": "Kotlinは以下の演算子( Operators )や特殊特殊シンボル( special symbols )をサポートしています。",
"title": "キーワード一覧"
},
{
"paragraph_id": 281,
"tag": "p",
"text": "Kotlin標準ライブラリー( Kotlin Standard Library )は、以下のような機能を提供します。",
"title": "Kotlin標準ライブラリー"
},
{
"paragraph_id": 282,
"tag": "p",
"text": "Kotlin標準ライブラリーはKotlin自身で書かれています。",
"title": "Kotlin標準ライブラリー"
},
{
"paragraph_id": 283,
"tag": "p",
"text": "kotlin.annotation.*",
"title": "Kotlin標準ライブラリー"
},
{
"paragraph_id": 284,
"tag": "p",
"text": "Kotlinには、Arrayから始まり、Iterable, Collection, List, Set, Mapなどのコレクション型が豊富に用意されています。これらは主に kotlin.collections パッケージで提供されており、ディフォルトインポートなので追加のインポートなしで利用できます。",
"title": "Kotlin標準ライブラリー"
},
{
"paragraph_id": 285,
"tag": "p",
"text": "Iterable インターフェースは、Kotlinの標準ライブラリで使用される反復可能なコレクションの基本的なインターフェースです。このインターフェースは、コレクションが要素の反復処理を可能にするために必要な機能を提供します。",
"title": "Kotlin標準ライブラリー"
},
{
"paragraph_id": 286,
"tag": "p",
"text": "以下に、Iterable インターフェースの主な要素と使用法を示します:",
"title": "Kotlin標準ライブラリー"
},
{
"paragraph_id": 287,
"tag": "p",
"text": "Iterable インターフェースは、Kotlinでコレクションを扱う際に非常に重要であり、様々な反復処理操作を可能にします。",
"title": "Kotlin標準ライブラリー"
},
{
"paragraph_id": 288,
"tag": "p",
"text": "Collection インターフェースは、Kotlinの標準ライブラリで提供されるコレクション型の基本インターフェースの一つです。このインターフェースは、複数の要素を保持するデータ構造を表現し、それらの要素に対する基本的な操作を提供します。",
"title": "Kotlin標準ライブラリー"
},
{
"paragraph_id": 289,
"tag": "p",
"text": "以下に、Collection インターフェースの主な特徴と使用法を示します:",
"title": "Kotlin標準ライブラリー"
},
{
"paragraph_id": 290,
"tag": "p",
"text": "Collection インターフェースは、Kotlinのコレクションの基本的な機能を提供し、様々な種類のコレクションがこれを実装しています。これにより、異なる種類のコレクションを一貫して扱うことができます。",
"title": "Kotlin標準ライブラリー"
},
{
"paragraph_id": 291,
"tag": "p",
"text": "Listは、要素数が固定で要素の値を変更できないコレクションです。",
"title": "Kotlin標準ライブラリー"
},
{
"paragraph_id": 292,
"tag": "p",
"text": "上記の例では、ArrayList を使ってListを生成しています。ArrayListは要素の順序が保持され、可変長の動的な配列を表現します。add メソッドを使用して要素を追加することができます。",
"title": "Kotlin標準ライブラリー"
},
{
"paragraph_id": 293,
"tag": "p",
"text": "mutableListOf() を使って MutableList を生成し、add メソッドを使用して要素を追加しています。MutableListは要素の変更が可能なListです。",
"title": "Kotlin標準ライブラリー"
},
{
"paragraph_id": 294,
"tag": "p",
"text": "これらの例から分かるように、Kotlinのコレクションは型安全で、読み取り専用と可変なコレクションの違いが明確になっています。リストの他にも、SetやMapも用意されており、それぞれの特徴に応じて適切なものを選択できます。",
"title": "Kotlin標準ライブラリー"
},
{
"paragraph_id": 295,
"tag": "p",
"text": "kotlin.collections パッケージのコレクションクラスや関連機能は、さまざまなプログラミングシナリオで利用されます。以下は、kotlin.collections の主なユースケースのいくつかです:",
"title": "Kotlin標準ライブラリー"
},
{
"paragraph_id": 296,
"tag": "p",
"text": "以下は、これらのユースケースの簡単な例です:",
"title": "Kotlin標準ライブラリー"
},
{
"paragraph_id": 297,
"tag": "p",
"text": "これらの例は一部の機能を示すものであり、kotlin.collections のコレクションは、さまざまなプログラミングニーズに対応する強力なツールセットを提供します。",
"title": "Kotlin標準ライブラリー"
},
{
"paragraph_id": 298,
"tag": "p",
"text": "kotlin.collections を使用する際のベストプラクティスはいくつかあります。以下にいくつか挙げてみましょう:",
"title": "Kotlin標準ライブラリー"
},
{
"paragraph_id": 299,
"tag": "p",
"text": "これらのベストプラクティスは、コードの品質、パフォーマンス、保守性を向上させるのに役立ちます。使用ケースによって最適なアプローチを選択することが重要です。",
"title": "Kotlin標準ライブラリー"
},
{
"paragraph_id": 300,
"tag": "p",
"text": "kotlin.comparisons.*",
"title": "Kotlin標準ライブラリー"
},
{
"paragraph_id": 301,
"tag": "p",
"text": "kotlin.io.*",
"title": "Kotlin標準ライブラリー"
},
{
"paragraph_id": 302,
"tag": "p",
"text": "kotlin.ranges.*",
"title": "Kotlin標準ライブラリー"
},
{
"paragraph_id": 303,
"tag": "p",
"text": "kotlin.sequences.*",
"title": "Kotlin標準ライブラリー"
},
{
"paragraph_id": 304,
"tag": "p",
"text": "kotlin.text.*",
"title": "Kotlin標準ライブラリー"
},
{
"paragraph_id": 305,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "Kotlin標準ライブラリー"
},
{
"paragraph_id": 306,
"tag": "p",
"text": "[TODO:Rangeはコレクションではないので再分類が必要]",
"title": "Kotlin標準ライブラリー"
},
{
"paragraph_id": 307,
"tag": "p",
"text": "println((1..5).javaClass.kotlin)の結果が示す通り、範囲リテラル1..5はclass kotlin.ranges.IntRangeです。 コレクションは、Ranges以外にも、Sequences・Ranges・Lists・Arrays・Sets・Mapsなどがあります。これは網羅していませんし、上記の forプロトコルに従ったクラスを作れば、ユーザー定義のコレクションも作成できます。",
"title": "Kotlin標準ライブラリー"
},
{
"paragraph_id": 308,
"tag": "p",
"text": "Kotlinの標準ライブラリーにあるrepeat関数は、定数回の繰返しが必要な時に便利です。",
"title": "Kotlin標準ライブラリー"
},
{
"paragraph_id": 309,
"tag": "p",
"text": "repeat関数もそうですが、Kotlinにはブロックを受取る関数(やメソッド)があります。",
"title": "Kotlin標準ライブラリー"
},
{
"paragraph_id": 310,
"tag": "p",
"text": "このように、ブロックを取るメソッドを使うとコレクションに関する操作を簡素に書けます。",
"title": "Kotlin標準ライブラリー"
},
{
"paragraph_id": 311,
"tag": "p",
"text": "Kotlinは、言語レベルでコルーチンをサポートし、機能の大部分をライブラリに委ねることで、この問題を柔軟に解決しています。",
"title": "Coroutine"
},
{
"paragraph_id": 312,
"tag": "p",
"text": "Kotlin Script では、.jar を生成せず、そのままコードが実行されます。 また、main 関数をエントリーポイントはぜず、スクリプトの書かれた順に評価します。",
"title": "Kotlin Script"
},
{
"paragraph_id": 313,
"tag": "p",
"text": "ビルドツールの Gradle では、従来は Groovy がビルド構成ファイルに使われていましたが、Kotlin Script への移行が進んでいます。",
"title": "Kotlin Script"
}
]
| メインページ > 工学 > 情報技術 > プログラミング > Kotlin Kotlinは、JetBrains社によって開発された静的型付けされたオブジェクト指向のプログラミング言語で、Java仮想マシン(JVM)上で動作します。JavaScriptや、LLVMフレームワークを介して多くのプラットフォームで実行可能なコードにもコンパイルできます。
また、Kotlin/Wasmは、Kotlinの新しいコンパイルターゲットであり、WebAssemblyをサポートする環境やデバイス上で実行可能なアプリケーションを作成することができます。これにより、Kotlinの強力な機能と柔軟性を活用して、Webアプリケーションやクライアントサイドのプログラミングにも取り組むことができます。 KotlinはJavaよりも簡潔で型安全性が高く、Scalaよりもシンプルな言語を目指して開発されました。Scalaと比較して、簡略化された結果、コンパイルが高速化され、IDEでの言語サポートも充実しています。また、KotlinはJavaと完全な互換性があり、Java開発者は徐々に導入することができます。特に、KotlinはAndroidにも組み込まれており、既存のAndroidアプリケーションは、アプリケーション全体を書き換えることなくKotlinで新機能を実装することができます。Kotlin FoundationがKotlin™商標を守っています。 | {{Pathnav|メインページ|工学|情報技術|プログラミング}}
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{{Wikipedia}}
<div style="width: fit-content;float:left; margin: 0 2rem 0 0">__TOC__</div>
'''Kotlin'''は、[[w:JetBrains|JetBrains]]社によって開発された静的型付けされたオブジェクト指向のプログラミング言語で、[[W:Java仮想マシン|Java仮想マシン]](JVM)上で動作します。[[JavaScript]]や、[[W:LLVM|LLVMフレームワーク]]を介して多くのプラットフォームで実行可能なコードにもコンパイルできます。
また、Kotlin/Wasmは、Kotlinの新しいコンパイルターゲットであり、WebAssemblyをサポートする環境やデバイス上で実行可能なアプリケーションを作成することができます。これにより、Kotlinの強力な機能と柔軟性を活用して、Webアプリケーションやクライアントサイドのプログラミングにも取り組むことができます。
Kotlinは[[Java]]よりも簡潔で型安全性が高く、[[Scala]]よりもシンプルな言語を目指して開発されました。Scalaと比較して、簡略化された結果、コンパイルが高速化され、IDEでの言語サポートも充実しています。また、KotlinはJavaと完全な互換性があり、Java開発者は徐々に導入することができます。特に、KotlinはAndroidにも組み込まれており、既存のAndroidアプリケーションは、アプリケーション全体を書き換えることなくKotlinで新機能を実装することができます。Kotlin FoundationがKotlin™商標を守っています。
== はじめに ==
=== 予備知識 ===
Kotlinは多様なプラットフォームで利用できるモダンで柔軟なプログラミング言語です。
このチュートリアルに取り組む前に、以下の予備知識が役立ちます。
;プログラミング基礎:
: 変数、制御構造(条件分岐、ループ)、関数など、プログラミングの基本的な概念を理解していることが望ましいです。これらの概念はKotlinを含む多くのプログラミング言語で共通しています。
;オブジェクト指向プログラミング(OOP):
:Kotlinはオブジェクト指向の概念を採用しており、クラス、オブジェクト、継承、ポリモーフィズムなどのOOPの基本的な理解が重要です。
;Javaの基本知識(Kotlin/JVMの場合):
:KotlinはJavaとの高い互換性を有しています。Javaの基本的な概念やJavaの標準ライブラリについての基本的な知識があると、Kotlin/JVMの理解がより深まります。
;Web開発基礎(Kotlin/JSの場合):
:Kotlin/JSはJavaScriptに変換され、Web開発に利用されます。HTMLやCSS、基本的なWeb開発の知識があると、Kotlin/JSを使用したWebアプリケーションの開発がスムーズに進みます。
;ネイティブ開発基礎(Kotlin/Nativeの場合):
:Kotlin/Nativeはネイティブな実行コードを生成し、組み込みシステムやiOSアプリケーションなどで利用されます。ネイティブ開発の基本的な知識があると、Kotlin/Nativeを活用した開発がしやすくなります。
以上の予備知識を持っていると、Kotlinをより効果的に学習し、異なるプラットフォームでの利用に対応することができます。各プラットフォームにおけるKotlinの特徴や最適な利用法を理解することで、幅広い開発環境で柔軟かつ効率的なプログラミングが可能になります。
==== プログラミング経験者へ ====
Kotlinを学ぶ際に他の言語のプログラミング経験がある場合、以下のアドバイスが役立つかもしれません。
;Java経験者へのアドバイス:
:KotlinはJavaとの互換性が高いため、既存のJavaコードとの統合がスムーズに行えます。JavaのコードをKotlinに変換することも可能です。
:Kotlinの拡張関数やラムダ式など、新しい機能を積極的に試してみましょう。これにより、コードの簡潔性と可読性が向上します。
;他の静的型付け言語経験者へのアドバイス:
:Kotlinも静的型付け言語であり、型推論が強力です。しかし、null安全性や拡張関数など、他の言語にはない独自の機能にも焦点を当てて学習しましょう。
:Kotlinのコルーチンを利用して非同期処理を書くことで、他の言語での非同期コードよりもシンプルで効率的なコードを書けます。
;関数型プログラミング経験者へのアドバイス:
:Kotlinは関数型プログラミングの概念をサポートしています。ラムダ式や高階関数を駆使して、より宣言的で簡潔なコードを書く方法を探求してみてください。
:Kotlinの拡張関数やパターンマッチングを利用することで、関数型プログラミングの手法をさらに発展させることができます。
;Android開発者へのアドバイス:
:KotlinはAndroidの公式開発言語として広く採用されています。既存のJavaベースのAndroidプロジェクトでもKotlinへの移行が可能です。Android Studioとの統合を利用して、Androidアプリケーションの開発にKotlinを組み込んでみましょう。
総じて、Kotlinは他のプログラミング言語において得た経験を活かしやすい言語です。適応期間は短く、生産性を高めるために積極的に新しい機能や手法を試してみることが重要です。また、公式のドキュメントやサンプルコードを利用して、Kotlinの言語仕様やベストプラクティスに精通することもおすすめです。
==== プログラミング未経験者へ ====
プログラミング未経験者がKotlinやプログラミング全般に取り組む際のアドバイスは以下の通りです:
;基本的なプログラミング概念の理解:
:プログラミングの基本概念(変数、条件分岐、ループなど)を理解することから始めましょう。これらの基本的な概念はほぼ全てのプログラミング言語で共通しています。
;Kotlinの特徴を理解:
:KotlinがJavaとの互換性が高く、Androidアプリケーション開発で広く使われていることを知りましょう。Kotlinはコードの簡潔性や可読性を向上させるための多くの機能を提供しています。
;オンライン教材やチュートリアルを活用:
:オンライン上には多くの無料または低コストでプログラミングを学べる教材やチュートリアルがあります。これらのリソースを活用して基礎から学び、実際に手を動かしながら進めてみましょう。
;実践を重視:
:理論だけでなく、実際にコードを書いてみることが非常に重要です。小さなプログラムから始め、段階的に難易度を上げながら進めていくと良いでしょう。
;エラーを恐れず、デバッグの練習:
:プログラムでエラーが発生することはよくあることです。エラーを見つけて修正することはプログラミングの一部であり、そのプロセスを恐れずに経験してみましょう。
;プロジェクトを通じた学習:
:実際のプロジェクトに取り組むことで、プログラミングの実践的な側面を理解しやすくなります。小さなプロジェクトから始め、徐々に複雑性を増していくと良いでしょう。
;コミュニティへの参加:
:Kotlinやプログラミングに関するコミュニティやフォーラムに参加すると、他の学習者や経験者からのアドバイスやサポートを得ることができます。質問をしてコミュニケーションをとることも大切です。
;継続的な学習と興味を持つ:
プログラミングは絶え間ない学習が求められる分野です。新しい技術やツールに興味を持ち、継続的に学び続けることでスキルを向上させることができます。
プログラミングはスキルの向上に時間がかかるものですが、継続的な努力と実践を通じて着実に成長していきます。最初は小さなステップから始め、徐々に進んでいくことが大切です。
=== Hello world ===
{{先頭に戻る|style=border-top:1px solid gray;}}
他の多くのチュートリアルがそうであるように、 私たちもまずはKotlinの世界にあいさつすることから始めましょう。hello.ktというファイルを作り、次のように書いて保存して下さい(Kotlinのソースファイルの拡張子は .kt です)。
;[https://pl.kotl.in/JCCTJjX4_ hello.kt]:<syntaxhighlight lang=kt>
fun main() = println("Hello, World!")
</syntaxhighlight>
それでは、ソースプログラムをコンパイルして実行してみましょう。
:<syntaxhighlight lang="console">
% kotlinc hello.kt -include-runtime -d hello.jar
% java -jar hello.jar
Hello, World!
% _
</syntaxhighlight>
# <code>fun main()</code> :
#* <code>fun</code>は関数(function)を宣言するためのキーワードです。
#* <code>main</code>はプログラムのエントリーポイントとなる特別な関数の名前です。通常、プログラムの実行が始まるところです。
# <code>=</code> :
#* このイコール記号は、関数の本体が始まることを示します。Kotlinでは、単一の式の関数を記述する際に、本体とイコールを省略して1行で記述できます。
# <code>println("Hello, World!")</code> :
#* <code>println</code>はコンソールに文字列を表示するための関数です。<code>("Hello, World!")</code>は引数として渡される文字列です。
#* この行全体は、関数の呼び出しとして、文字列 "Hello, World!" をコンソールに表示するものです。
これにより、この一行のコードは「<code>main</code>という関数を宣言し、その中で 'Hello, World!' という文字列をコンソールに表示する」という単純なプログラムを実現しています。Kotlinはこのようにシンプルかつ読みやすい構文を持っており、初学者にも優れた学習言語となっています。
<br style="clear:both">
=== クイックツアー ===
Kotlinのクイックツアーでは、基本的な構文や機能に焦点を当て、簡単なコード例を通じて言語の特徴を理解していきます。
# 変数と基本的なデータ型
#:<syntaxhighlight lang=kotlin>
fun main() {
// 変数の宣言
val message: String = "Hello, Kotlin!"
// 自動型推論も可能
val number = 42
// 文字列テンプレート
println("$message The answer is $number")
}
</syntaxhighlight>
# 条件分岐とループ
#:<syntaxhighlight lang=kotlin>
fun main() {
val score = 75
// 条件分岐
if (score >= 80) {
println("Great job!")
} else if (score >= 60) {
println("Good job!")
} else {
println("You can do better.")
}
// ループ
for (i in 1..5) {
println("Count: $i")
}
}
</syntaxhighlight>
# 関数の定義と呼び出し
#:<syntaxhighlight lang=kotlin>
fun main() {
// 関数の呼び出し
greet("Alice")
// 関数の定義
fun greet(name: String) {
println("Hello, $name!")
}
}
</syntaxhighlight>
# クラスとオブジェクト
#:<syntaxhighlight lang=kotlin>
fun main() {
// クラスの定義
class Person(val name: String, val age: Int)
// オブジェクトの作成
val person = Person("John", 25)
// プロパティへのアクセス
println("${person.name} is ${person.age} years old.")
}
</syntaxhighlight>
# Null安全性
#:<syntaxhighlight lang=kotlin>
fun main() {
// Null許容型
var name: String? = "Bob"
// 安全呼び出し演算子
val length: Int? = name?.length
// Elvis演算子
val result = name ?: "Guest"
println("Name length: $length")
println("Result: $result")
}
</syntaxhighlight>
# 拡張関数
#:<syntaxhighlight lang=kotlin>
fun main() {
// 拡張関数の定義
fun String.addExclamation(): String {
return "$this!"
}
// 拡張関数の呼び出し
val greeting = "Hello".addExclamation()
println(greeting)
}
</syntaxhighlight>
# コルーチン
#:<syntaxhighlight lang=kotlin>
import kotlinx.coroutines.*
fun main() {
// コルーチンの起動
GlobalScope.launch {
delay(1000) // 1秒待つ
println("World!")
}
println("Hello, ")
// プログラムを待機して終了しないようにする
Thread.sleep(2000) // 2秒待つ
}
</syntaxhighlight>
# Kotlin DSL
#:<syntaxhighlight lang=kotlin>
data class Person(val name: String, val age: Int)
fun buildPerson(block: PersonBuilder.() -> Unit): Person {
val builder = PersonBuilder()
builder.block()
return builder.build()
}
class PersonBuilder {
var name: String = ""
var age: Int = 0
fun build(): Person {
return Person(name, age)
}
}
fun main() {
val person = buildPerson {
name = "Alice"
age = 30
}
println("Built person: $person") // => Built person: Person(name=Alice, age=30)
}
</syntaxhighlight>
この例では、Kotlin DSLを使用して、特定のドメイン(ここでは<code>Person</code>オブジェクトの構築)に特化した言語拡張を行っています。
これらの例はKotlinの基本を紹介するものであり、より高度な概念や機能も学ぶことができます。
{{:Kotlin/インストール方法}}
{{:Kotlin/実行方法}}
== 特徴 ==
{{先頭に戻る}}
; [[W:コンパイル型言語|コンパイル型言語]] : Kotlinはコンパイラーとして実装されています。REPLやスクリプティングエンジンもあります。
:; Kotlin/JVM: 1つまたは複数のソースコードをコンパイルしてJavaバイトコードを生成し、生成したJavaバイトコードを実行します。
:; Kotlin/JS: 1つまたは複数のソースコードをコンパイルしてJavaScriptを生成し、生成したJavaScriptを実行します。
:; Kotlin/Native: 1つまたは複数のソースコードをコンパイルしてLLVMインフラストラクチャーをバックエンドに実行形式を生成し、生成した実行形式を実行します。
:; Kotlin/Wasm: 1つまたは複数のソースコードをコンパイルしてWebAssembly(Wasm)バイナリを生成し、WebAssembly仮想マシン上で実行します。
; [[W:静的型付け|静的型付け]] : 値・変数・関数のパラメーター・関数の戻値などの型はコンパイル時に検証され、[[W:型安全性|型安全性]]が担保されます。
; [[W:例外#コンピュータと例外|例外]] : try-catch-finally 形の例外処理をサポートします。
; [[W:多重定義#演算子の多重定義|演算子オーバーロード]]: サポートします。<code>a + b</code> は、メソッド形式 <code>a.plus(b)</code> と同義です。
; [[W:多義定義|関数オーバーロード]] : 同じ名前で引数の数が異なる関数を定義することが可能です。
; [[#ラムダ式|ラムダ式]]: サポートします。<code>{ a: Int, b: Int -> a + b }</code>
; [[#無名関数|無名関数]]: サポートします。<code>fun(a: Int, b: int) = a + b</code>
; [[#拡張関数|拡張関数]]: 既存のクラスに新しいメソッドを生やすことができます。これは Java のクラスライブラリーのクラスも例外ではありません。
; 宣言や定義にはキーワードを伴う: 関数定義なら <code>fun</code>、定数宣言なら <code>val</code>、変数宣言なら <code>var</code>、クラス定義なら <code>class</code> など、明示的にキーワードを使い宣言するので grep フレンドリーです。また、列挙型は <code>enum</code> ではなく、<code>enum class</code> で列挙だと知らなくても '''class''' で検索すれば見落としません。C/C++は、<code>int f(int ch){...}, int i = 9;</code>のように、よく読まないと関数定義なのか変数宣言かわからないのとは対照的です。特にC++は、<code>int a(3)</code>が関数定義なのか変数宣言なのかに曖昧さがあり、パースの時点では確定せずコンパイラーもプログラマーも悩まされます。
; [[W:型推論|型推論]] : サポートします。
; [[W:ガベージコレクション|ガベージコレクション]] : サポートします。
; [[W:クラス (コンピュータ)|クラス]] : クラスベースのオブジェクト指向言語です。
:; 全てがオブジェクト : Javaで言うプリミティブもオブジェクトで、メソッドを持ちます。
:; 祖先クラス : Any
:; [[#コンストラクタ|コンストラクター]] : [[#プライマリーコンストラクター|プライマリーコンストラクター]]・[[#セカンダリコンストラクター|セカンダリコンストラクター]]・[[#init|init]] の3つのメソッドがインスタンス化の機能が割振られます。
:; [[#デストラクタ|デストラクター]] : ありません。
:; [[W:継承 (プログラミング)|継承]] : 単一継承をサポートします。
:; 抽象クラス : [[Java]] や [[Go]] の interface や [[Swift]] の protocol はありませんが、abstract class があります。
; Mix-in : サポートします。
; [[#名前空間|名前空間]] : [[#パッケージ|パッケージ]]が名前空間を持ちます。
; defer : ありません。
; 分岐構造は式 : [[#if|if]], [[#when|when]]は式です。
; 文末の<code>;</code>(セミコロン): 必要ありません。
== コード・ギャラリー ==
{{先頭に戻る}}
=== エラトステネスの篩 ===
{{先頭に戻る|title=コード・ギャラリーに戻る|label=コード・ギャラリー}}
エラトステネスの篩を、若干 Kotlin らしく書いてみました。
;[https://pl.kotl.in/ZIj3KGfFH エラトステネスの篩]:<syntaxhighlight lang=kotlin line>
fun eratosthenes(n: Int) {
var sieve = BooleanArray(n + 1){ it >= 2 }
for (i in 2..<sieve.size) {
if (!sieve[i])
continue;
print("$i ")
for (j in 2 * i until sieve.size step i)
sieve[j] = false
}
}
fun main() {
eratosthenes(100);
}
</syntaxhighlight>
;実行結果:<syntaxhighlight lang=text>
2 3 5 7 11 13 17 19 23 29 31 37 41 43 47 53 59 61 67 71 73 79 83 89 97
</syntaxhighlight>
: 使用頻度の高い sieve は、実行効率の良いプリミティブ型配列の BooleanArray として、初期化式を it >= 2 として宣言と同時に素数候補をマークしました。
: <var>i</var> のループはオーソドックスな IntRange をコレクションにした for ですが、<var>j</var> のループは少し変則的で until は制御構造に見えますが、メソッド <code>infix Int.until(to: Int) : IntProgression</code> で、infix 修飾による中置構文です。
=== 最大公約数と最小公倍数 ===
{{先頭に戻る|title=コード・ギャラリーに戻る|label=コード・ギャラリー}}
最大公約数と最小公倍数を、若干 Kotlin らしく書いてみました。
;[https://pl.kotl.in/eumYGumM7 最大公約数と最小公倍数]:<syntaxhighlight lang=kotlin line>
tailrec fun gcd2(a: Int, b: Int): Int = if (b == 0) a else gcd2(b, a % b)
fun gcd(vararg numbers: Int): Int = numbers.reduce(::gcd2)
fun lcm2(a: Int, b: Int): Int = a * b / gcd2(a, b)
fun lcm(vararg numbers: Int): Int = numbers.reduce(::lcm2)
fun main() {
println("gcd2(30, 45) => ${gcd2(30, 45)}")
println("gcd(30, 72, 12) => ${gcd(30, 72, 12)}")
println("lcm2(30, 72) => ${lcm2(30, 72)}")
println("lcm(30,42,72) => ${lcm(30,42,72)}")
}
</syntaxhighlight>
;実行結果:<syntaxhighlight lang=text>
gcd2(30, 45) => 15
gcd(30, 72, 12) => 6
lcm2(30, 72) => 360
lcm(30,42,72) => 2520
</syntaxhighlight>
: 関数 gcd2() は、2つの整数の最大公約数を[[W:ユークリッドの互除法|ユークリッドの互除法]]で求めています。
:: gcd2() の修飾子 <code>tailrec</code> は、コンパイラーに末尾再帰が行なわれていることを教え、再帰をループにするヒントを与えています。
: 関数 gcd() は可変引数関数で、全ての引数に gcd2() を適用し最大公約数を返します。
: 関数 lcm2() は、2つの整数の最小公倍数を、<math>GCD(m,n) \cdot LCM(m,n)=m \cdot n</math>を利用して求めています。
: 関数 lcm() は可変引数関数で、全ての引数に lcm2 を適用し最小公倍数を返します。
それぞれの関数定義は式形式で1行なので拍子抜けですが、概念を簡素にかけていると思います。
=== 二分法 ===
{{先頭に戻る|title=コード・ギャラリーに戻る|label=コード・ギャラリー}}
[[W:二分法|二分法]]を、若干 Kotlin らしく書いてみました。
;[https://paiza.io/projects/HwIg-40sBXp5GOFWFTLKMA?language=kotlin 二分法]:<syntaxhighlight lang=kotlin line>
import kotlin.math.abs
tailrec fun bisection(low_: Number, high_: Number, f: (Double) -> Double) : Double {
var low = low_.toDouble()
var high = high_.toDouble()
val x = (low + high) / 2;
val fx = f(x);
if (abs(fx) < +1.0e-10)
return x;
if (fx < 0.0)
low = x;
else
high = x;
return bisection(low, high, f);
}
fun main() {
println(bisection(0, 3){x : Double -> x - 1})
println(bisection(0, 3){x : Double -> x * x - 1})
}
</syntaxhighlight>
;実行結果:<syntaxhighlight lang=text>
0.9999999999417923
1.0000000000291038
</syntaxhighlight>
: [[旧課程(-2012年度)高等学校数学B/数値計算とコンピューター#2分法]]の例を Kotlin に移植しました。
: 命題の式をラムダで渡すのが肝ですが、Kotrinは関数の最後パラメーターが関数型の場合括弧の外に追い出せるので
:: <code>bisection(0, 3){x : Double -> x - 1}</code>のような表現ができます。
: 引数で受取った範囲を一旦varに移替えているのは、関数の引数がイミュータブルなためです。
: また、どうせローカル変数に移すならパラメータは Number 型としてIntなども受け入れるようにし、.toDouble()で型を揃えています。
: このコードはまた、<code>[[#tailrec|tailrec]]</code> の好例にもなっています。
=== 複素数型 ===
{{先頭に戻る|title=コード・ギャラリーに戻る|label=コード・ギャラリー}}
オーソドックスな複素数型の実装(Kotlinの標準ライブラリーには複素数型が見当たらなかったので)
{{:Kotlin/Complex.kt}}
=== クラス定義とインスタンス化とメンバー関数 ===
;[https://paiza.io/projects/9XyNAIQyFNLCewZO020A6Q?language=kotlin シンプルなクラス定義]:<syntaxhighlight lang=kotlin line highlight="1-4,7,11">
class Hello(val s : String = "world") {
override fun toString() = "Hello $s!"
fun print() = println(s)
}
fun main() {
val hello1 = Hello()
println(hello1)
hello1.print()
val hello2 = Hello("my friend")
println(hello2);
hello2.print()
print(
"""
Hello::class.simpleName => ${Hello::class.simpleName}
hello1 => $hello1
hello2.s => ${hello2.s}
"""
)
}
</syntaxhighlight>
;実行結果:<syntaxhighlight lang=text>
Hello world!
world
Hello my friend!
my friend
Hello::class.simpleName => Hello
hello1 => Hello world!
hello2.s => my friend
</syntaxhighlight>
: [[Ruby#クラス]]の例を、Kotlin に移植しました。
: 冒頭4行がクラス定義です。
: クラス定義に、他のオブジェクト指向言語ならコンストラクタに渡すような引数が渡されています。
: メンバーを公開するケースなら、この様に宣言的な引数リストを使うとメンバー定義と暗黙の初期値を与えられます。
: toString は、オブジェクトを文字列化するメンバー関数で、Anyの同名のメンバー関数をオーバーライドしています。
: print は、このクラスに独自なメンバー関数で、println() の戻値型(= Unit)を戻値型としています。
=== ファイルの読出し ===
{{先頭に戻る|title=コード・ギャラリーに戻る|label=コード・ギャラリー}}
;[https://paiza.io/projects/C2zvgreLywbWQvIGSzHGug?language=kotlin JavaのI/Oシステムを使いファイルを読込む]:<syntaxhighlight lang=kotlin line>
import java.nio.file.Files
import java.nio.file.Paths
import java.nio.charset.Charset
import java.io.IOException
fun main() {
try {
for (s in Files.readAllLines(Paths.get("/etc/hosts"), Charset.forName("UTF-8"))) {
println(s)
}
} catch (e: IOException) {
e.printStackTrace()
}
}
</syntaxhighlight>
;[https://paiza.io/projects/cfZOI-b1YK5S36_bao5Isw?language=kotlin readText版]:<syntaxhighlight lang=kotlin line>
import java.io.File
fun main(args: Array<String>) {
print(File("/etc/hosts").readText())
}
</syntaxhighlight>
==チートシート ==
{{先頭に戻る}}
;[[#エントリーポイント|エントリーポイント]]
:;コマンドライン引数を受取らない場合
::<syntaxhighlight lang=kotlin>
fun main() {
// ...
}
</syntaxhighlight>
:;コマンドライン引数を受取る場合
::<syntaxhighlight lang=kotlin>
fun main(args: Array<String>) {
println(args.contentToString())
}
</syntaxhighlight>
;[[#コメント|コメント]]:<syntaxhighlight lang=kotlin style="width: fit-content">
// Kotlinには、行末で終わるコメントと
fun main() { /*
* 複数行に渡ることと
* /*
* 入れ子にすることができる
* コメントがあります
*/
*/
println("Hello, World!")
}
</syntaxhighlight>
;プリミティブデータ型
:{| class=wikitable style="text-align: center"
!データ型!!サイズ<hr>(ビット)!!初期値
|-
|Boolean||1||false
|-
|Byte||8||0
|-
|Short||16||0
|-
|Int||32||0
|-
|Long||64||0L
|-
|Float||32||0.0f
|-
|Double||64||0.0
|}
;[[#変数|変数宣言]]
:;[[#val|イミュータブル]]:<syntaxhighlight lang=kotlin inline>val 識別子 : 型 = 初期化式 ;</syntaxhighlight>
::;[[#型推論|型推論版]]:<syntaxhighlight lang=kotlin inline>val 識別子 = 初期化式 ;</syntaxhighlight>
:;[[#var|ミュータブル]]:<syntaxhighlight lang=kotlin inline>var 識別子 : 型 = 初期化式 ;</syntaxhighlight>
; リテラル
:; 整数リテラル:<syntaxhighlight lang=kotlin inline>123, 0b11010, 0o177, 0xbadbeef</syntaxhighlight>
:; 浮動小数点数リテラル:<syntaxhighlight lang=kotlin inline>3.14, 1.2e-9</syntaxhighlight>
:; 文字リテラル:<syntaxhighlight lang=kotlin inline>'a', '漢', '¥t'</syntaxhighlight>
:; 文字列リテラル:<syntaxhighlight lang=kotlin inline>”abc”, "了解🏝👅"</syntaxhighlight>
::; 複数行に渡る文字列リテラル
::: <syntaxhighlight lang=kotlin style="width: fit-content">
"""
複数行に渡る場合は
この様に
3つの"(ダブルクオーテーションマーク)で囲むことで記述できます。
"""
</syntaxhighlight>
:; 配列の生成:<syntaxhighlight lang=kotlin inline>arrayOf(2,3,5,7), Array(5){1+it)</syntaxhighlight>
; [[#制御構造|制御構造]]
:; [[#分岐|分岐]]
::; [[#if|if]]
:::;else節のないif
::::<syntaxhighlight lang=zig inline>if ( 条件式 ) 式</syntaxhighlight>
::::else節のないifは、値を取ろうとするとコンパイルエラーになります。
:::;ifの値
::::<syntaxhighlight lang=zig inline>if ( 条件式 ) 式1 else 式2</syntaxhighlight>
::::条件式が false でなければifの値は 式1
::::false ならば 式2
::; [[#when|when]]
:::;式で分岐:<syntaxhighlight lang=kotlin style="width: fit-content">
when ( 式 ) {
値0 -> 式0
値1, 値2... , 値n -> 式1
in 範囲式 -> 式2
!in 範囲式 -> 式3
is 型 -> 式4
!is 型 -> 式5
elase -> 式x
}
</syntaxhighlight>
:::;式を省略すると true が仮定されます:<syntaxhighlight lang=kotlin style="width: fit-content">
when {
式0 -> 式0x
式1, 式2... , 式n -> 式1x
elase -> 式x
}
</syntaxhighlight>
:::;値を返すwhen(による再帰):<syntaxhighlight lang=kotlin style="width: fit-content">
fun power(n: Int, i: Int) = when {
i < 0 -> throw Exception("Negative powers of integers cannot be obtained.")
i == 0 -> 1
i == 1 -> n
else -> n * power(n, i - 1)
}
</syntaxhighlight>
:; [[#繰返し処理|繰返し処理]]
::; [[#while|while]]
:::<syntaxhighlight lang=kotlin>
var i = 0
while (i < 5) {
println(i)
i++
}
</syntaxhighlight>
::; [[#do-while|do-while]]
:::<syntaxhighlight lang=kotlin>
var i = 0
do {
println(i)
i++
} while (i < 5)
</syntaxhighlight>
::; [[#for|for]]
:::<syntaxhighlight lang=kotlin>
for (i in 0 until 5) {
println(i)
}
</syntaxhighlight>
; コレクション
:;リストの生成
:;マップの生成
:;リストへのアクセス
:;マップへのアクセス
:;フィルタリング
:;マップへの変換
; クラス
:;enum class
:;abstract class
; 関数
:; 関数呼出し
:; 関数定義
== KotlinとJavaの比較 ==
{{先頭に戻る}}
KotlinとJavaは、どちらもJava Virtual Machine(JVM)上で動作するプログラミング言語です。以下は、KotlinとJavaの主な比較ポイントです。
# Null Safety(null安全性)
#; Kotlin: Kotlinはnull安全性を重視しており、デフォルトで変数がnullになる可能性がある場合、その変数をnullableとして扱います。これにより、nullによる実行時のエラーを減少させます。
#; Java: 近年のJavaバージョンでは、<code>Optional</code>や<code>Nullable</code>などの概念が導入され、nullの扱いが改善されました。しかし、Kotlinのnull安全性はより厳格であり、コンパイル時の警告やエラーが発生しやすくなっています。
# コードの簡潔性
#; Kotlin: KotlinはJavaに比べてコードが簡潔で読みやすくなっています。これは、Kotlinがnullチェックや型推論などを自動的に処理し、冗長なコードを排除できるからです。
#; Java: Javaも近年ではラムダ式やストリームAPIなど、コードの簡潔性を向上させる機能が導入されていますが、依然として冗長なコードが残ることがあります。
# 関数型プログラミング
#; Kotlin: Kotlinは関数型プログラミングをサポートしており、ラムダ式や高階関数の使用が簡単です。
#; Java: Javaも関数型プログラミングをサポートしていますが、Kotlinの方がよりシンプルになっています。
# 互換性
#; Kotlin: KotlinはJavaのライブラリやフレームワークを使用することができ、Javaとの相互運用性が高いです。また、JavaからKotlinに変換することも可能です。
#; Java: JavaはKotlinのコードを直接使用することはできませんが、既存のJavaコードとの連携がスムーズです。
# パフォーマンス
#; Kotlin: KotlinはJavaに比べて少し遅いとされていますが、実際のアプリケーションではその違いがほとんど実感できないことが多いです。KotlinはJavaのバイトコードに変換されるため、ほとんど同じパフォーマンスを実現できます。
# ツールのサポート
#; Kotlin: KotlinはJavaと同じツールを使用できるため、Javaエコシステムのメリットを享受しながら、より現代的な言語機能を利用できます。
総合的に見ると、KotlinはJavaよりも簡潔で読みやすく、より現代的な言語機能を備えています。ただし、Javaのライブラリやフレームワークを使用する場合は、Javaを使用することが必要な場合があります。
== KotlinとScalaの比較 ==
{{先頭に戻る}}
KotlinとScalaは、どちらもJVM(Java Virtual Machine)上で動作する静的型付け言語であり、それぞれ異なる特徴を持っています。以下に、KotlinとScalaをいくつかの側面で比較してみます。
# パフォーマンス
#; Kotlin: Kotlinは、Javaと同等のパフォーマンスを提供し、メモリ使用量が比較的少ないです。Androidアプリケーションの開発においては特に優れた性能を発揮します。
#; Scala: Scalaは一般的にはJavaよりも高速であるとされていますが、同時に多くのメモリを使用します。複雑なシステムの開発において、高いパフォーマンスが求められる場面で利用されます。
# 文法
#; Kotlin: Kotlinの文法はJavaに似ており、より簡素であり、Javaからの移行が容易です。これにより、Java開発者にとっては理解しやすいものです。
#; Scala: Scalaの文法は高度であり、関数型プログラミングの概念を強力にサポートしています。初めてのユーザーにとっては学習コストが高いかもしれませんが、高度な機能を提供しています。
# 開発用途
#; Kotlin: Kotlinは主にAndroidアプリケーションの開発に最適化されています。Android Studioでのサポートが強力であり、Androidエコシステムとの統合がスムーズです。
#; Scala: Scalaは複雑なシステムや大規模なプロジェクトの開発に適しています。特に関数型プログラミングの特徴を生かした開発に向いています。
# 可読性
#; Kotlin: KotlinはJavaと同じように、シンプルで読みやすいコードを書くことができます。文法がシンプルであるため、可読性が高いです。
#; Scala: Scalaは高度な機能を提供するが故に、可読性が低下する可能性があります。特に初心者にとっては、学習コストが高いと感じることがあります。
# 拡張性
#; Kotlin: Kotlinはよりシンプルでクラスベースのプログラミングスタイルを提供しており、拡張性があります。拡張関数や拡張プロパティなどが利用できます。
#; Scala: Scalaは関数型プログラミングの特徴を強調しており、高度な拡張性を提供しています。パターンマッチングや型クラスなどが利用できます。
総合的に見ると、KotlinはJavaからの移行が容易であり、Androidアプリケーションの開発に特に適しています。一方で、Scalaは関数型プログラミングの特徴を生かして複雑なシステムの開発に向いており、高度な拡張性を提供しています。選択する言語は、開発の目的や開発者のスキルセットによって異なることがあります。
== KotlinとSwiftの比較 ==
{{先頭に戻る}}
KotlinとSwiftは、それぞれAndroidとiOSのアプリ開発で主に使用されるプログラミング言語です。以下に、両言語の類似点と相違点をいくつか挙げてみます。
;類似点:
:;静的型付け:
::KotlinとSwiftは両方とも静的型付け言語であり、コンパイル時に型の確認が行われます。これにより、実行時エラーを事前に把握しやすくなり、安全性が向上します。
:;モダンな構文:
::どちらの言語もモダンで読みやすい構文を採用しており、コードの記述が簡潔になっています。これにより、開発者は効率的かつ迅速にコードを書くことができます。
:;ヌル安全性:
::KotlinとSwiftはヌル安全性の考え方を取り入れており、ヌルポインターによるエラーを防ぐための手段を提供しています。これにより、安定したアプリケーションの開発が可能です。
;相違点:
:;ターゲットプラットフォーム:
::Kotlinは主にAndroidアプリ開発に焦点を当てていますが、JetBrainsによって開発・サポートされているため、マルチプラットフォーム開発にも利用されています。
::SwiftはAppleが開発し、iOS、macOS、watchOS、tvOSなどのApple製品向けのアプリ開発に特化しています。
:;開発元とサポート:
::KotlinはJetBrainsによって開発・サポートされています。JetBrainsはプロの開発者向けのツールを提供しており、Kotlinの統合も図られています。
::SwiftはAppleによって開発され、iOSや関連プラットフォーム向けに積極的にサポートされています。Xcodeなどの開発ツールも提供されています。
:;言語機能の違い:
::KotlinはJavaとの相互運用性が高く、既存のJavaコードとの統合が容易です。これにより、Android開発においても既存のJavaライブラリを利用することができます。
::SwiftはObjective-Cとの相互運用性があり、iOS開発においてはObjective-Cコードとの統合が可能です。SwiftはObjective-Cよりもシンプルであり、関数型プログラミングの機能も強化されています。
:;構文と特徴:
::KotlinはJavaに似た構文を持ちつつ、いくつかの新しい機能や改善を提供しています。Javaからの移行が容易であり、Androidアプリケーション開発に適しています。
::SwiftはObjective-Cよりもシンプルで読みやすい構文を持っており、関数型プログラミングの機能が強化されています。iOSアプリケーション開発において使用されます。
どちらの言語も優れた特性を持っており、選択はプロジェクトのニーズや開発者の好みによって異なります。
== エントリーポイント ==
{{先頭に戻る}}
Kotlinでは、関数 mainがエントリーポイントです。
;noop.kt:<syntaxhighlight lang=kotlin>
fun main() {}
</syntaxhighlight>
なにもしないプログラムはこの様になります。
=== コマンドライン引数を受取る場合 ===
;use-args.kt:<syntaxhighlight lang=kotlin>
fun main(args: Array<String>) {
println(args.contentToString())
}
</syntaxhighlight>
;Shell:<syntaxhighlight lang=text>
% kotlinc use-args.kt -include-runtime -d use-args.jar
% java -jar use-args.jar 123 abc 漢字
[123, abc, 漢字]
% _
</syntaxhighlight>
== パッケージ ==
{{先頭に戻る}}
パッケージの指定は、ソースファイルの冒頭(shebang!の次)で行ってください<ref>[https://kotlinlang.org/docs/basic-syntax.html#package-definition-and-imports Package definition and imports]</ref>。
:<syntaxhighlight lang="Kotlin">
package my.demo
import kotlin.text.*
// Imprementation
</syntaxhighlight>
ディレクトリとパッケージの一致は必須ではなく、ソースファイルはファイルシステム上に任意に配置することができます。
=== ディフォルトインポート ===
Kotlinでは、特定のパッケージやクラスを明示的にインポートすることなく、いくつかのデフォルトのインポートが提供されています。これにより、コードをより簡潔にし、冗長性を減少させることができます。以下は、デフォルトでインポートされる主要なパッケージです。
;kotlin.*: Kotlinの基本的な機能や標準ライブラリが含まれています。これにより、Kotlinの核となる機能を利用するための基本的な道具が提供されます。
;kotlin.annotation.*: アノテーション関連の機能が含まれています。アノテーションは、プログラムにメタデータを追加するための重要な手段です。
;kotlin.collections.*: コレクション関連のクラスや関数が含まれています。これにより、リスト、セット、マップなどのデータ構造を効果的に扱うための機能が提供されます。
;kotlin.comparisons.*: 比較関連の機能が含まれています。ソートや比較などの操作をより容易に行うことができます。
;kotlin.io.*: 入出力関連の機能が含まれています。例えば、ファイルの読み書きや標準出力への出力などが簡単に行えます。
;kotlin.ranges.*: 範囲関連の機能が含まれています。これを使用することで、特定の範囲内の要素を操作する際に便利なメソッドが提供されます。
;kotlin.sequences.*: シーケンス処理関連の機能が含まれています。シーケンスを使用することで、遅延評価を活用して効率的なデータ処理が可能です。
;kotlin.text.*: テキスト処理関連の機能が含まれています。文字列の操作やフォーマットなどが簡単に行えます。
また、ターゲットプラットフォームに応じて、追加のデフォルトインポートが行われます。
;JVM:
:;java.lang.*: Javaの基本的なクラスや機能が含まれています。これにより、Javaとの互換性が確保されます。
:;kotlin.jvm.*: JVM関連の機能が含まれています。
;JS:
:;kotlin.js.*: JavaScript関連の機能が含まれています。
上記のパッケージは、明示的にインポートすることなく既にインポートされています<ref>[https://kotlinlang.org/docs/packages.html#default-imports Default imports]</ref>。
このようなデフォルトのインポートにより、開発者は冗長なコードを書かずに済み、効率的にKotlinの機能を利用することができます。
----
以下は、デフォルトでインポートされる主要なパッケージの概要を表形式でまとめたものです。
:{| class=wikitable
|+ デフォルトでインポートされる主要なパッケージ
!パッケージ!!内容の概要
|-
!kotlin.*
|Kotlinの基本的な機能や標準ライブラリ
|-
!kotlin.annotation.*
|アノテーション関連の機能
|-
!kotlin.collections.*
|コレクション関連のクラスや関数
|-
!kotlin.comparisons.*
|比較関連の機能
|-
!kotlin.io.*
|入出力関連の機能
|-
!kotlin.ranges.*
|範囲関連の機能
|-
!kotlin.sequences.*
|シーケンス処理関連の機能
|-
!kotlin.text.*
|テキスト処理関連の機能
|}
また、ターゲットプラットフォームによっては、追加のデフォルトインポートが行われます。
:{| class=wikitable
|+ ターゲットプラットフォーム別の追加のデフォルトインポート
!ターゲットプラットフォーム!!追加されるパッケージの概要
|-
!JVM
|java.lang.*: Javaの基本的なクラスや機能
|kotlin.jvm.*: JVM関連の機能
|-
!JS
|kotlin.js.*: JavaScript関連の機能
|}
これらのデフォルトインポートは、通常のKotlinプロジェクトで基本的な操作や機能を利用するための便利な手段となります。
=== インポート ===
デフォルトインポートとは別に、各ファイルは独自の <code>[[#import|import]]</code> ディレクティブを含むことができます。
単一の名前でインポートすることができます。
import org.example.Message // Message は無条件にアクセスできます。
または、パッケージ、クラス、オブジェクトなどのスコープのすべてのアクセス可能なコンテンツをインポートすることができます。
import org.example.* // 'org.example' に含まれるすべてのコンテンツにアクセスできるようになります。
名前の衝突がある場合、as キーワードを使用して、衝突するエンティティの名前をローカルに変更することで、曖昧さをなくすことができます。
import org.example.Message // Message にアクセスできるようになります。
import org.test.Message as testMessage // testMessage は 'org.test.Message' を表しています。
import キーワードは、クラスのインポートに限定されません。他の宣言をインポートするためにも使用することができます。
* トップレベルの関数およびプロパティ
* オブジェクト宣言の中で宣言された関数やプロパティ
* enum 定数
=== トップレベル宣言の可視性 ===
トップレベル宣言が private とマークされている場合、その宣言が行われたファイルに対してプライベートとなります。
{{See also|[[#可視性修飾子|可視性修飾子]]}}
== トップレベルオブジェクト ==
{{先頭に戻る}}
いかなる関数スコープにも属さないオブジェクトのことを、トップレベルオブジェクト( ''top level object'' )と言います<ref>[https://kotlinlang.org/spec/syntax-and-grammar.html#grammar-rule-topLevelObject topLevelObject]</ref>。
;[https://paiza.io/projects/jKQiCwDXdUOhVY7dIoDmKg?language=kotlin トップレベルオブジェクトの前方参照は許される]:<syntaxhighlight lang="Kotlin">
val a = 10
fun main() {
println("a =$a, b = $b")
}
val b = 32
</syntaxhighlight>
;実行結果:<syntaxhighlight lang="text">
a = 10, b = 32
</syntaxhighlight>
:この例では変数 <var>b</var> の参照が前方参照になっていますが、<var>b</var> はトップレベルオブジェクトなので参照解決されます。
== コメント ==
{{先頭に戻る}}
Kotlinには、行末で終わるコメントと、複数行に渡ることと、入れ子にすることができるコメントがあります。
;[https://pl.kotl.in/F-bmww7Bt comments.kt]:<syntaxhighlight lang="Kotlin">
// Kotlinには、行末で終わるコメントと
fun main() { /*
* 複数行に渡ることと
* /*
* 入れ子にすることができる
* コメントがあります
*/
*/
println("Hello, World!")
}
</syntaxhighlight>
: <code>/* ... */</code>タイプのコメントは、入れ子にできるのが多くのプログラミング言語と異なります。
:: Kotlinの他には、[[Scala]]と[[D言語]]がコメントを入れ子にできます。
== 基本型 ==
{{先頭に戻る}}
Kotlinでは、任意のインスタンスに対してプロパティーを参照したりメンバー関数を呼出すことができるという意味で、すべてのインスタンスがクラスに属しています。
いくつかの型は特別な内部表現を持つことができます。例えば、数字、文字、ブール値は実行時にプリミティブ値として表現できますが、ユーザーからは参照されるときに自動的にボックス化されるので普通のクラスのインスタンスのように見えます。
これらの型は基本的にJavaのプリミティブに一対一に対応しますが、Stringだけはjava.lang.Stringクラスに対応しています。
基本型は Package kotlin で定義されています。
; Kotlinの基本型
:;[[#論理型|論理型]]:<code>[[#Boolean|Boolean]]</code> {{---}} true, false
:;[[#数値型|数値型]]
::;符号付き整数型:<code>[[#Byte|Byte]]</code> <code>[[#Short|Short]]</code> <code>[[#Int|Int]]</code> <code>[[#Long|Long]]</code>
::;符号無し整数型:<code>[[#UByte|UByte]]</code> <code>[[#UShort|UShort]]</code> <code>[[#UInt|UInt]]</code> <code>[[#ULong|ULong]]</code>
:;[[#浮動小数点数型|浮動小数点数型]]:<code>[[#Float|Float]]</code><code>[[#Double|Double]]</code>
:;[[#文字型|文字型]]: <code>[[#Char|Char]]</code>
:;[[#文字列型|文字列型]]:<code>[[#String|String]]</code>
;[https://pl.kotl.in/sePeMiW1A primitive.kt]:<syntaxhighlight lang="Kotlin">
fun main() {
println("値 : simpleName")
println("----------------")
arrayOf(true, 2.toByte(), 3.toUByte(), 5.toShort(), 7.toUShort(),
11, 13U, 17L, 19UL,
1.23, 3.14F, 'C', "abc").forEach {
println("$it : ${it::class.simpleName}")
}
}
</syntaxhighlight>
;実行結果:<syntaxhighlight lang=text>
値 : simpleName
----------------
true : Boolean
2 : Byte
3 : UByte
5 : Short
7 : UShort
11 : Int
13 : UInt
17 : Long
19 : ULong
1.23 : Double
3.14 : Float
C : Char
abc : String
</syntaxhighlight>
:{| class="wikitable"
|+ 基本型<ref>[https://kotlinlang.org/docs/basic-types.html Basic types]</ref>
|-
! 型
! Javaの型
! リテラル表現
|-
! <syntaxhighlight lang=kotlin inline>Boolean</syntaxhighlight>
! <syntaxhighlight lang=java inline>boolean</syntaxhighlight>
| <syntaxhighlight lang=kotlin inline>false, true</syntaxhighlight>
|-
! <syntaxhighlight lang=kotlin inline>Byte</syntaxhighlight>
! <syntaxhighlight lang=java inline>byte</syntaxhighlight>
| <syntaxhighlight lang=kotlin inline></syntaxhighlight>
|-
! <syntaxhighlight lang=kotlin inline>Short</syntaxhighlight>
! <syntaxhighlight lang=java inline>short</syntaxhighlight>
| <syntaxhighlight lang=kotlin inline></syntaxhighlight>
|-
! <syntaxhighlight lang=kotlin inline>Int</syntaxhighlight>
! <syntaxhighlight lang=java inline>int</syntaxhighlight>
| <syntaxhighlight lang=kotlin inline>123, 0x17, 0b10110110</syntaxhighlight>
|-
! <syntaxhighlight lang=kotlin inline>Long</syntaxhighlight>
! <syntaxhighlight lang=java inline>long</syntaxhighlight>
| <syntaxhighlight lang=kotlin inline>123L, 0x17L, 0b10110110L</syntaxhighlight>
|-
! <syntaxhighlight lang=kotlin inline>Double</syntaxhighlight>
! <syntaxhighlight lang=java inline>double</syntaxhighlight>
| <syntaxhighlight lang=kotlin inline>1.73205080757,6.62607015e-34</syntaxhighlight>
|-
! <syntaxhighlight lang=kotlin inline>Float</syntaxhighlight>
! <syntaxhighlight lang=java inline>float</syntaxhighlight>
| <syntaxhighlight lang=kotlin inline>1.73205080757f</syntaxhighlight>
|-
! <syntaxhighlight lang=kotlin inline>String</syntaxhighlight>
! <syntaxhighlight lang=java inline>java.lang.String</syntaxhighlight>
| <syntaxhighlight lang=kotlin inline>"Simple sample text."</syntaxhighlight>
|-
! <syntaxhighlight lang=kotlin inline>Char</syntaxhighlight>
! <syntaxhighlight lang=java inline>char</syntaxhighlight>
| <syntaxhighlight lang=kotlin inline>'Q'</syntaxhighlight>
|}
=== 論理型 ===
Kotlinの論理型は <code>{{Anchor|Boolean}}</code> で
;偽: <code>{{Anchor|false}}</code>
;真: <code>{{Anchor|true}}</code>
の2つの値以外は取りえません。
JVMでは、この型の非[[#Nullable|Nullable]]値は、プリミティブ型のbooleanの値として表現されます。
論理型と数値型は可換ではないので、制御構造の条件式などでもゼロとの比較を行う必要があります。
{{See also|[[#Nullable|Nullable]]}}
=== 数値型 ===
Kotlinの数値型は、[[#整数型|整数型]]と[[#浮動小数点数型|浮動小数点数型]]に分かれています。
これらの型は、抽象クラスである <code>{{Anchor|Number}}</code> クラスから派生しており、具象クラスとして利用されます。
なお、[[#文字型|文字型]]は数値型と可換ではありません。
==== 整数型 ====
Kotlinの整数型には、符号付き整数型と符号なし整数型があります。
符号なし整数型の名前は、対応する符号付き整数型の名前の先頭に <code>U</code> を補ったものになります。以下が主な整数型です:
:{| class=wikitable
|+ 整数型
|-
! <code>{{Anchor|Byte}}</code>
| 符号付き1バイト整数
|-
! <code>{{Anchor|Short}}</code>
| 符号付き2バイト整数
|-
! <code>{{Anchor|Int}}</code>
| 符号付き4バイト整数
|-
! <code>{{Anchor|Long}}</code>
| 符号付き8バイト整数
|-
! <code>{{Anchor|UByte}}</code>
| 符号なし1バイト整数
|-
! <code>{{Anchor|UShort}}</code>
| 符号なし2バイト整数
|-
! <code>{{Anchor|UInt}}</code>
| 符号なし4バイト整数
|-
! <code>{{Anchor|ULong}}</code>
| 符号なし8バイト整数
|}
==== 浮動小数点数型 ====
Kotlinの浮動小数点数型には、以下の2つがあります:
:{| class=wikitable
|+ 浮動小数点数型
|-
! <code>{{Anchor|Float}}</code>
| 単精度浮動小数点数;ISO/IEC/IEEE 60559:2011-06 のbinary32
|-
! <code>{{Anchor|Double}}</code>
| 倍精度浮動小数点数;ISO/IEC/IEEE 60559:2011-06 のbinary64
|}
これらの数値型は、数学的な演算や精密な計算に利用され、Kotlin言語において数値処理をサポートする基本的な要素となっています。
=== 文字型 ===
{{先頭に戻る}}
{{Anchor|Char}}クラスは文字を表すクラスです。'a' のようなKotlinプログラム内の文字リテラルはすべてこのクラスのインスタンスとして実装されています<ref>[https://kotlinlang.org/docs/characters.html Characters]</ref><ref name=char>[https://kotlinlang.org/api/latest/jvm/stdlib/kotlin/-char/ Char]</ref>。
<code>Char</code>は、16ビットのUnicode文字を表します。これは、Charがすべての文字をユニコード文字を表すことが'''出来ない'''事をしめしています。
;[https://pl.kotl.in/KRFm8vVVb Charで表現できない文字]:<syntaxhighlight lang="Kotlin" highlight=4>
fun main() {
val ascii = 'A'
val kanji = '漢'
val emoji = '🏝'
}
</syntaxhighlight>
;コンパイル結果:<syntaxhighlight lang=text>
Too many characters in a character literal ''🏝''
</syntaxhighlight>
: 🏝のUnicodeはU+1F3DDと16ビットを超えているので Char には収容できません。
: 絵文字以外にもサロゲートペアはあり、サロゲートペア以外にも合成文字も16ビットを超えるものがあります。
Kotlinは、Javaの文字エンコーディングシステムを引継いだので、Charの収まらない文字の問題に限らずUnicodeを内部エンコーディングに使っていることに起因する厄介ごとと付き合い続ければなりません。
==== 演算子 ====
Charでは、いくつかの演算子が定義されています<ref name=char/>。
;[https://pl.kotl.in/pQ82wUEc_ Charクラスの演算子]:<syntaxhighlight lang="Kotlin" line>
fun main() {
var a = 'K'
println("var a = 'K'")
a--
println("a-- ⇒ $a")
a++
println("a++ ⇒ $a")
println("'C' - 'A' ⇒ ${'C' - 'A'}")
println("'C' - 2 ⇒ ${'C' - 2}")
println("'A' + 2 ⇒ ${'A' + 2}")
println("'A'..'C' ⇒ ${'A' .. 'C'}")
println("'A'..<'C' ⇒ ${'A' ..< 'C'}")
println("'A' + \"BCD\" ⇒ ${'A' + "BCD"}")
}
</syntaxhighlight>
;実行結果:<syntaxhighlight lang=text>
var a = 'K'
a-- ⇒ J
a++ ⇒ K
'C' - 'A' ⇒ 2
'C' - 2 ⇒ A
'A' + 2 ⇒ C
'A'..'C' ⇒ A..C
'A'..<'C' ⇒ A..B
'A' + "BCD" ⇒ ABCD
</syntaxhighlight>
==== エスケープシーケンス ====
特殊文字は、エスケープする \(バックスラッシュ)から始まります。以下のエスケープシーケンスに対応しています。
:{| class="sortable wikitable"
|+ エスケープシーケンス
|-
!表現!!意味
|-
!\t
|水平tab
|-
!\b
|バックスペース
|-
!\n
|改行(LF)
|-
!\r
|キャリッジリターン(CR)
|-
!\'
| シングルクォーテーション
|-
!\"
|ダブルクオーテーションマーク
|-
!\\
|バックスラッシュ
|-
!\$
|ドル記号
|}
その他の文字をエンコードする場合は、Unicodeエスケープシーケンス構文を使用します。'\uFF00' を使用します。
=== 文字列型 ===
{{先頭に戻る}}
{{Anchor|String}}
クラスは文字列を表すクラスです。"abc" のようなKotlinプログラム内の文字列リテラルはすべてこのクラスのインスタンスとして実装されています<ref>[https://kotlinlang.org/api/latest/jvm/stdlib/kotlin/-string/ String]</ref>。
Kotlinでは、文字列( <code>String</code> )と文字( <code>Char</code> )とは直接の関係はありません(StringはCharの配列ではありません)。
==== 演算子 ====
Stringでは、加算演算子を連結として定義されています<ref>[https://github.com/JetBrains/kotlin/blob/f3385fbdcb8b9dc29661a8a4973c855cdcf73767/core/builtins/native/kotlin/String.kt#L30 kotlin/core/builtins/native/kotlin/String.kt]</ref>。
:<syntaxhighlight lang="Kotlin">
public operator fun plus(other: Any?): String
</syntaxhighlight>
加算演算子( <code>+</code> )は、文字列( this )と与えられた他のオブジェクトの文字列表現を連結して得られる文字列を返します<ref>[https://kotlinlang.org/api/latest/jvm/stdlib/kotlin/-string/plus.html plus - Kotlin Programming Language]</ref>。
;[https://pl.kotl.in/1KlKcFKGs 文字列の+演算子]:<syntaxhighlight lang="Kotlin">
fun main() {
val str = "ABC" + 12
println(str + true + listOf(1,2,3))
}
</syntaxhighlight>
;実行結果:<syntaxhighlight lang=text>
ABC12true[1, 2, 3]
</syntaxhighlight>
==== テンプレートリテラル ====
既に紹介したように、Stringクラスのリテラルは "(ダブルクオーテーション)で括った文字列です。
Stringリテラルには変数や式を埋込むことが出来ます。
このように、変数や式が埋込まれたStringリテラルのことを{{Anchor|テンプレートリテラル}}といいます。
;[https://pl.kotl.in/uBCbpW7Mc テンプレートリテラル]:<syntaxhighlight lang="Kotlin">
fun main() {
var n = 10
println("変数 n の値は $n です。")
println("式 n + 13 の値は ${n + 13} です。")
println("${'$'} 自体を書きたいときは、 \\\$ と \$ の直前に \\ を置きエスケープします(\$\$ではありません)。")
}
</syntaxhighlight>
;実行結果:<syntaxhighlight lang=text>
変数 n の値は 10 です。 式 n + 13 の値は 23 です。
$ 自体を書きたいときは、 \$ と $ の直前に \ を置きエスケープします($$ではありません)。
</syntaxhighlight>
==== 生文字列 ====
生文字列( ''Raw strings'' )は、改行や任意のテキストを含むことができます。トリプルクォート(”””; ''triple quote'' )で区切られ、エスケープを含まず、改行や他の任意の文字を含むことができます<ref>[https://kotlinlang.org/docs/strings.html#raw-strings Raw strings]</ref>。
;[https://pl.kotl.in/7Pqk1IwPo 生文字列]:<syntaxhighlight lang="Kotlin">
fun main() {
var n = 10
print(
"""
変数 n の値は $n です。
式 n + 13 の値は ${n + 13} です。
${'$'} 自体を書きたいときは、 \$ と $ の直前に \ を置きエスケープします($$ ではありません)。
"""
)
}
</syntaxhighlight>
;実行結果:<syntaxhighlight lang=text>
変数 n の値は 10 です。 式 n + 13 の値は 23 です。
$ 自体を書きたいときは、 \$ と $ の直前に \ を置きエスケープします($$ ではありません)。
</syntaxhighlight>
==== エスケープシーケンス ====
{{See|[[#エスケープシーケンス|文字型のエスケープシーケンス]]}}
==== コードポイント ====
;[https://pl.kotl.in/7Pqk1IwPo 文字列のn番目のコードポイント]:<syntaxhighlight lang="Kotlin">
fun main() {
val str = "ABC漢字🏝𠮷"
var i = 0
while (i < str.length) {
println(Integer.toHexString(str.codePointAt(i)))
i++
}
}
</syntaxhighlight>
;実行結果:<syntaxhighlight lang=text highlight="7,9">
41
42
43
6f22
5b57
1f3dd
dfdd
20bb7
dfb7
</syntaxhighlight>
: codePointAt()でサロゲートペアの2ワード目を読むと…
=== Array ===
Kotlinで配列型は Array で、main() の引数でも使われています<ref>[https://kotlinlang.org/docs/arrays.html Array]</ref><ref>[https://kotlinlang.org/api/latest/jvm/stdlib/kotlin/-array/ Array]</ref>。
[[#Array()|Array()]], [[#arrayOf()|arrayOf()]], arrayOfNulls() や emptyArray() で生成します。
==== Array() ====
;[https://paiza.io/projects/sywOsCKIuSuu8x2BrbdfwQ?language=kotlin Array()を使ったArrayの生成]:<syntaxhighlight lang=Kotlin highlight=2 line>
fun main() {
val ary = Array(5){it}
println("ary::class.simpleName ⇒ ${ary::class.simpleName}")
println("ary[0]::class.simpleName ⇒ ${ary[0]::class.simpleName}")
ary.forEach{print("$it ")}
println("")
val ary2 = Array(5){(it*it).toString()}
println("ary2[0]::class.simpleName ⇒ ${ary2[0]::class.simpleName}")
ary2.forEach{print("$it ")}
println("")
}
</syntaxhighlight>
;実行結果:<syntaxhighlight lang=text>
ary::class.simpleName ⇒ Array
ary[0]::class.simpleName ⇒ Int
0 1 2 3 4
ary2[0]::class.simpleName ⇒ String
0 1 4 9 16
</syntaxhighlight>
: Array()はArrayのコンストラクターで、引数として要素数をとり、ブロックが初期化式になります。
==== プリミティブ型配列 ====
Kotlinには、IntArray、DoubleArray、BooleanArray、CharArrayなどのプリミティブ型を要素とする配列のクラスが用意されています。
これらを総称してプリミティブ型配列( Primitive type arrays )と呼びます<ref>[https://kotlinlang.org/docs/arrays.html#primitive-type-arrays Primitive type arrays]</ref>。
プリミティブ型配列は、機能的にはArray<T>のTにプリミティブ型を与えたものと変わりありませんが、ボックス化されないので性能向上とフットプリントの削減が期待できます。
このため、プリミティブ型配列はArrayを継承していません。
StringArray はありません。
;[https://paiza.io/projects/tgs7lwP0-La0B-TUJ--kug?language=kotlin IntArray()を使ったIntArrayの生成]:<syntaxhighlight lang=Kotlin highlight=2 line>
fun main() {
val ary = IntArray(5){it}
println(
"""
ary::class.simpleName ⇒ ${ary::class.simpleName}
ary[0]::class.simpleName ⇒ ${ary[0]::class.simpleName}
ary => $ary
ary.joinToString() ⇒ ${ary.joinToString()}
ary.contentToString() => ${ary.contentToString()}
"""
)
}
</syntaxhighlight>
;実行結果:<syntaxhighlight lang=text>
ary::class.simpleName ⇒ IntArray
ary[0]::class.simpleName ⇒ Int
ary => [I@1c6b6478
ary.joinToString() ⇒ 0, 1, 2, 3, 4
ary.contentToString() => [0, 1, 2, 3, 4]
</syntaxhighlight>
==== arrayOf() ====
;[https://paiza.io/projects/avmXjK5ilEp1Xl-_CSnMfw?language=kotlin arrayOf()を使ったArrayの生成]:<syntaxhighlight lang=Kotlin highlight=2 line>
fun main() {
val ary = arrayOf(1, 9, 3, 5, 23, 1)
println("${ary::class.simpleName}")
println("${ary[0]::class.simpleName}")
for (s in ary)
if (s > 10)
break
else
print("$s ")
println("")
run {
ary.forEach{
if (it > 10)
return@run
else
print("$it ")
}
}
println("")
var i = 0
while (i < ary.size)
ary[i] = i++
ary.forEach{print("$it ")}
}
</syntaxhighlight>
;実行結果:<syntaxhighlight lang=text>
Array
Int
1 9 3 5
1 9 3 5
</syntaxhighlight>
: arrayOf()は可変長引数の関数で、引数が生成されるArrayの要素になります。
: Arrayの要素の型は、型強制できる最小公倍数的な方になります(例えば Int と Long が混在していたら Long)。
== 特別な型 ==
{{先頭に戻る}}
基本型の他にも幾つかの特別な型があります。
これらは、基本型同様 Package kotlin で定義されています。
; 特別な型
:;Kotlinのクラス階層のルート:<code>[[#Any|Any]]</code>
:;戻値型未指定な関数の型:<code>[[#Unit|Unit]]</code>
:;存在しない値を表す型:<code>[[#Nothing|Nothing]]</code>
=== Any ===
AnyはKotlinのクラス階層のルートです。すべてのKotlinクラスはAnyをスーパークラスとして持っています。
クラス定義で継承元を指定しないと Any が暗黙の継承元になります。
また、Anyクラスのオブジェクトは、あらゆるオブジェクトを代入できます。
;[https://pl.kotl.in/k-36Q8gd6 AnyのArray]:<syntaxhighlight lang="Kotlin">
fun main() {
arrayOf(4, "abc", 'a', listOf(2,5,6)).forEach{ println("$it(${it::class.simpleName})") }
}
</syntaxhighlight>
;実行結果:<syntaxhighlight lang=text>
4(Int)
abc(String)
a(Char)
[2, 5, 6](ArrayList)
</syntaxhighlight>
=== Unit ===
Unitは、何も返さない関数の戻値の型です。JVMでは、Javaのvoid型に相当します。
:<code>pub main() : Unit {}</code>
は
:<code>pub main() {}</code>
と等価です。
=== Nothing ===
Nothingはインスタンスを持ちません。例えば、ある関数の戻り値がNothingであれば、それは決して戻らない(常に例外を投げる)ことを意味します<ref>[https://kotlinlang.org/api/latest/jvm/stdlib/kotlin/-nothing.html Nothing]</ref>。
== Null安全 ==
KotlinのNULL安全性(Null safety)とNullableに関して、以下のポイントが重要です。
# Null安全性: Kotlinの目標の一つは、null参照によるエラー(The Billion Dollar Mistakeとも呼ばれる)の危険性を排除することです。Javaを含む多くのプログラミング言語で見られる最も一般的な落とし穴の一つは、null参照のメンバーにアクセスすると、null参照例外が発生することです(JavaではNullPointerException、NPEと呼ばれます)。
# Nullable型と非Nullable型: Kotlinの型システムでは、nullを保持できる参照(Nullable型)と、保持できない参照(非Nullable型)とを区別します。たとえば、String型の通常の変数はnullを保持できませんが、NullableなString型はnullを保持できます。
# Nullable型の宣言: nullを許容する型を宣言するには、型名の後ろに「?」を付けます。例えば、String型のNullableな変数を宣言する場合は、<code>String?</code>とします。
# Nullable型の安全な操作: Nullableな変数やプロパティに安全にアクセスする方法として、以下のような手法があります。
#* <code>?.</code>演算子: セーフコール演算子は、nullチェックを行い、nullでない場合にのみメンバーにアクセスします。
#* <code>?:</code>演算子: Elvis演算子は、nullでない場合には左側の値を、nullの場合には右側の値を返します。
#* <code>!!</code>演算子: null許容型の値を非Nullable型として扱い、nullの場合にはNullPointerExceptionをスローします。
# Null安全性の確認: null安全性の確認は、条件式で明示的に行うことができます。<code>if (variable != null)</code>のような形で、nullチェックを行い、それに応じた処理を行います。
# Safe casts: 安全なキャスト演算子<code>as?</code>を使用すると、通常のキャストでClassCastExceptionが発生する可能性がある場合でも、nullを返すことができます。
KotlinのNull安全性とNullable型は、プログラミングにおける安全性と信頼性を向上させるための重要な機能です。これらの機能を適切に理解し、利用することで、Nullによるエラーを最小限に抑えることができます。
Javaを含む多くのプログラミング言語における最も一般的な落とし穴の1つは、Null参照のメンバーにアクセスするとNull参照例外が発生することです。Javaでは、これはNullPointerException、略してNPEと呼ばれるものに相当します<ref>[https://kotlinlang.org/docs/null-safety.html#nullable-types-and-non-null-types Nullable types and non-null types]</ref>。
KotlinでNPEが発生する原因として考えられるのは、以下の通りです。
* NullPointerException()を明示的に呼び出した場合。
* 後述する !! 演算子の使用。
* 初期化に関するデータの不整合(以下のような場合)。
** コンストラクターで使用可能な未初期化の this がどこかで渡され使用されている (「リーキング this」)。
** スーパークラスのコンストラクターが、派生クラスの実装で未初期化の状態を使用しているオープンメンバーを呼出す場合。
* Java との相互運用。
** プラットフォーム型のNull参照のメンバにアクセスしようとする。
** Java との相互運用に使用される汎用型の Nullability の問題。例えば、ある Java コードが Kotlin の MutableList<String> に null を追加し、それを操作するために MutableList<String?> が必要になることがあります。
** その他、外部のJavaコードによって引き起こされる問題。
=== Nullable ===
Kotlinの型システムでは、nullを保持できる参照(Null可能参照; ''nullable references'' )とそうでない参照(非Null参照; ''non-null references'' )を区別しています。例えば、String型の通常の変数はnullを保持できません。
:<syntaxhighlight lang=kotlin line highlight=2>
var a: String = "abc" // 通常の初期化ではデフォルトで非nullを意味します
// a = null // コンパイルエラー!
</syntaxhighlight>
nullを許容するには、<code>String?</code>と書いて変数をnull可能な文字列として宣言します。
:<syntaxhighlight lang=kotlin line highlight="1,2">
var b: String? = "abc" // nullに設定可能
b = null // OK
prinlnt(b)
</syntaxhighlight>
さて、<var>a</var>のメンバー関数を呼び出したり、プロパティーにアクセスしたりしても、NPEが発生しないことが保証されています。
:<syntaxhighlight lang=kotlin line>
val l = a.length
</syntaxhighlight>
しかし、<var>b</var>のメンバー関数を呼び出したり、プロパティーにアクセスしたりすると、それは安全ではなく、コンパイラはエラーを報告します。
:<syntaxhighlight lang=kotlin line>
val l = b.length
</syntaxhighlight>
それでもそのプロパティにアクセスする必要がありますよね?そのためには、いくつかの方法があります。
=== 条件におけるnullのチェック ===
まず、bがnullかどうかを明示的にチェックし、2つの選択肢を別々に処理することができます。
:<syntaxhighlight lang=kotlin line>
val l = if (b != null) b.length else -1
</syntaxhighlight>
コンパイラーは実行したチェックの情報を記録し、ifの内部でlengthの呼出しを可能にする。より複雑な条件もサポートされています。
:<syntaxhighlight lang=kotlin line>
val b: String? = "Kotlin"
if (b != null && b.length > 0) {
print("文字列の長さは ${b.length}")
} else {
print("空文字列")
}
</syntaxhighlight>
註:b が immutable な場合 (つまり、チェックから使用までの間に変更されないローカル変数か、 バッキングフィールドを持つオーバーライド不可のメンバー変数) にのみ有効です。
=== !!演算子 ===
Not-Null断定演算子(!!)で任意の値をnullでない型に変換し、値がnullの場合は例外をスローします。<code>b!!</code>と書くと、<var>b</var>の非null値(例えばこの例ではString)を返し、<var>b</var>がnullの場合はNPEを投げます。
:<syntaxhighlight lang=kotlin line>
val l = b!!.length
</syntaxhighlight>
このように、NPEを発生させたい場合は、明示的に要求する必要があり、突然発生することはありません。
=== ?.演算子 ===
:<syntaxhighlight lang=kotlin line highlight=5>
fun main() {
var str: String? = "Hello" // ?を使ってnullを許容する
str = null // 問題なくnullを代入できる
val length = str?.length // 安全呼び出し演算子でnullチェックしつつプロパティにアクセス
println("Length: $length")
}
</syntaxhighlight>
<code>?.</code> 演算子は、null安全性を保証しつつ、<code>str</code> 変数がnullでない場合に <code>length</code> プロパティにアクセスします。<code>str</code> がnullの場合、<code>length</code> には <code>null</code> が代入されます。
このように、<code>?.</code> 演算子はnull値を安全に処理するために使用されます。例えば、Javaの場合、nullチェックを行わないとNullPointerExceptionが発生しますが、Kotlinでは <code>?.</code> 演算子を使用することで、nullに対する操作を安全に行うことができます。
== 識別子 ==
{{先頭に戻る}}
変数の名前のような名前を識別子( ''identifiers'' )と呼びます<ref>[https://kotlinlang.org/spec/syntax-and-grammar.html#identifiers Identifiers]</ref>。
変数ほかに、関数、クラス、クラスのメンバー、クラスのメンバー関数、enum、ラベルなどの名前も識別子です。
* 同じ名前空間の中では識別子は重複できません。
* 識別子に使える文字は、英数字・_(アンダーバー)・Unicode文字です。
* 識別子の最初に数字を使うことはできません。
* 識別子の大文字小文字は区別されます。
* キーワードの使用には制限があります。
* キーワードや空白を含む文字列など上のルールに従わない文字列は、`(バッククオーテーション)で囲むと識別子として使うことができます。
{{See also|[[#キーワード|キーワード]]}}
== 変数 ==
{{先頭に戻る}}
Kotlinでは、変数は使う前にかならず宣言する必要があります。
=== val と var ===
==== val ====
;[https://pl.kotl.in/8PE1c8KR3 変数を使った単純なコード]:<syntaxhighlight lang=kotlin line highlight="2,3">
fun main() {
val hello = "Hello, World!"
println(hello)
}
</syntaxhighlight>
;実行結果:<syntaxhighlight lang=text>
Hello, World!
</syntaxhighlight>
:[[#Hello world|Hello world]]の例と結果は同じですが、変数<var>hello</var>を導入しています。
:;変数 hello の宣言:<syntaxhighlight lang=kotlin line start=2>
val hello = "Hello, World!"
</syntaxhighlight>
:イミュータブル変数の宣言は、この様に:<syntaxhighlight lang=kotlin>
val 識別子 = 初期化式
</syntaxhighlight>
:の形式をとります。
:;変数 hello の値の参照:<syntaxhighlight lang=kotlin line start=3>
println(hello)
</syntaxhighlight>
:の様に識別子をそのまま書くことで、値(この場合は "Hello, World!")を参照できます。
:キーワード <code>val</code> を使って宣言された変数はイミュータブル( ''Immutable'' )です。
:: イミュータブルというのは、一度値が決めたら変更できないという意味です。
:イミュータブルな変数を「定数」ということがありますが、リテラルのことを定数ということもあるので、ここでは「イミュータブルな変数」と呼びます。
==== var ====
;[https://pl.kotl.in/8z57OJeNL ミュータブルな変数を使ったコード]:<syntaxhighlight lang=kotlin line highlight="2,4">
fun main() {
var hello = "Hello, World!"
println(hello)
hello = "Hello, Kotlin!"
println(hello)
}
</syntaxhighlight>
;実行結果:<syntaxhighlight lang=text>
Hello, World!
Hello, Kotlin!
</syntaxhighlight>
:;変数 hello の宣言:<syntaxhighlight lang=kotlin line start=2>
var hello = "Hello, World!"
</syntaxhighlight>
:ミュータブルな変数の宣言は、この様に:<syntaxhighlight lang=kotlin>
var 識別子 = 初期化式
</syntaxhighlight>
:の形式をとります。
:キーワード <code>var</code> を使って宣言された変数はイミュータブル( ''Immutable'' )です。
:: ミュータブルというのは、変数の値を何度でも変更できるという意味です。
:;変数 hello に新しい値を代入:<syntaxhighlight lang=kotlin line start=4>
hello = "Hello, Kotlin!"
</syntaxhighlight>
:Kotlinでは <code>=</code> が代入演算子です。
:: 代入の前の <var>hello</var> の値は <code>"Hello, World!"</code> でしたが、代入の後は <code>"Hello, Kotlin!"</code> になります。
==== 型推論 ====
いままでの例で既に型推論( ''type inference'' ) は使われています。
変数を宣言するときに、特に型を明示しませんでしたが、初期化式の型から変数の型を特定していたのです。
===== 型アノテーション =====
初期化式は省略可能です。
その場合は変数の型がわからないので型アノテーション( ''type annotation'' )が必要になります。
;[https://pl.kotl.in/EW6hk7OkA 型アノテーションを伴った変数宣言]:<syntaxhighlight lang=kotlin line highlight="2">
fun main() {
var hello : String
hello = "Hello, World!"
println(hello)
hello = "Hello, Kotlin!"
println(hello)
}
</syntaxhighlight>
;実行結果:<syntaxhighlight lang=text>
Hello, World!
Hello, Kotlin!
</syntaxhighlight>
:;型アノテーションを伴った変数 hello の宣言:<syntaxhighlight lang=kotlin line start=2>
var hello : String
</syntaxhighlight>
::<code>: String</code>が型アノテーションで
:型アノテーションを伴った変数の宣言は、この様に:<syntaxhighlight lang=kotlin>
var 識別子 : 型
</syntaxhighlight>
:の形式をとります。
::型アノテーションをイミュータブルな変数の宣言でも行えますが、事実上初期化式が必須なのでドキュメント性を高める以外の意味は希薄です。
{{See also|[[#基本型|基本型]]}}
===== シャドーイング =====
シャドーイング( ''Shadowing'' )とは、スコープ内の2つの宣言が同じ名前になり、より内側の識別子が外側の識別子を隠すことです。
;[https://paiza.io/projects/etUJhoaySpr4RcwO9VwO-g?language=kotlin コード例]:<syntaxhighlight lang="Kotlin" line highlight="2,4">
fun main() {
var i = 10
for (i in 1..3)
println("for内: i = $i")
println("for外: i = $i")
}
</syntaxhighlight>
;コンパイラーの警告:<syntaxhighlight lang=text>
Main.kt:4:10: warning: name shadowed: i
for (i in 1..3)
^
</syntaxhighlight>
;実行結果:<syntaxhighlight lang=text>
for内: i = 1
for内: i = 2
for内: i = 3
for外: i = 10
</syntaxhighlight>
: ループ変数 <var>i</var> と、2行目で宣言された変数 <var>i</var> の名前が衝突しいています。
: この様に名前が衝突した場合、スコープの内側のオブジェクトが参照されます。
: コンパイラーはシャドーイングを発見すると<code>warning: name shadowed: 識別子</code>と(エラーでなく)警告します。
多くのシャドーイングは無害ですが…
;ありがちな間違え:<syntaxhighlight lang="Kotlin" line highlight="2,3">
fun main() {
for (i in 1..3)
for (i in 1..4)
println("(i, i) = ($i, $i)")
}
</syntaxhighlight>
;コンパイラーのエラー出力:<syntaxhighlight lang=text>
Main.kt:3:14: warning: name shadowed: i
for (i in 1..4)
^
</syntaxhighlight>
;修正例:<syntaxhighlight lang="Kotlin" line highlight="3,4">
fun main() {
for (i in 1..3)
for (j in 1..4)
println("(i, j) = ($i, $j)")
}
</syntaxhighlight>
: 行列式を扱っていると、よくやらかします。
===== 分解宣言 =====
オブジェクトを複数の変数に分解して初期化する宣言する方法があり、分解宣言( ''Destructuring declarations'' )と呼ばれます<ref>[https://kotlinlang.org/docs/destructuring-declarations.html Destructuring declarations]</ref>。
;分解宣言の例:<syntaxhighlight lang="Kotlin" line highlight="2,4">
fun main() {
val (a, b) = Pair(3, 4)
val (c, d) = Pair("abc", 3.14)
val (e, f) = 'C' to null
val (g, h, i) = Triple(1,2,3)
val (j, k, l, m) = List(4){it*2}
print(
"""
a = $a, b = $b
c = $c, d = $d
e = $e, f = $f
g = $g, h = $h, i = $i
j = $j, k = $k, l = $l, m = $m
"""
)
}
</syntaxhighlight>
;実行結果:<syntaxhighlight lang=text>
a = 3, b = 4
c = abc, d = 3.14
e = C, f = null
g = 1, h = 2, i = 3
j = 0, k = 2, l = 4, m = 6
</syntaxhighlight>
: to は infix 宣言された関数です。
== 演算子 ==
{{先頭に戻る}}
=== 演算子の優先順位 ===
:{| class="wikitable"
|+ 演算子の優先順位<ref>[https://kotlinlang.org/docs/reference/grammar.html#expressions Expressions]</ref>
!優先順位
!種類
!記号
|-
|高い
|後置
|<code>++</code>, <code>--</code>, <code>.</code>, <code>?.</code>, <code>?</code>
|-
|
|前置
|<code>-</code>, <code>+</code>, <code>++</code>, <code>--</code>, <code>!</code>, label
|-
|
|型
|<code>:</code>, <code>as</code>, <code>as?</code>
|-
|
|乗除算
|<code>*</code>, <code>/</code>, <code>%</code>
|-
|
|加減算
|<code>+</code>, <code>-</code>
|-
|
|範囲
|<code>..</code>, <code>..<</code>
|-
|
|中置関数(Infix function)
|simpleIdentifier
|-
|
|エルビス
|<code>?:</code>
|-
|
|Named checks
|<code>in</code>, <code>!in</code>, <code>is</code>, <code>!is</code>
|-
|
|比較
|<code><</code>, <code>></code>, <code><=</code>, <code>>=</code>
|-
|
|一致不一致
|<code>==</code>, <code>!=</code>, <code>===</code>, <code>!==</code>
|-
|
|Conjunction
|<code>&&</code>
|-
|
|Disjunction
|<code><nowiki>||</nowiki></code>
|-
|
|スプレッド演算子
|<code>*</code>
|-
|低い
|代入演算
|<code>=</code>, <code>+=</code>, <code>-=</code>, <code>*=</code>, <code>/=</code>, <code>%=</code>
|}
{{See also|[[#演算子と特殊シンボル|演算子と特殊シンボル]]}}
=== 演算子オーバーロード ===
{{先頭に戻る|style=border-top:1px solid gray;}}
Kotlinでは、演算子はメソッド形式の別名を持ちます。
例えば、<code>a + b</code> は <code>a.plus(b)</code> とも書けます。
この plus メンバー関数を再定義すると、演算子オーバーロードができます<ref>[https://kotlinlang.org/docs/operator-overloading.html Operator overloading]</ref>。
;[https://paiza.io/projects/mhnZrTY0BmuFApKNAy3oNw?language=kotlin コード例]:<syntaxhighlight lang=Kotlin highlight="4,22-25" line>
fun main() {
class Point(val x : Int = 0, val y : Int = 0) {
override fun toString() ="Point(x=$x, y=$y)"
operator fun plus (other: Point) = Point(x + other.x, y + other.y)
operator fun minus(other: Point) = Point(x - other.x, y - other.y)
operator fun unaryMinus() = Point(-x, -y)
override fun equals(other: Any?) = when {
this === other -> true
other !is Point -> false
x != other.x -> false
else -> y == other.y
}
}
val p = Point(15, 25)
val q = Point(20, 30)
print(
"""
p => $p
p.x => ${p.x}, p.y => ${p.y}
q => $q
p.plus(q) => ${p.plus(q)}
p + q => ${p + q}
12 + 5 => ${12 + 5}
12.plus(5) => ${12.plus(5)}
----
p - q => ${p - q}
-p => ${-p}
p == q => ${p == q}
p != q => ${p != q}
p == Point(15,25) => ${p == Point(15,25)}
p != Point(15,25) => ${p != Point(15,25)}
"""
)
}
</syntaxhighlight>
;実行結果:<syntaxhighlight lang=text>
p => Point(x=15, y=25)
p.x => 15, p.y => 25
q => Point(x=20, y=30)
p.plus(q) => Point(x=35, y=55)
p + q => Point(x=35, y=55)
12 + 5 => 17
12.plus(5) => 17
----
p - q => Point(x=-5, y=-5)
-p => Point(x=-15, y=-25)
p == q => false
p != q => true
p == Point(15,25) => true
p != Point(15,25) => false
</syntaxhighlight>
演算子は、もちろん加算だけではありません。
:{| class="wikitable" style="float:left"
|+ 単項演算子
! 式
! メソッド形式
|-
|<code>+a</code>
|<code>a.unaryPlus()</code>
|-
|<code>-a</code>
|<code>a.unaryMinus()</code>
|-
|<code>!a</code>
|<code>a.not()</code>
|-
|<code>a++</code>
|<code>a.inc()</code>
|-
|<code>a--</code>
|<code>a.dec()</code>
|}
:{| class="wikitable" style="float:left"
|+ 算術演算
! 式
! メソッド形式
|-
|<code>a + b</code>
|<code>a.plus(b)</code>
|-
|<code>a - b</code>
|<code>a.minus(b)</code>
|-
|<code>a * b</code>
|<code>a.times(b)</code>
|-
|<code>a / b</code>
|<code>a.div(b)</code>
|-
|<code>a % b</code>
|<code>a.rem(b)</code>
|-
|<code>a..b</code>
|<code>a.rangeTo(b)</code>
|-
|<code>a..<b</code>
|<code>a.rangeUntil(b)</code>
|}
:{| class="wikitable" style="float:left"
|+ 包含
! 式
! メソッド形式
|-
|<code>a in b</code>
|<code>b.contains(a)</code>
|-
|<code>a !in b</code>
|<code>!b.contains(a)</code>
|}
:{| class="wikitable" style="float:left"
|+ インデックスによる要素参照
! 式
! メソッド形式
|-
|<code>a[i]</code>
|<code>a.get(i)</code>
|-
|<code>a[i, j]</code>
|<code>a.get(i, j)</code>
|-
|<code>a[i_1, ..., i_n]</code>
|<code>a.get(i_1, ..., i_n)</code>
|-
|<code>a[i] = b</code>
|<code>a.set(i, b)</code>
|-
|<code>a[i, j] = b</code>
|<code>a.set(i, j, b)</code>
|-
|<code>a[i_1, ..., i_n] = b</code>
|<code>a.set(i_1, ..., i_n, b)</code>
|}
:{| class="wikitable" style="float:left"
|+ 関数的な呼出し
! 式
! メソッド形式
|-
|<code>a()</code>
|<code>a.invoke()</code>
|-
|<code>a(i)</code>
|<code>a.invoke(i)</code>
|-
|<code>a(i, j)</code>
|<code>a.invoke(i, j)</code>
|-
|<code>a(i_1, ..., i_n)</code>
|<code>a.invoke(i_1, ..., i_n)</code>
|}
:{| class="wikitable" style="float:left"
|+ 代入演算
! 式
! メソッド形式
|-
|<code>a += b</code>
|<code>a.plusAssign(b)</code>
|-
|<code>a -= b</code>
|<code>a.minusAssign(b)</code>
|-
|<code>a *= b</code>
|<code>a.timesAssign(b)</code>
|-
|<code>a /= b</code>
|<code>a.divAssign(b)</code>
|-
|<code>a %= b</code>
|<code>a.remAssign(b)</code>
|}
:{| class="wikitable" style="float:left"
|+ 一致・不一致
! 式
! メソッド形式
|-
|<code>a == b</code>
|<code>a?.equals(b) ?: (b === null)</code>
|-
|<code>a != b</code>
|<code>!(a?.equals(b) ?: (b === null))</code>
|}
:{| class="wikitable" style="float:left"
|+ 比較演算
! 式
! メソッド形式
|-
|<code>a > b</code>
|<code>a.compareTo(b) > 0</code>
|-
|<code>a < b</code>
|<code>a.compareTo(b) < 0</code>
|-
|<code>a >= b</code>
|<code>a.compareTo(b) >= 0</code>
|-
|<code>a <= b</code>
|<code>a.compareTo(b) <= 0</code>
|}
<br style="clear:both">
{{:Kotlin/制御構造}}
{{:Kotlin/関数}}
== 拡張 ==
Kotlinでは、クラスやインターフェースを継承したり、Decoratorのようなデザインパターンを使わずに、新しい機能を拡張することができます。これは、拡張( ''extensions'' )と呼ばれる特別な宣言によって実現されます<ref>[https://kotlinlang.org/docs/extensions.html Extensions]</ref>。
=== 拡張関数 ===
拡張関数( ''Extension functions'' )を宣言するには、その名前の前に拡張される型を示すレシーバー型をつけます<ref>[https://kotlinlang.org/docs/extensions.html#extension-functions Extension functions]</ref>。以下は、Array<Int>にrotate関数を追加したものです。
;[https://pl.kotl.in/FiS-uHjPC Array<Int>にrotate()を定義]:<syntaxhighlight lang=kotlin line highlight=2>
fun main() {
fun Array<Int>.rotate() {
val t = this[0]
var i = 1
while (i < this.size) {
this[i - 1] = this[i]
i++
}
this[this.size - 1] = t
}
var ary = arrayOf(2, 3, 5, 7, 11)
println("ary = ${ary.map{it.toString()}.joinToString(" ")}")
ary.rotate()
println("ary = ${ary.map{it.toString()}.joinToString(" ")}")
}
</syntaxhighlight>
;実行結果:<syntaxhighlight lang=text>
ary = 2 3 5 7 11
ary = 3 5 7 11 2
</syntaxhighlight>
=== ジェネリックスと拡張関数 ===
拡張関数でも[[#ジェネリックス|ジェネリックス]](型パラメーター)が使用可能です。
先の例は、Array<Int>とIntのアレイ専用でしたが、任意の型 T のアレイ Array<T> に拡張関数を拡張してみましょう。
;[https://pl.kotl.in/P4tm3lb8h <T>Array<T>にrotate()を定義]:<syntaxhighlight lang=kotlin line highlight=2>
fun main() {
fun <T> Array<T>.rotate() {
val t = this[0]
var i = 1
while (i < this.size) {
this[i - 1] = this[i]
i++
}
this[this.size - 1] = t
}
var ary = arrayOf(2, 3, 5, 7, 11)
println("ary = ${ary.map{it.toString()}.joinToString(" ")}")
ary.rotate()
println("ary = ${ary.map{it.toString()}.joinToString(" ")}")
var fary = Array(8){ val x = 1.0 * it; x * x }
println("fary = ${fary.map{it.toString()}.joinToString(" ")}")
fary.rotate()
println("fary = ${fary.map{it.toString()}.joinToString(" ")}")
var sary = arrayOf("A", "B", "C", "D", "E", "F")
println("sary = ${sary.map{it.toString()}.joinToString(" ")}")
sary.rotate()
println("sary = ${sary.map{it.toString()}.joinToString(" ")}")
}
</syntaxhighlight>
;実行結果:<syntaxhighlight lang=text>
ary = 2 3 5 7 11
ary = 3 5 7 11 2
fary = 0.0 1.0 4.0 9.0 16.0 25.0 36.0 49.0
fary = 1.0 4.0 9.0 16.0 25.0 36.0 49.0 0.0
sary = A B C D E F
sary = B C D E F A
</syntaxhighlight>
=== 拡張は静的に解決されます ===
拡張は、一見するとクラスの中に後からメンバー関数を追加しているように見えるかもしれませんが、<code>インスタンス.メソッド(実引数リスト)</code> のパターンに合致する拡張定義があるかを静的に調べ、該当する拡張関数があればそれを呼出すことで実現しています。
このため拡張関数でメンバー関数をオーバーライドすることはできません。
== クラス ==
{{先頭に戻る}}
Kotlinは関数型プログラミング言語であると同時に、クラスベースのオブジェクト指向プログラミング言語です。
クラス( ''class'' )はオブジェクトの設計図であり、インスタンスはその設計図に基づいて作成されます。
=== クラス定義 ===
クラスは、キーワード <code>{{Anchor|class}}</code>を使って定義します。
;[https://pl.kotl.in/WSxMHFtzA 空のクラスの定義とインスタンス化]:<syntaxhighlight lang=kotlin line highlight="1,4">
class X // クラス定義
fun main() {
val x = X() // インスタンス化
println("${x::class.simpleName}") // クラス名を表示
}
</syntaxhighlight>
;実行結果:<syntaxhighlight lang=text>
X
</syntaxhighlight>
;[https://pl.kotl.in/WlVaRbKmX private なプロパティ s を持つクラスの定義]:<syntaxhighlight lang=kotlin line highlight="1,4">
class X constructor(s: String) // クラス定義
fun main() {
val x = X("abc") // インスタンス化
println("${x::class.simpleName}") // クラス名を表示
// x.s --- Unresolved reference: s ;; s は private なので、ここでは参照できません
}
</syntaxhighlight>
;実行結果:<syntaxhighlight lang=text>
X
</syntaxhighlight>
: <syntaxhighlight lang=kotlin inline>class X constructor(s: String)</syntaxhighlight>
: この文脈での[[#ソフト・キーワード|ソフト・キーワード]] {{Anchor|constructor}} は、以下のように省略可能です。
: <syntaxhighlight lang=kotlin inline>class X(s: String)</syntaxhighlight>
;[https://pl.kotl.in/R7Fzx9K3G public でイミュータブルなプロパティ s を持つクラスの定義]:<syntaxhighlight lang=kotlin line highlight="1,4">
class X(val s: String) // クラス定義
fun main() {
val x = X("abc") // インスタンス化
println("${x::class.simpleName}") // クラス名を表示
println("x.s = ${x.s}") // プロパティーの値を表示
// x.s = "xyz" --- Val cannot be reassigned ;; イミュータブルなプロパティーは書換え不可
}
</syntaxhighlight>
;実行結果:<syntaxhighlight lang=text>
X
x.s = abc
</syntaxhighlight>
: プロパティーの値の参照はできますが、<code>val</code> なので書換えはできません。
;[https://pl.kotl.in/sAHYBVMIM public でミュータブルなプロパティ s を持つクラスの定義]:<syntaxhighlight lang=kotlin line highlight="1,4">
class X(var s: String) // クラス定義
fun main() {
val x = X("abc") // インスタンス化
println("${x::class.simpleName}") // クラス名を表示
println("x.s = ${x.s}") // プロパティーの値を表示
x.s = "xyz" // イミュータブルなプロパティーは値の書換えが可能
println("x.s = ${x.s}") // プロパティーの値を表示
}
</syntaxhighlight>
;実行結果:<syntaxhighlight lang=text>
X
x.s = abc
x.s = xyz
</syntaxhighlight>
: コンストラクターのパラメーターを <code>val</code> から <code>val</code> に変更したので、ミュータブルとなりプロパティーの値を変更できるようになりました。
;[https://pl.kotl.in/IODi_0xMo init はコンストラクターの後に呼出されるブロック]:<syntaxhighlight lang=kotlin line highlight="1-3">
class X(var s: String) { // クラス定義
init {
println("init: s = ${s}")
}
}
fun main() {
val x = X("abc") // インスタンス化
println("${x::class.simpleName}") // クラス名を表示
println("x.s = ${x.s}") // プロパティーの値を表示
x.s = "xyz" // イミュータブルなプロパティーは値の書換えが可能
println("x.s = ${x.s}") // プロパティーの値を表示
}
</syntaxhighlight>
;実行結果:<syntaxhighlight lang=text>
init: s = abc
X
x.s = abc
x.s = xyz
</syntaxhighlight>
: クラス定義冒頭のコンストラクターにはコードをかけないので init ブロックに書きます
=== クラスのメンバー ===
* [[#コンストラクター|コンストラクター]]( ''constructor'' )
* [[#メンバー関数|メンバー関数]]
* [[#プロパティー|プロパティー]]
* [[#インナークラス|インナークラス]]( ''inner class'' )
* [[#オブジェクト|オブジェクト]]の宣言
==== コンストラクター ====
Kotlinのクラスはプライマリーコンストラクターと1つまたは複数のセカンダリーコンストラクターを持つことができます。プライマリーコンストラクターはクラスヘッダの一部で、クラス名とオプションの型パラメターの後に続きます。
{{See also|クラス定義}}
==== メンバー関数 ====
メンバー関数は、クラス定義の中で定義された関数です<ref>[https://kotlinlang.org/docs/functions.html#member-functions Member functions]</ref>。
メンバー関数の呼出はドット記法で行います。
メンバー関数からは、プライベートなクラスのメンバーにアクセスできます。
==== プロパティ ====
==== オブジェクト ====
オブジェクトは、匿名クラスの定義とインスタンス化を同時に行うものです。
;[https://paiza.io/projects/HRaRjZqiJz8DxWz3gh_mEg?language=kotlin オブジェクトの例]:<syntaxhighlight lang=kotlin line>
fun main() {
var obj = object {
var a = 3
var b = 4
override fun toString() = "($a, $b)"
}
println(
"""
obj => $obj
obj.a => ${obj.a}, obj.b => ${obj.b}
obj::class.simpleName => ${obj::class.simpleName}
"""
)
}
</syntaxhighlight>
;実行結果:<syntaxhighlight lang=text>
obj => (3, 4)
obj.a => 3, obj.b => 4
obj::class.simpleName => null
</syntaxhighlight>
=== 継承 ===
クラスは、明示的に継承元を指定しない場合は <code>Any</code> を継承します。
=== 継承モディファイア ===
継承モディファイア( ''inheritance modifier'' )には、次のような種類があり、これらのトークンは[[#モディファイア・キーワード|モディファイア・キーワード]]です。
==== abstract ====
[[#抽象クラス|抽象クラス]]( ''abstract class'' )は、抽象メンバー関数( ''abstract method'' )だけを持つクラスです。
モディファイア・キーワード <code>abstract</code> は、抽象メンバー関数の定義でも使われます。
==== final ====
[[#ファイナルクラス|ファイナルクラス]]( ''final class'' )は、継承を禁止したクラスです。
KotlinのクラスはJavaと異なり、ディフォルトで継承禁止なので、継承禁止を強調する意味しかありません。
モディファイア・キーワード <code>final</code> は、オーバーライド禁止メンバーの宣言でも使われます。
==== open ====
[[#オープンクラス|オープンクラス]]( ''open class'' )は、継承を許可したクラスです。
KotlinのクラスはJavaと異なり、ディフォルトで継承禁止なので、継承を行う可能性がある場合は明示的に許可する必要があります。
モディファイア・キーワード <code>open</code> は、メンバー関数のオーバーライド許可でも使われます。
{{コラム|Kotlinのクラスはディフォルトでfinal|2=
Javaと異なり、Kotlinのクラスはディフォルトでfinal(継承禁止)です。
これは、主にセキュリティー上の理由からで、クラスを継承することによりprotectedでの隠蔽に綻びが生じプログラムが「ハイジャック」されることの重要さに配慮したもので、
クラス設計に於いてのトレードオフ、「拡張性と頑強性」のディフォルトを頑強に振った言語設計になっています。
{{See also|[https://www.jpcert.or.jp/java-rules/obj00-j.html OBJ00-J. 不変条件を持つクラスやメソッドの拡張は信頼できるサブクラスのみに許す]}}
}}
=== this ===
クラスのメンバー関数が、プロパティやメンバー関数を参照するとき、クラスの外の変数や関数との間で曖昧さが生じる事があります。
このようなときには、インスタンスを表すキーワード <code>{{Anchor|this}}</code> を使います<ref>[https://kotlinlang.org/docs/this-expressions.html This expressions]</ref>。
<code>this</code> はこのほか、2 次コンストラクタから同じクラスの別のコンストラクタを呼出すときにもつかわれます。
;[https://paiza.io/projects/a6IABje1M-ZOPH4asPyCpQ?language=kotlin thisを使ったメンバー関数の限定]:<syntaxhighlight lang=kotlin line>
fun main() {
fun printLine() = println("Function")
class Simple {
fun printLine() = println("Method")
fun printLineNone() = printLine()
fun printLineThis() = this.printLine()
}
val s = Simple()
s.printLine()
s.printLineNone()
s.printLineThis()
}
</syntaxhighlight>
;実行結果:<syntaxhighlight lang=text>
Method
Function
Method
</syntaxhighlight>
: メンバー関数から同じクラスのメンバー関数を呼出すとき、同名の関数があると関数が呼出されます。
: メンバー関数から同じクラスのメンバー関数を呼出すときには、同名の関数があると関数が呼出されます。
=== クラスモディファイア ===
クラスモディファイア( ''class modifier'' )には、次のような種類があり、これらのトークンは[[#モディファイア・キーワード|モディファイア・キーワード]]です。
==== enum ====
[[#列挙型クラス|列挙型クラス]]( ''Enum class'' )は、有限個の識別子の集合を表現するために使用されます。
:<syntaxhighlight lang=kotlin>
enum class DayOfWeek {
MONDAY,
TUESDAY,
WEDNESDAY,
THURSDAY,
FRIDAY,
SATURDAY,
SUNDAY
}
fun main() {
val today = DayOfWeek.MONDAY
println("Today is $today")
}
</syntaxhighlight>
;特性と用途
* 特定の値の集合を表現するために使用されます(例: 曜日、状態など)。
* 定数のような振る舞いを持ち、列挙型の各要素は固定された値として使用されます。
==== sealed ====
シールドクラス( ''Sealed class'' )は、制限されたクラス階層を表現するために使用されます。
:<syntaxhighlight lang=kotlin>
sealed class Result {
data class Success(val data: String) : Result()
data class Error(val message: String) : Result()
}
fun handleResult(result: Result) {
when (result) {
is Result.Success -> println("Success: ${result.data}")
is Result.Error -> println("Error: ${result.message}")
}
}
fun main() {
val successResult = Result.Success("Data")
val errorResult = Result.Error("An error occurred")
handleResult(successResult)
handleResult(errorResult)
}
</syntaxhighlight>
;特性と用途
* 制限されたクラス階層を定義するために使用されます。サブクラスは通常、シールドクラス内にネストされます。
* シールドクラスのサブクラスは通常、特定の型の状態や結果を表現するために使用されます。
==== annotation ====
[[#アノテーションクラス|アノテーションクラス]]( ''annotation class'' )は、コードにメタデータを付加するための手段を提供します。
:<syntaxhighlight lang=kotlin>
annotation class Author(val name: String)
@Author("John Doe")
class Book {
// ブックの定義
}
fun main() {
val book = Book::class.java
val authorAnnotation = book.getAnnotation(Author::class.java)
val authorName = authorAnnotation?.name
println("Author: $authorName")
}
</syntaxhighlight>
;特性と用途
* コードに追加情報や設定を提供するために使用されます。
* ランタイムやコンパイル時にアノテーションを処理することで、特定の動作やコード生成をトリガーすることができます。
==== data ====
[[#データクラス|データクラス]]( ''Data class'' )は、データを保持するためのクラスで、copy() などのメンバー関数がクラスを定義しただけで生えてきます。
:<syntaxhighlight lang=kotlin>
data class Person(val name: String, val age: Int)
fun main() {
val person = Person("Alice", 25)
val copyPerson = person.copy(age = 30)
println(person)
println(copyPerson)
}
</syntaxhighlight>
;特性と用途
* データのコンテナとして使用され、自動的にequals()、hashCode()、toString()、copy()メソッドが生成されます。
* イミュータブルなデータオブジェクトを簡潔に表現するために使用されます。
==== inner ====
[[#インナークラス|インナークラス]]( ''Inner class'' )は、入れ子になった内側になったクラスが外側のクラスのメンバーにアクセスすることを可能にします。
:<syntaxhighlight lang=kotlin>
class Outer {
private val outerProperty = "Outer Property"
inner class Inner {
fun printOuterProperty() {
println(outerProperty)
}
}
}
fun main() {
val outer = Outer()
val inner = outer.Inner()
inner.printOuterProperty()
}
</syntaxhighlight>
;特性と用途
* 外側のクラスのインスタンスに紐づく内側のクラスを定義するために使用されます。
* 内側のクラスは外側のクラスの非公開メンバーやプロパティにアクセスすることができます。
==== value ====
[[#値クラス|値クラス]]( ''Value class'' )は、イミュータブルなスカラー値の型を定義します。プロポーザル段階では inline class と呼ばれていました。
:<syntaxhighlight lang=kotlin>
inline class Password(val value: String)
fun main() {
val password = Password("secret")
println("Password: ${password.value}")
}
</syntaxhighlight>
;特性と用途
* 単一の値を表すために使用されます。プリミティブ型のように振る舞い、ボックス化のオーバーヘッドを回避します。
+ ラッパークラスとして機能し、型安全性やコードの表現力を向上させます。
==== object ====
[[#オブジェクト|オブジェクト]]( ''object'' )は、モディファイア・キーワードではありませんが、特殊なクラスの一種なので併せて紹介します。
オブジェクトは一過的な匿名クラスを定義し、そのインスタンスの生成を行います。
:<syntaxhighlight lang=kotlin>
object Logger {
fun log(message: String) {
println("Log: $message")
}
}
fun main() {
Logger.log("Hello, World!")
}
</syntaxhighlight>
;特性と用途
* シングルトンパターンを実装するために使用されます。クラスの単一のインスタンスを表現し、グローバルなアクセスポイントとして機能します。
* 関連するメソッドやプロパティを含めることができ、特定の目的に特化したオブジェクトを表現することができます。
;まとめ
各クラスモディファイアは、異なる用途や特性を持っており、柔軟なクラス定義を可能にします。
適切なモディファイアを選択することで、コードの意図を明確に表現し、保守性や可読性を向上させることができます。
=== 可視性モディファイア ===
[[#クラス|クラス]]、[[#オブジェクト|オブジェクト]]、[[#インターフェース|インターフェース]]、[[#コンストラクター|コンストラクター]]、[[#関数|関数]]、および[[#プロパティ|プロパティ]]とその[[#セッター|セッター]]は、可視性モディファイア( ''Visibility modifiers'' )を持つことができます。ゲッターは常にそのプロパティと同じ可視性を持っています<ref>[https://kotlinlang.org/docs/visibility-modifiers.html Visibility modifiers]</ref>。
可視性モディファイアには、次のような4種類があり、これらのトークンは[[#モディファイア・キーワード|モディファイア・キーワード]]です。
* [[#private|private]]
* [[#protected|protected]]
* [[#internal|internal]]
* [[#public|public]]
デフォルトの可視性はpublicです。
==== パッケージ ====
関数、プロパティ、クラス、オブジェクト、およびインタフェースは、パッケージの中で直接「トップレベル」で宣言することができます。
* 可視性モディファイアを使用しない場合、デフォルトではpublicが使用され、宣言はどこでも見えるようになります。
* 宣言に private を指定すると、その宣言を含むファイル内でのみ可視化されます。
* internalと指定した場合は、同じモジュール内であればどこでも見えるようになります。
* protected修飾子は、トップレベルの宣言には使えません。
==== クラスのメンバー ====
クラス内部で宣言されたメンバー。
* private は、そのメンバーがこのクラスの内部でのみ可視であることを意味します(そのクラスのすべてのメンバーを含む)。
* protected は、private とマークされたメンバーと同じ可視性を持ちますが、サブクラスでも可視化されることを意味します。
* internal は、宣言したクラスを見たこのモジュール内のクライアントが、その内部のメンバーを見ることができることを意味します。
* public は、宣言クラスを見たすべてのクライアントがその public メンバを見ることができることを意味します。
protectedまたはinternalメンバーをオーバーライド( ''override'' )し、可視性を明示的に指定しない場合、オーバーライドしたメンバーも元のメンバーと同じ可視性を持つことになります。
===== コンストラクター =====
クラスの一次コンストラクタの可視性を指定するには、次の構文を使用します。
:<syntaxhighlight lang=kotlin>
class C private constructor(a: Int) { ... }
</syntaxhighlight>
:ここでは、コンストラクターは private です。デフォルトでは、すべてのコンストラクターは public です。これは、クラスが見えるところならどこでもコンストラクターが見えるということです(裏を返せば、内部クラスのコンストラクターは同じモジュール内でしか見えないということです)。
===== ローカル宣言 =====
ローカル変数、関数、クラスは可視性モディファイアを持つことができません。
==== モジュール ====
internal 可視性モディファイアは、そのメンバーが同じモジュール内で可視であることを意味します。具体的にモジュールとは、例えば、一緒にコンパイルされたKotlinファイルの集合のことです。
* IntelliJ IDEAモジュール。
* Mavenプロジェクト
* Gradleのソースセット(ただし、testのソースセットはmainの内部宣言にアクセスできる)。
* ''kotlinc'' Antタスクの1回の呼び出しでコンパイルされるファイル群。
=== 抽象クラス ===
抽象クラス( ''abstract class'' )は、抽象メソッド( ''abstract method'' )だけを持つクラスであり、直接のインスタンス化ができません。抽象メソッドは本体を持たず、具体的な実装はそのサブクラスに委ねられます。Kotlinでは、<code>abstract</code> キーワードを使用して抽象クラスと抽象メソッドを宣言します。
==== 抽象クラスの宣言 ====
:<syntaxhighlight lang=kotlin>
abstract class Shape {
abstract fun draw()
}
class Circle : Shape() {
override fun draw() {
println("Drawing a circle")
}
}
class Rectangle : Shape() {
override fun draw() {
println("Drawing a rectangle")
}
}
</syntaxhighlight>
上記の例では、<code>Shape</code> という抽象クラスがあります。このクラスは抽象メソッド <code>draw</code> を宣言しています。サブクラスである <code>Circle</code> と <code>Rectangle</code> は、それぞれ <code>draw</code> メソッドをオーバーライドして具体的な実装を提供します。
==== 抽象クラスのインスタンス化 ====
:<syntaxhighlight lang=kotlin>
fun main() {
// コンパイルエラー: Cannot create an instance of an abstract class
// val shape = Shape()
val circle = Circle()
circle.draw()
val rectangle = Rectangle()
rectangle.draw()
}
</syntaxhighlight>
抽象クラスは直接インスタンス化できないため、<code>Shape</code> クラスのインスタンスを作成しようとするとコンパイルエラーが発生します。代わりに、具象サブクラスである <code>Circle</code> や <code>Rectangle</code> のインスタンスを作成して使用します。
==== 抽象プロパティとコンストラクタ ====
抽象クラスは抽象プロパティを持つこともできます。また、抽象クラス自体はコンストラクタを持つことができます。
:<syntaxhighlight lang=kotlin>
abstract class Shape(val name: String) {
abstract fun draw()
}
class Circle(name: String) : Shape(name) {
override fun draw() {
println("Drawing a circle named $name")
}
}
class Rectangle(name: String) : Shape(name) {
override fun draw() {
println("Drawing a rectangle named $name")
}
}
</syntaxhighlight>
この例では、<code>Shape</code> クラスはコンストラクタを持ち、<code>name</code> という抽象プロパティを宣言しています。サブクラスである <code>Circle</code> と <code>Rectangle</code> は、コンストラクタで <code>name</code> を渡し、<code>draw</code> メソッドをオーバーライドしています。
抽象クラスは、クラス階層の一部として柔軟で再利用可能なコードを設計する際に役立ちます。
==== ユースケースとベストプラクティス ====
抽象クラスは、以下のようなユースケースやベストプラクティスに適しています。
;部分的な実装の提供: 抽象クラスは、一部のメソッドやプロパティの実装を提供することができます。これにより、サブクラスは抽象メソッドだけでなく、既存の実装を再利用できます。
:<syntaxhighlight lang=kotlin>
abstract class Shape {
fun commonMethod() {
// 共通の実装
}
abstract fun draw()
}
</syntaxhighlight>
;メソッドの強制: 抽象クラスには抽象メソッドが含まれており、これをサブクラスで実装することが義務付けられます。これにより、サブクラスが特定のメソッドを実装することが保証されます。
:<syntaxhighlight lang=kotlin>
abstract class Printer {
abstract fun print()
}
class LaserPrinter : Printer() {
override fun print() {
// レーザープリンターの実装
}
}
</syntaxhighlight>
;継承と拡張: 抽象クラスを使用すると、クラス階層を構築し、新しい機能を追加していくことができます。これは、将来的に変更や拡張が発生する可能性がある場合に特に役立ちます。
:<syntaxhighlight lang=kotlin>
abstract class Animal {
abstract fun makeSound()
}
class Dog : Animal() {
override fun makeSound() {
println("Woof!")
}
}
class Cat : Animal() {
override fun makeSound() {
println("Meow!")
}
</syntaxhighlight>
;コンストラクタとプロパティ: 抽象クラスはコンストラクタを持ち、抽象プロパティを宣言できます。これにより、サブクラスが特定のプロパティを持つことが保証され、コンストラクタで初期化できます。
:<syntaxhighlight lang=kotlin>
abstract class Vehicle(val model: String) {
abstract fun start()
abstract fun stop()
}
class Car(model: String) : Vehicle(model) {
override fun start() {
println("Starting the car")
}
override fun stop() {
println("Stopping the car")
}
}
</syntaxhighlight>
;複数のインターフェースの代替: 抽象クラスは複数のメソッドやプロパティをまとめて提供できるため、インターフェースが多すぎる場合に、抽象クラスを使用して階層を整理することができます。
:<syntaxhighlight lang=kotlin>
abstract class UIControl {
abstract fun render()
abstract fun onClick()
}
class Button : UIControl() {
override fun render() {
println("Rendering button")
}
override fun onClick() {
println("Button clicked")
}
}
</syntaxhighlight>
抽象クラスは、柔軟性と再利用性を向上させるために使われますが、適切に設計される必要があります。必要以上に多くの機能を含めると、過度な依存関係が生まれる可能性があるため、慎重な設計が求められます。
=== ファイナルクラス ===
ファイナルクラス(<code>final class</code>)は、Kotlinにおいて継承を禁止したクラスを指します。Kotlinでは、デフォルトでクラスが継承不可(<code>final</code>)となっており、継承可能にするためには明示的に<code>open</code>修飾子を使用する必要があります。そのため、<code>final</code>キーワードは主にオーバーライド禁止メンバーの宣言で使用され、クラス自体に適用することは少ないです。
==== ファイナルクラスの宣言 ====
:<syntaxhighlight lang=kotolin>
final class MyFinalClass {
// クラスの定義
}
</syntaxhighlight>
上記の例では、<code>MyFinalClass</code> はファイナルクラスとして宣言されています。このクラスは他のクラスから継承できません。
==== オーバーライド禁止メンバーの宣言 ====
:<syntaxhighlight lang=kotolin>
open class MyBaseClass {
final fun myFinalMethod() {
// オーバーライド禁止のメソッド
}
}
</syntaxhighlight>
上記の例では、<code>MyBaseClass</code> の <code>myFinalMethod</code> は <code>final</code> 修飾子が付いており、このメソッドはオーバーライドできません。
==== ファイナルクラスの利用例 ====
:<syntaxhighlight lang=kotolin>
final class Configuration {
// クラスの定義
}
class ApplicationSettings(config: Configuration) {
// FinalClass を利用したクラスの定義
}
</syntaxhighlight>
上記の例では、<code>Configuration</code> クラスがファイナルクラスとして定義されています。このクラスは他のクラスから継承できないため、設定情報の不正な変更や上書きを防ぐことが期待されます。<code>ApplicationSettings</code> クラスは <code>Configuration</code> を利用してアプリケーションの設定を管理しています。
ファイナルクラスは特定の状況で利用され、継承を禁止してクラスの拡張を制御するために使用されます。
=== オープンクラス ===
オープンクラス(<code>open class</code>)は、Kotlinにおいて継承を許可したクラスを指します。
Kotlinのクラスはデフォルトで継承不可(<code>final</code>)となっているため、クラスを継承可能にするには明示的に<code>open</code>修飾子を使用する必要があります。
==== オープンクラスの宣言 ====
:<syntaxhighlight lang=kotlin>
open class MyOpenClass {
// クラスの定義
}
</syntaxhighlight>
上記の例では、<code>MyOpenClass</code> はオープンクラスとして宣言されています。このクラスは他のクラスから継承できます。
==== メソッドのオーバーライド許可 ====
:<syntaxhighlight lang=kotlin>
open class MyBaseClass {
open fun myMethod() {
// オーバーライド可能なメソッド
}
}
</syntaxhighlight>
上記の例では、<code>MyBaseClass</code> の <code>myMethod</code> は <code>open</code> 修飾子が付いており、このメソッドはオーバーライド可能です。
==== オープンクラスの利用例 ====
:<syntaxhighlight lang=kotlin>
open class Shape {
open fun draw() {
println("Drawing a shape")
}
}
class Circle : Shape() {
override fun draw() {
println("Drawing a circle")
}
}
class Square : Shape() {
override fun draw() {
println("Drawing a square")
}
}
</syntaxhighlight>
上記の例では、<code>Shape</code> クラスがオープンクラスとして定義されています。<code>Circle</code> と <code>Square</code> クラスが <code>Shape</code> を継承し、<code>draw</code> メソッドをオーバーライドしています。これにより、各図形クラスは自身の特定の描画方法を持つことができます。
オープンクラスは継承を許可し、クラスの拡張やカスタマイズが可能となります。ただし、使用する際には慎重に設計し、必要なメソッドやプロパティに対してのみ<code>open</code>修飾子を使用することが推奨されます。
=== 列挙型クラス ===
{{先頭に戻る}}
列挙型クラス( ''Enum classes'' )は、キーワード <code>enum</code> を <code>class</code> に前置して定義します<ref>[https://kotlinlang.org/docs/enum-classes.html Enum classes]</ref>。
[[Swift/オブジェクト指向#列挙型]]の例を Kotlin 向けにモディファイしました。
;[https://paiza.io/projects/lW6ghepnPWyQnctPdyX6Zw?language=kotlin 列挙型クラスとメソッド]:<syntaxhighlight lang=kotlin line>
enum class Azimuth {
North,
South,
East,
West;
override fun toString() = when (this) {
Azimuth.North -> "北"
Azimuth.South -> "南"
Azimuth.East -> "東"
Azimuth.West -> "西"
}
fun deg() = when (this) {
Azimuth.North -> 0 * 90
Azimuth.South -> 2 * 90
Azimuth.East -> 1 * 90
Azimuth.West -> 3 * 90
}
}
fun main() {
val n = Azimuth.North
println("n => $n, az.deg() => ${n.deg()}")
println("------------------------------------")
for (az in Azimuth.values()) {
println("as.name =>${az.name}, as => $az, az.deg() => ${az.deg()}")
}
println(enumValues<Azimuth>().joinToString{it.name})
}
</syntaxhighlight>
;実行結果:<syntaxhighlight lang=text>
n => 北, az.deg() => 0
------------------------------------
as.name =>North, as => 北, az.deg() => 0
as.name =>South, as => 南, az.deg() => 180
as.name =>East, as => 東, az.deg() => 90
as.name =>West, as => 西, az.deg() => 270
North, South, East, West
</syntaxhighlight>
: override fun toString() でEnumのディフォルトの文字列化メソッドをオーバーライドしています。
=== シールドクラス ===
シールドクラス(<code>Sealed class</code>)は、制限されたクラス階層を表現するために使用される Kotlin 特有の機能です。シールドクラスは、特定のサブクラスのみを許容し、新しいサブクラスの追加を防ぎます。これにより、特定の型に対するパターンマッチングが容易になります。
==== シールドクラスの宣言 ====
:<syntaxhighlight lang=kotlin>
sealed class Result {
data class Success(val data: String) : Result()
data class Error(val message: String) : Result()
object Loading : Result()
}
</syntaxhighlight>
上記の例では、<code>Result</code> クラスはシールドクラスとして宣言されています。このクラスには3つのサブクラスがあります:<code>Success</code>、<code>Error</code>、および <code>Loading</code>。<code>Success</code> と <code>Error</code> はデータクラスで、それぞれデータを保持します。<code>Loading</code> はオブジェクトクラスで、データを保持しません。
==== シールドクラスの利用例 ====
:<syntaxhighlight lang=kotlin>
fun processResult(result: Result) {
when (result) {
is Result.Success -> println("Success: ${result.data}")
is Result.Error -> println("Error: ${result.message}")
Result.Loading -> println("Loading...")
}
}
</syntaxhighlight>
上記の例では、<code>Result</code> クラスのサブクラスごとに異なる処理を行う <code>processResult</code> 関数があります。<code>when</code> 式を使用して、特定のサブクラスに対するパターンマッチングを行っています。
==== 利点 ====
* コンパイラがすべてのサブクラスを知っているため、<code>when</code> 式などのパターンマッチングが網羅的であることを確認できます。
* 新しいサブクラスが追加された場合、コンパイラは未処理のケースがあるかどうかを検知し、警告を発生させます。
==== 制限 ====
* シールドクラスは同じファイル内で宣言されたクラスに対してしか有効ではありません。
シールドクラスは、特に固定されたクラス階層を表現する場合や、特定の型に対する安全なパターンマッチングを行う場合に便利です。
=== アノテーションクラス ===
アノテーションクラス(<code>annotation class</code>)は、Kotlinにおいてコードにメタデータを付加するための手段を提供します。これにより、コンパイラや実行時の処理で追加の情報を提供することが可能となります。
==== アノテーションクラスの宣言 ====
アノテーションクラスは、<code>@</code>シンボルを使って宣言されます。アノテーションクラスの主な目的は、アノテーションを作成し、それをコードの要素に適用することです。
:<syntaxhighlight lang=kotlin>
annotation class MyAnnotation(val name: String, val version: Int)
</syntaxhighlight>
上記の例では、<code>MyAnnotation</code> というアノテーションクラスが宣言されています。このアノテーションは、<code>name</code> と <code>version</code> というパラメータを持っています。
==== アノテーションの利用 ====
アノテーションは、クラスや関数、プロパティなど、さまざまな要素に適用できます。
:<syntaxhighlight lang=kotlin>
@MyAnnotation(name = "MyApp", version = 1)
class MyClass {
@MyAnnotation(name = "MyFunction", version = 2)
fun myFunction() {
// 関数の本体
}
}
</syntaxhighlight>
上記の例では、<code>MyClass</code> クラスとその中の <code>myFunction</code> 関数に <code>MyAnnotation</code> が適用されています。これにより、このクラスや関数に対する追加のメタデータが提供されます。
==== アノテーションのプロセッシング ====
アノテーションをプロセッシングするためには、リフレクションやKotlinのアノテーションプロセッサを使用することがあります。これにより、アノテーションに関連する処理を行うカスタムロジックを実装できます。
:<syntaxhighlight lang=kotlin>
// アノテーションプロセッサの例
fun processMyAnnotation(element: AnnotatedElement) {
val myAnnotation = element.getAnnotation(MyAnnotation::class.java)
if (myAnnotation != null) {
println("Name: ${myAnnotation.name}, Version: ${myAnnotation.version}")
}
}
</syntaxhighlight>
上記の例では、<code>AnnotatedElement</code>を受け取り、その要素に <code>MyAnnotation</code> が適用されているかを調べ、情報を取得しています。
アノテーションクラスは、コードにメタデータを追加し、プロセッシングや設定などの目的で使用されます。
=== データクラス ===
データクラス(<code>Data class</code>)は、Kotlinにおいてデータの保持や操作を目的としたクラスで、<code>copy()</code> メソッドなどがクラスを定義するだけで自動的に生成されます。これにより、不変性やイミュータビリティ(immutable)を維持しながら、簡潔で効果的なデータクラスを作成できます。
==== データクラスの宣言 ====
:<syntaxhighlight lang=kotlin>
data class Person(val name: String, val age: Int)
</syntaxhighlight>
上記の例では、<code>Person</code> クラスがデータクラスとして宣言されています。コンストラクタで定義されたプロパティ(<code>name</code> と <code>age</code>)に対して、<code>equals()</code>、<code>hashCode()</code>、<code>toString()</code> などの標準メソッドが自動的に生成されます。
==== データクラスの利用 ====
:<syntaxhighlight lang=kotlin>
val person1 = Person("Alice", 30)
val person2 = Person("Alice", 30)
// equals() メソッドにより、プロパティの内容が一致するか比較
println(person1 == person2) // true
// toString() メソッドにより、クラスの内容を文字列として表示
println(person1.toString()) // Person(name=Alice, age=30)
// copy() メソッドにより、一部のプロパティを変更した新しいインスタンスを作成
val modifiedPerson = person1.copy(age = 31)
println(modifiedPerson) // Person(name=Alice, age=31)
</syntaxhighlight>
上記の例では、<code>equals()</code> メソッドにより <code>person1</code> と <code>person2</code> の内容が一致するか比較され、<code>toString()</code> メソッドによりクラスの内容が文字列として表示されます。また、<code>copy()</code> メソッドを使って一部のプロパティを変更した新しいインスタンスを作成しています。
==== データクラスの生成されるメソッド ====
データクラスが生成される主なメソッドは以下の通りです。
* <code>equals()</code>: プロパティごとの内容比較を行います。
* <code>hashCode()</code>: プロパティごとにハッシュコードを生成します。
* <code>toString()</code>: クラスの内容を文字列として返します。
* <code>copy()</code>: インスタンスのコピーを作成します。一部のプロパティを変更できます。
データクラスは、イミュータブルでありながら効果的にデータを操作するための便利な手段を提供します。
=== インターフェース ===
Kotlinのインターフェース(<code>interface</code>)は、抽象的なメソッドの宣言と、メソッドの実装を含むことができます。インターフェースは、抽象クラスと異なり状態を保持することができません。プロパティを持つ場合、これらは抽象クラスであるか、アクセサーの実装を提供する必要があります<ref>[https://kotlinlang.org/docs/interfaces.html Interfaces]</ref>。
==== インターフェースの宣言 ====
:<syntaxhighlight lang=kotlin>
interface MyInterface {
fun doSomething() // 抽象メソッドの宣言
fun doSomethingElse() {
// デフォルトのメソッド実装
println("Default implementation of doSomethingElse")
}
val property: Int // 抽象プロパティの宣言
}
</syntaxhighlight>
上記の例では、<code>MyInterface</code> インターフェースが、抽象メソッド <code>doSomething()</code> とデフォルトのメソッド <code>doSomethingElse()</code>、抽象プロパティ <code>property</code> を宣言しています。
==== インターフェースの実装 ====
:<syntaxhighlight lang=kotlin>
class MyClass : MyInterface {
override fun doSomething() {
// メソッドの実装
println("Implementation of doSomething")
}
override val property: Int
get() = 42 // プロパティの実装
}
</syntaxhighlight>
上記の例では、<code>MyClass</code> クラスが <code>MyInterface</code> インターフェースを実装しています。<code>doSomething()</code> メソッドと <code>property</code> プロパティをオーバーライドしています。
==== インターフェースの複数準拠 ====
:<syntaxhighlight lang=kotlin>
interface A {
fun methodA()
}
interface B {
fun methodB()
}
class C : A, B {
override fun methodA() {
// A インターフェースの実装
}
override fun methodB() {
// B インターフェースの実装
}
}
</syntaxhighlight>
上記の例では、<code>C</code> クラスが <code>A</code> インターフェースと <code>B</code> インターフェースの両方を実装しています。複数のインターフェースをカンマで区切って指定することができます。
==== インターフェースの継承 ====
:<syntaxhighlight lang=kotlin>
interface D : A, B {
fun methodD()
}
</syntaxhighlight>
上記の例では、<code>D</code> インターフェースが <code>A</code> インターフェースと <code>B</code> インターフェースを継承しています。これにより、<code>D</code> インターフェースは <code>A</code> と <code>B</code> のメソッドを含むことになります。
Kotlinのインターフェースは、クラスが異なる振る舞いを持つ場合に簡潔で柔軟な解決策を提供します。異なるインターフェースを実装することで、複数の振る舞いを同じクラスで組み合わせることができます。
=== インナークラス ===
インナークラス(<code>Inner class</code>)は、入れ子になった内側のクラスが外側のクラスのメンバーにアクセスすることを可能にします。これにより、外側のクラスと強い結びつきを持ちながら、内部で独自の振る舞いやデータを持つクラスを定義できます。
==== インナークラスの宣言 ====
<syntaxhighlight lang=kotlin>
class OuterClass {
private val outerProperty: Int = 10
inner class InnerClass {
fun printOuterProperty() {
// OuterClass のプロパティにアクセス
println("Outer property: $outerProperty")
}
}
}
</syntaxhighlight>
上記の例では、<code>OuterClass</code> という外側のクラスがあり、その中に <code>InnerClass</code> というインナークラスが定義されています。<code>InnerClass</code> は <code>OuterClass</code> のプロパティにアクセスすることができます。
==== インナークラスの利用 ====
<syntaxhighlight lang=kotlin>
fun main() {
val outerInstance = OuterClass()
val innerInstance = outerInstance.InnerClass()
innerInstance.printOuterProperty()
}
</syntaxhighlight>
上記の例では、<code>OuterClass</code> のインスタンスを作成し、そのインナークラスである <code>InnerClass</code> のインスタンスを取得しています。そして、<code>InnerClass</code> のメソッドを呼び出して外側のクラスのプロパティにアクセスしています。
==== インナークラスの特徴 ====
# 外部クラスへのアクセス: インナークラスは、外部クラスのメンバーにアクセスできます。外部クラスのプロパティやメソッドに直接アクセスできるため、疎結合な設計が可能です。
# thisキーワードの挙動: インナークラスでは、外部クラスのインスタンスにアクセスするために <code>this@OuterClass</code> のように明示的な指定ができます。これにより、外部クラスのメンバーと同じ名前のメンバーがインナークラス内にある場合に区別できます。
# 非静的なクラス: インナークラスは外部クラスのインスタンスに依存しており、非静的なクラスです。したがって、外部クラスのインスタンスが存在しないとインナークラスも存在しません。
インナークラスは、外部クラスとの緊密な連携が必要な場合や、外部クラスのプライベートなメンバーにアクセスする必要がある場合に有用です。
=== 値クラス ===
値クラス(<code>data class</code>)は、イミュータブルでスカラーな値の型を定義するための概念です。プロポーザル段階では <code>inline class</code> と呼ばれていました。値クラスは、プリミティブ型のように振る舞い、同時に型安全性を提供します。
==== 値クラスの宣言 ====
<syntaxhighlight lang=kotlin>
data class Email(val value: String)
</syntaxhighlight>
上記の例では、<code>Email</code> という値クラスが宣言されています。この値クラスは、イミュータブルであり、<code>value</code> というプロパティを持っています。
==== 値クラスの利用 ====
<syntaxhighlight lang=kotlin>
fun main() {
val email1 = Email("[email protected]")
val email2 = Email("[email protected]")
println(email1 == email2) // 値クラスの比較
}
</syntaxhighlight>
上記の例では、異なるインスタンスの <code>Email</code> クラスを作成し、その値が等しいかを比較しています。値クラスでは、プライマリコンストラクタの引数で値が確定し、その値に基づいて等価性が判定されます。
==== 値クラスの特徴 ====
# イミュータブル性: 値クラスは不変(イミュータブル)であるため、一度生成されたインスタンスの値は変更されません。これにより、安全で予測可能なコードを実現します。
# 型安全性: 値クラスは型安全性を提供します。異なる値クラス間は厳密に区別され、混同されることがありません。
# 自動生成メソッド: 値クラスは <code>equals()</code> や <code>hashCode()</code> などのメソッドを自動生成します。これにより、等価性の確認やコレクションの利用が容易になります。
# ボクシングの回避: 値クラスはプリミティブ型のように振る舞い、一部のボクシングを回避します。これにより、メモリ効率が向上します。
値クラスは、ドメインモデリングや特定のデータ型を表現する際に有用であり、プロジェクト全体でのコードの理解性や保守性を向上させる役割を果たします。
=== オブジェクト ===
オブジェクト(<code>object</code>)は、モディファイア・キーワードではありませんが、特殊なクラスの一種であり、一過的な匿名クラスを定義し、その唯一のインスタンスを生成します。オブジェクトはシングルトンのような振る舞いを持ち、一般的には特定の目的に使用されます。
==== オブジェクトの宣言 ====
<syntaxhighlight lang=kotlin>
object Logger {
fun log(message: String) {
println("Log: $message")
}
}
</syntaxhighlight>
上記の例では、<code>Logger</code> という名前のオブジェクトが宣言されています。このオブジェクトはシングルトンであり、<code>log</code> メソッドを持っています。
==== オブジェクトの利用 ====
<syntaxhighlight lang=kotlin>
fun main() {
Logger.log("This is a log message.")
}
</syntaxhighlight>
上記の例では、<code>Logger</code> オブジェクトの唯一のインスタンスにアクセスし、その <code>log</code> メソッドを呼び出しています。オブジェクトは初回のアクセス時に遅延初期化され、以降は同じインスタンスが再利用されます。
==== オブジェクトの特徴 ====
# シングルトンパターン: オブジェクトはシングルトンとして振る舞います。クラスの唯一のインスタンスを持ち、それにアクセスするために新たなインスタンスを生成することはありません。
# 遅延初期化: オブジェクトは初回のアクセス時に初期化されます。これにより、プログラムが実際に必要なときに初期化処理が行われます。
# クラスメンバー: オブジェクトはメソッドやプロパティを持つことができます。これらは通常のクラスメンバーと同じようにアクセスできます。
# 継承不可: オブジェクトは継承できません。そのため、他のクラスがこのオブジェクトを継承することはできません。
オブジェクトは特定のタスクや目的に対して唯一のインスタンスを提供する場合に利用され、例えばロギングや設定の管理などに適しています。
== ジェネリックス ==
{{先頭に戻る}}
ジェネリックス( ''Generics'' )とは、汎用的なクラス・関数やメソッドを特定の型に対応づける機能のことです<ref>[https://kotlinlang.org/docs/generics.html Generics: in, out, where]</ref>。
== キーワード一覧 ==
{{先頭に戻る}}
Kotlinの{{Anchor|キーワード}}( ''Keywords'' )は
* [[#ハード・キーワード|ハード・キーワード]]
* [[#ソフト・キーワード|ソフト・キーワード]]
* [[#モディファイア・キーワード|モディファイア・キーワード]]
* [[#特殊識別子|特殊識別子]]
* [[#演算子と特殊シンボル|演算子と特殊シンボル]]
に分類されます<ref>[https://kotlinlang.org/docs/keyword-reference.html Keywords and operators]</ref>。
=== ハード・キーワード ===
{{先頭に戻る|style=border-top:1px solid gray;}}
以下のトークンは、常にキーワードとして解釈され、識別子として使用することはできません<ref>[https://kotlinlang.org/docs/keyword-reference.html#hard-keywords Hard keywords]</ref>。
このようなキーワードをハード・キーワード( ''Hard keywords'' )と呼びます。
* <code>[[#as|as]]</code>
*# 型キャスト( ''type casts'' )に使用されます。
*# インポートの別名の指定に使用されます。
* <code>[[#as?|as?]]</code> 安全なタイプキャスト( ''safe type casts'' )に使用されます。
* <code>[[#break|break]]</code> ループの実行を終了させます。
* <code>[[#class|class]]</code> クラスを宣言します。
* <code>[[#continue|continue]]</code> 最も近いループの次のステップに進みます。
* <code>[[#do|do]]</code> do/whileループ(条件式を後置するつループ)を開始します。
* <code>[[#else|else]]</code> 条件が偽のときに実行されるif式の分岐を定義します。
* <code>[[#false|false]]</code> Boolean型の「偽」の値を表します。
* <code>[[#for|for]]</code> forループを開始します。
* <code>[[#fun|fun]]</code> 関数を宣言します。
* <code>[[#if|if]]</code> if式の先頭です。
* <code>[[#in|in]]</code>
*# forループで反復されるオブジェクトを指定します。
*# 値が範囲、コレクション、または「contains」メソッドを定義している他のエンティティに属しているかどうかを確認するための中置演算子として使用されます。
*# 同じ目的のためにwhen式で使用されます。
*# 型パラメータをcontravariantとしてマークします。
* <code>[[#!in|!in]]</code>
*# 値が範囲、コレクション、または 'contains' メソッドを定義する他のエンティティに'''属さない'''ことを確認する演算子として使用されます。
*# 同じ目的のためにwhen式で使用されます。
*: <code>!in</code>で1つのトークンなので、! と in の間に空白を挟むことはできません。
* <code>[[#interface|interface]]</code> インターフェース( ''interfaces'' )を宣言します。
* <code>[[#is|is]]</code>
*# 値が特定の型を持つかどうかをチェックします。
*# 同じ目的のwhen式で使用されます。
* <code>[[#!is|!is]]</code>
*# 値が特定の型を持って'''いない'''かどうかをチェックします。
*# 同じ目的のwhen式で使用されます。
*: <code>!is</code>で1つのトークンなので、! と is の間に空白を挟むことはできません。
* <code>[[#null|null]]</code> どのオブジェクトも指していないオブジェクト参照を表す定数です。
* <code>[[#object|object]]</code> クラスとそのインスタンスを同時に宣言します。
* <code>[[#package|package]]</code> 現在のファイルのパッケージを指定します。
* <code>[[#return|return]]</code> 最も近い包含関数または無名関数からの呼出し元に戻ります。
* <code>[[#super|super]]</code>
*# メソッドやプロパティのスーパークラス実装を参照します。
*# 二次コンストラクタ( ''secondary constructor'' )からスーパークラスのコンストラクタを呼び出します。
* <code>[[#this|this]]</code>
*# 現在のレシーバを指します。
*# 2 次コンストラクタから同じクラスの別のコンストラクタを呼び出します。
* <code>[[#throw|throw]]</code> 例外を投げます。
* <code>[[#true|true]]</code> Boolean型の「真」の値を表します。
* <code>[[#try|try]]</code> 例外処理ブロックを開始します。
* <code>[[#typealias|typealias]]</code> 型の別名を宣言します。
* <code>[[#typeof|typeof]]</code> 将来の使用のために予約されています。
* <code>[[#val|val]]</code> 読取り専用のプロパティまたはローカル変数を宣言します。
* <code>[[#var|var]]</code> 変更可能なプロパティまたはローカル変数を宣言します。
* <code>[[#when|when]]</code> when式を開始します(与えられた分岐のうち1つを実行します)。
* <code>[[#while|while]]</code> while ループ(条件式を前置するループ)を開始します。
=== ソフト・キーワード ===
{{先頭に戻る|style=border-top:1px solid gray;}}
以下のトークンは、それが適用される文脈( ''context'' )ではキーワードとして機能し、他の文脈では[[#識別子|識別子]]として使用することができます<ref>[https://kotlinlang.org/docs/keyword-reference.html#soft-keywords Soft keywords]</ref>。
このようなキーワードをソフト・キーワード( ''Soft keywords'' )と呼びます。
* <code>[[#by|by]]</code>
*# インターフェース( ''interface'' )の実装( ''implementation'' )を別のオブジェクトに委譲( ''delegates'' )します。
*# プロパティーのアクセッサー( ''accessors'' )の実装を別のオブジェクトに委譲します。
* <code>[[#catch|catch]]</code> 特定の例外タイプ( ''specific exception type'' )を処理( ''handles'' )するブロックを開始します。
* <code>[[#constructor|constructor]]</code> 一次または二次コンストラクタを宣言します。
* <code>[[#delegate|delegate]]</code> [[#アノテーション使用側ターゲット|アノテーション使用側ターゲット]]<sup>[仮訳]</sup>( ''annotation use-site target'' )として使用されます。
* <code>[[#dynamic|dynamic]]</code> Kotlin/JS コードで動的な型を参照します。
* <code>[[#field|field]]</code> [[#アノテーション使用側ターゲット|アノテーション使用側ターゲット]]<sup>[仮訳]</sup>として使用されます。
* <code>[[#file|file]]</code> [[#アノテーション使用側ターゲット|アノテーション使用側ターゲット]]<sup>[仮訳]</sup>として使用されます。
* <code>[[#finally|finally]]</code> tryブロックが終了したときに必ず実行されるブロックを開始します。
* <code>[[#get|get]]</code>
*# プロパティのゲッター( ''getter'' )を宣言します。
*# [[#アノテーション使用側ターゲット|アノテーション使用側ターゲット]]<sup>[仮訳]</sup>として使用されます。
* <code>[[#import|import]]</code> 他のパッケージから現在のファイルに宣言をインポートします。
* <code>[[#init|init]]</code> イニシャライザーブロックを開始します。
* <code>[[#param|param]]</code> [[#アノテーション使用側ターゲット|アノテーション使用側ターゲット]]<sup>[仮訳]</sup>として使用されます。
* <code>[[#property|property]]</code> [[#アノテーション使用側ターゲット|アノテーション使用側ターゲット]]<sup>[仮訳]</sup>として使用されます。
* <code>[[#receiver|receiver]]</code> [[#アノテーション使用側ターゲット|アノテーション使用側ターゲット]]<sup>[仮訳]</sup>として使用されます。
* <code>[[#set|set]]</code>
*# プロパティのセッター( ''setter'' )を宣言します。
*# [[#アノテーション使用側ターゲット|アノテーション使用側ターゲット]]<sup>[仮訳]</sup>として使用されます。
* <code>[[#setparam|setparam]]</code> [[#アノテーション使用側ターゲット|アノテーション使用側ターゲット]]<sup>[仮訳]</sup>として使用されます。
* <code>[[#value|value]]</code> キーワード <code>class</code> を付けてインラインクラス( ''inline class'' )を宣言します。
* <code>[[#where|where]]</code> 汎用型パラメーター( ''a generic type parameter'' )の制約( ''constraints'' )を指定します。
==== アノテーション使用側ターゲット ====
アノテーション使用側ターゲット( ''Annotation use-site target'' )は、Kotlinにおいてアノテーションが特定の要素に対して適用される位置を指定する構文です。これにより、生成されるJavaバイトコードにおいてアノテーションがどの要素に適用されるかを正確に指定できます<ref>[https://kotlinlang.org/docs/annotations.html#annotation-use-site-targets Annotation use-site targets]</ref>。
==== アノテーション使用側ターゲットの指定 ====
以下は、一般的なアノテーション使用側ターゲットの指定方法です。
# プロパティにアノテーションを指定する場合:
#:<syntaxhighlight lang=kotlin>
class Example {
@get:MyAnnotation
val myProperty: Int = 42
}
</syntaxhighlight>
#:この例では、<code>@get:MyAnnotation</code> と指定することで、プロパティのgetterメソッドに対してアノテーションを指定しています。
# 1次コンストラクタのパラメータにアノテーションを指定する場合:
#:<syntaxhighlight lang=kotlin>
class Example(@param:MyAnnotation val value: String)
</syntaxhighlight>
#:この例では、<code>@param:MyAnnotation</code> と指定することで、1次コンストラクタのパラメータに対してアノテーションを指定しています。
==== よく使われるアノテーション使用側ターゲット ====
# <code>@get</code>: プロパティのgetterメソッドに対してアノテーションを指定する。
# <code>@set</code>: プロパティのsetterメソッドに対してアノテーションを指定する。
# <code>@field</code>: プロパティ自体に対してアノテーションを指定する。
これらの使用側ターゲットを使うことで、アノテーションが生成される場所を明確に指定することができ、柔軟性を保ちつつ、正確な挙動を得ることができます。
=== モディファイア・キーワード ===
{{先頭に戻る|style=border-top:1px solid gray;}}
以下のトークンは、宣言の修飾語リスト( ''modifier lists of declarations'' )のキーワードとして機能し、他のコンテキストでは識別子として使用することができます<ref>[https://kotlinlang.org/docs/keyword-reference.html#modifier-keywords Modifier keywords]</ref>。
このようなキーワードをモディファイア・キーワード( ''Modifier keywords'' )と呼びます。
* <code>[[#abstract|abstract]]</code> クラスやメンバが抽象的( ''as abstract'' )であることを表します。
* <code>[[#actual|actual]]</code> マルチプラットフォーム・プロジェクト( ''multiplatform projects'' )におけるプラットフォーム固有の実装( ''platform-specific implementation'' )を意味します。
* <code>[[#annotation|annotation]]</code> アノテーションクラス( ''an annotation class'' )を宣言します。
* <code>[[#companion|companion]]</code> コンパニオンオブジェクト( ''a companion object'' )を宣言します。
* <code>[[#const|const]]</code> プロパティをコンパイル時の定数( ''a compile-time constant'' )としてマークします。
* <code>[[#crossinline|crossinline]]</code> インライン関数に渡されるラムダで、ローカルでない返り値を禁止します。
* <code>[[#data|data]]</code> クラスの正規メンバー( ''canonical members'' )を生成するようにコンパイラーに指示します。
* <code>[[#enum|enum]]</code> 列挙型( ''an enumeration'' )を宣言します。
* <code>[[#expect|expect]]</code> 宣言がプラットフォーム固有( ''as platform-specific'' )のものであり、プラットフォーム・モジュール(platform modules )で実装されることを期待するものとしてマークします。
* <code>[[#external|external]]</code> Kotlin の外部で実装される宣言であることを示します(JNI または JavaScript でアクセス可能)。
* <code>[[#final|final]]</code> メンバーのオーバーライドを禁止します。
* <code>[[#infix|infix]]</code> 中置記法( ''infix notation'' )で関数を呼び出すことを許可します。
* <code>[[#inline|inline]]</code> 関数とその関数に渡されたラムダを呼出し先でインライン化することをコンパイラに指示します。
* <code>[[#inner|inner]]</code> ネストされたクラスから外側のクラスのインスタンスを参照できるようにします。
* <code>[[#internal|internal]]</code> 現在のモジュールで可視( ''as visible'' )となる宣言をマークします。
* <code>[[#lateinit|lateinit]]</code> コンストラクターの外部で非 null プロパティを初期化します。
* <code>[[#noinline|noinline]]</code> インライン関数に渡されたラムダをインライン化しないようにします。
* <code>[[#open|open]]</code> クラスのサブクラス化またはメンバーのオーバーライドを許可します。
* <code>[[#operator|operator]]</code> 関数が演算子をオーバーロードしているか、または規約を実装( ''implementing a convention'' )しているかをマークします。
* <code>[[#out|out]]</code> 型パラメータを共変( ''covariant'' )としてマークします。
* <code>[[#override|override]]</code> スーパークラスのメンバーのオーバーライドとしてメンバーにマークを付けます。
* <code>[[#private|private]]</code> 現在のクラスまたはファイル内で宣言が可視化( as visible )されるようにマークします。
* <code>[[#protected|protected]]</code> 現在のクラスとそのサブクラスで宣言が可視化されるようにマークします。
* <code>[[#public|public]]</code> 宣言がどこでも可視化されるようにマークします。
* <code>[[#reified|reified]]</code> インライン関数の型パラメーター( ''type parameter'' )を、実行時にアクセス可能なものとしてマークします。
* <code>[[#sealed|sealed]]</code> シールされたクラス( ''sealed class'' ; サブクラス化が制限されたクラス)を宣言します。
* <code>[[#suspend|suspend]]</code> 関数やラムダをサスペンド(コルーチンとして使用可能)するようにマークします。
* <code>[[#tailrec|tailrec]]</code> 関数を末尾再帰としてマークします (コンパイラーが再帰を反復に置換えることができます)。
* <code>[[#vararg|vararg]]</code> パラメーターに可変数の引数を渡せるようにします。
=== 特殊識別子 ===
{{先頭に戻る|style=border-top:1px solid gray;}}
以下の識別子は,コンパイラーが特定の文脈で定義したもので、他の文脈では通常の識別子として使用することができます<ref>[https://kotlinlang.org/docs/keyword-reference.html#special-identifiers Special identifiers]</ref>。
このような識別子を特殊識別子( ''Special identifiers'' )と呼びます。
* <code>[[#field|field]]</code> プロパティーアクセサー( ''a property accessor'' )の内部で、プロパティーのバッキングフィールドを参照するために使用します。
* <code>[[#it|it]]</code> ラムダの内部で暗黙のうちにパラメーターを参照するために使用されます。
=== 演算子と特殊シンボル ===
{{先頭に戻る|style=border-top:1px solid gray;}}
Kotlinは以下の演算子( ''Operators'' )や特殊特殊シンボル( ''special symbols'' )をサポートしています<ref>[https://kotlinlang.org/docs/keyword-reference.html#operators-and-special-symbols Operators and special symbols]</ref>。
* <code>+</code>, <code>-</code>, <code>*</code>, <code>/</code>, <code>%</code> {{---}} 算術演算子
*# <code>*</code> は、vararg パラメーターに配列を渡す場合にも使用されます。
* <code>=</code>
*# 代入演算子
*# パラメーターのデフォルト値を指定するために使用されます。
* <code>+=</code>, <code>-=</code>, <code>*=</code>, <code>/=</code>, <code>%=</code> {{---}} 拡張された代入演算子。
* <code>++</code>, <code>--</code> {{---}} インクリメントおよびデクリメント演算子
* <code>&&</code>, <code>||</code>, <code>!</code> {{---}} 論理 'and', 'or', 'not' 演算子 (ビット演算には、対応する infix 関数を使用してください)。
* <code>==</code>, <code>!=</code> {{---}} 等号演算子 (非プリミティブ型では equals() に変換される)。
* <code>===</code>, <code>!==</code> {{---}} 参照系等号演算子( ''referential equality operators'' )
* <code><</code>, <code>></code>, <code><=</code>, <code>>=</code> {{---}} 比較演算子 (非プリミティブ型に対する compareTo() の呼出しに変換されます)
* <code>[</code>, <code>]</code> {{---}} インデックス付きアクセス演算子(getとsetの呼び出しに変換されます)
* <code>!!</code> 式が非nullであることを保証します。
* <code>?.</code> 安全な呼び出しを行います(レシーバーが非NULLの場合、メソッドを呼び出したり、プロパティにアクセスしたりします)。
* <code>?:</code> 左辺の値がNULLの場合、右辺の値を取ります(エルビス演算子)。
* <code>::</code> メンバー参照またはクラス参照を作成します。
* <code>..</code> 範囲( ''a range'' )を生成します。
* <code>:</code> 宣言の中で、名前と型を分離します。
* <code>?</code> 型をnull可能( ''as nullable'' )であるとマークします。
* <code>-></code>
*# ラムダ式のパラメーターと本体を分離します。
*# 関数型のパラメーターと戻値の型宣言を分離します。
*# when式の条件分岐と本体を分離します。
* <code>@</code>
*# アノテーションを導入します。
*# ループラベルを導入または参照します。
*# ラムダ・ラベルを導入または参照します。
*# 外部スコープから 'this' 式を参照します。
*# 外部のスーパークラスを参照します。
* <code>;</code> 同じ行にある複数のステートメントを区切ります。
* <code>$</code> 文字列テンプレート内で変数または式を参照します。
* <code>_</code>
*# ラムダ式で使用しないパラメーターを置換えます。
*# 構造化宣言の未使用のパラメーターを代入します。
{{See also|[[#演算子の優先順位|演算子の優先順位]]}}
== Kotlin標準ライブラリー ==
{{先頭に戻る}}
Kotlin標準ライブラリー( ''Kotlin Standard Library'' )は、以下のような機能を提供します<ref>[https://kotlinlang.org/api/latest/jvm/stdlib/ Kotlin Standard Library]</ref>。
* 慣用的なパターン(let、apply、use、synchronizedなど)を実装した高階関数。
* コレクション(eager)やシーケンス(lazy)に対するクエリ操作を提供する拡張関数。
* 文字列や文字列列を扱うための各種ユーティリティ
* ファイル、IO、スレッドを便利に扱うための JDK クラスの拡張。
Kotlin標準ライブラリーはKotlin自身で書かれています。
;[[ディフォルトインポート]]されるパッケージ
* kotlin.*
* [[#アノテーション|アノテーション]]
* [[#コレクション|コレクション]]
* [[#比較|比較]]
* [[#入出力|入出力]]
* [[#範囲|範囲]]
* [[#シーケンス|シーケンス]]
* [[#テキスト|テキスト]]
=== アノテーション ===
{{先頭に戻る|title=Kotlin標準ライブラリーに戻る|label=Kotlin標準ライブラリー}}
kotlin.annotation.*
=== コレクション ===
{{先頭に戻る|title=Kotlin標準ライブラリーに戻る|label=Kotlin標準ライブラリー}}
Kotlinには、Arrayから始まり、Iterable, Collection, List, Set, Mapなどのコレクション型が豊富に用意されています。これらは主に <code>kotlin.collections</code> パッケージで提供されており、[[#ディフォルトインポート|ディフォルトインポート]]なので追加のインポートなしで利用できます<ref>[https://kotlinlang.org/api/latest/jvm/stdlib/kotlin.collections/ Package kotlin.collections]</ref>。
:{| class=wikitable
|+ 主要なパッケージとその機能の一覧
!パッケージ!!機能
|-
!Iterable
|要素の反復処理をサポート
|-
!Collection
|要素のコレクションを表現
|-
!List
|要素数が固定で、要素の値を変更不可
|-
!ArrayList
|可変長の動的な配列
|-
!MutableList
|要素の変更が可能なリスト
|-
!Set
|要素の重複を許さない
|-
!Map
|キーと値のペアを保持する
|-
!MutableMap
|要素の変更が可能なMap
|-
!LinkedHashSet
|要素の挿入順を保持するSet
|-
!LinkedHashMap
|要素の挿入順を保持するMap
|}
==== Iterable ====
<code>Iterable</code> インターフェースは、Kotlinの標準ライブラリで使用される反復可能なコレクションの基本的なインターフェースです。このインターフェースは、コレクションが要素の反復処理を可能にするために必要な機能を提供します。
以下に、<code>Iterable</code> インターフェースの主な要素と使用法を示します:
# <code>iterator()</code> メソッド:
#* <code>iterator</code> メソッドは、コレクション内の要素を反復処理するためのイテレータを返します。
#* イテレータは、<code>hasNext()</code> メソッドで次の要素の有無を確認し、<code>next()</code> メソッドで次の要素を取得します。
#* 通常、<code>for</code> ループや <code>forEach</code> 関数を使用して、このメソッドを呼び出すことなくコレクションを反復処理できます。
#:<syntaxhighlight lang=kotlin>
val iterable: Iterable<Int> = listOf(1, 2, 3, 4, 5)
// for ループを使用した反復処理
for (element in iterable) {
println(element)
}
// forEach 関数を使用した反復処理
iterable.forEach { element ->
println(element)
}
</syntaxhighlight>
# <code>forEach</code> 拡張関数:
#* <code>Iterable</code> インターフェースには、<code>forEach</code> という拡張関数があります。これはラムダ式を使用して各要素に対する処理を行います。
#:<syntaxhighlight lang=kotlin>
val iterable: Iterable<Int> = listOf(1, 2, 3, 4, 5)
// forEach 関数を使用した反復処理
iterable.forEach { element ->
println(element)
}
</syntaxhighlight>
#使用例:
#* <code>Iterable</code> は多くの Kotlin のコレクションで使用されます。例えば、<code>List</code>、<code>Set</code>、<code>Map</code> などが <code>Iterable</code> インターフェースを実装しています。
#* <code>Iterable</code> を実装することで、コレクションが要素の反復処理をサポートし、<code>for</code> ループや <code>forEach</code> 関数などで簡単に使用できます。
#:<syntaxhighlight lang=kotlin>
// List は Iterable インターフェースを実装している
val list: Iterable<Int> = listOf(1, 2, 3, 4, 5)
// for ループを使用した反復処理
for (element in list) {
println(element)
}
</syntaxhighlight>
<code>Iterable</code> インターフェースは、Kotlinでコレクションを扱う際に非常に重要であり、様々な反復処理操作を可能にします。
==== Collection ====
<code>Collection</code> インターフェースは、Kotlinの標準ライブラリで提供されるコレクション型の基本インターフェースの一つです。このインターフェースは、複数の要素を保持するデータ構造を表現し、それらの要素に対する基本的な操作を提供します。
以下に、<code>Collection</code> インターフェースの主な特徴と使用法を示します:
# 要素の追加と削除:
#* <code>Collection</code> インターフェースは、要素の追加や削除といった基本的な操作を提供します。
#* <code>add(element: E)</code> メソッドを使用して要素を追加し、<code>remove(element: E)</code> メソッドを使用して指定した要素を削除します。
#:<syntaxhighlight lang=kotlin>
val collection: Collection<Int> = listOf(1, 2, 3, 4, 5)
// 要素の追加はサポートされない
// collection.add(6) // エラー
// 要素の削除
val modifiedCollection = collection - 3
println(modifiedCollection) // [1, 2, 4, 5]
</syntaxhighlight>
# 要素の存在確認:
#* <code>contains(element: E)</code> メソッドを使用して、指定した要素がコレクション内に存在するかどうかを確認できます。
#:<syntaxhighlight lang=kotlin>
val collection: Collection<Int> = listOf(1, 2, 3, 4, 5)
// 要素の存在確認
val containsThree = collection.contains(3)
println(containsThree) // true
</syntaxhighlight>
# サイズの取得:
#* <code>size</code> プロパティを使用して、コレクション内の要素の総数を取得できます。
#:<syntaxhighlight lang=kotlin>
val collection: Collection<Int> = listOf(1, 2, 3, 4, 5)
// コレクションのサイズ取得
val size = collection.size
println(size) // 5
</syntaxhighlight>
# 反復処理:
#* <code>Iterable</code> インターフェースを継承しているため、<code>forEach</code> 関数などを使用してコレクション内の要素を反復処理できます。
#:<syntaxhighlight lang=kotlin>
val collection: Collection<Int> = listOf(1, 2, 3, 4, 5)
// forEach 関数を使用した反復処理
collection.forEach { element ->
println(element)
}
</syntaxhighlight>
# 他のコレクションとの操作:
#* <code>Collection</code> インターフェースを実装するコレクションは、他のコレクションとの操作を行うための便利な関数を提供します。例えば、和集合、差集合、共通要素などを計算できます。
#:<syntaxhighlight lang=kotlin>
val collection1: Collection<Int> = listOf(1, 2, 3, 4, 5)
val collection2: Collection<Int> = listOf(4, 5, 6, 7, 8)
// 和集合
val unionResult = collection1 union collection2
println(unionResult) // [1, 2, 3, 4, 5, 6, 7, 8]
// 差集合
val subtractResult = collection1 subtract collection2
println(subtractResult) // [1, 2, 3]
// 共通要素
val intersectResult = collection1 intersect collection2
println(intersectResult) // [4, 5]
</syntaxhighlight>
<code>Collection</code> インターフェースは、Kotlinのコレクションの基本的な機能を提供し、様々な種類のコレクションがこれを実装しています。これにより、異なる種類のコレクションを一貫して扱うことができます。
==== List ====
Listは、要素数が固定で要素の値を変更できないコレクションです。
===== List() =====
;[https://paiza.io/projects/vmrFKnU_3qj5d04hJPmuWA?language=kotlin List()を使ったListの生成]:<syntaxhighlight lang=Kotlin highlight=2 line>
fun main() {
val list = List(5){it}
println("list::class.simpleName ⇒ ${list::class.simpleName}")
println("list[0]::class.simpleName ⇒ ${list[0]::class.simpleName}")
list.forEach{print("$it ")}
println("")
val list2 = List(5){(it*it).toString()}
println("list2[0]::class.simpleName ⇒ ${list2[0]::class.simpleName}")
list2.forEach{print("$it ")}
println("")
}
</syntaxhighlight>
;実行結果:<syntaxhighlight lang=text>
list::class.simpleName ⇒ ArrayList
list[0]::class.simpleName ⇒ Int
0 1 2 3 4
list2[0]::class.simpleName ⇒ String
0 1 4 9 16
</syntaxhighlight>
: List()はListのコンストラクターで、引数として要素数をとり、ブロックが初期化式になります。
===== listOf =====
;[https://paiza.io/projects/D17B4n-k7dGdKdxlrw5m2Q?language=kotlin listOf()を使ったListの生成]
:<syntaxhighlight lang=Kotlin highlight=2 line>
fun main() {
val list = listOf(1, 9, 3, 5, 23, 1)
println("${list::class.simpleName}")
println("${list[0]::class.simpleName}")
for (s in list)
if (s > 10)
break
else
print("$s ")
println("")
run {
list.forEach{
if (it > 10)
return@run
else
print("$it ")
}
}
println("")
}
</syntaxhighlight>
;実行結果:<syntaxhighlight lang=text>
ArrayList
Int
1 9 3 5
1 9 3 5
</syntaxhighlight>
: ListOf()は可変長引数の関数で、引数が生成されるListの要素になります。
: Listの要素の型は、型強制できる最小公倍数的な方になります(例えば Int と Long が混在していたら Long)。
==== ArrayList ====
:<syntaxhighlight lang=Kotlin line>
fun main() {
// ArrayListを使ったListの生成
val arrayList = ArrayList<String>()
arrayList.add("Kotlin")
arrayList.add("Java")
arrayList.add("Python")
println("${arrayList::class.simpleName}")
for (lang in arrayList) {
println(lang)
}
}
</syntaxhighlight>
;実行結果:<syntaxhighlight lang=text>
ArrayList
Kotlin
Java
Python
</syntaxhighlight>
上記の例では、<code>ArrayList</code> を使ってListを生成しています。ArrayListは要素の順序が保持され、可変長の動的な配列を表現します。<code>add</code> メソッドを使用して要素を追加することができます。
==== MutableList ====
<syntaxhighlight lang=kotlin>
fun main() {
// MutableListを使ったListの生成
val mutableList = mutableListOf(1, 2, 3, 4, 5)
mutableList.add(6)
println("${mutableList::class.simpleName}")
for (num in mutableList) {
print("$num ")
}
println("")
}
</syntaxhighlight>
;実行結果
:<syntaxhighlight lang=text>
ArrayList
1 2 3 4 5 6
</syntaxhighlight>
<code>mutableListOf()</code> を使って <code>MutableList</code> を生成し、<code>add</code> メソッドを使用して要素を追加しています。MutableListは要素の変更が可能なListです。
これらの例から分かるように、Kotlinのコレクションは型安全で、読み取り専用と可変なコレクションの違いが明確になっています。リストの他にも、SetやMapも用意されており、それぞれの特徴に応じて適切なものを選択できます。
==== ユースケース ====
<code>kotlin.collections</code> パッケージのコレクションクラスや関連機能は、さまざまなプログラミングシナリオで利用されます。以下は、<code>kotlin.collections</code> の主なユースケースのいくつかです:
# データの格納と操作: List、Set、Mapなどのコレクションは、データを効果的に格納し、操作するために使用されます。例えば、リストは順序つきのデータの集合を表現し、セットは一意な要素の集合を表現します。
# 反復処理とフィルタリング: Iterable インターフェースを使用してコレクションを反復処理し、必要なデータを抽出することができます。これは、フィルタリングや変換などの操作に役立ちます。
# 不変性と可変性の管理: List と MutableList、Set と MutableSet、Map と MutableMap など、各コレクションには不変なバージョンと可変なバージョンがあります。これにより、不変性を保ちながら必要に応じてデータを変更できます。
# 関数型プログラミング: コレクション操作には関数型プログラミングのアプローチがあり、<code>filter</code>、<code>map</code>、<code>reduce</code> などの関数を使用してデータを処理できます。
以下は、これらのユースケースの簡単な例です:
<syntaxhighlight lang=kotlin>
// データの格納と操作
val list = listOf(1, 2, 3, 4, 5)
val set = setOf(1, 2, 3, 4, 5)
val map = mapOf(1 to "one", 2 to "two", 3 to "three")
// 反復処理とフィルタリング
val filteredList = list.filter { it > 2 }
// 不変性と可変性の管理
val mutableList = mutableListOf(1, 2, 3)
mutableList.add(4)
// 関数型プログラミング
val squaredValues = list.map { it * it }
val sum = list.reduce { acc, value -> acc + value }
</syntaxhighlight>
これらの例は一部の機能を示すものであり、<code>kotlin.collections</code> のコレクションは、さまざまなプログラミングニーズに対応する強力なツールセットを提供します。
==== ベストプラクティス ====
<code>kotlin.collections</code> を使用する際のベストプラクティスはいくつかあります。以下にいくつか挙げてみましょう:
# 不変性の推奨: 不変なコレクション(<code>List</code>、<code>Set</code>、<code>Map</code>など)を使用することを検討してください。不変なコレクションは変更不可能でスレッドセーフであり、プログラムの安全性を向上させるのに役立ちます。
#:<syntaxhighlight lang=kotlin>
// 不変なリスト
val immutableList = listOf(1, 2, 3)
// 不変なセット
val immutableSet = setOf("apple", "orange", "banana")
// 不変なマップ
val immutableMap = mapOf(1 to "one", 2 to "two", 3 to "three")
</syntaxhighlight>
# Nullableなコレクションの適切な扱い: コレクション内の要素が <code>null</code> になりうる場合、Nullableなコレクション(<code>List?</code>、<code>Set?</code>、<code>Map?</code>など)を使用して適切にハンドリングしましょう。
#:<syntaxhighlight lang=kotlin>
// Nullableなリスト
val nullableList: List<Int>? = // ...
// Nullableなセット
val nullableSet: Set<String>? = // ...
// Nullableなマップ
val nullableMap: Map<Int, String>? = // ...
</syntaxhighlight>
# 関数型プログラミングの活用: <code>filter</code>、<code>map</code>、<code>reduce</code>、<code>fold</code> などの関数型プログラミングの機能を活用して、コードを簡潔で読みやすくしましょう。
#:<syntaxhighlight lang=kotlin>
val numbers = listOf(1, 2, 3, 4, 5)
val evenSquared = numbers
.filter { it % 2 == 0 }
.map { it * it }
.sum()
</syntaxhighlight>
# 適切なコレクションの選択: 使用ケースによって適切なコレクションを選択しましょう。例えば、要素の順序が重要な場合は <code>List</code>、一意性が必要な場合は <code>Set</code>、キーと値のペアが必要な場合は <code>Map</code> を使用します。
#:<syntaxhighlight lang=kotlin>
// 要素の順序が重要
val orderedList = listOf(1, 2, 3, 4, 5)
// 一意性が必要
val uniqueSet = setOf("apple", "orange", "banana")
// キーと値のペアが必要
val keyValueMap = mapOf(1 to "one", 2 to "two", 3 to "three")
</syntaxhighlight>
これらのベストプラクティスは、コードの品質、パフォーマンス、保守性を向上させるのに役立ちます。使用ケースによって最適なアプローチを選択することが重要です。
=== 比較 ===
{{先頭に戻る|title=Kotlin標準ライブラリーに戻る|label=Kotlin標準ライブラリー}}
kotlin.comparisons.*
=== 入出力 ===
{{先頭に戻る|title=Kotlin標準ライブラリーに戻る|label=Kotlin標準ライブラリー}}
kotlin.io.*
=== 範囲 ===
{{先頭に戻る|title=Kotlin標準ライブラリーに戻る|label=Kotlin標準ライブラリー}}
kotlin.ranges.*
=== シーケンス ===
{{先頭に戻る|title=Kotlin標準ライブラリーに戻る|label=Kotlin標準ライブラリー}}
kotlin.sequences.*
=== テキスト ===
{{先頭に戻る|title=Kotlin標準ライブラリーに戻る|label=Kotlin標準ライブラリー}}
kotlin.text.*
----
=== コレクション類似クラス ===
{{先頭に戻る}}
[TODO:Rangeはコレクションではないので再分類が必要]
<code>println((1..5).javaClass.kotlin)</code>の結果が示す通り、範囲リテラル<code>1..5</code>は<code>class kotlin.ranges.IntRange</code>です。
コレクションは、Ranges以外にも、Sequences・Ranges・Lists・Arrays・Sets・Mapsなどがあります。これは網羅していませんし、上記の forプロトコルに従ったクラスを作れば、ユーザー定義のコレクションも作成できます。
;[https://paiza.io/projects/zw6faeOmsjuZVF3D3WY_-g?language=kotlin 様々なコレクション]:<syntaxhighlight lang="Kotlin">
fun main(args: Array<String>) {
val collections = arrayOf(
1..5,
1..8 step 2,
5 downTo 1,
8 downTo 1 step 2,
'A'..'Z',
listOf(2,3,5),
setOf(7,11,13))
println("$collections(${collections.javaClass.kotlin})")
for (collection in collections) {
print(collection)
print(": ")
for (x in collection) {
print(x)
print(" ")
}
print(": ")
println(collection.javaClass.kotlin)
}
}
</syntaxhighlight>
;実行結果:<syntaxhighlight lang=text>
class kotlin.Array
1..5: 1 2 3 4 5 : class kotlin.ranges.IntRange
1..7 step 2: 1 3 5 7 : class kotlin.ranges.IntProgression
5 downTo 1 step 1: 5 4 3 2 1 : class kotlin.ranges.IntProgression
8 downTo 2 step 2: 8 6 4 2 : class kotlin.ranges.IntProgression
A..Z: A B C D E F G H I J K L M N O P Q R S T U V W X Y Z : class kotlin.ranges.CharRange
[2, 3, 5]: 2 3 5 : class java.util.Arrays$ArrayList
[7, 11, 13]: 7 11 13 : class java.util.LinkedHashSet
</syntaxhighlight>
: 二重のforループで、外周はコレクションのコレクションで、内周は個々のコレクションの要素をイテレーションしています。
=== スコープ関数 ===
{{先頭に戻る|style=border-top:1px solid gray;}}
==== repeat関数 ====
Kotlinの標準ライブラリーにあるrepeat関数は、定数回の繰返しが必要な時に便利です<ref>[https://kotlinlang.org/api/latest/jvm/stdlib/kotlin/repeat.html repeat - Kotlin Programming Language]</ref>。
;[https://paiza.io/projects/LHnnORcAjUhvb_qW9ysIvw?language=kotlin repeat関数]:<syntaxhighlight lang="kotlin">
fun main() {
repeat(5) {
println("it = $it")
}
run {
repeat(3) { i ->
repeat(4) { j ->
println("(i, j) = ($i, $j)")
if (i == 1 && j == 2) {
return@run
}
}
}
}
}
</syntaxhighlight>
;実行結果:<syntaxhighlight lang=text>
it = 0
it = 1
it = 2
it = 3
it = 4
(i, j) = (0, 0)
(i, j) = (0, 1)
(i, j) = (0, 2)
(i, j) = (0, 3)
(i, j) = (1, 0)
(i, j) = (1, 1)
(i, j) = (1, 2)
</syntaxhighlight>
:<var>it</var>は、暗黙のループ変数です。
:多重ループでは、ループ変数の名前が固定では都合が悪いので、ブロックの先頭で<code>識別子名 -></code> とすることで明示的に名前をつけることができます。
:多重ループを run 関数で括ることで多重ループからの大域脱出を実現しています。
==== ブロックを受取る関数 ====
repeat関数もそうですが、Kotlinにはブロックを受取る関数(やメソッド)があります。
;[https://paiza.io/projects/AZT2juUGcUnyjqgDx4G85g?language=kotlin ブロックを受取る関数]:<syntaxhighlight lang="kotlin">
fun main(args: Array<String>) {
val ary = Array(5) { 2 * it + 1 }
ary.forEach{ println(it) }
println(ary.map{ it.toString() }.joinToString(" "))
println(ary.reduce{ sum, el -> sum + el })
}
</syntaxhighlight>
;実行結果:<syntaxhighlight lang=text>
1
3
5
7
9
1 3 5 7 9
25
</syntaxhighlight>
:ブロックで配列の初期化を行う場合、<var>it</var>は順位になります。
:コレクションのforEachメソッドもブロックを取ります。
:コレクションのreduceメソッドもブロックを取りますが、累算値と要素の2つを取るので、名付けが必要です。
このように、ブロックを取るメソッドを使うとコレクションに関する操作を簡素に書けます。
== Coroutine ==
{{先頭に戻る}}
Kotlinは、言語レベルでコルーチンをサポートし、機能の大部分をライブラリに委ねることで、この問題を柔軟に解決しています。
;Shell:<syntaxhighlight lang=console>
$ cat coroutine.kt
import kotlinx.coroutines.*
fun main() = runBlocking {
launch {
delay(500L)
for (ch in "World!\n") {
print(ch)
delay(100L)
}
}
print("Hello ")
}
$ locate /kotlinx-coroutines
/usr/local/share/kotlin/lib/kotlinx-coroutines-core-jvm.jar
$ kotlinc -cp /usr/local/share/kotlin/lib/kotlinx-coroutines-core-jvm.jar coroutine.kt -include-runtime -d coroutine.jar
$ java -cp ./coroutine.jar:/usr/local/share/kotlin/lib/kotlinx-coroutines-core-jvm.jar CoroutineKt
Hello World!
</syntaxhighlight>
== Kotlin Script ==
{{先頭に戻る}}
Kotlin Script では、.jar を生成せず、そのままコードが実行されます。
また、main 関数をエントリーポイントはぜず、スクリプトの書かれた順に評価します。
;Shell:<syntaxhighlight lang=console>
% cat hello.kts
println("Hello, World!")
% kotlinc -script hello.kts
Hello, World!
% _
</syntaxhighlight>
ビルドツールの Gradle では、従来は Groovy がビルド構成ファイルに使われていましたが、Kotlin Script への移行が進んでいます。
;ワンライナー:<syntaxhighlight lang=console>
% kotlin -e 'repeat(3){println("Hello!($it)")}'
Hello!(0)
Hello!(1)
Hello!(2)
% _
</syntaxhighlight>
== 脚註 ==
<references />
== 外部リンク ==
* [https://kotlinlang.org/ Kotlin Programming Language] - 公式サイト
** [https://kotlinlang.org/spec/introduction.html Kotlin language specification]
** [https://play.kotlinlang.org/ Kotlin Playground: Edit, Run, Share Kotlin Code Online]
[[Category:Kotlin|*]]
[[Category:プログラミング言語]]
{{NDC|007.64}} | 2019-12-07T02:08:59Z | 2024-03-03T11:07:22Z | [
"Kotlin/インストール方法",
"テンプレート:See also",
"テンプレート:See",
"テンプレート:コラム",
"Kotlin/実行方法",
"Kotlin/Complex.kt",
"テンプレート:---",
"テンプレート:Pathnav",
"テンプレート:先頭に戻る",
"テンプレート:NDC",
"Kotlin/関数",
"テンプレート:Wikipedia",
"テンプレート:Anchor",
"Kotlin/制御構造"
]
| https://ja.wikibooks.org/wiki/Kotlin |
26,666 | 天体の距離の測定 | Main Page > 自然科学 > 天文学 > 天体の距離の測定
天体の距離の測定ではさまざな天体の距離を測定する方法について述べる。
恒星を測定する時は分光視差法や年周視差が用いられる。分光視差法については星団#距離の測定法、年周視差については恒星#恒星の明るさと距離を参照。
また、変光星を用いて距離を測ることもある。変光星には変光周期を持つものがあるがこの変光周期と光度の間には関係がある。この関係を周期光度関係という。周期光度関係により変光星はだいたいの光度が分かるので、分光視差法を使って距離を求められる。このような変光星にはケフェイド型変光星やミラ型変光星などがある。
また、この他にも超新星のうち、Ia型超新星と言われるものは光度は見つかっているものの絶対等級がほとんど同じなので同じ方法が使える。この方法が使える天体は標準光源という。なお、これは星団の記事でも紹介した。
恒星はその発する光のスペクトルで分類できることは恒星の分類で紹介した。太陽光線は虹色のような連続スペクトルだが元素の発する光は右上図のように途切れ途切れに線があるだけである。これを輝線といい、このスペクトルを輝線スペクトルという。
恒星は光を発するがその天体が地球から遠ざかっているとき、光の波長は赤い方にずれる。赤方偏移は連続スペクトルでは気付くのが難しいが水素原子が放射するHα線は輝線スペクトルなので赤い方にずれるのが顕著に現れる。この現象を赤方偏移という。また、逆に近づいているときは青い方にずれるので青方偏移という。
赤方偏移は自らが遠ざかっていなくても宇宙が膨張していると考えると遠くにある天体は赤方偏移を示す。つまり赤方偏移を使えば天体のおおよその距離が測定できる。
スペクトルの波長λ、観測時のズレをΔλとすると赤方偏移zは
z = Δ λ λ {\displaystyle z={\frac {\Delta \lambda }{\lambda }}}
で表される。また、銀河の後退速度vは光速cを使って
v = c z {\displaystyle v=cz}
で表される。
宇宙の膨張とビッグバンで詳しく解説するが、宇宙は膨張している。そして地球から見ると遠方の銀河はだんだん遠ざかっており、この速度を後退速度という。そして遠い銀河ほどその後退速度は速くなり、比例することが分かっている。これをハッブル-ルメートルの法則という。昔はハッブルの法則という呼び名が常用されていたが現在は推奨されない。ハッブル-ルメートルの法則を式にすると
v = H 0 × d {\displaystyle v=H_{0}\times d}
となる(v:後退速度、H0:ハッブル定数、d:距離)。ハッブル定数は比例定数で現在は73ぐらいに決定されている。
以上のように天体の距離を測定するためには様々な方法がある。しかし、年周視差を遠方の銀河には使うことができないし、ハッブル-ルメートルの法則を近辺の恒星に使うことも出来ない。距離の測定法が使える範囲を図に表すとだんだんはしごが伸びるようになるのが分かる。これを宇宙の距離はしごという。 | [
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| Main Page > 自然科学 > 天文学 > 天体の距離の測定 天体の距離の測定ではさまざな天体の距離を測定する方法について述べる。 | {{Pathnav|Main Page|自然科学|天文学}}
'''天体の距離の測定'''ではさまざな天体の距離を測定する方法について述べる。
== 恒星 ==
恒星を測定する時は分光視差法や年周視差が用いられる。分光視差法については[[星団#距離の測定法]]、年周視差については[[恒星#恒星の明るさと距離]]を参照。
また、変光星を用いて距離を測ることもある。変光星には変光周期を持つものがあるがこの変光周期と光度の間には関係がある。この関係を'''周期光度関係'''という。周期光度関係により変光星はだいたいの光度が分かるので、分光視差法を使って距離を求められる。このような変光星には'''ケフェイド型変光星'''やミラ型変光星などがある。
また、この他にも超新星のうち、'''Ia型超新星'''と言われるものは光度は見つかっているものの絶対等級がほとんど同じなので同じ方法が使える。この方法が使える天体は'''標準光源'''という。なお、これは[[星団]]の記事でも紹介した。
== 赤方偏移 ==
[[ファイル:Spectral lines emission.png|thumb|right|250px]]
恒星はその発する光のスペクトルで分類できることは[[恒星の分類]]で紹介した。太陽光線は虹色のような'''連続スペクトル'''だが元素の発する光は右上図のように途切れ途切れに線があるだけである。これを'''輝線'''といい、このスペクトルを'''輝線スペクトル'''という。
[[File:Redshift.svg|thumb|right|250px|左は近い銀河の連続スペクトル、右は遠方の銀河の連続スペクトル。]]
恒星は光を発するがその天体が地球から遠ざかっているとき、光の波長は赤い方にずれる。赤方偏移は連続スペクトルでは気付くのが難しいが水素原子が放射する'''Hα線'''は輝線スペクトルなので赤い方にずれるのが顕著に現れる。この現象を'''赤方偏移'''という。また、逆に近づいているときは青い方にずれるので'''青方偏移'''という。
赤方偏移は自らが遠ざかっていなくても宇宙が膨張していると考えると遠くにある天体は赤方偏移を示す。つまり赤方偏移を使えば天体のおおよその距離が測定できる。
スペクトルの波長λ、観測時のズレをΔλとすると赤方偏移zは
<math>z = \frac{\Delta\lambda}{\lambda} </math>
で表される。また、銀河の後退速度vは光速c<ref>c=3.0×10<sup>8</sup>m/s</ref>を使って
<math>v=cz</math>
で表される。
== ハッブル-ルメートルの法則 ==
[[宇宙の膨張とビッグバン]]で詳しく解説するが、宇宙は膨張している。そして地球から見ると遠方の銀河はだんだん遠ざかっており、この速度を'''後退速度'''という。そして遠い銀河ほどその後退速度は速くなり、比例することが分かっている。これを'''ハッブル-ルメートルの法則'''という。昔はハッブルの法則という呼び名が常用されていたが現在は推奨されない<ref>[http://www.scj.go.jp/ja/info/kohyo/pdf/kohyo-24-t273-1.pdf 日本学術会議 「ハッブルの法則の改名を推奨するIAU決議への対応」]を参照。</ref>。ハッブル-ルメートルの法則を式にすると
<math>v = H_0 \times d</math>
となる(v:後退速度、H<sub>0</sub>:ハッブル定数、d:距離)。ハッブル定数は比例定数で現在は73ぐらいに決定されている。
== 宇宙の距離はしご ==
以上のように天体の距離を測定するためには様々な方法がある。しかし、年周視差を遠方の銀河には使うことができないし、ハッブル-ルメートルの法則を近辺の恒星に使うことも出来ない。距離の測定法が使える範囲を図に表すとだんだんはしごが伸びるようになるのが分かる。これを'''宇宙の距離はしご'''という。
== 脚注 ==
{{reflist}}
{{デフォルトソート:てんたいのきよりのそくてい}}
[[Category:銀河と大宇宙]] | null | 2021-06-16T12:21:43Z | [
"テンプレート:Reflist"
]
| https://ja.wikibooks.org/wiki/%E5%A4%A9%E4%BD%93%E3%81%AE%E8%B7%9D%E9%9B%A2%E3%81%AE%E6%B8%AC%E5%AE%9A |
26,668 | 中学受験国語/演習 | (1)カタカナ(太字、下線部)を漢字に直しなさい。また、必要な場合は、送り仮名も書きなさい。
(2)漢字(太字)をひらがなに直しなさい。
1.定石を疑うことで新たな道が開ける。
2.論文の体裁を整える。
3.精進料理をふるまう。
4.突然発作が起きる。
5.民家にある立派な格子戸。
6.みだりに殺生をしてはいけない。
7.物見遊山に行く。
8.荘厳なたたずまい。
9.努力の末、念願が成就する。
10.師弟の関係。
(1)学校の中で何か1つ仕組みなどを変えることができるとすれば、何を変えたいですか。400~600字で書きなさい。
(2)心に残っていることを400~600字で書きなさい。
(3)あなたは夏休みや冬休みなどの長期休暇は必要だと思いますか。300〜600字で書きなさい。
中学受験国語/演習/解答 | [
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| null | == 漢字と熟語 ==
(1)<ins>'''カタカナ(太字、下線部)'''</ins>を漢字に直しなさい。また、必要な場合は、送り仮名も書きなさい。
#会社に<ins>'''ツウキン'''</ins>する。
#第一<ins>'''シボウコウ'''</ins>はウィキ中学校だ。
#日本国<ins>'''ケンポウ'''</ins>について勉強する。
#<ins>'''チョメイ'''</ins>な有名人に会う。
#サービスを<ins>'''テイキョウ'''</ins>する。
#<ins>'''チキュウオンダンカ'''</ins>がすすむ。
#<ins>'''ゴジ'''</ins>を修正する。
#<ins>'''スイリショウセツ'''</ins>を読む。
#機械を<ins>'''ソウジュウ'''</ins>する。
#専門家が意見を<ins>'''ノベル'''</ins>。
(2)<ins>'''漢字(太字)'''を</ins>ひらがなに直しなさい。
1.'''定石'''を疑うことで新たな道が開ける。
2.論文の'''体裁'''を整える。
3.'''精進'''料理をふるまう。
4.突然'''発作'''が起きる。
5.民家にある立派な'''格子戸'''。
6.みだりに'''殺生'''をしてはいけない。
7.物見'''遊山'''に行く。
8.'''荘厳'''なたたずまい。
9.努力の末、念願が'''成就'''する。
10.'''師弟'''の関係。
== 文法 ==
== 敬語 ==
== ことわざ・慣用句 ==
== 言葉の知識 ==
== 詩歌 ==
== その他 ==
== 読解 ==
== 作文 ==
(1)学校の中で何か1つ仕組みなどを変えることができるとすれば、何を変えたいですか。400~600字で書きなさい。
(2)心に残っていることを400~600字で書きなさい。
(3)あなたは夏休みや冬休みなどの長期休暇は必要だと思いますか。300〜600字で書きなさい。
== 長文筆記 ==
#次の言葉の意味を書きなさい。字数制限はありません。
:(1)目に余る
:(2)やみくも
== プレゼンテーション ==
==関連ページ==
[[中学受験国語/演習/解答]] | null | 2021-08-29T01:15:40Z | []
| https://ja.wikibooks.org/wiki/%E4%B8%AD%E5%AD%A6%E5%8F%97%E9%A8%93%E5%9B%BD%E8%AA%9E/%E6%BC%94%E7%BF%92 |
26,686 | 中学受験算数演習/総合演習 | 作成中です。
中学受験算数演習/総合演習では、実際の入試問題風の問題を作成しています。
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開成・筑駒・灘中学校(2日目)などの、超難関校レベルです。 | [
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| 作成中です。 中学受験算数演習/総合演習では、実際の入試問題風の問題を作成しています。 標準レベルです。 難関校レベルです。 灘中学校(1日目)風です。 開成・筑駒・灘中学校(2日目)などの、超難関校レベルです。 | <p style="text-align:center">'''作成中です。'''</p>
{{PAGENAME}}では、実際の入試問題風の問題を作成しています。
:[[中学受験算数演習/総合演習A]]
標準レベルです。
:[[中学受験算数演習/総合演習B]]
難関校レベルです。
:[[中学受験算数演習/総合演習C]]
灘中学校(1日目)風です。
:[[中学受験算数演習/総合演習D]]
開成・筑駒・灘中学校(2日目)などの、超難関校レベルです。
:[[中学受験算数演習/総合演習E]]
[[カテゴリ:中学受験算数]] | null | 2022-11-25T06:56:55Z | []
| https://ja.wikibooks.org/wiki/%E4%B8%AD%E5%AD%A6%E5%8F%97%E9%A8%93%E7%AE%97%E6%95%B0%E6%BC%94%E7%BF%92/%E7%B7%8F%E5%90%88%E6%BC%94%E7%BF%92 |
26,693 | Wikijunior:インターネットとの付き合い方/著作権について | 今このページを見ているみなさんは著作権(ちょさくけん)という言葉を知っていますか?一言で説明すると、ほかの人がつくった文章・画像・映像・音楽などの著作物(ちょさくぶつ)を、つくった人の許可を取らずに、ほかの人に見せたり・配ったり・書きかえたりをしてはいけない、という決まりです。これはインターネットで見たり聞いたりすることができる著作物も同じです。たとえば、インターネットにのっていた文章をコピーして、自分のページにのせたりするだけでもにしん害(い反)なってしまうのです(最初に文章を書いた人の許可を取らずに、ほかの人に見せてしまったため)。なので、インターネットを利用するときには十分に注意しましょう。
しかし、このウィキジュニアにある本は、書いた人の許可がすでに取られています。あなたが見るだけでなく、ほかの人に見せることもできますし、ほかのインターネットのページにのせたりすることもできますし、ほかの人にこの本を配ることもできますし、本の中身を書きかえることもできます(これらのことを著作物の再公開(ちょさくぶつのさいこうかい)または著作物の再利用(ちょさくぶつのさいりよう)と言います)。ただし、次のような決まりを守ってください。
ほかにも細かい決まりごとはたくさんありますが、ここでは説明を省きます。どうしても知りたい人は、下の「大人の方たちへ」という部分を大人に読んでもらってください。 ほかのインターネットのページにこの本をコピーしてのせるときには、このページもいっしょにコピーしてのせておくことをおすすめします。そうすれば、自動的にこの決まりをほかの人にも知らせたことにできます。
この本は、クリエイティブ・コモンズ 表示-継承ライセンス 3.0およびGFDLで定められている条件のもとに公開されています。 大体は上記の子ども向けの節で説明した通りですが、以下の点にも留意してください。 | [
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| null | {{Wikijunior:著作権について}}
[[Category:太陽系 (ウィキジュニア)|ちよさくけん]] | null | 2019-12-17T13:33:50Z | [
"テンプレート:Wikijunior:著作権について"
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| https://ja.wikibooks.org/wiki/Wikijunior:%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%82%BF%E3%83%BC%E3%83%8D%E3%83%83%E3%83%88%E3%81%A8%E3%81%AE%E4%BB%98%E3%81%8D%E5%90%88%E3%81%84%E6%96%B9/%E8%91%97%E4%BD%9C%E6%A8%A9%E3%81%AB%E3%81%A4%E3%81%84%E3%81%A6 |
26,694 | X86アセンブラ/NASM構文 | NASM(Netwide Assembler)は、x86およびx86-64アーキテクチャ向けのアセンブラです。C言語の構文に似た文法を使用し、低レベルの機械語を生成するためのツールです。
NASMは、様々なオペレーティングシステムで動作し、主にLinuxやWindowsの開発で利用されます。NASMはアセンブリ言語でプログラムを書くための道具であり、コンパイルやリンクのステップを含むプログラムのビルドプロセスにおいて重要な役割を果たします。
NASMは標準的なアセンブリ言語の機能に加えて、マクロ、条件付きアセンブリ、リープマクロなど、高度な機能を提供しています。これにより、複雑なアセンブリコードを効率的に記述できます。
NASMはAT&T構文ではなく、Intelアセンブリ構文の変種を使用しています。また、MASMおよび互換性のあるアセンブラで使用されるセグメントオーバーライドの自動生成などの機能を避けています。
ここでは簡単な例として、いくつかのプロセッサ/プラッろホーム向けにHello WorldプログラムをNASMで書いてみます。
NASM(Netwide Assembler)をインストールする方法は、OSやプラットフォームによって異なります。一般的な方法を以下に示します。
NASMをインストールする方法は、Linuxディストリビューションによって異なりますが、一般的な手順は次のとおりです。
ディストリビューションによっては、パッケージ名が異なることがあります。上記のコマンドが動作しない場合は、ディストリビューション固有のパッケージマネージャーで nasm を検索してインストールすることができます。
WindowsでNASMをインストールする手順は次の通りです。
FreeBSDでNASMをインストールする手順は以下の通りです。 pkgコマンドを使用してインストール: FreeBSDの場合、pkgコマンドを使用してNASMをインストールできます。ターミナルを開いて以下のコマンドを実行します。
Portsコレクションを使用する: もしpkgが利用できない場合は、PortsコレクションからNASMをインストールすることもできます。Portsツリーを最新の状態に更新してから、NASMをインストールします。
これらの手順を実行することで、FreeBSDシステムにNASMをインストールできます。
NetBSDでは、pkgsrcを使ってNASMをインストールすることができます。以下は、その手順です: pkgsrcのセットアップ:
NASMのインストール:
これにより、pkgsrcからNASMがダウンロードされ、ビルドされ、インストールされます。 上記の手順を実行することで、NetBSDシステムにNASMをインストールできます。pkgsrcはBSD系システムで一般的に使用されるパッケージ管理システムです。パッケージを管理し、インストールするのに便利なツールとして利用されています。
OpenBSDでNASMをインストールするには、以下の手順を試してみてください:
pkg_addでNASMをインストールする方法が最も簡単で、一般的に推奨されます。もしそれがうまくいかない場合は、ソースからのビルドを試してみてください。
NASM(Netwide Assembler)は、インテルx86アーキテクチャ向けのアセンブラ(およびディスアセンブラ)です。16ビット、32ビット(IA-32)、64ビット(x86-64)プログラムを記述するために使用できます。Linuxおよびx86チップ向けの最も人気のあるアセンブラの1つとされています。
NASMはCOFF、OMF、a.out、ELF(Executable and Linkable Format)、Mach-O、バイナリファイル(.bin、オペレーティングシステムをコンパイルするためのバイナリディスクイメージ)など、複数のバイナリフォーマットに出力できます。ただし、位置に依存しないコードはELFオブジェクトファイルにのみ対応しています。RDOFFというNASM独自のバイナリ形式も持っています。
さまざまな出力フォーマットの存在により、プログラムをほぼすべてのx86オペレーティングシステム(OS)にリターゲティングできます。また、ブートローダーや読み取り専用メモリ(ROM)イメージ、OS開発の様々な側面で利用可能なフラットバイナリファイルを作成することも可能です。また、PowerPCやSPARCなどの非x86プラットフォーム上でクロスアセンブラとして実行できますが、それらのマシンで利用可能なプログラムを生成することはできません。
64ビットLinuxシステムで、x86_64アセンブリコードを使用して"Hello, World!"を出力する方法の例です。
このコードは、sys_writeシステムコールを使用して"Hello, World!"を標準出力(ファイルディスクリプタ1)に出力し、sys_exitシステムコールを使用して戻りコード0でプログラムを終了します。
このアセンブリコードをNASMでアセンブルすることができます。
そしてリンクします。
実行してみましょう。
64ビットシステム用のコードを32ビットのi386/Linux向けに変更します。
このコードは32ビットx86アーキテクチャ向けに書き換えられています。システムコール番号はeaxに設定され、引数はebx、ecx、edxに設定されます。int 0x80はシステムコールを実行します。
Windows向けのコンソールアプリをNASMで書く場合は、以下のようなアセンブリコードを使用できます。Windows APIの呼び出しには、Win64向けの呼び出し規約を使っています。
このコードは、WindowsのAPIを使用して標準出力に"Hello, World!"を出力し、プロセスを終了します。NASMで書かれており、Win64の呼び出し規約に従っています。このコードをコンパイルして実行すると、コンソールに"Hello, World!"が表示されます。
8086アーキテクチャでDOS上で動作するプログラムを作成する場合、NASMを使用してアセンブリ言語で書くことができます。以下は、8086アーキテクチャでDOS上で動作するHello Worldプログラムの例です。
このコードは、8086プロセッサ上で動作するDOSのアプリケーションを作成します。メッセージを表示し、プログラムを終了するシンプルな構造です。
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| NASMは、x86およびx86-64アーキテクチャ向けのアセンブラです。C言語の構文に似た文法を使用し、低レベルの機械語を生成するためのツールです。 NASMは、様々なオペレーティングシステムで動作し、主にLinuxやWindowsの開発で利用されます。NASMはアセンブリ言語でプログラムを書くための道具であり、コンパイルやリンクのステップを含むプログラムのビルドプロセスにおいて重要な役割を果たします。 NASMは標準的なアセンブリ言語の機能に加えて、マクロ、条件付きアセンブリ、リープマクロなど、高度な機能を提供しています。これにより、複雑なアセンブリコードを効率的に記述できます。 NASMはAT&T構文ではなく、Intelアセンブリ構文の変種を使用しています。また、MASMおよび互換性のあるアセンブラで使用されるセグメントオーバーライドの自動生成などの機能を避けています。 ここでは簡単な例として、いくつかのプロセッサ/プラッろホーム向けにHello WorldプログラムをNASMで書いてみます。 |
NASM(Netwide Assembler)は、x86およびx86-64アーキテクチャ向けのアセンブラです。C言語の構文に似た文法を使用し、低レベルの機械語を生成するためのツールです。
NASMは、様々なオペレーティングシステムで動作し、主にLinuxやWindowsの開発で利用されます。NASMはアセンブリ言語でプログラムを書くための道具であり、コンパイルやリンクのステップを含むプログラムのビルドプロセスにおいて重要な役割を果たします。
NASMは標準的なアセンブリ言語の機能に加えて、マクロ、条件付きアセンブリ、リープマクロなど、高度な機能を提供しています。これにより、複雑なアセンブリコードを効率的に記述できます。
NASMはAT&T構文ではなく、Intelアセンブリ構文の変種を使用しています。また、MASMおよび互換性のあるアセンブラで使用されるセグメントオーバーライドの自動生成などの機能を避けています。
ここでは簡単な例として、いくつかのプロセッサ/プラッろホーム向けにHello WorldプログラムをNASMで書いてみます。
=== インストール方法 ===
NASM(Netwide Assembler)をインストールする方法は、OSやプラットフォームによって異なります。一般的な方法を以下に示します。
==== GNU/Linuxのディストリビューション ====
NASMをインストールする方法は、Linuxディストリビューションによって異なりますが、一般的な手順は次のとおりです。
;Ubuntu / Debianベースのディストリビューション
:<syntaxhighlight lang=bash>
$ sudo apt-get update
$ sudo apt-get install nasm
</syntaxhighlight>
;Fedoraベースのディストリビューション
:<syntaxhighlight lang=bash>
$ sudo dnf install nasm
</syntaxhighlight>
;CentOS / RHELベースのディストリビューション
:<syntaxhighlight lang=bash>
$ sudo yum install nasm
</syntaxhighlight>
;Arch Linux
:<syntaxhighlight lang=bash>
$ sudo pacman -S nasm
</syntaxhighlight>
ディストリビューションによっては、パッケージ名が異なることがあります。上記のコマンドが動作しない場合は、ディストリビューション固有のパッケージマネージャーで nasm を検索してインストールすることができます。
==== Microsoft Windows ====
WindowsでNASMをインストールする手順は次の通りです。
# 公式サイトからダウンロード: [https://www.nasm.us/ NASMの公式サイト] からWindows用のインストーラーをダウンロードします。
# インストール: ダウンロードしたインストーラーを実行し、インストールウィザードに従ってNASMをインストールします。デフォルトの設定を選択することで、NASMが適切にWindowsにインストールされます。
# 環境変数の設定 (オプション): インストール後、NASMの実行ファイルがどこにインストールされたか確認し、そのパスを環境変数 <code>PATH</code> に追加することで、コマンドラインからNASMを実行できるようになります。
==== FreeBSD ====
FreeBSDでNASMをインストールする手順は以下の通りです。
pkgコマンドを使用してインストール: FreeBSDの場合、pkgコマンドを使用してNASMをインストールできます。ターミナルを開いて以下のコマンドを実行します。
:<syntaxhighlight lang=csh>
% sudo pkg install nasm
</syntaxhighlight>
Portsコレクションを使用する: もしpkgが利用できない場合は、PortsコレクションからNASMをインストールすることもできます。Portsツリーを最新の状態に更新してから、NASMをインストールします。
:<syntaxhighlight lang=csh>
% sudo portsnap fetch
% sudo portsnap extract
% cd /usr/ports/devel/nasm
% sudo make install clean
</syntaxhighlight>
これらの手順を実行することで、FreeBSDシステムにNASMをインストールできます。
==== NetBSD ====
NetBSDでは、pkgsrcを使ってNASMをインストールすることができます。以下は、その手順です:
pkgsrcのセットアップ:
:<syntaxhighlight lang=csh>
% cd /usr/
% sudo git clone https://github.com/NetBSD/pkgsrc.git
% cd pkgsrc
</syntaxhighlight>
NASMのインストール:
:<syntaxhighlight lang=csh>
% cd cross/nasm
% sudo make install clean
</syntaxhighlight>
これにより、pkgsrcからNASMがダウンロードされ、ビルドされ、インストールされます。
上記の手順を実行することで、NetBSDシステムにNASMをインストールできます。pkgsrcはBSD系システムで一般的に使用されるパッケージ管理システムです。パッケージを管理し、インストールするのに便利なツールとして利用されています。
==== OpenBSD ====
OpenBSDでNASMをインストールするには、以下の手順を試してみてください:
# pkg_addを使用: OpenBSDのpkg_addコマンドを使用してNASMをインストールすることができます。ターミナルで以下のコマンドを実行してみてください。
# ソースからのビルド: ソースコードからNASMをビルドする方法もあります。NASMのソースコードを入手して、OpenBSD環境でビルドすることができます。以下は手順の一例です。
#* NASMの公式サイト(<nowiki>https://www.nasm.us/)からソースコードをダウンロードします。</nowiki>
#* ダウンロードしたファイルを展開し、ソースディレクトリに移動します。
#* <code>./configure</code>を実行してNASMを設定し、<code>make</code>コマンドを使用してNASMをビルドします。その後、<code>make install</code>でNASMをインストールします。
pkg_addでNASMをインストールする方法が最も簡単で、一般的に推奨されます。もしそれがうまくいかない場合は、ソースからのビルドを試してみてください。
== プロセッサ/プラットホーム別のアセンブル ==
NASM(Netwide Assembler)は、インテルx86アーキテクチャ向けのアセンブラ(およびディスアセンブラ)です。16ビット、32ビット(IA-32)、64ビット(x86-64)プログラムを記述するために使用できます。Linuxおよびx86チップ向けの最も人気のあるアセンブラの1つとされています。
NASMはCOFF、OMF、a.out、ELF(Executable and Linkable Format)、Mach-O、バイナリファイル(.bin、オペレーティングシステムをコンパイルするためのバイナリディスクイメージ)など、複数のバイナリフォーマットに出力できます。ただし、位置に依存しないコードはELFオブジェクトファイルにのみ対応しています。RDOFFというNASM独自のバイナリ形式も持っています。
さまざまな出力フォーマットの存在により、プログラムをほぼすべてのx86オペレーティングシステム(OS)にリターゲティングできます。また、ブートローダーや読み取り専用メモリ(ROM)イメージ、OS開発の様々な側面で利用可能なフラットバイナリファイルを作成することも可能です。また、PowerPCやSPARCなどの非x86プラットフォーム上でクロスアセンブラとして実行できますが、それらのマシンで利用可能なプログラムを生成することはできません。
=== x86-64/Linux でのアセンブル ===
64ビットLinuxシステムで、x86_64アセンブリコードを使用して"Hello, World!"を出力する方法の例です。
;hello.asm
:<syntaxhighlight lang=asm>
section .data
hello db 'Hello, World!',0xA ; 0xAは改行文字
hello_len equ $ - hello ; 文字列の長さを計算
section .text
global _start ; ELF実行可能ファイルのエントリポイント
_start:
mov rax, 1 ; sys_writeのシステムコール番号
mov rdi, 1 ; ファイルディスクリプタ1: 標準出力
mov rsi, hello ; 出力する文字列へのポインタ
mov rdx, hello_len ; 文字列の長さ
syscall ; システムコールの実行
mov rax, 60 ; sys_exitのシステムコール番号
xor rdi, rdi ; 戻り値0
syscall ; プログラムの終了
</syntaxhighlight>
このコードは、<code>sys_write</code>システムコールを使用して"Hello, World!"を標準出力(ファイルディスクリプタ1)に出力し、<code>sys_exit</code>システムコールを使用して戻りコード0でプログラムを終了します。
このアセンブリコードをNASMでアセンブルすることができます。
:<syntaxhighlight lang=bash>
$ nasm -f elf64 hello.asm -o hello.o
</syntaxhighlight>
そしてリンクします。
:<syntaxhighlight lang=bash>
$ ld hello.o -o hello
</syntaxhighlight>
実行してみましょう。
:<syntaxhighlight lang=bash>
$ ./hello
Hello, World!
</syntaxhighlight>
=== i386/Linux でのアセンブル ===
64ビットシステム用のコードを32ビットのi386/Linux向けに変更します。
;hello32.asm
:<syntaxhighlight lang=asm>
section .data
hello db 'Hello, World!',0xA ; 0xAは改行文字
hello_len equ $ - hello ; 文字列の長さを計算
section .text
global _start ; ELF実行可能ファイルのエントリポイント
_start:
mov eax, 4 ; sys_writeのシステムコール番号
mov ebx, 1 ; ファイルディスクリプタ1: 標準出力
mov ecx, hello ; 出力する文字列へのポインタ
mov edx, hello_len ; 文字列の長さ
int 0x80 ; システムコールの実行
mov eax, 1 ; sys_exitのシステムコール番号
xor ebx, ebx ; 戻り値0
int 0x80 ; プログラムの終了
</syntaxhighlight>
このコードは32ビットx86アーキテクチャ向けに書き換えられています。システムコール番号は<code>eax</code>に設定され、引数は<code>ebx</code>、<code>ecx</code>、<code>edx</code>に設定されます。<code>int 0x80</code>はシステムコールを実行します。
=== x86-64/Windows でのアセンブル ===
Windows向けのコンソールアプリをNASMで書く場合は、以下のようなアセンブリコードを使用できます。Windows APIの呼び出しには、Win64向けの呼び出し規約を使っています。
;hello-win64.asm
:<syntaxhighlight lang=asm>
section .data
HelloWorld db 'Hello, World!', 0
section .text
global main
extern GetStdHandle, WriteConsoleA, ExitProcess
main:
; Get stdout handle
mov rcx, -11
call GetStdHandle
; Prepare parameters for WriteConsoleA
mov rdx, HelloWorld ; Message to display
mov r8, dword 13 ; Message length
mov r9, 0 ; Unused
; Call WriteConsoleA
mov rcx, rax ; stdout handle
call WriteConsoleA
; Exit the process
mov ecx, 0
call ExitProcess
</syntaxhighlight>
このコードは、WindowsのAPIを使用して標準出力に"Hello, World!"を出力し、プロセスを終了します。NASMで書かれており、Win64の呼び出し規約に従っています。このコードをコンパイルして実行すると、コンソールに"Hello, World!"が表示されます。
=== 8086/MS-DOS でのアセンブル ===
8086アーキテクチャでDOS上で動作するプログラムを作成する場合、NASMを使用してアセンブリ言語で書くことができます。以下は、8086アーキテクチャでDOS上で動作するHello Worldプログラムの例です。
;hello16.asm
:<syntaxhighlight lang=asm>
org 0x100 ; プログラムの開始アドレスを0x100に設定
section .text
mov ah, 09h ; メッセージを表示するためのDOS割り込み番号
mov dx, msg ; メッセージのアドレスをDXにロード
int 21h ; DOS割り込みを呼び出してメッセージを表示
mov ax, 4C00h ; DOSの終了割り込みを呼び出すためのコード
int 21h ; DOS割り込みを呼び出してプログラムを終了する
section .data
msg db 'Hello, World!', 0 ; メッセージを定義
</syntaxhighlight>
このコードは、8086プロセッサ上で動作するDOSのアプリケーションを作成します。メッセージを表示し、プログラムを終了するシンプルな構造です。
:<syntaxhighlight lang=bash>
$ nasm hello16.asm -o hello16.com
$ file hello16.com
hello16.com: COM executable for DOS
</syntaxhighlight>
このプログラムでは、ソースコードでORIGINを切っているのでロードアドレスは固定されているので -f XXX は必要なく、リンクローダのプロセスも必要ありません。
[[カテゴリ:X86アセンブラ|NASM]] | 2019-12-18T09:45:58Z | 2024-02-06T05:50:36Z | []
| https://ja.wikibooks.org/wiki/X86%E3%82%A2%E3%82%BB%E3%83%B3%E3%83%96%E3%83%A9/NASM%E6%A7%8B%E6%96%87 |
26,705 | Wikijunior:環境の問題とヒトの進化/明治の産業革命と自然 | 明治時代でも公害はありました。それは、明治時代に産業革命が行われたためです。産業革命は、イギリスなどをはじめとして世界各地で行われました。
栃木県の足尾銅山という鉱山の開発によって、鉱毒ガスや排煙などの有害物質が周辺にまき散らされました。川を伝い、渡良瀬川の下流まで毒が流れ込んでくることもありました。その結果、多くの人が寝たきりなどの病気に苦しみました。
この事件は、1881年 (明治24年) と早くから、国会議員であった田中正造により国会に提起されました。しかし、害を与えた人たちを特定できないまま、国会での話し合いは終わりました。1974 (昭和49) 年、つまりは初めての国会での訴追から93年後に、ようやく政府が動き、毒を流した人たちを特定しました。毒を流した会社は、古河鉱業株式会社 (現在の古河機械金属という会社) という企業です。
浅野セメント (現在の「太平洋セメント」) という企業 (の工場) が起こした公害です。東京都江東区にあった深川セメント製造所から出た粉塵 (小さなゴミやちり) が周辺の空気を汚染したというもので、1912年 (明治45年) に5年以内に工場を止めることで住民と合意しました。
足尾銅山鉱毒事件と内容は似ています。近くの宮田川に、鉱毒などが流され、17世紀末頃には公害が起きていたと考えられています。
一旦会社が経営に行き詰まったものの、1907年 (明治40年) に、次々と鉱物が取れる場所が見つかって、さらに汚染はひどくなりました。その後、1908年に国会議員が訴追し、1914年に日立鉱山側へ賠償請求がされました。
明治期の日本は、「殖産興業」といって、自然を考えずに工業化をしてきました。その結果として、住民を苦しませるような公害が起こったのです。また、公害と国が認定すると、国が払わなければいけないお金が増えるので、なかなか認めませんでした。
特別行政法人環境再生保全機構 環境問題の歴史-大人向けです。 | [
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| 明治時代でも公害はありました。それは、明治時代に産業革命(さんぎょうかくめい)が行われたためです。産業革命は、イギリスなどをはじめとして世界各地で行われました。 | 明治時代でも公害はありました。それは、明治時代に{{Ruby|'''[[産業革命]]'''|さんぎょうかくめい}}が行われたためです。産業革命は、イギリスなどをはじめとして世界各地で行われました。
== 主な公害 ==
=== {{Ruby|足尾銅山鉱毒|あしおどうざんこうどく}}事件 ===
{{Wikipedia|足尾銅山鉱毒事件}}
栃木県の足尾銅山という{{Ruby|鉱山|こうざん}}の開発によって、鉱毒ガスや排煙などの有害物質が周辺にまき散らされました。川を伝い、{{Ruby|渡良瀬川|わたらせがわ}}の下流まで毒が流れ込んでくることもありました。その結果、多くの人が寝たきりなどの病気に苦しみました。
この事件は、1881年 (明治24年) と早くから、国会議員であった[[w:田中正造|田中正造]]により国会に提起されました。しかし、害を与えた人たちを特定できないまま、国会での話し合いは終わりました。1974 (昭和49) 年、つまりは初めての国会での訴追から93年後に、ようやく政府が動き、毒を流した人たちを特定しました。毒を流した会社は、古河鉱業株式会社 (現在の古河機械金属という会社) という企業です。
{{Clear}}
=== 浅野セメント{{Ruby|粉塵被害|ふんじんひがい}} ===
{{Wikipedia|深川セメント製造所}}
浅野セメント (現在の「太平洋セメント」) という企業 (の工場) が起こした公害です。東京都江東区にあった深川セメント製造所から出た[[wikt:粉塵|粉塵 (小さなゴミやちり) ]]が周辺の空気を汚染したというもので、1912年 (明治45年) に5年以内に工場を止めることで住民と合意しました。
{{Clear}}
=== 日立鉱山{{Ruby|亜硫酸|ありゅうさん}}ガス被害 ===
{{Wikipedia|日立鉱山の公害問題}}
足尾銅山鉱毒事件と内容は似ています。近くの宮田川に、鉱毒などが流され、17世紀末頃には公害が起きていたと考えられています。
一旦会社が経営に行き詰まったものの、1907年 (明治40年) に、次々と鉱物が取れる場所が見つかって、さらに汚染はひどくなりました。その後、1908年に国会議員が[[wikt:訴追|訴追]]し、1914年に日立鉱山側へ{{Ruby|賠償請求|ばいしょうせいきゅう}}がされました。
{{Clear}}
== 環境状態 ==
明治期の日本は、「{{Ruby|殖産興業|しょくさんこうぎょう}}」といって、自然を考えずに工業化をしてきました。その結果として、住民を苦しませるような公害が起こったのです。また、公害と国が認定すると、国が払わなければいけないお金が増えるので、なかなか認めませんでした。
==役に立つリンク集・関連項目==
[https://www.erca.go.jp/yobou/taiki/kangaeru/history/01.html 特別行政法人環境再生保全機構 環境問題の歴史]-大人向けです。
----
*[[Wikijunior:環境の問題とヒトの進化/江戸時代での自然との関わり|<<戻る:江戸時代での自然との関わり]]
*[[Wikijunior:環境の問題とヒトの進化/近代化にともなう環境破壊|>>次へ:近代化にともなう環境破壊]]
[[Category:環境の問題とヒトの進化 (ウィキジュニア)|めいしのさんきようかくめいとしせん]]
[[カテゴリ:産業革命]] | null | 2022-12-05T05:21:38Z | [
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| https://ja.wikibooks.org/wiki/Wikijunior:%E7%92%B0%E5%A2%83%E3%81%AE%E5%95%8F%E9%A1%8C%E3%81%A8%E3%83%92%E3%83%88%E3%81%AE%E9%80%B2%E5%8C%96/%E6%98%8E%E6%B2%BB%E3%81%AE%E7%94%A3%E6%A5%AD%E9%9D%A9%E5%91%BD%E3%81%A8%E8%87%AA%E7%84%B6 |
26,707 | Wikijunior:英語のたんご/いろ | いろ - Color - (カラー)
・・・ Red - (レッド)
・・・ Blue - (ブルー)
・・・ Green - (グリーン)
・・・ Yellow - (イエロー)
・・・ White - (ホワイト)
・・・ Black - (ブラック)
・・・ Gray - (グレイ)
・・・ Purple - (パープル)
・・・ Pink - (ピンク)
・・・ Orange - (オレンジ)
・・・ Light blue - (ライトブルー)
・・・ Brown - (ブラウン)
・・・ Gold - (ゴールド)
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| いろ - Color - (カラー) | {{ウィキジュニアのスタブ}}
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=== {{ruby|赤|あか}} ===
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<big><big><big>・・・ [[wikt:red|Red]] - (レッド)</big></big></big>
----<br>
=== {{ruby|青|あお}} ===
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<big><big><big>・・・ [[wikt:blue|Blue]] - (ブルー)</big></big></big>
----<br>
=== {{ruby|緑|みどり}} ===
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<big><big><big>・・・ [[wikt:green|Green]] - (グリーン)</big></big></big>
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=== {{ruby|黄|き}} ===
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<big><big><big>・・・ [[wikt:yellow|Yellow]] - (イエロー)</big></big></big>
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<big><big><big>・・・ [[wikt:black|Black]] - (ブラック)</big></big></big>
----<br>
=== {{ruby|灰色|はいいろ}} ===
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----<br>
=== {{ruby|紫|むらさき}} ===
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<big><big><big>・・・ [[wikt:purple|Purple]] - (パープル)</big></big></big>
----<br>
=== ピンク ===
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<big><big><big>・・・ [[wikt:pink|Pink]] - (ピンク)</big></big></big>
----<br>
=== オレンジ({{ruby|橙|だいだい}}) ===
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=== {{ruby|茶色|ちゃいろ}} ===
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----<br> | null | 2022-05-22T07:17:14Z | [
"テンプレート:ウィキジュニアのスタブ",
"テンプレート:Ruby"
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| https://ja.wikibooks.org/wiki/Wikijunior:%E8%8B%B1%E8%AA%9E%E3%81%AE%E3%81%9F%E3%82%93%E3%81%94/%E3%81%84%E3%82%8D |
26,708 | Wikijunior:漢字検定のコツ/10級のコツ | 漢字検定10級では、小学校1年生で習う漢字について,読み書き、筆順や画数などが出題されます。 | [
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| 漢字検定(かんじけんてい)10級(きゅう)では、小学校(しょうがっこう)1年生(ねんせい)で習(なら)う漢字(かんじ)について,読(よ)み書(か)き、筆順(ひつじゅん)や画数(かくすう)などが出題(しゅつだい)されます。 | {{ウィキジュニアのスタブ}}
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