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24,238 | 公認会計士試験/平成30年第I回短答式/企業法/問題18 | 合併及び会社分割に関する次の記述のうち,正しいものの組合せとして最も適切な番号を一つ選びなさい。(5 点)
ア.新設合併の無効の訴えに係る請求を認容する確定判決は,第三者に対してもその効力を有する。
イ.新設合併の無効の訴えに係る請求を認容する判決が確定したときは,新設合併設立会社は解散する。
ウ.株式会社が吸収分割をする場合において,当該吸収分割後に吸収分割株式会社に対して債務の履行を請求することができない吸収分割株式会社の債権者は,当該吸収分割株式会社に対し,当該吸収分割について異議を述べることができない。
エ.吸収分割株式会社の株主が吸収分割の無効の訴えを提起するとき,被告となるのは当該吸収分割株式会社のみである。
1
ア.新設合併の無効の訴えに係る請求を認容する確定判決は,第三者に対してもその効力を有する。838条834条8号
イ.新設合併の無効の訴えに係る請求を認容する判決が確定したときは,新設合併設立会社は解散する。839条937条3項3号
ウ.株式会社が吸収分割をする場合において,当該吸収分割後に吸収分割株式会社に対して債務の履行を請求することができない吸収分割株式会社の債権者は,当該吸収分割株式会社に対し,当該吸収分割について異議を述べることができない。できる。789条1項2号
エ.吸収分割株式会社の株主が吸収分割の無効の訴えを提起するとき,被告となるのは吸収分割契約をした会社(当該吸収分割株式会社のみ及び当該吸収分割承継会社)である。834条9号 | [
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"text": "合併及び会社分割に関する次の記述のうち,正しいものの組合せとして最も適切な番号を一つ選びなさい。(5 点)",
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},
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"text": "ア.新設合併の無効の訴えに係る請求を認容する確定判決は,第三者に対してもその効力を有する。",
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},
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"text": "イ.新設合併の無効の訴えに係る請求を認容する判決が確定したときは,新設合併設立会社は解散する。",
"title": "問題"
},
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"text": "ウ.株式会社が吸収分割をする場合において,当該吸収分割後に吸収分割株式会社に対して債務の履行を請求することができない吸収分割株式会社の債権者は,当該吸収分割株式会社に対し,当該吸収分割について異議を述べることができない。",
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},
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"text": "エ.吸収分割株式会社の株主が吸収分割の無効の訴えを提起するとき,被告となるのは当該吸収分割株式会社のみである。",
"title": "問題"
},
{
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"text": "1",
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},
{
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"text": "ア.新設合併の無効の訴えに係る請求を認容する確定判決は,第三者に対してもその効力を有する。838条834条8号",
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},
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"text": "イ.新設合併の無効の訴えに係る請求を認容する判決が確定したときは,新設合併設立会社は解散する。839条937条3項3号",
"title": "解説"
},
{
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"text": "ウ.株式会社が吸収分割をする場合において,当該吸収分割後に吸収分割株式会社に対して債務の履行を請求することができない吸収分割株式会社の債権者は,当該吸収分割株式会社に対し,当該吸収分割について異議を述べることができない。できる。789条1項2号",
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},
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"text": "エ.吸収分割株式会社の株主が吸収分割の無効の訴えを提起するとき,被告となるのは吸収分割契約をした会社(当該吸収分割株式会社のみ及び当該吸収分割承継会社)である。834条9号",
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}
]
| null | : [[../問題17|←前の問題]]
: [[../問題19|次の問題→]]
== 問題 ==
合併及び会社分割に関する次の記述のうち,正しいものの組合せとして最も適切な番号を一つ選びなさい。(5 点)
<div style="text-indent:-1em;margin-left:1em;">
ア.新設合併の無効の訴えに係る請求を認容する確定判決は,第三者に対してもその効力を有する。
イ.新設合併の無効の訴えに係る請求を認容する判決が確定したときは,新設合併設立会社は解散する。
ウ.株式会社が吸収分割をする場合において,当該吸収分割後に吸収分割株式会社に対して債務の履行を請求することができない吸収分割株式会社の債権者は,当該吸収分割株式会社に対し,当該吸収分割について異議を述べることができない。
エ.吸収分割株式会社の株主が吸収分割の無効の訴えを提起するとき,被告となるのは当該吸収分割株式会社のみである。
</div>
<div style="column-count:6;">
:1.アイ
:2.アウ
:3.アエ
:4.イウ
:5.イエ
:6.ウエ
</div>
== 正解 ==
1
== 解説 ==
<div style="text-indent:-1em;margin-left:1em;">
ア.新設合併の無効の訴えに係る請求を認容する確定判決は,第三者に対してもその効力を有する。<ins>838条834条8号</ins>
イ.新設合併の無効の訴えに係る請求を認容する判決が確定したときは,新設合併設立会社は解散する。<ins>839条937条3項3号</ins>
ウ.株式会社が吸収分割をする場合において,当該吸収分割後に吸収分割株式会社に対して債務の履行を請求することができない吸収分割株式会社の債権者は,当該吸収分割株式会社に対し,当該吸収分割について異議を述べることが<s>できない。</s><ins>できる。789条1項2号</ins>
エ.吸収分割株式会社の株主が吸収分割の無効の訴えを提起するとき,被告となるのは<ins>吸収分割契約をした会社(</ins>当該吸収分割株式会社<s>のみ</s><ins>及び当該吸収分割承継会社)</ins>である。<ins>834条9号</ins>
</div>
== ウィキブキアンによるコメント ==
; 記述エに修正あり(本ページでは反映済み)
: 前:当該吸収分割株式会社である。
: 後:当該吸収分割株式会社のみである。
== 参照法令等 ==
* [http://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=417AC0000000086#5338 会社法]
: [[../問題17|←前の問題]]
: [[../問題19|次の問題→]]
[[カテゴリ:企業法]] | null | 2022-11-29T05:13:39Z | []
| https://ja.wikibooks.org/wiki/%E5%85%AC%E8%AA%8D%E4%BC%9A%E8%A8%88%E5%A3%AB%E8%A9%A6%E9%A8%93/%E5%B9%B3%E6%88%9030%E5%B9%B4%E7%AC%ACI%E5%9B%9E%E7%9F%AD%E7%AD%94%E5%BC%8F/%E4%BC%81%E6%A5%AD%E6%B3%95/%E5%95%8F%E9%A1%8C18 |
24,239 | 公認会計士試験/平成30年第I回短答式/企業法/問題6 | 株式に関する次の記述のうち,正しいものの組合せとして最も適切な番号を一つ選びなさい。(5 点)
ア.株式会社による全部取得条項付種類株式の全部の取得が法令又は定款に違反する場合において,これにより不利益を受けるおそれがある株主は,会社法に基づき,当該株式会社に対し,当該取得をやめることを請求することができる。
イ.取締役会設置会社が自己株式を消却するときは,株主総会の決議によらなければならない。
ウ.取締役会設置会社の特別支配株主が株式等売渡請求をしようとするときは,株主総会の決議による承認を受けなければならない。
エ.公開会社が株式の併合をしようとするときは,効力発生日における発行可能株式総数として,効力発生日における発行済株式の総数の4倍を超える数を定めることができない。
3
ア.株式会社による全部取得条項付種類株式の全部の取得が法令又は定款に違反する場合において,これにより不利益を受けるおそれがある株主は,会社法に基づき,当該株式会社に対し,当該取得をやめることを請求することができる。171条の3
イ.取締役会設置会社が自己株式を消却するときは,株主総会取締役会の決議によらなければならない。178条2項1項後段
ウ.取締役会設置会社の特別支配株主が株式等売渡請求をしようとするときは,株主総会取締役会の決議による承認を受けなければならない。179条の3第3項1項
エ.公開会社が株式の併合をしようとするときは,効力発生日における発行可能株式総数として,効力発生日における発行済株式の総数の4倍を超える数を定めることができない。180条2項4号3項本文 | [
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"text": "株式に関する次の記述のうち,正しいものの組合せとして最も適切な番号を一つ選びなさい。(5 点)",
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},
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"text": "ア.株式会社による全部取得条項付種類株式の全部の取得が法令又は定款に違反する場合において,これにより不利益を受けるおそれがある株主は,会社法に基づき,当該株式会社に対し,当該取得をやめることを請求することができる。",
"title": "問題"
},
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"text": "イ.取締役会設置会社が自己株式を消却するときは,株主総会の決議によらなければならない。",
"title": "問題"
},
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"text": "ウ.取締役会設置会社の特別支配株主が株式等売渡請求をしようとするときは,株主総会の決議による承認を受けなければならない。",
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},
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"text": "エ.公開会社が株式の併合をしようとするときは,効力発生日における発行可能株式総数として,効力発生日における発行済株式の総数の4倍を超える数を定めることができない。",
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"text": "ア.株式会社による全部取得条項付種類株式の全部の取得が法令又は定款に違反する場合において,これにより不利益を受けるおそれがある株主は,会社法に基づき,当該株式会社に対し,当該取得をやめることを請求することができる。171条の3",
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"text": "イ.取締役会設置会社が自己株式を消却するときは,株主総会取締役会の決議によらなければならない。178条2項1項後段",
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"text": "エ.公開会社が株式の併合をしようとするときは,効力発生日における発行可能株式総数として,効力発生日における発行済株式の総数の4倍を超える数を定めることができない。180条2項4号3項本文",
"title": "解説"
}
]
| null | : [[../問題5|←前の問題]]
: [[../問題7|次の問題→]]
== 問題 ==
株式に関する次の記述のうち,正しいものの組合せとして最も適切な番号を一つ選びなさい。(5 点)
<div style="text-indent:-1em;margin-left:1em;">
ア.株式会社による全部取得条項付種類株式の全部の取得が法令又は定款に違反する場合において,これにより不利益を受けるおそれがある株主は,会社法に基づき,当該株式会社に対し,当該取得をやめることを請求することができる。
イ.取締役会設置会社が自己株式を消却するときは,株主総会の決議によらなければならない。
ウ.取締役会設置会社の特別支配株主が株式等売渡請求をしようとするときは,株主総会の決議による承認を受けなければならない。
エ.公開会社が株式の併合をしようとするときは,効力発生日における発行可能株式総数として,効力発生日における発行済株式の総数の4倍を超える数を定めることができない。
</div>
<div style="column-count:6;">
:1.アイ
:2.アウ
:3.アエ
:4.イウ
:5.イエ
:6.ウエ
</div>
== 正解 ==
3
== 解説 ==
<div style="text-indent:-1em;margin-left:1em;">
ア.株式会社による全部取得条項付種類株式の全部の取得が法令又は定款に違反する場合において,これにより不利益を受けるおそれがある株主は,会社法に基づき,当該株式会社に対し,当該取得をやめることを請求することができる。<ins>171条の3</ins>
イ.取締役会設置会社が自己株式を消却するときは,<s>株主総会</s><ins>取締役会</ins>の決議によらなければならない。<ins>178条2項1項後段</ins>
ウ.取締役会設置会社の特別支配株主が株式等売渡請求をしようとするときは,<s>株主総会</s><ins>取締役会</ins>の決議による承認を受けなければならない。<ins>179条の3第3項1項</ins>
エ.公開会社が株式の併合をしようとするときは,効力発生日における発行可能株式総数として,効力発生日における発行済株式の総数の4倍を超える数を定めることができない。<ins>180条2項4号3項本文</ins>
</div>
== 参照法令等 ==
* [http://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=417AC0000000086#1064 会社法]
: [[../問題5|←前の問題]]
: [[../問題7|次の問題→]]
[[カテゴリ:企業法]] | null | 2022-11-29T05:14:17Z | []
| https://ja.wikibooks.org/wiki/%E5%85%AC%E8%AA%8D%E4%BC%9A%E8%A8%88%E5%A3%AB%E8%A9%A6%E9%A8%93/%E5%B9%B3%E6%88%9030%E5%B9%B4%E7%AC%ACI%E5%9B%9E%E7%9F%AD%E7%AD%94%E5%BC%8F/%E4%BC%81%E6%A5%AD%E6%B3%95/%E5%95%8F%E9%A1%8C6 |
24,240 | 公認会計士試験/平成30年第I回短答式/企業法/問題7 | 募集株式の発行に関する次の記述のうち,正しいものの組合せとして最も適切な番号を一つ選びなさい。(5点)
ア.出資の履行をすることにより募集株式の株主となる権利の譲渡は,株式会社に対抗することができない。
イ.取締役と通じて著しく不公正な払込金額で募集株式の発行を受けた者は,当該払込金額と当該募集株式の公正な価額との差額に相当する金額を支払った後でなければ,当該募集株式について株主の権利を行使することができない。
ウ.募集株式の引受人が払込金額の払込みを仮装したことによって株式会社に対して払込みを仮装した払込金額の支払義務を負う場合,当該支払義務は総株主の同意がなければ免除することができない。
エ.募集株式の払込金額の払込みを仮装した引受人から当該募集株式を譲り受けた者は,悪意又は重大な過失があるときは,当該引受人と連帯して,株式会社に対し払込みを仮装した払込金額を支払う義務を負う。
2
ア.出資の履行をすることにより募集株式の株主となる権利の譲渡は,株式会社に対抗することができない。208条4項
イ.取締役と通じて著しく不公正な払込金額で募集株式の発行を受けた者は,当該払込金額と当該募集株式の公正な価額との差額に相当する金額を支払った後でなければ,当該募集株式について株主の権利を行使することができないという規定はないから、できる。※仮装払込みをした者の権利行使について209条2項
ウ.募集株式の引受人が払込金額の払込みを仮装したことによって株式会社に対して払込みを仮装した払込金額の支払義務を負う場合,当該支払義務は総株主の同意がなければ免除することができない。213条の2第2項
エ.募集株式の払込金額の払込みを仮装した引受人から当該募集株式を譲り受けた者は,悪意又は重大な過失があるときは,当該引受人と連帯して,株式会社に対し払込みを仮装した払込金額を支払う義務を負うという規定はない。※悪意又は重大な過失があるときについて209条3項 | [
{
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"text": "募集株式の発行に関する次の記述のうち,正しいものの組合せとして最も適切な番号を一つ選びなさい。(5点)",
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"text": "ア.出資の履行をすることにより募集株式の株主となる権利の譲渡は,株式会社に対抗することができない。",
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"text": "イ.取締役と通じて著しく不公正な払込金額で募集株式の発行を受けた者は,当該払込金額と当該募集株式の公正な価額との差額に相当する金額を支払った後でなければ,当該募集株式について株主の権利を行使することができない。",
"title": "問題"
},
{
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"text": "ウ.募集株式の引受人が払込金額の払込みを仮装したことによって株式会社に対して払込みを仮装した払込金額の支払義務を負う場合,当該支払義務は総株主の同意がなければ免除することができない。",
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{
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"text": "エ.募集株式の払込金額の払込みを仮装した引受人から当該募集株式を譲り受けた者は,悪意又は重大な過失があるときは,当該引受人と連帯して,株式会社に対し払込みを仮装した払込金額を支払う義務を負う。",
"title": "問題"
},
{
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"text": "2",
"title": "正解"
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},
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"text": "ウ.募集株式の引受人が払込金額の払込みを仮装したことによって株式会社に対して払込みを仮装した払込金額の支払義務を負う場合,当該支払義務は総株主の同意がなければ免除することができない。213条の2第2項",
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"text": "エ.募集株式の払込金額の払込みを仮装した引受人から当該募集株式を譲り受けた者は,悪意又は重大な過失があるときは,当該引受人と連帯して,株式会社に対し払込みを仮装した払込金額を支払う義務を負うという規定はない。※悪意又は重大な過失があるときについて209条3項",
"title": "解説"
}
]
| null | : [[../問題6|←前の問題]]
: [[../問題8|次の問題→]]
== 問題 ==
募集株式の発行に関する次の記述のうち,正しいものの組合せとして最も適切な番号を一つ選びなさい。(5点)
<div style="text-indent:-1em;margin-left:1em;">
ア.出資の履行をすることにより募集株式の株主となる権利の譲渡は,株式会社に対抗することができない。
イ.取締役と通じて著しく不公正な払込金額で募集株式の発行を受けた者は,当該払込金額と当該募集株式の公正な価額との差額に相当する金額を支払った後でなければ,当該募集株式について株主の権利を行使することができない。
ウ.募集株式の引受人が払込金額の払込みを仮装したことによって株式会社に対して払込みを仮装した払込金額の支払義務を負う場合,当該支払義務は総株主の同意がなければ免除することができない。
エ.募集株式の払込金額の払込みを仮装した引受人から当該募集株式を譲り受けた者は,悪意又は重大な過失があるときは,当該引受人と連帯して,株式会社に対し払込みを仮装した払込金額を支払う義務を負う。
</div>
<div style="column-count:6;">
:1.アイ
:2.アウ
:3.アエ
:4.イウ
:5.イエ
:6.ウエ
</div>
== 正解 ==
2
== 解説 ==
<div style="text-indent:-1em;margin-left:1em;">
ア.出資の履行をすることにより募集株式の株主となる権利の譲渡は,株式会社に対抗することができない。<ins>208条4項</ins>
イ.取締役と通じて著しく不公正な払込金額で募集株式の発行を受けた者は,当該払込金額と当該募集株式の公正な価額との差額に相当する金額を支払った後でなければ,当該募集株式について株主の権利を行使することができない<ins>という規定はないから、できる</ins>。<ins>※仮装払込みをした者の権利行使について209条2項</ins>
ウ.募集株式の引受人が払込金額の払込みを仮装したことによって株式会社に対して払込みを仮装した払込金額の支払義務を負う場合,当該支払義務は総株主の同意がなければ免除することができない。<ins>213条の2第2項</ins>
エ.募集株式の払込金額の払込みを仮装した引受人から当該募集株式を譲り受けた者は,悪意又は重大な過失があるときは,当該引受人と連帯して,株式会社に対し払込みを仮装した払込金額を支払う義務を負う<ins>という規定はない</ins>。<ins>※悪意又は重大な過失があるときについて209条3項</ins>
</div>
== 参照法令等 ==
* [http://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=417AC0000000086#1457 会社法]
: [[../問題6|←前の問題]]
: [[../問題8|次の問題→]]
[[カテゴリ:企業法]] | null | 2022-11-29T05:14:20Z | []
| https://ja.wikibooks.org/wiki/%E5%85%AC%E8%AA%8D%E4%BC%9A%E8%A8%88%E5%A3%AB%E8%A9%A6%E9%A8%93/%E5%B9%B3%E6%88%9030%E5%B9%B4%E7%AC%ACI%E5%9B%9E%E7%9F%AD%E7%AD%94%E5%BC%8F/%E4%BC%81%E6%A5%AD%E6%B3%95/%E5%95%8F%E9%A1%8C7 |
24,241 | 公認会計士試験/平成30年第I回短答式/企業法/問題8 | 株式会社の機関に関する次の記述のうち,正しいものの組合せとして最も適切な番号を一つ選びなさい。(5点)
ア.指名委員会等設置会社は,定款の定めによっても,監査役を置くことができない。
イ.監査等委員会設置会社は,定款の定めによって,会計参与を置くことができる。
ウ.監査役会設置会社は,常勤の監査役を選定する旨を,定款によって定めなければならない。
エ.公開会社でない監査役設置会社は,定款の定めによっても,会計参与を置くことができない。
1
ア.指名委員会等設置会社は,定款の定めによっても,監査役を置くことができない。327条4項
イ.監査等委員会設置会社は,定款の定めによって,会計参与を置くことができる。会計参与の設置はいかなる会社でもできる。326条2項
ウ.監査役会設置会社は,常勤の監査役を選定する旨を,定款によって定めなければならない。定める必要はない。なお、常勤の監査役の選定は必須である。390条2項2号3項
エ.公開会社でない監査役設置会社は,定款の定めによっても,会計参与を置くことができない。できる。会計参与の設置はいかなる会社でもできる。326条2項 | [
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"text": "株式会社の機関に関する次の記述のうち,正しいものの組合せとして最も適切な番号を一つ選びなさい。(5点)",
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"text": "ア.指名委員会等設置会社は,定款の定めによっても,監査役を置くことができない。",
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"text": "イ.監査等委員会設置会社は,定款の定めによって,会計参与を置くことができる。",
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"text": "ウ.監査役会設置会社は,常勤の監査役を選定する旨を,定款によって定めなければならない。",
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"text": "エ.公開会社でない監査役設置会社は,定款の定めによっても,会計参与を置くことができない。",
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| null | : [[../問題7|←前の問題]]
: [[../問題9|次の問題→]]
== 問題 ==
株式会社の機関に関する次の記述のうち,正しいものの組合せとして最も適切な番号を一つ選びなさい。(5点)
<div style="text-indent:-1em;margin-left:1em;">
ア.指名委員会等設置会社は,定款の定めによっても,監査役を置くことができない。
イ.監査等委員会設置会社は,定款の定めによって,会計参与を置くことができる。
ウ.監査役会設置会社は,常勤の監査役を選定する旨を,定款によって定めなければならない。
エ.公開会社でない監査役設置会社は,定款の定めによっても,会計参与を置くことができない。
</div>
<div style="column-count:6;">
:1.アイ
:2.アウ
:3.アエ
:4.イウ
:5.イエ
:6.ウエ
</div>
== 正解 ==
1
== 解説 ==
<div style="text-indent:-1em;margin-left:1em;">
ア.指名委員会等設置会社は,定款の定めによっても,監査役を置くことができない。<ins>327条4項</ins>
イ.監査等委員会設置会社は,定款の定めによって,会計参与を置くことができる。<ins>会計参与の設置はいかなる会社でもできる。326条2項</ins>
ウ.監査役会設置会社は,常勤の監査役を選定する旨を,定款によって<s>定めなければならない。</s><ins>定める必要はない。なお、常勤の監査役の選定は必須である。390条2項2号3項</ins>
エ.公開会社でない監査役設置会社は,定款の定めによっても,会計参与を置くことが<s>できない。</s><ins>できる。会計参与の設置はいかなる会社でもできる。326条2項</ins>
</div>
== 参照法令等 ==
* [http://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=417AC0000000086#2299 会社法]
: [[../問題7|←前の問題]]
: [[../問題9|次の問題→]]
[[カテゴリ:企業法]] | null | 2022-11-29T05:14:23Z | []
| https://ja.wikibooks.org/wiki/%E5%85%AC%E8%AA%8D%E4%BC%9A%E8%A8%88%E5%A3%AB%E8%A9%A6%E9%A8%93/%E5%B9%B3%E6%88%9030%E5%B9%B4%E7%AC%ACI%E5%9B%9E%E7%9F%AD%E7%AD%94%E5%BC%8F/%E4%BC%81%E6%A5%AD%E6%B3%95/%E5%95%8F%E9%A1%8C8 |
24,242 | 公認会計士試験/平成30年第I回短答式/企業法/問題10 | 株主総会に関する次の記述のうち,正しいものの組合せとして最も適切な番号を一つ選びなさい。なお,全ての株主が株主総会の決議事項の全部につき議決権を行使することができるものとする。(5点)
ア.取締役が電磁的方法によって株主総会の招集通知を発することについて承諾した株主のみが,電磁的方法による議決権の行使をすることができる。
イ.取締役は,株主総会において株主から特定の事項について説明を求められた場合に,その事項が株主総会の目的である事項に関しないものであることを理由として,説明を拒否することはできない。
ウ.株主総会の議長は,その命令に従わない者その他当該株主総会の秩序を乱す者を退場させることができる。
エ.取締役又は株主が株主総会の目的である事項について提案をした場合において,当該提案につき株主の全員が書面又は電磁的記録により同意の意思表示をしたときは,当該提案を可決する旨の株主総会の決議があったものとみなされる。
6
ア.取締役が電磁的方法によって株主総会の招集通知を発することについて承諾した株主のみが,かどうかにかかわらず,株主は会社の承諾を得れば,電磁的方法による議決権の行使をすることができる。299条3項312条1項2項
イ.取締役は,株主総会において株主から特定の事項について説明を求められた場合に,その事項が株主総会の目的である事項に関しないものであることを理由として,説明を拒否することはできない。ができる。314条ただし書
ウ.株主総会の議長は,その命令に従わない者その他当該株主総会の秩序を乱す者を退場させることができる。315条2項
エ.取締役又は株主が株主総会の目的である事項について提案をした場合において,当該提案につき株主の全員が書面又は電磁的記録により同意の意思表示をしたときは,当該提案を可決する旨の株主総会の決議があったものとみなされる。319条1項 | [
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"text": "ア.取締役が電磁的方法によって株主総会の招集通知を発することについて承諾した株主のみが,かどうかにかかわらず,株主は会社の承諾を得れば,電磁的方法による議決権の行使をすることができる。299条3項312条1項2項",
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"title": "解説"
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"text": "エ.取締役又は株主が株主総会の目的である事項について提案をした場合において,当該提案につき株主の全員が書面又は電磁的記録により同意の意思表示をしたときは,当該提案を可決する旨の株主総会の決議があったものとみなされる。319条1項",
"title": "解説"
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]
| null | : [[../問題9|←前の問題]]
: [[../問題11|次の問題→]]
== 問題 ==
株主総会に関する次の記述のうち,正しいものの組合せとして最も適切な番号を一つ選びなさい。なお,全ての株主が株主総会の決議事項の全部につき議決権を行使することができるものとする。(5点)
<div style="text-indent:-1em;margin-left:1em;">
ア.取締役が電磁的方法によって株主総会の招集通知を発することについて承諾した株主のみが,電磁的方法による議決権の行使をすることができる。
イ.取締役は,株主総会において株主から特定の事項について説明を求められた場合に,その事項が株主総会の目的である事項に関しないものであることを理由として,説明を拒否することはできない。
ウ.株主総会の議長は,その命令に従わない者その他当該株主総会の秩序を乱す者を退場させることができる。
エ.取締役又は株主が株主総会の目的である事項について提案をした場合において,当該提案につき株主の全員が書面又は電磁的記録により同意の意思表示をしたときは,当該提案を可決する旨の株主総会の決議があったものとみなされる。
</div>
<div style="column-count:6;">
:1.アイ
:2.アウ
:3.アエ
:4.イウ
:5.イエ
:6.ウエ
</div>
== 正解 ==
6
== 解説 ==
<div style="text-indent:-1em;margin-left:1em;">
ア.取締役が電磁的方法によって株主総会の招集通知を発することについて承諾した<s>株主のみが,</s><ins>かどうかにかかわらず,株主は会社の承諾を得れば,</ins>電磁的方法による議決権の行使をすることができる。<ins>299条3項312条1項2項</ins>
イ.取締役は,株主総会において株主から特定の事項について説明を求められた場合に,その事項が株主総会の目的である事項に関しないものであることを理由として,説明を拒否すること<s>はできない。</s><ins>ができる。314条ただし書</ins>
ウ.株主総会の議長は,その命令に従わない者その他当該株主総会の秩序を乱す者を退場させることができる。<ins>315条2項</ins>
エ.取締役又は株主が株主総会の目的である事項について提案をした場合において,当該提案につき株主の全員が書面又は電磁的記録により同意の意思表示をしたときは,当該提案を可決する旨の株主総会の決議があったものとみなされる。<ins>319条1項</ins>
</div>
== 参照法令等 ==
* [http://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=417AC0000000086#2118 会社法]
: [[../問題9|←前の問題]]
: [[../問題11|次の問題→]]
[[カテゴリ:企業法]] | null | 2022-11-29T05:13:11Z | []
| https://ja.wikibooks.org/wiki/%E5%85%AC%E8%AA%8D%E4%BC%9A%E8%A8%88%E5%A3%AB%E8%A9%A6%E9%A8%93/%E5%B9%B3%E6%88%9030%E5%B9%B4%E7%AC%ACI%E5%9B%9E%E7%9F%AD%E7%AD%94%E5%BC%8F/%E4%BC%81%E6%A5%AD%E6%B3%95/%E5%95%8F%E9%A1%8C10 |
24,243 | 公認会計士試験/平成30年第I回短答式/企業法/問題11 | 監査等委員会設置会社に関する次の記述のうち,正しいものの組合せとして最も適切な番号を一つ選びなさい。(5点)
ア.監査等委員会は,常勤の監査等委員を選定しなければならない。
イ.監査等委員は,取締役が株主総会に提出しようとする議案について法令若しくは定款に違反し,又は著しく不当な事項があると認めるとき,その旨を株主総会に報告する義務を負う。
ウ.監査等委員会が選定する監査等委員は,株主総会において,監査等委員である取締役以外の取締役の選任若しくは解任又は辞任について監査等委員会の意見を述べることができる。
エ.監査等委員でない取締役が自己のために株式会社とする取引につき,当該取締役が監査等委員会の承認を受けたときでも,当該取引によって当該株式会社に損害が生じた場合には,当該取締役はその任務を怠ったものと推定される。
4
ア.監査等委員会は,常勤の監査等委員を選定しなければならない。する必要はない。代わりに内部統制システムの整備が義務づけられる。399条の2,390条3項,399条の13第1項1号ロハ
イ.監査等委員は,取締役が株主総会に提出しようとする議案について法令若しくは定款に違反し,又は著しく不当な事項があると認めるとき,その旨を株主総会に報告する義務を負う。399条の5
ウ.監査等委員会が選定する監査等委員は,株主総会において,監査等委員である取締役以外の取締役の選任若しくは解任又は辞任について監査等委員会の意見を述べることができる。342条の2第4項,399条の2第3項3号
エ.監査等委員でない取締役が自己のために株式会社とする取引につき,当該取締役が監査等委員会の承認を受けたときでもは,当該取引によって当該株式会社に損害が生じた場合には,当該取締役はその任務を怠ったものと推定される。されない。423条4項 | [
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"title": "解説"
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"title": "解説"
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| null | : [[../問題10|←前の問題]]
: [[../問題12|次の問題→]]
== 問題 ==
監査等委員会設置会社に関する次の記述のうち,正しいものの組合せとして最も適切な番号を一つ選びなさい。(5点)
<div style="text-indent:-1em;margin-left:1em;">
ア.監査等委員会は,常勤の監査等委員を選定しなければならない。
イ.監査等委員は,取締役が株主総会に提出しようとする議案について法令若しくは定款に違反し,又は著しく不当な事項があると認めるとき,その旨を株主総会に報告する義務を負う。
ウ.監査等委員会が選定する監査等委員は,株主総会において,監査等委員である取締役以外の取締役の選任若しくは解任又は辞任について監査等委員会の意見を述べることができる。
エ.監査等委員でない取締役が自己のために株式会社とする取引につき,当該取締役が監査等委員会の承認を受けたときでも,当該取引によって当該株式会社に損害が生じた場合には,当該取締役はその任務を怠ったものと推定される。
</div>
<div style="column-count:6;">
:1.アイ
:2.アウ
:3.アエ
:4.イウ
:5.イエ
:6.ウエ
</div>
== 正解 ==
4
== 解説 ==
<div style="text-indent:-1em;margin-left:1em;">
ア.監査等委員会は,常勤の監査等委員を選定<s>しなければならない。</s><ins>する必要はない。代わりに内部統制システムの整備が義務づけられる。399条の2,390条3項,399条の13第1項1号ロハ</ins>
イ.監査等委員は,取締役が株主総会に提出しようとする議案について法令若しくは定款に違反し,又は著しく不当な事項があると認めるとき,その旨を株主総会に報告する義務を負う。<ins>399条の5</ins>
ウ.監査等委員会が選定する監査等委員は,株主総会において,監査等委員である取締役以外の取締役の選任若しくは解任又は辞任について監査等委員会の意見を述べることができる。<ins>342条の2第4項,399条の2第3項3号</ins>
エ.監査等委員でない取締役が自己のために株式会社とする取引につき,当該取締役が監査等委員会の承認を受けたとき<s>でも</s><ins>は</ins>,当該取引によって当該株式会社に損害が生じた場合には,当該取締役はその任務を怠ったものと推定<s>される。</s><ins>されない。423条4項</ins>
</div>
== 参照法令等 ==
* [http://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=417AC0000000086#2420 会社法]
: [[../問題10|←前の問題]]
: [[../問題12|次の問題→]]
[[カテゴリ:企業法]] | null | 2022-11-29T05:13:15Z | []
| https://ja.wikibooks.org/wiki/%E5%85%AC%E8%AA%8D%E4%BC%9A%E8%A8%88%E5%A3%AB%E8%A9%A6%E9%A8%93/%E5%B9%B3%E6%88%9030%E5%B9%B4%E7%AC%ACI%E5%9B%9E%E7%9F%AD%E7%AD%94%E5%BC%8F/%E4%BC%81%E6%A5%AD%E6%B3%95/%E5%95%8F%E9%A1%8C11 |
24,244 | 公認会計士試験/平成30年第I回短答式/企業法/問題12 | 監査役及び監査役会に関する次の記述のうち,正しいものの組合せとして最も適切な番号を一つ選びなさい。(5点)
ア.公開会社でない監査役会設置会社は,その監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨を定款で定めることができない。
イ.監査役会設置会社において,監査役が監査役会の決議の目的である事項について提案をした場合,当該提案につき監査役の全員が書面により同意の意思表示をしたときは,当該提案を可決する旨の監査役会の決議があったものとみなされる。
ウ.監査役会設置会社における監査役が,取締役の法令違反行為をやめることを請求するには,その旨の監査役会の決議が必要である。
エ.監査役は,子会社の監査役を兼ねることができる。
3
ア.公開会社でない監査役会設置会社は,その監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨を定款で定めることができない。389条1項かっこ書
イ.監査役会設置会社において,監査役が監査役会の決議の目的である事項について提案をした場合,当該提案につき監査役の全員が書面により同意の意思表示をしたときは,当該提案を可決する旨の監査役会の決議があったものとみなされるという規定はないから,みなされない。393条370条
ウ.監査役会設置会社における監査役が,取締役の法令違反行為をやめることを請求するには,その旨の監査役会の決議が必要である。でない。385条1項390条2項ただし書
エ.監査役は,子会社の監査役を兼ねることができる。335条2項 | [
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"text": "ア.公開会社でない監査役会設置会社は,その監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨を定款で定めることができない。",
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]
| null | : [[../問題11|←前の問題]]
: [[../問題13|次の問題→]]
== 問題 ==
監査役及び監査役会に関する次の記述のうち,正しいものの組合せとして最も適切な番号を一つ選びなさい。(5点)
<div style="text-indent:-1em;margin-left:1em;">
ア.公開会社でない監査役会設置会社は,その監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨を定款で定めることができない。
イ.監査役会設置会社において,監査役が監査役会の決議の目的である事項について提案をした場合,当該提案につき監査役の全員が書面により同意の意思表示をしたときは,当該提案を可決する旨の監査役会の決議があったものとみなされる。
ウ.監査役会設置会社における監査役が,取締役の法令違反行為をやめることを請求するには,その旨の監査役会の決議が必要である。
エ.監査役は,子会社の監査役を兼ねることができる。
</div>
<div style="column-count:6;">
:1.アイ
:2.アウ
:3.アエ
:4.イウ
:5.イエ
:6.ウエ
</div>
== 正解 ==
3
== 解説 ==
<div style="text-indent:-1em;margin-left:1em;">
ア.公開会社でない監査役会設置会社は,その監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨を定款で定めることができない。<ins>389条1項かっこ書</ins>
イ.監査役会設置会社において,監査役が監査役会の決議の目的である事項について提案をした場合,当該提案につき監査役の全員が書面により同意の意思表示をしたときは,当該提案を可決する旨の監査役会の決議があったものとみなされる<ins>という規定はないから,みなされない</ins>。<ins>393条370条</ins>
ウ.監査役会設置会社における監査役が,取締役の法令違反行為をやめることを請求するには,その旨の監査役会の決議が必要で<s>ある。</s><ins>でない。385条1項390条2項ただし書</ins>
エ.監査役は,子会社の監査役を兼ねることができる。<ins>335条2項</ins>
</div>
== 参照法令等 ==
* [http://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=417AC0000000086#2366 会社法]
: [[../問題11|←前の問題]]
: [[../問題13|次の問題→]]
[[カテゴリ:企業法]] | null | 2022-11-29T05:13:18Z | []
| https://ja.wikibooks.org/wiki/%E5%85%AC%E8%AA%8D%E4%BC%9A%E8%A8%88%E5%A3%AB%E8%A9%A6%E9%A8%93/%E5%B9%B3%E6%88%9030%E5%B9%B4%E7%AC%ACI%E5%9B%9E%E7%9F%AD%E7%AD%94%E5%BC%8F/%E4%BC%81%E6%A5%AD%E6%B3%95/%E5%95%8F%E9%A1%8C12 |
24,245 | 中学校社会 地理/世界の気候 | 世界の国々には一年を通して暑い国もあれば、夏でも日本の冬と同じぐらいの気温にしかならない国など様々だ。また、砂漠のようにほとんど雨の降らない国や、逆に一年中たくさん雨が降る国、他にも季節によって雨の多い時期と少ない時期のある国とさまざまな特徴がある。
降水量の平均的な状態を捉えて特徴付けたものを気候という。ここでは、世界の気候を見ていこうと思う。なお、一部発展的な内容の用語もある。無理に覚える必要はないが、知っておくと大変便利なので、できればそちらも見てほしい。
世界の気候については一般的に、ドイツの気候学者ケッペンが植生に注目して気温と降水量から区分したケッペンの気候区分が用いられる。この正確な内容については高校地理Bで習うが、中学校では以下のことを理解してもらえれば十分である。
気候は大まかに5つに分かれ、寒帯気候、亜寒帯気候、温帯気候、熱帯気候、乾燥帯気候がある。
この5つの気候は降水量を元にしてさらに細かく分けられる。 たとえば熱帯気候は、一年中降水量が多く森林の多い熱帯雨林気候と、雨の多い時期と雨の少ない時期の差が大きく木々のまばらなサバナ気候に分かれる。
本記事では、まずは5つの大まかな気候から説明する。
温度のもっとも低い寒帯気候、その次に温度の低い亜寒帯気候、温度のそれほど暑すぎもなく寒すぎもない温帯気候、気温が高く雨の多い熱帯気候などがある。
乾燥帯である砂漠では、普通温度が高い。だが、必ずしも乾燥帯で温度が高いとは限らない。内陸の草原地帯などは、雨が少ない地域では乾燥しているが、温度は砂漠ほどは暑くない場合もある。
乾燥帯であるかの有無は、雨の量などが関わってくるので、涼しくても雨が少なければ乾燥帯でありうる。
この他の気候もある。地域の特性によって、様々な気候がある。
たとえば南アメリカ大陸のアンデス山脈など、標高の高い地域での気候で、高山気候がある。 標高が100m増えるごとに、気温が0.6度ほど下がる。このため、標高が高いほど寒い。
熱帯は、一年中、暑くて雨が多い。地域によって、雨季と乾季がある。日射量が多いため、もっとも寒い月でも平均気温が18度を下回ることがなく、一年を通して気温の変化がほとんどない。そのため、四季ははっきりしない。一年中高い気温のため、上昇気流が発生して低気圧が生まれる。この低気圧が大量の雨をもたらすため、降水量も多い。
分布場所は、おもに、赤道から北回帰線・南回帰線の間にいる。熱帯の場所では、インドネシアなどの東南アジアの島々の熱帯雨林や、南アメリカ大陸のアマゾン川の流域の熱帯雨林や、アフリカ州のケニアの草原(サバナ)などがある。
熱帯は2つに分かれる。年中、雨が多く、森林が多く広葉樹のしげる熱帯雨林気候が一つ。もう一つは、雨季と乾季があり、木々はまばらで、草地(サバナ)の多いサバナ気候にである。長い草が多くなる。
熱帯での農業では、米やカカオ(チョコレートの原料)や綿花など、成長期に多くの雨や水を必要とする作物が作られる事が多い。
赤道直下の地域に分布していて年中多雨で気温の年較差は少ない。午後からはスコールと呼ばれる激しい雨が降ります。数十メートルの高さまでになる多種類の熱帯性植物がうっそうと茂っておりこのような森林を熱帯雨林(tropical rainforest )と呼ぶ。
一年を通して高温多湿となるので、人々の衣服や住居は湿気を上手く逃がすようなものになっている。たくさんの雨が降るためにラテライトと呼ばれる鉱石の混じったやせた赤土に地面が覆われ、農業には向かない。しかし、焼畑農業によって、キャッサバやタロイモ、ヤムイモの生産が伝統的に行われてきた。現在はプランテーションによる天然ゴム・アブラヤシ・カカオの生産も盛んに行われているが、もともと農業に向かない土地であるため、プランテーションによる農業が熱帯雨林の破壊をもたらしている面もある。
この気候に属する、主な都市はシンガポール(シンガポール)、ジャカルタ(インドネシア)、クアラルンプール(マレーシア)である。
南回帰線から北回帰線の間の多くの地域に分布する。夏は雨の多い雨季となるが、冬は雨の降らない乾季になる。丈の高い草原の中に乾燥に強い樹木がまばらに生える、サバナとよばれる草原が多く見られる。
人々の生活や農業は熱帯雨林気候と大体同じだが、ガンジス川の河口のバングラデシュや、メコン川流域のベトナム南部・カンボジア、チャオプラヤ川流域のタイなどでは米の二期作が行われており、生産量も多い。
この気候に属する主な都市は、ホーチミン(ベトナム)、バンコク(タイ)、リオデジャネイロ(ブラジル)である。
降水量は非常に少ない。そのため、森林が育たない。雨が少なすぎて植物のまったく育たない砂漠気候 と、少しは雨が降るので草などにかぎり植物が育つステップ気候に分けられる。
年間・一日ともに気温差が大きい。回帰線近くの地域では夏は非常に暑く50度近くになることもあるが、冬は20度程度となる。比較的高緯度の地域では冬の気温が氷点下になることも珍しくない。内陸の草原地帯などは、雨が少ない地域では乾燥しているが、温度は砂漠ほどは暑くない場合もある。乾燥帯であるかの有無は、雨の量などが関わってくるので、すずしくても雨が少なければ乾燥帯の場合もある。
乾燥帯での農業は、砂漠・ステップともに、雨が少ないので、あまり盛んでは無いが、もし農業をする場合には、小麦などのやや乾燥に強い作物を育てる事が多い。
年間を通して雨はほとんど降らないため、植物は自生できない。このため、砂や岩石が広がる土地となっている。しかし、川の流域やオアシスとよばれる湧き水のあるところでは植物が自生することができる。
人々は強い日差しと砂嵐とよばれる砂を含む強い風を避けるために、体を覆う服を身に着ける。降水量が非常に少ないため、人々が生活する場所は川の流域や湧き水のあるところに限られており、そこではカレーズと呼ばれる地下水路で水を運んで農業を行ってきた。また、オアシスや大河の流域には交易の重要拠点となったところもあり、そこでは商業も盛んに行われてきた。砂漠の農業は、オアシスの周辺で行われ、小麦やなつめやしなどを育てる事が多い。
この気候に属する主な都市は、バグダッド(イラク)、ドバイ(アラブ首長国連邦)、カイロ(エジプト)である。 乾燥帯の分布場所は、主に緯度20度 〜 40度付近に分布する。
雨は少ないとはいえ、雨季には雨も降るため、ステップと呼ばれる丈の低い草の生える草原が広がる。
ステップ気候の位置は、砂漠の周辺にあることが多い。アフリカのサハラ砂漠の周辺や、アラビア半島の砂漠の周辺にも、ステップ気候の地域がある。 分布場所は、おもに砂漠気候からサバナ気候・温帯への移行地域に分布している。
また、モンゴルのような大陸の内陸でも、雨雲が届かず、雨が少ないので、ステップ気候である事が多い。
ステップ気候の住民の伝統的な生活では、山羊や羊などの家畜をともなって遊牧をしている事が多い。季節によって、草や水が多いところを求めて移動するからである。家畜の食べ物には、草を食べさせる。川や湖の近くでは農業や放牧・遊牧が行われてきた。しかし、近年では過剰な放牧や農地の拡大によって水がなくなったり、草が生えなくなったりして砂漠化が進んでいる地域もある。
この気候に属する主な都市は、ラホール(パキスタン)、ダカール(セネガル)である。
もっとも寒い時期でも氷点下になることは少ないが、夏は地域によっては熱帯と同じぐらいの暑さになることがある。このため、四季の変化に富み、多くの動物・植物が生息する。気温・降水量共に農業に適していることから、古代から現代に至るまで農業や産業の発展した地域が多い。
雨の降りかたなどによって、気候の区分が、次の3つの、温暖湿潤気候、西岸海洋性気候、地中海性気候に分けられる。
温帯の中でも日本のように、1年間を通して気温の変化が大きく、降水量も多い気候を温暖湿潤気候とよぶ。
ヨーロッパの大西洋沿岸では、偏西風の影響のため、1年間を通して降水量の変化が小さい。このヨーロッパの大西洋沿岸の一帯のような気候のことを西岸海洋性気候(せいがん かいようせい きこう)という。日本では道南地方の室蘭市と日高地方で分布している。一年間を通して、雨が降る。
イタリアなどの、ヨーロッパ州とアフリカ州の間にある地中海の周辺の国に多い気候である。夏には乾燥するが、冬は偏西風のために雨が降る。
温帯モンスーン気候または温帯湿潤気候ということもある。主に中緯度の大陸東岸に分布する。
この気候に属する主な都市は、東京(日本)、シャンハイ(中国)、ブエノスアイレス(アルゼンチン)である。
季節風の影響を強く受けるため、温帯の中で四季の変化が、もっともはっきりしている。
日本や、周辺の東アジア諸国での温暖湿潤気候での季節ごとに変化する原因は、季節によって風向きが変わる季節風が気候に影響を与えるためである。
夏は低緯度の海からの風を受けるために高温多湿となるが、冬は高緯度の大陸からの風を受けるために乾燥した寒い季節となる(しかし、0度を下回ることは少ない)。また、夏には台風のような熱帯低気圧に襲われることもある。
夏は暑く、冬は寒いので、ここに住む人々はそれぞれの季節にあうような生活スタイルを作っていった。例えば日本の伝統的な衣服は夏は涼しく、冬は暖かくなるような素材が好まれた。豊かな水と適度な気温のため、農業に適している。日本などの東アジア周辺では米作りが盛んである。バナナなどの暑い気候でしか作れないものなど以外は、ほとんど栽培可能。
温帯の植物は、いっぱんに、広葉樹林と針葉樹林が混合している。 また、アルゼンチンのパンパ・アメリカのプレーリーのように豊かな草原地帯もある。パンパやプレーリーでは放牧も盛んに行われている。
この気候に属する主な都市は、ロンドン(イギリス)、パリ(フランス)、メルボルン(オーストラリア)である。ちなみに日本でも北海道の室蘭市と日高地方が属している。
大陸西岸の高緯度地方(緯度40度 - 60度付近)に分布する。西ヨーロッパの多くはこの気候に属している。温暖湿潤気候などと比べると、西岸海洋性気候の気温の年間の変化は小さい。夏はあまり暑くならずすごしやすい。冬は長く寒いが、暖流からの偏西風の影響を受けるため、緯度のわりに冷え込みはきびしくない。例えばロンドンやパリは、サハリン(樺太)と同じ緯度だが、冬の平均気温は5度くらいで東京よりも少し寒いぐらいである。また、降水量は一年を通して一定である。
落葉広葉樹や針葉樹林もあるが、牧草も育ちやすい。牧畜に適している地域であるため、農業と牧畜を組み合わせた混合農業が盛んに行われてきた。例えばフランスは小麦の生産が盛んな国であるが、チーズなどの乳製品の生産量も多い。
イタリアのような地中海沿岸が中心だが、南北アメリカ大陸の西側にも見られる。夏は乾燥帯なみに乾燥するが、冬には雨が降る。また、ヨーロッパ州の沿岸の場合、大西洋沿岸には暖流の北大西洋海流が流れているので、緯度の割には温かい。冬はあまり気温が下がらないため、常緑広葉樹林となる。
赤土やテラロッサと呼ばれる石灰岩が風化してできた土に覆われているため、土地はあまり豊かではない。しかし、夏の強い乾燥に耐えられるオレンジ・レモンなどの柑橘類やぶどう、オリーブの生産が盛んで、雨の降る冬に小麦を栽培する。こうした農業を地中海式農業という。また、日光の少ない地域の人々が夏にやってくることも多いため、リゾート地として有名なところも多い。
この気候に属する主な都市は、ローマ(イタリア)、アテネ(ギリシャ)、サンフランシスコ(アメリカ)である。
シベリアのような気候である。冬は長く、特に真冬は寒さがとても厳しいが、夏は気温が上がり、天気が良ければかなり暑くなる。夏には気温が高くなるため、樹木も育つ。 森林には、針葉樹やシラカバなどの木々が多い。
亜寒帯での針葉樹林のことをタイガといい、これが多く分布する。
ユーラシア大陸の北部や、北アメリカ大陸の北部に多く見られる気候である。ロシアの首都のモスクワの気候も亜寒帯である。亜寒帯の分布地域は、中国北東部・朝鮮半島北部・ロシアの半分以上・アメリカ北部からカナダにかけての地域など、おおむね緯度40度以上の高緯度地域に分布する。
季節は、温帯と同様に、四季が見られるが、夏は温帯ほどではないがやはり暑くなる。また、夏は日照時間が長いため昼夜の気温差が大きいのも特徴であり、特に内陸地方では昼にかけては暑くなるが、朝夜は一転して冷え込む。冬の平均気温は0度を下回るのが普通である。
季節による、1年間の夏と冬との温度差が大きい。特に中国の北京のように、夏と冬の気温差が40度近くもあるところも存在する。
冬の寒さが厳しい気候なので、人々は寒さ対策を行ってきた。朝鮮半島のオンドルはその典型例である。春から夏にかけては比較的温暖なので、その時期に小麦を栽培することが多い。特にロシア南部の黒土地帯は世界有数の小麦生産地帯である。また、寒さに強い、カブ・ソバ・ライ麦・ジャガイモの生産も盛んである。また、タイガは豊かな針葉樹林地帯であるので、林業も盛んである。
この気候に属する主な都市は、札幌(日本)、ペキン(中国)、モスクワ(ロシア)である。
細かくは、亜寒帯には亜寒帯冬季少雨気候や亜寒帯湿潤気候などがあるが、中学校ではあまりこの区別は重要ではない。
年間を通して寒い場所であり、氷がほとんど溶けない。ツンドラ地帯では夏の間だけは氷や雪には閉ざされないが、暑くはならず、季節ごとの温度差もあるが、真夏でさえ、気温が0度未満の地域もある。
地面が凍ってしまうので、木々は育たない。
ユーラシア大陸と北アメリカ大陸の北部、グリーンランド、南極大陸に分布する。夏でも平均気温は10度を上回ることはない。このため、樹木は育つことができず、夏にコケなどが育つ程度である。氷雪地帯では一切の植物が育たない。土地も凍りついている、永久凍土とよばれる土地に覆われている。ただし、夏の間だけ表面がとけてコケなどが育つところもあり、そうしたところをツンドラという。
細かくは、寒帯にはツンドラ地帯・氷雪地帯がある。
カナダの北部、ロシアの北部やノルウェーの北部では、寒帯の中では、比較的暖かい地域であり、夏には気温が0度を上回り、氷が溶ける場合もある。寒帯の中では、暖かいと言っても、あくまで「寒帯の中では」という限定つきであり、温帯や亜寒帯と比べると低温である。
さて、寒帯でも、夏に氷が溶ける場所では、コケや草が生える。このような夏に氷が溶けてコケや草が生えた地域をツンドラという。このような気候をツンドラ気候という。
ツンドラ地帯ではコケなどが生息しているため、トナカイなどを遊牧することで生活する人々もいる。
この気候に属する主な都市は、バロー(アメリカ合衆国アラスカ州)などであるが、人口は数千人程度である。
グリーンランドや南極大陸など、もっと寒いところでは夏でも気温が0度を大きく下回り、夏でも氷が溶けない。1年中ずっと、地面が雪や氷に覆われている。そのため、植物が育たない。農業はまったくできず、この環境の中で生きている動物も限られている。
砂漠とならんで人間が住むには非常に厳しい場所のため、大きな都市は存在しない。南極に昭和基地などの観測用基地が、またはグリーンランドなどにイヌイットの集落があるくらいである。
ちなみに、イヌイットの家のことを、イグルーと言う。 | [
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"text": "世界の国々には一年を通して暑い国もあれば、夏でも日本の冬と同じぐらいの気温にしかならない国など様々だ。また、砂漠のようにほとんど雨の降らない国や、逆に一年中たくさん雨が降る国、他にも季節によって雨の多い時期と少ない時期のある国とさまざまな特徴がある。",
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"text": "降水量の平均的な状態を捉えて特徴付けたものを気候という。ここでは、世界の気候を見ていこうと思う。なお、一部発展的な内容の用語もある。無理に覚える必要はないが、知っておくと大変便利なので、できればそちらも見てほしい。",
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"text": "世界の気候については一般的に、ドイツの気候学者ケッペンが植生に注目して気温と降水量から区分したケッペンの気候区分が用いられる。この正確な内容については高校地理Bで習うが、中学校では以下のことを理解してもらえれば十分である。",
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"text": "大陸西岸の高緯度地方(緯度40度 - 60度付近)に分布する。西ヨーロッパの多くはこの気候に属している。温暖湿潤気候などと比べると、西岸海洋性気候の気温の年間の変化は小さい。夏はあまり暑くならずすごしやすい。冬は長く寒いが、暖流からの偏西風の影響を受けるため、緯度のわりに冷え込みはきびしくない。例えばロンドンやパリは、サハリン(樺太)と同じ緯度だが、冬の平均気温は5度くらいで東京よりも少し寒いぐらいである。また、降水量は一年を通して一定である。",
"title": "温帯"
},
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"paragraph_id": 46,
"tag": "p",
"text": "落葉広葉樹や針葉樹林もあるが、牧草も育ちやすい。牧畜に適している地域であるため、農業と牧畜を組み合わせた混合農業が盛んに行われてきた。例えばフランスは小麦の生産が盛んな国であるが、チーズなどの乳製品の生産量も多い。",
"title": "温帯"
},
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"paragraph_id": 47,
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"text": "イタリアのような地中海沿岸が中心だが、南北アメリカ大陸の西側にも見られる。夏は乾燥帯なみに乾燥するが、冬には雨が降る。また、ヨーロッパ州の沿岸の場合、大西洋沿岸には暖流の北大西洋海流が流れているので、緯度の割には温かい。冬はあまり気温が下がらないため、常緑広葉樹林となる。",
"title": "温帯"
},
{
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"tag": "p",
"text": "赤土やテラロッサと呼ばれる石灰岩が風化してできた土に覆われているため、土地はあまり豊かではない。しかし、夏の強い乾燥に耐えられるオレンジ・レモンなどの柑橘類やぶどう、オリーブの生産が盛んで、雨の降る冬に小麦を栽培する。こうした農業を地中海式農業という。また、日光の少ない地域の人々が夏にやってくることも多いため、リゾート地として有名なところも多い。",
"title": "温帯"
},
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"text": "この気候に属する主な都市は、ローマ(イタリア)、アテネ(ギリシャ)、サンフランシスコ(アメリカ)である。",
"title": "温帯"
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"text": "シベリアのような気候である。冬は長く、特に真冬は寒さがとても厳しいが、夏は気温が上がり、天気が良ければかなり暑くなる。夏には気温が高くなるため、樹木も育つ。 森林には、針葉樹やシラカバなどの木々が多い。",
"title": "亜寒帯(冷帯)"
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"text": "亜寒帯での針葉樹林のことをタイガといい、これが多く分布する。",
"title": "亜寒帯(冷帯)"
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"text": "ユーラシア大陸の北部や、北アメリカ大陸の北部に多く見られる気候である。ロシアの首都のモスクワの気候も亜寒帯である。亜寒帯の分布地域は、中国北東部・朝鮮半島北部・ロシアの半分以上・アメリカ北部からカナダにかけての地域など、おおむね緯度40度以上の高緯度地域に分布する。",
"title": "亜寒帯(冷帯)"
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"text": "季節は、温帯と同様に、四季が見られるが、夏は温帯ほどではないがやはり暑くなる。また、夏は日照時間が長いため昼夜の気温差が大きいのも特徴であり、特に内陸地方では昼にかけては暑くなるが、朝夜は一転して冷え込む。冬の平均気温は0度を下回るのが普通である。",
"title": "亜寒帯(冷帯)"
},
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"text": "季節による、1年間の夏と冬との温度差が大きい。特に中国の北京のように、夏と冬の気温差が40度近くもあるところも存在する。",
"title": "亜寒帯(冷帯)"
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"text": "冬の寒さが厳しい気候なので、人々は寒さ対策を行ってきた。朝鮮半島のオンドルはその典型例である。春から夏にかけては比較的温暖なので、その時期に小麦を栽培することが多い。特にロシア南部の黒土地帯は世界有数の小麦生産地帯である。また、寒さに強い、カブ・ソバ・ライ麦・ジャガイモの生産も盛んである。また、タイガは豊かな針葉樹林地帯であるので、林業も盛んである。",
"title": "亜寒帯(冷帯)"
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"text": "この気候に属する主な都市は、札幌(日本)、ペキン(中国)、モスクワ(ロシア)である。",
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"text": "細かくは、亜寒帯には亜寒帯冬季少雨気候や亜寒帯湿潤気候などがあるが、中学校ではあまりこの区別は重要ではない。",
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"text": "年間を通して寒い場所であり、氷がほとんど溶けない。ツンドラ地帯では夏の間だけは氷や雪には閉ざされないが、暑くはならず、季節ごとの温度差もあるが、真夏でさえ、気温が0度未満の地域もある。",
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"text": "地面が凍ってしまうので、木々は育たない。",
"title": "寒帯"
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"text": "ユーラシア大陸と北アメリカ大陸の北部、グリーンランド、南極大陸に分布する。夏でも平均気温は10度を上回ることはない。このため、樹木は育つことができず、夏にコケなどが育つ程度である。氷雪地帯では一切の植物が育たない。土地も凍りついている、永久凍土とよばれる土地に覆われている。ただし、夏の間だけ表面がとけてコケなどが育つところもあり、そうしたところをツンドラという。",
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"text": "細かくは、寒帯にはツンドラ地帯・氷雪地帯がある。",
"title": "寒帯"
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"text": "カナダの北部、ロシアの北部やノルウェーの北部では、寒帯の中では、比較的暖かい地域であり、夏には気温が0度を上回り、氷が溶ける場合もある。寒帯の中では、暖かいと言っても、あくまで「寒帯の中では」という限定つきであり、温帯や亜寒帯と比べると低温である。",
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"text": "さて、寒帯でも、夏に氷が溶ける場所では、コケや草が生える。このような夏に氷が溶けてコケや草が生えた地域をツンドラという。このような気候をツンドラ気候という。",
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"text": "ツンドラ地帯ではコケなどが生息しているため、トナカイなどを遊牧することで生活する人々もいる。",
"title": "寒帯"
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"text": "この気候に属する主な都市は、バロー(アメリカ合衆国アラスカ州)などであるが、人口は数千人程度である。",
"title": "寒帯"
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{
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"text": "グリーンランドや南極大陸など、もっと寒いところでは夏でも気温が0度を大きく下回り、夏でも氷が溶けない。1年中ずっと、地面が雪や氷に覆われている。そのため、植物が育たない。農業はまったくできず、この環境の中で生きている動物も限られている。",
"title": "寒帯"
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"text": "砂漠とならんで人間が住むには非常に厳しい場所のため、大きな都市は存在しない。南極に昭和基地などの観測用基地が、またはグリーンランドなどにイヌイットの集落があるくらいである。",
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"text": "ちなみに、イヌイットの家のことを、イグルーと言う。",
"title": "寒帯"
}
]
| 世界の国々には一年を通して暑い国もあれば、夏でも日本の冬と同じぐらいの気温にしかならない国など様々だ。また、砂漠のようにほとんど雨の降らない国や、逆に一年中たくさん雨が降る国、他にも季節によって雨の多い時期と少ない時期のある国とさまざまな特徴がある。 降水量の平均的な状態を捉えて特徴付けたものを気候(きこう)という。ここでは、世界の気候を見ていこうと思う。なお、一部発展的な内容の用語もある。無理に覚える必要はないが、知っておくと大変便利なので、できればそちらも見てほしい。 | 世界の国々には一年を通して暑い国もあれば、夏でも日本の冬と同じぐらいの気温にしかならない国など様々だ。また、砂漠のようにほとんど雨の降らない国や、逆に一年中たくさん雨が降る国、他にも季節によって雨の多い時期と少ない時期のある国とさまざまな特徴がある。
降水量の平均的な状態を捉えて特徴付けたものを{{ruby|気候|きこう}}という。ここでは、世界の気候を見ていこうと思う。なお、一部発展的な内容の用語もある。無理に覚える必要はないが、知っておくと大変便利なので、できればそちらも見てほしい。
[[ファイル:Map world climate zones (simplified to 10)-blank.svg|thumb|300px|気候区分により色分けした世界地図。色と気候の関係は[[w:気候|こちら]]。]]
[[ファイル:World Köppen Map.png|thumb|300px|[[w:ケッペンの気候区分|ケッペンの気候区分]]により色分けした世界地図。細かい記号の意味は[[w:ケッペンの気候区分|こちら]]。]]
== 世界の気候について ==
世界の気候については一般的に、ドイツの気候学者[[w:ケッペン|ケッペン]]が[[w:植生|植生]]に注目して気温と降水量から区分した[[w:ケッペンの気候区分|ケッペンの気候区分]]が用いられる。この正確な内容については[[高等学校地理B/世界の自然環境|高校地理B]]で習うが、中学校では以下のことを理解してもらえれば十分である。
気候は大まかに5つに分かれ、'''{{ruby|寒帯気候|かんたいきこう}}'''、'''{{ruby|亜寒帯気候|あかんたい きこう}}'''、'''{{ruby|温帯気候|おんたいきこう}}'''、'''{{ruby|熱帯気候|ねったい きこう}}'''、'''{{ruby|乾燥帯気候|かんそうたい きこう}}'''がある。
この5つの気候は降水量を元にしてさらに細かく分けられる。
たとえば熱帯気候は、一年中降水量が多く森林の多い'''{{ruby|熱帯雨林気候|ねったいうりん きこう}}'''と、雨の多い時期と雨の少ない時期の差が大きく木々のまばらな'''サバナ気候'''に分かれる。
本記事では、まずは5つの大まかな気候から説明する。
温度のもっとも低い寒帯気候、その次に温度の低い亜寒帯気候、温度のそれほど暑すぎもなく寒すぎもない温帯気候、気温が高く雨の多い熱帯気候などがある。
乾燥帯である{{ruby|砂漠|さばく}}では、普通温度が高い。だが、必ずしも乾燥帯で温度が高いとは限らない。内陸の草原地帯などは、雨が少ない地域では乾燥しているが、温度は砂漠ほどは暑くない場合もある。
乾燥帯であるかの有無は、雨の量などが関わってくるので、涼しくても雨が少なければ乾燥帯でありうる。
この他の気候もある。地域の特性によって、様々な気候がある。
たとえば南アメリカ大陸のアンデス山脈など、標高の高い地域での気候で、{{ruby|高山気候|こうざん きこう}}がある。
標高が100m増えるごとに、気温が0.6度ほど下がる。このため、標高が高いほど寒い。
== {{ruby|熱帯|ねったい}} ==
[[Image:Koppen classification worldmap A.png|thumb|right|260px|ケッペンの気候区分における熱帯の分布図]]
熱帯は、一年中、暑くて雨が多い。地域によって、'''雨季'''と'''乾季'''がある。日射量が多いため、もっとも寒い月でも平均気温が18度を下回ることがなく、一年を通して気温の変化がほとんどない。そのため、四季ははっきりしない。一年中高い気温のため、上昇気流が発生して低気圧が生まれる。この低気圧が大量の雨をもたらすため、降水量も多い。
分布場所は、おもに、赤道から北回帰線・南回帰線の間にいる。熱帯の場所では、インドネシアなどの東南アジアの島々の熱帯雨林や、南アメリカ大陸の'''アマゾン川'''の流域の'''熱帯雨林'''や、アフリカ州のケニアの草原('''サバナ''')などがある。
{{clear}}
{| class="wikitable" style="float:right;background:#fff"
|+ 熱帯の種類
! colspan="2" | '''気候名''' ||'''{{ruby|特徴|とくちょう}}''' ||'''場所'''
|-
| rowspan="2" |<SPAN STYLE="FONT-WEIGHT:NORMAL;">'''熱<br>帯'''</SPAN>
|<SPAN STYLE="FONT-WEIGHT:NORMAL;">'''熱帯雨林気候'''</SPAN>
|年中、雨が多い。<br>密林。||アマゾン川流域<br />東南アジアなど
|-
|<SPAN STYLE="FONT-WEIGHT:NORMAL;">'''サバナ気候'''</SPAN>
|雨季と乾季がある。<br>サバナという長い草の草原。||アフリカのケニア
|-
|}
熱帯は2つに分かれる。年中、雨が多く、森林が多く広葉樹のしげる'''熱帯雨林気候'''が一つ。もう一つは、雨季と乾季があり、木々はまばらで、草地('''サバナ''')の多い'''サバナ気候'''にである。長い草が多くなる。
熱帯での農業では、米やカカオ(チョコレートの原料)や綿花など、成長期に多くの雨や水を必要とする作物が作られる事が多い。
=== 熱帯雨林気候 ===
[[Image:ClimateSingaporeSingapore.png|thumb|left|200px|シンガポールの雨温図]]
赤道直下の地域に分布していて年中多雨で気温の年較差は少ない。午後からはスコールと呼ばれる激しい雨が降る。数十メートルの高さまでになる多種類の熱帯性植物がうっそうと{{ruby|茂|しげ|}}っておりこのような森林を'''{{ruby|熱帯雨林|ねったいうりん}}'''(tropical rainforest <ref>ターゲット編集部『英単語ターゲット1400 <nowiki>[5訂版]</nowiki>』、旺文社、2021年1月24日、P.362</ref>)と呼ぶ。
一年を通して高温多湿となるので、人々の衣服や住居は湿気を上手く逃がすようなものになっている。たくさんの雨が降るためにラテライトと呼ばれる鉱石の混じったやせた赤土に地面が覆われ、農業には向かない。しかし、{{ruby|焼畑農業|やきはた のうぎょう}}によって、キャッサバやタロイモ、ヤムイモの生産が伝統的に行われてきた。現在は'''プランテーション'''による天然ゴム・アブラヤシ・カカオの生産も盛んに行われているが、もともと農業に向かない土地であるため、プランテーションによる農業が熱帯雨林の破壊をもたらしている面もある。
この気候に属する、主な都市はシンガポール(シンガポール)、ジャカルタ(インドネシア)、クアラルンプール(マレーシア)である。
=== サバナ気候 ===
[[Image:ClimateBangkokThailand.PNG|thumb|left|200px|バンコクの雨温図]]
南回帰線から北回帰線の間の多くの地域に分布する。夏は雨の多い雨季となるが、冬は雨の降らない乾季になる。丈の高い草原の中に乾燥に強い樹木がまばらに生える、'''サバナ'''とよばれる草原が多く見られる。
人々の生活や農業は熱帯雨林気候と大体同じだが、ガンジス川の河口のバングラデシュや、メコン川流域のベトナム南部・カンボジア、チャオプラヤ川流域のタイなどでは米の二期作が行われており、生産量も多い。
この気候に属する主な都市は、ホーチミン(ベトナム)、バンコク(タイ)、リオデジャネイロ(ブラジル)である。
{{clear}}
== {{ruby|乾燥帯|かんそうたい}} ==
{| class="wikitable" style="float:right;background:#fff"
|+ 乾燥帯の種類
! colspan="2" | '''気候名''' ||'''{{ruby|特徴|とくちょう}}''' ||'''場所'''
|-
| rowspan="2" |<SPAN STYLE="FONT-WEIGHT:NORMAL;">'''乾<br />燥<br />帯'''</SPAN>
|<SPAN STYLE="FONT-WEIGHT:NORMAL;">'''砂漠気候'''</SPAN>
|雨がとても少ない。<br>わき水のオアシスしか水がない。||アラビア半島<br />アフリカ北部
|-
|<SPAN STYLE="FONT-WEIGHT:NORMAL;">'''ステップ気候'''</SPAN>
|雨が少しだけ降る。<br>ステップという短い草の草原。||砂漠の周辺<br />モンゴルなど
|}
降水量は非常に少ない。そのため、森林が育たない。雨が少なすぎて植物のまったく育たない{{ruby|砂漠気候
|さばく}}と、少しは雨が降るので草などにかぎり植物が育つステップ気候に分けられる。
年間・一日ともに気温差が大きい。回帰線近くの地域では夏は非常に暑く50度近くになることもあるが、冬は20度程度となる。比較的高緯度の地域では冬の気温が氷点下になることも珍しくない。内陸の草原地帯などは、雨が少ない地域では乾燥しているが、温度は砂漠ほどは暑くない場合もある。乾燥帯であるかの有無は、雨の量などが関わってくるので、すずしくても雨が少なければ乾燥帯の場合もある。
乾燥帯での農業は、砂漠・ステップともに、雨が少ないので、あまり盛んでは無いが、もし農業をする場合には、小麦などのやや乾燥に強い作物を育てる事が多い。
=== 砂漠気候 ===
[[Image:ClimateCairoEgypt.PNG|thumb|left|200px|カイロの雨温図]]
[[Image:Koppen classification worldmap BWh.png|thumb|right|260px|none|砂漠気候の世界的な分布(BWh)]]
[[Image:Koppen classification worldmap BWk.png|thumb|right|260px|none|砂漠気候の世界的な分布(BWk)]]
年間を通して雨はほとんど降らないため、植物は自生できない。このため、砂や岩石が広がる土地となっている。しかし、川の流域や'''オアシス'''とよばれる湧き水のあるところでは植物が自生することができる。
人々は強い日差しと砂嵐とよばれる砂を含む強い風を避けるために、体を覆う服を身に着ける。降水量が非常に少ないため、人々が生活する場所は川の流域や湧き水のあるところに限られており、そこではカレーズと呼ばれる地下水路で水を運んで農業を行ってきた。また、オアシスや大河の流域には交易の重要拠点となったところもあり、そこでは商業も盛んに行われてきた。砂漠の農業は、オアシスの周辺で行われ、小麦やなつめやしなどを育てる事が多い。
この気候に属する主な都市は、バグダッド(イラク)、ドバイ(アラブ首長国連邦)、カイロ(エジプト)である。
乾燥帯の分布場所は、主に緯度20度 〜 40度付近に分布する。
{{clear}}
=== ステップ気候 ===
[[Image:Koppen classification worldmap BSh.png|thumb|260px|left|ステップ気候の世界的な分布(BSh)]]
[[Image:Koppen classification worldmap BSk.png|thumb|260px|left|ステップ気候の世界的な分布(BSk)]]
雨は少ないとはいえ、雨季には雨も降るため、ステップと呼ばれる丈の低い草の生える草原が広がる。
ステップ気候の位置は、砂漠の周辺にあることが多い。アフリカのサハラ砂漠の周辺や、アラビア半島の砂漠の周辺にも、ステップ気候の地域がある。
分布場所は、おもに砂漠気候からサバナ気候・温帯への移行地域に分布している。
また、モンゴルのような大陸の内陸でも、雨雲が届かず、雨が少ないので、ステップ気候である事が多い。
ステップ気候の住民の伝統的な生活では、山羊や羊などの家畜をともなって'''遊牧'''をしている事が多い。季節によって、草や水が多いところを求めて移動するからである。家畜の食べ物には、草を食べさせる。川や湖の近くでは農業や放牧・遊牧が行われてきた。しかし、近年では過剰な放牧や農地の拡大によって水がなくなったり、草が生えなくなったりして砂漠化が進んでいる地域もある。
この気候に属する主な都市は、ラホール(パキスタン)、ダカール(セネガル)である。
{{clear}}
== {{ruby|温帯|おんたい}} ==
{| class="wikitable" style="float:right;background:#fff"
|+ 温帯の種類
! colspan="2" | '''気候名''' ||'''{{ruby|特徴|とくちょう}}''' ||'''場所'''
|-
| rowspan="3" |<SPAN STYLE="FONT-WEIGHT:NORMAL;">'''温<br />帯'''</SPAN>
|<SPAN STYLE="FONT-WEIGHT:NORMAL;">'''温暖湿潤気候'''</SPAN>
|季節風(モンスーン)がある。<br />夏は高温で雨が多い。冬は低温。<br>降水量は多い。||東アジア<br />北アメリカ南東部<br />南アメリカ南東部(パンパ)
|-
|<SPAN STYLE="FONT-WEIGHT:NORMAL;">'''西岸海洋性気候'''</SPAN>
|偏西風の影響で緯度のわりに気温は高め。<br />季節による温度差は温帯の中では小さい。<br>||ヨーロッパ州の西岸<br />北アメリカ州の西岸<br />オーストラリア南東部
|-
|<SPAN STYLE="FONT-WEIGHT:NORMAL;">'''地中海性気候'''</SPAN>
|夏は暑くて乾燥する。<br>冬は雨が多く降る。||イタリアなどの<br />地中海沿岸地域
|}
もっとも寒い時期でも氷点下になることは少ないが、夏は地域によっては熱帯と同じぐらいの暑さになることがある。このため、四季の変化に富み、多くの動物・植物が生息する。気温・降水量共に農業に適していることから、古代から現代に至るまで農業や産業の発展した地域が多い。
雨の降りかたなどによって、気候の区分が、次の3つの、'''{{ruby|温暖湿潤気候|おんだん しつじゅん きこう}}'''、'''{{ruby|西岸海洋性気候|せいがん かいようせい きこう}}'''、'''{{ruby|地中海性気候|ちちゅうかいせい きこう}}'''に分けられる。
* '''温暖湿潤気候'''
温帯の中でも日本のように、1年間を通して気温の変化が大きく、降水量も多い気候を'''温暖湿潤気候'''とよぶ。
* '''西岸海洋性気候'''
ヨーロッパの大西洋沿岸では、偏西風の影響のため、1年間を通して降水量の変化が小さい。このヨーロッパの大西洋沿岸の一帯のような気候のことを'''西岸海洋性気候'''(せいがん かいようせい きこう)という。日本では道南地方の室蘭市と日高地方で分布している。一年間を通して、雨が降る。
* '''地中海性気候'''
イタリアなどの、ヨーロッパ州とアフリカ州の間にある地中海の周辺の国に多い気候である。夏には乾燥するが、冬は偏西風のために雨が降る。
=== 温暖湿潤気候 ===
[[Image:ClimateTokyoJapan.png|thumb|200px|left|東京の雨温図]]
[[Image:Subtropicworldmap.png|thumb|260px|温暖湿潤気候の世界的な分布]]
温帯モンスーン気候または温帯湿潤気候ということもある。主に中緯度の大陸東岸に分布する。
この気候に属する主な都市は、東京(日本)、シャンハイ(中国)、ブエノスアイレス(アルゼンチン)である。
季節風の影響を強く受けるため、温帯の中で四季の変化が、もっともはっきりしている。
日本や、周辺の東アジア諸国での温暖湿潤気候での季節ごとに変化する原因は、季節によって風向きが変わる'''{{ruby|季節風|きせつふう}}'''が気候に影響を与えるためである。
夏は低緯度の海からの風を受けるために高温多湿となるが、冬は高緯度の大陸からの風を受けるために乾燥した寒い季節となる(しかし、0度を下回ることは少ない)。また、夏には台風のような[[w:熱帯低気圧|熱帯低気圧]]に襲われることもある。
夏は暑く、冬は寒いので、ここに住む人々はそれぞれの季節にあうような生活スタイルを作っていった。例えば日本の伝統的な衣服は夏は涼しく、冬は暖かくなるような素材が好まれた。豊かな水と適度な気温のため、農業に適している。日本などの東アジア周辺では米作りが盛んである。バナナなどの暑い気候でしか作れないものなど以外は、ほとんど栽培可能。
温帯の植物は、いっぱんに、広葉樹林と針葉樹林が混合している。
また、アルゼンチンのパンパ・アメリカのプレーリーのように豊かな草原地帯もある。パンパやプレーリーでは放牧も盛んに行われている。
{{clear}}
=== 西岸海洋性気候 ===
[[画像:German Climate Stuttgart.png|thumb|left|200px|シュツットガルト(Cfb)の雨温図]]
[[画像:Koppen classification worldmap CfbCfc.png|thumb|260px|西岸海洋性気候の地域の世界的な分布]]
この気候に属する主な都市は、ロンドン(イギリス)、パリ(フランス)、メルボルン(オーストラリア)である。ちなみに日本でも北海道の室蘭市と日高地方が属している。
大陸西岸の高緯度地方(緯度40度 - 60度付近)に分布する。西ヨーロッパの多くはこの気候に属している。温暖湿潤気候などと比べると、西岸海洋性気候の気温の年間の変化は小さい。夏はあまり暑くならずすごしやすい。冬は長く寒いが、暖流からの'''{{ruby|偏西風|へんせいふう}}'''の影響を受けるため、緯度のわりに冷え込みはきびしくない。例えばロンドンやパリは、サハリン(樺太)と同じ緯度だが、冬の平均気温は5度くらいで東京よりも少し寒いぐらいである。また、降水量は一年を通して一定である。
落葉広葉樹や針葉樹林もあるが、牧草も育ちやすい。牧畜に適している地域であるため、農業と牧畜を組み合わせた混合農業が盛んに行われてきた。例えばフランスは小麦の生産が盛んな国であるが、チーズなどの乳製品の生産量も多い。
{{clear}}
=== 地中海性気候 ===
[[ファイル:Climograma Santiago.png|thumb|left|200px|サンティアゴの雨温図]]
[[ファイル:KoppenclassificationworldmapCs.png|thumb|260px|地中海性気候 (Cs) の世界的な分布]]
イタリアのような地中海沿岸が中心だが、南北アメリカ大陸の西側にも見られる。夏は乾燥帯なみに乾燥するが、冬には雨が降る。また、ヨーロッパ州の沿岸の場合、大西洋沿岸には暖流の北大西洋海流が流れているので、緯度の割には温かい。冬はあまり気温が下がらないため、{{ruby|常緑広葉樹林|じょうりょくこうようじゅりん}}となる。
赤土やテラロッサと呼ばれる石灰岩が風化してできた土に覆われているため、土地はあまり豊かではない。しかし、夏の強い乾燥に耐えられるオレンジ・レモンなどの柑橘類やぶどう、オリーブの生産が盛んで、雨の降る冬に小麦を栽培する。こうした農業を{{ruby|地中海式農業|ちちゅうかいしきのうぎょう}}という。また、日光の少ない地域の人々が夏にやってくることも多いため、リゾート地として有名なところも多い。
この気候に属する主な都市は、ローマ(イタリア)、アテネ(ギリシャ)、サンフランシスコ(アメリカ)である。
{{clear}}
== {{ruby|亜寒帯|あかんたい}}({{ruby|冷帯|れいたい}}) ==
{| class="wikitable" style="float:right;background:#fff"
|+ 寒帯と亜寒帯の種類
! colspan="2" | '''気候名''' ||'''{{ruby|特徴|とくちょう}}''' ||'''場所'''
|-
| colspan="2" | <SPAN STYLE="FONT-WEIGHT:NORMAL;">'''亜寒帯(冷帯)'''</SPAN>
|タイガ。針葉樹。<br>冬は長くて寒く、特に真冬はかなり低温となるが、<br>夏は比較的暑い。||シベリア中部、<br>アラスカ中部、<br>カナダ中部など
|-
| rowspan="2" |<SPAN STYLE="FONT-WEIGHT:NORMAL;">'''寒<br>帯'''</SPAN>
|<SPAN STYLE="FONT-WEIGHT:NORMAL;">'''ツンドラ気候'''</SPAN>
|ツンドラ。コケ類。<br>地中は永久凍土。||シベリア北部、<br>アラスカ北部、<br>カナダ北部など
|-
|<SPAN STYLE="FONT-WEIGHT:NORMAL;">'''氷雪気候'''</SPAN>
|年中、氷雪。<br>植物は育たない。||南極大陸や北極
|}
[[Image:ClimateMoscowRussia.PNG|thumb|left|200px|モスクワの雨温図]]
[[Image:Koppen classification worldmap Dw.png|thumb|left|260px|亜寒帯冬季少雨気候 (Dw) の世界的な分布]]
[[Image:Koppen classification worldmap Df.png|thumb|260px|亜寒帯湿潤気候 (Df) の世界的な分布]]
シベリアのような気候である。冬は長く、特に真冬は寒さがとても厳しいが、夏は気温が上がり、天気が良ければかなり暑くなる。夏には気温が高くなるため、樹木も育つ。
森林には、針葉樹やシラカバなどの木々が多い。
亜寒帯での針葉樹林のことを'''タイガ'''といい、これが多く分布する。
ユーラシア大陸の北部や、北アメリカ大陸の北部に多く見られる気候である。ロシアの首都のモスクワの気候も亜寒帯である。亜寒帯の分布地域は、中国北東部・朝鮮半島北部・ロシアの半分以上・アメリカ北部からカナダにかけての地域など、おおむね緯度40度以上の高緯度地域に分布する。
季節は、温帯と同様に、四季が見られるが、夏は温帯ほどではないがやはり暑くなる。また、夏は日照時間が長いため昼夜の気温差が大きいのも特徴であり、特に内陸地方では昼にかけては暑くなるが、朝夜は一転して冷え込む。冬の平均気温は0度を下回るのが普通である。
季節による、1年間の夏と冬との温度差が大きい。特に中国の北京のように、夏と冬の気温差が40度近くもあるところも存在する。
冬の寒さが厳しい気候なので、人々は寒さ対策を行ってきた。朝鮮半島の[[w:オンドル|オンドル]]はその典型例である。春から夏にかけては比較的温暖なので、その時期に小麦を栽培することが多い。特にロシア南部の黒土地帯は世界有数の小麦生産地帯である。また、寒さに強い、カブ・ソバ・ライ麦・ジャガイモの生産も盛んである。また、タイガは豊かな針葉樹林地帯であるので、林業も盛んである。
この気候に属する主な都市は、札幌(日本)、ペキン(中国)、モスクワ(ロシア)である。
細かくは、亜寒帯には{{ruby|亜寒帯冬季少雨気候|あかんたいとうきしょううきこう}}や{{ruby|亜寒帯湿潤気候|あかんたいしつじゅんきこう}}などがあるが、中学校ではあまりこの区別は重要ではない。
{{clear}}
== {{ruby|寒帯|かんたい}} ==
[[Image:Koppen classification worldmap ET.png|thumb|left|260px|ツンドラ気候(ET)の世界的な分布]]
[[Image:Koppen classification worldmap EF.png|thumb|left|260px|氷雪気候(EF)の世界的な分布]]
年間を通して寒い場所であり、氷がほとんど溶けない。'''ツンドラ地帯'''では夏の間だけは氷や雪には閉ざされないが、暑くはならず、季節ごとの温度差もあるが、真夏でさえ、気温が0度未満の地域もある。
地面が凍ってしまうので、木々は育たない。
ユーラシア大陸と北アメリカ大陸の北部、グリーンランド、南極大陸に分布する。夏でも平均気温は10度を上回ることはない。このため、樹木は育つことができず、夏にコケなどが育つ程度である。氷雪地帯では一切の植物が育たない。土地も凍りついている、永久凍土とよばれる土地に覆われている。ただし、夏の間だけ表面がとけてコケなどが育つところもあり、そうしたところを'''ツンドラ'''という。
細かくは、寒帯にはツンドラ地帯・氷雪地帯がある。
=== ツンドラ気候 ===
カナダの北部、ロシアの北部やノルウェーの北部では、寒帯の中では、比較的暖かい地域であり、夏には気温が0度を上回り、氷が溶ける場合もある。寒帯の中では、暖かいと言っても、あくまで「寒帯の中では」という限定つきであり、温帯や亜寒帯と比べると低温である。
さて、寒帯でも、夏に氷が溶ける場所では、コケや草が生える。このような夏に氷が溶けてコケや草が生えた地域を'''ツンドラ'''という。このような気候をツンドラ気候という。
ツンドラ地帯ではコケなどが生息しているため、トナカイなどを遊牧することで生活する人々もいる。
この気候に属する主な都市は、バロー(アメリカ合衆国アラスカ州)などであるが、人口は数千人程度である。
=== 氷雪気候 ===
グリーンランドや{{ruby|南極大陸|なんきょくたいりく}}など、もっと寒いところでは夏でも気温が0度を大きく下回り、夏でも氷が溶けない。1年中ずっと、地面が雪や氷に覆われている。そのため、植物が育たない。農業はまったくできず、この環境の中で生きている動物も限られている。
砂漠とならんで人間が住むには非常に厳しい場所のため、大きな都市は存在しない。南極に昭和基地などの{{ruby|観測用基地|かんそくようきち}}が、またはグリーンランドなどにイヌイットの集落があるくらいである。
ちなみに、イヌイットの家のことを、'''イグル'''ーと言う。
[[カテゴリ:中学校地理|きこう]]
[[カテゴリ:気候]] | 2018-06-30T15:30:23Z | 2023-12-05T13:54:37Z | [
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| https://ja.wikibooks.org/wiki/%E4%B8%AD%E5%AD%A6%E6%A0%A1%E7%A4%BE%E4%BC%9A_%E5%9C%B0%E7%90%86/%E4%B8%96%E7%95%8C%E3%81%AE%E6%B0%97%E5%80%99 |
24,246 | 公認会計士試験/平成30年第I回短答式/企業法/問題13 | 指名委員会等設置会社以外の取締役会設置会社に関する次の記述のうち,正しいものの組合せとして最も適切な番号を一つ選びなさい。なお,定款に別段の定めはないものとする。(5点)
ア.取締役の氏名及び住所は登記事項である。
イ.代表取締役の解職は,取締役会の決議によって行われる。
ウ.取締役会は,取締役会の招集通知に記載された会議の目的事項以外の事項について決議をすることができる。
エ.取締役会は,取締役会を招集する取締役を定めなければならない。
4
ア.取締役の氏名及び住所は登記事項である。代表取締役と代表執行役の氏名及び住所は登記事項である。911条3項13号14号23号ハ
イ.代表取締役の解職は,取締役会の決議によって行われる。362条2項3号399条の13第1項3号
ウ.取締役会は,取締役会の招集通知に記載された会議の目的事項以外の事項について決議をすることができる。369条1項309条5項本文
エ.取締役会は,取締役会を招集する取締役を定めなければならない。定める必要はない。366条1項 | [
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| null | : [[../問題12|←前の問題]]
: [[../問題14|次の問題→]]
== 問題 ==
指名委員会等設置会社以外の取締役会設置会社に関する次の記述のうち,正しいものの組合せとして最も適切な番号を一つ選びなさい。なお,定款に別段の定めはないものとする。(5点)
<div style="text-indent:-1em;margin-left:1em;">
ア.取締役の氏名及び住所は登記事項である。
イ.代表取締役の解職は,取締役会の決議によって行われる。
ウ.取締役会は,取締役会の招集通知に記載された会議の目的事項以外の事項について決議をすることができる。
エ.取締役会は,取締役会を招集する取締役を定めなければならない。
</div>
<div style="column-count:6;">
:1.アイ
:2.アウ
:3.アエ
:4.イウ
:5.イエ
:6.ウエ
</div>
== 正解 ==
4
== 解説 ==
<div style="text-indent:-1em;margin-left:1em;">
ア.取締役の氏名<s>及び住所</s>は登記事項である。<ins>代表取締役と代表執行役の氏名及び住所は登記事項である。911条3項13号14号23号ハ</ins>
イ.代表取締役の解職は,取締役会の決議によって行われる。<ins>362条2項3号399条の13第1項3号</ins>
ウ.取締役会は,取締役会の招集通知に記載された会議の目的事項以外の事項について決議をすることができる。<ins>369条1項309条5項本文</ins>
エ.取締役会は,取締役会を招集する取締役を<s>定めなければならない。</s><ins>定める必要はない。366条1項</ins>
</div>
== 参照法令等 ==
* [http://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=417AC0000000086#2171 会社法]
: [[../問題12|←前の問題]]
: [[../問題14|次の問題→]]
[[カテゴリ:企業法]] | null | 2022-11-29T05:13:21Z | []
| https://ja.wikibooks.org/wiki/%E5%85%AC%E8%AA%8D%E4%BC%9A%E8%A8%88%E5%A3%AB%E8%A9%A6%E9%A8%93/%E5%B9%B3%E6%88%9030%E5%B9%B4%E7%AC%ACI%E5%9B%9E%E7%9F%AD%E7%AD%94%E5%BC%8F/%E4%BC%81%E6%A5%AD%E6%B3%95/%E5%95%8F%E9%A1%8C13 |
24,247 | 公認会計士試験/平成30年第I回短答式/企業法/問題14 | 株式会社の計算に関する次の記述のうち,正しいものの組み合わせとして最も適切な番号を一つ選びなさい。(5点)
ア.株式会社は,資本金及び準備金の額を登記しなければならない。
イ.株式会社は,その処分する自己株式を引き受ける者を募集する場合において,株主となる者が当該株式会社に対して払込み又は給付をした財産の額の2分の1以上の額を資本金として計上しなければならない。
ウ.株式会社が剰余金の額を減少して準備金の額を増加する場合,法定事項の決定は株主総会の決議によらなければならない。
エ.株式会社が資本金の額を減少する場合,減少する資本金の額は,当該資本金の額の減少がその効力を生ずる日における資本金の額を超えてはならない。
6
ア.株式会社は,資本金及び準備金の額を登記しなければならない。911条3項5号
イ.株式会社は,その処分する自己株式を引き受ける者を募集する場合において設立又は株式の発行に際して,株主となる者が当該株式会社に対して払込み又は給付をした財産の額の2分の1以上の額を資本金として計上しなければならない。445条1項2項
ウ.株式会社が剰余金の額を減少して準備金の額を増加する場合,法定事項の決定は株主総会の決議によらなければならない。451条1項2項
エ.株式会社が資本金の額を減少する場合,減少する資本金の額は,当該資本金の額の減少がその効力を生ずる日における資本金の額を超えてはならない。447条2項 | [
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]
| null | : [[../問題13|←前の問題]]
: [[../問題15|次の問題→]]
== 問題 ==
株式会社の計算に関する次の記述のうち,正しいものの組み合わせとして最も適切な番号を一つ選びなさい。(5点)
<div style="text-indent:-1em;margin-left:1em;">
ア.株式会社は,資本金及び準備金の額を登記しなければならない。
イ.株式会社は,その処分する自己株式を引き受ける者を募集する場合において,株主となる者が当該株式会社に対して払込み又は給付をした財産の額の2分の1以上の額を資本金として計上しなければならない。
ウ.株式会社が剰余金の額を減少して準備金の額を増加する場合,法定事項の決定は株主総会の決議によらなければならない。
エ.株式会社が資本金の額を減少する場合,減少する資本金の額は,当該資本金の額の減少がその効力を生ずる日における資本金の額を超えてはならない。
</div>
<div style="column-count:6;">
:1.アイ
:2.アウ
:3.アエ
:4.イウ
:5.イエ
:6.ウエ
</div>
== 正解 ==
6
== 解説 ==
<div style="text-indent:-1em;margin-left:1em;">
ア.株式会社は,資本金<s>及び準備金</s>の額を登記しなければならない。<ins>911条3項5号</ins>
イ.株式会社は,<s>その処分する自己株式を引き受ける者を募集する場合において</s><ins>設立又は株式の発行に際して</ins>,株主となる者が当該株式会社に対して払込み又は給付をした財産の額の2分の1以上の額を資本金として計上しなければならない。<ins>445条1項2項</ins>
ウ.株式会社が剰余金の額を減少して準備金の額を増加する場合,法定事項の決定は株主総会の決議によらなければならない。<ins>451条1項2項</ins>
エ.株式会社が資本金の額を減少する場合,減少する資本金の額は,当該資本金の額の減少がその効力を生ずる日における資本金の額を超えてはならない。<ins>447条2項</ins>
</div>
== 参照法令等 ==
* [http://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=417AC0000000086#3220 会社法]
: [[../問題13|←前の問題]]
: [[../問題15|次の問題→]]
[[カテゴリ:企業法]] | null | 2022-11-29T05:13:24Z | []
| https://ja.wikibooks.org/wiki/%E5%85%AC%E8%AA%8D%E4%BC%9A%E8%A8%88%E5%A3%AB%E8%A9%A6%E9%A8%93/%E5%B9%B3%E6%88%9030%E5%B9%B4%E7%AC%ACI%E5%9B%9E%E7%9F%AD%E7%AD%94%E5%BC%8F/%E4%BC%81%E6%A5%AD%E6%B3%95/%E5%95%8F%E9%A1%8C14 |
24,248 | 公認会計士試験/平成30年第I回短答式/企業法/問題15 | 株式会社の行為に関する次の記述のうち,当該行為により株主に対して交付する金銭等(当該株式会社の株式を除く。)の帳簿価額の総額が,当該行為がその効力を生ずる日における分配可能額を超えてはならないとされるものの組み合わせとして最も適切な番号を一つ選びなさい。(5点)
ア.株式会社が,その子会社の有する当該株式会社の株式を取得する行為
イ.株式会社が,他の会社の事業の全部を譲り受ける場合において,当該他の会社が有する当該株式会社の株式を取得する行為
ウ.相続により株式会社の譲渡制限株式を取得した者に対し,当該株式会社が,定款の定め及び株主総会の決議に基づき,当該株式を当該株式会社に売り渡すことを請求した場合において,当該請求に基づき,当該株式会社が当該株式を買い取る行為
エ.株式会社が,株主の請求により,その有する単元未満株式を買い取る行為
2
ア.株式会社が,その子会社の有する当該株式会社の株式を取得する行為461条1項2号163条
イ.株式会社が,他の会社の事業の全部を譲り受ける場合において,当該他の会社が有する当該株式会社の株式を取得する行為155条10号
ウ.相続により株式会社の譲渡制限株式を取得した者に対し,当該株式会社が,定款の定め及び株主総会の決議に基づき,当該株式を当該株式会社に売り渡すことを請求した場合において,当該請求に基づき,当該株式会社が当該株式を買い取る行為461条1項5号176条1項
エ.株式会社が,株主の請求により,その有する単元未満株式を買い取る行為192条1項 | [
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"text": "株式会社の行為に関する次の記述のうち,当該行為により株主に対して交付する金銭等(当該株式会社の株式を除く。)の帳簿価額の総額が,当該行為がその効力を生ずる日における分配可能額を超えてはならないとされるものの組み合わせとして最も適切な番号を一つ選びなさい。(5点)",
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| null | : [[../問題14|←前の問題]]
: [[../問題16|次の問題→]]
== 問題 ==
株式会社の行為に関する次の記述のうち,当該行為により株主に対して交付する金銭等(当該株式会社の株式を除く。)の帳簿価額の総額が,当該行為がその効力を生ずる日における分配可能額を超えてはならないとされるものの組み合わせとして最も適切な番号を一つ選びなさい。(5点)
<div style="text-indent:-1em;margin-left:1em;">
ア.株式会社が,その子会社の有する当該株式会社の株式を取得する行為
イ.株式会社が,他の会社の事業の全部を譲り受ける場合において,当該他の会社が有する当該株式会社の株式を取得する行為
ウ.相続により株式会社の譲渡制限株式を取得した者に対し,当該株式会社が,定款の定め及び株主総会の決議に基づき,当該株式を当該株式会社に売り渡すことを請求した場合において,当該請求に基づき,当該株式会社が当該株式を買い取る行為
エ.株式会社が,株主の請求により,その有する単元未満株式を買い取る行為
</div>
<div style="column-count:6;">
:1.アイ
:2.アウ
:3.アエ
:4.イウ
:5.イエ
:6.ウエ
</div>
== 正解 ==
2
== 解説 ==
<div style="text-indent:-1em;margin-left:1em;">
ア.株式会社が,その子会社の有する当該株式会社の株式を取得する行為<ins>461条1項2号163条</ins>
イ.<s>株式会社が,他の会社の事業の全部を譲り受ける場合において,当該他の会社が有する当該株式会社の株式を取得する行為</s><ins>155条10号</ins>
ウ.相続により株式会社の譲渡制限株式を取得した者に対し,当該株式会社が,定款の定め及び株主総会の決議に基づき,当該株式を当該株式会社に売り渡すことを請求した場合において,当該請求に基づき,当該株式会社が当該株式を買い取る行為<ins>461条1項5号176条1項</ins>
エ.<s>株式会社が,株主の請求により,その有する単元未満株式を買い取る行為</s><ins>192条1項</ins>
</div>
== 参照法令等 ==
* [http://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=417AC0000000086#3332 会社法]
: [[../問題14|←前の問題]]
: [[../問題16|次の問題→]]
[[カテゴリ:企業法]] | null | 2022-11-29T05:13:28Z | []
| https://ja.wikibooks.org/wiki/%E5%85%AC%E8%AA%8D%E4%BC%9A%E8%A8%88%E5%A3%AB%E8%A9%A6%E9%A8%93/%E5%B9%B3%E6%88%9030%E5%B9%B4%E7%AC%ACI%E5%9B%9E%E7%9F%AD%E7%AD%94%E5%BC%8F/%E4%BC%81%E6%A5%AD%E6%B3%95/%E5%95%8F%E9%A1%8C15 |
24,249 | 公認会計士試験/平成30年第I回短答式/企業法/問題16 | 社債権者集会に関する次の記述のうち,正しいものの組合せとして最も適切な番号を一つ選びなさい。(5点)
ア.社債権者集会は,法律に規定する事項及び定款で定めた事項に限り,決議をすることができる。
イ.社債権者は,社債発行会社を除き,社債権者集会において,その有する当該種類の社債の金額の合計額(償還済みの額を除く。)に応じて議決権を有する。
ウ.社債権者は,社債権者集会において,代理人によってその議決権を行使することができない。
エ.社債権者集会の決議により,社債管理者又は代表社債権者とは別に,社債権者集会の決議を執行する者を定めることができる。
5
ア.社債権者集会は,法律に規定する事項及び定款で定めた事項社債権者の利害に関する事項に限り,決議をすることができる。716条
イ.社債権者は,社債発行会社を除き,社債権者集会において,その有する当該種類の社債の金額の合計額(償還済みの額を除く。)に応じて議決権を有する。723条1項2項
ウ.社債権者は,社債権者集会において,代理人によってその議決権を行使することができない。できる。725条1項前段
エ.社債権者集会の決議により,社債管理者又は代表社債権者とは別に,社債権者集会の決議を執行する者を定めることができる。737条1項ただし書 | [
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"text": "社債権者集会に関する次の記述のうち,正しいものの組合せとして最も適切な番号を一つ選びなさい。(5点)",
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"text": "ア.社債権者集会は,法律に規定する事項及び定款で定めた事項に限り,決議をすることができる。",
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"text": "イ.社債権者は,社債発行会社を除き,社債権者集会において,その有する当該種類の社債の金額の合計額(償還済みの額を除く。)に応じて議決権を有する。",
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"text": "ウ.社債権者は,社債権者集会において,代理人によってその議決権を行使することができない。",
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"text": "エ.社債権者集会の決議により,社債管理者又は代表社債権者とは別に,社債権者集会の決議を執行する者を定めることができる。",
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"text": "イ.社債権者は,社債発行会社を除き,社債権者集会において,その有する当該種類の社債の金額の合計額(償還済みの額を除く。)に応じて議決権を有する。723条1項2項",
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"text": "ウ.社債権者は,社債権者集会において,代理人によってその議決権を行使することができない。できる。725条1項前段",
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"paragraph_id": 9,
"tag": "p",
"text": "エ.社債権者集会の決議により,社債管理者又は代表社債権者とは別に,社債権者集会の決議を執行する者を定めることができる。737条1項ただし書",
"title": "解説"
}
]
| null | : [[../問題15|←前の問題]]
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== 問題 ==
社債権者集会に関する次の記述のうち,正しいものの組合せとして最も適切な番号を一つ選びなさい。(5点)
<div style="text-indent:-1em;margin-left:1em;">
ア.社債権者集会は,法律に規定する事項及び定款で定めた事項に限り,決議をすることができる。
イ.社債権者は,社債発行会社を除き,社債権者集会において,その有する当該種類の社債の金額の合計額(償還済みの額を除く。)に応じて議決権を有する。
ウ.社債権者は,社債権者集会において,代理人によってその議決権を行使することができない。
エ.社債権者集会の決議により,社債管理者又は代表社債権者とは別に,社債権者集会の決議を執行する者を定めることができる。
</div>
<div style="column-count:6;">
:1.アイ
:2.アウ
:3.アエ
:4.イウ
:5.イエ
:6.ウエ
</div>
== 正解 ==
5
== 解説 ==
<div style="text-indent:-1em;margin-left:1em;">
ア.社債権者集会は,法律に規定する事項<s>及び定款で定めた事項</s><ins>社債権者の利害に関する事項</ins>に限り,決議をすることができる。<ins>716条</ins>
イ.社債権者は,社債発行会社を除き,社債権者集会において,その有する当該種類の社債の金額の合計額(償還済みの額を除く。)に応じて議決権を有する。<ins>723条1項2項</ins>
ウ.社債権者は,社債権者集会において,代理人によってその議決権を行使することが<s>できない。</s><ins>できる。725条1項前段</ins>
エ.社債権者集会の決議により,社債管理者又は代表社債権者とは別に,社債権者集会の決議を執行する者を定めることができる。<ins>737条1項ただし書</ins>
</div>
== 参照法令等 ==
* [http://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=417AC0000000086#47172 会社法]
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[[カテゴリ:企業法]] | null | 2022-11-29T05:13:31Z | []
| https://ja.wikibooks.org/wiki/%E5%85%AC%E8%AA%8D%E4%BC%9A%E8%A8%88%E5%A3%AB%E8%A9%A6%E9%A8%93/%E5%B9%B3%E6%88%9030%E5%B9%B4%E7%AC%ACI%E5%9B%9E%E7%9F%AD%E7%AD%94%E5%BC%8F/%E4%BC%81%E6%A5%AD%E6%B3%95/%E5%95%8F%E9%A1%8C16 |
24,250 | 公認会計士試験/平成30年第I回短答式/企業法/問題17 | 組織変更に関する次の記述のうち,正しいものの組合せとして最も適切な番号を一つ選びなさい。(5点)
ア.合名会社を合資会社とする会社の種類の変更は,会社法上の組織変更に当たる。
イ.組織変更をする株式会社は,効力発生日の前日までに,組織変更計画について株主総会の特別決議による承認を受けなければならない。
ウ.株式会社が組織変更をする場合には,組織変更をする株式会社の新株予約権の新株予約権者は,当該株式会社に対し,自己の有する新株予約権を公正な価格で買い取ることを請求することができる。
エ.組織変更をする合名会社の債権者は,当該合名会社に対し,組織変更について異議を述べることができる。
6
ア.合名会社を合資会社とする会社の種類の変更は,会社法上の組織変更に当たる。当たらない。2条26号638条1項
イ.組織変更をする株式会社は,効力発生日の前日までに,組織変更計画について株主総会の特別決議による承認を受けなければならない。総株主の同意を得なければならない。776条1項
ウ.株式会社が組織変更をする場合には,組織変更をする株式会社の新株予約権の新株予約権者は,当該株式会社に対し,自己の有する新株予約権を公正な価格で買い取ることを請求することができる。777条1項
エ.組織変更をする合名会社の債権者は,当該合名会社に対し,組織変更について異議を述べることができる。781条2項,779条1項 | [
{
"paragraph_id": 0,
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"text": "組織変更に関する次の記述のうち,正しいものの組合せとして最も適切な番号を一つ選びなさい。(5点)",
"title": "問題"
},
{
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"text": "ア.合名会社を合資会社とする会社の種類の変更は,会社法上の組織変更に当たる。",
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},
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},
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"text": "ウ.株式会社が組織変更をする場合には,組織変更をする株式会社の新株予約権の新株予約権者は,当該株式会社に対し,自己の有する新株予約権を公正な価格で買い取ることを請求することができる。",
"title": "問題"
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"text": "エ.組織変更をする合名会社の債権者は,当該合名会社に対し,組織変更について異議を述べることができる。",
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"title": "正解"
},
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"text": "ア.合名会社を合資会社とする会社の種類の変更は,会社法上の組織変更に当たる。当たらない。2条26号638条1項",
"title": "解説"
},
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"text": "イ.組織変更をする株式会社は,効力発生日の前日までに,組織変更計画について株主総会の特別決議による承認を受けなければならない。総株主の同意を得なければならない。776条1項",
"title": "解説"
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"text": "ウ.株式会社が組織変更をする場合には,組織変更をする株式会社の新株予約権の新株予約権者は,当該株式会社に対し,自己の有する新株予約権を公正な価格で買い取ることを請求することができる。777条1項",
"title": "解説"
},
{
"paragraph_id": 9,
"tag": "p",
"text": "エ.組織変更をする合名会社の債権者は,当該合名会社に対し,組織変更について異議を述べることができる。781条2項,779条1項",
"title": "解説"
}
]
| null | : [[../問題16|←前の問題]]
: [[../問題18|次の問題→]]
== 問題 ==
組織変更に関する次の記述のうち,正しいものの組合せとして最も適切な番号を一つ選びなさい。(5点)
<div style="text-indent:-1em;margin-left:1em;">
ア.合名会社を合資会社とする会社の種類の変更は,会社法上の組織変更に当たる。
イ.組織変更をする株式会社は,効力発生日の前日までに,組織変更計画について株主総会の特別決議による承認を受けなければならない。
ウ.株式会社が組織変更をする場合には,組織変更をする株式会社の新株予約権の新株予約権者は,当該株式会社に対し,自己の有する新株予約権を公正な価格で買い取ることを請求することができる。
エ.組織変更をする合名会社の債権者は,当該合名会社に対し,組織変更について異議を述べることができる。
</div>
<div style="column-count:6;">
:1.アイ
:2.アウ
:3.アエ
:4.イウ
:5.イエ
:6.ウエ
</div>
== 正解 ==
6
== 解説 ==
<div style="text-indent:-1em;margin-left:1em;">
ア.合名会社を合資会社とする会社の種類の変更は,会社法上の組織変更に<s>当たる。</s><ins>当たらない。2条26号638条1項</ins>
イ.組織変更をする株式会社は,効力発生日の前日までに,組織変更計画について<s>株主総会の特別決議による承認を受けなければならない。</s><ins>総株主の同意を得なければならない。776条1項</ins>
ウ.株式会社が組織変更をする場合には,組織変更をする株式会社の新株予約権の新株予約権者は,当該株式会社に対し,自己の有する新株予約権を公正な価格で買い取ることを請求することができる。<ins>777条1項</ins>
エ.組織変更をする合名会社の債権者は,当該合名会社に対し,組織変更について異議を述べることができる。<ins>781条2項,779条1項</ins>
</div>
== 参照法令等 ==
* [http://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=417AC0000000086#47172 会社法]
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: [[../問題18|次の問題→]]
[[カテゴリ:企業法]] | null | 2022-11-29T05:13:34Z | []
| https://ja.wikibooks.org/wiki/%E5%85%AC%E8%AA%8D%E4%BC%9A%E8%A8%88%E5%A3%AB%E8%A9%A6%E9%A8%93/%E5%B9%B3%E6%88%9030%E5%B9%B4%E7%AC%ACI%E5%9B%9E%E7%9F%AD%E7%AD%94%E5%BC%8F/%E4%BC%81%E6%A5%AD%E6%B3%95/%E5%95%8F%E9%A1%8C17 |
24,253 | C言語/中級者向けの話題 | C言語では、Fortran や Perl のような配列同士の一括代入はできません。
のように、要素ごとに代入する必要があります。
は、一見すると配列に代入しているように見えますが、これは初期化の構文です。
また、
の sizeof a / sizeof *a は、「配列の要素数」を得る時のイディオムです。
プログラム起動時に呼び出される関数はmainと名付けられています。実装では,この関数のプロトタイプを宣言しない。この関数は,戻り値の型がintで,パラメータがない状態で定義されなければならない。
または2つのパラメータ(ここではargcとargvとしていますが、宣言された関数のローカルなものなので、どのような名前を使っても構いません)を持つものです。
またはそれと同等の方法で、またはその他の実装で定義された方法による。
コマンドラインから実行ファイル名などを入力してプログラムを実行する際、実行ファイルに文字列データを渡すことができます。
方法は、コンパイル後に、単にコマンド入力で、たとえば
のように、ファイル名の後ろに、渡したい文字列を書けばいい。(上記コマンドの場合なら文字列「moji」が渡される)
このように、実行ファイル自体に対して渡される情報を、プログラム仮引数と呼ぶ。(なお「プログラム仮引数」自体の意味は、単になんらかの関数の定義側で書かれた引数のことであり、実行ファイルとは関係ない。)
例えばコマンドプロンプトにおいて、
のようにプログラムを実行した場合、example.exeプログラムのmain関数に対して、「example.exe」、「ABC」、「DEF」、「GHI」という4個の文字列が渡される。
プログラム仮引数を利用するには、ソースコードのmain関数に
のようにmain関数に引数 int argc, char *argv[] をこの順番で書けばいい。
この順番を守ること。
第一引数の整数型の引数は、コマンドライン入力時の単語の数です。(実行ファイル名も単語1個ぶんとして数える。)
たとえばコマンド入力が
なら、argcは4になる。
上記の例の場合
コマンド入力は、ファイル名が example.exe なら、コンパイル後にたとえば
のように入力すれば、日本語で「こんにちは」と答える。
フリースタンディング環境でプログラムが利用できるライブラリ機能は、<float.h>, <iso646.h>, <limits.h>, <stdarg.h>,<stdbool.h>, <stddef.h>, <stdint.h> および <stdnoreturn.h>で、これ以外は実装で定義されます。
inline関数指定子は、関数の宣言だけで使用できます。 inline関数指定子は、その関数の呼び出しを可能な限り速くすることを示唆します。 この示唆が効果をもつ程度は、処理系定義とします。
inline関数は、その関数を呼び出した部分に展開して直接埋め込む。 関数呼び出しにかかる処理を短縮することができるが、コードを複数の部分に展開するためファイルサイズが大きくなる。
_Noreturn関数指定子は、関数が呼び出し元に戻らないことを示します。 _Noreturn関数指定子と<stdnoreturn.h>ヘッダファイルは、C11で追加されました。
_Noreturn関数指定子は、関数mainには適用できません。
関数へのポインタとは、ある関数のメモリアドレスを格納し、その関数に間接的にアクセスする方法です。 関数へのポインタは、次のような場合に使われる。 ひとつは、関数を呼び出す際に、関数へのポインタを引数として渡し、呼び出した関数の内部で、関数へのポインタが指す関数を実行する場合。 もうひとつは、関数へのポインタの配列をつくり、if文や、switch文で関数を呼び出すのをやめ、コードを単純にする場合。
関数へのポインタの宣言の記述は次のようになっている。
この宣言では、代入する関数と同じ返却値のデータ型と引数のリストを指定する必要がある。 また、演算子の優先順位のため、「*関数へのポインタ名」を囲う「()」を省略はできない。
関数のメモリアドレスを関数へのポインタに格納する記述は次のようになっている。
関数名の後ろに、「()」はいらないことに注意。
関数へのポインタを使って、間接的に関数を呼び出すには、次のように記述します。
再帰的呼出しとは、ある関数がその関数自身を呼び出すことです。 典型的な用途として、数学の階乗(5×4×3×2×1のような計算)などが、よくあげられる。
再帰的呼出しに向いた計算に再帰的呼出しを使うと、ソースコードを簡潔に書ける場合がある。
ただし、再帰的呼出しではハードウェア資源的には弱点があり、スタックを多く占有するので負担になるという弱点もある。 そのため、再帰的呼出しで桁数の多すぎる計算などをすると、与えられたスタック領域を使いはたてしまうと異常終了などのエラーを引きおこす場合もある。 これは、いわゆる「スタック・オーバーフロー」(stack overflow)というエラーの一種です。
この例では再帰的呼出しを使って、入力された整数の階乗を計算している。 3を入力した場合、処理の流れは以下のようになる。
6行目と11行目で print_binary 自身を呼び出し再帰呼び出しとなっています。 print_binary は、リエントラントでない関数 puts と putchar を呼び出しているのでリエントラントでは有りませんが、問題なく再帰呼び出しが行なえます。 このように、再帰可能性(Recursivity)と再入可能性(Reentrancy)は別個の概念で、再入可能性(Reentrancy)はマルチスレッドやシグナルハンドラーで問題になります。
ビットフィールドとは、 1ビット以上のビットからなる、 構造体のメンバーの一種です。 ビットフィールドを用いると、 1ビット以上のビットに名前をつけ、 その名前でアクセスできます。
ビットフィールドは、構造体を宣言する時メンバーとして次のように記述します。
データ型は、(signed) intまたはunsigned intを指定します。 (signed) intを指定すると、上位ビットが符号として扱われる。 メンバー名とサイズとを「:(コロン)」で区切る。 サイズはそのメンバーを何ビットで表すかを指定します。
上の例では、0か1かの値を持つ1ビットの8つのビットフィールドをもつbits構造体を宣言し各ビットフィールドに値を代入しその値を表示している。 なお、unsigned char型をビットフィールドに使えるかはコンパイラによる。
C言語は一般にオブジェクト指向プログラミング言語だとは考えられていませんが、従前の構造体やマクロを使うことでクラスの継承に類似した実装を行うことができます。
この例は、継承というより合成の例になっているという批判はありえます。 | [
{
"paragraph_id": 0,
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"text": "C言語では、Fortran や Perl のような配列同士の一括代入はできません。",
"title": "配列の文法についての制限"
},
{
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"text": "のように、要素ごとに代入する必要があります。",
"title": "配列の文法についての制限"
},
{
"paragraph_id": 2,
"tag": "p",
"text": "は、一見すると配列に代入しているように見えますが、これは初期化の構文です。",
"title": "配列の文法についての制限"
},
{
"paragraph_id": 3,
"tag": "p",
"text": "また、",
"title": "配列の文法についての制限"
},
{
"paragraph_id": 4,
"tag": "p",
"text": "の sizeof a / sizeof *a は、「配列の要素数」を得る時のイディオムです。",
"title": "配列の文法についての制限"
},
{
"paragraph_id": 5,
"tag": "p",
"text": "プログラム起動時に呼び出される関数はmainと名付けられています。実装では,この関数のプロトタイプを宣言しない。この関数は,戻り値の型がintで,パラメータがない状態で定義されなければならない。",
"title": "main関数"
},
{
"paragraph_id": 6,
"tag": "p",
"text": "または2つのパラメータ(ここではargcとargvとしていますが、宣言された関数のローカルなものなので、どのような名前を使っても構いません)を持つものです。",
"title": "main関数"
},
{
"paragraph_id": 7,
"tag": "p",
"text": "またはそれと同等の方法で、またはその他の実装で定義された方法による。",
"title": "main関数"
},
{
"paragraph_id": 8,
"tag": "p",
"text": "コマンドラインから実行ファイル名などを入力してプログラムを実行する際、実行ファイルに文字列データを渡すことができます。",
"title": "main関数"
},
{
"paragraph_id": 9,
"tag": "p",
"text": "方法は、コンパイル後に、単にコマンド入力で、たとえば",
"title": "main関数"
},
{
"paragraph_id": 10,
"tag": "p",
"text": "のように、ファイル名の後ろに、渡したい文字列を書けばいい。(上記コマンドの場合なら文字列「moji」が渡される)",
"title": "main関数"
},
{
"paragraph_id": 11,
"tag": "p",
"text": "このように、実行ファイル自体に対して渡される情報を、プログラム仮引数と呼ぶ。(なお「プログラム仮引数」自体の意味は、単になんらかの関数の定義側で書かれた引数のことであり、実行ファイルとは関係ない。)",
"title": "main関数"
},
{
"paragraph_id": 12,
"tag": "p",
"text": "例えばコマンドプロンプトにおいて、",
"title": "main関数"
},
{
"paragraph_id": 13,
"tag": "p",
"text": "のようにプログラムを実行した場合、example.exeプログラムのmain関数に対して、「example.exe」、「ABC」、「DEF」、「GHI」という4個の文字列が渡される。",
"title": "main関数"
},
{
"paragraph_id": 14,
"tag": "p",
"text": "プログラム仮引数を利用するには、ソースコードのmain関数に",
"title": "main関数"
},
{
"paragraph_id": 15,
"tag": "p",
"text": "のようにmain関数に引数 int argc, char *argv[] をこの順番で書けばいい。",
"title": "main関数"
},
{
"paragraph_id": 16,
"tag": "p",
"text": "この順番を守ること。",
"title": "main関数"
},
{
"paragraph_id": 17,
"tag": "p",
"text": "第一引数の整数型の引数は、コマンドライン入力時の単語の数です。(実行ファイル名も単語1個ぶんとして数える。)",
"title": "main関数"
},
{
"paragraph_id": 18,
"tag": "p",
"text": "たとえばコマンド入力が",
"title": "main関数"
},
{
"paragraph_id": 19,
"tag": "p",
"text": "なら、argcは4になる。",
"title": "main関数"
},
{
"paragraph_id": 20,
"tag": "p",
"text": "上記の例の場合",
"title": "main関数"
},
{
"paragraph_id": 21,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "main関数"
},
{
"paragraph_id": 22,
"tag": "p",
"text": "コマンド入力は、ファイル名が example.exe なら、コンパイル後にたとえば",
"title": "main関数"
},
{
"paragraph_id": 23,
"tag": "p",
"text": "のように入力すれば、日本語で「こんにちは」と答える。",
"title": "main関数"
},
{
"paragraph_id": 24,
"tag": "p",
"text": "フリースタンディング環境でプログラムが利用できるライブラリ機能は、<float.h>, <iso646.h>, <limits.h>, <stdarg.h>,<stdbool.h>, <stddef.h>, <stdint.h> および <stdnoreturn.h>で、これ以外は実装で定義されます。",
"title": "main関数"
},
{
"paragraph_id": 25,
"tag": "p",
"text": "inline関数指定子は、関数の宣言だけで使用できます。 inline関数指定子は、その関数の呼び出しを可能な限り速くすることを示唆します。 この示唆が効果をもつ程度は、処理系定義とします。",
"title": "main関数"
},
{
"paragraph_id": 26,
"tag": "p",
"text": "inline関数は、その関数を呼び出した部分に展開して直接埋め込む。 関数呼び出しにかかる処理を短縮することができるが、コードを複数の部分に展開するためファイルサイズが大きくなる。",
"title": "main関数"
},
{
"paragraph_id": 27,
"tag": "p",
"text": "_Noreturn関数指定子は、関数が呼び出し元に戻らないことを示します。 _Noreturn関数指定子と<stdnoreturn.h>ヘッダファイルは、C11で追加されました。",
"title": "main関数"
},
{
"paragraph_id": 28,
"tag": "p",
"text": "_Noreturn関数指定子は、関数mainには適用できません。",
"title": "main関数"
},
{
"paragraph_id": 29,
"tag": "p",
"text": "関数へのポインタとは、ある関数のメモリアドレスを格納し、その関数に間接的にアクセスする方法です。 関数へのポインタは、次のような場合に使われる。 ひとつは、関数を呼び出す際に、関数へのポインタを引数として渡し、呼び出した関数の内部で、関数へのポインタが指す関数を実行する場合。 もうひとつは、関数へのポインタの配列をつくり、if文や、switch文で関数を呼び出すのをやめ、コードを単純にする場合。",
"title": "main関数"
},
{
"paragraph_id": 30,
"tag": "p",
"text": "関数へのポインタの宣言の記述は次のようになっている。",
"title": "main関数"
},
{
"paragraph_id": 31,
"tag": "p",
"text": "この宣言では、代入する関数と同じ返却値のデータ型と引数のリストを指定する必要がある。 また、演算子の優先順位のため、「*関数へのポインタ名」を囲う「()」を省略はできない。",
"title": "main関数"
},
{
"paragraph_id": 32,
"tag": "p",
"text": "関数のメモリアドレスを関数へのポインタに格納する記述は次のようになっている。",
"title": "main関数"
},
{
"paragraph_id": 33,
"tag": "p",
"text": "関数名の後ろに、「()」はいらないことに注意。",
"title": "main関数"
},
{
"paragraph_id": 34,
"tag": "p",
"text": "関数へのポインタを使って、間接的に関数を呼び出すには、次のように記述します。",
"title": "main関数"
},
{
"paragraph_id": 35,
"tag": "p",
"text": "再帰的呼出しとは、ある関数がその関数自身を呼び出すことです。 典型的な用途として、数学の階乗(5×4×3×2×1のような計算)などが、よくあげられる。",
"title": "main関数"
},
{
"paragraph_id": 36,
"tag": "p",
"text": "再帰的呼出しに向いた計算に再帰的呼出しを使うと、ソースコードを簡潔に書ける場合がある。",
"title": "main関数"
},
{
"paragraph_id": 37,
"tag": "p",
"text": "ただし、再帰的呼出しではハードウェア資源的には弱点があり、スタックを多く占有するので負担になるという弱点もある。 そのため、再帰的呼出しで桁数の多すぎる計算などをすると、与えられたスタック領域を使いはたてしまうと異常終了などのエラーを引きおこす場合もある。 これは、いわゆる「スタック・オーバーフロー」(stack overflow)というエラーの一種です。",
"title": "main関数"
},
{
"paragraph_id": 38,
"tag": "p",
"text": "この例では再帰的呼出しを使って、入力された整数の階乗を計算している。 3を入力した場合、処理の流れは以下のようになる。",
"title": "main関数"
},
{
"paragraph_id": 39,
"tag": "p",
"text": "6行目と11行目で print_binary 自身を呼び出し再帰呼び出しとなっています。 print_binary は、リエントラントでない関数 puts と putchar を呼び出しているのでリエントラントでは有りませんが、問題なく再帰呼び出しが行なえます。 このように、再帰可能性(Recursivity)と再入可能性(Reentrancy)は別個の概念で、再入可能性(Reentrancy)はマルチスレッドやシグナルハンドラーで問題になります。",
"title": "main関数"
},
{
"paragraph_id": 40,
"tag": "p",
"text": "ビットフィールドとは、 1ビット以上のビットからなる、 構造体のメンバーの一種です。 ビットフィールドを用いると、 1ビット以上のビットに名前をつけ、 その名前でアクセスできます。",
"title": "構造体のビットフィールド"
},
{
"paragraph_id": 41,
"tag": "p",
"text": "ビットフィールドは、構造体を宣言する時メンバーとして次のように記述します。",
"title": "構造体のビットフィールド"
},
{
"paragraph_id": 42,
"tag": "p",
"text": "データ型は、(signed) intまたはunsigned intを指定します。 (signed) intを指定すると、上位ビットが符号として扱われる。 メンバー名とサイズとを「:(コロン)」で区切る。 サイズはそのメンバーを何ビットで表すかを指定します。",
"title": "構造体のビットフィールド"
},
{
"paragraph_id": 43,
"tag": "p",
"text": "上の例では、0か1かの値を持つ1ビットの8つのビットフィールドをもつbits構造体を宣言し各ビットフィールドに値を代入しその値を表示している。 なお、unsigned char型をビットフィールドに使えるかはコンパイラによる。",
"title": "構造体のビットフィールド"
},
{
"paragraph_id": 44,
"tag": "p",
"text": "C言語は一般にオブジェクト指向プログラミング言語だとは考えられていませんが、従前の構造体やマクロを使うことでクラスの継承に類似した実装を行うことができます。",
"title": "オブジェクト指向プログラミング"
},
{
"paragraph_id": 45,
"tag": "p",
"text": "この例は、継承というより合成の例になっているという批判はありえます。",
"title": "オブジェクト指向プログラミング"
}
]
| null | {{Nav}}
== 配列の文法についての制限 ==
=== 配列は一括代入できません ===
C言語では、[[Fortran]] や [[Perl]] のような配列同士の一括代入はできません。
<syntaxhighlight lang="c" line>
#include <stdio.h>
int main() {
int a[] = {2, 3, 5, 7, 11},
b[sizeof a / sizeof *a];
for (int i = 0; i < sizeof a / sizeof *a; i++)
b[i] = a[i];
printf("b[3] = %d\n", b[3]);
}
</syntaxhighlight>
のように、要素ごとに代入する必要があります。
<syntaxhighlight start=5 lang="c" line>
int a[] = { 2, 3, 5, 7, 11 },
</syntaxhighlight>
は、一見すると配列に代入しているように見えますが、これは初期化の構文です。
また、
<syntaxhighlight start=6 lang="c" line>
b[sizeof a / sizeof *a];
for (int i = 0; i < sizeof a / sizeof *a; i++)
</syntaxhighlight>
の <syntaxhighlight lang="c" inline>sizeof a / sizeof *a</syntaxhighlight> は、「配列の要素数」を得る時のイディオムです。
{{コラム|配列の一括代入|2=この節で触れたように、C言語では配列同士の代入は出来ません。が、構造体同士の代入はできます。
この事と、キャストを組み合わせると。
;[https://paiza.io/projects/1IRaexWbl0IHeGZdtj-wzg?language=c 強引な配列の一括代入]:<syntaxhighlight lang="c" line>
#include <stdio.h>
int main() {
int a[] = {2, 3, 5, 7, 11},
b[sizeof a / sizeof *a];
struct Dummy { int dmy[sizeof a / sizeof *a] };
*(struct Dummy *)b = *(struct Dummy *)a;
printf("b[3] = %d\n", b[3]);
}</syntaxhighlight>
の様に要素1つの構造体の代入として実現できます。
}}
== main関数 ==
プログラム起動時に呼び出される関数はmainと名付けられています。実装では,この関数のプロトタイプを宣言しない。この関数は,戻り値の型がintで,パラメータがない状態で定義されなければならない。
int main(void) { /* ... */ }
または2つのパラメータ(ここではargcとargvとしていますが、宣言された関数のローカルなものなので、どのような名前を使っても構いません)を持つものです。
int main(int argc, char *argv[]) { /* ... */ }
またはそれと同等の方法で、またはその他の実装で定義された方法による<ref name="jtc1-sc22-wg14-n2596-5.1.2.2.1">{{cite book
| url = http://www.open-std.org/jtc1/sc22/wg14/www/docs/c17_updated_proposed_fdis.pdf
| archiveurl = https://web.archive.org/web/20181230041359/http://www.open-std.org/jtc1/sc22/wg14/www/abq/c17_updated_proposed_fdis.pdf
| archivedate = 2018-12-30
| title = N2176 C17 ballot ISO/IEC 9899:2017
| page = 10, §5.1.2.2.1 ''Program startup''
| publisher = ISO/IEC JTC1/SC22/WG14}}</ref>。
* argc の値は非負でなければならない。
* argv[argc]はヌルポインターとする。
* argcの値が0より大きい場合、配列メンバargv[0]~argv[argc-1]には、プログラムの起動前にホスト環境によって実装定義された値を持つ文字列へのポインタが格納される。この目的は、ホスト環境の他の場所からプログラム起動前に決定された情報をプログラムに供給することである。<!--
-->ホスト環境が大文字と小文字の両方の文字を持つ文字列を供給できない場合、実装は文字列が小文字で受信されるようにしなければならない。
* argc の値が 0 より大きい場合、argv[0] が指す文字列はプログラム名を表す。<!--
-->argv[0][0]には、ホスト環境からプログラム名が得られない場合は、ヌル文字を指定する。<!--
-->argv[0][0]はヌル文字とする。argc の値が 1 より大きい場合は、argv[1]~argv[argc-1]が指す文字列がプログラム仮引数(''program parameters''; 一般にコマンドライン引数)を表す。
* パラメータ argc、argv および argv 配列が指す文字列は、プログラムによって変更可能であり、プログラムの起動から終了までの間、最後に保存された値を保持する。
=== プログラム仮引数 ===
==== プログラム仮引数とは何か ====
コマンドラインから実行ファイル名などを入力してプログラムを実行する際、実行ファイルに文字列データを渡すことができます。
方法は、コンパイル後に、単にコマンド入力で、たとえば
$ 実行ファイル名 moji
のように、ファイル名の後ろに、渡したい文字列を書けばいい。(上記コマンドの場合なら文字列「moji」が渡される)
このように、実行ファイル自体に対して渡される情報を、プログラム仮引数と呼ぶ。(なお「プログラム仮引数」自体の意味は、単になんらかの関数の定義側で書かれた引数のことであり、実行ファイルとは関係ない。)
例えばコマンドプロンプトにおいて、
<syntaxhighlight lang="C">
C:\example.exe ABC DEF GHI
</syntaxhighlight>
のようにプログラムを実行した場合、example.exeプログラムのmain関数に対して、「example.exe」、「ABC」、「DEF」、「GHI」という4個の文字列が渡される。
プログラム仮引数を利用するには、ソースコードのmain関数に
<syntaxhighlight lang="C">
void main(int argc, char *argv[]) {
// 以下略
</syntaxhighlight>
のようにmain関数に引数<code> int argc, char *argv[] </code> をこの順番で書けばいい。
この順番を守ること。
第一引数の整数型の引数は、コマンドライン入力時の単語の数です。(実行ファイル名も単語1個ぶんとして数える。)
たとえばコマンド入力が
<syntaxhighlight lang="C">
C:\example.exe ABC DEF GHI
</syntaxhighlight>
なら、argcは4になる。
上記の例の場合
:argv[0]は実行ファイル名「example.exe」であり、
:argv[1]は 「ABC」 であり、
:argv[2]は 「DEF」 であり、
:argv[3]は 「GHI」 です。
;コード例:<syntaxhighlight lang="C">
#include "stdio.h"
#include "string.h"
void main(int argc, char *argv[]) {
if (argc == 1) {
printf("hello");
}
if (argc >= 2) {
// strcmpは文字列比較して同じなら0を返す関数
if ( strcmp(argv[1], "en")==0 ) {
printf("hello");
}
if ( strcmp(argv[1], "ja")==0 ) {
printf("こんにちは");
}
}
}
</syntaxhighlight>
コマンド入力は、ファイル名が example.exe なら、コンパイル後にたとえば
<syntaxhighlight lang="C">
example.exe ja
</syntaxhighlight>
のように入力すれば、日本語で「こんにちは」と答える。
=== プログラムの実行環境 ===
{{Main|../概念モデル#実行環境}}
==== フリースタンディング環境 ====
{{Main|../概念モデル#フリースタンディング環境}}
フリースタンディング環境でプログラムが利用できるライブラリ機能は、<float.h>, <iso646.h>, <limits.h>, <stdarg.h>,<stdbool.h>, <stddef.h>, <stdint.h> および <stdnoreturn.h><ref name="jtc1-sc22-wg14-n2596-4."/>で、これ以外は実装で定義されます<ref name="jtc1-sc22-wg14-n2596-4.">{{cite book
| url = http://www.open-std.org/jtc1/sc22/wg14/www/docs/c17_updated_proposed_fdis.pdf
| archiveurl = https://web.archive.org/web/20181230041359/http://www.open-std.org/jtc1/sc22/wg14/www/abq/c17_updated_proposed_fdis.pdf
| archivedate = 2018-12-30
| title = N2176 C17 ballot ISO/IEC 9899:2017
| page = 8, §4. ''Conformance''
| publisher = ISO/IEC JTC1/SC22/WG14}}</ref>。
==== ホスト環境 ====
{{Main|../概念モデル#ホスト型環境}}
===== プログラムの開始 =====
{{Main|../概念モデル#プログラムの開始}}
===== プログラムの実行 =====
{{Main|../概念モデル#プログラムの実行}}
===== プログラム終了処理 =====
{{Main|../概念モデル#プログラム終了処理}}
=== 関数指定子 ===
==== inline関数指定子 ====
inline関数指定子は、関数の宣言だけで使用できます。
inline関数指定子は、その関数の呼び出しを可能な限り速くすることを示唆します。
この示唆が効果をもつ程度は、処理系定義とします。
<ref>『JISX3010:2003』p.83「6.7.4 関数指定子」</ref>
inline関数は、その関数を呼び出した部分に展開して直接埋め込む。
関数呼び出しにかかる処理を短縮することができるが、コードを複数の部分に展開するためファイルサイズが大きくなる。
;inline関数の使用例:<syntaxhighlight lang="C">
#include <stdio.h>
inline int function(int a, int b)
{
return a + b;
}
int main(void){
int r = function(1,2);
}
</syntaxhighlight>
==== _Noreturn関数指定子 ====
_Noreturn関数指定子は、関数が呼び出し元に戻らないことを示します。
_Noreturn関数指定子と<stdnoreturn.h>ヘッダファイルは、C11で追加されました<ref>『ISO/IEC 9899:2011』p.91「6.7.4 Function specifiers」</ref>。
:<syntaxhighlight lang="C">
_Noreturn void f (void)
{
abort();
}
</syntaxhighlight>
_Noreturn関数指定子は、関数mainには適用できません。
=== 関数の応用 ===
==== 関数へのポインタ ====
関数へのポインタとは、ある関数のメモリアドレスを格納し、その関数に間接的にアクセスする方法です。
関数へのポインタは、次のような場合に使われる。
ひとつは、関数を呼び出す際に、関数へのポインタを引数として渡し、呼び出した関数の内部で、関数へのポインタが指す関数を実行する場合。
もうひとつは、関数へのポインタの配列をつくり、if文や、switch文で関数を呼び出すのをやめ、コードを単純にする場合。
関数へのポインタの宣言の記述は次のようになっている。
<syntaxhighlight lang="C">
返却値のデータ型 (*関数へのポインタ名)(引数のリスト):
</syntaxhighlight>
この宣言では、代入する関数と同じ返却値のデータ型と引数のリストを指定する必要がある。
また、演算子の優先順位のため、「*関数へのポインタ名」を囲う「()」を省略はできない。
関数のメモリアドレスを関数へのポインタに格納する記述は次のようになっている。
:<syntaxhighlight lang="C">
関数へのポインタ名 = 関数名;
</syntaxhighlight>
関数名の後ろに、「()」はいらないことに注意。
関数へのポインタを使って、間接的に関数を呼び出すには、次のように記述します。
<syntaxhighlight lang="C">
(*関数へのポインタ名)(引数のリスト)
</syntaxhighlight>
<syntaxhighlight lang="C">
//例 関数へのポインタの引数
int main(void)
{
func2(func1);
}
#include <stdio.h>
void func1() { printf("func1()が呼び出されました。\n"); }
void func2(void (*func)()) {
printf("func2()が呼び出されました。\n");
(*func)();
}
int main(void) {
func2(func1);
}
</syntaxhighlight>
;関数へのポインタの配列:<syntaxhighlight lang="C">
#include <stdio.h>
int add(int a, int b) { return a + b; }
int sub(int a, int b) { return a - b; }
int mul(int a, int b) { return a * b; }
int div(int a, int b) {
if (b == 0) {
printf("0で割ることはできません。\n");
return 0;
} else {
return a / b;
}
}
int main(void) {
int i, j;
int arithmetic;
int (*func[])(int a, int b) = {add, sub, mul, div};
printf("2つの整数をスペースで区切って入力してください。:");
scanf("%d %d", &i, &j);
printf("計算方法を入力してください(0=加法、1=減法、2=乗法、3=除法)。:");
scanf("%d", &arithmetic);
if (0 <= arithmetic && arithmetic <= 3)
printf("答えは%d。\n", (*func[arithmetic])(i, j));
}
</syntaxhighlight>
==== 再帰的呼出し ====
再帰的呼出しとは、ある関数がその関数自身を呼び出すことです。
典型的な用途として、数学の階乗(5×4×3×2×1のような計算)などが、よくあげられる。
再帰的呼出しに向いた計算に再帰的呼出しを使うと、ソースコードを簡潔に書ける場合がある。
ただし、再帰的呼出しではハードウェア資源的には弱点があり、スタックを多く占有するので負担になるという弱点もある。
そのため、再帰的呼出しで桁数の多すぎる計算などをすると、与えられたスタック領域を使いはたてしまうと異常終了などのエラーを引きおこす場合もある。
これは、いわゆる「スタック・オーバーフロー」(stack overflow)というエラーの一種です。
;再帰を使った階乗の計算:<syntaxhighlight lang="C">
#include <stdio.h>
int factorial(int n) {
if (n == 0)
return 1;
return factorial(n - 1) * n;
}
int main(void) {
int i;
printf("整数を入力してください:");
scanf("%d", &i);
printf("%dの階乗は%dです。", i, factorial(i));
}
</syntaxhighlight>
この例では再帰的呼出しを使って、入力された整数の階乗を計算している。
3を入力した場合、処理の流れは以下のようになる。
<syntaxhighlight lang="C">
factorial(3)が呼ばれ、
factorial(3)が実行され、factorial(2)が呼ばれ、
factorial(2)が実行され、factorial(1)が呼ばれ、
factorial(1)が実行され、factorial(0)が呼ばれ、
factorial(0)が実行され、1が返され、
factorial(1)に戻り、1*1が返され、
factorial(2)に戻り、1*1*2が返され、
factorial(3)に戻り、1*1*2*3が返される。
</syntaxhighlight>
===== 再帰的呼出しを使って2進数表示 =====
;[https://paiza.io/projects/jyBYGklf_W7x1M3gKXjyVA?language=c 再帰的呼出しを使って2進数表示]:<syntaxhighlight lang="C" highlight="6,11"line>
#include <stdio.h>
void print_binary(int n) {
if (n < 0) {
puts("-");
print_binary(-n);
return;
}
int x = n / 2;
if (x)
print_binary(x);
putchar("01"[x % 2]);
}
int main(void) {
print_binary(0xbadbeef);
}
</syntaxhighlight>
;実行結果:<syntaxhighlight lang="text">
0101110101101101111101110111
</syntaxhighlight>
6行目と11行目で print_binary 自身を呼び出し再帰呼び出しとなっています。
print_binary は、リエントラントでない関数 puts と putchar を呼び出しているのでリエントラントでは有りませんが、問題なく再帰呼び出しが行なえます。
このように、再帰可能性(Recursivity)と再入可能性(Reentrancy)は別個の概念で、再入可能性(Reentrancy)はマルチスレッドやシグナルハンドラーで問題になります。
== 構造体のビットフィールド ==
ビットフィールドとは、
1ビット以上のビットからなる、
構造体のメンバーの一種です。
ビットフィールドを用いると、
1ビット以上のビットに名前をつけ、
その名前でアクセスできます。
ビットフィールドは、構造体を宣言する時メンバーとして次のように記述します。
<syntaxhighlight lang="C">
データ型 メンバー名:サイズ;
</syntaxhighlight>
データ型は、(signed) intまたはunsigned intを指定します。
(signed) intを指定すると、上位ビットが符号として扱われる。
メンバー名とサイズとを「:(コロン)」で区切る。
サイズはそのメンバーを何ビットで表すかを指定します。
;ビットフィールド:<syntaxhighlight lang="C">
#include <stdio.h>
int main(void) {
struct sbits {
unsigned char bit8 : 1;
unsigned char bit7 : 1;
unsigned char bit6 : 1;
unsigned char bit5 : 1;
unsigned char bit4 : 1;
unsigned char bit3 : 1;
unsigned char bit2 : 1;
unsigned char bit1 : 1;
} bits;
bits.bit1 = 1;
bits.bit2 = 0;
bits.bit3 = 1;
bits.bit4 = 0;
bits.bit5 = 1;
bits.bit6 = 0;
bits.bit7 = 1;
bits.bit8 = 0;
printf("bitsのメンバーの値は、%d %d %d %d %d %d %d %dです。\n", bits.bit1,
bits.bit2, bits.bit3, bits.bit4, bits.bit5, bits.bit6, bits.bit7,
bits.bit8);
printf("bitsのサイズは、%dです。\n", sizeof(bits));
}
</syntaxhighlight>
;結果:<syntaxhighlight lang="text">
bitsのメンバーの値は、1 0 1 0 1 0 1 0です。
bitsのサイズは、1です。
</syntaxhighlight>
上の例では、0か1かの値を持つ1ビットの8つのビットフィールドをもつbits構造体を宣言し各ビットフィールドに値を代入しその値を表示している。
なお、unsigned char型をビットフィールドに使えるかはコンパイラによる。
== オブジェクト指向プログラミング ==
C言語は一般にオブジェクト指向プログラミング言語だとは考えられていませんが、従前の構造体やマクロを使うことでクラスの継承に類似した実装を行うことができます。
;構造体やマクロを使った継承の例:<syntaxhighlight lang="C">
#include <stdio.h>
struct Shape {
double x, y;
void (* print)(struct Shape *);
double (* area)(struct Shape *);
};
struct Square {
struct Shape shape;
double wh;
};
static void printSquare(struct Shape* sp) {
struct Square *p = (struct Square *)sp;
printf("Square(x:%f, y:%f, wh:%f)", sp->x, sp->y, p->wh);
}
static double areaSquare(struct Shape* sp) {
struct Square *p = (struct Square *)sp;
return p->wh * p->wh;
}
#define Square(x, y, wh) (struct Shape*)&((struct Square){ {x, y, printSquare, areaSquare }, wh })
struct Rectangle {
struct Shape shape;
double w, h;
};
static void printRectangle(struct Shape* sp) {
struct Rectangle *p = (struct Rectangle *)sp;
printf("Rectangle(x:%f, y:%f, w:%f, h:%f)", sp->x, sp->y, p->w, p->h);
}
static double areaRectangle(struct Shape* sp) {
struct Rectangle *p = (struct Rectangle *)sp;
return p->w * p->h;
}
#define Rectangle(x, y, w, h) (struct Shape*)&((struct Rectangle){ {x, y, printRectangle, areaRectangle }, w, h })
struct Circle {
struct Shape shape;
double r;
};
static void printCircle(struct Shape* sp) {
struct Circle *p = (struct Circle *)sp;
printf("Circle(x:%f, y:%f, r:%f)", sp->x, sp->y, p->r);
}
static double areaCircle(struct Shape* sp) {
struct Circle *p = (struct Circle *)sp;
return 3.1415926536 * p->r * p->r;
}
#define Circle(x, y, r) (struct Shape*)&((struct Circle){ {x, y, printCircle, areaCircle }, r })
void print(struct Shape *p ) {
p->print(p);
}
double area(struct Shape *p ) {
return p->area(p);
}
int main(void){
struct Shape* shapes[] = {
Square(10.0, 20.0, 15.0),
Rectangle(20.0, 10.0, 12.0, 11.0),
Circle(15.0, 10.0, 10.0),
};
for (int i = 0; i < sizeof shapes / sizeof *shapes; i++) {
print(shapes[i]);
printf(", area = %f\n", area(shapes[i]));
}
}
</syntaxhighlight>
;実行結果:<syntaxhighlight lang="text">
Square(x:10.000000, y:20.000000, wh:15.000000), area = 225.000000
Rectangle(x:20.000000, y:10.000000, w:12.000000, h:11.000000), area = 132.000000
Circle(x:15.000000, y:10.000000, r:10.000000), area = 314.159265
</syntaxhighlight>
この例は、継承というより合成の例になっているという批判はありえます。
== 脚註 ==
<references />
[[カテゴリ:C言語]] | null | 2023-01-05T02:23:25Z | [
"テンプレート:Nav",
"テンプレート:コラム",
"テンプレート:Main",
"テンプレート:Cite book"
]
| https://ja.wikibooks.org/wiki/C%E8%A8%80%E8%AA%9E/%E4%B8%AD%E7%B4%9A%E8%80%85%E5%90%91%E3%81%91%E3%81%AE%E8%A9%B1%E9%A1%8C |
24,254 | 公認会計士試験/平成30年第I回短答式/企業法/問題2 | 商行為に関する次の記述のうち,正しいものの組合せとして最も適切な番号を一つ選びなさい。なお,商法の規定を変更し,又は排除する特約はないものとする。(5点)
ア.最高裁判所の判例によれば,商行為の代理人が本人のためにすることを示さないで代理行為をした場合において,相手方が,代理人が本人のためにすることを過失なく知らなかったときは,相手方は本人との法律関係を主張するか,代理人との法律関係を主張するかを選択することができる。
イ.匿名組合契約は,当事者の一方が相手方の営業のために出資をし,当該営業から生ずる利益を分配することを約することによって,その効力を生ずる。
ウ.問屋が委託者の指定した金額より高値で物品を買い入れた場合には,自らその差額を負担するときも,その買入れは委託者に対して効力を生じない。
エ.場屋営業者は,客から寄託を受けた物品の保管に関して注意を怠らなかったことを証明した場合には,当該物品の滅失又は毀損につき,債務不履行に基づく損害賠償責任を免れる。
1
ア.最高裁判所の判例によれば,商行為の代理人が本人のためにすることを示さないで代理行為をした場合において,相手方が,代理人が本人のためにすることを過失なく知らなかったときは,相手方は本人との法律関係を主張するか,代理人との法律関係を主張するかを選択することができる。判例には「右但書(商法540条但書)は善意の相手方を保護しようとする趣旨であるが,自らの過失により本人のためにすることを知らなかつた相手方までも保護する必要はない」「相手方保護のため,相手方と代理人との間にも...同一の法律関係が生ずるものとし,相手方は,その選択に従い,本人との法律関係を否定し,代理人との法律関係を主張することを許容したものと解するのが相当であり,相手方が代理人との法律関係を主張したときは,本人は,もはや相手方に対し,右本人相手方間の法律関係の存在を主張することはできないものと解すべきである」とある。商法540条,最判昭43.4.24
イ.匿名組合契約は,当事者の一方が相手方の営業のために出資をし,当該営業から生ずる利益を分配することを約することによって,その効力を生ずる。商法535条
ウ.問屋が委託者の指定した金額より高値で物品を買い入れた場合には,自らその差額を負担するときもは,その買入れは委託者に対して効力を生じない。生じる。商法554条
エ.場屋営業者は客から寄託を受けた物品の保管に関して注意を怠らなかったことを証明した場合には,当該物品の滅失又は毀損につき不可抗力によることを証明した場合のみ,債務不履行に基づく損害賠償責任を免れる。商法594条1項 | [
{
"paragraph_id": 0,
"tag": "p",
"text": "商行為に関する次の記述のうち,正しいものの組合せとして最も適切な番号を一つ選びなさい。なお,商法の規定を変更し,又は排除する特約はないものとする。(5点)",
"title": "問題"
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"tag": "p",
"text": "ア.最高裁判所の判例によれば,商行為の代理人が本人のためにすることを示さないで代理行為をした場合において,相手方が,代理人が本人のためにすることを過失なく知らなかったときは,相手方は本人との法律関係を主張するか,代理人との法律関係を主張するかを選択することができる。",
"title": "問題"
},
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"tag": "p",
"text": "イ.匿名組合契約は,当事者の一方が相手方の営業のために出資をし,当該営業から生ずる利益を分配することを約することによって,その効力を生ずる。",
"title": "問題"
},
{
"paragraph_id": 3,
"tag": "p",
"text": "ウ.問屋が委託者の指定した金額より高値で物品を買い入れた場合には,自らその差額を負担するときも,その買入れは委託者に対して効力を生じない。",
"title": "問題"
},
{
"paragraph_id": 4,
"tag": "p",
"text": "エ.場屋営業者は,客から寄託を受けた物品の保管に関して注意を怠らなかったことを証明した場合には,当該物品の滅失又は毀損につき,債務不履行に基づく損害賠償責任を免れる。",
"title": "問題"
},
{
"paragraph_id": 5,
"tag": "p",
"text": "1",
"title": "正解"
},
{
"paragraph_id": 6,
"tag": "p",
"text": "ア.最高裁判所の判例によれば,商行為の代理人が本人のためにすることを示さないで代理行為をした場合において,相手方が,代理人が本人のためにすることを過失なく知らなかったときは,相手方は本人との法律関係を主張するか,代理人との法律関係を主張するかを選択することができる。判例には「右但書(商法540条但書)は善意の相手方を保護しようとする趣旨であるが,自らの過失により本人のためにすることを知らなかつた相手方までも保護する必要はない」「相手方保護のため,相手方と代理人との間にも...同一の法律関係が生ずるものとし,相手方は,その選択に従い,本人との法律関係を否定し,代理人との法律関係を主張することを許容したものと解するのが相当であり,相手方が代理人との法律関係を主張したときは,本人は,もはや相手方に対し,右本人相手方間の法律関係の存在を主張することはできないものと解すべきである」とある。商法540条,最判昭43.4.24",
"title": "解説"
},
{
"paragraph_id": 7,
"tag": "p",
"text": "イ.匿名組合契約は,当事者の一方が相手方の営業のために出資をし,当該営業から生ずる利益を分配することを約することによって,その効力を生ずる。商法535条",
"title": "解説"
},
{
"paragraph_id": 8,
"tag": "p",
"text": "ウ.問屋が委託者の指定した金額より高値で物品を買い入れた場合には,自らその差額を負担するときもは,その買入れは委託者に対して効力を生じない。生じる。商法554条",
"title": "解説"
},
{
"paragraph_id": 9,
"tag": "p",
"text": "エ.場屋営業者は客から寄託を受けた物品の保管に関して注意を怠らなかったことを証明した場合には,当該物品の滅失又は毀損につき不可抗力によることを証明した場合のみ,債務不履行に基づく損害賠償責任を免れる。商法594条1項",
"title": "解説"
}
]
| null | : [[../問題1|←前の問題]]
: [[../問題3|次の問題→]]
== 問題 ==
商行為に関する次の記述のうち,正しいものの組合せとして最も適切な番号を一つ選びなさい。なお,商法の規定を変更し,又は排除する特約はないものとする。(5点)
<div style="text-indent:-1em;margin-left:1em;">
ア.最高裁判所の判例によれば,商行為の代理人が本人のためにすることを示さないで代理行為をした場合において,相手方が,代理人が本人のためにすることを過失なく知らなかったときは,相手方は本人との法律関係を主張するか,代理人との法律関係を主張するかを選択することができる。
イ.匿名組合契約は,当事者の一方が相手方の営業のために出資をし,当該営業から生ずる利益を分配することを約することによって,その効力を生ずる。
ウ.問屋が委託者の指定した金額より高値で物品を買い入れた場合には,自らその差額を負担するときも,その買入れは委託者に対して効力を生じない。
エ.場屋営業者は,客から寄託を受けた物品の保管に関して注意を怠らなかったことを証明した場合には,当該物品の滅失又は毀損につき,債務不履行に基づく損害賠償責任を免れる。
</div>
<div style="column-count:6;">
:1.アイ
:2.アウ
:3.アエ
:4.イウ
:5.イエ
:6.ウエ
</div>
== 正解 ==
1
== 解説 ==
<div style="text-indent:-1em;margin-left:1em;">
ア.最高裁判所の判例によれば,商行為の代理人が本人のためにすることを示さないで代理行為をした場合において,相手方が,代理人が本人のためにすることを過失なく知らなかったときは,相手方は本人との法律関係を主張するか,代理人との法律関係を主張するかを選択することができる。<ins>判例には「右但書(商法540条但書)は善意の相手方を保護しようとする趣旨であるが,自らの過失により本人のためにすることを知らなかつた相手方までも保護する必要はない」「相手方保護のため,相手方と代理人との間にも…同一の法律関係が生ずるものとし,相手方は,その選択に従い,本人との法律関係を否定し,代理人との法律関係を主張することを許容したものと解するのが相当であり,相手方が代理人との法律関係を主張したときは,本人は,もはや相手方に対し,右本人相手方間の法律関係の存在を主張することはできないものと解すべきである」とある。商法540条,最判昭43.4.24</ins>
イ.匿名組合契約は,当事者の一方が相手方の営業のために出資をし,当該営業から生ずる利益を分配することを約することによって,その効力を生ずる。<ins>商法535条</ins>
ウ.問屋が委託者の指定した金額より高値で物品を買い入れた場合には,自らその差額を負担するとき<s>も</s><ins>は</ins>,その買入れは委託者に対して効力を<s>生じない。</s><ins>生じる。商法554条</ins>
エ.場屋営業者は<s>客から寄託を受けた物品の保管に関して注意を怠らなかったことを証明した場合には</s>,当該物品の滅失又は毀損につき<ins>不可抗力によることを証明した場合のみ</ins>,債務不履行に基づく損害賠償責任を免れる。<ins>商法594条1項</ins>
</div>
== 参照法令等 ==
* [http://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=132AC0000000048&openerCode=1#1093 商法]
* [http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=54012 最判昭43.4.24]
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[[カテゴリ:企業法]] | null | 2022-11-29T05:14:01Z | []
| https://ja.wikibooks.org/wiki/%E5%85%AC%E8%AA%8D%E4%BC%9A%E8%A8%88%E5%A3%AB%E8%A9%A6%E9%A8%93/%E5%B9%B3%E6%88%9030%E5%B9%B4%E7%AC%ACI%E5%9B%9E%E7%9F%AD%E7%AD%94%E5%BC%8F/%E4%BC%81%E6%A5%AD%E6%B3%95/%E5%95%8F%E9%A1%8C2 |
24,259 | 公認会計士試験/平成30年第I回短答式/企業法/問題1 | 会社に関する次の記述のうち,正しいものの組合せとして最も適切な番号を一つ選びなさい。(5点)
ア.最高裁判所の判例によれば,会社の行為は商行為と推定される。
イ.会社の代理商は,当該会社の許可を受けずに,自己又は第三者のために当該会社の事業の部類に属する取引をすることができる。
ウ.事業を譲渡した会社が同一の事業を行わない旨の特約をした場合には,当該特約は,当該事業を譲渡した日から50年の期間内に限り,その効力を有する。
エ.株式会社の代表取締役が退任した場合において,その退任の登記の後でなければ,当該株式会社は,当該代表取締役の退任を善意の第三者に対抗することができない。
3
ア.最高裁判所の判例によれば,会社の行為は商行為と推定される。判例によれば,「なぜなら,会社がその事業としてする行為及びその事業のためにする行為は,商行為とされているので(会社法5条),会社は,自己の名をもって商行為をすることを業とする者として,商法上の商人に該当し(商法4条1項),その行為は,その事業のためにするものと推定されるからである(商法503条2項。同項にいう「営業」は,会社については「事業」と同義と解される。)」。最判平20.2.22
イ.会社の代理商は,当該会社の許可を受けずに受けなければ,自己又は第三者のために当該会社の事業の部類に属する取引をすることができる。17条1項1号
ウ.事業を譲渡した会社が同一の事業を行わない旨の特約をした場合には,当該特約は,当該事業を譲渡した日から50年30年の期間内に限り,その効力を有する。21条2項
エ.株式会社の代表取締役が退任した場合において,その退任の登記の後でなければ,当該株式会社は,当該代表取締役の退任を善意の第三者に対抗することができない。908条1項915条1項911条3項14号 | [
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== 問題 ==
会社に関する次の記述のうち,正しいものの組合せとして最も適切な番号を一つ選びなさい。(5点)
<div style="text-indent:-1em;margin-left:1em;">
ア.最高裁判所の判例によれば,会社の行為は商行為と推定される。
イ.会社の代理商は,当該会社の許可を受けずに,自己又は第三者のために当該会社の事業の部類に属する取引をすることができる。
ウ.事業を譲渡した会社が同一の事業を行わない旨の特約をした場合には,当該特約は,当該事業を譲渡した日から50年の期間内に限り,その効力を有する。
エ.株式会社の代表取締役が退任した場合において,その退任の登記の後でなければ,当該株式会社は,当該代表取締役の退任を善意の第三者に対抗することができない。
</div>
<div style="column-count:6;">
:1.アイ
:2.アウ
:3.アエ
:4.イウ
:5.イエ
:6.ウエ
</div>
== 正解 ==
3
== 解説 ==
<div style="text-indent:-1em;margin-left:1em;">
ア.最高裁判所の判例によれば,会社の行為は商行為と推定される。<ins>判例によれば,「なぜなら,会社がその事業としてする行為及びその事業のためにする行為は,商行為とされているので(会社法5条),会社は,自己の名をもって商行為をすることを業とする者として,商法上の商人に該当し(商法4条1項),その行為は,その事業のためにするものと推定されるからである(商法503条2項。同項にいう「営業」は,会社については「事業」と同義と解される。)」。最判平20.2.22</ins>
イ.会社の代理商は,当該会社の許可を<s>受けずに</s><ins>受けなければ</ins>,自己又は第三者のために当該会社の事業の部類に属する取引をすることができる。<ins>17条1項1号</ins>
ウ.事業を譲渡した会社が同一の事業を行わない旨の特約をした場合には,当該特約は,当該事業を譲渡した日から<s>50年</s><ins>30年</ins>の期間内に限り,その効力を有する。<ins>21条2項</ins>
エ.株式会社の代表取締役が退任した場合において,その退任の登記の後でなければ,当該株式会社は,当該代表取締役の退任を善意の第三者に対抗することができない。<ins>908条1項915条1項911条3項14号</ins>
</div>
== 参照法令等 ==
* [http://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=417AC0000000086#51 会社法]
* [http://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=132AC0000000048&openerCode=1#13 商法]
* [http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=35796 最判平20.2.22]
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[[カテゴリ:企業法]] | null | 2022-11-29T05:13:08Z | []
| https://ja.wikibooks.org/wiki/%E5%85%AC%E8%AA%8D%E4%BC%9A%E8%A8%88%E5%A3%AB%E8%A9%A6%E9%A8%93/%E5%B9%B3%E6%88%9030%E5%B9%B4%E7%AC%ACI%E5%9B%9E%E7%9F%AD%E7%AD%94%E5%BC%8F/%E4%BC%81%E6%A5%AD%E6%B3%95/%E5%95%8F%E9%A1%8C1 |
24,261 | 公認会計士試験/平成30年第I回短答式/企業法/問題19 | 有価証券報告書の重要事項についての虚偽の記載によって損害を被った投資者に対する金融商品取引法上の損害賠償責任に関する次の記述のうち,正しいものの組合せとして最も適切な番号を一つ選びなさい。なお,当該投資者は,有価証券の取得又は処分の際に当該記載が虚偽であることを知らなかったものとする。(5 点)
ア.有価証券報告書の提出者が負担する損害賠償責任については,金融商品取引法上,投資者の損害額の推定規定が置かれている。
イ.有価証券報告書の提出者は,虚偽記載について故意又は過失がなかったことを証明しても,損害賠償責任を免れることができない。
ウ.有価証券報告書に係る財務書類について虚偽記載がない旨の監査証明をした公認会計士又は監査法人が負担する損害賠償責任については,金融商品取引法上,投資者の損害額の推定規定が置かれている。
エ.有価証券報告書に係る財務書類について虚偽記載がない旨の監査証明をした公認会計士又は監査法人は,当該監査証明をしたことについて故意又は過失がなかったことを証明すれば,損害賠償責任を免れる。
3
ア.有価証券報告書の提出者が負担する損害賠償責任については,金融商品取引法上,投資者の損害額の推定規定が置かれている。金商法21条の2第3項5項
イ.有価証券報告書の提出者は,虚偽記載について故意又は過失がなかったことを証明してもしたときは,損害賠償責任を免れることができない。金商法21条の2第1項2項
ウ.有価証券報告書に係る財務書類について虚偽記載がない旨の監査証明をした公認会計士又は監査法人が負担する損害賠償責任については,金融商品取引法上,投資者の損害額の推定規定が置かれている。ない。
エ.有価証券報告書に係る財務書類について虚偽記載がない旨の監査証明をした公認会計士又は監査法人は,当該監査証明をしたことについて故意又は過失がなかったことを証明すれば,損害賠償責任を免れる。金商法22条1項2項21条1項3号2項2号24条の4 | [
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"text": "有価証券報告書の重要事項についての虚偽の記載によって損害を被った投資者に対する金融商品取引法上の損害賠償責任に関する次の記述のうち,正しいものの組合せとして最も適切な番号を一つ選びなさい。なお,当該投資者は,有価証券の取得又は処分の際に当該記載が虚偽であることを知らなかったものとする。(5 点)",
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| null | : [[../問題18|←前の問題]]
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== 問題 ==
有価証券報告書の重要事項についての虚偽の記載によって損害を被った投資者に対する金融商品取引法上の損害賠償責任に関する次の記述のうち,正しいものの組合せとして最も適切な番号を一つ選びなさい。なお,当該投資者は,有価証券の取得又は処分の際に当該記載が虚偽であることを知らなかったものとする。(5 点)
<div style="text-indent:-1em;margin-left:1em;">
ア.有価証券報告書の提出者が負担する損害賠償責任については,金融商品取引法上,投資者の損害額の推定規定が置かれている。
イ.有価証券報告書の提出者は,虚偽記載について故意又は過失がなかったことを証明しても,損害賠償責任を免れることができない。
ウ.有価証券報告書に係る財務書類について虚偽記載がない旨の監査証明をした公認会計士又は監査法人が負担する損害賠償責任については,金融商品取引法上,投資者の損害額の推定規定が置かれている。
エ.有価証券報告書に係る財務書類について虚偽記載がない旨の監査証明をした公認会計士又は監査法人は,当該監査証明をしたことについて故意又は過失がなかったことを証明すれば,損害賠償責任を免れる。
</div>
<div style="column-count:6;">
:1.アイ
:2.アウ
:3.アエ
:4.イウ
:5.イエ
:6.ウエ
</div>
== 正解 ==
3
== 解説 ==
<div style="text-indent:-1em;margin-left:1em;">
ア.有価証券報告書の提出者が負担する損害賠償責任については,金融商品取引法上,投資者の損害額の推定規定が置かれている。<ins>金商法21条の2第3項5項</ins>
イ.有価証券報告書の提出者は,虚偽記載について故意又は過失がなかったことを証明<s>しても</s>したときは,損害賠償責任を免れる<s>ことができない</s>。<ins>金商法21条の2第1項2項</ins>
ウ.有価証券報告書に係る財務書類について虚偽記載がない旨の監査証明をした公認会計士又は監査法人が負担する損害賠償責任については,金融商品取引法上,投資者の損害額の推定規定が置かれて<s>いる。</s><ins>ない。</ins>
エ.有価証券報告書に係る財務書類について虚偽記載がない旨の監査証明をした公認会計士又は監査法人は,当該監査証明をしたことについて故意又は過失がなかったことを証明すれば,損害賠償責任を免れる。<ins>金商法22条1項2項21条1項3号2項2号24条の4</ins>
</div>
== 参照法令等 ==
* [http://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=323AC0000000025&openerCode=1#294 金融商品取引法]
: [[../問題18|←前の問題]]
: [[../問題20|次の問題→]]
[[カテゴリ:企業法]] | null | 2022-11-29T05:13:42Z | []
| https://ja.wikibooks.org/wiki/%E5%85%AC%E8%AA%8D%E4%BC%9A%E8%A8%88%E5%A3%AB%E8%A9%A6%E9%A8%93/%E5%B9%B3%E6%88%9030%E5%B9%B4%E7%AC%ACI%E5%9B%9E%E7%9F%AD%E7%AD%94%E5%BC%8F/%E4%BC%81%E6%A5%AD%E6%B3%95/%E5%95%8F%E9%A1%8C19 |
24,262 | 公認会計士試験/平成30年第I回短答式/企業法/問題20 | 次の金融商品取引法上の開示書類のうち,有価証券の募集又は売出しの手続に係る開示書類であり,かつ,公衆の縦覧に供されるものの組合せとして最も適切な番号を一つ選びなさい。(5 点)
ア.自己株券買付状況報告書
イ.有価証券届出書
ウ.発行登録追補書類
エ.目論見書
4
ア.自己株券買付状況報告書は有価証券の募集又は売出しの手続に係る開示書類ではない。金商法24条の6
イ.有価証券届出書。金商法2条7項5条1項
ウ.発行登録追補書類。金商法23条の8第1項本文
エ.目論見書は公衆の縦覧に供されない。金商法2条10項13条1項15条2項
※公衆縦覧について25条1項1号3号11号 | [
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"text": "ア.自己株券買付状況報告書",
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"text": "ウ.発行登録追補書類",
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"text": "エ.目論見書",
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"text": "ア.自己株券買付状況報告書は有価証券の募集又は売出しの手続に係る開示書類ではない。金商法24条の6",
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"text": "イ.有価証券届出書。金商法2条7項5条1項",
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"text": "※公衆縦覧について25条1項1号3号11号",
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]
| null | : [[../問題19|←前の問題]]
: [[../問題20|次の問題→]]
== 問題 ==
次の金融商品取引法上の開示書類のうち,有価証券の募集又は売出しの手続に係る開示書類であり,かつ,公衆の縦覧に供されるものの組合せとして最も適切な番号を一つ選びなさい。(5 点)
<div style="text-indent:-1em;margin-left:1em;">
ア.自己株券買付状況報告書
イ.有価証券届出書
ウ.発行登録追補書類
エ.目論見書
</div>
<div style="column-count:6;">
:1.アイ
:2.アウ
:3.アエ
:4.イウ
:5.イエ
:6.ウエ
</div>
== 正解 ==
4
== 解説 ==
<div style="text-indent:-1em;margin-left:1em;">
ア.自己株券買付状況報告書<ins>は有価証券の募集又は売出しの手続に係る開示書類ではない。金商法24条の6</ins>
イ.有価証券届出書<ins>。金商法2条7項5条1項</ins>
ウ.発行登録追補書類<ins>。金商法23条の8第1項本文</ins>
エ.目論見書<ins>は公衆の縦覧に供されない。金商法2条10項13条1項15条2項</ins>
<ins>※公衆縦覧について25条1項1号3号11号</ins>
</div>
== 参照法令等 ==
* [http://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=323AC0000000025&openerCode=1#188 金融商品取引法]
: [[../問題19|←前の問題]]
: [[../問題20|次の問題→]]
[[カテゴリ:企業法]] | null | 2022-11-29T05:14:05Z | []
| https://ja.wikibooks.org/wiki/%E5%85%AC%E8%AA%8D%E4%BC%9A%E8%A8%88%E5%A3%AB%E8%A9%A6%E9%A8%93/%E5%B9%B3%E6%88%9030%E5%B9%B4%E7%AC%ACI%E5%9B%9E%E7%9F%AD%E7%AD%94%E5%BC%8F/%E4%BC%81%E6%A5%AD%E6%B3%95/%E5%95%8F%E9%A1%8C20 |
24,263 | ゲームプログラミング/コンピュータゲームの種類 | ゲームプログラミング/コンピュータゲームの種類 コンピュータゲームはいくつかの種類に分けられます。ここでは代表的なものについてまとめます。残念ながら、ゲームの分類の仕方には正式なものがないため、ここでの分類はある程度筆者の主観によっています(落ちものゲームはパズルゲームの一部とするか、など)。 | [
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"text": "ゲームプログラミング/コンピュータゲームの種類 コンピュータゲームはいくつかの種類に分けられます。ここでは代表的なものについてまとめます。残念ながら、ゲームの分類の仕方には正式なものがないため、ここでの分類はある程度筆者の主観によっています(落ちものゲームはパズルゲームの一部とするか、など)。",
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| ゲームプログラミング/コンピュータゲームの種類
コンピュータゲームはいくつかの種類に分けられます。ここでは代表的なものについてまとめます。残念ながら、ゲームの分類の仕方には正式なものがないため、ここでの分類はある程度筆者の主観によっています(落ちものゲームはパズルゲームの一部とするか、など)。 |
[[ゲームプログラミング/コンピュータゲームの種類]]
コンピュータゲームはいくつかの種類に分けられます。ここでは代表的なものについてまとめます。残念ながら、ゲームの分類の仕方には正式なものがないため、ここでの分類はある程度筆者の主観によっています(落ちものゲームは'''パズルゲームの一部'''とするか、など)。
; [[w:パズルゲーム|パズルゲーム]]
: '''[[w:パズル|パズル]]'''は一般的なパズルと同じ意味の言葉で、何らかの目的が提示され、ゲームのルールに従ってその目的を達成することを目指します。
: 代表的な例は'''[[w:マインスイーパ|マインスイーパ]]'''、'''[[w:倉庫番|倉庫番]]'''などがあげられます。全体的に素早い操作よりも思考力が問われる内容が多く、低速なコンピュータでも動作するものが多いと言えます。そのため、高度なプログラミング技術よりもゲームを考案するアイディアが重要になり、古いゲームが長く利用され続ける分野でもあります。ただし、有名なゲームでは既に誰かが作成していることが普通であるため、現在のゲームメーカが扱うことはあまりありません。
; [[w:落ち物パズル|落ち物ゲーム]]
: 画面上方から何かが落下し、それを操作して何らかの目的を果たすゲームです(広義には'''パズルゲーム'''に含まれます)。
: 代表的なものに、'''[[w:テトリス|テトリス]]'''(メーカー複数)、'''[[w:ぷよぷよ|ぷよぷよ]]'''([[w:コンパイル|コンパイル
]]、[[w:セガ|セガ]])、'''[[w:Dr.マリオ|ドクターマリオ]]'''([[w:任天堂|任天堂]])などがあります。
: これらはそれぞれルールが異なっており、プログラムの手法もある程度異なってきます。ただし、(ブロックなどの)落下の部分だけは共通です(ちなみに落下してくるのは順に、'''ブロック'''、'''[[w:ぷよぷよ (ゲームキャラクター)|ぷよ]]'''、'''カプセル'''です)。
; [[w:シューティングゲーム|シューティングゲーム]]
: ある程度自由に動かせるプレイヤーを操作し、敵を倒す事を目的としたゲームです。
: プレイヤーは多くの場合飛行することができ、移動はプレイヤーがそのように飛んでいるものと解釈されます。敵を倒すために多くの場合プレイヤーは前方に飛ぶ弾を打つ事ができます。一方、敵がプレイヤーにあたった場合にはプレイヤーはダメージを受けることが普通です。ただし、[[w:バリア|バリア]]のような設定がある場合、もしくは敵の弾を受けたときにダメージがあり、敵との衝突によってはダメージを受けないという設定を置く場合もあります。コンピュータ上の表現として2Dを用いたものと3Dを用いたものがあり、これらはコンピュータの計算量にかなり違いが出るため、時期によってどちらが採用されるかが(ある程度)決まります。
: 2Dの代表的な例として'''[[w:グラディウス (ゲーム)|グラディウス]]'''、'''[[w:ツインビー|ツインビー]]'''([[w:コナミデジタルエンタテインメント|コナミ]])、3Dの例として'''[[w:エースコンバットシリーズ|エースコンバット]]'''([[w:ナムコ|ナムコ]])、'''[[w:スターフォックス64|スターフォックス64]]'''(任天堂)などがあります。
; [[w:アクションゲーム|アクションゲーム]]
: こちらもプレイヤーをある程度自由に動かし、敵を倒していきます。'''シューティングゲーム'''との違いは、プレイヤーは多くの場合人型や動物などの生物の形をしており、また重力の影響である程度以上の上方には移動できないことが多い事が挙げられます(落下の概念があることも多いです)。ただし、プレイヤー自身が空を飛ぶ事が出来る場合があるので、必ずというわけではありません。また、ロールプレイングゲームのようにプレイヤーが成長する要素を加えた物も多く、その場合には'''[[w:アクションロールプレイングゲーム|アクションRPG]]'''などと呼ばれることもあります。アクションゲームにも2Dと3Dの表現があり、3Dの表現ではコンピュータの性能に対する要求が高い場合が多く、通常の家庭用コンピュータでは動作しない場合があります([[w:Microsoft Windows Vista|Windows Vista]]動作PCのように高機能なコンピュータの場合には別です)。
: 代表的な例として、2Dでは、'''[[w:スーパーマリオブラザーズ|スーパーマリオブラザーズ]]'''(任天堂)、'''[[w:魔界村|魔界村]]'''([[w:カプコン|カプコン]])、'''[[w:忍者龍剣伝|忍者龍剣伝]]'''([[w:テクモ|テクモ]])、3Dでは'''[[w:スーパーマリオ64|スーパーマリオ64]]'''(任天堂)、'''[[w:デビルメイクライシリーズ|デビルメイクライ]]'''(カプコン)などがあります。
; [[w:コンピュータRPG|ロールプレイングゲーム]]
: '''ロールプレイングゲーム'''は多くの場合、頭文字で'''RPG'''と省略され、非常に多くのゲームが発売されている分野です。プレイヤーはゲーム中のキャラクターを操作し、ゲームの物語を体験します。多くの場合途中には敵との戦いがあり、その中ではRPGの他の部分と異なった操作が使われます。多くの場合プレイヤーがキャラクターが行う行動を選択し、それをプレイヤーが操作するキャラクターが実行するという仕方で戦闘が進みます。しかし、アクションゲームのようにキャラクターを操作する場合もある為、一概にいう事は出来ません。
: 代表的な例として、'''[[w:ドラゴンクエストシリーズ|ドラゴンクエスト]]'''、'''[[w:ファイナルファンタジーシリーズ|ファイナルファンタジー]]'''([[w:スクウェア・エニックス|スクウェア・エニックス]])、'''[[w:ポケットモンスター (ゲーム)|ポケットモンスター]]'''(任天堂)などがあります。
; [[w:スポーツゲーム|スポーツゲーム]]
: 何らかのスポーツの動作を簡略化してプレイヤーが操作できる形にし、それによってそのスポーツを実践させます。
: 代表的な例として、'''[[w:みんなのGOLF|みんなのゴルフ]]'''([[w:ソニー・コンピュータエンタテインメント|ソニー・コンピュータエンタテインメント]])、'''[[w:ウイニングイレブン|ウイニングイレブン]]'''、'''[[w:実況パワフルプロ野球|実況パワフルプロ野球]]'''(コナミ)などがあります。
; [[w:ボードゲーム|ボードゲーム]]
: 何らかのボードゲームをゲーム化したものですが、既に知られているボードゲームを単にゲーム化した場合もありますが、ゲーム独自のボードゲームである場合もあります。
: 代表的な例として、'''[[w:いただきストリート|いただきストリート]]'''(スクウェア・エニックス)、'''[[w:桃太郎電鉄シリーズ|桃太郎電鉄]]'''([[w:ハドソン|ハドソン]])、'''[[w:マリオパーティシリーズ|マリオパーティ]]'''(任天堂)などがあります。
; その他
: その他にも多数の様々なオリジナルのジャンルがあります。
: 完全に既存のジャンルと異なる独自のもの、複数のジャンルの組み合わせ(複合)などがあります。ただし、ゲームによっては既存のジャンルに分類されることもあります。
[[カテゴリ:ゲーム]] | null | 2022-11-24T16:34:23Z | []
| https://ja.wikibooks.org/wiki/%E3%82%B2%E3%83%BC%E3%83%A0%E3%83%97%E3%83%AD%E3%82%B0%E3%83%A9%E3%83%9F%E3%83%B3%E3%82%B0/%E3%82%B3%E3%83%B3%E3%83%94%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%82%BF%E3%82%B2%E3%83%BC%E3%83%A0%E3%81%AE%E7%A8%AE%E9%A1%9E |
24,266 | 公認会計士試験/平成30年第I回短答式/企業法/問題5 | 株主の権利又は株式の内容に関する次の記述のうち,正しいものの組合せとして最も適切な番号を一つ選びなさい。(5点)
ア.公開会社でない株式会社は,定款の定めをもって,株主に剰余金の配当を受ける権利及び残余財産の分配を受ける権利の全部を与えないものとすることができる。
イ.最高裁判所の判例の趣旨によれば,株式の共有者間において,当該株式についての権利を行使する者を定めるに当たっては,各共有者の持分の価格に従い,その過半数をもってこれを決することができる。
ウ.株式会社が,定款の変更により,その発行する全部の株式の内容として,当該株式会社が一定の事由が生じたことを条件として当該株式を取得することができることを定める場合において,当該定款の変更に反対する株主は,株式買取請求権を行使することができる。
エ.株式会社が株主の権利の行使に関し,その子会社の計算において財産上の利益を供与した場合において,当該利益の供与を受けた者は,これを当該子会社に返還しなければならない。
5
ア.公開会社でないか否かにかかわらず,株式会社は,定款の定めをもってしても,株主に剰余金の配当を受ける権利及び残余財産の分配を受ける権利の全部を与えないものとすることができる。できない。105条2項
イ.最高裁判所の判例の趣旨によれば,株式の共有者間において,当該株式についての権利を行使する者を定めるに当たっては,各共有者の持分の価格に従い,その過半数をもってこれを決することができる。106条本文,最判平9.1.28,なお民法252条参照
ウ.株式会社が,定款の変更により,その発行する全部の株式の内容として,当該株式会社が一定の事由が生じたことを条件として当該株式を取得することができることを定める場合において,当該定款の変更に反対する株主は,株式買取請求権を行使することができる。できない。全部の株式を取得条項付株式とする定款変更には、総株主の同意が必要であるため (110条),反対株主の株式買取請求権の規定がない。
エ.株式会社が株主の権利の行使に関し,その子会社の計算において財産上の利益を供与した場合において,当該利益の供与を受けた者は,これを当該子会社に返還しなければならない。120条3項前段 | [
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| null | : [[../問題4|←前の問題]]
: [[../問題6|次の問題→]]
== 問題 ==
株主の権利又は株式の内容に関する次の記述のうち,正しいものの組合せとして最も適切な番号を一つ選びなさい。(5点)
<div style="text-indent:-1em;margin-left:1em;">
ア.公開会社でない株式会社は,定款の定めをもって,株主に剰余金の配当を受ける権利及び残余財産の分配を受ける権利の全部を与えないものとすることができる。
イ.最高裁判所の判例の趣旨によれば,株式の共有者間において,当該株式についての権利を行使する者を定めるに当たっては,各共有者の持分の価格に従い,その過半数をもってこれを決することができる。
ウ.株式会社が,定款の変更により,その発行する全部の株式の内容として,当該株式会社が一定の事由が生じたことを条件として当該株式を取得することができることを定める場合において,当該定款の変更に反対する株主は,株式買取請求権を行使することができる。
エ.株式会社が株主の権利の行使に関し,その子会社の計算において財産上の利益を供与した場合において,当該利益の供与を受けた者は,これを当該子会社に返還しなければならない。
</div>
<div style="column-count:6;">
:1.アイ
:2.アウ
:3.アエ
:4.イウ
:5.イエ
:6.ウエ
</div>
== 正解 ==
5
== 解説 ==
<div style="text-indent:-1em;margin-left:1em;">
ア.公開会社でない<ins>か否かにかかわらず,</ins>株式会社は,定款の定めをもって<ins>しても</ins>,株主に剰余金の配当を受ける権利及び残余財産の分配を受ける権利の全部を与えないものとすることが<s>できる。</s><ins>できない。105条2項</ins>
イ.最高裁判所の判例の趣旨によれば,株式の共有者間において,当該株式についての権利を行使する者を定めるに当たっては,各共有者の持分の価格に従い,その過半数をもってこれを決することができる。<ins>106条本文,最判平9.1.28,なお民法252条参照</ins>
ウ.株式会社が,定款の変更により,その発行する全部の株式の内容として,当該株式会社が一定の事由が生じたことを条件として当該株式を取得することができることを定める場合において,当該定款の変更に反対する株主は,株式買取請求権を行使することが<s>できる。</s><ins>できない。全部の株式を取得条項付株式とする定款変更には、総株主の同意が必要であるため (110条),反対株主の株式買取請求権の規定がない。</ins>
エ.株式会社が株主の権利の行使に関し,その子会社の計算において財産上の利益を供与した場合において,当該利益の供与を受けた者は,これを当該子会社に返還しなければならない。<ins>120条3項前段</ins>
</div>
== 参照法令等 ==
* [http://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=417AC0000000086#221 会社法]
* [http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=62726 最判平9.1.28]
* [http://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=129AC0000000089#851 民法]
: [[../問題4|←前の問題]]
: [[../問題6|次の問題→]]
[[カテゴリ:企業法]] | null | 2022-11-29T05:14:14Z | []
| https://ja.wikibooks.org/wiki/%E5%85%AC%E8%AA%8D%E4%BC%9A%E8%A8%88%E5%A3%AB%E8%A9%A6%E9%A8%93/%E5%B9%B3%E6%88%9030%E5%B9%B4%E7%AC%ACI%E5%9B%9E%E7%9F%AD%E7%AD%94%E5%BC%8F/%E4%BC%81%E6%A5%AD%E6%B3%95/%E5%95%8F%E9%A1%8C5 |
24,271 | 公認会計士試験/平成30年第I回短答式/企業法/問題9 | 株主総会に関する次の記述のうち,正しいものの組合せとして最も適切な番号を一つ選びなさい。なお,株主総会の決議要件について定款の定めはないものとする。(5点)
ア.公開会社は,株主総会の招集通知を口頭によって行うことができない。
イ.最高裁判所の判例によれば,招集権者による招集の手続を欠く場合で,株主全員が出席して決議をしたときは,株主の一部がその開催に同意していない場合であっても,当該決議は有効に成立する。
ウ.株主は,株主総会において,当該株主総会の目的である事項について自らが議決権を行使することができない場合には,当該事項について議案を提出することができない。
エ.株式会社が,その発行する全部の株式の内容として,譲渡による当該株式の取得について当該株式会社の承認を要する旨の定款の定めを設けるとき,当該定款の変更は株主総会の特別決議によって行う。
1
ア.公開会社は,株主総会の招集通知を口頭によって行うことができない。公開会社は取締役会設置会社だからである(327条1項1号)。299条2項2号3項
イ.最高裁判所の判例によれば,招集権者による招集の手続を欠く場合で,株主全員が株主総会の開催に同意して出席して決議をしたときは,株主の一部がその開催に同意していない場合であっても,当該決議は有効に成立する。最判昭60.12.20
ウ.株主は,株主総会において,当該株主総会の目的である事項について自らが議決権を行使することができない場合には,当該事項について議案を提出することができない。304条かっこ書
エ.株式会社が,その発行する全部の株式の内容として,譲渡による当該株式の取得について当該株式会社の承認を要する旨の定款の定めを設けるとき,当該定款の変更は株主総会の特別決議特殊決議によって行う。309条3項1号 | [
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| null | : [[../問題8|←前の問題]]
: [[../問題10|次の問題→]]
== 問題 ==
株主総会に関する次の記述のうち,正しいものの組合せとして最も適切な番号を一つ選びなさい。なお,株主総会の決議要件について定款の定めはないものとする。(5点)
<div style="text-indent:-1em;margin-left:1em;">
ア.公開会社は,株主総会の招集通知を口頭によって行うことができない。
イ.最高裁判所の判例によれば,招集権者による招集の手続を欠く場合で,株主全員が出席して決議をしたときは,株主の一部がその開催に同意していない場合であっても,当該決議は有効に成立する。
ウ.株主は,株主総会において,当該株主総会の目的である事項について自らが議決権を行使することができない場合には,当該事項について議案を提出することができない。
エ.株式会社が,その発行する全部の株式の内容として,譲渡による当該株式の取得について当該株式会社の承認を要する旨の定款の定めを設けるとき,当該定款の変更は株主総会の特別決議によって行う。
</div>
<div style="column-count:6;">
:1.アイ
:2.アウ
:3.アエ
:4.イウ
:5.イエ
:6.ウエ
</div>
== 正解 ==
1
== 解説 ==
<div style="text-indent:-1em;margin-left:1em;">
ア.公開会社は,株主総会の招集通知を口頭によって行うことができない。<ins>公開会社は取締役会設置会社だからである(327条1項1号)。299条2項2号3項</ins>
イ.最高裁判所の判例によれば,招集権者による招集の手続を欠く場合で,株主全員が<ins>株主総会の開催に同意して</ins>出席して決議をしたときは,<del>株主の一部がその開催に同意していない場合であっても,</del>当該決議は有効に成立する。<ins>最判昭60.12.20</ins>
ウ.株主は,株主総会において,当該株主総会の目的である事項について自らが議決権を行使することができない場合には,当該事項について議案を提出することができない。<ins>304条かっこ書</ins>
エ.株式会社が,その発行する全部の株式の内容として,譲渡による当該株式の取得について当該株式会社の承認を要する旨の定款の定めを設けるとき,当該定款の変更は株主総会の<s>特別決議</s><ins>特殊決議</ins>によって行う。<ins>309条3項1号</ins>
</div>
== 参照法令等 ==
* [http://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=417AC0000000086#2299 会社法]
* [http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=52698 最判昭60.12.20]
: [[../問題8|←前の問題]]
: [[../問題10|次の問題→]]
[[カテゴリ:企業法]] | null | 2022-11-29T05:14:26Z | []
| https://ja.wikibooks.org/wiki/%E5%85%AC%E8%AA%8D%E4%BC%9A%E8%A8%88%E5%A3%AB%E8%A9%A6%E9%A8%93/%E5%B9%B3%E6%88%9030%E5%B9%B4%E7%AC%ACI%E5%9B%9E%E7%9F%AD%E7%AD%94%E5%BC%8F/%E4%BC%81%E6%A5%AD%E6%B3%95/%E5%95%8F%E9%A1%8C9 |
24,273 | 公認会計士試験/平成30年第I回短答式/財務会計論/問題3 | 次の〔資料〕に基づき,X1年度(X1年4月1日~X2年3月31日)の本支店合併の損益計算書で示される売上総利益の金額として最も適切なものの番号を一つ選びなさい。(8点)
〔資料〕
1.当社は,本店のほかに1支店を設けており,支店の会計は本店から独立している。
2.X1年度の本支店合併前の損益計算書
3.本店から支店に発送した商品には,全て原価の10%の利益が加えてある。
4.未達事項整理前の支店勘定残高は800千円(借方),本店勘定残高は712千円(貸方)である。
5.資料2.の支店の期末商品棚卸高のうち,825千円は本店から仕入れたものである。
6.本店から支店に発送した商品88千円が,支店に未達である。
3
※本店勘定: 712+未達88=800
※本店から仕入勘定: 1,012+未達88=1,100 | [
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| null | : [[公認会計士試験/平成30年第I回短答式/財務会計論/問題2|←前の問題]]
: [[公認会計士試験/平成30年第I回短答式/財務会計論/問題4|次の問題→]]
== 問題 ==
次の〔'''資料'''〕に基づき,X1年度(X1年4月1日~X2年3月31日)の本支店合併の損益計算書で示される売上総利益の金額として最も適切なものの番号を一つ選びなさい。(8点)
〔'''資料'''〕
1.当社は,本店のほかに1支店を設けており,支店の会計は本店から独立している。
2.X1年度の本支店合併前の損益計算書
{| style="font-family: monospace"
|-
| colspan="3" style="border-bottom: 1px solid #000; text-align:center" |本店の損益計算書(一部)
| style="border-bottom: 1px solid #000" |(単位:千円)
|-
|期首商品棚卸高
| 800
| style="border-left: 1px solid #000" |売上高
|3,100
|-
|仕入高
|2,900
| style="border-left: 1px solid #000" |支店へ売上
|1,100
|-
|売上総利益
|1,200
| style="border-left: 1px solid #000" |期末商品棚卸高
| 700
|-
|
| style="border-top: 1px solid #000; border-bottom: 3px double #000" |4,900
| style="border-left: 1px solid #000" |
| style="border-top: 1px solid #000; border-bottom: 3px double #000" |4,900
|}
{| style="font-family: monospace"
|-
| colspan="3" style="border-bottom: 1px solid #000; text-align:center" |支店の損益計算書(一部)
| style="border-bottom: 1px solid #000" |(単位:千円)
|-
|仕入高
|1,200
| style="border-left: 1px solid #000" |売上高
|1,700
|-
|本店から仕入
|1,012
| style="border-left: 1px solid #000" |期末商品棚卸高
| 975
|-
|売上総利益
| 463
| style="border-left: 1px solid #000; text-align: right" |/
|
|-
|
| style="border-top: 1px solid #000; border-bottom: 3px double #000" |2,675
| style="border-left: 1px solid #000" |
| style="border-top: 1px solid #000; border-bottom: 3px double #000" |2,675
|}
3.本店から支店に発送した商品には,全て原価の10%の利益が加えてある。
4.未達事項整理前の支店勘定残高は800千円(借方),本店勘定残高は712千円(貸方)である。
5.資料'''2'''.の支店の期末商品棚卸高のうち,825千円は本店から仕入れたものである。
6.本店から支店に発送した商品88千円が,支店に未達である。
<div style="column-count:3;">
: '''1'''. 1,492千円
: '''2'''. 1,500千円
: '''3'''. 1,580千円
</div>
<div style="column-count:3;">
: '''4'''. 1,588千円
: '''5'''. 1,655千円
: '''6'''. 1,663千円
</div>
== 正解 ==
3
== 解説 ==
=== 未達取引 (支店) ===
{| style="border: 1px solid #000"
|-
| (借)
| 本店から仕入
| 88
| /(貸)
| 本店
| 88
|}
=== 合併整理仕訳など ===
==== 照合勘定の相殺 ====
{| style="border: 1px solid #000"
|-
| (借)
| 本店
| 800
| /(貸)
| 支店
| 800
|}
※本店勘定: 712+未達88=800
{| style="border: 1px solid #000"
|-
| (借)
| 支店へ売上
| 1,100
| /(貸)
| 本店から仕入
| 1,100
|}
※本店から仕入勘定: 1,012+未達88=1,100
==== 内部利益の調整 ====
*支店における本店仕入期末商品: 支店P/L825+未達88=913
*内部利益: 913÷1.1×0.1=83
{| style="border: 1px solid #000"
|-
| (借)
| 繰延内部利益控除
| 83
| /(貸)
| 繰延内部利益
| 83
|}
=== 売上原価 ===
; 期首商品棚卸高
: 800 (本店P/L)
; 当期商品仕入高
: 4,100 (=本店P/L2,900+支店P/L1,200)
; 期末商品棚卸高
: 1,680 (=本店P/L+支店P/L975+未達88-内部利益83)
; 売上原価
: 3,220 (=800+4,100-1680)
=== 売上総利益 ===
; 売上高
: 4,800 (=本店P/L3,100+支店P/L1,700)
; 売上原価
: 3,220
; 売上総利益
: 1,580 (=4,800-3,200)
{| style="font-family: monospace"
|+ colspan="3" style="border-bottom: 1px solid #000; text-align:center" |損益計算書(単位:千円)
|-
|期首商品棚卸高
| 800
| style="border-left: 1px solid #000" |売上高
|4,800
|-
|仕入高
|4,100
| style="border-left: 1px solid #000" |期末商品棚卸高
|1,680
|-
|売上総利益
|1,580
| style="border-left: 1px solid #000; text-align: right" |/
|
|-
|
| style="border-top: 1px solid #000; border-bottom: 3px double #000" |6,480
| style="border-left: 1px solid #000" |
| style="border-top: 1px solid #000; border-bottom: 3px double #000" |6,480
|}
: [[公認会計士試験/平成30年第I回短答式/財務会計論/問題2|←前の問題]]
: [[公認会計士試験/平成30年第I回短答式/財務会計論/問題4|次の問題→]]
[[カテゴリ:財務会計]] | null | 2022-11-28T16:38:51Z | []
| https://ja.wikibooks.org/wiki/%E5%85%AC%E8%AA%8D%E4%BC%9A%E8%A8%88%E5%A3%AB%E8%A9%A6%E9%A8%93/%E5%B9%B3%E6%88%9030%E5%B9%B4%E7%AC%ACI%E5%9B%9E%E7%9F%AD%E7%AD%94%E5%BC%8F/%E8%B2%A1%E5%8B%99%E4%BC%9A%E8%A8%88%E8%AB%96/%E5%95%8F%E9%A1%8C3 |
24,282 | 公認会計士試験/平成30年第I回短答式/財務会計論/問題1 | 資本利益計算の基本原理に関する次の記述のうち,正しいものの組合せとして最も適切な番号を一つ選びなさい。(5点)
ア.財産法においては,一会計期間の経営活動の結果,期末資本が期首資本よりも増加した場合,その増加額が当期純利益とされる。しかし,この方法では,当期純利益の総額が分かるだけで,それがどのような原因によって生じたのかは分からない。これに対して,損益法においては,収益の総額から費用の総額を差し引いて当期純利益が計算される。この方法によると,収益と費用の内訳表示を通じて,当期純利益の発生原因を明らかにすることができる。
イ.棚卸法とは,原則として全ての資産および負債の有高を実際に調査し,その結果に基づいて貸借対照表を作成する方法をいう。これに対し,原則として会計帳簿の継続的な記録を前提として,決算整理後の資産,負債および純資産(資本)の各勘定残高に基づいて貸借対照表を作成する方法を,誘導法という。
ウ.現金主義においては,費用は現金の支出があったときに認識する。これに対し,発生主義においては,現金の支出の時点に関係なく,財貨・用役が消費されているという事実に基づいて費用を認識する。したがって,計画的・規則的な減価償却費の計上は,発生主義によらない。
エ.貸借対照表に計上する資産の価額を決めることを資産の評価という。資産の評価法は,資産の種類によって異なるが,原則として貨幣性資産の場合は,その収入額または回収可能額(出口価格としての時価)により評価し,費用性資産の場合は,取得原価に基づいて評価する。したがって,関連会社株式は原則として時価で評価し,事業用固定資産は原則として取得原価によって評価する。
1
ア.財産法においては,一会計期間の経営活動の結果,期末資本が期首資本よりも増加した場合,その増加額が当期純利益とされる。しかし,この方法では,当期純利益の総額が分かるだけで,それがどのような原因によって生じたのかは分からない。これに対して,損益法においては,収益の総額から費用の総額を差し引いて当期純利益が計算される。この方法によると,収益と費用の内訳表示を通じて,当期純利益の発生原因を明らかにすることができる。
イ.棚卸法とは,原則として全ての資産および負債の有高を実際に調査し,その結果に基づいて貸借対照表を作成する方法をいう。これに対し,原則として会計帳簿の継続的な記録を前提として,決算整理後の資産,負債および純資産(資本)の各勘定残高に基づいて貸借対照表を作成する方法を,誘導法という。
ウ.現金主義においては,費用は現金の支出があったときに認識する。これに対し,発生主義においては,現金の支出の時点に関係なく,財貨・用役が消費されているという事実に基づいて費用を認識する。したがって,計画的・規則的な減価償却費の計上は,財貨・用役の消費を計画的・規則的に仮定したものであり,発生主義によらない。よる。企業会計原則第三 五
エ.貸借対照表に計上する資産の価額を決めることを資産の評価という。資産の評価法は,資産の種類によって異なるが,原則として貨幣性資産の場合は,その収入額または回収可能額(出口価格としての時価)により評価し,費用性資産の場合は,取得原価に基づいて評価する。したがって,関連会社株式は原則として時価で評価し,および事業用固定資産は原則として取得原価によって評価する。金融商品に関する会計基準17項74項 | [
{
"paragraph_id": 0,
"tag": "p",
"text": "資本利益計算の基本原理に関する次の記述のうち,正しいものの組合せとして最も適切な番号を一つ選びなさい。(5点)",
"title": "問題"
},
{
"paragraph_id": 1,
"tag": "p",
"text": "ア.財産法においては,一会計期間の経営活動の結果,期末資本が期首資本よりも増加した場合,その増加額が当期純利益とされる。しかし,この方法では,当期純利益の総額が分かるだけで,それがどのような原因によって生じたのかは分からない。これに対して,損益法においては,収益の総額から費用の総額を差し引いて当期純利益が計算される。この方法によると,収益と費用の内訳表示を通じて,当期純利益の発生原因を明らかにすることができる。",
"title": "問題"
},
{
"paragraph_id": 2,
"tag": "p",
"text": "イ.棚卸法とは,原則として全ての資産および負債の有高を実際に調査し,その結果に基づいて貸借対照表を作成する方法をいう。これに対し,原則として会計帳簿の継続的な記録を前提として,決算整理後の資産,負債および純資産(資本)の各勘定残高に基づいて貸借対照表を作成する方法を,誘導法という。",
"title": "問題"
},
{
"paragraph_id": 3,
"tag": "p",
"text": "ウ.現金主義においては,費用は現金の支出があったときに認識する。これに対し,発生主義においては,現金の支出の時点に関係なく,財貨・用役が消費されているという事実に基づいて費用を認識する。したがって,計画的・規則的な減価償却費の計上は,発生主義によらない。",
"title": "問題"
},
{
"paragraph_id": 4,
"tag": "p",
"text": "エ.貸借対照表に計上する資産の価額を決めることを資産の評価という。資産の評価法は,資産の種類によって異なるが,原則として貨幣性資産の場合は,その収入額または回収可能額(出口価格としての時価)により評価し,費用性資産の場合は,取得原価に基づいて評価する。したがって,関連会社株式は原則として時価で評価し,事業用固定資産は原則として取得原価によって評価する。",
"title": "問題"
},
{
"paragraph_id": 5,
"tag": "p",
"text": "1",
"title": "正解"
},
{
"paragraph_id": 6,
"tag": "p",
"text": "ア.財産法においては,一会計期間の経営活動の結果,期末資本が期首資本よりも増加した場合,その増加額が当期純利益とされる。しかし,この方法では,当期純利益の総額が分かるだけで,それがどのような原因によって生じたのかは分からない。これに対して,損益法においては,収益の総額から費用の総額を差し引いて当期純利益が計算される。この方法によると,収益と費用の内訳表示を通じて,当期純利益の発生原因を明らかにすることができる。",
"title": "解説"
},
{
"paragraph_id": 7,
"tag": "p",
"text": "イ.棚卸法とは,原則として全ての資産および負債の有高を実際に調査し,その結果に基づいて貸借対照表を作成する方法をいう。これに対し,原則として会計帳簿の継続的な記録を前提として,決算整理後の資産,負債および純資産(資本)の各勘定残高に基づいて貸借対照表を作成する方法を,誘導法という。",
"title": "解説"
},
{
"paragraph_id": 8,
"tag": "p",
"text": "ウ.現金主義においては,費用は現金の支出があったときに認識する。これに対し,発生主義においては,現金の支出の時点に関係なく,財貨・用役が消費されているという事実に基づいて費用を認識する。したがって,計画的・規則的な減価償却費の計上は,財貨・用役の消費を計画的・規則的に仮定したものであり,発生主義によらない。よる。企業会計原則第三 五",
"title": "解説"
},
{
"paragraph_id": 9,
"tag": "p",
"text": "エ.貸借対照表に計上する資産の価額を決めることを資産の評価という。資産の評価法は,資産の種類によって異なるが,原則として貨幣性資産の場合は,その収入額または回収可能額(出口価格としての時価)により評価し,費用性資産の場合は,取得原価に基づいて評価する。したがって,関連会社株式は原則として時価で評価し,および事業用固定資産は原則として取得原価によって評価する。金融商品に関する会計基準17項74項",
"title": "解説"
}
]
| null | : ←前の問題
: [[../問題2|次の問題→]]
== 問題 ==
資本利益計算の基本原理に関する次の記述のうち,正しいものの組合せとして最も適切な番号を一つ選びなさい。(5点)
<div style="text-indent:-1em;margin-left:1em;">
ア.財産法においては,一会計期間の経営活動の結果,期末資本が期首資本よりも増加した場合,その増加額が当期純利益とされる。しかし,この方法では,当期純利益の総額が分かるだけで,それがどのような原因によって生じたのかは分からない。これに対して,損益法においては,収益の総額から費用の総額を差し引いて当期純利益が計算される。この方法によると,収益と費用の内訳表示を通じて,当期純利益の発生原因を明らかにすることができる。
イ.棚卸法とは,原則として全ての資産および負債の有高を実際に調査し,その結果に基づいて貸借対照表を作成する方法をいう。これに対し,原則として会計帳簿の継続的な記録を前提として,決算整理後の資産,負債および純資産(資本)の各勘定残高に基づいて貸借対照表を作成する方法を,誘導法という。
ウ.現金主義においては,費用は現金の支出があったときに認識する。これに対し,発生主義においては,現金の支出の時点に関係なく,財貨・用役が消費されているという事実に基づいて費用を認識する。したがって,計画的・規則的な減価償却費の計上は,発生主義によらない。
エ.貸借対照表に計上する資産の価額を決めることを資産の評価という。資産の評価法は,資産の種類によって異なるが,原則として貨幣性資産の場合は,その収入額または回収可能額(出口価格としての時価)により評価し,費用性資産の場合は,取得原価に基づいて評価する。したがって,関連会社株式は原則として時価で評価し,事業用固定資産は原則として取得原価によって評価する。
</div>
<div style="column-count:6;">
:1. アイ
:2. アウ
:3. アエ
:4. イウ
:5. イエ
:6. ウエ
</div>
== 正解 ==
1
== 解説 ==
<div style="text-indent:-1em;margin-left:1em;">
ア.財産法においては,一会計期間の経営活動の結果,期末資本が期首資本よりも増加した場合,その増加額が当期純利益とされる。しかし,この方法では,当期純利益の総額が分かるだけで,それがどのような原因によって生じたのかは分からない。これに対して,損益法においては,収益の総額から費用の総額を差し引いて当期純利益が計算される。この方法によると,収益と費用の内訳表示を通じて,当期純利益の発生原因を明らかにすることができる。
イ.棚卸法とは,原則として全ての資産および負債の有高を実際に調査し,その結果に基づいて貸借対照表を作成する方法をいう。これに対し,原則として会計帳簿の継続的な記録を前提として,決算整理後の資産,負債および純資産(資本)の各勘定残高に基づいて貸借対照表を作成する方法を,誘導法という。
ウ.現金主義においては,費用は現金の支出があったときに認識する。これに対し,発生主義においては,現金の支出の時点に関係なく,財貨・用役が消費されているという事実に基づいて費用を認識する。<s>したがって,</s>計画的・規則的な減価償却費の計上は,<ins>財貨・用役の消費を計画的・規則的に仮定したものであり,</ins>発生主義に<s>よらない。</s><ins>よる。企業会計原則第三 五</ins>
エ.貸借対照表に計上する資産の価額を決めることを資産の評価という。資産の評価法は,資産の種類によって異なるが,原則として貨幣性資産の場合は,その収入額または回収可能額(出口価格としての時価)により評価し,費用性資産の場合は,取得原価に基づいて評価する。したがって,関連会社株式<s>は原則として時価で評価し,</s><ins>および</ins>事業用固定資産は原則として取得原価によって評価する。<ins>金融商品に関する会計基準17項74項</ins>
</div>
== 参照法令等 ==
* [[企業会計原則 (資産の貸借対照表価額)]]
* [https://www.asb.or.jp/jp/wp-content/uploads/fv-kaiji.pdf#page=23 金融商品に関する会計基準]
: ←前の問題
: [[../問題2|次の問題→]]
[[カテゴリ:財務会計]] | null | 2022-11-28T16:37:09Z | []
| https://ja.wikibooks.org/wiki/%E5%85%AC%E8%AA%8D%E4%BC%9A%E8%A8%88%E5%A3%AB%E8%A9%A6%E9%A8%93/%E5%B9%B3%E6%88%9030%E5%B9%B4%E7%AC%ACI%E5%9B%9E%E7%9F%AD%E7%AD%94%E5%BC%8F/%E8%B2%A1%E5%8B%99%E4%BC%9A%E8%A8%88%E8%AB%96/%E5%95%8F%E9%A1%8C1 |
24,286 | 公認会計士試験/平成30年第I回短答式/財務会計論/問題6 | 次の〔資料〕に基づき,X1年度末の貸借対照表に計上する棚卸資産の金額として最も適切なものの番号を一つ選びなさい。なお,原価率は,小数点第3位を四捨五入すること。また,計算結果に端数が生じる場合,円未満を四捨五入すること。(8点)
〔資料〕
1.当社は,一般販売と試用販売を行っている。また,試用販売の売価は,毎期,一般販売の売価の20%増に設定している。一般販売の原価率は毎期同じである。
2.X1年度末の決算整理前残高試算表(商品販売に関する部分)
3.決算整理前残高試算表の繰越商品の金額は,試用品発送高を含んでいない。
4.試用品発送高を含まない当期末の商品有高は,145,000円である。
5.期末における全ての商品について,評価損・減耗損はない。
6.試用販売では,試用品発送時に仕入勘定から試用品勘定への振替を行い,買取り意思表示のあった試用品は,買取り意思表示のあったときに試用品売上として計上し,その原価をその期の決算整理時に仕入勘定に振り替えている。
5
※2,080,000÷3,200,000=65% | [
{
"paragraph_id": 0,
"tag": "p",
"text": "次の〔資料〕に基づき,X1年度末の貸借対照表に計上する棚卸資産の金額として最も適切なものの番号を一つ選びなさい。なお,原価率は,小数点第3位を四捨五入すること。また,計算結果に端数が生じる場合,円未満を四捨五入すること。(8点)",
"title": "問題"
},
{
"paragraph_id": 1,
"tag": "p",
"text": "〔資料〕",
"title": "問題"
},
{
"paragraph_id": 2,
"tag": "p",
"text": "1.当社は,一般販売と試用販売を行っている。また,試用販売の売価は,毎期,一般販売の売価の20%増に設定している。一般販売の原価率は毎期同じである。",
"title": "問題"
},
{
"paragraph_id": 3,
"tag": "p",
"text": "2.X1年度末の決算整理前残高試算表(商品販売に関する部分)",
"title": "問題"
},
{
"paragraph_id": 4,
"tag": "p",
"text": "3.決算整理前残高試算表の繰越商品の金額は,試用品発送高を含んでいない。",
"title": "問題"
},
{
"paragraph_id": 5,
"tag": "p",
"text": "4.試用品発送高を含まない当期末の商品有高は,145,000円である。",
"title": "問題"
},
{
"paragraph_id": 6,
"tag": "p",
"text": "5.期末における全ての商品について,評価損・減耗損はない。",
"title": "問題"
},
{
"paragraph_id": 7,
"tag": "p",
"text": "6.試用販売では,試用品発送時に仕入勘定から試用品勘定への振替を行い,買取り意思表示のあった試用品は,買取り意思表示のあったときに試用品売上として計上し,その原価をその期の決算整理時に仕入勘定に振り替えている。",
"title": "問題"
},
{
"paragraph_id": 8,
"tag": "p",
"text": "5",
"title": "正解"
},
{
"paragraph_id": 9,
"tag": "p",
"text": "※2,080,000÷3,200,000=65%",
"title": "解説"
}
]
| null | : [[../問題5|←前の問題]]
: [[../問題7|次の問題→]]
== 問題 ==
次の〔'''資料'''〕に基づき,X1年度末の貸借対照表に計上する棚卸資産の金額として最も適切なものの番号を一つ選びなさい。なお,原価率は,小数点第3位を四捨五入すること。また,計算結果に端数が生じる場合,円未満を四捨五入すること。(8点)
〔'''資料'''〕
1.当社は,一般販売と試用販売を行っている。また,試用販売の売価は,毎期,一般販売の売価の20%増に設定している。一般販売の原価率は毎期同じである。
2.X1年度末の決算整理前残高試算表(商品販売に関する部分)
{| style="font-family: monospace"
|-
| colspan="4" style="border-bottom: 1px solid #000; text-align:right" |(単位:円)
|-
|繰越商品
| 125,000
| style="border-left: 1px solid #000" |一般売上
|3,200,000
|-
|試用品
|1,550,000
| style="border-left: 1px solid #000" |試用品売上
|2,700,000
|-
|仕入
|2,100,000
| style="border-left: 1px solid #000" |
|
|}
3.決算整理前残高試算表の繰越商品の金額は,試用品発送高を含んでいない。
4.試用品発送高を含まない当期末の商品有高は,145,000円である。
5.期末における全ての商品について,評価損・減耗損はない。
6.試用販売では,試用品発送時に仕入勘定から試用品勘定への振替を行い,買取り意思表示のあった試用品は,買取り意思表示のあったときに試用品売上として計上し,その原価をその期の決算整理時に仕入勘定に振り替えている。
<div style="column-count:3;font-family: monospace">
: '''1.''' 87,500千円
: '''2.''' 145,000千円
: '''3.''' 196,275千円
</div>
<div style="column-count:3;font-family: monospace">
: '''4.''' 212,500千円
: '''5.''' 232,500千円
: '''6.''' 310,575千円
</div>
== 正解 ==
5
== 解説 ==
=== 一般販売の原価率算定 ===
{|
|-
| style="border:1px solid #000"| 期首125,000
| rowspan="2" style="border:1px solid #000" | 一般売上原価2,080,000<br>∵貸借差額より
| rowspan="3" |65%※<br><span style="font-size:500%">↔</span>
| rowspan="3" |一般売上3,200,000
|-
| rowspan="2" style="border:1px solid #000" |仕入2,100,000<br>※試用販売の仕訳は期末一括法<br>であるため、前T/Bの値
|-
| style="border:1px solid #000" | 期末'''145,000'''
|}
※2,080,000÷3,200,000=65%
=== 試用販売 ===
{|
|-
| rowspan="2" style="border:1px solid #000"| 期首+当期試送1,550,000<br>∵前T/B
| style="border:1px solid #000"| 売上原価1,462,500
|×65%<br><span style="font-size:500%">←</span>
|一般売上換算2,250,000
|÷120%<br><span style="font-size:500%">←</span>
|試用売上2,700,000
|-
| style="border:1px solid #000"| 期末'''87,500'''
|
|
|
|
|}
: [[../問題5|←前の問題]]
: [[../問題7|次の問題→]]
[[カテゴリ:財務会計]] | null | 2022-11-28T16:39:01Z | []
| https://ja.wikibooks.org/wiki/%E5%85%AC%E8%AA%8D%E4%BC%9A%E8%A8%88%E5%A3%AB%E8%A9%A6%E9%A8%93/%E5%B9%B3%E6%88%9030%E5%B9%B4%E7%AC%ACI%E5%9B%9E%E7%9F%AD%E7%AD%94%E5%BC%8F/%E8%B2%A1%E5%8B%99%E4%BC%9A%E8%A8%88%E8%AB%96/%E5%95%8F%E9%A1%8C6 |
24,289 | 行政不服審査法第82条 | 法学>行政法>コンメンタール行政不服審査法
(不服申立てをすべき行政庁等の教示)
教示制度の定義規定である。
処分に不服をもつ者が不服申立ての仕方を知らないために救済の機会を失うことのないよう、定められたのが教示制度である。
「処分を口頭でする場合」には口頭で教示する義務がないのか、そもそも教示しなくてよいのか不明である。
利害関係人(せいぜい参加人として扱われるにすぎない)には救済の機会を保障する必要が無いが、利害関係人に請求の資格が認められる場合がある。この場合教示の求めがなければ教示は必要ない。 | [
{
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| 法学>行政法>コンメンタール行政不服審査法 | [[法学]]>[[行政法]]>[[コンメンタール行政不服審査法]]
==条文==
(不服申立てをすべき行政庁等の教示)
;第82条
#行政庁は、審査請求若しくは再調査の請求又は他の法令に基づく不服申立て(以下この条において「不服申立て」と総称する。)をすることができる処分をする場合には、処分の相手方に対し、当該処分につき不服申立てをすることができる旨並びに不服申立てをすべき行政庁及び不服申立てをすることができる期間を書面で教示しなければならない。ただし、当該処分を口頭でする場合は、この限りでない。
#行政庁は、利害関係人から、当該処分が不服申立てをすることができる処分であるかどうか並びに当該処分が不服申立てをすることができるものである場合における不服申立てをすべき行政庁及び不服申立てをすることができる期間につき教示を求められたときは、当該事項を教示しなければならない。
#前項の場合において、教示を求めた者が書面による教示を求めたときは、当該教示は、書面でしなければならない。
==解説==
===1項===
教示制度の定義規定である。
処分に不服をもつ者が不服申立ての仕方を知らないために救済の機会を失うことのないよう、定められたのが教示制度である。
「処分を口頭でする場合」には口頭で教示する義務がないのか、そもそも教示しなくてよいのか不明である。
===2項===
利害関係人(せいぜい参加人として扱われるにすぎない)には救済の機会を保障する必要が無いが、利害関係人に請求の資格が認められる場合がある。この場合教示の求めがなければ教示は必要ない。
==参照条文==
== 判例 ==
----
{{前後
|[[コンメンタール行政不服審査法|行政不服審査法]]
|[[コンメンタール行政不服審査法#6|第6章 補則]]
|[[行政不服審査法第81条|第81条]]
|[[行政不服審査法第83条|第83条]]<br>(教示をしなかつた場合の不服申立て)
}}
[[カテゴリ:行政不服審査法|82]] | null | 2022-11-24T17:03:49Z | [
"テンプレート:前後"
]
| https://ja.wikibooks.org/wiki/%E8%A1%8C%E6%94%BF%E4%B8%8D%E6%9C%8D%E5%AF%A9%E6%9F%BB%E6%B3%95%E7%AC%AC82%E6%9D%A1 |
24,290 | 公認会計士試験/平成30年第I回短答式/財務会計論/問題5 | 次の〔資料〕に基づき,当社が当期末の決算のために取引銀行より取り寄せた,決算日の残高証明書における当座預金の金額として最も適切なものの番号を一つ選びなさい。(8点)
〔資料〕
1.当社では,決算に際して,当社の当座預金勘定残高と取引銀行が発行した残高証明書における当座預金の金額とに差異があった場合には,その差異の原因を調査し,当社の当座預金勘定を必要に応じて修正している。
2.当期決算日の当社の当座預金勘定の残高は,3,021,380円であったが,取引銀行が発行した残高証明書における決算日の当座預金の金額は( ? )円であった。
3.当期決算日の当社の当座預金勘定の残高と残高証明書の当座預金の金額の差異の原因として,以下の点が判明した。
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| null | : [[../問題4|←前の問題]]
: [[../問題6|次の問題→]]
== 問題 ==
次の〔資料〕に基づき,当社が当期末の決算のために取引銀行より取り寄せた,決算日の残高証明書における当座預金の金額として最も適切なものの番号を一つ選びなさい。(8点)
〔'''資料'''〕
1.当社では,決算に際して,当社の当座預金勘定残高と取引銀行が発行した残高証明書における当座預金の金額とに差異があった場合には,その差異の原因を調査し,当社の当座預金勘定を必要に応じて修正している。
2.当期決算日の当社の当座預金勘定の残高は,3,021,380円であったが,取引銀行が発行した残高証明書における決算日の当座預金の金額は( ? )円であった。
3.当期決算日の当社の当座預金勘定の残高と残高証明書の当座預金の金額の差異の原因として,以下の点が判明した。
:(1) 機械購入代金支払のため当社が振り出した小切手1,035,000円が,当社に保管されたままであった。
:(2) 備品購入代金支払のため当社は小切手274,600円を振り出し,決済も完了した旨の連絡を銀行から受け取っていたが,当社の当座預金勘定への記入が247,600円でなされていた。
:(3) 買掛金支払のため当社が仕入先に小切手706,600円を振り出したが,仕入先は当該小切手の銀行への持込みを行っていなかった。
:(4) 決算日の銀行営業時間終了後,夜間金庫に当座預金として預け入れた現金645,000円の銀行側での処理が,決算日翌日の入金となっていた。
:(5) 決算日の前日に顧客より掛代金43,500円の当座預金への振込があったが,銀行からのこの旨の連絡が届いていなかった。
:(6) 決算日の前日に得意先から販売代金として受け取った得意先振出の小切手372,500円を取引銀行に持ち込んだ会計処理を行ったが,担当者が当該小切手の銀行への持込みを失念していた。
<div style="column-count:3;font-family: monospace">
: '''1.''' 2,994,380千円
: '''2.''' 3,021,380千円
: '''3.''' 3,761,980千円
</div>
<div style="column-count:3;font-family: monospace">
: '''4.''' 3,815,980千円
: '''5.''' 4,072,880千円
: '''6.''' 4,363,480千円
</div>
== 正解 ==
3
== 解説 ==
{| class="wikitable"
|-
! !! 企業残高 !! 銀行残高
|-
! 調整前
| 3,021,380
| '''∴3,761,980'''
|-
! (1)未渡小切手
| +1,035,000
|
|-
! (2)誤記帳
| △27,000
|
|-
! (3)未取付小切手
|
| △706,600
|-
! (4)時間外預入
|
| +645,000
|-
! (5)連絡未通知
| +43,500
|
|-
! (6)誤記帳
| △372,500
|
|-
! 調整後
| ''3,700,380''
| ''3,700,380''
|}
{|
|+ 仕訳(参考)
|-
| (1) || (借) || 当座預金 || 1,035,000 || (貸) || 未払金 || 1,035,000
|-
| (2) || (借) || 未払金 || 27,000 || (貸) || 当座預金 || 27,000
|-
| (5) || (借) || 当座預金 || 43,500 || (貸) || 売掛金 || 43,500
|-
| (6) || (借) || 現金 || 372,500 || (貸) || 当座預金 || 372,500
|}
: [[../問題4|←前の問題]]
: [[../問題6|次の問題→]]
[[カテゴリ:財務会計]] | null | 2022-11-28T16:38:58Z | []
| https://ja.wikibooks.org/wiki/%E5%85%AC%E8%AA%8D%E4%BC%9A%E8%A8%88%E5%A3%AB%E8%A9%A6%E9%A8%93/%E5%B9%B3%E6%88%9030%E5%B9%B4%E7%AC%ACI%E5%9B%9E%E7%9F%AD%E7%AD%94%E5%BC%8F/%E8%B2%A1%E5%8B%99%E4%BC%9A%E8%A8%88%E8%AB%96/%E5%95%8F%E9%A1%8C5 |
24,291 | 公認会計士試験/平成30年第I回短答式/財務会計論/問題7 | 次の〔資料〕に基づき,当期末の固定資産の貸借対照表価額の合計額として最も適切なものの番号を一つ選びなさい。なお,計算過程で端数が生じる場合,小数点第1位をその都度四捨五入すること。(8点)
〔資料〕
1.当期首の当社の全固定資産
これらは全て前期第3 四半期期首に取得し,同時に使用を開始している。
2.当期において,鉱業権61,875,000円と機械(鉱業用設備)34,375,000円を取得し,当期第4 四半期期首から使用を開始している。採掘予定総量は2,750トンであり,当期の採掘量は125トンであった。
3.減価償却方法として,定額法を採用しており,生産高比例法を適用できる場合には,生産高比例法を採用している。また,残存価額はゼロとしている。
4
前期第3四半期に取得しているため,減価償却累計額は半年分の減価償却費に等しい。
生産高比例法については企業会計原則注解#注20_減価償却の方法についてを参照。 | [
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"text": "次の〔資料〕に基づき,当期末の固定資産の貸借対照表価額の合計額として最も適切なものの番号を一つ選びなさい。なお,計算過程で端数が生じる場合,小数点第1位をその都度四捨五入すること。(8点)",
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"text": "これらは全て前期第3 四半期期首に取得し,同時に使用を開始している。",
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"text": "2.当期において,鉱業権61,875,000円と機械(鉱業用設備)34,375,000円を取得し,当期第4 四半期期首から使用を開始している。採掘予定総量は2,750トンであり,当期の採掘量は125トンであった。",
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"text": "3.減価償却方法として,定額法を採用しており,生産高比例法を適用できる場合には,生産高比例法を採用している。また,残存価額はゼロとしている。",
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"text": "生産高比例法については企業会計原則注解#注20_減価償却の方法についてを参照。",
"title": "解説"
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]
| null | : [[../問題6|←前の問題]]
: [[../問題8|次の問題→]]
== 問題 ==
次の〔'''資料'''〕に基づき,当期末の固定資産の貸借対照表価額の合計額として最も適切なものの番号を一つ選びなさい。なお,計算過程で端数が生じる場合,小数点第1位をその都度四捨五入すること。(8点)
〔'''資料'''〕
1.当期首の当社の全固定資産
{| class="wikitable" style="font-family: monospace"
|-
| || 取得原価 || 減価償却累計額 || 用途
|-
| 建物 || 45,000,000円 || 750,000円 || 本社社屋
|-
| 備品 || 2,500,000円 || 125,000円 || 本社事務用
|}
これらは全て前期第3 四半期期首に取得し,同時に使用を開始している。
2.当期において,鉱業権61,875,000円と機械(鉱業用設備)34,375,000円を取得し,当期第4 四半期期首から使用を開始している。採掘予定総量は2,750トンであり,当期の採掘量は125トンであった。
3.減価償却方法として,定額法を採用しており,生産高比例法を適用できる場合には,生産高比例法を採用している。また,残存価額はゼロとしている。
<div style="column-count:3;font-family: monospace">
: '''1.''' 77,687,500千円
: '''2.''' 79,437,500千円
: '''3.''' 136,608,750千円
</div>
<div style="column-count:3;font-family: monospace">
: '''4.''' 136,750,000千円
: '''5.''' 138,500,000千円
: '''6.''' 136,562,500千円
</div>
== 正解 ==
4
== 解説 ==
=== 建物および備品(定額法) ===
前期第3四半期に取得しているため,減価償却累計額は半年分の減価償却費に等しい。
; 建物の減価償却費
: 750,000×2=1,500,000
; 備品の減価償却費
: 125,000×2=250,000
{| style="font-family: monospace"
|-
| (借) || 建物減価償却費 || 1,500,000 || (貸) || 建物減価償却累計額 || 1,500,000
|-
| (借) || 備品減価償却費 || 250,000 || (貸) || 備品減価償却累計額 || 250,000
|}
; 建物簿価
: 45,000,000-750,000-1,500,000=42,750,000
; 備品簿価
: 2,500,000-125,000-250,000=2,125,000
=== 鉱業権および機械(生産高比例法) ===
生産高比例法については[[企業会計原則注解#注20_減価償却の方法について]]を参照。
; 鉱業権の減価償却費
: 61,875,000× 125/2,750 ='''2,812,500'''
; 機械の減価償却費
: 34,375,000× 125/2,750 ='''1,562,500'''
{| style="font-family: monospace"
|-
| (借) || 鉱業権減価償却費 || 2,812,500 || (貸) || 鉱業権 || 2,812,500
|-
| (借) || 機械減価償却費 || 1,562,500 || (貸) || 機械減価償却累計額 || 1,562,500
|}
; 鉱業権簿価
: 61,875,000-2,812,500='''59,062,500'''
; 機械簿価
: 34,375,000-1,562,500='''32,812,500'''
: [[../問題6|←前の問題]]
: [[../問題8|次の問題→]]
[[カテゴリ:財務会計]] | null | 2022-11-28T16:39:04Z | []
| https://ja.wikibooks.org/wiki/%E5%85%AC%E8%AA%8D%E4%BC%9A%E8%A8%88%E5%A3%AB%E8%A9%A6%E9%A8%93/%E5%B9%B3%E6%88%9030%E5%B9%B4%E7%AC%ACI%E5%9B%9E%E7%9F%AD%E7%AD%94%E5%BC%8F/%E8%B2%A1%E5%8B%99%E4%BC%9A%E8%A8%88%E8%AB%96/%E5%95%8F%E9%A1%8C7 |
24,293 | 埼玉大対策 | 本項は、埼玉大学の入学試験対策に関する事項である。
埼玉大学は埼玉県さいたま市に拠点を置く総合大学である。旧制浦和高等学校、埼玉師範学校、埼玉青年師範学校を母体とする国立大学である。文系は教育学部、経済学部、教養学部 理系は理学部と工学部を有する。理系の場合は前期試験と後期試験では大きくレベルが異なる。
ほとんどの学部のでは、前期試験では73%、後期試験では78%ぐらい位欲しい。 後期試験場合、ほとんどの学科で旧帝大落ちの人が多く受験するために8割弱の人が多く受験者を占めるためにセンターリサーチでA判定を出すのは意外に大変である。
全4題から成り,微積(数列含む)を中心とした計算量多めの問題が主に出題される。2問が微積の問題ということも普通である。 これに加え,場合の数と確率,整数の性質,三角関数,ベクトルなども比較的出題される。 一方複素数は出題率が低く問題も簡単な傾向にあるが,2018年では三角関数と絡んだ難問が出題された。 また,チェビシェフの多項式に関する問題が今までに3回ほど出題されたり,オイラー線,フェルマーの小定理,三角関数の特殊な置換を用いた積分,微分(積分)方程式など,有名な定理や知識などを背景とした問題も出題される。 上記の理由から,埼大の二次数学を受ける受験生諸君はまず微積を中心に勉強することを勧める。 難しい知識を得る必要性はそこまで高くないものの,本番の極限状態で限られた時間の中でも素早く正確に大量の計算を処理する計算力が求められる。 逆に微積を完璧にしてしまえば点数にそれなりの余裕ができる。 数学科志望の受験生等,数学を得点源とする受験生諸君は高校数学を超えるような知識などにも触れておくと有利である。 なお,二次試験で数学が出題される学科は理学部数学科および工学部の任意の学科であるが,2016年からは数学科志望受験生に出題される問題と工学部志望受験生に出題される問題が同じ問題となり,それに伴って2016年は易化し,数学科の合格最低点は高騰した。今後もその傾向が続くかと思いきや,2018年前期は非常に難化し,中には1題も完答できず体感で1~2割程しか取れていないにも関わらず受かった者までいた。 噂によると,試験日直前の埼大構内での火事によって試験問題が燃えてしまい,焦った作問者達が受験生のレベルを考えずに即席で問題を作ってしまったそうだが,真相は定かではない。(あくまで噂である,真に受けてはいけない)
工学部の多くの学科は平成29年度入試より小論文を課している。
工学部と理学部のほとんどの学科は後期試験の方が募集人数が多い。そのために前期に東北大学や北海道大学などを受験し不合格だった人が多く後期試験受ける。そのために後期試験のセンターパーセントは前期と比べとても高くなっており、また二次試験の難易度も前期試験とは大きくことなる。
理科の試験時間は2時間であり、一教科だけである。2018年度の物理では原子の問題で自分の意見を述べる問題や単位を求める問題など他大学とは一風変わった問題が出題された。難しい問題も存在するが取れる問題を取ってセンターがある程度ボーダーを上回ったら必ず合格点は超えるはずである。 | [
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"title": "センター試験"
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"text": "全4題から成り,微積(数列含む)を中心とした計算量多めの問題が主に出題される。2問が微積の問題ということも普通である。 これに加え,場合の数と確率,整数の性質,三角関数,ベクトルなども比較的出題される。 一方複素数は出題率が低く問題も簡単な傾向にあるが,2018年では三角関数と絡んだ難問が出題された。 また,チェビシェフの多項式に関する問題が今までに3回ほど出題されたり,オイラー線,フェルマーの小定理,三角関数の特殊な置換を用いた積分,微分(積分)方程式など,有名な定理や知識などを背景とした問題も出題される。 上記の理由から,埼大の二次数学を受ける受験生諸君はまず微積を中心に勉強することを勧める。 難しい知識を得る必要性はそこまで高くないものの,本番の極限状態で限られた時間の中でも素早く正確に大量の計算を処理する計算力が求められる。 逆に微積を完璧にしてしまえば点数にそれなりの余裕ができる。 数学科志望の受験生等,数学を得点源とする受験生諸君は高校数学を超えるような知識などにも触れておくと有利である。 なお,二次試験で数学が出題される学科は理学部数学科および工学部の任意の学科であるが,2016年からは数学科志望受験生に出題される問題と工学部志望受験生に出題される問題が同じ問題となり,それに伴って2016年は易化し,数学科の合格最低点は高騰した。今後もその傾向が続くかと思いきや,2018年前期は非常に難化し,中には1題も完答できず体感で1~2割程しか取れていないにも関わらず受かった者までいた。 噂によると,試験日直前の埼大構内での火事によって試験問題が燃えてしまい,焦った作問者達が受験生のレベルを考えずに即席で問題を作ってしまったそうだが,真相は定かではない。(あくまで噂である,真に受けてはいけない)",
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"text": "工学部の多くの学科は平成29年度入試より小論文を課している。",
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"text": "工学部と理学部のほとんどの学科は後期試験の方が募集人数が多い。そのために前期に東北大学や北海道大学などを受験し不合格だった人が多く後期試験受ける。そのために後期試験のセンターパーセントは前期と比べとても高くなっており、また二次試験の難易度も前期試験とは大きくことなる。",
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"text": "理科の試験時間は2時間であり、一教科だけである。2018年度の物理では原子の問題で自分の意見を述べる問題や単位を求める問題など他大学とは一風変わった問題が出題された。難しい問題も存在するが取れる問題を取ってセンターがある程度ボーダーを上回ったら必ず合格点は超えるはずである。",
"title": "後期試験(理系)"
}
]
| 日本の大学受験ガイド > 埼玉大対策 本項は、埼玉大学の入学試験対策に関する事項である。 埼玉大学は埼玉県さいたま市に拠点を置く総合大学である。旧制浦和高等学校、埼玉師範学校、埼玉青年師範学校を母体とする国立大学である。文系は教育学部、経済学部、教養学部
理系は理学部と工学部を有する。理系の場合は前期試験と後期試験では大きくレベルが異なる。 | {{wikipedia|埼玉大学}}
*[[日本の大学受験ガイド]] > [[埼玉大対策]]
本項は、[[w:埼玉大学|埼玉大学]]の入学試験対策に関する事項である。
埼玉大学は埼玉県さいたま市に拠点を置く総合大学である。旧制浦和高等学校、埼玉師範学校、埼玉青年師範学校を母体とする国立大学である。文系は教育学部、経済学部、教養学部
理系は理学部と工学部を有する。理系の場合は前期試験と後期試験では大きくレベルが異なる。
==センター試験==
ほとんどの学部のでは、前期試験では73%、後期試験では78%ぐらい位欲しい。
後期試験場合、ほとんどの学科で旧帝大落ちの人が多く受験するために8割弱の人が多く受験者を占めるためにセンターリサーチでA判定を出すのは意外に大変である。
==前期試験(文系)==
==前期試験(理系)==
===英語===
===数学===
全4題から成り,微積(数列含む)を中心とした計算量多めの問題が主に出題される。2問が微積の問題ということも普通である。
これに加え,場合の数と確率,整数の性質,三角関数,ベクトルなども比較的出題される。
一方複素数は出題率が低く問題も簡単な傾向にあるが,2018年では三角関数と絡んだ難問が出題された。
また,チェビシェフの多項式に関する問題が今までに3回ほど出題されたり,オイラー線,フェルマーの小定理,三角関数の特殊な置換を用いた積分,微分(積分)方程式など,有名な定理や知識などを背景とした問題も出題される。
上記の理由から,埼大の二次数学を受ける受験生諸君はまず微積を中心に勉強することを勧める。
難しい知識を得る必要性はそこまで高くないものの,本番の極限状態で限られた時間の中でも素早く正確に大量の計算を処理する計算力が求められる。
逆に微積を完璧にしてしまえば点数にそれなりの余裕ができる。
数学科志望の受験生等,数学を得点源とする受験生諸君は高校数学を超えるような知識などにも触れておくと有利である。
なお,二次試験で数学が出題される学科は理学部数学科および工学部の任意の学科であるが,2016年からは数学科志望受験生に出題される問題と工学部志望受験生に出題される問題が同じ問題となり,それに伴って2016年は易化し,数学科の合格最低点は高騰した。今後もその傾向が続くかと思いきや,2018年前期は非常に難化し,中には1題も完答できず体感で1~2割程しか取れていないにも関わらず受かった者までいた。
噂によると,試験日直前の埼大構内での火事によって試験問題が燃えてしまい,焦った作問者達が受験生のレベルを考えずに即席で問題を作ってしまったそうだが,真相は定かではない。(あくまで噂である,真に受けてはいけない)
===理科===
===小論文===
工学部の多くの学科は平成29年度入試より小論文を課している。
==後期試験(理系)==
工学部と理学部のほとんどの学科は後期試験の方が募集人数が多い。そのために前期に東北大学や北海道大学などを受験し不合格だった人が多く後期試験受ける。そのために後期試験のセンターパーセントは前期と比べとても高くなっており、また二次試験の難易度も前期試験とは大きくことなる。
===英語===
===数学===
===理科===
理科の試験時間は2時間であり、一教科だけである。2018年度の物理では原子の問題で自分の意見を述べる問題や単位を求める問題など他大学とは一風変わった問題が出題された。難しい問題も存在するが取れる問題を取ってセンターがある程度ボーダーを上回ったら必ず合格点は超えるはずである。
[[カテゴリ:大学入試]] | null | 2022-11-27T17:32:34Z | [
"テンプレート:Wikipedia"
]
| https://ja.wikibooks.org/wiki/%E5%9F%BC%E7%8E%89%E5%A4%A7%E5%AF%BE%E7%AD%96 |
24,295 | 公認会計士試験/平成30年第I回短答式/財務会計論/問題8 | 次の〔資料〕に基づき,貸借対照表に計上すべき引当金の合計額として最も適切なものの番号を一つ選びなさい。(8点)
〔資料〕
1.役員賞与
当社は,目標利益を上回る経営成績になることが判明したため,定時株主総会で役員賞与に関する議案を提出する取締役会決議を行った。代表取締役に2,500 千円,取締役3 名に各1,000 千円,監査役3 名には各200 千円を支給する予定である。なお,「役員賞与に関する会計基準」に従うこと。
2.工事損失
A工事の請負金額は32,500 千円であり,B工事の請負金額は19,200 千円である。期末の未成工事支出金には,A工事代として27,000 千円,B工事代として17,500 千円が計上されている。A工事の実行予算残工事予定額は,15,000 千円である。B工事の実行予算残工事予定額は,1,250 千円である。両工事とも既に計上された損益はない。ただし,A工事とB工事とは別契約であり,当社の規程により両工事とも工事完成基準により会計処理をしている。なお,「工事契約に関する会計基準」に従い,棚卸資産と工事損失引当金を相殺表示せず,両建てで表示するものとする。
3.損害補償損失
当社は,完成し引き渡した工事について,完成時期が大幅に遅れたことにより,発注元から,機会利益を逸したことによる損失の賠償請求訴訟を提起されている。期末後の時点では,裁判所から当社に21,200 千円の和解金の支払案を提示されたが,当社は,上級審を含め裁判を継続する予定である。当社の顧問弁護士も,相手方の主張は事実誤認が著しいため,当社の主張が認められる可能性が高いと判断している。なお,企業会計における偶発債務および引当金に関する原則的な処理に従うこと。
4.退職給付
当社は小規模企業等であるため,退職給付引当金を,比較指数を求めて計算する簡便法で算定し計上している。当社の退職金制度は,非積立型の一時金制度である。基準年度の比較指数は,0.8 であり,計算基礎等に重要な変動はない。前期末の自己都合期末要支給額の合計は,8,900 千円である。当期の自己都合要支給額について,増加は1,100 千円で,退職による減少は3,000 千円である。なお,「退職給付に関する会計基準」に従うこと。
4
※以下,単位は千円 | [
{
"paragraph_id": 0,
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"text": "次の〔資料〕に基づき,貸借対照表に計上すべき引当金の合計額として最も適切なものの番号を一つ選びなさい。(8点)",
"title": "問題"
},
{
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"text": "〔資料〕",
"title": "問題"
},
{
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"text": "1.役員賞与",
"title": "問題"
},
{
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"tag": "p",
"text": "当社は,目標利益を上回る経営成績になることが判明したため,定時株主総会で役員賞与に関する議案を提出する取締役会決議を行った。代表取締役に2,500 千円,取締役3 名に各1,000 千円,監査役3 名には各200 千円を支給する予定である。なお,「役員賞与に関する会計基準」に従うこと。",
"title": "問題"
},
{
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"text": "2.工事損失",
"title": "問題"
},
{
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"text": "A工事の請負金額は32,500 千円であり,B工事の請負金額は19,200 千円である。期末の未成工事支出金には,A工事代として27,000 千円,B工事代として17,500 千円が計上されている。A工事の実行予算残工事予定額は,15,000 千円である。B工事の実行予算残工事予定額は,1,250 千円である。両工事とも既に計上された損益はない。ただし,A工事とB工事とは別契約であり,当社の規程により両工事とも工事完成基準により会計処理をしている。なお,「工事契約に関する会計基準」に従い,棚卸資産と工事損失引当金を相殺表示せず,両建てで表示するものとする。",
"title": "問題"
},
{
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"text": "3.損害補償損失",
"title": "問題"
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"text": "当社は,完成し引き渡した工事について,完成時期が大幅に遅れたことにより,発注元から,機会利益を逸したことによる損失の賠償請求訴訟を提起されている。期末後の時点では,裁判所から当社に21,200 千円の和解金の支払案を提示されたが,当社は,上級審を含め裁判を継続する予定である。当社の顧問弁護士も,相手方の主張は事実誤認が著しいため,当社の主張が認められる可能性が高いと判断している。なお,企業会計における偶発債務および引当金に関する原則的な処理に従うこと。",
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},
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"text": "4.退職給付",
"title": "問題"
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"text": "当社は小規模企業等であるため,退職給付引当金を,比較指数を求めて計算する簡便法で算定し計上している。当社の退職金制度は,非積立型の一時金制度である。基準年度の比較指数は,0.8 であり,計算基礎等に重要な変動はない。前期末の自己都合期末要支給額の合計は,8,900 千円である。当期の自己都合要支給額について,増加は1,100 千円で,退職による減少は3,000 千円である。なお,「退職給付に関する会計基準」に従うこと。",
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"text": "※以下,単位は千円",
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]
| null | : [[../問題7|←前の問題]]
: [[../問題9|次の問題→]]
== 問題 ==
次の〔'''資料'''〕に基づき,貸借対照表に計上すべき引当金の合計額として最も適切なものの番号を一つ選びなさい。(8点)
〔'''資料'''〕
1.役員賞与
当社は,目標利益を上回る経営成績になることが判明したため,定時株主総会で役員賞与に関する議案を提出する取締役会決議を行った。代表取締役に2,500 千円,取締役3 名に各1,000 千円,監査役3 名には各200 千円を支給する予定である。なお,「役員賞与に関する会計基準」に従うこと。
2.工事損失
A工事の請負金額は32,500 千円であり,B工事の請負金額は19,200 千円である。期末の未成工事支出金には,A工事代として27,000 千円,B工事代として17,500 千円が計上されている。A工事の実行予算残工事予定額は,15,000 千円である。B工事の実行予算残工事予定額は,1,250 千円である。両工事とも既に計上された損益はない。ただし,A工事とB工事とは別契約であり,当社の規程により両工事とも工事完成基準により会計処理をしている。なお,「工事契約に関する会計基準」に従い,棚卸資産と工事損失引当金を相殺表示せず,両建てで表示するものとする。
3.損害補償損失
当社は,完成し引き渡した工事について,完成時期が大幅に遅れたことにより,発注元から,機会利益を逸したことによる損失の賠償請求訴訟を提起されている。期末後の時点では,裁判所から当社に21,200 千円の和解金の支払案を提示されたが,当社は,上級審を含め裁判を継続する予定である。当社の顧問弁護士も,相手方の主張は事実誤認が著しいため,当社の主張が認められる可能性が高いと判断している。なお,企業会計における偶発債務および引当金に関する原則的な処理に従うこと。
4.退職給付
当社は小規模企業等であるため,退職給付引当金を,比較指数を求めて計算する簡便法で算定し計上している。当社の退職金制度は,非積立型の一時金制度である。基準年度の比較指数は,0.8 であり,計算基礎等に重要な変動はない。前期末の自己都合期末要支給額の合計は,8,900 千円である。当期の自己都合要支給額について,増加は1,100 千円で,退職による減少は3,000 千円である。なお,「退職給付に関する会計基準」に従うこと。
<div style="column-count:3;font-family: monospace">
: '''1.''' 15,370千円
: '''2.''' 15,750千円
: '''3.''' 20,820千円
</div>
<div style="column-count:3;font-family: monospace">
: '''4.''' 21,200千円
: '''5.''' 36,950千円
: '''6.''' 42,400千円
</div>
== 正解 ==
4
== 解説 ==
※以下,単位は千円
; 役員賞与引当金
: 代表取締役2,500+取締役1,000×3人+監査役200×3人=6,100
; A工事損失引当金
: 請負金額32,500-(未成工事支出金27,000+残工事予定額15,000)=△9,500
: ∴9,500
; B工事損失引当金
: 請負金額19,200-(未成工事支出金+残工事予定額1,250)=見積利益450
: ∴0
; 損害補償損失引当金
: 将来の特定の費用又は損失の発生可能性が高くなく,引当金要件を満たさないためゼロ
; 退職給付引当金
: 当期末自己都合要支給額:前期末8,900+当期増加1,100-当期減少3,000=7,000
: ∴自己都合要支給額7,000×比較指数0.8=5,600
== 参考 ==
* [https://www.asb.or.jp/jp/wp-content/uploads/yakuin.pdf 役員賞与に関する会計基準]
* [https://www.asb.or.jp/jp/wp-content/uploads/kouji-keiyaku.pdf#page=5 工事契約に関する会計基準]20項21項
* [[企業会計原則注解#注18_引当金について]]
* [https://www.asb.or.jp/jp/wp-content/uploads/taikyu-4_3.pdf#page=18 退職給付に関する会計基準の適用指針]48項(1)50項(2)①
: [[../問題7|←前の問題]]
: [[../問題9|次の問題→]]
[[カテゴリ:財務会計]] | null | 2022-11-28T16:39:08Z | []
| https://ja.wikibooks.org/wiki/%E5%85%AC%E8%AA%8D%E4%BC%9A%E8%A8%88%E5%A3%AB%E8%A9%A6%E9%A8%93/%E5%B9%B3%E6%88%9030%E5%B9%B4%E7%AC%ACI%E5%9B%9E%E7%9F%AD%E7%AD%94%E5%BC%8F/%E8%B2%A1%E5%8B%99%E4%BC%9A%E8%A8%88%E8%AB%96/%E5%95%8F%E9%A1%8C8 |
24,296 | 公認会計士試験/平成30年第I回短答式/財務会計論/問題11 | 当社は,X1 年度(X1 年4 月1 日〜X2 年3 月31 日)の個別キャッシュ・フロー計算書を,現在,直接法により作成しているところである(当社に連結子会社はなく,連結財務諸表は作成していない。)。次の〔資料〕に基づき,個別キャッシュ・フロー計算書に表示される営業活動によるキャッシュ・フロー,投資活動によるキャッシュ・フロー,財務活動によるキャッシュ・フローの正しい金額の組合せとして最も適切なものの番号を一つ選びなさい。(8点)
〔資料〕
1.下記2.の取引を除き,各表示区分の金額は次のとおり算定されている。
(注) △はマイナスを表す。
2.上記1.のキャッシュ・フローの金額に反映されていないX1 年度中の取引は,以下のとおりである。
3 | [
{
"paragraph_id": 0,
"tag": "p",
"text": "当社は,X1 年度(X1 年4 月1 日〜X2 年3 月31 日)の個別キャッシュ・フロー計算書を,現在,直接法により作成しているところである(当社に連結子会社はなく,連結財務諸表は作成していない。)。次の〔資料〕に基づき,個別キャッシュ・フロー計算書に表示される営業活動によるキャッシュ・フロー,投資活動によるキャッシュ・フロー,財務活動によるキャッシュ・フローの正しい金額の組合せとして最も適切なものの番号を一つ選びなさい。(8点)",
"title": "問題"
},
{
"paragraph_id": 1,
"tag": "p",
"text": "〔資料〕",
"title": "問題"
},
{
"paragraph_id": 2,
"tag": "p",
"text": "1.下記2.の取引を除き,各表示区分の金額は次のとおり算定されている。",
"title": "問題"
},
{
"paragraph_id": 3,
"tag": "p",
"text": "(注) △はマイナスを表す。",
"title": "問題"
},
{
"paragraph_id": 4,
"tag": "p",
"text": "2.上記1.のキャッシュ・フローの金額に反映されていないX1 年度中の取引は,以下のとおりである。",
"title": "問題"
},
{
"paragraph_id": 5,
"tag": "p",
"text": "3",
"title": "正解"
}
]
| null | : [[../問題10|←前の問題]]
: [[../問題12|次の問題→]]
== 問題 ==
当社は,X1 年度(X1 年4 月1 日〜X2 年3 月31 日)の個別キャッシュ・フロー計算書を,現在,直接法により作成しているところである(当社に連結子会社はなく,連結財務諸表は作成していない。)。次の〔'''資料'''〕に基づき,個別キャッシュ・フロー計算書に表示される営業活動によるキャッシュ・フロー,投資活動によるキャッシュ・フロー,財務活動によるキャッシュ・フローの正しい金額の組合せとして最も適切なものの番号を一つ選びなさい。(8点)
〔'''資料'''〕
1.下記2.の取引を除き,各表示区分の金額は次のとおり算定されている。
{| class="wikitable" style="font-family:monospace"
|-
| colspan="2" style="text-align:right" |(単位:百万円)
|-
| 表示区分 || 金額
|-
| 営業活動によるキャッシュ・フロー || 9,600
|-
| 投資活動によるキャッシュ・フロー || △2,700
|-
| 財務活動によるキャッシュ・フロー || △5,500
|}
(注) △はマイナスを表す。
2.上記1.のキャッシュ・フローの金額に反映されていないX1 年度中の取引は,以下のとおりである。
{| style="font-family:monospace
|-
| (1) || 外貨建の現金及び現金同等物に係る為替差益 || 80 百万円
|-
| (2) || 製品の販売により取得した手形の割引による収入 || 200 百万円
|-
| (3) || 現金同等物に含まれる有価証券の取得による支出 || 380 百万円
|-
| (4) || 自己株式の売却による収入 || 100 百万円
|-
| (5) || 工場が被災したことによる保険金収入 || 60 百万円
|-
| (6) || 事業税(付加価値割および資本割に限る。)の支払い || 120 百万円
|}
{| class="wikitable"
|-
| colspan="4" style="text-align:right" |(単位:百万円)
|-
| || 営業活動による<br>キャッシュ・フロー || 投資活動による<br>キャッシュ・フロー || 財務活動による<br>キャッシュ・フロー
|-
| 1. || 9,660 || △2,600 || △5,420
|-
| 2. || 9,680 || △2,640 || △5,400
|-
| 3. || 9,740 || △2,700 || △5,400
|-
| 4. || 9,820 || △2,600 || △5,500
|-
| 5. || 9,820 || △3,080 || △5,400
|-
| 6. || 9,940 || △3,080 || △5,520
|}
== 正解 ==
3
== 解説 ==
; 営業活動によるキャッシュ・フロー
: 9,600+(2)200+(5)60-(6)120=9,740
: ※(2)は小計より上,(5)(6)は小計より下
; 投資活動によるキャッシュ・フロー
: △2,700
; 財務活動によるキャッシュ・フロー
: △5,500+(4)100=△5,400
; 注
: (1)外貨建の現金及び現金同等物に係る為替差益は,現金及び現金同等物に係る換算差額
: (3)現金同等物に含まれる有価証券の取得による支出は,現金又は現金同等物による現金同等物の取得であるため,キャッシュ・フロー計算書上考慮しない。
== 参考 ==
* [https://jicpa.or.jp/specialized_field/1214_2.html 会計制度委員会報告8号「連結財務諸表等におけるキャッシュ・フロー計算書の作成に関する実務指針」]7項(2)(3)9項10項15項
: [[../問題10|←前の問題]]
: [[../問題12|次の問題→]]
[[カテゴリ:財務会計]] | null | 2022-11-28T16:37:23Z | []
| https://ja.wikibooks.org/wiki/%E5%85%AC%E8%AA%8D%E4%BC%9A%E8%A8%88%E5%A3%AB%E8%A9%A6%E9%A8%93/%E5%B9%B3%E6%88%9030%E5%B9%B4%E7%AC%ACI%E5%9B%9E%E7%9F%AD%E7%AD%94%E5%BC%8F/%E8%B2%A1%E5%8B%99%E4%BC%9A%E8%A8%88%E8%AB%96/%E5%95%8F%E9%A1%8C11 |
24,297 | Windows API | Win32 API を入門者むけに全般的に解説したサイトは、日本では少ない。
下記のサイトで、Win32 API を入門者むけに全般的に解説している。いっぽう、書籍などを読んでも、市販の Win32 API の書籍の多くは入門者むけでなく、さらに、その書籍すらも種類が少なく、出版年度も古いものが多い。よって初心者は、当面はwebサイトで勉強するのが合理的である。
また、Visual Studio での初期設定「Windows デスクトップアプリケーション」が生成するコード自身も、ときどき参考にしよう。
そもそもWindowsでシリアル通信で外部デバイスとのやりとりをするには、どうすればいいか。
Windows API の GetCommState 関数を使うと、通信デバイスのハンドルが取得できるらしい(未確認)。
また、Windows API でファイル操作に使われる CreateFile() 関数が、ポート操作の関数を兼ねているらしい。
「DCB構造体」などの構造体を定義する必要があるらしい。 | [
{
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"text": "Win32 API を入門者むけに全般的に解説したサイトは、日本では少ない。",
"title": "参考リンク"
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{
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"text": "下記のサイトで、Win32 API を入門者むけに全般的に解説している。いっぽう、書籍などを読んでも、市販の Win32 API の書籍の多くは入門者むけでなく、さらに、その書籍すらも種類が少なく、出版年度も古いものが多い。よって初心者は、当面はwebサイトで勉強するのが合理的である。",
"title": "参考リンク"
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{
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"text": "また、Visual Studio での初期設定「Windows デスクトップアプリケーション」が生成するコード自身も、ときどき参考にしよう。",
"title": "参考リンク"
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"text": "そもそもWindowsでシリアル通信で外部デバイスとのやりとりをするには、どうすればいいか。",
"title": "未分類"
},
{
"paragraph_id": 4,
"tag": "p",
"text": "Windows API の GetCommState 関数を使うと、通信デバイスのハンドルが取得できるらしい(未確認)。",
"title": "未分類"
},
{
"paragraph_id": 5,
"tag": "p",
"text": "また、Windows API でファイル操作に使われる CreateFile() 関数が、ポート操作の関数を兼ねているらしい。",
"title": "未分類"
},
{
"paragraph_id": 6,
"tag": "p",
"text": "「DCB構造体」などの構造体を定義する必要があるらしい。",
"title": "未分類"
}
]
| null | == 目次 ==
* [[Windows API/初期設定のしかた]]
* [[Windows API/ウィンドウの表示]]
* [[Windows API/Windows デスクトップアプリケーション]]
* [[Windows API/イベントドリブン方式]]
* [[Windows API/文字表示の命令]]
* [[Windows API/図形の描画]] (関数の作りかたも、ここで説明)
* [[Windows API/入力]] (文字入力、キー入力)
* [[Windows API/ファイル入出力]]
* [[Windows API/画像の操作]] (画像のファイル出力はこちら)
== 参考リンク ==
Win32 API を入門者むけに全般的に解説したサイトは、日本では少ない。
下記のサイトで、Win32 API を入門者むけに全般的に解説している。いっぽう、書籍などを読んでも、市販の Win32 API の書籍の多くは入門者むけでなく、さらに、その書籍すらも種類が少なく、出版年度も古いものが多い。よって初心者は、当面はwebサイトで勉強するのが合理的である。
* [http://www.wisdomsoft.jp/418.html Wisdomソフト]
* [http://wisdom.sakura.ne.jp/system/winapi/win32/index.html 標準 Windows API] (Wisdomソフト の旧版だが、上記の新版がコンテンツ不足で、Windows APIの画像関係の機能の使い方が、新版では説明が無しなので、旧版を合わせ読む必要がある。)
* [http://k3tec.net/neko_wiki/index.php?%A3%D7%A3%E9%A3%EE%A3%B3%A3%B2%A3%C1%A3%D0%A3%C9%B9%D6%BA%C2 Win32API講座]
* [http://meg.aalip.jp/task/ Win32API] 紹介している画像関係・音声関係の機能の利用法のソースコードが実用的であり、また初心者むけである。
*
*
また、Visual Studio での初期設定「Windows デスクトップアプリケーション」が生成するコード自身も、ときどき参考にしよう。
== 未分類 ==
=== シリアルポート通信 ===
そもそもWindowsでシリアル通信で外部デバイスとのやりとりをするには、どうすればいいか。
:※ 調査中のため、下記の真偽は読者が追加調査してください。
Windows API の <code> GetCommState </code>関数を使うと、通信デバイスのハンドルが取得できるらしい(未確認)。
また、Windows API でファイル操作に使われる <code> CreateFile() </code> 関数が、ポート操作の関数を兼ねているらしい。
「DCB構造体」などの構造体を定義する必要があるらしい。
[[カテゴリ:Windows API|*]] | null | 2021-04-13T10:06:11Z | []
| https://ja.wikibooks.org/wiki/Windows_API |
24,299 | 公認会計士試験/平成30年第I回短答式/財務会計論/問題13 | 「金融商品に関する会計基準」および「金融商品会計に関する実務指針」に基づき,次の〔資料〕の借入金および金利スワップを会計処理する場合,X2 年度(X2 年4 月1 日〜X3年3 月31 日)に関する以下の記述のうち,最も適切なものの番号を一つ選びなさい。なお,計算結果に端数が生じる場合,円未満を四捨五入すること。(8点)
〔資料〕
1.X1 年4 月1 日に期間3 年,LIBOR(ロンドン銀行間取引金利)による変動金利で10,000,000円の借入れを行った。それと同時に,以下の金利スワップ契約を締結した。
2.LIBOR の推移は,X1 年4 月1 日時点で2.00 %,X2 年4 月1 日時点で2.20 %,X3 年4 月1 日時点で2.40 %である。
3.金利スワップの特例処理およびヘッジ会計の適用要件はいずれも満たされているものとする。ヘッジ会計を適用する場合,洗替処理はせず,評価差額の純変動額を計上するものとする。
4.期末の金利スワップの時価の算定に当たっては,翌期首のLIBOR を使用する。
5.税効果は考慮しない。
1.特例処理を適用した場合,損益計算書に計上される支払利息は200,000 円,金利スワップ(資産)の貸借対照表価額は234,375 円となる。
2.特例処理を適用した場合,損益計算書に計上される受取利息は220,000 円,支払利息は420,000 円,また金利スワップ(資産)は計上されない。
3.特例処理を適用した場合,損益計算書に計上される支払利息は200,000 円,金利スワップ(資産)については時価増加額345 円を認識する。
4.ヘッジ会計を適用した場合,損益計算書に計上される支払利息は200,000 円,金利スワップ(資産)の貸借対照表価額は234,375 円となる。
5.ヘッジ会計を適用した場合,損益計算書に計上される受取利息は220,000 円,支払利息は420,000 円,また金利スワップ(資産)の貸借対照表価額は39,063 円となる。
6.ヘッジ会計を適用した場合,損益計算書に計上される支払利息は200,000 円,金利スワップ(資産)については時価増加額345 円を認識する。
6
金利スワップなどデリバティブの時価は将来キャッシュフローを割り引くことで求める。 | [
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"text": "「金融商品に関する会計基準」および「金融商品会計に関する実務指針」に基づき,次の〔資料〕の借入金および金利スワップを会計処理する場合,X2 年度(X2 年4 月1 日〜X3年3 月31 日)に関する以下の記述のうち,最も適切なものの番号を一つ選びなさい。なお,計算結果に端数が生じる場合,円未満を四捨五入すること。(8点)",
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"text": "1.特例処理を適用した場合,損益計算書に計上される支払利息は200,000 円,金利スワップ(資産)の貸借対照表価額は234,375 円となる。",
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"text": "2.特例処理を適用した場合,損益計算書に計上される受取利息は220,000 円,支払利息は420,000 円,また金利スワップ(資産)は計上されない。",
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"text": "3.特例処理を適用した場合,損益計算書に計上される支払利息は200,000 円,金利スワップ(資産)については時価増加額345 円を認識する。",
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"text": "4.ヘッジ会計を適用した場合,損益計算書に計上される支払利息は200,000 円,金利スワップ(資産)の貸借対照表価額は234,375 円となる。",
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"text": "6.ヘッジ会計を適用した場合,損益計算書に計上される支払利息は200,000 円,金利スワップ(資産)については時価増加額345 円を認識する。",
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"text": "金利スワップなどデリバティブの時価は将来キャッシュフローを割り引くことで求める。",
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: [[../問題14|次の問題→]]
== 問題 ==
「金融商品に関する会計基準」および「金融商品会計に関する実務指針」に基づき,次の〔'''資料'''〕の借入金および金利スワップを会計処理する場合,X2 年度(X2 年4 月1 日〜X3年3 月31 日)に関する以下の記述のうち,最も適切なものの番号を一つ選びなさい。なお,計算結果に端数が生じる場合,円未満を四捨五入すること。(8点)
〔'''資料'''〕
<div style="margin-left:2em;text-indent:-1em;">
1.X1 年4 月1 日に期間3 年,LIBOR(ロンドン銀行間取引金利)による変動金利で10,000,000円の借入れを行った。それと同時に,以下の金利スワップ契約を締結した。
:(1) 変動金利を固定金利に変換するため,LIBOR の変動金利を受け取り, 2 %の固定金利を支払う。
:(2) 期間を3 年,想定元本を10,000,000 円とする。
:(3) 借入金および金利スワップの利息は,毎年, 4 月1 日の金利水準により翌年の3月31 日に後払いされる。
2.LIBOR の推移は,X1 年4 月1 日時点で2.00 %,X2 年4 月1 日時点で2.20 %,X3 年4 月1 日時点で2.40 %である。
3.金利スワップの特例処理およびヘッジ会計の適用要件はいずれも満たされているものとする。ヘッジ会計を適用する場合,洗替処理はせず,評価差額の純変動額を計上するものとする。
4.期末の金利スワップの時価の算定に当たっては,翌期首のLIBOR を使用する。
5.税効果は考慮しない。
</div>
'''1'''.特例処理を適用した場合,損益計算書に計上される支払利息は200,000 円,金利スワップ(資産)の貸借対照表価額は234,375 円となる。
'''2'''.特例処理を適用した場合,損益計算書に計上される受取利息は220,000 円,支払利息は420,000 円,また金利スワップ(資産)は計上されない。
'''3'''.特例処理を適用した場合,損益計算書に計上される支払利息は200,000 円,金利スワップ(資産)については時価増加額345 円を認識する。
'''4'''.ヘッジ会計を適用した場合,損益計算書に計上される支払利息は200,000 円,金利スワップ(資産)の貸借対照表価額は234,375 円となる。
'''5'''.ヘッジ会計を適用した場合,損益計算書に計上される受取利息は220,000 円,支払利息は420,000 円,また金利スワップ(資産)の貸借対照表価額は39,063 円となる。
'''6'''.ヘッジ会計を適用した場合,損益計算書に計上される支払利息は200,000 円,金利スワップ(資産)については時価増加額345 円を認識する。
== 正解 ==
6
== 解説 ==
=== 特例処理 ===
{| style="font-family:monospace"
|-
| colspan="6" | 借入金利息
|-
| (借) || 支払利息 || 220,000
| (貸) || 現金預金 || 220,000
|-
| colspan="6" | ※10,000,000×X2年4月1日2.20%
|-
| colspan="6" | 金利スワップ
|-
| (借) || 現金預金 || 20,000
| (貸) || 支払利息 || 20,000
|-
| colspan="6" | ※10,000,000×(変動金利2.20%-固定金利2%)
|-
| colspan="6" | スワップの時価評価
|-
| colspan="6" style="text-align:center" | 仕訳なし
|}
=== ヘッジ会計処理 ===
==== 金利スワップの時価 ====
金利スワップなどデリバティブの時価は将来キャッシュフローを割り引くことで求める。
; X2年3月31日
: 20,000÷1.022+20,000÷1.022<sup>2</sup>≒38,718
: ※将来CF20,000=10,000,000×(変動2.20%-固定金利2%)
; X3年3月31日
: 40,000÷1.024≒39,063
: ※将来CF40,000=10,000,000×(変動2.40%-固定金利2%)
==== 仕訳 ====
{| style="font-family:monospace"
|-
| colspan="6" | 借入金利息
|-
| (借) || 支払利息 || 220,000
| (貸) || 現金預金 || 220,000
|-
| colspan="6" | ※10,000,000×X2年4月1日LIBOR2.20%
|-
| colspan="6" | 金利スワップ
|-
| (借) || 現金預金 || 20,000
| (貸) || 支払利息 || 20,000
|-
| colspan="6" | ※10,000,000×(変動金利2.20%-固定金利2%)
|-
| colspan="6" | スワップの時価評価
|-
| (借) || 金利スワップ || 345
| (貸) || 繰延ヘッジ損益 || 345
|-
| colspan="6" | ※当期末39,063-前期末38,718=345
|}
: [[../問題12|←前の問題]]
: [[../問題14|次の問題→]]
[[カテゴリ:財務会計]] | null | 2022-11-28T16:37:31Z | []
| https://ja.wikibooks.org/wiki/%E5%85%AC%E8%AA%8D%E4%BC%9A%E8%A8%88%E5%A3%AB%E8%A9%A6%E9%A8%93/%E5%B9%B3%E6%88%9030%E5%B9%B4%E7%AC%ACI%E5%9B%9E%E7%9F%AD%E7%AD%94%E5%BC%8F/%E8%B2%A1%E5%8B%99%E4%BC%9A%E8%A8%88%E8%AB%96/%E5%95%8F%E9%A1%8C13 |
24,300 | 公認会計士試験/平成30年第I回短答式/財務会計論/問題15 | 次の〔資料〕に基づき,X1 年度(X1 年4 月1 日〜X2 年3 月31 日)の決算日におけるY社のリース債務の残高として最も適切なものの番号を一つ選びなさい。なお,計算結果に端数が生じる場合,千円未満を四捨五入すること。(8点)
〔資料〕
1.Y社はX1 年3 月1 日に,以下の条件で営業用備品のリース契約を結んだ。
2.貸手の購入価額は3,800 千円であり,貸手からの通知を受けて,Y社はこの金額を知っている。この条件によると,貸手の計算利子率は3.5 %となる。
3.Y社がリース物件を自ら購入したと仮定した場合の見積現金購入価額は3,900 千円である。
4.リース取引の開始日時点において,Y社の追加借入利子率は4.2 %と見積もられた。
5.リース物件である営業用備品の経済的耐用年数は5 年である。
6.Y社の減価償却方法は定額法である。
2 | [
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| null | : [[../問題14|←前の問題]]
: [[../問題16|次の問題→]]
== 問題 ==
次の〔'''資料'''〕に基づき,X1 年度(X1 年4 月1 日〜X2 年3 月31 日)の決算日におけるY社のリース債務の残高として最も適切なものの番号を一つ選びなさい。なお,計算結果に端数が生じる場合,千円未満を四捨五入すること。(8点)
〔'''資料'''〕
<div style="margin-left:2em;text-indent:-1em;">
1.Y社はX1 年3 月1 日に,以下の条件で営業用備品のリース契約を結んだ。
:(1) リース取引の開始日は,X1 年4 月1 日である。
:(2) リース物件の営業用備品は特別仕様である。
:(3) リース契約が終了した時点で,リース物件の所有権は借手であるY社に移転する。
:(4) 解約不能のリース期間は4 年である。
:(5) リース料の年額は1,000 千円であり,毎年3 月31 日に前払いする。
2.貸手の購入価額は3,800 千円であり,貸手からの通知を受けて,Y社はこの金額を知っている。この条件によると,貸手の計算利子率は3.5 %となる。
3.Y社がリース物件を自ら購入したと仮定した場合の見積現金購入価額は3,900 千円である。
4.リース取引の開始日時点において,Y社の追加借入利子率は4.2 %と見積もられた。
5.リース物件である営業用備品の経済的耐用年数は5 年である。
6.Y社の減価償却方法は定額法である。
</div>
<div style="column-count:3;">
: '''1'''. 1,881千円
: '''2'''. 1,898千円
: '''3'''. 1,918千円
</div>
<div style="column-count:3;">
: '''4'''. 2,022千円
: '''5'''. 2,765千円
: '''6'''. 2,933千円
</div>
== 正解 ==
2
== 解説 ==
; リース資産およびリース債務の計上額
: 3,800
; 適用利率
: 3.5%
: ※所有権移転ファイナンス・リースであり、貸手の購入価額を知りうるため
{| class="wikitable"
|-
! 年月日 !! 返済前リース債務 !! 返済額 !!返済後リース債務
|-
| X1.4.1 || 3,800 || △1,000 || 2,800
|-
| colspan="4" |(※利息2,800×3.5%=98,返済額1,000-98=902)
|-
| X2.3.31 || 2,800 || △902 || '''1,898'''
|-
| colspan="4" |(※利息1,898×3.5%=66,返済額1,000-66=934)
|-
| X3.3.31 || 1,898 || △934 || 964
|-
| colspan="4" |(※利息964×3.5%=36,返済額1,000-36=964)
|-
| X4.3.31 || 964 || △964 || 0
|}
=== 仕訳 ===
{| style="font-family:monospace"
|-
! colspan="6" | X1年3月31日
|-
| (借) || 前払金 || 1,000
| (貸) || 現金預金 || 1,000
|-
! colspan="6" | X1年4月1日(リース開始)
|-
| (借) || リース資産 || 3,800
| (貸) || リース債務 || 3,800
|-
| (借) || リース債務 || 1,000
| (貸) || 前払金 || 1,000
|-
! colspan="6" | X2年3月31日
|-
| (借) || 支払利息 || 98
| (貸) || 現金預金 || 1,000
|-
| || リース債務|| 902
| || ||
|}
: [[../問題14|←前の問題]]
: [[../問題16|次の問題→]]
[[カテゴリ:財務会計]] | null | 2022-11-28T16:37:37Z | []
| https://ja.wikibooks.org/wiki/%E5%85%AC%E8%AA%8D%E4%BC%9A%E8%A8%88%E5%A3%AB%E8%A9%A6%E9%A8%93/%E5%B9%B3%E6%88%9030%E5%B9%B4%E7%AC%ACI%E5%9B%9E%E7%9F%AD%E7%AD%94%E5%BC%8F/%E8%B2%A1%E5%8B%99%E4%BC%9A%E8%A8%88%E8%AB%96/%E5%95%8F%E9%A1%8C15 |
24,302 | 高等学校国語総合/国語便覧 | 国語便覧を読むと、作家の経歴などが書いてあるが、そういうのは高校生にとって、補助的な史料にすぎない。要点ではない。
正岡子規は、古今和歌集を見下した。「古今集は、くだらぬ集に有之候」とまで、正岡は、古今和歌集をこきおろしている。技巧に走っているだけの、しょうもない自己満足の句である、的な評価を古今和歌集に下した。
正岡の唱える「写実」や「写生」とは、そういう意味である。
また、この時代は句は「俳句」と呼ばれてるが、実は季語のはっきりしない作品もある。
正岡と交流のあった河東 碧梧桐(かわひがし へきごとう)は、季語を捨てた俳句を試みた。今では単なる「川柳」であるが、明治~大正の当時は、そういうのも俳句と呼んでいたのであった。
だから、明治時代の俳句ブームとは、じつは、川柳ブームでもある。なので現代日本の国語参考書の文学史のように、川柳を無視して俳句が流行したかのような解説は、マチガイである。(大学入試とかで「季語」を問うための、くだらない言説である。)
もっとも、歌人のみなが無季の俳句に賛成したわけではなく、正岡より30歳ほど若い水原秋桜子(しゅうおうし)は、無季に反対していた。
正岡のいう「写生」とは、べつに客観主義のことではないが、どういうわけか水原の時代には、俳句における客観主義が重視されてたようで、水原はその客観重視の風潮に反し、主観の重要性を主張した。
学校教科書は、大正時代の文学の傾向として、白樺派を取り上げている。白樺派の志賀直哉や、武者小路実篤、有島武雄を取り上げる。
しかし、教科書はウソをついており、白樺派は有島武雄を除いて、出版市場では売れてない。
大正時代に実際に売れた作家は、 島崎藤村、石川啄木、夏目漱石、有島武郎、谷崎純一郎
(※ 参考文献: 数研出版『プレミアムカラー国語便覧』、2018年)
志賀は、文学の同人サークル(白樺派)を作りあげたという組織の長としての能力は高かったが、残念ながら、志賀本人には小説の才能はなかったようだ。困ったことに、教科書や参考書では、志賀が文豪か何かのように紹介しているが。 | [
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| 国語便覧を読むと、作家の経歴などが書いてあるが、そういうのは高校生にとって、補助的な史料にすぎない。要点ではない。 | {{substub}}
国語便覧を読むと、作家の経歴などが書いてあるが、そういうのは高校生にとって、補助的な史料にすぎない。要点ではない。
== 明治時代 ==
正岡子規は、古今和歌集を見下した。「古今集は、くだらぬ集に有之候」とまで、正岡は、古今和歌集をこきおろしている。技巧に走っているだけの、しょうもない自己満足の句である、的な評価を古今和歌集に下した。
正岡の唱える「写実」や「写生」とは、そういう意味である。
また、この時代は句は「俳句」と呼ばれてるが、実は季語のはっきりしない作品もある。
正岡と交流のあった河東 碧梧桐(かわひがし へきごとう)は、季語を捨てた俳句を試みた。今では単なる「川柳」であるが、明治~大正の当時は、そういうのも俳句と呼んでいたのであった。
だから、明治時代の俳句ブームとは、じつは、川柳ブームでもある。なので現代日本の国語参考書の文学史のように、川柳を無視して俳句が流行したかのような解説は、マチガイである。(大学入試とかで「季語」を問うための、くだらない言説である。)
もっとも、歌人のみなが無季の俳句に賛成したわけではなく、正岡より30歳ほど若い水原秋桜子(しゅうおうし)は、無季に反対していた。
正岡のいう「写生」とは、べつに客観主義のことではないが、どういうわけか水原の時代には、俳句における客観主義が重視されてたようで、水原はその客観重視の風潮に反し、主観の重要性を主張した。
== 白樺派 ==
学校教科書は、大正時代の文学の傾向として、白樺派を取り上げている。白樺派の志賀直哉や、武者小路実篤、有島武雄を取り上げる。
しかし、教科書はウソをついており、白樺派は有島武雄を除いて、出版市場では売れてない。
大正時代に実際に売れた作家は、
島崎藤村、石川啄木、夏目漱石、有島武郎、谷崎純一郎
(※ 参考文献: 数研出版『プレミアムカラー国語便覧』、2018年)
志賀は、文学の同人サークル(白樺派)を作りあげたという組織の長としての能力は高かったが、残念ながら、志賀本人には小説の才能はなかったようだ。困ったことに、教科書や参考書では、志賀が文豪か何かのように紹介しているが。 | null | 2022-11-19T13:39:47Z | [
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| https://ja.wikibooks.org/wiki/%E9%AB%98%E7%AD%89%E5%AD%A6%E6%A0%A1%E5%9B%BD%E8%AA%9E%E7%B7%8F%E5%90%88/%E5%9B%BD%E8%AA%9E%E4%BE%BF%E8%A6%A7 |
24,368 | 公認会計士試験/平成30年第I回短答式/財務会計論/問題21 | A社(決算日3 月31 日)は,B社(決算日3 月31 日)をX1 年4 月1 日(合併期日)に吸収合併した。この企業結合における取得企業はA社であった。次の〔資料〕に基づき,合併後のA社の個別貸借対照表に計上される「のれん」の金額として最も適切なものの番号を一つ選びなさい。(8点)
〔資料〕
1.X1 年3 月31 日現在の両社の個別貸借対照表
2.その他の事項
1
※個別財務諸表上は、個々の取引の原価の合計額(720,000+60,000千円)をもって取得原価とする。 | [
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| null | : [[../問題20|←前の問題]]
: [[../問題22|次の問題→]]
== 問題 ==
A社(決算日3 月31 日)は,B社(決算日3 月31 日)をX1 年4 月1 日(合併期日)に吸収合併した。この企業結合における取得企業はA社であった。次の〔資料〕に基づき,合併後のA社の個別貸借対照表に計上される「のれん」の金額として最も適切なものの番号を一つ選びなさい。(8点)
〔'''資料'''〕
<div style="margin-left:2em;text-indent:-1em;">
1.X1 年3 月31 日現在の両社の個別貸借対照表
{| class="wikitable" style="font-family:monospace"
|+<u>貸借対照表</u>(単位:千円)
! 資産 !! A社 !! B社
! 負債・純資産 !! A社 !! B社
|-
| 現金 || 218,000 || 82,000
| 借入金 || 619,000 || 166,000
|-
| 売掛金 || 442,000 || 151,000
| 資本金 || 750,000 || 350,000
|-
| 土地 || 1,056,000 || 467,000
| 資本剰余金 || 213,000 || 83,000
|-
| B社株式 || 80,000 || -
| 利益剰余金 || 194,000 || 101,000
|-
| || ||
| その他有価証券<br>評価差額金 || 20,000 ||
|-
| 合計
| style="border-top:2px solid #000;border-bottom:3px double #000" | 1,796,000
| style="border-top:2px solid #000;border-bottom:3px double #000" | 700,000
| 合計
| style="border-top:2px solid #000;border-bottom:3px double #000" | 1,796,000
| style="border-top:2px solid #000;border-bottom:3px double #000" | 700,000
|}
:(注) A社は,X1 年3 月31 日現在,B社の発行済株式総数4,000 千株のうち400千株を所有している。この400 千株は過年度に1 株当たり150 円で取得されたものである。A社は,このB社株式をその他有価証券としており,期末に全部純資産直入法により時価評価差額を計上している。
2.その他の事項
:(1) A社は,B社取得に際し,B社株主(A社を除く。)に対して,B社株式1 株につき0.5 株のA社株式を新株発行により交付した。なお,増加する株主資本については,その2 分の1 ずつを資本金と資本剰余金とする。
:(2) 合併期日におけるA社の株価は1 株当たり400 円であった。また,決算日および合併期日におけるB社の株価は, 1 株当たり200 円であった。
:(3) 合併期日におけるB社の土地の時価は,617,000 千円であった。B社におけるそれ以外の資産および負債項目の時価は帳簿価額と一致していた。
:(4) 税効果は考慮しない。
</div>
<div style="column-count:3;font-family:monospace">
: '''1'''. 96,000千円
: '''2'''. 112,000千円
: '''3'''. 116,000千円
</div>
<div style="column-count:3;font-family:monospace">
: '''4'''. 176,000千円
: '''5'''. 196,000千円
: '''6'''. 246,000千円
</div>
== 正解 ==
1
== 解説 ==
{| style="font-family:monospace"
|-
| (現金) || 82,000<br>※時価
| (借入金) || 166,000<br>※時価
|-
| (売掛金) || 151,000<br>※時価
| rowspan="2" | (払込資本) || rowspan="2" | 720,000<br>※@400円×(4,000-400千株)×合併比率0.5<br> これを資本金および資本剰余金に按分する
|-
| (土地) || 617,000<br>※時価
|-
| (のれん) || '''96,000'''<br>※貸借差額
| (B社株式) || 60,000<br>※簿価@150円×400千株
|}
※個別財務諸表上は、個々の取引の原価の合計額(720,000+60,000千円)をもって取得原価とする。
: [[../問題20|←前の問題]]
: [[../問題22|次の問題→]]
[[カテゴリ:財務会計]] | null | 2022-11-28T16:38:25Z | []
| https://ja.wikibooks.org/wiki/%E5%85%AC%E8%AA%8D%E4%BC%9A%E8%A8%88%E5%A3%AB%E8%A9%A6%E9%A8%93/%E5%B9%B3%E6%88%9030%E5%B9%B4%E7%AC%ACI%E5%9B%9E%E7%9F%AD%E7%AD%94%E5%BC%8F/%E8%B2%A1%E5%8B%99%E4%BC%9A%E8%A8%88%E8%AB%96/%E5%95%8F%E9%A1%8C21 |
24,423 | 公認会計士試験/平成30年第I回短答式/財務会計論/問題19 | 次の〔資料〕に基づき,P社の20X4 年度連結貸借対照表における為替換算調整勘定の金額として最も適切なものの番号を一つ選びなさい。(8点)
〔資料〕
1.20X1 年度期末において,P社は,S社の発行済株式総数の80 %を15,000 千ドルで取得し,S社を子会社とした。S社の資本金は1,000 千ドル,利益剰余金は15,000千ドルであった。
2.S社は,配当を行っておらず,利益剰余金は,20X2 年度期末に16,000 千ドル,20X3 年度期末に19,000 千ドル,20X4 年度期末に18,000 千ドルであった。資本金に変動はない。
3.のれんは,発生年度の翌年度から5 年間にわたり定額法によって償却する。
4.対ドルの為替相場の推移は,次のとおりである。
5.20X4 年度中において,P社は,S社に対し,800 千ドルの商品を販売している。S社は,同年度中にその全部を外部に販売済みである。商品販売時の為替相場は,115 円/ドルであった。
6
タイムテーブルより、
| [
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"text": "次の〔資料〕に基づき,P社の20X4 年度連結貸借対照表における為替換算調整勘定の金額として最も適切なものの番号を一つ選びなさい。(8点)",
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"title": "解説"
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| null | : [[../問題18|←前の問題]]
: [[../問題20|次の問題→]]
== 問題 ==
次の〔'''資料'''〕に基づき,P社の20X4 年度連結貸借対照表における為替換算調整勘定の金額として最も適切なものの番号を一つ選びなさい。(8点)
〔'''資料'''〕
<div style="margin-left:2em;text-indent:-1em;">
1.20X1 年度期末において,P社は,S社の発行済株式総数の80 %を15,000 千ドルで取得し,S社を子会社とした。S社の資本金は1,000 千ドル,利益剰余金は15,000千ドルであった。
2.S社は,配当を行っておらず,利益剰余金は,20X2 年度期末に16,000 千ドル,20X3 年度期末に19,000 千ドル,20X4 年度期末に18,000 千ドルであった。資本金に変動はない。
3.のれんは,発生年度の翌年度から5 年間にわたり定額法によって償却する。
4.対ドルの為替相場の推移は,次のとおりである。
{| class="wikitable" style="border:2px solid #000;font-family:monospace"
|-
| |
| style="width:5em" | 期首
| style="width:5em" | 期中平均
| style="width:5em" | 期末
|-
| style="border-width:0 1px" | 20X1年度
| style="border-width:0 1px" | 110
| style="border-width:0 1px" | 105
| style="border-width:0 1px" | 100
|-
| style="border-width:0 1px" | 20X2年度
| style="border-width:0 1px" | 100
| style="border-width:0 1px" | 98
| style="border-width:0 1px" | 95
|-
| style="border-width:0 1px" | 20X3年度
| style="border-width:0 1px" | 95
| style="border-width:0 1px" | 100
| style="border-width:0 1px" | 108
|-
| style="border-width:0 1px" | 20X4年度
| style="border-width:0 1px" | 108
| style="border-width:0 1px" | 113
| style="border-width:0 1px" | 120
|}
5.20X4 年度中において,P社は,S社に対し,800 千ドルの商品を販売している。S社は,同年度中にその全部を外部に販売済みである。商品販売時の為替相場は,115 円/ドルであった。
</div>
<div style="column-count:3;">
: '''1'''. 312,040千円
: '''2'''. 316,000千円
: '''3'''. 332,976千円
</div>
<div style="column-count:3;">
: '''4'''. 333,952千円
: '''5'''. 335,240千円
: '''6'''. 338,440千円
</div>
== 正解 ==
6
== 解説 ==
{|
! colspan="8" |外貨ベースタイムテーブル
|-
|
|20X1期末
|
|20X2期末
|
|20X3期末
|
|20X4期末
|-
|持分比率
| +80%
|
|
|
|
|
|
|-
|資本金
|1,000
|
|1,000
|
|1,000
|
|1,000
|-
|利益剰余金
|15,000
|800<br><nowiki>------</nowiki>><br>200
|16,000
|2,400<br><nowiki>------</nowiki>><br>600
|19,000
|△800<br><nowiki>------</nowiki>><br>△200
|18,000
|-
|合計
| style="border-top:1px solid #000;border-bottom:3px double #000" | 16,000
|
| style="border-top:1px solid #000;border-bottom:3px double #000" | 17,000
|
| style="border-top:1px solid #000;border-bottom:3px double #000" | 20,000
|
| style="border-top:1px solid #000;border-bottom:3px double #000" | 19,000
|-
|取得持分
|12,800
|
|
|
|
|
|
|-
|取得原価
|15,000
|
|
|
|
|
|
|-
|のれん
| style="border-top:1px solid #000;border-bottom:3px double #000" | 2,200
|△440
| style="border-top:1px solid #000;border-bottom:3px double #000" | 1,760
|△440
| style="border-top:1px solid #000;border-bottom:3px double #000" | 1,320
|△440
| style="border-top:1px solid #000;border-bottom:3px double #000" | 880
|-
! colspan="8" |円ベースタイムテーブル
|-
|換算レート
|CR100
|AR98
|CR95
|AR100
|CR108
|AR113
|CR120
|-
|資本金 (HR)
|100,000
|
|100,000
|
|100,000
|
|100,000
|-
|利益剰余金 (HR)
|1,500,000
|78,400<br><nowiki>---------</nowiki>><br>19,600
|1,598,000
|240,000<br><nowiki>---------</nowiki>><br>60,000
|1,898,000
|△90,400<br><nowiki>---------</nowiki>><br>△22,600
|1,785,000
|-
|為替換算調整勘定
|-
|''△66,400''<br><nowiki>---------</nowiki>><br>△16,600
|△83,000
|''196,000''<br><nowiki>---------</nowiki>><br>49,000
|162,000
|''186,400''<br><nowiki>---------</nowiki>><br>46,600
|395,000
|-
|合計 (CR)
| style="border-top:1px solid #000;border-bottom:3px double #000" | 1,600,000
|
| style="border-top:1px solid #000;border-bottom:3px double #000" | 1,615,000
|
| style="border-top:1px solid #000;border-bottom:3px double #000" | 2,160,000
|
| style="border-top:1px solid #000;border-bottom:3px double #000" | 2,280,000
|-
|取得持分
|1,280,000
|
|
|
|
|
|
|-
|取得原価
|1,500,000
|
|
|
|
|
|
|-
|のれん (CR換算前)
| style="border-top:1px solid #000" | 220,000
|△43,120
|176,880
|△44,000
|132,880
|△49,720
|83,160
|-
|為替勘定調整勘定(のれん)
|-
|''△9,680''
|△9,680
|''+19,360''
|9,680
|''+12,760''
|22,440
|-
|のれん (CR換算後)
| style="border-top:1px solid #000;border-bottom:3px double #000" | 220,000
|△52,800
| style="border-top:1px solid #000;border-bottom:3px double #000" | 167,200
|△24,640
| style="border-top:1px solid #000;border-bottom:3px double #000" | 142,560
|△36,960
| style="border-top:1px solid #000;border-bottom:3px double #000" | 105,600
|}
タイムテーブルより、
; 資本に係る為替勘定調整勘定
: △66,400+196,000+186,400=316,000
; のれんに係る為替勘定調整勘定
: △9,680+19,360+12,760=22,440
; 合計
: 316,000+22,440=338,440
: [[../問題18|←前の問題]]
: [[../問題20|次の問題→]]
[[カテゴリ:財務会計]] | null | 2022-11-28T16:37:56Z | []
| https://ja.wikibooks.org/wiki/%E5%85%AC%E8%AA%8D%E4%BC%9A%E8%A8%88%E5%A3%AB%E8%A9%A6%E9%A8%93/%E5%B9%B3%E6%88%9030%E5%B9%B4%E7%AC%ACI%E5%9B%9E%E7%9F%AD%E7%AD%94%E5%BC%8F/%E8%B2%A1%E5%8B%99%E4%BC%9A%E8%A8%88%E8%AB%96/%E5%95%8F%E9%A1%8C19 |
24,426 | 商法第538条 | 法学>民事法>商法>コンメンタール商法>第2編 商行為 (コンメンタール商法)
(利益の配当の制限) | [
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"text": "法学>民事法>商法>コンメンタール商法>第2編 商行為 (コンメンタール商法)",
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"text": "(利益の配当の制限)",
"title": "条文"
}
]
| 法学>民事法>商法>コンメンタール商法>第2編 商行為 (コンメンタール商法) | [[法学]]>[[民事法]]>[[商法]]>[[コンメンタール商法]]>[[第2編 商行為 (コンメンタール商法)]]
==条文==
(利益の配当の制限)
;第537条
: 出資が損失によって減少したときは、その損失をてん補した後でなければ、匿名組合員は、利益の配当を請求することができない。
==解説==
==参照条文==
==判例==
----
{{前後
|[[コンメンタール商法|商法]]
|[[第2編 商行為 (コンメンタール商法)|第2編 商行為]]<br>
[[第2編 商行為 (コンメンタール商法)#4|第4章 匿名組合]]<br>
|[[商法第537条]]<br>(自己の氏名等の使用を許諾した匿名組合員の責任)
|[[商法第539条]]<br>(貸借対照表の閲覧等並びに業務及び財産状況に関する検査)
}}
{{stub}}
[[category:商法|538]] | null | 2018-07-29T15:12:25Z | [
"テンプレート:前後",
"テンプレート:Stub"
]
| https://ja.wikibooks.org/wiki/%E5%95%86%E6%B3%95%E7%AC%AC538%E6%9D%A1 |
24,430 | 高等学校日本史A | 日本史Aとは、近代以降の日本の歴史をまなび、現代社会の情勢を理解する科目である。 | [
{
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"text": "日本史Aとは、近代以降の日本の歴史をまなび、現代社会の情勢を理解する科目である。",
"title": ""
}
]
| 日本史Aとは、近代以降の日本の歴史をまなび、現代社会の情勢を理解する科目である。 | '''日本史A'''とは、近代以降の日本の歴史をまなび、現代社会の情勢を理解する科目である。
{{reflist|2}}
==第一章 明治維新==
# [[高等学校日本史A/第一章 明治維新]] {{進捗|25%|2018-08-07}}
==第二章 立憲国家==
# [[高等学校日本史A/第二章 立憲国家]] {{進捗|00%|2018-08-07}}
==第三章 第一次世界大戦==
# [[高等学校日本史A/第三章 第一次世界大戦]] {{進捗|00%|2018-08-07}}
==第四章 第二次世界大戦==
# [[高等学校日本史A/第四章 第二次世界大戦]] {{進捗|00%|2018-08-07}}
==第五章 終戦後の日本==
# [[高等学校日本史A/第五章 終戦後の日本]] {{進捗|00%|2018-08-07}}
==第六章 現代の日本==
# [[高等学校日本史A/第六章 現代の日本]] {{進捗|00%|2018-08-07}}
[[カテゴリ:高等学校日本史]] | null | 2022-11-25T05:22:12Z | [
"テンプレート:Reflist",
"テンプレート:進捗"
]
| https://ja.wikibooks.org/wiki/%E9%AB%98%E7%AD%89%E5%AD%A6%E6%A0%A1%E6%97%A5%E6%9C%AC%E5%8F%B2A |
24,433 | 公認会計士試験/平成30年第I回短答式/財務会計論/問題18 | 次の〔資料〕に基づき,20X1 年度第3 四半期会計期間における税引後の当期純利益の金額として最も適切なものの番号を一つ選びなさい。(8点)
〔資料〕
1.会計方針
2.20X1 年度第3 四半期における四半期決算直前の残高試算表は,次のとおりである。なお,収益および費用は,期首からの累計額である。
3.第3 四半期会計期間における減価償却費5,000 千円を計上する。また,貸倒引当金を1,500 千円に設定する(差額補充法)。
4.原価差異のうち,5,000 千円(貸方)は,季節的な変動に起因するものであり,事業年度末までに解消する見込みである。
5.当事業年度全体の法人税等の計算に適用される税率は,35 %と見積もられた。法人税等は,第3 四半期会計期間までの税引前当期純利益に加算項目(期首からの累計額)8,000 千円を加えた金額に当該税率を乗じたものを計上する。なお,第3 四半期末における繰延税金資産の金額は,繰延税金資産の回収可能性を評価した結果, 28,000 千円と見積もられた。
6.第1 四半期および第2 四半期における期首からの累計期間に係る税引後の当期純利益は,それぞれ26,000 千円および58,500 千円であった。
5
∴3Qまでの累計99,305-2Qまでの累計58,500=40,805
企業会計基準12号「四半期財務諸表に関する会計基準」12項 | [
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"text": "企業会計基準12号「四半期財務諸表に関する会計基準」12項",
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| null | : [[../問題17|←前の問題]]
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== 問題 ==
次の〔資料〕に基づき,20X1 年度第3 四半期会計期間における税引後の当期純利益の金額として最も適切なものの番号を一つ選びなさい。(8点)
〔'''資料'''〕
<div style="margin-left:2em;text-indent:-1em;">
1.会計方針
: (1) 四半期決算においては,原価差異の会計処理を除き,年度決算と同じ会計処理を行う。原価差異のうち,季節的な変動に起因し,かつ事業年度末までに解消すると見込まれるものは,四半期決算において繰り延べ,年度決算において残高を売上原価に振り替える。
: (2) 減価償却費,貸倒引当金繰入額並びに法人税等および法人税等調整額は,四半期決算において計上する。
2.20X1 年度第3 四半期における四半期決算直前の残高試算表は,次のとおりである。なお,収益および費用は,期首からの累計額である。
{| style="font-family:monospace"
|+ 残高試算表(単位:千円)
|-
| style="border-top:1px solid #000" | 現金預金
| style="border-top:1px solid #000;border-right:1px solid #000" | 345,200
| style="border-top:1px solid #000" | 買掛金
| style="border-top:1px solid #000" | 400,000
|-
| 売掛金 || style="border-right:1px solid #000" | 500,000
|原価差異 || 8,000
|-
|棚卸資産 || style="border-right:1px solid #000" | 200,000
|未払法人税等 || 31,500
|-
|有形固定資産 || style="border-right:1px solid #000" | 800,000
|貸倒引当金 || 1,200
|-
|繰延税金資産 || style="border-right:1px solid #000" | 20,000
|長期借入金 || 500,000
|-
|売上原価 || style="border-right:1px solid #000" | 300,000
|減価償却累計額 || 210,000
|-
|販売費 || style="border-right:1px solid #000" | 25,000
|資本金 || 300,000
|-
|一般管理費 || style="border-right:1px solid #000" | 20,000
|繰越利益剰余金 || 300,000
|-
|減価償却費 || style="border-right:1px solid #000" | 10,000
|売上高 || 500,000
|-
|貸倒引当金繰入額 || style="border-right:1px solid #000" | 1,000
|法人税等調整額 || 2,000
|-
|法人税等 || style="border-right:1px solid #000" | 31,500
| style="text-align:right"|/ ||
|-
|
| style="border-right:1px solid #000;border-top:1px solid #000;border-bottom:3px double #000" | 2,252,700
|
| style="border-top:1px solid #000;border-bottom:3px double #000" | 2,252,700
|}
3.第3 四半期会計期間における減価償却費5,000 千円を計上する。また,貸倒引当金を1,500 千円に設定する(差額補充法)。
4.原価差異のうち,5,000 千円(貸方)は,季節的な変動に起因するものであり,事業年度末までに解消する見込みである。
5.当事業年度全体の法人税等の計算に適用される税率は,35 %と見積もられた。法人税等は,第3 四半期会計期間までの税引前当期純利益に加算項目(期首からの累計額)8,000 千円を加えた金額に当該税率を乗じたものを計上する。なお,第3 四半期末における繰延税金資産の金額は,繰延税金資産の回収可能性を評価した結果,
28,000 千円と見積もられた。
6.第1 四半期および第2 四半期における期首からの累計期間に係る税引後の当期純利益は,それぞれ26,000 千円および58,500 千円であった。
</div>
<div style="column-count:3;">
: '''1'''. 24,805千円
: '''2'''. 28,855千円
: '''3'''. 30,805千円
</div>
<div style="column-count:3;">
: '''4'''. 38,855千円
: '''5'''. 40,805千円
: '''6'''. 43,605千円
</div>
== 正解 ==
5
== 解説 ==
{| style="font-family:monospace"
|+ 第3四半期決算整理仕訳
|-
| colspan="6" | 減価償却
|-
| (借) || 減価償却費 || 5,000
| (貸) || 減価償却累計額 || 5,000
|-
| colspan="6" | 貸倒引当金
|-
| (借) || 貸倒引当金繰入額 || 300
| (貸) || 貸倒引当金 || 300
|-
| colspan="6" | ※要設定額1,500-前T/B 1,200
|-
| colspan="6" | 原価差異
|-
| (借) || 原価差異 || 3,000
| (貸) || 売上原価 || 3,000
|-
| colspan="6" | 税効果会計
|-
| (借) || 繰延税金資産 || 8,000
| (貸) || 法人税等調整額 || 8,000
|-
| colspan="6" | ※3Q末繰延税金資産28,000-前T/B 20,000
|-
| colspan="6" | 法人税等
|-
| (借) || 法人税等 || 20,895
| (貸) || 未払法人税等 || 20,895
|-
| colspan="6" | ※52,395-前T/B31,500<br> 52,395=(税引前当期純利益141,700+加算項目8,000)×35%<br> 税引前当期純利益は下記参照
|}
{| style="font-family:monospace"
|+損益計算書
|売上高
|
|500,000
|-
|売上原価
|
| style="border-bottom:1px solid #000" |297,000
|-
| 売上総利益
|
|203,000
|-
|販売費及び一般管理費
|
|
|-
| 販売費
|25,000
|
|-
| 一般管理費
|20,000
|
|-
| 減価償却費
|15,000
|
|-
| 貸倒引当金繰入額
| style="border-bottom:1px solid #000" | 1,300
| style="border-bottom:1px solid #000" | 61,300
|-
| 税引前当期純利益
|
|141,700
|-
| 法人税等
|52,395
|
|-
| 法人税等調整額
| style="border-bottom:1px solid #000" |10,000
| style="border-bottom:1px solid #000" | 42,395
|-
| 当期純利益(税引後)
|
| style="border-bottom:3px double #000" | ''99,305''
|}
∴3Qまでの累計99,305-2Qまでの累計58,500=40,805
== 参照基準 ==
[https://www.asb.or.jp/jp/wp-content/uploads/hyouji-hokatu_2012_4.pdf#page=6 企業会計基準12号「四半期財務諸表に関する会計基準」12項]
: [[../問題17|←前の問題]]
: [[../問題19|次の問題→]]
[[カテゴリ:財務会計]] | null | 2022-11-28T16:37:48Z | []
| https://ja.wikibooks.org/wiki/%E5%85%AC%E8%AA%8D%E4%BC%9A%E8%A8%88%E5%A3%AB%E8%A9%A6%E9%A8%93/%E5%B9%B3%E6%88%9030%E5%B9%B4%E7%AC%ACI%E5%9B%9E%E7%9F%AD%E7%AD%94%E5%BC%8F/%E8%B2%A1%E5%8B%99%E4%BC%9A%E8%A8%88%E8%AB%96/%E5%95%8F%E9%A1%8C18 |
24,439 | 公認会計士試験/平成30年第I回短答式/財務会計論/問題23~28 | 次の〔資料I〕〜〔資料V〕に基づき,以下の 問題23 ~ 問題28 に答えなさい。
〔資料I〕 留意事項
〔資料II〕 P社が保有する株式
〔資料III〕 支配獲得日(X1 年3 月31 日)におけるS社の純資産の金額
〔資料IV〕 財務諸表
(注) P社の諸資産の金額には,〔資料II〕のS社株式の金額7,000,000 千円が含まれ ている。
〔資料V〕 その他
問題23 当期の連結損益計算書における売上原価の金額として最も適切なものの番号を一つ選びなさい。(4点)
問題24 当期の連結貸借対照表における建物の金額(減価償却累計額控除後の金額)として最も適切なものの番号を一つ選びなさい。(4点)
問題25 当期の連結株主資本等変動計算書における利益剰余金当期首残高の金額として最も適切なものの番号を一つ選びなさい。(4点)
問題26 当期の連結貸借対照表における非支配株主持分の金額として最も適切なものの番号を一つ選びなさい。(4点)
問題27 当期の連結損益計算書における親会社株主に帰属する当期純利益の金額として最も適切なものの番号を一つ選びなさい。(4点)
問題28 当期の連結包括利益計算書におけるその他の包括利益の金額として最も適切なものの番号を一つ選びなさい。(4点) | [
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"text": "次の〔資料I〕〜〔資料V〕に基づき,以下の 問題23 ~ 問題28 に答えなさい。",
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"text": "問題23 当期の連結損益計算書における売上原価の金額として最も適切なものの番号を一つ選びなさい。(4点)",
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"text": "問題24 当期の連結貸借対照表における建物の金額(減価償却累計額控除後の金額)として最も適切なものの番号を一つ選びなさい。(4点)",
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"text": "問題25 当期の連結株主資本等変動計算書における利益剰余金当期首残高の金額として最も適切なものの番号を一つ選びなさい。(4点)",
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"text": "問題26 当期の連結貸借対照表における非支配株主持分の金額として最も適切なものの番号を一つ選びなさい。(4点)",
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"text": "問題27 当期の連結損益計算書における親会社株主に帰属する当期純利益の金額として最も適切なものの番号を一つ選びなさい。(4点)",
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},
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"tag": "p",
"text": "問題28 当期の連結包括利益計算書におけるその他の包括利益の金額として最も適切なものの番号を一つ選びなさい。(4点)",
"title": "問題"
}
]
| null | : [[../問題22|←前の問題]]
: 次の問題→
== 問題 ==
次の〔資料I〕〜〔資料V〕に基づき,以下の <span style="border:1px solid #000">'''問題'''23</span> ~ <span style="border:1px solid #000">'''問題'''28</span> に答えなさい。
〔'''資料I'''〕 留意事項
:1.P社およびS社の会計期間は1年,決算日は毎年3月31日であり,当期はX3年4月1日からX4年3月31日までである。
:2.のれんは,発生した期の翌期から5年間で定額法により償却する。
:3.税効果会計については考慮しないものとする。
:4.計算結果に端数が生じる場合には,千円未満を四捨五入すること。
〔'''資料II'''〕 P社が保有する株式
{| class="wikitable" style="border:0"
|-
|colspan="4" style="text-align:right;border:0;background:#FFF" | (単位:千円)
|-
| 銘柄 || 取得日 || 取得原価 || 備考
|-
| S社株式 || X1年3月31日 || 7,000,000 || S社の発行済株式総数の70%を取得し,支配を獲得した。
|}
〔'''資料III'''〕 支配獲得日(X1 年3 月31 日)におけるS社の純資産の金額
{| class="wikitable" style="border:0"
|-
|colspan="5" style="text-align:right;border:0;background:#FFF" | (単位:千円)
|-
| 資本金 || 資本剰余金 || 利益剰余金 || その他有価証券評価差額金 || 合計
|-
| 3,500,000 || 1,000,000 || 650,000 || 4,000 || 5,154,000
|}
〔'''資料IV'''〕 財務諸表
:(1) 要約貸借対照表(X4 年3 月31 日現在)
{| class="wikitable" style="border:0"
|-
|colspan="6" style="text-align:right;border:0;background:#FFF" | (単位:千円)
|-
| 資産 || P社 || S社 || 負債・純資産 || P社 || S社
|-
| rowspan="5" style="vertical-align:top" | 諸資産 || rowspan="5" style="vertical-align:top" | 42,457,800 || rowspan="5" style="vertical-align:top" | 10,216,600
| 諸負債 || 18,282,500 || 3,136,500
|-
| 資本金 || 10,000,000 || 3,500,000
|-
| 資本剰余金 || 1,080,000 || 1,000,000
|-
| 利益剰余金 || 13,015,240 || 2,556,100
|-
| その他有価証券評価差額金 || 80,000 || 24,000
|-
| 合計 || style="border-bottom:3px double #000" | 42,457,800 || style="border-bottom:3px double #000" | 10,216,600
| 合計 || style="border-bottom:3px double #000" | 42,457,800 || style="border-bottom:3px double #000" | 10,216,600
|}
(注) P社の諸資産の金額には,〔資料II〕のS社株式の金額7,000,000 千円が含まれ
ている。
:(2) 要約損益計算書(自X3 年4 月1 日 至X4 年3 月31 日)
{| class="wikitable" style="border:0"
|-
|colspan="3" style="text-align:right;border:0;background:#FFF" | (単位:千円)
|-
| 収益・費用 || P社 || S社
|-
| style="border-top:0;border-bottom:0" | 売上高
| style="border-top:0;border-bottom:0" | 80,140,800
| style="border-top:0;border-bottom:0" | 15,960,000
|-
| style="border-top:0;border-bottom:0" | 売上原価
| style="border-top:0;border-bottom:0" | 49,760,000
| style="border-top:0;border-bottom:0" | 10,760,000
|-
| style="border-top:0;border-bottom:0" | 販売費及び一般管理費
| style="border-top:0;border-bottom:0" | 26,089,500
| style="border-top:0;border-bottom:0" | 4,198,900
|-
| style="border-top:0;border-bottom:0" | 営業外費用
| style="border-top:0;border-bottom:0" | 216,000
| style="border-top:0;border-bottom:0" | 5,000
|-
| style="border-top:0;border-bottom:0" | 特別利益
| style="border-top:0;border-bottom:0" | -
| style="border-top:0;border-bottom:0" | 20,000
|-
| style="border-bottom:3px double #000" | 当期純利益
| style="border-bottom:3px double #000" | 4,075,240
| style="border-bottom:3px double #000" | 1,016,100
|}
:(3) P社およびS社はいずれも,当期中に剰余金の配当を行っていない。
〔'''資料V'''〕 その他
:(1) 土地に関する事項
:: 〔'''資料IV'''〕(1)の要約貸借対照表の諸資産に含まれる土地については,次の表に示されるように貸借対照表価額と時価との間に重要な差異がある。なお,P社およびS社のいずれにおいても,X1 年3 月31 日からX4 年3 月31 日までの間,土地の貸借対照表価額に変化はない。
{| class="wikitable" style="border:0"
|-
|colspan="4" style="text-align:right;border:0;background:#FFF" | (単位:千円)
|-
|colspan="2" style="text-align:center" | \ || P社 || S社
|-
|colspan="2" | 貸借対照評価額 || 4,400,000 || 2,000,000
|-
|rowspan="4" style="vertical-align:top" | 時価 || X1年3月31日 || 6,400,000 || 2,100,000
|-
| X2年3月31日 || 6,600,000 || 2,130,000
|-
| X3年3月31日 || 6,900,000 || 2,180,000
|-
| X4年3月31日 || 7,000,000 || 2,260,000
|}
:(2) 投資有価証券に関する事項
::〔'''資料IV'''〕(1)の要約貸借対照表の諸資産に含まれる投資有価証券はその他有価証券であり,その取得価額と時価は次のとおりである。
{| class="wikitable" style="border:0"
|-
|colspan="5" style="text-align:right;border:0;background:#FFF" | (単位:千円)
|-
| colspan="2" rowspan="2" style="text-align:center" | \
| rowspan="2"| P社
| colspan="2" style="text-align:center" | S社
|-
| A社株式 || A社以外
|-
| colspan="2" | 取得価額 || 3,800,000 || 288,000 || 470,000
|-
| rowspan="4" style="vertical-align:top" | 時価 || X1年3月31日 || 3,820,000 || - || 474,000
|-
| X2年3月31日 || 3,850,000 || 290,000 || 478,000
|-
| X3年3月31日 || 3,863,000 || 291,000 || 485,000
|-
| X4年3月31日 || 3,880,000 || - || 494,000
|}
:: S社の投資有価証券のうちA社株式は,X1 年4 月1 日に取得したものであり,A社株式以外の投資有価証券は支配獲得日以前から保有しているものである。S社は,当期中にA社株式を308,000 千円で連結集団外部に売却している。〔'''資料IV'''〕(2)の要約損益計算書の特別利益は,当該投資有価証券に係る売却益20,000 千円である。
:(3) 商品に関する事項
::① 〔'''資料IV'''〕(1)の要約貸借対照表の諸資産に含まれる商品の金額は次のとおりである。
:::P社:6,000,000 千円 S社:1,360,000 千円
::② S社は,商品の一部をP社から仕入れている。〔'''資料IV'''〕(2)の要約損益計算書に示されているP社の売上高のうち8,640,000 千円はS社に対するものであった。
::③ P社からS社への商品販売において原価に対して20 %の利益を加算している(前期および当期において同じ。)。
::④ S社の商品棚卸高に含まれているP社からの仕入分は次のとおりである。
:::前期末棚卸高:1,080,000 千円 当期末棚卸高:1,200,000 千円
:(4) 建物に関する事項
::① 〔'''資料IV'''〕(1)の要約貸借対照表の諸資産に含まれる建物の金額(減価償却累計額控除後の金額)は次のとおりである。
:::P社:7,718,500 千円 S社:3,500,000 千円
::② S社は,X2 年4 月1 日にP社に建物(S社の帳簿価額124,000 千円,減価償却累計額控除後)を131,200 千円で売却した。P社は,同日から当該建物を事業の用に供し,定額法(取得原価131,200 千円,耐用年数30 年,残存価額ゼロ)により減価償却を行っている。
<span style="border:1px solid #000">問題23</span> 当期の連結損益計算書における売上原価の金額として最も適切なものの番号を一つ選びなさい。(4点)
<div style="column-count:3;">
: '''1'''. 51,860,000千円
: '''2'''. 51,900,000千円
: '''3'''. 52,080,000千円
</div>
<div style="column-count:3;">
: '''4'''. 60,539,400千円
: '''5'''. 60,540,600千円
: '''6'''. 60,720,000千円
</div>
<span style="border:1px solid #000">問題24</span> 当期の連結貸借対照表における建物の金額(減価償却累計額控除後の金額)として最も適切なものの番号を一つ選びなさい。(4点)
<div style="column-count:3;">
: '''1'''. 11,210,820千円
: '''2'''. 11,211,300千円
: '''3'''. 11,211,540千円
</div>
<div style="column-count:3;">
: '''4'''. 11,211,780千円
: '''5'''. 11,213,628千円
: '''6'''. 11,213,796千円
</div>
<span style="border:1px solid #000">問題25</span> 当期の連結株主資本等変動計算書における利益剰余金当期首残高の金額として最も適切なものの番号を一つ選びなさい。(4点)
<div style="column-count:3;">
: '''1'''. 8,049,248千円
: '''2'''. 8,052,560千円
: '''3'''. 8,054,480千円
</div>
<div style="column-count:3;">
: '''4'''. 8,504,248千円
: '''5'''. 8,507,560千円
: '''6'''. 8,059,480千円
</div>
<span style="border:1px solid #000">問題26</span> 当期の連結貸借対照表における非支配株主持分の金額として最も適切なものの番号を一つ選びなさい。(4点)
<div style="column-count:3;">
: '''1'''. 2,151,726千円
: '''2'''. 2,151,870千円
: '''3'''. 2,152,014千円
</div>
<div style="column-count:3;">
: '''4'''. 2,152,914千円
: '''5'''. 2,154,030千円
: '''6'''. 2,156,214千円
</div>
<span style="border:1px solid #000">問題27</span> 当期の連結損益計算書における親会社株主に帰属する当期純利益の金額として最も適切なものの番号を一つ選びなさい。(4点)
<div style="column-count:3;">
: '''1'''. 4,096,310千円
: '''2'''. 4,101,438千円
: '''3'''. 4,101,758千円
</div>
<div style="column-count:3;">
: '''4'''. 4,102,238千円
: '''5'''. 4,108,310千円
: '''6'''. 4,142,238千円
</div>
<span style="border:1px solid #000">問題28</span> 当期の連結包括利益計算書におけるその他の包括利益の金額として最も適切なものの番号を一つ選びなさい。(4点)
<div style="column-count:3;">
: '''1'''. 14,000千円
: '''2'''. 21,200千円
: '''3'''. 23,000千円
</div>
<div style="column-count:3;">
: '''4'''. 26,000千円
: '''5'''. 96,800千円
: '''6'''. 104,000千円
</div>
== 正解 ==
; 問題23
: 2
; 問題24
: 4
; 問題25
: 1
; 問題26
: 3
; 問題27
: 4
; 問題28
: 3
== 解説 ==
{| style="font-family:monospace"
|+ タイムテーブル
|
|X1.3.31
|
|X3.3.31
|
|X4.3.31
|-
|持分比率
|+70%
|70%
|
|70%
|
|-
|資本金
|3,500,000
|
|3,500,000
|
|3,500,000
|-
|資本剰余金
|1,000,000
|
|1,000,000
|
|1,000,000
|-
|利益剰余金
| 650,000
|623,000<br>------------------><br>267,000
|1,540,000<ref group="TT">X4.3.31利益剰余金2,556,100-X3年度当期純利益1,016,000</ref>
|711,270<br>--------><br>304,830
|2,556,100
|-
|その他有価証券評価差額金
| 4,000
|9,800<br>------------------><br>4,200
| 18,000<ref group="TT">A社(X3.3時価291,000-原価288,000)+A社以外(X3.3時価485,000-原価470,000)</ref>
|4,200<br>--------><br>1,800
| 24,000
|-
|評価差額
| 100,000<ref group="TT">X1.3土地時価2,100,000-土地簿価2,000,000</ref>
|
| 100,000
|
| 100,000
|-
|合計
| style="border-top:1px solid #000;border-bottom:3px double #000" |5,254,000
|
| style="border-top:1px solid #000;border-bottom:3px double #000" |6,158,000
|
| style="border-top:1px solid #000;border-bottom:3px double #000" |7,180,100
|-
|取得持分
|3,677,800<ref group="TT">5,254,000×70%</ref>
|
|
|
|
|-
|取得価額
|7,000,000
|
|
|
|
|-
|のれん
| style="border-top:1px solid #000;border-bottom:3px double #000" |3,322,200<ref group="TT">取得価額7,000,000-取得持分3,677,800</ref>
|△664,440<ref group="TT">支配獲得時のれん3,322,200÷5年</ref>×2年
|1,993,320
|△664,440
|1,328,880
|}
<references group="TT" />
{| style="font-family:monospace"
|-
! colspan="6" | 評価差額
|-
|(借)| 諸資産 (土地) || 100,000
|(貸)| 評価差額 || 100,000
|-
! colspan="6" | 連結修正仕訳
|-
! colspan="6" | (X1.3.31投資と資本の相殺消去)
|-
|(借)| 資本金 (当期首残高) || 3,500,000
|(貸)| S社株式 || 7,000,000
|-
|| 資本剰余金 (当期首残高) || 3,500,000
|| 非支配株主持分 (当期首残高) || 1,576,200
|-
|| 利益剰余金 (当期首残高) || 650,000
|| ||
|-
|| その他有価証券評価差額金 (当期首残高) || 4,000
|| ||
|-
|| 評価差額 || 100,000
|| ||
|-
|| のれん || 3,322,200
|| ||
|-
! colspan="6" | (X1.3~X3.3の利益剰余金・その他有価証券評価差額金・のれん償却)
|-
|(借)| 利益剰余金 (当期首残高) || 267,000
|(貸)| 非支配株主持分 (当期首残高) || 267,000
|-
|(借)| その他有価証券評価差額金 (当期首残高) || 4,200
|(貸)| 非支配株主持分 (当期首残高) || 4,200
|-
|(借)| 利益剰余金 (当期首残高) || 1,328,880
|(貸)| のれん || 1,328,880
|-
! colspan="6" | (当期純利益の按分)
|-
|(借)| 非支配株主帰属当期純損益 || 304,830
|(貸)| 非支配株主持分 (当期変動額) ||304,830
|-
! colspan="6" | (その他有価証券評価差額金の按分)
|-
|(借)| その他有価証券評価差額金 (当期変動額) || 1,800
|(貸)| 非支配株主持分 (当期変動額) ||1,800
|-
! colspan="6" | (のれんの償却)
|-
|(借)| 販売費及び一般管理費 (のれん償却額) || 664,440
|(貸)| のれん || 664,440
|-
! colspan="6" | (商品売買 ※ダウン・ストリーム)
|-
! colspan="6" | ※※売上高・仕入高の相殺消去※※
|-
|(借)| 売上高 || 8,640,000
|(貸)| 売上原価 || 8,640,000
|-
! colspan="6" | ※※商品の未実現利益※※
|-
! colspan="6" | ※※※前期末※※※
|-
|(借)| 利益剰余金 (当期首残高) || 180,000
|(貸)| 売上原価 || 180,000
|-
! colspan="6" | ※※※当期末※※※
|-
|(借)| 売上原価 || 200,000
|(貸)| 諸資産 (商品)|| 200,000
|-
! colspan="6" | (建物 ※アップ・ストリーム)
|-
! colspan="6" | ※※開始仕訳※※
|-
|(借)| 利益剰余金 (当期首残高)|| 6,960
|(貸)| 諸資産 (建物)|| 7,200
|-
| | 減価償却累計額 || 240
| | ||
|-
|(借)| 非支配株主持分 (当期首残高)|| 2,088
|(貸)| 利益剰余金 (当期首残高)|| 2,088
|-
! colspan="6" | ※※当期の実現※※
|-
|(借)| 諸資産 (減価償却累計額)|| 240
|(貸)| 販売費及び一般管理費 (減価償却費)|| 240
|-
|(借)| 非支配株主に帰属する当期純損益|| 72
|(貸)| 非支配株主持分 (当期首残高)|| 72
|}
; 問題23(売上原価)
: P社個別49,760,000
: S社個別10,760,000
: 売上との相殺消去△8,640,000
: 期首商品未実現利益△180,000
: 期末商品未実現利益200,000
: '''計51,900,000'''
; 問題24(建物)
: P社個別7,718,500
: S社個別3,500,000
: 未実現利益消去△7,200
: 減価償却による実現 480(=240×2年)
: '''計11,211,780'''
; 問題25(期首利益剰余金)
: P社期末13,015,240
: P社当期純利益△4,075,240
: P社帰属S社過年度利益剰余金623,000
: 過年度のれん償却△1,328,880
: 期首商品未実現利益△180,000
: 建物過年度未実現利益△6,960
: 過年度未実現利益按分2,088
: '''計8,049,248'''
; 問題26(非支配株主持分)
: タイムテーブル2,154,030(=7,180,100×30%)
: 過年度建物△2,088
: 当期減価償却費72
: '''計2,152,014'''
; 問題27(親会社株主に帰属する当期純利益)
: P社個別4,075,240
: S社当期純利益P社帰属分711,270
: のれん償却△664,440
: 期首商品未実現利益180,000
: 期末商品未実現利益△200,000
: 減価償却による実現240
: 減価償却費に関する按分△72
: '''計4,102,238'''
; 問題28(その他の包括利益)
: P社17,000(=当期末3,880,000-前期末3,863,000)
: S社6,000(=当期末24,000-18,000)
: '''計23,000'''
:[[../問題22|←前の問題]]
: 次の問題→
[[カテゴリ:財務会計]] | null | 2022-11-28T16:38:32Z | []
| https://ja.wikibooks.org/wiki/%E5%85%AC%E8%AA%8D%E4%BC%9A%E8%A8%88%E5%A3%AB%E8%A9%A6%E9%A8%93/%E5%B9%B3%E6%88%9030%E5%B9%B4%E7%AC%ACI%E5%9B%9E%E7%9F%AD%E7%AD%94%E5%BC%8F/%E8%B2%A1%E5%8B%99%E4%BC%9A%E8%A8%88%E8%AB%96/%E5%95%8F%E9%A1%8C23%EF%BD%9E28 |
24,455 | 茨城大対策 | 本項は、茨城大学の入学試験対策に関する事項である。
茨城大学は茨城県水戸市に拠点を置く総合大学である。人文社会科学部、教育学部、理学部、工学部、農学部を有する。
後期の工学部情報工学科(センター配点割合5割)を除き、どの学部、学科もセンター試験の配点割合が6割以上を占めるため、センター試験対策を念入りに行う必要がある。前期試験は学部、学科にもよるが概ね7割、後期試験は7割5分を目指すことになる。
茨城大の2次試験では、文系学部では1科目、理系学部では1 - 3科目の学科試験が課される。以下前期試験対策について説明する。
教育学部英語専修コースと人文社会科学部、工学部、農学部で問題が異なる。
教育学部英語専修コース 90分で長文読解2題課され、内容の要約を英語で100 - 120語で書く、英文の内容に関する意見を英語で150語程度の自由英作文を書く設問が課される。難易度は標準からやや難レベルであり、普段から英文を読み内容の要約文を英語で書く習慣を付け、予備校講師や英語教師に添削してもらうと良い。高度な読解力と自由英作文力を身に付ける必要がある。
教育学部英語専修コース以外 90分で長文読解3題、英作文1題の4題構成である。長文読解に関して、設問は下線部和訳、内容説明、内容一致、英問英答など多岐に渡るが、どれもごく標準的な問が揃っている。特別な対策は必要なく、国公立2次試験問題対策の長文問題集、過去問で対策しておくとよい。英作文は日本文の下線部の英訳問題であり、国公立第2次試験対策の英作文問題集、過去問で対策しておくとよい。内容自体は難しくはないので、市販の問題集で十分対応可能である。語彙的には代表的な単語集で語彙力を身につける必要がある。
教育学部数学専修コース、理学部、工学部で問題が異なる。
教育学部数学専修コース 出題範囲は数IIIABで、120分で大問4題出題される。難易度は基本から標準レベルが中心であるが、教員養成を主とする学部であることから、証明・論証問題、グラフの図示問題がよく出題されるため、普段の学習から公式の導き出しの証明を行ったり、予備校講師や数学の教員などに証明問題、論証問題の答案を添削してもらったり、普段からグラフや図を描く習慣を身に付けておくと良い。論証、証明問題を重点的に対策するのであれば駿台文庫の「国公立標準問題集CanPass」で重点的に問題演習をするとよい。
理学部 出題範囲は数IIIIIIABで、120分で大問3題出題される。数IIIの出題割合が高い傾向であり、計算量が多いので普段の学習から計算をはしおらずに演習量を多く確保しておこう。難易度は標準レベルが中心であるが、大問1題の中に4~5問の問題で構成され、複数の分野にまたがった融合問題であるので、苦手な分野を作らないことが肝要である。教科書及び教科書傍用問題集で基本をマスターし、標準的な入試対策用問題集で融合問題の演習をしてから過去問演習をするとよい。
工学部 出題範囲は数IIIIIIABで、120分で大問4題出題される。小問集合1題、大問3題か小問集合2題、大問2題の年とある。数IIIの出題割合が高い傾向である。難易度は基本から標準レベルが中心である。小問集合で様々な分野から出題されるので、苦手な分野を作らないことが肝要である。理学部よりやや易しい難易度ではあるが、証明・論証問題、グラフの図示問題がよく出題されるため、教科書及び教科書傍用問題集で基本をマスターし、「チャート式解法と演習シリーズ(黄チャート)」レベルの参考書をマスターすれば過去問演習に入るとよい。論証、証明問題を重点的に対策するのであれば駿台文庫の「国公立標準問題集CanPass」で重点的に問題演習をするとよい。
教育学部理科専修コース、理学部、工学部、農学部で課され、1科目で120分である。学部、学科によって科目が指定されたり、選択できる科目が異なる。
物理 例年力学、電磁気が必ず出題され、熱力学、波動のどちらか1分野が出題されている。答えだけでなく導き出し過程も答案に記述することが求められるため、普段から解答の過程を意識して問題演習するとよい。グラフの図示、物理現象の説明、理由を論述する問題等計算だけでなく様々な視点から出題されているので、過去問以外に記述模試や入試対策用の問題集を活用して対策しておくと良い。
化学 理論化学分野の問題、理論化学分野と無機化学分野の融合問題、有機化学分野の問題、有機化学と理論化学の分野の融合問題が主に出題される。 基本から標準レベルの問題が多いが、説明・論述問題、計算問題、化学反応式や構造式とともに説明する問題等、記述量、計算量が多い出題である。したがって普段から現象、法則の説明、計算問題の演習を積んでおくと良い。また、糖類や繊維、アミノ酸に関する問題も満遍なく出題される傾向のため、マイナー分野もしっかりと対策しておきたい。
生物 標準的な問題が多く出題されるが、長い論述の問題、計算問題、実験データからの読み取り問題が出題されるため、十分な対策が必要である。特に計算問題は解答の過程を記述する必要があるため、過去問演習で十分対策しておくとよい。 | [
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"text": "化学 理論化学分野の問題、理論化学分野と無機化学分野の融合問題、有機化学分野の問題、有機化学と理論化学の分野の融合問題が主に出題される。 基本から標準レベルの問題が多いが、説明・論述問題、計算問題、化学反応式や構造式とともに説明する問題等、記述量、計算量が多い出題である。したがって普段から現象、法則の説明、計算問題の演習を積んでおくと良い。また、糖類や繊維、アミノ酸に関する問題も満遍なく出題される傾向のため、マイナー分野もしっかりと対策しておきたい。",
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}
]
| 日本の大学受験ガイド > 茨城大対策 本項は、茨城大学の入学試験対策に関する事項である。 茨城大学は茨城県水戸市に拠点を置く総合大学である。人文社会科学部、教育学部、理学部、工学部、農学部を有する。 | {{wikipedia|茨城大学}}
*[[日本の大学受験ガイド]] > [[茨城大対策]]
本項は、[[w:茨城大学|茨城大学]]の入学試験対策に関する事項である。
茨城大学は茨城県水戸市に拠点を置く総合大学である。人文社会科学部、教育学部、理学部、工学部、農学部を有する。
== センター試験 ==
後期の工学部情報工学科(センター配点割合5割)を除き、どの学部、学科もセンター試験の配点割合が6割以上を占めるため、センター試験対策を念入りに行う必要がある。前期試験は学部、学科にもよるが概ね7割、後期試験は7割5分を目指すことになる。
== 2次試験 ==
茨城大の2次試験では、文系学部では1科目、理系学部では1 - 3科目の学科試験が課される。以下前期試験対策について説明する。
=== 英語 ===
教育学部英語専修コースと人文社会科学部、工学部、農学部で問題が異なる。
'''教育学部英語専修コース'''<br />
90分で長文読解2題課され、内容の要約を英語で100 - 120語で書く、英文の内容に関する意見を英語で150語程度の自由英作文を書く設問が課される。難易度は標準からやや難レベルであり、普段から英文を読み内容の要約文を英語で書く習慣を付け、予備校講師や英語教師に添削してもらうと良い。高度な読解力と自由英作文力を身に付ける必要がある。
'''教育学部英語専修コース以外'''<br />
90分で長文読解3題、英作文1題の4題構成である。長文読解に関して、設問は下線部和訳、内容説明、内容一致、英問英答など多岐に渡るが、どれもごく標準的な問が揃っている。特別な対策は必要なく、国公立2次試験問題対策の長文問題集、過去問で対策しておくとよい。英作文は日本文の下線部の英訳問題であり、国公立第2次試験対策の英作文問題集、過去問で対策しておくとよい。内容自体は難しくはないので、市販の問題集で十分対応可能である。語彙的には代表的な単語集で語彙力を身につける必要がある。
=== 数学 ===
教育学部数学専修コース、理学部、工学部で問題が異なる。
'''教育学部数学専修コース'''<br />
出題範囲は数ⅠⅡABで、120分で大問4題出題される。難易度は基本から標準レベルが中心であるが、教員養成を主とする学部であることから、証明・論証問題、グラフの図示問題がよく出題されるため、普段の学習から公式の導き出しの証明を行ったり、予備校講師や数学の教員などに証明問題、論証問題の答案を添削してもらったり、普段からグラフや図を描く習慣を身に付けておくと良い。論証、証明問題を重点的に対策するのであれば駿台文庫の「国公立標準問題集CanPass」で重点的に問題演習をするとよい。
'''理学部'''<br />
出題範囲は数ⅠⅡⅢABで、120分で大問3題出題される。数Ⅲの出題割合が高い傾向であり、計算量が多いので普段の学習から計算をはしおらずに演習量を多く確保しておこう。難易度は標準レベルが中心であるが、大問1題の中に4~5問の問題で構成され、複数の分野にまたがった融合問題であるので、苦手な分野を作らないことが肝要である。教科書及び教科書傍用問題集で基本をマスターし、標準的な入試対策用問題集で融合問題の演習をしてから過去問演習をするとよい。
'''工学部'''<br />
出題範囲は数ⅠⅡⅢABで、120分で大問4題出題される。小問集合1題、大問3題か小問集合2題、大問2題の年とある。数Ⅲの出題割合が高い傾向である。難易度は基本から標準レベルが中心である。小問集合で様々な分野から出題されるので、苦手な分野を作らないことが肝要である。理学部よりやや易しい難易度ではあるが、証明・論証問題、グラフの図示問題がよく出題されるため、教科書及び教科書傍用問題集で基本をマスターし、「チャート式解法と演習シリーズ(黄チャート)」レベルの参考書をマスターすれば過去問演習に入るとよい。論証、証明問題を重点的に対策するのであれば駿台文庫の「国公立標準問題集CanPass」で重点的に問題演習をするとよい。
=== 理科 ===
教育学部理科専修コース、理学部、工学部、農学部で課され、1科目で120分である。学部、学科によって科目が指定されたり、選択できる科目が異なる。
'''物理'''<br />
例年力学、電磁気が必ず出題され、熱力学、波動のどちらか1分野が出題されている。答えだけでなく導き出し過程も答案に記述することが求められるため、普段から解答の過程を意識して問題演習するとよい。グラフの図示、物理現象の説明、理由を論述する問題等計算だけでなく様々な視点から出題されているので、過去問以外に記述模試や入試対策用の問題集を活用して対策しておくと良い。
'''化学'''<br />
理論化学分野の問題、理論化学分野と無機化学分野の融合問題、有機化学分野の問題、有機化学と理論化学の分野の融合問題が主に出題される。
基本から標準レベルの問題が多いが、説明・論述問題、計算問題、化学反応式や構造式とともに説明する問題等、記述量、計算量が多い出題である。したがって普段から現象、法則の説明、計算問題の演習を積んでおくと良い。また、糖類や繊維、アミノ酸に関する問題も満遍なく出題される傾向のため、マイナー分野もしっかりと対策しておきたい。
'''生物'''<br />
標準的な問題が多く出題されるが、長い論述の問題、計算問題、実験データからの読み取り問題が出題されるため、十分な対策が必要である。特に計算問題は解答の過程を記述する必要があるため、過去問演習で十分対策しておくとよい。
[[Category:大学入試|いばらぎだいたいさく]] | null | 2022-08-31T03:36:50Z | [
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| https://ja.wikibooks.org/wiki/%E8%8C%A8%E5%9F%8E%E5%A4%A7%E5%AF%BE%E7%AD%96 |
24,467 | シュメール語/文法入門 | このレッスンではシュメール語の文法について(かなうかぎり)一口サイズで紹介しています。もしおかしな点を見つけたら、お気軽に構成の編集やトークページでの提案を行ってください。それがWikiの精神というものですから。
レッスン1 - 複数形 このレッスンではいくつかの簡単な名詞と複数形の作り方について紹介します。
レッスン2 - 所有接辞 名詞に接尾辞をつけることで「家」を「私の家」とするような方法を学びます。
レッスン3 - 属格 シュメール語の格の内、名詞どうしの関係を示す属格について紹介します。
レッスン4 - コピュラ 一般動詞を紹介する前に、コピュラを使った簡単な叙述文について見ていきます。
レッスン5 - 動詞の鎖 シュメール語の動詞の単純な事例について学びます。
レッスン6 - シュメール語の文 上記の全てをふまえて、完全なシュメール語の文に翻訳します。
レッスン7 - 能格性 能格性を紹介し、シュメール語における働きについて見ていきます。
レッスン8 - 格体系 シュメール語の格体系について論じます。
レッスン9 - 楔形文字 古代のシュメール人が使った書字体系について紹介します。
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このレッスンではシュメール語の文法について(かなうかぎり)一口サイズで紹介しています。もしおかしな点を見つけたら、お気軽に構成の編集やトークページでの提案を行ってください。それがWikiの精神というものですから。
<!-- In the lessons below, you'll be introduced to aspects of Sumerian grammar in (hopefully) bite sized chunks. If any of the lessons are confusing, don't hesitate to edit them for style, or use the discussion boards for suggestions! That's the spirit of the wiki, after all. -->
== レッスン ==
[[image:SumerianZiggurat.jpg|300px|right|A ziggurat]]
[[シュメール語/文法入門/複数形|'''レッスン1 - 複数形''']]
このレッスンではいくつかの簡単な名詞と複数形の作り方について紹介します。
<!-- -- This lesson introduces us to some simple nouns and how to mark them as plural. -->
[[シュメール語/文法入門/所有接辞|'''レッスン2 - 所有接辞''']]
名詞に接尾辞をつけることで「家」を「私の家」とするような方法を学びます。
<!-- -- Here we learn how suffixed particles can modify the meaning of a noun, like "house", to be possessive, like "my house". -->
[[シュメール語/文法入門/属格|'''レッスン3 - 属格''']]
シュメール語の格の内、名詞どうしの関係を示す属格について紹介します。
<!-- -- The basics of the Sumerian case system for nouns is outlined here. -->
[[シュメール語/文法入門/コピュラ|'''レッスン4 - コピュラ''']]
一般動詞を紹介する前に、コピュラを使った簡単な叙述文について見ていきます。
[[シュメール語/文法入門/動詞の鎖|'''レッスン5 - 動詞の鎖''']]
シュメール語の動詞の単純な事例について学びます。
<!-- The Sumerian verb is discussed in simple situations. -->
[[シュメール語/文法入門/シュメール語の文|'''レッスン6 - シュメール語の文''']]
上記の全てをふまえて、完全なシュメール語の文に翻訳します。
<!-- -- Putting it all together, we translate a complete Sumerian sentence. -->
[[シュメール語/文法入門/能格性|'''レッスン7 - 能格性''']]
能格性を紹介し、シュメール語における働きについて見ていきます。
<!-- A discussion of ergativity and how it is used in Sumerian. -->
[[シュメール語/文法入門/格体系|'''レッスン8 - 格体系''']]
シュメール語の格体系について論じます。
<!-- Discussion of the cases used in Sumerian -->
[[シュメール語/文法入門/楔形文字|'''レッスン9 - 楔形文字''']]
古代のシュメール人が使った書字体系について紹介します。
<!-- Some introductory comments about the system of writing used by the ancient Sumerians -->
[[シュメール語|上へ (シュメール語 メインページ)]]
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24,470 | シュメール語/文法入門/複数形 | シュメール語を始める一番簡単な方法は、よく見知った友達を探してみることでしょう。名詞たちです!
シュメール語の複数形について議論する前に、まずは古き良き単数形の名詞から始めてみましょう。いくつかの例を見てみましょう。博物館や本で粘土板を見る機会があれば必ずお目にかかるであろう、とても基本的な名詞です。
[発音についての注意:覚えておいてください。シュメール語がどのように発音されていたのか、本当のところはわかっていません。読者はこれらの単語を好きなように読んでかまいません。シュメール語についての古い文献や、最新の研究結果では別の書き方をしていることもあるでしょう。私達は発見の半ばにいて、まだまだ貢献の余地があるのです]
[訳注:日本語版の読者はこの節を読み飛ばしてかまいません。定名詞と不定名詞を区別しない言語にはお馴染みでしょうから]
一番単純なシュメール語の名詞句は上の語彙リストにあるような名詞そのものです。英語と違って、シュメール語には冠詞がないのです。ですから、シュメール語ではlugalは「ある王」とも「その王」とも、はたまた「王」そのものとも読めるのです。奇妙で曖昧に思えるかもしれませんが、原著者が何を意図して書いたものか文脈から紐解くのはそう難しいことではありません。すぐに慣れますよ!
ただ名詞を並べるだけでも名詞句を作ることができます。「王と女王」はシュメール語ではいくぶん単純に記述できます。ただ並べるだけでいいのです。何も付け加えるものはありません。ですから「王と女王」はlugal ninになります。シュメール語には「と(and)」にあたる語がないのです。かなり後になってからは語の最初にuを書くようになりましたが、これはアッカド語からの借用です。私達は古代シュメール人がそうしたように、「と」を省いていきましょう。
(アッカド語とシュメール語の間の借用の例はたくさんあります――メソポタミアの民は最初はシュメール語を話していましたがやがてアッカド語に置き換わり、シュメール語は正式な場でしか使われなくなっていきました。中世におけるラテン語のようにです)
シュメール語の名詞句についての語彙と知識を試してみましょう。いくつかの例題を挙げていきます。シュメール語を日本語に訳してください。傍点下線部にマウスを持っていくと答えが見れますよ。
さて、実際に日本語からシュメール語に翻訳する技術を披露する機会はないかもしれませんが(たぶん誰にも理解してもらえませんよ)、練習として翻訳してみましょう。簡単な単語から始めてみましょう。
シュメール語では単語に接頭辞や接尾辞をつけて意味を修正したり他の単語や文との関係を示したりします。英語と同じです。「王」と「王たち」について考えてみましょう。英語でking kingsのように複数形の語の最後に付け加えられる-sを接辞といいます。接辞とはそれ自体では自立しない形態素のことです。英語の文章の中にsが単独で出てくることはありませんよね。
シュメール語でも同じです。単語を複数形にするには接尾辞として.ene [𒂊𒉈]を用います。eneの前にある妙な点は、形態素(接辞や単語のような言語の最小単位)の区切りを示すための印です。語幹と接辞を明確にわけることで解読が簡単になるのです。というわけでšeš.ene [𒋀𒂊𒉈]は「兄弟たち」と訳せることになります。
複数形の単語については簡単でしたね! でも「母と子」のような複合語の複数形についてはどうでしょうか? 英語ではmothers and childrenのようにそれぞれの語を複数形にしますが、シュメール語では二つの語をひとかたまりにして全体を複数形にします。
nin šeš [𒊩𒆪𒋀] 姉妹と兄弟
は
[nin šeš].ene [𒊩𒆪𒋀𒂊𒉈] 姉妹たちと兄弟たち となるのです。
我らが小さき友達.eneはどこにあったでしょうか。繰り返しますと、それぞれの名詞に付け加えるのではなく、二つの名詞にまとめてつけるのです。
さて、このnin šeš ene [𒊩𒆪𒋀𒂊𒉈]は二様に解釈できます。「姉妹と兄弟たち」、あるいは「姉妹たちと兄弟たち」。すこし曖昧ですね。 いくつかの標準規約では上の例にもあるように修飾される側の語をカギカッコ([])でくくって示すことになっています。上の例では接辞(.ene)は二つの語(nin šeš)を修飾していることになります。
とっても簡単ですね! 英語や日本語ともそんなには変わらないのではないでしょうか。
さて、シュメール語での複数形の表現は実は他にもあるのですが、とりあえずは今覚えた接辞をつけたものをみていくとしましょう。
[Thomsen §69, Edzard §5.3.1] - these bibliography references will occur throughout this text, and refer to ML Thomsen's "The Sumerian Language" and D O Edzard's "Sumerian Grammar", respectively.
これらの単語を覚えていますか?
せっかくなので日本語からのシュメール語訳もやってみましょう。
シュメールの歴史についても少しずつ書いていくことにしましょう。とはいえシュメール史にはそれほど自信があるわけではないので、もしメソポタミアの歴史家がいらっしゃったら、ご遠慮無くどうぞ!
シュメール語は現代のイラク、チグリス側とユーフラテス川に挟まれた肥沃な三日月地帯と呼ばれる地域(メソポタミア)で話され、書かれた言葉です。話言葉としては衰退してからもずっと長い間書かれ続けました。シュメール人の滅亡後も、この地域の支配者(アッカド民族)がこの地の文書のリンガ・フランカ(共通語)として何世紀もの間用い続けたからです。
「シュメール」という名前はセム語族のアッカド民族がシュメール文明の衰退後に名付けて使っていたものです。シュメール人は彼ら自身のことをuĝ saĝ'giga" [𒌦𒊕𒈪𒂵](黒き頭の民)と呼び、彼らの土地をki'en'gir" [𒆠𒂗𒂠](シュメール語を話すものの土地)と呼んでいました。
シュメール語の単語について、私達の言語にはないいくつかの概念に注意してください。例えば、シュメール語の単語は「生物」と「非生物」に分かれます。(実際には動物も「非生物」に分類されるのでこの呼び方も正しくはないのですが)
いずれであってもフレーズの意味に実質的に影響を与えるわけではありませんが、曖昧さの回避や文法上の冗長性に寄与します。
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<!-- = Singular Nouns 単数名詞 = -->
シュメール語を始める一番簡単な方法は、よく見知った友達を探してみることでしょう。名詞たちです!
<!-- The easiest way to start Sumerian is by looking at some familiar friends: nouns! -->
シュメール語の複数形について議論する前に、まずは古き良き単数形の名詞から始めてみましょう。いくつかの例を見てみましょう。博物館や本で粘土板を見る機会があれば必ずお目にかかるであろう、とても基本的な名詞です。
<!-- Before embarking on a discussion of ''plurality'' in Sumerian, first we need some good old fashion ''singular'' nouns to work with. Let's take the following vocabulary as a small sampler. These are some really common words in the tablets you might see in museums or books, so we might as well start seeing them early! -->
== 語彙 ==
<!-- == Vocabulary == -->
[[File:SumerianBulls.jpg|right|thumb|Sumerian art]]
* '''lugal [𒈗]''' ''= 王、主人、領主''
* '''šeš [𒋀]''' ''= 兄弟''
* '''ama [𒂼]''' ''= 母''
* '''nin [𒊩𒆪]''' ''= 姉妹、女王、女性''
* '''dumu [𒌉]''' ''= 子供、息子''
[発音についての注意:覚えておいてください。シュメール語がどのように発音されていたのか、本当のところはわかっていません。読者はこれらの単語を好きなように読んでかまいません。シュメール語についての古い文献や、最新の研究結果では別の書き方をしていることもあるでしょう。私達は発見の半ばにいて、まだまだ貢献の余地があるのです]
<!-- [A note on pronounciation: remember, ''we don't really understand'' how Sumerian was pronounced. You're free to pronounce these words any way you like. In fact, you'll see a lot of words in older Sumerian discussions don't look anything like the words in this grammar, or other recent work. We're still discovering a lot here, so there's plenty of room for contribution.]
-->
== 名詞句 ==
<!-- == Simple Noun Phrases == -->
=== 定名詞と不定名詞 ===
<!-- === Definite vs Indefinite Nouns === -->
[訳注:日本語版の読者はこの節を読み飛ばしてかまいません。定名詞と不定名詞を区別しない言語にはお馴染みでしょうから]
一番単純なシュメール語の名詞句は上の語彙リストにあるような名詞そのものです。英語と違って、シュメール語には[[w:冠詞|冠詞]]がないのです。ですから、シュメール語では'''lugal'''は「ある王」とも「その王」とも、はたまた「王」そのものとも読めるのです。奇妙で曖昧に思えるかもしれませんが、原著者が何を意図して書いたものか文脈から紐解くのはそう難しいことではありません。すぐに慣れますよ!
<!-- The simplest noun phrase in Sumerian is just a plain old noun, like the ones listed just above in the vocabulary. There are no written markers for [http://en.wikipedia.org/wiki/Indefinite_article definiteness or indefiniteness] in Sumerian, however, which is a bit different from English. So, in Sumerian, if you see '''lugal''', it can mean ''a king'', ''the king'', or even just ''king''. While you might think this is confusing and ambiguous, in practice there is usually very little room for ambiguity. It's pretty easy from context to figure out what the original author intended. In fact, with a little experience, you won't even notice anything missing! -->
===接続詞 ===
<!-- === Conjunction === -->
ただ名詞を並べるだけでも名詞句を作ることができます。「王と女王」はシュメール語ではいくぶん単純に記述できます。ただ並べるだけでいいのです。何も付け加えるものはありません。ですから「王と女王」は'''lugal nin'''になります。シュメール語には「と(and)」にあたる語がないのです。かなり後になってからは語の最初に'''u'''を書くようになりましたが、これはアッカド語からの借用です。私達は古代シュメール人がそうしたように、「と」を省いていきましょう。
<!-- Another way to make a noun phrase is to just put two nouns directly next to each other; say, for instance, ''the king and queen''. This is even simpler in Sumerian. You simply put the two words directly next to each other, with no other markings! So ''the king and queen'' becomes just '''lugal nin'''. There was originally no word for ''and'' in Sumerian, and only much later in the life of the language did scribes start using the word '''u''', which is just a borrowed word from Akkadian. So we will omit the ''and'' in Sumerian, and just write it the way the old Sumerians used to.
-->
(アッカド語とシュメール語の間の借用の例はたくさんあります――メソポタミアの民は最初はシュメール語を話していましたがやがてアッカド語に置き換わり、シュメール語は正式な場でしか使われなくなっていきました。中世におけるラテン語のようにです)
<!-- (You'll see a bunch of borrowings between Akkadian and Sumerian -- the people of Mesopotamia started speaking Sumerian; then the Akkadians took over and Sumerian was used only for formal occasions, state or religious purposes. Similar to ecclesiastical Latin in the middle ages.)
-->
=== 例題===
シュメール語の名詞句についての語彙と知識を試してみましょう。いくつかの例題を挙げていきます。シュメール語を日本語に訳してください。傍点下線部にマウスを持っていくと答えが見れますよ。
<!-- Just to test your vocabulary and knowledge of simple noun phrases in Sumerian, I'll toss in some quizzes every now and then. If you see a little dotted underline, that means there's hovertext with the quiz answer. Good luck! Start by translating the following from Sumerian to English:
-->
# '''{{H:title|母|ama [𒂼]}}'''
# '''{{H:title|兄弟姉妹|šeš nin [𒋀𒊩𒆪]}}'''
# '''{{H:title|王|lugal [𒈗]}}'''
さて、実際に日本語からシュメール語に翻訳する技術を披露する機会はないかもしれませんが(たぶん誰にも理解してもらえませんよ)、練習として翻訳してみましょう。簡単な単語から始めてみましょう。
<!--
Also, even though you will never encounter the need to translate from English to Sumerian in actual practice (no one would understand you!), I will also provide "generation" exercises, translating from English into Sumerian. It's good practice. Try it on these simple phrases:
-->
# ''{{H:title|šeš [𒋀]|兄弟}}''
# ''{{H:title|nin [𒊩𒆪]|女王}}''
# ''{{H:title|ama dumu [𒂼𒌉]|母と子}}''
= 複数形標識 =
<!-- = The Plural Marker = -->
シュメール語では単語に接頭辞や接尾辞をつけて意味を修正したり他の単語や文との関係を示したりします。英語と同じです。「王」と「王たち」について考えてみましょう。英語で''king'' ''kings''のように複数形の語の最後に付け加えられる''-s''を接辞といいます。接辞とはそれ自体では自立しない形態素のことです。英語の文章の中に''s''が単独で出てくることはありませんよね。
<!-- In Sumerian, it is very common for a suffix or prefix to be attached to a word. Sumerian does this to modify meaning, or relationships to other words in a sentence. The same happens in English. Consider the two words ''king'' and ''kings''. We are all familiar with the plural ending ''-s'' in English, and this little ''-s'' is called an affix. An affix is basically any part of a language that can't occur just by itself. You'd never see just ''s'' in an English sentence, for instance.
-->
=== ene [𒂊𒉈] ===
シュメール語でも同じです。単語を複数形にするには接尾辞として'''.ene [𒂊𒉈]'''を用います。'''ene'''の前にある妙な点は、形態素(接辞や単語のような言語の最小単位)の区切りを示すための印です。語幹と接辞を明確にわけることで解読が簡単になるのです。というわけで'''šeš.ene [𒋀𒂊𒉈]'''は「兄弟たち」と訳せることになります。
<!-- making things plural, we just use the suffix '''.ene [𒂊𒉈]'''. That funny dot you see before the '''ene''' is just the way linguists like to write things. If you see a dot like this, you know you're looking at a morpheme (a basic unit of language – like a suffix, or a regular word). Plus, it neatly and logically separates the root word from any suffixes for easy analysis. So, for instance, '''šeš.ene [𒋀𒂊𒉈]''' could be translated ''brothers'', or perhaps ''the brothers''. (Remember your vocabulary from the first section?)
-->
=== '''ene'''を使った名詞句 ===
複数形の単語については簡単でしたね! でも「母と子」のような複合語の複数形についてはどうでしょうか? 英語では'''mothers and children'''のようにそれぞれの語を複数形にしますが、シュメール語では二つの語をひとかたまりにして全体を複数形にします。
<!-- So it's easy to make a noun plural! But what about plurals of more complex phrases, like ''mother and child''? Well, in English, it would be ''mothers and children'', where each element gets pluralized. In Sumerian, however, we treat the two nouns as one logical chunk, and pluralize the ''whole thing'' once. For instance:
-->
nin šeš [𒊩𒆪𒋀] 姉妹と兄弟
は
[nin šeš].ene [𒊩𒆪𒋀𒂊𒉈] 姉妹たちと兄弟たち
となるのです。
我らが小さき友達'''.ene'''はどこにあったでしょうか。繰り返しますと、それぞれの名詞に付け加えるのではなく、二つの名詞にまとめてつけるのです。
<!-- See our little friend '''.ene'''? There it is again, this time attaching itself to a two-noun phrase, instead of just a simple solo noun.
-->
=== 雑談 ===
<!-- === A little convention === -->
さて、この'''nin šeš ene [𒊩𒆪𒋀𒂊𒉈]'''は二様に解釈できます。「姉妹と兄弟たち」、あるいは「姉妹たちと兄弟たち」。すこし曖昧ですね。
いくつかの標準規約では上の例にもあるように修飾される側の語をカギカッコ([])でくくって示すことになっています。上の例では接辞(.ene)は二つの語(nin šeš)を修飾していることになります。
とっても簡単ですね! 英語や日本語ともそんなには変わらないのではないでしょうか。
さて、シュメール語での複数形の表現は実は他にもあるのですが、とりあえずは今覚えた接辞をつけたものをみていくとしましょう。
<!--
Now, the phrase "nin šešene [𒊩𒆪𒋀𒂊𒉈]" can mean two things: either ''sister and brother'''s''''' or ''sister'''s''' and brother'''s'''''. There is some room for ambiguity here.
One more standard convention linguists use, is to put heavy braces (the "[" and "]" above) around sub-phrases, so you can see everything that is being modified by some other particle. In this case, this convention can help us disambiguate between the two possible meanings; here we see the plural affix ('''.ene''') modifying a two-noun phrase ('''nin šeš'''). So we first translate the noun phrase, ''= sister and brother'', and then modify the whole thing with the affix, ''= sisters and brothers''.
It's actually pretty easy! And hopefully not too different from English.
Now, there are quite a few other ways to express plurality in Sumerian, but for now, let's proceed with this common affix and see what else we can learn.
-->
[Thomsen §69, Edzard §5.3.1] ''- these bibliography references will occur throughout this text, and refer to ML Thomsen's "The Sumerian Language" and D O Edzard's "Sumerian Grammar", respectively.''
= 例題 =
これらの単語を覚えていますか?
<!-- Let's see if you remember your nouns! -->
# '''{{H:title|女王たち|nin.ene [𒊩𒆪𒂊𒉈]}}'''
# '''{{H:title|王たち|lugal.ene [𒈗𒂊𒉈]}}'''
# '''{{H:title|姉妹と兄弟たち|nin šeš.ene [𒊩𒆪𒋀𒂊𒉈]}}'''
# '''{{H:title|姉妹たちと兄弟たち|[nin šeš].ene [𒊩𒆪𒋀𒂊𒉈]}}'''
せっかくなので日本語からのシュメール語訳もやってみましょう。
<!-- And just for fun, translate from English to Sumerian: -->
# {{H:title|lugal [𒈗]|王}}
# {{H:title|lugal nin [𒈗𒊩𒆪]|王と女王}}
# {{H:title|[lugal nin].ene [𒈗𒊩𒆪𒂊𒉈]|王たちと女王たち}}
= 歴史 =
<!-- = History = -->
シュメールの歴史についても少しずつ書いていくことにしましょう。とはいえシュメール史にはそれほど自信があるわけではないので、もしメソポタミアの歴史家がいらっしゃったら、ご遠慮無くどうぞ!
シュメール語は現代のイラク、チグリス側とユーフラテス川に挟まれた肥沃な三日月地帯と呼ばれる地域(メソポタミア)で話され、書かれた言葉です。話言葉としては衰退してからもずっと長い間書かれ続けました。シュメール人の滅亡後も、この地域の支配者(アッカド民族)がこの地の文書のリンガ・フランカ(共通語)として何世紀もの間用い続けたからです。
「シュメール」という名前はセム語族のアッカド民族がシュメール文明の衰退後に名付けて使っていたものです。シュメール人は彼ら自身のことを'''uĝ saĝ'giga" [𒌦𒊕𒈪𒂵]'''(黒き頭の民)と呼び、彼らの土地を'''ki'en'gir" [𒆠𒂗𒂠]'''(シュメール語を話すものの土地)と呼んでいました。
<!--
(Every now and then I'll put in a History section. My Sumerian history isn't quite up to snuff, so if there are any Mesopotamian historians out there, go nuts!)
In case you're unfamiliar, Sumerian is the language that was spoken and written in many parts of the Fertile Crescent (Mesopotamia,) which includes the land between the Tigris and Euphrates rivers in what is modern-day Iraq. Sumerian as a spoken language probably died out long before the written language became archaic. The reason: Ruling governments of this region (Akkadians) continued to use the written language as a ''lingua franca'' for the region, and indeed it remained so for many centuries after the Sumerian decline.
The name "Sumer" was coined and used by the Semitic Akkadians after the Sumerian civilization deteriorated. The Sumerians referred to themselves as "uĝ saĝ'giga" [𒌦𒊕𒈪𒂵], or "the black-headed people" and their area of inhabitance as "ki'en'gir" [𒆠𒂗𒂠], or "Land of the speakers of Sumerian."
-->
=言語学的背景 =
<!-- = Linguistic Background -->
シュメール語の単語について、私達の言語にはないいくつかの概念に注意してください。例えば、シュメール語の単語は「生物」と「非生物」に分かれます。(実際には動物も「非生物」に分類されるのでこの呼び方も正しくはないのですが)
いずれであってもフレーズの意味に実質的に影響を与えるわけではありませんが、曖昧さの回避や文法上の冗長性に寄与します。
<!--
When we talk about nouns in Sumerian, it's important to note that several concepts in English are not present. For instance, instead of dividing nouns into the familiar masculine and feminine genders, Sumerian chooses to divide by "animate" and "inanimate". (In fact, even these terms are a bit of a misnomer, as animals are classed as "inanimate".)
The important thing to remember is that neither of these divisions have any real impact on the meaning of a phrase. It is mostly useful for disambiguation or grammatical redundancy.
-->
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[[カテゴリ:シュメール語]] | null | 2022-11-20T07:14:02Z | [
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| https://ja.wikibooks.org/wiki/%E3%82%B7%E3%83%A5%E3%83%A1%E3%83%BC%E3%83%AB%E8%AA%9E/%E6%96%87%E6%B3%95%E5%85%A5%E9%96%80/%E8%A4%87%E6%95%B0%E5%BD%A2 |
24,472 | シュメール語/文法入門/所有接辞 | どんな言語であっても、「私の」羊と「あなたの」羊を区別する方法は必要なものです。多くの言語では、例えば英語での「my」と「your」のようなこの役割のための単語を持っています。日本語の場合は格助詞「の」を使います。シュメール語では代わりに接尾辞を使うわけです。それほど特別なことではありませんから身構えなくても大丈夫ですよ。
さて、シュメール語での所有接辞の使い方は複数形標識.ene [𒂊𒉈]と同じです。「彼女の女王」は英語ではher queen、シュメール語ではnin.ani [𒊩𒆪𒀀𒉌]となります。(ninとaniの間の点は論理的な区切りを示すために便宜的に置かれているもので、発音には影響しません)独立した単語か接尾辞かといった純粋に文法上の違いの他は特に変わるところはありません。
古代言語の文法を示すのにこのような表をよく使うのですが、左側に単語を、右側に人称、単数か複数か、男性格か女性格かを示しています。 シュメール語では男性格か女性格かではなく生物格と非生物格になるのですが(後ほど説明します)、まあ同じようなものです。特に表記がなければ生物格を示しています。
[Thomsen §101]
いくつかの接辞を見てきましたので、さっそく使ってみましょう。名詞に接尾辞をくっつけるだけです。簡単ですよ。
どうでしたか?
さきほどの表をみて最初に気づくのはĝの存在でしょう。これは何でしょうか? これはシュメール語に存在したある音を表現する文字ですが、残念ながら私達はまだこの音が実際にどのように発音されていたかわかっていないので、便宜上近いであろう音(この場合はg)にハットをくっつけて通常の/g/との違いを表現したものです。現時点ではこの音はkingの最後の鼻音、音韻学でいう/ŋ/の発音に近いものと推定されています。シュメール語の表記法は表音文字ではなく、唯一の音韻学的証拠は後の時代のアッカド語での発音ですから確実とはいえませんが、ともかく/g/と区別するためにも/ŋ/のように発音することにしてください。
注意:ĝはトルコ語のアルファベットにあるğとは異なります。
所有接辞のうち複数形のものは、単数のものに/ene/の音を加えたものによく似ていることに気が付きましたか? 接辞の合成はシュメール語の典型的な特徴です。実際のところ、これらは単数の所有接辞にシュメール語/文法入門/複数形で学んだ複数形標識.ene [𒂊𒉈]を付け加えたものなのです。
これは膠着語の特徴です。基本単語を修飾する多くの小さな接辞があり、独立した接辞をいくつも組み合わせて一つの意味ある語を形作るのです。
例えば、シュメール語のbad.a.ne.ne [𒂦𒀀𒉈𒉈]という語を見てみましょう。bad [𒂦]は「壁」を意味します。ここに.aniを付け加えることで「彼/彼女の壁」となり、さらに.eneを追加することで「彼らの壁」となるのです。(.aniの最後のiの発音は後に続く.eneのeに飲み込まれています)ですから、シュメール語の接辞を分解していけば中身を解析することができます。とってもシンプルですね!
Also, we see that there is only one case of a non-sentient class posessive, namely the 3sg. You might ask how to represent an idea like the base of the cliffs - and you'd be right to ask. We see several mechanisms used to work around this limitation, but in practice, it's almost always clear what the text is saying even though we might say it in a different way in English.
(この節の内容は覚えなくても大丈夫です。後でまた説明しますよ)
所有接辞が属格や処格に付属したとき、単独の接辞の最後が/a/に変わる傾向があります。
[追加の語彙:接尾辞.ak [𒀝]は属格を表現するもので、X Y.akは「YのX」と読みます。また.ir [𒅕]は「のための」を示す接尾辞です。]
シュメール語から日本語へ:
日本語からシュメール語へ:
シュメール語に対する私達の知識の多くは紀元前3000年から紀元前1500年にかけて楔形文字で記された粘土板から得られたものです。葦の茎を(花瓶に花を活けるためにそうするように)斜めに切り落としたものを使い、粘土に細かな刻みをいれて文字を記したのです。この刻み目は三角形を引き伸ばした、つまりくさびのような形に見えるので、楔形文字と呼ばれるようになりました。
これらの粘土板に記された主題は多岐にわたります。文明の繁栄ぶりから予測できる通り最も多く見つかっているのは公的書類や取引記録の類です。続いて、大きな建物の跡からは奉納の記録が多く見つけられています。もう少し希少なのが文学や詩といったところです。
文献は(そのほとんどが)粘土板に記されているため、風化にさらされています。文や語句が失われていたり一部が欠けていることもしばしばで、読み解くことを難しくしています。幸いなことに石などの固い物質に刻まれたものも時折見つかっており、それら美しいシュメール語の碑文が世界中多くの博物館に収蔵されています。例えばルーブル美術館にはシュメール語についてのあらゆるタイプのコレクションがあります。
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| null | = 所有接辞 =
<!-- = The Possessives = -->
[[File:Khashkhamer seal moon worship.jpg|right|300px|Sumerian seal]]
== 総論 ==
<!-- == General Comments == -->
どんな言語であっても、「私の」羊と「あなたの」羊を区別する方法は必要なものです。多くの言語では、例えば英語での「my」と「your」のようなこの役割のための単語を持っています。日本語の場合は格助詞「の」を使います。シュメール語では代わりに接尾辞を使うわけです。それほど特別なことではありませんから身構えなくても大丈夫ですよ。
<!-- In any language, we need a way to distinguish ''my'' sheep from ''your'' sheep. In English, as we just saw in the last sentence, we have little words like ''my'' and ''your'' to do the job. It's pretty common, in fact, to have special purpose words just like these, and many languages do. Some languages, like Sumerian, choose to use a suffix instead. There's nothing special or different, it's just a choice.
-->
さて、シュメール語での[[w:所有接辞|所有接辞]]の使い方は複数形標識'''.ene [𒂊𒉈]'''と同じです。「彼女の女王」は英語では'''her queen'''、シュメール語では'''nin.ani [𒊩𒆪𒀀𒉌]'''となります。('''nin'''と'''ani'''の間の点は論理的な区切りを示すために便宜的に置かれているもので、発音には影響しません)独立した単語か接尾辞かといった純粋に文法上の違いの他は特に変わるところはありません。
<!-- So, in Sumerian, the possessives are suffixed (just like the plural affix, '''.ene [𒂊𒉈]'''). Let's look at the English phrase '''her queen''', where we see two separate words being used. The same phrase in Sumerian is '''nin.ani [𒊩𒆪𒀀𒉌]''' (remember that the dot between '''nin''' and '''ani''' simply means a logical break for analysis purposes only - it is not pronounced or written in regular practice). Other than this purely syntactic change, from an independent word to a suffix, the possessives really are pretty much the same thing in both languages.
-->
<!--
Remember, though, that unlike English, the possesive is 'suffixed'. Note that '''nin.ani''' literally transcribes as ''queen-her'', but we would obviously translate the phrase as ''her queen''.
-->
== 所有接辞の一覧 ==
<!-- == The Possessive Particles == -->
古代言語の文法を示すのにこのような表をよく使うのですが、左側に単語を、右側に人称、単数か複数か、男性格か女性格かを示しています。
シュメール語では男性格か女性格かではなく生物格と非生物格になるのですが(後ほど説明します)、まあ同じようなものです。特に表記がなければ生物格を示しています。
<!--
It's pretty standard for grammars of ancient languages to display things in tables, with a word on the left, and information about the person, number, gender or case of that word on the right (or whatever interesting things you're talking about). In Sumerian, we replace ''gender'' with ''animate/inanimate'' (a topic we'll get to later), but the idea is the same. Assume I'm showing you the animate form unless noted otherwise.
-->
<!-- Here is the table for the possessive affixes: -->
{| cellpadding="2" border="1"
|'''.ĝu'''
|'''𒈬'''
|''私の''
|一人称単数
|-
|'''.zu'''
|'''𒍪'''
|''あなたの''
|二人称単数
|-
|'''.ani'''
|'''𒀀𒉌'''
|''彼の/彼女の''
|三人称単数
|-
|'''.bi'''
|'''𒁉'''
|''それの''
|三人称単数、非生物
|-
|'''.me'''
|'''𒈨'''
|''私達の''
|一人称複数 生物
|-
|'''.zu.ne.ne'''
|'''𒍪𒉈𒉈'''
|''あなた方の''
|二人称単数
|-
|'''.a.ne.ne'''
|'''𒀀𒉈𒉈'''
|''彼らの/彼女らの''
|三人称複数
|}
[Thomsen §101]
=== 例題 ===
いくつかの接辞を見てきましたので、さっそく使ってみましょう。名詞に接尾辞をくっつけるだけです。簡単ですよ。
<!-- So now that you've seen the affixes, let's try using them! It's easy to do, just attach the suffix to a noun, and presto! Instant possessives. -->
# '''{{H:title|母|ama}}.{{H:title|.ĝu, 一人称単数 所有接辞|ĝu}} [𒂼𒈬]''' = ''私の母''
# '''{{H:title|王|lugal}}.{{H:title|.ani, 三人称単数 生物格 所有接辞|ani}} [𒈗𒀀𒉌]''' = ''彼の王'' または ''彼女の王''
# '''{{H:title|女王, 女性|nin}}.{{H:title|.anene, 三人称複数 生物格 所有接辞|a.ne.ne}} [𒊩𒆪𒀀𒉈𒉈]''' = ''彼らの女王''
どうでしたか?
== 接尾辞に関するあれこれ ==
=== 正書法(筆記)と音韻学(発音) ===
<!-- === Orthography (writing) and Phonology (sounds) === -->
さきほどの表をみて最初に気づくのは'''ĝ'''の存在でしょう。これは何でしょうか? これはシュメール語に存在したある音を表現する文字ですが、残念ながら私達はまだこの音が実際にどのように発音されていたかわかっていないので、便宜上近いであろう音(この場合は'''g''')にハットをくっつけて通常の<tt>/g/</tt>との違いを表現したものです。現時点ではこの音は'''king'''の最後の鼻音、音韻学でいう<tt>/ŋ/</tt>の発音に近いものと推定されています。シュメール語の表記法は表音文字ではなく、唯一の音韻学的証拠は後の時代のアッカド語での発音ですから確実とはいえませんが、ともかく<tt>/g/</tt>と区別するためにも<tt>/ŋ/</tt>のように発音することにしてください。
<!--
The first striking thing about this table is the presence of the '''ĝ'''. What is this? Well, it represents a sound that was present in the Sumerian language, but one which we do not know the exact quality of, so we simply use a letter that we think was close in sound (in this case, ''g'') and add a hat to it to distinguish it from a regular '''/g/'''. Scholars presume, at this point, that this sound was like the final nasal at the end of the word ''king'', which linguists write as the '''/ŋ/''' sound. However, we are at a bit of a loss to say this with any certainty, as the Sumerian writing system was not alphabetic, and the only phonemic evidence we have came from the Akkadians who later tried to sound it out. For our purposes here, though, go ahead and pronounce it like '''/ŋ/''', to distinguish it from regular old '''/g/'''.
-->
注意:'''ĝ'''はトルコ語のアルファベットにある'''ğ'''とは異なります。
<!--
Note: <ĝ> is not to be confused with <ğ>, a letter in the Turkish alphabet.
-->
=== 複数形の扱い方 ===
<!-- === Treatment of Plurals === -->
所有接辞のうち複数形のものは、単数のものに'''/ene/'''の音を加えたものによく似ていることに気が付きましたか? 接辞の合成はシュメール語の典型的な特徴です。実際のところ、これらは単数の所有接辞に[[シュメール語/文法入門/複数形]]で学んだ複数形標識'''.ene [𒂊𒉈]'''を付け加えたものなのです。
<!--
Further, we notice that some of the plural suffixes look a lot like the singular ones, with the addition of an '''/ene/''' sound. Combining affixes like this is typical of Sumerian. Indeed, the plural suffix itself is '''.ene [𒂊𒉈]''', as we learned in the [[シュメール語/文法/複数形]], so it looks like our plural possessives are exactly that: possessives with plural markers attached.
-->
これは膠着語の特徴です。基本単語を修飾する多くの小さな接辞があり、独立した接辞をいくつも組み合わせて一つの意味ある語を形作るのです。
<!--
This is a distinguishing feature of an agglutinative language - they like to have lots of small affixes that modify the meaning of a base word, and then they might combine any number of these individual affixes to finally arrive at their final meaning.
-->
例えば、シュメール語の'''bad.a.ne.ne [𒂦𒀀𒉈𒉈]'''という語を見てみましょう。'''bad [𒂦]'''は「壁」を意味します。ここに'''.ani'''を付け加えることで「彼/彼女の壁」となり、さらに'''.ene'''を追加することで「彼らの壁」となるのです。('''.ani'''の最後の'''i'''の発音は後に続く'''.ene'''の'''e'''に飲み込まれています)ですから、シュメール語の接辞を分解していけば中身を解析することができます。とってもシンプルですね!
<!--
As an example, let's look at the Sumerian word '''bad.a.ne.ne [𒂦𒀀𒉈𒉈]'''. Our base word here is '''bad [𒂦]''', meaning ''wall'', and we have our possessive affix '''.ani''' making ''his/her wall'', and finally we tack on '''.ene''', making ''their wall'' (noting that the final '''i''' sound in '''.ani''' gets swallowed up by the leading '''e''' in '''.ene'''). So to analyze a Sumerian word, you just break down the affix. Couldn't be simpler!
-->
=== Treatment of Classes ===
<!-- ここ何言ってるのかよくわからない -->
Also, we see that there is only one case of a non-sentient class posessive, namely the 3sg. You might ask how to represent an idea like ''the base of the cliffs'' - and you'd be right to ask. We see several mechanisms used to work around this limitation, but in practice, it's almost always clear what the text is saying even though we might say it in a different way in English.
=== 発音の変化 ===
<!-- === Phonological Changes === -->
(この節の内容は覚えなくても大丈夫です。後でまた説明しますよ)
<!-- [Don't worry about remembering this section too carefully. We'll come back to this stuff later.] -->
所有接辞が[[w:jp:属格|属格]]や[[w:jp:処格|処格]]に付属したとき、単独の接辞の最後が<tt>/a/</tt>に変わる傾向があります。
<!-- The posessive affixes have one quirk when they are attached to something in the genitive or locative case. Namely, the singular affixes end up with an '''/a/''' sound at the end: -->
* '''.ĝa [𒂷]''' - ''私の'' (一人称単数、sentient, 属格・処格)
* '''.za [𒍝]''' - ''あなたの'' (二人称単数 sentient, 属格・処格)
* '''.ana [𒀀𒈾]''' - ''彼の/彼女の'' (三人称単数, 属格・処格)
* '''.bi.a [𒁉𒀀]''' or '''.ba''' - ''それの'' (三人称単数 non-sentient, 属格・処格)
= 語彙 =
# '''til [𒋾]''' ''= 命''
# '''bad [𒂦]''' ''= 壁''
# '''Uruk [𒌷𒀔]''' ''= ウルク, 初期メソポタミアの主要な都市
# '''e [𒂍]''' ''= 家,'' しばしば''神殿''
# '''e.gal [𒂍𒃲]''' ''= 宮殿''
= 例題 =
''[追加の語彙:接尾辞'''.ak [𒀝]'''は属格を表現するもので、'''X Y.ak'''は「YのX」と読みます。また'''.ir [𒅕]'''は「のための」を示す接尾辞です。]
<!-- ''[Additional vocabulary: the suffix '''.ak [𒀝]''' denotes the genitive, so '''X Y.ak''' can be read ''X of Y ''. Also, the preposition "for" becomes a post-position, '''.ir [𒅕]''']'' -->
シュメール語から日本語へ:
# '''{{H:title|あなたの命|til.zu [𒋾𒍪]}}'''
# '''{{H:title|それの壁|bad.bi [𒂦𒁉]}}'''
# '''{{H:title|彼の/彼女の女王|nin.ani [𒊩𒆪𒀀𒉌]}}'''
# '''{{H:title|ウルクの壁|bad Uruk.ak [𒂦𒌷𒀔𒀝]}}'''
日本語からシュメール語へ:
# ''{{H:title|dumu.ani.ir [𒌉𒀀𒉌𒅕]|彼女の子のために}}''
# ''{{H:title|lugal.ĝu [𒈗𒈬]|我が王}}''
# ''{{H:title|e.ani [𒂍𒀀𒉌]|彼の家}}''
# ''{{H:title|nin e.zu.ak [𒊩𒆪𒂍𒅕𒀝]|あなたの神殿の女王}}''
= 歴史 =
<!-- = History = -->
シュメール語に対する私達の知識の多くは紀元前3000年から紀元前1500年にかけて楔形文字で記された粘土板から得られたものです。葦の茎を(花瓶に花を活けるためにそうするように)斜めに切り落としたものを使い、粘土に細かな刻みをいれて文字を記したのです。この刻み目は三角形を引き伸ばした、つまりくさびのような形に見えるので、楔形文字と呼ばれるようになりました。
<!--
Much of what we know about Sumerian comes from dried clay tablets, inscribed between 3000 BCE and 1500 BCE, in a writing style called cuneiform. The scribes would take a reed stalk, chop the stem at an angle (much like clipping a flower stem when put in a vase), and make small impressions in the clay to form characters. These impressions were often somewhat like elongated triangles, and hence "wedge-shaped", which is the meaning of the word cuneiform.
-->
これらの粘土板に記された主題は多岐にわたります。文明の繁栄ぶりから予測できる通り最も多く見つかっているのは公的書類や取引記録の類です。続いて、大きな建物の跡からは奉納の記録が多く見つけられています。もう少し希少なのが文学や詩といったところです。
<!--
The subject matter we find on these tablets varies considerably. Most of what we find, as one would expect from a flourishing society, are government documents or trade agreements between two parties, or the like. Less frequently, we find more official documents, like dedicatory inscriptions buried under large state buildings, and more rarely, we find literary or poetic documents.
-->
文献は(そのほとんどが)粘土板に記されているため、風化にさらされています。文や語句が失われていたり一部が欠けていることもしばしばで、読み解くことを難しくしています。幸いなことに石などの固い物質に刻まれたものも時折見つかっており、それら美しいシュメール語の碑文が世界中多くの博物館に収蔵されています。例えばルーブル美術館にはシュメール語についてのあらゆるタイプのコレクションがあります。
<!--
Because the scribes used (predominantly) clay tablets, time has often not treated them well. Often a sentence or phrase is lost or deformed, limiting our ability to understand a given document. Fortunately, scribes were occasionally asked to use stone or other more solid materials. Some of the most beautiful Sumerian inscriptions are of this type, to be found in museums all over the world. The Louvre houses an impressive collection of all types of Sumerian documents, for example.
-->
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24,473 | シュメール語/文法入門/属格 | 日本語で言う、「の」を使って二つの語の関係を示す方法のことです。それだけです。例えば「ウルクの王」は属格構文です。「サルゴンの父」もそうです。専門用語を使って脅かしたいわけではありません――言語学者は好きな言葉を別の好きな言葉で記述したがるものなのです。
シュメール語では属格構文は実によく使われており、いくつかの形態があります。最も単純な形は二つの語を並べて「.ak」という助詞をくっつける形です。
二つの例をみてみましょう。
lugal Urim.akという語句はどうでしょうか。まずは私達の知っている単語を探してみましょう。lugalは王、そしてUrimはウルと呼ばれる都市のことです。2つの名詞が並び、そして私達の新しい友だち.ak助詞が続きます。この形を「属格構文」と呼びます。そういうわけで、この語句は
と読めるわけです。簡単でしょう? .akのことを覚えていさえすれば、1マイル先からでも属格構文を見つけ出せますよ!
別の例です。
dumu nin Lagas.ak.akはどうでしょうか。いつもの通りにわかる単語を探してみましょう。dumuはもちろん子供のことですよね。ninは女性か女王と訳せます。Lagasはラガシュという都市のことです。最後にちょっとおもしろいものがありますね。.akが二つあります! どういったわけでしょうか。つまりこういうことです。日本語でいう「会社の理事会の議長の隣人の息子」のような言い方をシュメール語でしたいときには、属格の入れ子を作っていくのです。ですからこの例では
と読めるのです。新しいことは何もなくて、ただ2つの属格構文が重なっているだけです。読者ももうこの概念についてすっかり手なづけられたことでしょうから、例題に挑んでみましょう。
次のフレーズを解き明かしてみてください。わからなくなったらマウスを文字の上において訳を読んでもいいですよ。
紙の上ではすべてうまくいったように見えます。でも粘土板ではどうでしょうか? 実はシュメール語の特徴として、語句の最後の格助詞の音が消えるというものがあるのです。難しく聞こえるかもしれませんが、よくあることなのです。英語で説明しますと、アメリカでは'-ing'の最後の'g'はしばしば発音しません。 'going'はゴーイン、'digging'はディギンみたいな感じです。どうです? ただ助詞の最後の音をなくすだけです。
シュメール語の属格の場合は、.akという助詞ですから、最後の音は /k/ です。lugal Urim.akのような語句が実際に書かれる場合にはlu-gal Urim-maと書かれ、格助詞の最後の /k/ は省かれるのが普通でした。
とはいえ、多くの場合は属格の語句の後ろに別の格助詞がつき、/k/の音が実際に発音されることになります。例えば、もしこのフレーズを能格(他動詞の主語のような場合を指します)にする場合は最後に助詞「.e」をつけるのですが、そうなるとlugal Urim.ak.eは実際にlu-gal Urim-ma-keと書かれ、/k/を発音するのです。
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| null | [[File:Mesopotamian cylinder seal impression.jpg|313px|right]]
== 属格とは? ==
<!-- == What is the Genitive Case? == -->
日本語で言う、「の」を使って二つの語の関係を示す方法のことです。それだけです。例えば「ウルクの王」は属格構文です。「サルゴンの父」もそうです。専門用語を使って脅かしたいわけではありません――言語学者は好きな言葉を別の好きな言葉で記述したがるものなのです。
<!--
The "genitive case" is nothing more than a way for a language to describe an "of" relationship. For instance, "the king of Ur" is a genitive construction. So is "the father of Sargon". No need to be scared of the terminology - linguists just like using fancy words to describe other types of fancy words.
-->
== シュメール語における属格 ==
<!-- == The genitive in Sumerian == -->
シュメール語では属格構文は実によく使われており、いくつかの形態があります。最も単純な形は二つの語を並べて「.ak」という助詞をくっつける形です。
<!-- The genitive case is used heavily in Sumerian, and has several different forms. The simplest form is to suffix a two noun compound with the '''.ak''' particle. (Remember particles? They're the little things we tack on to words or phrases to modify the meaning of that phrase.)
-->
二つの例をみてみましょう。
'''lugal Urim.ak'''という語句はどうでしょうか。まずは私達の知っている単語を探してみましょう。'''lugal'''は王、そして'''Urim'''はウルと呼ばれる都市のことです。2つの名詞が並び、そして私達の新しい友だち'''.ak'''助詞が続きます。この形を「属格構文」と呼びます。そういうわけで、この語句は
<!-- Let's look at a couple examples. Consider the phrase '''lugal Urim.ak'''. First things first, we figure out our vocabulary. We remember that '''lugal''' means ''king'', and '''Urim''' is the city we call Ur. So we have two nouns, and we also notice our new friend, the '''.ak''' particle. This tells us right away that we're looking at a'' genitive construction''. So put it all together, and we get:
-->
* '''lugal Urim.ak''' = ''ウルの王''
と読めるわけです。簡単でしょう? '''.ak'''のことを覚えていさえすれば、1マイル先からでも属格構文を見つけ出せますよ!
<!--
Pretty simple, right? It really is that easy! Just remember to be on the lookout for that little '''.ak''' particle, and you'll be able to spot a genitive a mile away.
-->
別の例です。
'''dumu nin Lagas.ak.ak'''はどうでしょうか。いつもの通りにわかる単語を探してみましょう。'''dumu'''はもちろん子供のことですよね。'''nin'''は女性か女王と訳せます。'''Lagas'''はラガシュという都市のことです。最後にちょっとおもしろいものがありますね。'''.ak'''が二つあります! どういったわけでしょうか。つまりこういうことです。日本語でいう「会社の理事会の議長の隣人の息子」のような言い方をシュメール語でしたいときには、属格の入れ子を作っていくのです。ですからこの例では
<!--
Here's another example: '''dumu nin Lagas.ak.ak'''. As usual, we find our vocabulary first. Of course, '''dumu''' means ''child'', and '''nin''' means ''lady'' or ''queen''. '''Lagas''' is just the city we call Lagash. Now at the end of this little phrase, we see something interesting: ''two'' little '''.ak''' particles! What could this mean? Well, just like in English, where you can say ''the son of the neighbor of the chairman of the board of the company'', in Sumerian we can string multiple genitives together as well. In Sumerian, though, we unravel multiple genitive constructions from inside out, so we might read this example as:
-->
* '''dumu nin Lagas.ak.ak''' = '''dumu [nin [Lagas.ak].ak]''' = ''[[ラガシュの女王]の子]'' = ''ラガシュの女王の子''
と読めるのです。新しいことは何もなくて、ただ2つの属格構文が重なっているだけです。読者ももうこの概念についてすっかり手なづけられたことでしょうから、例題に挑んでみましょう。
<!--
Nothing really new, we just put two genitive constructions back to back. You should probably have the idea by now, so we'll see if you can follow along with a little quick quiz.
-->
=== 例題 ===
次のフレーズを解き明かしてみてください。わからなくなったらマウスを文字の上において訳を読んでもいいですよ。
<!-- Make sure you understand what the following little phrases mean. If you're having trouble, you can hover over the text to get a translation. -->
* '''{{H:title|子|dumu}} {{H:title|女王|nin}}.{{H:title|彼の/彼女の|ani}}.{{H:title|属格を示す|ak}}'''
== 最後の'k'の消失 ==
紙の上ではすべてうまくいったように見えます。でも粘土板ではどうでしょうか? 実はシュメール語の特徴として、語句の最後の格助詞の音が消えるというものがあるのです。難しく聞こえるかもしれませんが、よくあることなのです。英語で説明しますと、アメリカでは'-ing'の最後の'g'はしばしば発音しません。 'going'はゴーイン、'digging'はディギンみたいな感じです。どうです? ただ助詞の最後の音をなくすだけです。
<!--
This is all well and good, and on paper everything looks good. But what about on clay tablets? Well, it turns out that an often seen feature of spoken Sumerian was dropping phrase-final sounds off of case particles. Don't be scared by how technical that sounds - it happens in English, too! At least in America, we have a tendency to drop the final 'g' from the '-ing' suffix, so we might pronounce 'going' as 'goin', or 'digging' as 'diggin'. Simple, right? Just drop a final sound from a particle. -->
シュメール語の属格の場合は、'''.ak'''という助詞ですから、最後の音は <tt>/k/</tt> です。'''lugal Urim.ak'''のような語句が実際に書かれる場合には'''lu-gal Urim-ma'''と書かれ、格助詞の最後の <tt>/k/</tt> は省かれるのが普通でした。
<!--
In this case, the Sumerian genitive, our particle is '''.ak''', and hence ends in a <tt>/k/</tt> sound. In real written Sumerian, we often see phrases like '''lugal Urim.ak''' actually written as '''lu-gal Urim-ma''', with no written acknowledgment of the final <tt>/k/</tt> sound from the genitive particle.
-->
とはいえ、多くの場合は属格の語句の後ろに別の格助詞がつき、<tt>/k/</tt>の音が実際に発音されることになります。例えば、もしこのフレーズを能格(他動詞の主語のような場合を指します)にする場合は最後に助詞「.e」をつけるのですが、そうなると'''lugal Urim.ak.e'''は実際に'''lu-gal Urim-ma-ke'''と書かれ、<tt>/k/</tt>を発音するのです。
<!--
But don't worry! It turns out that much of the time you'll find another case particle tacked on to the end of a genitive phrase, in which case the <tt>/k/</tt> sound is in fact pronounced. For instance, if our phrase above were in the ergative case (which is kind of like the subject of a transitive sentence, more later), then we would add the particle '''.e''' to the end of the phrase, so we would have '''lugal Urim.ak.e''', which would be written '''lu-gal Urim-ma-ke''', with a pronounced <tt>/k/</tt>.
-->
このような手がかりがなかったとしても、文脈からたどれば曖昧さは消えることがすぐにわかります。
<!-- Even if you don't have other clues like this, you'll quickly see that context will normally erase any ambiguity in translation. -->
[[シュメール語/文法入門/所有接辞|前へ (レッスン2 - 所有接辞)]] :
[[シュメール語/文法入門|上へ(メインページ - シュメール語文法)]] :
[[シュメール語/文法入門/コピュラ|次へ (レッスン4 - コピュラ)]]
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24,474 | シュメール語/文法入門/コピュラ | やっとここまできましたね。動詞の時間です。多くの言語でもっとも基本的でよく使われる動詞といえば、英語でいう「be動詞」でしょう。使いみちは多岐にわたります。
シュメールにおいても他の言語と同様、誰が何をするかによって動詞の活用形が決まります。最も基本的なのは一人称、二人称、三人称、またそれが単数か複数かによるものです。be動詞の活用を見てみましょう。
ところでこのšの文字は/ʃ/の発音を示すもので、カタカナで書くとシュにあたります。
[Thomsen §536, Edzard §12.7.1.1]
上の例を見ると、すべての語が/i/の音から始まっており、m...n の形のバリエーションで活用していることがわかります。
また一人称単数と二人称単数が全く同じ形をしていることにもすぐに気づきますよね。これまでに見てきた他の曖昧さの場合と違い、これは多少厄介なものです。私達はシュメール語をその基礎から理解できていないと言わざるを得ないのです。本当に同じ発音をされていたのでしょうか? なぜ同じように書かれているのでしょうか。同じ音であっても語の意味によって楔形文字を使い分ける例もあるのです。もしかしてシュメール語は中国語のような声調言語で、語のピッチや語尾を基本要素としていることを示唆しているのでしょうか。
この疑問について私達ははっきりとした答えを出せてはいません。読者の皆さん、どうぞご意見をください。それがWikiなのですから。
上に挙げたシュメール語のbe動詞は主語と述語が一体になっています。ですから、簡単な文を作るにはたった2語のシュメール語の単語を並べるだけでいいのです。
例えば、「私はあなたの王です」という文を考えてみましょう。「我は汝の王なり」でもいいですよ。分解して翻訳してみましょう。「私は」はi.menでしたね。レッスン2で学んだところによれば「あなたの」は所有の助詞.zuを使うのでしたね。「王」はlugalですから、「あなたの王」はlugal.zuと書けます。
というわけでこれらを組み合わせたシュメール語の文はこうなります。
気がついてもらいたいのは、動詞は最後に置かれるということです。日本語の「です」の位置なので、私達にはお馴染みですね。
「私はあなたの王です」についてはもう学びましたね。今度は別のものを見てみましょう。
シュメール語から日本語へ:
日本語からシュメール語へ:
復習のためにいくつかのフレーズを用意しました。
問題
1) šeš.ĝu.ene i.meš
2) bad til.ak i.me.am
3) nin.zu i.men
4) lugal.ene i.menden
5) nin Uruk.ak i.men
回答
1) 彼らは私の兄弟たちです
2) これは壁の命です。 (意味がわからないですよね、でもとりあえずおいておいてください).
3) 私はあなたの姉妹です。 (文脈から「あなたは」ではなく「私は」と読みます).
4) 私達は王である.
5) 私は(あなたは)ウルクの女王です。(ここでは文脈から判断することができません)
この節でbe動詞を学んだことで、w:jp:コピュラ(繋辞、接続詞)を簡単に理解することができます。
どんな言語でも主語と述語をつなぐ手段は必要不可欠なものです。英語にあってはいわゆるbe動詞ですが、シュメール語ではもっぱらi.menの活用形が使われます。ですが、シュメール語には他にも方法があります。コピュラを使うのです。
これまで学んできてシュメール語には多くの小辞(perticle)があることにお気づきかと思います。意味を修飾するもの、格変化を起こすもの、その他いろいろです。コピュラとはbe動詞を小辞の形にしたもので、前接繋辞(enclitic copula)とも呼ばれます。
例えば先程の「私はあなたの王です」=lugal.zu i.menという文は、より簡単にlugal.zu.enとも書けます。一般的な表現とは構文上の違いがあるだけで、同じ意味です。
コピュラをmunus「女性」を例を表で見てみましょう。
コピュラの形は絶対格の人称や数によって変化することに気をつけてください。またその発音もシュメール語の音便のルールによって変化することに留意しましょう。つまり、"munus"が"(a)m"というコピュラ(三人称単数)を取るとき、前の音が子音なので Munusamとなるのですが、 Mam "ボートです"のような場合は省略されるのです。
前へ (レッスン3 - 属格) : 上へ (シュメール語 文法 - メインページ) : 次へ (レッスン5 - 動詞の鎖) | [
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"text": "また一人称単数と二人称単数が全く同じ形をしていることにもすぐに気づきますよね。これまでに見てきた他の曖昧さの場合と違い、これは多少厄介なものです。私達はシュメール語をその基礎から理解できていないと言わざるを得ないのです。本当に同じ発音をされていたのでしょうか? なぜ同じように書かれているのでしょうか。同じ音であっても語の意味によって楔形文字を使い分ける例もあるのです。もしかしてシュメール語は中国語のような声調言語で、語のピッチや語尾を基本要素としていることを示唆しているのでしょうか。",
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"text": "これまで学んできてシュメール語には多くの小辞(perticle)があることにお気づきかと思います。意味を修飾するもの、格変化を起こすもの、その他いろいろです。コピュラとはbe動詞を小辞の形にしたもので、前接繋辞(enclitic copula)とも呼ばれます。",
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"text": "コピュラの形は絶対格の人称や数によって変化することに気をつけてください。またその発音もシュメール語の音便のルールによって変化することに留意しましょう。つまり、\"munus\"が\"(a)m\"というコピュラ(三人称単数)を取るとき、前の音が子音なので Munusamとなるのですが、 Mam \"ボートです\"のような場合は省略されるのです。",
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= シュメール語のbe動詞 =
<!-- = The Sumerian Verb "to be" = -->
やっとここまできましたね。動詞の時間です。多くの言語でもっとも基本的でよく使われる動詞といえば、英語でいう「be動詞」でしょう。使いみちは多岐にわたります。
<!-- Finally, we get to the action! Well, to verbs anyway. The most basic and useful verb in many languages is the verb ''to be''. The utility of this verb should be obvious. -->
== 活用形 ==
<!-- == Conjugating "to be" == -->
シュメールにおいても他の言語と同様、誰が何をするかによって動詞の活用形が決まります。最も基本的なのは一人称、二人称、三人称、またそれが単数か複数かによるものです。be動詞の活用を見てみましょう。
<!--
Sumerian, like most other languages, uses conjugation of verbs to distinguish who is doing what. There are different forms, in principle at least, for the first, second and third persons, and for single and plural. The verb '''i.men''' ''= to be'' displays this type of conjugation:
-->
{| cellpadding="2" border="1"
|'''i.men'''
|''私は''
|一人称単数.
|-
|'''i.men'''
|''あなたは''
|二人称単数
|-
|'''i.me.am'''
|''彼は/彼女は/それは''
|三人称単数
|-
|'''i.menden'''
|''私達は''
|一人称複数
|-
|'''i.menzen'''
|''あなた達は''
|二人称複数
|-
|'''i.meš'''
|''彼らは''
|三人称複数
|}
ところでこの'''š'''の文字は<tt>/ʃ/</tt>の発音を示すもので、カタカナで書くとシュにあたります。
<!--
Incidentally, that '''š''' character is just the symbol for what linguists call the '''/ʃ/''' sound, like the first sound in the word ''should''.
-->
[Thomsen §536, Edzard §12.7.1.1]
=== 活用形について補足 ===
<!-- === Comments on the Conjugations === -->
上の例を見ると、すべての語が<tt>'''/i/'''</tt>の音から始まっており、'''m...n''' の形のバリエーションで活用していることがわかります。
<!-- First, we see that all these words share the initial '''/i/''' sound, and then variations on an '''m...n''' theme in the conjugations. -->
また一人称単数と二人称単数が全く同じ形をしていることにもすぐに気づきますよね。これまでに見てきた他の曖昧さの場合と違い、これは多少厄介なものです。私達はシュメール語をその基礎から理解できていないと言わざるを得ないのです。本当に同じ発音をされていたのでしょうか? なぜ同じように書かれているのでしょうか。同じ音であっても語の意味によって楔形文字を使い分ける例もあるのです。もしかしてシュメール語は中国語のような声調言語で、語のピッチや語尾を基本要素としていることを示唆しているのでしょうか。
<!-- We also notice that, quite strikingly, the 1sg and 2sg are identical! While some of the other seeming ambiguities were really only skin deep, this one is a little bit more problematic. In fact, cases like this point out how little we understand even the basics of Sumerian. Were these really pronounced identically? If not, why are they written identically? There are other cases where the same sound is written using two or more different cuneiform symbols; is this enough evidence to propose that Sumerian was a tonal language, like Chinese, where the pitch or inflexion of a word is a fundamental component of meaning? -->
この疑問について私達ははっきりとした答えを出せてはいません。読者の皆さん、どうぞご意見をください。それがWikiなのですから。
<!-- These are questions that I am certainly not qualified to answer, and I doubt if anyone at this point can say with certanity. Wiki users, please feel free to add your two cents. That's what a wiki is all about. -->
=== (本当に)シンプルな文 ===
<!-- === (Really) Simple Sentences === -->
上に挙げたシュメール語のbe動詞は主語と述語が一体になっています。ですから、簡単な文を作るにはたった2語のシュメール語の単語を並べるだけでいいのです。
<!-- If you look at the translations above for, say, '''i.men''', you'll notice that it actually translates as a ''subject and a predicate'', namely both words in ''he is''. This is really neat, because it means we can make really simple sentences out of just two Sumerian words! -->
例えば、「私はあなたの王です」という文を考えてみましょう。「我は汝の王なり」でもいいですよ。分解して翻訳してみましょう。「私は」は'''i.men'''でしたね。レッスン2で学んだところによれば「あなたの」は所有の助詞'''.zu'''を使うのでしたね。「王」は'''lugal'''ですから、「あなたの王」は'''lugal.zu'''と書けます。
<!-- For instance, if I wanted to write the sentence ''I am your king'', we just need to translate each piece. We just learned that ''I am'' translates to '''i.men'''. Now, remember from (way back in) Lesson Two, to say ''your'' something, we use the possessive particle '''.zu'''. By this point, you've probably picked up that '''lugal''' means ''king'', so ''your king'' is just '''lugal.zu'''. Easy! -->
というわけでこれらを組み合わせたシュメール語の文はこうなります。
<!-- And it's just as easy to put the two together to make a Sumerian sentence: -->
''私はあなたの王です'' = '''lugal.zu i.men'''.
気がついてもらいたいのは、動詞は最後に置かれるということです。日本語の「です」の位置なので、私達にはお馴染みですね。
<!-- The only thing you might notice as odd is that I put the verb part last here. In English, we usually put the subject and verb first in a sentence, like in ''I am your king''. In Sumerian, the verb usually goes last, like in '''lugal.zu i.men'''. Not really that tricky, because you can usually figure out pretty quickly what a sentence means even if you happen to forget where all the pieces are supposed to go. (And after all, wherever the words are in the original Sumerian trumps anything I say here! They are, of course, the ultimate authorities.) -->
== 例題 ==
=== 翻訳 ===
「私はあなたの王です」についてはもう学びましたね。今度は別のものを見てみましょう。
<!-- We just learned the translation for ''I am your king''. See if you can figure out these other simple phrases! -->
シュメール語から日本語へ:
# '''{{H:title|私はあなたの女王です|nin.zu i.men}}'''
# '''{{H:title|私達はウルクの王です。|lugal Uruk.ak.ene i.menden}}'''
日本語からシュメール語へ:
# ''{{H:title|i.meš|彼らは}} {{H:title|dumu.ene.zu i.meš |あなたの子どもたち}}''
# ''{{H:title|i.me.am|彼は}} {{H:title|lugal Uruk.ak i.me.am|ウルクの王}}''
=復習=
復習のためにいくつかのフレーズを用意しました。
<!-- Here are some phrases to figure out as a review. Please edit these if you see any mistakes. -->
問題
1) šeš.ĝu.ene i.meš
2) bad til.ak i.me.am
3) nin.zu i.men
4) lugal.ene i.menden
5) nin Uruk.ak i.men
回答
1) 彼らは私の兄弟たちです
2) これは壁の命です。 (意味がわからないですよね、でもとりあえずおいておいてください).
3) 私はあなたの姉妹です。 (文脈から「あなたは」ではなく「私は」と読みます).
4) 私達は王である.
5) 私は(あなたは)ウルクの女王です。(ここでは文脈から判断することができません)
= コピュラ =
この節でbe動詞を学んだことで、[[w:jp:コピュラ]](繋辞、接続詞)を簡単に理解することができます。
<!-- Now that we understand the verb "to be", it's a cinch to understand the copula. -->
どんな言語でも主語と述語をつなぐ手段は必要不可欠なものです。英語にあってはいわゆるbe動詞ですが、シュメール語ではもっぱら'''i.men'''の活用形が使われます。ですが、シュメール語には他にも方法があります。コピュラを使うのです。
<!-- In any language, there must be a way to link a subject with a predicate. In English, for instance, we say ''Helen was beautiful.'' We use the verb "to be" to perform this function, like we just saw above. In fact, we often see the conjugated forms of the Sumerian '''i.men''' when this situation arises. However, in Sumerian, there is another option: the copula is used. -->
これまで学んできてシュメール語には多くの小辞(perticle)があることにお気づきかと思います。意味を修飾するもの、格変化を起こすもの、その他いろいろです。コピュラとはbe動詞を小辞の形にしたもので、前接繋辞(enclitic copula)とも呼ばれます。
<!-- By now you've noticed that lots of things in Sumerian are done via '''particles''', those funny little syllables that are attached onto the end of a word to change meaning, change case, or do other neat things. Well, the copula is just the particle form of the verb "to be", known as the enclitic copula. -->
例えば先程の「私はあなたの王です」='''lugal.zu i.men'''という文は、より簡単に'''lugal.zu.en'''とも書けます。一般的な表現とは構文上の違いがあるだけで、同じ意味です。
<!-- So instead of saying ''I am your king'' = '''lugal.zu i.men''', we could just as easily say '''lugal.zu.en'''. Simple as that! The meaning is the same, it's just a little bit of syntactic variety to a common expression. -->
コピュラを''munus''「女性」を例を表で見てみましょう。
<ref>http://www.anelanguages.com/SumerianGrammarFoxvog.pdf</ref>
<ref>Hayes, John L., "A Manual of Sumerian Grammar and Texts", Undena Publications, 2000, P. 421</ref>
<!-- Here are the conjugation tables for the enclitic copula<ref>http://home.comcast.net/~foxvog/Grammar.pdf</ref> with ''munus'' "woman"<ref>Hayes, John L., "A Manual of Sumerian Grammar and Texts", Undena Publications, 2000, P. 421</ref>: -->
{| class="wikitable"
|-
! 人称 !! シュメール語 !! 日本語
|-
| 一人称単数 || Munusmen || 私は女です
|-
| 二人称単数 || Munusmen || あなたは女です
|-
| 三人称単数 || Munusam || 彼女は女です
|-
| 一人称複数 || Munusenenden || 私達は女です
|-
| 二人称複数 || Munusenenzen || あなた達は女です
|-
| 三人称複数 || Munusenemeš || 彼女たちは女です
|}
コピュラの形は絶対格の人称や数によって変化することに気をつけてください。またその発音もシュメール語の音便のルールによって変化することに留意しましょう。つまり、"munus"が"(a)m"というコピュラ(三人称単数)を取るとき、前の音が子音なので Munus''am''となるのですが、 Ma''m'' "ボートです"のような場合は省略されるのです。
<!-- Note that the copula marks the person and number of the absolutive argument. Also note that the pronunciations of the suffixes vary according to Sumerian's morphophonemic rules; thus, when "munus" takes the enclitc copula "(a)m" (which takes the vowel in parenthesis due to the fact that the preceding phoneme, /s/, is a consonant) as in Munus''am'' the preceding phoneme to the enclitic copula is omitted, as is the case in Ma''m'' "It is a boat." See the references for further examples. -->
[[シュメール語/文法入門/所有接辞|前へ (レッスン3 - 属格)]] :
[[シュメール語/文法入門|上へ (シュメール語 文法 - メインページ)]] :
[[シュメール語/文法入門/動詞の鎖|次へ (レッスン5 - 動詞の鎖)]]
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24,475 | シュメール語/文法入門/シュメール語の文 | ついに私達自身の手で完全な一文を翻訳する全ての道具と準備が整いました。前のレッスンと同様、これから紹介する例文について名詞句と動詞句の分析を始めましょう。
さあこれが最初のシュメール語の文です。マウスを文の上に乗せるとそれぞれの部分の意味が表示されます。 これは実際にあったシュメール語の文で、"エンキのニップルへの旅"と呼ばれる文書の一節です。ETCSLの1.1.4.13または1.1.4の13行目として参照できます。
ここではすでに単語を分解した状態になっています。もし粘土板を直接読むのであればこれも自分でやる必要があるのですが、今はこの文について何がわかるか見ていきましょう。
この文を分析するにあたって、それぞれの句について基礎となる語を探してから、それに付属する接辞を調べることにしましょう。このやりかたで実際に博物館やETCSLなどのオンライン文献のシュメール語の文を解読することができます。これは非常に確実なアプローチで、文脈に起因する曖昧さをうまく解決してくれます。まずは基礎となる語の知識を確認しましょう。
まずは区の区切りごとに見ていきましょう。上の語彙を見てみると最初の3つの句は名詞句で、最後の一つは動詞句のようです。調べてみましょう!
まずはEridugという名前に気づきます。これがこの名詞句の基礎になるでしょう。他の部品はなんでしょうか? 結論からいうと、シュメール語では.aは非常に多くの違った意味で使われるため、注意が必要な語です。その一つの使い方が処格標識です。処格とは文中の行為が行われる場所を示すものです。この場合は基礎となる名詞がEridugですから、.aは処格標識とみて間違いありません。ですからEridug.aは「エリドゥに」とか「エリドゥで」といった風に読めるはずです。分析を進めれば文脈によりどちらが適当か選べるでしょう。
語彙リストによるとこの短い語は「家」か、あるいは文脈により「神殿」を意味するようです。しかしこの文の他の句と違い、この語には格標識が見つかりません。ではこの句の格はどのようにわかるのでしょうか?
言語学者は文章中の全ての名詞句を識別するため、明示的な標識を持っていない語に対しても分析のために「標識なし」という標識があるものとみなします。ですからここではeはe.Øであるとみなされます。この数字のゼロのように見えるものが「標識なし」の標識で、ゼロといいます。
さて、シュメール語でのゼロはその名詞が絶対格であることを示します。英語にも日本語にもない格ですが、ここでは目的格と同じように捉えてください。つまり、ゼロは何が起こっているのかを示しています。
語彙リストによるとguは「川岸」を意味します。あとは.aを見つけるだけです。最初の名詞句と同様ここでは.aは処格標識で、行為の場所を示しているはずです。この句は「川岸に」と読めるでしょう。
duは「建てる」という意味でしたね。この動詞句の他の部分を見ていきましょう。まずは中間にある.nです。これは、この動詞句の動作主(Agent)が三人称単数だと教えてくれるものです。シュメール語では性別を区別しませんが、ここでは.n.duを「彼は建てる」と訳しておきます。あとはbi.が残っているだけです。
シュメール語は膠着語の典型的なもので、動詞句の中で文中の全ての名詞句を参照しようとします。つまり、格を持つ全ての名詞句が動詞句にも標識を持っているはずです。ですから文中に与格と共格の名詞句があるとすると、動詞句にも与格標識と共格標識が現れるのです。
この例文にあるのは処格の名詞句だけです。bi.は処格標識で、特に「人間でない」基礎語に対して使います。ここではどちらも無生物である川岸とエリドゥ市に対して語っているため、無生物への標識である bi.が使われているというわけです。
シュメール語では動詞の目的語(被動者、Patient)も相互参照するはずです。この参照は通常は句の最後か動詞の語幹の直後に置かれるのですが、ここには見当たりません。そこで、e を参照する三人称単数の被動者標識.Øがあるものと見なして分析します。つまり、bi.n.du.Øとなります。
すべて飲み込めましたか? 順番に分析すると、この動詞句は次のようになります。
ふう。いろいろありましたが、概念はわかってもらえたかと思います。動詞句中のそれぞれの接辞が文中の名詞句をそれぞれ参照しているのです。(実際には、動作主は文中に明示的に出てこないのですが、ここでは「彼」と訳すことにします)
これで文中の4つのパーツが揃いましたから、何があるか見ていきましょう。最初の句は「エリドゥで」、次は「家を」、続いて「川岸に」、最後に「彼は建てる」ですね。
句ごとに分析すると:
エリドゥで, 家を, 川岸に, 彼は建てる
翻訳すると:
彼はエリドゥで川岸に家を建てる。
重要なことは、文を単語(正確には句)ごとに分解して、部分ごとの意味を分析し、それらをまとめて最終的な翻訳をするということです。
どうでしょうか? シュメール語の文をまるごと読むことができましたよ!
では今度は自分自身でやってみましょう! 文と基礎語の語彙リストを用意したので、それぞれの句の意味を分析して翻訳をまとめてみてください。
マウスを文の上に乗せると各部品の情報が表示されます。
ちなみに来辞法(Venitive)は、動詞の方向が話者に向けて行われることを示しています。具体的なこともありますし、抽象的に使われることもあるようです。ここでは動詞が「建てる」という意味ですから、やや抽象的といえます。おそらく話者が建築物の所有者になることを示しているのでしょう。
また与格は名詞句が動作の受益者であることを意味します。ここでは女神ナンナに付着していますから、なんであれ「ナンナのために」行れていると言う意味になります。
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"text": "さあこれが最初のシュメール語の文です。マウスを文の上に乗せるとそれぞれの部分の意味が表示されます。 これは実際にあったシュメール語の文で、\"エンキのニップルへの旅\"と呼ばれる文書の一節です。ETCSLの1.1.4.13または1.1.4の13行目として参照できます。",
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"text": "duは「建てる」という意味でしたね。この動詞句の他の部分を見ていきましょう。まずは中間にある.nです。これは、この動詞句の動作主(Agent)が三人称単数だと教えてくれるものです。シュメール語では性別を区別しませんが、ここでは.n.duを「彼は建てる」と訳しておきます。あとはbi.が残っているだけです。",
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"text": "シュメール語は膠着語の典型的なもので、動詞句の中で文中の全ての名詞句を参照しようとします。つまり、格を持つ全ての名詞句が動詞句にも標識を持っているはずです。ですから文中に与格と共格の名詞句があるとすると、動詞句にも与格標識と共格標識が現れるのです。",
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"text": "シュメール語では動詞の目的語(被動者、Patient)も相互参照するはずです。この参照は通常は句の最後か動詞の語幹の直後に置かれるのですが、ここには見当たりません。そこで、e を参照する三人称単数の被動者標識.Øがあるものと見なして分析します。つまり、bi.n.du.Øとなります。",
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"text": "すべて飲み込めましたか? 順番に分析すると、この動詞句は次のようになります。",
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"text": "ふう。いろいろありましたが、概念はわかってもらえたかと思います。動詞句中のそれぞれの接辞が文中の名詞句をそれぞれ参照しているのです。(実際には、動作主は文中に明示的に出てこないのですが、ここでは「彼」と訳すことにします)",
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"text": "これで文中の4つのパーツが揃いましたから、何があるか見ていきましょう。最初の句は「エリドゥで」、次は「家を」、続いて「川岸に」、最後に「彼は建てる」ですね。",
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"text": "句ごとに分析すると:",
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"text": "エリドゥで, 家を, 川岸に, 彼は建てる",
"title": "まとめ"
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"text": "翻訳すると:",
"title": "まとめ"
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"text": "彼はエリドゥで川岸に家を建てる。",
"title": "まとめ"
},
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"tag": "p",
"text": "重要なことは、文を単語(正確には句)ごとに分解して、部分ごとの意味を分析し、それらをまとめて最終的な翻訳をするということです。",
"title": "まとめ"
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"text": "どうでしょうか? シュメール語の文をまるごと読むことができましたよ!",
"title": "まとめ"
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"text": "では今度は自分自身でやってみましょう! 文と基礎語の語彙リストを用意したので、それぞれの句の意味を分析して翻訳をまとめてみてください。",
"title": "例題"
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"text": "マウスを文の上に乗せると各部品の情報が表示されます。",
"title": "例題"
},
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"text": "ちなみに来辞法(Venitive)は、動詞の方向が話者に向けて行われることを示しています。具体的なこともありますし、抽象的に使われることもあるようです。ここでは動詞が「建てる」という意味ですから、やや抽象的といえます。おそらく話者が建築物の所有者になることを示しているのでしょう。",
"title": "例題"
},
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"text": "また与格は名詞句が動作の受益者であることを意味します。ここでは女神ナンナに付着していますから、なんであれ「ナンナのために」行れていると言う意味になります。",
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"title": "例題"
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| ついに私達自身の手で完全な一文を翻訳する全ての道具と準備が整いました。前のレッスンと同様、これから紹介する例文について名詞句と動詞句の分析を始めましょう。 | [[File:Letter Luenna Louvre AO4238.jpg|600px|right]]
ついに私達自身の手で完全な一文を翻訳する全ての道具と準備が整いました。前のレッスンと同様、これから紹介する例文について名詞句と動詞句の分析を始めましょう。
<!-- Finally we find ourselves prepared with all the tools to read a complete Sumerian sentence. I'm going to show you the complete sentence right away, then we'll analyze it just like we've analyzed noun phrases and verb phrases in the previous lessons. -->
== 文 ==
<!-- == The Sentence == -->
さあこれが最初のシュメール語の文です。マウスを文の上に乗せるとそれぞれの部分の意味が表示されます。
<!-- And now, here is your first Sumerian sentence! You can use the hovertext to explore each piece of the sentence. -->
これは実際にあったシュメール語の文で、"[http://etcsl.orinst.ox.ac.uk/cgi-bin/etcsl.cgi?text=c.1.1.4&display=Crit&charenc=gcirc# エンキのニップルへの旅]"と呼ばれる文書の一節です。[http://etcsl.orinst.ox.ac.uk/ ETCSL]の1.1.4.13または1.1.4の13行目として参照できます。
<!-- This sentence is real Sumerian. It's from a literary piece called "[http://etcsl.orinst.ox.ac.uk/cgi-bin/etcsl.cgi?text=c.1.1.4&display=Crit&charenc=gcirc# Enki's journey to Nibru]", and can be referenced in the [http://etcsl.orinst.ox.ac.uk/ ETCSL] as 1.1.4.13 (in other words, line thirteen of the linked text, which is numbered 1.1.4). -->
'''{{H:title|シュメールの古代都市エリドゥ|Eridug}}.{{H:title|.a, 処格標識|a}} {{H:title|家、神殿|e}} {{H:title|川岸|gu}}.{{H:title|.a, 処格標識|a}} {{H:title|bi., 処格動詞への相互参照|bi}}.{{H:title|.n., 絶対格動詞への相互参照|n}}.{{H:title|建てる|du}}'''
<!-- '''{{H:title|Eridug, a city in ancient Sumer|Eridug}}.{{H:title|.a, the locative case marker|a}} {{H:title|house, temple|e}} {{H:title|riverbank|gu}}.{{H:title|.a, the locative case marker|a}} {{H:title|bi., the locative verbal cross-reference|bi}}.{{H:title|.n., the absolutive verbal cross-reference|n}}.{{H:title|to build|du}}''' -->
ここではすでに単語を分解した状態になっています。もし粘土板を直接読むのであればこれも自分でやる必要があるのですが、今はこの文について何がわかるか見ていきましょう。
<!-- We have already broken the sentence into words, which is something you'll have to do on your own when you read from a tablet, but for right now, let's see what we can figure out about this sentence. -->
訳注:リンク先を参照すると明らかな通り、ETCSLの1.1.4.13にある文は正しくは'''eridug<sup>ki</sup>-ga e<sub>2</sub> gu<sub>2</sub>-a bi<sub>2</sub>-in-du<sub>3</sub>'''です。ここで下付きの数字は、その文字が同音異字のうちのどれにあたるのかを示しているものです。例えばシュメール語の文字の中にguと発音する文字はいくつかあって、ここではその内2番と番号付けされた文字、すなわち𒄘が原文の文字にあたります。漢字と同様同じ音であっても意味ごとに文字が使い分けられているのですが、この文法入門ではその説明を省略しています。
もう一つ違いがあるのはeridug<sup>ki</sup>-gaの部分です。上の例文ではkiが省略され、gaがaになっています。このkiは地名の後ろに必ずつく文字で、eridugが地名であることを教えてくれます。書くときに記されるだけで発音されないので例文では省略しているのかもしれません。その後のgaのgはEridugの末尾音を受けたものですので、文法要素としてはaとなります。
== 構想 ==
<!-- == Concepts == -->
この文を分析するにあたって、それぞれの句について基礎となる語を探してから、それに付属する接辞を調べることにしましょう。このやりかたで実際に博物館や[http://www-etcsl.orient.ox.ac.uk/ ETCSL]などのオンライン文献のシュメール語の文を解読することができます。これは非常に確実なアプローチで、文脈に起因する曖昧さをうまく解決してくれます。まずは基礎となる語の知識を確認しましょう。
<!-- As we analyze this sentence, you'll notice that we take each phrase, find its base, and then examine the particles affixed to the base. This is how you'll really analyze Sumerian when you're at a museum or online at the [http://www-etcsl.orient.ox.ac.uk/ ETCSL]. It's a very methodical approach, and can often resolve any ambiguities that arise from the context. First, let's make sure we know our base words! -->
== 語彙 ==
<!-- == Vocabulary == -->
* '''Eridug''' = ''エリドゥ'', 古代シュメールの都市
* '''e''' = ''家, 神殿''
* '''gu''' = ''川岸''
* '''du''' = ''建てる''
== 分析 ==
<!-- == Analysis == -->
まずは区の区切りごとに見ていきましょう。上の語彙を見てみると最初の3つの句は名詞句で、最後の一つは動詞句のようです。調べてみましょう!
<!-- Let's take a look at each separate phrase. We note that from the vocabulary that the first three phrases must be noun phrases, and the last phrase is a verb phrase. Let's examine them! -->
=== '''Eridug.a''' ===
まずは'''Eridug'''という名前に気づきます。これがこの名詞句の基礎になるでしょう。他の部品はなんでしょうか? 結論からいうと、シュメール語では'''.a'''は非常に多くの違った意味で使われるため、注意が必要な語です。その一つの使い方が処格標識です。処格とは文中の行為が行われる場所を示すものです。この場合は基礎となる名詞が''Eridug''ですから、''.a''は処格標識とみて間違いありません。ですから'''Eridug.a'''は「エリドゥに」とか「エリドゥで」といった風に読めるはずです。分析を進めれば文脈によりどちらが適当か選べるでしょう。
<!-- From the vocabulary, we immediately notice the name '''Eridug''' here. Now, this is going to be the base of our noun phrase. So what's the other piece here? As it turns out, Sumerian used '''.a''' to mean a lot of different things, so we have to be careful. One of the uses of '''.a''' is as the locative particle. The locative case is used, as the name suggests, to locate the action in a sentence. In this case, our base noun is ''Eridug'', so it seems quite likely that the '''.a''' is, in fact, the locative marker. So we read '''Eridug.a''' as ''in Eridug'', or possibly ''at Eridug'' (context will help you decide which reading is better). -->
=== '''e''' ===
語彙リストによるとこの短い語は「家」か、あるいは文脈により「神殿」を意味するようです。しかしこの文の他の句と違い、この語には格標識が見つかりません。ではこの句の格はどのようにわかるのでしょうか?
<!-- Our vocabulary lists this little word as meaning ''house'', or in some contexts, ''temple''. But, unlike the other noun phrases in this sentence, this one seems to have no case marker! So how do we know what case to put this noun phrase? -->
言語学者は文章中の全ての名詞句を識別するため、明示的な標識を持っていない語に対しても分析のために「標識なし」という標識があるものとみなします。ですからここでは'''e'''は'''e.Ø'''であるとみなされます。この数字のゼロのように見えるものが「標識なし」の標識で、[[w:ゼロ (言語学)|ゼロ]]といいます。
<!-- Well, linguists like to tell us that every single noun phrase in a sentence needs to be marked for some case or other, and when things show up with no markers, they like to put a "null" marker in their analysis. So instead of just '''e''', our analysis will look like '''e.Ø'''. The mark that looks like a zero there just means we have a null marking. -->
さて、シュメール語でのゼロはその名詞が絶対格であることを示します。英語にも日本語にもない格ですが、ここでは目的格と同じように捉えてください。つまり、ゼロは何が起こっているのかを示しています。
<!-- Now, in Sumerian, the null marking means that the noun is in the absolutive case. You're probably not familiar with this case, as it doesn't crop up in English. For now, just think of it like our direct object. In other words, the null marking marks whatever the action is happening to. -->
=== '''gu.a''' ===
語彙リストによると'''gu'''は「川岸」を意味します。あとは'''.a'''を見つけるだけです。最初の名詞句と同様ここでは'''.a'''は処格標識で、行為の場所を示しているはずです。この句は「川岸に」と読めるでしょう。
<!-- We know from above that '''gu''' means ''riverbank'', so all we have to do now is figure out the '''.a''' particle. Just as in the first noun phrase, it seems likely that this '''.a''' is the locative particle, locating our action. So we can read this phrase as ''at the riverbank''. -->
=== '''bi.n.du''' ===
'''du'''は「建てる」という意味でしたね。この動詞句の他の部分を見ていきましょう。まずは中間にある'''.n'''です。これは、この動詞句の動作主(Agent)が三人称単数だと教えてくれるものです。シュメール語では性別を区別しませんが、ここでは'''.n.du'''を「彼は建てる」と訳しておきます。あとは'''bi.'''が残っているだけです。
<!-- We already know that '''du''' means ''to build'', so let's analyze the other pieces in this verb phrase. First, we have the '''.n''' in the middle. This is a little particle letting us know that the agent of the action was third-person singular. As Sumerian does not distinguish biological gender, let's just use masculine for this translation. That gives us '''.n.du''' meaning ''he builds''. Now we are left with the '''bi.''' particle. -->
シュメール語は膠着語の典型的なもので、動詞句の中で文中の全ての名詞句を参照しようとします。つまり、格を持つ全ての名詞句が動詞句にも標識を持っているはずです。ですから文中に与格と共格の名詞句があるとすると、動詞句にも与格標識と共格標識が現れるのです。
<!-- Sumerian, as is typical of agglutinating languages, likes to "cross-reference" the cases of all noun phrases in a sentence with markers in the verb. In other words, for every noun phrase that has a case marker, there will be a little marker in our verb as well. So if you had a sentence with a noun phrase in the dative case and one in the comitative case, you would see a matching dative marker and a matching comitative marker in the verb. -->
この例文にあるのは処格の名詞句だけです。'''bi.'''は処格標識で、特に「人間でない」基礎語に対して使います。ここではどちらも無生物である川岸とエリドゥ市に対して語っているため、無生物への標識である '''bi.'''が使われているというわけです。
<!-- In our example sentence, we only see noun phrases in the locative case. That's what this little '''bi.''' particle does - it cross-references the locative case. In particular, it cross-references locative phrases which have ''non-human'' bases. Here, we're talking about a riverbank and the city of Eridug, both inanimate things, so we use the inanimate cross-reference, '''bi.'''. -->
シュメール語では動詞の目的語(被動者、Patient)も相互参照するはずです。この参照は通常は句の最後か動詞の語幹の直後に置かれるのですが、ここには見当たりません。そこで、'''e''' を参照する三人称単数の被動者標識'''.Ø'''があるものと見なして分析します。つまり、'''bi.n.du.Ø'''となります。
<!-- Finally, Sumerian allows us to cross-reference the ''patient'' of an action (think of it like the object of the sentence). This cross-reference is usually a particle attached at the end of the phrase, or suffixed after the verbal root. But we look here, and see nothing after our verb root, '''du'''. What does this mean? Well, just like we saw the absolutive case marker '''.Ø''' marking the '''e''' just above on a noun, the third-person singular patient case is marked with '''.Ø''' on a verb. So we would really analyze our verb as '''bi.n.du.Ø'''. -->
すべて飲み込めましたか? 順番に分析すると、この動詞句は次のようになります。
<!-- Got all that? So in order, we would analyze our verb as: -->
'''bi.n.du.Ø''' = ''無生物-処格-参照.三人称-単数-生物-動作主.建てる.三人称-単数-無生物-被動者''
<!-- '''bi.n.du.Ø''' = ''inanimate-locative-cross-reference.3rd-sg-animate-agent.BUILD.3rd-sg-inanimate-patient'' -->
ふう。いろいろありましたが、概念はわかってもらえたかと思います。動詞句中のそれぞれの接辞が文中の名詞句をそれぞれ参照しているのです。(実際には、動作主は文中に明示的に出てこないのですが、ここでは「彼」と訳すことにします)
<!-- Whew! That's a lot to take in, but I think you get the idea. Each particle in our verb here cross-references a noun phrase in our sentence. (The actual subject of the sentence isn't explicitly written here, but we just translate it as "he"). -->
== まとめ ==
<!-- == Putting it all together == -->
これで文中の4つのパーツが揃いましたから、何があるか見ていきましょう。最初の句は「エリドゥで」、次は「家を」、続いて「川岸に」、最後に「彼は建てる」ですね。
<!-- Now that we've analyzed all four pieces of this sentence, let's see what we have! The first phrase translated to "at Eridug", the second to "the house", the third to "by the riverbank", and the last to "he built". So now we can translate the entire sentence: -->
'''Eridug.a e gu.a bi.n.du'''
句ごとに分析すると:
<!-- Analyzed phrase by phrase: -->
''エリドゥで, 家を, 川岸に, 彼は建てる''
<!-- ''at Eridug, the house, by the riverbank, he built'' -->
翻訳すると:
彼はエリドゥで川岸に家を建てる。
<!-- ''At Eridug, he built the house by the riverbank'' -->
重要なことは、文を単語(正確には句)ごとに分解して、部分ごとの意味を分析し、それらをまとめて最終的な翻訳をするということです。
<!-- The important thing to remember here is that once you've broken your sentence up into words (or more properly, phrases), then it's just a simple process of analysis to determine the meaning of each piece, then adding the meanings back together to get your final translation. -->
どうでしょうか? シュメール語の文をまるごと読むことができましたよ!
<!-- Pretty fun, huh? You just read your first sentence in Sumerian! -->
== 例題 ==
<!-- == Quick Quiz == -->
では今度は自分自身でやってみましょう! 文と基礎語の語彙リストを用意したので、それぞれの句の意味を分析して翻訳をまとめてみてください。
<!-- Now, let's try one yourself! I'll give you a sentence and the vocabulary for the base words, then see if you can figure out what each phrase means, and put it all together to see what the sentence means. -->
'''{{H:title|ナンナ シュメールの女神|Nanna}}.{{H:title|.ir, 与格標識|r}} {{H:title|壁|bad}} {{H:title|mu., 来辞法動詞接頭辞|mu}}.{{H:title|.na., 与格参照|na}}.{{H:title|.n., 三人称単数-生物-動作主|n}}.{{H:title|建てる|du}}'''
<!-- '''{{H:title|Nanna, a Sumerian deity|Nanna}}.{{H:title|.ir, the dative case marker|r}} {{H:title|wall|bad}} {{H:title|mu., the ventive verbal prefix|mu}}.{{H:title|.na., the dative case cross-reference|na}}.{{H:title|.n., 3rd sg animate agent|n}}.{{H:title|to build|du}}''' -->
=== 例題の語彙 ===
* '''Nanna''' = ''ナンナ'', シュメールの男神
* '''bad''' = ''壁''
* '''.ir''' = ''与格参照''
* '''mu.''' = ''来辞法動詞接頭辞''
* '''.na.''' = ''与格参照''
=== 例題のヒント===
マウスを文の上に乗せると各部品の情報が表示されます。
<!-- You can use the hovertext over any piece of the example sentence to get more information on that particular particle or word. -->
ちなみに来辞法([[w:en:Andative and venitive|Venitive]])は、動詞の方向が話者に向けて行われることを示しています。具体的なこともありますし、抽象的に使われることもあるようです。ここでは動詞が「建てる」という意味ですから、やや抽象的といえます。おそらく話者が建築物の所有者になることを示しているのでしょう。
<!-- If you're wondering what the [http://en.wikipedia.org/wiki/Ventive ventive] mode is, it means that the action of the verb is performed in the direction of the speaker. This can be meant concretely or abstractly. In this case, with the verb '''du''' = ''to build'', it's likely that the meaning is a little more abstract. The speaker perhaps became the owner of the built object, or something like that. -->
また[[w:与格|与格]]は名詞句が動作の受益者であることを意味します。ここでは女神ナンナに付着していますから、なんであれ「ナンナのために」行れていると言う意味になります。
<!-- If you're wondering what the [http://en.wikipedia.org/wiki/Dative_case dative] case is, it marks a noun phrase as being the beneficiary of the action. In this case, it's attached to a deity, '''Nanna''', so it's likely that whatever action was being done, it was being done ''for Nanna''. -->
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[[シュメール語/文法入門|上へ (シュメール語文法入門 - メインページ)]] :
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24,476 | シュメール語/文法入門/能格性 | 英語では主語と目的語を使って文をつくります。印欧語の多くはこのような構文メカニズムを持っています。 次のような文を考えてみましょう。
主語(Subject)は、少なくとも英語では動詞の前に置かれ、目的語は後に置かれます。ここではthe studentが主語で、the Sumerian tabletが目的語です。
直接目的語と間接目的語の区別はわずかに複雑です。この文を考えてみましょう。
先程と同様、主語であるthe studentは動詞の前にあります。しかしここには動詞の後に二つの名詞句the curatorとa Sumerian tabletが置かれています。英語ではこのa Sumerian tabletを直接目的語、the curatorを間接目的語と呼びます。
これらの用語について詳しく知りたい場合は英文法や英語についての文献をあたってみてください。
まったく目的語を持たないような、別のタイプの文もあります。これらのタイプの文を自動詞文(Intransitive)と呼び、目的語を取る文を他動詞文(Transitive)と呼びます。自動詞文はこのようなものです。
gaveと違い、nappedは後に何も要りません。これらのタイプの文は英語ではどちらも同じくらい一般的なものです。しかし、やはり動詞の前にある名詞句は主語(Subject)と呼ばれます。
対称的に、能格言語ではこれらの役割を違った形で文章に表現します。主語と目的語の代わりに動作主(Agents)と被動者(Patients) を使うのです。次のような他動詞文を見てみましょう。
能格言語の用語では、the curator はこの文の動作主です。動作を起こすものです。またthe studentは被動者と呼ばれ、動作の対象となるものです。
では自動詞文の場合はどうでしょうか? 見てみましょう。
ここではthe studentは目覚めが起きている人ですから、この名詞句は被動者の役割にあたります。
つまり英語でいう主語は他動詞の動作主であり、自動詞の被動者にあたるのです。わかってもらえましたね。
実を言うと能格性を持つ言語はかなりあるのですが、完全な能格言語と言える言語は非常に珍しいといえます。シュメール語は他の能格性を持つ言語と同様、実際には「部分能格」であり、ある場合には能格を、またある場合には「主語/目的語」の格を利用します。
後のレッスンではシュメール語が主語/目的語を使う場合について説明しますが、今はこの言語の能格性について焦点を絞りたいと思います。
実は私達はすでにレッスン3と6で能格の格標識を見ています。レッスン6の例題をもう一度見てみましょう。これは"エンキのニップルへの旅"から採ったものです。
この文では神殿(e)は建てられるもので、つまりは被動者です。見てきたとおり.Øにより絶対格が示されています。他動詞文の動作の対象は被動者と呼ばれ、そのとき使われる格を絶対格というのです。
この文では動作主が明示的には記されていないことに注意してください。この文だけでは動作主が誰かはわからないのですが、翻訳の際は「彼」としています。この文には能格の標識がついた名詞句がなかったのですが、次では標識のついた文を見ていきます。
同じように "エンリルとニンリル"から自動詞文を見ていきましょう。 (ETCSL number 1.2.1.91):
いつも通り句ごとに見ていきます。最初はエンリルというシュメール神話の神の名前です。この句は無標ですが、それゆえに実際には絶対格であると推測してもいいでしょう。
次の句は動詞の鎖で、その語幹はĝen、「行く」や「旅する」といった意味の言葉です。その前にあるi.は標識のない動詞に挿入される母音なのですが、ここでは終止相(Finite aspect, 過去の時制を示すもの)の意味を取りたいと思います。というわけでこの文は簡単に
エンリルは行った。
と訳せます。ここではエンリルは自動詞の主語ですから、つまり絶対格なので無標であるという仮説についても確認できたといっていいでしょう。
これまでには明示的な能格の主語を持った文がなかったので、能格の標識を見ることができていません。そこで次は"ウルの滅亡哀歌から採ったこの文を見てみましょう。(ETCSL reference 2.2.2.172)
それでは分析を始めましょう。
最初のものはEnlil.eです。予想通りかもしれませんが、この.eが能格標識です。Enlilというシュメールの主要な神の名前についており、この文章の動作主がエンリル神であることを示しています。
次はud.eです。基礎名詞はudで嵐を意味します。最初の句と同様.eの格標識がついています。一つの文の中に能格の語がいくつもあるはずはありませんが、実は.eは終止格(Terminative)にも使われます。どちらの格か曖昧になることもありますが、通常は文脈から判断します。今回はこの句を「嵐に」と訳します。
この文の興味深いところは、動詞が2つの語の組み合わせからなっているというところです。複数の概念を組み合わせることで多くの異なる概念を記述することがシュメール語ではよくあるのです。この場合はguは「声」を意味する名詞で、deは「注ぐ」という動詞です。ですからこの複合動詞は「声を注ぐ」という意味になります。シュメール人風に考えれば、おそらくこれは「話す」のことだと解釈できるでしょう。実際に多くの文書でこの語が見つかっています。時には「呼ぶ」とか「伝える」という風に訳したほうが適切な場合もあるでしょうが、もう概念はおわかりいただけましたね。
では動詞の鎖を見ていきましょう。先程触れたようにgu ... deは「話す」という意味です。お馴染みの.n.が、他動詞の動作主(三人称単数・生物)を参照していることはもうご存知ですね。その前にあるba.は新顔です。これは「主語の関心事が即座に影響を及ぼす」という意味を持っています。このような概念を表す語があることは不思議に思えますが、シュメール人にとっては当たり前の語でした。とはいえ翻訳では通常この語を無視します。ですのでこの語全体をざっくりと「話す」と訳すことにします。
まとめると、この語はこのように訳せます。
エンリルは嵐に話しかけた。
シュメール文学のいいところは、擬人化をとてもたくみに使うところです。ですがここで重要なのは、能格と終止格の標識と推測したものが訳文にうまく収まっているというところでしょう。
すでに見てきたように、文中に能格や絶対格がある場合に動詞の鎖の中にそれらへの相互参照を持ちます。これは他の格の場合も同じです。例えば名詞句が奪格の場合は奪格の相互参照標識が鎖に追加されます。
とはいえ私達が見てきた標識は動詞の前に位置して動作主が三人称単数の生物であるということを指し示す.n.と、動詞の後で被動者が三人称単数の無生物であることを指し示す.Ø だけでした。
全ての人称と単数・複数の別に応じた標識があるのは明らかですが、それについては後のレッスンで見ていきましょう。
能格性の基本についてもう理解できたでしょうから、ドゥムジの夢から採った次の文を検討してみましょう。 (ETCSL reference 1.4.3.18)
まずは語彙リストをどうぞ。
最初の名詞句はigi.aniで、igi は目を意味します。レッスン2で見た所有格について覚えていますか? 振り返って表を確認してみてください。
次の句には名詞šuと動詞kiĝがあります。すでに学んだようにシュメール語には多くの複合動詞があり、今回もその例外ではありません。単語を直訳すると「手で探す」となりそうですが、ここは一つ創造性を発揮していただき、シュメール人になったつもりで考えてみてください。実はこの熟語は「こする」という意味なのです。素敵じゃありませんか? というわけでこの語も語彙リストに加えましょう。
さて、この動詞の鎖に取り組むこととしましょう。いつものように動詞の前に.n.があります。どのような意味だったか覚えていますか?でなければレッスン6を振り返って記憶をリフレッシュしてください。
動詞の鎖の先頭のbi.もすでにこのレッスンで見ています。どんな意味だったか覚えていますね。
便利の良いように、それぞれの句の意味をホバーテキストに入れています。マウスを文の上に載せてチェックしてみてください。
どうでしょう? 素晴らしい。いいですね、文全体の意味をとらえることができているはずです。本当にシュメール語を読めているんですよ!
前へ (レッスン6 - シュメール語の文) : 上へ (シュメール語文法 - メインページ) : 次へ (レッスン8 - 格体系) | [
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== 能格性(Ergativity)とは ==
<!-- == What is Ergativity? == -->
=== 主語と目的語 ===
英語では主語と目的語を使って文をつくります。印欧語の多くはこのような構文メカニズムを持っています。
次のような文を考えてみましょう。
<!-- In English, we're used to talking about the subject and object of a sentence. In fact, almost every language in the Indo-European language family uses this mechanism in its syntax. Consider the sentence: -->
The student studied the Sumerian tablet.
生徒はシュメール語の粘土板を学んだ。
主語(Subject)は、少なくとも英語では動詞の前に置かれ、目的語は後に置かれます。ここでは''the student''が主語で、''the Sumerian tablet''が目的語です。
<!-- The subject, in English anyway, comes just before the verb, and the object after. So here we have ''the student'' as our subject, and ''the Sumerian tablet'' as our object. -->
直接目的語と間接目的語の区別はわずかに複雑です。この文を考えてみましょう。
<!-- Only slightly more complicated is the distinction between direct and indirect objects. Consider the sentence: -->
The student gave the curator a Sumerian tablet.
生徒はシュメール語の粘土板を学芸員に渡した。
先程と同様、主語である''the student''は動詞の前にあります。しかしここには動詞の後に二つの名詞句''the curator''と''a Sumerian tablet''が置かれています。英語ではこの''a Sumerian tablet''を直接目的語、''the curator''を間接目的語と呼びます。
<!-- Here, as before, our subject ''the student'' lies in front of the verb. But now, we have two noun phrases after the verb: ''the curator'' and ''a Sumerian tablet''. In English, we call ''a Sumerian tablet'' the direct object (here, the object actually being given) and we call ''the curator'' the indirect object. -->
これらの用語について詳しく知りたい場合は英文法や英語についての文献をあたってみてください。
<!-- Hopefully you're familiar with these terms. If you're not, you can brush up with any decent English grammar or linguistic introductory text that focuses on English. -->
=== 他動詞文(Transitive)と自動詞文(Intransitive) ===
<!-- === Transitive vs Intransitive === -->
まったく目的語を持たないような、別のタイプの文もあります。これらのタイプの文を自動詞文(Intransitive)と呼び、目的語を取る文を他動詞文(Transitive)と呼びます。自動詞文はこのようなものです。
<!-- But there are other types of sentences too, ones that have no object at all. These types of sentences are called "intransitive", and sentences with objects are called "transitive". Consider the intransitive sentence: -->
The student napped.
生徒はうたた寝した。
''gave''と違い、''napped''は後に何も要りません。これらのタイプの文は英語ではどちらも同じくらい一般的なものです。しかし、やはり動詞の前にある名詞句は主語(Subject)と呼ばれます。
<!-- We don't need anything after ''napped'', as we did before with ''gave''. These types of sentences are equally common in English. Again, though, we call the noun phrase before the verb the subject. -->
=== 動作主(Agents)と被動者(Patients) ===
対称的に、能格言語ではこれらの役割を違った形で文章に表現します。主語と目的語の代わりに動作主(Agents)と被動者(Patients) を使うのです。次のような他動詞文を見てみましょう。
<!-- Ergative languages, in contrast, have another way to mark these roles in a sentence. They use "agents" and "patients" instead of subjects and objects. Consider, for instance, the transitive sentence: -->
The curator woke up the student.
学芸員は生徒を起こした。
能格言語の用語では、''the curator'' はこの文の動作主です。動作を起こすものです。また''the student''は被動者と呼ばれ、動作の対象となるものです。
<!-- In ergative terms, ''the curator'' is the agent of this sentence - the one doing the action. Also, ''the student'' is called the patient - the one to whom the action is being done. -->
では自動詞文の場合はどうでしょうか? 見てみましょう。
<!-- So what happens in intransitive sentences? Let's take a look at the sentence: -->
The student awoke.
生徒は起きた。
ここでは''the student''は目覚めが起きている人ですから、この名詞句は被動者の役割にあたります。
<!-- Here, ''the student'' is the one to whom the awakening is happening - and so we would assign the syntactic role of patient to this noun phrase. -->
つまり英語でいう主語は他動詞の動作主であり、自動詞の被動者にあたるのです。わかってもらえましたね。
<!-- So we can see how the "subject" in English becomes the "agent" of a transitive sentence, but the "patient" of an intransitive sentence! It's all in your perspective, I guess. -->
== シュメール語での能格性 ==
=== 部分能格性 ===
<!-- === Split Ergativity === -->
実を言うと能格性を持つ言語はかなりあるのですが、完全な能格言語と言える言語は非常に珍しいといえます。シュメール語は他の能格性を持つ言語と同様、実際には「部分能格」であり、ある場合には能格を、またある場合には「主語/目的語」の格を利用します。
<!-- As it turns out, quite a few languages use ergativity. However, it's extremely uncommon for a language to be completely ergative. Sumerian, like most languages with ergative features, is actually "split-ergative", meaning that sometimes Sumerian uses ergative cases, and sometimes it uses the familiar "subject/object" cases. -->
後のレッスンではシュメール語が主語/目的語を使う場合について説明しますが、今はこの言語の能格性について焦点を絞りたいと思います。
<!-- We'll get into more detail in later lessons about when Sumerian uses the subject/object case system, but for now, we're just going to focus on the ergative aspects of the language. -->
=== 格標識 ===
<!-- === Case Markers === -->
==== 他動詞の例 ====
<!-- ==== A transitive example ==== -->
実は私達はすでにレッスン3と6で能格の格標識を見ています。レッスン6の例題をもう一度見てみましょう。これは"[http://etcsl.orinst.ox.ac.uk/cgi-bin/etcsl.cgi?text=c.1.1.4&display=Crit&charenc=gcirc# エンキのニップルへの旅]"から採ったものです。
<!-- As it turns out, we've already seen the case markers for the ergative cases, both in lesson three and in lesson six. Let's look at our example sentence from lesson six again, from "[http://etcsl.orinst.ox.ac.uk/cgi-bin/etcsl.cgi?text=c.1.1.4&display=Crit&charenc=gcirc# Enki's journey to Nibru]": -->
'''{{H:title|シュメールの都市エリドゥ|Eridug}}.{{H:title|.a, 処格標識|a}} {{H:title|家, 神殿|e.Ø}} {{H:title|川岸|gu}}.{{H:title|.a, 処格標識|a}} {{H:title|bi., 処格の参照|bi}}.{{H:title|.n., 三人称単数 生物 動作主標識|n}}.{{H:title|建てる|du}}'''
<!-- '''{{H:title|Eridug, a city in ancient Sumer|Eridug}}.{{H:title|.a, the locative case marker|a}} {{H:title|house, temple|e.Ø}} {{H:title|riverbank|gu}}.{{H:title|.a, the locative case marker|a}} {{H:title|bi., the locative verbal cross-reference|bi}}.{{H:title|.n., 3rd sg animate agent marker|n}}.{{H:title|to build|du}}''' -->
この文では神殿('''e''')は建てられるもので、つまりは被動者です。見てきたとおり'''.Ø'''により絶対格が示されています。他動詞文の動作の対象は被動者と呼ばれ、そのとき使われる格を絶対格というのです。
<!-- In this sentence, the temple ('''e''') is the thing being built, our patient. We see that the '''.Ø''' marker is used for the absolutive case. Remember, since this is a transitive sentence, the object of action is called the patient, and the case used is called the absolutive case. -->
この文では動作主が明示的には記されていないことに注意してください。この文だけでは動作主が誰かはわからないのですが、翻訳の際は「彼」としています。この文には能格の標識がついた名詞句がなかったのですが、次では標識のついた文を見ていきます。
<!-- Note, however, that the agent in this sentence is implicit - since we don't know ''who'' exactly the agent is, we just translate the subject into English as "he". In this sentence, we have no noun phrases marked in the ergative case. Below, we'll take a look at a sentence that has an explicit marker. -->
==== 自動詞文の例 ====
<!-- ==== An intransitive example ==== -->
同じように "[http://etcsl.orinst.ox.ac.uk/cgi-bin/etcsl.cgi?text=c.1.2.1&display=Crit&charenc=gcirc# エンリルとニンリル]"から自動詞文を見ていきましょう。 (ETCSL number 1.2.1.91):
'''{{H:title|エンリル神|Enlil}} {{H:title|i., default 終止相|i}}.{{H:title|行く|ĝen}}'''
いつも通り句ごとに見ていきます。最初は'''エンリル'''というシュメール神話の神の名前です。この句は無標ですが、それゆえに実際には絶対格であると推測してもいいでしょう。
<!-- We begin, as always, by analyzing our phrases. First up is the name '''Enlil''', who was a deity in Sumerian lore. This phrase is unmarked, leading us to guess that it is actually in the absolutive case. -->
次の句は動詞の鎖で、その語幹は'''ĝen'''、「行く」や「旅する」といった意味の言葉です。その前にある'''i.'''は標識のない動詞に挿入される母音なのですが、ここでは終止相(Finite aspect, 過去の時制を示すもの)の意味を取りたいと思います。というわけでこの文は簡単に
<!-- Our final phrase is the verb chain. The root of the chain is '''ĝen''', meaning ''to go'' or ''to travel''. '''i.''' at the front is just a filler vowel that Sumerian uses if a verb has no other markings, but we want to put it in the "finite aspect" (which you can think of as past tense). So we translate this verb simply as -->
エンリルは行った。
<!-- Enlil went. -->
と訳せます。ここではエンリルは自動詞の主語ですから、つまり絶対格なので無標であるという仮説についても確認できたといっていいでしょう。
<!-- Couldn't be simpler! Now, '''Enlil''' being the subject of an intransitive verb, we can confirm our suspicions that it was indeed in the absolutive case, and hence unmarked. -->
==== 能格標識の例====
<!-- ==== An example with the ergative case marker ==== -->
これまでには明示的な能格の主語を持った文がなかったので、能格の標識を見ることができていません。そこで次は"[http://etcsl.orinst.ox.ac.uk/cgi-bin/etcsl.cgi?text=c.2.2.2&display=Crit&charenc=gcirc# ウルの滅亡哀歌]から採ったこの文を見てみましょう。(ETCSL reference 2.2.2.172)
<!-- So far we haven't run into the ergative case marker, only the absolutive. That's because our sentences that had ergative subjects have all lacked explicit subjects to this point. Let's look at the following example, from "[http://etcsl.orinst.ox.ac.uk/cgi-bin/etcsl.cgi?text=c.2.2.2&display=Crit&charenc=gcirc# The Lament for Urim]" (ETCSL reference 2.2.2.172): -->
'''{{H:title|エンリル神|Enlil}}.{{H:title|.e, 能格標識|e}} {{H:title|嵐|ud}}.{{H:title|.e, 奪格標識|e}} {{H:title|声|gu}} {{H:title|ba., involvement indicator|ba}}.{{H:title|.n., 三人称単数 生物 動作主|n}}.{{H:title|注ぐ|de}}'''
<!-- '''{{H:title|Enlil, a deity|Enlil}}.{{H:title|.e, the ergative case marker|e}} {{H:title|storm|ud}}.{{H:title|.e, the ablative case marker|e}} {{H:title|voice|gu}} {{H:title|ba., involvement indicator|ba}}.{{H:title|.n., 3rd sg animate agent marker|n}}.{{H:title|to pour|de}}''' -->
それでは分析を始めましょう。
<!-- By now you know that the first thing to do is to analyze our phrases. -->
最初のものは'''Enlil.e'''です。予想通りかもしれませんが、この'''.e'''が能格標識です。'''Enlil'''というシュメールの主要な神の名前についており、この文章の動作主がエンリル神であることを示しています。
<!-- First up is '''Enlil.e'''. As you probably guessed, the '''.e''' is our elusive ergative marker! It's attached to the name '''Enlil''', which we've seen before, and is the name of an important Sumerian deity. So we find that this phrase marks Enlil as the agent of the sentence. -->
次は'''ud.e'''です。基礎名詞は'''ud'''で嵐を意味します。最初の句と同様'''.e'''の格標識がついています。一つの文の中に能格の語がいくつもあるはずはありませんが、実は'''.e'''は[[w:en:Terminative case|終止格(Terminative)]]にも使われます。どちらの格か曖昧になることもありますが、通常は文脈から判断します。今回はこの句を「嵐に」と訳します。
<!-- Next up is '''ud.e'''. The base noun here, '''ud''', means ''storm''. And just like in the first phrase, we have a '''.e''' case marker. Now, it's unlikely that we have another phrase in the ergative case - but it turns out that the terminative case also uses '''.e''' as a marker! Ambiguity can arise when analyzing cases, so usually you just make a best guess and see from context if your guesses hold up. For now, let's guess that we translate this phrase as ''to the storm''. -->
この文の興味深いところは、動詞が2つの語の組み合わせからなっているというところです。複数の概念を組み合わせることで多くの異なる概念を記述することがシュメール語ではよくあるのです。この場合は'''gu'''は「声」を意味する名詞で、'''de'''は「注ぐ」という動詞です。ですからこの複合動詞は「声を注ぐ」という意味になります。シュメール人風に考えれば、おそらくこれは「話す」のことだと解釈できるでしょう。実際に多くの文書でこの語が見つかっています。時には「呼ぶ」とか「伝える」という風に訳したほうが適切な場合もあるでしょうが、もう概念はおわかりいただけましたね。
<!-- An interesting feature of this sentence is that the verb here is actually a two-word mash-up! This is really common in Sumerian - many different concepts can be described by combining several smaller concepts. In this case, '''gu''' is a noun meaning ''voice'', and '''de''' is our root verb meaning ''to pour''. So our verb means something like ''to pour the voice''. If you are starting to think like a Sumerian, you're probably thinking that this could translate best as ''to speak''. In fact, that's how Sumerologists read this verb in most texts! Occasionally, the translation might work better in english as ''to call'' or ''to tell'', but you get the idea. -->
では動詞の鎖を見ていきましょう。先程触れたように'''gu ... de'''は「話す」という意味です。お馴染みの'''.n.'''が、他動詞の動作主(三人称単数・生物)を参照していることはもうご存知ですね。その前にある'''ba.'''は新顔です。これは「主語の関心事が即座に影響を及ぼす」という意味を持っています。このような概念を表す語があることは不思議に思えますが、シュメール人にとっては当たり前の語でした。とはいえ翻訳では通常この語を無視します。ですのでこの語全体をざっくりと「話す」と訳すことにします。
<!-- Now let's look at the verb chain proper. As we just noted, the root verb is '''gu ... de''' meaning ''to speak''. We see our familiar friend '''.n.''' just before the root, and we remember seeing that before as the (third-person singular inanimate) cross-reference for the agent of a transitive verb. And just before that, we see '''ba.'''. This one is new, and means something like "the interests of the subject are immediately affected". While you might find it odd that Sumerian has a verbal prefix expressing such a concept, to Sumerians, it was completely natural. However, in translation, we usually ignore this in the English. So we can translate this verb roughly as ''spoke'', but with this extra meaning on top. -->
まとめると、この語はこのように訳せます。
<!-- Putting it all together, we translate this sentence as: -->
エンリルは嵐に話しかけた。
<!-- Enlil spoke to the storm. -->
シュメール文学のいいところは、擬人化をとてもたくみに使うところです。ですがここで重要なのは、能格と終止格の標識と推測したものが訳文にうまく収まっているというところでしょう。
<!-- I love Sumerian literature. It really uses anthropomorphism in wonderful ways! But more importantly, we see here that we can be pretty sure that we guessed right in our assignment of the ergative and terminative case markers. -->
=== 動詞の鎖と相互参照 ===
<!-- === Verbal Chain Cross-References === -->
すでに見てきたように、文中に能格や絶対格がある場合に動詞の鎖の中にそれらへの相互参照を持ちます。これは他の格の場合も同じです。例えば名詞句が奪格の場合は奪格の相互参照標識が鎖に追加されます。
<!-- As we've already noticed, Sumerian verb chains have markers cross-referencing ergative and absolutive elements of a sentence, when present. This is no different that a verb in any of the other cases - if we had a noun phrase in the ablative case, we'd expect to see the ablative cross-reference marker in the verb chain. -->
とはいえ私達が見てきた標識は動詞の前に位置して動作主が三人称単数の生物であるということを指し示す'''.n.'''と、動詞の後で被動者が三人称単数の無生物であることを指し示す'''.Ø''' だけでした。
<!-- So far, though, the only markers we've seen are the '''.n.''' prefixed just before the verbal root, signifying that the patient was third-person singular inanimate, and the '''.Ø''' after the verbal root, signifying that the agent was third-person singular animate. -->
全ての人称と単数・複数の別に応じた標識があるのは明らかですが、それについては後のレッスンで見ていきましょう。
<!-- Obviously, there are markers for all the different persons and pluralities, but we'll get to those in later lessons. -->
== 例題 ==
<!-- == Quick Quiz == -->
能格性の基本についてもう理解できたでしょうから、[http://etcsl.orinst.ox.ac.uk/cgi-bin/etcsl.cgi?text=c.1.4.3&display=Crit&charenc=gcirc# ドゥムジの夢]から採った次の文を検討してみましょう。 (ETCSL reference 1.4.3.18)
<!-- Okay, now that you've got the basics of ergativity, consider the following sentence, from "[http://etcsl.orinst.ox.ac.uk/cgi-bin/etcsl.cgi?text=c.1.4.3&display=Crit&charenc=gcirc# Dumuzid's dream]" (ETCSL reference 1.4.3.18): -->
'''{{H:title|目|igi}}.{{H:title|.ani, 三人称単数 所有格接辞|ani}} {{H:title|手|cu}} {{H:title|bi., 処格参照|bi}}.{{H:title|.n., 三人称単数-生物-動作主|n}}.{{H:title|探す|kij}}'''
<!-- '''{{H:title|eye|igi}}.{{H:title|.ani, 3rd sg. animate possessive particle|ani}} {{H:title|hand|cu}} {{H:title|bi., perfect aspect marker|bi}}.{{H:title|.n., 3rd sg animate agent marker|n}}.{{H:title|to seek|kij}}''' -->
まずは語彙リストをどうぞ。
<!-- First, let's get some vocabulary. -->
=== 例題の語彙 ===
* '''igi''' = ''目''
* '''šu''' = ''手''
* '''kiĝ''' = ''探す''
=== 例題の分析===
最初の名詞句は'''igi.ani'''で、'''igi''' は目を意味します。[[シュメール語/文法入門/所有接辞|レッスン2]]で見た所有格について覚えていますか? 振り返って表を確認してみてください。
<!-- We start by analyzing our first noun phrase, '''igi.ani'''. We know that '''igi''' means ''eye''. Remember lesson two, possessives? Look back at the table and see if you can figure out what '''.ani''' means, and hence what the whole noun phrase means. -->
次の句には名詞'''šu'''と動詞'''kiĝ'''があります。すでに学んだようにシュメール語には多くの複合動詞があり、今回もその例外ではありません。単語を直訳すると「手で探す」となりそうですが、ここは一つ創造性を発揮していただき、シュメール人になったつもりで考えてみてください。実はこの熟語は「こする」という意味なのです。素敵じゃありませんか? というわけでこの語も語彙リストに加えましょう。
<!-- Next, we see that we have a noun, '''cu''', and a verb '''kij'''. Sumerian, as we have already learned, has a lot of multiword verbs, and this is no exception! Here, literal translation gives us ''to seek with the hand''. A little creativity, and we realize that in Sumerian, this is an idiom that means ''to rub''. Pretty neat, eh? So really, we can add the following multiword verb to our vocabulary: -->
* '''šu ... kiĝ''' = ''こする''
さて、この動詞の鎖に取り組むこととしましょう。いつものように動詞の前に'''.n.'''があります。どのような意味だったか覚えていますか?でなければ[[シュメール語/文法入門/所有接辞|レッスン6]]を振り返って記憶をリフレッシュしてください。
<!-- Now, let's tackle our verb chain. As usual, we see a '''.n.''' just before the verbal root. Do you remember what this means? If not, look back at the example sentence in lesson six to refresh your memory. -->
動詞の鎖の先頭の'''bi.'''もすでにこのレッスンで見ています。どんな意味だったか覚えていますね。
<!-- Also, we start the verbal chain with the '''bi.''' particle. We saw that already in this lesson - see if you can remember what it means. -->
=== 例題の解答 ===
便利の良いように、それぞれの句の意味をホバーテキストに入れています。マウスを文の上に載せてチェックしてみてください。
<!-- For convenience, I've put the meaning of each phrase in the hovertext in the following sentence. Once you have figured out what your phrases mean, you can check here. -->
'''{{H:title|彼の目を|igi.ani}} {{H:title|彼はこする|šu bi.n.kiĝ}}'''
どうでしょう? 素晴らしい。いいですね、文全体の意味をとらえることができているはずです。本当にシュメール語を読めているんですよ!
<!-- How did you do? Excellent, I'm sure! At this point, I'm sure you can supply the meaning of the entire sentence given the individual phrases. Now you're really reading Sumerian! -->
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[[シュメール語/文法入門/格体系|次へ (レッスン8 - 格体系)]]
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24,477 | シュメール語/文法入門/格体系 | 初歩の初歩:格とはなんでしょうか? 簡単に言えば、格とは文中の要素間の関係を修飾する手段のことです。例えば次の英語の文章を見てみましょう。
ここには3つの代名詞があります。一人称・単数・主格のI、三人称・複数・対格のthem、三人称・単数・女性・与格のherです。もしこの一人称の主格と3人称複数の対格を交換したとして、次のように読むことはできません。
次のようにすると意味が通ります。
(2a)の前にあるアスタリスク' * ' は言語学者が「この構文は誤り」とか「こういう風に書かれることはない」というときに使う印です。
英語話者にとっては英語でどんなときに(それぞれの主語や目的語に応じて)I と meを使い分けるかは自明なことですが、他の言語であっても、扱われる方法は違っても概念は同じです。言語はその構成要素が文中でどんな役割を持つかを区別する何らかの方法を必要とするのです。
シュメール語では状況は実に簡単です。個々の人称や格ごとに違った単語を学ぶのではなく、一つきりの語幹に接尾辞をつけるだけなのです。
例えばシュメール語で「子供」とか「息子」を意味する単語dumuを見てみましょう。もしこれに.irをつければ与格になり、 dumu.irは「息子に」の意味になります。
(dumu.irの中にあるドットについて不思議に思うかもしれませんが、これは言語学者が論理的な区切りをわかりやすくするために便宜的につけているもので、実際の言語の読み書きには登場しません。)
シュメール語にも英語と同様いくつか特有の傾向があります。実際にはdumu.irとは書かれず、dumu.rとなります。格小詞の先頭に位置する母音やいくつかの子音は消失することがあるのです。小詞(particle)はここでは接尾辞と同義ですが、一般的には語幹に付随する、それ自体で単語を構成することはない小さな語片を指します。
という文において主語となる節と目的語になる節を見つけてください。
このテーマについてはまだ学術的な議論の余地があるのですが、ここでは確立済みの格とその機能のリストを示し、詳しく見ていきます。
10の格について述べますが、覚える必要はありません。必要なときに対処しましょう。
属格:「XのY」といった関係を示すために使います。これは多くの言語で多面的な機能をもちます。詳しくは下を参照してください。
処格:神殿が「街に」建設された。というように、文中の話題が特定の場所に紐付けられていることを示します。
与格:間接目的語を示します。この神殿を「君のために」作ったよのようにです。詳しくは下を参照してください。
絶対格:能格の被動者を示します。自動詞文の主語で、他動詞文の目的語にあたります。
能格:能格の動作主に使います。他動詞文の主語で、行為を実行する者です。
共格:「XとY」、や「XとYの間で」のような意味です。
奪格-具格:動作を行っているところから離れる動きか、または動作に伴う感情や道具を示します。
向格: ある場所への動き、または動作の目標や到達点を示します。
位格-終止格:「近くの」や「近くにいる」という関係を表現する(無生物(inanimate)なものに対してのみ使用できる。例えばiri.eは「都市の近くで」を意味する)
様格:比較のために使用され、大まかな意味としては「のような」や「と同様に」となる。直喩や暗喩、また文字通りの比較を構成することもある
上の表を使ってそれぞれの名詞句の格を識別してみよう。名詞の意味を知らなくても格を知ることはできます。翻訳にあたってはとても便利な特徴です。
シュメール語の格を理解することはとても重要なことです。これなしでは、前置詞なしで英語を読解するようなものです。意味が失われてしまいます。
まずは最初の二つを学びましょう。つまり属格と与格です。残りの部分も後で取り上げますが、もし気になるならここで見ても構いません。
属格:.ak 所有を示したり、「XのY」といった関係性を示す
与格: .ir 行為の影響を受けるものを示す
日本語に翻訳しましょう
シュメール語に翻訳してください
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| null | [[File:Hymn Iddin-Dagan Louvre AO8864.jpg|400px|right]]
= 格体系 =
<!-- = The Case System in Sumerian = -->
== 前提 ==
初歩の初歩:[[w:格|格]]とはなんでしょうか? 簡単に言えば、格とは文中の要素間の関係を修飾する手段のことです。例えば次の英語の文章を見てみましょう。
<!-- First things first: what is a [[Sumerian/Glossary#Case system|case system]]? Briefly, a case system is simply a way for people to modify the relationships between elements in a sentence. For instance, consider the English sentence: -->
'''(1)''' ''I chastised them for her.''
私は彼女のために彼らを叱った。
ここには3つの代名詞があります。一人称・単数・主格の'''I'''、三人称・複数・対格の'''them'''、三人称・単数・女性・与格の'''her'''です。もしこの一人称の主格と3人称複数の対格を交換したとして、次のように読むことはできません。
<!-- We find three [[Sumerian/Glossary#Pronouns|pronouns]] here. The [[Sumerian/Glossary#Linguistic Person|first-person]] [[Sumerian/Glossary#Linguistic Number|singular (1sg)]] [[Sumerian/Glossary#Subject Case|subject]] '''I''', the third-person plural (3pl) object '''them''', and finally the third-person singular [[Sumerian/Glossary#Linguistic Class|feminine (f)]] beneficiary, '''her'''. Now, upon reflection, if our 1sg subject had been swapped with the 3pl object, the sentence would not read -->
'''(2a) *''' ''Them chastised I for her.''
彼らを彼女のために私は叱った。(訳注:日本語だと読めてしまいますね)
<!-- but rather -->
次のようにすると意味が通ります。
'''(2b)''' ''They chastised me for her.''
彼らは彼女のために私を叱った。
(2a)の前にあるアスタリスク' * ' は言語学者が「この構文は誤り」とか「こういう風に書かれることはない」というときに使う印です。
<!-- (The asterisk ' * ' you see before sentence (2a) is just a little symbol that linguists use to say "this is bad syntax", or sometimes "this is a form we do not expect to see".) -->
英語話者にとっては英語でどんなときに(それぞれの主語や目的語に応じて)''I'' と ''me''を使い分けるかは自明なことですが、他の言語であっても、扱われる方法は違っても概念は同じです。言語はその構成要素が文中でどんな役割を持つかを区別する何らかの方法を必要とするのです。
<!-- We see immediately that the English language chooses two different words, ''I'' and ''me'', for the 1sg, depending on what case it is in (subject or object respectively). The way this is handled in other languages varies, but the ideas are the same. Languages need some way to distinguish what part a constituent plays in the overall meaning of a sentence. -->
シュメール語では状況は実に簡単です。個々の人称や格ごとに違った単語を学ぶのではなく、一つきりの語幹に接尾辞をつけるだけなのです。
<!-- In Sumerian, the situation is actually easier! Instead of having to learn a whole slew of different words, one for each case for each person ''et cetera'', Sumerian simply chooses to put a suffix on the unique word stem. -->
例えばシュメール語で「子供」とか「息子」を意味する単語'''dumu'''を見てみましょう。もしこれに'''.ir'''をつければ与格になり、 '''dumu.ir'''は「息子に」の意味になります。
<!-- As an example, take the Sumerian word '''dumu''', which means ''child'' or ''son'' (depending on context). If we simply attach the dative case suffix '''.ir''', we end up with '''dumu.ir''', meaning ''for the child''. (This is general meaning of the dative case, incidentally; it expresses the beneficiary of an action.) -->
('''dumu.ir'''の中にあるドットについて不思議に思うかもしれませんが、これは言語学者が論理的な区切りをわかりやすくするために便宜的につけているもので、実際の言語の読み書きには登場しません。)
<!-- (If you're wondering, the period '.' you see before the dative suffix and inside the word '''dumu.ir''' is another simple linguistic convention, just indicating a logical division internal to a word, useful for analysis but not present in spoken or written language.) -->
シュメール語にも英語と同様いくつか特有の傾向があります。実際には'''dumu.ir'''とは書かれず、'''dumu.r'''となります。格小詞の先頭に位置する母音やいくつかの子音は消失することがあるのです。小詞(particle)はここでは接尾辞と同義ですが、一般的には語幹に付随する、それ自体で単語を構成することはない小さな語片を指します。
<!-- Sumerian does, like English, have a few quirks though. We would not expect to see '''dumu.ir''' written just like that, but rather '''dumu.r'''. The vowels, and a few consonants, have a way of disappearing in Sumerian, especially the really common ones, like those that begin the case particles. (A "particle" is more or less a synonym for suffix here, but generally means any small bit that gets attached to a root word, and never appears on its own.) -->
=== 例題 ===
'''The quick brown fox jumped over the lazy dog'''
という文において主語となる節と目的語になる節を見つけてください。
<!-- In the sentence '''The quick brown fox jumped over the lazy dog''', make sure you know which words make up the subject clause and which the object clause. -->
<!-- [[Sumerian/Answers/Quick Quiz Answers#Case System Preliminaries|Answers]] -->
== シュメール語の格 ==
<!-- == The Cases Used in Sumerian == -->
このテーマについてはまだ学術的な議論の余地があるのですが、ここでは確立済みの格とその機能のリストを示し、詳しく見ていきます。
<!-- While there is still some scholarly debate on this subject, I'll present here a list of cases which have been reasonably established in Sumerian, and their functions. We'll go into a couple of them in more detail here, and more later. -->
10の格について述べますが、覚える必要はありません。必要なときに対処しましょう。
<!-- The ten cases are described, but you don't need to memorize this material. We will be treating each case in due time. -->
{| cellpadding="2" border="1"
|'''.ak'''
|''属格 genitive''
|所有・所属を示す Xの
|-
|'''.e'''
|''能格 ergative''
|動作主(agent)を示す Xは
|-
|'''.Ø'''
|''絶対格 absolutive''
|被動者(patient)を示す Xを
|-
|'''.a'''
|''処格 locative''
|場所(location) を示す Xで
|-
|'''.ir'''
|''与格 dative''
|間接目的語(beneficiary)を示す Xに
|-
|'''.da'''
|''共格 comitative''
| Xと
|-
|'''.ta'''
|''奪格-具格 ablative-instrumental''
| 起点・分離を示す Xから
|-
|'''.še'''
|''向格 terminative''
|動作の向かう方向を示す Xへ'
|-
|'''.gin'''
|''様格 equative''
|Xのように
|-
|'''.e'''
|''directive / 位格-終止格 locative-terminative''
|近傍を示す Xの近くに
|}
[[シュメール語/文法/属格|属格]]:「XのY」といった関係を示すために使います。これは多くの言語で多面的な機能をもちます。詳しくは下を参照してください。
<!-- [[Sumerian/Grammar/Lesson Three - The Genitive Case|Genitive]]: used to express "X of Y" relationships; posession; this is a many faceted construction in many languages, and Sumerian is no exception; see below for more -->
処格:''神殿が「街に」建設された。''というように、文中の話題が特定の場所に紐付けられていることを示します。
<!-- Locative: forms like ''the temple was built '''in the town''';'' used to locate the topic and anchor it to a specific place -->
与格:間接目的語を示します。''この神殿を「君のために」作ったよ''のようにです。詳しくは下を参照してください。
<!-- [[Sumerian/Grammar/Lesson Three - The Case System#The Dative Case|Dative]]: expresses a benefactorial relationship; ''I built this temple '''for you''';'' see below for more -->
絶対格:能格の被動者を示します。自動詞文の主語で、他動詞文の目的語にあたります。
<!-- [[Sumerian/Grammar/Lesson Three - The Case System#The Absolutive Case|Absolutive]]: used for the ergative "patient"; the subject of an intransitive sentence; the object of a transitive sentence -->
能格:能格の動作主に使います。他動詞文の主語で、行為を実行する者です。
<!-- [[Sumerian/Grammar/Lesson Three - The Case System#The Ergative Case|Ergative]]: used for the ergative "agent"; the subject of a transitive sentence; the doer of an action -->
共格:「XとY」、や「XとYの間で」のような意味です。
<!-- Comitative: for times when X is "with" or "among" Y -->
奪格-具格:動作を行っているところから離れる動きか、または動作に伴う感情や道具を示します。
<!-- Ablative-Instrumental: expresses motion away from a place, or a tool or emotion ''with'' which an action is performed -->
向格: ある場所への動き、または動作の目標や到達点を示します。
<!-- Terminative: expresses motion to or into a place; also the goal or target of an action -->
位格-終止格:「近くの」や「近くにいる」という関係を表現する(無生物(inanimate)なものに対してのみ使用できる。例えば'''iri.e'''は「都市の近くで」を意味する)
<!-- Directive (also known as Locative-Terminative): expresses the relationship of being "near" something, or "near to". (This can only occur with non-sentient things, as in '''iri.e''', meaning ''near the city''.) -->
様格:比較のために使用され、大まかな意味としては「のような」や「と同様に」となる。直喩や暗喩、また文字通りの比較を構成することもある
<!-- Equative: used for comparisons, and means roughly "like" or "as"; used when making (roughly) similies or metaphors, and also more literal comparisons -->
== 例題==
<!-- == Quick Quiz == -->
上の表を使ってそれぞれの名詞句の格を識別してみよう。名詞の意味を知らなくても格を知ることはできます。翻訳にあたってはとても便利な特徴です。
<!-- Using the table above, make sure you can identify the case each of these noun phrases are in. You don't necessarily have to know what the noun means to know the case! This can be very useful sometimes when you're translating. -->
* '''{{H:title|外国の地|kurkur}}.{{H:title|.e, directive|e}}'''
* '''{{H:title|壁|bad}}.{{H:title|.še, terminative|še}}'''
* '''{{H:title|壁|bad}} {{H:title|主要都市ウル|Urim}}.{{H:title|.ak, 属格|ak}}'''
= 格の詳細 =
<!-- = A Closer Look At (some of) the Cases = -->
シュメール語の格を理解することはとても重要なことです。これなしでは、前置詞なしで英語を読解するようなものです。意味が失われてしまいます。
<!-- It's pretty important to understand the cases in Sumerian. Without them, it would be like reading English without prepositions! Meaning would be lost. -->
まずは最初の二つを学びましょう。つまり属格と与格です。残りの部分も後で取り上げますが、もし気になるならここで見ても構いません。
<!-- For now, you <b>only need to learn the first two</b>, namely the Genitive case and the Dative case. The rest we'll get to in later lessons, but I thought I'd let you peruse them here should the urge take you! -->
* [[en:Sumerian/Grammar/Lesson Three - The Genitive Case|'''The Genitive Case''']]
* [[en:Sumerian/Grammar/Lesson Three - The Dative Case|'''The Dative Case''']]
* [[en:Sumerian/Grammar/Lesson Three - The Ergative Case|The Ergative Case]]
* [[en:Sumerian/Grammar/Lesson Three - The Absolutive Case|The Absolutive Case]]
* [[en:Sumerian/Grammar/Lesson Three - The Locative Case|The Locative Case]]
* [[en:Sumerian/Grammar/Lesson Three - The Terminative Case|The Terminative Case]]
* [[en:Sumerian/Grammar/Lesson Three - The Directive Case|The Directive Case]]
* [[en:Sumerian/Grammar/Lesson Three - The Comitative Case|The Comitative Case]]
* [[en:Sumerian/Grammar/Lesson Three - The Ablative Case|The Ablative Case]]
* [[en:Sumerian/Grammar/Lesson Three - The Equative Case|The Equative Case]]
== まとめ ==
<!-- == Summary == -->
属格:'''.ak''' 所有を示したり、「XのY」といった関係性を示す
<!-- Genitive: '''.ak'''; used to express posession, or other "X of Y" type relationships -->
与格: '''.ir''' 行為の影響を受けるものを示す
<!-- Dative: '''.ir'''; used to express the beneficiary of an action -->
= 格体系の例題 =
<!-- = Quick Quiz on the Case System (1) = -->
=== 語彙 ===
<!-- === Vocabulary === -->
# '''lugal''' ''= 王, 主, 長''
# '''nin''' ''= 女王, 女性''
# '''e''' ''= 家, 神殿''
# '''dumu''' ''= 子, 息子''
# '''Uruk''' ''= メソポタミアの主要都市ウルク''
=== 問題 ===
日本語に翻訳しましょう
<!-- Translate the following phrases (Sumerian to English): -->
# '''{{H:title|ウルクの王|lugal Unuk.ak}}'''
# '''{{H:title|女王のために|nin.ir}}'''
# '''{{H:title|王の家|e lugal.ak}}'''
# '''{{H:title|女王の息子のために|dumu nin.ak.ir}}'''
シュメール語に翻訳してください
<!-- Translate the following phrases (English to Sumerian): -->
# ''{{H:title|dumu lugal.ak|王の息子}}''
# ''{{H:title|nin Uruk.ak.ir|ウルクの女王のために}}''
# ''{{H:title|dumu Uruk.ak|ウルクの子供}}''
[[シュメール語/文法入門/能格性|前へ (レッスン7- 能格性)]] :
[[シュメール語/文法入門|上へ (シュメール語文法入門 - メインページ)]] :
[[シュメール語/文法入門/楔形文字|次へ (レッスン9 楔形文字)]]
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24,478 | シュメール語/文法入門/楔形文字 | シュメール語の楔形文字を読み始める前に、楔形文字一般の概念や問題とシュメール語の楔形文字特有のことについていくつか紹介していきたいと思います。少々お付き合いください。あくまでシュメール語の入門書ですから、それほどの時間はとらせません。
シュメール語について学んだあなたは、実際に読んで見たいと思っていることでしょう。おそらくは、それが楔形文字で書かれていることも知っているはずです。しかしそれは実際のところ楔形文字とはどういうものなのでしょうか。楔形文字とは誰が発明して、どのように使われたものなのでしょう?
私達が知るところによると、最初人々はお互いの間の取引や契約のために小さな粘土のシンボルを使用していました。羊や牛を象った紀元前3500年ごろの遺物が見つかっており、原始的な計数法の存在を示唆しています。おそらくですが、この種の視覚的なシンボルからやがて抽象的な概念を粘土の上に表現したいという欲求が生じたのではないでしょうか。紀元前3000年ごろまでにはすでに興味深い記号が書き残されたものが見つかっていて、より複雑な概念が表現されていることがわかります。これらの遺物が何を意味しているのか、あるいは個々のシンボルをどのように解釈すべきかを知ることは依然困難な仕事です。未だ多くの作業が進められており、非常に重要な分野になっています。人間の文明の歴史上、独立した文字の発明が行われたのはわずかに4回か5回程度で、そのプロセスを理解することは本当に重要なことなのです。残念ながらシュメール語自体を十分に理解できていないため初期シュメール語の解読を難しくしています。
紀元前2100年ごろになると、過去のぎこちない象形文字は姿を消し、完全な形の書法が現れます。純粋な表音文字や、テキストの読み書きを補助するための発音されない記号も持っています。これが私達が読もうとしている楔形文字の始まりですが、他のどのような媒体とも同じように、その後千年の間使われ続けている間には長い歴史と大きな変化を経ていることを忘れないでください。
とはいえこのよく整った状態であってもそこには書法についてのいくつかの未解決の疑問や、書き残された文字自体の問題があり、楔形文字とそれによって表現された言語との両方ともに理解の難しさがあります。あなたが良い謎を楽しめるたちであれば、シュメール語の楔形文字は最高のものの一つです。今日私達が知っている多くの知識は、僅かな情報をもとに協力して取り組んだ初期のシュメール語学者の技術と直感の証なのです。
シュメール語楔形文字の問題の幾分かは、文字の起源自体に根ざしています。もしあなたが地平線から昇る日を描いて「一日」を表したとして、それでは「夜明け」はどのように表現しますか? あるいは「夕焼け」は? 「正午」は? また絵を描いただけでは実際の発音との関係を表現することはできません。それに「解決」とか「いつ」という概念をどう描きますか?
私達はシュメール語自体から、楔形文字の書き方について役立つ助けを得ることができます。これまで見てきたように多くのシュメール語の単語は短い一音節からなり、多くの同音異義語を持っています。このため実際には「いつ」の象徴的表現を見つけるためのシュメール人の苦労の跡は見つかりません。シュメール語のudは「一日」を意味すると同時に「いつ」という前置詞でもありました。だから彼らは「いつ」のための新しい楔形文字を作る代わりに地平線から昇る朝日のシンボルを再利用することにしました。このようにして、私達はシュメールの音韻論についても知ることができます。同じ発音の言葉には同じ字を使うため、どの語が同音異義語であるのかを簡単に知ることができるのです。(もちろんかれらは同音異義語に対して文字を使い分けることもしました。シュメール語のlilは「愚か者」を意味しますが、「風」を意味する場合には違う字を使いました)
別の大きな情報源は純粋な表音文字です。幸運なことに、シュメール人は接辞を追加するときに音のつながりを記述することを好んでいて、例えばlugal.aniを楔形文字で記述するときにlu-gal-la-a-niという風に書くことがありました。lugal の最後の"l"の音を次の母音につなげてlaの文字を書くわけです。この種の記法は私達にとって大きな助けとなりました。語の音韻について直接の証拠がない場合にも、la-a-ni という文字を見つけたらその前の語がl'で終わることに賭けてもいいでしょう。このような言語内部の比較を通じて私達はシュメール語の音韻概念を構築することができました。とはいえ使われる頻度の低く手がかりのない語についてはどうでしょう。それらが何を意味しているのか、どうすればわかるでしょうか?
もう一つの巨大な情報源はアッカド語の書記から得られました。シュメールで時は流れ、アッカド語の普及と共にシュメール語は死語になっていきました。理由はわかりません。アッカド語を話す王たちの侵略により強制的な言語の置き換えが進められたのかもしれません。自然の摂理によるものかもしれません。いずれにせよ、この地域を支配した王達は公式の文書ではシュメール語を使い続けました。古い偉大な王が使った荘重な言語という感覚が新しい王にも植え付けられていて、王権の権威のために用いられていたのかもしれません。
意図はともかく、現実にはアッカド語話者の書記の一団はすでにほとんど死語になっていたシュメール語を書くことを余儀なくされました。そうとう難儀なことだったことでしょうが、おかげで私達には大きな恩恵がありました。書記官達はアッカド語のある単語がシュメール語でどう翻訳されるのかを忘れてしまわないよう、立派な翻訳辞書を編纂してくれたのです。なんという宝でしょう! 私達はこれらの粘土板のいくつかを見つけることができました。アッカド語については十分な解読が進んでいるため、アッカド人が利用した膨大な量のシュメール語の単語を自動的にあてはめることができました。もちろん翻訳の常としてあらゆる言語から他の言語への翻訳はニュアンスの欠如を伴います。またいくつかの間違いも見つかっていますが、それでもこの二言語のテキストはシュメール語の楔形文字の理解に大きく役立ちました。シュメール語の文書でまれにしか出現しないような言葉をこれらの辞書なしで翻訳することは不可能だったことでしょう。
先にも書きましたが、楔形文字は固定された体系ではありません。長い時間とともに進化し、書記の要求に役立つよう形を変えました。アッカド人が自分たち自身の言語を記すためにこの体系を借用したときには、いくつかの文字の意味の変化だけでなく書体や記号にも大きな変化が見られます。アッカド語の音節やその出現頻度はシュメール語のそれとは大きく違うため、書字法にいくつかの変更を加えたいと考えるのは当然のことでした。この移行は単純なものではありませんでした。シュメール語とアッカド語は完全に異なる言語ファミリに属しており、多くの構文構造は完全に放棄され、その代わりとなる多くの新しい単語や接辞が作成されました。
このような傾向は改められた文字がメソポタミア周辺のさらに多くの地域に広まるとともに加速しました。ヒッタイト人や古代ペルシャ人が手にしたときには、文字は印欧語にも対応する必要がありました。最後に、ウガリト族の誰かがこのような全てのことにうんざりして、一揃いの「アルファベット」を発明することにしました。ウガリト語の文書は一音が一文字に対応した、かなり良い表現のアルファベットとして見つかっています。この書字革命はシュメール時代には発見されなかったので、私達は表語文字と音節文字の入り混じった楔形文字にとらわれているというわけです。
まだ明かされていない重要な疑問は、楔形文字の最初の起源についてです。楔形文字で記述したものが見つかった最も古い言語がシュメール語であることから、シュメール人がそれを発明したものと考えられてはいます。ただし知られているように初期に書かれたのは粘土上のただのシンボルに過ぎません。どんな言語であれ同じように見えたでしょう。実際にはそれは全く言語と呼べるものではありませんでした。そこには文法も構文も、言語とそれ以外の何かをわける何物もなかったのです。
ですから長い間私達はシュメール人が楔形文字を発明したのだと仮定していました。これは科学的な手法です。言語学者は、知られている事実に即した最も簡単な説明を考えたわけです。この場合は、シュメール語を話す誰かがシュメール語の記法を発明したというものです。
残念なことにこの単純な仮説は、筆記体系としての楔形文字に対する多くの研究が進むに連れ、緊張の兆候を見せるようになりました。シュメール学者はこの文字が彼らの言語にうまく適応していないように見えることに疑問を持ちました。例えば、なぜテキストには非常に多くのバリエーションがあるのでしょうか? 文字を発明した元の言語にはシュメール語とは異なる音素のセットがあったからでしょうか? シュメール人は彼らの言語を他者の発音に「適合」させようと試みたのでしょうか? それとも――おそらくは、単純な事実として時の流れにより変化した言語に文字の変化が追いつけなかったという可能性もありましょう。これはよい科学の題材です。私達は直面した多くの反対証拠を前にしたとき、仮説を変更することを恐れてはいけません。
この場合は証拠はずっと遠くにあります。全体の問題は未だに未解決で、さらなる研究に値するものです。これらの初期の粘土板や遺物には、いまだ識別されていない別の言語の文章が含まれているかもしれません。もしそうならそれは本当に驚くべき発見であり、書法の歴史を全面的に修正する可能性があるのです。
前へ (格体系) : 上へ (シュメール語文法入門 メインページ) | [
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| null | = シュメール語の楔形文字について=
シュメール語の楔形文字を読み始める前に、楔形文字一般の概念や問題とシュメール語の楔形文字特有のことについていくつか紹介していきたいと思います。少々お付き合いください。あくまでシュメール語の入門書ですから、それほどの時間はとらせません。
<!-- Before we get into the nitty gritty of reading Sumerian in cuneiform, we should probably first take a look at some of the concepts and issues involved with cuneiform in general, and Sumerian cuneiform in particular. A few of these details are laid out below. A lot more can be said, but as this is a course on Sumerian I won't spend too much time on the topic. -->
== シュメール語はどう書かれたか ==
[[File:Sumerian_26th_c_Adab.jpg|300px|right]]
シュメール語について学んだあなたは、実際に読んで見たいと思っていることでしょう。おそらくは、それが楔形文字で書かれていることも知っているはずです。しかしそれは実際のところ楔形文字とはどういうものなのでしょうか。楔形文字とは誰が発明して、どのように使われたものなのでしょう?
<!-- Now that you've learned a bit about the Sumerian language, you're probably wondering how to read it. You probably know that Sumerian is written in cuneiform. But what does that mean, exactly? How does cuneiform work? Who invented cuneiform? -->
私達が知るところによると、最初人々はお互いの間の取引や契約のために小さな粘土のシンボルを使用していました。羊や牛を象った紀元前3500年ごろの遺物が見つかっており、原始的な計数法の存在を示唆しています。おそらくですが、この種の視覚的なシンボルからやがて抽象的な概念を粘土の上に表現したいという欲求が生じたのではないでしょうか。紀元前3000年ごろまでにはすでに興味深い記号が書き残されたものが見つかっていて、より複雑な概念が表現されていることがわかります。これらの遺物が何を意味しているのか、あるいは個々のシンボルをどのように解釈すべきかを知ることは依然困難な仕事です。未だ多くの作業が進められており、非常に重要な分野になっています。人間の文明の歴史上、独立した文字の発明が行われたのはわずかに4回か5回程度で、そのプロセスを理解することは本当に重要なことなのです。残念ながらシュメール語自体を十分に理解できていないため初期シュメール語の解読を難しくしています。
<!-- To the best of our knowledge, people started using symbols on small clay objects to represent legal contracts between people. We have some artifacts from circa 3500 BC that show things like sheep and oxen, with rudimentary counts and numbers. Our best guess is that this kind of visual symbology lead, eventually, to the desire to express more abstract ideas in clay as well. By 3000 BC, we start seeing more interesting symbols being written down, and more complex ideas being represented. It is still very difficult to know what all these artifacts mean, or even how we should interpret many of the individual symbols. There is a lot of work yet to be done on this topic - but very important work! Writing has only developed independently four or five times in the course of human civilization, and we really would like to understand that process better. Unfortunately, we are at a great disadvantage being so temporally removed from early Sumerian, as well as not really understanding Sumerian itself, making early decipherment even more tricky. -->
紀元前2100年ごろになると、過去のぎこちない象形文字は姿を消し、完全な形の書法が現れます。純粋な表音文字や、テキストの読み書きを補助するための発音されない記号も持っています。これが私達が読もうとしている楔形文字の始まりですが、他のどのような媒体とも同じように、その後千年の間使われ続けている間には長い歴史と大きな変化を経ていることを忘れないでください。
<!-- By 2100 BC or so, we see a complete and fully-formed writing system - nothing like the clunky logographs of the past. Now, we have symbols that are purely phonetic, as well as [http://en.wikipedia.org/wiki/Determinative taxograms], which are not pronounced at all, but are purely to assist in the reading and writing of the text! This is the cuneiform we'll be mostly interested in for a starting point, but remember that cuneiform, just like any other medium, had a long history and evolution before this time, and continued to be used for millenia afterward. -->
とはいえこのよく整った状態であってもそこには書法についてのいくつかの未解決の疑問や、書き残された文字自体の問題があり、楔形文字とそれによって表現された言語との両方ともに理解の難しさがあります。あなたが良い謎を楽しめるたちであれば、シュメール語の楔形文字は最高のものの一つです。今日私達が知っている多くの知識は、僅かな情報をもとに協力して取り組んだ初期のシュメール語学者の技術と直感の証なのです。
<!-- But even in this well-formed state, there are quite a few open questions about the system, and quite a few problems inherent in the script itself that make understanding both cuneiform and the language it is trying to represent quite difficult. If you enjoy a good mystery, Sumerian cuneiform is one of the best. It is a testament to the skill and intuition of the early Sumerologists that we know as much as we do today, considering the paucity of data they had to work with! -->
== シュメール語と楔形文字の問題==
<!-- == Problems with Cuneiform and Sumerian == -->
[[File:Sumerian-akkadian lexicon Louvre AO7662.jpg|300px|right]]
シュメール語楔形文字の問題の幾分かは、文字の起源自体に根ざしています。もしあなたが地平線から昇る日を描いて「一日」を表したとして、それでは「夜明け」はどのように表現しますか? あるいは「夕焼け」は? 「正午」は? また絵を描いただけでは実際の発音との関係を表現することはできません。それに「解決」とか「いつ」という概念をどう描きますか?
<!-- Some of the problems we have with Sumerian cuneiform are rooted in the origins of the script. If you draw a picture of a sun rising above the horizon as a representation of ''day'', how do you represent ''dawn''? ''Dusk''? ''High noon''? Also, if you're just drawing pictures, you don't have any explicit connection to the actual phonology - the pronounciation of the word for ''day'', for example. Also, how do you draw the concept of ''resolve''? Or even ''when''? -->
=== シュメール語からの助け ===
私達はシュメール語自体から、楔形文字の書き方について役立つ助けを得ることができます。これまで見てきたように多くのシュメール語の単語は短い一音節からなり、多くの同音異義語を持っています。このため実際には「いつ」の象徴的表現を見つけるためのシュメール人の苦労の跡は見つかりません。シュメール語の'''ud'''は「一日」を意味すると同時に「いつ」という前置詞でもありました。だから彼らは「いつ」のための新しい楔形文字を作る代わりに地平線から昇る朝日のシンボルを再利用することにしました。このようにして、私達はシュメールの音韻論についても知ることができます。同じ発音の言葉には同じ字を使うため、どの語が同音異義語であるのかを簡単に知ることができるのです。(もちろんかれらは同音異義語に対して文字を使い分けることもしました。シュメール語の'''lil'''は「愚か者」を意味しますが、「風」を意味する場合には違う字を使いました)
<!-- We get some helpful clues from Sumerian itself, when written in cuneiform. As we've already seen, a lot of Sumerian words were short one-syllable forms, and as such, there were a lot of homophones (words that sound the same but have different meanings - think ''mount'', as in saddle, versus ''mount'', as in mountain). Because of this, we don't actually see the Sumerians struggle to find a symbolic representation for ''when''. It turns out that the Sumerian word '''ud''', which is the word for ''day'', is also a homophone for the preposition ''when''. So instead of finding a whole new cuneiform symbol for ''when'', they just re-used the sun-rising-over-the-horizon symbol. In this way, we can find out a lot about Sumerian phonology - we can learn which words were homophones very easily, as they use the same picture for different words that sound alike. (Of course, they also had different symbols for homophones, too - Sumerian '''lil''' meant ''fool'', written one way, but it meant ''breeze'' when written a different way.) -->
別の大きな情報源は純粋な表音文字です。幸運なことに、シュメール人は接辞を追加するときに音のつながりを記述することを好んでいて、例えば'''lugal.ani'''を楔形文字で記述するときに'''lu-gal-la-a-ni'''という風に書くことがありました。'''lugal''' の最後の"l"の音を次の母音につなげて'''la'''の文字を書くわけです。この種の記法は私達にとって大きな助けとなりました。語の音韻について直接の証拠がない場合にも、'''la-a-ni''' という文字を見つけたらその前の語が''l'で終わることに賭けてもいいでしょう。このような言語内部の比較を通じて私達はシュメール語の音韻概念を構築することができました。とはいえ使われる頻度の低く手がかりのない語についてはどうでしょう。それらが何を意味しているのか、どうすればわかるでしょうか?
<!-- Another huge source of information comes from the purely phonetic symbols. Lucky for us, Sumerian scribes liked to "chain" sounds together when adding particles. So '''lugal.ani''' might be written in cuneiform as '''lu-gal-la-a-ni'''. The "l" sound at the end of '''lugal''' was chained to the vowel in the next syllable to make '''la'''. This type of writing is extremely helpful to us now - seeing as we have no direct phonetic evidence in Sumerian, we can at least make good guesses that when we see the '''la-a-ni''' symbols, it's a good bet that the preceding word ended in an "l" sound. Using these types of internal comparisons, we can build up a phonetic idea of what Sumerian was like, but for symbols that show up less frequently, we're still in the dark. How can we figure out what these symbols mean? -->
=== アッカド語からの助け ===
<!-- === Help from the Akkadians === -->
もう一つの巨大な情報源はアッカド語の書記から得られました。シュメールで時は流れ、アッカド語の普及と共にシュメール語は死語になっていきました。理由はわかりません。アッカド語を話す王たちの侵略により強制的な言語の置き換えが進められたのかもしれません。自然の摂理によるものかもしれません。いずれにせよ、この地域を支配した王達は公式の文書ではシュメール語を使い続けました。古い偉大な王が使った荘重な言語という感覚が新しい王にも植え付けられていて、王権の権威のために用いられていたのかもしれません。
<!-- A huge source of information comes to us from Akkadian-speaking scribes. As time went on in Sumer, the Sumerian language died out in favor of Akkadian as the mother tongue. We're not sure why - maybe it was due to the invasion of Akkadian speaking kings who mandated a language change, and maybe it just died out for natural reasons. Whatever the case, we do know that the Akkadian-speaking kings of the region liked to use Sumerian writing for official documents, probably because it came with a great sense of grandeur, having been used by the great kings of old, and hopefully instilling anything the new kings had written with a sense of authoritarianism and entitlement. -->
意図はともかく、現実にはアッカド語話者の書記の一団はすでにほとんど死語になっていたシュメール語を書くことを余儀なくされました。そうとう難儀なことだったことでしょうが、おかげで私達には大きな恩恵がありました。書記官達はアッカド語のある単語がシュメール語でどう翻訳されるのかを忘れてしまわないよう、立派な翻訳辞書を編纂してくれたのです。なんという宝でしょう! 私達はこれらの粘土板のいくつかを見つけることができました。アッカド語については十分な解読が進んでいるため、アッカド人が利用した膨大な量のシュメール語の単語を自動的にあてはめることができました。もちろん翻訳の常としてあらゆる言語から他の言語への翻訳はニュアンスの欠如を伴います。またいくつかの間違いも見つかっていますが、それでもこの二言語のテキストはシュメール語の楔形文字の理解に大きく役立ちました。シュメール語の文書でまれにしか出現しないような言葉をこれらの辞書なしで翻訳することは不可能だったことでしょう。
<!-- Regardless of motivation, the reality was that a bunch of Akkadian speaking scribes were being forced to write in Sumerian, almost a dead language by this point. It must have been quite annoying for them, but it's a great boon for us. That's because the scribes had to compile big translation dictionaries, so no one would forget what the Sumerian translation of a given Akkadian word was. What a treasure! We have found some of these tablets, and as we have a pretty firm understanding of Akkadian, we are automatically treated to a huge list of Sumerian words that Akkadians used. Now, of course, these are all just translations, and translations from any language to another invariably lose some nuances, and we even see some scribal errors here and there, but by and large these bilingual texts contribute enormously to our understanding of Sumerian cuneiform. Some words that occur very infrequently in Sumerian texts would be almost untranslatable without these lexical lists. -->
== 楔形文字の発展 ==
<!-- == The Evolution of Cuneiform == -->
先にも書きましたが、楔形文字は固定された体系ではありません。長い時間とともに進化し、書記の要求に役立つよう形を変えました。アッカド人が自分たち自身の言語を記すためにこの体系を借用したときには、いくつかの文字の意味の変化だけでなく書体や記号にも大きな変化が見られます。アッカド語の音節やその出現頻度はシュメール語のそれとは大きく違うため、書字法にいくつかの変更を加えたいと考えるのは当然のことでした。この移行は単純なものではありませんでした。シュメール語とアッカド語は完全に異なる言語ファミリに属しており、多くの構文構造は完全に放棄され、その代わりとなる多くの新しい単語や接辞が作成されました。
<!-- As mentioned before, cuneiform wasn't a fixed system. It evolved greatly over time, morphing to serve the desires of the scribes using it. When Akkadians usurped the system to write their own language, for instance, we see great changes in writing styles and symbols, as well as changes in the meanings of some symbols. Akkadians didn't use all the same syllables as Sumerians, after all, and certainly not in the same frequencies, so it only makes sense that they would want to make some changes in the way the script was written. This transition was not a simple one, as Sumerian and Akkadian are from completely different language families, meaning many syntactic constructs had to be completely abandoned, and many new words and particles created to fill the gaps. -->
このような傾向は改められた文字がメソポタミア周辺のさらに多くの地域に広まるとともに加速しました。ヒッタイト人や古代ペルシャ人が手にしたときには、文字は印欧語にも対応する必要がありました。最後に、ウガリト族の誰かがこのような全てのことにうんざりして、一揃いの「アルファベット」を発明することにしました。ウガリト語の文書は一音が一文字に対応した、かなり良い表現のアルファベットとして見つかっています。この書字革命はシュメール時代には発見されなかったので、私達は表語文字と音節文字の入り混じった楔形文字にとらわれているというわけです。
<!-- This trend only increased as the script was modified and distributed to even more regions around Mesopotamia - when the Hittites and Old Persians got hold of it, the script needed to serve the Indo-European languages as well. Finally, someone in Ugarit got fed up with the whole thing, and decided to invent an "alphabet" of sorts - Ugaritic texts are found with a fairly good representation of an alphabet, with one symbol per sound. Unfortunately for us, this revolution in writing wasn't discovered in Sumerian times, so we're stuck with the mostly logographic/syllabic style of cuneiform. -->
== シュメール語の楔形文字についての疑問 ==
<!-- == Questions about Sumerian Cuneiform == -->
まだ明かされていない重要な疑問は、楔形文字の最初の起源についてです。楔形文字で記述したものが見つかった最も古い言語がシュメール語であることから、シュメール人がそれを発明したものと考えられてはいます。ただし知られているように初期に書かれたのは粘土上のただのシンボルに過ぎません。どんな言語であれ同じように見えたでしょう。実際にはそれは全く言語と呼べるものではありませんでした。そこには文法も構文も、言語とそれ以外の何かをわける何物もなかったのです。
<!-- One important question remains unanswered regarding the earliest origins of cuneiform. We assume, by and large, that the Sumerians invented cuneiform, as it is the first language that we can definitively identify to be written in cuneiform. But, as we know, early writing was just symbols on clay - it really could have been any language at all being written! In fact, it wasn't even "language" at all. There was no syntax, no grammar in those early texts to point to one language versus another. -->
ですから長い間私達はシュメール人が楔形文字を発明したのだと仮定していました。これは科学的な手法です。言語学者は、知られている事実に即した最も簡単な説明を考えたわけです。この場合は、シュメール語を話す誰かがシュメール語の記法を発明したというものです。
<!-- So, for many years, we all assumed that cuneiform was invented by Sumerians. This is how science works - linguists just thought up the simplest explanation that conformed to the known facts at hand, and the simplest explanation in this case was that somebody in Sumer speaking Sumerian invented writing. -->
残念なことにこの単純な仮説は、筆記体系としての楔形文字に対する多くの研究が進むに連れ、緊張の兆候を見せるようになりました。シュメール学者はこの文字が彼らの言語にうまく適応していないように見えることに疑問を持ちました。例えば、なぜテキストには非常に多くのバリエーションがあるのでしょうか? 文字を発明した元の言語にはシュメール語とは異なる音素のセットがあったからでしょうか? シュメール人は彼らの言語を他者の発音に「適合」させようと試みたのでしょうか? それとも――おそらくは、単純な事実として時の流れにより変化した言語に文字の変化が追いつけなかったという可能性もありましょう。これはよい科学の題材です。私達は直面した多くの反対証拠を前にしたとき、仮説を変更することを恐れてはいけません。
<!-- Unfortunately, this simple hypothesis started to show signs of strain as more and more research was done on cuneiform as a writing system. Sumerologists started to question why the script seemed so ill-adapted to the language. Why, for instance, are there so many variations in the texts? Is it because the original language the script was invented for had a different phonetic inventory than Sumerian? Were the Sumerians just trying to "fit" their language onto someone else's sounds? Or perhaps it is the simple fact that languages change - over time, it's completely possible that Sumerian changed internally so much that the script simply couldn't catch up. This is just good science - we have to be willing to change our hypothesis in the face of contrary and overwhelming evidence. -->
この場合は証拠はずっと遠くにあります。全体の問題は未だに未解決で、さらなる研究に値するものです。これらの初期の粘土板や遺物には、いまだ識別されていない別の言語の文章が含まれているかもしれません。もしそうならそれは本当に驚くべき発見であり、書法の歴史を全面的に修正する可能性があるのです。
<!-- In this case, the evidence is nowhere near overwhelming. The whole issue is still an open question, and one that deserves more research. If those early tablets and artifacts do, in fact, contain the writings from a different, as yet unidentified, language, it would be a really tremendous discovery, and it could modify the whole way we see the early history of writing. -->
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24,483 | シュメール語/文法入門/動詞の鎖 | シュメール語の動詞は最初は少々難物と言えます。シュメール語は膠着語であり、多くの分離した語を並べるかわりに接頭辞や接尾辞の付着により単語の意味を形作ります。複数形標識.eneや所有接辞、格助詞などこれまでいろいろ見てきましたから、接尾辞にはずいぶんお馴染みになってきたことと思います。
さて、動詞の形成には接尾辞だけでなく接頭辞も使います。例を見てみましょう。
動詞の形を説明するために、まずは基本となる語du「建てる」に付着している接辞の連鎖について見ていきましょう。ちなみにシュメール語を読んでいるとき、この例のように括弧をつけた語が出てくることがあります。これは原文にはない語なのですが、翻字の際に意味を取りやすくするため便宜上付加されたものです。
まずは唯一付着している接尾辞.Øについて見てみましょう。これは他動詞の目的語(Patient)が三人称単数の場合を示すものです。この場合はゼロ(つまり実際には接尾辞は存在しません)ですが、他の人称の場合は別の接尾辞が付きます。
次に接頭辞を動詞から近い順に見ていきましょう。(n.)は他動詞の主語(Agent)が三人称単数であることを示すものです。同じように、他の人称の場合は別の接頭辞が付きます。
続いて、na.は文中にある名詞句が与格であることを示してくれるものです。 (この節翻訳未了)
Next, na. is basically a reference -- it tells us that somewhere else in the sentence we had a noun phrase that was in the dative case. This is typical in Sumerian -- for many of the cases, we will "resume" the presence of a phrase in that case with a prefix to the verb chain. More on this later.
最後に残ったmu.' ですが、現在のところ言語学者たちはこれが来辞法(Venitive)を表示するものであるという見解を示しています。別の人達は「活用前置詞(Conjugation Prefix)」と呼んでおり、その解釈は明らかにしていません。つまりはよくわかっていないのです。
ふう!これで私達はすべての接辞をみてきたので、動詞の形を分析するには接頭辞と接尾辞を分解してそれぞれを順番に調べればいいということがわかりました。それぞれが動詞や文に対して少しずつ情報を提供してくれるわけです。より正確な分析はまだこれからですが。
このように動詞を構成要素に分解する習慣はシュメール語にとって非常に重要なことです。この動詞の連鎖は語幹に8か9の接辞がつくような、とんでもない複雑なものになることがあります。言うまでもなくこれは重要な研究分野であり、私達はすべての接辞の相互作用についてまだまだ学ぶことがあります。
それではそれぞれの部分の詳細について見ていくとしましょう。
シュメール語の動詞の鎖のそれぞれの輪について見ていきます。
シュメール語では動詞は通常単純な一音節からなります。典型的にはCVC(子音‐母音‐子音、例えばdug)かCV(例えば上で見たdu)のようなものです。
このような動詞のシンプルな構造はふたつの興味深い概念を導きます。ひとつめはシュメール語の言語自体に取り入れられている概念で、単純な修正により動詞の意味を変化させられるというものです。dugのような短い動詞を二つ重ねて(畳語といいます)dug.dugとしてみましょう。これは動詞をĥamtuと呼ばれる形からmaruという形に変化させるものです。これについてはまた後で記すことにしますが、ここで重要なのは語幹が単純な形式に制限されていることでこの種の改変がかなり自然に可能になるということです。(例えば英語の"reduplicate"という動詞を重複させてみるとして、"reduplicatereduplicate"なんていうのは誰にとっても簡単なことではありません!)
第二に、このような動詞の形の乏しさはしばしば同音異義語(ここでは同じ文字で記された語が複数の意味を持つことを指します)に繋がりやすいということです。単純な文章であっても動詞は多種多様なものが必要になり、簡単すぎる動詞の形では不十分だからです。さて、通常一音節からなる非常にコンパクトな形式の単語を持つ言語には他の例もあります。例えば中国語ですが、話者は通常意味を区別するために声調を用います。例えば高く伸ばしたマーは母親を、一度下げてから上げるマーは馬を意味します。これらの意味を区別するための声調がなかったら、侮辱的な事態が発生しかねないですよね。
というわけで、幾分かの言語学者達はシュメール語が声調言語であるという仮説を立てています。良い指標はたくさんあるのですが、多くの同音異義語(特にかなり一般的な動詞)でこのアイデアを支持する十分な証拠がありません。特に私達に彼らの言語とシュメール語との間の対訳表を遺してくれたアッカド人の書記がこのような現象を知っていたなら、何らかの形でコメントを遺してくれていたはずです。また他の声調言語と同様、シュメール語の書字法も声調を記録する方法を編み出していたはずだと思えます。
いずれにせよ、たいして心配する必要はありません。大概の場合は文脈から、または他の碑文との類似から明らかにすることができます。重要なのは、シュメール語の動詞の簡単な音韻構造により、形の単純な修正を認識しやすいということです。
文中に他動詞の主語(Agent)や目的語(Patient)が存在する場合、シュメール語では動詞の鎖に接辞を挿入して問題の名詞句との相互参照を行います。どこに配置するかはいくつかの可能性がありますが、とりあえずは主語の参照を語幹の直前に置き、目的語の参照がその前に連なるとしておきましょう。次のレッスンで詳しく説明します。
主語と目的語の間の相互参照のように、シュメール語では他の名詞句との間の相互参照がよく行われます。文中に与格の名詞句がある場合は動詞の鎖の中に与格の接辞が相互参照され、共格の名詞句があれば共格の接尾辞が相互参照されるのです。こちらも次のレッスンで具体的な例を見ていきます。今のところはシュメール語は文中の名詞句と動詞の鎖を関連付けるのが好きだということを覚えておいてください。
信じてもらえるかどうかわかりませんが、実は上に挙げた単純な動詞にはまだもう一つ接頭辞を追加する余地があります。それは叙法の接頭辞(Modal Prefix)と呼ばれるもので、法を示すものです。言語学における法(mood)は特別な意味を持っています。直説法(ジグラットが燃えた)とか命令法(ジグラットを燃やせ)には馴染みがあるでしょう。そのどちらも、また他のものもシュメール語にも揃っています。非常に多く使われる法である直説法は、叙法接頭辞が置かれるべき場所(動詞の鎖の先頭)に接頭辞がないことで示されますし、その他の場合はそれぞれの叙法接頭辞を明示することで示されます。
今これらの全てについて知る必要はありません。このリストはシュメール語の書記がどのような種類の法を使っていたかを見せるためのものです。これらの多くは後のレッスンで詳しく説明します。 (訳注:残念ながらまだ英語版でも追加の説明はないようです)
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| null | = 動詞の鎖構造について =
<!-- = An Introduction to The Sumerian Verb Chain = -->
シュメール語の動詞は最初は少々難物と言えます。シュメール語は[[w:膠着語|膠着語]]であり、多くの分離した語を並べるかわりに接頭辞や接尾辞の付着により単語の意味を形作ります。複数形標識'''.ene'''や所有接辞、格助詞などこれまでいろいろ見てきましたから、接尾辞にはずいぶんお馴染みになってきたことと思います。
<!-- The verb in Sumerian can look a little daunting at first. Sumerian is an ''[http://en.wikipedia.org/wiki/Agglutination agglutinating]'' language, which means that instead of using lots of small separate words, we use lots of small affixed particles to affect meaning. We've already seen this before, in the plural marker '''.ene''', the possessive suffixes, and case markers. So we're already familiar with suffixes in general. -->
さて、動詞の形成には接尾辞だけでなく接頭辞も使います。例を見てみましょう。
<!-- Now, the verb uses prefixes as well as suffixes to make well-formed words. An example we've seen before is: -->
# '''mu.na.(n.)du(.Ø)'''
動詞の形を説明するために、まずは基本となる語'''du'''「建てる」に付着している接辞の連鎖について見ていきましょう。ちなみにシュメール語を読んでいるとき、この例のように括弧をつけた語が出てくることがあります。これは原文にはない語なのですが、翻字の際に意味を取りやすくするため便宜上付加されたものです。
<!-- As an introduction to the verb form in Sumerian, let's take a closer look at this chain of affixes attached to the base, '''du''', meaning "to build". -->
<!-- Incidentally, whenever you're reading Sumerian, you're likely to encounter parts of words in parentheses, or sometimes even whole words. This generally means that in the original source material, we actually don't see the form given, but we put it in there in the transliteration for convenience. -->
=== 動詞の目的語(Patient)の人称の表示===
<!-- === Marking the Patient of a verb === -->
まずは唯一付着している接尾辞'''.Ø'''について見てみましょう。これは[[w:アラインメント (言語学)|他動詞の目的語(Patient)]]が三人称単数の場合を示すものです。この場合は[[w:ゼロ (言語学)|ゼロ]](つまり実際には接尾辞は存在しません)ですが、他の人称の場合は別の接尾辞が付きます。
<!-- First, the single suffixed particle is the '''.Ø'''. This just signifies that we had a [http://en.wikipedia.org/wiki/Ergativity Patient] which was 3rd person singular. Other persons and numbers have different suffixes, but this one happens to be the null suffix. -->
=== 動詞の主語(Agent)の人称の表示 ===
<!-- === Marking the Agent of a verb === -->
次に接頭辞を動詞から近い順に見ていきましょう。'''(n.)'''は[[w:アラインメント (言語学)|他動詞の主語(Agent)]]が三人称単数であることを示すものです。同じように、他の人称の場合は別の接頭辞が付きます。
<!-- Now let's look at the ''pre''fixes from closest-in to farthest-out. The '''(n.)''' is there to let us know that our [http://en.wikipedia.org/wiki/Ergativity agent] was 3rd person singular (again, other persons and numbers have different prefixes). -->
=== 与格(Dative Case)の表示 ===
続いて、'''na.'''は文中にある名詞句が与格であることを示してくれるものです。 (この節翻訳未了)
Next, '''na.''' is basically a reference -- it tells us that somewhere else in the sentence we had a noun phrase that was in the dative case. This is typical in Sumerian -- for many of the cases, we will "resume" the presence of a phrase in that case with a prefix to the verb chain. More on this later.
=== 来辞法(Venitive)の表示 ===
最後に残った'''mu.'''' ですが、現在のところ言語学者たちはこれが来辞法([[w:en:Andative and venitive|Venitive]])<ref>吉川守, 「[https://doi.org/10.11435/gengo1939.1978.21 シュメール語のVentive ((来辞法)) とIentive ((去辞法)) について]」『言語研究』 1978年 1978巻 73号 p.21-42, {{doi|10.11435/gengo1939.1978.21}}。</ref>を表示するものであるという見解を示しています。別の人達は「活用前置詞(Conjugation Prefix)」と呼んでおり、その解釈は明らかにしていません。つまりはよくわかっていないのです。
<!-- Finally, we have the '''mu.''' at the very front. At present, scholars seem to feel that this is the "[http://en.wikipedia.org/wiki/Ventive Ventive]" prefix. Others still prefer to call it a "Conjugation Prefix", and not commit to an interpretation. We just don't know! -->
== 全体図 ==
ふう!これで私達はすべての接辞をみてきたので、動詞の形を分析するには接頭辞と接尾辞を分解してそれぞれを順番に調べればいいということがわかりました。それぞれが動詞や文に対して少しずつ情報を提供してくれるわけです。より正確な分析はまだこれからですが。
<!-- Whew! Now that we've looked at each affix, we notice something. Namely, to analyze a verb form, we just need to break it up into its prefixes and suffixes, then examine each of those in turn. Each one will give us a little more information about the verb or the sentence. A truer use of analysis has never been made. -->
このように動詞を構成要素に分解する習慣はシュメール語にとって非常に重要なことです。この動詞の連鎖は語幹に8か9の接辞がつくような、とんでもない複雑なものになることがあります。言うまでもなくこれは重要な研究分野であり、私達はすべての接辞の相互作用についてまだまだ学ぶことがあります。
<!-- This practice of breaking down a verb into its component pieces is extremely important in Sumerian. The verb chains can get almost ridiculously complex, with 8 or 9 affixes attached to a stem. Needless to say, this is an important area of study, and we still have much to learn about the interactions of all the particles. -->
それではそれぞれの部分の詳細について見ていくとしましょう。
<!-- We are now ready to look at some of these pieces in more detail. -->
= シュメール語の動詞の鎖 =
シュメール語の動詞の鎖のそれぞれの輪について見ていきます。
<!-- Let's take a look now at each piece of the Sumerian verb chain. -->
== 動詞の語幹 ==
シュメール語では動詞は通常単純な一音節からなります。典型的には''CVC''(子音‐母音‐子音、例えば'''dug''')か''CV''(例えば上で見た'''du''')のようなものです。
<!-- In Sumerian, verbs usually come in simple one syllable chunks, typically in ''CVC'' (consonant-vowel-consonant, e.g. '''dug''') or ''CV'' (e.g. our friend '''du''' from above). -->
=== 畳語(Reduplication) ===
このような動詞のシンプルな構造はふたつの興味深い概念を導きます。ひとつめはシュメール語の言語自体に取り入れられている概念で、単純な修正により動詞の意味を変化させられるというものです。'''dug'''のような短い動詞を二つ重ねて([[w:畳語|畳語]]といいます)'''dug.dug'''としてみましょう。これは動詞を'''ĥamtu'''と呼ばれる形から'''maru'''という形に変化させるものです。これについてはまた後で記すことにしますが、ここで重要なのは語幹が単純な形式に制限されていることでこの種の改変がかなり自然に可能になるということです。(例えば英語の"reduplicate"という動詞を重複させてみるとして、"reduplicatereduplicate"なんていうのは誰にとっても簡単なことではありません!)
<!-- This simple structure for verbs leads to a couple of interesting ideas. First, an idea employed by the Sumerian language itself, is that we can make simple modifications to verbs to alter their meaning. With a short verb like '''dug''', we might simply double it (called [http://en.wikipedia.org/wiki/Reduplication reduplication]) to read '''dug.dug'''. In this case, it alters the verb from what is called the '''ĥamtu''' form to the '''maru''' form. We'll discuss what these are a little later, but the important thing to note here is that restricting ourselves to relatively simple forms allow this type of alteration fairly naturally. (Contrast the reduplication of some English verbs, like "reduplicate" for example -- it's hard to imagine people saying "reduplicatereduplicate" in any context!) -->
=== 同音異義語と声調の可能性について ===
<!-- === Homophones and the possibility of Tonality === -->
第二に、このような動詞の形の乏しさはしばしば[[w:同音異義語|同音異義語]](ここでは同じ文字で記された語が複数の意味を持つことを指します)に繋がりやすいということです。単純な文章であっても動詞は多種多様なものが必要になり、簡単すぎる動詞の形では不十分だからです。さて、通常一音節からなる非常にコンパクトな形式の単語を持つ言語には他の例もあります。例えば中国語ですが、話者は通常意味を区別するために[[w:声調|声調]]を用います。例えば高く伸ばしたマーは母親を、一度下げてから上げるマーは馬を意味します。これらの意味を区別するための声調がなかったら、侮辱的な事態が発生しかねないですよね。
<!-- Second, these almost sparse verb forms lead very often to [http://en.wikipedia.org/wiki/Homophone homophones] -- two verbs that are written the same way, but mean different things. There simply aren't enough simple verb forms to handle the wide variety of verbs needed in even simple writings. Now, there are a few other languages where word forms are typically very compact, one syllable or so. In these languages, take many Chinese dialects for example, speakers typically use [http://en.wikipedia.org/wiki/Tonal_language tone] to differentiate meaning. The Chinese word "ma" spoken with a high pitch, for example, means "mother", while when spoken with a falling-then-rising tone means "horse". Imagine the insults that might arise if tonality were not present to disambiguate these meanings (among others)! -->
というわけで、幾分かの言語学者達はシュメール語が声調言語であるという仮説を立てています。良い指標はたくさんあるのですが、多くの同音異義語(特にかなり一般的な動詞)でこのアイデアを支持する十分な証拠がありません。特に私達に彼らの言語とシュメール語との間の対訳表を遺してくれたアッカド人の書記がこのような現象を知っていたなら、何らかの形でコメントを遺してくれていたはずです。また他の声調言語と同様、シュメール語の書字法も声調を記録する方法を編み出していたはずだと思えます。
<!-- So, some scholars have hypothesized that Sumerian was, in fact, a tonal language. While there are many good indicators for this, principally in the large number of homophones (particularly in fairly common verbs), there simply isn't enough evidence to support the idea yet. Particularly, one would expect that the Akkadian scribes, who later gave us so many interesting and useful translation tables between their language and Sumerian, would have noticed and somehow commented on this phenomenon. Also, the Sumerian writing system, one might imagine, would have developed a way to capture tonality in the script, as has happened in most other tonal scripts. -->
いずれにせよ、たいして心配する必要はありません。大概の場合は文脈から、または他の碑文との類似から明らかにすることができます。重要なのは、シュメール語の動詞の簡単な音韻構造により、形の単純な修正を認識しやすいということです。
<!-- In any case, it is seldom necessary for us to worry about this. Most readings are clear from context or from similarity to other inscriptions. The important thing about the simple phonological structure of the Sumerian verb is that it makes it easy to recognize simple modifications of that very form. -->
== 人称接辞 ==
文中に他動詞の主語(Agent)や目的語(Patient)が存在する場合、シュメール語では動詞の鎖に接辞を挿入して問題の名詞句との相互参照を行います。どこに配置するかはいくつかの可能性がありますが、とりあえずは主語の参照を語幹の直前に置き、目的語の参照がその前に連なるとしておきましょう。次のレッスンで詳しく説明します。
<!-- Whenever there is an agent or patient in a sentence, Sumerian puts a particle inside the verb chain to cross-reference the noun phrase in question. Although there are some other possibilities for placement, for now let's just assume that the agent cross-reference goes just before the verbal root, and the patient cross-reference goes after. We'll see these in more detail in the next lesson. -->
== The Dimensional Prefixes ==
<!-- == The Dimensional Prefixes == -->
主語と目的語の間の相互参照のように、シュメール語では他の名詞句との間の相互参照がよく行われます。文中に与格の名詞句がある場合は動詞の鎖の中に与格の接辞が相互参照され、共格の名詞句があれば共格の接尾辞が相互参照されるのです。こちらも次のレッスンで具体的な例を見ていきます。今のところはシュメール語は文中の名詞句と動詞の鎖を関連付けるのが好きだということを覚えておいてください。
<!-- Just like the particles for cross-referencing agent and patient, Sumerian also likes to cross-reference all the other noun-phrases in a sentence. So any noun phrases in your sentence that are marked in the dative case will show up in the verb chain with a dative particle cross-reference, and a comitative noun phrase will have a comitative cross-reference particle. Again, we'll see a real example of this in the next lesson to make things more concrete. For now, just remember that Sumerian likes to tack things onto the verb chain that match up with the noun phrases in the sentence. -->
<!-- == 活用接頭辞(Conjugation Prefixes) == -->
<!-- 原文でも内容が書かれてないのでコメントアウト -->
<!-- == The Conjugation Prefixes == -->
== 叙法接頭辞(Modal prefixes) ==
信じてもらえるかどうかわかりませんが、実は上に挙げた単純な動詞にはまだもう一つ接頭辞を追加する余地があります。それは叙法の接頭辞(Modal Prefix)と呼ばれるもので、[[w:法 (文法)|法]]を示すものです。言語学における法(mood)は特別な意味を持っています。[[w:直説法|直説法]](ジグラットが燃えた)とか[[w:命令法|命令法]](ジグラットを燃やせ)には馴染みがあるでしょう。そのどちらも、また他のものもシュメール語にも揃っています。非常に多く使われる法である直説法は、叙法接頭辞が置かれるべき場所(動詞の鎖の先頭)に接頭辞がないことで示されますし、その他の場合はそれぞれの叙法接頭辞を明示することで示されます。
<!-- In our simple verb in (1) above, there was room, believe it or not, for one more prefix. These are called the Modal Prefixes, and they convey the [http://en.wikipedia.org/wiki/Grammatical_mood mood] of the sentence. In linguistics, mood has a special meaning -- you might be familiar with the English moods of [http://en.wikipedia.org/wiki/Indicative_mood Indicative] ("The ziggurat burned") and [http://en.wikipedia.org/wiki/Imperative_mood Imperative] ("Burn the ziggurat!"). Both of these moods, plus others, occur regularly in Sumerian. As in English, the indicative mood is used quite heavily in normal writing. This mood is marked by having ''no prefix'' at all in the Modal Prefix spot (the head of the verb chain). Other moods are marked by explicit prefixes here. -->
{| border="1"
|+ 叙法接頭辞
! 接頭辞 !! 法
|-
| '''nu.'''
| 否定(Negative)
|-
| '''bara.
| 否定願望(Vetitive), Negative Affirmative
|-
| '''na.'''
| 禁止(Prohibitive), Affirmative
|-
| '''ga.'''
| 勧奨(Cohortative)
|-
| '''ha.'''
| 要求(Precative), Affirmative
|-
| '''sa.'''
| ''<後述>''
|-
| '''u.'''
| 予想(Prospective)
|-
| '''iri.'''
| ''<後述>''
|-
| '''nus.'''
| ''<後述>''
|-
| ''<なし>''
| 直説法
|}
今これらの全てについて知る必要はありません。このリストはシュメール語の書記がどのような種類の法を使っていたかを見せるためのものです。これらの多くは後のレッスンで詳しく説明します。 (訳注:残念ながらまだ英語版でも追加の説明はないようです)
<!-- Now, it's not important to know all these right now. The list is here to show you what kinds of options are available to the Sumerian scribe. We'll cover many of these later in more detail. -->
[[シュメール語/文法入門/コピュラ|前へ (レッスン4 コピュラ)]] :
[[シュメール語/文法入門|上へ (シュメール語文法入門 - メインページ)]] :
[[シュメール語/文法入門/シュメール語の文|次へ (レッスン6 シュメール語の文))]]
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[[カテゴリ:動詞]] | null | 2022-12-03T12:38:27Z | [
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24,485 | ゲームプログラミング/3Dグラフィック | 2000年以降、ソニーのプレステ系ハードの3Dレンダリングエンジンは、実はWindowsのDirectXに合わせて作られてあります。 なぜそれが分かるかというと、ゲーム3Dデザイナー向けの3D-CG技法書を読むと、Direct3Dを中心に解説してあるからです。
だからゲーム業界の3Dデザイナーがモデル制作をする際も、Windows向けの3Dモデリングソフトを用いて、ゲーム用の3Dモデルを作っています。なお、テクスチャなどの画像フォーマットは、プレステ2の場合は「TM2」(ティーエムツー)という(おそらくソニー独自の)画像フォーマットです。
実際にゲームで3D-CGを表示したい場合、現在では海外大手ゲームエンジン(UnityやUnreal Engine など)に、すでに既存の有名3D-CGソフト(Autodeskの製品や、フリーソフトならblenderなど)と互換性のある形式で3Dモデルをよみこめて描画できる方式になっている。
なので、商業の仕事の場合には、それらゲームエンジンを使うことになるのが2020年代の今では主流だろうと思われている。(ゲーム産業の仕事では、人件費も考えて、大手の場合なら、わざわざ自作する事はまず無い。日本企業で海外のゲームエンジンに対抗するのも、非現実的だと思われている。)
ゲームソフト会社やゲーム機会社がノウハウを非公開にしているため推測になってしまうが、ゲーム会社は研究機関ではないので、わざわざ自分の手で3Dエンジンをゼロから作ることは普通はせず(と思われている。実態は不明)、なるべく既存のゲームエンジンの内部に組み込まれている3Dエンジンを買ってくるなどして流用するのだろうと、2020年代では世間的にはゲーム産業はそう思われている。
ゲームエンジンは、個人では無料で使えるものもあるが、しかしフリーソフトではない(自由ソフトではない)。特に3Dゲームエンジンは、オープンソースではない。UnityもUnreal Engine も、ソースコードは非公開である(非オープンソース)。
ゲーム業界にかぎらず、こういった非オープンソースの製品のことを一般に「プロプライエタリ」と言います。たとえば、マイクロソフトのWindowsもOfficeソフトもプロプライエタリです。
ともかく、大企業などが大手ゲームエンジンを使う場合、費用を払う必要が生じることもある。(Unity などの利用規格にも、そういった事が書いてあります。)
なお、3Dモデルのデータ形式(ファイルフォーマット)は規格統一があまり進んでいないのが2020年では現状であり、ファイルフォーマットには .fbx形式、.3ds形式、.dxf形式、.obj形式 など、さまざまな形式がある。
また例外としてオープンソースのblender用の.obj形式を除いて、この分野は非オープンソースである商業ソフトが主流になって普及してきた分野であるので、プログラマー向けの資料などもあまり普及していない(企業秘密なので)。
市販の書籍も、ほとんどがイラストレーターなどのクリエイター向けのものであり、プログラマー向けのものは、ほぼ皆無である。
学術的にも、ファイルフォーマットまでは理論が整理されていない。(学術書に書いてあるのは、三角関数などを用いた3D計算の原理まで。)
いっぽう、もし、既存のゲームエンジンに頼らず3D-CGソフトを自作したい場合などには、原理は下記の節のようになるだろう。あるいは、既存の有名3D-CGソフトで扱っている3Dモデルのデータ形式に不満があって、新しい3Dデータ形式を模索する場合なども、自作することになる。
なお3D-CGの汎用ソフトについては、岩波書店の数学書『可視化の技術と現代幾何学』によると、残念ながら日本は欧米IT企業にソフトウェア技術を頼っているのが現状のようであり、どうやらゲーム産業だけでなくCG映画業界でも3Dアニメ業界でも、使用している汎用ソフトには海外製が多く、輸入しているのが現状のようです。そうだと数学者たちに言われています。
モーションキャプチャ・マシンも、一部ではネット検索では国産を謳っている製品も見つかるものの、しかし数学書『可視化の技術と現代幾何学』によるとモーションキャプチャ・マシンの多くが輸入品のようです。。そうだと数学者たちには言われています。
3D-コンピュータグラフィックの計算の方式は、投影面(スクリーン)の形状(おおまかに2種類)と、平行投影か透視投影かの2種類の違いによって、2×2=4種類程度に分かれる。
投影面
投影の方式
一般的には、平面投影と透視投影の組み合わせが単純なので、よく使われる。
大学の3D-CG学などで単に「投視投影」と言った場合、この平面投影での透視投影の方式のことを言う場合が多い。
投影面の種類は主に2~3種類、
くらいである。
このほか、球面投影や、楕円などで考える楕円柱投影や楕円球投影なども理論的にはありうるが、非実用的なので(球面投影に対応した安価な映像デバイスが無い。楕円だと設計のための計算が複雑な割りに、得られる画像も知見もあまり平面投影や円柱投影などと変わらないので)、楕円については考察や説明を除外する。
さて、紹介した平面・円柱の2種の投影面のうち、いちばん単純かつ普及していて実用的な投影面は、平面投影である。
なので、初学者はまず平面投影を中心的に学ぶのが良いだろう。なお、後述する単元での隠面処理のためにカメラの向きの角度計算が必要になるので、円柱投影や球面投影に近い考え方も必要になるので、べつに円柱投影などを学んでしまっても損は無い。
ただし、円柱投影には欠点があり、上下方向と左右方向で透視の縮尺が違うために、視界内で回転する回転体をうまく表現しづらいという致命的な欠点がある。たとえば、回転する音楽レコード盤を見下ろしているとき、円柱投影では、レコードが(工夫しないと)楕円にゆがんでしまう。
球面投影なら、レコードを見ても ゆがんだりしないが、しかし球面投影に適した映写デバイスが存在しない。
なので、結局、ふつうは平面投影で計算することになる。
さて、じつは、平面投影と円柱投影の2つの方式を比べた場合、得られる画像が微妙に異なる。カメラが向きを変えたときに、どのくらい視界内で被写体の位置が変化するかが、それぞれの投影面ごとに変化する。
そして、特に観測者の真横に近い位置になると、特に被写体の動きの変化量の違いが大きくなる。
平面投影の方式の場合、投影面が観測者の視界の向きで、少し前方にあるので、そもそも真横に近い場所にある物体は正投影が無理である。
だが、通常の人間の視界では、真横にある物体には意識が向かないので、なので平面投影でも問題ない。
なお、平面投影の欠点をこう聞くと、てっきり「円柱投影や球面投影のほうが視界にできる領域が広そう」(←誤解)に思われるかもしれないが、しかし実際には数値計算の誤差の理由により、つまり、円柱投影では観測者の真横にある物体は、投影のための数値計算(逆三角関数などの計算)のさいのケタ落ちが大きくなるので、円柱投影でも真横の物体の画像の表示は、不正確な表示になる。
なので、平面投影にしろ円柱投影にしろ、結局どちらとも、観測者の真横にある物体のCG画像表示は、そのままでは不正確な表示になってしまう。
円柱面は、幾何学的には「可展面」(かてんめん)である。トイレットペーパーや巻物を考えれば分かるように、円柱はハサミを入れるなどして展開すれば平面に展開することができる。
しかし球面は可展面ではない。なので、もしも球面投影の方式で3D-CGの投影を考えた場合、地図のメルカトル図法やモルワイデ図法などと同様の問題が起きるので、そういった対策が必要になる。
さて、平面投影は、数学的には単に直線と平面の交点を求めるだけの初等的な方式である。また、2次元で考えた場合の計算式(高校1年あたりで習うような、2点を結ぶ直線と、別の直線との交点を求める計算式)を、比較的に容易に3次元に拡張しやすい。
いっぽうで、円柱投影の場合、長所としては、わざわざ交点を求めなくても、(高校で習うような)三角関数の余弦定理などを使える。だが、球面投影や円柱投影の場合の短所として、その「角度」を算出するのが数学的にやや難しいことと、2次元で考えた結果を3次元に対応するのが難しい。
円柱投影の場合、必要な情報は角度だけなので、円柱の半径または球の半径については無限小であると考えてよい(プログラム上では、半径を書かなくても視界画像を算出できるので)。
さて、平面投影・円柱投影のどれでも、透視投影ならば共通する性質がある。
それは、もし視界内に複数の点があり、色の異なる点だとして、視界内で観測者の近くにある点によって、観測者の遠くにある点が隠れるとき、それぞれの点の前後関係は、どの投影面でも同じであるという事である。
まず、観測者のカメラ位置を表す点Aと、1つの被写体を代表する点Bを考える。そして、線分ABを延長した無限長の直線Lを考えよう。
そして、直線L上で、仮に点Cが、点Bよりもカメラから遠い位置に(点Cが)あるとしよう。
このような場合で、もし平面投影の場合は、投影面の平面よりも奥にある被写体だけを写すことを考えている。つまり、点A,点Bなは、ともに投影面よりもカメラから遠い位置にある。なので、空間内での2点A,Bの前後関係には、投影面は何の変化も与えない。
このことから原理的には、空間内での前後関係の判定には、単にカメラから放射状に放出される無数の直線を考えて、それぞれの各直線ごとに、その直線上にある複数の点ごとに、カメラからの距離を算出し、カメラから最も近い距離にある点の色だけを視界に表現すれば、前後関係を原理的には簡単に算出できる(Zバッファ法の実装はおそらく、このようになるだろう)。
Zバッファ法は、アルゴリズム的には単純であるが、計算量について難点があり、カメラから放射状に放出する視界計算用の直線(きっと 何百本~何千本・何万本もある)ごとに、それぞれ前後関係を算出しないといけないので、コンピュータの処理速度の高さなどが必要である。
ただし点ごとにZバッファ法で計算すると計算量が膨大になってしまうので、改良法として、面ごとにZバッファ法を計算するという方法もある。
この面ごとのZバッファ法の場合、あくまで近似的なもので、本来なら「面」でなく「点」でないと数学的には正しく前後関係を判定できないので、前後判定される面の大きさとしては、事前になるべく小さな面として パソコン内では内部処理しておく必要がある。
また、もし一箇所に複数の面があると、うまく前後判定ができない場合の生じることもある。だが普通のゲームでは、そういう一箇所に複数の面が集まる自体はまず無いし、仮に間違った前後判定になっても、事前に面を小さく分割してあれば、間違いの影響も小さくなる。
ただし、面を小さく分割すれば分割するほど、計算量の負担は増えていく。
現在では、GPUなどのグラフィックボードにより、このような面ごとのZバッファ法程度の計算なら、ある程度の新しいパソコンならば、瞬時で可能であろう。
なお、カメラから被写体のあいだの距離のことを「z値」という。Zバッファ法のZとは、そのZ値のことだろう。
Zバッファ法のほかにも「Zソート法」というのがある。「Zソート法」と「Zバッファ法」の違いは、Zバッファ法が各点ごとに計算している一方、「Zソート法」は(点ごと ではなく)大きさをもつ被写体ごとに、奥行きをあらわす値としてZ値を与えておく方式である。
Zソート法は 点ごと ではないので、コンピュータの計算の負担は少ないが、アルゴリズムが複雑化しやすい欠点がある。また、くぼんだ部分のある被写体など、複雑な形状の被写体では、不正確な前後判定になる。
(数値の大きさにもとづいた並べ替え処理はゲームプログラミング/RPG#素早さ順行動のアルゴリズムを参照)
カメラの向きを変えたり、被写体をどこかを中心軸にして回転したあとの座標を計算したい場合は、
単に、高校数学~大学1年程度の行列の理論の、回転行列の公式をつかえばいい。
なお、四元数でも算出できるが、それは単位、3次元行列または4次元行列の計算を、四元数で置きかえただけの仕組みである。
なお、マイクロソフト社Windowsの3D-CGライブラリのDirectXを使うと4×4行列が出てくるが、これは単に、平行移動も回転行列と一緒に行列であつかえるようにするために、次元を1つ増やしてベクトルを4次元にして、対応する行列を4×4行列にしただけのものである。
数学の教育体系的には、大学1年くらいで習う「行列の同次形(どうじけい)」という理論の応用にすぎない。
回転行列にかぎらず、2×2行列はそれと同内容で一対一に対応する3×3の行列がある。
証明は下記のとおり。(なんと、ネットを検索しても、証明がなかなか、みつからない! 数学書には普通に書いてあるんだが・・・。やはり勉強をする手段は、書物を原則とするにかぎる。)
まず仮に)、2次元の入力ベクトル V を
とする。(背理法でないので、特に疑わなくていい。)
そして変換行列 A を
とする。(※ 回転行列でなくてもいいのだが、回転行列を念頭においておくと、次の文の応用がイメージしやすい。)
すると、行列によるベクトルの変換操作は、
は、こう書ける。(ここまで高校3年のいわゆる「数学C」の範囲。年度により、行列が高校課程から抜けたりする時代もあるが。)
そして、平行移動 をこれに加えるには、単に、平行移動の移動方向に等しいベクトルPを用意して、
と、ベクトルPを足し算すればいい。
では、上記をもとに、これから行列の「同次形」の概念を説明する。
まず、行列Aとよく似た3次元行列B
を用意する。この行列Bが、行列Aの「同次形」である。
そして、入力ベクトルVによく似た、つぎの3次元ベクトルFを用意しよう。
積AVと同様に、積BFを(数学Cで習うような行列の積の)定義にそって求めてみると、
この積BFのベクトルの第1次元と第2次元を見てみると、すでに計算ずみのベクトル AV+P の第1次元と第2次元と同じである。
このように、2次元のベクトルに対する行列変換と平行移動(ベクトル同士の加減算)の合成は、3次元のベクトルに対する行列変換だけに置き換えることができる。
この、上述の行列Bのような形の行列が、「行列の同次形」というものである。ひとことでまとめて、上述のBの形の行列のことを「同次行列」ともいう。次元が変わるのに「同次」というのは奇妙(きみょう)だが、この理由は単に、もとになった英語 Homogeneous を数学者が和訳するときに「同次」と翻訳してしまっただけのことである。 Homogeneous とは「同質」・「同類」のような意味である。
なお、同次行列のことを「斉次」(せいじ)行列ともいう。
3次元ベクトルおよびその変換行列も、同様の計算法により、4次元の同次ベクトルと同次行列とに置き換えることができる。
一般に平面投影での透視投影では、計算の単純化のため、カメラの向きはZ軸の方向に固定する。
また、カメラの位置は原点に固定する。
カメラを自転させた場合の映像を描写したい場合は、代わりに被写体すべてを反対方向に回転(交点)させることで対応する。
このような仮定は、広く普及している。
この場合、透視投影は、中学レベルの簡単な相似で計算できるので、じつは簡単な比例式で表される。
あるいは、式をz関連の変数どうしてまとめて書き換えて、
とも書ける。
ただし、投影面の位置を zs とした。(添字sは「スクリーン」のつもり)
また、 z > zs に位置する被写体だけを描画するものとしている。
なお、この仮定の場合、z軸そのものの座標は x=0、y=0 である。
このように簡易で表現力の高い平面スクリーン透視投影にも、いくつか欠点がある。
欠点のひとつは、観測者のナナメ前方にある被写体が、実際よりも大きく見えてしまうことである。
極端な例をあげると、観測者の真横90度の場所に2メートル離れたところにある被写体は、さきほど紹介した公式に当てはめると無限大に拡大して見える。
このような現象の起きる理由は、遠くの物体の縮小率は、変数zだけによって 1 z {\displaystyle {\frac {1}{z}}} 倍に縮小するからである。
なので、どんなに真横で何十メートルも離れた位置にいても、真横だとz=0なので倍率は 1/0 = ±∞ となり、被写体は無限大に拡大して見えることになる。
この対策として、真横に近い物体は最初から描画を除外すればいい。
つまり、視界に入る角度を設定しておき、それはたとえば 右60度~左60度 までを視界と定めておき、そこから外れた物体は描画を除外すればいい。
このような処理を可能にさせるために必要な計算として、現在の視界内での被写体の角度 位置を計算する必要がある。その角度の計算のための単純な方法として、単に三角関数 tan タンジェントを使えばいい。
たとえば、 視界内でのx軸方向の角度として tan x z {\displaystyle \tan {\frac {x}{z}}} 、およびy軸方向の角度として tan x z {\displaystyle \tan {\frac {x}{z}}} を計算して、両方のタンジェントとも両方とも一定値の範囲内なら、描画すればいい。
ただし、この方法では、zは一定値以上(たとえばカメラとスクリーンとの距離)でなければならない。
また、近似的な方法だが、三角関数を計算するのではなく、単に、xが一定値の範囲内、yが一定値の範囲内とする方法もある。このx,yを一定値の範囲内とする方法だと遠方にある被写体を描画できないが、そもそもゲームでは遠方にあるキャラクターなどの描画は不要だろう。
ただし、遠方にある山や川などの景色などは、別の方法で描画する必要があろう。
平面スクリーンの透視投影では、欠点として、投影スクリーンよりも手前にきた被写体は、根本的に描画できない。
かといって、観測者からスクリーンまでの距離を小さくしすぎると、ゲーム的に不便になる場合がある。
妥協案としては色々あるが、ゲームとして面白ければいいので、一例として、もし被写体がスクリーンよりも手前に来たら、それらの被写体の描画だけ平行投影に切り替えるなどの対策があるだろう。
つまり、ゲーム画面は、(スクリーン幕よりも奥の被写体の)透視投影と(スクリーン手前の被写体の)平行投影との合成になる。
さて、被写体の一部がカメラの裏側に回り込んだ場合、上記のように単純に、その点の位置だけで描画の有無をきめる場合だと、
たとえば大きな三角形を描画したい場合など、もし、その三角形の3つの頂点のうちの1点だけですらカメラ裏に回り込んだら、もはやその三角形が一部すらも描画できなくなってしまうが(三角形の描画は3点が必要なので)、これは不合理である(一部の頂点が隠れただけなのに、三角形全体が消えてしまうので)。
このような問題への対策は特に決まってはないが一例として、たとえば図形の各頂点などの座標の位置とは別に、さらに代表位置の座標を用意すればよく、つまり代表の位置のx,y,zの座標の変数をそれぞれ用意するのが簡単であろう。
代表の位置は、べつに重心でも垂心でも三点の平均値でも何でもよく、好きなように決めればいい。(べつに面積計算をするわけではないので、重心でなくてもよいだろう)
カメラはz軸を向いているとする。
点(x,y,z)を平面スクリーン上に平行投影する場合、単に、zを無視して x,y の値がそのままスクリーンに投影される。
ただし、実際には、奥にある被写体は手前の被写体で隠れるので、zソート法などで隠面処理を考えた描画をする必要はある。
もし、(冒頭の章で述べたような)余弦定理による視界の計算をC言語で実行したい場合、
まず、三角関数(逆三角関数も使う)の計算と、平方根の計算が、どうしても必要になる。
C言語で三角関数と平方根を実行させたい場合、標準入出力のヘッダには、これらの数学関数が用意されてないので、
スースコード冒頭にインクルード文
で、まず数学関数のヘッダをインクルードする必要がある。
これさえ分かれば、あとは、画面出力の機能のあるプログラム言語を使えば、原理的には3D-CGのプログラムが作れる。
(ただし、国際規格になっている標準C言語 そのものには、画像表示の機能は無い。なので、もしWindowsの場合、たとえば Visual C++ や Visual C# などを使うことになる。本ページではVisual C++ および Visual C# 固有の話題については省略する。)
3D-CGのプログラムは、かならずしもC言語系の言語である必要は無い。
最低限度に必要なのは、画像表示の機能と、逆三角関数と平方根程度の数学計算の標準ライブラリ関数さえ出来ればよい。
ただし、実際には、キーボードなどからの入力の機能なども必要なので、自分の使用したいプログラム言語で、それらのプログラムの方法も調べる必要がある。
なので、原理的にはスクリプト言語でもよく、たとえば JavaScript や python などでも、かまいません。(しかし3D-CGプログラムの場合、商品となるレベルにするには、処理速度の都合で、C言語系でプログラムするのが普通だが。)
もっとも、多くの実用では、自分でC言語でCGプログラムを作ることはしない場合が多く、既成の DirectX や OpenGL などのプログラムを利用するのが一般的です。
それでも、どうしても自作で3D-CG表示プログラムを作ってみたい場合、まず最低限の知識として、上記の逆三角関数、インクルードの方法、キーボード入力機能をもつプログラミングの作成方法、使用するプログラム言語による画面表示の方法、などの知識があることが前提になる。
これらの知識を持たない場合、先にそれらの知識を習得したほうが良い。
なお、C言語にベクトルや行列の機能は無い。なので、もしC言語系のプログラム言語で、ベクトルや行列などに相当する計算をコンピューターにさせる場合は、まず変数をいくつも宣言して、必要なベクトル計算や行列計算のプログラムを作ることになる。
3次元ベクトルを宣言するには、単に、異なる変数を3個、宣言すればいい。
回転行列などの行列は、ここでは単に、座標ベクトルなどのベクトルの変換作業にすぎないから、行列に相当するプログラムを書けばいい。なので、わざわざ行列をつくる必要も無い。(同様に四元数も、わざわざコード中で宣言して作成する必要は無い。)
で扱う。
なお、自動車運転免許の教習所にあるドライビング・シミュレーターが、 平面ディスプレイをプレイヤー前方の正面・左ナナメ面・右ナナメ面の3面に配置する仕組みになっており、多角柱的な投影面の3面によって擬似的に円柱的・球面的な視界投影面を表現している。
多角柱的な投影面の場合、個々の投影面は平面スクリーン投影に準じるが、投影面全体の関係は円柱スクリーン投影という、やや特殊な事情になる。
ドライビング・シミュレーターのように、コスト的な都合により、ディスプレイそのものを湾曲させることは通常はせず、代わりにディスプレイを複数個配置することで球面的な視界を模擬するのが実際であろう。
原理的にはプラネタリウムなど球面投影も考えられるが、しかしもはやコンピュータ・ゲームの範疇を超えるので、リンク先ではプラネタリウムなどは省略する。上記リンク先では、主に円柱スクリーン投影を扱っているハズである。
まとめると、平面投影にしろ円柱投影にしろ、
ゲーム映像の場合、原則を透視投影にしても結局、スクリーンよりも手前に来た被写体は、(投資投影でなく)平行投影など別の投影アルゴリズムで描写することになります。
また、スクリーンの奥側でも、真横の方向に近い位置にある被写体は、(アルゴリズムにもよりますが)透視投影ではケタ落ち等が起こりやすいので、平行投影などに切り替える必要があります。
このため、角度または内積を基準として、透視投影の描画の条件を満たした角度位置または内積となる被写体の場合にだけ、被写体を透視投影として描画することになるでしょう。
「隠面処理」とは、隠れた面を表示しない方法のこと。
手前の物体で隠れる部分は、当然、画面に表示されないように工夫する必要がある。
たとえば、ある面Aによって、ある面Bが隠される場合、画面にBは表示させないようにする必要がある。
このための手法はいろいろあるが、共通する原理は、カメラからの向きごとにあるそれぞれの向きごとに、その向きにある複数の被写体(面Aと面B)ごとにカメラから被写体の面の距離(z値)を計算しておき、カメラから遠いほうの面が描かれないようにすればいいのである。
単純なアルゴリズムでこれを行うなら、被写体のそれぞれの面に与える情報としては、Z値のほかにも、カメラからの角度も、面の情報として残しておく必要がある。
カメラからの角度が同じ面どうしで、カメラからの距離を比べるわけである。
カメラから近いほうの物体や面を先に描く方法を、Zバッファ法という。(なお、ほかの方式としては、面ではなく点ごとにカメラから近い物体を書く方法もあるが、しかし計算量が膨大になるために処理速度が悪化する。なので、ゲームのCG手法としては、点ごとのZバッファ法は、あまり普及していない。ただし、(処理速度の必要な)ゲームではなく(映像の緻密さの必要な)商業アニメのプリレンダリングなどの場合ならば、目的・用途に応じて面ではなく点でZバッファするのも良いだろう。目的に応じて手法を使い分ける必要がある。)
被写体が不透明なら、カメラから遠い物体を省略できるので、処理を高速化しやすく、そのため、ゲームにもよく用いられている。
しかし、被写体が透明/半透明な物体の場合に、アルゴリズムが複雑化するという欠点がある。
いっぽう、カメラから遠くから先に描画する場合をZソート法という。被写体に透明の物体を含む場合は、Zソートで描画せざるを得ないだろう。
そもそも論として、かならずしも3D計算を行わなくても、ゲームとして立体的な描画をできる場合があります。
また、既存の商用3Dソフトウェアやフリーソフトなどを使うことにより、自分でプログラムする必要のない場合もあります。
また、そもそも日本のゲーム産業では、3D描画はあまり儲かってなく、儲かってるのはアニメ絵の2次元絵イラストのソーシャルゲームです。ただし、欧米では3D描画が受けることや、アニメ絵風イラストレーターなどもポーズ集がわりに3Dソフトを使ったりするので、そういう事情がある場合にその用途で3Dを使うのはビジネス的に効果的かもしれません。
とりあえず本書では以降、なんらかの理由で3Dの描画を使用したい場合を前提として説明します。
ゲームで、3次元のCG映像を表示する場合、かならずしもプログラミングする必要はありません。
もし、その被写体を見る視点が一方向だけに固定されている場合なら、w:Blenderなどの、あらかじめ一般に流通している3D-CG作成用ソフトウェアで作ったCGモデルを、その視点の方向から見た場合の画像を、ビットマップ画像などとして出力したものを、作成するゲームに追加して表示すれば十分です。どのCGソフトにも、ビットマップ出力の機能はついています。
なるべく単なる2次元画像として処理するほうが、パソコンによる処理も速くなります。
例えば、2次元の横スクロールのアクションゲームのように視点が真横からだけに限定されているゲームの場合なら、たとえ「2次元の横スクロールのアクションゲームだけど、リアルさの表現のために、主人公キャラクターや敵キャラや背景画像は3D-CGで作りたい」場合であっても、Blenderなどの3D-CGソフトで作った主人公キャラなどの形状データをビットマップ画像出力した2次元画像データをゲーム中に表示するだけで十分でしょう。
こういうふうに、あらかじめBlender などの3Dソフトで作成しておいた2次元の画像や2次元の動画などで代用する方式のことを、プリレンダリングといいます。「プリ」とは「前」とか事前とか、そういう意味です。
いっぽう、ゲーム内で画像を表示する直前に3D計算して表示する方式のことをリアルタイムレンダリングといいます。
現在のコンピュータ技術では、映像表現については、ビデオカードやグラフィックカードやGPUなど、映像専用の計算処理デバイスが内蔵されています。
映像の描画は、なるべく2次元ビットマップ画像としてハードディスクやメモリなどに記憶しておいた画像を呼び出すという方式にしたほうが、それらの画像デバイスにより、並列処理的に高速処理できます。
また、ハードディスクやメモリなどの大容量化をするのは、単にハードの枚数を増やせばいいので比較的に容易ですが、いっぽう、CPUを高速化するのは技術的に難しいことが多いのです。
なので、あまり、ゲーム機で描画のたびに毎回3D計算するのではなく(つまり、リアルタイムレンダリングではなく)、ゲーム制作時の3D計算で画像出力しておいた2次元画像データをゲームのたびに呼び出して高速描画するという方式(プリレンダリングの活用)も、ゲームでは処理速度の向上のために必要になります。
真横から見る場合だけにかぎらず、たとえば、RPGで、マップ画面を南の上空から北の地面にむかって斜め45度に見下ろすだけ、とかなら、ビットマップ画像で十分でしょう。
このように、視線が1方向に固定されているなら、たとえ斜め方向の視線であっても、また、どんなに写実的な画像であっても、けっしてゲーム中では3Dプログラミングをする必要はないのです。視点さえ固定されていれば、3Dプログラミングをしなくても単なるビットマップでも表示可能です。
どうしてもゲームソフトでわざわざ3D-CGの処理のプログラムをする場合とは、被写体を見る視点が固定されていない場合で、プレイヤーがゲーム中の映像の視点を360度どの角度にも自由な角度に移動できるような機能を搭載したい場合です。
また、パソコンへの処理時の負荷が、2D画像の表示と比較して3DプログラミングはCPUの計算負荷が大きく、このため、パソコンの性能が不足していると3D画像は処理速度を低下させる原因にもなり、また消費電力も大きくなります。
昨今の携帯ゲームなどでは、消費電力の低減も重要な技術です。
なので、本当に3Dプログラミングをする必要のあるものだけ、3Dプログラミングをするのが好ましいでしょう。
実はゲーム機だけにかぎらず、たとえばパソコンで三角関数や対数関数や平方根などの、小数点以下に無限に桁のつづく数学の関数を使う場合も、実はパソコン内部に三角関数表のような近似値の計算結果があらかじめハードディスクに保存されてあり、関数の使用時には、その数表を呼び出して代入しているだけです。その三角関数の数表を作る場合にだけ、パソコン業者などが超高性能なパソコンを使っているのです。
このように数表などで近似計算しないと、処理速度が遅くなっていまい、使い物にならないのです。携帯用の電卓などの平方根の計算も同様です。電卓では、電力の消費も抑えないといけませんから、そのためにもCPUの負荷を減らすことは必要です。
また、市販の3Dゲームでも、実際には、2次元画像と3次元グラフィックとを組み合わせているものも、多くあります。
テクスチャーといって、3次元物体データの指定した面の表面に、画像を貼り付ける技術があります。(w:テクスチャー)
これを使うと、あまりにも複雑な形状を3D的に描きたい場合、大まかな形状だけを3Dで作っておいて、細部は2次元画像で描いて表面に貼り付けたほうが、処理が早くなります。
たとえば、物体表面に描かれた細かな模様などは、いちいち、その細かな模様をすべて3D計算していると、とてつもなく膨大な計算量になってしまうので、普通はそういうことはせず、模様を除いた物体の形状だけを3D計算するのが一般的です。
そして、その物体の3D計算の結果を参考に、画面上での模様の表示位置を算出して、まるで物体に模様を貼り付けるような技術によって、計算量を削減するという技術があります。
このような技術が、テクスチャー技術です。
Windowsアクセサリ「ペイント」などの安価な画像製作ソフトで、テクスチャーとして貼り付けるための二次元画像を製作してビットマップ画像などとして出力しておき、
そのビットマップ画像をBlenderなどで3Dモデルにテクスチャーとして貼り付けておけば、
素人のゲームプレイヤーの目からは、あたかも、ゲーム機内で3D計算をしてるかのように見えます。
なお、プロのゲームグラフィッカーでも、ふつうにSAIとかPhotoshopなどの市販のお絵かき系ソフトで、テクスチャーを作成したりもしており、書籍『ローポリスーパーテクニック』の著者のゲームグラフィッカーの人がそうです。
ISAO 著『キャラクターを作ろう! 3DCG日和』でも、SAIとPhotoshopを用いてテクスチャを書いています。暗黙の前提として、テクスチャの作画には、ペンタブを保有していて、それで描くことを想定しています。
テクスチャーの利点としてテクスチャーにしたほうが処理は速いのはもちろん、副次的なメリットとして、模様の書き換えなどを表示する場合にも、3D部分は共通ですのでプログラム的にもラクに処理できます。
ザラザラした感じの表面なども、普通はテクスチャーでしょう。もしかしたら、高低差のある物体でも、極端に高低差の小さいデコボコなどは、いっそテクスチャとして画像を表現するべきかもしれません。
また、3Dの人間キャラクターの耳の穴とか、鼻の穴とかは、通常のゲームでは、人体の内部から見る機会はほとんどゼロですし、穴の中を近寄って見る機会もほとんどゼロですので、人体のそういう穴は、けっして細部を正確に3Dモデリングする必要は無いのです。せいぜい、鼻や耳の穴の深さ2センチくらいまで3Dデータを作れば十分であり、その深さ2センチの穴の底に、穴っぽい色をした黒色のテクスチャーを貼り付ければ十分でしょう。
なお、かならずしも3D-CGを使ったからって、それだけで、うまく映像的に表現できるわけではありません。たとえば、光源の位置をどうするか、反射の特性をどうするかなど、適切な設計が必要です。
テクスチャーを使う場合、もし作者であるアナタが、あまり上手に映像設計できないなら、ゲームでは、かえってプレイの邪魔になりかえるので、いっそ単純なポリゴン画像に置き換えるか、もしくは、いっそ2次元で絵を書いてしまいましょう。
ntny著『ローポリスーパーテクニック』でも、人物モデルの暗くなる部分は、テクスチャとして、SAIやPhotoshopなどで書いています。
なお色選択のテクニックとして、美少女キャラなどの人体の肌で、影などで暗くなる部分は、単純に明度を下げるのではなく、わずかに赤色を増すように彩度を変えると、キャラの肌の血色が健康的に見えてウケる、というテクニックがこの本の2010年2月の初版第5刷の時点で書籍で語られています。
ただし、実際の市販のゲームの中には、そのまま明度を下げて暗くなる影の部分を表現したりしている作品もあり(たとえばシュタインズゲートなど)、そういう作品でもヒットしています。
なお、アニメ業界でも、キャラではないですが、エヴァンゲリオンのキャラクターデザインの貞本(さだもと)さんという人の1990年代後半の画集(未完作品『オリンピア』の美少女が表紙のヤツのほう)で、美術史の知識として、ゴッホは影には黒ではなく(たしか)緑色を使った、これは彩度を単調にしないため、という美術テクが語られています。なお、画家によっては、緑ではなく紫を使う、という流儀の人もいます。
中学美術で習うような「明度」・「彩度」・「色相」という単語は、こういうふうに20世紀・21世紀のイラスト理論でも使われますので、ちゃんと勉強しておきましょう。
コンピュータの環境によっては、入力パッドなどからの入力の受付け反応があまり良くない場合もありますので、もし入力があった場合に画面の変化をして、プレイヤーに入力が行われたことを分からせる必要もあります。
パソコンゲームの場合、作者であるアナタのPC環境と、プレイヤーのPC環境は、パソコンでは一般に違います。また、たとえ商用のゲーム機でも、コントローラーが故障する場合もあります(なので、修理のために取り外せて交換できるようになっている)。
たとえば、主人公キャラが平坦で周囲に何もない大きな平原を歩いていても、プレイヤーがもし(入力コントローラーなどの)移動ボタンを押したなら、移動中は画面が一時的に変わらないとイケマセン。
簡単な方法は、主人公を画面の中央に写し、移動中は主人公が歩いている動画を表示することです。
もし そうしないと、プレイヤーが、はたして移動が正常に行われたのかどうか判別できなくなります。
なお、画像でなく足音のような音を音声出力することで移動表現をする方法もありますし、フリーゲームではそれでも充分でしょうが、しかし世の中には難聴など人もいることを念頭に置いてください。市販の大手企業の販売している商業ゲームでは、そういうバリアフリーもできるだけ考慮されています。なので余裕があれば、やはり画像的に入力反応の分かりやすい画面設計をすべきでしょう。
もし、2次元の横スクロールアクションのゲームなら、入力が正常に行われたら普通は、入力キーの方向に主人公が移動したりしますので、(たとえ主人公が歩く動きをしなくても)判定できます。
しかし、3Dでは、主人公はつねに中央にいるか、そもそも主人公が映らないので、2次元のような判定はできません。3Dにかぎらず、2d-RPGなどでも、もし主人公がつねに画面の中央に表示されるなら、こういう歩き動画の工夫は必要です。
さて、迷路の十字路を、左折または右折したい場合もあります。この場合、曲がり始めの10°〜20°くらいの比較的に小さい回転角での画像が必要です、
もし中割り画像が、真ん中の45°の1枚だけだと、十字路の斜め前方にあった とんがった壁が前方に来た時に、はたして斜め右側にあった壁なのか、それとも斜め左側にあった壁なのか、プレイヤーには不明です。なので、最低でも、曲がり始めの10°〜20°くらいの比較的に小さい回転角での画像が中割りに必要です、
このように、ゲームプレイでは、単に1枚の画像の細かさだけでなく、動画で連続的に動きを表現する必要もあります。
もし、主人公を画面に写さずに、また、移動中も特別な画像を出さないなら、そのゲームでは、もはや、周囲に何もない広大な平原のような空間を出すことは不可能です。
なので、もし、そういう画面設計(主人公を画面に写さない、)のゲームの場合は、そういうふうに、そのゲーム内のマップ(地図)を設計する必要があります。
一般的に流通しているゲームで3D処理のプログラミングを行われている場合、そのようなゲームのほとんどでは、荷重計算や強度計算などの力学の計算は行われていません。
3Dになると映像がリアルなので、てっきり、強度計算などの力学的な計算が行われているように誤解しがちです。
しかし、せいぜい高校物理のレベルの幾何光学の計算しか、行われていません。
こうする理由は、パソコン処理を速くする目的もあります。
荷重計算や強度計算などは、計算を近似しないかぎり、形状がきわめて単純な物体の場合ですら(円柱や立方体や球などですら)、ほとんどの場合は計算に何分~何時間も時間が掛かってしまいます。
しかしゲームでは、なめらかな動画で映像表現する場合などは、画像を1秒間に何十回も描画しなければならない場合もあります。
なので、計算時間の掛かってしまう力学計算は、通常、ゲーム内では行われません。
どうしてもゲーム中で力学的な計算が必要な場合は、近似計算をします。
たとえば、
・・・のように、高校レベルか、せいぜい大学1年レベルで計算を近似します。いわゆる「線形近似」で処理します。
いっぽう、科学者のような、より精密な力学計算は、ゲーム機用のコンピュータでは計算に膨大な時間が掛かってしまいかねず、そのせいで、動画表現に向きません。精密すぎる計算は、ゲームには不適切です。
どうしても、高校物理~大学1年レベルを超えた、力学的にリアルな映像が必要なら、
あるいは空想上の物体なら、
そういう工夫が必要です。
書籍『ゲームクリエイターの仕事 イマドキのゲーム制作現場を大解剖』によれば、一般にゲームでは、物理学的に正確な流体計算は行わないです。その文献によれば、流体計算では、事前に計算した結果をもとにパターンアニメに落とし込んだり、さらにベクトルデータとして保持するオプティカルフローと言う手法を使うこともあるとのことです。
なお、流体力学の基礎方程式であるナヴィエ・ストークス方程式は、非線型方程式というものの一種です。非線形方程式は、特殊な条件の場合を除いて微分方程式を解くのが数学者でも困難です(まだ解が知られてない方程式すら非線形方程式には多いし、もしかしたら解は無いのかもしれない。解の式があるかないかすら不明)。このため、高校物理のような数式による厳密解を求めるのが、流体演算では原理的に困難です。
一方、光のもとである電磁波の方程式であるマクスウェル方程式は、線型方程式ですので、これは数式でも厳密に表現することができます。このためか、レイ・トレーシングなどの技術は、流体演算と比較すれば比較的に処理は軽いのが現状です。
また、ナヴィエ・ストークス方程式は3次元の場合はまだ方程式の妥当性が証明されておらず、数学上の未解決問題です。(もし証明できたらフィールズ賞です。「フィールズ賞」とは、数学にはノーベル賞はないが、数学においてノーベル賞のような役割の賞がフィールズ賞です。)
つまり、ゲーム機会社が、水面などの流体のCGなどの「リアルタイム レンダリング」などを謳ったデモ映像をプロモーションするかもしれませんが、ああいった映像はすべて、二次元近似のできる場合などやさらに様々な制約・近似を課した特定の事例でしか成り立たない場合だけを想定した近似的なシミュレーション映像です。(もし、そうでなくて三次元の一般的な解によるシミュレーションだとすると、上述のようなフィールズ賞の案件になってしまいます。)
ゲームファンのデマ「最近のゲーム機では流体もリアルタイムレンダで物理学的に(以下略)」(△、おそらくデマ)とかに騙されないように、気を付けましょう。
このデマの原因はおそらく、せいぜい光学計算がリアルタイムレンダリングなのを(マクスウェル方程式は線形方程式なので、正確に計算しても計算量が比較的に少ない)、デマ者はあたかも流体もふくめて全ての演算がリアルタイムかつ精密に物理計算してるのかと勘違いしているだけかと思います。
人類の2020年代の技術で、家庭用ゲーム機程度のコンピュータ資源で精密計算できるのは、せいぜい線型方程式までが限界です。
たとえゲーム業界用語で「物理演算」などの表現が使われていたとしても、流体や(後述の)フリルドレスなどに限定するかぎり非線形的な方程式ですので、物理学的にはあまり正確な計算ではありません。
そしてやはり、数学については、(公式の暗記ではなく、証明を理解するという)深い意味で、数学は勉強するべきです(でないと、デマやハッタリにダマされます)。
また、そもそもポリゴン数が多いと処理が重くなるので、たとえば波しぶきなどの流体のしぶきを一々ポリゴン化していたら、あっというまに描画が停止してしまうので、流体演算はゲームでは、あきらめたほうが良いでしょう。
ゲーム会社はべつに教育機関ではありませんし、むしろ下手に流体計算などの物理学的事実を勘違いプレイヤーに指摘したせいで、学校の成績に劣等感をもつプレイヤーの屈辱感でも刺激したら反感をもたれてゲームを購入してもらえないでしょうから、ゲーム会社は消費者ターゲット層の勘違いは放置するのでしょう。
やはり、ゲームやアニメなどの娯楽からは、基本的には勉強するのは無理なのです。勉強するには、きちんと国語・数学・理科・社会の教科書を購入して学んでいく方法が適切です。
その他、ゲームに限らず、一般のノートパソコンなどで動作する程度の流体シミュレーターも同様でしょう。流体計算をしているか分かりませんが航空シミュレーターや船舶シミュレーターの類も同様でしょう。だからくれぐれも、「ゲームが駄目なら、航空シミュレーターで代用だ」とかタワゴトを言わないように。
世の中には、勘違いして、「頭のいい人はマンガやゲームなど創作物からも学べる」(※これ自体は正しいかも)というのを、
「マンガやゲームに詳しいだけの俺でも頭いいはずだ」(×)と勘違いしてしまって、ロクに普通の国語数学理科社会を勉強していないまま人生を送ってしまっている人もいます。
そういう人の行き着く先は、犯罪者です。偏見ではなく、マンガ出版社である集英社・小学館は、刑務所の教育委託ビジネスを受注しています。
マンガ・アニメ・ゲームだけでなく、テレビのバラエティ番組の類しか見ていなくて普通の国語・数学などの勉強が出来ない人も同様でしょう。
世間には、マンガのキャラが受験勉強を始めたら自分もようやく中学高校の勉強を始めるような人がいますが、しかしマトモな人は、いちいちマンガのキャラが行動を開始しなくても、自分の人生で必要なものを高校くらいの時点で自分から勉強し始めるのです。
まだしも、たとえば「音楽をやってみたかったが親から反対されてその学校に進学できずに経済学部に進学したが、しかし社会人になってカネが溜まったし、 最近のマンガのキャラが音楽を始めたから、俺も帰宅後に音楽を始めてみるか」
とかそういうのなら分かりますが、国語・数学・理科・社会・英語の勉強なんて多くの家庭では反対されないんだから(一部は例外あり)、 普通にさっさと始めるのが普通の人です。
学校の勉強だけでプログラミングは出来るようにならないでしょうが、かといってマンガを読んでもゲームプレイをしてもプログラミングは出来ません。
結局、程度の差はあれ普通のプログラマーと同じように、ゲームプログラミングでも、普通にプログラミングなどを勉強することになります。
普通が一番難しいのです。マンガ『ゴーマニズム宣言』でもそう言ってるし、『行け!稲中卓球部』でも最終回にそう言ってるし、 アニメ業界でもガンダムの富野監督が意訳「あなたの読んでるアニメ雑誌だって、本を運送して書店に届けている(普通の)労働者や道路を舗装工事してくれる人のおかげ」みたいなことを何かのインタビューで言っています。
ゲーム中の光学計算ですら、おそらく近似をされたものが使われてるのが普通でしょう。
光の3D計算というのは、正確な光はw:レイトレーシングという、光線の反射経路を追跡していく方法で再現できますが、しかしレイトレーシングには意外と計算量が必要です。
反射した光が別の物体に当たって反射して、 その光が、また別の物体に当たって反射して、 さらにその光が、また別の物体に当たって反射して・・・・・・、
のように、リアルさを追求すると、限度なく、いくらでも無限に計算量が必要になってしまいます。
「反射光の反射光」という現象のように、2次的な反射光があります。
同様に、
無限に続きます。
なので、ゲーム中での3D計算による反射光の計算では、計算の負担の軽減のため、1次の反射光や、せいぜい2次の反射光くらいで、とめておくべきでしょう。
もしゲーム中で、よりリアルな高次の反射光のような映像を表示をしたいなら、テクスチャーなどを活用すべきでしょう。
つまり、ゲーム機以外の別のコンピュータで高次の反射光を計算して、その計算結果をビットマップ画像などとして出力しておき、その画像をテクスチャーにするわけです。
物理的な光には、反射光のほかにも屈折光や回折光があるということは、
つまりCG的な光の種類の組み合わせにも、例えば
そういう色々な組み合わせもあります。それら高次の計算をゲーム機で厳密にしてリアルタイム処理するのは、現状のゲーム機の性能では不可能なので、どうしてもテクスチャーのような、なんらかの擬似的な処理が必要になります。
また、反射や、不透明な物体の影の計算では、物体の表面だけが必要ですので、そのような計算の場合には、物体の内部の光学特性データは不要です。
どうしても物体の内部の光学特性データが必要な場合とは、せいぜい、透明な物体に光が差し込んで屈折するような場合くらいです。
そして、ゲームではたいていの場合、せいぜい高校物理で習う屈折の法則のような、屈折率が物体内で均一なものしか、扱いません。
鏡にうつりこむ風景や、金属の光沢などは、正確にシミュレーションして求めるにはレイトレーシングが必要になります。
しかし、レイトレーシングによる計算量は上述のように結構、膨大になります。そのため、アクションゲームなど速度の要求されるゲームでは、あらかじめ制作者が、ゲーム機中の映像について光学計算のシミュレーションをしておき、そのシミュレーション結果にもとづく2次元テクスチャ画像によって光を表現する場合も多くあります。
鏡や光沢のシミュレーションで、上述のようにテクスチャによる代替を行うことについて、「w:環境マッピング」といいます。
しかし、なにも鏡だけにかぎらず、この技術の本質は静的なレイトレーシング結果をテクスチャで置き換えることですので、照明などによる光の明暗のシミュレ-ションも、環境マッピングのようなテクスチャによる代替が可能です。
しかし、環境マッピングの苦手分野として、鏡が移動するような場合や主人公や敵キャラなどのような移動する物体が存在する場合が挙げられます。 そのため別途、移動する物体による鏡面映像などの描画処理を追加する必要がある。
これら「環境マッピング」の技術のように、ゲーム機での光の描画では高速処理のため、あらかじめ基準となる静止物や基準光源などをもとにシミュレーションした2次元画像データをテクスチャなどで作成しておき、もし光源の移動や追加や、移りこむ物体が移動してしまい影が動いてしまったり、鏡に映りこむ風景の変わる等の場合には、追加的に、なんらかの近似的な補正により、基準テキスチャ画像に補正を加えるというような擬似的な方法で、描画を高速処理するという方法も多く用いられる。
景色中にある鏡が平面鏡であり、1つしか鏡のない場合、そもそも、鏡のなかの景色を求めるのには、レイトレーシングをする必要は無い。
中学校・高校の理科や数学などで、1個の平面鏡に映る像の見える計算する公式があったのを思い出そう。
鏡に映る像は、平面鏡では、観測者の反対側に、
のように、鏡の前に観測者の人が立ってる場合、
のように、像は、鏡から観測者の距離が等しい。
そして、鏡のなかでは、左右の向きが反対になる。
自分が鏡を見た場合を思い起こせば、右手に持ってたものは、鏡の中の自分は左手にもっている。
つまり、鏡の中の景色は、単に、鏡の外の景色を左右反転したものになる。
さらに、(別章で説明する)「環境マッピング」などの技術と合わせれば、鏡が固定されている場合、移動物体だけを計算すれば済む。
つまり、平面鏡に写る景色を求めるには、移動物体だけについて、鏡の奥の位置に、左右反転した物体を置けばいい。
ただし、この方法ですら、移動物体のポリゴンの計算量が2倍になってしまうので(鏡の外に置くポリゴンと、鏡の中の世界に置くポリゴンとで、2倍のポリゴン計算が必要になる)、ゲーム中の鏡はどうしても計算量を増大させてしまう。
さて、反射をする道具は、鏡だけではない。金属だって反射をするし、水面だって、いちぶの光を反射をする。ガラス表面も、いちぶの光を反射をする。
しかし、ゲーム中の金属や水やガラスなどのすべての反射物体で、移動物体の映り込みの計算を求めてしまうと、計算量が膨大になってしまうので、たいていのゲームでは、ストーリー上では重要でない物体においては、移動計算の写りこみは無視する。
金属や水面の反射では、光沢だけを描画するという簡略化をするゲームも多い。移動物体の写りこみについては、金属や水面の反射では、省略することが普通であろう。
いっぽう、鏡は、ゲーム中のストーリーで重要な意味をもつ場合が多いので、そのような重要な反射物だけ、光沢以外の移動物体の写りこみなどの反射も計算すればいいのである。そして、たいていの鏡は平面鏡であるので、鏡の中の景色は単に外の景色を左右反転すれば済むので、レイトレーシングすら省略できる。
影の正確な描画には、レイトレーシング的に光の多く当たったところほど明るく描画するという方法が、いちばん正確である。
しかし、その理想をそのまま実行するには、光の反射や散乱などをたくさん計算しないとならなくなるので、処理が重くなるので、レイトレーシング的な影の描画方法は、ゲームでは、あまり使われない。
そこでゲームでは、よく妥協案として、光源から出たそれぞれの光線ごとに、光源に一番近い物体によって遮られた(光源の)反対側を暗くする、という処理で近似することも多い。例えるなら、隠面処理のZバッファ法を、明暗の表現に応用するような手法である。
まるで影絵のように、光源と遮蔽物の反対側を、暗くすればいいのである。
被写体ごとに、光源に一番近い面だけを明るく描画し、光源に遠い部分を暗くすれば、影の表現になる。
この計算のためには、当然、被写体ごとに光源からの距離を、計算しなければならない。
さて、複数の光源がある場合でも、それぞれの光源の反対側を暗くすればいい。
なお、それぞれの光源による、影と影とが重なったところは、さらに暗くなる。
たとえば、カメラの遠くにある物体を、細かく描画しても、無駄になります。
なので、遠くにある物体は、ポリゴン数を減らすという、アイデアもあります。
たとえば、遠くにある建物や地形などを、細かく描画しても、無駄になってしまうでしょう。
なので対策として、ポリゴンデータを2種類用意しておけばいいのです。近景として眺めた場合のポリゴンデータと、遠景として眺めた場合のポリゴンデータの2種類を、制作時に用意しておき、ゲームデータとしてゲーム機に組み込んでおくのです。
近景用では、ポリゴン数を多めにデザインしておくのです(いわゆる「ハイポリ」)。
いっぽう、遠景用では、ポリゴン数を少なめにデザインしておくのです(いわゆる「ローポリ」)。
また、人物でもワキ役のポリゴン数を減らすことは、よく行われます。
技術的な背景として、21世紀のパソコンではハードディスクやメモリに記憶するデータ量と、CPU(またはGPU)の処理速度とのトレードオフとの問題です。
高速化のためには、ハードディスク & メモリの使用量を増やしてでも、CPUやGPUの負荷を減らす必要があるので(現在のハードウェア技術では、それが人類のパソコン設計の限界)、たとえポリゴンモデル設計時の作業負担が増えてでも(※ 設計時にハイポリとローポリの2回のデザイン仕事が必要になるので)、遠景のポリゴンを簡略化することでCPUの負担を減らすという工夫が、市販の3Dゲームなどでも、よくあります。
現代では一般に、3DのグラフィックにはDirectXやOpenGLなどのAPIが利用されます。詳しくはOpenGLなどを参照してください。
しかし、実は、これらのソフトを使わなくても、3Dプログラミングは可能です。
実際、1980年代のマイコンBASICなどのプログラム入門書などを読むと、中学生~高校生向けにワイヤーフレーム式の3Dプログラミングのソースコードが書かれていたりする場合もありました。その程度の初歩的な知識でも、3Dプログラミングは可能です。
もちろん、数学の知識があるのに越したことはないですが、しかし、高校レベルの三角関数に毛が生えた程度の知識でも、3Dプログラミングは可能ですし、1980年代のマイコンBASICのブームの時代から、そういう高校数学レベルで分かる3Dプログラミングの入門書は存在しています。
とはいえ、いまさら3Dソフトをゼロから自作するのは(個人でも不可能ではないが)調べることも多く手間が掛かるので、たいていは、DirectXやOpenGLなど既存のツールを使って、プログラムを作成します。
下記の3Dプログラミングの解説でも、いろいろな数式が出てきますが、数式のひとつひとつは、高校レベルのベクトルや行列、三角関数といった数式です。
行列は、高校の学習指導要領が数年ごとに変わるため、年代によっては高校で習ってない場合もありますが、ここでいう行列とは単に、ベクトルを並べたものです。
行列の計算法について詳しくは高等学校数学C/行列を参照してください。
一般的な3Dソフトでは、球体の3Dは、たくさんのポリゴン面で表現しています。たとえばblenderの球面の表現もそうです。
2Dプログラムだと円や球はプログラム文の1行で書けてしまいますが、しかし3Dの球では何十面もの多くのポリゴン面を使用するという、違いがあります。ご注意ください。
無料3Dソフトで確認したところ、少なくとも blender とメタセコイアはそうです(球面はなん十個ものポリゴン面で表現という仕様)。
数珠(じゅず)とか丸いものが沢山あるゲームは大変。
ゲームではないですが、書籍『キャラクターを作ろう! 3DCG日和』の著者が、書籍中で数珠のポリゴン問題に遭遇しており(大鬼が首輪としてデカい数珠を書けてる3Dモデルが書籍では作成されている)、数珠の球1個を、書籍では粗いポリゴンによってデコボコした多面体のようなもので妥協しています。面が15~20個くらいしか見えない、球のような多面体ですが、しかし数珠だとその球が10個くらい見えてしまうので、10倍の面の数になってしまうので、著者は粗いポリゴンで妥協しています。
blender 入門書では、球オブジェクトを伸ばして、簡単な「ぬいぐるみ」的なモデルの顔や胴体などを作ることも多いですが、しかし頂点数・辺数が多くなるので、「あごをとがらせたい」みたいな一部分だけの変形の際には、操作が難しいなどの理由で、あまり向きません。
じっさい、市販の書籍の後半にある人キャラのモデル例の顔のメッシュを見てみると、球オブジェクトではなく平面オブジェクトを加工して作っています。
「ハイポリ」と言っても、萌え系の絵柄のモデルの場合、せいぜいメッシュ数はローポリの場合の2倍~3倍くらいまで、です。
あまりにメッシュ数が多くなりすぎると、手作業での修正が困難になります。
なので、ハイポリを作る場合でも、最初にあらめのローポリゴンで大まかな立体を作っておいて、あらめな範囲でヤレル範囲の位置合わせを行って起き、あとから細分化して微調整をします。これが萌え系のハイポリです。
こういった制作工程を知ると、微調整後の3Dモデルのメッシュ修正は困難であり、あとから修正するのは困難だという事が分かります。
比較的ラクに修正できるのは、キャラの向きの修正や、ボーンの向きの修正など、数の限られる要素の修正だけです。
なお、目や瞳は細かくなりがちなので、
どちらの流儀にせよ、作り始めはローポリです。
ローポリのモデルでも、土台の形がシッカリしてると、意外となめらかに見えます(※たとえばntny著『ローポリスーパーテクニック』などで紹介されている市販ゲームのポリゴンがローポリで作られてる)。
なので、けっして、見た目の雰囲気のなめらかさに惑わされて、ハイポリでは作り始めないようにしてください。
少なくとも、初心者が作り始めるような普通の3Dゲームでは、作り始めはローポリのはずです。なぜならローポリで作り始めないと、少なくともblenderではメッシュの修正が困難です。
あるいは、もしかしたら、大企業がDirectXで自社開発した自社ソフトの非公開3Dモデリングソフトとか持っているのなら、その会社だけならハイポリでもいきなり作れたり、ハイポリで修正の範囲指定とかグループ指定とかを上手に出来たりできる特殊UIなのかもしれません。しかし、少なくともフリー公開ソフトのblenderを使っている3D初心者には関係ない手法だし、初心者には利用不可な手法です。
ゲームエンジンでも、簡易的には3Dを編集できる場合もあります。
しかし、ゲームエンジンで、あまり高度な編集はできません。仮にゲームエンジンで3Dデータを編集できたとしても、情報不足だったり、難解だったりします。
たとえばボーンの編集などは、ゲームエンジンでは情報不足か困難かもしれません。
なので、3Dモデリングはゲームエンジンに頼らず、blenderなどの3Dモデリングソフトを覚えましょう。
ゲーム用に限らず、3Dでは、まず形状のモデリングだけをしても、まったくボーンの設定をしていなければ、なんの3Dアニメーションにも進めません。
なので、形状のモデリングはそこそこにして、さっさとボーンの設定まで進みましょう。
このため、3Dソフトの学習では、ローポリから始めるのが効率的です。
テクスチャなどは、初心者はまだ考えなくてよいです。
市販のプレステなどの3Dゲームのようなポリゴンは、初心者には無理です。あこがれる気持ちは分かりますが、初心者には無理です。
一般的に、初心者は、初代バーチャファイターみたいなカクカクしたポリゴンか、それ以下のもっと粗い極度のポローポリで十分です。
実際、市販の書籍で、初心者むけの入門書にある例も、そういった極度のローポリです。
極度のローポリの3Dキャラでいいので、さっさとボーンを入れて、さらにアニメーションをするのが、効率的な学習法でしょう。
また、3Dモデリングソフトで作ったモデルデータを、ゲームエンジンに持ち込む場合には、設定の変更などが必要になる場合もあるのですが、もしその場合にハイポリで作ってしまっていると、各ポリゴン面の設定変更のさいの手作業が多くなって、初心者だと詰む可能性もあります。
たとえば、DirectXはそもそも三角形の面しかサポートしてないですが、しかしblenderは多角形の面をサポートしているので、blenderからゲームエンジンなど他環境への持ち込みなどのさいに設定の変換が必要になったりもあいます。
特にゲーム用途での3Dモデリングの場合、上述のような理由も併せて考えて、ローポリが安全でしょう。
どうしてもハイポリに近づけたゲームを作りたい場合などは、
とするのが、安全かと思います。
3D用語で、棒立ちで、腕を左右に伸ばしたポーズを「Tポーズ」と言います。
このポーズでないと、初心者にはモデリングが困難です。
なぜなら、もし腕を組んだポーズなどでモデリング開始してしまうと、たとえばボーンを動かして腕のメッシュ面を下した場合に、腹や胸のメッシュ面まで一緒におりてしまうとか、そういう操作ミスになりやすいのです。
要するに、間接どうしは離したポーズで、モデリングする必要があります。そうしないと、ボーンを動かしたさいに、身体各部のメッシュが意図せぬ動きをするなどします。
このため、Tポーズで、モデリングする必要があります。
また、間接どうしを遠ざける必要もあるので、つまり足も、微妙に離すのがラクです。棒立ちといっても、「気をつけ」ポーズのように足を閉じてしまうと、少しモデリングが面倒です。
ほか、暗黙の前提として、人間以外のイヌやネコなどの4足歩行の動物は、間接の動きが難しいので、初心者は動物は避けましょう。
なお、アニメ業界では、手書きアニメーターですら、イヌなどの動物の動画の練習は後回しです。
動物の1枚イラストの講座はネットを探せばチラホラとありますが、しかしアニメーションの場合は、1枚ではなく動画を何枚も書く必要があるので、間接の動き方を研究しなければなりません。
しかし、ネットには、そこまでの情報はないか、あったとしても初心者には習得が困難でしょう。
3D初心者には、動物の間接の動きの研究・理解までは、無理です。
よって、初心者は、4本足の動物をあきらめましょう。
初心者は、人間キャラをローポリで作りましょう。
どうしても初心者が動物っぽいキャラを作りたい場合、せいぜい、キティちゃんみたいな、デフォルメされた動物っぽい顔のキャラを、2歩足で立たせたもので、ガマンしましょう。
あるいは、動物ではなく、ラジコンカーのような4輪車を簡単なモデルで作って遊ぶ、という方法もあります。
ともかく動物3Dは、間接の動きの勉強が、少し面倒です。後回しに。
Blender(ブレンダー)3以降に特有の操作ですが、アニメーションにおける設定をするためのタイムラインなどの表示のためには、画面上部にある「Animation」タブを使います。
画面上部に
というのがあるので、そのタブにある「アニメーション」をクリックすることで、アニメーション関連の編集状態にソフトが移動します。
大まかな流れ(Blenderの場合)
アニメーションのタイムライン登録時、初心者の場合はボーンは一本ずつ動かすことになります。
なので初心者は、ふつうに腕が2本、足が2本の人間キャラをまずは作りましょう。
もし千手観音とか3Dアニメで作ろうとすると、初心者は過労で死にます。
初心者の場合、キャラの動きは、たとえば腕をグルグル回すだけとか、腕をぶらーんぶらーんと揺らすだけみたいな、非日常で簡単な動作にしましょう。
いっぽう、日常的な基本動作の「歩き」とか「走り」とか「振り返り」とかは、数日前に始めたばかりの初心者には無理です。
手書きアニメーターの初心者ですら、月日を掛けて何枚も練習して、とりあえず「歩き」や「走り」っぽい動きを掛けるように練習していきます。
3dモデリングの場合、ソフトの使い方を学ぶのに時間をとられるので、もはや手書きアニメーターのように「歩き」とかから動きを練習するのは無理です。なので、3dアニメの初心者では、もっと大幅に簡単な、非日常で動きの少ない動きから練習しましょう。
で、ここまでやっても、まだBlenderなど3Dソフト内でのプレビューです。最終的に動画として配布するには、mpegやGIFなどに出力する必要があります。
画面左上のほうに「レンダー」というメニューがあるので、「アニメーションレンダリング」を押せば、ふつうに初期設定に従ったファイル形式での動画用のファイル出力が始まります。
初期設定がどうなってるか、知りません。どこに保存されるかは、元画面側のページで、画面右側の縦に長いアイコン一覧に「出力」プロパティに、出力先のフォルダの表示があるのでそこを見てください。
なお、wiki著者の環境では、出力先フォルダは初期設定ではtmpフォルダでした。
大量のPNGファイルとして、出力されました。
気に入らないファイル形式なら、設定を変更して、再度、レンダリング出力しましょう。
この出力プロパティの下のほうを見続けていくと、「ファイルフォーマット」という項目があって、そこが「PNG」になってました。
これをクリックすると、他の動画形式および静止画像形式(PNGやJPEGなど)にできます。
ファイルフォーマットをffmpegに設定すれば、いわゆるmpeg動画になります。念のため動画コーデックを見ておいて、「H.264」になってれば、たぶん大丈夫でしょう。なぜならH.264がmpegの2020年代以降の代表的な動画コーデックだからです。
しばらく時間が経ってから、出力先のフォルダを見ていって、動画ファイルっぽいのがあれば、たぶん成功です。 あとはそれを動画プレイヤーで実際に視聴できるかテストするだけです。
なお、ffmpeg出力の初期設定のまま試したところ、mkvファイル形式で動画が出力されました。 これをもしmp4形式に変えたければ、「コンテナ」を「MPEG-4」に変えれば済みます。ほかにもoggなど色々なコンテナがあるので、必要な形式に設定して、レンダリングしなおしましょう。
出力先が気に入らなければ、「出力」項目を別のフォルダに指定すれば済みます。ですが、フォルダとして指定する必要があるので、あらかじめ出力用のフォルダを作っておいてください。つまり、外付けUSBや外付けHDDなどに、ファルダ無しでのむき出しで保存しようとしても、失敗するかもしれません。
あれこれ設定をいじる前に、まずは実際にファイル出力してみましょう。
実際にファイル出力してみると、構図や色など、気になる点が見つかるものなので、修正していきましょう。
最初の要修正な出力アニメーションファイルを反面教師にして、もとのモデルの色の修正や、設定などの修正をしていきましょう。
色の修正をするには、右側の縦バーの下から2番目あたりにある「カラープロパティ」で、ベースカラーを目的の色に変えます。これだけだと表示は変わりませんが、zボタンで「マテリアルプレビュー」に表示状態を変えてみると、きちんと色が変わっているのを確認できます。
さらに確認として、動画出力してみて、実際に目的の色になってるか確認してみましょう。
アニメーションタブの時点では、左側のプレビュー画面では色がついていませんが、しかしレンダ出力してみると、きちんと色がついています。
なお、レンダ画面で表示中の静止画1枚だけを保存したい場合、アニメーション出力とは方式がちがいます。
静止画像の出力は、まず
初期設定では、背景が黒、オブジェクト色が灰色で、とても見づらいです。
なので、とりあえず背景用に単なる青空の色の、板状のポリゴン直方体でも作って、キャラの後ろにでも置いときましょう。(なお、カメラ位置によっては、キャラ幅に比べて背景メッシュはかなり横幅が広くなります。ゲーム化の際には、なんらかの対応が必要かもしれませんが、とりあえずゲーム化対応は後回しにします。とにかく、さっさと広い横幅の背景メッシュを追加して、色をつけてしまいましょう。)
そして、アニメーション出力してみて、実際にうまく行くか、試しましょう。
なお、出力動画ファイルは、前回出力したファイルに上書きされます。
さて、出力動画を実際に見てみて、もしうまく行くのを確認できれば、次の工程に移りましょう。
キャラの色をつけていったり、床として草原の緑色の地面とか、あるいは茶色い土色の地面でも、直方体の板のメッシュでも作っておきましょう。
キャラにも、顔や手足の肌色とか、つけていきましょう。
そして動画で出力。
全体的に出力動画の色が暗い場合があるかもしれませんが、画面右の縦メニューアイコンにあるワールドプロパティの設定で解決します。wiki著者の環境の場合、「強さ」を変えて数値を初期値1だったのを4くらいに増やしたら、解決しました。
ほかの可能性としては、ライト設定をしてないから、といく可能性もあります。その場合はライト設定をしましょう。レイアウト画面で、「追加」>「ライト」で出てくるメニューの中に、光源の種類として「ポイント」とか「サン」とかあるので、初心者は、いちばん設定のラクなサン光源を選ぶとよいでしょう。
こういうふうに、まず動画を出力していって、あとから修正していくのが、3Dアニメの初心者むけの制作手法でしょう。もしかしたら、手書きアニメとは手法が違うかもしれません(どうかは知りません)。
いきなり「最初から設定を理解しきってから制作する」なんて、現代の3Dモデリングソフトでは、もはや無理です。実際に手を動かしていって、それから追加で勉強をすることは、制作中に行き詰ってから、最低限の必要なことだけをネット検索などで調べましょう。
また、3Dアニメではないですが、一般にCGを使ったアニメで言われる制作手法として、「商品になるだけの最低限の品質だけで、さっさと作り終える」というノウハウがあります。『デジタルの「直しすぎ」問題』とも言われます
ゲームの場合、実際のゲーム中での画面で見て問題なければ、それでヨシとします。ntny著『ローポリスーパーテクニック』に、直接は述べられていませんが、そのあたりの事情が下記のように書かれています。
たとえばテクスチャを作画で作る作業などは、制作中の作業では、作業しやすいように拡大して作業するのが普通です。しかし、それだと、実際のゲーム中での表示の大きさとはズレてしまいます。
制作中の拡大画面では上手に作れてると思ったテクスチャが、実際のゲーム画面のサイズに縮小してみると、つぶれたりして見えなかったり、などのミスも初心者にはよくあります。
なので、ntny著『ローポリスーパーテクニック』では、テクスチャの制作中に、実際にゲーム画面のサイズで出力して確認します。
また、ntny著『ローポリスーパーテクニック』では、P.35で、ゲーム中で縮小されているキャラの3Dについて「戦闘中や、街中の会話ではほとんど顔も見えない。そんな中で贅沢なことをやってもしょうがないので、テクスチャ切り替えやモデル切り替えですませてしまっても誰も気付かない」と述べて(※この人の参加したゲームでは、戦闘中や街中の会話では、キャラの3Dが縮小されているらしい)、あまりモーフィングやボーン操作に頼らないことも多い実情を公表しています。
なお、アニメ業界では、修正しすぎないように気を付けつつ、それでも採算の合うように適宜に修正するのがプロです。あるアニメ会社は、あるマスコミのインタビュー記事で「1ドット分の微調整が可能になったというのだ。逆に「やれてしまうので時間をかけすぎる懸念もある」というが、クオリティはやはり向上したという。」と評価されています
アニメーションの際、腕メッシュや顔メッシュなど人体のそれぞれのメッシュを結合すると、移動するのに便利なこともある。
結合しないと、移動の際に、身体各部のそれぞれのメッシュを範囲選択しなければならず、やや手間である。
ctrl + J
で結合(join)できる。
問題は「分離」である。
分離は、分離したいパーツを編集モードで選んだあと、右クリックし、「分離」>「構造的に分離したパ-ツで」で、とりあえず形状だけは分離できる。
しかし、結合の際に、マテリアルプロパティも結合してしまう場合があり(初期設定の無色(灰色)のままだと、マテリアルプロパティの色情報が結合してしまう)、これが上述の「分離コマンド」のあとでも分離しない。このせいの不利益・デメリットは、具体的には、色が独立して変えられない、という事態に陥ることもある。
たとえば、プロパティが結合したままなせいで、顔だけ肌色にしたいのに、服を着ている胴体までも肌色になってしまったりする。
なので、それぞれのマテリアルプロパティをいったん消す必要があり、そのためには、マテリアルプロパティ中にある「×」ボタンを押すと古いプロパティが消えて、その際にプロパティの結合も解除もされるので、新しくそれぞれのプロパティを作り直せばいい。
なお、色をコピーするさい、スポイトやショートカットでは、正確な色のコピーを取れない。よって、色の数値を覚えて手動で調整とか、あるいは、あらかじめカラーパレット登録などをしておく必要がある。
最低限のメッシュとボーンが作れて、最低限のアニメーションの動画ファイルの出力に成功したなら、
今度はボーン名やメッシュ名などをつけてしまいましょう。
自動生成された名前の Cube.001 とか Cube.005 とかだと、あとから見返したときに意味不明です。
とりあえず、頭 head 、腕 arm_L および arm_R (あるいは arm1とarm2 など) 、足 leg_L や Leg_R など、さっさと命名しましょう。慣習的に、メッシュ名もボーン名も、英語でつけるのが流行です。
あとからより細かい名前に修正しますが(たとえば)、とりあえずはこれで十分です。
初心者の場合、手のひら、足のひらを作るのは後回しで良いでしょう。
ボーン名の命名でよくあるミスが、頭部のボーン名を face にしてしまうミスです。
頭部のボーン名は、face ではなく head です。faceだと頭部の前面しか意味しません。
腕の英語は hand ではなく arm です。
太ももとかスネは、footではなく leg です。footだと、靴をはく部分になってしまいます。
さて、腕の英語は arm でした。
では、上記でとりあえず付けた名前を、用途に合わせて修正していきましょう。
Unityで推奨されている命名の、
および
が分かりやすくて実用的かと思います。
Unityで推奨されている命名の、
が分かりやすいと思います。
英語では thigh とか shin ですが、しかし分かりづらいので、慣習的には使われません。
なお、ボーン名などの末尾にある左右の L および R は、キャラから見た方向です。なので、プログラマー側から見たら逆向きになります。
胴体の命名は、作家やツールによって違いが大きいので、省略。お好きな流儀をお選びください。
とりあえず色付きのアニメまで作れたら、あとからメッシュを修正しましょう。
この際、「細分化」が必要です。編集モードで細分化でき、範囲選択でそのメッシュを全体選択します。
しかし、表示モードがマテリアルプレビューだと、すでに色のついているメッシュを細分化できません。
なので、zボタンを押して、表示モードをワイヤーフレームに変えましょう。これで、色のついているメッシュも細分化できるようになります。
なお、周囲に別のメッシュがあると、範囲選択ミスなどのせいで誤動作になります。なので、周囲にメッシュのない場所まで移動するか、周囲のメッシュのほうを移動しましょう。
メッシュの一部だけを色付けするには、マテリアルプロパティ表示時において画面右側の真ん中あたりにある「+」ボタンで「マテリアルスロットを追加」
そのマテリアルの色を登録(ふつうの方法と同じ)、
その後、色変えしたいメッシュを選択し、
その後、さきほど登録したマテリアルを「割り当て」で適用。
一通り、動作を確認できたら、オブジェクトを作り直しましょう。既存の細かい球などのオブジェクトを使いまわすよりも、平面メッシュまたは立方体などで作り直しをしたほうが早いです。
少な目のポリゴン数の角柱でバランスを整え、あとからポリゴン数を(2倍程度に)増やして整えていくというのが定石です。
2方向~3方向から見てシルエットがあってれば、この段階では平気です。
ISAO 著『キャラクターを作ろう! 3DCG日和』でも、顔ではなくボディですが、とっかかりモデルを直方体の胴、直方の手足で作っておいて 、
ガイドなどのための設定イラストは、初心者では、自分で書くのは不要でしょう。上手い人は自分で下絵の正面画・側面画を描いていますが、しかし初心者には下絵を描く際の勘どころが不明です。下絵を描くのは、もっと3Dを作って慣れてからのほうが良いでしょう。
胴体はさいしょは十数角柱、
手足は八角柱、胴体は十数角柱 で、とっかかりのモデルを作ります。
八角柱よりもさらに少なくても構わず、ローポリスーパーデクニックでは何と最初は腕のメッシュは5角柱です。
なお、ローポリスーパーテクニック本での胴体のとっかかかりの角柱数はあまり明記されておらず不明ですが、初期画像を見ると8~12角柱のていどで胴体を作り始めています。
あとから点を増やしていきます。
そのあと、仕上げのためにその2倍くらいのメッシュにして、胴体なら最終的に二十数角柱で胴体を仕上げ、手足は十数角柱で仕上げています。
けっして、いきなり細部をモデリングせず、ある程度はローポリでとっかかりのモデルを作るのがポイントです。
どうしても球を使いたい場合でも、初期設定の細かい分割の球ではなく、新たに分割の粗い球(縦方向が6~7分割ていど)の球を新規で追加したほうがラクでしょう。
とりあえず、キャラのパーツを上から順に顔から作り直したとしましょう。
たとえば、顔を作る場合、土台となる簡単な立体を作るのが、初心者には把握しやすいかと思います。
たとえば、
のような手順です。
平面を1個つくって、線を選択したあと、 ctrl + F で、面を押し出しできます。
また、線を2つ以上選んで、Fを押すと、その線を通る 折れ面 を作れます。
もし、意図しない奇妙な 折れ面 ができてしまったら、 Ctrl + T で、面を三角形分割できます。
三角形を4角形にしたい場合、不要な対角線を削除 Del で「線を溶解」すれば済みます。
そして、ともかく、とりあえず閉じた顔のような立体の土台を作ります。
あとは、それを「移動」コマンドで、頂点を追加してその位置を移動していって、正面と横から見て形を整えて、顔のような輪郭にしていけば、大体の場合は、そこそこ顔っぽい立体になっています。
鼻のような突起物を足したり、アゴを頭の半分よりも前のほうに移動したり、なんか修正しましょう。
鼻や目の土台の部分の線を書きたい場合、下記のようにアドオンを追加すると便利です。blenderでは、初期設定のままでは、面の上に線を描くことが不可能ですが、しかしアドオンで線を描くことが可能になります。
「編集」>「プリファレンス」>「アドオン」で、Snap_Utilites_Line をチェックして有効化すれば可能になります。これを有効化すると、編集モードで左ツールバーに、make line というツールが追加されるので、編集モード時にこのツールで面上に線を描けます。
なお、その際、オブジェクトの透過してる表示設定だと裏側に線を描いてしまったり、線が貫通したりする可能性があるので、透過をオフにしましょう
アドオンのツールボタンは、一度追加しても、blenderを終了すると、ボタンが無くなります。再び使用する際には、またアドオンを有効化しましょう。
make line を使う際、線の基準となる開始点が無いと、なぜか上手く動作しないので、とりあえず細分化などで、耳や鼻の中心線を3~5分割でもして、点を形成しておきましょう。
さて、ローポリなので後頭部とかデコボコしてて見苦しいかもしれませんが、しかしメッシュを増やすのは後回しです。
なお、耳を描く際、make line で横顔に描いた耳の土台の線をそのまま押し出しすると、線の押出になってしまい、立体が形成されません。解決するには、押し出しをする前に、Fボタンで耳の土台の面を形成しましょう。
土台の面を形成後、Eボタンで押し出しします。あとから調整できるので、やや大げさに押し出しをしましょう。
押し出し後、1ボタンや3ボタンを使って、みる方向を変えて、耳っぽい量に調整しましょう。また、細分化で点を増やすなどしましょう。
教本だと一発でうまい位置に耳を押し出せていますが。、しかし初心者では耳の位置や向きをおそらく間違えるでしょう
たとえば、耳の穴のある面は、実は少し上を向いてます。ですが、初心者はこんがらがって耳を下向きにしたりします。
ともかく、耳を修正しやすいように別オブジェクトに分離しましょう。耳は形状が複雑なので、初心者はオブジェクトを分けないと、顔のホホのメッシュなどと近づいてしまい、修正が困難になります。
まずコピーのため、顔のメッシュ全体をオブジェクトモードで選択し、 ctrl + D でコピーします。
これだと耳を含む顔全体がコピーされてしまっているので、コピー側は耳だけを残して他を削除します。この段階では、まだ別オブジェクトになってません。
耳だけを選択した状態で、右クリックの後、「分離」>「選択」で、耳が別オブジェクトになります。忘れないうちにオブジェクト名を ear とか mimi (耳) などに変えましょう。
その他、後頭部とかアゴとか修正します。『ローポリスーパーテクニック』の実例の画像を見ると、商業ゲームでも後頭部のメッシュは意外とカクカクしています。頭頂部から後頭部ガワに90度までのリンカク線の数が4個~5個でも、商業ゲームをやれてます。テクスチャーの髪の毛の影の付け方をグラデーションにしてボカすことで、後頭部カクカクをごまかせています。
念のため、時々はナナメなどからも見て、確認しながら修正しましょう。
顔の正しい形が分からない場合、資料を探すことになります。ネットで正しい顔の、いろいろな向きの資料を探す場合、検索ワードに「アニメ」または「イラスト」と入れると資料を探しやすいです。たとえば顔をナナメ上から見下ろす向きで見たい場合「アニメ 見下ろす ナナメ」みたいに「アニメ」と入れると、希望の構図が出てきやすいです。
写真で探そうとすると、被写体のほうが見下ろしている構図とかが出てくる場合が多く、あまり構図を探すのに役立たない場合が多いです。
人間キャラの耳に関しては、ローポリでもハイポリでも押し出しで作るのが普通です。
顔ばっか作りこんでも胴体が棒だと違和感だらけなので、ある程度の満足いくまで顔を修正したら、続けて胴体を修正しましょう。
一般に3Dソフトには「ブーリアン」という演算があり、2つのオブジェクトの交差している部分だけを自動で指摘できて、目的として2個のオブジェクトの交差部分だけを残したり、あるいは交差部分だけを除去したりできる。
というか、ブーリアン機能が無いと、精密な3Dモデリング設計では、まったく使い物にならない。3D-CGソフトに限らず、製造業の3D-CAD(3Dキャド)などでもブーリアンという概念を使うので、知らないなら今ここでブーリアンの概念を覚えておこう。
これから紹介する blender のブーリアンの場合、交差部分だけを除去できる。
blenderに限らず3Dモデリング系のソフトでは、ブーリアンによる除去時など演算時に、必要な頂点や線を自動生成してくれるので、とても便利である。(というか、それこそがブーリアンの目的である。もしブーリアンが無いと、いちいち手動でいくつもの点や線を作成せねばならずに、仕事では使い物にならなくなってしまう。)
元ネタの数学の「ブール演算」では、アンド演算(and)とオア演算(or)というのがあって、and演算のほうが交差部分の抽出である。or演算とは、オブジェクトの合体である。しかし3D-CGの場合、合体については別コマンドで対応できるので、慣習的に3D業界では「ブーリアン演算」とは交差部分だけに何らかの演算を適用することを言う。
なお、Boolean とは「ブールの」という意味の形容詞であり、べつにブールのアンド演算という意味ではない。
だが、まあblenderのブーリアンはアンド演算なので、覚えやすい。
初心者は、どうせ頭頂部とか後頭部とかアゴ先とか、とんがってモデリングしてるだろうから、そういうのはブーリアンで、それぞれの箇所の頂点・辺を一括で、とんがってない形に整形できる。
なお、実はハゲ頭の人間の頭頂部は、意外と、とんがってる。(裏を返すと、ドラゴンボールの亀仙人とかクリリンとか天津飯のハゲ頭のなめらかな丸みは、じつは骨格的にはウソである。)
だが、実際のとがり気味の頭頂部は、世間では違和感を感じる人が多いので、モデリングの際は坊主キャラであっても頭頂部は丸くしておくのが無難であろう。
まず、面から飛び出てる部分を切り抜きたい場合でも、決して平面で切断すべきのではなく、厚みを持った直方体で切断するようにする。
なぜなら、平面で切断しようとしても、平面のどちら側を残すのか、ソフトの挙動が不安定だからである。
いっぽう直方体で切断する場合、blenderでは直方体に含まれる側が除去される仕様である。なので、切り抜いて除去したい部分を立体で覆えばいい。
直方体に限らず、球でも多面体でも閉じた立体であれば、その立体に含まれる側が除去される仕組みである。
本ページでは、この直方体の立体をハサミ側としよう。
ハサミ側の立体を十分に大きくして、切られる側のオブジェクトの外周部を面のひとつに含むようにする。 外周部が横断してないと切断に失敗するので、大き目にしておこう。
その後、「モデファイアプロパティ」 > 「モデファイアを追加」 >「ブーリアン」 スポイトで、ハサミ側オブジェクトを選択。
その後、ハサミ立体を非表示にすると(画面の右上のオブジェクト構成欄で目アイコンをクリックで表示を切り替えできる)、たしかに切られてるのが目視できる。
だがまだ適用されてないので、ブーリアンプロパティ上で Ctrl + A のショートカットキーで適用になる。(なお「適用」は英語でapply。)blender3系の場合、ブーリアンプロパティのどこにもapplyボタンが見当たらないので、ショートカットキーで適用を行うことになる。
あとは、空洞になっている切断面を、 Ctrl + F で面を生成し閉じればいい。
このままだと、レンダー時にハサミ側の立体が残るが、画面右上のオブジェクト構成欄の目アイコンの横にレンダーの切り替えアイコンがあるので、それで非表示にできる。
腕や足などのメッシュを修正したら、そこのボーンの修正も必要になるでしょう。
ボーンの修正時に、構成がよく分からなくなったら、ボーンを消して作り直すのが早いです。ビュー画面でボーンをクリックして、delete ボタンで消すのが早いし分かりやすいです。
あるいは、エラー「ボーンヒートウェイト」とかで手に負えなくなったときも、同様にボーンを消します。
ペアレントしているボーンを delete し切れば、勝手にペアレントしていたメッシュの階層は、元あった階層に戻ります。
ただし、なんか右上の構成バーで残骸が残ってるので、「アーマチュア」とか書いてあるのを右クリックで「削除」して、完全に消します。
そして、また新規でボーンを作り直します。左上の「追加」でアーマチュアを追加です。
そしてペアレントし直しです。
腕は、手のひら指の関節や、指の関節を作るので、なんども作り直しでしょう。
手のひらについて、手首から指の付け根までの関節は、実はあまり曲がりません。初心者は間違えます(この段落のwiki編集者じしんがそう間違えた)。
曲がり量が多いのは、指の付け根のぶぶんの関節です。
いっそのこと、腕と手を別オブジェクトにするのも手かと思いましたが、それだとアニメーション時に手こずりそうです。
ただし、『やわらか3D教室』では画像を見た感じ、腕オブジェクトと、手オブジェクトを、別オブジェクトにしているっぽいです(指は手オブジェクトに含めている)。
腕や足などのメッシュは、胴体メッシュとは別でも構いません。『やわらか3DCG教室』でも、胴体ボーンと手足ボーンとを別々のオブジェクトとして分けています。ボーンも同様、分けても胴体と手足を別オブジェクトに構いません。ボーンは、手ボーン・足ボーンを胴体ボーンとは別々のボーンとして作っても、あとからでも統合できます。
初心者向けのローポリなら、統合なんかせずに別々のボーンのままにしておくのも手かもしれません。『やわらか3DCG教室』のローポリ手本のボーンが書籍の画像を見た感じ、足ボーンを胴体とは接続せずに、別々のボーンの感じです。
なお、このローポリのキャラの手、5本指だけど、そもそもボーンが無い。5本指を書くからってボーンを必ずしも作らなくていい。
『やわらか3DCG教室』では特に名言はしてないですが、手の指はいっそメッシュ側でポーズを直接的に指定してしまうのも策の一つ。
なお、足の指は、どの教本でも素材キャラが靴を履いており、足の指を見せず、よってそもそも足の指はメッシュも無く、指ボーンも無い(「やわらか」本、日和本、ローポリスーパー本、のどれも靴を履いてて、足指のメッシュ自体が無い)。
暗黙の前提だが、服と皮膚は一体のメッシュであり、どの教本でもそうである。
だから、もしキャラが靴を履いてたりして足の指が隠れるなら、足の指のメッシュ自体を作る必要が無い。
なお、『やわらか3DCG教室』本に擬人化の動物キャラの見本(2足歩行のイヌネコっぽい動物の顔の少年)があるので裸足(はだし)なので足の指が出ているが、しかし動物キャラのボーンは5つではなく、文章の説明が無いので不明だが、画像を見た感じ、2~3個のボーンで代用しているようだ。
足の指なんて可動範囲が小さいので、ボーンをいちいち 5本×3関節=15本 もボーンを作る必要は無い。
『3DCG日和』の鬼キャラは裸足で足が4本指だが、そもそも教本ではボーンを作ってない(鬼は、メッシュの作り方だけ紹介)。
なお、『やわらか3DCG教室』のテクニックとして、文章では語られていませんが、腕の付け根を、胴体メッシュ側に含めています。
解剖学・動物学的には本来なら、腕は動物の前足に対応、足は動物の後ろ脚に対応するので、腕の付け根を胴体メッシュに含めるなら、足の付け根も胴体メッシュに含めるのが解剖学的ですが、しかし『やわらか3D教室』では、後ろ足の付け根は胴体メッシュに含めていません。
別の流儀もあります。
メタセコイアなどのように、オブジェクトをさらに分類できるレイヤー機能のあるツールの場合、オブジェクトとしては(頭から足先まで)全身メッシュ、全身ボーンと一体として作りますが(胴体オブジェクトなど個別のオブジェクトは作らない流儀)、しかしレイヤーを胴体、足上部(UpLeg)、足下部(DownLeg)、などと別々に分ける流儀です 、
なお、メタセコイアでいうレイヤーに相当するのは、blenderでは「コレクション」という機能です 『【Blender】レイヤーの使い方【移動・表示】』2020.12.27, 2016.06.18, 。
ボーンを作り直したい場合、「リンクの切断」をして、・・・(※ 調査中)
初心者レベルでは考えなくていいですが、「ボーン」と言いつつ、これは単に周辺メッシュを代表する軸でしかないので、生物学的には骨の入ってない場所にもボーンは入ります。
具体的に言うと、女性の髪の毛のフサ・タバとか、ボーンが入ります。なんだか触手というか、ギリシア神話の蛇女メデューサみたいで、慣れるまではキモイです。
スカートなど非生物にも、ボーンが入ります。慣れるまで、なかなかキモイです。
要するに、周囲の関節とは別に、独立して動く可能性のあるものは、ボーンが入ります。
たとえばスカートなら、腹の関節や、足の関節とは別に、風が吹いたりとかでスカートが独立して動く可能性があるので、スカートにもボーンが入るのです。
また、ボーンは軸でしかないので、なので顔のボーンも、一本の軸です。位置的に顔ボーンは、なんだか鬼のツノのように見えたりするので、慣れるまではキモイです。
また、腕の、肘から手首までの骨は、生物学的には2本ですが、しかし3Dソフトのボーンは1本だけです。ボーンは動きを指定するための手段としての軸でしかないので、生物学的な骨の数には対応しません。
おおむね、関節と、次の関節までのあいだがボーン1本ですが、しかし多いぶんには問題がありません。
たとえば、肩甲骨のまわりの動きとか、シミュレーションするのは大変ですので、そういうのはせず(3Dソフトにもそういう機能はない)、腕の付け根のあたりに、(生物学的には関節のない位置なのに)ボーンを1~2本ほど足す場合もあったりします。
足の付け根の、股関節の周囲も同様で、ボーンをいくつか足す場合もあります。
また、肩甲骨とか股関節とかの関節の位置について、腕や足のつけ根のボーンの位置は、対応させる必要はありません。
「骨組み」などの日本語もあるので、ボーンをなんとなく周辺メッシュの土台っぽくイメージしてしまいがちですが、しかしボーンは土台ではなく、ボーンは周辺メッシュを動かすための手段にしか過ぎません。
足の太もものボーンがわかりやすいのですが、生物学的な骨とは、位置がやや違います。
生物学的な太ももの骨は、やや外側によっています。美術解剖学などでも、そう習います。イラスト講座などでも、そう習うかもしれません。
ですが、3Dのボーンは、太ももの真ん中に作ることもよくあります。なぜなら太もものメッシュを動かすためなら、それで十分だし、そのほうが確実に制御しやすい場合もあるあらです。
市販の書籍ではいちいち説明してないですが、しかし書籍にあるボーンの位置を見てみると、生物学的な骨の位置とは微妙にちがっています。
このように、美術解剖学における骨や筋肉などの知識は、残念ながら3Dモデリングには、あまり直接的には使えないのです。少なくとも初心者レベルでは。
とはいえ、プロのレベルだと、美術解剖の専門書を購入して読み込んでいます。書籍『ローポリスーパーテクニック』の著者は、『目で見る筋力トレーニング』(フレデリック・ドラヴィエ著、大修館書店)という筋肉本を進めています。
ゲームエンジンも3Dモデリングソフトも、インストールするさいの容量が膨大で、何十ギガバイトもあります。
インストールしたら、すぐに使いたいでしょう。学習の手始めとしては、それで良いし、まずは動かして覚えるのが効率的です。
しかし、一見すると正常にインストールされたように見えて、実はまだインストールが正常に完了していないかもしれない可能性があります。
だから、ためしにネットの解説サイトやあるいは市販の解説書を参考に操作してみて、どうしても上手く動作せずに操作が失敗する場合、もしかしたら、単にインストールがまだ正常には完了してない場合もあります。
3Dソフト側のインストールの問題だけではなく、windows側のdirectX関係など関連プログラムのインストールなどが、もしかしたらまだ途中かもしれません。
そのような場合の可能性も考えて、なんだかインストール直後の操作の結果がおかしい場合などは、いったんパソコンを再起動してパソコン全体を更新するなど、してみましょう。
たとえインストール初日の1日目にうまく動作しなくても、3日後や1週間後などにまたチャレンジしてみましょう。なぜか数日後には、前回と同じような操作なのに、こんどは正常に動く場合もあります。
インストール時の表示の「インストールが正常に完了しました!」なんて文言、信用してはいけません。
3Dソフトはあまり理論化されておらず、それほど規格統一などもされておらず、よって、操作しながら、使いかたを学ぶ必要があります。
特に blender はショートカット・キーを多用しなければいけない仕様なので、操作を体感的に覚える必要があります。また、ネットでググりながら使い慣れていく必要があります。
けっして、「先に書籍などで情報を覚えてから、ソフトを操作してみる」なんてしないでください。それだと挫折します。
現代では無料の3Dソフトがあるので、書籍を買うより先に、まずソフトを使い慣れてから、そのあと、書籍を読むなどしてください。
あるいは、書籍を買うより先に、YouTubeなどにある講座動画を見るのも良いでしょう。上手い人の操作を見るのも、勉強です。
ザッカーバーグいわく、「完璧よりも、早く終わらせろ」という格言もあります。
3Dソフトはまだ規格統一などされておらず、このため、一つのソフトをまずは集中的に学ぶのが効率的です。
もし、学習中にコロコロと使用ソフトを変えると、基本操作など覚えなおしになってしまい、非効率です。
DirectX プログラミングについて2023年の時点では、書籍やネットによる独学が難しくなってしまっており、なんと出版市場から入門書が無くなってしまってる。
かつて、工学社からDirectXプログラミングの初心者むけのプログラミング教本のシリーズが存在していたが、2015年の『DirectX 11 3Dプログラミング』を最後に、DirectX12以降のバージョンが出ていない。さすがに7年以上も前の教本を使うのは、設定など大きく変わっている可能性があり、初心者には難しいし、そもそもこの教本がOSに想定しているWindows7がサポート切れであるので、活用が困難ある。
なお、DirectXの2023年現在の最新バージョンはDirectX12である。
歴代のDirectXの傾向として、数字がひとつ変わっただけでも、初期設定などは大きく変わる。
工学社以外の他社から分厚い解説書はいくつか出ているが、しかし出ている本はどれも入門的ではなく、入門者には分からない説明がいくつか抜けてしまっている状況である。
しかもネットを調べても、最新のDirectX12のプログラミングの解説サイトは少なく、それどころか一つ前のDirectX11の解説サイトすらネットには少ない。
こういう出版状況になってしまっているので、もし周囲にDirectXプログラミングに詳しい先輩(でなおかつ親切に教えてくれる先輩)などのいない環境の独学者は、就職・自己アピールなどのさいには上述のような出版事情を話して、代わりの勉強として、3DモデリングソフトやDXライブラリなど別の勉強をするしかないだろう。
※ 初期設定の解説がネット上に少ない、説明あっても各所にバラバラで不便なので、まとめる。
DirectX 単体では、ウィンドウを作れない。DirectX用のウィンドウは別途、windows APIで作る必要がある。
nanodなので、最終的に、
の2つを作る。
ただし、「追加のオプション」を利用するためには、「windows デスクトップ ウィザード」を利用しないといけない。 なぜならテンプレート選択時のメニュー「windows デスクトップ アプリケーション」だと「追加のアプリケーション」が存在しないので。
このためか、解説サイトなどでは、デスクトップウィザードを用いて設定している
解説サイト大手のWisdomサイトだとバージョンが古いのか名前が違うが、しかし「追加のオプション」のあるテンプレートを選んでいるので。
※ もしかしたら、万が一、ここで「追加のオプション」を忘れても、 「ファイル」>「新しい追加」>「新しいプロジェクト」 で「空のプロジェクト」の追加でも行けるかもしれないが(未確認)。しかし、最初から やり直すのが無難だろう。
さて、プロジェクト画面が表示されたら、これからソリューションエクスプローラーをいじる必要があるので、もし表示されてなかったら、メニュー欄の「表示」>「ソリューション エクスプローラー」で表示できる。
プロジェクトに、direct3D関連のライブラリを手動で追加しなければならない 。
そのため、メニュー欄の「プロジェクト」>「プロパティ」によって、プロパティページを開く。
「構成プロパティ」→「リンカー」の先にある、「入力」と「コマンドライン」をそれぞれ設定する必要がある。 「構成プロパティ」→「VC++ディレクトリ」 の設定も必要らしい。
「VC++ディレクトリ」については、閲覧してみて、「インクルード」と「ライブラリ」のディレクトリが、それぞれ
のようになっていれば問題ない。
なお、この内容は、DirectX SDK と boost のインストール先のパスを指定している。
「構成プロパティ」→「リンカー」→「コマンド ライン」>で、「追加の依存ファイル」に directX12の場合は
d3d12.lib;dxgi.lib;%(AdditionalDependencies)
を追加する。
場合によっては、代わりに
d3d12.lib;dxgi.lib;d3dcompiler.lib;%(AdditionalDependencies) を追加する。
さらに工学社本いわく、「構成プロパティ」→「リンカー」→「入力」で、「追加の依存ファイル」に
d3d10.lib d3dx10.lib dxguid.lib dxerr.lib
を追加。ただし工学社本はDirectX10時代のものなので、現代ではライブラリが違うかも。
なお、科学者の水野さんは、バージョン不明だが「追加の依存ファイル」に、
dsound.lib dinput8.lib dxerr9.lib d3d9.lib d3dx9.lib d3dxof.lib dxguid.lib winmm.lib
を追加すべしと言っている。
3Dゲームを作るときにはカメラの動作を決める必要があります。2Dの表現ではキャラクタを上から見る、斜め上から見るなどの表現がなされますが、それらはどれも場面をある1方向から見る表現でした。一方、3Dで場面を作るときには、それらはあらゆる方向から見る事が出来るので、見る人の視点によって描画される内容を変更する必要があります。
簡単な表現では、カメラの位置はプレイヤーが動かすキャラクタの場所に固定します。このとき、プレイヤーキャラクタが画面内に映らなくなる表現とカメラをプレイヤーキャラクタの後方に配置して、プレイヤーキャラクタを画面内に含める表現があります。前者の表現はFPS(First-Person shooting: 1人称シューティング)でよく用いられます。
基本的に3Dでの描画を行うには、それぞれの物体に対して座標を与え、それを適切な角度から2Dへの射影を行う事でなされていました。このとき、3Dの描画にOpenGLを使うとすると、各物体の座標の与え方にいくつかの制限が加わります。例えば座標の原点は常にカメラの位置に固定される、画面上方向は常にy座標とする、などです。
幸いにもgluLookAt関数を利用することで、この制限を乗り越えることができます。gluLookAt関数は、カメラの位置、カメラが向いている方向、上方向の3つの3次元ベクトルを用いて指定する関数で、カメラの位置を変更するのと同じ効果をもたらす行列を作成し、現在選択されている行列にかけます。通常の状態ではカメラの位置(0,0,0)、カメラが向いている方向(0,0,-1),上方向(0,1,0)となり、この時かけ算される行列は単位行列に等しくなります。 gluLookAtの行列は次で与えられます。
まず、
で表される行列で、座標の方向を調節します。ただし、
F → = center → − eye → {\displaystyle {\vec {F}}={\vec {\textrm {center}}}-{\vec {\textrm {eye}}}} , f → = F → / | F → | {\displaystyle {\vec {f}}={\vec {F}}/|{\vec {F}}|} , u ′ = up → / | up → | {\displaystyle u'={\vec {\textrm {up}}}/|{\vec {\textrm {up}}}|} , s → = f × u ′ {\displaystyle {\vec {s}}=f\times u'} , u → = s → × f → {\displaystyle {\vec {u}}={\vec {s}}\times {\vec {f}}}
を用います。更に、カメラの位置を動かす為に、
を実行します。
ここでは、上の変換のうちで座標の方向を変更する行列について説明します。この行列の導出にはいくつかの前提が必要となります。まず、変換後の座標系ではカメラは-z方向を向いています。またこの時、画面上方向は必ずy方向になります。これらはOpenGLの座標の取り方から来る制限です。ここではもう1つの制限として、gluLookAtで得られる行列が直交行列であることを仮定します。直交行列の各行と列は、お互いに直交する単位ベクトルとなり、直交行列の逆行列は元の行列の転置行列になります。詳しくは線型代数学を参照して下さい。
行列を求める方針として、 f → {\displaystyle {\vec {f}}} を − e → z {\displaystyle -{\vec {e}}_{z}} に変換し、 u → {\displaystyle {\vec {u}}} を e → y {\displaystyle {\vec {e}}_{y}} に変換するような行列を探します。このような行列をPとおくと、仮定からPは直交行列なので、
より、
が成り立ちます。最後の式は具体的に計算できて、
が得られます。同様にして、
が得られ、求めたい行列のうち6つの要素が得られたことになります。Pが直交行列という仮定を用いると、 ( p 11 , p 12 , p 13 ) {\displaystyle (p_{11},p_{12},p_{13})} は、 u → , f → {\displaystyle {\vec {u}},{\vec {f}}} に直交する必要があります。このようなベクトルは s → {\displaystyle {\vec {s}}} に比例する必要があります。ここでは右手系の座標系を保つために、
と取ります。これで元の変換行列が得られたことになります。
プレイヤーが動かすキャラクタの位置と向いている方向を表す構造体をcameraとし、その値を次のようにおくと(cはcamera型の変数で、この変数がプレイヤーキャラクタの位置と方向を保持しているものとします)、
カメラの位置をプレイヤーキャラクタの位置に変更する方法は次のようになります。
ただし、ここでは最後の引数(0,0,1)で、上方向がz方向であると定義しました。
上の変換では、カメラの位置を変更したのですが、これだけだと変更された後の位置を中心として、長さ2で表される立方体の中の物体しか描画されません。これはもともと投影行列が単位行列だった時には、原点を中心として長さ2の立方体内の物体しか描画されないことと対応しています。より遠方の物体を描画するには、glOrtho, glFrustumの両関数を利用することができます。一般的なゲームでは"遠方のものは小さく見える"といった表現がなされるので、ここではglFrustumを用います。glFrustumの引数は状況によりますが、x,y方向に関係する引数を大きく取ると視界が広くなり、z方向の座標を大きく取ると遠くのものまで見えるようになります。ここでは
をgluLookAtの1つ前にいれます。
実際にこの関数を使ってプレイヤーキャラクタが動く様子を書くことができます。処理の様子は、
のようになります。set_camera以外の関数は説明していないので、以下で説明します。
次の図は、カメラの位置を動かしながら描画を行ったものです。元々遠くに見えていたものが近づくにつれて大きくなる様子がわかります。
具体的には画面中に見える白い物体はそれぞれ三角錐で、中心の座標は(0,0,0),(3,1,0),(3,4,3),(5,-2,1)となっています。更にカメラの位置は(10,0,1)であり、カメラが向いている方向はいずれの場合も-x方向です。
ここで、init_cameraとdraw_sceneの内容を紹介します。init_cameraは、カメラの位置と方向を定める構造体cに、初期値を与える関数です。ここでは次のようにしています。
単にカメラの座標を(10,0,1)とし、方向を-x方向に定めているだけです。ここでz座標が0でないのは、FPSでカメラの位置がキャラクタの顔の辺りにおかれることを意識したものです。c.zを0とすると地面を這うような表現になります。
draw_sceneは、次のような関数です。
glClearは、画面の表示をクリアする関数です。watch_from_cameraとdraw_coneはそれぞれ次のように与えています。
ここで、watch_fromが視点変換を行う関数の本体であり、watch_from_cameraは、引数を与えることを目的とした関数です。ここでは
という仮定をおいています。更に、draw_coneは、
としています。頂点と面を指定して多角形を書くときには、頂点と面のそれぞれをGLfloat型と、GLint型の2次元配列を使う方が普通です(例えばRed Book3章)。ここでは簡単のためマクロを使いました。
ここまででカメラの位置を指定する方法を解説しました。ここからはカメラの位置を機器の入力を受け付けて変更する方法について述べます。
実際には入力を受けてカメラの位置をどのように動かすかは、例をアクションゲームに限っても、個々のゲームによって変化します。例えば、
ここでは簡単のため、1番目の選択肢である"プレイヤーキャラクタの後ろにつく"を採用します。これは、カメラの位置とキャラクタの位置が同一であるか、簡単な変換で導出できる関係にあるためです。
既に2Dのゲームプログラミングを通して、何度か入力機器の取扱いについて見て来ました。ここでは入力機器を扱う方法としてSDLを使います。SDLは入力機器の初期化と、2D,3Dの描画を扱うための簡単なライブラリで、多くの(主に個人製作の)ゲームで利用されています。
SDLでは機器の入力はイベントとして扱われます。イベントを供給する元はシステムによって様々ですが、X(Linux他)や、DirectInput (Windows) が用いられます。SDLがこれらのシステムからイベントを得ている方法を見るには、SDL-x.x.x/src/video以下の各ディレクトリを見ることが必要です。ここでは詳細を追求せずに、SDLの関数を使うことにします。
実際にイベントの監視を行うには、メインループの中で、
などとします。ここで、eはSDL_Event型の変数で、main関数内で定義します。実際にイベントを扱うのはprocess_event関数で行います。SDLが扱うイベントは、キーボード、マウス、ジョイスティックなどの入力機器からの要請の他に、スクリーンからのexposeイベントやresizeイベントがあります。これらは使っていたウィンドウが他のウィンドウで隠された時や、扱うウィンドウの大きさを変更したときに供給されるイベントです。これらの様々なイベントを扱うため、SDL_Event構造体には、
という要素が含まれています。これは各々のイベントの種類を表す要素で、process_event内ではこの値に従って処理を分ける必要があります。具体的には
cb_keydown(up)の関数では実際に押された(離された)キーを取得します。このときにはSDL_KeyboardEvent内の、
要素を利用します。詳しくは、SDLのインストール先から、SDL/SDL_keyboard.hや、SDL/SDL_keysym.hなどを参照してください。cb_keydown(up)内での具体的な処理は対応するpressed関係の変数を書き換えることです。この処理は2Dの時の例と同じなので省略します。
ここまででキーが押されているかどうかを知る事が出来るようになりました。ここからは具体的なカメラの移動を見ていきます。ここではset_camera関数内で、カメラの移動を行います。カメラの位置と方向はc内に記録されているので、この関数ではpressed関係の変数の値を見て、カメラの方向を変更する処理が必要になります。
実際に行う処理は、カメラの位置を変更する処理と、カメラの方向を変更する処理に分かれます。ここではカメラの位置を変更する処理を先に扱います。
FPSでは、カメラとキャラクタの移動は、次のように行われます。
ここでは"前"を表すキーとして上キーを使い、"後ろ"を表すキーとして下キーを用います。具体的なset_cameraは次のようになります。
ここで、aはキャラクタの移動速度を調整するための定数です。実際には人間が地面を蹴って移動するとき人間が得るのは力積なので、キャラクタの移動では位置ではなくキャラクタの速度を変更するべきです。ここでは簡単のため移動にかかる時間は無視できるものとしました。力積については高等学校理科 物理Iを参照してください。
次に、キャラクタの方向を変える処理について説明します。ここではカメラの方向を3次元ベクトルで保存しているのですが、説明の都合上、方向をθとφを使って表します。ここで、θは、z軸方向とカメラの方向がなす角、φは、x軸方向と、カメラの方向ベクトルをxy平面に射影したベクトルがなす角とします。
通常キャラクタの方向を変更するときにはφだけを変更します。ただし、キャラクタの視点に立って辺りを見回す表現(主観視点と呼ばれる)では、θも含めて変更する必要があります。ここではφだけを変更します。具体的には左回転をするときには、
右回転では
とします。ここで、bはキャラクタの回転速度を表す定数です。
キャラクタの方向を表す3次元ベクトルとθ, φは次の三角関数で結ばれています。
逆の変換は
となります。これらの値を使って3次元ベクトルと方向を表す角の変換を行うことができます。
1度の回転の角度が十分小さいときには、
で左回転を、
で右回転を表すこともできます。ここで、mは定数であり、normalize関数は、cの方向ベクトルを正規化する関数としました。これは、回転の角度が小さいとき、回転による方向ベクトルの変更を元のベクトルに直交するベクトルで近似できることを利用した変換です。方向角を使わないで回転を表現したい場合に利用するとよいでしょう。
これらの関数を用いると、set_camera内のif - else if文に、
を付け加えることになります。
ここまでで3Dの座標を設定し、定義された物体をプレイヤーキャラクタの視点から観測する方法についてまとめました。例えば3Dのアクションゲームではこれらの手法に加えて重力を与えて、キャラクタが下向きに落下するようにしたり、キャラクタをジャンプさせるという作業が必要になります。しかし、これらの手法は基本的に2Dの場合と変わらないので、ここでは詳しく述べません。
実際には、上で述べたカメラの動かし方と、xjumpなどの2Dアクションの手法を用いて、3Dにおけるxjumpの対応物を作ることができます。ここでは、実際にそれを作成した場合について解説します。
xjumpの対応物を作るために最低限必要な要素は次のようになります。
他に、本来のxjumpでは
などいくつかの要素があります。ここでは簡単のため、
などとして進めます。
ここからは先に述べた3つの要素について解説します。xjumpでは、ジャンプによって飛び移るための床は、乱数を用いて生成していました。ここでは簡単のため床の位置は定数の2次元配列で与えることにします。更に、床の大きさを固定することにすると、各々の床を得るために必要な情報は、床のうちの任意の1点です。ここではx座標とy座標が最も小さい部分とします。これらの情報は、例えば、
のように与えることができます。
次に、キャラクタが落下する処理については、カメラの位置を動かす処理で、
などとします。gはここでは下向きの加速度を表す定数です。これらの処理は2Dの場合と同じなので詳しく述べません。
最後に、キャラクタが床の上にいるかを判定するためには、次のような関数を使います。
if文で行っていることはキャラクタの位置(PL_X,PL_Y,PL_Zで与えられる)が各々の床の範囲内にあるかどうかを確かめる作業です。3Dの時の違いは、x座標とy座標の2つについて判定が必要になった点だけです。また、実際にキャラクタが床にいるときに、キャラクタのv_zを0にするなどの処理も行っていますが、2Dの時と変わらないので省略します。
これらの手順で作ったプログラムを仮に3d_xjumpと呼びます。実際に筆者がGLの初期化にSDLを利用してこれを作成してみたところ、300行程度で収まりました。ただし、ここではカメラに回転を行わせず、常にx座標正の方向からキャラクタを見る視点にしました。ここでスクリーンショットをいくつか載せます。
ここまででキャラクタやカメラの位置を動かす方法について説明しました。ここからは、より複雑な物体を表示する方法について述べます。ただし、複雑な物体を扱うときでもカメラやキャラクタの位置を動かす方法はこれまでと同様です。
ここでは複雑な物体を表示する方法について説明します。既に、OpenGLで頂点を用いた物体の描画について説明しました。また、カメラ配置の例では、三角錐を作成しました。実際にはより複雑な物体を表示することが求められます。例えば後に取り上げるSuperTuxKartでは、カートに乗ったペンギンなどが画面に表示されます。また、それらのカートが走るコースも、表示する必要があります。
これらの描画を行うには、3Dのデータを作成するためのソフトウェアが必要となります。このソフトウェアはモデラと呼ばれ、3Dのゲーム開発をする上で重要なソフトウェアです。モデラ自体はゲームだけでなく、3Dのモデルを作成するときには常に利用されます。
フリーで使用できるモデラとしてはblenderが有名です。このソフトは、Windows, Mac OS, Linuxなど各種のプラットフォーム上で利用できるソフトウェアで、先程のSuperTuxKartでは実際に使用されているようです。ソフトの使い方はblenderなどを参照して下さい。
モデラを使って作成されたデータは、3Dデータとして保存されます。これは頂点の位置や、面を塗る色などを指定しており、これを読み取ることでモデラで作ったデータを画面上に表示する事が出来ます。
残念ながらこれらのデータには、標準化されたものがなく、データ形式はモデラごとに変化します。各種の形式を読み取るためにはそれらに対応するライブラリを使うのが簡単です。SuperTuxKartでは、PLIBを使っています。PLIBは、Windows, Mac OS, Linuxなどで動作する3Dプログラミングの為のライブラリです。SuperTuxKartではデータの受渡しに.acファイルを使っていますが、このファイル形式はblenderとPLIBの双方でサポートされています。
実際にはPLIBを利用して、カメラの配置など3Dプログラミングに必要な作業を行う事も出来ます。しかし、ここではPLIBの機能には深入りせず、与えられた3Dモデルのファイルを表示するプログラムを作成するに留めます。このプログラムは、PLIBのサンプルであるplib_example( )の、src/ssg/tux/tux_example.cxxとほぼ同じ内容です。
ここまでが、PLIBとGLUTを用いるときの基本的な描画を行う部分です。今までと違うのは、物体の描画にssgCullAndDraw関数を用いていることです。PLIBは3DモデルのデータをssgRootクラスを用いて管理します。ssgCullAndDraw関数は3Dモデルのデータを実際に描画する関数です。ここでは描画する3Dモデルに対するポインタをrootとしました。実際にデータをrootに与える部分はdata_init関数としており、次のように与えられます。
ただし、ここでは"snowman.ac"というACファイルが同じディレクトリ内にあるものとしました。ここまでで物体の描画は行われますが、物体が実際に見えている事を知るために、カメラの位置を動かす必要があります。その作業はcamera_init関数で行います。
ここではカメラの位置を(0,-10,0)とし、カメラの向きを(0,1,0)としました。何も設定しないとファイルから読み出された物体の位置は(0,0,0)となるので、これで設定は完了です。
ここで作成したacファイルは球と円柱だけを用いた物です。より複雑な物体を作るにはblenderなどを参照して下さい。
w:en:GLtron
w:en:Neverball
http://supertuxkart.berlios.de/
ローポリのポリゴン数には、特に基準はないのですが、慣習的に人物キャラクター1体あたり3000ポリゴンがとりあえずの目安になることが多いです。
一般的に、3D-CGの分野では、顔や手足などの注目される部分はポリゴン数が多く分配されますが、腕などはポリゴン数が少なめです。書籍『ローポリスーパーテクニック』や、別著者の『3DCG日和』(著者 ISAO、出版: BNN、)でも、(著者は特に明言していないが)書籍中のポリゴンデザインはそのように、顔が多めで、腕がスカスカになっています。
これは別にゲームやアニメに限ったことではなく、アメリカの3Dアニメ映画などでも同様であり、たしか岩波書店が90年代後半~2005年ぐらいに出した情報科学書か、あるいか別の数学者(微分幾何学の研究者)が2005~2010年ぐらいに書いた本だったかで、そう書かれていたような記憶があります。
若山正人 編『可視化の技術と現代幾何学』、岩波書店、2010年3月26日 第1刷発行 、を確認したら、その本にはポリゴンの密度の方よりの話題は無かった内容なので、たぶんそれより前の時代の別の数学書に書かれていたと思います。
CG用語で「特徴点」という用語があるのですが、顔はほかの身体パーツと比べて特頂点が多いので、アメリカのハリウッド業界などで使われている3D-CG製作ソフトでもモジュールが顔とそれ以外とでは分かれていると、その科学者は古いほうの岩波の書籍で述べていました。
アマチュア・初心者向けの3D-CGソフトでは、あらかじめ特徴点が設定されているのが普通です。
3Dゲーム業界では、「リギング」と言って、ポリゴンとジョイントを関連づける作業もあり、一般に3Dモデラーがリギングも担当します。
あと、現代では3D作品では、作品にも寄りますが、イラストを描く人と、そのイラストをポリゴンにアレンジして3Dデザインをする人とは別の人です。
2Dイラストレーターに先にデザインを出してもらい、それをもとに3Dグラフィッカーがポリゴン用に3Dデータを作り直します。
これは、ゲーム『シャイビングフォース・イクサ』などの「3Dデザイナー」(参考文献中の表記)職である ntny(※著者名)著『ローポリスーパーテクニック』(ソフトバンク出版)にそう書かれています。
2Dイラストレーターのデザインでは3D的な整合性を意図的に考えずに自由な発想でデザインをしてもらう仕事を依頼するので、整合性など不自由な部分への対応については3Dグラフィッカーが(整合性を)補うと書籍に書かれています。書籍『ローポリスーパーテクニック』中にも
と書かれています。「それを上げるのは、理詰めで作るデザイナーだけでよい。」(※「デザイナー」とは、書籍の文脈では3Dグラフィッカーのこと)と書籍にあります。
だから、ゲーム業界では(アニメ業界とは異なり、)三面図がない場合もあります。
キャラの前後の2枚の設定画さえあればいい、とのことです。
(この点、アニメ産業とは異なります。また、こういったゲーム文化とアニメ文化の違いにより、アニメ版権モノの作品のゲーム化では、例外的にアニメ文化に合わせて、膨大な設定資料をもとにゲーム制作することにもなったりすると、ローポリスーパー本のnyuuさんは述べています。)
テクスチャを描くのは、3Dデザイナーです。なので、3Dデザイナーにも2Dイラスト力が必要です。
多くのゲームの場合、ゲームで最も負荷が掛かるのは、RPGなら戦闘、アクションゲームならアクションシーンです。
シーン全体で使えるポリゴン数に上限があり、たとえば上限が30000〜35000万(秒間30フレーム)だったりするので、そこから逆算して各オブジェクトの制限ポリゴン数の仕様が決まったりします。
背景や戦闘エフェクトなどにもポリゴン数が配分されるので、それだけでポリゴン数の半分くらいを占めてしまうこともあり、キャラクターと敵のポリゴンは残り半分くらいしか使えません。そういった諸々が上司などに考慮されて、キャラクターのポリゴン数が1体あたり3000くらい、と決まったりするようです。
敵モンスターのポリゴン数はそれより少ない場合も多く、モンスター1体あたり1500ポリゴンだったりする場合もあります。おそらくですが、キャラクターをウリにするゲームの場合、キャラクター以外のポリゴン数は犠牲になるのでしょう。
実は、イベントシーンなどの上半身のアップでは、イベント用の別ポリゴンモデルを使っている場合もあります。
その他の例では、書籍『ゲームクリエイターの仕事』によれば、カメラから遠くて小さいキャラクターの場合には、ポリゴン数の少ないものに切り替えるという手法もあり、このような手法を LOD (Level Of Detail) と言います。
一般的に、キャラクターに表情をつけさせる場合、「特徴点」(とくちょうてん)と言われるモデル中の各パーツを代表する(パーツ1つあたり)数個程度の頂点を移動します。
目の両端および中央、まゆの左右および中央、鼻の左右および中央や鼻頭、口の左右および中央、こめかみ、あご、などに、それぞれ特徴点がいくつか当てられています。その特徴点を、望みの表情になるように移動することで、表情をつけます。
関節などにも特徴点があります。
重要なことは、「こめかみ」にも特徴点があることです。(別セクションで紹介した岩波書店だか微分幾何学者の本にも、特徴点のひとつとして「こめかみ」が書いてありました。)
子供の描くような平面的な顔の絵と、立体的な顔のデザインのコツは、こめかみを意識した絵を描けるかどうかです。子供の遊びの「福笑い」だと、こめかみを意識する事が無いので、なかなか「こめかみ」のデザインには意識が回りません。
正面顔での「こめかみ」の位置は、実は、目の瞳の下の位置です。(世間では、勘違いして、輪郭の位置だと思ってる人が多い。)自分の顔で試してください。鏡の前で、正面を向いた状態のまま「こめかみ」の頂上に指を当てて、指を上に動かして、目の手前に来るまで上に動かしてください。誰の顔でも、指先は目じりの下のほうに到着します。
しかし世間の人の多くは勘違いしており、「こめかみの頂上は輪郭上にある」(×)と錯覚しています。
ローポリスーパーテクニックの著者は、「こめかみ」のこの世間の勘違いを「こめかみトラップ」と呼んでいます。
この「こめかみ」のデザインのコツは、一般のイラスト技法書を見ても、なかなか解説書が見つかりません。アニメーターさんとか立体的な絵を書けるのでアニメーターは感覚的には絶対に分かっているハズなんですが、しかしアニメーター教本でも、なかなか「こめかみ」の説明を見つけるのが難しいです。
やはり、CGソフトをイジって、こめかみのポリゴンを実際にいじっているプロの人だと、目のつけどころが違います。やはり、絵の勉強において、色々な映像クリエイターの人の意見を技法書で読むのは勉強になります。
いろいろとローポリ本の解説をしてしまいましたが、実は「ローポリにセオリーはない!」ともローポリ本の著者は述べています。なぜそうなるかというと、ゲームで使われるポリゴンモデル自体が、ゲームの仕様から逆算されて決められるからです。
よく整形手術の広告か何かで、「ほお骨を削ってスリムな顔に」とか言ってるのを見掛けると、こういう「特徴点」の存在を知ってる人は、整形広告がバカバカしく思えるでしょう。ああいう広告を真に受ける層な時点で、「わたしは観察力すらない馬鹿で〜す。正真正銘の馬鹿でーす」と自己紹介しているようなもんです。観察力さえあれば小学生ですら、ほお骨の共通性に気づけるわけです。ほお骨の位置関係なんて、人種が同じなら、ほぼ共通なわけですが、しかし馬鹿は観察力が無いので気づきません。 馬鹿は、目の前の現実よりも、先入観を重視します。そのくせ「自分は先入観にとらわれない(から、私は頭いい!)」とか思っています。
そのくせ、馬鹿ほど「自分は観察力がある」と思って自惚れて(うぬぼれて)います。マンガ『行け!稲中卓球部』で、文脈は違いますが「馬鹿のくせに自分は頭がいいと思ってるタチの悪い馬鹿」という表現がありますが、まさにそれピッタリです。
その整形後の写真か何かを見て(CG加工してない保証すらないですが)、「美人だ」とか言ってる人もまた馬鹿の自己紹介です。馬鹿は馬鹿同士で褒め合います。関わらないようにしましょう。
アニメ作品だと、ジブリのアニメの宮崎駿のキャラクターデザインや、カラー社『新世紀エヴァンゲリオン』のキャラクターデザインだと、ほお骨がけっこうハッキリとしています。ロボットアニメだと、パイロットを斜め下にあるカメラから見上げる構図もあるので、けっこうホオ骨が目立つ構図もあります。イラスト趣味では「どういう絵柄を好きになるか?」の時点ですでに、自分の観察力アピールが始まるのです。
さて、ローポリ本の著者は述べていませんが、「こめかみ」他にも忘れやすいパーツとしては、目の白目(しろめ)も忘れやすいです。目のデザインを描くときも、瞳の中のハイライトばかりに意識が向きがちなので、白目の部分に意識がむかず、そのため極端に白目の少ない目をデザインしてしまうと、お猿さんやお馬さんのような動物的なつぶらな目になってしまいがちです。それが好きならそれでも構いませんが。
ともかく、ローポリの場合、特徴点を動かして表情をつけるので、なのでポリゴン数も限られてきます。(「ローポリスーパーテクニック」では「頂点情報」と言ってるが本ページではCG学の用語にならって「特徴点」とした。岩波本だかにも「特徴点」で「表情」という表現があったので。岩波本などによると、特徴点を編集して表情をつくるという作業の流れは、けっして日本のアニメやゲームだけでなく、アメリカなどのハリウッド映画やディズニー映画などもそうだと言ってました。)
だからともかく、3Dゲームのキャラクター表情の場合、特徴点以外はなるべくテクスチャーで処理することになるでしょう。
一応、複数の一体化したポリゴン複数セットのうちの代表点の1つだけを特徴点とする方法を使えば、もっと多くのポリゴンをCGソフトで操作できるかもしれませんが、ゲームではローポリ化する必要あるので不要でしょう。(もしかしたらハリウッド映画のリアルCGなどだと、ポリゴン複数セットの代表点の方式のほうが良いかもしれません(推測です。現在の版のwiki編集者はよく知りません)。)
ローポリに限りませんが、一画面中で表示可能なポリゴン数に制限がありますので、実は現在のゲームで一画面中に表示できるキャラクターやモンスターなオブジェクトの個数には、限りがあることになるハズです(特に参考文献はありませんが)。
ファミコン時代の昔のゲームは、画面中の描画処理の限界のため一画面中のキャラ数に限界がありましたのでマップ配置が実はそういう制限を受けていたでしょうが、実は現代の3Dゲームでもポリゴン数の制限で似たような問題が生じてしまいます。
とにかく現代では、一画面中で表示可能なポリゴン数に制限がありますので、だから物陰に隠れて見えないはずのオブジェクトは、いちいち表示をオフにするプログラムを組まないといけません。
一方これが映画、アニメ用の3D-CGだったら、そんなことせずともZバッファ法で手前のオブジェクトで上書きするだけで奥のオブジェクトは隠れますし、最終的に動画ファイルにエンコードするので問題ないです。ポリゴン数が多くても、単にエンコード中の時間が掛かったりするだけで、最終的にエンコードされた動画の速度には関係ありませんので。単に作り手側だけ、エンコード時間が掛かるだけであり、視聴者側は何もエンコードしないからです。
しかし、ゲームのリアルタイムレンダリングでは、そうはいかないのです。ポリゴン数が多いことは、プレイヤーにとって操作中の処理落ち、またはプレイの操作速度の低下などにつながり、プレイヤーの快適性を著しく下げます。
だから、いちいち、非表示のオブジェクトの非表示プログラムを組まないといけません。また、前提としてそのような都合のいい壁などによる目隠しが必要です。
だから現代ゲームでも、実はマップの配置は、昔のファミコンゲームと同様に、処理落ちをさせないように、プレイヤーの視界に入る敵の配置をうまく分散することができるようなマップ配置になっているハズです。 | [
{
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"tag": "p",
"text": "2000年以降、ソニーのプレステ系ハードの3Dレンダリングエンジンは、実はWindowsのDirectXに合わせて作られてあります。 なぜそれが分かるかというと、ゲーム3Dデザイナー向けの3D-CG技法書を読むと、Direct3Dを中心に解説してあるからです。",
"title": "ゲームエンジンとの関係の現状"
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"text": "だからゲーム業界の3Dデザイナーがモデル制作をする際も、Windows向けの3Dモデリングソフトを用いて、ゲーム用の3Dモデルを作っています。なお、テクスチャなどの画像フォーマットは、プレステ2の場合は「TM2」(ティーエムツー)という(おそらくソニー独自の)画像フォーマットです。",
"title": "ゲームエンジンとの関係の現状"
},
{
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"tag": "p",
"text": "実際にゲームで3D-CGを表示したい場合、現在では海外大手ゲームエンジン(UnityやUnreal Engine など)に、すでに既存の有名3D-CGソフト(Autodeskの製品や、フリーソフトならblenderなど)と互換性のある形式で3Dモデルをよみこめて描画できる方式になっている。",
"title": "ゲームエンジンとの関係の現状"
},
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"tag": "p",
"text": "なので、商業の仕事の場合には、それらゲームエンジンを使うことになるのが2020年代の今では主流だろうと思われている。(ゲーム産業の仕事では、人件費も考えて、大手の場合なら、わざわざ自作する事はまず無い。日本企業で海外のゲームエンジンに対抗するのも、非現実的だと思われている。)",
"title": "ゲームエンジンとの関係の現状"
},
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"text": "ゲームソフト会社やゲーム機会社がノウハウを非公開にしているため推測になってしまうが、ゲーム会社は研究機関ではないので、わざわざ自分の手で3Dエンジンをゼロから作ることは普通はせず(と思われている。実態は不明)、なるべく既存のゲームエンジンの内部に組み込まれている3Dエンジンを買ってくるなどして流用するのだろうと、2020年代では世間的にはゲーム産業はそう思われている。",
"title": "ゲームエンジンとの関係の現状"
},
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"text": "ゲームエンジンは、個人では無料で使えるものもあるが、しかしフリーソフトではない(自由ソフトではない)。特に3Dゲームエンジンは、オープンソースではない。UnityもUnreal Engine も、ソースコードは非公開である(非オープンソース)。",
"title": "ゲームエンジンとの関係の現状"
},
{
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"tag": "p",
"text": "ゲーム業界にかぎらず、こういった非オープンソースの製品のことを一般に「プロプライエタリ」と言います。たとえば、マイクロソフトのWindowsもOfficeソフトもプロプライエタリです。",
"title": "ゲームエンジンとの関係の現状"
},
{
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"tag": "p",
"text": "ともかく、大企業などが大手ゲームエンジンを使う場合、費用を払う必要が生じることもある。(Unity などの利用規格にも、そういった事が書いてあります。)",
"title": "ゲームエンジンとの関係の現状"
},
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"tag": "p",
"text": "なお、3Dモデルのデータ形式(ファイルフォーマット)は規格統一があまり進んでいないのが2020年では現状であり、ファイルフォーマットには .fbx形式、.3ds形式、.dxf形式、.obj形式 など、さまざまな形式がある。",
"title": "ゲームエンジンとの関係の現状"
},
{
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"tag": "p",
"text": "また例外としてオープンソースのblender用の.obj形式を除いて、この分野は非オープンソースである商業ソフトが主流になって普及してきた分野であるので、プログラマー向けの資料などもあまり普及していない(企業秘密なので)。",
"title": "ゲームエンジンとの関係の現状"
},
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"tag": "p",
"text": "市販の書籍も、ほとんどがイラストレーターなどのクリエイター向けのものであり、プログラマー向けのものは、ほぼ皆無である。",
"title": "ゲームエンジンとの関係の現状"
},
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"tag": "p",
"text": "学術的にも、ファイルフォーマットまでは理論が整理されていない。(学術書に書いてあるのは、三角関数などを用いた3D計算の原理まで。)",
"title": "ゲームエンジンとの関係の現状"
},
{
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"tag": "p",
"text": "いっぽう、もし、既存のゲームエンジンに頼らず3D-CGソフトを自作したい場合などには、原理は下記の節のようになるだろう。あるいは、既存の有名3D-CGソフトで扱っている3Dモデルのデータ形式に不満があって、新しい3Dデータ形式を模索する場合なども、自作することになる。",
"title": "ゲームエンジンとの関係の現状"
},
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"tag": "p",
"text": "なお3D-CGの汎用ソフトについては、岩波書店の数学書『可視化の技術と現代幾何学』によると、残念ながら日本は欧米IT企業にソフトウェア技術を頼っているのが現状のようであり、どうやらゲーム産業だけでなくCG映画業界でも3Dアニメ業界でも、使用している汎用ソフトには海外製が多く、輸入しているのが現状のようです。そうだと数学者たちに言われています。",
"title": "ゲームエンジンとの関係の現状"
},
{
"paragraph_id": 14,
"tag": "p",
"text": "モーションキャプチャ・マシンも、一部ではネット検索では国産を謳っている製品も見つかるものの、しかし数学書『可視化の技術と現代幾何学』によるとモーションキャプチャ・マシンの多くが輸入品のようです。。そうだと数学者たちには言われています。",
"title": "ゲームエンジンとの関係の現状"
},
{
"paragraph_id": 15,
"tag": "p",
"text": "3D-コンピュータグラフィックの計算の方式は、投影面(スクリーン)の形状(おおまかに2種類)と、平行投影か透視投影かの2種類の違いによって、2×2=4種類程度に分かれる。",
"title": "3Dグラフィック"
},
{
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"tag": "p",
"text": "投影面",
"title": "3Dグラフィック"
},
{
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"tag": "p",
"text": "投影の方式",
"title": "3Dグラフィック"
},
{
"paragraph_id": 18,
"tag": "p",
"text": "一般的には、平面投影と透視投影の組み合わせが単純なので、よく使われる。",
"title": "3Dグラフィック"
},
{
"paragraph_id": 19,
"tag": "p",
"text": "大学の3D-CG学などで単に「投視投影」と言った場合、この平面投影での透視投影の方式のことを言う場合が多い。",
"title": "3Dグラフィック"
},
{
"paragraph_id": 20,
"tag": "p",
"text": "投影面の種類は主に2~3種類、",
"title": "3Dグラフィック"
},
{
"paragraph_id": 21,
"tag": "p",
"text": "くらいである。",
"title": "3Dグラフィック"
},
{
"paragraph_id": 22,
"tag": "p",
"text": "このほか、球面投影や、楕円などで考える楕円柱投影や楕円球投影なども理論的にはありうるが、非実用的なので(球面投影に対応した安価な映像デバイスが無い。楕円だと設計のための計算が複雑な割りに、得られる画像も知見もあまり平面投影や円柱投影などと変わらないので)、楕円については考察や説明を除外する。",
"title": "3Dグラフィック"
},
{
"paragraph_id": 23,
"tag": "p",
"text": "さて、紹介した平面・円柱の2種の投影面のうち、いちばん単純かつ普及していて実用的な投影面は、平面投影である。",
"title": "3Dグラフィック"
},
{
"paragraph_id": 24,
"tag": "p",
"text": "なので、初学者はまず平面投影を中心的に学ぶのが良いだろう。なお、後述する単元での隠面処理のためにカメラの向きの角度計算が必要になるので、円柱投影や球面投影に近い考え方も必要になるので、べつに円柱投影などを学んでしまっても損は無い。",
"title": "3Dグラフィック"
},
{
"paragraph_id": 25,
"tag": "p",
"text": "ただし、円柱投影には欠点があり、上下方向と左右方向で透視の縮尺が違うために、視界内で回転する回転体をうまく表現しづらいという致命的な欠点がある。たとえば、回転する音楽レコード盤を見下ろしているとき、円柱投影では、レコードが(工夫しないと)楕円にゆがんでしまう。",
"title": "3Dグラフィック"
},
{
"paragraph_id": 26,
"tag": "p",
"text": "球面投影なら、レコードを見ても ゆがんだりしないが、しかし球面投影に適した映写デバイスが存在しない。",
"title": "3Dグラフィック"
},
{
"paragraph_id": 27,
"tag": "p",
"text": "なので、結局、ふつうは平面投影で計算することになる。",
"title": "3Dグラフィック"
},
{
"paragraph_id": 28,
"tag": "p",
"text": "さて、じつは、平面投影と円柱投影の2つの方式を比べた場合、得られる画像が微妙に異なる。カメラが向きを変えたときに、どのくらい視界内で被写体の位置が変化するかが、それぞれの投影面ごとに変化する。",
"title": "3Dグラフィック"
},
{
"paragraph_id": 29,
"tag": "p",
"text": "そして、特に観測者の真横に近い位置になると、特に被写体の動きの変化量の違いが大きくなる。",
"title": "3Dグラフィック"
},
{
"paragraph_id": 30,
"tag": "p",
"text": "平面投影の方式の場合、投影面が観測者の視界の向きで、少し前方にあるので、そもそも真横に近い場所にある物体は正投影が無理である。",
"title": "3Dグラフィック"
},
{
"paragraph_id": 31,
"tag": "p",
"text": "だが、通常の人間の視界では、真横にある物体には意識が向かないので、なので平面投影でも問題ない。",
"title": "3Dグラフィック"
},
{
"paragraph_id": 32,
"tag": "p",
"text": "なお、平面投影の欠点をこう聞くと、てっきり「円柱投影や球面投影のほうが視界にできる領域が広そう」(←誤解)に思われるかもしれないが、しかし実際には数値計算の誤差の理由により、つまり、円柱投影では観測者の真横にある物体は、投影のための数値計算(逆三角関数などの計算)のさいのケタ落ちが大きくなるので、円柱投影でも真横の物体の画像の表示は、不正確な表示になる。",
"title": "3Dグラフィック"
},
{
"paragraph_id": 33,
"tag": "p",
"text": "なので、平面投影にしろ円柱投影にしろ、結局どちらとも、観測者の真横にある物体のCG画像表示は、そのままでは不正確な表示になってしまう。",
"title": "3Dグラフィック"
},
{
"paragraph_id": 34,
"tag": "p",
"text": "円柱面は、幾何学的には「可展面」(かてんめん)である。トイレットペーパーや巻物を考えれば分かるように、円柱はハサミを入れるなどして展開すれば平面に展開することができる。",
"title": "3Dグラフィック"
},
{
"paragraph_id": 35,
"tag": "p",
"text": "しかし球面は可展面ではない。なので、もしも球面投影の方式で3D-CGの投影を考えた場合、地図のメルカトル図法やモルワイデ図法などと同様の問題が起きるので、そういった対策が必要になる。",
"title": "3Dグラフィック"
},
{
"paragraph_id": 36,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "3Dグラフィック"
},
{
"paragraph_id": 37,
"tag": "p",
"text": "さて、平面投影は、数学的には単に直線と平面の交点を求めるだけの初等的な方式である。また、2次元で考えた場合の計算式(高校1年あたりで習うような、2点を結ぶ直線と、別の直線との交点を求める計算式)を、比較的に容易に3次元に拡張しやすい。",
"title": "3Dグラフィック"
},
{
"paragraph_id": 38,
"tag": "p",
"text": "いっぽうで、円柱投影の場合、長所としては、わざわざ交点を求めなくても、(高校で習うような)三角関数の余弦定理などを使える。だが、球面投影や円柱投影の場合の短所として、その「角度」を算出するのが数学的にやや難しいことと、2次元で考えた結果を3次元に対応するのが難しい。",
"title": "3Dグラフィック"
},
{
"paragraph_id": 39,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "3Dグラフィック"
},
{
"paragraph_id": 40,
"tag": "p",
"text": "円柱投影の場合、必要な情報は角度だけなので、円柱の半径または球の半径については無限小であると考えてよい(プログラム上では、半径を書かなくても視界画像を算出できるので)。",
"title": "3Dグラフィック"
},
{
"paragraph_id": 41,
"tag": "p",
"text": "さて、平面投影・円柱投影のどれでも、透視投影ならば共通する性質がある。",
"title": "3Dグラフィック"
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{
"paragraph_id": 42,
"tag": "p",
"text": "それは、もし視界内に複数の点があり、色の異なる点だとして、視界内で観測者の近くにある点によって、観測者の遠くにある点が隠れるとき、それぞれの点の前後関係は、どの投影面でも同じであるという事である。",
"title": "3Dグラフィック"
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{
"paragraph_id": 43,
"tag": "p",
"text": "まず、観測者のカメラ位置を表す点Aと、1つの被写体を代表する点Bを考える。そして、線分ABを延長した無限長の直線Lを考えよう。",
"title": "3Dグラフィック"
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{
"paragraph_id": 44,
"tag": "p",
"text": "そして、直線L上で、仮に点Cが、点Bよりもカメラから遠い位置に(点Cが)あるとしよう。",
"title": "3Dグラフィック"
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{
"paragraph_id": 45,
"tag": "p",
"text": "このような場合で、もし平面投影の場合は、投影面の平面よりも奥にある被写体だけを写すことを考えている。つまり、点A,点Bなは、ともに投影面よりもカメラから遠い位置にある。なので、空間内での2点A,Bの前後関係には、投影面は何の変化も与えない。",
"title": "3Dグラフィック"
},
{
"paragraph_id": 46,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "3Dグラフィック"
},
{
"paragraph_id": 47,
"tag": "p",
"text": "このことから原理的には、空間内での前後関係の判定には、単にカメラから放射状に放出される無数の直線を考えて、それぞれの各直線ごとに、その直線上にある複数の点ごとに、カメラからの距離を算出し、カメラから最も近い距離にある点の色だけを視界に表現すれば、前後関係を原理的には簡単に算出できる(Zバッファ法の実装はおそらく、このようになるだろう)。",
"title": "3Dグラフィック"
},
{
"paragraph_id": 48,
"tag": "p",
"text": "Zバッファ法は、アルゴリズム的には単純であるが、計算量について難点があり、カメラから放射状に放出する視界計算用の直線(きっと 何百本~何千本・何万本もある)ごとに、それぞれ前後関係を算出しないといけないので、コンピュータの処理速度の高さなどが必要である。",
"title": "3Dグラフィック"
},
{
"paragraph_id": 49,
"tag": "p",
"text": "ただし点ごとにZバッファ法で計算すると計算量が膨大になってしまうので、改良法として、面ごとにZバッファ法を計算するという方法もある。",
"title": "3Dグラフィック"
},
{
"paragraph_id": 50,
"tag": "p",
"text": "この面ごとのZバッファ法の場合、あくまで近似的なもので、本来なら「面」でなく「点」でないと数学的には正しく前後関係を判定できないので、前後判定される面の大きさとしては、事前になるべく小さな面として パソコン内では内部処理しておく必要がある。",
"title": "3Dグラフィック"
},
{
"paragraph_id": 51,
"tag": "p",
"text": "また、もし一箇所に複数の面があると、うまく前後判定ができない場合の生じることもある。だが普通のゲームでは、そういう一箇所に複数の面が集まる自体はまず無いし、仮に間違った前後判定になっても、事前に面を小さく分割してあれば、間違いの影響も小さくなる。",
"title": "3Dグラフィック"
},
{
"paragraph_id": 52,
"tag": "p",
"text": "ただし、面を小さく分割すれば分割するほど、計算量の負担は増えていく。",
"title": "3Dグラフィック"
},
{
"paragraph_id": 53,
"tag": "p",
"text": "現在では、GPUなどのグラフィックボードにより、このような面ごとのZバッファ法程度の計算なら、ある程度の新しいパソコンならば、瞬時で可能であろう。",
"title": "3Dグラフィック"
},
{
"paragraph_id": 54,
"tag": "p",
"text": "なお、カメラから被写体のあいだの距離のことを「z値」という。Zバッファ法のZとは、そのZ値のことだろう。",
"title": "3Dグラフィック"
},
{
"paragraph_id": 55,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "3Dグラフィック"
},
{
"paragraph_id": 56,
"tag": "p",
"text": "Zバッファ法のほかにも「Zソート法」というのがある。「Zソート法」と「Zバッファ法」の違いは、Zバッファ法が各点ごとに計算している一方、「Zソート法」は(点ごと ではなく)大きさをもつ被写体ごとに、奥行きをあらわす値としてZ値を与えておく方式である。",
"title": "3Dグラフィック"
},
{
"paragraph_id": 57,
"tag": "p",
"text": "Zソート法は 点ごと ではないので、コンピュータの計算の負担は少ないが、アルゴリズムが複雑化しやすい欠点がある。また、くぼんだ部分のある被写体など、複雑な形状の被写体では、不正確な前後判定になる。",
"title": "3Dグラフィック"
},
{
"paragraph_id": 58,
"tag": "p",
"text": "(数値の大きさにもとづいた並べ替え処理はゲームプログラミング/RPG#素早さ順行動のアルゴリズムを参照)",
"title": "3Dグラフィック"
},
{
"paragraph_id": 59,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "3Dグラフィック"
},
{
"paragraph_id": 60,
"tag": "p",
"text": "カメラの向きを変えたり、被写体をどこかを中心軸にして回転したあとの座標を計算したい場合は、",
"title": "3Dグラフィック"
},
{
"paragraph_id": 61,
"tag": "p",
"text": "単に、高校数学~大学1年程度の行列の理論の、回転行列の公式をつかえばいい。",
"title": "3Dグラフィック"
},
{
"paragraph_id": 62,
"tag": "p",
"text": "なお、四元数でも算出できるが、それは単位、3次元行列または4次元行列の計算を、四元数で置きかえただけの仕組みである。",
"title": "3Dグラフィック"
},
{
"paragraph_id": 63,
"tag": "p",
"text": "なお、マイクロソフト社Windowsの3D-CGライブラリのDirectXを使うと4×4行列が出てくるが、これは単に、平行移動も回転行列と一緒に行列であつかえるようにするために、次元を1つ増やしてベクトルを4次元にして、対応する行列を4×4行列にしただけのものである。",
"title": "3Dグラフィック"
},
{
"paragraph_id": 64,
"tag": "p",
"text": "数学の教育体系的には、大学1年くらいで習う「行列の同次形(どうじけい)」という理論の応用にすぎない。",
"title": "3Dグラフィック"
},
{
"paragraph_id": 65,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "3Dグラフィック"
},
{
"paragraph_id": 66,
"tag": "p",
"text": "回転行列にかぎらず、2×2行列はそれと同内容で一対一に対応する3×3の行列がある。",
"title": "3Dグラフィック"
},
{
"paragraph_id": 67,
"tag": "p",
"text": "証明は下記のとおり。(なんと、ネットを検索しても、証明がなかなか、みつからない! 数学書には普通に書いてあるんだが・・・。やはり勉強をする手段は、書物を原則とするにかぎる。)",
"title": "3Dグラフィック"
},
{
"paragraph_id": 68,
"tag": "p",
"text": "まず仮に)、2次元の入力ベクトル V を",
"title": "3Dグラフィック"
},
{
"paragraph_id": 69,
"tag": "p",
"text": "とする。(背理法でないので、特に疑わなくていい。)",
"title": "3Dグラフィック"
},
{
"paragraph_id": 70,
"tag": "p",
"text": "そして変換行列 A を",
"title": "3Dグラフィック"
},
{
"paragraph_id": 71,
"tag": "p",
"text": "とする。(※ 回転行列でなくてもいいのだが、回転行列を念頭においておくと、次の文の応用がイメージしやすい。)",
"title": "3Dグラフィック"
},
{
"paragraph_id": 72,
"tag": "p",
"text": "すると、行列によるベクトルの変換操作は、",
"title": "3Dグラフィック"
},
{
"paragraph_id": 73,
"tag": "p",
"text": "は、こう書ける。(ここまで高校3年のいわゆる「数学C」の範囲。年度により、行列が高校課程から抜けたりする時代もあるが。)",
"title": "3Dグラフィック"
},
{
"paragraph_id": 74,
"tag": "p",
"text": "そして、平行移動 をこれに加えるには、単に、平行移動の移動方向に等しいベクトルPを用意して、",
"title": "3Dグラフィック"
},
{
"paragraph_id": 75,
"tag": "p",
"text": "と、ベクトルPを足し算すればいい。",
"title": "3Dグラフィック"
},
{
"paragraph_id": 76,
"tag": "p",
"text": "では、上記をもとに、これから行列の「同次形」の概念を説明する。",
"title": "3Dグラフィック"
},
{
"paragraph_id": 77,
"tag": "p",
"text": "まず、行列Aとよく似た3次元行列B",
"title": "3Dグラフィック"
},
{
"paragraph_id": 78,
"tag": "p",
"text": "を用意する。この行列Bが、行列Aの「同次形」である。",
"title": "3Dグラフィック"
},
{
"paragraph_id": 79,
"tag": "p",
"text": "そして、入力ベクトルVによく似た、つぎの3次元ベクトルFを用意しよう。",
"title": "3Dグラフィック"
},
{
"paragraph_id": 80,
"tag": "p",
"text": "積AVと同様に、積BFを(数学Cで習うような行列の積の)定義にそって求めてみると、",
"title": "3Dグラフィック"
},
{
"paragraph_id": 81,
"tag": "p",
"text": "この積BFのベクトルの第1次元と第2次元を見てみると、すでに計算ずみのベクトル AV+P の第1次元と第2次元と同じである。",
"title": "3Dグラフィック"
},
{
"paragraph_id": 82,
"tag": "p",
"text": "このように、2次元のベクトルに対する行列変換と平行移動(ベクトル同士の加減算)の合成は、3次元のベクトルに対する行列変換だけに置き換えることができる。",
"title": "3Dグラフィック"
},
{
"paragraph_id": 83,
"tag": "p",
"text": "この、上述の行列Bのような形の行列が、「行列の同次形」というものである。ひとことでまとめて、上述のBの形の行列のことを「同次行列」ともいう。次元が変わるのに「同次」というのは奇妙(きみょう)だが、この理由は単に、もとになった英語 Homogeneous を数学者が和訳するときに「同次」と翻訳してしまっただけのことである。 Homogeneous とは「同質」・「同類」のような意味である。",
"title": "3Dグラフィック"
},
{
"paragraph_id": 84,
"tag": "p",
"text": "なお、同次行列のことを「斉次」(せいじ)行列ともいう。",
"title": "3Dグラフィック"
},
{
"paragraph_id": 85,
"tag": "p",
"text": "3次元ベクトルおよびその変換行列も、同様の計算法により、4次元の同次ベクトルと同次行列とに置き換えることができる。",
"title": "3Dグラフィック"
},
{
"paragraph_id": 86,
"tag": "p",
"text": "一般に平面投影での透視投影では、計算の単純化のため、カメラの向きはZ軸の方向に固定する。",
"title": "3Dグラフィック"
},
{
"paragraph_id": 87,
"tag": "p",
"text": "また、カメラの位置は原点に固定する。",
"title": "3Dグラフィック"
},
{
"paragraph_id": 88,
"tag": "p",
"text": "カメラを自転させた場合の映像を描写したい場合は、代わりに被写体すべてを反対方向に回転(交点)させることで対応する。",
"title": "3Dグラフィック"
},
{
"paragraph_id": 89,
"tag": "p",
"text": "このような仮定は、広く普及している。",
"title": "3Dグラフィック"
},
{
"paragraph_id": 90,
"tag": "p",
"text": "この場合、透視投影は、中学レベルの簡単な相似で計算できるので、じつは簡単な比例式で表される。",
"title": "3Dグラフィック"
},
{
"paragraph_id": 91,
"tag": "p",
"text": "あるいは、式をz関連の変数どうしてまとめて書き換えて、",
"title": "3Dグラフィック"
},
{
"paragraph_id": 92,
"tag": "p",
"text": "とも書ける。",
"title": "3Dグラフィック"
},
{
"paragraph_id": 93,
"tag": "p",
"text": "ただし、投影面の位置を zs とした。(添字sは「スクリーン」のつもり)",
"title": "3Dグラフィック"
},
{
"paragraph_id": 94,
"tag": "p",
"text": "また、 z > zs に位置する被写体だけを描画するものとしている。",
"title": "3Dグラフィック"
},
{
"paragraph_id": 95,
"tag": "p",
"text": "なお、この仮定の場合、z軸そのものの座標は x=0、y=0 である。",
"title": "3Dグラフィック"
},
{
"paragraph_id": 96,
"tag": "p",
"text": "このように簡易で表現力の高い平面スクリーン透視投影にも、いくつか欠点がある。",
"title": "3Dグラフィック"
},
{
"paragraph_id": 97,
"tag": "p",
"text": "欠点のひとつは、観測者のナナメ前方にある被写体が、実際よりも大きく見えてしまうことである。",
"title": "3Dグラフィック"
},
{
"paragraph_id": 98,
"tag": "p",
"text": "極端な例をあげると、観測者の真横90度の場所に2メートル離れたところにある被写体は、さきほど紹介した公式に当てはめると無限大に拡大して見える。",
"title": "3Dグラフィック"
},
{
"paragraph_id": 99,
"tag": "p",
"text": "このような現象の起きる理由は、遠くの物体の縮小率は、変数zだけによって 1 z {\\displaystyle {\\frac {1}{z}}} 倍に縮小するからである。",
"title": "3Dグラフィック"
},
{
"paragraph_id": 100,
"tag": "p",
"text": "なので、どんなに真横で何十メートルも離れた位置にいても、真横だとz=0なので倍率は 1/0 = ±∞ となり、被写体は無限大に拡大して見えることになる。",
"title": "3Dグラフィック"
},
{
"paragraph_id": 101,
"tag": "p",
"text": "この対策として、真横に近い物体は最初から描画を除外すればいい。",
"title": "3Dグラフィック"
},
{
"paragraph_id": 102,
"tag": "p",
"text": "つまり、視界に入る角度を設定しておき、それはたとえば 右60度~左60度 までを視界と定めておき、そこから外れた物体は描画を除外すればいい。",
"title": "3Dグラフィック"
},
{
"paragraph_id": 103,
"tag": "p",
"text": "このような処理を可能にさせるために必要な計算として、現在の視界内での被写体の角度 位置を計算する必要がある。その角度の計算のための単純な方法として、単に三角関数 tan タンジェントを使えばいい。",
"title": "3Dグラフィック"
},
{
"paragraph_id": 104,
"tag": "p",
"text": "たとえば、 視界内でのx軸方向の角度として tan x z {\\displaystyle \\tan {\\frac {x}{z}}} 、およびy軸方向の角度として tan x z {\\displaystyle \\tan {\\frac {x}{z}}} を計算して、両方のタンジェントとも両方とも一定値の範囲内なら、描画すればいい。",
"title": "3Dグラフィック"
},
{
"paragraph_id": 105,
"tag": "p",
"text": "ただし、この方法では、zは一定値以上(たとえばカメラとスクリーンとの距離)でなければならない。",
"title": "3Dグラフィック"
},
{
"paragraph_id": 106,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "3Dグラフィック"
},
{
"paragraph_id": 107,
"tag": "p",
"text": "また、近似的な方法だが、三角関数を計算するのではなく、単に、xが一定値の範囲内、yが一定値の範囲内とする方法もある。このx,yを一定値の範囲内とする方法だと遠方にある被写体を描画できないが、そもそもゲームでは遠方にあるキャラクターなどの描画は不要だろう。",
"title": "3Dグラフィック"
},
{
"paragraph_id": 108,
"tag": "p",
"text": "ただし、遠方にある山や川などの景色などは、別の方法で描画する必要があろう。",
"title": "3Dグラフィック"
},
{
"paragraph_id": 109,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "3Dグラフィック"
},
{
"paragraph_id": 110,
"tag": "p",
"text": "平面スクリーンの透視投影では、欠点として、投影スクリーンよりも手前にきた被写体は、根本的に描画できない。",
"title": "3Dグラフィック"
},
{
"paragraph_id": 111,
"tag": "p",
"text": "かといって、観測者からスクリーンまでの距離を小さくしすぎると、ゲーム的に不便になる場合がある。",
"title": "3Dグラフィック"
},
{
"paragraph_id": 112,
"tag": "p",
"text": "妥協案としては色々あるが、ゲームとして面白ければいいので、一例として、もし被写体がスクリーンよりも手前に来たら、それらの被写体の描画だけ平行投影に切り替えるなどの対策があるだろう。",
"title": "3Dグラフィック"
},
{
"paragraph_id": 113,
"tag": "p",
"text": "つまり、ゲーム画面は、(スクリーン幕よりも奥の被写体の)透視投影と(スクリーン手前の被写体の)平行投影との合成になる。",
"title": "3Dグラフィック"
},
{
"paragraph_id": 114,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "3Dグラフィック"
},
{
"paragraph_id": 115,
"tag": "p",
"text": "さて、被写体の一部がカメラの裏側に回り込んだ場合、上記のように単純に、その点の位置だけで描画の有無をきめる場合だと、",
"title": "3Dグラフィック"
},
{
"paragraph_id": 116,
"tag": "p",
"text": "たとえば大きな三角形を描画したい場合など、もし、その三角形の3つの頂点のうちの1点だけですらカメラ裏に回り込んだら、もはやその三角形が一部すらも描画できなくなってしまうが(三角形の描画は3点が必要なので)、これは不合理である(一部の頂点が隠れただけなのに、三角形全体が消えてしまうので)。",
"title": "3Dグラフィック"
},
{
"paragraph_id": 117,
"tag": "p",
"text": "このような問題への対策は特に決まってはないが一例として、たとえば図形の各頂点などの座標の位置とは別に、さらに代表位置の座標を用意すればよく、つまり代表の位置のx,y,zの座標の変数をそれぞれ用意するのが簡単であろう。",
"title": "3Dグラフィック"
},
{
"paragraph_id": 118,
"tag": "p",
"text": "代表の位置は、べつに重心でも垂心でも三点の平均値でも何でもよく、好きなように決めればいい。(べつに面積計算をするわけではないので、重心でなくてもよいだろう)",
"title": "3Dグラフィック"
},
{
"paragraph_id": 119,
"tag": "p",
"text": "カメラはz軸を向いているとする。",
"title": "3Dグラフィック"
},
{
"paragraph_id": 120,
"tag": "p",
"text": "点(x,y,z)を平面スクリーン上に平行投影する場合、単に、zを無視して x,y の値がそのままスクリーンに投影される。",
"title": "3Dグラフィック"
},
{
"paragraph_id": 121,
"tag": "p",
"text": "ただし、実際には、奥にある被写体は手前の被写体で隠れるので、zソート法などで隠面処理を考えた描画をする必要はある。",
"title": "3Dグラフィック"
},
{
"paragraph_id": 122,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "3Dグラフィック"
},
{
"paragraph_id": 123,
"tag": "p",
"text": "もし、(冒頭の章で述べたような)余弦定理による視界の計算をC言語で実行したい場合、",
"title": "3Dグラフィック"
},
{
"paragraph_id": 124,
"tag": "p",
"text": "まず、三角関数(逆三角関数も使う)の計算と、平方根の計算が、どうしても必要になる。",
"title": "3Dグラフィック"
},
{
"paragraph_id": 125,
"tag": "p",
"text": "C言語で三角関数と平方根を実行させたい場合、標準入出力のヘッダには、これらの数学関数が用意されてないので、",
"title": "3Dグラフィック"
},
{
"paragraph_id": 126,
"tag": "p",
"text": "スースコード冒頭にインクルード文",
"title": "3Dグラフィック"
},
{
"paragraph_id": 127,
"tag": "p",
"text": "で、まず数学関数のヘッダをインクルードする必要がある。",
"title": "3Dグラフィック"
},
{
"paragraph_id": 128,
"tag": "p",
"text": "これさえ分かれば、あとは、画面出力の機能のあるプログラム言語を使えば、原理的には3D-CGのプログラムが作れる。",
"title": "3Dグラフィック"
},
{
"paragraph_id": 129,
"tag": "p",
"text": "(ただし、国際規格になっている標準C言語 そのものには、画像表示の機能は無い。なので、もしWindowsの場合、たとえば Visual C++ や Visual C# などを使うことになる。本ページではVisual C++ および Visual C# 固有の話題については省略する。)",
"title": "3Dグラフィック"
},
{
"paragraph_id": 130,
"tag": "p",
"text": "3D-CGのプログラムは、かならずしもC言語系の言語である必要は無い。",
"title": "3Dグラフィック"
},
{
"paragraph_id": 131,
"tag": "p",
"text": "最低限度に必要なのは、画像表示の機能と、逆三角関数と平方根程度の数学計算の標準ライブラリ関数さえ出来ればよい。",
"title": "3Dグラフィック"
},
{
"paragraph_id": 132,
"tag": "p",
"text": "ただし、実際には、キーボードなどからの入力の機能なども必要なので、自分の使用したいプログラム言語で、それらのプログラムの方法も調べる必要がある。",
"title": "3Dグラフィック"
},
{
"paragraph_id": 133,
"tag": "p",
"text": "なので、原理的にはスクリプト言語でもよく、たとえば JavaScript や python などでも、かまいません。(しかし3D-CGプログラムの場合、商品となるレベルにするには、処理速度の都合で、C言語系でプログラムするのが普通だが。)",
"title": "3Dグラフィック"
},
{
"paragraph_id": 134,
"tag": "p",
"text": "もっとも、多くの実用では、自分でC言語でCGプログラムを作ることはしない場合が多く、既成の DirectX や OpenGL などのプログラムを利用するのが一般的です。",
"title": "3Dグラフィック"
},
{
"paragraph_id": 135,
"tag": "p",
"text": "それでも、どうしても自作で3D-CG表示プログラムを作ってみたい場合、まず最低限の知識として、上記の逆三角関数、インクルードの方法、キーボード入力機能をもつプログラミングの作成方法、使用するプログラム言語による画面表示の方法、などの知識があることが前提になる。",
"title": "3Dグラフィック"
},
{
"paragraph_id": 136,
"tag": "p",
"text": "これらの知識を持たない場合、先にそれらの知識を習得したほうが良い。",
"title": "3Dグラフィック"
},
{
"paragraph_id": 137,
"tag": "p",
"text": "なお、C言語にベクトルや行列の機能は無い。なので、もしC言語系のプログラム言語で、ベクトルや行列などに相当する計算をコンピューターにさせる場合は、まず変数をいくつも宣言して、必要なベクトル計算や行列計算のプログラムを作ることになる。",
"title": "3Dグラフィック"
},
{
"paragraph_id": 138,
"tag": "p",
"text": "3次元ベクトルを宣言するには、単に、異なる変数を3個、宣言すればいい。",
"title": "3Dグラフィック"
},
{
"paragraph_id": 139,
"tag": "p",
"text": "回転行列などの行列は、ここでは単に、座標ベクトルなどのベクトルの変換作業にすぎないから、行列に相当するプログラムを書けばいい。なので、わざわざ行列をつくる必要も無い。(同様に四元数も、わざわざコード中で宣言して作成する必要は無い。)",
"title": "3Dグラフィック"
},
{
"paragraph_id": 140,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "3Dグラフィック"
},
{
"paragraph_id": 141,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "3Dグラフィック"
},
{
"paragraph_id": 142,
"tag": "p",
"text": "で扱う。",
"title": "3Dグラフィック"
},
{
"paragraph_id": 143,
"tag": "p",
"text": "なお、自動車運転免許の教習所にあるドライビング・シミュレーターが、 平面ディスプレイをプレイヤー前方の正面・左ナナメ面・右ナナメ面の3面に配置する仕組みになっており、多角柱的な投影面の3面によって擬似的に円柱的・球面的な視界投影面を表現している。",
"title": "3Dグラフィック"
},
{
"paragraph_id": 144,
"tag": "p",
"text": "多角柱的な投影面の場合、個々の投影面は平面スクリーン投影に準じるが、投影面全体の関係は円柱スクリーン投影という、やや特殊な事情になる。",
"title": "3Dグラフィック"
},
{
"paragraph_id": 145,
"tag": "p",
"text": "ドライビング・シミュレーターのように、コスト的な都合により、ディスプレイそのものを湾曲させることは通常はせず、代わりにディスプレイを複数個配置することで球面的な視界を模擬するのが実際であろう。",
"title": "3Dグラフィック"
},
{
"paragraph_id": 146,
"tag": "p",
"text": "原理的にはプラネタリウムなど球面投影も考えられるが、しかしもはやコンピュータ・ゲームの範疇を超えるので、リンク先ではプラネタリウムなどは省略する。上記リンク先では、主に円柱スクリーン投影を扱っているハズである。",
"title": "3Dグラフィック"
},
{
"paragraph_id": 147,
"tag": "p",
"text": "まとめると、平面投影にしろ円柱投影にしろ、",
"title": "3Dグラフィック"
},
{
"paragraph_id": 148,
"tag": "p",
"text": "ゲーム映像の場合、原則を透視投影にしても結局、スクリーンよりも手前に来た被写体は、(投資投影でなく)平行投影など別の投影アルゴリズムで描写することになります。",
"title": "3Dグラフィック"
},
{
"paragraph_id": 149,
"tag": "p",
"text": "また、スクリーンの奥側でも、真横の方向に近い位置にある被写体は、(アルゴリズムにもよりますが)透視投影ではケタ落ち等が起こりやすいので、平行投影などに切り替える必要があります。",
"title": "3Dグラフィック"
},
{
"paragraph_id": 150,
"tag": "p",
"text": "このため、角度または内積を基準として、透視投影の描画の条件を満たした角度位置または内積となる被写体の場合にだけ、被写体を透視投影として描画することになるでしょう。",
"title": "3Dグラフィック"
},
{
"paragraph_id": 151,
"tag": "p",
"text": "「隠面処理」とは、隠れた面を表示しない方法のこと。",
"title": "3Dグラフィック"
},
{
"paragraph_id": 152,
"tag": "p",
"text": "手前の物体で隠れる部分は、当然、画面に表示されないように工夫する必要がある。",
"title": "3Dグラフィック"
},
{
"paragraph_id": 153,
"tag": "p",
"text": "たとえば、ある面Aによって、ある面Bが隠される場合、画面にBは表示させないようにする必要がある。",
"title": "3Dグラフィック"
},
{
"paragraph_id": 154,
"tag": "p",
"text": "このための手法はいろいろあるが、共通する原理は、カメラからの向きごとにあるそれぞれの向きごとに、その向きにある複数の被写体(面Aと面B)ごとにカメラから被写体の面の距離(z値)を計算しておき、カメラから遠いほうの面が描かれないようにすればいいのである。",
"title": "3Dグラフィック"
},
{
"paragraph_id": 155,
"tag": "p",
"text": "単純なアルゴリズムでこれを行うなら、被写体のそれぞれの面に与える情報としては、Z値のほかにも、カメラからの角度も、面の情報として残しておく必要がある。",
"title": "3Dグラフィック"
},
{
"paragraph_id": 156,
"tag": "p",
"text": "カメラからの角度が同じ面どうしで、カメラからの距離を比べるわけである。",
"title": "3Dグラフィック"
},
{
"paragraph_id": 157,
"tag": "p",
"text": "カメラから近いほうの物体や面を先に描く方法を、Zバッファ法という。(なお、ほかの方式としては、面ではなく点ごとにカメラから近い物体を書く方法もあるが、しかし計算量が膨大になるために処理速度が悪化する。なので、ゲームのCG手法としては、点ごとのZバッファ法は、あまり普及していない。ただし、(処理速度の必要な)ゲームではなく(映像の緻密さの必要な)商業アニメのプリレンダリングなどの場合ならば、目的・用途に応じて面ではなく点でZバッファするのも良いだろう。目的に応じて手法を使い分ける必要がある。)",
"title": "3Dグラフィック"
},
{
"paragraph_id": 158,
"tag": "p",
"text": "被写体が不透明なら、カメラから遠い物体を省略できるので、処理を高速化しやすく、そのため、ゲームにもよく用いられている。",
"title": "3Dグラフィック"
},
{
"paragraph_id": 159,
"tag": "p",
"text": "しかし、被写体が透明/半透明な物体の場合に、アルゴリズムが複雑化するという欠点がある。",
"title": "3Dグラフィック"
},
{
"paragraph_id": 160,
"tag": "p",
"text": "いっぽう、カメラから遠くから先に描画する場合をZソート法という。被写体に透明の物体を含む場合は、Zソートで描画せざるを得ないだろう。",
"title": "3Dグラフィック"
},
{
"paragraph_id": 161,
"tag": "p",
"text": "そもそも論として、かならずしも3D計算を行わなくても、ゲームとして立体的な描画をできる場合があります。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 162,
"tag": "p",
"text": "また、既存の商用3Dソフトウェアやフリーソフトなどを使うことにより、自分でプログラムする必要のない場合もあります。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 163,
"tag": "p",
"text": "また、そもそも日本のゲーム産業では、3D描画はあまり儲かってなく、儲かってるのはアニメ絵の2次元絵イラストのソーシャルゲームです。ただし、欧米では3D描画が受けることや、アニメ絵風イラストレーターなどもポーズ集がわりに3Dソフトを使ったりするので、そういう事情がある場合にその用途で3Dを使うのはビジネス的に効果的かもしれません。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 164,
"tag": "p",
"text": "とりあえず本書では以降、なんらかの理由で3Dの描画を使用したい場合を前提として説明します。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 165,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 166,
"tag": "p",
"text": "ゲームで、3次元のCG映像を表示する場合、かならずしもプログラミングする必要はありません。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 167,
"tag": "p",
"text": "もし、その被写体を見る視点が一方向だけに固定されている場合なら、w:Blenderなどの、あらかじめ一般に流通している3D-CG作成用ソフトウェアで作ったCGモデルを、その視点の方向から見た場合の画像を、ビットマップ画像などとして出力したものを、作成するゲームに追加して表示すれば十分です。どのCGソフトにも、ビットマップ出力の機能はついています。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 168,
"tag": "p",
"text": "なるべく単なる2次元画像として処理するほうが、パソコンによる処理も速くなります。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 169,
"tag": "p",
"text": "例えば、2次元の横スクロールのアクションゲームのように視点が真横からだけに限定されているゲームの場合なら、たとえ「2次元の横スクロールのアクションゲームだけど、リアルさの表現のために、主人公キャラクターや敵キャラや背景画像は3D-CGで作りたい」場合であっても、Blenderなどの3D-CGソフトで作った主人公キャラなどの形状データをビットマップ画像出力した2次元画像データをゲーム中に表示するだけで十分でしょう。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 170,
"tag": "p",
"text": "こういうふうに、あらかじめBlender などの3Dソフトで作成しておいた2次元の画像や2次元の動画などで代用する方式のことを、プリレンダリングといいます。「プリ」とは「前」とか事前とか、そういう意味です。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 171,
"tag": "p",
"text": "いっぽう、ゲーム内で画像を表示する直前に3D計算して表示する方式のことをリアルタイムレンダリングといいます。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 172,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 173,
"tag": "p",
"text": "現在のコンピュータ技術では、映像表現については、ビデオカードやグラフィックカードやGPUなど、映像専用の計算処理デバイスが内蔵されています。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 174,
"tag": "p",
"text": "映像の描画は、なるべく2次元ビットマップ画像としてハードディスクやメモリなどに記憶しておいた画像を呼び出すという方式にしたほうが、それらの画像デバイスにより、並列処理的に高速処理できます。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 175,
"tag": "p",
"text": "また、ハードディスクやメモリなどの大容量化をするのは、単にハードの枚数を増やせばいいので比較的に容易ですが、いっぽう、CPUを高速化するのは技術的に難しいことが多いのです。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 176,
"tag": "p",
"text": "なので、あまり、ゲーム機で描画のたびに毎回3D計算するのではなく(つまり、リアルタイムレンダリングではなく)、ゲーム制作時の3D計算で画像出力しておいた2次元画像データをゲームのたびに呼び出して高速描画するという方式(プリレンダリングの活用)も、ゲームでは処理速度の向上のために必要になります。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 177,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 178,
"tag": "p",
"text": "真横から見る場合だけにかぎらず、たとえば、RPGで、マップ画面を南の上空から北の地面にむかって斜め45度に見下ろすだけ、とかなら、ビットマップ画像で十分でしょう。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 179,
"tag": "p",
"text": "このように、視線が1方向に固定されているなら、たとえ斜め方向の視線であっても、また、どんなに写実的な画像であっても、けっしてゲーム中では3Dプログラミングをする必要はないのです。視点さえ固定されていれば、3Dプログラミングをしなくても単なるビットマップでも表示可能です。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 180,
"tag": "p",
"text": "どうしてもゲームソフトでわざわざ3D-CGの処理のプログラムをする場合とは、被写体を見る視点が固定されていない場合で、プレイヤーがゲーム中の映像の視点を360度どの角度にも自由な角度に移動できるような機能を搭載したい場合です。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 181,
"tag": "p",
"text": "また、パソコンへの処理時の負荷が、2D画像の表示と比較して3DプログラミングはCPUの計算負荷が大きく、このため、パソコンの性能が不足していると3D画像は処理速度を低下させる原因にもなり、また消費電力も大きくなります。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 182,
"tag": "p",
"text": "昨今の携帯ゲームなどでは、消費電力の低減も重要な技術です。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 183,
"tag": "p",
"text": "なので、本当に3Dプログラミングをする必要のあるものだけ、3Dプログラミングをするのが好ましいでしょう。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 184,
"tag": "p",
"text": "実はゲーム機だけにかぎらず、たとえばパソコンで三角関数や対数関数や平方根などの、小数点以下に無限に桁のつづく数学の関数を使う場合も、実はパソコン内部に三角関数表のような近似値の計算結果があらかじめハードディスクに保存されてあり、関数の使用時には、その数表を呼び出して代入しているだけです。その三角関数の数表を作る場合にだけ、パソコン業者などが超高性能なパソコンを使っているのです。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 185,
"tag": "p",
"text": "このように数表などで近似計算しないと、処理速度が遅くなっていまい、使い物にならないのです。携帯用の電卓などの平方根の計算も同様です。電卓では、電力の消費も抑えないといけませんから、そのためにもCPUの負荷を減らすことは必要です。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 186,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 187,
"tag": "p",
"text": "また、市販の3Dゲームでも、実際には、2次元画像と3次元グラフィックとを組み合わせているものも、多くあります。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 188,
"tag": "p",
"text": "テクスチャーといって、3次元物体データの指定した面の表面に、画像を貼り付ける技術があります。(w:テクスチャー)",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 189,
"tag": "p",
"text": "これを使うと、あまりにも複雑な形状を3D的に描きたい場合、大まかな形状だけを3Dで作っておいて、細部は2次元画像で描いて表面に貼り付けたほうが、処理が早くなります。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 190,
"tag": "p",
"text": "たとえば、物体表面に描かれた細かな模様などは、いちいち、その細かな模様をすべて3D計算していると、とてつもなく膨大な計算量になってしまうので、普通はそういうことはせず、模様を除いた物体の形状だけを3D計算するのが一般的です。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 191,
"tag": "p",
"text": "そして、その物体の3D計算の結果を参考に、画面上での模様の表示位置を算出して、まるで物体に模様を貼り付けるような技術によって、計算量を削減するという技術があります。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 192,
"tag": "p",
"text": "このような技術が、テクスチャー技術です。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 193,
"tag": "p",
"text": "Windowsアクセサリ「ペイント」などの安価な画像製作ソフトで、テクスチャーとして貼り付けるための二次元画像を製作してビットマップ画像などとして出力しておき、",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 194,
"tag": "p",
"text": "そのビットマップ画像をBlenderなどで3Dモデルにテクスチャーとして貼り付けておけば、",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 195,
"tag": "p",
"text": "素人のゲームプレイヤーの目からは、あたかも、ゲーム機内で3D計算をしてるかのように見えます。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 196,
"tag": "p",
"text": "なお、プロのゲームグラフィッカーでも、ふつうにSAIとかPhotoshopなどの市販のお絵かき系ソフトで、テクスチャーを作成したりもしており、書籍『ローポリスーパーテクニック』の著者のゲームグラフィッカーの人がそうです。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 197,
"tag": "p",
"text": "ISAO 著『キャラクターを作ろう! 3DCG日和』でも、SAIとPhotoshopを用いてテクスチャを書いています。暗黙の前提として、テクスチャの作画には、ペンタブを保有していて、それで描くことを想定しています。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 198,
"tag": "p",
"text": "テクスチャーの利点としてテクスチャーにしたほうが処理は速いのはもちろん、副次的なメリットとして、模様の書き換えなどを表示する場合にも、3D部分は共通ですのでプログラム的にもラクに処理できます。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 199,
"tag": "p",
"text": "ザラザラした感じの表面なども、普通はテクスチャーでしょう。もしかしたら、高低差のある物体でも、極端に高低差の小さいデコボコなどは、いっそテクスチャとして画像を表現するべきかもしれません。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 200,
"tag": "p",
"text": "また、3Dの人間キャラクターの耳の穴とか、鼻の穴とかは、通常のゲームでは、人体の内部から見る機会はほとんどゼロですし、穴の中を近寄って見る機会もほとんどゼロですので、人体のそういう穴は、けっして細部を正確に3Dモデリングする必要は無いのです。せいぜい、鼻や耳の穴の深さ2センチくらいまで3Dデータを作れば十分であり、その深さ2センチの穴の底に、穴っぽい色をした黒色のテクスチャーを貼り付ければ十分でしょう。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 201,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 202,
"tag": "p",
"text": "なお、かならずしも3D-CGを使ったからって、それだけで、うまく映像的に表現できるわけではありません。たとえば、光源の位置をどうするか、反射の特性をどうするかなど、適切な設計が必要です。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 203,
"tag": "p",
"text": "テクスチャーを使う場合、もし作者であるアナタが、あまり上手に映像設計できないなら、ゲームでは、かえってプレイの邪魔になりかえるので、いっそ単純なポリゴン画像に置き換えるか、もしくは、いっそ2次元で絵を書いてしまいましょう。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 204,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 205,
"tag": "p",
"text": "ntny著『ローポリスーパーテクニック』でも、人物モデルの暗くなる部分は、テクスチャとして、SAIやPhotoshopなどで書いています。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 206,
"tag": "p",
"text": "なお色選択のテクニックとして、美少女キャラなどの人体の肌で、影などで暗くなる部分は、単純に明度を下げるのではなく、わずかに赤色を増すように彩度を変えると、キャラの肌の血色が健康的に見えてウケる、というテクニックがこの本の2010年2月の初版第5刷の時点で書籍で語られています。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 207,
"tag": "p",
"text": "ただし、実際の市販のゲームの中には、そのまま明度を下げて暗くなる影の部分を表現したりしている作品もあり(たとえばシュタインズゲートなど)、そういう作品でもヒットしています。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 208,
"tag": "p",
"text": "なお、アニメ業界でも、キャラではないですが、エヴァンゲリオンのキャラクターデザインの貞本(さだもと)さんという人の1990年代後半の画集(未完作品『オリンピア』の美少女が表紙のヤツのほう)で、美術史の知識として、ゴッホは影には黒ではなく(たしか)緑色を使った、これは彩度を単調にしないため、という美術テクが語られています。なお、画家によっては、緑ではなく紫を使う、という流儀の人もいます。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 209,
"tag": "p",
"text": "中学美術で習うような「明度」・「彩度」・「色相」という単語は、こういうふうに20世紀・21世紀のイラスト理論でも使われますので、ちゃんと勉強しておきましょう。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 210,
"tag": "p",
"text": "コンピュータの環境によっては、入力パッドなどからの入力の受付け反応があまり良くない場合もありますので、もし入力があった場合に画面の変化をして、プレイヤーに入力が行われたことを分からせる必要もあります。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 211,
"tag": "p",
"text": "パソコンゲームの場合、作者であるアナタのPC環境と、プレイヤーのPC環境は、パソコンでは一般に違います。また、たとえ商用のゲーム機でも、コントローラーが故障する場合もあります(なので、修理のために取り外せて交換できるようになっている)。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 212,
"tag": "p",
"text": "たとえば、主人公キャラが平坦で周囲に何もない大きな平原を歩いていても、プレイヤーがもし(入力コントローラーなどの)移動ボタンを押したなら、移動中は画面が一時的に変わらないとイケマセン。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 213,
"tag": "p",
"text": "簡単な方法は、主人公を画面の中央に写し、移動中は主人公が歩いている動画を表示することです。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 214,
"tag": "p",
"text": "もし そうしないと、プレイヤーが、はたして移動が正常に行われたのかどうか判別できなくなります。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 215,
"tag": "p",
"text": "なお、画像でなく足音のような音を音声出力することで移動表現をする方法もありますし、フリーゲームではそれでも充分でしょうが、しかし世の中には難聴など人もいることを念頭に置いてください。市販の大手企業の販売している商業ゲームでは、そういうバリアフリーもできるだけ考慮されています。なので余裕があれば、やはり画像的に入力反応の分かりやすい画面設計をすべきでしょう。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 216,
"tag": "p",
"text": "もし、2次元の横スクロールアクションのゲームなら、入力が正常に行われたら普通は、入力キーの方向に主人公が移動したりしますので、(たとえ主人公が歩く動きをしなくても)判定できます。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 217,
"tag": "p",
"text": "しかし、3Dでは、主人公はつねに中央にいるか、そもそも主人公が映らないので、2次元のような判定はできません。3Dにかぎらず、2d-RPGなどでも、もし主人公がつねに画面の中央に表示されるなら、こういう歩き動画の工夫は必要です。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 218,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 219,
"tag": "p",
"text": "さて、迷路の十字路を、左折または右折したい場合もあります。この場合、曲がり始めの10°〜20°くらいの比較的に小さい回転角での画像が必要です、",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 220,
"tag": "p",
"text": "もし中割り画像が、真ん中の45°の1枚だけだと、十字路の斜め前方にあった とんがった壁が前方に来た時に、はたして斜め右側にあった壁なのか、それとも斜め左側にあった壁なのか、プレイヤーには不明です。なので、最低でも、曲がり始めの10°〜20°くらいの比較的に小さい回転角での画像が中割りに必要です、",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 221,
"tag": "p",
"text": "このように、ゲームプレイでは、単に1枚の画像の細かさだけでなく、動画で連続的に動きを表現する必要もあります。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 222,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 223,
"tag": "p",
"text": "もし、主人公を画面に写さずに、また、移動中も特別な画像を出さないなら、そのゲームでは、もはや、周囲に何もない広大な平原のような空間を出すことは不可能です。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 224,
"tag": "p",
"text": "なので、もし、そういう画面設計(主人公を画面に写さない、)のゲームの場合は、そういうふうに、そのゲーム内のマップ(地図)を設計する必要があります。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 225,
"tag": "p",
"text": "一般的に流通しているゲームで3D処理のプログラミングを行われている場合、そのようなゲームのほとんどでは、荷重計算や強度計算などの力学の計算は行われていません。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 226,
"tag": "p",
"text": "3Dになると映像がリアルなので、てっきり、強度計算などの力学的な計算が行われているように誤解しがちです。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 227,
"tag": "p",
"text": "しかし、せいぜい高校物理のレベルの幾何光学の計算しか、行われていません。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 228,
"tag": "p",
"text": "こうする理由は、パソコン処理を速くする目的もあります。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 229,
"tag": "p",
"text": "荷重計算や強度計算などは、計算を近似しないかぎり、形状がきわめて単純な物体の場合ですら(円柱や立方体や球などですら)、ほとんどの場合は計算に何分~何時間も時間が掛かってしまいます。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 230,
"tag": "p",
"text": "しかしゲームでは、なめらかな動画で映像表現する場合などは、画像を1秒間に何十回も描画しなければならない場合もあります。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 231,
"tag": "p",
"text": "なので、計算時間の掛かってしまう力学計算は、通常、ゲーム内では行われません。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 232,
"tag": "p",
"text": "どうしてもゲーム中で力学的な計算が必要な場合は、近似計算をします。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 233,
"tag": "p",
"text": "たとえば、",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 234,
"tag": "p",
"text": "・・・のように、高校レベルか、せいぜい大学1年レベルで計算を近似します。いわゆる「線形近似」で処理します。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 235,
"tag": "p",
"text": "いっぽう、科学者のような、より精密な力学計算は、ゲーム機用のコンピュータでは計算に膨大な時間が掛かってしまいかねず、そのせいで、動画表現に向きません。精密すぎる計算は、ゲームには不適切です。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 236,
"tag": "p",
"text": "どうしても、高校物理~大学1年レベルを超えた、力学的にリアルな映像が必要なら、",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 237,
"tag": "p",
"text": "あるいは空想上の物体なら、",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 238,
"tag": "p",
"text": "そういう工夫が必要です。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 239,
"tag": "p",
"text": "書籍『ゲームクリエイターの仕事 イマドキのゲーム制作現場を大解剖』によれば、一般にゲームでは、物理学的に正確な流体計算は行わないです。その文献によれば、流体計算では、事前に計算した結果をもとにパターンアニメに落とし込んだり、さらにベクトルデータとして保持するオプティカルフローと言う手法を使うこともあるとのことです。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 240,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 241,
"tag": "p",
"text": "なお、流体力学の基礎方程式であるナヴィエ・ストークス方程式は、非線型方程式というものの一種です。非線形方程式は、特殊な条件の場合を除いて微分方程式を解くのが数学者でも困難です(まだ解が知られてない方程式すら非線形方程式には多いし、もしかしたら解は無いのかもしれない。解の式があるかないかすら不明)。このため、高校物理のような数式による厳密解を求めるのが、流体演算では原理的に困難です。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 242,
"tag": "p",
"text": "一方、光のもとである電磁波の方程式であるマクスウェル方程式は、線型方程式ですので、これは数式でも厳密に表現することができます。このためか、レイ・トレーシングなどの技術は、流体演算と比較すれば比較的に処理は軽いのが現状です。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 243,
"tag": "p",
"text": "また、ナヴィエ・ストークス方程式は3次元の場合はまだ方程式の妥当性が証明されておらず、数学上の未解決問題です。(もし証明できたらフィールズ賞です。「フィールズ賞」とは、数学にはノーベル賞はないが、数学においてノーベル賞のような役割の賞がフィールズ賞です。)",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 244,
"tag": "p",
"text": "つまり、ゲーム機会社が、水面などの流体のCGなどの「リアルタイム レンダリング」などを謳ったデモ映像をプロモーションするかもしれませんが、ああいった映像はすべて、二次元近似のできる場合などやさらに様々な制約・近似を課した特定の事例でしか成り立たない場合だけを想定した近似的なシミュレーション映像です。(もし、そうでなくて三次元の一般的な解によるシミュレーションだとすると、上述のようなフィールズ賞の案件になってしまいます。)",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 245,
"tag": "p",
"text": "ゲームファンのデマ「最近のゲーム機では流体もリアルタイムレンダで物理学的に(以下略)」(△、おそらくデマ)とかに騙されないように、気を付けましょう。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 246,
"tag": "p",
"text": "このデマの原因はおそらく、せいぜい光学計算がリアルタイムレンダリングなのを(マクスウェル方程式は線形方程式なので、正確に計算しても計算量が比較的に少ない)、デマ者はあたかも流体もふくめて全ての演算がリアルタイムかつ精密に物理計算してるのかと勘違いしているだけかと思います。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 247,
"tag": "p",
"text": "人類の2020年代の技術で、家庭用ゲーム機程度のコンピュータ資源で精密計算できるのは、せいぜい線型方程式までが限界です。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 248,
"tag": "p",
"text": "たとえゲーム業界用語で「物理演算」などの表現が使われていたとしても、流体や(後述の)フリルドレスなどに限定するかぎり非線形的な方程式ですので、物理学的にはあまり正確な計算ではありません。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 249,
"tag": "p",
"text": "そしてやはり、数学については、(公式の暗記ではなく、証明を理解するという)深い意味で、数学は勉強するべきです(でないと、デマやハッタリにダマされます)。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 250,
"tag": "p",
"text": "また、そもそもポリゴン数が多いと処理が重くなるので、たとえば波しぶきなどの流体のしぶきを一々ポリゴン化していたら、あっというまに描画が停止してしまうので、流体演算はゲームでは、あきらめたほうが良いでしょう。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 251,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 252,
"tag": "p",
"text": "ゲーム会社はべつに教育機関ではありませんし、むしろ下手に流体計算などの物理学的事実を勘違いプレイヤーに指摘したせいで、学校の成績に劣等感をもつプレイヤーの屈辱感でも刺激したら反感をもたれてゲームを購入してもらえないでしょうから、ゲーム会社は消費者ターゲット層の勘違いは放置するのでしょう。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 253,
"tag": "p",
"text": "やはり、ゲームやアニメなどの娯楽からは、基本的には勉強するのは無理なのです。勉強するには、きちんと国語・数学・理科・社会の教科書を購入して学んでいく方法が適切です。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 254,
"tag": "p",
"text": "その他、ゲームに限らず、一般のノートパソコンなどで動作する程度の流体シミュレーターも同様でしょう。流体計算をしているか分かりませんが航空シミュレーターや船舶シミュレーターの類も同様でしょう。だからくれぐれも、「ゲームが駄目なら、航空シミュレーターで代用だ」とかタワゴトを言わないように。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 255,
"tag": "p",
"text": "世の中には、勘違いして、「頭のいい人はマンガやゲームなど創作物からも学べる」(※これ自体は正しいかも)というのを、",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 256,
"tag": "p",
"text": "「マンガやゲームに詳しいだけの俺でも頭いいはずだ」(×)と勘違いしてしまって、ロクに普通の国語数学理科社会を勉強していないまま人生を送ってしまっている人もいます。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 257,
"tag": "p",
"text": "そういう人の行き着く先は、犯罪者です。偏見ではなく、マンガ出版社である集英社・小学館は、刑務所の教育委託ビジネスを受注しています。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 258,
"tag": "p",
"text": "マンガ・アニメ・ゲームだけでなく、テレビのバラエティ番組の類しか見ていなくて普通の国語・数学などの勉強が出来ない人も同様でしょう。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 259,
"tag": "p",
"text": "世間には、マンガのキャラが受験勉強を始めたら自分もようやく中学高校の勉強を始めるような人がいますが、しかしマトモな人は、いちいちマンガのキャラが行動を開始しなくても、自分の人生で必要なものを高校くらいの時点で自分から勉強し始めるのです。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 260,
"tag": "p",
"text": "まだしも、たとえば「音楽をやってみたかったが親から反対されてその学校に進学できずに経済学部に進学したが、しかし社会人になってカネが溜まったし、 最近のマンガのキャラが音楽を始めたから、俺も帰宅後に音楽を始めてみるか」",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 261,
"tag": "p",
"text": "とかそういうのなら分かりますが、国語・数学・理科・社会・英語の勉強なんて多くの家庭では反対されないんだから(一部は例外あり)、 普通にさっさと始めるのが普通の人です。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 262,
"tag": "p",
"text": "学校の勉強だけでプログラミングは出来るようにならないでしょうが、かといってマンガを読んでもゲームプレイをしてもプログラミングは出来ません。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 263,
"tag": "p",
"text": "結局、程度の差はあれ普通のプログラマーと同じように、ゲームプログラミングでも、普通にプログラミングなどを勉強することになります。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 264,
"tag": "p",
"text": "普通が一番難しいのです。マンガ『ゴーマニズム宣言』でもそう言ってるし、『行け!稲中卓球部』でも最終回にそう言ってるし、 アニメ業界でもガンダムの富野監督が意訳「あなたの読んでるアニメ雑誌だって、本を運送して書店に届けている(普通の)労働者や道路を舗装工事してくれる人のおかげ」みたいなことを何かのインタビューで言っています。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 265,
"tag": "p",
"text": "ゲーム中の光学計算ですら、おそらく近似をされたものが使われてるのが普通でしょう。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 266,
"tag": "p",
"text": "光の3D計算というのは、正確な光はw:レイトレーシングという、光線の反射経路を追跡していく方法で再現できますが、しかしレイトレーシングには意外と計算量が必要です。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 267,
"tag": "p",
"text": "反射した光が別の物体に当たって反射して、 その光が、また別の物体に当たって反射して、 さらにその光が、また別の物体に当たって反射して・・・・・・、",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 268,
"tag": "p",
"text": "のように、リアルさを追求すると、限度なく、いくらでも無限に計算量が必要になってしまいます。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 269,
"tag": "p",
"text": "「反射光の反射光」という現象のように、2次的な反射光があります。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 270,
"tag": "p",
"text": "同様に、",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 271,
"tag": "p",
"text": "無限に続きます。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 272,
"tag": "p",
"text": "なので、ゲーム中での3D計算による反射光の計算では、計算の負担の軽減のため、1次の反射光や、せいぜい2次の反射光くらいで、とめておくべきでしょう。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 273,
"tag": "p",
"text": "もしゲーム中で、よりリアルな高次の反射光のような映像を表示をしたいなら、テクスチャーなどを活用すべきでしょう。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 274,
"tag": "p",
"text": "つまり、ゲーム機以外の別のコンピュータで高次の反射光を計算して、その計算結果をビットマップ画像などとして出力しておき、その画像をテクスチャーにするわけです。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 275,
"tag": "p",
"text": "物理的な光には、反射光のほかにも屈折光や回折光があるということは、",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 276,
"tag": "p",
"text": "つまりCG的な光の種類の組み合わせにも、例えば",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 277,
"tag": "p",
"text": "そういう色々な組み合わせもあります。それら高次の計算をゲーム機で厳密にしてリアルタイム処理するのは、現状のゲーム機の性能では不可能なので、どうしてもテクスチャーのような、なんらかの擬似的な処理が必要になります。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 278,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 279,
"tag": "p",
"text": "また、反射や、不透明な物体の影の計算では、物体の表面だけが必要ですので、そのような計算の場合には、物体の内部の光学特性データは不要です。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 280,
"tag": "p",
"text": "どうしても物体の内部の光学特性データが必要な場合とは、せいぜい、透明な物体に光が差し込んで屈折するような場合くらいです。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 281,
"tag": "p",
"text": "そして、ゲームではたいていの場合、せいぜい高校物理で習う屈折の法則のような、屈折率が物体内で均一なものしか、扱いません。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 282,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 283,
"tag": "p",
"text": "鏡にうつりこむ風景や、金属の光沢などは、正確にシミュレーションして求めるにはレイトレーシングが必要になります。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 284,
"tag": "p",
"text": "しかし、レイトレーシングによる計算量は上述のように結構、膨大になります。そのため、アクションゲームなど速度の要求されるゲームでは、あらかじめ制作者が、ゲーム機中の映像について光学計算のシミュレーションをしておき、そのシミュレーション結果にもとづく2次元テクスチャ画像によって光を表現する場合も多くあります。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 285,
"tag": "p",
"text": "鏡や光沢のシミュレーションで、上述のようにテクスチャによる代替を行うことについて、「w:環境マッピング」といいます。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 286,
"tag": "p",
"text": "しかし、なにも鏡だけにかぎらず、この技術の本質は静的なレイトレーシング結果をテクスチャで置き換えることですので、照明などによる光の明暗のシミュレ-ションも、環境マッピングのようなテクスチャによる代替が可能です。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 287,
"tag": "p",
"text": "しかし、環境マッピングの苦手分野として、鏡が移動するような場合や主人公や敵キャラなどのような移動する物体が存在する場合が挙げられます。 そのため別途、移動する物体による鏡面映像などの描画処理を追加する必要がある。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 288,
"tag": "p",
"text": "これら「環境マッピング」の技術のように、ゲーム機での光の描画では高速処理のため、あらかじめ基準となる静止物や基準光源などをもとにシミュレーションした2次元画像データをテクスチャなどで作成しておき、もし光源の移動や追加や、移りこむ物体が移動してしまい影が動いてしまったり、鏡に映りこむ風景の変わる等の場合には、追加的に、なんらかの近似的な補正により、基準テキスチャ画像に補正を加えるというような擬似的な方法で、描画を高速処理するという方法も多く用いられる。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 289,
"tag": "p",
"text": "景色中にある鏡が平面鏡であり、1つしか鏡のない場合、そもそも、鏡のなかの景色を求めるのには、レイトレーシングをする必要は無い。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 290,
"tag": "p",
"text": "中学校・高校の理科や数学などで、1個の平面鏡に映る像の見える計算する公式があったのを思い出そう。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 291,
"tag": "p",
"text": "鏡に映る像は、平面鏡では、観測者の反対側に、",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 292,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 293,
"tag": "p",
"text": "のように、鏡の前に観測者の人が立ってる場合、",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 294,
"tag": "p",
"text": "のように、像は、鏡から観測者の距離が等しい。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 295,
"tag": "p",
"text": "そして、鏡のなかでは、左右の向きが反対になる。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 296,
"tag": "p",
"text": "自分が鏡を見た場合を思い起こせば、右手に持ってたものは、鏡の中の自分は左手にもっている。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 297,
"tag": "p",
"text": "つまり、鏡の中の景色は、単に、鏡の外の景色を左右反転したものになる。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 298,
"tag": "p",
"text": "さらに、(別章で説明する)「環境マッピング」などの技術と合わせれば、鏡が固定されている場合、移動物体だけを計算すれば済む。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 299,
"tag": "p",
"text": "つまり、平面鏡に写る景色を求めるには、移動物体だけについて、鏡の奥の位置に、左右反転した物体を置けばいい。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 300,
"tag": "p",
"text": "ただし、この方法ですら、移動物体のポリゴンの計算量が2倍になってしまうので(鏡の外に置くポリゴンと、鏡の中の世界に置くポリゴンとで、2倍のポリゴン計算が必要になる)、ゲーム中の鏡はどうしても計算量を増大させてしまう。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 301,
"tag": "p",
"text": "さて、反射をする道具は、鏡だけではない。金属だって反射をするし、水面だって、いちぶの光を反射をする。ガラス表面も、いちぶの光を反射をする。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 302,
"tag": "p",
"text": "しかし、ゲーム中の金属や水やガラスなどのすべての反射物体で、移動物体の映り込みの計算を求めてしまうと、計算量が膨大になってしまうので、たいていのゲームでは、ストーリー上では重要でない物体においては、移動計算の写りこみは無視する。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 303,
"tag": "p",
"text": "金属や水面の反射では、光沢だけを描画するという簡略化をするゲームも多い。移動物体の写りこみについては、金属や水面の反射では、省略することが普通であろう。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 304,
"tag": "p",
"text": "いっぽう、鏡は、ゲーム中のストーリーで重要な意味をもつ場合が多いので、そのような重要な反射物だけ、光沢以外の移動物体の写りこみなどの反射も計算すればいいのである。そして、たいていの鏡は平面鏡であるので、鏡の中の景色は単に外の景色を左右反転すれば済むので、レイトレーシングすら省略できる。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 305,
"tag": "p",
"text": "影の正確な描画には、レイトレーシング的に光の多く当たったところほど明るく描画するという方法が、いちばん正確である。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 306,
"tag": "p",
"text": "しかし、その理想をそのまま実行するには、光の反射や散乱などをたくさん計算しないとならなくなるので、処理が重くなるので、レイトレーシング的な影の描画方法は、ゲームでは、あまり使われない。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 307,
"tag": "p",
"text": "そこでゲームでは、よく妥協案として、光源から出たそれぞれの光線ごとに、光源に一番近い物体によって遮られた(光源の)反対側を暗くする、という処理で近似することも多い。例えるなら、隠面処理のZバッファ法を、明暗の表現に応用するような手法である。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 308,
"tag": "p",
"text": "まるで影絵のように、光源と遮蔽物の反対側を、暗くすればいいのである。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 309,
"tag": "p",
"text": "被写体ごとに、光源に一番近い面だけを明るく描画し、光源に遠い部分を暗くすれば、影の表現になる。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 310,
"tag": "p",
"text": "この計算のためには、当然、被写体ごとに光源からの距離を、計算しなければならない。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 311,
"tag": "p",
"text": "さて、複数の光源がある場合でも、それぞれの光源の反対側を暗くすればいい。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 312,
"tag": "p",
"text": "なお、それぞれの光源による、影と影とが重なったところは、さらに暗くなる。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 313,
"tag": "p",
"text": "たとえば、カメラの遠くにある物体を、細かく描画しても、無駄になります。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 314,
"tag": "p",
"text": "なので、遠くにある物体は、ポリゴン数を減らすという、アイデアもあります。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 315,
"tag": "p",
"text": "たとえば、遠くにある建物や地形などを、細かく描画しても、無駄になってしまうでしょう。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 316,
"tag": "p",
"text": "なので対策として、ポリゴンデータを2種類用意しておけばいいのです。近景として眺めた場合のポリゴンデータと、遠景として眺めた場合のポリゴンデータの2種類を、制作時に用意しておき、ゲームデータとしてゲーム機に組み込んでおくのです。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 317,
"tag": "p",
"text": "近景用では、ポリゴン数を多めにデザインしておくのです(いわゆる「ハイポリ」)。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 318,
"tag": "p",
"text": "いっぽう、遠景用では、ポリゴン数を少なめにデザインしておくのです(いわゆる「ローポリ」)。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 319,
"tag": "p",
"text": "また、人物でもワキ役のポリゴン数を減らすことは、よく行われます。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 320,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 321,
"tag": "p",
"text": "技術的な背景として、21世紀のパソコンではハードディスクやメモリに記憶するデータ量と、CPU(またはGPU)の処理速度とのトレードオフとの問題です。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 322,
"tag": "p",
"text": "高速化のためには、ハードディスク & メモリの使用量を増やしてでも、CPUやGPUの負荷を減らす必要があるので(現在のハードウェア技術では、それが人類のパソコン設計の限界)、たとえポリゴンモデル設計時の作業負担が増えてでも(※ 設計時にハイポリとローポリの2回のデザイン仕事が必要になるので)、遠景のポリゴンを簡略化することでCPUの負担を減らすという工夫が、市販の3Dゲームなどでも、よくあります。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 323,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 324,
"tag": "p",
"text": "現代では一般に、3DのグラフィックにはDirectXやOpenGLなどのAPIが利用されます。詳しくはOpenGLなどを参照してください。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 325,
"tag": "p",
"text": "しかし、実は、これらのソフトを使わなくても、3Dプログラミングは可能です。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 326,
"tag": "p",
"text": "実際、1980年代のマイコンBASICなどのプログラム入門書などを読むと、中学生~高校生向けにワイヤーフレーム式の3Dプログラミングのソースコードが書かれていたりする場合もありました。その程度の初歩的な知識でも、3Dプログラミングは可能です。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 327,
"tag": "p",
"text": "もちろん、数学の知識があるのに越したことはないですが、しかし、高校レベルの三角関数に毛が生えた程度の知識でも、3Dプログラミングは可能ですし、1980年代のマイコンBASICのブームの時代から、そういう高校数学レベルで分かる3Dプログラミングの入門書は存在しています。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 328,
"tag": "p",
"text": "とはいえ、いまさら3Dソフトをゼロから自作するのは(個人でも不可能ではないが)調べることも多く手間が掛かるので、たいていは、DirectXやOpenGLなど既存のツールを使って、プログラムを作成します。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 329,
"tag": "p",
"text": "下記の3Dプログラミングの解説でも、いろいろな数式が出てきますが、数式のひとつひとつは、高校レベルのベクトルや行列、三角関数といった数式です。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 330,
"tag": "p",
"text": "行列は、高校の学習指導要領が数年ごとに変わるため、年代によっては高校で習ってない場合もありますが、ここでいう行列とは単に、ベクトルを並べたものです。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 331,
"tag": "p",
"text": "行列の計算法について詳しくは高等学校数学C/行列を参照してください。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 332,
"tag": "p",
"text": "一般的な3Dソフトでは、球体の3Dは、たくさんのポリゴン面で表現しています。たとえばblenderの球面の表現もそうです。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 333,
"tag": "p",
"text": "2Dプログラムだと円や球はプログラム文の1行で書けてしまいますが、しかし3Dの球では何十面もの多くのポリゴン面を使用するという、違いがあります。ご注意ください。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 334,
"tag": "p",
"text": "無料3Dソフトで確認したところ、少なくとも blender とメタセコイアはそうです(球面はなん十個ものポリゴン面で表現という仕様)。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 335,
"tag": "p",
"text": "数珠(じゅず)とか丸いものが沢山あるゲームは大変。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 336,
"tag": "p",
"text": "ゲームではないですが、書籍『キャラクターを作ろう! 3DCG日和』の著者が、書籍中で数珠のポリゴン問題に遭遇しており(大鬼が首輪としてデカい数珠を書けてる3Dモデルが書籍では作成されている)、数珠の球1個を、書籍では粗いポリゴンによってデコボコした多面体のようなもので妥協しています。面が15~20個くらいしか見えない、球のような多面体ですが、しかし数珠だとその球が10個くらい見えてしまうので、10倍の面の数になってしまうので、著者は粗いポリゴンで妥協しています。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 337,
"tag": "p",
"text": "blender 入門書では、球オブジェクトを伸ばして、簡単な「ぬいぐるみ」的なモデルの顔や胴体などを作ることも多いですが、しかし頂点数・辺数が多くなるので、「あごをとがらせたい」みたいな一部分だけの変形の際には、操作が難しいなどの理由で、あまり向きません。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 338,
"tag": "p",
"text": "じっさい、市販の書籍の後半にある人キャラのモデル例の顔のメッシュを見てみると、球オブジェクトではなく平面オブジェクトを加工して作っています。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 339,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 340,
"tag": "p",
"text": "「ハイポリ」と言っても、萌え系の絵柄のモデルの場合、せいぜいメッシュ数はローポリの場合の2倍~3倍くらいまで、です。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 341,
"tag": "p",
"text": "あまりにメッシュ数が多くなりすぎると、手作業での修正が困難になります。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 342,
"tag": "p",
"text": "なので、ハイポリを作る場合でも、最初にあらめのローポリゴンで大まかな立体を作っておいて、あらめな範囲でヤレル範囲の位置合わせを行って起き、あとから細分化して微調整をします。これが萌え系のハイポリです。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 343,
"tag": "p",
"text": "こういった制作工程を知ると、微調整後の3Dモデルのメッシュ修正は困難であり、あとから修正するのは困難だという事が分かります。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 344,
"tag": "p",
"text": "比較的ラクに修正できるのは、キャラの向きの修正や、ボーンの向きの修正など、数の限られる要素の修正だけです。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 345,
"tag": "p",
"text": "なお、目や瞳は細かくなりがちなので、",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 346,
"tag": "p",
"text": "どちらの流儀にせよ、作り始めはローポリです。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 347,
"tag": "p",
"text": "ローポリのモデルでも、土台の形がシッカリしてると、意外となめらかに見えます(※たとえばntny著『ローポリスーパーテクニック』などで紹介されている市販ゲームのポリゴンがローポリで作られてる)。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 348,
"tag": "p",
"text": "なので、けっして、見た目の雰囲気のなめらかさに惑わされて、ハイポリでは作り始めないようにしてください。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 349,
"tag": "p",
"text": "少なくとも、初心者が作り始めるような普通の3Dゲームでは、作り始めはローポリのはずです。なぜならローポリで作り始めないと、少なくともblenderではメッシュの修正が困難です。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 350,
"tag": "p",
"text": "あるいは、もしかしたら、大企業がDirectXで自社開発した自社ソフトの非公開3Dモデリングソフトとか持っているのなら、その会社だけならハイポリでもいきなり作れたり、ハイポリで修正の範囲指定とかグループ指定とかを上手に出来たりできる特殊UIなのかもしれません。しかし、少なくともフリー公開ソフトのblenderを使っている3D初心者には関係ない手法だし、初心者には利用不可な手法です。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 351,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 352,
"tag": "p",
"text": "ゲームエンジンでも、簡易的には3Dを編集できる場合もあります。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 353,
"tag": "p",
"text": "しかし、ゲームエンジンで、あまり高度な編集はできません。仮にゲームエンジンで3Dデータを編集できたとしても、情報不足だったり、難解だったりします。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 354,
"tag": "p",
"text": "たとえばボーンの編集などは、ゲームエンジンでは情報不足か困難かもしれません。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 355,
"tag": "p",
"text": "なので、3Dモデリングはゲームエンジンに頼らず、blenderなどの3Dモデリングソフトを覚えましょう。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 356,
"tag": "p",
"text": "ゲーム用に限らず、3Dでは、まず形状のモデリングだけをしても、まったくボーンの設定をしていなければ、なんの3Dアニメーションにも進めません。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 357,
"tag": "p",
"text": "なので、形状のモデリングはそこそこにして、さっさとボーンの設定まで進みましょう。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 358,
"tag": "p",
"text": "このため、3Dソフトの学習では、ローポリから始めるのが効率的です。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 359,
"tag": "p",
"text": "テクスチャなどは、初心者はまだ考えなくてよいです。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 360,
"tag": "p",
"text": "市販のプレステなどの3Dゲームのようなポリゴンは、初心者には無理です。あこがれる気持ちは分かりますが、初心者には無理です。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 361,
"tag": "p",
"text": "一般的に、初心者は、初代バーチャファイターみたいなカクカクしたポリゴンか、それ以下のもっと粗い極度のポローポリで十分です。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 362,
"tag": "p",
"text": "実際、市販の書籍で、初心者むけの入門書にある例も、そういった極度のローポリです。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 363,
"tag": "p",
"text": "極度のローポリの3Dキャラでいいので、さっさとボーンを入れて、さらにアニメーションをするのが、効率的な学習法でしょう。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 364,
"tag": "p",
"text": "また、3Dモデリングソフトで作ったモデルデータを、ゲームエンジンに持ち込む場合には、設定の変更などが必要になる場合もあるのですが、もしその場合にハイポリで作ってしまっていると、各ポリゴン面の設定変更のさいの手作業が多くなって、初心者だと詰む可能性もあります。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 365,
"tag": "p",
"text": "たとえば、DirectXはそもそも三角形の面しかサポートしてないですが、しかしblenderは多角形の面をサポートしているので、blenderからゲームエンジンなど他環境への持ち込みなどのさいに設定の変換が必要になったりもあいます。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 366,
"tag": "p",
"text": "特にゲーム用途での3Dモデリングの場合、上述のような理由も併せて考えて、ローポリが安全でしょう。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 367,
"tag": "p",
"text": "どうしてもハイポリに近づけたゲームを作りたい場合などは、",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 368,
"tag": "p",
"text": "とするのが、安全かと思います。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 369,
"tag": "p",
"text": "3D用語で、棒立ちで、腕を左右に伸ばしたポーズを「Tポーズ」と言います。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 370,
"tag": "p",
"text": "このポーズでないと、初心者にはモデリングが困難です。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 371,
"tag": "p",
"text": "なぜなら、もし腕を組んだポーズなどでモデリング開始してしまうと、たとえばボーンを動かして腕のメッシュ面を下した場合に、腹や胸のメッシュ面まで一緒におりてしまうとか、そういう操作ミスになりやすいのです。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 372,
"tag": "p",
"text": "要するに、間接どうしは離したポーズで、モデリングする必要があります。そうしないと、ボーンを動かしたさいに、身体各部のメッシュが意図せぬ動きをするなどします。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 373,
"tag": "p",
"text": "このため、Tポーズで、モデリングする必要があります。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 374,
"tag": "p",
"text": "また、間接どうしを遠ざける必要もあるので、つまり足も、微妙に離すのがラクです。棒立ちといっても、「気をつけ」ポーズのように足を閉じてしまうと、少しモデリングが面倒です。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 375,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 376,
"tag": "p",
"text": "ほか、暗黙の前提として、人間以外のイヌやネコなどの4足歩行の動物は、間接の動きが難しいので、初心者は動物は避けましょう。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 377,
"tag": "p",
"text": "なお、アニメ業界では、手書きアニメーターですら、イヌなどの動物の動画の練習は後回しです。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 378,
"tag": "p",
"text": "動物の1枚イラストの講座はネットを探せばチラホラとありますが、しかしアニメーションの場合は、1枚ではなく動画を何枚も書く必要があるので、間接の動き方を研究しなければなりません。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 379,
"tag": "p",
"text": "しかし、ネットには、そこまでの情報はないか、あったとしても初心者には習得が困難でしょう。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 380,
"tag": "p",
"text": "3D初心者には、動物の間接の動きの研究・理解までは、無理です。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 381,
"tag": "p",
"text": "よって、初心者は、4本足の動物をあきらめましょう。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 382,
"tag": "p",
"text": "初心者は、人間キャラをローポリで作りましょう。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 383,
"tag": "p",
"text": "どうしても初心者が動物っぽいキャラを作りたい場合、せいぜい、キティちゃんみたいな、デフォルメされた動物っぽい顔のキャラを、2歩足で立たせたもので、ガマンしましょう。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 384,
"tag": "p",
"text": "あるいは、動物ではなく、ラジコンカーのような4輪車を簡単なモデルで作って遊ぶ、という方法もあります。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 385,
"tag": "p",
"text": "ともかく動物3Dは、間接の動きの勉強が、少し面倒です。後回しに。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 386,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 387,
"tag": "p",
"text": "Blender(ブレンダー)3以降に特有の操作ですが、アニメーションにおける設定をするためのタイムラインなどの表示のためには、画面上部にある「Animation」タブを使います。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 388,
"tag": "p",
"text": "画面上部に",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 389,
"tag": "p",
"text": "というのがあるので、そのタブにある「アニメーション」をクリックすることで、アニメーション関連の編集状態にソフトが移動します。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 390,
"tag": "p",
"text": "大まかな流れ(Blenderの場合)",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 391,
"tag": "p",
"text": "アニメーションのタイムライン登録時、初心者の場合はボーンは一本ずつ動かすことになります。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 392,
"tag": "p",
"text": "なので初心者は、ふつうに腕が2本、足が2本の人間キャラをまずは作りましょう。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 393,
"tag": "p",
"text": "もし千手観音とか3Dアニメで作ろうとすると、初心者は過労で死にます。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 394,
"tag": "p",
"text": "初心者の場合、キャラの動きは、たとえば腕をグルグル回すだけとか、腕をぶらーんぶらーんと揺らすだけみたいな、非日常で簡単な動作にしましょう。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 395,
"tag": "p",
"text": "いっぽう、日常的な基本動作の「歩き」とか「走り」とか「振り返り」とかは、数日前に始めたばかりの初心者には無理です。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 396,
"tag": "p",
"text": "手書きアニメーターの初心者ですら、月日を掛けて何枚も練習して、とりあえず「歩き」や「走り」っぽい動きを掛けるように練習していきます。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 397,
"tag": "p",
"text": "3dモデリングの場合、ソフトの使い方を学ぶのに時間をとられるので、もはや手書きアニメーターのように「歩き」とかから動きを練習するのは無理です。なので、3dアニメの初心者では、もっと大幅に簡単な、非日常で動きの少ない動きから練習しましょう。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 398,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 399,
"tag": "p",
"text": "で、ここまでやっても、まだBlenderなど3Dソフト内でのプレビューです。最終的に動画として配布するには、mpegやGIFなどに出力する必要があります。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 400,
"tag": "p",
"text": "画面左上のほうに「レンダー」というメニューがあるので、「アニメーションレンダリング」を押せば、ふつうに初期設定に従ったファイル形式での動画用のファイル出力が始まります。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 401,
"tag": "p",
"text": "初期設定がどうなってるか、知りません。どこに保存されるかは、元画面側のページで、画面右側の縦に長いアイコン一覧に「出力」プロパティに、出力先のフォルダの表示があるのでそこを見てください。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 402,
"tag": "p",
"text": "なお、wiki著者の環境では、出力先フォルダは初期設定ではtmpフォルダでした。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 403,
"tag": "p",
"text": "大量のPNGファイルとして、出力されました。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 404,
"tag": "p",
"text": "気に入らないファイル形式なら、設定を変更して、再度、レンダリング出力しましょう。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 405,
"tag": "p",
"text": "この出力プロパティの下のほうを見続けていくと、「ファイルフォーマット」という項目があって、そこが「PNG」になってました。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 406,
"tag": "p",
"text": "これをクリックすると、他の動画形式および静止画像形式(PNGやJPEGなど)にできます。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 407,
"tag": "p",
"text": "ファイルフォーマットをffmpegに設定すれば、いわゆるmpeg動画になります。念のため動画コーデックを見ておいて、「H.264」になってれば、たぶん大丈夫でしょう。なぜならH.264がmpegの2020年代以降の代表的な動画コーデックだからです。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 408,
"tag": "p",
"text": "しばらく時間が経ってから、出力先のフォルダを見ていって、動画ファイルっぽいのがあれば、たぶん成功です。 あとはそれを動画プレイヤーで実際に視聴できるかテストするだけです。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 409,
"tag": "p",
"text": "なお、ffmpeg出力の初期設定のまま試したところ、mkvファイル形式で動画が出力されました。 これをもしmp4形式に変えたければ、「コンテナ」を「MPEG-4」に変えれば済みます。ほかにもoggなど色々なコンテナがあるので、必要な形式に設定して、レンダリングしなおしましょう。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 410,
"tag": "p",
"text": "出力先が気に入らなければ、「出力」項目を別のフォルダに指定すれば済みます。ですが、フォルダとして指定する必要があるので、あらかじめ出力用のフォルダを作っておいてください。つまり、外付けUSBや外付けHDDなどに、ファルダ無しでのむき出しで保存しようとしても、失敗するかもしれません。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 411,
"tag": "p",
"text": "あれこれ設定をいじる前に、まずは実際にファイル出力してみましょう。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 412,
"tag": "p",
"text": "実際にファイル出力してみると、構図や色など、気になる点が見つかるものなので、修正していきましょう。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 413,
"tag": "p",
"text": "最初の要修正な出力アニメーションファイルを反面教師にして、もとのモデルの色の修正や、設定などの修正をしていきましょう。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 414,
"tag": "p",
"text": "色の修正をするには、右側の縦バーの下から2番目あたりにある「カラープロパティ」で、ベースカラーを目的の色に変えます。これだけだと表示は変わりませんが、zボタンで「マテリアルプレビュー」に表示状態を変えてみると、きちんと色が変わっているのを確認できます。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 415,
"tag": "p",
"text": "さらに確認として、動画出力してみて、実際に目的の色になってるか確認してみましょう。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 416,
"tag": "p",
"text": "アニメーションタブの時点では、左側のプレビュー画面では色がついていませんが、しかしレンダ出力してみると、きちんと色がついています。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 417,
"tag": "p",
"text": "なお、レンダ画面で表示中の静止画1枚だけを保存したい場合、アニメーション出力とは方式がちがいます。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 418,
"tag": "p",
"text": "静止画像の出力は、まず",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 419,
"tag": "p",
"text": "初期設定では、背景が黒、オブジェクト色が灰色で、とても見づらいです。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 420,
"tag": "p",
"text": "なので、とりあえず背景用に単なる青空の色の、板状のポリゴン直方体でも作って、キャラの後ろにでも置いときましょう。(なお、カメラ位置によっては、キャラ幅に比べて背景メッシュはかなり横幅が広くなります。ゲーム化の際には、なんらかの対応が必要かもしれませんが、とりあえずゲーム化対応は後回しにします。とにかく、さっさと広い横幅の背景メッシュを追加して、色をつけてしまいましょう。)",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 421,
"tag": "p",
"text": "そして、アニメーション出力してみて、実際にうまく行くか、試しましょう。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 422,
"tag": "p",
"text": "なお、出力動画ファイルは、前回出力したファイルに上書きされます。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 423,
"tag": "p",
"text": "さて、出力動画を実際に見てみて、もしうまく行くのを確認できれば、次の工程に移りましょう。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 424,
"tag": "p",
"text": "キャラの色をつけていったり、床として草原の緑色の地面とか、あるいは茶色い土色の地面でも、直方体の板のメッシュでも作っておきましょう。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 425,
"tag": "p",
"text": "キャラにも、顔や手足の肌色とか、つけていきましょう。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 426,
"tag": "p",
"text": "そして動画で出力。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 427,
"tag": "p",
"text": "全体的に出力動画の色が暗い場合があるかもしれませんが、画面右の縦メニューアイコンにあるワールドプロパティの設定で解決します。wiki著者の環境の場合、「強さ」を変えて数値を初期値1だったのを4くらいに増やしたら、解決しました。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 428,
"tag": "p",
"text": "ほかの可能性としては、ライト設定をしてないから、といく可能性もあります。その場合はライト設定をしましょう。レイアウト画面で、「追加」>「ライト」で出てくるメニューの中に、光源の種類として「ポイント」とか「サン」とかあるので、初心者は、いちばん設定のラクなサン光源を選ぶとよいでしょう。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 429,
"tag": "p",
"text": "こういうふうに、まず動画を出力していって、あとから修正していくのが、3Dアニメの初心者むけの制作手法でしょう。もしかしたら、手書きアニメとは手法が違うかもしれません(どうかは知りません)。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 430,
"tag": "p",
"text": "いきなり「最初から設定を理解しきってから制作する」なんて、現代の3Dモデリングソフトでは、もはや無理です。実際に手を動かしていって、それから追加で勉強をすることは、制作中に行き詰ってから、最低限の必要なことだけをネット検索などで調べましょう。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 431,
"tag": "p",
"text": "また、3Dアニメではないですが、一般にCGを使ったアニメで言われる制作手法として、「商品になるだけの最低限の品質だけで、さっさと作り終える」というノウハウがあります。『デジタルの「直しすぎ」問題』とも言われます",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 432,
"tag": "p",
"text": "ゲームの場合、実際のゲーム中での画面で見て問題なければ、それでヨシとします。ntny著『ローポリスーパーテクニック』に、直接は述べられていませんが、そのあたりの事情が下記のように書かれています。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 433,
"tag": "p",
"text": "たとえばテクスチャを作画で作る作業などは、制作中の作業では、作業しやすいように拡大して作業するのが普通です。しかし、それだと、実際のゲーム中での表示の大きさとはズレてしまいます。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 434,
"tag": "p",
"text": "制作中の拡大画面では上手に作れてると思ったテクスチャが、実際のゲーム画面のサイズに縮小してみると、つぶれたりして見えなかったり、などのミスも初心者にはよくあります。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 435,
"tag": "p",
"text": "なので、ntny著『ローポリスーパーテクニック』では、テクスチャの制作中に、実際にゲーム画面のサイズで出力して確認します。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 436,
"tag": "p",
"text": "また、ntny著『ローポリスーパーテクニック』では、P.35で、ゲーム中で縮小されているキャラの3Dについて「戦闘中や、街中の会話ではほとんど顔も見えない。そんな中で贅沢なことをやってもしょうがないので、テクスチャ切り替えやモデル切り替えですませてしまっても誰も気付かない」と述べて(※この人の参加したゲームでは、戦闘中や街中の会話では、キャラの3Dが縮小されているらしい)、あまりモーフィングやボーン操作に頼らないことも多い実情を公表しています。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 437,
"tag": "p",
"text": "なお、アニメ業界では、修正しすぎないように気を付けつつ、それでも採算の合うように適宜に修正するのがプロです。あるアニメ会社は、あるマスコミのインタビュー記事で「1ドット分の微調整が可能になったというのだ。逆に「やれてしまうので時間をかけすぎる懸念もある」というが、クオリティはやはり向上したという。」と評価されています",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 438,
"tag": "p",
"text": "アニメーションの際、腕メッシュや顔メッシュなど人体のそれぞれのメッシュを結合すると、移動するのに便利なこともある。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 439,
"tag": "p",
"text": "結合しないと、移動の際に、身体各部のそれぞれのメッシュを範囲選択しなければならず、やや手間である。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 440,
"tag": "p",
"text": "ctrl + J",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 441,
"tag": "p",
"text": "で結合(join)できる。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 442,
"tag": "p",
"text": "問題は「分離」である。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 443,
"tag": "p",
"text": "分離は、分離したいパーツを編集モードで選んだあと、右クリックし、「分離」>「構造的に分離したパ-ツで」で、とりあえず形状だけは分離できる。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 444,
"tag": "p",
"text": "しかし、結合の際に、マテリアルプロパティも結合してしまう場合があり(初期設定の無色(灰色)のままだと、マテリアルプロパティの色情報が結合してしまう)、これが上述の「分離コマンド」のあとでも分離しない。このせいの不利益・デメリットは、具体的には、色が独立して変えられない、という事態に陥ることもある。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 445,
"tag": "p",
"text": "たとえば、プロパティが結合したままなせいで、顔だけ肌色にしたいのに、服を着ている胴体までも肌色になってしまったりする。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 446,
"tag": "p",
"text": "なので、それぞれのマテリアルプロパティをいったん消す必要があり、そのためには、マテリアルプロパティ中にある「×」ボタンを押すと古いプロパティが消えて、その際にプロパティの結合も解除もされるので、新しくそれぞれのプロパティを作り直せばいい。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 447,
"tag": "p",
"text": "なお、色をコピーするさい、スポイトやショートカットでは、正確な色のコピーを取れない。よって、色の数値を覚えて手動で調整とか、あるいは、あらかじめカラーパレット登録などをしておく必要がある。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 448,
"tag": "p",
"text": "最低限のメッシュとボーンが作れて、最低限のアニメーションの動画ファイルの出力に成功したなら、",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 449,
"tag": "p",
"text": "今度はボーン名やメッシュ名などをつけてしまいましょう。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 450,
"tag": "p",
"text": "自動生成された名前の Cube.001 とか Cube.005 とかだと、あとから見返したときに意味不明です。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 451,
"tag": "p",
"text": "とりあえず、頭 head 、腕 arm_L および arm_R (あるいは arm1とarm2 など) 、足 leg_L や Leg_R など、さっさと命名しましょう。慣習的に、メッシュ名もボーン名も、英語でつけるのが流行です。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 452,
"tag": "p",
"text": "あとからより細かい名前に修正しますが(たとえば)、とりあえずはこれで十分です。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 453,
"tag": "p",
"text": "初心者の場合、手のひら、足のひらを作るのは後回しで良いでしょう。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 454,
"tag": "p",
"text": "ボーン名の命名でよくあるミスが、頭部のボーン名を face にしてしまうミスです。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 455,
"tag": "p",
"text": "頭部のボーン名は、face ではなく head です。faceだと頭部の前面しか意味しません。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 456,
"tag": "p",
"text": "腕の英語は hand ではなく arm です。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 457,
"tag": "p",
"text": "太ももとかスネは、footではなく leg です。footだと、靴をはく部分になってしまいます。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 458,
"tag": "p",
"text": "さて、腕の英語は arm でした。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 459,
"tag": "p",
"text": "では、上記でとりあえず付けた名前を、用途に合わせて修正していきましょう。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 460,
"tag": "p",
"text": "Unityで推奨されている命名の、",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 461,
"tag": "p",
"text": "および",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 462,
"tag": "p",
"text": "が分かりやすくて実用的かと思います。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 463,
"tag": "p",
"text": "Unityで推奨されている命名の、",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 464,
"tag": "p",
"text": "が分かりやすいと思います。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 465,
"tag": "p",
"text": "英語では thigh とか shin ですが、しかし分かりづらいので、慣習的には使われません。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 466,
"tag": "p",
"text": "なお、ボーン名などの末尾にある左右の L および R は、キャラから見た方向です。なので、プログラマー側から見たら逆向きになります。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 467,
"tag": "p",
"text": "胴体の命名は、作家やツールによって違いが大きいので、省略。お好きな流儀をお選びください。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 468,
"tag": "p",
"text": "とりあえず色付きのアニメまで作れたら、あとからメッシュを修正しましょう。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 469,
"tag": "p",
"text": "この際、「細分化」が必要です。編集モードで細分化でき、範囲選択でそのメッシュを全体選択します。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 470,
"tag": "p",
"text": "しかし、表示モードがマテリアルプレビューだと、すでに色のついているメッシュを細分化できません。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 471,
"tag": "p",
"text": "なので、zボタンを押して、表示モードをワイヤーフレームに変えましょう。これで、色のついているメッシュも細分化できるようになります。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 472,
"tag": "p",
"text": "なお、周囲に別のメッシュがあると、範囲選択ミスなどのせいで誤動作になります。なので、周囲にメッシュのない場所まで移動するか、周囲のメッシュのほうを移動しましょう。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 473,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 474,
"tag": "p",
"text": "メッシュの一部だけを色付けするには、マテリアルプロパティ表示時において画面右側の真ん中あたりにある「+」ボタンで「マテリアルスロットを追加」",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 475,
"tag": "p",
"text": "そのマテリアルの色を登録(ふつうの方法と同じ)、",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 476,
"tag": "p",
"text": "その後、色変えしたいメッシュを選択し、",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 477,
"tag": "p",
"text": "その後、さきほど登録したマテリアルを「割り当て」で適用。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 478,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 479,
"tag": "p",
"text": "一通り、動作を確認できたら、オブジェクトを作り直しましょう。既存の細かい球などのオブジェクトを使いまわすよりも、平面メッシュまたは立方体などで作り直しをしたほうが早いです。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 480,
"tag": "p",
"text": "少な目のポリゴン数の角柱でバランスを整え、あとからポリゴン数を(2倍程度に)増やして整えていくというのが定石です。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 481,
"tag": "p",
"text": "2方向~3方向から見てシルエットがあってれば、この段階では平気です。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 482,
"tag": "p",
"text": "ISAO 著『キャラクターを作ろう! 3DCG日和』でも、顔ではなくボディですが、とっかかりモデルを直方体の胴、直方の手足で作っておいて 、",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 483,
"tag": "p",
"text": "ガイドなどのための設定イラストは、初心者では、自分で書くのは不要でしょう。上手い人は自分で下絵の正面画・側面画を描いていますが、しかし初心者には下絵を描く際の勘どころが不明です。下絵を描くのは、もっと3Dを作って慣れてからのほうが良いでしょう。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 484,
"tag": "p",
"text": "胴体はさいしょは十数角柱、",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 485,
"tag": "p",
"text": "手足は八角柱、胴体は十数角柱 で、とっかかりのモデルを作ります。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 486,
"tag": "p",
"text": "八角柱よりもさらに少なくても構わず、ローポリスーパーデクニックでは何と最初は腕のメッシュは5角柱です。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 487,
"tag": "p",
"text": "なお、ローポリスーパーテクニック本での胴体のとっかかかりの角柱数はあまり明記されておらず不明ですが、初期画像を見ると8~12角柱のていどで胴体を作り始めています。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 488,
"tag": "p",
"text": "あとから点を増やしていきます。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 489,
"tag": "p",
"text": "そのあと、仕上げのためにその2倍くらいのメッシュにして、胴体なら最終的に二十数角柱で胴体を仕上げ、手足は十数角柱で仕上げています。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 490,
"tag": "p",
"text": "けっして、いきなり細部をモデリングせず、ある程度はローポリでとっかかりのモデルを作るのがポイントです。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 491,
"tag": "p",
"text": "どうしても球を使いたい場合でも、初期設定の細かい分割の球ではなく、新たに分割の粗い球(縦方向が6~7分割ていど)の球を新規で追加したほうがラクでしょう。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 492,
"tag": "p",
"text": "とりあえず、キャラのパーツを上から順に顔から作り直したとしましょう。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 493,
"tag": "p",
"text": "たとえば、顔を作る場合、土台となる簡単な立体を作るのが、初心者には把握しやすいかと思います。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 494,
"tag": "p",
"text": "たとえば、",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 495,
"tag": "p",
"text": "のような手順です。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 496,
"tag": "p",
"text": "平面を1個つくって、線を選択したあと、 ctrl + F で、面を押し出しできます。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 497,
"tag": "p",
"text": "また、線を2つ以上選んで、Fを押すと、その線を通る 折れ面 を作れます。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 498,
"tag": "p",
"text": "もし、意図しない奇妙な 折れ面 ができてしまったら、 Ctrl + T で、面を三角形分割できます。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 499,
"tag": "p",
"text": "三角形を4角形にしたい場合、不要な対角線を削除 Del で「線を溶解」すれば済みます。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 500,
"tag": "p",
"text": "そして、ともかく、とりあえず閉じた顔のような立体の土台を作ります。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 501,
"tag": "p",
"text": "あとは、それを「移動」コマンドで、頂点を追加してその位置を移動していって、正面と横から見て形を整えて、顔のような輪郭にしていけば、大体の場合は、そこそこ顔っぽい立体になっています。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 502,
"tag": "p",
"text": "鼻のような突起物を足したり、アゴを頭の半分よりも前のほうに移動したり、なんか修正しましょう。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 503,
"tag": "p",
"text": "鼻や目の土台の部分の線を書きたい場合、下記のようにアドオンを追加すると便利です。blenderでは、初期設定のままでは、面の上に線を描くことが不可能ですが、しかしアドオンで線を描くことが可能になります。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 504,
"tag": "p",
"text": "「編集」>「プリファレンス」>「アドオン」で、Snap_Utilites_Line をチェックして有効化すれば可能になります。これを有効化すると、編集モードで左ツールバーに、make line というツールが追加されるので、編集モード時にこのツールで面上に線を描けます。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 505,
"tag": "p",
"text": "なお、その際、オブジェクトの透過してる表示設定だと裏側に線を描いてしまったり、線が貫通したりする可能性があるので、透過をオフにしましょう",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 506,
"tag": "p",
"text": "アドオンのツールボタンは、一度追加しても、blenderを終了すると、ボタンが無くなります。再び使用する際には、またアドオンを有効化しましょう。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 507,
"tag": "p",
"text": "make line を使う際、線の基準となる開始点が無いと、なぜか上手く動作しないので、とりあえず細分化などで、耳や鼻の中心線を3~5分割でもして、点を形成しておきましょう。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 508,
"tag": "p",
"text": "さて、ローポリなので後頭部とかデコボコしてて見苦しいかもしれませんが、しかしメッシュを増やすのは後回しです。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 509,
"tag": "p",
"text": "なお、耳を描く際、make line で横顔に描いた耳の土台の線をそのまま押し出しすると、線の押出になってしまい、立体が形成されません。解決するには、押し出しをする前に、Fボタンで耳の土台の面を形成しましょう。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 510,
"tag": "p",
"text": "土台の面を形成後、Eボタンで押し出しします。あとから調整できるので、やや大げさに押し出しをしましょう。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 511,
"tag": "p",
"text": "押し出し後、1ボタンや3ボタンを使って、みる方向を変えて、耳っぽい量に調整しましょう。また、細分化で点を増やすなどしましょう。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 512,
"tag": "p",
"text": "教本だと一発でうまい位置に耳を押し出せていますが。、しかし初心者では耳の位置や向きをおそらく間違えるでしょう",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 513,
"tag": "p",
"text": "たとえば、耳の穴のある面は、実は少し上を向いてます。ですが、初心者はこんがらがって耳を下向きにしたりします。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 514,
"tag": "p",
"text": "ともかく、耳を修正しやすいように別オブジェクトに分離しましょう。耳は形状が複雑なので、初心者はオブジェクトを分けないと、顔のホホのメッシュなどと近づいてしまい、修正が困難になります。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 515,
"tag": "p",
"text": "まずコピーのため、顔のメッシュ全体をオブジェクトモードで選択し、 ctrl + D でコピーします。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 516,
"tag": "p",
"text": "これだと耳を含む顔全体がコピーされてしまっているので、コピー側は耳だけを残して他を削除します。この段階では、まだ別オブジェクトになってません。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 517,
"tag": "p",
"text": "耳だけを選択した状態で、右クリックの後、「分離」>「選択」で、耳が別オブジェクトになります。忘れないうちにオブジェクト名を ear とか mimi (耳) などに変えましょう。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 518,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 519,
"tag": "p",
"text": "その他、後頭部とかアゴとか修正します。『ローポリスーパーテクニック』の実例の画像を見ると、商業ゲームでも後頭部のメッシュは意外とカクカクしています。頭頂部から後頭部ガワに90度までのリンカク線の数が4個~5個でも、商業ゲームをやれてます。テクスチャーの髪の毛の影の付け方をグラデーションにしてボカすことで、後頭部カクカクをごまかせています。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 520,
"tag": "p",
"text": "念のため、時々はナナメなどからも見て、確認しながら修正しましょう。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 521,
"tag": "p",
"text": "顔の正しい形が分からない場合、資料を探すことになります。ネットで正しい顔の、いろいろな向きの資料を探す場合、検索ワードに「アニメ」または「イラスト」と入れると資料を探しやすいです。たとえば顔をナナメ上から見下ろす向きで見たい場合「アニメ 見下ろす ナナメ」みたいに「アニメ」と入れると、希望の構図が出てきやすいです。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 522,
"tag": "p",
"text": "写真で探そうとすると、被写体のほうが見下ろしている構図とかが出てくる場合が多く、あまり構図を探すのに役立たない場合が多いです。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 523,
"tag": "p",
"text": "人間キャラの耳に関しては、ローポリでもハイポリでも押し出しで作るのが普通です。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 524,
"tag": "p",
"text": "顔ばっか作りこんでも胴体が棒だと違和感だらけなので、ある程度の満足いくまで顔を修正したら、続けて胴体を修正しましょう。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 525,
"tag": "p",
"text": "一般に3Dソフトには「ブーリアン」という演算があり、2つのオブジェクトの交差している部分だけを自動で指摘できて、目的として2個のオブジェクトの交差部分だけを残したり、あるいは交差部分だけを除去したりできる。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 526,
"tag": "p",
"text": "というか、ブーリアン機能が無いと、精密な3Dモデリング設計では、まったく使い物にならない。3D-CGソフトに限らず、製造業の3D-CAD(3Dキャド)などでもブーリアンという概念を使うので、知らないなら今ここでブーリアンの概念を覚えておこう。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 527,
"tag": "p",
"text": "これから紹介する blender のブーリアンの場合、交差部分だけを除去できる。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 528,
"tag": "p",
"text": "blenderに限らず3Dモデリング系のソフトでは、ブーリアンによる除去時など演算時に、必要な頂点や線を自動生成してくれるので、とても便利である。(というか、それこそがブーリアンの目的である。もしブーリアンが無いと、いちいち手動でいくつもの点や線を作成せねばならずに、仕事では使い物にならなくなってしまう。)",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 529,
"tag": "p",
"text": "元ネタの数学の「ブール演算」では、アンド演算(and)とオア演算(or)というのがあって、and演算のほうが交差部分の抽出である。or演算とは、オブジェクトの合体である。しかし3D-CGの場合、合体については別コマンドで対応できるので、慣習的に3D業界では「ブーリアン演算」とは交差部分だけに何らかの演算を適用することを言う。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 530,
"tag": "p",
"text": "なお、Boolean とは「ブールの」という意味の形容詞であり、べつにブールのアンド演算という意味ではない。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 531,
"tag": "p",
"text": "だが、まあblenderのブーリアンはアンド演算なので、覚えやすい。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 532,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 533,
"tag": "p",
"text": "初心者は、どうせ頭頂部とか後頭部とかアゴ先とか、とんがってモデリングしてるだろうから、そういうのはブーリアンで、それぞれの箇所の頂点・辺を一括で、とんがってない形に整形できる。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 534,
"tag": "p",
"text": "なお、実はハゲ頭の人間の頭頂部は、意外と、とんがってる。(裏を返すと、ドラゴンボールの亀仙人とかクリリンとか天津飯のハゲ頭のなめらかな丸みは、じつは骨格的にはウソである。)",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 535,
"tag": "p",
"text": "だが、実際のとがり気味の頭頂部は、世間では違和感を感じる人が多いので、モデリングの際は坊主キャラであっても頭頂部は丸くしておくのが無難であろう。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 536,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 537,
"tag": "p",
"text": "まず、面から飛び出てる部分を切り抜きたい場合でも、決して平面で切断すべきのではなく、厚みを持った直方体で切断するようにする。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 538,
"tag": "p",
"text": "なぜなら、平面で切断しようとしても、平面のどちら側を残すのか、ソフトの挙動が不安定だからである。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 539,
"tag": "p",
"text": "いっぽう直方体で切断する場合、blenderでは直方体に含まれる側が除去される仕様である。なので、切り抜いて除去したい部分を立体で覆えばいい。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 540,
"tag": "p",
"text": "直方体に限らず、球でも多面体でも閉じた立体であれば、その立体に含まれる側が除去される仕組みである。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 541,
"tag": "p",
"text": "本ページでは、この直方体の立体をハサミ側としよう。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 542,
"tag": "p",
"text": "ハサミ側の立体を十分に大きくして、切られる側のオブジェクトの外周部を面のひとつに含むようにする。 外周部が横断してないと切断に失敗するので、大き目にしておこう。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 543,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 544,
"tag": "p",
"text": "その後、「モデファイアプロパティ」 > 「モデファイアを追加」 >「ブーリアン」 スポイトで、ハサミ側オブジェクトを選択。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 545,
"tag": "p",
"text": "その後、ハサミ立体を非表示にすると(画面の右上のオブジェクト構成欄で目アイコンをクリックで表示を切り替えできる)、たしかに切られてるのが目視できる。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 546,
"tag": "p",
"text": "だがまだ適用されてないので、ブーリアンプロパティ上で Ctrl + A のショートカットキーで適用になる。(なお「適用」は英語でapply。)blender3系の場合、ブーリアンプロパティのどこにもapplyボタンが見当たらないので、ショートカットキーで適用を行うことになる。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 547,
"tag": "p",
"text": "あとは、空洞になっている切断面を、 Ctrl + F で面を生成し閉じればいい。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 548,
"tag": "p",
"text": "このままだと、レンダー時にハサミ側の立体が残るが、画面右上のオブジェクト構成欄の目アイコンの横にレンダーの切り替えアイコンがあるので、それで非表示にできる。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 549,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 550,
"tag": "p",
"text": "腕や足などのメッシュを修正したら、そこのボーンの修正も必要になるでしょう。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 551,
"tag": "p",
"text": "ボーンの修正時に、構成がよく分からなくなったら、ボーンを消して作り直すのが早いです。ビュー画面でボーンをクリックして、delete ボタンで消すのが早いし分かりやすいです。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 552,
"tag": "p",
"text": "あるいは、エラー「ボーンヒートウェイト」とかで手に負えなくなったときも、同様にボーンを消します。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 553,
"tag": "p",
"text": "ペアレントしているボーンを delete し切れば、勝手にペアレントしていたメッシュの階層は、元あった階層に戻ります。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 554,
"tag": "p",
"text": "ただし、なんか右上の構成バーで残骸が残ってるので、「アーマチュア」とか書いてあるのを右クリックで「削除」して、完全に消します。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 555,
"tag": "p",
"text": "そして、また新規でボーンを作り直します。左上の「追加」でアーマチュアを追加です。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 556,
"tag": "p",
"text": "そしてペアレントし直しです。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 557,
"tag": "p",
"text": "腕は、手のひら指の関節や、指の関節を作るので、なんども作り直しでしょう。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 558,
"tag": "p",
"text": "手のひらについて、手首から指の付け根までの関節は、実はあまり曲がりません。初心者は間違えます(この段落のwiki編集者じしんがそう間違えた)。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 559,
"tag": "p",
"text": "曲がり量が多いのは、指の付け根のぶぶんの関節です。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 560,
"tag": "p",
"text": "いっそのこと、腕と手を別オブジェクトにするのも手かと思いましたが、それだとアニメーション時に手こずりそうです。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 561,
"tag": "p",
"text": "ただし、『やわらか3D教室』では画像を見た感じ、腕オブジェクトと、手オブジェクトを、別オブジェクトにしているっぽいです(指は手オブジェクトに含めている)。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 562,
"tag": "p",
"text": "腕や足などのメッシュは、胴体メッシュとは別でも構いません。『やわらか3DCG教室』でも、胴体ボーンと手足ボーンとを別々のオブジェクトとして分けています。ボーンも同様、分けても胴体と手足を別オブジェクトに構いません。ボーンは、手ボーン・足ボーンを胴体ボーンとは別々のボーンとして作っても、あとからでも統合できます。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 563,
"tag": "p",
"text": "初心者向けのローポリなら、統合なんかせずに別々のボーンのままにしておくのも手かもしれません。『やわらか3DCG教室』のローポリ手本のボーンが書籍の画像を見た感じ、足ボーンを胴体とは接続せずに、別々のボーンの感じです。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 564,
"tag": "p",
"text": "なお、このローポリのキャラの手、5本指だけど、そもそもボーンが無い。5本指を書くからってボーンを必ずしも作らなくていい。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 565,
"tag": "p",
"text": "『やわらか3DCG教室』では特に名言はしてないですが、手の指はいっそメッシュ側でポーズを直接的に指定してしまうのも策の一つ。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 566,
"tag": "p",
"text": "なお、足の指は、どの教本でも素材キャラが靴を履いており、足の指を見せず、よってそもそも足の指はメッシュも無く、指ボーンも無い(「やわらか」本、日和本、ローポリスーパー本、のどれも靴を履いてて、足指のメッシュ自体が無い)。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 567,
"tag": "p",
"text": "暗黙の前提だが、服と皮膚は一体のメッシュであり、どの教本でもそうである。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 568,
"tag": "p",
"text": "だから、もしキャラが靴を履いてたりして足の指が隠れるなら、足の指のメッシュ自体を作る必要が無い。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 569,
"tag": "p",
"text": "なお、『やわらか3DCG教室』本に擬人化の動物キャラの見本(2足歩行のイヌネコっぽい動物の顔の少年)があるので裸足(はだし)なので足の指が出ているが、しかし動物キャラのボーンは5つではなく、文章の説明が無いので不明だが、画像を見た感じ、2~3個のボーンで代用しているようだ。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 570,
"tag": "p",
"text": "足の指なんて可動範囲が小さいので、ボーンをいちいち 5本×3関節=15本 もボーンを作る必要は無い。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 571,
"tag": "p",
"text": "『3DCG日和』の鬼キャラは裸足で足が4本指だが、そもそも教本ではボーンを作ってない(鬼は、メッシュの作り方だけ紹介)。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 572,
"tag": "p",
"text": "なお、『やわらか3DCG教室』のテクニックとして、文章では語られていませんが、腕の付け根を、胴体メッシュ側に含めています。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 573,
"tag": "p",
"text": "解剖学・動物学的には本来なら、腕は動物の前足に対応、足は動物の後ろ脚に対応するので、腕の付け根を胴体メッシュに含めるなら、足の付け根も胴体メッシュに含めるのが解剖学的ですが、しかし『やわらか3D教室』では、後ろ足の付け根は胴体メッシュに含めていません。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 574,
"tag": "p",
"text": "別の流儀もあります。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 575,
"tag": "p",
"text": "メタセコイアなどのように、オブジェクトをさらに分類できるレイヤー機能のあるツールの場合、オブジェクトとしては(頭から足先まで)全身メッシュ、全身ボーンと一体として作りますが(胴体オブジェクトなど個別のオブジェクトは作らない流儀)、しかしレイヤーを胴体、足上部(UpLeg)、足下部(DownLeg)、などと別々に分ける流儀です 、",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 576,
"tag": "p",
"text": "なお、メタセコイアでいうレイヤーに相当するのは、blenderでは「コレクション」という機能です 『【Blender】レイヤーの使い方【移動・表示】』2020.12.27, 2016.06.18, 。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 577,
"tag": "p",
"text": "ボーンを作り直したい場合、「リンクの切断」をして、・・・(※ 調査中)",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 578,
"tag": "p",
"text": "初心者レベルでは考えなくていいですが、「ボーン」と言いつつ、これは単に周辺メッシュを代表する軸でしかないので、生物学的には骨の入ってない場所にもボーンは入ります。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 579,
"tag": "p",
"text": "具体的に言うと、女性の髪の毛のフサ・タバとか、ボーンが入ります。なんだか触手というか、ギリシア神話の蛇女メデューサみたいで、慣れるまではキモイです。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 580,
"tag": "p",
"text": "スカートなど非生物にも、ボーンが入ります。慣れるまで、なかなかキモイです。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 581,
"tag": "p",
"text": "要するに、周囲の関節とは別に、独立して動く可能性のあるものは、ボーンが入ります。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 582,
"tag": "p",
"text": "たとえばスカートなら、腹の関節や、足の関節とは別に、風が吹いたりとかでスカートが独立して動く可能性があるので、スカートにもボーンが入るのです。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 583,
"tag": "p",
"text": "また、ボーンは軸でしかないので、なので顔のボーンも、一本の軸です。位置的に顔ボーンは、なんだか鬼のツノのように見えたりするので、慣れるまではキモイです。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 584,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 585,
"tag": "p",
"text": "また、腕の、肘から手首までの骨は、生物学的には2本ですが、しかし3Dソフトのボーンは1本だけです。ボーンは動きを指定するための手段としての軸でしかないので、生物学的な骨の数には対応しません。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 586,
"tag": "p",
"text": "おおむね、関節と、次の関節までのあいだがボーン1本ですが、しかし多いぶんには問題がありません。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 587,
"tag": "p",
"text": "たとえば、肩甲骨のまわりの動きとか、シミュレーションするのは大変ですので、そういうのはせず(3Dソフトにもそういう機能はない)、腕の付け根のあたりに、(生物学的には関節のない位置なのに)ボーンを1~2本ほど足す場合もあったりします。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 588,
"tag": "p",
"text": "足の付け根の、股関節の周囲も同様で、ボーンをいくつか足す場合もあります。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 589,
"tag": "p",
"text": "また、肩甲骨とか股関節とかの関節の位置について、腕や足のつけ根のボーンの位置は、対応させる必要はありません。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 590,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 591,
"tag": "p",
"text": "「骨組み」などの日本語もあるので、ボーンをなんとなく周辺メッシュの土台っぽくイメージしてしまいがちですが、しかしボーンは土台ではなく、ボーンは周辺メッシュを動かすための手段にしか過ぎません。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 592,
"tag": "p",
"text": "足の太もものボーンがわかりやすいのですが、生物学的な骨とは、位置がやや違います。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 593,
"tag": "p",
"text": "生物学的な太ももの骨は、やや外側によっています。美術解剖学などでも、そう習います。イラスト講座などでも、そう習うかもしれません。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 594,
"tag": "p",
"text": "ですが、3Dのボーンは、太ももの真ん中に作ることもよくあります。なぜなら太もものメッシュを動かすためなら、それで十分だし、そのほうが確実に制御しやすい場合もあるあらです。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 595,
"tag": "p",
"text": "市販の書籍ではいちいち説明してないですが、しかし書籍にあるボーンの位置を見てみると、生物学的な骨の位置とは微妙にちがっています。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 596,
"tag": "p",
"text": "このように、美術解剖学における骨や筋肉などの知識は、残念ながら3Dモデリングには、あまり直接的には使えないのです。少なくとも初心者レベルでは。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 597,
"tag": "p",
"text": "とはいえ、プロのレベルだと、美術解剖の専門書を購入して読み込んでいます。書籍『ローポリスーパーテクニック』の著者は、『目で見る筋力トレーニング』(フレデリック・ドラヴィエ著、大修館書店)という筋肉本を進めています。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 598,
"tag": "p",
"text": "ゲームエンジンも3Dモデリングソフトも、インストールするさいの容量が膨大で、何十ギガバイトもあります。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 599,
"tag": "p",
"text": "インストールしたら、すぐに使いたいでしょう。学習の手始めとしては、それで良いし、まずは動かして覚えるのが効率的です。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 600,
"tag": "p",
"text": "しかし、一見すると正常にインストールされたように見えて、実はまだインストールが正常に完了していないかもしれない可能性があります。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 601,
"tag": "p",
"text": "だから、ためしにネットの解説サイトやあるいは市販の解説書を参考に操作してみて、どうしても上手く動作せずに操作が失敗する場合、もしかしたら、単にインストールがまだ正常には完了してない場合もあります。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 602,
"tag": "p",
"text": "3Dソフト側のインストールの問題だけではなく、windows側のdirectX関係など関連プログラムのインストールなどが、もしかしたらまだ途中かもしれません。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 603,
"tag": "p",
"text": "そのような場合の可能性も考えて、なんだかインストール直後の操作の結果がおかしい場合などは、いったんパソコンを再起動してパソコン全体を更新するなど、してみましょう。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 604,
"tag": "p",
"text": "たとえインストール初日の1日目にうまく動作しなくても、3日後や1週間後などにまたチャレンジしてみましょう。なぜか数日後には、前回と同じような操作なのに、こんどは正常に動く場合もあります。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 605,
"tag": "p",
"text": "インストール時の表示の「インストールが正常に完了しました!」なんて文言、信用してはいけません。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 606,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 607,
"tag": "p",
"text": "3Dソフトはあまり理論化されておらず、それほど規格統一などもされておらず、よって、操作しながら、使いかたを学ぶ必要があります。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 608,
"tag": "p",
"text": "特に blender はショートカット・キーを多用しなければいけない仕様なので、操作を体感的に覚える必要があります。また、ネットでググりながら使い慣れていく必要があります。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 609,
"tag": "p",
"text": "けっして、「先に書籍などで情報を覚えてから、ソフトを操作してみる」なんてしないでください。それだと挫折します。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 610,
"tag": "p",
"text": "現代では無料の3Dソフトがあるので、書籍を買うより先に、まずソフトを使い慣れてから、そのあと、書籍を読むなどしてください。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 611,
"tag": "p",
"text": "あるいは、書籍を買うより先に、YouTubeなどにある講座動画を見るのも良いでしょう。上手い人の操作を見るのも、勉強です。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 612,
"tag": "p",
"text": "ザッカーバーグいわく、「完璧よりも、早く終わらせろ」という格言もあります。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 613,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 614,
"tag": "p",
"text": "3Dソフトはまだ規格統一などされておらず、このため、一つのソフトをまずは集中的に学ぶのが効率的です。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 615,
"tag": "p",
"text": "もし、学習中にコロコロと使用ソフトを変えると、基本操作など覚えなおしになってしまい、非効率です。",
"title": "そもそも論"
},
{
"paragraph_id": 616,
"tag": "p",
"text": "DirectX プログラミングについて2023年の時点では、書籍やネットによる独学が難しくなってしまっており、なんと出版市場から入門書が無くなってしまってる。",
"title": "directXの初期設定"
},
{
"paragraph_id": 617,
"tag": "p",
"text": "かつて、工学社からDirectXプログラミングの初心者むけのプログラミング教本のシリーズが存在していたが、2015年の『DirectX 11 3Dプログラミング』を最後に、DirectX12以降のバージョンが出ていない。さすがに7年以上も前の教本を使うのは、設定など大きく変わっている可能性があり、初心者には難しいし、そもそもこの教本がOSに想定しているWindows7がサポート切れであるので、活用が困難ある。",
"title": "directXの初期設定"
},
{
"paragraph_id": 618,
"tag": "p",
"text": "なお、DirectXの2023年現在の最新バージョンはDirectX12である。",
"title": "directXの初期設定"
},
{
"paragraph_id": 619,
"tag": "p",
"text": "歴代のDirectXの傾向として、数字がひとつ変わっただけでも、初期設定などは大きく変わる。",
"title": "directXの初期設定"
},
{
"paragraph_id": 620,
"tag": "p",
"text": "工学社以外の他社から分厚い解説書はいくつか出ているが、しかし出ている本はどれも入門的ではなく、入門者には分からない説明がいくつか抜けてしまっている状況である。",
"title": "directXの初期設定"
},
{
"paragraph_id": 621,
"tag": "p",
"text": "しかもネットを調べても、最新のDirectX12のプログラミングの解説サイトは少なく、それどころか一つ前のDirectX11の解説サイトすらネットには少ない。",
"title": "directXの初期設定"
},
{
"paragraph_id": 622,
"tag": "p",
"text": "こういう出版状況になってしまっているので、もし周囲にDirectXプログラミングに詳しい先輩(でなおかつ親切に教えてくれる先輩)などのいない環境の独学者は、就職・自己アピールなどのさいには上述のような出版事情を話して、代わりの勉強として、3DモデリングソフトやDXライブラリなど別の勉強をするしかないだろう。",
"title": "directXの初期設定"
},
{
"paragraph_id": 623,
"tag": "p",
"text": "※ 初期設定の解説がネット上に少ない、説明あっても各所にバラバラで不便なので、まとめる。",
"title": "directXの初期設定"
},
{
"paragraph_id": 624,
"tag": "p",
"text": "DirectX 単体では、ウィンドウを作れない。DirectX用のウィンドウは別途、windows APIで作る必要がある。",
"title": "directXの初期設定"
},
{
"paragraph_id": 625,
"tag": "p",
"text": "nanodなので、最終的に、",
"title": "directXの初期設定"
},
{
"paragraph_id": 626,
"tag": "p",
"text": "の2つを作る。",
"title": "directXの初期設定"
},
{
"paragraph_id": 627,
"tag": "p",
"text": "ただし、「追加のオプション」を利用するためには、「windows デスクトップ ウィザード」を利用しないといけない。 なぜならテンプレート選択時のメニュー「windows デスクトップ アプリケーション」だと「追加のアプリケーション」が存在しないので。",
"title": "directXの初期設定"
},
{
"paragraph_id": 628,
"tag": "p",
"text": "このためか、解説サイトなどでは、デスクトップウィザードを用いて設定している",
"title": "directXの初期設定"
},
{
"paragraph_id": 629,
"tag": "p",
"text": "解説サイト大手のWisdomサイトだとバージョンが古いのか名前が違うが、しかし「追加のオプション」のあるテンプレートを選んでいるので。",
"title": "directXの初期設定"
},
{
"paragraph_id": 630,
"tag": "p",
"text": "※ もしかしたら、万が一、ここで「追加のオプション」を忘れても、 「ファイル」>「新しい追加」>「新しいプロジェクト」 で「空のプロジェクト」の追加でも行けるかもしれないが(未確認)。しかし、最初から やり直すのが無難だろう。",
"title": "directXの初期設定"
},
{
"paragraph_id": 631,
"tag": "p",
"text": "さて、プロジェクト画面が表示されたら、これからソリューションエクスプローラーをいじる必要があるので、もし表示されてなかったら、メニュー欄の「表示」>「ソリューション エクスプローラー」で表示できる。",
"title": "directXの初期設定"
},
{
"paragraph_id": 632,
"tag": "p",
"text": "プロジェクトに、direct3D関連のライブラリを手動で追加しなければならない 。",
"title": "directXの初期設定"
},
{
"paragraph_id": 633,
"tag": "p",
"text": "そのため、メニュー欄の「プロジェクト」>「プロパティ」によって、プロパティページを開く。",
"title": "directXの初期設定"
},
{
"paragraph_id": 634,
"tag": "p",
"text": "「構成プロパティ」→「リンカー」の先にある、「入力」と「コマンドライン」をそれぞれ設定する必要がある。 「構成プロパティ」→「VC++ディレクトリ」 の設定も必要らしい。",
"title": "directXの初期設定"
},
{
"paragraph_id": 635,
"tag": "p",
"text": "「VC++ディレクトリ」については、閲覧してみて、「インクルード」と「ライブラリ」のディレクトリが、それぞれ",
"title": "directXの初期設定"
},
{
"paragraph_id": 636,
"tag": "p",
"text": "のようになっていれば問題ない。",
"title": "directXの初期設定"
},
{
"paragraph_id": 637,
"tag": "p",
"text": "なお、この内容は、DirectX SDK と boost のインストール先のパスを指定している。",
"title": "directXの初期設定"
},
{
"paragraph_id": 638,
"tag": "p",
"text": "「構成プロパティ」→「リンカー」→「コマンド ライン」>で、「追加の依存ファイル」に directX12の場合は",
"title": "directXの初期設定"
},
{
"paragraph_id": 639,
"tag": "p",
"text": "d3d12.lib;dxgi.lib;%(AdditionalDependencies)",
"title": "directXの初期設定"
},
{
"paragraph_id": 640,
"tag": "p",
"text": "を追加する。",
"title": "directXの初期設定"
},
{
"paragraph_id": 641,
"tag": "p",
"text": "場合によっては、代わりに",
"title": "directXの初期設定"
},
{
"paragraph_id": 642,
"tag": "p",
"text": "d3d12.lib;dxgi.lib;d3dcompiler.lib;%(AdditionalDependencies) を追加する。",
"title": "directXの初期設定"
},
{
"paragraph_id": 643,
"tag": "p",
"text": "さらに工学社本いわく、「構成プロパティ」→「リンカー」→「入力」で、「追加の依存ファイル」に",
"title": "directXの初期設定"
},
{
"paragraph_id": 644,
"tag": "p",
"text": "d3d10.lib d3dx10.lib dxguid.lib dxerr.lib",
"title": "directXの初期設定"
},
{
"paragraph_id": 645,
"tag": "p",
"text": "を追加。ただし工学社本はDirectX10時代のものなので、現代ではライブラリが違うかも。",
"title": "directXの初期設定"
},
{
"paragraph_id": 646,
"tag": "p",
"text": "なお、科学者の水野さんは、バージョン不明だが「追加の依存ファイル」に、",
"title": "directXの初期設定"
},
{
"paragraph_id": 647,
"tag": "p",
"text": "dsound.lib dinput8.lib dxerr9.lib d3d9.lib d3dx9.lib d3dxof.lib dxguid.lib winmm.lib",
"title": "directXの初期設定"
},
{
"paragraph_id": 648,
"tag": "p",
"text": "を追加すべしと言っている。",
"title": "directXの初期設定"
},
{
"paragraph_id": 649,
"tag": "p",
"text": "3Dゲームを作るときにはカメラの動作を決める必要があります。2Dの表現ではキャラクタを上から見る、斜め上から見るなどの表現がなされますが、それらはどれも場面をある1方向から見る表現でした。一方、3Dで場面を作るときには、それらはあらゆる方向から見る事が出来るので、見る人の視点によって描画される内容を変更する必要があります。",
"title": "ケーススタディ"
},
{
"paragraph_id": 650,
"tag": "p",
"text": "簡単な表現では、カメラの位置はプレイヤーが動かすキャラクタの場所に固定します。このとき、プレイヤーキャラクタが画面内に映らなくなる表現とカメラをプレイヤーキャラクタの後方に配置して、プレイヤーキャラクタを画面内に含める表現があります。前者の表現はFPS(First-Person shooting: 1人称シューティング)でよく用いられます。",
"title": "ケーススタディ"
},
{
"paragraph_id": 651,
"tag": "p",
"text": "基本的に3Dでの描画を行うには、それぞれの物体に対して座標を与え、それを適切な角度から2Dへの射影を行う事でなされていました。このとき、3Dの描画にOpenGLを使うとすると、各物体の座標の与え方にいくつかの制限が加わります。例えば座標の原点は常にカメラの位置に固定される、画面上方向は常にy座標とする、などです。",
"title": "ケーススタディ"
},
{
"paragraph_id": 652,
"tag": "p",
"text": "幸いにもgluLookAt関数を利用することで、この制限を乗り越えることができます。gluLookAt関数は、カメラの位置、カメラが向いている方向、上方向の3つの3次元ベクトルを用いて指定する関数で、カメラの位置を変更するのと同じ効果をもたらす行列を作成し、現在選択されている行列にかけます。通常の状態ではカメラの位置(0,0,0)、カメラが向いている方向(0,0,-1),上方向(0,1,0)となり、この時かけ算される行列は単位行列に等しくなります。 gluLookAtの行列は次で与えられます。",
"title": "ケーススタディ"
},
{
"paragraph_id": 653,
"tag": "p",
"text": "まず、",
"title": "ケーススタディ"
},
{
"paragraph_id": 654,
"tag": "p",
"text": "で表される行列で、座標の方向を調節します。ただし、",
"title": "ケーススタディ"
},
{
"paragraph_id": 655,
"tag": "p",
"text": "F → = center → − eye → {\\displaystyle {\\vec {F}}={\\vec {\\textrm {center}}}-{\\vec {\\textrm {eye}}}} , f → = F → / | F → | {\\displaystyle {\\vec {f}}={\\vec {F}}/|{\\vec {F}}|} , u ′ = up → / | up → | {\\displaystyle u'={\\vec {\\textrm {up}}}/|{\\vec {\\textrm {up}}}|} , s → = f × u ′ {\\displaystyle {\\vec {s}}=f\\times u'} , u → = s → × f → {\\displaystyle {\\vec {u}}={\\vec {s}}\\times {\\vec {f}}}",
"title": "ケーススタディ"
},
{
"paragraph_id": 656,
"tag": "p",
"text": "を用います。更に、カメラの位置を動かす為に、",
"title": "ケーススタディ"
},
{
"paragraph_id": 657,
"tag": "p",
"text": "を実行します。",
"title": "ケーススタディ"
},
{
"paragraph_id": 658,
"tag": "p",
"text": "ここでは、上の変換のうちで座標の方向を変更する行列について説明します。この行列の導出にはいくつかの前提が必要となります。まず、変換後の座標系ではカメラは-z方向を向いています。またこの時、画面上方向は必ずy方向になります。これらはOpenGLの座標の取り方から来る制限です。ここではもう1つの制限として、gluLookAtで得られる行列が直交行列であることを仮定します。直交行列の各行と列は、お互いに直交する単位ベクトルとなり、直交行列の逆行列は元の行列の転置行列になります。詳しくは線型代数学を参照して下さい。",
"title": "ケーススタディ"
},
{
"paragraph_id": 659,
"tag": "p",
"text": "行列を求める方針として、 f → {\\displaystyle {\\vec {f}}} を − e → z {\\displaystyle -{\\vec {e}}_{z}} に変換し、 u → {\\displaystyle {\\vec {u}}} を e → y {\\displaystyle {\\vec {e}}_{y}} に変換するような行列を探します。このような行列をPとおくと、仮定からPは直交行列なので、",
"title": "ケーススタディ"
},
{
"paragraph_id": 660,
"tag": "p",
"text": "より、",
"title": "ケーススタディ"
},
{
"paragraph_id": 661,
"tag": "p",
"text": "が成り立ちます。最後の式は具体的に計算できて、",
"title": "ケーススタディ"
},
{
"paragraph_id": 662,
"tag": "p",
"text": "が得られます。同様にして、",
"title": "ケーススタディ"
},
{
"paragraph_id": 663,
"tag": "p",
"text": "が得られ、求めたい行列のうち6つの要素が得られたことになります。Pが直交行列という仮定を用いると、 ( p 11 , p 12 , p 13 ) {\\displaystyle (p_{11},p_{12},p_{13})} は、 u → , f → {\\displaystyle {\\vec {u}},{\\vec {f}}} に直交する必要があります。このようなベクトルは s → {\\displaystyle {\\vec {s}}} に比例する必要があります。ここでは右手系の座標系を保つために、",
"title": "ケーススタディ"
},
{
"paragraph_id": 664,
"tag": "p",
"text": "と取ります。これで元の変換行列が得られたことになります。",
"title": "ケーススタディ"
},
{
"paragraph_id": 665,
"tag": "p",
"text": "プレイヤーが動かすキャラクタの位置と向いている方向を表す構造体をcameraとし、その値を次のようにおくと(cはcamera型の変数で、この変数がプレイヤーキャラクタの位置と方向を保持しているものとします)、",
"title": "ケーススタディ"
},
{
"paragraph_id": 666,
"tag": "p",
"text": "カメラの位置をプレイヤーキャラクタの位置に変更する方法は次のようになります。",
"title": "ケーススタディ"
},
{
"paragraph_id": 667,
"tag": "p",
"text": "ただし、ここでは最後の引数(0,0,1)で、上方向がz方向であると定義しました。",
"title": "ケーススタディ"
},
{
"paragraph_id": 668,
"tag": "p",
"text": "上の変換では、カメラの位置を変更したのですが、これだけだと変更された後の位置を中心として、長さ2で表される立方体の中の物体しか描画されません。これはもともと投影行列が単位行列だった時には、原点を中心として長さ2の立方体内の物体しか描画されないことと対応しています。より遠方の物体を描画するには、glOrtho, glFrustumの両関数を利用することができます。一般的なゲームでは\"遠方のものは小さく見える\"といった表現がなされるので、ここではglFrustumを用います。glFrustumの引数は状況によりますが、x,y方向に関係する引数を大きく取ると視界が広くなり、z方向の座標を大きく取ると遠くのものまで見えるようになります。ここでは",
"title": "ケーススタディ"
},
{
"paragraph_id": 669,
"tag": "p",
"text": "をgluLookAtの1つ前にいれます。",
"title": "ケーススタディ"
},
{
"paragraph_id": 670,
"tag": "p",
"text": "実際にこの関数を使ってプレイヤーキャラクタが動く様子を書くことができます。処理の様子は、",
"title": "ケーススタディ"
},
{
"paragraph_id": 671,
"tag": "p",
"text": "のようになります。set_camera以外の関数は説明していないので、以下で説明します。",
"title": "ケーススタディ"
},
{
"paragraph_id": 672,
"tag": "p",
"text": "次の図は、カメラの位置を動かしながら描画を行ったものです。元々遠くに見えていたものが近づくにつれて大きくなる様子がわかります。",
"title": "ケーススタディ"
},
{
"paragraph_id": 673,
"tag": "p",
"text": "具体的には画面中に見える白い物体はそれぞれ三角錐で、中心の座標は(0,0,0),(3,1,0),(3,4,3),(5,-2,1)となっています。更にカメラの位置は(10,0,1)であり、カメラが向いている方向はいずれの場合も-x方向です。",
"title": "ケーススタディ"
},
{
"paragraph_id": 674,
"tag": "p",
"text": "ここで、init_cameraとdraw_sceneの内容を紹介します。init_cameraは、カメラの位置と方向を定める構造体cに、初期値を与える関数です。ここでは次のようにしています。",
"title": "ケーススタディ"
},
{
"paragraph_id": 675,
"tag": "p",
"text": "単にカメラの座標を(10,0,1)とし、方向を-x方向に定めているだけです。ここでz座標が0でないのは、FPSでカメラの位置がキャラクタの顔の辺りにおかれることを意識したものです。c.zを0とすると地面を這うような表現になります。",
"title": "ケーススタディ"
},
{
"paragraph_id": 676,
"tag": "p",
"text": "draw_sceneは、次のような関数です。",
"title": "ケーススタディ"
},
{
"paragraph_id": 677,
"tag": "p",
"text": "glClearは、画面の表示をクリアする関数です。watch_from_cameraとdraw_coneはそれぞれ次のように与えています。",
"title": "ケーススタディ"
},
{
"paragraph_id": 678,
"tag": "p",
"text": "ここで、watch_fromが視点変換を行う関数の本体であり、watch_from_cameraは、引数を与えることを目的とした関数です。ここでは",
"title": "ケーススタディ"
},
{
"paragraph_id": 679,
"tag": "p",
"text": "という仮定をおいています。更に、draw_coneは、",
"title": "ケーススタディ"
},
{
"paragraph_id": 680,
"tag": "p",
"text": "としています。頂点と面を指定して多角形を書くときには、頂点と面のそれぞれをGLfloat型と、GLint型の2次元配列を使う方が普通です(例えばRed Book3章)。ここでは簡単のためマクロを使いました。",
"title": "ケーススタディ"
},
{
"paragraph_id": 681,
"tag": "p",
"text": "ここまででカメラの位置を指定する方法を解説しました。ここからはカメラの位置を機器の入力を受け付けて変更する方法について述べます。",
"title": "ケーススタディ"
},
{
"paragraph_id": 682,
"tag": "p",
"text": "実際には入力を受けてカメラの位置をどのように動かすかは、例をアクションゲームに限っても、個々のゲームによって変化します。例えば、",
"title": "ケーススタディ"
},
{
"paragraph_id": 683,
"tag": "p",
"text": "ここでは簡単のため、1番目の選択肢である\"プレイヤーキャラクタの後ろにつく\"を採用します。これは、カメラの位置とキャラクタの位置が同一であるか、簡単な変換で導出できる関係にあるためです。",
"title": "ケーススタディ"
},
{
"paragraph_id": 684,
"tag": "p",
"text": "既に2Dのゲームプログラミングを通して、何度か入力機器の取扱いについて見て来ました。ここでは入力機器を扱う方法としてSDLを使います。SDLは入力機器の初期化と、2D,3Dの描画を扱うための簡単なライブラリで、多くの(主に個人製作の)ゲームで利用されています。",
"title": "ケーススタディ"
},
{
"paragraph_id": 685,
"tag": "p",
"text": "SDLでは機器の入力はイベントとして扱われます。イベントを供給する元はシステムによって様々ですが、X(Linux他)や、DirectInput (Windows) が用いられます。SDLがこれらのシステムからイベントを得ている方法を見るには、SDL-x.x.x/src/video以下の各ディレクトリを見ることが必要です。ここでは詳細を追求せずに、SDLの関数を使うことにします。",
"title": "ケーススタディ"
},
{
"paragraph_id": 686,
"tag": "p",
"text": "実際にイベントの監視を行うには、メインループの中で、",
"title": "ケーススタディ"
},
{
"paragraph_id": 687,
"tag": "p",
"text": "などとします。ここで、eはSDL_Event型の変数で、main関数内で定義します。実際にイベントを扱うのはprocess_event関数で行います。SDLが扱うイベントは、キーボード、マウス、ジョイスティックなどの入力機器からの要請の他に、スクリーンからのexposeイベントやresizeイベントがあります。これらは使っていたウィンドウが他のウィンドウで隠された時や、扱うウィンドウの大きさを変更したときに供給されるイベントです。これらの様々なイベントを扱うため、SDL_Event構造体には、",
"title": "ケーススタディ"
},
{
"paragraph_id": 688,
"tag": "p",
"text": "という要素が含まれています。これは各々のイベントの種類を表す要素で、process_event内ではこの値に従って処理を分ける必要があります。具体的には",
"title": "ケーススタディ"
},
{
"paragraph_id": 689,
"tag": "p",
"text": "cb_keydown(up)の関数では実際に押された(離された)キーを取得します。このときにはSDL_KeyboardEvent内の、",
"title": "ケーススタディ"
},
{
"paragraph_id": 690,
"tag": "p",
"text": "要素を利用します。詳しくは、SDLのインストール先から、SDL/SDL_keyboard.hや、SDL/SDL_keysym.hなどを参照してください。cb_keydown(up)内での具体的な処理は対応するpressed関係の変数を書き換えることです。この処理は2Dの時の例と同じなので省略します。",
"title": "ケーススタディ"
},
{
"paragraph_id": 691,
"tag": "p",
"text": "ここまででキーが押されているかどうかを知る事が出来るようになりました。ここからは具体的なカメラの移動を見ていきます。ここではset_camera関数内で、カメラの移動を行います。カメラの位置と方向はc内に記録されているので、この関数ではpressed関係の変数の値を見て、カメラの方向を変更する処理が必要になります。",
"title": "ケーススタディ"
},
{
"paragraph_id": 692,
"tag": "p",
"text": "実際に行う処理は、カメラの位置を変更する処理と、カメラの方向を変更する処理に分かれます。ここではカメラの位置を変更する処理を先に扱います。",
"title": "ケーススタディ"
},
{
"paragraph_id": 693,
"tag": "p",
"text": "FPSでは、カメラとキャラクタの移動は、次のように行われます。",
"title": "ケーススタディ"
},
{
"paragraph_id": 694,
"tag": "p",
"text": "ここでは\"前\"を表すキーとして上キーを使い、\"後ろ\"を表すキーとして下キーを用います。具体的なset_cameraは次のようになります。",
"title": "ケーススタディ"
},
{
"paragraph_id": 695,
"tag": "p",
"text": "ここで、aはキャラクタの移動速度を調整するための定数です。実際には人間が地面を蹴って移動するとき人間が得るのは力積なので、キャラクタの移動では位置ではなくキャラクタの速度を変更するべきです。ここでは簡単のため移動にかかる時間は無視できるものとしました。力積については高等学校理科 物理Iを参照してください。",
"title": "ケーススタディ"
},
{
"paragraph_id": 696,
"tag": "p",
"text": "次に、キャラクタの方向を変える処理について説明します。ここではカメラの方向を3次元ベクトルで保存しているのですが、説明の都合上、方向をθとφを使って表します。ここで、θは、z軸方向とカメラの方向がなす角、φは、x軸方向と、カメラの方向ベクトルをxy平面に射影したベクトルがなす角とします。",
"title": "ケーススタディ"
},
{
"paragraph_id": 697,
"tag": "p",
"text": "通常キャラクタの方向を変更するときにはφだけを変更します。ただし、キャラクタの視点に立って辺りを見回す表現(主観視点と呼ばれる)では、θも含めて変更する必要があります。ここではφだけを変更します。具体的には左回転をするときには、",
"title": "ケーススタディ"
},
{
"paragraph_id": 698,
"tag": "p",
"text": "右回転では",
"title": "ケーススタディ"
},
{
"paragraph_id": 699,
"tag": "p",
"text": "とします。ここで、bはキャラクタの回転速度を表す定数です。",
"title": "ケーススタディ"
},
{
"paragraph_id": 700,
"tag": "p",
"text": "キャラクタの方向を表す3次元ベクトルとθ, φは次の三角関数で結ばれています。",
"title": "ケーススタディ"
},
{
"paragraph_id": 701,
"tag": "p",
"text": "逆の変換は",
"title": "ケーススタディ"
},
{
"paragraph_id": 702,
"tag": "p",
"text": "となります。これらの値を使って3次元ベクトルと方向を表す角の変換を行うことができます。",
"title": "ケーススタディ"
},
{
"paragraph_id": 703,
"tag": "p",
"text": "1度の回転の角度が十分小さいときには、",
"title": "ケーススタディ"
},
{
"paragraph_id": 704,
"tag": "p",
"text": "で左回転を、",
"title": "ケーススタディ"
},
{
"paragraph_id": 705,
"tag": "p",
"text": "で右回転を表すこともできます。ここで、mは定数であり、normalize関数は、cの方向ベクトルを正規化する関数としました。これは、回転の角度が小さいとき、回転による方向ベクトルの変更を元のベクトルに直交するベクトルで近似できることを利用した変換です。方向角を使わないで回転を表現したい場合に利用するとよいでしょう。",
"title": "ケーススタディ"
},
{
"paragraph_id": 706,
"tag": "p",
"text": "これらの関数を用いると、set_camera内のif - else if文に、",
"title": "ケーススタディ"
},
{
"paragraph_id": 707,
"tag": "p",
"text": "を付け加えることになります。",
"title": "ケーススタディ"
},
{
"paragraph_id": 708,
"tag": "p",
"text": "ここまでで3Dの座標を設定し、定義された物体をプレイヤーキャラクタの視点から観測する方法についてまとめました。例えば3Dのアクションゲームではこれらの手法に加えて重力を与えて、キャラクタが下向きに落下するようにしたり、キャラクタをジャンプさせるという作業が必要になります。しかし、これらの手法は基本的に2Dの場合と変わらないので、ここでは詳しく述べません。",
"title": "ケーススタディ"
},
{
"paragraph_id": 709,
"tag": "p",
"text": "実際には、上で述べたカメラの動かし方と、xjumpなどの2Dアクションの手法を用いて、3Dにおけるxjumpの対応物を作ることができます。ここでは、実際にそれを作成した場合について解説します。",
"title": "ケーススタディ"
},
{
"paragraph_id": 710,
"tag": "p",
"text": "xjumpの対応物を作るために最低限必要な要素は次のようになります。",
"title": "ケーススタディ"
},
{
"paragraph_id": 711,
"tag": "p",
"text": "他に、本来のxjumpでは",
"title": "ケーススタディ"
},
{
"paragraph_id": 712,
"tag": "p",
"text": "などいくつかの要素があります。ここでは簡単のため、",
"title": "ケーススタディ"
},
{
"paragraph_id": 713,
"tag": "p",
"text": "などとして進めます。",
"title": "ケーススタディ"
},
{
"paragraph_id": 714,
"tag": "p",
"text": "ここからは先に述べた3つの要素について解説します。xjumpでは、ジャンプによって飛び移るための床は、乱数を用いて生成していました。ここでは簡単のため床の位置は定数の2次元配列で与えることにします。更に、床の大きさを固定することにすると、各々の床を得るために必要な情報は、床のうちの任意の1点です。ここではx座標とy座標が最も小さい部分とします。これらの情報は、例えば、",
"title": "ケーススタディ"
},
{
"paragraph_id": 715,
"tag": "p",
"text": "のように与えることができます。",
"title": "ケーススタディ"
},
{
"paragraph_id": 716,
"tag": "p",
"text": "次に、キャラクタが落下する処理については、カメラの位置を動かす処理で、",
"title": "ケーススタディ"
},
{
"paragraph_id": 717,
"tag": "p",
"text": "などとします。gはここでは下向きの加速度を表す定数です。これらの処理は2Dの場合と同じなので詳しく述べません。",
"title": "ケーススタディ"
},
{
"paragraph_id": 718,
"tag": "p",
"text": "最後に、キャラクタが床の上にいるかを判定するためには、次のような関数を使います。",
"title": "ケーススタディ"
},
{
"paragraph_id": 719,
"tag": "p",
"text": "if文で行っていることはキャラクタの位置(PL_X,PL_Y,PL_Zで与えられる)が各々の床の範囲内にあるかどうかを確かめる作業です。3Dの時の違いは、x座標とy座標の2つについて判定が必要になった点だけです。また、実際にキャラクタが床にいるときに、キャラクタのv_zを0にするなどの処理も行っていますが、2Dの時と変わらないので省略します。",
"title": "ケーススタディ"
},
{
"paragraph_id": 720,
"tag": "p",
"text": "これらの手順で作ったプログラムを仮に3d_xjumpと呼びます。実際に筆者がGLの初期化にSDLを利用してこれを作成してみたところ、300行程度で収まりました。ただし、ここではカメラに回転を行わせず、常にx座標正の方向からキャラクタを見る視点にしました。ここでスクリーンショットをいくつか載せます。",
"title": "ケーススタディ"
},
{
"paragraph_id": 721,
"tag": "p",
"text": "ここまででキャラクタやカメラの位置を動かす方法について説明しました。ここからは、より複雑な物体を表示する方法について述べます。ただし、複雑な物体を扱うときでもカメラやキャラクタの位置を動かす方法はこれまでと同様です。",
"title": "ケーススタディ"
},
{
"paragraph_id": 722,
"tag": "p",
"text": "ここでは複雑な物体を表示する方法について説明します。既に、OpenGLで頂点を用いた物体の描画について説明しました。また、カメラ配置の例では、三角錐を作成しました。実際にはより複雑な物体を表示することが求められます。例えば後に取り上げるSuperTuxKartでは、カートに乗ったペンギンなどが画面に表示されます。また、それらのカートが走るコースも、表示する必要があります。",
"title": "ケーススタディ"
},
{
"paragraph_id": 723,
"tag": "p",
"text": "これらの描画を行うには、3Dのデータを作成するためのソフトウェアが必要となります。このソフトウェアはモデラと呼ばれ、3Dのゲーム開発をする上で重要なソフトウェアです。モデラ自体はゲームだけでなく、3Dのモデルを作成するときには常に利用されます。",
"title": "ケーススタディ"
},
{
"paragraph_id": 724,
"tag": "p",
"text": "フリーで使用できるモデラとしてはblenderが有名です。このソフトは、Windows, Mac OS, Linuxなど各種のプラットフォーム上で利用できるソフトウェアで、先程のSuperTuxKartでは実際に使用されているようです。ソフトの使い方はblenderなどを参照して下さい。",
"title": "ケーススタディ"
},
{
"paragraph_id": 725,
"tag": "p",
"text": "モデラを使って作成されたデータは、3Dデータとして保存されます。これは頂点の位置や、面を塗る色などを指定しており、これを読み取ることでモデラで作ったデータを画面上に表示する事が出来ます。",
"title": "ケーススタディ"
},
{
"paragraph_id": 726,
"tag": "p",
"text": "残念ながらこれらのデータには、標準化されたものがなく、データ形式はモデラごとに変化します。各種の形式を読み取るためにはそれらに対応するライブラリを使うのが簡単です。SuperTuxKartでは、PLIBを使っています。PLIBは、Windows, Mac OS, Linuxなどで動作する3Dプログラミングの為のライブラリです。SuperTuxKartではデータの受渡しに.acファイルを使っていますが、このファイル形式はblenderとPLIBの双方でサポートされています。",
"title": "ケーススタディ"
},
{
"paragraph_id": 727,
"tag": "p",
"text": "実際にはPLIBを利用して、カメラの配置など3Dプログラミングに必要な作業を行う事も出来ます。しかし、ここではPLIBの機能には深入りせず、与えられた3Dモデルのファイルを表示するプログラムを作成するに留めます。このプログラムは、PLIBのサンプルであるplib_example( )の、src/ssg/tux/tux_example.cxxとほぼ同じ内容です。",
"title": "ケーススタディ"
},
{
"paragraph_id": 728,
"tag": "p",
"text": "ここまでが、PLIBとGLUTを用いるときの基本的な描画を行う部分です。今までと違うのは、物体の描画にssgCullAndDraw関数を用いていることです。PLIBは3DモデルのデータをssgRootクラスを用いて管理します。ssgCullAndDraw関数は3Dモデルのデータを実際に描画する関数です。ここでは描画する3Dモデルに対するポインタをrootとしました。実際にデータをrootに与える部分はdata_init関数としており、次のように与えられます。",
"title": "ケーススタディ"
},
{
"paragraph_id": 729,
"tag": "p",
"text": "ただし、ここでは\"snowman.ac\"というACファイルが同じディレクトリ内にあるものとしました。ここまでで物体の描画は行われますが、物体が実際に見えている事を知るために、カメラの位置を動かす必要があります。その作業はcamera_init関数で行います。",
"title": "ケーススタディ"
},
{
"paragraph_id": 730,
"tag": "p",
"text": "ここではカメラの位置を(0,-10,0)とし、カメラの向きを(0,1,0)としました。何も設定しないとファイルから読み出された物体の位置は(0,0,0)となるので、これで設定は完了です。",
"title": "ケーススタディ"
},
{
"paragraph_id": 731,
"tag": "p",
"text": "ここで作成したacファイルは球と円柱だけを用いた物です。より複雑な物体を作るにはblenderなどを参照して下さい。",
"title": "ケーススタディ"
},
{
"paragraph_id": 732,
"tag": "p",
"text": "w:en:GLtron",
"title": "ケーススタディ"
},
{
"paragraph_id": 733,
"tag": "p",
"text": "w:en:Neverball",
"title": "ケーススタディ"
},
{
"paragraph_id": 734,
"tag": "p",
"text": "http://supertuxkart.berlios.de/",
"title": "ケーススタディ"
},
{
"paragraph_id": 735,
"tag": "p",
"text": "ローポリのポリゴン数には、特に基準はないのですが、慣習的に人物キャラクター1体あたり3000ポリゴンがとりあえずの目安になることが多いです。",
"title": "ローポリ制作手法的なこと"
},
{
"paragraph_id": 736,
"tag": "p",
"text": "一般的に、3D-CGの分野では、顔や手足などの注目される部分はポリゴン数が多く分配されますが、腕などはポリゴン数が少なめです。書籍『ローポリスーパーテクニック』や、別著者の『3DCG日和』(著者 ISAO、出版: BNN、)でも、(著者は特に明言していないが)書籍中のポリゴンデザインはそのように、顔が多めで、腕がスカスカになっています。",
"title": "ローポリ制作手法的なこと"
},
{
"paragraph_id": 737,
"tag": "p",
"text": "これは別にゲームやアニメに限ったことではなく、アメリカの3Dアニメ映画などでも同様であり、たしか岩波書店が90年代後半~2005年ぐらいに出した情報科学書か、あるいか別の数学者(微分幾何学の研究者)が2005~2010年ぐらいに書いた本だったかで、そう書かれていたような記憶があります。",
"title": "ローポリ制作手法的なこと"
},
{
"paragraph_id": 738,
"tag": "p",
"text": "若山正人 編『可視化の技術と現代幾何学』、岩波書店、2010年3月26日 第1刷発行 、を確認したら、その本にはポリゴンの密度の方よりの話題は無かった内容なので、たぶんそれより前の時代の別の数学書に書かれていたと思います。",
"title": "ローポリ制作手法的なこと"
},
{
"paragraph_id": 739,
"tag": "p",
"text": "CG用語で「特徴点」という用語があるのですが、顔はほかの身体パーツと比べて特頂点が多いので、アメリカのハリウッド業界などで使われている3D-CG製作ソフトでもモジュールが顔とそれ以外とでは分かれていると、その科学者は古いほうの岩波の書籍で述べていました。",
"title": "ローポリ制作手法的なこと"
},
{
"paragraph_id": 740,
"tag": "p",
"text": "アマチュア・初心者向けの3D-CGソフトでは、あらかじめ特徴点が設定されているのが普通です。",
"title": "ローポリ制作手法的なこと"
},
{
"paragraph_id": 741,
"tag": "p",
"text": "3Dゲーム業界では、「リギング」と言って、ポリゴンとジョイントを関連づける作業もあり、一般に3Dモデラーがリギングも担当します。",
"title": "ローポリ制作手法的なこと"
},
{
"paragraph_id": 742,
"tag": "p",
"text": "あと、現代では3D作品では、作品にも寄りますが、イラストを描く人と、そのイラストをポリゴンにアレンジして3Dデザインをする人とは別の人です。",
"title": "ローポリ制作手法的なこと"
},
{
"paragraph_id": 743,
"tag": "p",
"text": "2Dイラストレーターに先にデザインを出してもらい、それをもとに3Dグラフィッカーがポリゴン用に3Dデータを作り直します。",
"title": "ローポリ制作手法的なこと"
},
{
"paragraph_id": 744,
"tag": "p",
"text": "これは、ゲーム『シャイビングフォース・イクサ』などの「3Dデザイナー」(参考文献中の表記)職である ntny(※著者名)著『ローポリスーパーテクニック』(ソフトバンク出版)にそう書かれています。",
"title": "ローポリ制作手法的なこと"
},
{
"paragraph_id": 745,
"tag": "p",
"text": "2Dイラストレーターのデザインでは3D的な整合性を意図的に考えずに自由な発想でデザインをしてもらう仕事を依頼するので、整合性など不自由な部分への対応については3Dグラフィッカーが(整合性を)補うと書籍に書かれています。書籍『ローポリスーパーテクニック』中にも",
"title": "ローポリ制作手法的なこと"
},
{
"paragraph_id": 746,
"tag": "p",
"text": "と書かれています。「それを上げるのは、理詰めで作るデザイナーだけでよい。」(※「デザイナー」とは、書籍の文脈では3Dグラフィッカーのこと)と書籍にあります。",
"title": "ローポリ制作手法的なこと"
},
{
"paragraph_id": 747,
"tag": "p",
"text": "だから、ゲーム業界では(アニメ業界とは異なり、)三面図がない場合もあります。",
"title": "ローポリ制作手法的なこと"
},
{
"paragraph_id": 748,
"tag": "p",
"text": "キャラの前後の2枚の設定画さえあればいい、とのことです。",
"title": "ローポリ制作手法的なこと"
},
{
"paragraph_id": 749,
"tag": "p",
"text": "(この点、アニメ産業とは異なります。また、こういったゲーム文化とアニメ文化の違いにより、アニメ版権モノの作品のゲーム化では、例外的にアニメ文化に合わせて、膨大な設定資料をもとにゲーム制作することにもなったりすると、ローポリスーパー本のnyuuさんは述べています。)",
"title": "ローポリ制作手法的なこと"
},
{
"paragraph_id": 750,
"tag": "p",
"text": "テクスチャを描くのは、3Dデザイナーです。なので、3Dデザイナーにも2Dイラスト力が必要です。",
"title": "ローポリ制作手法的なこと"
},
{
"paragraph_id": 751,
"tag": "p",
"text": "多くのゲームの場合、ゲームで最も負荷が掛かるのは、RPGなら戦闘、アクションゲームならアクションシーンです。",
"title": "ローポリ制作手法的なこと"
},
{
"paragraph_id": 752,
"tag": "p",
"text": "シーン全体で使えるポリゴン数に上限があり、たとえば上限が30000〜35000万(秒間30フレーム)だったりするので、そこから逆算して各オブジェクトの制限ポリゴン数の仕様が決まったりします。",
"title": "ローポリ制作手法的なこと"
},
{
"paragraph_id": 753,
"tag": "p",
"text": "背景や戦闘エフェクトなどにもポリゴン数が配分されるので、それだけでポリゴン数の半分くらいを占めてしまうこともあり、キャラクターと敵のポリゴンは残り半分くらいしか使えません。そういった諸々が上司などに考慮されて、キャラクターのポリゴン数が1体あたり3000くらい、と決まったりするようです。",
"title": "ローポリ制作手法的なこと"
},
{
"paragraph_id": 754,
"tag": "p",
"text": "敵モンスターのポリゴン数はそれより少ない場合も多く、モンスター1体あたり1500ポリゴンだったりする場合もあります。おそらくですが、キャラクターをウリにするゲームの場合、キャラクター以外のポリゴン数は犠牲になるのでしょう。",
"title": "ローポリ制作手法的なこと"
},
{
"paragraph_id": 755,
"tag": "p",
"text": "実は、イベントシーンなどの上半身のアップでは、イベント用の別ポリゴンモデルを使っている場合もあります。",
"title": "ローポリ制作手法的なこと"
},
{
"paragraph_id": 756,
"tag": "p",
"text": "その他の例では、書籍『ゲームクリエイターの仕事』によれば、カメラから遠くて小さいキャラクターの場合には、ポリゴン数の少ないものに切り替えるという手法もあり、このような手法を LOD (Level Of Detail) と言います。",
"title": "ローポリ制作手法的なこと"
},
{
"paragraph_id": 757,
"tag": "p",
"text": "一般的に、キャラクターに表情をつけさせる場合、「特徴点」(とくちょうてん)と言われるモデル中の各パーツを代表する(パーツ1つあたり)数個程度の頂点を移動します。",
"title": "ローポリ制作手法的なこと"
},
{
"paragraph_id": 758,
"tag": "p",
"text": "目の両端および中央、まゆの左右および中央、鼻の左右および中央や鼻頭、口の左右および中央、こめかみ、あご、などに、それぞれ特徴点がいくつか当てられています。その特徴点を、望みの表情になるように移動することで、表情をつけます。",
"title": "ローポリ制作手法的なこと"
},
{
"paragraph_id": 759,
"tag": "p",
"text": "関節などにも特徴点があります。",
"title": "ローポリ制作手法的なこと"
},
{
"paragraph_id": 760,
"tag": "p",
"text": "重要なことは、「こめかみ」にも特徴点があることです。(別セクションで紹介した岩波書店だか微分幾何学者の本にも、特徴点のひとつとして「こめかみ」が書いてありました。)",
"title": "ローポリ制作手法的なこと"
},
{
"paragraph_id": 761,
"tag": "p",
"text": "子供の描くような平面的な顔の絵と、立体的な顔のデザインのコツは、こめかみを意識した絵を描けるかどうかです。子供の遊びの「福笑い」だと、こめかみを意識する事が無いので、なかなか「こめかみ」のデザインには意識が回りません。",
"title": "ローポリ制作手法的なこと"
},
{
"paragraph_id": 762,
"tag": "p",
"text": "正面顔での「こめかみ」の位置は、実は、目の瞳の下の位置です。(世間では、勘違いして、輪郭の位置だと思ってる人が多い。)自分の顔で試してください。鏡の前で、正面を向いた状態のまま「こめかみ」の頂上に指を当てて、指を上に動かして、目の手前に来るまで上に動かしてください。誰の顔でも、指先は目じりの下のほうに到着します。",
"title": "ローポリ制作手法的なこと"
},
{
"paragraph_id": 763,
"tag": "p",
"text": "しかし世間の人の多くは勘違いしており、「こめかみの頂上は輪郭上にある」(×)と錯覚しています。",
"title": "ローポリ制作手法的なこと"
},
{
"paragraph_id": 764,
"tag": "p",
"text": "ローポリスーパーテクニックの著者は、「こめかみ」のこの世間の勘違いを「こめかみトラップ」と呼んでいます。",
"title": "ローポリ制作手法的なこと"
},
{
"paragraph_id": 765,
"tag": "p",
"text": "この「こめかみ」のデザインのコツは、一般のイラスト技法書を見ても、なかなか解説書が見つかりません。アニメーターさんとか立体的な絵を書けるのでアニメーターは感覚的には絶対に分かっているハズなんですが、しかしアニメーター教本でも、なかなか「こめかみ」の説明を見つけるのが難しいです。",
"title": "ローポリ制作手法的なこと"
},
{
"paragraph_id": 766,
"tag": "p",
"text": "やはり、CGソフトをイジって、こめかみのポリゴンを実際にいじっているプロの人だと、目のつけどころが違います。やはり、絵の勉強において、色々な映像クリエイターの人の意見を技法書で読むのは勉強になります。",
"title": "ローポリ制作手法的なこと"
},
{
"paragraph_id": 767,
"tag": "p",
"text": "いろいろとローポリ本の解説をしてしまいましたが、実は「ローポリにセオリーはない!」ともローポリ本の著者は述べています。なぜそうなるかというと、ゲームで使われるポリゴンモデル自体が、ゲームの仕様から逆算されて決められるからです。",
"title": "ローポリ制作手法的なこと"
},
{
"paragraph_id": 768,
"tag": "p",
"text": "よく整形手術の広告か何かで、「ほお骨を削ってスリムな顔に」とか言ってるのを見掛けると、こういう「特徴点」の存在を知ってる人は、整形広告がバカバカしく思えるでしょう。ああいう広告を真に受ける層な時点で、「わたしは観察力すらない馬鹿で〜す。正真正銘の馬鹿でーす」と自己紹介しているようなもんです。観察力さえあれば小学生ですら、ほお骨の共通性に気づけるわけです。ほお骨の位置関係なんて、人種が同じなら、ほぼ共通なわけですが、しかし馬鹿は観察力が無いので気づきません。 馬鹿は、目の前の現実よりも、先入観を重視します。そのくせ「自分は先入観にとらわれない(から、私は頭いい!)」とか思っています。",
"title": "ローポリ制作手法的なこと"
},
{
"paragraph_id": 769,
"tag": "p",
"text": "そのくせ、馬鹿ほど「自分は観察力がある」と思って自惚れて(うぬぼれて)います。マンガ『行け!稲中卓球部』で、文脈は違いますが「馬鹿のくせに自分は頭がいいと思ってるタチの悪い馬鹿」という表現がありますが、まさにそれピッタリです。",
"title": "ローポリ制作手法的なこと"
},
{
"paragraph_id": 770,
"tag": "p",
"text": "その整形後の写真か何かを見て(CG加工してない保証すらないですが)、「美人だ」とか言ってる人もまた馬鹿の自己紹介です。馬鹿は馬鹿同士で褒め合います。関わらないようにしましょう。",
"title": "ローポリ制作手法的なこと"
},
{
"paragraph_id": 771,
"tag": "p",
"text": "アニメ作品だと、ジブリのアニメの宮崎駿のキャラクターデザインや、カラー社『新世紀エヴァンゲリオン』のキャラクターデザインだと、ほお骨がけっこうハッキリとしています。ロボットアニメだと、パイロットを斜め下にあるカメラから見上げる構図もあるので、けっこうホオ骨が目立つ構図もあります。イラスト趣味では「どういう絵柄を好きになるか?」の時点ですでに、自分の観察力アピールが始まるのです。",
"title": "ローポリ制作手法的なこと"
},
{
"paragraph_id": 772,
"tag": "p",
"text": "さて、ローポリ本の著者は述べていませんが、「こめかみ」他にも忘れやすいパーツとしては、目の白目(しろめ)も忘れやすいです。目のデザインを描くときも、瞳の中のハイライトばかりに意識が向きがちなので、白目の部分に意識がむかず、そのため極端に白目の少ない目をデザインしてしまうと、お猿さんやお馬さんのような動物的なつぶらな目になってしまいがちです。それが好きならそれでも構いませんが。",
"title": "ローポリ制作手法的なこと"
},
{
"paragraph_id": 773,
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"text": "ともかく、ローポリの場合、特徴点を動かして表情をつけるので、なのでポリゴン数も限られてきます。(「ローポリスーパーテクニック」では「頂点情報」と言ってるが本ページではCG学の用語にならって「特徴点」とした。岩波本だかにも「特徴点」で「表情」という表現があったので。岩波本などによると、特徴点を編集して表情をつくるという作業の流れは、けっして日本のアニメやゲームだけでなく、アメリカなどのハリウッド映画やディズニー映画などもそうだと言ってました。)",
"title": "ローポリ制作手法的なこと"
},
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"text": "だからともかく、3Dゲームのキャラクター表情の場合、特徴点以外はなるべくテクスチャーで処理することになるでしょう。",
"title": "ローポリ制作手法的なこと"
},
{
"paragraph_id": 775,
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"text": "一応、複数の一体化したポリゴン複数セットのうちの代表点の1つだけを特徴点とする方法を使えば、もっと多くのポリゴンをCGソフトで操作できるかもしれませんが、ゲームではローポリ化する必要あるので不要でしょう。(もしかしたらハリウッド映画のリアルCGなどだと、ポリゴン複数セットの代表点の方式のほうが良いかもしれません(推測です。現在の版のwiki編集者はよく知りません)。)",
"title": "ローポリ制作手法的なこと"
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"text": "",
"title": "ローポリ制作手法的なこと"
},
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"text": "ローポリに限りませんが、一画面中で表示可能なポリゴン数に制限がありますので、実は現在のゲームで一画面中に表示できるキャラクターやモンスターなオブジェクトの個数には、限りがあることになるハズです(特に参考文献はありませんが)。",
"title": "ローポリ制作手法的なこと"
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"text": "ファミコン時代の昔のゲームは、画面中の描画処理の限界のため一画面中のキャラ数に限界がありましたのでマップ配置が実はそういう制限を受けていたでしょうが、実は現代の3Dゲームでもポリゴン数の制限で似たような問題が生じてしまいます。",
"title": "ローポリ制作手法的なこと"
},
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"text": "とにかく現代では、一画面中で表示可能なポリゴン数に制限がありますので、だから物陰に隠れて見えないはずのオブジェクトは、いちいち表示をオフにするプログラムを組まないといけません。",
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{
"paragraph_id": 780,
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"text": "一方これが映画、アニメ用の3D-CGだったら、そんなことせずともZバッファ法で手前のオブジェクトで上書きするだけで奥のオブジェクトは隠れますし、最終的に動画ファイルにエンコードするので問題ないです。ポリゴン数が多くても、単にエンコード中の時間が掛かったりするだけで、最終的にエンコードされた動画の速度には関係ありませんので。単に作り手側だけ、エンコード時間が掛かるだけであり、視聴者側は何もエンコードしないからです。",
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"text": "しかし、ゲームのリアルタイムレンダリングでは、そうはいかないのです。ポリゴン数が多いことは、プレイヤーにとって操作中の処理落ち、またはプレイの操作速度の低下などにつながり、プレイヤーの快適性を著しく下げます。",
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"text": "だから、いちいち、非表示のオブジェクトの非表示プログラムを組まないといけません。また、前提としてそのような都合のいい壁などによる目隠しが必要です。",
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"paragraph_id": 783,
"tag": "p",
"text": "だから現代ゲームでも、実はマップの配置は、昔のファミコンゲームと同様に、処理落ちをさせないように、プレイヤーの視界に入る敵の配置をうまく分散することができるようなマップ配置になっているハズです。",
"title": "ローポリ制作手法的なこと"
}
]
| null | == ゲームエンジンとの関係の現状 ==
2000年以降、ソニーのプレステ系ハードの3Dレンダリングエンジンは、実はWindowsのDirectXに合わせて作られてあります。
なぜそれが分かるかというと、ゲーム3Dデザイナー向けの3D-CG技法書を読むと、Direct3Dを中心に解説してあるからです<ref>ntny著『ローポリスーパーテクニック』、ソフトバンククリエイティブ、2010年2月16日 初版 第5刷、P.26 </ref>。
だからゲーム業界の3Dデザイナーがモデル制作をする際も、Windows向けの3Dモデリングソフトを用いて、ゲーム用の3Dモデルを作っています。なお、テクスチャなどの画像フォーマットは、プレステ2の場合は「TM2」(ティーエムツー)という(おそらくソニー独自の)画像フォーマットです<ref>『ローポリスーパーテクニック』、P32</ref>。
実際にゲームで3D-CGを表示したい場合、現在では海外大手ゲームエンジン(UnityやUnreal Engine など)に、すでに既存の有名3D-CGソフト(Autodeskの製品や、フリーソフトならblenderなど)と互換性のある形式で3Dモデルをよみこめて描画できる方式になっている。
なので、商業の仕事の場合には、それらゲームエンジンを使うことになるのが2020年代の今では主流だろうと思われている。(ゲーム産業の仕事では、人件費も考えて、大手の場合なら、わざわざ自作する事はまず無い。日本企業で海外のゲームエンジンに対抗するのも、非現実的だと思われている。)
ゲームソフト会社やゲーム機会社がノウハウを非公開にしているため推測になってしまうが、ゲーム会社は研究機関'''ではない'''ので、わざわざ自分の手で3Dエンジンをゼロから作ることは普通はせず(と思われている。実態は不明)、なるべく既存のゲームエンジンの内部に組み込まれている3Dエンジンを買ってくるなどして流用するのだろうと、2020年代では世間的にはゲーム産業はそう思われている。
ゲームエンジンは、個人では無料で使えるものもあるが、しかしフリーソフトではない(自由ソフトではない)。特に3Dゲームエンジンは、オープンソース'''ではない'''。UnityもUnreal Engine も、ソースコードは非公開である(非オープンソース)。
ゲーム業界にかぎらず、こういった非オープンソースの製品のことを一般に「プロプライエタリ」と言います。たとえば、マイクロソフトのWindowsもOfficeソフトもプロプライエタリです。
ともかく、大企業などが大手ゲームエンジンを使う場合、費用を払う必要が生じることもある。(Unity などの利用規格にも、そういった事が書いてあります。)
なお、3Dモデルのデータ形式(ファイルフォーマット)は規格統一があまり進んでいないのが2020年では現状であり、ファイルフォーマットには .fbx形式、.3ds形式、.dxf形式、.obj形式 など、さまざまな形式がある。
また例外としてオープンソースのblender用の.obj形式を除いて、この分野は非オープンソースである商業ソフトが主流になって普及してきた分野であるので、プログラマー向けの資料などもあまり普及していない(企業秘密なので)。
市販の書籍も、ほとんどがイラストレーターなどのクリエイター向けのものであり、プログラマー向けのものは、ほぼ皆無である。
学術的にも、ファイルフォーマットまでは理論が整理されていない。(学術書に書いてあるのは、三角関数などを用いた3D計算の原理まで。)
いっぽう、もし、既存のゲームエンジンに頼らず3D-CGソフトを自作したい場合などには、原理は下記の節のようになるだろう。あるいは、既存の有名3D-CGソフトで扱っている3Dモデルのデータ形式に不満があって、新しい3Dデータ形式を模索する場合なども、自作することになる。
なお3D-CGの汎用ソフトについては、岩波書店の数学書『可視化の技術と現代幾何学』によると、残念ながら日本は欧米IT企業にソフトウェア技術を頼っているのが現状のようであり、どうやらゲーム産業だけでなくCG映画業界でも3Dアニメ業界でも、使用している汎用ソフトには海外製が多く、輸入しているのが現状のようです<ref>若山正人 編『可視化の技術と現代幾何学』、岩波書店、2010年3月26日 第1刷発行、序-ix</ref>。そうだと数学者たちに言われています。
モーションキャプチャ・マシンも、一部ではネット検索では国産を謳っている製品も見つかるものの、しかし数学書『可視化の技術と現代幾何学』によるとモーションキャプチャ・マシンの多くが輸入品のようです<ref>若山正人 編『可視化の技術と現代幾何学』、岩波書店、2010年3月26日 第1刷発行、序-ix</ref>。。そうだと数学者たちには言われています。
== 3Dグラフィック ==
=== 計算の原理 ===
3D-コンピュータグラフィックの計算の方式は、投影面(スクリーン)の形状(おおまかに2種類)と、平行投影か透視投影かの2種類の違いによって、2×2{{=}}4種類程度に分かれる。
投影面
# 平面投影:
# 円柱面投影などの非平面投影:
投影の方式
[[Image:Perspective Projection Principle.jpg|thumb|250px|right|透視投影]]
# 透視投影
# 平行投影
一般的には、平面投影と透視投影の組み合わせが単純なので、よく使われる。
大学の3D-CG学などで単に「投視投影」と言った場合、この平面投影での透視投影の方式のことを言う場合が多い。
=== 投影面 ===
投影面の種類は主に2~3種類、
# 平面投影: 投影面を'''平面'''として考えて、観測者と被写体をむすぶ線分と、投影面との交点を求めて出力画像として表示する方式。
# 円柱面投影: 投影面を'''円柱面'''で考える方式。
くらいである。
このほか、球面投影や、楕円などで考える楕円柱投影や楕円球投影なども理論的にはありうるが、非実用的なので(球面投影に対応した安価な映像デバイスが無い。楕円だと設計のための計算が複雑な割りに、得られる画像も知見もあまり平面投影や円柱投影などと変わらないので)、楕円については考察や説明を除外する。
さて、紹介した平面・円柱の2種の投影面のうち、いちばん単純かつ普及していて実用的な投影面は、平面投影である。
なので、初学者はまず平面投影を中心的に学ぶのが良いだろう。なお、後述する単元での隠面処理のためにカメラの向きの角度計算が必要になるので、円柱投影や球面投影に近い考え方も必要になるので、べつに円柱投影などを学んでしまっても損は無い。
ただし、円柱投影には欠点があり、上下方向と左右方向で透視の縮尺が違うために、視界内で回転する回転体をうまく表現しづらいという致命的な欠点がある。たとえば、回転する音楽レコード盤を見下ろしているとき、円柱投影では、レコードが(工夫しないと)楕円にゆがんでしまう。
球面投影なら、レコードを見ても ゆがんだりしないが、しかし球面投影に適した映写デバイスが存在しない。
なので、結局、ふつうは平面投影で計算することになる。
さて、じつは、平面投影と円柱投影の2つの方式を比べた場合、得られる画像が微妙に異なる。カメラが向きを変えたときに、どのくらい視界内で被写体の位置が変化するかが、それぞれの投影面ごとに変化する。
そして、特に観測者の真横に近い位置になると、特に被写体の動きの変化量の違いが大きくなる。
平面投影の方式の場合、投影面が観測者の視界の向きで、少し前方にあるので、そもそも真横に近い場所にある物体は正投影が無理である。
だが、通常の人間の視界では、真横にある物体には意識が向かないので、なので平面投影でも問題ない。
なお、平面投影の欠点をこう聞くと、てっきり「円柱投影や球面投影のほうが視界にできる領域が広そう」(←誤解)に思われるかもしれないが、しかし実際には数値計算の誤差の理由により、つまり、円柱投影では観測者の真横にある物体は、投影のための数値計算(逆三角関数などの計算)のさいのケタ落ちが大きくなるので、円柱投影でも真横の物体の画像の表示は、不正確な表示になる。
なので、平面投影にしろ円柱投影にしろ、結局どちらとも、観測者の真横にある物体のCG画像表示は、そのままでは不正確な表示になってしまう。
円柱面は、幾何学的には「可展面」(かてんめん)である。トイレットペーパーや巻物を考えれば分かるように、円柱はハサミを入れるなどして展開すれば平面に展開することができる。
しかし球面は可展面ではない。なので、もしも球面投影の方式で3D-CGの投影を考えた場合、地図のメルカトル図法やモルワイデ図法などと同様の問題が起きるので、そういった対策が必要になる。
さて、平面投影は、数学的には単に直線と平面の交点を求めるだけの初等的な方式である。また、2次元で考えた場合の計算式(高校1年あたりで習うような、2点を結ぶ直線と、別の直線との交点を求める計算式)を、比較的に容易に3次元に拡張しやすい。
いっぽうで、円柱投影の場合、長所としては、わざわざ交点を求めなくても、(高校で習うような)三角関数の余弦定理などを使える。だが、球面投影や円柱投影の場合の短所として、その「角度」を算出するのが数学的にやや難しいことと、2次元で考えた結果を3次元に対応するのが難しい。
円柱投影の場合、必要な情報は角度だけなので、円柱の半径または球の半径については無限小であると考えてよい(プログラム上では、半径を書かなくても視界画像を算出できるので)。
=== すべての投影面で共通する性質 ===
さて、平面投影・円柱投影のどれでも、透視投影ならば共通する性質がある。
それは、もし視界内に複数の点があり、色の異なる点だとして、視界内で観測者の近くにある点によって、観測者の遠くにある点が隠れるとき、それぞれの点の前後関係は、どの投影面でも同じであるという事である。
まず、観測者のカメラ位置を表す点Aと、1つの被写体を代表する点Bを考える。そして、線分ABを延長した無限長の直線Lを考えよう。
そして、直線L上で、仮に点Cが、点Bよりもカメラから遠い位置に(点Cが)あるとしよう。
このような場合で、もし平面投影の場合は、投影面の平面よりも奥にある被写体だけを写すことを考えている。つまり、点A,点Bなは、ともに投影面よりもカメラから遠い位置にある。なので、空間内での2点A,Bの前後関係には、投影面は何の変化も与えない。
このことから原理的には、空間内での前後関係の判定には、単にカメラから放射状に放出される無数の直線を考えて、それぞれの各直線ごとに、その直線上にある複数の点ごとに、カメラからの距離を算出し、カメラから最も近い距離にある点の色だけを視界に表現すれば、前後関係を原理的には簡単に算出できる(Zバッファ法の実装はおそらく、このようになるだろう)。
Zバッファ法は、アルゴリズム的には単純であるが、計算量について難点があり、カメラから放射状に放出する視界計算用の直線(きっと 何百本~何千本・何万本もある)ごとに、それぞれ前後関係を算出しないといけないので、コンピュータの処理速度の高さなどが必要である。
ただし点ごとにZバッファ法で計算すると計算量が膨大になってしまうので、改良法として、面ごとにZバッファ法を計算するという方法もある。
この面ごとのZバッファ法の場合、あくまで近似的なもので、本来なら「面」でなく「点」でないと数学的には正しく前後関係を判定できないので、前後判定される面の大きさとしては、事前になるべく小さな面として パソコン内では内部処理しておく必要がある。
また、もし一箇所に複数の面があると、うまく前後判定ができない場合の生じることもある。だが普通のゲームでは、そういう一箇所に複数の面が集まる自体はまず無いし、仮に間違った前後判定になっても、事前に面を小さく分割してあれば、間違いの影響も小さくなる。
ただし、面を小さく分割すれば分割するほど、計算量の負担は増えていく。
現在では、GPUなどのグラフィックボードにより、このような面ごとのZバッファ法程度の計算なら、ある程度の新しいパソコンならば、瞬時で可能であろう。
なお、カメラから被写体のあいだの距離のことを「z値」という。Zバッファ法のZとは、そのZ値のことだろう。
Zバッファ法のほかにも「Zソート法」というのがある。「Zソート法」と「Zバッファ法」の違いは、Zバッファ法が各点ごとに計算している一方、「Zソート法」は(点ごと ではなく)大きさをもつ被写体ごとに、奥行きをあらわす値としてZ値を与えておく方式である。
Zソート法は 点ごと ではないので、コンピュータの計算の負担は少ないが、アルゴリズムが複雑化しやすい欠点がある。また、くぼんだ部分のある被写体など、複雑な形状の被写体では、不正確な前後判定になる。
(数値の大きさにもとづいた並べ替え処理は[[ゲームプログラミング/RPG#素早さ順行動のアルゴリズム]]を参照)
=== 回転などの計算 ===
カメラの向きを変えたり、被写体をどこかを中心軸にして回転したあとの座標を計算したい場合は、
単に、高校数学~大学1年程度の行列の理論の、回転行列の公式をつかえばいい。
なお、四元数でも算出できるが、それは単位、3次元行列または4次元行列の計算を、四元数で置きかえただけの仕組みである。
なお、マイクロソフト社Windowsの3D-CGライブラリのDirectXを使うと4×4行列が出てくるが、これは単に、平行移動も回転行列と一緒に行列であつかえるようにするために、次元を1つ増やしてベクトルを4次元にして、対応する行列を4×4行列にしただけのものである。
数学の教育体系的には、大学1年くらいで習う「行列の同次形(どうじけい)」という理論の応用にすぎない。
=== 行列の同次形とは ===
回転行列にかぎらず、2×2行列はそれと同内容で一対一に対応する3×3の行列がある。
証明は下記のとおり。(なんと、ネットを検索しても、証明がなかなか、みつからない! 数学書には普通に書いてあるんだが・・・。やはり勉強をする手段は、書物を原則とするにかぎる。)
まず仮に)、2次元の入力ベクトル V を
:<math>V = \begin{pmatrix} v_{1} \\ v_{2} \end{pmatrix}</math>
とする。(背理法でないので、特に疑わなくていい。)
そして変換行列 A を
:<math>A = \begin{pmatrix} a_{11} & a_{12} \\ a_{21} & a_{22} \end{pmatrix} </math>
とする。(※ 回転行列でなくてもいいのだが、回転行列を念頭においておくと、次の文の応用がイメージしやすい。)
すると、行列によるベクトルの変換操作は、
:<math>AV = \begin{pmatrix} a_{11} & a_{12} \\ a_{21} & a_{22}\end{pmatrix} \begin{pmatrix} v_{1} \\ v_{2} \end{pmatrix} = \begin{pmatrix} a_{11}v_{1} + a_{12} v_{2} \\ a_{21} v_{1} + a_{22} v_{2} \end{pmatrix} </math>
は、こう書ける。(ここまで高校3年のいわゆる「数学C」の範囲。年度により、行列が高校課程から抜けたりする時代もあるが。)
そして、平行移動 をこれに加えるには、単に、平行移動の移動方向に等しいベクトルPを用意して、
:<math> AV+P = \begin{pmatrix} a_{11} & a_{12}\\ a_{21} & a_{22}\end{pmatrix} \begin{pmatrix} v_{1} \\ v_{2}\end{pmatrix} + \begin{pmatrix} p_{1} \\ p_{2}\end{pmatrix} = \begin{pmatrix} a_{11}v_{1} + a_{12} v_{2} + p_{1} \\ a_{21} v_{1} + a_{22} v_{2} + p_{2} \end{pmatrix} </math>
と、ベクトルPを足し算すればいい。
では、上記をもとに、これから行列の「同次形」の概念を説明する。
まず、行列Aとよく似た3次元行列B
:<math> B = \begin{pmatrix} a_{11} & a_{12} & p_{1} \\ a_{21} & a_{22} & p_{2} \\ 0 & 0 & 1 \end{pmatrix} </math>
を用意する。この行列Bが、行列Aの「同次形」である。
そして、入力ベクトルVによく似た、つぎの3次元ベクトルFを用意しよう。
:<math> F = \begin{pmatrix} v_{1} \\ v_{2} \\ 1 \end{pmatrix} </math>
積AVと同様に、積BFを(数学Cで習うような行列の積の)定義にそって求めてみると、
:<math>BF = \begin{pmatrix} a_{11} & a_{12} & p_{1} \\ a_{21} & a_{22} & p_{2} \\ 0 & 0 & 1 \end{pmatrix} \begin{pmatrix} v_{1} \\ v_{2} \\ 1 \end{pmatrix} = \begin{pmatrix} a_{11}v_{1} + a_{12} v_{2} + p_{1} \\ a_{21} v_{1} + a_{22} v_{2} + p_{2} \\ 1 \end{pmatrix} </math>
この積BFのベクトルの第1次元と第2次元を見てみると、すでに計算ずみのベクトル AV+P の第1次元と第2次元と同じである。
このように、2次元のベクトルに対する行列変換と平行移動(ベクトル同士の加減算)の合成は、3次元のベクトルに対する行列変換だけに置き換えることができる。
この、上述の行列Bのような形の行列が、「行列の同次形」というものである。ひとことでまとめて、上述のBの形の行列のことを「同次行列」ともいう。次元が変わるのに「同次」というのは奇妙(きみょう)だが、この理由は単に、もとになった英語 Homogeneous を数学者が和訳するときに「同次」と翻訳してしまっただけのことである。 Homogeneous とは「同質」・「同類」のような意味である。
なお、同次行列のことを「斉次」(せいじ)行列ともいう。
3次元ベクトルおよびその変換行列も、同様の計算法により、4次元の同次ベクトルと同次行列とに置き換えることができる。
=== 平面投影の透視投影 ===
==== 原理と公式 ====
一般に平面投影での透視投影では、計算の単純化のため、カメラの向きはZ軸の方向に固定する。
また、カメラの位置は原点に固定する。
カメラを自転させた場合の映像を描写したい場合は、代わりに被写体すべてを反対方向に回転(交点)させることで対応する。
このような仮定は、広く普及している。
この場合、透視投影は、中学レベルの簡単な相似で計算できるので、じつは簡単な比例式で表される。
:<math>x_s = \frac{x}{z_s / z} </math>
:<math>y_s = \frac{y}{z_s / z} </math>
あるいは、式をz関連の変数どうしてまとめて書き換えて、
:<math>x_s = \frac{z_s}{z}x </math>
:<math>y_s = \frac{z_s}{z}y </math>
とも書ける。
ただし、投影面の位置を zs とした。(添字sは「スクリーン」のつもり)
また、 z > zs に位置する被写体だけを描画するものとしている。
なお、この仮定の場合、z軸そのものの座標は x{{=}}0、y{{=}}0 である。
==== 欠点と対策 ====
このように簡易で表現力の高い平面スクリーン透視投影にも、いくつか欠点がある。
;欠点1
欠点のひとつは、観測者のナナメ前方にある被写体が、実際よりも大きく見えてしまうことである。
極端な例をあげると、観測者の真横90度の場所に2メートル離れたところにある被写体は、さきほど紹介した公式に当てはめると無限大に拡大して見える。
このような現象の起きる理由は、遠くの物体の縮小率は、変数zだけによって <math>\frac{1}{z} </math>倍に縮小するからである。
なので、どんなに真横で何十メートルも離れた位置にいても、真横だとz{{=}}0なので倍率は 1/0 {{=}} ±∞ となり、被写体は無限大に拡大して見えることになる。
この対策として、真横に近い物体は最初から描画を除外すればいい。
つまり、視界に入る角度を設定しておき、それはたとえば 右60度~左60度 までを視界と定めておき、そこから外れた物体は描画を除外すればいい。
このような処理を可能にさせるために必要な計算として、現在の視界内での被写体の角度 位置を計算する必要がある。その角度の計算のための単純な方法として、単に三角関数 tan タンジェントを使えばいい。
たとえば、 視界内でのx軸方向の角度として<math>\tan \frac{x}{z} </math> 、およびy軸方向の角度として <math>\tan \frac{x}{z} </math> を計算して、両方のタンジェントとも両方とも一定値の範囲内なら、描画すればいい。
ただし、この方法では、zは一定値以上(たとえばカメラとスクリーンとの距離)でなければならない。
また、近似的な方法だが、三角関数を計算するのではなく、単に、xが一定値の範囲内、yが一定値の範囲内とする方法もある。このx,yを一定値の範囲内とする方法だと遠方にある被写体を描画できないが、そもそもゲームでは遠方にあるキャラクターなどの描画は不要だろう。
ただし、遠方にある山や川などの景色などは、別の方法で描画する必要があろう。
;欠点2
平面スクリーンの透視投影では、欠点として、投影スクリーンよりも手前にきた被写体は、根本的に描画できない。
かといって、観測者からスクリーンまでの距離を小さくしすぎると、ゲーム的に不便になる場合がある。
妥協案としては色々あるが、ゲームとして面白ければいいので、一例として、もし被写体がスクリーンよりも手前に来たら、それらの被写体の描画だけ平行投影に切り替えるなどの対策があるだろう。
つまり、ゲーム画面は、(スクリーン幕よりも奥の被写体の)透視投影と(スクリーン手前の被写体の)平行投影との合成になる。
==== 被写体の一部がカメラの裏側に回り込んだら ====
さて、被写体の一部がカメラの裏側に回り込んだ場合、上記のように単純に、その点の位置だけで描画の有無をきめる場合だと、
たとえば大きな三角形を描画したい場合など、もし、その三角形の3つの頂点のうちの1点だけですらカメラ裏に回り込んだら、もはやその三角形が一部すらも描画できなくなってしまうが(三角形の描画は3点が必要なので)、これは不合理である(一部の頂点が隠れただけなのに、三角形全体が消えてしまうので)。
このような問題への対策は特に決まってはないが一例として、たとえば図形の各頂点などの座標の位置とは別に、さらに代表位置の座標を用意すればよく、つまり代表の位置のx,y,zの座標の変数をそれぞれ用意するのが簡単であろう。
代表の位置は、べつに重心でも垂心でも三点の平均値でも何でもよく、好きなように決めればいい。(べつに面積計算をするわけではないので、重心でなくてもよいだろう)
=== 平面への平行投影 ===
カメラはz軸を向いているとする。
点(x,y,z)を平面スクリーン上に平行投影する場合、単に、zを無視して x,y の値がそのままスクリーンに投影される。
ただし、実際には、奥にある被写体は手前の被写体で隠れるので、zソート法などで隠面処理を考えた描画をする必要はある。
=== 原理を実行したい場合に必要なプログラム環境 ===
もし、(冒頭の章で述べたような)余弦定理による視界の計算をC言語で実行したい場合、
まず、三角関数(逆三角関数も使う)の計算と、平方根の計算が、どうしても必要になる。
C言語で三角関数と平方根を実行させたい場合、標準入出力のヘッダには、これらの数学関数が用意されてないので、
スースコード冒頭にインクルード文
:<code> #include <math.h> </code>
で、まず数学関数のヘッダをインクルードする必要がある。
これさえ分かれば、あとは、画面出力の機能のあるプログラム言語を使えば、原理的には3D-CGのプログラムが作れる。
(ただし、国際規格になっている標準C言語 そのものには、画像表示の機能は無い。なので、もしWindowsの場合、たとえば Visual C++ や Visual C# などを使うことになる。本ページではVisual C++ および Visual C# 固有の話題については省略する。)
3D-CGのプログラムは、かならずしもC言語系の言語である必要は無い。
最低限度に必要なのは、画像表示の機能と、逆三角関数と平方根程度の数学計算の標準ライブラリ関数さえ出来ればよい。
ただし、実際には、キーボードなどからの入力の機能なども必要なので、自分の使用したいプログラム言語で、それらのプログラムの方法も調べる必要がある。
なので、原理的にはスクリプト言語でもよく、たとえば JavaScript や python などでも、かまいません。(しかし3D-CGプログラムの場合、商品となるレベルにするには、処理速度の都合で、C言語系でプログラムするのが普通だが。)
もっとも、多くの実用では、自分でC言語でCGプログラムを作ることはしない場合が多く、既成の DirectX や OpenGL などのプログラムを利用するのが一般的です。
それでも、どうしても自作で3D-CG表示プログラムを作ってみたい場合、まず最低限の知識として、上記の逆三角関数、インクルードの方法、キーボード入力機能をもつプログラミングの作成方法、使用するプログラム言語による画面表示の方法、などの知識があることが前提になる。
これらの知識を持たない場合、先にそれらの知識を習得したほうが良い。
なお、C言語にベクトルや行列の機能は無い。なので、もしC言語系のプログラム言語で、ベクトルや行列などに相当する計算をコンピューターにさせる場合は、まず変数をいくつも宣言して、必要なベクトル計算や行列計算のプログラムを作ることになる。
3次元ベクトルを宣言するには、単に、異なる変数を3個、宣言すればいい。
回転行列などの行列は、ここでは単に、座標ベクトルなどのベクトルの変換作業にすぎないから、行列に相当するプログラムを書けばいい。なので、わざわざ行列をつくる必要も無い。(同様に四元数も、わざわざコード中で宣言して作成する必要は無い。)
=== プログラム例 ===
* [[ゲームプログラミング/3Dグラフィック/平面スクリーン投影のプログラム例]]
=== 円柱面投影の透視投影 ===
* [[ゲームプログラミング/3Dグラフィック/非平面スクリーン投影]]
で扱う。
なお、自動車運転免許の教習所にあるドライビング・シミュレーターが、
平面ディスプレイをプレイヤー前方の正面・左ナナメ面・右ナナメ面の3面に配置する仕組みになっており、多角柱的な投影面の3面によって擬似的に円柱的・球面的な視界投影面を表現している。
多角柱的な投影面の場合、個々の投影面は平面スクリーン投影に準じるが、投影面全体の関係は円柱スクリーン投影という、やや特殊な事情になる。
ドライビング・シミュレーターのように、コスト的な都合により、ディスプレイそのものを湾曲させることは通常はせず、代わりにディスプレイを複数個配置することで球面的な視界を模擬するのが実際であろう。
原理的にはプラネタリウムなど球面投影も考えられるが、しかしもはやコンピュータ・ゲームの範疇を超えるので、リンク先ではプラネタリウムなどは省略する。上記リンク先では、主に円柱スクリーン投影を扱っているハズである。
=== 中間まとめ ===
まとめると、平面投影にしろ円柱投影にしろ、
ゲーム映像の場合、原則を透視投影にしても結局、スクリーンよりも手前に来た被写体は、(投資投影でなく)平行投影など別の投影アルゴリズムで描写することになります。
また、スクリーンの奥側でも、真横の方向に近い位置にある被写体は、(アルゴリズムにもよりますが)透視投影ではケタ落ち等が起こりやすいので、平行投影などに切り替える必要があります。
このため、角度または内積を基準として、透視投影の描画の条件を満たした角度位置または内積となる被写体の場合にだけ、被写体を透視投影として描画することになるでしょう。
=== 隠面処理 ===
「隠面処理」とは、隠れた面を表示しない方法のこと。
手前の物体で隠れる部分は、当然、画面に表示されないように工夫する必要がある。
たとえば、ある面Aによって、ある面Bが隠される場合、画面にBは表示させないようにする必要がある。
このための手法はいろいろあるが、共通する原理は、カメラからの向きごとにあるそれぞれの向きごとに、その向きにある複数の被写体(面Aと面B)ごとにカメラから被写体の面の距離(z値)を計算しておき、カメラから遠いほうの面が描かれないようにすればいいのである。
単純なアルゴリズムでこれを行うなら、被写体のそれぞれの面に与える情報としては、Z値のほかにも、カメラからの角度も、面の情報として残しておく必要がある。
カメラからの角度が同じ面どうしで、カメラからの距離を比べるわけである。
カメラから近いほうの物体や面を先に描く方法を、Zバッファ法という。(なお、ほかの方式としては、面ではなく点ごとにカメラから近い物体を書く方法もあるが、しかし計算量が膨大になるために処理速度が悪化する。なので、ゲームのCG手法としては、点ごとのZバッファ法は、あまり普及していない。ただし、(処理速度の必要な)ゲームではなく(映像の緻密さの必要な)商業アニメのプリレンダリングなどの場合ならば、目的・用途に応じて面ではなく点でZバッファするのも良いだろう。目的に応じて手法を使い分ける必要がある。)
被写体が不透明なら、カメラから遠い物体を省略できるので、処理を高速化しやすく、そのため、ゲームにもよく用いられている。
しかし、被写体が透明/半透明な物体の場合に、アルゴリズムが複雑化するという欠点がある。
いっぽう、カメラから遠くから先に描画する場合をZソート法という。被写体に透明の物体を含む場合は、Zソートで描画せざるを得ないだろう。
== そもそも論 ==
そもそも論として、かならずしも3D計算を行わなくても、ゲームとして立体的な描画をできる場合があります。
また、既存の商用3Dソフトウェアやフリーソフトなどを使うことにより、自分でプログラムする必要のない場合もあります。
また、そもそも日本のゲーム産業では、3D描画はあまり儲かってなく、儲かってるのはアニメ絵の2次元絵イラストのソーシャルゲームです。ただし、欧米では3D描画が受けることや、アニメ絵風イラストレーターなどもポーズ集がわりに3Dソフトを使ったりするので、そういう事情がある場合にその用途で3Dを使うのはビジネス的に効果的かもしれません。
とりあえず本書では以降、なんらかの理由で3Dの描画を使用したい場合を前提として説明します。
=== そもそも3Dグラフィックをプログラムする場合とは? ===
ゲームで、3次元のCG映像を表示する場合、かならずしもプログラミングする必要はありません。
もし、その被写体を見る視点が一方向だけに固定されている場合なら、[[w:Blender]]などの、あらかじめ一般に流通している3D-CG作成用ソフトウェアで作ったCGモデルを、その視点の方向から見た場合の画像を、ビットマップ画像などとして出力したものを、作成するゲームに追加して表示すれば十分です。どのCGソフトにも、ビットマップ出力の機能はついています。
=== 高速化のための2次元の処理 ===
なるべく単なる2次元画像として処理するほうが、パソコンによる処理も速くなります。
例えば、2次元の横スクロールのアクションゲームのように視点が真横からだけに限定されているゲームの場合なら、たとえ「2次元の横スクロールのアクションゲームだけど、リアルさの表現のために、主人公キャラクターや敵キャラや背景画像は3D-CGで作りたい」場合であっても、Blenderなどの3D-CGソフトで作った主人公キャラなどの形状データをビットマップ画像出力した2次元画像データをゲーム中に表示するだけで十分でしょう。
こういうふうに、あらかじめBlender などの3Dソフトで作成しておいた2次元の画像や2次元の動画などで代用する方式のことを、プリレンダリングといいます。「プリ」とは「前」とか事前とか、そういう意味です。
いっぽう、ゲーム内で画像を表示する直前に3D計算して表示する方式のことをリアルタイムレンダリングといいます。
現在のコンピュータ技術では、映像表現については、ビデオカードやグラフィックカードやGPUなど、映像専用の計算処理デバイスが内蔵されています。
映像の描画は、なるべく2次元ビットマップ画像としてハードディスクやメモリなどに記憶しておいた画像を呼び出すという方式にしたほうが、それらの画像デバイスにより、並列処理的に高速処理できます。
また、ハードディスクやメモリなどの大容量化をするのは、単にハードの枚数を増やせばいいので比較的に容易ですが、いっぽう、CPUを高速化するのは技術的に難しいことが多いのです。
なので、あまり、ゲーム機で描画のたびに毎回3D計算するのではなく(つまり、リアルタイムレンダリングではなく)、ゲーム制作時の3D計算で画像出力しておいた2次元画像データをゲームのたびに呼び出して高速描画するという方式(プリレンダリングの活用)も、ゲームでは処理速度の向上のために必要になります。
=== 2次元画像データで済む事例 ===
真横から見る場合だけにかぎらず、たとえば、RPGで、マップ画面を南の上空から北の地面にむかって斜め45度に見下ろすだけ、とかなら、ビットマップ画像で十分でしょう。
このように、視線が1方向に固定されているなら、たとえ斜め方向の視線であっても、また、どんなに写実的な画像であっても、けっしてゲーム中では3Dプログラミングをする必要はないのです。視点さえ固定されていれば、3Dプログラミングをしなくても単なるビットマップでも表示可能です。
どうしてもゲームソフトでわざわざ3D-CGの処理のプログラムをする場合とは、被写体を見る視点が固定されていない場合で、プレイヤーがゲーム中の映像の視点を360度どの角度にも自由な角度に移動できるような機能を搭載したい場合です。
また、パソコンへの処理時の負荷が、2D画像の表示と比較して3DプログラミングはCPUの計算負荷が大きく、このため、パソコンの性能が不足していると3D画像は処理速度を低下させる原因にもなり、また消費電力も大きくなります。
昨今の携帯ゲームなどでは、消費電力の低減も重要な技術です。
なので、本当に3Dプログラミングをする必要のあるものだけ、3Dプログラミングをするのが好ましいでしょう。
実はゲーム機だけにかぎらず、たとえばパソコンで三角関数や対数関数や平方根などの、小数点以下に無限に桁のつづく数学の関数を使う場合も、実はパソコン内部に三角関数表のような近似値の計算結果があらかじめハードディスクに保存されてあり、関数の使用時には、その数表を呼び出して代入しているだけです。その三角関数の数表を作る場合にだけ、パソコン業者などが超高性能なパソコンを使っているのです。
このように数表などで近似計算しないと、処理速度が遅くなっていまい、使い物にならないのです。携帯用の電卓などの平方根の計算も同様です。電卓では、電力の消費も抑えないといけませんから、そのためにもCPUの負荷を減らすことは必要です。
=== テクスチャー ===
[[ファイル:UV mapping checkered sphere.png|thumb|200px|テクスチャマッピング]]
また、市販の3Dゲームでも、実際には、2次元画像と3次元グラフィックとを組み合わせているものも、多くあります。
テクスチャーといって、3次元物体データの指定した面の表面に、画像を貼り付ける技術があります。([[w:テクスチャー]])
これを使うと、あまりにも複雑な形状を3D的に描きたい場合、大まかな形状だけを3Dで作っておいて、細部は2次元画像で描いて表面に貼り付けたほうが、処理が早くなります。
たとえば、物体表面に描かれた細かな模様などは、いちいち、その細かな模様をすべて3D計算していると、とてつもなく膨大な計算量になってしまうので、普通はそういうことはせず、模様を除いた物体の形状だけを3D計算するのが一般的です。
そして、その物体の3D計算の結果を参考に、画面上での模様の表示位置を算出して、まるで物体に模様を貼り付けるような技術によって、計算量を削減するという技術があります。
このような技術が、テクスチャー技術です。
Windowsアクセサリ「ペイント」などの安価な画像製作ソフトで、テクスチャーとして貼り付けるための二次元画像を製作してビットマップ画像などとして出力しておき、
そのビットマップ画像をBlenderなどで3Dモデルにテクスチャーとして貼り付けておけば、
素人のゲームプレイヤーの目からは、あたかも、ゲーム機内で3D計算をしてるかのように見えます。
なお、プロのゲームグラフィッカーでも、ふつうにSAIとかPhotoshopなどの市販のお絵かき系ソフトで、テクスチャーを作成したりもしており、書籍『ローポリスーパーテクニック』の著者のゲームグラフィッカーの人がそうです<ref>ntny著『ローポリスーパーテクニック』、ソフトバンククリエイティブ、2010年2月16日 初版 第5刷、P.108 </ref>。
ISAO 著『キャラクターを作ろう! 3DCG日和』でも、SAI<ref>ISAO 著『キャラクターを作ろう! 3DCG日和』、 株式会社ビー・エヌ・エヌ新社(BNN)、2009年初版第2刷 発行 、P.50 </ref>とPhotoshop<ref>ISAO 著『キャラクターを作ろう! 3DCG日和』、 株式会社ビー・エヌ・エヌ新社(BNN)、2009年初版第2刷 発行 、P.143 </ref>を用いてテクスチャを書いています。暗黙の前提として、テクスチャの作画には、ペンタブを保有していて、それで描くことを想定しています<ref>ISAO 著『キャラクターを作ろう! 3DCG日和』、 株式会社ビー・エヌ・エヌ新社(BNN)、2009年初版第2刷 発行 、P.153 </ref>。
テクスチャーの利点としてテクスチャーにしたほうが処理は速いのはもちろん、副次的なメリットとして、模様の書き換えなどを表示する場合にも、3D部分は共通ですのでプログラム的にもラクに処理できます。
ザラザラした感じの表面なども、普通はテクスチャーでしょう。もしかしたら、高低差のある物体でも、極端に高低差の小さいデコボコなどは、いっそテクスチャとして画像を表現するべきかもしれません。
また、3Dの人間キャラクターの耳の穴とか、鼻の穴とかは、通常のゲームでは、人体の内部から見る機会はほとんどゼロですし、穴の中を近寄って見る機会もほとんどゼロですので、人体のそういう穴は、けっして細部を正確に3Dモデリングする必要は無いのです。せいぜい、鼻や耳の穴の深さ2センチくらいまで3Dデータを作れば十分であり、その深さ2センチの穴の底に、穴っぽい色をした黒色のテクスチャーを貼り付ければ十分でしょう。
なお、かならずしも3D-CGを使ったからって、それだけで、うまく映像的に表現できるわけではありません。たとえば、光源の位置をどうするか、反射の特性をどうするかなど、適切な設計が必要です。
テクスチャーを使う場合、もし作者であるアナタが、あまり上手に映像設計できないなら、ゲームでは、かえってプレイの邪魔になりかえるので、いっそ単純なポリゴン画像に置き換えるか、もしくは、いっそ2次元で絵を書いてしまいましょう。
{{コラム|フィギュア模型の塗装|
CG以外でも似たような、テクスチャーと似たようなアイデアは用いられています。
たとえばプラモデルやフィギュア塗装のマニアの業界では、
ガンダム的な巨大ロボットのミニチュアのプラモを塗装する際に、影になりそうな部分に自分で影っぽいくらい色を塗るという表現技法があります。
撮影の際の光の加減の調節では、回折光などの影響により、ミニチュアでは影の部分が明るくなってしまうので、
どうしても影のリアリティを出せないからです。
このテクニックは、たしか1998年ごろにホビージャパンだったかモデルグラフィックスからか出版されたエヴァンゲリオン関連のフィギュア塗装のテクニック本だかホビージャパン特集号かに書かれています。
}}
ntny著『ローポリスーパーテクニック』でも、人物モデルの暗くなる部分は、テクスチャとして、SAIやPhotoshopなどで書いています<ref>ntny著『ローポリスーパーテクニック』、ソフトバンククリエイティブ、2010年2月16日 初版 第5刷、P.26 </ref>。
なお色選択のテクニックとして、美少女キャラなどの人体の肌で、影などで暗くなる部分は、単純に明度を下げるのではなく、わずかに赤色を増すように彩度を変えると、キャラの肌の血色が健康的に見えてウケる、というテクニックがこの本の2010年2月の初版第5刷の時点で書籍で語られています<ref>ntny著『ローポリスーパーテクニック』、ソフトバンククリエイティブ、2010年2月16日 初版 第5刷、P.111 </ref>。
ただし、実際の市販のゲームの中には、そのまま明度を下げて暗くなる影の部分を表現したりしている作品もあり(たとえばシュタインズゲートなど)、そういう作品でもヒットしています。
なお、アニメ業界でも、キャラではないですが、エヴァンゲリオンのキャラクターデザインの貞本(さだもと)さんという人の1990年代後半の画集(未完作品『オリンピア』の美少女が表紙のヤツのほう)で、美術史の知識として、ゴッホは影には黒ではなく(たしか)緑色を使った、これは彩度を単調にしないため、という美術テクが語られています。なお、画家によっては、緑ではなく紫を使う、という流儀の人もいます。
中学美術で習うような「明度」・「彩度」・「色相」という単語は、こういうふうに20世紀・21世紀のイラスト理論でも使われますので、ちゃんと勉強しておきましょう。
:※ 余談ですが、アニメ業界でいう「二次曲線」と、数学でいう「二次曲線」とは、意味が違います。貞本さんの画集の発売当時、なにかの書籍で、貞本さんは、アニメ業界では動画・原画の曲線として「2次曲線は使わない業界」(※ 引用ではなく意訳。手元の書籍が無いので)という話をしたのですが、しかしこれは決して数学でいう「二次曲線」のことではないのです。そうではなく、アニメ業界には、定規を使って曲線を描くという、謎テクニックがあります。定規を回転させながら、定規にそってエンピツで線を書くことで、曲線を書けます。
:この定規回転の方法では、書くのが困難な曲線が、アニメ業界でいう「二次曲線」です。 まったくの余談。何かのご参考に。
:※ なお、ゲーム専門学校では、高校の数学が苦手な学生のために、授業とは別に高校数学の補習が用意されている場合もあります。このようにゲーム業界では高校レベルの数学は学んでおいたほうが得(トク)です。
:※ なお、アニメ業界では、1999年にエヴァンゲリオンの監督の人が、「(高校の)数学3は科学者・技術者といった理系の人以外は使わねえ」(意訳)みたいなことを何かの書籍のインタビューで答えています。裏を返すと、数学2Bあたりまでは色々な業界で(直接ではないでしょうが)使える可能性がありそうです。エヴァンゲリオンの作中でも「接線グラフ反転」とか「ハーモニクスが(以下略)」とか言って三角関数のCGグラフを出してますし。
=== アニメーションの必要性 ===
コンピュータの環境によっては、入力パッドなどからの入力の受付け反応があまり良くない場合もありますので、もし入力があった場合に画面の変化をして、プレイヤーに入力が行われたことを分からせる必要もあります。
パソコンゲームの場合、作者であるアナタのPC環境と、プレイヤーのPC環境は、パソコンでは一般に違います。また、たとえ商用のゲーム機でも、コントローラーが故障する場合もあります(なので、修理のために取り外せて交換できるようになっている)。
たとえば、主人公キャラが平坦で周囲に何もない大きな平原を歩いていても、プレイヤーがもし(入力コントローラーなどの)移動ボタンを押したなら、移動中は画面が一時的に変わらないとイケマセン。
簡単な方法は、主人公を画面の中央に写し、移動中は主人公が歩いている動画を表示することです。
もし そうしないと、プレイヤーが、はたして移動が正常に行われたのかどうか判別できなくなります。
なお、画像でなく足音のような音を音声出力することで移動表現をする方法もありますし、フリーゲームではそれでも充分でしょうが、しかし世の中には難聴など人もいることを念頭に置いてください。市販の大手企業の販売している商業ゲームでは、そういうバリアフリーもできるだけ考慮されています。なので余裕があれば、やはり画像的に入力反応の分かりやすい画面設計をすべきでしょう。
もし、2次元の横スクロールアクションのゲームなら、入力が正常に行われたら普通は、入力キーの方向に主人公が移動したりしますので、(たとえ主人公が歩く動きをしなくても)判定できます。
しかし、3Dでは、主人公はつねに中央にいるか、そもそも主人公が映らないので、2次元のような判定はできません。3Dにかぎらず、2d-RPGなどでも、もし主人公がつねに画面の中央に表示されるなら、こういう歩き動画の工夫は必要です。
さて、迷路の十字路を、左折または右折したい場合もあります。この場合、曲がり始めの10°〜20°くらいの比較的に小さい回転角での画像が必要です、
もし中割り画像が、真ん中の45°の1枚だけだと、十字路の斜め前方にあった とんがった壁が前方に来た時に、はたして斜め右側にあった壁なのか、それとも斜め左側にあった壁なのか、プレイヤーには不明です。なので、最低でも、曲がり始めの10°〜20°くらいの比較的に小さい回転角での画像が中割りに必要です、
このように、ゲームプレイでは、単に1枚の画像の細かさだけでなく、動画で連続的に動きを表現する必要もあります。
もし、主人公を画面に写さずに、また、移動中も特別な画像を出さないなら、そのゲームでは、もはや、周囲に何もない広大な平原のような空間を出すことは不可能です。
なので、もし、そういう画面設計(主人公を画面に写さない、)のゲームの場合は、そういうふうに、そのゲーム内のマップ(地図)を設計する必要があります。
=== 力学計算は行わない ===
一般的に流通しているゲームで3D処理のプログラミングを行われている場合、そのようなゲームのほとんどでは、荷重計算や強度計算などの力学の計算は行われていません。
3Dになると映像がリアルなので、てっきり、強度計算などの力学的な計算が行われているように誤解しがちです。
しかし、せいぜい高校物理のレベルの幾何光学の計算しか、行われていません。
こうする理由は、パソコン処理を速くする目的もあります。
荷重計算や強度計算などは、計算を近似しないかぎり、形状がきわめて単純な物体の場合ですら(円柱や立方体や球などですら)、ほとんどの場合は計算に何分~何時間も時間が掛かってしまいます。
しかしゲームでは、なめらかな動画で映像表現する場合などは、画像を1秒間に何十回も描画しなければならない場合もあります。
なので、計算時間の掛かってしまう力学計算は、通常、ゲーム内では行われません。
どうしてもゲーム中で力学的な計算が必要な場合は、近似計算をします。
{{See also|[[w:ラグドール物理|ラグドール物理]]}}
たとえば、
:高校物理で習う放物線運動のように、質点が運動していると近似したり、
:あるいは、伸縮・圧縮する物体なら、内部に、高校物理で習うようなバネが入ってると仮定して近似したり、
:あるいは、曲げなどをする物体なら、工業高校などで習う強度計算のように、物体の厚さがうすい金属板のような物だと近似したり、
・・・のように、高校レベルか、せいぜい大学1年レベルで計算を近似します。いわゆる「線形近似」で処理します。
いっぽう、科学者のような、より精密な力学計算は、ゲーム機用のコンピュータでは計算に膨大な時間が掛かってしまいかねず、そのせいで、動画表現に向きません。精密すぎる計算は、ゲームには不適切です。
どうしても、高校物理~大学1年レベルを超えた、力学的にリアルな映像が必要なら、
:特撮みたいに、現実世界で模型などをつくってビデオ撮影した動画をゲームに入れるとか、
あるいは空想上の物体なら、
:開発中に、ほかの大型コンピュータで力学計算しておいて、その計算にもとづく映像を記録しておいて、その記録映像をゲームに取り入れるとか、(なお、このような手法のことをプリレンダ ムービー という)
そういう工夫が必要です。
書籍『ゲームクリエイターの仕事 イマドキのゲーム制作現場を大解剖』によれば、一般にゲームでは、物理学的に正確な流体計算は行わないです<ref>蛭田健司『ゲームクリエイターの仕事 イマドキのゲーム制作現場を大解剖』、翔泳社、2016年4月14日 初版 第1刷 発行、P108</ref>。その文献によれば、流体計算では、事前に計算した結果をもとにパターンアニメに落とし込んだり、さらにベクトルデータとして保持するオプティカルフローと言う手法を使うこともあるとのことです<ref>蛭田健司『ゲームクリエイターの仕事 イマドキのゲーム制作現場を大解剖』、翔泳社、2016年4月14日 初版 第1刷 発行、P108</ref>。
;数学の状況
なお、流体力学の基礎方程式であるナヴィエ・ストークス方程式は、非線型方程式というものの一種です。非線形方程式は、特殊な条件の場合を除いて微分方程式を解くのが数学者でも困難です(まだ解が知られてない方程式すら非線形方程式には多いし、もしかしたら解は無いのかもしれない。解の式があるかないかすら不明)。このため、高校物理のような数式による厳密解を求めるのが、流体演算では原理的に困難です。
一方、光のもとである電磁波の方程式であるマクスウェル方程式は、線型方程式ですので、これは数式でも厳密に表現することができます。このためか、レイ・トレーシングなどの技術は、流体演算と比較すれば比較的に処理は軽いのが現状です。
また、ナヴィエ・ストークス方程式は3次元の場合はまだ方程式の妥当性が証明されておらず、[[w:数学上の未解決問題|数学上の未解決問題]]です。(もし証明できたらフィールズ賞です。「フィールズ賞」とは、数学にはノーベル賞はないが、数学においてノーベル賞のような役割の賞がフィールズ賞です。)
つまり、ゲーム機会社が、水面などの流体のCGなどの「リアルタイム レンダリング」などを謳ったデモ映像をプロモーションするかもしれませんが、ああいった映像はすべて、二次元近似のできる場合などやさらに様々な制約・近似を課した特定の事例でしか成り立たない場合だけを想定した近似的なシミュレーション映像です。(もし、そうでなくて三次元の一般的な解によるシミュレーションだとすると、上述のようなフィールズ賞の案件になってしまいます。)
ゲームファンのデマ「最近のゲーム機では流体もリアルタイムレンダで物理学的に(以下略)」(△、おそらくデマ)とかに騙されないように、気を付けましょう。
このデマの原因はおそらく、せいぜい光学計算がリアルタイムレンダリングなのを(マクスウェル方程式は線形方程式なので、正確に計算しても計算量が比較的に少ない)、デマ者はあたかも流体もふくめて全ての演算がリアルタイムかつ精密に物理計算してるのかと勘違いしているだけかと思います。
人類の2020年代の技術で、家庭用ゲーム機程度のコンピュータ資源で精密計算できるのは、せいぜい線型方程式までが限界です。
たとえゲーム業界用語で「物理演算」などの表現が使われていたとしても、流体や(後述の)フリルドレスなどに限定するかぎり非線形的な方程式ですので、物理学的にはあまり正確な計算ではありません。
そしてやはり、数学については、(公式の暗記ではなく、証明を理解するという)深い意味で、数学は勉強するべきです(でないと、デマやハッタリにダマされます)。
また、そもそもポリゴン数が多いと処理が重くなるので、たとえば波しぶきなどの流体のしぶきを一々ポリゴン化していたら、あっというまに描画が停止してしまうので、流体演算はゲームでは、あきらめたほうが良いでしょう。
{{コラム|ディズニーアニメのフリルドレスの事例など|
流体演算と同じような計算量の問題は、ゲーム中の巨大生物などの歩行グラフィックにもあります。
たとえば、巨大ムカデのような生物が凹凸のある傾斜を歩くとき、巨大ムカデを地面にメリ込ませたりせずにゲーム速度を維持した描画演算がなかなか難しくなります(少しくらい、地面にメリ込んでいいと妥協するなら可能だろう)。
同様の問題はアニメ映画にも存在します。たとえば2010年くらいの日経サイエンス(サイエンティフィック・アメリカン 日本語版)に紹介されていた事例ですが、アメリカのアニメ映画会社ディズニーでは、3Dアニメ技術の開発においてドレスのフリルの演算に苦慮したといいます。
ドレスのフリルは、フリルどうしがこすれあう接触点が数千個や数万個も膨大にあるので3D演算に膨大な時間が掛かるので、ディズニー社ではスーパーコンピュータを使って、プリレンダ的に描画しているそうです。(なお、日経サイエンスの記事は、ディズニー映画『アナと雪の女王』よりも何年も前の記事です)ディズニー社は、このような計算量の膨大な3D物理演算をなんとか上手く計算するために、科学者を雇用しているほどです。
しかしゲーム産業の場合、プレイヤーにスパコンを用意させることは不可能です。よって、リアルなフリルドレスやリアルな巨大生物など、リアルタイム3D描画はある程度はデフォルメして妥協する必要があり、具体的にはキャラなどが床に少しめり込んだりするのを許容する必要があります。
リアルな女性の長髪なども同様に、スパコン案件になります。この長髪の案件も、ディズニーなどが苦心惨憺して開発していました。ディズニー映画『アナと雪の女王』が映画公開されたころ、例えば子供向けの科学雑誌『子供の科学』で、ディズニーが長髪をバネのようなモデルで近似したことが報じられています。(そのほか、時期は忘れたが日経サイエンスでも似たような解説があった記憶。)
髪は、髪そのものの本数が何万本もあり、しかもその髪どうしが接触しあいます。また、髪の1本自体が曲がります。
このため、もし厳密に計算してしまうと、計算量が膨大になってしまい、計算が事実上は不可能です。
だからディズニーはそのような厳密な方法ではなく、遠隔作用的な反発力で髪の計算を近似しているようです。(※当時にwiki編集者の入手できた科学雑誌ではそれ以上のことが書いてなかったので、詳しくは不明。)
ディズニーは長髪の物理演算の困難のとてつもなさを知っているので、アナ雪に挑戦する前は、トロンという2010年ごろの3D技術を用いたアニメでは、
短い髪で登場人物をデザインしていたほどです。3Dアニメのキャラクターデザインにも、そういう背景があるのです。
どのみちゲームでは、ポリゴン数の問題があるので、長髪のゲーム機でのリアルタイムな物理演算は諦めましょう。
だからファイナルファンタジー8以降の作品が、リアル調な女性の長髪をよく出しますが、おそらくプリレンダ的な処理か何かで、または実写モデルを手本にした3Dモデリングなどで、演算を代用しているハズです。(でないと、もし物理演算そのままだと、スクウェア・エニックス社がディズニーを超える超絶な科学技術力およびスパコンを保有していることになる。)なおディズニーとスクウェアは、『キングダムハーツ』というコラボ作品のゲームを2002年に発売しています。
なお、髪の毛については、そもそもプレイヤーがあまりリアルな髪の動きを普段は求めてはいないという点も、気にする必要があるでしょう。リアルではなく、かわいい動き、かっこいい動きなどを、ゲームやアニメなどの映像の視聴者は求めています。
だいたいゲームに限らずテレビアニメでも漫画でも、登場人物の髪型は、ほぼ、いつも同じ髪型です。また、現実にはありえない髪型のアニメキャラも多くいます。
そもそもアニメやゲームなどの創作物では髪型はキャラクターデザインの時点ですでに、理想的に美しく見える髪形としてデザインされているので、あまりそれを極端に動かす必要も無いのです。
流体のような不定形の物体と違って、髪型には視聴者の好むデザインとの兼ね合いもあります。
だから髪は、アクションシーンや風の強い場合などの場合に、それっぽく髪の毛が動けばいいのです。
たとえば1999年にファイナルファンタジー8が発売されて、CMで3Dキャラ女性の髪の毛がなびくシーンがあったのですが、
それを見た日本の某テレビアニメーターは、「実際の髪の動きとは違う」と言っていましたが(出典は忘れたが、当時のアニメ本であった)、
しかしファイナルファンタジーはそれでも8も8以降の作品も人気の高いままのシリーズです。
}}
ゲーム会社はべつに教育機関ではありませんし、むしろ下手に流体計算などの物理学的事実を勘違いプレイヤーに指摘したせいで、学校の成績に劣等感をもつプレイヤーの屈辱感でも刺激したら反感をもたれてゲームを購入してもらえないでしょうから、ゲーム会社は消費者ターゲット層の勘違いは放置するのでしょう。
やはり、ゲームやアニメなどの娯楽からは、基本的には勉強するのは無理なのです。勉強するには、きちんと国語・数学・理科・社会の教科書を購入して学んでいく方法が適切です。
その他、ゲームに限らず、一般のノートパソコンなどで動作する程度の流体シミュレーターも同様でしょう。流体計算をしているか分かりませんが航空シミュレーターや船舶シミュレーターの類も同様でしょう。だからくれぐれも、「ゲームが駄目なら、航空シミュレーターで代用だ」とかタワゴトを言わないように。
{{コラム|市販パソコンで非線形計算したいなら|
どうしても家電量販店で売ってるような市販パソコンで流体計算など非線形したい場合、少ない計算ですら計算結果を求めるのに何十分や何時間も時間が掛かることがあります。
だから、出かける前や自宅なら風呂前や睡眠前などにあらかじめ動作プログラムを起動させておいて、帰宅時や風呂上り後や起床後などに、計算結果を確認するわけです。
理工系の大学生なども、たとえばゼミ前に研究室パソコンでプログラム起動しておいて、ゼミから戻ってきたあとに研究室のパソコンで計算結果を確認するという手順をよく使っています。(特に参考文献の出典はないですが、しかし理系の大学4年生以上の物理系学科や機械工学・電気工学系などでコンピュータシミュレーションを多用する研究をしている研究室では常識的なノウハウですので、疑うなら理系大卒の人たちにでも取材してください。)
教授などは、自分の普段使いのwindowsパソコンあるいはmacパソコンとは別に、オフラインで計算シミュレーション用の Linuxパソコン も研究室に配備していたりするくらいです。
このように流体計算など一部の物理計算シミュレーションは、とても時間が掛かるのです。
こういう計算機活用ノウハウを知っていれば、「ゲーム機でリアルタイムで流体の精密計算」なんて、とても無理な話だと分かるでしょう。
理系の大学でも、スパコンなど使う前にまず、普通のややハイエンド気味程度のパソコンで事前にある程度は検証しておく必要がありますし、バグなどのないことの確認もスパコンより前に必要でしょう。
もちろん、そういった理科系の大学でも、情報科学の学科などでは流体演算を高速計算するアルゴリズムを研究している人もいる大学もあるでしょうし、学園祭・文化祭などの機会があれば、学外の人でも計算結果のデモCG動画を見ることができる場合もあります。
ですが、このデモCGはあくまで特殊な場合の近似例の結果の動画に過ぎず、けっして精密計算ではありませんので細部の精度は期待できません。
}}
世の中には、勘違いして、「頭のいい人はマンガやゲームなど創作物からも学べる」(※これ自体は正しいかも)というのを、
「マンガやゲームに詳しいだけの俺でも頭いいはずだ」(×)と勘違いしてしまって、ロクに普通の国語数学理科社会を勉強していないまま人生を送ってしまっている人もいます。
そういう人の行き着く先は、犯罪者です。偏見ではなく、マンガ出版社である集英社・小学館は、刑務所の教育委託ビジネスを受注しています。<ref>[https://www.shopro.co.jp/ce/correctional1.html 矯正教育事業 小学館集英社プロダクション] 2022年1月11日に確認. </ref>
マンガ・アニメ・ゲームだけでなく、テレビのバラエティ番組の類しか見ていなくて普通の国語・数学などの勉強が出来ない人も同様でしょう。
世間には、マンガのキャラが受験勉強を始めたら自分もようやく中学高校の勉強を始めるような人がいますが、しかしマトモな人は、いちいちマンガのキャラが行動を開始しなくても、自分の人生で必要なものを高校くらいの時点で自分から勉強し始めるのです。
まだしも、たとえば「音楽をやってみたかったが親から反対されてその学校に進学できずに経済学部に進学したが、しかし社会人になってカネが溜まったし、
最近のマンガのキャラが音楽を始めたから、俺も帰宅後に音楽を始めてみるか」
とかそういうのなら分かりますが、国語・数学・理科・社会・英語の勉強なんて多くの家庭では反対されないんだから(一部は例外あり)、
普通にさっさと始めるのが普通の人です。
学校の勉強だけでプログラミングは出来るようにならないでしょうが、かといってマンガを読んでもゲームプレイをしてもプログラミングは出来ません。
結局、程度の差はあれ普通のプログラマーと同じように、ゲームプログラミングでも、普通にプログラミングなどを勉強することになります。
普通が一番難しいのです。マンガ『ゴーマニズム宣言』でもそう言ってるし、『行け!稲中卓球部』でも最終回にそう言ってるし、
アニメ業界でもガンダムの富野監督が意訳「あなたの読んでるアニメ雑誌だって、本を運送して書店に届けている(普通の)労働者や道路を舗装工事してくれる人のおかげ」みたいなことを何かのインタビューで言っています。
=== 光学計算 ===
ゲーム中の光学計算ですら、おそらく近似をされたものが使われてるのが普通でしょう。
光の3D計算というのは、正確な光は[[w:レイトレーシング]]という、光線の反射経路を追跡していく方法で再現できますが、しかしレイトレーシングには意外と計算量が必要です。
反射した光が別の物体に当たって反射して、 その光が、また別の物体に当たって反射して、 さらにその光が、また別の物体に当たって反射して・・・・・・、
のように、リアルさを追求すると、限度なく、いくらでも無限に計算量が必要になってしまいます。
「反射光の反射光」という現象のように、2次的な反射光があります。
同様に、
:反射光の反射光の反射光という3次的な反射光もあり、
:反射光の反射光の反射光の反射光という4次的な反射光もあり、
無限に続きます。
なので、ゲーム中での3D計算による反射光の計算では、計算の負担の軽減のため、1次の反射光や、せいぜい2次の反射光くらいで、とめておくべきでしょう。
もしゲーム中で、よりリアルな高次の反射光のような映像を表示をしたいなら、テクスチャーなどを活用すべきでしょう。
つまり、ゲーム機以外の別のコンピュータで高次の反射光を計算して、その計算結果をビットマップ画像などとして出力しておき、その画像をテクスチャーにするわけです。
物理的な光には、反射光のほかにも屈折光や回折光があるということは、
つまりCG的な光の種類の組み合わせにも、例えば
:屈折光の反射光とか、
:回折光の反射光とか、
:回折光の回折光とか、
そういう色々な組み合わせもあります。それら高次の計算をゲーム機で厳密にしてリアルタイム処理するのは、現状のゲーム機の性能では不可能なので、どうしてもテクスチャーのような、なんらかの擬似的な処理が必要になります。
また、反射や、不透明な物体の影の計算では、物体の表面だけが必要ですので、そのような計算の場合には、物体の内部の光学特性データは不要です。
どうしても物体の内部の光学特性データが必要な場合とは、せいぜい、透明な物体に光が差し込んで屈折するような場合くらいです。
そして、ゲームではたいていの場合、せいぜい高校物理で習う屈折の法則のような、屈折率が物体内で均一なものしか、扱いません。
{{See also|w:グローバル・イルミネーション|w:フォトンマッピング|w:球面調和関数}}
==== 環境マッピング ====
[[Image:Cube mapped reflection example 2.JPG|thumb|たとえば、中央のオブジェクト(物体)に映りこむ景色を、テクスチャ画像として用意しておけば、環境マッピングになる。]]
鏡にうつりこむ風景や、金属の光沢などは、正確にシミュレーションして求めるにはレイトレーシングが必要になります。
しかし、レイトレーシングによる計算量は上述のように結構、膨大になります。そのため、アクションゲームなど速度の要求されるゲームでは、あらかじめ制作者が、ゲーム機中の映像について光学計算のシミュレーションをしておき、そのシミュレーション結果にもとづく2次元テクスチャ画像によって光を表現する場合も多くあります。
鏡や光沢のシミュレーションで、上述のようにテクスチャによる代替を行うことについて、「[[w:環境マッピング]]」といいます。
しかし、なにも鏡だけにかぎらず、この技術の本質は'''静的な'''レイトレーシング結果をテクスチャで置き換えることですので、照明などによる光の明暗のシミュレ-ションも、環境マッピングのようなテクスチャによる代替が可能です。
しかし、環境マッピングの苦手分野として、鏡が移動するような場合や主人公や敵キャラなどのような移動する物体が存在する場合が挙げられます。
そのため別途、移動する物体による鏡面映像などの描画処理を追加する必要がある。
これら「環境マッピング」の技術のように、ゲーム機での光の描画では高速処理のため、あらかじめ基準となる静止物や基準光源などをもとにシミュレーションした2次元画像データをテクスチャなどで作成しておき、もし光源の移動や追加や、移りこむ物体が移動してしまい影が動いてしまったり、鏡に映りこむ風景の変わる等の場合には、追加的に、なんらかの近似的な補正により、基準テキスチャ画像に補正を加えるというような擬似的な方法で、描画を高速処理するという方法も多く用いられる。
==== 1個の平面鏡の中の景色ならレイトレーシングは不要 ====
景色中にある鏡が平面鏡であり、1つしか鏡のない場合、そもそも、鏡のなかの景色を求めるのには、レイトレーシングをする必要は無い。
中学校・高校の理科や数学などで、1個の平面鏡に映る像の見える計算する公式があったのを思い出そう。
鏡に映る像は、平面鏡では、観測者の反対側に、
たとえば、
鏡
↓
人 |
のように、鏡の前に観測者の人が立ってる場合、
鏡 像
↓ ↓
人 | 入
のように、像は、鏡から観測者の距離が等しい。
そして、鏡のなかでは、左右の向きが反対になる。
自分が鏡を見た場合を思い起こせば、右手に持ってたものは、鏡の中の自分は左手にもっている。
つまり、鏡の中の景色は、単に、鏡の外の景色を左右反転したものになる。
さらに、(別章で説明する)「環境マッピング」などの技術と合わせれば、鏡が固定されている場合、移動物体だけを計算すれば済む。
つまり、平面鏡に写る景色を求めるには、移動物体だけについて、鏡の奥の位置に、左右反転した物体を置けばいい。
ただし、この方法ですら、移動物体のポリゴンの計算量が2倍になってしまうので(鏡の外に置くポリゴンと、鏡の中の世界に置くポリゴンとで、2倍のポリゴン計算が必要になる)、ゲーム中の鏡はどうしても計算量を増大させてしまう。
さて、反射をする道具は、鏡だけではない。金属だって反射をするし、水面だって、いちぶの光を反射をする。ガラス表面も、いちぶの光を反射をする。
しかし、ゲーム中の金属や水やガラスなどのすべての反射物体で、移動物体の映り込みの計算を求めてしまうと、計算量が膨大になってしまうので、たいていのゲームでは、ストーリー上では重要でない物体においては、移動計算の写りこみは無視する。
金属や水面の反射では、光沢だけを描画するという簡略化をするゲームも多い。移動物体の写りこみについては、金属や水面の反射では、省略することが普通であろう。
いっぽう、鏡は、ゲーム中のストーリーで重要な意味をもつ場合が多いので、そのような重要な反射物だけ、光沢以外の移動物体の写りこみなどの反射も計算すればいいのである。そして、たいていの鏡は平面鏡であるので、鏡の中の景色は単に外の景色を左右反転すれば済むので、レイトレーシングすら省略できる。
==== 影の描画 ====
影の正確な描画には、レイトレーシング的に光の多く当たったところほど明るく描画するという方法が、いちばん正確である。
しかし、その理想をそのまま実行するには、光の反射や散乱などをたくさん計算しないとならなくなるので、処理が重くなるので、レイトレーシング的な影の描画方法は、ゲームでは、あまり使われない。
そこでゲームでは、よく妥協案として、光源から出たそれぞれの光線ごとに、光源に一番近い物体によって遮られた(光源の)反対側を暗くする、という処理で近似することも多い。例えるなら、隠面処理のZバッファ法を、明暗の表現に応用するような手法である。
まるで影絵のように、光源と遮蔽物の反対側を、暗くすればいいのである。
被写体ごとに、光源に一番近い面だけを明るく描画し、光源に遠い部分を暗くすれば、影の表現になる。
この計算のためには、当然、被写体ごとに光源からの距離を、計算しなければならない。
さて、複数の光源がある場合でも、それぞれの光源の反対側を暗くすればいい。
なお、それぞれの光源による、影と影とが重なったところは、さらに暗くなる。
=== 細かなノウハウ ===
==== 遠景用のポリゴンデータ ====
たとえば、カメラの遠くにある物体を、細かく描画しても、無駄になります。
なので、遠くにある物体は、ポリゴン数を減らすという、アイデアもあります。
たとえば、遠くにある建物や地形などを、細かく描画しても、無駄になってしまうでしょう。
なので対策として、ポリゴンデータを2種類用意しておけばいいのです。近景として眺めた場合のポリゴンデータと、遠景として眺めた場合のポリゴンデータの2種類を、制作時に用意しておき、ゲームデータとしてゲーム機に組み込んでおくのです。
近景用では、ポリゴン数を多めにデザインしておくのです(いわゆる「ハイポリ」)。
いっぽう、遠景用では、ポリゴン数を少なめにデザインしておくのです(いわゆる「ローポリ」)。
また、人物でもワキ役のポリゴン数を減らすことは、よく行われます。
技術的な背景として、21世紀のパソコンではハードディスクやメモリに記憶するデータ量と、CPU(またはGPU)の処理速度とのトレードオフとの問題です。
高速化のためには、ハードディスク & メモリの使用量を増やしてでも、CPUやGPUの負荷を減らす必要があるので(現在のハードウェア技術では、それが人類のパソコン設計の限界)、たとえポリゴンモデル設計時の作業負担が増えてでも(※ 設計時にハイポリとローポリの2回のデザイン仕事が必要になるので)、遠景のポリゴンを簡略化することでCPUの負担を減らすという工夫が、市販の3Dゲームなどでも、よくあります。
=== 3Dグラフィックのプログラミング ===
現代では一般に、3Dのグラフィックには[[w:DirectX|DirectX]]や[[w:OpenGL|OpenGL]]などの[[w:Application Programming Interface|API]]が利用されます。詳しくは[[OpenGL]]などを参照してください。
しかし、実は、これらのソフトを使わなくても、3Dプログラミングは可能です。
実際、1980年代のマイコンBASICなどのプログラム入門書などを読むと、中学生~高校生向けにワイヤーフレーム式の3Dプログラミングのソースコードが書かれていたりする場合もありました。その程度の初歩的な知識でも、3Dプログラミングは可能です。
もちろん、数学の知識があるのに越したことはないですが、しかし、高校レベルの三角関数に毛が生えた程度の知識でも、3Dプログラミングは可能ですし、1980年代のマイコンBASICのブームの時代から、そういう高校数学レベルで分かる3Dプログラミングの入門書は存在しています。
とはいえ、いまさら3Dソフトをゼロから自作するのは(個人でも不可能ではないが)調べることも多く手間が掛かるので、たいていは、DirectXやOpenGLなど既存のツールを使って、プログラムを作成します。
下記の3Dプログラミングの解説でも、いろいろな数式が出てきますが、数式のひとつひとつは、高校レベルのベクトルや行列、三角関数といった数式です。
行列は、高校の学習指導要領が数年ごとに変わるため、年代によっては高校で習ってない場合もありますが、ここでいう行列とは単に、ベクトルを並べたものです。
行列の計算法について詳しくは[[高等学校数学C/行列]]を参照してください。
=== 球体 ===
一般的な3Dソフトでは、球体の3Dは、たくさんのポリゴン面で表現しています。たとえばblenderの球面の表現もそうです<ref>原田大輔『無料でできる3Dアニメーション ブレンダーからはじめよう!』、技術評論社、2019年3月22日 初版 第5刷発行(なお第1刷は 2012年8月1日)</ref>。
2Dプログラムだと円や球はプログラム文の1行で書けてしまいますが、しかし3Dの球では何十面もの多くのポリゴン面を使用するという、違いがあります。ご注意ください。
無料3Dソフトで確認したところ、少なくとも blender とメタセコイアはそうです(球面はなん十個ものポリゴン面で表現という仕様)。
数珠(じゅず)とか丸いものが沢山あるゲームは大変。
ゲームではないですが、書籍『キャラクターを作ろう! 3DCG日和』の著者が、書籍中で数珠のポリゴン問題に遭遇しており(大鬼が首輪としてデカい数珠を書けてる3Dモデルが書籍では作成されている)、数珠の球1個を、書籍では粗いポリゴンによってデコボコした多面体のようなもので妥協しています<ref>ISAO 著『キャラクターを作ろう! 3DCG日和』、 株式会社ビー・エヌ・エヌ新社(BNN)、2009年初版第2刷 発行 、P.119 </ref>。面が15~20個くらいしか見えない、球のような多面体ですが、しかし数珠だとその球が10個くらい見えてしまうので、10倍の面の数になってしまうので、著者は粗いポリゴンで妥協しています。
blender 入門書では、球オブジェクトを伸ばして、簡単な「ぬいぐるみ」的なモデルの顔や胴体などを作ることも多いですが、しかし頂点数・辺数が多くなるので、「あごをとがらせたい」みたいな一部分だけの変形の際には、操作が難しいなどの理由で、あまり向きません。
じっさい、市販の書籍の後半にある人キャラのモデル例の顔のメッシュを見てみると、球オブジェクトではなく平面オブジェクトを加工して作っています<ref>akiki著『やわらか3DCG教室』、BNN、2019年1月25日 初版第1刷 発行、P.169</ref>。
=== ハイポリの場合も最初はローポリで作る ===
「ハイポリ」と言っても、萌え系の絵柄のモデルの場合、せいぜいメッシュ数はローポリの場合<ref>akiki著『やわらか3DCG教室』、BNN、2019年1月25日 初版第1刷 発行、P.132</ref>の2倍~3倍くらいまで<ref>akiki著『やわらか3DCG教室』、BNN、2019年1月25日 初版第1刷 発行、P.170</ref>、です。
あまりにメッシュ数が多くなりすぎると、手作業での修正が困難になります。
なので、ハイポリを作る場合でも、最初にあらめのローポリゴンで大まかな立体を作っておいて、あらめな範囲でヤレル範囲の位置合わせを行って起き、あとから細分化して微調整をします。これが萌え系のハイポリです。
こういった制作工程を知ると、微調整後の3Dモデルのメッシュ修正は困難であり、あとから修正するのは困難だという事が分かります。
比較的ラクに修正できるのは、キャラの向きの修正や、ボーンの向きの修正など、数の限られる要素の修正だけです。
なお、目や瞳は細かくなりがちなので、
* 目のオブジェクトを用意せずに、顔全体オブジェクトに張り付けるテクスチャーの一部で目を表現するか<ref>ntny著『ローポリスーパーテクニック』、ソフトバンククリエイティブ、2010年2月16日 初版 第5刷、※ 目のオブジェクトは見当たらない </ref>、
* あるいは瞳のオブジェクトを顔の肌の部分とは別オブジェクト<ref>akiki著『やわらか3DCG教室』、BNN、2019年1月25日 初版第1刷 発行、P.132</ref>の2倍~3倍くらいまで<ref>akiki著『やわらか3DCG教室』、BNN、2019年1月25日 初版第1刷 発行、P.187</ref>にします。
どちらの流儀にせよ、作り始めはローポリです。
ローポリのモデルでも、土台の形がシッカリしてると、意外となめらかに見えます(※たとえばntny著『ローポリスーパーテクニック』などで紹介されている市販ゲームのポリゴンがローポリで作られてる)。
なので、けっして、見た目の雰囲気のなめらかさに惑わされて、ハイポリでは作り始めないようにしてください。
少なくとも、初心者が作り始めるような普通の3Dゲームでは、作り始めはローポリのはずです。なぜならローポリで作り始めないと、少なくともblenderではメッシュの修正が困難です。
あるいは、もしかしたら、大企業がDirectXで自社開発した自社ソフトの非公開3Dモデリングソフトとか持っているのなら、その会社だけならハイポリでもいきなり作れたり、ハイポリで修正の範囲指定とかグループ指定とかを上手に出来たりできる特殊UIなのかもしれません。しかし、少なくともフリー公開ソフトのblenderを使っている3D初心者には関係ない手法だし、初心者には利用不可な手法です。
:※ 余談ですが、こういう事情が分かってくると、(ゲーム業界ではないですが、)アニメ業界の人が背景オブジェクトなどを3Dでよく作る一方でキャラは(3Dではなく)手書きで描きたがるのも、うなづけます。単純に「キャラを手で描くのが好き」というアニメーターが多いという理由もあるでしょうが、それだけではなく、実は動画の使いまわしの頻度が少ないなら手書きのほうが3Dよりも早く作れる場合もある、という場合もあります。
:上記のように、細かい萌え絵のキャラ3Dは、作成に手間と時間が掛かるのです。
=== その他 ===
==== ゲームエンジン側での3Dデータの編集 ====
ゲームエンジンでも、簡易的には3Dを編集できる場合もあります。
しかし、ゲームエンジンで、あまり高度な編集はできません。仮にゲームエンジンで3Dデータを編集できたとしても、情報不足だったり、難解だったりします。
たとえばボーンの編集などは、ゲームエンジンでは情報不足か困難かもしれません。
なので、3Dモデリングはゲームエンジンに頼らず、blenderなどの3Dモデリングソフトを覚えましょう。
==== ローポリから始める ====
ゲーム用に限らず、3Dでは、まず形状のモデリングだけをしても、まったくボーンの設定をしていなければ、なんの3Dアニメーションにも進めません。
なので、形状のモデリングはそこそこにして、さっさとボーンの設定まで進みましょう。
このため、3Dソフトの学習では、ローポリから始めるのが効率的です。
テクスチャなどは、初心者はまだ考えなくてよいです。
市販のプレステなどの3Dゲームのようなポリゴンは、初心者には無理です。あこがれる気持ちは分かりますが、初心者には無理です。
一般的に、初心者は、初代バーチャファイターみたいなカクカクしたポリゴンか、それ以下のもっと粗い極度のポローポリで十分です。
実際、市販の書籍で、初心者むけの入門書にある例も、そういった極度のローポリです<ref>『無料でできる3Dアニメーション』、技術評論社、※ 胴体が立方体の1個だけ! 顔は球だけ!</ref><ref>『やわらか3DCG教室』、BNN、※くまさんのぬいぐるみ。腕は球を引き延ばして作ってるだけ。足も同様。</ref>。
極度のローポリの3Dキャラでいいので、さっさとボーンを入れて、さらにアニメーションをするのが、効率的な学習法でしょう。
また、3Dモデリングソフトで作ったモデルデータを、ゲームエンジンに持ち込む場合には、設定の変更などが必要になる場合もあるのですが、もしその場合にハイポリで作ってしまっていると、各ポリゴン面の設定変更のさいの手作業が多くなって、初心者だと詰む可能性もあります。
たとえば、DirectXはそもそも三角形の面しかサポートしてないですが<ref>ntny著『ローポリスーパーテクニック』、ソフトバンククリエイティブ、2010年2月16日 初版 第5刷、P.26 </ref>、しかしblenderは多角形の面をサポートしているので、blenderからゲームエンジンなど他環境への持ち込みなどのさいに設定の変換が必要になったりもあいます。
特にゲーム用途での3Dモデリングの場合、上述のような理由も併せて考えて、ローポリが安全でしょう。
どうしてもハイポリに近づけたゲームを作りたい場合などは、
:まずはローポリでいいのでゲームエンジン側に3Dアニメーションを組み込んでみるなど試作品を作ってみて、
:ローポリ版のデータも残しつつ、あとから、ハイポリ版に差し替えたゲームを作ってみる、
とするのが、安全かと思います。
==== Tポーズから始める ====
3D用語で、棒立ちで、腕を左右に伸ばしたポーズを「Tポーズ」と言います。
このポーズでないと、初心者にはモデリングが困難です。
なぜなら、もし腕を組んだポーズなどでモデリング開始してしまうと、たとえばボーンを動かして腕のメッシュ面を下した場合に、腹や胸のメッシュ面まで一緒におりてしまうとか、そういう操作ミスになりやすいのです。
要するに、間接どうしは離したポーズで、モデリングする必要があります。そうしないと、ボーンを動かしたさいに、身体各部のメッシュが意図せぬ動きをするなどします。
このため、Tポーズで、モデリングする必要があります。
また、間接どうしを遠ざける必要もあるので、つまり足も、微妙に離すのがラクです。棒立ちといっても、「気をつけ」ポーズのように足を閉じてしまうと、少しモデリングが面倒です。
;人間キャラから始める
ほか、暗黙の前提として、人間以外のイヌやネコなどの4足歩行の動物は、間接の動きが難しいので、初心者は動物は避けましょう。
なお、アニメ業界では、手書きアニメーターですら、イヌなどの動物の動画の練習は後回しです。
動物の1枚イラストの講座はネットを探せばチラホラとありますが、しかしアニメーションの場合は、1枚ではなく動画を何枚も書く必要があるので、間接の動き方を研究しなければなりません。
しかし、ネットには、そこまでの情報はないか、あったとしても初心者には習得が困難でしょう。
3D初心者には、動物の間接の動きの研究・理解までは、無理です。
よって、初心者は、4本足の動物をあきらめましょう。
初心者は、人間キャラをローポリで作りましょう。
どうしても初心者が動物っぽいキャラを作りたい場合、せいぜい、キティちゃんみたいな、デフォルメされた動物っぽい顔のキャラを、2歩足で立たせたもので、ガマンしましょう。
あるいは、動物ではなく、ラジコンカーのような4輪車を簡単なモデルで作って遊ぶ、という方法もあります。
ともかく動物3Dは、間接の動きの勉強が、少し面倒です。後回しに。
==== Blender3 のアニメーション設定の入門 ====
Blender(ブレンダー)3以降に特有の操作ですが、アニメーションにおける設定をするためのタイムラインなどの表示のためには、画面上部にある「Animation」タブを使います。
画面上部に
:レイアウト モデリング スカルプト UV編集 テクスチャペイント シェーディング アニメーション レンダリング コンポジティング
というのがあるので、そのタブにある「アニメーション」をクリックすることで、アニメーション関連の編集状態にソフトが移動します。
大まかな流れ(Blenderの場合)
# まず、ローポリで棒人間的な人キャラをモデリング
# ボーン(アーマチュア)を入れて、ウェイトづけ
# ポーズモードにして、Rボタンなどで実際にボーンを回転させるなどしてみて、ボーンと一緒にメッシュが動くか試す
# アニメーションタブでアニメーションに移動。
# アニメーション編集のタイムライン上で、ポーズモードでボーンを動かし、気に入ったポーズを最初のポーズに登録する。(ポーズモードでないと、以下の動作は失敗する)この例の場合なら、(タイムライン上ではなく)ビュー画面上にマウスカーソルを持ってきてIボタンで「キーフレーム挿入メニュー」を出し「位置・回転」を登録。
# タイムラインをマウスドラッグで数十フレーム動かし、またポーズ登録。
# 以下、繰り返す
# 再生ボタンで、プレビューできる
アニメーションのタイムライン登録時、初心者の場合はボーンは一本ずつ動かすことになります。
なので初心者は、ふつうに腕が2本、足が2本の人間キャラをまずは作りましょう。
もし千手観音とか3Dアニメで作ろうとすると、初心者は過労で死にます。
初心者の場合、キャラの動きは、たとえば腕をグルグル回すだけとか、腕をぶらーんぶらーんと揺らすだけみたいな、非日常で簡単な動作にしましょう。
いっぽう、日常的な基本動作の「歩き」とか「走り」とか「振り返り」とかは、数日前に始めたばかりの初心者には無理です。
手書きアニメーターの初心者ですら、月日を掛けて何枚も練習して、とりあえず「歩き」や「走り」っぽい動きを掛けるように練習していきます。
3dモデリングの場合、ソフトの使い方を学ぶのに時間をとられるので、もはや手書きアニメーターのように「歩き」とかから動きを練習するのは無理です。なので、3dアニメの初心者では、もっと大幅に簡単な、非日常で動きの少ない動きから練習しましょう。
で、ここまでやっても、まだBlenderなど3Dソフト内でのプレビューです。最終的に動画として配布するには、mpegやGIFなどに出力する必要があります。
画面左上のほうに「レンダー」というメニューがあるので、「アニメーションレンダリング」を押せば、ふつうに初期設定に従ったファイル形式での動画用のファイル出力が始まります。
初期設定がどうなってるか、知りません。どこに保存されるかは、元画面側のページで、画面右側の縦に長いアイコン一覧に「出力」プロパティに、出力先のフォルダの表示があるのでそこを見てください。
なお、wiki著者の環境では、出力先フォルダは初期設定ではtmpフォルダでした。
大量のPNGファイルとして、出力されました。
気に入らないファイル形式なら、設定を変更して、再度、レンダリング出力しましょう。
この出力プロパティの下のほうを見続けていくと、「ファイルフォーマット」という項目があって、そこが「PNG」になってました。
これをクリックすると、他の動画形式および静止画像形式(PNGやJPEGなど)にできます。
ファイルフォーマットをffmpegに設定すれば、いわゆるmpeg動画になります。念のため動画コーデックを見ておいて、「H.264」になってれば、たぶん大丈夫でしょう。なぜならH.264がmpegの2020年代以降の代表的な動画コーデックだからです。
しばらく時間が経ってから、出力先のフォルダを見ていって、動画ファイルっぽいのがあれば、たぶん成功です。
あとはそれを動画プレイヤーで実際に視聴できるかテストするだけです。
なお、ffmpeg出力の初期設定のまま試したところ、mkvファイル形式で動画が出力されました。
これをもしmp4形式に変えたければ、「コンテナ」を「MPEG-4」に変えれば済みます。ほかにもoggなど色々なコンテナがあるので、必要な形式に設定して、レンダリングしなおしましょう。
出力先が気に入らなければ、「出力」項目を別のフォルダに指定すれば済みます。ですが、フォルダとして指定する必要があるので、あらかじめ出力用のフォルダを作っておいてください。つまり、外付けUSBや外付けHDDなどに、ファルダ無しでのむき出しで保存しようとしても、失敗するかもしれません。
あれこれ設定をいじる前に、まずは実際にファイル出力してみましょう。
実際にファイル出力してみると、構図や色など、気になる点が見つかるものなので、修正していきましょう。
最初の要修正な出力アニメーションファイルを反面教師にして、もとのモデルの色の修正や、設定などの修正をしていきましょう。
色の修正をするには、右側の縦バーの下から2番目あたりにある「カラープロパティ」で、ベースカラーを目的の色に変えます。これだけだと表示は変わりませんが、zボタンで「マテリアルプレビュー」に表示状態を変えてみると、きちんと色が変わっているのを確認できます。
さらに確認として、動画出力してみて、実際に目的の色になってるか確認してみましょう。
アニメーションタブの時点では、左側のプレビュー画面では色がついていませんが、しかしレンダ出力してみると、きちんと色がついています。
なお、レンダ画面で表示中の静止画1枚だけを保存したい場合、アニメーション出力とは方式がちがいます。
静止画像の出力は、まず
:本体側の上部メニュ-バーで「レンダー」>「画像をレンダリング」
:つづけて表示されるウィンドウで、上部のメニューバーにある「画像」>「名前をつけて保存」 です。
初期設定では、背景が黒、オブジェクト色が灰色で、とても見づらいです。
なので、とりあえず背景用に単なる青空の色の、板状のポリゴン直方体でも作って、キャラの後ろにでも置いときましょう。(なお、カメラ位置によっては、キャラ幅に比べて背景メッシュはかなり横幅が広くなります。ゲーム化の際には、なんらかの対応が必要かもしれませんが、とりあえずゲーム化対応は後回しにします。とにかく、さっさと広い横幅の背景メッシュを追加して、色をつけてしまいましょう。)
そして、アニメーション出力してみて、実際にうまく行くか、試しましょう。
なお、出力動画ファイルは、前回出力したファイルに上書きされます。
さて、出力動画を実際に見てみて、もしうまく行くのを確認できれば、次の工程に移りましょう。
キャラの色をつけていったり、床として草原の緑色の地面とか、あるいは茶色い土色の地面でも、直方体の板のメッシュでも作っておきましょう。
キャラにも、顔や手足の肌色とか、つけていきましょう。
そして動画で出力。
全体的に出力動画の色が暗い場合があるかもしれませんが、画面右の縦メニューアイコンにあるワールドプロパティの設定で解決します。wiki著者の環境の場合、「強さ」を変えて数値を初期値1だったのを4くらいに増やしたら、解決しました。
ほかの可能性としては、ライト設定をしてないから、といく可能性もあります。その場合はライト設定をしましょう。レイアウト画面で、「追加」>「ライト」で出てくるメニューの中に、光源の種類として「ポイント」とか「サン」とかあるので、初心者は、いちばん設定のラクなサン光源を選ぶとよいでしょう。
こういうふうに、まず動画を出力していって、あとから修正していくのが、3Dアニメの初心者むけの制作手法でしょう。もしかしたら、手書きアニメとは手法が違うかもしれません(どうかは知りません)。
いきなり「最初から設定を理解しきってから制作する」なんて、現代の3Dモデリングソフトでは、もはや無理です。実際に手を動かしていって、それから追加で勉強をすることは、制作中に行き詰ってから、最低限の必要なことだけをネット検索などで調べましょう。
また、3Dアニメではないですが、一般にCGを使ったアニメで言われる制作手法として、「商品になるだけの最低限の品質だけで、さっさと作り終える」というノウハウがあります。『デジタルの「直しすぎ」問題』とも言われます<ref>[https://news.mynavi.jp/techplus/article/20180320-ACTF2018_03/ 『アニメ制作にデジタル化は必要か? 第一線のクリエイターが議論 - ACTF2018』掲載日
2018/03/20 11:46]</ref>
ゲームの場合、実際のゲーム中での画面で見て問題なければ、それでヨシとします。ntny著『ローポリスーパーテクニック』に、直接は述べられていませんが、そのあたりの事情が下記のように書かれています。
たとえばテクスチャを作画で作る作業などは、制作中の作業では、作業しやすいように拡大して作業するのが普通です。しかし、それだと、実際のゲーム中での表示の大きさとはズレてしまいます。
制作中の拡大画面では上手に作れてると思ったテクスチャが、実際のゲーム画面のサイズに縮小してみると、つぶれたりして見えなかったり、などのミスも初心者にはよくあります。
なので、ntny著『ローポリスーパーテクニック』では、テクスチャの制作中に、実際にゲーム画面のサイズで出力して確認します<ref>ntny著『ローポリスーパーテクニック』、ソフトバンククリエイティブ、2010年2月16日 初版 第5刷、P.31 </ref>。
また、ntny著『ローポリスーパーテクニック』では、P.35で、ゲーム中で縮小されているキャラの3Dについて「戦闘中や、街中の会話ではほとんど顔も見えない。そんな中で贅沢なことをやってもしょうがないので、テクスチャ切り替えやモデル切り替えですませてしまっても誰も気付かない」と述べて(※この人の参加したゲームでは、戦闘中や街中の会話では、キャラの3Dが縮小されているらしい)、あまりモーフィングやボーン操作に頼らないことも多い実情を公表しています<ref>ntny著『ローポリスーパーテクニック』、ソフトバンククリエイティブ、2010年2月16日 初版 第5刷、P.35 </ref>。
なお、アニメ業界では、修正しすぎないように気を付けつつ、それでも採算の合うように適宜に修正するのがプロです。あるアニメ会社は、あるマスコミのインタビュー記事で「1ドット分の微調整が可能になったというのだ。逆に「やれてしまうので時間をかけすぎる懸念もある」というが、クオリティはやはり向上したという。」と評価されています<ref>[https://news.mynavi.jp/techplus/article/20170308-actf2017_02/ 『大阪の新興アニメスタジオが進めたデジタル化、見えてきたメリットは? - アニメ制作者向けフォーラム「ACTF2017」』2017/03/08 12:00 ]</ref>
==== メッシュの結合と分離 ====
アニメーションの際、腕メッシュや顔メッシュなど人体のそれぞれのメッシュを結合すると、移動するのに便利なこともある。
結合しないと、移動の際に、身体各部のそれぞれのメッシュを範囲選択しなければならず、やや手間である。
ctrl + J
で結合(join)できる。
問題は「分離」である。
分離は、分離したいパーツを編集モードで選んだあと、右クリックし、「分離」>「構造的に分離したパ-ツで」で、とりあえず形状だけは分離できる。
しかし、結合の際に、マテリアルプロパティも結合してしまう場合があり(初期設定の無色(灰色)のままだと、マテリアルプロパティの色情報が結合してしまう)、これが上述の「分離コマンド」のあとでも分離しない。このせいの不利益・デメリットは、具体的には、色が独立して変えられない、という事態に陥ることもある。
たとえば、プロパティが結合したままなせいで、顔だけ肌色にしたいのに、服を着ている胴体までも肌色になってしまったりする。
なので、それぞれのマテリアルプロパティをいったん消す必要があり、そのためには、マテリアルプロパティ中にある「×」ボタンを押すと古いプロパティが消えて、その際にプロパティの結合も解除もされるので、新しくそれぞれのプロパティを作り直せばいい。
なお、色をコピーするさい、スポイトやショートカットでは、正確な色のコピーを取れない。よって、色の数値を覚えて手動で調整とか、あるいは、あらかじめカラーパレット登録などをしておく必要がある<ref>[https://botalab.tech/blender28_vertex_color_dropper/ 『Blender2.8で頂点カラー用スポイトを使う』 2019.11.01] 2023年7月29日に確認.</ref>。
==== ボーン名とメッシュ名 ====
最低限のメッシュとボーンが作れて、最低限のアニメーションの動画ファイルの出力に成功したなら、
今度はボーン名やメッシュ名などをつけてしまいましょう。
自動生成された名前の Cube.001 とか Cube.005 とかだと、あとから見返したときに意味不明です。
とりあえず、頭 head 、腕 arm_L および arm_R (あるいは arm1とarm2 など) 、足 leg_L や Leg_R など、さっさと命名しましょう。慣習的に、メッシュ名もボーン名も、英語でつけるのが流行です。
あとからより細かい名前に修正しますが(たとえば)、とりあえずはこれで十分です。
初心者の場合、手のひら、足のひらを作るのは後回しで良いでしょう。
ボーン名の命名でよくあるミスが、頭部のボーン名を face にしてしまうミスです。
頭部のボーン名は、face ではなく head です。faceだと頭部の前面しか意味しません。
腕の英語は hand ではなく arm です。
太ももとかスネは、footではなく leg です。footだと、靴をはく部分になってしまいます。
さて、腕の英語は arm でした。
では、上記でとりあえず付けた名前を、用途に合わせて修正していきましょう。
Unityで推奨されている命名の、
:UpperArm_L
:LowerArm_L
および
:UpperArm_R
:LowerArm_R
が分かりやすくて実用的かと思います。
Unityで推奨されている命名の、
:太ももは UpperLeg_L および UpperLeg_R
:スネは LowerLeg_L および LowerLeg_R
が分かりやすいと思います。
英語では thigh とか shin ですが、しかし分かりづらいので、慣習的には使われません。
なお、ボーン名などの末尾にある左右の L および R は、キャラから見た方向です。なので、プログラマー側から見たら逆向きになります。
胴体の命名は、作家やツールによって違いが大きいので、省略。お好きな流儀をお選びください。
==== 修正作業 ====
===== 色付きメッシュの細分化 =====
とりあえず色付きのアニメまで作れたら、あとからメッシュを修正しましょう。
この際、「細分化」が必要です。編集モードで細分化でき、範囲選択でそのメッシュを全体選択します。
しかし、表示モードがマテリアルプレビューだと、すでに色のついているメッシュを細分化できません。
なので、zボタンを押して、表示モードをワイヤーフレームに変えましょう。これで、色のついているメッシュも細分化できるようになります。
なお、周囲に別のメッシュがあると、範囲選択ミスなどのせいで誤動作になります。なので、周囲にメッシュのない場所まで移動するか、周囲のメッシュのほうを移動しましょう。
;オブジェクト中のメッシュの一部だけ色付けの方法
メッシュの一部だけを色付けするには、マテリアルプロパティ表示時において画面右側の真ん中あたりにある「+」ボタンで「マテリアルスロットを追加」
そのマテリアルの色を登録(ふつうの方法と同じ)、
その後、色変えしたいメッシュを選択し、
その後、さきほど登録したマテリアルを「割り当て」で適用。
===== 顔メッシュの作り直し =====
一通り、動作を確認できたら、オブジェクトを作り直しましょう。既存の細かい球などのオブジェクトを使いまわすよりも、平面メッシュまたは立方体などで作り直しをしたほうが早いです。
少な目のポリゴン数の角柱でバランスを整え、あとからポリゴン数を(2倍程度に)増やして整えていくというのが定石です<ref>ntny著『ローポリスーパーテクニック』、ソフトバンククリエイティブ、2010年2月16日 初版 第5刷、P57 </ref>。
2方向~3方向から見てシルエットがあってれば、この段階では平気です<ref>ntny著『ローポリスーパーテクニック』、ソフトバンククリエイティブ、2010年2月16日 初版 第5刷、P57 </ref>。
{{コラム|よくある構図でのシルエット重視でデザインすべき|
:※ なお、全身のメッシュについては、正面から見たときの輪郭線(つまり胴体の側面ちかくの線)と、横から見たときの輪郭線(つまり胴体の正面の線。正中線)があってれば平気です<ref>ntny著『ローポリスーパーテクニック』、ソフトバンククリエイティブ、2010年2月16日 初版 第5刷、P65 </ref>。どういう事かというと、カメラから見た場合の前後方向は、たいていのシェーディングでは目立ちません。一方、シルエットは目立ちます。
:(※ wiki注)前後方向よりもシルエットのほうが目立つのは、これは3Dに限らずアニメ絵風のイラスト一般でそうです。
:ローポリ本でも「シルエット」という用語を用いています<ref>ntny著『ローポリスーパーテクニック』、ソフトバンククリエイティブ、2010年2月16日 初版 第5刷、P65 </ref>。ポリゴン数を減らすために、すべてのポリゴンを細かく作るわけにはいきません。なので、シルエットになるポリゴンだけを重視してデザインするのです<ref>ntny著『ローポリスーパーテクニック』、ソフトバンククリエイティブ、2010年2月16日 初版 第5刷、P65 </ref>。
:ゲームでは、キャラが横向きをキープする機会は、じつは少ないです。振り向きや回転などで一瞬だけ横を向くことは多くありますが、しかし横をキープすることは少なく、すぐに正面向き(またはナナメ45度向き)のキープになります。なので、こういったキープの構図での、左右の輪郭線を細かく作ればいいのです。(左右ではなく)前後の立体感は、テクスチャーでカバーするのがコツだという事です<ref>ntny著『ローポリスーパーテクニック』、ソフトバンククリエイティブ、2010年2月16日 初版 第5刷、P66 </ref>。
そもそも論として、『ローポリスーパーテクニック』著者じたいが、横向きをキープしたくないと明言しています<ref>ntny著『ローポリスーパーテクニック』、ソフトバンククリエイティブ、2010年2月16日 初版 第5刷、P66 </ref>。
3Dゲームにおいて、キャラの顔が見える構図で長時間キープされる場合とは、正面またはやや斜め顔の構図です<ref>ntny著『ローポリスーパーテクニック』、ソフトバンククリエイティブ、2010年2月16日 初版 第5刷、P65 </ref>。
ローポリ本では明言されていませんが、どうやら、ゲーム会社のモデラー達、グラフィッカー達が、横向きの構図をキープしたいと思っていないかもしれません。
:(※ wiki注)ただし、アニメ産業は異なる。アニメのエンディングの動画などで、しばしば、横向きの歩きのキープ(たとえばドットハック//SIGN のED)、あるいは横向きの走り(たとえばインフィニット・ストラトス 1期のED)のキープの構図のアニメはある。EDでなくとも、たとえばネット検索で「エヴァンゲリオン 横顔」とか「ジブリ 横顔」でググったら、色々とそれらの作品の登場キャラの作中での横顔が出てくるし、その絵の中には作中で長めにキープされていたシーンも多い。
:横顔キープの程度は、程度問題で、アニメ業界でも横顔よりも正面・ナナメ顔のほうが頻度が多いだろう。たとえばアニメ雑誌の書きおろしイラストが典型で、アニメ雑誌の書きおろしイラストなどでは圧倒的にナナメ顔が多い(アニメ産業の場合、設定画などを見ないと、なかなか横顔を見れない作品も多い)。ゲームでも、横顔が少ないとはいえ、横顔になるシーンだって存在するという例外もある。
なおゲームの場合、キャラの背中が見える構図も、戦闘シーンなどで存在します。なので、背中の見える構図も、チェックが必要です。多くのアクションゲームやRPGで、プレイヤー後方視点のゲームが多いです<ref>ntny著『ローポリスーパーテクニック』、ソフトバンククリエイティブ、2010年2月16日 初版 第5刷、P65 </ref>。
}}
{{コラム|3Dは色んな視点で見ることに留意|
ただし、3Dを作る以上、色んな視点で見ても、破綻しないようにしないといけません。
FGOゲームデザイナーの人の書籍『ゲームデザインプロフェッショナル』によると、3Dのよくあるチェックミスが、「ベストな視点でしかチェックしていない」というものですが、しかしそれだと、ゲームデザインの実務では困るようです<ref>『ゲームデザインプロフェッショナル』、2020年10月3日 初版 第1刷発行、P159</ref>。裏から見たら破綻しているとかは困るらしいです。
正面から見たらどうかの確認はもちろん、「真下から見たら?」、「ものすごく近くまで接近して見たら?」など普通のプレイヤーがやらないことまで、ゲームデザイナーはチェックすることもあります<ref>『ゲームデザインプロフェッショナル』、2020年10月3日 初版 第1刷発行、P159</ref>。
「ローポリスーパーテクニック」と「ゲームデザインプロフェッショナル」を合わせて考えれば、正面向き(またはやや斜め)・ゲーム画面で表示される向きを基本をしつつも、コスト的に見合う範囲で、他の向きなども破綻のないように作っていくことになるでしょうか。
}}
ISAO 著『キャラクターを作ろう! 3DCG日和』でも、顔ではなくボディですが、とっかかりモデルを直方体の胴、直方の手足で作っておいて<ref>ISAO 著『キャラクターを作ろう! 3DCG日和』、 株式会社ビー・エヌ・エヌ新社(BNN)、2009年初版第2刷 発行 、P.36 </ref> 、
ガイドなどのための設定イラストは、初心者では、自分で書くのは不要でしょう。上手い人は自分で下絵の正面画・側面画を描いていますが、しかし初心者には下絵を描く際の勘どころが不明です。下絵を描くのは、もっと3Dを作って慣れてからのほうが良いでしょう。
胴体はさいしょは十数角柱<ref>ISAO 著『キャラクターを作ろう! 3DCG日和』、 株式会社ビー・エヌ・エヌ新社(BNN)、2009年初版第2刷 発行 、P.36 </ref>、
手足は八角柱<ref>ISAO 著『キャラクターを作ろう! 3DCG日和』、 株式会社ビー・エヌ・エヌ新社(BNN)、2009年初版第2刷 発行 、P.36 </ref>、胴体は十数角柱<ref>ISAO 著『キャラクターを作ろう! 3DCG日和』、 株式会社ビー・エヌ・エヌ新社(BNN)、2009年初版第2刷 発行 、P.36 </ref> で、とっかかりのモデルを作ります。
八角柱よりもさらに少なくても構わず、ローポリスーパーデクニックでは何と最初は腕のメッシュは5角柱です<ref>ntny著『ローポリスーパーテクニック』、ソフトバンククリエイティブ、2010年2月16日 初版 第5刷、P57 </ref>。
なお、ローポリスーパーテクニック本での胴体のとっかかかりの角柱数はあまり明記されておらず不明ですが、初期画像を見ると8~12角柱のていどで胴体を作り始めています。
あとから点を増やしていきます<ref>ntny著『ローポリスーパーテクニック』、ソフトバンククリエイティブ、2010年2月16日 初版 第5刷、P57 </ref><ref>ISAO 著『キャラクターを作ろう! 3DCG日和』、 株式会社ビー・エヌ・エヌ新社(BNN)、2009年初版第2刷 発行 、P.36 </ref>。
そのあと、仕上げのためにその2倍くらいのメッシュにして、胴体なら最終的に二十数角柱で胴体を仕上げ<ref>ISAO 著『キャラクターを作ろう! 3DCG日和』、 株式会社ビー・エヌ・エヌ新社(BNN)、2009年初版第2刷 発行 、P.40 </ref>、手足は十数角柱で仕上げています<ref>ISAO 著『キャラクターを作ろう! 3DCG日和』、 株式会社ビー・エヌ・エヌ新社(BNN)、2009年初版第2刷 発行 、P.42</ref>。
けっして、いきなり細部をモデリングせず、ある程度はローポリでとっかかりのモデルを作るのがポイントです。
どうしても球を使いたい場合でも、初期設定の細かい分割の球ではなく、新たに分割の粗い球(縦方向が6~7分割ていど)の球を新規で追加したほうがラクでしょう<ref>ISAO 著『キャラクターを作ろう! 3DCG日和』、 株式会社ビー・エヌ・エヌ新社(BNN)、2009年初版第2刷 発行 、P.55</ref>。
とりあえず、キャラのパーツを上から順に顔から作り直したとしましょう。
たとえば、顔を作る場合、土台となる簡単な立体を作るのが、初心者には把握しやすいかと思います。
たとえば、
:簡単な八面体を作る → あとから「細分化」などで頂点と辺を挿入していく
のような手順です。
平面を1個つくって、線を選択したあと、 ctrl + F で、面を押し出しできます。
また、線を2つ以上選んで、Fを押すと、その線を通る 折れ面 を作れます。
もし、意図しない奇妙な 折れ面 ができてしまったら、 Ctrl + T で、面を三角形分割できます。
三角形を4角形にしたい場合、不要な対角線を削除 Del で「線を溶解」すれば済みます。
そして、ともかく、とりあえず閉じた顔のような立体の土台を作ります。
あとは、それを「移動」コマンドで、頂点を追加してその位置を移動していって、正面と横から見て形を整えて、顔のような輪郭にしていけば、大体の場合は、そこそこ顔っぽい立体になっています。
鼻のような突起物を足したり、アゴを頭の半分よりも前のほうに移動したり、なんか修正しましょう。
鼻や目の土台の部分の線を書きたい場合、下記のようにアドオンを追加すると便利です。blenderでは、初期設定のままでは、面の上に線を描くことが不可能ですが、しかしアドオンで線を描くことが可能になります。
「編集」>「プリファレンス」>「アドオン」で、Snap_Utilites_Line をチェックして有効化すれば可能になります。これを有効化すると、編集モードで左ツールバーに、make line というツールが追加されるので、編集モード時にこのツールで面上に線を描けます。
なお、その際、オブジェクトの透過してる表示設定だと裏側に線を描いてしまったり、線が貫通したりする可能性があるので、透過をオフにしましょう
アドオンのツールボタンは、一度追加しても、blenderを終了すると、ボタンが無くなります。再び使用する際には、またアドオンを有効化しましょう。
make line を使う際、線の基準となる開始点が無いと、なぜか上手く動作しないので、とりあえず細分化などで、耳や鼻の中心線を3~5分割でもして、点を形成しておきましょう。
さて、ローポリなので後頭部とかデコボコしてて見苦しいかもしれませんが、しかしメッシュを増やすのは後回しです。
なお、耳を描く際、make line で横顔に描いた耳の土台の線をそのまま押し出しすると、線の押出になってしまい、立体が形成されません。解決するには、押し出しをする前に、Fボタンで耳の土台の面を形成しましょう。
土台の面を形成後、Eボタンで押し出しします。あとから調整できるので、やや大げさに押し出しをしましょう。
押し出し後、1ボタンや3ボタンを使って、みる方向を変えて、耳っぽい量に調整しましょう。また、細分化で点を増やすなどしましょう。
教本だと一発でうまい位置に耳を押し出せていますが<ref>akiki著『やわらか3DCG教室』、BNN、2019年1月25日 初版第1刷 発行、P.173</ref>。、しかし初心者では耳の位置や向きをおそらく間違えるでしょう
たとえば、耳の穴のある面は、実は少し上を向いてます。ですが、初心者はこんがらがって耳を下向きにしたりします。
:手書きの絵なら、初心者でも顔を描く際には無意識に耳を上向きに書いていても、しかし初心者だと無意識では顔の3Dモデリングには耳の向きが反映されません。やはり、実際に3Dをモデリングする経験が必要です。
:比喩的に言うなら、右手でどんなに絵をうまく書けても、左手ではなかなかうまく書けないのと同じです。
:やはり初心者には、ガイド用の下絵を練習をするよりも、実際にソフトで3Dモデリングの操作をしてみる経験のほうが必要でしょう。
ともかく、耳を修正しやすいように別オブジェクトに分離しましょう。耳は形状が複雑なので、初心者はオブジェクトを分けないと、顔のホホのメッシュなどと近づいてしまい、修正が困難になります。
まずコピーのため、顔のメッシュ全体をオブジェクトモードで選択し、 ctrl + D でコピーします。
これだと耳を含む顔全体がコピーされてしまっているので、コピー側は耳だけを残して他を削除します。この段階では、まだ別オブジェクトになってません。
耳だけを選択した状態で、右クリックの後、「分離」>「選択」で、耳が別オブジェクトになります。忘れないうちにオブジェクト名を ear とか mimi (耳) などに変えましょう。
その他、後頭部とかアゴとか修正します。『ローポリスーパーテクニック』の実例の画像を見ると、商業ゲームでも後頭部のメッシュは意外とカクカクしています。頭頂部から後頭部ガワに90度までのリンカク線の数が4個~5個でも、商業ゲームをやれてます<ref>ntny著『ローポリスーパーテクニック』、ソフトバンククリエイティブ、2010年2月16日 初版 第5刷、P53 </ref>。テクスチャーの髪の毛の影の付け方をグラデーションにしてボカすことで、後頭部カクカクをごまかせています。
念のため、時々はナナメなどからも見て、確認しながら修正しましょう。
顔の正しい形が分からない場合、資料を探すことになります。ネットで正しい顔の、いろいろな向きの資料を探す場合、検索ワードに「アニメ」または「イラスト」と入れると資料を探しやすいです。たとえば顔をナナメ上から見下ろす向きで見たい場合「アニメ 見下ろす ナナメ」みたいに「アニメ」と入れると、希望の構図が出てきやすいです。
写真で探そうとすると、被写体のほうが見下ろしている構図とかが出てくる場合が多く、あまり構図を探すのに役立たない場合が多いです。
人間キャラの耳に関しては、ローポリでもハイポリでも押し出しで作るのが普通です<ref>ISAO 著『キャラクターを作ろう! 3DCG日和』、 株式会社ビー・エヌ・エヌ新社(BNN)、2009年初版第2刷 発行 、P.56 ※ローポリの場合</ref><ref>akiki著『やわらか3DCG教室』、BNN、2019年1月25日 初版第1刷 発行、P.173 ※
ハイポリの場合</ref>。
顔ばっか作りこんでも胴体が棒だと違和感だらけなので、ある程度の満足いくまで顔を修正したら、続けて胴体を修正しましょう。
===== ブーリアン =====
一般に3Dソフトには「ブーリアン」という演算があり、2つのオブジェクトの交差している部分だけを自動で指摘できて、目的として2個のオブジェクトの交差部分だけを残したり、あるいは交差部分だけを除去したりできる。
というか、ブーリアン機能が無いと、精密な3Dモデリング設計では、まったく使い物にならない。3D-CGソフトに限らず、製造業の3D-CAD(3Dキャド)などでもブーリアンという概念を使うので、知らないなら今ここでブーリアンの概念を覚えておこう。
これから紹介する blender のブーリアンの場合、交差部分だけを除去できる。
blenderに限らず3Dモデリング系のソフトでは、ブーリアンによる除去時など演算時に、必要な頂点や線を自動生成してくれるので、とても便利である。(というか、それこそがブーリアンの目的である。もしブーリアンが無いと、いちいち手動でいくつもの点や線を作成せねばならずに、仕事では使い物にならなくなってしまう。)
元ネタの数学の「ブール演算」では、アンド演算(and)とオア演算(or)というのがあって、and演算のほうが交差部分の抽出である。or演算とは、オブジェクトの合体である。しかし3D-CGの場合、合体については別コマンドで対応できるので、慣習的に3D業界では「ブーリアン演算」とは交差部分だけに何らかの演算を適用することを言う。
なお、Boolean とは「ブールの」という意味の形容詞であり、べつにブールのアンド演算という意味ではない。
だが、まあblenderのブーリアンはアンド演算なので、覚えやすい。
* 顔とブーリアン
初心者は、どうせ頭頂部とか後頭部とかアゴ先とか、とんがってモデリングしてるだろうから、そういうのはブーリアンで、それぞれの箇所の頂点・辺を一括で、とんがってない形に整形できる。
なお、実はハゲ頭の人間の頭頂部は、意外と、とんがってる。(裏を返すと、ドラゴンボールの亀仙人とかクリリンとか天津飯のハゲ頭のなめらかな丸みは、じつは骨格的にはウソである。)
だが、実際のとがり気味の頭頂部は、世間では違和感を感じる人が多いので、モデリングの際は坊主キャラであっても頭頂部は丸くしておくのが無難であろう。
* 操作の手順
まず、面から飛び出てる部分を切り抜きたい場合でも、決して平面で切断すべきのではなく、厚みを持った直方体で切断するようにする。
なぜなら、平面で切断しようとしても、平面のどちら側を残すのか、ソフトの挙動が不安定だからである。
いっぽう直方体で切断する場合、blenderでは直方体に含まれる側が除去される仕様である。なので、切り抜いて除去したい部分を立体で覆えばいい。
直方体に限らず、球でも多面体でも閉じた立体であれば、その立体に含まれる側が除去される仕組みである。
本ページでは、この直方体の立体をハサミ側としよう。
ハサミ側の立体を十分に大きくして、切られる側のオブジェクトの外周部を面のひとつに含むようにする。
外周部が横断してないと切断に失敗するので、大き目にしておこう。
その後、「モデファイアプロパティ」 > 「モデファイアを追加」 >「ブーリアン」
スポイトで、ハサミ側オブジェクトを選択。
その後、ハサミ立体を非表示にすると(画面の右上のオブジェクト構成欄で目アイコンをクリックで表示を切り替えできる)、たしかに切られてるのが目視できる。
だがまだ適用されてないので、ブーリアンプロパティ上で Ctrl + A のショートカットキーで適用になる。(なお「適用」は英語でapply。)blender3系の場合、ブーリアンプロパティのどこにもapplyボタンが見当たらないので、ショートカットキーで適用を行うことになる。
あとは、空洞になっている切断面を、 Ctrl + F で面を生成し閉じればいい。
このままだと、レンダー時にハサミ側の立体が残るが、画面右上のオブジェクト構成欄の目アイコンの横にレンダーの切り替えアイコンがあるので、それで非表示にできる。
===== ボーンの作り直し =====
腕や足などのメッシュを修正したら、そこのボーンの修正も必要になるでしょう。
ボーンの修正時に、構成がよく分からなくなったら、ボーンを消して作り直すのが早いです。ビュー画面でボーンをクリックして、delete ボタンで消すのが早いし分かりやすいです。
あるいは、エラー「ボーンヒートウェイト」とかで手に負えなくなったときも、同様にボーンを消します。
ペアレントしているボーンを delete し切れば、勝手にペアレントしていたメッシュの階層は、元あった階層に戻ります。
ただし、なんか右上の構成バーで残骸が残ってるので、「アーマチュア」とか書いてあるのを右クリックで「削除」して、完全に消します。
そして、また新規でボーンを作り直します。左上の「追加」でアーマチュアを追加です。
そしてペアレントし直しです。
腕は、手のひら指の関節や、指の関節を作るので、なんども作り直しでしょう。
手のひらについて、手首から指の付け根までの関節は、実はあまり曲がりません。初心者は間違えます(この段落のwiki編集者じしんがそう間違えた)。
曲がり量が多いのは、指の付け根のぶぶんの関節です。
いっそのこと、腕と手を別オブジェクトにするのも手かと思いましたが、それだとアニメーション時に手こずりそうです。
ただし、『やわらか3D教室』では画像を見た感じ、腕オブジェクトと、手オブジェクトを、別オブジェクトにしているっぽいです(指は手オブジェクトに含めている)<ref>akiki著『やわらか3DCG教室』、BNN、2019年1月25日 初版第1刷 発行、P.186</ref>。
腕や足などのメッシュは、胴体メッシュとは別でも構いません。『やわらか3DCG教室』でも、胴体ボーンと手足ボーンとを別々のオブジェクトとして分けています<ref>akiki著『やわらか3DCG教室』、BNN、2019年1月25日 初版第1刷 発行、P.184</ref>。ボーンも同様、分けても胴体と手足を別オブジェクトに構いません。ボーンは、手ボーン・足ボーンを胴体ボーンとは別々のボーンとして作っても、あとからでも統合できます<ref>akiki著『やわらか3DCG教室』、BNN、2019年1月25日 初版第1刷 発行、P.199</ref>。
初心者向けのローポリなら、統合なんかせずに別々のボーンのままにしておくのも手かもしれません。『やわらか3DCG教室』のローポリ手本のボーンが書籍の画像を見た感じ、足ボーンを胴体とは接続せずに、別々のボーンの感じです<ref>akiki著『やわらか3DCG教室』、BNN、2019年1月25日 初版第1刷 発行、P.156</ref>。
なお、このローポリのキャラの手、5本指だけど、そもそもボーンが無い。5本指を書くからってボーンを必ずしも作らなくていい。
『やわらか3DCG教室』では特に名言はしてないですが、手の指はいっそメッシュ側でポーズを直接的に指定してしまうのも策の一つ。
なお、足の指は、どの教本でも素材キャラが靴を履いており、足の指を見せず、よってそもそも足の指はメッシュも無く、指ボーンも無い(「やわらか」本、日和本、ローポリスーパー本、のどれも靴を履いてて、足指のメッシュ自体が無い)。
暗黙の前提だが、服と皮膚は一体のメッシュであり、どの教本でもそうである。
だから、もしキャラが靴を履いてたりして足の指が隠れるなら、足の指のメッシュ自体を作る必要が無い。
なお、『やわらか3DCG教室』本に擬人化の動物キャラの見本(2足歩行のイヌネコっぽい動物の顔の少年)があるので裸足(はだし)なので足の指が出ているが、しかし動物キャラのボーンは5つではなく、文章の説明が無いので不明だが、画像を見た感じ、2~3個のボーンで代用しているようだ。
足の指なんて可動範囲が小さいので、ボーンをいちいち 5本×3関節=15本 もボーンを作る必要は無い。
『3DCG日和』の鬼キャラは裸足で足が4本指だが、そもそも教本ではボーンを作ってない(鬼は、メッシュの作り方だけ紹介)。
なお、『やわらか3DCG教室』のテクニックとして、文章では語られていませんが、腕の付け根を、胴体メッシュ側に含めています。
解剖学・動物学的には本来なら、腕は動物の前足に対応、足は動物の後ろ脚に対応するので、腕の付け根を胴体メッシュに含めるなら、足の付け根も胴体メッシュに含めるのが解剖学的ですが、しかし『やわらか3D教室』では、後ろ足の付け根は胴体メッシュに含めていません。
:※ なお、ネット上にあるイラスト講座(アニメ絵風イラストだとする)の線画の講座でも、よくよく手本の素体イラストを見ると、胴体の練習用の素体はふつう、腕の付け根と、足の付け根とが、胴体の素体の一部として含んでいる形として素体イラストが提示されている場合が多いです。なぜなら、イラスト講座主は明言していませんが、一般に、作画で胴体を書く際に、
:もし仮に胴体素体に手足の付け根が無かったとすると(背理法)、
:あとで手足の本体の太さを付け足す際に、もし胴体サイドの手足の付け根という土台の太さがミスっていると、胴体ごと書き直しになってしまうので(手足の付け根を胴体サイドで書かなかったせいで)、そのせいで後戻りが大幅に発生してしまうミスになってしまうミスに拡大してしまうのです。
:なので、そういった後戻りの防止のための作画テクニックとして、胴体を書く際には早めに手足の付け根を書いてしまう、という作画テクニックがあります。
別の流儀もあります。
メタセコイアなどのように、オブジェクトをさらに分類できるレイヤー機能のあるツールの場合、オブジェクトとしては(頭から足先まで)全身メッシュ、全身ボーンと一体として作りますが(胴体オブジェクトなど個別のオブジェクトは作らない流儀)、しかしレイヤーを胴体、足上部(UpLeg)、足下部(DownLeg)、などと別々に分ける流儀です<ref>ISAO 著『キャラクターを作ろう! 3DCG日和』、 株式会社ビー・エヌ・エヌ新社(BNN)、2009年初版第2刷 発行 、P.198 </ref> 、
:※ wiki編集者がメタセコイアを使ってないので、勘違いしているかもしれません。詳しい人、手助けを頼みます。
なお、メタセコイアでいうレイヤーに相当するのは、blenderでは「コレクション」という機能です [https://blender-cg.net/layer/ 『【Blender】レイヤーの使い方【移動・表示】』2020.12.27, 2016.06.18, ]。
ボーンを作り直したい場合、「リンクの切断」をして、・・・(※ 調査中)
==== ボーンは生物学的な骨とは違う ====
初心者レベルでは考えなくていいですが、「ボーン」と言いつつ、これは単に周辺メッシュを代表する軸でしかないので、生物学的には骨の入ってない場所にもボーンは入ります。
具体的に言うと、女性の髪の毛のフサ・タバとか、ボーンが入ります。なんだか触手というか、ギリシア神話の蛇女メデューサみたいで、慣れるまではキモイです。
スカートなど非生物にも、ボーンが入ります。慣れるまで、なかなかキモイです。
要するに、周囲の関節とは別に、独立して動く可能性のあるものは、ボーンが入ります。
たとえばスカートなら、腹の関節や、足の関節とは別に、風が吹いたりとかでスカートが独立して動く可能性があるので、スカートにもボーンが入るのです。
また、ボーンは軸でしかないので、なので顔のボーンも、一本の軸です。位置的に顔ボーンは、なんだか鬼のツノのように見えたりするので、慣れるまではキモイです。
;本数もちがう
また、腕の、肘から手首までの骨は、生物学的には2本ですが、しかし3Dソフトのボーンは1本だけです。ボーンは動きを指定するための手段としての軸でしかないので、生物学的な骨の数には対応しません。
おおむね、関節と、次の関節までのあいだがボーン1本ですが、しかし多いぶんには問題がありません。
たとえば、肩甲骨のまわりの動きとか、シミュレーションするのは大変ですので、そういうのはせず(3Dソフトにもそういう機能はない)、腕の付け根のあたりに、(生物学的には関節のない位置なのに)ボーンを1~2本ほど足す場合もあったりします。
足の付け根の、股関節の周囲も同様で、ボーンをいくつか足す場合もあります。
また、肩甲骨とか股関節とかの関節の位置について、腕や足のつけ根のボーンの位置は、対応させる必要はありません。
;土台ではない
「骨組み」などの日本語もあるので、ボーンをなんとなく周辺メッシュの土台っぽくイメージしてしまいがちですが、しかしボーンは土台ではなく、ボーンは周辺メッシュを動かすための手段にしか過ぎません。
足の太もものボーンがわかりやすいのですが、生物学的な骨とは、位置がやや違います。
生物学的な太ももの骨は、やや外側によっています。美術解剖学などでも、そう習います。イラスト講座などでも、そう習うかもしれません。
ですが、3Dのボーンは、太ももの真ん中に作ることもよくあります。なぜなら太もものメッシュを動かすためなら、それで十分だし、そのほうが確実に制御しやすい場合もあるあらです。
市販の書籍ではいちいち説明してないですが、しかし書籍にあるボーンの位置を見てみると、生物学的な骨の位置とは微妙にちがっています。
このように、美術解剖学における骨や筋肉などの知識は、残念ながら3Dモデリングには、あまり直接的には使えないのです。少なくとも初心者レベルでは。
とはいえ、プロのレベルだと、美術解剖の専門書を購入して読み込んでいます。書籍『ローポリスーパーテクニック』の著者は、『目で見る筋力トレーニング』(フレデリック・ドラヴィエ著、大修館書店)という筋肉本を進めています<ref>ntny著『ローポリスーパーテクニック』、ソフトバンククリエイティブ、2010年2月16日 初版 第5刷、P.16 </ref>。
==== インストール後の検証と再起動など ====
ゲームエンジンも3Dモデリングソフトも、インストールするさいの容量が膨大で、何十ギガバイトもあります。
インストールしたら、すぐに使いたいでしょう。学習の手始めとしては、それで良いし、まずは動かして覚えるのが効率的です。
しかし、一見すると正常にインストールされたように見えて、実はまだインストールが正常に完了していないかもしれない可能性があります。
だから、ためしにネットの解説サイトやあるいは市販の解説書を参考に操作してみて、どうしても上手く動作せずに操作が失敗する場合、もしかしたら、単にインストールがまだ正常には完了してない場合もあります。
3Dソフト側のインストールの問題だけではなく、windows側のdirectX関係など関連プログラムのインストールなどが、もしかしたらまだ途中かもしれません。
そのような場合の可能性も考えて、なんだかインストール直後の操作の結果がおかしい場合などは、いったんパソコンを再起動してパソコン全体を更新するなど、してみましょう。
たとえインストール初日の1日目にうまく動作しなくても、3日後や1週間後などにまたチャレンジしてみましょう。なぜか数日後には、前回と同じような操作なのに、こんどは正常に動く場合もあります。
インストール時の表示の「インストールが正常に完了しました!」なんて文言、信用してはいけません。
==== 操作しながら学ぶ ====
3Dソフトはあまり理論化されておらず、それほど規格統一などもされておらず、よって、操作しながら、使いかたを学ぶ必要があります。
特に blender はショートカット・キーを多用しなければいけない仕様なので、操作を体感的に覚える必要があります。また、ネットでググりながら使い慣れていく必要があります。
けっして、「先に書籍などで情報を覚えてから、ソフトを操作してみる」なんてしないでください。それだと挫折します。
現代では無料の3Dソフトがあるので、書籍を買うより先に、まずソフトを使い慣れてから、そのあと、書籍を読むなどしてください。
あるいは、書籍を買うより先に、YouTubeなどにある講座動画を見るのも良いでしょう。上手い人の操作を見るのも、勉強です。
:※ ネットの中には、真逆のことを言う、デタラメな人もいます。つまり、「ソフトの仕様書や規格書類などを読み込んでから、操作方法を勉強しろ」みたいなデタラメを言う人も、実際にいます。この段落のwiki著者がソケット通信の学習時にそういう人にネット上で遭遇しました。
:ですが、少なくとも3Dモデリングソフトは、そういう仕様書みたいなのを読み込む学習方法ではなく、最低限の操作マニュアルだけを見てあとは実際に操作をしながら覚えていくものです。
ザッカーバーグいわく、「完璧よりも、早く終わらせろ」という格言もあります。
==== 一つのソフトを集中的に慣れる ====
3Dソフトはまだ規格統一などされておらず、このため、一つのソフトをまずは集中的に学ぶのが効率的です。
もし、学習中にコロコロと使用ソフトを変えると、基本操作など覚えなおしになってしまい、非効率です。
== directXの初期設定 ==
=== 最近の入門事情の難しさ ===
DirectX プログラミングについて2023年の時点では、書籍やネットによる独学が難しくなってしまっており、なんと出版市場から入門書が無くなってしまってる。
かつて、工学社からDirectXプログラミングの初心者むけのプログラミング教本のシリーズが存在していたが、2015年の『DirectX 11 3Dプログラミング』を最後に、DirectX12以降のバージョンが出ていない。さすがに7年以上も前の教本を使うのは、設定など大きく変わっている可能性があり、初心者には難しいし、そもそもこの教本がOSに想定しているWindows7がサポート切れであるので、活用が困難ある。
なお、DirectXの2023年現在の最新バージョンはDirectX12である。
歴代のDirectXの傾向として、数字がひとつ変わっただけでも、初期設定などは大きく変わる。
工学社以外の他社から分厚い解説書はいくつか出ているが、しかし出ている本はどれも入門的ではなく、入門者には分からない説明がいくつか抜けてしまっている状況である。
しかもネットを調べても、最新のDirectX12のプログラミングの解説サイトは少なく、それどころか一つ前のDirectX11の解説サイトすらネットには少ない。
こういう出版状況になってしまっているので、もし周囲にDirectXプログラミングに詳しい先輩(でなおかつ親切に教えてくれる先輩)などのいない環境の独学者は、就職・自己アピールなどのさいには上述のような出版事情を話して、代わりの勉強として、3DモデリングソフトやDXライブラリなど別の勉強をするしかないだろう。
=== 本文 ===
※ 初期設定の解説がネット上に少ない、説明あっても各所にバラバラで不便なので、まとめる。
:内容は調査中.
:市販の書籍の中には、要点を押さえてないクソ本も多い。
:※ インストール方法については省略。ネットにたくさん転がってるので。
DirectX 単体では、ウィンドウを作れない。DirectX用のウィンドウは別途、windows APIで作る必要がある<ref>[https://yttm-work.jp/directx/directx_0026.html DirectXを始める前にウィンドウを作ろう, 著作日不明] 2023年7月26日に確認 </ref>。
nanodなので、最終的に、
* 「Windows デスクトップ アプリケーション」
* 「追加のオプション」チェックで、「空のプロジェクト」<ref>[http://www.wisdomsoft.jp/442.html WisdomSoft 『Visual C++ でプロジェクトを作成する』 , 2012/10/13赤坂玲音, ] 2024年7月26日に確認. </ref>
の2つを作る。
ただし、「追加のオプション」を利用するためには、「windows デスクトップ ウィザード」を利用しないといけない。
なぜならテンプレート選択時のメニュー「windows デスクトップ アプリケーション」だと「追加のアプリケーション」が存在しないので。
このためか、解説サイトなどでは、デスクトップウィザードを用いて設定している<ref>[https://pgming-ctrl.com/directx12/init/ ]</ref>
解説サイト大手のWisdomサイトだとバージョンが古いのか名前が違うが、しかし「追加のオプション」のあるテンプレートを選んでいるので<ref>[http://www.wisdomsoft.jp/442.html ] 、実質的にデスクトップウィザードで選ぶのが簡単だろう</ref>。
※ もしかしたら、万が一、ここで「追加のオプション」を忘れても、 「ファイル」>「新しい追加」>「新しいプロジェクト」 で「空のプロジェクト」の追加でも行けるかもしれないが(未確認)。しかし、最初から やり直すのが無難だろう。
さて、プロジェクト画面が表示されたら、これからソリューションエクスプローラーをいじる必要があるので、もし表示されてなかったら、メニュー欄の「表示」>「ソリューション エクスプローラー」で表示できる。
プロジェクトに、direct3D関連のライブラリを手動で追加しなければならない<ref>[http://www.wisdomsoft.jp/443.html WisdomSoft]</ref> <ref>[https://pgming-ctrl.com/directx12/init/ DirectX12 | 1. 初期化]</ref>。
そのため、メニュー欄の「プロジェクト」>「プロパティ」によって、プロパティページを開く<ref>[http://www.wisdomsoft.jp/443.html WisdomSoft] </ref><ref>第二 I/O 編集部『DirectX10 3Dプログラミング』、工学社、平成19年(2007年) 7月20日発行、P.32</ref>。
「構成プロパティ」→「リンカー」の先にある、「入力」と「コマンドライン」をそれぞれ設定する必要がある<ref>[https://www.kkaneko.jp/pro/directx/DirectX_1.ppt (パワポ) 金子邦彦研究室『DirectX勉強会 第1回』、スライド 10枚目]</ref>。
「構成プロパティ」→「VC++ディレクトリ」 の設定も必要らしい<ref>[https://densanken.com/wiki/index.php?plugin=attach&refer=10%C7%AF%C5%D9-DirectX%B9%D6%BA%C2&openfile=rejume.pdf (pdf) 水野晴規『DirectX プログラミングの準備』 2010/06/12 ]</ref><ref>[https://pgming-ctrl.com/directx12/init/]</ref>。
「VC++ディレクトリ」については、閲覧してみて、「インクルード」と「ライブラリ」のディレクトリが、それぞれ
:$(VC_IncludePath);$(WindowsSDK_IncludePath);
:$(VC_LibraryPath_x64);$(WindowsSDK_LibraryPath_x86)
のようになっていれば問題ない<ref>[https://pgming-ctrl.com/directx12/init/ DirectX12 1. 初期化]</ref>。
なお、この内容は、DirectX SDK と boost のインストール先のパスを指定している<ref>[https://densanken.com/wiki/index.php?plugin=attach&refer=10%C7%AF%C5%D9-DirectX%B9%D6%BA%C2&openfile=rejume.pdf (pdf) 水野晴規『DirectX プログラミングの準備』 2010/06/12 ]</ref><ref>[https://pgming-ctrl.com/directx12/init/]</ref>。
「構成プロパティ」→「リンカー」→「コマンド ライン」<ref>[http://www.wisdomsoft.jp/443.html ] </ref>>で、「追加の依存ファイル」に<ref>[https://densanken.com/wiki/index.php?plugin=attach&refer=10%C7%AF%C5%D9-DirectX%B9%D6%BA%C2&openfile=rejume.pdf (pdf) 水野晴規『DirectX プログラミングの準備』 2010/06/12 ]</ref><ref>[https://www.kkaneko.jp/pro/directx/DirectX_1.ppt (パワポ) 金子邦彦研究室『DirectX勉強会 第1回』、スライド 10枚目]</ref> directX12の場合は
d3d12.lib;dxgi.lib;%(AdditionalDependencies)
を追加する<ref>[https://pgming-ctrl.com/directx12/init/ ]</ref>。
場合によっては、代わりに
d3d12.lib;dxgi.lib;d3dcompiler.lib;%(AdditionalDependencies) を追加する<ref>[https://pgming-ctrl.com/directx12/triangle/ DirectX12 2. 三角形 ] </ref>。
さらに工学社本いわく、「構成プロパティ」→「リンカー」→「入力」で、「追加の依存ファイル」に
d3d10.lib d3dx10.lib dxguid.lib dxerr.lib
を追加。ただし工学社本はDirectX10時代のものなので、現代ではライブラリが違うかも。
なお、科学者の水野さんは、バージョン不明だが「追加の依存ファイル」に、
dsound.lib dinput8.lib dxerr9.lib d3d9.lib d3dx9.lib d3dxof.lib dxguid.lib winmm.lib
を追加すべし<ref>[https://densanken.com/wiki/index.php?plugin=attach&refer=10%C7%AF%C5%D9-DirectX%B9%D6%BA%C2&openfile=rejume.pdf (pdf) 水野晴規『DirectX プログラミングの準備』 2010/06/12 ]</ref>と言っている。
=== 参考文献 ===
* [http://www.wisdomsoft.jp/438.html WisdomSoft]
* [https://densanken.com/wiki/index.php?plugin=attach&refer=10%C7%AF%C5%D9-DirectX%B9%D6%BA%C2&openfile=rejume.pdf (pdf) 水野晴規『DirectX プログラミングの準備』 2010/06/12 ]
* [https://gamesgard.com/directx11_lesson01/ ゼロから始めるDirectX11ゲームプログラミング入門 #1「Visual Studioのインストールと新規プロジェクト作成」]
* [https://www.kkaneko.jp/pro/directx/DirectX_1.ppt (パワポ) 金子邦彦研究室『DirectX勉強会 第1回』]
* 第二 I/O 編集部『DirectX10 3Dプログラミング』、工学社、平成19年(2007年) 7月20日発行
== ケーススタディ ==
==== カメラの配置 ====
3Dゲームを作るときにはカメラの動作を決める必要があります。2Dの表現ではキャラクタを上から見る、斜め上から見るなどの表現がなされますが、それらはどれも場面をある1方向から見る表現でした。一方、3Dで場面を作るときには、それらはあらゆる方向から見る事が出来るので、見る人の視点によって描画される内容を変更する必要があります。
簡単な表現では、カメラの位置はプレイヤーが動かすキャラクタの場所に固定します。このとき、プレイヤーキャラクタが画面内に映らなくなる表現とカメラをプレイヤーキャラクタの後方に配置して、プレイヤーキャラクタを画面内に含める表現があります。前者の表現はFPS([[w:ファーストパーソン・シューティングゲーム|First-Person shooting]]: 1人称シューティング)でよく用いられます。
基本的に3Dでの描画を行うには、それぞれの物体に対して座標を与え、それを適切な角度から2Dへの射影を行う事でなされていました。このとき、3Dの描画にOpenGLを使うとすると、各物体の座標の与え方にいくつかの制限が加わります。例えば座標の原点は常にカメラの位置に固定される、画面上方向は常にy座標とする、などです。
幸いにもgluLookAt関数を利用することで、この制限を乗り越えることができます。gluLookAt関数は、カメラの位置、カメラが向いている方向、上方向の3つの3次元ベクトルを用いて指定する関数で、カメラの位置を変更するのと同じ効果をもたらす行列を作成し、現在選択されている行列にかけます。通常の状態ではカメラの位置(0,0,0)、カメラが向いている方向(0,0,-1),上方向(0,1,0)となり、この時かけ算される行列は単位行列に等しくなります。
gluLookAtの行列は次で与えられます。
まず、
:<math>
\begin{pmatrix}
s[0]&s[1]&s[2]&0\\
u[0]&u[1]&u[2]&0\\
-f[0]&-f[1]&-f[2]&0\\
0&0&0&1
\end{pmatrix}
</math>
で表される行列で、座標の方向を調節します。ただし、
<math>\vec F = \vec {\textrm{center}} - \vec{\textrm{eye}}</math>,<math>\vec f = \vec F/|\vec F|</math>, <math>u' = \vec{\textrm{up}}/|\vec{\textrm{up}}|</math>, <math>\vec s= f \times u'</math>, <math>\vec u = \vec s \times \vec f</math>
を用います。更に、カメラの位置を動かす為に、
glTranslated(-eyex, -eyey, -eyez);
を実行します。
ここでは、上の変換のうちで座標の方向を変更する行列について説明します。この行列の導出にはいくつかの前提が必要となります。まず、変換後の座標系ではカメラは-z方向を向いています。またこの時、画面上方向は必ずy方向になります。これらはOpenGLの座標の取り方から来る制限です。ここではもう1つの制限として、gluLookAtで得られる行列が[[w:直交行列|直交行列]]であることを仮定します。直交行列の各行と列は、お互いに直交する単位ベクトルとなり、直交行列の逆行列は元の行列の転置行列になります。詳しくは[[線型代数学]]を参照して下さい。
行列を求める方針として、<math>\vec f</math>を<math>-\vec e_z</math>に変換し、<math>\vec u</math>を<math>\vec e_y</math>に変換するような行列を探します。このような行列をPとおくと、仮定からPは直交行列なので、
:<math>
\vec e_y = P \vec u
</math>
より、
:<math>
\vec u = {}^t P \vec e_y
</math>
が成り立ちます。最後の式は具体的に計算できて、
:<math>
(p_{21}, p_{22}, p_{23}) = (u_1, u_2, u_3)
</math>
が得られます。同様にして、
:<math>
(p_{31}, p_{32}, p_{33}) = (-f_1, -f_2, -f_3)
</math>
が得られ、求めたい行列のうち6つの要素が得られたことになります。Pが直交行列という仮定を用いると、<math>(p_{11}, p_{12}, p_{13})</math>は、<math>\vec u, \vec f</math>に直交する必要があります。このようなベクトルは<math>\vec s</math>に比例する必要があります。ここでは[[w:座標軸|右手系]]の座標系を保つために、
:<math>
(p_{11}, p_{12}, p_{13}) = \vec s
</math>
と取ります。これで元の変換行列が得られたことになります。
プレイヤーが動かすキャラクタの位置と向いている方向を表す構造体をcameraとし、その値を次のようにおくと(cはcamera型の変数で、この変数がプレイヤーキャラクタの位置と方向を保持しているものとします)、
<syntaxhighlight lang="c">
typedef struct {
double x,y,z,dx,dy,dz;
} camera;
camera c;
</syntaxhighlight>
カメラの位置をプレイヤーキャラクタの位置に変更する方法は次のようになります。
<syntaxhighlight lang="c">
void set_camera(){
glMatrixMode(GL_PROJECTION);
glLoadIdentity();
gluLookAt(c.x,c.y,c.z,c.x+c.dx,c.y+c.dy,c.z+c.dz,0,0,1);
}
</syntaxhighlight>
ただし、ここでは最後の引数(0,0,1)で、上方向がz方向であると定義しました。
上の変換では、カメラの位置を変更したのですが、これだけだと変更された後の位置を中心として、長さ2で表される立方体の中の物体しか描画されません。これはもともと投影行列が単位行列だった時には、原点を中心として長さ2の立方体内の物体しか描画されないことと対応しています。より遠方の物体を描画するには、glOrtho, glFrustumの両関数を利用することができます。一般的なゲームでは"遠方のものは小さく見える"といった表現がなされるので、ここではglFrustumを用います。glFrustumの引数は状況によりますが、x,y方向に関係する引数を大きく取ると視界が広くなり、z方向の座標を大きく取ると遠くのものまで見えるようになります。ここでは
<syntaxhighlight lang="c">
glFrustum(left,right,bottom,top,near,far);
</syntaxhighlight>
をgluLookAtの1つ前にいれます。
実際にこの関数を使ってプレイヤーキャラクタが動く様子を書くことができます。処理の様子は、
<syntaxhighlight lang="c">
int main(){
init_gl();
init_camera();
while(1){
set_camera();
draw_scene();
swap_buffers();
check_fps();
}
return 0;
}
</syntaxhighlight>
のようになります。set_camera以外の関数は説明していないので、以下で説明します。
# init_glは、OpenGLの初期化を行う関数です。この関数は使っている環境によりますが、glutInit (GLUT) , SDL_SetVideoMode (SDL) などが対応する関数です。
# init_cameraは、プレイヤーキャラクタの位置を設定する関数です。cをグローバル変数としておけば、camera型の変数を、引数として渡す必要は無くなります。
# set_cameraは先程説明した関数です。ここではカメラの位置は定数なのですが、後にカメラの位置を動かす場合も扱うので、ループ内に入れました。
# draw_sceneは画面に現れる物体を描画する部分です。ここではいくつかの三角錐を配置しました。
# swap_buffersは、glが描画した内容を画面に表示する関数です。glutSwapBuffers (GLUT) , SDL_SwapBuffers (SDL) などが用いられます。
# check_fpsは、処理にかかった時間を計算し、画面の書き換えのタイミングと次の処理のタイミングが合うようにする関数です。usleep(環境依存), SDL_Delay (SDL) などが用いられます。
次の図は、カメラの位置を動かしながら描画を行ったものです。元々遠くに見えていたものが近づくにつれて大きくなる様子がわかります。
:[[画像:gl3dgame_view1.png]]
:[[画像:gl3dgame_view2.png]]
:[[画像:gl3dgame_view3.png]]
具体的には画面中に見える白い物体はそれぞれ三角錐で、中心の座標は(0,0,0),(3,1,0),(3,4,3),(5,-2,1)となっています。更にカメラの位置は(10,0,1)であり、カメラが向いている方向はいずれの場合も-x方向です。
ここで、init_cameraとdraw_sceneの内容を紹介します。init_cameraは、カメラの位置と方向を定める構造体cに、初期値を与える関数です。ここでは次のようにしています。
<syntaxhighlight lang="c">
static void init_camera(){
c.x = 10;
c.y = 0;
c.z = 1;
c.dx = -1;
c.dy = 0;
c.dz = 0;
}
</syntaxhighlight>
単にカメラの座標を(10,0,1)とし、方向を-x方向に定めているだけです。ここでz座標が0でないのは、FPSでカメラの位置がキャラクタの顔の辺りにおかれることを意識したものです。c.zを0とすると地面を這うような表現になります。
draw_sceneは、次のような関数です。
<syntaxhighlight lang="c">
static void draw_scene(){
glClear(GL_COLOR_BUFFER_BIT);
watch_from_camera();
draw_cone(0,0,0);
draw_cone(3,1,0);
draw_cone(3,4,3);
draw_cone(5,-2,1);
}
</syntaxhighlight>
glClearは、画面の表示をクリアする関数です。watch_from_cameraとdraw_coneはそれぞれ次のように与えています。
<syntaxhighlight lang="c">
static void watch_from(double x, double y, double z, double dx, double dy, double dz){
glMatrixMode(GL_PROJECTION);
glLoadIdentity();
glFrustum(-1,1,-1,1,0.9,50);
gluLookAt(x,y,z, x + dx,y+dy,z+dz, 0,0,1);
}
static void watch_from_camera (){
watch_from(c.x, c.y, c.z, c.dx, c.dy, c.dz);
}
</syntaxhighlight>
ここで、watch_fromが視点変換を行う関数の本体であり、watch_from_cameraは、引数を与えることを目的とした関数です。ここでは
# カメラがただ1つであり
# その名前はcであり
# それはグローバル変数である
という仮定をおいています。更に、draw_coneは、
<syntaxhighlight lang="c">
#define A (glVertex3f(x,y,z));
#define B (glVertex3f(x+0.5,y,z));
#define C (glVertex3f(x,y+0.5,z));
#define D (glVertex3f(x,y,z+0.5));
static void draw_cone(double x, double y, double z){
glBegin(GL_TRIANGLES);
A B C;
A B D;
B C D;
A C D;
glEnd();
}
#undef A
#undef B
#undef C
#undef D
</syntaxhighlight>
としています。頂点と面を指定して多角形を書くときには、頂点と面のそれぞれをGLfloat型と、GLint型の2次元配列を使う方が普通です(例えばRed Book3章)。ここでは簡単のためマクロを使いました。
ここまででカメラの位置を指定する方法を解説しました。ここからはカメラの位置を機器の入力を受け付けて変更する方法について述べます。
実際には入力を受けてカメラの位置をどのように動かすかは、例をアクションゲームに限っても、個々のゲームによって変化します。例えば、
# 常にプレイヤーキャラクタの後ろにつく<ref>[[w:HALO (ビデオゲームシリーズ)|HALO]]([[w:マイクロソフト|マイクロソフト]])、[[w:バイオハザード4|バイオハザード4]]([[w:カプコン|カプコン]])など。</ref>
# プレイヤーキャラクタの位置とカメラの位置を別に用意し、それぞれを別に動かせるようにする<ref>[[w:スーパーマリオ64|スーパーマリオ64]]([[w:任天堂|任天堂]])など。</ref>
# プレイヤーキャラクタの後ろにつくが、キャラクタが反転したときや移動したときの動作に自由度を残す(即座にキャラクタの後ろに回るわけでないので、キャラクタの正面が見えることがある)<ref>[[w:ゼルダの伝説 時のオカリナ|ゼルダの伝説 時のオカリナ]](任天堂)など</ref>
# 場面毎にカメラの位置を固定する<ref>[[w:バイオハザード (ゲーム)|バイオハザード]](カプコン)など。</ref>
ここでは簡単のため、1番目の選択肢である"プレイヤーキャラクタの後ろにつく"を採用します。これは、カメラの位置とキャラクタの位置が同一であるか、簡単な変換で導出できる関係にあるためです。
既に2Dのゲームプログラミングを通して、何度か入力機器の取扱いについて見て来ました。ここでは入力機器を扱う方法として[[w:SDL|SDL]]を使います。SDLは入力機器の初期化と、2D,3Dの描画を扱うための簡単なライブラリで、多くの(主に個人製作の)ゲームで利用されています。
SDLでは機器の入力はイベントとして扱われます。イベントを供給する元はシステムによって様々ですが、X(Linux他)や、DirectInput ([[w:Microsoft Windows|Windows]]) が用いられます。SDLがこれらのシステムからイベントを得ている方法を見るには、SDL-x.x.x/src/video以下の各ディレクトリを見ることが必要です。ここでは詳細を追求せずに、SDLの関数を使うことにします。
実際にイベントの監視を行うには、メインループの中で、
<syntaxhighlight lang="c">
while(SDL_PollEvent(&e))
process_event(&e);
</syntaxhighlight>
などとします。ここで、eはSDL_Event型の変数で、main関数内で定義します。実際にイベントを扱うのはprocess_event関数で行います。SDLが扱うイベントは、キーボード、マウス、ジョイスティックなどの入力機器からの要請の他に、スクリーンからのexposeイベントやresizeイベントがあります。これらは使っていたウィンドウが他のウィンドウで隠された時や、扱うウィンドウの大きさを変更したときに供給されるイベントです。これらの様々なイベントを扱うため、SDL_Event構造体には、
<syntaxhighlight lang="c">
Uint8 type;
</syntaxhighlight>
という要素が含まれています。これは各々のイベントの種類を表す要素で、process_event内ではこの値に従って処理を分ける必要があります。具体的には
<syntaxhighlight lang="c">
static void process_event(SDL_Event *e){
switch(e->type){
case(SDL_KEYDOWN):
cb_keydown((SDL_KeyboardEvent *)e);
break;
case(SDL_KEYUP):
cb_keyup((SDL_KeyboardEvent *)e);
break;
default:
break;
}
}
</syntaxhighlight>
cb_keydown(up)の関数では実際に押された(離された)キーを取得します。このときにはSDL_KeyboardEvent内の、
<syntaxhighlight lang="c">
e->keysym.sym
</syntaxhighlight>
要素を利用します。詳しくは、SDLのインストール先から、SDL/SDL_keyboard.hや、SDL/SDL_keysym.hなどを参照してください。cb_keydown(up)内での具体的な処理は対応するpressed関係の変数を書き換えることです。この処理は2Dの時の例と同じなので省略します。
ここまででキーが押されているかどうかを知る事が出来るようになりました。ここからは具体的なカメラの移動を見ていきます。ここではset_camera関数内で、カメラの移動を行います。カメラの位置と方向はc内に記録されているので、この関数ではpressed関係の変数の値を見て、カメラの方向を変更する処理が必要になります。
実際に行う処理は、カメラの位置を変更する処理と、カメラの方向を変更する処理に分かれます。ここではカメラの位置を変更する処理を先に扱います。
FPSでは、カメラとキャラクタの移動は、次のように行われます。
# "前"を選ぶとキャラクタはカメラが向いている方向に進む
# "後ろ"を選ぶとキャラクタはカメラが向いている方向と反対に進む
ここでは"前"を表すキーとして上キーを使い、"後ろ"を表すキーとして下キーを用います。具体的なset_cameraは次のようになります。
<syntaxhighlight lang="cpp">
static void set_camera(){
if (up_is_pressed()){
c.x += a*c.dx;
c.y += a*c.dy;
} else if (down_is_pressed()){
c.x -= a*c.dx;
c.y -= a*c.dy;
} else if ()
// 回転のための処理
}
</syntaxhighlight>
ここで、aはキャラクタの移動速度を調整するための定数です。実際には人間が地面を蹴って移動するとき人間が得るのは[[w:力積|力積]]なので、キャラクタの移動では位置ではなくキャラクタの速度を変更するべきです。ここでは簡単のため移動にかかる時間は無視できるものとしました。力積については[[高等学校理科 物理I]]を参照してください。
次に、キャラクタの方向を変える処理について説明します。ここではカメラの方向を3次元ベクトルで保存しているのですが、説明の都合上、方向をθとφを使って表します。ここで、θは、z軸方向とカメラの方向がなす角、φは、x軸方向と、カメラの方向ベクトルをxy平面に射影したベクトルがなす角とします。
通常キャラクタの方向を変更するときにはφだけを変更します。ただし、キャラクタの視点に立って辺りを見回す表現(主観視点と呼ばれる)では、θも含めて変更する必要があります。ここではφだけを変更します。具体的には左回転をするときには、
<syntaxhighlight lang="c">
phi += b;
</syntaxhighlight>
右回転では
<syntaxhighlight lang="c">
phi -= b;
</syntaxhighlight>
とします。ここで、bはキャラクタの回転速度を表す定数です。
キャラクタの方向を表す3次元ベクトルとθ, φは次の三角関数で結ばれています。
:<math>
n_x = \sin(\theta)\cos(\phi), n_y=\sin(\theta)\sin(\phi), n_z = \cos(\theta)
</math>
逆の変換は
:<math>
\tan \theta = \frac{\sqrt{n_x^2 +n_y^2}}{n_z}, \tan \phi = \frac{n_y}{n_x}
</math>
となります。これらの値を使って3次元ベクトルと方向を表す角の変換を行うことができます。
1度の回転の角度が十分小さいときには、
<syntaxhighlight lang="c">
static void turn_left(){
c.dx -= m*c.dy;
c.dy += m*c.dx;
normalize(c);
}
</syntaxhighlight>
で左回転を、
<syntaxhighlight lang="c">
static void turn_right(){
c.dx += m*c.dy;
c.dy -= m*c.dx;
normalize();
}
</syntaxhighlight>
で右回転を表すこともできます。ここで、mは定数であり、normalize関数は、cの方向ベクトルを正規化する関数としました。これは、回転の角度が小さいとき、回転による方向ベクトルの変更を元のベクトルに直交するベクトルで近似できることを利用した変換です。方向角を使わないで回転を表現したい場合に利用するとよいでしょう。
これらの関数を用いると、set_camera内のif - else if文に、
<syntaxhighlight lang="c">
} else if (left_is_pressed()){
turn_left();
} else if (right_is_pressed()){
turn_right();
}
</syntaxhighlight>
を付け加えることになります。
===== 具体的な例:sdl_3d_jump =====
ここまでで3Dの座標を設定し、定義された物体をプレイヤーキャラクタの視点から観測する方法についてまとめました。例えば3Dのアクションゲームではこれらの手法に加えて重力を与えて、キャラクタが下向きに落下するようにしたり、キャラクタをジャンプさせるという作業が必要になります。しかし、これらの手法は基本的に2Dの場合と変わらないので、ここでは詳しく述べません。
実際には、上で述べたカメラの動かし方と、[[w:xjump|xjump]]などの2Dアクションの手法を用いて、3Dにおけるxjumpの対応物を作ることができます。ここでは、実際にそれを作成した場合について解説します。
xjumpの対応物を作るために最低限必要な要素は次のようになります。
# 床を作る
# キャラクタが空中にいるとき、キャラクタが落下するようにする
# 床の上にキャラクタがいるときには、キャラクタは落下しない
他に、本来のxjumpでは
# ジャンプに成功した枚数を表示する
# キャラクタの状態によって、キャラクタの画像が変化する
などいくつかの要素があります。ここでは簡単のため、
# 枚数は表示しない
# キャラクタは三角錐で代用
などとして進めます。
; 注意
: DirectXの場合と違い、OpenGLには3Dのデータを読み込むための関数は存在しません(DirectXにはXファイルと呼ばれるファイル形式がある)。後に、外部ライブラリを用いて3Dデータを読み込む手法について説明します。
ここからは先に述べた3つの要素について解説します。xjumpでは、ジャンプによって飛び移るための床は、乱数を用いて生成していました。ここでは簡単のため床の位置は定数の2次元配列で与えることにします。更に、床の大きさを固定することにすると、各々の床を得るために必要な情報は、床のうちの任意の1点です。ここではx座標とy座標が最も小さい部分とします。これらの情報は、例えば、
<syntaxhighlight lang="c">
double planes [N_PLANES][3] = {{0,0,2},{4,0,4}};
</syntaxhighlight>
のように与えることができます。
次に、キャラクタが落下する処理については、カメラの位置を動かす処理で、
<syntaxhighlight lang="c">
c.z -= vz;
vz -= g;
</syntaxhighlight>
などとします。gはここでは下向きの加速度を表す定数です。これらの処理は2Dの場合と同じなので詳しく述べません。
最後に、キャラクタが床の上にいるかを判定するためには、次のような関数を使います。
<syntaxhighlight lang="c">
static int on_the_ground(){
int i = 0;
while (i < N_PLANE){
if (
(PL_X < planes[i][0] + 9.5) && (PL_X > planes [i][0] +0.5)
&&(PL_Y < planes[i][1]+6.5) && (PL_Y > planes [i][1]-0.5)
&&(PL_Z < planes [i][2]+1.0)&&(PL_Z > planes[i][2]-0.5)
)
{
return 1;
}
++i;
}
...
}
</syntaxhighlight>
if文で行っていることはキャラクタの位置(PL_X,PL_Y,PL_Zで与えられる)が各々の床の範囲内にあるかどうかを確かめる作業です。3Dの時の違いは、x座標とy座標の2つについて判定が必要になった点だけです。また、実際にキャラクタが床にいるときに、キャラクタのv_zを0にするなどの処理も行っていますが、2Dの時と変わらないので省略します。
これらの手順で作ったプログラムを仮に3d_xjumpと呼びます。実際に筆者がGLの初期化にSDLを利用してこれを作成してみたところ、300行程度で収まりました。ただし、ここではカメラに回転を行わせず、常にx座標正の方向からキャラクタを見る視点にしました。ここでスクリーンショットをいくつか載せます。
; [[画像:3d_xjump_beginning.png]]
: 手前に見える三角錐を操って空中のボードに飛び移っていきます。上の方に多くのボードが見えています。
; [[画像:3d_xjump_first_floor.png]]
: 最初の1段に飛び乗った所です。画面中央に次に飛び移れそうなボードが見えています。
; [[画像:3d_xjump_middle_floor.png]]
: ある程度進んでから撮ったショットです。画面奥に見える2枚のボードの間はかなりの距離があり、飛び移るのが難しい難所となっています。
; [[画像:3d_xjump_hard_stuff.png]]
: 先程見えていた2枚のボードの間に来た場面です。右端に見えているのがこれから飛び移るボードですが、距離を正確に読むのが難しいポイントです。
; [[画像:3d_xjump_falling.png]]
: コースの全景が見えるポイントから撮ったショットです。実際には画面中央上寄りに見えるボードから飛び降りながら撮りました。画面中央奥手に見える2枚のボードが先程の難所で、画面中最も左下に見えるボードが1枚目のボードです。
ここまででキャラクタやカメラの位置を動かす方法について説明しました。ここからは、より複雑な物体を表示する方法について述べます。ただし、複雑な物体を扱うときでもカメラやキャラクタの位置を動かす方法はこれまでと同様です。
=== 物体の表示 ===
ここでは複雑な物体を表示する方法について説明します。既に、[[OpenGL]]で頂点を用いた物体の描画について説明しました。また、カメラ配置の例では、三角錐を作成しました。実際にはより複雑な物体を表示することが求められます。例えば後に取り上げるSuperTuxKartでは、カートに乗った[[w:ペンギン|ペンギン]]などが画面に表示されます。また、それらのカートが走るコースも、表示する必要があります。
これらの描画を行うには、3Dのデータを作成するためのソフトウェアが必要となります。このソフトウェアは[[w:モデラー|モデラ]]と呼ばれ、3Dのゲーム開発をする上で重要なソフトウェアです。モデラ自体はゲームだけでなく、3Dのモデルを作成するときには常に利用されます。
フリーで使用できるモデラとしては[[w:blender|blender]]が有名です。このソフトは、Windows, Mac OS, Linuxなど各種のプラットフォーム上で利用できるソフトウェアで、先程のSuperTuxKartでは実際に使用されているようです。ソフトの使い方は[[blender]]などを参照して下さい。
モデラを使って作成されたデータは、3Dデータとして保存されます。これは頂点の位置や、面を塗る色などを指定しており、これを読み取ることでモデラで作ったデータを画面上に表示する事が出来ます。
残念ながらこれらのデータには、標準化されたものがなく、データ形式はモデラごとに変化します。各種の形式を読み取るためにはそれらに対応するライブラリを使うのが簡単です。SuperTuxKartでは、[[w:PLIB|PLIB]]を使っています。PLIBは、Windows, Mac OS, Linuxなどで動作する3Dプログラミングの為のライブラリです。SuperTuxKartではデータの受渡しに.acファイルを使っていますが、このファイル形式はblenderとPLIBの双方でサポートされています。
; 注意
: 最近3Dデータの共通フォーマットとして[[w:en:COLLADA|COLLADA]]が[[w:ソニー・コンピュータエンタテインメント|SCE]]から提唱されたようです。
実際にはPLIBを利用して、カメラの配置など3Dプログラミングに必要な作業を行う事も出来ます。しかし、ここではPLIBの機能には深入りせず、与えられた3Dモデルのファイルを表示するプログラムを作成するに留めます。このプログラムは、PLIBのサンプルであるplib_example( )の、src/ssg/tux/tux_example.cxxとほぼ同じ内容です。
; 注意
: ここではOpenGLを用いるためにGLUTを利用しますが、PLIB自身もOpenGLの設定を行う機能を持っている様です。
<syntaxhighlight lang="c">
#include <plib/ssg.h>
#include <GL/glut.h>
ssgRoot *root = NULL;
static void display(){
glClear(GL_COLOR_BUFFER_BIT|GL_DEPTH_BUFFER_BIT);
ssgCullAndDraw(root);
glutSwapBuffers();
}
int main(int argc, char **argv){
glutInit(&argc, argv);
glutInitDisplayMode(GLUT_DEPTH);
glutCreateWindow("aaa");
glEnable(GL_DEPTH_TEST);
data_init();
camera_init();
glutDisplayFunc(display);
glutMainLoop();
}
</syntaxhighlight>
ここまでが、PLIBとGLUTを用いるときの基本的な描画を行う部分です。今までと違うのは、物体の描画にssgCullAndDraw関数を用いていることです。PLIBは3DモデルのデータをssgRootクラスを用いて管理します。ssgCullAndDraw関数は3Dモデルのデータを実際に描画する関数です。ここでは描画する3Dモデルに対するポインタをrootとしました。実際にデータをrootに与える部分はdata_init関数としており、次のように与えられます。
<syntaxhighlight lang="c">
static void data_init(){
root = new ssgRoot;
ssgEntity *snowman = ssgLoadAC("snowman.ac");
root->addKid(snowman);
}
</syntaxhighlight>
ただし、ここでは"snowman.ac"というACファイルが同じディレクトリ内にあるものとしました。ここまでで物体の描画は行われますが、物体が実際に見えている事を知るために、カメラの位置を動かす必要があります。その作業はcamera_init関数で行います。
<syntaxhighlight lang="c">
static void camera_init(){
sgCoord campos;
sgSetCoord(&campos, 0, -10,0,0,1,0);
ssgSetCamera(&campos);
}
</syntaxhighlight>
ここではカメラの位置を(0,-10,0)とし、カメラの向きを(0,1,0)としました。何も設定しないとファイルから読み出された物体の位置は(0,0,0)となるので、これで設定は完了です。
:[[画像:game_programming_plib_snowman.png]]
ここで作成したacファイルは球と円柱だけを用いた物です。より複雑な物体を作るには[[blender]]などを参照して下さい。
==== 具体的な例 ====
===== glTron =====
[[w:en:GLtron]]
===== Neverball =====
[[w:en:Neverball]]
===== SuperTuxKart =====
http://supertuxkart.berlios.de/
== 手書きアニメ調の3D ==
* [[ゲームプログラミング/3Dグラフィック/手書きアニメ調の3D]]
== ローポリ制作手法的なこと ==
ローポリのポリゴン数には、特に基準はないのですが、慣習的に人物キャラクター1体あたり3000ポリゴンがとりあえずの目安になることが多いです<ref>ntny著『ローポリスーパーテクニック』、ソフトバンククリエイティブ、2010年2月16日 初版 第5刷、P.26 </ref><ref>ISAO 著『キャラクターを作ろう! 3DCG日和』、 株式会社ビー・エヌ・エヌ新社(BNN)、2009年初版第2刷 発行 、P.48 </ref>。
一般的に、3D-CGの分野では、顔や手足などの注目される部分はポリゴン数が多く分配されますが、腕などはポリゴン数が少なめです。書籍『ローポリスーパーテクニック』や、別著者の『3DCG日和』(著者 ISAO、出版: BNN、)でも、(著者は特に明言していないが)書籍中のポリゴンデザインはそのように、顔が多めで、腕がスカスカになっています。
これは別にゲームやアニメに限ったことではなく、アメリカの3Dアニメ映画などでも同様であり、たしか岩波書店が90年代後半~2005年ぐらいに出した情報科学書か、あるいか別の数学者(微分幾何学の研究者)が2005~2010年ぐらいに書いた本だったかで、そう書かれていたような記憶があります。
若山正人 編『可視化の技術と現代幾何学』、岩波書店、2010年3月26日 第1刷発行 、を確認したら、その本にはポリゴンの密度の方よりの話題は無かった内容なので、たぶんそれより前の時代の別の数学書に書かれていたと思います。
CG用語で「特徴点」という用語があるのですが、顔はほかの身体パーツと比べて特頂点が多いので、アメリカのハリウッド業界などで使われている3D-CG製作ソフトでもモジュールが顔とそれ以外とでは分かれていると、その科学者は古いほうの岩波の書籍で述べていました。
アマチュア・初心者向けの3D-CGソフトでは、あらかじめ特徴点が設定されているのが普通です。
3Dゲーム業界では、「リギング」と言って、ポリゴンとジョイントを関連づける作業もあり、一般に3Dモデラーがリギングも担当します<ref>蛭田健司『ゲームクリエイターの仕事 イマドキのゲーム制作現場を大解剖』、翔泳社、2016年4月14日 初版 第1刷 発行、P113</ref>。
:※ ネット検索で探すなら、「特徴点」で探すよりも「リギング」で探したほうが3D-CGの情報が見つかりやすいかもしれません(試してみた)。
あと、現代では3D作品では、作品にも寄りますが、イラストを描く人と、そのイラストをポリゴンにアレンジして3Dデザインをする人とは別の人です。
2Dイラストレーターに先にデザインを出してもらい、それをもとに3Dグラフィッカーがポリゴン用に3Dデータを作り直します。
これは、ゲーム『シャイビングフォース・イクサ』などの「3Dデザイナー」(参考文献中の表記)職である ntny(※著者名)著『ローポリスーパーテクニック』(ソフトバンク出版)にそう書かれています<ref>ntny著『ローポリスーパーテクニック』、ソフトバンククリエイティブ、2010年2月16日 初版 第5刷、P.13 </ref>。
2Dイラストレーターのデザインでは3D的な整合性を意図的に考えずに自由な発想でデザインをしてもらう仕事を依頼するので、整合性など不自由な部分への対応については3Dグラフィッカーが(整合性を)補うと書籍に書かれています。書籍『ローポリスーパーテクニック』中にも
:「 間違っても、イラストレーターに、「整合をとったイラスト」を注文してはいけない 」
と書かれています。「それを上げるのは、理詰めで作るデザイナーだけでよい。」(※「デザイナー」とは、書籍の文脈では3Dグラフィッカーのこと)と書籍にあります。
だから、ゲーム業界では(アニメ業界とは異なり、)三面図がない場合もあります<ref>ntny著『ローポリスーパーテクニック』、ソフトバンククリエイティブ、2010年2月16日 初版 第5刷、P.12 </ref>。
キャラの前後の2枚の設定画さえあればいい、とのことです<ref>ntny著『ローポリスーパーテクニック』、ソフトバンククリエイティブ、2010年2月16日 初版 第5刷、P.14 </ref>。
(この点、アニメ産業とは異なります。また、こういったゲーム文化とアニメ文化の違いにより、アニメ版権モノの作品のゲーム化では、例外的にアニメ文化に合わせて、膨大な設定資料をもとにゲーム制作することにもなったりすると、ローポリスーパー本のnyuuさんは述べています<ref>nyny著『ローポリスーパーテクニック』、ソフトバンククリエイティブ、2010年2月16日 初版 第5刷、P.14 </ref>。)
テクスチャを描くのは、3Dデザイナーです。なので、3Dデザイナーにも2Dイラスト力が必要です<ref>nyny著『ローポリスーパーテクニック』、ソフトバンククリエイティブ、2010年2月16日 初版 第5刷、P.16 </ref>。
多くのゲームの場合、ゲームで最も負荷が掛かるのは、RPGなら戦闘、アクションゲームならアクションシーンです<ref>『ローポリスーパーテクニック』、P28</ref>。
シーン全体で使えるポリゴン数に上限があり、たとえば上限が30000〜35000万(秒間30フレーム)だったりするので<ref>『ローポリスーパーテクニック』、P28</ref>、そこから逆算して各オブジェクトの制限ポリゴン数の仕様が決まったりします。
背景や戦闘エフェクトなどにもポリゴン数が配分されるので、それだけでポリゴン数の半分くらいを占めてしまうこともあり<ref>『ローポリスーパーテクニック』、P29</ref>、キャラクターと敵のポリゴンは残り半分くらいしか使えません。そういった諸々が上司などに考慮されて、キャラクターのポリゴン数が1体あたり3000くらい、と決まったりするようです。
敵モンスターのポリゴン数はそれより少ない場合も多く、モンスター1体あたり1500ポリゴンだったりする場合もあります<ref>『ローポリスーパーテクニック』、P28</ref>。おそらくですが、キャラクターをウリにするゲームの場合、キャラクター以外のポリゴン数は犠牲になるのでしょう。
実は、イベントシーンなどの上半身のアップでは、イベント用の別ポリゴンモデルを使っている場合もあります<ref>『ローポリスーパーテクニック』、P30</ref>。
:※ アニメ業界でも似たような手法があります。極端な顔アップや目アップなど、実はキャラ設定画とは別の設定画が存在する場合もあります。調べやすい例だと、アニメ『新世紀エヴァンゲリオン』テレビ版(1995〜96年版)の設定画がそうです。このアニメの設定資料では極端な目アップの設定画がありますが、実は全身の設定画の絵にある目の絵とくらべると、目アップと全身画の目には線の本数や位置が違います。目アップの設定画を単純に縮小コピーしても、まったく全身の設定画の目にはなりません。
その他の例では、書籍『ゲームクリエイターの仕事』によれば、カメラから遠くて小さいキャラクターの場合には、ポリゴン数の少ないものに切り替えるという手法もあり、このような手法を LOD (Level Of Detail) と言います<ref>蛭田健司『ゲームクリエイターの仕事 イマドキのゲーム制作現場を大解剖』、翔泳社、2016年4月14日 初版 第1刷 発行、P112</ref>。
一般的に、キャラクターに表情をつけさせる場合、「特徴点」(とくちょうてん)と言われるモデル中の各パーツを代表する(パーツ1つあたり)数個程度の頂点を移動します。
目の両端および中央、まゆの左右および中央、鼻の左右および中央や鼻頭、口の左右および中央、こめかみ、あご、などに、それぞれ特徴点がいくつか当てられています。その特徴点を、望みの表情になるように移動することで、表情をつけます。
関節などにも特徴点があります。
重要なことは、「こめかみ」にも特徴点があることです。(別セクションで紹介した岩波書店だか微分幾何学者の本にも、特徴点のひとつとして「こめかみ」が書いてありました。)
子供の描くような平面的な顔の絵と、立体的な顔のデザインのコツは、こめかみを意識した絵を描けるかどうかです。子供の遊びの「福笑い」だと、こめかみを意識する事が無いので、なかなか「こめかみ」のデザインには意識が回りません。
正面顔での「こめかみ」の位置は、実は、目の瞳の下の位置です。(世間では、勘違いして、輪郭の位置だと思ってる人が多い。)自分の顔で試してください。鏡の前で、正面を向いた状態のまま「こめかみ」の頂上に指を当てて、指を上に動かして、目の手前に来るまで上に動かしてください。誰の顔でも、指先は目じりの下のほうに到着します。
しかし世間の人の多くは勘違いしており、「こめかみの頂上は輪郭上にある」(×)と錯覚しています。
ローポリスーパーテクニックの著者は、「こめかみ」のこの世間の勘違いを「こめかみトラップ」と呼んでいます<ref>『ローポリスーパーテクニック』、P44</ref>。
この「こめかみ」のデザインのコツは、一般のイラスト技法書を見ても、なかなか解説書が見つかりません。アニメーターさんとか立体的な絵を書けるのでアニメーターは感覚的には絶対に分かっているハズなんですが、しかしアニメーター教本でも、なかなか「こめかみ」の説明を見つけるのが難しいです。
やはり、CGソフトをイジって、こめかみのポリゴンを実際にいじっているプロの人だと、目のつけどころが違います。やはり、絵の勉強において、色々な映像クリエイターの人の意見を技法書で読むのは勉強になります。
いろいろとローポリ本の解説をしてしまいましたが、実は「ローポリにセオリーはない!」ともローポリ本の著者は述べています。なぜそうなるかというと、ゲームで使われるポリゴンモデル自体が、ゲームの仕様から逆算されて決められるからです<ref>『ローポリスーパーテクニック』、P24</ref>。
よく整形手術の広告か何かで、「ほお骨を削ってスリムな顔に」とか言ってるのを見掛けると、こういう「特徴点」の存在を知ってる人は、整形広告がバカバカしく思えるでしょう。ああいう広告を真に受ける層な時点で、「わたしは観察力すらない馬鹿で〜す。正真正銘の馬鹿でーす」と自己紹介しているようなもんです。観察力さえあれば小学生ですら、ほお骨の共通性に気づけるわけです。ほお骨の位置関係なんて、人種が同じなら、ほぼ共通なわけですが、しかし馬鹿は観察力が無いので気づきません。
馬鹿は、目の前の現実よりも、先入観を重視します。そのくせ「自分は先入観にとらわれない(から、私は頭いい!)」とか思っています。
そのくせ、馬鹿ほど「自分は観察力がある」と思って自惚れて(うぬぼれて)います。マンガ『行け!稲中卓球部』で、文脈は違いますが「馬鹿のくせに自分は頭がいいと思ってるタチの悪い馬鹿」という表現がありますが、まさにそれピッタリです。
その整形後の写真か何かを見て(CG加工してない保証すらないですが)、「美人だ」とか言ってる人もまた馬鹿の自己紹介です。馬鹿は馬鹿同士で褒め合います。関わらないようにしましょう。
アニメ作品だと、ジブリのアニメの宮崎駿のキャラクターデザインや、カラー社『新世紀エヴァンゲリオン』のキャラクターデザインだと、ほお骨がけっこうハッキリとしています。ロボットアニメだと、パイロットを斜め下にあるカメラから見上げる構図もあるので、けっこうホオ骨が目立つ構図もあります。イラスト趣味では「どういう絵柄を好きになるか?」の時点ですでに、自分の観察力アピールが始まるのです。
さて、ローポリ本の著者は述べていませんが、「こめかみ」他にも忘れやすいパーツとしては、目の白目(しろめ)も忘れやすいです。目のデザインを描くときも、瞳の中のハイライトばかりに意識が向きがちなので、白目の部分に意識がむかず、そのため極端に白目の少ない目をデザインしてしまうと、お猿さんやお馬さんのような動物的なつぶらな目になってしまいがちです。それが好きならそれでも構いませんが。
ともかく、ローポリの場合、特徴点を動かして表情をつけるので<ref>『ローポリスーパーテクニック』、P35</ref>、なのでポリゴン数も限られてきます。(「ローポリスーパーテクニック」では「頂点情報」と言ってるが本ページではCG学の用語にならって「特徴点」とした。岩波本だかにも「特徴点」で「表情」という表現があったので。岩波本などによると、特徴点を編集して表情をつくるという作業の流れは、けっして日本のアニメやゲームだけでなく、アメリカなどのハリウッド映画やディズニー映画などもそうだと言ってました。)
だからともかく、3Dゲームのキャラクター表情の場合、特徴点以外はなるべくテクスチャーで処理することになるでしょう。
一応、複数の一体化したポリゴン複数セットのうちの代表点の1つだけを特徴点とする方法を使えば、もっと多くのポリゴンをCGソフトで操作できるかもしれませんが、ゲームではローポリ化する必要あるので不要でしょう。(もしかしたらハリウッド映画のリアルCGなどだと、ポリゴン複数セットの代表点の方式のほうが良いかもしれません(推測です。現在の版のwiki編集者はよく知りません)。)
;その他
ローポリに限りませんが、一画面中で表示可能なポリゴン数に制限がありますので、実は現在のゲームで一画面中に表示できるキャラクターやモンスターなオブジェクトの個数には、限りがあることになるハズです(特に参考文献はありませんが)。
ファミコン時代の昔のゲームは、画面中の描画処理の限界のため一画面中のキャラ数に限界がありましたのでマップ配置が実はそういう制限を受けていたでしょうが、実は現代の3Dゲームでもポリゴン数の制限で似たような問題が生じてしまいます。
とにかく現代では、一画面中で表示可能なポリゴン数に制限がありますので、だから物陰に隠れて見えないはずのオブジェクトは、いちいち表示をオフにするプログラムを組まないといけません。
一方これが[[映画]]、[[アニメ]]用の3D-CGだったら、そんなことせずともZバッファ法で手前のオブジェクトで上書きするだけで奥のオブジェクトは隠れますし、最終的に動画ファイルにエンコードするので問題ないです。ポリゴン数が多くても、単にエンコード中の時間が掛かったりするだけで、最終的にエンコードされた動画の速度には関係ありませんので。単に作り手側だけ、エンコード時間が掛かるだけであり、視聴者側は何もエンコードしないからです。
しかし、ゲームのリアルタイムレンダリングでは、そうはいかないのです。ポリゴン数が多いことは、プレイヤーにとって操作中の処理落ち、またはプレイの操作速度の低下などにつながり、プレイヤーの快適性を著しく下げます。
だから、いちいち、非表示のオブジェクトの非表示プログラムを組まないといけません。また、前提としてそのような都合のいい壁などによる目隠しが必要です。
だから現代ゲームでも、実はマップの配置は、昔のファミコンゲームと同様に、処理落ちをさせないように、プレイヤーの視界に入る敵の配置をうまく分散することができるようなマップ配置になっているハズです。
== 参考文献 ==
[[カテゴリ:プログラミング]] | 2018-08-30T21:26:20Z | 2023-08-27T13:18:29Z | [
"テンプレート:コラム",
"テンプレート:See also"
]
| https://ja.wikibooks.org/wiki/%E3%82%B2%E3%83%BC%E3%83%A0%E3%83%97%E3%83%AD%E3%82%B0%E3%83%A9%E3%83%9F%E3%83%B3%E3%82%B0/3D%E3%82%B0%E3%83%A9%E3%83%95%E3%82%A3%E3%83%83%E3%82%AF |
24,486 | ゲームプログラミング/RPG | 本ページ『ゲームプログラミング/RPG』では原則、あまり(あるいは「まったく」)、いわゆるドラクエ的な意味での「RPG」の難易度デザインやそのためのパラメータ調整などのゲームデザインに関する話題は扱いません。
なぜなら、本書『ゲームプログラミング』は、題名にもあるとおりプログラミングの教科書だからです。つまり本書は、RPGのゲームデザイン論の教科書ではないです。
難易度デザインについては、RPG限定ではないですが本wikiでは別途、『ゲームプログラミング/バランス調整』という難易度デザインに特化した目的のページが切り離されて存在しているので、そちらをご利用ください。
同様に、ゲームシナリオやイラスト素材や音楽素材などの制作など自前のRPG制作に必要なその他の知識も説明しません。もしかしたら必要に応じて「ドットエディタ」などのキャラチップ制作ツールの存在や最低限のIT的な説明はするかもしれませんが、しかしデッサン的な話題は一切しません。
市販のゲームクリエイター教育書には、一切、RPGのプログラミング解説書はありません。
一応、アクションゲームについては書籍『ゲームプログラマになる前に覚えておきたい技術』や『ゲームプログラミングC++ 』などがありますが、その書籍は別にRPGには限定しておらず、どちらかというとアクションゲーム寄りの内容かもしれません(たとえば『ゲームプログラミングC++』では「衝突検知」などの話題がある)。
そういった出版事情もあり、本ページでは、出典のないRPGゲームプログラミング技法を多く紹介しています。
出典がなくても、プログラミングについては実際に Visual Studio などのコンパイラでその技法を確認してみれば真偽の確認ができますので、読者ご自身で真偽をご確認ください。
本ページに限らず『C言語』や『JavaScript』などの本wikiのプログラミング言語の教科書も同様に、プログラミング技法については特に出典はないスタイルです(出典があるのは、主に用語や歴史などの説明に関する出典だったりする)。
想定読者として、そういう御自身でコンパイラでコードをビルドして確認できるレベルの人を本ページでは想定していますので、もし読者がそれに到達していないなら、このページからは決して学ばないでください。
実際のゲームプログラミングでは、たとえ無音声の2Dゲームですら、計算処理の他にグラフィックやキーボード入力など多くの機能が連動するので、コードはかなり長くなります。無音2Dのシンプルな超短編ゲームですら、初心者でもコードが何千行やあるいは1万行以上にもなります。
そのため、本wikiでは動作ソースコードの全部は到底、紹介できないです。だから本wikiで紹介されているコードをコピーペーストしても、それだけでは動かないのが普通です。
本ページにあるC言語のコードは、プログラミングでRPGを作る際に、「たぶん多くの人はこういった点が気になって悩むと思うから、こういうふうにコード記述すれば解決できると思います」といった方針だけを提供するものに過ぎません。
あるいは、もし本書で紹介したコードで動作したとしても、そのコードの結果はコマンドプロンプト(DOSプロンプト)のような真っ黒い画面で、RPG的な計算内容による計算結果だけを表示するプログラムだったりするので、そのままでは他人に遊んでもらえるような実際のゲームではないので、したがって実際のゲームプログラミング時には映像の表示などのためのコード追加がかなり多く必要になります。
本ページのRPGは、ターン制の戦闘システムを採用したRPG(Turn-based RPG)を中心にとり扱う。アクションRPGやシミュレーションRPG、アクティブバトルなどを語る場合には、注記する。
以下のものは取り扱わない。
なお、本ページでは説明のためにC言語を用いている。C言語の理解を前提としている箇所が存在するため、もし読者が知識をお持ちでない場合は、適切な媒体で調べながら読み進めていただきたい。 本ページではC言語を説明のために用いているが、開発環境がそれ以外の言語である場合は、適宜読み替えていただきたい。
一応、ターン制RPGは関数や配列を知らなくても、作り始めることはできます。
最低限必要な知識として、変数と、キーボード入出力の関数と、if文、タイマー関連、画面出力、あとはせいぜい乱数などがあれば、ゲームを作り始めることができます。
これはRPGにかぎらず、よくプログラミング入門書にあるジャンケンゲームなども同様でしょう。ジャンケンゲームならタイマーすら不要でしょう。
しかし、「関数を知らないプログラミング」とは、たとえば、zボタン(決定ボタンとする)を押したときのプログラム記述で、DXライブラリでの開発なら、マップ画面モードでも戦闘コマンド画面モードでもタイマーをカウント開始すると思いますが、そのタイマーの開始命令と関連する処置を各画面ごとに1行ずつ書いていく方式です。
だからもし、バグなどがあってコード修正する際、すべての画面モードのzボタンを命令を一個ずつ直さなければなりません。RPGはモードが多いので、そのような修正は、なかなか面倒です。
だから、別に作り始めの時点で関数を知らなくてもいいのですが、しかし作っている途中に「バグの訂正で似た部分の繰り返しが多くて面倒だなあ・・・」という気分になったら関数も勉強していくのが望ましいでしょう。
そして、いつごろが関数を学ぶタイミングなのかを知るには、事前に自分がある程度は「関数というものがあって、コードの使いまわしに便利なものらしい」という知識が必要です。
配列も同様です。配列を知らなくても、パーテイ1人目のHPを変数名「p1HP」、パーティ2人目のHPを変数名「p2HP」のような方式でRPGを作れます。
しかし、これを敵15体も登録されているRPGで「m1HP」から「m15HP」とやるのは、少し面倒です。
なにより一番の問題は、配列を知らないと、ドラクエ1的なマップ画面すら作るのが、かなり困難になることです。
よくプログラミング教本などにある例では、マップを二次元配列で実装しています。
たとえば、書籍『12歳から始めるゼロからのC言語 ゲームプログラミング教室』がそうです。
たとえば、
みたいな感じで、0番が草原、1番が森、2番が岩山、のような感じです。
横10×縦5のマップはそれほど広くないですが、
たったこれだけのマップでも、もし配列を知らなければ変数が50個必要です。
「配列を知らなくてもRPGを作れる」というのは、たしかにノンフィールドRPGなどは作れますし、
あるいはフィールドがあっても「マップはすべて草原、あるいはマップの99%くらいが草原(草原でないところだけ変数指定する方式)」のようなゲームなら作れますが、
しかしそれは、多くのRPGプログラミング入門者が考えているような、ファミコン~スーファミ水準のドラクエ・ファイファン的なイメージのRPGとは異なります。
初心者に「配列を知らなくてもいい」というのは無責任です。
配列を知らなくてもゲームプログラミングは開始できますが、もしも配列が必要になった時点で(変数を一個ずつ宣言するのが面倒なモジュールを作るとき)、 配列を学び始めるのが良いでしょう。
別に市販のC言語の入門書の基礎文法すべてに精通してからゲームプログラミングを開始する必要はありません。
おおよその機能だけを市販のC言語入門書に目を通して知っておいて、プログラミングでは変数などの初歩的な知識だけを用いて作り始め、足りない知識は必要になったらそのたびに、市販の入門書などで学べばいいのです、
また、その市販のC言語入門書を読む時間も、通学中・通勤中で電車のイスに座ってる時に読むとか、あるいはトイレでウンコしている時に読むとか、そういう時に読めば、プログラミングの時間を減らさずに時間を有効活用できます(ただし睡眠時間や食事の時間などは減らさないようにしましょう)。
さて、セーブやロードなどの機能は、当分は不要です。そもそも、セーブが必要なほどの長さのシナリオなんて作るのは当分は後です。もしお作りのゲームが1分でクリアできるようなゲームなら、セーブなんて不要でしょう。
だから、C言語のファイル入出力の機能などは、当分は不要です。
つまり「学んでから作る」ではなく「作っているうちに気になった点を調べる」のがコツでしょう。
おそらく「関数を知らなくてもRPG作れる」といっているプログラマーはたぶんそういう事を言いたかった口ベタな人なのでしょう。
なお、配列や関数などは、自分が直接は使わなくても、他人が使います。
たとえば、マップの実装で、もしかしたら二次元配列を使わなくても、原理的には一次元配列を何十個も並べて実装する方法もあるかもしれませんが、しかし他人がそういう一次元配列を何十個も並べてマップ実装したコードなんて読みたくないし、教育者も面倒なのでそういうコードを教えてくれません。
なお、構造体は別に知らなくてもRPGは作れます。列挙体 enum なども同様です。単に構造体の配列を知っていると、(装備品やモンスターなどの)データベースを第三者がより読みやすい形で作りやすくなるだけです。列挙体を知っていると、モードの切り替え(マップ画面モードからメニュー画面モードへの切り替え等)をしやすくなります。
正直、市販の「ゲームプログラマー向け」をうたったプログラミング教本の中には、少なくともゲームプログラマー初心者の時点では不要な高度な知識も多く紹介されています。しかしそういう本でも、出版社などの宣伝の都合からか、「プログラマーになる前に読んでおきたい」みたいな宣伝文句が付けられたりしているかもしれません。そういう高度な知識もあとで仕事で必要になる場合がありうるので、ゲームプログラマー向けとして出版する事自体は正しいのですが、しかし初心者や入門書に進めるような宣伝文句をつけるべきかというと疑問となる内容の市販本もあります。
よく、「ポインタによる処理で速度の向上!」みたいな事が、ゲーム好きのプログラマーに言われます。
しかしポインタによるコーディングは、プログラムのメンテナンス性を悪くします。なぜならもしポインタ使用個所の周辺でバグが発生した場合に、ポインタがあると原因が特定しづらくなるからです。
一般のグローバル変数やローカル変数と比べてポインタ変数は仕組みが単純ではないことや、配列や構造体にポインタなどを用いる場合はもしその配列・構造体にバグがあると同じ配列内・構造体の別の部分にまでバグが波及するなどするので(コードによっては、もしかしたら、下手したら周辺の別の配列や構造体に波及する場合もありうるかも)、ポインタで実装されたモジュールがあるとバグ発生時に原因の絞込みが難しくなるのです。
もし仮にポインタ処理化を実装した直後では正常に動いていても、しかしあとで、今まで未実装だった部分が実装された場合に、なんらかの不整合によるバグが発生するようなことも良くあり、ポインタ処理はその際、バグ原因の特定を難しくします。
だから仮にどうしてもポインタを使わないといけない場合でも、RPG製作なら、なるべくポインタを実装するのは後回しにして、当分は一般の変数で実装したままにしておくほうが良いかもしれません。
あるいは、もし機能の実験や勉強を兼ねてポインタ処理の実験と実装をしたのなら、現状ではポインタ変数で実装してある箇所でも、あとでデバッグなどの際に一般の変数に戻す可能性も考慮することになります。
RPGの場合、デバッグに時間を多くとられますし、変数がとても多いので、メンテナンス性も考慮せざるを得ません。
ポインタによって高速化のメリットが得られる場合とは、C言語教科書などの理論では、大量の要素の構造体を(関数の引数などとして利用する際に)コピーする場合ぐらいです。
だからもし構造体を使う場合であっても、そもそも自作で用いる構造体変数がグローバル変数であればコピーの必要自体がないので、ポインタの必要もありません。
ゲーム内の武器データベースやモンスターデータベースなどが構造体で実装されると思いますが、初心者なら普通はそれらの構造体変数はグローバル変数として実装することになるでしょうし、グローバル変数として実装しても何も困りませんし、実際それでもRPGを作れますし、正常な速度で動きます。
例外的な事例を考えるなら、たとえばマップイベントのデータベースなど、特定のモードでしか使う機会のないデータベースなら、理論的にはグローバル変数でなくポインタによる取り扱いによって処理速度の向上の可能性はありえますが、しかし正直メンテナンス性が悪いし、難しい割にはポインタ化してもしなくても初心者ゲームのレベルでは速度は変わりません。せいぜい勉強になるだけです。
こういう風に、市販のC言語教科書にある知識の一つ覚えは、通用しません。
ターン制RPGは、身体障害などでアクションゲームなど反射神経を要するゲームの苦手な人もプレイします。なので、それを意識した設計にしましょう。シミュレーションゲームも同様です。もっとも、さすがに腕のないプレイヤーにまでは配慮できないので、程度問題ですが。
ともかく、だから、もしどうしても制作中のターン制RPGにアクション要素のあるイベントを入れる場合、たとえば工夫として、
事前にそういうアクションイベントのあることをプレイヤーに作品紹介文などで紹介しておくとか、
あるいはそのアクションイベントをもしクリアできなくてもプレイヤーがゲームクリアできるように設計するなどの配慮が望ましいでしょう。
もしくは、充分にアクション要素の難易度を下げておく必要があるかもしれません。
もしもC言語でゼロからゲームを作るなら、UI(ユーザーインターフェース)をゼロからDirectXなどで作ることになります。 シナリオどうこうより、まずUIを作るのが真っ先になります。
結論から言うと、需要のあるUIの種類はそんなに多くなく、よって最終的には既存の有名ゲームのUIを真似することになります。(練習として新規のUIを色々と制作してみるのは構いませんが、しかし実用的なものを新規に発明するのは困難かと。)
RPGなどで選択肢で『はい』か『いいえ』がよく出ることがあります。
この場合、必ずしも順番どおりに
とするのが良いとは限りません。
なぜなら、プレイヤーがセリフ送りなどでボタンを連打している場合に、あやまって選択肢も連打してしまうことがあるからです。
文献『ゲームプランとデザインの教科書』によると、選択肢の順序についての設計テクニックとして、現状を維持するほうの選択項目を先に表示したりとか、あるいはマウス操作式のゲームなら現状維持や安全なほうの選択肢にカーソルを事前に合わせておくなどの工夫が、定石とされています。
例えば、コマンド選択などのカーソルの方式には、
など幾つかあります。
カーソル点滅させる場合、実はこれはほとんど、カーソル点滅色は白系の色にせざるを得ません。
なぜなら健康上の理由があり、もし青色ウィンドウなのに、たとえばカーソル色を赤(または緑にして)、赤カーソルを点滅させると、「光過敏性てんかん」のような症状を引き起こします。このため、点滅カーソルの背景色は、事実上は、ほぼ白色に決まります。
一応、白でなくても、たとえば青ウィンドウなら水色などの背景色でも可能ですが、手間が増えますし、ほかのウィンドウ色(たとえばウィンドウを赤に変更した場合)では応用が利きません。
ゲームによっては設定カスタマイズなどでウィンドウ色を変えられたりしますが、プログラマー的に分析するコツとしては、カスタマイズできない部分(たとえばカーソル色はカスタマイズできない等)にも注目すると良いでしょう。
なお、色弱(しきじゃく)/色盲(しきもう)という病気があり、緑色と赤色の区別がつきづらい人が、世間には居ます(赤緑色盲)。例外の人もいて、青など他の色が見えない人もいますが、しかし色弱患者で統計的に割合がもっとも多いのは赤緑色盲です。
赤緑色盲の人には、赤も緑も、ともに茶色に見えます。なので赤緑色盲の人にあ、赤と緑を区別できないのです。
よって事実上、ウィンドウ色は原則的に青色になります。ファイナルファンタジーや昔のツクールなどが、ウィンドウ色に青色を標準的に採用しているのは、決して偶然ではなく、いろいろな事情があるのです。
どうしても同一画面に赤と緑を表示しなければならない場合、色の濃さを変えるなどして、たとえば濃い緑と、うすい赤、などのように濃度差をつけるなどする必要があります。(この濃度差の手法は、役所などの出す、色覚障碍者向けのガイドラインなどにも書いてある、典型的なアドバイスです。 ) そもそも、色盲でなく健常者でも、濃度の同じくらいの赤色と緑色の組み合わせは、やや見えづらいです。 学校の「黒板」という緑色の板に、赤チョークで書かれた文字が、見づらかった記憶をもつ人も多いでしょう。
なお、赤緑色盲の人でも、黄色は、茶色とは区別して見えます。
なのでウィンドウに、黄色っぽい色と黒を組み合わせて使うのも手です。
あるいは、うすい茶色に、黒い文字という組み合わせもあります。
たとえばロマサガ1は、うすい茶色のウィンドウに、黒い文字です。うすい茶色と黒との組み合わせは、明度も大きく異なっているので、良い組み合わせでしょう。
スーファミ版の三国志4のウィンドウ色と文字色も、似たような組み合わせです。ただし三国志4の場合、文字に白い文字を使う場合もあります。数値などは白い文字です。このため、ウィンドウの茶色部分にはザラザラした模様をつけて白い文字を際立たせる工夫をしたりなど、工夫をしています。
ゲームに限らず、たとえば子供むけの歴史教材や小中学校の歴史教科書などでも、よくコラム欄などで、黄色い背景に黒い文字の組み合わせは使われます。古文書のような古い紙は黄ばんでいるので、歴史教材のコラムではそういう雰囲気に近づける目的で、コラムの枠を古文書の一ページのように描いているものもあります。
ゲームでもロマサガ1のメニューウィンドウは、古文書のように紙の下側の一部が書けていたり、まるで巻物の読み方のように左右が曲げられていたりして、ウィンドウに紙っぽさを出すデザインをしています。
例外的に、商業ゲームでもプレステ作品『俺の屍を越えてゆけ』のようにウィンドウがエンジ色(赤色っぽい色)の作品もあります。このようなUIの差異、当然ですが緑色の文字は使用不可能です。
光の点滅以外にも、調整を誤るとプレイヤーに体調不良を及ぼす現象はあります。 、 たとえばキャラの移動速度の加速・減速は、なるべく滑らかに変化しなければなりません。
「車酔い」を思い出してください。もし急加速と急ブレーキを繰り返す車に乗車していれば、多くの乗客は酔います。
なので、たとえばRPGなどで、「マップの1マス移動後にいったん停止」というのは、避けたほうが安全です。
実際、ドラクエは決してそうなってはいません。行き止まりに当たらない限り、カーソルの左ボタンを押していれば、同じ速度で左に進み続けます。(右キーの場合も同様。)
ドラクエの移動速度が等速度であることには、合理的な理由があるのです。
自作ゲームでテストした際、マップ移動中に右キーを押し続けたときに普段は等速で移動するのに時々カタつく場合があるかもしれません。その場合の対処法を後述で説明します。(2Dゲームのマップ機能の原理については、セクション『ゲームプログラミング/RPG#2Dマップ』で後述してある。)
なお、普段から等速ですら移動しない場合は、単にバグですので、直してください。
このセクションでは、とりあえず普段は右キーを押し続けたら等速で移動するのに時々カタつく場合にだけ、よくある原因そのと対処法を説明します。
時々テストプレイ中に動作がカタつくことがあり、「バグか?」と不安になることがありますが、しかし必ずしもバグが原因でのカタつきとは限りません。
もしかしたら、Visual Studio コンパイラがメモリ圧迫またはCPU占有などをしていて、単に実行アプリの処理速度が低下しているだけかもしれません。プログラミングに熱中していると盲点ですが、Visual Studio はメモリやCPUの多くを占有することを思い出しましょう。
原因がそれか否かを確かめる簡単な方法は、まったくほかのアプリを起動していないときに、実行ファイルを起動してテストプレイしてみることです。
ただし、状況によってはその「実行ファイル」をビルドするためにVisual Studio を立ち上げないといけない場合もあり、なかなか面倒な作業でもあります(VSは終了や起動に時間が掛かるので面倒)。
1度に確認しようとすると面倒ですので、複数日に分けて確認しましょう。たとえば、このカタツキ問題が気になったときの睡眠前の晩にでも、事前に実行ファイルをビルドしておいてから Visual Studio を終了してから寝ましょう。そして翌日にでもwindows起動したときに、Visual Studio を起動せずに前日にビルドしておいた実行ファイルだけを起動してテストしてみましょう。
そのほか、この問題の検証方法として、どうしても Visual Studio 起動中に、メモリやCPUの圧迫によってカタついているか否かを判定したいなら、簡易的な方法ですが、
最近のRPGツクール製のゲームまたはウディタのサンプルゲームを起動してみて、カタつくかどうかを確かめてみる方法もあります。
もしVisual Studio によるメモリ圧迫やCPU占有がカタつきの原因なら、ツクール製ゲームやウディタサンプルゲームでもカタつくことがあります。いわゆる対照実験です(中学高校の理科(おもに生物分野)で習うアレです)。
上述の方法すべてを試してもカタつきの問題を判明できない場合、残念ですが当ページには原因がもはや分からないのが現状です。(もしお作りのRPGでのカタツキの原因が分かられて、他のプログラマーも遭遇しそうな原因でありましたら、情報提供のため編集に協力していただければ当wikiとしては幸い(さいわい)かもしれません。)
前セクションの工夫でカタつきが解決すれば、下記の方法は不要です。また、ヘタにいじってバグの原因になると危険ですので、前セクションで解決したなら、そのままにするのをお勧めします。このセクションでは、参考のため、下記のような方法の検討を照会します。
動作をより滑らかにする工夫の一例として、たとえば、キーボードの十字キーの入力判定は、必ず1マス歩行のアニメーションの移動終了の少し前までに、判定を終わらせる工夫などが、考えられます。たとえば、1マス歩行のアニメーションが1.0秒かかるなら、入力判定は0.9秒目に行う、というような感じになります。
しかし、これはけっこう、シビアな条件であり、0.1秒単位でのタイミング調整を行わなければなりません。
歩行で1.0秒間というのは、割とゆっくりです。
一方、もしダッシュ機能とかあってダッシュ速度が1マスあたり0.5秒間だと、すこしタイミング調整が難しくなるでしょう。
もっと早いダッシュの場合は、Windowsだと少し難しいかもしれません。なぜなら、WindowsAPIのタイマー機能がそもそも、そんなに正確ではありません。0.05~0.10秒くらいの間隔になると、タイマーに誤差が出てきます。 DirectXのタイマーも、それに準じた性能だろうと思われます。なので、あまりに早すぎるダッシュでは、歩行のように「直前に入力判定」というのが、難しいかもしれません。
あるいは、もしかしたら、現代のコンピュータは処理速度が速いので、1.0秒のアニメーション終了後に入力判定を行っても、プレイヤーには気づかれないのかもしれません。
しかし、ハードウェアのメモリ容量などの事情によっては、もしかしたらアニメーション終了後の方式だと、動きにカクツキが出てくるかもしれません。ともかく、このように、速度ひとつとっても色々と考えなければならないことがあります。
こういうふうに、歩行アニメーション処理は、こりだすと、検討事項や調整事項が意外とあるので、初心者にはやや難しいです。
だから初心者には、歩行アニメーション抜きの方式がラクであり、いきなりキャラチップが移動先の隣マスに移動する方式(ファミコン時代の『信長の野望 武将風雲録』の戦闘の武将キャラチップみたいなの)のほうが、簡単でしょう。
同じ理由で、カメラの位置や向きなども、むやみに移動しないか、等速で移動しつづけるように注意する必要があります。
もし、「リアリティを出そう」としてカメラをキャラ歩行のたびに左右に振ると。プレイヤーが酔って気分が悪くなりかねません。よほど上手く調整しないかぎり、プレイヤーの体調的な気分を悪くしかねません。
だからカメラアングルで目指すべきは、2Dゲームなら結局、スーファミあたりのドラクエ的あるいはスーパーマリオ的な古典的なカメラ視点であるべきす。あるいは、もしポリゴンゲームなら、結局、カメラアングルで目指すべきは、プレステ1やサターンの時代のころのゲームのカメラアングルなどになるでしょうか。
あるいは、ファミコン時代にどうしても歩行アニメーションを停止しなければならなかった例として、ファミコン時代のウィザードリィや女神転生の3Dダンジョンのように、ポリゴン描写が無理などの理由で、どうしても停止しなければならない場合もあるでしょう。このような場合は、おそらくですが、停止中の1枚絵の表示時間の長さと、進行中の中割り(なかわり)の1枚絵の表示時間の長さが、同じぐらいの長さになるようにしないと、マズイでしょう(未確認)。
UIにおいて、アナログをデジタルで完全に実装するのは、大概困難ですが、アナログの「エミュレート」の実装は、それほど困難ではありません。
これはゲーム制作でも同様です。
たとえば、RPGの作中の武器屋や道具屋などでの買い物のシステムは、現実のスーパーマーケットやコンビニでの買い物とは異なり、まとめ買いはサポートされていないことが有ります。
ゲーム以外の話だと、たとえば通販サイトでの買い物の際、ユーザーレベルの目線では、サーバー側で異なるアイテムを連続して買う行動が一連のトランザクションとして処理されていたとしても、同様のことがありえます。
さて、ゲームでは、プレイヤーにとっては操作がやや面倒でも、デバッグの都合やメンテナンス等の都合で、あえてデジタル的な操作をしているゲームもあります。
たとえば昔のドラクエ3では、酒場で仲間をパーティに加入させる際、1人ずつ逐次的にコマンド入力をして加入させる必要がありました。(「3人まとめて加入」とかしたくでも、できない仕様。)ウィザードリィなどでも同様で、仲間のパーティ加入の編成などは、一人ずつ逐次的に操作する必要がありました。
このような、「まとめて〇〇を編集・編成」みたいな処理は、その分状態(取り得るケース)が増えるため、それに比例してデバッグにかかるコストが増える場合が有ります。
DXライブラリは、標準的な映像モニタでは、1秒間に60回のループ更新をします。
これは、一般的な映像モニターの画像の更新回数が60Hz、つまり映像モニタでは1秒間あたり60回の更新があるので、 プログラム側の更新回数もそれにあわせたものです。(これらのことを「60 FPS」などという。)
このような、映像の更新の早さの度合いのことをフレームレートといいます。
さて、人間の計算速度と比べたら「1秒間に60回」は速いですが、しかしゲームとしては、必ずしも速くありませんので、そのギャップに気づかないとプログラマーは不安に「パソコンが処理落ちしてるのか?」と悩んでしまいます。
たとえば、アニメーションの表現などとして、キャタクター立ち絵が1ピクセル(1px)ずつ1回の画像更新で移動したとしましょう。
すると、1秒たっても60pxしか移動しません。RPGツクールの標準の画面サイズは横816px、縦624pxなので、つまり60pxの移動では、画面の10%にすら到達していません。なので、もっと早い速度で立ち絵を移動させたい場合、1回の更新で3pxや5pxあるいはそれ以上のピッチ間隔で画像を移動させる必要があります。
このことに気づかないと、立ち絵の高速移動のつもりで1pxずつ動かしても、画面の横幅の10%すら動いてないので、「まるで処理落ちでもしているのか」と錯覚しがちで不安になりますが、しかし1pxずつ動かした際に意外と遅く見えるのは正常な動作です。そういう速度計算での命令文だからです。
具体的にはどう悩むかと言うと、RPG制作の場合ならばマップチップの枚数が多いので「もしかしてマップチップの読み込み方が間違っていて処理落ちしているのか?」とか、あるいは「キャラ画像の周囲の透明処理による負担が重いのか?」とか色々と不安を思ってしまいますが、まったくの無関係です。
1更新あたりに1pxのピッチ速度とは、それだけ遅いのです。なので、1秒後に画面内でチョコっとしか動かなくても、1秒後に動き終わっていれば正常です。
さて、ついでの話題ですが、もしアクションゲームやシューティングゲームなどで、1更新あたり5pxや10pxといったピッチで攻撃対象の敵などが動いている場合を考えて見ましょう。
たとえば、もし移動中画面で、現在の瞬間の描画位置 から 次の瞬間の描画位置とのあいだの中間位置、つまりピッチの中間の場所に自キャラの放った攻撃などが当たったときの例を考えてみると、なかなか悩ましい問題でもあります。つまり、画面上ではピッチの中間の場所には映像が書かれていないのに、なのに、その場所に攻撃を食らう「当たり判定」が存在するからです。
実際、アクションゲームなどで、高速で動く敵の軌道上に攻撃を放ってみると、画面上にいない位置なのに、攻撃があたる場合もあります。
だからファミコン時代あるいはそれ以前のゲームセンター時代といった黎明期のシューティングゲームですら、高速で動く弾丸チップや機体チップなどの表現には、とても工夫しているのでしょう。
このように、キャラチップなどの画像を高速で動かすのは、思いのほか、調整事項が多くて大変です。なのでRPG制作の初心者は、あまり高速な描画表現には手を出さないほうが無難です(まずプログラミングの全体像を作る必要あるので)。
少なくとも2D-RPGのゲームシステムやその実装に関する限り、処理が早くて操作性も良くてメンテナンスもしやすくて・・・のような究極万全なシステムやアルゴリズムは一切ありません。
たとえば操作性の分かりやすいアルゴリズムなら、おそらくはプレイヤーのさまざまな発想に対応するためにif文の分岐増えたり、あるいはグラフィカルに説明するために画像の制御が追加で多く必要になったりするなどして、そのぶん他の特性が悪化しますし、説明用グラフィックが増えれば処理速度の負担にもなります。
しかし現在のパソコンではファミコン時代よりも桁違いに多くのメモリ容量を扱えるようになり、CPU性能も桁違いに向上しました。よってゲームプログラミングでは基本、処理落ちをしない程度にまで処理速度に負担を掛けて犠牲にして、そのぶん操作性やグラフィック性やゲーム性やメンテナンス性などを向上させることになるでしょう。
だから実はファミコン風のドラクエ1のような簡素なプログラムでも、あれはあれで処理速度とメンテナンス性をもし最優先に目指すなら現在でも合理的な一形態なのです。
また、ドラクエ1的なアルゴリズムはメンテナンス性がよいので開発もしやすいし、開発時のデバッグもしやすいです。なので、私たちがRPGを手元でプログラミングして作る場合も、まず2D-RPGならドラクエ1~3のようなUIをまねたゲームを作ることになるでしょう。
ただし、真似るのはあくまでUIのみです。パスワードシステムのような、セーブ機能の発達した現在では不要なシステムを真似る必要はありません。「話す」コマンドとか「とびら」コマンドみたいに、現代では不要になったコマンドも不要でしょう。また、ドラクエのウィンドウ色は黒色ですが、しかし私たちにはデバッグの都合のためファイナルファンタジーや昔のツクールのような青色を基調としたウィンドウのほうがデバッグしやすいかもしれません。
だから初心者は、昔のRPGツクールっぽくアレンジしたドラクエ風UIを作ることになるでしょう。(ドラクエの難易度デザインやストーリー性などはプログラミングではないので、本ページでは言及しません。)
本ページでは説明の都合上、RPGをモジュールごとに分割して説明しています。
たとえば、マップ関連のモジュール、戦闘関連のモジュール、装備関連のモジュール、のようにです、
しかし、実際のゲーム製作での開発順序は、少なくともRPGをVisual C++でゼロから作る場合においては、けっして、「マップモジュ-ルを完成させてから戦闘モジュール」のような順序にはなりません。
そうではなく、まず自分が興味をもったモジュール(仮にマップモジュールとする)の初歩を作り始めたあと、とりあえず操作できて満足できるところまで作ったら、
次に関連する別モジュール(たとえば戦闘モジュール)を作る、というような順序です。
たとえば、すでにマップモジュールがあるなら、戦闘モジュールを作り始める際に、まずマップ画面上に固定敵を配置することで、
戦闘モジュールのテストをしやすくなります。
このように、すでに作ったモジュールの初歩を土台にして、別のモジュールの初歩を同様に作り始めます。
そして、まずRPGの基本システムを満足するところまで作ります。(シナリオ作成などは後回しになるでしょう。)
マップシステム、戦闘システム、装備システム、道具システム、買い物システム、酒場システム、会話システム、・・・
など色々あるので、まず一通り、好きなシステムから順に、キリのいいところまで作りこんで、どんどんと次に作りたいシステムの開発に移行していき、
とりあえずゲーム全体の基本システムを構築していくことになるでしょう。
そして、一通り、満足するまで基本システムを作るのを1周したら、
次に2周目として、また、たとえばマップのシステムを作り始めます。
1周目のマップシステム製作では放置してた部分、たとえばキャラチップの歩行グラフィックなど絵が必要で放置してた部分の製作に取り掛かるとか(たとえば1周目では矢印の画像でゴマかしていたとする)、
そのように2周目では、1週目で放置していた部分の製作にとりかかるのです。たとえば、歩行グラフィックで前足を上げているポーズと、前足を着地させるポーズの切り替えプログラムとか、そういう1周目では面倒で放置していた部分に、2周目では取り掛かったりします。
このように、RPGの製作は、まるでラセン階段を昇るかのように、周回的に開発していくことになるでしょう。
企業などで作る場合はどうか知りませんが、少なくともVisual C++でゼロからRPGを作る場合はラセン階段でしょう。
RPGはモジュールがとても多いし、また相互に関連するモジュールも幾多もあるので、一度に各モジュールを作りきるのは不可能です。
だから、ラセン階段のように、開発を昇っていくことになります。
なお、IY業界ではこういうラセン的に徐々に機能を追加していく開発手法を、スパイラル型の開発と言います。
スパイラル spiral とは、単に、らせん状の渦巻きのこと を英語にしたものです。なお、
なお、銀行などのシステム開発はこれとは違い、銀行のシステム開発はふつうはウォーターフォール型の開発です。ウォーターフォールとは、事前に仕様を細かく決めるのに長い時間をかけて、実装時にはほとんど仕様を変えない手法です。
ほか、プロトタイプ型の開発もあり、これは大まかに動く試作品を短期間で作り、あとから仕様を修正していく方式です。
ゲームに関した話題ではないですが、スマートフォンのアプリの開発などでは、プロトタイプ型やスパイラル型の開発がよく利用されるようになってきています。
RPGではシステム中にマップ画面モード、メニュー画面モード、戦闘画面モード、・・・など様々なモードがありますが、
DXライブラリを使っている場合にどのモードでも必ず使うことになる機能があり、それは自作タイマーのカウントアップです。
まず、DXライブラリでは1秒間に60ループするので、それを利用して1秒間に60回カウントアップする機能を作ります。
そして、そのカウンターを活用することで、たとえば、「zボタンを押してから40フレーム間(環境によっては約0.8秒くらい)は次のzボタンの入力を受けつけなくする」等のボタンをしばらく入力させなくする機能を作ります。
そうしないと、プレイヤーは1回だけzボタンを押したつもりでも、システム的には何十回もzボタンを連打したことになり、プレイヤーがうまくコマンド操作などを行えません。
また、コマンド操作などの他にも、マップ画面中でキャラクターがマップ1マスぶん動くスライドのアニメーションでも、カウンターが必要になります。
マップ画面の歩行グラフィックで「歩行カウンター」みたいな変数が必要になるでしょう。もしくは、歩行のキー入力に使った矢印キー用のカウンターを流用するなどの処置になるでしょう。
ともかく、このようなカウンター機能が必要なので、whileループ中での個別モードに分かれる前の共通部分のところに、カウントアップのコードを書くことになります。
「共通部分のところ」とはどこか具体的に言うと
のように、whileの開始のテンプレ文の直後に書き始めることになるでしょう。
なお、DXライブラリでよく書くことになる開始時のテンプレ文については 『ゲームプログラミング/画面出力#DXライブラリのコード初期設定』 で説明してある。
カウントアップではなくカウントダウンでも構いません。
イメージ的には、下記コードのような感じになります。ただし、下記のモジュールだけでは動きません。
あらかじめ、各モード側でzボタンを押した時などにカウンター値の設定などを行う必要があります。たとえばzボタンを押したときに
などをセットしておきます。また、zキー入力可能かどうかを判定するフラグ変数、下記コードでは変数 keyEnableZ となっていますが、そのようなフラグ変数をあらかじめ用意しておき、もし値が1なら入力可能、0なら入力不可能として、
zボタンに対応する処理を1回実行してからz=0;に設定して、zが0のときにカウンタが動くようにする必要があります。(ツクールなどではマップ画面からメニュー画面を開くのはx(エックス)ボタンだが、読者のバツボタンとの混同を防ぐため、上記の文ではzボタンを例に説明した。)
このコード例のように、共通カウンタ部では単にカウントするだけでなく、さらにカウンタが目標値(カウントダウン方式なら0が目標値)に到達したときの処理(フラグの設定など)も行います。
いきなり上記のような機能を作るのは、かなり難しいです。なぜなら、カウンタだけでなく、マップ画面やメニュー画面側のzボタン押し時やxボタン押し時の命令も記述しないといけないからです。
だからまずは、マップ画面とメニュー画面の入り口画面(まだメニュー画面の各コマンドは作らなくていい)だけでいいので、でキーのカウント処理をうまく行えるようにしましょう。
なお、メニュー画面に移ったらキャンセルボタンで戻せるように、あらかじめメニュー画面にキャンセル機能を実装しておきましょう。
新しい画面を作るときに最初に必要なボタン機能は、実はキャンセル機能です。キャンセル機能が無いと操作不能になって、いちいちアプリ再起動の手間が生じます。
いきなりマップ画面やメニュー画面を作るのは難しいので、ひとつの手として、RPGを作る前に、簡易的なアクションゲームのような操作性のプログラム、または簡易シューティングゲームの操作性のようなプログラムを作るのも手です。
たとえば、スーパーマリオやスト2のようなアクションゲームなら、ジャンプボタンは1回入力したら着地までは再入力の受付が禁止なので、上記のようなカウンタ処理による再入力可否の制御が実験できます。
べつに、本格的にアクションゲームやシューティングゲームを作る必要はないです。後述のように、異なるジャンルのゲームをひとつのアプリに同梱するのは、管理の手間が増えますので(不可能ではないですが)、面倒が生じます。
これには準備として、マリオ(キャラ名)やスト2リュウに相当する自キャラ表示のため、あらかじめキャラチップの絵が必要です。別にアクションゲームを作るわけではないので、マウスでいいので何かキャラの全身絵を3分くらいで雑に書いてください。そして、キャラの周囲の空白部を、ドットエディタなどを使って透過させてください。(あるいはinkscapeを使ってキャラ絵を書いて、PNGエクスポートする、などの手法もあります。)
ジャンプさえ出来る絵であればいいので、すでに手元にゲーム用キャラチップっぽい大きさの生き物の絵があるなら、別に人物の絵である必要もなく、動物の絵でもモンスター画でも何でも構いません。
さて、なんとかジャンプの実験に成功したら、ついつい次の目標で「右歩行中にジャンプして右斜め上に飛ぶ」機能とかを実装したくなりますが、本ページはRPGの教科書なので、アクション機能については説明を省略します。
ミニゲームとしてターン制RPG以外のジャンルのゲームを同梱するなら(たとえばシューティングなど。ファミコン『さんまの名探偵』では推理ゲーム中、シューティングゲームのミニゲームがあった)、別途、そのミニゲーム用の各モード前の共通部分に、ミニゲーム用のカウンタが必要になるかもしれません。
ターン制RPGとアクショゲーム・シューティングゲームは、カウンターに要求される待機時間が違ってくることと(ターン制RPGの操作はゆっくりめでいいので待機時間を多目にとれるが、しかしアクションは機敏な動作に対応するため待機時間が短い)、カウンタが目標値に到達したときの処理がRPGとアクションとで違うので(たとえばRPGなら決定ボタンを押したままの状態なら目標値の直後に受け付けしてもいいが、アクションゲームでは決定ボタンがジャンプやパンチに対応していることから、プレイヤーにパンチ連打などのためにボタン連打させたい場合は目標値直後の処理を変える必要があることなどから)、RPGとアクションを混在させるのは(可能ではあるが)難しいことが予想できます。
だから、もしあるゲーム中に別ジャンルのミニゲームを同梱するなら、メインとなるホスト側のジャンルを決めて、そのメインジャンルのカウンタだけをwhileループの冒頭でカウントアップすると安全かと思います。たとえば本ページはRPGなので、メインのジャンルはRPGなのでwhileループの序盤ではRPG用のカウンタだけをカウントアップ、という事になるでしょう。シューティングについては、while冒頭ではカウントアップしないか、あるいはRPG用のカウンタの流用で済ますかどのちらかです。
もしwhileループの冒頭でシューティング用のカウンタまで記述してしまうと、コードの管理が複雑になってしまうので、避けたほうが安全でしょう。
普段は使わないミニゲームのカウンタのせいで、普段から使うメインジャンル(本ページではRPG)のカウンタの可読性が下がるのは避けたいです。
RPG用のカウンタをシューティングに流用するのは、シューティング用にコードが最適化されてないので軽量性が若干は下がりアプリが重くなりますが、しかしゲーム制作ツールのRPGツクールやウディタなどで製作されたアクションゲームやシューティングゲームなどは、こういった流用の一種でしょう。
アイテム表示における、上詰めの自動化などを解説しています。
ともかく、ゲーム全体を先に作るのが先決です。ニュアンスは違いますがアトラス社いわく(ゲーム開発では)「ゲーム全体に全体に値を回すのが先」という格言があります。
プレイヤーが見たいのは、ゲーム全体のストーリーやテンポといったゲームの全体像です。カーソルの動きとかウィンドウの動きとかは、あくまで補助的であり、そういったUIに対するプレイヤーの興味も、あくまでオマケの範囲でしかないのです。
世の中には、残念ながら時々、他人の理解しやすさを無視して、やたらと短いコードを書く、独りよがりな人がいます。
しかし、たとえ仕事としての集団作業であっても、要求されるのは、同僚や後輩などが読んだときの分かりやすさです(「可読性」と言います)。
なので、少しぐらいコードが長くなってもいいので、分かり易いコードを書きましょう。
具体的には、できるだけ、どこの入門書にもあるような基本的な機能を使ってコードするのが安全です。具体的には、できるだけ、せいぜい構造体(およびC++ならクラスの構造体的な使い方)や配列や関数あたりまで、の機能どまりです。
また、「どうしても」と言った必要性のない限り、その分野の一般の入門書に書かれてない機能(たとえばメモリ管理の組込み関数など)や、解説の極端に乏しい機能は(入門書なっても巻末の機能一覧にだけしか記載のないような機能)、利用を控えましょう。
そもそも、一般入門書に書かれてない機能は、取扱いが難しかったりして、設定などの確認不足で使うとむしろバグの原因になりやすかったりとか、学習コストの高さなどの難しさがあるから、入門書から除外されているのです。なのに、そういう難解な機能を多用するのは、あまりよくプログラミングの仕事が分かってない自称プロかと思われても仕方ありません。
関数や配列をつくるときは、なるべく、ゲーム用語で説明できる関数および配列だけを作りましょう。たとえば「戦闘コマンド選択関数」や「モンスターデータベース配列」のような感じです。
けっして、そういうゲーム用語とは無関係に、単に抽象的に関数を呼び出す関数を呼び出すような関数を呼び出す関数、とか、配列を読む込む配列を読む込むような配列、のような高階層的な機能は、たとえそれでコードが短くなっても、同僚や後輩などが管理をしづらくなるので、避けましょう。
書籍『Game Programing Patterns』にも、Amazonのweb立ち読みのP13に
とあります。その結果、
と書籍『Game Programing Patterns』にあります。
実際にゲームを作った事がある人ならばこの問題に気づきますが、世間には知ったかぶりで逆の事を言う人がいます。オブジェクト指向だのポインタだの何だの理屈をこねて、抽象化のレイヤを増やそうとする人です。ダマされないようにしましょう。
もちろん、関数から関数を呼び出してもいい場合もあり、たとえば「RPGで戦闘モードの関数から、攻撃コマンド関数を呼び出す関数から、さらに攻撃対象の選択をする関数を記述する」といったようなゲーム仕様に直接的に結びついた関数ならば、普通のゲーマーなら理解できるので、書いても平気でしょう。ですが、それはゲームとしての実態に対応する共通化です。けっして、ゲームの実態に無関係の共通化ではありません。
IT業界だけなく法律業界でも、むやみに高階層的な法令を設計するとその法令の構造が複雑になる現象は知られていますDaniel Martin Katz, Corinna Coupette, Janis Beckedorf & Dirk Hartung "Complex societies and the growth of the law" , nature.com, Published: 30 October 2020 。近年、世界各国でIT的な考え方を使って法律の設計論を研究しようという学問分野があり、その学問でそう指摘されています。これらのIT的な法学では、法律中の単語数、階層数、法律間の相互引用数が多ければ多いほど、その法律の構造は複雑になると考えられています。ご参考に。
また、ゲーム中で、仕様ではあまり類似性のない処理は、たとえ偶然的にコードの実装が似ていても、むやみに共通化して同じ関数にしたり配列にしたりするのは避けましょう。なぜなら他人(後輩など)が管理しづらいからです。
もちろん、共通化してもいい場合もあり、たとえば「回復アイテムによる回復対象を選ぶ関数」などは、
が、ともに仕様が「回復アイテムを選んだ時の使用対象の味方を選ぶ」と似ているので、場合によっては共通化するのも良いかもしれません(職場によるだろう。共通化しないほうが良い場合もある。たとえば戦闘モードでは敵にも回復アイテムを使えるゲームも存在する一方、マップメニュー画面では味方にしか回復アイテムを使えないので細部が異なるから)。
しかし、仕様自体すらも似ていない部分を共通化するのは、ダメでしょう。
たとえば、もしたまたま、「戦闘モードでのコマンド選択時の関数」(まだ道具コマンドを入力する前なので、どのアイテムを使うからすら選んでいない段階)と、「マップメニュー画面モードで道具コマンドのあとに使用対象キャラを選ぶときの関数」が、もし偶然にコードが似ていたとしても、そういう仕様的にあまり関連性の無いコードは共通化されても管理しづらくなるので、共通化するのをやめましょう。
ほかの例では、たとえばHPとMPの表示は「戦闘画面」にも「メニュー画面」にもあるでしょうが、だからといって両画面で使いまわせる「HpMp共通表示関数」みたいなのを作るのは危険です。
具体的になぜ危険かと言うと、その共通表示関数にはif文章が増えますので(戦闘画面とメニュー画面とで表示位置などが微妙に違うため)、デバッグの手間として「どんな場合の戦闘画面とメニュー画面でも、はたして本当にif文が正しく機能しているか」という手間が増えます。
一方、ベタ書きで直接的に戦闘モードにHP表示とMP表示、一方で同様にベタ書きでメニュー画面モードにもHP表示とMP表示を書けば、こういう余計なデバッグの手間は増えません。
HP表示とMP表示のたった2行ていどのコードを「HpMp共通関数」で1行にしても、何箇所かで呼び出すからそのぶん減少量は倍増しますが(たとえば4箇所で呼び出したとすれば 1×4=4で4行ほど減る)、しかし関数を新たに作るので差し引きで、うまく減らせても結局は1~2行くらいしか減らせません。
コード量を簡単なコードの1~2行しか減らせないのにデバッグの手間を大幅に増やし、まったく割に合いません。
また、共通関数の側に呼び出し先の戦闘画面やメニュー画面の情報があるので、共通関数を使ってしまった場合にはデバッグをする際に戦闘画面のコードなども調べなければなりません。こういう事情も加えて、デバッグの手間がさらに増えやすいという問題があります。
教訓として今回の初心者プログラマーにありがちな失敗例を一般化するなら、もし「リファクタリング」のつもりで共通化してif文が増える場合、もしかしたらデバッグの手間が増えてしまっている傾向があるので、上述のような間違った共通化している可能性があります。
wikisource s:プログラマが知るべき97のこと/共有は慎重に にも似たような話題があります。
(引用)
順番は前後しますが、参照先ウィキソースに、下記のようにコンテキスト(文脈)の話があります。
(引用)
高校や大学など学校では、コードの再利用を重要だと教えるかもしれませんし、たしかにそれも重要なのですが、しかしだからといってコンテキストの異なるも のまでむやみに共通化してはいけません。
(引用) ※ そして上述の「たとえシステム内に同様の処理を行う部分が2つあったとしても」に続きます。 この情報を見るかぎり、どうも日本の学校だけでなく海外の学校教育でも、コンテキストの都合を考えずにむやみにコードをライブラリ的に共通化して短縮ばかりを考える教育をされる傾向が2010年頃まではあったようです。
ゲームでは上述の説明では暗黙の前提として何となく戦闘システムやメニューシステムなどの基本システムを想定して説明しましたが、なにも基本システムに限らず(RPGなどの)特殊イベントなどでも同様のことが考えられます。
ゲーム中のストーリー進行に関わる特殊イベントでたまたま似たようなイベントがあったからといって、むやみにシステムを共通化してはいけないのです。もし、仕様変更などの要望が上司などから加わった場合、むやみに共通化してしまっていたら、あとから修正するのが大変になってしまいます。
他の書籍でもそうです。洋ゲー「ゴーストオブツシマ」の開発者の一人による書籍『ルールズ・オブ・プログラミング ―より良いコードを書くための21のルール』( 2023/8/28、Chris Zimmerman (著), 久富木 隆一 (翻訳))でも、著者が新人によくする指導法として「問題の例が三つ集まるまで一般性のある解法を書くことを許さない」というのがあります(amazon見本を参照)。このChrisの会社でも、大学を出たばかりの新人は、新人が1つの問題をみつけると、他の問題も解ける一般的なプログラミングを書こうとするのですが、Chrisは「そういうでかい問題は解かなくていい」と指導して、目の前の問題だけをまず解くことに集中させるように指導しています。そういうでかい問題を解こうとするプログラムは、往々にして、バグを潜みやすかたり、理解のための学習コストが高くなりがちなので、ゲーム開発では避けるべきだということを Chris はこの著書で述べています。 ともかく、目の前に無い、でかい問題を一般化して解こうとすると、メンテ性の悪いプログラムイが出来上がりやすいのです。
予備知識のない新人はこういうミスをしがちです。気をつけましょう。
ソフトウェア工学では「DRY原則」(Don't Repeat Your Self、 「繰り返しを避ける」の意味)という考えかたがあり、同じコードの繰り返しを悪とする考え方がありますが、しかし実務は上記のように、必ずしも「DRY原則」のとおりとは言い切れません。もしくは、世間一般の「DRY原則」の解釈のなかにはコンテキストの考え方を見落とした、まちがった解釈が流布している場合もあるので注意が必要、ということかもしれません。
よほど長いコードの繰り返しやら10回や20回以上とかの繰り返しなら実務上の都合からコードの重複を避けたほうが良い場合や必要もあるかもしれませんが、しかし、そうでない場合でたった数行ていどの少々のコードやらそれらの2回程度の繰り返しならばコンテキストの都合からは似たようなコードをあえて共通化しないほうが安全な場合もあります。
初心者プログラマーはこういった事をいっぺんには体得できないでしょうから、一見すると、本来なら合理的なコードが、初心者の目には少し汚く見え、「少しだけ可読性が悪い」ように感じがちです。つまり、初心者目線で少しだけ可読性が悪いぐらいのコードこそが、実は本当は可読しやすいコードです。
まず、それらの機能の共通点を探します。次に、その共通点を抽象化します。抽象化のコストと、それを再テストするコストの合計が、そのままにしておくコストよりも高く付くと考えられるならば、抽象化は後回しにしても構いません。
戦闘モードとか、マップ画面モードとか、メニューモードとか、そういうののハナシです。とりあえず「モード」と言いましたが、ゲーム業界で何と言うのか知りません。もしかしたら、モードではなく「戦闘シーン」とか「戦闘パート」とか言うのかもしれません。ただし、書籍『ゲームプランとデザインの教科書』が、架空のスマホゲーム企画書で「モード」という言葉を使っています。「移動先指定モード」とか。
方針だけ述べる。具体的なコードは、上手い人のコードを参考にしよう(コードがけっこう長くなり、紹介がメンドウくさい)。
2Dマップがあると、俄然、RPGっぽく見えるようになって、ヤル気が出るので、さあ作ろう。
マップのデータは、ふつう、2次元配列で書く。
まず、グローバル領域で、たとえば
のように、とりあえず配列を確保しよう。
ここで重要なのは、 確保した配列のタテとヨコは、ヨコの並びをx方向として、タテの並びをy方向としたとき、
maptable[y][x]
のように確保されていることに注意する。
さて、各配列に「0」を入れても、はたして0番が何を意味するか、まだ何も決めていない。
ゲームにもよるが、とりあえず、何もマップチップを上書きしない領域だと定義しよう。
背景色と同じ色のベタ塗りのマップチップを作っておけば、それで上書きすれば、あたかも何も上書きしてないように見える。
いちいちif文などで、何も上書きしないように場合わけをするのもメンドウであるので、どっちの方式にするか、決めておこう。
さて、マップ用の配列は、作成したいマップで最低限必要なマス目よりも、やや大きめの領域を確保しておく必要がある。
たとえば、5×5のマップを作りたいなら、配列ではもっと大目に、たとえば 8×7 とか確保しておく必要がある。
もし、なんらかのバグで確保されていない領域を呼び出してしまうと、プログラムがエラーで異常停止してしまう。
たとえば、一番左端をもしx=0とした場合、もしこの場所に主人公がいると、さらにプレイヤーが「左端に行こう」と考えて、左ボタンを押したときに、エラーで異常停止してしまう。
こういう停止はメンドウくさいので、だったら念のため、最初から、マップを移動可能な場所よりも何マスか大目に確保しておくと安全である。
さて、まだ配列を確保しただけなので、「0」が何かとか、「1」が何かとか、まったく定義していない。
とりあえず、
としよう。 だと思ってればイイ。
たとえば、もし配列 maptable の宣言が、
のような宣言だったら、このマップでは真ん中のほうに4マス×5マスの移動可能な地帯がある。 その周囲は移動不可能になっている。
ともかく、このように、プログラマーは、まず、何番のマップチップが何を現すかということを、脳内で設計しておく必要がある。
配列の範囲外の読み込みエラー防止のためも兼ねて、0番は、すべてのゲームキャラが進入禁止としておくのは安全だろう。
あとはもう、win32 API などの機能を使って、マップチップの画像を配列にもとづいて各マスごとに表示すればいい。
前提として、まずマップチップ画像の読み込みを行う必要がある。あるいは、画像をあらかじめ実行ファイルに組み込んでおく必要がある。
画像の実行ファイルへの組み込みは、Visual C++ にそういう機能があるので、それを使えばいい。
画像を読み込みたいなら、ゲーム起動時にでも読み込んでおけばいい。
イメージ的にコードの雰囲気(ふんいき)を書くと、たとえば case WM_PAINT: の節に、下記のように for文などを使って画像ハンドらに画像を代入するコードを裏画面に書いていき、最後にまとめて本画面に描画することになる。(「裏画面」とか「ダブルバッファリング」と言われるテクニックを使います。詳しくはネット検索して調べてください。)
SelectObject や BitBlt は、Win32 API の専用の関数なので、分からなければ読者で調べてください。
なお、マップチップ画像そのものの作成は、単にWindowsアクセサリ『ペイント』などの画像作成アプリでビットマップ画像を用意すればいい。
ツクールやウディタなどだと、いくつかのマップチップをまとめた「タイルセット」などを取り扱うが、実はプログラミング的には、わざわざタイルセットを作らなくても、マップチップ1個ずつを読みとりすることも可能である(単にwin32APIのビットマップ画像の読みとりの機能を使えばいい)。
(win32 API の初期設定のままではビットマップしか表示できないハズ。PNGなどを使いたいなら、GDI+の設定を行うこと。GDI+については説明を省略。)。
なお、マップチップのサイズの規格は、よくある規格は16ピクセルの倍数で、「px」をピクセル単位の意味として16px×16pxまたは32px×32pxまたは64px×64pxのマップチップ規格がよくある(ツクールやウディタのマップチップのサイズ規格も、この系統)。
とりあえず、私たちにとって作るのがラクなのは、小さいほうが作成がラクなので、とりあえず16×16のマップチップを作ろう。
プログラム技術としてはマップ表示は単なる二次元配列なので難しいことは無い。しかし、その他の準備が忙しく、たとえばマップチップ用のビットマップを用意したりとか、あるいはキーボード操作のプログラムを作ったりとか、そういう準備が難しい。
これだけだと、まだマップを表示しただけなので、さらに主人公キャラのキャラチップとか、主人公がx=何マス目、y=何マス目にいるかの変数とかも宣言する必要がある。
主人公チップを移動させる際、ドラクエ1みたいに1ピクセルずつ動かしたいと思うだろうが(実際は何ピクセルかしらないが)、しかしそれは難しい。まずは、十字ボタンを押したら、その方向にいきなり隣のマスに動く仕組みをつくろう。
しかし、これすら、また難しい。
win32APIなら、ボタンを押して話す動作で1回の入力と判断してくれる。 なので、win32APIで隣マス移動の仕組みを作るのは、比較的にラクである。
しかしDXライブラリの場合、1瞬だけボタンを押しただけでも、何十回も入力があると判断され、 いっきに壁際のマスまで動いてしまう。
なのでDXライブラリのマップ移動の作成の場合、まずはタイマー系の関数を利用し、一定時間のボタンの押し続けがあって初めて「入力された」と判定すうプログラムが追加になる。
なお、win32APIでも別のシーン(たとえば戦闘モードでのコマンド決定後の自動処理など)でタイマー自作が必要になるので、どちらにせよラクではない。
最終的には、21世紀的な一般的なゲームを作りたいなら、(win32APIではなく)DXライブラリで作るのがラクである。 (ただし本セクションでは説明のしやすさの都合から、win32APIで説明した。)
もし、ドラクエ風に1ピクセル(ないし数ピクセル)ずつアニメーション的に動かしたいなら、DXライブラリがほぼ必須であり(原理的にはwindowsAPIでも出来るが、しかしwindowAPIでのアニメーション表現はとても手間が多く難しく、強く薦めない。)、DXライブラリで開発しているRPGコードに、タイマー計算するコードと組み合わせて、下記イメージのようになる。
// nyuuryokumati は「入力待ち」時間の意味
上記コードの仕組みは割とひどく、マップ移動中の特定の左右方向用のタイマーを、今後の戦闘モードなど他のすべてのタイマーと流用するという、ひどいコードである。
ナナメ移動にも対応したりを考える場合、左右(LR)方向と上下(UpDown)方向のキーボード入力を別々の変数として処理する必要があったりと、割と面倒くさい。
移動先が移動可能でないカベや川なのに移動できたらおかしいので(ドラクエだと川は移動不能。『信長の野望』での渡河とか野暮にツッコまないこと。)、
事前にそういう移動可能判定を色々とクリアしたら、移動中モードとしてmovingが1になるようにしているコードである(長くなるので上記コードでは省略した)。
キーボード入力の判定は、事前のmoving側の判定計算ですでに行っているので、上記コードでは省かれている。実際にはさらに、下記コードのようなキーボード入力判定プログラムが、上記コードの直前あたりに付け足される必要がある。
いったん移動し終わったら、もはや移動中ではないので、再度movingをゼロに戻し、また移動可能判定を調べなおす、という手間になる。
マップ移動だけでも、こんな手間になる。
だから、市販の『中学生でも分かるゲームプログラミング』的な題名の本でこういう手間が無いのは、 それはその市販本の著者が、初心者が苦手感を抱かないように独自のライブラリなどで上記のような手間をライブラリ側に隠蔽する工夫などをしてるだけにすぎない。
ネットに出回るデマの、「RPG風のUIをつくるのは簡単」というのは、つくづくウソである。ドラクエ1風のUIですら、なかなか面倒である。 (『中学生でも分かるゲームプログラミング』的な本の手間だけでドラクエ1風UIが作れると思ってる、本を読んだだけの知ったかぶりが、ゲームプログラミング経験者ヅラしているということであろう。)
ゲームにおけるキャラチップの歩行アニメーションの作画の定石は、テレビアニメの歩行の作画の定石とは、まったく違います。
説明の単純化のため、右向きの歩行を例に説明します。
まず、ツクール水準の2D-RPGの歩行グラフィックではなんと、歩き始めの作画の立ちポーズのドット絵と、横向き時にプレイヤーから見てキャラ歩行中における右足と左足とが重なっているドット絵(便宜上「中ポーズ」と呼ぶとする)が、なんと同じドット絵です(テレビアニメ作画の常識とは大きく異なる)。
つまり2Dゲームのドット絵では、歩き始めと歩き中の中ポースとに、区別がないのです。
これは、実際にキャラチップのタイルと、キャラのゲーム中での歩行動画を録画して見比べると分かります。
テレビアニメ産業では、歩きお よび 走りの作画は、基本的になるべく滑らかに見せるために、6枚の絵を使います。 だからアニメ業界では「6枚歩き」とか「6枚走り」とか言います。
しかしゲームは違います。上記の言い方に習うなら、ゲームは「3枚歩き」です。「3枚歩き」というのは別にゲーム業界の用語ではなく、テレビアニメ業界での数え方をそのままゲーム業界に置き換えただけの本wikiでの独自的な呼び方です。
しかもゲームのドット絵では、走りと歩きの区別がありません。つまり、歩きのドット絵を、走りのドット絵でも使いまわします。
つまりゲームではドット絵だけなら 「3枚歩き」=「3枚走り」 でもあります。
ドット絵のゲームにおける走りと歩きの区別は単に、キャラチップのスライドさせる早さを切り替えることで区別しているだけです。
なお、テレビアニメ産業などでは、正面向きかつ走りシーン(ゲームにおける下キー入力時に相当)なら例外的に(6枚ではなく)4枚作画でも走りを描けることが知られています。なぜこれが通用するかというと、よく分析で言われるのは、6枚でなく4枚だと滑らかさはなくなりますが、しかし歩きではなく走りであるので動きに少々のギャップがあっても勢いがむしろ強調されるという点と、また6枚時の中ポーズのシルエットと4枚時の中ポーズノシルエットがあまり変わらないという点があるため、テレビアニメ業界では正面走りだけ「4枚走り」でも可能なのです。
しかしゲーム産業では正面向きでないのに、右向き左向き前向き後ろ向きすべてで、なんと「3枚歩き走り」なのです。ドット絵のゲームではキャラチップが小さいので、なんと3枚で歩きも走りも表現できてしまうのです。
このように、ゲームとアニメとでアニメーションの常識が大幅に異なります。
しかし、両業界でも一致している作画の風習もあり、それは歩行中グラでの頭の高さの上下運動です。
アニメ作画の頭の上下運動を文字だけで説明するのは難しいので、興味ある読者は外部サイトでアニメーターの作画教育サイトを見るなり、あるいは同人フリーゲーム用の公開キャラチップ素材などを実際に目で見るなどして、読者ご自身で研究してください。
ともかく、3枚で右向きの歩行を表現できます。RPGでは上下左右の4方向が必要なので、最低でも3×4 = 12枚 の絵画必要です。
なお、斜め歩行が加わると、2倍になるので必要枚数は合計24枚になります。
もし、外部のゲーム用フリードット素材を使わずに「ゲームエンジンを一人で作る」というなら、上述のようなアニメ産業とゲーム産業での作画のギャップも知って絵を描く必要が生じるでしょう。頭の切り替えが必要になります。
今までプログラマー脳だったのを、ドット絵を描くのに絵描き脳に切り替える必要があって、しかも既存のテレビアニメ作画理論はそのままでは使えないので、ゲーム用に人気作のドット絵のグラフィックを研究しなおす必要が生じるのです。
また、絵1枚ごとのRPGのキャラチップの作画も、テレビアニメとは違います。
まず、2D-RPGでは、前後向きのキャラチップの横幅のサイズ規格と、左右向きの横幅のサイズ規格が、RPGでは同じです。
しかし、テレビアニメでは、このような横幅はありえないのです。
なぜなら、人間が歩いていて左右の腕をふっていて前に突き出た状態の手先から胴体までの距離は、胴体の厚さに比べると、(手~胴体 の距離は)かなり長いです。
しかし、こういったリアルな腕の寸法に忠実に書くと、サイズ規格の横幅をオーバーしてしまい、少なくとも腕の片方の先がチップ外にハミ出てしまいます。
だから、進行方向側の腕だけは、2D-RPGキャラチップではあまり伸びていないです。
なお、進行中の胴体はやや進行方向に寄っています。これはリアルな人体がそうだからでしょう。
なので、もはや進行方向側の腕には、伸ばすだけの余裕がありません。
だから、進行方向側の腕を折り曲げる場合すらも存在します。または、進行方向側の腕だけ短くゴマかすなどしている場合もあります。
これは別に2010年以降の流行でなく、既に1980年代の商業ゲームでもファミコンのドラクエ3の勇者の母親のキャラチップも、実は進行方側に腕を伸ばしたときは、腕を折り曲げています。
なお、ドラクエ3の主人公である勇者は、剣を持っているので、利き腕の右手がもとから折り曲がっており、よく分かりません。
また利き腕の表現のためドラクエ3では、右向きと左向きのキャラチップを、けっして反転処理でゴマかさずに、きちんとポーズを書き分けています。
ともかく、一般にRPGの歩行キャラチップでは、進行方向の腕があまり伸びてないので、バランスを取るためにRPGでは、進行方向の反対側の手足を、目いっぱい、伸ばしています。
これはリアルで考えるとありえないし、テレビアニメでもありえない作画です。
ですが、ゲーム産業の2D-RPGでは、昔からこういう作画がよく行われています。
2D-RPGの歩行ではキャラは地面を滑ります。横向きグラフィックだと、比較的に確認しやすいでしょう。
テレビアニメだと、キャラが滑っているように見えなくさせるためもあってか6枚も使って作画する一方、
2Dゲームでは正反対であり、2D-RPGゲームでは「滑り上等!」な態度の作画です。
走りシーンだったら、「まるで滑っている」かのように高速で走っている身軽なキャラのようにも見えるのですが(実は、実際に足の作画が滑っているだけ)、
2D-RPGでは歩きですら滑りある作画です。
「3枚歩き」で描く以上、こういうリアリティを無視した作画ですので、あまり他のリアリティにこだわっても仕方ありません。
標準的なキャラチップの前側の腕は折りたたまれています。原理的には、キャラチップの横幅を長くすれば、横向き歩きのゲーム作画において、リアルの作画や、テレビアニメの作画に近づけることはできます。
ですがそれをすると、キャラチップがそのぶん大きくなってしまい、そのせいでチップタイルの横幅が大きくなってしまいます。
正確には計算していませんが、少なくとも2.5倍くらいは横幅が長くなると思います。斜め移動も含みで考えると、通常のツクールなどのチップタイルはやや横長なのに、さらにそれを2.5倍に長くするのは、やや編集時に見づらいかもしれません。
ドット絵のキャラチップという小さくて見づらい絵の、さらに「腕」という2ドット(枠線まで含めると4ドット)くらいしかない部分に対して、そこまでする必要あるのか、意義が不明です。
このように、ゲーム演出の特有の事情もあります。
また、もしキャラチップの横幅の規格だけ長くすると、マップチップの横幅の規格と、食い違いが出てきます。このため、プログラムがやや難しくなります。
なるべくキャラチップ横幅とマップチップ横幅の規格の長さが近いほうが、プログラムは楽になります。
このように、プログラミング側の事情もあります。
それでも、どうしても腕の振りをリアルやテレビアニメに近づけたいなら、
キャラチップのサイズ規格を変えるのではなく、キャラチップのサイズ規格はマップチップ規格と同じくらいの長さにしたままにして、
歩行時にキャラチップを3枚横につなげるなどの方法もあるかもしれません。3枚の真ん中のチップが胴体と腕の付け根側で、隣の左右チップがそれぞれの腕の先端側に対応、という手法です。おそらくですが、ファミコン時代の古いアクションゲームでも、巨大ボスなどを、複数のチップをつなげて作画していたでしょうから、そういうのを現代的に応用する手法というわけです。
ただし、これだとキャラの処理速度の負担も、単純計算で3倍になります。(実際は、左右のキャラチップは無描画の場合もあるし、描画量が少ないので、もっと少ないが。)
主人公とかボス敵だけのキャラチップなら、グラフィック重視のゲームなら、その意義もあるかもしれません。しかし、果たしてモブキャラのキャラチップにまで、そこまでのチップ3倍にする手間を掛ける価値があるかどうか。
また、製作ツールなどの事情により、読み込みできる画像の枚数に制限のある場合があるので、あまり目立たない部分のために画像を1枚増やすのは非効率です。
ですが、べつに全キャラに6枚歩きを実装する必要もありません。お好きなように。
どうしてもドット絵で手足の動きをリアリティある書き方で細かく表現したいなら、いっそ、ゲーム本編ではなく別途ゲーム中にミニゲームでリアルな腕の振り方のあるミニゲームを組み込むなどの方法のほうが、良いかもしれません。
この方法なら、たとえばもし2D対戦アクションゲーム(スト2みたいなの)のミニゲームを組み込んだら、歩きや走りだけでなく、ジャンプだろうが座りだろうが、もはやパンチやキックや剣撃なども思う存分に大きく作画できますし、作画によってゲーム性も向上します。(アクションゲーム特有の非リアル描写もあるだろうが、本ページはRPGの教科書なので、アクションゲームの非リアル描写には深入りしない。)
背景を手書き背景イラストにすれば、マップチップのサイズ規格に縛られる必要もなくなるので、思う存分にキャラの好きな大きさで作画できますので、腕などの細かい部分も目立つ大きさで作画できるでしょう。
ただし、この方法の背景だと、スーパーマリオのような、背景の空中ブロックの上に、キャラがジャンプして飛び移ったりとかの処理は、スト2的ゲームのままでは不可能です。別途、マリオ的システムのプログラムを組む必要があります。つまり「スト2のようなスーパーマリオ」というゲーム企画を実装する必要が生じてしまいます。
また、ツクール的システムのRPGでなければ「3枚歩き」に縛られず、歩きと走りの作画を分離するのも自由ですし、「6枚走り」と「6枚歩き」のシステムにすることで「滑り」も無くせてリアリティ向上します。そこまで作画する意欲があればの話ですが。
歩行グラフィックの切り替えパターンはゲームごとに違うのですが、下記コラムでは実装のラクなパターンを紹介します。
なお、ツクールやウディタの歩行パターンとは異なります(ツクールなどは、もっと複雑なパターン。後述する)。
実はツクールやウディタなどの歩行アルゴリズムは、本ページの上記コラムのプログラムのようにはなっていません。
なお、ツクーツとウディタで、キャラの標準的な歩き方のアルゴリズムは両方とも、
のように、直立ポーズを挟んで、前足あげと後ろ足あげを交互に繰り返す方式です。(最初に始まるのが前足か後ろ足かの若干の違いはあるかもしれませんが、本質的ではないので深入りしない。)
けっして、
のようにはなりません。
これはおそらく、直立のように見えるグラフィックが、実は歩行中の前足と後ろ足とが重なった状態を兼ねている表現だろうと思われます。
そのほか、ツクールやウディタで1マスだけ進むのを繰り返すと分かりますが、
1マスしか動かないで停止したとき、キャラチップをよく見ると、その場で足踏みして最終的に直立して止まることがあります。
ツクールもウディタもソース非公開なので不明ですが、これはプログラム的には仕組みはおそらく、
移動中の間だけ「移動中カウンタ」的な変数が進み、それが一定値になると0に戻るという仕組みを繰り返していると思います。
そして隣マスに到着時の進行判定の際、もし右ボタンが押されていなくてマスに停止しており、
移動中カウンタがまだ0に戻る前の値だったら、その値を保存したまま、
表示プログラム用にカウンタ値だけカウントアップしていって0に戻るまで表示が進むような仕組みで、実装できるかと思われます。
もし読者がツクールやウディタっぽい歩行アルゴリスムを実装したいなら、ご自身で研究してください。どのみち、ツクールとウディタで、歩行のポーズ切り替えタイミングなど微妙に違いますので、統一されていません。
どのみち、たとえばファミコン版ドラクエ3のアルゴリズムは、ツクールやウディタとも違います。ドラクエ3ではマップ上でマスに立ち止まっても、キャラチップは静止せずに足踏みを続けます。
このように歩行パターンはゲームそれぞれです。
おおむね、こういった作画の流れになるでしょう。もちろん個人差はあるでしょう。ですが、けっして「いきなり細部から描く」ことはしないのは、ほぼ確定でしょうし、線画はドットが潰れるので輪郭以外の線は描かないことも、ほぼ確定でしょう。
あくまで、2D-RPGのキャラチップの 40px × 40px 程度のドット絵だけに限定した話です。なので、反論などで顔グラフィックなどキャラチップ以外の話題を出されても、ピント外れです(相手が言ってもいないことで反論することを「w:藁人形論法」(わらにんぎょう ろんぽう)と言います)。ましてやRPG以外のアクションゲームなどのドット絵の手法で反論しないでください。
さて、いくつかフリー素材を調べたところ、横向き時の中ポーズの足は、1本しか見えません。
ついつい歩行中の中ポーズも意識して足を微妙にズラして2本書きたくなりますが、しかし静止ポーズにも使うことと、ドット絵なので微妙な足の段差を表現しづらいことなどから、
決断して横向き時の足は1本しか見えないほうにするのが効率的でしょう。
どうしても中ポーズでも足2本を見えるようにしたい場合の裏ワザとして、2本の足が合体した太い1本足を描くというワザがあります。やや太めの1本足です。 一部のフリーゲーム素材がこういうワザを使ってドット絵を描いています。
ドット絵なんてこんなもんのゴマカシの連発ですから、あまり下調べの段階なのに細部を調べても仕方ありません。さっさと書き始めてから、書いてる途中に気になった点から手本を見直して調べていけばいいのです。いろいろと調べるの必要になりますが、さっさと書き始めるのも重要です。こういうのは、調べていたらキリがありません。
デッサンのコツなんて、細部を書き始める時点までに、把握できていればいいのいです。
仕事でなければ、イラストなんて最終的には描いた自分で満足できればいいのです。プログラマー視点で見るにしても、歩行プログラムの検証をできる最低限のイラストさえ書ければいいのです。
当ページはプログラミングの教科書ですので、まず先にプログラム検証のための最低限イラストを描くことになります。
とりあえずバブルソートの話題など。ほか幾つか。
さて、戦闘中のモンスター隊列の構成を定義するための配列(または同等の内容の数列)も、必要です。
まず、画面に敵を、表示したい順に表示するためも必要です。
また、上述の「素早さ順」での行動処理のためにも、前提として、敵パーティの構成を表すための配列が必要になります。
説明の単純化のため、敵は横一列に、左から右に、並んでいるとしましょう(ドラクエ2~3みたいな方式だとしましょう)。
たとえば敵が左から順に
出現したとしましょう。(説明の単純化のため、モンスターは各種類ごとに1体だけとする。)
そして、ホブゴブリンのモンスター用データベース中でのIDが13番だとして、 毒々スライムのIDが8番、 ゾンビ兵士のIDが25番、 だとしましょう。
すると、この敵パーティを表すための配列として、
のような配列が必要です。(もしくは、配列に格納できるような数値の列「13,8,25,-99」)
末尾の-99は、これはその配列の読み終わりとして使用するための数字です。この数字は、別に「-10」でも「-99」でもいいですが、モンスターのidとけっして重ならないようにする必要があります。
通常、なんらかのデータベースのidの値は0以上の正の整数ですので、マイナスの整数を「終了」の意味で使用しておけば、安全でしょう。
このように、敵側にも、配列が必要になります。
しかも、この敵側の配列は、そのゲーム中で出現する敵パーティの全パターンを用意する必要があります。
たとい1体だけしか出現しない敵でも(たとえばボス敵や強敵)、その1体分の敵パーティの配列が必要です。
たとえば、その1体だけで出現する、あるボス敵「暗黒大王」のモンスター用データベース中でのIDが205番だとしたら、
のような、敵1体だけの配列を用意する必要があります。
なお、もしマイナスの数を含む数をふくめて並べ替えをしたいのでしたら、 上記の「-99」など終了処理を負数で区別する方法は、そのままでは使えないです。
たとえば、方向でもし東向きをプラス、西向きをマイナスとした場合、終了コードのつもりの「-99」は、誤解で「西に99マス」などと誤解される恐れがあります。
たとえば、
の並べ替えをしたい場合を考えましょう。
解決策としては、いろいろあります。
一番ラクな方法は、要素数を新たな変数として追加し、それと組み合わせて配列を使うことでしょう。
たとえば、
は7個の数が並んでいるので、
youso = 7;
みたいに新たに変数を用意します。
そして、たとえば最初の「-3」から順番意読み取りの際に、数えおわった個数を+1していき、+7になったら読み取りを終了することです。
この方法は、拡張性が高いのでオススメですが、ただし、要素を書く前に個数を宣言する必要があります。
実際の配列データは
のようになっているので、けっして数え終わって欲しいところでキリよく要素が終わるわけではないので、なので、要素数をあらかじめ宣言する必要があるのです。
さもないと、8番目の「0」が、読み取りたい数値としてゼロなのか、それとも、単にデータなしのためゼロなのか、不明になります。
終了コードなどとして負数を使用するのは、マイナスを含む並べ替えでは、あきらめましょう。それが安全でしょう。
最初の解決策1(要素数を新たな変数として追加)がもっとも安全かつ簡単ですが、比較のため、別の解決策も紹介しておきます。
次の解決策2は、数学的にはエレガントですが、しかしプログラミング的には、煩雑になり、また、バグ時などのエラーの波及をしやすい欠点があります。
さて、並べ替えのもうひとつの解決策として、
一例は、符号と絶対値を分離して、その組み合わせとして処理することです。
たとえば、
の並べ替えをしたい場合、
プレイヤーからは表面的には「-6」は1つの数に見えまずが、これをあえて、「フラグhugouが状態2(マイナスに相当)である」「絶対値 zetai が6である」というように、2つの変数hugou と zetaiに分けます
符号がプラスなら、hugou = 1 にでもしておきましょう。また、ゼロは便宜上、hugou = 1 にしておきましょう。
すると、上記の数の並びは、(hugou, zetai)のベクトルで考えると、
という組み合わせに変換するので、マイナスが使われない形になります。
なので、終了処理に、「-99」などの負数を割り当てても、並べ替え対象の数値と重なる心配がなくなります。: (2, 6,) , (2, 3) , (2, 2) , (1,0) , (1,1) ,(1,2), (1,5)
などのように、終了コード「(-99,0)」を末尾に追加しても、なんの混同の心配もなくなります。
さて、いったん上記のように、数を、符号と絶対値の組み合わせに分解して、同じ符号どうしで並びかえたなら、
あとは、符号が同じものどうしで、並べ替えをするだけですみます。
たとえば、
の並べ替えをしたい場合、ベクトルの第一引数に注目し、※ (第一引数、第二引数)
まず、
に分けます。
そして、絶対値(例では第二引数)だけに注目すれば、
となるので、簡単に並べ替えできます。
あとは、これを合成し、
と、並べ替えできます。
なお、説明の都合上でベクトルを蒸気の解説で使ったが、しかしC言語にベクトルの機能は無いので、もし上記の機能を実装するなら配列や構造体配列を使って、ベクトルと似たような処理を実装することになる。
たとえば配列で実装するなら、符号用の配列 hugou[id] と、絶対値用の配列 zetai[id] のようなものを用意したりすることになるだろう。
もし1番目の最初の数が「-3」なら、符号フラグは2、絶対値は3だからベクトル表現では
であるが、これは配列で表現するなら、たとえば
のように記述できる(C言語では配列の番号は0から数える)。
この方法は、一見すると数学的にエレガントに見えるかもしれませんが、しかし、もしバグやタイプミスなどによって数え間違えると、数え落としや重複があると、以降の符号が1個ずつズレてしまうなどの大きな影響があります。
たとえば、説明のため上記では
の分解を
とマトメて書きましたが、 実際には
のように別々の変数に分かれて保管されるのです。
もし、たとえば hugou の最初に、バグなどで「1」が加わると、
のようになってしまい、すべての符号が1個分、ズレてしまい、
となってしまいます。
正しい元々の数字の並びの
と比べると、符号がいくつも間違っており(1個目と2個目と4個目が違う)、解決策2ではエラーの波及が大きいことが分かります。 | [
{
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"tag": "p",
"text": "本ページ『ゲームプログラミング/RPG』では原則、あまり(あるいは「まったく」)、いわゆるドラクエ的な意味での「RPG」の難易度デザインやそのためのパラメータ調整などのゲームデザインに関する話題は扱いません。",
"title": "本書の注意点"
},
{
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"tag": "p",
"text": "なぜなら、本書『ゲームプログラミング』は、題名にもあるとおりプログラミングの教科書だからです。つまり本書は、RPGのゲームデザイン論の教科書ではないです。",
"title": "本書の注意点"
},
{
"paragraph_id": 2,
"tag": "p",
"text": "難易度デザインについては、RPG限定ではないですが本wikiでは別途、『ゲームプログラミング/バランス調整』という難易度デザインに特化した目的のページが切り離されて存在しているので、そちらをご利用ください。",
"title": "本書の注意点"
},
{
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"tag": "p",
"text": "同様に、ゲームシナリオやイラスト素材や音楽素材などの制作など自前のRPG制作に必要なその他の知識も説明しません。もしかしたら必要に応じて「ドットエディタ」などのキャラチップ制作ツールの存在や最低限のIT的な説明はするかもしれませんが、しかしデッサン的な話題は一切しません。",
"title": "本書の注意点"
},
{
"paragraph_id": 4,
"tag": "p",
"text": "市販のゲームクリエイター教育書には、一切、RPGのプログラミング解説書はありません。",
"title": "本書の注意点"
},
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"tag": "p",
"text": "一応、アクションゲームについては書籍『ゲームプログラマになる前に覚えておきたい技術』や『ゲームプログラミングC++ 』などがありますが、その書籍は別にRPGには限定しておらず、どちらかというとアクションゲーム寄りの内容かもしれません(たとえば『ゲームプログラミングC++』では「衝突検知」などの話題がある)。",
"title": "本書の注意点"
},
{
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"tag": "p",
"text": "そういった出版事情もあり、本ページでは、出典のないRPGゲームプログラミング技法を多く紹介しています。",
"title": "本書の注意点"
},
{
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"text": "出典がなくても、プログラミングについては実際に Visual Studio などのコンパイラでその技法を確認してみれば真偽の確認ができますので、読者ご自身で真偽をご確認ください。",
"title": "本書の注意点"
},
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"text": "本ページに限らず『C言語』や『JavaScript』などの本wikiのプログラミング言語の教科書も同様に、プログラミング技法については特に出典はないスタイルです(出典があるのは、主に用語や歴史などの説明に関する出典だったりする)。",
"title": "本書の注意点"
},
{
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"tag": "p",
"text": "想定読者として、そういう御自身でコンパイラでコードをビルドして確認できるレベルの人を本ページでは想定していますので、もし読者がそれに到達していないなら、このページからは決して学ばないでください。",
"title": "本書の注意点"
},
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"tag": "p",
"text": "実際のゲームプログラミングでは、たとえ無音声の2Dゲームですら、計算処理の他にグラフィックやキーボード入力など多くの機能が連動するので、コードはかなり長くなります。無音2Dのシンプルな超短編ゲームですら、初心者でもコードが何千行やあるいは1万行以上にもなります。",
"title": "本書の注意点"
},
{
"paragraph_id": 11,
"tag": "p",
"text": "そのため、本wikiでは動作ソースコードの全部は到底、紹介できないです。だから本wikiで紹介されているコードをコピーペーストしても、それだけでは動かないのが普通です。",
"title": "本書の注意点"
},
{
"paragraph_id": 12,
"tag": "p",
"text": "本ページにあるC言語のコードは、プログラミングでRPGを作る際に、「たぶん多くの人はこういった点が気になって悩むと思うから、こういうふうにコード記述すれば解決できると思います」といった方針だけを提供するものに過ぎません。",
"title": "本書の注意点"
},
{
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"text": "あるいは、もし本書で紹介したコードで動作したとしても、そのコードの結果はコマンドプロンプト(DOSプロンプト)のような真っ黒い画面で、RPG的な計算内容による計算結果だけを表示するプログラムだったりするので、そのままでは他人に遊んでもらえるような実際のゲームではないので、したがって実際のゲームプログラミング時には映像の表示などのためのコード追加がかなり多く必要になります。",
"title": "本書の注意点"
},
{
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"tag": "p",
"text": "本ページのRPGは、ターン制の戦闘システムを採用したRPG(Turn-based RPG)を中心にとり扱う。アクションRPGやシミュレーションRPG、アクティブバトルなどを語る場合には、注記する。",
"title": "はじめに"
},
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"text": "以下のものは取り扱わない。",
"title": "はじめに"
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"text": "なお、本ページでは説明のためにC言語を用いている。C言語の理解を前提としている箇所が存在するため、もし読者が知識をお持ちでない場合は、適切な媒体で調べながら読み進めていただきたい。 本ページではC言語を説明のために用いているが、開発環境がそれ以外の言語である場合は、適宜読み替えていただきたい。",
"title": "はじめに"
},
{
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"tag": "p",
"text": "",
"title": "はじめに"
},
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"text": "",
"title": "はじめに"
},
{
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"text": "一応、ターン制RPGは関数や配列を知らなくても、作り始めることはできます。",
"title": "予備知識と学習法"
},
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"text": "最低限必要な知識として、変数と、キーボード入出力の関数と、if文、タイマー関連、画面出力、あとはせいぜい乱数などがあれば、ゲームを作り始めることができます。",
"title": "予備知識と学習法"
},
{
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"tag": "p",
"text": "これはRPGにかぎらず、よくプログラミング入門書にあるジャンケンゲームなども同様でしょう。ジャンケンゲームならタイマーすら不要でしょう。",
"title": "予備知識と学習法"
},
{
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"tag": "p",
"text": "しかし、「関数を知らないプログラミング」とは、たとえば、zボタン(決定ボタンとする)を押したときのプログラム記述で、DXライブラリでの開発なら、マップ画面モードでも戦闘コマンド画面モードでもタイマーをカウント開始すると思いますが、そのタイマーの開始命令と関連する処置を各画面ごとに1行ずつ書いていく方式です。",
"title": "予備知識と学習法"
},
{
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"tag": "p",
"text": "だからもし、バグなどがあってコード修正する際、すべての画面モードのzボタンを命令を一個ずつ直さなければなりません。RPGはモードが多いので、そのような修正は、なかなか面倒です。",
"title": "予備知識と学習法"
},
{
"paragraph_id": 24,
"tag": "p",
"text": "だから、別に作り始めの時点で関数を知らなくてもいいのですが、しかし作っている途中に「バグの訂正で似た部分の繰り返しが多くて面倒だなあ・・・」という気分になったら関数も勉強していくのが望ましいでしょう。",
"title": "予備知識と学習法"
},
{
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"tag": "p",
"text": "そして、いつごろが関数を学ぶタイミングなのかを知るには、事前に自分がある程度は「関数というものがあって、コードの使いまわしに便利なものらしい」という知識が必要です。",
"title": "予備知識と学習法"
},
{
"paragraph_id": 26,
"tag": "p",
"text": "配列も同様です。配列を知らなくても、パーテイ1人目のHPを変数名「p1HP」、パーティ2人目のHPを変数名「p2HP」のような方式でRPGを作れます。",
"title": "予備知識と学習法"
},
{
"paragraph_id": 27,
"tag": "p",
"text": "しかし、これを敵15体も登録されているRPGで「m1HP」から「m15HP」とやるのは、少し面倒です。",
"title": "予備知識と学習法"
},
{
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"tag": "p",
"text": "なにより一番の問題は、配列を知らないと、ドラクエ1的なマップ画面すら作るのが、かなり困難になることです。",
"title": "予備知識と学習法"
},
{
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"tag": "p",
"text": "よくプログラミング教本などにある例では、マップを二次元配列で実装しています。",
"title": "予備知識と学習法"
},
{
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"text": "たとえば、書籍『12歳から始めるゼロからのC言語 ゲームプログラミング教室』がそうです。",
"title": "予備知識と学習法"
},
{
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"text": "たとえば、",
"title": "予備知識と学習法"
},
{
"paragraph_id": 32,
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"text": "みたいな感じで、0番が草原、1番が森、2番が岩山、のような感じです。",
"title": "予備知識と学習法"
},
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"text": "横10×縦5のマップはそれほど広くないですが、",
"title": "予備知識と学習法"
},
{
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"tag": "p",
"text": "たったこれだけのマップでも、もし配列を知らなければ変数が50個必要です。",
"title": "予備知識と学習法"
},
{
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"text": "「配列を知らなくてもRPGを作れる」というのは、たしかにノンフィールドRPGなどは作れますし、",
"title": "予備知識と学習法"
},
{
"paragraph_id": 36,
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"text": "あるいはフィールドがあっても「マップはすべて草原、あるいはマップの99%くらいが草原(草原でないところだけ変数指定する方式)」のようなゲームなら作れますが、",
"title": "予備知識と学習法"
},
{
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"text": "しかしそれは、多くのRPGプログラミング入門者が考えているような、ファミコン~スーファミ水準のドラクエ・ファイファン的なイメージのRPGとは異なります。",
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},
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"text": "初心者に「配列を知らなくてもいい」というのは無責任です。",
"title": "予備知識と学習法"
},
{
"paragraph_id": 39,
"tag": "p",
"text": "配列を知らなくてもゲームプログラミングは開始できますが、もしも配列が必要になった時点で(変数を一個ずつ宣言するのが面倒なモジュールを作るとき)、 配列を学び始めるのが良いでしょう。",
"title": "予備知識と学習法"
},
{
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"text": "",
"title": "予備知識と学習法"
},
{
"paragraph_id": 41,
"tag": "p",
"text": "別に市販のC言語の入門書の基礎文法すべてに精通してからゲームプログラミングを開始する必要はありません。",
"title": "予備知識と学習法"
},
{
"paragraph_id": 42,
"tag": "p",
"text": "おおよその機能だけを市販のC言語入門書に目を通して知っておいて、プログラミングでは変数などの初歩的な知識だけを用いて作り始め、足りない知識は必要になったらそのたびに、市販の入門書などで学べばいいのです、",
"title": "予備知識と学習法"
},
{
"paragraph_id": 43,
"tag": "p",
"text": "また、その市販のC言語入門書を読む時間も、通学中・通勤中で電車のイスに座ってる時に読むとか、あるいはトイレでウンコしている時に読むとか、そういう時に読めば、プログラミングの時間を減らさずに時間を有効活用できます(ただし睡眠時間や食事の時間などは減らさないようにしましょう)。",
"title": "予備知識と学習法"
},
{
"paragraph_id": 44,
"tag": "p",
"text": "さて、セーブやロードなどの機能は、当分は不要です。そもそも、セーブが必要なほどの長さのシナリオなんて作るのは当分は後です。もしお作りのゲームが1分でクリアできるようなゲームなら、セーブなんて不要でしょう。",
"title": "予備知識と学習法"
},
{
"paragraph_id": 45,
"tag": "p",
"text": "だから、C言語のファイル入出力の機能などは、当分は不要です。",
"title": "予備知識と学習法"
},
{
"paragraph_id": 46,
"tag": "p",
"text": "つまり「学んでから作る」ではなく「作っているうちに気になった点を調べる」のがコツでしょう。",
"title": "予備知識と学習法"
},
{
"paragraph_id": 47,
"tag": "p",
"text": "おそらく「関数を知らなくてもRPG作れる」といっているプログラマーはたぶんそういう事を言いたかった口ベタな人なのでしょう。",
"title": "予備知識と学習法"
},
{
"paragraph_id": 48,
"tag": "p",
"text": "なお、配列や関数などは、自分が直接は使わなくても、他人が使います。",
"title": "予備知識と学習法"
},
{
"paragraph_id": 49,
"tag": "p",
"text": "たとえば、マップの実装で、もしかしたら二次元配列を使わなくても、原理的には一次元配列を何十個も並べて実装する方法もあるかもしれませんが、しかし他人がそういう一次元配列を何十個も並べてマップ実装したコードなんて読みたくないし、教育者も面倒なのでそういうコードを教えてくれません。",
"title": "予備知識と学習法"
},
{
"paragraph_id": 50,
"tag": "p",
"text": "なお、構造体は別に知らなくてもRPGは作れます。列挙体 enum なども同様です。単に構造体の配列を知っていると、(装備品やモンスターなどの)データベースを第三者がより読みやすい形で作りやすくなるだけです。列挙体を知っていると、モードの切り替え(マップ画面モードからメニュー画面モードへの切り替え等)をしやすくなります。",
"title": "予備知識と学習法"
},
{
"paragraph_id": 51,
"tag": "p",
"text": "正直、市販の「ゲームプログラマー向け」をうたったプログラミング教本の中には、少なくともゲームプログラマー初心者の時点では不要な高度な知識も多く紹介されています。しかしそういう本でも、出版社などの宣伝の都合からか、「プログラマーになる前に読んでおきたい」みたいな宣伝文句が付けられたりしているかもしれません。そういう高度な知識もあとで仕事で必要になる場合がありうるので、ゲームプログラマー向けとして出版する事自体は正しいのですが、しかし初心者や入門書に進めるような宣伝文句をつけるべきかというと疑問となる内容の市販本もあります。",
"title": "予備知識と学習法"
},
{
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"tag": "p",
"text": "",
"title": "予備知識と学習法"
},
{
"paragraph_id": 53,
"tag": "p",
"text": "よく、「ポインタによる処理で速度の向上!」みたいな事が、ゲーム好きのプログラマーに言われます。",
"title": "予備知識と学習法"
},
{
"paragraph_id": 54,
"tag": "p",
"text": "しかしポインタによるコーディングは、プログラムのメンテナンス性を悪くします。なぜならもしポインタ使用個所の周辺でバグが発生した場合に、ポインタがあると原因が特定しづらくなるからです。",
"title": "予備知識と学習法"
},
{
"paragraph_id": 55,
"tag": "p",
"text": "一般のグローバル変数やローカル変数と比べてポインタ変数は仕組みが単純ではないことや、配列や構造体にポインタなどを用いる場合はもしその配列・構造体にバグがあると同じ配列内・構造体の別の部分にまでバグが波及するなどするので(コードによっては、もしかしたら、下手したら周辺の別の配列や構造体に波及する場合もありうるかも)、ポインタで実装されたモジュールがあるとバグ発生時に原因の絞込みが難しくなるのです。",
"title": "予備知識と学習法"
},
{
"paragraph_id": 56,
"tag": "p",
"text": "もし仮にポインタ処理化を実装した直後では正常に動いていても、しかしあとで、今まで未実装だった部分が実装された場合に、なんらかの不整合によるバグが発生するようなことも良くあり、ポインタ処理はその際、バグ原因の特定を難しくします。",
"title": "予備知識と学習法"
},
{
"paragraph_id": 57,
"tag": "p",
"text": "だから仮にどうしてもポインタを使わないといけない場合でも、RPG製作なら、なるべくポインタを実装するのは後回しにして、当分は一般の変数で実装したままにしておくほうが良いかもしれません。",
"title": "予備知識と学習法"
},
{
"paragraph_id": 58,
"tag": "p",
"text": "あるいは、もし機能の実験や勉強を兼ねてポインタ処理の実験と実装をしたのなら、現状ではポインタ変数で実装してある箇所でも、あとでデバッグなどの際に一般の変数に戻す可能性も考慮することになります。",
"title": "予備知識と学習法"
},
{
"paragraph_id": 59,
"tag": "p",
"text": "RPGの場合、デバッグに時間を多くとられますし、変数がとても多いので、メンテナンス性も考慮せざるを得ません。",
"title": "予備知識と学習法"
},
{
"paragraph_id": 60,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "予備知識と学習法"
},
{
"paragraph_id": 61,
"tag": "p",
"text": "ポインタによって高速化のメリットが得られる場合とは、C言語教科書などの理論では、大量の要素の構造体を(関数の引数などとして利用する際に)コピーする場合ぐらいです。",
"title": "予備知識と学習法"
},
{
"paragraph_id": 62,
"tag": "p",
"text": "だからもし構造体を使う場合であっても、そもそも自作で用いる構造体変数がグローバル変数であればコピーの必要自体がないので、ポインタの必要もありません。",
"title": "予備知識と学習法"
},
{
"paragraph_id": 63,
"tag": "p",
"text": "ゲーム内の武器データベースやモンスターデータベースなどが構造体で実装されると思いますが、初心者なら普通はそれらの構造体変数はグローバル変数として実装することになるでしょうし、グローバル変数として実装しても何も困りませんし、実際それでもRPGを作れますし、正常な速度で動きます。",
"title": "予備知識と学習法"
},
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"paragraph_id": 64,
"tag": "p",
"text": "例外的な事例を考えるなら、たとえばマップイベントのデータベースなど、特定のモードでしか使う機会のないデータベースなら、理論的にはグローバル変数でなくポインタによる取り扱いによって処理速度の向上の可能性はありえますが、しかし正直メンテナンス性が悪いし、難しい割にはポインタ化してもしなくても初心者ゲームのレベルでは速度は変わりません。せいぜい勉強になるだけです。",
"title": "予備知識と学習法"
},
{
"paragraph_id": 65,
"tag": "p",
"text": "こういう風に、市販のC言語教科書にある知識の一つ覚えは、通用しません。",
"title": "予備知識と学習法"
},
{
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"tag": "p",
"text": "ターン制RPGは、身体障害などでアクションゲームなど反射神経を要するゲームの苦手な人もプレイします。なので、それを意識した設計にしましょう。シミュレーションゲームも同様です。もっとも、さすがに腕のないプレイヤーにまでは配慮できないので、程度問題ですが。",
"title": "設計の方針"
},
{
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"tag": "p",
"text": "ともかく、だから、もしどうしても制作中のターン制RPGにアクション要素のあるイベントを入れる場合、たとえば工夫として、",
"title": "設計の方針"
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"text": "事前にそういうアクションイベントのあることをプレイヤーに作品紹介文などで紹介しておくとか、",
"title": "設計の方針"
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"paragraph_id": 69,
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"text": "あるいはそのアクションイベントをもしクリアできなくてもプレイヤーがゲームクリアできるように設計するなどの配慮が望ましいでしょう。",
"title": "設計の方針"
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"text": "もしくは、充分にアクション要素の難易度を下げておく必要があるかもしれません。",
"title": "設計の方針"
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{
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"tag": "p",
"text": "",
"title": "設計の方針"
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{
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"tag": "p",
"text": "もしもC言語でゼロからゲームを作るなら、UI(ユーザーインターフェース)をゼロからDirectXなどで作ることになります。 シナリオどうこうより、まずUIを作るのが真っ先になります。",
"title": "設計の方針"
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"paragraph_id": 73,
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"text": "結論から言うと、需要のあるUIの種類はそんなに多くなく、よって最終的には既存の有名ゲームのUIを真似することになります。(練習として新規のUIを色々と制作してみるのは構いませんが、しかし実用的なものを新規に発明するのは困難かと。)",
"title": "設計の方針"
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"tag": "p",
"text": "RPGなどで選択肢で『はい』か『いいえ』がよく出ることがあります。",
"title": "設計の方針"
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"text": "この場合、必ずしも順番どおりに",
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"text": "とするのが良いとは限りません。",
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"text": "なぜなら、プレイヤーがセリフ送りなどでボタンを連打している場合に、あやまって選択肢も連打してしまうことがあるからです。",
"title": "設計の方針"
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"text": "文献『ゲームプランとデザインの教科書』によると、選択肢の順序についての設計テクニックとして、現状を維持するほうの選択項目を先に表示したりとか、あるいはマウス操作式のゲームなら現状維持や安全なほうの選択肢にカーソルを事前に合わせておくなどの工夫が、定石とされています。",
"title": "設計の方針"
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{
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"tag": "p",
"text": "",
"title": "設計の方針"
},
{
"paragraph_id": 80,
"tag": "p",
"text": "例えば、コマンド選択などのカーソルの方式には、",
"title": "設計の方針"
},
{
"paragraph_id": 81,
"tag": "p",
"text": "など幾つかあります。",
"title": "設計の方針"
},
{
"paragraph_id": 82,
"tag": "p",
"text": "カーソル点滅させる場合、実はこれはほとんど、カーソル点滅色は白系の色にせざるを得ません。",
"title": "設計の方針"
},
{
"paragraph_id": 83,
"tag": "p",
"text": "なぜなら健康上の理由があり、もし青色ウィンドウなのに、たとえばカーソル色を赤(または緑にして)、赤カーソルを点滅させると、「光過敏性てんかん」のような症状を引き起こします。このため、点滅カーソルの背景色は、事実上は、ほぼ白色に決まります。",
"title": "設計の方針"
},
{
"paragraph_id": 84,
"tag": "p",
"text": "一応、白でなくても、たとえば青ウィンドウなら水色などの背景色でも可能ですが、手間が増えますし、ほかのウィンドウ色(たとえばウィンドウを赤に変更した場合)では応用が利きません。",
"title": "設計の方針"
},
{
"paragraph_id": 85,
"tag": "p",
"text": "ゲームによっては設定カスタマイズなどでウィンドウ色を変えられたりしますが、プログラマー的に分析するコツとしては、カスタマイズできない部分(たとえばカーソル色はカスタマイズできない等)にも注目すると良いでしょう。",
"title": "設計の方針"
},
{
"paragraph_id": 86,
"tag": "p",
"text": "なお、色弱(しきじゃく)/色盲(しきもう)という病気があり、緑色と赤色の区別がつきづらい人が、世間には居ます(赤緑色盲)。例外の人もいて、青など他の色が見えない人もいますが、しかし色弱患者で統計的に割合がもっとも多いのは赤緑色盲です。",
"title": "設計の方針"
},
{
"paragraph_id": 87,
"tag": "p",
"text": "赤緑色盲の人には、赤も緑も、ともに茶色に見えます。なので赤緑色盲の人にあ、赤と緑を区別できないのです。",
"title": "設計の方針"
},
{
"paragraph_id": 88,
"tag": "p",
"text": "よって事実上、ウィンドウ色は原則的に青色になります。ファイナルファンタジーや昔のツクールなどが、ウィンドウ色に青色を標準的に採用しているのは、決して偶然ではなく、いろいろな事情があるのです。",
"title": "設計の方針"
},
{
"paragraph_id": 89,
"tag": "p",
"text": "どうしても同一画面に赤と緑を表示しなければならない場合、色の濃さを変えるなどして、たとえば濃い緑と、うすい赤、などのように濃度差をつけるなどする必要があります。(この濃度差の手法は、役所などの出す、色覚障碍者向けのガイドラインなどにも書いてある、典型的なアドバイスです。 ) そもそも、色盲でなく健常者でも、濃度の同じくらいの赤色と緑色の組み合わせは、やや見えづらいです。 学校の「黒板」という緑色の板に、赤チョークで書かれた文字が、見づらかった記憶をもつ人も多いでしょう。",
"title": "設計の方針"
},
{
"paragraph_id": 90,
"tag": "p",
"text": "なお、赤緑色盲の人でも、黄色は、茶色とは区別して見えます。",
"title": "設計の方針"
},
{
"paragraph_id": 91,
"tag": "p",
"text": "なのでウィンドウに、黄色っぽい色と黒を組み合わせて使うのも手です。",
"title": "設計の方針"
},
{
"paragraph_id": 92,
"tag": "p",
"text": "あるいは、うすい茶色に、黒い文字という組み合わせもあります。",
"title": "設計の方針"
},
{
"paragraph_id": 93,
"tag": "p",
"text": "たとえばロマサガ1は、うすい茶色のウィンドウに、黒い文字です。うすい茶色と黒との組み合わせは、明度も大きく異なっているので、良い組み合わせでしょう。",
"title": "設計の方針"
},
{
"paragraph_id": 94,
"tag": "p",
"text": "スーファミ版の三国志4のウィンドウ色と文字色も、似たような組み合わせです。ただし三国志4の場合、文字に白い文字を使う場合もあります。数値などは白い文字です。このため、ウィンドウの茶色部分にはザラザラした模様をつけて白い文字を際立たせる工夫をしたりなど、工夫をしています。",
"title": "設計の方針"
},
{
"paragraph_id": 95,
"tag": "p",
"text": "ゲームに限らず、たとえば子供むけの歴史教材や小中学校の歴史教科書などでも、よくコラム欄などで、黄色い背景に黒い文字の組み合わせは使われます。古文書のような古い紙は黄ばんでいるので、歴史教材のコラムではそういう雰囲気に近づける目的で、コラムの枠を古文書の一ページのように描いているものもあります。",
"title": "設計の方針"
},
{
"paragraph_id": 96,
"tag": "p",
"text": "ゲームでもロマサガ1のメニューウィンドウは、古文書のように紙の下側の一部が書けていたり、まるで巻物の読み方のように左右が曲げられていたりして、ウィンドウに紙っぽさを出すデザインをしています。",
"title": "設計の方針"
},
{
"paragraph_id": 97,
"tag": "p",
"text": "例外的に、商業ゲームでもプレステ作品『俺の屍を越えてゆけ』のようにウィンドウがエンジ色(赤色っぽい色)の作品もあります。このようなUIの差異、当然ですが緑色の文字は使用不可能です。",
"title": "設計の方針"
},
{
"paragraph_id": 98,
"tag": "p",
"text": "光の点滅以外にも、調整を誤るとプレイヤーに体調不良を及ぼす現象はあります。 、 たとえばキャラの移動速度の加速・減速は、なるべく滑らかに変化しなければなりません。",
"title": "設計の方針"
},
{
"paragraph_id": 99,
"tag": "p",
"text": "「車酔い」を思い出してください。もし急加速と急ブレーキを繰り返す車に乗車していれば、多くの乗客は酔います。",
"title": "設計の方針"
},
{
"paragraph_id": 100,
"tag": "p",
"text": "なので、たとえばRPGなどで、「マップの1マス移動後にいったん停止」というのは、避けたほうが安全です。",
"title": "設計の方針"
},
{
"paragraph_id": 101,
"tag": "p",
"text": "実際、ドラクエは決してそうなってはいません。行き止まりに当たらない限り、カーソルの左ボタンを押していれば、同じ速度で左に進み続けます。(右キーの場合も同様。)",
"title": "設計の方針"
},
{
"paragraph_id": 102,
"tag": "p",
"text": "ドラクエの移動速度が等速度であることには、合理的な理由があるのです。",
"title": "設計の方針"
},
{
"paragraph_id": 103,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "設計の方針"
},
{
"paragraph_id": 104,
"tag": "p",
"text": "自作ゲームでテストした際、マップ移動中に右キーを押し続けたときに普段は等速で移動するのに時々カタつく場合があるかもしれません。その場合の対処法を後述で説明します。(2Dゲームのマップ機能の原理については、セクション『ゲームプログラミング/RPG#2Dマップ』で後述してある。)",
"title": "設計の方針"
},
{
"paragraph_id": 105,
"tag": "p",
"text": "なお、普段から等速ですら移動しない場合は、単にバグですので、直してください。",
"title": "設計の方針"
},
{
"paragraph_id": 106,
"tag": "p",
"text": "このセクションでは、とりあえず普段は右キーを押し続けたら等速で移動するのに時々カタつく場合にだけ、よくある原因そのと対処法を説明します。",
"title": "設計の方針"
},
{
"paragraph_id": 107,
"tag": "p",
"text": "時々テストプレイ中に動作がカタつくことがあり、「バグか?」と不安になることがありますが、しかし必ずしもバグが原因でのカタつきとは限りません。",
"title": "設計の方針"
},
{
"paragraph_id": 108,
"tag": "p",
"text": "もしかしたら、Visual Studio コンパイラがメモリ圧迫またはCPU占有などをしていて、単に実行アプリの処理速度が低下しているだけかもしれません。プログラミングに熱中していると盲点ですが、Visual Studio はメモリやCPUの多くを占有することを思い出しましょう。",
"title": "設計の方針"
},
{
"paragraph_id": 109,
"tag": "p",
"text": "原因がそれか否かを確かめる簡単な方法は、まったくほかのアプリを起動していないときに、実行ファイルを起動してテストプレイしてみることです。",
"title": "設計の方針"
},
{
"paragraph_id": 110,
"tag": "p",
"text": "ただし、状況によってはその「実行ファイル」をビルドするためにVisual Studio を立ち上げないといけない場合もあり、なかなか面倒な作業でもあります(VSは終了や起動に時間が掛かるので面倒)。",
"title": "設計の方針"
},
{
"paragraph_id": 111,
"tag": "p",
"text": "1度に確認しようとすると面倒ですので、複数日に分けて確認しましょう。たとえば、このカタツキ問題が気になったときの睡眠前の晩にでも、事前に実行ファイルをビルドしておいてから Visual Studio を終了してから寝ましょう。そして翌日にでもwindows起動したときに、Visual Studio を起動せずに前日にビルドしておいた実行ファイルだけを起動してテストしてみましょう。",
"title": "設計の方針"
},
{
"paragraph_id": 112,
"tag": "p",
"text": "そのほか、この問題の検証方法として、どうしても Visual Studio 起動中に、メモリやCPUの圧迫によってカタついているか否かを判定したいなら、簡易的な方法ですが、",
"title": "設計の方針"
},
{
"paragraph_id": 113,
"tag": "p",
"text": "最近のRPGツクール製のゲームまたはウディタのサンプルゲームを起動してみて、カタつくかどうかを確かめてみる方法もあります。",
"title": "設計の方針"
},
{
"paragraph_id": 114,
"tag": "p",
"text": "もしVisual Studio によるメモリ圧迫やCPU占有がカタつきの原因なら、ツクール製ゲームやウディタサンプルゲームでもカタつくことがあります。いわゆる対照実験です(中学高校の理科(おもに生物分野)で習うアレです)。",
"title": "設計の方針"
},
{
"paragraph_id": 115,
"tag": "p",
"text": "上述の方法すべてを試してもカタつきの問題を判明できない場合、残念ですが当ページには原因がもはや分からないのが現状です。(もしお作りのRPGでのカタツキの原因が分かられて、他のプログラマーも遭遇しそうな原因でありましたら、情報提供のため編集に協力していただければ当wikiとしては幸い(さいわい)かもしれません。)",
"title": "設計の方針"
},
{
"paragraph_id": 116,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "設計の方針"
},
{
"paragraph_id": 117,
"tag": "p",
"text": "前セクションの工夫でカタつきが解決すれば、下記の方法は不要です。また、ヘタにいじってバグの原因になると危険ですので、前セクションで解決したなら、そのままにするのをお勧めします。このセクションでは、参考のため、下記のような方法の検討を照会します。",
"title": "設計の方針"
},
{
"paragraph_id": 118,
"tag": "p",
"text": "動作をより滑らかにする工夫の一例として、たとえば、キーボードの十字キーの入力判定は、必ず1マス歩行のアニメーションの移動終了の少し前までに、判定を終わらせる工夫などが、考えられます。たとえば、1マス歩行のアニメーションが1.0秒かかるなら、入力判定は0.9秒目に行う、というような感じになります。",
"title": "設計の方針"
},
{
"paragraph_id": 119,
"tag": "p",
"text": "しかし、これはけっこう、シビアな条件であり、0.1秒単位でのタイミング調整を行わなければなりません。",
"title": "設計の方針"
},
{
"paragraph_id": 120,
"tag": "p",
"text": "歩行で1.0秒間というのは、割とゆっくりです。",
"title": "設計の方針"
},
{
"paragraph_id": 121,
"tag": "p",
"text": "一方、もしダッシュ機能とかあってダッシュ速度が1マスあたり0.5秒間だと、すこしタイミング調整が難しくなるでしょう。",
"title": "設計の方針"
},
{
"paragraph_id": 122,
"tag": "p",
"text": "もっと早いダッシュの場合は、Windowsだと少し難しいかもしれません。なぜなら、WindowsAPIのタイマー機能がそもそも、そんなに正確ではありません。0.05~0.10秒くらいの間隔になると、タイマーに誤差が出てきます。 DirectXのタイマーも、それに準じた性能だろうと思われます。なので、あまりに早すぎるダッシュでは、歩行のように「直前に入力判定」というのが、難しいかもしれません。",
"title": "設計の方針"
},
{
"paragraph_id": 123,
"tag": "p",
"text": "あるいは、もしかしたら、現代のコンピュータは処理速度が速いので、1.0秒のアニメーション終了後に入力判定を行っても、プレイヤーには気づかれないのかもしれません。",
"title": "設計の方針"
},
{
"paragraph_id": 124,
"tag": "p",
"text": "しかし、ハードウェアのメモリ容量などの事情によっては、もしかしたらアニメーション終了後の方式だと、動きにカクツキが出てくるかもしれません。ともかく、このように、速度ひとつとっても色々と考えなければならないことがあります。",
"title": "設計の方針"
},
{
"paragraph_id": 125,
"tag": "p",
"text": "こういうふうに、歩行アニメーション処理は、こりだすと、検討事項や調整事項が意外とあるので、初心者にはやや難しいです。",
"title": "設計の方針"
},
{
"paragraph_id": 126,
"tag": "p",
"text": "だから初心者には、歩行アニメーション抜きの方式がラクであり、いきなりキャラチップが移動先の隣マスに移動する方式(ファミコン時代の『信長の野望 武将風雲録』の戦闘の武将キャラチップみたいなの)のほうが、簡単でしょう。",
"title": "設計の方針"
},
{
"paragraph_id": 127,
"tag": "p",
"text": "同じ理由で、カメラの位置や向きなども、むやみに移動しないか、等速で移動しつづけるように注意する必要があります。",
"title": "設計の方針"
},
{
"paragraph_id": 128,
"tag": "p",
"text": "もし、「リアリティを出そう」としてカメラをキャラ歩行のたびに左右に振ると。プレイヤーが酔って気分が悪くなりかねません。よほど上手く調整しないかぎり、プレイヤーの体調的な気分を悪くしかねません。",
"title": "設計の方針"
},
{
"paragraph_id": 129,
"tag": "p",
"text": "だからカメラアングルで目指すべきは、2Dゲームなら結局、スーファミあたりのドラクエ的あるいはスーパーマリオ的な古典的なカメラ視点であるべきす。あるいは、もしポリゴンゲームなら、結局、カメラアングルで目指すべきは、プレステ1やサターンの時代のころのゲームのカメラアングルなどになるでしょうか。",
"title": "設計の方針"
},
{
"paragraph_id": 130,
"tag": "p",
"text": "あるいは、ファミコン時代にどうしても歩行アニメーションを停止しなければならなかった例として、ファミコン時代のウィザードリィや女神転生の3Dダンジョンのように、ポリゴン描写が無理などの理由で、どうしても停止しなければならない場合もあるでしょう。このような場合は、おそらくですが、停止中の1枚絵の表示時間の長さと、進行中の中割り(なかわり)の1枚絵の表示時間の長さが、同じぐらいの長さになるようにしないと、マズイでしょう(未確認)。",
"title": "設計の方針"
},
{
"paragraph_id": 131,
"tag": "p",
"text": "UIにおいて、アナログをデジタルで完全に実装するのは、大概困難ですが、アナログの「エミュレート」の実装は、それほど困難ではありません。",
"title": "設計の方針"
},
{
"paragraph_id": 132,
"tag": "p",
"text": "これはゲーム制作でも同様です。",
"title": "設計の方針"
},
{
"paragraph_id": 133,
"tag": "p",
"text": "たとえば、RPGの作中の武器屋や道具屋などでの買い物のシステムは、現実のスーパーマーケットやコンビニでの買い物とは異なり、まとめ買いはサポートされていないことが有ります。",
"title": "設計の方針"
},
{
"paragraph_id": 134,
"tag": "p",
"text": "ゲーム以外の話だと、たとえば通販サイトでの買い物の際、ユーザーレベルの目線では、サーバー側で異なるアイテムを連続して買う行動が一連のトランザクションとして処理されていたとしても、同様のことがありえます。",
"title": "設計の方針"
},
{
"paragraph_id": 135,
"tag": "p",
"text": "さて、ゲームでは、プレイヤーにとっては操作がやや面倒でも、デバッグの都合やメンテナンス等の都合で、あえてデジタル的な操作をしているゲームもあります。",
"title": "設計の方針"
},
{
"paragraph_id": 136,
"tag": "p",
"text": "たとえば昔のドラクエ3では、酒場で仲間をパーティに加入させる際、1人ずつ逐次的にコマンド入力をして加入させる必要がありました。(「3人まとめて加入」とかしたくでも、できない仕様。)ウィザードリィなどでも同様で、仲間のパーティ加入の編成などは、一人ずつ逐次的に操作する必要がありました。",
"title": "設計の方針"
},
{
"paragraph_id": 137,
"tag": "p",
"text": "このような、「まとめて〇〇を編集・編成」みたいな処理は、その分状態(取り得るケース)が増えるため、それに比例してデバッグにかかるコストが増える場合が有ります。",
"title": "設計の方針"
},
{
"paragraph_id": 138,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "設計の方針"
},
{
"paragraph_id": 139,
"tag": "p",
"text": "DXライブラリは、標準的な映像モニタでは、1秒間に60回のループ更新をします。",
"title": "設計の方針"
},
{
"paragraph_id": 140,
"tag": "p",
"text": "これは、一般的な映像モニターの画像の更新回数が60Hz、つまり映像モニタでは1秒間あたり60回の更新があるので、 プログラム側の更新回数もそれにあわせたものです。(これらのことを「60 FPS」などという。)",
"title": "設計の方針"
},
{
"paragraph_id": 141,
"tag": "p",
"text": "このような、映像の更新の早さの度合いのことをフレームレートといいます。",
"title": "設計の方針"
},
{
"paragraph_id": 142,
"tag": "p",
"text": "さて、人間の計算速度と比べたら「1秒間に60回」は速いですが、しかしゲームとしては、必ずしも速くありませんので、そのギャップに気づかないとプログラマーは不安に「パソコンが処理落ちしてるのか?」と悩んでしまいます。",
"title": "設計の方針"
},
{
"paragraph_id": 143,
"tag": "p",
"text": "たとえば、アニメーションの表現などとして、キャタクター立ち絵が1ピクセル(1px)ずつ1回の画像更新で移動したとしましょう。",
"title": "設計の方針"
},
{
"paragraph_id": 144,
"tag": "p",
"text": "すると、1秒たっても60pxしか移動しません。RPGツクールの標準の画面サイズは横816px、縦624pxなので、つまり60pxの移動では、画面の10%にすら到達していません。なので、もっと早い速度で立ち絵を移動させたい場合、1回の更新で3pxや5pxあるいはそれ以上のピッチ間隔で画像を移動させる必要があります。",
"title": "設計の方針"
},
{
"paragraph_id": 145,
"tag": "p",
"text": "このことに気づかないと、立ち絵の高速移動のつもりで1pxずつ動かしても、画面の横幅の10%すら動いてないので、「まるで処理落ちでもしているのか」と錯覚しがちで不安になりますが、しかし1pxずつ動かした際に意外と遅く見えるのは正常な動作です。そういう速度計算での命令文だからです。",
"title": "設計の方針"
},
{
"paragraph_id": 146,
"tag": "p",
"text": "具体的にはどう悩むかと言うと、RPG制作の場合ならばマップチップの枚数が多いので「もしかしてマップチップの読み込み方が間違っていて処理落ちしているのか?」とか、あるいは「キャラ画像の周囲の透明処理による負担が重いのか?」とか色々と不安を思ってしまいますが、まったくの無関係です。",
"title": "設計の方針"
},
{
"paragraph_id": 147,
"tag": "p",
"text": "1更新あたりに1pxのピッチ速度とは、それだけ遅いのです。なので、1秒後に画面内でチョコっとしか動かなくても、1秒後に動き終わっていれば正常です。",
"title": "設計の方針"
},
{
"paragraph_id": 148,
"tag": "p",
"text": "さて、ついでの話題ですが、もしアクションゲームやシューティングゲームなどで、1更新あたり5pxや10pxといったピッチで攻撃対象の敵などが動いている場合を考えて見ましょう。",
"title": "設計の方針"
},
{
"paragraph_id": 149,
"tag": "p",
"text": "たとえば、もし移動中画面で、現在の瞬間の描画位置 から 次の瞬間の描画位置とのあいだの中間位置、つまりピッチの中間の場所に自キャラの放った攻撃などが当たったときの例を考えてみると、なかなか悩ましい問題でもあります。つまり、画面上ではピッチの中間の場所には映像が書かれていないのに、なのに、その場所に攻撃を食らう「当たり判定」が存在するからです。",
"title": "設計の方針"
},
{
"paragraph_id": 150,
"tag": "p",
"text": "実際、アクションゲームなどで、高速で動く敵の軌道上に攻撃を放ってみると、画面上にいない位置なのに、攻撃があたる場合もあります。",
"title": "設計の方針"
},
{
"paragraph_id": 151,
"tag": "p",
"text": "だからファミコン時代あるいはそれ以前のゲームセンター時代といった黎明期のシューティングゲームですら、高速で動く弾丸チップや機体チップなどの表現には、とても工夫しているのでしょう。",
"title": "設計の方針"
},
{
"paragraph_id": 152,
"tag": "p",
"text": "このように、キャラチップなどの画像を高速で動かすのは、思いのほか、調整事項が多くて大変です。なのでRPG制作の初心者は、あまり高速な描画表現には手を出さないほうが無難です(まずプログラミングの全体像を作る必要あるので)。",
"title": "設計の方針"
},
{
"paragraph_id": 153,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "設計の方針"
},
{
"paragraph_id": 154,
"tag": "p",
"text": "少なくとも2D-RPGのゲームシステムやその実装に関する限り、処理が早くて操作性も良くてメンテナンスもしやすくて・・・のような究極万全なシステムやアルゴリズムは一切ありません。",
"title": "設計の方針"
},
{
"paragraph_id": 155,
"tag": "p",
"text": "たとえば操作性の分かりやすいアルゴリズムなら、おそらくはプレイヤーのさまざまな発想に対応するためにif文の分岐増えたり、あるいはグラフィカルに説明するために画像の制御が追加で多く必要になったりするなどして、そのぶん他の特性が悪化しますし、説明用グラフィックが増えれば処理速度の負担にもなります。",
"title": "設計の方針"
},
{
"paragraph_id": 156,
"tag": "p",
"text": "しかし現在のパソコンではファミコン時代よりも桁違いに多くのメモリ容量を扱えるようになり、CPU性能も桁違いに向上しました。よってゲームプログラミングでは基本、処理落ちをしない程度にまで処理速度に負担を掛けて犠牲にして、そのぶん操作性やグラフィック性やゲーム性やメンテナンス性などを向上させることになるでしょう。",
"title": "設計の方針"
},
{
"paragraph_id": 157,
"tag": "p",
"text": "だから実はファミコン風のドラクエ1のような簡素なプログラムでも、あれはあれで処理速度とメンテナンス性をもし最優先に目指すなら現在でも合理的な一形態なのです。",
"title": "設計の方針"
},
{
"paragraph_id": 158,
"tag": "p",
"text": "また、ドラクエ1的なアルゴリズムはメンテナンス性がよいので開発もしやすいし、開発時のデバッグもしやすいです。なので、私たちがRPGを手元でプログラミングして作る場合も、まず2D-RPGならドラクエ1~3のようなUIをまねたゲームを作ることになるでしょう。",
"title": "設計の方針"
},
{
"paragraph_id": 159,
"tag": "p",
"text": "ただし、真似るのはあくまでUIのみです。パスワードシステムのような、セーブ機能の発達した現在では不要なシステムを真似る必要はありません。「話す」コマンドとか「とびら」コマンドみたいに、現代では不要になったコマンドも不要でしょう。また、ドラクエのウィンドウ色は黒色ですが、しかし私たちにはデバッグの都合のためファイナルファンタジーや昔のツクールのような青色を基調としたウィンドウのほうがデバッグしやすいかもしれません。",
"title": "設計の方針"
},
{
"paragraph_id": 160,
"tag": "p",
"text": "だから初心者は、昔のRPGツクールっぽくアレンジしたドラクエ風UIを作ることになるでしょう。(ドラクエの難易度デザインやストーリー性などはプログラミングではないので、本ページでは言及しません。)",
"title": "設計の方針"
},
{
"paragraph_id": 161,
"tag": "p",
"text": "本ページでは説明の都合上、RPGをモジュールごとに分割して説明しています。",
"title": "製作の順序"
},
{
"paragraph_id": 162,
"tag": "p",
"text": "たとえば、マップ関連のモジュール、戦闘関連のモジュール、装備関連のモジュール、のようにです、",
"title": "製作の順序"
},
{
"paragraph_id": 163,
"tag": "p",
"text": "しかし、実際のゲーム製作での開発順序は、少なくともRPGをVisual C++でゼロから作る場合においては、けっして、「マップモジュ-ルを完成させてから戦闘モジュール」のような順序にはなりません。",
"title": "製作の順序"
},
{
"paragraph_id": 164,
"tag": "p",
"text": "そうではなく、まず自分が興味をもったモジュール(仮にマップモジュールとする)の初歩を作り始めたあと、とりあえず操作できて満足できるところまで作ったら、",
"title": "製作の順序"
},
{
"paragraph_id": 165,
"tag": "p",
"text": "次に関連する別モジュール(たとえば戦闘モジュール)を作る、というような順序です。",
"title": "製作の順序"
},
{
"paragraph_id": 166,
"tag": "p",
"text": "たとえば、すでにマップモジュールがあるなら、戦闘モジュールを作り始める際に、まずマップ画面上に固定敵を配置することで、",
"title": "製作の順序"
},
{
"paragraph_id": 167,
"tag": "p",
"text": "戦闘モジュールのテストをしやすくなります。",
"title": "製作の順序"
},
{
"paragraph_id": 168,
"tag": "p",
"text": "このように、すでに作ったモジュールの初歩を土台にして、別のモジュールの初歩を同様に作り始めます。",
"title": "製作の順序"
},
{
"paragraph_id": 169,
"tag": "p",
"text": "そして、まずRPGの基本システムを満足するところまで作ります。(シナリオ作成などは後回しになるでしょう。)",
"title": "製作の順序"
},
{
"paragraph_id": 170,
"tag": "p",
"text": "マップシステム、戦闘システム、装備システム、道具システム、買い物システム、酒場システム、会話システム、・・・",
"title": "製作の順序"
},
{
"paragraph_id": 171,
"tag": "p",
"text": "など色々あるので、まず一通り、好きなシステムから順に、キリのいいところまで作りこんで、どんどんと次に作りたいシステムの開発に移行していき、",
"title": "製作の順序"
},
{
"paragraph_id": 172,
"tag": "p",
"text": "とりあえずゲーム全体の基本システムを構築していくことになるでしょう。",
"title": "製作の順序"
},
{
"paragraph_id": 173,
"tag": "p",
"text": "そして、一通り、満足するまで基本システムを作るのを1周したら、",
"title": "製作の順序"
},
{
"paragraph_id": 174,
"tag": "p",
"text": "次に2周目として、また、たとえばマップのシステムを作り始めます。",
"title": "製作の順序"
},
{
"paragraph_id": 175,
"tag": "p",
"text": "1周目のマップシステム製作では放置してた部分、たとえばキャラチップの歩行グラフィックなど絵が必要で放置してた部分の製作に取り掛かるとか(たとえば1周目では矢印の画像でゴマかしていたとする)、",
"title": "製作の順序"
},
{
"paragraph_id": 176,
"tag": "p",
"text": "そのように2周目では、1週目で放置していた部分の製作にとりかかるのです。たとえば、歩行グラフィックで前足を上げているポーズと、前足を着地させるポーズの切り替えプログラムとか、そういう1周目では面倒で放置していた部分に、2周目では取り掛かったりします。",
"title": "製作の順序"
},
{
"paragraph_id": 177,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "製作の順序"
},
{
"paragraph_id": 178,
"tag": "p",
"text": "このように、RPGの製作は、まるでラセン階段を昇るかのように、周回的に開発していくことになるでしょう。",
"title": "製作の順序"
},
{
"paragraph_id": 179,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "製作の順序"
},
{
"paragraph_id": 180,
"tag": "p",
"text": "企業などで作る場合はどうか知りませんが、少なくともVisual C++でゼロからRPGを作る場合はラセン階段でしょう。",
"title": "製作の順序"
},
{
"paragraph_id": 181,
"tag": "p",
"text": "RPGはモジュールがとても多いし、また相互に関連するモジュールも幾多もあるので、一度に各モジュールを作りきるのは不可能です。",
"title": "製作の順序"
},
{
"paragraph_id": 182,
"tag": "p",
"text": "だから、ラセン階段のように、開発を昇っていくことになります。",
"title": "製作の順序"
},
{
"paragraph_id": 183,
"tag": "p",
"text": "なお、IY業界ではこういうラセン的に徐々に機能を追加していく開発手法を、スパイラル型の開発と言います。",
"title": "製作の順序"
},
{
"paragraph_id": 184,
"tag": "p",
"text": "スパイラル spiral とは、単に、らせん状の渦巻きのこと を英語にしたものです。なお、",
"title": "製作の順序"
},
{
"paragraph_id": 185,
"tag": "p",
"text": "なお、銀行などのシステム開発はこれとは違い、銀行のシステム開発はふつうはウォーターフォール型の開発です。ウォーターフォールとは、事前に仕様を細かく決めるのに長い時間をかけて、実装時にはほとんど仕様を変えない手法です。",
"title": "製作の順序"
},
{
"paragraph_id": 186,
"tag": "p",
"text": "ほか、プロトタイプ型の開発もあり、これは大まかに動く試作品を短期間で作り、あとから仕様を修正していく方式です。",
"title": "製作の順序"
},
{
"paragraph_id": 187,
"tag": "p",
"text": "ゲームに関した話題ではないですが、スマートフォンのアプリの開発などでは、プロトタイプ型やスパイラル型の開発がよく利用されるようになってきています。",
"title": "製作の順序"
},
{
"paragraph_id": 188,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "製作の順序"
},
{
"paragraph_id": 189,
"tag": "p",
"text": "RPGではシステム中にマップ画面モード、メニュー画面モード、戦闘画面モード、・・・など様々なモードがありますが、",
"title": "共通カウントアップ機能"
},
{
"paragraph_id": 190,
"tag": "p",
"text": "DXライブラリを使っている場合にどのモードでも必ず使うことになる機能があり、それは自作タイマーのカウントアップです。",
"title": "共通カウントアップ機能"
},
{
"paragraph_id": 191,
"tag": "p",
"text": "まず、DXライブラリでは1秒間に60ループするので、それを利用して1秒間に60回カウントアップする機能を作ります。",
"title": "共通カウントアップ機能"
},
{
"paragraph_id": 192,
"tag": "p",
"text": "そして、そのカウンターを活用することで、たとえば、「zボタンを押してから40フレーム間(環境によっては約0.8秒くらい)は次のzボタンの入力を受けつけなくする」等のボタンをしばらく入力させなくする機能を作ります。",
"title": "共通カウントアップ機能"
},
{
"paragraph_id": 193,
"tag": "p",
"text": "そうしないと、プレイヤーは1回だけzボタンを押したつもりでも、システム的には何十回もzボタンを連打したことになり、プレイヤーがうまくコマンド操作などを行えません。",
"title": "共通カウントアップ機能"
},
{
"paragraph_id": 194,
"tag": "p",
"text": "また、コマンド操作などの他にも、マップ画面中でキャラクターがマップ1マスぶん動くスライドのアニメーションでも、カウンターが必要になります。",
"title": "共通カウントアップ機能"
},
{
"paragraph_id": 195,
"tag": "p",
"text": "マップ画面の歩行グラフィックで「歩行カウンター」みたいな変数が必要になるでしょう。もしくは、歩行のキー入力に使った矢印キー用のカウンターを流用するなどの処置になるでしょう。",
"title": "共通カウントアップ機能"
},
{
"paragraph_id": 196,
"tag": "p",
"text": "ともかく、このようなカウンター機能が必要なので、whileループ中での個別モードに分かれる前の共通部分のところに、カウントアップのコードを書くことになります。",
"title": "共通カウントアップ機能"
},
{
"paragraph_id": 197,
"tag": "p",
"text": "「共通部分のところ」とはどこか具体的に言うと",
"title": "共通カウントアップ機能"
},
{
"paragraph_id": 198,
"tag": "p",
"text": "のように、whileの開始のテンプレ文の直後に書き始めることになるでしょう。",
"title": "共通カウントアップ機能"
},
{
"paragraph_id": 199,
"tag": "p",
"text": "なお、DXライブラリでよく書くことになる開始時のテンプレ文については 『ゲームプログラミング/画面出力#DXライブラリのコード初期設定』 で説明してある。",
"title": "共通カウントアップ機能"
},
{
"paragraph_id": 200,
"tag": "p",
"text": "カウントアップではなくカウントダウンでも構いません。",
"title": "共通カウントアップ機能"
},
{
"paragraph_id": 201,
"tag": "p",
"text": "イメージ的には、下記コードのような感じになります。ただし、下記のモジュールだけでは動きません。",
"title": "共通カウントアップ機能"
},
{
"paragraph_id": 202,
"tag": "p",
"text": "あらかじめ、各モード側でzボタンを押した時などにカウンター値の設定などを行う必要があります。たとえばzボタンを押したときに",
"title": "共通カウントアップ機能"
},
{
"paragraph_id": 203,
"tag": "p",
"text": "などをセットしておきます。また、zキー入力可能かどうかを判定するフラグ変数、下記コードでは変数 keyEnableZ となっていますが、そのようなフラグ変数をあらかじめ用意しておき、もし値が1なら入力可能、0なら入力不可能として、",
"title": "共通カウントアップ機能"
},
{
"paragraph_id": 204,
"tag": "p",
"text": "zボタンに対応する処理を1回実行してからz=0;に設定して、zが0のときにカウンタが動くようにする必要があります。(ツクールなどではマップ画面からメニュー画面を開くのはx(エックス)ボタンだが、読者のバツボタンとの混同を防ぐため、上記の文ではzボタンを例に説明した。)",
"title": "共通カウントアップ機能"
},
{
"paragraph_id": 205,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "共通カウントアップ機能"
},
{
"paragraph_id": 206,
"tag": "p",
"text": "このコード例のように、共通カウンタ部では単にカウントするだけでなく、さらにカウンタが目標値(カウントダウン方式なら0が目標値)に到達したときの処理(フラグの設定など)も行います。",
"title": "共通カウントアップ機能"
},
{
"paragraph_id": 207,
"tag": "p",
"text": "いきなり上記のような機能を作るのは、かなり難しいです。なぜなら、カウンタだけでなく、マップ画面やメニュー画面側のzボタン押し時やxボタン押し時の命令も記述しないといけないからです。",
"title": "共通カウントアップ機能"
},
{
"paragraph_id": 208,
"tag": "p",
"text": "だからまずは、マップ画面とメニュー画面の入り口画面(まだメニュー画面の各コマンドは作らなくていい)だけでいいので、でキーのカウント処理をうまく行えるようにしましょう。",
"title": "共通カウントアップ機能"
},
{
"paragraph_id": 209,
"tag": "p",
"text": "なお、メニュー画面に移ったらキャンセルボタンで戻せるように、あらかじめメニュー画面にキャンセル機能を実装しておきましょう。",
"title": "共通カウントアップ機能"
},
{
"paragraph_id": 210,
"tag": "p",
"text": "新しい画面を作るときに最初に必要なボタン機能は、実はキャンセル機能です。キャンセル機能が無いと操作不能になって、いちいちアプリ再起動の手間が生じます。",
"title": "共通カウントアップ機能"
},
{
"paragraph_id": 211,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "共通カウントアップ機能"
},
{
"paragraph_id": 212,
"tag": "p",
"text": "いきなりマップ画面やメニュー画面を作るのは難しいので、ひとつの手として、RPGを作る前に、簡易的なアクションゲームのような操作性のプログラム、または簡易シューティングゲームの操作性のようなプログラムを作るのも手です。",
"title": "共通カウントアップ機能"
},
{
"paragraph_id": 213,
"tag": "p",
"text": "たとえば、スーパーマリオやスト2のようなアクションゲームなら、ジャンプボタンは1回入力したら着地までは再入力の受付が禁止なので、上記のようなカウンタ処理による再入力可否の制御が実験できます。",
"title": "共通カウントアップ機能"
},
{
"paragraph_id": 214,
"tag": "p",
"text": "べつに、本格的にアクションゲームやシューティングゲームを作る必要はないです。後述のように、異なるジャンルのゲームをひとつのアプリに同梱するのは、管理の手間が増えますので(不可能ではないですが)、面倒が生じます。",
"title": "共通カウントアップ機能"
},
{
"paragraph_id": 215,
"tag": "p",
"text": "これには準備として、マリオ(キャラ名)やスト2リュウに相当する自キャラ表示のため、あらかじめキャラチップの絵が必要です。別にアクションゲームを作るわけではないので、マウスでいいので何かキャラの全身絵を3分くらいで雑に書いてください。そして、キャラの周囲の空白部を、ドットエディタなどを使って透過させてください。(あるいはinkscapeを使ってキャラ絵を書いて、PNGエクスポートする、などの手法もあります。)",
"title": "共通カウントアップ機能"
},
{
"paragraph_id": 216,
"tag": "p",
"text": "ジャンプさえ出来る絵であればいいので、すでに手元にゲーム用キャラチップっぽい大きさの生き物の絵があるなら、別に人物の絵である必要もなく、動物の絵でもモンスター画でも何でも構いません。",
"title": "共通カウントアップ機能"
},
{
"paragraph_id": 217,
"tag": "p",
"text": "さて、なんとかジャンプの実験に成功したら、ついつい次の目標で「右歩行中にジャンプして右斜め上に飛ぶ」機能とかを実装したくなりますが、本ページはRPGの教科書なので、アクション機能については説明を省略します。",
"title": "共通カウントアップ機能"
},
{
"paragraph_id": 218,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "共通カウントアップ機能"
},
{
"paragraph_id": 219,
"tag": "p",
"text": "ミニゲームとしてターン制RPG以外のジャンルのゲームを同梱するなら(たとえばシューティングなど。ファミコン『さんまの名探偵』では推理ゲーム中、シューティングゲームのミニゲームがあった)、別途、そのミニゲーム用の各モード前の共通部分に、ミニゲーム用のカウンタが必要になるかもしれません。",
"title": "共通カウントアップ機能"
},
{
"paragraph_id": 220,
"tag": "p",
"text": "ターン制RPGとアクショゲーム・シューティングゲームは、カウンターに要求される待機時間が違ってくることと(ターン制RPGの操作はゆっくりめでいいので待機時間を多目にとれるが、しかしアクションは機敏な動作に対応するため待機時間が短い)、カウンタが目標値に到達したときの処理がRPGとアクションとで違うので(たとえばRPGなら決定ボタンを押したままの状態なら目標値の直後に受け付けしてもいいが、アクションゲームでは決定ボタンがジャンプやパンチに対応していることから、プレイヤーにパンチ連打などのためにボタン連打させたい場合は目標値直後の処理を変える必要があることなどから)、RPGとアクションを混在させるのは(可能ではあるが)難しいことが予想できます。",
"title": "共通カウントアップ機能"
},
{
"paragraph_id": 221,
"tag": "p",
"text": "だから、もしあるゲーム中に別ジャンルのミニゲームを同梱するなら、メインとなるホスト側のジャンルを決めて、そのメインジャンルのカウンタだけをwhileループの冒頭でカウントアップすると安全かと思います。たとえば本ページはRPGなので、メインのジャンルはRPGなのでwhileループの序盤ではRPG用のカウンタだけをカウントアップ、という事になるでしょう。シューティングについては、while冒頭ではカウントアップしないか、あるいはRPG用のカウンタの流用で済ますかどのちらかです。",
"title": "共通カウントアップ機能"
},
{
"paragraph_id": 222,
"tag": "p",
"text": "もしwhileループの冒頭でシューティング用のカウンタまで記述してしまうと、コードの管理が複雑になってしまうので、避けたほうが安全でしょう。",
"title": "共通カウントアップ機能"
},
{
"paragraph_id": 223,
"tag": "p",
"text": "普段は使わないミニゲームのカウンタのせいで、普段から使うメインジャンル(本ページではRPG)のカウンタの可読性が下がるのは避けたいです。",
"title": "共通カウントアップ機能"
},
{
"paragraph_id": 224,
"tag": "p",
"text": "RPG用のカウンタをシューティングに流用するのは、シューティング用にコードが最適化されてないので軽量性が若干は下がりアプリが重くなりますが、しかしゲーム制作ツールのRPGツクールやウディタなどで製作されたアクションゲームやシューティングゲームなどは、こういった流用の一種でしょう。",
"title": "共通カウントアップ機能"
},
{
"paragraph_id": 225,
"tag": "p",
"text": "アイテム表示における、上詰めの自動化などを解説しています。",
"title": "アイテム関係"
},
{
"paragraph_id": 226,
"tag": "p",
"text": "ともかく、ゲーム全体を先に作るのが先決です。ニュアンスは違いますがアトラス社いわく(ゲーム開発では)「ゲーム全体に全体に値を回すのが先」という格言があります。",
"title": "設計方針"
},
{
"paragraph_id": 227,
"tag": "p",
"text": "プレイヤーが見たいのは、ゲーム全体のストーリーやテンポといったゲームの全体像です。カーソルの動きとかウィンドウの動きとかは、あくまで補助的であり、そういったUIに対するプレイヤーの興味も、あくまでオマケの範囲でしかないのです。",
"title": "設計方針"
},
{
"paragraph_id": 228,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "設計方針"
},
{
"paragraph_id": 229,
"tag": "p",
"text": "世の中には、残念ながら時々、他人の理解しやすさを無視して、やたらと短いコードを書く、独りよがりな人がいます。",
"title": "設計方針"
},
{
"paragraph_id": 230,
"tag": "p",
"text": "しかし、たとえ仕事としての集団作業であっても、要求されるのは、同僚や後輩などが読んだときの分かりやすさです(「可読性」と言います)。",
"title": "設計方針"
},
{
"paragraph_id": 231,
"tag": "p",
"text": "なので、少しぐらいコードが長くなってもいいので、分かり易いコードを書きましょう。",
"title": "設計方針"
},
{
"paragraph_id": 232,
"tag": "p",
"text": "具体的には、できるだけ、どこの入門書にもあるような基本的な機能を使ってコードするのが安全です。具体的には、できるだけ、せいぜい構造体(およびC++ならクラスの構造体的な使い方)や配列や関数あたりまで、の機能どまりです。",
"title": "設計方針"
},
{
"paragraph_id": 233,
"tag": "p",
"text": "また、「どうしても」と言った必要性のない限り、その分野の一般の入門書に書かれてない機能(たとえばメモリ管理の組込み関数など)や、解説の極端に乏しい機能は(入門書なっても巻末の機能一覧にだけしか記載のないような機能)、利用を控えましょう。",
"title": "設計方針"
},
{
"paragraph_id": 234,
"tag": "p",
"text": "そもそも、一般入門書に書かれてない機能は、取扱いが難しかったりして、設定などの確認不足で使うとむしろバグの原因になりやすかったりとか、学習コストの高さなどの難しさがあるから、入門書から除外されているのです。なのに、そういう難解な機能を多用するのは、あまりよくプログラミングの仕事が分かってない自称プロかと思われても仕方ありません。",
"title": "設計方針"
},
{
"paragraph_id": 235,
"tag": "p",
"text": "関数や配列をつくるときは、なるべく、ゲーム用語で説明できる関数および配列だけを作りましょう。たとえば「戦闘コマンド選択関数」や「モンスターデータベース配列」のような感じです。",
"title": "設計方針"
},
{
"paragraph_id": 236,
"tag": "p",
"text": "けっして、そういうゲーム用語とは無関係に、単に抽象的に関数を呼び出す関数を呼び出すような関数を呼び出す関数、とか、配列を読む込む配列を読む込むような配列、のような高階層的な機能は、たとえそれでコードが短くなっても、同僚や後輩などが管理をしづらくなるので、避けましょう。",
"title": "設計方針"
},
{
"paragraph_id": 237,
"tag": "p",
"text": "書籍『Game Programing Patterns』にも、Amazonのweb立ち読みのP13に",
"title": "設計方針"
},
{
"paragraph_id": 238,
"tag": "p",
"text": "とあります。その結果、",
"title": "設計方針"
},
{
"paragraph_id": 239,
"tag": "p",
"text": "と書籍『Game Programing Patterns』にあります。",
"title": "設計方針"
},
{
"paragraph_id": 240,
"tag": "p",
"text": "実際にゲームを作った事がある人ならばこの問題に気づきますが、世間には知ったかぶりで逆の事を言う人がいます。オブジェクト指向だのポインタだの何だの理屈をこねて、抽象化のレイヤを増やそうとする人です。ダマされないようにしましょう。",
"title": "設計方針"
},
{
"paragraph_id": 241,
"tag": "p",
"text": "もちろん、関数から関数を呼び出してもいい場合もあり、たとえば「RPGで戦闘モードの関数から、攻撃コマンド関数を呼び出す関数から、さらに攻撃対象の選択をする関数を記述する」といったようなゲーム仕様に直接的に結びついた関数ならば、普通のゲーマーなら理解できるので、書いても平気でしょう。ですが、それはゲームとしての実態に対応する共通化です。けっして、ゲームの実態に無関係の共通化ではありません。",
"title": "設計方針"
},
{
"paragraph_id": 242,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "設計方針"
},
{
"paragraph_id": 243,
"tag": "p",
"text": "IT業界だけなく法律業界でも、むやみに高階層的な法令を設計するとその法令の構造が複雑になる現象は知られていますDaniel Martin Katz, Corinna Coupette, Janis Beckedorf & Dirk Hartung \"Complex societies and the growth of the law\" , nature.com, Published: 30 October 2020 。近年、世界各国でIT的な考え方を使って法律の設計論を研究しようという学問分野があり、その学問でそう指摘されています。これらのIT的な法学では、法律中の単語数、階層数、法律間の相互引用数が多ければ多いほど、その法律の構造は複雑になると考えられています。ご参考に。",
"title": "設計方針"
},
{
"paragraph_id": 244,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "設計方針"
},
{
"paragraph_id": 245,
"tag": "p",
"text": "また、ゲーム中で、仕様ではあまり類似性のない処理は、たとえ偶然的にコードの実装が似ていても、むやみに共通化して同じ関数にしたり配列にしたりするのは避けましょう。なぜなら他人(後輩など)が管理しづらいからです。",
"title": "設計方針"
},
{
"paragraph_id": 246,
"tag": "p",
"text": "もちろん、共通化してもいい場合もあり、たとえば「回復アイテムによる回復対象を選ぶ関数」などは、",
"title": "設計方針"
},
{
"paragraph_id": 247,
"tag": "p",
"text": "が、ともに仕様が「回復アイテムを選んだ時の使用対象の味方を選ぶ」と似ているので、場合によっては共通化するのも良いかもしれません(職場によるだろう。共通化しないほうが良い場合もある。たとえば戦闘モードでは敵にも回復アイテムを使えるゲームも存在する一方、マップメニュー画面では味方にしか回復アイテムを使えないので細部が異なるから)。",
"title": "設計方針"
},
{
"paragraph_id": 248,
"tag": "p",
"text": "しかし、仕様自体すらも似ていない部分を共通化するのは、ダメでしょう。",
"title": "設計方針"
},
{
"paragraph_id": 249,
"tag": "p",
"text": "たとえば、もしたまたま、「戦闘モードでのコマンド選択時の関数」(まだ道具コマンドを入力する前なので、どのアイテムを使うからすら選んでいない段階)と、「マップメニュー画面モードで道具コマンドのあとに使用対象キャラを選ぶときの関数」が、もし偶然にコードが似ていたとしても、そういう仕様的にあまり関連性の無いコードは共通化されても管理しづらくなるので、共通化するのをやめましょう。",
"title": "設計方針"
},
{
"paragraph_id": 250,
"tag": "p",
"text": "ほかの例では、たとえばHPとMPの表示は「戦闘画面」にも「メニュー画面」にもあるでしょうが、だからといって両画面で使いまわせる「HpMp共通表示関数」みたいなのを作るのは危険です。",
"title": "設計方針"
},
{
"paragraph_id": 251,
"tag": "p",
"text": "具体的になぜ危険かと言うと、その共通表示関数にはif文章が増えますので(戦闘画面とメニュー画面とで表示位置などが微妙に違うため)、デバッグの手間として「どんな場合の戦闘画面とメニュー画面でも、はたして本当にif文が正しく機能しているか」という手間が増えます。",
"title": "設計方針"
},
{
"paragraph_id": 252,
"tag": "p",
"text": "一方、ベタ書きで直接的に戦闘モードにHP表示とMP表示、一方で同様にベタ書きでメニュー画面モードにもHP表示とMP表示を書けば、こういう余計なデバッグの手間は増えません。",
"title": "設計方針"
},
{
"paragraph_id": 253,
"tag": "p",
"text": "HP表示とMP表示のたった2行ていどのコードを「HpMp共通関数」で1行にしても、何箇所かで呼び出すからそのぶん減少量は倍増しますが(たとえば4箇所で呼び出したとすれば 1×4=4で4行ほど減る)、しかし関数を新たに作るので差し引きで、うまく減らせても結局は1~2行くらいしか減らせません。",
"title": "設計方針"
},
{
"paragraph_id": 254,
"tag": "p",
"text": "コード量を簡単なコードの1~2行しか減らせないのにデバッグの手間を大幅に増やし、まったく割に合いません。",
"title": "設計方針"
},
{
"paragraph_id": 255,
"tag": "p",
"text": "また、共通関数の側に呼び出し先の戦闘画面やメニュー画面の情報があるので、共通関数を使ってしまった場合にはデバッグをする際に戦闘画面のコードなども調べなければなりません。こういう事情も加えて、デバッグの手間がさらに増えやすいという問題があります。",
"title": "設計方針"
},
{
"paragraph_id": 256,
"tag": "p",
"text": "教訓として今回の初心者プログラマーにありがちな失敗例を一般化するなら、もし「リファクタリング」のつもりで共通化してif文が増える場合、もしかしたらデバッグの手間が増えてしまっている傾向があるので、上述のような間違った共通化している可能性があります。",
"title": "設計方針"
},
{
"paragraph_id": 257,
"tag": "p",
"text": "wikisource s:プログラマが知るべき97のこと/共有は慎重に にも似たような話題があります。",
"title": "設計方針"
},
{
"paragraph_id": 258,
"tag": "p",
"text": "(引用)",
"title": "設計方針"
},
{
"paragraph_id": 259,
"tag": "p",
"text": "順番は前後しますが、参照先ウィキソースに、下記のようにコンテキスト(文脈)の話があります。",
"title": "設計方針"
},
{
"paragraph_id": 260,
"tag": "p",
"text": "(引用)",
"title": "設計方針"
},
{
"paragraph_id": 261,
"tag": "p",
"text": "高校や大学など学校では、コードの再利用を重要だと教えるかもしれませんし、たしかにそれも重要なのですが、しかしだからといってコンテキストの異なるも のまでむやみに共通化してはいけません。",
"title": "設計方針"
},
{
"paragraph_id": 262,
"tag": "p",
"text": "(引用) ※ そして上述の「たとえシステム内に同様の処理を行う部分が2つあったとしても」に続きます。 この情報を見るかぎり、どうも日本の学校だけでなく海外の学校教育でも、コンテキストの都合を考えずにむやみにコードをライブラリ的に共通化して短縮ばかりを考える教育をされる傾向が2010年頃まではあったようです。",
"title": "設計方針"
},
{
"paragraph_id": 263,
"tag": "p",
"text": "ゲームでは上述の説明では暗黙の前提として何となく戦闘システムやメニューシステムなどの基本システムを想定して説明しましたが、なにも基本システムに限らず(RPGなどの)特殊イベントなどでも同様のことが考えられます。",
"title": "設計方針"
},
{
"paragraph_id": 264,
"tag": "p",
"text": "ゲーム中のストーリー進行に関わる特殊イベントでたまたま似たようなイベントがあったからといって、むやみにシステムを共通化してはいけないのです。もし、仕様変更などの要望が上司などから加わった場合、むやみに共通化してしまっていたら、あとから修正するのが大変になってしまいます。",
"title": "設計方針"
},
{
"paragraph_id": 265,
"tag": "p",
"text": "他の書籍でもそうです。洋ゲー「ゴーストオブツシマ」の開発者の一人による書籍『ルールズ・オブ・プログラミング ―より良いコードを書くための21のルール』( 2023/8/28、Chris Zimmerman (著), 久富木 隆一 (翻訳))でも、著者が新人によくする指導法として「問題の例が三つ集まるまで一般性のある解法を書くことを許さない」というのがあります(amazon見本を参照)。このChrisの会社でも、大学を出たばかりの新人は、新人が1つの問題をみつけると、他の問題も解ける一般的なプログラミングを書こうとするのですが、Chrisは「そういうでかい問題は解かなくていい」と指導して、目の前の問題だけをまず解くことに集中させるように指導しています。そういうでかい問題を解こうとするプログラムは、往々にして、バグを潜みやすかたり、理解のための学習コストが高くなりがちなので、ゲーム開発では避けるべきだということを Chris はこの著書で述べています。 ともかく、目の前に無い、でかい問題を一般化して解こうとすると、メンテ性の悪いプログラムイが出来上がりやすいのです。",
"title": "設計方針"
},
{
"paragraph_id": 266,
"tag": "p",
"text": "予備知識のない新人はこういうミスをしがちです。気をつけましょう。",
"title": "設計方針"
},
{
"paragraph_id": 267,
"tag": "p",
"text": "ソフトウェア工学では「DRY原則」(Don't Repeat Your Self、 「繰り返しを避ける」の意味)という考えかたがあり、同じコードの繰り返しを悪とする考え方がありますが、しかし実務は上記のように、必ずしも「DRY原則」のとおりとは言い切れません。もしくは、世間一般の「DRY原則」の解釈のなかにはコンテキストの考え方を見落とした、まちがった解釈が流布している場合もあるので注意が必要、ということかもしれません。",
"title": "設計方針"
},
{
"paragraph_id": 268,
"tag": "p",
"text": "よほど長いコードの繰り返しやら10回や20回以上とかの繰り返しなら実務上の都合からコードの重複を避けたほうが良い場合や必要もあるかもしれませんが、しかし、そうでない場合でたった数行ていどの少々のコードやらそれらの2回程度の繰り返しならばコンテキストの都合からは似たようなコードをあえて共通化しないほうが安全な場合もあります。",
"title": "設計方針"
},
{
"paragraph_id": 269,
"tag": "p",
"text": "初心者プログラマーはこういった事をいっぺんには体得できないでしょうから、一見すると、本来なら合理的なコードが、初心者の目には少し汚く見え、「少しだけ可読性が悪い」ように感じがちです。つまり、初心者目線で少しだけ可読性が悪いぐらいのコードこそが、実は本当は可読しやすいコードです。",
"title": "設計方針"
},
{
"paragraph_id": 270,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "設計方針"
},
{
"paragraph_id": 271,
"tag": "p",
"text": "まず、それらの機能の共通点を探します。次に、その共通点を抽象化します。抽象化のコストと、それを再テストするコストの合計が、そのままにしておくコストよりも高く付くと考えられるならば、抽象化は後回しにしても構いません。",
"title": "設計方針"
},
{
"paragraph_id": 272,
"tag": "p",
"text": "戦闘モードとか、マップ画面モードとか、メニューモードとか、そういうののハナシです。とりあえず「モード」と言いましたが、ゲーム業界で何と言うのか知りません。もしかしたら、モードではなく「戦闘シーン」とか「戦闘パート」とか言うのかもしれません。ただし、書籍『ゲームプランとデザインの教科書』が、架空のスマホゲーム企画書で「モード」という言葉を使っています。「移動先指定モード」とか。",
"title": "モードの管理手法について"
},
{
"paragraph_id": 273,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "2Dマップ"
},
{
"paragraph_id": 274,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "2Dマップ"
},
{
"paragraph_id": 275,
"tag": "p",
"text": "方針だけ述べる。具体的なコードは、上手い人のコードを参考にしよう(コードがけっこう長くなり、紹介がメンドウくさい)。",
"title": "2Dマップ"
},
{
"paragraph_id": 276,
"tag": "p",
"text": "2Dマップがあると、俄然、RPGっぽく見えるようになって、ヤル気が出るので、さあ作ろう。",
"title": "2Dマップ"
},
{
"paragraph_id": 277,
"tag": "p",
"text": "マップのデータは、ふつう、2次元配列で書く。",
"title": "2Dマップ"
},
{
"paragraph_id": 278,
"tag": "p",
"text": "まず、グローバル領域で、たとえば",
"title": "2Dマップ"
},
{
"paragraph_id": 279,
"tag": "p",
"text": "のように、とりあえず配列を確保しよう。",
"title": "2Dマップ"
},
{
"paragraph_id": 280,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "2Dマップ"
},
{
"paragraph_id": 281,
"tag": "p",
"text": "ここで重要なのは、 確保した配列のタテとヨコは、ヨコの並びをx方向として、タテの並びをy方向としたとき、",
"title": "2Dマップ"
},
{
"paragraph_id": 282,
"tag": "p",
"text": "maptable[y][x]",
"title": "2Dマップ"
},
{
"paragraph_id": 283,
"tag": "p",
"text": "のように確保されていることに注意する。",
"title": "2Dマップ"
},
{
"paragraph_id": 284,
"tag": "p",
"text": "さて、各配列に「0」を入れても、はたして0番が何を意味するか、まだ何も決めていない。",
"title": "2Dマップ"
},
{
"paragraph_id": 285,
"tag": "p",
"text": "ゲームにもよるが、とりあえず、何もマップチップを上書きしない領域だと定義しよう。",
"title": "2Dマップ"
},
{
"paragraph_id": 286,
"tag": "p",
"text": "背景色と同じ色のベタ塗りのマップチップを作っておけば、それで上書きすれば、あたかも何も上書きしてないように見える。",
"title": "2Dマップ"
},
{
"paragraph_id": 287,
"tag": "p",
"text": "いちいちif文などで、何も上書きしないように場合わけをするのもメンドウであるので、どっちの方式にするか、決めておこう。",
"title": "2Dマップ"
},
{
"paragraph_id": 288,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "2Dマップ"
},
{
"paragraph_id": 289,
"tag": "p",
"text": "さて、マップ用の配列は、作成したいマップで最低限必要なマス目よりも、やや大きめの領域を確保しておく必要がある。",
"title": "2Dマップ"
},
{
"paragraph_id": 290,
"tag": "p",
"text": "たとえば、5×5のマップを作りたいなら、配列ではもっと大目に、たとえば 8×7 とか確保しておく必要がある。",
"title": "2Dマップ"
},
{
"paragraph_id": 291,
"tag": "p",
"text": "もし、なんらかのバグで確保されていない領域を呼び出してしまうと、プログラムがエラーで異常停止してしまう。",
"title": "2Dマップ"
},
{
"paragraph_id": 292,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "2Dマップ"
},
{
"paragraph_id": 293,
"tag": "p",
"text": "たとえば、一番左端をもしx=0とした場合、もしこの場所に主人公がいると、さらにプレイヤーが「左端に行こう」と考えて、左ボタンを押したときに、エラーで異常停止してしまう。",
"title": "2Dマップ"
},
{
"paragraph_id": 294,
"tag": "p",
"text": "こういう停止はメンドウくさいので、だったら念のため、最初から、マップを移動可能な場所よりも何マスか大目に確保しておくと安全である。",
"title": "2Dマップ"
},
{
"paragraph_id": 295,
"tag": "p",
"text": "さて、まだ配列を確保しただけなので、「0」が何かとか、「1」が何かとか、まったく定義していない。",
"title": "2Dマップ"
},
{
"paragraph_id": 296,
"tag": "p",
"text": "とりあえず、",
"title": "2Dマップ"
},
{
"paragraph_id": 297,
"tag": "p",
"text": "としよう。 だと思ってればイイ。",
"title": "2Dマップ"
},
{
"paragraph_id": 298,
"tag": "p",
"text": "たとえば、もし配列 maptable の宣言が、",
"title": "2Dマップ"
},
{
"paragraph_id": 299,
"tag": "p",
"text": "のような宣言だったら、このマップでは真ん中のほうに4マス×5マスの移動可能な地帯がある。 その周囲は移動不可能になっている。",
"title": "2Dマップ"
},
{
"paragraph_id": 300,
"tag": "p",
"text": "ともかく、このように、プログラマーは、まず、何番のマップチップが何を現すかということを、脳内で設計しておく必要がある。",
"title": "2Dマップ"
},
{
"paragraph_id": 301,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "2Dマップ"
},
{
"paragraph_id": 302,
"tag": "p",
"text": "配列の範囲外の読み込みエラー防止のためも兼ねて、0番は、すべてのゲームキャラが進入禁止としておくのは安全だろう。",
"title": "2Dマップ"
},
{
"paragraph_id": 303,
"tag": "p",
"text": "あとはもう、win32 API などの機能を使って、マップチップの画像を配列にもとづいて各マスごとに表示すればいい。",
"title": "2Dマップ"
},
{
"paragraph_id": 304,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "2Dマップ"
},
{
"paragraph_id": 305,
"tag": "p",
"text": "前提として、まずマップチップ画像の読み込みを行う必要がある。あるいは、画像をあらかじめ実行ファイルに組み込んでおく必要がある。",
"title": "2Dマップ"
},
{
"paragraph_id": 306,
"tag": "p",
"text": "画像の実行ファイルへの組み込みは、Visual C++ にそういう機能があるので、それを使えばいい。",
"title": "2Dマップ"
},
{
"paragraph_id": 307,
"tag": "p",
"text": "画像を読み込みたいなら、ゲーム起動時にでも読み込んでおけばいい。",
"title": "2Dマップ"
},
{
"paragraph_id": 308,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "2Dマップ"
},
{
"paragraph_id": 309,
"tag": "p",
"text": "イメージ的にコードの雰囲気(ふんいき)を書くと、たとえば case WM_PAINT: の節に、下記のように for文などを使って画像ハンドらに画像を代入するコードを裏画面に書いていき、最後にまとめて本画面に描画することになる。(「裏画面」とか「ダブルバッファリング」と言われるテクニックを使います。詳しくはネット検索して調べてください。)",
"title": "2Dマップ"
},
{
"paragraph_id": 310,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "2Dマップ"
},
{
"paragraph_id": 311,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "2Dマップ"
},
{
"paragraph_id": 312,
"tag": "p",
"text": "SelectObject や BitBlt は、Win32 API の専用の関数なので、分からなければ読者で調べてください。",
"title": "2Dマップ"
},
{
"paragraph_id": 313,
"tag": "p",
"text": "なお、マップチップ画像そのものの作成は、単にWindowsアクセサリ『ペイント』などの画像作成アプリでビットマップ画像を用意すればいい。",
"title": "2Dマップ"
},
{
"paragraph_id": 314,
"tag": "p",
"text": "ツクールやウディタなどだと、いくつかのマップチップをまとめた「タイルセット」などを取り扱うが、実はプログラミング的には、わざわざタイルセットを作らなくても、マップチップ1個ずつを読みとりすることも可能である(単にwin32APIのビットマップ画像の読みとりの機能を使えばいい)。",
"title": "2Dマップ"
},
{
"paragraph_id": 315,
"tag": "p",
"text": "(win32 API の初期設定のままではビットマップしか表示できないハズ。PNGなどを使いたいなら、GDI+の設定を行うこと。GDI+については説明を省略。)。",
"title": "2Dマップ"
},
{
"paragraph_id": 316,
"tag": "p",
"text": "なお、マップチップのサイズの規格は、よくある規格は16ピクセルの倍数で、「px」をピクセル単位の意味として16px×16pxまたは32px×32pxまたは64px×64pxのマップチップ規格がよくある(ツクールやウディタのマップチップのサイズ規格も、この系統)。",
"title": "2Dマップ"
},
{
"paragraph_id": 317,
"tag": "p",
"text": "とりあえず、私たちにとって作るのがラクなのは、小さいほうが作成がラクなので、とりあえず16×16のマップチップを作ろう。",
"title": "2Dマップ"
},
{
"paragraph_id": 318,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "2Dマップ"
},
{
"paragraph_id": 319,
"tag": "p",
"text": "プログラム技術としてはマップ表示は単なる二次元配列なので難しいことは無い。しかし、その他の準備が忙しく、たとえばマップチップ用のビットマップを用意したりとか、あるいはキーボード操作のプログラムを作ったりとか、そういう準備が難しい。",
"title": "2Dマップ"
},
{
"paragraph_id": 320,
"tag": "p",
"text": "これだけだと、まだマップを表示しただけなので、さらに主人公キャラのキャラチップとか、主人公がx=何マス目、y=何マス目にいるかの変数とかも宣言する必要がある。",
"title": "2Dマップ"
},
{
"paragraph_id": 321,
"tag": "p",
"text": "主人公チップを移動させる際、ドラクエ1みたいに1ピクセルずつ動かしたいと思うだろうが(実際は何ピクセルかしらないが)、しかしそれは難しい。まずは、十字ボタンを押したら、その方向にいきなり隣のマスに動く仕組みをつくろう。",
"title": "2Dマップ"
},
{
"paragraph_id": 322,
"tag": "p",
"text": "しかし、これすら、また難しい。",
"title": "2Dマップ"
},
{
"paragraph_id": 323,
"tag": "p",
"text": "win32APIなら、ボタンを押して話す動作で1回の入力と判断してくれる。 なので、win32APIで隣マス移動の仕組みを作るのは、比較的にラクである。",
"title": "2Dマップ"
},
{
"paragraph_id": 324,
"tag": "p",
"text": "しかしDXライブラリの場合、1瞬だけボタンを押しただけでも、何十回も入力があると判断され、 いっきに壁際のマスまで動いてしまう。",
"title": "2Dマップ"
},
{
"paragraph_id": 325,
"tag": "p",
"text": "なのでDXライブラリのマップ移動の作成の場合、まずはタイマー系の関数を利用し、一定時間のボタンの押し続けがあって初めて「入力された」と判定すうプログラムが追加になる。",
"title": "2Dマップ"
},
{
"paragraph_id": 326,
"tag": "p",
"text": "なお、win32APIでも別のシーン(たとえば戦闘モードでのコマンド決定後の自動処理など)でタイマー自作が必要になるので、どちらにせよラクではない。",
"title": "2Dマップ"
},
{
"paragraph_id": 327,
"tag": "p",
"text": "最終的には、21世紀的な一般的なゲームを作りたいなら、(win32APIではなく)DXライブラリで作るのがラクである。 (ただし本セクションでは説明のしやすさの都合から、win32APIで説明した。)",
"title": "2Dマップ"
},
{
"paragraph_id": 328,
"tag": "p",
"text": "もし、ドラクエ風に1ピクセル(ないし数ピクセル)ずつアニメーション的に動かしたいなら、DXライブラリがほぼ必須であり(原理的にはwindowsAPIでも出来るが、しかしwindowAPIでのアニメーション表現はとても手間が多く難しく、強く薦めない。)、DXライブラリで開発しているRPGコードに、タイマー計算するコードと組み合わせて、下記イメージのようになる。",
"title": "2Dマップ"
},
{
"paragraph_id": 329,
"tag": "p",
"text": "// nyuuryokumati は「入力待ち」時間の意味",
"title": "2Dマップ"
},
{
"paragraph_id": 330,
"tag": "p",
"text": "上記コードの仕組みは割とひどく、マップ移動中の特定の左右方向用のタイマーを、今後の戦闘モードなど他のすべてのタイマーと流用するという、ひどいコードである。",
"title": "2Dマップ"
},
{
"paragraph_id": 331,
"tag": "p",
"text": "ナナメ移動にも対応したりを考える場合、左右(LR)方向と上下(UpDown)方向のキーボード入力を別々の変数として処理する必要があったりと、割と面倒くさい。",
"title": "2Dマップ"
},
{
"paragraph_id": 332,
"tag": "p",
"text": "移動先が移動可能でないカベや川なのに移動できたらおかしいので(ドラクエだと川は移動不能。『信長の野望』での渡河とか野暮にツッコまないこと。)、",
"title": "2Dマップ"
},
{
"paragraph_id": 333,
"tag": "p",
"text": "事前にそういう移動可能判定を色々とクリアしたら、移動中モードとしてmovingが1になるようにしているコードである(長くなるので上記コードでは省略した)。",
"title": "2Dマップ"
},
{
"paragraph_id": 334,
"tag": "p",
"text": "キーボード入力の判定は、事前のmoving側の判定計算ですでに行っているので、上記コードでは省かれている。実際にはさらに、下記コードのようなキーボード入力判定プログラムが、上記コードの直前あたりに付け足される必要がある。",
"title": "2Dマップ"
},
{
"paragraph_id": 335,
"tag": "p",
"text": "いったん移動し終わったら、もはや移動中ではないので、再度movingをゼロに戻し、また移動可能判定を調べなおす、という手間になる。",
"title": "2Dマップ"
},
{
"paragraph_id": 336,
"tag": "p",
"text": "マップ移動だけでも、こんな手間になる。",
"title": "2Dマップ"
},
{
"paragraph_id": 337,
"tag": "p",
"text": "だから、市販の『中学生でも分かるゲームプログラミング』的な題名の本でこういう手間が無いのは、 それはその市販本の著者が、初心者が苦手感を抱かないように独自のライブラリなどで上記のような手間をライブラリ側に隠蔽する工夫などをしてるだけにすぎない。",
"title": "2Dマップ"
},
{
"paragraph_id": 338,
"tag": "p",
"text": "ネットに出回るデマの、「RPG風のUIをつくるのは簡単」というのは、つくづくウソである。ドラクエ1風のUIですら、なかなか面倒である。 (『中学生でも分かるゲームプログラミング』的な本の手間だけでドラクエ1風UIが作れると思ってる、本を読んだだけの知ったかぶりが、ゲームプログラミング経験者ヅラしているということであろう。)",
"title": "2Dマップ"
},
{
"paragraph_id": 339,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "2Dマップ"
},
{
"paragraph_id": 340,
"tag": "p",
"text": "ゲームにおけるキャラチップの歩行アニメーションの作画の定石は、テレビアニメの歩行の作画の定石とは、まったく違います。",
"title": "2Dマップ"
},
{
"paragraph_id": 341,
"tag": "p",
"text": "説明の単純化のため、右向きの歩行を例に説明します。",
"title": "2Dマップ"
},
{
"paragraph_id": 342,
"tag": "p",
"text": "まず、ツクール水準の2D-RPGの歩行グラフィックではなんと、歩き始めの作画の立ちポーズのドット絵と、横向き時にプレイヤーから見てキャラ歩行中における右足と左足とが重なっているドット絵(便宜上「中ポーズ」と呼ぶとする)が、なんと同じドット絵です(テレビアニメ作画の常識とは大きく異なる)。",
"title": "2Dマップ"
},
{
"paragraph_id": 343,
"tag": "p",
"text": "つまり2Dゲームのドット絵では、歩き始めと歩き中の中ポースとに、区別がないのです。",
"title": "2Dマップ"
},
{
"paragraph_id": 344,
"tag": "p",
"text": "これは、実際にキャラチップのタイルと、キャラのゲーム中での歩行動画を録画して見比べると分かります。",
"title": "2Dマップ"
},
{
"paragraph_id": 345,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "2Dマップ"
},
{
"paragraph_id": 346,
"tag": "p",
"text": "テレビアニメ産業では、歩きお よび 走りの作画は、基本的になるべく滑らかに見せるために、6枚の絵を使います。 だからアニメ業界では「6枚歩き」とか「6枚走り」とか言います。",
"title": "2Dマップ"
},
{
"paragraph_id": 347,
"tag": "p",
"text": "しかしゲームは違います。上記の言い方に習うなら、ゲームは「3枚歩き」です。「3枚歩き」というのは別にゲーム業界の用語ではなく、テレビアニメ業界での数え方をそのままゲーム業界に置き換えただけの本wikiでの独自的な呼び方です。",
"title": "2Dマップ"
},
{
"paragraph_id": 348,
"tag": "p",
"text": "しかもゲームのドット絵では、走りと歩きの区別がありません。つまり、歩きのドット絵を、走りのドット絵でも使いまわします。",
"title": "2Dマップ"
},
{
"paragraph_id": 349,
"tag": "p",
"text": "つまりゲームではドット絵だけなら 「3枚歩き」=「3枚走り」 でもあります。",
"title": "2Dマップ"
},
{
"paragraph_id": 350,
"tag": "p",
"text": "ドット絵のゲームにおける走りと歩きの区別は単に、キャラチップのスライドさせる早さを切り替えることで区別しているだけです。",
"title": "2Dマップ"
},
{
"paragraph_id": 351,
"tag": "p",
"text": "なお、テレビアニメ産業などでは、正面向きかつ走りシーン(ゲームにおける下キー入力時に相当)なら例外的に(6枚ではなく)4枚作画でも走りを描けることが知られています。なぜこれが通用するかというと、よく分析で言われるのは、6枚でなく4枚だと滑らかさはなくなりますが、しかし歩きではなく走りであるので動きに少々のギャップがあっても勢いがむしろ強調されるという点と、また6枚時の中ポーズのシルエットと4枚時の中ポーズノシルエットがあまり変わらないという点があるため、テレビアニメ業界では正面走りだけ「4枚走り」でも可能なのです。",
"title": "2Dマップ"
},
{
"paragraph_id": 352,
"tag": "p",
"text": "しかしゲーム産業では正面向きでないのに、右向き左向き前向き後ろ向きすべてで、なんと「3枚歩き走り」なのです。ドット絵のゲームではキャラチップが小さいので、なんと3枚で歩きも走りも表現できてしまうのです。",
"title": "2Dマップ"
},
{
"paragraph_id": 353,
"tag": "p",
"text": "このように、ゲームとアニメとでアニメーションの常識が大幅に異なります。",
"title": "2Dマップ"
},
{
"paragraph_id": 354,
"tag": "p",
"text": "しかし、両業界でも一致している作画の風習もあり、それは歩行中グラでの頭の高さの上下運動です。",
"title": "2Dマップ"
},
{
"paragraph_id": 355,
"tag": "p",
"text": "アニメ作画の頭の上下運動を文字だけで説明するのは難しいので、興味ある読者は外部サイトでアニメーターの作画教育サイトを見るなり、あるいは同人フリーゲーム用の公開キャラチップ素材などを実際に目で見るなどして、読者ご自身で研究してください。",
"title": "2Dマップ"
},
{
"paragraph_id": 356,
"tag": "p",
"text": "ともかく、3枚で右向きの歩行を表現できます。RPGでは上下左右の4方向が必要なので、最低でも3×4 = 12枚 の絵画必要です。",
"title": "2Dマップ"
},
{
"paragraph_id": 357,
"tag": "p",
"text": "なお、斜め歩行が加わると、2倍になるので必要枚数は合計24枚になります。",
"title": "2Dマップ"
},
{
"paragraph_id": 358,
"tag": "p",
"text": "もし、外部のゲーム用フリードット素材を使わずに「ゲームエンジンを一人で作る」というなら、上述のようなアニメ産業とゲーム産業での作画のギャップも知って絵を描く必要が生じるでしょう。頭の切り替えが必要になります。",
"title": "2Dマップ"
},
{
"paragraph_id": 359,
"tag": "p",
"text": "今までプログラマー脳だったのを、ドット絵を描くのに絵描き脳に切り替える必要があって、しかも既存のテレビアニメ作画理論はそのままでは使えないので、ゲーム用に人気作のドット絵のグラフィックを研究しなおす必要が生じるのです。",
"title": "2Dマップ"
},
{
"paragraph_id": 360,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "2Dマップ"
},
{
"paragraph_id": 361,
"tag": "p",
"text": "また、絵1枚ごとのRPGのキャラチップの作画も、テレビアニメとは違います。",
"title": "2Dマップ"
},
{
"paragraph_id": 362,
"tag": "p",
"text": "まず、2D-RPGでは、前後向きのキャラチップの横幅のサイズ規格と、左右向きの横幅のサイズ規格が、RPGでは同じです。",
"title": "2Dマップ"
},
{
"paragraph_id": 363,
"tag": "p",
"text": "しかし、テレビアニメでは、このような横幅はありえないのです。",
"title": "2Dマップ"
},
{
"paragraph_id": 364,
"tag": "p",
"text": "なぜなら、人間が歩いていて左右の腕をふっていて前に突き出た状態の手先から胴体までの距離は、胴体の厚さに比べると、(手~胴体 の距離は)かなり長いです。",
"title": "2Dマップ"
},
{
"paragraph_id": 365,
"tag": "p",
"text": "しかし、こういったリアルな腕の寸法に忠実に書くと、サイズ規格の横幅をオーバーしてしまい、少なくとも腕の片方の先がチップ外にハミ出てしまいます。",
"title": "2Dマップ"
},
{
"paragraph_id": 366,
"tag": "p",
"text": "だから、進行方向側の腕だけは、2D-RPGキャラチップではあまり伸びていないです。",
"title": "2Dマップ"
},
{
"paragraph_id": 367,
"tag": "p",
"text": "なお、進行中の胴体はやや進行方向に寄っています。これはリアルな人体がそうだからでしょう。",
"title": "2Dマップ"
},
{
"paragraph_id": 368,
"tag": "p",
"text": "なので、もはや進行方向側の腕には、伸ばすだけの余裕がありません。",
"title": "2Dマップ"
},
{
"paragraph_id": 369,
"tag": "p",
"text": "だから、進行方向側の腕を折り曲げる場合すらも存在します。または、進行方向側の腕だけ短くゴマかすなどしている場合もあります。",
"title": "2Dマップ"
},
{
"paragraph_id": 370,
"tag": "p",
"text": "これは別に2010年以降の流行でなく、既に1980年代の商業ゲームでもファミコンのドラクエ3の勇者の母親のキャラチップも、実は進行方側に腕を伸ばしたときは、腕を折り曲げています。",
"title": "2Dマップ"
},
{
"paragraph_id": 371,
"tag": "p",
"text": "なお、ドラクエ3の主人公である勇者は、剣を持っているので、利き腕の右手がもとから折り曲がっており、よく分かりません。",
"title": "2Dマップ"
},
{
"paragraph_id": 372,
"tag": "p",
"text": "また利き腕の表現のためドラクエ3では、右向きと左向きのキャラチップを、けっして反転処理でゴマかさずに、きちんとポーズを書き分けています。",
"title": "2Dマップ"
},
{
"paragraph_id": 373,
"tag": "p",
"text": "ともかく、一般にRPGの歩行キャラチップでは、進行方向の腕があまり伸びてないので、バランスを取るためにRPGでは、進行方向の反対側の手足を、目いっぱい、伸ばしています。",
"title": "2Dマップ"
},
{
"paragraph_id": 374,
"tag": "p",
"text": "これはリアルで考えるとありえないし、テレビアニメでもありえない作画です。",
"title": "2Dマップ"
},
{
"paragraph_id": 375,
"tag": "p",
"text": "ですが、ゲーム産業の2D-RPGでは、昔からこういう作画がよく行われています。",
"title": "2Dマップ"
},
{
"paragraph_id": 376,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "2Dマップ"
},
{
"paragraph_id": 377,
"tag": "p",
"text": "2D-RPGの歩行ではキャラは地面を滑ります。横向きグラフィックだと、比較的に確認しやすいでしょう。",
"title": "2Dマップ"
},
{
"paragraph_id": 378,
"tag": "p",
"text": "テレビアニメだと、キャラが滑っているように見えなくさせるためもあってか6枚も使って作画する一方、",
"title": "2Dマップ"
},
{
"paragraph_id": 379,
"tag": "p",
"text": "2Dゲームでは正反対であり、2D-RPGゲームでは「滑り上等!」な態度の作画です。",
"title": "2Dマップ"
},
{
"paragraph_id": 380,
"tag": "p",
"text": "走りシーンだったら、「まるで滑っている」かのように高速で走っている身軽なキャラのようにも見えるのですが(実は、実際に足の作画が滑っているだけ)、",
"title": "2Dマップ"
},
{
"paragraph_id": 381,
"tag": "p",
"text": "2D-RPGでは歩きですら滑りある作画です。",
"title": "2Dマップ"
},
{
"paragraph_id": 382,
"tag": "p",
"text": "「3枚歩き」で描く以上、こういうリアリティを無視した作画ですので、あまり他のリアリティにこだわっても仕方ありません。",
"title": "2Dマップ"
},
{
"paragraph_id": 383,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "2Dマップ"
},
{
"paragraph_id": 384,
"tag": "p",
"text": "標準的なキャラチップの前側の腕は折りたたまれています。原理的には、キャラチップの横幅を長くすれば、横向き歩きのゲーム作画において、リアルの作画や、テレビアニメの作画に近づけることはできます。",
"title": "2Dマップ"
},
{
"paragraph_id": 385,
"tag": "p",
"text": "ですがそれをすると、キャラチップがそのぶん大きくなってしまい、そのせいでチップタイルの横幅が大きくなってしまいます。",
"title": "2Dマップ"
},
{
"paragraph_id": 386,
"tag": "p",
"text": "正確には計算していませんが、少なくとも2.5倍くらいは横幅が長くなると思います。斜め移動も含みで考えると、通常のツクールなどのチップタイルはやや横長なのに、さらにそれを2.5倍に長くするのは、やや編集時に見づらいかもしれません。",
"title": "2Dマップ"
},
{
"paragraph_id": 387,
"tag": "p",
"text": "ドット絵のキャラチップという小さくて見づらい絵の、さらに「腕」という2ドット(枠線まで含めると4ドット)くらいしかない部分に対して、そこまでする必要あるのか、意義が不明です。",
"title": "2Dマップ"
},
{
"paragraph_id": 388,
"tag": "p",
"text": "このように、ゲーム演出の特有の事情もあります。",
"title": "2Dマップ"
},
{
"paragraph_id": 389,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "2Dマップ"
},
{
"paragraph_id": 390,
"tag": "p",
"text": "また、もしキャラチップの横幅の規格だけ長くすると、マップチップの横幅の規格と、食い違いが出てきます。このため、プログラムがやや難しくなります。",
"title": "2Dマップ"
},
{
"paragraph_id": 391,
"tag": "p",
"text": "なるべくキャラチップ横幅とマップチップ横幅の規格の長さが近いほうが、プログラムは楽になります。",
"title": "2Dマップ"
},
{
"paragraph_id": 392,
"tag": "p",
"text": "このように、プログラミング側の事情もあります。",
"title": "2Dマップ"
},
{
"paragraph_id": 393,
"tag": "p",
"text": "それでも、どうしても腕の振りをリアルやテレビアニメに近づけたいなら、",
"title": "2Dマップ"
},
{
"paragraph_id": 394,
"tag": "p",
"text": "キャラチップのサイズ規格を変えるのではなく、キャラチップのサイズ規格はマップチップ規格と同じくらいの長さにしたままにして、",
"title": "2Dマップ"
},
{
"paragraph_id": 395,
"tag": "p",
"text": "歩行時にキャラチップを3枚横につなげるなどの方法もあるかもしれません。3枚の真ん中のチップが胴体と腕の付け根側で、隣の左右チップがそれぞれの腕の先端側に対応、という手法です。おそらくですが、ファミコン時代の古いアクションゲームでも、巨大ボスなどを、複数のチップをつなげて作画していたでしょうから、そういうのを現代的に応用する手法というわけです。",
"title": "2Dマップ"
},
{
"paragraph_id": 396,
"tag": "p",
"text": "ただし、これだとキャラの処理速度の負担も、単純計算で3倍になります。(実際は、左右のキャラチップは無描画の場合もあるし、描画量が少ないので、もっと少ないが。)",
"title": "2Dマップ"
},
{
"paragraph_id": 397,
"tag": "p",
"text": "主人公とかボス敵だけのキャラチップなら、グラフィック重視のゲームなら、その意義もあるかもしれません。しかし、果たしてモブキャラのキャラチップにまで、そこまでのチップ3倍にする手間を掛ける価値があるかどうか。",
"title": "2Dマップ"
},
{
"paragraph_id": 398,
"tag": "p",
"text": "また、製作ツールなどの事情により、読み込みできる画像の枚数に制限のある場合があるので、あまり目立たない部分のために画像を1枚増やすのは非効率です。",
"title": "2Dマップ"
},
{
"paragraph_id": 399,
"tag": "p",
"text": "ですが、べつに全キャラに6枚歩きを実装する必要もありません。お好きなように。",
"title": "2Dマップ"
},
{
"paragraph_id": 400,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "2Dマップ"
},
{
"paragraph_id": 401,
"tag": "p",
"text": "どうしてもドット絵で手足の動きをリアリティある書き方で細かく表現したいなら、いっそ、ゲーム本編ではなく別途ゲーム中にミニゲームでリアルな腕の振り方のあるミニゲームを組み込むなどの方法のほうが、良いかもしれません。",
"title": "2Dマップ"
},
{
"paragraph_id": 402,
"tag": "p",
"text": "この方法なら、たとえばもし2D対戦アクションゲーム(スト2みたいなの)のミニゲームを組み込んだら、歩きや走りだけでなく、ジャンプだろうが座りだろうが、もはやパンチやキックや剣撃なども思う存分に大きく作画できますし、作画によってゲーム性も向上します。(アクションゲーム特有の非リアル描写もあるだろうが、本ページはRPGの教科書なので、アクションゲームの非リアル描写には深入りしない。)",
"title": "2Dマップ"
},
{
"paragraph_id": 403,
"tag": "p",
"text": "背景を手書き背景イラストにすれば、マップチップのサイズ規格に縛られる必要もなくなるので、思う存分にキャラの好きな大きさで作画できますので、腕などの細かい部分も目立つ大きさで作画できるでしょう。",
"title": "2Dマップ"
},
{
"paragraph_id": 404,
"tag": "p",
"text": "ただし、この方法の背景だと、スーパーマリオのような、背景の空中ブロックの上に、キャラがジャンプして飛び移ったりとかの処理は、スト2的ゲームのままでは不可能です。別途、マリオ的システムのプログラムを組む必要があります。つまり「スト2のようなスーパーマリオ」というゲーム企画を実装する必要が生じてしまいます。",
"title": "2Dマップ"
},
{
"paragraph_id": 405,
"tag": "p",
"text": "また、ツクール的システムのRPGでなければ「3枚歩き」に縛られず、歩きと走りの作画を分離するのも自由ですし、「6枚走り」と「6枚歩き」のシステムにすることで「滑り」も無くせてリアリティ向上します。そこまで作画する意欲があればの話ですが。",
"title": "2Dマップ"
},
{
"paragraph_id": 406,
"tag": "p",
"text": "歩行グラフィックの切り替えパターンはゲームごとに違うのですが、下記コラムでは実装のラクなパターンを紹介します。",
"title": "2Dマップ"
},
{
"paragraph_id": 407,
"tag": "p",
"text": "なお、ツクールやウディタの歩行パターンとは異なります(ツクールなどは、もっと複雑なパターン。後述する)。",
"title": "2Dマップ"
},
{
"paragraph_id": 408,
"tag": "p",
"text": "実はツクールやウディタなどの歩行アルゴリズムは、本ページの上記コラムのプログラムのようにはなっていません。",
"title": "2Dマップ"
},
{
"paragraph_id": 409,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "2Dマップ"
},
{
"paragraph_id": 410,
"tag": "p",
"text": "なお、ツクーツとウディタで、キャラの標準的な歩き方のアルゴリズムは両方とも、",
"title": "2Dマップ"
},
{
"paragraph_id": 411,
"tag": "p",
"text": "のように、直立ポーズを挟んで、前足あげと後ろ足あげを交互に繰り返す方式です。(最初に始まるのが前足か後ろ足かの若干の違いはあるかもしれませんが、本質的ではないので深入りしない。)",
"title": "2Dマップ"
},
{
"paragraph_id": 412,
"tag": "p",
"text": "けっして、",
"title": "2Dマップ"
},
{
"paragraph_id": 413,
"tag": "p",
"text": "のようにはなりません。",
"title": "2Dマップ"
},
{
"paragraph_id": 414,
"tag": "p",
"text": "これはおそらく、直立のように見えるグラフィックが、実は歩行中の前足と後ろ足とが重なった状態を兼ねている表現だろうと思われます。",
"title": "2Dマップ"
},
{
"paragraph_id": 415,
"tag": "p",
"text": "そのほか、ツクールやウディタで1マスだけ進むのを繰り返すと分かりますが、",
"title": "2Dマップ"
},
{
"paragraph_id": 416,
"tag": "p",
"text": "1マスしか動かないで停止したとき、キャラチップをよく見ると、その場で足踏みして最終的に直立して止まることがあります。",
"title": "2Dマップ"
},
{
"paragraph_id": 417,
"tag": "p",
"text": "ツクールもウディタもソース非公開なので不明ですが、これはプログラム的には仕組みはおそらく、",
"title": "2Dマップ"
},
{
"paragraph_id": 418,
"tag": "p",
"text": "移動中の間だけ「移動中カウンタ」的な変数が進み、それが一定値になると0に戻るという仕組みを繰り返していると思います。",
"title": "2Dマップ"
},
{
"paragraph_id": 419,
"tag": "p",
"text": "そして隣マスに到着時の進行判定の際、もし右ボタンが押されていなくてマスに停止しており、",
"title": "2Dマップ"
},
{
"paragraph_id": 420,
"tag": "p",
"text": "移動中カウンタがまだ0に戻る前の値だったら、その値を保存したまま、",
"title": "2Dマップ"
},
{
"paragraph_id": 421,
"tag": "p",
"text": "表示プログラム用にカウンタ値だけカウントアップしていって0に戻るまで表示が進むような仕組みで、実装できるかと思われます。",
"title": "2Dマップ"
},
{
"paragraph_id": 422,
"tag": "p",
"text": "もし読者がツクールやウディタっぽい歩行アルゴリスムを実装したいなら、ご自身で研究してください。どのみち、ツクールとウディタで、歩行のポーズ切り替えタイミングなど微妙に違いますので、統一されていません。",
"title": "2Dマップ"
},
{
"paragraph_id": 423,
"tag": "p",
"text": "どのみち、たとえばファミコン版ドラクエ3のアルゴリズムは、ツクールやウディタとも違います。ドラクエ3ではマップ上でマスに立ち止まっても、キャラチップは静止せずに足踏みを続けます。",
"title": "2Dマップ"
},
{
"paragraph_id": 424,
"tag": "p",
"text": "このように歩行パターンはゲームそれぞれです。",
"title": "2Dマップ"
},
{
"paragraph_id": 425,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "2Dマップ"
},
{
"paragraph_id": 426,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "2Dマップ"
},
{
"paragraph_id": 427,
"tag": "p",
"text": "おおむね、こういった作画の流れになるでしょう。もちろん個人差はあるでしょう。ですが、けっして「いきなり細部から描く」ことはしないのは、ほぼ確定でしょうし、線画はドットが潰れるので輪郭以外の線は描かないことも、ほぼ確定でしょう。",
"title": "2Dマップ"
},
{
"paragraph_id": 428,
"tag": "p",
"text": "あくまで、2D-RPGのキャラチップの 40px × 40px 程度のドット絵だけに限定した話です。なので、反論などで顔グラフィックなどキャラチップ以外の話題を出されても、ピント外れです(相手が言ってもいないことで反論することを「w:藁人形論法」(わらにんぎょう ろんぽう)と言います)。ましてやRPG以外のアクションゲームなどのドット絵の手法で反論しないでください。",
"title": "2Dマップ"
},
{
"paragraph_id": 429,
"tag": "p",
"text": "さて、いくつかフリー素材を調べたところ、横向き時の中ポーズの足は、1本しか見えません。",
"title": "2Dマップ"
},
{
"paragraph_id": 430,
"tag": "p",
"text": "ついつい歩行中の中ポーズも意識して足を微妙にズラして2本書きたくなりますが、しかし静止ポーズにも使うことと、ドット絵なので微妙な足の段差を表現しづらいことなどから、",
"title": "2Dマップ"
},
{
"paragraph_id": 431,
"tag": "p",
"text": "決断して横向き時の足は1本しか見えないほうにするのが効率的でしょう。",
"title": "2Dマップ"
},
{
"paragraph_id": 432,
"tag": "p",
"text": "どうしても中ポーズでも足2本を見えるようにしたい場合の裏ワザとして、2本の足が合体した太い1本足を描くというワザがあります。やや太めの1本足です。 一部のフリーゲーム素材がこういうワザを使ってドット絵を描いています。",
"title": "2Dマップ"
},
{
"paragraph_id": 433,
"tag": "p",
"text": "ドット絵なんてこんなもんのゴマカシの連発ですから、あまり下調べの段階なのに細部を調べても仕方ありません。さっさと書き始めてから、書いてる途中に気になった点から手本を見直して調べていけばいいのです。いろいろと調べるの必要になりますが、さっさと書き始めるのも重要です。こういうのは、調べていたらキリがありません。",
"title": "2Dマップ"
},
{
"paragraph_id": 434,
"tag": "p",
"text": "デッサンのコツなんて、細部を書き始める時点までに、把握できていればいいのいです。",
"title": "2Dマップ"
},
{
"paragraph_id": 435,
"tag": "p",
"text": "仕事でなければ、イラストなんて最終的には描いた自分で満足できればいいのです。プログラマー視点で見るにしても、歩行プログラムの検証をできる最低限のイラストさえ書ければいいのです。",
"title": "2Dマップ"
},
{
"paragraph_id": 436,
"tag": "p",
"text": "当ページはプログラミングの教科書ですので、まず先にプログラム検証のための最低限イラストを描くことになります。",
"title": "2Dマップ"
},
{
"paragraph_id": 437,
"tag": "p",
"text": "とりあえずバブルソートの話題など。ほか幾つか。",
"title": "戦闘"
},
{
"paragraph_id": 438,
"tag": "p",
"text": "さて、戦闘中のモンスター隊列の構成を定義するための配列(または同等の内容の数列)も、必要です。",
"title": "(※: 未確認)戦闘中のモンスター隊列"
},
{
"paragraph_id": 439,
"tag": "p",
"text": "まず、画面に敵を、表示したい順に表示するためも必要です。",
"title": "(※: 未確認)戦闘中のモンスター隊列"
},
{
"paragraph_id": 440,
"tag": "p",
"text": "また、上述の「素早さ順」での行動処理のためにも、前提として、敵パーティの構成を表すための配列が必要になります。",
"title": "(※: 未確認)戦闘中のモンスター隊列"
},
{
"paragraph_id": 441,
"tag": "p",
"text": "説明の単純化のため、敵は横一列に、左から右に、並んでいるとしましょう(ドラクエ2~3みたいな方式だとしましょう)。",
"title": "(※: 未確認)戦闘中のモンスター隊列"
},
{
"paragraph_id": 442,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "(※: 未確認)戦闘中のモンスター隊列"
},
{
"paragraph_id": 443,
"tag": "p",
"text": "たとえば敵が左から順に",
"title": "(※: 未確認)戦闘中のモンスター隊列"
},
{
"paragraph_id": 444,
"tag": "p",
"text": "出現したとしましょう。(説明の単純化のため、モンスターは各種類ごとに1体だけとする。)",
"title": "(※: 未確認)戦闘中のモンスター隊列"
},
{
"paragraph_id": 445,
"tag": "p",
"text": "そして、ホブゴブリンのモンスター用データベース中でのIDが13番だとして、 毒々スライムのIDが8番、 ゾンビ兵士のIDが25番、 だとしましょう。",
"title": "(※: 未確認)戦闘中のモンスター隊列"
},
{
"paragraph_id": 446,
"tag": "p",
"text": "すると、この敵パーティを表すための配列として、",
"title": "(※: 未確認)戦闘中のモンスター隊列"
},
{
"paragraph_id": 447,
"tag": "p",
"text": "のような配列が必要です。(もしくは、配列に格納できるような数値の列「13,8,25,-99」)",
"title": "(※: 未確認)戦闘中のモンスター隊列"
},
{
"paragraph_id": 448,
"tag": "p",
"text": "末尾の-99は、これはその配列の読み終わりとして使用するための数字です。この数字は、別に「-10」でも「-99」でもいいですが、モンスターのidとけっして重ならないようにする必要があります。",
"title": "(※: 未確認)戦闘中のモンスター隊列"
},
{
"paragraph_id": 449,
"tag": "p",
"text": "通常、なんらかのデータベースのidの値は0以上の正の整数ですので、マイナスの整数を「終了」の意味で使用しておけば、安全でしょう。",
"title": "(※: 未確認)戦闘中のモンスター隊列"
},
{
"paragraph_id": 450,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "(※: 未確認)戦闘中のモンスター隊列"
},
{
"paragraph_id": 451,
"tag": "p",
"text": "このように、敵側にも、配列が必要になります。",
"title": "(※: 未確認)戦闘中のモンスター隊列"
},
{
"paragraph_id": 452,
"tag": "p",
"text": "しかも、この敵側の配列は、そのゲーム中で出現する敵パーティの全パターンを用意する必要があります。",
"title": "(※: 未確認)戦闘中のモンスター隊列"
},
{
"paragraph_id": 453,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "(※: 未確認)戦闘中のモンスター隊列"
},
{
"paragraph_id": 454,
"tag": "p",
"text": "たとい1体だけしか出現しない敵でも(たとえばボス敵や強敵)、その1体分の敵パーティの配列が必要です。",
"title": "(※: 未確認)戦闘中のモンスター隊列"
},
{
"paragraph_id": 455,
"tag": "p",
"text": "たとえば、その1体だけで出現する、あるボス敵「暗黒大王」のモンスター用データベース中でのIDが205番だとしたら、",
"title": "(※: 未確認)戦闘中のモンスター隊列"
},
{
"paragraph_id": 456,
"tag": "p",
"text": "のような、敵1体だけの配列を用意する必要があります。",
"title": "(※: 未確認)戦闘中のモンスター隊列"
},
{
"paragraph_id": 457,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "(※: 未確認)戦闘中のモンスター隊列"
},
{
"paragraph_id": 458,
"tag": "p",
"text": "なお、もしマイナスの数を含む数をふくめて並べ替えをしたいのでしたら、 上記の「-99」など終了処理を負数で区別する方法は、そのままでは使えないです。",
"title": "(※: 未確認)戦闘中のモンスター隊列"
},
{
"paragraph_id": 459,
"tag": "p",
"text": "たとえば、方向でもし東向きをプラス、西向きをマイナスとした場合、終了コードのつもりの「-99」は、誤解で「西に99マス」などと誤解される恐れがあります。",
"title": "(※: 未確認)戦闘中のモンスター隊列"
},
{
"paragraph_id": 460,
"tag": "p",
"text": "たとえば、",
"title": "(※: 未確認)戦闘中のモンスター隊列"
},
{
"paragraph_id": 461,
"tag": "p",
"text": "の並べ替えをしたい場合を考えましょう。",
"title": "(※: 未確認)戦闘中のモンスター隊列"
},
{
"paragraph_id": 462,
"tag": "p",
"text": "解決策としては、いろいろあります。",
"title": "(※: 未確認)戦闘中のモンスター隊列"
},
{
"paragraph_id": 463,
"tag": "p",
"text": "一番ラクな方法は、要素数を新たな変数として追加し、それと組み合わせて配列を使うことでしょう。",
"title": "(※: 未確認)戦闘中のモンスター隊列"
},
{
"paragraph_id": 464,
"tag": "p",
"text": "たとえば、",
"title": "(※: 未確認)戦闘中のモンスター隊列"
},
{
"paragraph_id": 465,
"tag": "p",
"text": "は7個の数が並んでいるので、",
"title": "(※: 未確認)戦闘中のモンスター隊列"
},
{
"paragraph_id": 466,
"tag": "p",
"text": "youso = 7;",
"title": "(※: 未確認)戦闘中のモンスター隊列"
},
{
"paragraph_id": 467,
"tag": "p",
"text": "みたいに新たに変数を用意します。",
"title": "(※: 未確認)戦闘中のモンスター隊列"
},
{
"paragraph_id": 468,
"tag": "p",
"text": "そして、たとえば最初の「-3」から順番意読み取りの際に、数えおわった個数を+1していき、+7になったら読み取りを終了することです。",
"title": "(※: 未確認)戦闘中のモンスター隊列"
},
{
"paragraph_id": 469,
"tag": "p",
"text": "この方法は、拡張性が高いのでオススメですが、ただし、要素を書く前に個数を宣言する必要があります。",
"title": "(※: 未確認)戦闘中のモンスター隊列"
},
{
"paragraph_id": 470,
"tag": "p",
"text": "実際の配列データは",
"title": "(※: 未確認)戦闘中のモンスター隊列"
},
{
"paragraph_id": 471,
"tag": "p",
"text": "のようになっているので、けっして数え終わって欲しいところでキリよく要素が終わるわけではないので、なので、要素数をあらかじめ宣言する必要があるのです。",
"title": "(※: 未確認)戦闘中のモンスター隊列"
},
{
"paragraph_id": 472,
"tag": "p",
"text": "さもないと、8番目の「0」が、読み取りたい数値としてゼロなのか、それとも、単にデータなしのためゼロなのか、不明になります。",
"title": "(※: 未確認)戦闘中のモンスター隊列"
},
{
"paragraph_id": 473,
"tag": "p",
"text": "終了コードなどとして負数を使用するのは、マイナスを含む並べ替えでは、あきらめましょう。それが安全でしょう。",
"title": "(※: 未確認)戦闘中のモンスター隊列"
},
{
"paragraph_id": 474,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "(※: 未確認)戦闘中のモンスター隊列"
},
{
"paragraph_id": 475,
"tag": "p",
"text": "最初の解決策1(要素数を新たな変数として追加)がもっとも安全かつ簡単ですが、比較のため、別の解決策も紹介しておきます。",
"title": "(※: 未確認)戦闘中のモンスター隊列"
},
{
"paragraph_id": 476,
"tag": "p",
"text": "次の解決策2は、数学的にはエレガントですが、しかしプログラミング的には、煩雑になり、また、バグ時などのエラーの波及をしやすい欠点があります。",
"title": "(※: 未確認)戦闘中のモンスター隊列"
},
{
"paragraph_id": 477,
"tag": "p",
"text": "さて、並べ替えのもうひとつの解決策として、",
"title": "(※: 未確認)戦闘中のモンスター隊列"
},
{
"paragraph_id": 478,
"tag": "p",
"text": "一例は、符号と絶対値を分離して、その組み合わせとして処理することです。",
"title": "(※: 未確認)戦闘中のモンスター隊列"
},
{
"paragraph_id": 479,
"tag": "p",
"text": "たとえば、",
"title": "(※: 未確認)戦闘中のモンスター隊列"
},
{
"paragraph_id": 480,
"tag": "p",
"text": "の並べ替えをしたい場合、",
"title": "(※: 未確認)戦闘中のモンスター隊列"
},
{
"paragraph_id": 481,
"tag": "p",
"text": "プレイヤーからは表面的には「-6」は1つの数に見えまずが、これをあえて、「フラグhugouが状態2(マイナスに相当)である」「絶対値 zetai が6である」というように、2つの変数hugou と zetaiに分けます",
"title": "(※: 未確認)戦闘中のモンスター隊列"
},
{
"paragraph_id": 482,
"tag": "p",
"text": "符号がプラスなら、hugou = 1 にでもしておきましょう。また、ゼロは便宜上、hugou = 1 にしておきましょう。",
"title": "(※: 未確認)戦闘中のモンスター隊列"
},
{
"paragraph_id": 483,
"tag": "p",
"text": "すると、上記の数の並びは、(hugou, zetai)のベクトルで考えると、",
"title": "(※: 未確認)戦闘中のモンスター隊列"
},
{
"paragraph_id": 484,
"tag": "p",
"text": "という組み合わせに変換するので、マイナスが使われない形になります。",
"title": "(※: 未確認)戦闘中のモンスター隊列"
},
{
"paragraph_id": 485,
"tag": "p",
"text": "なので、終了処理に、「-99」などの負数を割り当てても、並べ替え対象の数値と重なる心配がなくなります。: (2, 6,) , (2, 3) , (2, 2) , (1,0) , (1,1) ,(1,2), (1,5)",
"title": "(※: 未確認)戦闘中のモンスター隊列"
},
{
"paragraph_id": 486,
"tag": "p",
"text": "などのように、終了コード「(-99,0)」を末尾に追加しても、なんの混同の心配もなくなります。",
"title": "(※: 未確認)戦闘中のモンスター隊列"
},
{
"paragraph_id": 487,
"tag": "p",
"text": "さて、いったん上記のように、数を、符号と絶対値の組み合わせに分解して、同じ符号どうしで並びかえたなら、",
"title": "(※: 未確認)戦闘中のモンスター隊列"
},
{
"paragraph_id": 488,
"tag": "p",
"text": "あとは、符号が同じものどうしで、並べ替えをするだけですみます。",
"title": "(※: 未確認)戦闘中のモンスター隊列"
},
{
"paragraph_id": 489,
"tag": "p",
"text": "たとえば、",
"title": "(※: 未確認)戦闘中のモンスター隊列"
},
{
"paragraph_id": 490,
"tag": "p",
"text": "の並べ替えをしたい場合、ベクトルの第一引数に注目し、※ (第一引数、第二引数)",
"title": "(※: 未確認)戦闘中のモンスター隊列"
},
{
"paragraph_id": 491,
"tag": "p",
"text": "まず、",
"title": "(※: 未確認)戦闘中のモンスター隊列"
},
{
"paragraph_id": 492,
"tag": "p",
"text": "に分けます。",
"title": "(※: 未確認)戦闘中のモンスター隊列"
},
{
"paragraph_id": 493,
"tag": "p",
"text": "そして、絶対値(例では第二引数)だけに注目すれば、",
"title": "(※: 未確認)戦闘中のモンスター隊列"
},
{
"paragraph_id": 494,
"tag": "p",
"text": "となるので、簡単に並べ替えできます。",
"title": "(※: 未確認)戦闘中のモンスター隊列"
},
{
"paragraph_id": 495,
"tag": "p",
"text": "あとは、これを合成し、",
"title": "(※: 未確認)戦闘中のモンスター隊列"
},
{
"paragraph_id": 496,
"tag": "p",
"text": "と、並べ替えできます。",
"title": "(※: 未確認)戦闘中のモンスター隊列"
},
{
"paragraph_id": 497,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "(※: 未確認)戦闘中のモンスター隊列"
},
{
"paragraph_id": 498,
"tag": "p",
"text": "なお、説明の都合上でベクトルを蒸気の解説で使ったが、しかしC言語にベクトルの機能は無いので、もし上記の機能を実装するなら配列や構造体配列を使って、ベクトルと似たような処理を実装することになる。",
"title": "(※: 未確認)戦闘中のモンスター隊列"
},
{
"paragraph_id": 499,
"tag": "p",
"text": "たとえば配列で実装するなら、符号用の配列 hugou[id] と、絶対値用の配列 zetai[id] のようなものを用意したりすることになるだろう。",
"title": "(※: 未確認)戦闘中のモンスター隊列"
},
{
"paragraph_id": 500,
"tag": "p",
"text": "もし1番目の最初の数が「-3」なら、符号フラグは2、絶対値は3だからベクトル表現では",
"title": "(※: 未確認)戦闘中のモンスター隊列"
},
{
"paragraph_id": 501,
"tag": "p",
"text": "であるが、これは配列で表現するなら、たとえば",
"title": "(※: 未確認)戦闘中のモンスター隊列"
},
{
"paragraph_id": 502,
"tag": "p",
"text": "のように記述できる(C言語では配列の番号は0から数える)。",
"title": "(※: 未確認)戦闘中のモンスター隊列"
},
{
"paragraph_id": 503,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "(※: 未確認)戦闘中のモンスター隊列"
},
{
"paragraph_id": 504,
"tag": "p",
"text": "この方法は、一見すると数学的にエレガントに見えるかもしれませんが、しかし、もしバグやタイプミスなどによって数え間違えると、数え落としや重複があると、以降の符号が1個ずつズレてしまうなどの大きな影響があります。",
"title": "(※: 未確認)戦闘中のモンスター隊列"
},
{
"paragraph_id": 505,
"tag": "p",
"text": "たとえば、説明のため上記では",
"title": "(※: 未確認)戦闘中のモンスター隊列"
},
{
"paragraph_id": 506,
"tag": "p",
"text": "の分解を",
"title": "(※: 未確認)戦闘中のモンスター隊列"
},
{
"paragraph_id": 507,
"tag": "p",
"text": "とマトメて書きましたが、 実際には",
"title": "(※: 未確認)戦闘中のモンスター隊列"
},
{
"paragraph_id": 508,
"tag": "p",
"text": "のように別々の変数に分かれて保管されるのです。",
"title": "(※: 未確認)戦闘中のモンスター隊列"
},
{
"paragraph_id": 509,
"tag": "p",
"text": "もし、たとえば hugou の最初に、バグなどで「1」が加わると、",
"title": "(※: 未確認)戦闘中のモンスター隊列"
},
{
"paragraph_id": 510,
"tag": "p",
"text": "のようになってしまい、すべての符号が1個分、ズレてしまい、",
"title": "(※: 未確認)戦闘中のモンスター隊列"
},
{
"paragraph_id": 511,
"tag": "p",
"text": "となってしまいます。",
"title": "(※: 未確認)戦闘中のモンスター隊列"
},
{
"paragraph_id": 512,
"tag": "p",
"text": "正しい元々の数字の並びの",
"title": "(※: 未確認)戦闘中のモンスター隊列"
},
{
"paragraph_id": 513,
"tag": "p",
"text": "と比べると、符号がいくつも間違っており(1個目と2個目と4個目が違う)、解決策2ではエラーの波及が大きいことが分かります。",
"title": "(※: 未確認)戦闘中のモンスター隊列"
}
]
| null | == 本書の注意点 ==
=== 本書の目的 ===
本ページ『ゲームプログラミング/RPG』では原則、あまり(あるいは「まったく」)、いわゆるドラクエ的な意味での「RPG」の難易度デザインやそのためのパラメータ調整などのゲームデザインに関する話題は'''扱いません'''。
なぜなら、本書『ゲームプログラミング』は、題名にもあるとおりプログラミングの教科書だからです。つまり本書は、RPGのゲームデザイン論の教科書'''ではない'''です。
難易度デザインについては、RPG限定ではないですが本wikiでは別途、『[[ゲームプログラミング/バランス調整]]』という難易度デザインに特化した目的のページが切り離されて存在しているので、そちらをご利用ください。
同様に、ゲームシナリオやイラスト素材や音楽素材などの制作など自前のRPG制作に必要なその他の知識も説明しません。もしかしたら必要に応じて「ドットエディタ」などのキャラチップ制作ツールの存在や最低限のIT的な説明はするかもしれませんが、しかしデッサン的な話題は一切しません。
=== 出典などの有無について ===
市販のゲームクリエイター教育書には、一切、RPGのプログラミング解説書はありません。
一応、アクションゲームについては書籍『[https://www.amazon.co.jp/%E3%82%B2%E3%83%BC%E3%83%A0%E3%83%97%E3%83%AD%E3%82%B0%E3%83%A9%E3%83%9E%E3%81%AB%E3%81%AA%E3%82%8B%E5%89%8D%E3%81%AB%E8%A6%9A%E3%81%88%E3%81%A6%E3%81%8A%E3%81%8D%E3%81%9F%E3%81%84%E6%8A%80%E8%A1%93-%E5%B9%B3%E5%B1%B1-%E5%B0%9A/dp/4798021180 ゲームプログラマになる前に覚えておきたい技術]』や『[https://www.amazon.co.jp/%E3%82%B2%E3%83%BC%E3%83%A0%E3%83%97%E3%83%AD%E3%82%B0%E3%83%A9%E3%83%9F%E3%83%B3%E3%82%B0C-Sanjay-Madhav/dp/4798157619/ref=pd_lpo_2?pd_rd_i=4798157619&psc=1 ゲームプログラミングC++] 』などがありますが、その書籍は別にRPGには限定しておらず、どちらかというとアクションゲーム寄りの内容かもしれません(たとえば『ゲームプログラミングC++』では「衝突検知」などの話題がある)。
そういった出版事情もあり、本ページでは、出典のないRPGゲームプログラミング技法を多く紹介しています。
出典がなくても、プログラミングについては実際に Visual Studio などのコンパイラでその技法を確認してみれば真偽の確認ができますので、読者ご自身で真偽をご確認ください。
本ページに限らず『[[C言語]]』や『[[JavaScript]]』などの本wikiのプログラミング言語の教科書も同様に、プログラミング技法については特に出典はないスタイルです(出典があるのは、主に用語や歴史などの説明に関する出典だったりする)。
想定読者として、そういう御自身でコンパイラでコードをビルドして確認できるレベルの人を本ページでは想定していますので、もし読者がそれに到達していないなら、このページからは決して学ばないでください。
=== コード全部は紹介しきれない ===
実際のゲームプログラミングでは、たとえ無音声の2Dゲームですら、計算処理の他にグラフィックやキーボード入力など多くの機能が連動するので、コードはかなり長くなります。無音2Dのシンプルな超短編ゲームですら、初心者でもコードが何千行やあるいは1万行以上にもなります。
そのため、本wikiでは動作ソースコードの全部は到底、紹介できないです。だから本wikiで紹介されているコードをコピーペーストしても、それだけでは動かないのが普通です。
本ページにあるC言語のコードは、プログラミングでRPGを作る際に、「たぶん多くの人はこういった点が気になって悩むと思うから、こういうふうにコード記述すれば解決できると思います」といった方針だけを提供するものに過ぎません。
あるいは、もし本書で紹介したコードで動作したとしても、そのコードの結果はコマンドプロンプト(DOSプロンプト)のような真っ黒い画面で、RPG的な計算内容による計算結果だけを表示するプログラムだったりするので、そのままでは他人に遊んでもらえるような実際のゲームではないので、したがって実際のゲームプログラミング時には映像の表示などのためのコード追加がかなり多く必要になります。
== はじめに ==
本ページの'''RPG'''は、ターン制の戦闘システムを採用した<ref group="注">いわゆるドラクエ シリーズや昔のFF(ファイナルファンタジー)1~3あたり</ref>RPG(Turn-based RPG)を中心にとり扱う。アクションRPGやシミュレーションRPG、アクティブバトルなどを語る場合には、注記する。
以下のものは取り扱わない。
* テーブルトークRPG。TRPGや、テーブルトップRPGとも呼ばれる。
なお、本ページでは説明のために[[C言語]]を用いている。C言語の理解を前提としている箇所が存在するため、もし読者が知識をお持ちでない場合は、適切な媒体で調べながら読み進めていただきたい。
本ページではC言語を説明のために用いているが、開発環境がそれ以外の言語である場合は、適宜読み替えていただきたい。
{{コラム|使えない理論は捨てよう|
これからこの単元では、ゲームプログラミングとそれに関連する理論を解説していきます。
ですが、ゲームやマンガやアニメなどの娯楽は、理論にもとづく分野ではなく、観客を楽しませてナンボの業界です。
また、そもそも伝えられている理論自体が間違っている場合もあります。
たとえば漫画家の江川達也(えがわ たつや)の体験談なのですが、彼は漫画家デビュー当初、マンガ中での男性キャラの履いているズボンをかっこよく書くのに時間が掛かっていて困っていました。
そうなった理由は、彼・江川の崇拝するマンガの巨匠、手塚治虫が、「人体に直線の部分は無いので、人の絵を書く際に定規などを使うべきではない」という理論を、江川も信用していたからです。
しかし、その手塚理論のせいで江川はズボンを書く際に定規を使わなかったので、ズボンのラインがうまく真っ直ぐに書けず、困っていました。
ある時、江川が試しに定規を使ってズボンを書いて見たら、短時間でズボンをかっこよく描けたので「手塚先生、ウソを教えやがった」と愚痴を何かの書籍で述べていました。
マンガなど創作の分野の理論とはこういものです。偉い人が言ったから正しい、というものでもないし、当然、偉くない人が言ったから正しいというわけでもありません。
そうでなくて、実際に理論を手段として使ってみた結果、観客から見ても「かっこいい」「かわいい」「楽しい」という感情を呼び起こさせる作品をつくるのに役立つかどうかです。「かっこいい作品」「かわいい作品」こそが良い作品なのです。「理論どおりの作品」はけっして良い作品ではありません。だからマンガ、アニメ、ゲームなどの創作の理論とは、観客を楽しませる良い作品をつくるための手段の知識をまとめただけにすぎない道具が「理論」です。
だから、ある理論がもし創作の役に立たないなら、その理論はさっさと捨て去るべきです。少なくとも、その理論のために手間を掛けたのに作品を作っている自分すらも「かっこいい」「かわいい」「楽しい」などの感情を呼び起こせないなら、捨て去るべきです。
ゲーム業界でも同様のことが2010年から既に書籍で言われており、証拠として、ntny著『ローポリスーパーテクニック』で、ゲーム業界の普通の3DCGデザイナーが目指すべき目標としては、決して物理的・幾何学的に正確なモデリングではなく、「かわいい」「かっこいい」と思わせるモデリングこそが良いモデリングであると語られています<ref>ntny著『ローポリスーパーテクニック』、ソフトバンククリエイティブ、2010年2月16日 初版 第5刷、P.14 </ref>。
「かわいさ」「かっこよさ」はビジュアル的な訴求力ですが、そのほかアニメ・マンガ・ゲームの創作に共通的に必要な方針があるとしたら、「わかりやすさ」でしょうか。証拠として、書名は不明ですが、ドラゴンボール作者の鳥山明が、マンガは「わかりやすさが大事」と、21世紀ごろの新しめの絵柄のマンガで述べています。
アニメ業界でも、ジブリアニメ映画『海が聞こえる』が典型ですが、わかりやすくするためにアニメ版のいくつかのシーンを原作から改変しています。主人公の少女は原作小説(氷室冴子が原作者)ではあまりデレデレしないんですが(原作者の氷室冴子さんがクールビューティを描きたかった)、しかしアニメ映画版では後半、少しデレデレしています。そうしないと視聴者が主人公 少女の恋愛経験による心境の変化を把握できないだろう、とジブリの監督が予想をしたので改変したのでしょう。
このことは、社会学者の宮台真司と、原作者の氷室冴子との対談で、なにかの書籍で1990年代に語られています。宮台はこの点でジブリを批判しています。原作の良さが台無しになってるという批判です。
上述のように、視聴者レベル・消費者レベルだと気づかないですが、一般に、大衆娯楽の作家は、わかりやすくするために工夫をいくつもしています。難しめのテーマを扱っていても(たとえば『海が聞こえる』ならフェミニズムとかでしょうか)、アニメ版では分かりやすく改変しているのです。
もしそれに気づかないとしたら、単に勉強不足なだけです。
ゲームも同様でしょう。そのゲームのプレイの楽しみ方が、分かりやすい必要があります。
;言語の必要性
では、理論は全く不要なのでしょうか。いいえ、そうではありません。知識や技法を言葉にすることで、覚える内容が明確化されるので、同じ手法を今後も何度でも繰り返しできるようになるという再現性(さいげんせい)が生まれます。
一方、勘に頼っていると、その日の体調や気分によって作品が左右され、再現性が不安定になるので、生産性もまた低下します。
この再現性のための言語化の必要性は、「アニメ私塾」のペンネームで有名なアニメーター・イラストレーターの室井康雄がたびたび彼のYouTube動画などで言っていることです。
しかしその室井もまた、「理論どおりに描いてみて、(かわいいキャラ、かっこいいキャラなどを)うまく描けないなら、その理論は捨てろ」という旨の発言を彼のYouTube動画などで言っています(少なくとも2021年の前半に言っている)。
さて、上記の手塚治虫の理論を信じた江川の例は、まだ手塚が漫画家の先輩でもあるので、信じてしまったのも分かります。
ですがインターネット上には、誰が提唱したかも分からない理論もあふれています。このwikiもまた例外ではありません。ゲームやアニメなどは新しい分野であるので、出典をつけるのが困難な分野もあるので、出典も不明な俗説・仮説に頼らざるを得なかったりします。また出典のある情報だけに頼ると、文章構成が著しく断片的になってしまい、読むに耐えないか、読者が理解できなくて教科書としての役に立ちませんので、そういった仮説どうしを文脈的に結合するためにwikiでは更なる仮説によって補充説明などを加えていることすらもあります。
なので、このwikiも含めて、ネットに書いてあることは信用せず、読者は実際に自分で手を動かして確認をとったことをもとに、技術や感性などを磨いていってください。
このwikiは参考のひとつ程度に留めておいて、提唱している仮説を試してダメそうだった場合は、さっさとこのwikiの理論を捨ててください。
;ゲーム業界でも再現性あるマニュアル化が必要
ゲーム業界においても、『FGO』クリエイターの塩川洋介は、『ゲームデザインは「マニュアル化」できる』と、ある程度のマニュアル化ができることを認めています<ref>塩川洋介『ゲームデザイン プロフェッショナル』、技術評論社、P.23</ref>。
けっして、そのマニュアルは「普遍的」ではないですが、しかしだからといって、マニュアルも持たずに「センスや才能(※wiki追記: だけ)でやってはいけない」と忠告しています<ref>塩川洋介『ゲームデザイン プロフェッショナル』、技術評論社、P.24</ref>。
なぜかというと、塩川氏も、「再現性」という言葉を使って、マニュアルの必要性を説明しています<ref>塩川洋介『ゲームデザイン プロフェッショナル』、技術評論社、P.26</ref>。
しかし、実際のゲーム製作は理論だけではうまくいかず、たとえるならスポーツのように実技的な側面もあります<ref>塩川洋介『ゲームデザイン プロフェッショナル』、技術評論社、P.40</ref>。
あと、盲点ですが、スポンサー企業などが、再現性がないと投資してくれないと、塩川氏は著書で述べています。
ただし、理論だけでなく、実技的な能力も必要であり、上記のゲーム業界の塩川氏もアニメ業界出身の室井氏も、よく創作をスポーツに例えています。結局、ゲーム産業だけでなくアニメ業界やマンガ業界の実務分野の教育者たちも、似たようなことをいっており、よくスポーツにたとえます。
創作の世界は、どこも似たような傾向があります。
なので、けっして頭でっかちにならず、実際に手を動かすなどして、スキルを習得していきたいものです。結局、ゲームも漫画もアニメも、マニュアル的なものを準備しつつ、それを検証しながら修正していく運用法が必要になりそうです。
そういう言語の限界を分かった上で、理論は使いましょう。
余談ですが、ルネサンスの芸術家レオナルド=ダ=ヴィンチも似たような事を言っています。レオナルド・ダ・ヴィンチは「科学は隊長で、実践は兵隊である」と述べています<ref>[https://cir.nii.ac.jp/crid/1050282813827753088 青山愛香『アルブレヒト・デューラーとレオナルド・ダ・ヴィンチ――《メレンコリアⅠ》(1514 年)を巡る考察 ――』, 2013 ], 2023年12月25日に閲覧. </ref>。
;異業種の例
アニメ業界だけでなく、テレビCM業界など異業種でも、言語の必要性と似たようなことを言う人はいます。
97年にソニ-から発売されたゲーム『I.Q』の企画に携わった有名な広告プランナーの佐藤雅彦(お菓子のポリンキーなどのCMの人)は、
映画監督の川村元気の対談集『理系に学ぶ』で、
佐藤いわく「感性とか信念みたいなことを軽々しく言いたくないですよね。最後は感性で探り当てるしかないんですが、
そういった言葉ですぐ片付けるのは、傲慢な気がします。」と述べています<ref>川村元気『理系に学ぶ』、ダイヤモンド社、2016年4月21日 第1刷発行、P.62</ref>。
同じ川村元気との対談集では、別の対談相手ですが医学者の養老孟司は『戦後のものづくりなんかも大勢の理系の人が一生懸命トンネル掘ったり、計算機を作ったりしたけど、あれも嘘をつかない。要は言葉を信用してないんです。』と述べてます<ref>川村元気『理系に学ぶ』、ダイヤモンド社、2016年4月21日 第1刷発行、P.15</ref>。第二次世界大戦の終わった昭和20年8月15日、それまでの日本の新聞やラジオなどのメディアが喧伝する常識が崩れたのです。
養老はそういう過去を振り返って、「言葉を信用しない」と対談集で述べています。養老の場合、嘘をつかない医学解剖に興味をもち、解剖学を専攻したと述べています。
さて、ガンダムなどで有名な富野監督は、2012年ぐらいの書籍か雑誌での対談インタビューで、
その本では異業種の人たちと対談していたのですが、おおむね
「アニメ業界は教育を見直して整備しないといけない。会社が実務的なこともっと教育をしないと、頭のいい若手は、自分で教育を始めてしまう。」といった感じのことを言っていました。もちろん、富野監督は、大いに教育をすべし、という立場であり、その若者を応援する立場です。
自発的に若者が教育を始めるのなら、それだけ聞けばよいことのように思えますが、しかし富野監督がわざわざこういう苦言のような言い回しでいうことには、なにがしか、周囲からの反対意見などもあったんだろうとか、読者は推測してください。大人には、企業の事情などで言えないことがあるのです。
たとえばガンダムを作っている会社は「サンライズ」というアニメ会社なので、他社(たとえばエヴァンゲリオンの会社なら「ガイナックス」とか「カラー」という別アニメ会社です)に所属する若手アニメーターの主催するアニメ作画勉強会に出席するのは、いろいろと大人の事情があり、周囲からは疑義も出てくるのです。
富野監督はさらに、その対談書で、「自分だって絵を描くときにフォトショップを使っている」ということも言っています。もしかしたら、フォトショップに対する反対意見とか、いろいろあったんでしょう。
どこの業界でも、実務教育はいろいろと難しいものです。
}}
{{コラム|それでも読書が必要なわけ|
創作は、読書だけでなく、スポーツ的に実際に手を動かして作品を作る経験も多く必要です。
それでも やはり読書は必要になり、ゲーム業界人の書いたゲーム専門書やゲーム制作教本などを読む必要が出てくるでしょう。
あまり何十冊も読む必要は無いですが、本屋で2冊くらいは教本を買って読んでおくと良いでしょう。
ではなぜ読書による勉強も必要なのかの話をします。
それは、業界の中にいる、ダメな先輩をダマらせるため、ダメ先輩に足を引っ張らせないためです。どこの業界でも、不勉強・経験不足な割に年功序列などで出世してきている先輩がいます。あるいは、勤勉ではあっても、自社でしか通用しないヤリ方を、業界全体の標準ケースだと勘違いしている先輩もいます。
そういう、ちょっと困った先輩を、それとなく間違いに気づかせるために、同じ業界でもっと経験のある専門家の書いた文献を読むのです。(ただし、新人のうちは、ダメな先輩の教えであっても聞くべきである。新人が考えた「ぼくのかんがえたさいきょうのしどうほう」よりも経験豊富な先輩の教えのほうが遥かにマシだから、である。少なくとも5年くらいは先輩の指示に従おう。)
たとえば、入社1年目の新人には、入社5~10年目くらいの上司がついたりするわけですが、所詮は入社10年目程度の中年サラリーマンなので、間違ったことを教える場合もあります。そこで、同じ業界の20年選手や30年選手のベテランの書いた本を読むのです。(ただし、10年選手の職場のやり方と、自分の職場のやり方が違う場合もある。自分の職場のやり方を優先すること。このため、職場の先輩の指示は尊重しよう。)
だから、本屋で2冊くらいは、業界のベテランの書いた教本を買って読んでおけばいいのです。
このwiki『ゲームプログラミング』でいろんな分野を何十冊も出典紹介していたりするのは、単に著作権上の都合にすぎないので(もし1冊の本だけを書き写したら著作権侵害になる)、ゲーム制作にはそこまでの多くの文献は不要ですが教科書著作のため仕方なく多くの文献を確認しているだけにすぎません。読者はwiki編集者の読書法・勉強法を真似る必要は無いですし、真似るべきではないです。
ネットの情報をあさるのではなく、実際に本で買って読むのが必要です。なぜなら、ネット情報だと、本気度が分かりません。webサイトのスポンサーの都合などもあり、言いたいことが言えないケースもあります。だから、実際に書籍として出版されている本を買いましょう。
}}
== 予備知識と学習法 ==
=== 予備知識 ===
一応、ターン制RPGは関数や配列を知らなくても、作り始めることはできます。
最低限必要な知識として、変数と、キーボード入出力の関数と、if文、タイマー関連、画面出力、あとはせいぜい乱数などがあれば、ゲームを作り始めることができます。
これはRPGにかぎらず、よくプログラミング入門書にあるジャンケンゲームなども同様でしょう。ジャンケンゲームならタイマーすら不要でしょう。
しかし、「関数を知らないプログラミング」とは、たとえば、zボタン(決定ボタンとする)を押したときのプログラム記述で、DXライブラリでの開発なら、マップ画面モードでも戦闘コマンド画面モードでもタイマーをカウント開始すると思いますが、そのタイマーの開始命令と関連する処置を各画面ごとに1行ずつ書いていく方式です。
だからもし、バグなどがあってコード修正する際、すべての画面モードのzボタンを命令を一個ずつ直さなければなりません。RPGはモードが多いので、そのような修正は、なかなか面倒です。
だから、別に作り始めの時点で関数を知らなくてもいいのですが、しかし作っている途中に「バグの訂正で似た部分の繰り返しが多くて面倒だなあ・・・」という気分になったら関数も勉強していくのが望ましいでしょう。
そして、いつごろが関数を学ぶタイミングなのかを知るには、事前に自分がある程度は「関数というものがあって、コードの使いまわしに便利なものらしい」という知識が必要です。
配列も同様です。配列を知らなくても、パーテイ1人目のHPを変数名「p1HP」、パーティ2人目のHPを変数名「p2HP」のような方式でRPGを作れます。
しかし、これを敵15体も登録されているRPGで「m1HP」から「m15HP」とやるのは、少し面倒です。
なにより一番の問題は、配列を知らないと、ドラクエ1的なマップ画面すら作るのが、かなり困難になることです。
よくプログラミング教本などにある例では、マップを二次元配列で実装しています。
たとえば、書籍『12歳から始めるゼロからのC言語 ゲームプログラミング教室』がそうです<ref>大槻有一郎『12歳から始めるゼロからのC言語 ゲームプログラミング教室 Visual Studio 2015対応』、2016年3月1日 第1刷発行、2017年4月10日 第2刷発行、P165</ref>。
たとえば、
<pre>
{
{0,0,0,0,0,0,0,2,2,2},
{0,0,0,0,0,0,0,2,2,2},
{0,0,1,1,0,0,0,2,2,2},
{0,0,1,1,1,0,0,0,0,0},
{0,0,0,0,0,0,0,0,0,0},
}
</pre>
みたいな感じで、0番が草原、1番が森、2番が岩山、のような感じです。
横10×縦5のマップはそれほど広くないですが、
たったこれだけのマップでも、もし配列を知らなければ変数が50個必要です。
「配列を知らなくてもRPGを作れる」というのは、たしかにノンフィールドRPGなどは作れますし、
あるいはフィールドがあっても「マップはすべて草原、あるいはマップの99%くらいが草原(草原でないところだけ変数指定する方式)」のようなゲームなら作れますが、
しかしそれは、多くのRPGプログラミング入門者が考えているような、ファミコン~スーファミ水準のドラクエ・ファイファン的なイメージのRPGとは異なります。
初心者に「配列を知らなくてもいい」というのは無責任です。
配列を知らなくてもゲームプログラミングは開始できますが、もしも配列が必要になった時点で(変数を一個ずつ宣言するのが面倒なモジュールを作るとき)、
配列を学び始めるのが良いでしょう。
=== 作ってから学ぶ ===
別に市販のC言語の入門書の基礎文法すべてに精通してからゲームプログラミングを開始する必要はありません。
おおよその機能だけを市販のC言語入門書に目を通して知っておいて、プログラミングでは変数などの初歩的な知識だけを用いて作り始め、足りない知識は必要になったらそのたびに、市販の入門書などで学べばいいのです、
また、その市販のC言語入門書を読む時間も、通学中・通勤中で電車のイスに座ってる時に読むとか、あるいはトイレでウンコしている時に読むとか、そういう時に読めば、プログラミングの時間を減らさずに時間を有効活用できます(ただし睡眠時間や食事の時間などは減らさないようにしましょう)。
さて、セーブやロードなどの機能は、当分は不要です。そもそも、セーブが必要なほどの長さのシナリオなんて作るのは当分は後です。もしお作りのゲームが1分でクリアできるようなゲームなら、セーブなんて不要でしょう。
だから、C言語のファイル入出力の機能などは、当分は不要です。
つまり「学んでから作る」ではなく「作っているうちに気になった点を調べる」のがコツでしょう。
おそらく「関数を知らなくてもRPG作れる」といっているプログラマーはたぶんそういう事を言いたかった口ベタな人なのでしょう。
なお、配列や関数などは、自分が直接は使わなくても、他人が使います。
たとえば、マップの実装で、もしかしたら二次元配列を使わなくても、原理的には一次元配列を何十個も並べて実装する方法もあるかもしれませんが、しかし他人がそういう一次元配列を何十個も並べてマップ実装したコードなんて読みたくないし、教育者も面倒なのでそういうコードを教えてくれません。
なお、構造体は別に知らなくてもRPGは作れます。列挙体 enum なども同様です。単に構造体の配列を知っていると、(装備品やモンスターなどの)データベースを第三者がより読みやすい形で作りやすくなるだけです。列挙体を知っていると、モードの切り替え(マップ画面モードからメニュー画面モードへの切り替え等)をしやすくなります。
正直、市販の「ゲームプログラマー向け」をうたったプログラミング教本の中には、少なくともゲームプログラマー初心者の時点では不要な高度な知識も多く紹介されています。しかしそういう本でも、出版社などの宣伝の都合からか、「プログラマーになる前に読んでおきたい」みたいな宣伝文句が付けられたりしているかもしれません。そういう高度な知識もあとで仕事で必要になる場合がありうるので、ゲームプログラマー向けとして出版する事自体は正しいのですが、しかし初心者や入門書に進めるような宣伝文句をつけるべきかというと疑問となる内容の市販本もあります。
=== ポインタ不要論 ===
よく、「ポインタによる処理で速度の向上!」みたいな事が、ゲーム好きのプログラマーに言われます。
しかしポインタによるコーディングは、プログラムのメンテナンス性を悪くします。なぜならもしポインタ使用個所の周辺でバグが発生した場合に、ポインタがあると原因が特定しづらくなるからです。
一般のグローバル変数やローカル変数と比べてポインタ変数は仕組みが単純ではないことや、配列や構造体にポインタなどを用いる場合はもしその配列・構造体にバグがあると同じ配列内・構造体の別の部分にまでバグが波及するなどするので(コードによっては、もしかしたら、下手したら周辺の別の配列や構造体に波及する場合もありうるかも)、ポインタで実装されたモジュールがあるとバグ発生時に原因の絞込みが難しくなるのです。
もし仮にポインタ処理化を実装した直後では正常に動いていても、しかしあとで、今まで未実装だった部分が実装された場合に、なんらかの不整合によるバグが発生するようなことも良くあり、ポインタ処理はその際、バグ原因の特定を難しくします。
だから仮にどうしてもポインタを使わないといけない場合でも、RPG製作なら、なるべくポインタを実装するのは後回しにして、当分は一般の変数で実装したままにしておくほうが良いかもしれません。
あるいは、もし機能の実験や勉強を兼ねてポインタ処理の実験と実装をしたのなら、現状ではポインタ変数で実装してある箇所でも、あとでデバッグなどの際に一般の変数に戻す可能性も考慮することになります。
RPGの場合、デバッグに時間を多くとられますし、変数がとても多いので、メンテナンス性も考慮せざるを得ません。
;そもそも本当にポインタの必要な処理か?
ポインタによって高速化のメリットが得られる場合とは、C言語教科書などの理論では、大量の要素の構造体を(関数の引数などとして利用する際に)コピーする場合ぐらいです。
だからもし構造体を使う場合であっても、そもそも自作で用いる構造体変数がグローバル変数であればコピーの必要自体がないので、ポインタの必要もありません。
ゲーム内の武器データベースやモンスターデータベースなどが構造体で実装されると思いますが、初心者なら普通はそれらの構造体変数はグローバル変数として実装することになるでしょうし、グローバル変数として実装しても何も困りませんし、実際それでもRPGを作れますし、正常な速度で動きます。
例外的な事例を考えるなら、たとえばマップイベントのデータベースなど、特定のモードでしか使う機会のないデータベースなら、理論的にはグローバル変数でなくポインタによる取り扱いによって処理速度の向上の可能性はありえますが、しかし正直メンテナンス性が悪いし、難しい割にはポインタ化してもしなくても初心者ゲームのレベルでは速度は変わりません。せいぜい勉強になるだけです。
こういう風に、市販のC言語教科書にある知識の一つ覚えは、通用しません。
== 設計の方針 ==
=== 身体障害者プレイヤーの配慮 ===
ターン制RPGは、身体障害などでアクションゲームなど反射神経を要するゲームの苦手な人もプレイします。なので、それを意識した設計にしましょう。シミュレーションゲームも同様です。もっとも、さすがに腕のないプレイヤーにまでは配慮できないので、程度問題ですが。
ともかく、だから、もしどうしても制作中のターン制RPGにアクション要素のあるイベントを入れる場合、たとえば工夫として、
事前にそういうアクションイベントのあることをプレイヤーに作品紹介文などで紹介しておくとか、
あるいはそのアクションイベントをもしクリアできなくてもプレイヤーがゲームクリアできるように設計するなどの配慮が望ましいでしょう。
もしくは、充分にアクション要素の難易度を下げておく必要があるかもしれません。
=== ユーザーインターフェース ===
もしもC言語でゼロからゲームを作るなら、UI(ユーザーインターフェース)をゼロからDirectXなどで作ることになります。
シナリオどうこうより、まずUIを作るのが真っ先になります。
結論から言うと、需要のあるUIの種類はそんなに多くなく、よって最終的には既存の有名ゲームのUIを真似することになります。(練習として新規のUIを色々と制作してみるのは構いませんが、しかし実用的なものを新規に発明するのは困難かと。)
==== 「はい」/「いいえ」の選択肢 ====
RPGなどで選択肢で『はい』か『いいえ』がよく出ることがあります。
この場合、必ずしも順番どおりに
はい
いいえ
とするのが良いとは限りません。
なぜなら、プレイヤーがセリフ送りなどでボタンを連打している場合に、あやまって選択肢も連打してしまうことがあるからです。
文献『ゲームプランとデザインの教科書』によると、選択肢の順序についての設計テクニックとして、現状を維持するほうの選択項目を先に表示したりとか、あるいはマウス操作式のゲームなら現状維持や安全なほうの選択肢にカーソルを事前に合わせておくなどの工夫が、定石とされています<ref>『ゲームプランとデザインの教科書』、P399</ref>。
==== 健康上の留意事項 ====
===== カーソル点滅と「光過敏性てんかん」 =====
例えば、コマンド選択などのカーソルの方式には、
:ファミコン時代のFF(ファイナルファンタジー)のようにカーソル画像を選択内容の左隣に置く方式、
:あるいは、ツクールのゲームの標準設定のように選択項目の背景が点滅する方式、
など幾つかあります。
カーソル点滅させる場合、実はこれはほとんど、カーソル点滅色は白系の色にせざるを得ません。
なぜなら健康上の理由があり、もし青色ウィンドウなのに、たとえばカーソル色を赤(または緑にして)、赤カーソルを点滅させると、「光過敏性てんかん」のような症状を引き起こします。このため、点滅カーソルの背景色は、事実上は、ほぼ白色に決まります。
一応、白でなくても、たとえば青ウィンドウなら水色などの背景色でも可能ですが、手間が増えますし、ほかのウィンドウ色(たとえばウィンドウを赤に変更した場合)では応用が利きません。
ゲームによっては設定カスタマイズなどでウィンドウ色を変えられたりしますが、プログラマー的に分析するコツとしては、カスタマイズできない部分(たとえばカーソル色はカスタマイズできない等)にも注目すると良いでしょう。
===== 色弱の対応 =====
なお、色弱(しきじゃく)/色盲(しきもう)という病気があり、緑色と赤色の区別がつきづらい人が、世間には居ます(赤緑色盲)。例外の人もいて、青など他の色が見えない人もいますが、しかし色弱患者で統計的に割合がもっとも多いのは赤緑色盲です。
赤緑色盲の人には、赤も緑も、ともに茶色に見えます。なので赤緑色盲の人にあ、赤と緑を区別できないのです。
よって事実上、ウィンドウ色は原則的に青色になります。ファイナルファンタジーや昔のツクールなどが、ウィンドウ色に青色を標準的に採用しているのは、決して偶然ではなく、いろいろな事情があるのです。
どうしても同一画面に赤と緑を表示しなければならない場合、色の濃さを変えるなどして、たとえば濃い緑と、うすい赤、などのように濃度差をつけるなどする必要があります。(この濃度差の手法は、役所などの出す、色覚障碍者向けのガイドラインなどにも書いてある、典型的なアドバイスです。 )
そもそも、色盲でなく健常者でも、濃度の同じくらいの赤色と緑色の組み合わせは、やや見えづらいです。
学校の「黒板」という緑色の板に、赤チョークで書かれた文字が、見づらかった記憶をもつ人も多いでしょう。
なお、赤緑色盲の人でも、黄色は、茶色とは区別して見えます。
なのでウィンドウに、黄色っぽい色と黒を組み合わせて使うのも手です。
あるいは、うすい茶色に、黒い文字という組み合わせもあります。
たとえばロマサガ1は、うすい茶色のウィンドウに、黒い文字です。うすい茶色と黒との組み合わせは、明度も大きく異なっているので、良い組み合わせでしょう。
スーファミ版の三国志4のウィンドウ色と文字色も、似たような組み合わせです。ただし三国志4の場合、文字に白い文字を使う場合もあります。数値などは白い文字です。このため、ウィンドウの茶色部分にはザラザラした模様をつけて白い文字を際立たせる工夫をしたりなど、工夫をしています。
ゲームに限らず、たとえば子供むけの歴史教材や小中学校の歴史教科書などでも、よくコラム欄などで、黄色い背景に黒い文字の組み合わせは使われます。古文書のような古い紙は黄ばんでいるので、歴史教材のコラムではそういう雰囲気に近づける目的で、コラムの枠を古文書の一ページのように描いているものもあります。
ゲームでもロマサガ1のメニューウィンドウは、古文書のように紙の下側の一部が書けていたり、まるで巻物の読み方のように左右が曲げられていたりして、ウィンドウに紙っぽさを出すデザインをしています。
例外的に、商業ゲームでもプレステ作品『俺の屍を越えてゆけ』のようにウィンドウがエンジ色(赤色っぽい色)の作品もあります。このようなUIの差異、当然ですが緑色の文字は使用不可能です。
:※ その他、ファミコン版のスーパーマリオはマリオが赤で、ルイージが緑です。ですが、のちにシリーズが進むにつれ、ルイージの身長が伸び、また、マリオが太ってるのに対してルイージはやせているなど、色以外にもキャラの体系で区別できるように変更されました。
{{コラム|回復量のフォントのうすい緑色について|
よくツクールやウディタの同人ゲームで、
回復スキルをつかったときの回復量の数値のフォント色を、うすい緑色または水色っぽい色で表す場合があります。
しかし、攻撃ダメージのダメージ量の数値のフォント色は、ほとんどのゲームで絶対に白色ばかりです。
どこまで同人作家が色盲を意識しているかは知りませんが、
もしダメージのフォント色が赤色だと、色盲(赤緑色盲)の人には、これは回復スキルの緑色と区別できないのです。
ついつい出血の赤色を意識して、赤いフォントを使ってみようと思うかもしれませんが、しかしその場合は色盲の人にはプレイできなくなるゲームになることを覚悟する必要があります。
これはつまり演出面で考えれば、色盲の人には、血の色(赤)と、草の色(緑)とが、同じ色に見えていることを意味します。
}}
{{コラム|色パズルのミニゲーム|
ウィンドウを決める場合だけでなく、ゲーム中のミニゲームの暗号パズルなどで色を使う場合も、色盲に配慮しなくてはなりません。
ぶっちゃけ、商業RPGゲーム中にもしミニゲームとして色パズルの暗号イベントがあるなら、
暗号の正解に使える色は、もしそのパズルがクリア必須イベントなら、答えの色は必ず、赤・緑の以外の色になります。
だから答えに使えるのは、商業ゲームなら必ず、黒か黄色か青か灰色か白、のどれかです。
なぜなら、まず赤と緑は当然ながら使用不可能です。さらに、赤と青の混色である紫も使用不可ですし、
青と緑の絵の具の混色(減法混色)である青緑色も使用不可ですし、
青と緑の光の混色(加法混色)である水色も使用不可です。
橙色も、赤と黄色の混色ですので不可能です。
学校教育ではどうやら、こういう色盲のことはゲーム産業やIT産業の志望のための学校ではあまり教育されていないようですが、しかし電気工学の学校ではよく教育される知識です。
電気工業の分野で、抵抗の「カラーコード」というものがあって、下記の色がそれぞれ下記の数に対応しています。
:黒 0
:茶色 1
:赤 2
:橙 3
:黄色 4
:緑 5
:青 6
:紫 7
:灰 8
:白 9
国家資格の電気工事師は、抵抗素子についているカラーコード部分の色を見て、抵抗値を判断するスキルが必要です。
なので、昭和の規制の厳しかったころは、色盲の人はそもそも工業高校の電気科には入学できませんでした。どんなに中学の成績がよくても、色盲の子は工業高校電気科への受験自体を断られる時代があったのです。
電気工学の教科書には書かれていませんが、工業高校や大学工学部の電気系の学科に入学すると、もしまともな学校ならば、こういう事を教わるものです。
}}
===== 車酔いの防止 =====
光の点滅以外にも、調整を誤るとプレイヤーに体調不良を及ぼす現象はあります。
、
たとえばキャラの移動速度の加速・減速は、なるべく滑らかに変化しなければなりません。
「車酔い」を思い出してください。もし急加速と急ブレーキを繰り返す車に乗車していれば、多くの乗客は酔います。
なので、たとえばRPGなどで、「マップの1マス移動後にいったん停止」というのは、避けたほうが安全です。
実際、ドラクエは決してそうなってはいません。行き止まりに当たらない限り、カーソルの左ボタンを押していれば、同じ速度で左に進み続けます。(右キーの場合も同様。)
ドラクエの移動速度が等速度であることには、合理的な理由があるのです。
;動きが時々カタつく場合
自作ゲームでテストした際、マップ移動中に右キーを押し続けたときに普段は等速で移動するのに時々カタつく場合があるかもしれません。その場合の対処法を後述で説明します。(2Dゲームのマップ機能の原理については、セクション『[[ゲームプログラミング/RPG#2Dマップ]]』で後述してある。)
なお、普段から等速ですら移動しない場合は、単にバグですので、直してください。
このセクションでは、とりあえず普段は右キーを押し続けたら等速で移動するのに時々カタつく場合にだけ、よくある原因そのと対処法を説明します。
時々テストプレイ中に動作がカタつくことがあり、「バグか?」と不安になることがありますが、しかし必ずしもバグが原因でのカタつきとは限りません。
もしかしたら、Visual Studio コンパイラがメモリ圧迫またはCPU占有などをしていて、単に実行アプリの処理速度が低下しているだけかもしれません。プログラミングに熱中していると盲点ですが、Visual Studio はメモリやCPUの多くを占有することを思い出しましょう。
原因がそれか否かを確かめる簡単な方法は、まったくほかのアプリを起動していないときに、実行ファイルを起動してテストプレイしてみることです。
ただし、状況によってはその「実行ファイル」をビルドするためにVisual Studio を立ち上げないといけない場合もあり、なかなか面倒な作業でもあります(VSは終了や起動に時間が掛かるので面倒)。
1度に確認しようとすると面倒ですので、複数日に分けて確認しましょう。たとえば、このカタツキ問題が気になったときの睡眠前の晩にでも、事前に実行ファイルをビルドしておいてから Visual Studio を終了してから寝ましょう。そして翌日にでもwindows起動したときに、Visual Studio を起動せずに前日にビルドしておいた実行ファイルだけを起動してテストしてみましょう。
そのほか、この問題の検証方法として、どうしても Visual Studio 起動中に、メモリやCPUの圧迫によってカタついているか否かを判定したいなら、簡易的な方法ですが、
最近のRPGツクール製のゲームまたはウディタのサンプルゲームを起動してみて、カタつくかどうかを確かめてみる方法もあります。
もしVisual Studio によるメモリ圧迫やCPU占有がカタつきの原因なら、ツクール製ゲームやウディタサンプルゲームでもカタつくことがあります。いわゆる対照実験です(中学高校の理科(おもに生物分野)で習うアレです)。
上述の方法すべてを試してもカタつきの問題を判明できない場合、残念ですが当ページには原因がもはや分からないのが現状です。(もしお作りのRPGでのカタツキの原因が分かられて、他のプログラマーも遭遇しそうな原因でありましたら、情報提供のため編集に協力していただければ当wikiとしては幸い(さいわい)かもしれません。)
;高度な検討事項
前セクションの工夫でカタつきが解決すれば、下記の方法は不要です。また、ヘタにいじってバグの原因になると危険ですので、前セクションで解決したなら、そのままにするのをお勧めします。このセクションでは、参考のため、下記のような方法の検討を照会します。
動作をより滑らかにする工夫の一例として、たとえば、キーボードの十字キーの入力判定は、必ず1マス歩行のアニメーションの移動終了の少し前までに、判定を終わらせる工夫などが、考えられます。たとえば、1マス歩行のアニメーションが1.0秒かかるなら、入力判定は0.9秒目に行う、というような感じになります。
しかし、これはけっこう、シビアな条件であり、0.1秒単位でのタイミング調整を行わなければなりません。
歩行で1.0秒間というのは、割とゆっくりです。
一方、もしダッシュ機能とかあってダッシュ速度が1マスあたり0.5秒間だと、すこしタイミング調整が難しくなるでしょう。
もっと早いダッシュの場合は、Windowsだと少し難しいかもしれません。なぜなら、WindowsAPIのタイマー機能がそもそも、そんなに正確ではありません。0.05~0.10秒くらいの間隔になると、タイマーに誤差が出てきます。
DirectXのタイマーも、それに準じた性能だろうと思われます。なので、あまりに早すぎるダッシュでは、歩行のように「直前に入力判定」というのが、難しいかもしれません。
あるいは、もしかしたら、現代のコンピュータは処理速度が速いので、1.0秒のアニメーション終了後に入力判定を行っても、プレイヤーには気づかれないのかもしれません。
しかし、ハードウェアのメモリ容量などの事情によっては、もしかしたらアニメーション終了後の方式だと、動きにカクツキが出てくるかもしれません。ともかく、このように、速度ひとつとっても色々と考えなければならないことがあります。
こういうふうに、歩行アニメーション処理は、こりだすと、検討事項や調整事項が意外とあるので、初心者にはやや難しいです。
だから初心者には、歩行アニメーション抜きの方式がラクであり、いきなりキャラチップが移動先の隣マスに移動する方式(ファミコン時代の『信長の野望 武将風雲録』の戦闘の武将キャラチップみたいなの)のほうが、簡単でしょう。
同じ理由で、カメラの位置や向きなども、むやみに移動しないか、等速で移動しつづけるように注意する必要があります。
もし、「リアリティを出そう」としてカメラをキャラ歩行のたびに左右に振ると。プレイヤーが酔って気分が悪くなりかねません。よほど上手く調整しないかぎり、プレイヤーの体調的な気分を悪くしかねません。
だからカメラアングルで目指すべきは、2Dゲームなら結局、スーファミあたりのドラクエ的あるいはスーパーマリオ的な古典的なカメラ視点であるべきす。あるいは、もしポリゴンゲームなら、結局、カメラアングルで目指すべきは、プレステ1やサターンの時代のころのゲームのカメラアングルなどになるでしょうか。
あるいは、ファミコン時代にどうしても歩行アニメーションを停止しなければならなかった例として、ファミコン時代のウィザードリィや女神転生の3Dダンジョンのように、ポリゴン描写が無理などの理由で、どうしても停止しなければならない場合もあるでしょう。このような場合は、おそらくですが、停止中の1枚絵の表示時間の長さと、進行中の中割り(なかわり)の1枚絵の表示時間の長さが、同じぐらいの長さになるようにしないと、マズイでしょう(未確認)。
==== 実装しようとしているものを明確にする ====
UIにおいて、アナログをデジタルで完全に実装するのは、大概困難ですが、アナログの「エミュレート」の実装は、それほど困難ではありません。
これはゲーム制作でも同様です。
たとえば、RPGの作中の武器屋や道具屋などでの買い物のシステムは、現実のスーパーマーケットやコンビニでの買い物とは異なり、まとめ買いはサポートされていないことが有ります。
ゲーム以外の話だと、たとえば通販サイトでの買い物の際、ユーザーレベルの目線では、サーバー側で異なるアイテムを連続して買う行動が一連のトランザクションとして処理されていたとしても、同様のことがありえます。
さて、ゲームでは、プレイヤーにとっては操作がやや面倒でも、デバッグの都合やメンテナンス等の都合で、あえてデジタル的な操作をしているゲームもあります。
たとえば昔のドラクエ3では、酒場で仲間をパーティに加入させる際、1人ずつ逐次的にコマンド入力をして加入させる必要がありました。(「3人まとめて加入」とかしたくでも、できない仕様。)ウィザードリィなどでも同様で、仲間のパーティ加入の編成などは、一人ずつ逐次的に操作する必要がありました。
このような、「まとめて〇〇を編集・編成」みたいな処理は、その分状態(取り得るケース)が増えるため、それに比例してデバッグにかかるコストが増える場合が有ります。
{{コラム|ゲームはゲーム以外の操作性を取り入れられるか?|
;家電とはゲームは操作性が異なる
上記のケーススタディの教訓としては、つまりデジタル家電(地デジ対応テレビやMP3プレイヤーなど)のような操作仕様ですら、ゲームには不適切な場合があります。(家電のハナシ)現実世界で機能に直接対応したボタンのある家電と、一方でゲーム中の選択肢だけしか(十字キーなどを介して選択してからでしか)押せないゲームとでは、操作の前提条件が異なるのです。
アナログ家電(アナログ放送テレビや銀塩カメラやラジカセなど)と、(デジタルコンテンツである)ゲームとでは操作性が異なるのはもちろんですが、デジタル家電ともゲームは操作性が異なることに、気をつける必要があります。
}}
{{コラム|CGアルバム機能|
アナログとはやや違いますが、例として、たとえばゲーム中に、CG閲覧機能として、プレイヤーがゲーム中でクリアしたイベントに関するCG閲覧機能などがある場合で、「アルバム機能」などの名前が付いている場合を考えましょう(2000年以降のノベルゲームなどで、よくある機能です)。
「アルバム」等の名前から、ついつい仕様の設計時には、実際の写真アルバム(物理)の操作性を真似したくなるかもしれません(つまり、「本の手触り」的な)。具体的には、電子書籍のようなUIを実装しようとか、思うかもしれません。
ですが、ゲームにおけるアルバム機能では、そういうことは無視して、単にCGの閲覧と検索のしやすさだけを考えたほうが、操作性とメンテナンス性もよくなるでしょう。
}}
=== 画面更新と速度との関係 ===
* 60 FPSは意外と遅い
DXライブラリは、標準的な映像モニタでは、1秒間に60回のループ更新をします。
これは、一般的な映像モニターの画像の更新回数が60Hz、つまり映像モニタでは1秒間あたり60回の更新があるので、
プログラム側の更新回数もそれにあわせたものです。(これらのことを「60 FPS」などという。)
このような、映像の更新の早さの度合いのことを'''フレームレート'''といいます。
さて、人間の計算速度と比べたら「1秒間に60回」は速いですが、しかしゲームとしては、必ずしも速くありませんので、そのギャップに気づかないとプログラマーは不安に「パソコンが処理落ちしてるのか?」と悩んでしまいます。
たとえば、アニメーションの表現などとして、キャタクター立ち絵が1ピクセル(1px)ずつ1回の画像更新で移動したとしましょう。
すると、1秒たっても60pxしか移動しません。RPGツクールの標準の画面サイズは横816px、縦624pxなので、つまり60pxの移動では、画面の10%にすら到達していません。なので、もっと早い速度で立ち絵を移動させたい場合、1回の更新で3pxや5pxあるいはそれ以上のピッチ間隔で画像を移動させる必要があります。
このことに気づかないと、立ち絵の高速移動のつもりで1pxずつ動かしても、画面の横幅の10%すら動いてないので、「まるで処理落ちでもしているのか」と錯覚しがちで不安になりますが、しかし1pxずつ動かした際に意外と遅く見えるのは正常な動作です。そういう速度計算での命令文だからです。
具体的にはどう悩むかと言うと、RPG制作の場合ならばマップチップの枚数が多いので「もしかしてマップチップの読み込み方が間違っていて処理落ちしているのか?」とか、あるいは「キャラ画像の周囲の透明処理による負担が重いのか?」とか色々と不安を思ってしまいますが、まったくの無関係です。
1更新あたりに1pxのピッチ速度とは、それだけ遅いのです。なので、1秒後に画面内でチョコっとしか動かなくても、1秒後に動き終わっていれば正常です。
さて、ついでの話題ですが、もしアクションゲームやシューティングゲームなどで、1更新あたり5pxや10pxといったピッチで攻撃対象の敵などが動いている場合を考えて見ましょう。
たとえば、もし移動中画面で、現在の瞬間の描画位置 から 次の瞬間の描画位置とのあいだの中間位置、つまりピッチの中間の場所に自キャラの放った攻撃などが当たったときの例を考えてみると、なかなか悩ましい問題でもあります。つまり、画面上ではピッチの中間の場所には映像が書かれていないのに、なのに、その場所に攻撃を食らう「当たり判定」が存在するからです。
実際、アクションゲームなどで、高速で動く敵の軌道上に攻撃を放ってみると、画面上にいない位置なのに、攻撃があたる場合もあります。
だからファミコン時代あるいはそれ以前のゲームセンター時代といった黎明期のシューティングゲームですら、高速で動く弾丸チップや機体チップなどの表現には、とても工夫しているのでしょう。
このように、キャラチップなどの画像を高速で動かすのは、思いのほか、調整事項が多くて大変です。なのでRPG制作の初心者は、あまり高速な描画表現には手を出さないほうが無難です(まずプログラミングの全体像を作る必要あるので)。
{{コラム|実写でもフレームレート問題はある|
実写の動画ですら、フレームレートの遅さに由来する違和感は生じます。実際、実写映画のDVDなどをコマ送りで見てみると、意外と動きが飛び飛びです。
人間は1秒間のあいだに、意外と多くの動きをしています。たとえば仮に、おやつのドーナツを食べる実写動画を例に考えてみると、1秒間のあいだに、まずドーナツに手を伸ばしたあとに、つまみあげて口元に持っていくぐらいの動作を、人間は1秒のあいだで平気でしています。もしアニメキャラだったら、ひょっとしたらドーナツ一噛みを始めているぐらいです。
このように1秒のあいだに多くの動作をするのに、たった60コマのフレームレートしか用意されていないのです。だからコマ送りで実写の動画を見ると、けっこう動きが飛び飛びで、まるでアニメを見ているかのような感覚です。たとえるならアメリカ製のアニメ映画は、日本アニメよりも1秒のコマ数が多く、日本アニメが1秒で8コマなのにアメリカ制アニメが1秒で24コマの違いはありますが、しかしアニメはしょせんアニメのような飛び飛びの動きです。実写の60フレームレートですら、アメリカ製アニメのたったの約2倍しかないフレームレートです。
また、半導体の性能向上は2010年以降は止まっていることなどを考えれば(「ムーアの法則」の破綻)、今後に市販の液晶モニターのフレームレートが飛躍的に上がる可能性は乏しいでしょう(説明の便宜上、液晶も「半導体」として扱った)。
さらにもし仮に製造業で技術革新が起きたとして、液晶モニターのフレームレートを飛躍的に十倍や百倍に向上させる新技術が出来たとしても、今度はハードディスク容量の問題があり、つまりフレームレートがもし10倍になったら、録画映像の容量バイト数も10倍になります。つまり、アニメや映画のブルーレイディスクなら、ディスク枚数が10倍になることを意味するし、これはつまりアニメなら作画枚数が10倍になるし、消費者にすればディスク購入費用も10倍ですし、生産者側からすれば予算も10倍なので投資リスクも10倍です。
このような技術的制約および経済的制約から、今後のフレームレートの向上の可能性はなかなか乏しいと考えざるを得ませんし、仮にフレームレート向上しても恩恵を受けられるのは実写やCGなどのようなアニメーターが手で作画しなくて済む分野の映像だけです。
}}
=== 万全のゲームシステムは無い ===
少なくとも2D-RPGのゲームシステムやその実装に関する限り、処理が早くて操作性も良くてメンテナンスもしやすくて・・・のような究極万全なシステムやアルゴリズムは一切ありません。
たとえば操作性の分かりやすいアルゴリズムなら、おそらくはプレイヤーのさまざまな発想に対応するためにif文の分岐増えたり、あるいはグラフィカルに説明するために画像の制御が追加で多く必要になったりするなどして、そのぶん他の特性が悪化しますし、説明用グラフィックが増えれば処理速度の負担にもなります。
しかし現在のパソコンではファミコン時代よりも桁違いに多くのメモリ容量を扱えるようになり、CPU性能も桁違いに向上しました。よってゲームプログラミングでは基本、処理落ちをしない程度にまで処理速度に負担を掛けて犠牲にして、そのぶん操作性やグラフィック性やゲーム性やメンテナンス性などを向上させることになるでしょう。
だから実はファミコン風のドラクエ1のような簡素なプログラムでも、あれはあれで処理速度とメンテナンス性をもし最優先に目指すなら現在でも合理的な一形態なのです。
また、ドラクエ1的なアルゴリズムはメンテナンス性がよいので開発もしやすいし、開発時のデバッグもしやすいです。なので、私たちがRPGを手元でプログラミングして作る場合も、まず2D-RPGならドラクエ1~3のようなUIをまねたゲームを作ることになるでしょう。
ただし、真似るのはあくまでUIのみです。パスワードシステムのような、セーブ機能の発達した現在では不要なシステムを真似る必要はありません。「話す」コマンドとか「とびら」コマンドみたいに、現代では不要になったコマンドも不要でしょう。また、ドラクエのウィンドウ色は黒色ですが、しかし私たちにはデバッグの都合のためファイナルファンタジーや昔のツクールのような青色を基調としたウィンドウのほうがデバッグしやすいかもしれません。
だから初心者は、昔のRPGツクールっぽくアレンジしたドラクエ風UIを作ることになるでしょう。(ドラクエの難易度デザインやストーリー性などはプログラミングではないので、本ページでは言及しません。)
== 製作の順序 ==
本ページでは説明の都合上、RPGをモジュールごとに分割して説明しています。
たとえば、マップ関連のモジュール、戦闘関連のモジュール、装備関連のモジュール、のようにです、
しかし、実際のゲーム製作での開発順序は、少なくともRPGをVisual C++でゼロから作る場合においては、けっして、「マップモジュ-ルを完成させてから戦闘モジュール」のような順序には'''なりません'''。
そうではなく、まず自分が興味をもったモジュール(仮にマップモジュールとする)の初歩を作り始めたあと、とりあえず操作できて満足できるところまで作ったら、
次に関連する別モジュール(たとえば戦闘モジュール)を作る、というような順序です。
たとえば、すでにマップモジュールがあるなら、戦闘モジュールを作り始める際に、まずマップ画面上に固定敵を配置することで、
戦闘モジュールのテストをしやすくなります。
このように、すでに作ったモジュールの初歩を土台にして、別のモジュールの初歩を同様に作り始めます。
そして、まずRPGの基本システムを満足するところまで作ります。(シナリオ作成などは後回しになるでしょう。)
マップシステム、戦闘システム、装備システム、道具システム、買い物システム、酒場システム、会話システム、・・・
など色々あるので、まず一通り、好きなシステムから順に、キリのいいところまで作りこんで、どんどんと次に作りたいシステムの開発に移行していき、
とりあえずゲーム全体の基本システムを構築していくことになるでしょう。
;2周目
そして、一通り、満足するまで基本システムを作るのを1周したら、
次に2周目として、また、たとえばマップのシステムを作り始めます。
1周目のマップシステム製作では放置してた部分、たとえばキャラチップの歩行グラフィックなど絵が必要で放置してた部分の製作に取り掛かるとか(たとえば1周目では矢印の画像でゴマかしていたとする)、
そのように2周目では、1週目で放置していた部分の製作にとりかかるのです。たとえば、歩行グラフィックで前足を上げているポーズと、前足を着地させるポーズの切り替えプログラムとか、そういう1周目では面倒で放置していた部分に、2周目では取り掛かったりします。
[[File:Helix.svg|thumb|ここでいう「らせん」とは、こういう3次元の らせん のこと]]
このように、RPGの製作は、まるでラセン階段を昇るかのように、周回的に開発していくことになるでしょう。
<gallery perrow="5">
Image:Uni-Mannheim_Neubau_Rettungsleiter.jpg|親柱付非常階段(マンハイム大学)
Image:Killesbergturm.JPG|キレスベルク塔の二重螺旋階段<ref> 『世界の美しい階段』エクスナレッジ、2015年、200頁。ISBN 978-4-7678-2042-2。</ref>
Image:Vor_Frelsers_Kirke_Copenhagen_spire.jpg|コペンハーゲンの螺旋階段
</gallery>
企業などで作る場合はどうか知りませんが、少なくともVisual C++でゼロからRPGを作る場合はラセン階段でしょう。
RPGはモジュールがとても多いし、また相互に関連するモジュールも幾多もあるので、一度に各モジュールを作りきるのは不可能です。
だから、ラセン階段のように、開発を昇っていくことになります。
なお、IY業界ではこういうラセン的に徐々に機能を追加していく開発手法を、スパイラル型の開発と言います<ref>[https://www.mext.go.jp/content/20200609-mxt_jogai01-000007843_005.pdf 高等学校情報科「情報Ⅱ」教員研修用教材(本編)『第4章 情報システムとプログラミング』、P230] 2023年9月27日に確認.</ref>。
スパイラル spiral とは、単に、らせん状の渦巻きのこと を英語にしたものです。なお、
なお、銀行などのシステム開発はこれとは違い、銀行のシステム開発はふつうはウォーターフォール型の開発です<ref>[https://www.mext.go.jp/content/20200609-mxt_jogai01-000007843_005.pdf 高等学校情報科「情報Ⅱ」教員研修用教材(本編)『第4章 情報システムとプログラミング』、P230] 2023年9月27日に確認.</ref>。ウォーターフォールとは、事前に仕様を細かく決めるのに長い時間をかけて、実装時にはほとんど仕様を変えない手法です。
ほか、プロトタイプ型の開発もあり、これは大まかに動く試作品を短期間で作り、あとから仕様を修正していく方式です<ref>[https://www.mext.go.jp/content/20200609-mxt_jogai01-000007843_005.pdf 高等学校情報科「情報Ⅱ」教員研修用教材(本編)『第4章 情報システムとプログラミング』、P230] 2023年9月27日に確認.</ref>。
ゲームに関した話題ではないですが、スマートフォンのアプリの開発などでは、プロトタイプ型やスパイラル型の開発がよく利用されるようになってきています<ref>[https://www.mext.go.jp/content/20200609-mxt_jogai01-000007843_005.pdf 高等学校情報科「情報Ⅱ」教員研修用教材(本編)『第4章 情報システムとプログラミング』、P230] 2023年9月27日に確認.</ref>。
{{コラム|1=化学の学習に似ているかも|2=
余談ですが、理系の学問でも、1999年ごろは、化学(ケミストリー)の理系教養の学習法がラセン階段のような順序であると言われています。
たとえば理工書
[https://www.amazon.co.jp/%E5%8C%96%E5%AD%A6%E3%81%AE%E5%9F%BA%E7%A4%8E-%E5%8C%96%E5%AD%A6%E5%85%A5%E9%96%80%E3%82%B3%E3%83%BC%E3%82%B9-1-%E7%AB%B9%E5%86%85-%E6%95%AC%E4%BA%BA/dp/4000079816/ref=sr_1_1?__mk_ja_JP=%E3%82%AB%E3%82%BF%E3%82%AB%E3%83%8A&crid=2DKECS8MWBNZR&keywords=%E5%8C%96%E5%AD%A6+%E5%B2%A9%E6%B3%A2&qid=1641806771&s=books&sprefix=%E5%8C%96%E5%AD%A6%E5%85%A5+%E5%B2%A9%E6%B3%A2%2Cstripbooks%2C188&sr=1-1 『化学の基礎』 (化学入門コース 1) , 1996/4/17 ]
などのシリーズ (化学入門コース) の巻頭の学習法ページにもラセン階段の絵が書いてあり、ラセン階段のイラストの絵の各所に対応する科目が描いてあったような気がします。
ただし、プログラミングは暗記科目ではないので、そこは手を動かしてプログラムを実際に構築していく必要があります。そういう点は、数学というか物理学というか。
}}
== 共通カウントアップ機能 ==
RPGではシステム中にマップ画面モード、メニュー画面モード、戦闘画面モード、・・・など様々なモードがありますが、
DXライブラリを使っている場合にどのモードでも必ず使うことになる機能があり、それは自作タイマーのカウントアップです。
まず、DXライブラリでは1秒間に60ループするので、それを利用して1秒間に60回カウントアップする機能を作ります。
そして、そのカウンターを活用することで、たとえば、「zボタンを押してから40フレーム間(環境によっては約0.8秒くらい)は次のzボタンの入力を受けつけなくする」等のボタンをしばらく入力させなくする機能を作ります。
そうしないと、プレイヤーは1回だけzボタンを押したつもりでも、システム的には何十回もzボタンを連打したことになり、プレイヤーがうまくコマンド操作などを行えません。
また、コマンド操作などの他にも、マップ画面中でキャラクターがマップ1マスぶん動くスライドのアニメーションでも、カウンターが必要になります。
マップ画面の歩行グラフィックで「歩行カウンター」みたいな変数が必要になるでしょう。もしくは、歩行のキー入力に使った矢印キー用のカウンターを流用するなどの処置になるでしょう。
ともかく、このようなカウンター機能が必要なので、whileループ中での個別モードに分かれる前の共通部分のところに、カウントアップのコードを書くことになります。
「共通部分のところ」とはどこか具体的に言うと
<syntaxhighlight lang="C">
while (1) {
if (ProcessMessage() != 0) { // メッセージ処理
break;//ウィンドウの×ボタンが押されたらループを抜ける
}
if (CheckHitKey(KEY_INPUT_ESCAPE) == 1) {
break;
}
ClearDrawScreen();
// ここにカウントアップ機能
</syntaxhighlight>
のように、whileの開始のテンプレ文の直後に書き始めることになるでしょう。
なお、DXライブラリでよく書くことになる開始時のテンプレ文については 『[[ゲームプログラミング/画面出力#DXライブラリのコード初期設定]]』 で説明してある。
カウントアップではなくカウントダウンでも構いません。
イメージ的には、下記コードのような感じになります。ただし、下記のモジュールだけでは動きません。
あらかじめ、各モード側でzボタンを押した時などにカウンター値の設定などを行う必要があります。たとえばzボタンを押したときに
nyuuryokuMatiZ =60; // デバッグしやすいように少し遅めにした
などをセットしておきます。また、zキー入力可能かどうかを判定するフラグ変数、下記コードでは変数 keyEnableZ となっていますが、そのようなフラグ変数をあらかじめ用意しておき、もし値が1なら入力可能、0なら入力不可能として、
zボタンに対応する処理を1回実行してから<code>z=0;</code>に設定して、zが0のときにカウンタが動くようにする必要があります。(ツクールなどではマップ画面からメニュー画面を開くのはx(エックス)ボタンだが、読者のバツボタンとの混同を防ぐため、上記の文ではzボタンを例に説明した。)
<syntaxhighlight lang="C">
while (1) {
if (ProcessMessage() != 0) { // メッセージ処理
break;//ウィンドウの×ボタンが押されたらループを抜ける
}
if (CheckHitKey(KEY_INPUT_ESCAPE) == 1) {
break;
}
ClearDrawScreen();
// ここからカウントダウン機能
// zボタン用のカウントダウン
if (keyEnableZ == 0 && nyuuryokuMatiZ > 0) {
nyuuryokuMatiZ = nyuuryokuMatiZ - 1;
}
// zカウンタが0以下に到達したらzキーが再入力可能
if (nyuuryokuMatiZ <= 0) {
nyuuryokuMatiZ = 0;
keyEnableZ = 1;
}
// 下記はエックスボタンのこと。 バツボタンではない。
// xボタン用のカウントダウン
if (nyuuryokuMatiX > 0) {
nyuuryokuMatiX = nyuuryokuMatiX - 1;
}
if (nyuuryokuMatiX <= 0) {
nyuuryokuMatiX = 0;
keyEnableX = 1;
}
// 長いので、あとは省略
</syntaxhighlight>
このコード例のように、共通カウンタ部では単にカウントするだけでなく、さらにカウンタが目標値(カウントダウン方式なら0が目標値)に到達したときの処理(フラグの設定など)も行います。
いきなり上記のような機能を作るのは、かなり難しいです。なぜなら、カウンタだけでなく、マップ画面やメニュー画面側のzボタン押し時やxボタン押し時の命令も記述しないといけないからです。
だからまずは、マップ画面とメニュー画面の入り口画面(まだメニュー画面の各コマンドは作らなくていい)だけでいいので、でキーのカウント処理をうまく行えるようにしましょう。
なお、メニュー画面に移ったらキャンセルボタンで戻せるように、あらかじめメニュー画面にキャンセル機能を実装しておきましょう。
新しい画面を作るときに最初に必要なボタン機能は、実はキャンセル機能です。キャンセル機能が無いと操作不能になって、いちいちアプリ再起動の手間が生じます。
;アクションゲームで肩慣らし
いきなりマップ画面やメニュー画面を作るのは難しいので、ひとつの手として、RPGを作る前に、簡易的なアクションゲームのような操作性のプログラム、または簡易シューティングゲームの操作性のようなプログラムを作るのも手です。
たとえば、スーパーマリオやスト2のようなアクションゲームなら、ジャンプボタンは1回入力したら着地までは再入力の受付が禁止なので、上記のようなカウンタ処理による再入力可否の制御が実験できます。
べつに、本格的にアクションゲームやシューティングゲームを作る必要はないです。後述のように、異なるジャンルのゲームをひとつのアプリに同梱するのは、管理の手間が増えますので(不可能ではないですが)、面倒が生じます。
これには準備として、マリオ(キャラ名)やスト2リュウに相当する自キャラ表示のため、あらかじめキャラチップの絵が必要です。別にアクションゲームを作るわけではないので、マウスでいいので何かキャラの全身絵を3分くらいで雑に書いてください。そして、キャラの周囲の空白部を、ドットエディタなどを使って透過させてください。(あるいはinkscapeを使ってキャラ絵を書いて、PNGエクスポートする、などの手法もあります。)
ジャンプさえ出来る絵であればいいので、すでに手元にゲーム用キャラチップっぽい大きさの生き物の絵があるなら、別に人物の絵である必要もなく、動物の絵でもモンスター画でも何でも構いません。
さて、なんとかジャンプの実験に成功したら、ついつい次の目標で「右歩行中にジャンプして右斜め上に飛ぶ」機能とかを実装したくなりますが、本ページはRPGの教科書なので、アクション機能については説明を省略します。
;ミニゲーム同梱時のカウンタ管理
ミニゲームとしてターン制RPG以外のジャンルのゲームを同梱するなら(たとえばシューティングなど。ファミコン『さんまの名探偵』では推理ゲーム中、シューティングゲームのミニゲームがあった)、別途、そのミニゲーム用の各モード前の共通部分に、ミニゲーム用のカウンタが必要になるかもしれません。
ターン制RPGとアクショゲーム・シューティングゲームは、カウンターに要求される待機時間が違ってくることと(ターン制RPGの操作はゆっくりめでいいので待機時間を多目にとれるが、しかしアクションは機敏な動作に対応するため待機時間が短い)、カウンタが目標値に到達したときの処理がRPGとアクションとで違うので(たとえばRPGなら決定ボタンを押したままの状態なら目標値の直後に受け付けしてもいいが、アクションゲームでは決定ボタンがジャンプやパンチに対応していることから、プレイヤーにパンチ連打などのためにボタン連打させたい場合は目標値直後の処理を変える必要があることなどから)、RPGとアクションを混在させるのは(可能ではあるが)難しいことが予想できます。
だから、もしあるゲーム中に別ジャンルのミニゲームを同梱するなら、メインとなるホスト側のジャンルを決めて、そのメインジャンルのカウンタだけをwhileループの冒頭でカウントアップすると安全かと思います。たとえば本ページはRPGなので、メインのジャンルはRPGなのでwhileループの序盤ではRPG用のカウンタだけをカウントアップ、という事になるでしょう。シューティングについては、while冒頭ではカウントアップしないか、あるいはRPG用のカウンタの流用で済ますかどのちらかです。
もしwhileループの冒頭でシューティング用のカウンタまで記述してしまうと、コードの管理が複雑になってしまうので、避けたほうが安全でしょう。
普段は使わないミニゲームのカウンタのせいで、普段から使うメインジャンル(本ページではRPG)のカウンタの可読性が下がるのは避けたいです。
RPG用のカウンタをシューティングに流用するのは、シューティング用にコードが最適化されてないので軽量性が若干は下がりアプリが重くなりますが、しかしゲーム制作ツールのRPGツクールやウディタなどで製作されたアクションゲームやシューティングゲームなどは、こういった流用の一種でしょう。
== アイテム関係 ==
=== アイテムの定義 ===
* [[ゲームプログラミング/RPG/アイテム定義]]
=== アイテム表示 ===
* [[ゲームプログラミング/RPG/アイテム表示]]
アイテム表示における、上詰めの自動化などを解説しています。
== 設計方針 ==
==== ゲーム全体を先に作る ====
ともかく、ゲーム全体を先に作るのが先決です。ニュアンスは違いますがアトラス社いわく(ゲーム開発では)「ゲーム全体に全体に値を回すのが先」という格言があります<ref>[https://news.denfaminicogamer.jp/projectbook/191030a/2 『【ゲームの企画書】『ペルソナ3』を築き上げたのは反骨心とリスペクトだった。赤い企画書のもとに集った“愚連隊”がシリーズを生まれ変わらせるまで【橋野桂インタビュー】』2019年10月30日 11:30] 2020年12月1日に閲覧して確認.</ref>。
プレイヤーが見たいのは、ゲーム全体のストーリーやテンポといったゲームの全体像です。カーソルの動きとかウィンドウの動きとかは、あくまで補助的であり、そういったUIに対するプレイヤーの興味も、あくまでオマケの範囲でしかないのです。
==== 似た機能を複製する場合 ====
===== 複製前の確認事項 =====
;短さよりも可読性を重視せよ
世の中には、残念ながら時々、他人の理解しやすさを無視して、やたらと短いコードを書く、独りよがりな人がいます。
しかし、たとえ仕事としての集団作業であっても、要求されるのは、同僚や後輩などが読んだときの分かりやすさです(「可読性」と言います)。
なので、少しぐらいコードが長くなってもいいので、分かり易いコードを書きましょう。
具体的には、できるだけ、どこの入門書にもあるような基本的な機能を使ってコードするのが安全です。具体的には、できるだけ、せいぜい構造体(およびC++ならクラスの構造体的な使い方)や配列や関数あたりまで、の機能どまりです。
また、「どうしても」と言った必要性のない限り、その分野の一般の入門書に書かれてない機能(たとえばメモリ管理の組込み関数など)や、解説の極端に乏しい機能は(入門書なっても巻末の機能一覧にだけしか記載のないような機能)、利用を控えましょう。
そもそも、一般入門書に書かれてない機能は、取扱いが難しかったりして、設定などの確認不足で使うとむしろバグの原因になりやすかったりとか、学習コストの高さなどの難しさがあるから、入門書から除外されているのです。なのに、そういう難解な機能を多用するのは、あまりよくプログラミングの仕事が分かってない自称プロかと思われても仕方ありません。
;ゲームとして実態のある関数や配列を作れ
関数や配列をつくるときは、なるべく、ゲーム用語で説明できる関数および配列だけを作りましょう。たとえば「戦闘コマンド選択関数」や「モンスターデータベース配列」のような感じです。
けっして、そういうゲーム用語とは無関係に、単に抽象的に関数を呼び出す関数を呼び出すような関数を呼び出す関数、とか、配列を読む込む配列を読む込むような配列、のような高階層的な機能は、たとえそれでコードが短くなっても、同僚や後輩などが管理をしづらくなるので、避けましょう。
書籍『Game Programing Patterns』にも、Amazonのweb立ち読みのP13に
「コードの抽象化に凝りすぎると、コードベースのアーキテクチャはどんどんと複雑化していきます。やがてインターフェースと抽象化レイヤだらけになり、プラグインシステム、抽象規定システム、仮想メソッドが溢れかえり、」
とあります。その結果、
(中略)「抽象化の階層の中を探し回って実際に仕事をしているコードにたどり着くまでに、果てしなく時間が掛かります。」
と書籍『Game Programing Patterns』にあります。
実際にゲームを作った事がある人ならばこの問題に気づきますが、世間には知ったかぶりで逆の事を言う人がいます。オブジェクト指向だのポインタだの何だの理屈をこねて、抽象化のレイヤを増やそうとする人です。ダマされないようにしましょう。
もちろん、関数から関数を呼び出してもいい場合もあり、たとえば「RPGで戦闘モードの関数から、攻撃コマンド関数を呼び出す関数から、さらに攻撃対象の選択をする関数を記述する」といったようなゲーム仕様に直接的に結びついた関数ならば、普通のゲーマーなら理解できるので、書いても平気でしょう。ですが、それはゲームとしての実態に対応する共通化です。けっして、ゲームの実態に無関係の共通化ではありません。
:というか、そういう無意味な抽象化を避けないと、あなたが会社から避けられるでしょう。(これはゲームに限らず、数学以外の物理学や化学で扱う数式も同様で、たとえば理系大学の論文指導やゼミなどで、なるべく物理的な実態や化学的な実態に対応のある立式をするように、よく大学の卒業研究では要求されています。具体的には、「質量(mass)を表す文字式には m を使え」(高校レベルですが)みたいに既存の慣習に合わせるように指導されます。たとえ数学的には矛盾のない立式でも、物理学の研究室なのに「質量に記号 a 、速度に記号 b 」みたいな書き方をする学生は、教授から学生がダメ出しをされます。)
IT業界だけなく法律業界でも、むやみに高階層的な法令を設計するとその法令の構造が複雑になる現象は知られています[https://www.nature.com/articles/s41598-020-73623-x Daniel Martin Katz, Corinna Coupette, Janis Beckedorf & Dirk Hartung "Complex societies and the growth of the law" , nature.com, Published: 30 October 2020 ]。近年、世界各国でIT的な考え方を使って法律の設計論を研究しようという学問分野があり、その学問でそう指摘されています。これらのIT的な法学では、法律中の単語数、階層数、法律間の相互引用数が多ければ多いほど、その法律の構造は複雑になると考えられています。ご参考に。
;仕様そのものの類似性に気を配れ
また、ゲーム中で、仕様ではあまり類似性のない処理は、たとえ偶然的にコードの実装が似ていても、むやみに共通化して同じ関数にしたり配列にしたりするのは避けましょう。なぜなら他人(後輩など)が管理しづらいからです。
もちろん、共通化してもいい場合もあり、たとえば「回復アイテムによる回復対象を選ぶ関数」などは、
:たとえば戦闘モードでの「RPGで戦闘モードの関数から、(攻撃コマンドではなく)道具コマンド関数を呼び出す関数から、回復アイテムを選んだ時に、回復対象の味方キャラを選択をする関数を記述する」と、
:マップメニューモードでの「マップメニュー画面モードの関数から呼び出す、道具コマンドの関数で、回復アイテムを選んだ際に、道具の使用対象を選ぶ関数」
が、ともに仕様が「回復アイテムを選んだ時の使用対象の味方を選ぶ」と似ているので、場合によっては共通化するのも良いかもしれません(職場によるだろう。共通化しないほうが良い場合もある。たとえば戦闘モードでは敵にも回復アイテムを使えるゲームも存在する一方、マップメニュー画面では味方にしか回復アイテムを使えないので細部が異なるから)。
しかし、仕様自体すらも似ていない部分を共通化するのは、ダメでしょう。
たとえば、もしたまたま、「戦闘モードでのコマンド選択時の関数」(まだ道具コマンドを入力する前なので、どのアイテムを使うからすら選んでいない段階)と、「マップメニュー画面モードで道具コマンドのあとに使用対象キャラを選ぶときの関数」が、もし偶然にコードが似ていたとしても、そういう仕様的にあまり関連性の無いコードは共通化されても管理しづらくなるので、共通化するのをやめましょう。
ほかの例では、たとえばHPとMPの表示は「戦闘画面」にも「メニュー画面」にもあるでしょうが、だからといって両画面で使いまわせる「HpMp共通表示関数」みたいなのを作るのは危険です。
具体的になぜ危険かと言うと、その共通表示関数にはif文章が増えますので(戦闘画面とメニュー画面とで表示位置などが微妙に違うため)、デバッグの手間として「どんな場合の戦闘画面とメニュー画面でも、はたして本当にif文が正しく機能しているか」という手間が増えます。
一方、ベタ書きで直接的に戦闘モードにHP表示とMP表示、一方で同様にベタ書きでメニュー画面モードにもHP表示とMP表示を書けば、こういう余計なデバッグの手間は増えません。
HP表示とMP表示のたった2行ていどのコードを「HpMp共通関数」で1行にしても、何箇所かで呼び出すからそのぶん減少量は倍増しますが(たとえば4箇所で呼び出したとすれば 1×4=4で4行ほど減る)、しかし関数を新たに作るので差し引きで、うまく減らせても結局は1~2行くらいしか減らせません。
コード量を簡単なコードの1~2行しか減らせないのにデバッグの手間を大幅に増やし、まったく割に合いません。
また、共通関数の側に呼び出し先の戦闘画面やメニュー画面の情報があるので、共通関数を使ってしまった場合にはデバッグをする際に戦闘画面のコードなども調べなければなりません。こういう事情も加えて、デバッグの手間がさらに増えやすいという問題があります。
教訓として今回の初心者プログラマーにありがちな失敗例を一般化するなら、もし「リファクタリング」のつもりで共通化してif文が増える場合、もしかしたらデバッグの手間が増えてしまっている傾向があるので、上述のような間違った共通化している可能性があります。
wikisource [[s:プログラマが知るべき97のこと/共有は慎重に]] にも似たような話題があります。
<pre>
私がコードをライブラリ化してしまったことで、それを利用する部分には依存関係が生じました。まるで、一本の靴ひもを、両足の靴に通したような状態になったのです。ライブラリのコードを1行変更しただけで、その影響は複数箇所に及びます。互いに独立していた時なら、該当部分の保守コストは無視できるほど小さかったのに、ライブラリ化してから、変更のたびに大変な手間をかけてテストをする必要が生じました。
</pre>
(引用)
順番は前後しますが、参照先ウィキソースに、下記のようにコンテキスト(文脈)の話があります。
<pre>
それは 「コンテキスト」です。
たとえシステム内に同様の処理を行う部分が2つあったとしても、両者のシステムにおける役割が大きく異なっていれば、再利用によるメリットは小さいのです。私がコードをライブラリ化するまで、そのコードを利用する部分間に依存関係はまったくありませんでした。元々の成り立ちが全然違うコードだったのです。従って、状況やニーズが変われば、その後各部分のロジックにはまったく別の変更が必要になる可能性が高いということです。たとえコードが4行ほどのもので、行っていることが同じだったとしても、それはたまたま一時的にそうなっていただけのことです。私が入ってくるより前は、むしろ一致していない方が普通だったのです。
</pre>
(引用)
高校や大学など学校では、コードの再利用を重要だと教えるかもしれませんし、たしかにそれも重要なのですが、しかしだからといってコンテキストの異なるも
のまでむやみに共通化してはいけません。
<pre>
大学では「再利用」を優れたソフトウェア開発プロジェクトの象徴として教わってきました。どんな論文や教科書を読んでもそう書いてあったし、経験豊かなプロのソフトウェア技術者もそう語っていたのに、それらは全部間違いだった、ということでしょうか。
考えた結果わかったのは、私が1つ重要なことを見逃していた、ということです。
それは 「コンテキスト」です。
</pre>
(引用) ※ そして上述の「たとえシステム内に同様の処理を行う部分が2つあったとしても」に続きます。
この情報を見るかぎり、どうも日本の学校だけでなく海外の学校教育でも、コンテキストの都合を考えずにむやみにコードをライブラリ的に共通化して短縮ばかりを考える教育をされる傾向が2010年頃まではあったようです。
ゲームでは上述の説明では暗黙の前提として何となく戦闘システムやメニューシステムなどの基本システムを想定して説明しましたが、なにも基本システムに限らず(RPGなどの)特殊イベントなどでも同様のことが考えられます。
ゲーム中のストーリー進行に関わる特殊イベントでたまたま似たようなイベントがあったからといって、むやみにシステムを共通化してはいけないのです。もし、仕様変更などの要望が上司などから加わった場合、むやみに共通化してしまっていたら、あとから修正するのが大変になってしまいます。
他の書籍でもそうです。洋ゲー「ゴーストオブツシマ」の開発者の一人による書籍『ルールズ・オブ・プログラミング ―より良いコードを書くための21のルール』( 2023/8/28、Chris Zimmerman (著), 久富木 隆一 (翻訳))でも、著者が新人によくする指導法として「問題の例が三つ集まるまで一般性のある解法を書くことを許さない」というのがあります(amazon見本を参照)。このChrisの会社でも、大学を出たばかりの新人は、新人が1つの問題をみつけると、他の問題も解ける一般的なプログラミングを書こうとするのですが、Chrisは「そういうでかい問題は解かなくていい」と指導して、目の前の問題だけをまず解くことに集中させるように指導しています。そういうでかい問題を解こうとするプログラムは、往々にして、バグを潜みやすかたり、理解のための学習コストが高くなりがちなので、ゲーム開発では避けるべきだということを Chris はこの著書で述べています。 ともかく、目の前に無い、でかい問題を一般化して解こうとすると、メンテ性の悪いプログラムイが出来上がりやすいのです。
予備知識のない新人はこういうミスをしがちです。気をつけましょう。
{{コラム|学問名は何?|
本ページのこういった分野を考察する学問についての名称ですが、「ソフトウェア工学」で良いだろうと思われます。書籍『ルールズ・オブ・ゲームプログラミング』の冒頭の『本書への賛辞』に
『ルールズ・オブ・ゲームプログラミング』には、どんなソフトウェアエンジニアでも自己のレベルを次のレベルに引き上げるために使える、実用的経験則としてのルールが満載だ。
とあります。エンジニアとは技術者という意味です。エンジニアリングを日本語に訳すと「工学」です。なのでソフトウェアエンジニアリングなら「ソフトウェア工学」です。
}}
ソフトウェア工学では「DRY原則」(Don't Repeat Your Self、 「繰り返しを避ける」の意味)という考えかたがあり、同じコードの繰り返しを悪とする考え方がありますが、しかし実務は上記のように、必ずしも「DRY原則」のとおりとは言い切れません。もしくは、世間一般の「DRY原則」の解釈のなかにはコンテキストの考え方を見落とした、まちがった解釈が流布している場合もあるので注意が必要、ということかもしれません。
よほど長いコードの繰り返しやら10回や20回以上とかの繰り返しなら実務上の都合からコードの重複を避けたほうが良い場合や必要もあるかもしれませんが、しかし、そうでない場合でたった数行ていどの少々のコードやらそれらの2回程度の繰り返しならばコンテキストの都合からは似たようなコードをあえて共通化しないほうが安全な場合もあります。
初心者プログラマーはこういった事をいっぺんには体得できないでしょうから、一見すると、本来なら合理的なコードが、初心者の目には少し汚く見え、「少しだけ可読性が悪い」ように感じがちです。つまり、初心者目線で少しだけ可読性が悪いぐらいのコードこそが、実は本当は可読しやすいコードです。
===== 具体的手順 =====
まず、それらの機能の共通点を探します。次に、その共通点を抽象化します。抽象化のコストと、それを再テストするコストの合計が、そのままにしておくコストよりも高く付くと考えられるならば、抽象化は後回しにしても構いません。
{{コラム|テキスト比較ツール|
テキスト比較ツールを使うと、効率的に違う部分を強調して表示することができます。
GNUのdiffutils、[[Git]]などのバージョン管理システム、あるいは「ベクター」や「窓の杜」からインストールすることができます。
}}
== リファクタリング ==
* [[ゲームプログラミング/RPG/リファクタリング]]
== モードの管理手法について ==
* [[ゲームプログラミング/モード管理]]
戦闘モードとか、マップ画面モードとか、メニューモードとか、そういうののハナシです。とりあえず「モード」と言いましたが、ゲーム業界で何と言うのか知りません。もしかしたら、モードではなく「戦闘シーン」とか「戦闘パート」とか言うのかもしれません。ただし、書籍『ゲームプランとデザインの教科書』が、架空のスマホゲーム企画書で「モード」という言葉を使っています。「移動先指定モード」とか<ref>川上大典 ほか著『ゲームプランとデザインの教科書』、秀和システム、2018年11月1日 第1版 第1刷、P.255</ref>。
== 2Dマップ ==
{{コラム|コマンド「歩く」とかは不要|
暗黙の前提ですが、マップ中でキャラを移動させるためのキー操作は、十字キーで行わせるべきです。
当然だと思うでしょうが、しかし90年代の集英社「Vジャンプ」にあるゲーム取材記事によると、意外と当然ではないようであり、当時のゲーム会社の新人にUIを考えさせると、よくコマンドを増やした提案をしがちだったようです。
あるゲーム会社では、そういうコマンド増加の提案に対し、ゲーム会社の先輩はよく、コマンド「あるく」という例をダメな例として説明して教えていたようです。
たとえば、もし十字キーではなく、コマンド「あるく」→
どちらのあし?
みぎあし
ひだりあし
→
ほうがく?
きた
にし ひがし
みなみ
→「ゆうしゃ ああああ は みぎあしを まえに だした。
ゆうしゃ ああああ は ひがしにいっぽ すすんだ。」
というゲームがあったらクソゲーでしょ?操作が面倒でしょ?こういうふうに、操作の多い余計なコマンドは削るんだよ。 ・・・と先輩社員は新人に比喩で説明してたようです。
}}
=== マップのアルゴリズム ===
方針だけ述べる。具体的なコードは、上手い人のコードを参考にしよう(コードがけっこう長くなり、紹介がメンドウくさい)。
2Dマップがあると、俄然、RPGっぽく見えるようになって、ヤル気が出るので、さあ作ろう。
マップのデータは、ふつう、2次元配列で書く。
まず、グローバル領域で、たとえば
<syntaxhighlight lang="c">
static int maptable[10][10] = {
{ 0,0,0,0,0,0,0,0,0,0 }, //0 y
{ 0,0,0,0,0,0,0,0,0,0 }, //1
{ 0,0,0,0,0,0,0,0,0,0 }, //2
{ 0,0,0,0,0,0,0,0,0,0 }, //3
{ 0,0,0,0,0,0,0,0,0,0 }, //4
{ 0,0,0,0,0,0,0,0,0,0 }, //5
{ 0,0,0,0,0,0,0,0,0,0 } //6
};
</syntaxhighlight>
のように、とりあえず配列を確保しよう。
ここで重要なのは、
確保した配列のタテとヨコは、ヨコの並びをx方向として、タテの並びをy方向としたとき、
<code>
maptable[y][x]
</code>
のように確保されていることに注意する。
さて、各配列に「0」を入れても、はたして0番が何を意味するか、まだ何も決めていない。
ゲームにもよるが、とりあえず、何もマップチップを上書きしない領域だと定義しよう。
背景色と同じ色のベタ塗りのマップチップを作っておけば、それで上書きすれば、あたかも何も上書きしてないように見える。
いちいちif文などで、何も上書きしないように場合わけをするのもメンドウであるので、どっちの方式にするか、決めておこう。
さて、マップ用の配列は、作成したいマップで最低限必要なマス目よりも、やや大きめの領域を確保しておく必要がある。
たとえば、5×5のマップを作りたいなら、配列ではもっと大目に、たとえば 8×7 とか確保しておく必要がある。
もし、なんらかのバグで確保されていない領域を呼び出してしまうと、プログラムがエラーで異常停止してしまう。
たとえば、一番左端をもしx=0とした場合、もしこの場所に主人公がいると、さらにプレイヤーが「左端に行こう」と考えて、左ボタンを押したときに、エラーで異常停止してしまう。
こういう停止はメンドウくさいので、だったら念のため、最初から、マップを移動可能な場所よりも何マスか大目に確保しておくと安全である。
さて、まだ配列を確保しただけなので、「0」が何かとか、「1」が何かとか、まったく定義していない。
とりあえず、
:0番は、進入不可能の暗闇。
:1番は、床とか、草原とか平地とか、とにかく歩ける場所
としよう。
だと思ってればイイ。
たとえば、もし配列 maptable の宣言が、
<syntaxhighlight lang="c">
static int maptable[10][10] = {
{ 0,0,0,0,0,0,0,0,0,0 }, //0 y
{ 0,0,1,1,1,1,1,1,0,0 }, //1
{ 0,0,1,1,1,1,1,1,0,0 }, //2
{ 0,0,1,1,1,1,1,1,0,0 }, //3
{ 0,0,1,1,1,1,1,1,0,0 }, //4
{ 0,0,0,0,0,0,0,0,0,0 }, //5
{ 0,0,0,0,0,0,0,0,0,0 } //6
};
</syntaxhighlight>
のような宣言だったら、このマップでは真ん中のほうに4マス×5マスの移動可能な地帯がある。
その周囲は移動不可能になっている。
ともかく、このように、プログラマーは、まず、何番のマップチップが何を現すかということを、脳内で設計しておく必要がある。
配列の範囲外の読み込みエラー防止のためも兼ねて、0番は、すべてのゲームキャラが進入禁止としておくのは安全だろう。
あとはもう、win32 API などの機能を使って、マップチップの画像を配列にもとづいて各マスごとに表示すればいい。
前提として、まずマップチップ画像の読み込みを行う必要がある。あるいは、画像をあらかじめ実行ファイルに組み込んでおく必要がある。
画像の実行ファイルへの組み込みは、Visual C++ にそういう機能があるので、それを使えばいい。
画像を読み込みたいなら、ゲーム起動時にでも読み込んでおけばいい。
イメージ的にコードの雰囲気(ふんいき)を書くと、たとえば <code>case WM_PAINT:</code> の節に、下記のように for文などを使って画像ハンドらに画像を代入するコードを裏画面に書いていき、最後にまとめて本画面に描画することになる。(「裏画面」とか「ダブルバッファリング」と言われるテクニックを使います。詳しくはネット検索して調べてください。)
;(イメージ)
::(※ あくまでイメージです。このままでは、動きません。)
<syntaxhighlight lang="c">
int iTemp;
for (x_map = 0; x_map <= 9; ++x_map)
{
for (y_map = 0; y_map <= 6; ++y_map)
{
iTemp = maptable[y_map][x_map]; // 配列の文字が長いので、いったんiに置き換え
hbmp = hbmp_mapchip_list[iTemp].hbmp_mapchip;
SelectObject(hMdc, hbmp);
BitBlt(hbackDC, 225 + x_map * 32, 140 + y_map * 32, 32, 32, hMdc, 0, 0, SRCCOPY);
// DeleteDC(hMdc); // これを入れると、マップが表示されない。
}
}
// 裏画面から本画面に転送
BitBlt(hdc, 0, 0, 700, 500, hbackDC, 0, 0, SRCCOPY);
hbmp = NULL; // 初期化。
// 中間ハンドルからhbmpを解除
SelectObject(hMdc, NULL);
SelectObject(hbackDC, NULL);
// 不要になった中間物を削除
DeleteDC(hbackDC);
DeleteDC(hMdc);
DeleteObject(hbmp);
}
</syntaxhighlight>
SelectObject や BitBlt は、Win32 API の専用の関数なので、分からなければ読者で調べてください。
なお、マップチップ画像そのものの作成は、単にWindowsアクセサリ『ペイント』などの画像作成アプリでビットマップ画像を用意すればいい。
ツクールやウディタなどだと、いくつかのマップチップをまとめた「タイルセット」などを取り扱うが、実はプログラミング的には、わざわざタイルセットを作らなくても、マップチップ1個ずつを読みとりすることも可能である(単にwin32APIのビットマップ画像の読みとりの機能を使えばいい)。
(win32 API の初期設定のままではビットマップしか表示できないハズ。PNGなどを使いたいなら、GDI+の設定を行うこと。GDI+については説明を省略。)。
なお、マップチップのサイズの規格は、よくある規格は16ピクセルの倍数で、「px」をピクセル単位の意味として16px×16pxまたは32px×32pxまたは64px×64pxのマップチップ規格がよくある(ツクールやウディタのマップチップのサイズ規格も、この系統)。
とりあえず、私たちにとって作るのがラクなのは、小さいほうが作成がラクなので、とりあえず16×16のマップチップを作ろう。
プログラム技術としてはマップ表示は単なる二次元配列なので難しいことは無い。しかし、その他の準備が忙しく、たとえばマップチップ用のビットマップを用意したりとか、あるいはキーボード操作のプログラムを作ったりとか、そういう準備が難しい。
これだけだと、まだマップを表示しただけなので、さらに主人公キャラのキャラチップとか、主人公がx=何マス目、y=何マス目にいるかの変数とかも宣言する必要がある。
主人公チップを移動させる際、ドラクエ1みたいに1ピクセルずつ動かしたいと思うだろうが(実際は何ピクセルかしらないが)、しかしそれは難しい。まずは、十字ボタンを押したら、その方向にいきなり隣のマスに動く仕組みをつくろう。
しかし、これすら、また難しい。
win32APIなら、ボタンを押して話す動作で1回の入力と判断してくれる。
なので、win32APIで隣マス移動の仕組みを作るのは、比較的にラクである。
しかしDXライブラリの場合、1瞬だけボタンを押しただけでも、何十回も入力があると判断され、
いっきに壁際のマスまで動いてしまう。
なのでDXライブラリのマップ移動の作成の場合、まずはタイマー系の関数を利用し、一定時間のボタンの押し続けがあって初めて「入力された」と判定すうプログラムが追加になる。
なお、win32APIでも別のシーン(たとえば戦闘モードでのコマンド決定後の自動処理など)でタイマー自作が必要になるので、どちらにせよラクではない。
最終的には、21世紀的な一般的なゲームを作りたいなら、(win32APIではなく)DXライブラリで作るのがラクである。
(ただし本セクションでは説明のしやすさの都合から、win32APIで説明した。)
もし、ドラクエ風に1ピクセル(ないし数ピクセル)ずつアニメーション的に動かしたいなら、DXライブラリがほぼ必須であり(原理的にはwindowsAPIでも出来るが、しかしwindowAPIでのアニメーション表現はとても手間が多く難しく、強く薦めない。)、DXライブラリで開発しているRPGコードに、タイマー計算するコードと組み合わせて、下記イメージのようになる。
;(イメージ)
::(※ あくまでイメージです。このままでは、動きません。)
<syntaxhighlight lang="c">
if (moving == 1 && nyuuryokuMatiLR > 0) { // nyuuryokumati は「入力待ち」時間の意味
nyuuryokuMatiLR = nyuuryokuMatiLR - 1; // タイマーとして流用
}
// 移動の終了処理
if (hero1_direction == rightward && moving == 1 && nyuuryokuMatiLR <= 0) {
keyEnableRight = 1; // moving 回復までに時間が掛かるので、ここは1に。
nyuuryokuMatiLR = waitTime1;
nyuuryokuMatiLeft = waitTime1;
nyuuryokuMatiRight = waitTime1;
xPosi++; // 右へ1マスだけ移動
moving = 0;
townFlag = 0;
}
} // 右移動
</syntaxhighlight>
// nyuuryokumati は「入力待ち」時間の意味
上記コードの仕組みは割とひどく、マップ移動中の特定の左右方向用のタイマーを、今後の戦闘モードなど他のすべてのタイマーと流用するという、ひどいコードである。
ナナメ移動にも対応したりを考える場合、左右(LR)方向と上下(UpDown)方向のキーボード入力を別々の変数として処理する必要があったりと、割と面倒くさい。
移動先が移動可能でないカベや川なのに移動できたらおかしいので(ドラクエだと川は移動不能。『信長の野望』での渡河とか野暮にツッコまないこと。)、
事前にそういう移動可能判定を色々とクリアしたら、移動中モードとしてmovingが1になるようにしているコードである(長くなるので上記コードでは省略した)。
キーボード入力の判定は、事前のmoving側の判定計算ですでに行っているので、上記コードでは省かれている。実際にはさらに、下記コードのようなキーボード入力判定プログラムが、上記コードの直前あたりに付け足される必要がある。
<syntaxhighlight lang="c">
// 移動先予定地の入場可否の判定
if (CheckHitKey(KEY_INPUT_RIGHT) == 1 && keyEnableRight == 1 && moving == 0) {
if (map1table[yPosi][xPosi + 1] == 1) { destMovable = 0; }
if (map1table[yPosi][xPosi + 1] == 0) { destMovable = 1; }
// 入場可能ならフラグ設定
if (destMovable == 1) { // destとは目的地点 destination の略。
moving = 1;
hero1_direction = rightward;
keyEnableRight = 0;
nyuuryokuMatiLR = waitTime1;
}
}
</syntaxhighlight>
いったん移動し終わったら、もはや移動中ではないので、再度movingをゼロに戻し、また移動可能判定を調べなおす、という手間になる。
マップ移動だけでも、こんな手間になる。
だから、市販の『中学生でも分かるゲームプログラミング』的な題名の本でこういう手間が無いのは、
それはその市販本の著者が、初心者が苦手感を抱かないように独自のライブラリなどで上記のような手間をライブラリ側に隠蔽する工夫などをしてるだけにすぎない。
ネットに出回るデマの、「RPG風のUIをつくるのは簡単」というのは、つくづくウソである。ドラクエ1風のUIですら、なかなか面倒である。
(『中学生でも分かるゲームプログラミング』的な本の手間だけでドラクエ1風UIが作れると思ってる、本を読んだだけの知ったかぶりが、ゲームプログラミング経験者ヅラしているということであろう。)
{{コラム|移動時の背景スライドのフレームレートにウェイトは不要|
ゲームでは、キャラクタの移動において、背景を固定してキャラの位置を動かす方式と、もうひとつの方式としてキャラを中心ちかくに固定して背景をキャラ進行方向とは逆に送る方法があります(たとえばキャラが右に移動するには背景を左に送る方式)。
もし背景のほうをスライドさせる方式の場合、背景のフレームレートは基本、けっして余計なウェイト(待機時間)をはさまずに、つまり必ず 60FPS( または120FPS )にして滑らかに背景を動かす必要があります。
根拠として、すでにアニメ業界で同様のことについて実験結果が知られており、昭和の後半の時代にガンダムなどを作ってる会社(サンライズ社)が、当時に実験済みであり、実験として「アニメ業界ではキャラクタの動画は1秒間に8枚だが(※ 現在でいう 7~8 FPS くらい)、背景(アニメの普通は背景は 30FPS くらいで動かしている)もキャラみたいに1秒間に8枚またはそれ以下の枚数で動かしてみたらどうなるか? ためしに社内で実験してみよう」と背景のスライドのコマ数を色々と変えてみて背景送りスピードにウェイトをはさんでみる実験したことがあります。そのアニメ会社の実験の結果、(30FPSでない10FPS以下程度での背景の動かす方式のは)「見るに耐えなかった」という結果が、ガンダムシリーズの生みの親である富野監督のインタビューなどで公言されています。
人間の視覚の生理的な感覚はアニメファンの目でもゲームファンの目でもそう違いはないはずですので(同じ人間という生物の視覚ですので)、せっかくアニメ業界が公開してくれた過去の知識を活用しましょう。
なお、2020年代の現代のTVアニメでも、歩行シーンなどで背景を動かす方式の場合、動画プレイヤーでコマ送りをして確認すると、キャラは3コマごとに動きますが、背景は1コマごとに動いています。
}}
=== マップレイヤー画像について ===
* [[ゲームプログラミング/画面出力#RPGのマップレイヤー]]
=== 歩行グラフィック ===
ゲームにおけるキャラチップの歩行アニメーションの作画の定石は、テレビアニメの歩行の作画の定石とは、まったく違います。
説明の単純化のため、右向きの歩行を例に説明します。
==== 3枚歩き ====
まず、ツクール水準の2D-RPGの歩行グラフィックではなんと、歩き始めの作画の立ちポーズのドット絵と、横向き時にプレイヤーから見てキャラ歩行中における右足と左足とが重なっているドット絵(便宜上「中ポーズ」と呼ぶとする)が、なんと同じドット絵です(テレビアニメ作画の常識とは大きく異なる)。
つまり2Dゲームのドット絵では、歩き始めと歩き中の中ポースとに、区別がないのです。
これは、実際にキャラチップのタイルと、キャラのゲーム中での歩行動画を録画して見比べると分かります。
テレビアニメ産業では、歩きお よび 走りの作画は、基本的になるべく滑らかに見せるために、6枚の絵を使います。
だからアニメ業界では「6枚歩き」とか「6枚走り」とか言います。
しかしゲームは違います。上記の言い方に習うなら、ゲームは「3枚歩き」です。「3枚歩き」というのは別にゲーム業界の用語ではなく、テレビアニメ業界での数え方をそのままゲーム業界に置き換えただけの本wikiでの独自的な呼び方です。
しかもゲームのドット絵では、走りと歩きの区別がありません。つまり、歩きのドット絵を、走りのドット絵でも使いまわします。
つまりゲームではドット絵だけなら 「3枚歩き」=「3枚走り」 でもあります。
ドット絵のゲームにおける走りと歩きの区別は単に、キャラチップのスライドさせる早さを切り替えることで区別しているだけです。
なお、テレビアニメ産業などでは、正面向きかつ走りシーン(ゲームにおける下キー入力時に相当)なら例外的に(6枚ではなく)4枚作画でも走りを描けることが知られています。なぜこれが通用するかというと、よく分析で言われるのは、6枚でなく4枚だと滑らかさはなくなりますが、しかし歩きではなく走りであるので動きに少々のギャップがあっても勢いがむしろ強調されるという点と、また6枚時の中ポーズのシルエットと4枚時の中ポーズノシルエットがあまり変わらないという点があるため、テレビアニメ業界では正面走りだけ「4枚走り」でも可能なのです。
しかしゲーム産業では正面向きでないのに、右向き左向き前向き後ろ向きすべてで、なんと「3枚歩き走り」なのです。ドット絵のゲームではキャラチップが小さいので、なんと3枚で歩きも走りも表現できてしまうのです。
このように、ゲームとアニメとでアニメーションの常識が大幅に異なります。
しかし、両業界でも一致している作画の風習もあり、それは歩行中グラでの頭の高さの上下運動です。
アニメ作画の頭の上下運動を文字だけで説明するのは難しいので、興味ある読者は外部サイトでアニメーターの作画教育サイトを見るなり、あるいは同人フリーゲーム用の公開キャラチップ素材などを実際に目で見るなどして、読者ご自身で研究してください。
ともかく、3枚で右向きの歩行を表現できます。RPGでは上下左右の4方向が必要なので、最低でも3×4 = 12枚 の絵画必要です。
なお、斜め歩行が加わると、2倍になるので必要枚数は合計24枚になります。
;思考回路の切り替え
もし、外部のゲーム用フリードット素材を使わずに「ゲームエンジンを一人で作る」というなら、上述のようなアニメ産業とゲーム産業での作画のギャップも知って絵を描く必要が生じるでしょう。頭の切り替えが必要になります。
今までプログラマー脳だったのを、ドット絵を描くのに絵描き脳に切り替える必要があって、しかも既存のテレビアニメ作画理論はそのままでは使えないので、ゲーム用に人気作のドット絵のグラフィックを研究しなおす必要が生じるのです。
==== チップ作画の留意点 ====
===== 3枚歩き =====
また、絵1枚ごとのRPGのキャラチップの作画も、テレビアニメとは違います。
まず、2D-RPGでは、前後向きのキャラチップの横幅のサイズ規格と、左右向きの横幅のサイズ規格が、RPGでは同じです。
しかし、テレビアニメでは、このような横幅はありえないのです。
なぜなら、人間が歩いていて左右の腕をふっていて前に突き出た状態の手先から胴体までの距離は、胴体の厚さに比べると、(手~胴体 の距離は)かなり長いです。
しかし、こういったリアルな腕の寸法に忠実に書くと、サイズ規格の横幅をオーバーしてしまい、少なくとも腕の片方の先がチップ外にハミ出てしまいます。
だから、進行方向側の腕だけは、2D-RPGキャラチップではあまり伸びていないです。
なお、進行中の胴体はやや進行方向に寄っています。これはリアルな人体がそうだからでしょう。
なので、もはや進行方向側の腕には、伸ばすだけの余裕がありません。
だから、進行方向側の腕を折り曲げる場合すらも存在します。または、進行方向側の腕だけ短くゴマかすなどしている場合もあります。
これは別に2010年以降の流行でなく、既に1980年代の商業ゲームでもファミコンのドラクエ3の勇者の母親のキャラチップも、実は進行方側に腕を伸ばしたときは、腕を折り曲げています。
なお、ドラクエ3の主人公である勇者は、剣を持っているので、利き腕の右手がもとから折り曲がっており、よく分かりません。
また利き腕の表現のためドラクエ3では、右向きと左向きのキャラチップを、けっして反転処理でゴマかさずに、きちんとポーズを書き分けています。
ともかく、一般にRPGの歩行キャラチップでは、進行方向の腕があまり伸びてないので、バランスを取るためにRPGでは、進行方向の反対側の手足を、目いっぱい、伸ばしています。
これはリアルで考えるとありえないし、テレビアニメでもありえない作画です。
ですが、ゲーム産業の2D-RPGでは、昔からこういう作画がよく行われています。
;歩きの滑り
2D-RPGの歩行ではキャラは地面を滑ります。横向きグラフィックだと、比較的に確認しやすいでしょう。
テレビアニメだと、キャラが滑っているように見えなくさせるためもあってか6枚も使って作画する一方、
2Dゲームでは正反対であり、2D-RPGゲームでは「滑り上等!」な態度の作画です。
走りシーンだったら、「まるで滑っている」かのように高速で走っている身軽なキャラのようにも見えるのですが(実は、実際に足の作画が滑っているだけ)、
2D-RPGでは歩きですら滑りある作画です。
「3枚歩き」で描く以上、こういうリアリティを無視した作画ですので、あまり他のリアリティにこだわっても仕方ありません。
{{コラム|デッサン的なこと|
;後頭部は意外と大きい
なお、横向きの顔で、後頭部の髪のある部分の大きさが、顔前面の髪のない部分の大きさと同じくらい囲う東部のほうが大きいのは、
これは現実のデッサンと同じです。後頭部は意外と大きいのです。
例としてアニメ『新世紀エヴァンゲリオン』の主人公・碇シンジの後頭部の大きさが、顔と同じくらいなのは、別にけっして「親父の碇ゲンドウが天才科学者だから息子シンジも遺伝で脳が大きくて後頭部も大きい」とかではなく、もともと人間の後頭部というのはあのくらいの大きさなのです。
;上マツゲは頭の中間位置ぐらい
また、目より上の頭の頂上までの大きさが、アゴから上マツゲまでの長さと同じくらいなのも、これは現実と同じです。
つまり、上マツゲは、頭の中間くらいの位置です。
ついつい、髪の毛の生え際の位置につられて、目より上の頭部の大きさを小さく認識してしまいますが、それは錯覚です。実は、目より上の部分の長さは、意外と長いのです。
また、ゲームの場合、45°上の角度から見下ろしているので、すると後頭部が少し見えることも意識すると、もうすこし長く書いても構わないのかもしれませんが、しかしチップのサイズ規格に上限があるので、あまり頭部を伸ばすこともできません。
}}
===== 初心者の抱きそうな疑問 =====
;キャラチップの横幅を大きくしたら?
標準的なキャラチップの前側の腕は折りたたまれています。原理的には、キャラチップの横幅を長くすれば、横向き歩きのゲーム作画において、リアルの作画や、テレビアニメの作画に近づけることはできます。
ですがそれをすると、キャラチップがそのぶん大きくなってしまい、そのせいでチップタイルの横幅が大きくなってしまいます。
正確には計算していませんが、少なくとも2.5倍くらいは横幅が長くなると思います。斜め移動も含みで考えると、通常のツクールなどのチップタイルはやや横長なのに、さらにそれを2.5倍に長くするのは、やや編集時に見づらいかもしれません。
ドット絵のキャラチップという小さくて見づらい絵の、さらに「腕」という2ドット(枠線まで含めると4ドット)くらいしかない部分に対して、そこまでする必要あるのか、意義が不明です。
このように、ゲーム演出の特有の事情もあります。
:プログラム側の事情
また、もしキャラチップの横幅の規格だけ長くすると、マップチップの横幅の規格と、食い違いが出てきます。このため、プログラムがやや難しくなります。
なるべくキャラチップ横幅とマップチップ横幅の規格の長さが近いほうが、プログラムは楽になります。
このように、プログラミング側の事情もあります。
===== どうしてもリアルにアニメしたい場合 =====
;どうしても腕振りをリアルに近づけたいなら
それでも、どうしても腕の振りをリアルやテレビアニメに近づけたいなら、
キャラチップのサイズ規格を変えるのではなく、キャラチップのサイズ規格はマップチップ規格と同じくらいの長さにしたままにして、
歩行時にキャラチップを3枚横につなげるなどの方法もあるかもしれません。3枚の真ん中のチップが胴体と腕の付け根側で、隣の左右チップがそれぞれの腕の先端側に対応、という手法です。おそらくですが、ファミコン時代の古いアクションゲームでも、巨大ボスなどを、複数のチップをつなげて作画していたでしょうから、そういうのを現代的に応用する手法というわけです。
ただし、これだとキャラの処理速度の負担も、単純計算で3倍になります。(実際は、左右のキャラチップは無描画の場合もあるし、描画量が少ないので、もっと少ないが。)
主人公とかボス敵だけのキャラチップなら、グラフィック重視のゲームなら、その意義もあるかもしれません。しかし、果たしてモブキャラのキャラチップにまで、そこまでのチップ3倍にする手間を掛ける価値があるかどうか。
また、製作ツールなどの事情により、読み込みできる画像の枚数に制限のある場合があるので、あまり目立たない部分のために画像を1枚増やすのは非効率です。
ですが、べつに全キャラに6枚歩きを実装する必要もありません。お好きなように。
;ミニゲームで分離など
どうしてもドット絵で手足の動きをリアリティある書き方で細かく表現したいなら、いっそ、ゲーム本編ではなく別途ゲーム中にミニゲームでリアルな腕の振り方のあるミニゲームを組み込むなどの方法のほうが、良いかもしれません。
この方法なら、たとえばもし2D対戦アクションゲーム(スト2みたいなの)のミニゲームを組み込んだら、歩きや走りだけでなく、ジャンプだろうが座りだろうが、もはやパンチやキックや剣撃なども思う存分に大きく作画できますし、作画によってゲーム性も向上します。(アクションゲーム特有の非リアル描写もあるだろうが、本ページはRPGの教科書なので、アクションゲームの非リアル描写には深入りしない。)
背景を手書き背景イラストにすれば、マップチップのサイズ規格に縛られる必要もなくなるので、思う存分にキャラの好きな大きさで作画できますので、腕などの細かい部分も目立つ大きさで作画できるでしょう。
ただし、この方法の背景だと、スーパーマリオのような、背景の空中ブロックの上に、キャラがジャンプして飛び移ったりとかの処理は、スト2的ゲームのままでは不可能です。別途、マリオ的システムのプログラムを組む必要があります。つまり「スト2のようなスーパーマリオ」というゲーム企画を実装する必要が生じてしまいます。
また、ツクール的システムのRPGでなければ「3枚歩き」に縛られず、歩きと走りの作画を分離するのも自由ですし、「6枚走り」と「6枚歩き」のシステムにすることで「滑り」も無くせてリアリティ向上します。そこまで作画する意欲があればの話ですが。
===== 2D-RPG歩行のドット絵の描き方 =====
歩行グラフィックの切り替えパターンはゲームごとに違うのですが、下記コラムでは実装のラクなパターンを紹介します。
なお、ツクールやウディタの歩行パターンとは異なります(ツクールなどは、もっと複雑なパターン。後述する)。
{{コラム|プログラマー用のドット絵制作のコツ|
ドット絵の書き方ですが、プログラマーの場合、絵の表示のテストをしないといけないので、絶対に最初は下書きまでに止めます。細部は書き込まないのがベストです。(下書きの手法については、別コラムでまとめてあります。)
なぜなら、もし自作プログラムでRPGをゼロから作る場合、表示プログラムのコーディングをしながら絵を描くので、プログラマー脳と絵描き脳を、まるで反復横とびのように何度も行ったり来たりします。だから絶対に、この段階では(作り始めの段階では)絵は下書きまでに止めます。下書きで描くドット絵はすごく大雑把なラフ画でいいです。
さて、いきなり4枚描く前に、まず2枚だけでいいので、方向による表示の切り替えプログラムをテストします。
たとえば最初の1枚は下向き静止画像でしょうから、残り1枚は、右向きか左向きか上向きの静止画像になると思います。
たぶん、多くの人は右向きか左向きを書くと思います。後ろ向きをまっ先に書きたがる人なんて、いるとしても一部の重度のアニメ作画マニアぐらいです(アニメーターは360度いろんな向きでポーズを描くので)。
とりあえず説明の簡単のため、私たちプログラマーは右向き静止画像のドット絵を書いたとしましょう。
さて、とりあえず下と右の2方向の表示の切り替えプログラムさえ出来れば、同様のアルゴリズムでどうせ左向きと後ろ向きの静止画像も表示できるだろうから、さっさと歩行中の足を上げてるポーズの作画に入ります。そっちのほうがプログラマ-的には楽しいと思います。
で、すでに右向きの静止ポーズは描きあがっているとして、さらに前足を上げているポーズを1枚書いたとします。つまりこの時点では右向き絵は、静止右向き絵 と 足上げ絵 の合計2枚あります
1マスの歩行に60フレームを使っている場合、とりあえず表示フレームのタイミングは二等分により、
:前半の30フレーム中に前足あげポーズを表示、
:後半の残り30フレーム中に静止ポーズを表示すれば、
とりあえず何とか歩いているっぽく見えます(実機で確認ずみ)。
次に後ろ足を上げているポースも書き終えたら、今度はフレーム間隔を調整して変更し、3枚の右向き絵がありますが、三等分すれば 60÷3 <nowiki>=</nowiki> 20 なので、
:前半の20フレーム中に前足あげポーズを表示、
:中盤の20フレーム中に後ろ足あげポーズを表示、
:後半の残り20フレーム中に静止ポーズを表示すれば、
とりあえず歩いているっぽく見えるでしょう(確認ずみ)。
静止ポーズ中の20フレーム中に、直立ポーズのままスライドするのはリアリティ的には奇妙ですが、
しかしこの静止ポーズがないと表示テストでは隣マス(1マス目)の到着直後にさらに隣マス(2マス目)に直進するときにキャラクターがまるで膝蹴りを発動しているかのようなアニメになってしまうので(実機で確認ずみ)、
決断によって静止ポーズのまま20フレームぶんをスライドさせるべきなのです。
}}
実はツクールやウディタなどの歩行アルゴリズムは、本ページの上記コラムのプログラムのようにはなっていません。
なお、ツクーツとウディタで、キャラの標準的な歩き方のアルゴリズムは両方とも、
:前足を上げる状態で進む → 直立 → 後ろ足をあげる状態で進む → 直立 → 前足を上げる状態で進む → 直立(同様に繰り返し)
のように、直立ポーズを挟んで、前足あげと後ろ足あげを交互に繰り返す方式です。(最初に始まるのが前足か後ろ足かの若干の違いはあるかもしれませんが、本質的ではないので深入りしない。)
けっして、
:前足を上げる状態で進む → 後ろ足を上げる状態で進む
のようにはなりません。
これはおそらく、直立のように見えるグラフィックが、実は歩行中の前足と後ろ足とが重なった状態を兼ねている表現だろうと思われます。
そのほか、ツクールやウディタで1マスだけ進むのを繰り返すと分かりますが、
1マスしか動かないで停止したとき、キャラチップをよく見ると、その場で足踏みして最終的に直立して止まることがあります。
ツクールもウディタもソース非公開なので不明ですが、これはプログラム的には仕組みはおそらく、
移動中の間だけ「移動中カウンタ」的な変数が進み、それが一定値になると0に戻るという仕組みを繰り返していると思います。
そして隣マスに到着時の進行判定の際、もし右ボタンが押されていなくてマスに停止しており、
移動中カウンタがまだ0に戻る前の値だったら、その値を保存したまま、
表示プログラム用にカウンタ値だけカウントアップしていって0に戻るまで表示が進むような仕組みで、実装できるかと思われます。
もし読者がツクールやウディタっぽい歩行アルゴリスムを実装したいなら、ご自身で研究してください。どのみち、ツクールとウディタで、歩行のポーズ切り替えタイミングなど微妙に違いますので、統一されていません。
どのみち、たとえばファミコン版ドラクエ3のアルゴリズムは、ツクールやウディタとも違います。ドラクエ3ではマップ上でマスに立ち止まっても、キャラチップは静止せずに足踏みを続けます。
このように歩行パターンはゲームそれぞれです。
{{コラム|ドット絵の下書き手法|
テレビアニメの下書きとは、ドット絵は、作画の順序や手法が大きく違います。
テレビアニメの下書きでは、まずエンピツで線画を描き(「原画」(げんが)という)、あとから色を塗る(バケツ塗り)という手法です(「彩色」(さいしき)という)。(このあと「撮影」とか「編集」とか色々な工程があるが、ゲームに関係ないので省略。)
ですが、ドット絵はこれとは作画の順序や手法が大きく違います。
ドット絵グラフィッカーによって手法は個人差があるでしょうが、とりあえず一例として、下記のようなドット絵の書き方を紹介します。もちろん、コンピュータ上でのドットエディター上での作業です。
:前後左右4方向の中ポーズ(立ちポーズ)のラフ色塗り
: ↓
:ゲームに組み込み目視で画面を見てテスト
: ↓
:テストで異常あれば下書きを修正。異常なければ次に進む
: ↓
:前後左右の腕足振りポーズを2枚ずつ色塗りで大まかに下書き。(3枚作画なので、あと2枚が追加で必要)
: ↓
:ゲームに組み込み目視で画面を見てテスト
: ↓
:テストで異常あれば下書きを修正。異常なければ次に進む
: ↓
:これから細部の書き込みに進む。細部に興味なければここで終わる。
: ↓
:(細部の書き込みと、そのテストなど)
: ↓
:(たぶん)終わり
上記フローのような書き方は、あくまでRPGのマップ画面でのキャラチップのアニメの書き方だけに限定の手法です。だから、それ以外には、そのままでは応用できず、たとえば戦闘画面のモンスター画像などには応用できません。
あくまでマップ画面モードのキャラチップのみの話題です。
さて、ではなぜ上記のような手順で描くと合理的なのかを説明します。
もし40px × 40px 程度のドット絵なのに、テレビアニメのように色の違う箇所すべてに枠線を書こうとすると、ゲームのチップは小さいので服の模様などによってドットが黒一色(rgb値が 20,20,20 とか)で潰れてしまうので、色がなにも見えなくなってしまうから、テレビアニメ的な作画の手法は使えないのです。
だから基本、ドットの下書きでは、まず、色を大まかに塗ります。この際、ポーズも大まかに仮に決めて、下書きのときに一緒にポーズを書きことになるでししょう。
なぜ、静止ポーズの前後左右4枚を先に描くかというと、歩行中の残り8枚の絵よりも静止4枚のほうがプレイヤーの目に入る時間が長いからです。
ポーズボタンのないRPGの場合、もしプレイヤーが歩行中8枚の絵のいずれかをじっくり見ようと思ったら、プレイ動画を録画してから一時停止などの手間が必要です。
しかし静止ポーズ4枚は、何もしなくてもプレイヤーが画面の前でボーッとしてるだけでも目に入ります。
だからこの4枚を優先的に作画していく必要があります。今後の工程で細部の書き込みをする際にも、静止ポーズ4枚を優先して細部を仕上げると良いでしょう。
そして、大雑把に色が塗れたら(すごく雑(ザツ)な塗りでいいです)。最低限、向きは前後左右の4ポーズの立ちポーズを描かないといけないので、とりあえず、さっさと4枚を大雑把に早く書いて、実際のゲーム画面で表示テストしてみます。
ゲームドットの下書きなので、けっして細かく書く必要はないです。一方、テレビ番組アニメ用のアニメーター教育などだと、「練習でも細かく描け。すると本番ではそれを早く書けるようになっている」と教育する場合もありますが、しかしゲームのドット絵の下書きの場合は目的が違います。
実際にテストで確認してみて、問題があれば書き直しです。
だから、もし最初から細かく描いてしまうと、書き直しになったときにそれを消さないといけないので、無駄になってしまうのです。だから、色を大まかに塗るだけなのです。
そして下書きのドット絵の中ポーズの4方向の向き転換などをテストしてみて違和感がないことを確認できたら、次に手足を振っているポーズの作画にとりかかります。ここでも、色を大まかに塗るのと、ポーズを決めるだけです。
そして、とりあえずテストで実際のゲーム画面中で動きのアニメーションを確認してみて、「キャラがおかしなポーズになってないか?」とか、遠めで見たときに歩いているように見えるかとか、そういうことを確認していきます。
どのみち2D-RPGゲ-ムでは(テレビアニメではありえない)3枚作画で歩きを買いているので、少々の滑りや、実際とのポーズの少々の違いは無視です。
}}
おおむね、こういった作画の流れになるでしょう。もちろん個人差はあるでしょう。ですが、けっして「いきなり細部から描く」ことはしないのは、ほぼ確定でしょうし、線画はドットが潰れるので輪郭以外の線は描かないことも、ほぼ確定でしょう。
あくまで、2D-RPGのキャラチップの 40px × 40px 程度のドット絵だけに限定した話です。なので、反論などで顔グラフィックなどキャラチップ以外の話題を出されても、ピント外れです(相手が言ってもいないことで反論することを「[[w:ストローマン|w:藁人形論法]]」(わらにんぎょう ろんぽう)と言います)。ましてやRPG以外のアクションゲームなどのドット絵の手法で反論しないでください。
===== デッサン的なこと =====
{{コラム|髪の揺れ と腰のねじれ など|
女性キャラのチップだと、前後の歩行中チップでは髪やスカートが左右にゆれたりします。男性キャラでも、マントを羽織った騎士などなら、マントが揺れたりします。
テストでは、そういう点をチェックをしていくことになるでしょう。
こういった感じで実際にゲーム画面中でテストしてみて、もし問題がなければ、あとで細部を書きこんでいくことになるでしょう。
また、キャラクターデザインの細部に興味がなければ、下書きの塗りを修正し終わった段階で、このままで完成としても構わないかもしれません。
なお、髪の毛が右に揺れる場合、足で伸びているのは反対側である左足です。
髪の毛が左に揺れる場合も、足で伸びるのは反対側である右足です。
これはなぜそうなるかというと、歩行時の腰の ねじれ を表現するためです。
普通の歩き方では、右手が前方に伸びているときは左手が後方に伸びており、このため上半身が左回転します。
このままだと体が左回転して進路が左にそれてしまうので、足側では左足が前方に伸びて右足が後ろに伸びることで下半身は右回転します。
こうして上半身が右回転する一方、下半身が左回転するので、全身では回転が打ち消されることで前方に歩行できます。
また、上半身と下半身とが逆方向に回転しているので、腰はわずかに ねじれます。
だから、髪の毛が右に揺れるなら、これは上半身が右回転した直後の表現なので、つまりこのとき下半身側では左回転した直後の表現になっていなければなりません。これはゲームに限らず、アニメでもそうでしょうし、現実の人体がそうでしょう。
なお、無理やり、腕の振りのタイミングと、足の降りのタイミングを一致させる歩き方を、ナンバ歩きといいます。つまり、右手が前に出ているときに右足も前に出る歩きがナンバ歩きです。
格闘技や古武術などだと、色々な理由によりナンバ歩きをする場合もあります。
だから、もしかしたら対戦格闘アクションゲーム(スト2みたいなの)ならナンバ歩きで描く場合もあるかもしれません。しかし、2D-RPGの歩行チップでは不要でしょう。
}}
===== ドット絵作画的なこと =====
さて、いくつかフリー素材を調べたところ、横向き時の中ポーズの足は、1本しか見えません。
ついつい歩行中の中ポーズも意識して足を微妙にズラして2本書きたくなりますが、しかし静止ポーズにも使うことと、ドット絵なので微妙な足の段差を表現しづらいことなどから、
決断して横向き時の足は1本しか見えないほうにするのが効率的でしょう。
どうしても中ポーズでも足2本を見えるようにしたい場合の裏ワザとして、2本の足が合体した太い1本足を描くというワザがあります。やや太めの1本足です。
一部のフリーゲーム素材がこういうワザを使ってドット絵を描いています。
ドット絵なんてこんなもんのゴマカシの連発ですから、あまり下調べの段階なのに細部を調べても仕方ありません。さっさと書き始めてから、書いてる途中に気になった点から手本を見直して調べていけばいいのです。いろいろと調べるの必要になりますが、さっさと書き始めるのも重要です。こういうのは、調べていたらキリがありません。
デッサンのコツなんて、細部を書き始める時点までに、把握できていればいいのいです。
仕事でなければ、イラストなんて最終的には描いた自分で満足できればいいのです。プログラマー視点で見るにしても、歩行プログラムの検証をできる最低限のイラストさえ書ければいいのです。
当ページはプログラミングの教科書ですので、まず先にプログラム検証のための最低限イラストを描くことになります。
== 戦闘 ==
* [[ゲームプログラミング/RPG/戦闘]]
とりあえずバブルソートの話題など。ほか幾つか。
== データベース的なこと ==
* [[ゲームプログラミング/RPG/データベースとは]]
== (※: 未確認)戦闘中のモンスター隊列 ==
さて、戦闘中のモンスター隊列の構成を定義するための配列(または同等の内容の数列)も、必要です。
まず、画面に敵を、表示したい順に表示するためも必要です。
また、上述の「素早さ順」での行動処理のためにも、前提として、敵パーティの構成を表すための配列が必要になります。
説明の単純化のため、敵は横一列に、左から右に、並んでいるとしましょう(ドラクエ2~3みたいな方式だとしましょう)。
たとえば敵が左から順に
:ホブゴブリンが1匹、毒々スライムが1匹、ゾンビ兵士が1匹
出現したとしましょう。(説明の単純化のため、モンスターは各種類ごとに1体だけとする。)
そして、ホブゴブリンのモンスター用データベース中でのIDが13番だとして、 毒々スライムのIDが8番、 ゾンビ兵士のIDが25番、 だとしましょう。
すると、この敵パーティを表すための配列として、
:{13,8,25,-99}
のような配列が必要です。(もしくは、配列に格納できるような数値の列「13,8,25,-99」)
末尾の-99は、これはその配列の読み終わりとして使用するための数字です。この数字は、別に「-10」でも「-99」でもいいですが、モンスターのidとけっして重ならないようにする必要があります。
通常、なんらかのデータベースのidの値は0以上の正の整数ですので、マイナスの整数を「終了」の意味で使用しておけば、安全でしょう。
このように、敵側にも、配列が必要になります。
しかも、この敵側の配列は、そのゲーム中で出現する敵パーティの全パターンを用意する必要があります。
たとい1体だけしか出現しない敵でも(たとえばボス敵や強敵)、その1体分の敵パーティの配列が必要です。
たとえば、その1体だけで出現する、あるボス敵「暗黒大王」のモンスター用データベース中でのIDが205番だとしたら、
:{205,-99}
のような、敵1体だけの配列を用意する必要があります。
=== 余談: マイナスを含む並べ替え ===
なお、もしマイナスの数を含む数をふくめて並べ替えをしたいのでしたら、
上記の「-99」など終了処理を負数で区別する方法は、そのままでは使えないです。
たとえば、方向でもし東向きをプラス、西向きをマイナスとした場合、終了コードのつもりの「-99」は、誤解で「西に99マス」などと誤解される恐れがあります。
たとえば、
:-3 , 5 ,2, -6, -2 , 0 , 1
の並べ替えをしたい場合を考えましょう。
解決策としては、いろいろあります。
==== 解決策1 ====
一番ラクな方法は、要素数を新たな変数として追加し、それと組み合わせて配列を使うことでしょう。
たとえば、
:-3 , 5 ,2, -6, -2 , 0 , 1
は7個の数が並んでいるので、
youso = 7;
みたいに新たに変数を用意します。
そして、たとえば最初の「-3」から順番意読み取りの際に、数えおわった個数を+1していき、+7になったら読み取りを終了することです。
この方法は、拡張性が高いのでオススメですが、ただし、要素を書く前に個数を宣言する必要があります。
実際の配列データは
:-3 , 5 ,2, -6, -2 , 0 , 1, 0 ,0 ,0 , 0 ,0 ,0 , (以下略)
のようになっているので、けっして数え終わって欲しいところでキリよく要素が終わるわけではないので、なので、要素数をあらかじめ宣言する必要があるのです。
さもないと、8番目の「0」が、読み取りたい数値としてゼロなのか、それとも、単にデータなしのためゼロなのか、不明になります。
終了コードなどとして負数を使用するのは、マイナスを含む並べ替えでは、あきらめましょう。それが安全でしょう。
==== 解決策2 ====
最初の解決策1(要素数を新たな変数として追加)がもっとも安全かつ簡単ですが、比較のため、別の解決策も紹介しておきます。
次の解決策2は、数学的にはエレガントですが、しかしプログラミング的には、煩雑になり、また、バグ時などのエラーの波及をしやすい欠点があります。
さて、並べ替えのもうひとつの解決策として、
一例は、符号と絶対値を分離して、その組み合わせとして処理することです。
たとえば、
:-3 , 5 ,2, -6, -2 , 0 , 1
の並べ替えをしたい場合、
プレイヤーからは表面的には「-6」は1つの数に見えまずが、これをあえて、「フラグhugouが状態2(マイナスに相当)である」「絶対値 zetai が6である」というように、2つの変数hugou と zetaiに分けます
符号がプラスなら、hugou = 1 にでもしておきましょう。また、ゼロは便宜上、hugou = 1 にしておきましょう。
すると、上記の数の並びは、(hugou, zetai)のベクトルで考えると、
:(2,3) , (1,5) ,(1,2), (2,6), (2,2) , (1,0) , (1,1)
という組み合わせに変換するので、マイナスが使われない形になります。
なので、終了処理に、「-99」などの負数を割り当てても、並べ替え対象の数値と重なる心配がなくなります。: (2, 6,) , (2, 3) , (2, 2) , (1,0) , (1,1) ,(1,2), (1,5)
:(2,3) , (1,5) ,(1,2), (2,6), (2,2) , (1,0) , (1,1),(-99,0)
などのように、終了コード「(-99,0)」を末尾に追加しても、なんの混同の心配もなくなります。
さて、いったん上記のように、数を、符号と絶対値の組み合わせに分解して、同じ符号どうしで並びかえたなら、
あとは、符号が同じものどうしで、並べ替えをするだけですみます。
たとえば、
:(2,3) , (1,5) ,(1,2), (2,6), (2,2) , (1,0) , (1,1)
の並べ替えをしたい場合、ベクトルの第一引数に注目し、※ (第一引数、第二引数)
まず、
:(2,3) , (2,6), (2,2) のグループ
: (1,5) ,(1,2), (1,0) , (1,1)のグループ
に分けます。
そして、絶対値(例では第二引数)だけに注目すれば、
:マイナス数の絶対値は 3,6,2 → 2,3,6 と並べ替え → 逆順にして6,3,2 → マイナス符号をつけて -6,-3,-2
:プラス数の絶対値は 5,2,0,1, → 0,1,2,5 と並べ替え
となるので、簡単に並べ替えできます。
あとは、これを合成し、
:-6, -3 , -2 , 0 , 1 ,2, 5
と、並べ替えできます。
なお、説明の都合上でベクトルを蒸気の解説で使ったが、しかしC言語にベクトルの機能は無いので、もし上記の機能を実装するなら配列や構造体配列を使って、ベクトルと似たような処理を実装することになる。
たとえば配列で実装するなら、符号用の配列 hugou[id] と、絶対値用の配列 zetai[id] のようなものを用意したりすることになるだろう。
もし1番目の最初の数が「-3」なら、符号フラグは2、絶対値は3だからベクトル表現では
:(2,3)
であるが、これは配列で表現するなら、たとえば
:hugou[0]=2; zetai[0]=3;
のように記述できる(C言語では配列の番号は0から数える)。
;欠点
この方法は、一見すると数学的にエレガントに見えるかもしれませんが、しかし、もしバグやタイプミスなどによって数え間違えると、数え落としや重複があると、以降の符号が1個ずつズレてしまうなどの大きな影響があります。
たとえば、説明のため上記では
:-3 , 5 ,2, -6, -2 , 0 , 1
の分解を
:(2,3) , (1,5) ,(1,2), (2,6), (2,2) , (1,0) , (1,1)
とマトメて書きましたが、
実際には
:hugou 2,1,1,2,2,1,1
:zatai 3,5,2,6,2,0,1
のように別々の変数に分かれて保管されるのです。
もし、たとえば hugou の最初に、バグなどで「1」が加わると、
:hugou 1,2,1,1,2,2,1,1
:zatai 3,5,2,6,2,0,1,0
のようになってしまい、すべての符号が1個分、ズレてしまい、
:3, -5, 2, 6 ,-2 , 0, 1 ,0
となってしまいます。
正しい元々の数字の並びの
:-3 , 5 ,2, -6, -2 , 0 , 1
と比べると、符号がいくつも間違っており(1個目と2個目と4個目が違う)、解決策2ではエラーの波及が大きいことが分かります。
== 脚注 ==
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== 参考文献など ==
{{Reflist}}
[[カテゴリ:プログラミング]] | 2018-08-30T21:27:49Z | 2023-12-25T10:15:05Z | [
"テンプレート:コラム",
"テンプレート:Reflist"
]
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24,487 | 高知工科大対策 | 本項は、高知工科大学の入学試験対策に関する事項である。
高知工科大学は高知県香美市に拠点を置く公立大学である。経済・マネージメント学群、情報学群、環境理工学群、システム工学群を有する。
前期は環境理工学群を除き、A方式とB方式から1方式、出願時に選択する。環境理工学群はA方式のみである。A方式は5教科6~7科目、B方式は3教科3科目~4科目課される。どちらの方式もセンター試験の割合が高く、センター試験の配点割合が6割以上を占めるため、センター試験対策を念入りに行う必要がある。
経済・マネージメント学群は英語と数学、国語、日本史、世界史から1科目選択の計2科目、情報学群、環境理工学群、システム工学群は数学と物理、化学、生物から1科目選択の計2科目が課される。以下前期試験対策について説明する。
90分で短文読解集合1題、客観式解答の長文読解1題、会話文を利用した自由英作文1題、意味の近い単語選択問題1題、記述解答の長文読解と長文のテーマに沿った自由英作文問題1題が課される。短文読解、客観式解答の長文読解問題は全て選択肢の問題であり、センター試験対策で十分対応できる。単語を選ぶ問題は過去問や文法・語法問題集で対策しておくとよい。記述解答の長文読解問題は50~100字の内容説明問題が出題されるので記述、論述式の長文読解問題集で演習しておくとよい。会話文の自由英作文問題、長文のテーマを基にした自由英作文問題は、英語表現の教科書を1冊徹底して演習し、マスターすれば対応できる問題である。過去問演習の際に予備校講師や英語教師に添削してもらうと良い。
経済・マネージメント学群と情報学群、環境理工学群、システム工学群で問題が異なる。
経済・マネージメント学群 出題範囲は数IIIABで、90分で小問集合1題、大問2題の計3題が出題される。小問集合問題は最終結果のみ解答が求められ、8問出題されるためスピーディーに解く必要がある。大問2題は3~4問からなる丁寧な誘導形式で解いていく問題である。難易度は教科書章末問題レベルであるので、教科書及び教科書傍用問題集のB問題程度を徹底してマスターしたら過去問で問題演習するとよい。
情報学群、環境理工学群、システム工学群 出題範囲は数IIIIIIABで、120分で大問3題出題される。小問集合1題、大問2題の問題構成である。小問集合は8問出題され、最終結果のみ解答が求められる。数IIIの微積計算問題、極限の問題が必ず出題されるため、普段から数IIIの極限の計算問題、微積計算問題の演習量を確保しておこう。それ以外には様々な分野がら出題されるので苦手分野を作らないことが肝要である。大問2題は3問~4問からなる丁寧な誘導で解いていく問題である。難易度は基本~標準レベルであり、教科書及び教科書傍用問題集で基本をマスターし、「黄チャート」レベルの参考書で入試に必要なテーマの問題を演習してから過去問演習をするとよい。
90分で文学史・漢字・慣用句など国語常識の小問集合1題、論説文2題の計3題出題される。論説文の問題は一般的な国公立大2次試験対策の問題集などで対策しておこう。文学史・漢字・慣用句など国語常識の小問集合問題は学校で配布される文学史、漢字・慣用句の副教材で対策し、国語便覧をよく読んでおくと文学史の背景などが説明されているので活用するとよい。
90分で物理、化学、生物から1科目選択し解答する。
物理 3題出題され。力学、電磁気が必ず出題され、熱力学、波動のどちらか1分野が出題されている。答えだけでなく導き出し過程も問われる問題が出題される。計算だけでなくグラフを図示する問題が出題されるため、普段から解答の過程を意識して問題演習するとよい。過去問以外に記述模試や入試対策用の問題集を活用して対策しておくと良い。
化学 5題出題され、理論化学分野の問題、理論化学分野と無機化学分野の融合問題、無機化学の問題、有機化学分野の問題、有機化学と理論化学の分野の融合問題が主に出題される。基本から標準レベルの問題が多い。用語の解答問題、計算問題、化学反応式、構造式とともに説明する問題、現象の説明問題等、標準的な出題である。したがって学校で配布された問題集を徹底的に演習してマスターし、過去問演習で対策しておくとよい。
生物 5題出題され、空欄に入る用語を答える問題、選択問題が多いが、50字程度の論述問題、どんな実験を行えばよいか等、暗記だけでなく論述、実験に関する問題等、理解度の深さが問われる問題が出題される。難易度は基本~標準的な問題が多く出題される。したがって教科書や副教材の図表を読み込み、学校で配布された問題集を徹底的に演習してマスターし、過去問演習で対策しておくとよい。
90分で国語、数学、日本史、世界史から1科目選択し解答する。
日本史 大問は5題構成であり、リード文、年表、史料から適語選択、短文説明問題、歴史用語の説明、史料から読み解く問題が4題と、2問からなる200字論述問題が1題である。問われている問題は基本~標準的な問題ばかりであり、一般的な問題集や論述問題集などで演習しておこう。
世界史 大問は5題構成であり、リード文、年表、史料、地図から適語選択、短文説明問題、歴史用語の説明、史料から読み解く問題が4題と、2問からなる200字論述問題が1題である。日本史と同じく問われている問題は基本~標準的な問題ばかりであり、一般的な問題集や論述問題集などで演習しておこう。 | [
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| 日本の大学受験ガイド > 高知工科大対策 本項は、高知工科大学の入学試験対策に関する事項である。 高知工科大学は高知県香美市に拠点を置く公立大学である。経済・マネージメント学群、情報学群、環境理工学群、システム工学群を有する。 | {{wikipedia|高知工科大学}}
*[[日本の大学受験ガイド]] > [[高知工科大対策]]
本項は、[[w:高知工科大学|高知工科大学]]の入学試験対策に関する事項である。
高知工科大学は高知県香美市に拠点を置く公立大学である。経済・マネージメント学群、情報学群、環境理工学群、システム工学群を有する。
==センター試験==
前期は環境理工学群を除き、A方式とB方式から1方式、出願時に選択する。環境理工学群はA方式のみである。A方式は5教科6~7科目、B方式は3教科3科目~4科目課される。どちらの方式もセンター試験の割合が高く、センター試験の配点割合が6割以上を占めるため、センター試験対策を念入りに行う必要がある。
==2次試験==
経済・マネージメント学群は英語と数学、国語、日本史、世界史から1科目選択の計2科目、情報学群、環境理工学群、システム工学群は数学と物理、化学、生物から1科目選択の計2科目が課される。以下前期試験対策について説明する。
===英語===
90分で短文読解集合1題、客観式解答の長文読解1題、会話文を利用した自由英作文1題、意味の近い単語選択問題1題、記述解答の長文読解と長文のテーマに沿った自由英作文問題1題が課される。短文読解、客観式解答の長文読解問題は全て選択肢の問題であり、センター試験対策で十分対応できる。単語を選ぶ問題は過去問や文法・語法問題集で対策しておくとよい。記述解答の長文読解問題は50~100字の内容説明問題が出題されるので記述、論述式の長文読解問題集で演習しておくとよい。会話文の自由英作文問題、長文のテーマを基にした自由英作文問題は、英語表現の教科書を1冊徹底して演習し、マスターすれば対応できる問題である。過去問演習の際に予備校講師や英語教師に添削してもらうと良い。
===数学===
経済・マネージメント学群と情報学群、環境理工学群、システム工学群で問題が異なる。
'''経済・マネージメント学群'''<br />
出題範囲は数ⅠⅡABで、90分で小問集合1題、大問2題の計3題が出題される。小問集合問題は最終結果のみ解答が求められ、8問出題されるためスピーディーに解く必要がある。大問2題は3~4問からなる丁寧な誘導形式で解いていく問題である。難易度は教科書章末問題レベルであるので、教科書及び教科書傍用問題集のB問題程度を徹底してマスターしたら過去問で問題演習するとよい。
'''情報学群、環境理工学群、システム工学群'''<br />
出題範囲は数ⅠⅡⅢABで、120分で大問3題出題される。小問集合1題、大問2題の問題構成である。小問集合は8問出題され、最終結果のみ解答が求められる。数Ⅲの微積計算問題、極限の問題が必ず出題されるため、普段から数Ⅲの極限の計算問題、微積計算問題の演習量を確保しておこう。それ以外には様々な分野がら出題されるので苦手分野を作らないことが肝要である。大問2題は3問~4問からなる丁寧な誘導で解いていく問題である。難易度は基本~標準レベルであり、教科書及び教科書傍用問題集で基本をマスターし、「黄チャート」レベルの参考書で入試に必要なテーマの問題を演習してから過去問演習をするとよい。
===国語===
90分で文学史・漢字・慣用句など国語常識の小問集合1題、論説文2題の計3題出題される。論説文の問題は一般的な国公立大2次試験対策の問題集などで対策しておこう。文学史・漢字・慣用句など国語常識の小問集合問題は学校で配布される文学史、漢字・慣用句の副教材で対策し、国語便覧をよく読んでおくと文学史の背景などが説明されているので活用するとよい。
===理科===
90分で物理、化学、生物から1科目選択し解答する。
'''物理'''<br />
3題出題され。力学、電磁気が必ず出題され、熱力学、波動のどちらか1分野が出題されている。答えだけでなく導き出し過程も問われる問題が出題される。計算だけでなくグラフを図示する問題が出題されるため、普段から解答の過程を意識して問題演習するとよい。過去問以外に記述模試や入試対策用の問題集を活用して対策しておくと良い。
'''化学'''<br />
5題出題され、理論化学分野の問題、理論化学分野と無機化学分野の融合問題、無機化学の問題、有機化学分野の問題、有機化学と理論化学の分野の融合問題が主に出題される。基本から標準レベルの問題が多い。用語の解答問題、計算問題、化学反応式、構造式とともに説明する問題、現象の説明問題等、標準的な出題である。したがって学校で配布された問題集を徹底的に演習してマスターし、過去問演習で対策しておくとよい。
'''生物'''<br />
5題出題され、空欄に入る用語を答える問題、選択問題が多いが、50字程度の論述問題、どんな実験を行えばよいか等、暗記だけでなく論述、実験に関する問題等、理解度の深さが問われる問題が出題される。難易度は基本~標準的な問題が多く出題される。したがって教科書や副教材の図表を読み込み、学校で配布された問題集を徹底的に演習してマスターし、過去問演習で対策しておくとよい。
===地歴公民===
90分で国語、数学、日本史、世界史から1科目選択し解答する。
'''日本史'''<br />
大問は5題構成であり、リード文、年表、史料から適語選択、短文説明問題、歴史用語の説明、史料から読み解く問題が4題と、2問からなる200字論述問題が1題である。問われている問題は基本~標準的な問題ばかりであり、一般的な問題集や論述問題集などで演習しておこう。
'''世界史'''<br />
大問は5題構成であり、リード文、年表、史料、地図から適語選択、短文説明問題、歴史用語の説明、史料から読み解く問題が4題と、2問からなる200字論述問題が1題である。日本史と同じく問われている問題は基本~標準的な問題ばかりであり、一般的な問題集や論述問題集などで演習しておこう。
[[Category:大学入試|こうちこうかだいたいさく]] | null | 2019-10-04T07:15:03Z | [
"テンプレート:Wikipedia"
]
| https://ja.wikibooks.org/wiki/%E9%AB%98%E7%9F%A5%E5%B7%A5%E7%A7%91%E5%A4%A7%E5%AF%BE%E7%AD%96 |
24,519 | 公認会計士試験/平成30年第I回短答式/財務会計論/問題2 | 討議資料「財務会計の概念フレームワーク」に関する次の記述のうち,正しいものの組合せとして最も適切な番号を一つ選びなさい。(8点)
ア.会計基準の設定局面において,新たな基準に基づく会計情報の情報価値は不確かな場合も多い。そのケースでは,情報の理解可能性の存在が,情報価値を期待させる。そのような期待に基づいて,情報価値の存否について事前に確たることが言えない場合であっても,投資家からの要求に応えるために会計基準の設定・改廃が行われることもある。
イ.会計基準は少数の基礎概念に支えられた一つの体系をなしており,意思決定との関連性がその体系の目標仮説となっている。一般に,ある個別の会計基準が,会計基準全体を支える基本的な考え方と矛盾しないとき,その個別基準は内的整合性を有していると言う。
ウ.比較可能性が確保されるためには,財務諸表の報告様式の統一はもちろん,企業において同一の会計方法が継続的に(首尾一貫して)適用されなければならない。しかし,事実の差異が会計情報の利用者の比較にとって必要であり,それを知ることが利用者の意思決定に役立つのであれば,その差異に応じて,異なる処理(方法)が必要とされる。
エ.会計情報の作成者である経営者の利害は,投資家の利害と必ずしも一致していない。そのため,経営者の自己申告による情報を投資家が全面的に信頼するのは難しい。利害の不一致に起因する弊害を小さく抑えるためには,一部の関係者の利害だけを偏重することのない財務報告が求められる。
6
ア.会計基準の設定局面において,新たな基準に基づく会計情報の情報価値は不確かな場合も多い。そのケースでは,情報の理解可能性情報ニーズの存在が,情報価値を期待させる。そのような期待に基づいて,情報価値の存否について事前に確たることが言えない場合であっても,投資家からの要求に応えるために会計基準の設定・改廃が行われることもある。概念フレームワーク2章4項
イ.会計基準は少数の基礎概念に支えられた一つの体系をなしており,意思決定との関連性意思決定有用性がその体系の目標仮説となっている。一般に,ある個別の会計基準が,会計基準全体を支える基本的な考え方と矛盾しないとき,その個別基準は内的整合性を有していると言う。概念フレームワーク2章9項
ウ.比較可能性が確保されるためには,財務諸表の報告様式の統一はもちろん,企業において同一の会計方法が継続的に(首尾一貫して)適用されなければならない。しかし,事実の差異が会計情報の利用者の比較にとって必要であり,それを知ることが利用者の意思決定に役立つのであれば,その差異に応じて,異なる処理(方法)が必要とされる。概念フレームワーク2章11項12項
エ.会計情報の作成者である経営者の利害は,投資家の利害と必ずしも一致していない。そのため,経営者の自己申告による情報を投資家が全面的に信頼するのは難しい。利害の不一致に起因する弊害を小さく抑えるためには,一部の関係者の利害だけを偏重することのない財務報告が求められる。概念フレームワーク2章7項 | [
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| null | : [[../問題1|←前の問題]]
: [[../問題3|次の問題→]]
== 問題 ==
討議資料「財務会計の概念フレームワーク」に関する次の記述のうち,正しいものの組合せとして最も適切な番号を一つ選びなさい。(8点)
<div style="text-indent:-1em;margin-left:1em;">
ア.会計基準の設定局面において,新たな基準に基づく会計情報の情報価値は不確かな場合も多い。そのケースでは,情報の理解可能性の存在が,情報価値を期待させる。そのような期待に基づいて,情報価値の存否について事前に確たることが言えない場合であっても,投資家からの要求に応えるために会計基準の設定・改廃が行われることもある。
イ.会計基準は少数の基礎概念に支えられた一つの体系をなしており,意思決定との関連性がその体系の目標仮説となっている。一般に,ある個別の会計基準が,会計基準全体を支える基本的な考え方と矛盾しないとき,その個別基準は内的整合性を有していると言う。
ウ.比較可能性が確保されるためには,財務諸表の報告様式の統一はもちろん,企業において同一の会計方法が継続的に(首尾一貫して)適用されなければならない。しかし,事実の差異が会計情報の利用者の比較にとって必要であり,それを知ることが利用者の意思決定に役立つのであれば,その差異に応じて,異なる処理(方法)が必要とされる。
エ.会計情報の作成者である経営者の利害は,投資家の利害と必ずしも一致していない。そのため,経営者の自己申告による情報を投資家が全面的に信頼するのは難しい。利害の不一致に起因する弊害を小さく抑えるためには,一部の関係者の利害だけを偏重することのない財務報告が求められる。
</div>
<div style="column-count:6;">
:1. アイ
:2. アウ
:3. アエ
:4. イウ
:5. イエ
:6. ウエ
</div>
== 正解 ==
6
== 解説 ==
<div style="text-indent:-1em;margin-left:1em;">
ア.会計基準の設定局面において,新たな基準に基づく会計情報の情報価値は不確かな場合も多い。そのケースでは,<del>情報の理解可能性</del><ins>情報ニーズ</ins>の存在が,情報価値を期待させる。そのような期待に基づいて,情報価値の存否について事前に確たることが言えない場合であっても,投資家からの要求に応えるために会計基準の設定・改廃が行われることもある。<ins>概念フレームワーク2章4項</ins>
イ.会計基準は少数の基礎概念に支えられた一つの体系をなしており,<del>意思決定との関連性</del><ins>意思決定有用性</ins>がその体系の目標仮説となっている。一般に,ある個別の会計基準が,会計基準全体を支える基本的な考え方と矛盾しないとき,その個別基準は内的整合性を有していると言う。<ins>概念フレームワーク2章9項</ins>
ウ.比較可能性が確保されるためには,財務諸表の報告様式の統一はもちろん,企業において同一の会計方法が継続的に(首尾一貫して)適用されなければならない。しかし,事実の差異が会計情報の利用者の比較にとって必要であり,それを知ることが利用者の意思決定に役立つのであれば,その差異に応じて,異なる処理(方法)が必要とされる。<ins>概念フレームワーク2章11項12項</ins>
エ.会計情報の作成者である経営者の利害は,投資家の利害と必ずしも一致していない。そのため,経営者の自己申告による情報を投資家が全面的に信頼するのは難しい。利害の不一致に起因する弊害を小さく抑えるためには,一部の関係者の利害だけを偏重することのない財務報告が求められる。<ins>概念フレームワーク2章7項</ins>
</div>
== 参照法令等 ==
* [https://www.asb.or.jp/jp/wp-content/uploads/begriff_20061228.pdf#page=15 討議資料「財務会計の概念フレームワーク」]
: [[../問題1|←前の問題]]
: [[../問題3|次の問題→]]
[[カテゴリ:財務会計]] | null | 2022-11-28T16:38:18Z | []
| https://ja.wikibooks.org/wiki/%E5%85%AC%E8%AA%8D%E4%BC%9A%E8%A8%88%E5%A3%AB%E8%A9%A6%E9%A8%93/%E5%B9%B3%E6%88%9030%E5%B9%B4%E7%AC%ACI%E5%9B%9E%E7%9F%AD%E7%AD%94%E5%BC%8F/%E8%B2%A1%E5%8B%99%E4%BC%9A%E8%A8%88%E8%AB%96/%E5%95%8F%E9%A1%8C2 |
24,525 | C言語/ファイル入出力 | まず、ファイルを作成したり読書きしたりするための関数を使うには、 ヘッダー<stdio.h>をインクルードする。
Visual Cでは、標準設定ではfopen関数などの標準入出力関数の使用が禁止されており、そのまま上記のコードをコンパイルすると、
のような警告を表示し、コンパイルが完了しない。
このような禁止されている関数の使用を許可するために、#pragma warning(disable:4996)を加え、コンパイラの警告を無効化する(メッセージ通り fopen を fopen_s で置換えても良いが、fopen_s を用意している処理系は稀で、GCCもclangもサポートしておらず、環境を選ばずコンパイルするためには #ifdef _MSC_VER などでプリプロセッサーで条件コンパイルする方法があるが、コードの見通しが悪くなる上バッファサイズの計算のケアなどを見落としがちなので、警告を無効化することを選択した)。
#pragma warning(disable:4996) が、fopenなどの関数の使用を許可するプラグマです。これは、stdafx.h など一連のWindows用ヘッダのインクルードの後に指令する必要がある。
fopen は、モードを "w" で開いた場合、もし対象のファイルが存在しないときは、その名のファイルを新規作成する。
なお、fopenのモードは、
がある。
なお、一般にファイル操作のプログラミングでは、ファイルのオープンに失敗した場合を想定して、そのような処理を書く必要がある。
fclose は、ファイルを閉じる関数であり、書き込みモードであればバッファキャッシュをクリアしてから、読み出しモードであればその場でシステムにファイルをディスクリプターを返却(closeシステムコール)する。
読者は、ソースファイルのあるフォルダを確認してみて、"test1.txt"というファイルが作られている事を確認しよう。
ファイルを作成したりオープンしただけでは、まだ何も読み込まれないし、何も書き込まれない。
ファイルに何かデータを書き込むには、 fprintf という関数を使う。
fprintf の冒頭のfは、ファイル関係であることをあらわしている。最後のfは、もともとC言語には「printf」という関数があり、(最後のfは)Format の f。
さて、windowsの設定では、ある設定の場合では fopen と同様に fprintf が初期状態では使えない場合があるので、
で指令しておく必要の生じる場合もある。
インクルードすべきヘッダについては、標準出力のヘッダにあるので、
でインクルードすれば充分です。
さて fprintf で書き込むデータの形式は、変数でもいいし、書き込みたいテキストを直接指定することもできる。
また、もし 変数を書き込む場合なら、変数の型は、文字列型でもいいし、数値型でもいい。
ただし、書き込まれた先のテキストファイルでは、書かれたテキストの由来が何かは、もはや不明になる。つまり、書きこまれた先のテキストファイルでは、書かれた文字列は、すべて単なるテキスト文字の集まりとして扱われる。
さて、たとえばファイルに「test」とだけ書き込みたいなら、 fprintf(fp, "test \n"); というふうに入力すればいい。
何か変数をファイルに書き込みたい場合、たとえば整数型の変数だとして、変数名が「var」なら、それを書き込むには、あらかじめソースコードで
のように、どこかで宣言しておく。
そのあと、プログラム中にて変数「var」に目的の値を入力させるようにしておく。
そのあと、プログラムがコード内でのファイル書き込み実行場所にて
のようなコードを実行するように、ソースコードを記述すればいい。
ファイル書き込むのできる変数の型は、数値型も文字列型でも可能です。
次のコード例として、文字列型の変数をファイルに書き込むコード例を示す。
このようにして、ファイルへの出力が出来る。
次に、ファイルからの読み取りをする方法を学ぼう。
ファイルからの読み取りには、まずfopenの際にモードを"r"にする。(英語で、本や文章などを読むことを read (リード)という。その read リードの頭文字 r のこと。)
読み取りの際の関数には fgets や fscanf を使えばいい。
fscanf や fgetsは、ファイルから1行ずつ、読み取ることができる。
なお、 fscanf や fgets の違いは、
です。fscanfのほうが、空白文字(半角スペース)があると読み込みを中断します。 くわしくは、あとの章で説明します。
とりあえず、ファイル読み取りの具体例を調べていきましょう。
あらかじめ、テキストファイル test1.txt に、なんらかの文字列を書いておこう。
一例として、
と書いたとする。
コード例を示す。
このように、最初の1行(aaaaaaaaaaa)だけが読み取りされている。
2行目以降も読み取りたい場合には、その行数だけ、下記のように繰り返しfscanfを使う必要がある。
fscanf や fgets の違いは、大まかには
です。fscanfのほうが、空白文字(半角スペース)があると読み込みを中断します。fgetsのほうが、改行を読み込みます。
論より証拠で、実際にコードを実行して比べてみましょう。
まず、読み込み対象のテキストファイル test2.txtとして、
のように、空白文字(半角スペース)を入れてみましょう。rt と aaaaaaaaaaa のあいだに半角スペースが一文字あります。
そしてコードは、(Fedora30 の gccコンパイルで確認)
fgetsのほうは
このコードでは、printf の%sの後ろには改行文字(\n)をつけていません。なぜなら、fgets ではファイル読み込み時に改行文字も一緒に読み込むからです。
です。
いっぽう、fscanf のほうは
です。
このように、fcanf のほうでは、空白文字があるので、最初の1回目のfscanfでは、「rt」までしか読み込みません。
しかも改行を読み込まないので、 「rt」と「2行目に書いてある文字列」が続いて
と表示されてしまっています。
そして、2回目の fscanf で「aaaaaaaaaaa」を読み込んでいます。
CSVファイルという、カンマで区切った形式のファイルがある。
たとえば、 次のようなデータです。
ファイル名「sample.csv」
なお、表計算ソフト( libreOffice の Calc など)で、表計算ファイルをCSVファイルに変換することができる。 表計算ソフトのそれぞれのセルにデータを入力したあと、表計算ファイルを「名前をつけて保存」するときに、ファイル形式を選択する欄があるので、その欄でCSV形式を選べばいい。
さて、CSVファイルをカンマで区切って一つずつ読み取りたい場合、
fscanf関数では %[^ ]という関数を使う。%[^ ]は、そのカッコの中にある文字をみつけるまで文字を読み込む。また、そのカッコ内の文字は保持しない。
たとえば %[^,]なら、カンマ記号(,)の手前まで文字を読み込み、カンマ記号じたいは除いて読み込む。
なので、%[^,]なら、結果的にカンマ文字を区切り文字として扱うことになる。
CSV読み取りファイルのプログラム例は、たとえば次のようなファイルになる。
(Fedora30 で確認)
実行結果 (Fedora30 で確認)
さきほどの章では、説明の都合上、fscanfを使ったが、じつは、fscanfでCSVファイルを作るのは、あまり実用的ではない。
なぜなら、まず空白文字(半角スペース)で読み込みを停止してしまうので、半角スペースを含む文字列の読み込みが出来無いからです。
なので、CSVの読み取りファイルをC言語で作る場合、fgets関数を作るほうが良い。
しかし、fgets には、%[^,] のようなカンマで読み込み中止関数をする都合いい機能が無い。
なので、いったんfgetsで、その行の全体を読み込んだ後に、 strtok という別の関数を使うのが良い。
strtok 関数とは、指定した文字列の直前までを読み込み機能のある関数なので、この関数でカンマ文字まで読み込むことを関数すればいい。 strtok では、指定した文字列じたいは読み込まない。
なお、 strtok 関数を使うためには #include <string.h> が必要です。
書式は
のようになる。
CSVファイルを読み込ませたいなら、区切り文字にしたいのはカンマ記号なので、
となる。
なお、 strtok の第一引数を「NULL」にすると、前の文字の続きから読み込む。つまり
にすると、前の文字の続きから次ぎの区切り文字まで(その行に残りの区切り文字がない場合には行末まで)を読み込む。
コードは下記のようになる。
(Fedora30 で確認)
上記のように、たしかに、読み取った文字列を分解している。
さきほどの例では、説明の単純化のため、たったの各行あたり、要素数はたった2個だった。
しかし、実際の場合は、もっと要素数が多い。
たとえば、
のように、各行あたり4個のデータを読み込む場合を考えよう。
前の節では、単純化のために配列や構造体やfor文は用いなかったが、実務では用いたほうがイイだろう。
各行の最初の項目だけ strncpy(row[0].str, strtok(buffer1, ","), 150); のようにstrtokの第一引数を指定する必要がある。
いっぽう、strncpy(row[temp].str, strtok(NULL, ","), 150); のようにstrtokの第一引数がnullなら、strtokは以前の区切り文字から次の区切り文字までを抜き取るだけなので、2番目の項目からはfor文で使いまわしができる。
fgets関数やstrtok関数などで読み取った文字列をもとに、if文などの条件分岐関数と組み合わせる際、標準C言語のif文では、文字列にはイコール記号== など算術的な記号での比較ができません。
これはつまり、Cでは、文字列の比較にイコール記号が使えないという事です。
標準C言語では、文字列どうしの比較をする際、 strcmp という関数を使います。
strcmpについて詳しくは『C言語/制御文』をお読みください。
一例として、Fedora28でファイル入出力を実行する場合のコードと実行結果の例を下記にしめします。
テキストファイルの文字コードはUTF-8です。Fedoraの標準の文字コードのままです。テキストエディタにはGedit(ジーエディット)を用いている。GeditはFedora28で標準に付属してくるテキストエディタです。
Fedora28の場合、読み取り対象のテキストファイルの文字コードを何に変えても、コマンドプロンプトで正しく表示される。
なお、Geditの変換可能な文字コードの一覧に「日本語 (CP932)」 というのがあるが、これがマイクロソフト Shift-JIS のことである(つまり マイクロソフト自称「ANSI」)。もし、マイクロソフト自称ANSIとLINUX用テキストファイルを共通化したい場合、 CP932 を選べばいい。
とはいえ、最近のWindows用テキストエディタでは(Linuxでは標準的に採用されている)UTF-8も表示できるのが一般的なので、特に文字化けなどの起きないかぎり、むりに文字コードを変える必要は無い。
C言語のプログラムで、バイナリーファイルの読み書きをしたい場合、
fopen の引数で「r」(読み込み)とか「w」(書き込み)とか編集モードの指定がありますが、それに「b」をつけます。つまり「rb」や「wb」などの引数になります。
また、書き込む関数には fwrite を使う必要があります。 いっぽう、 fprintf では、テキストファイルに自動的に変換してしまいます。
たとえば下記のようになります。
書き込みできたか否かを確認するには、バイナリエディタ(あるいは「16進エディタ」などと言われる)で確認してください。
0x42 などの冒頭の 0x は16進数であることを表す。バイナリーファイルの読み書きに限らず、一般にC言語で16進数をあつかう場合は、16進数である数に接頭辞 0x をつけて区別する。数値 0~9 までは0x をつけなくても十進数と同じなので省略できる。
バイナリエディタで読み込み
と書き込まれていることが確認できれば成功です。
バイナリファイルの読み取りには fread を使うことがある。
いきなりバイナリファイルを読み取るのは初心者には難しいので、まずテキストファイルを読み取る実験をしてみよう。
以前に作った test1.txt ファイルを読み取るとしよう。
test1.txt
コード例
では、バイナリーデーターを読み取ろう。
コード例
| [
{
"paragraph_id": 0,
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"text": "まず、ファイルを作成したり読書きしたりするための関数を使うには、 ヘッダー<stdio.h>をインクルードする。",
"title": "ファイルのオープン"
},
{
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"tag": "p",
"text": "Visual Cでは、標準設定ではfopen関数などの標準入出力関数の使用が禁止されており、そのまま上記のコードをコンパイルすると、",
"title": "ファイルのオープン"
},
{
"paragraph_id": 2,
"tag": "p",
"text": "のような警告を表示し、コンパイルが完了しない。",
"title": "ファイルのオープン"
},
{
"paragraph_id": 3,
"tag": "p",
"text": "このような禁止されている関数の使用を許可するために、#pragma warning(disable:4996)を加え、コンパイラの警告を無効化する(メッセージ通り fopen を fopen_s で置換えても良いが、fopen_s を用意している処理系は稀で、GCCもclangもサポートしておらず、環境を選ばずコンパイルするためには #ifdef _MSC_VER などでプリプロセッサーで条件コンパイルする方法があるが、コードの見通しが悪くなる上バッファサイズの計算のケアなどを見落としがちなので、警告を無効化することを選択した)。",
"title": "ファイルのオープン"
},
{
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"tag": "p",
"text": "#pragma warning(disable:4996) が、fopenなどの関数の使用を許可するプラグマです。これは、stdafx.h など一連のWindows用ヘッダのインクルードの後に指令する必要がある。",
"title": "ファイルのオープン"
},
{
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"tag": "p",
"text": "fopen は、モードを \"w\" で開いた場合、もし対象のファイルが存在しないときは、その名のファイルを新規作成する。",
"title": "ファイルのオープン"
},
{
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"text": "なお、fopenのモードは、",
"title": "ファイルのオープン"
},
{
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"tag": "p",
"text": "がある。",
"title": "ファイルのオープン"
},
{
"paragraph_id": 8,
"tag": "p",
"text": "なお、一般にファイル操作のプログラミングでは、ファイルのオープンに失敗した場合を想定して、そのような処理を書く必要がある。",
"title": "ファイルのオープン"
},
{
"paragraph_id": 9,
"tag": "p",
"text": "fclose は、ファイルを閉じる関数であり、書き込みモードであればバッファキャッシュをクリアしてから、読み出しモードであればその場でシステムにファイルをディスクリプターを返却(closeシステムコール)する。",
"title": "ファイルのオープン"
},
{
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"text": "読者は、ソースファイルのあるフォルダを確認してみて、\"test1.txt\"というファイルが作られている事を確認しよう。",
"title": "ファイルのオープン"
},
{
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"text": "ファイルを作成したりオープンしただけでは、まだ何も読み込まれないし、何も書き込まれない。",
"title": "読み書き"
},
{
"paragraph_id": 12,
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"text": "ファイルに何かデータを書き込むには、 fprintf という関数を使う。",
"title": "読み書き"
},
{
"paragraph_id": 13,
"tag": "p",
"text": "fprintf の冒頭のfは、ファイル関係であることをあらわしている。最後のfは、もともとC言語には「printf」という関数があり、(最後のfは)Format の f。",
"title": "読み書き"
},
{
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"tag": "p",
"text": "さて、windowsの設定では、ある設定の場合では fopen と同様に fprintf が初期状態では使えない場合があるので、",
"title": "読み書き"
},
{
"paragraph_id": 15,
"tag": "p",
"text": "で指令しておく必要の生じる場合もある。",
"title": "読み書き"
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{
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"text": "インクルードすべきヘッダについては、標準出力のヘッダにあるので、",
"title": "読み書き"
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{
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"text": "でインクルードすれば充分です。",
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},
{
"paragraph_id": 18,
"tag": "p",
"text": "さて fprintf で書き込むデータの形式は、変数でもいいし、書き込みたいテキストを直接指定することもできる。",
"title": "読み書き"
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"paragraph_id": 19,
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"text": "また、もし 変数を書き込む場合なら、変数の型は、文字列型でもいいし、数値型でもいい。",
"title": "読み書き"
},
{
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"tag": "p",
"text": "ただし、書き込まれた先のテキストファイルでは、書かれたテキストの由来が何かは、もはや不明になる。つまり、書きこまれた先のテキストファイルでは、書かれた文字列は、すべて単なるテキスト文字の集まりとして扱われる。",
"title": "読み書き"
},
{
"paragraph_id": 21,
"tag": "p",
"text": "さて、たとえばファイルに「test」とだけ書き込みたいなら、 fprintf(fp, \"test \\n\"); というふうに入力すればいい。",
"title": "読み書き"
},
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"text": "何か変数をファイルに書き込みたい場合、たとえば整数型の変数だとして、変数名が「var」なら、それを書き込むには、あらかじめソースコードで",
"title": "読み書き"
},
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"text": "のように、どこかで宣言しておく。",
"title": "読み書き"
},
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"text": "そのあと、プログラム中にて変数「var」に目的の値を入力させるようにしておく。",
"title": "読み書き"
},
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"tag": "p",
"text": "そのあと、プログラムがコード内でのファイル書き込み実行場所にて",
"title": "読み書き"
},
{
"paragraph_id": 26,
"tag": "p",
"text": "のようなコードを実行するように、ソースコードを記述すればいい。",
"title": "読み書き"
},
{
"paragraph_id": 27,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "読み書き"
},
{
"paragraph_id": 28,
"tag": "p",
"text": "ファイル書き込むのできる変数の型は、数値型も文字列型でも可能です。",
"title": "読み書き"
},
{
"paragraph_id": 29,
"tag": "p",
"text": "次のコード例として、文字列型の変数をファイルに書き込むコード例を示す。",
"title": "読み書き"
},
{
"paragraph_id": 30,
"tag": "p",
"text": "このようにして、ファイルへの出力が出来る。",
"title": "読み書き"
},
{
"paragraph_id": 31,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "読み書き"
},
{
"paragraph_id": 32,
"tag": "p",
"text": "次に、ファイルからの読み取りをする方法を学ぼう。",
"title": "読み書き"
},
{
"paragraph_id": 33,
"tag": "p",
"text": "ファイルからの読み取りには、まずfopenの際にモードを\"r\"にする。(英語で、本や文章などを読むことを read (リード)という。その read リードの頭文字 r のこと。)",
"title": "読み書き"
},
{
"paragraph_id": 34,
"tag": "p",
"text": "読み取りの際の関数には fgets や fscanf を使えばいい。",
"title": "読み書き"
},
{
"paragraph_id": 35,
"tag": "p",
"text": "fscanf や fgetsは、ファイルから1行ずつ、読み取ることができる。",
"title": "読み書き"
},
{
"paragraph_id": 36,
"tag": "p",
"text": "なお、 fscanf や fgets の違いは、",
"title": "読み書き"
},
{
"paragraph_id": 37,
"tag": "p",
"text": "です。fscanfのほうが、空白文字(半角スペース)があると読み込みを中断します。 くわしくは、あとの章で説明します。",
"title": "読み書き"
},
{
"paragraph_id": 38,
"tag": "p",
"text": "とりあえず、ファイル読み取りの具体例を調べていきましょう。",
"title": "読み書き"
},
{
"paragraph_id": 39,
"tag": "p",
"text": "あらかじめ、テキストファイル test1.txt に、なんらかの文字列を書いておこう。",
"title": "読み書き"
},
{
"paragraph_id": 40,
"tag": "p",
"text": "一例として、",
"title": "読み書き"
},
{
"paragraph_id": 41,
"tag": "p",
"text": "と書いたとする。",
"title": "読み書き"
},
{
"paragraph_id": 42,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "読み書き"
},
{
"paragraph_id": 43,
"tag": "p",
"text": "コード例を示す。",
"title": "読み書き"
},
{
"paragraph_id": 44,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "読み書き"
},
{
"paragraph_id": 45,
"tag": "p",
"text": "このように、最初の1行(aaaaaaaaaaa)だけが読み取りされている。",
"title": "読み書き"
},
{
"paragraph_id": 46,
"tag": "p",
"text": "2行目以降も読み取りたい場合には、その行数だけ、下記のように繰り返しfscanfを使う必要がある。",
"title": "読み書き"
},
{
"paragraph_id": 47,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "読み書き"
},
{
"paragraph_id": 48,
"tag": "p",
"text": "fscanf や fgets の違いは、大まかには",
"title": "読み書き"
},
{
"paragraph_id": 49,
"tag": "p",
"text": "です。fscanfのほうが、空白文字(半角スペース)があると読み込みを中断します。fgetsのほうが、改行を読み込みます。",
"title": "読み書き"
},
{
"paragraph_id": 50,
"tag": "p",
"text": "論より証拠で、実際にコードを実行して比べてみましょう。",
"title": "読み書き"
},
{
"paragraph_id": 51,
"tag": "p",
"text": "まず、読み込み対象のテキストファイル test2.txtとして、",
"title": "読み書き"
},
{
"paragraph_id": 52,
"tag": "p",
"text": "のように、空白文字(半角スペース)を入れてみましょう。rt と aaaaaaaaaaa のあいだに半角スペースが一文字あります。",
"title": "読み書き"
},
{
"paragraph_id": 53,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "読み書き"
},
{
"paragraph_id": 54,
"tag": "p",
"text": "そしてコードは、(Fedora30 の gccコンパイルで確認)",
"title": "読み書き"
},
{
"paragraph_id": 55,
"tag": "p",
"text": "fgetsのほうは",
"title": "読み書き"
},
{
"paragraph_id": 56,
"tag": "p",
"text": "このコードでは、printf の%sの後ろには改行文字(\\n)をつけていません。なぜなら、fgets ではファイル読み込み時に改行文字も一緒に読み込むからです。",
"title": "読み書き"
},
{
"paragraph_id": 57,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "読み書き"
},
{
"paragraph_id": 58,
"tag": "p",
"text": "です。",
"title": "読み書き"
},
{
"paragraph_id": 59,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "読み書き"
},
{
"paragraph_id": 60,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "読み書き"
},
{
"paragraph_id": 61,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "読み書き"
},
{
"paragraph_id": 62,
"tag": "p",
"text": "いっぽう、fscanf のほうは",
"title": "読み書き"
},
{
"paragraph_id": 63,
"tag": "p",
"text": "です。",
"title": "読み書き"
},
{
"paragraph_id": 64,
"tag": "p",
"text": "このように、fcanf のほうでは、空白文字があるので、最初の1回目のfscanfでは、「rt」までしか読み込みません。",
"title": "読み書き"
},
{
"paragraph_id": 65,
"tag": "p",
"text": "しかも改行を読み込まないので、 「rt」と「2行目に書いてある文字列」が続いて",
"title": "読み書き"
},
{
"paragraph_id": 66,
"tag": "p",
"text": "と表示されてしまっています。",
"title": "読み書き"
},
{
"paragraph_id": 67,
"tag": "p",
"text": "そして、2回目の fscanf で「aaaaaaaaaaa」を読み込んでいます。",
"title": "読み書き"
},
{
"paragraph_id": 68,
"tag": "p",
"text": "CSVファイルという、カンマで区切った形式のファイルがある。",
"title": "CSVファイルの入出力"
},
{
"paragraph_id": 69,
"tag": "p",
"text": "たとえば、 次のようなデータです。",
"title": "CSVファイルの入出力"
},
{
"paragraph_id": 70,
"tag": "p",
"text": "ファイル名「sample.csv」",
"title": "CSVファイルの入出力"
},
{
"paragraph_id": 71,
"tag": "p",
"text": "なお、表計算ソフト( libreOffice の Calc など)で、表計算ファイルをCSVファイルに変換することができる。 表計算ソフトのそれぞれのセルにデータを入力したあと、表計算ファイルを「名前をつけて保存」するときに、ファイル形式を選択する欄があるので、その欄でCSV形式を選べばいい。",
"title": "CSVファイルの入出力"
},
{
"paragraph_id": 72,
"tag": "p",
"text": "さて、CSVファイルをカンマで区切って一つずつ読み取りたい場合、",
"title": "CSVファイルの入出力"
},
{
"paragraph_id": 73,
"tag": "p",
"text": "fscanf関数では %[^ ]という関数を使う。%[^ ]は、そのカッコの中にある文字をみつけるまで文字を読み込む。また、そのカッコ内の文字は保持しない。",
"title": "CSVファイルの入出力"
},
{
"paragraph_id": 74,
"tag": "p",
"text": "たとえば %[^,]なら、カンマ記号(,)の手前まで文字を読み込み、カンマ記号じたいは除いて読み込む。",
"title": "CSVファイルの入出力"
},
{
"paragraph_id": 75,
"tag": "p",
"text": "なので、%[^,]なら、結果的にカンマ文字を区切り文字として扱うことになる。",
"title": "CSVファイルの入出力"
},
{
"paragraph_id": 76,
"tag": "p",
"text": "CSV読み取りファイルのプログラム例は、たとえば次のようなファイルになる。",
"title": "CSVファイルの入出力"
},
{
"paragraph_id": 77,
"tag": "p",
"text": "(Fedora30 で確認)",
"title": "CSVファイルの入出力"
},
{
"paragraph_id": 78,
"tag": "p",
"text": "実行結果 (Fedora30 で確認)",
"title": "CSVファイルの入出力"
},
{
"paragraph_id": 79,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "CSVファイルの入出力"
},
{
"paragraph_id": 80,
"tag": "p",
"text": "さきほどの章では、説明の都合上、fscanfを使ったが、じつは、fscanfでCSVファイルを作るのは、あまり実用的ではない。",
"title": "CSVファイルの入出力"
},
{
"paragraph_id": 81,
"tag": "p",
"text": "なぜなら、まず空白文字(半角スペース)で読み込みを停止してしまうので、半角スペースを含む文字列の読み込みが出来無いからです。",
"title": "CSVファイルの入出力"
},
{
"paragraph_id": 82,
"tag": "p",
"text": "なので、CSVの読み取りファイルをC言語で作る場合、fgets関数を作るほうが良い。",
"title": "CSVファイルの入出力"
},
{
"paragraph_id": 83,
"tag": "p",
"text": "しかし、fgets には、%[^,] のようなカンマで読み込み中止関数をする都合いい機能が無い。",
"title": "CSVファイルの入出力"
},
{
"paragraph_id": 84,
"tag": "p",
"text": "なので、いったんfgetsで、その行の全体を読み込んだ後に、 strtok という別の関数を使うのが良い。",
"title": "CSVファイルの入出力"
},
{
"paragraph_id": 85,
"tag": "p",
"text": "strtok 関数とは、指定した文字列の直前までを読み込み機能のある関数なので、この関数でカンマ文字まで読み込むことを関数すればいい。 strtok では、指定した文字列じたいは読み込まない。",
"title": "CSVファイルの入出力"
},
{
"paragraph_id": 86,
"tag": "p",
"text": "なお、 strtok 関数を使うためには #include <string.h> が必要です。",
"title": "CSVファイルの入出力"
},
{
"paragraph_id": 87,
"tag": "p",
"text": "書式は",
"title": "CSVファイルの入出力"
},
{
"paragraph_id": 88,
"tag": "p",
"text": "のようになる。",
"title": "CSVファイルの入出力"
},
{
"paragraph_id": 89,
"tag": "p",
"text": "CSVファイルを読み込ませたいなら、区切り文字にしたいのはカンマ記号なので、",
"title": "CSVファイルの入出力"
},
{
"paragraph_id": 90,
"tag": "p",
"text": "となる。",
"title": "CSVファイルの入出力"
},
{
"paragraph_id": 91,
"tag": "p",
"text": "なお、 strtok の第一引数を「NULL」にすると、前の文字の続きから読み込む。つまり",
"title": "CSVファイルの入出力"
},
{
"paragraph_id": 92,
"tag": "p",
"text": "にすると、前の文字の続きから次ぎの区切り文字まで(その行に残りの区切り文字がない場合には行末まで)を読み込む。",
"title": "CSVファイルの入出力"
},
{
"paragraph_id": 93,
"tag": "p",
"text": "コードは下記のようになる。",
"title": "CSVファイルの入出力"
},
{
"paragraph_id": 94,
"tag": "p",
"text": "(Fedora30 で確認)",
"title": "CSVファイルの入出力"
},
{
"paragraph_id": 95,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "CSVファイルの入出力"
},
{
"paragraph_id": 96,
"tag": "p",
"text": "上記のように、たしかに、読み取った文字列を分解している。",
"title": "CSVファイルの入出力"
},
{
"paragraph_id": 97,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "CSVファイルの入出力"
},
{
"paragraph_id": 98,
"tag": "p",
"text": "さきほどの例では、説明の単純化のため、たったの各行あたり、要素数はたった2個だった。",
"title": "CSVファイルの入出力"
},
{
"paragraph_id": 99,
"tag": "p",
"text": "しかし、実際の場合は、もっと要素数が多い。",
"title": "CSVファイルの入出力"
},
{
"paragraph_id": 100,
"tag": "p",
"text": "たとえば、",
"title": "CSVファイルの入出力"
},
{
"paragraph_id": 101,
"tag": "p",
"text": "のように、各行あたり4個のデータを読み込む場合を考えよう。",
"title": "CSVファイルの入出力"
},
{
"paragraph_id": 102,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "CSVファイルの入出力"
},
{
"paragraph_id": 103,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "CSVファイルの入出力"
},
{
"paragraph_id": 104,
"tag": "p",
"text": "前の節では、単純化のために配列や構造体やfor文は用いなかったが、実務では用いたほうがイイだろう。",
"title": "CSVファイルの入出力"
},
{
"paragraph_id": 105,
"tag": "p",
"text": "各行の最初の項目だけ strncpy(row[0].str, strtok(buffer1, \",\"), 150); のようにstrtokの第一引数を指定する必要がある。",
"title": "CSVファイルの入出力"
},
{
"paragraph_id": 106,
"tag": "p",
"text": "いっぽう、strncpy(row[temp].str, strtok(NULL, \",\"), 150); のようにstrtokの第一引数がnullなら、strtokは以前の区切り文字から次の区切り文字までを抜き取るだけなので、2番目の項目からはfor文で使いまわしができる。",
"title": "CSVファイルの入出力"
},
{
"paragraph_id": 107,
"tag": "p",
"text": "fgets関数やstrtok関数などで読み取った文字列をもとに、if文などの条件分岐関数と組み合わせる際、標準C言語のif文では、文字列にはイコール記号== など算術的な記号での比較ができません。",
"title": "if文との組み合わせ"
},
{
"paragraph_id": 108,
"tag": "p",
"text": "これはつまり、Cでは、文字列の比較にイコール記号が使えないという事です。",
"title": "if文との組み合わせ"
},
{
"paragraph_id": 109,
"tag": "p",
"text": "標準C言語では、文字列どうしの比較をする際、 strcmp という関数を使います。",
"title": "if文との組み合わせ"
},
{
"paragraph_id": 110,
"tag": "p",
"text": "strcmpについて詳しくは『C言語/制御文』をお読みください。",
"title": "if文との組み合わせ"
},
{
"paragraph_id": 111,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "if文との組み合わせ"
},
{
"paragraph_id": 112,
"tag": "p",
"text": "一例として、Fedora28でファイル入出力を実行する場合のコードと実行結果の例を下記にしめします。",
"title": "Linux の場合"
},
{
"paragraph_id": 113,
"tag": "p",
"text": "テキストファイルの文字コードはUTF-8です。Fedoraの標準の文字コードのままです。テキストエディタにはGedit(ジーエディット)を用いている。GeditはFedora28で標準に付属してくるテキストエディタです。",
"title": "Linux の場合"
},
{
"paragraph_id": 114,
"tag": "p",
"text": "Fedora28の場合、読み取り対象のテキストファイルの文字コードを何に変えても、コマンドプロンプトで正しく表示される。",
"title": "Linux の場合"
},
{
"paragraph_id": 115,
"tag": "p",
"text": "なお、Geditの変換可能な文字コードの一覧に「日本語 (CP932)」 というのがあるが、これがマイクロソフト Shift-JIS のことである(つまり マイクロソフト自称「ANSI」)。もし、マイクロソフト自称ANSIとLINUX用テキストファイルを共通化したい場合、 CP932 を選べばいい。",
"title": "Linux の場合"
},
{
"paragraph_id": 116,
"tag": "p",
"text": "とはいえ、最近のWindows用テキストエディタでは(Linuxでは標準的に採用されている)UTF-8も表示できるのが一般的なので、特に文字化けなどの起きないかぎり、むりに文字コードを変える必要は無い。",
"title": "Linux の場合"
},
{
"paragraph_id": 117,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "Linux の場合"
},
{
"paragraph_id": 118,
"tag": "p",
"text": "C言語のプログラムで、バイナリーファイルの読み書きをしたい場合、",
"title": "バイナリーファイルの読み書き"
},
{
"paragraph_id": 119,
"tag": "p",
"text": "fopen の引数で「r」(読み込み)とか「w」(書き込み)とか編集モードの指定がありますが、それに「b」をつけます。つまり「rb」や「wb」などの引数になります。",
"title": "バイナリーファイルの読み書き"
},
{
"paragraph_id": 120,
"tag": "p",
"text": "また、書き込む関数には fwrite を使う必要があります。 いっぽう、 fprintf では、テキストファイルに自動的に変換してしまいます。",
"title": "バイナリーファイルの読み書き"
},
{
"paragraph_id": 121,
"tag": "p",
"text": "たとえば下記のようになります。",
"title": "バイナリーファイルの読み書き"
},
{
"paragraph_id": 122,
"tag": "p",
"text": "書き込みできたか否かを確認するには、バイナリエディタ(あるいは「16進エディタ」などと言われる)で確認してください。",
"title": "バイナリーファイルの読み書き"
},
{
"paragraph_id": 123,
"tag": "p",
"text": "0x42 などの冒頭の 0x は16進数であることを表す。バイナリーファイルの読み書きに限らず、一般にC言語で16進数をあつかう場合は、16進数である数に接頭辞 0x をつけて区別する。数値 0~9 までは0x をつけなくても十進数と同じなので省略できる。",
"title": "バイナリーファイルの読み書き"
},
{
"paragraph_id": 124,
"tag": "p",
"text": "バイナリエディタで読み込み",
"title": "バイナリーファイルの読み書き"
},
{
"paragraph_id": 125,
"tag": "p",
"text": "と書き込まれていることが確認できれば成功です。",
"title": "バイナリーファイルの読み書き"
},
{
"paragraph_id": 126,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "バイナリーファイルの読み書き"
},
{
"paragraph_id": 127,
"tag": "p",
"text": "バイナリファイルの読み取りには fread を使うことがある。",
"title": "バイナリーファイルの読み書き"
},
{
"paragraph_id": 128,
"tag": "p",
"text": "いきなりバイナリファイルを読み取るのは初心者には難しいので、まずテキストファイルを読み取る実験をしてみよう。",
"title": "バイナリーファイルの読み書き"
},
{
"paragraph_id": 129,
"tag": "p",
"text": "以前に作った test1.txt ファイルを読み取るとしよう。",
"title": "バイナリーファイルの読み書き"
},
{
"paragraph_id": 130,
"tag": "p",
"text": "test1.txt",
"title": "バイナリーファイルの読み書き"
},
{
"paragraph_id": 131,
"tag": "p",
"text": "コード例",
"title": "バイナリーファイルの読み書き"
},
{
"paragraph_id": 132,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "バイナリーファイルの読み書き"
},
{
"paragraph_id": 133,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "バイナリーファイルの読み書き"
},
{
"paragraph_id": 134,
"tag": "p",
"text": "では、バイナリーデーターを読み取ろう。",
"title": "バイナリーファイルの読み書き"
},
{
"paragraph_id": 135,
"tag": "p",
"text": "コード例",
"title": "バイナリーファイルの読み書き"
},
{
"paragraph_id": 136,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "バイナリーファイルの読み書き"
}
]
| null | {{Nav}}
== ファイルのオープン ==
まず、ファイルを作成したり読書きしたりするための関数を使うには、
ヘッダー<code><stdio.h></code>をインクルードする。
:<syntaxhighlight lang="C">
#include <stdio.h>
int main() {
FILE *fp = fopen("開きたいファイル名.拡張子", "モード");
if (fp == NULL) {
perror("開きたいファイル名.拡張子 を開けませんでした。");
return 1;
}
// ここにファイルの操作内容(作成、読書きなど)を記述。
fclose(fp);
}
</syntaxhighlight>
: ファイルに読書きなどの操作するためには、まず、そのファイルをオープンする(開く)必要がある。
: オープンされていない状態のファイルは、操作できない。
: fopenがファイル操作のためにオープンする関数で、FILE型へのポインタを返すので、変数 <var>fp</var> に保持する。
: FILE型へのポインタの型は、
:<syntaxhighlight lang="C">
FILE *
</syntaxhighlight>
: です。
=== Visual Cで標準入出力関数などを使用する場合 ===
Visual Cでは、標準設定ではfopen関数などの標準入出力関数の使用が禁止されており、そのまま上記のコードをコンパイルすると、
重大度レベル コード 説明 プロジェクト ファイル 行 抑制状態
エラーC4996’fopen’: This function or variable may be unsafe. Consider using fopen_s instead. To disable deprecation, use _CRT_SECURE_NO_WARNINGS. See online help for details.
のような警告を表示し、コンパイルが完了しない。
このような禁止されている関数の使用を許可するために、<code>#pragma warning(disable:4996)</code>を加え、コンパイラの警告を無効化する(メッセージ通り fopen を fopen_s で置換えても良いが、fopen_s を用意している処理系は稀で、GCCもclangもサポートしておらず、環境を選ばずコンパイルするためには #ifdef _MSC_VER などでプリプロセッサーで条件コンパイルする方法があるが、コードの見通しが悪くなる上バッファサイズの計算のケアなどを見落としがちなので、警告を無効化することを選択した)。
;Windowsでfopenを使う場合:<syntaxhighlight lang="C">
#include "stdafx.h"
#include <stdio.h>
#pragma warning(disable:4996)
int main() {
FILE *fp = fopen("開きたいファイル名.拡張子", "モード");
if (fp == NULL) {
perror("開きたいファイル名.拡張子 を開けませんでした。");
return 1;
}
// ここにファイルの操作内容(作成、読書きなど)を記述。
fclose(fp);
}
</syntaxhighlight>
<code>#pragma warning(disable:4996)</code> が、fopenなどの関数の使用を許可するプラグマです。これは、<code>stdafx.h</code> など一連のWindows用ヘッダのインクルードの後に指令する必要がある。
{{コラム|Visual Studio で、デバッグ セッションの終了時にコンソールが閉じてしまう場合|
Visual Studio で、コンソール アプリケーションのデバッグ セッションの終了時にコンソールが閉じてしまう場合は、
: [ツール] -> [オプション] -> [デバッグ] -> [デバッグの停止時に自動的にコンソールを閉じる]
を無効にします。
}}
;Windows用のファイル操作のコード例:<syntaxhighlight lang="C">
#include "stdafx.h"
#include <stdio.h>
#pragma warning(disable : 4996)
int main() {
FILE *fp = fopen("test1.txt", "w");
if (fp == NULL) {
perror("test1.txt を開けませんでした。");
return 1;
}
fclose(fp);
}
</syntaxhighlight>
<code>fopen</code> は、モードを "w" で開いた場合、もし対象のファイルが存在しないときは、その名のファイルを新規作成する。
なお、fopenのモードは、
:書き込みモードの"w"と、
:読み込みモードの"r"と、
:追記モードの"a"
がある。
なお、一般にファイル操作のプログラミングでは、ファイルのオープンに失敗した場合を想定して、そのような処理を書く必要がある。
fclose は、ファイルを閉じる関数であり、書き込みモードであればバッファキャッシュをクリアしてから、読み出しモードであればその場でシステムにファイルをディスクリプターを返却(closeシステムコール)する。
読者は、ソースファイルのあるフォルダを確認してみて、"test1.txt"というファイルが作られている事を確認しよう。
{{コラム|"stdafx.h"って何?|2=
プログラムの冒頭で<syntaxhighlight lang="C" inline>#include "stdafx.h"</syntaxhighlight> と <code>"stdafx.h"</code> なるヘッダーをインクルードしています。
これはC言語標準にはなく、Windows(Visual Studio)固有のプリコンパイルヘッダーです。stdafx は Standard Application Frameworks の略で、MFC(Microsoft Foundation Class)の使用を想定しているものでした。
VS2019からが、<code>"stdafx.h"</code> から <code>"pch.h"</code>(Pre compile header)と機能と一致した名前になりました。
いずれにしても、Windows/Visual Studio でプリコンパイルヘッダーを使う状況でしか意味がありませんし、この本で扱うサイズのプリグラムではプリコンパイルヘッダーを使うメリットはありません。}}
== 読み書き ==
=== ファイルへの書き込み ===
ファイルを作成したりオープンしただけでは、まだ何も読み込まれないし、何も書き込まれない。
ファイルに何かデータを書き込むには、 <code>fprintf</code> という関数を使う。
fprintf の冒頭のfは、ファイル関係であることをあらわしている。最後のfは、もともとC言語には「printf」という関数があり、(最後のfは)Format の f。
さて、windowsの設定では、ある設定の場合では <code>fopen</code> と同様に <code>fprintf</code> が初期状態では使えない場合があるので、
<syntaxhighlight lang="C">
#pragma warning(disable:4996)
</syntaxhighlight>
で指令しておく必要の生じる場合もある。
インクルードすべきヘッダについては、標準出力のヘッダにあるので、
<syntaxhighlight lang="C">
#include <stdio.h>
</syntaxhighlight>
でインクルードすれば充分です。
さて <code>fprintf</code> で書き込むデータの形式は、変数でもいいし、書き込みたいテキストを直接指定することもできる。
また、もし 変数を書き込む場合なら、変数の型は、文字列型でもいいし、数値型でもいい。
ただし、書き込まれた先のテキストファイルでは、書かれたテキストの由来が何かは、もはや不明になる。つまり、書きこまれた先のテキストファイルでは、書かれた文字列は、すべて単なるテキスト文字の集まりとして扱われる。
さて、たとえばファイルに「test」とだけ書き込みたいなら、
<code>
fprintf(fp, "test \n");
</code>
というふうに入力すればいい。
何か変数をファイルに書き込みたい場合、たとえば整数型の変数だとして、変数名が「var」なら、それを書き込むには、あらかじめソースコードで
<syntaxhighlight lang="C">
int var;
</syntaxhighlight>
のように、どこかで宣言しておく。
そのあと、プログラム中にて変数「var」に目的の値を入力させるようにしておく。
そのあと、プログラムがコード内でのファイル書き込み実行場所にて
<syntaxhighlight lang="C">
fprintf(fp, "%d \n", var);
</syntaxhighlight>
のようなコードを実行するように、ソースコードを記述すればいい。
ファイル書き込むのできる変数の型は、数値型も文字列型でも可能です。
次のコード例として、文字列型の変数をファイルに書き込むコード例を示す。
;コード例
<syntaxhighlight lang="C">
#include "stdafx.h"
#include <stdio.h>
#pragma warning(disable:4996)
int main()
{
FILE *fp = fopen("test1.txt", "w");
if (fp == NULL) {
perror("test1.txt を開けませんでした。\n");
return 1;
}
printf("test1.txt をオープンしました。\n");
char string[50];
printf("キーボードから文字列を入力してください。\n");
if (scanf("%s", &string) == EOF) {
perror("");
return 1;
}
printf("入力された文字列は %s です。 \n", string);
printf("これをファイルに書き込みます。 \n");
fprintf(fp, "%s \n", string);
fclose(fp);
printf("ファイルをクローズしました。\n");
}
</syntaxhighlight>
このようにして、ファイルへの出力が出来る。
=== ファイルの読み取り ===
次に、ファイルからの読み取りをする方法を学ぼう。
ファイルからの読み取りには、まずfopenの際にモードを"r"にする。(英語で、本や文章などを読むことを read (リード)という。その read リードの頭文字 r のこと。)
読み取りの際の関数には <code>fgets</code> や <code>fscanf</code> を使えばいい。
<code>fscanf</code> や <code>fgets</code>は、ファイルから1行ずつ、読み取ることができる。
なお、
<code>fscanf</code> や <code>fgets</code> の違いは、
:行末の改行を読み込むかどうか、
:空白文字(半角スペース)があると読み込みを中断するかどうか、
です。fscanfのほうが、空白文字(半角スペース)があると読み込みを中断します。
くわしくは、あとの章で説明します。
とりあえず、ファイル読み取りの具体例を調べていきましょう。
;fscanf の例
あらかじめ、テキストファイル test1.txt に、なんらかの文字列を書いておこう。
一例として、
<pre>
aaaaaaaaaaa
ssssssss
dddddd
</pre>
と書いたとする。
コード例を示す。
<syntaxhighlight lang="C">
#include "stdafx.h"
#include <stdio.h>
#pragma warning(disable:4996)
int main()
{
FILE *fp = fopen("test1.txt", "r");
if (fp == NULL) { // ここを読み取りモード"r"にするのを忘れないように
perror("ファイルを開けませんでした。\n");
return 1;
}
else {
printf("ファイルをオープンしました。\n");
}
char str1[150];
printf("文字列を読み取っています。\n");
if (fscanf(fp, "%s", str1) == EOF) {
perror("");
return 1;
}
printf("ファイルに書いてある文字列\n");
printf("%s\n", str1);
fclose(fp);
printf("ファイルをクローズしました。\n");
}
</syntaxhighlight>
;実行結果
<pre>
ファイルをオープンしました。
文字列を読み取っています。
ファイルに書いてある文字列
aaaaaaaaaaa
ファイルをクローズしました。
続行するには何かキーを押してください . . .
</pre>
このように、最初の1行(aaaaaaaaaaa)だけが読み取りされている。
2行目以降も読み取りたい場合には、その行数だけ、下記のように繰り返しfscanfを使う必要がある。
<syntaxhighlight lang="C">
#include "stdafx.h"
#include <stdio.h>
#pragma warning(disable:4996)
int main()
{
FILE *fp = fopen("test1.txt", "r"); // ここを読み取りモード"r"にするのを忘れないように
if (fp == NULL) {
perror("ファイルを開けませんでした。\n");
return 1;
}
else {
printf("ファイルをオープンしました。\n");
}
char str1[150];
printf("文字列を読み取っています。\n");
if (fscanf(fp, "%s", str1) == EOF) {
perror("");
return 1;
}
printf("ファイル1行目に書いてある文字列\n");
printf("%s\n", str1);
if (fscanf(fp, "%s", str1) == EOF) {
perror("");
return 1;
}
printf("ファイル2行目に書いてある文字列\n");
printf("%s\n", str1);
fclose(fp);
printf("ファイルをクローズしました。\n");
}
</syntaxhighlight>
;実行結果
<pre>
ファイルをオープンしました。
文字列を読み取っています。
ファイル1行目に書いてある文字列
aaaaaaaaaaa
ファイル2行目に書いてある文字列
ssssssss
ファイルをクローズしました。
続行するには何かキーを押してください . . .
</pre>
=== fgetsとfscanfの違い ===
<code>fscanf</code> や <code>fgets</code> の違いは、大まかには
:行末の改行を読み込むかどうか、
:空白文字(半角スペース)があると読み込みを中断するかどうか、
です。fscanfのほうが、空白文字(半角スペース)があると読み込みを中断します。fgetsのほうが、改行を読み込みます。
論より証拠で、実際にコードを実行して比べてみましょう。
まず、読み込み対象のテキストファイル test2.txtとして、
<pre>
rt aaaaaaaaaaa
u ssssssss
dddddd
</pre>
のように、空白文字(半角スペース)を入れてみましょう。rt と aaaaaaaaaaa のあいだに半角スペースが一文字あります。
そしてコードは、(Fedora30 の gccコンパイルで確認)
fgetsのほうは
<syntaxhighlight lang="C">
#include <stdio.h>
int main()
{
FILE *fp = fopen("test1.txt", "r"); // ここを読み取りモード"r"にするのを忘れないように
if (fp == NULL) {
perror("ファイルを開けませんでした。\n");
return 1;
}
else {
printf("ファイルをオープンしました。\n");
}
char buffer1[150];
printf("文字列を読み取っています。\n");
fgets(buffer1,150,fp);
printf("1回目に読み取った文字列\n");
printf("%s", buffer1);
fgets(buffer1,150,fp);
printf("2回目に読み取った文字列\n");
printf("%s", buffer1);
fclose(fp);
printf("ファイルをクローズしました。\n");
}
</syntaxhighlight>
このコードでは、<code>printf </code> の%sの後ろには改行文字(<code>\n</code>)をつけていません。なぜなら、<code>fgets </code> ではファイル読み込み時に改行文字も一緒に読み込むからです。
;実行結果
<pre>
ファイルをオープンしました。
文字列を読み取っています。
1行目に書いてある文字列
rt aaaaaaaaaaa
2行目に書いてある文字列
u ssssssss
ファイルをクローズしました。
</pre>
です。
----
いっぽう、fscanf のほうは
<syntaxhighlight lang="C">
#include <stdio.h>
int main()
{
FILE *fp = fopen("test1.txt", "r"); // ここを読み取りモード"r"にするのを忘れないように
if (fp == NULL) {
perror("ファイルを開けませんでした。\n");
return 1;
}
printf("ファイルをオープンしました。\n");
char buffer1[150];
printf("文字列を読み取っています。\n");
if (fscanf(fp, "%s", buffer1) == EOF) {
perror("");
return 1;
}
printf("1回目に読み取った文字列\n");
printf("%s", buffer1);
if (fscanf(fp, "%s", buffer1) == EOF) {
perror("");
return 1;
}
printf("2回目に読み取った文字列\n");
printf("%s", buffer1);
fclose(fp);
printf("ファイルをクローズしました。\n");
}
</syntaxhighlight>
;実行結果
<pre>
ファイルをオープンしました。
文字列を読み取っています。
1行目に書いてある文字列
rt2行目に書いてある文字列
aaaaaaaaaaaファイルをクローズしました。
</pre>
です。
このように、fcanf のほうでは、空白文字があるので、最初の1回目のfscanfでは、「rt」までしか読み込みません。
しかも改行を読み込まないので、
「rt」と「2行目に書いてある文字列」が続いて
rt2行目に書いてある文字列
と表示されてしまっています。
そして、2回目の fscanf で「aaaaaaaaaaa」を読み込んでいます。
== CSVファイルの入出力 ==
=== fscanfによる入門的方法 ===
CSVファイルという、カンマで区切った形式のファイルがある。
たとえば、
次のようなデータです。
ファイル名「sample.csv」
<pre>
名前,番号
山田,1
佐藤,2
</pre>
なお、表計算ソフト( libreOffice の Calc など)で、表計算ファイルをCSVファイルに変換することができる。
表計算ソフトのそれぞれのセルにデータを入力したあと、表計算ファイルを「名前をつけて保存」するときに、ファイル形式を選択する欄があるので、その欄でCSV形式を選べばいい。
さて、CSVファイルをカンマで区切って一つずつ読み取りたい場合、
fscanf関数では <code>%[^ ]</code>という関数を使う。<code>%[^ ]</code>は、そのカッコの中にある文字をみつけるまで文字を読み込む。また、そのカッコ内の文字は保持しない。
たとえば <code>%[^,]</code>なら、カンマ記号(,)の手前まで文字を読み込み、カンマ記号じたいは除いて読み込む。
なので、<code>%[^,]</code>なら、結果的にカンマ文字を区切り文字として扱うことになる。
CSV読み取りファイルのプログラム例は、たとえば次のようなファイルになる。
(Fedora30 で確認)
<syntaxhighlight lang="C">
#include <stdio.h>
int main()
{
FILE *fp = fopen("sample.csv", "r");
if (fp == NULL) { // ここを読み取りモード"r"にするのを忘れないように
perror("ファイルを開けませんでした。\n");
return 1;
}
printf("ファイルをオープンしました。\n");
char str1[150];
char str2[150];
printf("文字列を読み取っています。\n");
if (fscanf(fp, "%[^,],%s,%s", str1,str2) == EOF) {
perror("");
return 1;
}
printf("str1として読み取った文字列\n");
printf("%s\n", str1);
printf("str2として読み取った文字列\n");
printf("%s\n", str2);
fclose(fp);
printf("ファイルをクローズしました。\n");
}
</syntaxhighlight>
'''実行結果''' (Fedora30 で確認)<br>
<pre>
ファイルをオープンしました。
文字列を読み取っています。
str1として読み取った文字列
名前
str2として読み取った文字列
番号
ファイルをクローズしました。
</pre>
=== fgetsによる方法 ===
==== 簡単な例 ====
さきほどの章では、説明の都合上、fscanfを使ったが、じつは、fscanfでCSVファイルを作るのは、あまり実用的ではない。
なぜなら、まず空白文字(半角スペース)で読み込みを停止してしまうので、半角スペースを含む文字列の読み込みが出来無いからです。
なので、CSVの読み取りファイルをC言語で作る場合、fgets関数を作るほうが良い。
しかし、fgets には、<code>%[^,]</code> のようなカンマで読み込み中止関数をする都合いい機能が無い。
なので、いったんfgetsで、その行の全体を読み込んだ後に、<code> strtok </code> という別の関数を使うのが良い。
<code> strtok </code> 関数とは、指定した文字列の直前までを読み込み機能のある関数なので、この関数でカンマ文字まで読み込むことを関数すればいい。<code> strtok </code> では、指定した文字列じたいは読み込まない。
なお、 <code> strtok </code> 関数を使うためには <code> #include <string.h> </code> が必要です。
書式は
<syntaxhighlight lang="C">
strtok(分解する文字列のある変数,"区切り文字にしたい文字")
</syntaxhighlight>
のようになる。
CSVファイルを読み込ませたいなら、区切り文字にしたいのはカンマ記号なので、
<syntaxhighlight lang="C">
strtok(分解する文字列のある変数,",")
</syntaxhighlight>
となる。
なお、<code> strtok </code> の第一引数を「NULL」にすると、前の文字の続きから読み込む。つまり
<syntaxhighlight lang="C">
strtok(NULL,"区切り文字にしたい文字")
</syntaxhighlight>
にすると、前の文字の続きから次ぎの区切り文字まで(その行に残りの区切り文字がない場合には行末まで)を読み込む。
コードは下記のようになる。
(Fedora30 で確認)
<syntaxhighlight lang="C">
#include <stdio.h>
#include <string.h>
int main()
{
FILE *fp = fopen("sample.csv", "r"); // ここを読み取りモード"r"にするのを忘れないように
if (fp == NULL) {
perror("ファイルを開けませんでした。\n");
return 1;
}
printf("ファイルをオープンしました。\n");
char buffer1[150];
printf("文字列を読み取っています。\n");
fgets(buffer1,150,fp);
printf("1行目の文字列\n");
printf("%s", buffer1);
char str1[150];
char str2[150];
strncpy(str1, strtok(buffer1,",") ,150); // str1 = strtok(buffer1,","); では代入できない。
strncpy(str2, strtok(NULL,",") ,150);
printf("str1として読み取った文字列\n");
printf("%s", str1);
printf("\n");
printf("str2として読み取った文字列\n");
printf("%s", str2);
fgets(buffer1,150,fp);
printf("2行目の文字列\n");
printf("%s", buffer1);
strncpy(str1, strtok(buffer1,",") ,150);
strncpy(str2, strtok(NULL,",") ,150);
printf("str1として読み取った文字列\n");
printf("%s", str1);
printf("\n");
printf("str2として読み取った文字列\n");
printf("%s", str2);
fclose(fp);
printf("ファイルをクローズしました。\n");
}
</syntaxhighlight>
;実行結果
<pre>
ファイルをオープンしました。
文字列を読み取っています。
1行目の文字列
名前,番号
str1として読み取った文字列
名前
str2として読み取った文字列
番号
2行目の文字列
山田,1
str1として読み取った文字列
山田
str2として読み取った文字列
1
ファイルをクローズしました。
</pre>
上記のように、たしかに、読み取った文字列を分解している。
==== 要素数の多い場合の例 ====
さきほどの例では、説明の単純化のため、たったの各行あたり、要素数はたった2個だった。
しかし、実際の場合は、もっと要素数が多い。
たとえば、
<pre>
名前,番号,国語の得点,数学の得点
山田,1,80,90
佐藤,2,70,100
</pre>
のように、各行あたり4個のデータを読み込む場合を考えよう。
;コード例
<syntaxhighlight lang="C">
#include <stdio.h>
#include <string.h>
#pragma warning(disable:4996)
int main()
{
FILE* fp = fopen("sample.csv", "r");
if (fp == NULL) { // ここを読み取りモード"r"にするのを忘れないように
perror("ファイルを開けませんでした。\n");
return 1;
}
else {
printf("ファイルをオープンしました。\n");
printf("\n");
}
char buffer1[150];
printf("文字列を読み取っています。\n");
struct seisekihyou {
char str[150];
};
struct seisekihyou row[20]; // 構造体配列の宣言
// 下記のline は読み取りたい行数
for (int line = 1; line <= 2; line = line + 1) {
fgets(buffer1, 150, fp);
printf("%d行目の文字列\n",line);
printf("%s", buffer1);
strncpy(row[0].str, strtok(buffer1, ","), 150); // str1 = strtok(buffer1,","); では代入できない。
printf("row[%d].strとして読み取った文字列\n", 0);
printf("%s\n", row[0].str);
// 下記のtempは1行あたりの読み取りたい項目数
for (int temp = 1; temp <= 3; ++temp) {
strncpy(row[temp].str, strtok(NULL, ","), 150);
printf("row[%d].strとして読み取った文字列\n", temp);
printf("%s\n", row[temp].str);
}
printf("\n");
}
fclose(fp);
printf("ファイルをクローズしました。\n");
return 0;
}
</syntaxhighlight>
;実行例
<pre>
ファイルをオープンしました。
文字列を読み取っています。
1行目の文字列
名前,番号,国語の得点,数学の得点
row[0].strとして読み取った文字列
名前
row[1].strとして読み取った文字列
番号
row[2].strとして読み取った文字列
国語の得点
row[3].strとして読み取った文字列
数学の得点
2行目の文字列
山田,1,80,90
row[0].strとして読み取った文字列
山田
row[1].strとして読み取った文字列
1
row[2].strとして読み取った文字列
80
row[3].strとして読み取った文字列
90
ファイルをクローズしました。
このウィンドウを閉じるには、任意のキーを押してください...
</pre>
;解説
前の節では、単純化のために配列や構造体やfor文は用いなかったが、実務では用いたほうがイイだろう。
各行の最初の項目だけ <code>strncpy(row[0].str, strtok(buffer1, ","), 150);</code> のようにstrtokの第一引数を指定する必要がある。
いっぽう、<code>strncpy(row[temp].str, strtok(NULL, ","), 150);</code> のようにstrtokの第一引数がnullなら、strtokは以前の区切り文字から次の区切り文字までを抜き取るだけなので、2番目の項目からはfor文で使いまわしができる。
== if文との組み合わせ ==
fgets関数やstrtok関数などで読み取った文字列をもとに、if文などの条件分岐関数と組み合わせる際、標準C言語のif文では、文字列にはイコール記号<code>==</code> など算術的な記号での比較ができません。
これはつまり、Cでは、文字列の比較にイコール記号が使えないという事です。
標準C言語では、文字列どうしの比較をする際、<code> strcmp </code> という関数を使います。
strcmpについて詳しくは『[[C言語/制御文]]』をお読みください。
== Linux の場合 ==
一例として、Fedora28でファイル入出力を実行する場合のコードと実行結果の例を下記にしめします。
テキストファイルの文字コードはUTF-8です。Fedoraの標準の文字コードのままです。テキストエディタにはGedit(ジーエディット)を用いている。GeditはFedora28で標準に付属してくるテキストエディタです。
<syntaxhighlight lang="C">
#include <stdio.h>
int main()
{
FILE *fp = fopen("test1.txt", "r"); // ここを読み取りモード"r"にするのを忘れないように
if (fp == NULL) {
perror("ファイルを開けませんでした。\n");
return 1;
}
printf("ファイルをオープンしました。\n");
char str1[150];
printf("文字列を読み取っています。\n");
fscanf(fp, "%s", str1);
printf("ファイル1行目に書いてある文字列\n");
printf("%s\n", str1);
fscanf(fp, "%s", str1);
printf("ファイル2行目に書いてある文字列\n");
printf("%s\n", str1);
fclose(fp);
printf("ファイルをクローズしました。\n");
return 0;
}
</syntaxhighlight>
;実行結果
<pre>
ファイルをオープンしました。
文字列を読み取っています。
ファイル1行目に書いてある文字列
aaaaaaaaaaa
ファイル2行目に書いてある文字列
ssssssss
ファイルをクローズしました。
</pre>
Fedora28の場合、読み取り対象のテキストファイルの文字コードを何に変えても、コマンドプロンプトで正しく表示される。
なお、Geditの変換可能な文字コードの一覧に「日本語 (CP932)」 というのがあるが、これがマイクロソフト Shift-JIS のことである(つまり マイクロソフト自称「ANSI」)。もし、マイクロソフト自称ANSIとLINUX用テキストファイルを共通化したい場合、 CP932 を選べばいい。
とはいえ、最近のWindows用テキストエディタでは(Linuxでは標準的に採用されている)UTF-8も表示できるのが一般的なので、特に文字化けなどの起きないかぎり、むりに文字コードを変える必要は無い。
== バイナリーファイルの読み書き ==
=== バイナリーファイルとしての書き込み ===
C言語のプログラムで、バイナリーファイルの読み書きをしたい場合、
<code>fopen </code> の引数で「r」(読み込み)とか「w」(書き込み)とか編集モードの指定がありますが、それに「b」をつけます。つまり「rb」や「wb」などの引数になります。
また、書き込む関数には fwrite を使う必要があります。 いっぽう、 fprintf では、テキストファイルに自動的に変換してしまいます。
たとえば下記のようになります。
<syntaxhighlight lang="C">
//#include "stdafx.h"
#include <stdio.h>
#pragma warning(disable:4996)
int main()
{
FILE *fp = fopen("test1.bin", "wb");
if (fp == NULL) {
perror("ファイルを開けませんでした。\n");
return 1;
}
else {
printf("ファイルをオープンしました。\n");
}
printf("バイナリファイルに書き込んでいます。 \n");
char buf[5] = {0x42,0x4d,3,4,5};
fwrite(buf, 1, 5, fp);
fclose(fp);
printf("ファイルをクローズしました。\n");
}
</syntaxhighlight>
書き込みできたか否かを確認するには、バイナリエディタ(あるいは「16進エディタ」などと言われる)で確認してください。
<code>0x42</code> などの冒頭の 0x は16進数であることを表す。バイナリーファイルの読み書きに限らず、一般にC言語で16進数をあつかう場合は、16進数である数に接頭辞 0x をつけて区別する。数値 0~9 までは0x をつけなくても十進数と同じなので省略できる。
バイナリエディタで読み込み
42 4D 03 04 05
と書き込まれていることが確認できれば成功です。
=== 読み取り ===
バイナリファイルの読み取りには fread を使うことがある。
いきなりバイナリファイルを読み取るのは初心者には難しいので、まずテキストファイルを読み取る実験をしてみよう。
以前に作った test1.txt ファイルを読み取るとしよう。
test1.txt
<pre>
aaaaaaaaaaa
ssssssss
dddddd
</pre>
コード例
<syntaxhighlight lang="C">
#include <stdio.h>
#pragma warning(disable:4996)
int main()
{
FILE *fp = fopen("test.txt", "r");
if (fp == NULL) {
perror("ファイルを開けませんでした。\n");
return 1;
}
else {
printf("ファイルをオープンしました。\n");
}
char str1[150];
printf("文字列を読み取っています。\n");
fread(str1, sizeof(unsigned char), sizeof(str1) / sizeof(str1[0]), fp);
printf("ファイルに書いてある文字列\n");
printf("%s\n", str1);
fclose(fp);
printf("ファイルをクローズしました。\n");
}
</syntaxhighlight>
;実行結果
<pre>
ファイルをオープンしました。
文字列を読み取っています。
ファイルに書いてある文字列
aaaaaaaaaaa
ssssssss
dddddd
ファイルをクローズしました。
</pre>
では、バイナリーデータを読み取ろう。
コード例
<syntaxhighlight lang="C">
#include <stdio.h>
#pragma warning(disable:4996)
int main()
{
FILE *fp = fopen("test1.txt", "rb");
if (fp == NULL) {
perror("ファイルを開けませんでした。\n");
return 1;
}
else {
printf("ファイルをオープンしました。\n");
}
char str1[70]; // 表示結果を短くするために数値を微妙に小さくした
printf("バイナリーデータを読み取っています。\n"); // 「文字列」ではなくバイナリーデータ
fread(str1, sizeof(char), 50, fp);
printf("ファイルに書いてあるバイナリーデータ\n");
for (int i=0 ; i < sizeof(str1) / sizeof(str1[0]); i = i+1)
{
printf("%02x ", str1[i]); // 最低でも2桁を表示、の意味
}
fclose(fp);
printf("\nファイルをクローズしました。\n");
}
</syntaxhighlight>
;実行結果
<pre>
ファイルをオープンしました。
バイナリーデータを読み取っています。
ファイルに書いてあるバイナリーデータ
61 61 61 61 61 61 61 61 61 61 61 0d 0a 73 73 73 73 73 73 73 73 0d 0a 0d 0a 64 64 64 64 64 64 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00
ファイルをクローズしました。
</pre>
:※ ファイル作成時・保存時の文字コードの種類によっては改行文字 0d 0a などの制御文字の内容が若干違うかもしれません。
== 脚註 ==
<references />
[[カテゴリ:C言語]] | 2018-09-07T02:44:47Z | 2024-03-03T11:05:10Z | [
"テンプレート:コラム",
"テンプレート:Nav"
]
| https://ja.wikibooks.org/wiki/C%E8%A8%80%E8%AA%9E/%E3%83%95%E3%82%A1%E3%82%A4%E3%83%AB%E5%85%A5%E5%87%BA%E5%8A%9B |
24,527 | 生成文法 | 生成文法の概略的な解説です。
(2018-9-15) | [
{
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"text": "生成文法の概略的な解説です。",
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| 生成文法の概略的な解説です。 (2018-9-15) | {{pathnav|frame=1|言語学}}
生成文法の概略的な解説です。
{{進捗|25%|2018-9-15}}
== 内容 ==
* [[/生成文法とは/]]
* [[/言語学・数学・哲学の必要事項/]]
**[[/言語学/]]
***[[/システム/]]
***[[/有標性/]]
**[[/数学/]]
***[[/集合/]]
***[[/一階述語論理/]]
**[[/哲学/]]
***[[/合理論/]]
***[[/反証可能性/]]
* [[/基底表示と表層表示/]]
* [[/言語の初期状態と定常状態/]]
* 言語のモデル
** [[/有限状態文法/]]
** [[/句構造文法/]]
** [[/変換文法/]]
* 生成文法の変遷
**[[/初期生成文法/]]
** [[/標準理論/]]
** [[/言語学戦争/]]
** [[/統率・束縛理論/]]
** [[/ミニマリスト・アプローチ/]]
* 個別言語と生成文法
** [[/英語/]]
** [[/フランス語/]]
** [[/ドイツ語/]]
** [[/中国語/]]
** [[/韓国語/]]
** [[/日本語/]]
* [[/文献/]]
== 参考リンク ==
{{stub}}
[[Category:生成文法|*]]
[[Category:言語学]]
{{NDC|007.64}} | null | 2023-01-02T11:38:54Z | [
"テンプレート:Pathnav",
"テンプレート:Stub",
"テンプレート:NDC"
]
| https://ja.wikibooks.org/wiki/%E7%94%9F%E6%88%90%E6%96%87%E6%B3%95 |
24,528 | 生成文法/生成文法とは | 生成文法(Generative Grammar)とはヒトという種の言語に関する知識を明らかにしようという形式理論 formal theory です。母語の獲得 language acquisition を研究することで言語の初期状態 initial state と、そこから個別言語 a particular language/particular languages への遷移を明らかにしようとするだけではなく、心/脳 mind/brain の構造にも迫ろうというものです。2000 年以降特に、ヒトに言語機能 language faculty が備わるようになった進化生物学的関心も高まっており、生物言語学 biolinguistics という分野も盛んになっています。 | [
{
"paragraph_id": 0,
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"text": "生成文法(Generative Grammar)とはヒトという種の言語に関する知識を明らかにしようという形式理論 formal theory です。母語の獲得 language acquisition を研究することで言語の初期状態 initial state と、そこから個別言語 a particular language/particular languages への遷移を明らかにしようとするだけではなく、心/脳 mind/brain の構造にも迫ろうというものです。2000 年以降特に、ヒトに言語機能 language faculty が備わるようになった進化生物学的関心も高まっており、生物言語学 biolinguistics という分野も盛んになっています。",
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}
]
| 生成文法(Generative Grammar)とはヒトという種の言語に関する知識を明らかにしようという形式理論 formal theory です。母語の獲得 language acquisition を研究することで言語の初期状態 initial state と、そこから個別言語 a particular language/particular languages への遷移を明らかにしようとするだけではなく、心/脳 mind/brain の構造にも迫ろうというものです。2000 年以降特に、ヒトに言語機能 language faculty が備わるようになった進化生物学的関心も高まっており、生物言語学 biolinguistics という分野も盛んになっています。 | 生成文法(Generative Grammar)とはヒトという種の言語に関する知識を明らかにしようという形式理論 formal theory です。母語の獲得 language acquisition を研究することで言語の初期状態 initial state と、そこから個別言語 a particular language/particular languages への遷移を明らかにしようとするだけではなく、心/脳 mind/brain の構造にも迫ろうというものです。2000 年以降特に、ヒトに言語機能 language faculty が備わるようになった進化生物学的関心も高まっており、生物言語学 biolinguistics という分野も盛んになっています。
[[カテゴリ:生成文法]] | null | 2022-12-01T17:27:31Z | []
| https://ja.wikibooks.org/wiki/%E7%94%9F%E6%88%90%E6%96%87%E6%B3%95/%E7%94%9F%E6%88%90%E6%96%87%E6%B3%95%E3%81%A8%E3%81%AF |
24,529 | 生成文法/有限状態文法 | 一定の確率である語が現れたとします。この時、次に現れる語が確率で重みをつけられています。さらに、出現する語は無制限に長い訳ではなく、主語が出たら述語、というように終わりが定義されているものと定義されている、とします。自然言語のこのようなモデルを「有限状態文法 finite state grammar」と言います。
有限状態は、ある状態から次の状態への遷移の連続で表現を産出します。ここで W を語とすると
・・・⌒Wn⌒Wn+1
W1 の生起が W2 の生起を決定します。それ故に、ある状態が、いくつかの状態をスキップして別の状態を決定するということはできません。例えば
W1⌒W2⌒W3⌒・・・⌒Wn
W1 の生起が W3 の生起を決定したり、W1 の生起が Wn の生起を決定したりすることはできません。
ノーム・チョムスキーは、有限状態文法が産出できない表現をいくつか指摘しました。 | [
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| 一定の確率である語が現れたとします。この時、次に現れる語が確率で重みをつけられています。さらに、出現する語は無制限に長い訳ではなく、主語が出たら述語、というように終わりが定義されているものと定義されている、とします。自然言語のこのようなモデルを「有限状態文法 finite state grammar」と言います。 有限状態は、ある状態から次の状態への遷移の連続で表現を産出します。ここで W を語とすると ・・・⌒Wn⌒Wn+1 W₁ の生起が W₂ の生起を決定します。それ故に、ある状態が、いくつかの状態をスキップして別の状態を決定するということはできません。例えば W₁⌒W₂⌒W₃⌒・・・⌒Wn W₁ の生起が W₃ の生起を決定したり、W₁ の生起が Wn の生起を決定したりすることはできません。 ノーム・チョムスキーは、有限状態文法が産出できない表現をいくつか指摘しました。 | 一定の確率である語が現れたとします。この時、次に現れる語が確率で重みをつけられています。さらに、出現する語は無制限に長い訳ではなく、主語が出たら述語、というように終わりが定義されているものと定義されている、とします。自然言語のこのようなモデルを「有限状態文法 finite state grammar」と言います。
有限状態は、ある状態から次の状態への遷移の連続で表現を産出します。ここで W を語とすると
・・・⌒W<sub>n</sub>⌒W<sub>n+1</sub>
W₁ の生起が W₂ の生起を決定します。それ故に、ある状態が、いくつかの状態をスキップして別の状態を決定するということはできません。例えば
W₁⌒W₂⌒W₃⌒・・・⌒W<sub>n</sub>
W₁ の生起が W₃ の生起を決定したり、W₁ の生起が W<sub>n</sub> の生起を決定したりすることはできません。
ノーム・チョムスキーは、有限状態文法が産出できない表現をいくつか指摘しました。
[[カテゴリ:生成文法]] | null | 2022-12-01T17:27:31Z | []
| https://ja.wikibooks.org/wiki/%E7%94%9F%E6%88%90%E6%96%87%E6%B3%95/%E6%9C%89%E9%99%90%E7%8A%B6%E6%85%8B%E6%96%87%E6%B3%95 |
24,530 | 生成文法/句構造文法 | 「句構造文法」は直接構成素分析 immediate constituent analysis を形式的に述べたものです。例えば
(1) Mary comes.
は
(2) 例 I
a. S → NP⌒VP
b. NP → N
c. VP → V
d. N → Mary
e. V → comes
という句構造規則 phrase structure rules によって産出されます。
導出の過程を見てみましょう。Chomsky 1957、Chomsky 1965 では句構造規則は順序付けられていない unordered と考えられています。規則の順序付けについてはまた別の機会に触れたいと思います。
個別言語 L は 文 S の集合と見なされます。S はまた、導出の端緒であり、始発記号 initial symbol と呼ばれます。
S は節境界 # で囲んで #S# と書くこともあります。ここでは単に S と書きます。S は次の規則
(3) S → NP⌒VP (= (2a))
で展開されます。得られる句構造は
です。
次に
(5) NP → N (= (2b))
で展開されると
(6) N⌒VP
という記号列に、
(7) VP → V (= (2c))
で展開されると
(8) NP⌒V
となります。順序付けられていない、ということはこれら二つが等価であるということを意味します。(2a-c) で得られる句構造は
です。後の「語彙挿入 lexical insertion」に相当する
(10) 終端記号への書き換え
a. N → Mary
b. V → comes
により
という文の句構造が得られます。
次に、より複雑な構造を考えてみましょう。
(12) A girl hit her boyfriend.
は他動詞で、さらに、主語名詞句と目的語名詞句は内部が構造化されています。この文は
(13) 例 II
a. S → NP⌒VP
b. NP → Det⌒N
c. VP → V⌒NP
d. Det → a
e. Det → her
f. N → girl
g. N → boyfriend
h. V → killed
で導出されます。自動詞の場合とは違う句構造規則ですが、あとで詳しく触れます。
では導出を見てみましょう。(13a) より
となり、さらに (13b) より
が得られます。そして (13c)、(13b) より
と
が得られます。
(13d)、(13f) を適用することで
が、(13e)、(13g) を適用することで
が導出されます。これらの部分構造を S の句構造に組み合わせると
(20)
ここまでで二つの点で疑問を抱かれたのではないでしょうか。それは
1自動詞と他動詞とで二つの句構造規則がある。
2品詞(統語範疇)を語彙に置き換える規則がそれぞれにたくさんあり、無限に存在しそうである。
二つは問題の質が異なります。
2について見ましょう。生成文法は有限の要素と規則から無限の文を定義する仕組みを求めることを目標にしています。統語範疇(一般に言う「品詞」)を語彙に置き換える規則は、語彙は開いたクラス open class で、新しい概念が生まれた場合には新しい語彙が追加されるので、本質的に無限個必要です。
ここで説明しているのは Syntactic Structures のものですが、Aspects では統語範疇を語彙に置き換える規則は句構造規則から切り離されます。
(21) N → girl
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| 「句構造文法」は直接構成素分析 immediate constituent analysis を形式的に述べたものです。例えば (1) Mary comes. は (2) 例 I a. S → NP⌒VP b. NP → N c. VP → V d. N → Mary e. V → comes という句構造規則 phrase structure rules によって産出されます。 導出の過程を見てみましょう。Chomsky 1957、Chomsky 1965 では句構造規則は順序付けられていない unordered と考えられています。規則の順序付けについてはまた別の機会に触れたいと思います。 個別言語 L は 文 S の集合と見なされます。S はまた、導出の端緒であり、始発記号 initial symbol と呼ばれます。 S は節境界 # で囲んで #S# と書くこともあります。ここでは単に S と書きます。S は次の規則 (3) S → NP⌒VP で展開されます。得られる句構造は です。 次に (5) NP → N で展開されると (6) N⌒VP という記号列に、 (7) VP → V で展開されると (8) NP⌒V となります。順序付けられていない、ということはこれら二つが等価であるということを意味します。(2a-c) で得られる句構造は です。後の「語彙挿入 lexical insertion」に相当する (10) 終端記号への書き換え a. N → Mary b. V → comes により という文の句構造が得られます。 次に、より複雑な構造を考えてみましょう。 (12) A girl hit her boyfriend. は他動詞で、さらに、主語名詞句と目的語名詞句は内部が構造化されています。この文は (13) 例 II a. S → NP⌒VP b. NP → Det⌒N c. VP → V⌒NP d. Det → a e. Det → her f. N → girl g. N → boyfriend h. V → killed で導出されます。自動詞の場合とは違う句構造規則ですが、あとで詳しく触れます。 では導出を見てみましょう。(13a) より となり、さらに (13b) より が得られます。そして (13c)、(13b) より と が得られます。 (13d)、(13f) を適用することで が、(13e)、(13g) を適用することで が導出されます。これらの部分構造を S の句構造に組み合わせると (20) ここまでで二つの点で疑問を抱かれたのではないでしょうか。それは ①自動詞と他動詞とで二つの句構造規則がある。 ②品詞(統語範疇)を語彙に置き換える規則がそれぞれにたくさんあり、無限に存在しそうである。 二つは問題の質が異なります。 ②について見ましょう。生成文法は有限の要素と規則から無限の文を定義する仕組みを求めることを目標にしています。統語範疇(一般に言う「品詞」)を語彙に置き換える規則は、語彙は開いたクラス open class で、新しい概念が生まれた場合には新しい語彙が追加されるので、本質的に無限個必要です。 ここで説明しているのは Syntactic Structures のものですが、Aspects では統語範疇を語彙に置き換える規則は句構造規則から切り離されます。 (21) N → girl のような規則は「語彙挿入 lexical insertion」と呼ばれ、辞書 lexicon と統語部門の接点とされました。そして残りは「範疇部門 categorial component 」と呼ばれます。 | 「句構造文法」は直接構成素分析 immediate constituent analysis を形式的に述べたものです。例えば
(1) Mary comes.
は
(2) 例 I
a. S → NP⌒VP
b. NP → N
c. VP → V
d. N → Mary
e. V → comes
という句構造規則 phrase structure rules によって産出されます。
導出の過程を見てみましょう。Chomsky 1957、Chomsky 1965 では句構造規則は順序付けられていない unordered と考えられています。規則の順序付けについてはまた別の機会に触れたいと思います。
個別言語 ''L'' は 文 S の集合と見なされます。S はまた、導出の端緒であり、始発記号 initial symbol と呼ばれます。
S は節境界 # で囲んで #S# と書くこともあります。ここでは単に S と書きます。S は次の規則
(3) S → NP⌒VP (= (2a))
で展開されます。得られる句構造は
(4) S
/\
NP VP
です。
次に
(5) NP → N (= (2b))
で展開されると
(6) N⌒VP
という記号列に、
(7) VP → V (= (2c))
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となります。順序付けられていない、ということはこれら二つが等価であるということを意味します。(2a-c) で得られる句構造は
(9) S
/ \
NP VP
| |
N V
です。後の「語彙挿入 lexical insertion」に相当する
(10) 終端記号への書き換え
a. N → Mary
b. V → comes
により
(11) S
/\
NP VP
| |
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| |
Mary comes
という文の句構造が得られます。
次に、より複雑な構造を考えてみましょう。
(12) A girl hit her boyfriend.
は他動詞で、さらに、主語名詞句と目的語名詞句は内部が構造化されています。この文は
(13) 例 II
a. S → NP⌒VP
b. NP → Det⌒N
c. VP → V⌒NP
d. Det → a
e. Det → her
f. N → girl
g. N → boyfriend
h. V → killed
で導出されます。自動詞の場合とは違う句構造規則ですが、あとで詳しく触れます。
では導出を見てみましょう。(13a) より
(14) S
/\
NP VP
となり、さらに (13b) より
(15) S
/\
NP VP
/\
Det N
が得られます。そして (13c)、(13b) より
(16) S
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と
(17) VP
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が得られます。
(13d)、(13f) を適用することで
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| |
a girl
が、(13e)、(13g) を適用することで
(19) NP
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Det N
| |
her boyfriend
が導出されます。これらの部分構造を S の句構造に組み合わせると
(20)
[[ファイル:DmpHLJxUwAEZ13J.jpg-large.jpeg|サムネイル|左|tree]]
ここまでで二つの点で疑問を抱かれたのではないでしょうか。それは
①自動詞と他動詞とで二つの句構造規則がある。
②品詞(統語範疇)を語彙に置き換える規則がそれぞれにたくさんあり、無限に存在しそうである。
二つは問題の質が異なります。
②について見ましょう。生成文法は有限の要素と規則から無限の文を定義する仕組みを求めることを目標にしています。統語範疇(一般に言う「品詞」)を語彙に置き換える規則は、語彙は開いたクラス open class で、新しい概念が生まれた場合には新しい語彙が追加されるので、本質的に無限個必要です。
ここで説明しているのは ''Syntactic Structures'' のものですが、''Aspects'' では統語範疇を語彙に置き換える規則は句構造規則から切り離されます。
(21) N → girl
のような規則は「語彙挿入 lexical insertion」と呼ばれ、辞書 lexicon と統語部門の接点とされました。そして残りは「範疇部門 categorial component 」と呼ばれます。
[[カテゴリ:生成文法]] | null | 2022-12-01T17:27:32Z | []
| https://ja.wikibooks.org/wiki/%E7%94%9F%E6%88%90%E6%96%87%E6%B3%95/%E5%8F%A5%E6%A7%8B%E9%80%A0%E6%96%87%E6%B3%95 |
24,531 | 生成文法/基底表示と表層表示 | 生成文法の中で、変換文法に関して有名で、しかし誤解に基づいて批判された概念が基底表示、または深層構造です。
例として現代日本語動詞の活用を取り上げます。「書」「嗅」の終止形、連用形と過去形を考えましょう。
(1) 書:終止形 [kaku], 連用形 [kakji], 過去形 [kaita]
(2) 嗅:終止形 [kaɣu], 連用形 [kaɣji], 過去形 [kaida]
一つの考え方は「母語話者は動詞の活用形をすべて記憶している」というものです。しかし活用には規則性が見られ、この考え方はそういった規則性をうまく活かすことができます。別の考え方は「母語話者は動詞語幹と屈折形態素をそれぞれ記憶しており、発音される形式は一般的な規則によって派生される」というもので、生成文法はこの考え方を採ります。なお、無標素性が指定されていない分節音を大文字で、有標素性が指定されている分節音を小文字で書きます。
(3) 書:語幹 [VRKAK]
(4) 嗅:語幹 [VRKAg]
また、過去の接辞は
(5) タ:[AffTA]
です。過去形の基底表示は次のようになります。
(6) [VRKAK]+[AffTA]
(7) [VRKAg]+[AffTA]
これらの基底表示の特徴は、動詞過去形に関する最小の知識を表している、という点です。派生には少なくとも「イ音便」と語幹末子音と過去形態素初頭子音の「有声性順行同化」が必要です。では、発音される形式(音声表示)がどのように派生されるかを見ましょう。単純化のため、ラベルとブラケットを省きます。 (8) 派生
1 KAKTA, KAgTA -基底表示
2 KAKTA, KAgdA ...順行同化
3 KAKiTA, KAgidA ...母音挿入
4 kakita, kagida ... デフォールト規則
5 kagita, kagida ... 母音間有声化
6 kaɣita, kaɣida ... 弱化
7 kaʝita, kaʝida ... 調音点同化
8 [kaita], [kaida] -音声表示
ここで重要なのは「イ音便」と「有声性順行同化」の適用順序です。イ音便は母音挿入による i の挿入で環境が備わります。しかし、母音挿入が先に行われてしまうと、同化に関わる子音が隣接しないことになります。そこで、母音挿入と順行同化の適用順序は次の通りでなければなりません。
(9) 順行同化 << 母音挿入 | [
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| 生成文法の中で、変換文法に関して有名で、しかし誤解に基づいて批判された概念が基底表示、または深層構造です。 例として現代日本語動詞の活用を取り上げます。「書」「嗅」の終止形、連用形と過去形を考えましょう。 (1) 書:終止形 [kaku], 連用形 [kakʲi], 過去形 [kaita] (2) 嗅:終止形 [kaɣu], 連用形 [kaɣʲi], 過去形 [kaida] 一つの考え方は「母語話者は動詞の活用形をすべて記憶している」というものです。しかし活用には規則性が見られ、この考え方はそういった規則性をうまく活かすことができます。別の考え方は「母語話者は動詞語幹と屈折形態素をそれぞれ記憶しており、発音される形式は一般的な規則によって派生される」というもので、生成文法はこの考え方を採ります。なお、無標素性が指定されていない分節音を大文字で、有標素性が指定されている分節音を小文字で書きます。 (3) 書:語幹 [ⱽᴿKAK] (4) 嗅:語幹 [ⱽᴿKAg] また、過去の接辞は (5) タ:[ᴬᶠᶠTA] です。過去形の基底表示は次のようになります。 (6) [ⱽᴿKAK]+[ᴬᶠᶠTA] (7) [ⱽᴿKAg]+[ᴬᶠᶠTA] これらの基底表示の特徴は、動詞過去形に関する最小の知識を表している、という点です。派生には少なくとも「イ音便」と語幹末子音と過去形態素初頭子音の「有声性順行同化」が必要です。では、発音される形式(音声表示)がどのように派生されるかを見ましょう。単純化のため、ラベルとブラケットを省きます。
(8) 派生 ① KAKTA, KAgTA -基底表示 ② KAKTA, KAgdA …順行同化 ③ KAKiTA, KAgidA …母音挿入 ④ kakita, kagida … デフォールト規則 ⑤ kagita, kagida … 母音間有声化 ⑥ kaɣita, kaɣida … 弱化 ⑦ kaʝita, kaʝida … 調音点同化 ⑧ [kaita], [kaida] -音声表示 ここで重要なのは「イ音便」と「有声性順行同化」の適用順序です。イ音便は母音挿入による i の挿入で環境が備わります。しかし、母音挿入が先に行われてしまうと、同化に関わる子音が隣接しないことになります。そこで、母音挿入と順行同化の適用順序は次の通りでなければなりません。 (9) 順行同化 << 母音挿入 | 生成文法の中で、変換文法に関して有名で、しかし誤解に基づいて批判された概念が基底表示、または深層構造です。
例として現代日本語動詞の活用を取り上げます。「書」「嗅」の終止形、連用形と過去形を考えましょう。
(1) 書:終止形 [kaku], 連用形 [kakʲi], 過去形 [kaita]
(2) 嗅:終止形 [kaɣu], 連用形 [kaɣʲi], 過去形 [kaida]
一つの考え方は「母語話者は動詞の活用形をすべて記憶している」というものです。しかし活用には規則性が見られ、この考え方はそういった規則性をうまく活かすことができます。別の考え方は「母語話者は動詞語幹と屈折形態素をそれぞれ記憶しており、発音される形式は一般的な規則によって派生される」というもので、生成文法はこの考え方を採ります。なお、無標素性が指定されていない分節音を大文字で、有標素性が指定されている分節音を小文字で書きます。
(3) 書:語幹 [ⱽᴿKAK]
(4) 嗅:語幹 [ⱽᴿKAg]
また、過去の接辞は
(5) タ:[ᴬᶠᶠTA]
です。過去形の基底表示は次のようになります。
(6) [ⱽᴿKAK]+[ᴬᶠᶠTA]
(7) [ⱽᴿKAg]+[ᴬᶠᶠTA]
これらの基底表示の特徴は、動詞過去形に関する最小の知識を表している、という点です。派生には少なくとも「イ音便」と語幹末子音と過去形態素初頭子音の「有声性順行同化」が必要です。では、発音される形式(音声表示)がどのように派生されるかを見ましょう。単純化のため、ラベルとブラケットを省きます。
(8) 派生
① KAKTA, KAgTA -基底表示
② KAKTA, KAgdA …順行同化
③ KAKiTA, KAgidA …母音挿入
④ kakita, kagida … デフォールト規則
⑤ kagita, kagida … 母音間有声化
⑥ kaɣita, kaɣida … 弱化
⑦ kaʝita, kaʝida … 調音点同化
⑧ [kaita], [kaida] -音声表示
ここで重要なのは「イ音便」と「有声性順行同化」の適用順序です。イ音便は母音挿入による i の挿入で環境が備わります。しかし、母音挿入が先に行われてしまうと、同化に関わる子音が隣接しないことになります。そこで、母音挿入と順行同化の適用順序は次の通りでなければなりません。
(9) 順行同化 << 母音挿入
[[カテゴリ:生成文法]] | null | 2022-12-01T17:26:49Z | []
| https://ja.wikibooks.org/wiki/%E7%94%9F%E6%88%90%E6%96%87%E6%B3%95/%E5%9F%BA%E5%BA%95%E8%A1%A8%E7%A4%BA%E3%81%A8%E8%A1%A8%E5%B1%A4%E8%A1%A8%E7%A4%BA |
24,532 | 生成文法/フランス語 | フランス語は、日本語や韓国語の母語話者からみると、英語とよく似ている、と考えられます。しかしよく見ると多くの点で異なり例えば
(1) 英語の there 構文
a. There is a book on the shelf.
b. There are many books on the shelf.
(2) フランス語の il y a 構文
a. Il y a une livre.
b. Il y a quelque livres. | [
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(1) 英語の there 構文
a. There is a book on the shelf.
b. There are many books on the shelf.
(2) フランス語の il y a 構文
a. Il y a une livre.
b. Il y a quelque livres.
[[カテゴリ:フランス語]] | null | 2022-11-23T06:37:32Z | []
| https://ja.wikibooks.org/wiki/%E7%94%9F%E6%88%90%E6%96%87%E6%B3%95/%E3%83%95%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%82%B9%E8%AA%9E |
24,533 | 生成文法/韓国語 | 韓国語は日本語によく似ている、と言われます。しかし細かな点を検討すると様々な違いが見られます。ここでは必要に応じて日本語にも言及しながら、変換生成文法がどのように韓国語の統語構造に光を当てるのかを見ていきたいと思います。X’ 理論の主要部パラメータでは head-last で次のような部分構造を持ちます。 | [
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| 韓国語は日本語によく似ている、と言われます。しかし細かな点を検討すると様々な違いが見られます。ここでは必要に応じて日本語にも言及しながら、変換生成文法がどのように韓国語の統語構造に光を当てるのかを見ていきたいと思います。X’ 理論の主要部パラメータでは head-last で次のような部分構造を持ちます。 | 韓国語は日本語によく似ている、と言われます。しかし細かな点を検討すると様々な違いが見られます。ここでは必要に応じて日本語にも言及しながら、変換生成文法がどのように韓国語の統語構造に光を当てるのかを見ていきたいと思います。X’ 理論の主要部パラメータでは head-last で次のような部分構造を持ちます。
(1) vP
/\
DP v’
/\
VP v°
[[カテゴリ:朝鮮語]] | null | 2022-11-30T16:08:03Z | []
| https://ja.wikibooks.org/wiki/%E7%94%9F%E6%88%90%E6%96%87%E6%B3%95/%E9%9F%93%E5%9B%BD%E8%AA%9E |
24,534 | 生成文法/変換文法 | 句構造文法は有限状態文法よりは強い生成力を持ちますが自然言語を定義するには十分な生成力を備えていません。チョムスキーは「文に対する弱生成力と構造記述に対する強生成力」と言いましたが、有限状態文法は弱生成力すら備えず、句構造文法は強生成力の点で問題があります。 | [
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| 句構造文法は有限状態文法よりは強い生成力を持ちますが自然言語を定義するには十分な生成力を備えていません。チョムスキーは「文に対する弱生成力と構造記述に対する強生成力」と言いましたが、有限状態文法は弱生成力すら備えず、句構造文法は強生成力の点で問題があります。 | 句構造文法は有限状態文法よりは強い生成力を持ちますが自然言語を定義するには十分な生成力を備えていません。チョムスキーは「文に対する弱生成力と構造記述に対する強生成力」と言いましたが、有限状態文法は弱生成力すら備えず、句構造文法は強生成力の点で問題があります。
[[カテゴリ:生成文法]] | null | 2022-12-01T17:27:32Z | []
| https://ja.wikibooks.org/wiki/%E7%94%9F%E6%88%90%E6%96%87%E6%B3%95/%E5%A4%89%E6%8F%9B%E6%96%87%E6%B3%95 |
24,535 | 生成文法/初期生成文法 | チョムスキーの理論はころころ変わる、チョムスキーの主張に一貫性がない、等の批判はよく聞かれるところのものです。その原因のひとつがチョムスキーが学会発表・論文公刊・博士論文提出(1955ごろ)から現在に至るまで、次々に新しい枠組みを提示してきた、ということです。
おおまかには、変換生成文法は次の変遷を辿りました。
Syntactic Structures モデル
→ Aspects of the Theory of Syntax モデル(標準理論)
→ 語彙論者仮説・変換への条件・痕跡理論
→ 統率・束縛理論
→ Minimalist アプローチ
背景には次のようなものがありました:
・大陸合理論
・再帰関数
・分析哲学
・アメリカ構造主義言語学
また、やや後付けのようにも見えますが、チョムスキーはしばらく経ってから生成文法を次のような伝統・文脈に位置付けました:
・パーニニ Panini のサンスクリット文典
・歴史言語学
・ブルームフィールド、ヤコブソンに見られる規則順序付け
・自然の数学化
・心/脳の自然哲学
ここでは Syntactic Structures(1957、勇康雄 訳と福井・辻子 訳で邦訳あり。以下、SS)のモデルについて説明していきます。
特徴として文法の形式化と変換文法の提案が挙げられます。伝統的な文典は母語であれ外国語であれ、利用者の知らない情報のみが掲載されています。当然とも言えることですが、利用者が暗黙のうちに知っていることは記述されません。
チョムスキーは、従来の文典で読み手に任せていた情報もすべて書き出し、曖昧さのないやり方で述べることを宣言します。これは個別言語の「モデル」を作ることによって行い、効用として、個別言語の事実に照らし合せて真か偽かを判別できる点が挙げられます。ここで個別言語の事実とは、文に関する判断です。
さらに変換規則を加える必要があることは別に述べました。
SS ではすべてをゼロから始めるのではなく、伝統文法の記述の上に研究を進めます。そこで注目することの一つが「態 voice」の対応関係です。伝統文法では
John kissed Mary.
と
Mary was kissed (by John).
を能動と受動の対応と述べます。
伝統文法に反映された直観 intuition は、次の核文 kernel sentence を共有することである、と提案します:
(1) John PAST kiss Mary
先に受動態の文を考えます。受動文の表層構造を導くには次の変換規則を適用します:
(2)
構造記述:NP AUX V NP
構造変化:W - X - Y - Z → Z - X+be+en - Y - by+W
(1) に (2) を適用して得られるのが
(3) Mary PAST+be+en kiss by+John
です。次に affix hopping と呼ばれる
(4)
構造記述:R - Aff - V - U
構造変化:W - X - Y - Z → W - Y - X # - Z
が適用されます。
(5) Mary PAST+be kiss-en# by John
これが表層構造になります。
これに対して能動態の文は受動化変換 (2) が適用されず、(1) に (4) が適用された構造です。
(6) John kiss-PAST# Mary
これが表層構造になります。発音ではそれぞれ
(7)
a. PAST+be → /was/
b. kiss+en# → /kisd/
c. kiss+PAST# → /kisd/
と解釈されます。
この分析では、能動態と受動態の文の共通点は「核文を共有する」と述べられます。さらに伝統的に「能動文は受動文に比べてより基本的である」という直観があります。これは、能動文には受動文の導出に必要な受動化変換規則が適用されておらず、そのため、「より核文を直接反映する」と述べられます。
能動文と受動文は核文を共有するという点で意味が共通していますが、すべて同じ、とは言えません。英語では主題を明示するマーカーがありませんが、主題になりやすいのは主語で、能動態と受動態では主語が替わります。また、
(7)
a. Everyone loves someone.
b. Someone is loved by everyone.
も
解釈が異なります。つまり SS の枠組みでは「変換規則の適用は意味を変える」ことになります。
他の意味を変える変換規則を見てみましょう。
(8) John AUX+past kiss animate_noun
これに疑問化変換 18, 19 を適用します:
(9)
a. AUX+past John kiss animate_noun (by 18)
b. animate_noun AUX+past John kiss (by Tw1 of 19)
c. wh+animate_noun AUX+past John kiss (by Tw2 of 19)
これに次の規則を適用します。do-support と呼ばれる規則です。
(10)
a. wh+animate_noun #AUX+past John kiss
b. wh+animate_noun #do AUX+past John kiss
これが表層構造となり、次の音韻解釈を受けます。
(11) Who did John kiss? | [
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| チョムスキーの理論はころころ変わる、チョムスキーの主張に一貫性がない、等の批判はよく聞かれるところのものです。その原因のひとつがチョムスキーが学会発表・論文公刊・博士論文提出(1955ごろ)から現在に至るまで、次々に新しい枠組みを提示してきた、ということです。 おおまかには、変換生成文法は次の変遷を辿りました。 Syntactic Structures モデル → Aspects of the Theory of Syntax モデル(標準理論) → 語彙論者仮説・変換への条件・痕跡理論 → 統率・束縛理論 → Minimalist アプローチ 背景には次のようなものがありました: ・大陸合理論 ・再帰関数 ・分析哲学 ・アメリカ構造主義言語学 また、やや後付けのようにも見えますが、チョムスキーはしばらく経ってから生成文法を次のような伝統・文脈に位置付けました: ・パーニニ Panini のサンスクリット文典 ・歴史言語学 ・ブルームフィールド、ヤコブソンに見られる規則順序付け ・自然の数学化 ・心/脳の自然哲学 ここでは Syntactic Structuresのモデルについて説明していきます。 特徴として文法の形式化と変換文法の提案が挙げられます。伝統的な文典は母語であれ外国語であれ、利用者の知らない情報のみが掲載されています。当然とも言えることですが、利用者が暗黙のうちに知っていることは記述されません。 チョムスキーは、従来の文典で読み手に任せていた情報もすべて書き出し、曖昧さのないやり方で述べることを宣言します。これは個別言語の「モデル」を作ることによって行い、効用として、個別言語の事実に照らし合せて真か偽かを判別できる点が挙げられます。ここで個別言語の事実とは、文に関する判断です。 さらに変換規則を加える必要があることは別に述べました。 SS ではすべてをゼロから始めるのではなく、伝統文法の記述の上に研究を進めます。そこで注目することの一つが「態 voice」の対応関係です。伝統文法では John kissed Mary. と Mary was kissed. を能動と受動の対応と述べます。 伝統文法に反映された直観 intuition は、次の核文 kernel sentence を共有することである、と提案します: (1) John PAST kiss Mary 先に受動態の文を考えます。受動文の表層構造を導くには次の変換規則を適用します: (2) 構造記述:NP AUX V NP 構造変化:W - X - Y - Z → Z - X+be+en - Y - by+W (1) に (2) を適用して得られるのが (3) Mary PAST+be+en kiss by+John です。次に affix hopping と呼ばれる (4) 構造記述:R - Aff - V - U 構造変化:W - X - Y - Z → W - Y - X # - Z が適用されます。 (5) Mary PAST+be kiss-en# by John これが表層構造になります。 これに対して能動態の文は受動化変換 (2) が適用されず、(1) に (4) が適用された構造です。 (6) John kiss-PAST# Mary これが表層構造になります。発音ではそれぞれ (7) a. PAST+be → /was/ b. kiss+en# → /kisd/ c. kiss+PAST# → /kisd/ と解釈されます。 この分析では、能動態と受動態の文の共通点は「核文を共有する」と述べられます。さらに伝統的に「能動文は受動文に比べてより基本的である」という直観があります。これは、能動文には受動文の導出に必要な受動化変換規則が適用されておらず、そのため、「より核文を直接反映する」と述べられます。 能動文と受動文は核文を共有するという点で意味が共通していますが、すべて同じ、とは言えません。英語では主題を明示するマーカーがありませんが、主題になりやすいのは主語で、能動態と受動態では主語が替わります。また、 (7) a. Everyone loves someone. b. Someone is loved by everyone. も 解釈が異なります。つまり SS の枠組みでは「変換規則の適用は意味を変える」ことになります。 他の意味を変える変換規則を見てみましょう。 (8) John AUX+past kiss animate_noun これに疑問化変換 18, 19 を適用します: (9) a. AUX+past John kiss animate_noun b. animate_noun AUX+past John kiss c. wh+animate_noun AUX+past John kiss これに次の規則を適用します。do-support と呼ばれる規則です。 (10) a. wh+animate_noun #AUX+past John kiss b. wh+animate_noun #do AUX+past John kiss これが表層構造となり、次の音韻解釈を受けます。 (11) Who did John kiss? | チョムスキーの理論はころころ変わる、チョムスキーの主張に一貫性がない、等の批判はよく聞かれるところのものです。その原因のひとつがチョムスキーが学会発表・論文公刊・博士論文提出(1955ごろ)から現在に至るまで、次々に新しい枠組みを提示してきた、ということです。
おおまかには、変換生成文法は次の変遷を辿りました。
''Syntactic Structures'' モデル
→ ''Aspects of the Theory of Syntax'' モデル(標準理論)
→ 語彙論者仮説・変換への条件・痕跡理論
→ 統率・束縛理論
→ ''Minimalist'' アプローチ
背景には次のようなものがありました:
・大陸合理論
・再帰関数
・分析哲学
・アメリカ構造主義言語学
また、やや後付けのようにも見えますが、チョムスキーはしばらく経ってから生成文法を次のような伝統・文脈に位置付けました:
・パーニニ Panini のサンスクリット文典
・歴史言語学
・ブルームフィールド、ヤコブソンに見られる規則順序付け
・自然の数学化
・心/脳の自然哲学
ここでは ''Syntactic Structures''(1957、勇康雄 訳と福井・辻子 訳で邦訳あり。以下、SS)のモデルについて説明していきます。
特徴として文法の形式化と変換文法の提案が挙げられます。伝統的な文典は母語であれ外国語であれ、利用者の知らない情報のみが掲載されています。当然とも言えることですが、利用者が暗黙のうちに知っていることは記述されません。
チョムスキーは、従来の文典で読み手に任せていた情報もすべて書き出し、曖昧さのないやり方で述べることを宣言します。これは個別言語の「モデル」を作ることによって行い、効用として、個別言語の事実に照らし合せて真か偽かを判別できる点が挙げられます。ここで個別言語の事実とは、文に関する判断です。
さらに変換規則を加える必要があることは別に述べました。
SS ではすべてをゼロから始めるのではなく、伝統文法の記述の上に研究を進めます。そこで注目することの一つが「態 voice」の対応関係です。伝統文法では
John kissed Mary.
と
Mary was kissed (by John).
を能動と受動の対応と述べます。
伝統文法に反映された直観 intuition は、次の核文 kernel sentence を共有することである、と提案します:
(1) John PAST kiss Mary
先に受動態の文を考えます。受動文の表層構造を導くには次の変換規則を適用します:
(2)
構造記述:NP AUX V NP
構造変化:W - X - Y - Z → Z - X+be+en - Y - by+W
(1) に (2) を適用して得られるのが
(3) Mary PAST+be+en kiss by+John
です。次に affix hopping と呼ばれる
(4)
構造記述:R - Aff - V - U
構造変化:W - X - Y - Z → W - Y - X # - Z
が適用されます。
(5) Mary PAST+be kiss-en# by John
これが表層構造になります。
これに対して能動態の文は受動化変換 (2) が適用されず、(1) に (4) が適用された構造です。
(6) John kiss-PAST# Mary
これが表層構造になります。発音ではそれぞれ
(7)
a. PAST+be → /was/
b. kiss+en# → /kisd/
c. kiss+PAST# → /kisd/
と解釈されます。
この分析では、能動態と受動態の文の共通点は「核文を共有する」と述べられます。さらに伝統的に「能動文は受動文に比べてより基本的である」という直観があります。これは、能動文には受動文の導出に必要な受動化変換規則が適用されておらず、そのため、「より核文を直接反映する」と述べられます。
能動文と受動文は核文を共有するという点で意味が共通していますが、すべて同じ、とは言えません。英語では主題を明示するマーカーがありませんが、主題になりやすいのは主語で、能動態と受動態では主語が替わります。また、
(7)
a. Everyone loves someone.
b. Someone is loved by everyone.
も
解釈が異なります。つまり SS の枠組みでは「変換規則の適用は意味を変える」ことになります。
他の意味を変える変換規則を見てみましょう。
(8) John AUX+past kiss animate_noun
これに疑問化変換 18, 19 を適用します:
(9)
a. AUX+past John kiss animate_noun (by 18)
b. animate_noun AUX+past John kiss (by Tw1 of 19)
c. wh+animate_noun AUX+past John kiss (by Tw2 of 19)
これに次の規則を適用します。do-support と呼ばれる規則です。
(10)
a. wh+animate_noun #AUX+past John kiss
b. wh+animate_noun #do AUX+past John kiss
これが表層構造となり、次の音韻解釈を受けます。
(11) Who did John kiss?
[[カテゴリ:生成文法]] | null | 2022-12-01T17:27:31Z | []
| https://ja.wikibooks.org/wiki/%E7%94%9F%E6%88%90%E6%96%87%E6%B3%95/%E5%88%9D%E6%9C%9F%E7%94%9F%E6%88%90%E6%96%87%E6%B3%95 |
24,536 | 生成文法/ミニマリスト・アプローチ | Aspects モデルでは意味解釈への出力は深層構造でした。統率・束縛理論では LF が意味解釈とのインターフェイスでした。多くの研究が生成文法の枠内で行われ、研究者が意識的・無意識に行っていた方向性を明確にして、自然言語がそこからどれぐらい外れるかを画定しようと企図されました。
本題に。Aspects モデルでは意味解釈への出力は深層構造でした。統率・束縛理論では LF が意味解釈とのインターフェイスでした。多くの研究が生成文法の枠内で行われ、研究者が意識的・無意識に行っていた方向性を明確にして、自然言語がそこからどれぐらい外れるかを画定しようと企図されました。
アンリ・ポアンカレは著作の中で「思考の経済性」の重要性について触れている。同様のことはアインシュタインも「感覚与件を最小の道具立てで説明すること」と表現している。チは、生成文法の研究史上、生き残る理論が上記のラインに沿っている、ということが繰り返し現れたことを承けこれを明確に作業仮説として受け入れる。これは「方法論的最小主義 methodological minimalism」と呼ばれる。また、表示の経済性 economy of representation と派生の経済性 economy of derivation を作業仮説とし、例え必要な説明のために付け加えられた装置であっても、再度見直しを行うべしとした。
例えば、WH 移動は英語やセルビア語・クロアチア語などでは S構造で適用されるが、中国語や日本語などでは LF で適用される、と仮定された。これによって見た目上の WH 要素の分布が説明された上、島の制約は S 構造に課せられるとされ、後者のタイプではこの制約の影響がないと言われた。 | [
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| Aspects モデルでは意味解釈への出力は深層構造でした。統率・束縛理論では LF が意味解釈とのインターフェイスでした。多くの研究が生成文法の枠内で行われ、研究者が意識的・無意識に行っていた方向性を明確にして、自然言語がそこからどれぐらい外れるかを画定しようと企図されました。 本題に。Aspects モデルでは意味解釈への出力は深層構造でした。統率・束縛理論では LF が意味解釈とのインターフェイスでした。多くの研究が生成文法の枠内で行われ、研究者が意識的・無意識に行っていた方向性を明確にして、自然言語がそこからどれぐらい外れるかを画定しようと企図されました。 アンリ・ポアンカレは著作の中で「思考の経済性」の重要性について触れている。同様のことはアインシュタインも「感覚与件を最小の道具立てで説明すること」と表現している。チは、生成文法の研究史上、生き残る理論が上記のラインに沿っている、ということが繰り返し現れたことを承けこれを明確に作業仮説として受け入れる。これは「方法論的最小主義 methodological minimalism」と呼ばれる。また、表示の経済性 economy of representation と派生の経済性 economy of derivation を作業仮説とし、例え必要な説明のために付け加えられた装置であっても、再度見直しを行うべしとした。 例えば、WH 移動は英語やセルビア語・クロアチア語などでは S構造で適用されるが、中国語や日本語などでは LF で適用される、と仮定された。これによって見た目上の WH 要素の分布が説明された上、島の制約は S 構造に課せられるとされ、後者のタイプではこの制約の影響がないと言われた。 | Aspects モデルでは意味解釈への出力は深層構造でした。統率・束縛理論では LF が意味解釈とのインターフェイスでした。多くの研究が生成文法の枠内で行われ、研究者が意識的・無意識に行っていた方向性を明確にして、自然言語がそこからどれぐらい外れるかを画定しようと企図されました。
本題に。Aspects モデルでは意味解釈への出力は深層構造でした。統率・束縛理論では LF が意味解釈とのインターフェイスでした。多くの研究が生成文法の枠内で行われ、研究者が意識的・無意識に行っていた方向性を明確にして、自然言語がそこからどれぐらい外れるかを画定しようと企図されました。
アンリ・ポアンカレは著作の中で「思考の経済性」の重要性について触れている。同様のことはアインシュタインも「感覚与件を最小の道具立てで説明すること」と表現している。チは、生成文法の研究史上、生き残る理論が上記のラインに沿っている、ということが繰り返し現れたことを承けこれを明確に作業仮説として受け入れる。これは「方法論的最小主義 methodological minimalism」と呼ばれる。また、表示の経済性 economy of representation と派生の経済性 economy of derivation を作業仮説とし、例え必要な説明のために付け加えられた装置であっても、再度見直しを行うべしとした。
例えば、WH 移動は英語やセルビア語・クロアチア語などでは S構造で適用されるが、中国語や日本語などでは LF で適用される、と仮定された。これによって見た目上の WH 要素の分布が説明された上、島の制約は S 構造に課せられるとされ、後者のタイプではこの制約の影響がないと言われた。
[[カテゴリ:生成文法]] | null | 2022-12-01T17:26:45Z | []
| https://ja.wikibooks.org/wiki/%E7%94%9F%E6%88%90%E6%96%87%E6%B3%95/%E3%83%9F%E3%83%8B%E3%83%9E%E3%83%AA%E3%82%B9%E3%83%88%E3%83%BB%E3%82%A2%E3%83%97%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%83%81 |
24,538 | 生成文法/統率・束縛理論 | 1980 年代に集中的に研究された「統率・束縛理論 Government and Binding Theory」について説明します。Aspects モデル以降、深層構造が意味解釈に関与する唯一のレベルである、という主張は否定された、とされています。統率・束縛理論は次の構成を持ちます。
統率と束縛はこの理論的枠組みの隅々に関わる一方、SS モデル、Aspects モデルの変換規則は因子分解され、単一の変換規則として一般化され適用に条件が課せられます。
例を見ながら考えていきましょう。
これは受動文
(4) A story of my life was written by the singer.
に対応する D 構造です。S 構造は
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"text": "1980 年代に集中的に研究された「統率・束縛理論 Government and Binding Theory」について説明します。Aspects モデル以降、深層構造が意味解釈に関与する唯一のレベルである、という主張は否定された、とされています。統率・束縛理論は次の構成を持ちます。",
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| 1980 年代に集中的に研究された「統率・束縛理論 Government and Binding Theory」について説明します。Aspects モデル以降、深層構造が意味解釈に関与する唯一のレベルである、という主張は否定された、とされています。統率・束縛理論は次の構成を持ちます。 統率と束縛はこの理論的枠組みの隅々に関わる一方、SS モデル、Aspects モデルの変換規則は因子分解され、単一の変換規則として一般化され適用に条件が課せられます。 例を見ながら考えていきましょう。 これは受動文 (4) A story of my life was written by the singer. に対応する D 構造です。S 構造は です。 | 1980 年代に集中的に研究された「統率・束縛理論 Government and Binding Theory」について説明します。''Aspects'' モデル以降、深層構造が意味解釈に関与する唯一のレベルである、という主張は否定された、とされています。統率・束縛理論は次の構成を持ちます。
(1) 統率・束縛理論の構成
変換⤵︎ 変換⤵︎
辞書 → D 構造 → S 構造 → LF
| | |
X’ スキーム 条件 条件
統率と束縛はこの理論的枠組みの隅々に関わる一方、''SS'' モデル、''Aspects'' モデルの変換規則は因子分解され、単一の変換規則として一般化され適用に条件が課せられます。
(2) α移動:α を任意の位置に移動せよ
例を見ながら考えていきましょう。
(3) S
// \
Δ Infl VP
/ \
V’ PP
/\ /\
V NP P NP
これは受動文
(4) A story of my life was written by the singer.
に対応する D 構造です。S 構造は
(3) S
// \
NP<sub>i</sub> Infl VP
↑ /\ / \
| V I V’ PP
| \ /\
a story ----- ''t''<sub>i</sub> P NP
by the singer
です。
/\ |
[[カテゴリ:生成文法]] | null | 2022-12-01T17:26:52Z | []
| https://ja.wikibooks.org/wiki/%E7%94%9F%E6%88%90%E6%96%87%E6%B3%95/%E7%B5%B1%E7%8E%87%E3%83%BB%E6%9D%9F%E7%B8%9B%E7%90%86%E8%AB%96 |
24,539 | ルービックキューブ/簡単 | 初心者のための手順です。スピードは狙いません。覚える手数を極力減らして2~3分程度で完成させます。 コマをどのように移動させるかには悩まずに初期配置のパターンとまじない的手順の繰り返しで完成させます。
ルービックキューブは、各面の中央にあるセンター(芯)と8個のコーナー(角)、12個のエッジ(辺)のキューブ(コマ)で構成されています。 ここでは、全6面のうち各面をそれぞれ「上、下、左、右、前、後」、動かし方は回転方向で数字の「1、2、3」と呼ぶことにします。
自由に動かせる段階ですので説明しません。白面を側面までそろえて完成させてください。 十字を先に作ると作りやすいと言われています。
先ほど完成させた白面を下にして次に2段目をそろえます。上段手前にあるコマを二段目の右側と交換するパターンと左側と交換するパターンがあります。 初期配置の画像に合わせて手に持ってから手順どおりに回転させます。
*2段目のコマが上段にまったくない場合は一旦適当なコマと入れ替えます
次に上面に十字を作ります。初期配置と同じパターンのいづれかを見つけます。灰色の部分に残りの黄色があっても気にする必要はありません。
*上面に十字(角の色はどのような状態でも問題ありません)が出来るまで手順を繰り返します(最長3回)。
上面の色を9コマすべて合わせます。初期配置は側面の色にも注視してください。
*手で持ち替えながら色がそろうまで手順を繰り返します(最長3回)。 *魚形から魚形が現れたらもう一度手順を繰り返すと色がそろいます。
上面コマの4角の側面をそろえます。
*そろうまで繰り返します(最長2回)後面の回転方向に注意。
最後に上面の辺を合わせて完成です。
*完成するまで繰り返します(最長3回)。 | [
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"text": "初心者のための手順です。スピードは狙いません。覚える手数を極力減らして2~3分程度で完成させます。 コマをどのように移動させるかには悩まずに初期配置のパターンとまじない的手順の繰り返しで完成させます。",
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"text": "ルービックキューブは、各面の中央にあるセンター(芯)と8個のコーナー(角)、12個のエッジ(辺)のキューブ(コマ)で構成されています。 ここでは、全6面のうち各面をそれぞれ「上、下、左、右、前、後」、動かし方は回転方向で数字の「1、2、3」と呼ぶことにします。",
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"text": "自由に動かせる段階ですので説明しません。白面を側面までそろえて完成させてください。 十字を先に作ると作りやすいと言われています。",
"title": "STEP1 完全一面"
},
{
"paragraph_id": 3,
"tag": "p",
"text": "先ほど完成させた白面を下にして次に2段目をそろえます。上段手前にあるコマを二段目の右側と交換するパターンと左側と交換するパターンがあります。 初期配置の画像に合わせて手に持ってから手順どおりに回転させます。",
"title": "STEP2 二段目"
},
{
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"text": "*2段目のコマが上段にまったくない場合は一旦適当なコマと入れ替えます",
"title": "STEP2 二段目"
},
{
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"text": "次に上面に十字を作ります。初期配置と同じパターンのいづれかを見つけます。灰色の部分に残りの黄色があっても気にする必要はありません。",
"title": "STEP3 上面に十字を作る"
},
{
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"text": "*上面に十字(角の色はどのような状態でも問題ありません)が出来るまで手順を繰り返します(最長3回)。",
"title": "STEP3 上面に十字を作る"
},
{
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"text": "上面の色を9コマすべて合わせます。初期配置は側面の色にも注視してください。",
"title": "STEP4 上面の色を合わせる"
},
{
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"text": "*手で持ち替えながら色がそろうまで手順を繰り返します(最長3回)。 *魚形から魚形が現れたらもう一度手順を繰り返すと色がそろいます。",
"title": "STEP4 上面の色を合わせる"
},
{
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"text": "上面コマの4角の側面をそろえます。",
"title": "STEP5 上面の角をそろえる"
},
{
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"text": "*そろうまで繰り返します(最長2回)後面の回転方向に注意。",
"title": "STEP5 上面の角をそろえる"
},
{
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"text": "最後に上面の辺を合わせて完成です。",
"title": "STEP6 六面完成"
},
{
"paragraph_id": 12,
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"text": "*完成するまで繰り返します(最長3回)。",
"title": "STEP6 六面完成"
}
]
| 初心者のための手順です。スピードは狙いません。覚える手数を極力減らして2~3分程度で完成させます。
コマをどのように移動させるかには悩まずに初期配置のパターンとまじない的手順の繰り返しで完成させます。 | 初心者のための手順です。スピードは狙いません。覚える手数を極力減らして2~3分程度で完成させます。
コマをどのように移動させるかには悩まずに初期配置のパターンとまじない的手順の繰り返しで完成させます。
== 対象 ==
*基本操作を理解し、1面(完全一面)が完成させられる人。
== 目標 ==
*一晩で説明を見ながら完成
*一週間で説明を見ずに完成
== 名称と動かし方 ==
ルービックキューブは、各面の中央にあるセンター(芯)と8個のコーナー(角)、12個のエッジ(辺)のキューブ(コマ)で構成されています。
ここでは、全6面のうち各面をそれぞれ「上、下、左、右、前、後」、動かし方は回転方向で数字の「1、2、3」と呼ぶことにします。
<gallery>
File:Rubik's Cube JB step0-1.svg|上(画像の例では白面)右(青面)前(赤面)と反対側の下、左、後がある
</gallery>
*時計回りに90度回転を「1」
*時計回りに180度回転を「2」
*時計回りに270度回転を「3」(「3」は反時計回りに90度回転させることと同じです)
:*後面や下面を回転させるときは見た目の回転方向が逆になるので注意を要します
<gallery>
File:Rubik's cube almost solved.svg|例:前面(青)を反時計回りに90度回転させる「前3」
File:מצב 1 - האלגוריתם.png|例:(左から順番に)前3下3前1下1
</gallery>
== STEP1 完全一面 ==
自由に動かせる段階ですので説明しません。白面を側面までそろえて完成させてください。
十字を先に作ると作りやすいと言われています。
<gallery>
File:Rubik's Cube JB step1-1.svg|完全1面(灰色は色がそろっていない状態を示す)
</gallery>
== STEP2 二段目 ==
先ほど完成させた白面を下にして次に2段目をそろえます。上段手前にあるコマを二段目の右側と交換するパターンと左側と交換するパターンがあります。
初期配置の画像に合わせて手に持ってから手順どおりに回転させます。
<gallery>
File:Rubik's Cube JB step2-1.svg|初期配置:<br />(画像の例では青赤のコマを)右に入れる('''上1右1上3右3前1右3前3右1''')
File:Rubik's Cube JB step2-2.svg|初期配置:<br />(画像の例では青橙のコマを)左に入れる('''上3左3上1左1前3左1前1左3''')
</gallery>
*2段目のコマが上段にまったくない場合は一旦適当なコマと入れ替えます
== STEP3 上面に十字を作る ==
次に上面に十字を作ります。初期配置と同じパターンのいづれかを見つけます。灰色の部分に残りの黄色があっても気にする必要はありません。
:'''前1右1上1右3上3前3'''
<gallery>
File:Rubik's Cube JB step3-1.svg|初期配置(優先1):<br />横直線
File:Rubik's Cube JB step3-2.svg|初期配置(優先2):<br />逆L字
File:Rubik's Cube JB step3-3.svg|初期配置:<br />いずれでもない
</gallery>
*上面に十字(角の色はどのような状態でも問題ありません)が出来るまで手順を繰り返します(最長3回)。
== STEP4 上面の色を合わせる ==
上面の色を9コマすべて合わせます。初期配置は側面の色にも注視してください。
:'''右1上2右3上3右1上3右3'''
<gallery>
File:Rubik's Cube JB step4-1.svg|初期配置:<br />凸形(凸を上に)
File:Rubik's Cube JB step4-2.svg|初期配置:<br />格子形(右上の右側面に黄色)
File:Rubik's Cube JB step4-3.svg|初期配置:<br />十字形(右上と左上の後側面に黄色)
File:Rubik's Cube JB step4-4.svg|初期配置:<br />魚形(魚の頭を右上に)
</gallery>
*手で持ち替えながら色がそろうまで手順を繰り返します(最長3回)。<br />
*魚形から魚形が現れたらもう一度手順を繰り返すと色がそろいます。
== STEP5 上面の角をそろえる ==
上面コマの4角の側面をそろえます。
:'''右1後3右1前2右3後1右1前2右2'''
<gallery>
File:Rubik's Cube JB step5-1.svg|初期配置(優先):<br />左右の角がそろっている面を前面に(画像の例では青を前面に)
File:Rubik's Cube JB step5-2.svg|初期配置:<br />角がまったくそろっていない
</gallery>
*そろうまで繰り返します(最長2回)後面の回転方向に注意。
== STEP6 六面完成 ==
最後に上面の辺を合わせて完成です。
:'''右2上1右1上1右3上3右3上3右3上1右3'''
<gallery>
File:Rubik's Cube JB step6-1.svg|初期配置(優先):<br />1辺だけそろっている(画像の例ではそろっている緑を後面に)
File:Rubik's Cube JB step6-2.svg|初期配置:<br />4辺がバラバラ
</gallery>
*完成するまで繰り返します(最長3回)。
<gallery>
File:Rubik's Cube JB step0-2.svg|完成
</gallery>
== メモ ==
*S1:完全一面
*S2:二段四辺:上1右1上3右3前1右3前3右1(上3左3上1左1前3左1前1左3)
*S3:上面十字:前1右1上1右3上3前3
*S4:上面一面:右1上2右3上3右1上3右3
*S5:上面四角:右1後3右1前2右3後1右1前2右2
*S6:上面四辺:右2上1右1上1右3上3右3上3右3上1右3
== コツ ==
* STEP2は、コマの移動を目で追うことができます。
* 初期配置は目に、動かす面は手に、回転方向は口に覚え込ませましょう。
:フィードバックは、[[トーク:ルービックキューブ/簡単]]へ。
{{DEFAULTSORT:るうひつくきゆうふかんたん}}
[[Category:ルービックキューブ]] | null | 2022-02-14T02:41:04Z | []
| https://ja.wikibooks.org/wiki/%E3%83%AB%E3%83%BC%E3%83%93%E3%83%83%E3%82%AF%E3%82%AD%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%83%96/%E7%B0%A1%E5%8D%98 |
24,544 | 生成文法/言語学・数学・哲学の必要事項 | 生成文法の文献では、言語学の概念だけでなく、形式化のために数学、特に論理表現がよく用いられます。また、生成文法の方法論を科学哲学の側面から検討することもよく行われます。
そこで、必要となる言語学、数学、哲学の概念を取り上げ、説明します。 | [
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| 生成文法の文献では、言語学の概念だけでなく、形式化のために数学、特に論理表現がよく用いられます。また、生成文法の方法論を科学哲学の側面から検討することもよく行われます。 そこで、必要となる言語学、数学、哲学の概念を取り上げ、説明します。 | 生成文法の文献では、言語学の概念だけでなく、形式化のために数学、特に論理表現がよく用いられます。また、生成文法の方法論を科学哲学の側面から検討することもよく行われます。
そこで、必要となる言語学、数学、哲学の概念を取り上げ、説明します。
[[カテゴリ:生成文法]] | null | 2022-12-01T17:26:55Z | []
| https://ja.wikibooks.org/wiki/%E7%94%9F%E6%88%90%E6%96%87%E6%B3%95/%E8%A8%80%E8%AA%9E%E5%AD%A6%E3%83%BB%E6%95%B0%E5%AD%A6%E3%83%BB%E5%93%B2%E5%AD%A6%E3%81%AE%E5%BF%85%E8%A6%81%E4%BA%8B%E9%A0%85 |
24,546 | 生成文法/システム | フェルディナン・ド・ソシュール以来、現代言語学では個々の独立した要素の集まりではなく、全体の中で他の要素との対立関係において価値・機能が与えられ、そういった全体を言語であると考えます。このような考え方は言語を「システム(体系)」と見る考え方です。 | [
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| フェルディナン・ド・ソシュール以来、現代言語学では個々の独立した要素の集まりではなく、全体の中で他の要素との対立関係において価値・機能が与えられ、そういった全体を言語であると考えます。このような考え方は言語を「システム(体系)」と見る考え方です。 | フェルディナン・ド・ソシュール以来、現代言語学では個々の独立した要素の集まりではなく、全体の中で他の要素との対立関係において価値・機能が与えられ、そういった全体を言語であると考えます。このような考え方は言語を「システム(体系)」と見る考え方です。
[[カテゴリ:生成文法]] | null | 2022-12-01T17:27:31Z | []
| https://ja.wikibooks.org/wiki/%E7%94%9F%E6%88%90%E6%96%87%E6%B3%95/%E3%82%B7%E3%82%B9%E3%83%86%E3%83%A0 |
24,562 | 公認会計士試験/平成30年第I回短答式/財務会計論/問題4 | 我が国の企業会計制度に関する次の記述のうち,正しいものの組合せとして最も適切な番号を一つ選びなさい。(8点)
ア.会社法では,株式会社の会計は,「一般に公正妥当と認められる企業会計の慣行」に従うものとされている。例えば企業会計審議会が公表している企業会計原則や,企業会計基準委員会が公表している企業会計基準は,その企業会計の慣行に当たる。
イ.会社法の開示制度における連結計算書類と金融商品取引法の開示制度における連結財務諸表とで共通するものは,連結貸借対照表,連結損益計算書,連結株主資本等変動計算書および連結キャッシュ・フロー計算書である。
ウ.会社法では,全ての株式会社は,定時株主総会の終結後遅滞なく貸借対照表(大会社においては貸借対照表および損益計算書)を公告しなければならないとされている。ただし,金融商品取引法により有価証券報告書を提出する会社は,当該公告を免除される。
エ.金融商品取引法が定める企業内容等の開示制度において,流通市場における開示の場合,証券取引所に株式を上場している会社や過去において不特定多数の投資者から多額の資金を調達した会社が投資者に対して情報開示を行う。そのために作成しなければならないものは,毎決算期ごとの有価証券報告書,3か月ごとの四半期報告書,事業報告および臨時報告書である。
2
ア.会社法では,株式会社の会計は,「一般に公正妥当と認められる企業会計の慣行」に従うものとされている。例えば企業会計審議会が公表している企業会計原則や,企業会計基準委員会が公表している企業会計基準は,その企業会計の慣行に当たる。会社法431条
イ.会社法の開示制度における連結計算書類と金融商品取引法の開示制度における連結財務諸表とで共通するものは,連結貸借対照表,連結損益計算書,連結株主資本等変動計算書および連結キャッシュ・フロー計算書である。会社計算規則61条1号。連結キャッシュ・フロー計算書は金融商品取引法の開示制度においては含まれる。連結財務諸表規則1条
ウ.会社法では,全ての株式会社は,定時株主総会の終結後遅滞なく貸借対照表(大会社においては貸借対照表および損益計算書)を公告しなければならないとされている。ただし,金融商品取引法により有価証券報告書を提出する会社は,当該公告を免除される。会社法440条1項4項
エ.金融商品取引法が定める企業内容等の開示制度において,流通市場における開示の場合,証券取引所に株式を上場している会社や過去において不特定多数の投資者から多額の資金を調達した会社が投資者に対して情報開示を行う。そのために作成しなければならないものは,毎決算期ごとの有価証券報告書,3か月ごとの四半期報告書,事業報告および臨時報告書である。 | [
{
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"text": "我が国の企業会計制度に関する次の記述のうち,正しいものの組合せとして最も適切な番号を一つ選びなさい。(8点)",
"title": "問題"
},
{
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"tag": "p",
"text": "ア.会社法では,株式会社の会計は,「一般に公正妥当と認められる企業会計の慣行」に従うものとされている。例えば企業会計審議会が公表している企業会計原則や,企業会計基準委員会が公表している企業会計基準は,その企業会計の慣行に当たる。",
"title": "問題"
},
{
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"tag": "p",
"text": "イ.会社法の開示制度における連結計算書類と金融商品取引法の開示制度における連結財務諸表とで共通するものは,連結貸借対照表,連結損益計算書,連結株主資本等変動計算書および連結キャッシュ・フロー計算書である。",
"title": "問題"
},
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"text": "ウ.会社法では,全ての株式会社は,定時株主総会の終結後遅滞なく貸借対照表(大会社においては貸借対照表および損益計算書)を公告しなければならないとされている。ただし,金融商品取引法により有価証券報告書を提出する会社は,当該公告を免除される。",
"title": "問題"
},
{
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"text": "エ.金融商品取引法が定める企業内容等の開示制度において,流通市場における開示の場合,証券取引所に株式を上場している会社や過去において不特定多数の投資者から多額の資金を調達した会社が投資者に対して情報開示を行う。そのために作成しなければならないものは,毎決算期ごとの有価証券報告書,3か月ごとの四半期報告書,事業報告および臨時報告書である。",
"title": "問題"
},
{
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"text": "2",
"title": "正解"
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"text": "ア.会社法では,株式会社の会計は,「一般に公正妥当と認められる企業会計の慣行」に従うものとされている。例えば企業会計審議会が公表している企業会計原則や,企業会計基準委員会が公表している企業会計基準は,その企業会計の慣行に当たる。会社法431条",
"title": "解説"
},
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"text": "イ.会社法の開示制度における連結計算書類と金融商品取引法の開示制度における連結財務諸表とで共通するものは,連結貸借対照表,連結損益計算書,連結株主資本等変動計算書および連結キャッシュ・フロー計算書である。会社計算規則61条1号。連結キャッシュ・フロー計算書は金融商品取引法の開示制度においては含まれる。連結財務諸表規則1条",
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{
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"text": "ウ.会社法では,全ての株式会社は,定時株主総会の終結後遅滞なく貸借対照表(大会社においては貸借対照表および損益計算書)を公告しなければならないとされている。ただし,金融商品取引法により有価証券報告書を提出する会社は,当該公告を免除される。会社法440条1項4項",
"title": "解説"
},
{
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"tag": "p",
"text": "エ.金融商品取引法が定める企業内容等の開示制度において,流通市場における開示の場合,証券取引所に株式を上場している会社や過去において不特定多数の投資者から多額の資金を調達した会社が投資者に対して情報開示を行う。そのために作成しなければならないものは,毎決算期ごとの有価証券報告書,3か月ごとの四半期報告書,事業報告および臨時報告書である。",
"title": "解説"
}
]
| null | : [[../問題3|←前の問題]]
: [[../問題5|次の問題→]]
== 問題 ==
我が国の企業会計制度に関する次の記述のうち,正しいものの組合せとして最も適切な番号を一つ選びなさい。(8点)
<div style="text-indent:-1em;margin-left:1em;">
ア.会社法では,株式会社の会計は,「一般に公正妥当と認められる企業会計の慣行」に従うものとされている。例えば企業会計審議会が公表している企業会計原則や,企業会計基準委員会が公表している企業会計基準は,その企業会計の慣行に当たる。
イ.会社法の開示制度における連結計算書類と金融商品取引法の開示制度における連結財務諸表とで共通するものは,連結貸借対照表,連結損益計算書,連結株主資本等変動計算書および連結キャッシュ・フロー計算書である。
ウ.会社法では,全ての株式会社は,定時株主総会の終結後遅滞なく貸借対照表(大会社においては貸借対照表および損益計算書)を公告しなければならないとされている。ただし,金融商品取引法により有価証券報告書を提出する会社は,当該公告を免除される。
エ.金融商品取引法が定める企業内容等の開示制度において,流通市場における開示の場合,証券取引所に株式を上場している会社や過去において不特定多数の投資者から多額の資金を調達した会社が投資者に対して情報開示を行う。そのために作成しなければならないものは,毎決算期ごとの有価証券報告書,3か月ごとの四半期報告書,事業報告および臨時報告書である。
</div>
<div style="column-count:6;">
:1. アイ
:2. アウ
:3. アエ
:4. イウ
:5. イエ
:6. ウエ
</div>
== 正解 ==
2
== 解説 ==
<div style="text-indent:-1em;margin-left:1em;">
ア.会社法では,株式会社の会計は,「一般に公正妥当と認められる企業会計の慣行」に従うものとされている。例えば企業会計審議会が公表している企業会計原則や,企業会計基準委員会が公表している企業会計基準は,その企業会計の慣行に当たる。<ins>会社法431条</ins>
イ.会社法の開示制度における連結計算書類と金融商品取引法の開示制度における連結財務諸表とで共通するものは,連結貸借対照表,連結損益計算書,連結株主資本等変動計算書および<del>連結キャッシュ・フロー計算書</del>である。<ins>会社計算規則61条1号。連結キャッシュ・フロー計算書は金融商品取引法の開示制度においては含まれる。連結財務諸表規則1条</ins>
ウ.会社法では,全ての株式会社は,定時株主総会の終結後遅滞なく貸借対照表(大会社においては貸借対照表および損益計算書)を公告しなければならないとされている。ただし,金融商品取引法により有価証券報告書を提出する会社は,当該公告を免除される。<ins>会社法440条1項4項</ins>
エ.金融商品取引法が定める企業内容等の開示制度において,流通市場における開示の場合,証券取引所に株式を上場している会社や過去において不特定多数の投資者から多額の資金を調達した会社が投資者に対して情報開示を行う。そのために作成しなければならないものは,毎決算期ごとの有価証券報告書,3か月ごとの四半期報告書<del>,事業報告</del>および臨時報告書である。
</div>
== 参照法令等 ==
* [http://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=417AC0000000086#3126 会社法]
* [http://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=418M60000010013&openerCode=1#541 会社計算規則]
* [http://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=351M50000040028&openerCode=1#2 連結財務諸表規則]
: [[../問題3|←前の問題]]
: [[../問題5|次の問題→]]
[[カテゴリ:財務会計]] | null | 2022-11-28T16:38:54Z | []
| https://ja.wikibooks.org/wiki/%E5%85%AC%E8%AA%8D%E4%BC%9A%E8%A8%88%E5%A3%AB%E8%A9%A6%E9%A8%93/%E5%B9%B3%E6%88%9030%E5%B9%B4%E7%AC%ACI%E5%9B%9E%E7%9F%AD%E7%AD%94%E5%BC%8F/%E8%B2%A1%E5%8B%99%E4%BC%9A%E8%A8%88%E8%AB%96/%E5%95%8F%E9%A1%8C4 |
24,565 | 公認会計士試験/平成30年第I回短答式/財務会計論/問題9 | 付随費用の処理に関する次の記述のうち,正しいものの組合せとして最も適切な番号を一つ選びなさい。(8点)
ア.上場株式を売買目的有価証券として取得した場合,その取得に要した手数料などの付随費用は,取得時の費用として計上し,売買目的有価証券の取得原価に算入してはならない。これは,売買目的有価証券は時価評価されて,一期間中における時価の変動差額を投資の成果とみなすためであり,その投資の成果を正確に測定するためには,付随費用を除外しなければならないからである。
イ.委託販売を行っている場合,商品を受託者(販売代理人)に移送することに伴う輸送費と,受託者が当該商品を受領するときに生じる検収費用は,ともに委託商品(積送品)に係る不可避的な付随費用であるから,委託商品の取得原価に算入する。なお,受託者側の付随費用が販売後に連絡されてくる場合であって,当該付随費用が受託者による第三者への販売分と在庫分(保有分)とに分けられるときには,後者のみを棚卸資産の取得原価に算入する。
ウ.大型で高額な製造設備を海外から購入した場合,海外からの輸送費,輸送中の保険料,設備の設置費用などは,不可避的な付随費用としての性格をもつ限り,当該設備の取得原価に算入する。一方,新設備を導入したことにより保守点検組織を改編した場合,その改編に伴う従業員研修および訓練のための費用は,当該設備の取得原価には算入できない。
エ.連結財務諸表上,他企業を買収することに要した支払対価が,取得した資産と負債の公正価値の差(取得した正味の価値)よりも大きい場合,無形資産である「のれん」が生じる。買収に当たって必要となったコンサルタント料は,支払対価に含めることが認められており,当該コンサルタント料だけ「のれん」の額も大きくなる。これは,支払コンサルタント料を付随費用として「のれん」の取得原価に算入したものとみなすからである。
4
ア.上場株式を売買目的有価証券として取得した場合,その取得に要した手数料などの付随費用は,取得時の費用として計上し,売買目的有価証券の取得原価に算入してはならない。これは,売買目的有価証券は時価評価されて,一期間中における時価の変動差額を投資の成果とみなすためであり,その投資の成果を正確に測定するためには,付随費用を除外しなければならないからである。売買目的有価証券の取得原価に算入する。「金融商品会計に関する実務指針」56項
イ.委託販売を行っている場合,商品を受託者(販売代理人)に移送することに伴う輸送費と,受託者が当該商品を受領するときに生じる検収費用は,ともに委託商品(積送品)に係る不可避的な付随費用であるから,委託商品の取得原価に算入する。なお,受託者側の付随費用が販売後に連絡されてくる場合であって,当該付随費用が受託者による第三者への販売分と在庫分(保有分)とに分けられるときには,後者のみを棚卸資産の取得原価に算入する。「棚卸資産の評価に関する会計基準」6-2項
ウ.大型で高額な製造設備を海外から購入した場合,海外からの輸送費,輸送中の保険料,設備の設置費用などは,不可避的な付随費用としての性格をもつ限り,当該設備の取得原価に算入する。一方,新設備を導入したことにより保守点検組織を改編した場合,その改編に伴う従業員研修および訓練のための費用は,当該設備の取得原価には算入できない。「連続意見書第三」四1
エ.連結財務諸表上,他企業を買収することに要した支払対価が,取得した資産と負債の公正価値の差(取得した正味の価値)よりも大きい場合,無形資産である「のれん」が生じる。買収に当たって必要となったコンサルタント料は,支払対価に含めることが認められており,当該コンサルタント料だけ「のれん」の額も大きくなる。これは,支払コンサルタント料を付随費用として「のれん」の取得原価に算入したものとみなすからである。含めて「のれん」の取得原価に算入することはできず,発生した事業年度の費用として処理する。「企業結合に関する会計基準」26項 | [
{
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"text": "付随費用の処理に関する次の記述のうち,正しいものの組合せとして最も適切な番号を一つ選びなさい。(8点)",
"title": "問題"
},
{
"paragraph_id": 1,
"tag": "p",
"text": "ア.上場株式を売買目的有価証券として取得した場合,その取得に要した手数料などの付随費用は,取得時の費用として計上し,売買目的有価証券の取得原価に算入してはならない。これは,売買目的有価証券は時価評価されて,一期間中における時価の変動差額を投資の成果とみなすためであり,その投資の成果を正確に測定するためには,付随費用を除外しなければならないからである。",
"title": "問題"
},
{
"paragraph_id": 2,
"tag": "p",
"text": "イ.委託販売を行っている場合,商品を受託者(販売代理人)に移送することに伴う輸送費と,受託者が当該商品を受領するときに生じる検収費用は,ともに委託商品(積送品)に係る不可避的な付随費用であるから,委託商品の取得原価に算入する。なお,受託者側の付随費用が販売後に連絡されてくる場合であって,当該付随費用が受託者による第三者への販売分と在庫分(保有分)とに分けられるときには,後者のみを棚卸資産の取得原価に算入する。",
"title": "問題"
},
{
"paragraph_id": 3,
"tag": "p",
"text": "ウ.大型で高額な製造設備を海外から購入した場合,海外からの輸送費,輸送中の保険料,設備の設置費用などは,不可避的な付随費用としての性格をもつ限り,当該設備の取得原価に算入する。一方,新設備を導入したことにより保守点検組織を改編した場合,その改編に伴う従業員研修および訓練のための費用は,当該設備の取得原価には算入できない。",
"title": "問題"
},
{
"paragraph_id": 4,
"tag": "p",
"text": "エ.連結財務諸表上,他企業を買収することに要した支払対価が,取得した資産と負債の公正価値の差(取得した正味の価値)よりも大きい場合,無形資産である「のれん」が生じる。買収に当たって必要となったコンサルタント料は,支払対価に含めることが認められており,当該コンサルタント料だけ「のれん」の額も大きくなる。これは,支払コンサルタント料を付随費用として「のれん」の取得原価に算入したものとみなすからである。",
"title": "問題"
},
{
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"tag": "p",
"text": "4",
"title": "正解"
},
{
"paragraph_id": 6,
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"text": "ア.上場株式を売買目的有価証券として取得した場合,その取得に要した手数料などの付随費用は,取得時の費用として計上し,売買目的有価証券の取得原価に算入してはならない。これは,売買目的有価証券は時価評価されて,一期間中における時価の変動差額を投資の成果とみなすためであり,その投資の成果を正確に測定するためには,付随費用を除外しなければならないからである。売買目的有価証券の取得原価に算入する。「金融商品会計に関する実務指針」56項",
"title": "解説"
},
{
"paragraph_id": 7,
"tag": "p",
"text": "イ.委託販売を行っている場合,商品を受託者(販売代理人)に移送することに伴う輸送費と,受託者が当該商品を受領するときに生じる検収費用は,ともに委託商品(積送品)に係る不可避的な付随費用であるから,委託商品の取得原価に算入する。なお,受託者側の付随費用が販売後に連絡されてくる場合であって,当該付随費用が受託者による第三者への販売分と在庫分(保有分)とに分けられるときには,後者のみを棚卸資産の取得原価に算入する。「棚卸資産の評価に関する会計基準」6-2項",
"title": "解説"
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{
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"text": "ウ.大型で高額な製造設備を海外から購入した場合,海外からの輸送費,輸送中の保険料,設備の設置費用などは,不可避的な付随費用としての性格をもつ限り,当該設備の取得原価に算入する。一方,新設備を導入したことにより保守点検組織を改編した場合,その改編に伴う従業員研修および訓練のための費用は,当該設備の取得原価には算入できない。「連続意見書第三」四1",
"title": "解説"
},
{
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"text": "エ.連結財務諸表上,他企業を買収することに要した支払対価が,取得した資産と負債の公正価値の差(取得した正味の価値)よりも大きい場合,無形資産である「のれん」が生じる。買収に当たって必要となったコンサルタント料は,支払対価に含めることが認められており,当該コンサルタント料だけ「のれん」の額も大きくなる。これは,支払コンサルタント料を付随費用として「のれん」の取得原価に算入したものとみなすからである。含めて「のれん」の取得原価に算入することはできず,発生した事業年度の費用として処理する。「企業結合に関する会計基準」26項",
"title": "解説"
}
]
| null | : [[../問題8|←前の問題]]
: [[../問題10|次の問題→]]
== 問題 ==
付随費用の処理に関する次の記述のうち,正しいものの組合せとして最も適切な番号を一つ選びなさい。(8点)
<div style="text-indent:-1em;margin-left:1em;">
ア.上場株式を売買目的有価証券として取得した場合,その取得に要した手数料などの付随費用は,取得時の費用として計上し,売買目的有価証券の取得原価に算入してはならない。これは,売買目的有価証券は時価評価されて,一期間中における時価の変動差額を投資の成果とみなすためであり,その投資の成果を正確に測定するためには,付随費用を除外しなければならないからである。
イ.委託販売を行っている場合,商品を受託者(販売代理人)に移送することに伴う輸送費と,受託者が当該商品を受領するときに生じる検収費用は,ともに委託商品(積送品)に係る不可避的な付随費用であるから,委託商品の取得原価に算入する。なお,受託者側の付随費用が販売後に連絡されてくる場合であって,当該付随費用が受託者による第三者への販売分と在庫分(保有分)とに分けられるときには,後者のみを棚卸資産の取得原価に算入する。
ウ.大型で高額な製造設備を海外から購入した場合,海外からの輸送費,輸送中の保険料,設備の設置費用などは,不可避的な付随費用としての性格をもつ限り,当該設備の取得原価に算入する。一方,新設備を導入したことにより保守点検組織を改編した場合,その改編に伴う従業員研修および訓練のための費用は,当該設備の取得原価には算入できない。
エ.連結財務諸表上,他企業を買収することに要した支払対価が,取得した資産と負債の公正価値の差(取得した正味の価値)よりも大きい場合,無形資産である「のれん」が生じる。買収に当たって必要となったコンサルタント料は,支払対価に含めることが認められており,当該コンサルタント料だけ「のれん」の額も大きくなる。これは,支払コンサルタント料を付随費用として「のれん」の取得原価に算入したものとみなすからである。
</div>
<div style="column-count:6;">
:1. アイ
:2. アウ
:3. アエ
:4. イウ
:5. イエ
:6. ウエ
</div>
== 正解 ==
4
== 解説 ==
<div style="text-indent:-1em;margin-left:1em;">
ア.上場株式を売買目的有価証券として取得した場合,その取得に要した手数料などの付随費用は,<del>取得時の費用として計上し,売買目的有価証券の取得原価に算入してはならない。これは,売買目的有価証券は時価評価されて,一期間中における時価の変動差額を投資の成果とみなすためであり,その投資の成果を正確に測定するためには,付随費用を除外しなければならないからである。</del><ins>売買目的有価証券の取得原価に算入する。「金融商品会計に関する実務指針」56項</ins>
イ.委託販売を行っている場合,商品を受託者(販売代理人)に移送することに伴う輸送費と,受託者が当該商品を受領するときに生じる検収費用は,ともに委託商品(積送品)に係る不可避的な付随費用であるから,委託商品の取得原価に算入する。なお,受託者側の付随費用が販売後に連絡されてくる場合であって,当該付随費用が受託者による第三者への販売分と在庫分(保有分)とに分けられるときには,後者のみを棚卸資産の取得原価に算入する。<ins>「棚卸資産の評価に関する会計基準」6-2項</ins>
ウ.大型で高額な製造設備を海外から購入した場合,海外からの輸送費,輸送中の保険料,設備の設置費用などは,不可避的な付随費用としての性格をもつ限り,当該設備の取得原価に算入する。一方,新設備を導入したことにより保守点検組織を改編した場合,その改編に伴う従業員研修および訓練のための費用は,当該設備の取得原価には算入できない。<ins>「連続意見書第三」四1</ins>
エ.連結財務諸表上,他企業を買収することに要した支払対価が,取得した資産と負債の公正価値の差(取得した正味の価値)よりも大きい場合,無形資産である「のれん」が生じる。買収に当たって必要となったコンサルタント料は,支払対価に<del>含めることが認められており,当該コンサルタント料だけ「のれん」の額も大きくなる。これは,支払コンサルタント料を付随費用として「のれん」の取得原価に算入したものとみなすからである。</del><ins>含めて「のれん」の取得原価に算入することはできず,発生した事業年度の費用として処理する。「企業結合に関する会計基準」26項</ins>
</div>
== 参照法令等 ==
* [https://jicpa.or.jp/specialized_field/14_34.html 金融商品会計に関する実務指針]
* [https://www.asb.or.jp/jp/wp-content/uploads/tanaoroshi-1.pdf#page=3 棚卸資産の評価に関する会計基準]
* [http://gaap.edisc.jp/docs/01/080301/ 連続意見書第三 有形固定資産の減価償却について]
* [https://www.asb.or.jp/jp/wp-content/uploads/ketsugou_1.pdf#page=6 企業結合に関する会計基準]
: [[../問題8|←前の問題]]
: [[../問題10|次の問題→]]
[[カテゴリ:財務会計]] | null | 2022-11-28T16:39:11Z | []
| https://ja.wikibooks.org/wiki/%E5%85%AC%E8%AA%8D%E4%BC%9A%E8%A8%88%E5%A3%AB%E8%A9%A6%E9%A8%93/%E5%B9%B3%E6%88%9030%E5%B9%B4%E7%AC%ACI%E5%9B%9E%E7%9F%AD%E7%AD%94%E5%BC%8F/%E8%B2%A1%E5%8B%99%E4%BC%9A%E8%A8%88%E8%AB%96/%E5%95%8F%E9%A1%8C9 |
24,566 | 公認会計士試験/平成30年第I回短答式/財務会計論/問題10 | 「関連当事者の開示に関する会計基準」および同適用指針に関する次の記述のうち,正しいものの組合せとして最も適切な番号を一つ選びなさい。(8点)
ア.関連当事者との取引とは,会社と関連当事者との取引をいい,資源若しくは債務の移転,または役務の提供をいう。したがって,関連当事者との取引においてはその対価性が要件となるため,対価の無い取引は関連当事者との取引には該当しない。
イ.関連当事者との取引による貸倒懸念債権および破産更生債権等に関する情報は,投資判断として有用な情報であるため,必ず個々の関連当事者ごとに開示しなければならない。
ウ.関連当事者との取引のうち,一般競争入札による取引並びに預金利息および配当の受取りその他取引の性質からみて取引条件が一般の取引と同様であることが明白な取引は,開示対象外とされている。
エ.重要な関連会社が存在する場合には,その名称および当該関連会社の要約財務情報を開示する。
4
ア.関連当事者との取引とは,会社と関連当事者との取引をいい,対価の有無にかかわらず,資源若しくは債務の移転,または役務の提供をいう。したがって,関連当事者との取引においてはその対価性が要件となるため,対価の無い取引は関連当事者との取引には該当しない。基準5項(1)
イ.関連当事者との取引による貸倒懸念債権および破産更生債権等に関する情報は,投資判断として有用な情報であるため,必ず原則として個々の関連当事者ごとに開示しなければならないが,開示することにより信用不安を発生させる可能性を考慮して,関連当事者の種類ごとに合算して記載することも認められる。基準10項(8)37項
ウ.関連当事者との取引のうち,一般競争入札による取引並びに預金利息および配当の受取りその他取引の性質からみて取引条件が一般の取引と同様であることが明白な取引は,開示対象外とされている。基準9項(1)
エ.重要な関連会社が存在する場合には,その名称および当該関連会社の要約財務情報を開示する。基準11項(2) | [
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},
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"text": "イ.関連当事者との取引による貸倒懸念債権および破産更生債権等に関する情報は,投資判断として有用な情報であるため,必ず個々の関連当事者ごとに開示しなければならない。",
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"text": "エ.重要な関連会社が存在する場合には,その名称および当該関連会社の要約財務情報を開示する。",
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"text": "ア.関連当事者との取引とは,会社と関連当事者との取引をいい,対価の有無にかかわらず,資源若しくは債務の移転,または役務の提供をいう。したがって,関連当事者との取引においてはその対価性が要件となるため,対価の無い取引は関連当事者との取引には該当しない。基準5項(1)",
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"text": "イ.関連当事者との取引による貸倒懸念債権および破産更生債権等に関する情報は,投資判断として有用な情報であるため,必ず原則として個々の関連当事者ごとに開示しなければならないが,開示することにより信用不安を発生させる可能性を考慮して,関連当事者の種類ごとに合算して記載することも認められる。基準10項(8)37項",
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"text": "ウ.関連当事者との取引のうち,一般競争入札による取引並びに預金利息および配当の受取りその他取引の性質からみて取引条件が一般の取引と同様であることが明白な取引は,開示対象外とされている。基準9項(1)",
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"text": "エ.重要な関連会社が存在する場合には,その名称および当該関連会社の要約財務情報を開示する。基準11項(2)",
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]
| null | : [[../問題9|←前の問題]]
: [[../問題11|次の問題→]]
== 問題 ==
「関連当事者の開示に関する会計基準」および同適用指針に関する次の記述のうち,正しいものの組合せとして最も適切な番号を一つ選びなさい。(8点)
<div style="text-indent:-1em;margin-left:1em;">
ア.関連当事者との取引とは,会社と関連当事者との取引をいい,資源若しくは債務の移転,または役務の提供をいう。したがって,関連当事者との取引においてはその対価性が要件となるため,対価の無い取引は関連当事者との取引には該当しない。
イ.関連当事者との取引による貸倒懸念債権および破産更生債権等に関する情報は,投資判断として有用な情報であるため,必ず個々の関連当事者ごとに開示しなければならない。
ウ.関連当事者との取引のうち,一般競争入札による取引並びに預金利息および配当の受取りその他取引の性質からみて取引条件が一般の取引と同様であることが明白な取引は,開示対象外とされている。
エ.重要な関連会社が存在する場合には,その名称および当該関連会社の要約財務情報を開示する。
</div>
<div style="column-count:6;">
:1. アイ
:2. アウ
:3. アエ
:4. イウ
:5. イエ
:6. ウエ
</div>
== 正解 ==
4
== 解説 ==
<div style="text-indent:-1em;margin-left:1em;">
ア.関連当事者との取引とは,会社と関連当事者との取引をいい,<ins>対価の有無にかかわらず,</ins>資源若しくは債務の移転,または役務の提供をいう。<del>したがって,関連当事者との取引においてはその対価性が要件となるため,対価の無い取引は関連当事者との取引には該当しない。</del><ins>基準5項(1)</ins>
イ.関連当事者との取引による貸倒懸念債権および破産更生債権等に関する情報は,投資判断として有用な情報であるため,<del>必ず</del><ins>原則として</ins>個々の関連当事者ごとに開示しなければならない<ins>が,開示することにより信用不安を発生させる可能性を考慮して,関連当事者の種類ごとに合算して記載することも認められる</ins>。<ins>基準10項(8)37項</ins>
ウ.関連当事者との取引のうち,一般競争入札による取引並びに預金利息および配当の受取りその他取引の性質からみて取引条件が一般の取引と同様であることが明白な取引は,開示対象外とされている。<ins>基準9項(1)</ins>
エ.重要な関連会社が存在する場合には,その名称および当該関連会社の要約財務情報を開示する。<ins>基準11項(2)</ins>
</div>
== 参照法令等 ==
* [https://www.asb.or.jp/jp/wp-content/uploads/kan_ren0720.pdf 関連当事者の開示に関する会計基準]
: [[../問題9|←前の問題]]
: [[../問題11|次の問題→]]
[[カテゴリ:財務会計]] | null | 2022-11-28T16:37:12Z | []
| https://ja.wikibooks.org/wiki/%E5%85%AC%E8%AA%8D%E4%BC%9A%E8%A8%88%E5%A3%AB%E8%A9%A6%E9%A8%93/%E5%B9%B3%E6%88%9030%E5%B9%B4%E7%AC%ACI%E5%9B%9E%E7%9F%AD%E7%AD%94%E5%BC%8F/%E8%B2%A1%E5%8B%99%E4%BC%9A%E8%A8%88%E8%AB%96/%E5%95%8F%E9%A1%8C10 |
24,567 | 公認会計士試験/平成30年第I回短答式/財務会計論/問題12 | 「金融商品に関する会計基準」および「金融商品会計に関する実務指針」における「時価のある有価証券の減損処理」に関する次の記述について,正しいものには○,誤っているものには×を付すとき,正しい組合せとして最も適切なものの番号を一つ選びなさい。(8点)
ア.売買目的有価証券以外の有価証券(子会社株式および関連会社株式を含む。)のうち時価のあるものについて時価が著しく下落したときは,回復する見込みがあると認められる場合を除き,当該時価をもって貸借対照表価額とし,評価差額を当期の損失として処理しなければならない。
イ.時価のある有価証券の時価が「著しく下落した」ときとは,必ずしも数値化できるものではないが,個々の銘柄の有価証券の時価が取得原価に比べて50 %程度以上下落した場合には「著しく下落した」ときに該当する。
ウ.個々の銘柄の有価証券の時価の下落率がおおむね30 %未満の場合には,一般的には「著しく下落した」ときに該当しないものと考えられている。
エ.時価の下落について「回復する見込みがある」と認められるときとは,株式の場合,時価の下落が一時的なものであり,期末日後おおむね1 年以内に時価が取得原価の50 %を超える程度にまで回復する見込みのあることを合理的な根拠をもって予測できる場合をいう。
2
ア.売買目的有価証券以外の有価証券(子会社株式および関連会社株式を含む。)のうち時価のあるものについて時価が著しく下落したときは,回復する見込みがあると認められる場合を除き,当該時価をもって貸借対照表価額とし,評価差額を当期の損失として処理しなければならない。「金融商品に関する会計基準」20項,「金融商品会計に関する実務指針」91項
イ.時価のある有価証券の時価が「著しく下落した」ときとは,必ずしも数値化できるものではないが,個々の銘柄の有価証券の時価が取得原価に比べて50 %程度以上下落した場合には「著しく下落した」ときに該当する。「金融商品会計に関する実務指針」91項
ウ.個々の銘柄の有価証券の時価の下落率がおおむね30 %未満の場合には,一般的には「著しく下落した」ときに該当しないものと考えられている。「金融商品会計に関する実務指針」91項
エ.時価の下落について「回復する見込みがある」と認められるときとは,株式の場合,時価の下落が一時的なものであり,期末日後おおむね1 年以内に時価が取得原価の50 %を超える程度取得原価にほぼ近い水準にまで回復する見込みのあることを合理的な根拠をもって予測できる場合をいう。「金融商品会計に関する実務指針」91項 | [
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"text": "「金融商品に関する会計基準」および「金融商品会計に関する実務指針」における「時価のある有価証券の減損処理」に関する次の記述について,正しいものには○,誤っているものには×を付すとき,正しい組合せとして最も適切なものの番号を一つ選びなさい。(8点)",
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"text": "イ.時価のある有価証券の時価が「著しく下落した」ときとは,必ずしも数値化できるものではないが,個々の銘柄の有価証券の時価が取得原価に比べて50 %程度以上下落した場合には「著しく下落した」ときに該当する。",
"title": "問題"
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"text": "ウ.個々の銘柄の有価証券の時価の下落率がおおむね30 %未満の場合には,一般的には「著しく下落した」ときに該当しないものと考えられている。",
"title": "問題"
},
{
"paragraph_id": 4,
"tag": "p",
"text": "エ.時価の下落について「回復する見込みがある」と認められるときとは,株式の場合,時価の下落が一時的なものであり,期末日後おおむね1 年以内に時価が取得原価の50 %を超える程度にまで回復する見込みのあることを合理的な根拠をもって予測できる場合をいう。",
"title": "問題"
},
{
"paragraph_id": 5,
"tag": "p",
"text": "2",
"title": "正解"
},
{
"paragraph_id": 6,
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"text": "ア.売買目的有価証券以外の有価証券(子会社株式および関連会社株式を含む。)のうち時価のあるものについて時価が著しく下落したときは,回復する見込みがあると認められる場合を除き,当該時価をもって貸借対照表価額とし,評価差額を当期の損失として処理しなければならない。「金融商品に関する会計基準」20項,「金融商品会計に関する実務指針」91項",
"title": "解説"
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{
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"text": "イ.時価のある有価証券の時価が「著しく下落した」ときとは,必ずしも数値化できるものではないが,個々の銘柄の有価証券の時価が取得原価に比べて50 %程度以上下落した場合には「著しく下落した」ときに該当する。「金融商品会計に関する実務指針」91項",
"title": "解説"
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{
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"text": "ウ.個々の銘柄の有価証券の時価の下落率がおおむね30 %未満の場合には,一般的には「著しく下落した」ときに該当しないものと考えられている。「金融商品会計に関する実務指針」91項",
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"text": "エ.時価の下落について「回復する見込みがある」と認められるときとは,株式の場合,時価の下落が一時的なものであり,期末日後おおむね1 年以内に時価が取得原価の50 %を超える程度取得原価にほぼ近い水準にまで回復する見込みのあることを合理的な根拠をもって予測できる場合をいう。「金融商品会計に関する実務指針」91項",
"title": "解説"
}
]
| null | : [[../問題11|←前の問題]]
: [[../問題13|次の問題→]]
== 問題 ==
「金融商品に関する会計基準」および「金融商品会計に関する実務指針」における「時価のある有価証券の減損処理」に関する次の記述について,正しいものには○,誤っているものには×を付すとき,正しい組合せとして最も適切なものの番号を一つ選びなさい。(8点)
<div style="text-indent:-1em;margin-left:1em;">
ア.売買目的有価証券以外の有価証券(子会社株式および関連会社株式を含む。)のうち時価のあるものについて時価が著しく下落したときは,回復する見込みがあると認められる場合を除き,当該時価をもって貸借対照表価額とし,評価差額を当期の損失として処理しなければならない。
イ.時価のある有価証券の時価が「著しく下落した」ときとは,必ずしも数値化できるものではないが,個々の銘柄の有価証券の時価が取得原価に比べて50 %程度以上下落した場合には「著しく下落した」ときに該当する。
ウ.個々の銘柄の有価証券の時価の下落率がおおむね30 %未満の場合には,一般的には「著しく下落した」ときに該当しないものと考えられている。
エ.時価の下落について「回復する見込みがある」と認められるときとは,株式の場合,時価の下落が一時的なものであり,期末日後おおむね1 年以内に時価が取得原価の50 %を超える程度にまで回復する見込みのあることを合理的な根拠をもって予測できる場合をいう。
</div>
{| class="wikitable"
|-
| || ア || イ || ウ || エ
|-
| 1. || ○ || ○ || ○ || ○
|-
| 2. || ○ || ○ || ○ || ×
|-
| 3. || ○ || ○ || × || ×
|-
| 4. || ○ || × || ○ || ○
|-
| 5. || × || ○ || × || ○
|-
| 6. || × || × || × || ○
|}
== 正解 ==
2
== 解説 ==
<div style="text-indent:-1em;margin-left:1em;">
ア.売買目的有価証券以外の有価証券(子会社株式および関連会社株式を含む。)のうち時価のあるものについて時価が著しく下落したときは,回復する見込みがあると認められる場合を除き,当該時価をもって貸借対照表価額とし,評価差額を当期の損失として処理しなければならない。<ins>「金融商品に関する会計基準」20項,「金融商品会計に関する実務指針」91項</ins>
イ.時価のある有価証券の時価が「著しく下落した」ときとは,必ずしも数値化できるものではないが,個々の銘柄の有価証券の時価が取得原価に比べて50 %程度以上下落した場合には「著しく下落した」ときに該当する。<ins>「金融商品会計に関する実務指針」91項</ins>
ウ.個々の銘柄の有価証券の時価の下落率がおおむね30 %未満の場合には,一般的には「著しく下落した」ときに該当しないものと考えられている。<ins>「金融商品会計に関する実務指針」91項</ins>
エ.時価の下落について「回復する見込みがある」と認められるときとは,株式の場合,時価の下落が一時的なものであり,期末日後おおむね1 年以内に時価が<del>取得原価の50 %を超える程度</del><ins>取得原価にほぼ近い水準</ins>にまで回復する見込みのあることを合理的な根拠をもって予測できる場合をいう。<ins>「金融商品会計に関する実務指針」91項</ins>
</div>
== 参照法令等 ==
* [https://www.asb.or.jp/jp/wp-content/uploads/fv-kaiji.pdf 企業会計基準第10号 金融商品に関する会計基準]
* [https://jicpa.or.jp/specialized_field/14_34.html 会計制度委員会報告第14号 金融商品会計に関する実務指針]
: [[../問題11|←前の問題]]
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[[カテゴリ:財務会計]] | null | 2022-11-28T16:37:27Z | []
| https://ja.wikibooks.org/wiki/%E5%85%AC%E8%AA%8D%E4%BC%9A%E8%A8%88%E5%A3%AB%E8%A9%A6%E9%A8%93/%E5%B9%B3%E6%88%9030%E5%B9%B4%E7%AC%ACI%E5%9B%9E%E7%9F%AD%E7%AD%94%E5%BC%8F/%E8%B2%A1%E5%8B%99%E4%BC%9A%E8%A8%88%E8%AB%96/%E5%95%8F%E9%A1%8C12 |
24,570 | 公認会計士試験/平成30年第I回短答式/財務会計論/問題17 | 税効果会計に関する次の記述のうち,正しいものの組合せとして最も適切な番号を一つ選びなさい。(8点)
ア.将来の課税所得と相殺可能な繰越欠損金は,将来減算一時差異と同様に扱われ,回収可能性が認められれば,これに係る税金の額を繰延税金資産として貸借対照表に計上しなければならない。
イ.その他の包括利益累計額は,連結貸借対照表において,関連する繰延税金資産または繰延税金負債の金額を直接控除して表示されるが,その他の包括利益は,連結包括利益計算書または連結損益及び包括利益計算書において,税効果を控除する前の金額から関連する税効果の金額を控除する形式で表示しなければならない。
ウ.将来の期間に係る税率が引き下げられた場合,繰延税金資産の金額が繰延税金負債の金額を超過する企業においては,当期純利益が増加する。
エ.国庫補助金によって固定資産を取得し,当該固定資産について間接控除方式によって圧縮記帳を行った場合には,純資産の部に計上する圧縮積立金は繰延税金負債の金額を控除した後の純額をもって積み立てる。
3
ア.将来の課税所得と相殺可能な繰越欠損金は,将来減算一時差異と同様に扱われ,回収可能性が認められれば,これに係る税金の額を繰延税金資産として貸借対照表に計上しなければならない。税効果に係る会計基準第二・一4二1
イ.その他の包括利益累計額は,連結貸借対照表において,関連する繰延税金資産または繰延税金負債の金額を直接控除して表示されるが,その他の包括利益は,連結包括利益計算書または連結損益及び包括利益計算書において,税効果を控除した後の金額で表示する。ただし,税効果を控除する前の金額から関連する税効果の金額を控除する形式で表示しなければならない。することができる。包括利益の表示に関する会計基準8項
ウ.将来の期間に係る税率が引き下げられた場合,繰延税金資産の金額が繰延税金負債の金額を超過する企業においては,当期純利益が増加減少する。税効果会計に係る会計基準第二・二2,注7
エ.国庫補助金によって固定資産を取得し,当該固定資産について間接控除方式によって圧縮記帳を行った場合には,純資産の部に計上する圧縮積立金は繰延税金負債の金額を控除した後の純額をもって積み立てる。個別財務諸表における税効果会計に関する実務指針10項 | [
{
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"text": "税効果会計に関する次の記述のうち,正しいものの組合せとして最も適切な番号を一つ選びなさい。(8点)",
"title": "問題"
},
{
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"text": "ア.将来の課税所得と相殺可能な繰越欠損金は,将来減算一時差異と同様に扱われ,回収可能性が認められれば,これに係る税金の額を繰延税金資産として貸借対照表に計上しなければならない。",
"title": "問題"
},
{
"paragraph_id": 2,
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"text": "イ.その他の包括利益累計額は,連結貸借対照表において,関連する繰延税金資産または繰延税金負債の金額を直接控除して表示されるが,その他の包括利益は,連結包括利益計算書または連結損益及び包括利益計算書において,税効果を控除する前の金額から関連する税効果の金額を控除する形式で表示しなければならない。",
"title": "問題"
},
{
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"text": "ウ.将来の期間に係る税率が引き下げられた場合,繰延税金資産の金額が繰延税金負債の金額を超過する企業においては,当期純利益が増加する。",
"title": "問題"
},
{
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"text": "エ.国庫補助金によって固定資産を取得し,当該固定資産について間接控除方式によって圧縮記帳を行った場合には,純資産の部に計上する圧縮積立金は繰延税金負債の金額を控除した後の純額をもって積み立てる。",
"title": "問題"
},
{
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"text": "3",
"title": "正解"
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"text": "ア.将来の課税所得と相殺可能な繰越欠損金は,将来減算一時差異と同様に扱われ,回収可能性が認められれば,これに係る税金の額を繰延税金資産として貸借対照表に計上しなければならない。税効果に係る会計基準第二・一4二1",
"title": "解説"
},
{
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"text": "イ.その他の包括利益累計額は,連結貸借対照表において,関連する繰延税金資産または繰延税金負債の金額を直接控除して表示されるが,その他の包括利益は,連結包括利益計算書または連結損益及び包括利益計算書において,税効果を控除した後の金額で表示する。ただし,税効果を控除する前の金額から関連する税効果の金額を控除する形式で表示しなければならない。することができる。包括利益の表示に関する会計基準8項",
"title": "解説"
},
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"text": "ウ.将来の期間に係る税率が引き下げられた場合,繰延税金資産の金額が繰延税金負債の金額を超過する企業においては,当期純利益が増加減少する。税効果会計に係る会計基準第二・二2,注7",
"title": "解説"
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{
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"text": "エ.国庫補助金によって固定資産を取得し,当該固定資産について間接控除方式によって圧縮記帳を行った場合には,純資産の部に計上する圧縮積立金は繰延税金負債の金額を控除した後の純額をもって積み立てる。個別財務諸表における税効果会計に関する実務指針10項",
"title": "解説"
}
]
| null | : [[../問題16|←前の問題]]
: [[../問題18|次の問題→]]
== 問題 ==
税効果会計に関する次の記述のうち,正しいものの組合せとして最も適切な番号を一つ選びなさい。(8点)
<div style="text-indent:-1em;margin-left:1em;">
ア.将来の課税所得と相殺可能な繰越欠損金は,将来減算一時差異と同様に扱われ,回収可能性が認められれば,これに係る税金の額を繰延税金資産として貸借対照表に計上しなければならない。
イ.その他の包括利益累計額は,連結貸借対照表において,関連する繰延税金資産または繰延税金負債の金額を直接控除して表示されるが,その他の包括利益は,連結包括利益計算書または連結損益及び包括利益計算書において,税効果を控除する前の金額から関連する税効果の金額を控除する形式で表示しなければならない。
ウ.将来の期間に係る税率が引き下げられた場合,繰延税金資産の金額が繰延税金負債の金額を超過する企業においては,当期純利益が増加する。
エ.国庫補助金によって固定資産を取得し,当該固定資産について間接控除方式によって圧縮記帳を行った場合には,純資産の部に計上する圧縮積立金は繰延税金負債の金額を控除した後の純額をもって積み立てる。
</div>
<div style="column-count:6;">
:1. アイ
:2. アウ
:3. アエ
:4. イウ
:5. イエ
:6. ウエ
</div>
== 正解 ==
3
== 解説 ==
<div style="text-indent:-1em;margin-left:1em;">
ア.将来の課税所得と相殺可能な繰越欠損金は,将来減算一時差異と同様に扱われ,回収可能性が認められれば,これに係る税金の額を繰延税金資産として貸借対照表に計上しなければならない。<ins>税効果に係る会計基準第二・一4二1</ins>
イ.その他の包括利益累計額は,連結貸借対照表において,関連する繰延税金資産または繰延税金負債の金額を直接控除して表示されるが,その他の包括利益は,連結包括利益計算書または連結損益及び包括利益計算書において,<ins>税効果を控除した後の金額で表示する。ただし,</ins>税効果を控除する前の金額から関連する税効果の金額を控除する形式で表示<del>しなければならない。</del><ins>することができる。</ins><ins>包括利益の表示に関する会計基準8項</ins>
ウ.将来の期間に係る税率が引き下げられた場合,繰延税金資産の金額が繰延税金負債の金額を超過する企業においては,当期純利益が<del>増加</del><ins>減少</ins>する。<ins>税効果会計に係る会計基準第二・二2,注7</ins>
エ.国庫補助金によって固定資産を取得し,当該固定資産について間接控除方式によって圧縮記帳を行った場合には,純資産の部に計上する圧縮積立金は繰延税金負債の金額を控除した後の純額をもって積み立てる。<ins>個別財務諸表における税効果会計に関する実務指針10項</ins>
</div>
== 参照法令等 ==
* [https://www.fsa.go.jp/p_mof/singikai/kaikei/tosin/1a918b.htm 税効果会計に係る会計基準]
* [https://www.asb.or.jp/jp/wp-content/uploads/hyouji-hokatu_2012_1-1.pdf#page=2 包括利益の表示に関する会計基準]
* [https://jicpa.or.jp/specialized_field/101114_6.html 個別財務諸表における税効果会計に関する実務指針]※[https://jicpa.or.jp/specialized_field/20180219rbj.html 廃止]
: [[../問題16|←前の問題]]
: [[../問題18|次の問題→]]
[[カテゴリ:財務会計]] | null | 2022-11-28T16:37:45Z | []
| https://ja.wikibooks.org/wiki/%E5%85%AC%E8%AA%8D%E4%BC%9A%E8%A8%88%E5%A3%AB%E8%A9%A6%E9%A8%93/%E5%B9%B3%E6%88%9030%E5%B9%B4%E7%AC%ACI%E5%9B%9E%E7%9F%AD%E7%AD%94%E5%BC%8F/%E8%B2%A1%E5%8B%99%E4%BC%9A%E8%A8%88%E8%AB%96/%E5%95%8F%E9%A1%8C17 |
24,575 | 公認会計士試験/平成30年第I回短答式/財務会計論/問題20 | 連結財務諸表の作成に関する次の記述のうち,正しいものの組合せとして最も適切な番号を一つ選びなさい。(8点)
ア.同一環境下で行われた同一性質の取引等について,親会社および子会社が採用する会計処理は,原則として統一するが,会計処理の統一に当たっては,子会社の会計処理を親会社の会計処理に合わせる場合のほか,親会社の会計処理を子会社の会計処理に合わせる場合も考えられる。
イ.子会社の取得が複数の取引により達成された場合,親会社の子会社に対する投資とこれに対応する子会社の資本を相殺消去する際の親会社の投資の金額は,支配を獲得するに至った個々の取引ごとの原価の合計額に基づいて算定される。
ウ.連結会社相互間の取引によって取得した棚卸資産,固定資産その他の資産に含まれる未実現損益は,金額に重要性が乏しい場合を除き,その全額を消去する。ただし,未実現損失については,売手側の帳簿価額のうち回収不能と認められる部分は消去しない。
エ.子会社株式の追加取得に係るキャッシュ・フローについては,連結キャッシュ・フロー計算書上,「投資活動によるキャッシュ・フロー」の区分に記載する。
2
ア.同一環境下で行われた同一性質の取引等について,親会社および子会社が採用する会計処理は,原則として統一するが,会計処理の統一に当たっては,子会社の会計処理を親会社の会計処理に合わせる場合のほか,親会社の会計処理を子会社の会計処理に合わせる場合も考えられる。連結財務諸表に関する会計基準17項57項58項
イ.子会社の取得が複数の取引により達成された場合,親会社の子会社に対する投資とこれに対応する子会社の資本を相殺消去する際の親会社の投資の金額は,支配を獲得するに至った個々の取引ごとの原価の合計額支配獲得日の時価に基づいて算定される。連結財務諸表に関する会計基準23項(1)62項
ウ.連結会社相互間の取引によって取得した棚卸資産,固定資産その他の資産に含まれる未実現損益は,金額に重要性が乏しい場合を除き,その全額を消去する。ただし,未実現損失については,売手側の帳簿価額のうち回収不能と認められる部分は消去しない。連結財務諸表に関する会計基準36項37項
エ.子会社株式の追加取得に係るキャッシュ・フローについては,連結キャッシュ・フロー計算書上,「投資活動によるキャッシュ・フロー」「財務活動によるキャッシュ・フロー」の区分に記載する。連結キャッシュ・フロー実務指針9-2項 | [
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"text": "連結財務諸表の作成に関する次の記述のうち,正しいものの組合せとして最も適切な番号を一つ選びなさい。(8点)",
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"text": "ア.同一環境下で行われた同一性質の取引等について,親会社および子会社が採用する会計処理は,原則として統一するが,会計処理の統一に当たっては,子会社の会計処理を親会社の会計処理に合わせる場合のほか,親会社の会計処理を子会社の会計処理に合わせる場合も考えられる。",
"title": "問題"
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{
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"text": "イ.子会社の取得が複数の取引により達成された場合,親会社の子会社に対する投資とこれに対応する子会社の資本を相殺消去する際の親会社の投資の金額は,支配を獲得するに至った個々の取引ごとの原価の合計額に基づいて算定される。",
"title": "問題"
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"text": "ウ.連結会社相互間の取引によって取得した棚卸資産,固定資産その他の資産に含まれる未実現損益は,金額に重要性が乏しい場合を除き,その全額を消去する。ただし,未実現損失については,売手側の帳簿価額のうち回収不能と認められる部分は消去しない。",
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"text": "エ.子会社株式の追加取得に係るキャッシュ・フローについては,連結キャッシュ・フロー計算書上,「投資活動によるキャッシュ・フロー」の区分に記載する。",
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"text": "ア.同一環境下で行われた同一性質の取引等について,親会社および子会社が採用する会計処理は,原則として統一するが,会計処理の統一に当たっては,子会社の会計処理を親会社の会計処理に合わせる場合のほか,親会社の会計処理を子会社の会計処理に合わせる場合も考えられる。連結財務諸表に関する会計基準17項57項58項",
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{
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"text": "イ.子会社の取得が複数の取引により達成された場合,親会社の子会社に対する投資とこれに対応する子会社の資本を相殺消去する際の親会社の投資の金額は,支配を獲得するに至った個々の取引ごとの原価の合計額支配獲得日の時価に基づいて算定される。連結財務諸表に関する会計基準23項(1)62項",
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},
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"text": "ウ.連結会社相互間の取引によって取得した棚卸資産,固定資産その他の資産に含まれる未実現損益は,金額に重要性が乏しい場合を除き,その全額を消去する。ただし,未実現損失については,売手側の帳簿価額のうち回収不能と認められる部分は消去しない。連結財務諸表に関する会計基準36項37項",
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"text": "エ.子会社株式の追加取得に係るキャッシュ・フローについては,連結キャッシュ・フロー計算書上,「投資活動によるキャッシュ・フロー」「財務活動によるキャッシュ・フロー」の区分に記載する。連結キャッシュ・フロー実務指針9-2項",
"title": "解説"
}
]
| null | : [[../問題19|←前の問題]]
: [[../問題21|次の問題→]]
== 問題 ==
連結財務諸表の作成に関する次の記述のうち,正しいものの組合せとして最も適切な番号を一つ選びなさい。(8点)
<div style="text-indent:-1em;margin-left:1em;">
ア.同一環境下で行われた同一性質の取引等について,親会社および子会社が採用する会計処理は,原則として統一するが,会計処理の統一に当たっては,子会社の会計処理を親会社の会計処理に合わせる場合のほか,親会社の会計処理を子会社の会計処理に合わせる場合も考えられる。
イ.子会社の取得が複数の取引により達成された場合,親会社の子会社に対する投資とこれに対応する子会社の資本を相殺消去する際の親会社の投資の金額は,支配を獲得するに至った個々の取引ごとの原価の合計額に基づいて算定される。
ウ.連結会社相互間の取引によって取得した棚卸資産,固定資産その他の資産に含まれる未実現損益は,金額に重要性が乏しい場合を除き,その全額を消去する。ただし,未実現損失については,売手側の帳簿価額のうち回収不能と認められる部分は消去しない。
エ.子会社株式の追加取得に係るキャッシュ・フローについては,連結キャッシュ・フロー計算書上,「投資活動によるキャッシュ・フロー」の区分に記載する。
</div>
<div style="column-count:6;">
:1. アイ
:2. アウ
:3. アエ
:4. イウ
:5. イエ
:6. ウエ
</div>
== 正解 ==
2
== 解説 ==
<div style="text-indent:-1em;margin-left:1em;">
ア.同一環境下で行われた同一性質の取引等について,親会社および子会社が採用する会計処理は,原則として統一するが,会計処理の統一に当たっては,子会社の会計処理を親会社の会計処理に合わせる場合のほか,親会社の会計処理を子会社の会計処理に合わせる場合も考えられる。<ins>連結財務諸表に関する会計基準17項57項58項</ins>
イ.子会社の取得が複数の取引により達成された場合,親会社の子会社に対する投資とこれに対応する子会社の資本を相殺消去する際の親会社の投資の金額は,<del>支配を獲得するに至った個々の取引ごとの原価の合計額</del><ins>支配獲得日の時価</ins>に基づいて算定される。<ins>連結財務諸表に関する会計基準23項(1)62項</ins>
ウ.連結会社相互間の取引によって取得した棚卸資産,固定資産その他の資産に含まれる未実現損益は,金額に重要性が乏しい場合を除き,その全額を消去する。ただし,未実現損失については,売手側の帳簿価額のうち回収不能と認められる部分は消去しない。<ins>連結財務諸表に関する会計基準36項37項</ins>
エ.子会社株式の追加取得に係るキャッシュ・フローについては,連結キャッシュ・フロー計算書上,<del>「投資活動によるキャッシュ・フロー」</del><ins>「財務活動によるキャッシュ・フロー」</ins>の区分に記載する。<ins>連結キャッシュ・フロー実務指針9-2項</ins><ins></ins>
</div>
== 参照法令等 ==
* [https://www.asb.or.jp/jp/wp-content/uploads/spe-tanki_1.pdf 連結財務諸表に関する会計基準]
* [https://jicpa.or.jp/specialized_field/1214_2.html 連結財務諸表等におけるキャッシュ・フロー計算書の作成に関する実務指針]
: [[../問題19|←前の問題]]
: [[../問題21|次の問題→]]
[[カテゴリ:財務会計]] | null | 2022-11-28T16:38:21Z | []
| https://ja.wikibooks.org/wiki/%E5%85%AC%E8%AA%8D%E4%BC%9A%E8%A8%88%E5%A3%AB%E8%A9%A6%E9%A8%93/%E5%B9%B3%E6%88%9030%E5%B9%B4%E7%AC%ACI%E5%9B%9E%E7%9F%AD%E7%AD%94%E5%BC%8F/%E8%B2%A1%E5%8B%99%E4%BC%9A%E8%A8%88%E8%AB%96/%E5%95%8F%E9%A1%8C20 |
24,576 | 公認会計士試験/平成30年第I回短答式/財務会計論/問題22 | 企業結合および事業分離の会計に関する次の記述のうち,正しいものの組合せとして最も適切な番号を一つ選びなさい。(8点)
ア.企業結合において,取得企業は,被取得企業から受け入れた資産および引き受けた負債のうち企業結合日時点において識別可能なもの(識別可能資産および負債)の企業結合日時点の時価を基礎として,当該資産および負債に対して取得原価を配分することになるが,この識別可能資産および負債の範囲については,被取得企業の企業結合日前の貸借対照表において計上されていたものに限られる。
イ.共通支配下の取引により企業集団内を移転する資産および負債は,原則として,移転直前に付されていた適正な帳簿価額により計上するが,親会社が子会社を吸収合併する場合において,子会社の資産および負債の帳簿価額を連結上修正しているときは,親会社が作成する個別財務諸表においては,移転する資産および負債を,連結財務諸表上の金額である修正後の帳簿価額(のれんを含む。)により計上する。
ウ.現金等の財産と分離先企業の株式を受取対価とする事業分離において,分離先企業が子会社となる場合や子会社へ事業分離する場合,分離元企業は,個別財務諸表上,受取対価のうち,分離先企業の株式に対応する部分については移転損益を認識せず,現金等の財産に対応する部分については移転損益を認識する。
エ.子会社や関連会社以外の投資先を被結合企業とする企業結合により,被結合企業の株主が保有する被結合企業の株式(その他有価証券)が結合企業の株式のみと引き換えられ,結合後企業が引き続き当該株主の子会社や関連会社に該当しない場合には,被結合企業の株主の個別財務諸表上,交換損益を認識しない。
5
ア.企業結合において,取得企業は,被取得企業から受け入れた資産および引き受けた負債のうち企業結合日時点において識別可能なもの(識別可能資産および負債)の企業結合日時点の時価を基礎として,当該資産および負債に対して取得原価を配分することになるが,この識別可能資産および負債の範囲については,被取得企業の企業結合日前の貸借対照表において計上されていたどうかにかかわらず,原則として,我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準の下で認識されるものに限られる。企業結合に関する会計基準28項99項
イ.共通支配下の取引により企業集団内を移転する資産および負債は,原則として,移転直前に付されていた適正な帳簿価額により計上するが,親会社が子会社を吸収合併する場合において,子会社の資産および負債の帳簿価額を連結上修正しているときは,親会社が作成する個別財務諸表においては,移転する資産および負債を,連結財務諸表上の金額である修正後の帳簿価額(のれんを含む。)により計上する。企業結合に関する会計基準41項注9
ウ.現金等の財産と分離先企業の株式を受取対価とする事業分離において,分離先企業が子会社となる場合や子会社へ事業分離する場合,分離元企業は,個別財務諸表上,受取対価のうち,分離先企業の株式に対応する部分については移転損益を認識せず,現金等の財産に対応する部分については移転損益を認識する。当該価額が移転した事業に係る株主資本相当額を上回る場合には、原則として、当該差額を移転利益として認識(受け取った分離先企業の株式の取得原価はゼロとする。)し、下回る場合には、当該差額を受け取った分離先企業の株式の取得原価とする。事業分離に関する会計基準24項(1)
エ.子会社や関連会社以外の投資先を被結合企業とする企業結合により,被結合企業の株主が保有する被結合企業の株式(その他有価証券)が結合企業の株式のみと引き換えられ,結合後企業が引き続き当該株主の子会社や関連会社に該当しない場合には,被結合企業の株主の個別財務諸表上,交換損益を認識しない。事業分離に関する会計基準43項 | [
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"text": "企業結合および事業分離の会計に関する次の記述のうち,正しいものの組合せとして最も適切な番号を一つ選びなさい。(8点)",
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"text": "ア.企業結合において,取得企業は,被取得企業から受け入れた資産および引き受けた負債のうち企業結合日時点において識別可能なもの(識別可能資産および負債)の企業結合日時点の時価を基礎として,当該資産および負債に対して取得原価を配分することになるが,この識別可能資産および負債の範囲については,被取得企業の企業結合日前の貸借対照表において計上されていたものに限られる。",
"title": "問題"
},
{
"paragraph_id": 2,
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"text": "イ.共通支配下の取引により企業集団内を移転する資産および負債は,原則として,移転直前に付されていた適正な帳簿価額により計上するが,親会社が子会社を吸収合併する場合において,子会社の資産および負債の帳簿価額を連結上修正しているときは,親会社が作成する個別財務諸表においては,移転する資産および負債を,連結財務諸表上の金額である修正後の帳簿価額(のれんを含む。)により計上する。",
"title": "問題"
},
{
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"text": "ウ.現金等の財産と分離先企業の株式を受取対価とする事業分離において,分離先企業が子会社となる場合や子会社へ事業分離する場合,分離元企業は,個別財務諸表上,受取対価のうち,分離先企業の株式に対応する部分については移転損益を認識せず,現金等の財産に対応する部分については移転損益を認識する。",
"title": "問題"
},
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"text": "エ.子会社や関連会社以外の投資先を被結合企業とする企業結合により,被結合企業の株主が保有する被結合企業の株式(その他有価証券)が結合企業の株式のみと引き換えられ,結合後企業が引き続き当該株主の子会社や関連会社に該当しない場合には,被結合企業の株主の個別財務諸表上,交換損益を認識しない。",
"title": "問題"
},
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"paragraph_id": 6,
"tag": "p",
"text": "ア.企業結合において,取得企業は,被取得企業から受け入れた資産および引き受けた負債のうち企業結合日時点において識別可能なもの(識別可能資産および負債)の企業結合日時点の時価を基礎として,当該資産および負債に対して取得原価を配分することになるが,この識別可能資産および負債の範囲については,被取得企業の企業結合日前の貸借対照表において計上されていたどうかにかかわらず,原則として,我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準の下で認識されるものに限られる。企業結合に関する会計基準28項99項",
"title": "解説"
},
{
"paragraph_id": 7,
"tag": "p",
"text": "イ.共通支配下の取引により企業集団内を移転する資産および負債は,原則として,移転直前に付されていた適正な帳簿価額により計上するが,親会社が子会社を吸収合併する場合において,子会社の資産および負債の帳簿価額を連結上修正しているときは,親会社が作成する個別財務諸表においては,移転する資産および負債を,連結財務諸表上の金額である修正後の帳簿価額(のれんを含む。)により計上する。企業結合に関する会計基準41項注9",
"title": "解説"
},
{
"paragraph_id": 8,
"tag": "p",
"text": "ウ.現金等の財産と分離先企業の株式を受取対価とする事業分離において,分離先企業が子会社となる場合や子会社へ事業分離する場合,分離元企業は,個別財務諸表上,受取対価のうち,分離先企業の株式に対応する部分については移転損益を認識せず,現金等の財産に対応する部分については移転損益を認識する。当該価額が移転した事業に係る株主資本相当額を上回る場合には、原則として、当該差額を移転利益として認識(受け取った分離先企業の株式の取得原価はゼロとする。)し、下回る場合には、当該差額を受け取った分離先企業の株式の取得原価とする。事業分離に関する会計基準24項(1)",
"title": "解説"
},
{
"paragraph_id": 9,
"tag": "p",
"text": "エ.子会社や関連会社以外の投資先を被結合企業とする企業結合により,被結合企業の株主が保有する被結合企業の株式(その他有価証券)が結合企業の株式のみと引き換えられ,結合後企業が引き続き当該株主の子会社や関連会社に該当しない場合には,被結合企業の株主の個別財務諸表上,交換損益を認識しない。事業分離に関する会計基準43項",
"title": "解説"
}
]
| null | : [[../問題21|←前の問題]]
: [[../問題23~28|次の問題→]]
== 問題 ==
企業結合および事業分離の会計に関する次の記述のうち,正しいものの組合せとして最も適切な番号を一つ選びなさい。(8点)
<div style="text-indent:-1em;margin-left:1em;">
ア.企業結合において,取得企業は,被取得企業から受け入れた資産および引き受けた負債のうち企業結合日時点において識別可能なもの(識別可能資産および負債)の企業結合日時点の時価を基礎として,当該資産および負債に対して取得原価を配分することになるが,この識別可能資産および負債の範囲については,被取得企業の企業結合日前の貸借対照表において計上されていたものに限られる。
イ.共通支配下の取引により企業集団内を移転する資産および負債は,原則として,移転直前に付されていた適正な帳簿価額により計上するが,親会社が子会社を吸収合併する場合において,子会社の資産および負債の帳簿価額を連結上修正しているときは,親会社が作成する個別財務諸表においては,移転する資産および負債を,連結財務諸表上の金額である修正後の帳簿価額(のれんを含む。)により計上する。
ウ.現金等の財産と分離先企業の株式を受取対価とする事業分離において,分離先企業が子会社となる場合や子会社へ事業分離する場合,分離元企業は,個別財務諸表上,受取対価のうち,分離先企業の株式に対応する部分については移転損益を認識せず,現金等の財産に対応する部分については移転損益を認識する。
エ.子会社や関連会社以外の投資先を被結合企業とする企業結合により,被結合企業の株主が保有する被結合企業の株式(その他有価証券)が結合企業の株式のみと引き換えられ,結合後企業が引き続き当該株主の子会社や関連会社に該当しない場合には,被結合企業の株主の個別財務諸表上,交換損益を認識しない。
</div>
<div style="column-count:6;">
:1. アイ
:2. アウ
:3. アエ
:4. イウ
:5. イエ
:6. ウエ
</div>
== 正解 ==
5
== 解説 ==
<div style="text-indent:-1em;margin-left:1em;">
ア.企業結合において,取得企業は,被取得企業から受け入れた資産および引き受けた負債のうち企業結合日時点において識別可能なもの(識別可能資産および負債)の企業結合日時点の時価を基礎として,当該資産および負債に対して取得原価を配分することになるが,この識別可能資産および負債の範囲については,被取得企業の企業結合日前の貸借対照表において計上されていた<ins>どうかにかかわらず,原則として,我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準の下で認識されるものに限られる。企業結合に関する会計基準28項99項</ins>
イ.共通支配下の取引により企業集団内を移転する資産および負債は,原則として,移転直前に付されていた適正な帳簿価額により計上するが,親会社が子会社を吸収合併する場合において,子会社の資産および負債の帳簿価額を連結上修正しているときは,親会社が作成する個別財務諸表においては,移転する資産および負債を,連結財務諸表上の金額である修正後の帳簿価額(のれんを含む。)により計上する。<ins>企業結合に関する会計基準41項注9</ins>
ウ.現金等の財産と分離先企業の株式を受取対価とする事業分離において,分離先企業が子会社となる場合や子会社へ事業分離する場合,分離元企業は,個別財務諸表上,<del>受取対価のうち,分離先企業の株式に対応する部分については移転損益を認識せず,現金等の財産に対応する部分については移転損益を認識する。</del><ins>当該価額が移転した事業に係る株主資本相当額を上回る場合には、原則として、当該差額を移転利益として認識(受け取った分離先企業の株式の取得原価はゼロとする。)し、下回る場合には、当該差額を受け取った分離先企業の株式の取得原価とする。事業分離に関する会計基準24項(1)</ins>
エ.子会社や関連会社以外の投資先を被結合企業とする企業結合により,被結合企業の株主が保有する被結合企業の株式(その他有価証券)が結合企業の株式のみと引き換えられ,結合後企業が引き続き当該株主の子会社や関連会社に該当しない場合には,被結合企業の株主の個別財務諸表上,交換損益を認識しない。<ins>事業分離に関する会計基準43項</ins>
</div>
== 参照法令等 ==
* [https://www.asb.or.jp/jp/wp-content/uploads/ketsugou_1.pdf 企業結合に関する会計基準]
* [https://www.asb.or.jp/jp/wp-content/uploads/ketsugou_6.pdf 事業分離に関する会計基準]
: [[../問題21|←前の問題]]
: [[../問題23~28|次の問題→]]
[[カテゴリ:財務会計]] | null | 2022-11-28T16:38:28Z | []
| https://ja.wikibooks.org/wiki/%E5%85%AC%E8%AA%8D%E4%BC%9A%E8%A8%88%E5%A3%AB%E8%A9%A6%E9%A8%93/%E5%B9%B3%E6%88%9030%E5%B9%B4%E7%AC%ACI%E5%9B%9E%E7%9F%AD%E7%AD%94%E5%BC%8F/%E8%B2%A1%E5%8B%99%E4%BC%9A%E8%A8%88%E8%AB%96/%E5%95%8F%E9%A1%8C22 |
24,577 | 公認会計士試験/平成30年第I回短答式/財務会計論/問題16 | Y社は,従来,数理計算上の差異について,発生年度の翌年から平均残存勤務年数である15 年を償却年数として定額法で費用処理(費用の減額および利益処理を含む。以下同じ。)してきた。中途退職者数が急激に増加したため,平均残存勤務年数を見直した結果,X5 年度から,平均残存勤務年数を10 年として費用処理する方法に変更した。
次の〔資料〕に基づき,Y社のX5 年度の決算において,費用処理する数理計算上の差異の金額として最も適切なものの番号を一つ選びなさい。なお,X1 年度より前の年度では,数理計算上の差異は生じていない。また,計算結果に端数が生じる場合,百万円未満を四捨五入すること。(8点)
〔資料〕
(注)△の数値は,費用の減額または利益処理の対象となる「数理計算上の差異」である。
5
1,476+1,001+△207=2,270 | [
{
"paragraph_id": 0,
"tag": "p",
"text": "Y社は,従来,数理計算上の差異について,発生年度の翌年から平均残存勤務年数である15 年を償却年数として定額法で費用処理(費用の減額および利益処理を含む。以下同じ。)してきた。中途退職者数が急激に増加したため,平均残存勤務年数を見直した結果,X5 年度から,平均残存勤務年数を10 年として費用処理する方法に変更した。",
"title": "問題"
},
{
"paragraph_id": 1,
"tag": "p",
"text": "次の〔資料〕に基づき,Y社のX5 年度の決算において,費用処理する数理計算上の差異の金額として最も適切なものの番号を一つ選びなさい。なお,X1 年度より前の年度では,数理計算上の差異は生じていない。また,計算結果に端数が生じる場合,百万円未満を四捨五入すること。(8点)",
"title": "問題"
},
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"text": "〔資料〕",
"title": "問題"
},
{
"paragraph_id": 3,
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"text": "(注)△の数値は,費用の減額または利益処理の対象となる「数理計算上の差異」である。",
"title": "問題"
},
{
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"tag": "p",
"text": "5",
"title": "正解"
},
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"tag": "p",
"text": "1,476+1,001+△207=2,270",
"title": "解説"
}
]
| null | : [[../問題15|←前の問題]]
: [[../問題17|次の問題→]]
== 問題 ==
Y社は,従来,数理計算上の差異について,発生年度の翌年から平均残存勤務年数である15 年を償却年数として定額法で費用処理(費用の減額および利益処理を含む。以下同じ。)してきた。中途退職者数が急激に増加したため,平均残存勤務年数を見直した結果,X5 年度から,平均残存勤務年数を10 年として費用処理する方法に変更した。
次の〔資料〕に基づき,Y社のX5 年度の決算において,費用処理する数理計算上の差異の金額として最も適切なものの番号を一つ選びなさい。なお,X1 年度より前の年度では,数理計算上の差異は生じていない。また,計算結果に端数が生じる場合,百万円未満を四捨五入すること。(8点)
〔'''資料'''〕
{| class="wikitable" style="text-align:center"
|+ Y社の数理計算上の差異の発生額 (単位:百万円)
|-
| 年度 || X1年度 || X2年度 || X3年度 || X4年度 || X5年度
|-
| 発生額 || 12,915 || 9,240 || 0 || △2,070 || 730
|}
(注)△の数値は,費用の減額または利益処理の対象となる「数理計算上の差異」である。
<div style="column-count:3;font-family: monospace">
: '''1.''' 1,270百万円
: '''2.''' 1,412百万円
: '''3.''' 1,566百万円
</div>
<div style="column-count:3;font-family: monospace">
: '''4.''' 1,627百万円
: '''5.''' 2,270百万円
: '''6.''' 2,493百万円
</div>
== 正解 ==
5
== 解説 ==
: ※「会計上の見積りの変更」に該当するため、未認識数理計算上の差異の期首残高を「短縮後の平均残存勤務期間-既経過期間」にわたって費用処理。
: ※単位:百万円
=== X1年度発生分 ===
; 期首残高
: 12,915×(15年-3年)=10,332
; 当期費用処理額
: 10,332÷(10年-3年)=1,476
=== X2年度発生分 ===
; 期首残高
: 9,240×(15年-2年)=8,008
; 当期費用処理額
: 8,008÷(10年-2年)=1,001
=== X4年度発生分 ===
; 期首残高
: △2,070
; 当期費用処理額
: △2,070÷10年=△207
=== 計 ===
1,476+1,001+△207=2,270
: [[../問題15|←前の問題]]
: [[../問題17|次の問題→]]
[[カテゴリ:財務会計]] | null | 2022-11-28T16:37:41Z | []
| https://ja.wikibooks.org/wiki/%E5%85%AC%E8%AA%8D%E4%BC%9A%E8%A8%88%E5%A3%AB%E8%A9%A6%E9%A8%93/%E5%B9%B3%E6%88%9030%E5%B9%B4%E7%AC%ACI%E5%9B%9E%E7%9F%AD%E7%AD%94%E5%BC%8F/%E8%B2%A1%E5%8B%99%E4%BC%9A%E8%A8%88%E8%AB%96/%E5%95%8F%E9%A1%8C16 |
24,578 | 公認会計士試験/平成30年第I回短答式/財務会計論/問題14 | 次の〔資料I〕に基づき,〔資料II〕に示した〈ケース1 〉および〈ケース2 〉のそれぞれの場 合に,X3 年度(X3 年4 月1 日〜X4 年3 月31 日)に計上すべき株式報酬費用の正しい金 額の組合せとして最も適切なものの番号を一つ選びなさい。( 8 点)
〔資料I〕
〔資料II〕
3
※公正な評価単価が減少する場合は,公正な評価単価の変動を無視 | [
{
"paragraph_id": 0,
"tag": "p",
"text": "次の〔資料I〕に基づき,〔資料II〕に示した〈ケース1 〉および〈ケース2 〉のそれぞれの場 合に,X3 年度(X3 年4 月1 日〜X4 年3 月31 日)に計上すべき株式報酬費用の正しい金 額の組合せとして最も適切なものの番号を一つ選びなさい。( 8 点)",
"title": "問題"
},
{
"paragraph_id": 1,
"tag": "p",
"text": "〔資料I〕",
"title": "問題"
},
{
"paragraph_id": 2,
"tag": "p",
"text": "〔資料II〕",
"title": "問題"
},
{
"paragraph_id": 3,
"tag": "p",
"text": "3",
"title": "正解"
},
{
"paragraph_id": 4,
"tag": "p",
"text": "※公正な評価単価が減少する場合は,公正な評価単価の変動を無視",
"title": "解説"
}
]
| null | : [[../問題13|←前の問題]]
: [[../問題15|次の問題→]]
== 問題 ==
次の〔資料Ⅰ〕に基づき,〔資料Ⅱ〕に示した〈ケース1 〉および〈ケース2 〉のそれぞれの場
合に,X3 年度(X3 年4 月1 日〜X4 年3 月31 日)に計上すべき株式報酬費用の正しい金
額の組合せとして最も適切なものの番号を一つ選びなさい。( 8 点)
'''〔資料Ⅰ〕'''
: 1.X2 年6 月30 日の株主総会において,従業員150 名に対して1 名当たり100 個のストック・オプションを付与することを決議し,同年7 月1 日に付与した。
: 2. 権利確定日はX4 年6 月30 日,権利行使期間はX4 年7 月1 日からX6 年6 月30日まで,行使価格は60,000 円である。
: 3. 付与日におけるストック・オプションの公正な評価単価は6,000 円/個である。
: 4. 退職による失効は見込まれておらず,実際にも退職者はいないものとする。
'''〔資料Ⅱ〕'''
: 株式市場の低迷により,当初期待されていたインセンティブ効果が失われたことから,X3 年6 月30 日の株主総会において行使価格を引き下げる条件変更を行った。加えて,ストック・オプションの権利確定日をX5 年6 月30 日に延期し,ストック・オプションの権利行使期間を「X5 年7 月1 日からX7 年6 月30 日まで」に変更した。
: なお,条件変更の直後におけるストック・オプションの公正な評価単価は次のとおりであった。
:〈ケース1 〉 6,600 円/個
:〈ケース2 〉 5,500 円/個
{| class="wikitable"
|-
| || 〈ケース1 〉 || 〈ケース2 〉
|-
|| 1. || 28,125,000円 || 25,312,500 円
|-
|| 2. || 31,500,000円 || 25,312,500 円
|-
|| 3. || 31,500,000円 || 28,125,000 円
|-
|| 4. || 33,000,000円 || 27,500,000 円
|-
|| 5. || 33,000,000円 || 30,000,000 円
|-
|| 6. || 33,750,000円 || 31,500,000 円
|}
== 正解 ==
3
== 解説 ==
=== ケース1 ===
==== 前期 ====
: 株式報酬費用33,750,000/新株予約権33,750,000
: ※150名×100個×@6,000×9カ月/24カ月
==== 当期 ====
; 条件変更前
: 株式報酬費用11,250,000/新株予約権11,250,000
: ※150名×100個×@6,000×12カ月/24カ月-前期末33,750,000
; 条件変更後
: 株式報酬費用16,875,000/新株予約権16,875,000
: ※(150名×100個×@6,000-条件変更前計上45,000,000)×9カ月/24カ月
; 公正な評価単価の上昇
: 株式報酬費用3,375,000/新株予約権3,375,000
: ※150名×100個×(@6,600-@6,000)×9カ月/24カ月
; 計
: 11,250,000+16,875,000+3,375,000='''31,500,000'''
=== ケース2 ===
※公正な評価単価が減少する場合は,公正な評価単価の変動を無視
==== 前期 ====
: 株式報酬費用33,750,000/新株予約権33,750,000
==== 当期 ====
; 条件変更前
: 株式報酬費用11,250,000/新株予約権11,250,000
; 条件変更後
: 株式報酬費用16,875,000/新株予約権16,875,000
; 計
: 11,250,000+16,875,000='''28,125,000'''
=== 新株予約権の推移(単位:千円) ===
{| style="font-family: monospace;"
|-
|X2.7.1
|
|X3.3.31
|
|7.1
|
|X4.3.31
|-
|付与日
|
|
|
|変更日
|
|
|-
|0
| <br><nowiki>-----------></nowiki><br>33,750,000
|33,750,000
| <br><nowiki>-----------></nowiki><br>11,250,000
|45,000,000
|
|45,000,000
|-
|
|
|
|
| 0
| 16,875,000<br><nowiki>-----------></nowiki><br>
|16,875,000
|-
|
|
|
|
|( 0
| <br><nowiki>-----------></nowiki><br>3,375,000
| 3,375,000)
|}
:[[../問題13|←前の問題]]
:[[../問題15|次の問題→]]
[[カテゴリ:財務会計]] | null | 2022-11-28T16:37:34Z | []
| https://ja.wikibooks.org/wiki/%E5%85%AC%E8%AA%8D%E4%BC%9A%E8%A8%88%E5%A3%AB%E8%A9%A6%E9%A8%93/%E5%B9%B3%E6%88%9030%E5%B9%B4%E7%AC%ACI%E5%9B%9E%E7%9F%AD%E7%AD%94%E5%BC%8F/%E8%B2%A1%E5%8B%99%E4%BC%9A%E8%A8%88%E8%AB%96/%E5%95%8F%E9%A1%8C14 |
24,582 | 公認会計士試験/平成30年第II回短答式/企業法/問題2 | 会社の使用人又は代理商に関する次の記述のうち,正しいものの組合せとして最も適切な番号を一つ選びなさい。(5点)
ア.支配人は,会社の許可を受けなくても,他の会社の監査役になることができる。
イ.会社は,その使用人に対し,当該会社の事業に関するある種類又は特定の事項を委任したときは,その旨を登記しなければならない。
ウ.代理商は,会社の許可を受けなければ,他の会社の使用人となることができない。
エ.代理商は,取引の媒介をしたときは,遅滞なく,会社に対して,その旨の通知を発しなければならない。
3
ア.支配人は,会社の許可を受けなくても,他の会社の監査役になることができる。12条1項
イ.会社は,その使用人に対し,当該会社の事業に関するある種類又は特定の事項を委任したときは,その旨を登記しなければならない。する必要はない。14条1項918条
ウ.代理商は,会社の許可を受けなければ,他の会社の使用人となることができない。できる。17条1項12条1項3号
エ.代理商は,取引の媒介をしたときは,遅滞なく,会社に対して,その旨の通知を発しなければならない。16条 | [
{
"paragraph_id": 0,
"tag": "p",
"text": "会社の使用人又は代理商に関する次の記述のうち,正しいものの組合せとして最も適切な番号を一つ選びなさい。(5点)",
"title": "問題"
},
{
"paragraph_id": 1,
"tag": "p",
"text": "ア.支配人は,会社の許可を受けなくても,他の会社の監査役になることができる。",
"title": "問題"
},
{
"paragraph_id": 2,
"tag": "p",
"text": "イ.会社は,その使用人に対し,当該会社の事業に関するある種類又は特定の事項を委任したときは,その旨を登記しなければならない。",
"title": "問題"
},
{
"paragraph_id": 3,
"tag": "p",
"text": "ウ.代理商は,会社の許可を受けなければ,他の会社の使用人となることができない。",
"title": "問題"
},
{
"paragraph_id": 4,
"tag": "p",
"text": "エ.代理商は,取引の媒介をしたときは,遅滞なく,会社に対して,その旨の通知を発しなければならない。",
"title": "問題"
},
{
"paragraph_id": 5,
"tag": "p",
"text": "3",
"title": "正解"
},
{
"paragraph_id": 6,
"tag": "p",
"text": "ア.支配人は,会社の許可を受けなくても,他の会社の監査役になることができる。12条1項",
"title": "解説"
},
{
"paragraph_id": 7,
"tag": "p",
"text": "イ.会社は,その使用人に対し,当該会社の事業に関するある種類又は特定の事項を委任したときは,その旨を登記しなければならない。する必要はない。14条1項918条",
"title": "解説"
},
{
"paragraph_id": 8,
"tag": "p",
"text": "ウ.代理商は,会社の許可を受けなければ,他の会社の使用人となることができない。できる。17条1項12条1項3号",
"title": "解説"
},
{
"paragraph_id": 9,
"tag": "p",
"text": "エ.代理商は,取引の媒介をしたときは,遅滞なく,会社に対して,その旨の通知を発しなければならない。16条",
"title": "解説"
}
]
| null | : [[../問題1|←前の問題]]
: [[../問題3|次の問題→]]
== 問題 ==
会社の使用人又は代理商に関する次の記述のうち,正しいものの組合せとして最も適切な番号を一つ選びなさい。(5点)
<div style="text-indent:-1em;margin-left:1em;">
ア.支配人は,会社の許可を受けなくても,他の会社の監査役になることができる。
イ.会社は,その使用人に対し,当該会社の事業に関するある種類又は特定の事項を委任したときは,その旨を登記しなければならない。
ウ.代理商は,会社の許可を受けなければ,他の会社の使用人となることができない。
エ.代理商は,取引の媒介をしたときは,遅滞なく,会社に対して,その旨の通知を発しなければならない。
</div>
<div style="column-count:6;">
:1.アイ
:2.アウ
:3.アエ
:4.イウ
:5.イエ
:6.ウエ
</div>
== 正解 ==
3
== 解説 ==
<div style="text-indent:-1em;margin-left:1em;">
ア.支配人は,会社の許可を受けなくても,他の会社の監査役になることができる。<ins>12条1項</ins>
イ.会社は,その使用人に対し,当該会社の事業に関するある種類又は特定の事項を委任したときは,その旨を登記<del>しなければならない。</del><ins>する必要はない。14条1項918条</ins>
ウ.代理商は,会社の許可を受けなければ,他の会社の使用人となることが<del>できない。</del><ins>できる。17条1項12条1項3号</ins>
エ.代理商は,取引の媒介をしたときは,遅滞なく,会社に対して,その旨の通知を発しなければならない。<ins>16条</ins>
</div>
== 参照法令等 ==
* [http://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=417AC0000000086 会社法]
: [[../問題1|←前の問題]]
: [[../問題3|次の問題→]]
[[カテゴリ:企業法]] | null | 2022-11-29T05:12:03Z | []
| https://ja.wikibooks.org/wiki/%E5%85%AC%E8%AA%8D%E4%BC%9A%E8%A8%88%E5%A3%AB%E8%A9%A6%E9%A8%93/%E5%B9%B3%E6%88%9030%E5%B9%B4%E7%AC%ACII%E5%9B%9E%E7%9F%AD%E7%AD%94%E5%BC%8F/%E4%BC%81%E6%A5%AD%E6%B3%95/%E5%95%8F%E9%A1%8C2 |
24,583 | 公認会計士試験/平成30年第II回短答式/企業法/問題3 | 株式会社の設立に関する次の記述のうち,正しいものの組合せとして最も適切な番号を一つ選びなさい。(5 点)
ア.設立しようとする株式会社が公開会社である場合には,設立時発行株式の総数は,発行可能株式総数の2分の1を下ることができない。
イ.株式会社の負担する定款の認証の手数料は,定款に記載し,又は記録しなければ,その効力を生じない。
ウ.現物出資に関する事項を調査するために裁判所により選任された検査役は,必要な調査を行い,当該調査の結果を記載した書面等を裁判所に提供して報告をしなければならない。
エ.株式会社の設立を無効とする判決が確定した場合,当該株式会社は清算をしなければならない。
6
ア.設立しようとする株式会社が公開会社である場合には,設立時発行株式の総数は,発行可能株式総数の2分の14分の1を下ることができない。37条3項
イ.株式会社の負担する定款の認証の手数料は,定款に記載し,又は記録しなければしなくても,その効力を生じない。生じる。28条4号かっこ書
ウ.現物出資に関する事項を調査するために裁判所により選任された検査役は,必要な調査を行い,当該調査の結果を記載した書面等を裁判所に提供して報告をしなければならない。33条4項
エ.株式会社の設立を無効とする判決が確定した場合,当該株式会社は清算をしなければならない。475条2号
会社法 | [
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| null | : [[../問題2|←前の問題]]
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== 問題 ==
株式会社の設立に関する次の記述のうち,正しいものの組合せとして最も適切な番号を一つ選びなさい。(5 点)
<div style="text-indent:-1em;margin-left:1em;">
ア.設立しようとする株式会社が公開会社である場合には,設立時発行株式の総数は,発行可能株式総数の2分の1を下ることができない。
イ.株式会社の負担する定款の認証の手数料は,定款に記載し,又は記録しなければ,その効力を生じない。
ウ.現物出資に関する事項を調査するために裁判所により選任された検査役は,必要な調査を行い,当該調査の結果を記載した書面等を裁判所に提供して報告をしなければならない。
エ.株式会社の設立を無効とする判決が確定した場合,当該株式会社は清算をしなければならない。
</div>
<div style="column-count:6;">
:1.アイ
:2.アウ
:3.アエ
:4.イウ
:5.イエ
:6.ウエ
</div>
== 正解 ==
6
== 解説 ==
<div style="text-indent:-1em;margin-left:1em;">
ア.設立しようとする株式会社が公開会社である場合には,設立時発行株式の総数は,発行可能株式総数の<del>2分の1</del><ins>4分の1</ins>を下ることができない。<ins>37条3項</ins>
イ.株式会社の負担する定款の認証の手数料は,定款に記載し,又は記録<del>しなければ</del><ins>しなくても</ins>,その効力を<del>生じない。</del><ins>生じる。28条4号かっこ書</ins>
ウ.現物出資に関する事項を調査するために裁判所により選任された検査役は,必要な調査を行い,当該調査の結果を記載した書面等を裁判所に提供して報告をしなければならない。<ins>33条4項</ins>
エ.株式会社の設立を無効とする判決が確定した場合,当該株式会社は清算をしなければならない。<ins>475条2号</ins>
</div>
== 参照法令等 ==
[http://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=417AC0000000086#221 会社法]
: [[../問題2|←前の問題]]
: [[../問題4|次の問題→]]
[[カテゴリ:企業法]] | null | 2022-11-29T05:12:09Z | []
| https://ja.wikibooks.org/wiki/%E5%85%AC%E8%AA%8D%E4%BC%9A%E8%A8%88%E5%A3%AB%E8%A9%A6%E9%A8%93/%E5%B9%B3%E6%88%9030%E5%B9%B4%E7%AC%ACII%E5%9B%9E%E7%9F%AD%E7%AD%94%E5%BC%8F/%E4%BC%81%E6%A5%AD%E6%B3%95/%E5%95%8F%E9%A1%8C3 |
24,584 | 公認会計士試験/平成30年第II回短答式/企業法/問題4 | 株式会社の設立に関する次の記述のうち,正しいものの組合せとして最も適切な番号を一つ選びなさい。(5 点)
ア.発起人が出資の履行をすることにより設立時発行株式の株主となる権利を,当該発起人が譲渡したときは,当該譲渡は無効である。
イ.創立総会において,設立時株主は,その有する議決権について,不統一行使をすることができない。
ウ.株式会社の設立に関しては,設立の取消しの訴えは認められていない。
エ.株式会社が成立しなかったときは,発起人は,連帯して,株式会社の設立に関して支出した費用を負担する。
6
ア.発起人が出資の履行をすることにより設立時発行株式の株主となる権利を,当該発起人が譲渡したときは,当該譲渡は無効である。成立後の株式会社に対抗することができない。35条
イ.創立総会において,設立時株主は,その有する議決権について,不統一行使をすることができない。できる。77条1項前段
ウ.株式会社の設立に関しては,設立の取消しの訴えは認められていない。828条1項1号832条
エ.株式会社が成立しなかったときは,発起人は,連帯して,株式会社の設立に関して支出した費用を負担する。56条 | [
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"text": "ウ.株式会社の設立に関しては,設立の取消しの訴えは認められていない。",
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| null | : [[../問題3|←前の問題]]
: [[../問題5|次の問題→]]
== 問題 ==
株式会社の設立に関する次の記述のうち,正しいものの組合せとして最も適切な番号を一つ選びなさい。(5 点)
<div style="text-indent:-1em;margin-left:1em;">
ア.発起人が出資の履行をすることにより設立時発行株式の株主となる権利を,当該発起人が譲渡したときは,当該譲渡は無効である。
イ.創立総会において,設立時株主は,その有する議決権について,不統一行使をすることができない。
ウ.株式会社の設立に関しては,設立の取消しの訴えは認められていない。
エ.株式会社が成立しなかったときは,発起人は,連帯して,株式会社の設立に関して支出した費用を負担する。
</div>
<div style="column-count:6;">
:1.アイ
:2.アウ
:3.アエ
:4.イウ
:5.イエ
:6.ウエ
</div>
== 正解 ==
6
== 解説 ==
<div style="text-indent:-1em;margin-left:1em;">
ア.発起人が出資の履行をすることにより設立時発行株式の株主となる権利を,当該発起人が譲渡したときは,当該譲渡は<del>無効である。</del><ins>成立後の株式会社に対抗することができない。35条</ins>
イ.創立総会において,設立時株主は,その有する議決権について,不統一行使をすることが<del>できない。</del><ins>できる。77条1項前段</ins>
ウ.株式会社の設立に関しては,設立の取消しの訴えは認められていない。<ins>828条1項1号832条</ins>
エ.株式会社が成立しなかったときは,発起人は,連帯して,株式会社の設立に関して支出した費用を負担する。<ins>56条</ins>
</div>
== 参照法令等 ==
* [http://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=417AC0000000086#146 会社法]
: [[../問題3|←前の問題]]
: [[../問題5|次の問題→]]
[[カテゴリ:企業法]] | null | 2022-11-29T05:12:12Z | []
| https://ja.wikibooks.org/wiki/%E5%85%AC%E8%AA%8D%E4%BC%9A%E8%A8%88%E5%A3%AB%E8%A9%A6%E9%A8%93/%E5%B9%B3%E6%88%9030%E5%B9%B4%E7%AC%ACII%E5%9B%9E%E7%9F%AD%E7%AD%94%E5%BC%8F/%E4%BC%81%E6%A5%AD%E6%B3%95/%E5%95%8F%E9%A1%8C4 |
24,588 | 公認会計士試験/平成30年第II回短答式/企業法/問題5 | 種類株式に関する次の記述のうち,正しいものの組合せとして最も適切な番号を一つ選びなさい。(5 点)
ア.種類株式発行会社においては,発行可能種類株式総数の合計数は,発行可能株式総数と一致しなければならない。
イ.種類株式発行会社は,取得請求権付株式を発行する場合に,取得の対価を当該株式会社の他の種類の株式とすることができる。
ウ.種類株式発行会社が,ある種類の株式の発行後に,当該種類の株式を全部取得条項付種類株式にしようとするときは,当該種類の株式を有する株主全員の同意を得なければならない。
エ.指名委員会等設置会社は,ある種類の株式の種類株主を構成員とする種類株主総会において取締役を選任することを内容とする種類の株式を発行することができない。
5
ア.種類株式発行会社においては,発行可能種類株式総数の合計数は,発行可能株式総数と一致しなければならないしなくてもよい。
イ.種類株式発行会社は,取得請求権付株式を発行する場合に,取得の対価を当該株式会社の他の種類の株式とすることができる。108条2項5号ロ107条1項2号
ウ.種類株式発行会社が,ある種類の株式の発行後に,当該種類の株式を全部取得条項付種類株式にしようとするときは,当該種類の株式を有する株主全員の同意を構成員とする種類株主総会の特別決議を得なければならない。111条2項1号324条2項1号
エ.指名委員会等設置会社は,ある種類の株式の種類株主を構成員とする種類株主総会において取締役を選任することを内容とする種類の株式を発行することができない。108条1項柱書ただし書 | [
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]
| null | : [[../問題4|←前の問題]]
: [[../問題6|次の問題→]]
== 問題 ==
種類株式に関する次の記述のうち,正しいものの組合せとして最も適切な番号を一つ選びなさい。(5 点)
<div style="text-indent:-1em;margin-left:1em;">
ア.種類株式発行会社においては,発行可能種類株式総数の合計数は,発行可能株式総数と一致しなければならない。
イ.種類株式発行会社は,取得請求権付株式を発行する場合に,取得の対価を当該株式会社の他の種類の株式とすることができる。
ウ.種類株式発行会社が,ある種類の株式の発行後に,当該種類の株式を全部取得条項付種類株式にしようとするときは,当該種類の株式を有する株主全員の同意を得なければならない。
エ.指名委員会等設置会社は,ある種類の株式の種類株主を構成員とする種類株主総会において取締役を選任することを内容とする種類の株式を発行することができない。
</div>
<div style="column-count:6;">
:1.アイ
:2.アウ
:3.アエ
:4.イウ
:5.イエ
:6.ウエ
</div>
== 正解 ==
5
== 解説 ==
<div style="text-indent:-1em;margin-left:1em;">
ア.種類株式発行会社においては,発行可能種類株式総数の合計数は,発行可能株式総数と一致<del>しなければならない</del><ins>しなくてもよい</ins>。
イ.種類株式発行会社は,取得請求権付株式を発行する場合に,取得の対価を当該株式会社の他の種類の株式とすることができる。<ins>108条2項5号ロ107条1項2号</ins>
ウ.種類株式発行会社が,ある種類の株式の発行後に,当該種類の株式を全部取得条項付種類株式にしようとするときは,当該種類の株式を有する株主<del>全員の同意</del><ins>を構成員とする種類株主総会の特別決議</ins>を得なければならない。<ins>111条2項1号324条2項1号</ins>
エ.指名委員会等設置会社は,ある種類の株式の種類株主を構成員とする種類株主総会において取締役を選任することを内容とする種類の株式を発行することができない。<ins>108条1項柱書ただし書</ins>
</div>
== 参照法令等 ==
* [http://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=417AC0000000086 会社法]
: [[../問題4|←前の問題]]
: [[../問題6|次の問題→]]
[[カテゴリ:企業法]] | null | 2022-11-29T05:12:15Z | []
| https://ja.wikibooks.org/wiki/%E5%85%AC%E8%AA%8D%E4%BC%9A%E8%A8%88%E5%A3%AB%E8%A9%A6%E9%A8%93/%E5%B9%B3%E6%88%9030%E5%B9%B4%E7%AC%ACII%E5%9B%9E%E7%9F%AD%E7%AD%94%E5%BC%8F/%E4%BC%81%E6%A5%AD%E6%B3%95/%E5%95%8F%E9%A1%8C5 |
24,591 | 公認会計士試験/平成30年第II回短答式/企業法/問題6 | 株券発行会社に関する次の記述のうち,正しいものの組合せとして最も適切な番号を一つ選びなさい。(5 点)
ア.株券発行会社の株主が,当該会社に対し,当該株主についての株主名簿記載事項を記載した書面の交付を請求した場合,当該会社はこれに応じなければならない。
イ.株券発行会社は,単元未満株式に係る株券を発行しないことができる旨を定款で定めることができる。
ウ.株券発行会社の株式の譲渡を受けた者は,当該株式に係る株券の交付に加え,株主名簿の名義書換を受けなければ,当該譲渡につき,第三者に対抗することができない。
エ.株券発行会社における株式の質権者は,継続して当該株式に係る株券を占有しなければ,その質権をもって当該会社に対抗することができない。
5
ア.株券不発行会社の株主が,当該会社に対し,当該株主についての株主名簿記載事項を記載した書面の交付を請求した場合,当該会社はこれに応じなければならない。株券発行会社にはこの規定が適用されない。122条1項4項
イ.株券発行会社は,単元未満株式に係る株券を発行しないことができる旨を定款で定めることができる。189条3項
ウ.株券発行会社の株式の譲渡を受けた者は,当該株式に係る株券の交付に加え,株主名簿の名義書換を受けなければ,当該譲渡につき,第三者会社に対抗することができない。第三者に対する対抗要件は株券の占有である。130条1項2項
エ.株券発行会社における株式の質権者は,継続して当該株式に係る株券を占有しなければ,その質権をもって当該会社に対抗することができない。147条2項 | [
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"text": "株券発行会社に関する次の記述のうち,正しいものの組合せとして最も適切な番号を一つ選びなさい。(5 点)",
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"text": "ア.株券発行会社の株主が,当該会社に対し,当該株主についての株主名簿記載事項を記載した書面の交付を請求した場合,当該会社はこれに応じなければならない。",
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"text": "イ.株券発行会社は,単元未満株式に係る株券を発行しないことができる旨を定款で定めることができる。",
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"text": "ウ.株券発行会社の株式の譲渡を受けた者は,当該株式に係る株券の交付に加え,株主名簿の名義書換を受けなければ,当該譲渡につき,第三者に対抗することができない。",
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"text": "エ.株券発行会社における株式の質権者は,継続して当該株式に係る株券を占有しなければ,その質権をもって当該会社に対抗することができない。",
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"text": "ア.株券不発行会社の株主が,当該会社に対し,当該株主についての株主名簿記載事項を記載した書面の交付を請求した場合,当該会社はこれに応じなければならない。株券発行会社にはこの規定が適用されない。122条1項4項",
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"text": "イ.株券発行会社は,単元未満株式に係る株券を発行しないことができる旨を定款で定めることができる。189条3項",
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"text": "ウ.株券発行会社の株式の譲渡を受けた者は,当該株式に係る株券の交付に加え,株主名簿の名義書換を受けなければ,当該譲渡につき,第三者会社に対抗することができない。第三者に対する対抗要件は株券の占有である。130条1項2項",
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"text": "エ.株券発行会社における株式の質権者は,継続して当該株式に係る株券を占有しなければ,その質権をもって当該会社に対抗することができない。147条2項",
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}
]
| null | : [[../問題5|←前の問題]]
: [[../問題7|次の問題→]]
== 問題 ==
株券発行会社に関する次の記述のうち,正しいものの組合せとして最も適切な番号を一つ選びなさい。(5 点)
<div style="text-indent:-1em;margin-left:1em;">
ア.株券発行会社の株主が,当該会社に対し,当該株主についての株主名簿記載事項を記載した書面の交付を請求した場合,当該会社はこれに応じなければならない。
イ.株券発行会社は,単元未満株式に係る株券を発行しないことができる旨を定款で定めることができる。
ウ.株券発行会社の株式の譲渡を受けた者は,当該株式に係る株券の交付に加え,株主名簿の名義書換を受けなければ,当該譲渡につき,第三者に対抗することができない。
エ.株券発行会社における株式の質権者は,継続して当該株式に係る株券を占有しなければ,その質権をもって当該会社に対抗することができない。
</div>
<div style="column-count:6;">
:1.アイ
:2.アウ
:3.アエ
:4.イウ
:5.イエ
:6.ウエ
</div>
== 正解 ==
5
== 解説 ==
<div style="text-indent:-1em;margin-left:1em;">
ア.株券<ins>不</ins>発行会社の株主が,当該会社に対し,当該株主についての株主名簿記載事項を記載した書面の交付を請求した場合,当該会社はこれに応じなければならない。<ins>株券発行会社にはこの規定が適用されない。122条1項4項</ins>
イ.株券発行会社は,単元未満株式に係る株券を発行しないことができる旨を定款で定めることができる。<ins>189条3項</ins>
ウ.株券発行会社の株式の譲渡を受けた者は,当該株式に係る株券の交付に加え,株主名簿の名義書換を受けなければ,当該譲渡につき,<del>第三者</del><ins>会社</ins>に対抗することができない。<ins>第三者に対する対抗要件は株券の占有である。130条1項2項</ins>
エ.株券発行会社における株式の質権者は,継続して当該株式に係る株券を占有しなければ,その質権をもって当該会社に対抗することができない。<ins>147条2項</ins>
</div>
== 参照法令等 ==
* [http://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=417AC0000000086 会社法]
: [[../問題5|←前の問題]]
: [[../問題7|次の問題→]]
[[カテゴリ:企業法]] | null | 2022-11-29T05:12:18Z | []
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24,593 | 公認会計士試験/平成30年第II回短答式/企業法/問題7 | 種類株式発行会社でない株式会社が行う株式の併合に関する次の記述のうち,正しいものの組合せとして最も適切な番号を一つ選びなさい。(5 点)
ア.株式会社が2 株を1 株に併合する株式の併合を行った場合,当該株式会社は,発行可能株式総数を2 分の1 に減少する旨の定款変更をしたものとみなされる。
イ.株式の併合が法令又は定款に違反する場合において,これにより不利益を受けるおそれがある株主は,会社法に基づき,株式会社に対し,当該株式の併合をやめることを請求することができる。
ウ.株式会社が株式の併合をすることにより株式の数に1 株に満たない端数が生ずる場合,反対株主は,当該株式会社に対し,自己の有する株式のうち1 株に満たない端数となるものの全部を公正な価格で買い取ることを請求することができる。
エ.株式会社が株式の併合を行う場合,当該株式会社の資本金の額は当該併合の比率に応じて減少する。
4
ア.株式会社が2株を1株に併合する株式の併合を行った場合,当該株式会社は,発行可能株式総数を2 分の1 に減少する旨の定款変更をしたものとみなされる。みなされない。併合の都度,株主総会決議によって,効力発生日における発行可能株式総数を定めなければならない(180条2項4号)。
イ.株式の併合が法令又は定款に違反する場合において,これにより不利益を受けるおそれがある株主は,会社法に基づき,株式会社に対し,当該株式の併合をやめることを請求することができる(182条の3)。
ウ.株式会社が株式の併合をすることにより株式の数に1 株に満たない端数が生ずる場合,反対株主は,当該株式会社に対し,自己の有する株式のうち1 株に満たない端数となるものの全部を公正な価格で買い取ることを請求することができる(182条の4第1項)。
エ.株式会社が株式の併合を行う場合,当該株式会社の資本金の額は当該併合の比率に応じて減少する変動しない。 | [
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| null | : [[../問題6|←前の問題]]
: [[../問題8|次の問題→]]
== 問題 ==
種類株式発行会社でない株式会社が行う株式の併合に関する次の記述のうち,正しいものの組合せとして最も適切な番号を一つ選びなさい。(5 点)
<div style="text-indent:-1em;margin-left:1em;">
ア.株式会社が2 株を1 株に併合する株式の併合を行った場合,当該株式会社は,発行可能株式総数を2 分の1 に減少する旨の定款変更をしたものとみなされる。
イ.株式の併合が法令又は定款に違反する場合において,これにより不利益を受けるおそれがある株主は,会社法に基づき,株式会社に対し,当該株式の併合をやめることを請求することができる。
ウ.株式会社が株式の併合をすることにより株式の数に1 株に満たない端数が生ずる場合,反対株主は,当該株式会社に対し,自己の有する株式のうち1 株に満たない端数となるものの全部を公正な価格で買い取ることを請求することができる。
エ.株式会社が株式の併合を行う場合,当該株式会社の資本金の額は当該併合の比率に応じて減少する。
</div>
<div style="column-count:6;">
:1.アイ
:2.アウ
:3.アエ
:4.イウ
:5.イエ
:6.ウエ
</div>
== 正解 ==
4
== 解説 ==
<div style="text-indent:-1em;margin-left:1em;">
ア.株式会社が2株を1株に併合する株式の併合を行った場合,当該株式会社は,発行可能株式総数を2 分の1 に減少する旨の定款変更をしたものと<del>みなされる。</del><ins>みなされない。併合の都度,株主総会決議によって,効力発生日における発行可能株式総数を定めなければならない(180条2項4号)。</ins>
イ.株式の併合が法令又は定款に違反する場合において,これにより不利益を受けるおそれがある株主は,会社法に基づき,株式会社に対し,当該株式の併合をやめることを請求することができる<ins>(182条の3)</ins>。
ウ.株式会社が株式の併合をすることにより株式の数に1 株に満たない端数が生ずる場合,反対株主は,当該株式会社に対し,自己の有する株式のうち1 株に満たない端数となるものの全部を公正な価格で買い取ることを請求することができる<ins>(182条の4第1項)</ins>。
エ.株式会社が株式の併合を行う場合,当該株式会社の資本金の額は<del>当該併合の比率に応じて減少する</del><ins>変動しない</ins>。
</div>
== 参照法令等 ==
* [http://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=417AC0000000086 会社法]
: [[../問題6|←前の問題]]
: [[../問題8|次の問題→]]
[[カテゴリ:企業法]] | null | 2022-11-29T05:12:22Z | []
| https://ja.wikibooks.org/wiki/%E5%85%AC%E8%AA%8D%E4%BC%9A%E8%A8%88%E5%A3%AB%E8%A9%A6%E9%A8%93/%E5%B9%B3%E6%88%9030%E5%B9%B4%E7%AC%ACII%E5%9B%9E%E7%9F%AD%E7%AD%94%E5%BC%8F/%E4%BC%81%E6%A5%AD%E6%B3%95/%E5%95%8F%E9%A1%8C7 |
24,596 | 公認会計士試験/平成30年第II回短答式/企業法/問題9 | 株式会社の機関に関する次の記述のうち,正しいものの組合せとして最も適切な番号を一つ選びなさい。(5 点)
ア.公開会社(監査等委員会設置会社及び指名委員会等設置会社を除く。)は,監査役を置かないことができる。
イ.会計監査人設置会社(監査等委員会設置会社及び指名委員会等設置会社を除く。)は,監査役を置かなければならない。
ウ.指名委員会等設置会社は,会計監査人を置かないことができる。
エ.監査役会設置会社は,取締役会を置かなければならない。
4
ア.公開会社(監査等委員会設置会社及び指名委員会等設置会社を除く。)は,監査役を置かないことができる。置かなければならない。327条1項1号2項本文
イ.会計監査人設置会社(監査等委員会設置会社及び指名委員会等設置会社を除く。)は,監査役を置かなければならない。327条3項
ウ.指名委員会等設置会社は,会計監査人を置かないことができる。置かなければならない。327条5項
エ.監査役会設置会社は,取締役会を置かなければならない。327条1項2号 | [
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| null | : [[../問題8|←前の問題]]
: [[../問題10|次の問題→]]
== 問題 ==
株式会社の機関に関する次の記述のうち,正しいものの組合せとして最も適切な番号を一つ選びなさい。(5 点)
<div style="text-indent:-1em;margin-left:1em;">
ア.公開会社(監査等委員会設置会社及び指名委員会等設置会社を除く。)は,監査役を置かないことができる。
イ.会計監査人設置会社(監査等委員会設置会社及び指名委員会等設置会社を除く。)は,監査役を置かなければならない。
ウ.指名委員会等設置会社は,会計監査人を置かないことができる。
エ.監査役会設置会社は,取締役会を置かなければならない。
</div>
<div style="column-count:6;">
:1.アイ
:2.アウ
:3.アエ
:4.イウ
:5.イエ
:6.ウエ
</div>
== 正解 ==
4
== 解説 ==
<div style="text-indent:-1em;margin-left:1em;">
ア.公開会社(監査等委員会設置会社及び指名委員会等設置会社を除く。)は,監査役を<del>置かないことができる。</del><ins>置かなければならない。327条1項1号2項本文</ins>
イ.会計監査人設置会社(監査等委員会設置会社及び指名委員会等設置会社を除く。)は,監査役を置かなければならない。<ins>327条3項</ins>
ウ.指名委員会等設置会社は,会計監査人を<del>置かないことができる。</del><ins>置かなければならない。327条5項</ins>
エ.監査役会設置会社は,取締役会を置かなければならない。<ins>327条1項2号</ins>
</div>
== 参照法令等 ==
* [http://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=417AC0000000086 会社法]
: [[../問題8|←前の問題]]
: [[../問題10|次の問題→]]
[[カテゴリ:企業法]] | null | 2022-11-29T05:12:27Z | []
| https://ja.wikibooks.org/wiki/%E5%85%AC%E8%AA%8D%E4%BC%9A%E8%A8%88%E5%A3%AB%E8%A9%A6%E9%A8%93/%E5%B9%B3%E6%88%9030%E5%B9%B4%E7%AC%ACII%E5%9B%9E%E7%9F%AD%E7%AD%94%E5%BC%8F/%E4%BC%81%E6%A5%AD%E6%B3%95/%E5%95%8F%E9%A1%8C9 |
24,599 | 公認会計士試験/平成30年第II回短答式/企業法/問題13 | 社外取締役に関する次の記述のうち,正しいものの組合せとして最も適切な番号を一つ選びなさい。なお,定款に別段の定めはないものとする。(5 点)
ア.株式会社の取締役のうち,その就任の前の10 年間において,当該株式会社又はその子会社の業務を執行した取締役であったことがある者は,当該株式会社の社外取締役には該当しない。
イ.指名委員会等設置会社の取締役の過半数は,社外取締役でなければならない。
ウ.監査役設置会社の社外取締役の解任は,株主総会の特殊決議によらなければならない。
エ.株式会社の取締役のうち,当該株式会社の親会社の取締役である者は,当該株式会社の社外取締役には該当しない。
3
ア.株式会社の取締役のうち,その就任の前の10 年間において,当該株式会社又はその子会社の業務を執行した取締役であったことがある者は,当該株式会社の社外取締役には該当しない。2条15号イ
イ.指名委員会等設置会社の取締役各委員会の委員の過半数は,社外取締役でなければならない。400条3項
ウ.監査役設置会社の社外取締役の解任は,株主総会の特殊決議によらなければならない。普通決議で足りる。339条1項341条309条2項7号かっこ書
エ.株式会社の取締役のうち,当該株式会社の親会社の取締役である者は,当該株式会社の社外取締役には該当しない。2条15号ハ | [
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| null | : [[../問題12|←前の問題]]
: [[../問題14|次の問題→]]
== 問題 ==
社外取締役に関する次の記述のうち,正しいものの組合せとして最も適切な番号を一つ選びなさい。なお,定款に別段の定めはないものとする。(5 点)
<div style="text-indent:-1em;margin-left:1em;">
ア.株式会社の取締役のうち,その就任の前の10 年間において,当該株式会社又はその子会社の業務を執行した取締役であったことがある者は,当該株式会社の社外取締役には該当しない。
イ.指名委員会等設置会社の取締役の過半数は,社外取締役でなければならない。
ウ.監査役設置会社の社外取締役の解任は,株主総会の特殊決議によらなければならない。
エ.株式会社の取締役のうち,当該株式会社の親会社の取締役である者は,当該株式会社の社外取締役には該当しない。
</div>
<div style="column-count:6;">
:1.アイ
:2.アウ
:3.アエ
:4.イウ
:5.イエ
:6.ウエ
</div>
== 正解 ==
3
== 解説 ==
<div style="text-indent:-1em;margin-left:1em;">
ア.株式会社の取締役のうち,その就任の前の10 年間において,当該株式会社又はその子会社の業務を執行した取締役であったことがある者は,当該株式会社の社外取締役には該当しない。<ins>2条15号イ</ins>
イ.指名委員会等設置会社の<del>取締役</del><ins>各委員会の委員</ins>の過半数は,社外取締役でなければならない。<ins>400条3項</ins>
ウ.監査役設置会社の社外取締役の解任は,株主総会の<del>特殊決議によらなければならない。</del><ins>普通決議で足りる。339条1項341条309条2項7号かっこ書</ins>
エ.株式会社の取締役のうち,当該株式会社の親会社の取締役である者は,当該株式会社の社外取締役には該当しない。<ins>2条15号ハ</ins>
</div>
== 参照法令等 ==
* [http://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=417AC0000000086 会社法]
: [[../問題12|←前の問題]]
: [[../問題14|次の問題→]]
[[カテゴリ:企業法]] | null | 2022-11-29T05:10:08Z | []
| https://ja.wikibooks.org/wiki/%E5%85%AC%E8%AA%8D%E4%BC%9A%E8%A8%88%E5%A3%AB%E8%A9%A6%E9%A8%93/%E5%B9%B3%E6%88%9030%E5%B9%B4%E7%AC%ACII%E5%9B%9E%E7%9F%AD%E7%AD%94%E5%BC%8F/%E4%BC%81%E6%A5%AD%E6%B3%95/%E5%95%8F%E9%A1%8C13 |
24,600 | 公認会計士試験/平成30年第II回短答式/企業法/問題10 | 株主総会及び種類株主総会に関する次の記述のうち,正しいものの組合せとして最も適切な番号を一つ選びなさい。(5 点)
ア.株式会社は,株主総会の議長を定款で定めなければならない。
イ.株式会社は,株主総会の特別決議における定足数の要件を定款の定めによって排除することができる。
ウ.種類株式発行会社は,ある種類の株式の内容として,株式の分割が当該種類の株式の種類株主に損害を及ぼすおそれがあるときに,当該種類の株式の種類株主を構成員とする種類株主総会の決議を要しない旨を定款で定めることができる。
エ.指名委員会等設置会社の取締役会は,その決議によって,株主総会の日時及び場所等の株主総会の招集に関する事項の決定を執行役に委任することができない。
6
ア.株式会社は,株主総会の議長を定款で定めなければならないという規定は会社法にない。
イ.株式会社は,株主総会の特別決議における定足数の要件を定款の定めによって排除することができる。3分の1以上にまで引き下げることができる。309条2項柱書かっこ書
ウ.種類株式発行会社は,ある種類の株式の内容として,株式の分割が当該種類の株式の種類株主に損害を及ぼすおそれがあるときに,当該種類の株式の種類株主を構成員とする種類株主総会の決議を要しない旨を定款で定めることができる。322条1項2号2項3項
エ.指名委員会等設置会社の取締役会は,その決議によって,株主総会の日時及び場所等の株主総会の招集に関する事項の決定を執行役に委任することができない。416条4項4号 | [
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"text": "株主総会及び種類株主総会に関する次の記述のうち,正しいものの組合せとして最も適切な番号を一つ選びなさい。(5 点)",
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"text": "ア.株式会社は,株主総会の議長を定款で定めなければならない。",
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"text": "イ.株式会社は,株主総会の特別決議における定足数の要件を定款の定めによって排除することができる。",
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"text": "ウ.種類株式発行会社は,ある種類の株式の内容として,株式の分割が当該種類の株式の種類株主に損害を及ぼすおそれがあるときに,当該種類の株式の種類株主を構成員とする種類株主総会の決議を要しない旨を定款で定めることができる。",
"title": "問題"
},
{
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"text": "エ.指名委員会等設置会社の取締役会は,その決議によって,株主総会の日時及び場所等の株主総会の招集に関する事項の決定を執行役に委任することができない。",
"title": "問題"
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"text": "ア.株式会社は,株主総会の議長を定款で定めなければならないという規定は会社法にない。",
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"text": "イ.株式会社は,株主総会の特別決議における定足数の要件を定款の定めによって排除することができる。3分の1以上にまで引き下げることができる。309条2項柱書かっこ書",
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"text": "ウ.種類株式発行会社は,ある種類の株式の内容として,株式の分割が当該種類の株式の種類株主に損害を及ぼすおそれがあるときに,当該種類の株式の種類株主を構成員とする種類株主総会の決議を要しない旨を定款で定めることができる。322条1項2号2項3項",
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"text": "エ.指名委員会等設置会社の取締役会は,その決議によって,株主総会の日時及び場所等の株主総会の招集に関する事項の決定を執行役に委任することができない。416条4項4号",
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}
]
| null | : [[../問題9|←前の問題]]
: [[../問題11|次の問題→]]
== 問題 ==
株主総会及び種類株主総会に関する次の記述のうち,正しいものの組合せとして最も適切な番号を一つ選びなさい。(5 点)
<div style="text-indent:-1em;margin-left:1em;">
ア.株式会社は,株主総会の議長を定款で定めなければならない。
イ.株式会社は,株主総会の特別決議における定足数の要件を定款の定めによって排除することができる。
ウ.種類株式発行会社は,ある種類の株式の内容として,株式の分割が当該種類の株式の種類株主に損害を及ぼすおそれがあるときに,当該種類の株式の種類株主を構成員とする種類株主総会の決議を要しない旨を定款で定めることができる。
エ.指名委員会等設置会社の取締役会は,その決議によって,株主総会の日時及び場所等の株主総会の招集に関する事項の決定を執行役に委任することができない。
</div>
<div style="column-count:6;">
:1.アイ
:2.アウ
:3.アエ
:4.イウ
:5.イエ
:6.ウエ
</div>
== 正解 ==
6
== 解説 ==
<div style="text-indent:-1em;margin-left:1em;">
ア.株式会社は,株主総会の議長を定款で定めなければならない<ins>という規定は会社法にない</ins>。
イ.株式会社は,株主総会の特別決議における定足数の要件を定款の定めによって<del>排除することができる。</del><ins>3分の1以上にまで引き下げることができる。309条2項柱書かっこ書</ins>
ウ.種類株式発行会社は,ある種類の株式の内容として,株式の分割が当該種類の株式の種類株主に損害を及ぼすおそれがあるときに,当該種類の株式の種類株主を構成員とする種類株主総会の決議を要しない旨を定款で定めることができる。<ins>322条1項2号2項3項</ins>
エ.指名委員会等設置会社の取締役会は,その決議によって,株主総会の日時及び場所等の株主総会の招集に関する事項の決定を執行役に委任することができない。<ins>416条4項4号</ins>
</div>
== 参照法令等 ==
* [http://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=417AC0000000086 会社法]
: [[../問題9|←前の問題]]
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| https://ja.wikibooks.org/wiki/%E5%85%AC%E8%AA%8D%E4%BC%9A%E8%A8%88%E5%A3%AB%E8%A9%A6%E9%A8%93/%E5%B9%B3%E6%88%9030%E5%B9%B4%E7%AC%ACII%E5%9B%9E%E7%9F%AD%E7%AD%94%E5%BC%8F/%E4%BC%81%E6%A5%AD%E6%B3%95/%E5%95%8F%E9%A1%8C10 |
24,601 | 公認会計士試験/平成30年第II回短答式/企業法/問題16 | 持分会社に関する次の記述のうち,正しいものの組合せとして最も適切な番号を一つ選びなさい。(5 点)
ア.有限責任社員になろうとする者は,労務を出資の目的とすることができない。
イ.持分会社の社員が死亡した場合には,定款に別段の定めがない限り,当該社員の相続人が当該社員の持分を承継し,当該持分会社の社員となる。
ウ.無限責任社員が有限責任社員となった場合には,当該有限責任社員となった者は,その旨の登記をする前に生じた持分会社の債務について,無限責任社員としてこれを弁済する責任を負わない。
エ.持分会社が定款を変更するには,定款に別段の定めがある場合を除き,総社員の同意を必要とする。
3
ア.有限責任社員になろうとする者は,労務を出資の目的とすることができない。576条1項6号かっこ書
イ.持分会社の社員が死亡した場合には,定款に別段の定めがない限りあるときに限り,当該社員の相続人が当該社員の持分を承継し,当該持分会社の社員となる。607条1項3号608条1項2項
ウ.無限責任社員が有限責任社員となった場合にはにも,当該有限責任社員となった者は,その旨の登記をする前に生じた持分会社の債務について,無限責任社員としてこれを弁済する責任を負わない。負う。583条3項
エ.持分会社が定款を変更するには,定款に別段の定めがある場合を除き,総社員の同意を必要とする。637条 | [
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"text": "イ.持分会社の社員が死亡した場合には,定款に別段の定めがない限りあるときに限り,当該社員の相続人が当該社員の持分を承継し,当該持分会社の社員となる。607条1項3号608条1項2項",
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"text": "ウ.無限責任社員が有限責任社員となった場合にはにも,当該有限責任社員となった者は,その旨の登記をする前に生じた持分会社の債務について,無限責任社員としてこれを弁済する責任を負わない。負う。583条3項",
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| null | : [[../問題15|←前の問題]]
: [[../問題17|次の問題→]]
== 問題 ==
持分会社に関する次の記述のうち,正しいものの組合せとして最も適切な番号を一つ選びなさい。(5 点)
<div style="text-indent:-1em;margin-left:1em;">
ア.有限責任社員になろうとする者は,労務を出資の目的とすることができない。
イ.持分会社の社員が死亡した場合には,定款に別段の定めがない限り,当該社員の相続人が当該社員の持分を承継し,当該持分会社の社員となる。
ウ.無限責任社員が有限責任社員となった場合には,当該有限責任社員となった者は,その旨の登記をする前に生じた持分会社の債務について,無限責任社員としてこれを弁済する責任を負わない。
エ.持分会社が定款を変更するには,定款に別段の定めがある場合を除き,総社員の同意を必要とする。
</div>
<div style="column-count:6;">
:1.アイ
:2.アウ
:3.アエ
:4.イウ
:5.イエ
:6.ウエ
</div>
== 正解 ==
3
== 解説 ==
<div style="text-indent:-1em;margin-left:1em;">
ア.有限責任社員になろうとする者は,労務を出資の目的とすることができない。<ins>576条1項6号かっこ書</ins>
イ.持分会社の社員が死亡した場合には,定款に別段の定めが<del>ない限り</del><ins>あるときに限り</ins>,当該社員の相続人が当該社員の持分を承継し,当該持分会社の社員となる。<ins>607条1項3号608条1項2項</ins>
ウ.無限責任社員が有限責任社員となった場合<del>には</del><ins>にも</ins>,当該有限責任社員となった者は,その旨の登記をする前に生じた持分会社の債務について,無限責任社員としてこれを弁済する責任を<del>負わない。</del><ins>負う。583条3項</ins>
エ.持分会社が定款を変更するには,定款に別段の定めがある場合を除き,総社員の同意を必要とする。<ins>637条</ins>
</div>
== 参照法令等 ==
* [http://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=417AC0000000086 会社法]
: [[../問題15|←前の問題]]
: [[../問題17|次の問題→]]
[[カテゴリ:企業法]] | null | 2022-11-29T05:10:18Z | []
| https://ja.wikibooks.org/wiki/%E5%85%AC%E8%AA%8D%E4%BC%9A%E8%A8%88%E5%A3%AB%E8%A9%A6%E9%A8%93/%E5%B9%B3%E6%88%9030%E5%B9%B4%E7%AC%ACII%E5%9B%9E%E7%9F%AD%E7%AD%94%E5%BC%8F/%E4%BC%81%E6%A5%AD%E6%B3%95/%E5%95%8F%E9%A1%8C16 |
24,602 | 公認会計士試験/平成30年第II回短答式/企業法/問題19 | 有価証券届出書のうちに重要な事項について虚偽の記載がある場合に,当該有価証券届出書の届出者である会社及びその役員等が当該有価証券を当該募集に応じて取得した者に対して負う金融商品取引法上の損害賠償責任(以下「賠償責任」という。)に関する次の記述のうち,正しいものの組合せとして最も適切な番号を一つ選びなさい。なお,当該有価証券の取得者は,その取得の際に当該記載が虚偽であることを知らなかったものとする。(5点)
ア.虚偽記載について故意又は過失がなかったことを証明したときは,届出者である会社は賠償責任を負わない。
イ.有価証券届出書に係る監査証明において,当該監査証明に係る書類について記載が虚偽でない旨の監査証明をした公認会計士又は監査法人は,当該監査証明をしたことについて故意又は過失がなかったことを証明したときは賠償責任を負わない。
ウ.有価証券届出書の届出者である会社が負う賠償責任の額は,損害賠償の請求権者がその請求時前に当該有価証券届出書に係る有価証券を処分した場合においては,請求権者が当該有価証券の取得について支払った額からその処分価額を控除した額を下回ることがある。
エ.賠償責任に係る請求権は,虚偽記載を知った時又は相当な注意をもって知ることができる時から6か月間これを行使しないときは消滅する。
4
ア.虚偽記載について故意又は過失がなかったことを証明したときは取得者が悪意であるときに限り,届出者である会社は賠償責任を負わない。届出者は無過失責任である。金商法18条1項
イ.有価証券届出書に係る監査証明において,当該監査証明に係る書類について記載が虚偽でない旨の監査証明をした公認会計士又は監査法人は,当該監査証明をしたことについて故意又は過失がなかったことを証明したときは賠償責任を負わない。金商法21条1項3号2項2号
ウ.有価証券届出書の届出者である会社が負う賠償責任の額は,損害賠償の請求権者がその請求時前に当該有価証券届出書に係る有価証券を処分した場合においては,請求権者が当該有価証券の取得について支払った額からその処分価額を控除した額を下回ることがある。金商法19条1項2項
エ.賠償責任に係る請求権は,虚偽記載を知った時又は相当な注意をもって知ることができる時から6か月間3年間これを行使しないときは消滅する。金商法20条前段 | [
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"text": "有価証券届出書のうちに重要な事項について虚偽の記載がある場合に,当該有価証券届出書の届出者である会社及びその役員等が当該有価証券を当該募集に応じて取得した者に対して負う金融商品取引法上の損害賠償責任(以下「賠償責任」という。)に関する次の記述のうち,正しいものの組合せとして最も適切な番号を一つ選びなさい。なお,当該有価証券の取得者は,その取得の際に当該記載が虚偽であることを知らなかったものとする。(5点)",
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"text": "イ.有価証券届出書に係る監査証明において,当該監査証明に係る書類について記載が虚偽でない旨の監査証明をした公認会計士又は監査法人は,当該監査証明をしたことについて故意又は過失がなかったことを証明したときは賠償責任を負わない。",
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"text": "ウ.有価証券届出書の届出者である会社が負う賠償責任の額は,損害賠償の請求権者がその請求時前に当該有価証券届出書に係る有価証券を処分した場合においては,請求権者が当該有価証券の取得について支払った額からその処分価額を控除した額を下回ることがある。",
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"text": "ア.虚偽記載について故意又は過失がなかったことを証明したときは取得者が悪意であるときに限り,届出者である会社は賠償責任を負わない。届出者は無過失責任である。金商法18条1項",
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| null | : [[../問題18|←前の問題]]
: [[../問題20|次の問題→]]
== 問題 ==
有価証券届出書のうちに重要な事項について虚偽の記載がある場合に,当該有価証券届出書の届出者である会社及びその役員等が当該有価証券を当該募集に応じて取得した者に対して負う金融商品取引法上の損害賠償責任(以下「賠償責任」という。)に関する次の記述のうち,正しいものの組合せとして最も適切な番号を一つ選びなさい。なお,当該有価証券の取得者は,その取得の際に当該記載が虚偽であることを知らなかったものとする。(5点)
<div style="text-indent:-1em;margin-left:1em;">
ア.虚偽記載について故意又は過失がなかったことを証明したときは,届出者である会社は賠償責任を負わない。
イ.有価証券届出書に係る監査証明において,当該監査証明に係る書類について記載が虚偽でない旨の監査証明をした公認会計士又は監査法人は,当該監査証明をしたことについて故意又は過失がなかったことを証明したときは賠償責任を負わない。
ウ.有価証券届出書の届出者である会社が負う賠償責任の額は,損害賠償の請求権者がその請求時前に当該有価証券届出書に係る有価証券を処分した場合においては,請求権者が当該有価証券の取得について支払った額からその処分価額を控除した額を下回ることがある。
エ.賠償責任に係る請求権は,虚偽記載を知った時又は相当な注意をもって知ることができる時から6か月間これを行使しないときは消滅する。
</div>
<div style="column-count:6;">
:1.アイ
:2.アウ
:3.アエ
:4.イウ
:5.イエ
:6.ウエ
</div>
== 正解 ==
4
== 解説 ==
<div style="text-indent:-1em;margin-left:1em;">
ア.虚偽記載について<del>故意又は過失がなかったことを証明したときは</del><ins>取得者が悪意であるときに限り</ins>,届出者である会社は賠償責任を負わない。<ins>届出者は無過失責任である。金商法18条1項</ins>
イ.有価証券届出書に係る監査証明において,当該監査証明に係る書類について記載が虚偽でない旨の監査証明をした公認会計士又は監査法人は,当該監査証明をしたことについて故意又は過失がなかったことを証明したときは賠償責任を負わない。<ins>金商法21条1項3号2項2号</ins>
ウ.有価証券届出書の届出者である会社が負う賠償責任の額は,損害賠償の請求権者がその請求時前に当該有価証券届出書に係る有価証券を処分した場合においては,請求権者が当該有価証券の取得について支払った額からその処分価額を控除した額を下回ることがある。<ins>金商法19条1項2項</ins>
エ.賠償責任に係る請求権は,虚偽記載を知った時又は相当な注意をもって知ることができる時から<del>6か月間</del><ins>3年間</ins>これを行使しないときは消滅する。<ins>金商法20条前段</ins>
</div>
== 参照法令等 ==
* [http://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=323AC0000000025&openerCode=1 金融商品取引法]
: [[../問題18|←前の問題]]
: [[../問題20|次の問題→]]
[[カテゴリ:企業法]] | null | 2022-11-29T05:10:29Z | []
| https://ja.wikibooks.org/wiki/%E5%85%AC%E8%AA%8D%E4%BC%9A%E8%A8%88%E5%A3%AB%E8%A9%A6%E9%A8%93/%E5%B9%B3%E6%88%9030%E5%B9%B4%E7%AC%ACII%E5%9B%9E%E7%9F%AD%E7%AD%94%E5%BC%8F/%E4%BC%81%E6%A5%AD%E6%B3%95/%E5%95%8F%E9%A1%8C19 |
24,603 | 公認会計士試験/平成30年第II回短答式/企業法/問題20 | 有価証券報告書を提出しなければならない会社による法定書類の提出に関する次の記述のうち,正しいものの組合せとして最も適切な番号を一つ選びなさい。(5点)
ア.当該会社の株主総会において決議事項が決議された場合,当該会社が提出しなければならない臨時報告書には,当該決議における議決権行使結果を記載しなければならない。
イ.当該会社の親会社の異動があった場合,当該会社は臨時報告書を提出しなければならない。
ウ.当該会社の社外取締役の異動があった場合,当該会社は臨時報告書を提出しなければならない。
エ.上場会社の株券等につき,当該上場会社以外の者が公開買付けを行うことを公告したときには,当該上場会社は公開買付届出書を提出しなければならない。
1
ア.当該会社の株主総会において決議事項が決議された場合,当該会社が提出しなければならない臨時報告書には,当該決議における議決権行使結果を記載しなければならない。金商法24条の5第4項,開示府令19条2項9号の2ハ
イ.当該会社の親会社の異動があった場合,当該会社は臨時報告書を提出しなければならない。金商法24条の5第4項,開示府令19条2項3号
ウ.当該会社の社外取締役代表取締役の異動があった場合,当該会社は臨時報告書を提出しなければならない。金商法24条の5第4項,開示府令19条2項9号
エ.上場会社の株券等につき,当該上場会社以外の者が公開買付けを行うことを公告したときには,当該上場会社は公開買付届出書意見表明報告書を提出しなければならない。公開買付届出書は公開買付者が提出しなければならない。金商法27条の10第1項27条の3第2項 | [
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"text": "ア.当該会社の株主総会において決議事項が決議された場合,当該会社が提出しなければならない臨時報告書には,当該決議における議決権行使結果を記載しなければならない。金商法24条の5第4項,開示府令19条2項9号の2ハ",
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| null | : [[../問題19|←前の問題]]
: [[../問題20|次の問題→]]
== 問題 ==
有価証券報告書を提出しなければならない会社による法定書類の提出に関する次の記述のうち,正しいものの組合せとして最も適切な番号を一つ選びなさい。(5点)
<div style="text-indent:-1em;margin-left:1em;">
ア.当該会社の株主総会において決議事項が決議された場合,当該会社が提出しなければならない臨時報告書には,当該決議における議決権行使結果を記載しなければならない。
イ.当該会社の親会社の異動があった場合,当該会社は臨時報告書を提出しなければならない。
ウ.当該会社の社外取締役の異動があった場合,当該会社は臨時報告書を提出しなければならない。
エ.上場会社の株券等につき,当該上場会社以外の者が公開買付けを行うことを公告したときには,当該上場会社は公開買付届出書を提出しなければならない。
</div>
<div style="column-count:6;">
:1.アイ
:2.アウ
:3.アエ
:4.イウ
:5.イエ
:6.ウエ
</div>
== 正解 ==
1
== 解説 ==
<div style="text-indent:-1em;margin-left:1em;">
ア.当該会社の株主総会において決議事項が決議された場合,当該会社が提出しなければならない臨時報告書には,当該決議における議決権行使結果を記載しなければならない。<ins>金商法24条の5第4項,開示府令19条2項9号の2ハ</ins>
イ.当該会社の親会社の異動があった場合,当該会社は臨時報告書を提出しなければならない。<ins>金商法24条の5第4項,開示府令19条2項3号</ins>
ウ.当該会社の<del>社外取締役</del><ins>代表取締役</ins>の異動があった場合,当該会社は臨時報告書を提出しなければならない。<ins>金商法24条の5第4項,開示府令19条2項9号</ins>
エ.上場会社の株券等につき,当該上場会社以外の者が公開買付けを行うことを公告したときには,当該上場会社は<del>公開買付届出書</del><ins>意見表明報告書</ins>を提出しなければならない。<ins>公開買付届出書は公開買付者が提出しなければならない。金商法27条の10第1項27条の3第2項</ins>
</div>
== 参照法令等 ==
* [http://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=323AC0000000025&openerCode=1 金融商品取引法]
* [http://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=348M50000040005_20180401_429M60000002055&openerCode=1 企業内容等の開示に関する内閣府令]
: [[../問題19|←前の問題]]
: [[../問題20|次の問題→]]
[[カテゴリ:企業法]] | null | 2022-11-29T05:12:07Z | []
| https://ja.wikibooks.org/wiki/%E5%85%AC%E8%AA%8D%E4%BC%9A%E8%A8%88%E5%A3%AB%E8%A9%A6%E9%A8%93/%E5%B9%B3%E6%88%9030%E5%B9%B4%E7%AC%ACII%E5%9B%9E%E7%9F%AD%E7%AD%94%E5%BC%8F/%E4%BC%81%E6%A5%AD%E6%B3%95/%E5%95%8F%E9%A1%8C20 |
24,604 | 岩手県立大対策 | 本項は、岩手県立大学の入学試験対策に関する事項である。
岩手県立大学は岩手県滝沢市に拠点を置く公立大学である。看護学部、ソフトウェア情報学部、社会福祉学部、総合政策学部を有する。
ソフトウェア情報学部後期を除き、センター試験の割合が高いため、センター試験対策を念入りに行う必要がある。2次試験はソフトウェア情報学部は数学1教科、それ以外の学部はは小論文または総合問題の1科目の出題となる。
ソフトウェア情報学部は前期、後期とも数学1教科の出題、それ以外の学部は小論文または総合問題の1科目が課される。
ソフトウェア情報学部のみ課される。出題範囲は前期、後期試験とも数IIIIIIABである。
出題範囲は数IIIIIIABで、120分で大問4題出題される。大問は3~4問からなる丁寧な誘導形式で解いていく問題である。難易度は基礎から標準レベルであるので、教科書章末問題、教科書傍用問題集のB問題で基礎を身につけ、「黄チャート」レベルの参考書で入試に必要なテーマの問題を演習してから過去問演習をするとよい。数IIIの微積分がよく出題される以外、年毎に出題される分野が異なる。過去問3,4年分を解くと、全ての分野を網羅した出題となるため、分野毎の偏りがないように対策する必要がある。
英語、論述文、資料・統計問題である。英語は英文読解、英文和訳問題である。論述文、資料・統計問題は指定語数の定められた論述問題である。よって過去問を研究し、高校教師に添削してもらうと良い。 | [
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"text": "本項は、岩手県立大学の入学試験対策に関する事項である。",
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| 日本の大学受験ガイド > 岩手県立大対策 本項は、岩手県立大学の入学試験対策に関する事項である。 岩手県立大学は岩手県滝沢市に拠点を置く公立大学である。看護学部、ソフトウェア情報学部、社会福祉学部、総合政策学部を有する。 | {{wikipedia|岩手県立大学}}
*[[日本の大学受験ガイド]] > [[岩手県立大対策]]
本項は、[[w:岩手県立大学|岩手県立大学]]の入学試験対策に関する事項である。
岩手県立大学は岩手県滝沢市に拠点を置く公立大学である。看護学部、ソフトウェア情報学部、社会福祉学部、総合政策学部を有する。
==共通試験==
ソフトウェア情報学部後期を除き、センター試験の割合が高いため、センター試験対策を念入りに行う必要がある。2次試験はソフトウェア情報学部は数学1教科、それ以外の学部はは小論文または総合問題の1科目の出題となる。
==2次試験==
ソフトウェア情報学部は前期、後期とも数学1教科の出題、それ以外の学部は小論文または総合問題の1科目が課される。
===数学===
ソフトウェア情報学部のみ課される。出題範囲は前期、後期試験とも数ⅠⅡⅢABである。
出題範囲は数ⅠⅡⅢABで、120分で大問4題出題される。大問は3~4問からなる丁寧な誘導形式で解いていく問題である。難易度は基礎から標準レベルであるので、教科書章末問題、教科書傍用問題集のB問題で基礎を身につけ、「黄チャート」レベルの参考書で入試に必要なテーマの問題を演習してから過去問演習をするとよい。数Ⅲの微積分がよく出題される以外、年毎に出題される分野が異なる。過去問3,4年分を解くと、全ての分野を網羅した出題となるため、分野毎の偏りがないように対策する必要がある。
===総合問題===
英語、論述文、資料・統計問題である。英語は英文読解、英文和訳問題である。論述文、資料・統計問題は指定語数の定められた論述問題である。よって過去問を研究し、高校教師に添削してもらうと良い。
[[Category:大学入試|いわてけんりつだいたいさく]] | null | 2023-01-19T01:20:37Z | [
"テンプレート:Wikipedia"
]
| https://ja.wikibooks.org/wiki/%E5%B2%A9%E6%89%8B%E7%9C%8C%E7%AB%8B%E5%A4%A7%E5%AF%BE%E7%AD%96 |
24,610 | 公認会計士試験/平成30年第II回短答式/企業法/問題8 | 新株発行無効の訴えに関する次の記述のうち,正しいものの組合せとして最も適切な番号を一つ選びなさい。(5 点)
ア.公開会社において新株発行の募集事項を決定する取締役会決議に賛成した取締役は,当該新株発行の無効の訴えを提起することができない。
イ.最高裁判所の判例によれば,新株発行において募集事項の公示をしなければならないにもかかわらず,これを行わないことは,当該公示をしないこと以外に当該新株発行の差止めの事由がない場合を除き,当該新株発行の無効原因となる。
ウ.最高裁判所の判例によれば,公開会社でない株式会社において,株主総会の特別決議を経ずに株主割当て以外の方法による新株発行がされたことは,当該新株発行の無効原因となる。
エ.新株発行の無効の訴えに係る請求を認容する判決が確定したときは,当該判決において無効とされた新株発行は,当該新株発行が効力を生じた日に遡って,その効力を失う。
4
ア.公開会社において新株発行の募集事項を決定する取締役会決議に賛成した取締役は,当該新株発行の無効の訴えを提起することができない。できる。会社法828条2項2号1号かっこ書
イ.最高裁判所の判例によれば,新株発行において募集事項の公示をしなければならないにもかかわらず,これを行わないことは,当該公示をしないこと以外に当該新株発行の差止めの事由がない場合を除き,当該新株発行の無効原因となる。最判平成9年1月28日
ウ.最高裁判所の判例によれば,公開会社でない株式会社において,株主総会の特別決議を経ずに株主割当て以外の方法による新株発行がされたことは,当該新株発行の無効原因となる。最判平成24年4月24日
エ.新株発行の無効の訴えに係る請求を認容する判決が確定したときは,当該判決において無効とされた新株発行は,当該新株発行が効力を生じた日に遡って将来に向かって,その効力を失う。839条834条2号 | [
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| null | : [[../問題7|←前の問題]]
: [[../問題9|次の問題→]]
== 問題 ==
新株発行無効の訴えに関する次の記述のうち,正しいものの組合せとして最も適切な番号を一つ選びなさい。(5 点)
<div style="text-indent:-1em;margin-left:1em;">
ア.公開会社において新株発行の募集事項を決定する取締役会決議に賛成した取締役は,当該新株発行の無効の訴えを提起することができない。
イ.最高裁判所の判例によれば,新株発行において募集事項の公示をしなければならないにもかかわらず,これを行わないことは,当該公示をしないこと以外に当該新株発行の差止めの事由がない場合を除き,当該新株発行の無効原因となる。
ウ.最高裁判所の判例によれば,公開会社でない株式会社において,株主総会の特別決議を経ずに株主割当て以外の方法による新株発行がされたことは,当該新株発行の無効原因となる。
エ.新株発行の無効の訴えに係る請求を認容する判決が確定したときは,当該判決において無効とされた新株発行は,当該新株発行が効力を生じた日に遡って,その効力を失う。
</div>
<div style="column-count:6;">
:1.アイ
:2.アウ
:3.アエ
:4.イウ
:5.イエ
:6.ウエ
</div>
== 正解 ==
4
== 解説 ==
<div style="text-indent:-1em;margin-left:1em;">
ア.公開会社において新株発行の募集事項を決定する取締役会決議に賛成した取締役は,当該新株発行の無効の訴えを提起することが<del>できない。</del><ins>できる。会社法828条2項2号1号かっこ書</ins>
イ.最高裁判所の判例によれば,新株発行において募集事項の公示をしなければならないにもかかわらず,これを行わないことは,当該公示をしないこと以外に当該新株発行の差止めの事由がない場合を除き,当該新株発行の無効原因となる。<ins>最判平成9年1月28日</ins>
ウ.最高裁判所の判例によれば,公開会社でない株式会社において,株主総会の特別決議を経ずに株主割当て以外の方法による新株発行がされたことは,当該新株発行の無効原因となる。<ins>最判平成24年4月24日</ins>
エ.新株発行の無効の訴えに係る請求を認容する判決が確定したときは,当該判決において無効とされた新株発行は,<del>当該新株発行が効力を生じた日に遡って</del><ins>将来に向かって</ins>,その効力を失う。<ins>839条834条2号</ins>
</div>
== 参照法令等 ==
* [http://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=417AC0000000086 会社法]
* [http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=52512 最判平成9年1月28日]
* [http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=82215 最判平成24年4月24日]
: [[../問題7|←前の問題]]
: [[../問題9|次の問題→]]
[[カテゴリ:企業法]] | null | 2022-11-29T05:12:24Z | []
| https://ja.wikibooks.org/wiki/%E5%85%AC%E8%AA%8D%E4%BC%9A%E8%A8%88%E5%A3%AB%E8%A9%A6%E9%A8%93/%E5%B9%B3%E6%88%9030%E5%B9%B4%E7%AC%ACII%E5%9B%9E%E7%9F%AD%E7%AD%94%E5%BC%8F/%E4%BC%81%E6%A5%AD%E6%B3%95/%E5%95%8F%E9%A1%8C8 |
24,619 | 公認会計士試験/平成30年第II回短答式/企業法/問題1 | 商人及び商行為に関する次の記述のうち,最高裁判所の判例の趣旨に照らして,正しいものの組合せとして最も適切な番号を一つ選びなさい。(5点)
ア.中小企業等協同組合法に基づいて設立された信用協同組合は,商人ではない。
イ.宅地建物取引業者は民事仲立人であるから,商人ではない。
ウ.質屋営業者の金員貸付行為は,銀行取引ではないから,営業的商行為ではない。
エ.土を買い入れてこれで瓦を製造販売する営利行為は,絶対的商行為ではない。
2
ア.中小企業等協同組合法に基づいて設立された信用協同組合は,商人ではない。最判平成18年6月23日,最判昭和48年10月5日
イ.宅地建物取引業者は商事仲立人(商法543条)ではなく,民事仲立人であるからが,「仲立ち又は取次ぎに関する行為」(502条11号)を営業とする者であるから,商人ではない。である。商法502条11号4条1項,最判昭和44年6月26日
ウ.質屋営業者の金員貸付行為は,銀行取引ではないから,営業的商行為ではない。最判昭和50年6月27日,最判昭和30年9月27日
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| null | : [[../問題1|←前の問題]]
: [[../問題2|次の問題→]]
== 問題 ==
商人及び商行為に関する次の記述のうち,最高裁判所の判例の趣旨に照らして,正しいものの組合せとして最も適切な番号を一つ選びなさい。(5点)
<div style="text-indent:-1em;margin-left:1em;">
ア.中小企業等協同組合法に基づいて設立された信用協同組合は,商人ではない。
イ.宅地建物取引業者は民事仲立人であるから,商人ではない。
ウ.質屋営業者の金員貸付行為は,銀行取引ではないから,営業的商行為ではない。
エ.土を買い入れてこれで瓦を製造販売する営利行為は,絶対的商行為ではない。
</div>
<div style="column-count:6;">
:1.アイ
:2.アウ
:3.アエ
:4.イウ
:5.イエ
:6.ウエ
</div>
== 正解 ==
2
== 解説 ==
<div style="text-indent:-1em;margin-left:1em;">
ア.中小企業等協同組合法に基づいて設立された信用協同組合は,商人ではない。<ins>最判平成18年6月23日,最判昭和48年10月5日</ins>
イ.宅地建物取引業者は<ins>商事仲立人(商法543条)ではなく,</ins>民事仲立人である<del>から</del><ins>が,「仲立ち又は取次ぎに関する行為」(502条11号)を営業とする者であるから</ins>,商人<del>ではない。</del><ins>である。商法502条11号4条1項,最判昭和44年6月26日</ins>
ウ.質屋営業者の金員貸付行為は,銀行取引ではないから,営業的商行為ではない。<ins>最判昭和50年6月27日,最判昭和30年9月27日</ins>
エ.土を買い入れてこれで瓦を製造販売する営利行為は,絶対的商行為<del>ではない。</del><ins>である。商法501条1号,大判昭和4年9月28日</ins>
</div>
== 参照法令等 ==
* [http://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=132AC0000000048 商法]
* [http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=56137 最判昭和30年9月27日]
* [http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=54124 最判昭和44年6月26日]
* [http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=62066 最判昭和48年10月5日]
* [http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=62206 最判昭和50年6月27日]
* [http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=33279 最判平成18年6月23日]
: [[../問題1|←前の問題]]
: [[../問題2|次の問題→]]
[[カテゴリ:企業法]] | null | 2022-11-29T05:09:56Z | []
| https://ja.wikibooks.org/wiki/%E5%85%AC%E8%AA%8D%E4%BC%9A%E8%A8%88%E5%A3%AB%E8%A9%A6%E9%A8%93/%E5%B9%B3%E6%88%9030%E5%B9%B4%E7%AC%ACII%E5%9B%9E%E7%9F%AD%E7%AD%94%E5%BC%8F/%E4%BC%81%E6%A5%AD%E6%B3%95/%E5%95%8F%E9%A1%8C1 |
24,623 | 圏論/索引 | あ
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| あ か さ た な は ま や ら わ |
あ
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:[[圏論/代数系/関係, 同値関係#粗い|粗い]]
:[[圏論/代数系/順序#大きい|大きい]]
か
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:[[圏論/代数系/古典的代数系#可換律|可換律]]
:[[圏論/代数系/関係, 同値関係#仮設式|仮設式]]
:[[圏論/代数系/古典的代数系#環|環]]
:[[圏論/代数系/関係, 同値関係#含意型|含意型]]
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:[[圏論/代数系/関係, 同値関係#関係\rhoから導かれた類別|関係<math>\rho</math>から導かれた類別]]
:[[圏論/代数系/関係, 同値関係#関係\rhoにある|関係<math>\rho</math>にある]]
:[[圏論/代数系/関係, 同値関係#関係\rhoをみたす|関係<math>\rho</math>をみたす]]
:[[圏論/代数系/順序#擬順序|擬順序]]
:[[圏論/代数系/順序#擬順序集合|擬順序集合]]
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:[[圏論/代数系/古典的代数系#群|群]]
:[[圏論/代数系/古典的代数系#結合的|結合的]]
:[[圏論/代数系/古典的代数系#結合律|結合律]]
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さ
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:[[圏論/代数系/順序#順序|順序]]
:[[圏論/代数系/順序#順序集合|順序集合]]
:[[圏論/代数系/関係, 同値関係#A上の関係|<math>A</math> 上の関係]]
:[[圏論/代数系/関係, 同値関係#推移律|推移律]]
:[[圏論/代数系/関係, 同値関係#全称関係|全称関係]]
:[[圏論/代数系/順序#全律|全律]]
:[[圏論/代数系/順序#全順序|全順序]]
:[[圏論/代数系/順序#全順序集合|全順序集合]]
:[[圏論/代数系/古典的代数系#束|束]]
た
:[[圏論/代数系/古典的代数系#体|体]]
:[[圏論/代数系/関係, 同値関係#対称律|対称律]]
:[[圏論/代数系/関係, 同値関係#\tauから生成された同値関係|<math>\tau</math> から生成された同値関係]]
:[[圏論/代数系/関係, 同値関係#\tau鎖|<math>\tau</math>鎖]]
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:[[圏論/代数系/古典的代数系#閉じている|閉じている]]
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:[[圏論/代数系/古典的代数系#半群|半群]]
:[[圏論/代数系/関係, 同値関係#反射律|反射律]]
:[[圏論/代数系/古典的代数系#半束|半束]]
:[[圏論/代数系/順序#反対称律|反対称律]]
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:[[圏論/代数系/古典的代数系#左分配律|左分配律]]
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ま
:[[圏論/代数系/古典的代数系#右から分配的|右から分配的]]
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:
や
:[[圏論/代数系/関係, 同値関係#弱い関係|弱い関係]]
ら
:[[圏論/代数系/関係, 同値関係#類別|類別]]
わ
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[[カテゴリ:圏論| ]] | null | 2023-01-27T06:59:26Z | []
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24,625 | 一般力学/ベクトル | §1 ベクトル
物理学において諸種の量の間の関係を数量的に取り扱うためには,これらの量を 数学的量 を以って代表させる必要がある. その中最も簡単なものは,適当な単位を定めることにより 一つの実数を以って代表し得る もので,例えば質量,電荷の如きものである. 然るに速度,力のようなものは,その大きさを表す数値のほかに,方向及び向きを併せて指定することを要する. このような量を表すに適したものはユークリッド空間における 向きを持った線分 である.
向きを持った線分のことを ベクトル,ベクトルで表されるような量を ベクトル量 と呼ぶ.
これに対して一つの実数で表される量をスカラー量という. ここではベクトルを表す文字として太文字 v , A , B {\displaystyle \mathbf {v} ,\mathbf {A} ,\mathbf {B} } 等を用いる. これらの文字は上述の幾何学図形を表す記号であるから,数を表す文字 v , A , B {\displaystyle v,A,B} と混同してはならない.
二点 A , B {\displaystyle \mathrm {A} ,\mathrm {B} } を結ぶ線分で A {\displaystyle \mathrm {A} } から B {\displaystyle \mathrm {B} } への向きを有するベクトルを, A {\displaystyle \mathrm {A} } から B {\displaystyle \mathrm {B} } へ向けた矢印をつけた線分で表し,これを A B → {\displaystyle {\vec {\mathrm {A} \mathrm {B} }}} と記し, A {\displaystyle \mathrm {A} } を起点, B {\displaystyle \mathrm {B} } を終点と称する. かように具体的にベクトルを与えるには二点を要するが, 我々は 平行で,長さ及び向きの等しいベクトルを同値なものとして区別しないこととする. 従って起点 A {\displaystyle \mathrm {A} } の位置が空間の何処にあるかは問題にしない. 同値な二つのベクトル A , B {\displaystyle \mathbf {A} ,\mathbf {B} } は相等しいといい, A = B {\displaystyle \mathbf {A} =\mathbf {B} } と記す.
ベクトル v = A B → {\displaystyle \mathbf {v} ={\vec {\mathrm {A} \mathrm {B} }}} の長さ A B ̄ {\displaystyle {\overline {\mathrm {A} \mathrm {B} }}} を v {\displaystyle \mathbf {v} } の 大きさ 或いは 絶対値 といい, これを | v | {\displaystyle |\mathbf {v} |} ,または単に v {\displaystyle v} で表す.
直線 A B {\displaystyle \mathrm {A} \mathrm {B} } の方向を v {\displaystyle \mathbf {v} } の 方向, A → B {\displaystyle \mathrm {A} \to \mathrm {B} } の向きを v {\displaystyle \mathbf {v} } の向きと呼ぶ. 前述の同値の定義により起点の位置は問題にならないから, ベクトルは大きさ,方向, 向きを与えれば一義的に決まる. これを具体化する線分は無数にあるわけであるが, その中の一つ――例えば固定点 O {\displaystyle \mathrm {O} } を起点とするもの――を同値の総てのベクトルの代表として考えれば別に不便はない.
以上はベクトルの幾何学的表現方法であるが,解析的取り扱いにはこれを数を以って表すことが必要である. そのため空間に固定した直交座標系 O x y z {\displaystyle \mathrm {O} _{xyz}} を取り, O {\displaystyle \mathrm {O} } を起点として v {\displaystyle \mathbf {v} } を表すベクトル O P → {\displaystyle {\vec {\mathrm {O} \mathrm {P} }}} を作り, P {\displaystyle \mathrm {P} } の座標を ( v x , v y , v z ) {\displaystyle (v_{x},v_{y},v_{z})} とする. 即ち v x = O A , v y = O B , v z = O C {\displaystyle v_{x}=\mathrm {OA} ,v_{y}=\mathrm {OB} ,v_{z}=\mathrm {OC} } はそれぞれ 線分 O P {\displaystyle \mathrm {OP} } の x {\displaystyle x} 軸, y {\displaystyle y} 軸, z {\displaystyle z} 軸上への投射で, 点 A , B , C {\displaystyle \mathrm {A} ,\mathrm {B} ,\mathrm {C} } が座標軸の正負の側にあるに従って、それぞれ正負の符号を持った実数である.
ベクトル v {\displaystyle \mathbf {v} } が与えられればこの三つの数が一義的に定まり, 逆に三つの数の組 ( v x , v y , v z ) {\displaystyle (v_{x},v_{y},v_{z})} が与えられれば,これらを x {\displaystyle x} 軸, y {\displaystyle y} 軸, z {\displaystyle z} 軸への射影とするベクトルが定まることは明らかである. 故にベクトルは三つの実数の組により定められる量であるということができる. v x , v y , v z {\displaystyle v_{x},v_{y},v_{z}} をそれぞれベクトルの x {\displaystyle x} 成分, y {\displaystyle y} 成分, z {\displaystyle z} 成分と呼ぶ.
成分を用いれば,ベクトル v {\displaystyle \mathbf {v} } の大きさは
で与えられる.
v {\displaystyle \mathbf {v} } の方向及び 向きを表すのに O P → {\displaystyle {\vec {\mathrm {O} \mathrm {P} }}} が x {\displaystyle x} 軸, y {\displaystyle y} 軸, z {\displaystyle z} 軸の正の向きとなす角の余弦(即ち方向余弦) λ , μ , ν {\displaystyle \lambda ,\mu ,\nu } を用いる:
(1.1) および (1.2) から方向余弦 λ , μ , ν {\displaystyle \lambda ,\mu ,\nu } に対するよく知られた恒等式
を得る.
大きさが 1 {\displaystyle 1} なるベクトル e {\displaystyle \mathbf {e} } を 単位ベクトルという. その成分は e {\displaystyle \mathbf {e} } の方向余弦 λ , μ , ν {\displaystyle \lambda ,\mu ,\nu } である.
A = B {\displaystyle \mathbf {A} =\mathbf {B} } なるときには,それらの成分の間に
なる関係がある.即ち一つのベクトル方程式 A = B {\displaystyle \mathbf {A} =\mathbf {B} } は(数の間に成り立つ)この三つの方程式と同等である.
e {\displaystyle e} を一つの実数とし, e v {\displaystyle e\mathbf {v} } なるベクトルは,成分が
なるベクトルと定義される.その大きさは,(1.4)により,
方向及び向きは,(1.2)により,
ただし復号は e > 0 {\displaystyle e>0} ならば + {\displaystyle +} , e < 0 {\displaystyle e<0} ならば − {\displaystyle -} をとる. よって e v {\displaystyle e\mathbf {v} } は大きさは | e | v {\displaystyle |e|v} ,方向は v {\displaystyle \mathbf {v} } に等しく, e > 0 {\displaystyle e>0} ならば v {\displaystyle \mathbf {v} } と同じ, e < 0 {\displaystyle e<0} ならば v {\displaystyle \mathbf {v} } と反対の向きを有するベクトルである.
v {\displaystyle \mathbf {v} } と同じ方向,向きを有する単位ベクトル (これを v {\displaystyle \mathbf {v} } の方向の単位ベクトルと呼ぶ.) を v 0 {\displaystyle \mathbf {v_{0}} } とすれば, v {\displaystyle \mathbf {v} } は次の形に書かれる:
v {\displaystyle v} は大きさを, v 0 {\displaystyle \mathbf {v_{0}} } は方向及び向きを表す.
ベクトル及びベクトル量の例 (i) {\displaystyle \quad } 位置ベクトル {\displaystyle \quad } 空間の一点 P {\displaystyle \mathrm {P} } を定めるのに, 定点 O {\displaystyle \mathrm {O} } から P {\displaystyle \mathrm {P} } へ引いたベクトル O P → {\displaystyle {\vec {\mathrm {O} \mathrm {P} }}} を以ってすることができる.これを点 P {\displaystyle \mathrm {P} } の位置ベクトルと呼び, 通常 r {\displaystyle \mathbf {r} } と記す. O {\displaystyle \mathrm {O} } を原点とする座標系への r {\displaystyle \mathbf {r} } の成分は P {\displaystyle \mathrm {P} } の座標 x , y , z {\displaystyle x,y,z} である. 故に | r | = r = x 2 + y 2 + z 2 {\displaystyle |\mathbf {r} |=r={\sqrt {x^{2}+y^{2}+z^{2}}}} .
この例ではベクトル r {\displaystyle \mathbf {r} } の起点は常に定点 O {\displaystyle \mathrm {O} } に取らなければならないので, P {\displaystyle \mathrm {P} } の位置はベクトル r {\displaystyle \mathbf {r} } の外に点 0 {\displaystyle \mathrm {0} } を指定しなければ定まらない. かように起点を指定したベクトルを一点に作用するベクトル或いは束縛ベクトルと呼び, これに対して同値のものを起点(あるいは作用点)の如何によって区別しないものを自由ベクトルと称する. 束縛ベクトルは起点(或いは作用点) 0 {\displaystyle \mathrm {0} } と r {\displaystyle \mathbf {r} } を与えて始めて定まるものであるが, 位置ベクトルのように作用点がいつも定まっているものでは一々これを記載する必要はない.
例(ii) {\displaystyle \quad } 平面積 {\displaystyle \quad } 空間において,任意の方向に向いた平面の部分があるとき,この平面の表裏を定めればその表側(正の側)にその部分の面積 S {\displaystyle \mathrm {S} } に等しい長さの ベクトル S {\displaystyle \mathbf {S} } を平面に垂直にたてて, S {\displaystyle \mathbf {S} } によりこの平面積の大きさおよび空間における方位を代表させることができる. 平面の部分の表側は,その境界を回る向きが指定されれば、その向きに右ネジをまわしたときネジの進む向きとして定められる.
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| null | <div id="ベクトル">
<strong>§1 ベクトル</strong>
物理学において諸種の量の間の関係を数量的に取り扱うためには,これらの量を <span style="text-decoration: underline;">数学的量</span> を以って代表させる必要がある.
その中最も簡単なものは,適当な単位を定めることにより <span style="text-decoration: underline;">一つの実数を以って代表し得る</span> もので,例えば質量,電荷の如きものである.
然るに速度,力のようなものは,その大きさを表す数値のほかに,方向及び向きを併せて指定することを要する.
このような量を表すに適したものは[[w:%E3%83%A6%E3%83%BC%E3%82%AF%E3%83%AA%E3%83%83%E3%83%89%E7%A9%BA%E9%96%93|ユークリッド空間]]における <span style="text-decoration: underline;">向きを持った線分</span> である.
<div id="ベクトル量">
向きを持った線分のことを <strong>ベクトル</strong>,[[一般力学/ベクトル#ベクトル|ベクトル]]で表されるような量を <strong>ベクトル量</strong> と呼ぶ.<ref>
この定義はやや広すぎるので[[一般力学/ベクトルの加法|§2]]に至って更にこれを精密化することにする.
</ref>
<div id="スカラー量">
これに対して一つの実数で表される量を<strong>スカラー量</strong>という.
ここでは[[一般力学/ベクトル#ベクトル|ベクトル]]を表す文字として太文字 <math>\mathbf{v}, \mathbf{A}, \mathbf{B}</math> 等を用いる.<ref>
このほかドイツ文字 <math>\mathfrak{v}, \mathfrak{A}, \mathfrak{B}</math>,あるいは <math>\vec{v}, \vec{A}, \vec{B}</math> 等の記号が用いられている.
</ref>
これらの文字は上述の幾何学図形を表す記号であるから,数を表す文字 <math>v, A, B</math> と混同してはならない.
二点 <math>\mathrm{A}, \mathrm{B}</math> を結ぶ線分で <math>\mathrm{A}</math> から <math>\mathrm{B}</math> への向きを有する[[一般力学/ベクトル#ベクトル|ベクトル]]を,
<math>\mathrm{A}</math> から <math>\mathrm{B}</math> へ向けた矢印をつけた線分で表し,これを <math>\vec{\mathrm{A}\mathrm{B}}</math> と記し,
<math>\mathrm{A}</math> を起点,<math>\mathrm{B}</math> を終点と称する.
かように具体的に[[一般力学/ベクトル#ベクトル|ベクトル]]を与えるには二点を要するが,
我々は <span style="text-decoration: underline;">平行で,長さ及び向きの等しい[[一般力学/ベクトル#ベクトル|ベクトル]]を同値なものとして区別しないこととする</span>.
従って起点 <math>\mathrm{A}</math> の位置が空間の何処にあるかは問題にしない.
同値な二つの[[一般力学/ベクトル#ベクトル|ベクトル]] <math>\mathbf{A}, \mathbf{B}</math> は相等しいといい,<math>\mathbf{A} = \mathbf{B}</math> と記す.
<div id="ベクトルの大きさ"> <!-- -->
<div id="ベクトルの絶対値"> <!-- -->
[[一般力学/ベクトル#ベクトル|ベクトル]] <math>\mathbf{v} = \vec{\mathrm{A}\mathrm{B}}</math> の長さ <math>\overline{\mathrm{A}\mathrm{B}}</math> を <math>\mathbf{v}</math> の <strong>大きさ</strong> 或いは <strong>絶対値</strong> といい,
これを <math>|\mathbf{v}|</math>,または単に <math>v</math> で表す.
<div id="ベクトルの方向">
<div id="ベクトルの向き">
直線 <math>\mathrm{A}\mathrm{B}</math> の方向を <math>\mathbf{v}</math> の <strong>方向</strong>,
<math>\mathrm{A} \to \mathrm{B}</math> の向きを <math>\mathbf{v}</math> の<strong>向き</strong>と呼ぶ.
[[一般力学/ベクトル#ベクトルの同値|前述の同値の定義により起点の位置は問題にならない]]から,
[[一般力学/ベクトル#ベクトル|ベクトル]]は[[一般力学/ベクトル#ベクトルの大きさ|大きさ]],[[一般力学/ベクトル#ベクトルの方向|方向]],
[[一般力学/ベクトル#ベクトルの向き|向き]]を与えれば一義的に決まる.
これを具体化する線分は無数にあるわけであるが,
その中の一つ――例えば固定点 <math>\mathrm{O}</math> を起点とするもの――を同値の総ての[[一般力学/ベクトル#ベクトル|ベクトル]]の代表として考えれば別に不便はない.
以上は[[一般力学/ベクトル#ベクトル|ベクトル]]の幾何学的表現方法であるが,解析的取り扱いにはこれを数を以って表すことが必要である.
そのため空間に固定した[[w:%E7%9B%B4%E4%BA%A4%E5%BA%A7%E6%A8%99%E7%B3%BB|直交座標系]] <math>\mathrm{O}_{xyz}</math> を取り,
<math>\mathrm{O}</math> を起点として <math>\mathbf{v}</math> を表す[[一般力学/ベクトル#ベクトル|ベクトル]] <math>\vec{\mathrm{O}\mathrm{P}}</math> を作り,
<math>\mathrm{P}</math> の座標を <math>(v_x, v_y, v_z)</math> とする.
即ち <math>v_x = \mathrm{OA}, v_y = \mathrm{OB}, v_z = \mathrm{OC}</math> はそれぞれ
線分 <math>\mathrm{OP}</math> の <math>x</math> 軸, <math>y</math> 軸, <math>z</math> 軸上への投射で,
点 <math>\mathrm{A}, \mathrm{B}, \mathrm{C}</math> が座標軸の正負の側にあるに従って、それぞれ正負の符号を持った実数である.
[[File:Example.jpg|border|]]
<div id="ベクトルの成分">
[[一般力学/ベクトル#ベクトル|ベクトル]] <math>\mathbf{v}</math> が与えられればこの三つの数が一義的に定まり,
逆に三つの数の組 <math>(v_x, v_y, v_z)</math> が与えられれば,これらを <math>x</math> 軸, <math>y</math> 軸,<math>z</math> 軸への射影とするベクトルが定まることは明らかである.
故に[[一般力学/ベクトル#ベクトル|ベクトル]]は<span style="text-decoration: underline;">三つの実数の組</span>により定められる量であるということができる.
<math>v_x, v_y, v_z</math> をそれぞれ[[一般力学/ベクトル#ベクトル|ベクトル]]の <strong><math>x</math> 成分, <math>y</math> 成分,<math>z</math> 成分</strong>と呼ぶ.
[[一般力学/ベクトル#ベクトルの成分|成分]]を用いれば,[[一般力学/ベクトル#ベクトル|ベクトル]] <math>\mathbf{v}</math> の[[一般力学/ベクトル#ベクトルの大きさ|大きさ]]は
{{一般力学/equation|<math>|\mathbf{v}| = v = \sqrt{v_x^2 + v_y^2 + v_z^2}</math>|tag=(1.1)|label=eq:1.1}}
で与えられる.
<div id="方向余弦">
<math>\mathbf{v}</math> の[[一般力学/ベクトル#ベクトルの方向|方向]]及び
[[一般力学/ベクトル#ベクトルの向き|向き]]を表すのに <math>\vec{\mathrm{O}\mathrm{P}}</math> が <math>x</math> 軸,
<math>y</math> 軸,<math>z</math> 軸の正の向きとなす角の余弦(即ち方向余弦)<math>\lambda, \mu, \nu</math> を用いる:
{{一般力学/equation|<math>\lambda = \frac{v_x}{v}, \quad \mu = \frac{v_y}{v}, \quad \nu = \frac{v_z}{v}</math>|tag=(1.2)|label=eq:1.2}}
[[一般力学/ベクトル#eq1.1|(1.1)]] および [[一般力学/ベクトル#eq1.2|(1.2)]] から方向余弦 <math>\lambda, \mu, \nu</math> に対するよく知られた恒等式
{{一般力学/equation|<math>\lambda^2 + \mu^2 + \nu^2 = 1</math>|tag=(1.3)|label=eq:1.3}}
を得る.
<div id="単位ベクトル">
[[一般力学/ベクトル#ベクトルの大きさ|大きさ]]が <math>1</math> なる[[一般力学/ベクトル#ベクトル|ベクトル]] <math>\mathbf{e}</math> を
<strong>単位ベクトル</strong>という.
<span style="text-decoration: underline;">その[[一般力学/ベクトル#ベクトルの成分|成分]]は <math>\mathbf{e}</math> の方向余弦
<math>\lambda, \mu, \nu</math> である.</span>
<math>\mathbf{A} = \mathbf{B}</math> なるときには,それらの[[一般力学/ベクトル#ベクトルの成分|成分]]の間に
{{一般力学/equation|<math>A_x = B_x, \quad A_y = B_y, \quad A_z = B_z</math>|tag=(1.4)|label=eq:1.4}}
なる関係がある.即ち一つの[[一般力学/ベクトル#ベクトル|ベクトル]]方程式 <math>\mathbf{A} = \mathbf{B}</math> は(数の間に成り立つ)この三つの方程式と同等である.
<math>e</math> を一つの実数とし,<math>e\mathbf{v}</math> なる[[一般力学/ベクトル#ベクトル|ベクトル]]は,[[一般力学/ベクトル#ベクトルの成分|成分]]が
{{一般力学/equation|<math>ev_x, \quad ev_y, \quad ev_z</math>|tag=(1.5)|label=eq:1.5}}
なる[[一般力学/ベクトル#ベクトル|ベクトル]]と定義される.その[[一般力学/ベクトル#ベクトルの大きさ|大きさ]]は,[[一般力学/ベクトル#eq:1.4|(1.4)]]により,
{{一般力学/equation|<math>|e|\sqrt{v_x^2 + v_y^2 + v_z^2} = |e|v</math>}}
[[一般力学/ベクトル#ベクトルの方向|方向]]及び[[一般力学/ベクトル#ベクトルの向き|向き]]は,[[一般力学/ベクトル#eq:1.2|(1.2)]]により,
{{一般力学/equation|<math>\frac{ev_x}{|e|v} = \pm \frac{v_x}{v} = \pm\lambda, \quad \frac{ev_y}{|e|v} = \pm \frac{v_y}{v} = \pm\mu, \quad \frac{ev_z}{|e|v} = \pm \frac{v_z}{v} = \pm \nu</math>}}.
ただし復号は <math>e>0</math> ならば <math>+</math>,<math>e<0</math> ならば <math>-</math> をとる.
よって <math>e\mathbf{v}</math> は[[一般力学/ベクトル#ベクトルの大きさ|大きさ]]は <math>|e|v</math>,[[一般力学/ベクトル#ベクトルの方向|方向]]は <math>\mathbf{v}</math> に等しく,
<math>e>0</math> ならば <math>\mathbf{v}</math> と同じ,<math>e<0</math> ならば <math>\mathbf{v}</math> と反対の[[一般力学/ベクトル#ベクトルの向き|向き]]を有する[[一般力学/ベクトル#ベクトル|ベクトル]]である.
<math>\mathbf{v}</math> と同じ[[一般力学/ベクトル#ベクトルの方向|方向]],[[一般力学/ベクトル#ベクトルの向き|向き]]を有する[[一般力学/ベクトル#単位ベクトル|単位ベクトル]]
(これを<ins><math>\mathbf{v}</math> の[[一般力学/ベクトル#ベクトルの方向|方向]]の[[一般力学/ベクトル#単位ベクトル|単位ベクトル]]</ins>と呼ぶ.)
を <math>\mathbf{v_0}</math> とすれば,<math>\mathbf{v}</math> は次の形に書かれる:
{{一般力学/equation|<math>\mathbf{v} = v\mathbf{v_0}</math>|tag=(1.6)|label=eq:1.6}}
<math>v</math> は[[一般力学/ベクトル#ベクトルの大きさ|大きさ]]を,<math>\mathbf{v_0}</math> は[[一般力学/ベクトル#ベクトルの方向|方向]]及び[[一般力学/ベクトル#ベクトルの向き|向き]]を表す.
<div id="位置ベクトル">
[[一般力学/ベクトル#ベクトル|ベクトル]]及び[[一般力学/ベクトル#ベクトル量|ベクトル量]]の例
(i)<math>\quad</math><strong>位置ベクトル</strong><math>\quad</math> 空間の一点 <math>\mathrm{P}</math> を定めるのに,
定点 <math>\mathrm{O}</math> から <math>\mathrm{P}</math> へ引いた[[一般力学/ベクトル#ベクトル|ベクトル]]
<math>\vec{\mathrm{O}\mathrm{P}}</math> を以ってすることができる.これを点 <math>\mathrm{P}</math> の<strong>位置ベクトル</strong>と呼び,
通常 <math>\mathbf{r}</math> と記す.
<math>\mathrm{O}</math> を原点とする座標系への <ins><math>\mathbf{r}</math> の成分は <math>\mathrm{P}</math> の座標 <math>x, y, z</math> である.</ins>
故に <math>|\mathbf{r}| = r = \sqrt{x^2 + y^2 + z^2}</math>.
<div id="一点に作用するベクトル">
<div id="束縛ベクトル">
<div id="自由ベクトル">
この例では[[一般力学/ベクトル#ベクトル|ベクトル]]<math>\mathbf{r}</math> の起点は常に定点 <math>\mathrm{O}</math> に取らなければならないので,
<math>\mathrm{P}</math> の位置は[[一般力学/ベクトル#ベクトル|ベクトル]]<math>\mathbf{r}</math> の外に点 <math>\mathrm{0}</math> を指定しなければ定まらない.
かように起点を指定した[[一般力学/ベクトル#ベクトル|ベクトル]]を<strong>一点に作用するベクトル</strong>或いは<strong>束縛ベクトル</strong>と呼び,
これに対して同値のものを起点(あるいは作用点)の如何によって区別しないものを<strong>自由ベクトル</strong>と称する.
[[一般力学/ベクトル#束縛ベクトル|束縛ベクトル]]は起点(或いは作用点)<math>\mathrm{0}</math> と <math>\mathbf{r}</math> を与えて始めて定まるものであるが,
[[一般力学/ベクトル#位置ベクトル|位置ベクトル]]のように作用点がいつも定まっているものでは一々これを記載する必要はない.
<div id="平面積">
<div id="代表ベクトル">
例(ii)<math>\quad</math><strong>平面積</strong><math>\quad</math>
空間において,任意の方向に向いた平面の部分があるとき,この平面の表裏を定めればその表側(正の側)にその部分の面積 <math>\mathrm{S}</math> に等しい長さの
[[一般力学/ベクトル#ベクトル|ベクトル]]<math>\mathbf{S}</math> を平面に垂直にたてて,<math>\mathbf{S}</math> によりこの平面積の大きさおよび空間における方位を代表させることができる.
平面の部分の表側は,その境界を回る向きが指定されれば、その向きに右ネジをまわしたときネジの進む向きとして定められる.
[[File:Example.jpg|border|]]
<references />
{{DEFAULTSORT:いつはんりきかくへくとる}}
[[カテゴリ:一般力学|へくとる]]
[[Category:ベクトル]] | 2018-11-03T08:19:54Z | 2024-03-16T05:46:09Z | [
"テンプレート:一般力学/equation"
]
| https://ja.wikibooks.org/wiki/%E4%B8%80%E8%88%AC%E5%8A%9B%E5%AD%A6/%E3%83%99%E3%82%AF%E3%83%88%E3%83%AB |
24,626 | 一般力学/ベクトルの加法 | §2 ベクトルの加法
二つのベクトル A , B {\displaystyle \mathbf {A} ,\mathbf {B} } が与えられたとき,
なる成分を有するベクトル C {\displaystyle \mathbf {C} } を A {\displaystyle \mathbf {A} } と B {\displaystyle \mathbf {B} } の和といい, 記号的に C = A + B {\displaystyle \mathbf {C} =\mathbf {A} +\mathbf {B} } と記す. A = O A → , B = O B → {\displaystyle \mathbf {A} ={\vec {\mathrm {O} \mathrm {A} }},\quad \mathbf {B} ={\vec {\mathrm {O} \mathrm {B} }}} とすれば, C {\displaystyle \mathbf {C} } は O A , O B {\displaystyle \mathrm {O} \mathrm {A} ,\mathrm {O} \mathrm {B} } を相隣れる二辺とする平行四辺形の対角線 O C → {\displaystyle {\vec {\mathrm {O} \mathrm {C} }}} に等しい.或いは A = O A → {\displaystyle \mathbf {A} ={\vec {\mathrm {O} \mathrm {A} }}} の終点から A C → = B {\displaystyle {\vec {\mathrm {A} \mathrm {C} }}=\mathbf {B} } なるベクトルを作れば O C → = C {\displaystyle {\vec {\mathrm {O} \mathrm {C} }}=\mathbf {C} } なることが容易に証明される.
A , B {\displaystyle \mathbf {A} ,\mathbf {B} } が与えられたとき A + B = C {\displaystyle \mathbf {A} +\mathbf {B} =\mathbf {C} } なるベクトルを作ることを A , B {\displaystyle \mathbf {A} ,\mathbf {B} } を加えるまたは合成する, 逆に C {\displaystyle \mathbf {C} } が与えられたとき C = A + B {\displaystyle \mathbf {C} =\mathbf {A} +\mathbf {B} } なるベクトル A , B {\displaystyle \mathbf {A} ,\mathbf {B} } を求めることを C {\displaystyle \mathbf {C} } を分解するといい, C {\displaystyle \mathbf {C} } を合ベクトル, A , B {\displaystyle \mathbf {A} ,\mathbf {B} } を分ベクトルと呼ぶ.
(2.1)の定義から,ベクトルの加算についても,数の加え算と同様に次の関係が成り立つことがわかる:
最後の関係により,多くのベクトル A , B , C , ⋯ {\displaystyle \mathbf {A} ,\mathbf {B} ,\mathbf {C} ,\cdots } を加えたものが一義的に定まることが知れる. R = A + B + C + ⋯ {\displaystyle \mathbf {R} =\mathbf {A} +\mathbf {B} +\mathbf {C} +\cdots } を A , B , C , ⋯ {\displaystyle \mathbf {A} ,\mathbf {B} ,\mathbf {C} ,\cdots } の合ベクトルという.
加え算の記号を用いれば,任意のベクトル v {\displaystyle \mathbf {v} } を x , y , z {\displaystyle x,y,z} 方向の三つのベクトル v x , v y , v z {\displaystyle \mathbf {v_{x}} ,\mathbf {v_{y}} ,\mathbf {v_{z}} } の和として表すことができる: v = v x + v y + v z {\displaystyle \mathbf {v} =\mathbf {v_{x}} +\mathbf {v_{y}} +\mathbf {v_{z}} } .
或いは x , y , z {\displaystyle x,y,z} 方向の正の方向の単位ベクトルを i , j , k {\displaystyle \mathbf {i} ,\mathbf {j} ,\mathbf {k} } とすれば (1.6)により v x = v x i , v y = v y j , v z = v z k {\displaystyle \mathbf {v_{x}} =v_{x}\mathbf {i} ,\quad \mathbf {v_{y}} =v_{y}\mathbf {j} ,\quad \mathbf {v_{z}} =v_{z}\mathbf {k} } であるから,
i , j , k {\displaystyle \mathbf {i} ,\mathbf {j} ,\mathbf {k} } を基本ベクトルと呼ぶ.
i , j {\displaystyle \mathbf {i} ,\mathbf {j} } を定めたとき k {\displaystyle \mathbf {k} } の向き即ち z − {\displaystyle z-} 軸の正の向きの取り方に二通りあるが, ここではいわゆる右手系,即ち i , j , k {\displaystyle \mathbf {i} ,\mathbf {j} ,\mathbf {k} } が右手の親指,人さし指,中指の向きになっているものを採用する ( k {\displaystyle \mathbf {k} } の向きがこれと逆のものは左手系という).
A − B {\displaystyle \mathbf {A} -\mathbf {B} } は A = B + C {\displaystyle \mathbf {A} =\mathbf {B} +\mathbf {C} } となるようなベクトル C {\displaystyle \mathbf {C} } として定義される.従って C {\displaystyle \mathbf {C} } は A + ( − B ) {\displaystyle \mathbf {A} +(-\mathbf {B} )} に等しい.
我々はベクトルの加法を上記の如く定義した.然るに諸種の物理量の合成は,一般にこれと独立にその量に特有な定義を持つことが多い.この二つの定義が同値でないものに対してはベクトル算法の実用的価値が少ない.故にベクトル量については個々にその合成則がベクトル加法に一致するか否かを調べる必要がある.或る量の合成則は必ず一つに限るわけではないが,少なくともその中の一つがベクトル加法と一致しないものは,ベクトル量の中から除く方がよい.よってベクトル量は向きを持った線分で代表され,その合成則がベクトル加法に従うものと定義するのが正確である.
例(i) 変位 {\displaystyle \quad } 運動点 P {\displaystyle \mathrm {P} } が空間 A {\displaystyle \mathrm {A} } から B {\displaystyle \mathrm {B} } へ移動したとき, その変位はベクトル A B → {\displaystyle {\vec {\mathrm {A} \mathrm {B} }}} で表される. P {\displaystyle \mathrm {P} } が更に B C → {\displaystyle {\vec {\mathrm {B} \mathrm {C} }}} なる変位により C {\displaystyle C} へ動いたとすれば, 二つの変位 A B → , B C → {\displaystyle {\vec {\mathrm {A} \mathrm {B} }},{\vec {\mathrm {B} \mathrm {C} }}} を続けて行った結果は一つの変位 A C → {\displaystyle {\vec {\mathrm {A} \mathrm {C} }}} と同じ意味になる.よって合成の意味を上のように解釈すれば,変位は一つのベクトル量である. A , B {\displaystyle \mathrm {A} ,\mathrm {B} } の位置ベクトルをそれぞれ r 1 , r 2 {\displaystyle \mathbf {r_{1}} ,\mathbf {r_{2}} } とすれば A B → = r 2 − r 1 {\displaystyle {\vec {\mathrm {A} \mathrm {B} }}=\mathbf {r_{2}} -\mathbf {r_{1}} } と書かれる.
例(ii) 平行六面体の相隣れる二面を表すベクトルの和 {\displaystyle \quad } この場合にはベクトルの合成が直接の意味を持たない.寧ろその定義をベクトル加法から与えるのである.
二面 O A F B , O A E C {\displaystyle \mathrm {O} \mathrm {A} \mathrm {F} \mathrm {B} ,\mathrm {O} \mathrm {A} \mathrm {E} \mathrm {C} } を表すベクトルを S 1 , S 2 {\displaystyle \mathbf {S_{1}} ,\mathbf {S_{2}} } とし S 1 + S 2 {\displaystyle \mathbf {S_{1}} +\mathbf {S_{2}} } を求める. A , O {\displaystyle \mathrm {A} ,\mathrm {O} } を通って O A {\displaystyle \mathrm {O} \mathrm {A} } に垂直な面 A F ′ G ′ E ′ , O B ′ D ′ C ′ {\displaystyle \mathrm {A} \mathrm {F'} \mathrm {G'} \mathrm {E'} ,\mathrm {O} \mathrm {B'} \mathrm {D'} \mathrm {C'} } を作れば, S 1 , S 2 {\displaystyle \mathbf {S_{1}} ,\mathbf {S_{2}} } はまた O A F ′ B ′ , O A E ′ C ′ {\displaystyle \mathrm {O} \mathrm {A} \mathrm {F'} \mathrm {B'} ,\mathrm {O} \mathrm {A} \mathrm {E'} \mathrm {C'} } の代表ベクトルであって, これを O A {\displaystyle \mathrm {O} \mathrm {A} } の方向からみれば次図のようになる.
S 1 , S 2 {\displaystyle \mathbf {S_{1}} ,\mathbf {S_{2}} } はそれぞれ A F ′ , A E ′ {\displaystyle \mathrm {A} \mathrm {F'} ,\mathrm {A} \mathrm {E'} } に垂直で,その大きさは S 1 = O A ̄ × A F ′ ̄ , S 2 = O A ̄ × A E ′ ̄ {\displaystyle S_{1}={\overline {\mathrm {O} \mathrm {A} }}\times {\overline {\mathrm {A} \mathrm {F'} }},S_{2}={\overline {\mathrm {O} \mathrm {A} }}\times {\overline {\mathrm {A} \mathrm {E'} }}} である. S 1 = A P → , S 2 = A Q → {\displaystyle \mathbf {S_{1}} ={\vec {\mathrm {A} \mathrm {P} }},\mathbf {S_{2}} ={\vec {\mathrm {A} \mathrm {Q} }}} を相隣れる二辺とする平行四辺形 A P R Q {\displaystyle \mathrm {A} \mathrm {P} \mathrm {R} \mathrm {Q} } を作れば、これは ◻ A F ′ G ′ E {\displaystyle \square \mathrm {AF'G'E} } を全体 O A ̄ {\displaystyle {\overline {OA}}} 倍 して 90 {\displaystyle 90} °回転したものである.故に A R → = S = S 1 + S 2 {\displaystyle {\vec {\mathrm {AR} }}=\mathbf {S} =\mathbf {S_{1}} +\mathbf {S_{2}} } の大きさは O A ̄ × A G ′ ̄ {\displaystyle {\overline {OA}}\times {\overline {AG'}}} 即ち ◻ O A G D {\displaystyle \square \mathrm {OAGD} } の面積に等しく ,方向はこれに垂直,向きを考えればこれが ◻ O A G D {\displaystyle \square \mathrm {OAGD} } の代表ベクトルであることがわかる.よって 平行六面体の相隣れる二面を表すベクトルの和はその共通の陵を含む対角面の:代表ベクトルに等しい
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"text": "S 1 , S 2 {\\displaystyle \\mathbf {S_{1}} ,\\mathbf {S_{2}} } はそれぞれ A F ′ , A E ′ {\\displaystyle \\mathrm {A} \\mathrm {F'} ,\\mathrm {A} \\mathrm {E'} } に垂直で,その大きさは S 1 = O A ̄ × A F ′ ̄ , S 2 = O A ̄ × A E ′ ̄ {\\displaystyle S_{1}={\\overline {\\mathrm {O} \\mathrm {A} }}\\times {\\overline {\\mathrm {A} \\mathrm {F'} }},S_{2}={\\overline {\\mathrm {O} \\mathrm {A} }}\\times {\\overline {\\mathrm {A} \\mathrm {E'} }}} である. S 1 = A P → , S 2 = A Q → {\\displaystyle \\mathbf {S_{1}} ={\\vec {\\mathrm {A} \\mathrm {P} }},\\mathbf {S_{2}} ={\\vec {\\mathrm {A} \\mathrm {Q} }}} を相隣れる二辺とする平行四辺形 A P R Q {\\displaystyle \\mathrm {A} \\mathrm {P} \\mathrm {R} \\mathrm {Q} } を作れば、これは ◻ A F ′ G ′ E {\\displaystyle \\square \\mathrm {AF'G'E} } を全体 O A ̄ {\\displaystyle {\\overline {OA}}} 倍 して 90 {\\displaystyle 90} °回転したものである.故に A R → = S = S 1 + S 2 {\\displaystyle {\\vec {\\mathrm {AR} }}=\\mathbf {S} =\\mathbf {S_{1}} +\\mathbf {S_{2}} } の大きさは O A ̄ × A G ′ ̄ {\\displaystyle {\\overline {OA}}\\times {\\overline {AG'}}} 即ち ◻ O A G D {\\displaystyle \\square \\mathrm {OAGD} } の面積に等しく ,方向はこれに垂直,向きを考えればこれが ◻ O A G D {\\displaystyle \\square \\mathrm {OAGD} } の代表ベクトルであることがわかる.よって 平行六面体の相隣れる二面を表すベクトルの和はその共通の陵を含む対角面の:代表ベクトルに等しい",
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},
{
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},
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}
]
| null | <div id="ベクトルの加法">
<div id="ベクトルの和">
<strong>§2 ベクトルの加法</strong>
二つの[[一般力学/ベクトル#ベクトル|ベクトル]] <math>\mathbf{A}, \mathbf{B}</math> が与えられたとき,
{{一般力学/equation|<math>C_x = A_x + B_x, \quad C_y = A_y + B_y, \quad C_z = A_x + B_x</math>|tag=(2.1)|label=eq:2.1}}
なる成分を有する[[一般力学/ベクトル#ベクトル|ベクトル]] <math>\mathbf{C}</math> を <math>\mathbf{A}</math> と <math>\mathbf{B}</math> の<strong>和</strong>といい,
記号的に <math>\mathbf{C} = \mathbf{A} + \mathbf{B}</math> と記す.
<math>\mathbf{A} = \vec{\mathrm{O}\mathrm{A}},\quad \mathbf{B} = \vec{\mathrm{O}\mathrm{B}}</math> とすれば,
<math>\mathbf{C}</math> は <math>\mathrm{O}\mathrm{A}, \mathrm{O}\mathrm{B}</math> を相隣れる二辺とする平行四辺形の対角線
<math>\vec{\mathrm{O}\mathrm{C}}</math> に等しい.或いは <math>\mathbf{A}=\vec{\mathrm{O}\mathrm{A}}</math> の終点から
<math>\vec{\mathrm{A}\mathrm{C}} = \mathbf{B}</math> なる[[一般力学/ベクトル#ベクトル|ベクトル]]を作れば
<math>\vec{\mathrm{O}\mathrm{C}} = \mathbf{C}</math> なることが容易に証明される.
<div id="ベクトルを加える">
<div id="ベクトルを合成する">
<div id="ベクトルを分解する">
<div id="合ベクトル">
<div id="分ベクトル">
<math>\mathbf{A}, \mathbf{B}</math> が与えられたとき <math>\mathbf{A} + \mathbf{B} = \mathbf{C}</math>
なる[[一般力学/ベクトル#ベクトル|ベクトル]]を作ることを
<math>\mathbf{A}, \mathbf{B}</math> を<strong>加える</strong>または<strong>合成</strong>する,
逆に <math>\mathbf{C}</math> が与えられたとき <math>\mathbf{C} = \mathbf{A} + \mathbf{B}</math> なる[[一般力学/ベクトル#ベクトル|ベクトル]]
<math>\mathbf{A}, \mathbf{B}</math> を求めることを <math>\mathbf{C}</math> を<strong>分解</strong>するといい,
<math>\mathbf{C}</math> を<strong>合ベクトル</strong>,<math>\mathbf{A}, \mathbf{B}</math> を<strong>分ベクトル</strong>と呼ぶ.
[[一般力学/ベクトルの加法#eq:2.1|(2.1)]]の定義から,[[一般力学/ベクトルの加法#ベクトルの加法|ベクトルの加算]]についても,数の加え算と同様に次の関係が成り立つことがわかる:
{{一般力学/equation|<math>
\begin{cases}
\mathbf{A} + \mathbf{B} = \mathbf{B} + \mathbf{A}, \quad c(\mathbf{A} + \mathbf{B}) = c\mathbf{A} + c\mathbf{B}, \\
\mathbf{A} + (\mathbf{B} + \mathbf{C}) = (\mathbf{A} + \mathbf{B}) + \mathbf{C}.
\end{cases}
</math>|tag=(2.2)|label=eq:2.2}}
最後の関係により,多くの[[一般力学/ベクトル#ベクトル|ベクトル]] <math>\mathbf{A}, \mathbf{B}, \mathbf{C}, \cdots </math> を加えたものが一義的に定まることが知れる.
<math>\mathbf{R} = \mathbf{A} + \mathbf{B} + \mathbf{C} + \cdots</math> を <math>\mathbf{A}, \mathbf{B}, \mathbf{C}, \cdots</math> の[[一般力学/ベクトルの加法#合ベクトル|合ベクトル]]という.
加え算の記号を用いれば,任意の[[一般力学/ベクトル#ベクトル|ベクトル]] <math>\mathbf{v}</math> を <math>x, y, z</math> 方向の三つの[[一般力学/ベクトル#ベクトル|ベクトル]] <math>\mathbf{v_x}, \mathbf{v_y}, \mathbf{v_z}</math> の和として表すことができる:<math>\mathbf{v} = \mathbf{v_x} + \mathbf{v_y} + \mathbf{v_z}</math>.
[[File:Example.jpg|border|]]
<div id="基本ベクトル">
或いは <math>x, y, z</math> 方向の正の方向の[[一般力学/ベクトル#単位ベクトル|単位ベクトル]]を <math>\mathbf{i}, \mathbf{j}, \mathbf{k}</math> とすれば
[[一般力学/ベクトル#eq:1.6|(1.6)]]により <math>\mathbf{v_x} = v_x \mathbf{i}, \quad \mathbf{v_y} = v_y \mathbf{j}, \quad \mathbf{v_z} = v_z \mathbf{k}</math> であるから,
:<math>\mathbf{v} = v_x\mathbf{i} + v_y\mathbf{j} + v_z\mathbf{k}</math>.
<math>\mathbf{i}, \mathbf{j}, \mathbf{k}</math> を<strong>基本ベクトル</strong>と呼ぶ.
<div id="右手系">
<div id="左手系">
<math>\mathbf{i}, \mathbf{j}</math> を定めたとき <math>\mathbf{k}</math> の向き即ち <math>z-</math> 軸の正の向きの取り方に二通りあるが,
ここではいわゆる<strong>右手系</strong>,即ち <math>\mathbf{i}, \mathbf{j}, \mathbf{k}</math> が右手の親指,人さし指,中指の向きになっているものを採用する
(<math>\mathbf{k}</math> の向きがこれと逆のものは左手系という).
[[File:Example.jpg|border|]]
<math>\mathbf{A} - \mathbf{B}</math> は <math>\mathbf{A} = \mathbf{B} + \mathbf{C}</math> となるような[[一般力学/ベクトル#ベクトル|ベクトル]] <math>\mathbf{C}</math>
として定義される.従って <math>\mathbf{C}</math> は <math>\mathbf{A} + (- \mathbf{B})</math> に等しい.
我々は[[一般力学/ベクトルの加法#ベクトルの加法|ベクトルの加法]]を上記の如く定義した.然るに諸種の物理量の合成は,一般にこれと独立にその量に特有な定義を持つことが多い.この二つの定義が同値でないものに対しては[[一般力学/ベクトル#ベクトル|ベクトル]]算法の実用的価値が少ない.故に[[一般力学/ベクトル#ベクトル量|ベクトル量]]については個々にその合成則が[[一般力学/ベクトルの加法#ベクトルの加法|ベクトル加法]]に一致するか否かを調べる必要がある.或る量の合成則は必ず一つに限るわけではないが,少なくともその中の一つが[[一般力学/ベクトルの加法#ベクトルの加法|ベクトル加法]]と一致しないものは,[[一般力学/ベクトル#ベクトル量|ベクトル量]]の中から除く方がよい.よって<strong>[[一般力学/ベクトル#ベクトル量|ベクトル量]]は[[一般力学/ベクトル#ベクトルの向き|向き]]を持った線分で代表され,その合成則が[[一般力学/ベクトルの加法#ベクトルの加法|ベクトル加法]]に従うもの</strong>と定義するのが正確である<ref>
[[一般力学/ベクトル#位置ベクトル|位置ベクトル]],[[一般力学/ベクトル#単位ベクトル|単位ベクトル]]などは特殊な[[一般力学/ベクトル#ベクトル|ベクトル]]に付けた名で,
位置とか,単位とかいう量を代表するものではないから[[一般力学/ベクトル#ベクトル量|ベクトル量]]ではない(数字 <math>1</math> は[[一般力学/ベクトル#スカラー量|スカラー量]]でないのと同様!).
</ref>.
例(i) '''変位'''<math>\quad</math> 運動点 <math>\mathrm{P}</math> が空間 <math>\mathrm{A}</math> から <math>\mathrm{B}</math> へ移動したとき,
その[[一般力学/ベクトルの加法#変位|変位]]は[[一般力学/ベクトル#ベクトル|ベクトル]] <math>\vec{\mathrm{A}\mathrm{B}}</math> で表される.
<math>\mathrm{P}</math> が更に <math>\vec{\mathrm{B}\mathrm{C}}</math> なる[[一般力学/ベクトルの加法#変位|変位]]により <math>C</math> へ動いたとすれば,
二つの[[一般力学/ベクトルの加法#変位|変位]] <math>\vec{\mathrm{A}\mathrm{B}}, \vec{\mathrm{B}\mathrm{C}}</math> を続けて行った結果は一つの[[一般力学/ベクトルの加法#変位|変位]]
<math>\vec{\mathrm{A}\mathrm{C}}</math> と同じ意味になる.よって[[一般力学/ベクトルの加法#ベクトルを合成する|合成]]の意味を上のように解釈すれば,<ins>[[一般力学/ベクトルの加法#変位|変位]]は一つの[[一般力学/ベクトル#ベクトル量|ベクトル量]]である.</ins> <math>\mathrm{A}, \mathrm{B}</math> の[[一般力学/ベクトル#位置ベクトル|位置ベクトル]]をそれぞれ
<math>\mathbf{r_1}, \mathbf{r_2}</math> とすれば <math>\vec{\mathrm{A}\mathrm{B}} = \mathbf{r_2} - \mathbf{r_1}</math> と書かれる.
例(ii) <strong>平行六面体の相隣れる二面を表す[[一般力学/ベクトルの加法#ベクトルの和|ベクトルの和]]</strong><math>\quad</math>
この場合には[[一般力学/ベクトルの加法#ベクトルを合成する|ベクトルの合成]]が直接の意味を持たない.寧ろその定義を[[一般力学/ベクトルの加法#ベクトルの加法|ベクトル加法]]から与えるのである.
[[File:Example.jpg|border|]]
二面 <math>\mathrm{O}\mathrm{A}\mathrm{F}\mathrm{B}, \mathrm{O}\mathrm{A}\mathrm{E}\mathrm{C}</math> を表す[[一般力学/ベクトル#ベクトル|ベクトル]]を <math>\mathbf{S_1}, \mathbf{S_2}</math> とし <math>\mathbf{S_1} + \mathbf{S_2}</math> を求める.<math>\mathrm{A}, \mathrm{O}</math> を通って <math>\mathrm{O}\mathrm{A}</math> に垂直な面
<math>\mathrm{A}\mathrm{F'}\mathrm{G'}\mathrm{E'}, \mathrm{O}\mathrm{B'}\mathrm{D'}\mathrm{C'}</math> を作れば,
<math>\mathbf{S_1}, \mathbf{S_2}</math> はまた <math>\mathrm{O}\mathrm{A}\mathrm{F'}\mathrm{B'}, \mathrm{O}\mathrm{A}\mathrm{E'}\mathrm{C'}</math> の代表[[一般力学/ベクトル#ベクトル|ベクトル]]であって,
これを <math>\mathrm{O}\mathrm{A}</math> の方向からみれば次図のようになる.
[[File:Example.jpg|border|]]
<math>\mathbf{S_1}, \mathbf{S_2}</math> はそれぞれ <math>\mathrm{A}\mathrm{F'}, \mathrm{A}\mathrm{E'}</math> に垂直で,その[[一般力学/ベクトル#ベクトルの大きさ|大きさ]]は
<math>S_1 = \overline{\mathrm{O}\mathrm{A}} \times \overline{\mathrm{A}\mathrm{F'}}, S_2 = \overline{\mathrm{O}\mathrm{A}} \times \overline{\mathrm{A}\mathrm{E'}}</math> である.
<math>\mathbf{S_1} = \vec{\mathrm{A}\mathrm{P}}, \mathbf{S_2} = \vec{\mathrm{A}\mathrm{Q}}</math> を相隣れる二辺とする平行四辺形 <math>\mathrm{A}\mathrm{P}\mathrm{R}\mathrm{Q}</math>
を作れば、これは <math>\square\mathrm{AF'G'E}</math> を全体 <math>\overline{OA}</math> 倍<ref>
<math>\because S_1 = \overline{\mathrm{OA}} \times \overline{\mathrm{AF'}}, S_2 = \overline{\mathrm{OA}} \times \overline{\mathrm{AE'}}</math>
</ref>
して <math>90</math>°回転したものである.故に <math>\vec{\mathrm{AR}} = \mathbf{S} = \mathbf{S_1} + \mathbf{S_2}</math> の大きさは
<math>\overline{OA} \times \overline{AG'}</math> 即ち <math>\square \mathrm{OAGD}</math> の面積に等しく<ref>
なぜならば <math>\overline{OA} \times \overline{AG'}</math> は <math>\square\mathrm{OAG'D'}</math> の面積に等しく,<math>\mathrm{DG}</math> は <math>\mathrm{OA}</math> と平行により,<math>\square\mathrm{OAG'D'}</math> の面積は <math>\square\mathrm{OAGD}</math> と等しいから.
</ref>
,方向はこれに垂直,向きを考えればこれが <math>\square\mathrm{OAGD}</math> の代表ベクトルであることがわかる.よって <ins>平行六面体の相隣れる二面を表す[[一般力学/ベクトルの加法#ベクトルの和|ベクトルの和]]はその共通の陵を含む対角面の:[[一般力学/ベクトル#代表ベクトル|代表ベクトル]]に等しい</ins>
<references />
{{DEFAULTSORT:いつはんりきかくへくとるのかほう}}
[[カテゴリ:一般力学|へくとるのかほう]]
[[Category:ベクトル]] | 2018-11-03T08:21:40Z | 2024-03-16T05:47:48Z | [
"テンプレート:一般力学/equation"
]
| https://ja.wikibooks.org/wiki/%E4%B8%80%E8%88%AC%E5%8A%9B%E5%AD%A6/%E3%83%99%E3%82%AF%E3%83%88%E3%83%AB%E3%81%AE%E5%8A%A0%E6%B3%95 |
24,627 | 一般力学/索引 | あ
か
さ
た
な
は
ま
や
ら
わ | [
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| あ か さ た な は ま や ら わ |
あ
:[[一般力学/ベクトル#位置ベクトル|位置ベクトル]]
:[[一般力学/ベクトル#一点に作用するベクトル|一点に作用するベクトル]]
か
:[[一般力学/ベクトルの加法#基本ベクトル|基本ベクトル]]
:[[一般力学/ベクトルの加法#合ベクトル|合ベクトル]]
さ
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:[[一般力学/ベクトルの乗法#スカラー積|スカラー積]]
:[[一般力学/ベクトル#スカラー量|スカラー量]]
:[[一般力学/ベクトル#束縛ベクトル|束縛ベクトル]]
た
:[[一般力学/ベクトル#単位ベクトル|単位ベクトル]]
:[[一般力学/ベクトル#代表ベクトル|代表ベクトル]]
な
:
は
:[[一般力学/ベクトルの加法#左手系|左手系]]
:[[一般力学/ベクトルの加法#分ベクトル|分ベクトル]]
:[[一般力学/ベクトル#平面積|平面積]]
:[[一般力学/ベクトル#ベクトル|ベクトル]]
:[[一般力学/ベクトルの乗法#ベクトル積|ベクトル積]]
:[[一般力学/ベクトル#ベクトルの大きさ|ベクトルの大きさ]]
:[[一般力学/ベクトルの加法#ベクトルの加法|ベクトルの加法]]
:[[一般力学/ベクトル#ベクトルの成分|ベクトルの成分]]
:[[一般力学/ベクトル#ベクトルの絶対値|ベクトルの絶対値]]
:[[一般力学/ベクトル#ベクトルの方向|ベクトルの方向]]
:[[一般力学/ベクトル#ベクトルの向き|ベクトルの向き]]
:[[一般力学/ベクトルの加法#ベクトルの和|ベクトルの和]]
:[[一般力学/ベクトル#ベクトル量|ベクトル量]]
:[[一般力学/ベクトルの加法#ベクトルを加える|ベクトルを加える]]
:[[一般力学/ベクトルの加法#ベクトルを合成する|ベクトルを合成する]]
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:[[一般力学/ベクトルの加法#変位|変位]]
:[[一般力学/ベクトル#方向余弦|方向余弦]]
ま
:[[一般力学/ベクトルの加法#右手系|右手系]]
:
や
:
ら
:
わ
:
{{DEFAULTSORT:いつはんりきかくさくいん}}
[[カテゴリ:一般力学|*]] | 2018-11-03T09:47:02Z | 2024-03-15T21:14:51Z | []
| https://ja.wikibooks.org/wiki/%E4%B8%80%E8%88%AC%E5%8A%9B%E5%AD%A6/%E7%B4%A2%E5%BC%95 |
24,628 | 不動産鑑定士試験 | 不動産鑑定士試験対策のページです。
不動産鑑定士の国家試験は、しばしば司法試験や公認会計士試験とならび称される超難関である。
【短答式】
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| 資格試験 > 不動産鑑定士試験 不動産鑑定士試験対策のページです。 | *[[資格試験]] > '''不動産鑑定士試験'''
[[w:不動産鑑定士試験|不動産鑑定士試験]]対策のページです。
== 不動産鑑定士試験 ==
不動産鑑定士の国家試験は、しばしば司法試験や公認会計士試験とならび称される超難関である。
== 試験の内容 ==
【短答式】
*行政法規
*鑑定理論
【論文式】
*民法
*経済学
*会計学
*鑑定理論(論文)
*鑑定理論(演習)
== 予備校の例示 ==
独学で突破するのは極めて困難であり、予備校を利用すべきである。
* TAC
* LEC
== 過去問題 ==
* [http://www.mlit.go.jp/totikensangyo/totikensangyo_tk4_000014.html 過去5年間の試験結果と試験問題]
{{デフォルトソート:ふとうさんかんていし}}
[[Category:資格試験(法律・会計)]] | null | 2020-05-17T10:00:10Z | []
| https://ja.wikibooks.org/wiki/%E4%B8%8D%E5%8B%95%E7%94%A3%E9%91%91%E5%AE%9A%E5%A3%AB%E8%A9%A6%E9%A8%93 |
24,631 | 公認会計士試験/平成30年第II回短答式/企業法/問題11 | 株主総会決議の瑕疵に関する次の記述のうち,正しいものの組合せとして最も適切な番号を一つ選びなさい。(5 点)
ア.最高裁判所の判例によれば,株主総会決議取消しの訴えを提起した後,提訴期間経過後に新たな取消事由を追加主張することは許されない。
イ.最高裁判所の判例によれば,株主は,自己に対する株主総会の招集手続に瑕疵がない場合には,他の株主に対する招集手続に瑕疵があるときであっても,当該株主総会の決議の取消しの訴えを提起することができない。
ウ.株主総会決議の内容が法令に違反する場合,当該株主総会決議には無効原因が認められる。
エ.株主総会決議が無効であることの確認の訴えにおいて,請求を認容する判決が確定したときは,当該株主総会決議は将来に向かってその効力を失う。
2
ア.最高裁判所の判例によれば,株主総会決議取消しの訴えを提起した後,提訴期間経過後に新たな取消事由を追加主張することは許されない。最判昭和51年12月24日
イ.最高裁判所の判例によれば,株主は,自己に対する株主総会の招集手続に瑕疵がない場合にはも,他の株主に対する招集手続に瑕疵があるときであってもは,当該株主総会の決議の取消しの訴えを提起することができない。できる。最判昭和42年9月28日
ウ.株主総会決議の内容が法令に違反する場合,当該株主総会決議には無効原因が認められる。830条2項
エ.株主総会決議が無効であることの確認の訴えにおいて,請求を認容する判決が確定したときは,当該株主総会決議は将来に向かってさかのぼってその効力を失う。839条は834条1項~12号・18号・19号に該当する訴えにのみ適用されるが,決議が無効であることの確認の訴えは16号に規定されるため適用を受けない。 | [
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"text": "イ.最高裁判所の判例によれば,株主は,自己に対する株主総会の招集手続に瑕疵がない場合にはも,他の株主に対する招集手続に瑕疵があるときであってもは,当該株主総会の決議の取消しの訴えを提起することができない。できる。最判昭和42年9月28日",
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"text": "ウ.株主総会決議の内容が法令に違反する場合,当該株主総会決議には無効原因が認められる。830条2項",
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]
| null | : [[../問題10|←前の問題]]
: [[../問題12|次の問題→]]
== 問題 ==
株主総会決議の瑕疵に関する次の記述のうち,正しいものの組合せとして最も適切な番号を一つ選びなさい。(5 点)
<div style="text-indent:-1em;margin-left:1em;">
ア.最高裁判所の判例によれば,株主総会決議取消しの訴えを提起した後,提訴期間経過後に新たな取消事由を追加主張することは許されない。
イ.最高裁判所の判例によれば,株主は,自己に対する株主総会の招集手続に瑕疵がない場合には,他の株主に対する招集手続に瑕疵があるときであっても,当該株主総会の決議の取消しの訴えを提起することができない。
ウ.株主総会決議の内容が法令に違反する場合,当該株主総会決議には無効原因が認められる。
エ.株主総会決議が無効であることの確認の訴えにおいて,請求を認容する判決が確定したときは,当該株主総会決議は将来に向かってその効力を失う。
</div>
<div style="column-count:6;">
:1.アイ
:2.アウ
:3.アエ
:4.イウ
:5.イエ
:6.ウエ
</div>
== 正解 ==
2
== 解説 ==
<div style="text-indent:-1em;margin-left:1em;">
ア.最高裁判所の判例によれば,株主総会決議取消しの訴えを提起した後,提訴期間経過後に新たな取消事由を追加主張することは許されない。<span style="text-decoration: underline;">最判昭和51年12月24日</span>
イ.最高裁判所の判例によれば,株主は,自己に対する株主総会の招集手続に瑕疵がない場合<del>には</del><span style="text-decoration: underline;">も</span>,他の株主に対する招集手続に瑕疵があるとき<span style="text-decoration: line-through;">であっても</span><span style="text-decoration: underline;">は</span>,当該株主総会の決議の取消しの訴えを提起することが<span style="text-decoration: line-through;">できない。</span><span style="text-decoration: underline;">できる。最判昭和42年9月28日</span>
ウ.株主総会決議の内容が法令に違反する場合,当該株主総会決議には無効原因が認められる。<span style="text-decoration: underline;">830条2項</span>
エ.株主総会決議が無効であることの確認の訴えにおいて,請求を認容する判決が確定したときは,当該株主総会決議は<span style="text-decoration: line-through;">将来に向かって</span><span style="text-decoration: underline;">さかのぼって</span>その効力を失う。<span style="text-decoration: underline;">839条は834条1項~12号・18号・19号に該当する訴えにのみ適用されるが,決議が無効であることの確認の訴えは16号に規定されるため適用を受けない。</span>
</div>
== 参照法令等 ==
* [http://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=417AC0000000086 会社法]
* [http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=55047 最判昭和42年9月28日]
* [http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=53217 最判昭和51年12月24日]
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